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技術 二酸化ケイ素の堆積

出願人 エスピーティーエステクノロジーズリミティド
発明者 チョウユンロンダヒンドマンスティーブンアールバーゲス
出願日 2019年11月11日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2019-204206
公開日 2020年2月13日 (1年9ヶ月経過) 公開番号 2020-023755
状態 拒絶査定
技術分野 弾性表面波素子とその回路網 絶縁膜の形成 圧電・機械振動子,遅延・フィルタ回路 物理蒸着
主要キーワード ガス連結管 容量結合回路 二酸化ケイ素薄膜 反跳原子 誘電絶縁体 イオン化部分 伸縮モード スパッタ収率
関連する未来課題
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この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
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図面 (11)

課題

基板二酸化ケイ素堆積するための方法と装置を提供する。

解決手段

本発明によれば、本質的に酸素クリプトンからなるスパッタリングガス合物を使用するパルスDC反応性スパッタリングにより、基板にSiO2を堆積させる方法が存在する。

概要

背景

従来、電子スイッチングデバイス及び電子感知デバイス(例えば金属−絶縁体−金属金属−絶縁体−半導体スイッチングデバイス)の誘電絶縁体として、スパッタリングされた二酸化ケイ素が広く使われている。また、二酸化ケイ素は屈折率が低く、透明度が高く、TCF(周波数温度係数)が正であることから、光学用途及びSAWフィルタBAWフィルタTCSAWフィルタ等の音響用途でも二酸化ケイ素は非常に魅力がある。

二酸化ケイ素薄膜堆積する方法として、熱酸化プラズマ化学気相成長法(PECVD)、反応性RFスパッタリング、及びパルスDCスパッタリングが知られている。薄膜を堆積するためには、一般に、薄膜特性が目的の最終用途に最適となるような手法が選択される。スパッタ堆積は、製造工程が低温であるという顕著な利点がある。加えて、パルスDCマグネトロンスパッタリングの場合、複雑で高コストなRFスパッタリング手法と比べて堆積速度が高く、性能の繰り返し性が高く、膜品質が改善される。しかしながら、パルスDCスパッタリングに関連する欠点がいくつか存在する。従来のパルスDC反応性スパッタリング及びPECVDで二酸化ケイ素を成膜した場合、膜の密度は2.30gcm-3以下となる。しかし、二酸化ケイ素膜の密度が2.30gcm-3超であれば、TCSAW用途等において音響性能電気性能が向上するので、この密度の二酸化ケイ素膜を製造することが非常に望ましいと考えられる。

反応性スパッタリングで表面に膜が形成されるウエハにDCバイアスをかけることにより、反応性スパッタリングされる二酸化ケイ素膜の密度を増加できることが知られている。しかし、従来のArスパッタリングで達成できる二酸化ケイ素膜密度は最大で約2.35gcm-3に限られている。二酸化ケイ素膜の高密度化という要望に加えて、製造時スループットの改善に向けた商業的推進力も常に存在する。

概要

基板に二酸化ケイ素を堆積するための方法と装置を提供する。本発明によれば、本質的に酸素クリプトンからなるスパッタリングガス合物を使用するパルスDC反応性スパッタリングにより、基板にSiO2を堆積させる方法が存在する。

目的

本発明の第1の態様によれば、本質的に酸素とクリプトンからなるスパッタリングガス混合物を使用するパルスDC反応性スパッタリングにより、基板にSiO2を堆積する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

本質的に酸素クリプトンからなるスパッタリングガス合物を使用するパルスDC反応性スパッタリングにより、基板上にSiO2を堆積する方法。

請求項2

酸素に対するクリプトンの比率は、sccm単位の流量比で表した場合に0.1〜0.9の範囲にある、請求項1に記載の方法。

請求項3

酸素に対するクリプトンの前記比率は0.2〜0.8の範囲にある、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記基板にRF電力印加してDCバイアスを生成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記基板に印加される前記RF電力は20〜150Wの範囲にあり、好ましくは20〜125Wの範囲にある、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記スパッタリングガス混合物は、1ミリトル〜20ミリトル(0.13パスカル〜2.67パスカル)の範囲の圧力で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

前記方法を実施することにより、2.35gcm-3以上の密度、好ましくは2.40gcm-3以上の密度のSiO2が堆積する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。

請求項8

前記SiO2は薄膜等の膜として堆積する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

前記基板は基板ホルダの表面に配置され、SiO2の前記堆積中、前記基板ホルダは100℃未満の温度、好ましくは70℃未満の温度にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

パルスDCマグネトロン反応性スパッタリングによりSiO2が前記基板上に堆積する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

SiO2を基板上に堆積するためのパルスDC反応性スパッタリング装置であって、基板ホルダとターゲットとを格納するチャンバ又はチャンバシステムと、酸素源と、クリプトン源と、酸素とクリプトンを前記チャンバに供給するためのガス供給システムと、パルスDC電力を供給して、ターゲットからSiをスパッタリングさせる手段とを備える、装置。

請求項12

表面にSiO2の堆積物を有する基板であって、前記SiO2は、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により反応性スパッタリングされたSiO2である、基板。

請求項13

前記SiO2は、2.35gcm-3以上の密度、好ましくは2.40gcm-3以上の密度を有する、請求項12に記載の基板。

請求項14

請求項12又は13に記載の基板を含む、SAWフィルタBAWフィルタ、又はTCSAWフィルタ

技術分野

0001

本発明は、基板二酸化ケイ素堆積するための方法と装置、表面に二酸化ケイ素が堆積した基板、及びこの基板を組み込んだ構造物デバイスに関する。

背景技術

0002

従来、電子スイッチングデバイス及び電子感知デバイス(例えば金属−絶縁体−金属金属−絶縁体−半導体スイッチングデバイス)の誘電絶縁体として、スパッタリングされた二酸化ケイ素が広く使われている。また、二酸化ケイ素は屈折率が低く、透明度が高く、TCF(周波数温度係数)が正であることから、光学用途及びSAWフィルタBAWフィルタTCSAWフィルタ等の音響用途でも二酸化ケイ素は非常に魅力がある。

0003

二酸化ケイ素薄膜を堆積する方法として、熱酸化プラズマ化学気相成長法(PECVD)、反応性RFスパッタリング、及びパルスDCスパッタリングが知られている。薄膜を堆積するためには、一般に、薄膜特性が目的の最終用途に最適となるような手法が選択される。スパッタ堆積は、製造工程が低温であるという顕著な利点がある。加えて、パルスDCマグネトロンスパッタリングの場合、複雑で高コストなRFスパッタリング手法と比べて堆積速度が高く、性能の繰り返し性が高く、膜品質が改善される。しかしながら、パルスDCスパッタリングに関連する欠点がいくつか存在する。従来のパルスDC反応性スパッタリング及びPECVDで二酸化ケイ素を成膜した場合、膜の密度は2.30gcm-3以下となる。しかし、二酸化ケイ素膜の密度が2.30gcm-3超であれば、TCSAW用途等において音響性能電気性能が向上するので、この密度の二酸化ケイ素膜を製造することが非常に望ましいと考えられる。

0004

反応性スパッタリングで表面に膜が形成されるウエハにDCバイアスをかけることにより、反応性スパッタリングされる二酸化ケイ素膜の密度を増加できることが知られている。しかし、従来のArスパッタリングで達成できる二酸化ケイ素膜密度は最大で約2.35gcm-3に限られている。二酸化ケイ素膜の高密度化という要望に加えて、製造時スループットの改善に向けた商業的推進力も常に存在する。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、本発明の実施形態の少なくとも一部において、上述の問題及び要望の1つ以上に取り組む。

課題を解決するための手段

0006

本発明の第1の態様によれば、本質的に酸素クリプトンからなるスパッタリングガス合物を使用するパルスDC反応性スパッタリングにより、基板にSiO2を堆積する方法を提供する。

0007

クリプトンと酸素の比率は、酸素流量(sccm単位)に対するクリプトン流量(sccm単位)の比率で表した場合、0.1〜0.9の範囲にあってよく、好ましくは0.2〜0.8の範囲にある。これらの比率の任意の組み合わせに対応する範囲も、本発明の範囲に含まれる。

0008

いくつかの実施形態では、基板にRF電力印加してDCバイアスを生成する。これにより、SiO2密度を改善することができる。基板に印加するRF電力は、20〜150Wの範囲にあってよく、好ましくは20〜125Wである。

0009

スパッタリングガス混合物は、圧力が1ミリトル〜20ミリトル(0.13パスカル〜2.67パスカル)の範囲で存在してよい。

0010

本発明の利点の1つは、高密度のSiO2堆積物生産できることである。本発明の方法を実施することにより、密度が2.35gcm-3以上、好ましくは2.40gcm-3以上のSiO2を堆積できる。

0011

概して、このSiO2は薄膜等の膜として堆積する。

0012

通常、基板ホルダの表面に基板が配置される。SiO2の堆積中、基板ホルダの温度は100℃未満であってよく、好ましくは70℃未満である。日常的には、50℃前後の基板ホルダで堆積を実施することができる。

0013

いくつかの実施形態では、パルスDCマグネトロン反応性スパッタリングによりSiO2を基板に堆積させる。

0014

本発明の第2の態様によれば、SiO2を基板に堆積するためのパルスDC反応性スパッタリング装置が提供され、この装置は、
基板ホルダとターゲットとを格納するチャンバ又はチャンバシステムと、
酸素源と、
クリプトン源と、
酸素とクリプトンをチャンバに供給するためのガス供給システムと、
パルスDC電力を供給して、ターゲットからSiをスパッタリングさせる手段とを備える。

0015

通常、ターゲットは純ケイ素又は二酸化ケイ素である。基板はシリコン基板であってよく、通常はウエハの形をしている。

0016

装置は、パルスDCマグネトロン反応性スパッタリング装置であってよい。これらの実施形態では、装置はさらにマグネトロンを備えてよい。

0017

本発明の第3の態様によれば、表面にSiO2が堆積した基板が提供され、このSiO2は、本発明の第1態様の方法を用いて反応性スパッタリングにより堆積したSiO2である。このSiO2の密度は、2.35gcm-3以上であり得、好ましくは2.40gcm-3以上である。

0018

本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様の基板を含む構造物又はデバイスが提供される。有利には、本発明は、本発明の第3の態様による基板を含むSAWフィルタ、BAWフィルタ、又はTCSAWフィルタを提供する。本発明が提供する比較的高密度のSiO2膜は、これらの用途並びに他の光学用途及び音響用途において特に有用性がある。

0019

上記で本発明を説明したが、本発明の範囲は、上記又は下記の説明、図面、若しくは請求項に記載されている特徴の進歩性の組み合わせに及ぶ。

0020

次に、添付の図面を参照して、本発明の方法及び装置の実施形態を説明する。

図面の簡単な説明

0021

本発明の装置の半概略図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境で堆積したSiO2膜の、SiO2膜密度プラテンRFの対比を示す図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境で堆積したSiO2膜の、SiO2屈折率とプラテンRFの対比を示す図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境におけるSiO2膜堆積速度とプラテンRF電力の対比を示す図である。
酸素と混合したAr又はKrを用いたシリコンターゲットの(a)ターゲット電圧、及び(b)ターゲット電流ヒステリシス曲線を、酸素流量の関数で示した図である。
二次電子放出を、Moターゲット及びWターゲットに対する入射イオン衝撃エネルギーガス種の関数で表した図である(Glow Discharge Processes, Chapman, Wiley and Sons, 1980から取得)。
Ar/O2環境及びKr/O2環境で堆積したSiO2膜のSiO2膜密度と不活性ガスの割合の対比を示す図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境で堆積したSiO2膜の、SiO2膜応力とプラテンRF電力の対比を示す図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境でスパッタリングした二酸化ケイ素膜の電気的破壊データ(電界に対する電流密度)を示す図である。
Ar/O2環境及びKr/O2環境でスパッタリングしたSiO2膜のFTIRスペクトルを示す図である。

0022

図1は本発明の装置の一実施形態を示し、10として概要を図示している。この装置は真空チャンバ8を備え、真空チャンバの内部にウエハプラテン2が配置される。チャンバ8の上側部分はターゲット9を含み、ターゲット9はケイ素又は二酸化ケイ素で形成されてよい。ターゲット9にパルスDC電力を印加するため、パルスDC電源1が設けられる。この装置は通常、パルスDCマグネトロン反応性スパッタリング配置の形を取り、その場合、この装置はマグネトロンをさらに備える。図1にはマグネトロンを表示していないが、当業者にはよく知られているように、実際にはターゲット9の裏にマグネトロンを配置することになる。使用時は、ターゲット9と向かい合うようにプラテン2が基板(通常はウエハ)を支持する。プラテン2は導電材料で形成され、RF電源3から容量結合回路を通じて提供されるRF信号バイアスかけられるので、プラテン2は電極の働きをすることができる。プラズマの存在下でRFバイアスをかけると、プラテン2の表面に負のDCバイアスが形成されて、スパッタリングされたイオンが基板に向かって加速する。酸素源4、アルゴン源5、及びクリプトン源6が供給されている。適切なガス連結管の一部として質量流量コントローラ7を用いることにより、酸素、アルゴン、又はクリプトンを選択的にチャンバ8内に入れる。ターゲット9からスパッタリングされたケイ素と酸素ガスとが反応して、プラテン2に配置されたウエハの表面に二酸化ケイ素の層が形成される。アルゴン源5は、単に、Ar/O2環境を用いて達成される反応性スパッタリングと、Kr/O2環境を用いて達成される反応性スパッタリングとの間で比較実験を行う目的で提供されていることが理解される。他の実施形態では、アルゴン源5を提供せずに、より単純なガス連結管を使用してもよい。

0023

ターゲット電力1.25kW及び2kW、プラテン温度50℃を使用し、様々なRF電力をプラテン2に印加する実験を行った。Arの流量30sccm、O2の流量80sccmを用いたAr/O2環境で実験した。Krの流量30sccm、酸素の流量80sccmを用いたKr/O2環境でも実験した。Ar/O2環境且つターゲット電力2kWでは、膜厚1000nm、プラテンに印加するRF電力がゼロのとき、SiO2膜の密度は2.26gcm-3である。プラテンにRF電力を印加すると膜密度が増加し、プラテンのRF電力120Wでは、膜密度が〜3%増加して2.33gcm-3となっていることが認められる。プラテンにRFバイアスをかけることは、エネルギーイオン衝撃による二酸化ケイ素の高密度化に役立つと考えられる。しかし、過度に高いDCバイアスをかける(エネルギー性の高いイオンを生成する)と、イオン照射された欠陥と空洞も生成され得るため、実際には膜密度が低下する。図2に示すAr/O2環境を用いた堆積の中〜高レベルのプラテンRF電力で、SiO2膜密度が飽和しているように見えるのは、このことが原因であると言える。Ar/O2環境では、プラテンに印加されたRF電力が非常に高いとき(ここではデータを表示せず)、膜密度が実際に減少することがこの実験で示された。図2は、Kr/O2反応性スパッタリング工程を用いて取得したSiO2膜密度も示す。反応性スパッタリング工程においてKr/O2環境を使用した場合、SiO2膜密度が2.40cm-3強に増加し得ることが分かる。膜密度は、本質的にターゲットRF電力と無関係であるが、プラテンに印加されるRF電力に伴って増加することを我々は見出した。

0024

図3は、Ar/O2を用いた反応性スパッタリングと比べて、Kr/O2を用いた反応性スパッタリングの方がSiO2膜の屈折率が高いことを示す。このことは、Kr/O2反応性スパッタリングに関連してSiO2膜密度が増加することと整合しており、原子充填密度(atomic packing density)が比較的高いことの表れであり得る。図3において、パルスDC電力1.5kWに対し、バイアス電力が高いほど屈折率が実質的に上昇していることが分かる。

0025

図4は、SiO2膜の堆積速度を、Ar/O2、Kr/O2の両環境のプラテンバイアス電力の関数で示す。2kWと1.25kWのターゲットRF電力に対してデータを取得した。Ar/O2反応性スパッタリングと比べて、Kr/O2反応性スパッタリングの方が堆積速度を有意に高くできることが分かる。より詳細には、Ar/O2反応性スパッタリング工程と比べて、Kr/O2工程に関連する堆積速度は〜16%高く、このことは本質的にプラテンRF電力と無関係である。このことから、我々は、本発明の工程が製造スループットの面で著しい利点を有し得ると判断する。

0026

特定の理論や推測に拘束されることを望むものではないが、Ar/O2と比べてKr/O2反応性スパッタガス環境での二酸化ケイ素の堆積速度が上昇した原因の1つは、ArよりもKrの方がSiのスパッタ収率が高いことにあると考えられる。しかし、膜密度が堆積電力と無関係であるという事実は、Kr/O2を用いて反応性スパッタリングしたSiO2膜で密度が増加する原因としての単純な運動移行とむしろ相反する。加えて、表1に示すように、堆積速度と膜密度の上昇はターゲット電圧の上昇を伴っていない。

0027

0028

Arのみのプラズマと比べて、同一圧力においてクリプトンのみのプラズマの方が電圧がはるかに高く、電流が低いが、充分な酸素を導入してターゲットをポイズン化すると、Ar/O2プラズマとKr/O2プラズマの電圧と電流は、ほぼ同じになる。図5は、ArとKrを用いた反応性プロセスのIV特性を示す。ターゲットRF電力は2kWである。Ar/O2とKr/O2のV特性とI特性の両方とも、O2の割合が次第に増加してターゲットがポイズン化レジーム(poisoned regime)に到達するにつれて収束していることが分かる。

0029

Krのみのプラズマで電流が低いことは、アルゴン作動ガスと比べてクリプトンの方が二次電子放出が低いことと整合する。図6に示す公知のデータから、広いエネルギー範囲に渡って、ArはKrのほぼ2倍の電子放出ベルを有することが分かる。したがって、Arの代わりにKrでスパッタリングした場合、Arと比べて、ターゲットから放出される二次電子が少なく、イオン化部分の比率が低くなる。加えて、ターゲットから放出される低エネルギーの二次電子を、両方の不活性イオン(Ar及びKr)並びに電気陰性ガス(酸素)で捕獲でき、その結果、中性反跳原子及び、ターゲットから離れて加速し得る陰イオンが形成される。どちらの種も相当なエネルギーで基板に到達でき、成長中のSiO2膜に取り込まれる。したがって、二次電子放出はSiO2膜特性に重要な影響を与えると考えられる。アルゴンでスパッタリングする場合と比べて、クリプトンでスパッタリングする方が、生成される反射中性反跳原子が少ない。このことから、酸素でなくアルゴンを用いてスパッタリングしたSiO2膜の膜密度が増加することが予想され、その理由は、膜成長中に取り込まれる不活性ガス原子の数が減少するからである。二次電子放出がターゲットへのイオンの運動量移行に強く依存しないことは、二酸化ケイ素膜密度がターゲット電力に強く依存しないと観察されることと整合する。

0030

図7は、ターゲットに2kWのパルスDC、ウエハに80WのRFバイアスを用いたクリプトンとアルゴンについて、二酸化ケイ素膜の密度と、酸素流量に対する不活性ガス流量(単位sccm)の比率の間の関係を示す。Ar/O2で反応性スパッタリングした場合、アルゴンの割合が増加するにつれて膜密度が減少していることが分かる。このことは、成長中のSiO2膜に捕捉されるアルゴンが増加することと整合する。これに対して、Kr/O2でスパッタリングしたSiO2は、Krの割合が増加するにつれて膜密度が増加している。

0031

図8は、実際にKr/酸素とAr/酸素を用いてスパッタリングしたSiO2膜について、SiO2膜の応力をプラテンRF電力の関数として示す。2kWのターゲットRF電力を使用した。プラテンRFバイアスが増加するほど、実際にSiO2膜応力が圧縮しているが、SiO2膜応力と膜密度の間に直接的な相関関係はない。クリプトンを用いて反応性スパッタリングしたSiO2膜は、アルゴンを用いてスパッタリングしたSiO2のプラテンRFバイアスゼロ時と比べて、プラテンRFバイアスがない状態で圧縮性が高い。しかし、同一のプラテンRF電力のとき、Ar/O2で反応性スパッタリングした膜と、Kr/O2で反応性スパッタリングした、より高密度の膜の間では、応力差はほとんどない。ほとんどの著者は、圧縮応力エネルギー粒子による膜衝撃の結果であると結論付けている。スパッタリングされた膜において、イオン衝撃を用いた場合でも不活性ガスの捕捉が観察されることが多いが、不活性ガスの捕捉は必ずしも応力発生の原因ではない。実際、応力と中性ガス取り込みは、それぞれ独立した量であることが過去に文献で実証されている。特定の理論や推測に拘束されることを望むものではないが、プラテンに印加されたRF電力に対する依存度が二酸化ケイ素膜の応力と密度で異なることが、SiO2膜の密度において重要な役割を果たす中性ガス捕捉を示唆する傾向があることに我々は注目する。

0032

堆積した二酸化ケイ素膜の特性と品質を調査した。図9は、アルゴンとクリプトンでスパッタリングした、ほぼ同じ密度(約2.35gcm-3)のSiO2膜の電気的破壊挙動を示す。ほぼ同じ膜密度では、同程度の電気的破壊挙動が観察される。図10は、Kr/O2及びAr/O2で堆積したSiO2膜のFTIR吸収スペクトルを示す。堆積した膜の吸収スペクトルは、それぞれ1090cm-1、812cm-1の位置にあるSi−O−Si伸縮モード曲げモードによるピーク強度を示している。1085cm-1位置にある主要Si−O振動バンドの位置及び形状は、純粋な化学量論的二酸化ケイ素膜の挙動と整合する。Ar/O2とKr/O2で反応性スパッタリングした膜から取得したスペクトルには有意差がなく、構造的にほぼ同じであることを示している。図9及び10に示すデータは、本発明のKr/O2反応性スパッタリングを用いて堆積したSiO2が、高品質且つ良好な性能特性を有することを示す。

0033

本発明が提供するKr/O2を用いたSiO2反応性スパッタリングにより製造される膜は、良好な電気的破壊性能を示す膜であり、従来技術であるAr/O2反応性スパッタリング手法を用いて取得した膜とウェットエッチング速度が同等の膜であることが実証された。本発明により、従来技術の手法で製造した膜よりも高密度であり、他の点では従来技術の膜と構造的に区別不能に見えるSiO2膜を製造することができる。加えて、膜堆積速度を有意に改善することができ、実際に最大20%の改善が観察される。様々なプロセス条件に渡って改善が観察されている。当業者であれば、所与の最終用途に適するように、又は所望の製造基準満足するように、本発明の反応性スパッタリング手法を日常の実験で最適化できるであろう。例えば、膜密度と堆積速度の間で容認可能なトレードオフを達成するように基板ホルダにRFバイアスを印加してよい。

実施例

0034

本発明に従って製造されるSiO2膜は、実現可能な様々な最終用途を有する。本発明に関連する改善された特性により、光学用途、及びSAWフィルタ、BAWフィルタ、TCSAWフィルタ等の音響用途で特にSiO2膜が魅力あるものとなる。

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