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技術 SLIT−ROBOシステムを利用した筋減少症の予防または治療用組成物

出願人 デウンファーマシューティカルカンパニーリミテッド
発明者 コ、ジュンミン
出願日 2017年6月8日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2018-564253
公開日 2019年10月17日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-529334
状態 未査定
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析 化合物または医薬の治療活性 食品の着色及び栄養改善 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質 酵素、微生物を含む測定、試験 突然変異または遺伝子工学 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 実験水準 排出比率 社会的費用 瞬発力 生体高分子化合物 生体水 筋肉減少 筋肉退化
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、SLIT−ROBOシステムを利用した筋減少症の予防または治療用組成物に関することで、より詳細には、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2、およびこれらの断片から選ばれた遺伝子またはその発現タンパク質を有効成分として含有する筋肉疾患の予防および治療用、または筋機能改善用組成物に関する。

概要

背景

Slitタンパク質は、神経系の発生過程の間にニューロンエキソンの移動を調節するものとしてよく知られているタンパク質である。Slitタンパク質は、Robo受容体と作用して生理学的活性を調節することができ、心臓腎臓乳房組織など多様な組織において多様な細胞過程を調節する因子として役割をするものと知られており、最近、細胞の生長、付着能および移動能の調節に重要な役割をすることが報告されて、細胞の分化過程での移動および癌の発生と転移過程にSlitタンパク質が関与できることが報告されたことがある。具体的に、脊椎動物胚芽発達段階でSlitタンパク質およびRoboタンパク質が発現し、Slit3、Robo1およびRobo2タンパク質の発現が筋肉組織で増加することが報告されたことがある(Neil Vargesson et.al.,Mechanisms of development 106.1(2001):175−180)。この報告によれば、Slit3タンパク質は、胚芽の後足の筋肉組織の筋芽細胞で発現が増加するが、移動能(migration)に関与するだけであり、筋芽細胞の分化には関連しないものと言及している。

ヒトRoboタンパク質は、Robo1、Robo2、Robo3およびRobo4の四つの形態で存在する。SlitとRoboは、どのような亜型が互いに結合するかによって多様な役割をすることができるものと報告されたが、発現細胞によって役割が変わることができ、まだ活発に研究されている。これと関連して、韓国登録特許第10−1617497号には、Slt3タンパク質がRobo1またはRobo2と相互作用して活性を示し、これにより、造骨細胞の分化を誘導することができ、骨形成を増加させることができることが記載されている。

減少症は、骨格筋の量および機能が低下した状態をいう。筋減少症は、老化ホルモン異常、栄養不足身体活動不足、炎症および退行性疾患など多様な原因により発生するが、それらのうち、老化および性ホルモンの不足が主な原因となり得ると知られており、医療技術発展および多様な治療剤の開発によって全世界的に平均寿命が増加するに伴って、高齢化人口が増加しており、これに伴い、筋減少症に対する治療の要求も持続的に増加するものと予想されている。

筋減少症患者において、筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞募集、活性または増殖の障害による筋芽細胞(myoblast)の個数が減少し、筋芽細胞の増殖および分化が減少し、これに伴い、筋減少症患者の筋肉は、組織学的な水準筋線維の大きさおよび数が減少して、筋機能が減少する症状が現れる。

過去10余年間米国およびヨーロッパを中心に筋減少症の力学に対する研究が活発に行われて、最近、筋減少症の臨床的重要性に対する関心が急増している。初期の研究では、筋減少症が全身衰弱、活動障害および筋力減少によって人生の質の低下を誘発するという結果が主流をなしたが、最近に発表される研究では、人生の質以外にも、骨粗しょう症性の骨折危険が顕著に増加できることが報告された。また、筋減少症患者において糖尿病および代謝症候群肥満慢性腎不全慢性肝不全などの慢性疾患が誘発され、究極的には、死亡率も増加させるので、筋減少症は、適切に治療を受けなければならない疾患として関心が集中している。

最近、米国では、筋減少症患者において身体障害が発生する可能性が約1.5倍〜約3.5倍が増加することにより、年間185億USDの社会的費用を誘発すると報告されたことがある。韓国では、国民健康栄養調査によれば、筋減少症の有病率は、60以上男性の42.0%と女性の42.7%と非常にありふれている疾患であり、特に韓国は、全世界でも高齢化の速度が最も高いので、今後重要な社会的問題になることが確実である。

現在、筋減少症には、運動、タンパク質およびカロリー補充が役に立つと知られているが、筋減少症患者の大部分を占める老人にとっては、大きく役に立たないため、筋減少症の治療剤が切実に必要である。しかしながら、現在筋減少症に使用される治療剤は、筋肉減少の改善および筋肉量増進に直接的な効果を示す薬物はまだ臨床実験水準の段階にあり、現在、最終的にFDA承認を受けた薬剤はないのが現況である。それ故に、筋減少症の治療のために、一部選択的アンドロゲン受容体モジュレーターアクチビン受容体アンタゴニスト、速骨格筋トロポニンインヒビターなどを筋減少症の治療剤として開発しようとする努力はあるが、現在初期臨床を試みる水準である。

筋減少症の治療剤の動向に対するレポートによれば、2010年に全世界的な筋減少症の治療剤の市場は、約1000万ドル(US)であり、2018年2000万ドル(US)規模成長すると予測されると報告された(“Sarcopenia Therapeutics−Pipeline Assessment and Market Forecasts to 2018”,2011.11.17)。また、2013年にEU傘下の民間保管協力体であるInnovative Meticines Initiativeでは、4大保健研究主題の一つとして老人筋減少症の治療剤の開発に約5千万ユーロを投資することに発表して進行中にある。

これより、本発明者らは、筋減少症に対して直接的に治療効果を示すことができる治療剤を開発するために努力した結果、Slitタンパク質が欠乏したマウスで筋肉量が減少し、Slitタンパク質がRobo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニン遊離(release)してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進し得ることを確認した。また、特にSlitタンパク質全長だけでなく、その活性断片であるLRRD2タンパク質を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができるので、Slitタンパク質、Roboタンパク質、これらの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および治療用改善用組成物の有効成分として使用することができることを確認することにより、本発明を完成した。

概要

本発明は、SLIT−ROBOシステムを利用した筋減少症の予防または治療用組成物に関することで、より詳細には、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2、およびこれらの断片から選ばれた遺伝子またはその発現タンパク質を有効成分として含有する筋肉疾患の予防および治療用、または筋機能改善用組成物に関する。

目的

本発明の目的は、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物

請求項2

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項3

前記Slit3タンパク質は、配列番号5の塩基配列から構成されるslit3遺伝子から発現されることを特徴とする請求項2に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項4

前記Robo1タンパク質は、配列番号6の塩基配列から構成されるrobo1遺伝子から発現されることを特徴とする請求項2に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項5

前記Robo2タンパク質は、配列番号7の塩基配列から構成されるrobo2遺伝子から発現されることを特徴とする請求項2に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項6

前記LRRD2タンパク質は、配列番号8の塩基配列から構成される遺伝子から発現されることを特徴とする請求項2に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項7

Slitおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤(activator)を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項8

Roboおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項9

前記筋肉疾患は、筋機能低下筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患であることを特徴とする請求項1、2、7または8に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項10

前記筋肉疾患は、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscularatrophy)、筋ジストロフィー(musculardystrophy)、筋無力症悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載の筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物。

請求項11

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品

請求項12

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項13

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋機能改善用化粧料組成物

請求項14

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋機能改善用化粧料組成物:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項15

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋機能改善用飼料添加物

請求項16

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋機能改善用飼料添加物:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項17

i)実験群である被検体由来試料で配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質の発現水準を測定する段階と;ii)前記段階i)で測定したSlit3タンパク質の発現水準を対照群である正常個体由来試料のSlit3タンパク質発現水準と比較する段階と;iii)前記段階ii)で比較した実験群のSlit3タンパク質発現水準が対照群に比べて減少する場合、実験群を筋肉疾患と判断する段階と;を含む、筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法

請求項18

前記筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患であることを特徴とする請求項17に記載の筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法。

請求項19

前記筋肉疾患は、無緊張症、筋萎縮症、筋ジストロフィー、筋無力症、悪液質および筋肉減弱症よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項18に記載の筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法。

請求項20

i)被検化合物または組成物を、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質、配列番号2のアミノ酸配列から構成されるRobo1タンパク質および配列番号3のアミノ酸配列から構成されるRobo2タンパク質よりなる群から選ばれたいずれか一つ以上を発現する細胞株に処理する段階と;ii)前記段階i)の処理した細胞株で前記Slit3タンパク質の発現程度または前記Robo1タンパク質またはRobo2タンパク質の活性を測定する段階と;iii)前記段階ii)の前記Slit3タンパク質の発現程度、またはRobo1タンパク質または前記Robo2タンパク質の活性が被検化合物または組成物を処理しない対照群細胞株と比較して増加した被検化合物または組成物を選別する段階と;を含む、筋肉疾患治療剤スクリーニング方法

請求項21

前記筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患であることを特徴とする請求項20に記載の筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法。

請求項22

前記筋肉疾患は、無緊張症、筋萎縮症、筋ジストロフィー、筋無力症、悪液質および筋肉減弱症よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることを特徴とする請求項21に記載の筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法。

請求項23

必要な個体にSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法

請求項24

必要な個体に下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2ドメイン

請求項25

必要な個体にSlitおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法。

請求項26

必要な個体にRoboおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法。

請求項27

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途。

請求項28

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2ドメイン。

請求項29

Slitおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途。

請求項30

Roboおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途。

請求項31

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品に使用するための用途。

請求項32

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品に使用するための用途:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項33

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋機能改善用化粧料組成物に使用するための用途。

請求項34

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋機能改善用化粧料組成物に使用するための用途:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

請求項35

Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋機能改善用飼料添加物に使用するための用途。

請求項36

下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋機能改善用飼料添加物に使用するための用途:配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

技術分野

0001

本出願は、2016年06月08日付けで出願された韓国特許出願第10−2016−0071252号および2017年01月31日付けで出願された韓国特許出願第10−2017−0013799号を優先権として主張し、前記明細書の全体は、本出願の参考文献である。

0002

本発明は、SLIT−ROBOシステムを利用した筋減少症の予防または治療用組成物に関し、より詳細には、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2、およびこれらの断片から選ばれた遺伝子またはその発現タンパク質;および/またはその活性化剤を有効成分として含有する筋肉疾患の予防および治療用、または筋機能改善用組成物に関する。

背景技術

0003

Slitタンパク質は、神経系の発生過程の間にニューロンエキソンの移動を調節するものとしてよく知られているタンパク質である。Slitタンパク質は、Robo受容体と作用して生理学的活性を調節することができ、心臓腎臓乳房組織など多様な組織において多様な細胞過程を調節する因子として役割をするものと知られており、最近、細胞の生長、付着能および移動能の調節に重要な役割をすることが報告されて、細胞の分化過程での移動および癌の発生と転移過程にSlitタンパク質が関与できることが報告されたことがある。具体的に、脊椎動物胚芽発達段階でSlitタンパク質およびRoboタンパク質が発現し、Slit3、Robo1およびRobo2タンパク質の発現が筋肉組織で増加することが報告されたことがある(Neil Vargesson et.al.,Mechanisms of development 106.1(2001):175−180)。この報告によれば、Slit3タンパク質は、胚芽の後足の筋肉組織の筋芽細胞で発現が増加するが、移動能(migration)に関与するだけであり、筋芽細胞の分化には関連しないものと言及している。

0004

ヒトRoboタンパク質は、Robo1、Robo2、Robo3およびRobo4の四つの形態で存在する。SlitとRoboは、どのような亜型が互いに結合するかによって多様な役割をすることができるものと報告されたが、発現細胞によって役割が変わることができ、まだ活発に研究されている。これと関連して、韓国登録特許第10−1617497号には、Slt3タンパク質がRobo1またはRobo2と相互作用して活性を示し、これにより、造骨細胞の分化を誘導することができ、骨形成を増加させることができることが記載されている。

0005

筋減少症は、骨格筋の量および機能が低下した状態をいう。筋減少症は、老化ホルモン異常、栄養不足身体活動不足、炎症および退行性疾患など多様な原因により発生するが、それらのうち、老化および性ホルモンの不足が主な原因となり得ると知られており、医療技術発展および多様な治療剤の開発によって全世界的に平均寿命が増加するに伴って、高齢化人口が増加しており、これに伴い、筋減少症に対する治療の要求も持続的に増加するものと予想されている。

0006

筋減少症患者において、筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞募集、活性または増殖の障害による筋芽細胞(myoblast)の個数が減少し、筋芽細胞の増殖および分化が減少し、これに伴い、筋減少症患者の筋肉は、組織学的な水準筋線維の大きさおよび数が減少して、筋機能が減少する症状が現れる。

0007

過去10余年間米国およびヨーロッパを中心に筋減少症の力学に対する研究が活発に行われて、最近、筋減少症の臨床的重要性に対する関心が急増している。初期の研究では、筋減少症が全身衰弱、活動障害および筋力減少によって人生の質の低下を誘発するという結果が主流をなしたが、最近に発表される研究では、人生の質以外にも、骨粗しょう症性の骨折危険が顕著に増加できることが報告された。また、筋減少症患者において糖尿病および代謝症候群肥満慢性腎不全慢性肝不全などの慢性疾患が誘発され、究極的には、死亡率も増加させるので、筋減少症は、適切に治療を受けなければならない疾患として関心が集中している。

0008

最近、米国では、筋減少症患者において身体障害が発生する可能性が約1.5倍〜約3.5倍が増加することにより、年間185億USDの社会的費用を誘発すると報告されたことがある。韓国では、国民健康栄養調査によれば、筋減少症の有病率は、60以上男性の42.0%と女性の42.7%と非常にありふれている疾患であり、特に韓国は、全世界でも高齢化の速度が最も高いので、今後重要な社会的問題になることが確実である。

0009

現在、筋減少症には、運動、タンパク質およびカロリー補充が役に立つと知られているが、筋減少症患者の大部分を占める老人にとっては、大きく役に立たないため、筋減少症の治療剤が切実に必要である。しかしながら、現在筋減少症に使用される治療剤は、筋肉減少の改善および筋肉量増進に直接的な効果を示す薬物はまだ臨床実験水準の段階にあり、現在、最終的にFDA承認を受けた薬剤はないのが現況である。それ故に、筋減少症の治療のために、一部選択的アンドロゲン受容体モジュレーターアクチビン受容体アンタゴニスト、速骨格筋トロポニンインヒビターなどを筋減少症の治療剤として開発しようとする努力はあるが、現在初期臨床を試みる水準である。

0010

筋減少症の治療剤の動向に対するレポートによれば、2010年に全世界的な筋減少症の治療剤の市場は、約1000万ドル(US)であり、2018年2000万ドル(US)規模成長すると予測されると報告された(“Sarcopenia Therapeutics−Pipeline Assessment and Market Forecasts to 2018”,2011.11.17)。また、2013年にEU傘下の民間保管協力体であるInnovative Meticines Initiativeでは、4大保健研究主題の一つとして老人筋減少症の治療剤の開発に約5千万ユーロを投資することに発表して進行中にある。

0011

これより、本発明者らは、筋減少症に対して直接的に治療効果を示すことができる治療剤を開発するために努力した結果、Slitタンパク質が欠乏したマウスで筋肉量が減少し、Slitタンパク質がRobo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニン遊離(release)してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進し得ることを確認した。また、特にSlitタンパク質全長だけでなく、その活性断片であるLRRD2タンパク質を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができるので、Slitタンパク質、Roboタンパク質、これらの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および治療用/改善用組成物の有効成分として使用することができることを確認することにより、本発明を完成した。

先行技術

0012

KR10−1617497B1

発明が解決しようとする課題

0013

このように、本発明者らは、Slitタンパク質がRobo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができることを確認した。また、Slitタンパク質全長だけでなく、特にその活性断片を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができることを確認することにより、本発明を完成した。

0014

したがって、本発明の目的は、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物を提供することにある。

0015

本発明の他の目的は、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品、または飼料添加物を提供することにある。

0016

本発明のさらに他の目的は、筋機能改善用化粧料組成物を提供することにある。

0017

本発明のさらに他の目的は、筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法を提供することにある。

0018

本発明のさらに他の目的は、筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0019

前記目的を達成するために、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはその活性化剤(activator)を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物を提供する。

0020

本発明の好ましい一実施例では、下記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物を提供する:
配列番号1のアミノ酸から構成されるSlit3タンパク質;
配列番号2のアミノ酸から構成されるRobo1タンパク質;
配列番号3のアミノ酸から構成されるRobo2タンパク質;および
配列番号4のアミノ酸から構成されるLRRD2タンパク質。

0021

また、本発明は、必要な個体にSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法を提供する。

0022

また、本発明は、必要な個体に前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法を提供する。

0023

また、本発明は、必要な個体にSlitおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法を提供する。

0024

また、本発明は、必要な個体にRoboおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を投与する段階を含む、筋肉疾患の治療方法を提供する。

0025

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途を提供する。

0026

また、本発明は、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途を提供する。

0027

また、本発明は、Slitおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途を提供する。

0028

また、本発明は、Roboおよびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子の活性化剤を筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物に使用するための用途を提供する。

0029

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品を提供する。

0030

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品に使用するための用途を提供する。

0031

また、本発明は、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品に使用するための用途を提供する。

0032

本発明の好ましい一実施例では、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品を提供する。

0033

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋機能改善用化粧料組成物を提供する。

0034

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋機能改善用化粧料組成物に使用するための用途を提供する。

0035

また、本発明は、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋機能改善用化粧料組成物に使用するための用途を提供する。

0036

本発明の好ましい一実施例では、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋機能改善用化粧料組成物を提供する。

0037

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を有効成分として含む、筋機能改善用飼料添加物を提供する。

0038

また、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、およびこれらの断片から構成される群から選ばれたいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはこれらの活性化剤を筋機能改善用飼料添加物に使用するための用途を提供する。

0039

また、本発明は、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を筋機能改善用飼料添加物に使用するための用途を提供する。

0040

本発明の好ましい一実施例では、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列よりなる群から選ばれるいずれか一つのタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋機能改善用飼料添加物を提供する。

0041

本発明の好ましい一実施例によれば、前記Slit3タンパク質は、配列番号5の塩基配列から構成されるslit3遺伝子から発現されるものであってもよい。

0042

本発明の好ましい一実施例によれば、前記Robo1タンパク質は、配列番号6の塩基配列から構成されるrobo1遺伝子から発現されるものであってもよい。

0043

本発明の好ましい一実施例によれば、前記Robo2タンパク質は、配列番号7の塩基配列から構成されるrobo2遺伝子から発現されるものであってもよい。

0044

本発明の好ましい一実施例によれば、前記LRRD2タンパク質は、配列番号8の塩基配列から構成される遺伝子から発現されるものであってもよい。

0045

本発明の他の好ましい一実施例によれば、前記筋肉疾患は、筋機能低下筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患であってもよく、前記筋肉疾患は、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上のものであってもよい。

0046

また、本発明は、
i)実験群である被検体由来試料で配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質の発現水準を測定する段階と;
ii)前記段階i)で測定したSlit3タンパク質の発現水準を対照群である正常個体由来試料のSlit3タンパク質発現水準と比較する段階と;
iii)前記段階ii)で比較した実験群のSlit3タンパク質発現水準が対照群に比べて減少する場合、実験群を筋肉疾患と判断する段階と;を含む、筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法を提供する。

0047

また、本発明は、
i)被検化合物または組成物を、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質、配列番号2のアミノ酸配列から構成されるRobo1タンパク質および配列番号3のアミノ酸配列から構成されるRobo2タンパク質よりなる群から選ばれたいずれか一つ以上を発現する細胞株に処理する段階と;
ii)前記段階i)の処理した細胞株で前記Slit3タンパク質の発現程度または前記Robo1タンパク質またはRobo2タンパク質の活性を測定する段階と;
iii)前記段階ii)のSlit3タンパク質の発現程度、またはRobo1タンパク質またはRobo2タンパク質の活性が被検化合物または組成物を処理しない対照群細胞株と比較して増加した被検化合物または組成物を選別する段階と;を含む、筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法を提供する。

発明の効果

0048

本発明は、SLIT−ROBOシステムを利用した筋減少症の予防または治療用組成物を提供することができる。特に本発明は、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2、およびこれらの断片から選ばれた遺伝子またはその発現タンパク質;またはその活性化剤を含有する筋肉疾患の予防および治療用、または筋機能改善用組成物を提供することができる。

0049

特に、具体的には、本発明のSlitタンパク質は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリン(M−cadherin)に結合されていたβ−カテニン(β−catenin)を遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞(myoblast)の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができる。また、Slitタンパク質全長だけでなく、その活性断片、特に好ましくはLRRD2タンパク質を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができるので、本発明のSlitタンパク質、Roboタンパク質、これらの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および治療用薬学的組成物の有効成分として使用することができるので効果的である。

図面の簡単な説明

0050

図1a図1eは、Slit3が欠乏した雄性マウスモデル群において体重変化および筋減少指標を示す。
図2a図2eは、Slit3が欠乏した雌性マウスモデル群において体重変化および筋減少指標を示す。
図3a図3dは、Slit3が欠乏した雄性マウスモデル群のEDL筋肉をH&E染色した結果を示す。
図4a図4dは、Slit3が欠乏した雄性マウスモデル群のGC筋肉をH&E染色した結果を示す。
図5a図5dは、Slit3が欠乏した雄性マウスモデル群のGC筋肉を免疫組織化学染色した結果を示す。
図6は、Slit3の筋芽細胞分化促進効果を確認するためにSlit3処理によるC2C12細胞株の細胞生存能の変化の確認を示す。
図7a図7eは、筋芽細胞から筋管細胞(myotube)への分化においてSlit3の分化増加効果を示す。
図8a図8fは、筋芽細胞の分化過程でSlit3処置による多様な筋原性調節因子mRNA発現水準の変化を示す。
図9aおよび図9bは、筋芽細胞の分化過程でSlit3処置によるミオゲニンのタンパク質発現水準の変化を示す。
図10は、筋芽細胞の分化過程でSlit3処置によるミオゲニン陽性細胞数の差異を示す。
図11は、筋芽細胞で発現するカドヘリンタンパク質の種類および発現水準を確認した図である:
図11aは、筋芽細胞でM−カドヘリンおよびN−カドヘリンのmRNA発現水準を示し;および
図11bは、筋芽細胞でM−カドヘリンおよびN−カドヘリンのタンパク質発現水準を示す。
図12は、Slit3のβ−カテニン活性化による筋芽細胞の分化誘導効果を確認した図である:
図12aは、筋芽細胞でSlit3の添加によるβ−カテニン活性の確認を示し;
図12bは、Slit3処置によるM−カドヘリンおよびβ−カテニンの結合水準の変化を共同免疫沈降法で確認した結果を示し;
図12c図12eは、β−カテニン発現抑制によるSlit3の筋芽細胞の分化収率の確認を示し;および
図12fは、β−カテニン発現抑制によるSlit3処置した筋芽細胞でミオゲニンの発現水準の変化を示す。
図13は、筋芽細胞でSlit3と結合するRobo受容体亜型を確認した図である:
図13aは、筋芽細胞であるC2C12細胞で発現するRobo受容体の亜型を示し;および
図13b図13dは、C2C12細胞でRobo1またはRobo2ノックアウトによってSlit3によるミオゲニン発現増加効果が有意的に増加しないことを示す。
図14a図14eは、Robo受容体が欠乏したマウスモデルにおいて体重変化および筋減少指標の確認を示す。
図15a図15dは、試験管内水準でSlit3のLRRD2による筋芽細胞分化効果を示す。
図16a図16eは、生体内水準でSlit3のLRRD2による体重変化および筋減少指標増加効果の確認を示す。

発明を実施するための最良の形態

0051

前述したように、全世界的に平均寿命が増加するに伴って、高齢化人口が増加しており、これに伴い、筋減少症に対する治療要求も持続的に増加するものと予想されるが、まだ筋減少症の治療剤としてFDAの承認を受けた水準の薬剤は報告されたことがない。

0052

本発明の一具体例では、Slitタンパク質またはその活性断片は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリン(M−cadherin)に結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞(myoblast)の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができるので、直接的に筋減少症に対する治療に効果を示すことができることを確認した。

0053

したがって、本発明は、Slit1、Slit2、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質から構成される群から選ばれるいずれか一つ以上のタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子;またはその活性化剤を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および治療用薬学的組成物を提供する。

0054

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号1のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo1タンパク質」は、配列番号2のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo2タンパク質」は、配列番号3のアミノ酸から構成され、本発明の「LRRD2タンパク質」は、配列番号4のアミノ酸から構成されることが好ましく、前記タンパク質またはペプチド機能的同等物を含むことができる。

0055

前記「機能的同等物」は、タンパク質またはペプチドのアミノ酸の付加、置換または欠失により、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列相同性を有するものであって、配列番号1〜4のアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドと実質的に同質の生理活性を示すタンパク質またはペプチドを言う。

0056

本発明の「活性化剤」は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2、および/またはこれらの断片の発現を増強させることができるか、またはSLIT−ROBOシステムを活性化させることができる各種化合物、タンパク質またはペプチド、塩基配列などを含む。前記化合物、タンパク質またはペプチド、塩基配列の各種メタボローム、前駆体、薬剤学的等価物も、前記活性化剤に含まれる。

0057

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号5の塩基配列から構成されるslit3遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo1タンパク質」は、配列番号6の塩基配列から構成されるrobo1遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo2タンパク質」は、配列番号7の塩基配列から構成されるrobo2遺伝子から発現されることが好ましく、「LRRD2タンパク質」は、配列番号8の塩基配列から構成される遺伝子から発現されることが好ましいが、これらに限らない。

0058

本発明の筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患として当業界に報告された疾病であることが好ましく、具体的に、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることがより好ましいが、これらに限らない。

0059

前記筋肉消耗または退化は、先天的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は、筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋または随意筋および心臓筋肉の弱化および退行を特徴とする。

0060

より具体的に、前記筋肉は、筋、筋肉、包括して称し、筋機能または筋肉機能は、筋肉の収縮により力を発揮できる能力を意味し、筋肉が抵抗に耐えるために最大限収縮力を発揮できる筋力;筋肉が与えられた重量にどのくらい長い間または何回くらい収縮と弛緩を繰り返すことができるかを示す能力である筋持久力;および短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。前記筋機能は、筋肉量に比例し、用語「筋機能改善」は、筋機能をより肯定的な方向に向上させることを意味する。

0061

本発明の好ましい実施例において、本発明者らは、Slit3発現と筋肉量の関係を確認した結果、Slit3が欠乏したマウスは、骨格筋が減少し(図1、図2、表1および表2)、筋線維の面積は、顕著に減少するが、筋芽細胞およびその衛星細胞の個数自体には、変化がないことを確認した(図3〜図5)。

0062

また、本発明者らは、Slit3の筋芽細胞分化促進効果を確認した結果、Slit3は、筋芽細胞の生存能には影響を及ぼさないものであり、筋芽細胞が筋線維へ分化することができるようにすることを確認し(図6および図7)、このような分化に関与する筋原性調節因子のうちSlit3によりミオゲニンの発現が増加することを確認した(図8〜図10)。

0063

また、本発明者らは、筋芽細胞が筋線維へ分化する過程において、筋芽細胞に発現したM−カドヘリンがN−カドヘリンに比べて発現が豊富であることと、M−カドヘリンと結合するβ−カテニンが遊離してβ−カテニン活性がSlit3により増加することを確認して(図11a図11bおよび図12a)、筋芽細胞の分化過程でSlit3を通じてMβ−カテニンの活性が増加し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成の促進に関与することができることを確認した(図12b図12c図12eおよび図12f)。

0064

また、本発明者らは、筋芽細胞でSlit3と結合するRobo受容体亜型を確認した結果、筋芽細胞の表面にRobo1およびRobo2受容体が発現していて、これらがSlit−Roboシステムを成してSlit3の効果を示すことを確認した(図13aおよび図13bおよび図13c)。特にRobo1が欠乏する場合、生体水準で筋肉量が減少することを示すので、Slit3および、Robo1またはRobo2の結合システムを介して筋減少症の改善効果が示されることを確認した(表3および図14)。

0065

また、本発明者らは、Slit3のLRRD2ドメインによる筋芽細胞の分化および筋肉量増進効果を確認した結果、試験管内水準では、Slit3のLRRD2による筋芽細胞分化効果が増加し、生体内水準では、Slit3のLRRD2を投与した筋減少症のモデルマウスで体重および筋減少指標が増加することを確認した(図15、図16および表4)。

0066

したがって、本発明のSlitタンパク質は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができる。また、Slitタンパク質全長だけでなく、その活性断片を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて、筋肉量の増加を誘導することができるので、本発明において特に好ましくは、Slit3タンパク質またはSlit3のLRRD2タンパク質、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および治療用薬学的組成物の有効成分として使用することができる。

0067

本発明のタンパク質またはペプチドは、その野生型アミノ酸配列を有するタンパク質またはペプチドだけでなく、そのアミノ酸配列の変異体も、本発明の範囲に含まれ得る。前記アミノ酸配列の変異体とは、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2またはLRRD2の野生型アミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保存的または保存的置換またはこれらの組合せによって異なる配列を有するタンパク質またはペプチドを意味する。

0068

分子の活性を全体的に変更させないタンパク質およびペプチドで可能なアミノ酸の交換は、当該分野に公知されている(H.Neurath,R.L.Hill,The Proteins,Academic Press,New York,1979)。最も通常的に起こる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。場合によっては、リン酸化(phosphorylation)、硫化(sulfation)、アセチル化(acetylation)、糖化(glycosylation)、メチル化(methylation)、ファルネシル化(farnesylation)等に変更(modification)されることもできる。

0069

本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質、またはこれらの変異体は、天然から抽出したり、合成(Merrifleld,J.Amer.chem.Soc.85:2149−2156,1963)またはDNA配列を基本とする遺伝子組換え方法により製造され得る(Sambrook et al,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA、2版、1989)。

0070

本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質は、タンパク質の形態だけでなく、遺伝子治療ワクチンなどに使用されるために、細胞内でSlit3、Robo1、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質を暗号化する遺伝子を発現することができる発現ベクターの形態で提供され得る。

0071

前記発現ベクターは、前記Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を暗号化する遺伝子を挿入して発現することができる当業界に公知となっている発現ベクターを利用することができ、例えばpBK−CMV(Staratagene)、pCR3.1(Invitrogen)等の発現ベクターを使用することができる。

0072

また、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質を暗号化する塩基配列、すなわちポリヌクレオチドを含む組換えDNA分子を発現を調節する核酸配列作動可能に連結した形態、例えば発現ベクターの形態で治療対象の患者内でこれが発現するように前記ポリヌクレオチドを投与することができる。前記ベクターは、コード配列を発現させることができるプロモーター部位を含む適当な転写調節信号を含み、前記プロモーターは、治療されるべき患者内で作動可能なものであることが好ましい。したがって、ヒト遺伝子治療用で、RNAポリメラーゼ転写開始部位に導くのに必要な配列だけでなく、適当ならエンハンサーを含む他の作動配列または調節配列を含む用語であるプロモーターは、好ましくはヒト遺伝子からのヒトプロモーター配列または一般的にヒトから発現される遺伝子からのヒトプロモーター配列、例えばヒトサイトメガロウイルス(CMV)からのプロモーターであってもよい。このような観点から、適当な公知の真核プロモーターのうちCMV、すなわち初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(「RSV」)のもののようなレトロウイルスLTRプロモーター、およびマウスメタロチオネイン−1プロモーターのようなメタロチオネインプロモーターが適合している。

0073

前記ポリヌクレオチド配列および転写調節配列は、商業的に入手可能なpBR322のようなプラスミドに基づいて複製可能なプラスミドベクター内にクローニングされて提供されるか、またはよく知られている公開された手続日常的な応用により入手可能なプラスミドから構築されることもできる。

0074

また、前記ベクターは、前記遺伝子配列の3’に位置する転写調節配列、およびヒト治療に使用されるとき、SV40ウイルスのようなウイルスからの相当する配列のように治療されるべき患者から認識可能なポリアデニル化配列を含むことができる。その他、転写調節配列がこの技術分野によく知られていて、利用可能である。

0075

また、前記発現ベクターは、前記ベクターが伝播され得るように抗生剤抵抗性のような選択可能なマーカーを含むことができる。

0076

それ自体で前記タンパク質またはペプチドを合成することができる発現ベクターを物理的方法で直接に傷部位に導入させることができる。これらの例としては、例えばリン酸緩衝食塩水PBS)のような製薬学的許容される賦形剤中の溶液内に適当なピヒクル内の「ネイキッド」核酸ベクターを局部的に適用すること、または当業界に知られている方法により「遺伝子銃」技術とも知られている粒子弾丸のような物理的方法でベクターを投与することを含む。前記「遺伝子銃」技術は、米国特許第5371015号に記述されたように、推進装置からの高圧力下で放出させる方法であり、ベクターでコートされた金ビーズのような不活性粒子を傷部位、例えば皮膚細胞の表面を通過することができるほど十分な速力加速することである。また、DNAを直接受容体に投与するその他物理的方法としては、超音波電気的刺激電気透過およびマイクロシーディング等がある。

0077

また、前記遺伝子配列は、形質転換された宿主細胞の手段で傷部位に投与され得る。細胞は、患者から回収された細胞を含み、前記核酸配列をこの細胞内に当業界に公知となっている遺伝子導入方法により導入して、形質転換された細胞を培養液中で成長させて、患者に移植することができる。

0078

前述したような発現構造体を本発明の治療に多様な方法で使用することができる。したがって、前記発現構造体は、患者にとって治療が必要な部位に直接投与され得る。

0079

また、本発明の薬学的組成物は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質の発現を増加させる活性因子を有効成分として含むことができる。

0080

前記Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質の発現を増加させる活性因子は、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2遺伝子またはLRRD2を暗号化する遺伝子に直接または間接に作用して、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質の生物学的活性を改善、誘導、刺激、増加させる物質を意味する。前記物質は、有機または無機化合物のような単一化合物、ペプチド、タンパク質、核酸炭水化物および脂質のような生体高分子化合物および複数化合物の複合体などを含む。前記slit1、slit2、slit3の発現を増加させる活性因子は、slit1、slit2、slit3の発現、活性、または機能の減少により発病する疾病の予防、改善および治療に用いられる。

0081

前記物質がslit1、slit2、slit3、robo1、robo2遺伝子またはLRRD2を暗号化する遺伝子を活性化させる機作は、特に制限されない。例えば、前記物質は、転写翻訳などの遺伝子発現を増大させるか、非活性型活性型転換させる機作として作用することができる。好ましくは、slit1、slit2、slit3、robo1、robo2遺伝子またはLRRD2を暗号化する遺伝子を活性化させる物質は、ペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物および脂質のような生体高分子化合物である。核酸およびタンパク質配列が既に公知となっているslit1、slit2、slit3に対して、当業者は、誘導剤または活性剤として作用する有機または無機化合物のような単一化合物ペプチド、タンパク質、核酸、炭水化物および脂質ような生体高分子化合物および複数化合物の複合体などを当該分野の技術を利用して製造したり、スクリーニングすることができる。

0082

本発明の組成物は、経口または非経口の様々な剤形であってもよい。前記組成物を剤形化する場合には、一つ以上の緩衝剤(例えば、食塩水またはPBS)、抗酸化剤静菌剤キレート化剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、充填剤増量剤結合剤アジュバント(例えば、アルミニウムヒドロキシド)、懸濁剤濃厚剤、湿潤剤崩解剤または界面活性剤希釈剤または賦形剤を使用して調製され得る。

0083

経口投与のための固形製剤には、錠剤丸剤散剤顆粒剤カプセル剤などが含まれ、このような固形剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプントウモロコシデンプン小麦デンプン米デンプンジャガイモデンプンなどを含む)、カルシウムカーボネートスクロースラクトースデキストロースソルビトールマンニトールキシリトールエリトリトールマルチトールセルロースメチルセルロースナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはゼラチンなどを混ぜて調製される。例えば、活性成分固体賦形剤と配合した後、これを粉砕し、適合な補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工することにより、錠剤または糖衣錠収得することができる。

0084

また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウムタルク等のような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤乳剤またはシロップ剤などが該当するが、頻繁に使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に、様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤芳香剤または保存剤などが含まれ得る。また、場合によって、架橋結合ポリビニルピロリドン寒天アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩解剤として添加することができ、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料乳化剤および防腐剤などをさらに含むことができる。

0085

非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液非水性溶剤、懸濁溶剤、乳剤、凍結乾燥製剤または坐剤などが含まれる。非水性溶剤および懸濁溶剤としては、プロピレングリコールポリエチレングリコールオリーブオイルのような植物性油エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用され得る。坐剤の基剤としては、ウィテプソル、マクロゴールツイーン61、カカオ脂ラウリンジ、グリセロール、ゼラチンなどが使用され得る。

0086

本発明の組成物は、経口または非経口で投与され得、非経口投与時に皮膚外用腹腔内、直腸静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳血管内注射する注射剤経皮投与剤;または鼻腔吸入剤の形態で当業界に公知となっている方法により剤形化することができる。

0087

前記注射剤の場合には、必ず滅菌されなければならないし、バクテリアおよび真菌のような微生物汚染から保護されなければならない。注射剤の場合、適合な担体の例としては、これらに限定されないが、水、エタノールポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの混合物および/または植物油を含む溶媒または分散媒質であってもよい。より好ましくは、適合な担体としては、ハンクス溶液リンガー液トリエタノールアミンが含まれたPBS(phosphate buffered saline)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコールおよび5%デキストロースのような等張溶液などを使用することができる。前記注射剤を微生物の汚染から保護するためには、パラベンクロロブタノールフェノールソルビン酸チメロサールなどのような多様な抗菌剤および抗真菌剤をさらに含むことができる。また、前記注射剤は、多くの場合、糖またはナトリウムクロリドのような等張化剤をさらに含むことができる。

0088

経皮投与剤の場合、軟こう剤、クリーム剤ローション剤ゲル剤外用液剤パスタ剤リニメント剤エアロゾル剤などの形態が含まれる。前記で経皮投与は、薬学組成物局所的に皮膚に投与して、薬学組成物に含有された有効な量の活性成分が皮膚内に伝達されることを意味する。

0089

吸入投与剤の場合、本発明によって使用される組成物は、適合な推進剤、例えば、ジクロロフルオロメタントリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタン二酸化炭素または他の適合な気体を使用して、加圧パックまたは煙霧機からエアロゾルスプレー形態で便利に伝達することができる。加圧エアゾルの場合、投薬単位は、計量された量を伝達するバルブを提供して決定することができる。例えば、吸入器または吹込器に使用されるゼラチンカプセルおよびカートリッジは、化合物、およびラクトースまたはデンプンのような適合な粉末基剤の粉末混合物を含有するように剤形化することができる。非経口投与用剤形は、すべての製薬化学に一般的に公知となった処方書である文献(Remington’s Pharmaceutical Science,15th Edition,1975.Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania 18042,Chapter 87:Blaug,Seymour)に記載されている。

0090

本発明の組成物は、薬剤学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬剤学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/危険割合で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量水準は、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路および排出比率、治療期間、同時使用される薬物を含む要素およびその他医学分野によく知られている要素によって決定され得る。本発明の組成物は、個別治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与してもよく、従来の治療剤と順次にまたは同時に投与され得、単一または多重投与され得る。すなわち、本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与され得、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与され得る。上記した要素を全部考慮して副作用なしに最小限の量で最大効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは、当業者により容易に決定され得る。

0091

本発明の薬学的組成物の投与量は、患者の体重、年齢性別健康状態食餌、投与時間、投与方法排泄率および疾患の重症度によってその範囲が多様である。一日投与量とては、非経口投与時にSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を基準として一日に体重1kg当たり好ましくは0.01〜50mg、より好ましくは0.1〜30mgの量で投与されるように、そして、経口投与時には、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を基準として一日に体重1kg当たり好ましくは0.01〜100mg、より好ましくは0.01〜10mgの量で投与されるように、1〜数回に分けて投与することができる。しかしながら、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢などによって増減することができるので、前記投与量がいかなる方法でも本発明の範囲を限定するものではない。

0092

本発明の組成物は、単独で、または手術放射線治療ホルモン治療化学治療および生物学的反応調節剤を使用する方法と併用して使用することができる。

0093

また、本発明の薬学組成物は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質、またはこれを暗号化する塩基配列を有効成分として含む外用剤の剤形で提供することができる。本発明の筋肉疾患の予防および治療用薬学組成物皮膚外用剤として使用する場合、さらに、脂肪物質有機溶媒溶解剤濃縮剤およびゲル化剤軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤安定化剤発泡剤、芳香剤、界面活性剤、水、イオン型乳化剤、非イオン型乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート化剤、保存剤、ビタミン遮断剤、湿潤化剤、必須オイル染料顔料親水性活性剤親油性活性剤または脂質小胞など皮膚外用剤に通常使用される任意の他の成分のような皮膚科学分野において通常使用される補助剤を含有することができる。また、前記成分は、皮膚科学分野において一般的に使用される量で導入され得る。

0094

本発明の筋肉疾患の予防および治療用薬学組成物が皮膚外用剤として提供される場合、これに制限されるものではないが、軟膏パッチゲルクリームまたは噴霧剤などの剤形であってもよい。

0095

また、本発明は、Slit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質から構成される群から選ばれるいずれか一つ以上のタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋肉疾患の予防および改善用健康機能食品を提供する。

0096

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号1のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo1タンパク質」は、配列番号2のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo2タンパク質」は、配列番号3のアミノ酸から構成され、本発明の「LRRD2タンパク質」は、配列番号4のアミノ酸で構成されることが好ましく、前記タンパク質またはペプチドの機能的同等物を含むことができる。

0097

前記「機能的同等物」は、タンパク質またはペプチドのアミノ酸の付加、置換または欠失により、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列相同性を有するものであり、配列番号1〜4のアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドと実質的に同質の生理活性を示すタンパク質またはペプチドをいう。

0098

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号5の塩基配列から構成されるslit3遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo1タンパク質」は、配列番号6の塩基配列から構成されるrobo1遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo2タンパク質」は、配列番号7の塩基配列から構成されるrobo2遺伝子から発現されることが好ましく、「LRRD2タンパク質」は、配列番号8の塩基配列から構成される遺伝子から発現されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。

0099

本発明の筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患として当業界に報告された疾病であることが好ましく、具体的に、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。

0100

前記筋肉消耗または退化は、先天的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は、筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋または随意筋および心臓筋肉の弱化および退行を特徴とする。

0101

より具体的に、前記筋肉は、筋、筋肉、腱を包括して称し、筋機能または筋肉機能は、筋肉の収縮により力を発揮できる能力を意味し、筋肉が抵抗に耐えるために最大限の収縮力を発揮できる筋力;筋肉が与えられた重量にどのくらい長い間または何回くらい収縮と弛緩を繰り返すことができるかを示す能力である筋持久力;および短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。前記筋機能は、筋肉量に比例し、用語「筋機能改善」は、筋機能をより肯定的な方向に向上させることを意味する。

0102

本発明のSlitタンパク質は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができる。また、Slitタンパク質全長だけでなく、その活性断片、特に好ましくはLRRD2タンパク質を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができるので、本発明のSlitタンパク質またはSlitの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および改善用健康機能食品の有効成分として使用することができる。また、本発明のSlitタンパク質またはSlitの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋減少症の予防および改善用飼料組成物の有効成分として使用することができる。

0103

本発明による食品組成物は、当業界に公知となっている通常の方法により多様な形態で製造することができる。一般食品としては、これらに限定されるものではないが、飲料(アルコール性飲料を含む)、果実およびその加工食品(例:果物缶詰め、瓶詰ジャムマーマレードなど)、魚類肉類およびその加工食品(例:ハムソーセージコーンビーフなど)、パン類および麺類(例:うどん、ソバラーメンスパゲッティマカロニなど)、果汁、各種ドリンククッキー、飴、乳製品(例:バターチーズなど)、食用植物油脂マーガリン植物性タンパク質レトルト食品冷凍食品、各種調味料(例:韓国式味噌醤油ソースなど)等に本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を添加して製造することができる。また、栄養補助剤としては、これらに限定されるものではないが、カプセルタブレット、丸などに本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を添加して製造することができる。また、健康機能食品としては、これらに限定されるものではないが、例えば、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質自体をおジュースおよびドリンクの形態で製造して飲用(健康飲料)することができるように、液状化顆粒化カプセル化および粉末化して摂取することができる。また、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を食品添加剤の形態で使用するためには、粉末または濃縮液の形態で製造して使用することができる。また、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質と筋肉疾患予防および筋機能改善効果があると知られている公知の活性成分と共に混合して組成物の形態で製造することができる。

0104

本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を健康飲料として利用する場合、前記健康飲料組成物は、通常の飲料のように、様々な香味剤または天然炭水化物などを更なる成分として含有することができる。前述した天然炭水化物は、葡萄糖果糖のようなモノサッカライドマルトース、スクロースのようなジサッカライドデキストリンシクロデキストリンのようなポリサッカライド;キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールであってもよい。甘味剤は、タウマチンステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリンアスパルタムのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。

0105

また、本発明のSlit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質は、筋肉疾患の予防および筋機能改善用食品組成物の有効成分として含有され得るが、その量は、筋肉疾患の予防および筋機能改善用作用を達成するのに有効な量であって、特に限定されるものではないが、全体組成物の総重量に対して0.01〜100重量%であることが好ましい。本発明の食品組成物は、Slit1、Slit2、Slit3、Robo1、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質と共に筋肉疾患の予防および筋機能改善用組成物に効果があるものと知られている他の活性成分と共に混合して製造され得る。

0106

前記以外に、本発明の健康食品は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤着色剤ペクチン酸、ペクチン酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸保護性コロイド増粘剤pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリンアルコールまたは炭酸化剤などを含有することができる。その他、本発明の健康食品は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料、または野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、または混合して使用することができる。このような添加剤の比率は、大きく重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01 〜 0.1重量部の範囲で選ばれることが一般的である。

0107

また、本発明は、Slit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質およびLRRD2タンパク質から構成される群から選ばれるいずれか一つ以上のタンパク質またはこれを暗号化する遺伝子を有効成分として含む、筋機能改善用化粧料組成物を提供する。前記化粧料組成物は、特に制限されるものではないが、皮膚外用で使用したり、経口摂取することができる。

0108

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号1のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo1タンパク質」は、配列番号2のアミノ酸から構成され、本発明の「Robo2タンパク質」は、配列番号3のアミノ酸から構成され、本発明の「LRRD2タンパク質」は、配列番号4のアミノ酸から構成されることが好ましく、前記タンパク質またはペプチドの機能的同等物を含むことができる。

0109

前記「機能的同等物」は、タンパク質またはペプチドのアミノ酸の付加、置換または欠失により、前記配列番号1〜4のアミノ酸配列と少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列相同性を有するものであって、配列番号1〜4のアミノ酸配列から構成されるタンパク質またはペプチドと実質的に同質の生理活性を示すタンパク質またはペプチドをいう。

0110

本発明の「Slit3タンパク質」は、配列番号5の塩基配列から構成されるslit3遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo1タンパク質」は、配列番号6の塩基配列から構成されるrobo1遺伝子から発現されることが好ましく、「Robo2タンパク質」は、配列番号7の塩基配列から構成されるrobo2遺伝子から発現されることが好ましく、「LRRD2タンパク質」は、配列番号8の塩基配列から構成される遺伝子から発現されることが好ましいが、これらに限定されるものではない。

0111

本発明の筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患として当業界に報告された疾病であることが好ましく、具体的に、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。

0112

前記筋肉消耗または退化は、先天的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は、筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋または随意筋および心臓筋肉の弱化および退行を特徴とする。

0113

より具体的に、前記筋肉は、筋、筋肉、腱を包括して称し、筋機能または筋肉機能は、筋肉の収縮により力を発揮できる能力を意味し、筋肉が抵抗に耐えるために最大限の収縮力を発揮できる筋力;筋肉が与えられた重量にどのくらい長い間または何回くらい収縮と弛緩を繰り返すことができるかを示す能力である筋持久力;および短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。前記筋機能は、筋肉量に比例し、用語「筋機能改善」は、筋機能をより肯定的な方向に向上させることを意味する。

0114

本発明のSlitタンパク質は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉の形成を促進することができる。また、Slitタンパク質全長だけでなく、その活性断片、特に好ましくはLRRD2タンパク質を処理する場合にも、筋芽細胞の分化を促進させて筋肉量の増加を誘導することができるので、本発明のSlitタンパク質またはSlitの活性断片、またはこれを暗号化する遺伝子は、筋機能改善用化粧料組成物の有効成分として使用され得る。

0115

また、本発明の筋機能改善用組成物は、化粧料組成物であってもよい。本発明の化粧料組成物は、Slit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を有効成分として含有し、皮膚学的に許容可能な賦形剤とともに基礎化粧品組成物(化粧水、クリーム、エッセンスクレンジングフォームおよびクレンジングウォーターのような洗顔剤、パック、ボディーオイル)、着色化粧品組成物ファウンデイションリップスティックマスカラメイクアップベース)、ヘアー製品組成物シャンプーリンスヘアーコンディショナーヘアージェル)および石鹸などの形態で製造され得る。

0116

前記賦形剤としては、これらに限定されるものではないが、例えば、皮膚軟化剤皮膚浸透増強剤、着色剤、芳香剤、乳化剤、濃化剤および溶媒を含むことができる。また、香料、色素殺菌剤酸化防止剤、防腐剤および保湿剤などをさらに含むことができ、物性改善を目的に増粘剤、無機塩類合成高分子物質などを含むことができる。例えば、本発明の化粧料組成物において洗顔剤および石鹸を製造する場合には、通常の洗顔剤および石鹸ベースに前記Slit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質を添加して容易に製造することができる。クリームを製造する場合には、一般的な水中油滴型(O/W)のクリームベースにSlit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質、またはこれを暗号化する塩基配列を添加して製造することができる。これに香料、キレート剤、色素、酸化防止剤、防腐剤などと物性改善を目的としたタンパク質、ミネラル、ビタミンなど合成または天然素材をさらに添加することができる。

0117

本発明の化粧料組成物に含有されるSlit1タンパク質、Slit2タンパク質、Slit3タンパク質、Robo1タンパク質、Robo2タンパク質またはLRRD2タンパク質の含量は、これらに限定されるものではないが、全体組成物の総重量に対して0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがさらに好ましい。前記含量が0.001重量%未満では、目的とする抗老化またはシワ改善効果を期待することができず、10重量%超過では、安全性または剤形上の製造に困難がありえる。

0118

また、本発明は、
i)実験群である被検体由来試料で配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質の発現水準を測定する段階と;
ii)前記段階i)で測定したSlit3タンパク質の発現水準を対照群である正常個体由来試料のSlit3タンパク質発現水準と比較する段階と;
iii)前記段階ii)で比較した実験群のSlit3タンパク質発現水準が対照群に比べて減少する場合、実験群を筋肉疾患と判断する段階と;を含む、筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法を提供する。

0119

本発明において「タンパク質の発現水準を測定」することは、mRNAまたはタンパク質の発現水準を測定することにより確認することができる。

0120

また、本発明は、
i)被検化合物または組成物を、配列番号1のアミノ酸配列から構成されるSlit3タンパク質、配列番号2のアミノ酸配列から構成されるRobo1タンパク質および配列番号3のアミノ酸配列から構成されるRobo2タンパク質よりなる群から選ばれたいずれか一つ以上を発現する細胞株に処理する段階と;
ii)前記段階i)の処理した細胞株で前記Slit3タンパク質の発現程度または前記Robo1タンパク質またはRobo2タンパク質の活性を測定する段階と;
iii)前記段階ii)のSlit3タンパク質の発現程度、またはRobo1タンパク質またはRobo2タンパク質の活性が被検化合物または組成物を処理しない対照群細胞株と比較して増加した被検化合物または組成物を選別する段階と;を含む、筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法を提供する。

0121

本発明の筋肉疾患は、筋機能低下、筋肉消耗または筋肉退化による筋肉疾患として当業界に報告された疾病であることが好ましく、具体的に、無緊張症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋ジストロフィー(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋無力症、悪液質(cachexia)および筋肉減弱症(sarcopenia)よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることがより好ましいが、これらに限定されるものではない。

0122

前記筋肉消耗または退化は、先天的要因、後天的要因、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は、筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋または随意筋および心臓筋肉の弱化および退行を特徴とする。

0123

より具体的に、前記筋肉は、筋、筋肉、腱を包括して称し、筋機能または筋肉機能は、筋肉の収縮により力を発揮できる能力を意味し、筋肉が抵抗に耐えるために最大限の収縮力を発揮できる筋力;筋肉が与えられた重量にどのくらい長い間または何回くらい収縮と弛緩を繰り返すことができるかを示す能力である筋持久力;および短時間内に強い力を発揮する能力である瞬発力を含む。前記筋機能は、筋肉量に比例し、用語「筋機能改善」は、筋機能をより肯定的な方向に向上させることを意味する。

0124

本発明のSlitタンパク質またはそのLRRD2タンパク質は、Robo1またはRobo2受容体と結合して、Slit−Roboシステムを介して筋芽細胞のM−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離してβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉形成促進することができる。したがって、Slitタンパク質またはそのLRRD2タンパク質の発現水準を通じて、直接的な症状が現れる以前に、筋減少症に対する発病有無を判断することができる。また、Slitタンパク質発現水準またはRobo受容体の活性を増加させることができる化合物または組成物を筋減少症の治療剤の候補物質として選別することができる。

0125

本発明の方法において、mRNAの発現水準を測定することは、生物学的試料でSLIT3タンパク質またはLRRD2タンパク質を暗号化するmRNAの存在有無と発現程度を確認する過程でmRNAの量を測定する。このための分析方法としては、当業界に公知となっている方法を利用することができ、例えば重合酵素反応(PCR)、逆転写重合酵素反応(RT−PCR)、競争的逆転写重合酵素反応(Competitive RT−PCR)、リアルタイム逆転写重合酵素反応(Realtime RT−PCR)、RNase保護分析法(RPA;RNase protection assay)、ノーザンブロッティング(Northern blotting)、DNAチップなどがあるが、これらに限定されるものではない。

0126

本発明の方法において、タンパク質の発現水準を測定することは、生物学的試料でSLIT3タンパク質またはLRRD2タンパク質の存在有無および発現程度を確認する過程であって、タンパク質の量を測定することを意味する。好ましくは、前記遺伝子のタンパク質に対して特異的に結合する抗体を利用してタンパク質の量を確認することができる。このための分析方法としては、当業界に公知となっている方法を利用することができ、例えばウェスタンブロットエライサ(enzyme linked immunosorbent assay、ELISA)、放射免疫分析RIA:Radioimmunoassay)、放射免疫拡散法(radioimmunodiffusion)、オクタニー(Ouchterlony)免疫拡散法ロケット(rocket)免疫電気泳動組織免疫染色、免疫沈降分析法(Immunoprecipitation Assay)、補体結合分析法(Complement Fixation Assay)、蛍光活性化セルソーター(Fluorescence Activated Cell Sorter、FACS)、タンパク質チップ(protein chip)等があるが、これらに制限されるものではない

0127

前記筋肉疾患診断の情報を提供するためのタンパク質検出方法および筋肉疾患治療剤のスクリーニング方法において、好ましい一実施例のSlit3を使用して記載しているが、Slit1、Slit2;またはSlit1、Slit2、Slit3の活性断片を使用することができる。

実施例

0128

以下、実施例により本発明を詳しく説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に制限されるものと解釈されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明だろう。

0129

<実施例1>Slit3発現と筋肉量の関係の確認
<1−1>Slit3が欠乏したマウスモデルで体重変化および筋減少指標の確認
Slit3が生体で骨格筋の形成に関与するかを確認するために、Slit3発現有無によるマウスモデルの筋肉量の変化を確認した。

0130

具体的に、Mutant Mouse Regional Resource Centers(Stock number 030759−MU;columbia,MO,USA)からslit3ノックアウトマウスの胚芽を購入し、雄性および雌性slit3+/−C57BL/6Jマウスを交配して、Slit3欠乏マウスモデルを製造した。Slit3欠乏マウスモデルは、雄性群と雌性群とにさらに分けて、Slit3発現が欠乏したマウスモデルの体重を測定した。マウスモデルが7週齢になると、雄性群と雌性群を犠牲にして、それぞれの長伸筋(extensor digitorum longus、EDL)および、腓腹筋ヒラメ筋(gastrocnemiusとsoleus,GC+SOL)の筋肉を収得して、重さを測定した。筋減少指標(sarcopenic index)は、マウス体重に対する筋肉量を百分率で示すために、「筋減少指標(%)=100×筋肉の重量×体重」の数式を使用して示した。

0131

その結果、図1、図2、下記表1および表2に示されたように、Slit3が欠乏したマウスモデルでは、雄群および雌群の両方で正常対照群マウスに比べて体重が低く、EDLの重量およびGC+SOLの重量も低く、EDLの筋減少指標およびGC+SOLの筋減少指標も、正常対照群に比べて有意的に減少することを確認した(図1、図2、表1および表2)。これにより、性別および筋肉の種類と関係なく、生体でSlit3が欠乏すると、骨格系の筋肉量も減少することを確認した。

0132

0133

0134

<1−2>Slit3が欠乏したマウスモデルで筋肉面積の変化の確認
Slit3が欠乏したマウスは、骨格筋が減少することを確認したので、これを具体的に確認するために、筋肉を染色して筋肉の面積を比較した。

0135

具体的に、7週齢のSlit3が欠乏した雄性マウスモデル群を犠牲にして、EDLおよびGC+SOL筋肉組織を収得した後、4%ホルムアルデヒドで固定し、OCT化合物に包埋した(embedding)。次に、ヘマトキシリンおよびエオシンを処理して、H−E染色(Hematoxylin & Eosin staining)を通じて筋肉組織を染色した。染色した筋肉組織の写真を撮って、Image Jソフトウェアを使用して筋肉の組織の核と線維質の部分の数を比較し、面積を確認した。

0136

また、細胞の数をより具体的に比較するために、筋線維鞘(sarcolemma)、核(nucleus)および筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞のマーカータンパク質を免疫組織化学染色した。GC筋肉組織の断面に1次抗体として抗−ラミニン抗体および抗−PAX7抗体をそれぞれ処理して、製造社プロトコルによって反応した後、2次抗体で発色して、筋線維鞘および筋芽細胞の幹細胞である衛星細胞のマーカータンパク質を染色し、4’6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(4’6−diamidino−2−phenylindole,DAPI)を処理して核を染色した後、蛍光顕微鏡(fluorescence microscope)で観察して、GC筋肉組織内細胞のうち筋芽細胞の幹細胞の比率を求めた。

0137

その結果、図3〜図5に示されたように、Slit3が欠乏したマウスモデルでは、EDLおよびGC筋肉の両方で正常対照群マウスに比べて筋線維および核の数が類似していることを確認した(図3および図4)。GC組織断面を免疫組織化学染色したとき、ラミニン染色を通じてSlit3欠乏マウスで筋線維の面積が有意的に減少するのに対し、核およびPAX7を染色したものを通じて組織内全体核の数およびPAX7陽性細胞の数では、有意的な差異を示さないことを確認した(図5)。これにより、生体水準でSlit3が欠乏したとき、筋線維の面積は顕著に減少するが、筋芽細胞およびその衛星細胞の個数自体には、変化がなくて、Slit3欠乏による筋肉量の減少は、筋芽細胞の増殖、その衛星細胞の増殖および増加(recruitment)とは関係ないことを確認した。

0138

<実施例2>Slit3の筋芽細胞分化促進効果の確認
<2−1>Slit3による筋芽細胞の生存能の変化有無の確認
Slit3欠乏によって骨格筋の量が減少することを確認したので、Slit3が筋肉量を増加させるためにどのような役割をするかを確認した。まず、筋肉量を増加させるに際して、Slit3の役割が筋肉細胞の生存能増加効果であるかを確認した。

0139

具体的に、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum、FBS)を含むDMEM培地に筋芽細胞(myoblast)のC2C12細胞株(ATCC購入、米国)を接種して、37℃で5%CO2が維持されるように培養した。培養24時間後、組換えSlit3(Abcam社、Cambridge,Ma,USA;およびR&D System Inc.,Minneapolis,MN,USA)を1μg/mlまたは3μg/mlの濃度で培養した細胞に処理して、24時間の間追加培養した。次に、PBS溶液で2回洗浄し、MT試薬を処理した後、2時間の間追加培養して、450nmでエライサプレートリーダー(ELISAplate reader)で吸光度を測定した。未処理対照群としては、Slit3を処理しないC2C12細胞株を同じ条件で培養し、陽性対照群としては、TNF−αを処理したC2C12細胞株を使用した。

0140

その結果、図6に示されたように、TNF−αを処理した陽性対照群では、未処理対照群に比べて細胞生存能が有意的に増加するのに対し、Slit3を処理した実験群では、細胞生存能に対する有意的な変化が現れないことを確認した(図6)。

0141

<2−2>筋芽細胞から筋線維(myotube)への分化においてSlit3の分化増加効果の確認
Slit3欠乏によって骨格筋の量が減少することを確認したので、Slit3が筋肉量を増加させるためにどのような役割をするかを確認した。Slit3により筋芽細胞の生存に有意的な変化がないので、筋芽細胞が筋線維へ分化する過程でSlit3の効果を確認した。

0142

具体的に、C2C12細胞を10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和(confluent)するまで培養した。その後、培養培地を1μg/mlのSlit3組換えタンパク質および2%の馬血清(horse serum)を含むDMEM培地に交換し、培養して、C2C12細胞を筋線維へ分化するように誘導した。誘導後、分化した細胞を収得して、4%ホルムアルデヒドを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)を処理して室温で15分間固定し、0.1%トリトンX−100を処理して、細胞膜透過性(Permeability)を付与した。その後、処理した細胞に4%正常ロバ血清を添加して、1時間の間常温遮断(blocking)した後、1次抗体として抗−ミオシンH鎖(myosin heavy chain,MyHC)抗体を処理して、4℃で一晩培養し、0.1%ツイーン20を含むPBSであるPBSTで数回洗浄した。洗浄後、アレクサフルオル594(Alexa Fluor 594)が結合した2次抗体を処理して1時間の間培養して、MyHCを免疫蛍光染色(immunocytochemistry,ICC staining)した。その後、DAPIを処理して細胞の核を染色し、これを蛍光顕微鏡で観察した。

0143

その結果、図7に示されたように、Slit3組換えタンパク質を添加しない未処理対照群に比べてSlit3処置下で分化した実験群で細胞個数の変化はないが、筋線維の面積が有意的に増加し、融合指数(fusion index)が顕著に増加することを確認した(図7)。

0144

<実施例3>筋芽細胞の分化過程においてSlit3関与因子の確認
筋芽細胞が筋線維へ分化する過程で、Myf5、Mrf4、MyoD、ミオゲニン、Mef2AおよびMef2cのような多様な筋原性調節因子(myogenic regulatory factor,MRF)が筋芽細胞の分化を誘発することが知られているので、Slit3がこのような調節因子の発現を誘導することにより、筋芽細胞の分化を誘導するか否かを確認した。

0145

具体的に、C2C12細胞を10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和するまで培養した後、培養培地を1μg/mlのSlit3組換えタンパク質および2%馬血清を含むDMEM培地に交換し、総5日間培養して、C2C12細胞を筋線維へ分化するように誘導した。培養しつつ、24時間ごとに細胞を収得し、トリゾール(TRIzol;Invitrogen、米国)試薬に懸濁し、製造社のプロトコルによって分化した筋線維の全体RNAを抽出して、1μgのRNAを鋳型として当該プライマーおよびスーパースクリプトIIIキット(superscript III kit;Invitrogen社、米国)を使用して逆転写して、Myf5、Mrf4、MyoD、ミオゲニン、Mef2AおよびMef2cのcDNAをそれぞれ合成した。合成のための増幅条件は、95℃で30秒間変性(denaturation)、60℃で30秒間アニーリング(annealing)および72℃で30秒間伸長(extension)の30サイクルで構成した。合成したcDNAは、Light Cycler 480 SYBR Green I Master Mix(Roche)を使用し、95℃で10分間前反応、95℃で10秒間、55℃で15秒間および72℃で20秒間セット(set)である45サイクルの増幅反応条件でLight Cycler 480(Roche)機器でリアルタイムPCRを行って、分化が誘導される筋芽細胞でSlit3の処理有無によって筋原性調節因子の発現水準の変化を確認した。

0146

また、2日間分化誘導したC2C12細胞を収得して、前記実施例<2−2>と同じ方法で抗−ミオゲニン抗体を使用して分化誘導された細胞でSlit3により発現増加誘導されたミオゲニンを蛍光免疫染色して、タンパク質水準で発現を確認した。

0147

その結果、図8〜図10に示されたように、Slit3は、Myf5、Mrf4、MyoD、Mef2AおよびMef2cなどの発現には、有意的な変化を示さないが、Slit3を処理した実験群では、ミオゲニンのmRNAの発現水準が顕著に増加して、未処理対照群におけるミオゲニンmRNA発現水準に比べて約1.8倍増加した水準を示すことを確認した(図8)。また、ミオゲニンタンパク質発現水準を蛍光免疫染色して確認したとき、Slit3を処置した実験群で未処理対照群に比べてミオゲニン−陽性細胞の個数が顕著に増加することを示して(図9および図10)、Slit3は、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を促進することにより、筋肉の形成を誘発することができることを確認した。

0148

<実施例4>Slit3のβ−カテニン活性化による筋芽細胞分化誘導効果の確認
<4−1>筋芽細胞で発現するカドヘリンタンパク質の種類および発現水準の確認
Slitタンパク質の受容体は、細胞膜タンパク質であるRoboタンパク質であるとよく知られている。Roboタンパク質は、細胞膜でカドヘリンと結合した形態で細胞膜に存在するが、SlitがRoboと結合すると、Roboとカドヘリンの結合が広がって、カドヘリンに結合されていたβ−カテニンが細胞内に移動して活性化するものと知られている。筋芽細胞で発現するカドヘリンは、N−カドヘリンおよびM−カデリニムであるので、筋芽細胞でRoboタンパク質と関連してSlit3により影響を受けることができるカドヘリンがどのような種類であるかを確認した。

0149

具体的に、10%FBSを含むDMEM培地にC2C12細胞株、HEK297細胞株(伸長細胞株)を接種して、37℃で5%CO2が維持されるように培養した。培養24時間後、それぞれの細胞および脳組織を収得して、<実施例3>と同じ過程でリアルタイムPCRを行って、C2C12細胞、HEK293細胞または脳組織でM−カドヘリンおよびN−カドヘリンのmRNA発現水準を確認した。

0150

また、前記収得したそれぞれの細胞に溶解バッファー(20mMのTris[pH7.5]、150mMのNaCl、1mMのEDTA、1%トリトンX−100、2.5mMのピロリン酸ナトリウム、1mMのグリセロリン酸、1mMのNa3VO4、1mMのNaF、およびプロテアーゼ阻害剤混合物)を混合し、4℃で20分間反応して、細胞溶解物を製造し、BCAタンパク質分析キット(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL,USA)を利用して溶解物内のタンパク質の濃度を確認した。10〜20μgのタンパク質を含む細胞溶解物試料は、10%ゲルSDS−PAGEで分離した後、ニトロセルロースメンブレイン(Amersham Biosciences,Buckinghamshire,UK)に移動させた。次に、5%スキムミルクを含むTBST緩衝液(500mMのTris−HCL[pH7.4]、1.5MのNaCl、0.1%ツイーン20)メンブレインに処理し、1時間の間室温でブロッキングした後、抗−M−カドヘリン抗体または抗−N−カドヘリン抗体を1次抗体として処理して、4℃で一晩培養し、TBSTで洗浄して、ガチョウ由来の抗−マウスIgG抗体(goat anti−mouseIgG)を2次抗体として1%ウシ血清アルブミン(bovine serum albumi,BSA)を含むTBSTとともにメンブレインに処理して、一時間の間培養して、ウェスタンブロットを行った。

0151

その結果、図11aおよび図11bに示されたように、C2C12細胞では、M−カドヘリンがN−カドヘリンに比べてmRNA発現水準が有意的に高いことを確認し(図11a)、タンパク質発現水準でもC2C12細胞でM−カドヘリンのタンパク質発現がN−カドヘリンより顕著に高い水準で発現することを確認した(図11b)。

0152

<4−2>Slit3の添加による筋芽細胞でβ−カテニン活性の確認
Slitタンパク質は、β−カテニンを活性化し、β−カテニンは、また、ミオゲニンのプロモーター部位に結合して、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を促進することが知られているので、本発明でも、Slit3により筋芽細胞のβ−カテニン活性が変化するか否かを確認した。

0153

具体的に、β−カテニン−ルシフェラーゼ(luciferase、luc)レポーター遺伝子を含むβ−カテニン発現ベクターでC2C12細胞に形質感染した。次に、形質感染したC2C12細胞を10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和するまで培養した後、培養培地を1μg/mlのSlit3組換えタンパク質および2%馬血清を含むDMEM培地に交換して培養し、レポーター溶解緩衝液(reporter lysis buffer)に前記培養したC2C12細胞を懸濁して、細胞タンパク質を抽出した。前記抽出した細胞タンパク質10μlにルシフェラーゼ基質(promega社、米国)と混合して、ルミノメーターで発光度を測定して、β−カテニン−ルシフェラーゼの活性を確認した。

0154

その結果、図12aに示されたように、Slit3は、筋芽細胞でβ−カテニン−ルシフェラーゼの活性を未処理対照群に比べて約1.5倍水準に増加させることを確認した(図12a)。

0155

<4−3>Slit3処置によるM−カドヘリンおよびβ−カテニンの結合水準変化の確認
C2C12細胞にSlit3を処理したとき、β−カテニンの活性が高いことを通じてSlit3がRobo受容体と結合してβ−カテニンの活性が増加することができ、C2C12細胞でM−カドヘリンの発現水準がN−カドヘリンの発現水準より高いことを確認したので、M−カドヘリンとβ−カテニンの結合がSlit3処置によって変化するか否かを共同−免疫沈降(co−immunoprecipitation)して確認した。

0156

具体的に、GFP−tagged M−カドヘリンのヒトcDNAを購入して、リポフェクタミン2000(Gibco,Grand Island,NY,USA)でC2C12細胞に形質転換した後、1μg/mlのSlit3組換えタンパク質を処理して、細胞を培養した。次に、培養した細胞を収得して、プロテアーゼ阻害剤混合物(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)およびホスファターゼ阻害剤(1mMのNa3VO4、1mMのNaF)を含むTNEバッファー(25mMのTris−HCl、pH7.4、150mMのNaCl、1%トリトンX−100、1mMのEDTA)で溶解した。溶解した溶解物は、4℃で30分間M−カドヘリン抗体およびIgGで免疫沈降し、前記実施例<4−1>の方法で抗−β−カテニン抗体を使用してウェスタンブロットを行った。

0157

その結果、図12bに示されたように、Slit3を処置した実験群でM−カドヘリンと結合したβ−カテニンの水準が顕著に減少することを確認して、Slit3を通じてM−カドヘリンがRoboタンパク質の結合が広がって、β−カテニンもやはりM−カドヘリンから遊離して活性が増加することができることを確認した(図12b)。

0158

<4−4>β−カテニン発現有無によるSlit3の筋芽細胞分化促進効果差異の確認
Slit3が筋芽細胞の分化を促進する過程でβ−カテニンが関与することを確認したので、Slit3を処理したとき、β−カテニンの発現有無によって筋肉形成効果に差異が現れるかを確認した。

0159

具体的に、10%FBSを含むDMEMでC2C12細胞を培養した後、β−カテニンに対するsiRNA(CTNNB1 siRNA)を含むリポフェクタミン2000(Invitrogen)混合物を添加した後、C2C12細胞をさらに6時間の間追加培養した。培養後、培養培地を新鮮なDMEM培地に交替して2日間追加培養して、β−カテニンがノックアウトされたC2C12細胞を製造した。β−カテニンを発現する正常対照群に使用するために、CTNNB1 siRNAの代わりに、スクランブルSiRNA(scrambled SiRNA)を形質転換して、正常対照群細胞を製造した。

0160

次に、製造したβ−カテニンノックアウトC2C12細胞または正常対照群細胞を10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和するまで培養した後、培養培地を1μg/mlのSlit3組換えタンパク質および2%馬血清を含むDMEM培地に交換して培養した。培養後、細胞を収得して、1次抗体として抗−MyHC抗体を使用して前記実施例<2−2>の方法で免疫蛍光染色(ICC staining)した。次に、DAPIを処理して細胞の核を染色し、これを蛍光顕微鏡で観察して、蛍光値で細胞の数を定量した。融合指数(%)は、全体MyHC発現細胞の核数に対するMyHC発現筋線維の核数を百分率で示した。また、前記培養後に収得した細胞を前記実施例<4−1>の方法で、抗−ミオゲニン抗体を使用してウェスタンブロットを行った。

0161

その結果、図12c図12eおよび図12fに示されたように、β−カテニンsiRNAでβ−カテニンの発現を抑制した実験群では、Slit3により促進された筋線維の肥大化および融合指数が顕著に抑制することを確認し、ミオゲニンの発現も顕著に減少することを確認した(図12c図12eおよび図12f)。これにより、Slit3は、M−カドヘリンに結合されていたβ−カテニンを遊離して筋芽細胞のβ−カテニンを活性化し、ミオゲニンの発現を増加させて、筋芽細胞の分化を誘導することにより、筋肉形成の促進に関与することができることを確認した。

0162

<実施例5>筋芽細胞でSlit3と結合するRobo受容体亜型の確認
<5−1>筋芽細胞で発現するRobo受容体亜型の確認
筋芽細胞の分化過程でSlit3がβ−カテニン活性およびミオゲニンの発現を増加させる可能性があることを確認し、これは、Slit3−Robo受容体の結合を通じて誘導され得ることを確認した。Slitタンパク質の受容体は、Roboタンパク質として、現在までRobo1〜Robo4の四つの亜型が存在することが知られているので、筋芽細胞では、Slit3と関連したRobo受容体がどのような亜型であるかを確認するために、筋芽細胞で発現するRobo受容体を確認した。

0163

具体的に、10%FBSを含むDMEM培地にC2C12細胞株、HEK297細胞株(伸長細胞株)を接種して、37℃で5%CO2が維持されるように培養した。培養24時間後、それぞれの細胞を収得して、前記<実施例4>と同じ過程で抗−Robo1抗体、抗−Robo2抗体、抗−Robo3抗体および抗−Robo4抗体を使用してウェスタンブロットを行って、C2C12細胞、HEK293細胞または脳組織でRobo1、Robo2、Robo3およびRobo4のタンパク質発現水準を確認した。

0164

その結果、図13aに示されたように、C2C12細胞でRobo1およびRobo2タンパク質が有意的な水準で発現したが、Robo3およびRobo4タンパク質は発現しないことを確認した(図13a)。

0165

<5−2>筋芽細胞でSlit3−Robo1およびSlit3−Robo2結合可否の確認
筋芽細胞でRobo1およびRobo2タンパク質が発現することを確認したので、Slit3タンパク質の受容体がRobo1およびRobo2であるものと判断した。これを確認するために、Robo1およびRobo2の発現が抑制されたとき、Slit3の作用が消失するか否かを確認した。

0166

具体的に、前記実施例<4−4>と同じ方法を行って、Robo1またはRobo2に対するsiRNAでそれぞれ形質転換して、Robo1またはRobo2がノックアウトされたC2C12細胞を製造し、これを10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和するまで培養した後、培養培地を1μg/mlのSlit3組換えタンパク質および2%馬血清を含むDMEM培地に交換して培養した。培養後、細胞を収得し、前記<実施例3>と同じ過程でリアルタイムPCRを行って、Robo1およびRobo2の発現が抑制されたとき、Robo1、Robo2およびミオゲニンのmRNA発現水準を確認した。

0167

その結果、図13bおよび図13cに示されたように、Slit3により発現が増加したミオゲニンは、Robo1およびRobo2発現が抑制されるに伴って、発現が有意的に抑制されて、Slit3未処理対照群と類似した水準でミオゲニンを発現することを確認した(図13bおよび図13c図13d)。

0168

<実施例6>生体内でSlit3による筋肉形成促進効果においてRobo受容体の役割の確認
本発明で確認した結果を生体内で具体的に確認するために、Robo受容体が欠乏したマウスモデルで筋肉量の変化を確認した。

0169

具体的に、Mutant Mouse Regional Resource Centers(Stock number 030759−MU;columbia、MO、USA)からRobo1またはRobo2ノックアウトマウスの胚芽を購入し、雄性および雌性slit3+/−C57BL/6Jマウスを交配して、Robo1またはRobo2ノックアウトマウスモデルをそれぞれ製造した。このうち雄を実験群に選別して、前記実施例<1−1>と同じ方法で7週齢のマウスモデルの体重および筋肉重さと筋減少に対する指標を確認した。Robo2欠乏群は、7週まで生存しないので、実験群として使用せず、Robo1欠乏群のみに対して実験を行った後、正常対照群と比較した。

0170

その結果、下記表3および図14に示されたように、Robo1が欠乏したマウスモデルでは、正常対照群マウスに比べて体重が低く、EDLの重量およびGC+SOLの重量も低く、EDLの筋減少指標およびGC+SOLの筋減少指標も正常対照群に比べて有意的に減少することを確認した(図14および表3)。これにより、Slit3が骨格筋の形成に関与する筋芽細胞の受容体は、Robo1およびRobo2であり、特にRobo1が欠乏する場合、生体水準で筋肉量が減少することを示すので、Slit3および、Robo1またはRobo2の結合システムを介して筋減少症の改善効果が示されることを確認した。

0171

0172

<実施例7>Slit3のLRRD2ドメインによる筋芽細胞分化および筋肉量増進効果の確認
ヒトSlit3タンパク質は、1,523個のアミノ酸から構成されて、約170kDaの分子量を有する非常に大きい物質であるので、Slit3タンパク質全長を使用する薬剤は、実用性が高くないものと判断して、Slit3全長のうち筋芽細胞分化および筋肉量増進効果を示すものと判断されるドメイン断片のみを選別しようとした。Slit3タンパク質は、ロイシンが豊富なドメイン(Leucine−rich domain)を4個含み、このうち130個のアミノ酸から構成されるロイシンが豊富なドメイン2(LRRD2)が受容体と結合する部分であり、これにより、多様な細胞作用ができると判断されて、本発明の筋芽細胞分化促進および筋肉量増進効果においてもLRRD2がSlit3全長の効果を示すことができるか否かを確認した。

0173

<7−1>試験管内水準でSlit3のLRRD2による筋芽細胞分化効果の確認
具体的に、C2C12細胞を10%FBSを含むDMEM培地に接種して、100%飽和するまで培養した後、培養培地を10nMの組換えLRRD2(特許文献1)および2%馬血清を含むDMEM培地に交換して培養した。培養後、細胞を収得して、1次抗体として抗−MyHC抗体を使用して前記実施例<2−2>の方法で免疫蛍光染色(ICC staining)した。次に、DAPIを処理して細胞の核を染色し、これを蛍光顕微鏡で観察して蛍光値で細胞の数を定量した。融合指数(%)は、全体MyHC発現細胞の核数に対するMyHC発現筋線維の核数を百分率で示した。

0174

その結果、図15に示されたように、組換えLRRD2タンパク質を処置した実験群で未処理対照群に比べて筋線維の面積および融合指数水準が顕著に増加し、これは、Slit3タンパク質全長を処置する場合と類似した水準を示すことを確認した(図15)。

0175

<7−2>生体内水準でSlit3のLRRD2による体重および筋減少指標増加効果の確認
具体的に、8週齢の雌性C57BL/6マウスを開腹し、卵巣切除して、性ホルモンが欠乏するように誘導された筋減少症マウスモデルを作って、9週齢から4週間組換えLRRD2ドメインを2μgまたは10μgの投与量で1日1回、1週間5回の投与回数で筋減少症のマウスモデルに静脈注射した。4週後、前記実施例<1−1>と同じ方法で13週齢のマウスモデルの体重および筋肉重さと筋減少指標を確認した。

0176

その結果、下記表4および図16に示されたように、LRRD2を投与したマウスモデルの体重は、LRRD2未投与対照群に比べて有意的な変化を示さないが、筋肉量および筋減少指標と関連して、LRRD2を投与したマウスモデルでLRRD2未投与対照群に比べてEDLの重量およびGC+SOLの重量が有意的に増加し、EDLの筋減少指標およびGC+SOLの筋減少指標もLRRD2未投与対照群に比べて有意的に増加することを確認した(図16および表4)。

0177

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