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技術 乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法

出願人 株式会社ヤクルト本社
発明者 中尾真澄寺井智彦奥村剛一久代明宮崎幸司辻浩和
出願日 2018年8月7日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2018-148676
公開日 2020年2月13日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-022392
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理
主要キーワード サイバ チャック付き ロイコノストック属細菌 ジップ ラバル ラミネート袋 高速冷却 乾燥工程前
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
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課題

乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことのできる新たな技術を提供する。

解決手段

乳酸菌菌体分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整した後、凍結乾燥することを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

概要

背景

腸内細菌として知られている乳酸菌は、従来からヨーグルトチーズ等の乳製品の製造に広く利用されている。近年では、乳酸菌の種々の機能を利用するため生菌体を利用した乳製品のみならず、乾燥させた生菌体を用いた種々の形態の食品、飲料等の開発も進んでいる。

しかし、乾燥菌体を得る工程では、菌体が損傷し、死滅することが多く、必要量の生菌体を得ることは難しかった。

そこで、乾燥菌体を得る工程における、菌体の損傷や死滅を減らすために、菌体を乾燥させる際に使用する分散媒に工夫をする技術が知られている。そのような技術としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム(特許文献1)やトレハロース非特許文献1)を分散媒に添加したり、または、これらを組み合わせたりして使用すること(特許文献2)が知られている。また、本出願人も分散媒として、保護剤抗酸化剤およびキレート剤を含有するものを使用することにより高温(30〜40℃)での品質定性が高くなることを報告している(特許文献3)。

上記技術でも乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことはできるが、乾燥菌体における生菌体の量は限りなく乾燥前の生菌体の量に近づいた方がよいことは言うまでもない。

概要

乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことのできる新たな技術を提供する。乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整した後、凍結乾燥することを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。なし

目的

本発明の課題は、乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことのできる新たな技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

乳酸菌菌体分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整した後、凍結乾燥することを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

請求項2

分散媒が、脱脂粉乳トレハロースアスコルビン酸および馬鈴薯デンプンからなる群から選ばれる1種以上を含有する水溶液である請求項1記載の乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

請求項3

乳酸菌が、ラクトバチルス属乳酸菌である請求項1または2記載の乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

請求項4

乳酸菌が、ラクトバチルスクリスパータスおよび/またはラクトバチルス・カゼイである請求項1または2記載の乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

請求項5

乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数が、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.0に調整した後、凍結乾燥して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数を100%とした時の120%以上である請求項1〜4の何れか1項記載の乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法。

請求項6

37℃で8週間保存後の生菌数が、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.0に調整した後、凍結乾燥して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数を100%とした時の120%以上であることを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体。

請求項7

乳酸菌が、ラクトバチルス属乳酸菌である請求項6記載の乳酸菌凍結乾燥菌体。

請求項8

乳酸菌が、ラクトバチルス・クリスパータスおよび/またはラクトバチルス・カゼイである請求項6または7記載の乳酸菌凍結乾燥菌体。

技術分野

0001

本発明は、保存後も高い生菌数を維持することのできる乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

腸内細菌として知られている乳酸菌は、従来からヨーグルトチーズ等の乳製品の製造に広く利用されている。近年では、乳酸菌の種々の機能を利用するため生菌体を利用した乳製品のみならず、乾燥させた生菌体を用いた種々の形態の食品、飲料等の開発も進んでいる。

0003

しかし、乾燥菌体を得る工程では、菌体が損傷し、死滅することが多く、必要量の生菌体を得ることは難しかった。

0004

そこで、乾燥菌体を得る工程における、菌体の損傷や死滅を減らすために、菌体を乾燥させる際に使用する分散媒に工夫をする技術が知られている。そのような技術としては、例えば、グルタミン酸ナトリウム(特許文献1)やトレハロース非特許文献1)を分散媒に添加したり、または、これらを組み合わせたりして使用すること(特許文献2)が知られている。また、本出願人も分散媒として、保護剤抗酸化剤およびキレート剤を含有するものを使用することにより高温(30〜40℃)での品質定性が高くなることを報告している(特許文献3)。

0005

上記技術でも乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことはできるが、乾燥菌体における生菌体の量は限りなく乾燥前の生菌体の量に近づいた方がよいことは言うまでもない。

0006

特許第3504365号
特開2010−4787号公報
国際公開第WO2017/073752号パンフレット

先行技術

0007

G.L.DE ANTONI et. al.「Trehalose, a Cryoprotectant for Lactobacillus bulgaricus」 Cryobiology 26, p.149-153, 1989

発明が解決しようとする課題

0008

従って、本発明の課題は、乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことのできる新たな技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、分散媒の組成ではなく、乾燥工程前の分散媒のpHを特定の範囲にすることにより、乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らせることを見出し、本発明を完成させた。

0010

すなわち、本発明は、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整した後、凍結乾燥することを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法である。

0011

また、本発明は、37℃で8週間保存後の生菌数が、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.0に調整した後、凍結乾燥して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数を100%とした時の120%以上であることを特徴とする乳酸菌凍結乾燥菌体である。

発明の効果

0012

本発明によれば、乾燥菌体を得る工程における菌体の損傷や死滅を減らすことができるため、保存後にも生菌数の高い乳酸菌凍結乾燥菌体を製造することができる。

0013

従って、本発明の乳酸菌凍結乾燥菌体は、種々の形態の食品、飲料等に利用することができる。

0014

本発明の乳酸菌凍結乾燥菌体の製造方法(以下、「本発明方法」という)は、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整した後、凍結乾燥するものである。

0015

本発明方法に用いられる乳酸菌は、特に限定されないが、例えば、ラクトバチルスクリスパータス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・クレモリス(Lactobacillus cremoris)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・デルブルッキーサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキー サブスピーシーズ.デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・マリ(Lactobacillus mali)、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシピスシス(Lactobacillus acidipiscis)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・コリフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチルス・ケフィーリ(Lactobacillus kefiri)、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス・サブスピーシーズ・ケフィラノファシエンス(Lactobacillus kefiranofaciens subsp. kefiranofaciens)、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス・サブスピーシーズ・ケフィリグラナム(Lactobacillus kefiranofaciens subsp. kefirgranum)、ラクトバチルス・ノデンシス(Lactobacillus nodensis)、ラクトバチルス・パラブレビス(Lactobacillus parabrevis)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・パラケフィーリ(Lactobacillus parakefiri)、ラクトバチルス・ペントーサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・ぺロレンス(Lactobacillus perolens)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ツセッティ(Lactobacillus tucceti)ラクトバチルス・クルバタス(Lactobacillus curvatus)等のラクトバチルス属細菌カルバクテリウム・ダイバージェンズ(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム・マルタノマテカム(Carnobacterium maltaromaticum)等のカルノバクテリウム属細菌、ワイセラサイバリア(Weissella cibaria)、ワイセラ・ヘレニカ(Weissella hellenica)等のワイセラ属細菌ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のビフィドバクテリウム属細菌ストレプトコッカスサーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)、ストレプトコッカス・ガロィチカス(Streptococcus gallolyticus)等のストレプトコッカス属細菌ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等のラクトコッカス属細菌エンテロコッカスフェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属細菌ペディオコッカスパルヴルム(Pediococcus parvulus)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス属細菌、ロイコノストック・サイテレウム(Leuconostoc citreum)、ロイコノストック・ラクティス(Leuconostoc lactis)等のロイコノストック属細菌等の乳酸菌を挙げることができる。これら乳酸菌は1種または2種以上用いることができ、これらの中でもラクトバチルス属細菌が好ましく、ラクトバチルス・クリスパータスおよび/またはラクトバチルス・カゼイがより好ましく、ラクトバチルス・クリスパータス YIT 12319(FERM BP−11500、受託日:2011年4月28日、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(〒292-0818日本国千葉県木更津市かずさ足2−5−8 120号室))および/またはラクトバチルス・カゼイ YIT 9029(FERM BP−1366、受託日:昭和56年5月1日、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(〒292-0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 120号室))が特に好ましい。

0016

これら乳酸菌は、本発明方法を行う前に、常法に従って培地で培養し、集菌しておくことが好ましい。培地は、乳酸菌の種類に合わせて適宜選択すればよく、例えば、MRS(deMan、Rogosa、Sharpe)培地、後記するSMB培地等を用いることができる。培養条件も乳酸菌の種類に合わせて適宜選択すればよい。培養後は、例えば、高速冷却遠心機、デラバル型連続遠心機等を用いて集菌すればよい。また、集菌後は、必要により洗浄を行ってもよい。洗浄液としては生理食塩水PBS等が挙げられる。

0017

上記乳酸菌菌体は分散媒に分散させる。分散媒は乳酸菌の種類に合わせて適宜選択すればよいが、例えば、保護剤および抗酸化剤を含有する水溶液を用いることが好ましい。乳酸菌菌体を分散媒に分散させる方法は特に限定されず、分散媒に乳酸菌菌体を添加し、撹拌等をすればよい。また、分散媒に分散させる乳酸菌菌体の量は特に限定されないが、例えば、0.01〜20質量%(以下、単に「%」という)程度である。なお、分散させる乳酸菌は基本的に生菌体だが、死菌体が含まれていてもよい。

0018

分散媒に用いられる保護剤は、特に限定されず、例えば、グルタミン酸や、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム等のグルタミン酸の塩、トレハロース、スクロースラクトースマルトース等の二糖類グリセロールマルトデキストリンサイクロデキストリン脱脂粉乳馬鈴薯デンプン等が挙げられる。これら保護剤は1種または2種以上を用いることができるが、トレハロース、脱脂粉乳および馬鈴薯デンプンを用いることが好ましい。分散媒における保護剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、1〜40%が好ましく、3〜40%がより好ましく、3〜30%が特に好ましい。

0019

分散媒に用いられる抗酸化剤は、特に限定されず、例えば、アスコルビン酸や、アスコルビン酸ナトリウムアスコルビン酸カルシウム等のアスコルビン酸の塩、ビタミンEカテキングルタチオンアスタキサンチン等が挙げられる。これら抗酸化剤は1種または2種以上を用いることができるが、アスコルビン酸が好ましい。分散媒における抗酸化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01〜10%が好ましく、0.05〜5%がより好ましい。

0020

分散媒としては、脱脂粉乳、トレハロース、アスコルビン酸および馬鈴薯デンプンからなる群から選ばれる1種以上を含有する水溶液が好ましく、脱脂粉乳、トレハロース、アスコルビン酸および馬鈴薯デンプンを含有する水溶液がより好ましく、脱脂粉乳、トレハロース、アスコルビン酸および馬鈴薯デンプンをそれぞれ3〜40%、3〜20%、0.1〜5%、3〜20%含有する水溶液が特に好ましい。なお、溶解してもpHに影響を与えない分散媒(馬鈴薯デンプン等)については、後述する乳酸菌菌体の分散媒懸濁液のpH調整後に当該分散媒を添加することもできる。

0021

上記のようにして乳酸菌菌体を分散媒に分散した後は、当該分散媒のpHを7.5〜10.5に調整、好ましくはpHを8.0〜10.0に調整する。pHの調整は水酸化ナトリウム等のアルカリ物質を用いて行えばよい。

0022

分散媒のpHを調整した後は、凍結乾燥させる。凍結乾燥の条件は、特に限定されないが、例えば、−35℃〜−45℃で6〜48時間の凍結処理を行った後、12℃〜35℃で40〜90時間の乾燥処理を行う条件等を挙げることができる。なお、凍結乾燥機の例としては、TF20−80TANNS((株)宝製作所製)等を挙げることができる。

0023

斯くして得られる乳酸菌凍結乾燥菌体は、保存後も高い菌数を維持することができる。具体的には、乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数が、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.0に調整した後、凍結乾燥して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生菌数を100%とした時の120%以上である。なお、当然ながら、上記分散媒のpHを7.0に調整して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体の製造には、分散媒のpHを7.5〜10.5に調整して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体の製造に用いたのと、分散媒のpH以外は同じ条件、菌株を用いる。また、乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生残率(%)が、乳酸菌菌体を分散媒に分散し、当該分散媒のpHを7.0に調整した後、凍結乾燥して得られる乳酸菌凍結乾燥菌体を37℃で8週間保存後の生残率を100%とした時の110%以上であることがさらに好ましい。なお、生残率は(保存期間後の生菌数/保存0日の生菌数)×100として計算される。

0024

上記の乳酸菌凍結乾燥菌体は、そのまま、あるいは通常食品に添加される他の食品素材と混合することにより、食品や飲料に利用することができる。例えば、食品としては、ハムソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品パン菓子バター、ヨーグルトや発酵乳等が挙げられる。飲料としては、清涼飲料乳製品乳酸菌飲料乳酸菌飲料等が挙げられる。また、飲食品の形態としては、通常用いられる飲食品の形態、例えば、粉末顆粒等の固体状ペースト状、液状等が挙げられる。また、微生物乾燥菌体を、錠剤散剤チュアブル剤ハードカプセル剤ソフトカプセル剤丸剤ガム等に加工してもよい。なお、口腔用組成物として、洗口剤練歯磨、粉歯磨、水歯磨、口腔用軟膏剤ゲル剤、錠剤、顆粒剤細粒剤グミゼリートローチタブレットカプセルキャンディーチューインガムなどに、またペットフード等に使用することも可能である。

0025

以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。

0026

実 施 例 1
乳酸菌凍結乾燥菌体の製造:
(1)分散媒懸濁液の調製
MRS培地で前培養したラクトバチルス・カゼイYIT 9029(以下、「LcS」ということもある)の培養液を、別のMRS培地4Lに0.1%接種後、37℃で16時間(定常期に達するまで)静置培養した。次いで、培養液を遠心(4℃、14000×g、30分間)し、菌体を生理食塩水で1回洗浄後、LcSの菌体を分散媒(脱脂粉乳10%、トレハロース5%、アスコルビン酸0.5%を含有する水溶液)に添加・混合し、分散媒懸濁液を得た。分散媒を4等分し、5N水酸化ナトリウムにてpH7.0、8.0、9.0または10.0にpHを調整した後、馬鈴薯デンプンを5%添加・混合し、分散媒懸濁液を得た。

0027

(2)凍結乾燥および粉砕
(1)で得た分散媒懸濁液を凍結乾燥器(TF20−80TANN:(株)宝製作所製)にてマイナス40℃で2日間凍結後、温20℃で2日間凍結乾燥を行った。この凍結乾燥物を粉砕し、LcS凍結乾燥菌体を得た。

0028

(3)保存試験
(2)で得たLcS凍結乾燥菌体を、チャック付きラミネート袋ラミジップ生産日本社製)に分包し、乾燥剤ケアドライCP-5、大江化学工業(株))を入れ、空気をよくぬきチャックを閉めた。その後、37℃にて表1に記載の期間保存し、保存前、保存後の生菌数を測定した。生菌数の測定は、スパイラルプレーター(EDDY JET、IUL Instruments)で行った。また、生菌数から各保存期間後の生残率を算出した。それらの結果も表1に示した。さらに、pH7.0に調整した生菌数を100%とした時に、pH9.0の生菌数との生菌数の比がいくつになるかを以下の式で算出した。

0029

0030

この結果より、凍結乾燥前の分散媒のpHが高いほど、生菌数や生残率が高くなることが分かった。なお、乳酸菌凍結乾燥菌体の37℃で8週間保存後の生菌数は、pH7.0に調整したものを100%とすると、pH8.0、9.0、10.0に調整したものはそれぞれ124%、147%、200%であった。

0031

実 施 例 2
乳酸菌凍結乾燥菌体の製造:
実施例1において、ラクトバチルス・カゼイYIT9029に代えてラクトバチルス・クリスパータス YIT 12319(以下、「LcY」ということもある)を用い、培養液の遠心条件を4℃、4500×g、7分間とし、分散媒のpHを7.0または9.0にする以外は同様にしてLcY凍結乾燥菌体を得た。これらについて実施例1と同様にして生菌数を測定した。その結果を表2に示した。また、pH7.0の生菌数を100%とした時に、pH9.0の生菌数との生菌数の比がいくつになるかを実施例1と同様にして算出した。

0032

0033

この結果より、LcSに代えてLcYを用いた場合でも凍結乾燥前の分散媒のpHを高くすると生菌数が高くなることが分かった。なお、乳酸菌凍結乾燥菌体の37℃で8週間保存後の生菌数は、pH7.0に調整したものを100%とすると、pH9.0に調整したものは176%であった。

0034

実 施 例 3
乳酸菌凍結乾燥菌体の製造:
(1)分散媒懸濁液の調製
SMB培地(大豆ペプトン2%、酵母エキス(ミーストP1G:登録商標アサヒビール食品(株)製)2%、発酵大麦エキス(バーレックス:登録商標、三和酒類(株)製)6%、モノオレインデカグリセリンサンソフトQ17−S:登録商標、太陽化学(株)製)0.1%、ラクトース2%を含有するpH6.7の培地)で前培養したLcYの培養液を、SMB培地2Lに0.1%ずつ接種後、37℃で12時間(定常期に達するまで)静置培養した。次いで、培養液をそれぞれ遠心(4℃、4500×g、7分間)し、菌体を生理食塩水で1回洗浄後、LcYの菌体を分散媒(脱脂粉乳20%、トレハロース10%、アスコルビン酸1%を含有する水溶液)に添加・混合した(pH5.1)。pHを調整しない系では、さらに馬鈴薯デンプンを10%添加・混合し、分散媒懸濁液を得た。一方、分散媒のpHを調整する系では5N水酸化ナトリウムにてpH7.0および9.0にpHを調整した後、馬鈴薯デンプンを10%添加・混合し、分散媒懸濁液を得た。

0035

(2)凍結乾燥および粉砕
(1)で得た分散媒懸濁液を凍結乾燥器(TF20−80TANN:(株)宝製作所製)にてマイナス40℃で2日間凍結後、棚温20℃で2日間凍結乾燥を行った。この凍結乾燥物を粉砕し、LcY凍結乾燥菌体を得た。

0036

(3)保存試験
(2)で得たLcY凍結乾燥菌体を、チャック付きラミネート袋(ラミジップ:生産日本社製)に分包し、空気をよくぬきチャックを閉めた。その後、37℃にて表3に記載の期間保存し、保存前、保存後の生菌数を測定した。生菌数の測定は、スパイラルプレーター(EDDY JET、IUL Instruments)で行った。また、実施例1と同様にして生残率を算出した。さらに、pH無調整の生菌数を100%とした時に、pH7.0または9.0の生菌数との生菌数の比がいくつになるかを以下の式で算出した。それらの結果も表3に示した。また、pH7.0の生菌数を100%とした時に、pH9.0の生菌数との生菌数の比がいくつになるかを実施例1と同様にして算出した。

0037

0038

0039

この結果より、培地を代えても、凍結乾燥前の分散媒のpHを高くすると生菌数や生残率が高くなることが分かった。なお、乳酸菌凍結乾燥菌体の37℃で8週間保存後の生菌数は、pH7.0に調整したものを100%とすると、pH9.0に調整したものは20290%であった。

0040

実 施 例 4
乳酸菌凍結乾燥菌体の製造:
実施例3において、静置培養を37℃で12時間行うのに代えて、30℃で22時間行う以外は同様にしてLcY凍結乾燥菌体を得た。これらについて実施例1と同様にして生菌数を測定し、生残率を算出した。また、pH7.0の生菌数を100%とした時に、pH9.0の生菌数との生菌数の比がいくつになるかを実施例1と同様にして算出した。その結果を表4に示した。

0041

実施例

0042

この結果より、培養条件を代えても、培地を代えた時と同様に、凍結乾燥前の分散媒のpHを高くすると生菌数や生残率が高くなることが分かった。

0043

本発明の乳酸菌凍結乾燥菌体は、種々の形態の食品、飲料等に利用することができる。

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