図面 (/)

技術 ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度の推定方法

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社
発明者 山田一輝東海林剛
出願日 2018年8月7日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-148477
公開日 2020年2月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-024132
状態 未査定
技術分野 蒸気ボイラの細部 温度及び熱量の測定
主要キーワード 温度感知部材 拡散対 損傷度合い 薄膜片 クリープ破壊 温度加速試験 相互拡散層 アレニウスの式
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定する方法を提供する。

解決手段

元素Aを含むフォイルと、フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、離脱された温度感知部材を分析して、薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを決定し、薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

概要

背景

信頼性確保の観点から、ボイラ耐圧部、炉内伝熱管などの寿命管理が不可欠となっている。伝熱管などのクリープ寿命評価法のひとつとして、伝熱管などが経験した温度に基づいてクリープ破壊までの時間をクリープ破断曲線などによって求めることができる。伝熱管などが経験した温度を評価する方法が種々提案されている。

特許文献1は、一定の使用時間に使用した鋼材評価部位析出した析出物について、使用時間の経過に従い含有率が増加する増加型元素の含有率を測定し、前記使用時間および前記増加型元素の含有率を利用して、前記評価部位の使用温度推定する鋼材の使用温度推定方法を開示している。

特許文献2は、オーステナイト系鋼材からなる伝熱管の使用前にその伝熱管にNi基合金あるいはFe−Ni基合金からなる温度推定部材を取り付けてから前記伝熱管を使用し、 前記伝熱管の点検使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用し、 取り外した前記温度推定部材の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、あるいは析出物の単位面積中に占める個数密度、あるいは析出物の平均サイズを電子顕微鏡計測し、予め求めておいた析出物の面積率、あるいは個数密度、あるいは平均サイズと運転時間と使用温度の関係を示す情報から各運転時間での温度推定部材の熱履歴を求めて、前記温度推定部材を取り付けた前記伝熱管の使用温度を推定することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法を開示している。

特許文献3は、ターボ機械部品動作温度を推定する方法であって、前記部品に取り外し可能に取り付けられた本体を準備するステップを含み、前記本体が、1種以上の化学種と、前記1種以上の化学種の初期濃度を有する第1の材料と、前記第1の材料からの前記1種以上の化学種の移動を可能にするよう構成された第2の材料と、を備え、前記1種以上の化学種が前記ターボ機械の作動中に前記第1の材料から前記第2の材料に移動し、前記本体が、作動中の前記ターボ機械の温度を推定するよう構成され、前記方法が更に、前記ターボ機械を作動させるステップと、前記ターボ機械の作動を停止するステップと、前記本体を前記部品から取り外すステップと、前記第1の材料及び前記第2の材料における前記1種以上の化学種の最終濃度を決定し、前記第1の材料と前記第2の材料との間の前記1種以上の化学種の過渡濃度を決定することにより濃度プロファイルを取得するステップと、前記濃度プロファイルを前記ターボ機械の対応する動作温度に相関付けることにより、動作温度を決定するステップと、を含む、方法を開示している。

特許文献4は、拡散対証票(diffusion couple witness coupon)を高温部材に付着させ、高温部材と拡散対証票とを少なくとも1回高温度にさらし、室温に戻し、拡散対証票を分析し、その分析結果から高温部材が経験した温度を見積もることを含む、高温部材の寿命または損傷度合いを評価するための方法を開示している。さらに、特許文献4は、二種の金属箔接合させ、接合された二種の金属箔を所定の大きさに切り出すことを含む、拡散対証票の作成方法を開示している。

特許文献5は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異なる合金材料を2層積層した拡散対からなり、この拡散対界面において少なくとも2層形成される相互拡散層厚さに基づいて加熱温度と加熱時間をともに推定することを特徴とする温度センサを開示している。

概要

ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定する方法を提供する。元素Aを含むフォイルと、フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、離脱された温度感知部材を分析して、薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを決定し、薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

目的

本発明の課題は、火力発電設備およびボイラ等に使用される過熱器管等の余寿命見積もり、伝熱管等の交換時期を決定するために、ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、離脱された温度感知部材を分析して、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Bの濃度Cbを決定し、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、元素Bの濃度Cbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

請求項2

元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、離脱された温度感知部材を分析して、薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを決定し、薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

請求項3

元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、離脱された温度感知部材を分析して、フォイルの一方の表面の上で且つ接合された薄膜片の縁から元素Bの量が検出限界以下になる縁までの距離xcを決定し、距離xcと、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

請求項4

元素AがCrであり、元素BがFeである、請求項1、2または3に記載の方法。

請求項5

温度感知部材の測定対象への付着は、薄膜片が測定対象側になるように、行う、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度の推定方法に関する。より詳細に、本発明は、火力発電設備およびボイラ等に使用される過熱器管等の余寿命見積もり伝熱管等の交換時期を決定するために、ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定する方法に関する。

背景技術

0002

信頼性確保の観点から、ボイラの耐圧部、炉内伝熱管などの寿命管理が不可欠となっている。伝熱管などのクリープ寿命評価法のひとつとして、伝熱管などが経験した温度に基づいてクリープ破壊までの時間をクリープ破断曲線などによって求めることができる。伝熱管などが経験した温度を評価する方法が種々提案されている。

0003

特許文献1は、一定の使用時間に使用した鋼材評価部位析出した析出物について、使用時間の経過に従い含有率が増加する増加型元素の含有率を測定し、前記使用時間および前記増加型元素の含有率を利用して、前記評価部位の使用温度を推定する鋼材の使用温度推定方法を開示している。

0004

特許文献2は、オーステナイト系鋼材からなる伝熱管の使用前にその伝熱管にNi基合金あるいはFe−Ni基合金からなる温度推定部材を取り付けてから前記伝熱管を使用し、 前記伝熱管の点検使用停止時毎に前記温度推定部材を前記伝熱管から取り外し、その取り外した前記温度推定部材と同材質の新たな温度推定部材を前記伝熱管に取り付けてから前記伝熱管を使用し、 取り外した前記温度推定部材の運転後の析出物の単位面積中に占める面積率、あるいは析出物の単位面積中に占める個数密度、あるいは析出物の平均サイズを電子顕微鏡計測し、予め求めておいた析出物の面積率、あるいは個数密度、あるいは平均サイズと運転時間と使用温度の関係を示す情報から各運転時間での温度推定部材の熱履歴を求めて、前記温度推定部材を取り付けた前記伝熱管の使用温度を推定することを特徴とする伝熱管の使用温度推定方法を開示している。

0005

特許文献3は、ターボ機械部品動作温度を推定する方法であって、前記部品に取り外し可能に取り付けられた本体を準備するステップを含み、前記本体が、1種以上の化学種と、前記1種以上の化学種の初期濃度を有する第1の材料と、前記第1の材料からの前記1種以上の化学種の移動を可能にするよう構成された第2の材料と、を備え、前記1種以上の化学種が前記ターボ機械の作動中に前記第1の材料から前記第2の材料に移動し、前記本体が、作動中の前記ターボ機械の温度を推定するよう構成され、前記方法が更に、前記ターボ機械を作動させるステップと、前記ターボ機械の作動を停止するステップと、前記本体を前記部品から取り外すステップと、前記第1の材料及び前記第2の材料における前記1種以上の化学種の最終濃度を決定し、前記第1の材料と前記第2の材料との間の前記1種以上の化学種の過渡濃度を決定することにより濃度プロファイルを取得するステップと、前記濃度プロファイルを前記ターボ機械の対応する動作温度に相関付けることにより、動作温度を決定するステップと、を含む、方法を開示している。

0006

特許文献4は、拡散対証票(diffusion couple witness coupon)を高温部材に付着させ、高温部材と拡散対証票とを少なくとも1回高温度にさらし、室温に戻し、拡散対証票を分析し、その分析結果から高温部材が経験した温度を見積もることを含む、高温部材の寿命または損傷度合いを評価するための方法を開示している。さらに、特許文献4は、二種の金属箔接合させ、接合された二種の金属箔を所定の大きさに切り出すことを含む、拡散対証票の作成方法を開示している。

0007

特許文献5は、Ni、Co、Cr、Feのうち少なくとも1種を含む合金材料の中から選択した、組成の異なる合金材料を2層積層した拡散対からなり、この拡散対界面において少なくとも2層形成される相互拡散層厚さに基づいて加熱温度と加熱時間をともに推定することを特徴とする温度センサを開示している。

先行技術

0008

特開2006−300601号公報
特開2014−228196号公報
特開2013−108494号公報(US 8974180 B2)
US 2004/0082069 A1
特開平10−2808号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の課題は、火力発電設備およびボイラ等に使用される過熱器管等の余寿命を見積もり、伝熱管等の交換時期を決定するために、ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定する方法を提供することである。従来技術の特許文献1および2の方法では、予め元素の含有率あるいは析出物の面積率等と運転時間と使用温度の関係を予め求める必要があるが、温度加速をした場合に精度が低下する。また計測者金属組織観察者により評価結果にも誤差が生じるため,精度の向上が困難である。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決すべく検討した結果、以下のような態様を包含する本発明を完成するに至った。

0011

〔1〕元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、
測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、
測定対象と温度感知部材とを冷まし、
高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、
離脱された温度感知部材を分析して、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Bの濃度Cbを決定し、
フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、元素Bの濃度Cbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

0012

〔2〕元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、
測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、
測定対象と温度感知部材とを冷まし、
高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、
離脱された温度感知部材を分析して、薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを決定し、
薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

0013

〔3〕元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、
測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、
測定対象と温度感知部材とを冷まし、
高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、
離脱された温度感知部材を分析して、フォイルの一方の表面の上で且つ接合された薄膜片の縁から元素Bの量が検出限界以下になる縁までの距離xcを決定し、
距離xcと、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む、方法。

0014

〔4〕元素AがCrであり、元素BがFeである、〔1〕、〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕温度感知部材の測定対象への付着は、薄膜片が測定対象側になるように、行う、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の方法。

発明の効果

0015

本発明の方法は、ボイラの炉内伝熱管などが経験した温度を精度良く推定することができる。本発明の方法は、火力発電設備およびボイラ等に使用される過熱器管等の余寿命を見積もり、材料の交換時期を決定するために有用である。
本発明の方法は、拡散係数と温度との関係に基づいて推定が行われる。拡散係数は、温度の逆数に対して単調増加する関係であるので、本発明の方法の一例において温度の推定に使用される検量線は、温度加速試験によって短期間でも正確に決定することができる。本発明の方法は、計測する者の経験の有無によって、推定値の精度が変わることがない。

図面の簡単な説明

0016

(a)伝熱管に温度感知部材を付着させた状態の一例を示す図と、(b)その付着部分の拡大図である。
温度感知部材のスポット溶接実施部分とスポット溶接未実施部分との一例を示す図である。
「表面のFe濃度」と「拡散係数と時間の相乗平均」の関係の一例を示す図である。

実施例

0017

本発明の方法の一形態は、元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、 測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、 測定対象と温度感知部材とを冷まし、 高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、 離脱された温度感知部材を分析して、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Bの濃度Cbを決定し、 フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、元素Bの濃度Cbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む。

0018

本発明の方法の別の一形態は、元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、 測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、 測定対象と温度感知部材とを冷まし、 高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、 離脱された温度感知部材を分析して、薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを決定し、 薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む。

0019

本発明の方法の別の一形態は、元素Aを含むフォイルと、該フォイルの一方の表面の上の一部に接合してなる元素Bを含む薄膜片とを有する温度感知部材を、測定対象に付着させ、 測定対象と温度感知部材とを高温にさらし、 測定対象と温度感知部材とを冷まし、 高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させ、 離脱された温度感知部材を分析して、フォイルの一方の表面の上で且つ接合された薄膜片の縁から元素Bの量が検出限界以下になる縁までの距離xcを決定し、 距離xcと、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することを含む。

0020

本発明に用いられる温度感知部材は、フォイルと、該フォイルの一方の表面の上の少なくとも一部に接合してなる薄膜片とを有する。
フォイルは、少なくとも元素Aを含む薄い板金である。元素Aとしては、Ni、Co、Cr、Feなどを挙げることができる。これらのうち、高温腐食しにくいという観点から、Crが好ましい。フォイルは、元素Aを含むものであれば、単体で構成されていてもよいし、アロイで構成されていてもよいし、化合物で構成されていてもよい。フォイルの厚さは、好ましくは0.01〜1mm、より好ましくは0.1〜0.8mmである。フォイルの大きさや形状は、特に限定されないが、扱いやすさの観点から、例えば、10〜80mm×10〜80mmの四角形、直径10〜100mmの円形若しくは楕円形などであることができる。

0021

薄膜片は、少なくとも元素Bを含む、元素Bとしては、Ni、Co、Cr、Feなどを挙げることができる。これらのうち、600〜700℃程度で相互拡散が顕著に生じるという観点から、Feが好ましい。薄膜片は、元素Bを含むものであれば、単体で構成されていてもよいし、アロイで構成されていてもよいし、化合物で構成されていてもよい。本発明においてはフェライトで構成されている薄膜片が好ましい。薄膜片の厚さは、特に限定されず、数nm〜数mmであることができる。薄膜片の大きさや形も特に限定されず、例えば、数百μm〜数mm×数百μm〜数mmの四角形、直径数百μm〜数mmの円形若しくは楕円形であることができる。

0022

フォイルへの薄膜片の接合は、溶射溶接蒸着などで行うことができる。接合場所は、フォイルの一方の表面の上の中央部が好ましい。

0023

本発明の方法に用いられる測定対象は、特に限定されない。例えば、火力発電設備およびボイラ等に使用される過熱器管等、伝熱管等を挙げることができる。より具体的には、伝熱管の表面、特にボイラに近い側の伝熱管表面を挙げることができる。
温度感知部材の測定対象への付着は、薄膜片が測定対象側になるように、行うことが好ましい。高温にさらされたときに、測定対象と温度感知部材とが同じ温度を経験するように、密に付着させることが好ましい。付着の方法は特に限定されず、例えば、温度感知部材の縁部分を測定対象の表面に溶接(スポット溶接)することによって、付着させる。温度感知部材の縁部分の一部を、溶接せずに浮かせておくことによって、その後に行う、測定対象からの温度感知部材の離脱が容易になる。

0024

次いで、測定対象と温度感知部材とを高温にさらす。測定対象が過熱器管等、伝熱管等である場合は、ボイラを稼働させることによって、高温にさらすことができる。ボイラ内の伝熱管は約600〜700℃程度の温度にさらされていると推測される。

0025

ボイラを停止するなどして、測定対象と温度感知部材とを冷まし、高温にさらされた温度感知部材を測定対象から離脱させる。

0026

次いで、離脱された温度感知部材を分析する。分析はSEM-EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)などを用いて行うことができる。この分析によって、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Bの濃度Cb、薄膜片の表面における元素Aの濃度Ca、またはフォイルの一方の表面の上で且つ接合された薄膜片の縁から元素Bの量が検出限界以下になる縁までの距離xcを決定する。相互拡散によって、元素Aがフォイルから薄膜片に拡散するのと同時に元素Bが薄膜片からフォイルに拡散するので、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Bの濃度Cbを直接に決定する代わりに、フォイルのもう一方の表面の上で且つ薄膜片が接合された面の裏側における元素Aの濃度を決定して元素Bの濃度Cbを推定してもよいし、または薄膜片の表面における元素Aの濃度Caを直接に決定する代わりに、薄膜片の表面における元素Bの濃度を決定して元素Aの濃度Caを推定してもよい。距離Xcの測定においては、実施例2のように、元素Aと元素Bとの酸化されやすさの相違などによって縁の部分を特定することもできる。

0027

一般に、温度と濃度との関係は、フィックの第二法則拡散方程式):
∂/∂t(C)=D ∂2/∂x2(C)
、および拡散のアレニウスの式
D=D0exp(−Q/(RT))
で表すことができる。

0028

無限に長く細いリボン状フォイルに薄膜片を接合させたときにおける、濃度分布は、拡散方程式の解から、
C=1/(2(πDt)1/2) exp(−x2/(4Dt))
で表される。この式は、
σ=(2Dt)1/2とすると
C=1/(2(πσ2)1/2) exp(−x2/(2σ2))
正規分布関数となる。99.7%含まれる範囲は−3σ≦x≦+3σとなる。

0029

以上から、濃度Cbは(Dbt)-1/2に対して単調増加する関係にあり、濃度Caは(Dat)-1/2に対して単調増加する関係にあることがわかる。また、元素Bの量が検出限界以下となる縁までの距離Xcは(Dbt)1/2に対して単調増加する関係にあることがわかる。
そこで、温度感知部材に対して温度加速試験を行って、濃度Cbと(Dbt)-1/2との相関、濃度Caと(Dat)-1/2との相関、または距離Xcと(Dbt)1/2との相関を、予め調べ、その相関をグラフ近似式などによって表す。これによって、濃度または距離と累積時間tとから拡散係数Dを算出できる。そして、拡散係数から温度をアレニウスの式によって算出できる。

0030

このようにして、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、元素Bの濃度Cbと、高温にさらされた累積時間tとから、薄膜片中における元素Aの拡散係数Daと、元素Aの濃度Caと、高温にさらされた累積時間tとから、または距離xcと、フォイル中における元素Bの拡散係数Dbと、高温にさらされた累積時間tとから、測定対象が経験した温度Tを推定することができる。

0031

次に、実施例を示して、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

0032

実施例1
Cr箔(厚さ0.5mm、30mm×40mm)の一方の面の中央部にFeを8mm×8mmの四角形にて蒸着させた部材を準備した。温度が高くなると予想されるボイラ内の伝熱管の火炉側(缶前)に、Feを蒸着させた箇所が伝熱管側になるように、部材の縁をスポット溶接して、付着させた。離脱が容易となるように、縁の1辺にスポット溶接未実施部を設けた(図2)。
ボイラを所定時間(1.6万時間(約2年間))運転した。その後、室温に戻し、スポット溶接未実施部よりめくり剥がした。部材をSEM−EDX(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法)にて分析し、Cr箔の表面のFe濃度を計測した、Fe濃度は40±5%であった。

0033

前記部材の温度加速実験を予め行って、「表面のFe濃度」と「拡散係数Dと時間tの相乗平均」との関係を決定した。図3は、決定された「表面のFe濃度」と「拡散係数Dと時間tの相乗平均」との関係を示す図である。図3に基づいて「拡散係数Dと時間tの相乗平均」が1.9×10-6〜2.5×10-6mと定まった。この値とボイラ運転時間tからアレニウスの式を用いて、伝熱管が経験した温度の平均値が613〜623℃と算出された。

0034

実施例2
Cr箔(厚さ0.5mm、30mm×40mm)の一方の面の中央部にFeを直径d1の円形にて蒸着させた部材を準備した。温度が高くなると予想される伝熱管の火炉側(缶前)に、Feを蒸着させた箇所が伝熱管側になるように、部材の縁をスポット溶接して、付着させた。離脱が容易となるように、縁の1辺にスポット溶接未実施部を設けた。
ボイラを所定時間(1.6万時間(約2年間))運転した。その後、室温に戻し、スポット溶接未実施部よりめくり剥がした。Cr濃度の高い領域は酸化しにくい。一方、Fe濃度の高い領域では酸化皮膜が形成される。部材を肉眼にて分析し、酸化被膜の直径d2を計測した。d1とd2との差は、Feの拡散距離Xcとみなすことができる。

0035

前記部材の温度加速実験を予め行って、「Feの平均拡散距離」と「拡散係数Dと時間tの相乗平均」との関係を決定した。なお、無限媒質における平均拡散距離xは、x=(2Dt)1/2で表される。拡散距離Xcとボイラ運転時間tとから、アレニウスの式を用いて、伝熱管が経験した温度の平均値が600〜630℃と算出された。実施例2の方法は、実施例1の方法に比べて評価精度は劣るが、計測が容易で簡易に温度を推定できる。

0036

A:フォイル
B:薄膜片
5:伝熱管
2:スポット溶接未実施部
3:スポット溶接実施部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 三菱電機株式会社の「 温度センサ装置」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】コストの上昇なしに高信頼性、高感度の温度センサ装置を得る。【解決手段】温度検出素子11及び温度検出素子11にリード線12を介して接続された外部接続用ターミナル14を有し、熱可塑性樹脂からなる第... 詳細

  • 株式会社デンソーの「 温度センサ」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】温度測定の応答性を向上させやすい温度センサを提供する。【解決手段】温度センサは、感温素子と一対の素子電極線3と一対のターミナル4とを備える。素子電極線3の重なり線部31は、ターミナル4に重なり... 詳細

  • 三浦工業株式会社の「 排水再利用装置及びボイラシステム」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】従来よりも早期に膜劣化を検知することが可能な排水再利用装置及びボイラシステムを提供する。【解決手段】排水再利用装置2は、排水処理槽から回収される1次処理水から、ろ過膜によって懸濁物質を除去する... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ