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技術 パワーステアリング制御装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 田中稔山崎伸人小松拓磨村田啓輔谷口智紀
出願日 2018年6月26日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-120671
公開日 2020年1月9日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-001481
状態 未査定
技術分野 走行状態に応じる操向制御 パワーステアリング機構
主要キーワード 滑り始め 増加中 専用制御 バックアップ制御 モータ角度センサ アシストゲイン 指令電流値 所定トルク
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

トルクセンサ故障した場合にも、ドライバに違和感を与えることなく、小さな操舵力操舵できるパワーステアリング制御装置を提供する。

解決手段

本発明は、パワーステアリング制御装置(10)であって、ドライバの操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(12)と、車両の操舵力を補助するアシストモータ(14)と、回転角センサ(16)と、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御する制御器(20)と、を有し、操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、制御器は、回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータの出力トルクを設定すると共に、回転角センサの検出信号に基づいて検出されたステアリングホイール回転角速度が所定の第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴としている。

概要

背景

特開2002−255054号公報(特許文献1)には、電動パワーステアリング装置が記載されている。この電動パワーステアリング装置は、ドライバステアリングホイールに付与したトルクを検出するトルクセンサと、車両の操舵機構補助トルクを付与する電動モータを備えている。通常動作時においては、ドライバがステアリングホイールに付与したトルクがトルクセンサによって検出され、これに基づいて電動モータに駆動電流を流して操舵機構に補助トルクを付与している。

また、特許文献1記載の電動パワーステアリング装置では、トルクセンサが故障した場合には、ステアリングホイールの回転角速度が検出され、これに基づいて電動モータに流す駆動電流を制御して、操舵機構に補助トルクを付与している。この場合において、操舵機構に付与される補助トルクの上限値は、通常動作時における補助トルクの最大値に対して、1/2〜1/10程度に抑制される(特許文献1、段落0013)。即ち、ステアリングホイールに付与されたトルクを検出することなく、その回転角速度に基づいて補助トルクを付与した場合には、ドライバの意に反して過大な補助トルクが付与されてしまう可能性があり、これによりドライバに恐怖感を与えてしまう虞がある。このため、特許文献1記載の電動パワーステアリング装置においては、トルクセンサの故障時には、補助トルクの上限値を低下させ、補助トルクが過大になるのを防止している。

概要

トルクセンサが故障した場合にも、ドライバに違和感を与えることなく、小さな操舵力操舵できるパワーステアリング制御装置を提供する。本発明は、パワーステアリング制御装置(10)であって、ドライバの操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ(12)と、車両の操舵力を補助するアシストモータ(14)と、回転角センサ(16)と、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御する制御器(20)と、を有し、操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、制御器は、回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータの出力トルクを設定すると共に、回転角センサの検出信号に基づいて検出されたステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴としている。

目的

本発明は、トルクセンサが故障した状態においても、ドライバに恐怖感や、違和感を与えることなく、小さな操舵力で操舵を行うことができるパワーステアリング制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

車両の操舵力補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構アシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、上記ステアリングホイールの回転角を求めるための回転角センサと、上記操舵トルクセンサ及び上記回転角センサの検出信号に基づいて上記アシストモータを制御する制御器と、を有し、上記制御器は、上記操舵トルクセンサの故障を判定するように構成され、上記操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、上記制御器は、上記回転角センサの検出信号に基づいて上記アシストモータの出力トルクを設定すると共に、上記回転角センサの検出信号に基づいて検出された上記ステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えた場合には、上記アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴とするパワーステアリング制御装置

請求項2

上記制御器は、上記ステアリングホイールの回転角速度が上記第1角速度を超えた状態が所定時間以上継続した場合において、上記アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されている請求項1記載のパワーステアリング制御装置。

請求項3

さらに、車両の速度を検出する車速センサを有し、上記制御器は、上記車速センサによって検出された車速所定車速以下の場合に、上記アシストモータに発生させるトルクを大きくするように構成されている請求項1又は2に記載のパワーステアリング制御装置。

請求項4

前記制御器は、上記回転角センサにより検出された回転角の増加中において、上記ステアリングホイールの回転角速度が上記第1角速度を超えたことにより、上記アシストモータの出力トルクを低下させた後、上記ステアリングホイールの回転角速度が低下すると、上記アシストモータの出力トルクを再び復帰させるように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載のパワーステアリング制御装置。

請求項5

前記制御器は、上記回転角センサにより検出された回転角の増加中において、上記アシストモータの出力トルクの低下と復帰を繰り返し実行するように構成されている請求項4記載のパワーステアリング制御装置。

請求項6

前記制御器は、上記ステアリングホイールの回転角速度が上記第1角速度以下の領域では、回転角速度の増加と共に上記アシストモータの出力トルクを増加させるように構成されている請求項1乃至5の何れか1項に記載のパワーステアリング制御装置。

請求項7

前記制御器は、上記ステアリングホイールの回転角速度が上記第1角速度を超えた場合には、上記アシストモータの出力トルクを低下させ、回転角速度を所定の第2角速度以下に低下させるように構成されている請求項1乃至6の何れか1項に記載のパワーステアリング制御装置。

請求項8

車両の操舵力を補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構にアシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、上記ステアリングホイールの回転角を検出する回転角センサと、上記操舵トルクセンサ及び上記回転角センサの検出信号に基づいて上記アシストモータを制御する制御器と、を有し、上記制御器は、上記操舵トルクセンサの故障を判定するように構成され、上記操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、上記制御器は、上記回転角センサの検出信号に基づいて上記アシストモータの出力トルクを設定し、車両の車速が所定車速以下の場合には、上記回転角センサの検出信号に基づいて検出された上記ステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えると、上記アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴とするパワーステアリング制御装置。

請求項9

車両の操舵力を補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構にアシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、上記ステアリングホイールの回転角を検出する回転角センサと、上記操舵トルクセンサ及び上記回転角センサの検出信号に基づいて上記アシストモータを制御する制御器と、を有し、上記制御器は、上記操舵トルクセンサの故障を判定すると共に、故障が判定された場合には、上記ステアリングホイールの回転角の増加中において、上記回転角センサの検出信号に基づいて、上記アシストトルクの低下と復帰を交互に、且つ繰り返し実行するように構成されていることを特徴とするパワーステアリング制御装置。

技術分野

0001

本発明は、パワーステアリング制御装置に関し、特に、車両の操舵力補助するパワーステアリング制御装置に関する。

背景技術

0002

特開2002−255054号公報(特許文献1)には、電動パワーステアリング装置が記載されている。この電動パワーステアリング装置は、ドライバステアリングホイールに付与したトルクを検出するトルクセンサと、車両の操舵機構補助トルクを付与する電動モータを備えている。通常動作時においては、ドライバがステアリングホイールに付与したトルクがトルクセンサによって検出され、これに基づいて電動モータに駆動電流を流して操舵機構に補助トルクを付与している。

0003

また、特許文献1記載の電動パワーステアリング装置では、トルクセンサが故障した場合には、ステアリングホイールの回転角速度が検出され、これに基づいて電動モータに流す駆動電流を制御して、操舵機構に補助トルクを付与している。この場合において、操舵機構に付与される補助トルクの上限値は、通常動作時における補助トルクの最大値に対して、1/2〜1/10程度に抑制される(特許文献1、段落0013)。即ち、ステアリングホイールに付与されたトルクを検出することなく、その回転角速度に基づいて補助トルクを付与した場合には、ドライバの意に反して過大な補助トルクが付与されてしまう可能性があり、これによりドライバに恐怖感を与えてしまう虞がある。このため、特許文献1記載の電動パワーステアリング装置においては、トルクセンサの故障時には、補助トルクの上限値を低下させ、補助トルクが過大になるのを防止している。

先行技術

0004

特開2002−255054号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、電動パワーステアリング装置において、電動モータが発生する補助トルクを大幅に抑制してしまうと、ドライバはステアリングホイールに大きな操舵力を加える必要がある。特に、停車中に「据え切り」を行う場合には、要求される操舵力が大きくなり、ドライバに大きな負担を与えてしまうという問題がある。
従って、本発明は、トルクセンサが故障した状態においても、ドライバに恐怖感や、違和感を与えることなく、小さな操舵力で操舵を行うことができるパワーステアリング制御装置を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

上述した課題を解決するために、本発明は、車両の操舵力を補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構にアシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、ステアリングホイールの回転角を求めるための回転角センサと、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御する制御器と、を有し、制御器は、操舵トルクセンサの故障を判定するように構成され、操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、制御器は、回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータの出力トルクを設定すると共に、回転角センサの検出信号に基づいて検出されたステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴としている。

0007

ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクは操舵トルクセンサによって検出され、ステアリングホイールの回転角は回転角センサによって求められる。制御器は、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御して、車両の操舵力を補助する。制御器は、操舵トルクセンサの故障を判定した場合には、回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータの出力トルクを設定する。また、制御器は、回転角センサによって検出されたステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させる。

0008

このように構成された本発明によれば、アシストモータの出力トルクが回転角センサの検出信号に基づいて設定されるので、操舵トルクセンサが故障した場合にも十分なアシストトルクを付与することができ、ドライバに過度な負担を与えるのを防止することができる。また、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させるので、アシストモータの出力トルクによるステアリングホイールの過度な回転を防止することができ、ドライバに与える違和感を抑制することができる。

0009

本発明において、好ましくは、制御器は、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超えた状態が所定時間以上継続した場合において、アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されている。

0010

このように構成された本発明によれば、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超えた状態が所定時間以上継続すると、アシストモータの出力トルクが低下されるので、ステアリングホイールの過剰な回転角速度を回転角センサによって確実に検出することができる。

0011

本発明において、好ましくは、さらに、車両の速度を検出する車速センサを有し、制御器は、車速センサによって検出された車速所定車速以下の場合に、アシストモータに発生させるトルクを大きくするように構成されている。

0012

このように構成された本発明によれば、車速センサによって検出された車速が所定車速以下の場合に、アシストモータが発生するトルクが大きくされるので、大きな操舵力が必要とされる車両の停止時や低車速時に、十分なアシストトルクを発生させることができる。

0013

本発明において、好ましくは、制御器は、回転角センサにより検出された回転角の増加中において、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超えたことにより、アシストモータの出力トルクを低下させた後、ステアリングホイールの回転角速度が低下すると、アシストモータの出力トルクを再び復帰させるように構成されている。

0014

このように構成された本発明によれば、回転角の増加中において、回転角速度が第1角速度を超えてアシストモータの出力トルクを低下させた後、回転角速度が低下すると、アシストモータの出力トルクが再び復帰される。この結果、ステアリングホイールの回転角速度が過度に上昇し、ドライバに違和感を与えるのを防止しながら、ステアリングホイールの回転角の増加中、十分なアシストトルクを加えることができる。

0015

本発明において、好ましくは、制御器は、回転角センサにより検出された回転角の増加中において、アシストモータの出力トルクの低下と復帰を繰り返し実行するように構成されている。

0016

このように構成された本発明によれば、回転角の増加中において、アシストモータの出力トルクの低下と復帰が繰り返し実行されるので、ステアリングホイールの回転角速度の過度な上昇を防止しながら、広い回転角の領域において十分なアシストトルクを発生させることができる。

0017

本発明において、好ましくは、制御器は、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度以下の領域では、回転角速度の増加と共にアシストモータの出力トルクを増加させるように構成されている。

0018

このように構成された本発明によれば、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度以下の領域においては、回転角速度の増加と共にアシストモータの出力トルクが増加されるので、ドライバに違和感を与えにくい角速度の領域内で十分なアシストトルクを発生させることができ、ドライバの操舵力の負担を軽減することができる。

0019

本発明において、好ましくは、制御器は、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超えた場合には、アシストモータの出力トルクを低下させ、回転角速度を所定の第2角速度以下に低下させるように構成されている。

0020

このように構成された本発明によれば、ステアリングホイールの回転角速度が第1角速度を超え、アシストモータの出力トルクが低下されると、回転角速度が第2角速度以下に低下されるので、ステアリングホイールはドライバの操舵力で容易に操作可能な状態となる。この結果、ドライバに与える違和感を十分に抑制することができる。

0021

また、本発明は、車両の操舵力を補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構にアシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、ステアリングホイールの回転角を検出する回転角センサと、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御する制御器と、を有し、制御器は、操舵トルクセンサの故障を判定するように構成され、操舵トルクセンサの故障が判定された場合において、制御器は、回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータの出力トルクを設定し、車両の車速が所定車速以下の場合には、回転角センサの検出信号に基づいて検出されたステアリングホイールの回転角速度が所定の第1角速度を超えると、アシストモータの出力トルクを低下させるように構成されていることを特徴としている。

0022

また、本発明は、車両の操舵力を補助するパワーステアリングを制御する装置であって、ドライバがステアリングホイールに付与した操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、車両の操舵機構にアシストトルクを付与し、車両の操舵力を補助するアシストモータと、ステアリングホイールの回転角を検出する回転角センサと、操舵トルクセンサ及び回転角センサの検出信号に基づいてアシストモータを制御する制御器と、を有し、制御器は、操舵トルクセンサの故障を判定すると共に、故障が判定された場合には、ステアリングホイールの回転角の増加中において、回転角センサの検出信号に基づいて、アシストトルクの低下と復帰を交互に、且つ繰り返し実行するように構成されていることを特徴としている。

発明の効果

0023

本発明のパワーステアリング制御装置によれば、トルクセンサが故障した状態においても、ドライバに恐怖感や、違和感を与えることなく、小さな操舵力で操舵を行うことができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置を搭載した車両の操舵装置を示す斜視図である。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置による制御を示すフローチャートである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置における通常制御を示すフローチャートである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置の通常制御における操舵トルクとアシストゲインの関係を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置の通常制御における操舵トルクとアシストトルクの関係を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御における処理を示すフローチャートである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置において、バックアップ制御から呼び出される走行専用制御のフローチャートである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御において、絶対舵角に対して設定されるアシストトルクの値を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御において、旋回半径に対するアシストトルクの上限値を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御において、車速に対する第1車速ゲインの値を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置において、バックアップ制御から呼び出される据え切り専用制御のフローチャートである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御において、操舵速度に対して設定されるアシストトルクの値を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置のバックアップ制御において、車速に対する第2車速ゲインの値を示すマップである。
本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置の作用の一例を示すタイムチャートである。

実施例

0025

次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置を搭載した車両の操舵装置を示す斜視図である。図2は、本実施形態によるパワーステアリング制御装置による制御を示すフローチャートである。図3は、本実施形態によるパワーステアリング制御装置における通常制御を示すフローチャートである。図4は通常制御における操舵トルクとアシストゲインの関係を示すマップであり、図5は操舵トルクとアシストトルクの関係を示すマップである。

0026

図1に示すように、本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置は、車両に搭載された操舵装置1に組み込まれており、操舵装置1は、ステアリングホイール2と、このステアリングホイール2に付与された操舵トルクを操舵輪4に伝達する操舵機構6と、を有する。
操舵装置1は車両に搭載され、ドライバによってステアリングホイール2に付与された操舵力を、操舵機構6を介して操舵輪4に伝達し、車両の操舵を行うように構成されている。

0027

また、操舵装置1に組み込まれたパワーステアリング制御装置10は、操舵トルクセンサ12と、車両の操舵力を補助するアシストモータ14と、アシストモータ14の回転角を検出するモータ角度センサ16と、車両の車速を検出する車速センサ18と、アシストモータ14を制御する制御器20と、を有する。

0028

操舵トルクセンサ12は、ステアリングホイール2に付与された操舵力を伝達する操舵機構6の途中に設けられ、ドライバがステアリングホイール2に付与した操舵トルクを検出するように構成されている。この操舵トルクセンサ12は、ドライバが付与した操舵トルクを電気信号に変換し、この電気信号を検出信号として制御器20に入力するように構成されている。本実施形態において、操舵トルクセンサ12は、操舵トルクを表す電気信号として、所定の電圧範囲の信号を出力するように構成されている。

0029

アシストモータ14は、操舵機構6の途中に設けられ、車両の操舵力を補助するアシストトルクを操舵機構6に付与するように構成されている。このアシストモータ14が発生するアシストトルクは制御器20により制御されており、ステアリングホイール2に小さな操舵力を付与するだけでドライバの意図に応じた操舵角が得られるように制御される。

0030

回転角センサであるモータ角度センサ16は、アシストモータ14に付随して設けられており、アシストモータ14の出力軸の回転角を測定可能に構成されている。アシストモータ14の出力軸の回転角と、ステアリングホイール2の回転角の間には一定の関係があるため、アシストモータ14の回転角を検出することにより、ステアリングホイール2の回転角を検出することができる。本実施形態においては、アシストモータ14に取り付けられたロータリーエンコーダが、ステアリングホイール2の回転角を検出する回転角センサとして機能し、制御器20に電気信号を出力している。しかしながら、ステアリングホイール2の回転角を直接検出するセンサを回転角センサとして設けることもできる。

0031

車速センサ18は車両に搭載された速度センサであり、車両の走行速度を検出し、電気信号として出力するように構成されている。車速センサ18によって検出された車速を表す電気信号は、制御器20に入力される。

0032

制御器20は、操舵トルクセンサ12、モータ角度センサ16、及び車速センサ18の検出信号に基づいてアシストモータ14を制御するように構成されている。即ち、制御器20は、操舵トルクセンサ12、モータ角度センサ16、及び車速センサ18から出力された電気信号に基づいて所定の演算を行い、アシストモータ14に対する制御信号を出力するように構成されている。具体的には、制御器20は、マイクロプロセッサメモリ、各種インターフェイス回路、及びこれらを作動させるソフトウェア等(図示せず)によって構成することができる。

0033

次に、図2を参照して、制御器20によるアシストモータ14の制御を説明する。図2に示すフローチャートによる処理は、車両のイグニッションONの後、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
まず、図2のステップS1においては、操舵トルクセンサ12、モータ角度センサ16、及び車速センサ18からの検出信号が制御器20に入力される。
次に、ステップS2においては、操舵トルクセンサ12が故障しているか否かが判定される。本実施形態においては、操舵トルクセンサ12は、正常に動作している場合には所定の電圧範囲の検出信号を出力するように構成されている。このため、制御器20に入力された検出信号が所定の電圧範囲外である場合には、操舵トルクセンサ12に故障の疑いがあると判定することができる。

0034

操舵トルクセンサ12が正常であると判定された場合には、ステップS3に進み、ステップS3ではサブルーチンとして図3に示す通常制御が実行される。一方、操舵トルクセンサ12が故障していると判定された場合には、制御器20は、車両に搭載された表示装置(図示せず)に信号を送り、操舵トルクセンサ12が故障している旨をドライバに報知すると共に、ステップS4に進む。ステップS4においては、サブルーチンとして図6に示すバックアップ制御が実行される。

0035

後述するように、ステップS3において実行される通常制御、及びステップS4において実行されるバックアップ制御においては、何れも、アシストモータ14に対して指令すべきアシストトルクの値が設定される。ステップS5においては、通常制御又はバックアップ制御によって設定されたアシストトルクを発生させるための制御信号がアシストモータ14に出力され、図2に示すフローチャートの1回の処理を終了する。制御器20から出力された制御信号により、アシストモータ14がアシストトルクを発生し、操舵機構6に対する操舵トルクが補助される。

0036

次に、図3乃至図5を参照して、アシストモータ14に対する通常制御を説明する。図3に示す通常制御のフローチャートは、図2のフローチャートにおいて、操舵トルクセンサ12に故障がないと判定され、そのステップS3においてサブルーチンとして呼び出されるものである。

0037

まず、図3のステップS10においては、図2のフローチャートのステップS1において読み込まれた操舵トルクTh[Nm]の値、及び車両の速度に基づいて、アシストゲインKaの値が設定される。具体的には、操舵トルクセンサ12によって検出された操舵トルクTh、及び車速センサ18によって検出された車速に基づいて、図4に示すマップを使用してアシストゲインKaの値が決定される。

0038

図4に示すように、本実施形態においては、アシストゲインKaの値は、操舵トルクThに概ね比例して増加するように設定される。また、操舵トルクThとアシストゲインKaの間の比例定数は車速が低いほど大きくなるように、即ち、図4に示すように、横軸を操舵トルクTh、縦軸をアシストゲインKaとしたマップにおいて、車速が低いほどアシストゲインKaを表す直線の傾きが大きくなるように設定される。

0039

次に、ステップS11においては、操舵トルクセンサ12によって検出された操舵トルクThと、のステップS10において設定されたアシストゲインKaに基づいて、アシストトルクTm[Nm]の値が設定される。本実施形態においては、操舵トルクセンサ12によって検出された操舵トルクThの値に、ステップS10において設定されたアシストゲインKaの値を乗じることにより、アシストトルクTmの値が計算される。この結果、図5に示すように、アシストトルクTmの値は、或る一定の車速に対して、操舵トルクThの値の2乗に比例する値となる。

0040

なお、本実施形態においては、操舵トルクThの値からアシストトルクTmの値を決定し、これに操舵トルクThの値を乗じることによりアシストトルクTmの値を決定しているが、アシストトルクTmの値が、種々の検出値から直接決定されるように本発明を構成することもできる。即ち、操舵トルクThや車速等を含む種々の検出値に対してアシストトルクTmを決定するマップや、計算式によって直接アシストトルクTmの値が決定されるように本発明を構成することもできる。

0041

次に、図3のステップS12においては、ステップS11において設定されたアシストトルクTmがアシストモータ14から出力されるように、アシストトルクTmに対応する指令電流値が設定され、図3のフローチャートの1回の処理を終了する。図3のフローチャートの処理が終了すると、処理は図2のステップS5に復帰し、ここでは、設定された指令電流値を表す制御信号が、制御器20からアシストモータ14に送られ、アシストモータ14は、設定されたアシストトルクTmを操舵機構6に作用させて操舵を補助する。このように、通常制御が実行されている状態においては、ドライバがステアリングホイール2加えた操舵トルクが操舵トルクセンサ12によって直接検出され、これに基づいてアシストトルクTmが設定される。このため、アシストトルクTmにはドライバの意図が正確に反映され、ドライバに違和感のない操舵補助を実行することができる。

0042

次に、図6乃至図13を参照して、バックアップ制御を説明する。
図6は、バックアップ制御における処理を示すフローチャートである。バックアップ制御は、図2に示すフローチャートにおいて操舵トルクセンサ12に故障があると判定された場合に、そのステップS4で実行される制御である。具体的には、図2のステップS4から図6に示すフローチャートが呼び出され、図6のフローチャートから図7及び図11に示すフローチャートが夫々呼び出されて処理が行われる。

0043

まず、図6のステップS21においては、図7に示す走行専用制御のフローチャートが呼び出され、アシストトルクTm1の値が設定される。後述するように、図7に示す走行専用制御は、主として車両の走行時において採用されるアシストトルクTm1の値を設定するための処理である。
次に、ステップS22においては、図11に示す据え切り専用制御のフローチャートが呼び出され、アシストトルクTm2の値が設定される。後述するように、図11に示す据え切り専用制御のフローチャートは、車両が実質的に停止している状態におけるステアリングホイール2の操作である据え切り時に主として採用されるアシストトルクTm2の値を設定するための処理である。

0044

次いで、ステップS23においては、ステップS21において設定された走行時用のアシストトルクTm1の値と、ステップS22において設定された停止時用のアシストトルクTm2の値が加算され、アシストトルクTmの値が設定される。即ち、後述するように、車両が走行している状態においては、ステップS21の走行専用制御によるアシストトルクTm1の値に大きなウエイトが与えられる一方、ステップS22の据え切り専用制御によるアシストトルクTm2の値には小さなウエイトが与えられる。また、車両が実質的に停車している状態においては、ステップS22の据え切り専用制御によるアシストトルクTm2の値に大きなウエイトが与えられる一方、ステップS21の走行専用制御によるアシストトルクTm1の値には小さなウエイトが与えられる。これにより、ステップS21、S22において夫々設定されたアシストトルクの値を合計することにより、走行状態に応じたアシストトルクTmを設定することができる。

0045

さらに、ステップS24においては、ステップS23において設定されたアシストトルクTmがアシストモータ14から出力されるように、アシストトルクTmに対応する指令電流値が設定され、図6のフローチャートの1回の処理を終了する。図6のフローチャートの処理が終了すると、処理は図2のステップS5に復帰し、ここでは、設定された指令電流値を表す制御信号が、制御器20からアシストモータ14に送られ、アシストモータ14は、設定されたアシストトルクTmを操舵機構6に作用させて操舵を補助する。

0046

次に、図7乃至図10を参照して、走行専用制御を説明する。
図7は、図6バックアップ制御から呼び出される走行専用制御のフローチャートである。図8は絶対舵角に対して設定されるアシストトルクの値を示すマップである。図9は旋回半径に対するアシストトルクの上限値を示すマップである。図10は車速に対する第1車速ゲインの値を示すマップである。

0047

まず、図7のステップS31においては、絶対舵角[deg]に基づいて、アシストトルクTm1の値が設定される。即ち、操舵トルクセンサ12が故障した状態では、操舵トルクセンサ12による検出信号が使用できないため、絶対舵角に基づいて、アシストトルクTm1の値が設定される。本実施形態においては、アシストモータ14に取り付けられたモータ角度センサ16の検出信号に基づいてステアリングホイール2の回転角や、絶対舵角が計算される。本実施形態においては、アシストモータ14のモータ角度センサ16の検出信号からステアリングホイール2の回転角及び絶対舵角を求めているが、これらの回転角等の関係は相互に一意的に換算可能であるため、ステアリングホイール2の回転角を検出するセンサや、操舵輪4の角度を検出するセンサを使用して絶対舵角やステアリングホイール2の回転角を求めることもできる。

0048

なお、絶対舵角は、車両が直進している状態における操舵輪4の方向をゼロとし、ステアリングホイール2を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、その絶対値が大きくなる角度である。本実施形態においては、走行中の車両にヨーレートが発生しない状態における操舵角を検出し、この操舵角を絶対舵角=0の位置としている。

0049

図7のステップS31においては、モータ角度センサ16の検出信号に基づいて絶対舵角を求め、この絶対舵角に基づいて図8に示すマップを使用してアシストトルクTm1[deg]の値が設定される。図8に示すように、アシストトルクTm1の値は、絶対舵角に概ね比例する値に設定される。即ち、絶対舵角の絶対値が大きくなるほど時計回り又は反時計回りのアシストトルクTm1の値が大きくなるように、アシストトルクTm1が設定される。

0050

次に、図7のステップS32においては、ステアリングホイール2が切り込まれている状態か、切り戻されている状態かが判断される。ステアリングホイール2が切り込まれている(絶対舵角の絶対値が大きくなるようにステアリングホイール2が回転されている)状態であればステップS33に処理が進み、ステアリングホイール2が切り戻されている(絶対舵角の絶対値が小さくなるようにステアリングホイール2が回転されている)状態であればステップS34に処理が進む。

0051

ステップS33においては、ステップS31において設定されたアシストトルクTm1の値に、切り込みゲインである1が乗じられ、アシストトルクTm1の値が補正される。即ち、切り込み時においては、アシストトルクTm1は補正により変化せず、ステップS31において設定されたアシストトルクTm1の値がそのまま使用される。

0052

一方、ステップS34においては、ステップS31において設定されたアシストトルクTm1の値に、切り戻し時ゲインである0.5が乗じられ、アシストトルクTm1の値が補正される。即ち、切り戻し時においては、ステップS31において設定されたアシストトルクTm1の値が補正により1/2の値にされる。即ち、切り戻し時においては、操舵輪4に作用するセルフアライニングトルクにより、ステアリングホイール2が絶対舵角=0の状態に戻る傾向があるため、切り込み時におけるアシストトルクTm1と同一のトルクで補助を行うと、アシストが過剰になるためである。

0053

次に、ステップS35においては、アシストトルクTm1の値の上限値[Nm]が設定される。本実施形態においては、アシストトルクTm1の値の上限値は、車両の旋回半径r[m]に基づいて、図9に示すマップにより設定される。図9に示すように、本実施形態においては、アシストトルクTm1の上限値は、車両の旋回半径rが大きくなるほど低下するように構成されている。なお、旋回半径rの増加に対するアシストトルクTm1の上限値の低下の割合(Nm/m)は一定に設定されている。即ち、車両が直進状態に近い、旋回半径が大きい状態では、比較的小さなトルクで操舵が可能であるため、大きなアシストトルクを作用させるとアシストが過剰となるため、アシストトルクの上限値を低く設定し、過剰なアシストを防止している。なお、本実施形態においては、検出された車両の車速[m/sec]、ヨーレート[deg/sec]、及び横加速度[m/sec2]に基づいて、車両の旋回半径を求めている。

0054

次いで、ステップS36においては、ステップS33又はS34において補正されたアシストトルクTm1の値が、ステップS35において設定された上限値を超えているか否かが判断される。上限値を超えている場合には、ステップS37において、アシストトルクTm1の値がステップS35で設定された上限値の値に置き換えられて処理がステップS38進む。アシストトルクTm1の値が上限値以下の場合には、ステップS33又はS34において補正されたアシストトルクTm1の値が修正されることなくステップS38の処理に進む。

0055

さらに、ステップS38においては、アシストトルクTm1の値に第1車速ゲインの値が乗じられ、図7に示すフローチャートの1回の処理を終了する。第1車速ゲインの値は、車両の車速に基づいて、図10に示すマップを使用して決定される。図10に示すように、第1車速ゲインの値は車速=0においてゼロであり、車速の増加と共に増加するように設定される。また、車速の増加に対する第1車速ゲインの値の増加率は、車速の増加と共に小さくなり、第1車速ゲイン=1に収束する。このように、第1車速ゲインの値は、車速の低速域においては小さな値になり、高速域においては1に近い値となる。このため、図7に示す走行専用制御によって設定されるアシストトルクTm1の値によって、主として車両の走行時におけるアシストトルクの大きさが規定される。

0056

上記のように、図7に示すフローチャートの処理が終了した後、処理は図6のフローチャートに復帰し、後述する据え切り専用制御によってアシストトルクTm2が設定される。次いで、図6のステップS23以下の処理が実行され、アシストモータ14の指令電流が設定される。

0057

次に、図11乃至図13を参照して、据え切り専用制御を説明する。
図11は、図6バックアップ制御から呼び出される据え切り専用制御のフローチャートである。図12は操舵速度に対して設定されるアシストトルクの値を示すマップである。図13は車速に対する第2車速ゲインの値を示すマップである。

0058

まず、図11のステップS41においては、モータ角度センサ16によって検出された検出信号に基づいて、相対舵角の値が計算される。ここで、相対舵角とは、車両のイグニッションがONにされた時点における舵角を0とし、この舵角から時計回り又は反時計回りの操舵を積算して求められた舵角を意味している。据え切り専用制御においては、車両が停止した状態からの舵角の変化に応じて操舵トルクを補助する必要があるため、本実施形態においては、後述するように、相対舵角の変化に基づいてアシストトルクTm2が設定されている。

0059

次に、図11のステップS42においては、ステップS41において算出された相対舵角に基づいて、相対舵角の変化速度操舵角速度[deg/sec])が計算される。例えば、図11に示すフローチャートが前回実行された時に計算された第1の相対舵角[deg]と、今回実行された時に計算された第2の相対舵角[deg]との差、及び第1、第2の相対舵角を夫々求めた時点の時間間隔[sec]に基づいて、相対舵角の変化速度[deg/sec]を計算することができる。

0060

さらに、ステップS43においては、ステップS42において計算された相対舵角の変化速度(操舵角速度)に基づいて、アシストトルクTm2が設定される。本実施形態においては、図12に示すマップを使用して、アシストトルクTm2が決定される。図12に示すように、アシストトルクTm2は、操舵角速度=0においてゼロに設定され、操舵角速度の増加に比例して増加し、所定の操舵角速度において所定トルク[Nm]になる。さらに、操舵角速度が所定の操舵角速度以上ではアシストトルクTm2は所定トルク一定にされる。

0061

即ち、車両が停止した状態でイグニッションがONにされ、この状態から操舵が開始されると、まず、操舵輪4と路面との間には実質的に滑りが発生せず、タイヤ(操舵輪4)が捩れるように変形する。この状態では、操舵角速度の増加と共に操舵に必要な操舵トルクが大きくなる。次いで、操舵角速度の上昇と共に相対舵角がある大きさになると、操舵輪4と路面の間が滑り始め、この状態では、操舵を行うために必要なトルクは操舵角速度に関わらずほぼ一定となる。図12に示すマップによる相対舵角の変化速度に対するアシストトルクTm2[Nm]の値の設定は、このような据え切りにおけるタイヤ(操舵輪4)の捩れ挙動模擬したものとなっている。

0062

次に、ステップS44においては、セルフ判定として、ステアリングホイール2の回転がドライバの操舵意図に基づくものであるか否かが判定される。具体的には、ステップS43において設定されたアシストトルクTm2の値が所定の第1トルク[Nm]以上であり、且つステアリングホイール2の回転角速度が所定の第1角速度[deg/sec]以上である状態が、所定のセルフ判定時間以上継続している場合に、ステアリングホイール2の回転がドライバの操舵意図に基づかないものとなっている、と判定される。

0063

即ち、操舵トルクセンサ12が故障した状態において実行されるバックアップ制御においては、モータ角度センサ16によって検出される操舵角(ステアリングホイール2の回転角)や、その角速度に基づいてアシストトルクが設定される。ここで、アシストモータ14が操舵機構6にアシストトルクを付与することにより、操舵角が変化するため、この操舵角の変化に反応して更にアシストトルクが増加する場合がある。このような制御が繰り返されることにより、ドライバの操舵意図に反してステアリングホイール2がアシストトルクにより大きな角速度で回転されてしまう場合がある。このような状態となると、ドライバは違和感を覚え、特に、ドライバが自己の操舵力でステアリングホイール2の回転を容易に止められない場合にはドライバに恐怖感を与えてしまう虞がある。

0064

ステップS44において実行されるセルフ判定においては、ステアリングホイール2の回転がこのような状態に陥っているか否かが判定される。このため、本実施形態においては、上記のように、アシストトルクTm2の値が所定の第1トルク[Nm]以上であり、且つステアリングホイール2の回転角速度が所定の第1角速度[deg/sec]以上である状態が、所定のセルフ判定時間以上継続した場合に、ドライバの操舵意図に反する操舵であると判定している。

0065

ここで、本実施形態においては、第1トルクとして、アシストモータ14がアシストトルクのみで操舵角を変化させることが可能なトルクが設定されている。即ち、アシストトルクのみで操舵角が変化しない(ステアリングホイール2が回転しない)状態では、アシストトルクによりドライバの操舵意図に反する操舵が発生し得ないためである。また、本実施形態においては、第1角速度=100[deg/sec]に設定されている。好ましくは、第1角速度は、約80乃至=約120[deg/sec]に設定する。この第1角速度は、通常のドライバが行う操舵の角速度(ステアリングホイール2の角速度)よりも大きな角速度に設定するのが良い。このように設定することにより、発生している操舵がドライバの意図に基づくものか否かを正確に判断することができる。

0066

さらに、本実施形態においては、セルフ判定時間は150[msec]に設定されている。好ましくは、セルフ判定時間は、約50乃至約200[msec]に設定する。このセルフ判定時間は、ドライバの意図に基づかない操舵(ステアリングホイール2の回転)の発生を確実に判定することができるように、設定されている。また、セルフ判定時間は、ドライバの意図に基づかない操舵が発生したとしてもドライバが強い違和感を覚えない程度の短い時間に設定するのが良い。

0067

ステップS44において、ドライバの意図に基づかない操舵が発生したと判定された場合には、処理はステップS45に進み、それ以外の場合にはステップS46に進む。ステップS45において、制御器20は、アシストモータ14に制御信号を送り、アシストモータ14が発生するアシストトルクを低減させる。このアシストトルクの低減は、ステアリングホイール2の回転角速度が、女性高齢者等、力の弱いドライバによっても容易に回転を止めることができる所定の第2角速度[deg/sec]以下に低下するように実行される。これにより、アシストトルクにより回転しているステアリングホイール2は、ドライバが容易に止めたり、更なる操舵を行ったりすることができる状態となり、ドライバに強い違和感が与えられることはない。本実施形態においては、アシストモータ14に流す電流を所定量[A]低下させることにより、アシストトルクを低減させている。或いは、変形例として、ステアリングホイール2の回転角速度をモニタしながら、ステアリングホイール2の角速度が第2角速度[deg/sec]以下に低下するまでアシストモータ14に流す電流を低下させるように本発明を構成することもできる。

0068

次に、ステップS46においては、保舵判定として、ドライバが保舵する(ステアリングホイール2の回転を停止させる)意図があるか否かが判定される。具体的には、ステップS43において設定されたアシストトルクTm2の値が所定の第2トルク[Nm]以下であり、且つステアリングホイール2の回転角速度が所定の第3角速度[deg/sec]以下である状態が、所定の保舵判定時間[sec]以上継続している場合に、ドライバがステアリングホイール2を保舵する意図がある、と判定される。

0069

即ち、ドライバが操舵を行う意図がない状態で、ステアリングホイール2が極めて小さな角速度で回転している状態では、この角速度に応じて、非常に小さな値のアシストトルクTm2が設定される。このような小さなアシストトルクのみでは、ステアリングホイール2は回転せず、操舵角も変化しないが、アシストトルクTm2を発生させるためにアシストモータ14は電力消費してしまう。このような状態が長時間継続すると、車両のバッテリの電力が浪費されてしまう。この電力の浪費を回避するため、本実施形態のパワーステアリング制御装置10においては、保舵判定によりドライバの保舵の意図を判定し、操舵する意図がない状態では、アシストモータ14がアシストトルクを発生しないように電力の供給が停止する。本実施形態においては、保舵を判定するための所定の第3角速度は10[deg/sec]に設定され、所定の保舵判定時間は約1[sec]に設定されている。好ましくは、第3角速度は5乃至10[deg/sec]、保舵判定時間は約1乃至約2[sec]に設定する。

0070

ステップS46において、ドライバに保舵する意図があると判定された場合にはステップS47においてアシストトルクTm2の値をゼロに設定した後、ステップS48に進む。また、ドライバに保舵する意図がないと判定された場合には、そのままステップS48に進む。

0071

さらに、ステップS48においては、アシストトルクTm2の値に第2車速ゲインの値が乗じられ、図11に示すフローチャートの1回の処理を終了する。第2車速ゲインの値は、車両の車速に基づいて、図13に示すマップを使用して決定される。図13に示すように、第2車速ゲインの値は、車両が実質的に停車しているとみなすことができる、車速が約3乃至約5[km/h]以下の場合には約1であり、車両が実質的に走行しているとみなすことができる車速ではゼロに設定される。このように、第2車速ゲインの値は、車両が実質的に停車している状態ではほぼ1にされ、走行状態においてはゼロに設定される。このため、図11に示す据え切り専用制御によって設定されるアシストトルクTm2の値は、主として車両の停止時におけるアシストトルクの大きさを規定する。

0072

上記のように、図11に示すフローチャートの処理が終了した後、処理は図6のフローチャートに復帰し、次いで、図6のステップS23において、アシストトルクTm1とTm2が合算され、最終的なアシストトルクTmが設定される。さらに、図6のステップS24において、アシストトルクTmを生成するために必要なアシストモータ14の指令電流が設定され、この指令電流がアシストモータ14に供給され、アシストトルクが生成される(図2のステップS5)。

0073

次に、図14を参照して、本発明の実施形態によるパワーステアリング制御装置10の作用を説明する。
図14は、本実施形態のパワーステアリング制御装置10の作用の一例を示すタイムチャートである。なお、図14は操舵トルクセンサ12の故障が判定され(図2のステップS2→S4)、バックアップ制御(図6)が実行された場合を示している。図14のタイムチャートにおいて、上段から順に、車両の車速[km/h]、ステアリングホイール2の回転角[deg]、ステアリングホイール2の回転角速度[deg/sec]、アシストトルクTm[Nm]を示している。

0074

タイムチャートの最上段に示すように、図14のタイムチャートは車両が停車している場合におけるパワーステアリング制御装置10の作用を示している。
まず、図14時刻t1において、ドライバが据え切りを開始すると、図11に示すフローチャートにおいては、ステップS41→S42→S43→S44→S46→S48→リターンの処理が実行され、アシストトルクTm2[Nm]の値が設定される。一方、図7に示す走行専用制御のフローチャートも実行されるが、車速=0では、そのステップS39においてアシストトルクに乗じられる第1車速ゲイン(図10)の値がゼロであるため、補正後のアシストトルクTm1の値はゼロに設定される。従って、図6に示すフローチャートのステップS23において設定される最終的なアシストトルクTm(=Tm1+Tm2)の値は、アシストトルクTm2と等しくなる。

0075

図14の時刻t1の後、アシストトルクTmの値は、相対舵角(ステアリングホイール2の回転角)の増加と共に増加し、アシストトルクTm(=Tm2)の値も所定の第1トルク[Nm]以上となる。また、時刻t1の後、ステアリングホイール2の回転角速度も増大している。さらに、時刻t2において、ステアリングホイール2の回転角速度が所定の第1角速度=100[deg/sec]に到達する。時刻t2の後、ステアリングホイール2の回転角速度が増加を続け、時刻t3において、時刻t2からセルフ判定時間=150[msec]が経過すると、図11に示すフローチャートにおいてステップS44→S45に処理が移行するようになる。

0076

即ち、ステップS44におけるセルフ判定により、ステアリングホイール2の回転がドライバの操舵意図に基づかないものとなっている、と判定され、ステップS45におけるアシストトルクTm2の低減が実行される。これにより、アシストトルクTm(=Tm2)の値が急激に低下し、ステアリングホイール2の回転角速度も急激に低下して、所定の第2角速度[deg/sec]以下になる。このステアリングホイール2の回転角速度の低下により、ステアリングホイール2はドライバの操舵力により、容易に操舵又は保舵が可能な状態に戻る。

0077

図14の時刻t3においては、ドライバには、ステアリングホイール2の操舵を継続する意志があるため、ドライバの操舵力により、ステアリングホイール2の回転角速度は再び増加し始めると共に、ステアリングホイール2の回転角は増加を続ける。これに伴い、アシストモータ14が発生するアシストトルクも再び上昇し始めるため、ドライバは小さな操舵力で操舵を継続することができる。次いで、時刻t4においてステアリングホイール2の回転角速度が所定の第1角速度を超え、時刻t5においてセルフ判定時間が経過すると、再びステップS45におけるアシストトルクTm2の低減が実行される。

0078

図14に示す例では、同様に、時刻t6、t7においてアシストトルクTm2の低減が実行されている。さらに、時刻t7においては、ドライバにはステアリングホイール2を保舵する意志があるため、ドライバはステアリングホイール2を操舵せず、回転角速度は低下したままとなる。このため、アシストトルクTm2の値が所定の第2トルク[Nm]以下に低下すると共に、ステアリングホイール2の回転角速度が所定の第3角速度[deg/sec]以下に低下する。

0079

さらに、時刻t8において、所定の保舵判定時間(=1[sec])が経過すると、制御器20はアシストモータ14への電力の供給を停止させ、アシストトルクTmはゼロまで低下する。これにより、アシストモータ14による電力の消費がゼロとなる。

0080

このように、本実施形態においては、制御器20は、モータ角度センサ16により検出される回転角の増加中(図14の時刻t1〜t6)において、ステアリングホイール2の回転角速度が所定の第1角速度を超えた(図14の時刻t2、t4等)ことにより、アシストモータ14の出力トルクを低下させた後、ステアリングホイール2の回転角速度が低下する(図14の時刻t3、t5等)と、アシストモータ14の出力トルク(アシストトルクTm)が再び復帰される。換言すれば、本実施形態においては、制御器20は、モータ角度センサ16により検出される回転角の増加中において、アシストモータ14の出力トルク(アシストトルクTm)の低下と復帰を繰り返し実行するように構成されている。

0081

本発明の実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、アシストモータ14の出力トルクがモータ角度センサ16の検出信号に基づいて設定されるので、操舵トルクセンサ12が故障した場合にも十分なアシストトルクを付与することができ、ドライバに過度な負担を与えるのを防止することができる。また、ステアリングホイール2の回転角速度が第1角速度を超えた場合(図11のステップS44→S45)には、アシストモータ14の出力トルクを低下させる(図14の時刻t3等)ので、アシストモータ14の出力トルクによるステアリングホイール2の過度な回転を防止することができ、ドライバに与える違和感を抑制することができる。

0082

また、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、ステアリングホイール2の回転角速度が第1角速度を超えた状態が所定時間以上継続(図14の時刻t2〜t3等)すると、アシストモータ14の出力トルクが低下される(図11のステップS44→S45)ので、ステアリングホイール2の過剰な回転角速度を回転角センサであるモータ角度センサ16によって確実に検出することができる。

0083

さらに、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、車速センサ18によって検出された車速が所定車速以下の場合に、アシストモータ14が発生するトルクが大きくされる(図13)ので、大きな操舵力が必要とされる車両の停止時や低車速時に、十分なアシストトルクを発生させることができる。

0084

また、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、ステアリングホイール2の回転角の増加中(図14の時刻t1〜t6)において、回転角速度が第1角速度を超えてアシストモータ14の出力トルクを低下させた(図14の時刻t3、t5等)後、回転角速度が低下すると、アシストモータ14の出力トルクが再び復帰される。この結果、ステアリングホイール2の回転角速度が過度に上昇し、ドライバに違和感を与えるのを防止しながら、ステアリングホイール2の回転角の増加中、十分なアシストトルクを加えることができる。

0085

さらに、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、回転角の増加中(図14の時刻t1〜t6)において、アシストモータ14の出力トルクの低下と復帰が繰り返し実行されるので、ステアリングホイール2の回転角速度の過度な上昇を防止しながら、広い回転角の領域において十分なアシストトルクを発生させることができる。

0086

また、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、ステアリングホイール2の回転角速度が第1角速度(図14)以下の領域においては、回転角速度の増加と共にアシストモータ14の出力トルクが増加される(図12)ので、ドライバに違和感を与えにくい角速度の領域内で十分なアシストトルクを発生させることができ、ドライバの操舵力の負担を軽減することができる。

0087

さらに、本実施形態のパワーステアリング制御装置10によれば、ステアリングホイール2の回転角速度が第1角速度を超え、アシストモータ14の出力トルクが低下されると、回転角速度が第2角速度以下に低下される(図14の時刻t3、t5等)ので、ステアリングホイール2はドライバの操舵力で容易に操作可能な状態となる。この結果、ドライバに与える違和感を十分に抑制することができる。

0088

以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。

0089

1操舵装置
2ステアリングホイール
4操舵輪
6操舵機構
10パワーステアリング制御装置
12操舵トルクセンサ
14アシストモータ
16モータ角度センサ(回転角センサ)
18車速センサ
20 制御器

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