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技術 λ型亜酸化チタンの製造方法

出願人 東邦チタニウム株式会社
発明者 山本晴香堺英樹
出願日 2018年7月27日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-141751
公開日 2020年1月30日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-015657
状態 未査定
技術分野 オブシンスキー素子 重金属無機化合物(I) 半導体メモリ
主要キーワード ディフラクション ピークサーチ 金属特性 一軸圧縮 亜酸化チタン 赤色レーザー光 レーザーマイクロ 水素化チタン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することのできるλ型亜酸化チタンの製造方法を提供する。

解決手段

この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法は、Ti3O5を含有するλ型亜酸化チタンを製造する方法であって、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmのβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を含むものである。

概要

背景

下記式(1)に示される亜酸化チタンの1つであるTi3O5(n=3)には、圧力もしくは熱を作用させ、又は光を照射すると、蓄熱または放熱を伴って半導体特性のβ相と金属特性のλ相との間で相転移する結晶構造を有するものがある。ストライプ型−λ−Ti3O5や蓄熱セラミックスとも称され得るこのTi3O5は、なかでも光の照射により金属的な特性から半導体的な特性へ変化する性質を利用して、光記録メモリその他の種々の用途に用いることが期待されている。この種の酸化チタンに関する技術として従来は、特許文献1〜7等に記載されたものがある。
TinO2n-1 ・・・(1)
[式中、nは2以上6以下の整数を示す。]
なおここでは、λ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンをλ型亜酸化チタンといい、またβ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンをβ型亜酸化チタンという。

λ型亜酸化チタンを製造する方法の一例としては、特許文献7等に記載されているように、アナターゼ型TiO2粒子原料とし、この粒子に対して水素雰囲気下にて1200℃程度で焼成処理を施して、TiO2を還元してTi3O5を生成させる。これにより、λ型亜酸化チタンが得られる。

概要

β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することのできるλ型亜酸化チタンの製造方法を提供する。この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法は、Ti3O5を含有するλ型亜酸化チタンを製造する方法であって、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmのβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を含むものである。なし

目的

この発明は、このような問題に対処するべくなされたものであり、その目的は、β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することのできるλ型亜酸化チタンの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

Ti3O5を含有するλ型亜酸化チタンを製造する方法であって、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmのβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を含む、λ型亜酸化チタンの製造方法。

請求項2

熱処理工程で、前記不活性ガスを、窒素アルゴンヘリウム及びネオンの何れか1種のガス又はこれらの2種以上の混合ガスとする、請求項1に記載のλ型亜酸化チタンの製造方法。

請求項3

熱処理工程の前に、二酸化チタンを含む原料粉末アーク溶解法で溶解する溶解工程と、溶解工程で得られる亜酸化チタンを粉砕して、熱処理工程で用いる前記β型亜酸化チタンを得る粉砕工程とを含む、請求項1又は請求項2に記載のλ型亜酸化チタンの製造方法。

請求項4

粉砕工程で粉砕する亜酸化チタンとして、溶解工程で得られる亜酸化チタンのうち、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンを用いる、請求項3に記載のλ型亜酸化チタンの製造方法。

技術分野

0001

この発明は、Ti3O5を含むλ型亜酸化チタンを製造する方法に関するものであり、特に、β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを製造するための技術を提案するものである。

背景技術

0002

下記式(1)に示される亜酸化チタンの1つであるTi3O5(n=3)には、圧力もしくは熱を作用させ、又は光を照射すると、蓄熱または放熱を伴って半導体特性のβ相と金属特性のλ相との間で相転移する結晶構造を有するものがある。ストライプ型−λ−Ti3O5や蓄熱セラミックスとも称され得るこのTi3O5は、なかでも光の照射により金属的な特性から半導体的な特性へ変化する性質を利用して、光記録メモリその他の種々の用途に用いることが期待されている。この種の酸化チタンに関する技術として従来は、特許文献1〜7等に記載されたものがある。
TinO2n-1 ・・・(1)
[式中、nは2以上6以下の整数を示す。]
なおここでは、λ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンをλ型亜酸化チタンといい、またβ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンをβ型亜酸化チタンという。

0003

λ型亜酸化チタンを製造する方法の一例としては、特許文献7等に記載されているように、アナターゼ型TiO2粒子原料とし、この粒子に対して水素雰囲気下にて1200℃程度で焼成処理を施して、TiO2を還元してTi3O5を生成させる。これにより、λ型亜酸化チタンが得られる。

先行技術

0004

特開2016−171109号公報
特許第5398025号公報
特許第5549939号公報
特許第5700622号公報
特許第5733736号公報
特許第5736664号公報
特許第6080026号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献7に記載された製造方法では、水素雰囲気下で高温焼成することから、製造コストが嵩むという問題がある他、製造時の安全性の観点でも懸念が残る。

0006

ところで、β型亜酸化チタンは導電性フィラー有色顔料蒸着材料等にも用いられることがあり、かかる用途に用いる亜酸化チタンを製造する際には、比較的粒径の大きいβ型亜酸化チタンが得られる。一方で、比較的粒径の小さいβ型亜酸化チタンは、篩別して廃棄物として処分されていた。このようなβ型亜酸化チタンから、蓄熱セラミックスであるλ型亜酸化チタンを製造することができれば、これまでは廃棄物とされてきた当該β型亜酸化チタンを有効に活用することができる。
上記β型亜酸化チタンを有効活用する場合には、簡易な方法で安価に製造することが求められる。

0007

しかるに、上記のようにして得られたβ型亜酸化チタンをそのまま、一般にβ相からλ相に相転移する際の温度として知られている400℃程度でアニールしても、β相からλ相への相転移が十分に起こらないことが解かった。

0008

この発明は、このような問題に対処するべくなされたものであり、その目的は、β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することのできるλ型亜酸化チタンの製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

発明者は、上述したβ型亜酸化チタンをβ相からλ相に相転移させることについて鋭意検討した結果、β型亜酸化チタンを所定の粒径とした後、所定の雰囲気及び温度条件熱処理することにより、λ型亜酸化チタンが得られることを見出した。

0010

この知見の下、この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法は、Ti3O5を含有するλ型亜酸化チタンを製造する方法であって、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmのβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を含むものである。

0011

なお、熱処理工程では、前記不活性ガスを、窒素アルゴンヘリウム及びネオンの何れか1種のガス又はこれらの2種以上の混合ガスとすることができる。

0012

この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法は、熱処理工程の前に、二酸化チタンを含む原料粉末アーク溶解法で溶解する溶解工程と、溶解工程で得られる亜酸化チタンを粉砕して、熱処理工程で用いる前記β型亜酸化チタンを得る粉砕工程とを含むことが好ましい。

0013

この場合、粉砕工程で粉砕する亜酸化チタンとしては、溶解工程で得られる亜酸化チタンのうち、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンを用いることができる。

発明の効果

0014

この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法によれば、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmのβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を含むことにより、β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することができる。

図面の簡単な説明

0015

Ti3O5の相転移を示したグラフである。
比較例2の400℃で熱処理して得られたλ型亜酸化チタンの粉末X線回折法の結果を示すグラフ及び、そのSEM写真である。
実施例1の600℃で熱処理して得られたλ型亜酸化チタンの粉末X線回折法の結果を示すグラフ及び、そのSEM写真である。
実施例2の800℃で熱処理して得られたλ型亜酸化チタンの粉末X線回折法の結果を示すグラフ及び、そのSEM写真である。
実施例3の1250℃で熱処理して得られたλ型亜酸化チタンの粉末X線回折法の結果を示すグラフ及び、そのSEM写真である。

0016

以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のλ型亜酸化チタンの製造方法は、β型亜酸化チタンに対して熱処理を施す熱処理工程を含むものであり、この熱処理工程では、β型亜酸化チタンを、レーザー回折散乱法による平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmである粉状もしくは粒状のβ型亜酸化チタンを、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する。

0017

(亜酸化チタン)
この実施形態で対象とする亜酸化チタンに含まれるTi3O5は、図1に例示するように、約460K以下の温度領域で、金属特性を有する単斜晶系の結晶構造(λ相、λ−Ti3O5)になることがある。
そして、λ相のTi3O5が圧力の作用又は光の照射を受けると、λ相から半導体特性を有する単斜晶系の結晶構造(β相、β−Ti3O5)に相転移する。この際に、λ相で潜在的に蓄えていた熱を放出して発熱する。

0018

β相のTi3O5を加熱した場合、約460K以上の温度で金属特性を有する斜方晶系の結晶構造(α相、α−Ti3O5)に相転移するも、その後に温度が約460K未満になると、上記の加熱による熱を蓄えたまま、λ相に相転移する。
したがって、亜酸化チタン中のTi3O5は、熱の作用により、半導体特性のβ−Ti3O5から、蓄熱を伴い、α−Ti3O5を経て金属特性のλ−Ti3O5に相転移するとともに、圧力の作用または光の照射により、λ−Ti3O5から、放熱を伴ってβ−Ti3O5に相転移する。また、光を照射することにより、β−Ti3O5からλ−Ti3O5への相転移も可能である。なお、図1に例示するように、電流を流すことによっても、β−Ti3O5からλ−Ti3O5へ、またそれとは逆にλ−Ti3O5からβ−Ti3O5へ相転移する場合もある。
なお、λ−Ti3O5は濃紺色を呈する一方で、β−Ti3O5は茶褐色を呈する。

0019

この実施形態では、亜酸化チタン中のλ相のTi3O5およびβ相のTi3O5は、粉末X線回折法により確認することができる。測定装置としては、例えば「X線回折装置(X’Pert Pro MPD)、PANalytical(旧Philips Analytical)」などを挙げることができる。具体的には、λ−Ti3O5の特徴的なピーク(2θ:32°〜33°のピーク)とβ−Ti3O5の特徴的なピーク(2θ:28°のピーク)の存在を確認する。次いで、λ−Ti3O5に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti3O5に由来する2θ=28.35°のピークの強度比を用い、下記式(2)に従い亜酸化チタン中のλ−Ti3O5の割合(以下、λ率)を算出する。λ相のTi3O5およびβ相のTi3O5は、メインピーク位置(2θ)が重なっているため、メインピークの強度比からλ率を算出することが困難である。そのため、λ−Ti3O5に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti3O5に由来する2θ=28.35°のピークを用いてλ率を算出する。この場合、実際のλ−Ti3O5の2θ=32.17°のピーク強度は、メインピークの強度(100%)に対して31.0%であり、β−Ti3O5の2θ=28.35°のピーク強度は、メインピークの強度(100%)に対して28.2%である。従って、下記式(2)は、用いたピーク強度をメインピークの強度に相当する強度となるよう補正している。

0020

測定装置として「X線回折装置(X’Pert Pro MPD)、PANalytical(旧Philips Analytical)」を用いる場合には、λ率は、「Panalytical」に付属の「X’pert HighScore」というソフトで算出する。具体的には、デフォルト仕様バックグラウンド指定をしたのち、ピークサーチを実行する。その後、パウダーディフラクションファイル(PDF)(粉末X線回折データベースICDD)からλであれば「01−082−1137」、βであれば「01−082−1138」を検索し、それぞれ2θ=32.17°、28.35°に相当するピークの強度を抽出する。ピーク強度もソフト上で算出する。

0021

なお、「λ−Ti3O5に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti3O5に由来する2θ=28.35°のピーク」は、亜酸化チタンの製法などに応じて生じた結晶構造に含まれる歪などの影響により、所定値からシフトしたピーク(シフトピーク)である場合もある。このような場合、上記ソフトは、検出された「シフトピーク」を「λ−Ti3O5に由来する2θ=32.17°のピークとβ−Ti3O5に由来する2θ=28.35°のピーク」であると同定して、「シフトピーク」のピーク強度を算出する。

0022

0023

この実施形態でβ型亜酸化チタンから製造しようとするλ型亜酸化チタンは、保存した熱エネルギーを、低圧条件下で取り出すことができる。上記λ型亜酸化チタンは、例えば60MPaの圧力を作用させたときに、λ相からβ相へ相転移する。このときの転移率(以下、相転移比率)は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。60MPaの圧力作用時のこの相転移比率が小さすぎると、上述したような相転移が生じる結晶構造のTi3O5が十分に含まれていない懸念がある。かかる相転移比率は、60MPaの圧力を作用させる前と後のそれぞれの上記式(2)で示されるλ率を確認することにより測定する。

0024

亜酸化チタンに圧力を作用させる際には、その方法は特に限定されないが、一軸圧縮により圧力を作用させてもよいし、圧力媒体を介して等方加圧により作用させてもよい。例えば、CIPなどの機器を用いて、水圧により等方的に亜酸化チタンを押圧してもよい。また、上記λ型亜酸化チタンは、圧力を作用させる他、光を照射してもλ相からβ相へ相転移する。例えば、波長500nmの赤色レーザー光を適用することができる。

0025

ここでは、β型亜酸化チタンは、上述したβ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンとし、λ型亜酸化チタンは、上述したλ相のTi3O5を含有する亜酸化チタンとする。
β型亜酸化チタンは、λ率が、概ね1%以下、即ち、検出限界以下であり、殆どλ型亜酸化チタンに相転移していないものであることが多い。また、この実施形態に従い、当該β型亜酸化チタンから製造されるλ型亜酸化チタンは、λ率が、10%以上であることが好ましく、さらに50%以上であることが好ましく、特に70%以上であることがより一層好ましい。

0026

なお、β型亜酸化チタン及びλ型亜酸化チタンのいずれも、Ti3O5を、たとえば90質量%以上で含有することが好ましく、特に95質量%以上で含有することが好ましい。このTi3O5の他、上記式(1)で示される亜酸化チタン、例えばTi2O3、Ti5O9及びTi6O11からなる群から選択される少なくとも一種を、合計10質量%未満、好ましくは5重量%未満で含有することがある。これらの含有量は、例えば粉末X線回折法により測定することができる。なお、β型亜酸化チタン及びλ型亜酸化チタン中には、この発明の特性に影響しない範囲内で、上記化合物以外に不可避不純物の含有が許容される。

0027

(亜酸化チタンの製造方法)
(溶解工程)
上記のβ型亜酸化チタンを得るため、溶解工程を行うことができる。この溶解工程では一般に、少なくとも二酸化チタンを含む原料粉末を、必要に応じて円柱直方体もしくは立方体その他の所定の形状に成形した後に、ルツボ投入し、ここで不活性ガスもしくは真空雰囲気下でアーク溶解法により溶解する。

0028

上記の原料粉末は通常、二酸化チタンの他、さらに金属チタン及び/又は水素化チタンを含み、ボールミル等によりこれらを混合したもの(混合粉末)とする。該混合粉末中の金属チタン及び/又は水素化チタンの合計と、二酸化チタンとの混合比(重量比配合割合)は、たとえば、1:8〜1:9とすることがある。なお、水素化チタンが含まれない場合、上記の混合比の「金属チタン及び/又は水素化チタンの合計」は、金属チタンのみの重量を意味する。あるいは、金属チタンが含まれない場合、上記の混合比の「金属チタン及び/又は水素化チタンの合計」は、水素化チタンのみの重量を意味する。あるいは、金属チタン及び水素化チタンの両方が含まれる場合、上記の混合比の「金属チタン及び/又は水素化チタンの合計」は、金属チタン及び水素化チタンの合計重量を意味する。
溶解工程では、アーク溶解法のなかでも、簡易な装置で行い得る非消耗アーク溶解法を用いることが多い。

0029

溶解後は、不活性ガスもしくは真空雰囲気下で冷却する。それにより、Ti3O5を含有する亜酸化チタンが得られ、一般にはこれをハンマーミル等で解砕する。

0030

溶解工程で得られる亜酸化チタンは通常、Ti3O5の多くが熱力学的に安定なβ相のTi3O5であり、たとえば0.1mm〜3mm程度の平均粒径(D50)であって粒径が比較的大きい。これまでは、この亜酸化チタンのうち、粒径が大きなものは、有色顔料や導電性フィラー、チタン系薄膜形成のための蒸着材料等として用いていたが、平均粒径(D50)が0.1mm未満と小さいものは廃棄していた。
この実施形態では、平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンに対し、後述の粉砕工程及び熱処理工程を行ってλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造し、その有効活用を図る。

0031

なお、溶解工程で得られる亜酸化チタンから、平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンを分離させるため、所定の篩目振動篩(目開き0.1mm)その他のを用いて篩別することができる。篩別した亜酸化チタンの平均粒径(D50)は通常、0.1mm以上となる。一方、平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンは廃棄されていたが、本実施形態では、この廃棄分の亜酸化チタンを回収して、後述の粉砕工程に供する。

0032

(粉砕工程)
粉砕工程では、上述した溶解工程で得られた亜酸化チタン、特にこのうちの平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンを、さらに微細化するために粉砕する。
ここでは、0.1mm未満の微粉粗粉を粉砕することが可能な粉砕機であればよく、その手法は特に限定されない。例えば、ジェットミル、ボールミルもしくはビーズミル等といった種々の公知の粉砕機を用いることができるが、なかでもジェットミルを用いることが、作業効率を向上させることが可能な点で好ましい。ジェットミルは、供給された原料を、圧縮空気等の高圧流体により相互に衝突ないし摩擦させて粉砕するものである。ジェットミルは乾式法であるため、湿式法のボールミルやビーズミルと比較して、亜酸化チタンのスラリーを作製して粉砕後乾燥する工程を省略することができ、さらに、廃液処理をする必要も無い。

0033

粉砕工程では、上記の亜酸化チタンを粉砕して、平均粒径(D50)が0.1μm〜10μmである粉状もしくは粒状のβ型亜酸化チタンとし、このβ型亜酸化チタンを後述の熱処理工程で用いることが好ましい。
粉砕工程で亜酸化チタンが十分に粉砕されておらず、β型亜酸化チタンの平均粒径(D50)が10μmを超える場合は、熱処理工程で亜酸化チタンのβ相がλ相に相転移しないことが懸念される。一方、粉砕工程で亜酸化チタンを粉砕しすぎて、β型亜酸化チタンの平均粒径(D50)が0.1μm未満となった場合は、熱処理工程で相転移した亜酸化チタンの取り扱いが困難となるおそれがある。この観点から、β型亜酸化チタンの平均粒径(D50)が1μm〜10μmとなるように、粉砕工程を行うことがより一層好適である。
なお、本実施形態における酸化チタンや亜酸化チタンの平均粒径(D50)は、レーザー回折散乱法により測定され、体積基準累積分布が50%となる粒径である。また、後述の実施例におけるD10、D90は、それぞれ積算値が10%、90%のときの粒径の値である。

0034

(熱処理工程)
上記のようにして得られたβ型亜酸化チタンに対しては、不活性ガス雰囲気の下、450℃〜1300℃で加熱する熱処理工程を行う。

0035

これは、先述したようなアーク溶解法による溶解工程等を経て得られるβ型亜酸化チタンTi3O5が、通常の相転移温度ではβ相からλ相に転移せず、それよりも高温で転移するとの新たな知見が得られたことによるものである。この理由は、アーク溶解等の高温で粒成長した亜酸化チタンは結晶学的及び熱力学的に安定であることにより、結晶動き難く、その結果として相転移し難いためと考えられる。但し、この発明は、このような理論に限定されるものではない。

0036

熱処理工程の加熱時の温度を450℃未満とした場合は、β型亜酸化チタンのβ相のTi3O5がλ相に十分に転移せず、所望のλ型亜酸化チタンを得ることができない。この一方で、加熱時の温度を1300℃より高くした場合は、そのような高熱に耐えうる周辺環境を整えることが困難となる。したがって、加熱時の温度は、450℃〜1300℃とし、好ましくは600℃〜1250℃、より好ましくは800℃〜1250℃とする。

0037

熱処理工程の加熱は、不活性ガス雰囲気の下で行う。これは、亜酸化チタンを酸化させないためである。具体的には、不活性ガス雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム及びネオンの何れか1種のガス又はこれらの2種以上の混合ガスによる雰囲気とする。

0038

加熱時間は、たとえば2時間〜6時間、好ましくは3時間〜4時間とすることができる。加熱時間は短すぎると、亜酸化チタンのβ相がλ相に相転移しないとなるおそれがあり、また長すぎると焼結により粒径が巨大化することが懸念される。
このような熱処理工程により、λ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造することができる。

0039

次に、この発明のλ型亜酸化チタンの製造方法を試験的に行い、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。

0040

酸化チタンと金属チタンの粉末を、Ti:Oの質量比が3:5となるように量し、これらを、ウレタンポット鉄球によるボールミルで混合して、原料粉末を得た。原料粉末を成形した後、この成形体をアーク溶解法にて焼成し、ハンマーミルを用いて、これを解砕して亜酸化チタン(β型)とした。この亜酸化チタンを振動篩により篩別し、平均粒径(D50)が0.1mm未満の亜酸化チタンを分離させた。なお、該亜酸化チタンについて各種粒径を測定すると、D10が23.5μm、平均粒径(D50)が58.9μm、D90が115.8μmであった。ここでは、レーザー回折散乱法により各種粒径の測定を行った。測定装置には、株式会社セイシン企業製の「レーザーマイクロサイザーLMS−2000e」(レーザー回折散乱粒度分布測定器)を用いた。

0041

その後、ジェットミル(株式会社セイシン製CO−JET型)を使用して該亜酸化チタンを粉砕し、D10が0.7μm、平均粒径(D50)が3.8μm、D90が13.6μmのβ型亜酸化チタンを得た。このβ型亜酸化チタンに対し、窒素雰囲気の下、所定の異なる各温度で3時間にわたって加熱する熱処理を施し、λ型亜酸化チタンを製造した。熱処理では、不活性ガスとしてN2ガスを用いるとともに、3時間にわたって加熱した。熱処理温度について、比較例1では800℃とし、比較例2では400℃とし、実施例1〜3ではそれぞれ、600℃、800℃、1250℃とした。なお、比較例1はジェットミル粉砕を行わなかったこと以外は実施例2と同様にして、λ型亜酸化チタンを製造した。

0042

比較例2及び実施例1〜3で得られたそれぞれのλ型亜酸化チタンの粉末X線回折法の結果を、SEM写真とともに図2〜5にそれぞれ示す。また表1に、比較例1及び実施例1〜3の熱処理条件及びλ率を示す。なお、このλ率は、先に述べたように、λ−Ti3O5とβ−Ti3O5のピークの強度比を用いて算出したλ−Ti3O5の割合である。なお、λ−Ti3O5を示すパウダーディフラクションファイル(粉末X線回折データベース;ICDD)は「01−082−1137」であり、β−Ti3O5は「01−082−1138」である。

0043

実施例

0044

表1及び図2〜5に示すところから、ジェットミル粉砕を行わなかった場合(比較例1)、あるいは熱処理時の温度を400℃とした場合(比較例2)は、λ率が低いλ型亜酸化チタンとなったが、当該温度を高くするに伴い(実施例1〜3)、製造されたλ型亜酸化チタンが大きくなることが解かる。
よって、この発明によれば、β型亜酸化チタンからλ型亜酸化チタンを簡便且つ安価に製造できることが解かった。

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