図面 (/)

技術 推定装置および推定方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 飯塚翔一中山武司本間尚樹
出願日 2018年12月5日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-228295
公開日 2020年1月16日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-008548
状態 特許登録済
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 生体数 複素伝達関数 測定番号 絶対値平均 同時推定 生体位 チャネル観測 最小周期
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年1月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

より高精度に動体の方向または位置を推定できる推定装置および推定方法を提供する。

解決手段

推定装置は、送信アンテナ部11と、マルチキャリア信号を生成する送信信号生成部13と、マルチキャリア信号を送信アンテナ部11に出力する送信部12と、受信アンテナ部21と、送信されたマルチキャリア信号が動体によって反射散乱された反射信号を含む受信信号観測する受信部22と、観測された複数の受信信号から、各送信アンテナ素子各受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部23と、複素伝達関数中の動体相関行列サブキャリア毎に算出する動体相関行列算出部24と、動体相関行列を統合するサブキャリア統合部25と、統合により得られた統合動体相関行列を用いて動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部26と、を備える。

概要

背景

人物の位置などを知る方法として、無線信号を利用する方法が検討されている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1、2および3には差分計算を用いてドップラシフトを含む成分を解析することで検出対象となる人物の位置や状態を推定する技術が開示されている。特許文献4および5にはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いたドップラセンサが開示されている。

概要

より高精度に動体の方向または位置を推定できる推定装置および推定方法を提供する。推定装置は、送信アンテナ部11と、マルチキャリア信号を生成する送信信号生成部13と、マルチキャリア信号を送信アンテナ部11に出力する送信部12と、受信アンテナ部21と、送信されたマルチキャリア信号が動体によって反射散乱された反射信号を含む受信信号観測する受信部22と、観測された複数の受信信号から、各送信アンテナ素子各受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部23と、複素伝達関数中の動体相関行列サブキャリア毎に算出する動体相関行列算出部24と、動体相関行列を統合するサブキャリア統合部25と、統合により得られた統合動体相関行列を用いて動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部26と、を備える。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、複数のサブキャリア信号変調されたマルチキャリア信号を生成する送信信号生成部と、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記マルチキャリア信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動き周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を、前記複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に複数算出する複素伝達関数算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、M×N行列の動体相関行列を前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出する動体相関行列算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出された前記動体相関行列を所定の方法により統合することで、統合動体相関行列を算出するサブキャリア統合部と、前記サブキャリア統合部により算出された前記統合動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える、推定装置。

請求項2

前記動体相関行列算出部は、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数のうち、所定間隔の2つの時点における2つの複素伝達関数の差分を示す差分情報を2以上算出し、当該2以上算出された差分情報を用いて、前記動体相関行列を算出する、請求項1に記載の推定装置。

請求項3

前記動体相関行列算出部は、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算し、得られた減算結果を用いて前記動体相関行列を算出する、請求項1に記載の推定装置。

請求項4

前記サブキャリア統合部は、前記複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の1サブキャリア当たりの平均を算出することで、前記統合動体相関行列を算出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の推定装置。

請求項5

前記サブキャリア統合部は、前記複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の中央値を対応する成分毎に算出することで、前記統合動体相関行列を算出する、請求項1から3のいずれか1項に記載の推定装置。

請求項6

前記マルチキャリア信号は、OFDM(OrthogonalFrequencyDivisionMultiplexing)信号である、請求項1から5のいずれか1項に記載の推定装置。

請求項7

動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記送信信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部と、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、(iii)前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算することで、M×N行列の動体相関行列を算出する動体相関行列算出部と、前記動体相関行列算出部により算出された前記動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える、推定装置。

請求項8

M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、を備える推定装置による推定方法であって、複数のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を生成し、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に送信させ、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記マルチキャリア信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測し、前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を、前記複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に複数算出し、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、M×N行列の動体相関行列を前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出し、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出された前記動体相関行列を所定の方法により統合することで、統合動体相関行列を算出し、算出された前記統合動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する、推定方法。

請求項9

M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、を備える推定装置による推定方法であって、送信信号を生成し、前記送信信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記送信信号を前記送信アンテナ部に送信させ、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測し、前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す複素伝達関数を複数算出し、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、(iii)前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算することで、M×N行列の動体相関行列を算出し、算出された前記動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する、推定方法。

技術分野

0001

本開示は、無線信号を利用した動体の方向または位置を推定する推定装置および推定方法に関する。

背景技術

0002

人物の位置などを知る方法として、無線信号を利用する方法が検討されている(例えば、特許文献1〜4参照)。特許文献1、2および3には差分計算を用いてドップラシフトを含む成分を解析することで検出対象となる人物の位置や状態を推定する技術が開示されている。特許文献4および5にはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いたドップラセンサが開示されている。

先行技術

0003

特開2015−117972号公報
特開2017−129558号公報
特開2018−008021号公報
特開2012−088279号公報
特開2012−137340号公報
特開2006−157663号公報
特開2001−144722号公報

発明が解決しようとする課題

0004

従来の方法では、より高精度に自装置に対する動体の方向または位置を推定することが難しかった。

課題を解決するための手段

0005

上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る推定装置は、動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、複数のサブキャリア信号変調されたマルチキャリア信号を生成する送信信号生成部と、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記マルチキャリア信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動き周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を、前記複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に複数算出する複素伝達関数算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、M×N行列の動体相関行列を前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出する動体相関行列算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出された前記動体相関行列を所定の方法により統合することで、統合動体相関行列を算出するサブキャリア統合部と、前記サブキャリア統合部により算出された前記統合動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える。

0006

また、本開示の他の一形態に係る推定装置は、動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記送信信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部と、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、(iii)前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算することで、M×N行列の動体相関行列を算出する動体相関行列算出部と、前記動体相関行列算出部により算出された前記動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える。

0007

なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。

発明の効果

0008

本開示によれば、より高精度に自装置に対する動体の方向または位置を推定できる。

図面の簡単な説明

0009

図1は、実施の形態における推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、図1に示す推定装置の検出対象の一例を示す図である。
図3は、図1に示すアンテナ部における信号波の伝達の様子を概念的に示す図である。
図4は、実施の形態1における差分情報を計算する際に用いられる所定間隔の2つの時点の一例を示す概念図である。
図5は、図4とは別の所定間隔の2つの時点の一例を示す概念図である。
図6は、実施の形態における推定装置の推定処理を示すフローチャートである。
図7は、変形例2における動体相関行列算出における信号処理を模式的に示す図である。

実施例

0010

(本開示の基礎となった知見)
人物の位置などを知る方法として、無線信号を利用する方法が検討されている。

0011

例えば特許文献1および2には、所定の領域に無線信号を送信し、検出対象で反射した無線信号を複数のアンテナで受信して、送受信アンテナ間の複素伝達関数を推定することが開示されている。複素伝達関数は、入力と出力との関係を表す複素数関数であり、ここでは、送受信アンテナ間の伝搬特性を表すものである。この複素伝達関数の要素の数は送信アンテナ数および受信アンテナ数の積と等しい。

0012

さらに、特許文献3には特許文献2と同様の構成にて、受信電力から求められるRCS(Radar Cross Section)を用いて生体姿勢を推定することが開示されている。RCSは送信波を反射した物体面積を表す指標であり、生体のRCSは姿勢によってさまざまに変化する。

0013

特許文献1には、さらに、フーリエ変換を用いてドップラシフトを含む成分を解析することで検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。より具体的には、複素伝達関数の要素の時間変化を記録し、その時間波形をフーリエ変換する。人物などの生体による呼吸心拍などの生体活動は、反射波に僅かなドップラ効果を与える。したがって、ドップラシフトを含む成分は人物の生体活動による影響を含んでいる。一方、ドップラシフトの無い成分は人物の生体活動による影響を受けていない、つまり固定物からの反射波や送受信アンテナ間の直接波に対応する。すなわち、特許文献1では、フーリエ変換した波形において所定の周波数範囲に含まれる成分を用いて、検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。

0014

特許文献2には、複素伝達関数の要素の時間変化を記録し、その差分情報を解析することにより生体による影響を含んだ僅かなドップラシフトを含む成分を抽出する方法が開示されている。すなわち、特許文献2では、前記差分情報を用いて検出対象となる人物の位置や状態を知ることができることが開示されている。

0015

一方、特許文献3には、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いたパルスを送信し、検出対象である移動体によるドップラシフトを検出するOFDMドップラレーダが開示されている。また、特許文献4には、OFDMドップラレーダに関してフーリエ変換が不要で高速処理方法が開示されている。

0016

また、特許文献6および7には、OFDM信号を送信することで、送受信アンテナ間の複素伝達関数の推定精度を向上させる技術が開示されている。特許文献5では複素伝達関数をサブキャリア毎に平均化することで、特許文献7では最大の受信電力を持つサブキャリアを選択することでそれぞれ受信されたノイズ成分が軽減できることが開示されている。

0017

しかしながら、特許文献1、2および3の方法では、無変調波を送信信号として利用しているため、市販のデバイス流用することが困難であり、専用のハードウェアを必要とする。すなわち、現在普及している通信デバイスを利用することが困難であり、利用者は、既存の通信装置に加え専用ハードウェアを追加で設置する必要がある。

0018

また、特許文献4および5の方法も十分な精度を得るためには送信パルスを急峻にする必要があり、そのためには広い周波数帯域が必要である。そのためハードウェアのコストが民生向けの通信装置と比べて高価となる。

0019

また、特許文献6および7のOFDM信号を用いた複素伝達関数の推定方法を生体レーダに応用しようとした場合、OFDMの各サブキャリアの複素伝達関数を平均化することでノイズに含まれる生体成分打ち消してしまうため、高精度な推定を行うことはできない。

0020

そこで、発明者らは、このことを鑑み、既存の通信デバイスを用いて低コストかつ高精度に、OFDMに代表されるマルチキャリア信号を利用して、自装置に対して動体が存在する方向または位置の推定をより高精度に行うことができる推定装置等を発明するに至った。

0021

すなわち、本開示の一様態に係る推定装置は、動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、複数のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を生成する送信信号生成部と、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記マルチキャリア信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を、前記複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に複数算出する複素伝達関数算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、M×N行列の動体相関行列を前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出する動体相関行列算出部と、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出された前記動体相関行列を所定の方法により統合することで、統合動体相関行列を算出するサブキャリア統合部と、前記サブキャリア統合部により算出された前記統合動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える。

0022

この構成により、送信信号にマルチキャリア信号を用いることで既存の通信装置を流用して、推定装置に対して生体などの動体が存在する方向または位置を推定することが可能である。

0023

また、推定装置において、複数のサブキャリアのそれぞれ毎に得られる複数の動体相関行列を統合することで得られた統合動体相関行列を用いて、推定装置に対して生体が存在する方向または位置を推定する。このため、単一のサブキャリアを用いる場合と比べて、高精度な生体の位置推定が可能である。

0024

また、前記動体相関行列算出部は、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数のうち、所定間隔の2つの時点における2つの複素伝達関数の差分を示す差分情報を2以上算出し、当該2以上算出された差分情報を用いて、前記動体相関行列を算出してもよい。

0025

これにより、2以上の差分情報の平均を取得することで瞬間的なノイズの影響を弱めることができるので、方向または位置の推定精度をより向上させることができる。

0026

また、前記動体相関行列算出部は、前記複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算し、得られた減算結果を用いて前記動体相関行列を算出してもよい。

0027

これによれば、フーリエ変換、複数の差分計算などの複雑な計算をすることなしに、平均および減算のような単純な計算で、動体相関行列を算出することができる。このため、動体相関行列を算出する処理負荷を低減することができる。

0028

また、前記サブキャリア統合部は、前記複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の1サブキャリア当たりの平均を算出することで、前記統合動体相関行列を算出してもよい。

0029

これによれば、生体の揺らぎが打ち消されてしまう複素伝達関数の平均ではなく、動体相関行列の1サブキャリア当たりの平均を算出することで、それぞれのサブキャリアの動体相関行列に含まれる動体情報重畳させ、後段の推定処理部で統合動体相関行列をもちいて一度に処理を行っている。これにより、計算上では、行列のランクを回復させることができ、計算結果、つまり方向または位置の推定精度を向上させることができる。

0030

また、前記サブキャリア統合部は、前記複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の中央値を対応する成分毎に算出することで、前記統合動体相関行列を算出してもよい。

0031

このため、複数のサブキャリアそれぞれに対応する複数の動体相関行列を容易に統合することができる。

0032

また、前記マルチキャリア信号は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号であってもよい。

0033

また、本開示の他の一態様に係る推定装置は、動体の存在する方向または位置を推定する推定装置であって、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記送信信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部と、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、(iii)前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算することで、M×N行列の動体相関行列を算出する動体相関行列算出部と、前記動体相関行列算出部により算出された前記動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える。

0034

なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。

0035

以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0036

(実施の形態)
以下では、図面を参照しながら、実施の形態における推定装置10が検出対象である動体(生体)の位置を推定する方法について説明する。

0037

[推定装置10の構成]
図1は、実施の形態における推定装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2は、図1に示す推定装置10の検出対象の一例を示す図である。

0038

図1に示す推定装置10は、送信アンテナ部11と、送信部12と、送信信号生成部13と、受信アンテナ部21と、受信部22と、複素伝達関数算出部23と、動体相関行列算出部24と、サブキャリア統合部25と、推定処理部26とを備える。推定装置10は、推定装置10を方向または位置の基準として、動体としての生体50の存在する位置を推定する。

0039

[送信アンテナ部11]
送信アンテナ部11は、M個の送信アンテナ素子を有する。ここで、Mは、1以上の自然数である。なお、後述する受信アンテナ素子の数であるNについて、N=1のとき、Mは2以上の自然数である。本実施の形態では、送信アンテナ部11は、MT個(MTは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を備える。つまり、送信アンテナ部11は、MT個の送信アンテナ素子からなる送信アレーアンテナを有する。MT個の送信アンテナ素子のそれぞれは、後述する送信部12により生成されたマルチキャリア信号(送信波)を送信する。

0040

[送信信号生成部13]
送信信号生成部13は、複数のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を生成する。具体的には、送信信号生成部13は、それぞれ互いに異なる周波数帯の複数のサブキャリアに対応する複数のサブキャリア信号を生成し、生成した複数のサブキャリア信号を多重化することでマルチキャリア信号を生成する。本実施の形態では、送信信号生成部13は、マルチキャリア信号として、周波数帯の利用効率が高い、S個のサブキャリアからなるOFDM信号を生成することを例に説明するが、マルチキャリア変調により得られるマルチキャリア信号であれば各サブキャリアが直交しているOFDM信号を生成することに限らずに、単純なFDM(Frequency Division Multiplexing)信号などの他のマルチキャリア信号を生成しても構わない。

0041

また、送信信号生成部13が生成する信号は、通信用に用いる信号と共用の信号であっても構わない。

0042

[送信部12]
送信部12は、送信信号生成部13が生成した信号に適切な処理を加え、送信波を生成する。ここで行われる処理には、例えば信号をIF(Intermediate Frequency)の周波数帯からRF(Radio Frequency)の周波数帯に変換するアップコンバート、適切な送信レベルに信号を増幅するアンプなどがある。そして図2に示すように、送信部12は、処理後のマルチキャリア信号を送信アンテナ部11に出力することで、当該マルチキャリア信号を送信アンテナ部11に送信させる。これにより、マルチキャリア信号は、送信アンテナ部11が備えるMT個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信される。

0043

[受信アンテナ部21]
受信アンテナ部21は、N個の受信アンテナ素子を有する。ここで、Nは、1以上の自然数である。なお、送信アンテナ素子の数であるMについて、M=1のとき、Nは2以上の自然数である。本実施の形態では、受信アンテナ部21は、MR個(MRは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を備える。つまり、受信アンテナ部21は、MR個の受信アンテナ素子からなる受信アレーアンテナを有する。例えば、図2に示すように、MR個の受信アンテナ素子のそれぞれは、当該MT個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信され、生体50によって反射された信号(受信信号)を受信する。

0044

[受信部22]
受信部22は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信されたマルチキャリア信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、当該動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する。ここで、動体は、図2に示すような生体50である。動体の動きの周期は、例えば、生体50の活動に由来する周期に相当する。また、生体50の活動に由来する周期は、生体50の呼吸、心拍、体動の少なくとも半分以上を含む生体由来の周期(生体変動周期)である。

0045

受信部22は、MR個の受信アンテナ素子で受信された高周波の信号を、信号処理が可能な低周波の信号に変換する。そして受信部22は、MR個のOFDM信号それぞれに対して復調を行いそれぞれS個のサブキャリア信号に復調する。S個のサブキャリア信号のそれぞれは、IQシンボルで表される。受信部22は、少なくとも第1期間、MR個の受信アンテナ素子のそれぞれで受信された高周波の信号を変換することで得られたS×MR組のサブキャリア信号を、複素伝達関数算出部23に出力する。なお、受信部22は、常に受信アンテナ部21で受信された受信信号を観測し続け、複素伝達関数算出部23に連続的に、または定期的にS×MR組のサブキャリア信号を伝達し続けてもよい。

0046

[複素伝達関数算出部23]
複素伝達関数算出部23は、受信部22において第1期間に観測された複数の受信信号を用いて、MT個の送信アンテナ素子とNR個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を、複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に複数算出する。

0047

本実施の形態では、複素伝達関数算出部23は、受信部22から伝達されたS×MR組のサブキャリア信号を用いて、S個のサブキャリア信号のそれぞれに対して各送信アンテナ素子各受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を算出する。以下、S×MR組のサブキャリア信号のうちの1つのサブキャリア信号に対して複素伝達関数を算出する方法を、図2および図3により具体的に説明する。つまり、以下で説明する複素伝達関数の算出方法は、S×MR組のサブキャリア信号のそれぞれについて同様に行われる。

0048

図2および図3において、送信アンテナ部11の複数の送信アンテナ素子で構成される送信アレーアンテナ、および、受信アンテナ部21の複数の受信アンテナ素子で構成される受信アレーアンテナは、共に素子間隔dのリニアアレーである。また、送信アレーアンテナの正面からみた生体50の方向をθTとし、受信アレーアンテナの正面から見た生体50の方向をθRとする。生体50と送信アレーアンテナとの距離、および、生体50と受信アレーアンテナとの距離は、各アレーアンテナ開口幅と比べて十分に大きいものと仮定し、送信アレーアンテナから出発する送信波、および、受信アレーアンテナに到来する生体経由の反射波は、平面波と見なせるものとする。

0049

図2および図3に示すように、送信アンテナ部11のMT個の送信アンテナ素子から角度θTで送信される送信波は、生体50によって反射され、受信アレーアンテナに角度θRで到達する。

0050

この場合、複素伝達関数算出部23は、受信アレーアンテナと受信部22を使って観測された1つのサブキャリア信号から複素伝達関数行列を算出することができる。1つのサブキャリア信号は、複素受信信号ベクトルx=[x1,・・・、xMR]で表される。複素伝達関数ベクトルは、例えば、h0=x/sにより算出できる。ここで、sは複素送信信号であり、既知であるものとする。なお、算出された複素伝達関数行列には、直接波、固定物由来の反射波など、生体50を経由しない反射波も含まれている。

0051

1つのサブキャリア信号から複素伝達関数を算出する方法には例えばパイロット信号ガードインターバル信号といった既知信号で受信IQシンボルを除算する方法がある。

0052

複素伝達関数算出部23は、S個のサブキャリア信号のそれぞれに対して複素伝達関数行列の算出を行い、得られたS個の複素伝達関数行列を動体相関行列算出部24に出力する。

0053

なお、複素伝達関数算出部23は、連続的または定期的に、受信部22により出力される複数のサブキャリア信号のそれぞれを用いて、常に複素伝達関数行列を求めてもよい。この構成とすることで、推定装置10が通信装置のハードウェアを共用する構成である場合、通信装置の処理で使用するために常時算出されている複素伝達関数行列を、推定装置10でも利用できる。

0054

[動体相関行列算出部24]
動体相関行列算出部24は、複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、M×Nの組合せのそれぞれ毎に、複素伝達関数算出部23により算出された複数の複素伝達関数行列を、複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録する。そして、動体相関行列算出部24は、複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、M×Nの組合せのそれぞれ毎に、時系列に逐次記録された複数の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、M×N次元の行列により表現される動体相関行列を複数のサブキャリアのそれぞれ毎に算出する。

0055

ここで動体相関行列は、受信信号に含まれる、生体50を経由した反射波または散乱波(生体成分)を抽出したものである。生体成分を時系列に記録された複素伝達関数から求める方法には特許文献1で開示されているフーリエ変換や特許文献2で開示されている差分情報を用いる方法がある。本実施の形態では差分情報を用いる方法について具体的に説明する。次に説明する手順はすべてのサブキャリアのそれぞれについて算出された複素伝達関数行列に対して行われるが、すべて同様の数式および手順で表されるため、代表としてある一つのサブキャリアの動体相関行列を求める手順を説明する。

0056

まず、動体相関行列算出部24は、複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、M×Nの組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された複数の複素伝達関数の差分情報を算出する。すなわち、動体相関行列算出部24は、当該複数の複素伝達関数のうち所定間隔の2つの時点における2つの複素伝達関数の差分を示す差分情報であってM×N次元の行列により表現される差分情報を2以上算出する。動体相関行列算出部24は、2以上算出された差分情報を用いて、動体相関行列を算出する。ここで、2以上の差分情報それぞれにおける所定間隔の2つの時点のうちの始点は、異なる時刻である。また、所定間隔は生体50由来の周期(生体変動周期)の略半分であってもよい。

0057

図4は、実施の形態における差分情報を計算する際に用いられる所定間隔の2つの時点の一例を示す概念図である。図5は、図4とは別の所定間隔の2つの時点の一例を示す概念図である。図4において、縦軸は変動チャネル値を示し、横軸は時間を示す。また、Tmeasは受信信号の観測時間を示す。この観測時間Tmeasは上述した第1期間である。観測時間Tmeasは、例えば生体の呼吸、心拍、体動の少なくとも一つを含む生体変動最大周期すなわち生体変動に由来する最大の周期に相当する。図4に示す例では、観測時間を、生体50の呼吸活動の周期に相当する約3秒としている。

0058

図4に示すような観測時間Tmeasに受信部22で観測された受信信号から算出された複数の複素伝達関数すなわち時変動チャネルを逐次記録した場合、観測時間Tmeasは生体変動最大周期に相当するので、観測時間Tmeasに生体50の変動の最大値最小値とが必ず含まれることになる。ここで、生体変動最大周期をTmax、生体変動に由来する最小の周期(生体変動最小周期)をTminとすると、これらの半周期であるTmax/2、Tmin/2の時間差分は生体50の変動に対応する時間差となる。そのため、複素伝達関数の差分情報を計算する際の所定間隔TをTmax/2≦T≦Tmin/2の範囲とできる。このように、所定間隔Tを生体50由来の周期(生体変動周期)の略半分としても、生体50の1周期分の時変動チャネルから生体由来の成分を抽出することができる。

0059

また、図4に示す例では、動体相関行列算出部24は、例えば、時間tと時間t+Tとの異なる時間、すなわち所定間隔Tの2つの時点での複素伝達関数の差分を示す差分情報を算出する。そして、動体相関行列算出部24は、差分情報の算出を、△tずつずらした時間を始点とした所定間隔Tで複数回行う。すなわち、動体相関行列算出部24は、このような差分情報の算出をさらに異なる2つの時点の所定間隔Tで(異なる複素伝達関数の組に対して)実施する。ここで、差分情報を算出するのは、生体50以外の固定物を経由する複素伝達関数成分は除去され、生体50のみを経由する複素伝達関数成分だけが残るからである。

0060

本実施の形態では、送信アンテナ素子の数および受信アンテナ素子の数は、共に2以上(つまり、複数)である。そのため、送信アンテナ部11および受信アンテナ部21に対応する複素伝達関数の差分値(差分情報)の数は、(送信アンテナ素子の数:MT)×(受信アンテナ素子の数:MR)となり、これらをまとめて複素差分チャネル行列H(l,m)と定義する。複素伝達関数算出部23は、差分情報として、次のように表せる複素差分チャネル行列H(l,m)を算出する。

0061

0062

ここで、1≦l、m≦N(l≠m、Nは総測定回数)である。また、lおよびmのそれぞれは、測定番号を表す正の整数であり、サンプル時間である。

0063

上記の複素差分チャネル行列H(l,m)の要素を並び替え、(式1)に示すMRMT×1のベクトルとする複素差分チャネルを算出する。

0064

0065

ここで、vec(・)は行列のベクトルへの変換を表し、[・]Tは転置を表す。なお、図4に示す例では、Nはチャネル観測回数であり、CtやCt+Tなど時間間隔Tにおける2つの時点を含む台形頂点演算に用いたデータ)の数に対応する。観測時間Tmeasが3秒で、100回測定(観測)する場合に、N=300となる。

0066

複素伝達関数算出部23が算出した複素伝達関数ベクトルには、例えば図3に示すように、直接波や固定物由来の反射波など、生体50を経由しない反射波が含まれている。一方、複素差分チャネルベクトルには、2つの時点における複素伝達関数ベクトルの差分演算によって生体50を経由しない全ての反射波が消去され、生体由来の反射波のみが含まれることになる。この差分演算を行うと生体50由来の反射波の複素伝達関数も減算されるというデメリットもあるが、呼吸や心拍等の生体活動によって生体50経由の反射波の振幅位相は常に時変動しているため、複素差分チャネルベクトルは完全に0とはならない。つまり、異なる2つの時点の複素伝達関数ベクトル同士を減算すると、生体50を経由する複素伝達関数ベクトルに係数をかけたものが残ることになる。

0067

なお、動体相関行列算出部24が複数の組(異なる2つの時点の複素伝達関数)に対して差分情報の算出を行うのは、後述するように、複数回の平均を取ることにより、瞬間的なノイズの影響を弱めて方向推定の精度を向上させるためである。なお、差分情報の算出を行う際の所定間隔Tは、図4に示すように固定値ではなく、任意の所定間隔すなわち、例えば図5のように時間t´と時間t´+T´などの2つの時点における所定間隔T´であってもよい。

0068

次に、動体相関行列算出部24は、この複素差分チャネルベクトルから(式2)に示す相関行列(以下、「瞬時相関行列」という)を算出する。所定間隔の2つの時点である差分時間は、瞬時であるから、このように称する。

0069

0070

ここで、[・]Hは、複素共役転置を表す。

0071

また、動体相関行列算出部24は、さらにこの瞬時相関行列を(式3)に示すように平均(平均演算)するとしてもよい。上述したように、これにより、瞬間的なノイズの影響を弱めて方向推定の精度を向上させることができるからである。

0072

0073

ここで、(式2)の瞬時相関行列を用いる場合と比べて推定精度が改善するだけではなく、(式3)の相関行列を用いることで複数の到来波同時推定が可能になる。このように(式3)で求められる相関行列のことを動体相関行列と呼ぶ。

0074

前記手順により求められる動体相関行列を動体相関行列算出部24は、全てのS個のサブキャリアそれぞれに対して算出し、サブキャリア統合部25に出力する。生体50を経由する複素伝達関数は、周波数依存性を持っており、サブキャリア毎に異なるため、ここで算出されるS個の動体相関行列はそれぞれ異なる成分を持つ。

0075

[サブキャリア統合部25]
サブキャリア統合部25は、動体相関行列算出部24によってS個のサブキャリアのそれぞれ毎に算出されることで得られたS個の動体相関行列を統合することで、新たな動体相関行列である統合動体相関行列を算出する。動体相関行列を統合する方法としては、(i)動体相関行列の各成分を平均化する方法、(ii)動体相関行列の各成分の中央値をとる方法、および、(iii)動体相関行列の絶対値を計算し絶対値の大きいサブキャリアと絶対値の小さいサブキャリアとを生体以外のノイズ成分が大きいと判断して所定の割合で除外し、残った動体相関行列を平均化する方法がある。本実施の形態では各成分を平均化する方法について数式を用いて説明する。

0076

このように、サブキャリア統合部25は、複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の1サブキャリア当たりの平均を算出することで、統合動体相関行列を算出してもよい。この場合、サブキャリア統合部25は、S個のサブキャリアのそれぞれ毎に得られたS個の動体相関行列の各M×N個の成分について、当該成分に属するS個の成分を積算し、積算値をSで除算することで、統合動体相関行列を算出する。

0077

また、サブキャリア統合部25は、複数のサブキャリアにおいてそれぞれ算出された複数の動体相関行列の中央値を対応する成分毎に算出することで、統合動体相関行列を算出してもよい。この場合、サブキャリア統合部25は、S個のサブキャリアのそれぞれ毎に得られたS個の動体相関行列の各M×N個の成分について、当該成分に属するS個の成分の中央値を特定することで、統合動体相関行列を算出する。

0078

動体相関行列算出部24で算出されたサブキャリア毎の動体相関行列をRi(iはサブキャリア番号)としたとき、サブキャリア統合部25は、次の(式4)で示すように平均化を行う。

0079

0080

この平均化によりS個のサブキャリアのそれぞれから得られたS個の動体相関行列に含まれる成分を単一の行列である統合動体相関行列に統合することができ、生体位置の推定精度を向上させることができる。

0081

[推定処理部26]
推定処理部26は、サブキャリア統合部25により算出された統合動体相関行列を用いて、推定装置10を方向または位置の基準として動体の存在する方向または位置を推定する。位置推定には、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)やCaponといった到来方向推定アルゴリズムを用いられる。ここではMUSICアルゴリズムに基づく推定法について説明する。

0082

(式4)に示すサブキャリア統合後の動体相関行列を固有値分解すると、









と書ける。ここで、



は、要素数がMRである固有ベクトル



は固有ベクトルに対応する固有値であり、



の順であるものとする。Lは到来波の数つまり検出対象の生体数である。

0083

また、送信アレーアンテナのステアリングベクトル方向ベクトル)は、



と定義され、受信アレーアンテナのステアリングベクトル(方向ベクトル)は



と定義される。ここで、kは波数である。さらに、これらのステアリングベクトルを乗算し、



と、送受信アレーアンテナ双方の角度情報を考慮したステアリングベクトルを定義し、これにMUSIC法を適用する。

0084

すなわち、推定処理部26は、MUSIC法に基づき、乗算したステアリングベクトルを用いて、下記で示される評価関数Pmusic(θ)で極大値を探索することで送信波の方向および到来波の方向を推定することができる。

0085

0086

本実施の形態では、二つの角度(θT,θR)について評価関数の極大値の探索を行う必要があるため、2次元の探索処理を実施する。そして、推定処理部26は、このようにして得られた二つの角度(θT,θR)から生体50への送信波の送信方向と生体50からの反射波の到来方向とを推定し、推定された二つの方向の交点から生体50の位置を推定する。

0087

[推定装置10の動作]
以上のよう構成された推定装置10の推定処理の動作について説明する。図6は、実施の形態における推定装置10の推定処理を示すフローチャートである。

0088

まず、推定装置10は、MT個の送信アンテナ素子からS個のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を送信する(S10)。

0089

そして、推定装置10は、生体50によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する(S11)。

0090

次に、推定装置10は、第1期間に観測された複数の受信信号に対してマルチキャリア復調を行うことで、S個のサブキャリア信号を復調する(S12)。

0091

次に、推定装置10は、受信部22において第1期間に観測された複数の受信信号を用いて、S個のサブキャリアのそれぞれ毎に各送信アンテナ素子と各受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を複数算出する(S13)。これらの処理は、各サブキャリアに対して並列または逐次的に行われる。詳細は上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。以下も同様である。

0092

次に、推定装置10は、当該S個のサブキャリアのそれぞれ毎の複素伝達関数から動体に関する成分を抽出することで、S個のサブキャリアのそれぞれ毎に動体相関行列を算出する(S14)。この処理は、動体相関行列算出部24による処理として説明したため、詳細な説明を省略する。これにより、S個の動体相関行列が得られる。

0093

次に、推定装置10は、S個のサブキャリアのそれぞれ毎に算出され、得られたS個の動体相関行列を統合することで、統合動体相関行列を算出する(S15)。この処理は、サブキャリア統合部25による処理として説明したため、詳細な説明を省略する。

0094

そして、推定装置10は、算出された統合動体相関行列を用いて、推定装置10を方向または位置の基準として生体50の存在する方向または位置を推定する(S16)。つまり、推定装置10は、推定装置10に対して生体50が存在する方向またな位置を推定する。この処理は、推定処理部26による処理として説明したため、詳細な説明を省略する。

0095

[効果等]
本実施の形態の推定装置10および推定方法によれば、送信信号にOFDMなどのマルチキャリア信号を用いることで既存のマルチキャリア送受信機を流用して、推定装置10に対して生体50が存在する方向またな位置を推定することが可能である。例えば、既存の通信装置としては、OFDM受信機はすでに携帯電話テレビジョン放送受信機無線LAN機器などとして普及しており、無変調信号を用いる場合より低コストである。

0096

また、推定装置10において、複数のサブキャリアのそれぞれ毎に得られる複数の動体相関行列を統合することで得られた統合動体相関行列を用いて、推定装置10に対して生体50が存在する方向またな位置を推定する。このため、単一のサブキャリアを用いる場合と比べて、高精度な生体の位置推定が可能である。特に、本実施の形態では、生体50の揺らぎが打ち消されてしまう複素伝達関数の平均ではなく、複数のサブキャリアに対応して得られる複数の動体相関行列を平均することで、それぞれのサブキャリアの動体相関行列に含まれる動体情報を重畳させ、後段の推定処理部26で一度に処理を行っている。これにより、計算上では、行列のランクを回復させることができ、計算結果、つまり方向または位置の推定精度を向上させることができる。

0097

(変形例1)
上記実施の形態に係る推定装置10は、送信アンテナ素子と受信アンテナ素子とがともに複数であるMIMO(Multiple Input Multiple Output)方式を用いる装置を例に説明したがこれに限らない。推定装置は、例えば、送信アンテナまたは受信アンテナの一方が単一のアンテナ素子であるSIMO(Single Input Multiple Output)またはMISO(Multiple Input Single Output)方式を用いる装置であってもよい。

0098

この場合、実施の形態で説明した各行列は、ベクトルの形となるが同じ演算を適用可能であり、最終的に推定装置に対する生体50の方向が推定できる。

0099

[効果など]
本変形例によれば、送信アンテナ素子または受信アンテナ素子を単一にすることでハードウェアおよび信号処理の計算量を削減することができる。このため、推定装置に対する生体50の位置に関する情報が不要で、生体50の方向に関する情報が必要な場合、MIMO方式に比べ低コストに実現することができる。

0100

(変形例2)
実施の形態における動体相関行列算出部24では、各サブキャリアの受信信号ごとに動体に関する成分を抽出する処理を、差分情報を算出することにより行った。また、特許文献1ではフーリエ変換を用いて行う方法についても開示されている。しかし、いずれの方法も、フーリエ変換または複数回の差分計算などのように、計算量の多い演算が必要であり、市販の安価なデバイスに実装する際に課題となる。本変形例は、動体成分を抽出する処理を計算量の少ない処理で実現する。

0101

[変形例2における動体相関行列算出部24]
本変形例における動体相関行列算出部24の動作を、図7に示す受信波形の概念図に沿って説明する。なお、以降に説明する動体相関行列の算出処理は全てのサブキャリアそれぞれに対して行うが、すべて同一の操作であるため、代表としてある一つのサブキャリアの動体相関行列を求める手順を説明する。

0102

まず、動体相関行列算出部24は、複素伝達関数算出部23により出力された複素伝達関数(図7の1000で示す波形)の第2期間における平均値を算出する。ここで、第2期間は、例えば、生体50の活動に由来する周期に相当する第1期間と同じか、それよりも長い期間であることが望ましい。図7では、第2期間は、1002Aおよび1002Bの2区間で表される。ここで計算される平均値は、生体50以外の固定物を経由する複素伝達関数成分に相当する。なお、生体以外の環境の変化に柔軟に対応するため、複素伝達関数の振幅などをもとに、期間の長さを可変にしてもよい。

0103

次に、動体相関行列算出部24は、上記平均値をもとの複素伝達関数から減算することで生体50以外の固定物を経由する複素伝達関数成分を除外した複素伝達関数を算出する(図7の1001で示す波形)。

0104

そして、動体相関行列算出部24は、上記複素伝達関数に含まれる生体成分に対応する、変動成分を抽出する。より具体的には、図7の下に示す振幅を時間方向に沿って積分した値(図7の1001で示す波形の塗りつぶされた部分の面積)、二乗平均絶対値平均などがあげられる。これらの積分値、二乗平均、絶対値平均などは、実施の形態における動体相関行列と同等の情報である。

0105

つまり、動体相関行列算出部24は、複数のサブキャリアのそれぞれ毎、かつ、M×N個の組合せのそれぞれ毎に時系列に逐次記録された複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、第2期間における複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から平均値を減算し、得られた減算結果を用いて動体相関行列を算出する。

0106

このようにして算出されたサブキャリアのそれぞれ毎の動体相関行列は、サブキャリア統合部25に出力され、実施の形態と同様に処理され、推定装置10に対する生体50の方向または位置を推定するのに用いられる。つまり、この場合の推定装置は、M個(Mは1以上の自然数、ただしN=1のときM≧2)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を前記送信アンテナ部に出力することで、前記送信信号を前記送信アンテナ部に送信させる送信部と、N個(Nは1以上の自然数、ただしM=1のときN≧2)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が動体によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、前記動体の動きの周期に相当する第1期間について観測する受信部と、前記受信部において前記第1期間に観測された複数の前記受信信号を用いて、前記M個の送信アンテナ素子と前記N個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組合せであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける前記送信アンテナ素子と前記受信アンテナ素子との間の伝搬特性を示す複素伝達関数を複数算出する複素伝達関数算出部と、前記M×N個の組合せのそれぞれ毎に、(i)前記複素伝達関数算出部により算出された複数の前記複素伝達関数を、前記複数の受信信号が観測された順である時系列に逐次記録し、(ii)時系列に逐次記録された前記複数の複素伝達関数の第2期間における平均値を算出し、(iii)前記第2期間における前記複数の複素伝達関数のそれぞれについて、当該複素伝達関数から前記平均値を減算することで、M×N行列の動体相関行列を算出する動体相関行列算出部と、前記動体相関行列算出部により算出された前記動体相関行列を用いて、前記推定装置を方向または位置の基準として前記動体の存在する方向または位置を推定する推定処理部と、を備える。

0107

なお、本変形例における動体相関行列算出部24の動作は、送信波にマルチキャリア信号を用いる場合に限ったものではなく、シングルキャリア信号を用いる場合においても同様である。

0108

[効果等]
本変形例によれば動体相関行列算出部24は、フーリエ変換、複数の差分計算などの複雑な計算をすることなしに、平均および減算のような単純な計算で、動体相関行列を算出することができる。このため、動体相関行列を算出する処理負荷を低減することができる。また、減算する成分として無人時の波形などをあらかじめ用意する場合と比較し、直近の受信波形から生成するため、ドア開閉など環境の変化を検出することにも適用することができる。

0109

以上のように、本開示によれば、無線信号を利用して、自装置に対して動体が存在する方向や位置の推定を、短時間かつ高精度に行うことができる推定装置および推定方法を実現することができる。

0110

以上、本開示の一態様に係る推定装置および推定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施形態に施したもの、あるいは異なる実施形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。

0111

例えば、上記実施の形態およびその変形例1、2では、生体50の方向推定または位置推定を例として説明したが、推定処理の対象は生体50に限らない。推定処理の対象は、高周波の信号が照射された場合に、活動または動きによって反射波にドップラ効果を与える種々の動体(機械等)であってもよい。

0112

また、本開示は、このような特徴的な構成要素を備える、推定装置として実現することができるだけでなく、推定装置に含まれる特徴的な構成要素をステップとする推定方法などとして実現することもできる。また、そのような方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなコンピュータプログラムを、CD−ROM等のコンピュータで読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。

0113

以上、一つまたは複数の態様に係る推定装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。

0114

本開示は、無線信号を利用した動体の方向や位置を推定する推定装置および推定方法に利用でき、特に、生体および機械を含む動体の方向または位置を測定する測定器、動体の方向または位置に応じた制御を行う家電機器、動体の侵入を検知する監視装置などに搭載される測位センサおよび方向推定方法に利用できる。

0115

10推定装置
11送信アンテナ部
12 送信部
13送信信号生成部
21受信アンテナ部
22 受信部
23複素伝達関数算出部
24動体相関行列算出部
25サブキャリア統合部
26推定処理部
50生体
1000平均値減算前の複素伝達関数
1001 平均値減算後の複素伝達関数
1002A、1002B 複素伝達関数を平均する所定期間

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ