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課題

マイケルアクセプターに変わる、より穏やかな反応性を有する反応基を探索し、これを用いて薬剤分子デザインすることで、副作用の懸念の少ない安全なコバレントドラッグを開発することを目的とする。

解決手段

本発明は、例えば、下記式(I):で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩等に係るものである。

概要

背景

タンパク質機能を共有結合形成により不可逆的に阻害するコバレントドラッグは、長い創薬研究の中でこれまでに数多く開発されている。コバレントドラッグの最も代表的なものとしては、アスピリンやβ?ラクタム系抗生物質などが知られているが、その他にも様々な受容体酵素を標的とした化合物が薬として開発されており、幅広疾患領域で用いられている。コバレントドラッグは、通常の分子間相互作用に基づいた可逆的阻害剤とは異なり、共有結合の形成により持続的かつ強力な阻害能の発現が可能となるなどの優れた利点を有する。これまでコバレントドラッグの開発は、非特異的反応オフターゲットラベリング)に基づく副作用の懸念から、製薬企業では一般に避けられる傾向にあった。しかしながら、近年では、上記の利点に着目したコバレントドラッグ開発が、主にがん腫瘍)に対する創薬研究において積極的に進められている。

コバレントドラッグに用いる反応性基として最も重要な特性は、非特異的な反応を起こさない制御された穏やかな反応性である。現在、この制御された穏やかな反応性を有するTCI(targeted covalent inhibitor)の開発が盛んであるが、アファニブも含めて、これらのTCIのほとんどは、タンパク質中のシステインに対する反応基としてマイケルアクセプター(α,β-不飽和ケトン)を有している。しかしながら、このマイケルアクセプターは、反応性が高く、他のタンパク質と非特異的な反応を起こしやすい(すなわち副作用の危険性が高い)事が報告されている(非特許文献1)。

概要

マイケルアクセプターに変わる、より穏やかな反応性を有する反応基を探索し、これを用いて薬剤分子デザインすることで、副作用の懸念の少ない安全なコバレントドラッグを開発することを目的とする。本発明は、例えば、下記式(I):で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩等に係るものである。なし

目的

Cravatt, B. F. et al., Nature Chem. Biol., vol. 10, p. 760-767, 2014






このような状況下において、マイケルアクセプターに変わる、より穏やかな反応性を有する反応基を探索し、これを用いて薬剤分子をデザインすることで、副作用の懸念の少ない安全なコバレントドラッグの開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

下記式(I):〔式(I)中、L1はリンカー部を表し、R1は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL1の一部と環構造を形成していてもよく、R2及びR3は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表す。〕で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項2

前記リンカー部は、単結合、又は、-RL1-NH-若しくは-RL1-CO-NH-(ここで、RL1は任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表す。)を表す、請求項1記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項3

下記式(II):〔式(II)中、L2はリンカー部を表し、R4は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL2の一部と環構造を形成していてもよく、R5は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、pは、0〜2の整数を表す。〕で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項4

前記リンカー部は、単結合、又は、-RL2-NH-(ここで、RL2は任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表す。)を表す、請求項3記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項5

式(I)で示される化合物が、下記構造式で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1又は2記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項6

式(II)で示される化合物が、下記構造式で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3又は4記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、医薬組成物又は試薬

請求項8

腫瘍治療用のものである、請求項7記載の医薬組成物又は試薬。

請求項9

腫瘍が、肺がん乳がん前立腺がん、頭部がん頸部がん、皮膚がん卵巣がん子宮内膜がん甲状腺がん結腸がん、直腸がん、食道がん胃がん腎臓がん、肝臓がん膀胱がん膵臓がん脳腫瘍脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項8記載の医薬組成物又は試薬。

請求項10

腫瘍が、非小細胞肺がんである、請求項8又は9記載の医薬組成物又は試薬。

請求項11

請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、EGFR阻害剤

請求項12

コバレント阻害剤である、請求項11記載の阻害剤。

請求項13

腫瘍の治療用の薬剤を製造するための請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。

請求項14

腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項13記載の使用。

請求項15

腫瘍が、非小細胞肺がんである、請求項13又は14記載の使用。

請求項16

請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、腫瘍の治療用キット

請求項17

腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項16記載のキット

請求項18

腫瘍が、非小細胞肺がんである、請求項16又は17記載のキット。

請求項19

請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を被験対象投与することを特徴とする、腫瘍の治療方法

請求項20

腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項19記載の方法。

請求項21

腫瘍が、非小細胞肺がんである、請求項19又は20記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、EGFR阻害及び腫瘍治療に有用な新規化合物に関する。詳しくは、EGFRに対するコバレント阻害剤として標的特異性が向上した新規化合物に関する。

背景技術

0002

タンパク質機能を共有結合形成により不可逆的に阻害するコバレントドラッグは、長い創薬研究の中でこれまでに数多く開発されている。コバレントドラッグの最も代表的なものとしては、アスピリンやβ?ラクタム系抗生物質などが知られているが、その他にも様々な受容体酵素を標的とした化合物が薬として開発されており、幅広疾患領域で用いられている。コバレントドラッグは、通常の分子間相互作用に基づいた可逆的阻害剤とは異なり、共有結合の形成により持続的かつ強力な阻害能の発現が可能となるなどの優れた利点を有する。これまでコバレントドラッグの開発は、非特異的反応オフターゲットラベリング)に基づく副作用の懸念から、製薬企業では一般に避けられる傾向にあった。しかしながら、近年では、上記の利点に着目したコバレントドラッグ開発が、主にがん腫瘍)に対する創薬研究において積極的に進められている。

0003

コバレントドラッグに用いる反応性基として最も重要な特性は、非特異的な反応を起こさない制御された穏やかな反応性である。現在、この制御された穏やかな反応性を有するTCI(targeted covalent inhibitor)の開発が盛んであるが、アファニブも含めて、これらのTCIのほとんどは、タンパク質中のシステインに対する反応基としてマイケルアクセプター(α,β-不飽和ケトン)を有している。しかしながら、このマイケルアクセプターは、反応性が高く、他のタンパク質と非特異的な反応を起こしやすい(すなわち副作用の危険性が高い)事が報告されている(非特許文献1)。

先行技術

0004

Cravatt, B. F. et al., Nature Chem. Biol., vol. 10, p. 760-767, 2014

発明が解決しようとする課題

0005

このような状況下において、マイケルアクセプターに変わる、より穏やかな反応性を有する反応基を探索し、これを用いて薬剤分子デザインすることで、副作用の懸念の少ない安全なコバレントドラッグの開発が望まれていた。

課題を解決するための手段

0006

本発明は、上記状況を考慮してなされたもので、以下に示す、等を提供するものである。
(1)下記式(I):

0007

0008

〔式(I)中、
L1はリンカー部を表し、
R1は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL1の一部と環構造を形成していてもよく、
R2及びR3は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、
m及びnは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表す。〕
で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。
(2)前記リンカー部は、単結合、又は、-RL1-NH-若しくは-RL1-CO-NH-(ここで、RL1は任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表す。)を表す、前記(1)記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

0009

(3)下記式(II):

0010

0011

〔式(II)中、L2はリンカー部を表し、
R4は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL2の一部と環構造を形成していてもよく、
R5は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、
pは、0〜2の整数を表す。〕
で示される化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。
(4)前記リンカー部は、単結合、又は、-RL2-NH-(ここで、RL2は任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表す。)を表す、前記(3)記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

0012

(5)式(I)で示される化合物が、下記構造式で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、前記(1)又は(2)記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

0013

0014

(6)式(II)で示される化合物が、下記構造式で示される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、前記(3)又は(4)記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩。

0015

0016

(7)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、医薬組成物又は試薬
(8)腫瘍の治療用のものである、前記(7)記載の医薬組成物又は試薬。
(9)腫瘍が、肺がん乳がん前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん卵巣がん子宮内膜がん甲状腺がん結腸がん、直腸がん、食道がん胃がん腎臓がん、肝臓がん膀胱がん膵臓がん脳腫瘍脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(8)記載の医薬組成物又は試薬。

0017

(10)腫瘍が、非小細胞肺がんである、前記(8)又は(9)記載の医薬組成物又は試薬。
(11)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、EGFR阻害剤
(12)コバレント阻害剤である、前記(11)記載の阻害剤。
(13)腫瘍の治療用の薬剤を製造するための前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。
(14)腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(13)記載の使用。

0018

(15)腫瘍が、非小細胞肺がんである、前記(13)又は(14)記載の使用。
(16)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、腫瘍の治療用キット
(17)腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(16)記載のキット
(18)腫瘍が、非小細胞肺がんである、前記(16)又は(17)記載のキット。

0019

(19)前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を被験対象投与することを特徴とする、腫瘍の治療方法
(20)腫瘍が、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(19)記載の方法。
(21)腫瘍が、非小細胞肺がんである、前記(19)又は(20)記載の方法。

発明の効果

0020

本発明によれば、副作用の懸念の少ない安全なコバレントドラッグとして有用な新規化合物を提供することができる。
本発明の化合物は、EGFR阻害剤として、また腫瘍治療剤の有効成分として優れた有用性及び実用性を有するものである。

図面の簡単な説明

0021

ゲル蛍光アッセイによるタンパク質ラベル化特異性の評価結果(A431細胞)を示す図である。
細胞増殖阻害活性の評価結果(S431, H1975, PC9細胞) を示す図である。
NS-062化合物のEGFRに対するリン酸化阻害活性の評価結果(H1975細胞)を示す図である。左図は、NS-062処理後にすぐに解析した結果であり、右図は、NS-062処理後、洗浄8時間後に解析した結果である。
in vivo抗腫瘍試験(H1975 cell, 5 x 106 cell /mouse, 20 mg / kg, bid, po)の結果を示す図である。
投与期間終了後におけるマウス体重変化を示す図である。

0022

以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
なお、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。

0023

1.本発明の化合物
本発明は、前述したとおり、下記式(I)、及び下記式(II)で示される化合物に係るものである。以下、下記式(I)、及び下記式(II)で示される化合物を合わせて「本発明の化合物」という。

0024

0025

0026

上記式(I)においては、
L1はリンカー部を表す。リンカー部の構造としては、任意の構造を採り得るが、好ましくは、単結合、又は、-RL1-NH-若しくは-RL1-CO-NH-が挙げられる。ここで、RL1としては、限定はされないが、例えば、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基が好ましい。特に好ましくは、後述する実施例1中の表Aでリストアップされている各種化合物の構造中の、L1に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。

0027

R1は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL1の一部と環構造を形成していてもよい。特に好ましくは、後述する実施例1中の表Aでリストアップされている各種化合物の構造中の、R1に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。
R2は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、好ましくは、-NH-R21が挙げられる。ここで、R21としては、限定はされず、例えば、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基が好ましく、より好ましくは、任意に置換されていてもよいアリール基(例えば、フェニル基等)及び複素環基などである。特に好ましくは、後述する実施例1中の表Aでリストアップされている各種化合物の構造中の、R2又はR21に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。

0028

R3は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、好ましくは、-O-R31が挙げられる。ここで、R31としては、限定はされず、例えば、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基が好ましく、より好ましくは、任意に置換されていてもよい炭化水素基、ヘテロ炭化水素基、又はこれらの一部が環構造を形成しているものが挙げられる。特に好ましくは、後述する実施例1中の表Aでリストアップされている各種化合物の構造中の、R3又はR31に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。
m及びnは、それぞれ独立して、0〜2の整数を表し、好ましくは1又は2である。

0029

上記式(II)においては、
L2はリンカー部を表す。リンカー部の構造としては、任意の構造を採り得るが、好ましくは、単結合、又は、-RL2-NH-が挙げられる。ここで、RL2としては、限定はされないが、例えば、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基が好ましい。特に好ましくは、後述する実施例2中の表Bでリストアップされている各種化合物の構造中の、L2に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。
R4は、水素原子、又は任意に置換されていてもよい炭化水素基を表し、場合によりL2の一部と環構造を形成していてもよい。特に好ましくは、後述する実施例2中の表Bでリストアップされている各種化合物の構造中の、R4に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。

0030

R5は、それぞれ独立して、任意に置換されていてもよい任意の構造の有機基を表し、好ましくは、ハロゲン基、任意に置換されていてもよい炭化水素基、任意に置換されていてもよい複素環基(例えば、インドール基等)及びアリール基などである。特に好ましくは、後述する実施例2中の表Bでリストアップされている各種化合物の構造中の、R5に相当する部分、又は任意に置換されていてもよい当該部分などが挙げられる。
pは、0〜2の整数を表し、好ましくは1又は2である。

0031

本発明においては、上記式(I)で示される化合物の具体例としては、限定はされないが、下記構造式で示される化合物などが好ましく挙げられる。なお、これら化合物については、後述する実施例1中の表Aでリストアップされている化合物も参照することができる。

0032

0033

なかでも、上記式(I)で示される化合物の具体例としては、下記構造式の化合物(本実施例でいうNS-062化合物)が好ましい。

0034

0035

また、本発明においては、上記式(II)で示される化合物の具体例としては、限定はされないが、下記構造式で示される化合物などが好ましく挙げられる。なお、これら化合物については、後述する実施例2中の表Bでリストアップされている化合物も参照することができる。

0036

0037

なかでも、上記式(II)で示される化合物の具体例としては、下記構造式の化合物(本実施例でいうNSP-037化合物)が好ましい。

0038

0039

本発明の化合物は、上述した各化合物の薬理学的に許容し得る塩の形態であってもよい。
本発明の化合物の薬理学的に許容し得る塩としては、限定はされないが、例えば、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩臭化水素酸塩、及びヨウ化水素酸塩など)、無機酸塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩過塩素酸塩リン酸塩炭酸塩、及び重炭酸塩など)、有機カルボン酸塩(例えば、酢酸塩トリフルオロ酢酸塩マレイン酸塩酒石酸塩フマル酸塩、及びクエン酸塩など)、有機スルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩トリフルオロメタンスルホン酸塩エタンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩トルエンスルホン酸塩、及びカンファースルホン酸塩など)、アミノ酸塩(例えば、アスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩など)、四級アミン塩アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、及びカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、及びカルシウム塩など)などが好ましく挙げられる。

0040

また、本発明の化合物としては、その誘導体も含まれる。誘導体としては、本発明の化合物由来化学構造を有する等、当業者の技術常識に基づいて本発明の化合物の誘導体と考えられるものであればよく、限定はされないが、例えば、EGFR阻害活性や腫瘍の治療効果が本発明の化合物と同程度ものが好ましい。

0041

本発明の化合物やその誘導体としては、例えば、生体内酸化還元加水分解、又は抱合などの代謝を受けるものも包含するほか、生体内で酸化、還元、又は加水分解などの代謝を受けて本発明の化合物やその誘導体を生成する化合物(いわゆるプロドラッグ)も含まれる。本発明において、プロドラッグとは、薬理学的に許容し得る、通常プロドラッグにおいて使用される基で親化合物を修飾した化合物をいい、例えば、安定性持続性の改善等の特性が付与され、腸管内等で親化合物に変換されて効果を発現することが期待できる化合物をいう。例えば、本発明の化合物のプロドラッグは、対応するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、当該化合物中のプロドラッグ化の可能な基(例えば、水酸基アミノ基、その他の基)から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、必要に応じ、単離精製することにより製造することができる。ここで、上記プロドラッグを構成する基としては、限定はされないが、例えば、低級アルキル−CO−、低級アルキル−O−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−、及び低級アルキル−O−低級アルキレン−OCO−等が好ましく挙げられる。

0042

さらに、本発明の化合物は、化合物の構造上生じ得るすべての異性体(例えば、幾何異性体不斉炭素に基づく光学異性体回転異性体立体異性体、及び互変異性体等)及びこれら異性体の2種以上の混合物をも包含し、便宜上の構造式の記載等に限定されるものではない。また、本発明の化合物は、S-体、R-体又はRS-体のいずれであってもよく、限定はされない。さらに、本発明の化合物は、その種類により水和物や溶媒和物の形で存在する場合もあり、本発明においては当該水和物及び溶媒和物も本発明の化合物に含まれるものとし、後述する本発明の医薬組成物及び試薬や、EGFR阻害剤の有効成分として用いることができる。当該溶媒和物としては、限定はされないが、例えば、エタノールとの溶媒和物等が挙げられる。

0043

2.医薬組成物、EGFR阻害剤等
本発明の医薬組成物又は試薬、及び、本発明のEGFR阻害剤は、前述したとおり、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物(以下、「本発明の化合物等」ということがある。)を有効成分として含むことを特徴とするものである。上記試薬としては、例えば研究用試薬なども含まれる。本明細書においては、「本発明の医薬組成物」には当該試薬も包含され得るものとする。
本発明の医薬組成物としては、限定はされないが、腫瘍の治療用の医薬組成物が好ましい。
なお、本発明は、(i) 本発明の化合物等を用いること、具体的には例えば本発明の化合物等の有効量を被験対象に投与することを含む、腫瘍の治療方法、又はEGFR阻害方法、(ii) 当該腫瘍の治療用の薬剤、又はEGFR阻害剤を製造するための本発明の化合物等の使用、(iii) 当該腫瘍の治療用、又はEGFR阻害用の本発明の化合物等の使用、並びに、(iv) 当該腫瘍の治療用、又はEGFR阻害用の本発明の化合物等も含むものである。

0044

本発明において、当該腫瘍の治療としては、具体的には、例えば、当該腫瘍の治療の進行抑制予後改善、及び/又は再発防止等も含まれる。
本発明において、治療対象となる腫瘍は、限定はされないが、肺がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がん、卵巣がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、結腸がん、直腸がん、食道がん、胃がん、腎臓がん、肝臓がん、膀胱がん、膵臓がん、脳腫瘍、脊髄腫瘍、血液がん、及び骨がんからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく挙げられる。なかでも、肺がんとしては、非小細胞肺がん、及び小細胞肺がんが挙げられるが、非小細胞肺がんがより好ましい。

0045

本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤において、有効成分としての本発明の化合物等の含有割合は、限定はされず、適宜設定することができるが、例えば、医薬組成物やEGFR阻害剤の全体に対して、0.01〜99重量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の範囲内としてもよい。有効成分の含有割合が上記範囲内であることにより、本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤は、腫瘍の治療効果、EGFR阻害能を十分に発揮することができる。

0046

本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤は、被験対象としてのヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ラットウサギヒツジブタウシネコイヌサルなど)に対して、種々の投与経路、具体的には、経口、又は非経口(例えば静脈内注射静注)、筋肉内注射腹腔内注射皮下注射直腸投与経皮投与)で投与することができる。従って、本発明に使用する本発明の化合物等は、単独で用いることも可能であるが、投与経路に応じて慣用される方法により薬学的に許容し得る担体を用いて適当な剤形に製剤化して用いることができる。

0047

剤形としては、経口剤では、例えば、錠剤散剤細粒剤顆粒剤被覆錠剤カプセル剤内用水剤懸濁剤乳剤シロップ剤、及びトローチ剤等が挙げられ、非経口剤では、例えば、注射剤点滴剤を含む)、吸入剤軟膏剤点鼻剤、及びリポソーム剤等が挙げられる。なお、上述した各種経口剤とする場合、本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤は、場合によりサプリメント剤(例えば機能性食品に該当する)として利用することもできる。
これら製剤の製剤化に用い得る担体としては、例えば、通常用いられる賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤、及び矯味矯臭剤のほか、必要に応じ、安定化剤乳化剤吸収促進剤界面活性剤pH調整剤防腐剤抗酸化剤増量剤、湿潤化剤、表面活性化剤分散剤緩衝剤保存剤溶解補助剤、及び無痛化剤等が挙げられ、医薬品製剤原料として用いることができる公知の成分を配合して常法により製剤化することが可能である。

0048

当該成分として使用可能な無毒性のものとしては、例えば、大豆油牛脂、及び合成グリセライド等の動植物油流動パラフィンスクワラン、及び固形パラフィン等の炭化水素ミリスチン酸オクチルドデシル、及びミリスチン酸イソプロピル等のエステル油セトステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール等の高級アルコールシリコン樹脂シリコン油ポリオキシエチレン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレン硬化ひまし油、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロースポリアクリル酸カルボキシビニルポリマーポリエチレングリコールポリビニルピロリドン、及びメチルセルロース等の水溶性高分子;エタノール、及びイソプロパノール等の低級アルコールグリセリンプロピレングリコールジプロピレングリコールソルビトール、及びポリエチレングリコール等の多価アルコールポリオール);グルコース、及びショ糖等の糖;無水ケイ酸ケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びケイ酸アルミニウム等の無機粉体塩化ナトリウムリン酸ナトリウム等の無機塩精製水等が挙げられ、いずれもその塩またはその水和物であってもよい。

0049

賦形剤としては、例えば、乳糖果糖コーンスターチ白糖ブドウ糖マンニトールソルビット結晶セルロース、及び二酸化ケイ素等が、結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコールポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロースアラビアゴムトラガントゼラチンシェラックヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、及びメグルミン等が、崩壊剤としては、例えば、澱粉寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム炭酸水素ナトリウムクエン酸カルシウムデキストリンペクチン、及びカルボキシメチルセルロースカルシウム等が、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムタルク、ポリエチレングリコール、シリカ、及び硬化植物油等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、例えば、ココア末ハッカ脳芳香散、ハッカ油竜脳、及び桂皮末等が、それぞれ好ましく挙げられ、いずれもその塩又はそれらの水和物であってもよい。

0050

本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤の投与量は、一般には、製剤中の有効成分(本発明の化合物等)の配合割合を考慮した上で、投与対象患者)の年齢、体重、病気の種類・進行状況や、投与経路、投与回数(/1日)、投与期間等を案し、適宜、広範囲に設定することができる。
本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤を、非経口剤又は経口剤として用いる場合について、以下に具体的に説明する。
非経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されないが、各種注射剤の場合は、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態や、使用時に溶解液再溶解させる凍結乾燥粉末の状態で提供され得る。当該非経口剤には、有効成分となる本発明の化合物等のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形材添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有することができる。例えば、各種注射剤の場合は、水、グリセロール、プロピレングリコールや、ポリエチレングリコール等の脂肪族ポリアルコール等が挙げられる。

0051

非経口剤の投与量(1日あたり)は、限定はされないが、例えば各種注射剤であれば、一般には、有効成分となる本発明の化合物等を、適用対象被験者、患者等)の体重1kgあたり、0.01〜1000mg、0.05〜500mg、又は0.1〜50mg服用できる量とすることができ、あるいは0.5〜20 mg服用できる量や1〜10 mg服用できる量とすることもできる。
経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されず、前述した剤形のいずれであってもよいし、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。当該経口剤には、有効成分となる本発明の化合物等のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形材や添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有することができる。例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン等)、充填材(乳糖、糖、コーンスターチ、馬鈴薯でんぷんリン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(各種でんぷん等)、および湿潤剤ラウリル硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。

0052

経口剤の投与量(1日あたり)は、一般には、有効成分となる本発明の化合物等を、適用対象(被験者、患者等)の体重1 kgあたり、0.05〜5000mg、0.1■1000mg、又は0.1〜100mg服用できる量とすることができ、あるいは0.5〜50 mg服用できる量や1〜10 mg服用できる量とすることもできる。また、経口剤中の有効成分の配合割合は、限定はされず、1日あたりの投与回数等を考慮して、適宜設定することができる。

0053

3.キット
腫瘍の治療を行うに当たっては、又はEGFRの阻害を行うに当たっては、本発明の化合物等を含むキット(具体例として、前述した本発明の医薬組成物、及びEGFR阻害剤を含むキット)を用いることができる。
当該キットにおける本発明の化合物等の形態は、限定はされないが、安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮し、例えば溶解した状態で備えられていてもよい。
当該キットは、本発明の化合物等以外にも、適宜、他の構成要素を含むことができる。
当該キットは、構成要素として少なくとも前述した本発明の化合物等を備えているものであればよい。従って、前記腫瘍の治療などに必須となる構成要素の全てを、当該本発明の化合物等と共に備えているものであってもよいし、別々に備えているものであってもよく、限定はされない。

0054

以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0055

化合物の反応性を簡便にスクリーニングできるペプチドを用いた独自の蛍光アッセイ系を構築し、コバレントドラッグに適した反応性基の探索から研究を開始した。α-ハロアセチル基を中心とした様々な反応性基について検討した結果 (Table 1)、システイン残基と反応する穏やかな反応性基として「α-クロフルオロアセタミド基」を新たに見出した。α-クロロフルオロアセタミド基は、穏やかな反応性と同時に、阻害剤の機能を阻害しにくい小さな分子サイズ、水溶液中での高い化学的安定性など、コバレントドラッグ開発に適した特徴を有する。

0056

0057

次に、EGFR受容体阻害剤であるキナゾリン型の抗がん剤に、α-クロロフルオロアセタミド基の有用性を組み込んだコバレントドラッグ開発を進めた。

0058

0059

α-クロロフルオロアセタミド基とキナゾリン誘導体の間のリンカーに様々な構造を持つアミノ酸を用いて構造活性相関を行った。アッセイは、がん細胞(PC9, H1975, A431など)に対する細胞増殖阻害活性で評価を行った(Table 2)。なお、本実施例におけるアッセイ・評価に用いるために合成した化合物を、実施例1の末尾の表Aにリストアップした。また、これら化合物の合成方法については、後述する実施例3に示したNS-062(二塩酸塩)化合物の合成方法が、適宜、参照される。

0060

0061

0062

その結果、リンカーとしてD?プロリンを有する化合物NS-058がT790M・L858R二重変異を持つEGFRを発現するH1975細胞に対して強い細胞増殖阻害活を示した。興味あることにL-プロリンを持つリンカーとして持つNS-067の活性は極めて弱かった。
次に強い活性を示したNS-058のアルキン誘導体とアファチニブのアルキン誘導体を用いてタンパク質ラベル化の選択性について評価を行った (図1)。その結果、α-クロロフルオロアセタミド基を持つNS-058誘導体は、極めて特異的にEGFRと反応することがわかった。一方で、マイケルアクセプターを持つアファチニブ誘導体は、他のタンパク質に対する非特異的なラベル化が認められた。

0063

NS-058の水溶性を改善したNS-061, NS-062と、アファチニブとの活性の結果を、図2及びTable 3にまとめた。NS-061, NS-062 はともにT790M・L858R二重変異を持つEGFRを発現するH1975細胞に対して強い増殖阻害活性を持ち、そのIC50値はアファチニブとほぼ同様であった。一方で、NS-061およびNS-062の野生型のEGFRを発現するA431細胞に対する増殖阻害活性は、アファチニブよりも弱かった。アファチニブは野生型のEGFRに対する阻害活性を持つため下痢皮膚障害などの副作用を持つことが知られている。したがって、A431/ H1975の活性比の高いNS-061およびNS-062は、アファチニブよりも副作用が軽減できる可能がある。

0064

NS-062を用いてH1975細胞におけるリン酸化阻害活性をウェスタンブロッティングを用いて評価したところ、EGFRに対する濃度依存的なリン酸化阻害活性が認められた(図3左)。また、このリン酸化阻害活性は、H1975細胞をNS-062で処理して洗浄した8時間後にも持続していた(図3右)。この結果は、NS-062がEGFRと共有結合を形成して不可逆的な阻害をしていることを意味する。

0065

ヌードマウスにH1975細胞を移植して、NS-062およびアファチニブの経口投与試験(20 mg/kg 、1日2回)を行ったところ (図4)、NS-062は、コントロール群との比較で有意に腫瘍増殖抑制効果を示した。その効果はアファチニブと同定度であった。また、投与期間25日後のマウスの体重減少率は、アファチニブと比較してNS-062の方が軽度であった (図5)。

0066

以下、本実施例におけるアッセイ・評価に用いるために合成した化合物のリスト(一部の化合物について評価結果あり)を示す。

0067

0068

NS-062などのキナゾリン骨格を有する第二世代型のEGFR阻害剤と並行して、オシメルチニブに代表される第三世代型のピリジミン骨格をもつコバレントドラッグの開発も合わせて行っている。これまでにオシメルチニブの構造を鋳型として、クロロフルオロアセタミド基とピリミジン環の間に様々なアミノ酸をリンカーとして導入した誘導体およびピリミジン環の5位に様々な置換基を導入した誘導体を合成して構造活性相関を行った。各化合物に活性は、T790M・L858R二重変異EGFRを発現するH1975細胞および野生型のEGFRを発現するA431ならびにH292細胞に対する増殖阻害活性により評価を行った。なお、本実施例におけるアッセイ・評価に用いるために合成した化合物を、実施例2の末尾の表Bにリストアップした。また、これら化合物の合成方法については、後述する実施例4に示したNSP-037化合物の合成方法が、適宜、参照される。

0069

その結果、リンカー部位にL-アラニンをもつ化合物が高い活性を示すこと(Table 4)、ピリミジン環5位にはトリフルオアセチル基をもつ化合物の活性が強い活性を示すことが明らかとなった(Table 5)。最終的に開発候補化合物として得られた化合物NSP-037は、T790M・L858R二重変異EGFRを発現するH1975細胞に対する増殖阻害活性はオシメルチニブと同等である一方で、野生型EGFRを発現するH292細胞に対する阻害活性は、オシメルチニブに比べて弱かった。したがって、A431/ H292の活性比の高いNSP-037は、オシメルチニブよりも副作用が軽減できる可能を有する。

0070

0071

0072

0073

以下、本実施例におけるアッセイ・評価に用いるために合成した化合物のリスト(一部の化合物について評価結果あり)を示す。

0074

0075

NS-062二塩酸塩の合成
下記スキームにより、NS-062化合物(前記表Aも参照)の二塩酸塩を合成した。
中間体合成手順も含めて、以下に詳しく説明する。

0076

0077

[中間体2] (Denny, W. A. et al. J. Med. Chem. 1996, 39, 918-928.参照)
4-フルオロアントラニル酸(12.5 g, 80.4 mmol) を100 mLのホルムアミドに溶解し、150度で6時間加熱撹拌した。室温に放冷したのち、200 mLの氷水希釈した。析出した固体吸引濾取し、冷水エーテルで洗浄したのち真空下60度にて加熱乾燥させ、中間体2を淡褐色の固体として10.6 g、81%収率で得た。

0078

[中間体3]1
氷冷下、発煙硝酸40 mLに対し濃硫酸40 mLを滴下した。引き続き氷冷下、この混合物に対し中間体2 (10.6 g, 64.6 mmol) を徐々に加えたのち、110度で3時間加熱撹拌した。室温に放冷したのち、反応混合物を1リットルの氷水に滴下した。析出した固体を吸引濾取し、冷水とエーテルで洗浄したのち真空下乾燥させ、中間体3を淡黄色の固体として11.4 g、85%収率で得た。

0079

[中間体4]
中間体3 (11.4 g, 54.6 mmol) と五塩化リン(17.1 g, 82.1 mmol) を300 mLのナスフラスコに加えて還流冷却器塩化カルシウム管を装着し、予め160度に加熱した油浴中で4時間加熱撹拌した。油浴を外し、反応混合物が固化するまで撹拌しながら約30分放冷した。200 mLのヘキサンを加えて固体をガラス棒粉砕し、懸濁液を室温で1時間撹拌した。固体を吸引濾取し、200 mLのヘキサンに再懸濁させた。再び固体を吸引濾取し、ヘキサンで入念に洗浄したのちに真空下50度で加熱乾燥させ、中間体4を淡黄色固体として8.80 g、71%収率で得た。

0080

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 8.75 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.80 (d, J = 12.4 Hz, 1H).

0081

[中間体5]
中間体5 (8.80 g, 38.7 mmol) と3-クロロ-4-フルオロアニリン(5.86 g, 40.3 mmol) を2-イソプロパノール200 mLとジクロロメタン100 mLの混合溶媒に懸濁し、室温で3時間撹拌した。溶媒減圧留去したのち、酢酸エチル飽和重曹水を加えた。水層を酢酸エチルで3回抽出したのち、集めた有機層飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3:1ヘキサン-酢酸エチル) によって精製し、中間体5を橙色固体として8.00 g、62%収率で得た。

0082

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 10.49 (s, 1H), 9.57 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.14-8.11 (m, 1H), 7.84 (d, J= 12.5 Hz, 1H), 7.82-7.78 (m, 1H), 7.48 (t, J= 9.0 Hz, 1H).

0083

[中間体6]
窒素雰囲気下中間体5 (3.37 g, 10.0 mmol) とトリメチルシラノールカリウム塩(3.21 g, 25.0 mmol) を40 mLのジメチルホルムアミドに溶解し、室温で10分間撹拌した。これに4-(3-ヒドロキシプロピル)モルホリン(3.46 mL, 25.0 mmol) を加え、60度で5時間加熱撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水を加えた。水層を酢酸エチルで3回抽出したのち、集めた有機層を飽和重曹水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1酢酸エチル-メタノール) によって精製し、黄色固体を得た。この固体を200 mLのエタノールに溶解し、塩化スズ(II) 5.67 g (29.9 mmol) を加えて終夜加熱還流した。室温まで放冷したのち、200 mLの飽和重曹水を加えて室温で20分間撹拌した。クロロホルム-イソプロパノール混合溶媒(5:1) で希釈し、固形物セライト濾別した。有機層を分離し、水層をクロロホルム-イソプロパノール混合溶媒 (5:1) でさらに2回抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄したのち硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。生じた固体を真空下乾燥させ、中間体6を1.41 g、33%収率で得た。

0084

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 9.35 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.17 (dd, J = 6.5, 2.5 Hz, 1H), 7.81-7.75 (m, 1H), 7.36 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 5.32 (s, 2H), 4.17 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.56 (t, J = 4.5 Hz, 4H), 2.51-2.46 (m, 2H), 2.37 (bs, 4H), 1.96 (quint, J = 6.5 Hz, 2H).

0085

[中間体7]
窒素雰囲気下、中間体6 (1.22 g, 2.83 mmol) とBoc-D-プロリン(936 mg, 4.35 mmol) を30 mLのジクロロメタンに溶解した。これにプロピルホスホン酸無水物(T3P、50%酢酸エチル溶液, 2.30 mL, 5.63 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.0 mL, 11.5 mmol)、および4-ジメチルアミノピリジン(78.0 mg, 0.638 mmol) を順次加え、室温で5時間撹拌した。Boc-D-プロリン (306 mg, 1.42 mmol)、T3P (50%酢酸エチル溶液, 1.15 mL, 2.82 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (1.0 mL, 5.75 mmol) を追加し、さらに3時間室温で撹拌した。この反応溶液に対し20 mLの4規定塩酸-酢酸エチル溶液を加え、室温で1時間撹拌した。飽和重曹水で中和したのち水層を酢酸エチルで3回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10:1クロロホルム-メタノール) によって精製し、中間体7を淡褐色固体として1.27 g、85%収率で得た。

0086

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 10.62 (s, 1H), 9.82 (s, 1H), 9.07 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.08-8.04 (m, 1H), 7.77-7.73 (m, 1H), 7.39 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 4.27 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.85-3.76 (m, 1H), 3.57 (t, J = 4.5 Hz, 4H), 3.43 (bs, 1H), 3.05-2.97 (m, 1H), 2.86-2.79 (m, 1H), 2.55 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 2.40 (bs, 4H), 2.13-2.05 (m, 1H), 2.02-1.95 (m, 2H), 1.90-1.82 (m, 1H), 1.71-1.60 (m, 2H).

0087

[NS-062二塩酸塩]
窒素雰囲気下、中間体7 (1.23 g, 2.32 mmol) およびクロロフルオロ酢酸ナトリウム(692 mg, 5.14 mmol) を10 mLのジメチルホルムアミドに溶解した。これにT3P (50%酢酸エチル溶液, 1.89 mL, 4.63 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.62 mL, 9.30 mmol) を順次加え、室温で4時間撹拌した。クロロフルオロ酢酸ナトリウム塩 (312 mg, 2.32 mmol)、T3P (50%酢酸エチル溶液, 0.95 mL, 2.32 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン (0.81 mL, 4.64 mmol) を追加し、室温で終夜撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、飽和重曹水を加え水層を酢酸エチルで3回抽出したのち集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3:1酢酸エチル-メタノール) によって精製し、NS-062を淡褐色非晶質として1.01 g、70%収率で得た。

0088

1H NMR(500MHz,DMSO-d6, a pair of two diastereomers) δ 9.88 and 9.87 (s, 1H), 9.76 and 9.50 (s, 1H), 8.80 and 8.71 (s, 1H), 8.14 and 8.13 (s, 1H), 8.15-8.06 (m, 1H), 7.83-7.75 (m, 1H), 7.46-7.39 (m, 1H), 7.30 and 7.28 (s, 1H), 7.20 and 7.15 (d, J = 48.5 Hz, 1H), 4.86-4.71 (m, 1H), 4.32-4.20 (m, 2H), 3.82-3.70 (m, 1H), 3.65-3.50 (m, 6H), 2.40 (bs, 4H), 2.29-2.17 (m, 1H), 2.15-1.90 (m, 6H).

0089

NS-062 (1.01 g, 1.62 mmol) を50 mLの酢酸エチルと5 mLのメタノールに溶解し、4規定塩酸-酢酸エチル溶液(1.6 mL, 6.4 mmol) を加え室温で15分間撹拌した。溶媒を減圧留去したのち、ジエチルエーテルを加えた。析出した固体を吸引を濾取したのち真空下60度で加熱乾燥させ、NS-062二塩酸塩を淡黄色固体として1.06 g、94%収率で得た。

0090

1H NMR(500MHz,DMSO-d6, a pair of two diastereomers) δ 11.51 (bs, 1H), 11.40 (bs, 1H), 9.96 and 9.94 (s, 1H), 9.12 and 9.07 (s, 1H), 8.89 (s, 1H), 8.00-7.94 (m, 1H), 7.70-7.63 (m, 1H), 7.57-7.49 (m, 2H), 7.27 and 7.19 (d, J = 48.5 Hz, 1H), 5.10-4.92 (m, 1H), 4.4-54.35 (m, 2H), 4.01-3.40 (m, 13H), 2.48-2.40 (m, 2H), 2.39-2.20 (m, 1H), 2.12-1.95 (m, 2H),

0091

NSP-037の合成
下記スキームにより、NSP-037化合物(前記表Bも参照)を合成した。
各中間体の合成手順も含めて、以下に詳しく説明する。

0092

0093

[中間体9]
5-フルオロ-2-ニトロアニソール(8) (5.03 g, 29.4 mmol) を32 mLのアセトンと4 mLの蒸留水に溶解し、亜鉛粉末(8.10 g, 124 mmol) を加えた。氷冷下、塩化アンモニウム17.0 gを徐々に注意深く加え、室温で終夜撹拌した。セライトで固形物を吸引濾過したのち溶媒を減圧留去し、残渣を水と酢酸エチルで希釈した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去したのちシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5:1〜3:1ヘキサン-酢酸エチル) で精製し、中間体9を淡褐色油状物質として2.03 g、50%収率で得た。

0094

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 7.69-7.63 (m, 1H), 6.78 (dd, J = 11.0, 2.0 Hz, 1H), 6.70 (td, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 4.00 (s, 3H).

0095

[中間体10]
中間体9 (2.0 g, 14.2 mmol) に15 mLの濃硫酸を滴下したのち、氷冷下硝酸カリウム(1.52 g, 15.0 mmol) を徐々に加えた。終夜室温で撹拌したのちに反応混合液を氷水に加え、水酸化ナトリウム水溶液塩基性とした。析出した固体を濾取し、濾液をジクロロメタンで2回抽出した。濾取した固体も有機層に溶解させ、飽和食塩水で洗浄したのち硫酸ナトリウムで乾燥させた。これを濾過し、濾液にシリカゲルを加えて溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3:1~2:1ヘキサン-酢酸エチル) で精製し、中間体10を黄色固体として1.90 g、72%収率で得た。

0096

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 7.34 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 5.24 (s, 2H), 3.91 (s, 3H).

0097

[中間体12]
窒素雰囲気下、インドール(132 mg, 1.13 mmol) を脱水1,2-ジクロロエタンに溶解し、氷冷下メチルマグネシウムブロミド(3 Mジエチルエーテル溶液, 5.85 mL, 17.6 mmol) を滴下した。氷冷下30分間撹拌したのち、3 mLのジクロロメタンに溶解した2,4-ジクロロ-5-トリフルオロメチルピリミジン(11) (122 mg, 0.56 mmol) を滴下した。室温で2時間、次いで60度で4時間撹拌し、反応溶液を水と酢酸エチルで希釈した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出して集めた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去したのち残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(4:1~3:1ヘキサン-酢酸エチル) で精製し、中間体12を黄色固体として79.2 mg、47%収率で得た。

0098

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 12.22 (bs, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.26 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.55 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 7.25-7.29 (m, 2H).

0099

[中間体13]
中間体12 (78.0 mg, 0.26 mmol)、中間体10 (51.0 mg, 0.28 mmol)、およびパラトルエンスルホン酸一水和物(55.0 mg, 0.29 mmol) を15 mLの2-ペンタノールに溶解し、終夜加熱還流させた。室温に放冷後、ヘキサンを加えて析出した固体を吸引濾取し、真空下乾燥させて中間体13を黄色固体として84.0 mg、72%収率で得た。

0100

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 11.84 (bs, 1H), 9.26 (s, 1H), 8.73 (s, 1H), 8.55 (d, J = 4.2 Hz, 1H), 7.67 (bs, 1H), 7.46-7.48 (m, 2H), 7.17(t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 6.98 (bs, 1H), 3.95 (s, 3H).

0101

[中間体14]
中間体13 (81.0 mg, 0.18 mmol) とN,N,N’-トリメチルエチレンジアミン(0.10 mL, 0.770 mmol) を5 mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解し、1.5時間120度で加熱撹拌した。室温に放冷したのち飽和重曹水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄したのち硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過ののち溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150:10:1クロロホルム-メタノール-24%アンモニア水) で精製し、中間体14を赤色非晶質として56.3 mg, 59%収率で得た。

0102

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 11.79 (s, 1H), 9.04 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.08-7.99 (m, 2H), 7.85 (s, 1H), 7.44 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.02-6.94 (m, 1H), 6.81 (s, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.35-3.20 (m, 2H), 2.85 (s, 3H), 2.49-2.45 (m, 2H), 2.14 (s, 6H).

0103

[中間体15]
中間体14 (55.0 mg, 0.104 mmol) を9 mLのエタノールと3 mLの水に溶解し、鉄粉末(29.0 mg, 0.519 mmol) および塩化アンモニウム(5.6 mg, 0.104 mmol) を加え2.5時間加熱還流した。溶媒を減圧留去したのち、30 mLのクロロホルムと3 mLのメタノールを加え室温で30分間撹拌した。溶液を濾過し、濾液を硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過ののち溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100:10:1 クロロホルム-メタノール-24%アンモニア水) で精製した。得られた非晶質をジエチルエーテルに溶解し、PTFEメンブレンフィルターで濾過したのち溶媒を減圧留去することで中間体15を黄色固体として30.0 mg、59%収率で得た。

0104

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 11.76 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.12 (bs, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.43 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.14 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.01 (bs, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.76 (s, 1H), 3.66 (s, 3H), 2.92 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 2.63 (s, 3H), 2.48 (t, J= 6.6 Hz, 2H), 2,22 (s, 6H).

0105

[中間体16]
窒素雰囲気下、中間体15 (29.0 mg, 0.0581 mmol) とBoc-L-アラニン(22.0 mg, 0.116 mmol) を3 mLのジクロロメタンに溶解した。これにプロピルホスホン酸無水物(T3P、50%酢酸エチル溶液, 68.4μL, 0.116 mmol) およびジイソプロピルエチルアミン(30.0μL, 0.174 mmol) を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液に飽和重曹水を加え、ジクロロメタン-イソプロパノール混合溶媒(4:1) で2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150:10:1クロロホルム-メタノール-24%アンモニア水) によって精製し、黄色油状物質を得た。
これを1 mLの酢酸エチルに溶解し、4規定塩酸-酢酸エチル溶液 (1.5 mL) を加え室温で30分間撹拌した。飽和重曹水で溶液を塩基性にしたのち、ジクロロメタン-イソプロパノール混合溶媒(4:1) で2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去し、中間体16を黄色非晶質として30.0 mg, 91%収率で得た。

0106

1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 11.74 (s, 1H), 10.17 (bs, 1H), 9.07 (s, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 8.03 (bs, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.41 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.11 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.00 (s, 1H), 6.93 (bs, 1H), 3.74 (s, 3H), 3.40-3.35 (m, 1H), 2.97 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.69 (s, 3H), 2.39 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.14 (s, 6H), 1.21 (d, J = 3.4 Hz, 3H).

0107

[NSP-037]
窒素雰囲気下、中間体16 (29.0 mg, 0.0508 mmol) とクロロフルオロ酢酸ナトリウム(21.0 mg,0.153 mmol) を3 mLのジクロロメタンに溶解した。これにプロピルホスホン酸無水物(T3P、50%酢酸エチル溶液, 90.0μL, 0.153 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(27.0μL, 0.153 mmol)、および4-ジメチルアミノピリジン(3.1 mg, 0.0254 mmol) を順次加え、室温で4.5時間撹拌した。反応溶液に飽和重曹水を加え、酢酸エチルで2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過したのちに溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(150:10:1クロロホルム-メタノール-24%アンモニア水) によって精製したのち、得られた油状物質をPTFEメンブレンフィルターで濾過した。これを少量の酢酸エチルに溶解し、ヘキサンを加えて析出した固体を濾取し、真空下乾燥させることでNSP-037を白色固体として20.0 mg、58%収率で得た。

0108

1H NMR(500MHz,DMSO-d6) δ 11.77 (s, 1H), 9.78 (s, 1H), 9.09 (s, 1H), 9.00 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.05 (bs, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.43 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 7.03 (s, 1H), 6.96 (bs, 1H), 6.78 (d, J = 47.0 Hz, 1H), 4.53-4.48 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.00-2.91 (m, 2H), 2.69 (s, 3H), 2.37-2.35 (m, 2H), 2.20 (s, 6H), 1.34 (d, J = 6.5 Hz, 3H).

実施例

0109

NSP-037は立体異性体の混合物であり、いくつかのピークは二重に重なって観測された。

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