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技術 超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 山本勝也森本康彦岡田知
出願日 2018年6月29日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-124170
公開日 2020年1月9日 (11ヶ月経過) 公開番号 2020-000605
状態 未査定
技術分野 超音波診断装置
主要キーワード プローブ周波数 開口チャンネル 初期設定段階 送信成分 変更要素 液状シリコンゴム 凸湾曲状 共振帯域
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

既存の回路を用いて、コストアップを招くことなく、かつ超音波画像画質に影響を及ぼすことなく、分極処理を行うことができる超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法を提供する。

解決手段

本発明の超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法においては、制御回路が、超音波診断を行うための複数の超音波振動子累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、超音波診断を行うための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間内において、複数の超音波振動子に対して分極処理を行う。送信回路は、超音波診断を行う場合に、パルス発生回路を用いて、超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成し、分極処理を行う場合に、第1の送信信号を生成する場合と同じパルス発生回路を用いて、分極処理を行うための分極電圧を有する第2の送信信号を生成する。

概要

背景

検体の内部において複数の超音波振動子をそれぞれ駆動させて超音波送受信することで被検体の内部の超音波画像を取得する超音波診断装置は、既に知られている。超音波診断装置において複数の超音波振動子は、例えば、圧電素子である単結晶振動子によって構成されており、通常、分極した状態で用いられる。単結晶振動子によって構成された超音波振動子は、高感度にて超音波を受信することが可能であるが、駆動時間が長くなるにつれて分極の度合いが低下する脱分極現象が生じることがある。脱分極現象が生じると、超音波振動子の受信感度が低下してしまい、超音波画像の画質に影響を及ぼす虞がある。

特に、被検体の内部において各超音波振動子を駆動して超音波を送受信する場合、超音波の周波数を7〜8MHzレベル高周波帯域に設定する必要があるため、比較的厚みが薄い振動子を利用することになるが、振動子の厚みが薄くなるほど、脱分極現象の発生リスクが高くなる。

そのため、これまでに、超音波診断装置における脱分極に対する技術が開発されてきている。一例を挙げて説明すると、特許文献1に記載の超音波診断装置(特許文献1では、「圧電センサー装置」と表記)は、圧電体及びこの圧電体を挟む一対の電極を有する圧電素子と、圧電素子から出力された検出信号を検出する検出処理を実施する検出回路と、圧電素子に分極用電圧印加して分極処理を実施する分極処理回路とを有する。このような構成の特許文献1に記載の超音波診断装置では、例えば、電源投入されるタイミング、検出処理を実施する旨の要求信号が入力されるタイミング(毎受信タイミング)、あるいは検出処理の終了後に所定の待機移行時間が経過したタイミングで分極処理が実施され、タイマーで処理時間を計時して分極処理が終了したと判定された場合に分極処理が終了される。これにより、圧電素子に脱分極現象が生じたとしても、その圧電素子を再度分極させることができ、圧電素子の受信感度を維持することが可能となる。

別の例を挙げると、特許文献2に記載の超音波診断装置(特許文献2では、「超音波センサー」と表記)は、圧電素子と、圧電素子を駆動する駆動回路とを有し、駆動回路は、第1工程〜第6工程を有する駆動波形によって圧電素子を駆動する。第1工程は、第1の電位V1によって圧電素子の分極を維持する工程である。第2工程は、第1工程の後に行われ、圧電素子に超音波を送信させる工程である。第3工程は、第2工程の後に行われ、第2の電位V2で圧電素子を待機させる工程である。第4工程は、第3工程の後に行われ、第2の電位V2から第3の電位V3へ上昇させる工程である。第5工程は、第4工程の後に行われ、圧電素子が超音波を受信する間、第3の電位V3を維持する工程である。第6工程は、第5工程の後に行われ、第3の電位V3から第1の電位V1へ戻す工程である。このような構成の特許文献2に記載の超音波診断装置では、上記の第1工程〜第6工程を有する駆動波形によって圧電素子を駆動することで、圧電素子の分極を維持しながら圧電素子を駆動することが可能となる。

また、特許文献3に記載の超音波診断装置は、圧電素子を含む超音波プローブと、圧電素子の脱分極の程度に伴い変化する物理量の閾値を記憶する記憶部と、超音波プローブの累積使用時間を記録する記録部と、超音波プローブにおける物理量を検出する検出部と、圧電素子を再分極化するための高電圧を圧電素子の電極対に印加する高電圧印加部と、を有する。このような構成の特許文献3に記載の超音波診断装置では、超音波プローブの累積使用時間が所定時間に達すると物理量(例えば、受信信号電圧値)を検出し、物理量の検出結果が閾値以下であると判定された場合に、電極対に高電圧が印加されて再分極化処理が実行される。これにより、超音波プローブの圧電素子の分極特性劣化に対して好適なタイミングで対処することができる。

特許文献4に記載の超音波診断装置(特許文献4では、「超音波装置」と表記)は、被検体への超音波の送受信を行う超音波振動子と、超音波振動子に分極電圧を印加する制御を行う制御部と、を有する。このような構成の特許文献4に記載の超音波診断装置では、超音波振動子を励振させて加熱させた状態で、超音波画像を得るための超音波を送信するために用いられる大きさの電圧となるように設定された分極電圧が超音波振動子に印加される。超音波振動子を加熱させることにより、分極電圧を常温下よりも低くすることができるため、送信ビームフォーミングを行う回路を用いて再分極の処理を行うことができる。

概要

既存の回路を用いて、コストアップを招くことなく、かつ超音波画像の画質に影響を及ぼすことなく、分極処理を行うことができる超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法を提供する。本発明の超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法においては、制御回路が、超音波診断を行うための複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、超音波診断を行うための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間内において、複数の超音波振動子に対して分極処理を行う。送信回路は、超音波診断を行う場合に、パルス発生回路を用いて、超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成し、分極処理を行う場合に、第1の送信信号を生成する場合と同じパルス発生回路を用いて、分極処理を行うための分極用電圧を有する第2の送信信号を生成する。

目的

本発明の目的は、既存の回路を用いて、コストアップを招くことなく、かつ超音波画像の画質に影響を及ぼすことなく、分極処理を行うことができる超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

超音波画像および内視鏡画像を取得する超音波診断装置であって、複数の超音波振動子が配列された超音波振動子アレイを用いて超音波を送信し、前記超音波の反射波を受信して受信信号を出力する超音波観察部を備える超音波内視鏡と、前記受信信号を画像化して前記超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置と、を備え、前記超音波用プロセッサ装置は、超音波診断を行うための前記複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、前記超音波診断を行うための前記超音波の送信および前記反射波の受信が行われていない非診断期間内において、前記複数の超音波振動子に対して分極処理を行う制御回路と、前記制御回路の制御により、パルス発生回路を用いて、前記複数の超音波振動子を駆動して前記超音波を発生させる送信信号を生成して前記複数の超音波振動子に供給する送信回路と、を備え、前記送信回路は、前記超音波診断を行う場合に、前記パルス発生回路を用いて、前記超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成し、前記分極処理を行う場合に、前記第1の送信信号を生成する場合と同じ前記パルス発生回路を用いて、前記分極処理を行うための分極電圧を有する第2の送信信号を生成し、前記第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号と、前記第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号とは、異なる帯域特性を有するものである、超音波診断装置。

請求項2

前記第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性と、前記第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性とは、−20dB以上のレベルにおいて重ならないものである、請求項1に記載の超音波診断装置。

請求項3

動作モードとして、前記非診断期間内において前記分極処理を行わない第一モードと、前記非診断期間内において前記分極処理を行う第二モードと、を有し、前記制御回路は、前記第一モードにおいて、前記累積駆動時間が前記規定時間以上となった場合に、前記動作モードを前記第一モードから前記第二モードに移行させ、前記第二モードにおいて、前記分極処理を行うための前記複数の超音波振動子の累積処理時間から前記累積駆動時間を減算した差が閾値以上となった場合に、前記動作モードを前記第二モードから前記第一モードに移行させる、請求項1または2に記載の超音波診断装置。

請求項4

前記制御回路は、前記超音波画像の1フレームの画像を表示するフリーズモードの場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項5

前記制御回路は、前記超音波診断装置の制御パラメータを設定するための画面が表示された場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項6

前記制御回路は、前記超音波診断を行う患者の情報を入力する画面が表示された場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項7

前記制御回路は、前記超音波診断を行う部位を指定する画面が表示された場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項8

前記制御回路は、過去に生成された超音波画像を表示する画面が表示された場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項9

前記制御回路は、前記内視鏡画像のみが表示された場合に前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項10

前記超音波用プロセッサ装置は、さらに、前記分極処理中であることをユーザに通知する通知回路を備え、前記制御回路は、ピクチャイン・ピクチャにより、前記超音波画像が前記内視鏡画像よりも小さく表示された場合に、前記分極処理中であることを前記ユーザに通知するように前記通知回路を制御し、前記超音波画像の1フレームの画像を表示するフリーズモードに設定して前記分極処理を行う、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。

請求項11

超音波画像および内視鏡画像を取得する超音波診断装置の作動方法であって、前記超音波診断装置の超音波内視鏡が備える超音波観察部が、複数の超音波振動子が配列された超音波振動子アレイを用いて超音波を送信し、前記超音波の反射波を受信して受信信号を出力するステップと、前記超音波診断装置の超音波用プロセッサ装置が、前記受信信号を画像化して前記超音波画像を生成するステップと、を含み前記前記超音波画像を生成するステップは、超音波診断を行うための前記複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、前記超音波用プロセッサ装置の制御回路が、前記超音波診断を行うための前記超音波の送信および前記反射波の受信が行われていない非診断期間内において、前記複数の超音波振動子に対して分極処理を行うステップと、前記超音波用プロセッサ装置の送信回路が、前記制御回路の制御により、パルス発生回路を用いて、前記複数の超音波振動子を駆動して前記超音波を発生させる送信信号を生成して前記複数の超音波振動子に供給するステップと、を含み、前記送信信号を生成するステップは、前記超音波診断を行う場合に、前記パルス発生回路を用いて、前記超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成するステップと、前記分極処理を行う場合に、前記第1の送信信号を生成する場合と同じ前記パルス発生回路を用いて、前記分極処理を行うための分極用電圧を有する第2の送信信号を生成するステップと、を含み、前記第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号と、前記第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号とは、異なる帯域特性を有するものである、超音波診断装置の作動方法。

請求項12

前記第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性と、前記第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における前記複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性とは、−20dB以上のレベルにおいて重ならないものである、請求項11に記載の超音波診断装置の作動方法。

請求項13

動作モードとして、前記非診断期間内において前記分極処理を行わない第一モードと、前記非診断期間内において前記分極処理を行う第二モードと、を有し、前記分極処理を行うステップは、前記第一モードにおいて、前記累積駆動時間が前記規定時間以上となった場合に、前記動作モードを前記第一モードから前記第二モードに移行させ、前記第二モードにおいて、前記分極処理を行うための前記複数の超音波振動子の累積処理時間から前記累積駆動時間を減算した差が閾値以上となった場合に、前記動作モードを前記第二モードから前記第一モードに移行させる、請求項11または12に記載の超音波診断装置の作動方法。

技術分野

0001

本発明は、超音波内視鏡が備える複数の超音波振動子に対して分極処理を行う超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法に関する。

背景技術

0002

検体の内部において複数の超音波振動子をそれぞれ駆動させて超音波送受信することで被検体の内部の超音波画像を取得する超音波診断装置は、既に知られている。超音波診断装置において複数の超音波振動子は、例えば、圧電素子である単結晶振動子によって構成されており、通常、分極した状態で用いられる。単結晶振動子によって構成された超音波振動子は、高感度にて超音波を受信することが可能であるが、駆動時間が長くなるにつれて分極の度合いが低下する脱分極現象が生じることがある。脱分極現象が生じると、超音波振動子の受信感度が低下してしまい、超音波画像の画質に影響を及ぼす虞がある。

0003

特に、被検体の内部において各超音波振動子を駆動して超音波を送受信する場合、超音波の周波数を7〜8MHzレベル高周波帯域に設定する必要があるため、比較的厚みが薄い振動子を利用することになるが、振動子の厚みが薄くなるほど、脱分極現象の発生リスクが高くなる。

0004

そのため、これまでに、超音波診断装置における脱分極に対する技術が開発されてきている。一例を挙げて説明すると、特許文献1に記載の超音波診断装置(特許文献1では、「圧電センサー装置」と表記)は、圧電体及びこの圧電体を挟む一対の電極を有する圧電素子と、圧電素子から出力された検出信号を検出する検出処理を実施する検出回路と、圧電素子に分極用電圧印加して分極処理を実施する分極処理回路とを有する。このような構成の特許文献1に記載の超音波診断装置では、例えば、電源投入されるタイミング、検出処理を実施する旨の要求信号が入力されるタイミング(毎受信タイミング)、あるいは検出処理の終了後に所定の待機移行時間が経過したタイミングで分極処理が実施され、タイマーで処理時間を計時して分極処理が終了したと判定された場合に分極処理が終了される。これにより、圧電素子に脱分極現象が生じたとしても、その圧電素子を再度分極させることができ、圧電素子の受信感度を維持することが可能となる。

0005

別の例を挙げると、特許文献2に記載の超音波診断装置(特許文献2では、「超音波センサー」と表記)は、圧電素子と、圧電素子を駆動する駆動回路とを有し、駆動回路は、第1工程〜第6工程を有する駆動波形によって圧電素子を駆動する。第1工程は、第1の電位V1によって圧電素子の分極を維持する工程である。第2工程は、第1工程の後に行われ、圧電素子に超音波を送信させる工程である。第3工程は、第2工程の後に行われ、第2の電位V2で圧電素子を待機させる工程である。第4工程は、第3工程の後に行われ、第2の電位V2から第3の電位V3へ上昇させる工程である。第5工程は、第4工程の後に行われ、圧電素子が超音波を受信する間、第3の電位V3を維持する工程である。第6工程は、第5工程の後に行われ、第3の電位V3から第1の電位V1へ戻す工程である。このような構成の特許文献2に記載の超音波診断装置では、上記の第1工程〜第6工程を有する駆動波形によって圧電素子を駆動することで、圧電素子の分極を維持しながら圧電素子を駆動することが可能となる。

0006

また、特許文献3に記載の超音波診断装置は、圧電素子を含む超音波プローブと、圧電素子の脱分極の程度に伴い変化する物理量の閾値を記憶する記憶部と、超音波プローブの累積使用時間を記録する記録部と、超音波プローブにおける物理量を検出する検出部と、圧電素子を再分極化するための高電圧を圧電素子の電極対に印加する高電圧印加部と、を有する。このような構成の特許文献3に記載の超音波診断装置では、超音波プローブの累積使用時間が所定時間に達すると物理量(例えば、受信信号電圧値)を検出し、物理量の検出結果が閾値以下であると判定された場合に、電極対に高電圧が印加されて再分極化処理が実行される。これにより、超音波プローブの圧電素子の分極特性劣化に対して好適なタイミングで対処することができる。

0007

特許文献4に記載の超音波診断装置(特許文献4では、「超音波装置」と表記)は、被検体への超音波の送受信を行う超音波振動子と、超音波振動子に分極電圧を印加する制御を行う制御部と、を有する。このような構成の特許文献4に記載の超音波診断装置では、超音波振動子を励振させて加熱させた状態で、超音波画像を得るための超音波を送信するために用いられる大きさの電圧となるように設定された分極電圧が超音波振動子に印加される。超音波振動子を加熱させることにより、分極電圧を常温下よりも低くすることができるため、送信ビームフォーミングを行う回路を用いて再分極の処理を行うことができる。

先行技術

0008

特開2013−005137号公報
特開2017−143353号公報
特開2012−139460号公報
特許第6158017号公報

発明が解決しようとする課題

0009

以上のように、特許文献1〜4の各々に記載の超音波診断装置では、圧電素子の分極を回復させる又は維持することが可能である。
しかしながら、特許文献1に記載の超音波診断装置のように、再度分極を行うための専用回路および脱分極の検出機構等を設けることはハードウェア変更要素が大きく、既存のシステムに搭載するのは非常に困難である。また、特許文献3に記載の超音波診断装置のように、圧電素子を再分極化するために高電圧を圧電素子の電極対に印加する高電圧印加部を設ける必要がある場合も同様である。

0010

これに対し、特許文献4に記載の超音波診断装置には送信ビームフォーミングを行う回路を用いて再分極処理を行うことが記載されている。しかし、特許文献4に記載の超音波診断装置においては、送信ビームフォーミングを行うために、超音波振動子を励振させて超音波を送信するためのパルス波の他に、再分極処理を行うために、超音波振動子に分極電圧を印加するための直流波形を出力する必要がある。そのため、同一回路でパルス波と直流波形を出力するため回路規模が大きくなり、コストアップを招く虞がある。

0011

また、特許文献2に記載の超音波診断装置においては、分極を維持するために、各駆動波形中に直流成分入れることによって駆動波形のパルス長が長くなるため、フレームレートが低下して超音波画像の画質に影響を及ぼす可能性がある。

0012

本発明の目的は、既存の回路を用いて、コストアップを招くことなく、かつ超音波画像の画質に影響を及ぼすことなく、分極処理を行うことができる超音波診断装置および超音波診断装置の作動方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するために、本発明は、超音波画像および内視鏡画像を取得する超音波診断装置であって、
複数の超音波振動子が配列された超音波振動子アレイを用いて超音波を送信し、超音波の反射波を受信して受信信号を出力する超音波観察部を備える超音波内視鏡と、
受信信号を画像化して超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置と、を備え、
超音波用プロセッサ装置は、
超音波診断を行うための複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、超音波診断を行うための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間内において、複数の超音波振動子に対して分極処理を行う制御回路と、
制御回路の制御により、パルス発生回路を用いて、複数の超音波振動子を駆動して超音波を発生させる送信信号を生成して複数の超音波振動子に供給する送信回路と、を備え、
送信回路は、超音波診断を行う場合に、パルス発生回路を用いて、超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成し、分極処理を行う場合に、第1の送信信号を生成する場合と同じパルス発生回路を用いて、分極処理を行うための分極用電圧を有する第2の送信信号を生成し、
第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号と、第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号とは、異なる帯域特性を有するものである、超音波診断装置を提供する。

0014

ここで、第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性と、第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性とは、−20dB以上のレベルにおいて重ならないものであることが好ましい。

0015

また、動作モードとして、非診断期間内において分極処理を行わない第一モードと、非診断期間内において分極処理を行う第二モードと、を有し、
制御回路は、第一モードにおいて、累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、動作モードを第一モードから第二モードに移行させ、第二モードにおいて、分極処理を行うための複数の超音波振動子の累積処理時間から累積駆動時間を減算した差が閾値以上となった場合に、動作モードを第二モードから第一モードに移行させることが好ましい。

0016

また、制御回路は、超音波画像の1フレームの画像を表示するフリーズモードの場合に分極処理を行うことが好ましい。

0017

また、制御回路は、超音波診断装置の制御パラメータを設定するための画面が表示された場合に分極処理を行うことが好ましい。

0018

また、制御回路は、超音波診断を行う患者の情報を入力する画面が表示された場合に分極処理を行うことが好ましい。

0019

また、制御回路は、超音波診断を行う部位を指定する画面が表示された場合に分極処理を行うことが好ましい。

0020

また、制御回路は、過去に生成された超音波画像を表示する画面が表示された場合に分極処理を行うことが好ましい。

0021

また、制御回路は、内視鏡画像のみが表示された場合に分極処理を行うことが好ましい。

0022

超音波用プロセッサ装置は、さらに、分極処理中であることをユーザに通知する通知回路を備え、
制御回路は、ピクチャイン・ピクチャにより、超音波画像が内視鏡画像よりも小さく表示された場合に、分極処理中であることをユーザに通知するように通知回路を制御し、超音波画像の1フレームの画像を表示するフリーズモードに設定して分極処理を行うことが好ましい。

0023

また、本発明は、超音波画像および内視鏡画像を取得する超音波診断装置の作動方法であって、
超音波診断装置の超音波内視鏡が備える超音波観察部が、複数の超音波振動子が配列された超音波振動子アレイを用いて超音波を送信し、超音波の反射波を受信して受信信号を出力するステップと、
超音波診断装置の超音波用プロセッサ装置が、受信信号を画像化して超音波画像を生成するステップと、を含み
超音波画像を生成するステップは、
超音波診断を行うための複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、超音波用プロセッサ装置の制御回路が、超音波診断を行うための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間内において、複数の超音波振動子に対して分極処理を行うステップと、
超音波用プロセッサ装置の送信回路が、制御回路の制御により、パルス発生回路を用いて、複数の超音波振動子を駆動して超音波を発生させる送信信号を生成して複数の超音波振動子に供給するステップと、を含み、
送信信号を生成するステップは、超音波診断を行う場合に、パルス発生回路を用いて、超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号を生成するステップと、分極処理を行う場合に、第1の送信信号を生成する場合と同じパルス発生回路を用いて、分極処理を行うための分極用電圧を有する第2の送信信号を生成するステップと、を含み、
第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号と、第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号とは、異なる帯域特性を有するものである、超音波診断装置の作動方法を提供する。

0024

ここで、第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性と、第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子の受信信号の帯域特性とは、−20dB以上のレベルにおいて重ならないものであることが好ましい。

0025

また、動作モードとして、非診断期間内において分極処理を行わない第一モードと、非診断期間内において分極処理を行う第二モードと、を有し、
分極処理を行うステップは、第一モードにおいて、累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、動作モードを第一モードから第二モードに移行させ、第二モードにおいて、分極処理を行うための複数の超音波振動子の累積処理時間から累積駆動時間を減算した差が閾値以上となった場合に、動作モードを第二モードから第一モードに移行させることが好ましい。

発明の効果

0026

本発明は、既存のパルス発生回路を用いて分極処理を行う。超音波診断装置において、分極処理を行う場合の第2の送信信号はパルス波であり、パルス発生回路は直流波形を出力する必要はないので、既存の回路を大幅に変更することなく、従ってコストアップを招くことなく分極処理を行うことができる。
また、非診断期間内において分極処理を行うため、フレームレートは低下しない。そのため、超音波画像の画質を低下させることなく、複数の超音波振動子の受信感度を常に良好に保つことができ、従って常に高画質な超音波画像を取得することができる。

図面の簡単な説明

0027

本発明の一実施形態に係る超音波診断装置の概略構成を示す図である。
超音波内視鏡の挿入部の先端部及びその周辺を示す平面図である。
超音波内視鏡の挿入部の先端部を図2に図示のI−I断面にて切断したときの断面を示す図である。
超音波用プロセッサ装置の構成を示すブロック図である。
超音波診断装置を用いた診断処理の流れを示す図である。
第一モードにおける診断処理の流れを示す図である。
第二モードにおける診断処理の流れを示す図である。
診断処理中の診断ステップの手順を示す図である。
超音波振動子の累積駆動時間及び分極処理の実施時間と、超音波振動子の受信感度との関係を示す説明図である。
表示モードを表す一例の概念図である。
図4に示す送信回路から送信される分極用駆動パルスの駆動波形の一例を示すグラフである。
図11Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。
図4に示す送信回路から送信される分極用駆動パルスの駆動波形の他の一例を示すグラフである。
図11Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形、及び図12Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。
図4に示す送信回路から送信される分極用駆動パルスのパルス波形の他の一例を示すグラフである。
図13Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。
図4に示す送信回路から送信される分極用駆動パルスのパルス波形の他の一例を示すグラフである。
図13Cに示す分極用駆動パルスの駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。
図4に示す送信回路から送信される診断用駆動パルスのパルス波形の他の一例を示すグラフである。
図14Aに示す診断用駆動パルスの駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。

実施例

0028

本発明の一実施形態(本実施形態)に係る超音波診断装置について、添付の図面に示す好適な実施形態を参照しながら、以下に詳細に説明する。
なお、本実施形態は、本発明の代表的な実施態様であるが、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。

0029

また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。

0030

<<超音波診断装置の概要>>
本実施形態に係る超音波診断装置10について、図1を参照しながら、その概要を説明する。図1は、超音波診断装置10の概略構成を示す図である。

0031

超音波診断装置10は、超音波を用いて、被検体である患者の体内観察対象部位の状態を観察(以下、超音波診断ともいう)するために用いられる。ここで、観察対象部位は、患者の体表側からは検査が困難な部位であり、例えば胆嚢又は膵臓である。超音波診断装置10を用いることにより、患者の体腔である食道十二指腸小腸、及び大腸等の消化管を経由して、観察対象部位の状態及び異常の有無を超音波診断することが可能である。

0032

超音波診断装置10は、超音波画像および内視鏡画像を取得するものであり、図1に示すように、超音波内視鏡12と、超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡用プロセッサ装置16と、光源装置18と、モニタ20と、送水タンク21aと、吸引ポンプ21bと、操作卓100とを有する。

0033

超音波内視鏡12は、内視鏡スコープであり、患者の体腔内に挿入される挿入部22と、医師又は技師等の術者(ユーザ)によって操作される操作部24と、挿入部22の先端部40に取り付けられた超音波振動子ユニット46(図2および図3を参照)と、を備える。術者は、超音波内視鏡12の機能によって、患者の体腔内壁の内視鏡画像と、観察対象部位の超音波画像を取得する。

0034

ここで、「内視鏡画像」は、患者の体腔内壁を光学的手法によって撮影することで得られる画像である。また、「超音波画像」は、患者の体腔内から観察対象部位に向かって送信された超音波の反射波(エコー)を受信し、その受信信号を画像化することで得られる画像である。
なお、超音波内視鏡12については、後の項で詳しく説明する。

0035

超音波用プロセッサ装置14は、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた超音波用コネクタ32aを介して超音波内視鏡12に接続される。超音波用プロセッサ装置14は、超音波内視鏡12の超音波振動子ユニット46を制御して超音波を送信させる。また、超音波用プロセッサ装置14は、送信された超音波の反射波(エコー)を超音波振動子ユニット46が受信したときの受信信号を画像化して超音波画像を生成する。
なお、超音波用プロセッサ装置14については、後の項で詳しく説明する。

0036

内視鏡用プロセッサ装置16は、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた内視鏡用コネクタ32bを介して超音波内視鏡12に接続される。内視鏡用プロセッサ装置16は、超音波内視鏡12(詳しくは、後述する固体撮像素子86)によって撮像された観察対象隣接部位の画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を施して内視鏡画像を生成する。
ここで、「観察対象隣接部位」とは、患者の体腔内壁のうち、観察対象部位と隣り合う位置にある部分である。

0037

なお、本実施形態では、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16が、別々に設けられた二台の装置(コンピュータ)によって構成されている。ただし、これに限定されるものではなく、一台の装置によって超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16の双方が構成されてもよい。

0038

光源装置18は、ユニバーサルコード26及びその端部に設けられた光源用コネクタ32cを介して超音波内視鏡12に接続される。光源装置18は、超音波内視鏡12を用いて観察対象隣接部位を撮像する際に、赤光、緑光及び青光3原色光からなる白色光又は特定波長光照射する。光源装置18が照射した光は、ユニバーサルコード26に内包されたライトガイド(不図示)を通じて超音波内視鏡12内を伝搬し、超音波内視鏡12(詳しくは、後述する照明窓88)から出射される。これにより、観察対象隣接部位が光源装置18からの光によって照らされる。

0039

モニタ20は、超音波用プロセッサ装置14及び内視鏡用プロセッサ装置16に接続されており、超音波用プロセッサ装置14により生成された超音波画像、及び内視鏡用プロセッサ装置16により生成された内視鏡画像を表示する。超音波画像及び内視鏡画像の表示方式としては、いずれか一方の画像を切り替えてモニタ20に表示する方式でもよく、両方の画像を同時に表示する方式でもよい。超音波画像及び内視鏡画像の表示モードについては後述する。
なお、本実施形態では、一台のモニタ20に超音波画像及び内視鏡画像を表示するが、超音波画像表示用のモニタと、内視鏡画像表示用のモニタとが別々に設けられてもよい。また、モニタ20以外の表示形態、例えば、術者が携帯する端末ディスプレイに表示する形態にて超音波画像及び内視鏡画像を表示してもよい。

0040

操作卓100は、超音波診断に際して術者が必要な情報を入力したり、超音波用プロセッサ装置14に対して超音波診断の開始指示を行うなどのために設けられた装置である。操作卓100は、例えば、キーボードマウストラックボールタッチパッド及びタッチパネル等によって構成されている。操作卓100が操作されると、その操作内容に応じて超音波用プロセッサ装置14のCPU(制御回路)152(図4参照)が装置各部(例えば、後述の受信回路142及び送信回路144)を制御する。

0041

具体的に説明すると、術者は、超音波診断を開始する前段階で、検査情報(例えば、年月日及びオーダ番号等を含む検査オーダ情報、及び、患者ID及び患者名等を含む患者情報)を操作卓100にて入力する。検査情報の入力完了後、術者が操作卓100を通じて超音波診断の開始を指示すると、超音波用プロセッサ装置14のCPU152が、入力された検査情報に基づいて超音波診断が実施されるように超音波用プロセッサ装置14各部を制御する。

0042

また、術者は、超音波診断の実施に際して、各種の制御パラメータを操作卓100にて設定することが可能である。制御パラメータとしては、例えば、ライブモード及びフリーズモードの選択結果、表示深さ(深度)の設定値、及び、超音波画像生成モードの選択結果等が挙げられる。
ここで、「ライブモード」は、所定のフレームレートにて得られる超音波画像(動画像)を逐次表示リアルタイム表示)するモードである。「フリーズモード」は、過去に生成された超音波画像(動画像)の1フレームの画像(静止画像)を、後述のシネメモリ150から読み出して表示するモードである。

0043

本実施形態において選択可能な超音波画像生成モードは、複数存在し、具体的には、B(Brightness)モード、CF(Color Flow)モード及びPW(Pulse Wave)モードである。Bモードは、超音波エコー振幅輝度に変換して断層画像を表示するモードである。CFモードは、平均血流速度、フロー変動、フロー信号の強さ又はフローパワー等を様々な色にマッピングしてBモード画像に重ねて表示するモードである。PWモードは、パルス波の送受信に基づいて検出される超音波エコー源の速度(例えば、血流の速度)を表示するモードである。
なお、上述した超音波画像生成モードは、あくまでも一例であり、上述した3種類のモード以外のモード、例えば、A(Amplitude)モード及びM(Motion)モード等が更に含まれてもよい。

0044

次に、超音波診断装置10の動作について説明すると、超音波診断装置10は、電源投入後に、検査情報を入力する入力ステップと、超音波診断を行う診断ステップと、超音波診断準備等のために待機する待機ステップと、を実施する。超音波診断装置10の起動時には、先ず、入力ステップが実施される。入力ステップでは、術者が操作卓100を操作することにより、上述した検査情報の入力が行われる。検査情報の入力終了後、術者が操作卓100によって超音波診断の開始を指示すると、診断ステップが開始される。また、検索情報の入力が終了してから超音波診断の開始指示があるまでの間は、待機ステップが実施される。

0045

また、本実施形態では、入力ステップ後の各ステップを実施するにあたり、超音波診断装置10の動作モードが設定される。動作モードは、第一モード及び第二モードを含んでいる。第一モードは、通常の手順にて超音波診断を実施し、超音波診断の実施期間以外の期間(以下、非診断期間という)内において分極処理を行わない通常モードである。第二モードは、超音波診断を実施する一方で、非診断期間において後述の分極処理を実施する回復モードである。超音波診断装置10は、入力ステップ後、第一モード及び第二モードのいずれか一方のモードに従って動作することになる。

0046

<<超音波内視鏡12の構成>>
次に、超音波内視鏡12の構成について、既出の図1及び図2図4を参照しながら説明する。図2は、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部及びその周辺を拡大して示した平面図である。図3は、超音波内視鏡12の挿入部22の先端部40を図2に図示のI−I断面にて切断したときの断面を示す断面図である。

0047

超音波内視鏡12は、前述したように挿入部22及び操作部24を有する。挿入部22は、図1に示すように先端側(自由端側)から順に、先端部40、湾曲部42及び軟性部43を備える。先端部40には、図2に示すように超音波観察部36及び内視鏡観察部38が設けられている。超音波観察部36には、図3に示すように、複数の超音波振動子48を備える超音波振動子ユニット46が配置されている。

0048

また、図2に示すように先端部40には処置具導出口44が設けられている。処置具導出口44は、鉗子穿刺針、若しくは高周波メス等の処置具(不図示)の出口となる。また、処置具導出口44は、血液及び体内汚物等の吸引物吸引する際の吸引口にもなる。

0049

湾曲部42は、先端部40よりも基端側(超音波振動子ユニット46が設けられている側とは反対側)に連設された部分であり、湾曲自在である。軟性部43は、湾曲部42と操作部24との間を連結している部分であり、可撓性を有し、細長く延びた状態で設けられている。

0050

挿入部22及び操作部24の各々の内部には、送気送水用の管路及び吸引用の管路が、それぞれ複数形成されている。さらに、挿入部22及び操作部24の各々の内部には、一端が処置具導出口44に通じる処置具チャンネル45が形成されている。

0051

次に、超音波内視鏡12の構成要素のうち、超音波観察部36、内視鏡観察部38、送水タンク21a及び吸引ポンプ21b、並びに操作部24に関して詳しく説明する。

0052

(超音波観察部36)
超音波観察部36は、超音波画像を取得するために設けられた部分であり、挿入部22の先端部40において先端側に配置されている。超音波観察部36は、図3に示すように超音波振動子ユニット46と、複数の同軸ケーブル56と、FPC(Flexible PrintedCircuit)60とを備える。

0053

超音波振動子ユニット46は、超音波探触子プローブ)に相当し、患者の体腔内において、後述する複数の超音波振動子48が配列された超音波振動子アレイ50を用いて超音波を送信し、且つ、観察対象部位にて反射した超音波の反射波(エコー)を受信して受信信号を出力する。本実施形態に係る超音波振動子ユニット46は、コンベックス型であり、放射状(円弧状)に超音波を送信する。ただし、超音波振動子ユニット46の種類(型式)については特にこれに限定されるものではなく、超音波を送受信できるものであれば他の種類でもよく、例えば、セクタ型、リニア型及びラジアル型等であってもよい。

0054

超音波振動子ユニット46は、図3に示すようにバッキング材層54と、超音波振動子アレイ50と、音響整合層74と、音響レンズ76とを積層させることで構成されている。

0055

超音波振動子アレイ50は、一次元アレイ状に配列された複数の超音波振動子48(超音波トランスデューサ)からなる。より詳しく説明すると、超音波振動子アレイ50は、N個(例えばN=128)の超音波振動子48が先端部40の軸線方向(挿入部22の長手軸方向)に沿って凸湾曲状に等間隔で配列されることで構成されている。なお、超音波振動子アレイ50は、複数の超音波振動子48を二次元アレイ状に配置して構成されたものであってもよい。

0056

N個の超音波振動子48の各々は、圧電素子である単結晶振動子の両面に電極を配置することで構成されている。単結晶振動子としては、水晶ニオブ酸リチウムマグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、亜鉛ニオブ酸鉛(PZN)、インジウムニオブ酸鉛(PIN)、チタン酸鉛(PT)、マグネシウムニオブ酸鉛−チタン酸鉛(PMN−PT)、亜鉛ニオブ酸鉛−チタン酸鉛(PZN−PT)、タンタル酸リチウムランガサイト、及び酸化亜鉛のいずれかが用いられる。
電極は、複数の超音波振動子48の各々に対して個別に設けられた個別電極(不図示)と、複数の超音波振動子48に共通の振動子グランド(不図示)とからなる。また、電極は、同軸ケーブル56及びFPC60を介して超音波用プロセッサ装置14と電気的に接続される。

0057

なお、本実施形態に係る超音波振動子48は、患者の体腔内の超音波画像を取得する理由から、7MHz〜8MHzレベルの比較的高周波数で駆動(振動)する必要がある。そのために、超音波振動子48を構成する圧電素子の厚みは、比較的薄く設計されており、例えば、75〜125μmであり、好ましくは90〜110μmである。

0058

各超音波振動子48には、パルス状の駆動電圧である診断用駆動パルスが、入力信号(送信信号)として超音波用プロセッサ装置14から同軸ケーブル56を通じて供給される。この駆動電圧が超音波振動子48の電極に印加されると、圧電素子が伸縮して超音波振動子48が駆動(振動)する。この結果、超音波振動子48からパルス状の超音波が出力される。このとき、超音波振動子48から出力される超音波の振幅は、その超音波振動子48が超音波を出力した際の強度(出力強度)に応じた大きさとなっている。ここで、出力強度は、超音波振動子48から出力された超音波の音圧の大きさとして定義される。

0059

また、各超音波振動子48は、超音波の反射波(エコー)を受信すると、これに伴って振動(駆動)し、各超音波振動子48の圧電素子が電気信号を発生する。この電気信号は、超音波の受信信号として各超音波振動子48から超音波用プロセッサ装置14に向けて出力される。このとき、超音波振動子48から出力される電気信号の大きさ(電圧値)は、その超音波振動子48が超音波を受信した際の受信感度に応じた大きさとなっている。ここで、受信感度は、超音波振動子48が送信する超音波の振幅に対する、その超音波振動子48が超音波を受信して出力した電気信号の振幅の比として定義される。

0060

本実施形態では、N個の超音波振動子48をマルチプレクサ140(図4参照)などの電子スイッチで順次駆動させることで、超音波振動子アレイ50が配された曲面に沿った走査範囲、例えば曲面の曲率中心から数十mm程度の範囲で超音波が走査される。より詳しく説明すると、超音波画像としてBモード画像(断層画像)を取得する場合には、マルチプレクサ140の開口チャンネル選択により、N個の超音波振動子48のうち、連続して並ぶm個(例えば、m=N/2)の超音波振動子48(以下では、駆動対象振動子と言う)に駆動電圧が供給される。これにより、m個の駆動対象振動子が駆動され、開口チャンネルの各駆動対象振動子から超音波が出力される。m個の駆動対象振動子から出力された超音波は、直後に合成され、その合成波超音波ビーム)が観察対象部位に向けて送信される。その後、m個の駆動対象振動子の各々は、観察対象部位にて反射された超音波(エコー)を受信し、その時点での受信感度に応じた電気信号(受信信号)を出力する。

0061

そして、上記一連の工程(すなわち、駆動電圧の供給、超音波の送受信、及び電気信号の出力)は、N個の超音波振動子48における駆動対象振動子の位置を1つずつ(1個の超音波振動子48ずつ)ずらして繰り返し行われる。具体的に説明すると、上記一連の工程は、N個の超音波振動子48のうち、一方の端に位置する超音波振動子48を中心とする、その両側のm個の駆動対象振動子から開始される。そして、上記一連の工程は、マルチプレクサ140による開口チャンネルの切り替えによって駆動対象振動子の位置がずれる度に繰り返される。最終的に、上記一連の工程は、N個の超音波振動子48のうち、他端に位置する超音波振動子48を中心とする、その両側のm個の駆動対象振動子に至るまで、計N回繰り返して実施される。

0062

バッキング材層54は、超音波振動子アレイ50の各超音波振動子48を裏面側から支持する。また、バッキング材層54は、超音波振動子48から発せられた超音波、若しくは観察対象部位にて反射された超音波(エコー)のうち、バッキング材層54側に伝播した超音波を減衰させる機能を有する。なお、バッキング材は、硬質ゴム等の剛性を有する材料からなり、超音波減衰材フェライト及びセラミックス等)が必要に応じて添加されている。

0063

音響整合層74は、超音波振動子アレイ50の上に重ねられており、患者の人体と超音波振動子48との間の音響インピーダンス整合をとるために設けられている。音響整合層74が設けられていることにより、超音波の透過率を高めることが可能となる。音響整合層74の材料としては、音響インピーダンスの値が超音波振動子48の圧電素子に比して、より患者の人体のものの値に近い様々な有機材料を用いることができる。音響整合層74の材料としては、具体的にはエポキシ系樹脂シリコンゴムポリイミド及びポリエチレン等が挙げられる。

0064

音響整合層74上に重ねられた音響レンズ76は、超音波振動子アレイ50から発せられる超音波を観察対象部位に向けて収束させるためのものである。なお、音響レンズ76は、例えば、シリコン系樹脂ミラブル型シリコンゴム(HTゴム)、液状シリコンゴムRTVゴム)等)、ブタジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等からなり、必要に応じて酸化チタンアルミナ若しくはシリカ等の粉末が混合される。

0065

FPC60は、各超音波振動子48が備える電極と電気的に接続される。複数の同軸ケーブル56の各々は、その一端にてFPC60に配線されている。そして、超音波内視鏡12が超音波用コネクタ32aを介して超音波用プロセッサ装置14に接続されると、複数の同軸ケーブル56の各々は、その他端(FPC60側とは反対側)にて超音波用プロセッサ装置14と電気的に接続される。

0066

さらに、本実施形態において、超音波内視鏡12は、内視鏡側メモリ58(図4参照)を備えている。内視鏡側メモリ58には、超音波診断時に複数の超音波振動子48の駆動時間が記憶される。厳密には、内視鏡側メモリ58には、複数の超音波振動子48のうち、超音波診断装置10の動作モードが第一モードになってからの駆動対象振動子の累積駆動時間が記憶される。
なお、本実施形態では、超音波診断の実施期間中、つまり、超音波画像(動画像)の取得が開始されてから終了されるまでの期間(より詳しくは、ライブモードで超音波診断が実施された時間)を累積駆動時間としているが、これに限定されるものではなく、駆動対象振動子に駆動電圧を供給した時間を累積駆動時間としてもよい。

0067

超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14と接続された状態において、超音波用プロセッサ装置14のCPU152が内視鏡側メモリ58にアクセスし、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間を読み取ることが可能である。また、超音波用プロセッサ装置14のCPU152は、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間をデフォルト値書き換えたり、超音波診断の実施に伴って累積駆動時間が変化した場合には新たな累積駆動時間に更新したりする。

0068

(内視鏡観察部38)
内視鏡観察部38は、内視鏡画像を取得するために設けられた部分であり、挿入部22の先端部40において超音波観察部36よりも基端側に配置されている。内視鏡観察部38は、図2図3に示すように観察窓82、対物レンズ84、固体撮像素子86、照明窓88、洗浄ノズル90及び配線ケーブル92等によって構成されている。

0069

観察窓82は、挿入部22の先端部40において軸線方向(挿入部22の長手軸方向)に対して斜めに傾けられた状態で取り付けられている。観察窓82から入射されて観察対象隣接部位にて反射された光は、対物レンズ84で固体撮像素子86の撮像面に結像される。

0070

固体撮像素子86は、観察窓82及び対物レンズ84を透過して撮像面に結像された観察対象隣接部位の反射光光電変換して、撮像信号を出力する。固体撮像素子86としては、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、及びCMOS(Complementary MetalOxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)等が利用可能である。固体撮像素子86で出力された撮像画像信号は、挿入部22から操作部24まで延設された配線ケーブル92を経由して、ユニバーサルコード26により内視鏡用プロセッサ装置16に伝送される。

0071

照明窓88は、観察窓82の両脇位置に設けられている。照明窓88には、ライトガイド(不図示)の出射端が接続されている。ライトガイドは、挿入部22から操作部24まで延設され、その入射端は、ユニバーサルコード26を介して接続された光源装置18に接続されている。光源装置18で発せられた照明光は、ライトガイドを伝わり、照明窓88から観察対象隣接部位に向けて照射される。

0072

洗浄ノズル90は、観察窓82及び照明窓88の表面を洗浄するために挿入部22の先端部40に形成された噴出孔であり、洗浄ノズル90からは、空気又は洗浄用液体が観察窓82及び照明窓88に向けて噴出される。なお、本実施形態において、洗浄ノズル90から噴出される洗浄用液体は、水、特に脱気水である。ただし、洗浄用液体については、特に限定されるものではなく、他の液体、例えば、通常の水(脱気されていない水)であってもよい。

0073

(送水タンク21a及び吸引ポンプ21b)
送水タンク21aは、脱気水を貯留するタンクであり、送気送水用チューブ34aにより光源用コネクタ32cに接続されている。なお、脱気水は、洗浄ノズル90から噴出される洗浄用液体として用いられる。

0074

吸引ポンプ21bは、処置具導出口44を通じて体腔内の吸引物(洗浄用に供給された脱気水を含む)を吸引する。吸引ポンプ21bは、吸引用チューブ34bにより光源用コネクタ32cに接続されている。なお、超音波診断装置10は、所定の送気先に空気を送気する送気ポンプなどを備えていてもよい。

0075

挿入部22及び操作部24内には、処置具チャンネル45と送気送水管路(不図示)62が設けられている。

0076

処置具チャンネル45は、操作部24に設けられた処置具挿入口30と処置具導出口44との間を連絡している。また、処置具チャンネル45は、操作部24に設けられた吸引ボタン28bに接続している。吸引ボタン28bは、処置具チャンネル45のほかに、吸引ポンプ21bに接続されている。
送気送水管路62は、その一端側で洗浄ノズル90に通じており、他端側では、操作部24に設けられた送気送水ボタン28aに接続している。送気送水ボタン28aは、送気送水管路のほかに、送水タンク21aに接続されている。

0077

(操作部24)
操作部24は、超音波診断の開始時、診断中及び診断終了時等において術者によって操作される部分であり、その一端にはユニバーサルコード26の一端が接続されている。また、操作部24は、図1に示すように、送気送水ボタン28a、吸引ボタン28b、一対のアングルノブ29、並びに処置具挿入口(鉗子口)30を有する。

0078

一対のアングルノブ29の各々を回動すると、湾曲部42が遠隔的に操作されて湾曲変形する。この変形操作により、超音波観察部36及び内視鏡観察部38が設けられた挿入部22の先端部40を所望の方向に向けることが可能となる。
処置具挿入口30は、鉗子等の処置具(不図示)を挿通するために形成された孔であり、処置具チャンネル45を介して処置具導出口44と連絡している。処置具挿入口30に挿入された処置具は、処置具チャンネル45を通過した後に処置具導出口44から体腔内に導入される。

0079

送気送水ボタン28a及び吸引ボタン28bは、2段切り替え式の押しボタンであり、挿入部22及び操作部24の各々の内部に設けられた管路の開閉を切り替えるために操作される。

0080

<<超音波用プロセッサ装置14の構成>>
超音波用プロセッサ装置14は、超音波振動子ユニット46に超音波を送受信させ、且つ、超音波受信時に超音波振動子48(詳しくは駆動対象素子)が出力した受信信号を画像化して超音波画像を生成する。また、超音波用プロセッサ装置14は、生成した超音波画像をモニタ20に表示する。

0081

さらに、本実施形態において、超音波用プロセッサ装置14は、N個の超音波振動子48のうちの分極対象振動子に対して分極用電圧を供給して分極対象振動子を分極する。この分極処理を実行することにより、超音波診断の繰り返し実施によって脱分極した超音波振動子48を再度分極することができ、これにより、超音波振動子48の超音波に対する受信感度を良好なレベルまで回復させることが可能となる。

0082

超音波用プロセッサ装置14は、図4に示すように、マルチプレクサ140、受信回路142、送信回路144、A/Dコンバータ146、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)148、シネメモリ150、通知回路156、CPU(Central Processing Unit)152、及びDSC(Digital Scan Converter)154を有する。

0083

受信回路142及び送信回路144は、超音波内視鏡12の超音波振動子アレイ50と電気的に接続する。マルチプレクサ140は、N個の超音波振動子48の中から最大m個の駆動対象振動子を選択し、そのチャンネルを開口させる。
送信回路144は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、パルサー(パルス発生回路158)、及びSW(スイッチ)等からなり、MUX(マルチプレクサ140)に接続される。なお、FPGAの代わりにASIC(特定用途向け集積回路)を用いても良い。

0084

送信回路144は、超音波振動子ユニット46から超音波を送信するために、CPU152から送られてくる制御信号に従って、マルチプレクサ140により選択された駆動対象振動子に対して超音波送信用の駆動電圧を供給する回路である。駆動電圧は、パルス状の電圧信号(送信信号)であり、ユニバーサルコード26及び同軸ケーブル56を介して駆動対象振動子の電極に印加される。

0085

送信回路144は、制御信号に基づいて送信信号を生成するパルス発生回路158を有しており、CPU152の制御により、パルス発生回路158を用いて、複数の超音波振動子48を駆動して超音波を発生させる送信信号を生成して複数の超音波振動子48に供給する。

0086

また、送信回路144は、CPU152の制御により、超音波診断を行う場合に、パルス発生回路158を用いて、超音波診断を行うための駆動電圧を有する第1の送信信号(診断用駆動パルス)を生成する。また、CPU152の制御により、分極処理を行う場合に、第1の送信信号を生成する場合と同じパルス発生回路158を用いて、分極処理を行うための分極用電圧を有する第2の送信信号(分極用駆動パルス)を生成する。第1および第2の送信信号はパルス波である。

0087

なお、本発明においては、分極用駆動パルスは、超音波画像を取得するための診断用駆動パルスを生成する送信回路144のパルス発生回路158によって生成されるものである。即ち、送信回路144は、分極用駆動パルスを生成するための新たな回路構成を有していない既存の送信回路と同じ回路構成を持つものである。従って、分極処理時に超音波振動子48に印加される分極用駆動パルス(第2の送信信号)は、超音波画像の取得時に超音波振動子48に印加される診断用駆動パルス(第1の送信信号)を用いて生成されている。

0088

ここで、同じパルス発生回路158によって生成される第1の送信信号および第2の送信信号の電圧範囲は同じであるが、第1の送信信号の出力電圧(駆動電圧)と第2の送信信号の出力電圧(分極用電圧)は、出力電圧の調整可能な範囲内において異なる電圧値とすることが可能である。例えば、第1の送信信号および第2の送信信号の出力電圧を同じ電圧とすることもできるし、第2の送信信号の出力電圧を第1の送信信号の出力電圧よりも大きい電圧とすることもできる。

0089

但し、詳細は後述するが、分極用駆動パルス(メインローブ)は、診断用駆動パルスが有するプローブ周波数帯域とは異なる周波数帯域の駆動パルスである。より詳しくは、第1の送信信号(診断用駆動パルス)によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子48の受信信号と、第2の送信信号(分極用駆動パルス)によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子48の受信信号とは、異なる帯域特性を有するものであ。例えば、図11に示すように、第1の送信信号によって発生される第1の超音波の周波数帯域内における複数の超音波振動子48の受信信号の帯域特性と、第2の送信信号によって発生される第2の超音波のメインローブの周波数帯域内における複数の超音波振動子48の受信信号の帯域特性とは、−20dB以上のレベルにおいて重ならないものが好適に用いられる。

0090

以上から、本発明は、既存の送信回路構成を有し、超音波画像の取得と同じ駆動パルス出力用の送信回路144を用いて、診断用駆動パルスが有するプローブ周波数帯域と異なる周波数帯域の分極用駆動パルスを出力し、超音波画像を取得する時間とは異なる時間で超音波内視鏡12の超音波振動子48の分極処理を行うものである。

0091

分極用駆動パルスの分極用電圧の大きさ(電圧値、又は電位)、及びその供給時間は、超音波用プロセッサ装置14に接続されている超音波内視鏡12が有する超音波振動子48の仕様(詳しくは、超音波振動子48の厚み及び材質)に応じて、CPU152が、再分極の効果が得られる条件を満たす適切な値に設定することになっている。その後、CPU152は、上記の設定値に基づいて分極処理を行う。

0092

即ち、本発明においては、CPU(制御回路)152は、超音波画像の取得を行う場合には、超音波画像の取得のために超音波を発生させる複数の超音波振動子48にそれぞれ印加する診断用駆動パルス(第1の送信信号)を生成するように送信回路144(パルス発生回路158)を制御する。
一方、CPU(制御回路)152は、分極処理を行う場合には、複数の超音波振動子48の分極処理を行うために、超音波画像の取得のための超音波探触子(超音波振動子ユニット46)としてのプローブ周波数帯域と異なる周波数の分極用駆動パルス(第2の送信信号)を生成するように送信回路144(パルス発生回路158)を制御する。
その結果、本発明では、分極処理を行う場合には、分極用駆動パルスが複数の超音波振動子48に印加され、分極用駆動パルスによって複数の超音波振動子48の分極処理が行われる。

0093

続いて、受信回路142は、超音波(エコー)を受信した駆動対象振動子から出力される電気信号、すなわち受信信号を受信する回路である。また、受信回路142は、CPU152から送られてくる制御信号に従って、超音波振動子48から受信した受信信号を増幅し、増幅後の信号をA/Dコンバータ146に引き渡す。A/Dコンバータ146は、受信回路142と接続しており、受信回路142から受け取った受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をASIC148に出力する。

0094

ASIC148は、A/Dコンバータ146と接続しており、図4に示すように、位相整合部160、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164、CFモード画像生成部166及びメモリコントローラ151を構成している。
なお、本実施形態では、ASIC148のようなハードウェア回路によって上述の機能(具体的には、位相整合部160、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164、CFモード画像生成部166及びメモリコントローラ151)を実現しているが、これに限定されるものではない。中央演算装置(CPU)と各種データ処理を実行させるためのソフトウェアコンピュータプログラム)とを協働させることで上記の機能を実現させてもよい。

0095

位相整合部160は、A/Dコンバータ146によりデジタル信号化された受信信号(受信データ)に対して遅延時間を与えて整相加算する(受信データの位相を合わせてから加算する)処理を実行する。整相加算処理により、超音波エコーの焦点絞り込まれた音線信号が生成される。

0096

Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164及びCFモード画像生成部166は、超音波振動子ユニット46が超音波を受信した際に複数の超音波振動子48のうちの駆動対象振動子が出力する電気信号(厳密には、受信データを整相加算することで生成された音声信号)に基づいて、超音波画像を生成する。

0097

Bモード画像生成部162は、患者の内部(体腔内)の断層画像であるBモード画像を生成する画像生成部である。Bモード画像生成部162は、順次生成される音線信号に対し、STC(Sensitivity Time gain Control)によって、超音波の反射位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施す。また、Bモード画像生成部162は、補正後の音線信号に対して包絡線検波処理及びLog(対数圧縮処理を施して、Bモード画像(画像信号)を生成する。

0098

PWモード画像生成部164は、所定方向における血流の速度を表示する画像を生成する画像生成部である。PWモード画像生成部164は、位相整合部160によって順次生成される音線信号のうち、同一方向における複数の音線信号に対して高速フーリエ変換を施すことで周波数成分を抽出する。その後、PWモード画像生成部164は、抽出した周波数成分から血流の速度を算出し、算出した血流の速度を表示するPWモード画像(画像信号)を生成する。

0099

CFモード画像生成部166は、所定方向における血流の情報を表示する画像を生成する画像生成部である。CFモード画像生成部166は、位相整合部160によって順次生成される音線信号のうち、同一方向における複数の音線信号の自己相関を求めることで、血流に関する情報を示す画像信号を生成する。その後、CFモード画像生成部166は、上記の画像信号に基づき、Bモード画像生成部162によって生成されるBモード画像信号に血流に関する情報を重畳させたカラー画像としてのCFモード画像(画像信号)を生成する。

0100

メモリコントローラ151は、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164又はCFモード画像生成部166が生成した画像信号をシネメモリ150に格納する。

0101

DSC154は、ASIC148に接続されており、Bモード画像生成部162、PWモード画像生成部164又はCFモード画像生成部166が生成した画像の信号を通常のテレビジョン信号走査方式に従う画像信号に変換(ラスター変換)し、画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後にモニタ20に出力する。

0102

シネメモリ150は、1フレーム分又は数フレーム分の画像信号を蓄積するための容量を有する。ASIC148が生成した画像信号は、DSC154に出力される一方で、メモリコントローラ151によってシネメモリ150にも格納される。フリーズモード時には、メモリコントローラ151がシネメモリ150に格納された画像信号を読み出し、DSC154に出力する。これにより、モニタ20には、シネメモリ150から読み出された画像信号に基づく超音波画像(静止画像)が表示されるようになる。

0103

通知回路156は、CPU152に接続されており、第二モードにおいて、CPU152の制御により、後述する第3の表示モードの場合に、分極処理中であることをユーザに通知する。
通知方法は、特に限定されず、例えば分極処理中である旨のメッセージをモニタ20に表示してもよいし、音声で通知してもよいし、あるいは表示ランプ等によって分極処理中である旨を通知してもよい。

0104

CPU152は、超音波用プロセッサ装置14の各部を制御する制御部として機能し、受信回路142、送信回路144、A/Dコンバータ146、及びASIC148と接続しており、これらの機器を制御する。具体的に説明すると、CPU152は、操作卓100と接続しており、操作卓100にて入力された検査情報および制御パラメータ等に従って超音波用プロセッサ装置14各部を制御する。

0105

また、CPU152は、超音波内視鏡12が超音波用コネクタ32aを介して超音波用プロセッサ装置14に接続されると、PnP(Plug and Play)等の方式により超音波内視鏡12を自動認識する。その後、CPU152は、超音波内視鏡12の内視鏡側メモリ58にアクセスし、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間を読み取る。
さらに、CPU152は、超音波診断終了時に内視鏡側メモリ58にアクセスし、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間を、直前に実施していた超音波診断の所要時間の分だけ加算した値に更新する。

0106

なお、本実施形態では、超音波内視鏡12に累積駆動時間が記憶されることとしたが、これに限定されるものではなく、超音波用プロセッサ装置14側に累積駆動時間が超音波内視鏡12毎に記憶されていてもよい。

0107

また、CPU152は、超音波診断装置10の動作モードが第二モードである期間中、非診断期間を利用して送信回路144を制御して分極処理を行う。より詳しくは、CPU152は、駆動電圧が駆動対象振動子に対して供給される、超音波診断を行うための複数の超音波振動子48の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に、超音波診断の実施期間以外の期間、つまり、超音波診断を行うための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間内において、送信回路144(パルス発生回路158)を制御して複数の超音波振動子48に対して分極処理を行う。

0108

規定時間は、予め設定された時間であり、超音波用プロセッサ装置14側で記録されている。また、規定時間は、任意の時間であって、数時間のオーダでもよいし、数フレーム時間のオーダでもよい。なお、規定時間は、超音波内視鏡12毎に異なっていてもよく、あるいは、超音波内視鏡12間で共通した値であってもよい。また、規定時間としてデフォルト値の時間が設定されていてもよいし、術者が操作卓100を通じて任意の規定時間を変更することが可能な構成であってもよい。

0109

<<超音波診断装置10の動作例について>>
次に、超音波診断装置10の動作例として、超音波診断に関する一連の処理(以下、診断処理とも言う)の流れを、図5図8を参照しながら説明する。図5は、超音波診断装置10を用いた診断処理の流れを示す図である。図6は、第一モードにおける診断処理の流れを示す図であり、図7は、第二モードにおける診断処理の流れを示す図である。図8は、診断処理中の診断ステップの手順を示す図である。

0110

超音波内視鏡12が超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18に接続された状態で超音波診断装置10各部の電源投入されると、それをトリガとして診断処理が開始される。診断処理では、図5に示すように、先ず入力ステップが実施される(S001)。入力ステップでは、術者が操作卓100を通じて検査情報及び制御パラメータ等を入力する。入力ステップが完了すると、診断開始の指示があるまで、待機ステップが実施される(S002)。この待機ステップを利用して、超音波用プロセッサ装置14のCPU152が、超音波内視鏡12の内視鏡側メモリ58から累積駆動時間を読み取る(S003)。

0111

その後、CPU152は、読み取った累積駆動時間が規定時間以上であるかどうかを判定する(S004)。

0112

累積駆動時間が規定時間未満であると判定された場合(S004でNo)、CPU152は、超音波診断装置10の動作モードを第一モードに設定する(S005)。なお、本実施形態では、初期設定段階での動作モードが第一モードに設定されているものとする。

0113

動作モードが第一モードに設定された場合、図6に示す各ステップに従って、超音波診断を行う場合の通常のステップが実施される。具体的に説明すると、まず、術者からの診断開始指示があるか否かが判定される(S011)。術者からの診断開始指示がない場合(S011でNo)、ステップS011へ戻り、前述の動作が繰り返される。術者からの診断開始指示があると(S011でYes)、CPU152が超音波用プロセッサ装置14各部を制御して診断ステップを実施する(S012)。

0114

診断ステップは、図8に示す各ステップに従って実施される。つまり、指定された画像生成モードがBモードである場合には(S031でYes)、Bモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御する(S032)。また、指定された画像生成モードがBモードではなく(S031でNo)CFモードである場合には(S033でYes)、CFモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御する(S034)。さらに、指定された画像生成モードがCFモードではなく(S033でNo)PWモードである場合には(S035でYes)、PWモード画像を生成するように超音波用プロセッサ装置14各部を制御する(S036)。なお、指定された画像生成モードがPWモードではない場合には(S036でNo)、ステップS037へ進む。

0115

続いて、CPU152は、超音波診断が終了したか否かを判定する(S037)。超音波診断が終了していない場合(S037でNo)、ステップS031へ戻り、各画像生成モードによる超音波画像の生成は、診断終了条件成立するまで繰り返し実施される(S037)。診断終了条件としては、例えば、術者が操作卓100を通じて診断終了を指示すること等が挙げられる。

0116

一方、診断終了条件が成立すると(S037でYes)、CPU152は、それまで実施していた超音波診断の所要時間を、ステップS003で内視鏡側メモリ58から読み取った累積駆動時間に加算し、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間を加算後の累積駆動時間に更新する(S038)。診断ステップにおける上記一連の工程(S031〜S038)が終了した時点で診断ステップが終了する。

0117

続いて、図5に戻って、超音波診断装置10各部の電源がオフになったか否かを判定する(S007)。超音波診断装置10各部の電源がオフとなると(S007でYes)、診断処理が終了する。一方で、超音波診断装置10各部の電源がオン状態で維持される場合には(S007でNo)、ステップS001に戻り、上述した診断処理の各ステップを繰り返すことになる。

0118

一方、ステップS004において、内視鏡側メモリ58から読み取った累積駆動時間が規定時間以上であると判定した場合、つまり、第一モードにおいて、超音波診断を行うための複数の超音波振動子の累積駆動時間が規定時間以上となった場合に(S004でYes)、CPU152は、超音波診断装置10の動作モードを第一モードから第二モードに移行させる(S006)。動作モードが第二モードである間には、超音波診断を実施する一方で、前述したように、非診断期間に分極処理が実施される。つまり、本実施形態では、動作モードが第二モードであるときに限り、分極対象振動子に対して分極用電圧を供給することになっている。

0119

このような構成を採用している理由について、図9を参照しながら、以下に説明する。図9は、超音波振動子48の累積駆動時間及び分極処理の実施時間と、超音波振動子48の受信感度との関係を示す説明図である。なお、図中の記号Sは、診断ステップの実施期間を表しており、図中の記号Qは、待機ステップの実施期間を表しており、図中の記号Rは、分極処理の実施期間を表している。

0120

超音波振動子48は、初期の時点(例えば、工場出荷時点)では、所定のレベルまで分極されており、その分極度合いに応じた受信感度(以下、初期感度Pi)にて超音波を送受信することが可能である。一方、超音波振動子48が超音波診断を行うための超音波の送受信のために駆動されると、累積駆動時間が増加するにつれて脱分極が進行し、それに伴って受信感度も低下する。このような傾向は、超音波振動子48が単結晶振動子である場合に顕著となる。従って、超音波診断のための複数の超音波振動子48の累積駆動時間が規定時間以上となった場合にトリガを発生して分極処理を行う必要がある。

0121

ここで、超音波振動子(駆動対象振動子)48の累積駆動時間Taは、各回の超音波診断の所要時間(図9中のta1、ta2、…、tan)の合計時間として表されるが、累積駆動時間Taが規定時間を超えると、図9に示すように、超音波振動子48の受信感度が下限感度Plを下回るようになる。下限感度Plは、超音波画像の画質を維持する上で満たすべき感度の下限レベルに相当する。換言すると、上記の規定時間は、下限感度Plに対応した値に設定されることになる。

0122

なお、CPU152は、超音波振動子48の受信感度が下限感度Plを下回っているか否かを直接検出することができないため、累積駆動時間Taが前述の規定時間を超えた場合に、受信感度が下限感度Plを下回ったものと判定している。

0123

そこで、本実施形態では、累積駆動時間Taが規定時間以上となったとき、つまり、超音波振動子48の受信感度が下限感度Pl以下となったときに、動作モードを第一モードから第二モードに移行させ、第二モードにおいて分極処理を適宜実施することとした。これにより、脱分極した超音波振動子48を再分極し、超音波振動子48の受信感度を回復させることが可能となる。

0124

診断処理の説明に戻ると、動作モードが第二モードに設定された場合、図7に示す各ステップに従って超音波診断および分極処理が実施される。具体的に説明すると、術者からの診断開始指示があるか否かが判定される(S021)。術者からの診断開始指示があると(S021でYes)、CPU152が超音波用プロセッサ装置14各部を制御して診断ステップを実施する(S022)。その後、図5のステップS007へ戻って前述の動作が繰り返される。

0125

ステップS021において、術者からの診断開始指示がない場合(S021でNo)、続いて非診断期間であるか否かが判定される(S023)。非診断期間ではないと判定された場合(S023でNo)、ステップS021へ戻って前述の動作が繰り返される。

0126

ステップS023において、非診断期間であると判定されると(S023でYes)、CPU152は、非診断期間に分極処理を行う(S024)。具体的に説明すると、分極処理では、分極対象振動子に対して分極用電圧を一定時間供給する。なお、1回の分極処理では、N個の超音波振動子48すべてを分極対象振動子とする。より詳しく説明すると、1回の分極処理において、先ず、N個の超音波振動子48のうちの半分(m個)に対して分極用電圧を供給し、その後に、残り半分(m個)の超音波振動子48に対して分極用電圧を供給する。

0127

なお、本実施形態では、動作モードが第二モードである間、図9に示すように、非診断期間になる度に、分極処理が繰り返し実施される。

0128

分極処理の実施後、CPU152は、分極処理を行うための複数の超音波振動子48の累積処理時間Trから、超音波診断を行うための複数の超音波振動子48の累積駆動時間Taを減算した差(Tr−Ta)が閾値以上であるかどうかを判定する(S025)。

0129

累積処理時間Trは、各回の分極処理の所要時間(図9中のtr1、tr2、…、trn)の合計時間として表される。
閾値は、超音波振動子48の受信感度を初期感度Piに回復させる上で適切な値に設定されており、超音波用プロセッサ装置14側で記録されている。なお、閾値は、超音波内視鏡12毎に異なっていてもよく、あるいは、超音波内視鏡12間で共通した値であってもよい。また、閾値としてデフォルト値が設定されていてもよいし、術者が操作卓100を通じて閾値を変更することが可能な構成であってもよい。

0130

累積駆動時間(送信時間)Taから、超音波振動子48の受信感度がどのくらい低下するのかが分かるので、図9の例において、超音波振動子48の受信感度が下限感度Plを超えてどのくらいまで感度低下しているのかは、ta1+ta2から計算可能である。また、累積処理時間(回復時間)Trから、超音波振動子48の受信感度がどのくらい回復するかが分かる。
図9の例の場合、時間に応じた感度低下率と感度回復率とが同じであるとすれば、ta1+ta2+ta3+ta4=tr1+tr2+tr3となる。実際には、感度回復は短時間で可能であり、感度低下率よりも感度回復率の方が高いので、ta1+ta2+ta3+ta4=α(tr1+tr2+tr3)(α<1)となり、Ta+ta1+ta2=αTrという関係性が成り立つ。
例えば、上記の関係性に基づいて、閾値を決定することができる。あるいは、累積駆動時間Taと、累積駆動時間Taに応じて低下された超音波振動子48の受信感度を初期感度Piまで回復させるために必要な閾値との関係を表す対応テーブルをあらかじめ作成しておき、この対応テーブル用いて、累積駆動時間Taから閾値を算出して使用することができる。

0131

その結果、第二モードにおいて、累積処理時間Trから累積駆動時間Taを減算した差が閾値未満である場合には(S025でNo)、ステップS021へ戻って前述の動作が繰り返される。

0132

一方、累積処理時間Trから累積駆動時間Taを減算した差が閾値以上になると(S025でYes)、CPU152は、内視鏡側メモリ58にアクセスし、内視鏡側メモリ58に記憶された累積駆動時間Taをクリアして初期値(ゼロ)に書き換える(S026)。なお、この累積駆動時間TaをクリアするステップS026は、次のステップS027において動作モードを第二モードから第一モードに戻した後に行ってもよい。

0133

続いて、CPU152は、超音波診断装置10の動作モードを第二モードから第一モードに戻す(S027)。その後、図5のステップS007へ戻って前述の動作が繰り返される。つまり、本実施形態では、第二モードにおいて、累積処理時間Trから累積駆動時間Taを減算した差が閾値以上となった場合に、動作モードを第二モードから第一モードに移行させる。これは、この時点では、脱分極した超音波振動子48が既に十分に分極されると考えられるためである。

0134

このことについて、以下、図9を参照しながら具体的に説明する。動作モードが第二モードに移行すると、前述したように、非診断期間に分極処理が実施される。これにより、図9に示すように、各超音波振動子48の分極レベル及び受信感度が分極処理を行うための複数の超音波振動子48の累積処理時間Tr(図9中のtr1、tr2、tr3)に応じた分だけ回復する。一方、動作モードが第二モードである期間中においても、診断開始の指示があると超音波診断が実施される。このため、動作モードが第二モードである期間にも、各超音波診断の所要時間(図9中のta3、ta4)の分だけ、超音波診断を行うための複数の超音波振動子48の累積駆動時間Taが増加し、累積駆動時間Taの増加に伴って、各超音波振動子48の分極レベル及び受信感度が低下することになる。

0135

このように動作モードが第二モードである間には、図9に示すように、分極処理による超音波振動子48の分極と、超音波診断による超音波振動子48の脱分極とが併存する。そして、分極処理及び超音波診断が繰り返し実施されると、やがて、動作モードが第二モードである期間において、累積処理時間Tr(=tr1+tr2+tr3)が、累積駆動時間Ta(=ta3+ta4)よりも大きくなり、最終的には、累積処理時間Trから累積駆動時間Taを減算した差(Tr−Ta)が閾値以上となる。この時点では、図9から明らかなように、各超音波振動子48が、その受信感度が初期感度Piとなるレベルまで分極されている。かかる状態になれば、もはや分極処理を実施する必要がなくなるので、本実施形態では、上記の条件が成立することを契機として動作モードを第二モードから第一モードに戻すこととしている。

0136

次に、非診断期間について具体例を挙げて説明する。

0137

例えば、CPU152は、超音波画像(動画像)の1フレームの画像(静止画像)をモニタ20に表示するフリーズモードの場合に分極処理を行うことができる。フリーズモードの場合は、超音波画像の取得は行われておらず、超音波診断の実施期間以外の期間、つまり、超音波診断ための超音波の送信および反射波の受信が行われていない非診断期間であるため、好適に分極処理を行うことができる。

0138

また、CPU152は、超音波診断装置の制御パラメータを設定するための画面、超音波診断を行う患者の情報(患者の名前およびID等)を入力する画面、超音波診断を行う部位を指定する画面等がモニタ20に表示された場合に分極処理を行うことができる。これらの画面が表示された場合、ユーザは該当するデータを入力しており、同様に非診断期間であるため、好適に分極処理を行うことができる。

0139

また、CPU152は、過去に生成(取得)され、シネメモリ150に記憶された超音波画像を読み出して表示する画面がモニタ20に表示された場合に分極処理を行うことができる。過去に生成された超音波画像を表示する画面が表示された場合、ユーザは過去に生成された超音波画像を閲覧しており、同様に非診断期間であるため、好適に分極処理を行うことができる。

0140

超音波診断装置10は、超音波画像および内視鏡画像を取得し、これらの超音波画像および内視鏡画像を様々な表示モードによってモニタ20に表示させることができる。
図10に示すように、表示モードには、超音波画像のみを表示する第1の表示モード、ピクチャ・イン・ピクチャ(PinP)により、超音波画像を内視鏡画像よりも大きく表示する第2の表示モード、同じくPinPにより、超音波画像を内視鏡画像よりも小さく表示する第3の表示モード、および内視鏡画像のみを表示する第4の表示モードがある。ユーザの指示により、第1〜第4の表示モードを任意に切り替えて表示させることができる。

0141

CPU152は、第4の表示モードの場合、つまり、内視鏡画像のみがモニタ20に表示された場合に分極処理を行うことができる。第4の表示モードの場合、超音波画像は取得されていないため、同様に非診断期間であり、好適に分極処理を行うことができる。

0142

また、CPU152は、第3の表示モードの場合に、つまり、ピクチャ・イン・ピクチャにより、超音波画像が内視鏡画像よりも小さくモニタ20に表示された場合に分極処理を行うことができる。第3の表示モードの場合、実際には超音波診断の実施期間中であり、非診断期間ではないが、超音波画像が内視鏡画像よりも小さく表示されるため、画質に拘らず好適に分極処理を行うことができる。
この場合、CPU152は、分極処理中であることをユーザに通知するように通知回路156を制御する。これに応じて、通知回路156により、分極処理中であることがユーザに通知される。つまり、ユーザは、第3の表示モードの場合に、分極処理中であることを知ることができる。その後、CPU152は、フリーズモードに設定して、つまり、強制的に非診断期間に設定して分極処理を行う。

0143

なお、非診断期間について具体例を挙げて説明したが、上記各具体例以外であっても、任意の非診断期間において分極処理を行ってもよい。

0144

次に、本発明において送信回路144から超音波振動子48に送信される第2の送信信号の分極用駆動パルス(分極用送信波)の駆動波形(送信波形)、及びパルス波形について説明する。

0145

図11A、及び図11Bは、図4に示す送信回路から送信される分極用駆動パルスの駆動波形の一例のグラフ、及びその駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。図11Aに示す駆動波形は、周波数1.25MHzのユニポーラの1つの波の波形である。
本発明においては、分極用駆動パルスの駆動波形は、特に制限的では無いが、図11Aに示すユニポーラの波形を持ち、図11B実線で示す周波数特性を持つ駆動波形を有する分極用駆動パルスを用いて超音波振動子48の分極処理を行うことが好ましい。図11Bに示す例では、例えば、−20dB以上のレベルの感度において、超音波画像を取得するためのプローブ周波数帯域は、破線で示すように、約2.7MHz〜約11.7MHzであるのに対し、実線で示す分極用駆動パルスの駆動波形のメインローブの帯域は、約2.3MHz以下である。即ち、分極用駆動パルスの周波数の帯域特性と、診断用駆動パルスの周波数の帯域特性とは、−20dB以上のレベルの感度において重ならない。

0146

即ち、本発明では、図11Bに示すように、分極用駆動パルスの駆動波形においては、メインローブの周波数帯域と、破線で示すプローブ周波数帯域とは、感度−20dB以上のレベルが重ならないことが好ましい。また、メインローブの周波数帯域は、感度−20dB以上のレベルにおいて、プローブ周波数帯域より低周波であることが好ましい。この理由は、分極処理において、余分な超音波出力を防いで、超音波画像への影響等を減らし、温度上昇を防いで、温度上昇による被検体の体腔への影響等を減らす必要があるからである。特に、被検体の体腔内に挿入する超音波内視鏡12の先端部分の上限温度は、体腔等に影響を与えないように厳しく制限されており、温度上昇を防ぐ必要がある。

0147

本発明においては、分極用駆動パルス(メインローブ)をプローブ周波数帯域外で送信するので、超音波振動子48への投入エネルギーが小さくなり、温度上昇は抑えられる。また、プローブ周波数帯域外は、超音波振動子48が共振する共振帯域外であるので、分極用駆動パルス(メインローブ)を超音波振動子48に印加しても、出力音圧も小さくなる。

0148

図11Bに示す分極用駆動パルスの駆動波形においては、メインローブの他に、プローブ周波数帯域内において、メインローブに付随して、同じく実線で示す1つ以上、図11Bに示す例では4つのサイドローブが生じていることが分かる。プローブ周波数帯域内のこれらのサイドローブの最大感度は、図11Bに示すように、全て−10dB以下であることが好ましく、これらのサイドローブの感度の平均は、−20dB以下であることが好ましい。この理由は、以下の通りである。
一般的に、プローブの周波数特性の仕様は、送受信感度の-20dBの帯域で表現される。これは、感度のピークから1/10以下の信号はほとんど画像に影響しない点から決められているからである。一方、送信波の帯域についてはプローブと異なり、送信部分のみであるため、20dB/2=10dBのレベルが閾値となる。そのため、送信成分として考えると−10dBの方がより好ましいからである。

0149

また、本発明においては、分極用駆動パルスの駆動波形は、特に制限的では無く、図12Aに示すバイポーラの波形であっても良いが、図11Aに示すように、ユニポーラの波形であることが好ましい。この理由は、図12Bに示す駆動波形の周波数特性のように、メインローブの感度は、実線で示すユニポーラの波形でも、1点鎖線で示すバイポーラの波形でも変わらないが、4つのサイドローブの感度は、いずれも、ユニポーラの波形の方が、バイポーラの波形より低いからである。
このため、送信波形を図11Aに示すようなユニポーラの波形にすることにより、メインローブだけでなく、高調波成分が抑えられ、より高い効果が期待できる。

0150

また、図13Aに示すように、分極用駆動パルスとして、ユニポーラの波形で複数、図13Aに示す例では2つのパルス波の送信を行っても良い。図13Aに示す分極用駆動パルスは、図11Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形を2つのパルス波を含む駆動波形を持つ。図13Aに示す分極用駆動パルスの駆動波形の周波数特性を図13Bに示す。図13Bに示す駆動波形の周波数特性は、図11Bに示す駆動波形の周波数特性と、メインローブの波形が異なるが、サイドローブの波形は、あまり大きな変化がない。
また、図13Cに示すように、分極用駆動パルスの駆動波形をユニポーラの波形で波形間に最小クロック数分の時間を開けた複数のパルス波形を繋いだ分極用駆動パルスの送信を行うことが好ましい。即ち、本発明では、送信回路144は、分極用駆動パルスとして、複数のユニポーラの波形を、この波形の間隔を超音波用プロセッサ装置14において規定される最小クロック数の時間空けて出力することが好ましい。
この理由は、分極処理には直流電圧を印加することが最適であるが、本発明のように、既存の送信回路構成を有する送信回路144を用いる場合には直流電圧の送信ができないからである。

0151

なお、超音波診断装置10に用いられている超音波用プロセッサ装置14の送信回路144のパルサー(パルス発生回路158)の種類によって、最小、及び最大の時間幅が決まっている。このため、最小の時間幅として、送信回路144において規定される最小クロック数の時間を用い、複数のユニポーラの波形の間に最小の時間幅を挟み、直流電圧に近い分極処理波形とすることで高い再分極効果が期待できる。なお、2つユニポーラのパルス波形の最小時間幅、即ち最強パルス幅は、送信回路144のパルサー(パルス発生回路158)の仕様によって決まっている。この仕様を守るような制御を送信回路144内の上述したFPGAから出している。
また、図13Dに2点鎖線で示すように、分極用駆動パルスの駆動波形として、図13Cに示す複数のユニポーラの波形を組み合わせて用いることにより、図13Dに実線で示す1つのユニポーラの波形をからなる分極用駆動パルスの駆動波形よりも、サイドローブの最大感度を低下させることができる。
これらに対し、図14A、及び図14Bは、図4に示す送信回路から送信される診断用駆動パルスの駆動波形の一例のグラフ、及びその駆動波形の感度と周波数の関係を示すグラフである。図14Aに示す駆動波形は、中心周波数6MHzのバイポーラの1つの波の波形である。診断用駆動パルスの駆動波形の周波数特性を図14Bに示す。

0152

<<本発明の超音波診断装置10の有効性について>>
超音波診断装置10は、既存の送信回路144、より詳しくはパルス発生回路158を用いて分極処理を行う。超音波診断装置10において、分極処理を行う場合の第2の送信信号はパルス波であり、パルス発生回路158は直流波形を出力する必要はないので、既存の回路を大幅に変更することなく、従ってコストアップを招くことなく分極処理を行うことができる。
また、非診断期間内において分極処理を行うため、フレームレートは低下しない。そのため、超音波画像の画質を低下させることなく、複数の超音波振動子48の受信感度を常に良好に保つことができ、従って常に高画質な超音波画像を取得することができる。

0153

なお、超音波振動子48の総数および開口チャンネル数は、任意の個数に変更してもよい。例えば、開口チャンネル数が超音波振動子48の総数と同じ場合、2回に分けて分極処理を行う代わりに、128個の超音波振動子48を同時に分極処理することもできる。あるいは、開口チャンネル数が超音波振動子48の総数の4分の1である場合、4回に分けて、それぞれ、32個の超音波振動子48を同時に分極処理することもできる。また、上記各実施例の特徴を組み合わせて実施してもよい。

0154

以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および変更をしてもよいのはもちろんである。

0155

10超音波診断装置
12超音波内視鏡
14超音波用プロセッサ装置
16内視鏡用プロセッサ装置
18光源装置
20モニタ
21a送水タンク
21b吸引ポンプ
22 挿入部
24 操作部
26ユニバーサルコード
28a 送気送水ボタン
28b吸引ボタン
29アングルノブ
30処置具挿入口
32a超音波用コネクタ
32b内視鏡用コネクタ
32c光源用コネクタ
34a 送気送水用チューブ
34b吸引用チューブ
36超音波観察部
38内視鏡観察部
40 先端部
42湾曲部
43 軟性部
44処置具導出口
45処置具チャンネル
46超音波振動子ユニット
48超音波振動子
50超音波振動子アレイ
54バッキング材層
56同軸ケーブル
58内視鏡側メモリ
60FPC
74音響整合層
76音響レンズ
82観察窓
84対物レンズ
86固体撮像素子
88照明窓
90洗浄ノズル
92配線ケーブル
100操作卓
140マルチプレクサ
142受信回路
144送信回路
146 A/Dコンバータ
148ASIC
150シネメモリ
151メモリコントローラ
152 CPU
154DSC
156通知回路
158パルス発生回路
160位相整合部
162Bモード画像生成部
164PWモード画像生成部
166CFモード画像生成部

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