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技術 3次元造形装置用の造形材料のホットエンド

出願人 谷口秀夫
発明者 谷口秀夫
出願日 2019年3月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-055384
公開日 2020年2月13日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-023146
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし)
主要キーワード 直接通路 多角形筒 供給側通路 融点金属類 ホットエンド 直上付近 取り付け治具 機械的係合
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

次元造形装置用の造形材料ホットエンドにおける造形材料の詰まりの防止を図ると共に、省エネルギー化を図る。

解決手段

3次元造形装置用の造形材料のホットエンドが、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ供給された造形材料を融解する融解部、融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、供給部と融解部との間であって融解部の熱が供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び供給口と吐出口とを連通する通路を備えており、融解部と断熱部との間に、融解部を加熱部材により造形材料を融解する温度に加熱したときに、造形材料の融点よりも低い通路内温度とされた、前記通路の長さ方向に延びる領域からなる温度調整部が設けられている。

概要

背景

近年、コンピュータを利用して3次元プリンタにより立体造形物を製造することが盛んに行われている。このような立体造形物を製造するホットエンドとして、例えば図9に示されるような構造のものが知られている(例えば非特許文献1参照)。このホットエンドは、ヒータブロック103の一端側に吐出部101aを突出するようにノズル101がねじ込まれ、ヒータブロック103の他端側に造形材料の供給部を有するバレル102がねじ込まれた構造を備えている。このバレル102にワイヤ状の造形材料(フィラメント)が挿入され、一定ピッチ送り込まれることによって、ヒータブロック103により造形材料が加熱融解されて吐出部101aに流動し、吐出部101aから吐出されるようになっている。このとき、フィラメントは、制御信号によって、バレル102に必要に応じた量が送り込まれることで、吐出部101aから必要な量が吐出され、この吐出部101aの位置が、造形物を形成する造形テーブル(図示せず)とxyz方向に相対的に移動することにより、吐出された造形材料を積層していき所望の3次元造形物が形成される。

上述のホットエンドでは、ノズル101内で適当な融解温度に保つために、ヒータブロック103によりノズル101とバレル102の境界部を加熱している。しかし、この境界部を加熱するとホットエンド全体の温度が上昇することから、そのままではバレル102の上部でもフィラメントが融解されてフィラメントを押圧できず吐出口101aから吐出できなくなる。そこで、バレル102においてフィラメントが溶けないように、バレル102の上部に放熱フィン(図示せず)を設け、ファンによって強制的に冷却することが行われている。

概要

次元造形装置用の造形材料のホットエンドにおける造形材料の詰まりの防止をると共に、省エネルギー化をる。3次元造形装置用の造形材料のホットエンドが、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ供給された造形材料を融解する融解部、融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、供給部と融解部との間であって融解部の熱が供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び供給口と吐出口とを連通する通路を備えており、融解部と断熱部との間に、融解部を加熱部材により造形材料を融解する温度に加熱したときに、造形材料の融点よりも低い通路内温度とされた、前記通路の長さ方向に延びる領域からなる温度調整部が設けられている。

目的

本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、造形材料を供給する通路の詰まりを防止して良好に造形可能な信頼性の高いホットエンドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドであって、前記融解部と前記断熱部との間に、前記融解部を前記加熱部材により前記造形材料を融解する温度に加熱したときに、当該造形材料の融点よりも低い通路内温度とされた、前記通路の長さ方向に延びる領域からなる温度調整部を設けたことを特徴とするホットエンド。

請求項2

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドであって、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍に、該境界部又は境界部近傍の周囲を覆う金属ブロックを取り付けたことを特徴とするホットエンド。

請求項3

前記温度調整部の温度を監視する温度監視手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のホットエンド。

請求項4

前記金属ブロックの温度を監視する温度監視手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のホットエンド。

請求項5

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドであって、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍の温度を監視する温度監視手段を設けたことを特徴とするホットエンド。

請求項6

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドの詰まり防止方法であって、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍の温度を、前記造形材料の種類に応じた所定温度又は該所定温度以下に温度制御することを特徴とするホットエンドの詰まり防止方法。

請求項7

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を有するヘッド本体を備える3次元造形装置用のホットエンドであって、前記融解部よりも前記供給口側において前記ヘッド本体の周壁を覆う金属ブロックを備え、前記金属ブロックは、前記通路の長さ方向に前記ヘッド本体の周壁に沿って移動可能とされていることを特徴とするホットエンド。

請求項8

造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を有するヘッド本体を備える3次元造形装置用のホットエンドであって、前記加熱部材が取り付けられた領域から前記供給部側へ向かう所定幅の領域の温度分布を調整する又は変化させる機能を有する温度分布調整部を設けたことを特徴とするホットエンド。

請求項9

前記温度分布調整部は、前記通路の長さ方向に前記ヘッド本体の周壁に沿って移動可能とされた金属ブロックであることを特徴とする請求項8に記載のホットエンド。

技術分野

0001

本発明は、3次元造形装置(3次元プリンタ)用の造形材料吐出ヘッドホットエンド)に関する。

背景技術

0002

近年、コンピュータを利用して3次元プリンタにより立体造形物を製造することが盛んに行われている。このような立体造形物を製造するホットエンドとして、例えば図9に示されるような構造のものが知られている(例えば非特許文献1参照)。このホットエンドは、ヒータブロック103の一端側に吐出部101aを突出するようにノズル101がねじ込まれ、ヒータブロック103の他端側に造形材料の供給部を有するバレル102がねじ込まれた構造を備えている。このバレル102にワイヤ状の造形材料(フィラメント)が挿入され、一定ピッチ送り込まれることによって、ヒータブロック103により造形材料が加熱融解されて吐出部101aに流動し、吐出部101aから吐出されるようになっている。このとき、フィラメントは、制御信号によって、バレル102に必要に応じた量が送り込まれることで、吐出部101aから必要な量が吐出され、この吐出部101aの位置が、造形物を形成する造形テーブル(図示せず)とxyz方向に相対的に移動することにより、吐出された造形材料を積層していき所望の3次元造形物が形成される。

0003

上述のホットエンドでは、ノズル101内で適当な融解温度に保つために、ヒータブロック103によりノズル101とバレル102の境界部を加熱している。しかし、この境界部を加熱するとホットエンド全体の温度が上昇することから、そのままではバレル102の上部でもフィラメントが融解されてフィラメントを押圧できず吐出口101aから吐出できなくなる。そこで、バレル102においてフィラメントが溶けないように、バレル102の上部に放熱フィン(図示せず)を設け、ファンによって強制的に冷却することが行われている。

先行技術

0004

門田和雄著、「3Dプリンタではじめるデジタルモノづくり」、日刊工業新聞社、103頁

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、従来のホットエンドでは、造形(吐出)を停止したり、再開したりしているうちに通常はフィラメントが融解されない供給側の領域において詰まり現象が生じる恐れがある。これは、ホットエンドの吐出口101a近傍流路通路)径がフィラメント径よりも小さく、しかもフィラメントとホットエンドの供給側通路との間に隙間があるため、フィラメントを押し込むことで溶融したフィラメントが通路の供給側へ逆流し、固化することが原因と考えられる。つまり、従来のホットエンドのように、バレル102でのフィラメントの融解を予防するために放熱フィンなどによって冷却したとしても、吐出を停止又は一時停止したときに融解したフィラメントがバレル102側へ移動し、バレル102内の通路に詰まりが生じ、吐出(積層)ができなくなる。

0006

本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、造形材料を供給する通路の詰まりを防止して良好に造形可能な信頼性の高いホットエンドを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、ホットエンドの通路の詰まり防止方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、3次元造形装置用のホットエンドにおいて、造形材料を融解する融解部の直上付近の所定領域の通路の温度を、造形材料の融点よりも低い温度にした、一定温度の領域を形成したときには、造形材料の吐出と停止を繰り返した場合であっても、ホットエンドの通路の詰まりが生じにくいことを見出した。また、本発明者は、融解部の直上付近の所定幅領域の温度分布温度勾配)を、用いる造形材料の種類(物性)に合ったものにすることで、ホットエンドの通路の詰まりを軽減できることを見出した。

0008

すなわち、本発明は、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドであって、前記融解部と前記断熱部との間に、前記融解部を前記加熱部材により前記造形材料を融解する温度に加熱したときに、当該造形材料の融点よりも低い通路内温度とされた、前記通路の長さ方向に延びる領域からなる温度調整部を設けたことを特徴とするホットエンドに係る。

0009

また、本発明は、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドであって、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍に、該境界部又は境界部近傍の周囲を覆う金属ブロックを取り付けたことを特徴とするホットエンドに係る。

0010

これら本発明のホットエンドによれば、融解部が加熱されて造形材料の融点よりも高い温度とされ、供給口側へ向かって温度調整部又は金属ブロックでは造形材料の融点以下の温度に低下されフラットな温度領域を形成でき、さらに断熱部から供給部へ向かってさらに温度が低下され、供給部では造形材料であるフィラメントに影響のない低温にまで低下されることになる。よって、造形材料を供給する通路の詰まりを防止して良好に連続造形可能な信頼性の高いホットエンドを実現することができる。

0011

本発明のホットエンドにおいて、温度調整部又は金属ブロックの温度を監視する温度監視手段を設けるようにしてもよい。温度監視手段を設けることによって、温度調整部又は金属ブロックの温度をモニターでき、場合によっては温度制御を行うことができる。

0012

また、本発明の3次元造形装置用の造形材料のホットエンドは、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備え、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍の温度を監視する温度監視手段を設けたことを特徴とする。

0013

また、本発明の3次元造形装置用の造形材料のホットエンドの詰まり防止方法は、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、前記供給部と前記融解部との間であって、前記融解部の熱が前記供給部へ伝導するのを抑制する断熱部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を備える3次元造形装置用の造形材料のホットエンドの詰まり防止方法であって、前記融解部と前記断熱部との境界部又は境界部近傍の温度を、前記造形材料の種類に応じた所定温度又は該所定温度以下に温度制御することを特徴とする。

0014

これら本発明によれば、造形材料の吐出(造形動作)に支障を来たす通路の詰まりが発生しやすい、断熱部と融解部の境界部又は境界部近傍、或いは断熱部と融解部との間の温度を調整及び/又は監視しながらホットエンドを使用することが可能となる。さらに、造形動作においてこの境界部又は境界部近傍等の温度を制御しながらホットエンドを使用することが可能となるので、造形材料の詰まりを軽減若しくは予防することができて、良好な連続的な造形動作を実現できる信頼性の高いホットエンドを提供することができる。また、簡単で、実用性の高い造形材料による通路の詰まり防止方法を提供することができる。

0015

さらに、本発明は、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を有するヘッド本体を備える3次元造形装置用のホットエンドであって、前記融解部よりも前記供給口側において前記ヘッド本体の周壁を覆う金属ブロックを備え、前記金属ブロックは、前記通路の長さ方向に前記ヘッド本体の周壁に沿って移動可能とされていることを特徴とするホットエンドに係る。

0016

このようなヘッド本体の周壁に沿って移動可能な金属ブロックを備えることによって、加熱部材が取り付けられた領域から供給部側へ向かう所定幅の領域の、通路の長さ方向の温度分布(温度勾配)を調整又は変化させることができ、造形材料の種類や特性(物性)に応じた適切な温度勾配に近づけることができ、ホットエンドの供給部側の通路内で造形材料の詰まりが発生することを軽減することができる。また、その結果、複数種類の造形材料であっても一のホットエンドで造形することができる。

0017

また、本発明は、造形材料の供給口を有する供給部、加熱部材が取り付けられ、供給された前記造形材料を融解する融解部、前記融解された造形材料を吐出する吐出口を有する吐出部、及び前記供給口と前記吐出口とを連通する通路、を有するヘッド本体を備える3次元造形装置用のホットエンドであって、前記加熱部材が取り付けられた領域から前記供給部側へ向かう所定幅の領域の温度分布を調整する又は変化させる機能を有する温度分布調整部を設けたことを特徴とするホットエンドに係る。

0018

また、本発明のホットエンドにおいて、前記温度分布調整部は、前記通路の長さ方向に前記ヘッド本体の周壁に沿って移動可能とされた金属ブロックとすることができる。

0019

本明細書において「温度分布」とは、温度勾配をも包含する広い概念である。この温度分布調整機能部を設けることによって、加熱部材が取り付けられた領域から供給部側へ向かう所定幅の領域の、通路の長さ方向の温度分布(温度勾配)を造形材料の種類や特性(物性)に応じて適切な温度勾配に近づけるよう調整又は変化させることができるので、ホットエンドの供給部側の通路内で造形材料の詰まりが発生することを軽減することができる。その結果、複数種類の造形材料であっても一のホットエンドで造形することができる。

発明の効果

0020

本発明によれば、造形材料の吐出(造形動作)に支障を来たす通路の詰まりを軽減でき、良好な造形動作を実現できる信頼性の高いホットエンドを提供することができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の一実施形態のホットエンドの正面図である。
本発明の一実施形態のホットエンドの、ヘッド本体の(A)正面図及び(B)底面図である。
本発明の一実施形態のホットエンドの、加熱部材を説明する図である。
加熱部材による加熱量の制御の一例を説明するブロック図である。
温度制御手段による冷却動作の一例を説明するフローチャートである。
本発明の一実施形態の造形材料のホットエンドに、アダプターカバー部材、及び熱遮蔽板を取り付けた状態の(A)正面図と(B)底面図である。
本発明の他の実施形態のホットエンドを示す図であり、温度分布調整部の移動を説明するための一部断面模式図である。
本発明の別の実施形態のホットエンドを示す図であり、温度分布調整部の移動を説明するための一部断面模式図である。
従来のホットエンドの一例を示す断面図である。

実施例

0022

以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態の3次元造形装置用の造形材料のホットエンドを説明する。図1には、本発明のホットエンド10が示されている。ホットエンド10は、造形材料の供給口21を有する供給部20、供給された造形材料を融解する融解部40、融解された造形材料を吐出する吐出口51を有する吐出部50、供給部20と融解部40との間であって融解部40の熱が供給部20へ伝導するのを抑制する断熱部30、及び供給口21と吐出口51とを連通する通路2を有するヘッド本体1に、融解部40を加熱する加熱部材60と、融解部40と断熱部30との間の境界部又は境界部近傍に温度調整部70が設けられている。

0023

前述のように、ホットエンド(3次元造形材料用の吐出ヘッド)を用いて造形を行うと、造形動作を一時停止した時などに造形材料が通路内で詰まることがある。本発明者がこの詰まりの原因について鋭意検討を重ねて調べた結果、図9に示される例で、造形材料が供給される側(バレル102側)で一旦融解した造形材料が固化し、その固化した部分が再融解しないために詰まりになることを見出した。

0024

すなわち、前述のように、従来構造ではバレル102に放熱フィンを設けてファンによって強制的に冷却して温度が上昇しないようにしても、造形動作が一時停止して造形材料が通路内で止まった時にはバレル102側の造形材料の温度が上昇して融解し得ることを見出した。一方、本発明者は、放熱フィン又はファンなどによる冷却手段を設けることなく、造形材料の供給部20側での温度上昇を防止するために、造形材料を融解させる融解部40との間に断熱部30を形成した吐出ヘッドを開発して別途特許出願しているが、この場合でも、断熱部30で造形材料の詰まりが生じることがあり得る。

0025

本発明者はさらに鋭意検討を重ねて詰まりが生じる原因を調べた結果、造形材料の吐出が停止された場合には、断熱部30側の通路2内に留まっている造形材料に、造形動作中よりも多くの熱が集中して造形動作中には融解していない部分の造形材料が融解すること、すなわち、造形材料の固体の部分と融解して流体化している部分の境界が断熱部30側にシフトすることに起因することを見出した。

0026

断熱部30の通路2内で造形材料が融解すると、断熱部30で一旦融解した造形材料の温度が融点以下に下がった場合には固化して通路内に固着する。造形動作が再開されても、断熱部30の通路2内で固化した造形材料は融解しない。これは元々、造形動作中に融解部40の温度が造形材料に応じて定まる融解温度になるように、加熱部材60に設けられた温度センサで管理されており、融解部40の通路2内で造形材料が融解し、断熱部30で融解するような温度には設定されていないからである。すなわち、融解部40での通路2内の温度が融解する温度になり、断熱部30及び供給部20では造形材料が融解しない温度になるように制御されているからである。換言すると、融解した造形材料が断熱部30で固化すると詰まりが発生することになる。

0027

そこで、本発明者は、融解部40と断熱部30との間の境界部又は境界部近傍に温度調整部70を設け、その温度を調整することによって、断熱部30での造形材料の融解を防止し得ることを見出した。詰まりを防止する観点から、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の通路2内の、造形材料の融点よりも低い温度とされるべき領域の温度が造形材料の融点を上回らないように、温度調整部70を設けることで熱容量を大きくして温度上昇を抑制でき、また、温度調整部70を設けることで融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の熱を放熱して温度を上昇し難くし、結果として通路の詰まりを予防し得ることを見出した。温度調整部70は、例えば、アルミニウムステンレスなどの所定の厚みを有する放熱板や、金属ブロックのように、熱容量を増加させる手段や放熱量を増加させる手段であり得る。

0028

温度調整部70は、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の所定幅の領域の周囲に設けられる金属ブロックであってよく、そのサイズ、形状、重量、容量などは、造形材料の種類(物性)、造形動作中の造形材料の送り出し(造形)速度などに応じて適宜決定することができる。例えば、形状の具体例としては、リング状、円筒状、多角柱状などを挙げることができる。温度調整部70である金属ブロックは融解部40の加熱部材60が設けられていない断熱部30側の部分に接合される。例えば金属ブロックが円筒である場合には、その内径は融解部40の外径と同等とされ内壁が融解部40に接合されて設けられるが、金属ブロックが断熱部30側をも覆うように設けられる場合にはその内径は断熱部30を覆う部位において変更されてもよい。ただし、金属ブロックは融解部40との間でのみ接合される。また、金属ブロックは、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度上昇を抑制する観点から、融解部40との接触面積を多くして取り付けるのが好ましい。金属ブロックが取り付けられることによって、融解部40と断熱部30の境界又は境界部近傍の熱容量は増大する。熱容量が増大することで、造形材料の吐出が停止された場合に融解部40と断熱部30の境界又は境界部近傍の通路2内に留まっている造形材料に多くの熱が集中したとしても温度が上昇しにくくなるので、造形材料の固体の部分と融解して流体化している部分の境界が断熱部30側にシフトすることを抑制し得る。すなわち、通路2内での造形材料の詰まりを抑制し得る。また、金属ブロックは、融解部40と断熱部30の境界又は境界部近傍の熱を放熱する効果も有し、その形状によって放熱効果を高めることによって詰まりの予防効果をさらに高めることも出来る。この温度上昇の抑制による詰り予防の効果は、後述の温度監視手段により融解部40と断熱部30の境界又は境界部近傍の温度が監視される場合に、その温度が所定温度以下になるように、金属ブロックの形状、寸法などを調整することで制御することができる。すなわち融解部40と断熱部30の境界又は境界部近傍の温度制御をすることができる。

0029

ここに融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍とは、融解部40と断熱部30との間(境界)、又は融解部40と断熱部30の少なくとも何れか一方側に属する部分を含み、このとき融解部40と断熱部30の境界を含む必要はない。このような位置に温度調整部70は設けられ得る。

0030

図2(A)及び(B)にはヘッド本体1の一例が示されている。ヘッド本体1は、供給部20、断熱部30、融解部40及び吐出部50が、金属やセラミックス等の耐熱材料から一体的に形成されているものであってもよいし、一部又は全部が独立可能にされていてもよいし、各部の間のいずれか或いはすべてに他の部材を介在させるなど非連続的なものであってもよい。図示される例では、ヘッド本体1は、全長が例えば32mmで、直径が例えば4mmφの、例えば64チタン(チタンにアルミニウム6質量%、バナジウム4質量%を混ぜた合金)からなる円柱状の金属棒を、例えば切削加工してなるものである。ヘッド本体1は、その長さ方向における一部又は全部が円柱状に形成されてもよいし、例えば、三角柱状又は四角柱状などの多角柱状とされてもよい。

0031

ヘッド本体1には、一端側の造形材料であるフィラメントの供給口21から他端側の融解された造形材料を吐出する吐出口51へ一直線に延びる、直径が例えば2mmφの通路(貫通孔)2が形成されている。なお、ヘッド本体1及び通路2のサイズは、フィラメントのサイズに応じて適宜変更され得る。

0032

ヘッド本体1の供給部20は、例えば長さ5mm、直径4mmφの円柱形状(円筒形状)とされている。供給部20は、先端に供給口21が形成され、例えば2mmφの通路2が供給口21近傍において供給口21側に向けて、例えば3mmφまで拡がるようにテーパ状に形成されている。供給部20は、3D造形装置本体に取り付けるためのアダプター80(図6(A)参照)への取り付け部としての役割も兼ねている。

0033

断熱部30は、融解部40よりも熱抵抗が大きくなるように形成されており、例えば、構造的に融解部40よりも肉厚を薄くしたり開口を設けたりするなどして断面積を小さくしたり、物性的に融解部40よりも熱伝導率の低い材料を用いたり、或いは放熱フィン等を設けるなどすることで形成することもできる。図示される例では、断熱部30は、供給部20と融解部40との間に位置し、例えば長さ11mm、直径3mmφの円柱形状(円筒形状)とされている。断熱部30は、上述のように直径3mmφとされ、その中心部を貫通する直径2mmφの通路2が形成されることから、外壁の肉厚が0.5mmの肉薄部とされている。また、断熱部30の中央部には、断熱部30の断面積を小さくしてその熱抵抗を高くし得る、例えば長さ8mm、幅1.8mmの窓部31が、通路2に対向して一対で形成されている。窓部31は、通路2の内部を外部から確認できるように設けられることが好ましい。これにより通路2にフィラメント(造形材料)が挿入されている場合にはその状態(流動状態の有無や、詰まりの有無)を確認することができる。すなわち、上述の造形材料の詰まりが通路2の窓部31が形成されている範囲で発生している場合には、外部からその状況を視認することができる。また、窓部31は開口として形成されてもよい。本来、この断熱部30では、造形材料も融解していないフィラメントの状態であるため、造形材料が漏れ出すことはないからである。一方、造形材料の詰まりが発生した場合に、この開口部31から造形材料を除去して詰まりを解消することが可能となる。窓部31は、ヘッド本体1の長さ方向及び/又は幅方向に1つ又は複数設けてもよく、サイズも適宜決定すればよい。熱抵抗との関係で断面積を、強度が保証される範囲内で適宜決定することができる。

0034

融解部40は、例えば長さ13mm、直径4mmφとされている。融解部40には、平面側図2(A)における紙面の表面側)と背面側(図2(A)における紙面の裏面側)が切削されて2つの平面部が、例えば3mm隔てて対向するように形成されている。平面部の中央部には、例えば長さ8mm、幅1mmの開口41が、通路2を露出するように形成されている。開口41は、長さ方向に複数並設するようにしてもよい。なお、加えて、平面部の表面を粗面化してもよいし、開口部41を形成せずに粗面化のみしてもよい。また、融解部40の吐出部50近傍において、通路2が吐出部50に向かってテーパ状に狭くされ、吐出部50内で例えば直径0.6mmφ程度とされる。

0035

吐出部50は、例えば長さ3mmとされ、正面側と背面側から切削されて、例えば幅3mmとされ、両側面側は吐出部50の長さ方向の途中まで、吐出口51に向かってテーパ状に細められ、吐出口51が形成された先端部は、例えば直径1.5mmφとされ、吐出口51は、例えば直径0.6mmφとされる。

0036

ホットエンド10における加熱部材60としては、例えば、絶縁基板上に厚膜抵抗体層を形成した加熱ヘッドヒートブロック等公知のものを広く使用することができるが、応答性やサイズの点において加熱ヘッドを用いるのが好ましい。加熱部材(加熱ヘッド)60の構造の一例を図3に示す。ヘッド本体1の融解部40に取り付けられる加熱部材60は、例えば厚さ0.3mm、長さ12mm、幅5mmの矩形板状のアルミナ又はジルコニアなどのセラミック基板(絶縁基板)61と、絶縁基板61の表面に形成された帯状発熱抵抗体62と、絶縁基板61の表面において発熱抵抗体62の両端部のそれぞれに接続するように形成された電極63を有する。なお、発熱抵抗体62の表面を、例えばフィラーを含むガラス等の保護層(誘電体層)でコートしてもよい。

0037

加熱部材60は、絶縁基板61に、例えばAg、Pd、Pt等の合金粉末酸化ルテニウムを含む厚膜用ペースト等を所定のパターン印刷、乾燥後、所定温度で焼成することで発熱抵抗体62、電極63を形成することができる。

0038

また、絶縁基板61の電極63の形成部に、電極63とリード6(図1(A)参照)との接続強度を向上させるために切欠部が形成される。図3に示される例では切欠部は1つの電極63に対して2つずつ設けるようにしたが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。さらに、切欠部に代えて貫通孔(スルーホール)を1つ若しくは複数設けてもよいし、切欠部と貫通孔とを組み合わせて用いるようにしてもよい。つまり、切欠部や貫通孔を設けるのは、電極63とリード6との接続強度を向上させるために、接続面積を増やしたり、アンカー効果機械的係合が得られる対策をとることで、高温に加熱したり、2次元的又は3次元的に移動操作させた場合であっても接続不良が生じないようにしている。

0039

図1に示されているように、ヘッド本体1に加熱部材60が取り付けられた状態では、加熱部材60は、その裏面(絶縁基板61の裏面、発熱抵抗体62が形成されていない面)側をヘッド本体1の融解部40の平面部に、開口部41を覆うように、例えば銀系厚膜ペースト(Agに例えばガラス、Cuが含有されたもの)を接合材料として塗布、焼成して、接合されている。このとき、接合材料が開口部41に入り込み、アンカー効果が得られることで、加熱部材をヘッド本体1の融解部40に強固に接合して取り付けることができる。

0040

本実施の形態では、加熱部材60の幅(5mm)を、ヘッド本体1の融解部40の平面部の幅(4mm)よりも僅かに広くし、加熱部材60とリード6との接続部をヘッド本体1の融解部40の平面部の一方側の側縁から外方へ飛び出させて、ヘッド本体1に加熱部材60を接合させるようにしている。

0041

図4は、ホットエンド10で加熱部材60の発熱抵抗体62によって基板温度測定をもおこない、測定された温度に応じて発熱抵抗体62による加熱量を調整することで融解部40の温度制御をする場合の制御回路の一例を示すブロック図である。すなわち、この駆動回路直流又は交流電源64で駆動する例で、電源64としては、電池商用電源又は商用電源をトランスなどにより電圧印加時間を調整して、印加電力を調整する調整部を介して発熱抵抗体62に接続されている。

0042

商用の交流電源64により供給される電圧は、電力の調整部により調整され、所望の温度になるように調整される。その結果、直流電源が不要で、電源冷却ファンも不要になる。しかし、電池による直流電源が用いられてもよい。また、図示されていないが、パルスを印加するパルス駆動により加熱がされてもよい。その場合、電圧を変える以外にもデューティサイクルを変えたり、位相制御などで発熱に関する実行印加電力が調整され得る。

0043

温度は、発熱抵抗体62を利用して、その抵抗値の変化によって検出することができる。発熱抵抗体62の抵抗値の変化は、図4に示されるように、発熱抵抗体62と直列シャント抵抗65が接続され、その両端の電圧を測定することによって、電流の変化を検出できる。発熱抵抗体62に印加する電圧が一定のとき、電流の変化が分れば、抵抗値の変化を知ることができる。すなわち、発熱抵抗体62の抵抗値は温度によって変る温度特性を有している。そのため、その温度特性(温度係数)を予め検出しておくことによって、抵抗値が分れば、発熱抵抗体62、すなわち絶縁基板61の温度を知ることができる。この温度検出は、制御手段によってなされる。また、シャント抵抗65は、発熱の影響を避けるため温度検知が可能な限り抵抗値の低い方がよい。また、できるだけ温度係数の小さい抵抗が好ましく、電流による発熱を避けるため、電流が小さくなるように設定される。

0044

この温度測定によって測定された温度に応じて、発熱抵抗体62に印加される電圧が調整部で調整されるように制御手段から制御信号が出され、発熱抵抗体62、すなわち絶縁基板61の温度が所望の温度に調整される。加熱部材60によって造形材料を軟化させて造形物を形成する造形動作の最中には、通路2内における温度分布が安定するように、発熱抵抗体62の温度が制御される。

0045

本発明のホットエンド10における温度調整部70には、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度を測定する温度測定手段を有する温度監視手段が設けられ得る。温度測定手段としては、例えば、熱電対サーミスタ等の温度センサを用いることができるが、応答が早く、小スペースでの温度測定が可能で、温度情報電気信号として検出され情報処理解析シンプルな熱電対を用いるのが好ましい。断熱部30と融解部40との境界部又は境界部近傍の温度を監視(測定)する目的は、上述の詰まりを防止する為に、通路2内が造形材料の融点よりも低い温度に維持されるべき、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度を監視することにある。造形材料として、例えば500℃程度の融点を有する造形材料が使用されることもあることから、温度監視手段に備えられる温度測定手段(温度センサ)は高温側で500℃程度までの測定温度範囲を有することが望ましい。温度監視手段に備えられる温度センサは、温度調整部70が金属ブロックである場合には、金属ブロック内部に埋め込まれ、融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の通路2付近の温度を測定し得るように設けられ得る。温度監視手段は温度調整部70に設けられる必要はなく、温度調整部70とは別個に設けられてもよい。ホットエンド10に温度調整部70を設けずに温度監視手段を設けることとしてもよい。

0046

ホットエンド10は、温度監視手段で監視される温度(温度センサによって検出される温度)に応じて、断熱部30と融解部40との境界部又は境界部近傍の温度を制御する温度制御手段を備えることが好ましい。この温度制御手段は、主として温度監視手段が設けられている融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度が所定温度を上回らないように強制的に冷却する冷却手段又は、加熱部材60の加熱量を制御する加熱制御手段である。ここで所定温度とは、造形材料の種類などによって定められ、温度測定手段が設けられている融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度がその温度を上回ると、造形材料の流動性を有する部分と有しない部分との境界が断熱部30側へシフトし、再び温度が下がった時に断熱部30での通路2内の造形材料が固化して詰まりが発生する。この所定温度は造形材料の種類によって異なり、温度測定手段が設けられる位置(温度センサが設けられる位置)、及び加熱部材60の設けられる位置等によっても異なり得るので、使用する造形材料の種類及び温度測定手段の位置等に応じて、造形材料の詰まりの発生の有無を検証するための試験を通じて決定され得る。造形材料に例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)が使用される場合には、所定温度は例えばPEEKの融点である343℃より20℃程度低い温度に設定され得る。直接通路2内の温度を測定できない場合でも、その通路2内の温度と測定部の温度との相関を把握しておけば、通路2内を温度測定できなくても構わない。その相関の温度を考慮した温度が所定温度として設定され得る。

0047

温度監視手段が有する温度測定手段としては、前述のように、サーミスタ又は熱電対などを用いることができる。本来、融解部40と断熱部30との境界部の通路2内の温度を測定したいので、その境界部の側壁に温度センサを接触させることが好ましい。しかし、前述のように、通路2内の温度と測定部の温度との温度の相関を把握すれば、測定場所は限定されない。しかし、測定場所が変動しないで常に一定の場所になることが必要である。

0048

図1には示されていないが、温度監視手段には、温度制御手段が備えられ、境界部の温度が所定の温度に維持されるように制御されることが好ましい。温度制御手段としては、加熱部材60の制御信号を生成して加熱部材60による加熱量を調整する加熱制御手段、又は冷却手段を設けることができる。融解部40と断熱部30との境界部又は境界部近傍の温度を下げる場合には、冷却手段を設けておいて、冷却することによって、短時間で温度調整をすることができる。冷却手段には、例えば断熱部30と融解部40の境界部又は境界部近傍を局所的に冷却できるペルチェ素子が使用され得る。温度監視手段の温度センサの付近に素子冷却側がヘッド本体1側を向くように配置される。冷却が実行される場合には素子に直流電流が印加される。これ以外にも境界部を局所的に冷却するように水冷管を配置してもよい。

0049

図5は、例えば温度測定手段によって検出した温度が所定温度より高く、冷却する必要のある場合の温度制御手段の処理工程を示すフローチャートである。先ず、温度センサで検知された温度が温度制御手段に送られ所定温度と比較される(S1)。温度検知の際、温度センサがサーミスタである場合には検知された抵抗値信号が温度信号へと変換され、温度センサが熱電対である場合には検知された起電力によって、温度が検出される。比較の結果、検知された温度と所定温度との差異(何度高いか、低いか)が計算され、調整すべき温度が決定される(S2)。続いて、調整すべき温度に基づいた制御信号が生成され(S3)、制御信号に応じて冷却動作が実行される(S4)。温度制御手段(冷却手段)にペルチェ素子が使用される場合には素子へ印加する電圧を調整し、冷却水が使用される場合には冷却水の流量などが調整される。

0050

上述の温度監視手段における温度の監視、及び断熱部30と融解部40との境界部又は境界部近傍の温度の制御は、造形材料の通路2内での詰まりを防止するために行われる。通路2内において軟化点以上に加熱されて一旦流動状態になった造形材料は、再び軟化点以下に冷却されると通路2の内壁に付着し固化して造形材料の詰まりの原因になる。すなわち、造形材料が流動性を有する部分と有さない部分との境界の温度が一定の範囲内である必要がある。ホットエンド10に先述の温度調整部70が設けられていない場合や、設けられていても外乱要因(加熱部材60の異常動作など)によって、断熱部30と融解部40の境界部又は境界部近傍の温度が所定温度よりも高くなった場合など、この境界の温度が上昇すると境界は断熱部30側にシフトし、断熱部30の一部でも流動状態になり、再び温度が下降して境界が元の位置に戻る際に、断熱部30側で流動性を得た造形材料は固化して通路を詰まらせる。しかし、冷却手段により断熱部30と融解部40との境界部又は境界部近傍の温度が所定温度以下になるように制御されることによって、この詰まりは予防され得る。

0051

温度制御手段は、前述の図4のブロック図で一例を説明した加熱部材60における発熱抵抗体62の温度制御を利用する加熱制御手段とすることもできる。すなわち、温度監視手段の温度測定手段(温度センサ)によって検知された信号に基づいて温度検出部で検出される温度に応じ、断熱部30と融解部40との境界部又は境界部近傍の温度を下げる必要がある場合には、図5のS3で生成される制御信号を図4における調整部に入力し、電源64から発熱抵抗体62に供給される電力を低減させることで発熱抵抗体62の温度を下げて加熱部材による加熱量を低減させることができる。すなわち、造形材料の流動性を有する部位と有さない部位との境界が断熱部30側へシフトしないように温度を制御することができる。また、造形材料の温度を上げる必要がある場合には、電源64から発熱抵抗体62に供給される電力を増加させることで加熱部材による加熱量を増加させることもできる。この制御は、図4を参照して先述した、発熱抵抗体62の温度に基づいて供給する電力の調整による発熱抵抗体62の温度制御に対して優先して実行される。例えば図4における制御手段からは発熱抵抗体62の加熱量を増やす制御信号が調整部に入力され、同時に温度制御手段からは加熱量を減らす制御信号が入力されている場合には、加熱量を減らす制御信号が優先されて、これに基づいて調整部が機能する。なお、この加熱量を低減するために、発熱抵抗体62への電力の供給を一時的に完全に遮断して発熱抵抗体62による加熱を完全に停止してもよい。

0052

図6にホットエンド10にカバー部材90及び熱遮蔽板100を取り付けた一例を示す。例えばステンレス等からなるカバー部材90によって加熱部材60及び温度調整部70を覆うようにする。カバー部材90と加熱部材60との間には、固定部材91が充填されている。固定部材91としては、例えばセラミックファイバーを編んでテープ状にされた織物を用いることができ、この織物を加熱部材60に巻き付け、例えばセメント状無機質接合用固化絶縁材料によって一部がカバー部材90の内面に固定されている。このとき、接合用固化絶縁材料を用いてリード6をより固定するようにするのがよい。カバー部材90が設けられることによって、融解部40から外部又は断熱部30側への熱のにげを防止することができ、熱の有効利用につながる。熱遮蔽板100はカバー部材90の供給部20側に設けられる。この熱遮蔽板100は融解部40側からの熱輻射による断熱部30側への熱の伝導を抑制するとともに、融解部40から加熱されて対流する熱い空気が断熱部30へ上昇するのを抑制し、断熱部30の温度上昇を抑制するために設けられるもので、高い熱反射率の材料(例えばアルミニウム)を含むことが好ましい。カバー部材90と熱遮蔽板100の併用によって、加熱部材60の熱は効率よく融解部40部分に留まり造形材料の融解に供されることになる。すなわち造形の省エネルギー化が達成される。なお、加熱部材60、温度調整部70、熱遮蔽板100、カバー部材90の位置関係図5の例に限定されない。カバー部材90は温度調整部70を覆わずに、加熱部材60のみを覆う構造でもよく、熱遮蔽板100は温度調整部70の下流側(融解部40側)に設けられてもよい。また、熱遮蔽板100が温度調整部70の周縁に取り付けられ、外部に向けて板状に張り出すように設けられてもよい。熱遮蔽板100は、温度調整部70を自然冷却させる機能も有しており、温度調整部70に接するように設けられる。熱遮蔽板100は造形材料の種類などに応じて温度調整部70とともに任意の形状及び寸法に形成され、例えば円形平板状、又は円形の状に形成され得るが、円形には限定されず多角形の平板状又は傘状であってもよい。また、図示されるように、カバー部材90の上部に凹部形状の上蓋部92が設けられ、上蓋部92の凹部内に温度調整部70(金属ブロック)を収容し、例えば熱電対である温度測定手段(図示せず)が温度調整部70に取り付けられてもよい。上蓋部92にはその凹部内に温度測定手段のみが収容されるように設けられてもよい。

0053

また、本発明のホットエンド10を3次元造形装置に取り付ける際には、3次元造形装置本体側に取り付けられるアダプター80に設けられた開口にホットエンド側の供給部20を挿し込み、横から、例えば押しネジ82を用いて固定することができる。なお、アダプター80には、供給部20の供給口21に連通する通路81が形成されており、通路81の入口の開口部は、フィラメント(造形材料)が挿通しやすいように、内部よりも大きな径の孔となっている。なお、本実施形態では、供給部20を押しネジ82を用いてアダプター80に取り付けるようにしているが、供給部20の外周にネジ溝を切って螺合によってアダプターに取り付けることもできる。

0054

上述した実施形態のホットエンドは、500℃の高温に迅速昇温可能で、しかも低消費電力において動作できることを確認している。また、耐熱温度が高いスーパーエンジニアリングプラスチックとして知られるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)をフィラメントに用いて良好に造形できることも確認している。このとき、ヘッド本体1の断熱部30において効果的に熱伝導を抑制できており、供給部20において通路2がフィラメントの融解によって不具合が生じることはなく、さらに、通路2内での造形材料の詰まりによる造形動作の不良が発生することもなく、ヘッド本体1と加熱ヘッド60、加熱ヘッド60とリード6との結合部、接続部において一切の不良も見られず、良好に動作することも確認している。

0055

また、上述の実施形態のホットエンドは、全体として長さ32mm、幅5mmとされ、現存するホットエンドに比べて格段に小型となっている。また、ヘッド本体1を64チタン合金で形成する場合には、小型と相俟って極めて軽量化されている。よって、本実施形態のホットエンドを2次元又は3次元に移動させて造形を行うようにした場合であっても、駆動エネルギーの省力化ができる。また、小型であることから、複数のホットエンドを取り付け治具(アダプター)等により、各々のホットエンドの吐出口51を近接して配置して束ねることができるので、マルチノズルヘッドマルチノズルラインヘッドとして使用することもできる。これらマルチノズルヘッド又はマルチノズルラインヘッドを用いてマルチマテリアル高速造形用として好適に使用することもできる。

0056

また、本発明のホットエンドは、高温加熱可能であることから、造形材料として固定融点金属類低融点ガラス類にも使用することができる。

0057

また、ヘッド本体1の材料としてチタン合金(例えば、64チタン)及び加熱部材60の絶縁基板61としてセラミック基板(例えば、アルミナジルコニア基板)を用いた場合には、チタン合金とセラミックとの熱膨張率が近いこともあって、造形動作による加熱、冷却のサイクルによる接合不良を効果的に防止することができる。また、アルミナジルコニア基板は、アルミナ基板に比して機械的強度が高いことから薄くでき、加熱ヘッドの小型軽量化をより一層図ることができる。

0058

しかも、ヘッド本体1と加熱部材60とリード6との接合、接続を同金属系の厚膜ペースト(例えば、銀系ペースト)を用いて行うことができ、ヘッド本体1と加熱部材60との接合、加熱部材60の電極とリード6との接続において良好とし得、加熱部材60を高温に加熱した場合であっても、接合不良、接続不良を防止することができる。また、厚膜技術により加熱部材60をヘッド本体1に接合することができるので、電子素子特性変化を防止することもできる。

0059

本発明では、ヘッド本体1を一体形成一体成形)とし、部品接合箇所を少なくし、特にヘッド本体1(チタン合金)と加熱部材60(セラミック)との接合部においては、ヘッド本体1の金属の酸化物性質も加わり強固に耐熱接合できるので、一段と信頼性を向上することができる。

0060

また、本実施形態では、断熱部30は、融解部40から供給部20への伝熱を抑制する観点から、ヘッド本体1に用いる材料の熱伝導率、その長さ、加熱部材60による加熱温度(使用する造形材料の融点)等を加味して、適切な熱抵抗となる断面積になるよう、厚さや開口のサイズ、数を決定することができる。また、断熱部30に肉薄部と窓部31とを形成するようにしたが、窓部31があることによって通路2の内部を外部から確認でき、造形材料が挿入されている場合にはその状態を確認することができる。窓部31が開口である場合には、造形材料の詰まりが発生した場合に、この開口部31から造形材料を除去して詰まりを解消することが可能となる。

0061

次に、本発明の他の実施形態の3次元造形装置用のホットエンドについて説明する。図7には、本発明のホットエンドが示されている。ホットエンドは、上端にフィラメントの供給口(図示略)を有する供給部200、供給されたフィラメントを融解する融解部400、融解されたフィラメントを吐出する吐出口(図示略)を下端に有する吐出部500、供給部200と融解部400との間であって融解部400の熱が供給部200へ伝導するのを抑制する断熱部300、及び供給口と吐出口とを連通する通路を有するヘッド本体1000に、融解部400を加熱する加熱部材である加熱板(加熱ヘッド)(図示略)と、断熱部300の外周面摺動しながら所望の位置に取り付けることができる金属ブロック(温度分布調整部)700と、融解部400に取り付けられた加熱板を囲み吐出口を突出させるカバー部材900とが設けられている。ヘッド本体1000も上述のヘッド本体1と同様に、その長さ方向における一部又は全部が円柱状に形成されてもよいし、例えば、三角柱状又は四角柱状などの多角柱状とされてもよい。

0062

供給部200、断熱部300、融解部400及び吐出部500は、一体成形物でも、これら全部又は一部が別成形物とされていてもよい。一体成形物とする場合には、例えば、チタン合金等の比較的熱伝導率の低い金属で形成するのが好ましい。

0063

断熱部300は、融解部400の断面積よりも小さい断面積とされ、供給部200通路の一部を露出する開口部310が設けられている。断熱部300は、融解部400が加熱されたときの熱が供給部200側へ伝導するのを軽減するための部位であり、本実施形態においては必ずしも設けられる必要はないが、開口部310を後述する金属ブロック700より上方に露出させて設けておくことで、供給部200の供給口から供給されたフィラメントを視認可能とできる。

0064

金属ブロック700は、所定の熱容量を有する体積とされ、上面からみた形状は多角形形状であっても円形状であってもよく、中央部に、断熱部300の外周壁に当接して挿通するために、断熱部300の断面外形に合った形状の貫通孔が設けられており、押しネジ等を用いて断熱部300の所望の位置に取り付けられている。金属ブロック700の下面には、断熱部300が挿通される貫通孔を囲むようにリブが下方へ突出して設けられている。金属ブロック700は、一体成形物であっても、断熱部300を両サイドから挟持するように2分割に形成されていてもよい。なお、金属ブロック700としては、例えば、アルミニウム、SUS等の公知の金属ブロックを用いることができる。

0065

カバー部材900は、融解部400に取り付けられた加熱板(1つでも複数でもよい)を覆うようにホットエンドに取り付けられ、上下が開放された筒状の上カバー901及び下カバー902からなる。上カバー901の上部は、金属ブロック700の下面のリブを覆うように嵌合されて取り付けられ、下カバー902はその内周が、上カバー901の外周に摺動可能に取り付けられ、下端の開口から吐出部500の吐出口が突出するように取り付けられる。これにより、上カバー901は下カバー902の内周に沿って上下方向に摺動可能となる。つまり、カバー部材900は、金属ブロック700の取り付け位置に応じて、ヘッド本体1000をカバーする長さを調整可能な構造とされている。下カバー902及び上カバー901の取り付けは、下カバー902の外周に上カバー901の内周が摺動可能にとりつけられてもよい。また、カバー部材900の形状は、例えば、円筒形状、多角形筒形状等とし得る。なお、カバー部材900の材質としては、例えば、アルミニウム、SUS等の公知の金属を用いることができる。

0066

図7に、金属ブロック700の取り付け位置を低い位置(左図)としたときと、高い位置(右図)としたときとを示すが、金属ブロック700は、熱を蓄積するとともに、熱を放散することができるため、加えて、熱をカバー部材900に伝導させることができるため、金属ブロック700を取り付ける位置を変えることで、ホットエンドの長さ方向、特に融解部400から金属ブロック700前後の領域の温度分布(温度勾配)を変化させることができる。なお、金属ブロック700の取り付ける位置は、フィラメントの種類(特性、物性)に応じて詰まりが生じない適切な温度勾配となるよう決定することができる。

0067

図8に、図7のものの変形例として、本発明の別の実施形態の3次元造形装置用のホットエンドを示す。上述の他の実施形態として示したホットエンドでは、金属ブロック700を断熱部300の周囲に取り付けるようにしたが、本別の実施形態では、金属ブロック(温度分布調整部)710を融解部400の周囲で上下方向に移動可能に取り付けられている点で相違し、それ以外の部分は同様の構成とされている。符号1100はヘッド本体、符号320は開口部、符号910はカバー部材、符号911は上カバー、符号912は下カバーを示している。なお、図7及び図8においては金属ブロック700、710下のリブ及びカバー部材900、910は断面として描かれ、内部のヘッド本体1000、1100が露出するように示されている。

0068

なお、ヘッド本体1000、1100では、断面積を小さくした断熱部300を用いるようにしたが、供給部200から融解部400にかけて外形の形状及びサイズを同じにすることで、同じ長さのヘッド本体であっても、金属ブロックの取り付け位置の許容範囲をより広げることができる。

0069

また、金属ブロック700、710の寸法(サイズ)、形状、材料(材質)を変えることでも温度分布の変化の仕方を変えることができる。さらに、カバー部材900、910の寸法、形状、材料、上カバーと下カバーとの重なり具合が変わることによっても温度分布の変化の仕方を変えることができる。

0070

1ヘッド本体
2通路
6リード
10ホットエンド
20、200 供給部
21 供給口
30、300断熱部
31 窓部(開口部)
40、400融解部
41 開口部
50、500吐出部
51 吐出口
60加熱部材
61絶縁基板
62発熱抵抗体
63電極
64電源
65シャント抵抗
70温度調整部
80アダプター
81 通路
82 押しネジ
90カバー部材
91固定部材
92上蓋部
100熱遮蔽板
1000、1100 ヘッド本体
310、320 開口部
700、710金属ブロック(温度分布調整部)
900、910 カバー部材
901、911 上カバー
902、912 下カバー

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