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図面 (6)

課題・解決手段

通常運転条件下および高温酸化条件下の水冷式原子炉に使用するジルコニウム合金被覆管などの構成機器基材被膜を施す方法を提供する。この方法は、加圧されたキャリアガスを200〜1200℃の温度に加熱するステップと、当該加熱されたキャリアガスに平均直径が20ミクロン以下のクロムまたはクロム系合金粒子を添加するステップと、当該キャリアガスおよび粒子を好ましくは800〜4000フィート/秒(約243.84〜1219.20メートル/秒)の速度で基材上へスプレーし、当該基材の上に所望の厚さのクロムおよび/またはクロム系合金被膜を形成するステップとから成る。

概要

背景

本発明は原子燃料棒被覆管向けの被膜に関し、具体的には、平面状、円筒形または管状のジルコニウム合金基材クロムを付着させるコールドスプレー法の使用に関する。

ジルコニウム合金は、1100℃以上になると蒸気と急速に反応して酸化ジルコニウム水素を発生させる。原子炉の環境では、この反応の進行により水素が原子炉を劇的に加圧し、格納容器または原子炉建屋内漏洩して爆発性雰囲気を形成するようになると、水素爆発により核分裂生成物が格納容器建屋の外へ拡散するおそれがある。核分裂生成物を封じ込める境界を維持することは非常に重要である。

米国特許出願第2014/0254740号は、粉末にした被覆材料を相当な速度に加速して粉末粒子塑性変形させることにより、平板状で粉末粒子が絡み合った形の被膜として基材に付着させるコールドスプレー法のような溶射法により、クロムを含有する金属酸化物セラミック材料または金属合金をジルコニウム合金被覆管に塗布する方法を開示している。米国特許第5,302,414号を参照のこと。

材料がコールドスプレーによる塗布に適しているかどうかは、主としてその材料の変形特性による。ZnやCuのように比較的融点が低く、機械的強度が小さい材料は、降伏強度が小さく、高温で有意に軟化するので、コールドスプレーによる塗布に理想的な材料であることがわかっている。Alも好適な塗布材料候補であることが判明しているが、他の軟質物質に比べて塗布するのが難しい。Fe系やNi系材料などのより高強度の材料は、首尾よく付着させることができない。A.Moridiらによる「Coldspray coating:review of material systems and future perspectives」、Surface Engineering、vol.36、No.6、pp.369−395(2014)を参照のこと。

金属クロムは、耐腐食性に優れた物質であることが知られており、硬質で脆い。クロムは、延性に乏しく融点が高いため、コールドスプレーによる付着に適した材料候補とは考えられてこなかった。

水素の大量発生を避けるために、蒸気とジルコニウム被覆管との反応速度を劇的に低下させる必要がある。核分裂生成物を封じ込めるために、蒸気とジルコニウム被覆管との反応速度を劇的に低下させる必要がある。

概要

通常運転条件下および高温酸化条件下の水冷式原子炉に使用するジルコニウム合金被覆管などの構成機器の基材に被膜を施す方法を提供する。この方法は、加圧されたキャリアガスを200〜1200℃の温度に加熱するステップと、当該加熱されたキャリアガスに平均直径が20ミクロン以下のクロムまたはクロム系合金粒子を添加するステップと、当該キャリアガスおよび粒子を好ましくは800〜4000フィート/秒(約243.84〜1219.20メートル/秒)の速度で基材上へスプレーし、当該基材の上に所望の厚さのクロムおよび/またはクロム系合金被膜を形成するステップとから成る。

目的

本発明は、さまざまな局面において、水冷式原子炉に使用される構成機器の基材に被膜を施す方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

水冷式原子炉に使用される構成機器基材被膜を施す方法であって、加圧されたキャリアガスを200〜1200℃の温度に加熱するステップと、当該加熱されたキャリアガスに、純粋なクロムクロム系合金およびそれらの組み合わせから成る群より選択した平均直径20ミクロン以下の粒子を添加するステップと、キャリアガスおよび同伴粒子を基材上へ800〜4000フィート/秒(約243.84〜1219.20メートル/秒)の速度でスプレーして基材に被膜を形成させるステップとから成る方法。

請求項2

前記基材はジルコニウム合金である、請求項1の方法。

請求項3

前記キャリアガスは、窒素水素アルゴン二酸化炭素ヘリウムおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項1の方法。

請求項4

前記粒子は純粋なクロム粒子である、請求項1の方法。

請求項5

前記キャリアガスおよび前記同伴粒子は、前記被膜が所望の厚さになるまで連続的にスプレーされる、請求項1の方法。

請求項6

前記構成機器は原子燃料棒被覆管である、請求項1の方法。

請求項7

前記基材は円筒形である、請求項1の方法。

請求項8

前記基材は平板状である、請求項1の方法。

請求項9

前記被膜の厚さは5〜100ミクロンの範囲内である、請求項1の方法。

請求項10

前記粒子の付着速度は最大1000kg/時間である、請求項1の方法。

請求項11

前記被膜の形成後に、前記被膜を焼鈍するステップをさらに含む、請求項1の方法。

請求項12

前記被膜の形成後に、前記被膜の平滑性を高めるステップをさらに含む、請求項1の方法。

請求項13

前記クロム系合金粒子は原子濃度80〜99%のクロムから成る、請求項1の方法。

請求項14

前記Cr系合金はさらに、ケイ素イットリウムアルミニウムチタンニオブジルコニウムおよび遷移金属元素から成る群より選択した少なくとも1つの元素合計原子濃度0.1〜20%含む、請求項13の方法。

請求項15

前記キャリアガスが最大5.0MPaの圧力で加熱される、請求項1の方法。

請求項16

水冷式原子炉に使用される被覆管であって、当該被覆管は均質に付着した被膜を有するジルコニウム合金から成り、当該被膜はクロム合金、クロム系合金およびそれらの組み合わせから成る群より選択されることを特徴とする被覆管。

請求項17

前記被膜の厚さは最大300ミクロンである、請求項16の被覆管。

請求項18

前記被膜は、ケイ素、イットリウム、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよび遷移金属元素から成る群より選択した少なくとも1つの元素を合計原子濃度0.1〜20%含むCr系合金である、請求項16の被覆管。

請求項19

前記被膜は原子濃度80〜99%のクロムから成るCr系合金である、請求項16の被覆管。

技術分野

0001

関連出願
本願は、参照によって本願に組み込まれる2016年7月22日出願の米国仮特許出願第62/365,518号に基づく優先権を主張する。

0002

政府権利に関する陳述
本発明は、エネルギー省との契約第DE−NE0008222号に基づく政府支援の下でなされたものであった。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有している。

背景技術

0003

本発明は原子燃料棒被覆管向けの被膜に関し、具体的には、平面状、円筒形または管状のジルコニウム合金基材クロムを付着させるコールドスプレー法の使用に関する。

0004

ジルコニウム合金は、1100℃以上になると蒸気と急速に反応して酸化ジルコニウム水素を発生させる。原子炉の環境では、この反応の進行により水素が原子炉を劇的に加圧し、格納容器または原子炉建屋内漏洩して爆発性雰囲気を形成するようになると、水素爆発により核分裂生成物が格納容器建屋の外へ拡散するおそれがある。核分裂生成物を封じ込める境界を維持することは非常に重要である。

0005

米国特許出願第2014/0254740号は、粉末にした被覆材料を相当な速度に加速して粉末粒子塑性変形させることにより、平板状で粉末粒子が絡み合った形の被膜として基材に付着させるコールドスプレー法のような溶射法により、クロムを含有する金属酸化物セラミック材料または金属合金をジルコニウム合金被覆管に塗布する方法を開示している。米国特許第5,302,414号を参照のこと。

0006

材料がコールドスプレーによる塗布に適しているかどうかは、主としてその材料の変形特性による。ZnやCuのように比較的融点が低く、機械的強度が小さい材料は、降伏強度が小さく、高温で有意に軟化するので、コールドスプレーによる塗布に理想的な材料であることがわかっている。Alも好適な塗布材料候補であることが判明しているが、他の軟質物質に比べて塗布するのが難しい。Fe系やNi系材料などのより高強度の材料は、首尾よく付着させることができない。A.Moridiらによる「Coldspray coating:review of material systems and future perspectives」、Surface Engineering、vol.36、No.6、pp.369−395(2014)を参照のこと。

0007

金属クロムは、耐腐食性に優れた物質であることが知られており、硬質で脆い。クロムは、延性に乏しく融点が高いため、コールドスプレーによる付着に適した材料候補とは考えられてこなかった。

0008

水素の大量発生を避けるために、蒸気とジルコニウム被覆管との反応速度を劇的に低下させる必要がある。核分裂生成物を封じ込めるために、蒸気とジルコニウム被覆管との反応速度を劇的に低下させる必要がある。

0009

本願で説明する方法は、原子炉内で蒸気とジルコニウムが反応する可能性に付随する問題に対処する。本願で説明する方法は、ジルコニウム基材の上に障壁として耐腐食性被膜を形成するものである。

0010

本発明は、さまざまな局面において、水冷式原子炉に使用される構成機器の基材に被膜を施す方法を提供する。この方法は、加圧されたキャリアガスを200〜1200℃の温度に加熱するステップと、当該加熱されたキャリアガスに平均直径が20ミクロン以下の粒子を添加するステップと、当該キャリアガスおよび同伴粒子を800〜4000フィート/秒(約243.84〜1219.20メートル/秒)の速度で基材上へスプレーして、当該基材の上に所望の厚さ(例えば最大100ミクロン以上)の被膜を形成するステップとから成る。当該粒子は、純粋なクロム粒子クロム系合金およびそれらの組み合わせから選択される。

0011

粒子がクロム系合金の場合、当該粒子は原子濃度80〜99%のクロムから成ることがある。さまざまな局面において、このクロム系合金は、ケイ素イットリウムアルミニウムチタンニオブ、ジルコニウムおよび遷移金属元素から成る群より選択した少なくとも1つの元素合計原子濃度0.1〜20%含むことがある。

0012

キャリアガスは、最大5.0MPaの圧力で加熱してもよい。

0013

キャリアガスおよび粒子は、被膜が所望の厚さに達するまで連続的にきわめて高速でスプレーするのが好ましい。付着させる被膜の厚さは、例えば5〜100ミクロンの範囲とすることができるが、例えば数百ミクロンのようなより大きな厚さにしてもよい。

0014

この方法は、被膜の形成後にさらに当該被膜を焼鈍するステップを含むことができる。焼鈍は延性に影響を与え、サブミクロンサイズの粒子が形成されることがあるが、種々の性質等方性と耐放射線損傷性が得られる利点があると考えられる。

0015

基材はジルコニウム合金が好ましく、構成機器は、さまざまな局面において原子燃料棒被覆管であってよい。基材は、被膜を施される構成機器に応じた任意の形状であってよい。基材は例えば、円筒形、曲面状、または平板状であってもよい。

0016

キャリアガスは、不活性ガスおよび非反応性ガスから選択するのが有利である。さまざまな局面において、キャリアガスは、窒素、水素、アルゴン二酸化炭素ヘリウムおよびそれらの組み合わせから成る群より選択することができる。

0017

本願で説明する方法は、被膜を付着させたジルコニウム合金から成る被覆管も提供する。被膜は、純粋なクロム、クロム系合金およびそれらの組み合わせから選択される。被膜は所望の厚さにできるが、典型的な厚さは約5〜100ミクロン以上である。コールドスプレー被膜は、最大数百ミクロンの厚さにできる。

0018

被膜は、基材の耐腐食性障壁として機能する。基材がジルコニウム合金被覆管の場合、クロム被膜は、通常運転条件下で、すなわち例えば加圧水型原子炉では270〜350℃の範囲、沸騰水型原子炉では200〜300℃の範囲で、耐腐食性障壁を提供する。被膜は、1100℃を超える高温において、蒸気とジルコニウムの反応および空気とジルコニウムの反応を低減し、水素の発生を抑える。

図面の簡単な説明

0019

添付の図面を参照することにより、本発明の特徴と利点の理解が深まるであろう。

0020

コールドスプレー法の概略図である。

0021

コールドスプレー法でCr被膜を施したZr合金管を1200℃で20分間空気酸化させた後の低倍率断面画像である。管体の外部表面(顕微鏡写真の最上部)にはCr被膜があるが、内部表面(顕微鏡写真の最下部)には被膜がない。両側の酸化状態の大きな違いに留意のこと(Cr被膜側は5ミクロンの酸化損失、被膜のないZr合金側は400ミクロンの酸化損失)。

0022

Zr合金基材(最下部の薄い灰色部分)上にCrを被膜(最上部の濃い灰色部分)として付着させた直後の高倍率画像である。

0023

コールドスプレー法によってCrを被膜として付着させた直後の高倍率画像(1万倍)であり、変形した粒子構造を示す。
450℃で8時間焼鈍後のサブミクロン再結晶した粒子構造を示すCr被膜の高倍率画像(1万倍)である。

実施例

0024

本願で使用する「a」、「an」および「the」に先導される単数形は、文脈からそうでないことが明白でない限り、複数形をも包含する。したがって、本願で使用する詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の、1つまたは複数の(すなわち、少なくとも1つの)対象物を指す。例として、「anelement」は1つの要素または複数の要素を意味する。

0025

非限定的な例として、本願で使用する最上部、最下部、左、右、下方、上方、前、後ろ、およびそれらの変形例などの方向性示唆する語句は、添付の図面に示す要素の方位に関連し、特段の記載がない限り、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。

0026

特許請求の範囲を含み、本願では、特段の指示がない限り、量、値または特性を表すあらゆる数字は、すべての場合において「約」という用語により修飾されると理解されたい。したがって、数字と一緒に「約」という用語が明示されていない場合でも、数字の前に「約」という語があるものと読み替えることができる。したがって、別段の指示がない限り、以下の説明で記載されるすべての数値パラメータは、本発明に基づく組成物および方法が指向する所望の特性に応じて変わる可能性がある。最低限のこととして、また均等論の適用を特許請求の範囲に限定する意図はないが、本願に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を案し、通常の丸め手法を適用して解釈するべきである。

0027

また、本願で述べるあらゆる数値範囲は、そこに内包されるすべての断片的部分を含むものとする。例えば、「1〜10」という範囲は、記述された最小値1と最大値10との間(最小値と最大値を含む)のすべての断片的部分を含むことを意図している。すなわち、最小値は1以上、最大値は10以下である。

0028

管状の表面を含む基材の表面にクロム(Cr)またはクロム系合金を付着させる改良型コールドスプレー法を開発した。基材として特に重要なのは原子炉の構成機器として使用される基材であり、具体的には、水冷式原子炉に用いられる燃料棒被覆管のようなジルコニウム合金基材である。

0029

本願で使用する「純粋なCr」または「純粋なクロム」という用語は、100%の金属クロムを意味し、冶金学的機能が有意でない極微量の意図しない不純物を含むことがある。例えば、純粋なCrは数ppmの酸素を含むことがある。本願で使用する「Cr合金」、「クロム合金」、「Cr系合金」または「クロム系合金」という用語は、Crを優勢元素または主要元素とする合金を指し、特定の機能を果たす他の元素を少量かつ合理的な量だけ含む。Cr合金は、原子濃度80%〜99%のクロムから成ることがある。Cr合金中の他の元素は、ケイ素、イットリウム、アルミニウム、チタン、ニオブ、ジルコニウムおよび他の遷移金属元素から選択した少なくとも1つの化学元素を含むことがある。そのような元素は、例えば0.1%〜20%の原子濃度で存在することがある。

0030

Cr含有合金」または「クロム含有合金」は、主要元素に比べて少なめの量のCrが添加された合金である。例えば、16%〜18%のCrと10%〜14%のNiを含む鉄系合金である316ステンレス鋼は、Cr系合金ではなくCr含有合金に分類される。

0031

改良された被覆方法は、高温事故条件下と、それと同様に重要な通常運転条件下での被覆管の被膜の健全性を高める。通常運転条件下でも、Zrの酸化によって水素が発生する可能性があり、水中に水素が存在する可能性もある。そのような水素はZr被覆管の中に拡散し(水素化と呼ばれる)、被覆管の脆化をもたらす。Cr被膜を施された改良型被覆管は、Zr被覆管の水素化が起きにくいため、運転サイクルの長期化に寄与し、したがって原子炉運転経済性を高める。Cr被膜を施された被覆管はまた、遅れ水素化割れへの耐久性が見込まれるので、あとで乾式キャスク貯蔵される際に良い性能を発揮すると思われる。

0032

本願で説明する方法によって提供されるCrまたはCr系合金の被膜は、酸化を減らし、水中の水素が被覆管内へ侵入するのを防ぐ拡散障壁として機能することにより、水素化を減少させる。そのようなCr被膜の存在は通常条件下でも重要な利点であるが、Cr被膜またはCr系被膜の役割は高温事故条件下では不可欠となる。

0033

Crは通常運転条件下で下層のZrへ熱拡散するが、拡散は650℃の温度までは無視できる程度である。コールドスプレーによって被膜と基材が密着するにもかかわらず、1200℃における純粋なCr被膜と基材との間の相互拡散はごくわずかである。実際、事故時の温度で起こる若干の熱拡散は、被膜と基材の固着を維持する上で有益であると考えられる。

0034

本願の方法では、キャリアガスが加熱器に供給され、そこでノズル内での膨張後の温度が合理的な値(例えば100〜500℃)に保たれるように十分な温度に加熱される。ガスの膨張が粒子に推進力を与える。さまざまな局面において、キャリアガスは、例えば5.0MPaの圧力で200〜1200℃の温度に加熱される。或る特定の局面において、キャリアガスは200〜800℃の温度に加熱される。キャリアガスは、或る特定の局面で300〜800℃の温度に加熱され、別の局面では500〜800℃の温度に加熱される。ガスを何度まで予熱するかは、キャリアとして使用するガスの種類と、個別のガスのジュールトムソン冷却係数による。ガスの圧力が変化して膨張または圧縮する際にガスが冷却するかどうかは、ジュールトムソン係数の値による。ジュールトムソン係数が正の値の場合、キャリアガスは冷却するので、コールドスプレー法の性能に影響を及ぼす可能性のある過度な冷却を防ぐために、キャリアガスを予熱する必要がある。当業者は、過度な冷却を防ぐために、周知の計算法を用いて加熱の程度を決めることができる。例えば、キャリアガスがN2の場合、入口温度が130℃であれば、ジュールトムソン係数は0.1℃/バールである。初期圧力が10バール(約146.9psia)、最終圧力が1バール(約14.69psia)のガスを130℃で管体に衝突させる場合は、約9バール×0.1°C/バール(すなわち約0.9℃)高い130.9℃にガスを予熱する必要がある。

0035

例えば、キャリアガスとしてヘリウムを用いる場合のガスの温度は、圧力3.0〜4.0MPaにおいて450℃であるのが好ましい。また、窒素のキャリアガスの温度は、圧力5.0MPaで1100℃であるが、圧力が3.0〜4.0MPaであれば600〜800℃でもよい。当業者であれば、使用する機器の種類によって温度および圧力の変数が変わり、機器を改造することによって温度、圧力および体積パラメータを調節できることを理解するであろう。

0036

キャリアガスに適しているのは不活性ガスまたは非反応性ガスであり、特に、CrまたはCr系合金粒子や基材と反応しないガスである。キャリアガスの例として、窒素(N2)、水素(H2)、アルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、およびヘリウム(He)が挙げられる。キャリアガスの選択にはかなりの自由度がある。混合ガスを使用してもよい。ガスの選択は物理的特性と経済性の双方による制約を受ける。例えば、分子量の小さいガスは速度を大きくできるが、速度を最大にすると、粒子の跳ね返りによって付着する粒子数が少なくなるので避けるべきである。

0037

図1は、コールドスプレーアセンブリ10を示す。アセンブリ10は、加熱器12、粉末または粒子ホッパー14、ガン16、ノズル18および送出導管34、26、32、28を含む。高圧ガス導管24に入って加熱器12へ送出され、そこで実質的に瞬時に急速加熱される。ガスは、所望の温度に加熱されると、導管26を介してガン16へ差し向けられる。ホッパー14に保持された粒子は放出後、導管28を介してガン16へ差し向けられ、圧縮ガス噴流20により強制的にノズル18を通過し、基材22へ差し向けられる。噴射された粒子36は基材22に付着し、粒子24から成る被膜30を形成する。

0038

コールドスプレー法は、加熱されたキャリアガスの膨張を制御することにより粒子を基材上に推進し付着させる原理を有する。粒子は、基材または付着済みの層に衝突し、断熱せん断による塑性変形を受ける。後続の粒子の衝突が積み重なって被膜が形成される。変形を促進するには、粒子を、キャリアガスへ流入させる前に、ケルビン絶対温度スケールで粉末の融点の3分の1から2分の1の温度に温めてもよい。被膜を施す領域または材料の付着が必要な領域全体をノズルによって走査する(すなわち、ある領域の端から端まで、最上部から最下部まで線状にスプレーする)。

0039

平面状ではない管体に被膜を施すことは、これまで難題であった。平面に被膜を施すのは易しいが、管体の表面や他の曲面に低コストで被膜を施すのは容易ではなかった。管体または円筒体に被膜を施すには、ノズルを管体または円筒体の長さ方向に移動させながら、管体を回転させる必要がある。領域を均質カバーするように、ノズルの長さ方向の速度と管体の回転を同期させる。領域を均質にカバーするように移動と回転を同期させさえすれば、回転速度と移動速度を実質的に変えてもよい。表面の汚染物を除去して被膜の付着性分布を改善するために、管体の表面を研削したり化学洗浄したりするような前処理が必要なことがある。

0040

この方法のさまざまな局面において、粒子は、平均直径が20ミクロン未満の純粋な金属クロム粒子である。本願で使用する「平均直径」という用語に関して、当業者であれば次のことを理解するであろう。粒子は球体のことも非球体のこともあるので、「直径」は、規則的な形状または不規則な形状の粒子の最大寸法であり、平均直径の意味するところは、所与の粒子の最大寸法にはバラツキがあり、20ミクロンを上回ったり下回ったりするが、被膜に使用されるすべての粒子の最大寸法の平均は20ミクロン以下である。

0041

クロムまたはクロム系合金粒子は、中実の粒子である。クロム粒子は、ガン16においてキャリアガスに合流して同伴状態になる。ノズル18の狭隘部は、ガスと粒子とを強制的に混合して、ノズル18から出るガス噴流20の速度を増加させる作用がある。粒子は、緻密で不浸透性または実質的に不浸透性のCrおよび/またはCr系合金層を形成するのに十分な速度でスプレーされる。さまざまな局面において、噴射スプレーの速度は800〜4000フィート/秒(約243.84〜1219.20メートル/秒)である。粒子24は、商業または研究レベルにおいて、被膜を施された管体を所望の速度で製造するのに十分な速度で基材表面に付着させられる。

0042

粒子の付着速度は、粉末の見かけ密度(すなわち、比容積における空気または空隙に対する粉末の量)と、粉末粒子のガス流への注入に用いる機械式粉末供給装置またはホッパーとに依存する。当業者は、このプロセスに使用する機器に基づいて付着速度を容易に計算可能であり、付着速度の決定因子である構成機器を変更することによって付着速度を調節できる。この方法の或る特定の局面において、粒子の付着速度は最大1000kg/時間である。許容できる付着速度は1〜100kg/時間の範囲であり、さまざまな局面において10〜100kg/時間の範囲であるが、これより高い速度や低い速度(例えば1.5kg/時間)も使用され、良い結果が得られている。

0043

付着速度が大きいと、単位時間当たりにスプレー処理できる管体の数か増えるので、付着速度は経済性の観点で重要である。粒子を次々に繰り返し衝突させると、過渡加熱の時間が長くなるので、粒子間の結合(および粒子と基材の結合)が改善される利点がある。過渡加熱は、マイクロ秒やときにはナノ秒時間スケールで、ナノメートルの長さスケールにわたって起きる。その結果、すべての粉末および基材の表面に本質的に存在する厚さがナノメートルスケール酸化物層破砕および除去される。スプレー処理は、基材表面の被膜が所望の厚さになるまで続けられる。さまざまな局面において、所望の厚さは数百ミクロンであり(例えば100〜300ミクロン)、それより薄いこともある(例えば5〜100ミクロン)。被膜は、耐腐食性の障壁を形成するのに十分な厚さである必要がある。被膜による障壁は、約1000℃以上の温度において、蒸気とジルコニウムの反応および空気とジルコニウムの反応、さらには水素化ジルコニウムの形成を減少させるが、さまざまな局面においてかかる反応および水素化ジルコニウムの形成を完全に阻止することもある。

0044

図2A、2Bは、本願で説明するコールドスプレー法によって外側にCrの被膜が施されたZr合金(ジルカロイ−4)の管体を示す。管体の内側には被膜はないので、表面はジルカロイ−4のままである。管体に被膜を施し、1200℃で20分間空気酸化させた後の管体の断面画像を撮影した。この低倍率写真は、管体の外部表面から内部表面までの断面全体を示している。内部の被膜のないZr合金表面は酸化が非常に進んでいるが、Cr被膜を施された外部表面はごくわずかしか酸化されていない点に留意のこと。酸化によるCr損失量は約5ミクロンであるのに対し、ジルカロイ−4の損失量は400ミクロンである。空気による酸化を蒸気による酸化と同等視するものではないが、それでもこの試験は、コールドスプレー法によるCr被膜が耐腐食性の障壁として機能する可能性を示し、熱衝撃条件下において被膜が密着する性質を証明するものである。蒸気環境下の試験でも有望な結果が得られている。Cr被膜を施されたZIRLO(Zr合金の一種)のサンプルの平均重量増加速度は約0.03mg/dm2・日である。

0045

Zr合金管にCrまたはCr系合金被膜を付着させるコールドスプレー法には、他の被覆方法に比べて顕著な利点がある。例えば、或る特定の被覆方法は、Zr合金表面にもともと存在する酸化物層が付着を妨げるため、うまくゆかないことがある。真空チェンバ内で実施する必要がある他の被覆方法は、付着速度が低いため経済的でないことがある。高温または高熱を伴うためZr合金の微細構造が変化する他の被膜方法もある。さらに、CrまたはCr系合金被膜は、通常運転条件下では下層のZr合金基材中に熱拡散しないが、事故条件下ではある程度の熱拡散が起きることがわかっており、このことは、まさに最も必要とされる時に被膜が基材に強く固着されるので有益である。

0046

本願の方法は、基材にクロム被膜30を付着させた後、さらに被膜を焼鈍するステップを含んでもよい。焼鈍によって、被膜を施された管体の機械的性質と微細構造が改変される。焼鈍では、被膜を200〜800℃で加熱し、好ましくは350〜550℃で加熱する。焼鈍することによって被膜中応力解放され、被覆管の内圧に耐えるために必要な延性が被膜に与えられる。管体の膨張に合わせて、被膜も膨張できることが必要である。焼鈍の別の重要な効果は、コールドスプレーの過程で形成される変形した粒子を再結晶させることにより、等方性および耐放射線損傷性という利点を有する、サブミクロンサイズの等軸の細粒粒子を形成させることである。

0047

図3Aは、コールドスプレー法によってCrを付着させた直後の被膜を示す高倍率画像であり、変形した粒子構造を示す。図3Bは、450℃で8時間焼鈍した後の再結晶した細粒構造を示す。ひずみ速度の大きい塑性変形や粒子の平板化が起こると断熱せん断(すなわちシステム内に熱が残る)が発生し、それによって界面で過渡加熱が生じる(やはりナノメートルの長さスケールとナノ秒の時間スケールで起きる)。断熱せん断はまた、粉末中に必然的に存在するナノメートル単位の酸化物層を破砕し、金属同士の接触をもたらす。粒子間および粒子と基材との間の固体拡散(ナノメートルの長さスケールで)が結合につながる。

0048

CrまたはCr系合金被膜の付着後に焼鈍を行うことにより、コールドスプレー被膜に特有の構造が生じる。これは、試験で示されたように、高い延性を実現して管体の耐破裂性を高める上で非常に有利であり、耐放射線損傷性の点でも有利であると考えられる。本願で説明する方法によって提供される被膜は、等軸の細粒粒子を形成するための初期構造を生成する。

0049

被膜を施された基材は、より平滑な表面に仕上げるために、研削、もみ磨き、研磨、または他の公知の手法で処理してもよい。

0050

本願で説明する方法は、所望の厚さ(例えば約100〜300ミクロン以上)のクロム被膜が施されたジルコニウム合金管から成る被覆管を製造する。さらに薄い、約50〜100ミクロンの厚さの被膜を施すこともできる。

0051

本願で言及したすべての特許、特許出願、刊行物または他の開示資料は、各文献全体が参照により本願に組み込まれる。ただし、本願で参照により組み込まれると言及されたすべての文献および資料またはそれらの一部分は、本願で明示的に記載された既存の定義、言明または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ本願に組み込まれる。したがって、本願に記載の開示事項は、必要な範囲において、それと矛盾する、参照により本願に組み込まれた資料に取って代わり、本願に明示的に記載された開示事項が決定権をもつ。

0052

本発明を、さまざまな例示的な実施態様を参照して説明してきた。本願に記載の実施態様は、開示された発明のさまざまな実施態様のさまざまな詳細度の例示的な特徴を示すものとして理解される。したがって、特段の指示がない限り、可能な範囲において、開示した実施態様における1つ以上の特徴、要素、構成要素、成分、材料、構造物モジュールおよび/または局面は、本発明の範囲から逸脱することなく、当該開示された実施態様における他の1つ以上の特徴、要素、構成要素、成分、材料、構造物、モジュールおよび/または局面との間で、複合、分割、置換えおよび/または再構成が可能であることが理解される。したがって、通常の技量を有する当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施態様のいずれにおいてもさまざまな置換え、変更または組み合わせが可能であることを理解するであろう。当業者はさらに、本願を検討すれば、本願に記載された本発明のさまざまな実施態様に対する多くの均等物に気付くか、あるいは単に定常的な実験を用いてかかる均等物を確認できるであろう。したがって、本発明は、さまざまな実施態様の説明によってではなく、特許請求の範囲によって限定される。

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