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課題・解決手段

本開示は、FcγRIIb+B細胞に結合し、細胞表面上のCD19と細胞表面上のFcγRIIbに共結合する免疫グロブリン、その免疫グロブリンの生成方法、およびIgG4関連疾患の治療ための免疫グロブリンの使用方法に関する。

概要

背景

B細胞による抗原認識は、シグナル伝達の構成要素CD79a(Igα)とCD79b(Igβ)の複合体にある表面結合免疫グロブリンであるB細胞受容体(BCR)によって媒介される。抗原に結合した際のBCRの架橋によって、CD79aとCD79bの免疫受容体チロシン活性モチーフ(ITAM)がリン酸化され、下流の分子を膜にリクルートし、カルシウム動員刺激する細胞内シグナル伝達事象カスケードが開始される。これによって、液性免疫反応をもたらす多様なB細胞応答(例えば、細胞生存、増殖、抗体産生抗原提示分化など)が誘導される(DeFranco, A.L., 1997, Curr. Opin. Immunol. 9, 296-308; Pierce, S.K., 2002, Nat. Rev. Immunol. 2, 96-105; Ravetch, J.V. & Lanier, L.L., 2000, Science 290, 84-89)。BCR共受容体複合体の他の構成要素は、BCR活性化シグナルを増強(例えば、CD19、CD21、およびCD81)または抑制する(例えば、CD22およびCD72)(Doody, G.M. et al., 1996, Curr. Opin. Immunol. 8, 378-382; Li, D.H. et al., 2006, J. Immunol. 176, 5321-5328)。このように、免疫系は複数のBCR調節機構を維持して、B細胞応答がきちんと制御されることを担保している。

抗体が抗原に対して産生される、免疫複合体(例えば、抗体に結合した抗原)の循環レベルは増大する。これらの免疫複合体は、抗原に誘発されたB細胞活性化を下方制御する。これらの免疫複合体は、同族BCRを低親和性抑制受容体FcγRIIb、B細胞上の唯一IgG受容体と共結合することによって、抗原に誘発されたB細胞活性化を下方制御すると考えられている(Heyman, B., 2003, Immunol. Lett. 88, 157-161)。また、抗体産生のこのネガティブフィードバックは、F(ab’)2抗体フラグメントを含有する免疫複合体が抑制性でないため、FcγRIIbと抗体Fcドメイン相互作用を必要とするとも考えられている(Chan, P.L. & Sinclair, N.R., 1973, Immunology 24, 289-301)。FcγRIIbの細胞内の免疫受容体のチロシンベース抑制性モチーフ(ITIM)は、BCRに誘発された細胞内シグナルを抑制するのに必要である(Amigorena, S. et al., 1992, Science 256, 1808-1812; Muta, T., et al., 1994, Nature 368, 70-73)。この抑制効果は、FcγRIIb ITIMのリン酸化によって生じ、そしてそれが、SH2含有イノシトールポリホスファート5−ホスファターゼ(SHIP)をリクルートして、ITIMに誘発された細胞内カルシウム動員を中和する(Kiener, P.A., et al., 1997, J. Biol. Chem. 272, 3838-3844; Ono, M., et al., 1996, Nature 383, 263-266; Ravetch, J.V. & Lanier, L.L., 2000, Science 290, 84-89)。加えて、FcγRIIb媒介性SHIPリン酸化が、下流のRas−MAPK増殖経路を抑制する(Tridandapani, S. et al., 1998, Immunol. 35, 1135-1146)。

概要

本開示は、FcγRIIb+B細胞に結合し、細胞表面上のCD19と細胞表面上のFcγRIIbに共結合する免疫グロブリン、その免疫グロブリンの生成方法、およびIgG4関連疾患の治療ための免疫グロブリンの使用方法に関する。

目的

本開示は、FcγRIIbを発現する細胞を抑制するために免疫グロブリンを使用する方法を提供する

効果

実績

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請求項1

対象におけるIgG4関連疾患(IgG4−RD)を治療する方法であって、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリン投与することを含み、前記免疫グロブリンがFc領域を含み、前記Fc領域が、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ナンバリングカバットにあるようなEUインデックスによるものである方法。

請求項2

対象におけるIgG4−RDに関連する少なくとも1つの症状を軽減する方法であって、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、前記免疫グロブリンがFc領域を含み、前記Fc領域が、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである方法。

請求項3

IgG4−RDに関連する少なくとも1つの症状が、前記免疫グロブリンの投与の7日以内に軽減される請求項2に記載の方法。

請求項4

IgG4−RDに関連する少なくとも1つの症状が、前記免疫グロブリンの投与の14日以内に軽減される請求項2に記載の方法。

請求項5

前記少なくとも1つの症状が、リンパ節顎下腺耳下腺涙腺腎臓心臓心膜眼窩鼻腔胆管唾液腺、および膵臓から選択される臓器に現れる請求項2〜4に記載のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

IgG4関連疾患を患っている対象の形質芽球枯渇させる方法であって、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、前記免疫グロブリンがFc領域を含み、前記Fc領域が、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである方法。

請求項7

前記形質芽球の枯渇が、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンの投与後7日以内に観察される、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも10%だけ枯渇させる、請求項6〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

前記形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも20%だけ枯渇させる、請求項6〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

前記形質芽球を、ベースラインに対して少なくとも30%だけ枯渇させる、請求項6〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも40%だけ枯渇させる、請求項6〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

前記形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも80%だけ枯渇させる、請求項6〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

IgG4関連疾患を患っている対象において、CD4+SLAMF7+CTL細胞数を削減する方法であって、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、前記免疫グロブリンがFc領域を含み、前記Fc領域が、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである方法。

請求項14

前記CD4+SLAMF7+CTL細胞数の削減が、B細胞の表面のFcRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンの投与後24日以内に観察される、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記CD4+SLAMF7+CTL細胞が、免疫グロブリン投与前のCD4+SLAMF7+CTL細胞数と比較して少なくとも10%だけ削減される、請求項13〜14のいずれか一項に記載の方法。

請求項16

対象における疾患を治療する方法であって、B細胞の表面のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、前記免疫グロブリンがFc領域を含み、前記Fc領域が、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものであり、および前記疾患が、IgG4関連唾液腺炎慢性硬化性唾液腺炎、カットナー腫瘍ミクリッツ病)、IgG4関連涙腺炎(ミクリッツ病)、IgG4関連眼疾患特発性眼窩部炎症性疾患、眼窩偽腫瘍)、慢性副鼻腔炎好酸球血管中心線維症、IgG4関連下垂体炎(IgG4関連汎下垂体炎、IgG4関連腺下垂体炎、IgG4関連漏斗下垂体後葉炎、自己免疫性下垂体炎)、IgG4関連髄膜炎、IgG4関連軟膜炎(特発性肥厚性髄膜炎)、IgG4関連膵炎1型自己免疫性膵炎、IgG4関連AIP、リンパ形質細胞性硬化性膵炎、主膵管広汎性不規則狭窄に伴う慢性膵炎)、IgG4関連肺疾患(肺の炎症性偽腫瘍)、IgG4関連肋膜炎、IgG4関連肝障害、IgG4関連硬化性胆管炎、IgG4関連胆嚢炎、IgG4関連大動脈炎(炎症性大動脈瘤)、IgG4関連大動脈周囲炎(慢性大動脈周囲炎)、IgG4関連動脈周囲炎、IgG4関連心膜炎、IgG4関連縦隔炎線維性縦隔炎)、IgG4関連後腹膜線維症(後腹膜線維症、アルバラン−オーモンド症候群オーモンド病(後腹膜線維症(tetroperitoneal fibrosis)))、周囲筋膜炎、ジェロタ筋膜炎/症候群、線維性尿管周囲炎、硬化性脂肪肉芽腫、硬化性後腹肉芽腫非特異性後腹膜炎症、硬化性後腹膜炎、血管周囲線維症に伴う後腹膜血管炎)、IgG4関連腸間膜炎(サブタイプは:腸間膜脂肪織炎、腸間膜リポジストロフィーおよび退縮性腸間膜炎である)(硬化性腸間膜炎、全身性結節性皮下脂肪織炎、脂肪硬化性腸間膜炎、腸間膜のウェーバー−クリスチャン病、腸間膜の脂肪肉芽腫、黄色肉芽腫性腸間膜炎)、IgG4関連乳腺炎(硬化性乳腺炎)、IgG4関連腎疾患(IgG4−RKD)、IgG4関連尿細管間質性腎炎(IgG4−TIN)、IgG4関連膜性糸球体腎炎(特発性尿細管間質性腎炎)、IgG4関連前立腺炎、IgG4関連管周囲(perivasal)線維症(慢性陰嚢痛)、IgG4関連偽性偽腫瘍、IgG4関連精巣上体精巣炎(傍精巣繊維性偽腫瘍、精索の炎症性偽腫瘍、精索の肉腫筋線維芽細胞性増殖、増殖性精索炎、慢性増殖性精巣周囲炎、線維腫性精巣周囲炎、結節性精巣周囲炎、反応性精巣周囲炎、繊維性中皮腫)、IgG4関連リンパ節症、IgG4関連皮膚疾患(好酸球増多を伴う血管リンパ球増殖症、皮膚偽性リンパ腫)、IgG4関連神経周囲疾患、およびIgG4関連甲状腺疾患(リーデル甲状腺炎)、好酸球性血管中心性線維症(眼窩と上気道を侵す)、炎症性偽腫瘍、および多病性線維性硬化症からなる群より選択される方法。

請求項17

前記疾患が、自己免疫性膵炎(リンパ形質細胞性硬化性膵炎)、好酸球性血管中心性線維症(眼窩と上気道を侵す)、線維性縦隔炎、特発性肥厚性髄膜炎、特発性尿細管間質性腎炎、炎症性偽腫瘍、カットナー腫瘍、ミクリッツ病、線維性硬化症、大動脈周囲炎、動脈周囲炎、炎症性多病巣性大動脈瘤、オーモンド病(後腹膜線維症)、リーデル甲状腺炎、および硬化性腸間膜炎からなる群より選択される、請求項16に記載の方法。

請求項18

前記少なくとも1つの置換が、267Eおよび328Fからなる群より選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

前記Fcバリアントが、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み、前記少なくとも2つの置換が、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群より選択される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。

請求項20

前記少なくとも2つの置換が267E/328Fである、請求項19に記載の方法。

請求項21

免疫グロブリン投与後2週間以内に、対象のIgG4−RDレスポンダ指数スコア(IgG4−RDRIスコア)が、ベースラインスコアから少なくとも1だけ低減される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

前記IgG4−RDRIスコアが、免疫グロブリン投与後2週間以内に≧3だけ低減される、請求項21に記載の方法。

請求項23

前記B細胞が、形質細胞および形質芽球からなる群より選択される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

前記B細胞が形質芽球である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記FcγRIIbと結合するFc領域が、配列番号7および配列番号9を含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

抗炎症性鎮痛薬(例えばアスピリンイブプロフェンナプロキセン、またはセレブレックスなどのNSAID)、アセトアミノフェンステロイドグルココルチコイド(すなわち、プレドニゾン)、免疫抑制剤(すなわち、アザチオプリンミコフェノール酸モフェチル)、および免疫抑制性生物製剤(すなわちリツキシマブボルテゾミブ)を含めたIgG4関連疾患の標準的治療法を投与することを更に含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

前記対象には、疾患が再発しているか、またはリツキシマブが無効である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

ステロイドの使用を徐々に減らすこと、および/または中止することを更に含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。

請求項29

約1〜約10mg/kg体重の免疫グロブリンが対象に投与される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。

請求項30

約5mg/kg体重の免疫グロブリンが対象に投与される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。

請求項31

前記免疫グロブリンが、14日毎に少なくとも2つの用量で対象に投与される、請求項29〜30のいずれか一項に記載の方法。

請求項32

前記免疫グロブリンが、14日毎に少なくとも6つの用量で対象に投与される、請求項29〜30のいずれか一項に記載の方法。

請求項33

前記免疫グロブリンが、14日毎に少なくとも12個の用量で対象に投与される、請求項29〜30のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2016年6月8日に出願された「METHODS AND COMPOSITIONS FORINHIBITING CD32B EXPRESSING CELLS」と題する米国仮特許出願第62/347,419号、2016年9月26日に出願された「METHODS AND COMPOSITIONS FOR INHIBITING CD32B EXPRESSING CELLS IN IGG4-RELATED DISEASES」と題する米国仮特許出願第62/399,896号、および2016年11月12日に出願された「METHODS AND COMPOSITIONS FOR INHIBITING CD32B EXPRESSING CELLS IN IGG4-RELATED DISEASES」と題する米国仮特許出願第62/421,261号に基づく優先権を主張する。
配列表

0002

この開示とともに提出された配列表は、その内容を参照により本明細書に援用される。

0003

本開示は、FcγRIIb+B細胞に結合し、細胞表面上のCD19と細胞表面上のFcγRIIbに共結合(coengage)する免疫グロブリン、その免疫グロブリンの生成方法、およびIgG4関連疾患の治療ための免疫グロブリンの使用方法に関する。

背景技術

0004

B細胞による抗原認識は、シグナル伝達の構成要素CD79a(Igα)とCD79b(Igβ)の複合体にある表面結合免疫グロブリンであるB細胞受容体(BCR)によって媒介される。抗原に結合した際のBCRの架橋によって、CD79aとCD79bの免疫受容体チロシン活性モチーフ(ITAM)がリン酸化され、下流の分子を膜にリクルートし、カルシウム動員刺激する細胞内シグナル伝達事象カスケードが開始される。これによって、液性免疫反応をもたらす多様なB細胞応答(例えば、細胞生存、増殖、抗体産生抗原提示分化など)が誘導される(DeFranco, A.L., 1997, Curr. Opin. Immunol. 9, 296-308; Pierce, S.K., 2002, Nat. Rev. Immunol. 2, 96-105; Ravetch, J.V. & Lanier, L.L., 2000, Science 290, 84-89)。BCR共受容体複合体の他の構成要素は、BCR活性化シグナルを増強(例えば、CD19、CD21、およびCD81)または抑制する(例えば、CD22およびCD72)(Doody, G.M. et al., 1996, Curr. Opin. Immunol. 8, 378-382; Li, D.H. et al., 2006, J. Immunol. 176, 5321-5328)。このように、免疫系は複数のBCR調節機構を維持して、B細胞応答がきちんと制御されることを担保している。

0005

抗体が抗原に対して産生される、免疫複合体(例えば、抗体に結合した抗原)の循環レベルは増大する。これらの免疫複合体は、抗原に誘発されたB細胞活性化を下方制御する。これらの免疫複合体は、同族BCRを低親和性抑制受容体FcγRIIb、B細胞上の唯一のIgG受容体と共結合することによって、抗原に誘発されたB細胞活性化を下方制御すると考えられている(Heyman, B., 2003, Immunol. Lett. 88, 157-161)。また、抗体産生のこのネガティブフィードバックは、F(ab’)2抗体フラグメントを含有する免疫複合体が抑制性でないため、FcγRIIbと抗体Fcドメイン相互作用を必要とするとも考えられている(Chan, P.L. & Sinclair, N.R., 1973, Immunology 24, 289-301)。FcγRIIbの細胞内の免疫受容体のチロシンベース抑制性モチーフ(ITIM)は、BCRに誘発された細胞内シグナルを抑制するのに必要である(Amigorena, S. et al., 1992, Science 256, 1808-1812; Muta, T., et al., 1994, Nature 368, 70-73)。この抑制効果は、FcγRIIb ITIMのリン酸化によって生じ、そしてそれが、SH2含有イノシトールポリホスファート5−ホスファターゼ(SHIP)をリクルートして、ITIMに誘発された細胞内カルシウム動員を中和する(Kiener, P.A., et al., 1997, J. Biol. Chem. 272, 3838-3844; Ono, M., et al., 1996, Nature 383, 263-266; Ravetch, J.V. & Lanier, L.L., 2000, Science 290, 84-89)。加えて、FcγRIIb媒介性SHIPリン酸化が、下流のRas−MAPK増殖経路を抑制する(Tridandapani, S. et al., 1998, Immunol. 35, 1135-1146)。

課題を解決するための手段

0006

本開示は、FcγRIIbを発現する細胞を抑制するために免疫グロブリンを使用する方法を提供する。本明細書中に開示したFcγRIIb+細胞抑制方法は、患者におけるIgG4関連疾患(IgG4−RD)を治療することを含む。その方法は、B細胞表面上のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、ここで、前記免疫グロブリンはFc領域を含み、ここで、前記Fc領域は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ここで、ナンバリングが、カバットにあるようなEUインデックスによるものであり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換は、267Eおよび328Fからなる群から選択され得る。他の実施形態において、Fcバリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み得、ここで、前記少なくとも2つの置換は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも2つの置換は、267E/328Fであってもよい。他の実施形態において、FcγRIIbと結合するFc領域は、配列番号7および配列番号9を含む。

0007

対象におけるIgG4−RDに関連する少なくとも1つの症状を軽減する方法もまた、本明細書中に開示される。その方法は、B細胞表面上のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、ここで、前記免疫グロブリンはFc領域を含み、ここで、前記Fc領域は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ここで、ナンバリングが、カバットにあるようなEUインデックスによるものである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換は、267Eおよび328Fからなる群から選択され得る。他の実施形態において、Fcバリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み得、ここで、前記少なくとも2つの置換は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも2つの置換は、267E/328Fであってもよい。他の実施形態において、FcγRIIbと結合するFc領域は、配列番号7および配列番号9を含む。

0008

いくつかの実施形態において、IgG4−RDに関連する少なくとも1つの症状は、免疫グロブリンの投与の7日以内に軽減され得る。更なる実施形態において、IgG4−RDに関連するその少なくとも1つの症状は、免疫グロブリンの投与の14日以内に軽減される。他の実施形態において、少なくとも1つの症状は、リンパ節顎下腺耳下腺涙腺腎臓心臓心膜眼窩鼻腔胆管唾液腺、および膵臓から選択される器官に現れる。

0009

IgG4関連疾患を患っている対象の形質芽球枯渇させる方法もまた、本明細書中に開示される。その方法は、B細胞表面上のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、ここで、前記免疫グロブリンはFc領域を含み、ここで、前記Fc領域は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ここで、ナンバリングが、カバットにあるようなEUインデックスによるものである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換は、267Eおよび328Fからなる群から選択され得る。他の実施形態において、Fcバリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み得、ここで、前記少なくとも2つの置換は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも2つの置換は、267E/328Fであってもよい。他の実施形態において、FcγRIIbと結合するFc領域は、配列番号7および配列番号9を含む。

0010

いくつかの実施形態において、形質芽球の枯渇は、B細胞表面上でFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンの投与後7日以内に観察される。他の実施形態において、形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも10%だけ枯渇させ得る。他の実施形態において、形質芽球は、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも20%だけ枯渇させ得る。他の実施形態において、形質芽球を、ベースラインに対して少なくとも30%だけ枯渇させ得る。他の実施形態において、形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも40%だけ枯渇させ得る。他の実施形態において、形質芽球を、免疫グロブリンの投与前の形質芽球の数と比較して、少なくとも80%だけ枯渇させ得る。

0011

IgG4関連疾患を患っている対象において、CD4+SLAMF7+CTL細胞数を削減する方法が、本明細書中に更に開示される。その方法は、B細胞表面上のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、ここで、前記免疫グロブリンはFc領域を含み、ここで、前記Fc領域は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ここで、ナンバリングが、カバットにあるようなEUインデックスによるものである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換は、267Eおよび328Fからなる群から選択され得る。他の実施形態において、Fcバリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み得、ここで、前記少なくとも2つの置換は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも2つの置換は、267E/328Fであってもよい。他の実施形態において、FcγRIIbと結合するFc領域は、配列番号7および配列番号9を含む。

0012

いくつかの実施形態において、CD4+SLAMF7+CTL細胞数の削減は、B細胞表面上でFcRIIbおよびCD19に結合する免疫グロブリンの投与後24日以内に観察され得る。他の実施形態において、CD4+SLAMF7+CTL細胞は、免疫グロブリン投与前のCD4+SLAMF7+CTL細胞数と比較して少なくとも10%だけ削減される。

0013

対象における疾患を治療する方法が本明細書中に開示される。その方法は、B細胞表面上のFcγRIIbおよびCD19と結合する免疫グロブリンを投与することを含み、ここで、前記免疫グロブリンはFc領域を含み、ここで、前記Fc領域は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、親FcポリペプチドのFcバリアントであり、ここで、ナンバリングが、カバットにあるようなEUインデックスによるものであり、およびここで、前記疾患は、IgG4関連唾液腺炎慢性硬化性唾液腺炎、カットナー腫瘍ミクリッツ病)、IgG4関連涙腺炎(ミクリッツ病)、IgG4関連眼疾患特発性眼窩部炎症性疾患、眼窩偽腫瘍)、慢性副鼻腔炎好酸球血管中心線維症、IgG4関連下垂体炎(IgG4関連汎下垂体炎、IgG4関連腺下垂体炎、IgG4関連漏斗下垂体後葉炎、自己免疫性下垂体炎)、IgG4関連髄膜炎、IgG4関連軟膜炎(特発性肥厚性髄膜炎)、IgG4関連膵炎1型自己免疫性膵炎、IgG4関連AIP、リンパ形質細胞性硬化性膵炎、主膵管広汎性不規則狭窄に伴う慢性膵炎)、IgG4関連肺疾患(肺の炎症性偽腫瘍)、IgG4関連肋膜炎、IgG4関連肝障害、IgG4関連硬化性胆管炎、IgG4関連胆嚢炎、IgG4関連大動脈炎(炎症性大動脈瘤)、IgG4関連大動脈周囲炎(慢性大動脈周囲炎)、IgG4関連動脈周囲炎、IgG4関連心膜炎、IgG4関連縦隔炎線維性縦隔炎)、IgG4関連後腹膜線維症(後腹膜線維症、アルバラン−オーモンド症候群オーモンド病(後腹膜線維症(tetroperitoneal fibrosis)))、周囲筋膜炎、ジェロタ筋膜炎/症候群、線維性尿管周囲炎、硬化性脂肪肉芽腫、硬化性後腹肉芽腫非特異性後腹膜炎症、硬化性後腹膜炎、血管周囲線維症に伴う後腹膜血管炎)、IgG4関連腸間膜炎(サブタイプは:腸間膜脂肪織炎、腸間膜リポジストロフィーおよび退縮性腸間膜炎である)(硬化性腸間膜炎、全身性結節性皮下脂肪織炎、脂肪硬化性腸間膜炎、腸間膜のウェーバー−クリスチャン病、腸間膜の脂肪肉芽腫、黄色肉芽腫性腸間膜炎)、IgG4関連乳腺炎(硬化性乳腺炎)、IgG4関連腎疾患(IgG4−RKD)、IgG4関連尿細管間質性腎炎(IgG4−TIN)、IgG4関連膜性糸球体腎炎(特発性尿細管間質性腎炎)、IgG4関連前立腺炎、IgG4関連管周囲(perivasal)線維症(慢性陰嚢痛)、IgG4関連偽性偽腫瘍、IgG4関連精巣上体精巣炎(傍精巣繊維性偽腫瘍、精索の炎症性偽腫瘍、精索の肉腫筋線維芽細胞性増殖、増殖性精索炎、慢性増殖性精巣周囲炎、線維腫性精巣周囲炎、結節性精巣周囲炎、反応性精巣周囲炎、繊維性中皮腫)、IgG4関連リンパ節症、IgG4関連皮膚疾患(好酸球増多を伴う血管リンパ球増殖症、皮膚偽性リンパ腫)、IgG4関連神経周囲疾患、およびIgG4関連甲状腺疾患(リーデル甲状腺炎)、好酸球性血管中心性線維症(眼窩と上気道を侵す)、炎症性偽腫瘍、および多病性線維性硬化症からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記疾患は、自己免疫性膵炎(リンパ形質細胞性硬化性膵炎)、好酸球性血管中心性線維症(眼窩と上気道を侵す)、線維性縦隔炎、特発性肥厚性髄膜炎、特発性尿細管間質性腎炎、炎症性偽腫瘍、カットナー腫瘍、ミクリッツ病、線維性硬化症、大動脈周囲炎、動脈周囲炎、炎症性多病巣性大動脈瘤、オーモンド病(後腹膜線維症)、リーデル甲状腺炎、および硬化性腸間膜炎からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの置換は、267Eおよび328Fからなる群から選択され得る。他の実施形態において、Fcバリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、Fc領域内に少なくとも2つのアミノ酸置換を含み得、ここで、前記少なくとも2つの置換は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される。他の実施形態において、少なくとも2つの置換は、267E/328Fであってもよい。他の実施形態において、FcγRIIbと結合するFc領域は、配列番号7および配列番号9を含む。

0014

本明細書中に開示した任意の方法による対象への免疫グロブリンの投与はまた、対象のIgG4−RDレスポンダ指数スコア(IgG4−RDRIスコア)の低減も含み得る。いくつかの実施形態において、免疫グロブリン投与後2週間以内に、対象のIgG4−RD RIスコアは、ベースラインスコアから少なくとも1だけ低減される。他の実施形態において、IgG4−RD RIスコアは、免疫グロブリン投与後2週間以内に≧3だけ低減される。

0015

本明細書中に開示した任意の方法による対象への免疫グロブリンの投与はまた、約1〜約10mg/kg体重の免疫グロブリンを対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、約5mg/kg体重の免疫グロブリンを対象に投与する。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは14日毎に対象に投与される。他の実施形態において、免疫グロブリンは、14日毎に少なくとも2つの用量で対象に投与される。他の実施形態において、免疫グロブリンは、14日毎に少なくとも6つの用量で対象に投与される。他の実施形態において、免疫グロブリンは、14日毎に少なくとも12個の用量で対象に投与される。

0016

本明細書中に開示した任意の方法による対象への免疫グロブリンの投与は更に、抗炎症性鎮痛薬(例えばアスピリンイブプロフェンナプロキセン、またはセレブレックスなどのNSAID)、アセトアミノフェンステロイドグルココルチコイド(すなわち、プレドニゾン)、免疫抑制剤(すなわち、アザチオプリンミコフェノール酸モフェチル)、および免疫抑制性生物製剤(すなわちリツキシマブボルテゾミブ)を含めたIgG4関連疾患の標準的治療法を投与することを含み得る。更なる実施形態において、本明細書中に開示した任意の方法は更に、ステロイドの使用を徐々に減らすこと、および/または中止することを含み得る。他の実施形態において、本明細書中に開示した任意の方法の対象には、再発する可能性があるか、または再発したかもしくはリツキシマブが無効であった。

0017

本明細書中に開示した任意の方法のB細胞は、形質細胞および形質芽球からなる群から選択され得る。更なる実施形態において、B細胞は形質芽球であり得る。

図面の簡単な説明

0018

ヒトIgG免疫グロブリンIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4のアミノ酸配列アラインメント図1Aは、CH1(Cγ1)およびヒンジドメインの配列を提供し、そして、図1Bは、CH2(Cγ2)およびCH3(Cγ3)ドメインの配列を提供する。位置は、IgG1配列のEUインデックスに従って付番され、そして、IgG1と、他の免疫グロブリンIgG2、IgG3、およびIgG4との差はグレーで示されている。アロタイプ多型は、多数の位置に存在し、そのため、提示した配列と従来技術の配列との軽微な差が存在し得る。想定されるFc領域の始まりは、標識され、EU226位または230位のいずれかとして本明細書中に規定される。
ヒトIgG免疫グロブリンIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4のアミノ酸配列のアラインメント。図1Aは、CH1(Cγ1)およびヒンジドメインの配列を提供し、そして、図1Bは、CH2(Cγ2)およびCH3(Cγ3)ドメインの配列を提供する。位置は、IgG1配列のEUインデックスに従って付番され、そして、IgG1と、他の免疫グロブリンIgG2、IgG3、およびIgG4との差はグレーで示されている。アロタイプ多型は、多数の位置に存在し、そのため、提示した配列と従来技術の配列との軽微な差が存在し得る。想定されるFc領域の始まりは、標識され、EU226位または230位のいずれかとして本明細書中に規定される。

0019

ヒトガンマ1(図2A)およびガンマ2(図2B)鎖の一般的なハプロタイプ

0020

B細胞活性化を抑制する方法。ここで、CRは、BCR複合体の共受容体を表しているが、任意のFcγRIIb+細胞で発現される任意の抗原であり得る。

0021

ヒトFcγRIIbへのFcバリアント抗CD19抗体の結合を示すBiacore表面プラズモン共鳴センサグラム

0022

Biacore表面プラズモン共鳴法によって測定されるヒトFcγRsに対するFcバリアント抗体の親和性。グラフは、ヒトFcγRI(I)、R131FcγRIIa(RIIa)、H131FcγRIIa(HIIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158FcγRIIIa(VIIIa)への抗CD19バリアントおよびWTIgG1抗体の結合に関する−log(KD)を示す。V158FcγRIIIaへのL235Y/S267E、G236D/S267E、およびS267E/L328Fの結合は、検出できなかった。
Biacore表面プラズモン共鳴法によって測定されるヒトFcγRsに対するFcバリアント抗体の親和性。グラフは、ヒトFcγRI(I)、R131FcγRIIa(RIIa)、H131FcγRIIa(HIIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158FcγRIIIa(VIIIa)への抗CD19バリアントおよびWT IgG1抗体の結合に関する−log(KD)を示す。V158FcγRIIIaへのL235Y/S267E、G236D/S267E、およびS267E/L328Fの結合は、検出できなかった。
Biacore表面プラズモン共鳴法によって測定されるヒトFcγRsに対するFcバリアント抗体の親和性。グラフは、ヒトFcγRI(I)、R131FcγRIIa(RIIa)、H131FcγRIIa(HIIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158FcγRIIIa(VIIIa)への抗CD19バリアントおよびWT IgG1抗体の結合に関する−log(KD)を示す。V158FcγRIIIaへのL235Y/S267E、G236D/S267E、およびS267E/L328Fの結合は、検出できなかった。
Biacore表面プラズモン共鳴法によって測定されるヒトFcγRsに対するFcバリアント抗体の親和性。グラフは、ヒトFcγRI(I)、R131FcγRIIa(RIIa)、H131FcγRIIa(HIIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158FcγRIIIa(VIIIa)への抗CD19バリアントおよびWT IgG1抗体の結合に関する−log(KD)を示す。V158FcγRIIIaへのL235Y/S267E、G236D/S267E、およびS267E/L328Fの結合は、検出できなかった。

0023

ヒトFcγRsへのFcバリアント抗体の結合は、細胞表面結合によって計測されるWTIgG1に合致する。抗体(バリアントおよびWT IgG1)を、FcγRIIbを用いて形質移入されたHEK293T細胞に加えて、細胞表面結合を評価した。結合曲線は、Fcバリアント濃度の関数としてMFIをプロットすることによって構成された。

0024

Biacore表面プラズモン共鳴法によって測定されるヒトFcγRsに対するFcバリアント抗体の親和性。グラフは、ヒトFcγRI(I)、R131FcγRIIa(RIIa)、H131FcγRIIa(HIIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158FcγRIIIa(VIIIa)への抗CD19バリアントおよびWTIgG1抗体の結合に関する−log(KD)を示す。

0025

ここでは、抗mu(図8A)または抗CD79b(図8B)抗体と架橋することによって実施される、BCR活性化時の初代ヒトB細胞の生存を実証するATP依存性B細胞生存率アッセイ

0026

Fcバリアント抗CD19抗体によるB細胞増殖の抑制。抗RSV呼吸器合胞体ウイルス)S267E/L328Fが、対照として使用される(RSVはB細胞で発現されない)。ATP依存性発光アッセイは、10μg/mlの抗CD79b活性化抗体の存在下でのB細胞増殖を計測するのに使用され、かつ、抗CD19−S267E/L328Fの効果を、抗CD19−IgG1(天然IgG1 Fv対照)および抗RSV−S267E/L328F(非CD19Fc対照)と比較した。CD19とFcγRIIb共結合の重要性を評価するために、抗RSV−S267E/L328F単独または抗CD19−IgG1との組み合わせを使用した。

0027

抗CD19−S267E/L328Fは、初代ヒトB細胞のBCR活性化の抗アポトーシス効果を抑制する。FcγのRIIbとCD19の共結合によるBCRが媒介された生存シグナルの抑制を、10μg/mlの抗CD79bの存在下でアネキシンV染色を使用して調べた。B細胞アポトーシスは、抗CD19−S267E/L328Fによって刺激されたが、抗CD19−IgG1(Fv対照)、抗RSV−S267E/L328F(Fc対照)、または組み合わせた2つの対照によって刺激されない。

0028

インビボにおけるヒトB細胞活性化を抑制する、CD19とFcγRIIbの共結合の能力に関する評価。(図11A)実験プロトコルの略図。(図11B)TT免疫化、およびビヒクルPBS)、抗CD19IgG1WT、高いFcγのRIIb親和性を有する抗CD19(a−CD19 S267E/L328F)、または抗CD20(リツキシマブ)を用いた治療後のhuPBL−SCIマウスにおける抗破傷風トキソイド(TT)特異的抗体力価

0029

1μg/mlの抗CD79b−SN8−G236R/L328R抗体の存在下でB細胞増殖を計測し、そして、抗CD20(クローンPRO70769)、−CD52(Campath)、および−CD19(HuAM4G7)抗体の高FcγRIIbバリアント(S267E/L328F)またはFcγRノックアウトバリアント(G236R/L328Rまたは^236R/L328R)バージョンの濃度を変化させる、ATP依存性発光アッセイ。

0030

1μg/mlの抗CD79b−SN8−G236R/L328R抗体の存在下でB細胞増殖を計測し、そして、抗CD19抗体(クローンHD37、21D4、またはHuAM4G7)の高FcγRIIbバリアント(S267E/L328F)またはFcγRノックアウトバリアント(G236R/L328Rまたは^236R/L328R)バージョンの濃度を変化させる、ATP依存性発光アッセイ。

0031

図14Aは、様々な可変領域、重鎖定常領域、および完全長抗体のアミノ酸配列を列挙する。図14Bは、図14Aリスト続きである。図14Cは、図14Aおよび図14Bのリストの続きである。図14Dは、14A〜図14Cのリストの続きである。
図14Aは、様々な可変領域、重鎖定常領域、および完全長抗体のアミノ酸配列を列挙する。図14Bは、図14Aのリストの続きである。図14Cは、図14Aおよび図14Bのリストの続きである。図14Dは、14A〜図14Cのリストの続きである。
図14Aは、様々な可変領域、重鎖定常領域、および完全長抗体のアミノ酸配列を列挙する。図14Bは、図14Aのリストの続きである。図14Cは、図14Aおよび図14Bのリストの続きである。図14Dは、14A〜図14Cのリストの続きである。
図14Aは、様々な可変領域、重鎖定常領域、および完全長抗体のアミノ酸配列を列挙する。図14Bは、図14Aのリストの続きである。図14Cは、図14Aおよび図14Bのリストの続きである。図14Dは、14A〜図14Cのリストの続きである。

0032

図15Aは、CD19を結合するFcγRIIbおよびFvドメインを結合するFcドメインを含む免疫グロブリンである、抗CD19抗体S267E/L328Fの図解である。図15Bは、抗CD19抗体S267E/L328Fが、FcγRIIb+細胞に結合し、かつ、CD19を共結合し、その結果、FcγRIIb(B細胞活性化の抑制)の天然の調節的役割を高めることを示す図解である。

0033

ベースラインにおける病変器官の番号。数値中央値は4であった(1〜10の範囲に及ぶ)。

0034

ベースラインにおける活性器官。≧50%の頻度にて起こる臓器部位の病変としては、リンパ節、顎下腺、耳下腺、および涙腺が挙げられた。

0035

経時的IgG4−RDレスポンダー指数。15人の患者のうちの12人(80%)は、修飾S267E/L328Fを伴った抗CD19抗体に対する、初回投与の2週間以内にIgG4−RDRIの≧2ポイント低減の初期応答を有した。5人の患者が、0(疾患活動性なし)のIgG4−RD RIを達成した。

0036

図19Aは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与は、CD86の刺激された発現の抑制をもたらし、それは次いで、抗CD19抗体S267E/L328F投与後約100日でベースラインまでゆっくり戻ることを実証する。図19Bは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与が、抗CD19抗体S267E/L328Fの投与後約40〜60日で標準まで戻る、末梢B細胞カウントの可逆的な低減をもたらすことを実証する。図19Cは、破傷風抗原を抗原接種し、次いで、0.03〜10mg/kgの範囲に及ぶ抗CD19抗体S267E/L328Fの様々な用量を投与した対象が、プラセボ治療対象に対して、抗破傷風IgGの検出可能な低下を示すことを実証する。
図19Aは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与は、CD86の刺激された発現の抑制をもたらし、それは次いで、抗CD19抗体S267E/L328F投与後約100日でベースラインまでゆっくり戻ることを実証する。図19Bは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与が、抗CD19抗体S267E/L328Fの投与後約40〜60日で標準まで戻る、末梢B細胞カウントの可逆的な低減をもたらすことを実証する。図19Cは、破傷風抗原を抗原接種し、次いで、0.03〜10mg/kgの範囲に及ぶ抗CD19抗体S267E/L328Fの様々な用量を投与した対象が、プラセボ治療対象に対して、抗破傷風IgGの検出可能な低下を示すことを実証する。
図19Aは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与は、CD86の刺激された発現の抑制をもたらし、それは次いで、抗CD19抗体S267E/L328F投与後約100日でベースラインまでゆっくり戻ることを実証する。図19Bは、2mg/kgの抗CD19抗体S267E/L328Fの投与が、抗CD19抗体S267E/L328Fの投与後約40〜60日で標準まで戻る、末梢B細胞カウントの可逆的な低減をもたらすことを実証する。図19Cは、破傷風抗原を抗原接種し、次いで、0.03〜10mg/kgの範囲に及ぶ抗CD19抗体S267E/L328Fの様々な用量を投与した対象が、プラセボ治療対象に対して、抗破傷風IgGの検出可能な低下を示すことを実証する。

0037

B細胞および形質芽球に関するフローサイトメトリーゲーティングストラテジー

0038

治療中のB細胞数の概要初期総B細胞(CD79b+)数のパーセンテージが、14人の患者について示されている。各線は、個々の患者を表している(14人の患者を表した)。

0039

図22Aは、CD79+形質芽球(CD79b+CD3−CD30−CD27hiCD38hi)数に対する抗体療法の効果を示す。図22Bは、総形質芽球(CD3−CD20−CD27hiCD38hi)数に対する抗体療法の効果を示す。各線は、個々の患者を表している(14人の患者を表した)。
図22Aは、CD79+形質芽球(CD79b+CD3−CD30−CD27hiCD38hi)数に対する抗体療法の効果を示す。図22Bは、総形質芽球(CD3−CD20−CD27hiCD38hi)数に対する抗体療法の効果を示す。各線は、個々の患者を表している(14人の患者を表した)。

0040

ベースラインの循環形質芽球。104個のCD19+B細胞あたりのCD19+形質芽球を、11人の健常ドナーおよび14人の治療前のIgG4−RD患者について示す。形質芽球は、健常ドナーと比較して、活動性IgG4−RD患者で高められる。

0041

CD4 CTLに関するフローサイトメトリーゲーティングストラテジー。

0042

図25Aは、SLAMF7+CD4 CTL(CD4+CD45RO+CD27−SLAMF7+)数に対する抗CD19抗体S267E/L328Fの効果を示す。図25Bは、エフェクターCD4 CTL(CD4+CD45RO+CD27−SLAMF7+CD57+CD28−)数に対する抗CD19抗体S267E/L328Fの効果を示す。各線は、個々の患者を表している。

0043

アポトーシスアッセイのためのフローサイトメトリーゲーティングストラテジー。

0044

アポトーシスアッセイ。B細胞(図27A〜27D)、CD4+T細胞(図27E〜27H)、またはCD8+T細胞(図27I〜27L)の有意なアポトーシスは、1、8、15、および29日目の時点で、抗CD19抗体S267E/L328F治療を受けた後の患者において観察されなかった。

0045

抗CD19抗体S267E/L328Fは、BCR連結シグナル伝達経路遮断する。BTK、AKT、ERK、およびSYKのリン酸化を、抗CD19抗体S267E/L328F(図28A〜28D)を用いた治療前、治療の2時間後(図28E〜28H)、および治療の24時間後(図28I〜28L)に調べた。黄色はFMO対照;青色は、治療なし;および赤色は、F(ab)2(IgM+IgG)治療あり、を表す。

0046

CD4+SLAMF7+CTL数は、対照と比較して、IgG4−RD患者の末梢血で増大された。

0047

本発明の詳細な説明
液性免疫反応(例えば、多様なB細胞応答の結果)は、B細胞が抗原で活性化され、それに続いて形質細胞に分化するときに、開始され得る。抗原によるB細胞上の膜結合B細胞受容体(BCR)の結合は、カルシウム動員を含めた細胞内シグナルカスケードを活性化し、そしてカルシウム動員は、細胞増殖および分化につながる。抑制性Fc受容体(FcγRIIb)と同族BCRの共結合は、ネガティブフィードバックループによってB細胞活性化シグナルを抑制する。

0048

B細胞応答の抑制調節におけるFcγRIIbの重要性を、FcγRIIb欠損マウスを使用して実証したが、該マウスは、液性応答を調節できず(Wernersson, S. et al., 1999, J. Immunol. 163, 618-622)、コラーゲン誘導関節炎に対して感受性であり(Yuasa, T. et al., 1999, J. Exp. Med. 189, 187-194)、かつ、ループス様疾患(Fukuyama, H. et al., J.V., 2005, Nat. Immunol. 6, 99-106; McGaha, T.L. et al., 2005, Science 307, 590-593)およびグッドパスチュア症候群発症する(Nakamura, A. et al., 2000, J. Exp. Med. 191, 899-906)。FcγRIIb調節不全はまた、ヒト自己免疫疾患にも関連した。例えば、FcγRIIbのプロモーター(Blank, M.C. et al., 2005, Hum. Genet. 117, 220-227; Olferiev, M. et al., 2007, J. Biol. Chem. 282, 1738-1746)および膜貫通ドメイン(Chen, J.Y. et al., 2006, Arthritis Rheum. 54, 3908-3917; Floto, R.A. et al., Nat. Med. 11, 1056-1058; Li, X. et al., 2003, Arthritis Rheum. 48, 3242-3252)の多型性は、全身性エリテマトーデスSLE)の高い有病率に関係する。SLE患者はまた、B細胞上の低いFcγRIIb表面発現(Mackay, M. et al., 2006, J. Exp. Med. 203, 2157-2164; Su, K. et al., 2007, J. Immunol. 178, 3272-3280)、結果として、無調節なカルシウムシグナル伝達を示す(Mackay, M. et al., 2006, J. Exp. Med. 203, 2157-2164)。マウスモデルおよび臨床上の証拠によって支持されたB細胞を調節する際のFcγRIIbの極めて重要な役割は、それを自己免疫性および炎症性疾患を制御するための魅力的治療標的にする(Pritchard, N.R. & Smith, K.G., 2003, Immunology 108, 263-273; Ravetch, J.V. & Lanier, L.L., 2000, Science 290, 84-89; Stefanescu, R.N. et al., 2004, J. Clin. Immunol. 24, 315-326)。

0049

B細胞上でFcγRIIbと同族BCRの共結合の抑制作用真似る抗体が、本明細書中に記載される。例えば、Fcドメインが最大〜430倍高い親和性でFcγRIIbに結合するように、設計されたバリアント抗CD19抗体が、本明細書中に記載される。天然IgG1に対して、FcγRIIb結合強化バリアント(IIbE)は、初代ヒトB細胞においてBCR誘発カルシウム動員および生存率を抑制する。抑制作用は、SH2含有イノシトールポリホスファート5−ホスファターゼ(SHIP)のリン酸化に関与し、そしてそれは、B細胞活性化のFcγRIIb誘発ネガティブフィードバックに関与することが知られている。IIbEバリアントによるBCRとFcγRIIbの共結合はまた、BCR活性化の抗アポトーシス効果も取り除いた。同族BCRとFcγRIIbの共結合によるB細胞機能を抑制するための単一抗体の使用は、B細胞媒介性疾患の治療における新規アプローチとなり得る。B細胞媒介性疾患の非限定的な例としては、IgG4関連疾患が挙げられる。

0050

いくつかの定義を本明細書で説明する。このような定義は、文法的上の同等語を包含するものとする。

0051

本明細書に使用される、「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞障害性」とは、FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる、細胞媒介性反応を意味する。

0052

本明細書に使用される、「ADCP」または「抗体依存性の細胞媒介性ファゴサイトーシス」とは、FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞のファゴサイトーシスを生じる、細胞媒介性反応を意味する。

0053

本明細書における、「抗体」とは、認識される免疫グロブリン遺伝子のすべてまたは一部により実質的にコードされる、1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。例えば、ヒトにおいて、認識される免疫グロブリン遺伝子は、無数の可変領域遺伝子を一緒に構成する、カッパ(k)、ラムダ(λ)、および重鎖遺伝子座、ならびにIgM、IgD、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)、IgE、およびそれぞれIgA(IgA1およびIgA2)アイソタイプをコードする、定常領域遺伝子ミュー(υ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、シグマ(σ)、およびアルファ(α)を含む。本明細書における抗体は、完全長抗体および抗体フラグメントを含むものとし、任意の生物からの自然抗体改変抗体、または実験、治療、もしくは他の目的のために組み換えにより生成された抗体を指し得る。

0054

本明細書で使用される、「アミノ酸」および「アミノ酸同一性」とは、特定の定義された位置で存在し得る、20の自然に生じるアミノ酸または任意の非自然類似体の1つを意味する。

0055

本明細書で使用される、「CD32b+細胞」または「FcγRIIb+細胞」とは、CD32b(FcγRIIb)を発現する任意の細胞または細胞型を意味する。CD32b+細胞は、B細胞、形質細胞、樹状細胞マクロファージ好中球マスト細胞好塩基球、または好酸球を含むが、これらに限定されない。

0056

本明細書で使用される、「CDC」または「補体依存性細胞障害性」とは、1つ以上の補体タンパク質構成要素が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる、反応を意味する。

0057

本明細書で定義される、「定常領域」とは、軽鎖または重鎖免疫グロブリン定常領域遺伝子の1つによりコードされる、抗体の領域を意味する。本明細書に使用される、「定常軽鎖」または「軽鎖定常領域」とは、カッパ(Cκ)またはラムダ(Cλ)軽鎖によりコードされる抗体の領域を意味する。定常軽鎖は、典型的に、単一ドメインを含み、本明細書に定義されるように、CκまたはCλの位置108〜214を指し、付番は、EU指標に従う。本明細書に使用される、「定常重鎖」または「重鎖定常領域」とは、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、またはIgEとして定義する、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロン遺伝子によりコードされる抗体の領域を意味する。完全長IgG抗体において、本明細書に定義される、定常重鎖は、CH1ドメインのN末端〜CH3ドメインのC末端を指し、したがって、位置118〜447を含み、付番は、EU指標に従う。

0058

本明細書で使用される、「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域のFc受容体またはリガンドとの相互作用から生じる、生化学事象を意味する。エフェクター機能は、ADCCおよびADCP等のFcγR媒介性エフェクター機能、ならびにCDC等の補体媒介性エフェクター機能を含む。更に、エフェクター機能は、、例えば抑制機能など(例えば、B細胞応答、例えば液性免疫反応、を下方制御する、低減する、抑制するなど)のFcγRIIb媒介性抑制機能を含む。

0059

本明細書で使用される、「エフェクター細胞」とは、1つ以上のFcおよび/または補体受容体を発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を意味する。 エフェクター細胞は、これらに限定されないが、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大型顆粒リンパ球ランゲルハンス細胞、天然キラー(NK)細胞、およびγδT細胞を含み、これらに限定されないが、ヒト、マウス、ラットウサギ、およびサルを含む、任意の生物からであり得る。

0060

本明細書で使用される、「Fab」または「Fab領域」とは、VH、CH1、VH、およびCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、単独でこの領域を指すか、または完全長抗体もしくは抗体フラグメントと関連してこの領域を指してもよい。

0061

本明細書で使用される、「Fc」または「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン、およびいくつかの場合において、ヒンジの一部を除外する、抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMにおいて、Fcは、J鎖を含んでもよい。IgGにおいて、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230〜そのカルボキシル末端までを含むように定義され、付番は、カバットのEU指標に従う。Fcは、単独でこの領域を指すか、または以下に記載される、Fcポリペプチドと関連してこの領域を指してもよい。

0062

本明細書で使用される、「Fcポリペプチド」とは、Fc領域のすべてまたは一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物、単離されたFc、およびFcフラグメントを含む。免疫グロブリンは、Fcポリペプチドであってもよい。

0063

本明細書で使用される「Fc融合物」とは、1つ以上のポリペプチドが、Fcに操作可能に連結されるタンパク質を意味する。本明細書において、Fc融合物は、先行技術において使用される、「免疫アドヘシン」、「Ig融合」、「Igキメラ」、および「受容体グロブリン」(時折ダッシュを伴う)の用語の同義語であるものとする(Chamow et al.,1996,TrendsBiotechnol 14:52-60、Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195-200、共に、参照によりその全体が本明細書に援用される)。Fc融合物は、免疫グロブリンのFc領域を、一般的に任意のタンパク質、ポリペプチド、または小分子であり得る融合パートナーと結合する。Fc融合物の非Fc部分、すなわち、融合パートナーの役割は、標的結合を媒介することであり、したがって、抗体の可変領域に機能的に類似している。実質的に、いかなるタンパク質または小分子も、Fcに連結され、Fc融合物を生成し得る。タンパク質融合パートナーは、これらに限定されないが、受容体の標的結合領域接着分子、リガンド、酵素サイトカインケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質、またはタンパク質ドメインを含み得る。小分子融合パートナーは、Fc融合物を治療標的に誘導する、任意の治療薬を含み得る。このような標的は、任意の分子、例えば、疾病に関与する細胞外受容体であってもよい。

0064

本明細書で使用される、「Fcガンマ受容体」または「FcγR」とは、IgG抗体Fc領域を結合し、FcγR遺伝子により実質的にコードされるタンパク質のファミリーの任意のメンバーを意味する。ヒトにおいて、このファミリーは、これらに限定されないが、イソ型FcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、イソ型FcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、イソ型FcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65、参照によりその全体が援用される)、ならびに任意の未発見のヒトFcγRまたはFcγRイソ型もしくはアロタイプを含む。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物からであり得る。マウスFcγRは、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、およびFcγRIII−2(CD16−2)、ならびに任意の未発見のマウスFcγRまたはFcγRイソ型もしくはアロタイプを含むが、これらに限定されない。

0065

本明細書で使用される、「Fcリガンド」または「Fc受容体」とは、抗体のFc領域に結合してFcリガンド複合体を形成する、任意の生物からの分子、例えば、ポリペプチドを意味する。Fcリガンドは、FcγR、FcγR、FcγR、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチンマンノース受容体、ブドウ球菌タンパク質A、連鎖球菌タンパク質G、およびウイルス性FcγRを含むが、これらに限定されない。Fcリガンドは、FcγRと相同であるFc受容体のファミリーであるFc受容体ホモログ(FcRH)も含む(Davis et al.,2002,Immunological Reviews 190:123-136)。Fcリガンドは、Fcを結合する未発見の分子を含んでもよい。

0066

本明細書で使用される、「完全長抗体」とは、可変領域および定常領域を含む、抗体の自然な生物学的形態を構成する構造を意味する。例えば、ヒトおよびマウスを含む大半の哺乳動物において、IgGアイソタイプの完全長抗体は、四量体であり、同一の2対の2つの免疫グロブリン鎖からなり、各対は、軽鎖1本と重鎖1本を有し、各軽鎖は、免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖は、免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2、およびCγ3を含む。例えば、ラクダおよびラマ等の、いくつかの哺乳動物において、IgG抗体は、2つの重鎖のみからなり得、各重鎖は、Fc領域に結合する可変ドメインを含む。

0067

本明細書において、「免疫グロブリン」とは、免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされる、1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質を意味する。免疫グロブリンは、これらに限定されないが、抗体(二重特異的抗体)およびFc融合物を含む。免疫グロブリンは、これらに限定されないが、完全長抗体、抗体フラグメント、および個別の免疫グロブリンドメインを含む、いくつかの構造形態を有し得る。

0068

本明細書で使用される、「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、タンパク質構造の分野の当業者によって確認される、別々の構造実体として存在する免疫グロブリンの領域を意味する。Igドメインは、典型的に、特有のβサンドウィッチ折り畳みトポロジーを有する。抗体のIgGアイソタイプにおける既知のIgドメインは、VH Cγ1、Cγ2、Cγ3、VL、およびCLである。

0069

本明細書で使用される、「IgG」または「IgG免疫グロブリン」とは、認識される免疫グロブリンγ遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属する、ポリペプチドを意味する。ヒトにおいて、このクラスは、サブクラスまたはアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。本明細書で使用される、「アイソタイプ」とは、それらの定常領域の化学的および抗原的特徴により定義される、免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。既知のヒト免疫グロブリンイソ型は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgEである。

0070

本明細書において、「修飾」とは、タンパク質、ポリペプチド、抗体、または免疫グロブリンの物理的、化学的、または配列特性の変更を意味する。本明細書に記載される修飾は、アミノ酸修飾およびグリコフォーム修飾を含む。

0071

本明細書における、「アミノ酸修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を意味する。本明細書における、「アミノ酸置換」または「置換」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の別のアミノ酸による置換を意味する。例えば、置換S267Eは、バリアントポリペプチド、この場合、位置267のセリンが、グルタミン酸と置換される、定常重鎖バリアントを指す。本明細書で使用される、「アミノ酸挿入」または「挿入」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の追加を意味する。本明細書で使用される、「アミノ酸欠失」または「欠失」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の除去を意味する。

0072

本明細書で使用される、「グリコフォーム修飾」、もしくは「修飾されたグリコフォーム」、もしくは「操作されたグリコフォーム」とは、タンパク質、例えば、抗体に共有結合的に結合される糖組成物を意味し、該糖組成物は、親タンパク質と化学的に異なる。修飾されたグリコフォームは、典型的に、異なる糖またはオリゴ糖を指し、したがって、例えば、Fcバリアントは、修飾されたグリコフォームを含み得る。代替的に、修飾されたグリコフォームは、異なる糖またはオリゴ糖を含むFcバリアントを指す場合がある。

0073

本明細書で使用される、「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「親免疫グロブリン」「前駆体ポリペプチド」、「前駆体タンパク質」、または「前駆体免疫グロブリン」とは、本明細書に記載される、少なくとも1つのアミノ酸修飾のテンプレートおよび/または基礎として機能するバリアント、例えば、任意のポリペプチド、タンパク質、または免疫グロブリンを生成するように後に修飾される、無修飾のポリペプチド、タンパク質、または免疫グロブリンを意味する。親ポリペプチドは、自然に生じるポリペプチドか、または自然に生じるポリペプチドのバリアントもしくは操作された変型であってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。したがって、本明細書で使用される、「親Fcポリペプチド」とは、バリアントFcポリペプチドを生成するように修飾されるFcポリペプチドを意味し、本明細書で使用される、「親抗体」とは、バリアント抗体を生成するように修飾される抗体を意味する(例えば、親抗体は、限定されないが、自然に生じるIgの定常領域を含むタンパク質を含み得る)。

0074

本明細書で使用される、「位置」とは、タンパク質の配列における位置を意味する。位置は、順にナンバリングされるか、確立された形式、例えば、カバットにあるようなEU指標に従ってもよい。例えば、位置297は、ヒト抗体IgG1での位置である。

0075

本明細書で使用される、「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびペプチドを含む、少なくとも2つが共有結合的に結合されたアミノ酸を意味する。

0076

本明細書で使用される、「残基」とは、タンパク質およびその関連するアミノ酸の同一性での位置を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297とも称され、N297とも称される)は、ヒト抗体IgG1での残基である。

0077

本明細書で使用される、「標的抗原」とは、所与の抗体の可変領域により結合される分子、またはFc融合物の融合パートナーを意味する。標的抗原は、タンパク質、糖、脂質、または他の化学化合物であってもよい。抗体またはFc融合物は、標的抗原に対して親和性を有することに基づいて、所与の標的抗原に「特異的」であると言われる。

0078

本明細書で使用される、「標的細胞」とは、標的抗原を発現する細胞を意味する。

0079

本明細書で使用される、「可変領域」とは、それぞれ、カッパ、ラムダ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成する、Vk、Vλ、および/またはVH遺伝子のいずれかにより実質的にコードされる、1つ以上のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。

0080

本明細書で使用される、「バリアントポリペプチド」、「ポリペプチドバリアント」、または「バリアント」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親ポリペプチド配列と異なるポリペプチド配列を意味する。親ポリペプチドは、自然に生じる、もしくは野生型(WT)ポリペプチドであるか、または野生型ポリペプチドの修飾された変型であってもよい。 バリアントポリペプチドは、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるバリアントポリペプチド(例えば、バリアント免疫グロブリン)は、親ポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば、親と比較して、約1〜10のアミノ酸修飾、約1〜5のアミノ酸修飾等を有してもよい。本明細書において、バリアントポリペプチド配列は、親ポリペプチド配列と少なくとも約80%の相同性、例えば、少なくとも約90%の相同性、95%の相同性等を有し得る。したがって、本明細書で使用される、「Fcバリアント」または「バリアントFc」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親Fc配列と異なるFc配列を意味する。Fcバリアントは、Fc領域のみを包含するか、または抗体、Fc融合物、単離されたFc、Fcフラグメント、またはFcにより実質的にコードされる他のポリペプチドと関連して存在してもよい。Fcバリアントは、Fcポリペプチド自体、Fcバリアントポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。本明細書で使用される、「Fcポリペプチドバリアント」または「バリアントFcポリペプチド」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親Fcポリペプチドと異なるFcポリペプチドを意味する。本明細書で使用される、「タンパク質バリアント」または「バリアントタンパク質」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親タンパク質と異なるタンパク質を意味する。本明細書で使用される、「抗体バリアント」または「バリアント抗体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親抗体と異なる抗体を意味する。本明細書で使用される、「IgGバリアント」または「バリアントIgG」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親IgGと異なる抗体を意味する。本明細書で使用される、「免疫グロブリンバリアント」または「バリアント免疫グロブリン」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親免疫グロブリン配列と異なる免疫グロブリン配列を意味する。

0081

本明細書において、「野生型」または「WT」とは、対立遺伝子変型を含む、自然界に認められるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。野生型タンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgG等は、意図的に修飾されていない、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。

0082

免疫グロブリン

0083

本明細書に記載するように、免疫グロブリンは、抗体、Fc融合、単離Fc、Fcフラグメント、またはFcポリペプチドであってもよい。一実施形態において、免疫グロブリンは抗体である。

0084

抗体は特定の抗原を結合する免疫学的タンパク質である。ヒトおよびマウスを含む哺乳動物の多くでは、抗体は対の重鎖および軽鎖ポリペプチドから構築される。軽鎖および重鎖可変領域は、抗体間で重要な配列多様性を示し、標的抗体を結合する役割がある。各鎖は個々の免疫グロブリン(Ig)ドメインから成り、そのため総称の免疫グロブリンはこのようなタンパク質に使用される。

0085

伝統的な抗体構造単位は一般的に四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一対から構成され、各鎖は、1つの「軽」鎖(通常、約25 kDaの分子量を有する)および1つの「重」鎖(通常、約50〜70 kDaの分子量を有する)を有する。ヒト軽鎖は、カッパ軽鎖およびラムダ軽鎖として分類される。重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むがこれらに限定されないいくつかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1およびIgM2を含むがこれらに限定されないサブクラスを有する。IgAは、IgA1およびIgA2を含むがこれらに限定されないいくつかのサブクラスを有する。そのため、「アイソタイプ」は本明細書で使用するとき、その定常領域の化学的および抗原的特徴によって規定する免疫グロブリンのクラスおよびサブクラスを意味する。知られているヒト免疫グロブリンアイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgD、およびIgEである。

0086

軽鎖および重鎖のそれぞれは、可変および定常領域として示される2つの固有の領域からなる。IgG重鎖は、VH−CH1−CH2−CH3の順序でNからC末端に結合する4つの免疫グロブリンから構成され、重鎖可変領域、重鎖定常領域1、重鎖定常領域2、および重鎖定常領域3をそれぞれ指す(また、VH−Cγ1−Cγ2−Cγ3としても示され、重鎖可変領域、定常ガンマ1領域、定常ガンマ2領域および定常ガンマ領域3をそれぞれ指す)。IgG軽鎖は、VL−CLの順序でNからC末端に結合する2つの免疫グロブリンから構成され、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域をそれぞれ指す。定常領域は、少ない配列多様性を示し、いくつかの天然タンパク質を結合する役割があり、重要な生化学的事象を引き出す。これらの抗体クラス間を区別する特徴は、可変領域に捉えがたい鎖が存在しうるが、定常領域である。

0087

抗体の可変領域は、分子の抗原結合決定基を含み、そのためその標的抗原の抗体の特異性を決定する。可変領域は、同じクラス内の配列において他の抗体とは最も異なるため、そのように名づけられている。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識の役割を主に担う約100〜110個以上の可変領域を含む。可変領域において、3つのループが重鎖および軽鎖のVドメインのそれぞれについて集まり抗原結合部位を形成する。ループのそれぞれは、相補性決定領域(これ以降「CDR」とも呼ばれる)として意味し、アミノ酸配列のバリエーションが最も著しい。VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を示す、重鎖および軽鎖につき3つずつ、合計6つのCDRがある。CDRの外側の可変領域は、フレームワーク(FR)領域と称される。CDRほど多様ではないが、配列の可変性が、異なる抗体間のFR領域も生じる。全体的に、抗体のこの特徴的な構造は、多大な抗原結合多様性(CDR)が、抗原の広範囲アレイに対して特異性を得るように、免疫系により探索され得る、安定した足場(FR領域)を提供する。多くの高解析の構造は、抗原と非結合のものもあれば、抗原と複合するものもある、異なる生物からの種々の可変領域のフラグメントに対して利用可能である。抗体の可変領域の配列および構造上の特徴は、例えば、Morea et al.,1997,Biophys Chem 68:9-16; Morea et al.,2000,Methods20:267-279に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用され、抗体の保存された特徴は、例えば、Maynard et al.,2000,Annu Rev Biomed Eng2:339-376に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。

0088

各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を定義する。免疫グロブリンのIgGサブクラスにおいて、重鎖にいくつかの免疫グロブリンドメインが存在する。本明細書において、「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、明確な三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本明細書に記載される実施形態の関心対象は、定常重(CH)ドメインおよびヒンジ領域を含む、重鎖ドメインである。IgG抗体と関連して、IgGアイソタイプは、それぞれ、3つのCH領域を有する。したがって、IgGと関連して、「CH」ドメインとは、以下の通りである:「CH1」は、カバットのEU指標に従い、位置118〜220を指す。「CH2」は、カバットのEU指標に従い、位置237〜340を指し、「CH3」は、カバットのEU指標に従い、位置341〜447を指す。

0089

重鎖の別の重要な領域は、ヒンジ領域である。本明細書において、「ヒンジ」、もしくは「ヒンジ領域」、もしくは「抗体ヒンジ領域」、もしくは「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1と第2の定常ドメインの間にアミノ酸を含む、柔軟なポリペプチドを意味する。構造的に、IgGCH1ドメインは、EUの位置220で終わり、IgG CH2ドメインは、残基EUの位置237で始まる。したがって、IgGにおいて、抗体ヒンジは、本明細書において、位置221(IgG1でD221)〜236(IgG1でG236)を含むように定義され、付番は、カバットのEU指標に従う。いくつかの実施形態において、例えば、Fc領域と関連して、一般的に、「下方ヒンジ」が、位置226または230から236を指す、下方ヒンジが含まれる。

0090

本明細書に記載される実施形態の関心対象は、Fc領域である。本明細書で使用される、「Fc」または「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン、およびいくつかの場合において、ヒンジの一部を除外する抗体の定常領域を含む、ポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMにいて、Fcは、J鎖を含み得る。IgGにおいて、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間の下方ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は変動してもよいが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230〜そのカルボキシル末端までを含むように定義され、付番は、カバットのEU指標に従う。Fcは、単独でこの領域を指すか、または以下に記載される、Fcポリペプチドと関連してこの領域を指してもよい。本明細書で使用される、「Fcポリペプチド」とは、Fc領域のすべてまたは一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物、単離されたFc、およびFcフラグメントを含む。

0091

抗体のFc領域は、いくつかのFc受容体およびリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称される、数々の重要な機能的能力を付与する。Fc領域のIgGにおいて、FcはIgドメインCγ2およびCγ3、ならびにCγ2に通じるN末端ヒンジを含む。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcγ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体と免疫系の細胞アームとの間の連通を媒介する(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220、Ravetch et al.,2001,Annu Rev Immunol 19:275-290、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。ヒトにおいて、このタンパク質ファミリーは、イソ型FcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、イソ型FcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、ならびにイソ型FcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)FcγRIII(CD16)を含む(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65、参照によりその全体が本明細書に援用される)。これらの受容体は、典型的に、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン膜貫通領域、および細胞内のいくつかのシグナル伝達事象を媒介してもよい細胞内ドメインを有する。これらの受容体は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、天然キラー(NK)細胞、およびγγT細胞を含む、種々の免疫細胞で発現しもよい。Fc/FcγR複合体の編成は、これらのエフェクター細胞を結合抗原の部位に動員し、典型的に、細胞内のシグナル伝達事象、ならびに炎症メディエーターの放出、B細胞の活性、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシスおよび細胞障害性攻撃等の、その後の重要な免疫反応をもたらす。細胞障害性および食細胞性エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的細胞を破壊する潜在的機構である。FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる細胞媒介性反応は、抗体依存性の細胞媒介性細胞障害性(ADCC)と称される(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220、Ghetie et al.,2000,Annu Rev Immunol 18:739-766; Ravetch et al.,2001,Annu Rev Immunol 19:275-290、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞のファゴトーシスを生じる、細胞媒介性反応は、抗体依存性の細胞媒介性ファゴトーシス(ADCP)と称される。

0092

異なるIgGサブクラスは、FcγRに対して異なる親和性を有し、IgG1およびIgG3は、典型的に、IgG2およびIgG4よりこの受容体に実質的に良く結合する(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57-65、参照によりその全体が本明細書に援用される)。FcγRは、異なる親和性で、IgGFc領域に結合する。FcγRIIIaおよびFcγRIIIbの細胞外ドメインは、96%が同一であるが、FcγRIIIbは、細胞内シグナル伝達ドメインを有さない。更に、FcγRI、FcγRIIa/c、およびFcγRIIIaは、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有する細胞内ドメインを有することにより特徴付けされる、免疫複合体により引き起こされる活性の正の調節因子であるが、FcγRIIbは、免疫受容抑制チロシンモチーフを有し、したがって、阻害性である。したがって、前者は、活性化受容体と呼ばれ、FcγRIIbは、抑制受容体と呼ばれる。親和性および活性化におけるこれらの相違にも関わらず、すべてのFcγRは、Cγ2ドメインのN末端および前述のヒンジで、Fc上の同じ領域に結合する。この相互作用は、構造的に良く特徴付けされ(Sondermann et al.,2001,J Mol Biol 309:737-749、参照によりその全体が本明細書に援用される)、ヒトFcγRIIIbの細胞外ドメインに結合されるヒトFcのいくつかの構造が、解明されている(pdb登録コード1E4K) (Sondermann et al.,2000,Nature 406:267-273、参照によりその全体が本明細書に援用される)(pdb登録コード1IISおよび1IIX)(Radaev et al.,2001,J Biol Chem 276:16469-16477、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0093

重複しているが、別個であるFc上の部位は、補体タンパク質C1qの接触面として機能する。Fc/FcγR結合が、ADCCを媒介する同じ方式で、Fc/C1q結合は、補体依存性細胞障害性(CDC)を媒介する。Cγ2とCγ3ドメインとの間のFc上の部位は、エンドソームから形質膜陥入された抗体を血流再循環させる結合である、新生受容体FcRnとの相互作用を媒介する(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181-220、Ghetie et al.,2000,Annu Rev Immunol 18:739-766、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。この過程は、大型の完全長分子による腎臓濾過の防止と共に、1〜3週間にわたる好適な抗体血清半減期をもたらす。FcのFcRnへの結合は、抗体輸送において主要な役割も果たす。Fc上でのFcRnの結合部位は、細菌タンパク質AおよびGが結合する部位でもある。これらのタンパク質の密着結合は、典型的に、タンパク質の精製中に、タンパク質Aまたはタンパク質Gの親和性クロマトグラフィーを利用することにより、抗体を精製する手段として活用される。これらの領域の再現性、補体、およびFcRn/タンパク質A結合領域は、抗体の臨床特性およびそれらの発達の両方に重要である。

0094

Fc領域の主な特徴は、N297で生じる、保存されたN結合グリコシル化である。場合によってオリゴ糖と称されるこの糖は、抗体にとって重要な構造的かつ機能的役割を担い、抗体が哺乳動物発現系を使用して生成されなければならない、主な理由の1つである。FcγRおよびC1qへの効率的なFc結合は、この修飾を必要とし、N297糖の組成物における変更、またはその消失は、これらのタンパク質への結合に影響を及ぼす(Umana et al.,1999,Nat Biotechnol 17:176-180、Davies et al.,2001,Biotechnol Bioeng 74:288-294、Mimura et al.,2001,J Biol Chem 276:45539-45547.、Radaev et al.,2001,J Biol Chem 276:16478-16483、Shieldset al.,2001,J Biol Chem 276:6591-6604、Shields et al.,2002,J Biol Chem 277:26733-26740、Simmons et al.,2002,J Immunol Methods 263:133-147、すべて、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0095

本明細書に記載される実施形態の免疫グロブリンは、Fc融合物とも称される抗体様タンパク質であってもよい(Chamow et al.,1996,TrendsBiotechnol 14:52-60、Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195-200、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。本明細書において、「Fc融合物」とは、先行技術において使用される、「免疫アドヘシン」、「Ig融合」、「Igキメラ」、および「受容体グロブリン」(時折ダッシュを伴う)の用語の同義語であるものとする(Chamow et al.,1996,Trends Biotechnol 14:52-60; Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195-200)。Fc融合物は、本明細書で「融合パートナー」として称される、1つ以上のポリペプチドが、Fcに操作可能に連結されるタンパク質である。Fc融合物は、抗体のFc領域、したがって、その好適なエフェクター機能および薬物動態を受容体、リガンド、もしくはいくつかの他のタンパク質の標的結合領域、またはタンパク質ドメインと結合させる。後者の役割は、標的認識を媒介することであり、したがって、抗体の可変領域にと機能的に類似している。Fc融合物の抗体との構造的および機能的重複のため、本開示の抗体の論議は、Fc融合物にも拡大される。

0096

実質的に、いかなるタンパク質または小分子も、Fcに連結され、Fc融合物を生成し得る。タンパク質融合パートナーは、これらに限定されないが、任意の抗体の可変領域、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質、またはタンパク質ドメインを含み得る。小分子融合パートナーは、Fc融合物を標的抗原に誘導する、任意の薬剤を含み得る。このような標的抗原は、疾病に関与する、例えば、細胞外受容体等の任意の分子であってもよい。本明細書中に記載した実施形態のFc融合物は、CD32b+細胞で発現される抗原を実質的に標的化し得る。

0097

融合パートナーは、NもしくはC末端、または末端間のある残基を含む、Fc領域の任意の領域に連結されてもよい。一実施形態において、融合パートナーは、Fc領域のNまたはC末端で連結される。種々のリンカーは、融合パートナーにFc領域を共有結合的に連結するように、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に用途を見出し得る。本明細書において、「リンカー」、「リンカー配列」、「スペーサー」、「係留配列」、またはそれらの文法上の同等語は、2つの分子を結合し、多くの場合、2つの分子を構造に配置する働きをする分子、または分子群単量体または重合体等)を意味する。リンカーは、当該分野に公知であり、例えば、ホモまたはヘテロ二機能性リンカーが、周知である(参照によりその全体が援用される、1994 Pierce Chemical Company catalog, technical section on cross-linkers, pages 155-200を参照のこと)。いくつかの対処法は、分子を共有結合的に一緒に連結するように使用され得る。これらは、これらに限定されないが、タンパク質またはタンパク質ドメインのNとC末端の間のポリペプチド連結、ジスルフィド結合を介した連結、および化学的架橋試薬を介した連結を含む。この実施形態の一態様において、リンカーは、組み換え技術またはペプチド合成により生成される、ペプチド結合である。リンカーペプチドは、次のアミノ酸残基を主として得る:Gly、Ser、Ala、またはThr。リンカーペプチドは、所望の活性を維持するように、相互に対して適切な高次構造を成すような方式で、2つの分子を連結するのに適当な長さを有するべきである。この目的に適切な長さは、少なくとも1つの、かつ50を超えないアミノ酸残基を含む。一実施形態において、リンカーは、長さが約1〜30のアミノ酸である。一実施形態において、長さが1〜20のアミノ酸のhリンカーが使用されてもよい。有用なリンカーは、当業者に理解されるように、グリシン−セリン重合体(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号1として記述)、(GGGGS)n(配列番号2として記述)、および(GGGS)n(配列番号3として記述)を含み、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニン重合体アラニン−セリン重合体、および他の柔軟なリンカーを含む。代替的に、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体を含む、種々の非タンパク質性重合体は、リンカーとしての用途を見出し得る、つまり、Fc領域を融合パートナーに連結するように用途を見出し得る。

0098

融合パートナーとして、Fcポリペプチドも企図される。したがって、本明細書に記載される免疫グロブリンは、2つ以上のFc領域を含む、多量体Fcポリペプチドであってもよい。このような分子の利点は、単一タンパク質分子で、Fc受容体に複数の結合部位を提供することである。一実施形態において、Fc領域は、化学工学的アプローチを使用して連結されてもよい。例えば、Fab’およびFc’は、ヒンジのシステイン残基由来するチオエーテル結合により連結され、FabFc2等の分子を生成してもよい。Fc領域は、ジスルフィド操作および/または化学的架橋を使用して連結されてもよい。一実施形態において、Fc領域は、遺伝学的に連結されてもよい。一実施形態において、免疫グロブリンにおけるFc領域は、参照によりその全体が援用される、米国特許公開第2005/0249723号に記載される、生成され、直列に連結されたFc領域に遺伝学的に連結される。直列に連結されたFcポリペプチドは、2つ以上のFc領域、例えば、1〜3つのFc領域、2つのFc領域を含んでもよい。最も好適な構造的および機能的特性で、ホモまたはヘテロ直列に連結されたFc領域を得るために、多くの操作構造体を研究することは、有利である場合がある。直列に連結されたFc領域は、ホモ直列に連結されたFc領域であってもよい、つまり、1つのアイソタイプのFc領域は、同じアイソタイプの別のFc領域に遺伝学的に融合されてもよい。直列に連結されたFcポリペプチド上に複数のFcγR、C1q、および/またはFcRn結合部位が存在するため、エフェクター機能および/または薬物動態が強化され得ることが予期される。代替の実施形態において、異なるアイソタイプからのFc領域が、直列に連結されてもよく、ヘテロ直列に連結されたFc領域と称される。例えば、FcγRおよびFcαRI受容体を標的とする能力のため、FcγRおよびFcαRIの両方に結合する免疫グロブリンは、臨床の改善を提供し得る。

0099

本明細書に開示される実施形態の免疫グロブリンは、抗体クラスのいずれかに属する、免疫グロブリン遺伝子によっても実質的にコードされてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む抗体のIgGクラスに属する配列を含む、抗体またはFc融合物に用途を見出す。 図1は、これらのヒトIgG配列の整列を提供する。代替の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、抗体のIgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG、またはIgMクラスに属する配列を含む、抗体またはFc融合物に用途を見出す。本明細書に開示される免疫グロブリンは、1本以上のタンパク質鎖を含んでもよく、例えば、ホモまたはヘテロオリゴマーを含む単量体もしくはオリゴマーである、抗体またはFc融合物であってもよい。

0100

本明細書に開示される免疫グロブリンは、任意の生物、例えば、哺乳動物(これらに限定されないが、ヒト、ゲッ齒類(これらに限定されないが、マウスおよびラットを含む)、ウサギ目(これらに限定されないが、ウサギおよびノウサギを含む)、ラクダ科(これらに限定されないが、ラクダ、ラマ、およびヒトコブラクダを含む)、ならびにこれらに限定されないが、原猿広鼻類(新世界ザル)、オナガザル上科(旧世界ザル)、およびテナガザル、小型および大型類人猿を含むヒト上科を含むヒト以外の霊長類からの遺伝子により実質的にコードされてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、実質的にヒトであってもよい。

0101

当該分野に周知のように、免疫グロブリン多型が、ヒト集団に存在する。Gm多型は、ヒトIgG1、IgG2、およびIgG3分子のマーカーのG1m、G2m、およびG3mアロタイプと称される、アロタイプ抗原決定基をコードする対立遺伝子を有する、IGHG1、IGHG2およびIGHG3遺伝子により決定される(γ4鎖上で、Gmアロタイプは発見されていない)。マーカーは、「アロタイプ」と「イソアロタイプ」とに分類され得る。これらは、アイソタイプ間の強い配列の相同性に応じて、異なる血清学的根拠により区別される。アロタイプは、Ig遺伝子の対立遺伝子型により特定される抗原決定基である。アロタイプは、異なる個別の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列のわずかな相違を表す。たった1つのアミノ酸の相違でさえ、アロタイプ決定基を引き起こすことができるが、多くの場合、いくつかのアミノ酸置換が生じている。アロタイプは、抗血清が対立遺伝子の相違のみを認識する、サブクラスの対立遺伝子間の配列相違である。イソアロタイプは、1つ以上の他のアイソタイプの非多型相同領域共有されるエピトープを生成する一アイソタイプにおける対立遺伝子であり、このため、抗血清は、関連するアロタイプと関連する相同アイソタイプの両方と反応する(Clark,1997,IgG effector mechanisms, Chem Immunol.65:88-110、Gorman & Clark,1990,Semin Immunol 2(6):457-66、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0102

ヒト免疫グロブリンの対立遺伝子型は、明確に特徴付けされている(WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins. J Immunogen 1976,3:357-362、WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins.1976,Eur.J.Immunol.6,599-601、Loghem E van,1986,Allotypic markers, Monogr Allergy 19:40-51、すべてが、参照によりその全体が本明細書に援用される)。加えて、他の多型も特徴付けされている(Kim et al.,2001,J.Mol.Evol.54:1-9、参照によりその全体が本明細書に援用される)。 現在、18のGmアロタイプが知られている:G1m(1、2、3、17)もしくはG1m(a、x、f、z)、G2m(23)もしくはG2m(n)、G3m(5、6、10、11、13、14、15、16、21、24、26、27、28)もしくはG3m(b1、c3、b5、b0、b3、b4、s、t、g1、c5、u、v、g5)(Lefranc, et al., The humanIgGsubclasses: molecular analysis of structure, function and regulation. Pergamon, Oxford, pp. 43-78(1990)、Lefranc, G. et al., 1979, Hum. Genet.: 50, 199-211、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。固定された組み合わせで受け継がれるアロタイプは、Gmハプロタイプと呼ばれる。図2は、位置および関連アミノ酸置換を示す、ヒトIgG1(図2A)およびIgG2(図2A)のγ鎖の一般的なハプロタイプを示す。本明細書に開示される免疫グロブリンは、任意の免疫グロブリン遺伝子の任意のアロタイプ、イソアロタイプ、またはハプロタイプにより実質的にコードされ得る。

0103

本明細書に開示される免疫グロブリンは、これらに限定されないが、抗体、単離されたFc、Fcフラグメント、およびFc融合物を含む、Fcポリペプチドを構成してもよい。一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、可変領域および定常領域を含む、抗体の自然な生物学的形態を構成する完全長抗体である。IgGアイソタイプにおいて、完全長抗体は、四量体であり、同一の2対の2本の免疫グロブリン鎖からなり、各対は、軽鎖1本と、重鎖1本を有し、各軽鎖は、免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖は、免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2、およびCγ3を含む。別の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、単離されたFc領域またはFcフラグメントである。

0104

本明細書に開示される免疫グロブリンは、これらに限定されないが、それぞれ、抗体フラグメント、二重特異的抗体、ミニ抗体ドメイン抗体合成抗体(時折、本明細書において、「抗体模倣物」と称される)、キメラ抗体ヒト化抗体、抗体融合(時折、「抗体結合体」と称される)、およびそれぞれのフラグメントを含む、種々の構造であってもよい。

0105

一実施形態において、抗体は、抗体フラグメントである。 特定の抗体フラグメントは、これらに限定されないが、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(iv)単一変数からなるdAbフラグメント、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの連結されたFabフラグメントを含む二価のフラグメントである、F(ab’)2フラグメント、(vii)2つのドメインを結合して、抗原結合部位の形成を可能にするペプチドリンカーにより、VHドメインおよびVLドメインが連結される、単一鎖Fv分子(scFv)、(viii)二重特異性単一鎖Fv二量体、ならびに(ix)遺伝子融合によって構築される多価または多特異性フラグメントである、「二重特異性抗体」もしくは「三重特異性抗体」を含む。抗体フラグメントは、修飾されてもよい。例えば、分子は、VHおよびVLドメインを連結する、ジスルフィド橋の組み込みにより安定化され得る。抗体の形式および構造の例は、Holliger & Hudson,2006,Nature Biotechnology 23(9):1126-1136およびCarter 2006,Nature Reviews Immunology 6:343-357ならびにそこに引用される参考文献に記載されており、参照によりすべてが明示的に援用される。

0106

一実施形態において、本明細書に開示される抗体は、多特異性抗体、および特に二重特異性抗体であってもよく、時折、「二重特異性抗体」と称される。これらは、2つ(以上)の異なる抗原に結合する抗体である。二重特異性抗体は、例えば、化学的に、またはハイブリッドハイブリドーマから調製される等の、当該分野に公知の種々の方式で製造され得る。一実施形態において、抗体はミニ抗体である。ミニ抗体は、CH3ドメインに連結されるscFvを含む、最小化された抗体様タンパク質である。いくつかの場合において、scFvは、Fc領域に結合され得、一部またはすべてのヒンジ領域を含み得る。多特異性抗体の説明においては、Holliger & Hudson,2006,Nature Biotechnology 23(9):1126-1136、ならびにそこに引用される参考文献を参照し、参照によりすべてが明示的に援用される。

0107

非ヒト、キメラ、ヒト化、および完全なヒト抗体

0108

当該分野に周知のように、抗体の可変領域は、種々の種属から配列を構成することができる。いくつかの実施形態において、抗体可変領域は、これらに限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ラクダ、ラマ、およびサルを含む、ヒト以外の供給源からであり得る。いくつかの実施形態において、足場の構成要素は、異なる種属の混合物であり得る。したがって、本明細書に開示される抗体は、キメラ抗体および/またはヒト化抗体であってもよい。一般的に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」の両方は、1種属以上からの領域を組み合わせる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は、従来、マウスまたは他のヒト以外の種属からの可変領域およびヒトからの定常領域を含む。

0109

「ヒト化抗体」とは、概して、ヒト抗体で発見される配列と交換された可変ドメインフレームワーク領域を有した非ヒト抗体を指す。一般的に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源ポリヌクレオチドによりコードされるか、またはそのCDR内を除いてこのような抗体と同一である。ヒト以外の生物由来核酸によりコードされる一部またはすべてのCDRは、ヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークに移植され、移植されたCDRにより決定される特異性の抗体を作製する。このような抗体の作製は、例えば、国際公開第92/11018号、Jones,1986,Nature 321:522-525、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534-1536に記載される。選択された受容体フレームワーク残基の対応するドナー残基への「逆突然変異」は、多くの場合、初期の移植されたコンストラクトで失われた親和性を回復するために要求される(米国特許第5,693,762号、参照によりその全体が援用される)。ヒト化抗体は、至適に、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれを含み、したがって、典型的には、ヒトFc領域を含む。ヒト化抗体は、遺伝学的に操作された免疫系を有するマウスを使用しても生成され得る。 Roque et al., 2004, Biotechnol. Prog. 20: 639-654。ヒト以外の抗体のヒト化および再構成のための種々の技法および方法は、当該分野に周知である(Tsurushita & Vasquez, 2004, Humanization of Monoclonal Antibodies, Molecular Biology of B Cells,533-545,Elsevier Science(USA)、ならびにそれに引用される参考文献を参照のこと)。非ヒト抗体可変領域の免疫原性を低減するためのヒト化または他の方法は、例えば、Roguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969-973に記載される、表面再構成法を含み得る。一実施形態において、親抗体は、当該分野に公知のように、親和成熟化されている。構造に基づく方法が、例えば、米国特許出願第11/004,590号に記載されるように、ヒト化および親和性成熟化において利用されてもよい。選択に基づく方法は、抗体可変領域をヒト化および/または親和成熟するように、つまり、その標的抗原の可変領域の親和性を増加するように利用されてもよい。他のヒト化方法は、限定されないが、US第09/810,502号、Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119-1125、De Pascalis et al.,2002,J.Immunol.169:3076-3084に記載される方法を含む、CDRの一部のみの移植を含んでもよい。構造に基づく方法は、例えば、参照によりその全体が援用される、米国特許7,117,096号、ならびに関連する出願に記載されるように、ヒト化および親和性成熟化において利用されてもよい。特定の変形において、抗体の免疫原性は、参照によりその全体が援用される、米国特許第7,657,380号に記載される方法を使用して低減される。

0110

一実施形態において、抗体は、本明細書に概説する、少なくとも1つの修飾を伴う完全なヒト抗体である。「完全な(Fully)ヒト抗体」または「完全な(complete)ヒト抗体」とは、本明細書に概説する修飾を伴う、ヒト染色体に由来する抗体の遺伝子配列を有するヒト抗体を指す。完全なヒト抗体は、例えば、遺伝子導入マウス(Bruggemann et al.,1997,Curr Opin Biotechnol 8:455-458)、または選択法と合わせたヒト抗体ライブラリ(Griffiths et al.,1998,Curr Opin Biotechnol 9:102-108)を使用して、取得されてもよい。

0111

標的抗原

0112

一実施形態において、抗原は、これだけに限定されるものではないが、標的CD19に属するタンパク質、サブユニット、ドメイン、モチーフ、および/またはエピトープを含めた、本明細書中に開示した免疫グロブリンによって標的化され得る。

0113

FcバリアントおよびFc受容体結合特性

0114

本明細書に開示される免疫グロブリンは、Fcバリアントを含む。Fcバリアントは、親Fcポリペプチドに対して1つ以上のアミノ酸修飾を含み、該アミノ酸修飾は、1つ以上の最適化された特性を提供する。本明細書に開示されるFcバリアントは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、その親とアミノ酸配列が異なる。したがって、本明細書に開示されるFcバリアントは、親と比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する。代替的に、本明細書に開示されるFcバリアントは、親と比較して、1つ以上のアミン酸修飾、例えば、約2〜50のアミノ酸修飾、例えば、親と比較して、約2〜10のアミノ酸修飾、約2〜5のアミノ酸修飾等を有してもよい。したがって、Fcバリアントの配列、および親Fcポリペプチドの配列は、実質的に相同である。例えば、本明細書において、変異Fcバリアント配列は、親Fcバリアント配列と約80%の相同性、例えば、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、少なくとも98%の相同性、少なくとも約99%の相同性等を有する。本明細書に開示される修飾は、挿入、欠失、および置換を含む、アミノ酸修飾を含む。本明細書に開示される修飾は、グリコフォーム修飾も含む。修飾は、一般的に、分子生物学を使用して行われるか、または酵素的に、もしくは化学的に行われてもよい。

0115

本明細書に開示されるFcバリアントは、それらを構成するアミノ酸修飾によって定義される。したがって、例えば、S267Eは、親Fcポリペプチドに対して、置換S267Eを伴うFcバリアントである。同様に、S267E/L328Fは、親Fcポリペプチドに対して、置換S267EおよびL328Fを伴うFcバリアントを定義する。野生型アミノ酸の同一性は、不特定であってもよく、この場合、前述のバリアントは、267E/328Fと称される。置換が提供される順番は、恣意的であり、つまり、例えば、267E/328Fは、328F/267Eと同じFcバリアントなどであることに留意する。特に記載のない限り、本明細書で論議される位置は、カバットに記載のEU指標に従いナンバリングされる(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed., United States Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda、参照によりその全体が本明細書に援用される)。簡単に言えば、EUは、その全アミノ酸配列が決定された最初の抗体分子名称なので(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85、参照によりその全体が本明細書に援用される)、そのアミノ酸配列は、重鎖定常領域の標準的なナンバリングスキームになった。EUタンパク質は、ナンバリングを定義するための標準的基準になった。Kabatらは、それを他の抗体配列とアラインしたインデックスセットについてEU配列をリストにし、EUナンバリングスキームに対して抗体をアラインするために必要なツールとしてに役立った。よって、当業者によって理解されるように、EUナンバリングを参照する標準的な方法は、Kabatらの配列のアラインメントを参照することである。なぜなら、それが、他の可変ドメイン長の抗体に関してEUを用いているからである。従って、本明細書中に使用される「カバットにあるようなEUインデックス」または「ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである」とは、カバットに記載のEU抗体のナンバリングを指す。

0116

特定の実施形態において、本明細書に開示されるFcバリアントは、ヒトIgG配列に基づき、したがって、ヒトIgG配列は、これらに限定されないが、例えば、ゲッ齒類および霊長類配列等の他の生物からの配列を含む、他の配列が比較される「基本」配列として使用される。免疫グロブリンは、IgA、IgE、IgGD、IgG等の、他の免疫グロブリンクラスからの配列も含む。本明細書に開示されるFcバリアントは、1つの親IgGと関連して操作されるが、バリアントは、別の第2の親IgGと関連して、またはそれに「移行」されてもよいものとする。これは、典型的には、第1と第2のIgGとの配列間の配列または構造相同性に基づき、第1と第2のIgGとの間の「等価の」または「対応する」残基および置換を決定することにより行われる。相同性を確立するために、本明細書に概説する第1のIgGのアミノ酸配列は、第2のIgGの配列と直接比較される。配列を整列させた後、当該分野で知られている相同性整列プロブラムの1つ以上を使用し(例えば、種属間の保存残基を使用し)、整列を維持するために必要な挿入および欠失をすることにより(すなわち、恣意の欠失および挿入を通して、保存残基の排除を避ける)、第1の免疫グロブリンの一次配列における特定のアミノ酸に等価な残基が定義される。保存残基の整列は、そのような残基の100%を保存し得る。しかしながら、75%を超える、またはわずかに50%の保存残基の整列も、等価残基を定義するのに十分である。等価残基は、構造が決定されたIgGの三次構造のレベルである、第1と第2のIgGとの間の構造的相同性を決定することにより定義されてもよい。この場合、等価残基は、親または前駆体の特定のアミノ酸残基の主鎖原子の2つ以上の原子座標(N上にN、CA 上にCA、C上にC、およびO上にO)が、整列後、約0.13nm以内であるものと定義される。別の実施形態において、等価残基は、整列後、約0.1nm以内である。整列は、最良のモデルが、タンパク質の非水タンパク原子の原子座標の最大重複を与えるように配向され、位置付けられた後に、達成される。等価または対応する残基がどのように決定されるかに関わらず、また、IgGが作製される親IgGの同一性に関わらず、本明細書に開示される、発見されたFcバリアントは、Fcバリアントと有意な配列または構造的相同性を有する、あらゆる第2の親IgGに操作されてもよいということである。したがって、例えば、等価残基を決定するための上述の方法、または他の方法を使用することにより、親抗体がヒトIgG1である、バリアント抗体が生成される場合、バリアント抗体は、異なる抗原、ヒトIgG2親抗体、ヒトIgA親抗体、マウスIgG2aまたはIgG2b親抗体等に結合する、別のIgG1親抗体に操作されてもよい。また、上述のように、親Fcバリアントの構成は、本明細書に開示されるFcバリアントを、他の親IgGに移行する能力に影響を及ぼさない。

0117

本明細書に開示されるFcバリアントは、種々のFc受容体結合特性のために最適化され得る。1つ以上の最適化された特性を示すように操作される、または予測されるFcバリアントは、本明細書において、「最適化されたFcバリアント」と称される。最適化され得る特性は、限定されないが、FcγRに対して強化または低減される親和性を含む。一実施形態において、本明細書に開示されるFcバリアントは、阻害受容体FcγRIIbに対して強化された親和性を有するように最適化される。他の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcγRIIbに対して強化された親和性を提供するが、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、および/またはFcγRIIIbを含む、1つ以上の活性化FcγRに対して低減された親和性を提供する。FcγR受容体は、これらに限定されないが、ヒト、カニクイザル、およびマウスを含む、任意の生物からの細胞上で発現されてもよい。本明細書に開示されるFcバリアントは、ヒトFcγRIIbに対して強化された親和性を有するように最適化されてもよい。

0118

本明細書で使用される、親Fcポリペプチドより「大きな親和性」、もしくは「改善された親和性」、もしくは「強化された親和性」、もしくは「良好な親和性」とは、結合アッセイのバリアントおよび親ポリペプチドの量が、基本的に同じである時、Fcバリアントが、親Fcポリペプチドより有意に高い会合平衡定数(KAもしくはKa)、または低い解離平衡定数(KDもしくはKd)で、Fc受容体に結合することを意味する。例えば、改善されたFc受容体結合親和性を有するFcバリアントは、受容体結合親和性が、例えば、限定されないが、Biacoreを含む、本明細書に開示される結合方法によって、当業者により決定される、親Fcポリペプチドと比較したFc受容体結合親和性において、約5倍〜約1000倍、例えば、約10倍〜約500倍の改善を示し得る。したがって、本明細書で使用される、親ポリペプチドと比較して「低減された親和性」とは、Fcバリアントが、親Fcポリペプチドより有意に低いKAまたは高いKDで、Fc受容体に結合することを意味する。より大きいまたは低減された親和性は、親和性の絶対レベルに対しても定義され得る。例えば、本明細書のデータによると、野生型(自然)IgG1は、約1.5μM、または約1500nMの親和性で、FcγRIIbに結合する。更に、本明細書に記載されるいくつかのFcバリアントは、野生型IgG1の約10倍を上回る親和性で、FcγRIIbに結合する。本明細書に開示される、大きな、または強化された親和性とは、約100nMより低い、例えば、約10nM 〜約100nMの間、約1〜約100nMの間、または約1nM未満のKDを有することを意味する。

0119

一実施形態において、Fcバリアントは、1つ以上の活性化受容体に対して、FcγRIIbに対して選択的に強化された親和性を提供する。選択的に強化された親和性とは、Fcバリアントが、親Fcポリペプチドと比較して、活性化受容体に対してFcγRIIbに改善された親和性を有するが、親Fcポリペプチドと比較して、活性化受容体に対して低減された親和性を有するか、またはFcバリアントが、親Fcポリペプチドと比較して、FcγRIIbおよび活性化受容体の両方に改善された親和性を有するが、親和性の改善は、活性化受容体に対してよりFcγRIIbに対しての方が大きいことかのいずれかを意味する。代替の実施形態において、Fcバリアントは、1つ以上の活性化FcγRへの結合を低減もしくは切断する、1つ以上の補体タンパク質への結合を低減もしくは切断する、1つ以上のFcγR媒介エフェクター機能を低減もしくは切断する、および/または1つ以上の補体媒介エフェクター機能を低減もしくは切断する。

0120

FcγRの異なる多型形態の存在は、本明細書に開示されるFcバリアントの治療有用性に影響を与える、また別のパラメータを提供する。FcγRの異なるクラスに対する所与のFcバリアントの特異性および選択性は、Fcバリアントが、所与の疾患の治療のための所与の抗原を標的とする能力に有意に影響を及ぼすが、これらの受容体の異なる多型形態に対するFcバリアントの特異性または選択性は、研究または前臨床実験が、検査に適切であってもよいか、そして最終的に、どの患者集団が治療に反応する可能性があるかないかを、部分的に決定し得る。したがって、これらに限定されないが、FcγRIIa、FcγRIIIa等を含む、Fc受容体多型に対する、本明細書に開示されるFcバリアントの特異性または選択性は、有効な研究および前臨床実験の選択、臨床試験デザイン、患者の選択、用量依存性、および/または臨床試験に関わる他の態様を導くために使用され得る。

0121

本明細書に開示されるFcバリアントは、これらに限定されないが、補体タンパク質、FcRn、およびFc受容体ホモログ(cRH)を含む、FcγR以外のFc受容体との相互作用を調節する修飾を含んでもよい。FcRHは、これらに限定されないが、FcRH1、FcRH2、FcRH3、FcRH4、FcRH5、およびFcRH6を含む(Davis et al.,2002,Immunol.Reviews 190:123-136)。

0122

所与の疾患を治療するための、所与のFcバリアントの最も有益な選択を決定する重要なパラメータは、Fcバリアントの構成である。したがって、所与のFcバリアントのFc受容体選択性または特異性は、抗体、Fc融合物、または融合パートナーと結合したFcバリアントを構成するかによって、異なる特性を提供する。一実施形態において、本明細書に開示されるFcバリアントのFc受容体特異性は、その治療有用性を決定する。治療目的の所与のFcバリアントの有用性は、標的抗原のエピトープもしくは形態、および治療される疾患または徴候に依存する。いくつかの標的および徴候において、より大きなFcγRIIb親和性、および低減された活性化FcγR媒介エフェクター機能が、有益であり得る。他の標的抗原および治療用途において、FcγRIIbに対する親和性を増加する、または FcγRIIbおよび活性化受容体の両方に対する親和性を増加することが有益であり得る。

0123

抑制特性およびCD32b+細胞を抑制する方法

0124

本明細書中に開示した免疫グロブリンの標的抗原(CD19)は、多様な細胞型で発現され得る。いくつかの実施形態において、本明細書中に開示した免疫グロブリンは、CD32b+細胞で発現されるCD19に特異的である。本明細書中に開示した免疫グロブリンによって標的化され得る細胞型としては、B細胞、形質細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、マスト細胞、好塩基球、および好酸球が挙げられるが、これらに限定されない。

0125

CD32b+細胞を抑制する方法が本明細書中に開示されている。それだけに限定されるものではないが、図3は、それによって本明細書中に開示した免疫グロブリンがCD32b+細胞を抑制する、提案の機構の略図である。従って、FcγRIIbに対して高められた親和性を有するFc領域を含む免疫グロブリンと、CD32b+細胞を接触させることを含む、CD32b+細胞を抑制する方法が、本明細書中に開示されている。免疫グロブリンは、少なくとも2つB細胞タンパク質、例えば表面B細胞に結合する少なくとも2つのタンパク質、に結合する。一実施形態において、前記B細胞タンパク質の1番目はFcγRIIbである。別の実施形態において、前記B細胞タンパク質の2番目は、CD19である。いくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、B細胞受容体によるそれらの刺激によってB細胞からのカルシウムの放出を抑制する。別の実施形態において、本明細書中に開示した免疫グロブリンは、同じB細胞表面上の少なくとも2つB細胞タンパク質を結合する(図3を参照)。

0126

抑制機能を最適化するための修飾

0127

修飾を含む免疫グロブリンを対象としたものが本明細書中に開示されており、ここで、前記修飾は、FcγRIIb受容体に対して親和性を変更し、および/または1若しくは複数のFcγRIIb媒介性エフェクター機能を媒介する免疫グロブリンの能力を変更する。開示の修飾としては、アミノ酸修飾とグリコフォーム修飾が挙げられる。

0128

本明細書中に記載したように、同族BCRとFcγRIIbとの同時の高親和性共結合は、FcγRIIb+細胞を抑制するのに使用され得る。斯かる共結合は、本明細書中に記載した免疫グロブリン、例えばそのFc領域を介して両FcγRIIbの共結合に使用される免疫グロブリン、およびそのFv領域を介してFcγRIIb+細胞表面上の標的抗原(例えば、CD19)の使用を介して起こり得る。重鎖定常領域の位置234、235、236、239、267、268、および328のアミノ酸修飾は、免疫グロブリンFcγRIIb結合特性、エフェクター機能、および抗体の潜在的な臨床特性の修飾を可能にする。

0129

一実施形態において、FcγRIIb+細胞に結合し、かつ、細胞表面上の標的抗原と本明細書中に開示した細胞表面上のFcγRIIbとを共結合する免疫グロブリンは、親免疫グロブリンに対するバリアント免疫グロブリンであってもよい。一実施形態において、バリアント免疫グロブリンは、バリアントFc領域を含み、ここで、前記バリアントFc領域は、親定常領域と比較して、1若しくは複数(例えば、2つ以上)の修飾を含み、ここで、前記修飾(1もしくは複数)は、234、235、236、239、267、268、および328からなる群から選択される位置にあり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記バリアントFc領域は、親定常領域と比較して、1若しくは複数(例えば、2つ以上)の修飾を含み、ここで、前記修飾がカバットにあるようなEUインデックスによる267および328からなる群から選択される位置にある。

0130

一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つの置換(例えば、1若しくは複数の置換、2以上の置換など)であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、235Y、235R、236D、267D、267E、および328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換である。一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、267Eおよび328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、L234W、L235I、L235Y、L235R、L235D、G236D、G236N、S239D、S267D、S267E、H268E、H268D、L328F、およびL328Yからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、L235Y、L235R、G236D、S267D、S267E、およびL328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換である。一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、S267EおよびL328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。

0131

別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、235/267、236/267、236/267、267/328、および268/267からなる群から選択される位置における少なくとも2つの修飾(例えば、修飾の組み合わせ)であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、位置267/328における少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。更なる実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、235D/267E、235Y/267E、235Y/267D、236D/267E、267E/328F、268D/267E、268E/267E、および268E/267Dからなる群から選択される少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、少なくとも267E/328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、L235D/S267E、L235Y/S267E、L235D/S267D、L235I/S267E、L235I/S267D、L235Y/S267D、G236D/S267E、G236D/S267D、S267E/L328F、S267D/L328F、H268D/S267E、H268D/S267D、H268E/S267E、およびH268E/S267Dからなる群から選択される少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、L235D/S267E、L235Y/S267E、L235Y/S267D、G236D/S267E、S267E/L328F、H268D/S267E、H268E/S267E、およびH268E/S267Dからなる群から選択される少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、少なくともS267E/L328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。

0132

別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、位置236/267/328における少なくとも3つの置換(例えば、修飾の組み合わせ)であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記修飾(1もしくは複数)は、少なくとも236D/267E/328Fである。別の実施形態において、前記置換手段は、少なくともG236D/S267E/L328Fである。

0133

いくつかの実施形態において、抗体は、アイソタイプの修飾、つまり、親IgGの別のIgGのアミノ酸タイプへの修飾を含んでもよい。例えば、図1で例示されるように、IgG1/IgG3ハイブリッドバリアントは、2つのアイソタイプが異なる位置で、CH2および/またはCH3領域のIgG1位置をIgG3からのアミノ酸と置換することによって構築されてもよい。したがって、274Q、276K、300F、339T、356E、358M、384S、392N、397M、422I、435R、および436Fからなる群から選択される1もしくは複数の置換を含む、ハイブリッドバリアントIgG抗体が、構築されてもよい。本発明の他の実施形態において、IgG1/IgG2ハイブリッドバリアントは、2つのアイソタイプが異なる位置で、CH2および/またはCH3領域のIgG2を、IgG1からのアミノ酸と置換することによって構築されてもよい。したがって、233E、234L、235L、−236G(位置236での、グリシンの挿入を指す)、および327Aからなる群から選択される1もしくは複数の修飾を含む、ハイブリッドバリアントgG抗体が構築されてもよい。

0134

最適化エフェクター機能の手段

0135

本明細書中に記載して、および/または免疫グロブリンが1若しくは複数のFcを媒介する能力を変更して、親和性をFcに変更する手段を含む免疫グロブリンは、γRIIb受容体であるかγRIIb−媒介性エフェクターは機能する。
開示の手段は、アミノ酸修飾(例えば、最適化エフェクター機能の位置の手段、最適化エフェクター機能の置換手段など)とグリコフォーム修飾が(例えば、グリコフォーム修飾の手段)であると含む。

0136

アミノ酸修飾

0137

本明細書中に記載したように、エフェクター機能を最適化する位置的手段は、これだけに限定されるものではないが、免疫グロブリンFcγRIIb結合特性、エフェクター機能、および潜在的な臨床特性の修飾を可能にする、1若しくは複数の重鎖定常領域位置234、235、236、239、267、268、および328においてアミノ酸の修飾を含む。

0138

特に、例えば、FcγRIIbに対する親和性を変更することによってFcγRIIbエフェクター機能を最適化する置換手段は、1若しくは複数の重鎖定常領域の位置におけるアミノ酸置換、例えば、重鎖定常領域の位置234、235、236、239、267、268、および328における1若しくは複数のアミノ酸置換を包含するが、これだけに限定されず、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、親Fc領域と比較して、少なくとも1つの置換(例えば、1若しくは複数の置換、2以上の置換など)を包含し、ここで、前記置換がカバットにあるようなEUインデックスに従って267および328からなる群から選択される位置に存在する。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、234W、235I、235Y、235R、235D、236D、236N、239D、267D、267E、268E、268D、328F、および328Yからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、235Y、235R、236D、267D、267E、および328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、267Eおよび328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、L234W、L235I、L235Y、L235R、L235D、G236D、G236N、S239D、S267D、S267E、H268E、H268D、L328F、およびL328Yからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、L235Y、L235R、G236D、S267D、S267E、およびL328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、S267EおよびL328Fからなる群から選択される少なくとも1つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。

0139

別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置235/267、236/267、236/267、267/328、および268/267における少なくとも2つの置換(例えば、修飾の組み合わせ)であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置267/328における少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。更なる実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置235D/267E、235Y/267E、235D/S267D、235I/267E、235I/267D、235Y/267D、236D/267E、236D/267D、267E/328F、267D/328F、268D/267E、268D/267D、268E/267E、および268E/267Dにおける少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置235D/267E、235Y/267E、235Y/267D、236D/267E、267E/328F、268D/267E、268E/267E、および268E/267Dにおける少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、少なくとも267E/328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置L235D/S267E、L235Y/S267E、L235D/S267D、L235I/S267E、L235I/S267D、L235Y/S267D、G236D/S267E、G236D/S267D、S267E/L328F、S267D/L328F、H268D/S267E、H268D/S267D、H268E/S267E、およびH268E/S267Dにおける少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置L235D/S267E、L235Y/S267E、L235Y/S267D、G236D/S267E、S267E/L328F、H268D/S267E、H268E/S267E、およびH268E/S267Dにおける少なくとも2つの置換であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。一実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、少なくともS267E/L328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。

0140

別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、位置236/267/328における少なくとも3つの置換(例えば、修飾の組み合わせ)であり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、少なくとも236D/267E/328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。別の実施形態において、前記置換手段(1もしくは複数)は、少なくともG236D/S267E/L328Fであり、ここで、ナンバリングがカバットにあるようなEUインデックスによるものである。

0141

グリコフォーム修飾

0142

抗体を含む多くのポリペプチドは、オリゴ糖とのグリコシル化等の糖鎖を含む、種々の翻訳後修飾を受ける。グリコシル化に影響を与えることができるいくつかの要因が存在する。種属、組織および細胞型はすべて、グリコシル化がどのように生じるかにおいて重要であることが示されている。加えて、血清濃度等の培養条件の変更を通して、細胞外環境は、グリコシル化に直接的な影響を与える(Lifely et al.,1995,Glycobiology 5(8):813-822)。

0143

すべての抗体は、重鎖の定常領域の保存位置で糖を含有する。各抗体のアイソタイプは、明確な種々のN結合型糖構造を有する。重鎖に結合される糖とは別に、ヒトIgGの最大30%は、グリコシル化Fab領域を有する。IgGは、CH2ドメインのAsn297で、単一結合二触角性糖を有する。血清からか、またはハイブリドーマまたは操作された細胞で細胞外生成される、いずれのIgGにおいても、IgGは、Asn297結合型糖に関して異種である(Jefferis et al.,1998,Immunol.Rev.163:59-76、Wright et al.,1997,TrendsBiotech 15:26-32)。ヒトIgGにおいて、コアオリゴ糖は、通常、異なる数の外側残基を有する、GlcNAc2Man3GlcNAcからなる。

0144

本明細書に開示される免疫グロブリンの糖鎖は、オリゴ糖の説明に通常使用される命名法を参照して説明される。この命名法を使用する糖化学の総説は、Hubbard et al.1981,Ann.Rev.Biochem.50:555-583に見られる。この命名法は、例えば、マンノースを表すMan、2−N−アセチルグリコサミンを表すGlcNAc、ガラクトースを表すGal、フコースを表すFuc、およびグルコースを表すGlcを含む。シアル酸は、5−N−アセチルノイラミン酸についてはNeuNAc、および5−グルコリルノイラミン酸についてはNeuNGcの省略標記によって記載される。

0145

「グリコシル化」とは、オリゴ糖(2つ以上の単糖の連結、例えば、2〜約12の単糖の連結を含有する糖)の糖タンパク質への結合を意味する。オリゴ糖測鎖は、典型的に、NまたはO結合のいずれかを通して、糖タンパク質の骨格に連結される。本明細書に開示される免疫グロブリンのオリゴ糖は、一般的に、N結合型オリゴ糖としてFc領域のCH2ドメイに結合される。「N結合型グリコシル化」とは、糖タンパク質鎖における、糖鎖のアスパラギン残基への結合を指す。当業者は、例えば、マウスIgG1、IgG2a、IgG2b、および IgG3のそれぞれ、ならびにヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgDCH2ドメインが、アミノ酸残基297で、N結合型グリコシル化のための単一部位を有することを認識するであろう(Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest,1991)。

0146

本明細書の目的において、「成熟型コア糖構造」とは、一般的に、二触角性オリゴ糖に典型的な、次の糖構造:GlcNAc(Fucose)−GlcNAc−Man−(Man−GlcNAc)2からなる、Fc領域に結合される処理されたコア糖構造を指す。成熟型コア糖構造は、一般的に、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN結合を介して、糖タンパク質のFc領域に結合される。「二分GlcNAc」とは、成熟型コア糖構造のβ1,4マンノースに結合されるGlcNAc残基である。二分GlcNAcは、β(1,4)−N−アセチルグルコサミン転移酵素III酵素(GnTIII)により、酵素的に成熟型コア糖構造に結合され得る。CHO細胞は、通常、GnTIIIを発現しないが (Stanley et al.,1984,J.Biol.Chem.261:13370-13378)、そのように操作することができる(Umana et al.,1999, Nature Biotech.17:176-180)。

0147

修飾されたグリコフォームまたは操作されたグリコフォームを含むFcバリアントを、本明細書で説明する。本明細書で使用される、「修飾されたグリコフォーム」、または「操作されたグリコフォーム」とは、タンパク質、例えば、抗体に共有結合的に結合される糖組成物を意味し、該糖組成物は、親タンパク質のそれと化学的に異なる。操作されたグリコフォームは、これらに限定されないが、FcγR媒介性エフェクター機能の強化または低減を含む、種々の目的に有用であり得る。一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、Fc領域に共有結合的に結合される、フコシル化および/または二分オリゴ糖のレベルを制御するように修飾される。

0148

修飾されたグリコフォームを生成するための種々の方法は、当該分野において周知である(Umana et al.,1999,Nat Biotechnol 17:176-180、Davies et al.,2001,Biotechnol Bioeng 74:288-294、Shieldset al.,2002,J Biol Chem 277:26733-26740、Shinkawa et al.,2003,J Biol Chem 278:3466-3473)、(US6,602,684、US公開第2003/0157108号;US公開第2003/0003097号、PCT国際公開第00/61739A1号、PCT国際公開第01/29246A1号、PCT国際公開第02/31140A1号、PCT国際公開第02/30954A1号)、(Potelligent(登録商標)technology[Biowa, Inc., Princeton, NJ]、GlycoMAb(登録商標)glycosylation engineering technology[GLYCARTbiotechnology AG, Zurich, Switzerland]、参照によりすべてが明示的に援用される)。これらの技法は、例えば、操作された、種々の生物または細胞株(例えば、Lec−13CHO細胞、またはラットハイブリドーマYB2/0細胞)でIgGを発現させることにより、さもさければ、グリコシル化経路に関与する酵素(例えば、FUT8[α1,6−フコシル基転移酵素]および/またはβ1−4−N−アセチルグルコサミン転移酵素III[GnTIII])を調節することにより、またはIgGが発現した後に、糖(類)を修飾することにより、Fc領域に共有結合的に結合される、フコシル化および/または二分オリゴ糖のレベルを制御する。本明細書に開示される免疫グロブリンのグリコフォームを修飾するための他の方法は、糖操作された酵母株(Li et al.,2006,Nature Biotechnology 24(2):210-215)、蘚類(Nechansky et al.,2007,Mol Immunjol 44(7):1826-8)、および植物(Cox et al.,2006,Nat Biotechnol 24(12):1591-7)の使用を含む。修飾されたグリコフォームを生成するための特定の方法の使用は、その方法に実施形態を制限するものではない。むしろ、本明細書に開示される実施形態は、それらがどのように生成されるかに関係なく、修飾されたグリコフォームを伴うFcバリアントを包含する。

0149

一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、シアル化のレベルを変更するために、糖操作される。免疫グロブリンG分子における、高レベルのシアル化Fcグルカンは、機能性に悪影響を与える可能性があり(Scallon et al., 2007,Mol Immunol.44(7):1524-34)、Fcシアル化のレベルの相違は、変更された抗炎症性活性をもたらす可能性がある(Kaneko et al.,2006,Science 313:670-673)。抗体は、Fcコア多糖のシアル化の際に抗炎症性特性を取得し得るため、Fcシアル酸含有量の増加または低減のために、本明細書に開示される免疫グロブリンを糖操作することは、有益であり得る。

0150

操作されたグリコフォームは、典型的に、異なる糖またはオリゴ糖を指し、したがって、例えば、免疫グロブリンは、操作されたグリコフォームを含み得る。代替的に、操作されたグリコフォームは、異なる糖またはオリゴ糖を含む免疫グロブリンを指す場合がある。一実施形態において、本明細書に開示される組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fcバリアントを含み、グリコシル化抗体の約51〜100%、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%、90〜100%、95〜100%等は、フコースを欠失する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、フコースを欠失する成熟型コア糖構造を含み、更に、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。代替の実施形態において、組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fcバリアントを含み、約51〜100%のグリコシル化抗体、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%または90〜100%は、シアル酸を欠失する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、シアル酸を欠失する成熟型コア糖構造を含み、更に、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。また別の実施形態において、組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fcバリアントを含み、グリコシル化抗体の約51〜100%、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%または90〜100%は、シアル酸を含有する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、シアル酸を含有する成熟型コア糖構造を含み、更に、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。別の実施形態において、操作されたグリコフォームとアミノ酸修飾の組み合わせは、抗体に最適なFc受容体結合特性を提供する。

0151

他の修飾

0152

本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcγRまたは補体媒介性機能自体に特に関連しない、最適化された特性を提供する1もしくは複数の修飾を含んでもよい。該修飾は、アミノ酸修飾であるか、または酵素的に、もしくは化学的に行われる修飾であってもよい。このような修飾は、例えば、その安定性溶解性、または臨床使用の強化等の、免疫グロブリンのある程度の改善を提供する可能性がある。本明細書に開示される免疫グロブリンを更なる修飾と結合することにより行わせてもよい、種々の改善を本明細書に開示する。

0153

一実施形態において、本明細書に開示される抗体の可変領域は、親和性成熟することができる、つまり、アミノ酸修飾が、抗体のその標的抗原への結合を強化するように、抗体のVHおよび/またはVLドメインで行われ得る。このような種類の修飾は、標的抗原への結合の会合および/または解離動態を改善し得る。他の修飾は、代替標的に対する、標的抗原への選択性を改善するものを含む。これらは、非標的細胞に対して、標的上で発現する抗原への選択性を改善する修飾を含む。標的認識特性に対する他の改善は、更なる修飾によって提供され得る。このような特性は、これらに限定されないが、特定の動態特性(すなわち、会合および解離動態)、代替標的に対する、特定の標的への選択性、および代替形態に対する、特定の標的形態への選択性を含んでもよい。例としては、完全長に対してスプライスバリアント、細胞表面に対して可溶性形態、種々の多型バリアントの選択性、または標的抗原の特定の立体構造形態が挙げられる。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリンの内在化の低減または強化を提供する、1もしくは複数の修飾を含んでもよい。

0154

一実施形態において、修飾は、これらに限定されないが、安定性、溶解性、およびオリゴマー状態を含む、本明細書に開示される免疫グロブリンの生物物理学的特性を改善するように行われる。修飾は、例えば、より高い安定性を提供するように、免疫グロブリンのより好適な分子内相互作用を提供する置換、または高溶解性のために、露出非極性アミノ酸極性アミノ酸との置換を含むことができる。数々の最適化の目標および方法は、米国特許公開第2004/0110226号(参照により全体を援用)に記載されており、それは、本明細書中に開示した免疫グロブリンを更に最適化するために、更なる修飾を操作するのに用途を見出し得る。腫瘍提示が増強されるように、または、所望によりインビボクリアランス速度が高まるように、本明細書中に開示した免疫グロブリンを、多量体化状態またはサイズを低減する更なる修飾と組み合わせることもできる。

0155

本明細書中に開示した免疫グロブリンに対する他の修飾には、ホモ二量体またはホモ多量体分子の特異的形成を可能にするものが含まれる。斯かる修飾には、操作されたジスルフィド並びに化学修飾または凝集法が含まれるがこれらに限定されず、これらは、共有結合性のホモ二量体またはホモ多量体を生成させるメカニズムを提供し得る。例えば、斯かる分子の操作方法および組成物は、Kan et al., 2001, J. Immunol., 2001, 166: 1320-1326; Stevenson et al., 2002, Recent Results Cancer Res. 159: 104-12; US 5,681,566; Caron et al., 1992, J Exp Med 176:1191-1195 および Shopes, 1992, J Immunol 148(9):2918-22(すべてを参照によりその全体が援用される)に記載されている。本明細書中に開示したバリアントに対する更なる修飾には、ヘテロ二量体ヘテロ多量体、二機能性および/または多機能性の分子の特異的形成を可能にするものが含まれる。斯かる修飾には、CH3ドメインにおける1つまたはそれ以上のアミノ酸置換が含まれるがこれらに限定されず、ここでは、置換がホモ二量体形成を低減させ、ヘテロ二量体形成を増加させる。例えば、斯かる分子の操作方法および組成物は、Atwell et al., 1997, J Mol Biol 270(1):26-35 および Carter et al., 2001, J Immunol Methods248:7-15(両方とも参照によりその全体が援用される)に記載されている。更なる修飾には、ヒンジおよびCH3ドメインにおける修飾が含まれ、ここでは、修飾が二量体を形成する性向を低減させる。

0156

更なる実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、タンパク質分解部位を除去する修飾を含む。これらは、例えば、生産収量を低減するプロテアーゼ部位、ならびにインビボ投与タンパク質を分解するプロテアーゼを含み得る。一実施形態において、更なる修飾は、脱アミド(すなわち、グルタミニルおよびアスパラギニル残基の対応するグルタミルおよびアスパルチル残基への脱アミド)、酸化、およびタンパク質分解部位等の、共有結合分解部位を除去するように行われる。除去に特に有用である脱アミド部位は、これらに限定されないが、グリシンが続く、アスパラギニルおよびグルタミル(gltuamyl)残基、(それぞれ、NGおよびQGモチーフ)を含む、脱アミドの傾向を強化するものである。このような場合、いずれの残基の置換も、脱アミドの傾向を有意に低減することができる。一般的な酸化部位は、メチオニンおよびシステイン残基を含む。導入または除去され得る他の共有結合性修飾は、プロリンおよびリジンヒドロキシル化セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン測鎖の”−アミノ基のメチル化(T. E .Creighton, Proteins: Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co., San Francisco, pp.79-86(1983)、参照によりその全体が援用される)、N末端アミンアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基アミド化を含む。更なる修飾は、限定されないが、N結合型またはO結合型グリコシル化およびリン酸化等の、翻訳後修飾も含み得る。

0157

修飾は、生物学の産生に通常使用される、宿主または宿主細胞から得られる発現および/または精製収量を改善するものを含んでもよい。これらは、これらに限定されないが、種々の哺乳動物細胞株(例えば、CHO)、酵母細胞株、バクテリア細胞、および植物を含む。更なる修飾は、重鎖が、鎖間ジスルフィド結合を形成する能力を除去する、または低減する修飾を含む。更なる修飾は、重鎖が、鎖内ジスルフィド結合を形成する能力を除去する、または低減する修飾を含む。

0158

本明細書に開示される免疫グロブリンは、例えば、限定されないが、すべてが参照によりその全体が援用される、Cropp & Shultz,2004,TrendsGenet.20(12):625-30、Anderson et al.,2004,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101(2):7566-71、Zhang et al.,2003,303(5656):371-3、およびChin et al.,2003,Science 301(5635):964-7に記載される方法を含む、Schultzおよび共同研究者により開発された技術を使用して組み込まれた、非天然アミノ酸の使用を含む修飾を含んでもよい。いくつかの実施形態において、これらの修飾は、上述の種々の機能的、生物物理学的免疫学的、または製造特性の操作を可能にする。更なる実施形態において、これらの修飾は、他の目的のために、更なる化学修飾を可能にする。他の修飾が、本明細書において企図される。例えば、免疫グロブリンは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体等の、種々の非タンパク質性重合体の1つに連結されてもよい。更なるアミノ酸修飾は、免疫グロブリンの特異的または非特異的な化学修飾もしくは翻訳後修飾を可能にするように行われてもよい。このような修飾は、これらに限定されないが、ペグ化およびグリコシル化を含む。ペグ化を可能にするように利用され得る特異的置換は、これらに限定されないが、効率的かつ特異的なカップリング化学法が、PEGか、さもなければ重合体部分を結合するために使用され得るような、新規システイン残基または非天然アミノ酸の導入を含む。特定のグリコシル化部位の導入は、新規N−X−T/S配列を本明細書に開示される免疫グロブリンに導入することにより、達成され得る。

0159

免疫原性を低減するための修飾は、親配列由来の処理されたペプチドのMHCタンパク質への結合を低減する修飾を含んでもよい。例えば、アミノ酸修飾は、任意の一般的なMHC対立遺伝子を高親和性で結合することが予測される免疫エピトープが存在しないか、または最小数であるように操作されるだろう。タンパク質配列におけるMHC結合型エピトープの同定のいくつかの方法は、当該分野で知られており、本明細書に開示される抗体のエピトープをスコアするために使用されてもよい。例えば、参照によりすべてが明示的に援用される、米国特許公開第2002/0119492号、同第2004/0230380号、同第2006/0148009号、およびそこに引用される参考文献を参照のこと。

0160

いくつかの実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcRn結合を変更する免疫グロブリンと組み合わされてもよい。このようなバリアントは、免疫グロブリンに改善された薬物動態特性を提供し得る。特に、FcのFcRnへの結合を増加するバリアントは、これらに限定されないが、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hinton et al.,2004,J.Biol.Chem.279(8): 6213-6216, Hinton et al. 2006 Journal of Immunology 176:346-356、U.S.第11/102621号、PCT/US2003/033037、PCT/US2004/011213、U.S.第10/822300号、U.S.第10/687118号、PCT/US2004/034440、U.S.第10/966673号、参照によりその全体が援用される)、256A、272A、286A、305A、307A、311A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shieldset al, Journal of Biological Chemistry, 2001,276(9):6591-6604、U.S.第10/982470号、米国特許第6,737,056号、U.S.第11/429793号、U.S.第11/429786号、PCT/US2005/029511、U.S.第11/208422号、参照によりその全体が援用される)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、433I、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311 S(Dall Acqua et al. Journal of Immunology,2002,169:5171-5180、米国特許第7,083,784号、PCT/US97/03321、米国特許第6,821,505号、PCT/US01/48432、U.S.第11/397328号、参照によりその全体が援用される)、257C、257M、257L、257N、257Y、279E、279Q、279Y、281後のSerの挿入、283F、284E、306Y、307V、308F、308Y、311V、385H、385N、(PCT/US2005/041220、U.S.第11/274065号、U.S.第11/436,266号、参照によりその全体が援用される)、204D、284E、285E、286D、および290E(PCT/US2004/037929、参照によりその全体が援用される)を含む。

0161

抗体の共有結合的修飾は、本明細書に開示される免疫グロブリンの範囲内に含まれ、概して、翻訳後に行われるが、必ずしもそうではない。例えば、抗体の共有結合的修飾のいくつかの種類は、抗体の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖、またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させることにより、分子に導入される。

0162

いくつかの実施形態において、本明細書に開示した抗体の共有結合改変は、1もしくは複数の標識の付加を含む。“標識基”という用語は任意の検出可能な標識を意味する。いくつかの実施形態において、標識基は、潜在的な立体性障害を低下させるために種々の長さのスペーサーアームにより抗体と結合される。タンパク質を標識する種々の方法が当分野で公知であり、本明細書中に開示した免疫グロブリンを生成するのに用いることができる。一般的には、標識は、それらが検出されるアッセイに応じて以下のように多様な種類に分類される:同位元素標識、前記は放射性同位元素でもまたは重い同位元素でもよい;b)磁性標識(例えば磁性粒子);c)レドックス活性部分;d)光学色素;酵素団(例えば西ワサビペルオキシダーゼβ−ガラクトシダーゼルシフェラーゼアルカリ性ホスファターゼ);e)ビオチニル化基;およびf)二次レポーターによって認識される予め定めたポリペプチドエピトープ(例えばロイシンジッパーペア配列二次抗体のための結合部位、金属結合ドメインエピトープタグなど)。いくつかの実施形態において、標識基は、潜在的な立体性障害を低下させるために種々の長さのスペーサーアームにより抗体と結合される。タンパク質を標識する種々の方法が当分野で公知であり、本明細書中に開示した免疫グロブリンを生成するのに用いることができる。具体的な標識には光学色素(発色団燐光物質および蛍光発光団(後者が多くの事例で特異的である)を含むが、ただしこれらに限定されない)が含まれる。蛍光発光団は“小分子”蛍光物質またはタンパク質性蛍光物質のどちらでもよい。“蛍光標識”とは、その固有の蛍光特性により検出されえる任意の分子を意味する。

0163

複合体

0164

一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、抗体「融合タンパク質」であり、時折、「抗体複合体」とも称される。融合パートナーまたは複合パートナーは、タンパク質性または非タンパク質性であり得、後者は、一般的に、抗体上および複合パートナー上の官能基を使用して生成される。複合パートナーおよび融合パートナーは、小分子化学化合物およびポリペプチドを含む、任意の分子であってもよい。例えば、種々の抗体複合体および方法は、Trail et al.,1999,Curr.Opin.Immunol.11:584-588に記載されており、参照によりその全体が援用される。可能な複合パートナーは、これらに限定されないが、サイトカイン、細胞障害性薬剤毒素ラジオアイソトープ化学療法剤、反脈管形成物質チロシンキナーゼ阻害剤、および他の治療活性剤を含む。いくつかの実施形態において、複合パートナーは、むしろ負荷量と考えられてもよい、つまり、複合体の目的は、免疫グロブリンによる、複合パートナーの標的細胞、例えば、癌細胞または免疫細胞への標的送達である。したがって、例えば、毒素の免疫グロブリンの複合は、該毒素の標的抗原を発現する細胞への送達を標的とする。当業者により理解されるように、実際には、融合および複合の概念および定義は、重複する。融合または複合の意味は、本明細書に開示される任意の特定の実施形態にそれを制限するものではない。むしろ、これらの用語は、本明細書に開示される任意の免疫グロブリンが、ある所望の特性を提供するように、遺伝的に、化学的に、または他の方法で、1もしくは複数のポリペプチドもしくは分子に連結されてもよいという、広範な概念を伝達するように漠然と使用される。

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