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技術 生体吸収性のシート又はフィルム

出願人 吉田靖弘松川昭博沖原巧
発明者 吉田靖弘松川昭博沖原巧
出願日 2019年11月15日 (1年1ヶ月経過) 出願番号 2019-207022
公開日 2020年2月13日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-022861
状態 未査定
技術分野 医療用材料
主要キーワード 接着用テープ 自己治癒力 無水酢酸処理 生体用インプラント 原料使用量 骨固定材 ペーストタイプ 仕込み基準
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

湿潤条件下でも強度及び接着性に優れ、かつ、生体吸収性にも優れ、さらには、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤放出性に優れる、生体吸収性のシート又はフィルムを提供すること。

解決手段

リン酸化プルランを含有する組成物から成る、生体吸収性のシート又はフィルム。

概要

背景

外科手術などにおいて、臓器、血管等の創傷への処置方法としては、現在では、高分子縫合糸を用いた縫合の他、接着用テープフィルム生体用インプラント等を使用する方法が主に用いられている。

例えば、特許文献1には、生体内分解性の高分子で形成された第一皮膜層と、金属、金属酸化物ケイ素酸化ケイ素から選ばれた一種以上で形成された第二皮膜層との積層フィルムが、第二皮膜層側で通気性を有するキャリアシートに支持された癒着防止フィルムが開示されている。ここで、積層フィルムは、第一皮膜層として当該高分子の溶液又は分散液を展延・乾燥させた後、その上に第二皮膜層を物理蒸着法あるいは化学蒸着法により形成してから、キャリアシートに重ね合わせている。そして、使用時には、積層フィルムをキャリアシートから剥離して、第一皮膜層の表面が体内組織の表面に接触するようにして貼付する。このように使用することで、体内では容易に軟化溶融しない第二皮膜層が表層を形成することになって、第一皮膜層が他の癒着防止フィルムと癒着するおそれが低減される。

また、特許文献2には、生体内組織創傷治癒用フィルムとして、アスコルビン酸誘導体創傷治癒効果のある特定の薬剤とが、ゼラチンスターチでんぷん)、アルギン酸ナトリウム寒天セルロースポリグルタミン酸キチンキトサン、及びこんにゃくから選択される一種以上の生分解性高分子からなるシート担持されたフィルムを開示している。フィルムの形成方法としては、具体的には、生分解性高分子に、アスコルビン酸誘導体や薬剤を配合した組成物を調製後、公知の成形法に従って成形すればよいことが記載されている。

一方、生分解性高分子そのものの特性を制御することで、癒着防止材料として用いる技術も知られている。例えば、特許文献3には、一定時間真空下で熱処理することにより架橋されたゼラチンフィルムが、生体内分解吸収されながらも一定期間は形態を保持することから、優れた生体組織癒着防止能を有することを報告している。

概要

湿潤条件下でも強度及び接着性に優れ、かつ、生体吸収性にも優れ、さらには、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤の放出性に優れる、生体吸収性のシート又はフィルムを提供すること。リン酸化プルランを含有する組成物から成る、生体吸収性のシート又はフィルム。なし

目的

特開2014−171577号公報
特開2012−213658号公報
特開2013−226166号公報






しかしながら、従来の生体吸収性のシートやフィルムは、生体内等の湿潤条件下等では未だ強度や接着性が十分ではなく、更なる改良が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

組成物が更に可塑剤を含んでなる、請求項1記載のシート又はフィルム。

請求項3

可塑剤がグリセリン及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種を含む、請求項2に記載のシート又はフィルム。

請求項4

組成物が更に生物活性薬剤を含有してなる、請求項1〜3いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項5

支持体シートに支持されている、請求項1〜4いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項6

生体内臓器又は組織における創傷部、欠損部、又は脆弱部被覆材である、請求項1〜5いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項7

生体内組織再生又は再建材料漏洩又は拡散防止材あるいは固定材である、請求項1〜5いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項8

生物活性薬剤の漏洩又は拡散防止材である、請求項1〜5いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項9

化学修飾したリン酸化プルランを含有する組成物から成る、生体吸収性のシート又はフィルム。

請求項10

化学修飾が、エーテル化剤エステル化剤アセタール化剤イソシアネートイソチオシアネートカルバモイルクロリドチオカルバモイルクロリドシランカップリング剤塩化スルホニルスルホン酸無水物ポリマー、及び高分子架橋剤からなる群より選ばれる化合物を用いてなされる化学修飾である、請求項9記載のシート又はフィルム。

請求項11

化学修飾がリン酸化プルランの表面疎水化である、請求項9又は10記載のシート又はフィルム。

請求項12

化学修飾がリン酸化プルランに架橋構造を導入するものである、請求項9又は10記載のシート又はフィルム。

請求項13

組成物が更に生物活性薬剤を含有してなる、請求項9〜12いずれか記載のシート又はフィルム。

請求項14

生物活性薬剤の徐放性が制御されたものである、請求項13記載のシート又はフィルム。

請求項15

他の層を積層した複層構造である、請求項1〜14いずれか記載のシート又はフィルム。

技術分野

0001

本発明は、生体内臓器組織に貼り付けて使用する生体貼付用機能性シート又はフィルムに関する。

背景技術

0002

外科手術などにおいて、臓器、血管等の創傷への処置方法としては、現在では、高分子縫合糸を用いた縫合の他、接着用テープ・フィルム、生体用インプラント等を使用する方法が主に用いられている。

0003

例えば、特許文献1には、生体内分解性の高分子で形成された第一皮膜層と、金属、金属酸化物ケイ素酸化ケイ素から選ばれた一種以上で形成された第二皮膜層との積層フィルムが、第二皮膜層側で通気性を有するキャリアシートに支持された癒着防止フィルムが開示されている。ここで、積層フィルムは、第一皮膜層として当該高分子の溶液又は分散液を展延・乾燥させた後、その上に第二皮膜層を物理蒸着法あるいは化学蒸着法により形成してから、キャリアシートに重ね合わせている。そして、使用時には、積層フィルムをキャリアシートから剥離して、第一皮膜層の表面が体内組織の表面に接触するようにして貼付する。このように使用することで、体内では容易に軟化溶融しない第二皮膜層が表層を形成することになって、第一皮膜層が他の癒着防止フィルムと癒着するおそれが低減される。

0004

また、特許文献2には、生体内組織創傷治癒用フィルムとして、アスコルビン酸誘導体創傷治癒効果のある特定の薬剤とが、ゼラチンスターチでんぷん)、アルギン酸ナトリウム寒天セルロースポリグルタミン酸キチンキトサン、及びこんにゃくから選択される一種以上の生分解性高分子からなるシート担持されたフィルムを開示している。フィルムの形成方法としては、具体的には、生分解性高分子に、アスコルビン酸誘導体や薬剤を配合した組成物を調製後、公知の成形法に従って成形すればよいことが記載されている。

0005

一方、生分解性高分子そのものの特性を制御することで、癒着防止材料として用いる技術も知られている。例えば、特許文献3には、一定時間真空下で熱処理することにより架橋されたゼラチンフィルムが、生体内で分解吸収されながらも一定期間は形態を保持することから、優れた生体組織癒着防止能を有することを報告している。

先行技術

0006

特開2014−171577号公報
特開2012−213658号公報
特開2013−226166号公報

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、従来の生体吸収性のシートやフィルムは、生体内等の湿潤条件下等では未だ強度や接着性が十分ではなく、更なる改良が望まれていた。

0008

本発明の課題は、湿潤条件下でも強度及び接着性に優れ、かつ、生体吸収性にも優れ、さらには、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤の放出性に優れる、生体吸収性のシート又はフィルムを提供することである。
また、本発明の他の課題は、溶解性が制御され、あるいは、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤の徐放性が制御された生体吸収性のシート又はフィルムを提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、前記課題を解決せんと鋭意検討した結果、リン酸化プルランを主成分とする組成物を用いて得られたフィルムが、湿潤下でも高い強度と接着性を示し、かつ、生体吸収性にも優れ、さらには、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤の放出性に優れることを見出し、さらに化学修飾したリン酸化プルランを使用することで、溶解性、徐放性などを制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

即ち、本発明は、リン酸化プルラン又は化学修飾したリン酸化プルランを含有する組成物から成る、生体吸収性のシート又はフィルムに関する。

発明の効果

0011

本発明の生体吸収性のシート又はフィルムは、湿潤下でも強度及び接着性に優れ、かつ、生体吸収性にも優れ、さらには、生物活性薬剤を含有する場合には該薬剤の放出性に優れるという優れた効果を奏する。また、生体内に適用した組織の再生又は再建材料や生物活性薬剤の漏洩拡散を抑制して固定することができるという優れた効果も奏する。
また、生物活性薬剤を含有する本発明のシート又はフィルムにおいて、化学修飾したリン酸化プルランを使用することで、あるいは他の層を設けることで、リン酸化プルランの溶解性が制御でき、薬剤の徐放性も制御することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、乳化剤添加量フィルム強度の関係を示す図である。
図2は、実施例9のフィルムの埋植部の生物活性薬剤濃度を示す図である。
図3は、実施例9のフィルムの止血実験におけるフィルム静置後と剥離後を示す写真である。
図4は、実施例14の難溶化の結果を示す写真である。
図5は、実施例15の2層構造を示す断面写真である。
図6は、図5部分拡大写真である。
図7は、実施例16におけるフィルム静置箇所を示す写真である。
図8は、実施例16において骨形成を期待できる部位を示す写真である。

0013

本発明の生体吸収性のシート又はフィルムは、リン酸化プルランを含有する組成物(リン酸化プルラン組成物)からなるが、生分解性高分子として、リン酸化プルランを用いることに大きな特徴を有する。なお、本発明の生体吸収性のシート又はフィルムのことを、単に、本発明のシート又はフィルムと記載する。

0014

〔リン酸化プルラン組成物〕
[リン酸化プルラン]
リン酸化プルランは、生体組織に対して親和性が高いだけでなく、そのリン酸基が生体組織に対してキレート結合を形成して吸着性を示し、その後、生体吸収性も示す。また、リン酸化プルランそのものや、その構成単位であるオリゴ糖単糖は、生体安全性が高いものであり、生体内での酵素による代謝を受けにくいことから、異物反応軽微である。本発明では、かかる特性を有するリン酸化プルランを生体内に適用すると、生体内の組織や臓器表面に存在する体液組織液ともいう)がリン酸化プルランに浸潤することで、組織液内の陽イオンがリン酸化プルランのリン酸基とキレート結合を形成して架橋構造を形成するため、プルランによる増粘作用に加えて長期に亘って粘性を発揮することが可能になり、ひいては、適用箇所での自己治癒力を向上することになると考えられる。但し、これらの推測は、本発明を限定するものではない。

0015

リン酸化プルランは、プルランの水酸基リン酸化する公知の方法により製造することができる。例えば、Carbohydrate Research 第302巻(1997年)27〜34ページに記載のメタリン酸ナトリウムと反応させる方法、特開2005−330269号公報、特開2005−330270号公報に記載されたリン酸ナトリウムと反応させる方法等が挙げられる。またさらには、WO87/07142号公報に記載のように、五酸化リンとプルランを反応させてリン酸化プルランを得る方法も好適に用いられる。得られたリン酸化プルランは、IR分析NMR分析等により、その構造を確認することができる。なお、リン酸化プルランのリン酸化の程度は、公知の方法に従って、原料使用量反応条件を調整する等して調整することができる。

0016

また、リン酸化プルランは、その一部又は全部が塩になっていてもよく、例えば、ナトリウム塩カリウム塩カルシウム塩マグネシウム塩アンモニウム塩や各種アミンとの塩等が例示される。リン酸化プルランの塩は、公知の方法に従って調製することができる。

0017

リン酸化プルランの数平均分子量(Mn)は、生体組織との接着性、シート又はフィルムの強度、及び製造コスト等の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上、更に好ましくは10000以上であり、更に好ましくは20000以上である。上限値は特に限定されるものではない。また、重量平均分子量(Mw)としては、生体組織との接着性、シート又はフィルムの強度、及び製造コスト等の観点から、好ましくは10000以上、より好ましくは20000以上、更に好ましくは50000以上、更に好ましくは100000以上であり、更に好ましくは200000以上であり、上限値は特に限定されるものではない。但し、リン酸化プルランの重合が進み、高度に高分子量化すると、水への溶解が悪くなり、分子量を正確に測定することが困難となり、実際には測定できない場合もある。本発明においては、そのような高分子量体も好適例の一つとして含まれる。従って、本発明において、リン酸化プルランの重量平均分子量の上限は、特になく、測定限界を超えるものも含まれる。なお、本明細書において、リン酸化プルランの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。

0018

リン酸化プルランは、1分子に含まれる全水酸基のうち、好ましくは0.5〜15個数%、より好ましくは2〜14個数%、さらに好ましくは、2〜13個数%、さらに好ましくは2〜10個数%の水酸基がリン酸化されたものが望ましい。なお、リン酸化プルランにおけるリン酸化された水酸基の個数割合は、リン酸化プルランの元素分析を行ってリン含有量を測定し、測定されたリンが全て、リン酸化された水酸基に由来するものとして算出することができる。

0019

本発明においては、生分解性高分子としてリン酸化プルランを用いるが、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の生分解性高分子を用いてもよい。他の生分解性高分子としては、公知のものであれば特に限定はなく、天然生分解性ポリマー、修飾天然生分解性ポリマー、合成生分解性ポリマー等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。

0020

天然生分解性ポリマーとしては、多糖類(例えば、アルギネートデキストランキチンキトサンヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フコイジン、スターチ、及びグリコサミノグリカン);タンパク質(例えば、アルブミンカゼインゼインフィブロイン)、ならびにこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。

0021

修飾天然生分解性ポリマーとしては、合成により修飾された天然生分解性ポリマーが挙げられる。具体的には、前記天然生分解性ポリマーの化学誘導体化学基(例えば、アルキルアルキレン)の置換及び/又は付加、ヒドロキシル化酸化、ならびに、それらの組み合わせ)を用いることができ、セルロース誘導体(例えば、アルキルセルロースヒドロキシアルキルセルロースセルロースエーテルニトロセルロース)が例示される。なかでも、メチルセルロースエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロースプロピオン酸セルロース酢酸酪酸セルロース酢酸フタル酸セルロースカルボキシメチルセルロース三酢酸セルロース、及び硫酸セルロースナトリウム塩が好適例として挙げられる。

0022

合成生分解性ポリマーとしては、ラクトンモノマー(例えば、グリコリドラクチドカプロラクトン、ε−カプロラクトン、バレロラクトン、及びδ−バレロラクトン)から調製されたポリヒドロキシ酸;ならびにカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート及びテトラメチレンカーボネートなど);ジオキサノン(例えば、1,4−ジオキサノン及びp−ジオキサノン);1,ジオセパノン(例えば、1,4−ジオキセパン−2−オン及び1,5−ジオキセパン−2−オン);ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。これらから形成されるポリマーとしては、ポリ乳酸);ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(ラクチド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(グリコリド−co−(ε−カプロラクトン));ポリ(乳酸−co−グリコール酸);ポリカーボネート;ポリ(アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアルキレンオキサレートポリオキサエステルポリ酸無水物ポリオルトエステル;ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマーホモポリマー、ブレンド、及び組み合わせが挙げられる。

0023

また、上記以外に、脂肪族ポリエステルポリエチレングリコールグリセロールコポリエーテル−エステル);ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンド、及び組み合わせが挙げられる。

0024

本発明のシート又はフィルムに用いられる生分解性高分子のうち、リン酸化プルランの含有量としては、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。上限は特に限定されず、生分解性高分子がリン酸化プルランからなるものであってもよい。

0025

また、シート又はフィルム中のリン酸化プルランの含有量としては、接着性を向上させる観点から、好ましくは30質量%を超えて、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、上限は特に設定されないが、通常90質量%程度である。

0026

可塑剤
本発明のシート又はフィルムは、リン酸化プルラン以外の成分としては、例えば、成形時の収縮などを抑制し、シート又はフィルムの柔軟性を向上させる観点から、可塑剤を含有することができる。

0027

可塑剤としては、例えば、グリセリンエチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコールトリエチレングリコールジプロピレングリコールソルビトールポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、シート又はフィルムの柔軟性の観点から、グリセリン及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。なお、ポリエチレングリコールの分子量としては、好ましくは100〜1000、より好ましくは200〜600が挙げられる。合成品であっても市販品であってもよい。

0028

可塑剤の含有量としては、リン酸化プルラン100質量部に対して、シート又はフィルムの柔軟性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、シート又はフィルムの取扱い性の観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。

0029

また、シート又はフィルム中の可塑剤の含有量としては、シート又はフィルムの柔軟性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、シート又はフィルムの取扱い性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。

0030

[生物活性薬剤]
本発明のシート又はフィルムは、生体内に埋め込んで使用することから薬効を付与して用いてもよく、生物活性薬剤を含有することができる。生物活性薬剤を含有する場合には、リン酸化プルランに由来するリン酸基などのイオン性基と生物活性薬剤との相互作用により、前記シート又はフィルムが生体に吸収される際に生物活性薬剤も逐次放出されて吸収されることになる。よって、本発明のシート又はフィルムが、前記生物活性薬剤の徐放基材として機能することができる。

0031

生物活性薬剤としては、特に限定はなく、例えば、
抗菌薬(以下の系に含まれる薬剤:β-ラクタム系(ペニシリン系複合ペニシリン系、βラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系、セフェム系、βラクタマーゼ阻害剤配合セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系、ペネム系)、アミノグリコシド系リンコマイシン系、ホスホマイシン系、テトラサイクリン系クロラムフェニコール系、マクロライド系ケトライド系、ポリペプチド系、グリコペプチド系、ストレプトグラミン系、キノロン系、ニューキノロン系サルファ剤系、オキサゾリジノン系);
抗真菌薬(以下の系に含まれる薬剤:ポリエン系アゾール系、アリルアミン系キャンディン系);
抗ウイルス薬(例えば、インターフェロン、抗ヘルペス剤、抗インフルエンザ薬抗HIV薬(各種核酸逆転写酵素阻害薬、核酸複製阻害薬含む)、ビダフラビンガンシクロビルバルガンシクロビルバラシクロビルシドフォビルホスカルネットアシクロビル免疫調整剤);
寄生虫薬(線虫薬(メベンダゾール、パモ酸ピランデル、チアベンダゾールジエチルカルバマジンイベルメクチン)、条虫薬(ニクロサミドプラジカンテルアルベンダゾール)、吸虫薬(プラジカンテル)、原虫薬(メラルソプロールエフロルニチン、メトロニダゾールチニダゾールミルテホシン)、アメーバ薬(リファンピンアンホテリシンB);
抗原虫薬(たとえば、抗マラリア剤キニーネクロロキンメフロキンファンシダールプリマキン)、エフロルニチン、フラゾリドン、メラルソプロール、メトロニダゾール、オルニダゾール、パロモマイシン硫酸ペンタミジンピリメタミン、チニダゾール);
非ステロイド性抗炎症薬(以下の系に含まれる各薬剤:サルチル酸系、プロピオン系、酢酸系、オキシカム系、塩基性ピリン系、非ピリン系、総合感冒薬、COX-2阻害剤、COX-3阻害剤);
ステロイド性抗炎症薬(例えば、コルチゾールプレドニゾロントリアムシノロンデキサメタゾンベタメタゾン);
抗ヒスタミン薬(以下の系に含まれる各薬剤:エタノールアミン系、プロピルアミン系、フェノチアジン系ピペラジン系、第二世代エピナスチンロラタジンフェキソフェナジンセチリジン));
プロスタグランジン及び細胞毒性薬
肥満細胞安定化剤(例えば、クロモリンナトリウム);
受容体拮抗剤(たとえば、ヒスタミンH2受容体拮抗剤ロイコトルエン受容体拮抗薬交感神経β受容体拮抗薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬セロトニン5-HT(3)受容体拮抗薬、NMDA受容体拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、アデノシンa2a受容体拮抗薬、バソプレシン受容体拮抗薬、ADP受容体拮抗薬、ニューロキニン1受容体拮抗薬、抗コリン薬サイトカイン受容体拮抗薬);
抗腫瘍薬(以下の系に含まれる各薬剤:DNA架橋剤およびアルキル化剤ニトロソウレア白金錯体代謝拮抗薬葉酸拮抗薬プリン拮抗薬、ピリミジン拮抗薬)、リボヌクレオチド還元酵素阻害薬、防錘体毒(ビンカアルカロイド類、タキサン)、トポイソメラーズ阻害剤(ポドフィトトキシンアントラサイクリン系、カンプトテシンチロシンキナーゼ阻害剤ブレオマイシン類、マイトマイシン生物学的反応修飾物質インターフェロンα)、酵素、ホルモン製剤アンドロゲン受容体遮断薬アロマターゼ阻害薬モノクローナル抗体);
免疫原性薬剤(immunogenic agents);
免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンアザチオプリンミゾリビン、及びFK506(タクロリムス));
心臓血管薬(例えば、冠状血管拡張薬及びニトログリセリン);
抗狭心症薬(例えば、β−アドレナリン遮断薬カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン及びジルチアゼム)及び;ニトレート(例えば、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレートペンタエリトリトールテトラニトレート、及びエリトリチルテトラニトレート);
抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシレートエスモロールベラパミルアミオダロンエンカイニド、ジゴキシンジギトキシンメキシレチンリン酸ジソピラミドプロカインアミド硫酸キニジンキニジングルコネート(quinidine gluconate)、キニジンポリガラクツロネート(quinidine polygalacturonate)、酢酸フレカイニドトカイニド、及びリドカイン);
抗高血圧薬(例えば、プロプラノロール(propanolol)、プロパフェノンオキシプレノロール(oxyprenolol)、ニフェジピン、レセルピントリメタファンフェノキシベンザミン塩酸パルジリン、デセルピジンジアゾキシド硫酸グアネチジン(guanethidine monosulfate)、ミノキシジルレシンナミンニトロプルシドナトリウムインドジャボク(rauwolfia serpentina)、アルセロキシロン、及びフェントラミン);
脈管形成剤(例えば、アンジオクライン);
抗脈管形成剤;
血液凝固薬(例えば、ヘパリンヘパリンナトリウム、及びワルファリンナトリウム抗うつ薬(例えば、ネオパムオキシペルチンドキセピンアモキサピントラゾドンアミトリプチリンマプロチリンフェニルジン(phenylzine)、デシプラミンノルトリプチリントラニルシプロミンフルオキセチン、ドキセピン、イミプラミン、イミプラミンパモエートイソカルボキサジド(isocarboxazid)、トリミプラミン、及びプロトリプチリン);
鎮静催眠薬(例えば、バルビツール酸類(例えば、ペントバルビタール及びセコバルビタール);ベンゾジアゼピン(benzodiazapine)類(例えば、塩酸フルラゼパムトリアゾラム、及びミダゾラム));
抗不安薬(例えば、ロラゼパムブスピロンプラゼパムクロルジアゼポキシドオキサゼパムクロラゼプ酸二カリウムジアゼパムヒドロキシジンパモエート塩酸ヒドロキシジンアルプラゾラムドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、及びダントロレン);
抗精神病薬(例えば、ハロペリドールコハク酸ロクサピン、塩酸ロクサピン、チオリダジン塩酸チオリダジンチオチキセンフルフェナジンデカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジントリフルオペラジンクロルプロマジンパーフェナジンクエン酸リチウム、及びプロクロルペラジン);
抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸ジバルプロックスナトリウムフェニトイン(phenyloin)、フェニトインナトリウム(phenyloin sodium)、クロナゼパムプリミドンフェノバルビタール(phenobarbitol)、カルバマゼピンアモバルビタールナトリウムメトスクシミドメタルビタールメフォバルビタール、メフェニトイン(mephenyloin)、フェンスクシミドパラメタジオンエトトインフェナセミド、セコバルビタールナトリウム(secobarbitol sodium)、クロラゼプ酸二カリウム、及びトリメタジオン);
抗躁病薬(例えば、炭酸リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、バルプロ酸ナトリウム);
精神活性剤(精神に作用する薬剤は全て向精神薬、精神活性剤とする);
精神安定剤(例えば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、エチゾラムクロチアゼパム、アルプラゾラム、オキサゾラム、プラゼパム、ヒドロキシジン塩酸塩タンドスピロンクエン酸塩);
抗片頭痛剤(例えば、エルゴタミン、プロプラノロール(propanolol)、ムチン酸イソメテプテン、及びジクロラルフェナゾン、トリプタン系);
パーキンソン剤(例えば、L−ドパ及びエトスクシミド、塩酸プロフェナミンレボドパ);
鎮咳薬(例えば、中枢性鎮咳薬(ジヒドロコデイン)、アドレナリン作動薬トリメトキノール)、キサンチン誘導体(テオフィルン));
気管支拡張薬(例えば、交感神経作用薬(例えば、塩酸エピネフリン硫酸メタプロテレノール硫酸テルブタリンイソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロールアルブテロール、ビトルテロメシレート、塩酸イソプレテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリン、及び酒石酸水素エピネフリン);
ぜん息治療薬(例えば、ケトチフェン及びトラキサノクス);
抗ムスカリン薬(例えば、ブチルスコポラミン臭化物ピレンゼピン塩酸塩);
麻酔薬(例えば、コデインジヒドロコデイノンメペリジンモルヒネなど);
オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン及びナロキソン);
鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジンナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリネート塩酸プロメタジンチエチルペラジン、及びスコポラミン);
血糖降下薬(例えば、ヒトインスリン、精製ウシインスリン、精製ブタインスリングリブリドクロルプロパミドグリピジドトルブタミド、及びトラザミド);
抗糖尿病薬(例えば、ビグアナイド類及びスルホニル尿素誘導体類);
高脂質血症薬剤(hypolipidemic agents)(例えば、クロフィブレートデキストロサイロキシンナトリウムプロブコールプラバスタチン(pravastitin)、アトルバスタチンロバスタチン、及びナイアシン);
血栓溶解薬(例えば、ウロキナーゼストレプトキナーゼ、及びアルテプラーゼ);
抗線維素溶解薬(例えば、アミノカプロン酸);
血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);
抗血小板薬(例えば、アスピリン);
カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニン及び副甲状腺ホルモン);
赤血球生成刺激に有用な薬剤(例えば、エリトロポイエチン);及び
抗関節炎薬(例えば、フェニルブタゾンスリンダクペニシラミン(penicillanine)、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナメート(meclofenamate)、金チオリンゴ酸ナトリウムケトプロフェンオーラノフィン金チオグルコース、及びトルメチンナトリウム);
抗痛風薬(例えば、コルヒチン及びアロプリノール);
筋弛緩薬(例えば、アフロアロンエペリゾン塩酸塩);
アドレナリン作用性ニューロン遮断薬(例えば、タムスロシン);
副交感神経作用剤(例えば、ピロカルピンムスカリン);
神経伝達物質(例えば、アドレナリンガンマアミノ酪酸グリシン);
抗体;
胃腸薬(例えば、アズレンスルホン酸ナトリウムウルソ、塩酸カルニチン);
抗潰瘍抗逆流剤(例えば、ファモチジンシメチジン、及び塩酸ラニチジン
利尿薬(例えば、トリクロルメチアジドメチクランフロセミド);
脂質;
リポ多糖類
多糖類;
酵素;
うっ血除去薬(例えば、プソイドエフェドリンフェニレフリン);
スルホンアミド
ビタミン
キサンチン類(例えば、アミノフィリンジフィリン、硫酸メタプロテレノール、及びアミノフィリン);
アルカロイド(例えば、モルヒネ、キニーネ、エフェドリン);
診断薬
が挙げられる。

0032

また、前記以外の例としては、例えば、ウイルス及び細胞ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質、ならびにそのアナログムテイン、及び活性フラグメント免疫グロブリンサイトカイン(例えば、リンホカインモノカインケモカイン);造血因子インターロイキンIL−2、IL−3、IL−4、IL−6);エリトロポイエチン;ヌクレアーゼ腫瘍壊死因子コロニー刺激因子(例えば、GCSF、MCSF);インスリン腫瘍抑制因子血液タンパク質(例えば、フィブリントロンビンフィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSHLHCGなど);ホルモン及びホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原細菌性抗原及びウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;増殖因子又は成長因子(例えば、神経発育因子インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチドポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。

0033

また更に、他の生物活性剤としては、ミトーテンハロニトロソ尿素(halonitrosoureas)、アントラサイクリン(anthrocyclines)、エリプチシン(ellipticine)、セフタジジムオキサプロジン、バラシクロビル、ファムシクロビルフルタミドエナラプリルメトホルミン(mefformin)、イトラコナゾールガバペンチンホシプリルトラマドールアカルボース、ロラゼパム(lorazepan)、ホリトロピンオメプラゾールリシノプリル、トラマドール(tramsdol)、レボフロキサシン、ザフィルルーカスト、顆粒球刺激因子ニザチジンブプロピオンペリンドプリルエルブミン(erbumine)、アデノシン、アレンドロネート(alendronate)、アルプロスタジルベタキソロール硫酸ブレオマイシンデキスフェンフルラミンフェンタニルゲムシタビン酢酸グラチラマー(glatiramer acetate)、グラニセトロンラミブジンマンガフォピール三ナトリウム(mangafodipir trisodium)、メサラミン(mesalamine)、フマル酸メトプロロールミグリトール(miglitol)、モエキシプリル(moexiprill)、モンテルカスト酢酸オクトレオチドオロパタジンパリカルシトール(paricalcitol)、ソマトロピンコハク酸スマトリプタンタクリンナブメトントロバフロキサシン(trovafloxacin)、ドラセトロン(dolasetron)、フィナステリドイスラジピン(isradipine)、トルカポン(tolcapone)、エノキサパリンフルコナゾールランソプラゾールパミドロネートジダノシンジクロフェナクシサプリドベンラファキシントログリタゾンフルバスタチンロサルタンイミグルセラーゼドネペジルオランザピンバルサルタン、フェキソフェナジン、アダパレン(adapalene)、メシル酸ドキサゾシンモメタゾンフランカルボン酸エステル(mometasone furoate)、ウルソジオールフェロジピン、塩酸ネファドン(nefazodone hydrochloride)、バルルビシン(valrubicin)、アルベンダゾール、酢酸メドロキシプロゲステロン塩酸ニカルジピン酒石酸ゾルピデムルビカン(rubitecan)、アムロジピンベシレート塩酸ベナゼプリル塩酸パロキセチン、ポドフィロックス、二塩酸プラミペキソール(pramipexole dihydrochloride)、フマル酸クエチアピンカンデサルタンシレキセチル(cilexetil)、リトナビルブスルファンフルマゼニルリスペリドン、カルバマゼピン(carbemazepine)、カルビドパ、レボドパ、ガンシクロビル、サキナビルアンプレナビル塩酸セルトラリン、クロブスタゾール(clobustasol)、ジフルコルトロンプロピオン酸ハロベタゾール(halobetasolproprionate)、クエン酸シルデナフィルクロルタリドン、イミキモッドシンバスタチンシタロプラム塩酸イリノテカンスパルフロキサシンエファビレンツ塩酸タムスロシン、モファフィニル(mofafinil)、レトロゾール(letrozole)、塩酸テルビナフィンマレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバンテルミサルタン、ジアゼパム(diazepam)、ロラタジン、クエン酸トレミフェンサリドマイドジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、塩酸ミトザントロントレチノインエトドラクメシル酸ネルフィナビル(nelfinavir mesylate)、インジナビル(indinavir)、ニフェジピン、セフロキシム、及びニモジピンが挙げられる。

0034

これらの薬剤は当業者の知識の範囲内であり、例えば、実施形態において、抗微生物剤(例えば、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジン及びその塩(酢酸クロルヘキシジングルコン酸クロルヘキシジン塩酸クロルヘキシジン、及び硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀及びその塩(酢酸銀安息香酸銀炭酸銀クエン酸銀ヨウ素酸銀ヨウ化銀乳酸銀ラウリン酸銀硝酸銀酸化銀パルミチン酸銀、プロテイン銀、及びスルファジアジン銀が挙げられる)、ポリミキシンテトラサイクリンアミノグリコシド(例えば、トブラマイシン及びゲンタマイシン)、リファンピシンバシトラシンネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸ノルフロキサシンナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシン及びシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリン及びピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸セファロスポリン)は、微生物増殖処置のために単独又は組み合わせて用いられ得る。さらに、抗菌性タンパク質及び抗菌性ペプチド(例えば、ラクトフェリン及びラクトフェリシンB(lactoferricin B))ならびに抗菌性多糖(例えば、フカン(fucan)及びその誘導体)は、微生物殺す、又は微生物の増殖を防ぐために生物活性薬剤として含有され得る。

0035

生物活性薬剤の含有量は、本発明のシート又はフィルムが適用される患者によって、一概には決定できず、適宜、調整することができる。なお、生物活性薬剤は、必要に応じて、公知の被膜剤被覆したり、担体吸着させたり、あるいは、リポソームマイクロカプセルシクロデキストリン等で封入して用いてもよい。

0036

[乳化剤]
また、本発明のシート又はフィルムは、前記以外に乳化剤を含有することができる。乳化剤によって、油溶性成分を含有する事が出来る。またシート又はフィルムの可塑性を制御することができる。生物活性薬剤と併用する場合には、乳化剤によって生物活性薬剤の体内への吸収を促進させるなど、体内への吸収性を制御することができる。

0037

乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができる。例えば、リン脂質や、アニオン界面活性剤カチオン界面活性剤ノニオン界面活性剤両性界面活性剤を用いることができる。具体的には、グリセリン脂肪酸エステルラウリル硫酸ナトリウムショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレン硬化ヒマシ油ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸アルキルベンゼンスルホン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸大豆由来レシチン、及びこれらの塩等が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。合成品であっても市販品であってもよい。

0038

乳化剤の含有量としては、リン酸化プルラン100質量部に対して、シート又はフィルムの柔軟性を向上させる観点、あるいは、生物活性薬剤を溶解又は良分散させる観点から、好ましくは2質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上であり、シート又はフィルムの取扱い性の観点から、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。

0039

また、シート又はフィルム中の乳化剤の含有量としては、シート又はフィルムの柔軟性を向上させる観点、あるいは、生物活性薬剤を溶解又は良分散させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、シート又はフィルムの取扱い性の観点から、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。

0040

また、本発明のシート又はフィルムは、前記以外にその他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤としては、甘味料香料着色剤顔料保存料酸化防止剤無機フィラー有機フィラーなどが挙げられる。これらの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、生体内への適用を考慮すると、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であることが望ましい。

0041

本発明のシート又はフィルムは、リン酸化プルランを含有するリン酸化プルラン組成物からなるものであればよく、例えば、リン酸化プルランを溶媒に溶解し、そこに、必要により、可塑剤、生物活性薬剤、乳化剤の他、各種添加剤を添加して混合したものを展延し、乾燥して固化することによって調製することができる。ここで、生物活性薬剤と乳化剤は別途混合してから添加してもよい。

0042

用いられる溶媒としては、リン酸化プルランを溶解することができるものであればよく、例えば、水、エタノール、酢酸、アセトン等が例示される。これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、水が好ましい。また、溶解時の温度としては特に限定はなく、例えば、20〜40℃が例示される。必要により、溶液の脱泡処理を行なってもよい。

0043

また、リン酸化プルラン組成物を展延する方法としては、例えば、組成物の溶液を成形型流し込んで固化させる方法や、刷毛へらキャスティング印刷法等により支持体上に塗布して固化させる方法が挙げられる。

0044

なお、本発明においては、支持体にシートを用いて、その上に、本発明のリン酸化プルラン組成物の層を積層したものを本発明のシート又はフィルムとすることができる。支持体シートは使用時には剥離されて、リン酸化プルラン組成物からなるシート又はフィルムが貼付されることになる。支持体シートとしては特に限定されないが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンポリ塩化ビニルポリエチレンポリプロピレン等のプラスチックフィルム金属箔、及び、これらから選ばれる1種又は2種以上のフィルムを積層したラミネートフィルム等が挙げられる。

0045

乾燥温度は用いた溶媒が蒸発するのであれば、溶媒の種類に応じて適宜調整することができる。

0046

また、本発明のシート又はフィルムは、複数のリン酸化プルラン組成物層を積層したものであってもよく、公知の他の層を積層したものであってもよく、これらが組み合わさったものでもよい。複数のリン酸化プルラン組成物層を積層する場合は、例えば、層によって生物活性薬剤の種類や配合有無、含有量を調整したものを積層して作製することができる。公知の層を積層する場合は、詳細は、後述の「他の層を設ける態様」の項で説明するが、例えば、リン酸化プルラン組成物層の溶解性を制御する観点から、エチルセルロース(EC)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートかんてんカラギーナンツェイン等を含有する被覆用の層を用いることができる。被覆用の層は生体に吸収される材料からなるものであり、公知技術に従って調製することができる。例えば、前記した原料を水に溶解し、本発明のシート又はフィルムと同様にして調製することができる。よって、本発明のシート又はフィルムの一態様としては、例えば、支持体シート上に、リン酸化プルラン組成物層、被覆用の層をこの順に積層したものが挙げられる。積層方法としては特に限定はなく、例えば、各層を個別に調製してから貼り合せてラミネートしてもよく、あるいは、既に形成された層の上に順に展延して積層してもよい。

0047

かくして本発明のシート又はフィルムが得られる。本発明のシート又はフィルムの厚みとしては、下限は10μm、20μm、30μm、50μm程度であり、上限は2000μm、1500μm、1200μm、800μm、500μm、300μm、200μm程度であり、適用箇所や生物活性薬剤を含有させる場合はその放出性に応じて、適宜設定することができる。なお、ここでの厚みとは、リン酸化プルラン組成物層の厚みのことであり、複数のリン酸化プルラン組成物層を積層させた場合には合計厚みのことである。また、一般に、「シート」とは厚みが1〜数mm程度のものであるのに対し、「フィルム」はシートよりも厚みが薄く(厚さ10〜数100μm)、薄膜を指すことが多く、両者は慣用的に区別されている。

0048

本発明のシート又はフィルムの形状としては、円形楕円形、角型(正方形長方形ひし形など)、星型、ハート型等、またはパンチング等任意に決定することができる。また、その面積は、シート又はフィルムの厚みに応じて一概には設定することができず、適用箇所やその目的に応じて調整することができる。例えば、0.5cm2〜5000cm2程度、好ましくは2cm2〜3000cm2程度である。

0049

本発明のシート又はフィルムは、生体内の臓器や組織の傷害修復あるいは再生するために用いることができる。具体的には、生体内の臓器(心臓肝臓、腸、胆嚢膵臓脾臓腎臓膀胱生殖器など)、皮膚、粘膜、神経系組織(抹消神経、脳や脊髄などの中枢神経)、骨・関節(骨、軟骨靭帯、など)、軟部組織皮下結合組織筋膜筋肉脂肪組織など)、脈管系組織(血管、リンパ管)において、創傷部、欠損部、又は脆弱部等に、本発明のシート又はフィルムを、支持体シートを含む場合は支持体シートを剥離した後、リン酸化プルラン組成物層が直接患部に接触するように貼付して用いることができる。ここで、本発明における「生体内」という用語には、生体の内部に貼付した場合のみならず。例えば、口腔内粘膜表面や、皮膚表面などにシート又はフィルムを貼付した場合、一面は生体内で他面は生体外露出しているような場合も包含するものである。従って、創傷部、欠損部、又は脆弱部等に対して本発明のシート又はフィルムを貼付することは、本明細書においては、生体内の臓器や組織の傷害を修復あるいは再生するためのものである。よって、本発明の一態様として、本発明のシート又はフィルムを含む、生体内の臓器又は組織における創傷部、欠損部、又は脆弱部等の被覆材を提供する。かかる被覆材は、例えば、創傷被覆、臓器の欠損部及び脆弱部等の補強、縫合し難い部位の補強、止血(出血防止)、空気漏れの防止等に用いることができる。

0050

また、本発明のシート又はフィルムが生物活性薬剤を含有する場合には、その薬剤に対応する疾患に適宜用いることができる。例えば、感染症の場合は、感染を抑制する薬剤等(抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、殺菌薬など)を含有するフィルムを感染直接接触するように貼付することで感染を沈静化することができる。上皮性腫瘍や非上皮性腫瘍の場合は、抗腫瘍薬(抗がん剤や抗体、低分子化合物など)を含有するフィルムを腫瘍部に貼付することで抗腫瘍効果を発揮できる。組織損傷部や欠損部には、成長因子やサイトカインなどの液性因子を含有したフィルムを使用することで組織修復・再生を図ることが可能となる。炎症鎮静や鎮痛解熱に関しては、抗炎症薬ステロイド系非ステロイド系抗炎症薬)や免疫原性薬剤等を含有したフィルムを使用する。出血に対しては、抗凝固剤を含有したフィルムを出血部位に貼付する。麻酔薬を含有したフィルムを皮膚や粘膜に貼付して針を使わない局所麻酔が可能になる、などが例示される。本発明のシート又はフィルムの使用量、使用回数、使用期間は、含有される生物活性薬剤の種類によっても異なり、該生物活性薬剤の有効量に応じて、使用目的及び貼付対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。

0051

本発明の別の態様として、前記被覆材や生物活性薬剤を含有する本発明のシート又はフィルムの一部又は全部に表面処理を行い、あるいは本発明のシート又はフィルム以外の他の層を設けてもよい。

0052

[表面処理を行う態様]
表面処理としては、リン酸化プルランの水酸基の部分の化学修飾などが挙げられる。例えば、表面を疎水化したり、架橋構造を導入するなどが例示でき、前記化学修飾は公知の方法に従って行うことができ、また、水酸基と反応するものであれば何でも良いが、エーテル化剤エステル化剤アセタール化剤イソシアネートイソチオシアネートカルバモイルクロリドチオカルバモイルクロリドシランカップリング剤塩化スルホニルスルホン酸無水物、ポリマー、その他高分子用架橋剤等を用いて化学修飾することなどが考えられる。これらの化学修飾によりリン酸化プルランの溶解性を制御することができ、本発明のシート又はフィルムに含まれる薬剤に徐放性を付与するなど、徐放性の制御が可能となる。したがって、リン酸化プルランの溶解性、薬剤の徐放性が制御されたリン酸化プルラン含有の生体吸収性シート又はフィルムを提供することも、本発明の一つの態様である。

0054

エステル化剤としては、ヘテロ原子を含んでも良いカルボン酸酸無水物カルボン酸ハロゲン化物ケテンジケテンなどが挙げられ、酢酸、プロピオン酸、酪酸アクリル酸メタクリル酸及びこれらの誘導体が使用でき、例えば、無水酢酸などが好ましい。無水酢酸を用いる場合、無水酢酸の溶液にリン酸化プルランのフィルムを浸漬したり、あるいは無水酢酸の蒸気で処理してもよい。また、リン酸エステル化剤として塩化ホスホリルなどを使用することができる。化学修飾により導入する官能基としては、例えば、アセチル基メタクリイル基プロパノイル基、ブタノイル基、iso−ブタノイル基、ペンタノイル基 、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、メチル基エチル基プロピル基、iso−プロピル基、ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基等が挙げられる。

0055

アセタール化剤としては、アルデヒドが挙げられる。アルデヒドは水酸基をアセタール反応することができるものであればよく、特に限定されるものではない。反応性およびコストから、ホルムアルデヒドアセトアルデヒドプロピオンアルデヒドノルマルブチルアルデヒ ドなどが好ましく、2種類以上を組み合わせても良い。

0056

イソシアネートとしては、イソシアン酸メチルエチルイソシアネートイソプロピルイソシアネート、イソブチルイソシアネート、トリクロロメチルエチルイソシアネート、クロロエチルイソシアネート、イソプロピルイソチオシアネート、イソブチルイソチオシアネート、ジフェニルメタンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートトルエンジイソシアネートイソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。

0057

イソチオシアネートとしては、メチルイソチオシアネートエチルイソチオシアネート、イソプロピルイソチオシアネート、イソブチルイソチオシアネート、クロロエチルイソチオシアネート、n−オクチルイソチオシアネート、シクロヘキシルイソチオシアネート、フェニルイソチオシアネート、1,4−フェニレンジイソチオシアネートなどが挙げられる。

0058

カルバモイルクロリドとしては、ジメチルカルバモイルクロリド、ジエチルカルバモイルクロリド、ジフェニルカルバモイルクロリド、ビス(2−クロロエチル)カルバモイルクロリド、N—メトキシ−N−メチルカルバモイルクロリド、4−モルフォリニルカルバモイルクロリドなどが挙げられる。

0059

チオカルバモイルクロリドとしては、ジメチルチオカルバモイルクロリド、ジエチルカルバモイルクロリド、ジフェニルカルバモイルクロリドなどが挙げられる。

0060

シランカップリング剤としては、ビニルシラザンヘキサメチルジシラザンテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザンなどのシラザン類トリメチルクロロシランジメチルジクロロシランメチルトリクロロシランビニルトリクロロシランなどのクロロシラン類トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランメチルトリメトキシシランビニルトリメトキシシラン、n−ブトキシトリメチルシラン、tert−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、イソブトキシトリメチルシラン、エトキシトリエチルシラン、オクチルジメチルエトキシシラン又はシクロヘキシルオキシトリメチルシランなどのアルコキシシラン類;ブトキシポリジメチルシロキサンのようなアルコキシシロキサン類;ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランアリルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤類;トリメチルシリルクロライドや、ジフェニルブチルクロライド等のシリルハライドや、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート等のシリルトリフルオロメタンスルホネートが適用可能であり、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン等が好適である。

0062

スルホン酸無水物としては、ベンゼンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物p−トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。

0063

ポリマー等を用いる表面修飾としては両親媒性ポリマーを用いることが出来る。両親媒性のポリマーとは、ポリマーのユニット中に親水性成分親油性成分を併せもつポリマーであり、有機溶媒、水の両者中においてそれぞれ溶解分散する性質を有している。側鎖に親水性成分と親油性成分を併せもつ単独モノマーからなるホモポリマーでもよく、親水性成分モノマーと親油性成分モノマーを共重合させた、共重合 ポリマーでも良い。親水性成分と親油性成分を併せもつ単独モノマーとしては、例えば(ポリオキシアルキレンアクリレート及びメタクリレートがある。また、親水性成分モノマーと親油性成分モノマーを共重合させて両親媒性のポリマーを作成しても良い。その際には、重合方法が容易でかつモノマー種類の豊富アクリル系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂としては、アクリルモノマーだけによるホモポリマーでもよく、またアクリルモノマーを基本として他のモノマーと共重合してもよい。アクリルモノマーとしては、一般的なアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルメタクリル酸メチルアクリルクロリド、メタクリルクロリドまたは無水アクリル酸等が挙げられる。

0064

[他の層を設ける態様]
本発明のシート又はフィルム以外の他の層を設ける態様、即ち、他の層を積層した複層構造とすることも本発明の一つの態様であり、貼付側の反対側に他の層を設ける態様が挙げられる。このような態様とすることで、生体内で使用する場合には生物活性薬剤が体液中に漏洩することを抑制でき、皮膚等に使用する場合には生物活性薬剤の揮発を抑制できる。

0065

他の層としては、前記の被覆用の層の他に、生体適合性高分子や、その他の一般的な素材を含む層が挙げられる。

0066

生体適合性高分子としては、ポリ乳酸PLA)、ポリグリコール酸PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびそれらの共重合体ベースとするポリ(エステル)、PHB-PHV系のポリ(ヒドロキシアルカン酸)類、その他のポリ(エステル)類、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、ゼラチン、コンドロイチン硫酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、デキストラン、デキストリン、コラーゲンなどの天然高分子、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンオキシド(PEO)とポリ(テレフタル酸ブチレン)(PBT)のマルチブロック共重合体エチレンー酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。

0067

その他一般的な素材としては、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン中密度ポリエチレン低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデンポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン登録商標)(ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ABS樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂アクリル樹脂PMMA)、ポリアクリロニトリルエチレンービニルアルコール共重合体ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィンCOP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホンポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート液晶ポリマーポリエーテルエーテルケトン熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などが挙げられる。これらの一般的な樹脂は、種類も豊富であるため、本発明の用途にそって単品のみならず、樹脂の種類や分子量を組み合わせることが可能である。

0068

本発明のシート又はフィルムに他の層を積層する方法としては、特に限定されるものでないが、ドライラミネート押出ラミネートウェットラミネートなど公知の方法により積層することができる。

0069

また更に、本発明のシート又はフィルムは、生体内の臓器や組織に適用する際に、予め生体内組織の再生又は再建材料や生物活性薬剤を当該箇所に適用しておき、その上からリン酸化プルラン組成物層が当該材料や生物活性薬剤を被覆するようにして貼付し使用することもできる。これにより、生体内組織の再生又は再建材料や生物活性薬剤の漏洩や拡散を防止したり、固定化が容易になるという効果が奏される。よって、本発明のシート又はフィルムの一態様として、生体内組織の再生又は再建材料の漏洩又は拡散防止材あるいは固定材が挙げられる。同様に、別の態様として、生物活性薬剤の漏洩又は拡散防止材が挙げられる。具体的には、本発明のシート又はフィルムは、人工硬膜癒着防止膜歯周組織再生膜スキャホールド骨固定材接着材等として用いることができる。

0070

本明細書において、生体内組織の再生又は再建材料としては、骨補填材人工骨ペーストタイプ顆粒タイプ))等を用いることができる。生物活性薬剤としては、上記したものを用いることができる。本発明のシート又はフィルムは、湿潤下での強度及び接着性に優れることから、生体内組織の再生又は再建材料や生物活性薬剤の形態は特に限定されず、ペーストタイプ、粉末状、顆粒タイプ、スポンジタイプ、液状など、各種形態のものを用いることができる。

0071

以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。なお、この実施例は、単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。例中の部は、特記しない限り質量部である。また、「常温」とは25℃を示す。

0072

製造例1(リン酸化プルランの合成)
内容積2Lのセパラブルフラスコを用いて、プルラン(林原商事社製)40.0gを蒸留水200mLに室温で溶解させた。この溶液を攪拌しながら、1Mのリン酸水溶液水酸化ナトリウムでpHを5.5に調整したもの)1000gを10分かけて添加し、添加後さらに1時間攪拌を継続した。その後、100℃から103℃の間で蒸留水約1100mLを留去し、続いて、170℃で3時間攪拌を継続した後、反応物を室温まで冷却した。反応物を取り出し、乳鉢粉砕することで茶色固体98.4gを得た。

0073

上記で得られた茶色固体90gを蒸留水1500mLに溶解させた。この溶液を攪拌しながら、そこに99.5%エタノール1500mLを10分かけて添加した。添加と同時に、析出物の生成が確認された。添加終了後、さらに1時間攪拌を継続した。その後、静置して分層し、上澄みを傾斜法により取り除いた。その後、残存した沈殿を再度蒸留水1500mLに溶解させ、99.5%エタノール1500mLを10分かけて添加、沈殿を回収した。前記の操作をさらに2度行った後、この沈殿を蒸留水(400mL)に溶解させ、該溶液を攪拌している99.5%エタノール(2000mL)に少しずつ5分かけて添加した。析出した沈殿を、桐山ロート(3G)で濾取し、99.5%エタノール(500mL)で洗浄後、減圧下60℃で12時間乾燥させ、やや色かかった白色固体が28.5g得られた。さらに、この白色固体25gを蒸留水に溶解させ、この溶液を小型卓上電気透析装置マイクロアシライザーS3、サンアクティス製)にかけることによりリン酸化プルラン13gを透明感のある薄茶色固体として得た。

0074

得られた固体のIR分析(島津製作所製、FTIR−8200PC)(KB錠剤法)を行ったところ、リン酸基部位に由来するピークが1000〜1200cm−1に観測された。また、31P−NMR日本電子社製、JNM−LA500)を測定したところ2〜5ppmにプルランにエステル結合しているリン酸のリン由来のシグナルが得られた。ICP発光分析ジャールアッシュ社製、IRIS−AP)によりリン原子の元素分析を行い、その結果から、プルランの水酸基の約8.8個数%がリン酸化されたと判断された。またさらに、GPC分析カラム:TSKgel α−M(東ソー社製)、移動相:0.1M−NaCl水)を行った結果、数平均分子量(Mn)は22000であった。

0075

試験例1
生分解性ポリマーの種類による、フィルムの湿潤下での強度を調べた。

0076

具体的には、19mLの蒸留水に表1に示す量の原料を溶解し、得られた溶液をアスピレーターにて減圧、脱泡後、手引きで展延し、ドライヤーで乾燥(約55℃)することにより厚さ70μmのフィルムを得た。なお、リン酸化プルランは製造例1のものを、プルランは局方品を、コラーゲンは新田ゼラチン社製を用いた。

0077

得られたフィルムの物性を以下に示す方法により評価した。結果を表1に示す。

0078

せん断応力
フィルムを30×100mmに切り取り、片面10μLの水を用いて、両面それぞれを湿潤させたその両端を長辺方向に引っ張り荷重をかけ値を測定する。試料は4枚用い、その平均値を評価に用いる。

0079

0080

結果、プルランでは湿潤下でのせん断粘着力が小さく、リン酸化プルランのフィルムは、これまでの既存コラーゲンフィルムよりも湿潤下で高い粘着性を示す新しい生体吸収性フィルムであることが明らかである。

0081

試験例2
乳化剤は有効成分の体内への吸収促進が期待できる成分であるが、有効成分の溶解又は分散の他、フィルムの強度などの物性にも影響することから、その添加量について検討を行った。

0082

具体的には、19mLの蒸留水に表2に示す量の原料を、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル/ソルビット=1/4(v/v))、可塑剤(グリセリン)、リン酸化プルラン(製造例1)の順で溶解し、得られた溶液をアスピレーターにて減圧、脱泡後、手引きで展延し、ドライヤーで乾燥(約55℃)することにより厚さ70μmのフィルムを得た。

0083

得られたフィルムの物性を以下に示す方法により評価した。結果を表2及び図1に示す。

0084

引張強度試験〕
フィルムを30×100mmに切り取り、その両端を長辺方向にデジタルフォースゲージに挟んで牽引し、フィルムが破断した時点での強さを引張強度とする。試料は4枚用い、その平均値を評価に用いる。引張強度が大きい程フィルム強度は高いことを示し、2MPa以上であれば貼付使用に問題ないものである。

0085

溶解試験
水を入れたシャーレに16.5×22mmに切り取ったフィルムを浮かべ、静止状態で溶解する様子を観察し、完全に溶解した時間を計測する。試料は4枚用い、その平均値を評価に用いる。溶解時間が長い程フィルムの溶解性が高いことを示すが、30〜45秒程度であれば生体使用に問題ないものである。

0086

0087

結果、フィルム強度は乳化剤の添加量が増加するに伴って減少する傾向にあり、8MPa程度で飽和することが分かった。フィルム強度の目安は2MPa程度であり、乳化剤を添加しても十分に強度を維持できることが示唆された。また、溶解試験では乳化剤の添加量に関わらず40秒前後での溶解が認められた。

0088

試験例3
フィルムが生物活性薬剤を含有する場合について、フィルム化が可能であるかを検討した。

0089

具体的には、19mLの蒸留水に表3に示す量の原料を、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル/ソルビット=1/4(v/v))、可塑剤(グリセリン)の順で溶解後、生物活性薬剤を混合し、更にリン酸化プルラン(製造例1)を添加して溶解することで、得られた溶液をアスピレーターにて減圧、脱泡後、手引きで展延し、ドライヤーで乾燥(約55℃)して厚さ70μmのフィルムを得た。なお、生物活性薬剤については、塩化カルシウム(富田製薬社製)、エストラジオール(ZHEJIANG XIANJUPHARMACEUTICAL CO.,LTD.製)、ラロキシフェン(LKT Laboratories, Inc.製)、アルギニン(味の素製)、ゲンタマイシン(烟台只楚薬業有限公司製)を用いた。

0090

得られたフィルムの物性を試験例2及び以下に示す方法により評価した。結果を表3に示す。

0091

剥離試験
フェノール樹脂生理食塩水で濡らし、1.5cm幅(長さ10cm)にカットしたフィルムの下半分を貼り付けて乾燥させる。フェノール樹脂をデジタルフォースゲージに挟み、接着していない側のフィルムを180度方向に牽引し、フィルムがフェノール樹脂から完全に剥離した時点での強さを接着強度とする。試料は4枚用い、その平均値を評価に用いる。接着強度が大きい程フィルムの粘着力は高いことを示し、2.0N/15mm幅程度であれば貼付使用に問題ないものである。

0092

0093

結果、生物活性薬剤の添加によリ、プラセボ(実施例3)と比較して引張強度が低下し、エストラジオール(実施例7)及びラロキシフェン(実施例8)は他に比べても低下度合いが大きくなることが判明した。しかし、これは生物活性薬剤が分散状態で配合しているからであると考えられ、また、いずれのフィルム強度も目安(2MPa程度)より十分に高いことから、生物活性薬剤を添加しても強度が十分なフィルムが得られることが明らかになった。また、溶解試験では生物活性薬剤の添加に関わらず40秒前後での溶解が認められた。接着強度は、全ての処方において目標値(2.0N/15mm幅程度)をほぼ満たす結果であることが分かった。

0094

試験例4
フィルムが生物活性薬剤を含有する場合に、生物活性薬剤の乳化による影響を検討した。

0095

具体的には、試験例3と同じ組成に関して、生物活性薬剤を乳化剤と予め混合して乳化させてから混合する以外は、試験例3と同様にしてフィルムを得た(厚さ70μm)。

0096

得られたフィルムの物性を試験例3と同様にして評価した。結果を表4に示す。

0097

0098

結果、乳化した生物活性薬剤を用いたとしても、フィルム物性に大きな影響を与えないことが明らかになった。

0099

試験例5(薬理試験1)
マウス(C57BL/6)の背部皮下、背筋上に実施例10のフィルム(10×10mm)を埋植し、24時間後にマウスを屠殺し、埋植部の組織を抽出した。組織中のゲンタマイシン薬剤濃度ELISA法で測定した(埋植一日後)。なお、参考のために、実施例10のフィルムをPBS1mL中に一晩放置し、翌日上清を回収し同様にしてゲンタマイシン薬剤濃度を測定した(フィルム含有量)。結果を図2に示す。なお、フィルム埋植時に、フィルムは組織に直ぐ馴染み、また、ピンセットでつまむと粘着性を示していることを確認した。

0100

結果、ゲンタマイシン薬剤濃度は、PBS中に溶解したものが33126ng/mL、埋植一日後の組織中の濃度が13ng/mLであり、埋植後1日後には体内に吸収されたと考えられる。

0101

試験例6(止血実験)
実施例9で得られたアルギニンフィルムについて、その止血効果を検討した(図3)。マウスの肝臓表面をこすって傷をつけ、そこにアルギニンフィルムを静置した。フィルム静置により、肉眼的に出血が軽減した傾向があった。直後にフィルムを剥がしても、肝臓表面からの出血は確認できなかった。

0102

実施例11
30L反応缶超純水26L,食品添加物プルラン(プルラン/林原社製)350g(仕込み基準)を仕込んだ。50w/v%水酸化ナトリウム水溶液581mLを内温20〜25℃で追加し、同温度範囲で19時間撹拌した。内温を0℃まで冷却し、0〜10℃で塩化ホスホリル229gを追加した。同温度範囲で1時間撹拌した後、内温を20〜25℃に調整し15時間撹拌した。UF膜を用いて膜ろ過濃縮を行い、留去液が少なくなるまで濃縮した後、超純水を追加し、リン酸化プルラン水溶液とした。得られたリン酸化プルラン水溶液をスプレードライヤーにて粉末化し、リン酸化プルラン280gを得た。但し、水へ完全に溶解しないため、重量平均分子量は測定出来なかった。

0103

実施例12
1000LGL反応缶にイオン交換水508L,食品添加物プルラン7kg(プルラン/林原社製)(仕込み基準)を仕込んだ。予め調製した水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム5.81 kg、イオン交換水18kg使用)を内温20〜25℃で追加し、同温度範囲で5時間撹拌後、内温0〜10℃で塩化ホスホリル4.56kgを滴下した。同温度範囲で1時間撹拌した後、内温を20〜25℃に調整した。水酸化ナトリウム水溶液を更に添加し、終夜攪拌した。UF膜を用いて膜ろ過濃縮を行い、留去液が少なくなるまで濃縮した後、超純水を追加し、リン酸化プルラン水溶液とした。得られたリン酸化プルラン水溶液をスプレードライヤーにて粉末化し、リン酸化プルラン3.5kg(重量平均分子量210110)を得た。

0104

実施例12の重量平均分子量は、以下の条件で測定する。
測定条件
測定機器高速液体クロマトグラフ
カラム: TSKgelGMPWXL(7.8mmID×390mm)×2本連結
移動相: 200mM硝酸ナトリウム水溶液
流速: 1mL/min
検出器:示唆屈折検出器
カラム温度: 40℃
注入量: 100μL
試料溶液: 2mg/mL
(試料10mgに移動相5mLを加えた後,振り混ぜて溶解)
測定:プルラン標準品にて較正曲線を作成し、重量平均分子量を計算

0105

実施例13(溶解性の制御例1)
実施例6で調製したリン酸化プルランフィルム0.0236gを120℃に加熱した無水酢酸の蒸気で5分間処理を行った。未処理のリン酸化プルランフィルムは2時間、超純水に浸漬させると膨潤し、溶解した。一方、無水酢酸処理したリン酸化プルランは0.0916gに膨潤し、乾燥させると0.0176gとなった。これを水中に浸漬させると、乳化剤等は溶出してしまったが、リン酸化プルランフィルムとして、柔軟性はやや失われたが、フィルム状の形態を維持した。以上より、無水酢酸処理によりリン酸化プルランフィルムを難溶化できることがわかった。なお、無水酢酸に代えて塩化ホスホリルを使用して処理しても、同様に難溶化することができる。

0106

実施例14(溶解性の制御例2)
リン酸化プルランの粉末についてエチレンオキサイドガス滅菌を行った。ガスに対する暴露時間を変えることにより、エチレンオキサイドガスとの反応量を変えて、その変化を観察した。その結果、エチレンオキサイドガス暴露時間が進むほど、リン酸化プルランが変性することがわかり、得られたリン酸化プルランは水に対して難溶性となったことから、エチレンオキサイドガスによる処理により、リン酸化プルランを水に対して難溶化できることがわかった。結果を図4に示す。図中の5%、10%、20%は、エチレンオキサイドガスの濃度を示す。

0107

実施例15(2層構造の製造例)
公知のウェットラミネート法により、実施例5と同様にして調製したリン酸化プルランフィルムにポリグリコール酸不織布(製品名:ネオベール0.3mm厚)を貼り合せ、リン酸化プルラン層とポリグリコール酸不織布の2層構造シートを調製した。結果を図5、6に示す。

実施例

0108

実施例16(骨形成モデル
ラット脊椎横突起ドリルで削り、同部位に、BMP−2を1μg/cm2配合する点を除くと同様にして調製したBMP−2を含有するリン酸化プルランフィルム(5mm角)を図7の位置に静置した。フィルムは直ちに組織に吸着し、はがす事は困難であった。図8中の丸で囲んだ部位に骨形成を期待できる。

0109

本発明の生体吸収性のシート又はフィルムは、医療分野において、例えば、外科手術の際に臓器や血管等の体内組織に貼付する医療用接着剤等として好適に用いることができる。

0110

1リン酸化プルラン層
2ポリグリコール酸不織布

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