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技術 押出成形用ビレットおよび押出材の製造方法

出願人 日立金属株式会社
発明者 向瀬レミ原顕一郎ソーレンミュラスウェーンガール
出願日 2018年7月25日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-139318
公開日 2020年1月30日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-015058
状態 未査定
技術分野 金属の押出
主要キーワード ガラス潤滑剤 押出軸 ダミーブロック オーステナイト系ステンレス鋼製 鋭角側 テーパー加工 ダイスホルダー 押出荷重
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

難加工性の材料である「ニッケル基超耐熱合金」を押出成形したときに、その押出材表面欠陥を抑制できる押出成形用ビレットと、押出材の製造方法を提供する。

解決手段

ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製容器収納されてなる押出成形用ビレットであり、この容器に収納されている被押出成形材は、押出成形の際のダイス側となる縁部がテーパーを有し、かつ、このテーパー半角θが40〜80°である押出成形用ビレットである。 また、上記の押出成形用ビレットを熱間加工温度に加熱し、この熱間加工温度に加熱した押出成形用ビレットを、上述の被押出成形材のテーパーを有する縁部がダイス側になるようにコンテナに挿入して、直接押出により成形する押出材の製造方法である。

概要

背景

押出材は、押出成形によって製造される。押出成形とは、ビレット熱間加工温度に加熱し、この熱間加工温度に加熱したビレットをコンテナに挿入し、このコンテナに挿入したビレットに圧縮力を付与して、コンテナに設置したダイスの孔からビレットを押出すことで、ビレットを押出材の形状に成形する方法である。

図1は、押出成形装置の一例の断面構造を示す概略図である。図1において、まず、熱間加工温度に加熱したビレット1をコンテナ2に挿入する。次に、このコンテナ2に挿入したビレット1に、ダミーブロック3を介して、ステム4により圧縮力を付与する。そして、このことによって、ビレット1は、コンテナ2に設置したダイス5の孔から押出されて、ダイス5の孔形状断面を有した押出材6に成形される。このとき、ダイス5がダイスホルダーを介してコンテナ2に設置されている場合、図1のダイス5は、図示しないダイスホルダーを含んでいる。なお、図1の場合、ビレット1とダイス5との間に、潤滑用ガラスパッド(ガラスの圧粉体)7を介在させている。
図1の押出成形装置は、「直接押出」の様態を示すものである。直接押出とは、ビレットを挿入したコンテナの一端側よりビレットに圧縮力を付与して、コンテナの他端側に設置したダイスの孔からビレットを押出す成形方法である。各種の押出成形のうちでも、直接押出は、プレス機の構造がシンプルで最も基本的な成形方式である。

このような直接押出において、ビレットが難加工性の材料でなると、押出材の表面に疵や割れ等の欠陥が生じやすくなる。そこで、コンテナに挿入したビレットの表面がコンテナやダイスと接触することで、ビレットの表面温度が熱間加工温度から大きく低下する(つまり、ビレットの材料強度が上がる)ことを抑制するために、本来のビレットである上記の難加工性の材料を被押出成形材として、この被押出成形材を、これよりも加工性に優れた容器収納したものを“押出成形用ビレット”にした「カプセル押出」が提案されている(特許文献1)。

概要

難加工性の材料である「ニッケル基超耐熱合金」を押出成形したときに、その押出材の表面欠陥を抑制できる押出成形用ビレットと、押出材の製造方法を提供する。ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製の容器に収納されてなる押出成形用ビレットであり、この容器に収納されている被押出成形材は、押出成形の際のダイス側となる縁部がテーパーを有し、かつ、このテーパー半角θが40〜80°である押出成形用ビレットである。 また、上記の押出成形用ビレットを熱間加工温度に加熱し、この熱間加工温度に加熱した押出成形用ビレットを、上述の被押出成形材のテーパーを有する縁部がダイス側になるようにコンテナに挿入して、直接押出により成形する押出材の製造方法である。

目的

本発明の目的は、難加工性の材料である「ニッケル基超耐熱合金」を押出成形したときに、その押出材の表面欠陥を抑制できる押出成形用ビレットと、押出材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製容器収納されてなる押出成形用ビレットであり、前記容器に収納されている被押出成形材は、押出成形の際のダイス側となる縁部がテーパーを有し、かつ、該テーパー半角θが40〜80°であることを特徴とする押出成形用ビレット。

請求項2

請求項1に記載の押出成形用ビレットを熱間加工温度に加熱し、前記熱間加工温度に加熱した前記押出成形用ビレットを、前記被押出成形材のテーパーを有する縁部がダイス側になるようにコンテナに挿入し、前記押出成形用ビレットを挿入したコンテナの一端側より前記押出成形用ビレットに圧縮力を付与して、前記コンテナの他端側に設置したダイスの孔から前記押出成形用ビレットを押出して成形することを特徴とする押出材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ニッケル基超耐熱合金押出成形するための押出成形用ビレットと、この押出成形用ビレットを用いたことによる押出材の製造方法に関する。

背景技術

0002

押出材は、押出成形によって製造される。押出成形とは、ビレットを熱間加工温度に加熱し、この熱間加工温度に加熱したビレットをコンテナに挿入し、このコンテナに挿入したビレットに圧縮力を付与して、コンテナに設置したダイスの孔からビレットを押出すことで、ビレットを押出材の形状に成形する方法である。

0003

図1は、押出成形装置の一例の断面構造を示す概略図である。図1において、まず、熱間加工温度に加熱したビレット1をコンテナ2に挿入する。次に、このコンテナ2に挿入したビレット1に、ダミーブロック3を介して、ステム4により圧縮力を付与する。そして、このことによって、ビレット1は、コンテナ2に設置したダイス5の孔から押出されて、ダイス5の孔形状断面を有した押出材6に成形される。このとき、ダイス5がダイスホルダーを介してコンテナ2に設置されている場合、図1のダイス5は、図示しないダイスホルダーを含んでいる。なお、図1の場合、ビレット1とダイス5との間に、潤滑用ガラスパッド(ガラスの圧粉体)7を介在させている。
図1の押出成形装置は、「直接押出」の様態を示すものである。直接押出とは、ビレットを挿入したコンテナの一端側よりビレットに圧縮力を付与して、コンテナの他端側に設置したダイスの孔からビレットを押出す成形方法である。各種の押出成形のうちでも、直接押出は、プレス機の構造がシンプルで最も基本的な成形方式である。

0004

このような直接押出において、ビレットが難加工性の材料でなると、押出材の表面に疵や割れ等の欠陥が生じやすくなる。そこで、コンテナに挿入したビレットの表面がコンテナやダイスと接触することで、ビレットの表面温度が熱間加工温度から大きく低下する(つまり、ビレットの材料強度が上がる)ことを抑制するために、本来のビレットである上記の難加工性の材料を被押出成形材として、この被押出成形材を、これよりも加工性に優れた容器収納したものを“押出成形用ビレット”にした「カプセル押出」が提案されている(特許文献1)。

先行技術

0005

特開平04−081217号公報

発明が解決しようとする課題

0006

カプセル押出は、押出材の表面欠陥の抑制に有効な押出方法である。しかし、このようなカプセル押出を適用した直接押出において、本来であれば、押出成形後の押出材の表面が、上記の容器の材質でなる保護膜によって覆われているべきところ、実際には、押出成形の初期に対応する、押出材の先端側の位置の表面で、上記の保護膜が薄く、場合によっては剥離している場合があった。そして、保護膜が薄くなると、押出成形中において、被押出成形の温度が低下して、押出材の表面欠陥の要因となる。
本発明の目的は、難加工性の材料である「ニッケル基超耐熱合金」を押出成形したときに、その押出材の表面欠陥を抑制できる押出成形用ビレットと、押出材の製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製の容器に収納されてなる押出成形用ビレットであり、
上記の容器に収納されている被押出成形材は、押出成形の際のダイス側となる縁部がテーパーを有し、かつ、このテーパー半角θが40〜80°である押出成形用ビレットである。

0008

そして、本発明は、上記した本発明の押出成形用ビレットを熱間加工温度に加熱し、この熱間加工温度に加熱した押出成形用ビレットを、上述の被押出成形材のテーパーを有する縁部がダイス側になるようにコンテナに挿入し、
この押出成形用ビレットを挿入したコンテナの一端側より押出成形用ビレットに圧縮力を付与して、コンテナの他端側に設置したダイスの孔から押出成形用ビレットを押出して成形する押出材の製造方法である。

発明の効果

0009

本発明により、カプセル押出を適用した直接押出において、ニッケル基超耐熱合金の押出材の表面欠陥を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0010

直接押出成形を行う装置の一例を示す、押出成形装置の断面構造の概略図である。
本発明例の押出材の製造方法の一例を示す、押出成形装置の断面構造の概略図である。
比較例の押出材の製造方法の一例を示す、押出成形装置の断面構造の概略図である。
本発明例の押出材の製造方法で作製した押出材の断面の一例を示す図面代用写真である。
比較例の押出材の製造方法で作製した押出材の断面の一例を示す図面代用写真である。

0011

上述した通り、本発明の押出材の製造方法は、ビレットを挿入したコンテナの一端側よりビレットに圧縮力を付与して、コンテナの他端側に設置したダイスの孔からビレットを押出す「直接押出」によるものである。そして、これに、本来のビレットである難加工性の材料を、この材料よりも加工性に優れた容器に収納した「押出成形用ビレット」を押出成形する「カプセル押出」を適用したものである。

0012

この上で、まず、本発明では、上記の押出成形用ビレットで、その容器に収納する被押出成形材を、難加工性の材料である「ニッケル基超耐熱合金」とする。ニッケル基超耐熱合金は、その組織中に、金属間化合物析出強化相である「ガンマプライム」を含む析出強化型合金である。そして、その一具体例として、例えば、質量%で、C:0.25%以下、Cr:8.0〜25.0%、Al:0.5〜8.0%、Ti:0.4〜7.0%、Co:0〜28.0%、Mo:0〜8%、W:0〜15.0%、Nb:0〜4.0%、Ta:0〜5.0%、Fe:0〜10.0%、V:0〜1.2%、Hf:0〜3.0%、B:0〜0.300%、Zr:0〜0.300%を含み、残部がNiおよび不純物からなる成分組成が挙げられる。

0013

ニッケル基超耐熱合金は、高温強度に優れるものである。よって、ニッケル基超耐熱合金を押出成形するときに、その合金製のビレットは、例えば、1050〜1200℃の熱間加工温度に加熱される。そして、このような場合、通常、押出成形の際の押出成形装置のコンテナは、それに挿入されたビレットが冷え過ぎないように(つまり、加熱されたビレットの熱間加工温度が下がり過ぎないように)、予熱されている。しかし、その予熱温度は、例えば、コンテナがJIS−SKD61製でなるような一般的な押出成形装置で高々500℃程度であって、上記したニッケル基超耐熱合金の熱間加工温度に比べて大幅に低い。よって、ニッケル基超耐熱合金を押出成形すると、その成形中のビレットの温度が低下して、特に、ビレットの表面温度が上記の熱間加工温度から大幅に低下して、その温度低下したビレット表面局部の変形抵抗が上昇して、熱間加工性が悪くなり、これが押出材の表面に疵や割れ等の欠陥が生じる要因となる。

0014

そこで、本発明では、この押出材の表面欠陥を抑制するために、ニッケル基超耐熱合金の直接押出に、上述の「カプセル押出」を適用する。つまり、ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、これよりも加工性に優れた材料でなる容器に収納されたものを「押出成形用ビレット」にして、これに直接押出を行うものである。このとき、容器の側面の肉厚は、例えば、被押出成形材の径等に応じて、5〜40mmとすることができる。また、被押出成形材を容器に収納する際、容器内を脱気してもよい。
そして、この容器を「低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製」とすることが、その容器自身の加工のし易さに加えて、被押出成形材の表面とコンテナの内面との間での熱伝達緩慢にし、上記したビレットの表面温度の低下抑制に実に最適な組合せであることを知見した。

0015

まず、「炭素鋼」とは、JIS−G−0203の番号1104において、「鉄と炭素の合金で炭素含有率が,通常0.02〜約2%の範囲の鋼。少量のけい素マンガンりん硫黄などを含むのが普通である。」ことで定義される材質のことである。そして、この炭素鋼の分類の中で、容器の材質を「低炭素鋼」とすることで、低炭素鋼の炭素量は概ね0.25質量%以下であることから、硬度が低く、この容器は塑性加工性に優れるものである。よって、低炭素鋼製の容器が、押出成形中の押出成形用ビレットの変形抵抗の増加に作用することはなく、円滑な押出成形を促しながら、その中に収納されているニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材の表面温度の低下を抑制することができる。
そして、「オーステナイト系ステンレス鋼」とは、JIS−G−0203の番号3804において、「常温においてもオーステナイト組織を示すステンレス鋼。」で定義される材質のことである。容器の材質を「オーステナイト系ステンレス鋼」とすることで、オーステナイト系ステンレス鋼もまた、その硬度が低いので(炭素量は概ね0.15質量%以下である)、円滑な押出成形を促しながら、上記した被押出成形材の表面温度の低下を抑制することができる。

0016

そして、ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材を、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製の容器に収納する際には、その被押出成形材の全体を、容器に収納することで(つまり、押出成形中のコンテナ、ダイス、ダミーブロックと接する全表面を容器で覆うことで)、押出成形の初期から終期掛けて、ダイス(ダイスホルダーを含む)やダミーブロックと接触するビレットの表面位置にも、容器が介在しているので、このビレットの表面位置からの抜熱よる被押出成形材の温度低下も抑制することができる。

0017

このようなカプセル押出による直接押出であれば、その成形中のビレットの温度低下に起因する、ニッケル基超耐熱合金の押出材の表面欠陥の発生を抑制することができる。しかし、押出成形用ビレットの時点では、上記の容器の存在によって、その中に収納されているニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、コンテナ、ダイス、ダミーブロックと隔てられていたとしても、押出成形中で、上記の容器の厚さが薄くなると、容器に収納されている被押出成形材の温度が低下して、押出材の表面欠陥の要因となる。
そこで、本発明者は、カプセル押出による直接押出おいて、押出成形中に、被押出成形材を収納している容器が薄くなることを抑制できる押出条件を検討した。そして、その結果、上記の容器が薄くなる要因は、容器中の被押出成形材の形状と関係があることを、突きとめた。

0018

まず、被押出成形材は、それが容器に収納されてコンテナに挿入されたときに、一方がダイス側となり、他方がステム(ダミーブロック)側となる、二つの端面を有する。被押出成形材のステム側の端面の形状は、押出荷重負荷される側であることから、容器の平坦外形状に従って、一般的に、平坦である。そして、被押出成形材のダイス側の端面の形状については、それに対応する容器の位置の外形状が、平坦でない場合(例えば、ダイスの形状に沿って、テーパーを有しているような場合)であっても、その中にある被押出成形材のダイス側の端面の形状は、一般的に、平坦である。つまり、従来のカプセル押出における被押出成形材は、それを収納することとなる容器の形状に係わらず、その押出方向の軸心を通る断面形状が、一般的に、矩形であったと言える。

0019

そして、被押出成形材のダイス側の端面の形状が平坦であると、このような被押出成形材を容器に収納した押出成形用ビレットを押出成形したときに、その被押出成形材のダイス側の平坦な部分を覆っている容器が薄くなりやすいという現象を認めた。その結果、製造された押出材では、その先端側の位置(つまり、押出成形の初期における位置)の表面で、保護膜が薄く、剥がれやすい状況となっており、ニッケル基超耐熱合金に表面欠陥が生じやすい。そして、本発明者は、被押出成形材のダイス側の端面の縁部に特定のテーパー加工を施すことで、上記の容器が薄くなる現象を抑制できることを突きとめた。
すなわち、本発明は、ニッケル基超耐熱合金製の被押出成形材が、低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製の容器に収納されてなる押出成形用ビレットであり、この被押出成形材が、押出成形の際のダイス側となる縁部がテーパーを有し、かつ、このテーパー半角θが40〜80°である押出成形用ビレットである。ここで、上記の被押出成形材のテーパー半角θ(°)とは、被押出成形材の押出方向(図2押出軸A−A’)と、被押出成形材の縁部が有するテーパー面とがなす、被押出成形材本体側に形成される角度(図2鋭角側の角度)のことである。

0020

図2は、被押出成形材8が容器9に収納されてなる押出成形用ビレット10において、その被押出成形材8のダイス5側となる縁部がテーパーを有したものである(本発明例)。また、図3は、上記の押出成形用ビレット10において、その被押出成形材8のダイス5側となる縁部が平坦なものである(比較例)。このとき、被押出成形材8の表面と容器9の内面との間には、0.25〜1mm程度の隙間を設けることがきる(つまり、被押出成形材の外径と、容器の内径との差が、0.5〜2mmということである)。
これらの押出成形用ビレットを直接押出によって押出成形すると、押出成形を開始したときから、被押出成形材の偏肉片寄り;Deviation)等によって、被押出成形材のダイス側の端面の部分がコンテナ方向に変形する。そして、図3の押出成形用ビレットの場合、上記の被押出成形材が変形した部分の、コンテナ方向への“せり出し”が大きいことから、その部分の容器が局所的に薄くなる。そして、この容器が局所的に薄くなった部分の押出成形用ビレットがダイス孔から押出されるときに、その部分で被押出成形材の温度が局所的に低下して、製造された押出材の先端の位置(つまり、押出成形の初期の押出材の位置)の表面で、表面欠陥が発生しやすい。図3の押出成形用ビレット10から得た押出材6の先端の位置は、例えば、図5のような様態である。図5より、その先端の位置で、保護膜11が薄くなっていることがわかる。

0021

これに対して、図2の押出成形用ビレットの場合、押出成形の開始前において、被押出成形材が変形する部分がテーパー加工によって事前カットされている。また、この部分に対応する容器の外形状が平坦であるとしても、容器の内形状は、上記の被押出成形材のテーパー形状に沿うように加工しておくことで(つまり、容器とテーパーとの空間を埋めておくことで)、被押出成形材が変形する部分の容器の厚さも相対的に大きい。よって、押出成形を開始したときに、上記の被押出成形材の、コンテナ方向への“せり出し”が小さくて、かつ、その部分の容器も十分に厚い。そして、この部分の押出成形用ビレットがダイス孔から押出されるときに、容器も十分に厚く、被押出成形材の温度低下を抑えることができるので、押出材の表面欠陥も発生を抑制することができる。図2の押出成形用ビレット10から得た押出材6の先端の位置は、例えば、図4のような様態である。図4より、その先端の位置で、保護膜11が十分に厚いことがわかる。

0022

そして、上記の被押出成形材の縁部をテーパー加工することについて、被押出成形材がニッケル基超耐熱合金製であり、容器が低炭素鋼製またはオーステナイト系ステンレス鋼製である本発明の場合、このテーパー半角θを「40〜80°」とすることが、押出成形中の容器の厚さの維持に効果的である。好ましくは「70°以下」である。なお、このとき、上記のテーパー半角θを有するテーパーは、被押出成形材の端面(先端)側に存在する角部(図2の「*」印)が、その端面の中心に近く位置するように(例えば、図2の「*」印が、被押出成形材の中心から、この被押出成形材の(半径×4/5)や(半径×3/4)の位置までの間に位置するように)、形成することができる。

0023

まず、上記のテーパー半角θが大きすぎると、つまりこれは、被押出成形材のダイス側の端面が、元のテーパー自体を有しない平坦な形状に近づくことを意味する。この場合、押出成形用ビレットの先端部(つまり、押出成形の初期)において、容器の十分な厚さを維持し難くなる。
そして、上記のテーパー半角θが小さすぎると、これもまた、被押出成形材のダイス側の端面が、平坦な形状に近づくことを意味する。あるいは、上記したテーパーの角部(図2の「*」印)が、被押出成形材の中心に近いとき等に、被押出成形材の先端形状が“っていく”ことを意味する。そうすると、押出成形用ビレットの長さ方向に亘って、特にその先端部で被押出成形材の径に対する容器の厚さが大きくなって、変形抵抗の顕著な差異が生じ、押出成形後の押出材の曲がりの要因となる。

0024

本発明の押出材の製造方法において、押出成形用ビレットとコンテナとの間に、ガラス潤滑剤を介在させてもよい(いわゆる「潤滑封入押出」である)。このとき、オーステナイト系ステンレス鋼は、ガラス潤滑剤との濡れ性に優れるので、押出成形時にガラス潤滑剤を使用する場合、オーステナイト系ステンレス鋼製の容器を用いることが好ましい。また、押出成形用ビレットとダイスとの間に、潤滑用ガラスパッド(ガラスディスク)を介在させてもよい(いわゆる「ガラス潤滑押出(ダイス潤滑押出)」である)。これらのことによって、押出成形時に、押出成形用ビレットとコンテナまたはダイスとの間の摩擦抵抗を低減することができる。

0025

真空溶解によって準備した所定の成分組成の溶湯鋳造して、直径80mmのインゴットを得た。そして、このインゴットに機械加工を行って、直径66mm、長さ150mmのニッケル基超耐熱合金(アロイ939相当)でなる円柱状の被押出成形材を作製した。被押出成形材の成分組成を表1に示す。
そして、上記の被押出成形材の、ダイス側となる縁部をテーパー状に機械加工して、このテーパー半角θ(°)が「60°」の被押出成形材A(本発明例用)と、テーパー半角θ(°)が「75°」の被押出成形材B(本発明例用)とを準備した。なお、これらテーパーにおける、被押出成形材の端面(先端)側の角部(図2の「*」印)は、被押出成形材の中心から約15mmの位置とした。

0026

0027

次に、外径80mm、内径67mmで、高さ200mmの、オーステナイト系ステンレス鋼であるJIS−SUS304製のカップ状容器を準備した。なお、このとき、カップ状容器の底面は平坦であり、この底面が、押出成形用ビレットをコンテナに挿入するときの「ステム側」になる。
このカップ状容器の内部に、上記の被押出成形材A、Bを、そのステム側になる端面が底面に向くようにして、格納した(図2)。そして、この被押出成形材を格納した後のカップ状容器の開放端を、SUS304製の円盤状の蓋で溶接によって封止して、上記の被押出成形材A、Bがそれぞれ収納された押出成形用ビレットA、Bとした。なお、上記の円盤状の蓋の外形状の縁部には、コンテナに挿入したときのダイス形状に沿うように、テーパー加工を施した。そして、この円盤状の蓋の内形状は、押出成形用ビレットのテーパー形状と合うように(空間が埋まるように)、加工した。これら一連収納作業は、大気環境下で行い、容器内の脱気は行わなかった。

0028

上記の押出成形用ビレットA、Bを1100℃の熱間加工温度に加熱した。そして、これらの周面にガラス粉末を付着させてから、500℃の予熱温度に加熱した図1の押出成形装置のコンテナ(予熱前の内径:85mm)に挿入した(押出成形用ビレットとコンテナとの隙間は、熱間加工温度に加熱する前の押出成形用ビレット径と、予熱温度に加熱する前のコンテナ径との関係おいて、例えば、2〜15mmとすることができる)。押出成形用ビレットと、ダイスとの間には、市販のガラス粉末で作製した潤滑用ガラスパッドを装填した。そして、押出比(コンテナの断面積/ダイス孔の断面積):4、ステム速度:15(mm・s−1)の条件による直接押出を行って、中実の押出材を作製した。

0029

本発明例の押出成形用ビレットA、Bより得た押出材は、例えば、図4のような様態を示しており、押出後のままの状態で、その表面を容器の材質でなる保護膜が覆っていた。そして、その先端側の位置(つまり、押出成形の初期の位置)において、保護膜が十分な厚さを有しており、保護膜の剥離もなく、ニッケル基超耐熱合金の押出材の表面欠陥を抑制することができた。

0030

真空溶解によって準備した所定の成分組成の溶湯を鋳造して、直径220mmのインゴットを得た。そして、このインゴットに機械加工を行って、直径179mm、長さ650mmのニッケル基超耐熱合金(成分組成は表1と同じ。)でなる円柱状の被押出成形材を作製した。
上記の被押出成形材の、ダイス側となる縁部をテーパー状に機械加工して、このテーパー半角θ(°)が「45°」の被押出成形材C(本発明例用)を準備した。なお、このテーパーにおける、被押出成形材の端面(先端)側の角部(図2の「*」印)は、被押出成形材の中心から約40mmの位置とした。また、上記の被押出成形材の、ダイス側となる縁部をテーパー状に機械加工せずに、平坦のままとした被押出成形材D(比較例用)も準備した。

0031

次に、外径225mm、内径180mmで、高さ702mmの、オーステナイト系ステンレス鋼であるJIS−SUS304製のカップ状容器を準備した。なお、このとき、カップ状容器の底面が、上記の押出成形用ビレットをコンテナに挿入するときの「ダイス側」になる。そして、この底面の外形状の縁部には、コンテナに挿入したときのダイス形状に沿うように、テーパー加工を施した。

0032

このカップ状容器の内部に、上記の被押出成形材C、Dを、そのダイス側になる端面が底面に向くようにして、格納した(図2、3)。被押出成形材Cの格納においては、そのテーパー形状と容器の内形状とが合うように(空間が埋まるように)、カップ状容器の内形状を加工した。そして、この被押出成形材を格納した後のカップ状容器の開放端を、SUS304製の円盤状の蓋で溶接によって封止して、上記の被押出成形材C、Dがそれぞれ収納された押出成形用ビレットC、Dとした。なお、これら一連の収納作業は、大気環境下で行い、容器内の脱気は行わなかった。

0033

上記の押出成形用ビレットC、Dを1120℃の熱間加工温度に加熱した。そして、これらの周面にガラス粉末を付着させてから、400℃の予熱温度に加熱した図1の押出成形装置のコンテナに挿入した。押出成形用ビレットと、ダイスとの間には、市販のガラス粉末で作製した潤滑用ガラスパッドを装填した。そして、押出比:3.9、ステム速度:8(mm・s−1)の条件による直接押出を行って、中実の押出材を作製した。

実施例

0034

本発明例の押出成形用ビレットCより得た押出材は、押出後のままの状態で、その表面を容器の材質でなる保護膜が覆っていた。そして、その先端側の位置(つまり、押出成形の初期の位置)において、保護膜が十分な厚さを有しており、保護膜の剥離もなく、ニッケル基超耐熱合金の押出材の表面欠陥を抑制することができた。
一方、比較例の押出成形用ビレットDより得た押出材は、例えば、図5のような様態を示しており、その先端側の位置(つまり、押出成形の初期の位置)において、保護膜が薄く、保護膜の剥離も認められ、ニッケル基超耐熱合金の押出材の円周方向に沿って、著しい表面欠陥(表面疵)が確認された。

0035

1ビレット
2コンテナ
3ダミーブロック
4ステム
5ダイス(ダイスホルダーを含む)
6押出材
7潤滑用ガラスパッド
8 被押出成形材
9容器
10押出成形用ビレット
11 保護膜

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