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技術 タグリーダ

出願人 株式会社デンソーウェーブ
発明者 榎本康平小川昌幸
出願日 2018年7月11日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2018-131763
公開日 2020年1月16日 (5ヶ月経過) 公開番号 2020-010258
状態 未査定
技術分野 記録担体の読み取り レーダ方式及びその細部 伝送の細部、特殊媒体伝送方式
主要キーワード 固定タグ 移動タグ I信号 算出範囲 Q信号 位相積算値 位相範囲 正面付近
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (18)

課題

無線タグが移動しているか停止しているかを精度よく判断することができるタグリーダを提供する。

解決手段

無線タグと通信するタグリーダであって、無線タグに対して電波を送信して、その応答として無線タグから送信されてタグリーダが受信した電波である受信波位相(φ)を逐次算出する位相算出部(S10)と、位相算出部が2つの時点で算出した位相の差である位相差(Δφ)を算出する位相差算出部(S20)と、位相差算出部が算出した位相差に基づいて、受信波の位相が1回転したことを検出する位相回転検出部(S30)と、予め設定された移動判断時間内に位相が回転した回数に基づいて、無線タグが移動しているか否かを判断する移動判断部(S40)とを備える。

概要

背景

特許文献1では、ゲートに1台ずつ固定タグを設置する。固定タグの設置位置は、他のゲートからは通信できない位置になっている。また、各ゲートには固定タグと通信できるリーダを設置する。リーダは、移動タグと通信でき、かつ、固定タグと通信できないとき、ゲートを移動タグが通過したと判断する。

概要

無線タグが移動しているか停止しているかを精度よく判断することができるタグリーダを提供する。無線タグと通信するタグリーダであって、無線タグに対して電波を送信して、その応答として無線タグから送信されてタグリーダが受信した電波である受信波位相(φ)を逐次算出する位相算出部(S10)と、位相算出部が2つの時点で算出した位相の差である位相差(Δφ)を算出する位相差算出部(S20)と、位相差算出部が算出した位相差に基づいて、受信波の位相が1回転したことを検出する位相回転検出部(S30)と、予め設定された移動判断時間内に位相が回転した回数に基づいて、無線タグが移動しているか否かを判断する移動判断部(S40)とを備える。

目的

本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

無線タグ通信するタグリーダであって、前記無線タグに対して電波を送信して、その応答として前記無線タグから送信されて前記タグリーダが受信した電波である受信波位相(φ)を逐次算出する位相算出部(S10)と、前記位相算出部が2つの時点で算出した位相の差である位相差(Δφ)を算出する位相差算出部(S20)と、前記位相差算出部が算出した前記位相差に基づいて、前記受信波の位相が1回転したことを検出する位相回転検出部(S30)と、予め設定された移動判断時間(n)内に前記位相が回転した回数に基づいて、前記無線タグが移動しているか否かを判断する移動判断部(S40)とを備えるタグリーダ。

請求項2

前記移動判断部は、前記移動判断時間内に位相が回転した回数が閾値(m)以上であることに基づいて、前記無線タグが移動していると判断する請求項1に記載のタグリーダ。

請求項3

前記位相回転検出部は、少なくとも、前記位相差の絶対値が前記位相算出部が算出できる位相範囲の半分以下のときは、位相が回転したとしない、請求項1または2に記載のタグリーダ。

請求項4

前記移動判断時間分の前記位相差を積算した位相差積算値を算出する積算部(S30−1)を備え、前記移動判断部は、前記位相差積算値と、前記移動判断時間内に前記位相が回転した回数との対比に基づいて、前記無線タグが移動しているか否かを判断する請求項1に記載のタグリーダ。

請求項5

前記移動判断部は、前記無線タグが移動していると判断しない場合であって、移動履歴判断時間内に前記位相回転検出部により位相が回転したことが検出されているが、位相が回転していない時間が一定時間よりも短い場合、前記無線タグは一時停止と判断する請求項1〜4のいずれか1項に記載のタグリーダ。

請求項6

前記移動判断部は、前記移動履歴判断時間内に前記位相回転検出部により位相が回転したことが検出されていても、位相が回転していない時間が一定時間以上であれば、前記無線タグは停止していると判断する請求項5に記載のタグリーダ。

請求項7

前記移動判断部は、前記移動履歴判断時間内に前記位相回転検出部により位相が回転したことが検出されていない場合、前記無線タグは停止していると判断する請求項5または6に記載のタグリーダ。

技術分野

0001

タグリーダに関し、特に、無線タグが移動しているか、停止しているかを判断することができるタグリーダに関する。

背景技術

0002

特許文献1では、ゲートに1台ずつ固定タグを設置する。固定タグの設置位置は、他のゲートからは通信できない位置になっている。また、各ゲートには固定タグと通信できるリーダを設置する。リーダは、移動タグと通信でき、かつ、固定タグと通信できないとき、ゲートを移動タグが通過したと判断する。

先行技術

0003

特開2006−72672号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に開示された技術は、固定タグが必要である。そのため、固定タグを設置するスペースが必要である等の問題がある。このことから、固定タグなしで、無線タグが移動しているか、停止しているかを判断する技術が望まれる。

0005

ここで、パッシブ型の無線タグは、無線タグとタグリーダとの間の距離に応じて、タグリーダが受信する電波位相が変化する。したがって、逐次、タグリーダから電波を送信して、無線タグから受信する応答波の位相が変化しているか否かを見て、無線タグが移動しているか否かを判断することが考えられる。

0006

しかし、移動している物体が、停止している無線タグ(以下、停止タグ)の付近に存在していると、停止タグからの応答波として、移動している物体を介した反射波が生じる。移動している物体を介した反射波は、その物体の移動に応じて経路長が変化するので、その物体の移動に応じて位相も変化する。そのため、単純に位相変化を見るだけでは、無線タグが移動しているか、停止しているかを精度よく判断することが困難であった。

0007

本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、無線タグが移動しているか停止しているかを精度よく判断することができるタグリーダを提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。

0009

上記目的を達成するための請求項1に開示したタグリーダは、
無線タグと通信するタグリーダであって、
無線タグに対して電波を送信して、その応答として無線タグから送信されてタグリーダが受信した電波である受信波の位相(φ)を逐次算出する位相算出部(S10)と、
位相算出部が2つの時点で算出した位相の差である位相差(Δφ)を算出する位相差算出部(S20)と、
位相差算出部が算出した位相差に基づいて、受信波の位相が1回転したことを検出する位相回転検出部(S30)と、
予め設定された移動判断時間(n)内に位相が回転した回数に基づいて、無線タグが移動しているか否かを判断する移動判断部(S40)とを備える。

0010

停止タグの近くを移動体が通過すると、停止タグから送信された応答波がその移動体により反射されて生じた反射波と、停止タグからの直接の応答波である直接波合成波が受信波として観測できることがある。

0011

移動体の移動に伴い反射波の位相が回転することから、移動体の移動に伴い合成波の位相も回転する。しかし、合成波は、直接波と反射波とが弱め合うときには観測されにくい。そして、直接波と反射波は同位相のときに強め合い、逆位相のときは弱め合う。また、停止タグからの直接波は位相が常に同じである一方で、反射波の位相は、反射波を生じさせる移動体からタグリーダまでの距離より定まる。したがって、合成波は、移動体の位置の変化に応じて強度が変化することになる。

0012

そのため、移動体の移動に伴い合成波の位相が回転するとしても、移動体の接近により合成波が観測できるようになった後も、合成波は、観測できたり、できなくなったりする可能性がある。

0013

そして、直接波と反射波の位相差が大きいほど、合成波の位相は、直接波の位相に対してずれる。また、同時に、直接波と反射波の位相差が大きいほど、合成波は振幅が小さくなる。その結果、停止タグからの合成波は、移動体に取り付けられた無線タグ(以下、移動タグ)からの直接波よりも、観測できる位相範囲が制限される可能性がある。

0014

観測できる位相範囲が制限されることで、位相差に基づく位相回転は検出されにくくなる。つまり、受信波として停止タグからの合成波を受信したとしても、受信波が合成波であれば、ある時間内に位相が回転したと検出できる回数は少ない。

0015

したがって、位相判断部が、移動判断時間内に位相が回転した回数に基づいて無線タグが移動しているか否かを判断することで、反射波の影響により停止タグを移動タグと判断してしまうことを抑制できる。よって、無線タグが移動しているか停止しているかの判断精度が向上する。

0016

請求項2に係るタグリーダでは、移動判断部は、移動判断時間内に位相が回転した回数が閾値(m)以上であることに基づいて、無線タグが移動していると判断する。

0017

請求項3に係るタグリーダでは、記位相回転検出部は、少なくとも、位相差の絶対値が位相算出部が算出できる位相範囲の半分以下のときは、位相が回転したとしない。

0018

すでに説明したように、停止タグからの合成波は、移動タグからの直接波よりも、観測できる位相範囲が制限される可能性がある。そのため、反射波を生成する移動体が移動タグと同様に移動したとしても、停止タグからの合成波の位相差は、位相算出部が算出できる位相範囲の半分よりも大きくならないときが多い。したがって、このようにすることで、受信波が合成波である場合、移動判断時間内に位相が回転した回数が閾値以上になる可能性が減少する。

0019

請求項4に係るタグリーダでは、移動判断時間分の位相差を積算した位相差積算値を算出する積算部(S30−1)を備え、
移動判断部は、位相差積算値と、移動判断時間内に位相が回転した回数との対比に基づいて、無線タグが移動しているか否かを判断する。

0020

受信波が停止タグからの合成波である場合に比較して、受信波が移動タグからの直接波である場合は、移動判断時間内に位相が回転した回数に対して、位相差積算値が小さくなる傾向にある。よって、位相差積算値と、移動判断時間内に位相が回転した回数との対比に基づいて、無線タグが移動しているか否かを判断することができる。

0021

請求項5に係るタグリーダでは、移動判断部は、無線タグが移動していると判断しない場合であって、移動履歴判断時間内に位相回転検出部により位相が回転したことが検出されているが、位相が回転していない時間が一定時間よりも短い場合、無線タグは一時停止と判断する。

0022

このようにすることで、無線タグが、移動しているか停止しているかだけでなく、無線タグが一時停止状態であることも判断できる。

0023

請求項6に係るタグリーダでは、移動判断部は、移動履歴判断時間内に位相回転検出部により位相が回転したことが検出されていても、位相が回転していない時間が一定時間以上であれば、無線タグは停止していると判断する。このようにすることで、無線タグが停止していることを的確に判断できる。

0024

請求項7に係るタグリーダでは、移動判断部は、移動履歴判断時間内に位相回転検出部により位相が回転したことが検出されていない場合、無線タグは停止していると判断する。

0025

このようにすることで、最初から停止している無線タグについても、的確に、停止していると判断できる。

図面の簡単な説明

0026

タグリーダ10の使用状態を示す図である。
タグリーダ10の構成を示す図である。
第1実施形態において演算部18が実行する処理を示すフローチャートである。
図3のS20とS30の処理を詳しく示すフローチャートである。
図3のS40の処理を詳しく示すフローチャートである。
図1の無線タグ5Aから受信した受信波の位相φの変化を例示する図である。
図1の無線タグ5Cから受信した直接波の位相φの変化を例示する図である。
図1の無線タグ5Cから受信した合成波の位相φの変化を例示する図である。
合成波の位相φを説明する図である。
第1実施形態の1つ目の具体例を示す図である。
2つ目の具体例において無線タグ5Dの動きを説明する図である。
2つ目の具体例において無線タグ5Eの動きを説明する図である。
2つ目の具体例において無線タグ5Fの動きを説明する図である。
2つ目の具体例において位相回転数の変化と移動判断結果を示す図である。
第2実施形態において演算部18が実行する処理を示すフローチャートである。
図15のS40−1の移動判断処理を詳しく示すフローチャートである。
第2実施形態において得られる移動判断結果の具体例を示す図である。

実施例

0027

[使用状態の一例]
図1は、タグリーダ10の使用状態を示している。図1に示す使用例では、タグリーダ10は、通路2の脇に設置されており、荷物3が、移動体であるフォークリフト4などにより運ばれて通路2を通過したことを検出するために用いられる。荷物3には無線タグ5が貼り付けられており、タグリーダ10は、フォークリフト4などにより運ばれている荷物3に貼り付けられた無線タグ5が移動していることを検出する。

0028

無線タグ5を検出するために、タグリーダ10は、探索波を逐次送信する。無線タグ5はパッシブ型であり、探索波を受信したことにより動作して、応答波を送信する。タグリーダ10は、無線タグ5が送信した応答波を受信できれば無線タグ5を検出できる。以下、 無線タグ5が送信し、タグリーダ10が受信する電波を、受信波とする。

0029

無線タグ5が移動していることが検出でき、その後、無線タグ5が検出できなくなれば、無線タグ5が貼り付けられた荷物3は、通路2を通過したと判断できる。ただし、無線タグ5が貼り付けられた荷物3は、通路2の脇に仮置きされることもある。通路2の脇に置かれた荷物3に貼り付けられた無線タグ5も、タグリーダ10が送信する探索波に対して応答する。

0030

そこで、タグリーダ10は、受信波を送信した無線タグ5が移動している無線タグ5(すなわち移動タグ)であるか、停止している無線タグ5(すなわち停止タグ)であるかを識別する機能を備える。

0031

[タグリーダ10の構成]
図2にタグリーダ10の構成を示す。タグリーダ10は、アンテナ11、送信機12、カプラ13、アンテナ共用器14、直交復調器15、バンドパスフィルタ16i、16q、ADコンバータ17i、17q、演算部18を備えている。

0032

アンテナ11は、通路2においてアンテナ11の正面にある部分を通信範囲19(図1参照)に含むものが用いられる。ただし、通路2がある部分のみを通信範囲19とすることは困難であることから、タグリーダ10から見て通路2とは反対側の部分や、タグリーダ10から見て、通路2を超えた部分にも通信範囲19が存在する。

0033

送信機12は、無線タグ5に向けて送信する探索波を表す信号である探索信号を生成して出力する。この信号は、カプラ13により分岐されて、アンテナ共用器14および直交復調器15に向かう。アンテナ共用器14は、送信機12からの信号はアンテナ11に出力し、アンテナ11が受信した受信波を表す受信信号は、直交復調器15に出力する。アンテナ11は、探索波を空中に放射し、無線タグ5からの電波を受信する。

0034

アンテナ11が受信した受信波は、直交復調器15に入力される。直交復調器15は、移相器151と、2つのミキサ152i、152qを備えている。移相器151には、カプラ13で分岐した探索信号が入力される。一方のミキサ152iには、受信信号と探索信号とが入力される。受信信号と探索信号とがミキサ152iで混合されると、ベースバンド信号同相成分であるI信号が得られる。他方のミキサ152qには、受信信号と、探索信号が移相器151により位相φが90度移相された信号が入力される。このミキサ152qからは、ベースバンド信号の直交成分であるQ信号が得られる。

0035

ミキサ152iで得られた信号はバンドパスフィルタ16i、ADコンバータ17iを介して演算部18に入力され、ミキサ152qで得られた信号はバンドパスフィルタ16q、ADコンバータ17qを介して演算部18に入力される。

0036

演算部18は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータであり、CPUが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMなどの記録媒体に記憶されているプログラムを実行することで、図3以下にフローチャートで示す処理を実行する。図3以下に示す処理を実行することは、プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。なお、演算部18が備える機能ブロックの一部又は全部は、一つあるいは複数のIC等を用いて(換言すればハードウェアとして)実現してもよい。また、演算部18が備える機能の一部又は全部は、CPUによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。

0037

[演算部18の処理]
演算部18は、無線タグ5を検出するために、探索波を逐次送信する。また、図3に示す処理を、たとえば、受信波を受信する毎、あるいは、受信波を一定回数受信する毎に実行する。受信波を受信したことの判断は、ADコンバータ17iから入力されるI信号と、ADコンバータ17qから入力されるQ信号とに基づいて、一定以上の振幅の受信波を受信できたか否かにより行う。

0038

図3において、ステップ(以下、ステップを省略)S10は位相算出部、S20は位相差算出部、S30は位相回転検出部、S40は移動判断部にそれぞれ相当する。S10では、受信波の位相φの時系列データを作成する。この時系列データは、受信波の位相φを、受信波を取得した取得時刻対応付けたデータである。すでに受信波の位相φの時系列データが作成されている場合には、S10では、作成済みの時系列データを更新する。受信波の位相φは式1から算出する。式1において、AQはQ信号の振幅であり、AIはI信号の振幅である。

0039

(式1) φ=tan−1(AQ/AI)
なお、本実施形態では、位相φは0〜180度の値として算出するものとする。つまり、算出できる位相範囲は180度である。ただし、これとは異なり、位相φを0〜360度の値として算出するようにしてもよい。

0040

式1を演算して得られる受信波の位相φを受信波を受信した時刻に対応付けて、受信波の位相φの時系列データを作成あるいは更新する。そして、その時系列データを、演算部18が備えるRAMなどに保存する。

0041

S20では、位相差Δφを算出する。S30では、S20で算出した位相差Δφに基づいて、受信波の位相φが1回転したことを検出する。これらS20およびS30の処理は、詳しくは図4に示す。

0042

図4において、S21では、S10で作成した時系列データを参照して、最新の位相φ(i)から、最新の位相φ(i)の1回前の位相φ(i−1)を引くことで位相差Δφを算出する。

0043

このS21で算出する位相差Δφは、次に説明するS22およびS24で用いる値であり、最終的な位相差Δφは、S23、S25、S26のいずれかを実行して決定する。単純に考えれば位相差ΔφはS21で算出した値でよい。しかし、受信波の位相φは180度の周期性を持つ。したがって、たとえば、位相φが170度であった時刻の次の時刻の位相φが10度に減少するなど、後の時刻の位相φの方が小さいこともある。したがって、単純に、後の時刻で得た位相φ(i)から後の時刻で得た位相φ(i−1)を引くだけでは、正しい位相差Δφを算出できないこともある。そのため、S22〜S26を実行する。

0044

S22では、S21で算出した位相差Δφが、−90度から90度の範囲であるか否かを判断する。この判断がYESであればS23に進む。S23では、位相差Δφを、S21で算出した値そのままとする。

0045

一方、S22の判断がNOであればS24に進む。S24では、S21で算出した位相差Δφに180を加えた値が、−90度から90度の範囲であるか否かを判断する。この判断がYesであればS25に進み、NOであればS26に進む。

0046

S25では、位相差Δφを、S21で算出した位相差Δφに180を加えた値とする。S26では、位相差Δφを、S21で算出した位相差Δφから180を引いた値とする。

0047

S22の判断は、位相差Δφを正しく計算する目的の他、位相φが1回転したか否かを判断していることにもなる。この理由を次に説明する。

0048

図6には、図1において、通路2を走行するフォークリフト4により運ばれている荷物3に貼り付けられた移動タグである無線タグ5Aから受信した受信波の位相φの変化を例示している。

0049

図6において、各黒丸が各時刻で算出した位相φである。破線の丸印は、その位相φを得た時刻までの位相φの変化傾向と、その位相φと次の時刻の位相φとの変化傾向が相違する観測点を意味する。

0050

たとえば、図6において、図左側の破線の丸印は、その丸印の位相φまでは値が増加するが、その位相φに対して次の時刻の位相φは値が低下する。この丸印をつけた点は位相φが1回転したことを示す点であり、位相回転点ということもできる。なお、本実施形態において、位相φの1回転は、位相φの算出範囲1つ分を意味している。本実施形態では、位相φの算出範囲は0〜180度であるので、位相φの1回転は位相φが180度以上変化したことを意味する。

0051

図6では、図左側において丸印が付与されている位相φは160度から170度付近であり、図右側において丸印が付与されている位相φは20度から30度付近である。したがって、図6の場合には、位相φが1回転するときは、位相差Δφの絶対値は140度あるいはそれ以上になる。

0052

そのため、図6の例を参照すれば、位相φが1回転したことを判断するためには、S21の判断において、位相差Δφと比較する値を−90度および90度ではなく、−130度および130度としても良さそうである。

0053

しかし、探索波を送信する時間間隔が長くなったり、フォークリフト4の移動速度が速くなったりすれば、観測点は図6に示すものよりも疎になる。観測点の間隔が疎になるほど、受信波を受信したときの無線タグ5の位置が、位相φが1回転する直前の位置、および、位相φが1回転した直後の位置から、ずれることになる。

0054

したがって、S21の判断において、位相差Δφと比較する値を−130度および130度のような絶対値の大きな値にしてしまうと、位相φが回転したことを検出できない恐れがある。

0055

一方で、位相差Δφと比較する値を小さくしすぎてしまうと、位相φが回転していないのにもかかわらず、位相φが回転したと判断してしまう恐れがある。特に、受信波が移動タグが送信した電波ではなく、停止タグが送信した応答波が移動体により反射されて生じた反射波と、停止タグが送信した応答波が直接、タグリーダに届く直接波の合成波である場合の誤判断を抑制する必要がある。ここでの誤判断は、停止タグであるから、位相φが回転したと判断すべきではないのに、位相φが回転したと判断してしまうことを意味する。位相φが回転したことに基づいて無線タグ5が移動していると判断するため、位相回転の誤判断は、無線タグ5が移動しているか否かの誤判断につながってしまう。したがって、位相回転の誤判断を抑制する必要がある。

0056

図7図8に停止タグから受信した受信波の位相φの変化を示す。図7は、停止タグから受信した受信波が直接波のみの場合である。詳しくは、図7は、図1において、タグリーダ10の脇に置かれた荷物3に貼り付けられた無線タグ5が応答波を送信した場合であって、図1とは異なり、フォークリフト4などの応答波を反射する移動体が存在していないときの受信波の位相変化である。図7は、位相φの時間変化はほとんどない。

0057

一方、図8は、受信波が直接波と反射波の合成波の場合である。図1において、タグリーダ10の脇に置かれた荷物3に貼り付けられた無線タグ5が応答波を送信したとき、図1に示すようにフォークリフト4がタグリーダ10の前を通過することで、直接波に加えて反射波がタグリーダ10に受信される。

0058

合成波の位相φは、図7に示す直接波のみの位相φと異なり、時間による変化量が大きい。しかも、たとえば、図8において破線の丸印で示すように、次の時刻における位相φとの差が大きい場合もある。停止タグからの合成波がこのような位相変化をしても、無線タグ5が移動していると誤判断してしまうことを抑制する必要がある。

0059

そこで、合成波の位相変動範囲に着目した。図9は、合成波の位相φを説明する図である。図9から分かるように、直接波と反射波の合成である合成波の位相φは、直接波の位相φを基準(以下、基準位相)として変動し、反射波の位相φが直接波からずれるほど合成波の位相φは大きくなる。しかし、図9から、合成波の振幅は、反射波の位相φが直接波の位相φからずれるほど小さくなることも分かる。

0060

図7に示すように、直接波の位相φは約90度である。合成波の位相φである図8には、90度との差が大きくなる0度から30度の範囲や150度から180度の範囲に観測される位相φが図6と比べて少ない。

0061

その結果、位相φが回転しているときでも、位相差Δφが小さい場合が多い。一方、図6を用いて説明したように、受信波が、移動タグが送信する直接波である場合、位相回転時の位相差Δφは大きくなる。この点に着目し、本実施形態では、受信波が合成波である場合の位相差Δφでは超えにくい閾値を設定している。その閾値が具体的には90度と−90度である。

0062

仮に、反射波の振幅が直接波の振幅と同じであるとすると、反射波の位相φが直接波の位相φに対して120度ずれているとき、合成波は直接波の位相φに対して60度ずれ、振幅が直接波および反射波と同じになる。図9はこの状態を示している。よって、反射波の振幅が直接波の振幅と同じであると仮定したとき、合成波の位相φが、直接波の位相φに対して−60度から+60度の範囲であるとき、合成波の振幅は直接波の振幅以上になる。

0063

しかし、現実には、反射波には、直接波よりも経路長が長いことによる減衰と、反射時の減衰とがあるため、反射波の振幅が直接波の振幅よりも小さい。反射波の振幅は直接波の振幅よりも小さい場合、合成波の振幅が直接波の振幅以上になる合成波の位相範囲はさらに狭くなる。たとえば、直接波の位相φに対して−45度から+45度の範囲で、合成波の振幅は直接波の振幅以上になると考えれば十分である。

0064

加えて、合成波の位相φが1回転した場合には、S22において、必ず2つの閾値の範囲内に位相差Δφが入るように、その閾値を設定しなければならないわけではない。合成波の位相φが1回転した場合に、2つの閾値の範囲に位相差Δφが入る場合が多ければよい。また、S22において用いる2つの閾値の範囲が広すぎると、受信波が移動タグからの直接波であり、位相φが1回転した場合にも、位相差Δφが2つの閾値の範囲内に入る場合が多くなってしまう。これらを考慮して、本実施形態では、S22における閾値を−90度と90度に設定している。

0065

ここまでの説明により、S22の判断がYESである場合には、位相φは回転していないと判断できる。よって、S22の判断がYESである場合には、S31において位相回転数は変化なしとする。

0066

これに対してS22の判断がNOである場合には、位相φがプラス側あるいはマイナス側に1回転したと判断できる。S24の判断がYESであればS25を実行後にS32に進み、位相回転数に1を加える。S24の判断がNOであればS26を実行後にS33に進み、位相回転数を1減らす。

0067

説明を図3に戻す。S30を実行後はS40に進む。S40では移動判断処理を実行する。S40の処理は詳しくは図5に示す。

0068

図5において、S41では、無線タグ5からの読み取りができるようになってから移動判断時間であるn秒以上経過したか否かを判断する。n秒は、たとえば4秒などであり、無線タグ5の移動速度、タグリーダ10の読み取りエリアの広さ、探索信号の送信周期に基づいて、精度よく無線タグ5が移動しているかを判断できるように適宜設定する時間である。

0069

S41の判断がNOであればS42に進む。S42では判断待ちとする。S41の判断がYESであればS43に進む。S43では、過去n秒以内に回転数がm回以上になったか否かを判断する。mは、実験に基づいて定める値であり、受信波が停止タグからの合成波である場合にはmを超えにくく、受信波が移動タグからの直接波である場合にはmを超えやすい値に設定する。S43の判断がYESであればS44に進む。S44では、無線タグ5は移動中であるとする。

0070

S43の判断がNOであればS45に進む。S45では、過去L秒間で回転数がm回以上であるか否かを判断する。L秒は移動履歴判断時間であり、この判断は、受信波を受信した無線タグ5が、最初から停止しているか、持ち運ばれた後に停止しているかを判断するために行う。したがって、L秒は、十分に長い時間に設定することもできるが、ここでは8秒とする。

0071

S45の判断がNOであればS46に進む。S46では無線タグ5は停止していると判断する。S45の判断がYESであればS47に進む。S47では、連続でT秒間以上、回転数が変化なしであるか否かを判断する。S47は停止状態が一時的なものであるのか、そうでないのかを判断するものである。T秒はn秒よりも短い時間に設定される。たとえばT秒は2秒である。

0072

S47の判断がYESであればS46に進み、無線タグ5は停止状態であるとする。S47の判断がNOであればS48に進む。S48では、無線タグ5は一時停止状態であるとする。

0073

[具体例1]
図10に、無線タグ5A、5B、5Cについて、位相回転数の変化と、移動判断結果の具体例を示す。無線タグ5A、5B、5Cはそれぞれ図1に示したものであり、無線タグ5Aはフォークリフト4により運ばれている荷物3に貼り付けられている。無線タグ5Bは通路2を挟んでタグリーダ10の反対側にある荷物3に貼り付けられている。無線タグ5Cは、タグリーダ10の脇に置かれている荷物3に貼り付けられている。図10の例では、n=4、m=4としている。また、探索波の送信周期は1秒よりも十分に短い周期としている。

0074

図10において、まず、無線タグ5Aの部分を説明する。ある時点を基準0秒として1秒経過した時点では、無線タグ5AはS22の判断が2回、YESになっている。無線タグ5Aの列において、1秒の行の位相回転に示されている2はそのことを示している。その下の過去4秒合計は、過去4秒間の位相回転数の合計値を示している。以下、位相回転数の合計値を合計位相回転数とする。

0075

時刻1秒の時点では、それよりも前には位相回転を検出していないので、過去4秒間の合計位相回転数も、この1秒間の位相回転数と同数、すなわち2である。1秒経過しただけであるので、S41の判断がNOになる。その結果、判断結果は判断待ちとなる。

0076

2秒経過した時点では、2秒目にも位相回転数が2回であったため、過去4秒間の合計位相回転数は4回になる。しかし、無線タグ5からの受信波を受信し始めてから4秒は経過していないので、判断結果は判断待ちとなる。

0077

3秒経過した時点では、3秒目の位相回転数は1であったため、過去4秒間の合計位相回転数は5回になる。3秒目の位相回転数が、過去2秒間よりも減少している理由は、無線タグ5がタグリーダ10の正面を通過するときは、図6の中央部分に示すように、位相差Δφの変化による位相回転が検出されない時間帯があるからである。3秒経過時点でも、判断結果は判断待ちである。

0078

4秒経過した時点では、4秒目の位相回転数は−1であったため、過去4秒間の合計位相回転数は6回になる。位相回転数が負の値であるが、合計位相回転数は絶対値を加算するため、3秒経過した時点よりも値が増加している。4秒経過することで、S41の判断がYESになり、S43に進む。過去4秒間の合計位相回転数が4以上になっているので、判断結果は移動となる。

0079

5秒経過した時点では、5秒目の位相回転数は−2であったため、過去4秒間の合計位相回転数は6回になる。6秒経過した時点では、6秒目の位相回転数は−2であったため、過去4秒間の合計位相回転数は6回になる。これら5秒経過した時点、6秒経過した時点では、過去4秒間の合計位相回転数が4以上になっているので、判断結果は移動となる。

0080

次に、無線タグ5Bの部分を説明する。無線タグ5Bは停止タグであり、どの時刻においても位相回転は検出されない。その結果、どの時刻においても、過去4秒間の合計位相回転数も0であり、判断結果は、判断待ちまたは停止である。

0081

次に、無線タグ5Cの部分を説明する。無線タグ5Cも停止タグである。しかし、3秒と4秒のときに、位相回転数が各1回ずつ検出されている。この理由は、3秒から4秒にかけて、フォークリフト4がタグリーダ10の正面付近を通過しており、このフォークリフト4で反射された反射波と直接波の合成波が観測できるからである。

0082

ただし、すでに説明したように、受信波が合成波である場合、位相差Δφの変化から位相回転を検出できる場合は限定的である。したがって、位相回転は検出されるものの、検出される回数は少ないので、4秒経過時点での過去4秒間の位相回転数は2回にとどまり、S43の判断はYESにならない。よって、4秒経過時点での判断結果は停止となる。

0083

5秒目の位相回転数、および、6秒目の位相回転数は0回に戻っている。フォークリフト4が通過してしまったからである。したがって、5秒経過した時点および6秒経過した時点での過去4秒間の合計位相回転数は2回のままであり、判断結果も停止となる。

0084

以上、説明した図10の具体例は、受信波が合成波であるとき、位相回転が検出されても、無線タグ5が移動していると判断してしまうことなく、移動タグは移動と判断できることを説明した例である。

0085

[具体例2]
次に、2つ目の具体例を説明する。2つ目の具体例は、一時停止を判断した例であり、無線タグ5D、5E、5Fが図11図12図13に示すように移動した場合の移動判断を示している。

0086

無線タグ5D、5E、5Fは、いずれも、通路2を走行するフォークリフト4により運ばれている荷物3に貼り付けられている。各図の違いは、フォークリフト4が、それぞれ図に示す位置で停止していることである。また、図12の例では、フォークリフト4は、図12に示す位置で停止後、再度、矢印方向に移動している。これに対して、図11図13の例では、フォークリフト4は図に示す位置で停止したままである。

0087

図14に、無線タグ5D、5E、5Fについて、位相回転数の変化と、移動判断結果の具体例を示す。図14の例では、n=4、m=4、L=8、T=4としている。

0088

図14において、まず、無線タグ5Dの部分を説明する。フォークリフト4が図11に示す位置で停止するのは、6秒目の時点である。そのため、1〜5秒目までは位相回転数が2回であるのに対して6秒目の位相回転数は1になっている。そして、7秒目、8秒目の位相回転数は0になっている。

0089

各秒の位相回転数がこのようになっているので、過去4秒間の合計位相回転数は、5秒目で8だったものが、6秒目で7、7秒目で5、8秒目で3へと減少する。したがって、8秒目において実行する図5の処理ではS43の判断がNOになりS45へ進む。過去8秒間の回転数は11であるので、S45はYESになる。位相回転数の変化がないのは、まだ1秒のみであるので、S47はNOになる。したがって、8秒目で無線タグ5Dは一時停止したとする。

0090

次に、図14において、無線タグ5Eの部分を説明する。フォークリフト4が図12に示す位置で停止するのは、4秒目の時点である。そのため、1〜3秒目までは位相回転数が2回であるのに対して4秒目の位相回転数は0になっている。ただし、4秒目の過去4秒間の合計位相回転数は5であるので、4秒目での判断結果は移動となる。次の5秒目でもフォークリフト4は停止している。そのため、5秒目での位相回転数は0になり、5秒目での過去4秒間の合計位相回転数は3になる。その結果、5秒目において、S43の判断がNO、S45の判断がYES、S47の判断がNOになり、無線タグ5Eは一時停止したとする。6秒目でフォークリフト4は移動を再開し、6秒目の位相回転数は−2になる。しかし、6秒目での過去4秒間の合計位相回転数は3のままであるので、6秒目の判断も一時停止のままである。7秒目になると、過去4秒間の合計位相回転数が4になるので、無線タグ5Eは移動を再開したとする。8秒目でも、過去4秒間の合計位相回転数が4以上であるので、無線タグ5Eは移動しているとする。

0091

次に、図14において、無線タグ5Fの部分を説明する。フォークリフト4が図13に示す位置で停止するのは、4秒目の時点である。そのため、1〜3秒目までは位相回転数が2回であるのに対して4秒目の位相回転数は0になっている。ただし、4秒目の過去4秒間の合計位相回転数は5であるので、4秒目での判断結果は移動となる。次の5秒目以降でもフォークリフト4は停止している。そのため、5秒目での位相回転数は0になり、5秒目での過去4秒間の合計位相回転数は3になる。その結果、5秒目において、無線タグ5Eは一時停止したとする。6秒目、7秒目でも、無線タグ5は一時停止と判断する。8秒目になると、連続で4秒間、位相回転数に変化がないので、無線タグ5は停止したとする。

0092

[第1実施形態のまとめ]
以上、説明したタグリーダ10は、位相回転検出処理(S30)において、位相差Δφの変化により位相回転を検出するようにしている。停止タグからの合成波の位相差Δφは大きくなりにくいので、位相差Δφの変化により位相回転を検出することで、合成波を受信しても位相回転は検出されにくくなる。よって、受信波として停止タグからの合成波を受信したとしても、受信波が合成波であれば、ある時間内に位相φが回転したと検出する回数は少ない。

0093

そして、位相判断処理(S40)において、n秒間に位相φが回転した回数がm回以上であることに基づいて無線タグ5が移動していると判断することで、反射波の影響により停止タグを移動タグと判断してしまうことを抑制できる。よって、無線タグ5が移動しているか停止しているかの判断精度が向上する。

0094

特に、位相回転検出処理(S30)では、位相差Δφが−90度から90度のとき(S22:YES)には位相φが回転したとしない(S31)。つまり、位相差Δφの絶対値が、タグリーダ10が算出できる位相範囲である180度の半分以下のときは、位相φが回転したとしない。反射波を生成する移動体が移動タグと同様に移動したとしても、停止タグからの合成波の位相差Δφは、タグリーダ10が算出できる位相範囲の半分よりも大きくならないときが多い。したがって、このようにすることで、受信波が合成波である場合に、n秒内の位相回転数がm回以上になる可能性が減少するので、無線タグ5が移動しているか停止しているかの判断精度が向上する。

0095

また、本実施形態では、無線タグ5が移動していると判断しない状況(S43:YES)を、全部、無線タグ5が停止していると判断するのではなく、S45以下を実行することで、一時停止と停止とを区別して判断することができる。

0096

<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。

0097

第2実施形態では、タグリーダ10は、図3に代えて、図15に示す処理を実行する。図15に示す処理は、S30を実行した後に、積算部に相当するS30−1にて位相差積算値を算出する点、および、S40の移動判断処理に代えてS40−1の移動判断処理を実行する点が、第1実施形態と相違する。

0098

S30−1で算出する位相差積算値は、S20で算出した位相差Δφを積算した値であり、積算する位相差Δφの期間は、位相回転数により無線タグ5が移動しているか否かを判断する時間と同じくn秒である。

0099

S40−1の移動判断処理は、詳しくは、図16に示す。図16図5に類似しており、図5と異なる点は、S41がYESになった場合、S43を判断する前にS41−1の判断を実行する点、および、S43に代えてS43−1を実行する点である。

0100

S41−1では、過去n秒間の位相回転数が1回以上であるか否かを判断する。S41−1は、S43−1を実行するための前処理である。過去n秒間の位相回転数が0回であると、S43−1の計算ができないからである。S41−1の判断がNOであればS45に進み、YESであればS43−1に進む。

0101

S43−1では、過去n秒間の位相差積算値/過去n秒間の位相回転数が、閾値P以下であるか否かを判断する。この判断がYESであればS44に進み、無線タグ5は移動中であるとする。一方、S43−1の判断がNOであればS45に進む。

0102

S43−1の判断を行う理由を説明する。無線タグ5の位置が、通信範囲19内ではあるが、タグリーダ10から遠方にある場合、図6に例示したデータよりも、全体的に観測点が疎になる傾向にあり、特に、左右方向の両端において、観測点が減少する傾向にある。無線タグ5が通信範囲の端付近にある場合、受信波の電力が弱くなるため、受信波を検出しにくく、特に、図左右方向の両端は、無線タグ5がより通信範囲の端近くに位置しているか、無線タグ5が通信範囲外にある状況だからである。

0103

図6に示したデータを、全体的に観測点を疎にし、特に、左右方向の両端の観測点を減少させると、図8に示すデータに類似する。その結果、停止タグからの合成波との区別の困難性が増加する。

0104

第2実施形態では、受信波が、通信範囲19内においてタグリーダ10から遠方にある移動タグからの直接波である場合と、停止タグからの合成波である場合とを精度よく区別するために、S43に代えてS43−1の判断を行う。

0105

移動タグの位置が通信範囲19内においてタグリーダ10から遠方にある場合には、図6に示すデータに対して、図左右方向の両端付近でのデータ数が特に減少する。これに対して、図8に示す合成波のデータでは、図左右方向の両端付近のデータ密度と、図中央付近のデータ密度は、それほど違いはない。反射波を生じさせる移動体が通信範囲19においてタグリーダ10に比較的近いときに合成波は観測でき、そのときの反射波は一定以上の強度となる距離範囲が比較的長いからである。

0106

このことから、移動タグの位置が通信範囲19内においてタグリーダ10から遠方にある場合の位相差Δφの積算値は、受信波が合成波である場合の位相差Δφの積算値よりも小さくなる傾向にある。その一方で、位相回転は、ともに、移動体がタグリーダ10の正面付近を通過する場合に検出できることから、位相回転数に、両者の違いはそれほどない。

0107

以上のことから、過去n秒間の位相差積算値/過去n秒間の位相回転数は、受信波が停止タグからの合成波である場合よりも、受信波が移動タグからの直接波である場合の方が小さくなる傾向にある。そのため、S43−1を判断することで、応答波が移動タグからのものであるか、停止タグからのものであるかを精度よく判断できるのである。

0108

[具体例3]
次に具体例を説明する。図17に、無線タグ5A、5Cについて、位相差積算値/過去4秒間の合計位相回転数の値の変化を示す。図17において、無線タグ5Aおよび無線タグ5Cともに、位相回転数と過去4秒間の合計位相回転数は図10と同じである。図17において位相差Δφの下欄の4秒積算値は、過去4秒間の位相差Δφの積算値であり、その右欄の分子となる値である。図17の例ではS43−1の判断で用いる閾値Pを270としている。

0109

図17において、まず、無線タグ5Aの部分を説明する。S41の判断がYESにならないとS43−1は実行しないので、3秒目までは位相差積算値/合計位相回転数は算出されない。4秒目以降ではS43−1を実行する。

0110

4秒目では、位相差積算値が1270であり、合計位相回転数が6であることから、位相差積算値/合計位相回転数は212になる。212は270以下であるので、4秒目の移動判断結果は移動になる。5秒目および6秒目も、位相差積算値/合計位相回転数は212になるので、5秒目、6秒目の移動判断結果も移動になる。

0111

次に、無線タグ5Cの部分を説明する。4秒目では、位相差積算値が910であり、合計位相回転数が2であることから、位相差積算値/合計位相回転数は455になる。455は270より大きいので、4秒目の移動判断結果は停止になる。5秒目および6秒目も、位相差積算値/合計位相回転数は455になるので、5秒目、6秒目の移動判断結果も停止になる。

0112

[第2実施形態のまとめ]
第2実施形態では、S43−1において、過去4秒間の位相差積算値/過去4秒間の合計位相回転数が閾値P以上であるか否かを判断することで、無線タグ5が移動しているか否かを判断している。

0113

図17に示した具体的数値からも分かるように、受信波が、停止タグである無線タグ5Cからの合成波である場合に比較して、受信波が、移動タグである無線タグ5Aからの直接波である場合は、位相積算値/合計位相回転数が小さくなる。よって、位相積算値/合計位相回転数を閾値Pと比較することで、無線タグ5が移動しているか停止しているかを判断できる。

0114

なお、仮に、無線タグ5Aが貼り付けられた荷物3を運ぶフォークリフト4の通過する位置が、無線タグ5Bに対してタグリーダ10から遠い側において無線タグ5Bに隣接する位置である場合、位相差積算値および合計位相回転数は、ともに小さくなる。したがって、その場合でも、位相積算値/合計位相回転数は小さい値になる。

0115

したがって、位相積算値/合計位相回転数を閾値Pと比較することで、受信波が、通信範囲19内においてタグリーダ10から遠方にある移動タグからの直接波である場合と、停止タグからの合成波である場合とを精度よく区別することができる。

0116

以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。

0117

<変形例1>
第2実施形態では、位相差積算値と合計位相回転数との対比として、位相差回転数/位相回転数を算出していた。しかし、位相差積算値と合計位相回転数との対比の態様はこれに限られない。位相差積算値と合計位相回転数との対比として、位相回転数/位相差回転数を算出してもよい。

0118

<変形例2>
図4のS22において位相差Δφと比較する閾値は90度と−90度に限られない。たとえば、120度と−120度としてもよい。

0119

2:通路3:荷物4:フォークリフト(移動体) 5:無線タグ10:タグリーダ11:アンテナ12:送信機13:カプラ14:アンテナ共用器15:直交復調器16i:バンドパスフィルタ16q:バンドパスフィルタ 17i:ADコンバータ17q:ADコンバータ 18:演算部 19:通信範囲151:移相器152i:ミキサ152q:ミキサ Δφ:位相差φ:位相S10:位相算出部 S20:位相差算出部 S30:位相回転検出部 S40:移動判断部 S30−1:積算部

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