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図面 (17)

課題

本開示は、ミトコンドリア薬剤輸送するように構成されたナノ粒子、ならびに診断的および治療的使用を含む、その使用方法を提供すること。

解決手段

ナノ粒子は、コア、コアのまわりの親水性層、および1つまたは複数のミトコンドリア標的化部分を含み、場合によっては、1つまたは複数の造影剤または1つまたは複数の治療薬を含みうる。有効なミトコンドリア標的化のために、ナノ粒子は、約200nm以下の直径または約0mV以上のゼータ電位を有する。

概要

背景

政府支援に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health of the United States government)からの助成金第P30GM092378号の下で、政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。

関連出願
本出願は、2012年2月17日に出願された米国仮特許出願第61/600,088号明細書に対する優先権の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、本開示と矛盾しない範囲で、その内容全体が本明細書に組み込まれる。

ミトコンドリア機能障害は、癌、神経変性および神経筋疾患肥満症および糖尿病を含む、種々の障害関与する可能性がある。そのような疾患の治療における主要な1つの課題は、有効な薬物の開発ではなく、むしろミトコンドリアへの薬物の分布である。毒性を回避しながら薬物をミトコンドリアに十分な量送達する能力が、依然として課題となっている。

概要

本開示は、ミトコンドリアに薬剤輸送するように構成されたナノ粒子、ならびに診断的および治療的使用を含む、その使用方法を提供すること。ナノ粒子は、コア、コアのまわりの親水性層、および1つまたは複数のミトコンドリア標的化部分を含み、場合によっては、1つまたは複数の造影剤または1つまたは複数の治療薬を含みうる。有効なミトコンドリア標的化のために、ナノ粒子は、約200nm以下の直径または約0mV以上のゼータ電位を有する。

目的

当然、ミトコンドリア標的化部分は、荷電部分の任意の適切な量またはパーセントを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ナノ粒子であって、疎水性ナノ粒子コアと、前記コアを包囲する親水性層と、ミトコンドリア標的化部分とを含み、前記ナノ粒子が、約200ナノメートル以下の直径および約0mV以上のゼータ電位を有する、ナノ粒子。

請求項2

前記ナノ粒子の直径が、約10ナノメートル〜約250ナノメートルである、請求項1に記載のナノ粒子。

請求項3

前記ナノ粒子の直径が、約80ナノメートル〜約100ナノメートルである、請求項1に記載のナノ粒子。

請求項4

前記ナノ粒子のゼータ電位が、約1mV以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項5

前記ナノ粒子のゼータ電位が、約7mV以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項6

前記ナノ粒子のゼータ電位が、約20mV以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項7

前記ナノ粒子のゼータ電位が、約25mV以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項8

前記ミトコンドリア標的化部分が、トリフェニルホスホニウムTPP)部分、Szeto−Shillerペプチド、およびローダミンカチオンからなる群から選択される部分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項9

前記ミトコンドリア標的化部分が、トリフェニルホスホニウム(TPP)部分またはその誘導体を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項10

前記ミトコンドリア標的化部分が、親水性ポリマー部分を介してコアに結合している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項11

前記親水性ポリマー部分がPEGを含む、請求項10に記載のナノ粒子。

請求項12

前記親水性ポリマー部分が、前記コアの少なくとも一部を形成する疎水性ポリマー部分に結合している、請求項10または11に記載のナノ粒子。

請求項13

前記親水性層が、コアに結合した親水性ポリマー部分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項14

前記親水性ポリマー部分が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項13に記載のナノ粒子。

請求項15

親水性ポリマー部分が、前記コアの少なくとも一部を形成する疎水性ポリマー部分を介してコアに結合している、請求項13または14に記載のナノ粒子。

請求項16

前記コアの少なくとも一部を形成する前記疎水性ポリマーが、ポリ乳酸PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸PGA)、およびポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)を含むポリマーから選択される、請求項15に記載のナノ粒子。

請求項17

前記コアの少なくとも一部を形成する前記疎水性ポリマーが、ポリ乳酸−co−グリコール酸(PLGA)を含む、請求項15に記載のナノ粒子。

請求項18

造影剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項19

前記造影剤が、量子ドット酸化鉄、およびそれらの組合せから選択される、請求項18に記載のナノ粒子。

請求項20

前記造影剤が、前記コア中に埋め込まれているか、または前記コア内に含有されている、請求項18または19に記載のナノ粒子。

請求項21

前記造影剤が、前記コアに結合している親水性ポリマー部分に結合している、請求項18または19に記載のナノ粒子。

請求項22

前記ナノ粒子が治療薬をさらに含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載のナノ粒子。

請求項23

前記治療薬が、抗癌剤ミトコンドリア脱共役剤、およびアミロイドベータを低減するように構成された薬剤からなる群から選択される、請求項22に記載のナノ粒子。

請求項24

前記治療薬が、2,4−DNP、LND、α−TOS、およびクルクミンからなる群から選択される、請求項22に記載のナノ粒子。

請求項25

請求項22〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子を必要とする患者治療するための、該ナノ粒子の使用。

請求項26

請求項22〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子を必要とする患者を治療するための薬剤の製造における、該ナノ粒子の使用。

請求項27

請求項1〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子を被験体投与することを含む、方法。

請求項28

ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患のリスクがあるか、またはそれに罹患している患者を治療するための方法であって、請求項22〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子を投与することを含む、方法。

請求項29

前記疾患が、神経変性虚血傷害、脳卒中、肥満症、および癌からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記疾患が神経変性であり、前記治療薬がアミロイドベータの量を低減するように構成された薬剤である、請求項28に記載の方法。

請求項31

前記治療薬がクルクミンである、請求項30に記載の方法。

請求項32

前記疾患が肥満症であり、前記治療薬がミトコンドリア脱共役剤である、請求項28に記載の方法。

請求項33

前記治療薬が2,4−DNPである、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記疾患が癌であり、前記治療薬が抗癌剤である、請求項28に記載の方法。

請求項35

前記治療薬がLNDまたはα−TOSから選択される、請求項34に記載の方法。

請求項36

ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患を罹患しているか、またはそのリスクがある患者を治療するための、請求項22〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。

請求項37

ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患を罹患しているか、またはそのリスクがある患者を治療するための薬剤の製造における、請求項22〜24のいずれか一項に記載のナノ粒子の使用。

請求項38

前記疾患が、神経変性、肥満症、虚血傷害、脳卒中、および癌からなる群から選択される、請求項36または37に記載の使用。

請求項39

前記疾患が神経変性であり、前記治療薬がアミロイドベータの量を低減するように構成された薬剤である、請求項38に記載の方法。

請求項40

前記治療薬がクルクミンである、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記疾患が肥満症であり、前記治療薬がミトコンドリア脱共役剤である、請求項38に記載の方法。

請求項42

前記治療薬が2,4−DNPである、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記疾患が癌であり、前記治療薬が抗ガン剤である、請求項38に記載の方法。

請求項44

前記治療薬がLNDおよびα−TOSから選択される、請求項34に記載の方法。

技術分野

0001

分野
本開示は、ミトコンドリア薬剤輸送するように構成されたナノ粒子、ならびに診断的および治療的使用を含む、その使用方法に関する。

背景技術

0002

政府支援に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health of the United States government)からの助成金第P30GM092378号の下で、政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。

0003

関連出願
本出願は、2012年2月17日に出願された米国仮特許出願第61/600,088号明細書に対する優先権の利益を主張するものであり、この仮特許出願は、本開示と矛盾しない範囲で、その内容全体が本明細書に組み込まれる。

0004

ミトコンドリアの機能障害は、癌、神経変性および神経筋疾患肥満症および糖尿病を含む、種々の障害関与する可能性がある。そのような疾患の治療における主要な1つの課題は、有効な薬物の開発ではなく、むしろミトコンドリアへの薬物の分布である。毒性を回避しながら薬物をミトコンドリアに十分な量送達する能力が、依然として課題となっている。

0005

概要
本開示は、とりわけ、ミトコンドリアに薬剤を輸送するように構成されたナノ粒子について記載する。細胞質または細胞の他の細胞小器官とは対照的に、ミトコンドリアに薬剤を輸送することにより、ミトコンドリア中の薬剤の相対濃度が増大して、他の部位における効果が低下する一方、ミトコンドリアに対する薬剤の効果が増強する可能性がある。したがって、副作用または毒性が低下する一方、効果が増強する可能性がある。ミトコンドリアに送達される薬剤は、治療薬診断薬等であってもよい。

0006

本明細書に記載するように、ナノ粒子のサイズおよび表面電荷密度は、ナノ粒子がミトコンドリアに標的化する能力に影響を及ぼす。例えば、約200ナノメートル以下の直径を有するナノ粒子は、約200ナノメートル超の直径を有するナノ粒子よりも、ミトコンドリアにより容易に蓄積することが見出されている。約0以上のゼータ電位を有するナノ粒子は、約0未満のゼータ電位を有するナノ粒子よりも、ミトコンドリアにより容易に蓄積することが見出されている。

0007

実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、疎水性コアおよびこのコアを包囲する親水性層を含む。ナノ粒子はまた、ミトコンドリア標的化部分を含む。ナノ粒子は、約200ナノメートル以下の直径を有し、かつ約0mV以上のゼータ電位、例えば、約1mV以上、約7mV以上、約20mV以上、約25mV以上、約30mV以上、約34mV以上、約35mV以上等のゼータ電位を有する。そのようなナノ粒子は、ナノ粒子に結合した薬剤のミトコンドリアへの標的化を可能にすることができ、ナノ粒子が1つまたは複数の治療薬を含む実施形態では、ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患の治療を可能にすることができる。

0008

先のナノ粒子、イメージング方法論、治療法等に関する、本明細書に提示の種々の実施形態の1つまたは複数における利点は、添付の図面と併せて読めば、以下の詳細な説明に基づいて、当業者には容易に明らかになろう。

図面の簡単な説明

0009

PLGA−b−PEG−OH、PLGA−b−PEG−TPP、およびQD−コンジュゲートポリマーの合成に関する反応スキームを図示する概略図である。
ペイロードとして使用されるミトコンドリア作用治療薬を含む、PLGA−b−PEG−OHおよびPLGA−COOHとPLGA−b−PEG−TPPとのブレンドによる、標的化ナノ粒子および非標的化ナノ粒子の構築を図示する概略図である。
PLGA−b−PEG−TPPとPLGA−COOHとのブレンドに由来するナノ粒子のサイズおよびゼータ電位の変動を示す棒グラフである。*100%PLGA−COOHに由来するナノ粒子は不安定であり、ナノ粒子の直径は、バッチ調製に応じて、700nm〜10μmの範囲を変動する。
PLGA−b−PEG−TPPとPLGA−b−PEG−OHとのブレンドによるナノ粒子のサイズおよびゼータ電位の変動を示す棒グラフである。
標的化ブレンドナノ粒子および非標的化ブレンドナノ粒子のTEM画像である。QD−ブレンドナノ粒子を除くすべてのTEM試料は、画像化の前に、滅菌2%(重量/容量)酢酸ウラニル水溶液で15分間染色した。
図6Aは、RAW264.7マクロファージにおける、電荷が異なるナノ粒子(0.5mg/mL)に伴う、12時間後における、培地中へのIL−6およびTNF−αの分泌を示す棒グラフであり、図6Aは、RAW264.7マクロファージにおける、サイズが異なるナノ粒子(0.5mg/mL)に伴う、12時間後における、培地中へのIL−6およびTNF−αの分泌を示す棒グラフである。
図7Aは、赤い蛍光の標的化PLGA−b−PEG−TPP/PLGA−b−PEG−QDブレンドナノ粒子の細胞内局在を示す細胞の画像であり、図7Bは、赤い蛍光の非標的化PLGA−b−PEG−OH/PLGA−b−PEG−QDブレンドナノ粒子の細胞内局在を示す細胞の画像である。HeLa細胞を、10μMの標的化ナノ粒子(直径79nm;ゼータ電位27.4mV)および非標的化ナノ粒子(直径79nm;ゼータ電位−26.5mV)に4時間曝露した。次いで、細胞をミトコンドリアマーカーのMitoTracker Green(Invitrogen)で染色して固定し、広視野蛍光顕微鏡により観察した。マージした画像およびより高倍率の画像では、ミトコンドリア染色(緑)と標的化ナノ粒子(赤)との効果的な重なりを示す。非標的化ナノ粒子では、顕著な重なりは観察されなかった。
図8Aは、HeLa細胞における、標的化PLGA−b−PEG−TPP/PLGA−b−PEGQDブレンドナノ粒子の時間依存的取り込みの共焦点画像である。
図8Bは、HeLa細胞における、非標的化PLGA−b−PEG−OH/PLGA−b−PEG−QDブレンドナノ粒子の時間依存的取り込みの共焦点画像である。リソソームは、CellLightリソソーム−GFP、BacMam 2.0(Life Technologies)(緑)で染色した。
HeLa細胞における、ICP−MS分析による、標的化PLGA−b−PEGTPP/PLGA−b−PEG−QDブレンドナノ粒子のミトコンドリアおよびサイトゾルの分布を示す棒グラフである。図9Aは、ナノ粒子の取り込みに対するサイズの効果を示す棒グラフである。図9Bは、サイズが異なるナノ粒子の全体的な細胞取り込みを示す棒グラフである。図9Cは、ナノ粒子の細胞輸送に対するゼータ電位の効果を示す棒グラフである。図9Dは、ゼータ電位が異なるナノ粒子の全体的な細胞取り込みを示す棒グラフである。
図10は、Aβ−誘導細胞毒性に対する、標的化クルクミンナノ粒子、非標的化クルクミンナノ粒子、および遊離クルクミンによる処理の後における、IMR−32神経芽細胞腫細胞生存パーセントに関する効果を示す棒グラフである。アスタリスクは、Tukeyの事後検定一元配置分散分析による、標的化クルクミンナノ粒子、非標的化クルクミンナノ粒子、および遊離クルクミンの間の有意差(P<0.001)を表わす。
図11Aは、標的化LNDナノ粒子、非標的化LNDナノ粒子、遊離LNDの細胞毒性プロファイルを示す棒グラフであり、図11Bは、HeLa細胞における、標的化α−TOSナノ粒子、非標的化α−TOSナノ粒子、遊離α−TOSの細胞毒性プロファイルを示す棒グラフであり、図11Cは、HeLa細胞における、空の標的化ナノ粒子および空の非標的化ナノ粒子の細胞毒性プロファイルを示す棒グラフである。
図12Aは、マウス3T3−L1前脂肪細胞が、1μMの標的化2,4−DNPナノ粒子、非標的化2,4−DNPナノ粒子、および遊離2,4−DNPの存在下、7日間で、脂肪細胞分化したことを示す棒グラフであり、図12Bは、マウス3T3−L1前脂肪細胞が、4μMの標的化2,4−DNPナノ粒子、非標的化2,4−DNPナノ粒子、および遊離2,4−DNPの存在下、7日間で、脂肪細胞に分化したことを示す棒グラフであり、図12Cは、マウス3T3−L1前脂肪細胞が、25μMの標的化2,4−DNPナノ粒子、非標的化2,4−DNPナノ粒子、および遊離2,4−DNPの存在下、7日間で、脂肪細胞に分化したことを示す棒グラフであり、図12Dは、マウス3T3−L1前脂肪細胞が、100μMの標的化2,4−DNPナノ粒子、非標的化2,4−DNPナノ粒子、および遊離2,4−DNPの存在下、7日間で、脂肪細胞に分化したことを示す棒グラフである。非分化細胞および完全分化細胞を、対照として使用した。細胞内脂質をAdipoRed(Lonza)で染色し、脂質蓄積パーセントを算出した。7日目における、脂肪細胞分化阻害を示す。Tukeyの事後検定と一元配置分散分析を使用して、統計分析を行った。*P<0.05;***P<0.001。同様の結果が2つの独立した実験から得られた。ns、有意差なし。
図12A〜Dに提示する結果を異なる型式で示すグラフである。
図14は、ラットにおける、標的化ナノ粒子のin vivo生体内分布および薬物動態を示すグラフである。
図15は、ラットにおける、標的化ナノ粒子の薬物動態データを示す表である。

0010

詳細な説明
概略図面では、尺度は必ずしも同じではない。図中で使用される同様の番号は、同様の構成要素、工程等を指す。しかしながら、所与の図で構成要素を指すための番号の使用は、同じ番号で標識した別の図の構成要素を限定することを意図するものではないことは、理解されよう。加えて、構成要素を指す異なる番号の使用は、異なる番号付けがなされた構成要素が同じかまたは同様でありえないことを示すことを意図するものではない。

0011

以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、かつ装置、システム、および方法のいくつかの具体的な実施形態を図示する添付図面に言及する。他の実施形態が企図され、本開示の範囲または精神から逸脱することなくなされうることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味に解釈されるべきではない。

0012

本明細書で使用する科学用語および技術用語はすべて、特に明記されない限り、当技術分野で一般に使用される意味を有する。本明細書に提供する定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語についての理解を容易にするためであり、本開示の範囲を限定することを意味するものではない。

0013

本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が他で明確に指示されない限り、複数の指示対象を有する実施形態も包含する。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用する場合、用語「または」は、一般には、その内容が他で明確に指示されない限り、「および/または」を含めた意味で使用される。

0014

本明細書で使用する場合、「有する(have)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含む(comprise)」「含んでいる(comprising)」等は、オープンエンドの意味で使用され、一般には、「含むが、それに限定されない」を意味する。「から本質的になる」、「からなる」等は、「含んでいる(comprising)に包含されることが理解されよう。

0015

本明細書で使用する場合、「疾患」は、正常な機能を損なう、生物またはその1つまたは複数の部分の状態を意味する。本明細書で使用する場合、疾患という用語は、疾患、障害、症状、機能障害等の用語を包含する。

0016

本明細書で使用する場合、「治療する」等は、疾患の1つまたは複数の徴候治癒、予防、または寛解することを意味する。

0017

本明細書で使用する場合、ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患とは、ミトコンドリア上またはその内部への治療的作用によって、例えば、ミトコンドリアに治療薬を送達し、その薬剤がミトコンドリア上またはその中の1つまたは複数の分子相互作用することによって、治療することができる疾患である。

0018

本明細書で使用する場合、「疎水性化合物は、水に不溶であるか、1ミリグラムリットル未満の水溶解性を有する化合物である。

0019

本明細書で使用する場合、「親水性」化合物は、水溶性であるか、1ミリグラム/リットルを超える水溶解性を有する化合物である。

0020

本明細書で使用する場合、「結合する(bind)」、「結合している(bound)」等は、化学実体が任意の適切なタイプの結合、例えば、共有結合イオン結合水素結合ファンデルワールス力等により連結されていることを意味する。「結合する」、「結合している」等は、本明細書において、「結合する(attach)」、「結合している(attached)」と互換的に使用される。

0021

本明細書で使用する場合、ナノ粒子のコアに「結合している」分子または部分は、コア中に埋め込まれているか、コア内部に含有されているか、コアの少なくとも一部を形成する分子に結合しているか、コアに結合した分子に結合しているか、またはコアに直接結合している場合がある。

0022

本明細書で使用する場合、化合物の「誘導体」は、それがその誘導体となる化合物に構造上類似している化合物である。多くの誘導体は、機能的誘導体である。すなわち、誘導体は、一般に、それがその誘導体となる化合物に類似した所望の機能を有する。例として、トリフェニルホスホニウム(TPP)は、ミトコンドリア中に蓄積することができるか、またはそれが結合している化合物または複合体(ナノ粒子など)を蓄積させることができるため、ミトコンドリア標的化部分として本明細書に記載される。したがって、TPPの機能的誘導体は、TPPと同様の濃度で(例えば、約10倍濃度範囲内など、約100倍濃度範囲内で)、ミトコンドリア中に蓄積することができるか、それが結合している化合物または複合体を蓄積させることができる、TPPの誘導体である。

0023

本明細書に記載するナノ粒子は、実施形態では、疎水性コア、コアを包囲する親水性層、および1つまたは複数のミトコンドリア標的化部分、ならびに1つまたは複数の診断薬または1つまたは複数の治療薬を含む。実施形態では、造影剤または治療薬は、コア内に含有されているか埋め込まれている。ナノ粒子が治療薬を含む場合、好ましくは、薬剤は所望の速度でコアから放出される。実施形態では、コアは生分解性であり、コアが分解または侵食されるにつれて、薬剤が放出される。標的化部分は、好ましくは、細胞成分との相互作用に利用可能なように、またはナノ粒子の表面特性に影響を及ぼすように、コアから外側に向かって伸びており、この相互作用または表面特性は、ミトコンドリアに優先的に分布することを促進する。標的化部分は、コアに拘束されていても、またはコアと相互作用する成分に拘束されていてもよい。

0024

I.コア
ナノ粒子のコアは、任意の適切な1つまたは複数の成分から形成することができる。好ましくは、コアは、疎水性ポリマーまたはポリマーの疎水性部分などの疎水性成分から形成される。コアは、加えてまたは代替的に、疎水性コアおよび親水性外表面を有する粒子水性環境中で自己集合しうる、疎水性部分および親水性部分を有するブロックコポリマーを含むことができる。実施形態では、コアは1つまたは複数の生分解性ポリマーまたは生分解性部分を有するポリマーを含む。

0025

任意の適切な合成または天然生体吸収性ポリマーを使用することができる。そのようなポリマーは、当業者により認識可能であり、かつ同定可能である。合成の生分解性ポリマーの非限定例としては、ポリアミド)、例えば、ポリ(アミノ酸)およびポリ(ペプチド);ポリ(エステル)、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、およびポリ(カプロラクトン);ポリ(無水物);ポリ(オルトエステル);ポリ(カーボネート);およびそれらの化学誘導体(置換化学基(例えば、アルキルアルキレン)の付加、水酸化酸化、および当業者によりルーチン的になされる他の修飾)、フィブリンフィブリノーゲンセルロースデンプンコラーゲン、およびヒアルロン酸コポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。これらおよび他の適切なポリマーの特性および放出プロファイルは公知であるか、または容易に確認可能である。

0026

本明細書に記載する種々の実施形態では、コアはPLGAを含む。PLGAは、送達および所望の速度での治療薬の放出に使用される、周知でかつ十分研究されている疎水性の生分解性ポリマーである。

0027

好ましくは、コアを形成するために使用されるポリマーの少なくとも一部は、疎水性部分および親水性部分を有する両親媒性である。疎水性部分はコアを形成することができるが、一方、親水性領域は、ナノ粒子が免疫系による認識を回避し、かつ血液循環半減期を増大させる助けとなる、コアの包囲層を形成することができる。両親媒性ポリマーの例としては、疎水性ブロックおよび親水性ブロックを有するブロックコポリマーが挙げられる。実施形態では、コアは、ブロックコポリマーの疎水性部分、疎水性ポリマー、またはそれらの組合せから形成される。

0028

疎水性ポリマー対両親媒性ポリマーの比を変えて、ナノ粒子のサイズを変えることができる。実施形態では、疎水性ポリマー対両親媒性ポリマーの比を大きくすると、より大きな直径を有するナノ粒子が得られる。疎水性ポリマー対両親媒性ポリマーの任意の適切な比を使用することができる。実施形態では、ナノ粒子は、両親媒性ポリマー対疎水性ポリマーの50/50重量比を含むか、または親水性ポリマーよりも多くの両親媒性ポリマーを含む比、例えば、約20/80比、約30/70比、約40/60比、約55/45比、約60/40比、約65/45比、約70/30比、約75/35比、約80/20比、約85/15比、約90/10比、約95/5比、約99/1比、または約100%の両親媒性ポリマーを含む。

0029

実施形態では、疎水性ポリマーは、PLGA、例えば、PLGA−COOHまたはPLGA−OHまたはPLGA−TPPを含む。実施形態では、両親媒性ポリマーは、PLGAおよびPEG、例えば、PLGA−PEGを含む。両親媒性ポリマーは、分枝した親水性部分を有する樹枝状ポリマーであってもよい。分枝状ポリマーは、2つ以上の末端を有するため、分枝した親水性ポリマー尾部の末端に2つ以上の部分が結合できる可能性がある。

0030

本明細書に記載するように、直径が約250nm以下、例えば、約200nm以下のナノ粒子は、一般に、直径が約250nm超または約200nm超のナノ粒子よりも効率的に、ミトコンドリアに標的化される。実施形態では、ミトコンドリア標的化に有効なナノ粒子の直径は、約190nm以下、約180nm以下、約170nm以下、約160nm以下、約150nm以下、約140nm以下、約130nm以下、約120nm以下、約110nm以下、約100nm以下、約90nm以下、約80nm以下、約70nm以下、約60nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約30nm以下、約20nm以下、または約10nm以下である。実施形態では、ナノ粒子の直径は、約10nm〜約250nm、例えば、約20nm〜約200nm、約50nm〜約160nm、約60nm〜約150nm、約70nm〜約130nm、約80nm〜約120nm、約80nm〜約100nm等である。

0031

II.コアを包囲する親水性層
本明細書に記載するナノ粒子は、場合によっては、親水性コアを包囲する親水性層を含むことができる。親水性層は、ナノ粒子が免疫系による認識を回避するのを助けることができ、かつナノ粒子の血液循環半減期を増大させることができる。

0032

上記に示すように、親水性層は、疎水性ブロックおよび親水性ブロックを有するブロックコポリマーなどの両親媒性ポリマーの親水性部分によって、全体的にまたは部分的に形成することができる。

0033

任意の適切な親水性ポリマーまたは両親媒性ポリマーの親水性部分は、親水性層またはその一部を形成することができる。親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分は、線状または分枝状または樹枝状のポリマーであってもよい。適切な親水性ポリマーの例としては、多糖類デキストランキトサン、ヒアルロン酸、ポリエチレングリコールポリメチレンオキシド等が挙げられる。

0034

実施形態では、ブロックコポリマーの親水性部分はポリエチレングリコール(PEG)を含む。実施形態では、ブロックコポリマーは、PLGAを含む疎水性部分およびPEGを含む親水性部分を含む。

0035

親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分は、緩衝生理食塩水、例えば、pHが約7.4のリン酸塩またはクエン酸塩の緩衝生理食塩水等により近似しうる生理的条件下で荷電する部分を含有することができる。そのような部分は、ナノ粒子の電荷密度またはゼータ電位に寄与することができる。ゼータ電位は、コロイド系における界面動電位に関する用語である。ゼータ電位は、直接測定可能ではないが、電気泳動度、動的電気泳動度等を使用して実験的に決定することができる。

0036

本明細書に示すように、ゼータ電位は、ナノ粒子がミトコンドリアに蓄積する能力に関与し、ゼータ電位が高くなると、一般に、ミトコンドリア中の蓄積が増大する。実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位は、動的光散乱により測定すると、約0mV以上である。例えば、ナノ粒子のゼータ電位は、約1mV以上、約5mV以上、約7mV以上、約10mV以上、約15mV以上、約20mV以上、約25mV以上、約30mV以上、約34mV以上、約35mV以上等でありうる。実施形態では、ナノ粒子のゼータ電位は、約0mV〜約100mV、例えば、約1mV〜50mV、約2mV〜約40mV、約7mV〜約35mV等である。

0037

生理的条件下で荷電しうる任意の適切な部分は、親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分の一部であっても、またはそれに結合していてもよい。実施形態では、この部分は、ポリマーの末端またはポリマーの親水性部分の末端に存在する。当然、この部分は、末端以外の位置でポリマー骨格に直接的または間接的に結合していることもある。ミトコンドリア内膜を横切って維持される実質的な負の電気化学ポテンシャルにより、カチオンは、特に非局在化している場合、疎水性膜横断し、ミトコンドリア基質中に蓄積するのに有効である。ミトコンドリア標的化を促進することが知られているカチオン性部分は、下記により詳細に論じられる。しかしながら、選択的なミトコンドリア標的化に特に有効ではないカチオン性部分が、ナノ粒子中に含まれていることも、または親水性ポリマーもしくはポリマーの親水性部分に結合していることもある。実施形態では、アニオン性部分が、親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分の一部であることも、またはそれに結合していることもある。アニオン性部分またはアニオン性部分を含有するポリマーは、所望により、ゼータ電位を調整するためにナノ粒子中に含まれることがある。実施形態では、親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分は、生理的水性環境中に置かれた場合、酸素アニオンを生じうるヒドロキシル基を含む。実施形態では、ポリマーは、OHが生理的条件下で荷電部分として機能するPEG−OHを含む。

0038

III.ミトコンドリア標的化部分
本明細書に記載するナノ粒子は、ミトコンドリアにナノ粒子を標的化する1つまたは複数の部分を含む。本明細書で使用する場合、ミトコンドリアへのナノ粒子の「標的化」は、ナノ粒子が実質的に同様の非標的化ナノ粒子よりも高濃度で、他の細胞小器官または細胞質に比較して、ミトコンドリアに蓄積することを意味する。実質的に同様の非標的化ナノ粒子は、標的化ナノ粒子と実質的に同じ相対濃度(例えば、約5%以内)で同じ成分を含むが、標的化部分を欠いている。

0039

ミトコンドリア標的化部分は、コアの一部を形成する分子に、またはコアに結合している分子に結合させるなどの任意の適切な方法でコアに拘束することができる。実施形態では、標的化部分は、コアの一部を形成する疎水性ポリマーに結合している親水性ポリマーに結合する。実施形態では、標的化部分は、コアの一部を形成する疎水性ブロックを有するブロックコポリマーの親水性部分に結合する。

0040

標的化部分は、ポリマーの任意の適切な部分に結合してよい。実施形態では、標的化部分は、ポリマーの末端に結合している。実施形態では、標的化部分は、ポリマーの末端以外の位置で、ポリマーの骨格、または骨格に結合した分子に結合している。2つ以上の標的化部分が所与のポリマーに結合していることがある。実施形態では、ポリマーは、複数の末端を有する樹枝状ポリマーであり、標的化部分は、末端の2つ以上に結合することができる。

0041

標的化部分が結合しているポリマーまたはその一部は、適切な官能基を有するか、または有するように修飾された標的化部分と反応して結合するための適切な官能基、例えば、−OH、−COOH、−NH2、−SH、−N3、−Br、−Cl、−I、−CH=CH2、C≡CH、−CHO等を含有することができるか、または含有するように修飾することができる。

0042

反応タイプおよび生じうる拘束を説明するために、ポリマーに拘束された標的化部分の例を、本開示を通して提示した。しかしながら、ポリマーへの標的化部分の拘束は、いくつかの公知の化学反応プロセスのいずれかによって行うことができることを、当業者は理解するであろう。

0043

標的化部分は、任意の適切な濃度でナノ粒子中に存在することができる。実施形態では、in vivo試験または使用の前に最適化するために、最初のin vitro分析に基づいて、濃度を容易に変化させることができる。実施形態では、標的化部分の表面被覆率は、約5%〜約100%になる。

0044

ミトコンドリア内へのナノ粒子の蓄積を容易にするための任意の適切な部分を使用することができる。ミトコンドリア内膜を横切って維持される実質的な負の電気化学ポテンシャルにより、非局在化した親油性カチオンは、疎水性膜を横断して、ミトコンドリア中に蓄積するのに有効である。トリフェニルホスホニウム(TPP)含有化合物は、ミトコンドリア基質内に10倍超蓄積することができる。任意の適切なTPP含有化合物は、ミトコンドリア基質標的化部分として使用することができる。TPPベースの部分の代表的な例は、式I、式II、または式IIIで下記に示す構造を有しうる。

0045

0046

0047

ここで、(記載の)アミンは、ナノ粒子中に組み込むためのポリマーまたは他の成分にコンジュゲートすることができる。

0048

実施形態では、ミトコンドリア基質を標的化するための非局在親油性カチオンは、下記に記載する式IVを有するローダミン123などのローダミンカチオンである。

0049

0050

ここで、(記載の)第二級アミンは、ナノ粒子中に組み込むためのポリマー、脂質等にコンジュゲートすることができる。

0051

当然、非カチオン性化合物が、ミトコンドリア基質中に標的化し、蓄積するように機能してもよい。例として、Szeto−Shillerペプチドは、ミトコンドリア基質中にナノ粒子を標的化し蓄積するように機能することができる。任意の適切なSzetto−Shillerペプチドを、ミトコンドリア基質標的化部分として使用することができる。適切なSzeto−Shillerペプチドの非限定例として、下記に記載する式Vおよび式VIをそれぞれ有するSS−02およびSS−31が挙げられる。

0052

0053

ここで、(記載の)第二級アミンは、ナノ粒子中に組み込むためのポリマー、脂質等にコンジュゲートすることができる。

0054

例として、PLGA−PEG−TPPの合成のための反応スキームを、下記にスキームIで示す。PLGA−PEG−TPPを合成するために他のスキームを使用することができること、およびPLGA−PEGに他のミトコンドリア標的化部分を拘束するために、またはナノ粒子の他のポリマーまたは成分に部分を拘束するために同様の反応スキームを使用することができることを理解されたい。

0055

0056

好ましくは、標的化部分は、ナノ粒子のコアから伸びて標的化部分の効果を促進するように、親水性ポリマーまたはポリマーの親水性部分に結合している。

0057

ミトコンドリア標的化部分がナノ粒子のゼータ電位を変化させうることを理解されよう。したがって、ナノ粒子のゼータ電位は、ナノ粒子に含まれる標的化部分の量を調節することにより調整することができる。ゼータ電位はまた、親水性ポリマーもしくはポリマーの親水性部分の荷電部分または親水性ポリマーもしくはポリマーに結合した荷電部分などの他の荷電部分を含めることにより調節することができる。

0058

実施形態では、荷電部分は、ミトコンドリア標的化部分によってのみ、または実質的にミトコンドリア標的化部分によって提供される。実施形態では、荷電部分の約95%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約90%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約85%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約80%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約75%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約70%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約65%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約60%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約55%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。実施形態では、荷電部分の約5%以上が、ミトコンドリア標的化部分により提供される。当然、ミトコンドリア標的化部分は、荷電部分の任意の適切な量またはパーセントを提供することができる。

0059

実施形態では、ナノ粒子は、ミトコンドリア標的化部分を含む部分と、ミトコンドリア標的化部分以外の荷電部分を含むポリマーとをブレンドすることにより形成される。

0060

IV.治療薬
本明細書に記載するナノ粒子は、任意の1つまたは複数の治療薬を含むことができる。治療薬は、ナノ粒子のコア中に埋め込まれることも、コア内に含有されることもある。好ましくは、治療薬は所望の速度でコアから放出される。コアがポリマー(PLGAなど)または公知の放出速度を有するポリマーの組合せから形成される場合、放出速度は容易に制御することができる。

0061

実施形態では、治療薬またはその前駆体は、標的化部分に関して上記に記載した方法で、ポリマーにまたはナノ粒子の他の成分にコンジュゲートされる。治療薬は、ナノ粒子がミトコンドリアなどの標的部位に到達したときに薬剤を放出しうるように、切断可能なリンカーを介してコンジュゲートされてもよい。

0062

治療薬は、任意の適切な濃度でナノ粒子中に存在することができる。例えば、治療薬は、ナノ粒子の約0.01〜約30重量%の濃度でナノ粒子中に存在することができる。

0063

実施形態では、ナノ粒子は、ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患の治療に有用な1つまたは複数の治療薬を含む。そのような疾患には、神経変性疾患、肥満症、および癌が含まれる。ミトコンドリアの機能障害に関連しうる神経変性疾患の例としては、アルツハイマー病虚血傷害パーキンソン病、脳卒中等が挙げられる。ミトコンドリアの機能障害に関連しうる癌タイプの例としては、乳癌前立腺癌結腸癌黒色腫リンパ腫等の癌が挙げられる。

0064

実施形態では、ナノ粒子は、アミロイドベータの量を低減するように構成された1つまたは複数の治療薬を含む。例えば、治療薬は、クルクミン、他の抗酸化剤葉酸、ラクモイド等であってもよい。

0065

実施形態では、ナノ粒子は、酸化的リン酸化ATP合成から分離するように作用する1つまたは複数のミトコンドリア脱共役剤を含む。例えば、治療薬は、2,4−ジニトロフェノール(DNP)等であってもよい。

0066

実施形態では、ナノ粒子は、1つまたは複数のミトコンドリア作用抗ガン剤を含む。例えば、治療薬は、(i)BCL−3タンパク質ファミリー調節剤、例えば、BCL−XL、BCL−2、BCL−W、MCL1等に作用する化合物;(ii)代謝阻害剤、例えば、HKに影響を及ぼす化合物、HK2−VDAC相互作用に影響を及ぼす化合物、PDK阻害剤LDH−Aに影響を及ぼす化合物、脂肪酸シンターゼに影響を及ぼす化合物、ATPシトレートリアーゼに影響を及ぼす化合物、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤等;(iii)VDAC標的化薬剤またはANT標的化薬剤;(iv)ROS調節因子、例えば、SOD阻害剤、GSH阻害剤、GPX阻害剤等;(v)HSP90阻害剤;または(vi)同種のもの、であってもよい。具体的なミトコンドリア作用抗ガン剤の例としては、ロニダミン(LND)、α−トコフェロールコハク酸エステル(α−TOS)、ジクロロ酢酸、A−385358、ABT−263、ABT−737、AT−101、2−アミノ−6−ブロモ−4−(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチル)−4H−クロメン−3−カルボキシレートHA14−1)、オブメルセン、オバトクラックス、ゴシポールジャスモン酸メチル、ジクロロ酢酸、HK2ペプチド、LDH−A shRNA、オリスタット、SB−204990、ソラフェンA、4−(N−(s−グルチオニルアセテートアミノフェニルアルゼノキシド(GSAO)、クロドロネートPK11195、メナジオン、β−ラパコン、CD437、ガミトリニブス(gamitrinibs)、8−(2−クロロ−3,4,5−トリメトキシベンジル)−2−フルオロ−9−(ペンタ−4−ニル)−9H−プリン−6−アミン(PU24Fcl)、(8−(6−ブロモベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルチオ)−9−(ペンタ−4−イニル)−9H−プリン−6−アミン(PU−H58)、8−(6−ヨードベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルチオ)−9−(3−イソプロピルアミノプロピル−9H−プリン−6−アミン(PU−H71)、シェファーディン(shepherdin)、レセルバトロール(reservatrol)、2−メトキシエストラジオールテトラチオモリブダート(ATN−224)、ブチオニンスルホキシイミンジメチルアミノパルテノライドDMAPT)、パルテノライド、イメキゾン類、マンガホジピール、メナジオン、モテクフィンガドリニウム、PEITC、エレスクロモル(elescomol)(STA−4783)、全トランス型レチノイン酸、6−[3−(1−アダマンチル)−4−ヒドロキシフェニル]−2−ナフタレンカルボン酸(CD437)、(E)−3−(4’−ヒドロキシ−3’−アダマンチルビフェニル−4イルアクリル酸(ST1926)、3−ブロモピルベート酪酸リスベラトロール2−デオキシ−D−グルコース三酸亜ヒ酸ベツリン酸等が挙げられる。例えば、Fulda et al.,targeting mitochondria for cancer therapy,Nature Reviews− Drug Discovery,volume 9:447(June 2010)に記載される、1つまたは複数の化合物または化合物クラスを使用することができる。

0067

V.造影剤
本明細書に記載するナノ粒子は、イメージング視覚化、または診断を目的とする1つまたは複数の造影剤を含むことができる。実施形態では、治療用ナノ粒子がミトコンドリアに適切に輸送されていることを確認するためにイメージングを実施する。任意の適切な造影剤を使用することができる。実施形態では、造影剤は、in vivo磁気共鳴イメージングMRI)に適しており、例えば、酸化鉄(IO)ナノ結晶またはガドリニウム錯体がある。実施形態では、造影剤は、ex vivo/in vivo光学イメージングに適しており、例えば、蛍光色素量子ドット(QD)(蛍光)、cdot、pdot等がある。実施形態では、ナノ粒子は、MRI用造影剤および蛍光光学イメージング用薬剤の両方を含む。

0068

造影剤は、任意の適切な方法でナノ粒子に組み込むことができる。実施形態では、造影剤は、コア中に組み込まれるか、またはコア内に含有される。実施形態では、造影剤は、ポリマーまたはナノ粒子の他の成分に拘束される。そのような拘束は、標的化部分など、ナノ粒子の他の成分に関して上記に記載したように行うことができる。

0069

造影剤は、任意の適切な量でナノ粒子中に存在することができる。実施形態では、造影剤は、ナノ粒子の約0.05重量%〜約30重量%で、ナノ粒子中に存在する。

0070

VI.ナノ粒子の合成
本明細書に記載するナノ粒子は、任意の適切なプロセスにより合成または構築することができる。好ましくは、ナノ粒子はプロセスの変動を最小化するために単一工程で構築される。単一工程プロセスは、ナノ沈殿および自己集合を含むことができる。

0071

一般に、有機溶媒、好ましくは沈殿用に使用される水性溶媒混和性溶媒の中に、疎水性成分を溶解または懸濁することによって、ナノ粒子を合成または構築することができる。実施形態では、有機溶媒としてアセトニトリルを使用するが、例えば、ジメチルホルムアミドDMF)、ジメチルスルホキシドDMSO)、アセトン等の任意の適切な溶媒を使用してもよい。親水性成分は、例えば水、4重量%エタノール等の適切な水性溶媒中に溶解される。有機相溶液水相溶液滴下して加え、疎水性成分をナノ沈殿させ、水性溶媒中でナノ粒子の自己集合を可能にすることができる。

0072

ナノ粒子を形成させる適切な条件を決定するためのプロセスは、以下のように行うことができる。手短に言えば、機能を有するポリマーおよび他の成分を、それが含まれている場合または適切な場合、有機溶媒混合物中に同時溶解させることができる。この溶液を、高温の(例えば、65℃)水性溶媒(例えば、水、4重量%エタノール等)に滴下して加えることができ、その後、溶媒を蒸発させて、PEGなどの親水性ポリマー成分により包囲された疎水性コアを有するナノ粒子を生成させる。ひとたび、高(例えば、>75%)レベルの標的化部分表面負荷が達成される一連の条件が得られたならば、造影剤または治療薬をナノ粒子のナノ沈殿および自己集合に含めることができる。

0073

マニュアル混合により所望どおりに結果を再現できない場合には、ミクロ流体チャネルを使用してもよい。

0074

ナノ粒子は、周知または公開の方法を使用して、それらのサイズ、電荷、安定性、IOおよびQD負荷、薬物負荷薬物放出動力学表面形状、および安定性について特徴づけることができる。

0075

(a)ポリマー溶液組成を制御すること、および(b)混合時間、温度、および水対有機溶媒比などの混合条件を制御することによって、ナノ粒子の特性を制御することができる。ナノ粒子の特性が変動する可能性は、合成に必要とされる処理の数と共に増大する。

0076

生成するナノ粒子のサイズは、疎水性コア成分対両親媒性シェル成分の比を変更することによって、変化させることができる。ナノ粒子のサイズはまた、ポリマー長の変更により、混合時間の変更により、また有機対その相の比の調節により制御することができる。異なる長さのPLGA−b−PEGに由来するナノ粒子に関する先の実験により、ナノ粒子のサイズは、短いポリマー(例えば、PLGA3000−PEG750)についての最小約20nmから、長いポリマー(例えば、PLGA100,000−PEG10,000)ついての最大約150nmまで増大することが示唆される。したがって、ポリマーの分子量は、サイズを調節するのに役立つ。

0077

ナノ粒子の表面電荷は、適切に荷電した末端基を有するポリマーを混合することにより制御することができる。加えて、組成および表面化学は、異なる親水性ポリマー長のポリマー、分枝状親水性ポリマーを混合することによって、または疎水性ポリマーを加えることによって制御することができる。

0078

ナノ粒子は、ひとたび形成されたならば、遠心分離遠心限外濾過等により収集および洗浄することができる。凝集が生じる場合には、ナノ粒子について、透析による精製、低速で長時間の遠心分離による精製、界面活性剤の使用による精製等を行うことができる。

0079

ひとたび収集されたならば、いかなる残存溶媒も除去することができ、また粒子を乾燥することができるが、これは、成分のいかなる時期尚早の分解または放出も最小化する助けとなる。ナノ粒子は、マンニトールなどの増量剤の使用により凍結乾燥しても、またはそうでなければ使用前の保存用に調製してもよい。

0080

治療薬は、その溶解性に応じて、有機相中に置いても水相中に置いてもよいことは理解されよう。

0081

本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子中への包含に適しているとして当技術分野で一般に知られているかまたは理解されている、リン脂質成分またはコレステロール成分など、任意の他の適切な成分を含むことができる。同時係属特許出願のPCT/US2012/053307号明細書は、ナノ粒子中に含まれうる、いくつかのさらなる成分ついて記載している。同時係属特許出願のPCT/US2012/053307号明細書は、本開示と矛盾しない範囲で、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0082

PCT/US2012/053307号明細書に開示されたナノ粒子は、ホスファチジルセリン(PS)を標的化する部分など、アポトーシス細胞にナノ粒子を標的化する標的化部分を含む。標的化部分は、ナノ粒子の成分にコンジュゲートしている。そのような部分には、種々のポリペプチドまたは亜鉛−2,2’−ジピコリルアミン(Zn2+−DPA配位錯体が含まれる。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、アポトーシス細胞標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子の成分にコンジュゲートしたアポトーシス細胞標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、PS標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子の成分にコンジュゲートしたPS標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、PS−ポリペプチド標的化部分またはZn2+−DPA部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子の成分にコンジュゲートした、PS−ポリペプチド標的化部分またはZn2+−DPA部分を含まないか、または実質的に含まない。

0083

PCT/US2012/053307号明細書に開示されたナノ粒子は、ナノ粒子の成分にコンジュゲートした、単糖などのマクロファージ標的化部分を含む。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、マクロファージ標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子またはその成分にコンジュゲートしたマクロファージ標的化部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、単糖部分を含まないか、または実質的に含まない。実施形態では、本明細書に記載するナノ粒子は、ナノ粒子またはその成分にコンジュゲートした単糖部分を含まないか、または実質的に含まない。

0084

VII.使用および試験
一般に、本明細書に記載するナノ粒子は、ミトコンドリアに、特に特定のミトコンドリアに標的化することができる。ナノ粒子は、ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患を視覚化、イメージング、モニタリング、診断、または治療するために使用することができる。

0085

本明細書で生成するナノ粒子の性能および特徴は、任意の適切な方法で試験または研究することができる。例として、細胞ベースアッセイを使用して、治療効果を評価することができる。毒性、生体内分布、薬物動態、および効力試験は、細胞またはげ歯類もしくは他の哺乳動物で試験することができる。ゼブラフィッシュまたは他の動物モデルを、イメージングと治療を合わせた試験のために使用することができる。げっ歯類ウサギブタ等は、ナノ粒子の診断能力または治療能力を評価するために使用することができる。ナノ粒子の性能または特徴を評価するために実施しうる試験のさらなる詳細の一部を、以下に記載するが、これらの試験は、ナノ粒子の特性を最適化する目的のために使用することができる。しかしながら、他のアッセイおよび手順も容易に実施できることを当業者ならば理解されよう。

0086

蛍光性QDを封入するナノ粒子の取り込みおよび結合特性は、RAW264.7細胞、J774細胞、jurkat細胞、およびHUVEC細胞などの任意の適切な細胞株で評価することができる。ナノ粒子の免疫調節役割は、これらの細胞を種々の濃度のナノ粒子に曝露したときのサイトカインの放出を測定することによりアッセイすることができる。オプソニン化されたナノ粒子を単離するためにカラムを使用して、補体活性化を試験し、いずれの経路が誘発されるかを同定することができる;これは、例えば、Salvador−Morales C,Zhang L,Langer R,Farokhzad OC,Immunocompatibility properties of lipid−polymer hybrid nanoparticles with heterogeneous surface functional groups,Biomaterials 30:2231−2240,(2009)に記載されている。蛍光測定は、プレートリーダーFACS等を使用して行うことができる。ナノ粒子のサイズが生体内分布を決定する重要な因子となるので、ナノ粒子を、種々のサイズ(例えば、20〜40、40〜60、60〜80、80〜100、100〜150、および150〜300nm)に分類し、サイズに応じて試験してもよい。

0087

ナノ粒子中に用いる治療薬に適した任意の細胞タイプを、治療効果または適切な標的化を評価するために使用することができる。当技術分野で一般に理解されているか、または知られているように、治療アウトカムまたは薬理学的アウトカムに適したアッセイを使用することができる。

0088

生体内分布(bioD)および薬物動態(PK)の試験は、ラットまたは他の適切な哺乳動物で行うことができる。PKおよびbioD分析については、QD標識した、アポトーシス標的化、マクロファージ標的化ナノ粒子または標的化基を含まない同様のナノ粒子を、スプラーグドーリーラットに外側尾静脈注射により投与することができる。注射1〜24時間後に、蛍光イメージングによりbioDを最初に追跡することができる。動物屠殺することができ;脳、心臓、腸、肝臓脾臓腎臓筋肉、骨、リンパ節腸管、および皮膚を摘出し、量し、ホモジナイズすることができ、ICP−MSを使用してQD由来のCdを定量することができる。組織中濃度は、組織1グラム当たり注射用量の%(%ID/g)として表現することができる。血中半減期は種々の時点での血中Cd濃度から算出することができる。

0089

ヒト使用のために有効なナノ粒子の治療投与量は、表面積または体重基準のスケーリングなど、周知の手法により動物試験から評価することができる。

0090

以下において、代表的なナノ粒子の種々の実施形態、ナノ粒子を生成するための方法、およびナノ粒子を使用するための方法について記載する非限定例を提示する。

0091

方法
A.PLGA−b−PEG−TPPの合成
PLGA−b−PEG−TPPの合成。HO−PEG−OH(0.75g;0.23mmol)、PLGA−COOH(0.50g;0.1mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(0.01g;0.08mmol)を、7mLの乾燥CH2Cl2に溶解した。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.02g;0.1mmol)のCH2Cl2溶液2mLを、0℃で撹拌しながら反応混合物に滴下して加えた。この混合物を室温に加温し、一晩撹拌した。不溶性ジシクロヘキシル尿素濾過し、混合物を50mLの50:50ジエチルエーテルおよびメタノールから沈殿させた。得られた固体を4℃で15分間、1,400×gで遠心分離した。最終的な精製として、PLGA−b−PEG−OHのメタノール溶液を繰り返し沈殿させ、冷ジエチルエーテルで洗浄し、白色固体として30%(0.2g)の収率で単離した。1H−NMR(CHCl3−d):δ5.3[m,(OCHCH3C(O)],4.9[m,(OCH2C(O))],3.6[s,(OCH2)],1.9[m,(CH3CH)]。13C−NMR(CHCl3−d):δ169.6,166.5,66.0,61.1,60.9,16.89,15.46。ゲル透過クロマトグラフィー:Mn=6,900g/mol、MW=9,200g/mol、Mz=12,300g/mol、PDI=1.33。PLGA−b−PEG−OH(0.29g;0.03mmol)。(5−カルボキシペンチル)トリフェニルホスホニウムカチオン(31)(0.11g;0.29mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.007g;0.06mmol)を3mLの乾燥CH2Cl2に溶解した。DCC(0.06g;0.29mmol)をCH2Cl2(1mL)に溶解し、0℃で撹拌しながら反応混合物に滴下して加えた。この混合物を室温で一晩攪拌し、その後、形成したいずれのジシクロヘキシル尿素も濾去した。次いで、得られた混合物に50mLの冷ジエチルエーテルを加え、ポリマーを沈殿させた。固体を4℃で15分間、1,400×gで遠心分離した。溶媒を除去し、固体を凍結乾燥した。ポリマーを99%(0.3g)の収率で白色固体として単離した。1H−NMR(CHCl3−d):δ7.9−7.6[m,15H(Ar)],5.3[m,(OCHCH3C(O)],4.9[m,(OCH2C(O))],3.6[s,(OCH2)],1.9[m,(CH3CH)]。13C−NMR(CHCl3−d):δ166.5,135.3,133.9,130.7,66.0,61.0,16.89,15.46。IR:νcm−1 3,029(C−H sp2),2,944(C−H sp3),2,200−2,000(C−H Ar),1,741(C=O)。31P−NMR(CHCl3−d):δ24.37。

0092

B.PLGA−b−PEG−QDの合成
PLGA−COOH(0.4g;80μmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)(12.4mg;80μmol)、およびNHS(9mg;80μmol)を、3mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、8μM QD−PEG−NH2の250μL溶液を加えた。この混合物を室温で24時間撹拌し、次いで100kDaカットオフのAmiconフィルター(Millipore)で濾過した。得られた固体をH2Oに溶解し、一晩凍結乾燥し、次いでDMF中に再懸濁した。動的光散乱(DLS)を使用して、PLGA−b−PEG−QDを特性評価し、10.1±0.1nmの流体力学的径および0.3のPDIを得た。

0093

C.標的化および非標的化ナノ粒子の合成
ナノ粒子は、Marrache and Dhar(2012),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 109:16288−16293;Kolishetti et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107:17939−17944;およびDhar et al.(2011)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108:1850−1855に全般的に記載されているナノ沈殿法により合成した。手短に言えば、アセトニトリル中のPLGA−b−PEG−OHまたはPLGA−b−PEG−TPPを、最終ポリマー濃度5mg/mLに、一定に攪拌しながらナノ純水に滴下して加えた。次いで、ナノ粒子を2時間撹拌した。有機溶媒を3回の洗浄により除去し、100kDaカットオフのAmiconフィルター(Millipore)を通して濾過した。ナノ粒子をナノ純水に再懸濁し、次の使用まで4℃に保存した。ナノ粒子のサイズ、PDI、およびゼータ電位を決定するためにDLS測定を行った。サイズが調整可能なPLGA−b−PEG−TPPナノ粒子を、ナノ沈殿法に従い、所定の比のPLGA−COOH(0、10%、20%、35%、50%、70%、および90%)とPLGA−b−PEG−TPPとをブレンドすることにより合成した。PLGA−b−PEG−TPPナノ粒子の表面電荷は、前述のナノ沈殿法に従い、所定の比のPLGA−b−PEG−TPP(0、15%、35%、50%、65%、80%、90%、および100%)とPLGA−b−PEG−OHとをブレンドすることにより変動させた。QD−ブレンドナノ粒子は、このナノ沈殿法に従い、最終ポリマー濃度5mg/mLで、DMF:アセトニトリル(1:9比)中のPLGA−b−PEG−OHまたはPLGA−b−PEG−TPPとPLGA−b−PEG−QD(10mmolのDMF溶液)とを使用して合成した。サイズ、PDI、およびゼータ電位を決定するためにDLS測定を行った。ナノ粒子はすべてTEMを使用して特性評価した。治療薬負荷ナノ粒子の合成の場合は、PLGA−b−PEG−OHまたはPLGA−b−PEG−TPP(DMF中50mg/mL)を、所定量の治療薬(DMF中10mg/mL)と混合し、最終ポリマー濃度5mg/mLにアセトニトリルで希釈した。この混合物を、ナノ沈殿法に従い、一定に攪拌しながら、ナノ純水に滴下して加えた。サイズ、PDI、およびゼータ電位を決定するためにDLS測定を行った。ポリマーのコアを溶解し、ナノ粒子中の治療薬の量を定量するためにHPLCを使用することにより、薬物負荷および封入効率を決定した。

0094

D.細胞内区画中のナノ粒子の定量
種々のサイズおよびゼータ電位のQD−ブレンドナノ粒子(10μM)を、HeLa細胞(1.5×107細胞)に12時間内部移行させた。内部移行させた後、哺乳動物細胞用のミトコンドリア単離キットを使用してミトコンドリアおよびサイトゾルを単離した。次いで、サイトゾル画分およびミトコンドリア画分について、ICP−MSによりQD中のCd濃度を分析した。単離したミトコンドリア画分およびサイトゾル画分についてビシンコニン酸(BCA)アッセイを行い、単離したタンパク質マイクログラム当たりのCd量を算出した。

0095

E.脂肪生成アッセイ
脂肪生成を誘導するために、3T3−L1前脂肪細胞を1ウェル当たり5,000細胞の密度で96ウェルプレート上に播種し、コンフルエンスになるまで増殖させた。2,4−DNPを負荷した標的化および非標的化ナノ粒子ならびに遊離2,4−DNPの抗脂肪生成特性を、脂肪生成アッセイの1日目にナノ粒子を内部移行させることにより評価した。また、1日目に、0.5mmol 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、0.5μMデキサメタゾン、および20nMインスリンを添加した、10%FBS含有分化DMEM培地中で細胞を分化誘導した。3日目に、誘導培地を、DMEM、10%FBSおよび20nMインスリンを含有するインスリン培地と交換した。処理の6日後に、製造業者説明書に従い、AdipoRed(Lonza)アッセイを使用して、細胞についてトリグリセリド蓄積を分析した。

0096

F.生体内分布および薬物動態分析
スプラーグドーリーラットにPLGA−b−PEG−TPP−QDナノ粒子を静脈内投与した。血漿中のCdレベルの経時変動臓器分布、および排泄特性を決定した。対照ラットには生理食塩水を注射した。

0097

G.統計
データはすべて、平均±SDとして表した。標的化、非標的化、および遊離薬物の間の差は、一元配置分散分析により評価した。P<0.05を、統計的有意性を示すとみなした。

0098

結果および考察
A.標的化ブレンドナノ粒子の開発
ミトコンドリア取り込みに対するPLGAベースのナノ粒子のサイズ、形状、および表面電荷の重要性の理解が進むと、ミトコンドリアの機能障害に関連した疾患のための標的化送達ビヒクルを開発する機会が生み出される可能性がある。本発明者らは、得られるナノ粒子のサイズおよび表面電荷が変動するように、ミトコンドリア標的化の機能を有するポリマーであるPLGA−b−PEG−TPPとPLGA−COOHまたはPLGA−b−PEG−OHとをブレンドして、ミトコンドリア取り込みに対するこれらの特性の効果を試験し、最適な製剤を決定した。ナノ粒子の特性が変動する可能性は、合成に必要とされる処理工程の数と共に増大する。本発明者らは、ナノ粒子合成の前にTPP標的化部分をポリマー中に組み込むことがそのような変動を最小化するであろうと予想した。ミトコンドリア内部に治療薬を高効率に送達するために、本発明者らは、TPPのコンジュゲーションを可能にする末端OH基(PLGA−b−PEG−OH)を有する生分解性ポリマーを合成して、PLGA−b−PEG−TPPを得た(図1)。標的化リガンドのコンジュゲーションは、ゼータ電位、サイズ、細胞取り込み、および細胞内輸送を含む、ナノ粒子の基本特性に影響を及ぼした。本発明者らは、上記に記載したナノ沈殿法を使用して、ブレンドナノ粒子を合成し(図2)、4回以上の独立したナノ沈殿実験で、再現可能な直径および表面電荷を有する標的化および非標的化ナノ粒子を得た。

0099

B.ミトコンドリア取り込みのためのサイズおよび電荷の調整
本発明者らは、ミトコンドリア取り込みに対するサイズおよび表面電荷の効果に取り組むために、代表的かつ包括的な試験に着手した。本発明者らは、サイズおよび表面電荷は異なるが、他の特性はすべて同一かまたは実質的に同一であるナノ粒子を作製することが重要であると考えた。本発明者らは、種々の量のPLGA−COOHとPLGA−b−PEG−TPPとをブレンドして、種々のサイズおよび一定の表面電荷を有するナノ粒子のライブラリーを構築した。ブレンド技術を使用して、本発明者らは、一定の表面電荷により証明されるように(図3)、TPP部分の数を一定に維持しながら、ナノ粒子サイズを約80〜約410nmに調整することができた(図3)。ミトコンドリア取り込みに対する表面電荷の効果を調べるために、本発明者らは、所定量のPLGA−b−PEG−OHとPLGA−b−PEG−TPPとをブレンドした。主要なスキャフォールドおよびナノ粒子サイズを変化させることなく、表面電荷を変動させることに成功した(図4)。これらのナノ粒子ライブラリーは、同様の形状の均質集団を示し(TEM画像;図5A〜F)、ミトコンドリア取り込みに対するナノ粒子のサイズおよび電荷の効果を調べることを可能にした。

0100

C.ミトコンドリア標的化特性
ナノ粒子系の細胞取り込みプロファイルは、系の効率およびバイオアベイラビリティを反映する。細胞取り込みの定量的評価と共に、細胞内局在は、目下のナノ粒子プラットフォームの有効性の評価にとって重要である。本発明者らは、ヒト子宮頸癌HeLa細胞中の標的化および非標的化ナノ粒子の分布を検討するために、強固な蛍光性レポーター量子ドット(QD)を使用した。本発明者らは、QD−コンジュゲートのアミン末端PEGであるNH2−PEG−QDを使用して、細胞内区画中のナノ粒子を追跡した。PLGA−COOHをNH2−PEG−QDにコンジュゲートして、トリブロックコポリマーであるPLGA−b−PEG−QDを得た(図1)。本発明者らは、PLGA−b−PEG−QDとPLGA−b−PEG−TPP、ならびにPLGA−b−PEG−QDとPLGA−b−PEG−OHとをブレンドすることより、それぞれ標的化ならびに非標的化ナノ粒子の内部移行をモニターした。処理した細胞の共焦点顕微鏡分析により、非標的化ナノ粒子よりも、標的化ナノ粒子の細胞ミトコンドリアへの取り込みが顕著に多いことが示された(図7A〜B)。蛍光強度を比較すると、非標的化ナノ粒子に比較して、正に荷電した標的化ナノ粒子の全体的な取り込みが顕著に多いことが示された。ImageJ「共局在ファインダープラグインを使用する定量分析により、細胞ミトコンドリア中での標的化ナノ粒子とMitoTracker Green(Invitrogen)との有意な共局在(ピアソン相関係数、ρ=0.53)が明らかになった。

0101

非標的化ナノ粒子に関しては、ナノ粒子の赤色シグナルとミトコンドリア染色は、低いρ値(ρ=0.03)により実証されるように、位置が異なっていた。

0102

D.エンドソームおよびリソソーム回避特性
ナノ粒子の取り込みおよび細胞内輸送は、いくつかの競合する経路に沿って起こる。ミトコンドリアを標的化するナノ粒子の使用は、多くの場合、ナノ粒子がエンドソーム経路に取り込まれるという事実、およびエンドソームがミトコンドリア輸送に対して障害として働くという事実により限定される。本発明者らは、標的化ナノ粒子の効率的なエンドソーム回避に必要な融合特性を検討するために、初期エンドソームマーカーのEAA−1を使用して、時間依存的な取り込み試験を行った。標的化ナノ粒子については、エンドソームとの共局在が最初の1時間に観察され、2時間までに減少した。時間経過と共に、標的化ナノ粒子は完全なエンドソーム回避を示し、細胞のミトコンドリアに局在した(図7A〜B);しかしながら、非標的化ナノ粒子では、初期エンドソームとの顕著な共局在が4時間後でも観察された。標的化ナノ粒子の高度に効率的なエンドソーム回避は、これらのナノ粒子を「プロトンスポンジ」として作用させうる高い緩衝能に帰することができる。正に荷電したPEGの緩衝作用によるプロトンの吸収は、エンドソーム小胞酸性化を防止し、それによって、プロトンおよび対イオンATPアーゼ媒介流入が増大するはずであり、次には、浸透圧膨潤、エンドソーム膜の破裂、およびナノ粒子のサイトゾルへの最終的な漏出がもたらされ、ミトコンドリア取り込みにナノ粒子が利用可能になる。

0103

本発明者らのナノ粒子が高いエンドソーム回避能を有するという発見および標的化ナノ粒子の一部がリソソームへの輸送に関与していないという発見をさらに支持するために、本発明者らは、ナノ粒子とリソソームとの時間依存的な共局在を検討した(図8A〜B)。標的化ナノ粒子については、リソソームとの共局在は時間経過につれて減少し、リソソーム回避能が示唆されたが、非標的化ナノ粒子は、リソソームおよび細胞質の両方に分布した。

0104

E.ナノ粒子の安定性および免疫効果
種々の正に荷電したナノ粒子は、血清タンパク質との相互作用を示し、負に荷電したタンパク質の表面吸着に起因する凝集が誘発される。血清タンパク質は、DMEM中の10%(容量/容量)FBSまたはH2O中の10%(容量/容量)FBSとの7日間インキュベーションにおいて、本発明者らの標的化ナノ粒子のサイズおよび多分散性指数(PDI)に対して効果がなかった。この発見は、標的化ナノ粒子のゼータ電位が、DMEM中の10%FBSまたはH2O中の10%FBSとの7日間の接触の後に、最小限変化したのみであり、粒子の目に見える凝集もないという観察によってさらに支持される。これらの発見は、血清中の標的化ナノ粒子の優れた安定性が、それらをin vivo用途に適したものにすることを示唆する。

0105

この操作されたナノ粒子プラットフォームは、免疫応答を誘発しないならば、in vivo用途のための治療薬を輸送するために使用することができる。血流および組織中の免疫細胞は、正に荷電したナノ粒子を貪食および排除する傾向がある。本発明者らは、RAW264.7マクロファージにおいて、炎症促進性サイトカインのIL−6およびTNF−αの産生の点から、サイズおよび電荷が変動したナノ粒子による免疫応答をELISAにより評価した。また、対照としてLPSを使用した。ナノ粒子は電荷が変動しても明白な免疫応答を示さなかった;しかしながら、直径が200nm超のナノ粒子は、TNF−αの産生を示した(図6A〜B)。これらの発見により、適切なサイズおよび電荷のナノ粒子は非免疫原性であり、全身性のin vivo試験に使用できることが確認される。

0106

F.細胞内区画中の標的化ナノ粒子の定量
ミトコンドリア膜を横断するために、ナノ粒子は、一般移入細孔を通って外膜横切り輸送される。本発明者らは、管状クリステ小胞状クリステ、および板状クリステの複雑な構造、ならびにミトコンドリア内膜へのそれらの弱い接続により、ナノ粒子の易動度制約され、それらの拡散が極めて複雑でサイズ依存的なプロセスになる可能性があることを予測した。内膜電位(ΔΨm)は、内部が負であり、正に荷電した化学種に対して電気泳動効果を及ぼすことにより、移入において主要な機能を果たす。高い正電荷を有するナノ粒子は、低い正電荷を有するナノ粒子よりも、低いΔΨmで移入されると期待される;したがって、HeLaモデル細胞株を使用して、本発明者らは、ミトコンドリア内膜の横断における、ナノ粒子のサイズおよび電荷の効果を比較評価した(図9A〜D)。本発明者らは、サイズは異なるがゼータ電位は同様の標的化PLGA−b−PEG−TPP/PLGA−b−PEG−QDブレンドナノ粒子を用いてHeLa細胞を処理し、次いで誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)を使用して定量的検討を行い、細胞により内部移行されたQDに由来するカドミウム(Cd)量を評価した。直径80〜330nmのナノ粒子のミトコンドリア取り込みを評価すると、直径80〜100nmの粒子が最大の取り込みを示す傾向があることがわかった。ナノ粒子サイズに対するサイトゾル画分およびミトコンドリア画分中のナノ粒子数を示すヒストグラムにより、ナノ粒子の細胞取り込みは、粒子サイズに極度に依存することがわかる(図9A〜B)。本発明者らは、表面電荷は異なるが流体力学的径は同様のナノ粒子ライブラリーを使用して、細胞およびミトコンドリアの取り込みに対するナノ粒子表面電荷の効果を検討し、負に荷電したナノ粒子のミトコンドリア取り込みを検出せず図9C)、また全体的な細胞取り込み(図9D)もほとんど検出しなかった。細胞取り込みは、表面電荷が1.3mVに達すると増大し、表面電荷が約22mVまで一定のままであったが、ミトコンドリア取り込みは増大した。本発明者らは、表面電荷が約34mVに増大し、飽和に達するときに、細胞取り込みのもう一つのジャンプを見出した。ミトコンドリア取り込みは、より正に荷電したナノ粒子によって顕著に増大した。ナノ粒子の直径および表面電荷の効果に関するこの系統的検討は、ミトコンドリア輸送のために最適化されたナノ粒子プラットフォームの設計に有用になりうる。

0107

G.機能障害ミトコンドリアへの治療薬の送達
この系の多用途性の概念実証として、本発明者らは、神経変性、肥満症、および癌の管理のためのミトコンドリア作用治療薬の送達を検討した。本発明者らは、ナノ沈殿法を使用して、高い負荷および封入効率で治療薬を負荷した標的化および非標的化ナノ粒子を合成した。

0108

H.神経変性疾患への適用
アミロイドにより、ADの神経病理学が定義される。ベータアミロイド(Aβ)ペプチドの凝集がアミロイド様病変を形成するため、Aβ形成の防止によるアミロイド蓄積の低減は、ADに対する治療薬蓄積を改善するための魅力的アプローチである。クルクミンは、Aβおよびそれに関連したミトコンドリア酸化ストレスを阻害することが知られている;しかしながら、その低いバイオアベイラビリティおよび光分解が主要な問題となっている。そのような問題を念頭において、本発明者らは、光安定性を提供し、かつミトコンドリア取り込みを増強するために、標的化クルクミン負荷ナノ粒子を製剤化した。MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]アッセイを使用して、20μM Aβで処理されたヒト神経芽細胞腫IMR−32細胞のin vitro生存を評価すると、非標的化クルクミンナノ粒子または遊離クルクミンと比較して、標的化クルクミンナノ粒子によるAβに対する神経保護が増強していることが実証され(図10)、これにより、細胞ミトコンドリアへのクルクミンの標的化された送達が説明される。

0109

I.癌化学療法への適用
ミトコンドリアが、癌治療の具体的な標的として浮上した。本発明者らの系が癌に適用可能であることを実証するために、ミトコンドリア作用LNDおよびα−TOSを選択した。癌細胞に対するLNDおよびα−TOSの選択性および効率は、細胞ミトコンドリアを標的化するそれらの能力に依存する。LNDおよびα−TOSの送達における、本発明者らの標的化ナノ粒子の有効性を評価するために、HeLa細胞のMTTアッセイを行なった。標的化LNDナノ粒子のIC50値は、非標的化ナノ粒子の約1/5、遊離形態のLNDの1/108であり(図11A)、細胞毒性効果がより高いことが示された。より高い細胞毒性効果はまた、標的化α−TOSナノ粒子に関して、非標的化α−TOSナノ粒子または遊離α−TOSと比較して観察された。(IC50はそれぞれ、75±2nM、230±4nM、および381±5nM)(図11B)。標的細胞小器官への優先的な局在化により、標的化ナノ粒子中に封入されたLNDおよびα−TOSの両方の細胞毒性が説明される。空のPLGA−b−PEG−TPPナノ粒子が高濃度においても細胞毒性効果がないという本発明者らの発見により、いかなる細胞毒性に対しても送達系または高いゼータ電位の寄与は除外される(図11C)。

0110

J.肥満症への可能な適用
肥満症は、II型糖尿病心臓血管疾患、および特定の癌タイプを含む、種々の代謝障害と関連するために世界的な健康問題になっている。現在入手可能な抗肥満症薬付随する、限定的な有効性および望ましくない副作用のために、エネルギー代謝を調節するために細胞内部位に薬物を直接送達することができる伝達ビヒクルの開発に注目が集まっている。ヒト肥満症の治療として、ミトコンドリア脱共役剤2,4−DNPが著しい成功を収めたことにより、エネルギー消費に対する脱共役の有益な効果が、熱量摂取量の代償的な増大により圧倒されないことが実証される。しかしながら、2,4−DNPの狭い治療濃度域により、その使用が中止された。最近の研究では、TPPに共有結合的に連結された2,4−DNPが、脱共役に効果がないことが見出されている。共有結合で連結した脱共役剤の狭い治療濃度域および失敗に関する事態が、細胞ミトコンドリアにこの脱共役剤を指向させることについてのミトコンドリア標的化ナノ粒子の評価に結びついた。標的化ナノ粒子中への2,4−DNPの封入が、細胞毒性を及ぼすには不十分な低濃度で、3T3−L1前脂肪細胞の分化誘導を抑制することができるか否かを調べるために、本発明者らは、1μM、4μM、25μM、および100μMの2,4−DNPナノ粒子(図12A〜Dおよび13)に、7日間の分化期間の間、3T3−L1細胞を継続的に曝露し、細胞生存率および細胞内脂質蓄積を評価した。非標的化2,4−DNPナノ粒子および遊離2,4−DNPを対照として使用した。分化期間の間、7日間の1μM、4μM、または100μMの標的化2,4−DNPの存在では、細胞生存率に影響はなかったが、非標的化2,4−DNPナノ粒子または遊離2,4−DNPと比較して、脂質蓄積の顕著な低下がもたらされた(図12A〜Dおよび13)。遊離2,4−DNPは、100μM濃度で細胞毒性を示した。これらの結果から、標的化ナノ粒子中の2,4−DNPは、低濃度(1または4μM)で、3T3−L1細胞の脂肪細胞分化を抑制することができ、かつこれらの細胞に対して細胞毒性効果を及ぼさないことがわかる。本発明者らは、標的化ポリマーナノ粒子系を使用して、細胞ミトコンドリアに2,4−DNPを送達し、肥満症の管理に適用可能な遊離形態と比較して低濃度で、脂質蓄積を低下させることができることを実証した。

0111

K.生体内分布および薬物動態
静脈内投与後の、雄性スプラーグドーリーラットにおける標的化PLGA−b−PEG−TPP−QDナノ粒子(NP)の生体内分布および薬物動態および排泄を評価した。血漿中のCdレベルの経時変化、臓器分布、および排泄特性を、図14に示す。これらの標的化NPの血漿中でのNP滞留延長していることが観察された。試験した臓器の中で、最大のCdは肝臓で観察された。これらの高度に正に荷電したNPは、迅速な肝胆汁排泄を示す。これらのNPは、おそらく高い正電荷のために、肝臓内に通常隔離されたままである負に荷電したPLGA−b−PEG−COOH−NPと比較して、肝臓から胃腸管の中に迅速に排泄される。

0112

図15は、薬物動態データに関するより詳細な情報を提示する表である。

0113

結論
この概念実証研究において、本発明者らは、適切に操作されたミトコンドリア標的化生分解性PLGAベースナノ粒子送達系を、ナノ粒子の表面電荷およびサイズを微調整することにより高効率で細胞ミトコンドリアに入るように作製することができることを実証した。すべてのタイプのナノ粒子がミトコンドリアに入る能力を有しているとは限らない。その理由は、表面電荷およびサイズのプログラミングに制限があるため、ナノ粒子が複雑な二重膜を横断することができないためである。以前の報告では、ミトコンドリアへの効率的な移入に対する、ナノ粒子のサイズおよび電荷の関係を検討していない。PLGAベースのナノ粒子の細胞内輸送に対する表面電荷および直径の効果に取り組む、この合理的な試験により、ミトコンドリア送達に適用するための生分解性ナノ担体の設計への一般化されたアプローチが提供される。これらの標的化ナノ粒子は、AD、肥満症、および癌を含む、種々のミトコンドリア機能障害に関連した障害に使用することができる。この研究では、いくつかの例外的に有望な研究方向が強調されるが、イメージング用に統合することができる、PLGAベースのナノ粒子の多様な適用のためのプラットフォームが提供される。

実施例

0114

したがって、薬剤のミトコンドリア輸送のためのナノ粒子の実施形態が開示される。当業者は、開示されたもの以外の実施形態で本明細書に記載するナノ粒子および方法を実行することができることを認識するであろう。開示した実施形態は、説明の目的で提示したものであり、限定するものではない。

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