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技術 有価成分含有ダストの湿式分級特性の予測方法および湿式分級方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 山口東洋司大屋憲司村井亮太鷲見郁宏
出願日 2018年8月8日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-149163
公開日 2020年2月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-023735
状態 未査定
技術分野 金属の製造または精製 液体又は風力による固体相互の分離
主要キーワード 回収比率 試験水準 具合状態 含亜鉛 予測特性 装置選定 疑似粒 スラリーサンプル
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

簡便な、有価成分含有ダストスラリー湿式分級後の特性を予測する方法を提供する。

解決手段

有価成分含有ダストスラリーから採取したサンプルダストスラリーについて、一定の粒径ごとに複数の画分に分画し、得られた画分ごとに、粒子径分布固形分比率、有価成分濃度を分析し、ダスト全域にわたる粒径と有価成分の存在比率との関係及び粒径と固形分の存在比率との関係を算出し、さらにこれらの関係をそれぞれ、累積分布表示として、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出し、これらの関係と分級装置分級能とから、有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率を算出し、有価成分を含有するダストスラリーからの脱有価成分率及び高有価成分含有側固形分存在比率として、湿式分級後の予測特性とする。

概要

背景

高炉転炉などの製鉄工程では、ダストが発生する。これらのダストは、鉄や炭素を含むため、リサイクル焼結原料として、再び製鉄工程で利用することが望ましい。しかし、これらダストには、亜鉛(Zn)が含まれている。なお、これらダストには、亜鉛以外に、少量であるが、鉛(Pb)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)等も含まれている。そのため、例えば、ダスト中の亜鉛の含有量が多くなると、亜鉛およびその化合物が各製鉄工程の装置壁面へ付着し、操業上問題となる。さらに、近年、リサイクルされたスクラップ等を利用することが増加しており、発生するダスト中の亜鉛の濃度が上昇する傾向となり、亜鉛等の濃度によってダストのリサイクル(再利用)は制限を受けている。

そこで、これらダストから亜鉛を除去(脱亜鉛)することが重要となっている。なお、ダスト中に含まれる亜鉛等の成分は、高純度分離回収できれば、利用価値のある有用な成分(有価成分)である。

高炉、転炉などの製鉄工程で発生したダストは、通常、高炉、転炉などの付帯設備として配設されたスクラバー等で回収されている。回収されたダストはスラリー状であり、これらスラリー状のダスト(以下、ダストスラリーともいう)は、通常、種々の方法で処理されているが、その一つに、湿式分級装置による分級処理がある。

亜鉛を例にとれば、製鉄工程中に、揮発した亜鉛は、空気中で酸化酸化亜鉛となった場合、一般に数μmの非常に微細粒子となっている。そのため、亜鉛粒子酸化亜鉛粒子)は、ダスト中では細粒側に偏在濃縮していることが多い。このことを利用して、高炉ダスト等のダストスラリーを、湿式分離装置により分級して、亜鉛量の高いスラリーを細粒側に、亜鉛量の低いスラリーを粗粒側に分離している。

例えば、特許文献1には、「高炉二次灰の処理方法」が記載されている。特許文献1に記載された技術は、高炉二次灰スラリーを分級能可変分級機脱水機を用いて高亜鉛含有ダストと高Fe含有ダストに分離する際に、あらかじめ分級機の分級能操作因子操作量に応じた二次灰負荷と二次灰固形分配率および二次灰固形分分配率と脱Zn率との相関関係を求めておき、ついで、二次灰負荷もしくは分級機の二次灰固形分分配率を連続的あるいは所定間隔によって検出した結果にもとづいて、高Fe含有ダストを高炉に装入した場合の高炉全装入物の装入Zn量が予め設定した高炉装入Zn目標値と等しくなるかもしくは近似するように分級機の分級能を制御する、高炉二次灰の処理方法である。特許文献1に記載された技術では、分級能可変型分級機を用いて、高炉への装入Zn目標値を維持するに必要な最低値の脱Znを行い、高炉状況を良好な状態に保ちつつ、FeおよびCの回収率を最大とすることができるとしている。

また、特許文献2には、「高炉ダストの処理方法」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、スラリー状の高炉ダストに分散剤を加え、ついで超音波照射して該スラリーに含まれるダスト粒子を分散させたまま、負圧利用の湿式サイクロンに導き、含亜鉛量の高いスラリーと含亜鉛量の低いスラリーに分離する、高炉ダストの処理方法である。なお、特許文献2に記載された技術では、疑似粒状のダスト粒子に超音波照射して、該疑似粒状のダスト粒子をそれぞれ微粉コークス微粉鉱石、Zn又はZn化合物粒子に分散させたのち、湿式サイクロンに導くとしている。

また、特許文献3には、「ダスト処理方法」が提案されている。特許文献3に記載された技術は、Znが付着したダストを、回転ドラムに連続的に投入し、回転ドラムの中心軸方向に送り、該回転ドラムから連続的に排出されるダストを湿式サイクロンにより連続分級処理する、ダスト処理方法である。この回転ドラムは、中心軸を横に向け、その中心軸回り回転運動するとともに、中心軸に直交しかつ互いに直交する2方向に往復運動する、回転ドラムである。Znが付着したダストをこの回転ドラムに投入することにより、ダスト粒子同士が激しく衝突し、細粒ダストであっても粒子表面からZn粒子が剥離され、ダストから、十分なZn除去を行うことができるとしている。

また、特許文献4には、「高炉ダストの脱亜鉛方法」が提案されている。特許文献4に記載された技術は、容器の一端から容器内に高圧水噴射するとともに空気を取り込んで、容器内に水と空気の二流噴射流を発生させ、該二流体噴射流にスラリー状の高炉ダストを添加して、二流体噴射流の攪拌力により高炉ダスト粒子に付着している亜鉛含有量の高い部分を該粒子から剥離させたのち、湿式サイクロンに導入し、亜鉛含有量の高い粒子群と亜鉛含有量の低い粒子群とに分離する、高炉ダストの脱亜鉛方法である。この方法は、簡便な設備を利用するため安価で、高い脱亜鉛率を達成できるため、脱亜鉛され亜鉛含有量の低い高炉ダストは高炉原料として再利用できるとしている。

また、特許文献5には、「亜鉛含有スラリー処理方法」が提案されている。特許文献5に記載された技術は、分級性能が異なる湿式サイクロンを直列に少なくとも2段備えたスラリー処理装置に、製鉄工程で発生する亜鉛含有ダストを含むスラリーを導入し、前段の湿式サイクロンで、前段オーバーフローと前段アンダーフローとに分離し、さらに前段アンダーフローを後段の湿式サイクロンで、後段オーバーフローと後段アンダーフローとに分離して、前段オーバーフローと後段オーバーフローと合流させて高濃度亜鉛含有スラリーとし、後段アンダーフローを低濃度亜鉛含有スラリーとする、亜鉛含有スラリー処理方法である。この方法によれば、分離する高亜鉛側の固相分を効率的に減少させることができ、さらに従来では再利用されずに処分されていた亜鉛含有ダスト中の亜鉛を酸化亜鉛として回収・再利用できるとしている。

また、特許文献6には、「亜鉛含有ダストの処理方法」が記載されている。特許文献6に記載された技術は、亜鉛を含む還元性金属酸化物還元処理する還元炉から発生する亜鉛含有ダストと水とを混合してスラリーを製造し、該スラリーを湿式分離装置によって亜鉛濃縮粉体のスラリーと亜鉛の少ない粉体のスラリーとに分離する、亜鉛含有ダストの処理方法である。なお、特許文献6には、スラリー中の粉体の粒子径比重の違いを利用して粉体を分離することができる湿式分離装置として、ハイドロサイクロンが例示されている。

また、特許文献7には、「高炉発生物中の湿ダストの再活用方法」が提案されている。特許文献7に記載された技術は、製鉄用の高炉から発生する排ガス湿式集塵した際に捕集される湿ダストをスラリー状とし、該スラリー状にした湿ダストの湿式磁選を行い、「鉄を目的として利用する部分a」と「カーボン及び亜鉛を目的として利用する部分b」に分けたのち、「カーボン及び亜鉛を目的として利用する部分b」に対して第1回目湿式サイクロン処理を行い、得られた第1回目の湿式サイクロン処理の下側排出物に対してさらに第2回目の湿式サイクロン処理を行い、第1回目の湿式サイクロン処理の上側排出物と第2回目の湿式サイクロン処理の上側排出物とを合わせて「亜鉛を目的として利用する部分c」とし、さらに第2回目の湿式サイクロン処理の下排出物を「カーボンを目的として利用する部分d」として、高炉発生湿ダストを「鉄を目的として利用する部分a」、「亜鉛を目的として利用する部分c」、「カーボンを目的として利用する部分d」の三部分に分離し再利用する、高炉発生物中の湿ダストの再活用方法である。これにより、高炉湿ダストの有効利用量が増加するとしている。

また、非特許文献1には、50%分級粒径d50等のハイドロサイクロンの性能を精度よく推算できる4つの基礎関係式からなるモデルが提案されている。

概要

簡便な、有価成分含有ダストスラリーの湿式分級後の特性を予測する方法を提供する。有価成分含有ダストスラリーから採取したサンプルダストスラリーについて、一定の粒径ごとに複数の画分に分画し、得られた画分ごとに、粒子径分布固形分比率、有価成分濃度を分析し、ダスト全域にわたる粒径と有価成分の存在比率との関係及び粒径と固形分の存在比率との関係を算出し、さらにこれらの関係をそれぞれ、累積分布表示として、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出し、これらの関係と分級装置の分級能とから、有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率を算出し、有価成分を含有するダストスラリーからの脱有価成分率及び高有価成分含有側固形分存在比率として、湿式分級後の予測特性とする。

目的

本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、実機処理を行うことなく、亜鉛等の有価成分含有ダストスラリーからの当該有価成分の分離率およびそのときの高有価成分含有側固形分存在比率などの有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の簡便な予測方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

有価成分含有ダストを含む有価成分含有ダストスラリー湿式分級装置湿式分級して、有価成分が濃縮したスラリーと有価成分が少ないスラリーとに分離し、前記有価成分含有ダストスラリーから有価成分を除去するに当り、予め、前記有価成分含有ダストスラリーから所定量のサンプルダストスラリーを採取し、該採取した前記サンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する第一の工程と、前記分画された複数の画分ごとに、粒子径分布固形分比率と有価成分濃度とを分析する第二の工程と、前記分析された粒子径分布と、前記分析された固形分比率と、前記分析された有価成分濃度とから、ダスト全域にわたる、前記粒径と前記有価成分の存在比率との関係及び前記粒径と前記固形分存在比率との関係を算出し、該算出された粒径と有価成分の存在比率との関係及び該算出された粒径と固形分存在比率との関係から、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出する第三の工程と、該算出された粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係と、前記湿式分級装置の分級能とから、前記有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率とを算出する第四の工程と、を順次実施して、得られた前記有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率を、前記有価成分を含有するダストスラリーからの脱有価成分率及び高有価成分含有側固形分存在比率として、前記有価成分を含有するダストスラリーの湿式分級特性を予測することを特徴とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法

請求項2

前記湿式分級装置が、湿式サイクロンであることを特徴とする請求項1に記載の有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。

請求項3

前記有価成分含有ダストが、亜鉛含有ダストであることを特徴とする請求項1または2に記載の有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。

請求項4

前記亜鉛含有ダストが、高炉ダスト転炉ダスト電気炉ダストのいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。

請求項5

有価成分含有ダストを含む有価成分含有ダストスラリーを湿式分級装置で湿式分級して、前記有価成分が濃縮したスラリーと前記有価成分が少ないスラリーとに分離する湿式分級方法であって、対象とする前記有価成分含有ダストスラリーごとに、予め前記有価成分含有ダストスラリーから所定量のサンプルダストスラリーを採取し、該採取した前記サンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する第一工程と、前記分画された複数の画分ごとに、粒子径分布と固形分比率と有価成分濃度とを分析する第二工程と、前記分析された粒子径分布と固形分存在比率と有価成分濃度とから、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係を算出し、該算出された粒径と有価成分の存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係から、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出する第三工程と、前記得られた、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係から、湿式分級装置の分級能に応じて、分級後に得られる有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率及び固形分の存在比率をそれぞれ求め、前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率を脱有価成分率とし、前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する固形分の存在比率を高有価成分含有側固形分存在比率として、脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を算出する第四工程と、を順次実施して、算出された前記脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を、対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線として得て、前記湿式分級における任意の時期に、湿式分級された前記有価成分が濃縮したスラリーおよび前記有価成分が少ないスラリーについて有価成分濃度および固形分量を分析し、前記有価成分が濃縮したスラリーにおけるダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率、固形分の存在比率を算出して、前記有価成分が濃縮したスラリーにおける脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率として、前記対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線と対比して、前記湿式分級の分級状況を判断すること、を特徴とする湿式分級方法。

請求項6

前記湿式分級装置が、湿式サイクロンであることを特徴とする請求項5に記載の湿式分級方法。

請求項7

前記有価成分含有ダストが、亜鉛含有ダストであることを特徴とする請求項5または6に記載の湿式分級方法。

請求項8

前記亜鉛含有ダストが、高炉ダスト、転炉ダスト、電気炉ダストのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の湿式分級方法。

技術分野

0001

本発明は、湿式分級方法係り、とくに、高炉転炉などを利用した製鉄工程で発生するダストからの亜鉛等の有価成分の分離・回収に関する。

背景技術

0002

高炉、転炉などの製鉄工程では、ダストが発生する。これらのダストは、鉄や炭素を含むため、リサイクル焼結原料として、再び製鉄工程で利用することが望ましい。しかし、これらダストには、亜鉛(Zn)が含まれている。なお、これらダストには、亜鉛以外に、少量であるが、鉛(Pb)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)等も含まれている。そのため、例えば、ダスト中の亜鉛の含有量が多くなると、亜鉛およびその化合物が各製鉄工程の装置壁面へ付着し、操業上問題となる。さらに、近年、リサイクルされたスクラップ等を利用することが増加しており、発生するダスト中の亜鉛の濃度が上昇する傾向となり、亜鉛等の濃度によってダストのリサイクル(再利用)は制限を受けている。

0003

そこで、これらダストから亜鉛を除去(脱亜鉛)することが重要となっている。なお、ダスト中に含まれる亜鉛等の成分は、高純度分離回収できれば、利用価値のある有用な成分(有価成分)である。

0004

高炉、転炉などの製鉄工程で発生したダストは、通常、高炉、転炉などの付帯設備として配設されたスクラバー等で回収されている。回収されたダストはスラリー状であり、これらスラリー状のダスト(以下、ダストスラリーともいう)は、通常、種々の方法で処理されているが、その一つに、湿式分級装置による分級処理がある。

0005

亜鉛を例にとれば、製鉄工程中に、揮発した亜鉛は、空気中で酸化酸化亜鉛となった場合、一般に数μmの非常に微細粒子となっている。そのため、亜鉛粒子酸化亜鉛粒子)は、ダスト中では細粒側に偏在濃縮していることが多い。このことを利用して、高炉ダスト等のダストスラリーを、湿式分離装置により分級して、亜鉛量の高いスラリーを細粒側に、亜鉛量の低いスラリーを粗粒側に分離している。

0006

例えば、特許文献1には、「高炉二次灰の処理方法」が記載されている。特許文献1に記載された技術は、高炉二次灰スラリーを分級能可変分級機脱水機を用いて高亜鉛含有ダストと高Fe含有ダストに分離する際に、あらかじめ分級機の分級能操作因子操作量に応じた二次灰負荷と二次灰固形分配率および二次灰固形分分配率と脱Zn率との相関関係を求めておき、ついで、二次灰負荷もしくは分級機の二次灰固形分分配率を連続的あるいは所定間隔によって検出した結果にもとづいて、高Fe含有ダストを高炉に装入した場合の高炉全装入物の装入Zn量が予め設定した高炉装入Zn目標値と等しくなるかもしくは近似するように分級機の分級能を制御する、高炉二次灰の処理方法である。特許文献1に記載された技術では、分級能可変型分級機を用いて、高炉への装入Zn目標値を維持するに必要な最低値の脱Znを行い、高炉状況を良好な状態に保ちつつ、FeおよびCの回収率を最大とすることができるとしている。

0007

また、特許文献2には、「高炉ダストの処理方法」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、スラリー状の高炉ダストに分散剤を加え、ついで超音波照射して該スラリーに含まれるダスト粒子を分散させたまま、負圧利用の湿式サイクロンに導き、含亜鉛量の高いスラリーと含亜鉛量の低いスラリーに分離する、高炉ダストの処理方法である。なお、特許文献2に記載された技術では、疑似粒状のダスト粒子に超音波照射して、該疑似粒状のダスト粒子をそれぞれ微粉コークス微粉鉱石、Zn又はZn化合物粒子に分散させたのち、湿式サイクロンに導くとしている。

0008

また、特許文献3には、「ダスト処理方法」が提案されている。特許文献3に記載された技術は、Znが付着したダストを、回転ドラムに連続的に投入し、回転ドラムの中心軸方向に送り、該回転ドラムから連続的に排出されるダストを湿式サイクロンにより連続分級処理する、ダスト処理方法である。この回転ドラムは、中心軸を横に向け、その中心軸回り回転運動するとともに、中心軸に直交しかつ互いに直交する2方向に往復運動する、回転ドラムである。Znが付着したダストをこの回転ドラムに投入することにより、ダスト粒子同士が激しく衝突し、細粒ダストであっても粒子表面からZn粒子が剥離され、ダストから、十分なZn除去を行うことができるとしている。

0009

また、特許文献4には、「高炉ダストの脱亜鉛方法」が提案されている。特許文献4に記載された技術は、容器の一端から容器内に高圧水噴射するとともに空気を取り込んで、容器内に水と空気の二流噴射流を発生させ、該二流体噴射流にスラリー状の高炉ダストを添加して、二流体噴射流の攪拌力により高炉ダスト粒子に付着している亜鉛含有量の高い部分を該粒子から剥離させたのち、湿式サイクロンに導入し、亜鉛含有量の高い粒子群と亜鉛含有量の低い粒子群とに分離する、高炉ダストの脱亜鉛方法である。この方法は、簡便な設備を利用するため安価で、高い脱亜鉛率を達成できるため、脱亜鉛され亜鉛含有量の低い高炉ダストは高炉原料として再利用できるとしている。

0010

また、特許文献5には、「亜鉛含有スラリー処理方法」が提案されている。特許文献5に記載された技術は、分級性能が異なる湿式サイクロンを直列に少なくとも2段備えたスラリー処理装置に、製鉄工程で発生する亜鉛含有ダストを含むスラリーを導入し、前段の湿式サイクロンで、前段オーバーフローと前段アンダーフローとに分離し、さらに前段アンダーフローを後段の湿式サイクロンで、後段オーバーフローと後段アンダーフローとに分離して、前段オーバーフローと後段オーバーフローと合流させて高濃度亜鉛含有スラリーとし、後段アンダーフローを低濃度亜鉛含有スラリーとする、亜鉛含有スラリー処理方法である。この方法によれば、分離する高亜鉛側の固相分を効率的に減少させることができ、さらに従来では再利用されずに処分されていた亜鉛含有ダスト中の亜鉛を酸化亜鉛として回収・再利用できるとしている。

0011

また、特許文献6には、「亜鉛含有ダストの処理方法」が記載されている。特許文献6に記載された技術は、亜鉛を含む還元性金属酸化物還元処理する還元炉から発生する亜鉛含有ダストと水とを混合してスラリーを製造し、該スラリーを湿式分離装置によって亜鉛濃縮粉体のスラリーと亜鉛の少ない粉体のスラリーとに分離する、亜鉛含有ダストの処理方法である。なお、特許文献6には、スラリー中の粉体の粒子径比重の違いを利用して粉体を分離することができる湿式分離装置として、ハイドロサイクロンが例示されている。

0012

また、特許文献7には、「高炉発生物中の湿ダストの再活用方法」が提案されている。特許文献7に記載された技術は、製鉄用の高炉から発生する排ガス湿式集塵した際に捕集される湿ダストをスラリー状とし、該スラリー状にした湿ダストの湿式磁選を行い、「鉄を目的として利用する部分a」と「カーボン及び亜鉛を目的として利用する部分b」に分けたのち、「カーボン及び亜鉛を目的として利用する部分b」に対して第1回目湿式サイクロン処理を行い、得られた第1回目の湿式サイクロン処理の下側排出物に対してさらに第2回目の湿式サイクロン処理を行い、第1回目の湿式サイクロン処理の上側排出物と第2回目の湿式サイクロン処理の上側排出物とを合わせて「亜鉛を目的として利用する部分c」とし、さらに第2回目の湿式サイクロン処理の下排出物を「カーボンを目的として利用する部分d」として、高炉発生湿ダストを「鉄を目的として利用する部分a」、「亜鉛を目的として利用する部分c」、「カーボンを目的として利用する部分d」の三部分に分離し再利用する、高炉発生物中の湿ダストの再活用方法である。これにより、高炉湿ダストの有効利用量が増加するとしている。

0013

また、非特許文献1には、50%分級粒径d50等のハイドロサイクロンの性能を精度よく推算できる4つの基礎関係式からなるモデルが提案されている。

0014

特開昭53−81406号公報
特開昭53−81479号公報
特開平05−132724号公報
特開平10−317018号公報
特開2004−122024号公報
特開2005−21841号公報
特開2013−23719号公報

先行技術

0015

Plitt, L. R.: A mathematical model of the hydrocyclone classifier,CIMBulletin(1976),pp.114-123.

発明が解決しようとする課題

0016

特許文献1〜7に記載された各技術はいずれも、亜鉛含有ダストスラリーを湿式分級装置(湿式サイクロン)を用いて分級し、亜鉛の高い高亜鉛濃度の粒子群からなるスラリーと、亜鉛の少ない低亜鉛濃度の粒子群からなるスラリーとに、分離する技術である。これらの技術によれば、ある程度の粒径でダストスラリーを分級すれば、細粒側ダストに亜鉛が濃縮した形で、ダストからの脱亜鉛が可能である。しかし、これらの技術においては、ダストスラリーからの脱亜鉛比率等の分級特性は、実機(湿式分級装置)を用いた試験結果からのみ得ており、しかも、実機を用いた処理では、かなりの手間と費用を要するうえ、実機(湿式分級装置)の導入前では、分級特性確認のために、多くの試験水準を取ることができないなどの問題がある。

0017

さらに、上記した特許文献1〜7には、使用した湿式分級装置が、所定の分級性能を発揮できているか、あるいは、運転の更なる最適化により、最終的にどの程度までの分級性能の向上が期待できるか、などの湿式分級装置の操業管理についてまでの言及はない。さらに、上記した特許文献1〜7には、湿式分級装置を利用した湿式分級方法が、所定の分級特性が得られる最適な湿式分級になっているか、などの湿式分級の分級状況の把握・判断についてまでの言及はない。

0018

本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、実機処理を行うことなく、亜鉛等の有価成分含有ダストスラリーからの当該有価成分の分離率およびそのときの高有価成分含有側固形分存在比率などの有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の簡便な予測方法を提供することを目的とする。

0019

また、本発明は、湿式分級装置の操業状況を把握・管理し、湿式分級状態を評価する湿式分級方法を提供することをも目的とする。

課題を解決するための手段

0020

本発明者らは、上記した目的を達成するために、有価成分として、とくに亜鉛を含有するダスト(ダストスラリー)を湿式分級して、有価成分(亜鉛)を分離・回収し、有価成分含有ダストスラリーから有価成分(亜鉛)の除去を図るに際し、実機による分級を行うことなく、脱亜鉛率(脱有価成分率)、および高亜鉛含有側固形分回収比率(高有価成分含有側固形分存在比率)を予測する手段について、鋭意検討した。

0021

その結果、まず、対象とする有価成分(亜鉛)含有ダストスラリーから、一定量のサンプルスラリーを採取し、一定の粒径ごとに複数の画分に分画し、得られた画分ごとに粒子径分布、固形分量、有価成分(亜鉛)濃度を分析することに思い至った。そして、得られた各画分ごとに粒子径分布と固形分量とを掛け合わせれば、図2(a)に示すように、ダスト全体に対する各画分ごとの固形分存在比率の分布が得られることになる。そして、各画分ごとの固形分存在比率の分布を合計することにより、図2(a)において「合計」(点線)として示すように、対象とするダストスラリー全体における、粒径と固形分の存在比率との関係(固形分存在比率分布)を推定することができることになる。なお、この粒径と固形分の存在比率との関係(合計:点線)は、元のダストスラリーの粒径分布とほぼ一致することを確認している。

0022

さらに、各画分ごとに得られた粒子径分布と有価成分(亜鉛)濃度とを掛け合わせることにより、図2(b)に示すように、ダスト中の亜鉛全体に対する各画分ごとの粒径に対する有価成分(亜鉛)存在比率の分布を推定することができることになる。そしてまた、各画分ごとの有価成分(亜鉛)存在比率分布を合計することにより、図2(b)において「合計」(点線)として示すように、対象とするダストスラリー全体における、粒径と有価成分(亜鉛)の存在比率との関係を推定することができることになる。

0023

そして、推定された粒径と固形分の存在比率との関係、および、粒径と有価成分(亜鉛)の存在比率との関係をそれぞれ、図3(a)および図3(b)に示すように、細かい粒径からの累積を表示する「累積表示」(累積分布)に書き換え、粒径と固形分の存在比率累積との関係、および、粒径と有価成分(亜鉛)の存在比率累積との関係とする。図3(a)と図3(b)を重ね合せ、図4として、これらの関係と湿式分級装置の分級能(図4垂直線)とを照らし合わせることにより、細粒側に分級される固形分存在比率(図4では30%)、細粒側に分級される有価成分(亜鉛)存在比率(図4では65%)を推定することができ、到達できる分級特性を、ある程度予測することができる、ことに思い至った。

0024

なお、ここでいう「細粒側に分級される有価成分(亜鉛)存在比率」は、「有価成分が濃縮されたスラリー側(細粒側)における有価成分(亜鉛)の存在比率」であり、細粒側に分級されたスラリーを廃却(回収)するという観点からは、「脱有価成分率」、すなわち「脱亜鉛率」、を意味することになる。また、「細粒側に分級される固形分存在比率」は、「高有価成分含有側固形分存在比率」、すなわち「高亜鉛含有側固形分存在比率」ということになる。

0025

このようなことから、上記した方法によれば、実機試験を行うことなく、有価成分含有ダストスラリーからの「脱有価成分率(脱亜鉛率)」および「高有価成分含有側固形分存在比率(高亜鉛含有側固形分存在比率)」を予測できることになるという、知見を得た。

0026

さらに、本発明者らは、上記のように、特定の有価成分含有ダストスラリーについて、得られた、粒径と固形分存在比率累積との関係および粒径と有価成分(亜鉛分)存在比率累積との関係から、湿式分級装置の性能(分級点)に応じて当該有価成分含有ダストスラリーからの脱有価成分率(脱亜鉛率)と高有価成分含有側固形分存在比率(高亜鉛含有側固形分存在比率)との関係を求めることができることに思い至った。そして、この関係を、対象とする有価成分含有ダストスラリーの分級特性曲線として、湿式分級装置の操業管理の手段として、更には、湿式分級方法の分級状況を判断する手段として、使用することが可能であることを新たに知見した。

0027

本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)有価成分含有ダストを含む有価成分含有ダストスラリーを湿式分級装置で湿式分級して、有価成分が濃縮したスラリーと有価成分が少ないスラリーとに分離し、前記有価成分含有ダストスラリーから有価成分を除去するに当り、予め、
前記有価成分含有ダストスラリーから所定量のサンプルダストスラリーを採取し、該採取した前記サンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する第一の工程と、
前記分画された複数の画分ごとに、粒子径分布と固形分比率と有価成分濃度とを分析する第二の工程と、
前記分析された粒子径分布と、前記分析された固形分比率と、前記分析された有価成分濃度とから、ダスト全域にわたる、前記粒径と前記有価成分の存在比率との関係及び前記粒径と前記固形分存在比率との関係を算出し、該算出された粒径と有価成分の存在比率との関係及び該算出された粒径と固形分存在比率との関係から、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出する第三の工程と、
該算出された粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係と、前記湿式分級装置の分級能とから、前記有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率とを算出する第四の工程と、
を順次実施して、
得られた前記有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率を、前記有価成分を含有するダストスラリーからの脱有価成分率及び高有価成分含有側固形分存在比率として、前記有価成分を含有するダストスラリーの湿式分級特性を予測することを特徴とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。
(2)(1)において、前記湿式分級装置が、湿式サイクロンであることを特徴とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。
(3)(1)または(2)において、前記有価成分含有ダストが、亜鉛含有ダストであることを特徴とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。
(4)(3)において、前記亜鉛含有ダストが、高炉ダスト、転炉ダスト電気炉ダストのいずれかであることを特徴とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法。
(5)有価成分含有ダストを含む有価成分含有ダストスラリーを湿式分級装置で湿式分級して、前記有価成分が濃縮したスラリーと前記有価成分が少ないスラリーとに分離する湿式分級方法であって、
対象とする前記有価成分含有ダストスラリーごとに、予め
前記有価成分含有ダストスラリーから所定量のサンプルダストスラリーを採取し、該採取した前記サンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する第一工程と、
前記分画された複数の画分ごとに、粒子径分布と固形分比率と有価成分濃度とを分析する第二工程と、
前記分析された粒子径分布と固形分存在比率と有価成分濃度とから、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係を算出し、該算出された粒径と有価成分の存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係から、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出する第三工程と、
前記得られた、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係から、湿式分級装置の分級能に応じて、分級後に得られる有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率及び固形分の存在比率をそれぞれ求め、
前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率を脱有価成分率とし、前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する固形分の存在比率を高有価成分含有側固形分存在比率として、脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を算出する第四工程と、
を順次実施して、算出された前記脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を、対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線として得て、
前記湿式分級における任意の時期に、湿式分級された前記有価成分が濃縮したスラリーおよび前記有価成分が少ないスラリーについて有価成分濃度および固形分量を分析し、前記有価成分が濃縮したスラリーにおけるダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率、固形分の存在比率を算出して、前記有価成分が濃縮したスラリーにおける脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率として、前記対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線と対比して、前記湿式分級の分級状況を判断すること、を特徴とする湿式分級方法。
(6)(5)において、前記湿式分級装置が、湿式サイクロンであることを特徴とする湿式分級方法。
(7)(5)または(6)において、前記有価成分含有ダストが、亜鉛含有ダストであることを特徴とする湿式分級方法。
(8)(7)において、前記亜鉛含有ダストが、高炉ダスト、転炉ダスト、電気炉ダストのいずれかであることを特徴とする湿式分級方法。
(9)有価成分含有ダストを含む有価成分含有ダストスラリーを湿式分級して、前記有価成分が濃縮したスラリーと前記有価成分が少ないスラリーとに分離する湿式分級装置を操業するに当り、
対象とする前記有価成分含有ダストスラリーごとに、予め
前記有価成分含有ダストスラリーから所定量のサンプルダストスラリーを採取し、該採取した前記サンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する第一工程と、
前記分画された複数の画分ごとに、粒子径分布と固形分比率と有価成分濃度とを分析する第二工程と、
前記分析された粒子径分布と固形分存在比率と有価成分濃度とから、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係を算出し、該算出された粒径と有価成分の存在比率との関係及び粒径と固形分存在比率との関係から、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係を算出する第三工程と、
前記得られた、ダスト全域にわたる、粒径と有価成分の存在比率累積との関係及び粒径と固形分の存在比率累積との関係から、湿式分級装置の分級能に応じて、分級後に得られる有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率及び固形分の存在比率をそれぞれ求め、
前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率を脱有価成分率とし、前記得られた有価成分が濃縮されたスラリー側における、ダストスラリー全体に対する固形分の存在比率を高有価成分含有側固形分存在比率として、脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を算出する第四工程と、
を順次実施して、算出された前記脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率の関係曲線を、対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線として得て、
前記湿式分級装置の操業時に、湿式分級された前記有価成分が濃縮したスラリーおよび前記有価成分が少ないスラリーについて有価成分濃度および固形分量を分析し、前記有価成分が濃縮したスラリーにおけるダストスラリー全体に対する有価成分の存在比率、固形分の存在比率を算出して、前記有価成分が濃縮したスラリーにおける脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率として、前記対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線と対比して、前記湿式分級装置の操業状態を判断すること、を特徴とする湿式分級装置の操業管理方法
(10)(9)において、前記湿式分級装置が、湿式サイクロンであることを特徴とする湿式分級装置の操業管理方法。
(11)(9)または(10)において、前記有価成分含有ダストが、亜鉛含有ダストであることを特徴とする湿式分級装置の操業管理方法。
(12)(11)において、前記亜鉛含有ダストが、高炉ダスト、転炉ダスト、電気炉ダストのいずれかであることを特徴とする湿式分級装置の操業管理方法。

発明の効果

0028

本発明によれば、有価成分含有ダストスラリーから有価成分を分離・回収するにあたり、実機(湿式分級装置)を用いた複雑な試験を行うことなく、簡便に、使用する湿式分級装置の性能に応じ、当該ダストから回収できる有価成分比率(当該ダストからの脱有価成分率)を予測することができ、しかも、この予測に基づき、湿式分級装置の操業状態、さらに湿式分級における湿式分級時の分級状況を適切に判断できるという、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、実機(湿式分級装置)を導入するに際し、有価成分含有ダストから所望の有価成分分離・回収比率(脱有価成分率)を確保するために必要な、実機(湿式分級装置)性能をある程度策定することもできるという効果もある。

図面の簡単な説明

0029

本発明のフローを示す説明図である。
(a)各分画ごとの粒径と固形分存在比率との関係および各分画を合計したダスト全体の粒径と固形分存在比率との関係を示すグラフ、(b)各分画ごとの粒径と亜鉛存在比率との関係および各分画を合計したダスト中亜鉛全体の粒径と亜鉛存在比率との関係を示すグラフである。
(a)ダスト全体の、粒径と固形分存在比率との関係および粒径と固形分比率累積との関係を示すグラフ、(b)ダスト中亜鉛全体の、粒径と亜鉛存在比率との関係および粒径と亜鉛存在比率累積との関係を示すグラフである。
ダスト全体の、粒径と亜鉛存在比率、粒径と固形分存在比率との関係および粒径と固形分存在比率累積、亜鉛存在比率累積との関係を示すグラフである。
有価成分含有ダストスラリーの湿式分級後の脱亜鉛率と高亜鉛含有側固形分存在比との関係(有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線)を示すグラフである。
実施例における分画を模式的に説明する説明図である。
実施例における各分画の固形分存在比率分布、およびダスト全体における固形分存在比率分布を示すグラフである。
実施例における各分画の亜鉛存在比率分布、およびダスト全体における亜鉛存在比率分布を示すグラフである。
実施例におけるダスト全体における粒径に対する固形分存在比率分布と亜鉛存在比率分布の関係、および粒径に対する固形分存在比率累積と亜鉛存在比率累積との関係を示すグラフである。
実施例で使用したダストスラリーの湿式分級特性曲線と、実機による湿式分級試験の結果を示すグラフである。

0030

本発明は、製鉄所の、高炉、転炉等の製鉄工程で排出されるダスト、すなわち有価成分を含有するダストのスラリー(ダストスラリー)から、湿式分級により亜鉛等の有価成分を除去するにあたり、実機(湿式分級装置)等を用いた煩雑な試験を経ることなく、簡便に、ダストスラリーからの有価成分の除去率等、すなわち、ダストスラリーからの脱有価成分率等を予測することができる、有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性の予測方法である。

0031

本発明予測方法のフローを図1に示す。
まず、製鉄所の製鉄工程から排出されるダストのスラリー(ダストスラリー)を原料とする。製鉄所の製鉄工程から排出されるダストは、亜鉛等の有価成分を含む有価成分含有ダストである。なお、ダストスラリーは、亜鉛等の有価成分を含有するダストを含むスラリーであれば、製鉄所由来ではないものでも適用できる。

0032

まず、第一の工程として、ダストスラリーを、分画する工程を行う。
この第一の工程では、対象とするダストスラリーから、分画工程用として必要な量を採取し、サンプルダストスラリーとする。採取したサンプルダストスラリーを、一定の粒径ごとに複数の画分に分画する。分画は、原料であるダストスラリーの粒子径分布にもよるが、3〜10段階程度の粒径ごとに分画することが好ましい。画分の分け方(粒径の分け方)については、あまり細かく分けると煩雑さが増し、画分が少ないと精度が低下することは言うまでもない。分画には、い、ろ紙等を用いることができ、各種の篩い、ろ紙等を組み合わせて、所定の複数の画分となるように分画することが好ましい。

0033

なお、ダストスラリーを乾燥させて粉粒体とすると、分画が容易となり、かなりの細粒側まで分画することが可能となる。しかし、多くのダストは、乾燥すると、会合して大きな粒子となり、その後に粉砕が必要になるなど、元のスラリーでの状態(粒子径分布)と異なるものとなる。そのため、分画は、スラリー状態のまま行うこととする。

0034

また、分画に供するダスト量(ダストスラリー量)は、分析が可能な範囲でできるだけ少量の所定量とすることが望ましい。多量のダスト(ダストスラリー)を処理すると、篩いやろ紙上に残ったダストにより正確な篩い分けやろ過ができなくなる虞がある。このため、処理量は、ろ過面積を考慮して決定することが好ましい。

0035

なお、炭素粒子など疎水性の粒子が入る場合には、希釈溶媒アルコール等を用いることが好ましい。これにより、分散が進み、精度の向上が期待できる。また各篩いやろ紙等で処理する前には、超音波等で分散させて処理をすることが好ましい。これにより、更なる精度の向上が期待できる。

0036

つぎに、第二の工程として、分画された各画分について分析を実施する。
この第二の工程では、各画分ごとに、粒子径分布、固形分量、有価成分(亜鉛)濃度を分析する。粒子径分布の分析は、乾燥を経ずスラリーのまま実施するため、サンプルはスラリーとして回収する。一方、固形分量、有価成分(亜鉛)濃度の分析は、乾燥させて測定を行うため、乾燥サンプルが必要となる。この場合、スラリーの状態で回収したサンプルを正確に分割し、一部はそのまま粒子径分布分析用サンプルとし、一部を乾燥させ、固形分量、有価成分(亜鉛)濃度の分析用サンプルとしてもよい。あるいは、同様の分画工程を二回行って、粒子径分布分析用サンプル(スラリーサンプル)と固形分量、有価成分(亜鉛)濃度分析用サンプルを得てもよい。

0037

粒子径分布の測定は、常用粒子径分布測定方法がいずれも適用可能であるが、なかでも、レーザ回折散乱法を用いるのが好ましい。

0038

また、当該画分の固形分量は、各画分の乾燥重量を測定し、得られた各画分の合計量に対する比率を算出し、当該画分の固形分存在比率とする。

0039

また、当該画分の有価成分(亜鉛)濃度(質量%)は、乾燥したサンプルから常用の原子吸光分析法や、ICP発光分光分析法を用いて測定し、各画分の合計量に対する比率(存在比率)を算出し、当該画分の有価成分存在比率(%)とする。なお、有価成分(亜鉛)濃度(質量%)は、上記した方法に限定されないことは言うまでもない。

0040

次に、本発明では、第二の工程に引続き、第三の工程を行う。
第三の工程では、ダスト全域にわたる、粒径と固形分存在比率との関係及び粒径と有価成分(亜鉛)の存在比率との関係を算出する工程を行う。

0041

まず、上記した第二の工程で得た、各画分における粒子径分布と固形分存在比率とから、各画分における粒径と固形分存在比率との関係を、また各画分における粒径と有価成分(亜鉛)存在比率の関係を、それぞれ算出する。

0042

まず、第二の工程で測定した各画分ごとの粒子径分布に、第二の工程で測定した各画分の固形分存在比率を掛けることにより、図2(a)に示すように、各画分の固形分存在比率分布を得ることができる。なお、図2では、分画は5段階としているが、それに限定されないことは言うまでもない。また、図2(a)には、各画分の固形分存在比率分布の合計を併記した。また、上記した第二の工程で測定した各画分ごとの粒子径分布に、第二の工程で測定した各画分の有価成分(亜鉛)濃度を乗じることにより、図2(b)に示すような、各画分の有価成分存在比率分布を得ることができる。なお、図2(b)には、各画分の有価成分存在比率分布の合計も併記している。

0043

図2(a)に示すように、最細粒側の粒子は、固形分が少量であるため固形分存在比率のピークは小さいが、有価成分(亜鉛)粒子は、細粒側に偏在し、濃縮されており、細粒側の有価成分(亜鉛)濃度が高くなっている。そのため、図2(b)に示すように、有価成分(亜鉛)の存在比率としては、最細粒側で非常に大きなピークとなっている。一方、粒径が中央付近の画分では、固形分は多く存在するものの、有価成分(亜鉛)濃度が低いため、有価成分(亜鉛)の存在比率としては小さくなっている。

0044

さらに、第三の工程では、得られた各画分の固形分存在比率分布および有価成分(亜鉛)存在比率分布を、粒径ごとに合計し、図3(a)に示すような、ダスト全域にわたる粒径と固形分存在比率との関係および、図3(b)に示すような、ダスト中有価成分全域にわたる粒径と有価成分(亜鉛)存在比率との関係を算出する。

0045

ついで、第三の工程では、得られた粒径と固形分存在比率との関係を、頻度分布表示から累積分布表示に変更して、図3(a)に示すような、細かい粒径から累積した、粒径と固形分存在比率累積との関係を算出する。また、同様に、粒径と有価成分(亜鉛)存在比率との関係から、図3(b)に示すような、粒径と有価成分(亜鉛)存在比率累積との関係を算出する。このような累積分布表示にすることにより、特定の粒径を選定すれば、この関係から、特定粒径において、その細粒側と粗粒側に、固形分と有価成分(亜鉛)とがどのように分配されるのかが、容易に算出できることになる。

0046

ついで、本発明では、第四の工程を行う。
第四の工程では、対象とするダストスラリーを所定の湿式分級装置で分級したときに得られる、有価成分が濃縮されたスラリー側における有価成分の存在比率及び固形分の存在比率とを算出する。

0047

第三の工程で得られた粒径と固形分の存在比率累積の関係と、粒径と有価成分(亜鉛)の存在比率累積の関係と、所定の湿式分級装置の分級能(分級粒径)と、から、分級粒径以下の粒径における固形分の存在比率累積、及び、有価成分の存在比率累積を算出する。粒径と固形分の存在比率累積との関係、有価成分の存在比率累積との関係を、重ねて図4に示す。

0048

有価成分(亜鉛)は、細粒側に偏在しているため、ある程度までの粒径でダストスラリーを分級すれば、細粒側ダストスラリーに有価成分(亜鉛)を濃縮した形で取り出すことができる。図4に垂直線で示す粒径、すなわち分級粒径を有する湿式分級装置でダストスラリーを湿式分級すれば、細粒側に固形分の約30%が分配され、その時に有価成分(亜鉛)は細粒側に約65%程度が分配されることになる。細粒側のダストスラリーを回収すれば、粗粒側のダストスラリーでは、有価成分(亜鉛)をある程度、除去(脱有価成分(亜鉛))できたことになる。

0049

したがって、例えば、図4に示すように対象とする有価成分含有ダストスラリーについて、予め、本発明におけるように、対象とするダストスラリーを分画し、詳細に分析、解析を行って、粒径と固形分の存在比率累積との関係、粒径と有価成分の存在比率累積との関係を求めておけば、これらの関係と湿式分級装置の分級能(分級粒径)とから、所定の湿式分級装置で分級したときに得られる、細粒側のダストスラリーに含まれる有価成分(亜鉛)の存在比率と、さらには細粒側のダストスラリーに含まれる固形分存在比率(高亜鉛含有側固形分回収比率)と、を容易に算出できることになる。

0050

このように、対象とする有価成分(亜鉛)含有ダストスラリーを、詳細に分析、解析しておくことにより、煩雑な試験を行うことなく容易に、ダストスラリーからの有価成分の除去率、すなわち、脱有価成分率(脱亜鉛率)を予測することができることになる。本発明によれば、対象とする有価成分含有ダストスラリーを湿式分級して得られる、細粒ダストスラリー側に濃縮される有価成分存在比率、すなわち脱有価成分率(脱亜鉛率)および細粒ダストスラリー側固形分存在比率(高亜鉛含有側固形分回収比率)が、すなわち、湿式分級特性が、ある程度予測可能となる。

0051

なお、湿式分級装置の分級能(分級点)は、サイクロンの形状、運転条件等によって決定され、通常、分級点は仕様として明示されている。また、湿式サイクロンの分級能(分級点)については、比較的精度の高い式として、非特許文献1に記載のPlittの式や、特許文献7に記載の分級粒径の推定式が提案されている。

0052

また、本発明では、湿式分級方法における、湿式分級時の分級状況を把握し、判断することができ、また、さらに稼動する湿式分級装置の操業状態を管理することもできる。

0053

本発明の湿式分級方法では、予め、第一工程から第四工程を行い、対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線を得ておく。

0054

上記した第一の工程から第四の工程と同様に、第一工程から第四工程を行い、そして、得られた細粒側ダストスラリーにおける有価成分の存在比率を脱有価成分率として縦軸に、また細粒側ダストスラリーにおける固形分の存在比率を高有価成分含有側固形分存在比率として横軸にとり、図5に示すような、脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率との関係とする。本発明では、この関係を、「対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線」と称する。

0055

上記した第一工程〜第四工程を経て得られた「対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線」は、対象とする有価成分含有ダストスラリーを湿式分級したときに、湿式分級できるおおよその限界を示すものである。なお、この限界は、ダストスラリーの分画も、また湿式分級も、ある粒径で完全に分離できるわけではないため、得られる粒径もいくらか広がりを有し、精度としてはそれほど高くない。そのため、ある程度の目安として利用することが好ましい。図5に示す「湿式分級特性曲線」は、対象とするダストスラリーの湿式分級において、分級後の特性としてある程度の目安を提示するもので、工業的に大きな意味がある。

0056

例えば、対象とするダストについて、図5に示すような「湿式分級特性曲線」が求められておれば、目標とする分級後特性(分級特性)を得るために必要な分級点を算出することができ、例えば、新たな分級装置(湿式サイクロン)導入に際し、装置選定に有力な手掛かりを提供できるという利点がある。

0057

さらに、湿式分級装置の操業を開始し、湿式分級を開始したのちは、運転条件の適正化、すなわち、分級後にいかに細粒側(高有価成分側)ダストスラリーに有価成分を濃縮しつつ、細粒側(高有価成分側)ダストスラリーに固形分を少なくできるかが課題となる。本発明によれば、到達できる分級特性(脱有効成分率、高有効成分側ダストの固形分存在比率)の限界をある程度予測できるため、検討時間の浪費を防止できるという、利点もある。

0058

さらに、本発明では、上記した「対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線」に基づき、湿式分級における実操業時の分級状況、すなわち湿式分級装置の操業状態を判断することができる。

0059

湿式分級装置の稼動時の任意な時期に、すなわち湿式分級方法における湿式分級時の任意の時期に、対象とする有価成分含有ダストスラリーを湿式分級して得られた細粒側ダストスラリーおよび粗粒側ダストスラリーについて、有価成分濃度、固形分量を分析し、細粒側ダストスラリーにおける、有価成分の存在比率および固形分の存在比率を算出する。この細粒側ダストスラリーにおける有価成分の存在比率を脱有価成分率とし、細粒側ダストスラリーにおける固形分の存在比率を高有価成分含有側固形分存在比率として、上記したように予め求めておいた、「対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線」と対比して、湿式分級における分級状況を判断する。また、これにより、湿式分級装置の操業状態を判断する。

0060

本発明では、湿式分級装置の稼動時の任意な時期に、すなわち湿式分級方法における湿式分級時の任意の時期に、得られた、脱有価成分率と高有価成分含有側固形分存在比率との関係が、予め求めておいた「湿式分級特性曲線」から一定範囲内であれば、当該湿式分級装置は正常に運転され、湿式分級は正常に実施されていると判断する(図5中の例えば測定点1,2)。一方、湿式分級特性曲線から一定範囲の外であれば(図5中の例えば測定点3)、湿式分級は不具合状態となっていると判断し、当該湿式分級装置の運転が異常であるか、装置が故障しているか、対象とするダストスラリーの性状が変化しているか、と判定することができる。このようなことから、異常個所の絞込みに関して有効な情報を提供できる。たとえば、ダストスラリー性状の変化を見極めるためには、サンプリングを定期的に採取したうえで、本発明を実施し、サンプルの変動を確認しておくことが好ましい。

0061

また、本発明によれば、事前に、得られる分級後の特性(脱有価成分率、高有価成分含有側(細粒側スラリー)固形分存在比率)を予測できることから、下流側の沈澱池、脱水機等の規模諸元を考えるうえで、有効な情報を提供できる。分級後の固形分量が分かれば、濃縮したい固形分量、脱水したい固形分量に応じて、細粒側スラリーおよび粗粒側スラリーにそれぞれ対応する沈澱池や脱水機等の規模(処理量)をある程度決定することができる。

0062

以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。

0063

有価成分(亜鉛)含有ダストスラリーとして、製鉄所からのダスト(高炉ダスト)スラリー(濃縮ダストスラリー)を対象とし、当該濃縮ダストスラリーを、エタノール希釈して、ダスト濃度:5g/Lのダストスラリーとし、うち100mLをサンプルダストスラリーとして採取した。

0064

つぎに、サンプルダストスラリーを、図6に示すように、各種篩(目開き:106μm、53μm、25μm)と濾紙孔径:20μm)とを直列的に組み合わせて、粒径範囲が、106μm超え(画分1)、106〜53超えμm(画分2)、53〜25超えμm(画分3)、25〜20超えμm(画分4)、20μm以下(画分5)、からなる5段階の画分に分画した。

0065

ついで、篩上の各画分を、エタノールで逆洗して回収し、フィルター(孔径:0.2μm)でろ過し、105℃にて乾燥することで、各画分の固形分サンプルを得た。得られた固形分サンプルは、フィルターとともに重量(乾燥重量)を測定した。なお、フィルターの乾燥重量を事前に測定しておき、得られた重量から差引き、各画分の固形分重量とした。また、濾紙上の画分(画分5)は、乾燥したのち、濾紙とともに重量(乾燥重量)を測定した。あらかじめ、ろ過前の濾紙の乾燥重量を測定しておき、得られた重量から差引き、当該画分の固形分重量とした。そして、得られた各画分の固形分重量から、固形分全量に対する比率を算出し、当該画分の固形分存在比率とした。また、各画分の固形分重量を合計し、処理した量(処理全量)に対する比率を求め、回収率とした。その後固形分サンプルは、そのまま酸溶解したのちICP発光分光分析にて亜鉛濃度を求めた。各画分の固形分存在比率および亜鉛濃度を表1に示す。

0066

0067

分画による固形分の損失は少なく、回収率は93.7%であった。表1から、固形分の存在比率は、粒径が細かい画分では少なく、粒径が中間である画分で多くなっていることがわかる。また、亜鉛の存在比率は、細粒側画分で多くなっており、亜鉛は細粒側画分に濃縮されていることがわかる。

0068

また、サンプルダストスラリーについて、再度、図6に示す分画を実施した。ただし、今度は、篩上の画分を逆洗したのち、フィルターでのろ過は行わず、スラリーのまま回収し、レーザ回折・散乱法を用いて、粒子径分布を測定した。なお、濾紙上に捕捉された画分(画分5)については、濾紙を細かく切断し、濾紙とともにエタノール溶液中に投入し、該エタノール溶液中で10分間程度超音波で攪拌し、画分を濾紙からエタノール溶液中に分散させてスラリーサンプルとした。得られたスラリーサンプルについて、同様に粒子径分布の測定を行った。

0069

得られた各画分ごとの粒子径分布に、各画分の固形分存在比率を掛けることにより、各画分ごとの固形分存在比率分布(粒径と固形分存在比率との関係)を求め、さらに各画分の固形分存在比率分布を合計して、ダスト全体に対する固形分存在比率分布(粒径と固形分存在比率との関係)とした。このダスト全体に対する粒径と固形分存在比率との関係は、対象としたダストの粒径分布とほぼ一致した。得られた結果を、図7に示す。なお、図7には、固形分存在比率を粒径の小さい側から累積した固形分存在比率累積を併記している。

0070

また、得られた各画分ごとの粒径分布と有価成分(亜鉛)濃度とを掛け合わせることにより、ダスト中亜鉛全体に対する各画分ごとの亜鉛存在比率分布(粒径と亜鉛存在比率との関係)を求め、さらに、各画分の亜鉛存在比率分布を合計して、ダスト全体に対する亜鉛存在比率分布(粒径と亜鉛存在比率との関係)とした。得られた結果を、図8に示す。なお、図8には、亜鉛存在比率を粒径の小さい側から累積した亜鉛存在比率累積を併記している。

0071

図7図8を重ね合わせて、図9に示す。
図9に示す粒径と固形分存在比率累積の関係および粒径と亜鉛存在比率累積の関係から、分級点が7μm程度の湿式分級装置を用いて分級すれば、対象としたダストスラリーは、細粒側(亜鉛が濃縮されたスラリー側)に、固形分(高亜鉛含有側固形分存在比率)が50%、亜鉛(亜鉛存在比率)が73%、分級されると推察できる。すなわち、細粒側ダストスラリー(亜鉛が濃縮されたスラリー側)は、高亜鉛ダストとして系外に排出され、リサイクルされないことから、対象としたダストスラリーの湿式分級特性(脱亜鉛率、固形分存在比率)は、脱亜鉛率:73%、固形分存在比率:50%であると、予測できることになる。

0072

次に、図9に示す粒径と固形分存在比率累積との関係および粒径と亜鉛存在比率累積との関係を用いて、分級点を種々変えた場合に得られる、細粒側ダストスラリー(亜鉛が濃縮されたスラリー側)に分級される固形分存在比率累積(高亜鉛含有側固形分存在比率)および亜鉛存在比率累積(脱亜鉛率)をもとめ、脱亜鉛率と高亜鉛含有側固形分存在比率との関係、すなわち、対象とする有価成分含有ダストスラリーの湿式分級特性曲線として、点線で図10に示す。

0073

ついで、上記した製鉄所からのダスト(高炉ダスト)スラリーを、分級点:7μmの湿式サイクロンに投入し、実機で、湿式分級試験を実施した。湿式分級試験は合計20回行った。それぞれ、湿式分級後、細粒側ダストスラリー、粗粒側ダストスラリーについて、固形分量、亜鉛濃度を分析した。分析方法は、上記した方法と同じとした。なお、投入ダストスラリーについても、同様に分析した。

0074

得られた結果から、細粒側(高亜鉛含有側)ダストスラリーにおける固形分存在比率(高亜鉛含有側固形分存在比率)、および細粒側(高亜鉛含有側)ダストスラリーにおける亜鉛存在比率(脱亜鉛率)を算出し、+印で図10プロットした。なお、図中には、上記した予測点を○印として付記してある。

実施例

0075

実機湿式分級試験の結果は、投入したスラリーの固形分濃度バラツキや、流量の変動等により多少のバラツキが存在するが、いずれも、湿式分級特性曲線および予測点の近傍に分布しており、本発明予測方法は、実機による湿式分級特性を、実機試験を行うことなく十分に精度よく予測できると言える。

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