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技術 胃内浮遊錠剤

出願人 株式会社ファンケル
発明者 中川公太
出願日 2018年6月28日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-122913
公開日 2020年1月9日 (7ヶ月経過) 公開番号 2020-002061
状態 未査定
技術分野 医薬品製剤
主要キーワード 浮遊用 マトリックス体 風船型 浮遊試験 マトリックス構造体 浮遊型 ホタテ貝殻 炭酸ガス発生
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年1月9日)のものです。
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図面 (7)

課題

胃内に浮遊しながら機能性成分を徐々に放出する錠剤の提供。

解決手段

機能性成分、ガレート基を有する物質セルロース誘導体及び発泡成分を含み、ガレート基を有する物質とセルロース誘導体が均質に分散している錠剤。機能性成分を含有する内核部と、外層部からなり、外層部にガレート基を有する物質と、セルロース誘導体及び発泡成分を含み、ガレート基を有する物質の粒子と発泡成分の粒子とセルロース誘導体の粒子が均質に混在している構造を有するガレート基を有する物質が、タンニン類及び/又はカテキン類を含むものであり、カテキン類がカテキンガレートガロカテキンガレートエピカテキンガレートエピガロカテキンガレートのいずれか1以上を含むものであり、発泡成分が炭酸水素ナトリウムなどを含む混合物である。

概要

背景

経口投与された薬物の消化管内の吸収は、主に小腸において行なわれる。例えば固形剤の場合、その崩壊速度が薬物の吸収の律速となる。そこで、薬物の吸収を調節する手段、例えば、持続的吸収製剤では製剤の崩壊速度を調節し、消化管吸収を持続させる方法が用いられている。また、製剤から薬物が溶出する速度を調節することで薬剤の吸収を調節する方法も用いられている。

最近、新しい薬物輸送系として胃内滞留製剤が、いくつか開発され提案されている。
例えば、薬物含有製剤部分が膨潤性製剤部分に埋設され、全体が被膜被覆されている胃内浮遊型薬物徐放性固形剤(特許文献1参照)、均一に分散した水溶性薬物を含有する非崩壊性生態適合性素材内層、該内層の周囲を包む水を通さない内層の膨潤を制御しうる生体適合性素材の外層からなる柱状製剤(特許文献2参照)が知られている。

胃内膨潤製剤としてはさらに、胃液を吸収して体積膨張させ、幽門通過を遅らせるもの(特許文献3)が公知である。この発明は、二層の構造を有する錠剤で、薬物層と膨
潤層からなり、膨潤層が胃内で水分によって膨潤して体積が増加することで錠剤の幽門通
過を遅らせる製剤である。

また、製剤を消化管粘膜に付着させて滞留時間を長くするという提案がある。特許文献4には、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質と薬効成分とを含むマトリックス粒子の少なくとも表層近傍に、粘性物質が分散しており、常温固体消化管粘膜付着性マトリックスからなる製剤が記載されている。この発明は、製剤の外層に水により粘性発現し、消化管粘膜に対して付着性を示すポリマーポリエチレングリコールコーティングし、内層に薬物とそれを含むマトリックス構造を形成させ、付着後緩やかに薬剤が放出されるようにした製剤である。

さらにまた、水に浮遊性を持つ製剤が提案されている。これは胃内に浮遊させて、胃内滞留時間を延長しようとするもので、これには2つの方法があり、中空性の製剤とする場合、胃内で反応して炭酸ガスを発生し、この炭酸ガスの浮力によって胃内滞留時間を延長する場合とがある。前者の先行技術としては、特許文献5に、中心部分に空洞部(気室)を有する中空構造を有し、糖アルコール、糖、セルロース誘導体およびスターチ類から選ばれる少なくとも1の賦形剤並びに疎水効果を示す成分を含む、水に浮遊可能である錠剤が開示されている。後者の先行技術としては、特許文献6に二酸化炭素を一時的に製剤中にとどめておく手段として、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースなどで、炭酸カルシウムなどの炭酸ガス発生手段と薬物を含む組成物をコーティングする技術が記載されている。
このように胃内滞留製剤のために様々な技術が提案されているが、いずれも一長一短があり、必ずしも満足できるものがない。また錠剤に気室を設け、気室内ガスにより浮遊性を付与する場合、気室が破れるか傷つくと、浮遊性が低下し胃内滞留性を失ってしまうことが問題点として指摘されている。

また、徐放性の製剤として、機能性成分を内核とし、外層部に溶出の遅い徐放性マトリックス層を配した2重構造の各種錠剤が提案されている。
特許文献7には、内核(芯部)が速放出性錠剤、外層部が溶出の遅い親水性セルロース誘導体からなる徐放性マトリックス層であり、容量の減少による放出速度の低下が回避されたニフェジピン有核型の徐放錠が記載されている。

特許文献8には、内核および外層部に崩壊抑制作用分子を含む溶出の遅い徐放性マトリックスである小型化されたニフェジピンの有核型の徐放錠が記載されている。

特許文献9には、内核(芯部)が溶出の速い徐放性マトリックス錠剤、外層部にメタクリレートコポリマーなどの水不溶性物質を含む溶出の遅い徐放性マトリックスであるシロスタゾールの有核型の固形製剤が記載されている。

特許文献10には、内核と該内核を覆う外層部からなる錠剤であって、該内核に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸を含んでおり、外層部に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸外層部の重量に対し16(w/w)%以上のゲル形成性水溶性高分子を含む、放出制御性錠剤が記載されている。

概要

胃内に浮遊しながら機能性成分を徐々に放出する錠剤の提供。機能性成分、ガレート基を有する物質、セルロース誘導体及び発泡成分を含み、ガレート基を有する物質とセルロース誘導体が均質に分散している錠剤。機能性成分を含有する内核部と、外層部からなり、外層部にガレート基を有する物質と、セルロース誘導体及び発泡成分を含み、ガレート基を有する物質の粒子と発泡成分の粒子とセルロース誘導体の粒子が均質に混在している構造を有するガレート基を有する物質が、タンニン類及び/又はカテキン類を含むものであり、カテキン類がカテキンガレートガロカテキンガレートエピカテキンガレートエピガロカテキンガレートのいずれか1以上を含むものであり、発泡成分が炭酸水素ナトリウムなどを含む混合物である。

目的

本発明は、胃内で胃液に浮遊しながら機能性成分を徐々に放出する錠剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

ガレート基を有する物質とセルロース誘導体が錠剤中均質に分散している請求項1に記載の錠剤。

請求項3

機能性成分を含有する内核部と、外層部からなる錠剤であって、外層部にガレート基を有する物質と、セルロース誘導体及び発泡成分を含む錠剤。

請求項4

外層部が、ガレート基を有する物質の粒子と発泡成分の粒子とセルロース誘導体の粒子が均質に混在している構造を有する請求項3に記載の錠剤。

請求項5

セルロース誘導体からなるコーティング層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。

請求項6

ガレート基を有する物質が、タンニン類及び/又はカテキン類を含むものである請求項1〜5のいずれかに記載の錠剤。

請求項7

カテキン類がカテキンガレートガロカテキンガレートエピカテキンガレートエピガロカテキンガレートのいずれか1以上を含むものである請求項6に記載の錠剤。

請求項8

発泡成分が炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸カルシウム炭酸カリウム炭酸マグネシウム炭酸水素カルシウム及び炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種又は2種以上を含む混合物である請求項1〜7のいずれかに記載の錠剤。

請求項9

アスコルビン酸クエン酸酒石酸フマル酸コハク酸リンゴ酸及びマレイン酸から選択される少なくとも1種以上の有機酸を含む請求項1〜8のいずれかに記載の錠剤。

請求項10

セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである請求項1〜9のいずれかに記載の錠剤。

技術分野

0001

本発明は、胃内で浮遊しながら機能性成分を放出する錠剤に関する。

背景技術

0002

経口投与された薬物の消化管内の吸収は、主に小腸において行なわれる。例えば固形剤の場合、その崩壊速度が薬物の吸収の律速となる。そこで、薬物の吸収を調節する手段、例えば、持続的吸収製剤では製剤の崩壊速度を調節し、消化管吸収を持続させる方法が用いられている。また、製剤から薬物が溶出する速度を調節することで薬剤の吸収を調節する方法も用いられている。

0003

最近、新しい薬物輸送系として胃内滞留製剤が、いくつか開発され提案されている。
例えば、薬物含有製剤部分が膨潤性製剤部分に埋設され、全体が被膜被覆されている胃内浮遊型薬物徐放性固形剤(特許文献1参照)、均一に分散した水溶性薬物を含有する非崩壊性生態適合性素材内層、該内層の周囲を包む水を通さない内層の膨潤を制御しうる生体適合性素材の外層からなる柱状製剤(特許文献2参照)が知られている。

0004

胃内膨潤製剤としてはさらに、胃液を吸収して体積膨張させ、幽門通過を遅らせるもの(特許文献3)が公知である。この発明は、二層の構造を有する錠剤で、薬物層と膨
潤層からなり、膨潤層が胃内で水分によって膨潤して体積が増加することで錠剤の幽門通
過を遅らせる製剤である。

0005

また、製剤を消化管粘膜に付着させて滞留時間を長くするという提案がある。特許文献4には、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよび/または脂質と薬効成分とを含むマトリックス粒子の少なくとも表層近傍に、粘性物質が分散しており、常温固体消化管粘膜付着性マトリックスからなる製剤が記載されている。この発明は、製剤の外層に水により粘性発現し、消化管粘膜に対して付着性を示すポリマーポリエチレングリコールコーティングし、内層に薬物とそれを含むマトリックス構造を形成させ、付着後緩やかに薬剤が放出されるようにした製剤である。

0006

さらにまた、水に浮遊性を持つ製剤が提案されている。これは胃内に浮遊させて、胃内滞留時間を延長しようとするもので、これには2つの方法があり、中空性の製剤とする場合、胃内で反応して炭酸ガスを発生し、この炭酸ガスの浮力によって胃内滞留時間を延長する場合とがある。前者の先行技術としては、特許文献5に、中心部分に空洞部(気室)を有する中空構造を有し、糖アルコール、糖、セルロース誘導体およびスターチ類から選ばれる少なくとも1の賦形剤並びに疎水効果を示す成分を含む、水に浮遊可能である錠剤が開示されている。後者の先行技術としては、特許文献6に二酸化炭素を一時的に製剤中にとどめておく手段として、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースなどで、炭酸カルシウムなどの炭酸ガス発生手段と薬物を含む組成物をコーティングする技術が記載されている。
このように胃内滞留製剤のために様々な技術が提案されているが、いずれも一長一短があり、必ずしも満足できるものがない。また錠剤に気室を設け、気室内ガスにより浮遊性を付与する場合、気室が破れるか傷つくと、浮遊性が低下し胃内滞留性を失ってしまうことが問題点として指摘されている。

0007

また、徐放性の製剤として、機能性成分を内核とし、外層部に溶出の遅い徐放性マトリックス層を配した2重構造の各種錠剤が提案されている。
特許文献7には、内核(芯部)が速放出性錠剤、外層部が溶出の遅い親水性セルロース誘導体からなる徐放性マトリックス層であり、容量の減少による放出速度の低下が回避されたニフェジピン有核型の徐放錠が記載されている。

0008

特許文献8には、内核および外層部に崩壊抑制作用分子を含む溶出の遅い徐放性マトリックスである小型化されたニフェジピンの有核型の徐放錠が記載されている。

0009

特許文献9には、内核(芯部)が溶出の速い徐放性マトリックス錠剤、外層部にメタクリレートコポリマーなどの水不溶性物質を含む溶出の遅い徐放性マトリックスであるシロスタゾールの有核型の固形製剤が記載されている。

0010

特許文献10には、内核と該内核を覆う外層部からなる錠剤であって、該内核に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸を含んでおり、外層部に2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−4−メチル−5−チアゾールカルボン酸外層部の重量に対し16(w/w)%以上のゲル形成性水溶性高分子を含む、放出制御性錠剤が記載されている。

先行技術

0011

特開平6−24959号公報
特開平7−187994号公報
特開2005−132803号公報
特開2007−246547号公報
国際公開第2011/004799号
特表2001−523241号公報
特許第2955524号公報
特許第3751287号公報
特許第4637338号公報
国際公開第2011/158870号

発明が解決しようとする課題

0012

本発明者は、上記した胃内浮遊錠剤の発明に徐放性の錠剤の技術を組み合わせることを試み試行錯誤を繰り返した結果、新たな胃内浮遊錠剤の発明をなした。
すなわち、本発明は、胃内で胃液に浮遊しながら機能性成分を徐々に放出する錠剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

前記課題に鑑み、本発明者は鋭意検討を行なった結果、機能性成分を含有する錠剤であって、該錠剤が胃内で胃液に浮遊しながら緩やかに機能性成分を放出する錠剤に必要な構成を見いだした。

0014

すなわち本発明は、以下の構成からなる。
(1)機能性成分、ガレート基を有する物質、セルロース誘導体及び発泡成分を含む錠剤。
(2)ガレート基を有する物質とセルロース誘導体が錠剤中均質に分散している(1)に記載の錠剤。
(3)機能性成分を含有する内核部と、外層部からなる錠剤であって、外層部にガレート基を有する物質と、セルロース誘導体及び発泡成分を含む錠剤。
(4)外層部が、ガレート基を有する物質の粒子と発泡成分の粒子とセルロース誘導体の粒子が均質に混在している構造を有する(3)に記載の錠剤。
(5)セルロース誘導体からなるコーティング層を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤。
(6)ガレート基を有する物質が、タンニン類及び/又はカテキン類を含むものである(1)〜(5)のいずれかに記載の錠剤。
(7)カテキン類がカテキンガレートガロカテキンガレートエピカテキンガレートエピガロカテキンガレートのいずれか1以上を含むものである(6)に記載の錠剤。
(8)発泡成分が炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム炭酸マグネシウム炭酸水素カルシウム及び炭酸水素カリウムから選択される少なくとも1種又は2種以上を含む混合物である(1)〜(7)のいずれかに記載の錠剤。
(9)アスコルビン酸クエン酸酒石酸フマル酸コハク酸リンゴ酸及びマレイン酸から選択される少なくとも1種以上の有機酸を含む(1)〜(8)のいずれかに記載の錠剤。
(10)セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースである(1)〜(9)のいずれかに記載の錠剤。

発明の効果

0015

本発明により、胃内で胃液に浮遊しながら機能性成分を徐々に放出する錠剤が提供される。本発明の錠剤は、胃内において胃液の表面に浮遊しながら、胃内に滞留して徐々に機能性成分を放出するため、持続型製剤、なかでも胃内で吸収される薬剤の持続製剤として有用である。

図面の簡単な説明

0016

本発明の錠剤が、胃液に浮遊しながら機能性成分を持続的に放出する際の状態を示す模式図である。錠剤内の発泡成分から炭酸ガスが発生し、この炭酸ガスがベース部分のマトリックス構造にトラップされて浮遊する状態を示している。
機能性成分を含有する内核部と、外層部からなる有核錠型錠剤の構造を示す模式図である。
機能性成分を含有する内核部と、外層部からなる錠剤を中心線で切断した横断面の画像である。錠剤の中心部(内核)と外層部の2重構造を有しており、外層部にガレート基を有する物質の粒子と発泡成分の粒子とセルロース誘導体の粒子が均質に混在していることが、切断面が粗い粒子状を呈していることから確認できる。
水に対して、本発明の錠剤が液面に浮遊していることを示す画像である。錠剤がスポンジ状に膨らみ、内部に炭酸ガスを保持して浮遊していることが観察される。
マトリックス型浮遊錠剤が浮遊しながらビタミンB群を溶出している状態を観察した画像である。
風船型浮遊錠剤が浮遊しながらビルベリーエキスを溶出する状態を観察した画像である。

0017

本発明は、機能性成分、ガレート基を有する物質、セルロース誘導体及び発泡成分を含む錠剤に係る発明である。また本発明は、機能性成分を含有する内核部と外層部からなる錠剤であって、外層部にガレート基を有する物質とセルロース誘導体及び発泡成分を含む錠剤に係る発明である。
本発明の錠剤について具体的に説明する。

0018

本発明において、胃内浮遊錠剤とは、経口で服用された錠剤が胃内に長時間滞留し、含有される薬剤を持続的に放出する錠剤をいう。
本発明の錠剤は、胃内において水分又は胃内の酸と反応して二酸化炭素を発生させ、この二酸化炭素が錠剤内に、多数の微小気泡となって分散してとどまることによって浮力が生じて錠剤が胃液の上面に浮遊し、幽門から排出されない状態を維持できる。
なお従来の気泡によって浮遊性を付与した錠剤(特許文献5、6)は、中空気室やコーティング層内に形成された耐水性の気室により浮遊性を錠剤に付与する。しかしこの気室は1錠剤に1気室しかないため、この気室が胃の蠕動運動などによって破壊されると、炭酸ガスが抜けてしまい、錠剤の浮遊性が失われる。しかし本発明の錠剤は、外層の構造中に微小な気泡(気室)が多数形成されるため、一部の気泡(気室)から炭酸ガスが抜けても、全体としての浮遊性は失われない。
なお、本発明でいう胃内で浮遊する状態とは、日本薬局方に定める崩壊試験機を使用し、水、または第1液を用いた崩壊性試験において、錠剤が120秒以内に液面に浮遊し、浮遊して80分以上崩壊しない状態をいう。

0019

上記の崩壊性試験に用いる第1液は、胃液のモデルとして設定された試験液であって、その構成は、塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0mLおよび水を加えて1000mLとした溶液である。この液は無色透明で、そのpHは約1.2である。
本発明の錠剤は、この溶液に崩壊せず、なおかつ溶液と反応し、二酸化炭素ガスを発生させる。さらに二酸化炭素の気泡が錠剤内にとどまり、浮力を発生させるためには、錠剤中に気泡をとどめるためのマトリックス構造を形成させなければならない。このマトリックス構造は水分又は胃液の塩酸を通過させ、さらに炭酸ガスを通過させないように形成させることが必要である。
この構造によって錠剤に含まれる機能性成分又は錠剤の内核に含有される機能性成分は、胃液によって徐々に溶出される。また溶出の過程で、発生する気泡内にトラップされて、一時的に放出が遅延する。そして、気泡の破壊によって徐々に放出される。すなわち機能性成分は、胃液に溶解して直接放出されるものと気泡膜に取り込まれた後放出される場合の2経路をたどって体内に吸収されることになると考えられる。

0020

すなわち図1の模式図に示すように、機能性成分は、胃内でガレート基を有する物質とセルロース誘導体及び水で形成される二酸化炭素ガスをトラップするためのマトリックス構造中から徐々に溶出される。またマトリック構造は、図1に示すとおり、発泡成分から産生される二酸化炭素を包み込んで浮力を生じさせ、錠剤を胃液表面に浮遊させる。このため、長時間にわたって機能性成分をゆっくりと放出することができる。このマトリックス構造を形成させるための成分の組み合わせの組成を、本願明細書においては、「ベース部分」とよぶ。ベース部分は、ガレート基を有する物質としてカテキン類またはタンニン類からなる粉末粒子と、セルロース誘導体を含む粉末粒子と、さらに発泡成分とによって形成する。セルロース誘導体を含む粉末粒子には、発泡成分の発泡を促進するための有機酸や有機酸塩を配合することができる。
錠剤のベース部分が、胃液の水分に触れることによってセルロース誘導体とカテキン類またはタンニン類のガレート基が反応して耐水性を有するマトリックス構造を形成する。
カテキン類は、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのガレート基を持つものでなければならない。
タンニン類は、没食子酸及び/又はタンニン酸である。ベース部分は、ガレート基を有する物質とセルロース誘導体が錠剤中に均質に分散している構成をとり、さらにこの中に機能性成分が均質に分散して含有される。或いはまた、機能性成分を含有する内核部と、外層部からなり、外層部にガレート基を有する物質と、セルロース誘導体及び発泡成分を含むベース部分を持つように錠剤を製造する。
水の存在下では、セルロース誘導体とガレート基を持つカテキン類が重合し、不溶体を生成する。ガレート基を持つカテキン類或いは没食子酸及び/又はタンニン酸によって、不溶化した重合体による網目状のマトリックス構造中に、発泡成分と胃液の反応によって発生した炭酸ガスが気泡として包み込まれることになる。その結果錠剤に浮力が生じ、胃液表面に錠剤が浮遊する。
本発明の錠剤に配合するガレート基を有するカテキン類又は、ガレート基を有する没食子酸及び/又はタンニン酸の配合量は、5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%である。

0021

本発明に用いるカテキン類とは、緑茶ポリフェノールのうちフラバン−3−オール骨格を有するカテキン類で、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCG)、(−)−エピカテキンガレート(ECG)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−ガロカテキンガレート(GCG)、(−)−カテキンガレート(CG)、(±)−ガロカテキン(GC)及び(±)−カテキン(C)等の分子種を含むがこれらに限定されない。またカテキン類は、精製されたものであっても良いし、緑茶から抽出された粗精製物である緑茶エキスであっても良い。緑茶エキスは、ツバキ科植物チャ葉を原料として抽出されたエキスをいう。一般には緑茶を原料として、水又はアルコールで抽出し、乾燥したものが市販されている。緑茶エキスは水抽出物が好ましい。本発明においては市販の緑茶エキスを使用することができる。
なお緑茶エキス又は緑茶抽出物としてはネキシラ株式会社「グリーンティ抽出物EGCG40」、三井農林株式会社「ポリフェノン」(ポリフェノン70A)、株式会社伊園「テアフラン」(テアフラン90S)、太陽化学株式会社「サンフェノン」(サンフェノン90S)などの市販品がある。
本発明に使用するのに適した緑茶エキスなどに含まれるカテキンの量はHPLC法で定量することができる。
またカテキン以外のガレート基を持つ化合物である没食子酸及び/又はタンニン酸を例示できる。

0022

水溶性セルロース誘導体とガレート基を有する物質により形成されるマトリックス構造体は、水の存在下で不溶化するが、親水基を多く持つことから水になじみやすく、水や胃液に溶解した薬剤は、マトリックスの網目から自由に出入りすることができる。胃内の水分や胃液は不溶化したマトリックス体を通過して錠剤内部へ浸透し、錠剤中に含有されている発泡成分の炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カルシウム及び炭酸水素カリウムと反応して二酸化炭素を発生させる。また、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸及びマレイン酸などの有機酸を配合すると、これらの有機酸が溶解して強い酸性となって前記の発泡成分からの炭酸ガス発生を促進する。

0023

本発明に用いるセルロース誘導体として、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロース(以下「HPC」)は、セルロース水酸基酸化プロ
ピレンエーテル化することで得られ、多数のヒドロキシプロピル基(−OCH2CH(OH)CH3)を持つ。1グルコースあたりの置換された水酸基の平均数置換度(degree of substitution,DS)として表され、これは最大3である。しかしヒドロキシプロピル基にも水酸基が含まれるため、反応途中にここもエーテル化される。そのため、1グルコースあたりのヒドロキシプロピル基の数であるモル置換度(moles of substitution,MS)は3より大きくなる。HPCは食品添加物又は医薬品の賦形剤として市販されている。
食品添加物として市販されているHPCとしては、例えば日本曹達株式会社製のセルニーSSL(分子量40,000)、セルニーSL(分子量100,000)、セルニーL(分子量140,000)、セルニーM(分子量620,000)、セルニーH(分子量910,000)を例示することができる。

0024

本発明に用いるヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下「HPMC」)は、メチルセルロースヒドロキシプロポキシル基を導入したセルロースエーテルであり、水溶性のセルロース誘導体である。HPMCは薬物の徐放性基材として知られている。本発明の目的に適したHPMCは、医薬品の賦形剤や食品添加物用としても市販されている。このようなHPMCとしては、信越化学工業株式会社製のHPMCメトローズSE06、メトローズ SE50、メトローズ NE100、メトローズSFE400、メトローズ NE4000、メトローズ SFE4000を例示することができる。本発明においてはメトローズ SE06、メトローズSE50、メトローズNE4000を使用することが好ましい。
本発明の錠剤に配合するセルロース誘導体の配合量は、5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%である。

0025

本発明に使用する発泡成分としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素カルシウム及び炭酸水素カリウムを例示できる。これらの発泡成分は、食品や医薬品の原料として市販されているものであれば使用可能である。またホタテ貝殻末(ホタテ末)やボーンカルシウム骨粉)、卵殻粉砕物のような炭酸カルシウムを主成分とする食品又は食品原料も使用可能である。発泡成分は、錠剤当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%を配合する。

0026

胃液内で炭酸ガスの発生を促進するため、錠剤にはアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸及びマレイン酸などの有機酸を配合することができる。配合する場合は、前記の発泡成分と混合して、外層部に加えておくと、炭酸ガスの発泡効率が上昇する。
有機酸を配合する場合は、錠剤あたり1〜10質量%、好ましくは2〜5質量%配合する。

0027

本発明の錠剤を製造する場合、錠剤を浮遊させるベース部分と機能性成分の配置の関係により、有核錠型、マトリックス型、風船型といった、異なる形状の胃内浮遊錠剤を得ることができる。
有核錠型の場合は、目的の薬剤または生理活性成分と賦形剤を予め打錠成形して内核になる錠剤を調製する。次にこの錠剤が芯になるように、発泡成分、ガレート基を有するカテキン類或いは没食子酸及び/又はタンニン酸、セルロース誘導体を均質に混合したものを外層部に配置して打錠成形し、錠剤を得る。このとき、ガレート基を有する物質、例えばカテキン類或いは没食子酸及び/又はタンニン酸と発泡成分を予め混合し造粒した後、セルロース誘導体と再混合し、次いで打錠成形することで、得られる錠剤の胃液中の浮遊性を向上させることができる。また有機酸類を添加する場合は、打錠成形前の外層成分に混合するか、又は造粒する。
マトリックス型の場合は、目的の薬剤または生理活性成分と、発泡成分、ガレート基を有するカテキン類或いは没食子酸及び/又はタンニン酸、セルロース誘導体を均質に混合したものを打錠成形し錠剤を得る。また有機酸を添加することができる。この場合、有機酸を打錠用混合末に均一に混ぜて使用すればよい。
風船型の場合は、上記の有核錠型又はマトリックス型錠剤に、HPC及び/又はHPMCから選ばれるセルロース誘導体をコーティングして被膜を形成することで得られる。
さらに必要に応じて、各種賦形剤を添加しておくことができる。

0028

本発明の錠剤に配合可能な賦形剤としては、内核部及び外層部ともに、例えば、ぶどう糖果糖麦芽糖乳糖異性化乳糖、還元乳糖蔗糖、D−マンニトールエリスリトールマルチトールキシリトールパラチノース登録商標)、トレハロースソルビトールトウモロコシデンプン馬鈴薯デンプンコムギデンプンコメデンプン結晶セルロースタルク無水ケイ酸無水リン酸カルシウム沈降炭酸カルシウムケイ酸カルシウム等が挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜配合して用いてもよい。好ましくは、乳糖、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ケイ酸カルシウムおよび無水リン酸カルシウムである。特に好ましくは乳糖、結晶セルロースおよびケイ酸カルシウムである。

0029

必要に応じて、結合剤を添加しておくことができる。本発明の錠剤に配合可能な結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコールカルボキシメチルセルロース部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウムプルランアラビアゴム末ゼラチンデキストリン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜配合して用いてもよい。

0030

必要に応じて、滑沢剤を添加しておくことができる。本発明の錠剤に配合可能な滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムステアリン酸カルシウム蔗糖脂肪酸エステルフマル酸ステアリルナトリウムステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜配合して用いてもよい。好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムおよびポリエチレングリコールである。特に好ましくはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよび蔗糖脂肪酸エステルである。

0031

マトリックス型、および有核錠型の錠剤を打錠成形後、必要に応じて糖衣コーティング等のコーティングを行なっても良い。
図1に基づいて本発明の有核錠剤が、胃液に浮遊しながら機能性成分を持続的に放出する状態を再度説明する。錠剤内部に浸透した水分は、内核を崩壊させながら、機能性成分を溶出させる。その機能性成分を含む水分(溶出液)は、セルロース誘導体とカテキンからなるマトリックス構造を通過し、炭酸ガス気室(気泡)に接触し、一部は気泡の膜に取り込まれ、一部はマトリックスを通過して胃内に放出される。かくして有核錠剤は緩やかに崩壊しながら、機能性成分を放出するが、単なる錠剤(の錠剤)と異なり、一気に崩壊しないため、機能性成分の放出が緩やかに持続されるのである。

0032

本発明の錠剤(有核錠型)の模式図を図2に示す。
外層部は、ガレート基を有する物質としてカテキンを例示している。またセルロース誘導体としてHPCを例示している。外層部は透水性を有しており、胃液又は水を通過させることができる。外層部に含有されるセルロース誘導体とガレート基を有する物質は、水の存在下で重合し、水不溶性のマトリックス構造を形成する。また、胃液中に含まれる塩酸と発泡成分は反応して炭酸ガスを発生させる。発生した炭酸ガスは、セルロース誘導体とガレート基によって構築されたマトリックス内に封じ込められ、炭酸ガスを含む気室として錠剤に浮力を与えるのである。

0033

以下に実施例及び試験例を示し、本発明をさらに説明する。
1.浮遊機能を持つベース処方の調製
胃内で錠剤を浮遊させるために、炭酸ガス保持機能を有するマトリックス構造を形成可能なベース処方の検討を行った。表1に示した組成の錠剤を、単発打錠機(岡田精工株式会社 NE−30)を用いて調製した。表2には、表1の水溶性セルロース誘導体を各種選択し、これを2種類の打錠圧で打錠成形した錠剤の浮遊性評価結果を示した。打錠にはφ8mmR10のを用い、錠剤1粒の重量を260mgとした。
試験方法は、打錠後の錠剤を37℃の水に投入し、浮遊までの時間と浮遊後の様子を目視観察した。試験液には、無酸症の人への適用も考え、胃内浮遊製剤の試験によく使用される第16改正日本薬局方収載の崩壊試験1液(胃液相当)ではなく、水を使用した。錠剤物性、水中での挙動を表2に示した。胃内浮遊機能の有無の判断基準は、水中へ投入後120秒以内に浮遊し、80分後も浮遊している物を浮遊機能ありとした。
観察の結果、作製した錠剤はいずれも120秒以内に浮遊し、80分後も浮遊し続けていた。

0034

0035

0036

2.有核錠型胃内浮遊錠剤の製造
浮遊用ベース処方を有核錠の外層部に用い、機能性成分を内核部に配合した胃内浮遊有核錠剤を設計した。
(1)内核の製造
ビタミンB群のうち、ビタミンB2は吸収部位が小腸上部に存在することが知られている。そのためビタミンB群は胃内浮遊錠剤の対象として適した成分である。内核にビタミンB群を含有する錠剤を下記の表3の組成で打錠成形法により製造した。

0037

0038

各原料を合計1kgになるよう量し、篩過混合の後にロータリー打錠機(株式会社製作VEL2)を用いて打錠した。打錠にはφ6mmR8の杵を用い、1粒重量80mgとした。打錠の後、フィルムコーティング機(株式会社パウレックDRC200)を用いてシェラックを0.7mg/粒となるよう錠剤にコーティングを行い内核用の錠剤とした。

0039

(2)外層部
下記の表4の組成の外層部の組成物を調製した。

0040

0041

造粒部は、造粒部の合計量が1.5kgとなるよう各原料を秤量した後、篩過混合を行い、水をバインダーとして、流動層造粒機(株式会社パウレックMP01)を用いて30メッシュを通過する粒子サイズになるように造粒した。ついで後混合部の原料を粉混合して合計2.5kgの外層部調製用混合粉末を得た。
先に調製した内核錠外層用の混合粉末を用いて打錠成形法によって有核錠剤を得た。製造には有核錠用ロータリー打錠機(株式会社菊水製作所 AQUALIUS−LD)を用いた。φ9mmR8の打錠用杵を用い、外層部270mg、内核錠80mg、合計重量350mgの有核錠を得た。打錠圧力450kgfで製造を行い、硬度15kgfであった。
得られた錠剤の横断面図を図3に示す。

0042

3.有核錠剤の崩壊性試験(浮遊性試験)
上記1で調製した錠剤を用いて水を試験液とし、崩壊性及び浮遊性を崩壊試験機により試験した。試験液を37±0.5℃に保ち、錠剤6粒を容器に投入し、崩壊試験機を作動させ、錠剤が浮遊する様子を観察した。錠剤は、2〜13秒後に全て液面に浮上した(図4)。
崩壊試験を継続したところ、80分以上浮遊しながら持続的に内核の成分であるビタミンB群由来の黄色液を放出し続けることが肉眼観察で確認された。

0043

4.マトリックス型胃内浮遊錠剤の製造
有核錠は製造コストの面で不利であること、また、内核錠にも添加剤を使用する分、機能性成分の配合量が少なくなることから、有核錠型の外層部に使用したベース処方(表4)と、機能性成分を均一に混合して打錠する、マトリックス型胃内浮遊錠剤がより好ましい。錠剤の処方を表5に示す。
各原料を合計1kgになるよう秤量し、篩過混合の後にロータリー打錠機(株式会社菊水製作所VEL2)を用いて打錠した。φ9mmR6の杵を用い、打錠圧力550kgfで打錠し、1粒重量350mg、硬度15kgfの錠剤を得た。

0044

0045

5.マトリックス型錠剤の浮遊試験
37±0.5℃の水を満たした容器に上記の錠剤を投入し、様子を観察した。2〜7秒以内に錠剤は水面へ浮上し、ビタミンB群を溶出する様子が観察された。ビタミンB群溶出の様子を図5に示す。錠剤は水面に浮上し、錠剤からビタミンB2特有の黄色い成分が溶出してくることが観察される。

0046

6.風船型胃内浮遊錠剤の製造
上記のマトリックス型胃内浮遊錠剤では錠剤中に機能性成分を20%含有している。しかし機能性成分量をより高めるためには、ベース処方の配合率を減らす必要がある。この場合、浮遊後の錠剤強度が低下する恐れがある。これを解決するために、マトリックス型胃内浮遊錠にセルロース誘導体から成るフィルムコーティングを施した、風船型胃内浮遊錠剤の製造を行った。
HPCやHPMC等のセルロース誘導体からなる被膜は、水中で錠剤中のガレート基を有するカテキンと重合して不溶体を形成する。この不溶化した被膜は水溶性成分を透過するので錠剤からの成分の溶出を妨げないだけでなく、強度の低い錠剤がバラバラに崩れるのを防ぐ効果がある。
また、炭酸ガスの保持機能は錠剤内部のマトリックス構造が担うことから、従来技術の風船型胃内浮遊錠剤と異なり、風船の被膜に穴が開いても錠剤が沈まないという特徴を持つ。
アントシアニン含有のビルベリーエキスを50%配合した錠剤を、表6に示した処方にて製造した。ビルベリーエキスには、ビルベリーカンウエキスET(インデナジャパン株式会社)を用いた。
なお、機能性成分として配合したアントシアニンは、小腸上部で吸収される物質である。
各原料を合計1kgになるよう秤量し、篩過混合の後にロータリー打錠機(株式会社菊水製作所VEL2)を用いて打錠した。打錠にはφ9mmR8の杵を用い、1粒重量350mgとした。打錠の後、フィルムコーティング機(株式会社パウレックDRC200)を用いてフィルムコーティングを行った。フィルムコーティングに用いるセルロース誘導体は、表7に示したように、処方A:HPMC被膜、処方B:HPC被膜の両方を調製した。

0047

0048

0049

7.風船型胃内浮遊錠剤の浮遊試験
37±0.5℃の水を満たした容器に錠剤を投入し、様子を観察した。処方A、処方Bの製剤とも、約50〜65秒で錠剤は水面への浮上を開始し、ビルベリーエキスを溶出する様子が観察された。浮遊中、不溶化した被膜が大きく膨らみ、穴が開いているのが観察されたが、錠剤が沈むことはなかった。また被膜に開いた穴から、内部の錠剤が崩れているのが観察されたが、被膜の外へ固形物漏出することはなく、ビルベリーエキスだけが溶出していた。さらに、浮遊中の錠剤の被膜を金属製の棒でつつき、穴を開けてみたが、錠剤が沈むことは無く浮遊状態を保った。以上のことから、コーティング被膜材質がHPMC、HPCどちらであっても、胃内での浮遊機能を有することが分かった。また、80分後も錠剤は浮遊し続けていた。
ビルベリーエキスが溶出する様子を観察した画像を図6に示す。

0050

8.比較例
比較例として、表4に記載のベース処方のうち、セルロース誘導体を、糖アルコール(比較例1、三菱商事フードテック株式会社 アマルティMR50)、デキストリン(比較例2、グリコ栄養食品株式会社クラスターデキストリン)に置き換えた処方を作製した。
処方を表8に示す。各原料を合計200gになるよう秤量した後に篩過混合し、単発打錠機(岡田精工株式会社 NE−30)により、φ8mmR10の杵を用いて1粒重量260mgの錠剤を得た。これらを37℃の水、日本薬局方一液の両方に投入したが、いずれも錠剤内部からのガスを保持できず、錠剤が浮遊することはなかった。
従って、セルロース誘導体の代わりに糖アルコール、デキストリンを配合した処方は、錠剤に浮遊機能を付与することができないことが判明した。
また、表4記載のベース処方から、カテキンEGCG40%を、アマルティMR50、又はクラスターデキストリンに置き換えた処方を作製したが、こちらも錠剤内部からのガスを保持できず、錠剤が浮遊することはなかった。従って、カテキンEGCG40%を配合しない処方には、錠剤に浮遊機能を付与することができないことが判明した。

実施例

0051

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