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課題

固形がん等の血管形成異常を伴う疾患において、正常血管に影響を及ぼさず、疾患部位の血管の透過性を正常化させる物質を見出し、当該物質の新規な用途を提供することを課題とする。

解決手段

リゾホスファチジン酸受容体活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤、リゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物、リゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管正常化剤、および疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を選択することを特徴とする血管形成異常を伴う疾患の治療薬のスクリーニング方法

概要

背景

血管形成腫瘍糖尿病性網膜症加齢黄斑変性症関節リウマチ等の慢性炎症性疾患感染症等の急性炎症血管奇形、さらに動脈硬化など、多くの疾患に関与している。血管形成が病態形成に関わる疾患は血管病と総称されている。胎児期には、血管がまったく存在しない状態から新しい血管が形成される。この過程血管発生または脈管形成と呼ぶ。これに対し、既存の血管から新しい血管が形成される過程のことを血管新生と呼ぶ。血管新生は様々な病態の血管形成に関与する。

血管内皮成長因子として知られるVEGF(vascular endothelial growth factor)は、胎児期から成長期生理的血管形成、病態形成における病的血管形成等のあらゆる血管形成において主役を演じる。VEGFは血管内皮細胞の増殖を強力に誘導する。また、VEGFは、血管形成の開始時において、血管内皮細胞同士の接着に関わるVE−カドヘリンを、Srcを介してリン酸化させ、細胞内移行を誘導して血管内皮細胞間にゆるみを生じさせる。

正常血管の管腔は血管内皮細胞と壁細胞の接着により構造的に安定化している。血管内皮細胞間は前述のVE−カドヘリンや、クローディン5、インテグリンコネキシンなど種々の接着因子により密着し、容易には血管内から物質細胞血管外漏出しないように制御されている。また血管内皮細胞と壁細胞の間には接着帯が形成され、血管内皮細胞と壁細胞の間の分子交換を介して、血管透過性を制御している。また、通常左右の血管はパラレル走行性を示す。

一方で、腫瘍の血管には様々な異常が観察される。腫瘍内の血管は透過性亢進し、蛇行拡張が観察され、一部嚢状を呈し、血管分岐無秩序である。血管内皮細胞そのものも異常な形態を呈し、裏打ちする壁細胞も腫瘍中心部では非常にまばらであり、血管内皮細胞との接着も弱く、多くの領域で壁細胞の裏打ちが欠損している。このような異常の多くは、腫瘍内のVEGF分泌が過剰になっていることに起因する。

血管新生阻害薬の主なターゲットはVEGFあるいはその受容体であり、VEGFの中和抗体、可溶性VEGF受容体、および複数存在するVEGF受容体のリン酸化抑制剤臨床的に応用されている。血管新生阻害薬の開発当初は、血管新生阻害薬が腫瘍内の血管形成を抑制し、酸素や養分の供給を絶ち、腫瘍の増大を抑制することが期待された。これは1970年代のJ. Folkman博士提唱した腫瘍血管新生概念に基づく(非特許文献1)。マウスを用いた前臨床試験では血管新生阻害薬単独で顕著な抗腫瘍効果が観察されたが、ヒトにおいては、血管新生阻害薬単独での抗腫瘍効果は限定的であった。血管新生阻害薬と抗がん剤を併用することにより、抗がん剤単独に比べて腫瘍増大に対する抑制効果が観察されることが判明してきた(非特許文献2)。

このような知見から、血管新生阻害薬と抗がん剤の併用による効果は、血管新生阻害薬による腫瘍血管の正常化に起因するという概念が、R.Jain博士により提唱された(非特許文献3)。つまり、VEGFから誘導されるVEGF受容体の細胞内シグナル遮断すると、血管内皮細胞同士の解離が抑制され、VEGF過剰により促進していた血管透過性が正常に戻る。その結果、それまで腫瘍組織内圧血管内圧の差がなかった状態から、血管内圧の方が腫瘍組織内圧より高くなり、血管内から腫瘍内への抗がん剤の透過性が回復し、抗がん剤の効果が顕著に高くなるというものである。

それゆえ、腫瘍内の血管透過性を改善させ腫瘍内への薬剤送達を誘導する手段が、がんの有効な治療法であると考えられるようになった。一方で、血管新生阻害薬は、血管内皮細胞の生存を抑制し、血管内皮細胞やそれと相互作用している血管壁細胞細胞死を誘導して腫瘍内の虚血状態を促進することが示唆されている。腫瘍内の低酸素状態は、がん細胞の悪性化を誘導して、がんの浸潤転移を促進する可能性があると指摘されている。また、血管新生阻害薬は正常組織の血管にも障害を与え、血圧の亢進や肺出血腎障害等の重篤副作用を引き起こすことが報告されている。したがって、腫瘍血管を退縮させず、正常血管に影響を及ぼさず、腫瘍血管の透過性を正常化させるような薬剤の開発が期待されている。また、腫瘍以外の血管異常を伴うような疾患においても、正常血管に影響を及ぼさず、病態部の血管を正常化させる薬剤の開発が求められている。

概要

固形がん等の血管形成異常を伴う疾患において、正常血管に影響を及ぼさず、疾患部位の血管の透過性を正常化させる物質を見出し、当該物質の新規な用途を提供することを課題とする。リゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤、リゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物、リゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管正常化剤、および疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を選択することを特徴とする血管形成異常を伴う疾患の治療薬のスクリーニング方法。なし

目的

本発明は、固形がん等の血管形成異常を伴う疾患において、正常血管に影響を及ぼさず、疾患部位の血管の透過性を正常化させる物質を見出し、当該物質の新規な用途を提供する

効果

実績

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請求項1

血管形成異常を伴う疾患の治療薬疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤であって、リゾホスファチジン酸もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体から選択されるリゾホスファチジン酸受容体活性化する物質を有効成分として含有し、固形がん加齢黄斑変性症関節リウマチ乾癬強皮症全身性エリテマトーデス血管炎症候群、血管ベーチェット糖尿病性網膜症糖尿病性腎症動脈硬化症慢性閉塞性動脈硬化症バージャー病肺線維症脳梗塞重症感染症および心不全から選択される血管形成異常を伴う疾患の治療薬と組み合わせて使用することを特徴とする薬剤送達促進剤。

請求項2

血管形成異常を伴う疾患が固形がん、加齢黄斑変性症、慢性閉塞性動脈硬化症またはバージャー病である請求項1に記載の薬剤送達促進剤。

請求項3

リゾホスファチジン酸もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体から選択されるリゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有し、該物質は腫瘍増殖抑制作用がん転移抑制作用、腫瘍免疫亢進作用および血管透過性亢進抑制作用から選択される1種以上の作用を有し、固形がん、加齢黄斑変性症、慢性閉塞性動脈硬化症およびバージャー病から選択される血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物

請求項4

血管形成異常を伴う疾患が、固形がん(ただし、膵臓がんを除く)、加齢黄斑変性症、慢性閉塞性動脈硬化症およびバージャー病から選択されることを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物

請求項5

固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症および心不全から選択される血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤と組み合わせて使用し、該他の薬剤の血管形成異常を伴う疾患部位への送達を促進することを特徴とする請求項3または4に記載の医薬組成物。

請求項6

血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤が、がん治療薬である請求項5に記載の医薬組成物。

請求項7

固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症および心不全から選択される血管形成異常を伴う疾患の治療薬のスクリーニング方法であって、疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を選択することを特徴とする方法。

請求項8

リゾホスファチジン酸もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体から選択されるリゾホスファチジン酸受容体を活性化する物質を有効成分として含有し、固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症および心不全から選択される血管形成異常を伴う疾患における異常血管を正常化させる作用を有することを特徴とする血管正常化剤。

請求項9

血管形成異常を伴う疾患が、固形がん(ただし、膵臓がんを除く)、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症および心不全から選択されることを特徴とする請求項8に記載の血管正常化剤。

請求項10

異常血管を正常化させる作用が、網状構造の血管ネットワーク構築する作用、血管内腔平滑化する作用および血管透過性を正常化する作用から選択される少なくとも1つの作用である請求項8または9に記載の血管正常化剤。

請求項11

血管形成異常を伴う疾患が固形がん、加齢黄斑変性症、慢性閉塞性動脈硬化症またはバージャー病である請求項8に記載の血管正常化剤。

請求項12

血管形成異常を伴う疾患の治療薬と組み合わせて、該治療薬の疾患部位への送達を促進するために使用することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の血管正常化剤。

技術分野

0001

本発明は、リゾリン脂質受容体活性化する物質を含有する薬剤送達促進剤およびリゾリン脂質受容体を活性化する物質を含有する医薬組成物に関するものである。

背景技術

0002

血管形成腫瘍糖尿病性網膜症加齢黄斑変性症関節リウマチ等の慢性炎症性疾患感染症等の急性炎症血管奇形、さらに動脈硬化など、多くの疾患に関与している。血管形成が病態形成に関わる疾患は血管病と総称されている。胎児期には、血管がまったく存在しない状態から新しい血管が形成される。この過程血管発生または脈管形成と呼ぶ。これに対し、既存の血管から新しい血管が形成される過程のことを血管新生と呼ぶ。血管新生は様々な病態の血管形成に関与する。

0003

血管内皮成長因子として知られるVEGF(vascular endothelial growth factor)は、胎児期から成長期生理的血管形成、病態形成における病的血管形成等のあらゆる血管形成において主役を演じる。VEGFは血管内皮細胞の増殖を強力に誘導する。また、VEGFは、血管形成の開始時において、血管内皮細胞同士の接着に関わるVE−カドヘリンを、Srcを介してリン酸化させ、細胞内移行を誘導して血管内皮細胞間にゆるみを生じさせる。

0004

正常血管の管腔は血管内皮細胞と壁細胞の接着により構造的に安定化している。血管内皮細胞間は前述のVE−カドヘリンや、クローディン5、インテグリンコネキシンなど種々の接着因子により密着し、容易には血管内から物質や細胞血管外漏出しないように制御されている。また血管内皮細胞と壁細胞の間には接着帯が形成され、血管内皮細胞と壁細胞の間の分子交換を介して、血管透過性を制御している。また、通常左右の血管はパラレル走行性を示す。

0005

一方で、腫瘍の血管には様々な異常が観察される。腫瘍内の血管は透過性亢進し、蛇行拡張が観察され、一部嚢状を呈し、血管分岐無秩序である。血管内皮細胞そのものも異常な形態を呈し、裏打ちする壁細胞も腫瘍中心部では非常にまばらであり、血管内皮細胞との接着も弱く、多くの領域で壁細胞の裏打ちが欠損している。このような異常の多くは、腫瘍内のVEGF分泌が過剰になっていることに起因する。

0006

血管新生阻害薬の主なターゲットはVEGFあるいはその受容体であり、VEGFの中和抗体、可溶性VEGF受容体、および複数存在するVEGF受容体のリン酸化抑制剤臨床的に応用されている。血管新生阻害薬の開発当初は、血管新生阻害薬が腫瘍内の血管形成を抑制し、酸素や養分の供給を絶ち、腫瘍の増大を抑制することが期待された。これは1970年代のJ. Folkman博士提唱した腫瘍血管新生概念に基づく(非特許文献1)。マウスを用いた前臨床試験では血管新生阻害薬単独で顕著な抗腫瘍効果が観察されたが、ヒトにおいては、血管新生阻害薬単独での抗腫瘍効果は限定的であった。血管新生阻害薬と抗がん剤を併用することにより、抗がん剤単独に比べて腫瘍増大に対する抑制効果が観察されることが判明してきた(非特許文献2)。

0007

このような知見から、血管新生阻害薬と抗がん剤の併用による効果は、血管新生阻害薬による腫瘍血管の正常化に起因するという概念が、R.Jain博士により提唱された(非特許文献3)。つまり、VEGFから誘導されるVEGF受容体の細胞内シグナル遮断すると、血管内皮細胞同士の解離が抑制され、VEGF過剰により促進していた血管透過性が正常に戻る。その結果、それまで腫瘍組織内圧血管内圧の差がなかった状態から、血管内圧の方が腫瘍組織内圧より高くなり、血管内から腫瘍内への抗がん剤の透過性が回復し、抗がん剤の効果が顕著に高くなるというものである。

0008

それゆえ、腫瘍内の血管透過性を改善させ腫瘍内への薬剤送達を誘導する手段が、がんの有効な治療法であると考えられるようになった。一方で、血管新生阻害薬は、血管内皮細胞の生存を抑制し、血管内皮細胞やそれと相互作用している血管壁細胞細胞死を誘導して腫瘍内の虚血状態を促進することが示唆されている。腫瘍内の低酸素状態は、がん細胞の悪性化を誘導して、がんの浸潤転移を促進する可能性があると指摘されている。また、血管新生阻害薬は正常組織の血管にも障害を与え、血圧の亢進や肺出血腎障害等の重篤副作用を引き起こすことが報告されている。したがって、腫瘍血管を退縮させず、正常血管に影響を及ぼさず、腫瘍血管の透過性を正常化させるような薬剤の開発が期待されている。また、腫瘍以外の血管異常を伴うような疾患においても、正常血管に影響を及ぼさず、病態部の血管を正常化させる薬剤の開発が求められている。

先行技術

0009

Folkman J, et al: Isolation of a tumor factor responsible for angiogenesis. J Exp Med 133: 275-288, 1971
Gerber HP, Ferrara N. Pharmacology and pharmacodynamics of bevacizumab as monotherapy or in combination with cytotoxic therapy in preclinical studies. Cancer Res 65; 671-680, 2005
Jain RK: Normalization of tumor vasculature: An emerging concept in antiangiogenic therapy. Science 307: 58-62, 2005

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、固形がん等の血管形成異常を伴う疾患において、正常血管に影響を及ぼさず、疾患部位の血管の透過性を正常化させる物質を見出し、当該物質の新規な用途を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、上記の課題を解決するために以下の各発明を包含する。
[1]血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤であって、リゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有し、血管形成異常を伴う疾患の治療薬と組み合わせて使用することを特徴とする薬剤送達促進剤。
[2]リゾリン脂質受容体を活性化する物質がリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体である前記[1]に記載の薬剤送達促進剤。
[3]血管形成異常を伴う疾患が固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬強皮症全身性エリテマトーデス血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症動脈硬化症慢性閉塞性動脈硬化症バージャー病肺線維症脳梗塞重症感染症または心不全である前記[1]または[2]に記載の薬剤送達促進剤。
[4]血管形成異常を伴う疾患が固形がんである前記[3]に記載の薬剤送達促進剤。
[5]リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸リゾホスファチジルセリンリゾホスファチジルコリンリゾホスファチジルエタノールアミンリゾホスファチジルイノシトールリゾホスファチジルグリセロールスフィンゴシン−1−リン酸スフィンゴシルホスホリルコリンおよび血小板活性化因子(PAF)から選択される1種または2種以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の薬剤送達促進剤。
[6]リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸である前記[5]に記載の薬剤送達促進剤。
[7]リゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物
[8]リゾリン脂質受容体を活性化する物質がリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体である前記[7]に記載の医薬組成物。
[9]腫瘍増殖抑制作用、がん転移抑制作用、腫瘍免疫亢進作用および血管透過性亢進抑制作用から選択される1種以上の作用を有する前記[8]に記載の医薬組成物。
[10]血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤と組み合わせて使用することを特徴とする前記[8]または[9]に記載の医薬組成物。
[11]血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤が、がん治療薬である前記[10]に記載の医薬組成物。
[12]組み合わせて使用する他の薬剤の血管形成異常を伴う疾患部位への送達を促進するための前記[10]または[11]に記載の医薬組成物。
[13]血管形成異常を伴う疾患が固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症または心不全である前記[7]〜[12]のいずれかに記載の医薬組成物。
[14]血管形成異常を伴う疾患が固形がんである前記[13]に記載の医薬組成物。
[15]リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシトール、リゾホスファチジルグリセロール、スフィンゴシン−1−リン酸、スフィンゴシルホスホリルコリンおよび血小板活性化因子(PAF)から選択される1種または2種以上である前記[7]〜[14]のいずれかに記載の医薬組成物。
[16]リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸である前記[15]に記載の医薬組成物。
[17]血管形成異常を伴う疾患の治療薬のスクリーニング方法であって、疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体を活性化する物質を選択することを特徴とする方法。

発明の効果

0012

本発明のリゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有する薬剤送達促進剤は、正常血管に影響を及ぼすことなく血管形成異常を伴う疾患部位の血管の透過性を正常化させるので、組み合わせて使用する薬剤の血管形成異常を伴う疾患部位への送達を促進することができ、少量の治療薬で高い治療効果を得ることができるという効果を奏する。本発明のリゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有する医薬組成物は、単独で血管形成異常を伴う疾患の治療に用いることができる。特に、本発明の医薬組成物を固形がんの治療に使用すれば、がん細胞の悪性化を誘導することなく、腫瘍の増殖を抑制し、がん細胞の転移を抑制し、腫瘍免疫を亢進させることができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0013

LLC細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、腫瘍血管の構造変化を評価した結果を示す図であり、(A)は抗CD31抗体を用いて血管内皮細胞を免疫染色した腫瘍組織標本共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果を示し、(B)はAngioTool血管構造解析ソフトで算出した各群の平均血管長を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスにスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)を投与し、腫瘍血管の構造変化を評価するために、抗CD31抗体を用いて血管内皮細胞を免疫染色した腫瘍組織標本を共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、腫瘍血管内腔の構造的変化を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)およびドキソルビシンを投与し、腫瘍血管から腫瘍組織への薬剤送達を共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)および分子量の異なるFITC標識デキストラン(70kDaまたは2000kDa)を投与し、腫瘍血管から腫瘍組織への薬剤送達を共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスにおける、リゾホスファチジン酸(LPA)および5−FUの併用効果を検討した結果を示す図であり、(A)は各群の腫瘍体積経時変化を示し、(B)は各群の代表的なマウスの外観を示し、(C)は各群の代表的なマウスから摘出した腫瘍を示す図である。
B16−BL6細胞の担がんマウスにおける、リゾホスファチジン酸(LPA)および5−FUの併用効果を検討した結果を示す図であり、(A)は各群の腫瘍体積の経時変化を示し、(B)は各群の代表的なマウスの外観を示す図である。
colon26細胞の担がんマウスにおける、リゾホスファチジン酸(LPA)および5−FUの併用効果を検討した結果を示す図であり、各群の腫瘍体積の経時変化を示す。
colon26細胞の担がんマウスにおける、リゾホスファチジン酸(LPA)およびオキサリプラチンの併用効果を検討した結果を示す図であり、各群の腫瘍体積の経時変化を示す。
LLC細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、腫瘍内の血管内皮細胞におけるVE−カドヘリンの発現を観察した結果を示す図であり、(A)は抗VE−カドヘリン抗体を用いて血管内皮細胞を免疫染色した腫瘍組織標本を共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果を示し、(B)は(A)に示した斜め白線部分に沿ってZスタック画像を取得し、VE−カドヘリン発現量(蛍光強度)を解析した結果を示す図である。
培養内皮細胞に、LPAまたはLPA誘導体のVPC31144Sを添加し、内皮細胞同士の接着強度バリア機能)を解析した結果を示す図である。
B16−BL6細胞の担がんマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、原発巣からへの転移コロニー数計測した結果を示す図である。
LLC細胞の担がんマウスから回収した腫瘍組織の血管内皮細胞におけるLPA受容体(LPAR)1〜6の発現量を、リアルタイムPCRを用いて解析した結果を示す図である。
MS−1細胞(マウス膵臓由来血管内皮細胞株)におけるLPA受容体(LPAR)1〜6の発現量を、リアルタイムPCRを用いて解析した結果を示す図である。
LPAR4をノックダウンしたMS−1細胞とコントロールMS−1細胞をコンフルエントになるまで培養し、抗VE−カドヘリン抗体で免疫蛍光染色して共焦点レーザー顕微鏡で比較観察した結果を示す図である。
下肢虚血モデルマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、新生血管透過性亢進による浮腫に対するLPAの効果を検討した結果を示す図である。
加齢黄斑変性症モデルマウスにリゾホスファチジン酸(LPA)を投与し、新生血管の透過性亢進抑制効果を検討した結果を示す図であり、上段は血管内皮細胞を抗CD31抗体で免疫染色して観察した結果を示し、下段が新生血管からのFITC標識デキストランの漏出を観察した結果を示す図である。

0014

リゾリン脂質は、アシル基を1本有するリン脂質である。リゾリン脂質は、グリセロール骨格スフィンゴシン骨格を有するクラスに大別され、それぞれに結合する極性基とアシル基の組み合わせにより多数の分子種が存在する。リゾリン脂質は、特異的な受容体に結合することにより様々な生物活性を示す脂質メディエーターであることが知られている。しかし、リゾリン脂質の生体内での生理機能については未だ不明な点が多く、血管形成異常を伴う疾患の血管に対する作用は全く知られていなかった。

0015

本発明者らは、皮下にがん細胞を移植して腫瘍を形成させたマウスにリゾリン脂質の一種であるリゾホスファチジン酸(LPA)を投与したところ、投与前は蛇行や無秩序な分岐が認められた腫瘍血管が、正常組織と同様の網状構造に変化することを見出した。腫瘍血管の内腔の構造についても、リゾホスファチジン酸投与前は歪な構造であったが、投与後は平滑な構造に変化することを見出した。さらに、腫瘍血管の透過性については、リゾホスファチジン酸は過剰な亢進状態を改善し、血管透過性を正常に誘導することを見出した。すなわち、本発明者らは、リゾホスファチジン酸が、固形がん等の血管形成異常を伴う疾患において、血管のネットワーク構築を誘導し網状構造に正常化させる作用、血管内腔平滑化する作用、血管透過性を正常化する作用を有することを見出した。また、本発明者らは、バージャー病および慢性閉塞性動脈硬化症の病態モデルである下肢虚血モデルマウス、ならびに加齢黄斑変性症モデルマウスを用いた実験を行い、腫瘍血管以外の新生血管においても、リゾホスファチジン酸は血管透過性の亢進状態を正常化し、病態を改善させることを見出した。これらの知見は、リゾホスファチジン酸が、血管形成異常を伴う疾患における異常血管を正常化する作用を有することを見出したものである。したがって、リゾリン脂質は血管形成異常を伴う疾患における血管正常化剤の有効成分として有用であると考えられる。

0016

一方、LPA受容体(LPAR)は、LPAR1〜6の6種類が現在までに発見されている。がん細胞ではLPAR1〜3の発現が高いとされており、試験管内培養ではがん細胞の増殖がリゾホスファチジン酸で誘導される。本発明者らは、マウスを用いて腫瘍組織の血管内皮細胞に発現するLPARを解析したところ、LPAR1、LPAR4およびLPAR6が発現していることを見出した。さらに、LPAR4をノックダウンした血管内皮細胞では、細胞同士の接着が歪になることを見出した。つまり、腫瘍血管の正常化は少なくともLPAR4を介していることを見出した。

0017

したがって、がん細胞に高発現するLPAR1〜3を活性化せずに、腫瘍血管内皮細胞に特異的に発現するLPARを特異的に活性化すれば、がん細胞の増殖や運動能の亢進を懸念することなく、がんを治療することができると考えられる。つまり、LPAR4またはLPAR6を特異的に活性化できる受容体アゴニストは、リゾリン脂質と同様に血管正常化剤の有効成分として有用であると考えられる。さらに、現時点ではLPA受容体は1〜6が同定されているが、未だ同定されていない受容体を含め、血管の正常化を誘導できるLPA受容体のアゴニストは血管正常化剤の有効成分として有用であると考えられる。

0018

〔薬剤送達促進剤〕
本発明は、血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤を提供する。本発明の薬剤送達促進剤は、リゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有し、血管形成異常を伴う疾患の治療薬と組み合わせて使用することを特徴とする。血管形成異常を伴う疾患部位では、血流が乏しいことに加え、血管透過性が過剰な亢進状態にあることが知られている。例えば固形がんでは、腫瘍間質圧を増加させ、腫瘍間質内と血管内の浸透圧の差がなくなり、血管内腔から腫瘍組織内への物質の移動が困難となっていることが知られている。本発明の薬剤送達促進剤は、血管形成異常を伴う疾患部位の異常血管を正常化し、血管透過性を正常化することができるので、組み合わせて使用する薬剤の疾患部位への送達効率を顕著に高めることができる。

0019

リゾリン脂質受容体を活性化する物質はリゾリン脂質に限定されるものではなく、リゾリン脂質の誘導体、リゾリン脂質の前駆体またはそれらの誘導体等も有効成分として好適に用いることができる。さらに、これら以外のリゾリン脂質受容体アゴニスト(例えば、低分子化合物核酸ペプチド蛋白質、抗体等)も有効成分として好適に用いることができる。公知のリゾリン脂質受容体アゴニストとしては、例えばWongらの論文(Assay Drug Dev Technol. 2010 Aug;8(4):459-70. doi: 10.1089/adt.2009.0261.)に記載のLPA4受容体アゴニストなどが挙げられる。好ましくは、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体である。

0020

本発明の薬剤送達促進剤に用いるリゾリン脂質としては、例えばリゾホスファチジン酸(LPA)、リゾホスファチジルセリン(LPS)、リゾホスファチジルコリン(LPC)、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、リゾホスファチジルイノシトール(LPI)、リゾホスファチジルグリセロール(LPG)、スフィンゴシン−1−リン酸(S1P)、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)、血小板活性化因子(PAF)等が挙げられるが、これらに限定されず、他のリゾリン脂質も本発明に好適に用いることができきる。好ましくはリゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴシン−1−リン酸であり、より好ましくはリゾホスファチジン酸である。本発明の薬剤送達促進剤には、1種類のリゾリン脂質を用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。リゾリン脂質のアシル基は特に限定されないが、炭素数16〜22で不飽和度0〜6のアシル基が好ましい。より好ましくは、炭素数:不飽和度が16:1、18:1、18:2、18:3、20:1、20:2、20:3、20:4、20:5、22:1、22:2、22:3、22:4、22:5、22:6のアシル基である。また、リゾリン脂質は1-アシル型リゾリン脂質および2-アシル型リゾリン脂質のどちらでもよい。好ましくは1-アシル型リゾリン脂質である。

0021

リゾリン脂質の前駆体としては、例えば、ホスファチジン酸ホスファチジルセリンホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトールホスファチジルグリセロールスフィンゴミエリンスフィンゴ脂質などが挙げられる。これらのリン脂質は生体内で代謝されリゾリン脂質が生成されることは、当業者に周知である(例えば、E. J. Goetzl, S. An,FASEB J. 12, 1589 (1998)、Xie Y, MeierKE. Cell Signal. 2004 Sep;16(9):975-81参照)。

0022

リゾリン脂質の誘導体としては、血中安定性向上の目的でポリエチレングリコール(PEG)誘導体で修飾されたリゾリン脂質(PEG化リゾリン脂質)、ポリグリセリン等の水溶性ポリマーで修飾されたリゾリン脂質、任意の置換基で修飾されたリゾリン脂質等が挙げられる。リゾリン脂質前駆体の誘導体としては、PEG誘導体で修飾された前駆体、水溶性ポリマーで修飾された前駆体、任意の置換基で修飾された前駆体等が挙げられる。また、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体は塩を形成していてもよく、その塩としては、生理学的に許容される塩が好ましい。生理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸硫酸燐酸乳酸酒石酸マレイン酸フマル酸シュウ酸リンゴ酸クエン酸オレイン酸パルミチン酸硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸メタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸などの酸との塩;ナトリウムカリウムカルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の、またはアルミニウム水酸化物または炭酸塩との塩;トリエチルアミンベンジルアミンジエタノールアミン、t−ブチルアミンジシクロヘキシルアミンアルギニンなどとの塩などが挙げられる。

0023

本発明で用いるリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体は、例えば、(1)化学的に合成する;(2)生体サンプルから精製する;(3)酵素的に合成する;等の公知の方法によって取得することができる。また、市販品を購入して用いることができる。化学的に合成する場合は、例えば、コンプリヘンシヴ・オーガニックトランスフォーメーションズ:ア・ガイドトゥーファンクシナルグループプレパレーションズ,セカンドエディション(リチャードC.ラロック,ジョンワイリアンドサンズInc,1999)[Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)]に記載された方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることによって製造することができる。生体サンプルから精製する場合は、例えば、ゲル濾過等の方法によって得られたフラクションシリカゲルカラムクロマトグラフィーもしくは逆相カラムクロマトグラフィー等の精製法に付すことによって製造することができる。酵素的に合成する場合は、例えば、ミエロペルオキシダーゼ酸化酵素、12/15−リポキシゲナーゼ、P450代謝酵素等を用いることができる。

0024

有効成分により活性化されるリゾリン脂質受容体は、特に限定されず、公知のリゾリン脂質受容体および将来見出されるリゾリン脂質受容体を対象とすることができる。なかでも、血管内皮細胞に発現しているリゾリン脂質受容体が好ましく、血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体がさらに好ましい。例えば本発明者らは、マウスの腫瘍組織の血管内皮細胞にLPAR4およびLPAR6が特異的に発現していることを見出しており(実施例10参照)、特にLPAR4を対象とすることが好ましいことを確認している(実施例11参照)。したがって、有効成分により活性化されるリゾリン脂質受容体としては、マウスのLPAR4およびLPAR6に対応するヒトのLPARが好ましい。

0025

血管形成異常を伴う疾患には、患部に蛇行する血管や無秩序な分岐を有する血管が形成される疾患、患部に歪な内腔構造を有する血管が形成される疾患、患部に血管透過性が亢進した血管が形成される疾患が含まれる。本発明の薬剤送達促進剤により薬剤の送達が促進される血管形成異常を伴う疾患としては、例えば固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症、心不全等が挙げられるが、これらに限定されない。

0026

固形がんは、その内部に蛇行や無秩序な分岐を有する血管が形成され、血管内腔の構造は歪であり、血管透過性は過剰に亢進している。固形がんは特に限定されず、例えば肺がん大腸がん前立腺がん乳がん膵臓がん食道がん胃がん肝臓がん胆道がん脾臓がん、腎がん膀胱がん子宮がん卵巣がん精巣がん甲状腺がん脳腫瘍等が挙げられる。また、がん化した血液細胞が腫瘍を形成したものも固形がんに含まれる。加齢黄斑変性症は、透過性が亢進した脈絡膜新生血管が形成される疾患である。脈絡膜新生血管から血液成分が漏出し、網膜浮腫網膜下液が生じて視機能障害を引き起こす。関節リウマチは、関節内の滑膜に炎症が生じて透過性が亢進した新生血管が形成される疾患である。関節腔内に関節液貯留し、関節の変形や疼痛を引き起こす。乾癬は、皮膚角質層において蛇行した歪な構造の血管が構築され、炎症や角質肥厚を伴う炎症性疾患である。強皮症は膠原病の一つであり、炎症により透過性の亢進した新生血管の形成が誘導され、皮膚が常に炎症状態となる疾患である。全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェットも同様に、炎症により透過性の亢進した新生血管の形成が誘導される疾患である。糖尿病性網膜症は、持続する高血糖により網膜毛細血管が障害を受けて脆弱になり、一部は瘤状となって異常な構造の血管が形成される疾患である。また血栓が生じて毛細血管が閉塞すると新たな血管が形成されるが、この新生血管は脆く、透過性が亢進しており、出血を生じて失明に至る。糖尿病性腎症は、血糖値の上昇により糸球体の毛細血管が障害を受け、透過性が亢進した新生血管の形成が誘導され、糸球体における濾過機能破綻し、必要な血清蛋白が尿中に漏れてしまう疾患である。動脈硬化症は、コレステロール等が血管に蓄積し、粥状硬化が形成されて血管内腔が狭くなり、血流低下が生じる疾患である。この粥状硬化巣においては歪な構造の血管が増成しており、硬化巣の増大に寄与する。慢性閉塞性動脈硬化症は、四肢大血管が慢性に狭窄して血流の低下をきたし、低酸素状態になるため、透過性が亢進した新生血管の形成が誘導され、浮腫や炎症を発症する疾患である。バージャー病は、ビュルガー病、閉塞性血栓血管炎とも称され、原因は未だ明確ではないが、末梢動脈の炎症により、血管腔狭小化が誘導され、血流障害をきたす疾患である。障害を受けた動脈内腔の内皮細胞は動脈内膜で周囲の強い炎症により歪な形態の透過性の亢進した新生血管を形成する。肺線維症は、間質性肺炎により肺の炎症部位線維化する疾患であるが、急性期には肺間質への炎症細胞浸潤により、透過性の亢進した新生血管の増成を伴う。脳梗塞は、脳の血管の塞栓により血流が低下して、神経細胞の細胞死が誘導される疾患であるが、脳虚血に伴って発現が亢進する血管内皮成長因子(VEGF)などにより、透過性が亢進した新生血管が形成されると共に既存の血管の透過性も亢進し、脳の致命的な浮腫が誘導される疾患である。同様に重症感染症は、炎症性サイトカインの発現が亢進することにより、透過性が亢進した新生血管が形成されると共に既存の血管の透過性も亢進し、一部の臓器全身の血管から出血性致死的な浮腫が生じる疾患である。同様に心不全は、全身の血流が低下した状態で低酸素状態が生じ、透過性が亢進した新生血管が形成されると共に既存の血管の透過性も亢進し、胸水、肝うっ血消化管浮腫、肺うっ血を引き起こす疾患である。

0027

本発明の薬剤送達促進剤と組み合わせて用いる治療薬としては、上記例示した各疾患の治療薬を好適に用いることができる。具体的には、例えばがん治療薬、抗炎症薬、精神神経系薬剤、感覚器系薬剤、循環器系薬剤、呼吸器系薬剤、消化器系薬剤、内分泌代謝系薬剤、腎臓泌尿器系薬剤、ビタミン・栄養・輸液電解質製剤、血液用薬・血液製剤免疫抑制剤鎮痛薬抗アレルギー薬抗生剤抗菌剤抗ウイルス薬などが挙げられる。本発明において、薬剤送達促進剤と血管形成異常を伴う疾患の治療薬とを組み合わせて使用するとは、本発明の薬剤送達促進剤の適用時期と前記治療薬の適用時期が重複していることを意味し、同時に投与することを要するものではない。

0028

〔医薬組成物〕
本発明は、リゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分として含有する血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物を提供する。上記本発明の薬剤送達促進剤は、医薬品の形態で実施することが好ましい。本発明の医薬組成物は、単独で使用してもよいし、血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。リゾリン脂質受容体を活性化する物質はリゾリン脂質に限定されるものではなく、リゾリン脂質の誘導体、リゾリン脂質の前駆体またはそれらの誘導体等も有効成分として好適に用いることができる。さらに、これら以外のリゾリン脂質受容体アゴニスト(例えば、低分子化合物、核酸、ペプチド、蛋白質、抗体等)も有効成分として好適に用いることができる。公知のリゾリン脂質受容体アゴニストとしては、例えばWongらの論文(Assay Drug Dev Technol. 2010 Aug;8(4):459-70. doi: 10.1089/adt.2009.0261.)に記載のLPA4受容体アゴニストなどが挙げられる。好ましくは、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体である。

0029

本発明の医薬組成物の有効成分であるリゾリン脂質受容体を活性化する物質は、腫瘍増殖抑制作用、がん転移抑制作用、腫瘍免疫亢進作用および血管透過性亢進抑制作用から選択される1種以上の作用を有するので、本発明の医薬組成物は単独で血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物として好適に用いることができる。また、本発明の医薬組成物は血管透過性を正常化する作用を有するので、血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤と組み合わせて使用した場合に、他の薬剤の疾患部位への送達を促進することができる。治療対象の血管形成異常を伴う疾患は上述のとおりであり、例えば固形がん、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎症候群、血管ベーチェット、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、肺線維症、脳梗塞、重症感染症、心不全等が挙げられるが、これらに限定されない。

0030

本発明の医薬組成物は、リゾリン脂質受容体を活性化する物質を有効成分とし、医薬製剤製造法として公知の方法(例えば、日本薬局方に記載の方法等)に従って、薬学的に許容される担体または添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には、例えば錠剤糖衣錠フィルムコーティング錠舌下錠口腔内崩壊錠バッカル錠等を含む)、丸剤散剤顆粒剤カプセル剤ソフトカプセル剤マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤シロップ剤液剤乳剤懸濁剤放出制御製剤(例えば速放性製剤徐放性製剤徐放性マイクロカプセル剤等)、エアゾール剤フィルム剤(例えば口腔内崩壊フィルム口腔粘膜貼付フィルム等)、注射剤(例えば皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤等)、点滴剤経皮吸収型製剤軟膏剤ローション剤貼付剤坐剤(例えば肛門坐剤膣坐剤等)、ペレット経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の経口剤または非経口剤が挙げられる。担体または添加剤の配合割合については、医薬分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定することができる。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば水、生理食塩水、その他の水性溶媒水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤結合剤pH調整剤崩壊剤吸収促進剤滑沢剤着色剤矯味剤香料等の各種添加剤が挙げられる。

0031

錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチンコーンスターチトラガントアラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖乳糖またはサッカリンのような甘味剤ペパーミントアカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤化手順(例えば有効成分を注射用水天然植物油等の溶媒に溶解または懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用水性液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えばD−ソルビトール、D−マンニトール塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコールエタノール等)、ポリアルコールプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン性界面活性剤ポリソルベート80TM、HCO−50等)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジルベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝液酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば塩化ベンザルコニウム塩酸プロカイン等)、安定剤(例えばヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えばベンジルアルコール、フェノール等)、酸化防止剤などと配合してもよい。

0032

本発明の医薬組成物の有効成分であるリゾリン脂質またはその前駆体は生体に存在する成分であるので、本発明の医薬組成物は、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギヒツジブタウシネコイヌサルなど)に対して毒性が低く、安全に投与することができる。

0033

本発明の医薬組成物は、剤型投与方法、担体等により異なるが、有効成分がリゾリン脂質またはその誘導体である場合、有効成分を製剤全量に対して通常0.01〜100%(w/w)、好ましくは0.1〜95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造することができる。
投与量は、投与対象、症状、投与ルートなどにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、体重約60kgのヒトにおいては、1日当たり約0.01〜1000mg、好ましくは約0.1〜100mg、より好ましくは約0.5〜500mgである。
非経口投与の合は、その1回投与量患者の状態、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば注射剤では、通常例えば体重1kg当たり約0.01〜100mg、好ましくは約0.01〜50mg、より好ましくは約0.01〜20mgを静脈に投与する。1日当たりの総投与量は、単一投与量であっても分割投与量であってもよい。

0034

本発明の医薬組成物は血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤と組み合わせて使用することが好ましい。血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤は特に限定されず、例えば上記例示した血管形成異常を伴う疾患の治療に従来使用されている公知の薬剤を好適に用いることができる。具体的には、例えばがん治療薬、抗炎症薬、精神神経系薬剤、感覚器系薬剤、循環器系薬剤、呼吸器系薬剤、消化器系薬剤、内分泌代謝系薬剤、腎臓・泌尿器系薬剤、ビタミン・栄養・輸液・電解質製剤、血液用薬・血液製剤、免疫抑制剤、鎮痛薬、抗アレルギー薬、抗生剤、抗菌剤、抗ウイルス薬などが挙げられる。中でもがん治療薬と組み合わせて、固形がんの治療や転移抑制に使用することがより好ましい。本発明の医薬組成物を他の薬剤を組み合わせて使用することにより、他の薬剤の血管形成異常を伴う疾患部位への送達を促進することができるので、薬剤の使用量を低減させることができる。その結果、他の薬剤に起因する副作用を低減できる。また、薬剤の使用量低減は医療費削減等の社会的要請にも適うものである。

0035

本発明の医薬組成物と組み合わせて使用するがん治療薬は特に限定されないが、例えば化学療法剤免疫療法剤またはホルモン療法剤が好ましい。これらのがん治療薬はリポソーム製剤でもよい。また、これらのがん治療薬は核酸医薬抗体医薬であってもよい。
化学療法剤としては、特に限定されないが、例えばナイトロジェンマスタード塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシドクロラムブチルシクロフォスファミドイホスファミドチオテパカルボコントシル酸インプロスルファンブスルファン塩酸ニムスチンミトブロニトールメルファランダカルバジンラニムスチンリン酸エストラムスチンナトリウムトリエチレンメラミンカルムスチンロムスチンストレプトゾシンピポブロマンエトグルシド、カルボプラチンシスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、アルトレタミンアンバスチン、塩酸ジブスピジウム、フォテムスチン、プレニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミドトレオスルファントロフスファミド、ジノスタチンスチマラマーアドレシン、システムスチン、ビゼレシン等のアルキル化剤;例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシドチオイノシンメトトレキサートペメトレキセドエノシタビンシタラビンシタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシルテガフール、UFT、ドキシフルリジンカルモフール、ガロシタビン、エミテフール、カペシタビン等)、アミノプテリンネルザラビンロイコボリンカルシウムタブイドブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビンゲムシタビンヒドロキシカルバミドペントスタチンピリトレシム、イドキシウリジンミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン、ベンダムスチン等の代謝拮抗剤;例えば、アクチノマイシンDアクチノマイシンCマイトマイシンCクロモマイシンA3塩酸ブレオマイシン硫酸ブレオマイシン硫酸ペプロマイシン塩酸ダウノルビシン塩酸ドキソルビシン塩酸アクラルビシン塩酸ピラルビシン塩酸エピルビシンネオカルチノスタチンミスラマイシン、ザルコマイシンカルチノフィリンミトタン、塩酸ゾルビシン塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン等の抗がん抗生物質;例えば、エトポシド、リン酸エトポシド、硫酸ビンブラスチン硫酸ビンクリスチン硫酸ビンデシン、テニポシド、パクリタキセルドセタクセルビノレルビンイリノテカン塩酸イリノテカン等の植物由来抗がん剤などが挙げられる。

0037

ホルモン療法剤としては、特に限定されないが、例えばホスフェストロールジエチルスチルベストロールクロロトリアニセン酢酸メドロキシプロゲステロン酢酸メゲストロール酢酸クロルマジノン酢酸シプロテロンダナゾールアリルエストレノールゲストリノン、メパルトリシンラロキシフェンオルロキシフェンレボルメロキシフェン抗エストロゲン(例えばクエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン等)、ピル製剤、メピチオスタンテストラクトンアミノグルテチイミドLH−RHアゴニスト(例えば酢酸ゴセレリンブセレリンリュープロレリン等)、ドロロキシフェンエピチオスタノールスルホン酸エチニルエストラジオールアロマターゼ阻害薬(例えば塩酸ファドロゾールアナストロゾールレトロゾールエキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン等)、抗アンドロゲン(例えばフルタミドビカルタミドニルタミド等)、5α−レダクターゼ阻害薬(例えばフィナステリド、エプリステリド等)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例えばデキサメタゾンプレドニゾロンベタメタゾントリアムシノロン等)、アンドロゲン合成阻害薬(例えばアビラテロン等)などが挙げられる。

0038

本発明の医薬組成物と血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤とを組み合わせて使用する場合、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。本発明において「組み合わせて使用する」とは、本発明の薬剤送達促進剤の適用時期と前記治療薬の適用時期が重複していることを意味し、同時に投与することを要するものではない。血管形成異常を伴う疾患治療用の他の薬剤の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与対象の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、組み合わせ等により適宜選択することができる。

0039

〔スクリーニング方法〕
本発明は、血管形成異常を伴う疾患の治療薬のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法は、疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体を活性化する物質(リゾリン脂質受容体アゴニスト)を選択することを特徴としている。

0040

リゾリン脂質受容体としては、例えばリゾホスファチジン酸受容体(LPAR)、リゾホスファチジルセリン受容体(LPSR)、リゾホスファチジルコリン受容体(LPCR)、リゾホスファチジルエタノールアミン受容体(LPER)、リゾホスファチジルイノシトール受容体(LPIR)、リゾホスファチジルグリセロール受容体(LPGR)、スフィンゴシン−1−リン酸受容体(S1PR)、スフィンゴシルホスホリルコリン受容体(SPCR)、血小板活性化因子受容体(PAFR)等が挙げられるが、これらに限定されない。なかでもリゾホスファチジン酸受容体(LPAR)が好ましい。

0041

疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体は、特に限定されず、今後見出されるリゾリン脂質受容体を含めて、疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体であれば、いずれも本発明のスクリーニング方法の標的として好ましく用いることができる。例えば本発明者らは、マウスの腫瘍組織の血管内皮細胞にLPAR4およびLPAR6が特異的に発現していることを見出しており(実施例10参照)、特にLPAR4を標的とすることが好ましいことを確認している(実施例11参照)。したがって、本発明のスクリーニング方法には、マウスのLPAR4およびLPAR6に対応するヒトのLPARを用いることが好ましい。

0042

本発明のスクリーニング方法は、例えば、被験物質と血管形成異常を伴う疾患部位の血管内皮細胞に特異的に発現しているリゾリン脂質受容体とを接触させる工程と、リゾリン脂質受容体の活性化状態を測定する工程と、リゾリン脂質受容体の活性化させる被験物質を選択する工程とを含む方法により実施することができる。本発明のスクリーニング方法により選択された物質は、上記本発明の薬剤送達促進剤の有効成分として有用である。また、本発明のスクリーニング方法により選択された物質は、上記本発明の血管形成異常を伴う疾患の治療用医薬組成物の有効成分として有用である。

0043

本発明には、以下の各発明も含まれる。
血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進する方法であって、哺乳動物に対してリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の有効量を投与し、さらに血管形成異常を伴う疾患の治療薬の有効量を投与することを特徴とする薬剤送達促進方法
哺乳動物に対してリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の有効量を投与し、さらに血管形成異常を伴う疾患の治療薬の有効量を投与することを特徴とする血管形成異常を伴う疾患の治療方法
哺乳動物に対してリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の有効量を投与することを特徴とする固形がんの治療方法。
哺乳動物に対してリゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の有効量を投与することを特徴とするがんの転移抑制方法。
血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達促進に使用するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体。
血管形成異常を伴う疾患の治療に使用するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体。
固形がんの治療に使用するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体。
がんの転移抑制に使用するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体。
血管形成異常を伴う疾患の治療薬の疾患部位への送達を促進するための薬剤送達促進剤を製造するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の使用。
血管形成異常を伴う疾患の治療薬を製造するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の使用。
固形がんの治療薬を製造するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の使用。
がんの転移抑制薬を製造するための、リゾリン脂質もしくはその前駆体、またはそれらの誘導体の使用。

0044

以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、%は質量%を意味する。

0045

〔実施例1:リゾホスファチジン酸(以下、「LPA」という。)投与による腫瘍血管の構造変化〕
マウスがん細胞株をマウス皮下に移植して腫瘍を形成させた後にLPAを投与し、LPAが血管に対してどのような構造的変化を誘導するかを観察した。
(1)実験方法
マウスがん細胞株としてLewis肺癌細胞株(以下、「LLC細胞」という。)を用いた。8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下に、LLC細胞(1×106個/100μL・PBS/匹)を注射した。
LPAには、18:1LPA(Avanti POLAR LIPIDS社)を使用した。50%エタノールを用いて10mMのLPAストック溶液を調製し、−30℃で保存した。使用時に解凍し、超音波洗浄機エスエヌディ社)で1分間細分化した後、PBSで3mg/kg/100μLとなるように投与用LPA溶液用時調製した。

0046

LLC細胞移植後9日目に、腫瘍体積(長径×短径×高さ×0.5)が60〜80mm3になったマウスを選択し、試験に供した。コントロール群、LPA/6時間群、LPA/12時間群およびLPA/24時間群の4群を設け、1群あたりの3匹のマウスを用いた。群分け後、LPA群のマウスにLPAを3mg/kg/100μLの用量で腹腔内投与した。LPA投与前(コントロール群)、LPA投与の6、12、24時間後にマウスから腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍を4%パラホルムアルデヒド(PFA)/PBSに浸漬し、4℃で一晩振盪して固定した。固定終了後、冷PBS(4℃)で腫瘍を洗浄した。洗浄は6時間行い、30分毎に新しいPBSに交換した。その後、腫瘍を15%スクロース/PBSに浸漬し、4℃で3時間振盪した。次に、30%スクロース/PBSに浸漬し、4℃で3時間振盪した。続いて、腫瘍をO.C.T.コンパウンド(Tissue−Tek社)に包埋し、−80℃で3日以上冷凍した。

0047

O.C.T.コンパウンドで包埋した腫瘍を、クライオスタットLEICA社)で厚さ40μmの切片スライスした。スライドガラス上に切片を載せ、ドライヤーで2時間風乾した。切片の周りリキッドブロッカーで囲い、スライド染色バットにスライドガラスをセットし、PBSを用いて室温で10分間洗浄することによりO.C.T.コンパウンドを洗い流した。4%PFA/PBSを用いて室温で10分間後固定を行い、PBSを用いて室温で10分間洗浄を行った。ブロッキング溶液(5% normal goat serum/1%BSA/2% skim milk/PBS)を切片上に滴下し、室温で20分間ブロッキングを行った。1次抗体には、抗マウスCD31抗体であるPurified Hamster Anti−PECAM−1(MILLIPORE社:MAB1398Z)を用い、ブロッキング溶液で200倍希釈して切片上に滴下し、4℃で一晩反応させた。Tween20を含むPBS(PBST)で10分間の洗浄を5回行い、さらにPBSで10分間洗浄を行った。2次抗体には、Alexa Fluor 488 Goat Anti−HamsterIgG(Jackson ImmunoResearch Labolatories社)を用い、ブロッキング溶液で400倍希釈して切片に滴下し、2時間遮光で反応させた。PBSTで10分間の洗浄を5回行い、Vectashild(Vector Laboratories Inc.社)を数滴落とし、カバーガラス封入した。共焦点レーザー顕微鏡(LEICA社)にて観察し、写真撮影を行った。また、撮影した写真からAngioTool血管構造解析ソフトを用いて1本の血管の長さを測定した。

0048

(2)結果
結果を図1に示した。(A)は共焦点レーザー顕微鏡で標本を観察した写真であり、血管内皮細胞が緑色蛍光に染色され、写真では白く描出されている。(B)はAngioTool血管構造解析ソフトで算出した各群の平均血管長を示す図である。図1(A)に示したように、LPA投与前の腫瘍血管(control)は網目構造が疎で血管が不連続であったが、6時間後では血管の連結状態が観察されるようになり、12時間、24時間後では正常組織と同様に血管の網状構造が観察された。図1(B)に示したように、LPAの投与により一本一本の血管の長さが長くなっていることが数値として示された。この結果は、LPA投与後短時間で腫瘍血管のネットワーク構築が誘導されることを示している。したがって、LPAによる腫瘍血管のネットワーク構築は血管内皮細胞の増殖に基づくものとは考え難く、血管内皮細胞の伸長/接着/管腔形成に基づくものと考えられた。なお、結果を示していないが、がん細胞株としてLLC細胞以外のcolon26大腸がん細胞やB16メラノーマ細胞を用いた実験においても同様の結果が得られた。

0049

〔実施例2:スフィンゴシン−1−リン酸(以下、「S1P」という。)投与による腫瘍血管の構造変化〕
LPA以外のリゾリン脂質であるS1Pを用いて、LPAと同様に腫瘍血管のネットワーク構築が誘導されるかどうかを観察した。
(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植した。S1P(Avanti POLAR LIPIDS社)はPBSで10mMとなるように調製し、これをストック溶液として−30℃で保存した。使用時に解凍し、超音波洗浄機(エスエヌディ社)で1分間細分化した後、PBSで0.3mg/kg/100μLとなるように投与用S1P溶液を用時調製した。

0050

LLC細胞移植後9日目のマウス(腫瘍体積が60〜80mm3になった個体)を実験に供し、コントロール群とS1P群の2群に分けた(n=3)。群分け当日から3日間連続で、S1P群のマウスにS1Pを0.3mg/kg/100μLの用量で1日1回、尾静脈内に投与した。コントロール群のマウスにはS1Pに代えてPBS(100μL)を投与した。最終投与の24時間後にマウスから腫瘍を摘出し、実施例1と同じ方法で腫瘍血管の組織標本を作製した。共焦点レーザー顕微鏡(LEICA社)にて観察し、写真撮影を行った。

0051

(2)結果
結果を図2に示した。LPAを投与した場合と同様に、S1Pを投与した場合も腫瘍血管のネットワーク構築が誘導されることが明らかになった。この結果から、腫瘍血管のネットワーク構築を誘導して正常化させることができるのはLPAに限定されず、他のリゾリン脂質を用いても同じ効果を奏することが判明した。

0052

〔実施例3:LPA投与後の腫瘍血管内腔の構造的変化〕
(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植した。また、実施例1と同じ方法で投与用のLPAを調製した。LLC細胞移植後9日目のマウス(腫瘍体積が60〜80mm3になった個体)を実験に供し、コントロール群とLPA群の2群に分けた(n=3)。群分け後、LPA(3mg/kg/100μL)またはPBS(100μL)を腹腔内投与した。LPAまたはPBS投与の24時間後に、ペントバルビタール(共立製薬株式会社)麻酔下で、マウスを潅流固定した。固定液には、2%ホルムアルデヒドおよび2.5%グルタールアルデヒドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた。還流固定後、腫瘍を摘出し、潅流に用いたものと同じ固定液に浸漬して4℃で一晩振盪した。さらに1%四酸化オスミウムおよび0.5%フェロシアンカリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に浸漬して固定した。濃度上昇系列エタノールで脱水し、t−ブチルアルコール置換して凍結乾燥を行った。凍結乾燥後、四酸化オスミウムを蒸着し、日立ハイテク製の走査型電子顕微鏡S−4800で、血管内腔面を観察した。

0053

(2)結果
結果を図3に示した。図3から明らかなように、コントロール群の血管内腔面には糸状仮足を伸ばしたような歪な構造が観察されたが、LPA投与後の血管内腔は非常に平滑な構造が観察された。この結果から、LPAを投与することにより腫瘍内の血液の循環が改善することが予想された。

0054

〔実施例4:LPA投与後の腫瘍血管から腫瘍組織への薬剤送達の改善〕
従来から知られているように、腫瘍内は血流が乏しいことに加え、血管透過性が過剰な亢進状態にある。そのため、最終的に腫瘍間質圧を増加させ、腫瘍間質内と血管内の浸透圧の差がなくなり、血管内腔から腫瘍組織内への物質の移動が困難となっている。LPA投与後に腫瘍内の血管網が密に構築され、血管内腔も平滑になることが明らかになったため、LPA投与後の腫瘍血管では薬剤の透過性が改善していることが予想された。そこで、LPA投与後の腫瘍における薬剤の透過性を確認するために、以下の実験を行った。

0055

(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植した。また、実施例1と同じ方法で投与用のLPAを調製した。LLC細胞移植後11日目に、腫瘍体積が100〜120mm3になったマウスを選択し、コントロール群とLPA群の2群に分けた(n=3)。群分け後、LPA(3mg/kg/100μL)またはPBS(100μL)を腹腔内投与した。LPAまたはPBS投与の24時間後に、ペントバルビタール麻酔下で、ドキソルビシン(ドキソルビシン塩酸塩、日本化薬株式会社)を1.5mg/kgの用量でマウスに尾静脈内に投与した。ドキソルビシンは生理食塩水(大塚製薬株式会社)に溶解し、1.5mg/kgとなるように希釈した後、超音波洗浄機で1分間細分化を行ってから投与した。なお、ドキソルビシンは蛍光を発する抗癌剤であり、励起波長480nm、測定波長575nmで観察することが可能な化合物である。ドキソルビシン投与の20分後にマウスから腫瘍を摘出し、切片の厚さを20μmに変更した以外は実施例1と同じ方法で腫瘍の組織標本を作製した。共焦点レーザー顕微鏡(LEICA社)にて観察し、写真撮影を行った。

0056

(2)結果
結果を図4に示した。図4中、矢印はドキソルビシンの赤色蛍光シグナルを示す。血管内皮細胞は、抗CD31抗体により緑色蛍光を発している。図4から明らかなように、コントロールではドキソルビシンの腫瘍内移行はほとんど観察されなかったが、LPAを投与後の腫瘍においては、ドキソルビシンが血管内から腫瘍深部に送達されていることが観察された。

0057

〔実施例5:LPAによる腫瘍血管の正常化と分子量の異なる薬剤送達の関係〕
リゾリン脂質投与による腫瘍血管の正常化により抗がん剤の送達性の改善が観察されたが、この薬剤送達に関して、低分子量、高分子量の違いに関わらず送達性が改善するのかどうかを、70kDaデキストランと2000kDaデキストランの2種類のデキストランを用いて解析した。

0058

(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植した。また、実施例1と同じ方法で投与用のLPAを調製した。LLC細胞移植後11日目に、腫瘍体積が100〜120mm3になったマウスを選択し、70kDaデキストラン投与のコントロール群とLPA群、および2000kDaデキストラン投与のコントロール群とLPA群の合計4群に分けた(n=3)。群分け後、LPA(3mg/kg/100μL)またはPBS(100μL)を腹腔内投与した。LPAまたはPBS投与の24時間後に、ペントバルビタール麻酔下で、各デキストランを尾静脈内に投与した。デキストラン(70kDaおよび2000kDa)は、FITC標識されたデキストラン(SIGMA社)を使用した。どちらのデキストランもPBSに溶解し、5mg/mLとなるように希釈して、その100μLを投与した。デキストラン投与の30分後にマウスから腫瘍を摘出し、実施例4と同じ方法で腫瘍の組織標本を作製した。共焦点レーザー顕微鏡(LEICA社)にて観察し、写真撮影を行った。

0059

(2)結果
結果を図5に示した。70kDaデキストランおよび2000kDaデキストランのいずれも、コントロール群では腫瘍内移行がほとんど観察されなかったが、LPA投与群では腫瘍深部に送達されていることが観察された。この結果から、LPA投与によって腫瘍血管の透過性が正常化されることにより、低分子化合物に限らず、高分子化合物(例えば、核酸、抗体等)も、腫瘍深部に送達可能になると考えられる。

0060

〔実施例6:LPAと抗がん剤の併用によるがん治療の検討〕
LPA投与により、抗がん剤を腫瘍深部まで効率よく送達するできることが示されたため、LPAと抗がん剤の併用によるがん治療を試みた。

0061

6−1LLC細胞に対するLPAと5−FUの併用効果
(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウスの皮下にLLC細胞を移植した。また、実施例1と同じ方法で投与用のLPAを調製した。抗癌剤として5−FU(協和発酵キリン社)を使用した。5−FUの調製には生理食塩水(大塚製薬株式会社)を用いた。LLC細胞移植後7日目に、腫瘍体積が30〜50mm3になったマウスを選択し、試験に供した。コントロール群、5−FU群、LPA群および5−FU/LPA群の4群を設けた(n=3)。群分け後、LPA(3mg/kg/100μL)または5−FU(100mg/kg/100μL)またはPBS(100μL)を腹腔内投与した。5−FU/LPA群にはLPAと5−FUの両方を腹腔内投与した。LPAまたはPBSは1日1回7日間連日投与した。5−FUは週1回、合計2回(移植後7日目と14日目)に投与した。投与開始後経時的に腫瘍サイズを測定した。腫瘍体積は、長径×短径×高さ×0.5で計算した。投与開始から2週間後のマウスをペントバルビタール麻酔下で、デジタルカメラで撮影した。また、腫瘍を摘出し、デジタルカメラで撮影した。

0062

(2)結果
結果を図6に示した。(A)は各群の腫瘍体積の経時変化を示す図であり、(B)は各群の代表的なマウスの外観の写真であり、(C)は各群の代表的なマウスから摘出した腫瘍の写真である。図6から明らかなように、5−FUとLPAの併用投与は、5−FUの単独投与より腫瘍の増大を顕著に抑制した。LPAの単独投与では、腫瘍が赤みを帯びており、血流が増加していることが観察された。また、LPAの単独投与でも、コントロールと比較して腫瘍の増大を抑制することが示された。

0063

6−2メラノーマ細胞に対するLPAと5−FUの併用効果
(1)実験方法
マウスメラノーマ由来細胞株のB16−BL6細胞を用いた。8週齢のC57BL/6NCrSlcマウスの皮下に、B16−BL6細胞(1×106個/100μL・PBS/匹)を注射した。LLC細胞移植後7日目に、腫瘍体積が30〜50mm3になったマウスを選択し、試験に供した。以後の実験方法は、上記6−1と同じである。

0064

(2)実験結果
結果を図7に示した。(A)は各群の腫瘍体積の経時変化を示す図であり、(B)は各群の代表的なマウスの写真である。図7から明らかなように、5−FUとLPAの併用投与は、5−FUの単独投与より腫瘍の増大を顕著に抑制した。また、LPAの単独投与でも、コントロールと比較して腫瘍の増大を抑制することが示された。

0065

6−3大腸がん細胞に対するLPAと5−FUの併用効果
(1)実験方法
マウス大腸がん細胞株のcolon26細胞を用いた。8週齢のBALB/cマウス(♀、SLC社)の皮下に、colon26細胞(1×106個/100μL・PBS/匹)を注射した。LLC細胞移植後7日目に、腫瘍体積が30〜50mm3になったマウスを選択し、試験に供した。以後の実験方法は、上記6−1と同じである。

0066

(2)実験結果
各群の腫瘍体積の経時変化の結果を図8に示した。図8から明らかなように、5−FUとLPAの併用投与は、5−FUの単独投与より腫瘍の増大を顕著に抑制した。また、移植後17日目までは、LPAの単独投与でもコントロールと比較して腫瘍の増大を抑制することが示された。

0067

6−4大腸がん細胞に対するLPAとオキサリプラチンの併用効果
(1)実験方法
5−FUに代えてオキサリプラチンを用いた以外は、上記6−3と同じ方法で実施した。オキサリプラチン(コスモバイオ株式会社)の調製には生理食塩水(大塚製薬株式会社)を用い、1.5mg/kg/100μLを腹腔内投与した。

0068

(2)結果
各群の腫瘍体積の経時変化の結果を図9に示した。図9から明らかなように、オキサリプラチンとLPAの併用投与は、オキサリプラチンの単独投与より腫瘍の増大を顕著に抑制した。また、移植後17日目までは、LPAの単独投与でもコントロールと比較して腫瘍の増大を抑制することが示された。この結果から、LPAと抗がん剤の併用効果は、抗がん剤として5−FUを用いた場合に限らないことが示された。
上より、LPAの腫瘍血管に対する効果は、あらゆるがん細胞によるがん組織に有効であることが示唆された。

0069

いずれの細胞由来の腫瘍に対しても、LPAの単独投与が腫瘍の増大を抑制したことから、LPAにより腫瘍血管の透過性が保たれた結果、がん細胞を攻撃して細胞死を誘導するナチュラルキラー細胞、CD8陽性T細胞などの免疫細胞の腫瘍組織内への浸潤が可能になったと考えられた。また、抗腫瘍活性を示すM1マクロファージ優勢な増加を誘導した可能性もあると考えられた。すなわち、LPA投与が腫瘍血管の血流を改善することにより、腫瘍免疫効果を高めることが示唆された。

0070

〔実施例7:LPA投与による血管内皮細胞間接着の誘導〕
実施例3において、LPA投与群では腫瘍血管内腔面が平滑で隙間のない状態に変化していたことから、LPA投与群では血管内皮細胞間の接着が強固になっている可能性が考えられた。そこで、血管内皮細胞の細胞間接着を誘導する分子の1つである、LPA投与後の腫瘍血管におけるVE−カドヘリンの発現を解析した。

0071

(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植した。また、実施例1と同じ方法で投与用のLPAを調製した。LLC細胞移植後9日目のマウス(腫瘍体積が60〜80mm3になった個体)を実験に供し、コントロール群とLPA群の2群に分けた(n=3)。群分け後、LPA群のマウスにLPAを3mg/kg/100μLの用量で腹腔内投与した。コントロール群は群分け後に腫瘍を摘出し、LPA群はLPA投与の24時間後に腫瘍を摘出した。腫瘍の免疫染色組織標本は、1次抗体および2次抗体を変更した以外実施例1と同じ方法で作製した。1次抗体には、抗マウスVE−カドヘリン抗体であるPurified Goat anti−mouse VE−cadherin(BD pharmigen社)をブロッキング溶液で200倍希釈して用いた。2次抗体には、Alexa Fluor 488 Goat Anti−RatIgG(Life technologies社)をブロッキング溶液で400倍希釈して用いた。作製した標本を共焦点レーザー顕微鏡(LEICA社)にて観察し、写真撮影を行った。また、共焦点レーザー顕微鏡にてZスタック画像を取得し、VE−カドヘリン発現量(蛍光強度)を解析した。

0072

(2)結果
結果を図10に示した。(A)は共焦点レーザー顕微鏡で標本を観察した写真であり、VE−カドヘリンが緑色蛍光に染色され、写真では白く描出されている。(B)は(A)の写真の斜め白線部分に沿ってZスタック画像を取得し、VE−カドヘリン発現量(蛍光強度)を解析した結果を示すチャートである。(A)の下の写真から、LPA群ではVE−カドヘリンが細胞と細胞の接着面に集まっていることが観察された。一方、コントロール群では、VE−カドヘリンは細胞内に弱く発現していることが観察された。(B)のZスタックチャートを見ても、LPA投与群では、細胞膜部分の蛍光強度が高く、細胞膜にVE−カドヘリンが多く発現していることが示された。この結果から、LPAが血管内皮細胞同士の接着を担うVE−カドヘリンの細胞膜への移行を誘導して、血管内皮細胞同士を接着させることが明らかとなった。

0073

〔実施例8:LPA誘導体による血管内皮細胞間接着の誘導]
LPAにより内皮細胞同士の接着性が高まり、血管内皮細胞のネットワークの改善や、血管からの透過性の改善が誘導されることが、上記実施例7で明らかになった。そこで、LPA誘導体であるVPC31144S(N-{(1S)-2-Hydroxy-1-[(Phosphonooxy) Methyl]Ethyl}(9Z) Octadec-9-enamide)によっても、内皮細胞同士の接着性が向上するかどうかを、内皮細胞同士の接着を電気信号で解析する方法を用いて解析した。

0074

(1)実験方法
LPAおよびVPC31144Sのin vitroにおける血管内皮細胞同士の細胞接着をバリア機能として解析するために、リアルタイム細胞解析装置CIS−Zθ(Applied Biophysic 社製)を使用した。
LPAおよびVPC31144SはAvanti POLAR LIPIDS社製を使用した。VPC31144SはLPAR4にアゴニスト作用を示すことが知られているLPA誘導体である。LPAおよびVPC31144Sは、それぞれ50%エタノールを用いて10mMのLPAストック溶液を調製し、−30℃で保存した。使用時に解凍し、超音波洗浄機(エスエヌディ社)で1分間細分化した後、無血清培地にBSAを0.1%加えた培地で10μMに調製した。

0075

細胞には、マウス膵臓由来血管内皮細胞株(MS−1)を使用した。5%FBS含有DMEM(Sigma)で細胞懸濁液を調製し、上記装置専用電極ウェルプレート(8W10E+、8ウェル)に1×105個/400μL/ウェルとなるように播種し、一晩インキュベータで培養してコンフルエントな状態とした。0.1%BSA含有無血清培地に交換し4時間インキュベーションした後、LPAまたはVPC31144Sを10μM含む培地(0.1%BSA含有無血清培地)に交換した。コントロールは、0.1%BSA含有無血清培地に交換した。培地交換後、リアルタイムで細胞間隙抵抗指標であるRbを解析し、バリア機能を評価した。

0076

(2)結果
結果を図11に示した。図11のX軸は時間経過、Y軸は電気抵抗(Rb)を示す。Rbが高いほど、細胞間接着が強いことを示す。LPA添加により、コントロールに比べ電気信号が高まり、長期間にわたって内皮細胞同士のバリア機能が強くなることが示された。同様に、VPC31144を添加した場合も内皮細胞同士のバリア機能が強くなることが示された。さらに、VPC31144を添加した場合は、LPA添加と比較して、添加直後より強いバリア機能が発揮されることが明らかになった。この結果から、LPAに限らず、LPAR4にアゴニスト作用を有するLPA誘導体も、血管形成異常を伴う疾患に対する透過性の改善や血管網の正常化に有用であることが判明した。

0077

〔実施例9:LPA投与による原発巣からのがん転移の抑制の検討〕
これまでの報告から、腫瘍組織の低酸素状態はがん細胞そのものの悪性化を誘導し、がん細胞の転移浸潤を旺盛にする可能性が示唆されている。腫瘍内の血流が改善されれば、酸素分圧も腫瘍内で低下せず、がんの悪性化が抑制できる可能性が考えられる。さらに、上記したように内皮細胞同士が接着した状態で維持されることで、血管内へのがん細胞の移動侵入が困難になり、転移が抑制される可能性も考えられる。そこで、高転移能を有するメラノーマ細胞株(B16−BL6細胞)を用いて、LPAのがん転移に対する効果を検討した。

0078

(1)実験方法
8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下に、B16−BL6細胞(1×106個/100μL・PBS/匹)を注射した。B16−BL6細胞移植後7日目に、腫瘍体積が30〜50mm3になったマウスを選択し、コントロール群とLPA群の2群に分けた(n=3)。群分け後、LPA(3mg/kg/100μL)またはPBS(100μL)を腹腔内投与した。LPAまたはPBSは移植後21日目まで1日1回連日投与した。B16−BL6細胞を移植後42日目に、マウスを安楽死させ肺を摘出した。実体顕微鏡(LEICA社)を用いて、摘出した肺の転移コロニー数を計測した。統計解析には、Student’s t−testを用いた。

0079

(2)結果
結果を図12に示した。図12から明らかなように、LPA群はコントロール群と比較して、有意に肺への転移を抑制した(p<0.01)。この結果から、LPAによる腫瘍血流改善および血管内皮細胞の接着誘導は、がん細胞の悪性化および転移を抑制することが確認された。

0080

〔実施例10:腫瘍組織の血管内皮細胞におけるLPA受容体の発現解析
(1)実験方法
実施例1と同じ方法で8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)の皮下にLLC細胞を移植し、腫瘍を形成させた。腫瘍を摘出し、CD45(血液マーカー陰性、CD31(血管内皮細胞マーカー)陽性の血管内皮細胞をFACSAria(BD Bioscience社)を用いて回収した。回収した血管内皮細胞(CD45−CD31+)から、RNAeasy kit(Qiagen社)を用いてトータルRNAを得た。次に、ExScriptRTreagent Kit(タカラバイオ社)を用いて、トータルRNAからcDNAを合成し、得られたcDNAを用いて、LPA受容体(LPAR)1〜6のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法によって解析した。対照として解糖系酵素であるGAPDH(Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)のmRNAの発現量を測定した。リアルタイムPCRには、Stratagene M×300P(Stratagene社製)を用いた。

0081

リアルタイムPCRに用いたプライマーは以下のとおりである。
LPAR1
5'- CCGCTTCCATTTCCCTATTT-3'(配列番号1)
5'- AAAACCGTGATGTGCCTCTC -3'(配列番号2)
LPAR2
5'- CCATCAAAGGCTGGTTCCT -3'(配列番号3)
5'- TCCAAGTCACAGAGGCAGTG -3'(配列番号4)
LPAR3
5'- TTCCACTTTCCCTTCTACTACCTG -3'(配列番号5)
5'- TCCACAGCAATAACCAGCAA -3'(配列番号6)
LPAR4
5'- GCCCTCTCTGATTTGCTTTT -3'(配列番号7)
5'- TCCTCCTGGTCCTGATGGTA -3'(配列番号8)
LPAR5
5'- AGCGATGAACTGTGGAAGG -3'(配列番号9)
5'- GCAGGAAGATGATGAGATTGG -3'(配列番号10)
LPAR6
5'- TGTGCCCTACAACATCAACC-3'(配列番号11)
5'- TCACTTCTTCTAACCGACCAG -3'(配列番号12)
GAPDH
5'- AACTTTGGCATTGTGGAAGG -3'(配列番号13)
5'- GGATGCAGGGATGATGTTCT -3'(配列番号14)

0082

(2)結果
結果を図13に示した。各LPA受容体の発現量は、GAPDHの発現量に対する相対値で示した。図13から明らかなように、腫瘍組織の血管内皮細胞では、LPAR1、LPAR4およびLPAR6が発現しており、LPAR2、LPAR3およびLPAR5の発現量は検出限界以下であった。

0083

〔実施例11:血管内皮細胞株におけるLPA受容体の発現解析およびLPAR4の機能解析
(1)LPA受容体の発現解析
実施例9と同じ方法で、MS−1細胞(マウス膵臓由来血管内皮細胞株)から、トータルRNAを回収し、LPA受容体(LPAR)1〜6のmRNAの発現量をリアルタイムPCR法によって解析した。
結果を図14に示した。各LPA受容体の発現量は、GAPDHの発現量に対する相対値で示した。図14から明らかなように、MS−1細胞では、LPAR4およびLPAR6が発現しており、LPAR1、LPAR2、LPAR3およびLPAR5の発現量は検出限界以下であった。

0084

(2)LPAR4の機能解析
LPAR4特異的siRNA(siRNA ID: s95367、life Technologies社)を、lipofectamine2000(invitrogen社)を用いてMS−1細胞に導入し、LPAR4をノックダウンした。コントロールsiRNAを導入したMS−1細胞をコントロール細胞とした。コントロール細胞とLPAR4ノックダウン細胞を、それぞれコラーゲンタイプIをコーティングしたガラスボトムディッシュ(Iwaki社)に2.5×105個/2mLで播種し、細胞がコンフルエントになるまで3日間培養した。細胞をPBSで1分間×3回洗浄した後、ブロッキング溶液(5% normal goat serum/1%BSA/2%skim milk/PBS)をディッシュ上に滴下し、室温で30分間ブロッキングを行った。1次抗体にはPurified Goat anti−mouseVE−cadherin(BD pharmigen社)を用い、4℃で一晩反応させた。Triton X−100含有PBS(PBST)で10分の洗浄を3回行った後、二次抗体Alexa Fluor 488 goat anti−ratIgG(Molecular Probes社)を遮光して室温で1時間反応させた。以降の操作は、すべて遮光下室温で行った。PBSTで10分間の洗浄を3回行った後、TOPRO−3(life Technologies社)で核染色を行い、PBSで10分間の洗浄を2回行い、Vectashield(Vector Laboratories Inc.社)を数滴落としてカバーガラスを載せ、共焦点レーザー顕微鏡で観察および撮影した。

0085

結果を図15に示した。コントロール細胞(左)をコンフルエントになるまで培養すると、敷石状に横の細胞と接しながら増殖したが、LPAR4ノックダウン細胞(右)では増殖細胞数に違いはみられなかったが、細胞同士の接着が歪になった。細胞の形態もコントロール細胞のような紡錘形とならずに、膨化したような形態になっていた。また、至る所でVE−カドヘリンの細胞膜−細胞膜間での欠損がみられ(図15右の白丸で囲った部分)、細胞間隙が開いていることが判明した。

0086

〔実施例12:血管透過性が亢進した新生血管が形成される疾患に対するLPAの作用〕
血管透過性亢進により病態の悪化が観察されるのは腫瘍だけでなく、炎症性疾患や糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性症等においても、新生血管の透過性亢進による病態の悪化が観察される。そこで、LPAが腫瘍血管のみならず、他の疾患モデルにおいても新生血管の血管透過性亢進の抑制に効果があるかどうかを解析した。

0087

12−1下肢の虚血モデル
下肢の虚血モデルは、バージャー病や慢性閉塞性動脈硬化症の病態モデルとして利用されている。すなわち、マウス下肢の血管を切除すると、その血管支配領域に虚血が生じ、さらに手術手技により炎症がもたらされた結果、血管新生が誘導され、新生血管の透過性亢進に起因して下肢の筋肉部位に浮腫が生じる。LPAにこのような炎症や虚血による新生血管の透過性亢進を抑制する効果があるかどうかを検討した。

0088

(1)実験方法
6週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)を用いた。ペントバルビタール(共立製薬株式会社)麻酔下で、右下肢鼠径部の皮膚を切開し、大腿静脈起始部を結紮した後、伏在動静脈末端を結紮し、さらにその他の分枝剥離して本枝とともに切除した。切除後、皮膚切開部を滅菌縫合糸夏目制作所)で縫合し、麻酔から覚醒するまで37℃恒温器上に静置した。覚醒後、LPA群(n=3)にはLPA(3mg/kg/100μL)を、コントロール群(n=3)にはPBS(100μL)を、それぞれ腹腔内投与した。投与は3日連続で1日1回、合計3回行った。最終投与の24時間後に、大腿周囲の長さを測定した。

0089

(2)結果
結果を図16に示した。LPA投与群ではコントロール群に比べ大腿周囲の長さが顕著に短くなり、浮腫が抑制されていることが判明した。

0090

12−2加齢黄斑変性症モデル
滲出性加齢黄斑変性は、脈絡膜新生血管を原因とする眼疾患であり先進国の失明原因第1位を占める。脈絡膜新生血管は、健常な血管と異なり血管透過性が亢進しており、血液成分が漏出するため網膜浮腫や網膜下液が生じて視機能障害を引き起こす。現在、脈絡膜新生血管の発生や増殖に関与するVEGFを阻害する薬剤が臨床応用されているが、未だに視機能を完全に回復させる治療法はなく、さらなる有効な治療法の開発が望まれている。そこで、LPAがこの脈絡膜新生血管の透過性亢進を抑制し得るかどうかを検討した。

0091

(1)実験方法
8週齢のC57BL/6NCrSlcマウス(♀、SLC社)を用いた。ペントバルビタール(共立製薬株式会社)麻酔下でトロピカミド参天製薬製)を点眼して散瞳し、細隙灯顕微鏡でマウス眼底を観察しながら眼底視神経乳頭周囲の網膜に両眼4か所ずつレーザー照射し(Ultima 2000 SE)脈絡膜新生血管を誘発した。レーザー照射条件は、150mW、0.05秒、75μmとした。LPA群(n=3)にはLPA(3mg/kg/100μL)を、レーザー照射後5日目と6日目に腹腔内投与し、コントロール群(n=3)にはPBS(100μL)を、レーザー照射後5日目と6日目に腹腔内投与した。レーザー照射後7日目(LPA初回投与後48時間目)に、ペントバルビタール麻酔下でFITC標識70kDaデキストラン(SIGMA社)を尾静脈内に投与した。デキストランはPBSに溶解し、5mg/mLとなるように希釈して、その50μLを投与した。デキストラン投与の10分後に眼球を回収した。回収した眼球を4%パラホルムアルデヒド(PFA)/PBSに2時間浸漬した後、眼球から角膜水晶体、網膜を取り除き、脈絡膜フラットマウントを作製した。その後、4℃のPBSを用いて洗浄した。30分毎に新しいPBSに交換しながら6時間洗浄を行った。続いて、ブロッキング溶液(5% normal goat serum/1%BSA/2%skim milk/PBS)を加えて室温で2時間ブロッキングを行った。1次抗体には、抗マウスCD31抗体であるPurified Hamster Anti−PECAM−1(MILLIPORE社:MAB1398Z)を用い、ブロッキング溶液で200倍希釈して切片上に滴下し、4℃で一晩反応させた。PBSTで30分間の洗浄を6回行い、さらにPBSで30分間洗浄を行った。2次抗体には、Alexa Fluor 488 Goat Anti−HamsterIgG(Jackson ImmunoResearch Labolatories社)を用い、ブロッキング溶液で400倍希釈して切片に滴下し、6時間遮光で反応させた。PBSTで30分間の洗浄を6回行い、Vectashildを数滴落とし、カバーガラスで封入した。共焦点レーザー顕微鏡にて観察し、写真撮影を行った。

0092

(2)結果
結果を図17に示した。上段(CD31)は血管内皮細胞を抗CD31抗体で免疫染色した組織標本を観察した写真であり、血管内皮細胞が緑色蛍光に染色され、写真では白く描出されている。下段(Dextran)は新生血管から漏出したデキストランの蛍光を観察した写真である。上段に示したように、脈絡膜新生血管の大きさに関してLPA群とコントロール群との間に有意差は求められなかった。一方、下段に示したように、デキストランの漏出に関しては、LPA群は顕著にデキストランの漏出が抑制されており、LPAは血管透過性亢進を抑制する作用を有することが明らかとなった。この結果から、LPAは加齢黄斑変性症における血管透過性を抑制して病態を改善する効果を有することが判明した。

実施例

0093

なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

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