図面 (/)

技術 複合金属材料、その製造方法、および複合金属材料を用いた電子装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 東平知丈池田靖國友謙一郎
出願日 2018年7月25日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-139530
公開日 2020年1月30日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2020-015948
状態 未査定
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし) 粉末冶金 半導体または固体装置の冷却等
主要キーワード 母材料 平均ビッカース硬度 高熱伝導層 Cuリッチ相 金型製品 フィン付きヒートシンク 接合結果 熱発生源
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年1月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

強度、熱伝導率熱膨張量を調整することができる複合金属材料およびその製造方法を提供する。

解決手段

複合金属材料は、Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料において、Feリッチ相はCuリッチ相の中に独立して分散している複合金属相を有する。 Cuリッチ相は、Cuの含有率が85wt%を超えるものであり、Feリッチ相は、Feの含有量が50wt%を超えるものである。

概要

背景

優れた熱伝導性を要求される分野として電子装置がある。例えば、電力変換に使用されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなパワー半導体がある。パワー半導体は高容量化高速化に伴って、半導体チップ発熱が上昇する傾向があるため、放熱構造が重要となる。放熱構造で公知の技術としては熱伝導率が高いCu(393W/m・k)をヒートシンクとして利用し、半導体チップとヒートシンクを接合する構造が一般的である。これら放熱構造では、半導体チップが接合される電子装置は、半導体チップの発熱に伴い、各部材熱膨張差に起因する熱応力により、半導体チップや接合部が破壊する懸念を有している。また、電子装置のみならず、工業用途で使用される金型に関しては、金型の強度を維持しつつ、熱伝導率の高い部材を使用することができれば、高冷却化に伴い、金型製品の短タクト化に大きく貢献することが可能である。従って、新規の特性を発現できる複合金属材料は電子装置以外にも広い技術分野でその効果を発揮する可能性を有している。

電子部品で発生する熱を、外部に放熱するための熱伝導性に優れた複合金属材料の背景技術として例えば特許文献1がある。この特許文献1には、Cuマトリックスと30質量%を越え80質量%以下のCrを含有するCr-Cu合金板とCu板とを接合したのち、圧延を施して、Cr-Cu合金とCuとの積層体とすることが記載されている。

概要

強度、熱伝導率、熱膨張量を調整することができる複合金属材料およびその製造方法を提供する。 複合金属材料は、Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料において、Feリッチ相はCuリッチ相の中に独立して分散している複合金属相を有する。 Cuリッチ相は、Cuの含有率が85wt%を超えるものであり、Feリッチ相は、Feの含有量が50wt%を超えるものである。

目的

本発明の目的は、複合金属中の金属組織を調整させることで優れた複合効果を有する複合金属材料とその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料において、前記Feリッチ相は前記Cuリッチ相の中に独立して分散している複合金属相を有すること、を特徴とする複合金属材料。

請求項2

請求項1に記載の複合金属材料において、前記Cuリッチ相は、Cuの含有率が85wt%を超えるものであり、前記Feリッチ相は、Feの含有量が50wt%を超えるものであること、を特徴とする複合金属材料。

請求項3

請求項1記載の複合金属材料において、前記Cuリッチ相は、Fe、Cr、Ni、Coからなる少なくとも1種類の元素が、15wt%以下含まれていること、を特徴とする複合金属材料。

請求項4

請求項2記載の複合金属材料において、前記複合金属相と接合面を介して、金属的に接合されるCuの含有量が98wt%以上のCu相を有すること、を特徴とする複合金属材料。

請求項5

請求項4記載の複合金属材料において、前記複合金属相は少なくとも2層以上からなる複合金属相を有しており、所定割合のFeリッチ相を含む複合金属相からなる第一層、前記第一層よりFeリッチ相が多い複合金属相からなる第二層を有し、前記第一層の一方は前記Cu相と金属的に接合され、前記第一層の他方は前記第二層と金属的に接合されていること、を特徴とする複合金属材料。

請求項6

請求項4記載の複合金属材料において、前記複合金属相は少なくとも3層以上からなる複合金属相を有しており、所定割合のFeリッチ相を含む複合金属相からなる第一層、前記第一層よりFeリッチ相が多い複合金属相からなる第二層、前記第二層よりFeリッチ相の割合が多く、Feリッチ層の中にCuリッチ相の一部が柱状に分散した複合金属相からなる第三層を有しており、前記第一層の一方は前記Cu相と金属的に接合され、前記第一層の他方は前記第二層と金属的に接合され、前記第二層の他方は前記第三層に金属的に接合されていること、を特徴とする複合金属材料。

請求項7

請求項2に記載の複合金属材料において、前記複合金属相は少なくとも2層以上からなる複合金属相を有しており、所定割合のFeリッチ相を含む複合金属相からなる第一層、前記第一層よりFeリッチ相が多い複合金属相からなる第二層を有し、前記第一層の一方は前記Cu相と金属的に接合され、前記第一層の他方は前記第二層と金属的に接合され、前記2層以上の複合金属相にフィン形状の溝を有すること、を特徴とする複合金属材料。

請求項8

Feリッチ相はCuリッチ相中に独立して分散している複合金属相を有する複合金属材料と、前記複合金属材料に搭載される半導体素子とを有すること、を特徴とする電子装置

請求項9

Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料の製造方法において、所定割合のCu粉末Fe系合金粉末を供給しながらレーザー照射して複合金属相を形成すること、を特徴とする複合金属材料の製造方法。

請求項10

請求項9に記載の複合金属材料の製造方法において、前記所定割合の複合金属相を第一層とし、前記第一層より、Fe系合金粉末の含有割合を多くした混合粉末を供給しながらレーザー照射して第二層の複合金属相を形成すること、を特徴とする複合金属材料の製造方法。

請求項11

請求項10に記載の複合金属材料の製造方法において、前記第二層より、Fe系合金粉末の含有割合を多くした混合粉末を供給しながらレーザー照射して第三層の複合金属相を形成すること、を特徴とする複合金属材料の製造方法。

請求項12

請求項9に記載の複合金属材料の製造方法において、前記レーザー照射のレーザー出力は、800〜2000Wであること、を特徴とする複合金属材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、新規複合金属材料に関する技術である。

背景技術

0002

優れた熱伝導性を要求される分野として電子装置がある。例えば、電力変換に使用されるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなパワー半導体がある。パワー半導体は高容量化高速化に伴って、半導体チップ発熱が上昇する傾向があるため、放熱構造が重要となる。放熱構造で公知の技術としては熱伝導率が高いCu(393W/m・k)をヒートシンクとして利用し、半導体チップとヒートシンクを接合する構造が一般的である。これら放熱構造では、半導体チップが接合される電子装置は、半導体チップの発熱に伴い、各部材熱膨張差に起因する熱応力により、半導体チップや接合部が破壊する懸念を有している。また、電子装置のみならず、工業用途で使用される金型に関しては、金型の強度を維持しつつ、熱伝導率の高い部材を使用することができれば、高冷却化に伴い、金型製品の短タクト化に大きく貢献することが可能である。従って、新規の特性を発現できる複合金属材料は電子装置以外にも広い技術分野でその効果を発揮する可能性を有している。

0003

電子部品で発生する熱を、外部に放熱するための熱伝導性に優れた複合金属材料の背景技術として例えば特許文献1がある。この特許文献1には、Cuマトリックスと30質量%を越え80質量%以下のCrを含有するCr-Cu合金板とCu板とを接合したのち、圧延を施して、Cr-Cu合金とCuとの積層体とすることが記載されている。

先行技術

0004

特開2001−196513号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1には、高熱伝導とCuに対してCr-Cuからなる合金を積層させることで、熱膨張率の調整と高熱伝導化を実現させている。しかしながら、特許文献1の場合、圧延による積層構造であるため、圧延時にCr-Cu合金中のCrおよびCuの金属組織が圧延方向に伸びることで、異方性を有する特異的な金属組織となる。すなわち、特許文献1の場合はCuよりも熱伝導率が低いCrの金属組織が鉛直方向に対して扁平状に形成されることで、熱伝導率が阻害されてしまう。また、引用文献1に記載の合金を金型等に使用する場合は、強度を確保できることが重要であり、異方性を有する不均一な強度は信頼性の低下につながる。

0006

そこで、本発明の目的は、複合金属中の金属組織を調整させることで優れた複合効果を有する複合金属材料とその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、上記の課題を解決するための複合金属材料の一例を挙げるならば、Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料において、Feリッチ相はCuリッチ相の中に独立して分散している複合金属相を有する。

0008

また、本発明の電子装置の一例を挙げるならば、Feリッチ相はCuリッチ相中に独立して分散している複合金属相を有する複合金属材料と、複合金属材料に搭載される半導体素子とを有する。

0009

また、複合金属材料の製造方法の一例を挙げるならば、Cuリッチ相と、Feリッチ相とを有する複合金属材料の製造方法において、所定割合Cu粉末Fe系合金粉末を供給しながらレーザー照射して複合金属相を形成する。

発明の効果

0010

本発明によれば、複合金属中の金属組織を調整させることで優れた複合効果を発現させることができる。優れた複合効果の一例として、熱伝導性に優れ、所定の強度を有する複合金属材料を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

複合金属相からなる第一層の金属組織の高倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第一層の金属組織の低倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第二層の金属組織の高倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第二層の金属組織の低倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第三層の金属組織の高倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第三層の金属組織の低倍率観察の写真である。
複合金属相からなる第一層とCuの接合界面の断面観察写真である。
複合金属相からなる第一層と第二層の接合界面の断面観察写真である。
複合金属相からなる第二層と第三層の接合界面の断面観察写真である。
複合金属相からなる第一層を形成する製造プロセスを示した図である。
レーザー出力で積層した場合の接合結果を示した図である。
複合金属相のビッカース硬度を測定した結果を示した図である。
複合金属相からなる第一層を形成する他の製造プロセスを示した図である。
複合金属相からなる第一層を形成する他の製造プロセスを示した図である。
複合金属相からなる第一層および第二層を形成する複合金属材料の製造プロセスを示した図である。
レーザー出力で積層した場合の接合結果を示した図である。
複合金属相のビッカース硬度を測定した結果を示した図である。
複合金属相からなる第一層および第二層および第三層を形成する製造プロセスを示した図である。
レーザー出力で積層した場合の接合結果を示した図である。
複合金属相のビッカース硬度を測定した結果を示した図である。
複合金属材料をフィン形状に加工する場合の説明図である。
複合金属材料を利用した電子装置の模式図である。

0012

以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。各図において、同一の構成には同一の符号を付す。

0013

本発明では、熱伝導率の高いCu(銅)と高強度および熱膨張率が低いFe(鉄)系合金において、お互いの金属組織を均一に分散させた新規の金属(複合金属材料)を提供する。例えば鋳物等の通常の合金作製の場合、CuとFeの合金は作製が困難とされている。

0014

状態図から明白な通り、CuとFeは2相分離をする系のため、CuとFeを溶融させた状態で混合しても、凝固時はお互いが混ざりあわずにCu相Fe相が分離する組織形態となるためである。これは鋳物等では溶融から凝固までの時間が長いために生じる現象である。そのため、CuとFeの溶融時に十分攪拌した状態で瞬時に凝固を達成できれば、マクロな点での2相分離を生じずに均一に分散される形でCuとFeの複合金属組織を形成できる。

0015

異種の金属粉末供給量を意図的に制御し、供給金属粉末をレーザー光で溶融させて造形物を作製する方法としてLMD(Laser Metal Deposition)法がある。この方法は3次元金属積層造形法として知られている。複数種の金属粉末を同時に溶融が可能であり、レーザー光で粉末供給部のみを溶融させる方式のため、金属材料の溶融と凝固が瞬時に発生する。

0016

本技術は、LMD法による瞬時の溶融と凝固を利用することで、新規の複合金属を作製する。また、異種の金属粉末の供給量を制御することが可能なため、特徴の異なる層の積み上げも可能である。

0017

図1は、複合金属相からなる第一層の金属組織の高倍率観察の写真である。複合金属相はCuリッチ相121とFeリッチ相122で構成され、Feリッチ相122がCuリッチ相121中に球状に分散する形で形成されている。

0018

図2は、複合金属相からなる第一層の金属組織の低倍率観察の写真である。種々の粒径を有するFeリッチ相122が存在しているが、図1と同様にCuリッチ相121中にFeリッチ相122が球状に分散する形で形成されていることがわかる。Cuリッチ相121中にFeリッチ相122が独立して分散することで、異方性の少ない均質な金属組織を有することが可能となる。

0019

また、Feリッチ相122がCuリッチ相121マトリックス中に分散することで分散強化型の合金特性を発現することが可能であり、Cuマトリックス合金の強度を向上させることが可能である。加えてFeリッチ相122はFeをベースとしてNi、Cr、Co等を含有したFe系合金SUS材)であり、Cuよりも熱膨張率が低い相を形成することも可能である。つまり、Cuの熱膨張率(16.7ppm/℃)よりも低いFeリッチ相122がCuリッチ相121マトリックス中に分散することでCuよりも熱膨張率を低くすることが可能である。

0020

本技術は、LMD方式によってCuとFe系合金が同時に溶融凝固するため、Cu中にもFe系合金の成分が固溶する。Cu中にFe系合金の成分が固溶した相を総称してCuリッチ相と呼び、Cuリッチ相はCuの含有率が85wt%以上含まれる相となる。Fe系合金の中で代表的な合金としてFe、CrまたはFe、Cr、Niを主成分として構成するSUS材が挙げられる。図1中のCuリッチ相121はCuの含有率が93.4wt%以上であり、図3中のCuリッチ相131はCuの含有率が90.3wt%であり、図5中のCuリッチ相141はCuの含有率が87.2wt%である。分析値バラつきを考慮した上で、Cuリッチ相は、Cuの含有率が実質85wt%を超えるものをいう。本発明者は、Cu中に他元素が固溶することで純Cuとは異なる物理特性を得るが、Cuの含有率が上記の85wt%以上であれば、後述する実施例のように十分な複合効果を発揮することを確認した。

0021

また、Feリッチ相はFe系合金においてFeを主成分とする、すなわちFeの含有量が50wt%を超えていればよい。

0022

なお、積層時の粉末供給は自由に選択することが可能であるが、図1図2の積層時の粉末供給はCu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%である。

0023

図3図4は、CuとFe系合金の粉末供給量を変化させた場合の金属組織の観察結果の写真である。図1図2よりもFe系合金の粉末量の割合を多くしたことで、Cuリッチ相131中に独立に分散するFeリッチ相132の比率を多くしている。なお、図3図4の粉末供給量はCu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%で行なっている。

0024

図5図6は、Cu粉末25wt%、Fe系合金粉末75wt%とした時の複合金属合金組織観察をした結果である。Fe系合金粉末量の割合を多くしたことで、Feリッチ相142中にCuリッチ相141が分散する形となっている。また分散形状としては、Cuリッチ相141の一部が球状となり、Cuリッチ相141の一部が積層方向(図面の縦方向垂直方向)に対して柱状にCuリッチ相141が形成されており、異方性を発現していることがわかる。等方性組織の方が好ましいが、均一分散している場合はかならずしも等方性の組織を有さなくてもよい。

0025

図5図6の場合は、Cuリッチ相141が配向しているため、積層方向(垂直方向)の熱伝導率が通常のFe系合金よりも上昇する。すなわち、半導体チップを冷却する際のヒートシンクを想定した場合、垂直方向に有利な異方性組織を有しているため、複合金属合金の効果を発揮することが可能である。

0026

図7は、純Cu11上にCu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比で積層した場合の接合界面を示している。

0027

図8は、Cu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比で積層した複合金属相12上に、粉末供給量をCu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%の複合金属相13を積層した場合の接合界面を示している。

0028

図9は、Cu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%の混合比で積層した複合金属相13上に、粉末供給量をCu粉末25wt%、Fe系合金粉末75wt%の複合金属相14を積層した場合の接合界面を示している。図7から図9に示したいずれの場合も、リッチ相が独立する形で球状または柱状に分散しており、単純な直線の接合面ではなく複雑な接合面で各層が金属的に接合されることを示している。このように複合金属相を層形成毎に傾斜させることで半導体チップのような熱膨張率の大きく異なる部材を接合する際に熱応力の影響を緩和させる構造にすることも可能である。以上の例では意図的にCu粉末、Fe系合金粉末の含有量を異ならせた、Cu粉末の含有量を徐々に減少させた(傾斜させた)順に形成させたが、例えば純Cu11上にCu粉末25wt%、Fe系合金粉末75wt%の混合比で複合金属相を形成することが可能なことは言うまでもない。

0029

LMD方式の場合、レーザーの出力を変化させることで、積層物形成状態が変化する欠陥の少ない良好な金属接合を達成するためにレーザーの出力が800〜2000Wが望ましい。レーザーの出力が800W以下の場合は未溶融部が発生し、積層物内にボイドが発生する。レーザーの出力が2000W以上の場合は積層時に溶融範囲が広がることで、急速冷却が困難となり、均一な複合金属組織を得がたくなる。

0030

図10は、実施例1におけるCuリッチ相121およびFeリッチ相122からなる複合金属相である第一層12を形成する製造プロセスフローを示している。(a)まずFe系母材10をLMD装置内に積置する。(b)その後、Fe系母材10上にCu粉末を供給しながらレーザー照射することでCu相11(理想的には、Cu粉末100wt%であるが、多少の不純物を含む場合もあり、Cuの含有率が98wt%以上である)を形成する。(c)次に、所定割合のCu粉末とFe系合金粉末の含有率、例えば、Cu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比でCu相11上に粉末(Cu粉末とFe系合金粉末の混合粉末)を供給しながらレーザー照射することで複合金属相12を形成する。Cu相11と複合金属相は、図7図9で示した複雑な接合面で金属的に接合されている。(d)積層後、機械的にFe系母材料10を切断することで、高熱伝導率を有するCu相11と複合金属相12の積層体を得る。

0031

図11は、各レーザー出力で積層した場合の接合結果を示している。レーザー出力が800W未満の場合は、出力不足に伴う粉末の未溶融が発生し、相内にボイドの発生に加えて、Cu相11と複合金属相12の界面が接合できなかった。レーザー出力が800W以上になるとCu粉末およびFe系合金粉末が溶融し、強固な接合を達成することができた。なお、図1図2図7は、レーザー出力が2000Wで積層した場合の組織観察結果である。

0032

図12は、図10に示したCu相11および複合金属相12(Cuリッチ相121とFeリッチ相122を含有)に対してビッカース硬度を測定した結果を示している。Cu相11の平均ビッカース硬度は109、複合金属相12の平均ビッカース硬度は145である。複合金属相12の方が、Feリッチ相の分散によって強度が上昇していることを確認できる。なお、ビッカース圧子対角長は20μmより大きく、Cuリッチ相121およびFeリッチ相122両方を含む箇所での測定となっている。

0033

尚、実施例1では、Fe系母材10上にCu粉末を供給しながらレーザー照射することでCu相11を形成し、さらにCu相11上に複合金属相12を形成している。その後、高熱伝導層として、Cu相11と複合金属相12を残す形でFe系母材10を切断している。

0034

図13および図14に示すように、必ずしもCu相11と複合金属相12を残さずともよい。すなわち、製造プロセスとして、Fe系母材10上に直接複合金属相12を形成し、その後、Fe系母材10を切断する(図14)、またはCu相11上に直接複合金属相12を形成し、その後Cu相11を切断することで、単独の複合金属相12を得られる(図13)ことは言うまでもない。

0035

図15は、実施例2における複合金属相からなる第一層および第二層を形成する複合金属材料の製造プロセスを示している。

0036

(a)まずFe系母材10をLMD装置内に積置する。(b)その後、Fe系母材10上にCu粉末を供給しながらレーザー照射することでCu相11(理想的には、Cu粉末100wt%であるが、多少の不純物を含む場合もあり、Cuの含有率が98wt%以上である)を形成する。

0037

(c)次に、所定割合のCu粉末とFe系合金粉末の含有率、例えば、Cu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比でCu相11上に粉末(Cu粉末とFe系合金粉末の混合粉末)を供給しながらレーザー照射することで複合金属相12を形成する。Cu相11と複合金属相は、図7図9で示した複雑な接合面で金属的に接合されている。(d)更にCu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%の混合比で複合金属相12上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相13を形成する。(e)積層後、機械的にFe系母材料10を切断することで、高熱伝導率を有するCu相11と複合金属相12および複合金属相13の積層体を得る。

0038

図16は、各レーザー出力で積層した場合の接合結果を示している。レーザー出力が800W未満の場合は出力不足に伴う粉末の未溶融が発生し、相内にボイドの発生に加えて、Cu相11と複合金属相12の界面が接合できなかった。レーザー出力が800W以上になるとCu粉末およびFe系合金粉末が溶融し、強固な接合を達成することができた。すなわち、実施例1と同様の条件で積層することが可能である。なお、図3図4図8は実施例2の複合金属相13を2000Wで積層した場合の組織観察結果である。

0039

図17は、図15に示した方法で製造された複数の複合金属相を有する複合金属材料の複合金属相13(Cuリッチ相131とFeリッチ相132を含有)に対してビッカース硬度を測定した結果を示している。複合金属相13のビッカース硬度の平均は160であり、複合金属相12よりも強度が上昇していることを確認できる。なお、ビッカースの圧子の対角長は20μmより大きく、Cuリッチ相121およびFeリッチ相122両方を含む箇所での測定となっている。

0040

図18は、第一層から第三層の3つの複合金属相を形成する実施例3の製造プロセスを示している。

0041

(a)まずFe系母材10をLMD装置内に積置する。(b)その後、Fe系母材10上にCu粉末を供給しながらレーザー照射することでCu相11(理想的には、Cu粉末100wt%であるが、多少の不純物を含む場合もあり、Cuの含有率が98wt%以上である)を形成する。(c)次に、所定割合のCu粉末とFe系合金粉末の含有率、例えば、Cu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比でCu相11上に粉末(Cu粉末とFe系合金粉末の混合粉末)を供給しながらレーザー照射することで複合金属相12を形成する。Cu相11と複合金属相は、図7図9で示した複雑な接合面で金属的に接合されている。(d)更にCu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%の混合比で複合金属相12上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相13を形成する。(e)更にCu粉末25wt%、Fe系合金粉末75wt%の混合比で複合金属相13上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相14を形成する。積層後、機械的にFe系母材料10を切断することで、高熱伝導率を有するCu相11と複合金属相12および複合金属相13および複合金属相14からなる積層体を得る(図示せず)。Cu相11、複合金属相12及び複合金属相13の接合は、図7図9で示した複雑な接合面で金属的に接合されている。

0042

図19は、各レーザー出力で積層した場合の接合結果を示している。レーザー出力が800W未満の場合は出力不足に伴う粉末の未溶融が発生し、層内にボイドの発生に加えて、Cu相11と複合金属相12の界面が接合できなかった。レーザー出力が800W以上になるとCu粉末およびFe系合金粉末が溶融し、強固な接合を達成することができた。すなわち、実施例1および実施例2と同様の条件で積層することが可能である。なお、図5図6図9は実施例3の複合金属相14を2000Wで積層した場合の組織観察結果である。

0043

図20は、図18に示した方法で製造された複数の複合金属相を有する複合金属材料の複合金属相14(Cuリッチ相141とFeリッチ相142を含有)に対してビッカース硬度を測定した結果を示している。複合金属相14のビッカース硬度は平均で220であり、複合金属相12および複合金属相13よりも強度が上昇していることを確認できた。また、Fe系合金相のビッカース硬度の平均値は257であり、ビッカース硬度が傾斜して変化しているため、組成傾斜の効果を発揮している。なお、ビッカースの圧子の対角長は20μmより大きく、Cuリッチ相121およびFeリッチ相122両方を含む箇所での測定となっている。

0044

実施例1、実施例2、実施例3からわかるように本技術によれば、CuとFe系合金の分散混合が可能で、複合効果を有していることがわかる。つまり、Cu粉末とFe粉末の混合比を変更することで、所定の強度を有する複合金属材料を製造することができる。また、Cu粉末とFe粉末の混合比を変更することで、製造された複合金属材料は、Cuリッチ相中にFeリッチ相を、或いは、Feリッチ相中にCuリッチ相独立して分散させることで、所望の熱伝導率を有する複合金属材料を得ることができる。

0045

実施例2よび実施例3ではCuの割合を徐々に増やす形で複合金属相を積層している。熱応力の緩和等を目的とする場合は、Cuの割合を徐々に増やす混合比(傾斜組成)とすることで、接合界面の熱応力の影響を低減させることが可能である。

0046

また、必ずしも実施例3のように傾斜組成とせずともよく、用途に応じて、自由に複合金属相の積層構成選定できることはいうまでもない。切削等の加工の工程が入る場合は、Cuリッチ相およびFeリッチ相の含有率に伴い、加工性が変化する。従って、適宜複合金属相の積層構成を選定することで加工性を考慮した積層構成をとることが可能である。

0047

例えば、実施例3にみられるCu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比でCu相11上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相12を形成した後、Cu粉末25wt%、Fe系合金粉末75wt%の混合比で複合金属相12上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相14を積層し、更にCu粉末50wt%、Fe系合金粉末50wt%の混合比で複合金属相14上に粉末を供給しながらレーザー照射することで複合金属相13を形成してもよい。

0048

これらの新規複合金属材料を利用して、半導体チップのヒートシンクや金型に利用することができる。図21は、実施例1から3によって得られる複合金属材料をフィン形状に加工する場合の説明図を示している。

0049

図21は、図10に示した方法で、複合金属材料を作製後、機械的に溝加工することで高熱伝導部のCu相11をフィン形状に加工する工程を示している。図21の(a)〜(c)は、図10の(a)〜(c)と同様で、(a)まずFe系母材10をLMD装置内に積置する。そして、(b)Fe系母材10上にCu粉末を供給しながらレーザー照射することでCu相11(理想的には、Cu粉末100wt%であるが、多少の不純物を含む場合もあり、Cuの含有率が98wt%以上である)を形成する。次に、(c)次に、所定割合のCu粉末とFe系合金粉末の含有率、例えば、Cu粉末75wt%、Fe系合金粉末25wt%の混合比でCu相11上に粉末(Cu粉末とFe系合金粉末の混合粉末)を供給しながらレーザー照射することで複合金属相12を形成する。Cu相11と複合金属相は、図7図9で示した複雑な接合面で金属的に接合されている。次に、(d)機械加工によって、フィン付きヒートシンクを形成する。最後に、(e)機械的にFe系母材料10を切断することで、フィン付きヒートシンクの高熱伝導率を有するCu相11と複合金属相12の積層体を得る。図21の製造プロセスは、図10に示したプロセスの他、図13図15図18に示したプロセスに対しても同様に適応できる。

0050

図22は、半導体素子21に、複合金属相11、12、13を有する複合金属材料から作製したフィン付ヒートシンク1を接合した電子装置の模式図を示している。半導体素子21は、絶縁材24と接合剤23を介して、複合金属材料に搭載される。

0051

実施例1から4による複合金属材料によれば、熱伝導率の高いCuの割合を層毎に減らすことで、電子部品の熱応力による破損を防止することできる。

0052

また、実施例1から4による複合金属材料は、Cuリッチ相を独立に分散した状態で構成できるので熱伝導率がよく、熱発生源となる半導体チップ21のような電子部品の熱を効率よく放熱することができる。

0053

さらに、Feリッチ相の比率を制御することで、所望の強度を確保することできる。

0054

尚、必ずしもフィン形状とせずとも図18に示すようにCu相11および複合金属相12をプレート状で接合する場合でも優れた効果を発揮することが可能である。

0055

実施例1から4の複合金属材料は、Cuリッチ相とFeリッチ相とが、独立して分散することで、異方性の少ない均質な金属組成とすることができるので、電子装置のみならず、工業用途で使用される金型に関しては、金型の強度を維持しつつ、熱伝導率の高い部材としても応用できる。

実施例

0056

以上の通り、実施の形態に記載された複合金属材料は、熱伝導性と強度を調整可能な、優れた複合効果を有するため、その適応範囲は、電子装置、金型に限らず、熱伝導性と強度を両立したい種々の製品に適応可能である。

0057

1:フィン付ヒートシンク、10:Fe系合金母材、11:Cu材、12〜13:複合金属相、21:半導体チップ、121:Cuリッチ相、122:Feリッチ相、131:Cuリッチ相、132:Feリッチ相、141:Cuリッチ相、142:Feリッチ相

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ