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技術 ノトバイオートカイコの作製方法

出願人 株式会社ゲノム創薬研究所学校法人帝京大学
発明者 関水和久松本靖彦
出願日 2018年7月20日 (2年0ヶ月経過) 出願番号 2018-136286
公開日 2020年1月23日 (6ヶ月経過) 公開番号 2020-010657
状態 未査定
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 家畜、動物の飼育(3)(その他の飼育)
主要キーワード 飼育スペース 火炎滅菌 飼育容器 評価モデル フードパック 隔離飼育 試験菌体 飼育箱
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年1月23日)のものです。
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課題

安価でコスト的に有利で、また倫理的な問題がなく、長期間の飼育が不要である、有用菌に関する検討が好適にできる、ノトバイオートカイコを提供すること。

解決手段

本発明のノトバイオートカイコの作製方法は、(A)腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程と、(B)特定の菌を該腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程と、を含むことを特徴とする。該特定の菌は乳酸菌であることが好ましい。また、本発明の菌のスクリーニング方法は、上記ノトバイオートカイコの作製方法を用いることを特徴とする。

概要

背景

乳酸菌は、様々な食品開発や医薬品に利用されており、ヒトの健康に貢献することが知られている。また、いくつかの乳酸菌については、腸管内で定着して腸内細菌叢を変化させると考えられているので、乳酸菌が健康の増進や疾患に対して効果を示すか否か検証するためには、動物実験が必要である。

乳酸菌や腸内細菌宿主への影響に関する研究において、ノトバイオート動物が用いられる。ノトバイオートは、その動物の腸管内で特定の菌種生菌として維持される状態のことであり、マウスハエなど様々な動物を用いた実験系が構築されている(特許文献1、非特許文献1〜6)。ノトバイオート動物を用いることにより、腸内細菌叢に影響されずにビフィズス菌や乳酸菌等の試験菌体の直接的な効果を検討できる。
しかしながら、ノトバイオートマウスは、作製が容易ではなく高価なものとなり、飼育するために特別な機器が必要となり、狭いスペースで大量に飼育ができず、更に倫理的な問題があるので大量の個体を用いた実験が困難である。
また、ノトバイオートハエ、ハチゴキブリは、個体が小さいので注射や採血が難しく、体液中の成分の生化学検査が困難である。

これまでに本発明者らは、マウスと比べて費用や倫理的な問題が小さく、ハエと比べて注射や体液成分解析が容易なカイコ実験動物として利用することを提案している(特許文献2〜4)。そして、カイコの利点を生かして、機能性食品や医薬品のシーズの探索のためのカイコ感染モデルやカイコ糖尿病モデル確立している。
このように、カイコは実験動物として上記した優れた利点を有しているが、カイコにおけるノトバイオートの実験系は確立されていない。

概要

安価でコスト的に有利で、また倫理的な問題がなく、長期間の飼育が不要である、有用菌に関する検討が好適にできる、ノトバイオートカイコを提供すること。本発明のノトバイオートカイコの作製方法は、(A)腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程と、(B)特定の菌を該腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程と、を含むことを特徴とする。該特定の菌は乳酸菌であることが好ましい。また、本発明の菌のスクリーニング方法は、上記ノトバイオートカイコの作製方法を用いることを特徴とする。なし

目的

本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、コスト的に有利であり、倫理的な問題が少なく、乳酸菌等の菌の腸管内での検討・評価が正確・適切にできるモデル動物・実験動物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

(A)腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程と、(B)特定の菌を該腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程と、を含むことを特徴とするノトバイオートカイコの作製方法

請求項2

上記特定の菌が乳酸菌である請求項1に記載のノトバイオートカイコの作製方法。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載のノトバイオートカイコの作製方法を用いることを特徴とする菌のスクリーニング方法

請求項4

請求項1又は請求項2に記載のノトバイオートカイコの作製方法を用いて作製されたノトバイオートカイコ。

請求項5

請求項4に記載のノトバイオートカイコを用いることを特徴とする菌のスクリーニング方法。

技術分野

0001

本発明は、特定の菌を腸管内に定着させたノトバイオートカイコ作製方法、該作製方法を用いて作製されたノトバイオートカイコ、及び、それを用いた菌のスクリーニング方法等に関するものである。

背景技術

0002

乳酸菌は、様々な食品開発や医薬品に利用されており、ヒトの健康に貢献することが知られている。また、いくつかの乳酸菌については、腸管内で定着して腸内細菌叢を変化させると考えられているので、乳酸菌が健康の増進や疾患に対して効果を示すか否か検証するためには、動物実験が必要である。

0003

乳酸菌や腸内細菌宿主への影響に関する研究において、ノトバイオート動物が用いられる。ノトバイオートは、その動物の腸管内で特定の菌種生菌として維持される状態のことであり、マウスハエなど様々な動物を用いた実験系が構築されている(特許文献1、非特許文献1〜6)。ノトバイオート動物を用いることにより、腸内細菌叢に影響されずにビフィズス菌や乳酸菌等の試験菌体の直接的な効果を検討できる。
しかしながら、ノトバイオートマウスは、作製が容易ではなく高価なものとなり、飼育するために特別な機器が必要となり、狭いスペースで大量に飼育ができず、更に倫理的な問題があるので大量の個体を用いた実験が困難である。
また、ノトバイオートハエ、ハチゴキブリは、個体が小さいので注射や採血が難しく、体液中の成分の生化学検査が困難である。

0004

これまでに本発明者らは、マウスと比べて費用や倫理的な問題が小さく、ハエと比べて注射や体液成分解析が容易なカイコを実験動物として利用することを提案している(特許文献2〜4)。そして、カイコの利点を生かして、機能性食品や医薬品のシーズの探索のためのカイコ感染モデルやカイコ糖尿病モデル確立している。
このように、カイコは実験動物として上記した優れた利点を有しているが、カイコにおけるノトバイオートの実験系は確立されていない。

0005

特開昭61−5739号公報
特開2009−47552号公報
特開2009−58500号公報
国際公開第2017/061353号

先行技術

0006

Honda K, Littman DR. The microbiota in adaptive immune homeostasis and disease. Nature. 2016; 535:75-84.
Tanoue T, Atarashi K, Honda K. Development and maintenance of intestinal regulatory T cells. Nat Rev Immunol. 2016; 16:295-309.
Storelli G, Strigini M, Grenier T, Bozonnet L, Schwarzer M, Daniel C, Matos R, Leulier F. Drosophila Perpetuates Nutritional Mutualism by Promoting the Fitness of Its Intestinal Symbiont Lactobacillus plantarum. Cell Metab. 2018; 27:362-377 e368.
PasinettiGM, Singh R, Westfall S, Herman F, Faith J, Ho L. The Role of the Gut Microbiota in the Metabolism of Polyphenols as Characterized by Gnotobiotic Mice. J Alzheimers Dis. 2018.
Kesnerova L, Mars RAT, Ellegaard KM, Troilo M, Sauer U, Engel P. Disentangling metabolic functions of bacteria in the honey bee gut.PLoS Biol. 2017; 15:e2003467.
Tegtmeier D, Thompson CL, Schauer C, Brune A. Oxygen Affects Gut Bacterial Colonization and Metabolic Activities in a Gnotobiotic Cockroach Model. Appl Environ Microbiol. 2016; 82:1080-1089.

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、コスト的に有利であり、倫理的な問題が少なく、乳酸菌等の菌の腸管内での検討・評価が正確・適切にできるモデル動物・実験動物を提供することにある。
また、かかるモデル動物・実験動物を用いた、ヒト等の生体に有用な菌のスクリーニング方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、腸内細菌が検出されないカイコを簡便に調製できること、カイコの腸管内でいくつかの乳酸菌がそれぞれ単独で腸管内に定着できること、及び、乳酸菌が腸管内で増殖すること、等を見出した。また、カイコの腸管からは、定着させた乳酸菌以外の菌は検出されなかったことから、ノトバイオートカイコモデルを作製できたことを確認して本発明をするに至った。

0009

すなわち、本発明は、
(A)腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程と、
(B)特定の菌を該腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程と、
を含むことを特徴とするノトバイオートカイコの作製方法を提供するものである。

0010

また、本発明は、上記ノトバイオートカイコの作製方法を用いることを特徴とする菌のスクリーニング方法を提供するものである。

0011

また、本発明は、上記のノトバイオートカイコの作製方法を用いて作製されたノトバイオートカイコを提供するものである。
また、本発明は、上記のノトバイオートカイコを用いることを特徴とする菌のスクリーニング方法を提供するものである。

発明の効果

0012

本発明によれば、前記問題点や前記課題を解決し、作製が比較的容易であり、コスト的に有利であり、倫理的な問題が少なく、飼育も容易であり、「乳酸菌等の菌の腸管内での検討・評価」や「種々の薬理実験」等が、容易に、安価に、効率的に、正確・適切にできるモデル動物・実験動物を提供することができる。
カイコは、マウスに比べて、実験動物として道義的問題が少なく、取り扱いも容易であるという特長があるが、更に、本発明のノトバイオートカイコの作製方法は、既存のノトバイオートマウスの作製方法に比べても容易で、そのためコスト的に優れ有用性が高い。

0013

また、本発明の作製方法によって得られた上記モデル動物・実験動物は、長期間の飼育が不要であり、有用菌等の種々の菌に関する検討が好適にできる。特に、腸内フローラプロバイオティクス等の研究開発に有用である。

0014

以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。

0015

[ノトバイオートカイコの作製方法]
本発明のノトバイオートカイコの作製方法は、
(A)腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程と、
(B)特定の菌を該腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程と、
を含むことを特徴とする。

0016

本明細書において、「ノトバイオートカイコ」とは、「特定の菌のみが生菌として腸管内に維持されているカイコ」を言う。
また、「腸内細菌が検出されない」とは、実施例の<生菌数測定>の項に記載した方法で測定して、生育したコロニーがないことを言う。

0017

工程(A)の「腸内細菌が検出されないカイコを調製する工程」において、該調製手段は特に制限はない。
具体的には、カイコのを、好ましくは殺菌処理したり、孵化したカイコを好ましくは安全キャビネット等の無菌環境で飼育・管理したり、実質的に無菌にした投与したり、抗菌剤を混合した餌を投与したりすること等により、腸管内に生菌が検出されないカイコを調製する。

0018

上記殺菌処理としては、特に限定はなく、何れの方法も採用できるが、ホルムアルデヒドエチルアルコールフェノール塩化ベンザルコニウム等の水溶液による処理等が好ましい。
該水溶液の濃度は、特に限定はないが、ホルムアルデヒドの場合、0.1%以上33%以下が好ましく、1%以上20%以下がより好ましく、2%以上5%以下が特に好ましい。エチルアルコールの場合、50%以上95%以下が好ましく、60%以上90%以下がより好ましく、70%以上80%以下が特に好ましい。フェノールの場合、1%以上5%以下が好ましく、1.5%以上4%以下がより好ましく、2%以上3%以下が特に好ましい。塩化ベンザルコニウムの場合、0.001%以上10%以下が好ましく、0.005%以上1%以下がより好ましく、0.01%以上0.1%以下が特に好ましい。なお、上記「%」は「質量%」を示す。

0019

水溶液の場合は、具体的には、卵を該水溶液に浸漬、卵に該水溶液をスプレーする等が好ましい。
該殺菌処理の時間としては、特に限定はないが、1時間以上7日間以下が好ましく、2時間以上4日間以下がより好ましく、4時間以上2日間以下が特に好ましい。

0020

特に好ましくは、具体的には、例えば、実施例に示すように、カイコの卵をホルマリン処理し、その後、孵化したカイコに抗生物質を添加した餌を摂取させることにより、腸管内に生菌が検出されないカイコを調製する。
本発明のノトバイオートカイコの作製方法における工程(A)は、ノトバイオートマウスを作製するときの、産道での感染を防止するために帝王切開をする必要がある、ビニールアイソレーター等の隔離飼育施設や特別な器具を準備する必要がある、等と言った面倒な工程を有する作製方法と比較して極めて簡便である。

0021

工程(B)の「特定の菌を上記腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程」において、菌の腸管内への定着手段には特に制限はない。
具体的には、腸管内に定着させたい菌を含む餌をカイコに経口投与する、腸管内に定着させたい菌をカイコの腸管内に注射で投与する等が挙げられる。
中でも、例えば、実施例に示すように、腸管内に定着させたい菌を含む餌をカイコに摂取させることにより、目的の菌をカイコの腸管内に定着させることが好ましい。

0022

腸管内に定着させたい菌を餌に混ぜる場合、菌を含む餌の濃度は、特に限定はないが、餌全体に対して、湿重量0.001%以上湿重量50%以下が好ましく、湿重量0.1%以上湿重量35%以下がより好ましく、湿重量1%以上湿重量20%以下が特に好ましい。

0023

また、摂取量は、特に限定はなく、給餌させる餌、摂取方法等に応じて適宜選択することができる。該菌の摂取量は、下記摂取時間内の1回の摂取当たり、5齢1日目のカイコの体重を基本とし、その(体重換算の)カイコ1頭につき、0.001〜2g/回が好ましく、0.005〜1g/回がより好ましく、0.01〜0.5g/回が特に好ましい。
また、一日の摂取量は、特に限定はないが、カイコ1頭当たり、菌が、0.001g/日以上2g/日以下であることが好ましく、0.01g/日以上0.5g/日以下であることが特に好ましい。

0024

ここで、「菌の摂取量(菌の湿重量)」とは、液体培地中で増殖した菌を遠心により集めてペレットとしたときの重量のことを言う。
また、遠心せずに、液体培養された菌液を餌に混ぜることも可能である。その場合の菌液の量に特に限定はないが、0.1μL/(g餌)以上0.5mL/(g餌)以下が好ましく、1μL/(g餌)以上0.2mL/(g餌)以下が特に好ましい。

0025

腸管内に定着させたい菌が混合された餌のカイコへの摂取期間は、特定の菌の腸管内での評価ができれば特に制限はないが、1時間〜7日間が好ましく、1日間〜5日間がより好ましく、2日間〜4日間が特に好ましい。1回の給餌に全量含有させて摂取させることが利便性のために特に好ましい。
摂取期間が短過ぎる場合は、十分な量を摂取させることができず、特定の菌の効果を明確に確認できない場合がある。

0026

本発明のノトバイオートカイコの作製方法における工程(B)は、ノトバイオートマウスを作製するときに比べ簡便である。
また、工程(A)と工程(B)を含む本発明のノトバイオートカイコの作製方法は、ノトバイオートマウスの作製方法に比べて簡便である。

0027

上記特定の菌には特に制限はなく、細菌や酵母等から選択することができる。該特定の菌としてグラム陽性菌が好ましく、乳酸菌又はビフィズス菌がより好ましく、乳酸菌が特に好ましい。
該特定の菌は、1種類の菌であっても、2種類以上の菌であってもよい。
2種類以上の菌を腸管内に定着させる場合、餌を介して該2種類以上の菌を同時に摂取させてもよいし、別々に摂取させてもよい。

0028

工程(B)で用いるカイコは、餌の摂取のし易さ、血液(体液)や脂肪体採取のし易さ等の観点から、大型のカイコであることが好ましい。ここで「大型のカイコ」とは、体長が1cm以上であるカイコであり、好ましくは、1.5cm以上15cm以下であり、特に好ましくは、2cm以上5cm以下である。また、4齢〜5齢のカイコが好ましく、5齢の幼虫が特に好ましい。

0029

本発明によって作製されたノトバイオートカイコは、以下の利点を有するものである。
(1)カイコ自体の入手が容易である。
(2)カイコを飼育する方法が既に確立されており、更に飼育に利便性がある。
(3)ヒト等の哺乳動物内臓器官と共通する性質が、これまでの研究で、ある程度分かっている。
(4)遺伝系統が確立されており、遺伝的均一性の維持ができている。
(5)比較的大型で、動き緩慢であり、実質上無毛なので、定量的に注射できる等、薬物の投与が容易である。
(6)脂肪体を有しており、脂肪体を取り出して、含有する物質の定量が可能である。
(7)マウス、ラット等に比べると安価で、狭いスペースで多数の個体を飼育でき、倫理的な問題も少ないため、スクリーニング的な評価を行うことが容易である。
(8)齢を揃える等、同じ状態の個体を揃えることが容易である。
(9)体液を採取して、糖、脂質、酵素等の成分を解析することが可能である。

0030

[ノトバイオートカイコを用いる菌のスクリーニング方法]
本発明の菌のスクリーニング方法は、上記ノトバイオートカイコの作製方法を用いることを特徴とする。また、上記ノトバイオートカイコの作製方法を用いれば、かかる「菌のスクリーニング方法」以外にも、他の菌の存在が障害となる種々の研究・検討・探索が可能となる。

0031

医薬品の治療効果や食品の有効性の評価をするためには、動物個体を用いた評価が必要であるが、カイコは、大きな飼育スペースを必要とせず、多数の個体を低いコストで飼育可能であり、「ヒト等の生体に有用な菌をスクリーニングする方法」においても、in vivo評価モデルとして好ましい。

0032

また、動物愛護の観点から、哺乳動物を用いた実験は、国際原則である3R、すなわちReplacement(代替法の開発)、Reduction(動物数の削減)、Refinement(動物の苦痛の削減)に従って実験を行わなければならない(Russell et al., 1959)。カイコを被験動物として利用することは、3Rの中の代替法の開発の考えと合致する。
すなわち、カイコを用いた評価方法、スクリーニング方法、製造方法等を、食品や医薬品開発における前臨床試験の前の探索段階で使用すれば、犠牲にしなければならない哺乳動物の数を減少させ、コストや動物愛護の観点からの問題を解決できる。

0033

[ノトバイオートカイコ]
本発明は、前記した「ノトバイオートカイコの作製方法」を用いて作製されるようなものであることを特徴とするノトバイオートカイコ、あるいは、前記した「ノトバイオートカイコの作製方法」を用いて作製されたノトバイオートカイコでもある。
なお、このようなノトバイオートカイコを、カイコ自体の態様や該カイコの腸内の態様により直接特定することは不可能であるか又はおよそ実際的ではない。
また、本発明は、該ノトバイオートカイコを用いることを特徴とする菌のスクリーニング方法でもある。

0034

以下、実施例及び試験例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等の具体的範囲に限定されるものではない。

0035

<カイコの飼育>
カイコの受精卵交雑種ふ・よう×つくば・ね)は養蚕株式会社から購入した。孵化した幼虫は、室温で人工飼料シルクメイト2S(日本農産工業株式会社製)を与えて5齢幼虫まで育てた。
飼育容器は卵から2齢幼虫までを角型2号シャーレ(栄研器材)、それ以降をディスポーザブルプラスチックフードパック(フードパックFD大深、中央化学株式会社製)を用いた。
飼育温度は25℃とした。特に記載がない限り、実験には4齢以後絶食させた5齢1日目のカイコを用いた。乳酸菌添加餌は、培養液100μLを1gの「抗生物質を含まない餌」に混合して調製した。

0036

<乳酸菌の培養>
乳酸菌Enterococcus faecalis 0831-07、Lactococcus lactis 11/19-B1、Leuconostoc carnosum #7-2を、それぞれMR寒天培地シングルコロニー化し、そのコロニーをMRS液体培地で、2〜3日間30℃で静地培養した。

0037

<生菌数測定>
カイコの腸管を摘出し、腸管内容物を得た。腸管内容物をBHI(Brain heart infusion)寒天培地に塗布して、3日間培養後、生育したコロニーの数を測定した。
詳しくは、カイコの頭部を火炎滅菌したハサミで切断し、飛び出してきたペリトロピックメンブレンに包まれた腸管内容物及び細切した腸管を、滅菌した生理食塩水中(10mL)に懸濁し、その生理食塩水希釈液の一定量(100μL)を、直径10cmのBHI(Brain heart infusion)寒天プレートに塗布し、30℃にて1日〜3日間培養後、生育したコロニーの数を測定した。

0038

<菌種の同定>
生育したコロニーを採取して16SリボソームRNAをコードするDNAに対するユニバーサルプライマーを用いたコロニーPCRを行った。増幅されたDNAについてシークエンスを行い菌種の同定を行った。

0039

実施例1
<ノトバイオートカイコの作製>
これまでに本発明者らによって、カイコの卵をホルマリン処理し、その後孵化したカイコに抗生物質が添加された餌を与えると、飼育したカイコの腸管内から生菌が検出されないことが報告されている(例えば、NwiboDDet al, Drug Discov Ther. 2015; 9: 184-190)。

0040

<腸内細菌が検出されないカイコの調製工程>
ホルマリン処理したカイコ蛾の卵から孵化した幼虫(カイコ)を、抗生物質が添加された餌で、5齢1日目まで飼育した。
飼育時の環境条件は、無菌状態であることが好ましいが、SPF動物飼育環境であれば十分である。すなわち、温度を27℃にした飼育箱に、フィルター滅菌した空気を送り込む装置を使用した。この状況でカイコの餌を、抗生物質を含まない餌に変えても、カイコの腸内に細菌が増殖することはなかった。

0041

更に具体的には、カイコ蛾の受精卵(交雑種ふ・よう×つくば・ね)は、愛媛養蚕株式会社から購入した。
孵化した幼虫(カイコ)は、室温で人工飼料シルクメイト2S(日本農産工業株式会社製)を与えて5齢幼虫まで育てた。飼育容器は、卵から2齢幼虫までを角型2号シャーレ(栄研器材製)、それ以降をディスポーザブルのプラスチック製フードパック(フードパックFD、大深、中央化学株式会社製)を用いた。
飼育温度は27℃とした。実験には4齢眠以後絶食させた5齢1日目の幼虫(カイコ)を用いた。

0042

上記のようにして得られたカイコが「腸内細菌が検出されないカイコ」であることを、前記<生菌数測定>に記載した方法で確かめた。

0043

<特定の菌を腸内細菌が検出されないカイコの腸管内に定着させる工程>
上記で調製したカイコを用いて、乳酸菌を摂食したカイコの腸管内から該乳酸菌が分離されるかを検証した。
上記で調製した5齢1日目のカイコに乳酸菌Enterococcus faecalis 0831-07、Lactococcus lactis 11/19-B1、Leuconostoc carnosum #7-2を、それぞれ加えた餌を1日与えた。また、コントロールとして、乳酸菌の代わりに生理食塩水100μLを含む餌を与えた。

0044

その後、5日間乳酸菌を含まない餌を与えた後、カイコの腸管内容物をBHI寒天培地に塗布して2日間培養した。2日間培養後、生育したコロニーの数を測定した。
生菌数の測定結果を表1に示す。

0045

0046

乳酸菌を与えたカイコの腸管内容物由来サンプルでは、何れもBHI寒天培地上でコロニーの形成が見られた。生育したコロニーについて、16SリボソームRNAをコードするDNAのシークエンスにより菌種同定を行ったところ、それぞれカイコの餌に加えた乳酸菌種であった(表1)。
一方、乳酸菌の代わりに生理食塩水を添加した餌を与えたコントロール群のカイコの腸管内容物からはBHI寒天培地上でコロニーの形成は見られなかった(表1)。
以上の結果から、カイコの腸管内から乳酸菌の生菌が得られることが示唆された。このことから、カイコの腸管内で乳酸菌が全て殺菌されることはなく、むしろ5日間カイコの腸管内に維持されることが分かった。

0047

評価例1
<ノトバイオートカイコの腸管内における乳酸菌の増殖>
次に、カイコの腸管内で乳酸菌が増殖するか検討した。Enterococcus faecalis 0831-07(2.3x107cfu/カイコ)を加えた餌を1日与え、その後乳酸菌を含まない餌を与えたカイコの腸管内の生菌数を(計時的に)測定した。
その結果、乳酸菌を含まない餌を与えてから4日目のカイコの腸管内容物における生菌数は、1.4〜3.9x108cfu/腸管内容物であり、カイコに摂食させた菌数(2.3x107cfu/カイコ)と比べて多かった。
以上の結果から、カイコの腸管内で乳酸菌Enterococcus faecalis 0831-07が増殖することを示され、カイコにおいて腸管内に単一種の生菌が検出される実験系が確立できた。よって、乳酸菌が腸管内に定着したノトバイオートカイコモデルが確立できた。

実施例

0048

<実施例のまとめ>
本実施例において、ノトバイオートカイコモデルを確立することができた。カイコは、実験動物として様々な利点があるので、探索研究に有用である。また、カイコの感染モデルや糖尿病モデルが既に確立されているので、ノトバイオートカイコモデルを用いて、感染症糖尿病を予防又は治療するシーズとなる、ヒト等の生体に有用な菌の探索が可能になると期待できる。

0049

本発明のノトバイオートカイコの作製方法を利用して、ヒト等の生体に有用な菌のスクリーニングが可能であり、医薬分野、一般食品分野、健康食品分野等に広く利用されるものである。

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