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技術 多能性幹細胞を未分化状態で培養する培地、細胞培養および方法

出願人 テクニオンリサーチアンドディベロップメントファウンデーションリミテッド
発明者 アミット,ミカルイツコヴィッツ-エルドー,ヨセフ
出願日 2019年10月11日 (1年2ヶ月経過) 出願番号 2019-188087
公開日 2020年2月13日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-022480
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード 磁気プレート 交換しうる 最適モデル セクション見出し 内部表 指示範囲 系統表 形態学的構造
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図面 (6)

課題

多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地の提供。

解決手段

約50〜200ピコグラムミリリットル(pg/ml)の濃度範囲ILRIL6キメラを含む、無血清の培地であって、ここで前記培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地。前記培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、並びに血清代替物をさらに含む。

概要

背景

ヒト胚性幹細胞(hESC)の特異的分化能は、それらを、初期ヒト発生、系統関与分化プロセスを試験し、かつ工業目的および細胞に基づく治療として使用されるべき最適モデルの1つとして明らかである。

人工多能性(iPS)細胞は、インビトロおよびインビボの双方で3つの胚性胚葉の代表的組織に分化する能力を有するESC様細胞再プログラム化される体細胞である。マウスまたはヒトiPS細胞は、体細胞における4つの転写因子、c−Myc、Oct4、Klf4およびSox2の過剰発現によって生成された。iPS細胞は、ESCと同じコロニー形態を形成し、かつ、Dnmt3a、Dnmt3b、Utf1、Tel1およびLIF受容体遺伝子などのあまり重要でないマーカー以外の、Myb、Kit、Dgf3およびZic3などの数種の典型的なESCマーカーを発現することが示され、それにより、iPS細胞がES細胞に類似するが同一でないことが確認された[TakahashiおよびYamanaka、2006年;Takahashiら、2007年;Meissnerら、2007年;Okitaら、2007年]。Yu Junyingら(Science 318:1917−1920頁、2007年)は、線維芽細胞由来iPS細胞およびhESCに共通の遺伝子発現パターンを見出した。

さらなる試験によると、iPS細胞が、体細胞をOct4、Sox2、NanogおよびLin28で形質転換する一方、腫瘍遺伝子C−Mycの使用を省くことによって取得可能であることが示された[Yuら、2007年;Nakagawaら、2008年]。iPS細胞誘導方法の改善には、ウイルスベクターの代わりとしてのプラスミドの使用またはゲノムへの組込みを全く伴わない誘導が含まれ、その場合、臨床用途におけるiPS細胞の将来の使用が簡素化されうる[Yu J.ら、Science.2009年、324:797−801頁]。

現在利用可能なiPS細胞は、胚性線維芽細胞[TakahashiおよびYamanaka、2006年;Meissnerら、2007年]、hESCから形成される線維芽細胞[Parkら、2008年]、胎児線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、包皮線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、成体皮膚および皮膚組織[Hannaら、2007年;Lowryら、2008年]、b−リンパ球[Hannaら、2007年]、ならびに成体肝および細胞[Aoiら、2008年]、に由来するものである。

iPS細胞は、hESCと同様、従来から二次元培養下で支持層を用いて培養され、それは未分化状態でのその連続的成長を可能にする。例えば、iPS細胞は、ウシ胎仔血清(FBS)が補充された培地の存在下で、不活性化マウス胚性線維芽細胞(MEF)または包皮線維芽細胞からなるフィーダー層上で培養された[TakahashiおよびYamanaka、2006年、Meisnnerら(at al)、2007年]。培養方法のさらなる改善には、iPS細胞を、血清代替物および10ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含有するより限定された培地の存在下、MEFフィーダー層上で培養することが含まれる(Parkら、2008年)。しかし、臨床用途(例えば細胞に基づく治療)または工業目的としては、iPS細胞は、制御プロセスを伴う、限定された異種成分不含(例えば動物フリー)およびスケーラブルな培養系下で培養される必要がある。

PCT公開国際公開第2007/026353号パンフレットでは、ヒト胚性幹細胞を二次元培養系下、未分化状態で維持することを目的とした、TGFβアイソフォーム、またはIL6および可溶性IL6受容体の間で形成されるキメラ(IL6RIL6)を含む、十分に限定された異種成分不含培地が開示されている。

米国特許出願公開第2005/0233446号明細書では、hESCを、未分化状態で、Matrigel(商標)上で培養される場合に維持するため、bFGF、インスリンおよびアスコルビン酸を含む限定培地が開示されている。

Ludwig T.E.ら、2006年(Nature Biotechnology,24:185−7頁)では、hESCを、コラーゲンIV、フィブロネクチンラミニンおよびビトロネクチンからなるマトリックス上で培養するためのTeSR1限定培地が開示されている。

米国特許出願公開第2009/0029462号明細書では、多能性幹細胞を、微小担体または細胞カプセル化を用いて懸濁液中で増殖する方法が開示されている。

PCT公開の国際公開第2008/015682号パンフレットでは、ヒト胚性幹細胞を、基質接着を有しない培養条件下の浮遊培養下で増殖・維持する方法が開示されている。

米国特許出願公開第2007/0155013号明細書では、多能性幹細胞を、多能性幹細胞に接着する担体を使用し、懸濁液中で成長させる方法が開示されている。

米国特許出願公開第2008/0241919号明細書(Parsonsら)では、多能性幹細胞を、無細胞マトリックスを含む細胞培養容器内の、bFGF、インスリンおよびアスコルビン酸を含む培地中で、浮遊培養下で培養する方法が開示されている。

米国特許出願公開第2008/0159994号明細書(Mantalarisら)では、アルギン酸ビーズ内部にカプセル化された多能性ES細胞を、血清代替物およびbFGFを含む培地中の三次元培養下で培養する方法が開示されている。

米国特許出願公開第2007/0264713号明細書では、未分化幹細胞を、ならし培地を使用する容器内、微小担体上で浮遊培養する方法が開示されている。

概要

多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地の提供。約50〜200ピコグラムミリリットル(pg/ml)の濃度範囲でIL6RIL6キメラを含む、無血清の培地であって、ここで前記培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地。前記培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、並びに血清代替物をさらに含む。なし

目的

PCT公開の国際公開第2007/026353号パンフレットでは、ヒト胚性幹細胞を二次元培養系下、未分化状態で維持することを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

約50〜200ピコグラムミリリットル(pg/ml)の濃度範囲ILRIL6キメラを含む、無血清培地であって、ここで前記培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地。

請求項2

前記培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)をさらに含む、請求項1に記載の培地。

請求項3

前記培地は、血清代替物をさらに含む、請求項1または2に記載の培地。

請求項4

前記培地は、前記多能性幹細胞を浮遊培養で培養したときに未分化状態で増殖する能力を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の培地。

請求項5

多能性幹細胞および請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地を含む細胞培養物

請求項6

胚性幹細胞系を誘導する方法であって、胎児着床前期胚盤胞着床後期胚盤胞および/または生殖器組織由来する胚性幹細胞を請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地中で培養するステップを含み、それによって前記胚性幹細胞系を誘導する、方法。

請求項7

人工多能性幹細胞系を誘導する方法であって、(a)体細胞を多能性幹細胞に誘導するステップと、(b)前記多能性幹細胞を請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地中で培養するステップと、を含み、それによって前記人工多能性幹細胞系を誘導する、方法。

請求項8

多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法であって、前記多能性幹細胞を請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地中で培養するステップを含み、それによって前記多能性幹細胞を前記未分化状態で増殖・維持する、方法。

請求項9

胚様体を多能性幹細胞から生成する方法であって、(a)前記多能性幹細胞を、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化多能性幹細胞を得るステップと、(b)前記増殖された未分化多能性幹細胞を、前記幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くステップと、を含み、それによって前記胚様体を前記多能性幹細胞から生成する、方法。

請求項10

系統特異的細胞を多能性幹細胞から生成する方法であって、(a)前記多能性幹細胞を、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化多能性幹細胞を得るステップと、(b)前記増殖された未分化多能性幹細胞を、前記増殖された未分化幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くステップと、(c)前記胚様体の細胞を、系統特異的細胞の分化および/または増殖に適した培養条件下に置くステップと、を含み、それによって前記系統特異的細胞を前記多能性幹細胞から生成する、方法。

請求項11

前記幹細胞は、胚性幹細胞である、請求項5に記載の細胞培養物、あるいは請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

前記幹細胞は、人工多能性(iPS)細胞である、請求項5に記載の細胞培養物、あるいは請求項6〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

前記培養するステップは、マトリックス上で行われる、請求項6〜12のいずれか一項に記載の方法。

請求項14

前記IL6RIL6キメラの前記濃度は、約100pg/mlである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地、請求項5に記載の細胞培養物、あるいは請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

前記培養するステップは、浮遊培養下で行われる、請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

前記維持するステップは、少なくとも5継代にわたる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の培地、請求項5に記載の細胞培養物、あるいは請求項6〜13のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、その一部の実施形態では、幹細胞多能性および未分化状態で維持するのに使用可能な異種成分不含培地、また限定された培地に対する一部の実施形態では、多能性幹細胞浮遊培養下で培養するための、それを含む細胞培養物およびそれを使用する方法に関する。

背景技術

0002

ヒト胚性幹細胞(hESC)の特異的分化能は、それらを、初期ヒト発生、系統関与分化プロセスを試験し、かつ工業目的および細胞に基づく治療として使用されるべき最適モデルの1つとして明らかである。

0003

人工多能性(iPS)細胞は、インビトロおよびインビボの双方で3つの胚性胚葉の代表的組織に分化する能力を有するESC様細胞再プログラム化される体細胞である。マウスまたはヒトiPS細胞は、体細胞における4つの転写因子、c−Myc、Oct4、Klf4およびSox2の過剰発現によって生成された。iPS細胞は、ESCと同じコロニー形態を形成し、かつ、Dnmt3a、Dnmt3b、Utf1、Tel1およびLIF受容体遺伝子などのあまり重要でないマーカー以外の、Myb、Kit、Dgf3およびZic3などの数種の典型的なESCマーカーを発現することが示され、それにより、iPS細胞がES細胞に類似するが同一でないことが確認された[TakahashiおよびYamanaka、2006年;Takahashiら、2007年;Meissnerら、2007年;Okitaら、2007年]。Yu Junyingら(Science 318:1917−1920頁、2007年)は、線維芽細胞由来iPS細胞およびhESCに共通の遺伝子発現パターンを見出した。

0004

さらなる試験によると、iPS細胞が、体細胞をOct4、Sox2、NanogおよびLin28で形質転換する一方、腫瘍遺伝子C−Mycの使用を省くことによって取得可能であることが示された[Yuら、2007年;Nakagawaら、2008年]。iPS細胞誘導方法の改善には、ウイルスベクターの代わりとしてのプラスミドの使用またはゲノムへの組込みを全く伴わない誘導が含まれ、その場合、臨床用途におけるiPS細胞の将来の使用が簡素化されうる[Yu J.ら、Science.2009年、324:797−801頁]。

0005

現在利用可能なiPS細胞は、胚性線維芽細胞[TakahashiおよびYamanaka、2006年;Meissnerら、2007年]、hESCから形成される線維芽細胞[Parkら、2008年]、胎児線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、包皮線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、成体皮膚および皮膚組織[Hannaら、2007年;Lowryら、2008年]、b−リンパ球[Hannaら、2007年]、ならびに成体肝および細胞[Aoiら、2008年]、に由来するものである。

0006

iPS細胞は、hESCと同様、従来から二次元培養下で支持層を用いて培養され、それは未分化状態でのその連続的成長を可能にする。例えば、iPS細胞は、ウシ胎仔血清(FBS)が補充された培地の存在下で、不活性化マウス胚性線維芽細胞(MEF)または包皮線維芽細胞からなるフィーダー層上で培養された[TakahashiおよびYamanaka、2006年、Meisnnerら(at al)、2007年]。培養方法のさらなる改善には、iPS細胞を、血清代替物および10ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含有するより限定された培地の存在下、MEFフィーダー層上で培養することが含まれる(Parkら、2008年)。しかし、臨床用途(例えば細胞に基づく治療)または工業目的としては、iPS細胞は、制御プロセスを伴う、限定された異種成分不含(例えば動物フリー)およびスケーラブルな培養系下で培養される必要がある。

0007

PCT公開国際公開第2007/026353号パンフレットでは、ヒト胚性幹細胞を二次元培養系下、未分化状態で維持することを目的とした、TGFβアイソフォーム、またはIL6および可溶性IL6受容体の間で形成されるキメラ(IL6RIL6)を含む、十分に限定された異種成分不含培地が開示されている。

0008

米国特許出願公開第2005/0233446号明細書では、hESCを、未分化状態で、Matrigel(商標)上で培養される場合に維持するため、bFGF、インスリンおよびアスコルビン酸を含む限定培地が開示されている。

0009

Ludwig T.E.ら、2006年(Nature Biotechnology,24:185−7頁)では、hESCを、コラーゲンIV、フィブロネクチンラミニンおよびビトロネクチンからなるマトリックス上で培養するためのTeSR1限定培地が開示されている。

0010

米国特許出願公開第2009/0029462号明細書では、多能性幹細胞を、微小担体または細胞カプセル化を用いて懸濁液中で増殖する方法が開示されている。

0011

PCT公開の国際公開第2008/015682号パンフレットでは、ヒト胚性幹細胞を、基質接着を有しない培養条件下の浮遊培養下で増殖・維持する方法が開示されている。

0012

米国特許出願公開第2007/0155013号明細書では、多能性幹細胞を、多能性幹細胞に接着する担体を使用し、懸濁液中で成長させる方法が開示されている。

0013

米国特許出願公開第2008/0241919号明細書(Parsonsら)では、多能性幹細胞を、無細胞マトリックスを含む細胞培養容器内の、bFGF、インスリンおよびアスコルビン酸を含む培地中で、浮遊培養下で培養する方法が開示されている。

0014

米国特許出願公開第2008/0159994号明細書(Mantalarisら)では、アルギン酸ビーズ内部にカプセル化された多能性ES細胞を、血清代替物およびbFGFを含む培地中の三次元培養下で培養する方法が開示されている。

0015

米国特許出願公開第2007/0264713号明細書では、未分化幹細胞を、ならし培地を使用する容器内、微小担体上で浮遊培養する方法が開示されている。

0016

本発明の一部の実施形態の態様によると、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFβ3)およびアスコルビン酸を含む、無血清および異種成分不含培地であって、ここで培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも約50μg/mlであり、またここで培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持(feeder cell support)の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地が提供される。

0017

本発明の一部の実施形態の態様によると、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、異種成分不含血清代替物および脂質混合物を含む、無血清および異種成分不含培地であって、ここで培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地が提供される。

0018

本発明の一部の実施形態の態様によると、約50〜200ピコグラムミリリットル(pg/ml)の濃度範囲でのIL6RIL6キメラを含む、無血清の培地であって、ここで培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地が提供される。

0019

本発明の一部の実施形態の態様によると、少なくとも2000単位/mlの濃度での白血病阻害因子(LIF)を含む、無血清の培地であって、ここで培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する、培地が提供される。

0020

本発明の一部の実施形態の態様によると、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)および血清代替物を含む培地であって、ここで培地は、多能性幹細胞を、浮遊培養下で、未分化状態で維持する能力を有する、培地が提供される。

0021

本発明の一部の実施形態の態様によると、塩基性媒体、約50μg/ml〜約500μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約2ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのbFGF、L−グルタミン、および血清代替物からなる培地が提供される。

0022

本発明の一部の実施形態の態様によると、塩基性媒体、約50μg/ml〜約500μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約2ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのbFGF、L−グルタミン、血清代替物および脂質混合物からなる培地が提供される。

0023

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞および本発明の培地を含む細胞培養物が提供される。

0024

本発明の一部の実施形態の態様によると、胚性幹細胞系を誘導する方法であって、(a)胚性幹細胞を、胎児着床前期胚盤胞着床後期胚盤胞および/または生殖器組織から得るステップと、(b)胚性幹細胞を本発明の培地中で培養するステップと、を含み、それによって胚性幹細胞系を誘導する、方法が提供される。

0025

本発明の一部の実施形態の態様によると、人工多能性幹細胞系を誘導する方法であって、(a)体細胞を多能性幹細胞に誘導するステップと、(b)多能性幹細胞を本発明の培地中で培養するステップと、を含み、それによって人工多能性幹細胞系を誘導する、方法が提供される。

0026

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法であって、多能性幹細胞を本発明の培地中で培養するステップを含み、それによって多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する、方法が提供される。

0027

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法であって、多能性幹細胞を、無血清、無フィーダー、マトリックス不含およびタンパク質担体不含であり、かつ約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地中で培養するステップを含み、ここで培地は多能性幹細胞を未分化状態で維持する能力を有する、方法が提供される。

0028

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞を増殖し、かつ多能性幹細胞を未分化状態で維持する方法であって、多能性幹細胞を、無血清および異種成分不含培地中フィーダー細胞層上で培養するステップを含み、ここで培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFβ3)およびアスコルビン酸を含み、ここで培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも50μg/mlであり、またここで培地は、多能性幹細胞を未分化状態で維持する能力を有し、それによって幹細胞を未分化状態で増殖・維持する、方法が提供される。

0029

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞を増殖し、かつ多能性幹細胞を未分化状態で維持する方法であって、多能性幹細胞を、無血清および異種成分不含培地中、フィーダー細胞層上で培養するステップを含み、ここで培地は、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、異種成分不含血清代替物および脂質混合物を含み、ここで培地は、多能性幹細胞を未分化状態で維持する能力を有し、それによって幹細胞を未分化状態で増殖・維持する、方法が提供される。

0030

本発明の一部の実施形態の態様によると、人工多能性(iPS)細胞を増殖し、かつiPS細胞を未分化状態で維持する方法であって、iPS細胞を、基質接着を有せず細胞カプセル化を有しないでかつiPS細胞の未分化状態での増殖を可能にする培養条件下の浮遊培養下で培養するステップを含み、それによってiPS細胞を未分化状態で増殖・維持する、方法が提供される。

0031

本発明の一部の実施形態の態様によると、系統特異的細胞を多能性幹細胞から生成する方法であって、(a)多能性幹細胞を本発明の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化幹細胞を得るステップと、(b)増殖された未分化幹細胞を、系統特異的細胞の分化および/または増殖に適した培養条件下に置くステップと、を含み、それによって系統特異的細胞を多能性幹細胞から生成する、方法が提供される。

0032

本発明の一部の実施形態の態様によると、胚様体を多能性幹細胞から生成する方法であって、(a)多能性幹細胞を本発明の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化多能性幹細胞を得るステップと、(b)増殖された未分化多能性幹細胞を、幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くステップと、を含み、それによって胚様体を多能性幹細胞から生成する、方法が提供される。

0033

本発明の一部の実施形態の態様によると、系統特異的細胞を多能性幹細胞から生成する方法であって、(a)多能性幹細胞を本発明の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化多能性幹細胞を得るステップと、(b)増殖された未分化多能性幹細胞を、増殖された未分化幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くステップと、(c)胚様体の細胞を系統特異的細胞の分化および/または増殖に適した培養条件下に置くステップと、を含み、それによって系統特異的細胞を多能性幹細胞から生成する、方法が提供される。

0034

本発明の一部の実施形態によると、細胞培養物は、フィーダー細胞を含まない。

0035

本発明の一部の実施形態によると、培地は、多能性幹細胞を、浮遊培養下で培養される場合、未分化状態で増殖する能力を有する。

0036

本発明の一部の実施形態によると、幹細胞は、胚性幹細胞である。

0037

本発明の一部の実施形態によると、幹細胞は、人工多能性幹(iPS)細胞である。

0038

本発明の一部の実施形態によると、胚性幹細胞は、ヒト胚性幹細胞である。

0039

本発明の一部の実施形態によると、人工多能性幹細胞は、ヒト人工多能性幹細胞である。

0040

本発明の一部の実施形態によると、培地は、多能性幹細胞を未分化状態で増殖する能力を有する。

0041

本発明の一部の実施形態によると、培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)をさらに含む。

0042

本発明の一部の実施形態によると、培地は、血清代替物をさらに含む。

0043

本発明の一部の実施形態によると、培地中のTGFβ3の濃度は、少なくとも約0.5ng/mlである。

0044

本発明の一部の実施形態によると、培地中のTGFβ3の濃度は、約2ng/mlである。

0045

本発明の一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、少なくとも約5ng/mlである。

0046

本発明の一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、約5ng/ml〜約200ng/mlの範囲内である。

0047

本発明の一部の実施形態によると、培地中のアスコルビン酸の濃度は、約400マイクログラム/ミリリットル(μg/ml)〜約600μg/mlの範囲内である。

0048

本発明の一部の実施形態によると、培地中のアスコルビン酸の濃度は、約500μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)である。

0049

本発明の一部の実施形態によると、培養は、マトリックス上で行われる。

0050

本発明の一部の実施形態によると、マトリックスは、細胞外マトリックスを含む。

0051

本発明の一部の実施形態によると、細胞外マトリックスは、フィブロネクチンマトリックス、ラミニンマトリックス、および包皮線維芽細胞マトリックスからなる群から選択される。

0052

本発明の一部の実施形態によると、マトリックスは、異種成分を含まない。

0053

本発明の一部の実施形態によると、フィーダー細胞層は、異種成分を含まない。

0054

本発明の一部の実施形態によると、フィーダー細胞層は、包皮線維芽細胞を含む。

0055

本発明の一部の実施形態によると、bFGFは、約0.1ng/ml〜約500ng/mlの濃度範囲であり、TGFβ3は、約0.1ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲であり、アスコルビン酸は、約50μg/ml〜約5000μg/mlの濃度範囲である。

0056

本発明の一部の実施形態によると、bFGFは、約5ng/ml〜約150ng/mlの濃度範囲であり、TGFβ3は、約0.5ng/ml〜約5ng/mlの濃度範囲であり、アスコルビン酸は、約400μg/ml〜約600μg/mlの濃度範囲である。

0057

本発明の一部の実施形態によると、培地は、血清代替物をさらに含む。

0058

本発明の一部の実施形態によると、血清代替物は、異種成分を含まない。

0059

本発明の一部の実施形態によると、培地は、脂質混合物をさらに含む。

0060

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約5%〜約10%の濃度での重炭酸ナトリウムをさらに含む。

0061

本発明の一部の実施形態によると、脂質混合物は、約1%の濃度である。

0062

本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラの濃度は、約100pg/mlである。

0063

本発明の一部の実施形態によると、LIFの濃度は、約2000〜4000単位/mlの範囲内である。

0064

本発明の一部の実施形態によると、培養は、浮遊培養下で行われる。

0065

本発明の一部の実施形態によると、培地は、TGFβ3を含まない。

0066

本発明の一部の実施形態によると、培地は、0.1ng/ml以下のTGFβ3を含む。

0067

本発明の一部の実施形態によると、浮遊培養の培地は、無血清および無フィーダー細胞である。

0068

本発明の一部の実施形態によると、培地は、無血清であり、かつ動物汚染物質を含まない。

0069

本発明の一部の実施形態によると、前記bFGFの濃度は、約100ng/mlである。

0070

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約50〜200ピコグラム/ミリリットル(pg/ml)の濃度範囲でのIL6RIL6キメラを含み、ここで培地は、iPS細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する。

0071

本発明の一部の実施形態によると、培地は、少なくとも2000単位/mlの濃度での白血病阻害因子(LIF)を含み、ここで培地は、iPS細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する。

0072

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む。

0073

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約50〜200ナノグラム/ミリリットル(ng/ml)の濃度範囲でのIL6RIL6キメラを含む。

0074

本発明の一部の実施形態によると、培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)をさらに含む。

0075

本発明の一部の実施形態によると、培地は、タンパク質担体を含まない。

0076

本発明の一部の実施形態によると、増殖するステップは、約1か月後に、少なくとも約8×106個の細胞を単一の多能性幹細胞から得るステップを含む。

0077

本発明の一部の実施形態によると、培地中で培養された多能性幹細胞は、少なくとも2継代後、正常な染色体核型を示す。本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞は、少なくとも20時間の倍加時間を示す。

0078

本発明の一部の実施形態によると、維持するステップは、少なくとも5継代にわたる。

0079

特に規定されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術および/または科学用語は、本発明に関係する当業者によって共通に理解される場合と同じ意味を有する。本明細書中に記載の場合に類似するかまたは等しい方法および材料は、本発明の実施形態を実行または試験する上で使用しうるが、典型的な方法および/または材料は、下記の通りである。内容的な不一致が生じる場合には、定義を含む特許明細書が優先されることになる。さらに、材料、方法、および例は、あくまで例示されるものであり、必ずしも限定することを意図していない。

0080

本発明の一部の実施形態は、添付の図面を参照して、あくまで例示として本明細書中に記載される。ここで特に図面を詳細に参照することで、示される詳細内容が、例示であり、本発明の実施形態の例示的考察を目的とすることが強調される。これに関連し、当業者は、本発明の実施形態を実行可能にする方法を、図面に付けられる説明を通じて理解することになる。

図面の簡単な説明

0081

本発明の一部の実施形態に従い、新規の異種成分不含(例えば、動物フリー、動物汚染を有しない)培地の存在下、異種成分不含二次元培養系上で培養されたiPS細胞のコロニー形態を表す写真である。J1.2−3は、ヒト包皮線維芽細胞(HFF)支持層とともに、次の動物血清を含まない培地、すなわち、図1A−培地HA70(6継代);図1B−培地HA40/4(6継代);および図1C−培地D2(16継代)を使用し、培養された。
iPS細胞の多能性のマーカーによる免疫蛍光染色を表す写真である。J1.2−3およびiF4 iPS細胞は、動物血清を含まない培地HA77の存在下、異種成分不含二次元培養系(HFF)上で少なくとも10継代培養され、次いで未分化マーカーとして次のマーカーで染色された。すなわち、図2A−J1.2−3 iPS細胞はOct4で染色され、図2B−iF4 iPS細胞はSSEA4で染色され、また図2C−iF4 iPS細胞はTRA−1−81で染色された。
HFF由来のJ1.2−3 iPS細胞系の、次の異種成分不含培地中で指定される継代にわたり浮遊培養される場合での形態を表す写真である。図3A−J1.2−3 iPS細胞はyFL3培地中で16継代培養され、図3B−J1.2−3 iPS細胞はCM100F培地中で13継代培養され、図3C−J1.2−3 iPS細胞はyF100培地中で8継代培養された。iPS細胞は、浮遊培養される間、未分化細胞を有する球状構造をつくることに注目すること。
J1.2−3 iPS細胞の、浮遊培養下で長期培養期間後、マウス胚性線維芽細胞(MEF)上で培養される場合での形態を表す写真である。J1.2−3細胞は、CM100F培地中で37継代浮遊培養され、その後、それらはMEFとともに再培養され、それらのMEFとの培養の24時間後、典型的なiPSコロニー形態を形成する。
iPS細胞の多能性のマーカーによる免疫蛍光染色を表す写真である。J1.2−3細胞は、培地CM100Fを使用し、20継代超にわたり浮遊培養され、次いで未分化幹細胞のマーカーで染色された。図5A−TRA−1−81;図5B−TRA−1−60;図5C−SSEA4。
iPS細胞の多能性のマーカーによる免疫染色を表す写真である。J1.2−3細胞は、CM100F培地を使用し、少なくとも30継代浮遊培養され、次いでスピナーフラスコに移され、さらに30日間培養され、その後、細胞は未分化幹細胞のマーカーで染色された。図6A−Oct4;図6B−TRA−1−81;図6C−TRA−1−60;および図6D−SSEA4。

0082

その一部の実施形態では、本発明は、新規の培地、それを含む細胞培養物、ならびに多能性幹細胞を増殖性、多能性および未分化状態で維持する上でそれを使用する方法、またより詳細には、限定はされないが、hESCおよび人工多能性幹(iPS)細胞を、浮遊培養または二次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しながら、増殖する方法、に関する。

0083

本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、以下の説明中に示されるかまたは実施例によって例示される詳述内容に必ずしも限定されないことは理解されるべきである。本発明は、他の実施形態で実施するかあるいは様々な方法で実行または実施することが可能である。

0084

本発明者らは、骨の折れる(laborious)実験の後に、限定される培地を設計しており、それは、無血清および異種成分不含であり(例えば動物汚染物質を含まない)、かつ、ヒトiPSおよびESCなどの多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する一方、全部で3つの胚性胚葉に分化させるその多能性能を保持することが可能である。

0085

したがって、以下の実施例セクションで示されるように、hESCおよびiPS細胞は、無血清、異種成分不含および限定培地(例えば、mHA40/4、HA75、HA76、HA77、HA78またはHA74)の存在下で、フィーダー層を含まない(例えば、合成マトリックス上;実施例1)かまたは異種成分を含まないフィーダー層に基づく(例えば、包皮線維芽細胞;図1A〜Cおよび2A〜C、実施例2)二次元培養系上で、未分化状態で培養された。培養下で、多能性幹細胞は、未分化形態を示すとともに、iPSまたはhESCに典型的な形態学的および分子特性、例えば正常な核型、多能性のマーカー(例えば、Oct4、SSEA4、TRA−1−81、TRA−1−60)の発現、および3つ胚性胚葉全部への分化能(インビトロ(少なくとも28継代後の胚様体の形成による)およびインビボ(少なくとも31継代後の奇形腫の形成による)の双方で)を示す。

0086

本明細書で使用される表現「多能性幹細胞」は、細胞を3つの胚性胚葉(すなわち、内胚葉外胚葉および中胚葉)全部に分化する能力を有する細胞を示す。本発明の一部の実施形態によると、表現「多能性幹細胞」は、胚性幹細胞(ESC)および人工多能性幹細胞(iPS細胞)を包含する。

0087

表現「胚性幹細胞」は、妊娠後に形成される胚性組織から得られる細胞(例えば胚盤胞)(着床前(すなわち着床前胚盤胞))、着床後期原腸形成前期の胚盤胞から得られる拡張胚盤胞細胞(EBC)(国際公開第2006/040763号パンフレットを参照)、および妊娠期間中の任意の時期、好ましくは妊娠の10週以前に胎児の生殖器組織から得られる胚性生殖(EG)細胞を含みうる。

0088

本発明の一部の実施形態によると、本発明の多能性幹細胞は、例えばヒトまたは長動物(例えばサル)由来の胚性幹細胞である。

0089

本発明の胚性幹細胞は、周知の細胞培養方法を用いて入手可能である。例えば、ヒト胚性幹細胞は、ヒト胚盤胞から単離しうる。ヒト胚盤胞は、典型的には、ヒト体内着前胚または体外受精(IVF)から得られる。あるいは、単細胞ヒト胚は、胚盤胞期まで増殖しうる。ヒトES細胞の単離においては、透明帯が胚盤胞から除去され、内部細胞塊(ICM)が免疫手術によって単離され、ここでは栄養外胚葉細胞が溶解され、穏やかなピペッティングによって無傷ICMから除去される。次いで、ICMは、その増殖(outgrowth)を可能にする適切な培地を有する組織培養フラスコ内にプレーティングされる。9〜15日後、ICMから誘導された増殖物は、機械解離または酵素的分解のいずれかによって塊に解離され、次いで細胞は、新しい組織培地上に再プレーティングされる。未分化形態を示すコロニーは、マイクロピペットによって個別に選択され、塊に機械的に解離され、再プレーティングされる。次いで、得られたES細胞は、4〜7日ごとに定期的に分割される。ヒトES細胞の調製方法に関するさらなる詳細については、Thomsonら、[米国特許第5,843,780号明細書;Science 282:1145頁、1998年;Curr.Top.Dev.Biol.38:133頁、1998年;Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:7844頁、1995年];Bongsoら[Hum Reprod 4:706頁、1989年];およびGardnerら[Fertil.Steril.69:84頁、1998年]を参照のこと。

0090

市販の幹細胞が本発明のこの態様でも使用可能であることは理解されるであろう。ヒトES細胞は、NIHヒト胚性幹細胞レジストリー(NIH human embryonic stem cells registry)(www.escr.nih.gov)から購入することができる。市販の胚性幹細胞系の非限定例として、BG01、BG02、BG03、BG04、CY12、CY30、CY92、CY10、TE03、TE04およびTE06が挙げられる。

0091

拡張胚盤胞細胞(EBC)は、受精の少なくとも9日後の原腸形成前期の胚盤胞から入手可能である。胚盤胞を培養する前、内部細胞塊を露出させるため、透明帯は[例えばタイロード酸性溶液(Sigma Aldrich(St Louis,MO,USA))により]消化される。次いで、胚盤胞は、標準の胚性幹細胞培養方法を用い、受精後少なくとも9日から14日以下にわたり(すなわち原腸形成事象前)、インビトロで全胚として培養される。

0092

胚性生殖(EG)細胞は、当業者に既知実験技術を用い、(ヒト胎児の場合)妊娠から約8〜11週目の胎児から得られる始原生殖細胞から調製される。生殖隆起は、解離され、小塊に切断され、その後、機械的解離により、細胞に分離される。次いで、EG細胞は、適切な培地を有する組織培養フラスコ内で成長される。細胞は、EG細胞に一致した細胞形態が認められるまで、典型的には7〜30日または1〜4継代にわたり、毎日交換される培地で培養される。ヒトEG細胞の調製方法に関するさらなる詳細については、Shamblottら、[Proc.Natl.Acad.Sci.USA95:13726頁、1998年]および米国特許第6,090,622号明細書を参照のこと。

0093

本明細書で使用される表現「人工多能性幹(iPS)細胞」(または胚性様幹細胞)は、体細胞(例えば成体体細胞)の脱分化によって得られる増殖性および多能性幹細胞を示す。

0094

本発明の一部の実施形態によると、iPS細胞は、ESCの場合と同様の増殖能によって特徴づけられ、それ故、ほぼ無限の時間、培養下で維持・増殖されうる。

0095

IPS細胞は、細胞を再プログラム化し、胚性幹細胞特性を得る遺伝子操作により、多能性を与えることが可能である。例えば、本発明のiPS細胞は、TakahashiおよびYamanaka、2006年、Takahashiら、2007年、Meissnerら、2007年、およびOkitaら、2007年)において本質的に記載のように、体細胞内でのOct−4、Sox2、Kfl4およびc−Mycの発現の誘発により、体細胞から生成しうる。それに加え、またはそれに代わり、本発明のiPS細胞は、Yuら、2007年およびNakagawaら、2008年において本質的に記載のように、Oct4、Sox2、NanogおよびLin28の発現の誘発により、体細胞から生成しうる。体細胞の遺伝子操作(再プログラミング)は、プラスミドまたはウイルスベクターの使用などの任意の既知の方法を用いるか、またはゲノムへの組込みを全く伴わない誘導により、実施可能であることは注目されるべきである[Yu J.ら、Science.2009年、324:797−801頁]。

0096

本発明のiPS細胞は、胚性線維芽細胞[TakahashiおよびYamanaka、2006年;Meissnerら、2007年]、hESCから形成される線維芽細胞[Parkら、2008年]、胎児線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、包皮線維芽細胞[Yuら、2007年;Parkら、2008年]、成体皮膚および皮膚組織[Hannaら、2007年;Lowryら、2008年]、b−リンパ球[Hannaら、2007年]、ならびに成体肝および胃細胞[Aoiら、2008年]の脱分化を誘発することによって入手可能である。

0097

IPS細胞系はまた、WiCellバンクなどの細胞バンクを介して入手可能である。市販のiPS細胞系の非限定例として、iPS包皮クローン1[WiCellカタログ番号:iPS(包皮)−1−DL−1]、iPSIMR90クローン1[WiCellカタログ番号:iPS(IMR90)−1−DL−1]、およびiPSIMR90クローン4[WiCellカタログ番号:iPS(IMR90)−4−DL−1]が挙げられる。

0098

本発明の一部の実施形態によると、人工多能性幹細胞は、ヒト人工多能性幹細胞である。

0099

本明細書で使用される表現「培地」は、多能性幹細胞の成長を支持し、それらを未分化状態で維持するのに使用される液体物質を示す。一部の実施形態に従う本発明によって使用される培地は、水に基づく培地であることができるが、それは、塩、栄養素ミネラルビタミンアミノ酸核酸タンパク質、例えば、サイトカイン成長因子およびホルモンなどの物質の組み合わせを含み、それらのすべては、細胞増殖にとって必要であり、多能性幹細胞を未分化状態で維持する能力を有する。例えば、本発明の一部の実施形態の態様に従う培地は、合成組織培地、例えば、以下にさらに記載のように、必要な添加物が補充された、Ko−DMEM(Gibco−Invitrogen corporation製品(Grand Island,NY,USA))、DMEM/F12(Biological Industries(Biet Haemek,Israel))、MabADCB培地(HyClone(Utah,USA))でありうる。

0100

本明細書で使用される表現「フィーダー細胞支持」は、フィーダー細胞(例えば線維芽細胞)が、多能性幹細胞がフィーダー細胞上で共培養される場合、または多能性幹細胞が、フィーダー細胞によって生成されるならし培地の存在下でマトリックス(例えば、細胞外マトリックス、合成マトリックス)上で培養される場合に、多能性幹細胞を増殖性および未分化状態で維持する能力を示す。フィーダー細胞の支持は、培養下でありながらのフィーダー細胞の構造(例えば、フィーダー細胞を組織培養プレート内で培養することによって形成される三次元マトリックス)、フィーダー細胞の機能(例えば、フィーダー細胞による成長因子、栄養素およびホルモンの分泌、フィーダー細胞の成長速度、フィーダー細胞の老化前の増殖能)、および/または多能性幹細胞のフィーダー細胞層への付着、に依存する。

0101

本明細書で使用される表現「フィーダー細胞支持の不在」は、フィーダー細胞を含まない培地および/または細胞培養物、ならびに/あるいはそれによって生成されるならし培地を示す。

0102

本明細書で使用される表現「無血清」は、ヒトまたは動物血清を含まないことを示す。

0103

培養プロトコル上での血清の機能が、培養細胞を、インビボで存在する場合と同様の環境(すなわち、細胞が由来する生物の内部、例えば胚の胚盤胞)に提供することであることは注目されるべきである。しかし、動物源(例えばウシ血清)またはヒト源(ヒト血清)のいずれかに由来する血清の使用は、ドナー個体間(それらから血清が得られる)での血清成分中の有意な差異と異種成分汚染物質を有するリスク(動物血清が使用される場合)とによる制限を受ける。

0104

本発明の一部の実施形態によると、無血清培地は、血清またはその一部を含まない。

0105

本発明の一部の実施形態によると、本発明の無血清培地は、血清アルブミン(例えば、ヒト血清または動物血清から精製されたアルブミン)を含まない。

0106

本発明の一部の実施形態によると、培地は、血清代替物を含む。

0107

本明細書で使用される表現「血清代替物」は、血清の機能を、多能性幹細胞に成長および生存度にとって必要とされる成分を提供することによって代替する、限定された製剤を示す。

0108

様々な血清代替物製剤(serum replacement formulation)は、当該技術分野で既知であり、市販されている。

0109

例えば、GIBCO(商標)Knockout(商標)Serum Replacement(Gibco−Invitrogen Corporation(Grand Island,NY,USA)、カタログ番号10828028)は、培養下で未分化ES細胞を成長および維持するように最適化された、限定された無血清製剤である。GIBCO(商標)Knockout(商標)Serum Replacementの製剤が、動物源に由来するAlbumax(脂質を豊富に含有するウシ血清アルブミン)を含むことは注目されるべきである(国際特許公開番号、国際公開第98/30679号パンフレット(Price P.J.らに付与))。しかし、Crookら、2007年による最近の出版物(Crook J.M.ら、2007年、Cell Stem Cell,1:490−494頁)は、cGMPに基づいて作製されたKnockout(商標)Serum Replacement(Invitrogen Corporation,USA、カタログ番号04−0095)中のFDA承認された臨床グレードの包皮線維芽細胞を使用して生成された6つの臨床グレードのhESC系について記載している。

0110

本発明の一部の実施形態によると、培地中のGIBCO(商標)Knockout(商標)Serum Replacementの濃度は、約1%[容量/容量(v/v)]〜約50%(v/v)の範囲内、例えば約5%(v/v)〜約40%(v/v)、例えば約5%(v/v)〜約30%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約30%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約25%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約20%(v/v)、例えば約10%(v/v)、例えば約15%(v/v)、例えば約20%(v/v)、例えば約30%(v/v)である。

0111

別の市販されている血清代替物は、Gibco−Invitrogen Corporation,Grand Island,NY USA、カタログ番号12587−010から入手可能である、ビタミンAを有しないB27補給物である。B27補給物は、d−ビオチン脂肪酸遊離画分Vウシ血清アルブミン(BSA)、カタラーゼ、L−カルニチンHCl、コルチコステロンエタノールアミンHC1、D−ガラクトース(Anhyd.)、グルタチオン還元)、組換えヒトインスリンリノール酸リノレン酸プロゲステロンプトレッシン−2−HCl、亜セレン酸ナトリウム超過酸化物不均化酵素、T−3/アルブミン複合体、DLα−トコフェロール、および酢酸DLαトコフェロールを含む無血清製剤である。しかし、B27補給物の使用は、それが動物源由来のアルブミンを含むことから、限定される。

0112

本発明の一部の実施形態によると、血清代替物は、異種成分を含まない。

0113

用語「異種(xeno)」は、ギリシャ語「クセノス(Xenos)」、すなわちストレンジャー(stranger)に基づく接頭辞である。本明細書で使用される表現「異種成分不含(xeno−free)」は、クセノス(すなわち同一でない、外来)種に由来する一切の成分を含有しないことを示す。かかる成分は、異種、異種の細胞成分または異種の一細胞成分(例えば流体)に関連した(例えば感染性の)病原体などの汚染物質でありうる。

0114

例えば、異種成分不含血清代替物は、インスリン、トランスフェリンおよびセレンの組み合わせを含みうる。それに加え、またはそれに代わり、異種成分不含血清代替物は、ヒトまたは組換え生成アルブミン、トランスフェリンおよびインスリンを含みうる。

0115

市販の異種成分不含血清代替物組成物の非限定例として、Invitrogen corporationから入手可能なITS(インスリン、トランスフェリンおよびセレン)の予混合物(ITS,Invitrogen、カタログ番号51500−056);ヒト血清アルブミンヒトトランスフェリング(transferring)およびヒト組換えインスリンを含み、かつ、成長因子、ステロイドホルモングルココルチコイド細胞接着因子、検出可能なIgおよびマイトジェンを含有しないSerum replacement 3(Sigma、カタログ番号S2640)が挙げられる。

0116

本発明の一部の実施形態によると、異種成分不含血清代替製剤ITS(Invitrogen corporation)およびSR3(Sigma)は、×1の作用濃度に達するように、1:100比に希釈される。

0117

本発明の一部の実施形態によると、培地は、多能性幹細胞を増殖性、多能性および未分化状態で、少なくとも約5継代、少なくとも約10継代、少なくとも約15継代、少なくとも約20継代、少なくとも約22継代、少なくとも約25継代、少なくとも約30継代、少なくとも約35継代、少なくとも約40継代、少なくとも約45継代、少なくとも約50継代、およびそれより長い継代、維持する能力を有する。

0118

本発明の一部の実施形態によると、培地は、多能性幹細胞を未分化状態で増殖する能力を有する。

0119

本明細書で使用される用語「増殖する」は、培養期間にわたり、多能性幹細胞の数を(少なくとも約5%、10%、15%、20%、30%、50%、100%、200%、500%、1000%、およびそれより大きい%)増加させることを示す。単一の多能性幹細胞から得ることができる多能性幹細胞の数が、多能性幹細胞の増殖能に依存することは理解されるであろう。多能性幹細胞の増殖能は、細胞の倍加時間(すなわち、細胞が培養下での有糸分裂を経るのに必要な時間)によって計算可能であり、また多能性幹細胞培養物は、未分化状態で維持されうる(それは継代数×各継代間日数に相当する)。

0120

例えば、以下の実施例セクションの実施例1に記載のように、hESCまたはヒトiPS細胞は、無フィーダーマトリックス上で培養される場合、mHA40/4、HA75、HA76、HA78およびHA74/1培地の存在下、増殖性、多能性および未分化状態で、少なくとも22継代維持されうる。各継代が4〜7日毎に行われると仮定すると、hESCまたはヒトiPS細胞は、110日間(すなわち2640時間)維持された。hESCまたはヒトiPSの倍加時間が36時間であると仮定すると、これらの条件下で培養される単一のhESCまたはヒトiPS細胞であれば、増殖により、273(すなわち9.4×1021)個のhESCまたはヒトiPS細胞が生成されうる。

0121

本発明の一部の実施形態によると、本発明の一部の実施形態の培地は、単一の多能性幹細胞(例えばhESCまたはヒトiPS細胞)または多能性幹細胞の集団の、約1か月以内で少なくとも223(すなわち8×106)倍、例えば約1か月以内で少なくとも224(すなわち、16.7×106)倍の増殖を支持する能力を有する。

0122

本発明の一部の実施形態によると、無血清および異種成分不含培地は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFβ3)およびアスコルビン酸を含み、ここで培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも50μg/mlであり、またここで培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する。

0123

アスコルビン酸(ビタミンCとしても知られる)は、抗酸化剤特性を有する糖酸(C6H8O6;分子量176.12グラムモル)である。本発明の一部の実施形態の培地によって使用されるアスコルビン酸は、天然アスコルビン酸、合成アスコルビン酸、アスコルビン酸塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム)、アスコルビン酸のエステル形態(例えば、パルミチン酸アスコルビルステアリン酸アスコルビル)、それらの機能誘導体(本発明の培地中で使用される場合、同じ活性/機能を示すアスコルビン酸に由来する分子)、またはそれらの類似体(例えば、本発明の培地中で使用される場合にアスコルビン酸において認められる活性に類似した活性を示すアスコルビン酸の機能的等価物)でありうる。本発明の一部の実施形態の培地中で使用可能なアスコルビン酸製剤の非限定例として、L−アスコルビン酸およびアスコルビン酸3−リン酸が挙げられる。

0124

アスコルビン酸は、Sigma(St Louis,MO,USA)などの様々な製造業者から入手しうる(例えば、カタログ番号:A2218、A5960、A7506、A0278、A4403、A4544、A2174、A2343、95209、33034、05878、95210、95212、47863、01−6730、01−6739、255564、A92902、W210901)。

0125

上記のように、培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも約50μg/mlである。 本発明の一部の実施形態によると、アスコルビン酸は、約50μg/ml〜約50mg/ml、例えば約50μg/ml〜約5mg/ml、例えば約50μg/ml〜約1mg/ml、例えば約100μg/ml〜約800μg/ml、例えば約200μg/ml〜約800μg/ml、例えば約300μg/ml〜約700μg/ml、例えば約400μg/ml〜約600μg/ml、例えば約450μg/ml〜約550μg/mlなどの濃度の範囲内で使用しうる。

0126

本発明の一部の実施形態によると、培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも約75μg/ml、例えば少なくとも約100μg/ml、例えば少なくとも約150μg/ml、例えば少なくとも約200μg/ml、例えば少なくとも約250μg/ml)、例えば少なくとも約300μg/ml、例えば少なくとも約350μg/ml、例えば少なくとも約400μg/ml、例えば少なくとも約450μg/ml、例えば約500μg/mlである。

0127

以下の実施例セクションの実施例1に示されるように、本発明者らは、少なくとも50μg/mlの濃度でのアスコルビン酸を含む様々な培地(例えば、mHA40/4、HA75、HA76、HA77、HA78およびHA74/1培地)を使用し、hESCおよびiPS細胞を培養し、それらを、フィーダー細胞支持の不在下、増殖性、多能性および未分化状態で少なくとも15継代維持することに成功している。

0128

塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF、FGF2またはFGF−βとしても既知)は、線維芽細胞成長因子ファミリーメンバーである。本発明の一部の実施形態の培地中で使用されるbFGFが、精製、合成または組換え発現されたbFGFタンパク質[(例えば、ヒトbFGFポリペプチドGenBank登録番号NP_001997.5(配列番号31);ヒトbFGFポリヌクレオチドGenBank登録番号NM_002006.4(配列番号32)でありうる。異種成分不含培地の調製においては、bFGFが、好ましくはヒト源から精製されるか、または以下にさらに記載されるように組換え発現されることは注目されるべきである。bFGFは、Cell Sciences(登録商標)(Canton,MA,USA)(例えば、カタログ番号CRF001AおよびCRF001B)、Invitrogen Corporation製品(Grand Island NY,USA)(例えば、カタログ番号:PHG0261、PHG0263、PHG0266およびPHG0264)、ProSpec−Tany TechnoGene Ltd.(Rehovot,Israel)(例えば、カタログ番号:CYT−218)、およびSigma(St Louis,MO,USA)(例えば、カタログ番号:F0291)などの様々な市販源から入手しうる。

0129

一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、約1ng/ml〜約10μg/mlの範囲内、例えば約2ng/ml〜約1μg/ml、例えば約1ng/ml〜約500ng/ml、例えば約2ng/ml〜約500ng/ml、例えば約5ng/ml〜約250ng/ml、例えば約5ng/ml〜約200ng/ml、例えば約5ng/ml〜約150ng/ml、例えば約10ng/ml、例えば約20ng/ml、例えば約30ng/ml、例えば約40ng/ml、例えば約50ng/ml、例えば約60ng/ml、例えば約70ng/ml、例えば約80ng/ml、例えば約90ng/ml、例えば約100ng/ml、例えば約110ng/ml、例えば約120ng/ml、例えば約130ng/ml、例えば約140ng/ml、例えば約150ng/ml、である。

0130

本発明の一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、少なくとも約1ng/ml、少なくとも約2ng/ml、少なくとも約3ng、少なくとも約4ng/ml、少なくとも約5ng/ml、少なくとも約6ng/ml、少なくとも約7ng、少なくとも約8ng/ml、少なくとも約9ng/ml、少なくとも約10ng/ml、少なくとも約15ng/ml、少なくとも約20ng/ml、少なくとも約25ng/ml、少なくとも約30ng/ml、少なくとも約35ng/ml、少なくとも約40ng/ml、少なくとも約45ng/ml、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約55ng/ml、少なくとも約60ng/ml、少なくとも約70ng/ml、少なくとも約80ng/ml、少なくとも約90ng/ml、少なくとも約95ng/ml、例えば約100ng/mlである。

0131

以下の実施例セクションの実施例1に示されるように、本発明者らは、5〜200ng/mlの範囲内のbFGFを含む様々な培地(例えば、10ng/mlのbFGFを含むmHA40/4、HA75およびHA78培地;100ng/mlのbFGFを含むHA76およびHA77培地;ならびに、50ng/mlのbFGFを含むHA74/1培地)を使用し、hESCおよびiPS細胞を培養し、またそれらを、フィーダー細胞支持の不在下、増殖性、多能性および未分化状態で少なくとも15継代維持することに成功している。

0132

トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFβ3)は、多数の細胞種における増殖、分化、および他の機能の制御に関与し、形質転換を誘発する場合や、負の自己分泌成長因子として作用する。TGFβ3は、R&D Systems(Minneapolis MN,USA)などの様々な市販源から入手しうる。

0133

本発明の一部の実施形態によると、培地中のTGFβ3の濃度は、約0.05ng/ml〜約1μg/mlの範囲内、例えば0.1ng/ml〜約1μg/ml、例えば約0.5ng/ml〜約100ng/mlである。

0134

本発明の一部の実施形態によると、培地中のTGFβ3の濃度は、少なくとも約0.5ng/ml、例えば少なくとも約0.6ng/ml、例えば少なくとも約0.8ng/ml、例えば少なくとも約0.9ng/ml、例えば少なくとも約1ng/ml、例えば少なくとも約1.2ng/ml、例えば少なくとも約1.4ng/ml、例えば少なくとも約1.6ng/ml、例えば少なくとも約1.8ng/ml、例えば約2ng/mlである。

0135

以下の実施例セクションの実施例1に示されるように、本発明者らは、約2ng/mlの濃度でTGFβ3を含む様々な培地(例えば、mHA40/4、HA75、HA76、HA78およびHA74/1培地)を使用し、hESCおよびiPS細胞を培養し、またそれらを、フィーダー細胞支持の不在下、増殖性、多能性および未分化状態で少なくとも22継代維持することに成功している。

0136

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約0.1ng/ml〜約500ng/mlの濃度範囲でのbFGF、約0.1ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのTGFβ3、および約50g/ml〜約5000μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸を含む。

0137

本発明の一部の実施形態によると、本発明の一部の実施形態の培地は、約5ng/ml〜約150ng/mlの濃度範囲でのbFGF、約0.5ng/ml〜約5ng/mlの濃度範囲でのTGFβ3、および約400μg/ml〜約600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸を含む。

0138

本発明の一部の実施形態によると、培地は、脂質混合物をさらに含む。

0139

本明細書で使用される表現「脂質混合物」は、多能性幹細胞を培養するのに必要とされる、規定された(例えば化学的に規定された)脂質組成物である。脂質混合物は、通常、血清または血清代替物を含有しない培地に添加され、それにより、通常は血清または血清代替物の調合物に添加される脂質を代替することは注目されるべきである。

0140

本発明の一部の実施形態の培地中で使用可能である、市販の脂質混合物の非限定例として、Invitrogenから入手可能なChemically Define Lipid Concentrate(カタログ番号11905−031)が挙げられる。

0141

本発明の一部の実施形態によると、培地中の脂質混合物の濃度は、約0.5%[容量/容量(v/v)]〜約3% v/v、例えば約0.5% v/v〜約2% v/v、例えば約0.5% v/v〜約1% v/v、例えば約1% v/vである。

0142

本発明の一部の実施形態によると、本発明の一部の実施形態の培地は、約0.1ng/ml〜約500ng/mlの濃度範囲でのbFGF、約0.1ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのTGFβ3、約50μg/ml〜約5000μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、異種成分不含血清代替物および脂質混合物を含む。

0143

TGFβ3、bFGFおよびアスコルビン酸を少なくとも50μg/mlの濃度で含み、かつ多能性幹細胞を増殖性および未分化状態で維持するように使用可能である、異種成分不含および無血清培地の非限定例として、HA75およびHA78培地が挙げられる。

0144

本発明の一部の実施形態によると、培地は、重炭酸ナトリウムをさらに含む。重炭酸ナトリウムは、Biological Industries(BeitHaEmek,Israel)から入手しうる。

0145

本発明の一部の実施形態によると、培地中の重炭酸ナトリウムの濃度は、約5%〜約10%、例えば約6%〜約9%、例えば約7%〜約8%、例えば約7.5%である。

0146

本発明者らは、多能性幹細胞が、bFGFおよびアスコルビン酸を含むがTGFβアイソフォームを含まない無血清および異種成分不含培地中で培養される場合、増殖性、多能性および未分化状態で、少なくとも15継代維持可能であることを見出した。

0147

本明細書で使用される表現「TGFβアイソフォーム」は、多数の細胞種における増殖、分化、および他の機能の制御において同じ受容体シグナル伝達系を介して機能する、TGFβ1(例えば、ホモサピエンスTGFβ1、GenBank登録番号NP_000651)、TGFβ2(例えば、ホモサピエンスTGFβ2、GenBank登録番号NP_003229)およびTGFβ3(例えば、ホモサピエンスTGFβ3、GenBank登録番号NP_003230)を含むトランスフォーミング増殖因子ベータ(β)の任意のアイソフォームを示す。TGFβは、形質転換を誘発する場合に作用し、負の自己分泌成長因子としても作用する。

0148

本発明の一部の実施形態によると、培地は、1ng/ml以下のTGFβアイソフォーム、例えば0.5ng/ml以下、例えば0.1ng/ml以下、例えば0.05ng/ml以下、例えば0.01ng/ml以下のTGFβアイソフォームを含む。

0149

本発明の一部の実施形態によると、培地は、完全にTGFβアイソフォームを有しない(すなわちTGFβアイソフォーム不含)。

0150

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸および約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む。

0151

本発明の一部の実施形態によると、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸および約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地は、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、未分化状態で維持する能力を有する.

0152

本発明の一部の実施形態によると、培地中のアスコルビン酸の濃度は、約410μg/ml〜約590μg/ml、約420μg/ml〜約580μg/ml、約450μg/ml〜約550μg/ml、約460μg/ml〜約540μg/ml、約470μg/ml〜約530μg/ml、約490μg/ml〜約520μg/ml、例えば約490μg/ml〜約510g/ml、例えば約500μg/mlである。

0153

本発明の一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、約50ng/ml〜約200ng/ml、約60ng/ml〜約190ng/ml、約70ng/ml〜約180ng/ml、約80ng/ml〜約170ng/ml、約90ng/ml〜約160ng/ml、約90ng/ml〜約150ng/ml、約90ng/ml〜約130ng/ml、約90ng/ml〜約120ng/ml、例えば約100ng/mlである。

0154

本発明の一部の実施形態によると、培地中のbFGFの濃度は、約50、約55、約60、約65、約70、約80、約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、約120、約125、約130、約135、約140、約145、約150、約160、約165、約170、約175、約180、約185、約190、約195、約200ng/mlである。

0155

本発明の一部の実施形態によると、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸および約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地は、異種成分不含血清代替物をさらに含む。

0156

本発明の一部の実施形態によると、約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸および約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地は、脂質混合物をさらに含む。

0157

本発明の一部の実施形態によると、約50〜200ng/mlの濃度でのbFGFおよび約400〜600μg/mlの濃度でのアスコルビン酸を含む培地は、重炭酸ナトリウムを含有しない。

0158

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約50〜200ng/mlの濃度でのbFGFおよび約400〜600μg/mlの濃度でのアスコルビン酸、約1%の濃度での異種成分不含血清代替物および約1%の濃度での脂質混合物を含む。

0159

約400〜600μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約50〜200ng/mlの濃度範囲でのbFGF、異種成分不含血清代替物および脂質混合物を含み、かつ、hESCおよびヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下、増殖性および未分化状態で少なくとも21継代維持する能力を有する、異種成分不含、無血清、およびTGFβアイソフォーム不含培地の非限定例として、HA77培地(以下の実施例セクションの実施例1)、または、HA77培地に類似するが、重炭酸ナトリウムを含有しない培地、例えば、DMEM/F12(94%)(Biological Industries,Israel,Sigma,Israel)、L−グルタミン2mM(Invitrogen corporation,Sigma,Israel)、アスコルビン酸500μg/ml(Sigma,Israel)、bFGF−100ng(Invitrogen corporation)、SR3〜1%(Sigma,Israel)、および限定された脂質混合物1%(Invitrogen corporation,Sigma,Israel)からなる培地、が挙げられる。本発明者らは、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元(すなわち浮遊培養)系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる、新規の無血清かつ非常に限定された培地を見出している。

0160

本明細書で使用される表現「浮遊培養」は、多能性幹細胞が、表面に付着するのではなく、培地中に懸濁される場合の培養である。

0161

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる無血清培地は、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む。

0162

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約55〜190ng/ml、例えば約60〜190ng/ml、例えば約70〜180ng/ml、例えば約80〜160ng/ml、例えば約90〜150ng/ml、例えば約90〜140ng/ml、例えば約90〜130ng/ml、例えば約90〜120ng/ml、例えば約90〜110ng/ml、例えば約95〜105ng/ml、例えば約100ng/mlを含む。

0163

本発明の一部の実施形態によると、約50〜200ng/mlのbFGFを含む培地は、血清代替物をさらに含む。

0164

約50〜200ng/mlの濃度でのbFGFを含む培地の非限定例として、塩基性媒体(例えばDMEM/F12、85%)、血清代替物(15%)、bFGF(100ng/ml)、L−グルタミン(2mM)、p−メルカプトエタノール(0.1mM)および非必須アミノ酸ストック(1%)を含むYF100培地が挙げられる。

0165

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる無血清培地は、塩基性媒体、約50μg/ml〜約500μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約2ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのbFGF、L−グルタミン、および血清代替物からなる。

0166

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる無血清培地は、塩基性媒体、約50μg/ml〜約500μg/mlの濃度範囲でのアスコルビン酸、約2ng/ml〜約20ng/mlの濃度範囲でのbFGF、L−グルタミン、血清代替物および脂質混合物からなる。

0167

本発明の一部の実施形態によると、アスコルビン酸の濃度は、約50μg/mlである。

0168

本発明の一部の実施形態によると、アスコルビン酸の濃度は、約500μg/mlである。

0169

本発明の一部の実施形態によると、bFGFの濃度は、約4ng/mlである。

0170

塩基性媒体は、DMEM/F12(Biological Industries,Israel、またはSigma Israel)、Ko−DMEM(Invitrogen)などの任意の既知の組織培地でありうる。塩基性媒体の濃度は、血清代替物などの他の培地成分の濃度に依存する。

0171

血清代替物は、使用される血清代替物に基づく1〜20%の濃度範囲での(動物汚染物質を含有しない)任意の異種成分不含血清代替物でありうる。例えば、SR3血清代替物が使用される場合、その培地中の濃度は、約1%である。

0172

本発明の一部の実施形態によると、L−グルタミンの濃度は、約2mMである。

0173

本発明の一部の実施形態によると、脂質混合物(Sigma,Israel;またはInvitrogen,Israel)の濃度は、約1%である。

0174

かかる培地の非限定例として、修飾HA13(a)培地[DMEM/F12(95%)、L−グルタミン2mM、アスコルビン酸500μg/ml、bFGF−4ng、およびSR3−1%];修飾HA13(b)培地[DMEM/F12(95%)、L−グルタミン2mM、アスコルビン酸500μg/ml、bFGF−4ng、SR3〜1%および脂質混合物(1%)];修飾HA13(c)培地[DMEM/F12(95%)、L−グルタミン2mM、アスコルビン酸50μg/ml、bFGF−4ng、およびSR3〜1%];ならびに修飾HA13(d)培地[DMEM/F12(95%)、L−グルタミン2mM、アスコルビン酸50μg/ml、bFGF−4ng、SR3〜1%および脂質混合物(1%)]が挙げられる。これらの培地は、多能性幹細胞(例えばhESCおよびhips細胞)を、増殖性、多能性および未分化状態で、二次元(例えば、無フィーダー層培養系上;データは示さない)下で培養される場合に少なくとも20継代、また三次元培養系(例えば、外部基質への接着、細胞カプセル化またはタンパク質担体への接着を伴わない浮遊培養;データは示さない)下で培養される場合に少なくとも20継代維持する能力を有した。

0175

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる無血清培地は、約50〜200ピコグラム/ミリリットル(pg/ml)の濃度範囲でのIL6RIL6キメラを含む。

0176

本明細書で使用される表現「IL6RIL6キメラ」は、インターロイキン−6受容体の可溶性部分[IL−6−R、例えば、GenBank登録番号AAH89410(配列番号33)によって示されるヒトIL−6−R;例えば、GenBank登録番号AAH89410のアミノ酸112〜355(配列番号34)によって示される可溶性IL6受容体の一部]およびインターロイキン−6(IL6;例えば、GenBank登録番号CAG29292(配列番号35)によって示されるヒトIL−6)またはその生物活性画分(例えば受容体結合ドメイン)を含むキメラポリペプチドを示す。

0177

IL6RIL6キメラを作成する場合、2つの機能的部分(すなわちIL6およびその受容体)が、互いに直接融合されうる(例えば結合されるかまたは翻訳的に融合される、すなわち単一のオープンリーディングフレームによってコードされる)か、あるいは好適なリンカー(例えばポリペプチドリンカー)を介して複合されうる(結合されるかまたは翻訳的に融合される)ことは注目されるべきである。 本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラポリペプチドは、天然IL6およびIL6受容体と同様のグリコシル化の量およびパターンを示す。例えば、好適なIL6RIL6キメラは、配列番号36および国際公開第99/02552号パンフレット(Revel M.らに付与)の図11(全体として参照により本明細書中に援用される)に示される。

0178

本発明の培地中で使用されるタンパク性因子のいずれか(例えば、IL6RIL6キメラ、bFGF、TGFβ3)が、組換え的に発現されうるかまたは生化学的に合成されうることは理解されるであろう。さらに、bFGFおよびTGFβなどの天然タンパク性因子は、当該技術分野で周知の方法を用い、生物学的試料から(例えば、ヒト血清、細胞培養物から)精製しうる。

0179

本発明のタンパク性因子(例えばIL6RIL6キメラ)の生化学的合成は、標準の固相技術を用いて行いうる。これらの方法は、排他的固相合成法、部分固相合成法、断片縮合および古典的溶液合成を含む。

0180

本発明のタンパク性因子(例えばIL6RIL6キメラ)の組換え発現は、Bitterら(1987年) Methodsin Enzymol.153:516−544頁、Studierら(1990年) Methods in Enzymol.185:60−89頁、Brissonら(1984年) Nature 310:511−514頁、Takamatsuら(1987年)EMBO J.6:307−311頁、Coruzziら(1984年) EMBO J.3:1671−1680頁、Brogliら(1984年) Science 224:838−843頁、Gurleyら(1986年) Mol.Cell.Biol.6:559−565頁およびWeissbachおよびWeissbach、1988年、「Methods for Plant Molecular Biology」、Academic Press,NY,Section VIII、421−463頁によって記載の組換え技術を用いて行いうる。詳細には、IL6RIL6キメラは、PCT公開の国際公開第99/02552号パンフレット(Revel M.らおよびChebath J.らに付与、1997年)(全体として参照により本明細書中に援用される)中に記載のように生成しうる。

0181

本発明の一部の実施形態によると、培地中のIL6RIL6キメラの濃度は、約55pg/ml〜約195pg/mlの範囲内、例えば約60pg/ml〜約190pg/ml、例えば約65pg/ml〜約185pg/ml、例えば約70pg/ml〜約180pg/ml、例えば約75pg/ml〜約175pg/ml、例えば約80pg/ml〜約170pg/ml、例えば約85pg/ml〜約165pg/ml、例えば約90pg/ml〜約150pg/ml、例えば約90pg/ml〜約140pg/ml、例えば約90pg/ml〜約130pg/ml、例えば約90pg/ml〜約120pg/ml、例えば約90pg/ml〜約110pg/ml、例えば約95pg/ml〜約105pg/ml、例えば約98pg/ml〜約102pg/ml、例えば約100pg/mlである。

0182

本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラ含有培地は、bFGFをさらに含む。

0183

本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラ含有培地中のbFGFの濃度は、約1ng/ml〜約10μg/mlの範囲内、例えば約2ng/ml〜約1μg/ml、例えば約2ng/ml〜約500ng/ml、例えば約5ng/ml〜約150ng/ml、例えば約5ng/ml〜約100ng/ml、例えば約5ng/ml〜約80ng/ml、例えば約5ng/ml〜約50ng/ml、例えば約5ng/ml〜約30ng/ml、例えば約5ng/ml、例えば約10ng/ml、例えば約15ng/ml、例えば約20ng/mlである。

0184

本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラ含有培地は、血清代替物をさらに含む。

0185

本発明の一部の実施形態によると、IL6RIL6キメラ含有培地中のKnockout(商標)Serum Replacementの濃度は、約1%(v/v)〜約50%(v/v)の範囲内、例えば約5%(v/v)〜約40%(v/v)、例えば約5%(v/v)〜約30%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約30%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約25%(v/v)、例えば約10%(v/v)〜約20%(v/v)、例えば約15%(v/v)である。

0186

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約50〜200pg/mlの濃度範囲でのIL6RIL6キメラ、約5〜50ng/mlの濃度範囲でのbFGF、および約5〜40%の濃度での血清代替物を含む。

0187

例えば、以下の実施例セクションの実施例4に示されるように、CM100Fp培地は、hESCおよびヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を、基質接着を有しない浮遊培養下で、増殖性、多能性および未分化状態で少なくとも50継代維持する能力を有することが示された。

0188

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を、フィーダー細胞支持の不在下の二次元および三次元培養系で、増殖性、多能性および未分化状態で維持しうる無血清培地は、少なくとも2000単位/mlの濃度でのLIFを含む。

0189

白血病阻害因子(LIF)は、造血分化の誘導、神経細胞分化の誘導、腎臓発生の間での間葉上皮転換調節物質に関与する多面的サイトカインであり、また、母体−胎児境界での免疫寛容における役割を有しうる。本発明の一部の実施形態の培地中で使用されるLIFは、精製、合成または組換え発現されたLIFタンパク質[例えば、ヒトLIFポリペプチドGenBank登録番号NP_002300.1(配列番号37);ヒトLIFポリヌクレオチドGenBank登録番号NM_002309.3(配列番号38)でありうる。異種成分不含培地の調製においては、LIFが、好ましくはヒト源から精製されるか、または組換え発現されることは注目されるべきである。組換えヒトLIFは、Chemicon,USA(カタログ番号LIF10100)およびAbD Serotec(MorphoSys US Inc(Raleigh,NC27604,USA))などの様々な供給源から入手可能である。マウスLIFESGRO(登録商標)(LIF)は、Millipore,USA(カタログ番号ESG1107)から入手可能である。

0190

本発明の一部の実施形態によると、培地中のLIFの濃度は、約2000単位/ml〜約10,000単位/ml、例えば約2000単位/ml〜約8,000単位/ml、例えば約2000単位/ml〜約6,000単位/ml、例えば約2000単位/ml〜約5,000単位/ml、例えば約2000単位/ml〜約4,000単位/mlである。

0191

本発明の一部の実施形態によると、培地中のLIFの濃度は、少なくとも約2000単位/ml、例えば少なくとも約2100単位/ml、例えば少なくとも約2200単位/ml、例えば少なくとも約2300単位/ml、例えば少なくとも約2400単位/ml、例えば少なくとも約2500単位/ml、例えば少なくとも約2600単位/ml、例えば少なくとも約2700単位/ml、例えば少なくとも約2800単位/ml、例えば少なくとも約2900単位/ml、例えば少なくとも約2950単位/ml、例えば約3000単位/mlである。

0192

本発明の一部の実施形態によると、LIF含有培地は、bFGFをさらに含む。

0193

LIF含有培地中のbFGFの濃度は、約0.1ng/ml〜約10μg/mlの範囲内、例えば約2ng/ml〜約1μg/ml、例えば約2ng/ml〜約500ng/ml、例えば約5ng/ml〜約150ng/ml、例えば約5ng/ml〜約100ng/ml、例えば約5ng/ml〜約80ng/ml、例えば約5ng/ml〜約50ng/ml、例えば約5ng/ml〜約30ng/ml、例えば約5ng/ml、例えば約10ng/ml、例えば約15ng/ml、例えば約20ng/mlである。

0194

本発明の一部の実施形態によると、LIF含有培地は、血清代替物をさらに含む。

0195

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約2000〜10,000単位/mlの濃度でのLIF、約0.1ng/ml〜約10μg/mlの濃度範囲でのbFGF、および約1%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度範囲でのKnockout(商標)Serum Replacementを含む。

0196

本発明の一部の実施形態によると、培地は、約2000〜5,000単位/mlの濃度でのLIF、約5〜50ng/mlの濃度でのbFGF、および約5〜30%の濃度での血清代替物を含む。

0197

例えば、以下の実施例セクションの実施例4に示されるように、yFL3培地は、ヒトESCおよびヒトiPS細胞などの多能性幹細胞を、浮遊培養下で培養される場合、増殖性、多能性および未分化状態で少なくとも10継代維持する能力を有することが示された。

0198

本発明の一部の実施形態によると、本発明の一部の実施形態の培地中に含まれる成分は、組織培養および/または臨床グレードで、実質的に純粋である。

0199

本発明の一部の実施形態の態様によると、本発明の一部の実施形態の多能性幹細胞および本発明の一部の実施形態の培地を含む細胞培養物が提供される。

0200

本発明の一部の実施形態の態様によると、細胞培養物は、フィーダー細胞を含まない(例えば、フィーダー細胞またはフィーダー細胞ならし培地を有しない)。

0201

本発明の一部の実施形態によると、本発明の一部の実施形態の細胞培養物中に含まれる多能性幹細胞は、培養期間中、例えば少なくとも2継代、例えば少なくとも4継代、例えば少なくとも8継代、例えば少なくとも15継代、例えば少なくとも20継代、例えば少なくとも25継代、例えば少なくとも30継代、例えば少なくとも35継代、例えば少なくとも40継代、例えば少なくとも45継代、例えば少なくとも50継代にわたり、安定な核型(染色体安定性)を示す。

0202

本発明の一部の実施形態によると、本発明の細胞培養物は、少なくとも20時間の倍加時間、例えば20〜40時間の間(例えば約36時間)の倍加時間を示すことから、非腫瘍形成性の遺伝的に安定な多能性幹細胞(例えばhESCおよびiPS細胞)を示す。

0203

本発明の一部の実施形態によると、本発明の細胞培養物は、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%の未分化多能性幹細胞によって特徴づけられる。

0204

本発明の一部の実施形態の態様によると、多能性幹細胞を多能性および未分化状態で増殖・維持する方法が提供される。

0205

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法は、多能性幹細胞を(本明細書中に記載の)本発明の新規の培地のいずれかの中で培養することによって行われる。

0206

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法は、多能性幹細胞を、無血清、無フィーダー、マトリックス不含およびタンパク質担体不含であり、かつ約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地中で培養することによって行われる。

0207

本発明の一部の実施形態によると、培養は、マトリックスまたはフィーダー細胞層などの二次元培養系上で行われる。

0208

例えば、二次元培養系上での培養は、多能性幹細胞をマトリックスまたはフィーダー細胞層上に、細胞の生存および増殖を促進するが、分化を制限する細胞密度でプレーティングすることによって行いうる。典型的には、約15,000細胞/cm2〜約3,000,000細胞/cm2の間のプレーティング密度が使用される。

0209

多能性幹細胞の単細胞懸濁液が通常播種されるが、小塊も使用可能であることは理解されるであろう。このため、塊の破壊に使用される(例えばIV型コラゲナーゼによる)酵素的消化(以下の実施例セクションにおける「General Materials and Experimental Methods」を参照)は、幹細胞が完全にばらばらになる前に終了し、細胞は、塊(すなわち10〜200個の細胞)が形成される程度にピペット粉砕される。しかし、細胞分化を誘発しうる大塊を回避するための手段がとられる。

0210

本明細書で使用される用語「マトリックス」は、多能性幹細胞が、付着可能であり、それ故にフィーダー細胞の細胞付着機能を代替しうる任意の物質を示す。かかるマトリックスは、典型的には、多能性幹細胞が付着可能な細胞外成分を含有し、それ故、好適な培養基質を提供する。

0211

本発明の一部の実施形態によると、マトリックスは、細胞外マトリックスを含む。

0212

細胞外マトリックスは、基底膜に由来する成分または接着分子受容体−リガンドカップリングの一部を形成する細胞外マトリックス成分からなりうる。MATRIGEL(登録商標)(Becton Dickinson,USA)は、本発明での使用に適した市販のマトリックスの一例である。MATRIGEL(登録商標)は、室温でゲル化し、再構成基底膜を形成するEngelbreth−Holm−Swarm腫瘍細胞に由来する可溶性調製物である一方、MATRIGEL(登録商標)はまた、成長因子低下調製物として使用可能である。本発明での使用に適した他の細胞外マトリックス成分および成分混合物は、包皮マトリックス、ラミニンマトリックス、フィブロネクチンマトリックス、プロテオグリカンマトリックス、エンクチンマトリックス、ヘパラン硫酸マトリックス、コラーゲンマトリックスなどを、単独でまたはそれらの様々な組み合わせで、含む。

0213

本発明の一部の実施形態によると、マトリックス異種成分を含まない。

0214

完全な動物フリーの培養条件が所望される場合、マトリックスは、好ましくは、ヒト源に由来するか、または上記のような組換え技術を用いて合成される。かかるマトリックスとして、例えば、ヒト由来フィブロネクチン、組換えフィブロネクチン、ヒト由来ラミニン、包皮線維芽細胞マトリックスまたは合成フィブロネクチンマトリックス、が挙げられる。ヒト由来フィブロネクチンは、血漿フィブロネクチンまたは細胞フィブロネクチンに由来することができ、それらの双方は、Sigma(St.Louis,MO,USA)から入手可能である。ヒト由来ラミニンおよび包皮線維芽細胞マトリックスは、Sigma(St.Louis,MO,USA)から入手可能である。合成フィブロネクチンマトリックスは、Sigma(St.Louis,MO,USA)から入手可能である。

0215

本発明の一部の実施形態によると、培養は、フィーダー細胞層上で行われる。

0216

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法は、多能性幹細胞を、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、トランスフォーミング増殖因子β−3(TGFβ3)およびアスコルビン酸(ここで培地中のアスコルビン酸の濃度は、少なくとも50μg/mlである)を含む無血清および異種成分不含培地中、フィーダー細胞層上で培養することによって実施される。

0217

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞を未分化状態で増殖・維持する方法は、多能性幹細胞を、約400〜600μg/mIの濃度範囲でのアスコルビン酸、約50〜200ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、異種成分不含血清代替物および脂質混合物を含む無血清および異種成分不含培地中、フィーダー細胞層上で培養することによって実施される。

0218

本発明の一部の実施形態によると、フィーダー細胞層は、異種成分を含まない。

0219

本発明の一部の実施形態によると、フィーダー細胞層は、包皮線維芽細胞のフィーダー細胞層である。

0220

本発明の一部の実施形態によると、発明の一部の実施形態に従う培養は、浮遊培養下で行われる。

0221

本発明の一部の実施形態によると、浮遊培養は、基質接着を有しない、例えば、細胞外マトリックス、ガラスマイクロキャリアまたはビーズの成分などの外部基質への接着を伴わない。

0222

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、タンパク質担体を含まない培地中で行われる。

0223

本明細書で使用される表現「タンパク質担体」は、培養下でのタンパク質または栄養素(例えば亜鉛などのミネラル)を細胞に移す役割を果たすタンパク質を示す。かかるタンパク質担体は、例えば、アルブミン(例えばウシ血清アルブミン)、Albumax(脂質に富むアルブミン)またはプラスマネートヒト血漿単離タンパク質)でありうる。これらの担体はヒトまたは動物源のいずれかに由来することから、ヒトiPS細胞培養物のhESCにおけるその使用は、バッチに特異的な差異および/または病原体への暴露による制限を受ける。したがって、タンパク質担体(例えばアルブミン)を有しない培地は、組換えまたは合成材料から作製可能な真に限定された培地を可能にすることから、非常に有利である。

0224

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、無血清および無フィーダー細胞培地中で行われる。

0225

hESCおよびiPS細胞などの多能性幹細胞を培養する一部のプロトコルが、半透性ヒドロゲル膜内部での細胞のマイクロカプセル化を含み、それにより、栄養素、ガス、および代謝産物カプセルを取り囲むバルク培地との交換が可能になることは注目されるべきである(詳細については、例えば米国特許出願公開第2009/0029462号明細書(Beardsleyらに付与)を参照)。

0226

本発明の一部の実施形態によると、浮遊培養下で培養される多能性幹細胞は、細胞カプセル化を有しない。

0227

本発明の一部の実施形態の態様によると、人工多能性幹(iPS)細胞を増殖し、かつiPS細胞を未分化状態で維持する方法が提供される。本方法は、iPS細胞を、基質接着を有せず細胞カプセル化を有しないでかつiPS細胞の未分化状態での増殖を可能にする培養条件下の浮遊培養下で培養することにより、実施される。

0228

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、IL6RIL6キメラの濃度が約50〜200ピコグラム/ミリリットル(pg/ml)の範囲内である場合のIL6RIL6キメラ含有培地の存在下で行われる。

0229

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、白血病阻害因子(LIF)含有培地(ここでLIFの濃度は少なくとも約2000単位/mlである)の存在下で行われる。

0230

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、約50ng/ml〜約200ng/ml、例えば約60ng/ml〜約190ng/ml、例えば約70ng/ml〜約180ng/ml、例えば約80ng/ml〜約170ng/ml、例えば約90ng/ml〜約160ng/ml、例えば約90ng/ml〜約150ng/ml、例えば約90ng/ml〜約130ng/ml、例えば約90ng/ml〜約120ng/ml、例えば約100ng/mlの濃度範囲での塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)を含む培地の存在下で行われる。

0231

例えば、hESCおよびヒトiPS細胞を、基質接着および細胞カプセル化を有しない浮遊培養下で培養する場合に適することが見出された培地の非限定例として、血清代替物および100ng/mlのbFGFを含むyF100培地が挙げられる。

0232

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞の浮遊培養下での培養は、約50〜200ナノグラム/ミリリットル(ng/ml)の濃度範囲でのIL6RIL6キメラおよび1〜50ng/mlの範囲内の濃度でのbFGFを含む培地の存在下で行われる。

0233

例えば、hESCおよびヒトiPS細胞を、基質接着および細胞カプセル化を有しない浮遊培養下で培養する場合に適することが見出された培地の非限定例として、血清代替物、100ng/mlの濃度でのIL6RIL6キメラおよび10ng/mlの濃度でのbFGFを含むCM100F培地が挙げられる。

0234

例えば、本発明者らは、CM100Fp、CM100F、yF100またはyFL3培地を使用し、多能性幹細胞を、浮遊培養下で、増殖性、多能性および未分化状態で、少なくとも50継代増殖した(例えば、図3A〜C、4、5A〜Cおよび6A〜Dを参照、また以下の実施例セクションの実施例4および5に記載される)。

0235

本発明の一部の実施形態の方法に従う浮遊培養下での培養は、多能性幹細胞を、培養容器内に、細胞の生存および増殖を促進するが、分化を制限する細胞密度でプレーティングすることによって行われる。典型的には、約5×104〜2×106個の細胞/mlのプレーティング密度が使用される。幹細胞の単細胞懸濁液が通常播種されるが、10〜200個の細胞などの小塊も使用可能であることは理解されるであろう。

0236

多能性幹細胞に、浮遊培養下でありながら、栄養素および成長因子の十分かつ定常的な供給を提供するため、培地は、毎日、または所定のスケジュールで(例えば2〜3日ごとに)、交換しうる。例えば、培地の交換は、多能性幹細胞の浮遊培養物に80gで約3分間の遠心分離を施すことと、形成された多能性幹細胞ペレットを新しい培地に再懸濁することにより、行いうる。それに加え、またはそれに代わり、多能性幹細胞に栄養素または成長因子の定常的な供給を提供するように、培地に定常的な濾過または透析が施される培養系を使用しうる。

0237

大塊状の多能性幹細胞が細胞分化を誘発しうることから、大きい多能性幹細胞集合体を回避するための手段がとられる。本発明の一部の実施形態によると、形成された多能性幹細胞塊は、5〜7日ごとに解離され、単細胞または小塊状の細胞は、追加的な培養容器に分割される(すなわち通過される)か、またはさらに追加的な培地を有する同じ培養容器内で維持される。大きい多能性幹細胞塊の解離においては、(上記のような遠心分離によって得られうる)多能性幹細胞のペレットまたは単離された多能性幹細胞塊に、酵素的消化および/または機械的解離を施しうる。

0238

多能性幹細胞塊の酵素的消化は、塊に、IV型コラゲナーゼ(Worthington biochemical corporation(Lakewood,NJ,USA))および/またはディスパーゼ(Invitrogen Corporation製品(Grand Island NY,USA))などの酵素を施すことによって行いうる。酵素とのインキュベーションの時間は、浮遊培養下に存在する細胞塊のサイズに依存する。典型的には、多能性幹細胞の細胞塊が、浮遊培養下でありながら、5〜7日ごとに解離される場合、1.5mg/mlのIV型コラゲナーゼとの20〜60分間のインキュベーションの結果、小細胞塊が得られるが、それは未分化状態でさらに培養しうる。あるいは、多能性幹細胞塊に対し、1.5mg/mlのIV型コラゲナーゼとの約25分間のインキュベーション後、1mg/mlのディスパーゼとの5分間のインキュベーションを行いうる。トリプシンを用いたヒトESCの継代の結果、染色体の不安定性および異常がもたらされうることは注目されるべきである(例えば、Mitalipova M.M.ら、Nature Biotechnology,23:19−20頁、2005年およびCowan C.A.ら、N.Engl.J.of Med.350:1353−1356頁、2004年を参照)。本発明の一部の実施形態によると、トリプシンを用いたhESCまたはiPS細胞の継代は避けるべきである。

0239

大きい多能性幹細胞塊の機械的解離は、塊を所定のサイズまで破壊するように設計されたデバイスを使用して行いうる。かかるデバイスは、CellArtis Goteborg(Sweden)から入手可能である。それに加え、またはそれに代わり、機械的解離は、塊を倒立顕微鏡下で観察しながら、27gの針(BD Microlance(Drogheda,Ireland))などの針を使用してマニュアルで行いうる。

0240

本発明の一部の実施形態によると、大細胞塊の酵素的または機械的解離後、解離された多能性幹細胞塊は、200μlのGilsonピペットチップを使用し(例えば細胞を上下にピペッティングすることにより)、小塊にさらに破壊される。

0241

本発明の一部の実施形態の方法に従い、多能性幹細胞を浮遊培養するために使用される培養容器は、(例えば多能性幹細胞の培養に適した純度グレードを有する)任意の組織培養容器であって、その中で培養される多能性幹細胞が内部表面に接着または付着できない(例えば、非組織培養処理された細胞の、表面への付着または接着を阻止する)ように設計された内部表面を有する、容器でありうる。好ましくは、スケーラブルな培養を得るため、発明の一部の実施形態に従う培養は、温度、撹拌、pH、およびpO2などの培養パラメータが、好適なデバイスを使用して自動的に実行される、制御された培養系(好ましくはコンピュータ制御された培養系)を使用して行われる。一旦培養パラメータが記録されると、システムは、培養パラメータを、多能性幹細胞の増殖に対する必要性に応じて自動調節するようにセットされる。

0242

以下の実施例セクションに記載のように、多能性幹細胞は、動的条件下(すなわち、多能性幹細胞が浮遊培養下でありながら一定の運動を受ける条件下;例えば、図6A〜D;実施例5を参照)、または、その増殖性、多能性能および核型安定性を少なくとも30継代保持しながら非動的条件(すなわち、静的培養;例えば、図3A〜C、4および5A〜C;実施例4を参照)下で培養された。

0243

多能性幹細胞の非動的培養においては、多能性幹細胞は、コーティングされていない58mmのペトリ皿(Greiner(Frickenhausen,Germany))内で培養しうる。

0244

多能性幹細胞の動的培養においては、多能性幹細胞は、スピナーフラスコ[例えば、Integra BiosciencesのCellPin(Fernwald,Germany)から入手可能な200ml〜1000ml、例えば250ml;Bellco(Vineland,NJ)から入手可能な100ml;または125mlのErlenmeyer(Corning Incorporated(Corning NY,USA))]内で培養することができ、それは、制御ユニットに接続できることから、制御された培養系を提示する。培養容器(例えば、スピナーフラスコ、Erlenmeyer)は、連続的に振とうされる。本発明の一部の実施形態によると、培養容器は、振とう器(S3.02.10L,ELMIltd(Riga,Latvia))を使用し、90回転毎分(rpm)で振とうされる。本発明の一部の実施形態によると、培地は、毎日変更される。

0245

本発明の一部の実施形態によると、本発明の教示に従って培養される場合、多能性幹細胞の成長はモニタリングされ、その分化状態が判定される。分化状態は、例えば、形態学的評価(例えば、図1A〜C、3A〜Cに示される場合)、ならびに/あるいは、膜結合マーカーに対するフローサイトメトリー細胞外および細胞内マーカーに対する免疫組織化学または免疫蛍光、および分泌される分子マーカーに対する酵素イムノアッセイなどの免疫学的技術を用いた、未分化状態の典型的なマーカーの発現パターンの検出、を含む様々なアプローチを用いて判定しうる。例えば、本発明の一部の実施形態の方法に従って培養されるhESCまたはヒトiPS細胞に対して用いられる免疫蛍光によると、Oct4、ステージ特異的胚抗原(SSEA)4、腫瘍拒絶抗原(TRA)−L−60およびTRA−1−81の発現が示された(図2A〜C、5A〜Cおよび6A〜D)。さらに、特異的な未分化マーカー(例えば、Oct4、Nanog、Sox2、Rex1、Cx43、FGF4)または分化マーカー(例えば、アルブミン、グルカゴン、α−心臓アクチン(cardiac actin)、β−グロブリン、Flkl、AC133およびニューロフィラメント)の転写産物のレベルは、RTPCR分析および/またはcDNAマイクロアレイ分析などのRNAに基づく技術を用いて検出可能である。

0246

ES細胞分化の判定はまた、アルカリホスファターゼ活性の測定を介して行いうる。未分化ヒトES細胞は、細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定し、Vector Red基質キット(Vector Laboratories(Burlingame,California,USA))で製造業者の使用説明書に従って展開することによって検出可能なアルカリホスファターゼ活性を有する。

0247

本発明者らは、本発明の新規の異種成分不含および無血清培地を使用し、新しい多能性幹細胞系を誘導可能であることを見出している。

0248

したがって、以下の実施例セクションにさらに示されるように、本発明者らは、HA40/4培地を使用し、「WC1」と称される新しいhESC系を、ヒト包皮線維芽細胞のフィーダー層上で培養される全胚盤胞から誘導することができた(以下の実施例セクションの実施例3)。

0249

本明細書で使用される用語「誘導する」は、胚性幹細胞系または人工多能性幹細胞系を少なくとも1つの胚性幹または人工多能性細胞から生成することを示す。

0250

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞系は、胚性幹細胞系であり、胚性幹細胞系を誘導する方法は、(a)胚性幹細胞を胎児の着床前期胚盤胞、着床後期胚盤胞および/または生殖器組織から取るステップ、および(b)胚性幹細胞を本発明の一部の実施形態の培地中で培養するステップによって実施され、それによって胚性幹細胞系を誘導する。

0251

本明細書で使用される表現「胚性幹細胞系」は、単一の生物の単一または一群の胚性幹細胞(例えば単一のヒト胚盤胞)に由来し、かつ培養下で未分化状態および多能性能を維持しながら増殖する能力によって特徴づけられる胚性幹細胞を示す。

0252

胚性幹細胞の、胎児の着床前期胚盤胞、着床後期胚盤胞および/または生殖器組織からの取得は、上記および以下の実施例セクションの実施例3に記載のように、当該技術分野で既知の方法を用いて行いうる。要するに、透明帯が、タイロード酸性溶液(Sigma(St LouisMO,USA))を使用し、5〜7日齢胚盤胞から除去され、栄養芽層は、免疫手術により、または27gの針を使用して機械的に特異的に除去され、露出したICMは、上記の培地のいずれかの存在下で、好適な培養系(例えば、フィーダー層、無フィーダーマトリックスまたは浮遊培養)下で4〜10日間直接培養されるか(着床前胚盤胞が使用される場合)、あるいは、胚盤胞の表面への着床を可能にするフィーダー層または無フィーダー培養系上で、(着床後/原腸形成前胚盤胞が使用される場合に13日齢胚盤胞の細胞を得るため)ICMを6〜8日間培養することにより、インビトロ着床がなされ、その後、着床された細胞は、単離され、下記のように、上記の培地のいずれかの存在下で、フィーダー層、無フィーダーマトリックスまたは浮遊培養系上でさらに培養しうる。胎児の生殖器組織を使用する場合、生殖隆起は、解離され、小塊に切断され、その後、機械的解離により、細胞に分離される。次いで、単細胞のEG細胞は、上記の培地のいずれかの中で4〜10日間培養される。

0253

本発明の一部の実施形態によると、多能性幹細胞系は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)系であり、iPS細胞系を誘導する方法は、(a)体細胞を多能性幹細胞に誘導するステップ、および(b)多能性幹細胞を、本発明の一部の実施形態の培地中で培養するステップによって実施され、それによって人工多能性幹細胞系を誘導する。

0254

本明細書で使用される表現「人工多能性幹細胞系」は、単一の人工多能性幹細胞に由来し、かつ培養下で未分化状態および多能性能を維持しながら増殖する能力によって特徴づけられる多能性幹細胞を示す。

0255

多能性幹細胞を誘導する方法は、当該技術分野で周知であり、例が、TakahashiおよびYamanaka、2006年;Takahashiら、2007年;Meissnerら、2007年;Okitaら、2007年、Yuら、2007年;Nakagawaら、2008年、Yu J.ら、Science.2009年、324:797−801頁;Parkら、2008年;Hannaら、2007年;Lowryら、2008年;Aoiら、2008年(これらの全部が全体として参照により本明細書中に援用される)の中に示される。

0256

iPS細胞のESCは、一旦得られると、本質的に上記のように、多能性幹細胞の未分化状態での増殖を可能にする上記の培地のいずれかの中でさらに培養される。

0257

確立された多能性幹細胞系(例えば胚性幹細胞系または人工多能性幹細胞系)に対し、未分化状態での細胞の増殖性能阻害することなく、その多能性能を維持するように凍結解凍サイクルを実施可能であることは理解されるであろう。例えば、以下の実施例セクションに示されるように、hESCまたはヒトiPS細胞は、15%血清代替物および10%DMSOを使用し、凍結および解凍が成功した。

0258

以下の実施例セクションの実施例1、2、4および5に記載のように、上記の培地のいずれかの中で増殖・維持されたhESCおよびヒトiPS細胞は、二次元(例えば、無フィーダーマトリックスまたは包皮フィーダー)または三次元(例えば、静的または動的浮遊培養)培養系下で、(例えば少なくとも20または30継代の)長期の培養期間後、インビトロ(EBの形成による)およびインビボ(奇形腫の形成による)で明らかなように、多能性を示す(すなわち、3つの胚性胚葉、外胚葉、内胚葉および中胚葉のすべての細胞種に分化する能力を有する)。したがって、本発明の教示に従って培養されたhESCまたはヒトiPS細胞は、分化した系統特異的細胞を生成するための供給源として使用しうる。かかる細胞は、ESCが様々な分化シグナル(例えば、サイトカイン、ホルモン、成長因子)を受けることによってESCから直接的に得るか、または胚様体の形成およびそれに続くEBの細胞の系統特異的細胞への分化を介して間接的に得ることが可能である。

0259

したがって、本発明の一部の実施形態の態様によると、胚様体を多能性幹細胞から生成する方法が提供される。本方法は、(a)多能性幹細胞を本発明の一部の実施形態の方法に従って培養し、それによって増殖された未分化多能性幹細胞を得るステップ、および(b)増殖された未分化多能性幹細胞を、幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くステップによって実施され、それによって胚様体を多能性幹細胞から生成する。

0260

本明細書で使用される表現「胚様体」は、分化を経ている、ESC、拡張胚盤胞細胞(EBC)、胚性生殖細胞(EGC)および/または人工多能性幹細胞の集団からなる形態学的構造を示す。EBの形成は、多能性幹細胞培養物からの分化遮断因子(differentiation blocking factor)の除去後に開始される。EBの形成の第1ステップにおいては、多能性幹細胞が、小細胞塊に増殖し、次いで分化を進める。分化の第1相においては、ヒトESCまたはヒトiPS細胞のいずれかに対する培養下で1〜4日後、内胚葉細胞層が小塊の外部層上に形成される結果、「単純な(simple)EB」が得られる。第2相においては、分化後の3〜20日後、「複雑な(complex)EB」が形成される。複雑なEBは、外胚葉および中胚葉細胞および誘導組織(derivative tissue)の広範な分化によって特徴づけられる。

0261

したがって、本発明の一部の実施形態に従う方法は、増殖された未分化多能性幹細胞を得るための上記の培地のいずれかの中で多能性幹細胞を培養することと、それに続き、増殖された未分化多能性幹細胞(例えば、ESCまたはiPS細胞)を、多能性幹細胞の胚様体への分化に適した培養条件下に置くこととを含む。かかる培養条件は、多能性幹細胞が未分化状態で増殖されるべきである場合に使用される分化阻害因子、例えば、TGFβ3、少なくとも50μg/mlの濃度でのアスコルビン酸、bFGFおよび/またはIL6RIL6キメラを実質的に有しない。

0262

EBの形成においては、多能性幹細胞(ESCまたはiPS細胞)は、そのフィーダー細胞層、無フィーダー培養系または浮遊培養物から取り出され、血清または血清代替物を含有しかつ分化阻害因子を含有しない培地の存在下で浮遊培養に移される(例えば、以下の実施例セクションの実施例1、2、4および5を参照)。例えば、EBの形成に適した培地は、20%FBSd(HyClone(Utah,USA))、1mM L−グルタミン、0.1mM β−メルカプトエタノール、および1%非必須アミノ酸ストックが補充された塩基性培地(例えば、Ko−DMEMまたはDMEM/F12)を含みうる。

0263

EBの形成のモニタリングは、当業者の能力の範囲内であり、形態学的評価(例えば組織学的染色)および分化特異的マーカーの発現の判定[例えば、免疫学的技術またはRNAに基づく分析(例えば、RT−PCR、cDNAマイクロアレイ)を使用]により、実施できる。

0264

系統特異的細胞をEBから得るため、EBの細胞は、さらに系統特異的細胞に適した培養条件下に置くことが可能であることは理解されるであろう。

0265

好ましくは、本発明のこの態様の方法は、(c)胚様体の細胞を系統特異的細胞の分化および/または増殖に適した培養条件下に置くステップをさらに含み、それにより、系統特異的細胞が胚性幹細胞から生成される。

0266

本明細書で使用される表現「系統特異的細胞の分化および/または増殖に適した培養条件」は、培養系、例えば、フィーダー細胞層、無フィーダーマトリックスまたは浮遊培養物と、EBの細胞に由来する特異的細胞系の分化および/または増殖に適した培地との組み合わせを示す。さらに、かかる培養条件の非限定例が、以下に記載される。

0267

本発明の一部の実施形態によると、本発明のこの態様の方法は、ステップ(b)後に系統特異的細胞を単離するステップをさらに含む。

0268

本明細書で使用される表現「系統特異的細胞を単離する」は、主に特異的系統表現型に関連した少なくとも1つの特性を示す細胞を有する培養下での細胞の混合集団集積を示す。すべての細胞系が、3つの胚性胚葉から誘導されることは理解されるであろう。したがって、例えば、肝細胞および膵臓細胞は、内胚葉、骨、軟骨弾性繊維結合組織筋細胞心筋細胞骨髄細胞血管細胞(すなわち内皮および平滑筋細胞)から誘導され、また造血細胞は、胚性中胚葉から分化され、神経、網膜および表皮細胞は、胚性外胚葉から誘導される。

0269

本発明の一部の好ましい実施形態によると、系統特異的細胞の単離は、蛍光活性化セルソーター(FACS)によるEBの細胞のソーティングによって行われる。

0270

FACS分析によるEB由来の分化細胞を単離する方法は、当該技術分野で既知である。一方法によると、EBは、トリプシンおよびEDTA溶液(それぞれ0.025%および0.01%)を用いて分離され、リン酸塩緩衝化生理食塩水PBS)中の5%ウシ胎仔血清(FBS)で洗浄され、特異的細胞系に対する細胞表面抗原特性に特異的な蛍光標識抗体とともに上で30分間インキュベートされる。例えば、内皮細胞は、Levenberg S.ら(「Endothelial cells derived from human embryonic stem cells.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2002年、99:4391−4396頁)に記載のように、PharMingen(PharMingen,Becton Dickinson Bio Sciences(San Jose,CA,USA))から入手可能な蛍光標識PECAM1抗体(30884X)など、血小板内皮細胞接着分子−1(PECAM1)に特異的な抗体に付着させることによって単離される。造血細胞は、蛍光標識抗体、例えば、CD34−FITC、CD45−PE、CD31−PE、CD38−PE、CD90−FITC、CD117−PE、CD15−FTTCクラスI−FITC(それら全部におけるIgG1はPharMingenから入手可能)、CD133/1−PE(IgG1)(Miltenyi Biotec(Auburn,CA)から入手可能)、およびグリコホリンA−PE(IgG1)(Immunotech(Miami,FL)から入手可能)を使用して単離される。生細胞(すなわち固定を伴わない)が、ヨウ化プロピジウムの使用によるFACScan(Becton Dickinson Bio Sciences)上で分析され、死細胞が、PC−LYSISまたはCELLQUESTソフトウェアのいずれかを用いて除去される。単離細胞は、Kaufman D.S.ら、(「Hematopoietic colony−forming cells derived from human embryonic stem cells.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2001年、98:10716−10721頁)によって記載のように、磁気標識二次抗体および磁気分離カラム(MACS,Miltenyi)を使用し、さらに集積されうることは理解されるであろう。

0271

本発明の一部の実施形態によると、系統特異的細胞の単離は、EB内部に含まれる細胞、組織および/または組織様構造の機械的分離によって行われる。

0272

例えば、拍動する心筋細胞は、米国特許出願公開第2003/0022367号明細書(Xuらに付与)中に開示のように、EBから単離されうる。本発明の4日齢EBは、ゼラチンコートされたプレートまたはチャンバースライドに移され、結合および分化が可能になる。分化の8日目に認められる自発的収縮細胞は、機械的に分離され、低カルシウム媒体またはPBSを有する15mLのチューブ回収される。細胞は、コラゲナーゼ活性に依存し、コラゲナーゼBによる消化を用いて、37℃で60〜120分間解離される。次いで、解離された細胞は、分化用KB培地(differentiation KB meduium)(85mM KCl、30mM K2HPO4、5mM MgSO4、1mM EGTA、5mMクレアチン、20mMグルコース、2mM Na2ATP、5mMピルビン酸塩、および20mMタウリン、pH7.2に緩衝化、Maltsevら、Circ.Res.75:233頁、1994年)に再懸濁され、37℃で15〜30分間インキュベートされる。解離後、細胞がチャンバースライドに播種され、分化培地中で培養され、拍動可能な単一の心筋細胞が生成される。

0273

本発明の一部の実施形態によると、系統特異的細胞の単離は、EBに分化因子を施し、それにより、EBの系統特異的分化細胞への分化を誘発することによって行われる。

0274

以下は、EBの系統特異的細胞への分化を誘発するための多数の手順およびアプローチの非限定的説明である。

0275

本発明の一部の実施形態のEBを神経前駆体に分化させるため、4日齢EBは、5mg/mlのインスリン、50mg/mlのトランスフェリン、30nMの塩化セレン、および5mg/mlのフィブロネクチンを有するDMEM/F−12培地(ITSFn培地、Okabe S.ら、1996年、Mech.Dev.59:89−102頁)を含む組織培養皿内で5〜12日間培養される。さらに、得られた神経前駆体は、移植され、神経細胞がインビボで生成されうる(Bruestle O.ら、1997年、「In vitro−generated neural precursors participate in mammalian brain development.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94:14809−14814頁)。神経前駆体は、その移植前、0.1%DNaseの存在下で、トリプシン処理され、単細胞懸濁液に粉砕されることは理解されるであろう

0276

本発明の一部の実施形態のEBは、オリゴデンドロサイトに分化し、細胞を、修飾SATO培地、すなわち、ウシ血清アルブミン(BSA)、ピルビン酸塩、プロゲステロン、プトレッシン、チロキシントリヨードチロニン、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、アミノ酸、ニューロトロフィン3、毛様体神経栄養因子およびヘペスを有するDMEM中で培養することにより、細胞を有髄化しうる(Bottenstein J.E.およびSato G.H.、1979年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA76、514−517頁;Raff M.C.、Miller R.H.、およびNoble M.、1983年、Nature 303:390−396頁]。要するに、EBは、0.25%トリプシン/EDTAを使用して解離され(37℃で5分間)、単一の細胞懸濁液に粉砕される。懸濁された細胞は、5%ウマ血清および5%ウシ胎仔血清(FCS)が補充されたSATO培地を有するフラスコ内にプレーティングされる。培養下で4日後、フラスコは穏やかに振とうされ、接着が弱い細胞(主にオリゴデンドロサイト)が懸濁される一方、星状細胞は、フラスコに接着し、さらにならし培地を生成する状態が維持される。一次オリゴデンドロサイトは、SATO培地を有する新しいフラスコにさらに2日間移される。培養下で全体で6日経過後、オリゴスフェアー(oligosphere)は、細胞移植のため、部分的に解離され、SATO培地に再懸濁されるか、または完全に解離され、先行する振とうステップから得られるオリゴスフェアーならし培地中にプレーティングされる[Liu S.ら、(2000年) 「Embryonic stem cells differentiate into oligodendrocytes and myelinate in culture and after spinal cord transplantation.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.97:6126−6131頁]。

0277

肥満細胞の分化においては、本発明の一部の実施形態の2週齢EBは、10%FCS、2mMのL−グルタミン、100単位/mlのペニシリン、100mg/mlのストレプトマイシン、20%(v/v)のWEHI−3細胞ならし培地および50ng/mlの組換えラット幹細胞因子が補充されたDMEM培地を含む組織培養皿に移される(rrSCF、Tsai M.ら、2000年、「In vivo immunological function of mast cells derived from embryonic stem cells:An approach for the rapid analysis of even embryonic lethal mutations in adult mice in vivo.」 Proc Natl Acad Sci USA.97:9186−9190頁)。培養物は、週に1回、細胞を新しいフラスコに移し、かつ培地の半分を交換することにより、増殖される。

0278

血液−リンパ系細胞を本発明の一部の実施形態のEBから生成するため、2〜3日齢EBは、調節可能な酸素含量を有するインキュベーターを使用し、7.5%CO2および5%O2の存在下で、ガス透過性培養皿に移される。分化の15日後、細胞は採取され、コラゲナーゼ(0.1単位/mg)およびディスパーゼ(0.8単位/mg)(双方はF.Hoffman−La Roche Ltd(Basel,Switzerland)から入手可能)での穏やかな消化によって解離される。CD45陽性細胞は、Potocnik A.J.ら、(「Immunology Hemato−lymphoid in vivo reconstruction potential of subpopulations derived from in vitro differentiated embryonic stem cell.」 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1997年、94:10295−10300頁)に記載のように、ヤギ抗ラット免疫グロブリンに複合された抗CD45モノクローナル抗体(mAb)M1/9.3.4.HL.2および常磁性マイクロビーズ(Miltenyi)を使用し、単離される。単離CD45陽性細胞は、MACSカラム(Miltenyi)全体にわたる単回通過を用いて、さらに集積しうる。

0279

単離系統特異的細胞の分化および増殖に適した培養条件は、様々な組織培地、成長因子、抗生物質、アミノ酸などを含み、また、特定の細胞種および/または細胞系を増殖しかつ分化させるため、いずれの条件が適用されるべきかを判定することが当業者の能力の範囲内にあることは理解されるであろう。

0280

それに加え、またはそれに代わり、系統特異的細胞は、ESCまたはiPS細胞などの増殖された未分化多能性幹細胞を特異的細胞系の分化に適した培養条件に直接誘発することによって得ることができる。

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