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技術 麺皮食品

出願人 日清オイリオグループ株式会社
発明者 徳永邦彦渡邊太一
出願日 2018年8月10日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-151407
公開日 2020年1月23日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-010677
状態 未査定
技術分野 穀類誘導製品3(麺類) 食用油脂 種実、スープ、その他の食品
主要キーワード 付着具 水溶き片栗粉 X線回折法 測定回 加熱調製 合わせ調味料 最終冷却 球形粉末
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

パリパリとした食感麺皮食品を提供すること。

解決手段

加熱調理前の麺皮食品に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

概要

背景

麺皮食品、例えば、春巻きは、小麦粉で作った皮に、豚肉野菜などの具材を包んで細長い筒状に巻いたものを、油で揚げたり、多量の油と一緒焼成したものである。また、餃子は、小麦粉で作った皮に、豚肉や野菜などの具材を包んだものを、多量の油と一緒に焼成したり、油で揚げたものである。
加熱調理直後の熱い春巻きや餃子を食すると、皮にパリパリ感があるが、調理から数時間経過して冷めたものを食すると、皮のパリパリ感が減少、又はパリパリ感がなくなってしまい、場合によっては、ヒキも感じ歯切れが悪くなってしまうという問題もあった。
そこで、例えば、油ちょう後の春巻きに、パリッとした歯切れのよい食感を付与し、その食感を維持するために、皮の原料の小麦粉にマーガリン等を添加、混錬して製造した麺皮が開発されてきた(特許文献1)。
また、揚げたてパリパリとした食感を長時間維持し、またフライ済みの春巻きを冷凍保存後電子レンジ等で再加熱しても品質の低下のない食感を得るために、融点40℃以上の硬化油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルよりなる群から選ばれる1種または2種以上の乳化剤0.05〜15重量部配合して加熱溶解後、噴霧冷却して得られる粉末春巻の皮用改質材を、添加した春巻きの皮が開発されてきた(特許文献2)。
また、春巻きの経時的な食感の低下を抑制し、パリパリとした食感を長時間持続させるために、融点35℃以下の油脂100重量部に対して、乳化剤を0.5重量部以上5重量部以下で含有し、前記乳化剤は、少なくとも2種のグリセリン脂肪酸エステルからなる春巻皮改質用油脂組成物を、加熱して液状にした後、春巻きの皮に塗布又は散布する春巻きの製造方法が開発されてきた(特許文献3)。

概要

パリパリとした食感の麺皮食品を提供すること。加熱調理前の麺皮食品に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

目的

本発明は、春巻きの皮、餃子の皮といった麺皮を、小麦粉原料から製造する場合だけでなく、既に製造された麺皮、例えば、市販の春巻きの皮や餃子の皮を利用した場合であっても、パリパリとした食感を数時間維持することができる春巻きや餃子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

加熱調理前麺皮食品麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項2

前記粉末油脂組成物がβ型油脂からなる、請求項1に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項3

前記XXX型トリグリセリドが、前記粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、50質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項4

前記炭素数xが16〜18から選択される整数である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項5

前記粉末油脂組成物の粒子のアスペクト比が、2.5以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項6

前記粉末油脂組成物のゆるめ嵩密度が、0.05〜0.4g/cm3であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項7

前記粉末油脂組成物付着麺皮食品の麺皮に付着した粉末油脂組成物の量が、麺皮食品100g当たり、0.3〜2gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。

請求項8

前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品が、冷凍処理したものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理前の麺皮食品。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、加熱調理した麺皮食品。

請求項10

前記加熱調理した麺皮食品が、冷凍処理されていることを特徴とする請求項9に記載の麺皮食品。

請求項11

請求項10に記載の冷凍処理された加熱調理した麺皮食品を、加熱調理した麺皮食品。

請求項12

加熱調理前の麺皮食品の麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物を付着させる加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子は板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。

請求項13

前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法が、既に成型した加熱調理前の麺皮食品に、前記粉末油脂組成物を付着させることを特徴とする、請求項12に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。

請求項14

前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法が、麺皮に、前記粉末油脂組成物を付着させ後、得られた粉末油脂組成物付着麺皮で具合を包んで麺皮食品を製造することを特徴とする、請求項12に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。

請求項15

前記粉末油脂組成物付着麺皮食品に付着した粉末油脂組成物の量が、麺皮食品100g当たり、0.3〜2gであることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。

請求項16

前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、冷凍処理することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。

請求項17

請求項12〜16のいずれか1項に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造後、加熱調理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。

請求項18

請求項17に記載の麺皮食品の製造後、冷凍処理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。

請求項19

請求項18の麺皮食品の製造後、加熱調理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。

請求項20

麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した粉末油脂組成物付着麺皮であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子は板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、粉末油脂組成物付着麺皮。

技術分野

0001

本発明は、粉末油脂組成物が付着した加熱調理前麺皮食品、及びそれを加熱調理した麺皮食品に関するものである。

背景技術

0002

麺皮食品、例えば、春巻きは、小麦粉で作った皮に、豚肉野菜などの具材を包んで細長い筒状に巻いたものを、油で揚げたり、多量の油と一緒焼成したものである。また、餃子は、小麦粉で作った皮に、豚肉や野菜などの具材を包んだものを、多量の油と一緒に焼成したり、油で揚げたものである。
加熱調理直後の熱い春巻きや餃子を食すると、皮にパリパリ感があるが、調理から数時間経過して冷めたものを食すると、皮のパリパリ感が減少、又はパリパリ感がなくなってしまい、場合によっては、ヒキも感じ歯切れが悪くなってしまうという問題もあった。
そこで、例えば、油ちょう後の春巻きに、パリッとした歯切れのよい食感を付与し、その食感を維持するために、皮の原料の小麦粉にマーガリン等を添加、混錬して製造した麺皮が開発されてきた(特許文献1)。
また、揚げたてパリパリとした食感を長時間維持し、またフライ済みの春巻きを冷凍保存後電子レンジ等で再加熱しても品質の低下のない食感を得るために、融点40℃以上の硬化油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルよりなる群から選ばれる1種または2種以上の乳化剤0.05〜15重量部配合して加熱溶解後、噴霧冷却して得られる粉末春巻の皮用改質材を、添加した春巻きの皮が開発されてきた(特許文献2)。
また、春巻きの経時的な食感の低下を抑制し、パリパリとした食感を長時間持続させるために、融点35℃以下の油脂100重量部に対して、乳化剤を0.5重量部以上5重量部以下で含有し、前記乳化剤は、少なくとも2種のグリセリン脂肪酸エステルからなる春巻皮改質用油脂組成物を、加熱して液状にした後、春巻きの皮に塗布又は散布する春巻きの製造方法が開発されてきた(特許文献3)。

先行技術

0003

特開2002−186437号公報
特開平11−196797号公報
特開2005−185210号公報

発明が解決しようとする課題

0004

このように、加熱料理後のパリパリとした食感を長時間維持できる春巻きを製造するためには、春巻きの皮の配合を改良する必要があるので、小麦粉から春巻きの皮を製造する必要があった。
また、特定の油脂及び乳化剤を含有する春巻皮改質用油脂組成物を、春巻きの皮に塗布又は散布する春巻きの製造方法も開発されていたが、春巻皮改質用油脂組成物を春巻きの皮に塗布又は散布するためには、加熱して液状にする必要があった。
そこで、本発明は、春巻きの皮、餃子の皮といった麺皮を、小麦粉原料から製造する場合だけでなく、既に製造された麺皮、例えば、市販の春巻きの皮や餃子の皮を利用した場合であっても、パリパリとした食感を数時間維持することができる春巻きや餃子を提供することを目的とする。
また、粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の麺皮食品を冷凍処理して冷凍保管後、加熱調理した場合にも、パリパリとした食感を維持した麺皮食品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、加熱調理前の麺皮食品に、特定の粉末油脂組成物を付着させることで、パリパリとした食感を数時間維持することができる麺皮食品が得られることを見出し、本発明に至った。

0006

即ち、本発明は、以下の態様を含むものである。
〔1〕加熱調理前の麺皮食品の麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔2〕前記粉末油脂組成物がβ型油脂からなる、〔1〕に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔3〕前記XXX型トリグリセリドが、前記粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、50質量%以上含有する、〔1〕又は〔2〕に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔4〕前記炭素数xが16〜18から選択される整数である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔5〕前記粉末油脂組成物の粒子のアスペクト比が、2.5以上であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔6〕前記粉末油脂組成物のゆるめ嵩密度が、0.05〜0.4g/cm3であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔7〕前記粉末油脂組成物付着麺皮食品の麺皮に付着した粉末油脂組成物の量が、麺皮食品100g当たり、0.3〜2gであることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品。
〔8〕前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品が、冷凍処理したものであることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の麺皮食品。
〔9〕〔1〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、加熱調理した麺皮食品。
〔10〕前記加熱調理した麺皮食品が、冷凍処理されていることを特徴とする〔9〕に記載の麺皮食品。
〔11〕〔10〕に記載の冷凍処理された加熱調理した麺皮食品を、加熱調理した麺皮食品。
〔12〕加熱調理前の麺皮食品の麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物を付着させる加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子は板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。
〔13〕前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法が、既に成型した加熱調理前の麺皮食品に、前記粉末油脂組成物を付着させることを特徴とする、〔12〕に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。
〔14〕前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法が、麺皮に、前記粉末油脂組成物を付着させ後、得られた粉末油脂組成物付着麺皮で具合を包んで麺皮食品を製造することを特徴とする、〔12〕に記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。
〔15〕前記粉末油脂組成物付着麺皮食品に付着した粉末油脂組成物の量が、麺皮食品100g当たり、0.3〜2gであることを特徴とする〔12〕〜〔14〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。
〔16〕前記加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、冷凍処理することを特徴とする〔12〕〜〔15〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法。
〔17〕〔12〕〜〔16〕のいずれか1つに記載の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造後、加熱調理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。
〔18〕〔17〕に記載の麺皮食品の製造後、冷凍処理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。
〔19〕〔18〕の麺皮食品の製造後、加熱調理することを特徴とする麺皮食品の製造方法。
〔20〕麺皮に、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物が付着した粉末油脂組成物付着麺皮であって、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子は板状形状であり、該粉末油脂組成物の平均粒径が50μm以下であることを特徴とする、粉末油脂組成物付着麺皮。

発明の効果

0007

本発明により、パリパリとした食感を数時間維持することができる麺皮食品を提供することができる。
また、粉末油脂組成物が付着した加熱調理前の麺皮食品を冷凍処理して冷凍保管後、加熱調理した場合にも、パリパリとした食感を維持した麺皮食品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0008

芯物質表面に粉末油脂組成物を付着させたとき顕微鏡写真を模式的に示した図である。図中のAは芯物質で、Bは粉末油脂組成物で、線分abの長さ(芯物質表面に付着した粒子の付着面からの垂直方向の長さ)が、この粉末油脂組成物の厚さの値である。
本発明の製造例2の粉末油脂組成物の顕微鏡写真(100倍)である。
本発明の製造例2の粉末油脂組成物の顕微鏡写真(300倍)である。
本発明の製造例2の粉末油脂組成物をガラスビーズ表面上に付着させたときの顕微鏡写真(1500倍)で、粒子の厚さとして測定した部分を直線で示している(2か所)。
粉砕前の粉末油脂組成物(製造例4)の外観の写真である。
粉砕前の粉末油脂組成物(製造例4)の電子顕微鏡写真(200倍)である。
粉末油脂組成物(製造例4)の電子顕微鏡写真(1)(1000倍)である。
粉末油脂組成物(製造例4)の電子顕微鏡写真(2)(1000倍)である。
粉末油脂の電子顕微鏡写真(1)(100倍)である。
粉末油脂の電子顕微鏡写真(2)(300倍)である。

0009

まず、本発明に使用する粉末油脂組成物について説明をする。
本発明に使用する粉末油脂組成物は、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂成分を含有する粉末油脂組成物で、該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、該油脂成分がβ型油脂を含み、該粉末油脂組成物の粒子は板状形状である。
本発明に使用する粉末油脂組成物には、国際公開第2017/051910号に記載された粉末油脂組成物を使用することができる。

0010

以下、本発明に使用する粉末油脂組成物について詳細に説明をする。
<油脂成分>
本発明の粉末油脂組成物は、油脂成分を含有する。当該油脂成分は、少なくともXXX型トリグリセリドを含み、任意にその他のトリグリセリドを含む。
上記油脂成分はβ型油脂を含む。ここで、β型油脂とは、油脂の結晶多形の一つであるβ型の結晶のみからなる油脂である。その他の結晶多形の油脂としては、β’型油脂及びα型油脂があり、β’型油脂とは、油脂の結晶多形の一つであるβ’型の結晶のみからなる油脂である。α型油脂とは、油脂の結晶多形の一つであるα型の結晶のみからなる油脂である。油脂の結晶には、同一組成でありながら、異なる副格子構造(結晶構造)を持つものがあり、結晶多形と呼ばれている。代表的には、六方晶型、斜方晶垂直型及び三斜晶平行型があり、それぞれα型、β’型及びβ型と呼ばれている。また、各多形の融点はα、β’、βの順に融点が高くなり、各多形の融点は、炭素数xの脂肪酸残基Xの種類により異なるので、以下、表1にそれぞれ、トリカプリントリラウリントリミリスチントリパルミチントリステアリントリアキジン、トリベヘニンである場合の各多形の融点(℃)を示す。なお、表1は、Nissim Garti et al.、”Crystallization and Polymorphism of Fats and Fatty Acids”、Marcel Dekker Inc.、1988、pp.32-33に基づいて作成した。そして、表1の作成にあたり、融点の温度(℃)は小数点第1位を四捨五入した。また、油脂の組成とその各多形の融点がわかれば、少なくとも当該油脂中にβ型油脂が存在するか否かを検出することができる。

0011

0012

これらの多形を同定する一般的な手法は、X線回折法があり、回折条件は下記のブラッグの式によって与えられる。
2dsinθ=nλ(n=1,2,3・・・)
この式を満たす位置に回折ピークが現れる。ここでdは格子定数、θは回折入射)角、λはX線波長、nは自然数である。短面間隔に対応する回折ピークの2θ=16〜27°からは、結晶中の側面のパッキング(副格子)に関する情報が得られ、多形の同定を行なうことができる。特にトリアシルグリセロールの場合、2θ=19、23、24°(4.6Å付近、3.9Å付近、3.8Å付近)にβ型の特徴的ピークが、21°(4.2Å)付近にα型の特徴的なピーク出現する。なお、X線回折測定は、例えば、20℃に維持したX線回折装置((株)リガク、試料水平型X線回折装置UItimaIV)を用いて測定される。X線の光源としてはCuKα線(1.54Å)が最もよく利用される。

0013

さらに、上記油脂の結晶多形は、示差走査熱量測定法DSC法)によっても予測することができる。例えば、β型油脂の予測は、示差走査熱量計エスアイアイナノテクノロジー株式会社製、品番BSC6220)によって10℃/分の昇温速度で100℃まで昇温することにより得られるDSC曲線に基づいて油脂の結晶構造を予測することにより行われる。

0014

ここで、油脂成分はβ型油脂を含むもの、又は、β型油脂を主成分(50質量%超)として含むものあればよく、好ましい態様としては、上記油脂成分がβ型油脂から実質的になるものであり、より好ましい態様は上記油脂成分がβ型油脂からなるものであり、特に好ましい態様は、上記油脂成分がβ型油脂のみからなるものである。上記油脂成分のすべてがβ型油脂である場合とは、示差走査熱量測定法によってα型油脂及び/又はβ’型油脂が検出されない場合である。別の好ましい態様としては、上記油脂成分(又は油脂成分を含む粉末油脂組成物)が、X線回折測定において、4.5〜4.7Å付近、好ましくは4.6Å付近に回折ピークを有し、表1のα型油脂及び/又はβ’型油脂の短面間隔のX線回折ピークがない、特に、4.2Å付近に回折ピークを有さない場合であり、かかる場合も上記油脂成分のすべてがβ型油脂であると判断できる。本発明の更なる態様として、上記油脂成分が全てβ型油脂であることが好ましいが、その他のα型油脂やβ’型油脂が含まれていてもよい。ここで、本発明における油脂成分が「β型油脂を含む」こと及びα型油脂+β型油脂に対するβ型油脂の相対的な量の指標は、X線回折ピークのうち、β型の特徴的ピークとα型の特徴的ピークとの強度比率:[β型の特徴的ピークの強度/(α型の特徴的ピークの強度+β型の特徴的ピークの強度)](以下、ピーク強度比ともいう。)から想定できる。具体的には、上述のX線回折測定に関する知見をもとに、β型の特徴的ピークである2θ=19°(4.6Å)のピーク強度とα型の特徴的ピークである2θ=21°(4.2Å)のピーク強度の比率:19°/(19°+21°)[4.6Å/(4.6Å+4.2Å)]を算出することで上記油脂成分のβ型油脂の存在量を表す指標とし、「β型油脂を含む」ことが理解できる。本発明は、上記油脂成分が全てβ型油脂である(即ち、ピーク強度比=1)ことが好ましいが、例えば、該ピーク強度比の下限値が、例えば0.4以上、好ましくは、0.5以上、より好ましくは、0.6以上、さらに好ましくは、0.7以上、特に好ましくは、0.75以上、殊更好ましくは0.8以上であることが適当である。ピーク強度が0.4以上であれば、β型油脂を主成分が50質量%超であるとみなすことができる。該ピーク強度比の上限値は1であることが好ましいが、0.99以下、0.98以下、0.95以下、0.93以下、0.90以下、0.85以下、0.80以下等であってもかまわない。ピーク強度比は、上記下限値及び上限値のいずれか若しくは任意の組み合わせであり得る。

0015

<XXX型トリグリセリド>
本発明の油脂成分は、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む。当該XXX型トリグリセリドは、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有するトリグリセリドであり、各脂肪酸残基Xは互いに同一である。ここで、当該炭素数xは10〜22から選択される整数であり、好ましくは12〜22から選択される整数、より好ましくは14〜20から選択される整数、更に好ましくは16〜18から選択される整数である。
脂肪酸残基Xは、飽和あるいは不飽和の脂肪酸残基であってもよい。具体的な脂肪酸残基Xとしては、例えば、カプリン酸ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸ステアリン酸アラキジン酸ベヘン酸等の残基が挙げられるがこれに限定するものではない。脂肪酸としてより好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸であり、さらに好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びアラキジン酸であり、殊更好ましくは、パルミチン酸及びステアリン酸である。
当該XXX型トリグリセリドの含有量は、油脂成分の全質量を100質量%とした場合、例えば、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは、70質量%以上、さらに好ましくは、80質量%以上を下限とし、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下、より好ましくは、95質量%以下を上限とする範囲である。XXX型トリグリセリドは1種類又は2種類以上用いることができ、好ましくは1種類又は2種類であり、より好ましくは1種類が用いられる。XXX型トリグリセリドが2種類以上の場合は、その合計値がXXX型トリグリセリドの含有量となる。

0016

<その他のトリグリセリド>
本発明の油脂成分は、本発明の効果を損なわない限り、上記XXX型トリグリセリド以外の、その他のトリグリセリドを含んでいてもよい。その他のトリグリセリドは、複数の種類のトリグリセリドであってもよく、合成油脂であっても天然油脂であってもよい。合成油脂としては、トリカプリル酸グリセリル等が挙げられる。天然油脂としては、例えば、ココアバターヒマワリ油菜種油大豆油綿実油等が挙げられる。本発明の油脂成分中の全トリグリセリドを100質量%とした場合、その他のトリグリセリドは、1質量%以上、例えば、5〜50質量%程度含まれていても問題はない。その他のトリグリセリドの含有量は、例えば、0〜30質量%、好ましくは0〜18質量%、より好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜8質量%である。

0017

<その他の成分>
本発明の粉末油脂組成物は、上記トリグリセリド等の油脂成分の他、任意に乳化剤、香料着色料脱脂粉乳全脂粉乳ココアパウダー砂糖デキストリン等のその他の成分を含んでいてもよい。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、粉末油脂組成物の全質量を100質量%とした場合、0〜70質量%、好ましくは0〜65質量%、より好ましくは0〜30質量%である。その他の成分は、その90質量%以上が、平均粒径が1000μm以下である紛体であることが好ましく、平均粒径が500μm以下の紛体であることがより好ましい。なお、ここでいう平均粒径は、レーザー回折散乱法(ISO133201及びISO9276-1)によって、湿式測定により測定した値(d50)である。
但し、本発明の好ましい粉末油脂組成物は、実質的に上記油脂成分のみからなることが好ましく、かつ、油脂成分は、実質的にトリグリセリドのみからなることが好ましい。また、「実質的に」とは、油脂組成物中に含まれる油脂成分以外の成分または油脂成分中に含まれるトリグリセリド以外の成分が、粉末油脂組成物または油脂成分を100質量%とした場合、例えば、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%であることを意味する。

0018

<粉末油脂組成物の特性>
本発明の粉末油脂組成物は、常温(20℃)で粉末状の固体である。
本発明の粉末油脂組成物は、通常、その粒子が板状形状の形態を有し、例えば、50μm以下、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜20μm、殊更好ましくは1〜15μmの平均粒径(有効径)を有する。
本発明における平均粒径(有効径)は、粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、装置名:MicrotracMT3300ExII)でレーザー回折散乱法(ISO133201,ISO9276−1)に基づいて、湿式測定により測定した値(d50:粒度分布における積算値50%の粒径測定値)である。
有効径とは、測定対象となる結晶の実測回折パターンが、球形と仮定して得られる理論的回折パターンに適合する場合の、当該球形の粒径を意味する。このように、レーザー回折散乱法の場合、球形と仮定して得られる理論的回折パターンと、実測回折パターンを適合させて有効径を算出しているので、測定対象が板状形状であっても球状形状であっても同じ原理で測定することができる。

0019

本発明の粉末油脂組成物の特徴は、その粒子のアスペクト比を用いて表現することも可能である。
本発明におけるアスペクト比とは、粒子の長径を厚さで除した値〔=長径/厚さ〕のことである。
粒子が、完全な球形の場合には、アスペクト比の値は1〔=1/1〕であり、粒子の扁平度合いが増す(厚さが薄くなる)ほどアスペクト比の値は大きくなる。
粒子のアスペクト比は、例えば、以下の(a)及び(b)の方法で測定することができる。
(a)粒子の電子顕微鏡写真から、1個1個の粒子について長径、及び厚さを測定できる場合
電子顕微鏡写真に写った1個1個の粒子について、長径及び厚さ(縦及び横)を測定し、それぞれの粒子について、アスペクト比を求め、その平均値を粒子のアスペクト比とする。
例えば、粒子が球形のような場合に、この測定方法を用いることができる。
(b)粒子の電子顕微鏡写真から、1つ1つの粒子について長径、又は厚さを測定できない場合
例えば、粒子が扁平な形や板状形状の場合、電子顕微鏡写真に写った1個1個の粒子について、長径を測定することはできるが、厚さは写真では見えないことが多く、写真からは直接測定することが難しい。
このような場合、粒子をガラスビーズのような芯物質の表面に付着させて電子顕微鏡写真を撮り、芯物質表面に付着した粒子の付着面からの垂直方向の長さを、粒子の厚さとして測定し、この値を厚さとして用いる。
これを図1の模式図で説明すると、図1のAは芯物質、Bはアスペクト比を測定する粒子で、線分abの長さ(芯物質表面に付着した粒子の付着面からの垂直方向の長さ)が、この粒子の厚さの値である。
また、長径の値は、上述のレーザー回折散乱法に基づいて、湿式測定で測定した平均粒径(d50)を用いる。
このようにして測定した粒子の長径と厚さの値から、アスペクト比〔=長径/厚さ〕を求めることができる。

0020

本発明の粉末油脂組成物の粒子のアスペクト比は、2.5以上であることが好ましく、より好ましくは、2.5〜100であり、さらに好ましくは3〜50であり、さらにより好ましくは3〜20であり、特に好ましくは3〜15である。

0021

本発明の粉末油脂組成物の特徴は、ゆるめ嵩密度を用いて表現することも可能である。
本発明におけるゆるめ嵩密度とは、粉体を自然落下させた状態の充填密度である。
ゆるめ嵩密度(g/cm3)は、ホソカワミクロン(株)のパウダテスタ(model PT−X)で測定することができる。
具体的には、パウダテスタに試料仕込み、試料を仕込んだ上部シュート振動させ、試料を自然落下により下部の測定用カップに落とす。測定用カップから盛り上がった試料はすり落とし、受器内容積(100cm3)分の試料の質量(Ag)を量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求める。
ゆるめ嵩密度(g/cm3)=A(g)/100(cm3)

0022

本発明の粉末油脂組成物のゆるめ嵩密度は、例えば実質的に油脂成分のみからなる場合、好ましくは0.05〜0.4g/cm3であり、より好ましくは0.1〜0.4g/cm3であり、さらにより好ましくは0.1〜0.3g/cm3である。

0023

次に、本発明に使用する粉末油脂組成物の製造方法について説明をする。
本発明に使用する粉末油脂組成物は、国際公開第2017/051910号に記載された粉末油脂組成物の製造方法により製造することができる。
本発明の粉末油脂組成物は、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料を溶融状態とし、特定の冷却温度に保ち、冷却固化することにより、噴霧ミル等の粉砕機による機械粉砕等特別の加工手段を採らなくても、粉末状の油脂組成物(粉末油脂組成物)を得ることができる。より具体的には、(a)上記XXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料を準備し、任意に工程(b)として、工程(a)で得られた油脂組成物原料を加熱し、前記油脂組成物原料中に含まれるトリグリセリドを溶解して溶融状態の前記油脂組成物原料を得、さらに(d)前記油脂組成物原料を冷却固化して、β型油脂を含有し、その粒子の形状が板状である粉末油脂組成物を得る。なお、冷却後に得られる固形物に対して、ハンマーミルカッターミル等、公知の粉砕加工手段を適用して、該粉末油脂組成物を生産することもできる。

0024

上記工程(d)の冷却は、例えば、溶融状態の油脂組成物原料を、当該油脂組成物原料に含まれる油脂成分のβ型油脂の融点より低い温度であって、かつ、次式
冷却温度(℃) =炭素数x × 6.6 — 68
から求められる冷却温度以上の温度で行われる。このような温度範囲で冷却すれば、β型油脂を効率よく生成でき、細かい結晶ができるので、粉末油脂組成物を容易に得ることができる。なお、前記「細かい」とは、一次粒子(一番小さい大きさの結晶)が、例えば20μm以下、好ましくは、15μm以下、より好ましくは10μmの場合をいう。また、このような温度範囲で冷却しないと、β型油脂が生成せず、油脂組成物原料よりも体積が増加した空隙を有する固形物ができない場合がある。さらに、本発明では、このような温度範囲で冷却することによって、静置した状態でβ型油脂を生成させ、粉末油脂組成物の粒子を板状形状とさせたものであり、冷却方法は、本発明の粉末油脂組成物を特定するために有益なものである。

0025

さらに詳細に、粉末油脂組成物の製造方法について説明をする。
本発明の粉末油脂組成物は、以下の工程、
(a)XXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料を準備する工程、
(b)工程(a)で得られた油脂組成物原料を任意に加熱等し、前記油脂組成物原料中に含まれるトリグリセリドを溶解して溶融状態の前記油脂組成物原料を得る任意の工程、(d)前記油脂組成物原料を冷却固化して、β型油脂を含有し、その粒子形状が板状である粉末油脂組成物を得る工程、
を含む方法によって製造することができる。
また、上記工程(b)と(d)の間に、工程(c)として粉末生成を促進するための任意工程、例えば(c1)シーディング工程、(c2)テンパリング工程、及び/又は(c3)予備冷却工程を含んでいてもよい。さらに上記工程(d)で得られる粉末油脂組成物は、工程(d)の冷却後に得られる固形物を粉砕して粉末状の油脂組成物を得る工程(e)によって得られるものであってもよい。以下、上記工程(a)〜(e)について説明する。

0026

(a)原料準備工程
工程(a)で準備されるXXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料は、グリセリンの1位〜3位に炭素数xの脂肪酸残基Xを有する1種以上のXXX型トリグリセリドを含む通常のXXX型トリグリセリド等の油脂の製造方法に基づいて製造され、もしくは容易に市場から入手され得る。ここで、上記炭素数x及び脂肪酸残基Xで特定されるXXX型トリグリセリドは、最終的に得られる目的の油脂成分のものと結晶多形以外の点で同じである。当該原料にはβ型油脂が含まれていてもよく、例えば、β型油脂の含有量が0.1質量%以下、0.05質量%以下、又は0.01質量%以下含んでいてもよい。但し、β型油脂は、当該原料を加熱等により溶融状態にすることにより消失するので、当該原料は溶融状態の原料であってもよい。当該原料が、例えば溶融状態である場合に、β型油脂を実質的に含まないことは、XXX型トリグリセリドに限らず、実質的に全ての油脂成分がβ型油脂ではない場合も意味し、β型油脂の存在は、上述したX線回折測定によりβ型油脂に起因する回折ピーク、示差走査熱量測定法によるβ型油脂の確認等によって確認することができる。「β型油脂を実質的に含まない」場合のβ型油脂の存在量は、X線回折ピークのうち、β型の特徴的ピークとα型の特徴的ピークとの強度比率[β型の特徴的ピークの強度/(α型の特徴的ピークの強度+β型の特徴的ピークの強度)](ピーク強度比)から想定できる。上記油脂組成物原料の当該ピーク強度比は、例えば0.2以下であり、好ましくは、0.15以下であり、より好ましくは、0.10以下である。油脂組成物原料には、上述したとおりのXXX型トリグリセリドを1種類又は2種以上含んでいてもよく、好ましくは1種類又は2種類であり、より好ましくは1種類である。
具体的には、例えば、上記XXX型トリグリセリドは、脂肪酸または脂肪酸誘導体とグリセリンを用いた直接合成によって製造することができる。XXX型トリグリセリドを直接合成する方法としては、(i)炭素数Xの脂肪酸とグリセリンとを直接エステル化する方法(直接エステル合成)、(ii)炭素数xである脂肪酸Xのカルボキシル基アルコキシル基と結合した脂肪酸アルキル(例えば、脂肪酸メチル及び脂肪酸エチル)とグリセリンとを塩基性または酸性触媒条件下にて反応させる方法(脂肪酸アルキルを用いたエステル交換合成)、(iii)炭素数xである脂肪酸Xのカルボキシル基の水酸基ハロゲン置換された脂肪酸ハロゲン化物(例えば、脂肪酸クロリド及び脂肪酸ブロミド)とグリセリンとを塩基性触媒下にて反応させる方法(酸ハライド合成)が挙げられる。
XXX型トリグリセリドは前述の(i)〜(iii)のいずれの方法によっても製造できるが、製造の容易さの観点から、(i)直接エステル合成又は(ii)脂肪酸アルキルを用いたエステル交換合成が好ましく、(i)直接エステル合成がより好ましい。

0027

XXX型トリグリセリドを(i)直接エステル合成によって製造するには、製造効率の観点から、グリセリン1モルに対して脂肪酸Xまたは脂肪酸Yを3〜5モルを用いることが好ましく、3〜4モルを用いることがより好ましい。
XXX型トリグリセリドの(i)直接エステル合成における反応温度は、エステル化反応によって生ずる生成水が系外に除去できる温度であればよく、例えば、120℃〜300℃が好ましく、150℃〜270℃がより好ましく、180℃〜250℃がさらに好ましい。反応を180〜250℃で行うことで、特に効率的にXXX型トリグリセリドを製造することができる。

0028

XXX型トリグリセリドの(i)直接エステル合成においては、エステル化反応を促進する触媒を用いても良い。触媒としては酸触媒、及びアルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。触媒の使用量は、反応原料の総質量に対して0.001〜1質量%程度であることが好ましい。
XXX型トリグリセリドの(i)直接エステル合成においては、反応後、水洗アルカリ脱酸及び/又は減圧脱酸、及び吸着処理等の公知の精製処理を行うことで、触媒や原料未反応物を除去することができる。更に、脱色・脱臭処理を施すことで、得られた反応物をさらに精製することができる。

0029

上記油脂組成物原料中に含まれるXXX型トリグリセリドの量は、例えば、当該原料中に含まれる全トリグリセリドの全質量を100質量%とした場合、100〜50質量%、好ましくは95〜55質量%、より好ましくは90〜60質量%である。さらに殊更好ましくは85〜65質量%である。

0030

<その他のトリグリセリド>
XXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料となるその他のトリグリセリドとしては、上記XXX型トリグリセリドの他、本発明の効果を損なわない限り、各種トリグリセリドを含めてもよい。その他のトリグリセリドとしては、例えば、上記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの1つが脂肪酸残基Yに置換したX2Y型トリグリセリド、上記XXX型トリグリセリドの脂肪酸残基Xの2つが脂肪酸残基Yに置換したXY2型トリグリセリド等を挙げることができる。
上記その他のトリグリセリドの量は、例えば、XXX型トリグリセリドの全質量を100質量%とした場合、0〜100質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは1〜40質量%である。

0031

また、本発明の油脂組成物原料としては、上記XXX型トリグリセリドを直接合成する代わりに、天然由来トリグリセリド組成物に対し水素添加、エステル交換又は分別を行ったものを使用してもよい。天然由来のトリグリセリド組成物としては、例えば、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油サフラワー油パームステアリン及びこれらの混合物等を挙げることができる。特に、これらの天然由来のトリグリセリド組成物の硬化油部分硬化油、極度硬化油が好ましいものとして挙げられる。さらに好ましくは、ハードパームステアリン、ハイオレイックヒマワリ油極度硬化油、菜種極度硬化油、大豆極度硬化油が挙げられる。

0032

さらに、本発明の油脂組成物原料としては、市販されている、トリグリセリド組成物又は合成油脂を挙げることができる。例えば、トリグリセリド組成物としては、ハードパームステアリン(日清オイリグループ株式会社製)、菜種極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)、大豆極度硬化油(横関油脂工業株式会社製)を挙げることができる。また、合成油脂としては、トリパルミチン(東京化成工業株式会社製)、トリステアリン(シグマアルドリッチ製)、トリステアリン(東京化成工業株式会社製)、トリアラキジン(東京化成工業株式会社製)トリベヘニン(東京化成工業株式会社製)を挙げることができる。
その他、パーム極度硬化油は、XXX型トリグリセリドの含量が少ないので、トリグリセリドの希釈成分として使用できる。

0033

<その他の成分>
上記油脂組成物原料としては、上記トリグリセリドの他、任意に部分グリセリド、脂肪酸、抗酸化剤、乳化剤、水などの溶媒等のその他の成分を含んでいてもよい。これらその他の成分の量は、本発明の効果を損なわない限り任意の量とすることができるが、例えば、XXX型トリグリセリドの全質量を100質量%とした場合、0〜5質量%、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0〜1質量%である。

0034

上記油脂組成物原料は、成分が複数含まれる場合、任意に混合してもよい。混合は、均質反応基質が得られる限り公知のいかなる混合方法を用いてもよいが、例えば、パドルミキサーアジホモミキサーディスパーミキサー等で行うことができる。
当該混合は、必要に応じて加熱下で混合してもよい。加熱は、後述の工程(b)における加熱温度と同程度であることが好ましく、例えば、50〜120℃、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜90℃、さらに好ましくは80℃で行われる。

0035

(b)溶融状態の前記油脂組成物を得る工程
上記(d)工程の前に、上記工程(a)で準備された油脂組成物原料は、準備された時点で溶融状態にある場合、加熱せずにそのまま冷却されるが、準備された時点で溶融状態にない場合は、任意に加熱され、該油脂組成物原料中に含まれるトリグリセリドを融解して溶融状態の油脂組成物原料を得る。
ここで、油脂組成物原料の加熱は、上記油脂組成物原料中に含まれるトリグリセリドの融点以上の温度、特にXXX型トリグリセリドを融解できる温度、例えば、70〜200℃、好ましくは、75〜150℃、より好ましくは80〜100℃であることが適当である。また、加熱は、例えば、0.1〜3時間、好ましくは、0.3〜2時間、より好ましくは0.5〜1時間継続することが適当である。

0036

(d)溶融状態の油脂組成物を冷却して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(a)又は(b)で準備された溶融状態の油脂組成物原料は、さらに冷却固化されて、β型油脂を含有し、その粒子形状が板状である粉末油脂組成物を形成する。
ここで、「溶融状態の油脂組成物原料を冷却固化」するためには、冷却温度の上限値として、溶融状態の油脂組成物原料を、当該油脂組成物原料に含まれる油脂成分のβ型油脂の融点より低い温度に保つことが必要である。「油脂組成物原料に含まれる油脂成分のβ型油脂の融点より低い温度」とは、例えば、炭素数が18のステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドの場合、β型油脂の融点は74℃であるので(表1)、当該融点より1〜30℃低い温度(即ち44〜73℃)、好ましくは当該融点より1〜20℃低い温度(即ち54〜73℃)、より好ましくは当該融点より1〜15℃低い温度(即ち59〜73℃)、特に好ましくは、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃または10℃低い温度である。
より好ましくは、β型油脂を得るためには、冷却温度の下限値として、以下の式から求められる冷却温度以上に保つことが適当である。
冷却温度(℃) = 炭素数x × 6.6 — 68
(式中、炭素数xは、油脂組成物原料中に含まれるXXX型トリグリセリドの炭素数x)
このような冷却温度以上とするのは、XXX型トリグリセリドを含有するβ型油脂を得るために、当該油脂の結晶化の際、冷却温度をβ型油脂以外のα型油脂やβ’型油脂が結晶化しない温度に設定する必要があるためである。冷却温度は、主にXXX型トリグリセリドの分子の大きさに依存するので、炭素数xと最適な冷却温度の下限値との間には一定の相関関係があることが理解できる。
例えば、油脂組成物原料に含まれるXXX型トリグリセリドが、炭素数が18のステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドである場合、冷却温度の下限値は50.8℃以上となる。従って、炭素数が18のステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドの場合、「溶融状態の油脂組成物原料を冷却固化」する温度は、50.8℃以上72℃以下がより好ましいこととなる。
また、XXX型トリグリセリドが2種以上の混合物である場合は、炭素数xが小さい方の冷却温度に合わせてその下限値を決定することができる。例えば、油脂組成物原料に含まれるXXX型トリグリセリドが、炭素数が16のパルミチン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドと炭素数が18のステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドとの混合物である場合、冷却温度の下限値は小さい方の炭素数16に合わせて37.6℃以上となる。

0037

別の態様として、上記冷却温度の下限値は、XXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料の、当該β型油脂に対応するα型油脂の融点以上の温度であることが適当である。例えば、油脂組成物原料に含まれるXXX型トリグリセリドが、炭素数が18のステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドである場合、当該ステアリン酸残基を3つ有するXXX型トリグリセリドのα型油脂の融点は55℃であるから(表1)、かかる場合の「溶融状態の油脂組成物原料を冷却固化」する温度は、55℃以上72℃以下が好ましいこととなる。

0038

さらに別の態様として、溶融状態にある油脂組成物原料の冷却は、例えばxが10〜12のときは最終温度が、好ましくは−2〜46℃、より好ましくは12〜44℃、更に好ましくは14〜42℃の温度になるように冷却することによって行われる。冷却における最終温度は、例えばxが13又は14のときは、好ましくは24〜56℃、より好ましくは32〜54℃、更に好ましくは40〜52℃であり、xが15又は16のときは、好ましくは36〜66℃、より好ましくは44〜64℃、更に好ましくは52〜62℃であり、xが17又は18のときは、好ましくは50〜72℃、より好ましくは54〜70℃、更に好ましくは58〜68℃であり、xが19又は20のときは、好ましくは62〜80℃、より好ましくは66〜78℃、更に好ましくは70〜77℃であり、xが21又は22のときは、好ましくは66〜84℃、より好ましくは70〜82℃、更に好ましくは74〜80℃である。上記最終温度において、例えば、好ましくは2時間以上、より好ましくは4時間以上、更に好ましくは6時間以上であって、好ましくは2日間以下、より好ましくは24時間以下、更に好ましくは12時間以下、静置することが適当である。

0039

(c)粉末生成促進工程
さらに、工程(d)の前、上記工程(a)又は(b)と(d)との間に、(c)粉末生成を促進するための任意工程として、工程(d)で使用する溶融状態の油脂組成物原料に対し、シーディング法(c1)、テンパリング法(c2)及び/又は(c3)予備冷却法による処理を行ってもよい。これらの任意工程(c1)〜(c3)は、いずれか単独で行ってもよいし、複数の工程を組み合わせて行ってもよい。ここで、工程(a)又は(b)と工程(d)との間とは、工程(a)又は(b)中、工程(a)又は(b)の後であって工程(d)の前、工程(d)中を含む意味である。
シーディング法(c1)及びテンパリング法(c2)は、本発明の粉末油脂組成物の製造において、溶融状態にある油脂組成物原料をより確実に粉末状とするために、最終温度まで冷却する前に、溶融状態にある油脂組成物原料を処置する粉末生成促進方法である。 ここで、シーディング法(c1)とは、粉末の核(種)となる成分を溶融状態にある油脂組成物原料の冷却時に少量添加して、粉末化を促進する方法である。具体的には、例えば、工程(b)で得られた溶融状態にある油脂組成物原料に、当該油脂組成物原料中のXXX型トリグリセリドと炭素数が同じXXX型トリグリセリドを好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含む油脂粉末を核(種)となる成分として準備する。この核となる油脂粉末を、溶融状態にある油脂組成物原料の冷却時、当該油脂組成物原料の温度が、例えば、最終冷却温度±0〜+10℃、好ましくは+5〜+10℃の温度に到達した時点で、当該溶融状態にある油脂組成物原料100質量部に対して0.1〜1質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
また、テンパリング法(c2)とは、溶融状態にある油脂組成物原料の冷却において、最終冷却温度で静置する前に一度、工程(d)の冷却温度よりも低い温度、例えば5〜20℃低い温度、好ましくは7〜15℃低い温度、より好ましくは10℃程度低い温度に、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間程度冷却することにより、油脂組成物の粉末化を促進する方法である。
さらに、予備冷却法(c3)とは、前記工程(a)又は(b)で得られた溶融状態の油脂組成物原料を、工程(d)にて冷却する前に、前記XXX型トリグリセリドを含む油脂組成物原料を準備した時の温度と前記油脂組成物原料の冷却時の冷却温度との間の温度で一旦冷却する方法、言い換えれば、工程(a)又は(b)の溶融状態の温度よりも低く、工程(d)の冷却温度よりも高い温度で一旦予備冷却する方法である。(c3)予備冷却法に続いて、工程(d)の油脂組成物原料の冷却時の冷却温度で冷却することが行われる。工程(d)の冷却温度より高い温度とは、例えば、工程(d)の冷却温度よりも2〜40℃高い温度、好ましくは3〜30℃高い温度、より好ましくは4〜30℃高い温度、さらに好ましくは5〜10℃程度高い温度であり得る。前記予備冷却する温度を低く設定すればするほど、工程(d)の冷却温度における本冷却時間を短くすることができる。すなわち、予備冷却法とは、シーディング法やテンパリング法と異なり、冷却温度を段階的に下げるだけで油脂組成物の粉末化を促進できる方法であり、工業的に製造する場合に利点が大きい。

0040

(e)固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程
上記工程(d)の冷却によって粉末油脂組成物を得る工程は、より具体的には、工程(d)の冷却によって得られる固形物を粉砕して粉末油脂組成物を得る工程(e)によって行われてもよい。
詳細に説明すると、まず、上記油脂組成物原料を融解して溶融状態の油脂組成物を得、その後冷却して溶融状態の油脂組成物原料よりも体積が増加した空隙を有する固形物を形成する。空隙を有する固形物となった油脂組成物は、軽い衝撃を加えることで粉砕でき、固形物が容易に崩壊して粉末状となる。
ここで、軽い衝撃を加える手段は特に特定されないが、振る、掛ける等により、軽く振動(衝撃)を与えて粉砕する(ほぐす)方法が、簡便で好ましい。
なお、該固形物を公知の粉砕加工手段により粉砕してもよい。このような粉砕加工手段の一例としては、ハンマーミル、カッターミル等が挙げられる。

0041

次に、本発明の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品について説明をする。
麺皮食品としては、春巻き、餃子、揚げ焼売等を挙げることができ、特に春巻きであることが好ましい。
本発明の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品は、具材を包んだ加熱調理前の麺皮食品の麺皮に、先に説明した粉末油脂組成物が付着したものである。
粉末油脂組成物は、麺皮の外側、内側、又はその両方に付着させることができるが、麺皮の外側に付着させるのが好ましい。また、粉末油脂組成物を、包み込む具材の表面に付着させても良い。
麺皮食品の麺皮には、市販の麺皮を使用することができる。また、市販の麺皮を使用しないで、例えば、小麦粉、食塩、水等の原料を、混合、混錬した後、生地をねかせ、ローラー等で圧延して製造をしても良い。
麺皮の大きさについては、例えば春巻きの場合、縦8〜30cm、横8〜30cmの大きさのものを使用することができる。
市販の春巻きの皮として、例えば、株式会社隆祥房製の商品春巻皮」、株式会社きさいち食品製の商品「横春巻の皮」等が挙げられる。
例えば、餃子の場合、直径85mm〜95mmの大きさのものを使用できる。
市販の餃子の皮として、例えば、株式会社隆祥房製の商品「餃子皮」「餃子皮大判」、株式会社きさいち食品製の商品「横浜なま餃子の皮」「横浜なま大判餃子の皮」等が挙げられる。

0042

麺皮食品の具材には、一般に麺皮食品の具材として使用されている肉類魚介類野菜類豆類、きのこ類、調味料、水等を使用することができる。
具体的には、豚肉、ガラスープ鶏肉鶏ガラスープ牛肉牛骨スープ魚肉イカタコエビタケノコ人参ネギタマネギピーマンキャベツニラ春雨椎茸、きくらげ、砂糖、塩、胡椒醤油片栗粉オイスターソースグルタミン酸ソーダイノシン酸ソーダ、みりん、酒、水等が挙げられる。

0043

本発明の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品に付着させる粉末油脂組成物の量は、麺皮食品100g当たりに、0.3〜2gであることが好ましく、0.5〜1.5gであることがより好ましく、0.5〜1gであることが最も好ましい。

0044

加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品は、加熱調理をする前に、冷蔵流通や数日保存したり、冷凍処理をして流通や長期間保管することもできる。
冷凍処理する場合には、具材の新鮮さを保つために、急速凍結処理後、−15℃〜−60℃で冷凍保管するのが好ましい。
また、加熱調理後の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、冷蔵で流通や数日保存したり、冷凍処理をして流通や長期間保管することもできる。さらに、それを再度加熱調理して、喫食に供することもできる。

0045

次に、本発明の加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品の製造方法について説明をする。
加熱調理前の麺皮食品へ粉末油脂組成物の付着方法は、加熱調理前の麺皮食品の麺皮に粉末油脂組成物が付着する方法であれば、特に制限はないが、例えば、次のようにして付着させることができる。
既に成型した加熱調理前の麺皮食品の麺皮の外側に、前記粉末油脂組成物を付着させることができる。具体的には、既に成型した加熱調理前の麺皮食品の麺皮の上から粉末油脂組成物を打ち粉して付着(まぶして付着)させることができる。また、トレーのような容器に敷き詰めた粉末油脂組成物の上に、加熱調理前の麺皮食品を置いて荷重をかけたり、転がしたりすることで付着させることもできる。
このような粉末油脂組成物の付着作業は、機械を用いて自動的に行っても良い。
また、別の方法として、予め麺皮に、前記粉末油脂組成物を付着させ後、得られた粉末油脂組成物付着麺皮で具材を包んで麺皮食品を製造することにより、粉末油脂組成物を麺皮の内側または外側のいずれか又は両方に付着させた麺皮食品を得ることもできる。
さらに、別の方法として、予め具材に、前記粉末油脂組成物を付着させ後、得られた粉末油脂組成物付着具材を麺皮で包んで麺皮食品を製造することにより、粉末油脂組成物を麺皮の内側または外側のいずれか又は両方に付着させた麺皮食品を得ることもできる。
これらの方法を任意に組みあわせて粉末油脂組成物が付着した麺皮食品を得てもよい。

0046

次に、本発明の麺皮食品、及びその製造方法について説明をする。
本発明の麺皮食品は、先に説明をした加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を、加熱調理することすることにより製造することができる。
加熱調理の方法としては、春巻きや餃子については、油ちょう、油と共に焼成等による方法が挙げられ、揚げ焼売については、油ちょうによる方法が挙げられる。
油ちょう条件については、特に制限はなく、例えば、160〜200℃、好ましくは170〜190℃で1分〜7分間油ちょうすることができ、2度揚げをすることもできる。
油ちょうに使用する油には、植物油動物油を使用することができ、植物油としては、例えば、大豆油、菜種油、パーム油パームオレインコーン油紅花油、綿実油、オリーブ油ごま油等が挙げられ、動物油としては、ラード等が挙げられる。
油と共に焼成する方法は、油を敷いたフライパンに加熱調理前の粉末油脂組成物付着麺皮食品を入れて、油と共に焼成する方法である。この加熱調理法では、油を多めに入れるのが好ましい。
また、粉末油脂組成物付着麺皮食品を製造後、冷凍処理することもできる。冷凍処理する場合には、具材の新鮮さを保つために、急速凍結処理後、−15℃〜−60℃で冷凍保管するのが好ましい。さらに、麺皮食品の製造後、冷凍処理した麺皮食品を再び加熱調理することもできる。
本発明の麺皮食品は、加熱調理後、すぐに食しても、パリパリとした食感を有するが、数時間放置した後であっても、パリパリとした食感を有する。また、加熱調理の前に冷凍したものを加熱料理しても、又は加熱調理後に冷凍したものを加熱調理しても、加熱調理後に得られる麺皮食品は、すぐに食した場合だけでなく、数時間放置した後であっても、パリパリとした食感を有する。

0047

次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。また。以下において「%」とは、特別な記載がない場合、質量%を示し、「部」とは質量部を示す。
分析方法
トリグリセリド組成
ガスクロマトグラフィー分析条件
DB1−ht(0.32mm×0.1μm×5m)Agilent Technologies社(123−1131)
注入量 :1.0μL
注入口 :370℃
検出器:370℃
スプリット比:50/1 35.1kPaコンスタントプレッシャー
カラムCT :200℃(0min hold)〜(15℃/min)〜370℃(4min hold)
・X線回折測定
X線回折装置UltimaIV(株式会社リガク社製)を用いて、CuKα(λ=1.542Å)を線源とし、Cu用フィルタ使用、出力1.6kW、操作角0.96〜30.0°、測定速度2°/分の条件で測定した。この測定により、XXX型トリグリセリドを含む油脂成分におけるα型油脂、β’型油脂、及びβ型油脂の存在を確認した。4.6Å付近のピークのみを有し、4.1〜4.2Å付近のピークを有しない場合は、油脂成分のすべてがβ型油脂であると判断した。
なお、上記X線回折測定の結果から、ピーク強度比=[β型の特徴的ピークの強度(2θ=19°(4.6Å))/(α型の特徴的ピークの強度(2θ=21°(4.2Å))+β型の特徴的ピークの強度(2θ=19°(4.6Å)))]をβ型油脂の存在量を表す指標

0048

・アスペクト比
(a)市販の粉末油脂(理研ビタミン株式会社製:商品名「スプレーファットNR100」)の粒子のアスペクト比
この粉末油脂は、ほとんどが球形で、粒子の電子顕微鏡写真から1個1個の粒子について直接長径、及び厚さを測定することができるので、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(株式会社キーエンス製)で撮影した写真に写った1個1個の粒子について、長径及び厚さ(縦及び横)を測定し、それぞれの粒子について、アスペクト比を求め、計20個の粒子のアスペクト比の平均値を、粒子のアスペクト比とした。
(b)本発明の粉末油脂組成物の粒子のアスペクト比
本発明の粉末油脂組成物は、板状形状であるため、顕微鏡写真から粒子の厚さを測定することが難しい。したがって、粒子の厚さは、粉末油脂組成物をガラスビーズに付着させたときの顕微鏡写真から測定した。また、長径の値は、レーザー回折散乱法に基づいて、湿式測定で測定した平均粒径(d50)を用いた。
具体的には、ガラスビーズ(アズワン株式会社製、型番BZ−01、寸法0.105〜0.125mmφ)に粉末油脂組成物を添加、混合することで、ガラスビーズ表面に粉末油脂組成物を付着させ、その様子を3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(株式会社キーエンス製)で撮影した。ガラスビーズ表面に付着した1個の粉末油脂組成物の粒子の付着面から垂直方向の長さを、その粒子の厚さとして測定し、計25個の粒子の厚さの平均値を取り、その値を粉末油脂組成物の粒子の厚さの値とした。
図4は、後述する製造例2の粉末油脂組成物の粒子の厚さの測定に使用した電子顕微鏡写真(1500倍)の1つで、この写真では、写真中の直線で示した部分(2か所)の長さ(ガラスビーズ表面に付着した粒子の付着面からの垂直方向の長さ)を、粉末油脂組成物の粒子の厚さとして測定した。
また、長径の値は、上述のレーザー回折散乱法に基づいて、湿式測定で測定した平均粒径(d50)を用いた。
このようにして測定した粉末油脂組成物の粒子の長径と厚さの値から、アスペクト比〔=長径/厚さ〕を求めた。

0049

・平均粒径(d50)
粉末油脂組成物の平均粒径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、装置名:MicrotracMT3300ExII)で、レーザー回折散乱法(ISO133201,ISO9276−1)基づいて、湿式測定により測定した。
具体的には、粒度分布測定装置に極小容量循環器(日機装株式会社製、装置名:USVR)を取り付け、分散溶媒として水を循環させた。また、100mlビーカーに試料を0.06g、中性洗剤を0.6g入れ、スパチュラで混合し、混合後に水を30ml加え、超音波洗浄器アイ医科工業株式会社製、装置名:AU−16C)に1分間供したものを滴下、循環させて測定した。得られた粒度分布における積算値50%の粒径の測定値(d50)を平均粒径とした。

0050

・ゆるめ嵩密度
実施例で使用した粉末油脂組成物、及び粉末油脂のゆるめ嵩密度(g/cm3)は、ホソカワミクロン(株)のパウダテスタ(model PT−X)で測定した。
具体的には、パウダテスタに試料を仕込み、試料を仕込んだ上部シュートを振動させ、試料を自然落下により下部の測定用カップに落とす。測定用カップから盛り上がった試料はすり落とし、受器の内容積(100cm3)分の試料の質量(Ag)を秤量し、以下の式からゆるめ嵩密度を求めた。
ゆるめ嵩密度(g/cm3)=A(g)/100(cm3)
顕微鏡観察顕微鏡写真撮影
粉末油脂組成物の粒子及び粉末油脂の粒子の様子を、3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(株式会社キーエンス製)で観察し、粒子を顕微鏡で写真撮影した。

0051

〔粉末油脂組成物の製造〕
以下に、本発明の粉末油脂組成物の製造例を示すが、いずれの粉末状油脂組成物も、本発明の麺皮食品に使用することができる。

0052

(1)製造例1:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:79.1質量%、菜種極度硬化油、フレーク状、横関油脂工業株式会社製)1000gを80℃にて約12時間維持して完全に融解し、60℃恒温槽にて12時間冷却し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させ、結晶化を完了させた後、室温(25℃)状態まで冷却した。得られた固形物を機械粉砕することで粉末油脂組成物(平均粒径6.4μm、X線回折測定回折ピーク:4.6Å、ピーク強度比:0.89、粒子のアスペクト比3.7、ゆるめ嵩密度0.18g/cm3)を得た。
得られた粉末油脂組成物を顕微鏡で観察したところ、粉末油脂組成物の粒子の形状は板状形状であった。
なお、X線回折測定回折ピーク、及びピーク強度比から、得られた粉末油脂組成物の油脂成分は、β型油脂を含むものであることがわかる。
以下の油ちょう試験では、この製造例1の粉末油脂組成物を使用した。
(2)製造例2:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:79.1質量%、菜種極度硬化油、フレーク状、横関油脂工業株式会社製)1000gを80℃にて約12時間維持して完全に融解し、60℃恒温槽にて12時間冷却し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させ、結晶化を完了させた後、室温(25℃)状態まで冷却した。得られた固形物を機械粉砕することで粉末油脂組成物(平均粒径8.0μm、X線回折測定回折ピーク:4.6Å、ピーク強度比:0.89、粒子のアスペクト比4.6、ゆるめ嵩密度0.18g/cm3)を得た。
得られた粉末油脂組成物を顕微鏡で観察したところ、粉末油脂組成物の粒子の形状は板状形状であった。粉末油脂組成物の顕微鏡写真を、図2(100倍)、及び図3(300倍)に示す。
なお、X線回折測定回折ピーク、及びピーク強度比から、得られた粉末油脂組成物の油脂成分は、β型油脂を含むものであることがわかる。

0053

(3)製造例3:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:79.1質量%、菜種極度硬化油、フレーク状、横関油脂工業株式会社製)1000gを80℃にて約12時間維持して完全に融解し、60℃恒温槽にて12時間冷却し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させ、結晶化を完了させた後、室温(25℃)状態まで冷却した。得られた固形物を機械粉砕することで粉末油脂組成物(平均粒径7.4μm、X線回折測定回折ピーク:4.6Å、ピーク強度比:0.89、粒子のアスペクト比3.5、ゆるめ嵩密度0.17g/cm3)を得た。
得られた粉末油脂組成物を顕微鏡で観察したところ、得られた粉末油脂組成物の粒子の形状は板状形状であった。
なお、X線回折測定回折ピーク、及びピーク強度比から、得られた粉末油脂組成物の油脂成分は、β型油脂を含むものであることがわかる。

0054

(4)製造例4:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:79.1質量%、菜種極度硬化油、フレーク状、横関油脂工業株式会社製)1000gを80℃にて約12時間維持して完全に融解し、60℃恒温槽にて12時間冷却し、体積が増加した空隙を有する固形物を形成させ、結晶化を完了させた後、室温(25℃)状態まで冷却した。得られた固形物を機械粉砕することで粉末油脂組成物(平均粒径14.4μm、X線回折測定回折ピーク:4.6Å、ピーク強度比:0.90、粒子のアスペクト比:7.2、ゆるめ嵩密度:0.2g/cm3)を得た。X線回折測定回折ピーク、及びピーク強度比から、得られた粉末油脂組成物の油脂成分は、β型油脂を含むものであることがわかった。
粉砕前の粉末油脂組成物を目視で観察したところ、体積が増加した空隙を有する固形物であった。図5は、粉砕前の粉末油脂組成物の外観の写真である。また、粉砕前の粉末油脂組成物を3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(株式会社キーエンス製)で観察したところ、板状形状の粒子が多数重なっていた。図6は、粉砕前の粉末油脂組成物の電子顕微鏡写真(200倍)である。
また、得られた粉末油脂組成物を3Dリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−8800(株式会社キーエンス製)で観察したところ、粉末油脂組成物の粒子の形状は板状形状であった。図7及び図8は、粉末油脂組成物の電子顕微鏡写真(1000倍)である。

0055

比較油脂組成物の製造〕
(1)製造比較例1:x=16
1位〜3位にパルミチン酸残基(炭素数16)を有するトリグリセリド(XXX型:89.7質量%、トリパルミチン、東京化成工業株式会社製)25gを80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、25℃恒温槽にて4時間冷却したところ、完全に固化し(X線回折測定回折ピーク:4.1Å、ピーク強度比:0.10)、粉末状の油脂組成物には至らなかった。

0056

(2)製造比較例2:x=16、18
1位〜3位にパルミチン酸残基(炭素数16)を有するトリグリセリド(XXX型:69.9質量%、ハードパームステアリン、日清オイリオグループ株式会社製)12.5gと、1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:11.1質量%、パーム極度硬化油、横関油脂工業株式会社製)12.5gを混合し、原料油脂とした(XXX型:39.6質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、40℃恒温槽にて12時間冷却したところ、完全に固化し(X線回折測定回折ピーク:4.2Å、ピーク強度比:0.12)、粉末状の油脂組成物には至らなかった。

0057

(3)製造比較例3:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:79.1質量%、菜種極度硬化油、横関油脂工業株式会社製)25gを80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、40℃恒温槽にて3時間冷却したところ、完全に固化し(X線回折測定回折ピーク:4.1Å、ピーク強度比:0.11)、粉末状の油脂組成物には至らなかった。

0058

(4)製造比較例4:x=18
1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:66.7質量%、大豆極度硬化油、横関油脂工業株式会社製)12.5gと、別の1位〜3位にステアリン酸残基(炭素数18)を有するトリグリセリド(XXX型:11.1質量%、パーム極度硬化油、横関油脂工業株式会社製)12.5gを混合し、原料油脂とした(XXX型:39.7質量%)。原料油脂を80℃にて0.5時間維持して完全に融解し、55℃恒温槽にて12時間冷却したところ、完全に固化し(X線回折測定回折ピーク:4.2Å、ピーク強度比:0.12)、粉末状の油脂組成物には至らなかった。

0059

〔粉末油脂〕
以下の油ちょう試験では、比較として、市販の粉末油脂(理研ビタミン株式会社製:商品名「スプレーファットNR100」)を用いた。
この粉末油脂は、ビーズ状の球形粉末であり、平均粒径は86μmで、X線回折分析の結果、回折ピークは4.6、強度比は0.91であり、粒子のアスペクト比は1.07で、ゆるめ嵩密度は0.53g/cm3であった。
なお、X線回折測定回折ピーク、及びピーク強度比から、この粉末油脂は、β型油脂を含むものであることがわかる。
得られた粉末油脂を顕微鏡で観察したところ、粉末油脂の粒子の形状は球状であった。粉末油脂の顕微鏡写真を、図9(100倍)、及び図10(300倍)に示す。

0060

〔春巻きの製造試験1〕
(1)加熱調理前の春巻き(比較例1、実施例1)
春巻き原料には、既に成型をしている市販の冷凍の加熱調理前の春巻き(日本水産(株)、商品名「パリッと7種の具材の春巻50」、1個約50g)を用いた。
まず、市販の冷凍の加熱調理前の春巻きに、製造例1の粉末油脂組成物を打ち粉した。その後、余剰分の粉末油脂組成物を払い落とすことで、春巻きの麺皮の外側に粉末油脂組成物が付着した、冷凍の加熱調理前の粉末油脂組成物付着春巻きを製造した(実施例1)。1個約50gの春巻きには、約0.4gの粉末油脂組成物が付着していた。
比較の春巻きの原料には、粉末油脂組成物を打ち粉していない冷凍の市販の加熱調理前の春巻きをそのまま使用した(比較例1)。

0061

(3)春巻きの加熱調理(比較例2、3、実施例2、3)
比較例1及び実施例1の冷凍の加熱調理前の春巻きを、それぞれ180℃に加熱したキャノーラ油(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「日清キャノーラ油」)で、5分間油ちょうし、比較例2及び実施例2の春巻きを得た。春巻きは、それぞれ4本ずつ製造した。
また、比較例1及び実施例1の冷凍の加熱調理前の春巻きを、それぞれ180℃に加熱したキャノーラ油と菜種極度硬化油を、5:5の質量比で混合した混合油で、5分間油ちょうし、比較例3及び実施例3の春巻きを得た。春巻きは、それぞれ4本ずつ製造した。

0062

(4)春巻きの食感評価
得られた春巻きについて、油ちょう直後、及び油ちょうしてから室温で3時間放置後に、パリパリ感及びヒキについて食感評価を行った。なお、ヒキを感じるとは、食した時にゴム様の食感があり、かみちぎりにくく感じることである。
食感評価は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネル4名により行った。
春巻きの食感評価の結果を表2及び表3に示す。

0063

0064

0065

表1の結果からわかるように、比較例2の春巻きは、油ちょう後はパリパリ感があったが、室温3時間放置後にはパリパリ感がなくなっていた。
一方、実施例2の本発明の春巻きは、油ちょう後だけでなく、室温3時間放置後も、パリパリ感を有していた。
また、表2からわかるように、菜種極度硬化油を添加した油で油ちょうした場合、比較例1の春巻きは、油ちょう後は、菜種極度硬化油を添加していない油で油ちょうした場合よりもパリパリ感があったが、室温3時間放置後は、菜種極度硬化油を添加していない油で油ちょうした場合と同様、パリパリ感がなくなっていた。
このことから、菜種極度硬化油を添加した油で、通常の春巻きを油ちょうしても、本発明と同様の効果は得られないことがわかった。

0066

〔春巻きの製造試験2〕
(1)加熱調理前の春巻き(比較例4〜6、実施例4)
春巻き原料には、既に成型をしている市販の冷凍の加熱調理前の春巻き(日本水産(株)、商品名「パリッと7種の具材の春巻50」、1個約50g)を用いた。
まず、市販の冷凍の加熱調理前の春巻きに、製造例1の粉末油脂組成物を打ち粉した。その後、余剰分の粉末油脂組成物を払い落とすことで、春巻きの麺皮の外側に粉末油脂組成物が付着した、冷凍の加熱調理前の粉末油脂組成物付着春巻きを製造した(実施例4)。1個約50gの春巻きには、約0.4gの粉末油脂組成物が付着していた。
次に、市販の冷凍の加熱調理前の春巻きに、市販の粉末油脂(理研ビタミン株式会社製:商品名「スプレーファットNR100」)を打ち粉した。その後、余剰分の粉末油脂を払い落とすことで、春巻きの麺皮の外側に粉末油脂が付着した、冷凍の加熱調理前の粉末油脂付着春巻きを製造した(比較例5)。1個約50gの春巻きには、約0.4gの粉末油脂が付着していたが、製造例1の粉末油脂組成物の付着とは違い、付着力が弱く、強く振ると、油脂粉末の多くが落ちてしまう程度の付着であった。
次に、市販の冷凍の加熱調理前の春巻きの皮に、市販のラード(印メグミルク株式会社製、商品名「純正ラード」、ペースト状)をまんべんなく付着させることで、冷凍の加熱調理前のラード付着春巻きを製造した(比較例6)。1個約50gの春巻きには、約1gのラードが付着していた。
比較の春巻きの原料には、何も付着させていない冷凍の市販の加熱調理前の春巻きをそのまま使用した(比較例4)。
得られた加熱調理前の春巻きの付着物について、表4にまとめる。

0067

0068

(3)春巻きの加熱調理(比較例7〜9、実施例5)
比較例4〜6及び実施例4の冷凍の加熱調理前の春巻きを、それぞれ180℃に加熱したキャノーラ油(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「日清キャノーラ油」)で、5分間油ちょうし、比較例7〜9及び実施例5の春巻きを得た。春巻きは、それぞれ4本ずつ製造した。

0069

(4)春巻きの食感評価
得られた春巻きについて、油ちょう直後、及び油ちょうしてから室温で3時間放置後に、パリパリ感及びヒキについて食感評価を行った。なお、ヒキを感じるとは、食した時にゴム様の食感があり、かみちぎりにくく感じることである。
食感評価は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネル4名により行った。
春巻きの食感評価の結果を表5及び表6に示す。

0070

0071

0072

表5、6の結果からわかるように、市販の粉末油脂、及びラードを、加熱調理前の春巻きに付着させて油ちょうをした場合、油ちょう後はパリパリ感があったが、室温3時間放置後にはパリパリ感がなくなっていた。
一方、実施例5の本発明の春巻きは、油ちょう後だけでなく、室温3時間放置後も、パリパリ感を有していた。

0073

〔春巻きの製造試験3〕
(1)春巻きの麺皮
春巻きの麺皮には、市販の生春巻きの皮(株式会社隆祥房製、商品名「春巻皮」、縦19cm、横19cm)を使用した。
(2)加熱調理前の春巻き(比較例10、11、実施例6、7)の製造
事前に、表7に示す配合の原材料を混合し、合わせ調味料、及び水溶き片栗粉調合した。

0074

0075

次に、表8に示す配合の具材を調製した。
具体的には、まず、緑豆春雨を5〜6cmに切って、熱湯で約1分戻した。次に、豚ひき肉に、酒、塩、及び胡椒を加えて下味を付けた。サラダ油を敷いて加熱したフライパンに、下味を付けた豚ひき肉を加え、しっかり火を通した。フライパンに、合わせ調味料を加え、ひと煮立ちさせた。そこへ、湯切りした緑豆春雨を加えた。いったん火を止めて、水溶き片栗粉を加え、再度加熱してとろみをつけた。調理した具材を、急速冷凍機で品温が約20℃になるまで冷やした。
得られた具材を、なるべく空気が入らないように春巻きの皮で包んで、加熱調製前の春巻き(1個約40〜45g)を製造した。なお、皮の接着には、薄力粉と水を、1:2の割合で混合して調製したのりを使用した。

0076

0077

次に、得られた加熱調理前の春巻きに、製造例1の粉末油脂組成物を打ち粉した。その後、余剰分の粉末油脂組成物を払い落とすことで、春巻きの麺皮の外側に粉末油脂組成物が付着した、加熱調理前の粉末油脂組成物付着春巻きを製造した。1個約50gの春巻きには、約0.4gの粉末油脂組成物が付着していた(実施例6)。また、得られた加熱調理前の粉末油脂組成物付着春巻きを、急速冷凍機に入れ、冷凍した(実施例7)。
粉末油脂組成物を打ち粉していない加熱調理前の春巻きを、比較の春巻きとして使用した(比較例10)。また、粉末油脂組成物を打ち粉していない加熱調理前の春巻きを、急速冷凍機に入れて冷凍したものも比較の春巻きとして使用した(比較例11)。

0078

(3)春巻きの加熱調理(比較例12、13、実施例8、9)
比較例10及び実施例6の加熱調理前の春巻きを、それぞれ180℃に加熱したキャノーラ油(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「日清キャノーラ油」)で、3分間油ちょうし、比較例12及び実施例8の春巻きを得た。春巻きは、それぞれ4本ずつ製造した。
また、比較例11及び実施例7の冷凍の加熱調理前の春巻きを、それぞれ180℃に加熱したキャノーラ油(日清オイリオグループ(株)販売、商品名「日清キャノーラ油」)で、5分間油ちょうし、比較例13及び実施例9の春巻きを得た。春巻きは、それぞれ4本ずつ製造した。

0079

(4)春巻きの食感評価
得られた春巻きについて、油ちょう直後、及び油ちょうしてから室温で3時間放置後に、パリパリ感及びヒキについて食感評価を行った。
食感評価は、社内分析試験方法の「風味および加熱試験」に定められた専門パネル選定試験(臭覚テスト及び味覚テスト)に合格した社内専門パネル4名により行った。
春巻きの食感評価の結果を表9及び10に示す。

0080

0081

実施例

0082

表9及び表10の結果からわかるように、比較例12、13の春巻きは、油ちょう後はパリパリ感があったが、室温3時間放置後にはパリパリ感がなくなっていた。
一方、実施例8、9の本発明の春巻きは、油ちょう後だけでなく、室温3時間放置後もパリパリ感を有していた。

0083

本発明の粉末油脂組成物付着麺皮食品、及びそれを加熱調理した麺皮食品は、食品分野において広く使用することができる。

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