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技術 燃料電池用セパレータ及び燃料電池

出願人 トヨタ自動車株式会社学校法人東京理科大学
発明者 高田智司板垣昌幸
出願日 2018年6月28日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-122604
公開日 2020年1月9日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-004597
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード アノード分極試験 X線回折法 腐食液中 接触抵抗試験 イオン化蒸着 カーボン素材 強酸性溶液 等脚台形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

本開示は、酸化スズ膜を有するために低接触抵抗を有し、かつ優れた耐食性を有する燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。

解決手段

本実施形態は、ステンレス基材を含む燃料電池用セパレータの製造方法であって、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程と、少なくとも前記酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程と、を含む、燃料電池用セパレータの製造方法である。

概要

背景

固体高分子型燃料電池燃料電池セルは、イオン透過性電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側触媒層電極層)及びカソード側触媒層(電極層)とからなる膜電極接合体MEA:Membrane Electrode Assembly)を備えている。膜電極接合体の両側には、燃料ガス若しくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気集電するためのガス拡散層GDL:Gas Diffusion Layer)が形成されている。GDLが両側に配置された膜電極接合体は、MEGA(Membrane Electrode&Gas Diffusion Layer Assembly)と称され、MEGAは、一対のセパレータにより挟持されている。ここで、MEGAが燃料電池発電部であり、ガス拡散層がない場合には、膜電極接合体が燃料電池の発電部となる。

例えば、このような燃料電池用セパレータとして、特許文献1には、以下に示すセパレータが提案されている。このセパレータは、クロムを含有する耐熱金属セラミックスとからなるサーメットで構成される基体と、基体のカソードガス対応面がカソードガスに接触しないように被覆された金属酸化物の保護膜とを含む。さらに、特許文献1には、この金属酸化物の一例として、酸化スズが例示されている。

概要

本開示は、酸化スズ膜を有するために低接触抵抗を有し、かつ優れた耐食性を有する燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。本実施形態は、ステンレス基材を含む燃料電池用セパレータの製造方法であって、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程と、少なくとも前記酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程と、を含む、燃料電池用セパレータの製造方法である。なし

目的

そこで、本開示は、酸化スズ膜を有するために低接触抵抗を有し、かつ優れた耐食性を有する燃料電池用セパレータを提供する

効果

実績

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請求項1

ステンレス基材を含む燃料電池用セパレータの製造方法であって、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程と、少なくとも前記酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程と、を含む、燃料電池用セパレータの製造方法。

請求項2

前記リン酸塩が、無機リン酸塩である、請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。

請求項3

前記無機リン酸が、オルトリン酸塩である、請求項2に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。

請求項4

前記付着工程が、前記酸化スズ膜が形成されたステンレス基材を前記リン酸又はリン酸塩を含む溶液に接触させる工程、及び前記接触後に、前記ステンレス基材を乾燥させる工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。

請求項5

前記形成工程の前に、真空条件下で前記ステンレス基材の表面に存在する不動態膜を除去する除去工程を含み、前記形成工程において、前記真空条件を維持したまま前記酸化スズ膜を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。

請求項6

ステンレス基材と、前記ステンレス基材の表面に形成された酸化スズ膜と、を備え、前記酸化スズ膜の欠陥部に、リン酸又はリン酸塩が付着している、燃料電池用セパレータ。

請求項7

請求項6に記載の燃料電池用セパレータを備える燃料電池

請求項8

固体電解質膜をさらに備える、請求項7に記載の燃料電池。

請求項9

前記固体電解質膜がフッ素系電解質樹脂を含む、請求項8に記載の燃料電池。

技術分野

0001

本開示は、燃料電池用セパレータ及びそれを用いた燃料電池に関する。

背景技術

0002

固体高分子型燃料電池燃料電池セルは、イオン透過性電解質膜と、該電解質膜を挟持するアノード側触媒層電極層)及びカソード側触媒層(電極層)とからなる膜電極接合体MEA:Membrane Electrode Assembly)を備えている。膜電極接合体の両側には、燃料ガス若しくは酸化剤ガスを提供するとともに電気化学反応によって生じた電気集電するためのガス拡散層GDL:Gas Diffusion Layer)が形成されている。GDLが両側に配置された膜電極接合体は、MEGA(Membrane Electrode&Gas Diffusion Layer Assembly)と称され、MEGAは、一対のセパレータにより挟持されている。ここで、MEGAが燃料電池の発電部であり、ガス拡散層がない場合には、膜電極接合体が燃料電池の発電部となる。

0003

例えば、このような燃料電池用セパレータとして、特許文献1には、以下に示すセパレータが提案されている。このセパレータは、クロムを含有する耐熱金属セラミックスとからなるサーメットで構成される基体と、基体のカソードガス対応面がカソードガスに接触しないように被覆された金属酸化物の保護膜とを含む。さらに、特許文献1には、この金属酸化物の一例として、酸化スズが例示されている。

先行技術

0004

特開平08−185870号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に係る燃料電池用セパレータによれば、金属酸化物の保護膜によりクロムのカソードへの拡散を抑制することにより、燃料電池の発電性能の低下を抑えることができると考えられる。また、酸化スズは比較的高い導電性を有するため、接触抵抗を低減することができると考えられる。しかしながら、金属酸化物の保護膜として酸化スズを基材上に成膜した場合、酸化スズ膜中に欠陥部(例えば酸化スズ膜が形成されていない凹部等)が生じる場合がある。酸化スズ膜の欠陥部では、ステンレス基材露出している等の理由により、腐食環境下において腐食が発生する可能性がある。特に、その欠陥部に固体電解質膜(例えばパーフルオロスルホン酸系ポリマー)等に由来するフッ化物イオンが接触すると、フッ化物イオンがステンレス基材に含まれるFe等の金属と錯体を形成し、基材中の金属が溶け出してしまう。Fe等の金属が溶出すると、孔食が発生する。また、溶出した金属の酸化物絶縁性)が酸化スズ膜の表面に付着し、その結果、セパレータの導電性が低下する。さらに、Fe等の金属が溶出すると、Feイオン等の金属イオン触媒となって過酸化水素が発生し(フェントン反応)、固体電解質膜が分解する可能性がある。固体電解質膜が分解すると、当然に燃料電池の発電性能が低下する。

0006

そこで、本開示は、酸化スズ膜を有するために低接触抵抗を有し、かつ優れた耐食性を有する燃料電池用セパレータを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本実施形態の態様例は、以下の通りである。

0008

(1)ステンレス基材を含む燃料電池用セパレータの製造方法であって、
ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程と、
少なくとも前記酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程と、
を含む、燃料電池用セパレータの製造方法。
(2)前記リン酸塩が、無機リン酸塩である、(1)に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
(3)前記無機リン酸が、オルトリン酸塩である、(2)に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
(4)前記付着工程が、前記酸化スズ膜が形成されたステンレス基材を前記リン酸又はリン酸塩を含む溶液に接触させる工程、及び前記接触後に、前記ステンレス基材を乾燥させる工程を含む、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
(5)前記形成工程の前に、真空条件下で前記ステンレス基材の表面に存在する不動態膜を除去する除去工程を含み、前記形成工程において、前記真空条件を維持したまま前記酸化スズ膜を形成する、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
(6)ステンレス基材と、前記ステンレス基材の表面に形成された酸化スズ膜と、を備え、
前記酸化スズ膜の欠陥部に、リン酸又はリン酸塩が付着している、燃料電池用セパレータ。
(7)(6)に記載の燃料電池用セパレータを備える燃料電池。
(8)固体電解質膜をさらに備える、(7)に記載の燃料電池。
(9)前記固体電解質膜がフッ素系電解質樹脂を含む、(8)に記載の燃料電池。

発明の効果

0009

本開示により、酸化スズ膜を有するために低接触抵抗を有し、かつ優れた耐食性を有する燃料電池用セパレータを提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

酸化スズ膜の欠陥部にて腐食が発生する流れを説明するための概略断面図である。
図1A続き、酸化スズ膜の欠陥部にて腐食が発生する流れを説明するための概略断面図である。
図1Bに続き、酸化スズ膜の欠陥部にて腐食が発生する流れを説明するための概略断面図である。
本実施形態に係る製造方法により、セパレータの耐食性が向上する理由を説明するための概略断面図である。
図2Aに続き、本実施形態に係る製造方法により、セパレータの耐食性が向上する理由を説明するための概略断面図である。
図2Bに続き、本実施形態に係る製造方法により、セパレータの耐食性が向上する理由を説明するための概略断面図である。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータを備えた燃料電池スタックの要部断面図である。
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの表面付近の拡大断面図である。
実施例1及び比較例1で作製した試験片E1及びC1について、接触抵抗試験を行った結果を示すグラフである。
実施例1及び比較例1で作製されたそれぞれの試験片E1及びC1並びにステンレス基材のSUS447板(試験片C2)について、フッ素イオンを含む強酸性溶液中での耐食性試験を行った結果を示すグラフである。
ステンレス基材のSUS447板について、各種試験物質を含む腐食液中での耐食性試験を行った結果を示すグラフである。

0011

酸化スズを基材上に成膜する場合、酸化スズ膜中に欠陥部が生じる場合がある。欠陥部は、例えば、酸化スズ膜が形成されていない凹部又は保護の観点からは不十分な膜厚となっている凹部等を含む。酸化スズ膜の形成に用いる材料や条件によっては、そのような欠陥部が多く生じる場合がある。酸化スズ膜の欠陥部では、ステンレス基材が露出している等の理由により、腐食環境下において腐食が発生する可能性がある。この腐食発生について、図1A図1Cを用いて以下の通り説明する。図1Aにおいて、ステンレス基材31の上に酸化スズ膜32が形成されており、酸化スズ膜32の一部に欠陥部33が発生している。次に、図1Bに示されるように、その欠陥部に固体電解質膜(例えばパーフルオロスルホン酸系ポリマー)等に由来するフッ化物イオンが接触すると、フッ化物イオンがステンレス基材に含まれるFe等の金属と錯体を形成し、基材中の金属が溶け出してしまう。そして、図1Cに示すように、Fe等の金属が溶出すると、孔食が発生する。また、溶出した金属の酸化物(絶縁性)が酸化スズ膜の表面に付着し、その結果、セパレータの導電性が低下する。さらに、Fe等の金属が溶出すると、Feイオン等の金属イオンが触媒となって過酸化水素が発生し(フェントン反応)、固体電解質膜が分解する可能性がある。固体電解質膜が分解すると、当然に燃料電池の発電性能が低下する。

0012

そこで、本実施形態は、ステンレス基材を含む燃料電池用セパレータの製造方法であって、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程と、少なくとも前記酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程と、を含む、燃料電池用セパレータの製造方法を提供する。

0013

本実施形態では、まず、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成した後、少なくとも酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる。リン酸又はリン酸塩を酸化スズ膜の欠陥部に付着させることにより、耐食性を向上させることができる。リン酸又はリン酸塩の付着により耐食性が向上する理由について図2A図2Cを用いて説明する。図2Aにおいて、ステンレス基材31の上に酸化スズ膜32が形成されており、酸化スズ膜32の一部に欠陥部33が発生している。次に、図2Bに示されるように、その欠陥部にフッ化物イオンが接触すると、フッ化物イオンがステンレス基材31に含まれるFe等の金属と錯体([Fe2+(F−)6]4−)を形成する。そして、その錯体は、基材表面に付着しているリン酸又はリン酸塩(例えば、リン酸三ナトリウム)と反応し、リン酸鉄等の皮膜34(例えばFe(PO)4)を形成する。その結果、少なくとも欠陥部に保護膜34が形成され、耐食性が向上することになる。なお、以上の理論は推測であり、該推測により本実施形態が制限されることはない。また、図2Cにおいては、欠陥部33のステンレス基材31上に保護膜34が形成された形態が示されているが、保護膜34は酸化スズ膜32上に形成されていてもよい。

0014

また、本明細書において、リン酸又はリン酸塩の付着とは、リン酸又はリン酸塩自身が基材又は酸化スズ膜の表面に物理的に吸着している場合や、リン酸又はリン酸塩が、解離したイオンの状態で表面に付着している場合も含み、リン酸又はリン酸塩が基材又は酸化スズ膜の表面に任意の形態で存在していることを意味する。また、リン酸又はリン酸塩或いはそれらのイオンが基材又は酸化スズ膜の表面に存在する官能基化学的結合を形成していてもよい。

0015

以下、本実施形態について、詳細に説明する。

0016

[形成工程]
本実施形態に係る燃料電池用セパレータの製造方法は、ステンレス基材の表面に酸化スズ膜を形成する形成工程を含む。

0017

本実施形態において、酸化スズ膜は、ステンレス基材の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、ガス拡散層とセパレータとの接触部分において耐食性が特に求められることから、ステンレス基材の表面のうち少なくともガス拡散層と接触する部分に、酸化スズ膜が形成されていることが好ましい。

0018

ステンレス基材に酸化スズ膜を形成する方法は、特に制限されるものではない。例えば、スパッタリング真空蒸着イオン化蒸着、又はイオンプレーティング等を利用した物理的蒸着法PVD)により成膜することができる。例えば、酸化スズ膜は、ステンレス基材の表面に、酸化スズ粒子を含む原料焼結して得られた焼結体ターゲットとして、プラズマ等を利用したスパッタリングにより成膜することができる。本実施形態において、欠陥部は、酸化スズ膜の形成に用いる材料や条件によって生じる場合がある。例えば、材料に含まれる不純物が多いと、欠陥部が生じる傾向がある。

0019

なお、スパッタリングにより酸化スズ膜を成膜する場合には、酸化スズ膜を成膜する際に、酸素ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下(減圧雰囲気下)においてスパッタリングを行うことができる。特に、不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下(減圧雰囲気下)で酸化スズ膜を成膜することが好ましい。

0020

酸化スズ膜の膜厚は、10〜300nmの範囲にあることが好ましい。酸化スズ膜の膜厚が10nm以上である場合、酸化スズ膜による効果を効果的に発現することができる。また、酸化スズ膜の膜厚が、300nm以下である場合、酸化スズ膜の内部応力を低下させることができ、酸化スズ膜のステンレス基材からの剥離を効果的に抑制することができる。

0021

酸化スズ膜は、アンチモン(Sb)を含有することが好ましい。アンチモンを含むことにより、酸化スズ膜は半導体となり得る。具体的には、酸化スズ膜は、アンチモンを0.2〜10原子%の濃度で含有する酸化スズであることが好ましい。このような酸化スズ膜は、酸化スズの結晶格子中の4価のスズのサイトに、5価のアンチモンが置換されているため、酸化スズ膜の内部のキャリア濃度が高くなり、酸化スズ膜の導電性(導電率)が向上する。これにより、酸化スズ膜が形成されたセパレータの接触抵抗を低減することができ、その結果、燃料電池スタックの内部抵抗を低減することができる。アンチモンの含有量が0.2原子%以上である場合、アンチモンの置換によるキャリア濃度を十分に上昇させることができるため、酸化スズ膜の導電性を効果的に向上することができる。また、アンチモンの含有量が10原子%以下の場合、過剰量のアンチモンによるキャリア移動阻害を抑制することができる。より好ましくは、酸化スズ膜は、アンチモンを0.5〜10原子%の濃度で含有する酸化スズである。

0022

ここで、アンチモンを0.2〜10原子%の濃度で含有する酸化スズを、CuKα線を用いたX線回折法で測定すると、ブラッグ角2θ=26.6°付近(具体的には、26.6°±0.5°の範囲)において、正方晶の酸化スズの(110)面に対する回折ピークが検出される。本実施形態では、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=26.6°付近の酸化スズ膜の酸化スズの(110)面に対する回折ピークの半値幅Wが、1°以下であることが好ましい。半値幅Wは、回折ピークの回折強度最大値Pの半分の値(P/2)における、回折ピークの幅である。本実施形態では、回折ピークの半値幅が、1°以下の条件を満たすことにより、酸化スズ膜を構成する酸化スズの結晶性が高まるため、酸化スズ膜の導電性を高めることができる。この結果、セパレータの接触抵抗をより一層低減させることができる。酸化スズの(110)面に対する回折ピークの半値幅が0.5°以下である場合、セパレータの接触抵抗をより一層低下させることができる。

0023

さらに、酸化スズ膜は、酸素欠損を有する酸化スズを含むことが好ましく、SnO2−X(0.1≦X≦0.4)で表される酸素欠損を有する酸化スズを含むことがより好ましい。酸素欠損を有する酸化スズにより、酸化スズ膜の内部のキャリア濃度が増加するため、酸化スズ膜の導電性が向上する。この結果、セパレータの接触抵抗が低下し、燃料電池スタックの内部抵抗を低減することができる。なお、酸素欠損を有する酸化スズとは、SnO2の正方晶の結晶構造に対して、一部酸素が存在しないものをいう。

0024

また、上述したXの範囲を満たす酸素欠損を有する酸化スズは、例えば、成膜時における酸素ガス分圧、スパッタリング時の印加電圧等を調整することにより得ることができる。

0025

酸化スズ膜は、スズ以外に、他の金属を含んでもよい。他の金属としては、例えば、ビスマス又はテルル等が挙げられる。他の金属の含有量は、導電性や耐食性等を考慮して、適宜調整することができる。

0026

なお、ステンレス基材中の金属元素濃度は、例えば、X線光電子分光分析装置(X−ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)を用いて、組成分析を行うことにより測定することができる。

0027

また、上記形成工程の前に、真空条件下でステンレス基材の表面に存在する不動態膜を除去する除去工程を含むことが好ましい。また、さらに、上記形成工程では、除去工程における真空条件を維持したまま酸化スズ膜を形成することが好ましい。ステンレス基材の表面に存在する不動態膜を除去した状態で酸化スズ膜を形成することにより、導電性をより効果的に向上することができる。

0028

[付着工程]
本実施形態は、上記形成工程の後に、少なくとも酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩を付着させる付着工程を含む。

0029

欠陥部へのリン酸又はリン酸塩の付着は、特に制限されるものではなく、一般的な方法により実施することができる。例えば、酸化スズ膜が形成されたステンレス基材を、リン酸又はリン酸塩を含む溶液(水溶液)に接触させ、その後、ステンレス基材を乾燥させることにより行うことができる。より具体的には、酸化スズ膜が形成されたステンレス基材をリン酸又はリン酸塩を含む溶液中に浸漬させる方法や、酸化スズ膜が形成されたステンレス基材にリン酸又はリン酸塩を含む溶液を噴霧する方法等が挙げられる。溶液中のリン酸又はリン酸塩の濃度は、0.005〜0.2Mであることが好ましく、0.01〜0.1Mであることがより好ましい。該濃度が0.005M以上である場合、リン酸又はリン酸塩の付着量が増加し、耐食性を効果的に向上することができる。また、該濃度が0.2M以下である場合、溶液のpHが高くなり過ぎることを防ぎ、酸化スズの溶解を抑制することができる。また、溶液との接触時間は、リン酸又はリン酸塩の濃度等を考慮して適宜調整することができる。溶媒は、特に制限されるものではないが、例えば水を用いることができる。溶液のpHは、特に制限されるものではなく、例えば、3〜9である。

0030

リン酸塩は、好ましくは無機リン酸塩である。無機リン酸塩の具体例としては、リン酸三ナトリウム(Na3PO4)、リン酸三カリウム(K3PO4)、リン酸一水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸二水素一ナトリウム(NaH2PO4)、リン酸一水素二カリウム(K2HPO4)、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)等が挙げられる。これらの無機塩水和物構造をしていてもよい。また、リン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。また、リン酸とリン酸塩とを組み合わせて用いてもよい。

0031

また、上記形成工程の後、酸化スズ膜の欠陥部に不動態膜が形成されない環境下において上記付着工程を行ってもよい。例えば、真空条件下でステンレス基材の表面に存在する不動態膜を除去する除去工程を行った後、除去工程における真空条件を維持したまま酸化スズ膜の形成工程を行う。そして、酸化スズ膜が形成されたステンレス基材を不動態膜が形成される環境に移動させることなく、不活性ガス環境下で付着工程を行う。不活性ガスとしては、例えば窒素アルゴン等を用いることができる。また、リン酸又はリン酸塩を含む溶液も、不活性ガス(例えば窒素又はアルゴン等)でバブリングしておくことにより、溶存酸素を減らしておくことが好ましい。

0032

以下、本実施形態に係る燃料電池の構成ついて図面を参照して説明する。以下では、一例として、燃料電池車等に搭載される燃料電池に本実施形態に係る燃料電池用セパレータを適用した場合を説明する。しかし、本実施形態がこのような例により制限されることはない。

0033

図3は、燃料電池スタック(燃料電池)10の要部を断面視した図である。図3に示すように、燃料電池スタック10には、基本単位であるセル単電池)1が複数積層されている。各セル1は、酸化剤ガス(例えば空気)と燃料ガス(例えば水素)との電気化学反応により起電力を発生する固体高分子型燃料電池である。セル1は、MEGA2と、MEGA2を区画するように、MEGA2に接触するセパレータ(燃料電池用セパレータ)3とを備えている。なお、本実施形態では、MEGA2は、一対のセパレータ3,3により、挟持されている。

0034

MEGA2は、膜電極接合体(MEA)4と、この両面に配置されたガス拡散層7、7とが、一体化されたものである。膜電極接合体4は、電解質膜5と、電解質膜5を挟むように接合された一対の電極6、6と、からなる。電解質膜5は、固体高分子材料で形成されたプロトン伝導性イオン交換膜からなる。電極6は、例えば、白金等の触媒を担持した多孔質カーボン素材により形成される。電解質膜5の一方側に配置された電極6がアノードとなり、他方側の電極6がカソードとなる。ガス拡散層7は、例えばカーボンペーパ若しくはカーボンクロス等のカーボン多孔質体、又は金属メッシュ若しくは発泡金属等の金属多孔質体等のガス透過性を有する導電性部材によって形成される。

0035

MEGA2は、燃料電池10の発電部であり、セパレータ3は、MEGA2のガス拡散層7に接触している。また、ガス拡散層7が存在しない場合には、膜電極接合体4が発電部であり、この場合には、セパレータ3は、膜電極接合体4に接触している。したがって、燃料電池10の発電部は、膜電極接合体4を含むものであり、セパレータ3に接触する。

0036

セパレータ3は、導電性やガス不透過性等に優れた金属を基材とする板状の部材である。セパレータ3の一方の面がMEGA2のガス拡散層7と当接し、他方の面が隣接する他のセパレータ3と当接している。

0037

各セパレータ3は、波形に形成されている。セパレータ3の形状は、波の形状が等脚台形をなし、かつ波の頂部が平坦で、この頂部の両端が等しい角度をなして角張っている。つまり、各セパレータ3は、表側から見ても裏側から見ても、ほぼ同じ形状である。MEGA2の一方のガス拡散層7には、セパレータ3の頂部が面接触し、MEGA2の他方のガス拡散層7には、セパレータ3の頂部が面接触している。

0038

一方の電極(すなわちアノード)6側のガス拡散層7とセパレータ3との間に画成されるガス流路21は、燃料ガスが流通する流路であり、他方の電極(すなわちカソード)6側のガス拡散層7とセパレータ3との間に画成されるガス流路22は、酸化剤ガスが流通する流路である。セル1を介して対向する一方のガス流路21に燃料ガスが供給され、ガス流路22に酸化剤ガスが供給されると、セル1内で電気化学反応が生じて起電力が生じる。

0039

さらに、あるセル1と、それに隣接するもう一つのセル1とは、アノードとなる電極6とカソードとなる電極6とを向き合わせて配置されている。また、あるセル1のアノードとなる電極6に沿って配置されたセパレータ3の背面側の頂部と、もうひとつのセル1のカソードとなる電極6に沿って配置されたセパレータ3の背面側の頂部とが、面接触している。隣接する2つのセル1間で面接触するセパレータ3,3の間に画成される空間23には、セル1を冷却する冷媒としての水が流通する。

0040

図4に示すように、セパレータ3は、ステンレス基材31を含む。ステンレス基材の材料としては、ステンレス鋼が挙げられる。さらに、セパレータ3の両面(すなわち、ガス拡散層7に接触する側の表面及び隣接するセパレータ3に接触する側の表面)には、酸化スズ膜32が被覆されている。

0041

本実施形態において、少なくとも酸化スズ膜の欠陥部にリン酸又はリン酸塩が付着している。上述した通り、リン酸又はリン酸塩が酸化スズ膜の欠陥部に付着していることにより、セパレータの耐食性を向上させることができる。リン酸又はリン酸塩の有無は、例えば、セパレータ表面に存在するリン酸又はリン酸塩を水等の溶媒で溶解し、得られた溶液を分析することによって確認することができる。

0042

また、燃料電池において、上述のように、フッ化物イオンは、パーフルオロスルホン酸系ポリマーのようなフッ素系電解質樹脂から発生し易い。そのため、燃料電池がフッ素系電解質樹脂を含む固体電解質膜を用いる場合、本実施形態の燃料電池用セパレータが特に有用となる。フッ素系電解質樹脂としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系ポリマー等が挙げられ、具体的には、ナフィオン商品名、デュポン社製)、フレミオン(商品名、旭硝子社製)、アシプレクス(商品名、旭化成社製)等を挙げることができる。これらのなかでも、プロトン導電性に優れるため、ナフィオン(商品名、デュポン社製)を好適に用いることができる。

0043

以下に、本実施形態を実施例により説明する。なお、本実施形態は、以下の実施例により制限されるものではない。

0044

[実施例1]
以下に記載の方法に従って、セパレータに相当する試験片を作製した。まず、セパレータのステンレス基材として、厚さ0.1mmのSUS447板を用意した。次に、ステンレス基材を真空容器内に設置し、真空条件下でアルゴンガスを真空容器内に導入し、電圧印加してアルゴンイオンを発生させ、このアルゴンイオンでステンレス基材の表面の酸化皮膜を除去した。

0045

次に、真空容器中に、ターゲットとして、酸化スズ粒子と酸化アンチモン粒子とを混合して焼結した焼結体を配置した。この焼結体をターゲットとして、スパッタリングにより、ステンレス基材の表面に、酸化スズ膜を形成した。具体的には、まず、ターゲットに対向する位置にステンレス基材を配置し、真空容器を排気し、真空雰囲気下(減圧雰囲気下)とした。次に、スパッタリングガスとして、アルゴンガスを真空容器内に導入し、ステンレス基材を450℃に加熱した状態で、電圧を印加してアルゴンイオンをターゲットに衝突させることにより、ターゲットの材料をステンレス基材の上に堆積させた。なお、ターゲットとステンレス基材との間には、バイアス電圧が印加されている。このようにして、ステンレス基材の表面に厚さ100nmのSbドープ酸化スズ膜を成膜した。なお、酸化スズ膜に含有されるアンチモンの含有量をX線光分光装置を用いて測定したところ、3.0原子%であった。

0046

次に、酸化スズ膜を形成したステンレス基材を、0.1Mのリン酸三ナトリウム水溶液に室温で30秒間浸漬させ、その後乾燥させ、セパレータとしての試験片E1を得た。

0047

[比較例1]
リン酸三ナトリウム水溶液を用いた浸漬処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして試験片C1を作製した。

0048

<接触抵抗試験>
実施例1及び比較例1で作製されたそれぞれの試験片E1及びC1に対して、フッ素イオンを含む強酸性溶液中での耐食性試験を行い、以下の方法により接触抵抗を測定した。各試験片の酸化スズ膜の表面に、燃料電池の発電部の拡散層に相当するカーボンペーパ(東レ(株)TGP−H120、厚さ0.5mm)を載せ、その上に金めっきした銅板を重ね、試験片と銅板との間にカーボンペーパを挟み込んだ。なお、酸化スズ膜とカーボンペーパとの接触抵抗のみを測定するために、試験片の他方の面(成膜していない面)にも金めっきした銅板を接触させ、これによりこれらの部材間の接触抵抗が発生しないようにした。次に、測定治具により、試験片の表面に一定荷重(0.98MPa)の圧力を付与した。この状態で、試験片に流れる電流が一定となるように電流計により調整しながら、電源から電流を流した。試験片に印加される電圧を電圧計で測定し、試験片の酸化スズ膜とカーボンペーパとの接触抵抗を算出した。結果を図5に示す。

0049

図5に示される通り、60分後の腐食時間において、リン酸三ナトリウム水溶液の浸漬処理を施した試験片E1の接触抵抗は、浸漬処理なしの試験片C1の接触抵抗に対して約半分の値であり、試験片E1の接触抵抗の悪化率は、試験片C1の接触抵抗の悪化率に比べて約1/3に減少した。

0050

<フッ素イオンを含む強酸性溶液中での耐食性試験>
実施例1及び比較例1で作製されたそれぞれの試験片E1及びC1並びにステンレス基材のSUS447板(試験片C2)について、以下の方法により、フッ素イオンを含む強酸性溶液中での耐食性試験を行い、それらの耐食性を一般的なアノード分極試験(3極法)により調べた。まず、硫酸(pH2)にNaFを添加して、フッ素イオン含有強酸性溶液を調製した。次いで、この強酸性溶液を容器内に満たし、電気的に相互に接続した上記試験片と参照電極(Ag/AgCl電極)及び対極Pt電極)とを配置した。次いで、この溶液中における自然浸漬電位からプラス側へ電位を一定の掃引速度(20〜40mV/分)で上昇させてアノード分極試験を行った。なお、この試験中、硫酸溶液は80℃に保ち、容器に配置した気泡管から溶液中に空気を導入し続けた。このアノード分極試験において測定された電位と電流密度との関係を図6に示す。横軸は参照電極に対する電位であり、縦軸は電流密度である。

0051

図6に示されるように、リン酸三ナトリウム水溶液の浸漬処理を施した試験片E1が最も高い耐食性を示した。

0052

[参考例]
リン酸三ナトリウム以外の物質腐食抑制効果があるか否かを調べるため、腐食液(上記フッ素イオン含有強酸性溶液)に各種試験物質を添加し、SUS447板について耐食性試験を行った。添加した試験物質としては、リン酸三ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム(Na2O3Si)、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4)、又はモリブテン酸ナトリウム(Na2MO4)を用いた。添加濃度は、それぞれ1mMとした。具体的には、以下の方法により試験を行った。

0053

<試験物質を含む腐食液中での耐食性試験>
ステンレス基材のSUS447板について、以下の方法により、試験物質及びフッ素イオンを含む強酸性溶液下での耐食性試験を行った。まず、硫酸(pH2)にNaF並びに1mMの試験物質(リン酸三ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、又はモリブテン酸ナトリウム)を添加して、フッ素イオン含有強酸性溶液を調製した。次いで、この強酸性溶液を容器内に満たし、電気的に相互に接続した上記ステンレス基材と参照電極(Ag/AgCl電極)及び対極(Pt電極)とを配置した。次いで、この溶液中における自然浸漬電位からプラス側へ電位を一定の掃引速度(20〜40mV/分)で上昇させてアノード分極試験を行った。なお、この試験中、硫酸溶液は80℃に保ち、容器に配置した気泡管から溶液中に空気を導入し続けた。このアノード分極試験において測定された電位と電流密度との関係を図7に示す。横軸は参照電極に対する電位であり、縦軸は電流密度である。

0054

当該試験系において、もし他の試験物質もリン酸三ナトリウムと同様にステンレス基材の腐食抑制効果を奏する場合は、リン酸三ナトリウムと同程度に腐食電流が小さくなると考えられる。しかしながら、図7に示されるように、リン酸三ナトリウムに比べ、他の試験物質(メタケイ酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム、及びモリブテン酸ナトリウム)では腐食電流は大きかった。

実施例

0055

以上、本実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。

0056

1セル
2 MEGA(発電部)
3セパレータ(燃料電池用セパレータ)
4膜電極接合体(MEA)
6電極
7ガス拡散層
10燃料電池スタック(燃料電池)
21ガス流路
22 ガス流路
31ステンレス基材
32酸化スズ膜
33欠陥部
34皮膜(保護膜)

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