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技術 液冷ジャケットの製造方法

出願人 日本軽金属株式会社
発明者 瀬尾伸城堀久司山中宏介
出願日 2018年6月26日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-120860
公開日 2020年1月9日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-001051
状態 未査定
技術分野 半導体または固体装置の冷却等 圧接、拡散接合
主要キーワード テーパー角度β テーパー角度α 周壁端面 アルミニウム合金展伸材 螺旋角度 円盤カッター アルミニウム合金鋳造材 開口部周り
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図面 (20)

課題

複数のピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にでき、金属部材の表面の段差凹溝を小さくできるとともに接合表面粗さを小さくできる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。

解決手段

封止体3の裏面側に複数のピンフィン22を成形するとともに複数のピンフィン22からなるピンフィン群の先端面を封止体3の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、ジャケット本体2に封止体3を載置することにより、第一突合せ部J1を形成するとともに第二突合せ部J2を形成する載置工程と、回転する先端側ピンF3を封止体3に挿入し基端側ピンF2の外周面周壁部11及び封止体3の両方に接触させつつ先端側ピンF3の外周面を周壁段差部12の段差側面12bに接触させた状態で、第一突合せ部J1に沿って本接合用回転ツールFを移動させ、開口部周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。

概要

背景

ジャケット本体と、複数のピンフィンを備えた封止体とで構成された液冷ジャケットが知られている(特許文献1)。液冷ジャケットは、内部に流体流通させて設置された発熱体を冷却する機器である。封止体は、板状を呈する本体部と、本体部から垂下する複数のピンフィンとで構成されている。ジャケット本体と封止体とは、例えば、回転ツールを用いた摩擦攪拌接合によって接合することができる。当該接合工程では、ジャケット本体と封止体の外周面とが突き合わされて形成された突合せ部に沿って、回転ツールを一周させて、摩擦攪拌接合を行う。

当該摩擦攪拌接合に用いる回転ツールとしては、特許文献2に記載のものが知られている。特許文献2の回転ツールは、ショルダ部と、ショルダ部から垂下する攪拌ピンとを備えている。ショルダ部及び攪拌ピンの外周面には、それぞれテーパー面が形成されている。ショルダ部のテーパー面には、平面視渦巻き状の溝が形成されている。当該溝の断面形状は、半円状になっている。

概要

複数のピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にでき、金属部材の表面の段差凹溝を小さくできるとともに接合表面粗さを小さくできる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。封止体3の裏面側に複数のピンフィン22を成形するとともに複数のピンフィン22からなるピンフィン群の先端面を封止体3の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、ジャケット本体2に封止体3を載置することにより、第一突合せ部J1を形成するとともに第二突合せ部J2を形成する載置工程と、回転する先端側ピンF3を封止体3に挿入し基端側ピンF2の外周面を周壁部11及び封止体3の両方に接触させつつ先端側ピンF3の外周面を周壁段差部12の段差側面12bに接触させた状態で、第一突合せ部J1に沿って本接合用回転ツールFを移動させ、開口部周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。

目的

本発明は、複数のピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にすることができる液冷ジャケットの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを基端ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを用いて摩擦攪拌接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記封止体の裏面側に複数のピンフィン成形するとともに、複数のピンフィンからなるピンフィン群の先端面を前記封止体の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記周壁部の周壁端面及び前記封止体の両方に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記周壁段差部の段差側面に接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ、前記開口部周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項2

前記ジャケット本体を第一アルミニウム合金で形成し、前記封止体を第二アルミニウム合金で形成し、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であることを特徴とする請求項1に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項3

前記準備工程において、前記封止体の表面側を凸形状となるように成形することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項4

前記本接合工程において、前記先端側ピンを前記周壁段差部の段差底面に接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項5

底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを基端側ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを用いて摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記封止体の裏面に複数のピンフィンを成形するとともに、複数のピンフィンからなるピンフィン群の先端面を前記封止体の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁部の周壁端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第三突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記封止体に接触させつつ、前記先端側ピンを前記周壁部の周壁端面に接触させた状態で、前記第三突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ前記開口部の周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。

請求項6

前記ジャケット本体を第一アルミニウム合金で形成し、前記封止体を第二アルミニウム合金で形成し、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であることを特徴とする請求項5に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項7

前記準備工程において、前記封止体の表面側を凸形状となるように成形することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の液冷ジャケットの製造方法。

請求項8

前記先端側ピンの先端側には平坦面が形成されるとともに、前記平坦面に突出する突起部を備え、前記本接合工程において、前記先端側ピンの前記平坦面を前記封止体のみに接触させつつ、前記先端側ピンの前記突起部を前記周壁部の周壁端面に接触させた状態で、前記第三突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。

背景技術

0002

ジャケット本体と、複数のピンフィンを備えた封止体とで構成された液冷ジャケットが知られている(特許文献1)。液冷ジャケットは、内部に流体流通させて設置された発熱体を冷却する機器である。封止体は、板状を呈する本体部と、本体部から垂下する複数のピンフィンとで構成されている。ジャケット本体と封止体とは、例えば、回転ツールを用いた摩擦攪拌接合によって接合することができる。当該接合工程では、ジャケット本体と封止体の外周面とが突き合わされて形成された突合せ部に沿って、回転ツールを一周させて、摩擦攪拌接合を行う。

0003

当該摩擦攪拌接合に用いる回転ツールとしては、特許文献2に記載のものが知られている。特許文献2の回転ツールは、ショルダ部と、ショルダ部から垂下する攪拌ピンとを備えている。ショルダ部及び攪拌ピンの外周面には、それぞれテーパー面が形成されている。ショルダ部のテーパー面には、平面視渦巻き状の溝が形成されている。当該溝の断面形状は、半円状になっている。

先行技術

0004

特開2017−98439号公報
特許第4210148号公報

発明が解決しようとする課題

0005

液冷ジャケットの熱交換効率を考慮すると、複数のピンフィンの先端からジャケット本体の底部までの距離は一定になっていることが好ましい。しかし、ジャケット本体と封止体とを摩擦攪拌で接合すると、回転ツールと封止体との摩擦熱によって封止体が熱収縮によって変形するため、ピンフィンの先端の高さ位置が一定にならないという問題がある。より詳しくは、熱収縮によって封止体の中央側がジャケット本体に近接する方向に変形するため、封止体の中央側のピンフィンは外縁側のピンフィンに比べてジャケット本体までの距離が近くなってしまう。

0006

また、特許文献2の従来技術であると、塑性流動材がテーパー面の溝の内部に入り込んでしまうため、溝が機能しなくなるという問題がある。また、当該溝に塑性流動材が入り込むと、塑性流動材が溝に付着した状態で摩擦攪拌されるため、被接合金属部材付着物とが擦れ合って接合品質が低下するという問題がある。さらに、被接合金属部材の表面が粗くなり、バリが多くなるとともに、金属部材の表面の段差凹溝も大きくなるという問題がある。

0007

このような観点から、本発明は、複数のピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にすることができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、接合表面粗さを小さくすることができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

このような課題を解決するために本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを基端ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを用いて摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記周壁部の内周縁に、段差底面と、当該段差底面から前記開口部に向かって立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記封止体の裏面側に複数のピンフィンを成形するとともに、複数のピンフィンからなるピンフィン群の先端面を前記封止体の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記封止体の外周側面とを突き合わせて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記周壁部の周壁端面及び前記封止体の両方に接触させつつ、前記先端側ピンの外周面を前記周壁段差部の段差側面に接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ、前記開口部周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。

0009

また、本発明は、底部、前記底部の周縁から立ち上がる周壁部を有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の開口部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とを基端側ピンと先端側ピンとを備えた回転ツールを用いて摩擦攪拌で接合する液冷ジャケットの製造方法であって、前記基端側ピンのテーパー角度は、前記先端側ピンのテーパー角度よりも大きくなっており、前記基端側ピンの外周面には階段状の段差部が形成されており、前記封止体の裏面に複数のピンフィンを成形するとともに、複数のピンフィンからなるピンフィン群の先端面を前記封止体の中央側が凹形状となるように成形する準備工程と、前記ジャケット本体に前記封止体を載置することにより、前記周壁部の周壁端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第三突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記回転ツールの前記先端側ピンを前記封止体に挿入し、前記基端側ピンの外周面を前記封止体に接触させつつ、前記先端側ピンを前記周壁部の周壁端面に接触させた状態で、前記第三突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させ前記開口部の周りに一周させて摩擦攪拌を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。

0010

かかる製造方法によれば、摩擦攪拌を行う前に、ピンフィン群の先端面を中央側が凹形状となるように成形しておくことにより、本接合工程後の熱収縮によって封止体が変形し、ピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にすることができる。また、かかる製造方法によれば、テーパー角度の大きい基端側ピンの外周面で周壁部の周壁端面及び封止体の両方又は封止体のみを押えることができるため、接合表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。階段状の段差部は浅く、かつ、出口が広いため、基端側ピンで周壁部の周壁端面及び封止体の両方又は封止体のみを押えても基端側ピンの外周面に塑性流動材が付着し難い。このため、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。また、先端側ピンを備えることにより深い位置まで容易に挿入することができる。

0011

また、前記ジャケット本体を第一アルミニウム合金で形成し、前記封止体を第二アルミニウム合金で形成し、前記第一アルミニウム合金は前記第二アルミニウム合金よりも硬度が高い材種であることが好ましい。

0012

かかる製造方法によれば、ジャケット本体の硬度を高めることで強度の高い液冷ジャケットを形成することができる。

0013

また、前記準備工程において、前記封止体の表面側を凸形状となるように成形することが好ましい。

0014

かかる製造方法によれば、本接合工程後の封止体の熱収縮によって封止体の表面を平坦にすることができる。

0015

また、前記本接合工程において、前記先端側ピンを前記周壁段差部の段差底面に接触させた状態で、前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことが好ましい。

0016

かかる製造方法によれば、第二突合せ部の接合強度を高めることができる。

0017

また、前記先端側ピンの先端側には平坦面が形成されるとともに、前記平坦面に突出する突起部を備え、前記本接合工程において、前記先端側ピンの前記平坦面を前記封止体のみに接触させつつ、前記先端側ピンの前記突起部を前記周壁部の周壁端面に接触させた状態で、前記第三突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行うことが好ましい。

0018

かかる製造方法によれば、突起部で巻き上げられた塑性流動材を平坦面で押さえることができるため、第三突合せ部の酸化皮膜を確実に分断することができる。これにより、第三突合せ部の接合強度を高めることができる。

発明の効果

0019

本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、複数のピンフィンの先端からジャケット本体までの距離を一定にすることができる。
また、本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、金属部材の表面の段差凹溝を小さくすることができるとともに、接合表面粗さを小さくすることができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態に係る接合方法に用いる本接合用回転ツールを示す側面図である。
本接合用回転ツールの拡大断面図である。
本接合用回転ツールの第一変形例を示す断面図である。
本接合用回転ツールの第二変形例を示す断面図である。
本接合用回転ツールの第三変形例を示す断面図である。
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットを示す分解斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットを示す断面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の切削工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の板状フィン形成工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の板状フィン形成工程後を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法のピンフィン形成工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法のピンフィン形成工程後を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の凹部形成工程を示す斜視図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の凹部形成工程を示す側面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す断面図である。
第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程後を示す断面図である。
従来の回転ツールを示す概念図である。
従来の回転ツールを示す概念図である。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の載置工程を示す断面図である。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程後を示す断面図である。
第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の載置工程を示す断面図である。
第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す断面図である。

実施例

0021

本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。まずは、本実施形態に係る接合方法で用いる本接合用回転ツール(回転ツール)Fについて説明する。本接合用回転ツールFは、摩擦攪拌接合に用いられるツールである。図1に示すように、本接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置主軸に接続される部位である。

0022

基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。基端側ピンF2のテーパー角度Aは適宜設定すればよいが、例えば、135〜160°になっている。テーパー角度Aが135°未満であるか、又は、160°を超えると摩擦攪拌後の接合表面粗さが大きくなる。テーパー角度Aは、後記する先端側ピンF3のテーパー角度Bよりも大きくなっている。図2に示すように、基端側ピンF2の外周面には、階段状の段差部F21が高さ方向の全体に亘って形成されている。段差部F21は、右回り又は左回り螺旋状に形成されている。つまり、段差部F21は、平面視して螺旋状であり、側面視すると階段状になっている。本実施形態では、本接合用回転ツールFを右回転させるため、段差部F21は基端側から先端側に向けて左回りに設定している。

0023

なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、段差部F21を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、段差部F21によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。段差部F21は、段差底面F21aと、段差側面F21bとで構成されている。隣り合う段差部F21の各頂点F21c,F21cの距離X1(水平方向距離)は、後記する段差角度C及び段差側面F21bの高さY1に応じて適宜設定される。

0024

段差側面F21bの高さY1は適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜0.4mmで設定されている。高さY1が0.1mm未満であると接合表面粗さが大きくなる。一方、高さY1が0.4mmを超えると接合表面粗さが大きくなる傾向があるとともに、有効段差部数(被接合金属部材と接触している段差部F21の数)も減少する。

0025

段差底面F21aと段差側面F21bとでなす段差角度Cは適宜設定すればよいが、例えば、85〜120°で設定されている。段差底面F21aは、本実施形態では水平面と平行になっている。段差底面F21aは、ツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して−5°〜15°内の範囲で傾斜していてもよい(マイナスは水平面に対して下方、プラスは水平面に対して上方)。距離X1、段差側面F21bの高さY1、段差角度C及び水平面に対する段差底面F21aの角度は、摩擦攪拌を行う際に、塑性流動材が段差部F21の内部に滞留して付着することなく外部に抜けるとともに、段差底面F21aで塑性流動材を押えて接合表面粗さを小さくすることができるように適宜設定する。

0026

図1に示すように、先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端は平坦面になっている。先端側ピンF3のテーパー角度Bは、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりも小さくなっている。図2に示すように、先端側ピンF3の外周面には、螺旋溝F31が刻設されている。螺旋溝F31は、右回り、左回りのどちらでもよいが、本実施形態では本接合用回転ツールFを右回転させるため、基端側から先端側に向けて左回りに刻設されている。

0027

なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F31を基端側から先端側に向けて右回りに設定することが好ましい。これにより、螺旋溝F31によって塑性流動材が先端側に導かれるため、被接合金属部材の外部に溢れ出る金属を低減することができる。螺旋溝F31は、螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成されている。隣り合う螺旋溝F31の頂点F31c,F31cの距離(水平方向距離)を長さX2とする。螺旋側面F31bの高さを高さY2とする。螺旋底面F31aと、螺旋側面F31bとで構成される螺旋角度Dは例えば、45〜90°で形成されている。螺旋溝F31は、被接合金属部材と接触することにより摩擦熱を上昇させるとともに、塑性流動材を先端側に導く役割を備えている。

0028

本接合用回転ツールFは、適宜設計変更が可能である。図3は、本発明の回転ツールの第一変形例を示す側面図である。図3に示すように、第一変形例に係る本接合用回転ツールFAでは、段差部F21の段差底面F21aと段差側面F21bとのなす段差角度Cが85°になっている。段差底面F21aは、水平面と平行である。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差角度Cは、摩擦攪拌中に段差部F21内に塑性流動材が滞留して付着することなく外部に抜ける範囲で鋭角としてもよい。

0029

図4は、本発明の本接合用回転ツールの第二変形例を示す側面図である。図4に示すように、第二変形例に係る本接合用回転ツールFBでは、段差部F21の段差角度Cが115°になっている。段差底面F21aは水平面と平行になっている。このように、段差底面F21aは水平面と平行であるとともに、段差部F21として機能する範囲で段差角度Cが鈍角となってもよい。

0030

図5は、本発明の本接合用回転ツールの第三変形例を示す側面図である。図5に示すように、第三変形例に係る本接合用回転ツールFCでは、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面に対して10°上方に傾斜している。段差側面F21bは、鉛直面と平行になっている。このように、摩擦攪拌中に塑性流動材を押さえることができる範囲で、段差底面F21aがツールの回転軸から外周方向に向かって水平面よりも上方に傾斜するように形成されていてもよい。上記の本接合用回転ツールの第一〜第三変形例によっても、下記の実施形態と同等の効果を奏することができる。

0031

[第一実施形態]
次に、本実施形態の液冷ジャケット1について説明する。第一実施形態に係る液冷ジャケット1は、図6に示すように、ジャケット本体2と封止体3とで構成されている。液冷ジャケット1は、内部に流体を流通させて、配置される発熱体を冷却する機器である。以下の説明における「表面」とは、「裏面」の反対側の面を意味する。

0032

ジャケット本体2は、底部10及び周壁部11で主に構成されている。ジャケット本体2は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第一アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第一アルミニウム合金は、例えば、JISH5302ADC12(Al-Si-Cu系)等のアルミニウム合金鋳造材を用いている。

0033

底部10は、矩形を呈する板状部材である。周壁部11は、底部10の周縁部から矩形枠状に立ち上がる壁部である。底部10及び周壁部11で凹部13が形成されている。周壁部11の内周縁には周壁段差部12が形成されている。周壁段差部12は、段差底面12aと、段差底面12aから垂直に立ち上がる段差側面12bとで構成されている。なお、段差側面12bは、段差底面12aから開口部に向かって外側に広がるように傾斜してもよい。

0034

なお、本実施形態のジャケット本体2は、周壁部11の一部に枠状のシール部5が形成されている。ジャケット本体2は、ダイキャスト一体形成してもよいし、本実施形態のように枠状部と板状部をシール部5で接合して一体化してもよい。

0035

封止体3は、ジャケット本体2の開口部を封止する部材である。封止体3は、矩形板状を呈する本体部21と、複数のピンフィン22で構成されている。封止体3は、摩擦攪拌可能な金属であれば特に制限されないが、本実施形態では第二アルミニウム合金を主に含んで形成されている。第二アルミニウム合金は、第一アルミニウム合金よりも硬度の低い材料である。第二アルミニウム合金は、例えば、JIS A1050,A1100,A6063等のアルミニウム合金展伸材で形成されている。本体部21とピンフィン22とは別体でもよいが、本実施形態では一体形成されている。

0036

本体部21は、平面視矩形を呈し、周壁段差部12に概ね隙間なく配置される形状になっている。複数のピンフィン22は、本体部21の裏面21bから垂下している。ピンフィン22は、一定の隙間をあけて配置されている。ピンフィン22は、本実施形態では四角柱を呈するが、円柱等他の形状であってもよい。

0037

図7に示すように、ジャケット本体2と封止体3とは摩擦攪拌によって接合されている。各ピンフィン22の先端22aと、底部10の表面10aとの距離は、一定になっている。また、封止体3の本体部21の表面21a及び周壁端面11aは概ね平坦になっている。

0038

次に、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程とを行う。

0039

準備工程は、ジャケット本体2及び封止体3を準備する工程である。ジャケット本体2及び封止体3は、製造方法については特に制限されないが、ジャケット本体2は、例えば、ダイキャストで成形する。一方、封止体3は、本実施形態では、素形材から一体成形するため、切削工程と、板状フィン形成工程と、ピンフィン形成工程と、凹部形成工程と、本体部形成工程と、を行う。

0040

切削工程は、図8に示すように、第二アルミニウム合金で形成された直方体の素形材を切削し、本体部21及びブロック部31を形成する工程である。切削工程では、素形材の周囲を切削して、本体部21よりも一回り小さい直方体のブロック部31を形成する。

0041

板状フィン形成工程は、図9に示すように、マルチカッターMを用いてブロック部31を切削して、複数の板状フィン32(図10参照)を形成する工程である。マルチカッターMは、部材を切削する回転工具である。マルチカッターMは、軸部M1と、軸部M1に間をあけて並設された複数の円盤カッターM2とで構成されている。円盤カッターM2の外周縁には切削刃(図示省略)が形成されている。円盤カッターM2の板厚及び間隔を調節することにより、板状フィン32の間隔及び板厚を適宜設定することができる。

0042

板状フィン形成工程では、ブロック部31の一方の辺部31aとマルチカッターMの軸部M1とが平行となるように配置して、回転させたマルチカッターMの円盤カッターM2をブロック部31に挿入する。円盤カッターM2が所定の深さに達したら、辺部31aと対向する他方の辺部31bまでマルチカッターMを平行移動させる。軸部M1が辺部31bに達したらマルチカッターMをブロック部31から離間する方向に相対移動させる。

0043

マルチカッターMの挿入深さは、適宜設定すればよいが、本実施形態では、円盤カッターM2が本体部21に達しないように、つまり、ブロック部31に未切削領域が形成されるように調節してもよい。以上の工程によって、図10に示すように、本体部21の裏面21bに一定の間隔をあけて並設された複数の板状フィン32が形成される。

0044

ピンフィン形成工程は、図11に示すように、マルチカッターMを用いて板状フィン32を切削して、複数のピンフィン22(図12参照)を形成する工程である。ピンフィン形成工程では、板状フィン32の一方の辺部32aとマルチカッターMの軸部M1とが平行となるように配置して、板状フィン形成工程と同じ要領で他方の辺部32bまでマルチカッターMを移動させる。以上の工程によって、図12に示すように、本体部21の裏面21bに一定の間隔をあけて一体形成された複数のピンフィン22が形成される。

0045

凹部形成工程は、図13及び図14に示すように、複数のピンフィン22が集まったピンフィン群の中央部が凹形状となるように形成する工程である。凹部形成工程では、例えば、フライス加工によって、ピンフィン群の中央部が凹形状となるようにピンフィン22の先端を切削して凹部を形成する。つまり、ピンフィン群の中央部分が最も低くなり、外側にむかうにつれて徐々に高くなるように形成する。凹部の深さは、後記する接合工程を行った後の熱収縮によって、ピンフィン22の先端22aから底部10の表面10aまでの距離が一定になるように適宜設定する。

0046

本体部形成工程は、本体部21の表面21aが、ピンフィン22から離間するにつれて中央部が凸形状となるように形成する。本実施形態では、本体部21の表面21aの周囲を、例えば、フライス加工によって切削し、周囲よりも中央部が凸形状となるようにする。凸形状の高さは、後記する接合工程を行った後の熱収縮によって、本体部21の表面21aが平坦になるように適宜設定する。以上の工程によって、本実施形態で用いる封止体3が形成される。なお、ピンフィン22のピンフィン群の凹形状の曲率と、本体部21の表面21aの凸形状の曲率は同一でもよいし、異なっていてもよい。

0047

載置工程は、図15に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置する工程である。載置工程によって、本体部21の外周側面21cと段差側面12bとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成される。第一突合せ部J1は、封止体3の周囲に沿って平面視矩形状に形成される。また、段差底面12aと、本体部21の裏面21bとが突き合わされて第二突合せ部J2が形成される。図15に示すように、ジャケット本体2に封止体3を載置した状態では、ピンフィン22の先端22aと底部10の表面10aの距離は一定ではなく、ピンフィン群の中央部の当該距離は、周囲の当該距離よりも長くなっている。また、本体部21の表面21aは、ジャケット本体2から離間する方向に凸状になっている。

0048

本接合工程は、図15及び図16に示すように、基端側ピンF2と先端側ピンF3とを備える本接合用回転ツールFを用いてジャケット本体2と封止体3とを接合する工程である。

0049

本接合工程では、基端側ピンF2と先端側ピンF3とをジャケット本体2及び封止体3に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。回転する本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を第一突合せ部J1に挿入しつつ、基端側ピンF2の外周面でジャケット本体2及び封止体3を押さえながら摩擦攪拌接合を行う。つまり、基端側ピンF2の外周面を周壁部11の周壁端面11a及び封止体3の両方に接触させつつ、先端側ピンF3の外周面を周壁段差部12の段差側面12bに接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合工程では、本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を第一突合せ部J1に沿って移動させる。本接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。

0050

基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がジャケット本体2及び封止体3を押さえることが可能な範囲で適宜設定すればよい。例えば、基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面がジャケット本体2及び封止体3を押さえることが可能な範囲であり、かつ、少なくとも塑性化領域Wが段差底面12a(第二突合せ部J2)に達するように設定してもよい。本実施形態では、基端側ピンF2の外周面の高さ方向の中央部から上部あたりが周壁部11の周壁端面11a及び封止体3の表面21aと接触するように、かつ、先端側ピンF3の先端が段差底面12aに達しないように挿入深さを設定している。そして、封止体3の周りで本接合用回転ツールFを一周させたら、塑性化領域Wの始端終端とを重複させる。

0051

作用効果について>
ここで、一般的に、摩擦攪拌接合を行うと、熱収縮によって封止体3の中央部がジャケット本体2に近接する方向に変形する。特に、本実施形態のように、封止体3が、ジャケット本体2よりも硬度の低い材料で形成されている場合はその変形率が大きくなる。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、図16に示すように、本接合工程後は、熱収縮によって封止体3の本体部21の中央部がジャケット本体2側に近接するように変形する。これにより、ピンフィン22の先端22aから底部10の表面10aまでの距離が概ね一定にすることができる。つまり、封止体3のピンフィン群の中央部を予め凹形状となるように形成することにより、熱収縮を利用してピンフィン22の先端22aから底部10の表面10aまでの距離を概ね一定にすることができる。

0052

また、例えば、図17Aに示すように、従来の回転ツール200であると、ショルダ部で被接合金属部材210の表面を押えないため段差凹溝(被接合金属部材の表面と塑性化領域Wの表面とで構成される凹溝)が大きくなるとともに、接合表面粗さが大きくなるという問題がある。また、段差凹溝の脇に膨出部(接合前に比べて被接合金属部材の表面が膨らむ部位)が形成されるという問題がある。一方、図17Bの回転ツール201のように、回転ツール201のテーパー角度βを回転ツール200のテーパー角度αよりも大きくすると、回転ツール200に比べて被接合金属部材210の表面を押えることはできるため、段差凹溝は小さくなり、膨出部も小さくなる。しかし、下向きの塑性流動が強くなるため、塑性化領域Wの下部にキッシングボンドが形成されやすくなる。

0053

これに対し、本実施形態の本接合用回転ツールFは、基端側ピンF2と、基端側ピンF2のテーパー角度Aよりもテーパー角度が小さい先端側ピンF3を備えた構成になっている。これにより、第一突合せ部J1に本接合用回転ツールFを挿入しやすくなる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、第一突合せ部J1の深い位置まで本接合用回転ツールFを容易に挿入することができる。また、先端側ピンF3のテーパー角度Bが小さいため、回転ツール201に比べて下向きの塑性流動を抑えることができる。このため、塑性化領域Wの下部にキッシングボンドが形成されるのを防ぐことができる。一方、基端側ピンF2のテーパー角度Aは大きいため、従来の回転ツールに比べ、被接合金属部材の厚さや接合の高さ位置が変化しても安定して接合することができる。

0054

また、基端側ピンF2の外周面で塑性流動材を押えることができるため、接合表面に形成される段差凹溝を小さくすることができるとともに、段差凹溝の脇に形成される膨出部を無くすか若しくは小さくすることができる。また、階段状の段差部F21は浅く、かつ、出口が広いため、塑性流動材を段差底面F21aで押さえつつ塑性流動材が段差部F21の外部に抜けやすくなっている。そのため、基端側ピンF2で塑性流動材を押えても基端側ピンF2の外周面に塑性流動材が付着し難い。よって、接合表面粗さを小さくすることができるとともに、接合品質を好適に安定させることができる。

0055

また、本接合工程の前に、封止体3の本体部21の表面21aを凸形状とすることにより、熱収縮を利用して、表面21aを平坦にすることができる。

0056

また、ジャケット本体2を硬度の高い材料にすることにより、液冷ジャケット1の強度を高めることができる。また、封止体3の硬度を低い材料にすることにより、成形性を高めることができる。また、本実施形態では、本体部21と複数のピンフィン22とを一体形成するため、熱交換効率を高めることができる。

0057

なお、本接合工程を行う前に、溶接又は摩擦攪拌によって第一突合せ部J1に仮接合を行う仮接合工程を行ってもよい。仮接合工程によれば、本接合工程の際の第一突合せ部J1の目開きを防ぐことができる。また、本実施形態では、予め本体部21の表面21aを凸形状としたが、表面21aが平坦の状態で本接合工程を行ってもよい。また、本実施形態では、本接合工程において、先端側ピンF3の先端を段差底面12aに接触させなかったが、先端側ピンF3の先端を段差底面12aに接触させた状態で、第二突合せ部J2を接合してもよい。本接合工程において、先端側ピンF3の先端を段差底面12aに接触させた状態で摩擦攪拌を行うことにより、第二突合せ部J2の接合強度を高めることができる。

0058

[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、封止体3の製造方法が第一実施形態と異なる。本実施形態では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。

0059

本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、載置工程と、本接合工程を行う。準備工程では、図18に示すように、封止体3Aを用意する。封止体3Aは、板状の本体部21と、本体部21の裏面21bから垂下する複数のピンフィン22とで構成されている。封止体3Aは、本実施形態ではダイキャストによって一体成形されている。封止体3の板状の本体部21は、中央部がジャケット本体2から離間する方向に凸形状となるように湾曲している。表面21aから裏面21bまでの距離は概ね一定になっている。また、複数のピンフィン22からなるピンフィン群は、中央部が凹形状となるように(本体部21に向かって凹むように)形成されている。

0060

図18に示すように、載置工程では、段差側面12bと、本体部21の外周側面21cとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成されている。本実施形態では、封止体3Aが湾曲形成されているため、第一突合せ部J1の段差側面12bと本体部21の外周側面21cとは断面三角形状の隙間をあけて離間している。本接合工程は、第一実施形態と同じ要領で行う。

0061

図19に示すように、第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によっても、第一実施形態と同様に、熱収縮によって封止体3が変形することにより、各ピンフィン22の先端22aと底部10の表面10aとの距離を一定にすることができる。

0062

また、予め封止体3の本体部21の表面21aを、ジャケット本体2から離間する方向に凸形状としているため、熱収縮によって表面21aを平坦にすることができる。また、封止体3はダイキャストによって容易に成形することができる。

0063

[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。本実施形態では、図20に示すように、ジャケット本体2と封止体3とを重ね合わせる点、本接合用回転ツールFAを用いる点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する点を中心に説明する。

0064

ジャケット本体2は、矩形状の底部10と、底部10の周縁から立ち上がる矩形枠状の周壁部11とで構成されている。周壁部11の周壁端面11aは平坦になっている。封止体3は、矩形板状の本体部21と、本体部21の裏面21bから垂下する複数のピンフィン22とで構成されている。封止体3は、第一実施形態と同じ工程で形成されている。

0065

載置工程では、周壁部11の周壁端面11aに封止体3の本体部21の裏面21bを載置する。周壁端面11aと裏面21bとが重ね合わされて第三突合せ部J3が形成される。

0066

本接合工程では、図21に示すように、本接合用回転ツールFAを用いて第三突合せ部J3に対して摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFAは、例えば工具鋼で形成されており、基軸部F1と、基端側ピンF2と、先端側ピンF3とで主に構成されている。基軸部F1は、円柱状を呈し、摩擦攪拌装置の主軸に接続される部位である。

0067

基端側ピンF2は、基軸部F1に連続し、先端に向けて先細りになっている。基端側ピンF2は、円錐台形状を呈する。先端側ピンF3は、基端側ピンF2に連続して形成されている。先端側ピンF3は円錐台形状を呈する。先端側ピンF3の先端には、本接合用回転ツールFAの回転中心軸に対して垂直な平坦面F4が形成されている。また、先端側ピンF3には、平坦面F4に突出する突起部F5が形成されている。つまり、平坦面F4と突起部F5とで段差部が形成されている。突起部F5は、先端側ピンF3と同軸になっている。突起部F5の形状は特に制限されないが、本実施形態では円柱状を呈する。突起部F5の側面に螺旋溝を形成してもよい。

0068

本接合工程では、基端側ピンF2と先端側ピンF3とを封止体3に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。回転する本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を封止体3に挿入しつつ、基端側ピンF2の外周面で封止体3を押さえながら摩擦攪拌接合を行う。つまり、基端側ピンF2の外周面を封止体3に接触させつつ、先端側ピンF3を周壁部11の周壁端面11aに接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合工程では、本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を第三突合せ部J3に沿って移動させる。本接合用回転ツールFの移動軌跡には塑性化領域Wが形成される。

0069

基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面が封止体3を押さえることが可能な範囲で適宜設定すればよい。例えば、基端側ピンF2及び先端側ピンF3の挿入深さは、基端側ピンF2の外周面が封止体3を押さえることが可能な範囲であり、かつ、少なくとも塑性化領域Wが周壁端面11a(第三突合せ部J3)に達するように設定してもよい。本実施形態では、基端側ピンF2の外周面の高さ方向の中央部から上部あたりが封止体3の表面21aと接触するように、かつ、平坦面F4が封止体3に接触しつつ、突起部F5が周壁端面11aに接触するように挿入深さを設定している。そして、第三突合せ部J3の周りに本接合用回転ツールFAを一周させたら塑性化領域Wの始端と終端とを重複させる。

0070

以上説明した本実施形態であっても第一実施形態と概ね同じ効果を奏することができる。また、本実施形態の本接合工程によれば、突起部F5の周りで巻き上げられた塑性流動材は平坦面F4で押さえられるため、第三突合せ部J3の酸化皮膜を確実に分断することができる。これにより、第三突合せ部J3の接合強度を高めることができる。

0071

なお、本実施形態では、突起部F5を周壁部11に接触させたが、突起部F5と周壁部11とを接触させない状態で、第三突合せ部J3を接合してもよい。この場合は、本体部21と先端側ピンF3との摩擦熱によって塑性流動材が攪拌されて第三突合せ部J3が接合される。また、第一実施形態で用いた本接合用回転ツールFを用いて第三実施形態の本接合工程を行ってもよい。この場合は、本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を封止体3のみに接触させた状態で、第三突合せ部J3を摩擦攪拌接合してもよいし、本接合用回転ツールFの先端側ピンF3を封止体3及び周壁部11の周壁端面11aに接触させた状態で、第三突合せ部J3を摩擦攪拌接合してもよい。また、本接合用回転ツールFAを用いて、第一実施形態又は第二実施形態の本接合工程を行ってもよい。

0072

1液冷ジャケット
2ジャケット本体
3封止体
21 本体部
22ピンフィン
F,FA本接合用回転ツール(回転ツール)
F2基端側ピン
F3 先端側ピン
F4平坦面
F5突起部
J1 第一突合せ部
J2 第二突合せ部
J3 第三突合せ部
W 塑性化領域

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