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技術 電線及び電線の製造方法

出願人 矢崎エナジーシステム株式会社
発明者 山田圭一
出願日 2018年7月12日 (2年10ヶ月経過) 出願番号 2018-132444
公開日 2020年1月16日 (1年3ヶ月経過) 公開番号 2020-009717
状態 未査定
技術分野 電線ケーブルの製造(1) 絶縁導体(1) 絶縁導体(2)
主要キーワード オフセット寸法 復元状態 盤内配線 外部接続部材 絶縁体被覆 円形圧縮 JIS規格 電線巻
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重要な関連分野

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図面 (7)

課題

複数の素線間に介在する潤滑剤の流出を抑止することができる電線及び電線の製造方法を提供する。

解決手段

電線1は、可撓性及び導電性を有する導体2と、導体2の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体3とを備える。導体2は、中心に位置する中心素線21と、中心素線21の半径方向外側に配置される複数の層形成素線22とを有する。複数の層形成素線22は、中心素線21から同心円状に配置され、かつ中心素線21の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に潤滑剤4が介在する。潤滑剤4は、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲である。

概要

背景

電線は、一般的に、複数の素線で構成された導体と、当該導体を被覆する絶縁体とを備える。電線において、例えば高圧受電設備配電盤等の幹線設備に用いられるものは、家庭用電気機器に用いられるものに比べて、大きな許容電流値が設定されている。このような電線は、高圧電流が流れることを可能とするため、導体の直径が大きくなる。このような電線は、導体の直径が大きいことから、配索作業の負担を考慮して、より高い可撓性が要求される。電線の可撓性を向上させる方法として、例えば、複数の素線間潤滑剤を介在させたり、複数の素線に対して所定の条件で焼鈍を行うことがある(例えば、特許文献1〜3参照)。

概要

複数の素線間に介在する潤滑剤の流出を抑止することができる電線及び電線の製造方法を提供する。電線1は、可撓性及び導電性を有する導体2と、導体2の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体3とを備える。導体2は、中心に位置する中心素線21と、中心素線21の半径方向外側に配置される複数の層形成素線22とを有する。複数の層形成素線22は、中心素線21から同心円状に配置され、かつ中心素線21の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に潤滑剤4が介在する。潤滑剤4は、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲である。

目的

本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、複数の素線間に介在する潤滑剤の流出を抑止することができる電線及び電線の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

可撓性及び導電性を有する導体と、前記導体の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体と、を備え、前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有し、複数の前記層形成素線は、前記中心素線から同心円状に配置され、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、少なくとも最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間に潤滑剤が介在し、前記潤滑剤は、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲である、ことを特徴とする電線

請求項2

可撓性及び導電性を有する導体と、前記導体の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体と、を備え、前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有する電線の製造方法において、複数の前記層形成素線を、前記中心素線から同心円状に配置し、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成する導体形成工程と、複数の前記層形成素線に対して、少なくとも最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間に介在するように潤滑剤を塗布する塗布工程と、複数の前記層形成素線を撚り合わせ後に焼鈍する焼鈍工程と、を含み、前記塗布工程では、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲にある前記潤滑剤を塗布する、ことを特徴とする電線の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、電線及び電線の製造方法に関する。

背景技術

0002

電線は、一般的に、複数の素線で構成された導体と、当該導体を被覆する絶縁体とを備える。電線において、例えば高圧受電設備配電盤等の幹線設備に用いられるものは、家庭用電気機器に用いられるものに比べて、大きな許容電流値が設定されている。このような電線は、高圧電流が流れることを可能とするため、導体の直径が大きくなる。このような電線は、導体の直径が大きいことから、配索作業の負担を考慮して、より高い可撓性が要求される。電線の可撓性を向上させる方法として、例えば、複数の素線間潤滑剤を介在させたり、複数の素線に対して所定の条件で焼鈍を行うことがある(例えば、特許文献1〜3参照)。

先行技術

0003

特開2015−103478号公報
特開2000−133071号公報
特開2008−218061号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、複数の素線間に潤滑剤を介在させた電線では、焼鈍後に当該潤滑剤が外部に流れ出てしまうおそれがある。

0005

本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、複数の素線間に介在する潤滑剤の流出を抑止することができる電線及び電線の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するために、本発明に係る電線は、可撓性及び導電性を有する導体と、前記導体の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体と、を備え、前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有し、複数の前記層形成素線は、前記中心素線から同心円状に配置され、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、少なくとも最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間に潤滑剤が介在し、前記潤滑剤は、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲である、ことを特徴とする。

0007

上記目的を達成するために、本発明に係る電線の製造方法は、可撓性及び導電性を有する導体と、前記導体の半径方向外側を被覆し、可撓性及び絶縁性を有する絶縁体と、を備え、前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有する電線の製造方法において、複数の前記層形成素線を、前記中心素線から同心円状に配置し、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成する導体形成工程と、複数の前記層形成素線に対して、少なくとも最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間に介在するように潤滑剤を塗布する塗布工程と、複数の前記層形成素線を撚り合わせ後に焼鈍する焼鈍工程と、を含み、前記塗布工程では、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲にある前記潤滑剤を塗布する、ことを特徴とする。

発明の効果

0008

本発明に係る電線及び電線の製造方法によれば、複数の素線間に介在する潤滑剤の流出を抑止することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0009

図1は、実施形態に係る電線の概略構成を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る電線の概略構成を示す断面図である。
図3は、実施形態に係る電線の製造方法の概略を示す模式図である。
図4は、実施形態に係る電線の製造方法の概略を示すフローチャート図である。
図5は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。
図6は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。

実施例

0010

以下に、本発明に係る電線及び電線の製造方法の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。

0011

[実施形態]
図1は、実施形態に係る電線の概略構成を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る電線の概略構成を示す断面図である。図2は、図1におけるT−T断面図である。なお、図1図2図3も同様)におけるX方向は、電線1の延在方向であり軸方向であり、R方向は電線1の周方向である。

0012

電線1は、例えば、離間して配置された電源と配電盤とを電気的に接続し、当該電源から当該配電盤に電力を供給するものである。電線1は、図1及び図2に示すように、導体2と、絶縁体3と、潤滑剤4とを備える。

0013

導体2は、電線1の延在方向(または軸方向)に延在して形成され、可撓性及び導電性を有する導電部材である。導体2は、例えば、可撓性及び導電性を有するアルミニウムアルミニウム合金、銅、銅合金等の金属製の素線20が複数束ねられて形成される。素線20は、例えば、1mm以上の直径を有する。すなわち、導体2は、1mm以上の直径を有する複数の素線20により構成される。本実施形態における導体2は、常温時を含む非加熱時において可撓性を有することが好ましい。本実施形態における常温とは、例えば、JIS規格における20℃±15℃の範囲を意味するが、これに限定されるものではなく、20℃±10℃の範囲であってもよい。また、常温は、25℃±10℃であってもよい。本実施形態における非加熱時とは、導体2を加熱していない状態であり、例えば、導体2の焼鈍時以外の状態を意味する。導体2は、中心素線21と、複数の層形成素線22とを有する。

0014

中心素線21は、電線1の軸方向視において、複数の素線20で構成された導体2の中心に位置するものである。

0015

複数の層形成素線22は、複数の素線20で構成された導体2において、中心素線21の半径方向外側に配置されるものである。具体的には、複数の層形成素線22は、軸方向視において、半径方向内側において隣り合う中心素線21の半径方向外側の全周を覆うように配置されると共に、半径方向内側において隣り合う同一層を形成する複数の素線20の半径方向外側の全周を覆うように配置される。言い換えると、複数の層形成素線22は、中心素線21から同心円状に配置され、周方向に同一層を形成する。複数の層形成素線22は、中心素線21から同心円状に配置された各層において、中心素線21の延在方向にS字状に撚り合わされる。つまり、導体2は、軸方向視において、中心素線21から半径方向外側に向けて同心円状に配置され、かつ周方向に同一層を形成する複数の層形成素線22を有し、各層における複数の層形成素線22が中心素線21の延在方向にS字状に撚り合わされた同心撚線構造を有する。複数の層形成素線22は、中心素線21から半径方向外側に向かって同心円状に、第1層S1、第2層S2、第3層S3、及び第4層S4が形成される。

0016

第1層S1は、中心素線21の外周に隣接して配置される。第1層S1は、中心素線21を中心として、中心素線21の外周の周方向に位置する複数の層形成素線22が撚り合わされて形成される。

0017

第2層S2は、第1層S1の外周に隣接して配置される。第2層S2は、中心素線21を中心として、第1層S1の外周の周方向に位置する複数の層形成素線22が撚り合わされて形成される。ここで、第2層S2を形成する複数の層形成素線22の数は、第1層S1を形成する複数の層形成素線22の数よりも多い。

0018

第3層S3は、第2層S2の外周に隣接して配置される。第2層S2は、中心素線21を中心として、第2層S2の外周の周方向に位置する複数の層形成素線22が撚り合わされて形成される。ここで、第3層S3を形成する複数の層形成素線22の数は、第2層S2を形成する複数の層形成素線22の数よりも多い。

0019

第4層S4は、第3層S3の外周に隣接して配置される。第4層S4は、中心素線21を中心として、第3層S3の外周の周方向に位置する複数の層形成素線22が撚り合わされて形成される。ここで、第4層S4を形成する複数の層形成素線22の数は、第3層S3を形成する複数の層形成素線22の数よりも多い。本実施形態における第4層S4は、導体2の外周を形成する。

0020

絶縁体3は、電線1の延在方向(または軸方向)に延在して形成され、可撓性及び絶縁性を有する絶縁部材である。絶縁体3は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリエチレンにより構成される。絶縁体3は、導体2の半径方向外側を被覆して、導体2と電線1の外部とを絶縁するものである。本実施形態における絶縁体3は、常温時を含む非加熱時において可撓性を有することが好ましい。つまり、絶縁体3は、導体2の曲がりに追従して曲がるものであることが好ましい。

0021

潤滑剤4は、導体2を構成する複数の素線20間に介在するものであり、導体2の外周を形成する複数の素線20と絶縁体3との間に介在するものである。ここで、導体2の外周を形成する複数の素線20は、最外周を形成する複数の層形成素線22であり、第4層S4を形成する複数の層形成素線22である。潤滑剤4は、電線1が外力により曲げられたときに、電線1上の曲がった箇所における複数の素線20間の接触により生じる摩擦抵抗を抑制する。潤滑剤4は、電線1が外力により曲げられたときに、電線1上の曲がった箇所における複数の素線20と絶縁体3との間の接触により生じる摩擦抵抗を抑制する。ここで、電線1には、潤滑剤介在領域R1と潤滑剤非介在領域R2とが形成されていてもよい。潤滑剤介在領域R1は、潤滑剤4が介在する領域であり、少なくとも導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22を含む領域である。潤滑剤非介在領域R2は、潤滑剤4が介在しない領域であり、軸方向視において、潤滑剤介在領域R1よりも半径方向内側に位置するものである。潤滑剤介在領域R1と潤滑剤非介在領域R2との境界rは、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周から、中心素線21と半径方向において隣り合う層を形成する複数の層形成素線22の外周までの範囲に形成される。言い換えると、境界rは、第4層S4を形成する複数の層形成素線22の外周から、第1層S1を形成する複数の層形成素線22の外周までの範囲に形成される。本実施形態における境界rは、第1層S1の外周、すなわち第1層S1を形成する複数の層形成素線22と第2層S2を形成する複数の層形成素線22との間にある。従って、潤滑剤介在領域R1は、第4層S4の外周、すなわち第4層S4を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間から第1層S1と第2層S2との間までとなる。ここで、潤滑剤介在領域R1における潤滑剤は、複数の層形成素線22が形成する同一層において、周方向に隣り合う層形成素線22の間にも介在する。

0022

潤滑剤4は、常温時における動粘度の値が、40〜60[mm2/s]の範囲であることが好ましい。動粘度がこの範囲にあると、導体2の焼鈍後に潤滑剤介在領域R1からの潤滑剤4の流出を抑止すると共に、当該潤滑剤介在領域R1における摩擦抵抗を抑制する効果が得られる。潤滑剤4の動粘度の値が高い場合、例えば、層形成素線22に対する潤滑剤4の塗布(噴き付け)がしにくくなったり、摩擦抵抗を十分に抑制しにくい場合がある。一方、潤滑剤4の動粘度の値が低い場合、例えば、導体2の焼鈍後に潤滑剤4が潤滑剤介在領域R1から流出して当該潤滑剤介在領域R1における摩擦抵抗を十分に抑制しにくい場合がある。さらに、潤滑剤4は、噴き付けやすさ、及び、潤滑剤介在領域R1に残存する潤滑剤4の度合い等を考慮すると、常温時における動粘度の値が、45〜55[mm2/s]の範囲にあることが好ましく、さらに50[mm2/s]であることが好ましい。さらに、潤滑剤4は、絶縁体3に接触して当該絶縁体3に影響を与えないものであることが好ましい。潤滑剤4は、例えば、常温にて絶縁体3を潤滑剤4に48時間漬潰し、48時間経過後の絶縁体3の質量変化率を測定する耐久試験に基づき、絶縁体3の質量変化率が30%未満のものであることが好ましい。さらに、潤滑剤4は、導体2に対して絶縁体3を被覆する際に発生する熱(170℃〜180℃)に対して耐熱性を有することが好ましい。潤滑剤4は、例えば、シリコーンオイルであることが好ましく、特に、信越シリコーン製KF−96−50CSであることが好ましい。

0023

次に、電線1の製造方法について図3及び図4を参照して説明する。図3は、実施形態に係る電線の製造方法の概略を示す模式図である。図4は、実施形態に係る電線の製造方法の概略を示すフローチャート図である。

0024

電線1の製造方法は、図4に示すように、導体形成工程(ステップST1)と、塗布工程(ステップST2)と、焼鈍工程(ステップST3)と、絶縁体被覆工程(ステップST4)とを含む。導体形成工程は、中心素線21が半径方向内側に位置した状態で、複数の層形成素線22を同心円状に、かつ中心素線21の延在方向に撚り合わせた層を少なくとも1層以上形成することで導体を形成するものである。塗布工程は、潤滑剤4を導体2の外周を形成する複数の層形成素線22に塗布するものである。焼鈍工程は、複数の素線20が撚り合わせた導体2に対して、所定の条件で焼鈍を施すものである。絶縁体被覆工程は、潤滑剤4が塗布された導体2の半径方向外側に絶縁体3を被覆するものである。

0025

電線1は、図3に示すように、電線製造装置100により製造される。電線製造装置100は、中心素線21及び複数の層形成素線22を送り出す不図示の素線送り出し部と、導体形成工程及び塗付工程を行う導体形成部と、焼鈍工程を行う焼鈍部と、絶縁体被覆工程を行う不図示の絶縁体被覆部と、不図示の電線巻き取り部とを備える。電線製造装置100は、電線巻き取り部が不図示の動力部により稼働し、形成された電線1を巻き取ることで、中心素線21及び層形成素線22が引っ張られて、電線製造装置100内部を電線1の延在方向に移動することで、電線1が製造されることとなる。

0026

導体形成部は、複数の層形成素線22を撚り合わせる素線撚り合わせ部101と、潤滑剤4を噴き付けて複数の層形成素線22に塗布する潤滑剤塗布部102とを備える。素線撚り合わせ部101は、複数の層形成素線22における第1層S1〜第4層S4のそれぞれに対応して、第1素線撚り合わせ部101a、第2素線撚り合わせ部101b、第3素線撚り合わせ部101c、及び第4素線撚り合わせ部101dを備える。第1層素線撚り合わせ部101aは、中心に中心素線21が貫通するための貫通孔を有する不図示の円板が、延在方向に対して垂直に、かつ軸方向視において円形形状の端面が軸方向に対向するように設置される。上記円板は、貫通孔を中心に一定方向に回転する。上記円板の対向する円形形状の端面のうち、中心素線21が排出される側、すなわち第2層素線撚り合わせ部101b側に、各層形成素線22を巻き付けた不図示の複数のボビンが、円周に沿って等間隔に取り付けられる。上記ボビンからはそれぞれ層形成素線22が引き出されており、上記円板の中心軸上、すなわち円板を貫通する中心素線21に向かって1つに集結される。

0027

第2層素線撚り合わせ部101b、第3層素線撚り合わせ部101c、及び第4層素線撚り合わせ部101dは、第1層素線撚り合わせ部101aと同様に、それぞれに円板が設置される。各円板には、第1層素線撚り合わせ部101aの円板と同様に、複数の層形成素線22を巻き付けたボビンが取り付けられる。それぞれのボビンからは、層形成素線22が引き出されており、各円板の中心軸上、すなわち円板を貫通する中心素線21に向かって1つに集結される。

0028

潤滑剤塗布部102は、複数の層形成素線22における第1層S1〜第4層S4のそれぞれに対応して、第1層塗布部102a、第2層塗布部102b、第3層塗布部102c、及び第4層塗布部102dを備えると共に、さらに、最外層塗布部102eを備える。第1層塗布部102aは、ボビンから引き出された複数の層形成素線22が1つに集結する箇所に隣接し、かつ集結する箇所よりも円板側に設置される。第1層塗布部102aは、第1層S1を形成する複数の層形成素線22が撚り合わされる直前に潤滑剤4を塗布するものである。第2層塗布部102b、第3層塗布部102c、及び第4層塗布部102dは、第1層塗布部102aと同様に、それぞれが各層(第2層S2、第3層S3、第4層S4)を形成する複数の層形成素線22が撚り合わされる直前に潤滑剤4を塗布するものである。最外層塗布部102eは、導体2の外周(ここでは第4層S4の外周)と絶縁体3との間に潤滑剤4を介在させるため、導体2の外周を形成する複数の層形成素線22に対して、撚り合わされた後に潤滑剤4を塗布するものである。最外層塗布部102eは、導体2の外周に予め潤滑剤4が染み込んだ布を被せて、当該布の上に潤滑剤4を滴下塗布する。潤滑剤塗布部102による潤滑剤4の噴付量は、電線製造装置100を移動する導体2のスピードにより適宜設定される。本実施形態では、潤滑剤4の噴付量は、例えば10±5ml/minであることが好ましい。また、最外層塗布部102eによる潤滑剤4の滴下量は、例えば2〜3滴/秒程度であることが好ましい。

0029

焼鈍部は、所定の条件で導体2を焼き鈍すものである。焼鈍部は、導体2を所定温度(例えば約350℃)で所定時間(例えば約30秒間)加熱し、加熱された導体2を不活性ガス雰囲気中(空気中でもよい)や冷却水等に通して冷却槽(不図示)で徐冷して焼鈍を行うものである。徐冷時の徐冷速度は、例えば14℃/secである。

0030

絶縁体被覆部は、導体2の半径方向外側に絶縁体3を被覆するものである。絶縁体被覆部は、不図示の押し出し成型機を備える。押し出し成形機には、絶縁体3の原料充填されており、押し出し成形機が稼働することで絶縁体3が加熱され、導体2が押し出し成形機の内部を通過する際に導体2の半径方向外側に被覆する。

0031

次に、電線1の製造手順について説明する。作業者は、電線製造装置100を稼働させることで、中心素線21及び各層形成素線22の移動が開始し、素線撚り合わせ部101の各円板がそれぞれ同方向に回転し、潤滑剤塗布部102による潤滑剤4の塗布が開始される。第1層S1を形成する複数の層形成素線22は、第1層塗布部102aにより潤滑剤4が塗布された直後、第1層素線撚り合わせ部101aにより、中心素線21の周囲にて撚り合わされ、中心素線21の半径方向外側に第1層S1が形成される。次に、第2層S2を形成する複数の層形成素線22は、第2層塗布部102bにより潤滑剤4が塗布された直後、第2層素線撚り合わせ部101bにより、第1層S1の周囲にて撚り合わされ、第1層S1の半径方向外側に第2層S2が形成される。次に、第3層S3を形成する複数の層形成素線22は、第3層塗布部102cにより潤滑剤4が塗布された直後、第3層素線撚り合わせ部101cにより、第2層S2の周囲にて撚り合わされ、第2層S2の半径方向外側に第3層S3が形成される。次に、第4層S4を形成する複数の層形成素線22は、第4層塗布部102dにより潤滑剤4が塗布された直後、第4層素線撚り合わせ部101dにより、第3層S3の周囲にて撚り合わされ、第3層S3の半径方向外側に第4層S4が形成される。次に、導体2は、最外層塗布部102eにより導体2の外周面に潤滑剤4が塗布される。次に、導体2は、焼鈍部103により焼鈍が行われる。焼鈍が施された導体2は、絶縁体3が被覆され、電線1が製造される。

0032

以上のように、本実施形態に係る電線1は、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に潤滑剤4が介在する。例えば、電線1を曲げた場合、中心軸(中立軸)より外側が伸ばされ、内側が圧縮される。このとき、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周面と電線1の最外周を形成する絶縁体3の内周面との間に摩擦抵抗が発生し、曲げに対する負荷が掛かることとなる。本実施形態に係る電線1は、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に潤滑剤4が介在するので、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周面と絶縁体3の内周面との間の摩擦抵抗を抑制することができる。この結果、電線1は、曲がる箇所における摩擦抵抗を抑制し、可撓性を向上することができる。

0033

また、本実施形態に係る電線1は、潤滑剤4の常温時における動粘度の値が、40〜60[mm2/s]の範囲である。これにより、従来の潤滑剤の動粘度(例えば6.0〜20[mm2/s])に対して相対的に高くなっていることから、導体2が焼鈍され加熱により潤滑剤4の動粘度が低下しても当該潤滑剤4の流出を抑止することができる。この結果、電線1は、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に介在する潤滑剤4の流出を抑止することができ、複数の層形成素線22と絶縁体3との間の摩擦抵抗を抑制して電線1の可撓性を維持することができる。また、大型設備を導入することなく、現行設備で製造することができるので、電線1のコストアップを抑制することができる。

0034

また、本実施形態に係る電線1は、複数の層形成素線22を撚り合わせて複数の同一層を形成し、かつ中心素線21を中心として同心円状に積層して成る、撚り線構造を構成する。例えば、層形成素線22を撚り合わせずに束ねた電線1は、曲げた後、電線1が自重によりさらに撓んでしまうが、電線1は複数の層形成素線22が撚り合わされていることにより剛性を向上することができる。この結果、曲げた状態で電線1の形状を保持することができる。

0035

また、本実施形態に係る電線1は、曲げた状態での形状を保持することができるので、配索時等における取扱い性を向上させることができる。例えば、作業員が電線1の配索作業を行う場合、狭小な領域に配索する場合においても電線1を屈曲させることを容易に行うことができる。この結果、一般的に盤内配線において、およそ1分/本の時間短縮が可能となる。また、電線1を必要な長さに切断する場合においても、切断時の負荷による電線1の跳ね返りが少ないため、作業者が安全に切断作業を行うことができる。また、電線1の端子台等への取り付けにおいても、電線1を端子台の形状に合わせることができ、より確実に締め付けて端子台に取り付けることができる。

0036

また、本実施形態に係る電線1は、地震対策としての免震工法オフセット寸法設定)の施工も容易にすることができる。すなわち、免震工法(オフセット寸法設定)とは、電線1の端部における外部接続部材との接続部付近に、たわみを持たせたオフセット部を形成した状態で、外部接続部材と接続する方法である。これにより、例えば地震発生時、地震揺れにより外部接続部材が設置位置から離間する方向に振幅を有して揺れた場合においても、電線1に形成されたオフセット部により電線1と外部接続部材との接続部に掛かる負担を軽減させることができるので、外部接続部材に対して電線1の接続が切断されることを防止することができる。

0037

本実施形態に係る電線1の製造方法は、導体形成工程と、塗布工程と、焼鈍工程とを含む。導体形成工程は、複数の層形成素線22を、中心素線21から同心円状に配置し、かつ中心素線21の延在方向に撚り合わされて同一層を形成する工程である。塗布工程は、複数の層形成素線22に対して、少なくとも最外周を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に介在するように潤滑剤4を塗布する工程である。焼鈍工程は。複数の層形成素線22を撚り合わせ後に焼鈍する工程である。塗布工程では、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲にある潤滑剤4を塗布する。したがって、本実施形態に係る電線1の製造方法によれば、上述した電線1が有する効果と同様に、導体2を焼鈍させた場合において、常温時の動粘度が高くなっていることから加熱により動粘度が低下しても潤滑剤4の流出を抑止することができる。

0038

なお、本実施形態における電線1は、導体2を構成する複数の素線20間、及び、導体2の最外周を形成する複数の素線20と絶縁体3との間に潤滑剤4が介在しているものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、潤滑剤4は、少なくとも最外周を形成する複数の素線20と絶縁体3との間に介在するものであってもよい。

0039

また、本実施形態における潤滑剤4は、潤滑剤4が介在する領域の半径方向内側が、中心素線21と半径方向外側に隣り合う層の外周に形成される。つまり、潤滑剤4は、導体2において半径方向外側の領域に介在している。電線1を曲げた際に、曲げによる摩擦抵抗、すなわち負荷が大きく掛かる領域は、曲げによる変形が大きい半径方向外側の領域である。したがって、電線1は、曲げによる負荷が大きな領域に対して選択的に潤滑剤4を介在させることができるので、電線1の製造工程における塗布工程を軽減することができ、製造効率を向上させることができる。

0040

また、本実施形態における潤滑剤4は、シリコーンオイルとしたが、これに限定されるものではない。例えば、絶縁体3との相性を考慮してグリセリンであってもよい。また、常温時における動粘度が高く噴き付けが難しい場合、潤滑剤4の塗布時において、当該潤滑剤4の濃度を薄くしたり、当該潤滑剤4を加熱して動粘度を低下させてもよい。

0041

また、本実施形態における潤滑剤4は、常温時における動粘度の値が40〜60[mm2/s]の範囲であるとしたが、動粘度が高く、潤滑剤4の噴き付けが難しい場合には、これに限定されるものではない。例えば、潤滑剤4の濃度を薄くする、若しくは、潤滑剤4の温度を高くすることで当該潤滑剤4の動粘度を低下させて使用することも可能である。

0042

また、本実施形態における導体2は、複数の層形成素線22が積層し、各同一層がS字状に撚り合わされて撚り線構造により構成されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、S字状の撚り方向と反対の撚り方向であるZ字状に撚り合わされたものでもよいし、各層ごとにS字撚りとZ字撚りを混合させたものであってもよい。さらには、導体2が撚り線構造を形成した後に半径方向内側に対して圧縮する、円形圧縮撚り線構造としてもよい。

0043

また、本実施形態における複数の層形成素線22は、中心素線21の半径方向外側に向って4つの同一層が形成されているが、これに限定されず、1層以上の同一層が形成されていてもよい。

0044

また、本実施形態における絶縁体3は、ポリエチレンとしたが、導体2と電線1の外部とを絶縁するものであれば、これに限定されるものではない。例えば、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、架橋反応により熱硬化性樹脂のような構造を有する、架橋ポリエチレン樹脂等であってもよい。

0045

また、本実施形態における電線1は、電源と配電盤とを電気的に接続して電源から配電盤に電力を供給するものとして説明したが、これ限定されるものではない。例えば、電気自動車ハイブリッド自動車等の車両に配索され、当該車両内インバータユニットバッテリーとを電気的に接続するものであってもよい。

0046

[実施例]
次に、本実施形態に係る電線1の可撓性試験について図5図6を参照して説明する。図5及び図6は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。なお、図5及び図6におけるZ方向は鉛直方向であり、X方向は電線1の延在方向であり軸方向である。特に、Z方向における上方向を上側、下方向を下側とも呼ぶ。

0047

試験方法は、図5及び図6に示すように、試験装置200を用いて、電線1のたわみ量(P)及び変位量(Q)を測定した。ここで、試験装置200は、基台201と、電線保持部202と、重り203と、不図示の測定部とを備える。基台201は、例えば、平らな地面に設置され、当該地面から一定の高さを有する台である。基台201は、地面から鉛直方向の高さが、評価試験で用いる電線1の延在方向の長さよりも長くなるように設定されている。電線保持部202は、基台201上に載置され、電線1の延在方向の一方の端部を保持するものである。実施例として、直径1mmの銅線により構成される導体2と、ポリエチレン製の絶縁体3と、25℃における動粘度の値が50[mm2/s]である信越シリコーン製KF−96−50CSの潤滑剤4とを有する電線1を用いた。一方、比較例として、導体2、絶縁体3が上記実施例と同一で、潤滑剤4が存在しない同一形状の電線を用いた。電線1は、電線保持部202に保持された状態において、当該電線保持部202に保持された端部を除くX方向の一端から他端までの距離Lが800mmとなるように保持される。電線1は、一方の端部が電線保持部202に保持され、他方の端部には重り203が取り付けられる。重り203は、例えば、電線1の他方の端部(以下、単に「端部」とも呼ぶ。)に20Nの荷重を与える負荷である。ここで、電線1は、十分な真直性を有するもの、すなわち巻癖が除去されたものである。

0048

まず、図5に示すように、電線1に負荷を与えていない初期状態(K0)において、電線1の他方の端部に重り203を取り付けて電線1を撓ませ、30秒放置する。30秒経過後、電線1は、初期状態から電線1が重り203の荷重により曲がった負荷状態(K1)になる。このとき、初期状態における電線1の端部の鉛直方向における位置を基準とし、当該基準の位置から負荷状態における電線1の端部の鉛直方向における位置までの距離を測定部により測定する。測定された値が電線1のたわみ量(P)となる。

0049

次に、図6に示すように、負荷状態にある電線1から重り203を取り外して、電線1を負荷から解放する。負荷から解放された電線1は、復元力により初期状態に戻ろうとして、電線1の端部が鉛直方向の上側に向けて跳ね返り、やがて静止する。電線1の跳ね返りが終わって静止した復元状態(K2)において、電線1を30秒放置する。30秒経過後、上述した基準の位置から復元状態における電線1の端部の鉛直方向の位置までの距離を測定部により測定する。測定された値が電線1の変位量(Q)となる。

0050

次に、測定されたたわみ量と変位量の合計をF値として算出し、得られたF値によって電線1の「柔らかさ」の指標を判断する。例えば、潤滑剤4としてシリコーンオイルまたはグリセリンが塗布された電線1と、潤滑剤4が塗布されていない電線とを比較した場合について説明する。この場合、潤滑剤4が塗布されていない電線と比較してたわみ量が増加しており、潤滑剤4が塗布されていない電線に対して約1.1倍の可撓性の向上を図ることが可能となった。また、潤滑剤4としてシリコーンオイルまたはグリセリンが塗布された電線1は、潤滑剤4が塗布されていない電線と比較して変位量が増加しており、曲げた状態での電線1の保持がしやすくなった。また、潤滑剤4としてシリコーンオイルまたはグリセリンが塗布された電線1は、潤滑剤4が塗布されていない電線と比較してF値が増加しており、電線1の柔らかさの向上を図ることが可能となった。

0051

1電線
2導体
3絶縁体
4潤滑剤
21中心素線
22 層形成素線
100電線製造装置
200試験装置
R1 潤滑剤介在領域
R2 潤滑剤非介在領域
r境界
S1 第1層
S2 第2層
S3 第3層
S4 第4層

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