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技術 BCMAに対する抗体の選択のための方法

出願人 エンクマフエスアーエールエル
発明者 ミンディエムヴークラウスシュトラインエッケハルトメスナーラルフホッセオリヴァーアストアンネフライモーザー-グルントショーバーマリーナバツァツターニャファウティクリスティアンクラインパブロウマーナサミュエルモーザー
出願日 2019年10月3日 (1年1ヶ月経過) 出願番号 2019-183002
公開日 2020年2月13日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-023523
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 特有な方法による材料の調査、分析 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 予備清浄 連続ドメイン 初期設計 容量モル濃度 界面相 コントロールフロー リン酸カルシウムベース 数値積分
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

BCMAに対する抗体の選択のための方法、BCMAに対する新たな抗体を提供する。

解決手段

本発明は、BCMAに特異的に結合するモノクローナル抗体を含み、該抗体は、濃度6.25nMでの該抗体の結合が、140ng/mlマウスAPRILによって10%超は低下せず、好ましくは、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、1%超は低下しないことを特徴とする。好ましくは、上記抗体は、濃度50nMでの該抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、140ng/ml マウスAPRILによって10%超は低下しないことを特徴とする。

概要

背景

(発明の背景
ヒトB細胞成熟標的(BCMA; TR17_HUMAN、TNFRSF17(UniProt Q02223)としても公知)は、分化した形質細胞優先的に発現される腫瘍壊死レセプタースーパーファミリーメンバーである[Laabi et al. 1992; Madry et al. 1998]。BCMAは、非グリコシル化III型膜貫通タンパク質であり、これは、B細胞成熟、増殖および生存関与する。BCMAは、TNFスーパーファミリーの2つのリガンドAPRIL(増殖誘導リガンド)(BCMAに対する高親和性リガンド)およびB細胞活性化因子AFF(BCMAに対する低親和性リガンド)(THANK、BlyS、Bリンパ球刺激因子、TALL−1およびzTNF4)に対するレセプターである。APRILおよびBAFFは、構造類似性および重なり合うが別個のレセプター結合特異性を示す。負の調節因子TACIはまた、BAFFおよびAPRILの両方に結合する。BCMAおよび/もしくはTACIへの、APRILおよびBAFFの同等の結合は、転写因子NF−κBを活性化し、生存促進性Bcl−2ファミリーメンバー(例えば、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−w、Mcl−1、A1)の発現およびアポトーシス促進因子(例えば、Bid、Bad、Bik、Bimなど)のダウンレギュレーションを増大させ、従って、アポトーシス阻害し、生存を促進する。この組み合わされた作用は、B細胞分化、増殖、生存および抗体生成を促進する(Rickert RC et al., Immunol Rev (2011) 244 (1): 115−133において概説されるとおり)。

BCMAに対する抗体は、例えば、Gras M−P. et al. Int Immunol. 7 (1995) 1093−1106、WO200124811、WO200124812、WO2010104949およびWO2012163805に記載されている。BCMAに対する抗体ならびにリンパ腫および多発性骨髄腫処置のためのそれらの使用は、例えば、WO2002066516およびWO2010104949で言及されている。WO2013154760は、BCMA認識部分およびT細胞活性化部分を含むキメラ抗原レセプターに関する。

Ryan, MC et al., Mol. Cancer Ther. 6 (2007) 3009−3018は、の抗体としてもしくは抗体−薬物結合体として、多発性骨髄腫(MM)細胞株細胞傷害性を促進し得るリガンドブロック活性を有する抗BCMA抗体に関する。Ryanは、SG1、阻害性BCMA抗体が、核因子−κBのAPRIL依存性活性化を用量依存性的方式で、インビトロでブロックすることを示した。Ryanはまた、抗体SG2がBCMAへのAPRIL結合を有意には阻害しないことを言及した。

多種多様組換え二重特異的抗体様式は、例えば、例えば、IgG抗体様式と単鎖ドメインとの融合によって、ここ最近開発された(Kontermann RE, mAbs 4:2, (2012) 1−16を参照のこと)。可変ドメインVLおよびVHもしくは定常ドメインCLおよびCH1が互いに置き換えられている二重特異的抗体は、WO2009080251およびWO2009080252に記載されている。

誤って対合した副生成物という問題を回避するアプローチ(「ノブが凹みに入り込む」(「knobs−into−holes」)として公知である)は、CH3ドメインへ変異を導入して、接触界面を改変することによって、2つの異なる抗体重鎖の対合を強制することを目的とする。一方の鎖で、かさ高いアミノ酸を、短い側鎖を有するアミノ酸によって置き換えて、「凹み(hole)」を作った。逆に、大きな側鎖を有するアミノ酸を他方のCH3ドメインに導入して、「ノブ(knob)」を作った。これらの2つの重鎖(および2つの同一の軽鎖(これらは、両方の重鎖にとって適切でなければならない))を共発現することによって、ホモダイマー形成(「凹み−凹み」もしくは「ノブ−ノブ」)に対して高収率ヘテロダイマー形成(「ノブ−凹み」)を観察した(RidgwayJB, Presta LG, Carter P;およびWO1996027011)。ヘテロダイマーのパーセンテージは、ファージディスプレイアプローチおよび上記ヘテロダイマーを安定化させるジスルフィド架橋の導入を使用して、2つのCH3ドメインの相互作用表面再構築することによってさらに増大させることができた(Merchant A.M, et al, Nature Biotech 16 (1998) 677−681; Aτwell S, Ridgway JB, Wells JA, Carter P., J MoI Biol 270 (1997) 26−35)。上記ノブが凹みに入り込む技術に関する新たなアプローチは、例えば、EP 1870459A1に記載されている。この様式は、非常に魅力的であるようだが、クリニックに向けた進歩を記載するデータは現在入手できていない。このストラテジーの1つの重大な制約は、2つの親抗体の軽鎖が誤って対合し、不活性分子を形成するのを防止するために同一でなければならないことである。従って、この技法は、第1の標的および第2の標的に対する2種の抗体から出発する、2つの標的に対する組換え二重特異的抗体を容易に開発するために適していない。なぜなら、これらの抗体の重鎖および/もしくは同一の軽鎖のいずれかが最適化されねばならないからである。Xie, Z., et al, J Immunol Methods286 (2005) 95−101は、FC部分のためにノブが凹みに入り込む技術と組み合わせてscFvを使用する二重特異的抗体の様式に言及している。

Tリンパ球のTCR/CD3複合体は、CD3標識ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ゼータζ)、およびイータ(η)の不変サブユニットとともに細胞表面で共発現される、TCRアルファ(α)/ベータ(β)またはTCRガンマ(γ)/デルタ(δ)ヘテロダイマーのいずれかからなる。ヒトCD3εは、UniProt P07766(CD3E_HUMAN)の下で記載されている。

現在の技術水準で記載される抗CD3ε抗体は、SP34(Yang SJ, The Journal of Immunology (1986) 137; 1097−1100)である。SP34は、霊長類およびヒト両方のCD3と反応する。SP34は、Pharmingenから入手可能である。現在の技術水準で記載されるさらなる抗CD3抗体は、UCHT−1(WO2000041474を参照のこと)である。現在の技術水準で記載されるさらなる抗CD3抗体は、BC−3(Fred Hutchinson Cancer Research Institute;GvHDのフェーズI/II治験において使用される、Anasetti et al., Transplantation 54: 844 (1992))である。SP34は、SP−34がCD3のε鎖のみに存在するエピトープを認識する(Salmeron et al., (1991) J. Immunol. 147: 3047を参照のこと)のに対して、UCHT−1およびBC−3は、ε鎖およびγ鎖の両方によって与えられるエピトープを認識するという点で、UCHT−1およびBC−3とは異なる。抗体SP34のものと同じ配列を有する抗体の配列は、WO2008119565、WO2008119566、WO2008119567、WO2010037836、WO2010037837およびWO2010037838において言及されている。抗体SP34のVHに96%同一である配列は、US8236308(WO2007042261)に言及されている。SP34のものと同じ配列を有するさらなる抗体のVHおよびVL配列は、配列番号7および8に示される。

CD3およびBCMAに対する二重特異的抗体は、WO2007117600、WO2009132058、WO2012066058、およびWO2012143498で言及されている。

モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能(同様の抗体依存性細胞傷害性(ADCC))は、Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176−180;およびUS6602684に記載されるように、Asn297でのそれらのオリゴサッカリド組成を操作することによって増強され得る。WO1999054342、WO2004065540、WO2007031875、およびWO2007039818、Hristodorov D, Fischer R, Linden L., Mol Biotechnol. 2012 Oct 25. (Epub)はまた、Fc媒介性細胞傷害性を増強するための抗体のグリコシル化操作に関する。

また、ヒンジ領域およびCH2ドメイン中のいくつかのアミノ酸残基は、モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能に影響を及ぼす(Eur. J. Immunol., 23, 1098 (1993), Immunology, 86, 319 (1995), Chemical Immunology, 65, 88 (1997)] Chemical Immunology, 65, 88 (1997)]。従って、このようなアミノ酸の改変は、細胞媒介性エフェクター機能を増強し得る。細胞媒介性エフェクター機能を増大させるためのこのような抗体改変は、EP1931709、WO200042072において言及されており、アミノ酸234位、235位、236位、239位、267位、268位、293位、295位、324位、327位、328位、330位、および332位でのFc部分置換を含む。さらに、細胞媒介性エフェクター機能を増大させるための抗体改変は、EP1697415に言及されており、荷電したアミノ酸、極性アミノ酸、もしくは非極性アミノ酸を有するEUアミノ酸277位、289位、306位、344位、もしくは378位のアミノ酸置換を含む。

抗体様式ならびに二重特異的および多重特異的抗体の様式はまた、ペプボディー(pepbody)(WO200244215)、新規抗原レセプター(Novel Antigen Receptor)(「NAR」)(WO2003014161)、ダイアボディー−ダイアボディーダイマー「TandAbs」(WO2003048209)、ポリアルキレンオキシド改変scFv(US7150872)、ヒト化ウサギ抗体(WO2005016950)、合成免疫グロブリンドメイン(WO2006072620)、共有結合ダイアボディー(WO2006113665)、フレキシボディー(flexibody)(WO2003025018)、ドメイン抗体、dAb(WO2004058822)、ワクシボディー(vaccibody)(WO2004076489)、新世界ザルフレームワークを有する抗体(WO2007019620)、切断可能なリンカーを有する抗体−薬物結合体(WO2009117531)、ヒンジ領域を除去したIgG4抗体(WO2010063785)、IgG4様CH3ドメインを有する二重特異的抗体(WO2008119353)、ラクダ抗体(camelid Antibody)(US6838254)、ナノボディー(US7655759)、CATダイアボディー(US5837242)、標的抗原およびCD3に対して指向される二重特異的scFv2(US7235641)、sIgAplAntibody(US6303341)、ミニボディー(US5837821)、IgNAR(US2009148438)、改変ヒンジ領域およびFc領域を有する抗体(US2008227958、US20080181890)、三官能性抗体(trifunctional antibody)(US5273743)、トリオマブ(triomab)(US6551592)、トロイボディー(troybody)(US6294654)である。

概要

BCMAに対する抗体の選択のための方法、BCMAに対する新たな抗体を提供する。本発明は、BCMAに特異的に結合するモノクローナル抗体を含み、該抗体は、濃度6.25nMでの該抗体の結合が、140ng/mlマウスAPRILによって10%超は低下せず、好ましくは、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、1%超は低下しないことを特徴とする。好ましくは、上記抗体は、濃度50nMでの該抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、140ng/ml マウスAPRILによって10%超は低下しないことを特徴とする。なし

目的

誤って対合した副生成物という問題を回避するアプローチ(「ノブが凹みに入り込む」(「knobs−into−holes」)として公知である)は、CH3ドメインへ変異を導入して、接触界面を改変することによって、2つの異なる抗体重鎖の対合を強制することを目的とする

効果

実績

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請求項1

明細書に記載の発明。

技術分野

0001

本発明は、BCMAに対する抗体の選択のための方法、BCMAに対する新たな抗体、それらの製造および使用に関する。

背景技術

0002

(発明の背景
ヒトB細胞成熟標的(BCMA; TR17_HUMAN、TNFRSF17(UniProt Q02223)としても公知)は、分化した形質細胞優先的に発現される腫瘍壊死レセプタースーパーファミリーメンバーである[Laabi et al. 1992; Madry et al. 1998]。BCMAは、非グリコシル化III型膜貫通タンパク質であり、これは、B細胞成熟、増殖および生存関与する。BCMAは、TNFスーパーファミリーの2つのリガンドAPRIL(増殖誘導リガンド)(BCMAに対する高親和性リガンド)およびB細胞活性化因子AFF(BCMAに対する低親和性リガンド)(THANK、BlyS、Bリンパ球刺激因子、TALL−1およびzTNF4)に対するレセプターである。APRILおよびBAFFは、構造類似性および重なり合うが別個のレセプター結合特異性を示す。負の調節因子TACIはまた、BAFFおよびAPRILの両方に結合する。BCMAおよび/もしくはTACIへの、APRILおよびBAFFの同等の結合は、転写因子NF−κBを活性化し、生存促進性Bcl−2ファミリーメンバー(例えば、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−w、Mcl−1、A1)の発現およびアポトーシス促進因子(例えば、Bid、Bad、Bik、Bimなど)のダウンレギュレーションを増大させ、従って、アポトーシス阻害し、生存を促進する。この組み合わされた作用は、B細胞分化、増殖、生存および抗体生成を促進する(Rickert RC et al., Immunol Rev (2011) 244 (1): 115−133において概説されるとおり)。

0003

BCMAに対する抗体は、例えば、Gras M−P. et al. Int Immunol. 7 (1995) 1093−1106、WO200124811、WO200124812、WO2010104949およびWO2012163805に記載されている。BCMAに対する抗体ならびにリンパ腫および多発性骨髄腫処置のためのそれらの使用は、例えば、WO2002066516およびWO2010104949で言及されている。WO2013154760は、BCMA認識部分およびT細胞活性化部分を含むキメラ抗原レセプターに関する。

0004

Ryan, MC et al., Mol. Cancer Ther. 6 (2007) 3009−3018は、の抗体としてもしくは抗体−薬物結合体として、多発性骨髄腫(MM)細胞株細胞傷害性を促進し得るリガンドブロック活性を有する抗BCMA抗体に関する。Ryanは、SG1、阻害性BCMA抗体が、核因子−κBのAPRIL依存性活性化を用量依存性的方式で、インビトロでブロックすることを示した。Ryanはまた、抗体SG2がBCMAへのAPRIL結合を有意には阻害しないことを言及した。

0005

多種多様組換え二重特異的抗体様式は、例えば、例えば、IgG抗体様式と単鎖ドメインとの融合によって、ここ最近開発された(Kontermann RE, mAbs 4:2, (2012) 1−16を参照のこと)。可変ドメインVLおよびVHもしくは定常ドメインCLおよびCH1が互いに置き換えられている二重特異的抗体は、WO2009080251およびWO2009080252に記載されている。

0006

誤って対合した副生成物という問題を回避するアプローチ(「ノブが凹みに入り込む」(「knobs−into−holes」)として公知である)は、CH3ドメインへ変異を導入して、接触界面を改変することによって、2つの異なる抗体重鎖の対合を強制することを目的とする。一方の鎖で、かさ高いアミノ酸を、短い側鎖を有するアミノ酸によって置き換えて、「凹み(hole)」を作った。逆に、大きな側鎖を有するアミノ酸を他方のCH3ドメインに導入して、「ノブ(knob)」を作った。これらの2つの重鎖(および2つの同一の軽鎖(これらは、両方の重鎖にとって適切でなければならない))を共発現することによって、ホモダイマー形成(「凹み−凹み」もしくは「ノブ−ノブ」)に対して高収率ヘテロダイマー形成(「ノブ−凹み」)を観察した(RidgwayJB, Presta LG, Carter P;およびWO1996027011)。ヘテロダイマーのパーセンテージは、ファージディスプレイアプローチおよび上記ヘテロダイマーを安定化させるジスルフィド架橋の導入を使用して、2つのCH3ドメインの相互作用表面再構築することによってさらに増大させることができた(Merchant A.M, et al, Nature Biotech 16 (1998) 677−681; Aτwell S, Ridgway JB, Wells JA, Carter P., J MoI Biol 270 (1997) 26−35)。上記ノブが凹みに入り込む技術に関する新たなアプローチは、例えば、EP 1870459A1に記載されている。この様式は、非常に魅力的であるようだが、クリニックに向けた進歩を記載するデータは現在入手できていない。このストラテジーの1つの重大な制約は、2つの親抗体の軽鎖が誤って対合し、不活性分子を形成するのを防止するために同一でなければならないことである。従って、この技法は、第1の標的および第2の標的に対する2種の抗体から出発する、2つの標的に対する組換え二重特異的抗体を容易に開発するために適していない。なぜなら、これらの抗体の重鎖および/もしくは同一の軽鎖のいずれかが最適化されねばならないからである。Xie, Z., et al, J Immunol Methods286 (2005) 95−101は、FC部分のためにノブが凹みに入り込む技術と組み合わせてscFvを使用する二重特異的抗体の様式に言及している。

0007

Tリンパ球のTCR/CD3複合体は、CD3標識ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ゼータζ)、およびイータ(η)の不変サブユニットとともに細胞表面で共発現される、TCRアルファ(α)/ベータ(β)またはTCRガンマ(γ)/デルタ(δ)ヘテロダイマーのいずれかからなる。ヒトCD3εは、UniProt P07766(CD3E_HUMAN)の下で記載されている。

0008

現在の技術水準で記載される抗CD3ε抗体は、SP34(Yang SJ, The Journal of Immunology (1986) 137; 1097−1100)である。SP34は、霊長類およびヒト両方のCD3と反応する。SP34は、Pharmingenから入手可能である。現在の技術水準で記載されるさらなる抗CD3抗体は、UCHT−1(WO2000041474を参照のこと)である。現在の技術水準で記載されるさらなる抗CD3抗体は、BC−3(Fred Hutchinson Cancer Research Institute;GvHDのフェーズI/II治験において使用される、Anasetti et al., Transplantation 54: 844 (1992))である。SP34は、SP−34がCD3のε鎖のみに存在するエピトープを認識する(Salmeron et al., (1991) J. Immunol. 147: 3047を参照のこと)のに対して、UCHT−1およびBC−3は、ε鎖およびγ鎖の両方によって与えられるエピトープを認識するという点で、UCHT−1およびBC−3とは異なる。抗体SP34のものと同じ配列を有する抗体の配列は、WO2008119565、WO2008119566、WO2008119567、WO2010037836、WO2010037837およびWO2010037838において言及されている。抗体SP34のVHに96%同一である配列は、US8236308(WO2007042261)に言及されている。SP34のものと同じ配列を有するさらなる抗体のVHおよびVL配列は、配列番号7および8に示される。

0009

CD3およびBCMAに対する二重特異的抗体は、WO2007117600、WO2009132058、WO2012066058、およびWO2012143498で言及されている。

0010

モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能(同様の抗体依存性細胞傷害性(ADCC))は、Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176−180;およびUS6602684に記載されるように、Asn297でのそれらのオリゴサッカリド組成を操作することによって増強され得る。WO1999054342、WO2004065540、WO2007031875、およびWO2007039818、Hristodorov D, Fischer R, Linden L., Mol Biotechnol. 2012 Oct 25. (Epub)はまた、Fc媒介性細胞傷害性を増強するための抗体のグリコシル化操作に関する。

0011

また、ヒンジ領域およびCH2ドメイン中のいくつかのアミノ酸残基は、モノクローナル抗体の細胞媒介性エフェクター機能に影響を及ぼす(Eur. J. Immunol., 23, 1098 (1993), Immunology, 86, 319 (1995), Chemical Immunology, 65, 88 (1997)] Chemical Immunology, 65, 88 (1997)]。従って、このようなアミノ酸の改変は、細胞媒介性エフェクター機能を増強し得る。細胞媒介性エフェクター機能を増大させるためのこのような抗体改変は、EP1931709、WO200042072において言及されており、アミノ酸234位、235位、236位、239位、267位、268位、293位、295位、324位、327位、328位、330位、および332位でのFc部分置換を含む。さらに、細胞媒介性エフェクター機能を増大させるための抗体改変は、EP1697415に言及されており、荷電したアミノ酸、極性アミノ酸、もしくは非極性アミノ酸を有するEUアミノ酸277位、289位、306位、344位、もしくは378位のアミノ酸置換を含む。

0012

抗体様式ならびに二重特異的および多重特異的抗体の様式はまた、ペプボディー(pepbody)(WO200244215)、新規抗原レセプター(Novel Antigen Receptor)(「NAR」)(WO2003014161)、ダイアボディー−ダイアボディーダイマー「TandAbs」(WO2003048209)、ポリアルキレンオキシド改変scFv(US7150872)、ヒト化ウサギ抗体(WO2005016950)、合成免疫グロブリンドメイン(WO2006072620)、共有結合ダイアボディー(WO2006113665)、フレキシボディー(flexibody)(WO2003025018)、ドメイン抗体、dAb(WO2004058822)、ワクシボディー(vaccibody)(WO2004076489)、新世界ザルフレームワークを有する抗体(WO2007019620)、切断可能なリンカーを有する抗体−薬物結合体(WO2009117531)、ヒンジ領域を除去したIgG4抗体(WO2010063785)、IgG4様CH3ドメインを有する二重特異的抗体(WO2008119353)、ラクダ抗体(camelid Antibody)(US6838254)、ナノボディー(US7655759)、CATダイアボディー(US5837242)、標的抗原およびCD3に対して指向される二重特異的scFv2(US7235641)、sIgAplAntibody(US6303341)、ミニボディー(US5837821)、IgNAR(US2009148438)、改変ヒンジ領域およびFc領域を有する抗体(US2008227958、US20080181890)、三官能性抗体(trifunctional antibody)(US5273743)、トリオマブ(triomab)(US6551592)、トロイボディー(troybody)(US6294654)である。

0013

国際公開第2001/24811号
国際公開第2001/24812号
国際公開第2010/104949号
国際公開第2012/163805号
国際公開第2002/066516号
国際公開第2013/154760号
国際公開第2009/080251号
国際公開第2009/080252号
国際公開第2000/041474号
国際公開第2008/119565号
国際公開第2008/119566号
国際公開第2008/119567号
国際公開第2010/037836号
国際公開第2010/037837号
国際公開第2010/037838号
米国特許第8236308号明細書
国際公開第2007/042261号
国際公開第2007/117600号
国際公開第2009/132058号
国際公開第2012/066058号
国際公開第2012/143498号
米国特許第6602684号明細書
国際公開第1999/054342号
国際公開第2004/065540号
国際公開第2007/031875号
国際公開第2007/039818号
欧州特許出願公開第1931709号明細書
国際公開第2000/42072号
国際公開第2002/44215号
国際公開第2003/014161号
国際公開第2003/048209号
米国特許第7150872号明細書
国際公開第2005/016950号
国際公開第2006/072620号
国際公開第2006/113665号
国際公開第2003/025018号
国際公開第2004/058822号
国際公開第2004/076489号
国際公開第2007/019620号
国際公開第2009/117531号
国際公開第2010/063785号
国際公開第2008/119353号
米国特許第6838254号明細書
米国特許第7655759号明細書
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米国特許第6551592号明細書
米国特許第6294654号明細書

先行技術

0014

Rickert RC et al., Immunol Rev (2011) 244 (1): 115−133
Gras M−P. et al. Int Immunol. 7 (1995) 1093−1106
Ryan, MC et al., Mol. Cancer Ther. 6 (2007) 3009−3018
Kontermann RE, mAbs 4:2, (2012) 1−16
Merchant A.M, et al, Nature Biotech 16 (1998) 677−681
Aτwell S, RidgwayJB, Wells JA, Carter P., J MoI Biol 270 (1997) 26−35
Xie, Z., et al, J Immunol Methods286 (2005) 95−101
Yang SJ, The Journal of Immunology (1986) 137; 1097−1100
Anasetti et al., Transplantation 54: 844 (1992)
Salmeron et al., (1991) J. Immunol. 147: 3047
Umana, P., et al., Nature Biotechnol. 17 (1999) 176−180
Hristodorov D, Fischer R, Linden L., Mol Biotechnol. 2012 Oct 25. (Epub)
Eur. J. Immunol., 23, 1098 (1993)
Immunology, 86, 319 (1995)
Chemical Immunology, 65, 88 (1997)

課題を解決するための手段

0015

(発明の要旨)
本発明は、BCMAに特異的に結合するモノクローナル抗体を含み、該抗体は、濃度6.25nMでの該抗体の結合が、140ng/mlマウスAPRILによって10%超は低下せず、好ましくは、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、1%超は低下しないことを特徴とする。好ましくは、上記抗体は、濃度50nMでの該抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて450nmのODとして測定して、APRILなしのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、140ng/ml マウスAPRILによって10%超は低下しないことを特徴とする。

0016

好ましくは、本発明に従う抗体は、H929細胞(ATCC登録商標) CRL−9068TM)への抗BCMA抗体の結合に関して15nM以下というEC50値を示すことで特徴付けられる。
a)上記抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml
APRILによって20%超は低下しない、
b)上記抗体は、APRILと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
c)上記抗体は、上記抗体なしと比較した場合、APRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない。

0017

本発明は、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体に関し、該抗体は、
a)該抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、20%超は100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって低下しない、
b)該抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)該抗体は、BAFFのみと比較して、BAFF依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
d)該抗体は、該抗体なしと比較して、BAFFおよびAPRILなしのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
ことを特徴とする。

0018

好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAで測定して、100ng/mlAPRILによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、上記ELISAで測定して、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が1000ng/ml APRILによって低下しない、および20%超は低下しない、という点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAで測定して、1000ng/ml APRILによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。

0019

好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAで測定して、100ng/mlAPRILによって低下しない、および100ng/ml BAFFによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAで測定して、1000ng/ml APRILによって低下しない、および1000ng/ml BAFFによって20%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAで測定して、1000ng/ml APRILによって低下しない、および1000ng/ml BAFFによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。

0020

好ましくは、本発明に従う抗体は、APRIL依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない。好ましくは、本発明に従う抗体は、APRILなしでのBAFF依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない。好ましくは、本発明に従う抗体は、APRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を15%超は変化させない。

0021

好ましくは、本発明に従う抗体は、BCMAへのその結合が、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのNCI−H929細胞への上記抗体の結合と比較して、2.5μg/mlの濃度のAPRILまたはBAFFそれぞれの存在下もしくは非存在下で、NCI−H929細胞(ATCC(登録商標) CRL−9068TM)への5nM、好ましくは、50nM、および好ましくは、140nMの濃度の上記抗体の結合として測定して、APRILによって低下しない、および好ましくは、BAFFによって25%超は低下しない、好ましくは、20%超は低下しない、好ましくは、10%超は低下しないことを特徴とする。

0022

好ましくは、本発明に従う抗体は、これがカニクイザルBCMAにも特異的に結合するという点でさらに特徴付けられる。

0023

本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明に従う抗体は、単鎖可変フラグメント(scFv)を含むFcありもしくはFcなしの二重特異的抗体(例えば、二重特異的T細胞結合因子(engager)、ダイアボディー、もしくはタンデムscFv、DARPinなどの抗体摸倣物、裸の単一特異的抗体、または抗体薬物結合体)である。好ましくは、二重特異的抗体は、BCMAおよびCD3に特異的に結合する。

0024

本発明は、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体の選択のための方法にさらに関し、上記方法は、以下:
a)ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって20%超は低下しない
b)上記抗体は、APRILと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)上記抗体は、上記抗体なしと比較して、APRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
の場合に、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体を選択する工程において特徴付けられる。

0025

好ましくは、上記方法は、APRIL依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない抗体が選択される点で特徴付けられ、好ましくは、上記方法は、APRILなしでのNF−κB活性化を15%超は変化させない抗体が選択されることを特徴とする。

0026

好ましくは、上記方法は、さらに、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、APRILなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、100ng/ml APRILによって20%超は低下しない場合に抗体が選択されることを特徴とする。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、100ng/ml APRILによって15%超は低下しない場合に、抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって低下せず、1000ng/mlによって20%超は低下しない場合に、抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって15%超は低下しない場合に抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。

0027

本発明はさらに、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体の選択のための方法に関し、上記方法は、以下:
a)ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって20%超は低下しない、
b)上記抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)上記抗体は、BAFFのみと比較して、BAFF依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
d)上記抗体は、上記抗体なしと比較して、BAFFおよびAPRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない
の場合に、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体を選択する工程において特徴付けられる。

0028

好ましくは、上記方法は、APRIL依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない抗体が選択されることを特徴とする。好ましくは、上記方法は、BAFF依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない抗体が選択されることを特徴とする。好ましくは、上記方法は、APRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を15%超は変化させない抗体が選択されることを特徴とする。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAに特異的に結合する抗体が選択されることを特徴とする。

0029

好ましくは、上記方法は、さらに、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって20%超は低下しない場合に抗体が選択されることを特徴とする。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって15%超は低下しない場合に抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって低下せず、1000ng/mlによって20%超は低下しない場合に抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記方法は、カニクイザルおよびヒトのBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって低下せず、1000ng/ml BAFFによって15%超は低下しない場合に抗体が選択されるという点でさらに特徴付けられる。

0030

本発明はさらに、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体の選択のための方法に関し、上記方法は、抗体を選択する工程において特徴付けられ、BCMAへのその結合が、APRILおよび好ましくは、BAFFなしでのNCI−H929細胞への上記抗体の結合と比較して、APRILおよび好ましくは、2.5μg/mlの濃度のBAFFの存在下もしくは非存在下でNCI−H929細胞(ATCC(登録商標) CRL−9068TM)への、5nM、好ましくは、50nM、および好ましくは、140nMの濃度での上記抗体の結合として測定して、APRILによって低下せず、好ましくは、BAFFによって25%超は低下しない、好ましくは、20%超は低下しない、好ましくは、10%超は低下しないことを特徴とする。

0031

本発明に基づいて、BCMAに対する本発明に従う抗体、BCMAに対する抗体−薬物結合体およびBCMAに対する二重特異的抗体、ならびに当該分野の技術水準で公知のFc部分ありもしくはなしの種々の様式におけるさらなる標的(例えば、上記の「発明の背景」を参照のこと)、単鎖可変フラグメント(scFv)(例えば、二重特異的T細胞結合因子、ダイアボディー、タンデムscFv、およびDARPinなどの抗体摸倣物)を生成することは可能である。二重特異的抗体様式は、当該分野の技術水準で周知であり、例えば、Kontermann RE, mAbs 4:2 1−16 (2012); Holliger P., Hudson PJ, Nature Biotech.23 (2005) 1126− 1136およびChan AC, Carter PJ Nature Reviews Immunology 10, 301−316 (2010)およびCuesta AM et al., Trends Biotech 28 (2011) 355−362にも記載される。

0032

本発明のさらなる実施形態は、2つの標的ヒトCD3ε(「CD3」ともさらに称される)およびヒトBCMAの細胞外ドメイン(「BCMA」ともさらに称される)に対する二重特異的抗体であり、BCMAに対する抗体として、本発明に従う抗BCMA抗体を含む点で特徴付けられる。

0033

本発明は、好ましくは、BCMAおよびCD3に対する二重特異的抗体に関し、上記抗体は、
a)上記抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml
APRILによって20%超は低下しない、
b)上記抗体は、APRILと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
c)上記抗体は、上記抗体なしと比較して、APRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
ことを特徴とする。

0034

本発明は、好ましくは、BCMAおよびCD3に対する二重特異的抗体に関し、上記抗体は、
a)上記抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって20%超は低下しない、
b)上記抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)上記抗体は、BAFFのみと比較して、BAFF依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
d)上記抗体は、上記抗体なしと比較して、BAFFおよびAPRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
ことを特徴とする。

0035

BCMAおよびCD3に対する上記二重特異的抗体は、好ましくは、本発明に従う抗BCMA抗体および抗CD3抗体を含むことを特徴とし、ここで
a)上記標的のうちの一方に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖;ならびに
b)上記標的のうちのもう一方に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖であって、ここでその可変ドメインVLおよびVHもしくはその定常ドメインCLおよびCH1は、互いに置き換えられている。

0036

好ましくは、上記可変ドメインVHは、上記抗CD3ε抗体の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3としてそれぞれ配列番号1、2および3の重鎖CDRを含み、ならびに上記可変ドメインVLは、上記二重特異的抗体の上記抗CD3ε抗体部分の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3としてそれぞれ配列番号4、5および6の軽鎖CDRを含む。

0037

好ましくは、本発明に従うこのような二重特異的抗体は、上記抗CD3ε抗体部分の可変ドメインが配列番号7および配列番号8のものであることを特徴とする。

0038

好ましくは、本発明の従う抗体は、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3としてそれぞれ配列番号37〜45、47〜55、57〜65の重鎖CDRを含む可変ドメインVH、ならびに上記抗BCMA抗体の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3としてそれぞれ配列番号67〜75、77〜85、87〜95の軽鎖CDRを含む可変ドメインVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う上記抗体は、それぞれ、可変ドメインVHが配列番号17〜25の群より選択される、および上記可変ドメインVLが配列番号27〜35の群から選択されることを特徴とする。

0039

好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号37のCDR1H、配列番号47のCDR2H、配列番号57のCDR3H、ならびに配列番号67のCDR1L、配列番号77のCDR2L、配列番号87のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号38のCDR1H、配列番号48のCDR2H、配列番号58のCDR3H、ならびに配列番号68のCDR1L、配列番号78のCDR2L、配列番号88のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号39のCDR1H、配列番号49のCDR2H、配列番号59のCDR3H、ならびに配列番号69のCDR1L、配列番号79のCDR2L、配列番号89のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号40のCDR1H、配列番号50のCDR2H、配列番号60のCDR3Hならびに配列番号70のCDR1L、配列番号80のCDR2L、配列番号90のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、ヒトBCMAに特異的に結合する、本発明に従う抗体は、配列番号41のCDR1H、配列番号51のCDR2H、配列番号61のCDR3H、ならびに配列番号71のCDR1L、配列番号81のCDR2L、配列番号91のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号42のCDR1H、配列番号52のCDR2H、配列番号62のCDR3H、ならびに配列番号72のCDR1L、配列番号82のCDR2L、配列番号92のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号43のCDR1H、配列番号53のCDR2H、配列番号63のCDR3H、ならびに配列番号73のCDR1L、配列番号83のCDR2L、配列番号93のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号44のCDR1H、配列番号54のCDR2H、配列番号64のCDR3H、ならびに配列番号74のCDR1L、配列番号84のCDR2L、配列番号94のCDR3Lを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号45のCDR1H、配列番号55のCDR2H、配列番号65のCDR3H、ならびに配列番号75のCDR1L、配列番号85のCDR2L、配列番号95のCDR3Lを含むことを特徴とする。

0040

好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号17〜25からなる群より選択されるVHを含むという点で、および/または配列番号27〜35からなる群より選択されるVLを含むことを特徴とする。

0041

好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号17のVHおよび配列番号27のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号18のVHおよび配列番号28のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号19のVHおよび配列番号29のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号20のVHおよび配列番号30のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号21のVHおよび配列番号31のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号22のVHおよび配列番号32のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号23のVHおよび配列番号33のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号24のVHおよび配列番号34のVLを含むことを特徴とする。好ましくは、本発明に従う抗体は、配列番号25のVHおよび配列番号35のVLを含むことを特徴とする。

0042

本発明のさらなる実施形態において、抗体は、配列番号46のCDR1H、配列番号56のCDR2H、配列番号66のCDR3H、ならびに配列番号76のCDR1L、配列番号86のCDR2L、配列番号96のCDR3Lを含むことを特徴とする。本発明のさらなる実施形態において、抗体は、配列番号26のVHおよび配列番号36のVLを含むことを特徴とする。抗体MAB 13A7の結合は、ELISAアッセイで測定して、100ng/mlAPRILによって20%超、低下する。

0043

好ましくは、本発明に従う二重特異的抗体は、一方の重鎖のCH3ドメインおよび他方の重鎖のCH3ドメインが、上記抗体CH3ドメインの間の元の界面を含む界面で各々接触することを特徴とし;ここで上記界面は、上記二重特異的抗体の形成を促進するように変化し、ここで上記変化は、
a)上記二重特異的抗体内で他方の重鎖のCH3ドメインの元の界面に接触する一方の重鎖のCH3ドメインの元の界面内で、1つのアミノ酸残基が、より大きな側鎖体積を有する1つのアミノ酸残基で置き換えられ、それによって、他方の重鎖のCH3ドメインの界面内の間隙に配置可能である一方の重鎖のCH3ドメインの界面内で突出部を生成するように、一方の重鎖のCH3ドメインが変化する、ならびに
b)上記二重特異的抗体内で第1のCH3ドメインの元の界面に接触する第2のCH3ドメインの元の界面内で、1つのアミノ酸残基が、より小さい側鎖体積を有する1つのアミノ酸残基で置き換えられ、それによって、第1のCH3ドメインの界面内の突出部が配置可能である第2のCH3ドメインの界面内で間隙を生成するように、他方の重鎖のCH3ドメインが変化する、
ことを特徴とする。

0044

好ましくは、このような二重特異的抗体は、より大きな側鎖体積を有する上記アミノ酸残基が、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)からなる群より選択されることを特徴とする。

0045

好ましくは、このような二重特異的抗体は、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基が、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)からなる群より選択されることを特徴とする。

0046

好ましくは、このような二重特異的抗体は、両方のCH3ドメインが、各CH3ドメインの対応する位置におけるアミノ酸としてシステイン(C)の導入によってさらに変化させられることを特徴とする。

0047

好ましくは、このような二重特異的抗体は、両方の重鎖の定常重鎖ドメインCH3のうちの一方が、定常重鎖ドメインCH1によって置き換えられ;そして他方の定常重鎖ドメインCH3が、定常軽鎖ドメインCLによって置き換えられることを特徴とする。

0048

本発明はさらに、100nMの上記抗体の濃度で24時間後に、同一条件下でコントロールとして親Fc部分を有する同じ抗体を使用するコントロールと比較して、BCMA発現細胞調製物のうちの20%以上の細胞の細胞死をADCCによって誘導する改変Fc部分を含む本発明に従う抗体に関する。このような抗体は、好ましくは、裸の抗体である。

0049

好ましくは、本発明に従う抗体は、Asn297においてオリゴサッカリド(糖)の全量のうちの60%以下のフコース量を有する抗体である(例えば、US20120315268を参照のこと)。

0050

本発明のさらなる実施形態は、本発明に従う抗体の調製のための方法であり、上記方法は、
a)宿主細胞
b)本発明に従う抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸分子を含むベクター
形質転換する工程
c)該宿主細胞を、該抗体分子の合成を可能にする条件下で培養する工程;および
d)該抗体分子を該培養物から回収する工程、
包含する。

0051

本発明のさらなる実施形態は、本発明に従う二重特異的抗体の調製のための方法であり、上記方法は、
e)宿主細胞を、
f)第1の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸分子を含むベクター
g)第2の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸分子を含むベクター
で形質転換する工程であって、ここで可変ドメインVLおよびVHもしくは定常ドメインCLおよびCH1は、互いに置き換えられる、工程;
h)上記宿主細胞を、上記抗体分子の合成を可能にする条件下で培養する工程;ならびに
i)上記抗体分子を上記培養物から回収する工程、
を包含する。

0052

本発明のさらなる実施形態は、本発明に従う抗体をコードする核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞である。本発明のさらなる実施形態は、第1の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸分子を含むベクターおよび第2の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードする核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞であり、ここで可変ドメインVLおよびVHもしくは定常ドメインCLおよびCH1は、互いに置き換えられる。

0053

本発明のさらに好ましい実施形態は、本発明に従う抗体および薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物である。

0054

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0055

本発明のさらに好ましい実施形態は、形質細胞障害の処置における医薬としての使用のための、本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0056

本発明のさらに好ましい実施形態は、多発性骨髄腫の処置における医薬としての使用のための、本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0057

本発明のさらに好ましい実施形態は、全身性エリテマトーデスの処置における医薬としての使用のための本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0058

本発明のさらに好ましい実施形態は、抗体媒介性拒絶の処置における医薬として使用するための、単一特異的抗体、ADCCを増強した裸の抗体、抗体−薬物結合体もしくは二重特異的抗体を含む本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0059

好ましくは、本発明に従う抗体は、多発性骨髄腫MMもしくはBCMAを発現する他のB細胞障害などの形質細胞障害の処置に使用され得る。MMは、骨髄区画中の異常な形質細胞のモノクローナルな増殖および蓄積によって特徴付けられるB細胞悪性疾患である。MMはまた、同じIgG遺伝子再構成および体細胞超変異を有する循環クローン性B細胞を伴う。MMは、低レベル骨髄形質細胞およびモノクローン性のタンパク質によって特徴付けられる、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)といわれる無症候性前悪性状態から生じる。MM細胞は、低速で増殖する。MMは、多発性構造的染色体変化(例えば、不均衡転座)の進行性の発生から生じる。MMは、悪性形質細胞および骨髄微小環境(例えば、正常な骨髄間質細胞)の相互作用を伴う。活動性MMの臨床徴候は、モノクローナル抗体スパイク、形質細胞が過密な骨髄、溶解性骨病変および破骨細胞過剰刺激から生じる骨破壊(Dimopulos & Terpos, Ann Oncol 2010; 21 suppl 7: vii143−150)が挙げられる。形質細胞に関わる、すなわち、BCMAを発現する別のB細胞障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)(狼瘡としても公知)である。SLEは、身体のいかなる部分にも影響を及ぼし得る全身性自己免疫疾患であり、免疫系がその身体自体の細胞および組織攻撃し、慢性的な炎症および組織損傷を生じることで表される。これは、抗体−免疫複合体沈着し、さらなる免疫応答を引き起こすIII型過敏性反応である(Inaki & Lee, Nat Rev Rheumatol 2010; 6: 326−337)。

0060

本発明のさらなる実施形態は、形質細胞および同種異系抗体が関わる抗体媒介性同種異系移植片拒絶急性および慢性の抗体媒介性拒絶(AMR)を含む)の処置のための本発明に従う抗体である。急性AMRは、数日間にわたって起こる移植片機能不全によって特徴付けられ、予め形成されたか、または移植後に発生したデノボドナー特異的抗体のいずれかの結果である。それは、全ての腎移植のうちの約5〜7%において起こり、以前に感作された(pre−sensitized)クロスマッチ陽性患者の中での急性拒絶エピソードのうちの20〜48%の原因である(Colvin and Smith, Nature Rev Immunol 2005; 5 (10): 807−817)。急性AMRを有する患者における組織病理検査からは、しばしば、内皮細胞膨潤糸球体および尿細管周囲毛細血管好中球浸潤フィブリン血栓間質性浮腫、ならびに出血が明らかになる(Trpkov et al. Transplantation 1996; 61 (11): 1586−1592)。AMRは、同種異系移植片生検におけるC4d染色もしくは抗体検出の他の改善された方法で同定され得る。AMRの別の形態はまた、ドナー特異的抗体も関わるが、移植後数ヶ月およびさらには数年以内に発現する慢性同種異系移植片傷害として公知である。それは、腎生検で移植糸球体症(慢性同種異系移植片糸球体症としても公知)として認められ、糸球体メサンギウム増殖および毛細管基底膜二重構造(capillary basement membrane duplication)によって特徴付けられる(Regele et al. J Am Soc Nephrol 2002; 13 (9): 2371−2380)。臨床発現は、早期段階での無症候性である患者から、進行した段階でのネフローゼ範囲のタンパク尿高血圧症および同種異系移植片機能不全を有するまで変動する。疾患進行は、極めて急激であり得、特に、進行中の急性AMRを伴い、数ヶ月内に生着不全を生じる(Fotheringham et al. Nephron − Clin Pract 2009; 113 (1): c1−c7)。患者生検における移植糸球体症の有病率は、1年で5%から5年で20%の間で変動する(Cosio et al. Am J Transplant 2008; 8: 292−296)。

0061

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための、本発明に従う裸の抗体を含む薬学的組成物である。

0062

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための、増大したエフェクター機能を有する本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0063

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための、低下したエフェクター機能を有する本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0064

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための二重特異的抗体として本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0065

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための治療剤との、例えば、細胞傷害性薬剤もしくは放射性標識との結合体(薬物結合体)として、本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0066

本発明のさらに好ましい実施形態は、医薬としての使用のための、ダイアボディーとして本発明に従う抗体を含む薬学的組成物である。

0067

1)APRIL依存性NF−κB活性化をブロックも増大もしない、2)BAFF依存性NF−κB活性化をブロックも増大もしない、および3)BAFFおよびAPRILなしでのNF−κB活性化を誘導しない本発明に従う抗体(BCMA Mab)、好ましくは、Fc糖操作単一特異的抗体(好ましくは、裸の抗体)は、上記BCMA MabがMM患者におけるBCMA陽性腫瘍細胞根絶する有効性血清中もしくは腫瘍においてAPRILおよびBAFFの濃度によって負の影響を受けないことを回避することを、本発明者らは認識した。さらに、上記BCMA Mabは、BAFFおよびAPRILなしでNF−κB活性化を誘導しないので、1)BCMA陽性応答性(BCMA−positive resp.)腫瘍細胞の生存の活性化および増大が起こらない;2)BCMA−Mabの有効性を低下させ得るレセプターインターナリゼーションもまた、起こらない可能性がある。抗体の有効性は、通常、腫瘍占有抗体濃度とともに増大するので、本発明に従う抗BCMA抗体以外のBCMAに対する抗体での結果は、有効性においてかなりの患者間変動性があり得る(例えば、全体的に有効性が低い)。

0068

BCMAおよびCD3に対する二重特異的抗体に関して、本発明者らは、BCMAに対する、および活性化T細胞抗原に特異的に結合し得る二重特異的抗体(BCMA−TCB)が、1)APRIL依存性NF−κB活性化をブロックも増大もさせない、2)好ましくは、BAFF依存性NF−κB活性化をブロックも増大もさせない、および3)APRILなしおよび好ましくは、BAFFなしでのNF−κB活性化を誘導せず、MM患者においてBCMA陽性腫瘍細胞を根絶する上記BCMA−TCBの有効性が血清中もしくは腫瘍におけるAPRILおよびBAFFの濃度によって負の影響を受けることを避けることを認識する(図1および2ならびに図1および2の説明を参照のこと)。さらに、上記BCMA−TCBは、APRILなしでの、および好ましくは、BAFFなしでのNF−κB活性化を誘導しないので、BCMA陽性応答性腫瘍細胞の活性化および生存の増大は、上記BCMA−TCBが、どんな理由にせよ、例えば、CD3への結合によってではなく、腫瘍細胞のみへの結合によって、腫瘍細胞を死滅させない場合では起こらない。さらに、BCMA−TCBの有効性を低下させ得るレセプターインターナリゼーションもまた、起こらない可能性がある。抗体の有効性は、通常、腫瘍占有/TCBの濃度とともに増大するので、本発明に従うBCMA抗体なしでのBCMA−TCBでの結果は、有効性においてかなりの患者間変動があり得る(例えば、全般的に有効性があまりない、図1および図2もまた参照のこと)。

0069

好ましくは、T細胞二重特異的抗体の場合の本発明に従う抗体は、好ましくは、皮下投与によって1週間に1回もしくは2回(例えば、好ましくは、0.25〜2.5、好ましくは、25mg/m2/週までの用量範囲において)投与される。本発明に従う抗体の優れた細胞傷害性活性に起因して、T細胞二重特異的でない(すなわち、一方のアーム上でCD3に結合しない)従来の単一特異的抗体もしくは従来の二重特異的抗体と比較して、本発明に従う抗体は、臨床的用量範囲の少なくとも同程度(もしくはさらにより低い)を投与することができる。本発明に従う抗体に関しては、臨床状況では(例えば、1〜100mg/m2/週の用量範囲で)皮下投与が好ましいことが想定される。さらに、高レベル血清APRILおよびBAFFを有する患者(例えば、多発性骨髄腫患者)において、本発明に従う抗体の用量を増大させることは、リガンド競合によって影響を受けない場合があるので、必ずしも必要とし得ない。対照的に、他のリガンドブロック/競合の抗BCMA抗体についての用量は、それらの患者において増大される必要があり得る。本発明に従う抗体の別の利点は、少なくとも1週間に1回もしくは2回の投与を可能にする約1〜12日の排泄半減期である。

0070

好ましくは、裸の/結合体化していないADCC増強単一特異的抗体の場合の本発明に従う抗体は、静脈経路によって、しかし好ましくは、皮下投与によって1週間あたり1回/2回の処置(例えば、4週間にわたって200〜2000mg/週の範囲の投与量)を可能にする特性を有する抗体である。糖操作した抗体 対 従来の抗体の優れたADCCおよび細胞除去(cell−depleting)活性に起因して(例えば、糖操作した抗CD20抗体GA101は、ADCCアッセイにとってのEC50に関して、抗CD20リツキシマブより25倍強力であり、絶対的B細胞除去に関して2倍より強力である; Mossner et al. Blood 2010; 115 (22): 2293−4402))、糖操作した抗体は、従来の単一特異的抗体と比較して、臨床用量範囲が少なくとも同程度(もしくはさらに低い)で与えられる。例えば、リツキシマブ(抗CD20)は、再発性難治性非ホジキンリンパ腫の処置のために4週間もしくは8週間にわたって375mg/m2/週の緩徐注入で与えられる(リツキサン(登録商標)(リツキシマブ) 完全処方情報, Genentech, Inc., 2012)。糖操作した抗体は、所定の用量で患者において高い有効性を発揮し得るので(Salles et al. Blood 2012; 119 (22): 5126−5132)、本発明に従う抗体に関しては、皮下投与が可能であり、臨床状況において(例えば、疾患適応症に依存して、100〜1000mg/m2/週の用量範囲において)好ましいことが予見される。さらに、血清APRILおよびBAFFの高レベルを有する患者(例えば、多発性骨髄腫患者)において、本発明に従う抗体(例えば、非リガンドブロック/競合抗体)の用量を増大させる必要はない可能性がある。なぜなら、それは、リガンド競合によって影響を受け得ないからである。対照的に、他のリガンドブロック/競合抗BCMA抗体の用量は、それらの患者において増加させる必要があり得、皮下投与を技術的により困難(例えば、薬学的)にし得る。本発明に従う抗体の別の利点は、約12日の排泄半減期と関連し、1週間に少なくとも1回もしくは2回の投与を可能にするFc部分の包含に基づく。

0071

本発明のさらに好ましい実施形態は、本発明に従う抗体を含む診断用組成物である。

0072

本発明はさらに、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体に関し、上記抗体は、上記抗体の結合が、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの上記抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって20%超は低下しない、上記抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および上記抗体は、上記抗体なしと比較して、APRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、ことを特徴とする。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、100ng/ml APRILによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって20%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。好ましくは、上記抗体は、ヒトBCMAへの上記抗体の結合が、上記ELISAにおいて測定して、1000ng/ml APRILによって15%超は低下しないという点でさらに特徴付けられる。

0073

好ましくは、本発明に従う抗体は、APRIL依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない。好ましくは、本発明に従う抗体は、APRILなしでのNF−κB活性化を15%超は変化させない。

0074

本発明によれば、ODは、405nmもしくは450nm(好ましくは、同じ相対的結果を伴う、APRILもしくはBAFFなしでの比較)で測定され得る。本発明によれば、ODは、ヒトもしくはマウスAPRILもしくはBAFFで、(好ましくは、同じ相対的結果を伴う、APRILもしくはBAFFなしでの比較)で測定され得る。本発明は、ことを特徴とする、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体に関する。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒトBCMAに特異的に結合する抗体であって、該抗体は、
a)該抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって20%超は低下しない、
b)該抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
c)該抗体は、該抗体なしと比較して、APRILなしのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
ことを特徴とする、抗体。
(項目2)
項目1に記載の抗体であって、
ヒトBCMAに特異的に結合し、
a)該抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、20%超は100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって低下しない、
b)該抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)該抗体は、BAFFのみと比較して、BAFF依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、および
d)該抗体は、該抗体なしと比較して、BAFFおよびAPRILなしのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
ことを特徴とする、抗体。
(項目3)
重鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号37〜45、47〜55、57〜65の重鎖CDRを含む可変ドメインVHを含むことを特徴とする、項目1または2に記載の抗体。
(項目4)
軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号67〜75、77〜85、87〜95の軽鎖CDRを含む可変ドメインVLを含むことを特徴とする、項目1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
(項目5)
重鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号37〜45、47〜55、57〜65の重鎖CDRを含む可変ドメインVHを含むという点、および軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号67〜75、77〜85、87〜95の軽鎖CDRを含む可変ドメインVLを含むことを特徴とする、項目1〜4のいずれか1項に記載の抗体。
(項目6)
前記可変ドメインVHは、配列番号17〜25の群から選択されることを特徴とする、項目1〜5のいずれか1項に記載の抗体。
(項目7)
前記可変ドメインVLは、配列番号27〜35の群から選択されることを特徴とする、項目1〜6のいずれか1項に記載の抗体。
(項目8)
前記可変ドメインVHは、配列番号17〜25の群から選択されるという点、および前記可変ドメインVLは、配列番号27〜35の群から選択されるという点でそれぞれ特徴付けられる、項目1〜7のいずれか1項に記載の抗体。
(項目9)
カニクイザルBCMAに特異的に結合することを特徴とする、項目1〜8のいずれか1項に記載の抗体。
(項目10)
項目1〜8のいずれか1項に記載の抗体であって、
100nMの該抗体の濃度で24時間後に、同一条件下でコントロールとして親Fc部分を有する同じ抗体を使用するコントロールと比較して、BCMA発現細胞の調製物のうちの20%以上の細胞の細胞死をADCCによって誘導する改変Fc部分を含むことを特徴とする、抗体。
(項目11)
Asn297においてオリゴサッカリドの全量のうちの60%以下のフコース量を含むことを特徴とする、項目10に記載の抗体。
(項目12)
標的BCMAおよびCD3εに特異的に結合する二重特異的抗体であることを特徴とする、項目1〜11のいずれか1項に記載の抗体。
(項目13)
項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
(項目14)
医薬としての使用のための、項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体または項目7に記載の薬学的組成物。
(項目15)
形質細胞障害の処置における医薬として使用するための、項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体または項目7に記載の薬学的組成物。
(項目16)
多発性骨髄腫の処置における医薬として使用するための、項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体または項目7に記載の薬学的組成物。
(項目17)
全身性エリテマトーデスの処置において医薬として使用するための、項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体または項目7に記載の薬学的組成物。
(項目18)
抗体媒介性拒絶の処置において医薬としての使用のための、項目1〜12のいずれか1項に記載の抗体または項目7に記載の薬学的組成物。
(項目19)
ヒトBCMAに特異的に結合する抗体の選択のための方法であって、該方法は、以下:
a)ヒトBCMAへの該抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILなしでのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって20%超は低下しない、
b)該抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%以上は変化させない、および
c)該抗体は、該抗体なしと比較して、APRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
の場合に、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体を選択することを特徴とする、方法。
(項目20)
項目19に記載のヒトBCMAに特異的に結合する抗体の選択のための方法であって、該方法は、以下:
a)ヒトBCMAへの該抗体の結合は、ELISAアッセイにおいて405nmでのODとして測定して、APRILもしくはBAFFそれぞれなしでのヒトBCMAへの該抗体の結合と比較して、100ng/ml APRILによって低下せず、100ng/ml BAFFによって20%超は低下しない、
b)該抗体は、APRILのみと比較して、APRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化させない、
c)該抗体は、BAFFのみと比較して、BAFF依存性NF−κB活性化を20%超は低下させない、および
d)該抗体は、該抗体なしと比較して、BAFFおよびAPRILなしでのNF−κB活性化を20%超は変化させない、
の場合に、ヒトBCMAに特異的に結合する抗体を選択することを特徴とする、方法。
(項目21)
カニクイザルBCMAに特異的に結合する抗体が選択されることを特徴とする、項目19または20に記載の方法。

図面の簡単な説明

0075

プレートに結合したBCMA細胞上でのELISAによる、リガンドブロック/競合抗BCMA抗体に対する非リガンドブロック/非競合抗BCMA抗体;またはリガンドブロック/競合抗BCMA(TCB含有)に対する非リガンドブロック/非競合抗BCMA(TCB含有)の優れた結合特性。このグラフで、多発性骨髄腫患者の血中および骨髄中で見出されるレベルを代表する可溶性APRILもしくはBAFFの漸増濃度(すなわち、10ng/mL、100ng/mL、1000ng/mL)は、プレートに結合したBCMAへの非リガンドブロック/非競合抗BCMA抗体もしくは非リガンドブロック/非競合抗BCMA(TCB含有)の結合を変化させない(実線)。対照的に、多発性骨髄腫患者の血中および骨髄中で見出されるレベルを代表する可溶性APRILもしくはBAFFの高濃度(すなわち、100ng/mL〜1000ng/mL)は、プレートに結合したBCMAへの、リガンドブロック/競合抗BCMA抗体もしくはリガンドブロック/競合抗BCMA(TCB含有)の結合を低下させる(破線)。異なる特性を有する抗BCMA抗体もしくは抗BCMA(TCB含有)の濃度は、好ましくは、0.1pM〜200nMの範囲に及ぶ濃度(複数可)である。なぜなら付加の循環APRILもしくはBAFFのレベルは、1ng/mL(健康で正常)〜100ng/mL(MM, 血液)およびこれを超える(MM,骨髄中の腫瘍)範囲に及ぶからである。
LDH放出アッセイにおける、リガンドブロック/競合抗BCMA抗体に対する非リガンドブロック/非競合抗BCMA抗体を含むT細胞二重特異的抗体によって媒介されるBCMA発現MM細胞の再指向T細胞傷害性の優れた効力。このグラフでは、多発性骨髄腫患者の血中および骨髄中で見出されるレベルを代表する可溶性APRILもしくはBAFFの漸増濃度(すなわち、10ng/mL、100ng/mL、1000ng/mL)は、BCMA発現MM細胞に特異的な非リガンドブロック/非競合抗BCMA抗体を含むT細胞二重特異的抗体の死滅化効力を変化させない(実線)。対照的に、多発性骨髄腫患者の血中および骨髄中で見出されるレベルを代表する可溶性APRILもしくはBAFFの高濃度(すなわち、100ng/mL〜1000ng/mL)は、BCMA発現MM細胞に特異的なリガンドブロック/競合抗BCMA抗体を含むT細胞二重特異的抗体の死滅化効力を低下させる(破線)。異なる特性を有する抗BCMA抗体を伴うT細胞二重特異的物質の濃度は、好ましくは、0.1pM〜200nMの範囲に及ぶ濃度(複数可)である。なぜなら、付加の循環APRILもしくはBAFFのレベルは、1ng/mL(健康で正常)〜100ng/mL(MM,血液)およびこれを超える(MM,骨髄中の腫瘍)範囲に及ぶからである。
多発性骨髄腫細胞株でのBCMA発現。フローサイトメトリーによって検出される場合の、H929細胞への抗BCMA抗体の漸増濃度(0.3〜10μg/mL)の結合の際のメジアン蛍光強度の増大。
BCMA陽性多発性骨髄腫細胞での抗BCMA抗体の結合。抗BCMA抗体濃度(0.2〜40μg/mL)の関数プロットした抗BCMAIgGクローンについての平均蛍光強度;(A)H929細胞に対してクローン13C2、17A5、83A10、(B)MKN45細胞に対してクローン13C2、17A5、83A10、(C)H929細胞に対してクローン13A4、13D2、14E1、13A7、14B11、(D)MKN45細胞に対してクローン13A4、13D2、14E1、13A7、14B11。
競合ELISA。マウスAPRIL(1.56〜100nM)の濃度範囲の存在下での固定化ヒトBCMAに結合する、500nMもしくは1000nMの飽和濃度での7個の選択した抗BCMAFabクローン(13C2、17A5、83A19、13A4、13D2、29B11、13A7)のELISA結果が示される。非競合の場合、シグナルは、上記濃度範囲にわたって上記アッセイの変動内で一定のままであり、マウスAPRILの存在下でのシグナルは、マウスAPRILが添加されなかったコントロールウェル由来するシグナルに匹敵する。競合の場合、シグナルの濃度依存性低下が測定される。
FACSによる結合の競合。フローサイトメトリーによって検出されるΔ−APRILと抗BCMA抗体との競合。H929細胞に対する抗BCMA抗体クローン13A4、13D2、14E1、14B11の濃度(1μg/mL、16μg/mL、および40μg/mL)の関数で検出した、1000ng/mLの濃度で使用されるΔ−APRIL(FITCシグナル)の相対的メジアン蛍光強度。アイソタイプコントロールの存在下でのΔ−APRILの結合の際のメジアン蛍光強度を、1に設定した;他のシグナルを、これに対して正規化した。抗BCMA抗体の存在下でのBCMA陽性H929細胞へのAPRIL結合の検出を、抗HA蛍光色素結合体化抗体によって測定した。
FACSによる結合の競合。フローサイトメトリーによって検出される抗BCMA抗体とΔ−APRILとの競合。Δ−APRIL 1000ng/mLの非存在下もしくは存在下で検出される、RPMI細胞に対して抗BCMA抗体クローン13A4、13C7、13D2、14B11、17A5、83A10に関して40μg/mLの濃度で使用される抗BCMA抗体の相対的メジアン蛍光強度(Alexa.Fluor 647シグナル)。Δ−APRILの非存在下での抗BCMA抗体の結合の際のメジアン蛍光強度を1に設定した;Δ−APRILの存在下での上記抗BCMA抗体に対するそれぞれの他のシグナルを、それに対して正規化した。Δ−APRILの存在下でのBCMA陽性RPMI細胞への抗BCMA抗体結合の検出を、抗ヒトFc蛍光色素結合体化抗体によって測定した。
フローサイトメトリーによって検出される同時インキュベーション後の抗BCMA抗体とΔ−APRILとの競合。(A)2.5μg/mL Δ−APRILの存在下もしくは非存在下での濃度20μg/mLでの抗BCMA抗体クローン14B11、13D2、13A4、17A5および83A10の平均蛍光強度および相対的蛍光シグナル(Alexa.Fluor 647シグナル)、(B)2.5μg/mL Δ−APRILおよび抗BCMA抗体クローン83A10(20μg/mL)の濃度でのΔ−APRIL(FITCシグナル)の平均蛍光強度および相対的蛍光シグナル(Alexa.Fluor 647シグナル)を測定した。FITC結合体化抗ヒトFc抗体でのΔ−APRILの存在下での抗BCMA抗体の検出を、Δ−APRILの非存在下による、抗BCMA抗体クローンのシグナルに対して正規化した。Alexa.Fluor 647結合体化抗HA抗体による、抗BCMA抗体クローンの存在下でのΔ−APRILの検出は、アイソタイプコントロールの存在下でのΔ−APRILシグナルに対して正規化した。

0076

(発明の詳細な説明)
用語「BCMA、標的BCMA、ヒトBCMA」とは、本明細書で使用される場合、BCMA; TR17_HUMAN, TNFRSF17(UniProt Q02223)としても公知であり、分化した形質細胞で優先的に発現される腫瘍壊死レセプタースーパーファミリーのメンバーであるヒトB細胞成熟標的に関する。BCMAの細胞外ドメインは、UniProtによれば、アミノ酸1〜54(もしくは5〜51)からなる。用語「BCMAに対する抗体、抗BCMA抗体」とは、本明細書で使用される場合、BCMAの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体に関する。

0077

「BCMAに特異的に結合する」とは、抗体がBCMAを標的とすることについて治療剤として有用であるように十分な親和性を有して、標的であるBCMAに結合し得る抗体をいう。いくつかの実施形態において、関連しない非BCMAタンパク質への抗BCMA抗体の結合の程度は、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)、例えば、Biacore(登録商標)、酵素結合イムノソルベント(ELISA)もしくはフローサイトメトリー(FACS)によって測定される場合、BCMAへの上記抗体の結合より約10倍、好ましくは、>100倍弱い。好ましくは、BCMAに結合する抗体は、解離定数(Kd) 10−8M以下、好ましくは、10−8M〜10−13M、好ましくは、10−9M〜10−13Mを有する。好ましくは、上記抗BCMA抗体は、種々の種(好ましくは、ヒトおよびカニクイザルの中で)に由来するBCMAの中で保存されているBCMAのエピトープに結合する。「CD3およびBCMAに特異的に結合する二重特異的抗体」とは、両方の標的への結合に関するそれぞれの定義に言及する。BCMA(もしくはBCMAおよびCD3)に特異的に結合する抗体は、他のヒト抗原に結合しない。従って、ELISAでは、このような関連しない標的についてのOD値は、特定のアッセイの検出限界の値以下(好ましくは、>0.3ng/mL)、またはプレートに結合したBCMAがないもしくはトランスフェクトされていないHEK293細胞を伴うコントロールサンプルのOD値以下である。

0078

用語「APRIL」とは、本明細書で使用される場合、組換え短縮型マウスAPRIL(アミノ酸106〜241;NP_076006)に関する。APRILは、Ryan, 2007 (Mol Cancer Ther; 6 (11): 3009−18)に記載されるように生成され得る。

0079

用語「BAFF」とは、本明細書で使用される場合、組換え短縮型ヒトBAFF(UniProt Q9Y275(TN13B_HUMAN)に関し、これは、Gordon, 2003 (Biochemistry; 42 (20): 5977−5983)に記載されるように生成され得る。好ましくは、Hisタグ化BAFFが、本発明に従って使用される。好ましくは、上記Hisタグ化BAFFは、BAFF残基82〜285をコードするDNAフラグメント発現ベクタークローニングし、N末端Hisタグ、そのあとにトロンビン切断部位を有する融合物を作り、上記ベクターを発現させ、その回収されたタンパク質をトロンビンで切断することによって生成される。

0080

抗BCMA抗体は、APRILおよび/もしくはBAFFの存在下および非存在下で、プレートに結合したBCMAを使用してヒトBCMAへの結合に関してELISAによって分析される。このアッセイに関して、プレートに結合したBCMAの量、好ましくは、1.5μg/mL、および0.1pM〜200nMの範囲に及ぶ抗BCMA抗体の濃度(複数可)が使用される。BCMAへの結合が本発明に従って阻害されないBCMA抗体は、「ELISAアッセイにおいてヒトBCMAへのAPRILおよび/もしくはBAFFの結合を阻害しない」抗BCMA抗体である。

0081

用語「NF−κB」は、本明細書で使用される場合、組換えNF−κB p50(受託番号P19838)に関する。NF−κB活性は、NCI−H929 MM細胞(CRL−9068TM)の抽出物のDNA結合ELISAによって測定される。NCI−H929 MM細胞(未処理、または0.1μg/mL TNF−α、1000ng/mL熱処理HT−短縮型BAFF、1000ng/mL 短縮型BAFF、0.1pM〜200nMアイソタイプコントロール、ならびに0.1pM〜200nM 抗BCMA抗体ありもしくはなし、で処理)を、20分間インキュベートする。NF−κB活性を、NF−κBコンセンサス配列(US6150090)に結合したp65由来の化学発光シグナルを検出する機能的ELISAを使用してアッセイする。

0082

APRIL依存性NF−κB活性化を20%超はブロックしない、およびAPRIL依存性NF−κB活性化を20%超は低下させない、およびAPRIL依存性NF−κB活性化を20%超は増大させない抗体は、本発明に従う抗体なしでのAPRIL誘導性NF−κB活性化(コントロール群)と比較して、20%超は「APRIL依存性NF−κB活性化を変化させない」とみなされる;20%は、実験間の平均標準変動性(mean standard variability)を表す。好ましくは、本発明に従う抗体は、APRIL依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない。

0083

BAFF依存性NF−κB活性化を20%超はブロックしない、およびBAFF依存性NF−κB活性化を20%超は低下させない、およびBAFF依存性NF−κB活性化を20%超は増大させない抗体は、本発明に従う抗体なしでのBAFF誘導性NF−κB活性化(コントロール群)と比較して、20%超は「BAFF依存性NF−κB活性化を変化させない」とみなされる;20%は、実験間の平均標準変動性を表す。好ましくは、本発明に従う抗体は、BAFF依存性NF−κB活性化を15%超は変化させない。

0084

APRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を20%超はブロックしない、およびAPRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を20%超は低下させない、およびAPRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を20%超は増大させない抗体は、本発明に従う抗体なしでのAPRIL誘導性NF−κB活性化(コントロール群)と比較して、20%超は「APRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を変化させない」とみなされる;20%は、実験間の平均標準変動性を表す。好ましくは、本発明に従う抗体は、APRILおよびBAFFなしでのNF−κB活性化を15%超は変化させない。

0085

本発明に従う抗体が大過剰(好ましくは、最大500nMもしくは1000nM)で使用される場合はまた、上記抗体の結合は、100ng/mlAPRILによって、および好ましくは、BAFFによって20%超は低下しない、ならびにAPRILありおよびなしでAPRIL依存性NF−κB活性化を20%超は変化せず、ならびに好ましくは、BAFFありおよびなしで20%超は変化しない。

0086

用語「さらなる標的」は、本明細書で使用される場合、好ましくは、CD3εのいずれかを意味する。用語「第1の標的および第2の標的」とは、第1の標的としてのCD3および第2の標的としてのBCMAを意味するか、または第1の標的としてのBCMAおよび第2の標的としてのCD3を意味するかのいずれかである。

0087

用語「CD3εもしくはCD3」とは、本明細書で使用される場合、UniProt P07766(CD3E_HUMAN)の下で記載されるヒトCD3εに関する。用語「CD3εに対する抗体、抗CD3ε抗体」は、CD3εに特異的に結合する抗体に関する。好ましくは、上記抗体は、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号1、2および3の重鎖CDRを含む可変ドメインVH、ならびに軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3として、それぞれ、配列番号4、5および6の軽鎖CDRを含む可変ドメインVLを含む。好ましくは、上記抗体は、配列番号7(VH)および配列番号8(VL)の可変ドメインを含む。

0088

用語「抗体」とは、本明細書で使用される場合、モノクローナル抗体をいう。抗体は、2対の「軽鎖」(LC)および「重鎖」(HC)(このような軽鎖(LC)/重鎖対は、本明細書でLC/HCとも省略される)からなる。このような抗体の軽鎖および重鎖は、いくつかのドメインからなるポリペプチドである。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書でHCVRもしくはVHと省略される)および重鎖定常領域を含む。上記重鎖定常領域は、重鎖定常ドメインCH1、CH2およびCH3(抗体クラスIgA、IgD、およびIgG)、ならびに必要に応じて重鎖定常ドメインCH4(抗体クラスIgEおよびIgM)を含む。各軽鎖は、軽鎖可変ドメインVLおよび軽鎖定常ドメインCLを含む。上記可変ドメインVHおよびVLは、より保存された、フレーム領域(FR)といわれる領域が散在した超可変領域相補性決定領域(CDR)ともいわれる)へとさらに細分類され得る。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順で配置される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の「定常ドメイン」は、標的への抗体の結合には直接関与していないが、種々のエフェクター機能を示す。

0089

用語「抗体」は、それらの特徴的な特性が保持されている限りにおいて、例えば、マウス抗体ヒト抗体キメラ抗体ヒト化抗体および遺伝子操作された抗体(改変もしくは変異抗体)を含む。特に好ましいのは、ヒト抗体もしくはヒト化抗体であり、特に、組換えヒト抗体もしくはヒト化抗体が好ましい。

0090

用語「二重特異的抗体」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、2対の重鎖および軽鎖(HC/LC)のうちの一方がCD3に特異的に結合し、他方がBCMAに特異的に結合する抗体をいう。上記用語はまた、当該分野の技術水準に従う二重特異的抗体、好ましくは、二重特異的単鎖抗体の他の様式をいう。

0091

用語「裸の抗体」とは、本明細書で使用される場合、BCMAに特異的に結合し、Fc部分を含み、治療剤と、例えば、細胞傷害性薬剤とも放射性標識とも結合体化されていない抗体をいう。用語「結合体化した抗体、薬物結合体」とは、本明細書で使用される場合、BCMAに特異的に結合し、治療剤と、例えば、細胞傷害性薬剤もしくは放射性標識と結合体化されている抗体をいう。

0092

用語「二重特異的単鎖抗体」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、2つの結合ドメイン(一方は、BCMAに特異的に結合するものおよびもう一方は、好ましくは、CD3に特異的に結合するもの)を含む単一のポリペプチド鎖をいう。各結合ドメインは、抗体重鎖由来の1つの可変領域(「VH領域」)を含み、ここで第1の結合ドメインのVH領域は、CD3分子に特異的に結合し、第2の結合ドメインのVH領域は、BCMAに特異的に結合する。上記2つの結合ドメインは、必要に応じて、短いポリペプチドスペーサーによって互いに結合される。ポリペプチドスペーサーの非限定的例は、Gly−Gly−Gly−Gly−Ser(G−G−G−G−S)およびその反復である。各結合ドメインは、抗体軽鎖由来の1つの可変領域(「VL領域」)をさらに含み得、第1のおよび第2の結合ドメインの各々の中のVH領域およびVL領域は、第1の結合ドメインのVH領域およびVL領域、ならびに第2の結合ドメインのVH領域およびVL領域が互いと対合して、その結果、一緒になってそれらが第1のおよび第2の結合ドメインそれぞれに特異的に結合し得ることを可能にするために十分長いポリペプチドリンカーによって、互いに結合される(例えば、EP0623679を参照のこと)。二重特異的単鎖抗体は、例えば、Choi BD et al., Expert Opin Biol Ther. 2011 Jul;11(7):843−53およびWolf E. et al., Drug Discov Today. 2005 Sep 15;10(18):1237−44においても言及されている。

0093

用語「ダイアボディー」とは、本明細書で使用される場合、重鎖(VH)可変ドメインが軽鎖可変ドメイン(VL)に、短すぎて同じ鎖上で2つのドメイン間で対合できないペプチドリンカーによって同じポリペプチド鎖上で繋がれた(VH−VL)ものを含む小さな二価のおよび二重特異的抗体フラグメントをいう(Kipriyanov, Int. J. Cancer 77 (1998), 763−772)。これは、別の鎖の相補性ドメインと対合させ、2つの機能的抗原結合部位を有するダイマー分子アセンブリを促進する。本発明の二重特異的ダイアボディーを構築するために、抗CD3抗体および抗BCMA抗体のVドメインを融合して、2つの鎖、VH(CD3)−VL(BCMA)、VH(BCMA)−VL(CD3)を作る。各鎖はそれ自体では、それぞれの抗原に結合できないが、他の鎖と対合すると、抗CD3抗体および抗BCMA抗体の機能的抗原結合部位を再形成する。2つのscFv分子は、分子内ダイマー形成には短すぎる重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとの間のリンカーと一緒に共発現され、自己アセンブリして、反対側の末端に2つの結合部位を有する二重特異的分子を形成する。例として、BCMAおよびCD3の結合ドメインをそれぞれコードする可変領域は、記載されるように得られたDNA構築物からPCRによって増幅され得、その結果、それらは、Kipiriyanov et al., J. Immunol, Methods, 200, 69−77 (1997a)に記載されるように、pHOGなどのベクターへとクローニングされ得る。上記2つのscFV構築物は、次いで、所望の配向において1つの発現ベクター中に組み合わされ、それによって、VH−VLリンカーは短くなって、それら自体への鎖の折り返し(backfolding)を妨げる。上記DNAセグメントは、終止コドンおよびリボソーム結合部位(RBS)によって分離される。上記RBSは、バイシストロンメッセージとしてmRNA転写を可能にし、上記ダイアボディー分子を形成するために非共有結合的に相互作用する2つのタンパク質へと、リボソームによって翻訳される。ダイアボディーは、他の抗体フラグメントと同様に、細菌(E.coli)および酵母(Pichia pastoris)において、機能的形態においてかつ高収量(最大Ig/l)で発現され得るという利点を有する。

0094

用語「タンデムscFV」とは、本明細書で使用される場合、例えば、WO 03/025018およびWO 03/048209に記載されるように、単鎖Fv分子(すなわち、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の可変ドメイン、それぞれVHおよびVLの会合によって形成される分子)をいう。このようなFv分子は、TandAbs(登録商標)として公知であり、4つの抗体可変ドメインを含み、ここで(i)上記4つの可変ドメインのうちの初の2つもしくは最後の2つのいずれかが、配向VH/VLもしくはVL/VHにおいて抗原結合scFvを形成することによって、同じ鎖内で互いに分子内で結合する、(ii)他の2つのドメインが、別の鎖のその対応するVHドメインもしくはVLドメインと分子間で結合して、抗原結合VH/VL対を形成する。好ましい実施形態において、WO 03/025018で示唆されるように、このようなFv分子のモノマーは、少なくとも4つの可変ドメインを含み、そのうち、1つのモノマーのうちの2つの隣接するドメインは、抗原結合VH−VLもしくはVL−VH scFvユニットを形成する。

0095

用語「DARPin」とは、本明細書で使用される場合、例えば、US 2009082274に記載されるような二重特異的アンキリンリピート分子をいう。これらの分子は、天然アンキリンタンパク質に由来し、このタンパク質は、ヒトゲノム中で見出され得、結合タンパク質の最も豊富なタイプのうちの1つである。DARPinライブラリーモジュールは、天然のアンキリンリピートタンパク質配列によって、初期設計については229アンキリンリピートおよびその後の改善(refinement)に関しては、別の2200アンキリンリピートを使用して、定義される。上記モジュールは、DARPinライブラリーの構築ブロックとして働く。上記ライブラリーモジュールは、ヒトゲノム配列に似ている。1つのDARPinは、4〜6モジュールからなる。各モジュールは約3.5kDaであるので、平均的なDARPinのサイズは、16〜21kDaである。結合因子(binder)の選択は、リボソームディスプレイによって行われ、これは、完全に無細胞であり、He M and Taussig MJ., Biochem Soc Trans. 2007, Nov;35(Pt 5):962−5に記載される。

0096

用語「T細胞二重特異的結合因子(T cell bispecific engager)」とは、約55キロダルトンの単一のペプチド鎖上に、異なる抗体の2つの単鎖可変フラグメント(scFv)、または4つの異なる遺伝子由来のアミノ酸配列からなる融合タンパク質である。上記scFvのうちの一方は、CD3レセプターを介してT細胞に結合し、他方は、BCMAに結合する。

0097

ギリシャ文字によって示される哺乳動物抗体重鎖には、5つのタイプがある: α、δ、ε、γ、およびμ(Janeway CA, Jr et al (2001). Immunobiology. 5th ed., Garland Publishing)。存在する重鎖のタイプは、抗体のクラスを定義する;これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体において見出される(Rhoades RA, Pflanzer RG (2002). Human Physiology, 4th ed., Thomson Learning)。別個の重鎖は、サイズおよび組成において異なっている;αおよびγは、約450アミノ酸を含む一方で、μおよびεは、約550アミノ酸を有する。

0098

各重鎖は、2つの領域、定常領域および可変領域を有する。上記定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体において同一であるが、異なるアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、αおよびδは、3つの定常ドメインCH1、CH2、およびCH3(一列に)から構成される定常領域、ならびに付加された可撓性のためにヒンジ領域を有する(Woof J, Burton D Nat Rev Immunol 4 (2004) 89−99);重鎖μおよびεは、4つの定常ドメインCH1、CH2、CH3、およびCH4から構成される定常領域を有する(Janeway CA, Jr et al (2001). Immunobiology. 5th ed., Garland Publishing)。上記重鎖の可変領域は、種々のB細胞によって生成される抗体において異なるが、単一のB細胞もしくはB細胞クローンによって生成される全ての抗体に関して同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一の抗体ドメインから構成される。

0099

哺乳動物では、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)といわれる軽鎖の2タイプのみが存在する。軽鎖は、2つの連続ドメインを有する:1つの定常ドメインCLおよび1つの可変ドメインVL。軽鎖のおよその長さは、211〜217アミノ酸である。好ましくは、上記軽鎖は、カッパ(κ)軽鎖であり、上記定常ドメインCLは、好ましくは、カッパ(K)軽鎖に由来する(定常ドメインCK)。

0100

用語「モノクローナル抗体」もしくは「モノクローナル抗体組成物」とは、本明細書で使用される場合、単一のアミノ酸組成の抗体分子の調製物をいう。

0101

本発明に従う「抗体」は、任意のクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、好ましくは、IgGもしくはIgE)の、もしくはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2、好ましくは、IgG1)の抗体であり得、それによって、本発明に従う二価の二重特異的抗体が由来する両方の抗体は、同じサブクラス(例えば、IgG1、IgG4など、好ましくは、IgG1)の、好ましくは、同じアロタイプの(例えば、白色人種の)Fc部分を有する。

0102

「抗体のFc部分」は、当業者に周知かつ抗体のパパイン切断に基づいて定義される用語である。本発明に従う抗体は、Fc部分として、好ましくは、ヒト起源のFc部分、および好ましくは、ヒト定常領域の全ての他の部分を含む。抗体のFc部分は、補体活性化、C1q結合、C3活性化およびFcレセプター結合に直接関与する。補体系に対する抗体の影響は、ある特定の条件に依存する一方で、C1qへの結合は、Fc部分における規定された結合部位によって引き起こされる。このような結合部位は、当該分野の水準において公知であり、例えば、Lukas, TJ., et al., J. Immunol. 127 (1981) 2555−2560; Brunhouse, R., and Cebra, J.J., MoI. Immunol. 16 (1979) 907−917; Burton, D.R., et al., Nature 288 (1980) 338−344; Thommesen, J.E., et al., MoI. Immunol. 37 (2000) 995−1004; Idusogie, E.E., et al., J. Immunol. 164 (2000) 4178−4184; Hezareh, M., et al., J. Virol. 75 (2001) 12161−12168; Morgan, A., et al., Immunology 86 (1995) 319−324;およびEP 0 307 434に記載される。

0103

このような結合部位は、例えば、L234、L235、D270、N297、E318、K320、K322、P331およびP329(番号付けは、KabatのEUインデックスに従う(以下を参照のこと))である。サブクラスIgG1、IgG2およびIgG3の抗体は、通常は、補体活性化、C1q結合およびC3活性化を示すのに対して、IgG4は、補体系を活性化せず、C1qを結合せず、そしてC3を活性化しない。好ましくは、上記Fc部分は、ヒトFc部分である。

0104

好ましくは、本発明に従う抗体は、野生型ヒトIgGFc領域のFc改変体を含む。上記Fc改変体は、Pro329の位置においてアミノ酸置換を、および少なくとも1個のさらなるアミノ酸置換を含み、ここで上記残基は、KabatのEUインデックスに従って番号付けされ、上記抗体は、野生型IgG Fc領域を含む抗体と比較して、ヒトFcγRIIIAおよび/もしくはFcγRIIAおよび/もしくはFcγRIに対して低下した親和性を示し、上記抗体によって誘導されるADCCは、野生型ヒトIgG Fc領域を含む抗体によって誘導されるADCCの少なくとも20%へと低下する。具体的実施形態において、本発明に従う抗体における野生型ヒトFc領域のPro329は、グリシンもしくはアルギニン、または上記Fcのプロリン329とFcγRIIIのトリプトファン(tryptophane)残基Trp 87およびTip 110との間で形成されるFc/Fcγレセプター界面内のプロリンサンドイッチ破壊するために十分な大きさのアミノ酸残基で置換される(Sondermann et al.: Nature 406, 267−273 (20 July 2000))。本発明のさらなる局面において、上記Fc改変体における上記少なくとも1個のさらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、もしくはP331Sであり、さらに別の実施形態において、上記少なくとも1個のさらなるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234AおよびL235A、またはヒトIgG4 Fc領域のS228PおよびL235Eである。このようなFc改変体は、WO2012130831に詳細に記載される。

0105

「エフェクター機能」とは、本明細書で使用される場合、抗体Fc領域とFcレセプターもしくはリガンドとの相互作用から生じる生化学的事象を意味する。エフェクター機能としては、ADCC、ADCP、およびCDCが挙げられるが、これらに限定されない。「エフェクター細胞」とは、本明細書で使用される場合、1つ以上のFcレセプターを発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を意味する。エフェクター細胞としては、単球マクロファージ好中球樹状細胞好酸球マスト細胞血小板、B細胞、大顆粒リンパ球ランゲルハンス細胞ナチュラルキラー(NK)細胞、およびγδ T細胞が挙げられるが、これらに限定されず、任意の生物(ヒト、マウス、ラットウサギ、およびサルが挙げられるが、これらに限定されない)に由来し得る。「ライブラリー」とは、本明細書において、何らかの形態にあるFc改変体のセット(核酸もしくはアミノ酸配列の列挙、可変性の位置での核酸もしくはアミノ酸置換の列挙、ライブラリー配列をコードする核酸を含む物理的ライブラリー、または精製形態もしくは非精製形態のいずれかのFc改変体タンパク質を含む物理的ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない)を意味する。

0106

「Fcγレセプター」もしくは「FcγR」とは、本明細書で使用される場合、IgG抗体Fc領域を結合し、FcγR遺伝子によって実質的にコードされるタンパク質のファミリーのいずれかのメンバーを意味する。ヒトでは、このファミリーとしては、FcγRI(CD64)(アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含む);FcγRII(CD32)(アイソフォームFcγRlla(アロタイプH131およびR131を含む)を含む)、FcγRllb(FcγRllb−1およびFcγRllb−2を含む)、およびFcγRllc;ならびにFcγRIII(CD16)(アイソフォームFcγRllla(アロタイプV158およびF158を含む)を含む)およびFcγRlllb(アロタイプFcγRlllb−NA1およびFcγRlllb−NA2を含む)(Jefferis et al., 2002, Immunol Lett 82:57−65)、ならびに任意の未だ見つかっていないヒトFcγRもしくはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが挙げられるが、これらに限定されない。FcγRは、任意の生物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルが挙げられるが、これらに限定されない)に由来し得る。マウスFcγRとしては、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、およびFcγRIII−2(CD16−2)、ならびに任意の未だ見つかっていないマウスFcγRもしくはFcγRアイソフォームもしくはアロタイプが挙げられるが、これらに限定されない。

0107

「増大したエフェクター機能を有するFc改変体」とは、本明細書で使用される場合、親Fc配列のものとは少なくとも1個のアミノ酸改変によって異なるFc配列、または、例えば、エフェクター機能を増大させるAsn279でのグリコシル化の改善などの他の改変に関連するFc配列を意味する。このような改変は、例えば、Duncan et al., 1988, Nature 332:563−564; Lund et al., 1991 , J Immunol 147:2657−2662; Lund et al., 1992, Mol Immunol 29:53−59; Alegre et al., 1994, Transplantation 57:1537−1543; Hutchins et al., 1995, Proc Natl Acad Sci U S A 92:11980−11984; Jefferis et al., 1995, //77muno/ Lett 44:111−117; Lund et al., 1995, Faseb J 9:115−119; Jefferis et al., 1996, Immunol Lett 54:101−104; Lund et al., 1996, J Immunol 157:4963− 4969; Armour et al., 1999, Eur J Immunol 29:2613−2624; Idusogie et al., 2000, J Immunol 164:4178− 4184; Reddy et al., 2000, J Immunol 164:1925−1933; Xu et al., 2000, Cell Immunol 200: 16−26; Idusogie et al., 2001 , J Immunol 166:2571−2575; Shieldset al., 2001 , J Biol Chem 276:6591 −6604; Jefferis et al., 2002, Immunol Lett 82:57−65; Presta et al., 2002, Biochem Soc Trans 30:487−490; US5624821; US5885573; US6194551; WO200042072; WO199958572に言及されている。このようなFc改変はまた、本発明に従って、Fc部分の操作された糖形態を含む。「操作された糖形態」とは、本明細書で使用される場合、Fcポリペプチドに共有結合されている炭水化物組成を意味し、ここで上記炭水化物組成は、親Fcポリペプチドのものとは化学的に異なる。操作された糖形態は、いずれかの方法によって、例えば、操作されたもしくは改変体発現株を使用することによって、1以上の酵素(例えば、D1−4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))との共発現によって、種々の生物もしくは種々の生物由来の細胞株においてFcポリペプチドを発現することによって、または上記Fcポリペプチドが発現された後に炭水化物(複数可)を改変することによって、生成され得る。操作された糖形態を生成するための方法は、当該分野で公知であり、Umana et al., 1999, Nat Biotechnol 17:176−180; Davies et al., 2001 , Biotechnol Bioeng 74:288−294; Shields et al., 2002, J Biol Chem 277:26733−26740; Shinkawa et al., 2003, J Biol Chem 278:3466−3473) US6602684; WO200061739; WO200129246; WO200231140; WO200230954; PotelligentTM技術(Biowa, Inc., Princeton, N.J.); GlycoMAbTMグルコシル化操作技術(GLYCARTbiotechnology AG, Zurich, Switzerland))で言及されている。操作された糖形態とは、代表的には、親Fcポリペプチドとは異なる炭水化物もしくはオリゴサッカリド組成をいう。

0108

増大したエフェクター機能を有するFc改変体を含む本発明に従う抗体は、FcγレセプターIII(FcγRIII, CD16a)に対して高結合親和性を示す。FcγRIIIに対する高結合親和性は、結合が、CD16a/F158に関して、CHO宿主細胞(例えば、CHO DG44細胞もしくはCHO K1細胞)において発現される参照としての親抗体(95%フコシル化)に関連して少なくとも10倍増強されているか、または/そして結合が、CD16a/V158に関して、抗体濃度100nMでの固定化CD16aを使用して表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定して、親抗体に関連して少なくとも20倍増強されていることを示す。FcγRIII結合は、当該分野の技術水準に従う方法によって、例えば、Fc部分のアミノ酸配列または抗体のFc部分のグリコシル化を改変することによって、増大させられ得る(例えば、EP2235061を参照のこと)。Mori, K et al., Cytotechnology 55 (2007)109およびSatoh M, et al., Expert Opin Biol Ther. 6 (2006) 1161−1173は、無フコシル化(afucosylated)抗体の生成のためのFUT8(α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ)遺伝子ノックアウトCHO株に関する。

0109

用語「キメラ抗体」とは、1つの供給源もしくは種由来の可変領域、すなわち、結合領域、および異なる供給源もしくは種に由来する定常領域の少なくとも一部を含み、通常は、組換えDNA技法によって調製される抗体をいう。マウス可変領域およびヒト定常領域を含むキメラ抗体が好ましい。本発明によって包含される「キメラ抗体」の他の好ましい形態は、本発明に従う特性(特に、C1q結合および/もしくはFcレセプター(FcR)結合に関して)を生じるために、定常領域が元の抗体のものから改変されているかもしくは変化させられているものである。このようなキメラ抗体は、「クラススイッチされた抗体」ともいわれる。キメラ抗体は、免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントおよび免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む発現された免疫グロブリン遺伝子生成物である。キメラ抗体を生成するための方法は、当該分野で周知の従来の組換えDNA技法および遺伝子トランスフェクション技法を要する。例えば、Morrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851−6855;米国特許第5,202,238号および同第5,204,244号を参照のこと。

0110

用語「ヒト化抗体」とは、フレームワークもしくは「相補性決定領域」(CDR)が、親免疫グロブリンのものと比較して、異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように改変された抗体をいう。好ましい実施形態において、マウスCDRは、「ヒト化抗体」を調製するためにヒト抗体のフレームワーク領域へとグラフト化される。例えば、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323−327;およびNeuberger, M.S., et al., Nature 314 (1985) 268−270を参照のこと。本発明によって包含される「ヒト化抗体」の他の形態は、定常領域が本発明に従う特性(特に、C1q結合および/もしくはFcレセプター(FcR)結合に関して)を生じるために、元の抗体のものからさらに改変されているかもしくは変化させられているものである。

0111

用語「ヒト抗体」とは、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は、当該分野の水準で周知である(van Dijk, M.A., and van de Winkel, J.G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368−374)。ヒト抗体はまた、免疫の際に、内因性免疫グロブリン生成の非存在下で、ヒト抗体の全レパートリーもしくは選択物を生成し得るトランスジェニック動物(例えば、マウス)で生成され得る。このような生殖系列変異マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイ移入は、ヒト抗体の生成をもたらす(例えば、Jakobovits, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551−2555; Jakobovits, A., et al., Nature 362 ( 1993) 255−258; Bruggemann, M., et al., Year Immunol. 7 (1993) 33−40を参照のこと)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーで生成され得る(Hoogenboom, H.R., and Winter, G., J. MoI. Biol. 227 (1992) 381−388; Marks, J.D., et al., J. MoI. Biol. 222 (1991) 581−597)。Cole et al.およびBoerner et al.の技法はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);およびBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86−95)。本発明に従うキメラ抗体およびヒト化抗体について既に言及されたように、用語「ヒト抗体」はまた、本明細書で使用される場合、本発明に従う特性(特に、C1q結合および/もしくはFcR結合に関して)を例えば「クラススイッチ」、すなわち、Fc部分の変化もしくは変異(例えば、IgG1からIgG4および/もしくはIgG1/IgG4変異へ)によって生成するために、定常領域において改変されているこのような抗体を包含する。

0112

用語「組換えヒト抗体」とは、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製されたか、発現されたか、作られたかもしくは単離された全てのヒト抗体(例えば、NSO細胞もしくはCHO細胞などの宿主細胞から、または宿主細胞へとトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現されたヒト免疫グロブリン遺伝子もしくは抗体に関してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体)を含むことが意図される。このような組換えヒト抗体は、再構成形態で可変領域および定常領域を有する。本発明に従う組換えヒト抗体は、インビボでの体細胞超変異に供されてきた。従って、上記組換え抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH配列およびVL配列に由来しかつ関連する一方で、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない可能性のある配列である。

0113

「可変ドメイン」(軽鎖(VL)の可変ドメイン、重鎖(VH)の可変領域)は、本明細書で使用される場合、本発明に従う抗体の結合に直接関与する軽鎖および重鎖の対の各々を示す。可変ヒト軽鎖および重鎖のドメインは、同じ一般構造を有し、各ドメインは、4つのフレームワーク(FR)領域を含み、この配列は、広く保存されており、3つの「超可変領域」(もしくは相補性決定領域、CDR)によって繋がれている。上記フレームワーク領域は、βシートコンホメーションをとり、CDRは、上記βシート構造を繋ぐループを形成し得る。各鎖中のCDRは、フレームワーク領域によってそれらの三次元構造が保持され、他の鎖に由来するCDRと一緒に、結合部位を形成する。抗体重鎖および軽鎖CDR3領域は、本発明に従う抗体の結合特異性/親和性において特に重要な役割を果たすので、本発明のさらなる目的を提供する。

0114

用語「超可変領域」もしくは「抗体の標的結合部分」は、本明細書で使用される場合、標的結合を担う抗体のアミノ酸残基をいう。上記超可変領域は、「相補性決定領域」もしくは「CDR」に由来するアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」もしくは「FR」領域は、本明細書で定義されるとおりの超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン領域である。従って、抗体の軽鎖および重鎖は、N末端からC末端へと、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。各鎖のCDRは、このようなフレームワークのアミノ酸によって分離されている。特に、重鎖のCDR3は、標的結合に最も寄与する領域である。CDR領域およびFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準的な定義に従って決定される。

0115

重鎖ドメインCH3が置き換えられる定常重鎖ドメインCH1は、任意のIgクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)、もしくはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のものであり得る。

0116

重鎖ドメインCH3が置き換えられる定常軽鎖ドメインCLは、ラムダ(λ)もしくはカッパ(κ)タイプ、好ましくは、カッパ(κ)タイプのものであり得る。

0117

用語「標的」もしくは「標的分子」とは、本明細書で使用される場合、交換可能に使用され、ヒトBCMAをいう。二重特異的抗体に関して、上記用語は、BCMAおよび第2の標的をいう。好ましくは、二重特異的抗体に関して、上記用語は、BCMAおよびCD3をいう。

0118

用語「エピトープ」は、抗体に特異的に結合し得る任意のポリペプチド決定基を含む。ある特定の実施形態において、エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、もしくはスルホニルなどの分子の化学的に活性な表面基(grouping)を含み、ある特定の実施形態においては、特定の三次元構造特徴および/もしくは特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、抗体によって結合される標的の領域である。

0119

一般に、上記第1の標的に特異的に結合する本発明に従う抗体の軽鎖および重鎖をコードする2つのベクターが存在する。二重特異的抗体に関しては、上記第1の標的に特異的に結合する上記抗体の軽鎖および重鎖をコードする2つのベクターならびに上記第2の標的に特異的に結合する上記抗体の軽鎖および重鎖をコードするさらなる2つのベクターが存在する。上記2つのベクターのうちの一方は、それぞれの軽鎖をコードし、上記2つのベクターのうちの他方は、それぞれの重鎖をコードする。しかし、本発明に従う抗体の調製のための代替法において、上記第1の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードするただ1つの第1のベクター、ならびに上記第2の標的に特異的に結合する抗体の軽鎖および重鎖をコードするただ1つの第2のベクターが、宿主細胞を形質転換するために使用され得る。

0120

用語「核酸もしくは核酸分子」は、本明細書で使用される場合、DNA分子およびRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は、1本鎖であっても2本鎖であってもよいが、好ましくは、2本鎖DNAである。

0121

本明細書で使用される場合、表現「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、交換可能に使用され、全てのこのような名称は、子孫を含む。従って、語句形質転換体」および「形質転換した細胞」は、移入の回数を考慮せずに、初代被験体細胞およびこれから由来する培養物を含む。全ての子孫が、故意のもしくは不注意の変異に起因して、DNA含有量において正確に同一でなくてもよいこともまた、理解される。本来形質転換された細胞においてスクリーニングされるのと同じ機能もしくは生物学的活性を有する改変子孫が含まれる。別個の名称が意図される場合、それは状況から明らかである。

0122

用語「形質転換」とは、本明細書で使用される場合、宿主細胞へとベクター/核酸を移入するプロセスをいう。強力な(formidable)細胞壁バリアのない細胞が宿主細胞として使用される場合、例えば、Graham and Van der Eh, Virology 52 (1978) 546ffによって記載されるとおりのリン酸カルシウム沈殿法によって、トランスフェクションが行われる。しかし、核注入によるもしくはプロトプラスト融合によるなどの、細胞へとDNAを導入するための他の方法もまた、使用され得る。原核生物細胞もしくは実質的細胞壁構築物を含む細胞が使用される場合、例えば、トランスフェクションの1方法は、Cohen SN, et al, PNAS 1972, 69 (8): 2110−2114によって記載されるとおりの塩化カルシウムを使用するカルシウム処理である。

0123

形質転換を使用する抗体の組換え生成は、当該分野の水準で周知であり、例えば、Makrides, S. C, Protein Expr. Purif. 17 (1999) 183−202; Geisse, S., et al., Protein Expr. Purif. 8 (1996) 271−282; Kaufman, RJ., MoI. Biotechnol. 16 (2000) 151−161; Werner, R.G., et al., Arzneimittelforschung 48 (1998) 870−880の総説記事、ならびにUS6331415およびUS4816567に記載される。

0124

本明細書で使用される場合、「発現」とは、核酸がmRNAへと転写されるプロセスおよび/またはその転写されたmRNA(転写物ともいわれる)がその後ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質へと翻訳されるプロセスをいう。上記転写物およびコードされるポリペプチドは、まとめて遺伝子産物といわれる。ポリヌクレオチドゲノムDNAに由来する場合、真核生物細胞における発現は、mRNAのスプライシングを含み得る。

0125

「ベクター」は、核酸分子、特に、自己複製し、宿主細胞の中におよび/もしくは宿主細胞間に挿入される核酸分子を移入する核酸分子である。この用語は、DNAもしくはRNAを細胞へと主に挿入する(例えば、染色体組み込み)ように機能するベクター、DNAもしくはRNAを複製するように主に機能するベクターの複製、ならびにDNAもしくはRNAを転写および/もしくは翻訳するように機能する発現ベクターを含む。記載されるように上記機能のうちの1つより多くを提供するベクターもまた含まれる。

0126

「発現ベクター」は、適切な宿主細胞へと導入される場合に、転写され得、ポリペプチドへと翻訳され得るポリヌクレオチドである。「発現系」は、通常、所望の発現生成物を得るために機能し得る発現ベクターから構成される適切な宿主細胞をいう。

0127

本発明に従う抗体は、好ましくは、組換え手段によって生成される。このような方法は、当該分野の水準で周知であり、原核生物細胞および真核生物細胞におけるタンパク質発現、上記抗体ポリペプチドのその後の単離および通常は、薬学的に受容可能な純度への精製を含む。タンパク質発現のために、軽鎖および重鎖もしくはこれらのフラグメントをコードする核酸は、標準的な方法によって発現ベクターへと挿入される。発現は、適切な原核生物宿主細胞もしくは真核生物宿主細胞(例えば、CHO細胞、NSO細胞、SP2/0細胞、HEK293細胞、COS細胞、酵母、もしくはE.coli細胞)において行われ、抗体は、上記細胞(上清もしくは溶解後の細胞)から回収される。上記二重特異的抗体は、全細胞、細胞溶解物、または部分精製されたかもしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。精製は、他の細胞成分もしくは他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸もしくはタンパク質を、標準的な技法(アルカリ/SDS処理、カラムクロマトグラフィーおよび他の当該分野で周知のものが挙げられる)によって排除するために行われる。Ausubel, F., et al., ed., Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)を参照のこと。

0128

NS0細胞における発現は、例えば、Barnes, L.M., et al., Cytotechnology 32 (2000) 109−123;およびBarnes, L.M., et al., Biotech. Bioeng. 73 (2001) 261−270によって記載される。一過性の発現は、例えば、Durocher, Y., et al., Nucl. Acids. Res. 30 (2002) E9によって記載される。可変ドメインのクローニングは、Orlandi, R., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 3833−3837; Carter, P., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992) 4285−4289;およびNorderhaug, L., et al., J. Immunol. Methods 204 (1997) 77−87によって記載される。好ましい一過性の発現系(HEK293)は、Schlaeger, E.− J., and Christensen, K.,によってCytotechnology 30 (1999) 71−83の中で、およびSchlaeger, E.−J., による J. Immunol. Methods 194 (1996) 191−199中に記載される。

0129

原核生物に適した制御配列は、例えば、プロモーター、必要に応じて、オペレーター配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核生物細胞は、プロモーター、エンハンサーおよびポリアデニル化シグナルを利用することが公知である。

0130

上記抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順(例えば、プロテインAセファロースヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーゲル電気泳動透析、もしくはアフィニティークロマトグラフィーなど)によって、培養培地から適切に分離される。モノクローナル抗体をコードするDNAもしくはRNAは、容易に単離され、従来の手順を使用して配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAおよびRNAの供給源として働き得る。いったん単離されたら、上記DNAは、発現ベクターへと挿入され得、これは次いで、免疫グロブリンタンパク質を別段生成しないHEK293細胞、CHO細胞、もしくは骨髄腫細胞などの宿主細胞へとトランスフェクトされ、上記宿主細胞における組換えモノクローナル抗体の合成が得られる。

0131

本発明に従う抗体のアミノ酸配列改変体(もしくは変異体)は、上記抗体DNAに適切なヌクレオチド変化を導入することによって、またはヌクレオチド合成によって、調製される。しかし、このような改変は、非常に限られた範囲でのみ、例えば、上記のように行われ得る。例えば、上記改変は、IgGアイソタイプおよび標的結合などの上述の抗体特徴を変化させないが、組換え生成物の収量、タンパク質安定性を改善し得るか、または精製を容易にし得る。

0132

T細胞二重特異的(TCB)結合因子は、細胞を死滅させるにあたって、非常に高濃度/腫瘍細胞レセプター占有依存性効力を有する(例えば、ピコモル濃度未満もしくは低ピコモル濃度範囲でのインビトロ細胞死滅化アッセイでのEC50; Dreier et al. Int J Cancer 2002)。T細胞二重特異的結合因子(TCB)は、従来の単一特異的抗体より遙かに低い用量で与えられる。例えば、ブリツモマブ(blinatumomab)(CD19xCD3)は、急性リンパ性白血病の処置のために5〜15μg/m2/日(すなわち、わずか0.35〜0.105mg/m2/週)、または非ホジキンリンパ腫の処置のために60μg/m2/日の連続静脈内用量で与えられ、これらの用量での血清濃度は、0.5〜4ng/mlの範囲にある(Klinger et al., Blood 2012; Topp et al., J Clin Oncol 2011; Goebeler et al. Ann Oncol 2011)。TCBの低用量は、患者において高い有効性を発揮し得るので、本発明に従う抗体に関しては、皮下投与が可能であり、臨床状況において(好ましくは、0.25〜2.5mg/m2/週の用量範囲において)好ましいと予見される。これらの低い濃度/用量/レセプター占有においてすら、TCBは、かなりの有害事象を引き起こし得る(Klinger et al., Blood 2012)。従って、腫瘍細胞占有/適用範囲を制御することは重要である。高くかつ変動性のレベルの血清APRILおよびBAFFを有する患者(例えば、多発性骨髄腫患者、Moreaux et al. 2004; Blood 103(8): 3148−3157)において、腫瘍細胞に結合したTCBの数、応答する(resp.)腫瘍細胞占有は、APRIL/BAFFによってかなり影響を受け得る。しかし、本発明の上記抗体、腫瘍細胞占有、それぞれ、有効性/安全性を使用することによって、本発明に従う抗体の用量を増大させる必要はない可能性がある。なぜなら、上記抗体は、APRIL/BAFFリガンド競合によって影響を受け得ないからである。本発明に従う抗体の別の利点は、Fc部分の包含に基づき、このことは、排泄半減期を約12日間へと増大させ、患者によって運ばれるポンプを用いて静脈内におよび連続して与えられる必要があるFc部分なしのTCB(例えば、ブリナツモマブ)と比較すると、1週間に少なくとも1回もしくは2回の投与を可能にする。

0133

0134

以下の実施例、配列表および図面は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の趣旨から逸脱することなく、示される手順において改変が行われ得ることは、理解される。

0135

(材料および一般的方法
ヒト免疫グロブリン軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列に関する一般情報は、以下に与えられる:Kabat, E. A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)。抗体鎖のアミノ酸は、EU番号付けに従って番号付けされかつ参照される(Edelman, G.M., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 63 (1969) 78−85; Kabat, E.A., et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, (1991))。

0136

(組換えDNA技法)
標準的方法は、Sambrook et al., Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1989に記載されるようにDNAを操作するために使用した。分子生物学試薬を、製造業者の指示に従って使用した。ヒト免疫グロブリン軽鎖および重鎖のヌクレオチド配列に関する一般情報は、以下に示される: Kabat, E.A. et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., NIH Publication No. 91−3242。

0137

遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントを、化学合成によって作製されたオリゴヌクレオチドから調製する。600〜1800bp長の遺伝子セグメント(これは、単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位が隣接している)を、PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーションによってアセンブリし、その後、示される制限部位(例えば、KpnI/SadもしくはAscI/PacI)を介してpPCRScript(Stratagene)ベースのpGA4クローニングベクターへとクローニングする。サブクローニングした遺伝子フラグメントDNA配列を、DNA配列決定によって確認する。遺伝子合成フラグメントを、Geneart(Regensburg, Germany)の所定の仕様に従って注文する。

0138

(DNA配列決定)
DNA配列を、二重鎖配列決定法によって決定した。

0139

(DNAおよびタンパク質配列分析ならびに配列データ管理
GCG(Genetics Computer Group, Madison, Wisconsin)のソフトウェアパッケージバージョン10.2およびInfomaxのVectorNTl Advanceスイートバージョン8.0を、配列作製、マッピング、分析、註釈および図解のために使用する。

0140

(発現ベクター)
a)一過性発現(例えば、HEK293 EBNAもしくはHEK293−Fにおいて)のための発現プラスミドの記載される抗体改変体の発現のために、CMV−イントロンAプロモーターでのcDNA組織化もしくはCMVプロモーターでのゲノム組織化のいずれかに基づく細胞を適用する。

0141

抗体発現カセットの他に、ベクターは、E.coli中でこのプラスミドの複製を可能にする複製起点、およびE.coliにアンピシリン耐性を付与するβ−ラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。

0142

抗体遺伝子転写ユニットは、以下のエレメントから構成される:
−5’末端における特有の制限部位(複数可)−ヒトサイトメガロウイルス由来の最初期エンハンサーおよびプロモーター、
−続いて、cDNA組織化の場合には、イントロンA配列、
−ヒト抗体遺伝子の5’非翻訳領域、
−免疫グロブリン重鎖シグナル配列
−cDNAもしくは免疫グロブリンエキソン−イントロン組織化を含むゲノム組織化のいずれかとしてのヒト抗体鎖(野生型もしくはドメイン交換を有する)
ポリアデニル化シグナル配列を有する3’非翻訳領域、ならびに
−3’末端における特有の制限部位(複数可)。

0143

以下に記載されるとおりの記載される抗体鎖を含む融合遺伝子を、PCRおよび/もしくは遺伝子合成によって生成し、公知の組換え法およびそれに応じた核酸セグメントを例えば、それぞれのベクター中の特有の制限部位を使用して繋ぐことによる技法でアセンブリする。サブクローニングされた核酸配列を、DNA配列決定によって検証する。一過性トランスフェクションのために、多量のプラスミドを、形質転換されたE.coli培養物(Nucleobond AX, Macherey−Nagel)からのプラスミド調製によって調製する。

0144

b)抗体および抗原発現ベクターの生成。
重鎖および軽鎖のDNA配列の可変領域を、それぞれのレシピエント哺乳動物発現ベクターの中に予め挿入されたヒトIgG1定常重鎖もしくはヒト(hum)IgG1定常軽鎖のいずれかとインフレームでサブクローニングした。抗体発現を、CMVエンハンサーおよびMPSVプロモーター、続いて、5’UTR、イントロンおよびκMARエレメントを含むキメラMPSVプロモーターによって駆動した。転写を、CDSの3’末端において合成ポリAシグナル配列によって終了させる。全てのベクターは、真核生物細胞における分泌のためのタンパク質を標的とするリーダーペプチドをコードする5’末端DNA配列を有する。さらに、各ベクターは、EBVEBNA発現細胞におけるエピソームプラスミド複製のためのEBV OriP配列を含む。

0145

ファージディスプレイ選択作戦のために、および選択された抗体の結合特性を特徴付けるために使用されてきた抗原を、C末端タグをコードする予め挿入されたDNA配列を有する哺乳動物抗原発現ベクターから発現した。Aviタグは、それぞれの抗原のインビボもしくはインビトロでのビオチン化のために使用されてきた。上記抗原の精製およびホモダイマー化もしくはヘテロダイマー化のために、ヒト(hum)IgG1 Fc野生型(Fc wt)もしくはFc knobを、抗原発現カセットのC末端に融合した。上記抗原発現を、CMVエンハンサーおよびMPSVプロモーター、続いて、5’UTR、イントロンおよびκMARエレメントを含むキメラMPSVプロモーターによって駆動した。転写を、CDSの3’末端において合成ポリAシグナル配列によって終了させた。全てのベクターは、真核生物細胞における分泌のためのタンパク質を標的とするリーダーペプチドをコードする5’末端DNA配列を有する。さらに、各ベクターは、EBVEBNA発現細胞におけるエピソームプラスミド複製のためのEBV OriP配列を含む。

0146

細胞培養技法)
標準的な細胞培養技法を、Current Protocols in Cell Biology (2000), Bonifacino, J. S., Dasso, M., Harford, J.B., Lippincott−Schwartz, J. and Yamada, K.M. (eds.), John Wiley & Sons, Inc.に記載されるように使用する。

0147

(HEK293細胞における一過性発現)
二重特異的抗体を、以下に記載されるように、接着して増殖するHEK293−EBNA細胞においてもしくは懸濁物中で増殖するHEK293−F細胞において、それぞれの発現プラスミドの一過性の共トランスフェクションによって発現させる。

0148

a)HEK293−EBNA系における一過性トランスフェクション
二重特異的抗体を、接着して増殖するHEK293−EBNA細胞(10% Ultra LowIgGFCSウシ胎仔血清, Gibco)、2mM L−グルタミン(Gibco)、および250μg/ml ジェネティシン(Gibco)を補充したDMEMダルベッコ改変イーグル培地, Gibco)中で培養したエプスタイン・バーウイルス核標的を発現するヒト胚性腎細胞株293;アメリカンタイプカルチャーコレクション寄託番号ATCC# CRL− 10852, Lot. 959 218)中で、それぞれの発現プラスミド(例えば、重鎖および改変重鎖、ならびにその対応する軽鎖および改変軽鎖ををコードする)の一過性共トランスフェクションによって発現させる。トランスフェクションのために、FuGENETM 6 Transfection Reagent(Roche Molecular Biochemicals)を、FuGENETM試薬(μl) 対 DNA(μg)が4:1(3:1〜6:1の範囲)の比で使用する。

0149

タンパク質を、1:2〜2:1の範囲に及ぶ1:1(等モル)の(改変型および野生型)それぞれ軽鎖および重鎖コードプラスミドのモル比を使用して、それぞれのプラスミドから発現させる。細胞に、3日目に、L−グルタミン4mM,グルコース[Sigma]およびNAA[Gibco]を供給する。二重特異的抗体含有細胞培養上清を、トランスフェクション後5日目〜11日目に、遠心分離によって回収し、−200Cで貯蔵した。例えば、HEK293細胞におけるヒト免疫グロブリンの組換え発現に関する一般的情報は、以下に与えられる: Meissner, P. et al., Biotechnol. Bioeng. 75 (2001) 197−203。

0150

b)HEK293−F系における一過性トランスフェクション
二重特異的抗体を、HEK293−Fシステム(Invitrogen)を使用して、製造業者の指示に従って、それぞれのプラスミド(例えば、重鎖および改変重鎖、ならびにその対応する軽鎖および改変軽鎖をコードする)の一過性トランスフェクションによって生成する。簡潔には、振盪フラスコ中もしくは撹拌発酵器中のいずれかで、無血清FreeStyle 293発現培地(Invitrogen)中、懸濁物中で増殖するHEK293−F細胞(Invitrogen)を、上記4つの発現プラスミドおよび293フェクチン(fectin)もしくはフェクチン(Invitrogen)の混合物でトランスフェクトした。2L 振盪フラスコ(Corning)に関しては、HEK293−F細胞を、600mL中、密度1.0×106細胞/mLで播種し、120rpm, 8% CO2でインキュベートする。その翌日、上記細胞を、細胞密度約1.5×106細胞/mLにおいて、A)20mL Opti−MEM(Invitrogen)と、重鎖もしくは改変重鎖それぞれおよびその対応する軽鎖を等モル比でコードする600μg総プラスミドDNA(1μg/mL)、ならびにB)20ml Opti−MEM+1.2mL 293フェクチンもしくはフェクチン(2μl/mL)の約42mLミックスでトランスフェクトする。グルコース消費に従って、グルコース溶液を、発酵過程の間に添加する。分泌された抗体を含む上清を、5〜10日後に回収し、抗体は、上記上清から直接精製するか、または上記上清を、凍結および保存するかのいずれかである。

0151

(タンパク質決定)
精製された抗体および派生物タンパク質濃度を、Pace et al., Protein Science, 1995, 4, 2411−1423に従ってアミノ酸配列に基づいて計算したモル吸光係数を使用して、280nmでの光学密度(OD)を決定することによって決定する。

0152

(上清中の抗体濃度決定)
細胞培養上清中の抗体および派生物の濃度を、プロテインAアガロースビーズ(Roche)での免疫沈降によって概算する。60μL プロテインAアガロースビーズを、TBS−NP40(50mM Tris, pH7.5、150mM NaCl、1% Nonidet−P40)中で3回洗浄する。その後、1〜15mL 細胞培養上清を、TBS−NP40で予め平衡化したプロテインAアガロースビーズにアプライする。室温で1時間インキュベートした後、上記ビーズを、0.5mL TBS−NP40で1回、0.5mL 2×リン酸緩衝食塩水(2×PBS, Roche)で2回、および0.5mL 100mMクエン酸Na pH5,0で短時間4回、Ultrafree−MC−フィルターカラム(Amicon]上で洗浄する。結合した抗体を、35μl NuPAGE(登録商標) LDSサンプ緩衝液(Invitrogen)を添加することによって溶離する。そのサンプルの半分を、それぞれ、NuPAGE(登録商標)サンプル還元剤と混合するか、もしくは還元しないままにし、10分間、70℃で加熱する。最終的に、5〜30μlを、4−12% NuPAGE(登録商標) Bis−Tris SDS−PAGE(Invitrogen)にアプライし(非還元SDS−PAGEについてはMOPS緩衝液で、および還元SDS−PAGEについてはNuPAGE(登録商標)抗酸化剤泳動緩衝液添加剤(antioxidant running buffer additive)(Invitrogen)を含むMES緩衝液で)、クーマシーブルーで染色する。

0153

細胞培養上清中の抗体および派生物の濃度は、アフィニティーHPLCクロマトグラフィーによって定量的に測定される。簡潔には、プロテインAに結合する抗体および派生物を含む細胞培養上清を、200mM KH2PO4、100mMクエン酸ナトリウム, pH7.4中のApplied Biosystems Poros A/20カラムにアプライし、Agilent HPLC 1100システムで200mM NaCl、100mMクエン酸,pH2.5を用いてマトリクスから溶離する。その溶離したタンパク質を、UV吸光度およびピーク面積の積分によって定量する。精製された標準的IgG1抗体は、標準物質として働いた。

0154

あるいは、細胞培養上清中の抗体および派生物の濃度は、サンドイッチ−IgG−ELISAによって測定される。簡潔には、StreptaWell High Bind Strepatavidin A−96ウェルマイクロタイタープレート(Roche)を、0.1μg/mLの100μL/ウェルビオチン化抗ヒトIgG捕捉分子F(ab’)2<h−Fcγ>BI(Dianova)で1時間室温において、または代わりに一晩4℃で被覆し、その後、200μL/ウェルPBS, 0.05% Tween(登録商標)(PBST, Sigma)で3回洗浄する。それぞれの抗体を含む細胞培養上清のPBS(Sigma)中の段階希釈物100μL/ウェルを、上記ウェルに添加し、室温においてマイクロタイタープレート振盪機上で1〜2時間インキュベートする。上記ウェルを、200μL/ウェル PBSTで3回洗浄し、結合した抗体を、検出抗体として0.1μg/mLの100μl F(ab’)2<hFcγ>POD(Dianova)で1〜2時間、室温においてマイクロタイタープレート振盪機上で検出する。結合していない検出抗体を、200μL/ウェル PBSTで3回洗い流し、結合した検出抗体を、100μL ABTS/ウェルの添加によって検出する。吸光度の決定は、405nmの測定波長基準波長492nm)においてTecan Fluor Spectrometerで行う。

0155

(タンパク質精製)
タンパク質を、標準プロトコルを参照して、濾過した細胞培養上清から精製する。簡潔には、抗体を、プロテインAセファロースカラム(GE healthcare)にアプライし、PBSで洗浄する。抗体の溶離を、pH2.8で行い、続いて、そのサンプルを直ぐに中和する。凝集したタンパク質を、PBS中もしくは20mMヒスチジン、150mM NaCl pH6.0中でのサイズ排除クロマトグラフィースーパーデックス200, GE Healthcare)によってモノマー抗体から分離する。モノマー抗体画分をプールし、必要な場合には、例えば、MILLIPORE Amicon Ultra(30 MWCO)遠心分離濃縮器を使用して濃縮し、−20℃で凍結および貯蔵する。上記サンプルの一部をその後のタンパク質分析および分析による特徴付け(例えば、SDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィーもしくは質量分析による)のために提供する。

0156

(SDS−PAGE)
NuPAGE(登録商標)プレキャストゲルシステム(Invitrogen)を、製造業者の指示に従って使用する。特に、10%もしくは4−12% NuPAGE(登録商標) Novex(登録商標) Bis−TRISプレキャストゲル(pH6.4)およびNuPAGE(登録商標) MES(還元ゲル、NuPAGE(登録商標)抗酸化剤泳動緩衝液添加剤を含む)もしくはMOPS(非還元ゲル)泳動緩衝液を使用する。

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