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技術 レーダ装置、レーダシステム

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 赤峰幸徳田中咲北山晃黒田浩司
出願日 2018年6月28日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-122861
公開日 2020年1月9日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-003334
状態 未査定
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード スペクトル強度値 空間平均値 代替センサ 線形遷移 データ形状 空間誤差 FFT処理回路 線形補間値
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重要な関連分野

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図面 (12)

課題

電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上できる技術を提供する。

解決手段

レーダ装置1は、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナ6と、複数の受信回路を含む受信アナログ回路7と、デジタル回路デジタル部3)と、アレーアンテナ6および受信アナログ回路7で生じる誤差に関する校正のための、設定された複数の校正データ14が格納されたメモリ12とを備える。デジタル回路は、受信アナログ回路7を経由した受信信号SRのデジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向を概算して抽出し、抽出した電波到来方向に応じて、複数の校正データ14から校正データを選択し、選択した校正データを用いて、デジタル信号に対する校正処理を行い、校正処理後の信号に基づいて、角度を計算する処理を行う。

概要

背景

ミリ波レーダ等のレーダ装置では、レーダ装置からみた対象物物標等と呼ばれる)の方位またはその方位を表す角度を検知する機能を持つ場合がある。その場合のレーダ装置は、複数の受信アンテナで構成されるアレーアンテナを備える。そのレーダ装置は、アレーアンテナの受信信号に基づいて、公知の超分解能処理等の処理を行うことで、物標の方位を計算して得ることができる。なお、ミリ波レーダとは、使用する電波波長が1cm未満(すなわちミリ単位)である場合で、電波周波数では30〜300GHz程度である場合を指す。

レーダ装置の用途として、例えば車両の自動運転が挙げられる。この用途では、自車両からみた他車両等の物標の位置や方位の計測に関して、様々な想定シーンが考えられる。その1つに、高速道路渋滞末尾での衝突防止が挙げられる。例えば時速100km/hでの走行では、制御時間や停止距離等を考慮すると、渋滞末尾からの150m以上手前の位置で、前方のどの車線に車両が停車しているか等の状態を認識する必要がある。ここで、自車両からの距離150mでみて、自車線と隣接車線停車車両との間の角度は、約1度未満である。すなわち、この場合、角度の分解能として、1度未満が要求される。このような距離150m先の物標の認識については、従来のカメラレーザーレーダ(LiDAR:Light Detection and Ranging,Laser Imaging Detection and Ranging:光検知および測距)では十分な角度の分解能が得られない。

そのため、代替センサとして、ミリ波サブミリ波等の電波を用いたレーダ装置が有用である。ただし、このレーダ装置の場合、角度で1度未満の高い分解能を実現する必要がある。レーダ装置でこの高い分解能を得るためには、信号処理技術として、公知のMUSIC(Multiple Signal Classification)法やESRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法を代表とする超分解能方式を用いる必要がある。

超分解能方式では、アレーアンテナが用いられる。このアレーアンテナの複数の各々の受信アンテナ間、およびアレーアンテナに接続される受信アナログ回路の各々の受信回路間では、各種の誤差が生じる場合がある。この誤差としては、振幅位相の誤差、アンテナ間の干渉や相互カップリングアンテナ間隔設計値からの誤差(空間誤差)等が挙げられる。このような誤差がある場合、角度の分解能が極端劣化する場合がある。高い分解能を維持または実現するためには、対策技術の1つとして、これらの誤差に対する校正を行う技術が挙げられる。

校正の方式として、例えば非特許文献1では、校正行列を用いる方式が提案されている。この方式の場合、校正行列を用いて、振幅や位相の誤差、相互カップリング等の誤差を校正する。また、特許文献1には、誤差モデル行列(校正行列に相当する)を用いる方式が記載されている。特許文献1では、複数の既知波源推定方向との差の絶対値の和の最小化によって単一の誤差モデル行列を決定している。

他の方式として、特許文献2が挙げられる。特許文献2では、位相補正によって受信アンテナ毎に位相を揃えた上で、空間FFTによって電波到来方向を算出する(FFT:高速フーリエ変換)。特許文献2では、位相誤差補正に関する技術例が記載されている。この方式の場合の位相補正は、基準となる方位に位相を合わせるビームフォーミングに相当し、アンテナ間の干渉やアンテナ間隔に関する誤差を補正するものではない。また、この方式は、角度計算のための超分解能処理を目的とするものではない。

概要

電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上できる技術を提供する。レーダ装置1は、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナ6と、複数の受信回路を含む受信アナログ回路7と、デジタル回路デジタル部3)と、アレーアンテナ6および受信アナログ回路7で生じる誤差に関する校正のための、設定された複数の校正データ14が格納されたメモリ12とを備える。デジタル回路は、受信アナログ回路7を経由した受信信号SRのデジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向を概算して抽出し、抽出した電波到来方向に応じて、複数の校正データ14から校正データを選択し、選択した校正データを用いて、デジタル信号に対する校正処理を行い、校正処理後の信号に基づいて、角度を計算する処理を行う。

目的

本発明の目的は、アレーアンテナを備えるレーダ装置の技術に関して、電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上することができる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

物標方位を表す角度を検知する機能を持つレーダ装置であって、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナと、前記アレーアンテナの前記複数の受信アンテナに接続された複数の受信回路を含む受信アナログ回路と、前記受信アナログ回路に接続されたデジタル回路と、前記アレーアンテナおよび前記受信アナログ回路で生じる誤差に関する校正のための、設定された複数の校正データが格納されたメモリと、を備え、前記デジタル回路は、前記受信アナログ回路を経由した受信信号デジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向概算して抽出し、前記抽出した電波到来方向に応じて、前記複数の校正データから校正データを選択し、前記選択した校正データを用いて、前記受信信号のデジタル信号に対する校正処理を行い、前記校正処理後の信号に基づいて、前記角度を計算する処理を行う、レーダ装置。

請求項2

請求項1記載のレーダ装置において、前記複数の校正データは、予め想定された複数の電波到来方向における電波到来方向毎の校正行列を含む、レーダ装置。

請求項3

請求項1記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記校正処理後の信号に基づいて、空間平均波数推定処理を行い、処理後の信号に基づいて、前記角度を計算する処理として、超分解能処理を行う、レーダ装置。

請求項4

請求項1記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記抽出した電波到来方向に基づいて、前記デジタル信号に対しフィルタ処理を行って、一部に限定された範囲の信号を抽出し、前記選択した校正データを用いて、前記範囲の信号に対する前記校正処理を行い、前記校正処理後の前記範囲の信号に対し、前記角度を計算する処理として、超分解能処理を行う、レーダ装置。

請求項5

請求項4記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記デジタルビームフォーミング処理として、空間FFT処理を行い、前記フィルタ処理後の信号に対し、空間逆FFT処理を行う、レーダ装置。

請求項6

請求項4記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記フィルタ処理の際に、対象距離または信号対雑音比の少なくとも一方に対応させた閾値を用いて、前記範囲の信号を抽出する、レーダ装置。

請求項7

請求項1記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記抽出した電波到来方向毎に、前記校正データの選択、前記校正処理、および前記角度を計算する処理を繰り返す、レーダ装置。

請求項8

請求項2記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、スイッチを含む選択回路を有し、前記選択回路は、前記抽出した電波到来方向の値に応じて、前記メモリの前記複数の校正データから、前記校正データを選択して、前記校正処理に適用するように切り替える、レーダ装置。

請求項9

請求項1記載のレーダ装置において、前記デジタル回路は、前記抽出した電波到来方向の値に応じて、前記メモリの前記複数の校正データから、1つ以上の校正データを選択し、前記選択した1つ以上の校正データの値に対する補間処理によって校正データを生成し、前記生成した校正データを前記校正処理に適用する、レーダ装置。

請求項10

物標の方位を表す角度を検知する機能を持つレーダ装置であって、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナと、前記アレーアンテナの前記複数の受信アンテナに接続された複数の受信回路を含む受信アナログ回路と、前記受信アナログ回路に接続されたデジタル回路と、を備え、前記デジタル回路は、前記アレーアンテナおよび前記受信アナログ回路で生じる誤差に関する校正のための、複数の校正データに対応した複数の校正処理回路を有し、前記受信アナログ回路を経由した受信信号のデジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向を概算して抽出し、前記抽出した電波到来方向に応じて、前記複数の校正処理回路から校正処理回路を選択し、前記選択した校正処理回路を用いて、前記受信信号のデジタル信号に対する校正処理を行い、前記校正処理後の信号に基づいて、前記角度を計算する処理を行う、レーダ装置。

請求項11

請求項1記載のレーダ装置において、前記誤差は、前記複数の受信アンテナおよび前記複数の受信回路における、信号の振幅および位相の誤差と、相互カップリングと、アンテナ間隔に関する空間誤差と、を含む、レーダ装置。

請求項12

物標の方位を表す角度を検知する機能を持つレーダ装置と、前記レーダ装置を搭載した移動体と、を含むレーダシステムであって、前記レーダ装置は、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナと、前記アレーアンテナの前記複数の受信アンテナに接続された複数の受信回路を含む受信アナログ回路と、前記受信アナログ回路に接続されたデジタル回路と、前記アレーアンテナおよび前記受信アナログ回路で生じる誤差に関する校正のための、設定された複数の校正データが格納されたメモリと、を備え、前記デジタル回路は、前記受信アナログ回路を経由した受信信号のデジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向を概算して抽出し、前記抽出した電波到来方向に応じて、前記複数の校正データから校正データを選択し、前記選択した校正データを用いて、前記受信信号のデジタル信号に対する校正処理を行い、前記校正処理後の信号に基づいて、前記角度を計算する処理を行い、前記移動体は、前記角度を含む前記レーダ装置の出力情報を用いて、前記移動体の制御を行う、レーダシステム。

技術分野

0001

本発明は、レーダ装置等の技術に関する。また、本発明は、レーダ装置において複数の受信アンテナで構成されるアレーアンテナを用いて対象物方位またはその方位を表す角度等を検知する技術に関する。

背景技術

0002

ミリ波レーダ等のレーダ装置では、レーダ装置からみた対象物(物標等と呼ばれる)の方位またはその方位を表す角度を検知する機能を持つ場合がある。その場合のレーダ装置は、複数の受信アンテナで構成されるアレーアンテナを備える。そのレーダ装置は、アレーアンテナの受信信号に基づいて、公知の超分解能処理等の処理を行うことで、物標の方位を計算して得ることができる。なお、ミリ波レーダとは、使用する電波波長が1cm未満(すなわちミリ単位)である場合で、電波周波数では30〜300GHz程度である場合を指す。

0003

レーダ装置の用途として、例えば車両の自動運転が挙げられる。この用途では、自車両からみた他車両等の物標の位置や方位の計測に関して、様々な想定シーンが考えられる。その1つに、高速道路渋滞末尾での衝突防止が挙げられる。例えば時速100km/hでの走行では、制御時間や停止距離等を考慮すると、渋滞末尾からの150m以上手前の位置で、前方のどの車線に車両が停車しているか等の状態を認識する必要がある。ここで、自車両からの距離150mでみて、自車線と隣接車線停車車両との間の角度は、約1度未満である。すなわち、この場合、角度の分解能として、1度未満が要求される。このような距離150m先の物標の認識については、従来のカメラレーザーレーダ(LiDAR:Light Detection and Ranging,Laser Imaging Detection and Ranging:光検知および測距)では十分な角度の分解能が得られない。

0004

そのため、代替センサとして、ミリ波サブミリ波等の電波を用いたレーダ装置が有用である。ただし、このレーダ装置の場合、角度で1度未満の高い分解能を実現する必要がある。レーダ装置でこの高い分解能を得るためには、信号処理技術として、公知のMUSIC(Multiple Signal Classification)法やESRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法を代表とする超分解能方式を用いる必要がある。

0005

超分解能方式では、アレーアンテナが用いられる。このアレーアンテナの複数の各々の受信アンテナ間、およびアレーアンテナに接続される受信アナログ回路の各々の受信回路間では、各種の誤差が生じる場合がある。この誤差としては、振幅位相の誤差、アンテナ間の干渉や相互カップリングアンテナ間隔設計値からの誤差(空間誤差)等が挙げられる。このような誤差がある場合、角度の分解能が極端劣化する場合がある。高い分解能を維持または実現するためには、対策技術の1つとして、これらの誤差に対する校正を行う技術が挙げられる。

0006

校正の方式として、例えば非特許文献1では、校正行列を用いる方式が提案されている。この方式の場合、校正行列を用いて、振幅や位相の誤差、相互カップリング等の誤差を校正する。また、特許文献1には、誤差モデル行列(校正行列に相当する)を用いる方式が記載されている。特許文献1では、複数の既知波源推定方向との差の絶対値の和の最小化によって単一の誤差モデル行列を決定している。

0007

他の方式として、特許文献2が挙げられる。特許文献2では、位相補正によって受信アンテナ毎に位相を揃えた上で、空間FFTによって電波到来方向を算出する(FFT:高速フーリエ変換)。特許文献2では、位相誤差補正に関する技術例が記載されている。この方式の場合の位相補正は、基準となる方位に位相を合わせるビームフォーミングに相当し、アンテナ間の干渉やアンテナ間隔に関する誤差を補正するものではない。また、この方式は、角度計算のための超分解能処理を目的とするものではない。

0008

特開2015−152335号公報
特開2008−304417号公報

先行技術

0009

山田喜,“高分解能到来方向推定のためのアレーキャリブレーション手法”,電子情報通信学会論文誌B2009,Vol.J92−B No.9,pp.1308−1321.

発明が解決しようとする課題

0010

アレーアンテナを用いて方位を表す角度の検知のための超分解能処理を行う方式のレーダ装置では、アレーアンテナおよび受信アナログ回路で、物標からの電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合がある。その場合、単一の校正行列を用いた校正方式では、校正が十分にできず、角度の分解能を維持または向上することはできない。

0011

本発明の目的は、アレーアンテナを備えるレーダ装置の技術に関して、電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上することができる技術を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明のうち代表的な実施の形態は、レーダ装置等であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。一実施の形態のレーダ装置は、物標の方位を表す角度を検知する機能を持つレーダ装置であって、複数の受信アンテナを含むアレーアンテナと、前記アレーアンテナの前記複数の受信アンテナに接続された複数の受信回路を含む受信アナログ回路と、前記受信アナログ回路に接続されたデジタル回路と、前記アレーアンテナおよび前記受信アナログ回路で生じる誤差に関する校正のための、設定された複数の校正データが格納されたメモリと、を備え、前記デジタル回路は、前記受信アナログ回路を経由した受信信号のデジタル信号に対し、デジタルビームフォーミング処理によって、物標からの電波到来方向を概算して抽出し、前記抽出した電波到来方向に応じて、前記複数の校正データから校正データを選択し、前記選択した校正データを用いて、前記受信信号のデジタル信号に対する校正処理を行い、前記校正処理後の信号に基づいて、前記角度を計算する処理を行う。

発明の効果

0013

本発明のうち代表的な実施の形態によれば、アレーアンテナを備えるレーダ装置の技術に関して、電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上することができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施の形態のレーダ装置の構成を示す図である。
実施の形態のレーダ装置における、主にアナログ部の構成を示す図である。
実施の形態のレーダ装置における、主にデジタル部の構成を示す図である。を示す図である。
実施の形態および比較例の構成における、アレーアンテナへの電波到来方向や、誤差等について模式的に示す図である。
実施の形態および比較例の構成における、単一の校正行列を用いた校正処理を示す図である。
実施の形態および比較例の構成における、各方式での、到来方向に対するスペクトルを示すイメージ図である。
到来方向に対する空間FFTスペクトルおよび掃引範囲を示す図である。
空間フィルタ後の空間FFTスペクトル(掃引範囲A)と校正後のスペクトルを示す図である。
空間フィルタ後の空間FFTスペクトル(掃引範囲B)と校正後のペクトルを示す図である。
実施の形態の変形例のレーダ装置における、補間処理で校正行列を生成する場合の概要を示す図である。
実施の形態の変形例のレーダ装置における、デジタル部の構成を示す図である。

実施例

0015

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。

0016

[課題等]
課題等について補足説明する。アレーアンテナを用いて角度検知のための超分解能処理を行う方式のレーダ装置の場合、アレーアンテナおよび受信アナログ回路で生じる誤差による分解能の劣化の課題がある。対策技術として、その誤差に関する校正を行う技術が挙げられる。例えば、レーダ装置のアレーアンテナの受信アナログ回路と、超分解能処理回路との間にある信号処理回路で、各受信アンテナの各受信信号を含むデジタル信号に対し、誤差に関する校正行列を用いて校正処理を行う。これにより、校正後の信号を用いて超分解能処理を行うことで、角度の分解能を維持または向上できると期待される。

0017

ただし、上記校正を行う場合、アレーアンテナおよび受信アナログ回路で生じる各種の誤差、例えばアンテナ間隔の設計値からの誤差については、受信アンテナに対する物標からの電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合がある。そのため、従来技術例として、単一の校正行列を用いた校正方式のレーダ装置では、電波到来方向に応じて異なる誤差に対しては、校正が十分にできない。

0018

言い換えると、上記電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合、その異なる誤差に応じて、必要で最適な校正内容は異なり、対応する校正行列が異なる。従来技術例のレーダ装置では、単一の校正行列を用いるので、電波到来方向に応じて異なる誤差に対して、それぞれの校正行列を用いて校正を行うことは考慮されていない。

0019

特許文献1の例のように、単一の校正行列を用いた校正方式では、その単一の校正行列が、ある電波到来方向への依存が強い場合、その単一の校正行列を用いた校正処理の結果では、校正が十分にできない可能性がある。すなわち、電波到来方向によっては、誤差がほとんど解消されない、あるいは結果として誤差が大きくなる等の可能性があり、角度の分解能の劣化が生じる可能性が考えられる。

0020

また、非特許文献1の例のように、信号処理回路部で校正を行う方式では、電波到来方向に応じて誤差が変化する場合、単一の校正行列による校正では、十分な対応が困難である。すなわち、受信信号の校正結果および超分解能処理結果等においても、誤差を内在したままとなる。その結果、レーダ装置の出力情報である、距離、速度、および角度等において、特に角度の精度や分解能が低下してしまうことになる。

0021

本発明者は、実験や検討の結果、アレーアンテナに関して、物標からの電波到来方向に応じて異なる誤差が生じ得ること、および異なる誤差に応じて必要または有効な校正が異なり得ること等を見出した。また、本発明者は、方位を表す角度を高精度に計算するための超分解能処理の際に、従来技術例のような単一の校正行列を用いた校正方式の場合、十分な校正ができないこと等を見出した。

0022

具体的には、比較例のレーダ装置では、以下のような構成であり、対応する課題がある。比較例のレーダ装置では、アレーアンテナおよび受信アナログ回路で生じた誤差を含む受信信号に対し、超分解能処理の前に、超分解能処理のために必要な空間平均波数推定処理が行われる。比較例のレーダ装置は、その空間平均/波数推定処理の結果の信号に対し、単一の校正行列を用いて校正処理を行う。比較例のレーダ装置は、その校正処理結果の信号に対し、超分解能処理を行って角度を計算する。この比較例では、受信信号における既に誤差を含んでいる情報、例えば空間平均/波数推定処理の結果に対し、校正処理を施している。空間平均/波数推定処理の結果には、誤差が内在している。そのため、その誤差を含む情報に対して校正処理を行っても、誤差が解消できていない可能性がある。その校正処理後の信号に対し超分解能処理を行っても、電波到来方向に依存して、角度の分解能の劣化が生じている可能性がある。

0023

(実施の形態)
図1図11を用いて、本発明の実施の形態のレーダ装置等について説明する。本発明者は、実施の形態のレーダ装置では、電波到来方向に応じて異なる誤差に対処できるように、電波到来方向に応じて複数の校正行列から好適な校正行列を選択して適用する仕組みを工夫した。実施の形態のレーダ装置は、アレーアンテナに接続された受信アナログ回路と超分解能処理回路との間にある信号処理回路部で、受信信号のデジタル信号に対し、複数の校正データから選択した校正データを用いて校正処理を行う。複数の校正データは、予め想定された電波到来方向毎の校正行列を含むデータである。

0024

そのために、実施の形態のレーダ装置は、受信信号から、デジタルビームフォーミング処理によって、電波到来方向を概算として推定して情報を抽出する。レーダ装置は、その推定、抽出した電波到来方向に応じて、複数の校正行列から校正行列を選択して、校正処理に適用する。校正処理後の信号は、電波到来方向に応じて異なる誤差が解消または低減された信号となる。レーダ装置は、校正処理後の信号に対し、空間平均/波数推定処理、および超分解能処理を行って角度を計算する(図3等)。なお、分解能とは、物標の方位を表す角度に関する、検知、計算、分離等の際の分解能や精度を指している。詳しくは、本発明では、角度の分解能として、1度未満の高い分解能を目標とする。

0025

[(1)レーダ装置]
図1は、実施の形態のレーダ装置1を含む、レーダシステムの構成を示す。レーダ装置1は、車両22に搭載されている。レーダシステムは、レーダ装置1と、レーダ装置1を搭載した車両22、またはそのエンジン制御部等を含む車載システムとから構成されている。

0026

レーダ装置1は、アレーアンテナ6を含むアナログ部2と、アナログ部2と接続されたデジタル部3と、メモリ12と、スイッチ13とを含む。アナログ部2は、アナログ回路であり、送信アンテナおよび送信アナログ回路4と、アレーアンテナ6と、受信アナログ回路7とを含む。アレーアンテナ6は、複数の受信アンテナから構成される。受信アナログ回路7は、アレーアンテナ6の複数の各受信アンテナのライン毎に接続されている複数の各受信回路を含む。

0027

デジタル部3は、デジタル回路であり、測距部8と、方位計算部9とを含む。測距部8は、物標21の距離を測定するための部分であり、FFT処理を行う回路を含む。方位計算部9は、方位(方位を表す角度)を計算する部分であり、校正部10と、超分解能処理部11とを含む。校正部10は、校正処理を行う回路を含む。超分解能処理部11は、超分解能処理を行う回路を含む。

0028

メモリ12には、複数の校正データ14が格納、設定されている。複数の校正データ14は、到来方向毎の校正データである。複数の各々の校正データは、少なくとも校正行列を含む。校正データは、校正行列だけでなく、校正処理に用いる他の情報を含む場合がある。スイッチ13は、複数の校正データ14から校正データを選択して校正処理(校正部10)への適用を切り替えるための要素である。

0029

デジタル部3の送信部5は、検知用の電波(送信波)を送信する際の送信処理を行う。送信部5の処理に基づいて、送信アンテナおよび送信アナログ回路4では送信信号が生成され、送信信号に基づいて送信アンテナから送信波が出力される。送信波は、物標21に当たった場合には反射波の一部が到来波として戻ってくる。アレーアンテナ6は、その到来波を受信する。アレーアンテナ6の各受信アンテナで受信した信号は、受信アナログ回路7を通じて処理されてデジタル信号となり、受信信号SRとしてデジタル部3に入力される。測距部8は、受信信号SRに基づいて、物標21の距離や速度を測定する。方位計算部9は、受信信号SRに基づいて、物標21の方位を表す角度を計算する。デジタル部3からは、レーダ装置情報SOUTとして、物標21の距離、速度、方位(角度)を含む情報が出力される。

0030

レーダシステムにおいて、例えば車両22の前部の所定の位置に、車両進行に向くようにして、レーダ装置1が設置されている。このレーダシステムは、レーダ装置1によって、車両22の前方を含む周囲にある物標21の距離、速度、および方位(角度)を検知する。レーダ装置1は、検知した物標の距離、速度、および方位(角度)を含むレーダ出力情報SOUTを出力する。車両22における例えばエンジン制御部(ECU)は、レーダ装置1のレーダ出力情報SOUTを用いて、車両22の制御を行う。例えば、エンジン制御部は、衝突防止制御を行う。エンジン制御部は、車両22の前方の位置、例えば150m先の位置で、どの角度の位置に車両が存在するか等の状態を判断する。その際、角度の分解能として、1度未満が実現される。エンジン制御部は、例えば、走行中に車線上の150m先の位置に他車両が停止している場合に、衝突防止のためのブレーキ制御等を行う。

0031

[(2)アナログ部]
図2は、主にアナログ部2の構成を示す。送信アンテナおよび送信アナログ回路4は、シンセサイザ41、アンプ42、送信アンテナ43等を有する。送信信号STとしては、シンセサイザ41を用いて生成されるチャープ信号がよく用いられる。チャープ信号は、周波数を時間で線形遷移させた信号である。送信信号STは、アンプ42を通じて増幅されて、送信アンテナ43から送信波201として送信される。送信波201は、物標21で反射された反射波の一部が、受信波(到来波)202として戻ってきて、アレーアンテナ6で受信される。

0032

アレーアンテナ6は、複数(mとする)の各々の受信アンテナとして、受信アンテナ61〜6mを有する。各受信アンテナ(受信アンテナ61〜6m)で受信した信号は、受信アナログ回路7の複数(m)の各ラインの受信回路に入力されて処理され、処理された各信号を含む受信信号SRがデジタル部3へ入力される。受信アナログ回路7内の複数(m)の受信回路のラインでも、回路の特性や実装等に応じた誤差が生じる場合がある。その誤差も校正対象となる。

0033

受信アナログ回路7は、受信アンテナのライン毎に、受信回路として、アンプ71、ミキサ72、フィルタ73、およびアナログデジタル変換器ADC)74を有する。受信アンテナの受信信号は、アンプ71で増幅されて、ミキサ72によってダウンコンバートされる。ミキサ72は、周波数変換器である。この際、ミキサ72では、ローカル信号として、シンセサイザ41からの送信信号STを用いる。これにより、送信信号STと受信信号との時間差、すなわち物標21の距離に応じた周波数の信号が、ミキサ72から出力される。ミキサ72の出力信号であるアナログ信号は、フィルタ73を通じてフィルタ処理がされた後、ADC74に入力されてデジタル信号に変換される。ADC74からのデジタル信号である受信信号SRは、デジタル部3に伝送され、まず測距部8に入力される。

0034

デジタル部3では、まず、測距部8で、受信信号SRの複数の各々の受信信号に対し、FFT処理回路81でFFT処理を行う。このFFT処理は、時間FFT(T−FFTで表す)、および周波数FFT(F−FFTで表す)の両方を含む2次元FFT処理である。図2の構成例では、測距部8は、受信アナログ回路7および受信信号SRの複数(m)のラインに対応して、複数(m)の各々のFFT処理回路811〜81mが並列に配置されている。測距部8は、例えば複数(m)のFFT処理回路811〜81mの結果から平均値を計算する。このFFT処理では、周波数FFTによって、距離に応じた分布が把握でき、また、時間FFTによって、速度に応じた分布を把握することができる。距離は、レーダ装置1の位置から物標21の位置までの距離である。速度は、レーダ装置1の位置から物標21の位置をみた場合の相対速度である。

0035

レーダ装置1は、公知技術として、このような時間および周波数の2次元FFT処理を行うことで、距離と速度との2軸での分布を把握することができる。この分布は、例えば、距離軸と速度軸との2軸のメッシュ平面上に値がプロットされた図または画像として得られる。レーダ装置1は、ここで得た距離と速度の情報を、メモリに保存すると共に、レーダ出力情報SOUTの一部として出力する。測距部8の実装は、上記構成例に限らず可能である。

0036

なお、実施の形態のレーダ装置1の構成例では、アナログ部2およびデジタル部3の外側にメモリ12を有するが、これに限らず、デジタル部3内にメモリがあってもよいし、複数のメモリがあってもよい。レーダシステムにおける、レーダ装置1の外側にメモリがあってもよい。デジタル部3は、処理のためのデータや値を、適宜にメモリに保存してもよい。

0037

[(3)デジタル部]
図3は、主にデジタル部3の構成を示す。レーダ装置1は、アレーアンテナ6の受信アナログ回路7を経由した後の受信信号SRに対し、デジタル部3の測距部8で、距離の測定のためにFFT処理回路81でFFT処理を施し、FFT処理後の信号S0を得る。信号S0は、前述の距離および速度の情報を含む。

0038

図3のデジタル部3の構成例では、図1の方位計算部9に関するより詳しい実装構成例を示す。このデジタル部3は、測距部8の後段に、順に、対象距離速度選択処理回路101、空間FFT処理回路102、空間フィルタ処理回路103、空間逆FFT処理回路104、校正処理回路105、空間平均/波数推定処理回路106、超分解能処理回路107を有する。

0039

デジタル部3では、信号S0に対し、対象距離速度選択処理回路101で、対象の距離および速度を選択する処理を行い、処理後の信号SAを得る。この対象の距離および速度とは、以降の方位の計算の際に処理対象とする距離および速度である。対象距離速度選択処理回路101の処理は、測距部8のFFT処理後の信号S0における距離と速度の分布に基づいて、対象距離および速度を選択、決定する処理である。これにより、信号SAとしては、対象距離および速度における、アレーアンテナ6の各受信回路のラインでの振幅および位相を表す複素情報図4での複素情報401)を把握することができる。この複素情報は、振幅と位相とが複素数実数部虚数部とを持つ)で表現される情報である。

0040

デジタル部3は、信号SAに対し、超分解能処理回路107の処理に関する前処理の1つとして、空間FFT処理回路102で空間FFT処理を行う。デジタル部3は、この空間FFT処理によって、電波到来方向DOAを概算として推定し、その電波到来方向DOAを含む信号SBを得る。空間FFT処理は、デジタルビームフォーミング処理の例である。

0041

その後、デジタル部3は、信号SBに対し、空間フィルタ処理回路103で空間フィルタ処理を行う。この空間フィルタ処理は、詳しくは、電波到来方向抽出処理、および掃引範囲抽出処理を含む。空間フィルタ処理回路103の処理(特に電波到来方向抽出処理)により、信号SBから上記概算した電波到来方向DOAのみを抽出して、その電波到来方向DOAを表す信号SDを得る。また、空間フィルタ処理回路103の処理(特に掃引範囲抽出処理)では、信号SBから、限定された一部である範囲の信号(後述の掃引範囲)を抽出し、その掃引範囲を表す信号SCを得る。

0042

デジタル部3は、空間フィルタ処理後の信号SCに対し、空間逆FFT処理回路104で空間逆FFT処理を行う。空間逆FFT処理は、空間FFT処理と対応した処理である。空間逆FFT処理により、元のデータ形状に戻された複素情報の信号SFが得られる。

0043

一方、レーダ装置1は、空間フィルタ処理回路103で抽出した電波到来方向DOAを表す信号SDに基づいて、メモリ12の複数の校正データ14から、最適な校正データ(校正行列を含む)を選択する。レーダ装置1は、信号SDの電波到来方向DOAの値に応じて、複数の校正データ14から1つの校正データを選択し、校正処理105に適用するための切り替え制御を行う。その際、図3の構成例では、レーダ装置1(デジタル部3)は、信号SDから、選択表T1に設定されている対応関係に基づいて、電波到来方向DOAの値に応じた校正データの値を選択する。レーダ装置1は、その選択された校正データの値に対応付けられた選択制御信号を、スイッチ13の制御端子に入力する。スイッチ13の複数の各々の入力端子には、複数の校正データ14の各々の校正データ(対応するメモリ12のアドレス等)が、読み出し入力可能なように接続されている。スイッチ13では、その選択制御信号に従い、複数の校正データ14から1つの校正データ(校正行列を含む)を選択して、出力端子から出力する。スイッチ14で選択および切り替えされた校正データに対応する信号SEが、校正処理105に入力される。

0044

言い換えると、デジタル部3は、校正データの選択および切り替え制御等を行う選択回路110を含む。選択回路110はスイッチ13を含む。高速に処理が可能なように、デジタル部3では、選択回路110を含め、各処理がハードウェア回路等で実装されている。なお、デジタル部3の選択回路110や各回路は、プロセッサによるソフトウェアプログラム処理で実現されてもよい。

0045

選択表T1には、図示のように、予め、例えば信号SDの電波到来方向DOAの値{例:DOA1,DOA2,……,DOAn}と、校正データ(校正行列)を表す値{例:CD1(C1),CD2(C2),……,CDn(Cn)}との対応関係が設定されている。本例では、複数(nとする)の電波到来方向DOAおよび校正データの対応関係が設定されている。なお、選択表T1では、2つ以上の電波到来方向DOAの値に対して同じ校正データが選択されるような設定部分を含んでもよい。選択表T1は、予め、デジタル部3内の選択回路110またはプログラム記述されている形態でもよいし、メモリ12等に格納されていて参照される形態でもよい。

0046

レーダ装置1のデジタル部3は、信号SFの複素情報に対し、選択された校正データ(信号SE)を用いて、校正処理回路105で校正処理を行う。校正処理回路105は、アレーアンテナ誤差校正回路として構成されている。校正処理後の信号SGは、アレーアンテナ6および受信アナログ回路7の誤差が解消または低減された情報となっている。

0047

デジタル部3は、校正処理後の信号SGに対し、空間平均/波数推定処理回路106で空間平均/波数推定処理を行う。空間平均/波数推定処理は、例えばMUSIC法を用いた超分解能処理の前処理として必要な処理である。空間平均/波数推定処理では、信号SGの校正後の複素数情報に基づいて、所定の演算によって、空間平均値および波数(到来波の数)が推定される。

0048

デジタル部3では、空間平均/波数推定処理後の信号SHに対し、超分解能処理回路107で超分解能処理を行う。この超分解能処理は、信号SCで抽出されている掃引範囲毎に行われる。また、この超分解能処理は、電波到来方向DOA毎に行われる。この超分解能処理は、電波到来方向DOAのみに関して限定的に演算処理が行われることで、高速に処理が実現できる。超分解能処理により、物標21の方位を表す角度が計算され、その角度を表す信号SIが、レーダ出力情報SOUTの一部として出力される。

0049

超分解能処理(対応する超分解能アルゴリズム)では、角度の推定の精度を高めるために、物標21からの到来波の数(波数)を推定した後に、角度を推定することが望ましいとされている。そのため、実施の形態におけるデジタル部3では、空間平均/波数推定処理回路106の後に超分解能処理回路107で処理を行う回路構成としている。超分解能処理回路107では、空間平均値および波数を用いて、角度を推定する演算を行う。

0050

そして、実施の形態のレーダ装置1のデジタル部3では、前述の比較例とは異なり、空間平均/波数推定処理回路106の前に、校正処理回路105で校正処理を行う回路構成としている。これにより、実施の形態では、超分解能処理の前の時点の信号SHで、誤差が解消または低減されている状態であるため、超分解能処理の結果の信号SIでの分解能の劣化が防止される。

0051

変形例として、レーダ装置1は、メモリ12に対し複数の校正データ14および選択表T1等を設定する設定回路を有してもよい。このレーダ装置1は、ユーザの操作に基づいて、その設定回路の処理を介して、複数の校正データ14等を、メモリ12に格納、設定する。事業者は、予め、実験的な測定に基づいて、計算機で校正行列を計算によって生成する。事業者は、その校正行列を含む校正データ14をメモリ12に設定する。校正データ14は、製品出荷時デフォルト設定情報として設定される。また、製品出荷後にも、設定回路を通じて、メモリ12の校正データ14を設定更新可能とする。

0052

[(4)アレーアンテナ誤差]
図4は、実施の形態のレーダ装置1および比較例のレーダ装置における、アレーアンテナへの電波到来方向や、アレーアンテナおよび受信アナログ回路に生じる誤差の例を模式的に示す。図4の例では、アレーアンテナとして、8個の受信アンテナA1〜A8がある場合を示す。これらの受信アンテナA1〜A8は、図2の実施の形態での受信アンテナ61〜6mと対応している。各受信アンテナのラインは、受信アナログ回路の対応する各受信回路を経由する。

0053

図4に示されるように、複数の各受信アンテナ間の位相は、理想的には、受信信号の電波の到来方向(Direction of arrival)402に応じて、規則的な位相差として現れる。図4で、各受信アンテナに向かう破線(矢印)は、到来方向402(電波到来方向DOAと対応する)を示す。各到来方向402の線に跨っている各点線は、受信信号波形における同位相403を示す。各受信アンテナA1〜A8では、電波の位相が異なるが、規則的な位相差となっている。このように、アレーアンテナ6の受信信号の位相が、規則的な位相として現れる場合、公知のMUSIC法やESPRIT法を代表とする超分解能処理を行うことで、角度に関して高い分解能を得ることが可能である。

0054

ところが、実際のレーダ装置および実際の利用状況では、アレーアンテナの受信信号の位相が、このような規則的な位相にはならない場合がある。すなわち、実際には、アレーアンテナの各受信アンテナ間で、振幅(または利得)と位相の誤差404(amplitude / phase error)、干渉や相互カップリング405(mutual coupling)、あるいは空間誤差406(space error)等の誤差が生じる。空間誤差406は、アンテナ間隔誤差であり、複数の各受信アンテナにおける間隔の設計値からの誤差である。そのため、一般的に、このような誤差を持つ受信信号に対し、超分解能処理を行ったとしても、高い分解能は得られない。

0055

なお、振幅と位相の誤差404、および相互カップリング405については、例えば非特許文献1の例のように、校正行列を用いた校正が基本的には有効である。この校正について以下に説明する。

0056

[(5)単一の校正行列を用いた校正]
図5は、単一の校正行列を用いた校正処理について示す。図5では、複素情報401(X)と、校正行列501(C)と、校正後の複素情報502(Y)とを示す。複素情報401を1列の行列Xとする。校正行列501を複数行複数列の行列Cとする。校正後の複素情報502を1列の行列Yとする。図5の例では、図4の8個の受信アンテナA1〜A8に対応して、8行、8列の行列C等の場合を示す。校正の式(行列式)は、Y=CXである。レーダ装置1は、この式に基づいて、複素情報401(X)を、校正行列501(C)により変換することで、計算後(すなわち校正後)の複素情報502(Y)を算出する。

0057

校正行列501(C)は、対角成分503、非対角成分504を有する。例えば、校正行列501の対角成分503により、振幅と位相の誤差404を校正し、非対角成分504により、相互カップリング405を校正する。

0058

ここで、アレーアンテナ6に例えば空間誤差406が生じた場合、到来方向402が変化すると、その到来方向402に応じて、最適な校正行列501は変化する。また、相互カップリング405や振幅と位相の誤差404についても、到来方向402に依存する場合がある。このような場合には、単一の校正行列501では、十分な校正ができない。

0059

[(6)複数の校正行列を用いた校正]
これに関する解決策として、実施の形態のレーダ装置1では、予め、メモリ12に、電波到来方向毎の校正データ(複数の校正データ14)を用意して格納、設定しておく。そして、レーダ装置1では、受信信号からの電波到来方向DOAの推定に応じて、好適な校正データを選択して校正処理105に適用する。これにより、実施の形態では、電波到来方向DOAに応じて異なるアレーアンテナ6の誤差が生じた場合でも、その誤差に対処できる高精度の校正が可能となる。その結果、電波到来方向に依存しない高精度な超分解能処理が可能となる。

0060

電波到来方向毎の校正データ14の生成方法の一例としては以下である。予め、レーダ装置1を提供する事業者は、電波暗室等の環境で、既知の方位に物標を設置して、レーダ装置1によって測定を実施する。事業者は、計算機で、その測定結果で生じた誤差(電波到来方向に応じて異なる誤差)を把握し、その誤差に基づいて、その方位(対応する電波到来方向)毎に対応させた校正行列を計算で作成する。事業者は、その複数の校正行列を含む複数の校正データ14を、レーダ装置1のメモリ12に設定する。事業者は、保守等に応じて、設定回路を通じて、メモリ12の校正データ14を更新してもよい。

0061

[(7)比較例]
また、比較例のレーダ装置として、電波到来方向に応じた校正を行う構成としては、超分解能処理で到来方向を掃引(sweep)する際に、到来方向毎の校正データを切り替えながら適用して掃引する構成も可能である。しかしながら、この比較例のレーダ装置の構成の場合、超分解能処理の前に必要な空間平均/波数推定処理で、性能劣化が生じてしまう。その理由は、この構成では、空間平均/波数推定処理の際に、校正前の状態となるため、その状態では信号に誤差が内在しているからである。この性能劣化を防ぐために、空間平均/波数推定処理の前に、校正処理を行う必要がある。この比較例では、電波到来方向が未知であるため、電波到来方向に応じた最適な校正データの選択はできない。

0062

[(8)到来方向予測(空間FFT)]
上記比較例の課題に関する解決策として、実施の形態のレーダ装置1では、空間FFT処理回路102の処理を用いて、電波到来方向DOAを概算として推定する構成としている。比較例に対し、実施の形態のレーダ装置1では、空間平均/波数推定処理106の前に、校正処理105を行う回路構成としている。そして、レーダ装置1では、空間FFT処理回路102によって推定し、空間フィルタ処理回路103で抽出した電波到来方向DOAの値を用いて、好適な校正データを選択する構成としている。空間FFT処理回路102は、演算処理の負荷が軽いデジタルビームフォーミング処理の1つの例である。デジタルビームフォーミング処理として、空間FFT処理の適用が効果的である。空間FFT処理は、電波到来方向の検知精度については高くはないが、演算処理負荷としては非常に軽く、高速に実行できる。また、空間FFT処理は、振幅と位相の誤差402、相互カップリング405、および空間誤差406といった誤差に対しても感度が低く、影響を受けにくい。

0063

[(9)掃引範囲抽出]
さらに、実施の形態のレーダ装置1は、推定した電波到来方向DOAにおける周辺の成分をフィルタリングして、電波到来方向DOAに対応する信号成分のみを、掃引範囲として抽出する(図3の空間フィルタ処理回路103、空間逆FFT処理回路104)。そして、レーダ装置1は、抽出した信号成分(対応する掃引範囲)のみを、後段の校正処理回路105等の処理に通す。

0064

また、レーダ装置1では、電波到来方向DOAにおける信号成分(掃引範囲)以外をゼロで埋める、または所定の低い値とする。これにより、空間FFT処理後の空間フィルタ処理を、容易に構成することができる。

0065

また、レーダ装置1では、空間逆FFT処理を行うことで、空間フィルタ処理後の複素情報401を生成することができる。レーダ装置1では、この空間フィルタ処理後の複素情報401に対し、電波到来方向DOAに応じた校正データ(信号SE)を適用して校正処理を行う。

0066

また、レーダ装置1では、空間FFT処理で概算として検知した電波到来方向DOAが、複数の到来方向として生じた場合には、空間フィルタ処理回路103の処理により、1つの到来方向に絞って抽出し、後段の信号処理を行わせる。

0067

また、レーダ装置1では、図3のデジタル部3のようなループ回路構成で、対象となる電波到来方向毎に、処理を繰り返す。ループとして、超分解能処理回路107から、スイッチ15を経由して、空間フィルタ処理回路103に戻るループを有する。レーダ装置1は、ループで処理を繰り返す際には、スイッチ15をオン状態にする。スイッチ15のオン状態では、超分解能処理回路107の出力の信号SJが、スイッチ15を経由して、空間フィルタ処理回路103の入力の信号SKとなる。信号SJは、対象の電波到来方向等に関する処理状態や処理結果等を表す信号である。

0068

MUSIC法やESPRIT法等を用いた超分解能処理では、検知可能な物標数が、アレーアンテナ6の受信アンテナ数に依存する。この繰り返しのループの回路構成を用いることで、受信アンテナ数よりも多くの数の物標の検知が可能である。

0069

超分解能処理回路107は、例えば1回目のループでは、第1到来方向に関して、選択された第1校正行列で校正された結果の情報(信号SG,信号SH)に基づいて、掃引範囲毎の超分解能処理を行い、角度を算出する。掃引範囲毎に同様に処理が繰り返される。超分解能処理回路107は、次の2回目のループでは、第2到来方向に関して、選択された第2校正行列で校正された結果の情報(信号SG,SH)に基づいて、掃引範囲毎の超分解能処理を行い、角度を算出する。

0070

アレーアンテナ6の複数の受信アンテナに対し、概略的に同じ距離および同じ方位に、複数(例えば8個)の物標21が存在する場合に、1回の超分解能処理では、それらの複数の物標21に関して演算処理を行うことができる。

0071

図6以降を用いて、レーダ装置1のより詳細な動作や信号等の例を説明する。

0072

[(10)電波到来方向のスペクトル]
図6は、前述の電波到来方向DOAに対するスペクトルのイメージ図を示し、図3の空間FFT処理回路102の処理後の信号SBのスペクトルに相当する。横軸が電波到来方向に対応する角度[度(°)]を示し、縦軸スペクトル強度[dB]を示す。図6中の実線矢印は、真の到来方向601(True directions)を示し、本例では、3つの物標に対応付けられた3つの到来方向が示されている。本例では、超分解能処理ではMUSIC法を用いている。

0073

実線波形は、理想的なMUSICスペクトル602を示し、鋭いスペクトルによって物標の到来方向を示している。破線の波形は、アレーアンテナ6で誤差が生じた場合の校正前のMUSICスペクトル603を示す。アレーアンテナ6で誤差が生じた場合、MUSIC法による分解能が低下するために、到来方向が近い2つの物標を分解して検知できず、1つの物標として検知する現象(部分603A)や、マルチパス等によるノイズを間違えて物標として誤検知する現象(部分603B)が生じる。

0074

点線の波形は、アレーアンテナ6で誤差が生じた場合の、空間FFT(空間FFT処理回路102の処理)の結果のスペクトル604を示す。空間FFTの結果のスペクトル604では、MUSICスペクトル602のような鋭いスペクトルは得られず、それよりも低い分解能しか得られない。その代わりに、空間FFTの結果のスペクトル604では、アレーアンテナ6で誤差が生じた場合でも、その影響が小さく、到来方向(真の到来方向601)に対しておおよそ合致したスペクトルとして現れる(スペクトル604のうちの部分604A、部分604Bとして示す)。また、空間FFTの結果のスペクトル604では、受信した電力に応じたスペクトルとして現れることも特徴である。

0075

レーダ装置1は、電波到来方向DOAを推定、抽出する際に、例えば、スペクトル強度値が、設定された閾値を越える範囲をみて、その範囲でのピーク値、あるいは中間値等の値を、到来方向値としてもよい。

0076

また、時点や状況によって、電波到来方向DOAは、複数の到来方向の値が算出される場合がある。複数の到来方向の値に関する処理の方式としては、以下が可能である。

0077

(1)第1方式として、レーダ装置1は、スペクトル604から、好適な1つの到来方向のみを選択して抽出する。例えば、最もスペクトル強度値が大きい値を選択する方法等がある。図6の例では、部分604Aが選択される。

0078

(2)第2方式として、レーダ装置1は、所定数(例えば2つ)の複数の到来方向値を選択して抽出する。図6の例では、部分604Aと部分604Bとが選択される。

0079

(3)第3方式として、レーダ装置1は、所定の最大数まで許容される可変数で、複数の到来方向値を選択して抽出する。

0080

また、レーダ装置1は、抽出した複数の到来方向値の処理に関しては、例えば任意の順序で時間的に順次に到来方向値毎に処理を繰り返す方式を用いる。

0081

[(11)空間FFTのスペクトル、掃引範囲]
図7は、図6で示した真の到来方向601に対する空間FFTの結果のスペクトル604を抜粋して示している。図7は、図6と同様に、横軸が角度、縦軸がスペクトル強度である。レーダ装置1は、空間FFT処理の後、スペクトル604に対し、閾値701を設定し、そのスペクトル強度が、その閾値701を上回った場合には、その上回った範囲に物標21が存在する(すなわち電波到来方向DOAがある)と推定、判断する。

0082

レーダ装置1(特に空間フィルタ処理回路103)は、この閾値701を上回る範囲を、超分解能処理回路107の処理に係わる掃引範囲(sweep area)として抽出する。図7の例では、掃引範囲として、掃引範囲A(掃引範囲702)と掃引範囲B(掃引範囲703)との2つの範囲が抽出され、それぞれに物標21が存在すると判断されている。

0083

この際、閾値701の決定、設定の方法としては、以下が挙げられる。レーダ装置1では、例えば、その時点の物標21に関する距離情報図3の対象距離速度選択処理101で選択した対象距離)と、信号対雑音比SN比)とを用いて、閾値701を変動させるようにしてもよい。言い換えると、その閾値701は、対象距離またはSN比の少なくとも一方に対応させて決定された閾値である。これにより、対象距離およびSN比に応じた好適な検知ができ、マルチパス等による雑音による誤検知を回避することができる。また、このSN比については、例えば、図3のFFT処理回路81で算出された情報を用いることができる。あるいは、変形例では、閾値701として、予め設定された静的設定値(SN比や対象距離を一定値と考えた場合の設定値)を用いるようにしてもよい。また、公知のCFAR(Constant False Alarm Rate)を用いた閾値の決定方法等を用いることも有効である。

0084

[(12)掃引範囲に対する処理]
続いて、レーダ装置1は、上記抽出した複数(例えば2つ)の掃引範囲のうち、任意の処理順序で、1つの掃引範囲毎に処理(図3の校正処理回路105、超分解能処理回路107等の処理)を行う。本例では、レーダ装置1は、まず、掃引範囲A(掃引範囲702)について処理を行い、その後に、掃引範囲B(掃引範囲703)について処理を行う。

0085

図8は、掃引範囲Aに対する処理の前後の様子を示す。図8の上側の(A)のグラフは、空間FFT処理回路102で図7のスペクトルの掃引範囲A(掃引範囲702)のみを抽出して、空間フィルタ処理回路103で掃引範囲A以外の範囲をゼロもしくは所定の低い値に置き換えるという空間フィルタ処理を施したスペクトル801を示す。

0086

レーダ装置1は、このスペクトル801に対し空間逆FFT処理回路104で処理を行うことで、複素情報802(図4の複素情報401に対応する)を導く。この複素情報803を、XAで示す。

0087

レーダ装置1は、この複素情報802(XA)に対し、掃引範囲A(掃引範囲702)に応じて最適な校正行列803を選択して、校正処理回路105で校正処理を行う。この際の校正行列803を、C(A)で示す。この“C(A)”は、XAに対応する到来方向に応じて選択された行列であることを示す。この校正処理は、図5行列計算式と同様に、XA´=C(A)・XAとして表される。校正後の複素情報804を、XA´で表す。

0088

レーダ装置1は、校正後の複素情報804(図3の信号SG)について、例えばMUSIC法を用いた超分解能処理107(MUSIC処理)を行う。これにより、角度を表すMUSICスペクトル805が算出される(信号SI)。電波到来方向DOAに応じた校正によって、このMUSICスペクトル805のように、高い分解能が実現できる。このMUSICスペクトル805では、図6の真の到来方向601に対応する理想的なMUSICスペクトル602の形状に近い形状となっている。また、MUSICスペクトルの掃引範囲を、一部に限定された掃引範囲A(掃引範囲702)とすることで、MUSIC法を用いた超分解能処理における演算量の削減が実現できる。

0089

続いて、レーダ装置1は、上記2つの掃引範囲のうち、掃引範囲B(掃引範囲703)について、上記と同様に処理を行う。図9は、掃引範囲Bに対する処理の前後の様子を同様に示す。図9の上側の(A)のグラフは、空間FFT処理で図7の掃引範囲Bのみ抽出して、図8と同様に空間フィルタ処理を施した結果のスペクトル901を示す。レーダ装置1は、このスペクトル901に対し空間逆FFT処理を行うことで、複素情報902(XB)を導く。レーダ装置1は、複素情報902(XB)に対し、電波到来方向に応じて選択した最適な校正行列903(=C(B))を適用して校正処理を実施する。これにより、校正後の複素情報904(XB´)が得られる。レーダ装置1は、この複素情報904に対し、MUSIC法を用いた超分解能処理を行う。これにより、高精度なMUSICスペクトル905が得られる。

0090

[効果等]
上記のように、実施の形態のレーダ装置1によれば、アレーアンテナ6を備えて超分解能処理を行う構成で、物標21からの電波到来方向に応じて異なる誤差が生じる場合でも、十分な校正によって、角度の分解能を維持または向上することができる。この構成では、超分解能処理における計算の劣化が抑圧され、結果として、安定した高い分解能で角度が得られる。また、この構成では、電波到来方向に依存した不要なマルチパスや雑音の抑圧も可能である。さらに、この構成では、超分解能処理を、予め概算した電波到来方向のみ(対応する掃引範囲)に限定して演算することで、演算量の削減にも有効である。さらに、この構成では、受信アンテナ数に依存した検知可能な物標数を増やすことができる。

0091

[変形例(1)]
実施の形態の変形例として以下も可能である。変形例のレーダ装置1では、予めメモリ12に格納された、数が限られた所定の複数の電波到来方向毎の校正データに基づいて、補間処理によって、より詳細な校正データ(校正行列)を生成して適用させる方式を用いる。

0092

図10は、その変形例のレーダ装置1における校正行列の選択の方式についての説明図を示す。レーダ装置1は、選択表T2および複数の校正データを備える。なお、この校正データの数は、前述(図3)の複数の校正データ14の場合の校正データの数と異なってもよい。レーダ装置1は、前述の推定した電波到来方向DOAの値に応じて、選択表T2に基づいて、1つの校正データを選択する際に、まず、電波到来方向DOAの値に最も近い例えば2つの校正データを選択する。例えば、空間FFT処理102によって概算として推定した電波到来方向DOAの値が、ある到来方向値DOAXであるとする。

0093

選択表T2では、代表的な複数の電波到来方向DOAの値に応じて、基本的に選択すべき校正データ(校正行列)が規定されている。例えば、到来方向値DOA1の場合には、第1の校正データ(第1の校正行列C1)が選択され、到来方向値DOA2の場合には、第2の校正データ(第2の校正行列C2)が選択される、といったように基本的な対応関係が規定されている。選択表T2の複数の電波到来方向DOAの値は大小関係を有する(例:DOA1<DOA2<……<DOAn)。

0094

レーダ装置1は、推定した到来方向値DOAXから、選択表T2の到来方向値を選択する。例えば、到来方向値DOAXが、選択表T2のいずれの到来方向値とも異なる場合に、最も近い2つの到来方向値が選択される。例えば、到来方向値DOA1と到来方向値DOA2とが選択されたとする(DOA1<DOAX<DOA2)。

0095

レーダ装置1は、選択表T2に従って、到来方向値DOA1に対応する第1の校正行列C1と、到来方向値DOA2に対応する第2の校正行列C2とを参照する。レーダ装置1は、それらの2つの校正行列C1,C2について、行列の各値について、補間処理として、例えば公知の線形補間処理を適用する。例えば、校正行列C1の第1行、第1列の値c11が値V1であり、校正行列C2の第1行、第1列の値c11が値V2であるとする。レーダ装置1は、この線形補間処理で、値V1と値V2との間の線形補間値(値V3とする)を得る。例えば、補間の係数をAとして、V3=(A×V1+(1−A)×V2)のように計算できる。同様に、レーダ装置1は、行列の各値について線形補間値を得る。レーダ装置1は、これにより得られた新たな行列Caを、その時に選択する校正行列として適用する。

0096

この変形例の場合、メモリ12に設定される複数の校正データの数およびデータ量を、ある程度の数およびデータ量までに抑制できる。あるいは、この変形例では、限られた数の複数の校正データに基づいて、より詳細な校正データを生成して適用することができる。

0097

[変形例(2)]
図3のデジタル部3の回路構成例では、対象の電波到来方向毎にループで処理を繰り返す構成としたが、これに限らず可能である。変形例のデジタル部3の回路構成では、ループではなく、超分解能処理回路107等の各機能の回路を、複数、並列で設ける構成としてもよい。そして、そのデジタル部3では、推定した複数の到来方向に関して、複数の回路で同時並列的に超分解能処理等の処理を行う。

0098

変形例のレーダ装置1として、予め、図3の校正処理回路105が、異なる校正行列毎の複数の校正処理回路として並列に設けられ、使用される校正処理回路が切り替えられる形態としてもよい。

0099

図11は、この変形例のレーダ装置1のデジタル部3の一部の構成例を示す。この構成例では、空間逆FFT処理回路104の後段に、スイッチ16を有し、スイッチ16の後段に校正処理回路125を有する。この校正処理回路125内には、複数の校正処理回路(#1〜#nで示す)が並列に設けられている。これらの複数の校正処理回路は、前述の複数の校正データ14の各々の校正データの校正行列が、予め実装されている。この構成例では、レーダ装置1(デジタル部3)は、推定した電波到来方向DOAの値(信号SD)に応じて、スイッチ16によって、使用する校正処理回路を切り替える。選択された校正処理回路の校正処理を経由した信号SGが、後段の回路に入力される。この変形例でも、前述と同様の効果が得られる。

0100

以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

0101

1…レーダ装置、2…アナログ部、3…デジタル部、4…送信アンテナおよび送信アナログ回路、5…送信部、6…アレーアンテナ、7…受信アナログ回路、8…測距部、9…方位計算部、12…メモリ、13…スイッチ、14…複数の校正データ、15…スイッチ、21…物標、22…車両、81…FFT処理回路、101…対象距離速度選択処理回路、102…空間FFT処理回路、103…空間フィルタ処理回路、104…空間逆FFT処理回路、105…校正処理回路、106…空間平均/波数推定処理回路、107…超分解能処理回路、110…選択回路、SR,S0…受信信号、SA,SB,SC,SD,SE,SF,SG,SH,SI,SJ,SK…信号、T1…選択表、SOUT…レーダ出力情報。

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