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技術 反応塔内容物の処理方法、反応塔内容物の抜出し方法及び炭化水素油

出願人 出光興産株式会社
発明者 三橋義弘小笠原利文村上航平平野智章
出願日 2018年7月2日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-126116
公開日 2020年1月9日 (10ヶ月経過) 公開番号 2020-001028
状態 未査定
技術分野 流体と固体粒子存在下でのプロセス及び装置
主要キーワード 循環作業 粒単位 エアラインマスク フレコンバッグ 散布範囲 防塵対策 簡易容器 硫化金属
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

広範な石油留分、石油化学留分の反応塔に適用可能であり、発熱発火硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制する反応塔内容物の処理方法、安全かつ効率的な反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供する。

解決手段

反応塔内上部から炭化水素油を散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する湿潤化工程を有する、反応塔内容物の処理方法、該処理方法における湿潤化工程、反応塔内に上部から空気を導入し、反応塔内部構造物を撤去する工程、及び反応塔内容物を抜き出す工程、を有する反応塔内容物の抜出し方法、並びに所定性状を有する反応塔内容物の湿潤化に用いられる炭化水素油である。

概要

背景

石油精製化学プラントにおける反応塔には、各種触媒が用いられており、触媒活性の低下に伴い、触媒を抜出し、充填する、触媒の交換作業を行う必要が生じる。触媒の交換作業では、作業員反応塔内に入槽し、スケールバスケットディストリビュータトレイマンウェイ等の反応塔内部の構造物を一時的に撤去し、また必要に応じて反応塔内に残留する触媒等を排出する作業を行う必要があり、安全な作業環境を確保することは極めて重要である。

例えば、各種石油留分の脱硫装置における触媒を用いた接触反応を行う脱硫反応内には、該反応塔内に充填される触媒層上に、装置の腐食等により生じる硫化鉄、また各種石油留分等に起因して生じるコーク状物質堆積しており、触媒、硫化鉄及びコーク状物質等が存在する。また、脱硫反応用の触媒として硫化物触媒が用いられる場合、硫化物触媒、硫化鉄及びコーク状物質等が空気と触れると、装置を安全に停止し、反応塔内を降温した後であっても、発熱発火を生じやすく、更には硫黄酸化物硫化水素等の硫黄含有ガス等の有毒ガスが発生しやすいため、反応塔内に空気を導入した反応塔内部の作業は、安全性が高い作業とはいえないものである。

そこで、脱硫装置における脱硫反応塔の触媒の交換作業を行う場合、反応塔内を窒素等の不活性ガス置換し、上記反応塔内部の構造物を一時的に撤去し、発熱、発火しやすい触媒、硫化鉄及びコーク状物質等の反応塔内容物を反応塔外に排出した後、空気を導入する方法(以下、単に「従来法」と称することがある。)が一般的に採用されてきた。上記従来法では、窒素雰囲気下でエアラインマスクを着用して、反応塔内で上記反応塔内部の構造物の撤去等の作業を行うこととなる。しかし、エアラインマスクが外れた場合に直ちに酸欠事故つながり、またエアラインマスクから漏れ出る空気により反応塔内容物の発熱、発火が生じる場合もあるため、窒素雰囲気下での作業は可能な限り回避することが安全面から強く求められてきた。

このような要望に対応することを目的とし、特許文献1には、縮合環芳香族炭化水素軽油との混合液体を、反応塔を循環させて、該反応塔内の触媒表面及び細孔内に、該混合液体を拡散させて被膜を形成して、触媒を抜き出す方法が提案されている。また、ラクトン類を含有する水または鉱油を循環させて触媒を浸潤処理する触媒の抜出し処理法、特定のアミンを含む鉱油系炭化水素を循環させて触媒を浸潤処理する触媒の抜出し方法等も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。

概要

広範な石油留分、石油化学留分の反応塔に適用可能であり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制する反応塔内容物の処理方法、安全かつ効率的な反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供する。反応塔内上部から炭化水素油を散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する湿潤化工程を有する、反応塔内容物の処理方法、該処理方法における湿潤化工程、反応塔内に上部から空気を導入し、反応塔内部構造物を撤去する工程、及び反応塔内容物を抜き出す工程、を有する反応塔内容物の抜出し方法、並びに所定性状を有する反応塔内容物の湿潤化に用いられる炭化水素油である。なし

目的

本発明は、広範な石油留分、更にはエチレン製造装置等の石油化学製品製造装置等に由来する石油化学留分の反応塔に適用可能であり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制する反応塔内容物の処理方法、安全かつ効率的な反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

反応塔内上部から炭化水素油散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する湿潤化工程を有する、反応塔内容物の処理方法

請求項2

前記炭化水素油の引火点が100℃以上、40℃動粘度が2.0mm2/s以上60.0mm2/s以下、粘度指数が75以上120以下、硫黄分が500質量ppm以下、及び芳香族分(%CA)が10%以下である請求項1に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項3

前記炭化水素油を、ディストリビュータトレイを用いて散布する、請求項1又は2に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項4

前記炭化水素油を、ホース及びノズルから選ばれる少なくとも一の冶具を用いて散布する、請求項1又は2に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項5

前記反応塔内容物が、沸点が−40℃以上400℃以下の石油留分及び石油化学留分の接触反応に用いられる触媒硫化鉄並びにコーク状物質から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項6

前記石油留分が、LPG留分軽油留分ナフサ及び灯油から選ばれる少なくとも一種である請求項5に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項7

前記炭化水素油の散布量が、反応塔内容物が充填される充填部において、湿潤化しようとする該充填部の深さに対応する容積の1m3あたり50L以上1000L以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項8

前記反応塔内の温度を10℃以上80℃以下とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項9

前記反応塔内容物の容量が、0.5m3以上100m3以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載の反応塔内容物の処理方法。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載の反応塔内容物の処理方法における湿潤化工程、反応塔内に上部から空気を導入し、反応塔内部構造物を撤去する工程、及び反応塔内容物を抜き出す工程、を有する反応塔内容物の抜出し方法。

請求項11

前記反応塔内部構造物が、インレットディストリビュータ、スケールバスケット及びディストリビュータトレイのマンウェイから選ばれる少なくとも一の構造物である請求項10に記載の反応塔内容物の抜出し方法。

請求項12

引火点が100℃以上、40℃動粘度が2.0mm2/s以上60.0mm2/s以下、粘度指数が75以上120以下、硫黄分が500質量ppm以下、及び芳香族分(%CA)が10%以下であり、反応塔内容物の湿潤化に用いられる炭化水素油。

請求項13

前記反応塔内容物が、沸点が−40℃以上400℃以下の石油留分及び石油化学留分の接触反応に用いられる触媒並びに硫化鉄から選ばれる少なくとも一種である請求項12に記載の炭化水素油。

技術分野

0001

本発明は、反応塔内容物の処理方法、反応塔内容物の抜出し方法及び炭化水素油に関する。

背景技術

0002

石油精製化学プラントにおける反応塔には、各種触媒が用いられており、触媒活性の低下に伴い、触媒を抜出し、充填する、触媒の交換作業を行う必要が生じる。触媒の交換作業では、作業員が反応塔内に入槽し、スケールバスケットディストリビュータトレイマンウェイ等の反応塔内部の構造物を一時的に撤去し、また必要に応じて反応塔内に残留する触媒等を排出する作業を行う必要があり、安全な作業環境を確保することは極めて重要である。

0003

例えば、各種石油留分の脱硫装置における触媒を用いた接触反応を行う脱硫反応内には、該反応塔内に充填される触媒層上に、装置の腐食等により生じる硫化鉄、また各種石油留分等に起因して生じるコーク状物質堆積しており、触媒、硫化鉄及びコーク状物質等が存在する。また、脱硫反応用の触媒として硫化物触媒が用いられる場合、硫化物触媒、硫化鉄及びコーク状物質等が空気と触れると、装置を安全に停止し、反応塔内を降温した後であっても、発熱発火を生じやすく、更には硫黄酸化物硫化水素等の硫黄含有ガス等の有毒ガスが発生しやすいため、反応塔内に空気を導入した反応塔内部の作業は、安全性が高い作業とはいえないものである。

0004

そこで、脱硫装置における脱硫反応塔の触媒の交換作業を行う場合、反応塔内を窒素等の不活性ガス置換し、上記反応塔内部の構造物を一時的に撤去し、発熱、発火しやすい触媒、硫化鉄及びコーク状物質等の反応塔内容物を反応塔外に排出した後、空気を導入する方法(以下、単に「従来法」と称することがある。)が一般的に採用されてきた。上記従来法では、窒素雰囲気下でエアラインマスクを着用して、反応塔内で上記反応塔内部の構造物の撤去等の作業を行うこととなる。しかし、エアラインマスクが外れた場合に直ちに酸欠事故つながり、またエアラインマスクから漏れ出る空気により反応塔内容物の発熱、発火が生じる場合もあるため、窒素雰囲気下での作業は可能な限り回避することが安全面から強く求められてきた。

0005

このような要望に対応することを目的とし、特許文献1には、縮合環芳香族炭化水素軽油との混合液体を、反応塔を循環させて、該反応塔内の触媒表面及び細孔内に、該混合液体を拡散させて被膜を形成して、触媒を抜き出す方法が提案されている。また、ラクトン類を含有する水または鉱油を循環させて触媒を浸潤処理する触媒の抜出し処理法、特定のアミンを含む鉱油系炭化水素を循環させて触媒を浸潤処理する触媒の抜出し方法等も提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。

先行技術

0006

特開昭64−15127号公報
特開昭55−61970号公報
特開昭52−93677号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1〜3に記載される方法によれば、使用済みの触媒が空気に触れても発熱、発火を生じなくなるので、反応塔内に空気を導入することが可能となり、反応塔内部の構造物の撤去作業、触媒の抜出し作業を安全に行うことができ、また使用済み触媒回収も容易であるというメリットがある。一方、これらの方法では浸潤処理等に用いる上記混合液体等の処理液を複数の機器を経由して循環させる必要があるため、処理液の循環のための準備及び循環作業が必要となってしまう。また、例えば灯油ナフサ等の脱硫装置では、処理液を循環させるラインがなく、浸潤処理等を行うことができない、またナフサの脱硫装置においては、脱硫反応が気相で行われるため、処理液を反応塔内に供給できない場合があり、特許文献1〜3に記載される方法は汎用性に欠けるといった問題がある。すなわち、特許文献1〜3に開示される方法の適用は、軽油留分以上の沸点を有する石油留分の脱硫装置に限られているのが現状である。
そこで、本発明は、広範な石油留分、更にはエチレン製造装置等の石油化学製品製造装置等に由来する石油化学留分の反応塔に適用可能であり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制する反応塔内容物の処理方法、安全かつ効率的な反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の構成を有する反応塔内容物の処理方法、反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供するものである。

0009

1.反応塔内上部から炭化水素油を散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する湿潤化工程を有する、反応塔内容物の処理方法。
2.上記1に記載の反応塔内容物の処理方法における湿潤化工程、反応塔内に上部から空気を導入し、反応塔内部構造物を撤去する工程、及び反応塔内容物を抜き出す工程、を有する反応塔内容物の抜出し方法。
3.引火点100℃以上、40℃動粘度2.0mm2/s以上60.0mm2/s以下、粘度指数75以上120以下、硫黄分500質量ppm以下、芳香族分(%CA)10%以下であり、反応塔内容物の湿潤化に用いられる炭化水素油。

発明の効果

0010

本発明によれば、広範な石油留分、石油化学留分の反応塔に適用可能であり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制する反応塔内容物の処理方法、安全かつ効率的な反応塔内容物の抜出し方法、及び炭化水素油を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

ナフサ脱硫装置及び灯油脱硫装置における脱硫反応塔内部の断面を示す模式図である。

0012

〔反応塔内容物の処理方法〕
本発明における実施形態(以後、単に本実施形態と称する場合がある。)に係る反応塔内容物の処理方法は、反応塔内上部から炭化水素油を散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する湿潤化工程を有する、ものである。以下、図面等を参照しながら、本実施形態の反応塔内容物の処理方法について詳細に説明する。

0013

図1の(1−1)には、本実施形態の反応塔内容物の処理方法における反応塔の構造の一例として、ナフサの脱硫装置において脱硫反応を行う脱硫反応塔の断面図が示されている。図1の(1−1)に示される脱硫反応塔10には、反応塔内部構造物として、その上部に原料油(主にガス状である。)を脱硫反応塔10内に分散させるために設けられるインレットディストリビュータ11、硫化鉄、コーク状物質等の粉体を回収し、また流路を確保するために必要に応じて設けられるスケールバスケット12が配置されている。脱硫反応塔10には、反応塔内容物として、上部から順にセラミックボール脱スケール触媒、ガード触媒及び脱硫触媒の反応塔充填物が順に層状に充填されて、各々セラミックボール充填層上層)16a、脱スケール触媒充填層17、ガード触媒充填層18、脱硫触媒充填層19及びセラミックボール充填層(下層)16bが順に積層されている。セラミックボール充填層(下層)16bの下には、これらの充填層を形成する反応塔充填物が流れ落ちないようにするため、円筒状の金網スリットを有する構造物等を用いたアウトレットコレクターが設けられている(図示せず)。また、脱硫反応塔10の上部には原料油を反応塔に供給するトップエルボ13、脱硫反応塔10の下部には触媒等を自重で抜き出すためのダンピングノズル14、最下部には脱硫処理された原料油の排出口15が設けられている。

0014

図1の(1−2)には、本実施形態の反応塔内容物の処理方法における反応塔の構造の一例として、灯油の脱硫装置において脱硫反応を行う脱硫反応塔の断面図が示されている。図1の(1−2)に示される脱硫反応塔20には、反応塔内部構造物として、原料油(液状、ガス状のいずれであってもよい。)を脱硫反応塔20内に分散させるために設けられるインレットディストリビュータ21、原料油を更に分散させるために必要に応じて設けられるディストリビュータトレイ22が配置されている。また、ディストリビュータトレイ22には、反応塔のディストリビュータトレイ22よりも下部のメンテナンス等の各種作業、触媒等の反応塔充填物の充填又は抜出し作業のためのマンウェイ(図示せず)が設けられている。
脱硫反応塔20には、反応塔内容物として、上部から順にセラミックボール、脱スケール触媒、ガード触媒及び脱硫触媒の反応塔充填物が順に層状に充填されて、各々セラミックボール充填層(上層)26a、脱スケール触媒充填層27、ガード触媒充填層28、脱硫触媒充填層29及びセラミックボール充填層(下層)26bが順に積層されている。セラミックボール充填層(下層)26bの下には、これらの充填層を形成する反応塔充填物が流れ落ちないようにするため、円筒状の金網、スリットを有する構造物等を用いたアウトレットコレクターが設けられている(図示せず)。また、脱硫反応塔20の上部には原料油を反応塔に供給するトップエルボ23、脱硫反応塔20の下部には触媒等を自重で抜出すためのダンピングノズル24が設けられ、最下部には脱硫処理された原料油の排出口25が設けられている。

0015

本実施形態の反応塔内容物の処理方法により処理される反応塔内容物としては、例えば図1の(1−1)、(1−2)に示される、反応塔に充填される、脱硫触媒、ガード触媒等の各種触媒、セラミックボール、脱スケール触媒等の反応塔充填物、また反応塔、あるいはその上流の装置の腐食等により生じ、反応塔内の触媒等に堆積する硫化鉄、コーク状物質等が挙げられる。すなわち、本実施形態において、反応塔内容物には、触媒等の反応塔充填物の他、装置の腐食等に起因して反応塔内に堆積する硫化鉄、コーク状物質等の堆積物も含まれる。ここで、硫化鉄には、スケール(粉状、層状、塊状)として存在するものに加えて、触媒等の反応塔充填物に付着して存在するものが含まれる。

0016

上記各種触媒としては、沸点が−40℃以上400℃以下の石油留分、石油化学留分の接触反応に用いられる触媒が好ましく挙げられ、例えば、LPG留分(通常沸点−40〜10℃)、ナフサ(通常沸点10〜180℃程度)、灯油(通常沸点120〜280℃程度)、軽油留分(通常沸点160〜400℃程度)等の石油留分、またエチレン製造装置等の石油化学製品の製造装置等に由来する石油化学留分の接触反応に用いられる触媒が挙げられる。また、接触反応に用いられる触媒としては、例えば硫化モリブデン硫化タングステン等の硫化金属触媒が好ましく挙げられる。硫化金属触媒は、空気と接触することで発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスを発生するおそれがあり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制するという本実施形態の処理方法の特徴を有効に活用できる。すなわち、本実施形態の処理方法における反応塔としては、上記石油留分の脱硫装置における脱硫反応塔が好ましく挙げられる。

0017

本実施形態の反応塔内容物の処理方法は、炭化水素油を反応塔上部から散布することを特徴とするものであり、炭化水素油を、反応塔内を循環させる必要がない。そのため、本実施形態の反応塔内容物の処理方法は、循環させるラインがない灯油の脱硫装置、気相で反応が行われるため反応塔内に循環させることができないナフサの脱硫装置、といった広範な石油留分、石油化学留分の反応塔における反応塔内容物の処理に適用することが可能である。

0018

各種触媒、硫化鉄及びコーク状物質等の反応塔内容物は、空気と接触することにより発熱、発火を生じやすく、また硫黄酸化物、硫化水素等の硫黄含有ガス等の有毒ガスが発生しやすいものである。本実施形態の反応塔内容物の処理方法では、炭化水素油を反応塔上部より散布して反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化することで、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制することが可能となる。炭化水素油を反応塔内容物に散布すると、該炭化水素はまず該反応塔内容物の最表層を被覆して湿潤化することとなり、次いで下方(深さ方向)に流れていき、深さ方向について少なくとも一部の反応塔内容物を被覆して湿潤化することとなる。炭化水素油の反応塔内容物への被覆による湿潤化は、該反応塔内容物の表面の少なくとも一部を被覆して湿潤化しながら、該反応塔内容物の細孔内の少なくとも一部も被覆して湿潤化すると考えられる。そのため、反応塔内に空気を上部から導入しても、反応塔内容物の空気と接触する面積を低減することができ、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生の抑制が可能になると考えられる。

0019

本実施形態の反応塔内容物の処理方法において、炭化水素油により反応塔内容物の少なくとも最表層を湿潤化する。「最表層を湿潤化する」とは、反応塔内容物の最上面だけでなく、最上面から少なくとも3cm深さまでの反応塔内容物を湿潤化することまでを含む意味である。また、最上面から3cm深さまでの反応塔内容物は、層単位として湿潤化されていればよく、反応塔内容物の一粒単位で全面が湿潤化されていなくてもよいが、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制する観点から全面が湿潤化されていることが好ましい。
また、これと同様の観点から、図(1−1)及び(1−2)に示されるような、セラミックボール充填層(上層)を有する場合には、該セラミックボール充填層(上層)より下方の、触媒充填層(図に示される反応塔であれば脱スケール触媒充填層)の最上面から少なくとも3cm深さまでの反応塔内容物を湿潤化することが好ましい。反応塔内容物のうち、セラミックボールは、触媒と異なり細孔をほとんど有しないため、炭化水素油はセラミックボールの被覆に消費されることはほとんどなく、その大半はより下層に充填される触媒の被覆に消費されると考えられるからである。なお、炭化水素油がセラミックボールの被覆に消費されなくても、該セラミックボールの表面、該セラミックボール間に付着、堆積した硫化鉄、コーク状物質を被覆することとなり、また該セラミックボール自体に起因した発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生は生じることがなく、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの抑制の効果が阻害されることはない。

0020

本実施形態の反応塔内容物の処理方法においては、反応塔内容物はその最表層が湿潤化していれば、より下層の反応塔内容物は湿潤化されていてもされていなくてもよいが、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制する観点から、より下層の反応塔内容物は、その少なくとも一部が湿潤化されていることが好ましい。「少なくとも一部を湿潤化する」とは、例えば(a)セラミックボール、触媒等の反応塔充填物、硫化鉄スケール及びコーク状物質等の堆積物の一粒単位、(b)反応塔充填物を層状に充填して形成する層単位において、その一部又は全部を湿潤化することを意味する。

0021

上記(a)においては、一粒単位において一部が湿潤化されたもののみが存在してもよいし、全部が湿潤化されたもののみが存在してもよいし、あるいは一部が湿潤化されたものと全部が湿潤化されたものが存在してもよい。また、上記(b)において、一粒単位において少なくとも一部が湿潤化された反応塔内容物が存在する最も低い深さまで湿潤化されているものとする。なお、(b)において、硫化鉄及びコーク状物質等の堆積物はセラミックボール、触媒等の反応塔充填物の充填層に堆積等して存在しているため、該充填層の少なくとも一部が湿潤化されれば、自ずとその少なくとも一部が湿潤化されることとなる。
本実施形態においては、上記のいずれの態様であっても、空気と接触する反応塔内容物の表面積は低減するため、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制することが可能である。

0022

湿潤化する深さについては、反応塔の大きさにもよるため一概にはいえないが、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生のより優れた抑制効果を得る観点から、例えば、反応塔内容物の最上面から好ましくは5cm以上、より好ましくは10cm以上、更に好ましくは15cm以上の深さまで湿潤化することが好ましい。また、深さの上限としては、反応塔内容物の最下層まで、すなわち反応塔内容物の全てを湿潤化してもよいが、炭化水素油の使用量等を考慮し、より効率的に発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制する観点から、反応塔内容物の最上面から好ましくは80cm以下、より好ましくは70cm以下、更に好ましくは50cm以下である。これと同様の観点から、図(1−1)及び(1−2)に示されるような、セラミックボール充填層(上層)を有する場合には、該セラミックボール充填層(上層)より下方の、触媒充填層(図に示される反応塔であれば脱スケール触媒充填層)の最上面から上記範囲の深さまで湿潤化することが好ましい。
また、図1の(1−1)に示されるような、反応塔内部構造物を有する反応塔の場合、反応塔内部構造物(スケールバスケット)を撤去することを考慮し、その底面より上記深さとすることが好ましい。

0023

炭化水素油の散布の方法は、反応塔内容物に炭化水素油がかかるように散布できれば特に制限はなく、例えば反応塔内部構造物であるディストリビュータトレイを用いて散布する方法、ホースノズルといった冶具を用いて散布する方法等が好ましく挙げられる。また、炭化水素油を複数回に分けて散布してもよく、例えば反応塔内部構造物の撤去作業等の反応塔内での作業中に、湿潤化していない反応塔内容物が露出した場合には、炭化水素油を追加散布してもよい。
炭化水素油の散布後に行う反応塔内部構造物の撤去等の作業効率を考慮すると、原料油の入口に設置されるインレットディストリビュータを撤去した後に、ホース、ノズルといった冶具を用いて散布する方法が好ましく、反応塔内部構造物としてディストリビュータトレイが設けられている反応塔においては、ディストリビュータトレイを利用して散布する方法が好ましい。反応塔内にディストリビュータトレイが設けられている場合、該トレイ上に硫化鉄、コーク状物質等が堆積していることがあるため、これを用いて散布することで反応塔内容物の湿潤化だけでなく、トレイ上に堆積する硫化鉄、コーク状物質等の湿潤化も可能となる。

0024

炭化水素油の散布は、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生の抑制の観点から、反応塔内を窒素等の不活性ガス雰囲気として、行うことが好ましい。この場合、窒素等の不活性ガスは、反応塔下部の反応塔内パージ用のノズル等より反応塔内に供給すればよく、また反応塔上部より供給してもよい。すなわち、炭化水素油の散布は、窒素等の不活性ガスを反応塔内に供給しながら行うことが好ましい。

0025

本実施形態において、炭化水素油の散布は、反応塔の上部からホース等の簡易な冶具、あるいは反応塔内部に既設の構造物を利用して行うだけである。よって、本実施形態の反応塔内容物の処理方法によれば、炭化水素油を循環させるラインの有無、運転時の反応塔における原料油の気液の状態等によらず広範な石油留分、石油化学留分の反応塔に適用可能であり、容易に反応塔内容物の処理を行うことが可能となる。また、炭化水素油の散布は、上記のいずれの方法であっても、作業員は反応塔に入槽せず、外部から作業を行うことができるので、反応塔内を窒素等の不活性ガス雰囲気としても、安全性が高い作業となる。

0026

本実施形態においては、より容易かつ効率的に発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制する観点から、より上部の反応塔充填物の層の表面から深さ方向に少なくとも一部を湿潤化することが好ましい。このように湿潤化することにより、反応塔充填物のより上部の層に堆積しやすい硫化鉄及びコーク状物質等の堆積物も同時に湿潤化することができ、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生をより効率的に抑制することが可能となる。

0027

本実施形態において、反応塔内容物の容量は特に制限はないが、より容易かつ効率的に発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生をより抑制する観点から、好ましくは0.5m3以上、より好ましくは1m3以上である。また、反応塔内容物の容量の上限は、好ましくは100m3以下、より好ましくは90m3以下である。本実施形態の処理方法による反応塔内容物の湿潤化では、一部が湿潤化されないものが存在する場合があり、フレコンバッグのような簡易容器ではなく、ドラム缶により反応塔内容物を回収する必要が生じることがあるが、100m3以下であれば反応塔内容物の回収をドラム缶で行なっても負担が小さく、より容易である。また、炭化水素油の散布もより容易となる。

0028

本実施形態の反応塔内容物の処理方法において用いられる炭化水素油としては、鉱油、合成油のいずれであってもよい。
例えばパラフィン基系、ナフテン基系、中間基系の原油常圧蒸留して得られる常圧残油;該常圧残油を減圧蒸留して得られた留出油;該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等のうちの1つ以上の処理を行って精製した鉱油、例えば、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストック、またフィッシャートロプシュ法等により製造されるワックスGTLワックス)を異性化することで得られる鉱油等が挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリオールエステル二塩基酸エステルリン酸エステル等の各種エステル油ポリフェニルエーテル等の各種エーテルポリグリコール等が挙げられる。

0029

本実施形態においては、炭化水素油は、少なくとも一種の鉱油、少なくとも一種の合成油、又は少なくとも一種の鉱油と少なくとも一種の合成油とを混合した混合油でもよい。本実施形態において、炭化水素油としては、鉱油が好ましく、中でもパラフィン系鉱油が好ましい。鉱油は、安価であり、取り扱いが容易であり、反応塔内容物の湿潤化をより容易に行い得るため、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生をより容易に抑制することができる。

0030

本実施形態の処理方法で用いられる炭化水素油の性状として、少なくとも引火点、40℃動粘度、粘度指数、硫黄分、芳香族分が以下の範囲である性状を有することが好ましい。
引火点は、散布時の反応塔内の温度よりも高い温度であれば特に制限はないが、例えば100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましい。引火点が100℃以上と高ければ、取り扱いが容易であり、安全性が高い。ここで、引火点は、JIS K 2265−4:2007(引火点の求め方 第4部:クリーブランド開放法)に準拠し、測定される値である。

0031

40℃動粘度は、好ましくは2.0mm2/s以上、より好ましくは4.0mm2/s以上、更に好ましくは6.0mm2/s以上であり、上限として好ましくは60.0mm2/s以下、より好ましくは50.0mm2/s以下、更に好ましくは40.0mm2/s以下である。40℃動粘度が2.0mm2/s以上であると、反応塔内容物の湿潤化の状態がより安定する。また、40℃動粘度が60.0mm2/s以下であると、反応塔内容物の湿潤化をより容易に行うことができる。
粘度指数は、好ましくは75以上、より好ましくは80以上であり、上限として好ましくは120以下、より好ましくは110以下である。粘度指数が上記範囲内であると、炭化水素油の性状安定性が高く、より確実に湿潤化を行うことができる。
ここで、40℃動粘度及び粘度指数、また後述する100℃動粘度は、JIS K 2283:2000(原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法)に準拠し、測定される値である。

0032

硫黄分は、反応塔内部の汚染をより抑制する観点から、少なければ少ないほど好ましく、好ましくは500質量ppm以下、より好ましくは300質量ppm、更に好ましくは100質量ppm以下であり、特に10質量ppm以下(サルファーフリー)であることが好ましい。ここで、硫黄分は、JIS K2541−6:2003(原油及び石油製品−硫黄分試験方法− 第5部:紫外蛍光法)に準拠し、測定された値である。

0033

芳香族分は、環分析(n−d−M法)の%CAとして、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下であり、下限としては小さければ小さいほど好ましく、特に含まれないことが好ましい。%CAが上記範囲内であると、特に安全性が向上する。ここで、環分析(n−d−M法)は、ASTMD3238−85に準拠し、測定された値である。

0034

上記のように、本実施形態の処理方法で用いられる炭化水素油は、引火点が100℃以上、40℃動粘度が2.0mm2/s以上60.0mm2/s以下、粘度指数が75以上120以下、硫黄分が500質量ppm以下、及び芳香族分(%CA)が10%以下であることが好ましい。このような性状を有する炭化水素油を用いることで、反応塔内容物の湿潤化をより確実かつ効率的に行うことができ、また反応塔内容物の湿潤化の状態をより安定させることができる。
本実施形態の処理方法で用いられる炭化水素油としては、上記の性状に加えて、以下の性状、すなわち以下の100℃動粘度、流動点ナフテン分及びパラフィン分の性状を更に有するものを用いることができる。

0035

100℃動粘度は、好ましくは1.0mm2/s以上、より好ましくは1.5mm2/s以上、更に好ましくは2.0mm2/s以上であり、上限として好ましくは10.0mm2/s以下、より好ましく9.0mm2/s以下、更に好ましくは8.0mm2/s以下である。100℃動粘度が1.0mm2/s以上であると、反応塔内容物の湿潤化の状態がより安定し、10.0mm2/s以下であると、反応塔内容物の湿潤化をより容易に行うことができる。
炭化水素油の40℃動粘度と100℃動粘度は、同時に上記範囲内であることが好ましい。同時に上記範囲内にあることで、より広範囲温度条件下で、より容易に反応塔内容物の湿潤化が可能となる。

0036

流動点は、好ましくは0.0℃以下、より好ましくは−2.5℃以下、更に好ましくは−7.5℃以下であり、下限として好ましくは−30.0℃以上、より好ましくは−25.0℃以上、更に好ましくは−20.0℃以上である。流動点が上記範囲内であると、反応塔内容物の湿潤化の状態がより安定し、また反応塔内容物の湿潤化をより容易に行うことができる。
ここで、流動点は、JIS K 2269:1987(原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法)に準拠し、測定される値である。

0037

ナフテン分は、反応塔内容物の湿潤化をより容易に行い得る観点から、環分析(n−d−M法)の%CNとして、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であり、上限として好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下である。また同様の観点から、パラフィン分は、環分析(n−d−M法)の%CPとして、好ましくは50%以上、より好ましくは53%以上であり、上限として好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。

0038

炭化水素油の散布量は、特に制限はないが、より確実かつ効率的に反応塔内容物のより良好な湿潤化の状態を得る観点から、反応塔内の反応塔内容物が充填される充填部において、湿潤化しようとする該充填部の深さに対応する容積の1m3あたり、好ましくは50L以上、より好ましくは100L以上、更に好ましくは200L以上、より更に好ましくは250L以上であり、上限として好ましくは1000L以下、より好ましくは800L以下、更に好ましくは500L以下、より更に好ましくは400L以下である。

0039

反応塔内容物を湿潤化させる際の反応塔内の温度(湿潤化温度)は、炭化水素油の粘度を適切な範囲として反応塔内容物を効率的に湿潤化する観点から、使用する炭化水素油の種類によって適宜調整すればよいが、通常反応塔内の温度として、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上であり、上限として好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下である。また、炭化水素油の温度が上記範囲内であると、反応塔内の温度が適度となり、その後の反応塔内部構造物等の撤去といった作業の効率が向上する。なお、反応塔内部構造物等の撤去作業の際の温度は、安全面から好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下である。

0040

反応塔内容物に炭化水素油を散布してから放置する時間(湿潤化時間)は、より確実かつ効率的に反応塔内容物のより良好な湿潤化の状態を得る観点から、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に好ましくは1時間以上、より更に好ましくは2時間以上であり、上限として好ましくは12時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは4時間以下である。

0041

本実施形態の反応塔内容物の処理方法は、上記の湿潤化工程の他、例えば湿潤化工程の準備工程として、より安全に炭化水素油を散布するために反応塔内の温度及び圧力を降下させる反応塔内条件調整工程、反応塔内に窒素等の不活性ガスを導入する不活性ガス導入工程、反応塔上部の原料油供給口に接続されるトップエルボ、必要に応じてインレットディストリビュータを撤去する撤去工程等を有していてもよい。

0042

本実施形態の反応塔内容物の処理方法は、広範な石油留分、石油化学留分等の反応塔に適用可能であり、発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を容易に抑制し得る処理方法である。よって、本実施形態の反応塔内容物の処理方法は、例えば沸点が−40℃以上400℃以下の石油留分、石油化学留分の接触反応に供される反応塔に好適に用いられる。より具体的には、LPG留分、軽油留分、ナフサ、灯油等の石油留分、エチレン製造装置等の石油化学製品の製造装置等に由来する石油化学留分の接触反応に用いられる反応塔に好適に用いられ、中でも反応塔内容物として空気と接触することで発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスを発生し得る触媒、例えば硫化金属触媒を備える反応塔である、脱硫反応塔に好適に用いられる。このような反応塔に本実施形態の処理方法が採用されることにより、安全に反応塔内に空気を導入することが可能となり、反応塔内部におけるメンテナンス等の各種作業、例えば反応塔内部構造物のメンテナンス、撤去等の各種作業、触媒等の反応塔内容物の抜出し作業、充填作業等をより安全に行うことができるようになる。

0043

〔反応塔内容物の抜出し方法〕
本実施形態の反応塔内容物の抜出し方法は、上記本実施形態の反応塔内容物の処理方法における湿潤化工程、反応塔内に上部から空気を導入し、反応塔内部構造物を撤去する工程、及び反応塔内容物を抜き出す工程、を有することを特徴とする。本実施形態の反応塔内容物の抜出し方法は、湿潤化工程を有することにより、安全に反応塔内に上部から空気を導入することが可能となるため、その後の工程、すなわち反応塔内部構造物を撤去する工程、反応塔内容物を抜き出す工程をより安全に進めることができ、かつ効率的に進めることが可能となる。

0044

本実施形態の反応塔内容物の抜出し方法において、湿潤化工程、反応塔内部構造、反応塔内容物は、上記本実施形態の反応塔内容物の処理方法において説明したものと同じである。
反応塔内部構造物を撤去する工程で抜き出す反応塔内部構造物としては、スケールバスケットが挙げられる。スケールバスケットは触媒等の反応塔充填物の充填層の上に、必要本数を結束した形態で、サポート冶具なく配置されるものであるため、反応塔内容物を反応塔下部のダンピングノズルから自重で抜き出すと、反応塔内容物に追従してダンピングノズル入口近傍まで降下し、閉塞を生じる場合がある。そのため、スケールバスケットを配置する反応塔においては、反応塔内容物の抜出し前に、スケールバスケットを撤去することが好ましい。また、インレットディストリビュータ、ディストリビュータトレイのマンウェイ等も必要に応じて撤去してもよい。

0045

反応塔内部構造物を撤去する工程の時点では、反応塔内容物は既に湿潤化されているので、反応塔内に空気を導入しても発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制することができる。よって、反応塔内部構造物を撤去する工程は、反応塔内を空気雰囲気で行うことができるので、作業員は安全に反応塔内部構造物の撤去作業を行うことができる。ただし、防塵対策のため、またより安全性を考慮して、反応塔内部構造物を撤去する工程において、作業員はエアラインマスクを着用して行うことが好ましい。

0046

反応塔内容物の抜出しは、例えば反応塔下部に設けられるダンピングノズルから自重で抜き出すことが容易かつ効率的であり好ましく、また反応塔内部構造物を撤去した後に行うことが好ましい。反応塔が反応塔充填物の上にサポート冶具なく配置されるスケールバスケット等の反応塔内部構造物を備える場合、反応塔内容物を反応塔下部のダンピングノズルから自重で抜き出すと、該反応塔内部構造物が反応塔内容物に追従してダンピングノズル入口近傍に降下し、閉塞を生じてしまい、反応塔内容物を速やかに抜出せなくなることを防止することができるからである。また、反応塔内容物の抜出しは、反応塔上部よりバキューム抜出しで行うことも可能であり、適宜組み合わせて行うことができる。

0047

反応塔内容物の抜出しを、上記のように、反応塔下部に設けられるダンピングノズルから自重で抜き出す場合、反応塔下部より下の底部に反応塔内容物が残存する場合がある。この場合は、更に、反応塔上部から炭化水素油を適量散布した後、作業員が反応塔内に入槽し、抜出し作業をするか、バキューム抜出しを行えばよい。

0048

抜出した反応塔内容物は、湿潤化されていないものが含まれる場合があることから、安全性の観点から、ドラム缶に回収することが好ましい。また、全ての反応塔内容物が湿潤化されていれば、フレコンバッグ等の簡易容器に回収してもよい。

0049

本実施形態の反応塔内容物の抜出し方法は、上記の本実施形態の反応塔内容物の処理方法における湿潤化工程を有するものであり、触媒等の反応塔充填物、硫化鉄及びコーク状物質等の堆積物等の反応塔内容物を湿潤化することにより発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスの発生を抑制することができるので、安全かつ効率的に反応塔内容物を抜き出すことが可能となる。そのため、本実施形態の反応塔内容物の抜出し方法は、例えば沸点が−40℃以上400℃以下の石油留分、石油化学留分の接触反応に供される反応塔の内容物の抜出しに好適に用いられる。より具体的には、LPG留分、軽油留分、ナフサ、灯油等の石油留分、エチレン製造装置等の石油化学製品の製造装置等に由来する石油化学留分の接触反応に用いられる反応塔の内容物の抜出しに好適に用いられ、中でも反応塔内容物として空気と接触することで発熱、発火、硫黄含有ガス等の有毒ガスを発生し得る触媒、例えば硫化金属触媒を備える反応塔である、脱硫反応塔の内容物の抜出しに好適に用いられる。このような反応塔の内容物の抜出しに本実施形態の抜出し方法が採用されることにより、反応塔内部におけるメンテナンス等の各種作業、例えば反応塔内部構造物のメンテナンス、撤去等の各種作業、触媒等の反応塔内容物の抜出し作業の際に反応塔内に空気を導入することが可能となり、作業員にとってより安全な作業環境を提供することができるようになる。

0050

〔炭化水素油〕
本実施形態の炭化水素油は、引火点が100℃以上、40℃動粘度が2.0mm2/s以上60.0mm2/s以下、粘度指数が75以上120以下、硫黄分が500質量ppm以下、及び芳香族分(%CA)が10%以下であり、反応塔内容物の湿潤化に用いられるものである。炭化水素油がこのような性状を有することにより、反応塔内容物の湿潤化をより確実かつ効率的に行うことができ、また反応塔内容物の湿潤化の状態をより安定させることができる。
炭化水素油の種類、性状については、本実施形態の反応塔内容物の処理方法における湿潤化工程で用いられ得るものとして説明した炭化水素油と同じである。

0051

以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。

0052

(炭化水素油の性状の測定)
各実施例及び比較例で用いた炭化水素油の性状について、以下の方法により測定した。
(1)引火点:JIS K 2265−4:2007(第4部:クリーブランド開放法)に準じて測定した。
(2)動粘度及び粘度指数:JIS K 2283:2000に準じて測定した。
(3)流動点:JIS K 2269:1987に準じて測定した。
(4)硫黄分:JIS K2541−6:2003(第6部:紫外蛍光法)に準じて測定した。
(5)芳香族分、ナフテン分及びパラフィン分:ASTMD3238−85に準じた環分析(n−d−M法)により測定した%CA、%CN、及び%CPを各々芳香族分、ナフテン分及びパラフィン分とした。

0053

上記方法により測定した、各実施例及び比較例で用いた炭化水素油(炭化水素油1及び2)の性状を以下表1に示す。

0054

0055

(実施例1)
ナフサ脱硫装置の運転停止後、該装置内の脱硫反応塔(図1の(1−1)参照、反応塔充填物(触媒)容量:20m3)の温度を40℃に降温し、反応塔の下部ノズルより窒素を導入した後、反応塔上部に接続されるトップエルボ、インレットディストリビュータを取り外して反応塔の上部を開放し、反応塔上部からホースを用いて窒素を導入した。次いで、表1に示される性状を有する炭化水素油1(パラフィン系鉱油)を、ホースを用いて散布した。散布範囲は、反応塔充填物のうち、触媒の充填層の最上面(脱スケール触媒充填層の最上面)から500mm深さまでとし、散布量は、該500mm深さの容量(3.3m3)の1m3あたり300Lの量、すなわち990Lの炭化水素油を散布した。
炭化水素油の散布を終了して2時間後、反応塔内容物(セラミックボール、触媒、硫化鉄及びコーク状物質)の湿潤化が完了したものとし、反応塔の下部ノズルからの窒素の導入を停止し、窒素の導入ライン縁切し、反応塔上部からの窒素の導入も、ホースを取り外して停止し、窒素の反応塔へのラインを完全に遮断した。次いで、反応塔上部から別のホースを用いて空気の導入を開始し、反応塔内上部の酸素濃度が21容量%に達し、ガス検知器により二酸化硫黄三酸化硫黄等の硫黄酸化物、硫化水素等の硫黄含有ガス、一酸化炭素等の有毒ガスが発生していないこと、反応塔内の温度が40℃であることを確認した後、エアラインマスクを着用した作業員が入槽し、反応塔内の上部に設置されたスケールバスケットの撤去を行った。その後、反応塔の下部に設けられたダンピングノズルより、反応塔内容物を自重で抜出しし、使用済みの触媒等を抜出して、ドラム缶に回収した。また、反応塔底部に残存した反応塔内容物については、反応塔上部から炭化水素油の散布を再び行い湿潤化した後、空気雰囲気下で作業員が入槽してドラム缶に回収した。作業員が反応塔内で作業する際、反応塔内は空気雰囲気となっており、作業員は安全にかつ安心して作業を行うことができ、エアラインマスクを着用していたものの、安全かつ効率的な作業ができた。

0056

(実施例2)
灯油脱硫装置の運転停止後、該装置内の脱硫反応塔(図1の(1−2)参照、反応塔充填物(触媒)容量:33m3)の温度を60℃に降温し、反応塔の下部ノズルより窒素を導入した後、反応塔上部に接続されるトップエルボ、インレットディストリビュータを取り外して反応塔の上部を開放し、反応塔上部からホースを用いて窒素を導入した。次いで、表1に示される性状を有する炭化水素油2(パラフィン系鉱油)を、ホースを用いてディストリビュータトレイに供給し、該ディストリビュータトレイを用いて反応塔内容物に散布した。散布範囲は、反応塔充填物のうち、触媒の充填層の最上面(脱スケール触媒充填層の最上面)から500mm深さまでとし、散布量は、該500mm深さの容量(3.0m3)の1m3あたり300Lの量(900L)、及びディストリビュータトレイ上に残留する1200Lをあわせた2100Lの炭化水素油を散布した(触媒の充填層に散布される炭化水素油は実質的に900Lである。)。
炭化水素油の散布を終了して2時間後、反応塔内容物(セラミックボール、触媒、硫化鉄及びコーク状物質)の湿潤化が完了したものとし、反応塔の下部ノズルからの窒素の導入を停止し、窒素の導入ラインを縁切し、反応塔上部からの窒素の導入も、ホースを取り外して停止し、窒素の反応塔へのラインを完全に遮断した。次いで反応塔上部から別のホースを用いて空気の導入を開始し、反応塔内上部の酸素濃度が21容量%に達し、ガス検知器により二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物、硫化水素等の硫黄含有ガス、一酸化炭素等の有毒ガスが発生していないこと、反応塔内の温度が40℃であることを確認した後、エアラインマスクを着用した作業員が入槽し、反応塔内の上部に設置されたディストリビュータトレイ上に残留した炭化水素油、硫化鉄、及びコーク状物質等を回収した後、該ディストリビュータトレイのマンウェイの撤去を行った。その後、反応塔の下部に設けられたダンピングノズルより、反応塔内容物を自重で抜出しし、使用済みの触媒等を抜出して、ドラム缶に回収した。また、反応塔底部に残存した反応塔内容物については、反応塔上部から炭化水素油の散布を再び行い湿潤化した後、空気雰囲気下で作業員が入槽してドラム缶に回収した。作業員が反応塔内で作業する際、反応塔内は空気雰囲気となっており、作業員は安全にかつ安心して作業を行うことができ、エアラインマスクを着用していたものの、安全かつ効率的な作業ができた。

実施例

0057

(比較例1)
ナフサ脱硫装置の運転停止後、該装置内の脱硫反応塔の温度を60℃に降温し、反応塔の下部ノズルより窒素を導入した後、反応塔上部に接続されるトップエルボ、インレットディストリビュータを取り外して反応塔の上部を開放し、反応塔上部からホースを用いて窒素を導入した。反応塔内の温度が40℃であることを確認した後、エアラインマスクを着用した作業員が入槽し、反応塔内の上部に設置されたスケールバスケットの撤去を行った。作業員はエアラインマスクを着用しているとはいえ、反応塔内は窒素雰囲気となっており、作業中にエアラインマスクが外れる等の問題が生じた場合に酸欠状態となるため、安全かつ安心して作業を行うことができず、安全かつ効率的に作業を進めることはできなかった。

0058

10.ナフサ脱硫装置における脱硫反応塔
11.インレットディストリビュータ
12.スケールバスケット
13.トップエルボ
14.ダンピングノズル
15.排出口
16.セラミックボール充填層
16a.セラミックボール充填層(上層)
16b.セラミックボール充填層(下層)
17.脱スケール触媒充填層
18.ガード触媒充填層
19.脱硫触媒充填層
20.灯油脱硫装置における脱硫反応塔
21.インレットディストリビュータ
22.ディストリビュータトレイ
23.トップエルボ
24.ダンピングノズル
25.排出口
26.セラミックボール充填層
26a.セラミックボール充填層(上層)
26b.セラミックボール充填層(下層)
27.脱スケール触媒充填層
28.ガード触媒充填層
29.脱硫触媒充填層

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