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技術 スクアレン含有アジュバント組成物

出願人 日本ビーシージー製造株式会社
発明者 中谷彰洋渋谷幸広中馬康志砂川洵佐藤仁尤
出願日 2018年7月4日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-127580
公開日 2020年1月9日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-002117
状態 未査定
技術分野 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 医薬品製剤
主要キーワード SPG膜 成果報告書 処方条件 ワイル病 エマルション液 異物認識 再溶解液 小径粒子
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

スクアレンを含有するアジュバント組成物であって、広範囲粒子径で安定なエマルションとすることができ、しかも必要に応じて安定な凍結乾燥製剤とすることができ、さらに、成分の酸化や分解が抑制された組成物を提供する。

解決手段

スクアレン、界面活性剤ジブチルヒドロキシトルエン及び/又はブチルヒドロキシアニソール、並びにクエン酸緩衝剤を含むアジュバント組成物。この組成物は、水中油型エマルションであるか、又は凍結乾燥された組成物であり得る。

概要

背景

インフルエンザワクチンなどのワクチン製剤は、細菌やウイルスなどの感染症を予防するのに非常に有効であり、多くのワクチン製剤が作製されてきた。例えば、アジュバントを含んだ高齢者用のインフルエンザ不活化ワクチンであるFlaud(商品名)については、1997年にイタリアで最初に推奨され、2015年までに、カナダ及び欧州の15か国を含む38か国で推奨され使用されている。

このインフルエンザワクチンの基剤として使用されているのが、ノバルティス社のMF59(商品名)である。その組成は、5v/v%のスクアレン、0.5w/v%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(商品名:Tween80)、0.5w/v%のソルビタントリオレアート(商品名:Span85)が、pH6.5の10mMクエン酸緩衝液に含有されるものである。さらに、このMF59が、アジュバント効果をもたらすとされており、そのメカニズム解明されつつある(非特許文献1)。また、スクアレン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、α—トコフェロールリン酸緩衝剤、及びチメロサールを含むグラクソスミクライン社のAS03(商品名)も、アジュバントとして臨床で用いられている(非特許文献2)。
これらのスクアレン含有アジュバントは水中油型エマルションの形態を取っている。

アジュバントは多様な作用メカニズムによりワクチン抗原に対する免疫応答を増強する。アジュバントの作用としては、ワクチン抗原の組織滞留性リンパ組織への移行を改善したり、抗原提示細胞によるワクチン抗原の取り込みなどを改善することでワクチン抗原に対する免疫応答を増強する作用や、それ自体が自然免疫反応を惹起する免疫賦活作用が知られている。

エマルションタイプのアジュバントの作用メカニズムは解明途上であるが、例えば、異物認識機構を利用してマクロファージ刺激サイトカイン放出活性化する作用や、ワクチン投与箇所に好中球などの免疫細胞リクルートする作用があり、これらに適した粒子サイズとして0.2μm以下が選択されたことが報告されている(非特許文献3)。
また、エマルションタイプのアジュバントは、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に貪食され、多様な免疫反応を惹起する。抗原提示細胞に貪食され易い粒子径は、1〜3μm程度であることが報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。
また、アジュバントがリンパ節に移行して全身に運ばれるのに適した粒子径や、ワクチン抗原の組織滞留性やリンパ組織への移行を改善したり、抗原提示細胞によるワクチン抗原の取り込みなどを改善するのに適した粒子径は、それら各作用メカニズムに対応するために、0.05〜3μm程度である(非特許文献6、非特許文献7)。

このように、作用メカニズムにより乳化粒子の最適な粒子径が異なることから、目的に応じた作用を有するものとするために、エマルションタイプのアジュバントは、粒子径を0.05〜3μm程度に変化させても安定なエマルションを維持できる組成とすることが望まれる。
しかし、従来のスクアレン含有アジュバントのエマルションの粒子径は0.1〜0.2μmに限定されているため、使用目的に応じた作用メカニズムを得ることができない場合もある。また、それ自体の免疫賦活作用が十分ではなく、従って、ワクチン抗原に対する免疫応答の増強作用が十分に発揮できない。

また、ワクチンやアジュバントは、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、膀胱内腟内直腸内、胸腔内腹腔内、及び経肺投与吸入)などの多くの投与形態のものがある。エマルションタイプのアジュバントは、投与形態により最適な粒子径が異なると考えられる。従って、目的に応じた投与経路を自由に選択できるアジュバントとするためにも、広範囲の粒子径で安定なエマルションとすることができるアジュバントが求められている。

さらに、従来のスクアレン含有アジュバントに含まれるスクアレンと、界面活性剤のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート及びソルビタントリオレアートは、不飽和結合を有するため酸化され易いこと、極端なpH下ではポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート及びソルビタントリオレアートの加水分解が生じることが知られている(非特許文献1、非特許文献8)。特に、スクアレン酸化物の一つであるスクアレンモノヒドロペルオキシドは、培養細胞に中程度の細胞毒性を示すことが知られている(非特許文献9)。
このため、MF59やAS03のようなスクアレンを含有するエマルション製剤は、スクアレンの酸化物に由来すると考えられる成分の潜在的毒性により、その使用が制限されている(特許文献1 段落0020)。

従って、アジュバント効果のあるスクアレンエマルション製剤を活用し、医薬品として汎用するためには、スクアレンの酸化が抑制されたエマルション製剤を作製する必要がある。
しかし、現状では、抗原の有効性を探索する試みが多く、スクアレンエマルション製剤の安定性を向上させる試みは少ない。このため、化学的に安定なスクワラン流動パラフィンなどがエマルションタイプのアジュバントの油成分として汎用されており、スクアレンはアジュバント効果があるとはいえ、敬遠される傾向があった(非特許文献1)。

また、MF59は凍結できないことが知られている(非特許文献1)。また、MF59と同じ組成の非臨床アジュバントとして、インビボジェン社のAddaVax(商品名)が市販されているが、その製品説明書には、4℃で保存すれば2年間安定であるが、凍結してはならないと記載されている。また、実際に、これらのスクアレン含有アジュバントの凍結乾燥製剤は開発されていない。
しかし、医薬組成物は、長期保存輸送のために、特に暑い地方での長期保存や輸送のためには、一般に、液状より固形状であることが望ましく、アジュバントも凍結乾燥製剤が望まれている。また、より安定な液剤のアジュバントが望まれている。

概要

スクアレンを含有するアジュバント組成物であって、広範囲の粒子径で安定なエマルションとすることができ、しかも必要に応じて安定な凍結乾燥製剤とすることができ、さらに、成分の酸化や分解が抑制された組成物を提供する。スクアレン、界面活性剤、ジブチルヒドロキシトルエン及び/又はブチルヒドロキシアニソール、並びにクエン酸緩衝剤を含むアジュバント組成物。この組成物は、水中油型エマルションであるか、又は凍結乾燥された組成物であり得る。

目的

しかし、医薬組成物は、長期保存や輸送のために、特に暑い地方での長期保存や輸送のためには、一般に、液状より固形状であることが望ましく、アジュバントも凍結乾燥製剤が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

水中油型エマルションであるか、又は凍結乾燥されたものである、請求項1に記載のアジュバント組成物。

請求項3

界面活性剤が、脂肪酸エステルである請求項1又は2に記載のアジュバント組成物。

請求項4

脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、及び/又はポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートである請求項3に記載のアジュバント組成物。

請求項5

スクアレン1重量部に対して、総量で0.001〜30重量部の界面活性剤、総量で0.00003〜0.05重量部のジブチルヒドロキシトルエン及び/又はブチルヒドロキシアニソール、並びに0.005〜20重量部のクエン酸緩衝剤を含む、請求項1〜4の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項6

水中油型エマルションであり、エマルションの全量に対して、スクアレンを0.01〜50重量%含む、請求項1〜5の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項7

凍結乾燥製剤であり、凍結乾燥製剤の全量に対して、スクアレンを1〜50重量%含む、請求項1〜5の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項8

さらに賦形剤を含有する、請求項1〜7の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項9

その他の免疫賦活薬剤、又は免疫低下が一因となる疾患ないしは免疫賦活により予防、改善、又は治療できる疾患の予防、改善、又は治療剤と同時に、組み合わせて、又は混合して使用される請求項1〜8の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項10

さらに、ワクチン抗原を含有する請求項1〜8の何れかに記載のアジュバント組成物。

請求項11

ワクチン抗原がBCGワクチン抗原である請求項10に記載のアジュバント組成物。

技術分野

0001

本発明は、スクアレンを含有するアジュバント組成物、特に水中油型エマルションの形態又は凍結乾燥された形態のアジュバント組成物に関する。

背景技術

0002

インフルエンザワクチンなどのワクチン製剤は、細菌やウイルスなどの感染症を予防するのに非常に有効であり、多くのワクチン製剤が作製されてきた。例えば、アジュバントを含んだ高齢者用のインフルエンザ不活化ワクチンであるFlaud(商品名)については、1997年にイタリアで最初に推奨され、2015年までに、カナダ及び欧州の15か国を含む38か国で推奨され使用されている。

0003

このインフルエンザワクチンの基剤として使用されているのが、ノバルティス社のMF59(商品名)である。その組成は、5v/v%のスクアレン、0.5w/v%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(商品名:Tween80)、0.5w/v%のソルビタントリオレアート(商品名:Span85)が、pH6.5の10mMクエン酸緩衝液に含有されるものである。さらに、このMF59が、アジュバント効果をもたらすとされており、そのメカニズム解明されつつある(非特許文献1)。また、スクアレン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、α—トコフェロールリン酸緩衝剤、及びチメロサールを含むグラクソスミクライン社のAS03(商品名)も、アジュバントとして臨床で用いられている(非特許文献2)。
これらのスクアレン含有アジュバントは水中油型エマルションの形態を取っている。

0004

アジュバントは多様な作用メカニズムによりワクチン抗原に対する免疫応答を増強する。アジュバントの作用としては、ワクチン抗原の組織滞留性リンパ組織への移行を改善したり、抗原提示細胞によるワクチン抗原の取り込みなどを改善することでワクチン抗原に対する免疫応答を増強する作用や、それ自体が自然免疫反応を惹起する免疫賦活作用が知られている。

0005

エマルションタイプのアジュバントの作用メカニズムは解明途上であるが、例えば、異物認識機構を利用してマクロファージ刺激サイトカイン放出活性化する作用や、ワクチン投与箇所に好中球などの免疫細胞リクルートする作用があり、これらに適した粒子サイズとして0.2μm以下が選択されたことが報告されている(非特許文献3)。
また、エマルションタイプのアジュバントは、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に貪食され、多様な免疫反応を惹起する。抗原提示細胞に貪食され易い粒子径は、1〜3μm程度であることが報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。
また、アジュバントがリンパ節に移行して全身に運ばれるのに適した粒子径や、ワクチン抗原の組織滞留性やリンパ組織への移行を改善したり、抗原提示細胞によるワクチン抗原の取り込みなどを改善するのに適した粒子径は、それら各作用メカニズムに対応するために、0.05〜3μm程度である(非特許文献6、非特許文献7)。

0006

このように、作用メカニズムにより乳化粒子の最適な粒子径が異なることから、目的に応じた作用を有するものとするために、エマルションタイプのアジュバントは、粒子径を0.05〜3μm程度に変化させても安定なエマルションを維持できる組成とすることが望まれる。
しかし、従来のスクアレン含有アジュバントのエマルションの粒子径は0.1〜0.2μmに限定されているため、使用目的に応じた作用メカニズムを得ることができない場合もある。また、それ自体の免疫賦活作用が十分ではなく、従って、ワクチン抗原に対する免疫応答の増強作用が十分に発揮できない。

0007

また、ワクチンやアジュバントは、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、膀胱内腟内直腸内、胸腔内腹腔内、及び経肺投与吸入)などの多くの投与形態のものがある。エマルションタイプのアジュバントは、投与形態により最適な粒子径が異なると考えられる。従って、目的に応じた投与経路を自由に選択できるアジュバントとするためにも、広範囲の粒子径で安定なエマルションとすることができるアジュバントが求められている。

0008

さらに、従来のスクアレン含有アジュバントに含まれるスクアレンと、界面活性剤のポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート及びソルビタントリオレアートは、不飽和結合を有するため酸化され易いこと、極端なpH下ではポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート及びソルビタントリオレアートの加水分解が生じることが知られている(非特許文献1、非特許文献8)。特に、スクアレン酸化物の一つであるスクアレンモノヒドロペルオキシドは、培養細胞に中程度の細胞毒性を示すことが知られている(非特許文献9)。
このため、MF59やAS03のようなスクアレンを含有するエマルション製剤は、スクアレンの酸化物に由来すると考えられる成分の潜在的毒性により、その使用が制限されている(特許文献1 段落0020)。

0009

従って、アジュバント効果のあるスクアレンエマルション製剤を活用し、医薬品として汎用するためには、スクアレンの酸化が抑制されたエマルション製剤を作製する必要がある。
しかし、現状では、抗原の有効性を探索する試みが多く、スクアレンエマルション製剤の安定性を向上させる試みは少ない。このため、化学的に安定なスクワラン流動パラフィンなどがエマルションタイプのアジュバントの油成分として汎用されており、スクアレンはアジュバント効果があるとはいえ、敬遠される傾向があった(非特許文献1)。

0010

また、MF59は凍結できないことが知られている(非特許文献1)。また、MF59と同じ組成の非臨床アジュバントとして、インビボジェン社のAddaVax(商品名)が市販されているが、その製品説明書には、4℃で保存すれば2年間安定であるが、凍結してはならないと記載されている。また、実際に、これらのスクアレン含有アジュバントの凍結乾燥製剤は開発されていない。
しかし、医薬組成物は、長期保存輸送のために、特に暑い地方での長期保存や輸送のためには、一般に、液状より固形状であることが望ましく、アジュバントも凍結乾燥製剤が望まれている。また、より安定な液剤のアジュバントが望まれている。

0011

特表2013-501756号

先行技術

0012

C.B.Fox, Moleculles 2009, 14, 3286-3312, RossellaCioncada et al.,PLOS ONE, 0185843 October 31, 2017
Frontiers in Immunology, 2017, vol.8, pp1-17, Amanda L. Wilkins et. al.
Pharm Biotechnol. 1995;6:277-96.MF59. Design and evaluation of a safe and potent adjuvant for human vaccines.Ott G1, Barchfeld GL, Chernoff D, Radhakrishnan R, van Hoogevest P, Van Nest G.
Role of Particle Size in Phagocytosis of Polymeric Microspheres Julie A. Champion、Pharm Res. Author manuscript; available in PMC 2009 December 15.
Macrophages Recognize Size and Shape of Their Targets Nishit Doshi, Samir Mitragotri、PLOS ONE、2010、Volume 5、Issue 4 e10051
Intracellular trafficking of particles inside endosomal vesicles is regulated by particle size. J Control Release, 2017 Jun 13;260:183-193.
科研費成果報告書三里一貴「多機能型蛋白ナノ粒子最適設計による新規感染症ワクチンの開発」
The Subunit and Adjuvant Approach;Plenum Press:1995;pp.141-228
河野善行、高橋元治、油化学Vol.44(4), 248-255(1995)

発明が解決しようとする課題

0013

本発明は、スクアレンを含有するアジュバント組成物であって、広範囲の粒子径で安定なエマルションとすることができ、しかも必要に応じて安定な凍結乾燥製剤とすることができ、さらに、成分の酸化や分解が抑制された組成物を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0014

上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。
(1)スクアレン、界面活性剤、ジブチルヒドロキシトルエン(以下「BHT」ということもある)及び/又はブチルヒドロキシアニソール(以下「BHA」ということもある)、並びにクエン酸緩衝剤を含む水中油型エマルションであるアジュバント組成物は、0.05〜3μmという広範囲の粒径の乳化粒子を含むエマルションとすることができ、このエマルションは、高温(例えば、40℃〜90℃)下でも、乳化粒子の性状や成分が変化せず、非常に安定である。
(2) スクアレンと界面活性剤を含むエマルションは、抗酸化剤を配合しない場合、スクアレンの酸化と、界面活性剤の加水分解及び遊離する脂肪酸の酸化が著しく進行するが、本発明のアジュバント組成物のエマルションは、抗酸化剤の中でも特にBHT及び/又はBHAを含むことにより、また、クエン酸緩衝剤との相乗作用により、このような酸化及び分解が効果的に抑制されている。
(3) スクアレン、界面活性剤、BHT及び/又はBHA、並びにクエン酸緩衝剤を含む水中油型エマルションであるアジュバント組成物は、凍結乾燥製剤とした場合の安定性が高く、高温(例えば、40℃〜60℃)下で保存した後、再溶解しても、目的のエマルションを再現することができる。
(4) スクアレンを含有する従来の水中油型エマルションタイプのアジュバントは、ワクチンへの免疫応答の増強作用と免疫賦活作用を有することが知られている。スクアレン、界面活性剤、BHT及び/又はBHA、並びにクエン酸緩衝剤を含むアジュバント組成物も、ワクチンに対する免疫応答を著しく増強すると共に、それ自体、強い免疫賦活作用を有する。

0015

本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記のアジュバント組成物を提供する。
項1.スクアレン、界面活性剤、ジブチルヒドロキシトルエン及び/又はブチルヒドロキシアニソール、並びにクエン酸緩衝剤を含むアジュバント組成物。
項2.水中油型エマルションであるか、又は凍結乾燥されたものである、項1に記載のアジュバント組成物。
項3. 界面活性剤が、脂肪酸エステルである項1又は2に記載のアジュバント組成物。
項4. 脂肪酸エステルが、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、及び/又はポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートである項3に記載のアジュバント組成物。
項5. スクアレン1重量部に対して、総量で0.001〜30重量部の界面活性剤、総量で0.00003〜0.05重量部のジブチルヒドロキシトルエン及び/又はブチルヒドロキシアニソール、並びに0.005〜20重量部のクエン酸緩衝剤を含む、項1〜4のいずれかに記載のアジュバント組成物。
項6. 水中油型エマルションであり、エマルションの全量に対して、スクアレンを0.01〜50重量%含む、項1〜5のいずれかに記載のアジュバント組成物。
項7.凍結乾燥製剤であり、凍結乾燥製剤の全量に対して、スクアレンを1〜50重量%含む、項1〜5の何れかに記載のアジュバント組成物。
項8. さらに賦形剤を含有する、項1〜7の何れかに記載のアジュバント組成物。
項9. その他の免疫賦活薬剤、又は免疫低下が一因となる疾患ないしは免疫賦活により予防、改善、又は治療できる疾患の予防、改善、又は治療剤と同時に、組み合わせて、又は混合して使用される項1〜8の何れかに記載のアジュバント組成物。
項10. さらに、ワクチン抗原を含有する項1〜8の何れかに記載のアジュバント組成物。
項11. ワクチン抗原がBCGワクチン抗原である項10に記載のアジュバント組成物。

発明の効果

0016

アジュバントは多様な作用メカニズムにより免疫を賦活する。前述した通り、作用メカニズムの詳細は解明途上であるが、エマルションタイプのアジュバントは、例えば、異物認識機構を利用してマクロファージを刺激しサイトカイン放出を活性化したり、ワクチン投与箇所に好中球などの免疫細胞をリクルートするが、これらに適した粒子サイズとして0.2μm以下が選択されたことが報告されている。また、エマルションタイプのアジュバントは、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞に貪食されて、多様な免疫反応を惹起するが、抗原提示細胞に貪食され易い粒子径は、1〜3μm程度であることが報告されている。
また、アジュバントがリンパ節に移行して全身に運ばれるのに適した粒子径や、ワクチン抗原の組織滞留性やリンパ組織への移行を改善したり、抗原提示細胞によるワクチン抗原の取り込みなどを改善するのに適した粒子径は、それら各作用メカニズムに対応するために、0.05〜3μm程度である。

0017

従来のスクアレン含有エマルションアジュバントは、乳化粒子の粒径が0.1〜0.2μm程度に限定されているため、作用メカニズムが限定されている。従って、免疫賦活作用やワクチン抗原に対する免疫応答の増強作用が十分に得られない場合がある。
これに対して、本発明のアジュバント組成物は、乳化粒子の粒子径を、例えば0.05〜3μm程度に変化させても安定なエマルションを調製することができる。また、これらの粒径の乳化粒子を含むエマルションは、例えば40〜90℃という高温下で保存した後も、乳化粒子の粒径及び粒度分布が変化せず、非常に安定なものである。従って、本発明のアジュバント組成物は、免疫を賦活する作用メカニズムを目的に応じて多様に変化又は調整することができる。また、粒径が異なる複数種の乳化粒子を含むエマルションとすれば、多様な作用メカニズムで免疫を賦活できるものとなる。即ち、本発明により、目的に応じたエマルションデザインが可能となり、幅広い用途が可能となった。

0018

また、前述した通り、ワクチンやアジュバント混合ワクチンとして、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、膀胱内、腟内、直腸内、胸腔内、腹腔内、及び経肺投与(吸入)など多様な経路投与されるものが開発されている。従って、アジュバントも、多様な経路で投与できるものとすることが求められている。アジュバントの最適な投与経路は、目的及び成分組成によって定まるが、エマルションタイプのアジュバントでは、乳化粒子の粒径によっても異なる。従って、ニーズに応じた経路で投与できるアジュバントとするためには、幅広い粒子径で安定なエマルションであることが必要である。
この点、本発明のアジュバント組成物は、0.05〜3μmという広範囲の粒子径で安定なエマルションとすることができるため、多様な投与経路に対応したアジュバント組成物とすることができる。また、これにより多様なワクチンの基剤としたり、多様なワクチンと組み合わせて投与できるものとなる。

0019

本発明者の検討によれば、スクアレン含有エマルションは、抗酸化剤を含まない場合、スクアレンの酸化、及び界面活性剤の加水分解と遊離する脂肪酸の酸化が著しく進行する。界面活性剤の加水分解は、エマルションを崩壊させることになり、また、遊離脂肪酸によりpHが低下して、使用時(再溶解時)に適したpHを維持できなくなる。また、スクアレンの酸化や界面活性剤由来脂肪酸の酸化により生成する過酸化物は、ワクチン抗原を酸化するため、免疫応答誘導作用を低減する。また、前述した通り、スクアレンの酸化生成物であるスクアレンモノヒドロペルオキシドは培養細胞に中程度の細胞毒性を有することが知られており、その生成は極力抑えるべきである。

0020

この点、本発明のアジュバント組成物は、スクアレンの酸化、及び界面活性剤の加水分解と遊離する脂肪酸の酸化が効果的に抑えられている。また、この効果は、組成物を例えば60℃という高温で保存した場合にも得られる。従って、本発明のアジュバント組成物のエマルションは安定であり、また、例えばワクチンと混合した場合にワクチンの酸化が抑えられているため少量のワクチンでも十分な免疫誘導作用が維持され、また、pHが変動しないため予定した目標規格内)のpHで使用することができる。また、凍結乾燥し再溶解した後も予定したpHで使用することができる。

0021

また、本発明のアジュバント組成物のエマルションは、緩衝剤の中でも特にクエン酸緩衝剤を含むことにより、界面活性剤の分解により生じた脂肪酸によるpHの低下が効果的に抑制されている。また、この効果は、例えば40〜60℃という高温で組成物を保存した場合にも得られる。このように、本発明のアジュバント組成物は、BHT及び/又はBHAとクエン酸緩衝剤との相乗作用により、界面活性剤の分解が効果的に抑制されている。

0022

また、スクアレンを油剤とする水中油型のエマルションはアジュバント効果が高いが、従来、凍結乾燥製剤がなかった。また、従来のスクアレン含有エマルションアジュバントは、凍結してはならないことが知られていた。
本発明のアジュバント組成物は、前述した通り、エマルションの状態で非常に安定であるが、凍結乾燥した後も非常に安定であり、凍結乾燥品を40〜60℃という高温下で保存した後も、再溶解により、粒径0.05〜3μm程度の目的とするエマルションを調製することができる。従って、本発明のアジュバント組成物は、必要に応じて凍結乾燥製剤にすることもできる。

0023

また、従来のスクアレン含有エマルションタイプのアジュバントは、ワクチンへの免疫応答の増強作用と免疫賦活作用を有することが公知であり、本発明のアジュバント組成物も、ワクチンに対する免疫応答を著しく増強すると共に、それ自体、強い免疫賦活作用を有する。
例えば、C57BL/6マウス(6週齢メス)にOVA発現E.G7細胞株(マウスリンパ腫由来細胞株)を皮内接種し、14日目に評価サンプルを皮内投与し、細胞移植後3週目までの腫瘍径を測定し、21日目に剖検腫瘍重量量する評価系において、水中油型エマルション凍結乾燥製剤の再溶解液メディアン径2.0μm)をマウスに投与した場合、移植腫瘍生着及び増殖を抑制する。また、メディアン径2.0μmのエマルションとBCGワクチンとの混合液をマウスに皮内投与した場合、ワクチン単独投与の場合よりPPD(Purified Protein Derivative;結核菌培養ろ液精製抗原)刺激時の脾臓細胞からのサイトカイン(IFN—γ)の産生量を有意差をもって増大させた。

0024

本発明により、粒径0.05〜3μm程度に変化させ得る、実用可能なスクアレン含有エマルションタイプのアジュバント組成物であって、凍結乾燥にも耐える組成物が、初めて提供された。

図面の簡単な説明

0025

本発明エマルションとその凍結乾燥製剤再溶解液の粒度分布を示す図である。実施例1−1のエマルション(エマルション1−1a[マンニトールあり])、その製造に用いた乳化原液−1、及びその凍結乾燥製剤(凍乾品3−1a、実施例3)の再溶解液の粒度分布を示す。
高圧乳化法により製造した本発明小径粒子エマルションの粒度分布を示す図である。
SPG膜処理による本発明エマルションの小径粒子エマルション化を示す図である。エマルション1−1a(実施例1−1)及び、それをSPG膜処理したエマルション2−1(実施例2)の各エマルションの粒度分布を示す。
PS80水溶液に対するクエン酸緩衝液のpH安定化効果を示す図である。クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液緩衝液なしのPS80水溶液のpH経時変化比較評価した。
本発明エマルションの安定性(90℃、粒度分布)を示す図である。本発明エマルション(エマルション1−1b、実施例1−1)、公知処方エマルション(参考エマルション2−1)、及びBHTを含まない参考エマルション1−1の90℃、2日間における粒度分布経の経時変化を示す。
本発明エマルション凍結乾燥製剤の安定性(40℃、粒度分布)を示す図である。本発明エマルション凍結乾燥製剤(凍乾品3−1b、実施例3−1)と公知処方エマルションの凍結乾燥製剤(参考凍乾品2−2b、参考例2)の40℃保存前後の再溶解液粒度分布の変化を比較した。
本発明エマルション凍結乾燥製剤の再溶解液によるBCG生菌の免疫賦活作用の増強を示す図である。BCG生菌単独、或いはBCG生菌と本発明エマルション凍結乾燥製剤再溶解液を混合し皮内投与後4週目のC57BL/6Jマウス(6週齢、雌)の脾臓細胞(5×10^6 cells/mL)にPPD(10μg/ml)刺激後、24時間後の培養上清中のIFN−γ産生量をELISA法で定量した。

0026

本発明のアジュバント組成物は、スクアレン、界面活性剤、BHT及び/又はBHA、並びにクエン酸緩衝剤を含む組成物である。この組成物は、水中油型エマルションであるか、又は凍結乾燥された組成物であり得る。

0027

(1)水中油型エマルション
水中油型エマルションは、各成分を水中で混合し乳化処理することにより調製したものであってもよく、水中油型エマルションを凍結乾燥し、さらに再溶解して得た水中油型エマルションであってもよい。
本発明のアジュバント組成物は、水中油型エマルションとして生体に投与される。従って、水中油型エマルションに求められる好ましい又は適切な組成や性状は、各成分を水中で混合し乳化処理することにより調製したものと、凍結乾燥製剤の再溶解により得られたものとで同じである。

0028

スクアレン
水中油型エマルション中のスクアレンの濃度は、エマルションの全量に対して、例えば0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%を挙げることができる。また、1〜3重量%も挙げられる。上記範囲であれば、適切なアジュバント効果が得られる。

0029

界面活性剤
界面活性剤は、医薬品製剤に使用される界面活性剤であれば、制限なく使用でき、例えば、リン脂質非イオン性界面活性剤などを挙げることができる。
リン脂質としては、ホスファチジルコリンホスファチジルエタノールアミンホスファチジルイノシトールホスファチジルセリンホスファチジルグリセロールスフィンゴミエリンレシチン大豆レシチン卵黄レシチンなど)などを挙げることができる。また、水素添加されたリン脂質、例えば水素添加レシチンなども使用することができる。

0030

非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ポリソルベート40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレートのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
ソルビタンモノラウレート(商品名:Span20)、ソルビタンモノパルミテート(商品名:Span40)、ソルビタンモノステアレート(商品名:Span60)、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノオレアート(商品名:Span80)、ソルビタントリオレアート(商品名:Span85)、ペンタ−2−エチルヘキシルジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(商品名:NIKKOL HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(商品名:NIKKOL HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(商品名:NIKKOL HCO−60)、及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(商品名:NIKKOL HCO−80)のようなポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;
自己乳化型モノステアリン酸グリセリンなどのモノステアリン酸グリセリン;
ショ糖脂肪酸エステル
ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(124)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(商品名:プルロニックF68)のようなポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。

0031

本発明のアジュバント組成物は、界面活性剤の加水分解とそれにより生じる脂肪酸の酸化が効果的に抑制されるため、脂肪酸エステルである非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
脂肪酸エステルである非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、中でも、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)がより好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(ポリソルベート80)が特に好ましい。
なお、本発明のアジュバント組成物は、ソルビタン脂肪酸エステル、特にソルビタントリオレアート(商品名:Span85)を含まないものとすることができる。

0032

界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。

0033

水中油型エマルション中の界面活性剤の濃度は、エマルションの全量に対して、総量で、例えば0.005〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜3重量重量%を挙げることができる。また、0.3〜1重量%も挙げられる。上記範囲であれば、安定な乳化粒子が得られる。
また、水中油型エマルション中の界面活性剤の含有量は、スクアレン1重量部に対して、総量で、例えば0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部を挙げることができる。また、0.1〜1重量部も挙げられる。上記範囲であれば、安定な乳化粒子が得られる。

0034

BHT・BHA
BHT、BHAの中では、BHTが好ましい。
水中油型エマルション中のBHT及び/又はBHAの濃度は、エマルション全量に対して、総量で、例えば0.00005〜0.1重量%、好ましくは0.0001〜0.03重量%、より好ましくは0.0003〜0.005重量重量%を挙げることができる。また、0.0005〜0.003重量%も挙げられる。上記範囲であれば、成分の酸化及び加水分解が効果的に抑制され、また、多様な粒径の安定な乳化粒子を得ることができる。
また、水中油型エマルション中のBHT及び/又はBHAの含有量は、スクアレン1重量部に対して、総量で、例えば0.00003〜0.05重量部、好ましくは0.00005〜0.01重量部、より好ましくは0.0001〜0.005重量部を挙げることができる。また、0.0003〜0.001重量部も挙げられる。上記範囲であれば、成分の酸化及び加水分解が効果的に抑制され、また、多様な粒径の安定な乳化粒子を得ることができる。

0035

緩衝剤
水中油型エマルションは、pH5.5〜8.5、中でも6〜7.5となるように、クエン酸緩衝剤を含む。クエン酸緩衝剤は、例えば、クエン酸と、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウムクエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウムクエン酸三カリウム、及び/又はこれらの水和物とを組み合わせ、さらに必要に応じて、水酸化ナトリウム水酸化カリウムを添加したものであればよい。
クエン酸緩衝剤を含むことにより、界面活性剤の加水分解によるエマルションのpH低下が効果的に抑制される。

0036

また、水中油型エマルションは、本発明の効果を損なわない範囲で、1又は2種以上のその他の緩衝剤を含むことができる。その他の緩衝剤としては、炭酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤酒石酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、アミノ酸緩衝剤などが挙げられる。

0037

水中油型エマルション中の緩衝剤の濃度は、十分な緩衝能を発揮するために十分な量であれば良いが、好ましくは、総量で5〜50mMである。特に、緩衝剤としてクエン酸緩衝剤のみを含むことが好ましく、その場合はクエン酸緩衝剤の総量は好ましくは5〜50mMである。賦形剤としてアミノ酸などの緩衝作用を有する物質を用いる場合には、適宜緩衝剤の添加量を調整すればよい。
水中油型エマルション中のクエン酸緩衝剤の濃度は、エマルション全量に対して、総量で、例えば0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量重量%を挙げることができる。また、0.1〜0.5重量%も挙げられる。
また、水中油型エマルション中のクエン酸緩衝剤の含有量は、スクアレン1重量部に対して、例えば0.005〜20重量部、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜1重量部を挙げることができる。また、0.1〜0.5重量部も挙げられる。

0038

賦形剤
水中油型エマルションは、賦形剤を含むことができる。賦形剤は、水中油型エマルションの浸透圧比を調整するために使用できる。また、賦形剤は、水中油型エマルションから凍結乾燥製剤を製造する場合は、凍結乾燥製剤の安定性を維持又は向上するために使用できる。
賦形剤としては、単糖類二糖類多糖類糖アルコール、アミノ酸、タンパク質ウレア無機塩などを挙げることができる。単糖類および二糖類としては、グルコースフルクトーススクロースラクトーストレハロース等を挙げることができる。多糖類としては、デキストランでんぷんマルトデキストリンセルロースポリビニルピロリドンアルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。糖アルコールとしては、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができる。アミノ酸としては、アラニングリシンプロリン等の中性アミノ酸を好ましく挙げることができ、中でもグリシンがより好ましい。タンパク質としては、アルブミンゼラチンコラーゲン等を好ましく挙げることができる。無機塩としては、塩化ナトリウム塩化カリウム塩化カルシウム硫酸ナトリウム炭酸ナトリウム等を挙げることができる。
中でも、単糖類、糖アルコールが好ましく、マンニトール、スクロース、トレハロースがより好ましい。
賦形剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。

0039

水中油型エマルション中の賦形剤の濃度は、例えば0.05〜25重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%を挙げることができる。また、3〜6重量%も挙げられる。賦形剤の好適な濃度は、賦形剤の種類によって異なるが、エマルションの製造スケールやその他の成分の濃度に応じて、適宜調整することができる。
水中油型エマルション中の賦形剤の濃度は、賦形剤がアミノ酸である場合、例えばグリシンでは2〜12重量%が好ましく、7重量%が特に好ましい。賦形剤がマンニトールである場合、例えば0.05〜25重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量重量%を挙げることができる。また、3〜6重量%も挙げられる。マンニトールを賦形剤として用いることにより、体液等張程度の濃度でマンニトールを用いることができるため、一層生体に負担の少ない製剤を調製することができる。賦形剤がスクロースである場合、1〜20重量%が好ましく、3〜15重量%がより好ましい。賦形剤がトレハロースである場合、0.5〜6重量%が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。
また、水中油型エマルション中の賦形剤(特に、マンニトール)の含有量は、スクアレン1重量部に対して、例えば0.1〜250重量部、好ましくは0.2〜100重量部、より好ましくは0.5〜10重量部を挙げることができる。また、1〜5重量部も挙げられる。

0040

上記の賦形剤として挙げた物質は、等張化剤を兼ねることができる。また、賦形剤とは異なる物質を等張化剤として添加してもよい。等張化剤の濃度は、他の成分の含有量に応じて適宜設定されるが、総量で、通常0.1〜30重量%とすればよく、1〜10重量%が好ましい。

0041

粒径
本発明において、水中油型エマルション中の乳化粒子の粒径は、粒度分布測定装置を用いて粒度分布を評価し、粒度分布から算出したメディアン径をいう。具体的には、実施例で使用の粒度分布測定装置(SALD−2200、島津製作所)を用いて求めたメディアン径をいうが、どのような機種の粒度分布測定装置を用いても、通常、同じメディアン径が得られる。
乳化粒子の粒径は、例えば0.05〜3μm、好ましくは0.1〜2μmから選択できる。乳化粒子の粒径は、0.2μmを超えることができ、また、0.3μm以上、0.4μm以上、0.5μm以上、又は1μm以上とすることができる。乳化粒子の粒径の上限値は、3μm程度であり得る。
また、水中油型エマルション中の乳化粒子は、単一ピークの粒度分布を有するものであってもよく、複数ピークの粒度分布を有するものであってもよい。即ち、水中油型エマルションは、特定の粒径の乳化粒子を含むものであってもよく、粒径が異なる複数種の乳化粒子を含むものであってもよい。

0042

製造方法
水中油型エマルションは、スクアレンを界面活性剤の存在下に水中で乳化することで調製できる。BHT及び/又はBHAは、乳化前にスクアレンと混合すればよい。また、界面活性剤は、乳化前にスクアレンと混合すればよいが、乳化液をさらに界面活性剤水溶液と混合してもよい。また、乳化液にクエン酸緩衝剤を添加するか、又は乳化液とクエン酸緩衝剤を含む水溶液とを混合すればよい。その他の任意に配合できる成分、例えば、賦形剤、等張化剤などは、乳化液に添加するか、又は乳化液と賦形剤、等張化剤などを含む水溶液とを混合すればよい。

0043

本発明において、「乳化」は、分離している2つの液体をエマルションにすることをいう。エマルションは、水と油のように互いに溶解しない液相の一方が他の一方に微細な液滴として分散したものであり(W.Clayton, Theory of emulsions, 4th ed., Blackstone, New York, 1943)、互いに溶解しない2つ以上の液相等からエマルションを形成する過程は乳化と称される(P.Becher, Emulsions:Theory and Pracice, Reinhold, New York, 1965)。

0044

乳化は、ホモミキサー高圧乳化機のような公知の乳化機を用いて行え、適宜条件を調整することで、粒子径0.05〜3μmのエマルションを容易に作製できる。また、例えば2〜3μm程度の粒径のエマルションを作製した後、さらに高圧乳化透過膜乳化などにより、例えば0.1〜1μm程度に小粒径化することもできる。また、例えば2〜3μm程度の粒径のエマルションから製造した凍結乾燥製剤を再溶解して得られた粒径2〜3μm程度の乳化粒子を含むエマルションを、高圧乳化や透過膜乳化などにより、例えば0.1〜1μm程度に小粒径化することもできる。臨床現場などでは、例えば2〜3μm程度の粒径のエマルションから製造した凍結乾燥製剤を再溶解し、SPG(Shirasu porous glass)膜ポンピングコネクタなどを用いた膜乳化などにより、例えば0.1〜1μmの適切な粒子径にサイズ制御することもできる。

0045

再溶解水中油型エマルション
前述した通り、凍結乾燥製剤の再溶解、再懸濁、ないしは復水により得られる水中油型エマルションも本発明に包含される。再溶解は、水、生理食塩水、界面活性剤水溶液、緩衝液などの水性溶媒を用いて行える。但し、生理食塩水や緩衝液は、本発明の効果を損なわないものを選択し、その濃度も本発明の効果を損なわない範囲とし、かつ生体に投与される場合に等張液となるように調製されることが望ましい。

0046

再溶解により、0.05〜3μm程度の目的とする粒径の乳化粒子を含む水中油型エマルションが得られる。

0047

(2)凍結乾燥製剤
凍結乾燥製剤は、上記説明した水中油型エマルションの凍結乾燥により得られる。
凍結乾燥製剤中のスクアレンの含有量は、組成物の全量に対して、1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%が挙げられる。界面活性剤、BHT/BTA、及びクエン酸緩衝剤の各含有量スクアレン含有量に対する比率は、上記説明した水中油型エマルションと同じである。

0048

(3)使用方法
本発明のアジュバント組成物は、それ自体、免疫賦活作用を有するため、免疫異常、特に免疫低下が一因となる疾患、ないしは免疫賦活により予防、改善、又は治療できる疾患の予防、改善、又は治療剤として使用できる。
また、このような疾患の予防、改善、又は治療剤と同時に、組み合わせて、又は混合して生体に投与することができる。また、本発明のアジュバント組成物は、免疫賦活作用を有するその他の薬剤と同時に、組み合わせて、又は混合して生体に投与することができる。本発明のアジュバント組成物は、これらの薬剤の薬効を著しく増強することができる。
免疫低下が一因となる疾患、ないしは免疫賦活により予防、改善、又は治療できる疾患として、感染症、ガン自己免疫疾患関節リウマチ脊椎関節炎血管炎症候群アレルギー疾患喘息花粉症アレルギー性鼻炎など)、糖尿病(PLOS ONE, 7(8), e41756(2012))、パーキンソン病(PLOS ONE, 6(1), e16610(2011))などが挙げられる。

0049

本発明のアジュバント組成物は、中でも、感染症ワクチン、ガンワクチン、若しくはこれらに含まれるワクチン抗原、又はその他の免疫賦活薬剤との混合剤併用剤とするのに適している。

0050

現在、日本の予防接種法による定期接種のワクチンとしては、麻疹風疹混合ワクチン(MR)、ポリオワクチン麻疹ワクチン風疹ワクチン、BCGワクチンなどの生ワクチンジフテリア百日せき破傷風混合ワクチン(改良DPT三混ワクチン)、ジフテリア破傷風混合ワクチン(DT二混ワクチン)、インフルエンザワクチン、日本脳炎ワクチンなどの不活化ワクチンが用いられている。また、任意接種のワクチンとしては、おたふくかぜ流行性耳下腺炎)ワクチン、水痘ワクチン、海外渡航時の予防接種ワクチンであるコレラワクチン黄熱ワクチンのような生ワクチン、狂犬病ワクチンA型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、破傷風トキソイドワクチン、成人ジフテリアトキソイドワクチン、肺炎球菌ワクチンワイル病やみワクチンなどの不活化ワクチンが用いられている。また、ワクチン接種緊急促進事業の対象となるワクチンとして、肺炎球菌ワクチン、b型インフルエンザ菌ワクチン、ヒトパピローマウィルスワクチンなどの不活化ワクチンが用いられている。感染症ワクチンとしては、例えばこれらのワクチンが挙げられる。中でも、BCGワクチンが好ましい。

0051

また、免疫賦活薬剤としては、BCG(Bacillus Calmette-Guerin)−CWS(Cell Wall Skeleton)などのマイコバクテリウム属細菌及びその類縁菌のCWSが好ましい。BCG−CWSは、免疫賦活作用を有し、動物モデルを用いた実験的腫瘍や、ヒトのガンの免疫療法において、抗腫瘍活性を示すことが知られている。また、BCG−CWSを油剤中に含む水中油型エマルションは、免疫賦活作用による抗腫瘍活性が非常に高いことが知られている(A. Hayashi et al., Pro. Japan Acad., 70, Ser. B 205-209(1994)、A. Hayashi et al., Pro. Japan Acad., 74, Ser. B 50-56(1998))。
BCG-CWSは、例えば、I. Azuma et al., Journal of the National Cancer Institute, Vol. 52, No.1 95-101(1974)に記載の方法で製造することができる。また、特許第5578390号に記載の方法を用いれば高純度のBCG-CWSを効率よく製造することができる。

0052

ガンワクチンとしては、種々のワクチン抗原を含むものが知られており、制限なく使用できる。例えば、MAGEファミリーSSXファミリーなどのガン精巣抗原、Ras、EGFRvIIIなどの変異抗原、Her2/neu、WT1、p53などの過剰発現抗原、gp100、Melan−MART−1などの分化抗原、HPVE6、HPVE7などのウィルス抗原VEGFR2、FAPなどの腫瘍血管又は間質抗原などが挙げられる。
対象となる癌の種類は限定されず、肺癌胃癌肝臓癌膵臓癌大腸癌子宮癌乳癌急性骨髄性白血病舌癌咽頭癌卵巣癌脳腫瘍等が挙げられる。

0053

以下、実施例および試験例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。

0054

(実施例1)本発明のスクアレンエマルションの製造
(実施例1−1)メディアン径2μmのスクアレンエマルション
(1)方法
A.クエン酸希釈液−1の調製
ポリソルベート80が6mg/mL、D(−)マンニトールが90mg/mL、クエン酸緩衝液が20mM(pH7.0)となるように混合した。
B.クエン酸希釈液−2の調製
クエン酸希釈液−1と同様に調製した、但し、ポリソルベート80とD(−)マンニトールは含有していない。
C.乳化
スクアレン(本特殊肝油工業製)5.4g、BHT(東京化成工業)1.5mgにn−ヘプタンエタノール(9:1、容積/容積)溶液約30mLを加え、攪拌した後、超音波照射により室温で分散した。その後、乾燥窒素気流下60℃に加熱し有機溶媒を留去した。次いで、0.02重量%ポリソルベート80水溶液135gを添加し、ホモミキサー(ラボ・リューション、PRIMIX社)を用いて60℃、7,000回転、5分間予備乳化を行った。更に、8.73gの10重量%ポリソルベート80水溶液を添加し、60℃、12,000回転、5分間本乳化を行い、乳化原液—1を得た。
D.エマルション調製
上記乳化原液—1液に、等容量のクエン酸希釈液—1を添加し、本発明のスクアレンエマルションを得た。終濃度仕込み量)は、それぞれ、スクアレンが18mg/mL、ポリソルベート80が6mg/mL、D(−)マンニトールが45mg/mL、クエン酸緩衝液が10mM(pH7.0:クエン酸3Na—2.5mg/mL、クエン酸—0.04mg/mL)、BHTが10ppmに調製した。

0055

(2)結果
乳化原液—1、エマルションの粒度分布を粒度分布計(SALD−2200、島津製作所)で測定した(図1a、1b)。それぞれメディアン径1.9μm(乳化原液—1)、1.9μm(エマルション1−1a[マンニトールあり])の、クエン酸希釈液−1の添加前後で同一な粒子径で単一の粒度分布かつ外観均一な水中油型エマルションが得られた(図1)(エマルション中スクアレン含量は18mg/mL、定量;ガスクロマトグラフィー法)。
また、同様の小実験乳化機(Omni−mixer[Omni−International])を用いた1/30スケール製造(乳化:24,000rpm、5min、60℃、希釈:クエン酸希釈液−2を使用)において、メディアン径2.2μm、単一ピークの粒度分布を示すエマルション10mLが得られた(エマルション1−1b)。

0056

(実施例1−2)本発明のスクアレン小径粒子エマルションの製造
(1)方法
A.小径粒子化高圧処理
実施例1−1で製造した乳化原液—1を、高圧破砕機BERYUMINI、株式会社美粒)で高圧処理(8,000psi、3パス、もしくは23,000psi、20パス)し、高圧処理乳化物−1、高圧処理乳化物—2を得た。
B.小径粒子エマルション調製
Aで得られた高圧処理乳化物−1、2を、クエン酸希釈液—1、或いはクエン酸希釈液—2で等倍希釈し、本発明のスクアレン小径粒子エマルションを得た。

0057

(2)結果
高圧処理乳化物—1からはメディアン径0.2μmの単一ピークの粒度分布、スクアレン含量19.7mg/mLを示すエマルション(エマルション1−2a)、高圧処理乳化物—2からメディアン径0.1μmの単一ピークを示すエマルション(エマルション1−2b)が得られた(図2)。
D(—)マンニトールの有無でメディアン径に差は無かった。エマルション(高圧処理乳化物−からエマルション1−2a[マンニトールあり])、高圧処理物—2からエマルション1−2b[マンニトールあり])。
なお、同様にして乳化条件を調節することにより、0.3〜1.0μmなどの粒子径を有する本発明のスクアレンを含有するエマルションを製造することができる。

0058

(実施例2)SPG膜ポンピング法による本発明エマルションの小径粒子エマルション化
(1)方法
実施例1−1で得たエマルション1−1a(メディアン径1.9μm)を、孔径1.0μmのSPG膜ポンピングコネクタ(株式会社SPGテクノ)で10Pass処理した。
(2)結果
粒度分布計(SALD−2200、島津製作所)で測定した結果、メディアン径1.0μmの単一ピークのエマルション粒子(エマルション2−1)を得た(図3)。

0059

(実施例3)本願処方スクアレンエマルションの凍結乾燥製剤の製造
(実施例3−1)再溶解時メディアン径2μmの本願スクアレンエマルション凍結乾燥製剤の製造
(1)方法
実施例1—1で、クエン酸希釈液—1(マンニトール含有)で希釈して得た水中油型エマルションを凍結乾燥用バイアル(Φ18.0)に1mLずつ充填し、−80℃ディープフリーザーで凍結し、凍結乾燥機(GAMMA2−16LSCplus、MARTIN CHRIST社製)を用いて凍結乾燥を行い、凍結乾燥製剤を得た。
(2)結果
得られた凍結乾燥製剤を注射用水(大塚製薬)で再溶解後凍結乾燥前と同様のメディアン径2.2μmの単一ピークのエマルションが得られた(凍乾品3−1a、図1)(スクアレン含量、18.4mg/mL、ガスクロマトグラフィー法)。また、同様にして、再溶解時にメディアン径2.4μmとなる凍結乾燥製剤を得た(凍乾品3−1b)。

0060

(実施例3−2)本願処方小径粒子スクアレンエマルションの凍結乾燥製剤の製造
(実施例3−2−1)賦形剤にスクロースを用いた再溶解時メディアン径0.1μmの凍結乾燥製剤の製造
(1)方法
実施例1−2で製造したメディアン径0.1μmの本願処方エマルション(エマルション1−2b)を用いて、実施例3−1と同様に凍結乾燥を実施した。但し、賦形剤として、90mg/mLのスクロース(和光純薬)を用いた。
(2)結果
得られた凍結乾燥製剤を注射用水で再溶解後、凍結乾燥前と同程度のメディアン径0.1μmの単一ピークのエマルションが得られた(凍乾品3−2−1)。

0061

(実施例3−2−2)賦形剤にマンニトールを用いた再溶解時メディアン径0.3μmの凍結乾燥製剤の製造
(1)方法
実施例1−2で製造した0.1μmの本願処方エマルション(エマルション1−2b)を用いて、実施例3−1と同様にして凍結乾燥した。賦形剤は45mg/mLのD(−)マンニトールを用いた。
(2)結果
得られた凍結乾燥製剤を注射用水で再溶解後、凍結乾燥前と同程度のメディアン径0.3μmの単一ピークのエマルションが得られた(凍乾品3−2−2)。

0062

(参考例1)BHTを含まないエマルション1の調製
BHTを含まないスクアレンを用いた他は実施例1−1と同様にしてOmni−mixerを用いた条件、及びスケールで乳化し、クエン酸希釈液—2で希釈し、BHTを含まない他は実施例1−1と同様のエマルションを調製した(参考エマルション1−1)。実施例1−1と同様のメディアン径2.0μmの単一ピークの粒度分布のエマルションが得られた。

0063

(参考例2)公知処方(AddaVax)によるスクアレンエマルション及びその凍結乾燥製剤の調製
スクアレンエマルション市販品(AddaVax、InvivoGen)と同処方(スクアレン—10重量%、Span85—1重量%、PS80−1重量%)の乳化原液を、Omni−mixerを用いた実施例1−1と同スケールの方法に準じて調製し、乳化原液—2を得た。但し、Span85(和光純薬)はスクアレンに予め混合し使用した。
乳化原液—2をスクアレン濃度が18mg/mLとなるようにクエン酸希釈液—2(pH7.0、終濃度10mM)、注射用水で希釈し、粒子径2.2μmの公知処方のエマルションを得た(参考エマルション2−1)。
次いで、この公知処方エマルションに、スクアレン終濃度18mg/mLとなるように終濃度45mg/mLのD(−)マンニトールを添加し、実施例3に準じて凍結乾燥を行ない、公知処方エマルションの凍結乾燥製剤を調製した。再溶解時にメディアン径1.9μmの単一ピークを示した(参考凍乾品2−2a)。また同様にして、メディアン径2.7μmの単一ピークを示すエマルション凍結乾燥製剤(参考凍乾品2−2b)を得た。

0064

(試験例1)BHTと他の抗酸化剤とのエマルション安定性比較試験
(1)評価サンプルの調製
終濃度、スクアレン−7.2mg/mL、PS80−7.2mg/mL、リン酸緩衝液(pH7.4)—10mM、マンニトール−45mg/mLとなるように実施例1−1及び実施例3−1に準じた操作で乳化、希釈、凍結乾燥、再溶解し、抗酸化剤を含まないスクアレンエマルションを調製し、サンプルA(コントロール)とした。その他のB、C、D、E、Fの各サンプルは、各々終濃度が10ppmになる量の抗酸化剤として、DL−α−トコフェロール、トコフェロール酢酸エステルアスコルビン酸、6−O−ステアロイルL−アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を加えて調製した。

0065

(各サンプルに含まれる抗酸化剤)
サンプルA:抗酸化剤なし
サンプルB:DL−α−トコフェロール
サンプルC:トコフェロール酢酸エステル
サンプルD:アスコルビン酸
サンプルE:6−O−ステアロイル−L−アスコルビン酸
サンプルF:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)

0066

(2)評価方法
各エマルションサンプルを60℃条件下静置保存し、試験開始時と8日経過後の時点でのpH、スクアレン含有量(下記A法で定量)、オレイン酸含有量(PS80分解の指標、下記B法で定量)を測定した。なお、遊離オレイン酸含有量は、エマルション液から、アルカリ加水分解せずに、オレイン酸溶媒抽出した後、標識化合物化し、HPLCで定量した。
A.スクアレン含量測定法
エマルション液を酢酸エチルで抽出した後、ガスクロマトグラフィー法で定量した。
B.遊離オレイン酸含有量測定法
エマルション液から遊離脂肪酸をトルエンで抽出した後、ADAM試薬フナコシ)で蛍光標識化し、液体クロマトグラフィー法で定量した。

0067

(3)結果
開始時の測定値から8日経過後の測定値を引いて、pH、スクアレン減少量、オレイン酸減少量(PS80分解の指標)を算出した。結果を表1に示す。



BHT以外の抗酸化剤を含むエマルションB〜Eは、抗酸化剤を含まないサンプルAと同程度にpHを減少させ、エマルションを酸性化させたのに対して、BHTを含むサンプルFは全くpHを減少させなかった。
また、BHT以外の抗酸化剤を含むサンプルB〜Eは、スクアレン減少量が抗酸化剤を含まないサンプルAと同等であったのに対して、BHTを含むサンプルFは全くスクアレン含有量を減少させなかった。
また、抗酸化剤を含まないサンプルA、及びBHT以外の抗酸化剤を含むサンプルB〜Eは、オレイン酸含量が低下したが、一方で、BHTを含むサンプルFは、オレイン酸含有量が見かけ上増加した。これは、前者は生成したオレイン酸が例えば酸化反応など2次的反応によって更に異なった生成物に変化したためであり、後者はその反応がBHTによって抑制されたためと考えられる。
以上の結果、スクアレンと界面活性剤とクエン酸緩衝剤を含む本発明のアジュバント組成物において、各種抗酸化剤の中でBHTが最も優れた抗酸化作用を有することが示された。
なお、上記各サンプルの再溶解前の凍結乾燥製剤を静置保存した場合も、同傾向の結果が得られる。

0068

(試験例2)クエン酸緩衝剤の界面活性剤安定化効果
(1)評価サンプルの調製
PS80を終濃度6mg/mLとなる様に、下記の各種緩衝液に添加し、PS80溶液を得た。
A:緩衝剤なし
B:10mMリン酸緩衝液(pH7.0)
C:10mMクエン酸緩衝液(pH7.0)
(2)評価方法
各評価サンプルを、40℃で150日間、及び60℃で60日間静置保存し、経時的にpHを測定した。
(3)結果
結果を図4に示す。緩衝剤を配合しない溶液は、リン酸緩衝剤又はクエン酸緩衝剤を添加した溶液に比べてpH低下速度が速かった。また、リン酸緩衝剤に比べてクエン酸緩衝剤のpH保持能力が高かった。
以上の結果から、本製剤の処方条件において各種緩衝剤の中でも汎用されているリン酸緩衝剤よりもクエン酸緩衝剤の方が、界面活性剤存在下で、より高いpH安定化能を示すことが明らかとなった。

0069

(試験例3)本発明処方エマルションの安定性
(1)評価サンプル
実施例1で製造した本発明エマルション、参考例1のBHT不含エマルション、及び参考例2で得た公知処方エマルションを使用した。
(2)評価方法
各評価サンプルをそれぞれ40℃—2週間、60℃—2週間、90℃—2日間静置し、試験開始時からの粒度分布、スクアレン含量、pHの変化を測定した。
(3)結果
A.メディアン径2μmのエマルションの安定性
90℃—2日間の保存条件において、本発明エマルション(エマルション1−1b)はメディアン径、粒度分布、スクアレン含量ともにほぼ保持され、公知処方エマルション(参考エマルション2−1)に比較して安定性が高かった。公知処方のエマルションは粒度分布の悪化、メディアン径の増大に加え、スクアレン含量の減少が生じた。また、BHT不含のエマルション(参考エマルション1−1)においても、粒度分布の悪化、メディアン径の増大、スクアレン含量の減少が生じ、不安定であった(表2、図5)。

0070

0071

B.小径粒子径(メディアン径0.1〜0.2μm)のエマルション安定性
40℃—2週間、60℃—2週間の保存条件において、本発明エマルション(エマルション1−2a、エマルション1−2a[マンニトールあり]、エマルション1−2b、エマルション1−2b[マンニトールあり])はメディアン径、粒度分布、スクアレン含量に変化がなかった。公知処方エマルションにpHの上昇が認められたが、本発明エマルション、公知処方エマルションともに安定であった(表3)。

0072

0073

(試験例4)本発明エマルションの凍結乾燥製剤安定性
(1)評価サンプル
実施例3の本発明エマルション凍結乾燥製剤(凍乾品3−1b)、参考例2で製造した公知処方凍結乾燥製剤(参考凍乾品2−2b)を使用した。
(2)評価法
各評価サンプルをそれぞれ40℃—2週間、60℃—2週間静置し、試験開始時からの粒度分布、スクアレン含量、pHの変化を測定した。
(3)結果
本発明エマルション凍結乾燥製剤は、40℃—2週間、60℃—2週間の保存条件いずれにおいても再溶解液のメディアン径、粒度分布、pHに変化がなかった。一方、公知処方の凍結乾燥製剤は、40℃、2週間保存時に再溶解液の粒度分布波形が悪化し、更に40℃—2週間、60℃—2週間いずれの保存においてもpHの低下を示した。凍結乾燥製剤においても本発明エマルションは公知処方エマルションに比べて安定性が高かった(表4、図6)。

0074

実施例

0075

(試験例5)本発明エマルション製剤のワクチンとの併用効果
(1)評価サンプルの調製
本発明のスクアレンエマルション凍結乾燥製剤(実施例3)の再溶解液25μLと1μgのBCG生菌(M.bovis BCG Tokyo 172(TOKYO172)を混合し、さらにPBSを添加して110μLのサンプルを作製した。
(2)評価方法
文献公知法(J Immunol. 2012 Oct 15;189(8):4079-87.)に準じて評価を実施した。1週間馴化したC57BL/6Jマウス(6週齢、雌)の頚背部にサンプル液110μLを皮内投与した。投与後4週間目脾臓回収し、脾細胞分散液を調製してRBCLysis Buffer (0.14M塩化アンモニウム、0.017M Tris solution、pH7.56)で溶血処理した。溶血後、培養用培地ペニシリンストレプトマイシン/10%FBS添加RPMI1640培地)で懸濁し、フィルター赤血球破片を除去後、1500 rpm で5分間遠心洗浄を行った。再度培地で細胞を浮遊させ、脾細胞液とした。脾臓細胞液を5×10^6 cells/mL に調整し、終濃度10μg/ml になるようにPPDを加えて、37℃、5%CO2存在下で24時間培養した。24 時間培養後、上清を−80℃で保存した。この培養液を用いてIFN−γ量をELISAkit (R&D systems 社製)を用いて測定した。
(3)結果
本発明のスクアレンエマルション製剤をBCG生菌と混合投与した群において、BCG生菌単独投与群よりも高いIFN−γ産生が誘導された。一方、スクアレンエマルション製剤単独投与群では、ナイーヴ群と同程度にしかIFN−γ産生が誘導されなかった。

0076

本発明のアジュバント組成物は、0.05〜3μmの任意の粒径の安定な粒子を含むエマルションとすることができる。従って、ニーズに応じた投与経路を選択でき、また、目的とする作用メカニズムを有するものとすることができる。また、粒径の異なる複数のエマルション又はその凍結乾燥製剤を組み合わせることにより、多様なメカニズムで強く免疫賦活できるものとなる。また、酸化に対して安定である。さらに、必要に応じて、凍結乾燥製剤とすることもできる。従って、産業上非常に有用なものである。

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