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技術 乳酸菌、パン類の製造方法、パン類生地並びにパン類風味及び食感向上用乳酸菌

出願人 国立大学法人帯広畜産大学敷島製パン株式会社
発明者 中村正山内宏昭岩田準基猪股大祐大塚大山田大樹井上俊逸藏滿正朋堀近文
出願日 2018年8月8日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2018-149099
公開日 2020年2月13日 (9ヶ月経過) 公開番号 2020-022402
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 ベイカリー製品及びその製造方法
主要キーワード ミキシング段 パン片 ブレンド粉 生地状態 バゲット サワードウ ホクシン 小麦品種
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
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図面 (9)

課題

良好な発酵性及び良風味を与える乳酸菌並びに高品質パン類の製造方法、パン類生地及びパン類を提供する。

解決手段

乳酸菌は、ペディオコッカスペントサセウスNI01(受託番号:NITEP−02737)及びNI02(受託番号:NITE P−02738)からなる群より少なくとも1つ選択される。

概要

背景

我が国で生産されている小麦の大部分はうどん用の中力小麦であり、これらの小麦から得られる中力粉は、強力粉を用いて通常製造されるパン中華麺等への利用適性が低い。そのため、これまで我が国のパンや中華麺用の強力小麦の自給率は非常に低く、ほとんど輸入に頼っている状況であった。しかし、近年、品種改良進展により製パン適性が外国産強力小麦に匹敵する特性を持った小麦品種育成、普及が行われ、安定的にパン用小麦が供給されるようになってきた。その代表格の小麦品種が、北海道で開発され、生産量が急増している播超強力小麦品種「ゆめちから」である。この小麦から作られる小麦粉は強力粉を凌駕する超強力粉であるために、単独での用途は一部に限定されるが、従来から生産されている中力粉と適宜ブレンドすることにより、そのブレンド粉は強力粉と同等の優れた製パン適性を示すことがわかっている。これにより、良質の国産パン用小麦粉の多量安定供給が可能となり、中小ベーカリーのみならず大手製パンメーカー製品でもこのブレンド粉が大量に採用されている。また、従来から大量に安定生産されている国産中力小麦については、製粉方法の工夫で薄力粉特性の良好な中力粉(国産薄力粉)の生産が可能であり、これまで長い間この国産薄力粉が多くの菓子類製造に使用されている。

種々のパン製品の製造においては、原料として通常小麦粉以外に砂糖食塩、油脂、酵母イースト)等が使用される。最近では製品の差別化、風味のさらなる向上を目的として、乳酸菌や乳酸菌で発酵させた生地種等が多くの製パンメーカーで使用されている。乳酸菌を用いて生地を発酵させることで、生地中の糖やタンパク質等が発酵、分解され、乳酸エタノール、その他各種有機酸ペプチド遊離アミノ酸等が生成され、パン酵母だけでは出せない特有の好ましい風味をパンに付与することが可能になっている。また、一部のヘテロ乳酸菌を用いることによって、炭酸ガス発生量の向上も期待できる。また近年、菓子類製造においても、主に乳酸発酵させたルヴァンを用いて製造されるルヴァンビスケットに代表されるように、種々の菓子類に乳酸菌やその発酵物が添加され、差別化や品質向上が行われている。

しかしながら、現在パン類製造に使用されている乳酸菌は、市販されている乳酸菌又は菌株保存機関登録されている菌株がほとんどであり、自然界から独自に分離した菌株を利用している例はほとんど無い。また、乳酸発酵した生地種等を用いたパン類製造においても、生地種中の乳酸菌の同定はほとんど行われておらず、どのような乳酸菌が生地種の発酵、風味成分の生成に関与しているか不明な場合が多いのが現状である。

通常種々の野生の乳酸菌は、自然界の味噌醤油漬け物ヨーグルト(自然発酵)、牛乳サイレージ等非常に多くの場所に生息しているが、自然界から分離した菌株をパン製造に用いた場合、十分な効果を発揮する例は稀である。

野生乳酸菌由来で菌株の出自が明らかにされている菌株は、菌株登録機関には多く保存されている。また、各種生地種中の乳酸菌の菌株の同定も一部では行われている。例えば、サワードウ中の乳酸菌としてラクトバチルスサンフランスエンシス(Lactobacillus sanfranciscensis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ロイコノストック・メッセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)等が分離同定されているが、分離同定されている菌株はまだ少ないのが現状である。このように、世界中には多くの生地種が存在し使用されているが、生地種中の微生物菌叢解析や構成菌株の同定結果が十分に明らかになっている状況ではない(非特許文献1)。

乳酸菌による発酵を利用したパン類の製造法がいくつか提案されている。特許文献1には、ペディオコッカス(Pediococcus)属に属する微生物を、アルギニンを含有する培地中で培養して得られる培養物又はその処理物滅菌処理して得られる風味改良剤が開示されている。また、特許文献2には、乳脂肪乳蛋白質含有基質中に乳酸菌、リパーゼプロテアーゼを添加してインキュベートし、そして得られる発酵及び酵素処理物からなるパン類の風味改善剤が開示されている。

概要

良好な発酵性及び良風味を与える乳酸菌並びに高品質のパン類の製造方法、パン類生地及びパン類を提供する。乳酸菌は、ペディオコッカス・ペントサセウスNI01(受託番号:NITEP−02737)及びNI02(受託番号:NITE P−02738)からなる群より少なくとも1つ選択される。なし

目的

本発明は、良好な発酵性及び良風味を与える乳酸菌並びに高品質のパン類の製造方法、パン類生地及びパン類を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ペディオコッカスペントサセウスNI01(受託番号:NITEP−02737)及びNI02(受託番号:NITEP−02738)からなる群より少なくとも1つ選択される乳酸菌

請求項2

パン類の製造のために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の乳酸菌。

請求項3

請求項1又は2に記載の乳酸菌を使用する、ことを特徴とするパン類の製造方法。

請求項4

請求項1又は2に記載の乳酸菌を含有する、ことを特徴とするパン類生地

請求項5

請求項4に記載のパン類生地を焼成してなるパン類。

技術分野

0001

本発明は、乳酸菌パン類の製造方法、パン類生地及びパン類に関する。

背景技術

0002

我が国で生産されている小麦の大部分はうどん用の中力小麦であり、これらの小麦から得られる中力粉は、強力粉を用いて通常製造されるパン中華麺等への利用適性が低い。そのため、これまで我が国のパンや中華麺用の強力小麦の自給率は非常に低く、ほとんど輸入に頼っている状況であった。しかし、近年、品種改良進展により製パン適性が外国産強力小麦に匹敵する特性を持った小麦品種育成、普及が行われ、安定的にパン用小麦が供給されるようになってきた。その代表格の小麦品種が、北海道で開発され、生産量が急増している播超強力小麦品種「ゆめちから」である。この小麦から作られる小麦粉は強力粉を凌駕する超強力粉であるために、単独での用途は一部に限定されるが、従来から生産されている中力粉と適宜ブレンドすることにより、そのブレンド粉は強力粉と同等の優れた製パン適性を示すことがわかっている。これにより、良質の国産パン用小麦粉の多量安定供給が可能となり、中小ベーカリーのみならず大手製パンメーカー製品でもこのブレンド粉が大量に採用されている。また、従来から大量に安定生産されている国産中力小麦については、製粉方法の工夫で薄力粉特性の良好な中力粉(国産薄力粉)の生産が可能であり、これまで長い間この国産薄力粉が多くの菓子類製造に使用されている。

0003

種々のパン製品の製造においては、原料として通常小麦粉以外に砂糖食塩、油脂、酵母イースト)等が使用される。最近では製品の差別化、風味のさらなる向上を目的として、乳酸菌や乳酸菌で発酵させた生地種等が多くの製パンメーカーで使用されている。乳酸菌を用いて生地を発酵させることで、生地中の糖やタンパク質等が発酵、分解され、乳酸エタノール、その他各種有機酸ペプチド遊離アミノ酸等が生成され、パン酵母だけでは出せない特有の好ましい風味をパンに付与することが可能になっている。また、一部のヘテロ乳酸菌を用いることによって、炭酸ガス発生量の向上も期待できる。また近年、菓子類製造においても、主に乳酸発酵させたルヴァンを用いて製造されるルヴァンビスケットに代表されるように、種々の菓子類に乳酸菌やその発酵物が添加され、差別化や品質向上が行われている。

0004

しかしながら、現在パン類製造に使用されている乳酸菌は、市販されている乳酸菌又は菌株保存機関登録されている菌株がほとんどであり、自然界から独自に分離した菌株を利用している例はほとんど無い。また、乳酸発酵した生地種等を用いたパン類製造においても、生地種中の乳酸菌の同定はほとんど行われておらず、どのような乳酸菌が生地種の発酵、風味成分の生成に関与しているか不明な場合が多いのが現状である。

0005

通常種々の野生の乳酸菌は、自然界の味噌醤油漬け物ヨーグルト(自然発酵)、牛乳サイレージ等非常に多くの場所に生息しているが、自然界から分離した菌株をパン製造に用いた場合、十分な効果を発揮する例は稀である。

0006

野生乳酸菌由来で菌株の出自が明らかにされている菌株は、菌株登録機関には多く保存されている。また、各種生地種中の乳酸菌の菌株の同定も一部では行われている。例えば、サワードウ中の乳酸菌としてラクトバチルスサンフランスエンシス(Lactobacillus sanfranciscensis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ロイコノストック・メッセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)等が分離同定されているが、分離同定されている菌株はまだ少ないのが現状である。このように、世界中には多くの生地種が存在し使用されているが、生地種中の微生物菌叢解析や構成菌株の同定結果が十分に明らかになっている状況ではない(非特許文献1)。

0007

乳酸菌による発酵を利用したパン類の製造法がいくつか提案されている。特許文献1には、ペディオコッカス(Pediococcus)属に属する微生物を、アルギニンを含有する培地中で培養して得られる培養物又はその処理物滅菌処理して得られる風味改良剤が開示されている。また、特許文献2には、乳脂肪乳蛋白質含有基質中に乳酸菌、リパーゼプロテアーゼを添加してインキュベートし、そして得られる発酵及び酵素処理物からなるパン類の風味改善剤が開示されている。

0008

国際公開第2007/029719号
特開2001−178449号公報

先行技術

0009

本ら:生物工学,第6号,329−334(2012)

発明が解決しようとする課題

0010

現在、上記の製パン性の良好な国産パン用小麦粉又は国産薄力粉を用いたパン類は市場で好評を博しており、この評判をさらに高める方法として、使用する小麦粉から分離した独自の乳酸菌を使用することができれば、国産小麦粉を用いたパン類に対する消費者イメージをさらに格段に向上させることが期待できる。そのため、上記の小麦粉から分離された新規の乳酸菌の分離・同定が、強く待たれている状況にあった。

0011

このような状況下、本発明者らは、鋭意研究した結果、効率的に国産小麦粉から乳酸菌を分離する方法を確立させ、新規の乳酸菌を分離・同定することに成功し、本発明を完成させた。本発明は、良好な発酵性及び良風味を与える乳酸菌並びに高品質のパン類の製造方法、パン類生地及びパン類を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る乳酸菌は、
ペディオコッカス・ペントサセウスNI01(受託番号:NITEP−02737)及びNI02(受託番号:NITE P−02738)からなる群より少なくとも1つ選択される。

0013

前記乳酸菌は、例えば、パン類の製造のために用いられる。

0014

本発明の第2の観点に係るパン類の製造方法は、
本発明の第1の観点に係る乳酸菌を使用する。

0015

本発明の第3の観点に係るパン類生地は、
本発明の第1の観点に係る乳酸菌を含有する。

0016

本発明の第4の観点に係るパン類は、
本発明の第3の観点に係るパン類生地を焼成してなる。

発明の効果

0017

本発明によれば、良好な発酵性及び良風味を与える乳酸菌並びに高品質のパン類の製造方法、パン類生地及びパン類を提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

NI01、NI02及びペディオコッカス・ペントサセウス(type strain)の16SリボソームRNA遺伝子配列を表す図である。
実施例2の製パン配合及び条件を表す図である。
実施例2の製パン評価結果を表す図である。
実施例3の製パン配合及び条件を表す図である。
実施例3の製パン評価結果を表す図である。
実施例4の製パン配合及び条件を表す図である。
実施例4の製パン評価結果を表す図である。
実施例5のビスケット配合及び製造条件を表す図である。
実施例5のビスケット適正評価結果を表す図である。

0019

まず、本実施形態による乳酸菌について詳細に説明する。

0020

本実施形態による乳酸菌は、ペディオコッカス・ペントサセウスNI01及びNI02からなる群より少なくとも1つ選択され、該乳酸菌は、好ましくはパン類の製造のために用いられるパン類製造用乳酸菌である。ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02は、適当量醸造酢を添加した国産小麦粉を用いたルヴァンから分離され、好ましくは、北海道で生産された超強力小麦品種「ゆめちから」の小麦粉を用いた同様のルヴァンから分離される。小麦粉中には、通常多くの各種乳酸菌が存在するといわれているが、乳酸菌以外の雑菌も多く存在し、通常の方法で小麦精白粉を用いてルヴァンを調製した場合、大腸菌群カビ類が多く繁殖してしまい、有用な乳酸菌の分離が困難となることが多い。本発明者らは、効率的に国産小麦粉から乳酸菌を分離する方法として、適当量の醸造酢を生地に添加することで大腸菌群を増殖抑制又は死滅させ、嫌気状態で発酵することでカビの増殖を抑制させる方法を確立し、有用な乳酸菌としてペディオコッカス・ペントサセウスNI01及びNI02を分離選抜及び同定することに成功し、本発明を完成させた。

0021

ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02を取得する方法としては、以下の方法が例示される。

0022

北海道で栽培されている超強力小麦品種「ゆめちから」の小麦粉試料クリーンベンチ殺菌済みサンプルチューブに10g採取し、そこに3%醸造酢(酢酸含量4%W/W)を含む滅菌水を10g添加し、生地を良く混合後、30℃、4日間嫌気状態で本ルヴァンを作成する。次に、ルヴァンをクリーンベンチ中で滅菌生理食塩水により適当な濃度まで希釈し、その希釈液0.1mLを表1に示すMR白亜寒天平板培地シクロヘキシミドアジ化ナトリウム炭酸カルシウム含有)に混釈後、嫌気条件で30℃、48時間培養し、ハローを形成したコロニー釣菌する。釣菌した菌株中で生育が良好で、生地種発酵力が高く、発酵風味が良好な菌株としてペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02を取得する。なお、両菌株の同定は、後述する方法で16SリボソームRNA遺伝子配列を決定し、その塩基配列に基づきBLAST検索を行い、各種乳酸菌(タイプstrain)とのホモロジーにより行われる。

0023

0024

ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02は、例えば、次のような性質を示す。

0025

(1)形態学的性
ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02を表2に記載のMRS液体培地で30℃、48時間培養し、得られた菌体を常法によりグラム染色(東京大農芸化学教室改訂新版実験農芸化学上巻(株式会社書店),p209〜210(1976))を行うと、両菌株とも明らかなグラム陽性菌である。また、同様の菌体を光学顕微鏡で観察すると、典型的な球菌である。

0026

0027

(2)生理的性質
温度15〜37℃で十分に生育する。NI01株、NI02株は培養条件にもよるが、培養中に菌体外多糖類と思われる粘性物質を生産する。

0028

(3)炭素源の資化性
表3、4にペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02の主要炭素源の資化性の結果を示す。これより、一般的な発酵乳製品製造用の乳酸菌と比較しD−lactoseの資化性がやや弱い傾向であるが、典型的なペディオコッカス・ペントサセウスとほぼ同様の主要炭素源の資化性を示し、分離両菌株の炭素源の資化性については、D−Xylose、L−Rhamnose、Amygdalin、D−Tagatose、Gluconateにおいて両菌株間で差異が見られる。これらの結果から、両菌株はどちらもペディオコッカス・ペントサセウスであるが、菌株の種類が異なることが明らかである。

0029

0030

0031

ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02を添加した生地は良好な発酵性及び風味を示し、これらの生地を用いて製造したパン類は、NI01、NI02を添加せずにパン酵母のみで製造したパン類と比較して、格段に良好な風味及び食感を示す。また、これらの乳酸菌株は、培養中に菌体外に多糖類と思われる粘性物質を生産する場合があり、これらの乳酸菌株で発酵した生地種を添加したパン類は、食感がよりソフトでしっとりして良好となる。

0032

ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02は各々、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許微生物寄託センター(NPMD)(千葉県木更津市かずさ足2−5−8)に2018年6月11日付けで受託され、各々、受託番号NITE P−02737及び受託番号NITE P−02738が付与されている。

0033

次に、本実施形態によるパン類の製造方法について説明する。

0034

本実施形態によるパンの製造方法では、上述のペディオコッカス・ペントサセウスNI01及びNI02のうち少なくとも1種が使用される。本明細書において「パン類」とは、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉米粉等の穀物粉のうち1又は2種以上からなる原料粉穀物以外の馬鈴薯、甘薯、タピオカ等の澱粉又はこれらを加工した化工澱粉等を混合したものを含む)と水等とを必須原料とし、これらに適宜、酵母(非冷凍生地用酵母、冷凍生地用酵母、冷蔵耐性圧搾酵母又は乾燥酵母等を含む)、ベーキングパウダー等の膨剤、その他の原料を使用して常法によって製造したものである。このように、本明細書において「パン類」は、原料粉と水とを使用して得られる生地を加熱して得られるものをすべて包含し(菓子類も含まれる)、特に限定はされない。

0035

パン類の具体例としては、添加する砂糖の量により、大きく以下の3種のパン類が包含される。なお、本明細書において、酵母の添加による発酵過程を経て製造されたパン類を「発酵パン類」という。
(1)原料粉に、砂糖を1〜15%程度添加して作る低糖パン。食パンイギリスパン、コッペパンバターロールイングリッシュマフィンクロワッサン等。
(2)原料粉に、砂糖を20〜40%程度添加して作る高糖パン。パネトーネ、餡パン、ジャムパン、クリームパン、揚げパン、蒸しパン等(菓子パン類)。
(3)上記以外のものとして、バゲット等の無糖パン、発酵ドーナツ類ピザバンズベーグル等。菓子類として、饅頭パイスポンジケーキ類カステラ、ビスケット(配合において小麦粉に対する糖類及び油脂の合計の添加量が70%以下のもの)、クッキー、かりんとう等。

0036

本実施形態によるパン類の製造方法は、発酵パン類及びビスケットの製造において好適であり、発酵パン類の中でも低糖パンの製造においてより好適である。これらの製造において、NI01、NI02による良好な発酵性及び風味を与える効果がより出やすい傾向にある。

0037

本実施形態によるパン類の製造方法において、NI01、NI02の少なくとも1種を添加して調製された「生地種」が用いられてもよい。生地種の配合の一例を表5に示す。

0038

0039

生地種の調製方法の一例について説明する。まず、NI01、NI02を表2に記載の滅菌済みMRS液体培地5mLに保存スラントより一白金耳接種し、シリコ栓をして30℃、24時間静置培養を行う。その後、培養液の菌体を遠心分離無菌的に回収し、滅菌生理食塩水(0.85%NaCl溶液)で菌体を遠心洗浄後、菌体溶液濁度OD600=1.0になるように滅菌生理食塩水に懸濁する。次に、例えば表5に示す配合でこの菌体懸濁液を用いて生地種を調製し、15〜37℃、1〜4日間発酵を行い、NI01、NI02を添加した生地種を調製する。

0040

なお、表5に記載の生地種の配合は一例である。生地種には、小麦粉、水及び乳酸菌以外に、各種穀物粉(ライ小麦粉、ライ麦粉、米粉、それらの全粒粉等)、各種糖類、脱脂粉乳ミルク等、乳酸菌の発酵に悪い影響を与えない材料であれば、いずれも添加可能である。また、小麦粉と水との配合比も自由に選択でき、生地種の配合に特に限定はない。

0041

本実施形態によるパン類の製造方法に用いられる小麦粉としては、いずれの小麦粉も使用可能であるが、より良好な生地を調製するためには、国産小麦のWx−B1遺伝子由来の正常タンパク質を欠失しているやや低アミロースの小麦品種・系統から調製された小麦粉であることが好ましい。このようなやや低アミロースの小麦品種・系統からの小麦粉を用いることによって、よりしっとりして、老化の遅いパン類の製造が可能になる。このような特性を有する小麦品種としては、ハルタカのあけぼの、はるひので、春よ恋、はるきらり、キタノカオリ、ゆめちから、きたほなみ、ホクシン、みのりのちから等が挙げられるが、品種・系統には特に限定はない。

0042

本実施形態によるパン類の製造方法において適したパン類の製法としては、小麦粉の一部に熱湯を加えてミキシングを行い、小麦澱粉の全て又は一部を糊化させた生地(通常湯種生地)を加えて製造する湯種製パン法が好適である。本製法を用いて本実施形態によるパン類の製造を行った場合、良好な甘味、風味を感じると同時に、しっとり、モチモチ食感で、しかも老化の遅いパン類を簡便に製造可能である。なお、湯種製パン法としては、上記の製法に限定されるものではなく、小麦粉の一部に適当量の水、湯等を加え加熱、混合して一部又は全ての小麦粉中の澱粉が糊化した生地を用いるあらゆる製法が、本実施形態の湯種製パン法に包含される。

0043

本実施形態によるパン類の製造方法としては、中種法、ノータイム法、ストレート法、冷蔵生地製法、冷凍生地製法等いずれの製法をも採用され特に限定はない。また、生地の加熱方法としては、どのような加熱方法でもよく、焼成、茹でる、揚げる、蒸す等、いずれの方法をも用いられる。小麦粉と水等とを使用して得られる生地を加熱してパン類を製造する方法であればすべて包含される。例えば中種法では、まず小麦粉、水、パン酵母等で練り上げた中種生地を室温で発酵させ、これに残りの小麦粉、水、砂糖、食塩、油脂などを加えて混捏した生地をさらに発酵させた後、焼成する方法である。中種法において、上述の生地種を添加するタイミングは、中種生地ミキシング段階又は本捏生地ミキシング段階のどちらでもよいが、好ましくは得られるパン類の品質が安定する後者である。

0044

本実施形態によるパン類の製造方法を用いてビスケットを製造する場合の一例について説明する。NI01、NI02を少なくとも1種用いて調製された生地種が使用されてもよい。ビスケットの製造方法としては、標準的な配合、製法が採用される。まず、全ビスケット生地原料(小麦粉(薄力粉)、バター、砂糖、全、塩、ベーキングパウダー、水等)をそれぞれミキサーに入れ混捏してビスケット生地を作成する。これ以外に、生地改良剤乳化剤、糖類、塩、脱脂粉乳、油脂、乳製品等から選択される1又は2種類以上のものを適宜使用することが可能である。次にその生地を冷蔵庫で一定時間寝かせ、その後、生地を一定の厚さに伸ばし型抜きする。型抜きした生地を適当な温度、時間で焼成することでビスケットが得られる。

0045

次に、本実施形態によるパン類生地について説明する。

0046

本実施形態によるパン類生地は、上述の乳酸菌ペディオコッカス・ペントサセウスNI01及びNI02のうち少なくとも1種を含有する。本明細書において「パン類生地」とは、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉等の穀物粉のうち1又は2種以上からなる原料粉(穀物以外の馬鈴薯、甘薯、タピオカ等の澱粉又はこれらを加工した化工澱粉等を混合したものを含む)と水等とを必須原料とし、これらに適宜、酵母(非冷凍生地用酵母、冷凍生地用酵母、冷蔵耐性酵母の圧搾酵母又は乾燥酵母等を含む)、ベーキングパウダー等の膨剤、その他の原料を使用して調製された生地をいう。該パン類生地は、例えば、NI01、NI02の少なくとも1種を添加して調製された上述の「生地種」が使用されていてもよく、この場合、生地種の添加量は、通常小麦粉ベースで3〜40%であり、より好ましくは10〜30%である。

0047

次に、本実施形態によるパン類について説明する。

0048

本実施形態によるパン類は、上述の実施形態によるパン類生地を焼成してなるものである。該パン類は、例えば、上述の生地種に水、砂糖、食塩、油脂などを加えて混捏した生地を焼成したものであってもよい。パン類の具体例については、前述の通りである。

0049

以上説明したように、乳酸菌ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02は、それを用いて調製される生地に良好な発酵性を与え、製造されるパン類に良風味をもたらす。NI01、NI02を生地に添加することによって、高品質の風味を有し、食感が良好なパン類を製造することが可能になる。また、国産小麦粉のルヴァンから分離されたこれらの乳酸菌を、国産小麦粉によるパン類の製造に用いることで、消費者からのニーズの多い国産パン用小麦粉又は国産薄力粉を原料とした高品質のパン類を製造することができ、パン類に対する消費者のイメージを格段に向上させることが可能となる。

0050

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0051

(実施例1)
乳酸菌ペディオコッカス・ペントサセウスNI01(NITEP−02737)、NI02(NITE P−02738)を下記の通り分離選抜及び同定した。

0052

北海道で栽培されている超強力小麦品種「ゆめちから」の小麦粉試料をクリーンベンチで殺菌済みのサンプルチューブに10g採取し、そこに3%醸造酢(酢酸含量4%W/W)を含む滅菌水を10g添加しよく混合後、30℃、4日間嫌気状態でルヴァンを作成した。次に、ルヴァンをクリーンベンチ中で滅菌生理食塩水により適当な濃度に希釈し、その希釈液0.1mLを前述の表1に示すMRS白亜寒天平板培地(シクロヘキシミド、アジ化ナトリウム、炭酸カルシウム含有)に混釈後、嫌気条件で30℃、48時間培養し、ハローを形成した特徴的なコロニー形態を示す菌株を20株程度釣菌した。釣菌した菌株中で特に生育が良好なNI01、NI02株を選抜した。なお、両菌株については、後述する方法で16SリボソームRNA遺伝子配列を決定し、その塩基配列に基づきBLAST検索を行い、ホモロジーから、両菌株をペディオコッカス・ペントサセウスと同定した。

0053

ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02は、次のような性質を示した。

0054

(1)形態学的性質
ペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02を前述の表2のMRS液体培地で30℃、48時間培養し、得られた菌体を常法によりグラム染色(東京大学農芸化学教室:改訂新版実験農芸化学上巻、株式会社朝倉書店、p209〜210(1976))を行った結果、両菌株とも明らかなグラム陽性菌であった。また、同様の菌体を光学顕微鏡で観察した結果、典型的な球菌であった。

0055

(2)生理的性質
温度15〜37℃で十分に生育した。NI01株、NI02株は培養条件にもよるが、培養中に菌体外に多糖類と思われる粘性物質を生産した。

0056

(3)炭素源の資化性
前述の表3、4にペディオコッカス・ペントサセウスNI01、NI02の主要炭素源の資化性の結果を示す。これより、一般的な発酵乳製品製造用の乳酸菌と比較しD−lactoseの資化性がやや弱い傾向であったが、典型的なペディオコッカス・ペントサセウスとほぼ同様の主要炭素源の資化性を示し、分離両菌株の炭素源の資化性については、D−Xylose、L−Rhamnose、Amygdalin、D−Tagatose、Gluconateにおいて両菌株間で差異が見られた。これらの結果から、両菌株はどちらもペディオコッカス・ペントサセウスであるが、菌株が異なることが明らかになった。

0057

(4)16SリボソームRNA遺伝子配列
5mLのMRS液体培地で培養した乳酸菌菌体から常法によりDNAを抽出し、表6に示す27f及び1406rのプライマーによって約1400塩基対の16SリボソームRNA遺伝子を増幅させた。増幅断片は27f又は1406rの各プライマー(表6)でサイクルシーケンシングを行い、DNAシーケンサーにて塩基配列を決定した。この配列情報インターネット上のBLASTプログラムに入力してホモロジー検索を行った結果、NI01、NI02株の配列はペディオコッカス・ペントサセウスのタイプstrainの既知の配列と1残基を除いて一致した(図1)。この結果から、上記の方法で分離選抜した乳酸菌2菌株は、ペディオコッカス・ペントサセウスと同定された。

0058

0059

図1は、16SリボソームRNA遺伝子配列を示す。これより、3菌株の16SリボソームRNA遺伝子配列は完全に一致した(NI01:配列番号3、NI02:配列番号4、P.pentosaceus NBRC107768(type strain):配列番号5)。

0060

(実施例2)
NI01、NI02株を用いて作成した生地種を添加したパン生地及びそれら無添加の通常のパン生地を用いてノータイム法で山型食パンを製造し、それらの品質について比較した。

0061

まず、NI01、NI02株を用いた発酵生地種の調製法について説明する。NI01、NI02菌株を前述の表1に記載の滅菌済みMRS液体培地5mLに一白金耳接種し、シリコ栓をして30℃、24時間静置培養を行った。その後、培養液の菌体を遠心分離で無菌的に回収し、滅菌生理食塩水(0.85%NaCl溶液)で菌体を遠心洗浄後、菌体溶液の濁度がOD600=1.0になるように滅菌生理食塩水に懸濁した。次に、表7に示す配合(小麦粉としてゆめちから粉を使用)で、この菌体懸濁液を用いて生地種を調製し、30℃、1日発酵を行い、NI01、NI02株で発酵したパン生地添加用生地種を調製した。

0062

0063

次に、製パン法について説明する。図2に製パン配合及び条件を示す。「試験例1」ではNI01株生地種が添加され、「試験例2」ではNI02株生地種が添加され、「比較例1」ではNI01、NI02株のいずれも添加されなかった。図2に示すように、本実施例の乳酸菌を用いて発酵調製した2種の生地種のそれぞれのパン生地への添加量は、小麦粉ベースでそれぞれ10%であった。焼成されたパンは、室温で1時間放冷後、重量及び容積を測定して比容積を算出した。製パン評価は、5人のパネラーによる製パン時生地状態外観内相、食感、風味の評価及び比容積により行った。外観、内相、食感、風味の評価は、ポリエチレン袋中に20℃で1日保存したパンを用いて行った。また、保存中のパンの老化の評価として、ポリエチレン袋中に20℃で1日、3日保存したパンについてクラム部分の硬さ(1日、3日後)の評価を行った。クラムの硬さは、山型食パンを2cmにスライスし、中央部の合計3枚のパン片のクラムの中央を3cm×3cmにカットし、そのカットクラムを半分の厚さまで1mm/sのスピード圧縮した時の最大応力によって評価した。

0064

本実施例の評価結果を図3に示す。試験例1のNI01株生地種を添加したパン及び試験例2のNI02株生地種を添加したパンは、比較例1(対照)に比べ総合的生地状態、外観、内相、食感、風味が良好であり、特に、食感がソフトでしっとりしており、乳酸菌発酵由来の風味が良好であった。また、試験例2のパンでは、特に食感のしっとり感が非常に優れていた。これらの試験例の良好な結果には、本実施例の乳酸菌が生地発酵中に多くの発酵生成物(有機酸、多糖類等)を生産することが関係していると考えられる。比容積については、比較例1(対照)に比べ試験例1、2のパンは明らかに大きな値を示し、本実施例の生地種を用いることで生地の製パン性が比容積向上の面からも顕著に改善されることが判った。また、保存中のパンの老化の評価から、比較例1(対照)に比べ試験例1、2のパンは明らかに老化が遅く、特に、試験例2のパンのそれが遅くなった。試験例1、2のパンの老化が遅くなった理由としては、生地種発酵中に生成する老化抑制成分(主に多糖類)による保湿効果及び試験例1、2のパンの比容積の向上が主要因と考えられる。

0065

以上の結果から、本実施例のオリジナルの乳酸菌を用いた生地から、ノータイム法製パン法により、従来の対照のパン生地に比べ、生地状態、外観、内相、食感、風味が良好で比容積が非常に大きく、老化が顕著に遅く、しっとりした食パンが得られることが明らかになった。特に、本実施例の乳酸菌NI02(NITEP−02738)を用いて発酵させた生地種を添加した食パンは、食感、老化が特に良好な結果を示すことが判った。

0066

(実施例3)
NI01、NI02株を用いて作成した生地種を添加したパン生地及びそれら無添加の通常のパン生地を用いて中種法で山型食パンを製造し、それらの品質について比較した。

0067

まず、NI01、NI02株を用いた発酵生地種の調製法について説明する。小麦粉をキタノカオリ粉に変更した以外、実施例2と同様の条件で調製した。

0068

次に、製パン法について説明する。図4に製パン配合及び条件を示す。「試験例3」ではNI01株生地種が添加され、「試験例4」ではNI02株生地種が添加され、「比較例2」ではNI01、NI02株のいずれも添加されなかった。図4に示すように、本実施例の乳酸菌を用いて発酵調製した2種の生地種のそれぞれのパン生地への添加量は、小麦粉ベースでそれぞれ10%であり、それぞれ本捏ミキシング時に添加した。製パン評価は実施例2と同様に実施した。

0069

本実施例の評価結果を図5に示す。試験例3のNI01株生地種を添加したパン及び試験例4のNI02株生地種を添加したパンは、比較例2(対照)に比べ総合的に生地状態、外観、内相、食感、風味が良好であり、特に、食感がソフトでしっとりしており、乳酸菌発酵由来の風味が良好であった。また、試験例4のパンでは、特にしっとり感が非常に優れていた。これらの試験例の良好な結果には、本実施例の乳酸菌が生地発酵中に多くの発酵生成物(有機酸、多糖類等)を生産することが関係していると考えられる。比容積については、比較例2(対照)に比べ試験例3、4のパンは同等かそれ以上の値を示し、本実施例の生地種を用いることで中種法生地の製パン性が比容積向上の面からも改善されることが判った。また、保存中のパンの老化の評価から、比較例2(対照)に比べ試験例3、4のパンは明らかに老化が遅く、特に、試験例4のパンのそれが遅くなった。試験例3、4のパンの老化が遅くなった理由としては、生地種発酵中に生成する老化抑制成分(主に多糖類)による保湿効果及び試験例3、4のパンの比容積の向上が主要因と考えられる。

0070

以上の結果から、本実施例のオリジナルの乳酸菌を用いた生地種を添加した生地から、中種法製パン法により、従来の対照のパン生地に比べ、総合的に生地状態、外観、内相、食感、風味が良好で比容積が大きく、老化が遅く、しっとりした食パンが得られることが明らかになった。特に、本実施例の乳酸菌NI02(NITEP−02738)を用いて発酵させた生地種を添加した食パンは、食感、老化がより良好な結果を示すことが判った。

0071

(実施例4)
NI01、NI02株を用いて作成した生地種を添加したパン生地及びそれら無添加の通常のパン生地を用いてノータイム法でバターロールを製造し、それらの品質について比較した。

0072

まず、NI01、NI02株を用いた発酵生地種の調製法について説明する。小麦粉としてきたほなみ粉を用いた以外、実施例2の生地種と同様に調製を行った。

0073

次に、製パン法について説明する。図6に製パン配合と条件を示す。「試験例5」ではNI01株生地種が添加され、「試験例6」ではNI02株生地種が添加され、「比較例3」ではNI01、NI02株のいずれも添加されなかった。図6に示すように、本実施例の乳酸菌を用いて発酵調製した2種の生地種のそれぞれのパン生地への添加量は、小麦粉ベースでそれぞれ30%である。製パン評価は、5人のパネラーによる製パン時生地状態、外観、内相、食感、風味、ボリュームの評価により行った。外観、内相、食感、風味、ボリュームの評価は、ポリエチレン袋中に20℃で1日保存したパンを用いて行った。また、保存中のパンの老化の評価は、ポリエチレン袋中に20℃で1日、3日保存したパンについて、直径5mmの円形プランジャーを1mm/sのスピードでバターロールの上部の山の部分に突き刺した時の最大応力によって行った。3つのパンの測定結果平均値をデータとした。

0074

本実施例の評価結果を図7に示す。試験例5のNI01株生地種を添加したバターロール及び試験例6のNI02株生地種を添加したバターロールは、比較例3(対照)に比べ総合的に生地状態、外観、内相、食感、風味が良好であり、特に、食感がソフトでしっとりしており、乳酸菌発酵生成物由来の風味が非常に良好であった。また、保存中のパンの老化の評価から、比較例3(対照)に比べ試験例5、6のパンは明らかに老化が遅くなった。試験例5、6のパンの老化が遅くなった理由としては、生地種発酵中に生成する老化抑制成分(主に多糖類)による保湿効果が主要因と考えられる。

0075

以上の結果から、本実施例のオリジナル乳酸菌を用いた生地種を添加した製パン法により、バターロールのようなリッチな配合のパンにおいても、従来の対照のバターロールに比べ、総合的に生地状態、外観、内相、食感、風味が良好でボリュームもあり、老化が遅く、しっとりしたパンが得られることが明らかになった。

0076

(実施例5)
NI01、NI02株を用いて作成した生地種を添加したビスケット生地及びそれら無添加の通常のビスケット生地を用いて、以下の方法でビスケットを製造し、それらの品質について比較した。

0077

まず、NI01、NI02株を用いた発酵生地種の調製法について説明する。実施例4の生地種と同様に調製を行った。

0078

次に、ビスケット製造法について説明する。図8にビスケット配合及び製造条件を示す。「試験例7」ではNI01株生地種が添加され、「試験例8」ではNI02株生地種が添加され、「比較例4」ではNI01、NI02株のいずれも添加されなかった。図8に示すように、本実施例の乳酸菌を用いて発酵調製した2種の生地種のそれぞれのビスケット生地への添加量は、小麦粉ベースでそれぞれ15%である。ビスケット評価は、5人のパネラーによるビスケット調製時の生地状態、外観、内相、食感、風味、ボリュームの評価により行った。外観、内相、食感、風味、ボリュームの評価は、ポリエチレン袋中に20℃で1日保存したビスケットを用いて5人のパネラーにより行った。

0079

本実施例の評価結果を図9に示す。試験例7のNI01株生地種を添加したビスケット及び試験例8のNI02株生地種を添加したビスケットは、比較例4(対照)に比べ総合的に生地状態、外観、内相、食感、風味、ボリュームが良好であり、特に、食感がソフトでしっとりしており、乳酸菌発酵生成物由来の風味が非常に良好であった。

実施例

0080

以上の結果から、本実施例のオリジナルの乳酸菌を用いた生地種を添加して製造されたビスケットは、従来の対照のビスケットに比べ、総合的な生地状態、外観、内相、食感、風味、ボリュームが良好であることが明らかになった。特に、本実施例の乳酸菌を用いて発酵させた生地種を添加したビスケットでは、食感のソフトさ、しっとり感、風味が非常に良好な結果を示すことが判った。

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