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技術 低α線放出量の酸化第一錫及びその製造方法

出願人 三菱マテリアル株式会社
発明者 平野広隆吉田能弘片瀬琢磨
出願日 2019年7月4日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2019-125029
公開日 2020年2月13日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-023428
状態 未査定
技術分野 電気分解または電気泳動による被覆 重金属無機化合物(I)
主要キーワード 真空梱包 鉛不純物 プロペラ形状 移送管路 メンブレンシステム カソード槽 アノード槽 α崩壊
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図面 (4)

課題

原料錫の210Pb濃度高低に拘わらず、加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下である低α線放出量の酸化第一錫を提供する。

解決手段

大気中で100℃、6時間加熱した後のα線の放出量が0.002cph/cm2以下である酸化第一錫である。不純物として鉛を含む錫を硫酸水溶液に溶解して硫酸錫水溶液を調製するとともにこの水溶液中で硫酸鉛析出させて除去する。硫酸鉛を除去した硫酸錫水溶液を撹拌しながらα線放出量が10cph/cm2以下の鉛を含む硝酸鉛水溶液を添加して、硫酸錫水溶液中で硫酸鉛を析出させ、同時にこの水溶液から硫酸鉛を除去しながら循環させる。硫酸錫水溶液に中和剤を添加して酸化第一錫を採取する。

概要

背景

錫又は錫合金めっき液は、例えばウエハや半導体集積回路チップを搭載する回路基板はんだバンプを形成するのに用いられ、このはんだバンプにより上記チップのような電子部品をウエハや基板接合している。

これまで、こうした電子部品を製造するためのはんだ材料には、鉛(Pb)が環境に影響を及ぼすということから、Pbフリーの錫(Sn)を主たる金属とするはんだ材料、例えばSn−Ag、Sn−Ag−Cu等のSn−Ag系合金に代表されるはんだが使用されている。しかし、Pbフリーのはんだ材料であっても、主たるはんだ材料であるSnからPbを完全に除去することは非常に困難で、Sn中には微量のPbが不純物として含まれる。近年、ますます高密度化及び高容量化している半導体装置は、このPbの同位体である210Pbから生じる210Poから放出されるα線ソフトエラーを引き起こす。このため、この不純物として含まれる210Pbに起因するα線を極力放出しない低α線放出量の錫が求められている。また、現状の市場では、α線放出量は0.002cph/cm2以下の製品が最も普及しており、一つの指標として0.002cph/cm2以下であることが重要視される。また、製品の使用環境多様化に伴い、0.001cph/cm2以下への要求も高まってきている。

上述したSn−Ag系合金を電解めっきする場合、アノードにSnを用いると、AgがSnより貴であるために、アノード面にAgが置換析出する。これを避けるため、Pt等の不溶性アノードを用いて電解めっきする場合が多いが、めっき液の濃度を一定に維持するために、めっき液中のSn成分を補給することが必要になる。

一般に、このSn成分をめっき液に補給する場合、一価酸化第一錫(SnO)の方が金属錫(Sn)や二価酸化第二錫(SnO2)に比べてめっき液への溶解速度が速く、補給液の製造が容易であるため、酸化第一錫がSn成分を補給する材料として好適に用いられている。そして、こうしたSn成分補給用の酸化第一錫に関しても、錫とともに、α線放出量を減少させた酸化第一錫が求められている。

従来、α線放出量を減少させた酸化第一錫及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、請求項3)、特許文献2(請求項1)参照。)。特許文献1には、α線カウント数が0.001cph/cm2以下であり、酸化第二錫(SnO2)を除く純度が99.999%以上であることを特徴とする高純度酸化第一錫が示され、また原料となるSnをアノードとし、電解液として一価のSnと錯体をつくる成分を添加した電解液を用いて電解し、その後中和して酸化第一錫を製造することを特徴とする高純度酸化第一錫の製造方法が示される。

特許文献2には、α線放出量が0.05cph/cm2以下の金属Snを酸に溶解させて酸性水溶液を調製する工程と、前記酸性水溶液を中和させ水酸化第一錫を調製する工程と、前記水酸化第一錫を脱水させ酸化第一錫を作製する工程とを有し、前記酸性水溶液を調製する工程で、溶解後に、α線放出量が0.05cph/cm2以下のSn塊を酸性水溶液に浸漬しておくことを特徴とするSn合金めっき液へのSn成分補給用酸化第一錫粉末の製造方法が示される。

一方、はんだによって基板に接合したチップが使用時に高温環境に曝された場合、使用初期と比較して、ソフトエラーの発生率が上昇する問題が近年報告されている(例えば、非特許文献1(Abstract)参照。)。この報告によれば、ソフトエラーの発生率の上昇は、高温環境下ではんだ材料からのα線放出量が増加することに起因するとされている。

概要

原料錫の210Pb濃度高低に拘わらず、加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下である低α線放出量の酸化第一錫を提供する。大気中で100℃、6時間加熱した後のα線の放出量が0.002cph/cm2以下である酸化第一錫である。不純物として鉛を含む錫を硫酸水溶液に溶解して硫酸錫水溶液を調製するとともにこの水溶液中で硫酸鉛析出させて除去する。硫酸鉛を除去した硫酸錫水溶液を撹拌しながらα線放出量が10cph/cm2以下の鉛を含む硝酸鉛水溶液を添加して、硫酸錫水溶液中で硫酸鉛を析出させ、同時にこの水溶液から硫酸鉛を除去しながら循環させる。硫酸錫水溶液に中和剤を添加して酸化第一錫を採取する。

目的

本発明の目的は、加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下である低α線放出量の酸化第一錫及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

大気中で100℃、6時間加熱した後のα線の放出量が0.002cph/cm2以下であることを特徴とする低α線放出量の酸化第一錫

請求項2

大気中で200℃、6時間加熱した後の前記酸化第一錫のα線の放出量が0.002cph/cm2以下である請求項1記載の低α線放出量の酸化第一錫。

請求項3

不純物として鉛を含む錫を硫酸水溶液に溶解して硫酸錫水溶液を調製するとともに前記硫酸錫水溶液中で硫酸鉛析出させる工程(a)と、前記工程(a)の前記硫酸鉛を含む前記硫酸錫水溶液をフィルタリングして前記硫酸鉛を前記硫酸錫水溶液から除去する工程(b)と、第1槽で、前記工程(b)において前記硫酸鉛を除去した後の硫酸錫水溶液を少なくとも100rpmの回転速度で撹拌しながらα線放出量が10cph/cm2以下の鉛を含む硝酸鉛水溶液を30分以上かけて添加して、前記硫酸錫水溶液中で硫酸鉛を析出させ、同時に前記硫酸錫水溶液をフィルタリングして前記硫酸鉛を前記硫酸錫水溶液から除去しながら、前記第1槽中の全体液量に対する循環流量が少なくとも1体積%/分の割合となるように循環させる工程(c)と、前記工程(c)で得られた硫酸錫水溶液に中和剤を添加して酸化第一錫を採取する工程(d)とを含むことを特徴とする低α線放出量の酸化第一錫の製造方法。

請求項4

前記工程(c)の硝酸鉛水溶液中の硝酸鉛の濃度が10質量%〜30質量%である請求項3記載の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法。

請求項5

前記工程(c)の硝酸鉛水溶液の添加速度が前記硫酸錫水溶液1Lに対して1mg/秒〜100mg/秒である請求項3又は4記載の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、錫又は錫合金めっき液にSn成分を補給する材料として好適に用いられるα線の放出量が極めて少ない低α線放出量の酸化第一錫及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

錫又は錫合金めっき液は、例えばウエハや半導体集積回路チップを搭載する回路基板はんだバンプを形成するのに用いられ、このはんだバンプにより上記チップのような電子部品をウエハや基板接合している。

0003

これまで、こうした電子部品を製造するためのはんだ材料には、鉛(Pb)が環境に影響を及ぼすということから、Pbフリーの錫(Sn)を主たる金属とするはんだ材料、例えばSn−Ag、Sn−Ag−Cu等のSn−Ag系合金に代表されるはんだが使用されている。しかし、Pbフリーのはんだ材料であっても、主たるはんだ材料であるSnからPbを完全に除去することは非常に困難で、Sn中には微量のPbが不純物として含まれる。近年、ますます高密度化及び高容量化している半導体装置は、このPbの同位体である210Pbから生じる210Poから放出されるα線がソフトエラーを引き起こす。このため、この不純物として含まれる210Pbに起因するα線を極力放出しない低α線放出量の錫が求められている。また、現状の市場では、α線放出量は0.002cph/cm2以下の製品が最も普及しており、一つの指標として0.002cph/cm2以下であることが重要視される。また、製品の使用環境多様化に伴い、0.001cph/cm2以下への要求も高まってきている。

0004

上述したSn−Ag系合金を電解めっきする場合、アノードにSnを用いると、AgがSnより貴であるために、アノード面にAgが置換析出する。これを避けるため、Pt等の不溶性アノードを用いて電解めっきする場合が多いが、めっき液の濃度を一定に維持するために、めっき液中のSn成分を補給することが必要になる。

0005

一般に、このSn成分をめっき液に補給する場合、一価の酸化第一錫(SnO)の方が金属錫(Sn)や二価酸化第二錫(SnO2)に比べてめっき液への溶解速度が速く、補給液の製造が容易であるため、酸化第一錫がSn成分を補給する材料として好適に用いられている。そして、こうしたSn成分補給用の酸化第一錫に関しても、錫とともに、α線放出量を減少させた酸化第一錫が求められている。

0006

従来、α線放出量を減少させた酸化第一錫及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、請求項3)、特許文献2(請求項1)参照。)。特許文献1には、α線カウント数が0.001cph/cm2以下であり、酸化第二錫(SnO2)を除く純度が99.999%以上であることを特徴とする高純度酸化第一錫が示され、また原料となるSnをアノードとし、電解液として一価のSnと錯体をつくる成分を添加した電解液を用いて電解し、その後中和して酸化第一錫を製造することを特徴とする高純度酸化第一錫の製造方法が示される。

0007

特許文献2には、α線放出量が0.05cph/cm2以下の金属Snを酸に溶解させて酸性水溶液を調製する工程と、前記酸性水溶液を中和させ水酸化第一錫を調製する工程と、前記水酸化第一錫を脱水させ酸化第一錫を作製する工程とを有し、前記酸性水溶液を調製する工程で、溶解後に、α線放出量が0.05cph/cm2以下のSn塊を酸性水溶液に浸漬しておくことを特徴とするSn合金めっき液へのSn成分補給用酸化第一錫粉末の製造方法が示される。

0008

一方、はんだによって基板に接合したチップが使用時に高温環境に曝された場合、使用初期と比較して、ソフトエラーの発生率が上昇する問題が近年報告されている(例えば、非特許文献1(Abstract)参照。)。この報告によれば、ソフトエラーの発生率の上昇は、高温環境下ではんだ材料からのα線放出量が増加することに起因するとされている。

0009

特許第4975367号公報
特開2012−218955号公報

先行技術

0010

B. Narasimham et al. "Influence of Polonium Diffusion at Elevated Temperature on the Alpha Emission Rate and Memory SER",IEEE, pp 3D-4.1 - 3D-4.8, 2017

発明が解決しようとする課題

0011

上記非特許文献1の報告から、デバイスが高温環境に曝された際にはんだ材料由来のα線放出量の増加がソフトエラーの増加につながることが明らかになり、錫を製造した初期のα線放出量のみならず、高温環境に曝されたときの錫のα線放出量に関しても、初期と変わらないα線放出量であることが必要とされている。具体的には、α線放出量が0.002cph/cm2以下であることが必要とされている。この必要性は、錫のみならず、Sn成分補給用のα線放出量を減少させた酸化第一錫に対しても当てはまる。実際に、初期の錫及びSn成分補給用の酸化第一錫のα線放出量が0.001cph/cm2以下であっても、高温環境下に相当する加熱下では、必要とされる錫の低α線放出量が得られていないことを、本発明者らは確認している。しかしながら、上記特許文献1及び2では、その製造方法で作られた酸化第一錫をめっき液のSn成分補給に用いて、そのめっき液で形成したはんだバンプにより、電子部品を基板等にはんだ接合したときに、はんだ接合後の錫の高温環境下でのα線放出量の議論はなされていない。換言すれば、特許文献1及び2で得られた酸化第一錫をめっき液のSn成分補給に用いた場合、最終的に高温環境に曝されたときの錫のα線放出量が0.001cph/cm2を超えているか、若しくは0.002cph/cm2でさえ超えているおそれがある。

0012

本発明の目的は、加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下である低α線放出量の酸化第一錫及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明の第1の観点は、大気中で100℃、6時間加熱した後のα線の放出量が0.002cph/cm2以下であることを特徴とする低α線放出量の酸化第一錫である。

0014

本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、大気中で200℃、6時間加熱した後の前記酸化第一錫のα線の放出量が0.002cph/cm2以下である低α線放出量の酸化第一錫である。

0015

本発明の第3の観点は、不純物として鉛(Pb)を含む錫(Sn)を硫酸(H2SO4)水溶液に溶解して硫酸錫(SnSO4)水溶液を調製するとともに硫酸錫水溶液中で硫酸鉛(PbSO4)を析出させる工程(a)と、工程(a)の前記硫酸鉛を含む硫酸錫水溶液をフィルタリングして硫酸鉛を硫酸錫水溶液から除去する工程(b)と、第1槽で、工程(b)において硫酸鉛を除去した後の硫酸錫水溶液を少なくとも100rpmの回転速度で撹拌しながらα線放出量が10cph/cm2以下の鉛を含む所定の濃度の硝酸鉛(PbNO3)水溶液を所定の速度で30分以上かけて添加して、硫酸錫水溶液中で硫酸鉛を析出させ、同時に硫酸錫水溶液をフィルタリングして硫酸鉛を硫酸錫水溶液から除去しながら、第1槽中の全体液量に対する循環流量が少なくとも1体積%の割合となるように循環させる工程(c)と、工程(c)で得られた硫酸錫水溶液に中和剤を添加して酸化第一錫(SnO)を採取する工程(d)とを含むことを特徴とする低α線放出量の酸化第一錫の製造方法である。

0016

本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、前記工程(c)の硝酸鉛水溶液中の硝酸鉛の濃度が10質量%〜30質量%である低α線放出量の酸化第一錫の製造方法である。

0017

本発明の第5の観点は、第3又は第4の観点に基づく発明であって、前記工程(c)の硝酸鉛水溶液の添加速度が前記硫酸錫水溶液1Lに対して1mg/秒〜100mg/秒である低α線放出量の酸化第一錫の製造方法である。

発明の効果

0018

本発明の第1の観点の低α線放出量の酸化第一錫は、製造初期及び製造から長時間経過してもα線放出量が上昇しない特長があるとともに、大気中で100℃、6時間加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下のままである。
本発明の第2の観点の低α線放出量の酸化第一錫は、製造初期及び製造から長時間経過してもα線放出量が上昇しない特長があるとともに、大気中で200℃、6時間加熱してもα線放出量が上昇せずに、α線放出量が0.002cph/cm2以下のままである。このため、第1又は第2の観点の低α線放出量の酸化第一錫を錫又は錫合金めっき液にSnを供給するSn供給材料として用いてめっき膜を形成した場合、このめっき膜を高温環境に曝しても、めっき膜からはα線の放出が極めて少なく、ソフトエラーを生じさせにくい。加熱条件を第1の観点の発明で「100℃で6時間」とするのは、実際の使用環境が100℃程度と見込まれるためであり、時間に関しては6時間の加熱で長時間の加熱と同程度の上昇が確認されることから、測定条件を明確にするためである。第2の観点の発明で「200℃で6時間」とするのは、加熱温度が高いほどα線放出量は上昇し易くなるためである。

0019

はんだ材料のα線は210Poから放出されるが、親核種の210Pbが存在するとその半減期に従ってα線放出量が増加していく傾向が良く知られている。このため、α線放出量が時間の経過とともに変化することを確認することはとても重要な要素である。このα線放出量の増加はシミュレーションにより計算可能であり、約828日で最大値を迎える。このため、時間の経過によるα線放出量の変化の有無を確認するためには、828日までの変化を確認することが好ましい。一方、α線放出量は、時間の経過とともに2次曲線的に変化し、1年経過後のα線放出量は最大で変化したときの80%以上の割合で変化する。このため、本発明では、1年後のα線放出量が変化しないことを確認することで時間経過で変化しないことを確認している。

0020

本発明の第3の観点の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法では、不純物として鉛を含む原料錫を硫酸錫水溶液にして、ここで生じる硫酸鉛をフィルタリングで除去する。その後、この原料錫の硫酸錫水溶液を低α線放出量の鉛(210Pb含有量の少ないPb)を含む硝酸鉛水溶液と反応させて硫酸錫水溶液中の高α線放出量の鉛(210Pb含有量の多いPb)イオンを低α線放出量の鉛(210Pb含有量の少ないPb)イオンに置換しながら硫酸鉛として析出させ、フィルタリングにより除去する。この方法では、液相法で、上記原料錫中に含まれる210Pbの濃度を低減する。このため、この方法では、所定の濃度の硝酸鉛水溶液を所定の添加速度で30分以上かけて添加し、かつ硫酸錫水溶液をフィルタリングして硫酸鉛を除去しながら、槽内で循環させるため、原料錫が含んでいる鉛不純物量と最終的な狙いのα線放出量に合わせて、必要な割合で210Pbを低減することが可能である。このため、最終的に得られる上記酸化第一錫は、製造初期で210Pbに起因するα線放出量が特許文献1のα線放出量と同等であっても、製造から長時間経過した後のα線放出量は勿論のこと、大気中で100℃又は200℃で6時間加熱しても、加熱後のα線放出量は初期値から変化しない。また、この方法では、連続的に210Pbの濃度を低減することが可能であるため、理論上どんなに210Pbの濃度が高い原料錫を用いても、低α線放出量の上記酸化第一錫を製造することが可能である。

0021

本発明の第4の観点の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法では、工程(c)の硝酸鉛水溶液中の硝酸鉛の濃度を10質量%〜30質量%にすることにより、原料錫に由来する鉛(210Pb)をより確実に析出させ、除去できるため、上記加熱後の上記酸化第一錫のα線放出量はより一層減少する。

0022

本発明の第5の観点の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法では、工程(c)の硝酸鉛水溶液の添加速度を硫酸錫水溶液1Lに対して1mg/秒〜100mg/秒にすることにより、原料錫に由来する鉛(210Pb)を更により一層確実に析出させ、除去できるため、上記加熱後の上記酸化第一錫のα線放出量は更により一層減少する。

図面の簡単な説明

0023

本実施形態の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
ウラン(U)が崩壊し、206Pbに至るまでの崩壊チェーン(ウラン・ラジウム崩壊系列)を示す図である。
本実施形態の低α線放出量の酸化第一錫の製造装置の一部を示す図である。

0024

次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。

0025

α線を放出する放射性元素は数多く存在するが、多くは半減期が非常に長いか非常に短いために実際には問題にならない。実際に問題になるのは、図2破線の枠内に示すように、α線は、U崩壊チェーンにおける、210Pb→210Bi→210Poのようにβ崩壊した後のポロニウムの同位体210Poから鉛の同位体206Pbにα崩壊する時に放出する放射線一種である。特に、はんだに用いる錫のα線の放出メカニズムに関しては過去の調査によりこのことが明らかとなっている。ここでは、Biは半減期が短いため、管理上無視することができる。要約すると、錫のα線源は主に210Poであるが、その210Poの放出源である210Pbの量がα線の放出量に起因している。

0026

先ず、本発明の実施形態の低α線放出量の酸化第一錫の製造方法を図1に示す工程の順に、また図3に示す製造装置に基づいて説明する。

0027

<工程(a)と工程(b)>
金属原料
本発明の実施形態の低α線放出量の酸化第一錫(SnO)を得るための金属原料は錫であって、この原料錫は、不純物のPb含有量やα線放出量の多寡によってその選定束縛されない。例えばPb濃度が320質量ppm程度含まれ、Pbによるα線放出量が9cph/cm2程度である市販品の錫のような金属でも、以下に述べる製造方法と製造装置で最終的に得られる酸化第一錫は、大気中で100℃又は200℃で6時間加熱した後のα線放出量を0.002cph/cm2以下にすることができる。なお、上記原料錫の形状は限定されず、粉末状であっても塊状であってもよい。溶解速度を速めるには、水素イオン交換膜を用いて電解溶出する方法もある。

0028

〔硫酸錫水溶液の調製と硫酸鉛の析出分離
図1に示す工程(a)と工程(b)では、図3に示すように、硫酸錫調製槽11に供給口11aから硫酸水溶液(H2SO4)を入れて槽11に貯えておき、そこに供給口11bから原料錫を添加して、撹拌機12で撹拌することにより、上記原料錫を硫酸水溶液に溶解して原料錫の硫酸錫(SnSO4)水溶液13を調製する。この時、硫酸錫調製槽11では、上記原料錫中の鉛(Pb)が硫酸鉛(PbSO4)となって析出する。硫酸錫調製槽11の底部に硫酸鉛(PbSO4)が沈殿している場合もある。硫酸錫調製槽11の外部に設けられたポンプ14により、硫酸錫水溶液をフィルター16に通して(以下、フィルタリングという。)、また移送管路17を経由して次の第1槽21に移送する。フィルター16により硫酸錫調製槽11内で析出した硫酸鉛は硫酸錫水溶液から除去される。フィルター16としてはメンブレンフィルターが好ましい。フィルターの孔径は0.1μm〜10μmの範囲が好ましく、0.2μm〜1μmの範囲が更に好ましい。硫酸鉛は不純物を含んでいてもよい。

0029

<工程(c)>
〔鉛(210Pb)の低減〕
図1に示す工程(c)において、図3に示す第1槽21には、ポンプ14により移送され、硫酸鉛が除去された硫酸錫水溶液23が貯えられる。この硫酸錫水溶液23が第1槽21に所定量貯えられたところで、第1槽21において、供給口21aから10cph/cm2以下の低α線放出量の鉛(Pb)を含む所定の濃度の硝酸鉛水溶液を添加して、撹拌機22で少なくとも100rpmの回転速度(撹拌速度)で硫酸錫水溶液23を撹拌する。ここでは、硫酸鉛を除去した上記原料錫の硫酸錫水溶液23を、好ましくは温度10℃〜50℃、更に好ましくは20℃〜40℃に調整して低α線放出量の鉛(Pb)を含む硝酸鉛水溶液を所定の速度で30分以上かけて添加する。これにより、硫酸錫水溶液中で硫酸鉛(PbSO4)が析出する。硫酸鉛(PbSO4)が第1槽21の底部に沈殿する場合もある。この硝酸鉛水溶液は、例えば表面α線放出量が10cph/cm2、純度が99.99%のPbを硝酸水溶液に混合して調製される。上記により、上記原料錫に含まれていた高α線放出量の原因である不純物の放射性同位体の鉛(210Pb)及び安定同位体の鉛(Pb)イオンが液中で混合した後に取り除かれ、液中の放射性同位体の鉛(210Pb)の含有量が徐々に低減される。なお、上記原料錫の硫酸錫水溶液中の硫酸錫の濃度としては、100g/L以上250g/L以下とすることが好ましく、150g/L以上200g/L以下とすることが更に好ましい。硫酸錫水溶液中の硫酸(H2SO4)濃度としては10g/L以上50g/L以下とすることが好ましく、20g/L以上40g/L以下とすることが更に好ましい。

0030

硫酸錫水溶液の撹拌速度が100rpm未満では、硫酸錫水溶液と硝酸鉛水溶液中の鉛イオンが十分に混合される前に硫酸鉛として析出してしまうため、硫酸錫水溶液中の放射性同位体の鉛(210Pb)イオンを安定同位体の鉛(Pb)イオンに置換できない。撹拌速度の上限値は、液が撹拌によって飛散しない程度の回転速度であり、反応槽である第1槽21の大きさ、撹拌機22の羽根のサイズ、形状によって決められる。ここで、第1槽21の大きさとしては直径1.5m程度の円柱形容器を用いることができ、撹拌機22の羽根の大きさは、半径が0.5m程度(直径が1m程度)であり、形状はプロペラ形状のものを用いることができる。

0031

硝酸鉛水溶液に含まれる鉛のα線放出量は、10cph/cm2以下の低α線放出量である。このα線放出量を10cph/cm2以下としたのは、最終的に得られる酸化第一錫のα線放出量を0.002cph/cm2以下にすることができないからである。また硝酸鉛水溶液中の硝酸鉛の濃度は、10質量%〜30質量%であることが好ましい。10質量%未満では、硫酸錫水溶液と硝酸鉛水溶液との反応時間が長引いて製造効率が悪化し易く、30質量%を超えると、硝酸鉛が効率的に活用されず、無駄になり易い。

0032

硝酸鉛水溶液の添加速度は、硫酸錫水溶液1Lに対して1mg/秒〜100mg/秒であることが好ましく、1mg/秒〜10mg/秒であることが更に好ましい。この添加速度は、硝酸鉛水溶液中の硝酸鉛濃度に依存する一方、1mg/秒未満では、硫酸錫水溶液と硝酸鉛水溶液との反応時間が長引いて製造効率が悪化し易く、100mg/秒を超えると、硝酸鉛が効率的に活用されず、無駄になり易い。更に硝酸鉛水溶液を添加するのに30分以上かけるのは、硝酸鉛水溶液の濃度及び添加速度を高めても、放射性同位体の鉛(210Pb)の低減は、一定の割合でしか進行せず、十分に低減させるのに一定の時間をかけて添加する必要があるからである。このため、添加時間が30分未満であると、上記原料錫のα線放出量を所望の値まで低下させることができない。

0033

図3に戻って、図1に示すこの工程(c)では、上記添加と同時に、第1槽21内の温度10℃〜50℃の硫酸錫水溶液23は第1槽21の外部に設けられたポンプ24により、フィルター26を通して、循環管路27に送られるか、或いは移送管路28を経由して、図示しない次の第2槽に移送される。循環管路27及び移送管路28には、それぞれ開閉バルブ27a及び28aが設けられる。ポンプ24を稼働させて、第1槽21でフィルター26により、残存する硫酸鉛(PbSO4)を硫酸錫水溶液23から除去しながら、バルブ27aを開放し、バルブ28aを閉止することにより、第1槽中の全体液量に対する循環流量が少なくとも1体積%の割合で硫酸錫水溶液23を循環管路27を通して循環させる。すなわち、1分間当たり第1槽中の全体液量の1体積%以上が循環するようにする。例えば、第1槽中の全体液量が100Lであった場合には、1L/分以上で循環させる。この硫酸錫水溶液の循環により、液中の余分な硫酸鉛が除去され、硫酸錫水溶液中の放射性同位体の鉛(210Pb)イオンと安定同位体の鉛(Pb)イオンの置換がスムーズに行われる。循環流量を少なくとも1体積%/分(1体積%/分以上)にするのは、1体積%/分未満では、フィルター26を通過する硫酸錫水溶液の液量が僅かになり、液中に浮遊する硫酸鉛のフィルター26における捕集効率が低下するため、硫酸錫水溶液中に硫酸鉛が大量の残留してしまい、硫酸錫水溶液中の放射性同位体の鉛(210Pb)イオンと安定同位体の鉛(Pb)イオンの置換がスムーズに行われない。循環流量は、ポンプ24及び循環管路27に設置された流量計(図示せず)により調節される。循環流量は5体積%/分以上とすることが好ましい。循環流量は50体積%/分以下とすることが好ましく、30体積%/分以下とすることが更に好ましい。フィルター26は上述したメンブレンフィルターを用いることができる。工程(c)では、第1槽21内において、窒素ガスなどの不活性ガスバブリングしながら硫酸錫水溶液23を循環させてもよい。バブリングしながら硫酸錫水溶液23を循環させることで、液中のSn4+の発生を抑制することができる。これにより、後述する工程(d)で得られる酸化第一錫中に含まれるSn4+の割合を低下させることができるため、この酸化第一錫をめっき液に補給する際に、めっき液でのスラッジの発生やめっき液の懸濁を抑制することができる。この不活性ガスの流量は5L/分以上30L/分以下とすることが好ましい。

0034

<工程(d)>
〔酸化第一錫(SnO)の採取〕
続いて、図1に示す工程(d)では、鉛(210Pb)が低減した硫酸錫水溶液に中和剤を添加して、これを不活性ガス雰囲気下、例えば窒素ガス雰囲気下でろ過のような固液分離を行い、分離したスラリーの酸化第一錫前駆体を純水で水洗する。水洗後、再度固液分離して、再度水洗する。これを3回〜5回繰り返す。最終的に固液分離された酸化第一錫を20℃以上の温度で真空乾燥することにより粉末状の酸化第一錫(SnO)を得る。中和剤としては、炭酸水素ナトリウム水酸化ナトリウム炭酸水素カリウム水酸化カリウム炭酸水素アンモニウムアンモニア水等が例示される。不活性ガス雰囲気下で固液分離や水洗を行うのは、スラリー中の酸化第一錫前駆体が酸化第二錫に酸化しないようにするためである。また酸化第一錫を真空乾燥するのも、酸化第一錫が酸化第二錫に酸化しないようにするためである。

0035

上記実施形態で得られた粉末状の酸化第一錫は、製造初期及び製造から長時間経過した後のα線放出量が0.002cph/cm2以下であるとともに、大気中で100℃又は200℃で、6時間加熱してもα線放出量が0.002cph/cm2以下である特徴を有する。

0036

次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。

0037

<実施例1>
金属原料としてα線放出量が10cph/cm2でPb濃度が15ppmの市販のSn粉末を用いて、これを硫酸錫調製槽に貯えられた、濃度130g/Lの硫酸水溶液に添加混合して、50℃で溶解して200g/L(硫酸錫として)の硫酸錫水溶液1m3を調製した。硫酸錫水溶液の硫酸(H2SO4)濃度は約40g/Lとなる。これにより金属原料の錫に含まれていたPbが硫酸鉛として析出した。硫酸錫水溶液をユアサメンブレンシステム社製のメンブレンフィルター(孔径:0.2μm)を通してろ過し、硫酸鉛を除去した。次いで第1槽で、硫酸鉛を除去した硫酸錫水溶液を40℃に調整した後、100rpmの回転速度で撹拌しながら、この水溶液にα線放出量が10cph/cm2のPbを含む硝酸鉛水溶液(硝酸鉛濃度:20質量%)を1mg/秒・L(1000mg/秒)の速度で30分かけて添加した。なお、第1槽としては、羽根の大きさが、半径0.5m程度(直径1m程度)のプロペラ形状の攪拌機を有する直径1.5mの円柱形の容器を用いた。この添加と同時に硫酸錫水溶液を上記と同一のメンブレンフィルターに通して硫酸鉛を硫酸錫水溶液から除去するとともに、第1槽で10L/分の速度で窒素バブリングしながら、第1槽中の全体液量に対する循環流量が1体積%/分の割合になるように硫酸錫水溶液を循環させた。その後、硫酸錫水溶液を第1槽からフィルタリングした後の硫酸錫水溶液に、窒素ガス雰囲気下で直接炭酸水素ナトリウムを中和剤として添加して、得られたスラリーをろ過した。窒素ガス雰囲気下でろ過により得られた固形分を純水で洗浄した。ろ過と水洗を3回繰り返した後、固形分を20℃以上の温度で真空乾燥することにより粉末状の酸化第一錫を得た。

0038

上記実施例1の製造条件を以下の表1に示す。なお、硝酸鉛水溶液の添加速度は、硫酸錫水溶液1Lに対する添加速度である。硝酸鉛水溶液の全添加量は、硫酸錫水溶液1Lに対する添加量である。

0039

0040

<実施例2〜16及び比較例1〜7>
実施例2〜16及び比較例1〜7では、実施例1で述べた原料錫、硫酸錫水溶液の撹拌速度・循環流量、硝酸鉛水溶液のPbのα線放出量、硝酸鉛濃度、添加速度、添加時間、全添加量を上記表1に示すように変更した。以下、実施例1と同様にして、最終製品である酸化第一錫を得た。

0041

<比較例8>
比較例8では、本明細書の背景技術に記載した特許文献1の実施例2に準じた方法で、酸化第一錫を得た。具体的には、4Nレベルの原料錫(Sn)をアノードとした。電解液としては、硫酸アンモニウム溶液を用い、pH6〜pH7に調整した。錯イオン形成剤として、メタンスルホン酸を添加し、pH3.5とした。これを電解温度20℃、電流密度1A/dm2という条件で電解を行った。電解により、酸化第一錫(SnO)が析出した。これをろ過し、乾燥することにより電解後の精製を行い、最終的にα線放出量が0.001cph/cm2の粉末状の酸化第一錫を得た。

0042

<比較例9>
比較例9では、本明細書の背景技術に記載した特許文献2の実施例に準じた方法で、酸化第一錫を得た。具体的には、先ず、以下の条件の電解法により酸性水溶液を作製した。
Sn板:180×155×1mm、約200g、α線放出量:0.002cph/cm2以下、純度:99.995%以上
槽:隔膜電解槽
アノード槽:3.5N(3.5mol/L)の塩酸を2.5L使用
カソード槽:3.5N(3.5mol/L)の塩酸を2.5L使用
電解量:2V定電圧で30h電解する。
電解終了後の目標Sn組成:200g/L
電解終了後のHCl濃度規定度1N(1mol/L)

0043

Sn4+低減処理として、電解後、Sn板(180×155×1mm、約200g、α線放出量:0.002cph/cm2以下、純度:99.995%以上)を80℃で3日間、酸性水溶液に浸漬して還流処理電解槽(アノード槽、カソード槽)からオーバーフローした液をポンプで電解槽内に再び戻す処理)したと共に、液量が半分になるまでの煮沸と、煮沸の後に純水で希釈して元の液量に戻すこととを繰り返し、塩酸濃度を0.5N(0.5mol/L)以下とするFA(Free Acid:遊離酸)低減処理を実施した。

0044

次いで、以下の条件で酸性水溶液を中和して水酸化第一錫を調製した。
雰囲気:N2ガス
アルカリ水溶液:40質量%炭酸アンモニウム水溶液
酸性水溶液の液温:30℃〜50℃
中和時の水溶液のpH:6〜8

0045

次に、以下の条件で水酸化第一錫を脱水させた。
雰囲気:N2ガス
液温:80℃〜100℃
時間:1時間〜2時間
また、濾過は、吸引濾過方式で行い、水洗は、温水(70℃)で2回、純水で1回行った。更に、25℃で1晩、真空乾燥を行い、粉末状の酸化第一錫を得た。

0046

比較試験及び評価>
実施例1〜16及び比較例1〜9で得られた25種類の最終製品である酸化第一錫について、次に述べる方法で、酸化第一錫中のPb濃度及びこのPbによるα線放出量を加熱前と加熱後と加熱し徐冷してから1年経過した後で測定した。この結果を、以下の表2に示す。

0047

(a)酸化第一錫中のPb濃度
酸化第一錫中のPb濃度は、粉末状の酸化第一錫を試料とし、これを熱塩酸に溶解し、得られた液をICP(プラズマ発光分光分析装置定量下限:1質量ppm)で分析し、不純物Pb量を測定した。

0048

(b)酸化第一錫中のPbによるα線放出量
初めに、得られた粉末状の酸化第一錫を加熱前の試料1とした。この加熱前の試料1から放出されるα線放出量をアルファサイエンス社製ガスフロー式α線測定装置(MODEL−1950、測定下限:0.0005cph/cm2)で96時間測定した。この装置の測定下限は0.0005cph/cm2である。この時のα線放出量を加熱前のα線放出量とした。次に、加熱前で測定した試料1を大気中、100℃で6時間加熱した後、室温まで徐冷して試料2とした。この試料2のα線放出量を試料1と同様の方法で測定した。この時のα線放出量を「加熱後(100℃)」とした。次に、α線放出量の測定が終わった試料2を大気中、200℃で6時間加熱した後、室温まで徐冷して試料3とした。この試料3のα線放出量を試料1と同様の方法で測定した。この時のα線放出量を「加熱後(200℃)」とした。更に試料3をコンタミネーションを防ぐために真空梱包して1年間保管して試料4とし、この試料4のα線放出量を試料1と同様の方法で測定した。この時のα線放出量を「1年後」とした。

0049

0050

表2から明らかなように、比較例1では、硝酸鉛水溶液を添加する際の硫酸錫水溶液の撹拌速度を50rpmにしたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0007cph/cm2であったが、100℃での加熱後は0.0021cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0025cph/cm2に、更に1年後では0.0112cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0051

比較例2では、硝酸鉛水溶液を添加中及び添加後における硫酸錫水溶液の循環流量を0.5体積%/分にしたために、原料中の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0005cph/cm2未満であったが、100℃での加熱後は0.0023cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0027cph/cm2に、更に1年後では0.0152cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0052

比較例3では、硝酸鉛水溶液の硝酸鉛濃度を40質量%と高くしたにも拘わらず、添加時間を20分間にしたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0005cph/cm2未満であったが、100℃での加熱後は0.0024cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0023cph/cm2に、更に1年後では0.0039cph/cm2に、増加していた。

0053

比較例4では、硝酸鉛水溶液の硝酸鉛濃度を20質量%にして、添加時間を20分間にしたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0005cph/cm2未満であったが、100℃での加熱後は0.0021cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0027cph/cm2に、更に1年後では0.0032cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0054

比較例5では、硝酸鉛水溶液の添加速度を10mg/秒に速めたにも拘わらず、添加時間を20分間にしたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0005cph/cm2であったが、100℃での加熱後は0.0022cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0023cph/cm2に、更に1年後では0.0035cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0055

比較例6では、硝酸鉛水溶液の添加速度を100mg/秒に速めたにも拘わらず、添加時間を20分間にしたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0005cph/cm2未満であったが、100℃での加熱後は0.0025cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0025cph/cm2に、更に1年後では0.0031cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0056

比較例7では、硝酸鉛水溶液に含まれるPbのα線放出量が12cph/cm2である硝酸鉛水溶液を用いたために、原料錫の放射性同位体の鉛(210Pb)が十分に低減されず、加熱前の金属錫のα線放出量は0.0006cph/cm2であったが、100℃での加熱後は0.0023cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0025cph/cm2に、更に1年後では0.0056cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0057

比較例8の特許文献1の実施例1に記載された条件で作られた金属錫のα線放出量は、加熱前は0.0006cph/cm2であったが、100℃での加熱後は0.0022cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0026cph/cm2に、更に1年後では0.0052cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0058

比較例9の特許文献2の実施例1に記載された条件で作られた金属錫のα線放出量は、加熱前は0.0009cph/cm2であったが、100℃での加熱後は0.0027cph/cm2に、また200℃での加熱後は0.0029cph/cm2に、更に1年後では0.0082cph/cm2に、それぞれ増加していた。

0059

これに対して、本発明の第5の観点の製造条件を満たした実施例1〜16で得られた金属錫は、加熱前の金属錫のα線放出量は、0.0005cph/cm2未満であった。また100℃での加熱後の金属錫のα線放出量は、0.0005cph/cm2未満であり、200℃での加熱後の金属錫のα線放出量は、0.0005cph/cm2未満であった。更に1年後の金属錫のα線放出量は、0.0005cph/cm2未満であった。

実施例

0060

すなわち、実施例1〜16で得られた金属錫は、加熱前のα線放出量は0.002cph/cm2未満であり、100℃での加熱後のα線放出量は0.002cph/cm2以下であり、200℃での加熱後のα線放出量は0.002cph/cm2以下であり、1年後の金属錫のα線放出量は、0.002cph/cm2未満であった。

0061

本発明の低α線放出量の酸化第一錫は、α線の影響によりソフトエラーが問題視される半導体装置の半導体チップ接合用はんだバンプを形成するための錫又は錫合金めっき液のSn成分補給用として利用することができる。

0062

11硫酸錫調製槽
12, 22攪拌機
13 硫酸錫水溶液
14, 24ポンプ
16, 26フィルター
17, 28移送管路
21 第1槽
23 硫酸錫水溶液
27 循環管路

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