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技術 ハロゲンガス除去剤とその製造方法、及び除去剤の消費状態をモニターする方法

出願人 クラリアント触媒株式会社
発明者 砂田健一朗中嶋直仁金賢中
出願日 2018年7月30日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-142248
公開日 2020年2月6日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-018953
状態 未査定
技術分野 固体収着剤及びろ過助剤 化学的手段による非生物材料の調査、分析 吸収による気体分離 廃ガス処理
主要キーワード 相対拡散 残存能力 自動モニタ 塩素除去処理 到達状況 酸塩基指示薬 変色量 ハロゲンガス濃度
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

半導体製造工程などから排出されるハロゲンガス除去剤により処理する際に、除去剤の消費状態リアルタイムモニタリングできると共に、ハロゲンガスの漏洩リスクを小さくできる除去剤と、その製造方法を提供する。またそれを用いたハロゲンガス除去装置、及びハロゲンガスの消費状態をモニタリングする方法を提供する。

解決手段

無機化合物基材硫黄含有還元性化合物呈色指示薬を少なくとも含むハロゲンガス除去剤。特に擬ベーマイトを基材とし、呈色指示薬として変色域がpH3〜8のpH指示薬を加え、更に酸化亜鉛のような塩基性金属化合物を加えることにより、ハロゲンガス処理能力が高く、除去剤消費状態をモニタリング可能な除去剤が得られる。

概要

背景

ハロゲン系ガスにはF2、Cl2、Br2、ClF3、BrF3、BrF5があり、広義にはSiF4、BCl3のような多くの種類のハロゲン化非金属ガスが含まれる。これらのハロゲン系ガスの除去方法の一つとして、ハロゲンガスを例えばカーボンブラックなどの多孔質体などに物理吸着させる方法が、従来から知られている。この方法は処理能力が小さく、また処理済みの吸着体交換処理する際に、有害ガス遊離して環境に悪影響を与えるリスクが存在する。それに代わる方法として、Cl2のようなハロゲンガスを水と接触させて塩化水素に変化させ、吸収した後、苛性ソーダなどのアルカリ中和させるスクラバー方法が知られている。この方式によれば、多量のハロゲン系ガスの処理が可能となるが、処理液の準備、管理、廃液処理など煩雑な作業を必要とする。そのため、近年はそれらに代わって取り扱いが容易な固体処理剤を用いた乾式除去方式が普及しつつある。

ハロゲン系ガスの乾式処理剤に求められる代表的な性能としては以下のものがある。
(1)処理剤単位重量当たりのハロゲン系ガスの処理能力が高いこと。
(2)有害ガスを固定化でき、使用済除去剤交換時に、有害ガスの遊離・放散がなく、除去剤の交換、廃棄が容易であること。
(3)使用時に、除去剤の消費状態モニターすることにより除去剤の寿命予測できること。

上記(1)については、特にハロゲン系ガスを多量に消費する半導体製造工程で大きな課題となっていた。その解決のために、例えば特許文献1では、固体金属酸化物水酸化物などの無機化合物基材還元剤を含む除去剤の提案がなされている。この技術により、上記(1)の問題は大きく改良されたが、それでも尚、大規模化が進む半導体製造工程のニーズを満たすことはできず、更なる改良が求められている。

ハロゲン除去剤に要求される上記(3)の除去剤消費状態のモニタリングとそれによる寿命予測は、有毒ガス漏洩の重大リスクを避けるための重要な技術である。これを可能とするためには流出した有毒ガスの検出機能だけではなく、除去剤の消費状態を定量的に検知し、それから有毒ガスの破過までの残る寿命を予測できる必要がある。

それに近い試みとして例えば、特許文献2には、遷移金属の水酸化物にコンゴーレッド呈色剤として加えたハロゲンガス検知剤が記載されている。この材料にはコンゴーレッドの変色反応によりハロゲンガスを検知する機能を持たせているが、この材料のハロゲンガス除去能力は低く、ハロゲン除去を行うためには、その前にハロゲン除去剤を接続する必要がある。しかしながらその場合でも、除去剤を有毒ガスが破過したことを検出できても、除去剤の消費状態をモニターし、破過時間を予測することはできない。

ハロゲンガス検知を行うことのできる他の例として、特許文献3では、カラム入り口側に苛性ソーダを担持したアスベスト、その下流側にシリカゲル担持塩基染料吸着剤、最後に塩基性イオン交換樹脂充填することにより、ハロゲン除去とともに、酸性ガスを検知可能としている。この方法により、入口から検知剤充填部分にハロゲンが到達するまでの時間の検出はできるが、除去剤消費状態のモニタリングと、ガスの破過まで残された寿命の予測は難しい。

本出願人は、上記従来の課題中、(1)、(2)を解決するために、擬ベーマイト硫黄含有還元性化合物を主成分とし、更に必要に応じて酸化亜鉛などの塩基性金属化合物を併用することにより、処理能力を著しく向上させたハロゲンガス除去剤の特許出願を行った(特許文献4)。

特許文献4の除去剤は、ハロゲンガス処理能力が非常に高いが、除去剤の消費状態をモニタリングすることはできない。また、除去能力を高めている硫黄含有還元性化合物は、ハロゲン除去能力を高める反面、副生成物として亜硫酸ガスを生じ、それが除去剤を通過、漏洩するリスクをもたらす(特に上記塩基性金属化合物を併用しない場合)。このようなことから、除去剤は、ハロゲンガス、ハロゲン化水素のモニタリングばかりでなく、亜硫酸ガスのモニタリングも可能であることが望ましい。

以上述べた如く、固体乾式処理剤についてその除去能力の向上はみられるが、(1)〜(3)すべての要求を満たす技術の提案が無いのが実情である。

概要

半導体製造工程などから排出されるハロゲンガスを除去剤により処理する際に、除去剤の消費状態をリアルタイムでモニタリングできると共に、ハロゲンガスの漏洩リスクを小さくできる除去剤と、その製造方法を提供する。またそれを用いたハロゲンガス除去装置、及びハロゲンガスの消費状態をモニタリングする方法を提供する。無機化合物基材と硫黄含有還元性化合物、呈色指示薬を少なくとも含むハロゲンガス除去剤。特に擬ベーマイトを基材とし、呈色指示薬として変色域がpH3〜8のpH指示薬を加え、更に酸化亜鉛のような塩基性金属化合物を加えることにより、ハロゲンガス処理能力が高く、除去剤消費状態をモニタリング可能な除去剤が得られる。

目的

本発明の第一の目的は、ハロゲン系ガス、特に半導体等製造時のエッチングガス洗浄剤に使用されるハロゲン系廃ガスを効率よく分解できるハロゲンガス除去剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

請求項2

前記ハロゲンガスフッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)およびヨウ素(I2)からなる群から選択される少なくとも1種を含むガスである、請求項1に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項3

気流中のハロゲンガスを除去するための、請求項1または2に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項4

前記気流が、半導体製造工程から排出される気流である、請求項1〜3のいずれか1つにハロゲンガス除去剤。

請求項5

前記無機化合物が、金属酸化物金属水酸化物および金属炭酸塩からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。

請求項6

前記無機化合物が、アルミナ化合物である、請求項5のハロゲンガス除去剤。

請求項7

前記無機化合物が、擬ベーマイト及び/又はモンモリロナイトである、請求項6に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項8

前記無機化合物の比表面積が100m2/g〜500m2/gである、請求項6または7に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項9

前記無機化合物の比表面積が200m2/g〜400m2/gである、請求項8に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項10

塩基性金属化合物を更に含む、請求項1〜9のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。

請求項11

前記塩基性金属化合物が、炭酸亜鉛および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種亜鉛化合物である、請求項10に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項12

前記硫黄含有還元性化合物が、チオ硫酸塩亜硫酸塩亜二チオン酸塩および四チオン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物である、請求項1〜11のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。

請求項13

前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムチオ硫酸カリウムおよびチオ硫酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項12に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項14

前記硫黄含有還元性化合物が水和水を有する、請求項1〜13のいずれか1つに記載のハロゲン除去剤

請求項15

前記呈色指示薬が、pH2〜9に変色域を有するpH指示薬である、請求項1〜14のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。

請求項16

前記呈色指示薬が、pH3〜8に変色域を有するpH指示薬である、請求項15に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項17

前記pH指示薬が、ブロモフェノールブルーメチルオレンジおよびブロモチモールブルーからなる群から選択される少なくとも一種のpH指示薬である、請求項16に記載のハロゲン除去剤。

請求項18

前記呈色指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の重量組成が、それぞれの合計を100としたときに、0.001〜1.0:30.00〜97.00:1.00〜40.00:0.00〜40.00である、請求項10〜17に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項19

前記呈色基指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の重量組成が、それぞれの合計を100としたときに、0.05〜0.5:50.00〜75.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00である、請求項18に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項20

除去剤全重量を基準として、前記呈色指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の合計重量が90〜100重量%である、請求項10〜19に記載のハロゲンガス除去剤。

請求項21

呈色指示薬、無機化合物、硫黄含有還元性化合物および任意選択的に塩基性金属化合物を、任意選択的に分散媒とともに、混合および/または混錬し、次いで成型を行った後に、乾燥することを含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤の製造方法。

請求項22

容器とその容器に設けられた窓材および/またはカラーセンサーとを含むハロゲンガス除去装置であって、前記容器は、気流入口および気流出口を有し、前記容器中には、請求項1〜20のいずれか1つに記載の除去剤が充填されおり、前記窓材および/またはカラーセンサーは、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出するために適合されている、前記ハロゲンガス除去装置。

請求項23

請求項22に記載の装置を用いて、除去剤のハロゲンガス流入端から、変色した部分の長さを測定することにより、ハロゲンガス除去剤の消費状態モニターする方法。

請求項24

ハロゲン含有ガスと請求項1〜20のいずれか1つに記載の除去剤とを接触させることを含む、ハロゲン含有ガスからハロゲンガスを除去する方法であって、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出することによって除去剤の消費状態をモニターしながらハロゲンガスを除去する、上記除去方法

技術分野

0001

本発明は、ハロゲン系ガス、特に半導体等製造工程のエッチングガス洗浄剤に使用されるハロゲン廃ガスを効率よく分解除去できる除去剤であって、その除去剤の消費状態を簡単、且つ確実な方法によりモニター可能とすることにより、除去剤の残る寿命予測し、有毒ガス漏洩リスクを低減できるハロゲンガス除去剤に関する。

背景技術

0002

ハロゲン系ガスにはF2、Cl2、Br2、ClF3、BrF3、BrF5があり、広義にはSiF4、BCl3のような多くの種類のハロゲン化非金属ガスが含まれる。これらのハロゲン系ガスの除去方法の一つとして、ハロゲンガスを例えばカーボンブラックなどの多孔質体などに物理吸着させる方法が、従来から知られている。この方法は処理能力が小さく、また処理済みの吸着体交換処理する際に、有害ガス遊離して環境に悪影響を与えるリスクが存在する。それに代わる方法として、Cl2のようなハロゲンガスを水と接触させて塩化水素に変化させ、吸収した後、苛性ソーダなどのアルカリ中和させるスクラバー方法が知られている。この方式によれば、多量のハロゲン系ガスの処理が可能となるが、処理液の準備、管理、廃液処理など煩雑な作業を必要とする。そのため、近年はそれらに代わって取り扱いが容易な固体処理剤を用いた乾式除去方式が普及しつつある。

0003

ハロゲン系ガスの乾式処理剤に求められる代表的な性能としては以下のものがある。
(1)処理剤単位重量当たりのハロゲン系ガスの処理能力が高いこと。
(2)有害ガスを固定化でき、使用済み除去剤交換時に、有害ガスの遊離・放散がなく、除去剤の交換、廃棄が容易であること。
(3)使用時に、除去剤の消費状態をモニターすることにより除去剤の寿命を予測できること。

0004

上記(1)については、特にハロゲン系ガスを多量に消費する半導体製造工程で大きな課題となっていた。その解決のために、例えば特許文献1では、固体金属酸化物水酸化物などの無機化合物基材還元剤を含む除去剤の提案がなされている。この技術により、上記(1)の問題は大きく改良されたが、それでも尚、大規模化が進む半導体製造工程のニーズを満たすことはできず、更なる改良が求められている。

0005

ハロゲン除去剤に要求される上記(3)の除去剤消費状態のモニタリングとそれによる寿命予測は、有毒ガス漏洩の重大リスクを避けるための重要な技術である。これを可能とするためには流出した有毒ガスの検出機能だけではなく、除去剤の消費状態を定量的に検知し、それから有毒ガスの破過までの残る寿命を予測できる必要がある。

0006

それに近い試みとして例えば、特許文献2には、遷移金属の水酸化物にコンゴーレッド呈色剤として加えたハロゲンガス検知剤が記載されている。この材料にはコンゴーレッドの変色反応によりハロゲンガスを検知する機能を持たせているが、この材料のハロゲンガス除去能力は低く、ハロゲン除去を行うためには、その前にハロゲン除去剤を接続する必要がある。しかしながらその場合でも、除去剤を有毒ガスが破過したことを検出できても、除去剤の消費状態をモニターし、破過時間を予測することはできない。

0007

ハロゲンガス検知を行うことのできる他の例として、特許文献3では、カラム入り口側に苛性ソーダを担持したアスベスト、その下流側にシリカゲル担持塩基染料吸着剤、最後に塩基性イオン交換樹脂充填することにより、ハロゲン除去とともに、酸性ガスを検知可能としている。この方法により、入口から検知剤充填部分にハロゲンが到達するまでの時間の検出はできるが、除去剤消費状態のモニタリングと、ガスの破過まで残された寿命の予測は難しい。

0008

本出願人は、上記従来の課題中、(1)、(2)を解決するために、擬ベーマイト硫黄含有還元性化合物を主成分とし、更に必要に応じて酸化亜鉛などの塩基性金属化合物を併用することにより、処理能力を著しく向上させたハロゲンガス除去剤の特許出願を行った(特許文献4)。

0009

特許文献4の除去剤は、ハロゲンガス処理能力が非常に高いが、除去剤の消費状態をモニタリングすることはできない。また、除去能力を高めている硫黄含有還元性化合物は、ハロゲン除去能力を高める反面、副生成物として亜硫酸ガスを生じ、それが除去剤を通過、漏洩するリスクをもたらす(特に上記塩基性金属化合物を併用しない場合)。このようなことから、除去剤は、ハロゲンガス、ハロゲン化水素のモニタリングばかりでなく、亜硫酸ガスのモニタリングも可能であることが望ましい。

0010

以上述べた如く、固体乾式処理剤についてその除去能力の向上はみられるが、(1)〜(3)すべての要求を満たす技術の提案が無いのが実情である。

先行技術

0011

特開2001−17831公報
特許3567058公報
特公平7−16582号公報
特願2017−020456

発明が解決しようとする課題

0012

本発明の第一の目的は、ハロゲン系ガス、特に半導体等製造時のエッチングガスや洗浄剤に使用されるハロゲン系廃ガスを効率よく分解できるハロゲンガス除去剤を提供することである。

0013

本発明の第二の目的は、除去剤の消費状態をモニタリングすることにより、除去剤の残された寿命を正確に予測し、有害ガスの外部漏洩を未然に防止できる方法とシステムを提供することである。

0014

本発明の第三の目的は、ハロゲンガスの分解により生じるハロゲン化水素だけでなく、同時に生じる得る亜硫酸ガスについても除去剤中の存在状態を検出し、漏洩を防止するシステムを提供することである。

0015

本発明の第四の目的は、除去剤の消費状態をモニタリングすることにより、除去剤の能力限界に近い状態まで除去剤を使用することを可能とし、その結果除去剤交換頻度を小さくし、ランニングコストを低減させることにある。

0016

本発明の更なる他の目的は、以下の記載からも明らかとなろう。

課題を解決するための手段

0017

本発明者等は、上記の実状に鑑み、従来技術の欠点を解決するべく、鋭意研究を行った。その結果、本発明の課題を解決するための考えとして、以下のような知見、指針を得た。
(1)ハロゲンガスの従来の検知方法は、検知剤をハロゲン除去剤の後に配置するか、もしくは除去剤カラムの途中に、除去剤とは別の検知剤を直列に配置することにより、ハロゲンガス系の到達状況を検知していた。この方法では、除去剤消費量の連続的経過観察をすることができず、そのため除去剤の寿命予測が正確性を欠き、破過、外部流出のリスクが発生しやすい。
(2)そこで除去剤と検知剤を直列に接続せずに、除去剤そのものに分解ガス検知機能を持たせる方法を検討した。
(3)そのための第一の機能としては、分解ガスである塩化水素の検知機能が必要である。第二に、除去剤の消費状態をモニタリングするために、除去剤と呈色剤を混合使用する際に、呈色剤が除去性能を著しく低下させることがないこと、第三に微量の有害ガスを検知できるように、呈色剤が高感度検出能力を有することが必要である。このような材料として少量の添加で鋭敏な変色を示す酸塩基指示薬とも称されるpH指示薬を選択した。
(4)一方、除去剤の消費状態のモニタリングという観点から、除去剤の機能を考えると、第一に除去剤中に強い酸性物質もしくは塩基性物質が含まれないことが好ましい。例えば飽和水溶液のpHが12を越える消石灰のような強塩基物質を含むと除去剤は、強い塩基性となり、ハロゲンガスの分解によりpH変化が起きても、pHの値変化が小さく、検出感度が低くなる。同様に例えば硫酸のような強い酸性物質が含まれていても同様である。その点から、pH指示薬を除いた除去剤は、中性から弱塩基性にあると、ハロゲン分解に伴うpH変化を高感度に検知することができ好ましい。そのような観点で、例えば、特許文献4に示される擬ベーマイトを当該除去剤の基材として使用するのが特に好ましい。
(5)モニタリング機能から見た除去剤の機能としては、毒性の強いハロゲンガスの除去剤中の拡散速度が、ハロゲン化水素のそれよりも小さいことが好ましい。これは、ハロゲンガスの分解が除去剤中で進行し、ハロゲン化水素がカラム出口側に到達した時点でも、より重篤な危険を伴うハロゲンガスが出口に到達していないことにより、万が一カラムからハロゲン化水素の流出があった場合でも、少しでも安全性を高めることができるからである。同様の理由から、還元剤の分解により生じ得る亜硫酸ガスの拡散速度も、ハロゲンガスのそれよりも大きいことが好ましい。
(6)そのような視点で除去剤を検討したところ、特許文献1、4の還元剤、特に特許文献4に記載の還元剤をハロゲン分解に使用した除去剤が特に好ましいことが判明した。その理由は、還元剤、特に水和水を有する硫黄含有還元性化合物はハロゲン分解速度を著しく高めることができるためカラム出口側へのハロゲンガスの拡散が遅れ、ハロゲン化水素がカラム出口側に拡散しやすいためと考えられる。
(7)更に、フォトダイオードなどを用いたカラーセンシングシステムによる自動モニタリング作業者日常的に行う目視によるモニタリングの両方を行なえるように、視感度の高いpH指示薬の種類選択、除去剤中の好ましい添加量などの最適化を行い、
本発明に到達した。

0018

すなわち本発明は、以下に関する:
1.無機化合物、硫黄含有還元性化合物および呈色指示薬を少なくとも含む、ハロゲンガス除去剤。
2.前記ハロゲンガスがフッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)およびヨウ素(I2)からなる群から選択される少なくとも1種を含むガスである、上記1に記載のハロゲンガス除去剤。
3.気流中のハロゲンガスを除去するための、上記1または2に記載のハロゲンガス除去剤。
4.前記気流が、半導体製造工程から排出される気流である、上記1〜3のいずれか1つにハロゲンガス除去剤。
5.前記無機化合物が、金属酸化物金属水酸化物および金属炭酸塩からなる群から選択される、上記1〜4のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。
6.前記無機化合物が、アルミナ化合物である、上記5のハロゲンガス除去剤。
7.前記無機化合物が、擬ベーマイト及び/又はモンモリロナイトである、上記6に記載のハロゲンガス除去剤。
8.前記無機化合物の比表面積が100m2/g〜500m2/gである、上記6または7に記載のハロゲンガス除去剤。
9.前記無機化合物の比表面積が200m2/g〜400m2/gである、上記8に記載のハロゲンガス除去剤。
10.塩基性金属化合物を更に含む、上記1〜9のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。
11.前記塩基性金属化合物が、炭酸亜鉛および酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種亜鉛化合物である、上記10に記載のハロゲンガス除去剤。
12.前記硫黄含有還元性化合物が、チオ硫酸塩亜硫酸塩亜二チオン酸塩および四チオン酸塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物である、上記1〜11のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。
13.前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムチオ硫酸カリウムおよびチオ硫酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、上記12に記載のハロゲンガス除去剤。
14.前記硫黄含有還元性化合物が水和水を有する、上記1〜13のいずれか1つに記載のハロゲン除去剤。
15.前記呈色指示薬が、pH2〜9に変色域を有するpH指示薬である、上記1〜14のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤。
16.前記呈色指示薬が、pH3〜8に変色域を有するpH指示薬である、上記15に記載のハロゲンガス除去剤。
17.前記pH指示薬が、ブロモフェノールブルーメチルオレンジおよびブロモチモールブルーからなる群から選択される少なくとも一種のpH指示薬である、上記16に記載のハロゲン除去剤。
18.前記呈色指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の重量組成が、それぞれの合計を100としたときに、0.001〜1.0:30.00〜97.00:1.00〜40.00:0.00〜40.00である、上記10〜17に記載のハロゲンガス除去剤。
19.前記呈色基指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の重量組成が、それぞれの合計を100としたときに、0.05〜0.5:50.00〜75.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00である、上記18に記載のハロゲンガス除去剤。
20.除去剤全重量を基準として、前記呈色指示薬、前記無機化合物、前記硫黄含有還元性化合物および前記塩基性金属化合物の合計重量が90〜100重量%である、上記10〜19に記載のハロゲンガス除去剤。
21.呈色指示薬、無機化合物、硫黄含有還元性化合物および任意選択的に塩基性金属化合物を、任意選択的に分散媒とともに、混合および/または混錬し、次いで成型を行った後に、乾燥することを含む、上記1〜20のいずれか1つに記載のハロゲンガス除去剤の製造方法。
22.容器とその容器に設けられた窓材および/またはカラーセンサーとを含むハロゲンガス除去装置であって、
前記容器は、気流入口および気流出口を有し、
前記容器中には、上記1〜20のいずれか1つに記載の除去剤が充填されおり、
前記窓材および/またはカラーセンサーは、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出するために適合されている、
前記ハロゲンガス除去装置。
23.上記22に記載の装置を用いて、除去剤のハロゲンガス流入端から、変色した部分の長さを測定することにより、ハロゲンガス除去剤の消費状態をモニターする方法。
24.ハロゲン含有ガスと上記1〜20のいずれか1つに記載の除去剤とを接触させることを含む、ハロゲン含有ガスからハロゲンガスを除去する方法であって、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出することによって除去剤の消費状態をモニターしながらハロゲンガスを除去する、上記除去方法。

発明の効果

0019

本発明によれば、
(1)ハロゲンガスの分解処理能力が大きく、且つ中性から弱塩基性の無機化合物基材と、酸により呈色反応を示す指示薬を組み合わせることにより、高感度にハロゲン分解による除去剤の消費状態をモニタリングできる。
(2)上記(1)の効果により、ハロゲンガス除去剤の消費状態をリアルタイムで観察できるため、除去剤の残る寿命を正確に予測できる。その結果、有害ガスの破過による重大トラブルを防ぐことが容易となる。
(3)目視で高感度に検出でき、且つ少量の指示薬の添加で目的を達成できるため、除去剤の除去能力を低下させることがない。
(4)除去剤の残存除去能力の評価が容易となり、除去剤能力限界近くまで除去剤を使用することが可能となる。それにより消耗品コストを低下させ、カラム交換頻度を低減することができる。
(5)除去剤の変色により、ハロゲン系ガスの破過を検知できるため、従来除去剤の後に配置していたガス検知器の数を減らす、もしくは無くすことが可能となり、設備費の削減、メンテナンス費用の低減が可能となる。

図面の簡単な説明

0020

本発明のハロゲンガス除去システムモニタリングシステムの一例を示す(改良されたハロゲンガス除去システムの構成)。
塩素除去処理前後における本発明実施例4の反射スペクトル変化(実施例4の色調確認前後の除去剤サンプル拡散反射スペクトル
塩素除去処理前後における比較例2の反射スペクトル変化(比較例2の色調確認前後の除去剤サンプルの拡散反射スペクトル)

0021

即ち本発明は、半導体製造装置などから排出される気流中のハロゲンガスを除去するための除去剤であって、無機化合物、呈色指示薬および硫黄含有還元性化合物を少なくとも含むハロゲンガス除去剤(本明細書では、「ハロゲンガス処理剤」とも呼ぶ)である。当該除去剤は、ハロゲンガスを除去剤中に固定化するか、またはハロゲンガスを分解し、分解物を除去剤中に固定化するため、ハロゲンガス含有ガスを当該除去剤で処理することにより、上記ガスからハロゲンガスを除去することができる。

0022

本発明におけるハロゲンガスは、ハロゲン元素を含む気体であれば特に限定はされない。上記ハロゲンガスには、例えば、ハロゲン元素同士の結合により形成されたフッ素(F2)、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、三フッ化ハロゲン(ClF3)に加え、三フッ化臭素(BrF3)、五フッ化臭素(BrF5)、SiF4、BCl3のような気体状の非金属ハロゲン化合物をも含まれる。

0023

本発明におけるハロゲン化水素は、上記ハロゲンガスが分解して水素原子と結合した化合物のことを指し、具体的には塩素ガスから生じる塩化水素ガス臭素ガスから生じる臭化水素等がある。

0024

以下の説明では理解しやすくするために、主に、ハロゲンの中でも塩素を例に説明し、特に断らない限りハロゲン化水素を塩化水素とし、ハロゲンの場合(すなわちハロゲンという語句の後に水素が付かない場合)には単に塩素と記述するものとする。これらの説明は、塩素以外のハロゲンに関連する他の実施態様にも適用可能なものであり、当業者であれば、これらの説明を参照することによって他の実施態様についても適切に理解することが可能であろう。

0025

尚、本明細書では、場合によっては、ハロゲンガスとハロゲン化水素を総称して、ハロゲン系ガスと記載し、そのようなハロゲン系ガスを含むガス/気流をハロゲン含有ガスと記載する場合がある。

0026

本発明のハロゲンガス除去剤は、好ましくはその基材として、無機化合物を含む。本明細書では、上記無機化合物を「無機化合物基材」とも呼ぶ。

0027

例えばアルカリ金属アルカリ土類金属、遷移金属の酸化物及びその誘導体炭酸塩などが上記無機化合物基材として使用される。その中でも、特許文献1に示される材料、例えばアルカリ土類金属、Fe、Co、Ni、Zn、Mn、Cu(I)の中から選択された少なくとも1種の金属酸化物を使用することができる。

0028

また、上記無機化合物基材としては、アルミニウム化合物、例えばアルミニウムの酸化物、水酸化物または炭酸塩を使用することもできる。

0029

除去剤の無機化合物基材には、多くの機能が必要とされる。まず必要なことは、塩素ガス存在下でも塩素ガスと還元剤の反応を維持できるよう、その表面構造などの物理的安定性が高いこと、単位除去重量当たりの除去能力を高めるために大きな比表面積を有することなどが挙げられる。更に前述したように、酸発生にともないpH指示薬が鋭敏に変色できるよう適度な酸性度、もしくは塩基性度を有することが必要である。そのような理由から、アルミナ系化合物、もしくはモンモリロナイト等は、その飽和水溶液のpHが中性〜弱アルカリであり、本発明の目的にとって好ましい。

0030

本発明においてアルミナ系化合物とは、アルミナまたはアルミナ水和物を主成分とする化合物を表す。上記無機化合物基材として使用できるアルミナ系化合物としては、例えば、アルミナ(Al2O3)(α−アルミナ、γ−アルミナ、η−アルミナ、γ−アルミナ、κ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ等)、ギブサイト(A12O3・3H2O)、バイヤライトベーマイト(AlO(OH))および擬ベーマイトが挙げられる。その中でも擬ベーマイトが、本発明における無機化合物基材として特に好ましい。

0031

本発明における擬ベーマイトとは、Al2O3・nH2O(n=1〜2)の分子式で表されるアルミニウム化合物であり、共有して2層重なったAlO6八面体八面体シート)であって、表面アルミノール基の水素結合により積層している。それを加熱すると、300℃程度までは安定であるが、400℃以上になると脱水してγアルミナとなる。

0032

本発明の擬ベーマイトは、例えば、粉末もしくは水中に分散した形態(ゾル)のものを入手でき(例えば、Wish Chemicals Yueyang社製WISH6006など)、両方ともに本発明に使用可能である。

0033

本発明における上記無機化合物基材、例えば擬べーマイト粒子の比表面積は、好ましくは100m2/g〜1000m2/g、より好ましくは100〜650m2/gであり、より好ましくは150〜450m2/g、特に好ましくは200〜400m2/gである。比表面積がこれらの値より小さいと、塩素ガスと還元剤との反応速度が小さくなり、塩素除去性能が低下する恐れがあり、それらの値より大きいと無機化合物基材、例えば擬ベーマイトの物理強度が低下して多孔質構造を維持するのが難しく、同じように除去性能が低下する恐れがある。比表面積は、BET法により測定することができる。

0034

本発明において、上記無機化合物基材、例えば擬ベーマイトは、好ましくは、直径3〜500nmの細孔総容積が0.02ml/g〜2.0ml/g、より好ましくは0.05ml/g〜1ml/g、特に好ましくは0.11ml/g〜0.7ml/g、例えば0.2ml/g〜0.5ml/gである。また、上記無機化合物基材、例えば擬ベーマイトは、好ましくは、直径10〜500nmの細孔総容積が0.002ml/g〜2.0ml/g、より好ましくは0.005ml/g〜1ml/g、特に好ましくは0.01ml/g〜0.7ml/g、例えば0.02ml/g〜0.5ml/gである。また、直径10nm〜500nmの細孔の容積総和は、直径3.0nm〜直径500nmの細孔の容積総和に対して10%以上であることが好ましく、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは40%以上、例えば60%以上または70%以上である。上限については、特に制限はないが、例えば90%以下または85%以下であることができる。細孔容積についてこのような範囲が好ましい理由は明確ではないが、以下のように推測している。即ち、上記の範囲内では、塩素ガス分解をアシストする硫黄含有還元性化合物、例えばチオ硫酸塩を十分に担持することができ、及び/または塩素ガスと無機化合物基材、例えば擬ベーマイトの十分な接触面積を確保できるため、高い除去性能が達成される。また細孔総容積が上記範囲内にある場合には、除去剤の物理強度が低下して例えば使用時のカラム中の圧力により破損し、塩素ガスの通過が妨げられるということを回避することができ、分解速度を維持することが可能である。細孔容積総和は、例えば水銀圧入法によって測定することができる。

0035

除去剤中の無機化合物基材の含有量は、除去剤の全重量を基準として、例えば30重量%以上、好ましくは40重量%以上であることができる。本発明の1つの実施態様において、上記無機化合物基材、例えば擬ベーマイトの含有量は、除去剤の全重量を基準として、30〜97重量%、好ましくは45%〜90重量%、特に好ましくは50%〜85重量%、例えば55〜80重量%である。無機化合物基材、例えば擬ベーマイトの量が上記範囲内である場合に、特に良好な塩素分活性を得ることが可能である。

0036

本発明における硫黄含有還元性化合物(本明細書では、「硫黄含有還元剤」または「還元剤」とも呼ぶ)としては、硫黄原子を有する還元性化合物(還元剤)であれば特に限定されない。例えば、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜二チオン酸塩、四チオン酸塩等が使用できる。例えば、硫黄含有還元性化合物としてチオ硫酸塩を用いる場合には、その例としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムを挙げることができる。また、硫黄含有還元性化合物としては、特に水を水和している還元剤、例えば水和物の形態にある上記塩(含水塩)を使用することが好ましい。特にその中でもチオ硫酸塩の5水和物、例えばチオ硫酸ナトリウム5水和物が好ましい。

0037

除去剤中の硫黄含有還元化合物含有量は、無機化合物基材と還元剤との合計重量を基準として、例えば1重量%〜70重量%、好ましくは5重量%〜55重量%、より好ましくは10重量%〜50重量%、さらに好ましくは12重量%〜40重量%、特に好ましくは15重量%〜35重量%、例えば15重量%〜30重量%であることができる。硫黄含有還元性化合物の量が上記範囲内である場合に、特に良好な塩素分解活性を達成することが可能である。なお、上記還元剤が含水塩である場合には、本明細書において示す還元剤の含有量や比率は、特段の記載がない限り、当該水和水を含めて算出されたものである。

0038

また、本発明の除去剤は、好ましくは、上記還元剤を、無機化合物基材と還元剤の合計重量を基準として、硫黄元素換算で0.5〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、例えば3〜7重量%または4〜6重量%含むことができる。このような硫黄原子含有率は、酸素気流燃焼赤外線吸収法によって測定することができる。

0039

除去剤中には上記無機化合物基材と還元剤以外の添加剤を必要に応じて添加することができる。そのような添加剤としては、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩からなる群から選択される少なくとも一種の塩基性金属化合物、例えば塩基性無機金属化合物が好ましい。好ましくは、当該塩基性金属化合物は、上記の無機化合物基材とは異なる化合物である。ここで上記金属は、好ましくは、アルカリ土類金属元素遷移金属元素亜鉛族元素の中から少なくとも1種選択される。上記塩基性金属化合物の好ましい例としては、例えば酸化亜鉛、水酸化マグネシウム炭酸マグネシウム炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ゲーサイトなどが挙げられる。その中でも亜鉛化合物が好ましく、酸化亜鉛または炭酸亜鉛がより好ましく、酸化亜鉛が特に好ましい。上記塩基性金属化合物の含有量は、好ましくは、除去剤全重量を基準として1重量%〜50重量%、より好ましくは5重量%〜40重量%、特に好ましくは10重量%〜35重量%、例えば15重量%〜25重量%である。

0040

上記のように、本発明の除去剤は、呈色指示薬を含む。上記呈色指示薬としては、特に限定されず、例えばpH指示薬(酸塩基指示薬)や酸化還元指示薬を使用することができる。好ましくは、上記呈色指示薬はpH指示薬である。本願発明におけるpH指示薬は、発色によりpHを指示するもの、すなわち除去剤中のpHの変化に伴って変色するものであれば、いずれの化合物も使用可能であり、そのような例として、特開2001−033438号公開公報に記載のpH指示薬が好適に使用される。例えば、上記pH指示薬としては、インジゴカルミン、1,3,5−トリニトロベンゼンニトラミントロペオリンO、ポアリエブルーC4B、アリザリンイエローGG、アリザリンイエローR、チモールフタレインコンプレクソン、チモールブルーα−ナフトールベンゼイン、α−クレゾールフタレイン、p−キシレノールブルー、メタクレゾールパープル、α−ナフトールフタレインシアニンロゾール酸ニュートラルレッドフェノールスルホンフタレインブロモクレゾールパープルメチルチモールブルー、α−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、クロロフェノールレッドメチルレッドブロモクレゾールグリーン、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモチモールブルー、チモールフタレイン、メタクレゾールパープル、クレゾールレッドブロモフェノールレッドフェノールフタレイン、p−ニトロフェノールを使用することができる。その中でも、本発明においては、好ましくは、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモチモールブルー、チモールフタレイン、メタクレゾールパープル、クレゾールレッド、ブロモフェノールレッド、フェノールフタレイン、p−ニトロフェノールの群から選ばれる1種以上、必要に応じて2種以上が使用される。

0041

また、本発明の1つの好ましい実施態様において、上記pH指示薬は、pH2〜9に変色域を有するpH指示薬である。より好ましくは、上記pH指示薬は、pH3〜8に変色域を有するpH指示薬である。ここで変色域とは、上記指示薬を加えた時に、色が変わるpHの範囲である。

0042

本発明のさらなる好ましい実施態様において、上記pH指示薬は、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジおよびブロモチモールブルーからなる群から選択される。

0043

上記呈色指示薬、例えばpH指示薬の含有量は、好ましくは、除去剤全重量を基準として、0.001〜5重量%、より好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.007〜0.6重量%、特に好ましくは0.01〜0.5重量%、例えば0.05〜0.4重量%である。

0044

上述のように、本発明の塩素ガス除去剤は、上記無機化合物基材、上記硫黄含有還元性化合物および上記呈色指示薬、例えばpH指示薬を含有する。また、上記のように本発明の塩素ガス除去剤はさらに、酸化亜鉛その他の塩基性金属化合物を含むこともできる。更に、本発明の除去剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば分散媒や成形助剤等を含んでいてもよい。

0045

本発明の1つの実施態様において、上記除去剤は、実質的に上記無機化合物基材、上記硫黄含有還元性化合物、上記呈色指示薬および任意選択的に分散媒のみからなるか、あるいは実質的に上記無機化合物基材、上記硫黄含有還元性化合物、上記呈色指示薬、上記塩基性金属化合物および任意選択的に分散媒のみからなる。

0046

本発明の1つの実施態様において、上記除去剤における上記無機化合物基材、上記硫黄含有還元性化合物および上記呈色指示薬の合計重量(上記除去剤が上記塩基性金属化合物を含む場合には、上記無機化合物基材、上記硫黄含有還元性化合物、上記呈色指示薬および上記塩基性金属化合物の合計重量)は、除去剤全重量を基準として、70〜100重量%、好ましくは80〜100重量%、特に好ましくは90〜100重量%、例えば95〜100重量%であることができる。

0047

例えば、本発明の除去剤は、除去剤全重量を基準として、pH指示薬、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物および亜鉛化合物の合計重量が90〜100重量%である。

0048

本発明の1つの実施態様では、本発明の除去剤において、呈色指示薬、無機化合物基材および硫黄含有還元性化合物の重量組成は、例えば、それぞれの合計重量を100としたときに、0.001〜1.0:30.00〜97.00:1.00〜40.00の範囲にあることができる。

0049

また、本発明のさらなる実施態様において、本発明の除去剤は、呈色指示薬、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物および塩基性金属化合物(任意)の重量組成が、それぞれの合計重量を100としたときに、0.001〜1.0:30.00〜97.00:1.00〜40.00:0.00〜40.00の範囲にあることができる。

0050

本発明の除去剤のよりよい処方において、呈色指示薬、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物および塩基性金属化合物の重量組成は、それぞれの合計重量を100としたときに、0.05〜0.5:50.00〜80.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00の範囲にあり、より好ましくは、上記重量組成は0.05〜0.5:50.00〜75.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00の範囲にある。

0051

また、本発明の1つの態様において、上記除去剤のタップ密度は、0.50g/ml〜1.50g/ml、好ましくは0.65g/ml〜1.30g/ml、例えば0.75g/ml〜1.15g/mlであることができる。

0052

次に、本発明の除去剤の製造方法、除去剤の使用、除去剤を用いたシステムなどについて以下に説明する。ここに於いて、無機化化物基材としては前述したような多くの材料を使用できるが、説明を簡潔とするために、基材として擬ベーマイトを用いた例を主に説明し、同様に呈色指示薬としてpH指示薬、塩基性金属化合物として酸化亜鉛を用いた例について主に説明する。これらの説明は、擬ベーマイト以外の無機化合物基材、pH指示薬以外の呈色指示薬、酸化亜鉛以外の塩基性金属化合物を用いる他の実施態様にも適用可能なものであり、当業者であれば、これらの説明を参照することによって他の実施態様についても適切に理解することが可能であろう。なお、ここにおいて酸化亜鉛のような塩基性金属化合物は、任意選択的に使用することが可能である。

0053

本発明の除去剤は、例えば、擬ベーマイトと硫黄含有還元性化合物、pH指示薬、および酸化亜鉛に、必要に応じて分散媒を添加、混合、混練し、次いで成型を行った後、乾燥する方法により製造することができる。擬ベーマイト、例えばチオ硫酸塩などの硫黄含有還元性化合物、酸化亜鉛はそれぞれ通常粉末として提供される。その場合、それらの粉末を計量、混合する。例えば、一般的な押出円柱ペレットを製造する場合には、所定量の擬ベーマイトと硫黄含有還元性化合物粉末、酸化亜鉛、pH指示薬を混合混練装置で十分に乾式混合した後に、混合粉末1重量部に対して0.1〜1重量部の、好ましくは0.3〜0.5重量部の水を添加して混練することができる。水を添加する際には混合物が不均一とならないように分割投入することが望ましい。混練には例えばライカイ機など食品製造用練り機などを使用できる。分散媒は、擬ベーマイトと硫黄含有還元性化合物、酸化亜鉛を分散して均一に混合させる目的に加え、成型、乾燥工程で一定の形状を維持するための凝集力を付与するために使用することができる。分散媒としては水が好適に使用され、必要によってはアルコール等の有機溶剤、その他の添加剤を使用することもできる。

0054

混練りされた原料は、次いで成型することができる。粉末形態のまま使用すると、塩素ガスの分解に伴い生成する水により除去剤が糊状となり、塩素ガスの処理が困難となる場合がある。塩素ガスと除去剤との接触を一定に保ちつつ、塩素ガス分解に伴い生じる水などにより、除去剤の形態が崩れるのを防ぐために、適切な機械的強度と形態を付与することが好ましい。

0055

本発明の除去剤の形状やサイズはその使用形態により適宜選択することができるが、一般的には直径が1〜6mmで長さが3〜20mm程度の粒状成型体もしくは円柱状ペレットが好適に用いられる。しかしながら、当然これに限定されるわけではなく、種々の異形状のペレット、錠剤形状顆粒状及び破砕粒状、または噴霧乾燥による微粒子状などとすることもできる。

0056

本発明では、除去剤の細孔容積も重要な役割を果たし得ることから、適度な機械的圧力を与えることのできる成型方法を用いることが好ましい。30〜200kg/cm2の圧力、特に好ましくは50〜100kg/cm2の圧力をかけながら成型することが好ましい。そのための成型機としては一般の造粒機等を使用することができる。その中でも上記圧力の調整が可能であり、また成型体ごとの均一性に優れるディスクペレッタープランジャー押出機が好適に使用され、その中でも特にプランジャー押出機が好ましい。

0057

成型された除去剤を、次いで乾燥することができる。本発明の還元剤は水和している状態で除去剤に含まれていることが好ましいので、乾燥はその水和水の脱離温度より低いことが好ましい。例えばチオ硫酸塩を還元剤として使用する場合には、乾燥温度は、好ましくは室温〜150℃、より好ましくは30〜140℃、さらに好ましくは40〜130℃、特に好ましくは50〜120℃、例えば60〜115℃である。ただし、例えばチオ硫酸ナトリウム5水和物の場合には、60〜200℃で水和水の脱離が急速に進むとされている。従って、本発明の1つの好ましい実施態様では、できるだけ多くの水和水を維持するという観点から、乾燥温度は、室温〜95℃、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは35〜80℃、特に好ましくは40〜70℃、例えば40〜55℃であることもできる。乾燥時間は、好ましくは10分〜1カ月、より好ましくは1時間〜1週間、特に好ましくは3時間〜2日である。時間が短いと残留する水分などにより除去剤の物理強度、ガス除去性能が低下しやすく、長いと除去剤生産効率が低下しやすい。乾燥する方法としては電熱器などを使用して行うことができ、必要によってはその後乾燥剤などを入れた容器に保管することができる。

0058

従って、本発明の1つの実施態様において、本発明は、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物、呈色指示薬および任意選択的に塩基性金属化合物(例えば擬ベーマイト、硫黄含有還元性化合物、pH指示薬および任意選択的に酸化亜鉛)を、任意選択的に分散媒とともに、混合および/または混練し、次いで成型を行った後に、乾燥することを含む、上記ハロゲンガス除去剤の製造方法に関する。

0059

また、本発明の別の実施態様において、本発明は、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物、呈色指示薬および任意選択的に塩基性金属化合物(例えば擬ベーマイト、硫黄含有還元性化合物、pH指示薬、および任意選択的に酸化亜鉛)を、任意選択的に分散媒とともに、混合および/または混練し、次いで成型を行った後に、乾燥することを含む方法によって製造されるハロゲンガス除去剤に関する。ここで、上記乾燥は、例えば、30〜140℃の温度、好ましくは50〜120℃の温度で、例えば10分〜1カ月、好ましくは1時間〜1週間、より好ましくは3時間〜2日間行うことができる。また、上記成形は、例えばディスクペレッターまたはプランジャー押出機、好ましくはプランジャー押出機を用いて行うことができる。

0060

上述のような原料、処方、製造方法によって得られた除去剤に、塩素ガスを通過させると、塩素ガスの還元・分解が行われ、除去剤からの塩素ガスの通過が阻止されると共に、生成した塩化水素も除去剤中にトラップされる。この時の化学反応式は式(1)〜(6)で示される。

0061

酸化亜鉛のような塩基性金属化合物を含まない場合には、硫黄含有還元性化合物により塩化水素HClが生成し、それが更に硫黄化合物と反応して塩素化合物転化し、それが除去剤中にトラップされる。もしも硫黄含有還元性化合物の活性が低く、もしくは添加量が少ないと塩素ガスの拡散の方が分解速度よりも早くなり、除去剤中を拡散して出口から破過することになる。

0062

(塩基性金属化合物を含まない場合)
4Cl2+Na2S2O3・5H2O→6HCl+2H2SO4+2NaCl
・・式(1)
Na2S2O3・5H2O+2HCl→SO2+S+2NaCl+6H2O・・式(2)
Na2S2O3・5H2O+H2SO4→SO2+S+Na2SO4+6H2O
・・式(3)

0063

(塩基性金属化合物を含む場合:ZnOを用いた例)
4Cl2+Na2S2O3・5H2O→6HCl+2H2SO4+2NaCl
・・式(4)
ZnO+2HCl→ZnCl2+H2O ・・式(5)
ZnO+H2SO4→ZnSO4+H2O ・・式(6)

0064

酸化亜鉛のような塩基性金属化合物を添加した場合の化学反応式は(4)〜(6)で示される。硫黄含有還元性化合物の分解作用により塩素の分解は促進され、塩化水素を経て固体状塩化亜鉛として固定化される。その結果、式(2)、(3)の寄与が小さくなり、後述の実施例2と実施例4との間の比較から分かるように、塩基性金属化合物を添加すると、亜硫酸ガスの破過時間が著しく大きくなり、塩化水素の破過時間に近くなる。このことから、塩基性金属の種類、量を調整することにより、先に破過するガスを選択することも可能となると言える。

0065

塩素除去剤としての寿命の一つの定義として、塩素ガス、塩化水素ガス、もしくは亜硫酸ガスのいずれかが破過する時間があげられる。これらのガスのいずれかと反応して呈色できる指示薬があれば、それらのガスの除去剤中の拡散を検知することができ、それをモニタリングすれば、除去剤の寿命を予測でき、また破過する時間を測定することができる。呈色指示薬として酸化還元指示薬を使用すれば塩素ガス、もしくは亜硫酸ガスの酸化還元作用を受けて発色するため、それらの拡散を検出できる。pH指示薬を使用すれば、塩素ガス、塩化水素ガス、亜硫酸ガスのいずれかを検知することができる。本発明では、pH指示薬を検知剤として使用することが好ましい。

0066

前述したように、最初に破過するガスが強い毒性を持つ塩素ガスであると、それが外部に漏洩、拡散した時の影響は、塩化水素や亜硫酸ガスのそれらよりもずっと大きい。そのため、塩素ガスが破過する前に塩化水素ガスもしくは亜硫酸ガスが破過して除去剤の寿命を迎え、交換することが安全性の点で好ましい。即ち除去剤中の塩素ガスの拡散速度よりも、塩化水素ガスの拡散速度が大きいことが好ましい。

0067

また十分な量の酸化亜鉛を除去剤中に含むと、式(4)〜(6)で示されるように非揮発性の塩化亜鉛、硫酸亜鉛として固定化され、有害ガスの漏洩は防げる。もしも酸化亜鉛が消費されると、塩化水素が拡散、破過するおそれがある。このように本発明の除去剤は、還元剤と酸化亜鉛のような塩基性金属化合物の量を調製することにより塩素ガスの分解処理を高めつつ、その破過を遅らせることが出来、更にpH指示薬の変色をモニタリングすることにより、除去剤の寿命を予測することが出来る。逆にもしも擬ベーマイト、硫黄含有還元性化合物、酸化亜鉛の組成が適切でないと、塩素ガスの拡散に伴うpH指示薬の変色をモニターできたとしても、その変色が塩素であることに気が付かずに塩素ガスが流出するトラブルの原因となることも起こりうる。そのようなトラブルを避けるために好ましい処方は、pH指示薬、擬ベーマイト、硫黄含有還元性化合物および亜鉛化合物の重量組成が、それぞれの合計重量を100としたときに、0.05〜0.5:50.00〜80.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00、例えば0.05〜0.5:50.00〜75.00:10.00〜30.00:10.00〜30.00であり、これらは呈色指示薬、無機化合物基材、硫黄含有還元性化合物および塩基性金属化合物の好ましい重量組成として前述した重量比に相当するものである。

0068

本発明の除去剤を用いた塩素ガス除去システムを模式化して示すと図1のようになる。半導体製造装置、例えばドライエッチング装置のような塩素ガス排出源から排出された塩素ガスは、塩素除去剤カラムに流入し、前記したように分解、固定化されて浄化され、水のような無害化された気体(すなわち塩素ガスが除去された気体)が排出される。塩素ガス流入に伴い、亜硫酸ガスもしくは塩化水素が生成すると、塩素ガス除去カラム入り口側から除去剤の変色が始まり、時間と共に出口側に変色域が広がる。この変色の様子を、目盛り付きの透明窓材を通して目視観察することにより、もしくは変色した部分の長さを測定することにより、除去剤の残存能力を予測できる。必要によっては、例えば発光ダイオード光センサーを組み合わせた色検知装置を設けることにより、除去剤消費状態の自動モニタリングも可能となる。場合によっては、除去剤カラムの後段には破過検出センサーを設け、塩化水素もしくは亜硫酸ガスを検知して警報を出すことも可能であり、そうすることにより、万が一除去剤カラムからこれらのガスが破過した場合でも装置運転を止めることにより、塩素ガスの流出を防止でき、より安全性を高めることができる。

0069

本発明の除去剤の使用方法は特に限定されるものではなく、移動床流動床に使用することもできるが通常は固定床に使用する。例えば筒状のカラム内に充填し、これに塩素ガス含有ガスを流通させ、安全且つ効率良く除去することができる。このような塩素ガスの除去は、例えば、0.01ppmv〜100vol%、好ましくは0.1ppmv〜10vol%、より好ましくは、1ppmv〜5vol%の塩素ガスを含む排気ガスに対して行うことができ;および/または200℃以下、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜90℃の温度、例えば室温で行うことができ;および/または1〜1000cm、例えば10cm〜200cmの除去剤充填層厚で行うことができ;および/または1〜2000h−1、例えば100〜1000h−1の塩素含有ガスの空間速度で行うことができる。

0070

前述の説明では、除去剤中のpH指示薬の機能は、塩化水素ガスを検知する役割としたが、式(2)、(3)で示したように酸化亜鉛のような塩基性金属化合物が存在しない場合、亜硫酸ガスが発生する。この亜硫酸ガスは、一部は擬ベーマイトで固定化されるが、その固定化能力を超えると、塩化水素と同様に除去剤を破過して環境汚染の原因となる。本発明のpH指示薬には、この酸性亜硫酸ガスを検知する役割を持たせることも可能である。その場合、異なる2種以上のpH指示薬を使用することにより、例えば、塩化水素を検知して変色するpH指示薬と、亜硫酸ガスを検知して変色するpH指示薬を異ならせることにより、それぞれのガスのカラム中での拡散する様子を観察することも可能である。

0071

本発明の1つの実施態様において、本発明は、容器とその容器に設けられた窓材および/またはカラーセンサーとを含むハロゲンガス除去装置であって、
前記容器は、気流入口および気流出口を有し、
前記容器中には、上記除去剤が充填されおり、
前記窓材および/またはカラーセンサーは、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出するために適合されている、
前記ハロゲンガス除去装置に関する。上記気流入口より、ハロゲンガス含有ガス(気流中のハロゲンガス)が導入される。

0072

また、本発明の別の実施態様において、本発明は、上記装置を用いて、除去剤のハロゲンガス流入端から、変色した部分の長さを測定することにより、ハロゲンガス除去剤の消費状態をモニターする方法に関する。具体的には、例えば、気流入口および気流出口を有する容器に充填された除去剤(層)にハロゲン含有ガスを流通させてハロゲンガスの除去を行うと、上記のように除去剤は消費されるにつれて変色し、その変色域は、除去剤ゾーン除去剤層)のハロゲンガス流入端(気流入口側の端)から始まって流出端(気流出口側の端)の方向に拡大していく。従って、上記のような窓材および/またはカラーセンサーを上記容器に配置し、それらを用いて、除去剤ゾーン(除去剤層)の変色域の大きさを測定することにより、あるいは便宜的に除去剤ゾーン(除去剤層)のハロゲンガス流入端と、変色/未変色の境界との間の長さを測定することにより、除去剤の変色状況を連続的に観察および/または検出し、除去剤の消費状態(すなわち、除去剤のハロゲン系ガス固定能力限界に対して、当該除去剤が当該ガスによりどの程度飽和されているか)をモニターすることができる。

0073

本発明はまた、ハロゲン含有ガスと上記除去剤とを接触させることを含む、ハロゲン含有ガスからハロゲンガスを除去する方法に関する。本発明のさらなる実施態様において、本発明はまた、ハロゲン含有ガスと上記除去剤とを接触させることを含む、ハロゲン含有ガスからハロゲンガスを除去する方法であって、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出することによって除去剤の消費状態をモニターしながらハロゲンガスを除去する、上記除去方法に関する。これらの実施態様において、好ましくは、上記装置を使用することができる。また、モニターのためには、上記のモニター方法を用いることもできる。上記接触は、例えば、0.01ppmv〜100vol%、好ましくは0.1ppmv〜10vol%、より好ましくは、1ppmv〜5vol%のハロゲンガスを含むハロゲン含有ガスに対して行うことができ;および/または200℃以下、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜90℃の温度、例えば室温で行うことができ;および/または1〜1000cm、例えば10cm〜200cmの除去剤充填層厚で行うことができ;および/または1〜2000h−1、例えば100〜1000h−1のハロゲン含有ガスの空間速度で行うことができる。

0074

さらに、本発明の1つの実施態様において、本発明は、除去剤のハロゲンガス流入端から、変色した部分の長さを測定することにより、ハロゲンガス除去剤の消費状態をモニターするための、上記装置の使用に関する。

0075

本発明のさらなる実施態様において、本発明は、下記条件下において、ハロゲンガスを含有するガスからハロゲンガスを除去するための、上記除去剤の使用、あるいは、下記条件下において、ハロゲン含有ガスからハロゲンガスを除去するための上記除去剤の使用であって、ハロゲンガス除去に伴う除去剤の変色を観察および/または検出することによって除去剤の消費状態をモニターしながらハロゲンガスが除去される上記使用に関する:
ハロゲンガス含有ガス中におけるハロゲンガス濃度:0.01ppmv〜100vol%;および/または
温度:200℃以下;および/または
除去剤充填層厚:1〜1000cm;および/または
ハロゲンガス含有ガスの空間速度:100〜1000h−1。

0076

以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例によって何ら限定されるものではない。

0077

以下の実施例、比較例で使用された除去剤の特性評価性能評価などは以下の方法によった。

0078

(1)試料反射率測定:日本分光株式会社製型式V−650に積分球ユニット(日本分光株式会社製 型式ISV−722)、標準白板(米国ラブスフェア社製スペクトロンTM)を用いて紫外可視拡散反射スペクトル測定を行った。その後、除去剤サンプルについて同様にして紫外可視拡散反射スペクトル測定を行った。得られた結果から、相対拡散反射率R∞は式(I)を用いて算出された。
R∞=R∞s/R∞0
R∞s:サンプルの拡散反射スペクトル
R∞0:標準白板の拡散反射スペクトル
・・・・・・式(I)
スペクトル強度は、次式(II)を用いて相対拡散反射率R∞からKubelka−Munk関数F(R∞)で表した。
F(R∞)=(1−R∞)2/2R∞ ・・・・・・式(II)

0079

(2)色調評価試験:除去剤20mlを内径2.23cmのジャケット付き透明ガラス製管反応器に充填し、マスフローコントローラを用いて塩素(Cl2)ガスを1.0vol%含有する乾燥窒素を空間速度(GHSV)500h−1で12時間以上流通させた後、ガス入口部のサンプルを5ml採取して、上述の試料反射率測定、色変化観察を行った。

0080

(3)除去剤のタップ密度測定:100gの除去剤を200mlメスシリンダーに入れ、100回タップした後の容積を読み取ることにより、タップ密度(g/ml)を調べた。使用した機器カンクロームインスツルメンツジャパン社製型式Autotapによった。

0081

(4)塩素除去能力評価:試験対象の除去剤20mlを内径2.23cmのジャケット付き透明ガラス製管状反応器に充填し、マスフローコントローラを用いて塩素(Cl2)ガスを1.0vol%含有する乾燥窒素を空間速度(GHSV)500h−1で流通させ、被処理ガス中に1ppmvの塩素ガスまたは塩化水素(HCl)ガス、亜硫酸ガスを検知するまで通ガス時間を調べた。温度の制御はジャケットへ一定温度の水を循環することによって行い、25℃または80℃とした。塩素ガスの検知にはガステック社製検知管品番8La)、塩化水素ガスの検知にはガステック社製検知管(品番14L)を使用し、10min〜15min毎に分析した。次式(III)を用いて処理剤の塩素除去能力(L/kg)を計算した。
塩素除去能力(L/kg)=空間速度(500h−1)×塩素濃度(1.0vol%)
×塩素ガス処理時間(h)÷タップ密度(g/ml)
・・・・・・式(III)

0082

(5)亜硫酸ガス検知;亜硫酸ガス(SO2)の検知にはガステック社製検知管(品番5La)を使用した。

0083

(6)除去剤の消費状態モニタリング;上記(2)もしくは(4)のテストの際に、ガラス製管状反応器を通して除去剤の色相時間変化を観察した。

0084

[実施例1]
除去剤サンプルの調製法は次の通りである。ブロモフェノールブルー粉末と擬ベーマイト粉末(比表面積340m2/g)とチオ硫酸ナトリウム5水和物粉末を、ブロモフェノールブルーが0.01重量%、擬ベーマイトが81.99重量%、チオ硫酸ナトリウム5水和物が18.00重量%となるように計量し、ライカイ機((株)石川工場製、型式18)を用いて水を添加しながら混合することにより混練ケーキを得た。プランジャー押出機を用いて混練ケーキを直径約2mm長さ約6mmの粒状成型体とした。得られた成型体を110℃に保持した電気乾燥機中で一晩乾燥し、その後、デシケーター中に入れ、1時間以上保持することで室温まで降温させ実施例1の除去剤サンプルを得た。得られたサンプルについて色調評価試験を行った。塩素処理前後で除去剤の色調は青色から黄色に変化した。

0085

[実施例2]
実施例1と同様の方法、条件によりブロモチモールブルーが0.01重量%、擬ベーマイトが81.99重量%、チオ硫酸ナトリウム5水和物が18.00重量%の実施例2の除去剤サンプルを調製した(タップ密度0.85g/ml)。得られたサンプルについて、25℃での塩素除去評価を行った。塩素ガス流入が始まると、徐々に入り口付近から変色が始まり、時間と共に変色域が増加する現象が観察された。塩素ガス通気150分後に亜硫酸ガスを最初に検知したのと同時に、変色域が出口に到達した。次いで、240分後に塩化水素ガスを検知した。最初のガス破過時間を除去剤能力と定義すると、その除去剤能力は14Lkg−1であった。また、調製で得られたサンプルについて色調評価試験を行った。色調評価試験前後で除去剤の色調は青色から赤色に変化した。評価後の色調が赤色になる理由として、ブロモチモールブルーが黄色に変化するpH6.0より更に低いpHになっている為だと考えられる。このことは、他の実施例に対しても当てはまり得る。

0086

[実施例3]
実施例1と同様の方法、条件によりフェノールフタレインが0.01重量%、擬ベーマイトが81.99重量%、チオ硫酸ナトリウム5水和物が18.00重量%の実施例3の除去剤サンプルを調製した。得られたサンプルについて、色調評価試験を行った。色調評価試験前後で除去剤の色調は赤色から白色に変化した。

0087

[実施例4]
除去剤サンプルの調製法は次の通りである。ブロモチモールブルー粉末と擬ベーマイト粉末とチオ硫酸ナトリウム5水和物粉末と酸化亜鉛粉末を、それぞれの重量組成が0.01%、59.99%、20.00%、20.00%となるように計量し、次いで実施例1と同様の方法により実施例4のサンプルを得た(タップ密度1.06g/ml)。得られたサンプルについて、25℃での塩素除去能力評価を行った。塩素ガス流入が始まると、徐々に入り口付近から変色が始まり、時間と共に変色域が増加する現象が観察された。塩素ガス通気400分後に亜硫酸ガスを最初に検知したのと同時に、変色域が出口に到達した。次いで、460分後に塩化水素ガスを検知した。最初のガス破過時間を除去剤能力と定義すると、その除去剤能力は30Lkg−1であった。塩素除去能力評価前後のサンプルについて、試料反射率測定を行った。その結果を図2に示した。評価前後の色調は、青色から赤色に変化した。

0088

[実施例5]
実施例4で調製した除去剤サンプルについて、80℃で色調評価試験を行った。色調評価試験前後で除去剤の色調は青色から赤色に変化した。

0089

[実施例6]
ブロモチモールブルー、擬ベーマイト、チオ硫酸ナトリウム5水和物、酸化亜鉛のそれぞれの重量組成が、0.30%、59.70%、20.00%、20.00%となるように計量した以外は、実施例4と同じ方法、条件により実施例6の除去剤サンプルを調製した。得られたサンプルについて、色調評価試験を行った。色調評価試験前後で除去剤の色調は青色から赤色に変化した。

0090

[比較例1]
比較例1のサンプルの調製法は次の通りである。擬ベーマイト粉末とチオ硫酸ナトリウム5水和物粉末を、それぞれの重量組成が82.00%、18.00%となるように計量した。pH指示薬を添加しない点をのぞき、実施例1と同様の方法により比較例1のサンプルを作成した。得られたサンプルについて、25℃での除去能力評価を行った。その結果、塩素ガス通気60分後に亜硫酸ガス、次いで240分後に塩化水素ガスを検知した。最初のガス破過時間を除去剤能力と定義すると、その除去剤能力は5Lkg−1であった。調製で得られたサンプルの色調評価試験を行った。色調評価試験前後で除去剤の色調は白色のままであり、試料反射率測定による通気前後のF(R∞)差は小さかった。

0091

[比較例2]
比較例2のサンプルの調製法は次の通りである。擬ベーマイト粉末とチオ硫酸ナトリウム5水和物粉末と酸化亜鉛粉末を、それぞれの重量組成が60.00%、20.00%、20.00%となるように計量した。pH指示薬を添加しない点をのぞき、実施例4と同様の方法により比較例2のサンプルを作成した。得られたサンプルについて、25℃での塩素除去能力評価を行った。その結果、塩素ガス通気420分後に亜硫酸ガス、次いで450分後に塩化水素ガスを検知した。最初のガス破過時間を除去剤能力と定義すると、その除去剤能力は34Lkg−1であった。塩素除去能力評価前後のサンプルについて、試料反射率測定を行った。その結果を図3に示すが、その色変化は極めて小さく、目視で観察することは難しかった。

0092

上記実施例、比較例サンプルの評価結果を表1に示した。

0093

実施例

0094

以上の結果を整理すると、以下のようになる。
1)実施例2より、擬ベーマイトとチオ硫酸ナトリウムとpH指示薬からなる除去剤を塩素ガス処理に用いた場合、最初に破過するガスは亜硫酸ガス、次いで塩化水素ガスであることがわかる。また、変色域の出口への到達とほぼ同時に、亜硫酸ガスを検知器が検知する。変色の理由としては、除去剤が中性〜弱アルカリ性であるため、亜硫酸ガス発生によりpHが酸性側にシフトし、変色するためと推定される。
2)実施例1(pH指示薬ブロモフェノールブルーの変色域はpH3.0〜4.6)、実施例2(pH指示薬ブロモチモールブルーの変色域はpH6.0〜7.6)、実施例3(pH指示薬フェノールフタレインの変色域はpH8.3〜10.0)の結果から、変色域が2〜9、好ましくは3〜8の範囲にあるpH指示薬が好適に使用される。
3)実施例2と実施例4を比較すると、酸化亜鉛添加により、亜硫酸ガス、塩化水素共に破過時間が長くなり、且つ塩化水素の遅れ時間が小さくなっている。
4)実施例4の変色反応には、亜硫酸または塩化水素、もしくは酸化亜鉛と塩化水素との反応生成物である塩化亜鉛が寄与していると理解される。
5)変色が出口に到達した時間を除去剤の寿命目安として、除去剤を交換する場合、酸化亜鉛を添加することで2.1倍程度塩素除去能力を高めている。更に、表1に示すように、酸化亜鉛添加により使用前の除去剤の色相が濃くなる為、塩素ガス処理に伴う変色量も非常に大きくなっており、作業者がモニタリングする際の視認性を高めている。
6)表1に示すように、実施例4に対してpH指示薬量を増やした実施例6は、617nmにおける塩素ガス通気前後でのF(R∞)の値、換言すればpH指示薬量増加により検出感度が約5.3倍となった。窓材を設置し目視で除去剤の消費状態をモニタリングする場合、非常に見やすくなり、また、カラーセンサーによる測定でもS/Nの高い信号が得られ、有利となる。
7)異なる温度25℃、80℃でそれぞれ色調評価試験を行った実施例4、実施例5において、塩素ガス通気前後でのF(R∞)の差はほぼ同じ値を示した。擬ベーマイト、チオ硫酸ナトリウム、酸化亜鉛が200℃以下での熱分解温度を有しないことを考えると、本発明の検知機能を有する塩素除去剤は100℃前後、もしくはそれ以上の温度で使用することも可能である。
8)従来の呈色機能のない除去剤を使用する場合、最初のガス破過を検知するには、塩化水素または塩素ガスを検知する検知器と、亜硫酸ガス用の検知器を兼用できないので、いずれのガスが最初に破過した場合でも検知できるようにするためには、二種類または三種類を設置する必要があった。本発明の除去剤は、いずれのガスが出口に到達した場合でも、それを色変化として認識することができ、安全性がより高まると共に、検知器を無くすことも可能であり、コスト節減、安全性向上の面でも好ましい。

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