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技術 透明セラミックの強化方法およびセラミック

出願人 フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
発明者 ギヨン・オリヴィエルバ・デュ・メラク・マルクブラム・マルティン
出願日 2017年6月29日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2018-567287
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 2019-525881
状態 未査定
技術分野 セラミックスの後処理 酸化物セラミックスの組成2
主要キーワード 弾性変形後 部材表 パンチ材 残留気孔率 加圧ステップ 試験圧 透過挙動 ビッカース試験
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

本発明はセラミックの分野に関し、負荷耐性を上昇させた透明コンポジット部材に関する。本発明の課題は、破壊靱性に関するこれまでの欠点を克服する透明セラミック部材の提供にある。この課題は、透明セラミックコンポジットの製造方法であって、少なくとも1つの表面近傍平坦で透明な領域が形成され、この領域が、残りの部材より低い熱膨張係数を有しており、これにより、表面近傍領域において熱処理および冷却後に圧縮応力が発生する方法によって解決される。1つまたは複数の表面近傍領域は、独立したコーティングの配置によってか、または製造の際に直接的に相応化学量論勾配によってかのいずれかで、生成することができる。

概要

背景

文献からは、ほとんど厚さに関係なく、紫外線可視光線、および赤外線波長に対して高い光透過率をもつ数多くの透明な成分が公知である。

立方晶系のMg−Alスピネルの場合、残留気孔率を100分の1未満に低下させられれば、例えば厚さがcm範囲内の部材のクリアな透き通りを実現することができる。このためには、一般的に焼結ステップを1500℃超の高温で実施するが、これは粒成長によって負荷耐性が低下し得ることが欠点である。

最近の試験は、新規微結晶スピネルセラミックがこの欠点を回避し得ることを示している。これらのスピネルセラミックは、透過率層厚への依存性が低く、UV〜IRの広い波長領域(λ=2・10−7〜6・10−6m)にわたって高い透過率を有している。加えてこれらのスピネルセラミックは、それらの<1μmの小さな粒径に基づき、高い硬度HV10=1450〜1500)を有している[1]。

異なる材料に関する透過率の波長への依存性の概要を図1に示している。これについては、文献から入手可能なPC[2]およびホウケイ酸塩[3]に関するデータを、立方晶c−ZrO2[4]およびMagAl2O4[5]のデータと一緒グラフに示した。

このような透明セラミックには、保護層として使用するために高い要求が課され得る。なかでもこの場合、高い硬度が、高い弾性率と並んで、高い保護作用のための最も重要な前提条件の一つである。

密度焼結された多結晶セラミックの硬さは、対応する単結晶の硬さより高くも低くもあり得るが、とりわけ微粒構造が存在している場合にはより高い。

これに関し透明セラミックの破壊抵抗は、一般的には予測される理論値より明らかに低く、したがって透明セラミックはそれらの現在の比較的高い生産コストに基づき、特殊な適用事例でしかガラスまたは単結晶と競合しない。

部材の表面に圧縮応力を導入することで硬化または強化を行えることは、金属、合金、ガラス、および不透明セラミックに関しては既に以前に記載されていた。

従来技術からは例えば、不透明セラミックの硬化または強化を、積層材の製造によって行えることが公知である。この場合、一つにはそれぞれ異なる熱膨張係数をもつ異なるセラミックが用いられる。もう一つにはマトリクス陽イオンより大きな原子半径を有する陽イオンを、例えばイオン注入によりドーピングすることも、表面での圧縮応力の形成を引き起こす。

不透明セラミックを、表面に圧縮応力を導入することで強化するためのこれまでに公知の方法は、透明セラミックには簡単に転用できない。なぜなら不透明セラミックによっては、光透過性に、以下に示すのと同様の要求が課されないからである。

屈折率の異なる透明セラミック間の界面は、平坦で、光入射に対して垂直に方向づけられていなければならない。

−異なる屈折率、亀裂、または気孔を有する領域は、材料の0.01体積%未満でしか存在してはならない。

−透明セラミックの残留応力は、入射光に対して垂直な平面内では均質に方向づけられていなければならず、ならびに応力勾配は同様に、入射光に対して垂直に方向づけられていなければならない。

結晶構造は、とりわけ立方晶構造の場合には、界面まで変化せずに延びていなければならない。

多結晶複屈折性の透明セラミックの粒径は、通り抜ける光の予想波長より小さくなければならない。

−加えて透明セラミックの光透過性に関する特性が、セラミックの製造中に変化してはならない。

そうしてDE102011080378A1(特許文献1)では、例えば安全用途のための透明なコンポジットディスクが記載されており、このコンポジットディスクは、透明多結晶セラミックの透過率および品質に関するこれまでの欠点を回避しており、ならびにこれは同様に、Al2O3単結晶が、微結晶で透明なAl2O3焼結セラミックまたはスピネル焼結セラミックに比べて示すような制限された保護作用を回避している。このために、提供されている透明なコンポジットディスクは、コンポジットが複数の相前後して配置された層から成っており、これらのうちの少なくとも1つの層は、単結晶のアルミン酸マグネシウムスピネルから成る1つのまたは複数のモザイク状もしくは直列状に配置されたプレートで構成されている。

さらにDE102004004259B3(特許文献2)からは、Mg−Alスピネル、酸窒化アルミニウム、ZrO2、もしくはY−Alガーネット、またはこれらの成分からの混合構造から成る立方晶構造を有する透明多結晶焼結セラミックが公知であり、この透明多結晶焼結セラミックは、平均粒径Dが60nm<D<10μmの範囲内で、ビッカース硬さHV10が>13GPaである。

概要

本発明はセラミックの分野に関し、負荷耐性を上昇させた透明コンポジット部材に関する。本発明の課題は、破壊靱性に関するこれまでの欠点を克服する透明セラミック部材の提供にある。この課題は、透明セラミックコンポジットの製造方法であって、少なくとも1つの表面近傍の平坦で透明な領域が形成され、この領域が、残りの部材より低い熱膨張係数を有しており、これにより、表面近傍領域において熱処理および冷却後に圧縮応力が発生する方法によって解決される。1つまたは複数の表面近傍領域は、独立したコーティングの配置によってか、または製造の際に直接的に相応化学量論勾配によってかのいずれかで、生成することができる。

目的

本発明の課題は、従来技術に対して改善された破壊靱性を有するさらなる透明多結晶焼結セラミックを提供する

効果

実績

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請求項1

透明多結晶セラミックの製造方法において、セラミックの中に、少なくとも1つの表面近傍平坦で透明な領域が形成され、この領域が、残りのセラミック内より低い熱膨張係数を有しており、これにより、表面近傍領域において熱処理および冷却後に圧縮応力が発生することを特徴とする、方法。

請求項2

熱膨張係数αBをもつ透明多結晶セラミック本体1上に、熱膨張係数αSをもつ平坦な透明多結晶コーティング3が表面近傍領域として施され、αB>αSであり、本体とコーティングとの間に、平坦で透明なイオン結合または共有結合した界面2が生成される、請求項1に記載の方法。

請求項3

コーティング3用には、セラミック本体1用とは違う透明多結晶セラミックが選択される、請求項2に記載の方法。

請求項4

セラミック本体用の材料としてはY2O3がドープされたZrO2(YSZ)が、およびコーティング用の材料としてはY2O3が選択される、請求項2または3に記載の方法。

請求項5

コーティングが、粉末技術的方法または気相成長または電気化学的堆積により、セラミック本体上に施される、請求項2〜4のいずれか一つに記載の方法。

請求項6

コーティングが、0.2〜5μmの間、とりわけ0.5〜1.5μmの間の層厚で、セラミック本体上に施される、請求項2〜5のいずれか一つに記載の方法。

請求項7

異なる熱膨張係数をもつ少なくとも2種の異なるセラミック出発粉末が、平坦な界面を介して層状に重なり合って配置され、より低い熱膨張係数をもつ出発粉末が表面に配置され、これによって熱処理後に、より低い熱膨張係数をもつ平坦な表面近傍領域において圧縮応力が形成される、請求項1に記載の方法。

請求項8

1種のセラミック粉末が、少なくとも2種のドーピングにおいて、異なるセラミック出発粉末として用いられる、請求項7に記載の方法。

請求項9

セラミック粉末として、Y2O3がドープされたZrO2が選択され、平坦な表面近傍領域用のセラミック粉末が、残りの領域用より高いモル分率イットリウムを有する、請求項8に記載の方法。

請求項10

セラミック粉末として8mol%のY2O3がドープされたZrO2(8−YSZ)が、および平坦な表面近傍領域用には12mol%のY2O3がドープされたZrO2(12−YSZ)が用いられる、請求項9に記載の方法。

請求項11

セラミックの中の2つの向かい合う側に、表面近傍の平坦で透明な領域が形成され、この領域が、残りのセラミック内より低い熱膨張係数を有しており、これにより、表面近傍領域において熱処理および冷却後に圧縮応力が発生する、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。

請求項12

セラミックが少なくとも1つの表面近傍の平坦で透明な領域において圧縮応力を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに従って製造可能な透明多結晶セラミック。

請求項13

Y2O3を含む表面近傍の平坦で透明な領域を備えた、8mol%のY2O3がドープされたZrO2(8−YSZ)を含む、請求項12に記載のセラミック。

請求項14

表面近傍領域が、セラミックの残部より高いモル分率でイットリウムを含む、YSZを含む、請求項12に記載のセラミック。

請求項15

セラミックが2つの向かい合う側で、それぞれ表面近傍の平坦で透明な領域において圧縮応力を有することを特徴とする、請求項13または14に記載のセラミック。

技術分野

0001

本発明はセラミックの分野に関し、破壊靱性を上昇させた透明コンポジット部材に関する。本発明はとりわけ、多結晶透明セラミックを強化および硬化するための、ならびに屈折率および反射に的確に影響を及ぼすための新規の方法に関する。

背景技術

0002

文献からは、ほとんど厚さに関係なく、紫外線可視光線、および赤外線波長に対して高い光透過率をもつ数多くの透明な成分が公知である。

0003

立方晶系のMg−Alスピネルの場合、残留気孔率を100分の1未満に低下させられれば、例えば厚さがcm範囲内の部材のクリアな透き通りを実現することができる。このためには、一般的に焼結ステップを1500℃超の高温で実施するが、これは粒成長によって負荷耐性が低下し得ることが欠点である。

0004

最近の試験は、新規の微結晶スピネルセラミックがこの欠点を回避し得ることを示している。これらのスピネルセラミックは、透過率層厚への依存性が低く、UV〜IRの広い波長領域(λ=2・10−7〜6・10−6m)にわたって高い透過率を有している。加えてこれらのスピネルセラミックは、それらの<1μmの小さな粒径に基づき、高い硬度HV10=1450〜1500)を有している[1]。

0005

異なる材料に関する透過率の波長への依存性の概要図1に示している。これについては、文献から入手可能なPC[2]およびホウケイ酸塩[3]に関するデータを、立方晶c−ZrO2[4]およびMagAl2O4[5]のデータと一緒グラフに示した。

0006

このような透明セラミックには、保護層として使用するために高い要求が課され得る。なかでもこの場合、高い硬度が、高い弾性率と並んで、高い保護作用のための最も重要な前提条件の一つである。

0007

密度焼結された多結晶セラミックの硬さは、対応する単結晶の硬さより高くも低くもあり得るが、とりわけ微粒構造が存在している場合にはより高い。

0008

これに関し透明セラミックの破壊抵抗は、一般的には予測される理論値より明らかに低く、したがって透明セラミックはそれらの現在の比較的高い生産コストに基づき、特殊な適用事例でしかガラスまたは単結晶と競合しない。

0009

部材の表面に圧縮応力を導入することで硬化または強化を行えることは、金属、合金、ガラス、および不透明セラミックに関しては既に以前に記載されていた。

0010

従来技術からは例えば、不透明セラミックの硬化または強化を、積層材の製造によって行えることが公知である。この場合、一つにはそれぞれ異なる熱膨張係数をもつ異なるセラミックが用いられる。もう一つにはマトリクス陽イオンより大きな原子半径を有する陽イオンを、例えばイオン注入によりドーピングすることも、表面での圧縮応力の形成を引き起こす。

0011

不透明セラミックを、表面に圧縮応力を導入することで強化するためのこれまでに公知の方法は、透明セラミックには簡単に転用できない。なぜなら不透明セラミックによっては、光透過性に、以下に示すのと同様の要求が課されないからである。

0012

−屈折率の異なる透明セラミック間の界面は、平坦で、光入射に対して垂直に方向づけられていなければならない。

0013

−異なる屈折率、亀裂、または気孔を有する領域は、材料の0.01体積%未満でしか存在してはならない。

0014

−透明セラミックの残留応力は、入射光に対して垂直な平面内では均質に方向づけられていなければならず、ならびに応力勾配は同様に、入射光に対して垂直に方向づけられていなければならない。

0015

結晶構造は、とりわけ立方晶構造の場合には、界面まで変化せずに延びていなければならない。

0016

−多結晶で複屈折性の透明セラミックの粒径は、通り抜ける光の予想波長より小さくなければならない。

0017

−加えて透明セラミックの光透過性に関する特性が、セラミックの製造中に変化してはならない。

0018

そうしてDE102011080378A1(特許文献1)では、例えば安全用途のための透明なコンポジットディスクが記載されており、このコンポジットディスクは、透明多結晶セラミックの透過率および品質に関するこれまでの欠点を回避しており、ならびにこれは同様に、Al2O3単結晶が、微結晶で透明なAl2O3焼結セラミックまたはスピネル焼結セラミックに比べて示すような制限された保護作用を回避している。このために、提供されている透明なコンポジットディスクは、コンポジットが複数の相前後して配置された層から成っており、これらのうちの少なくとも1つの層は、単結晶のアルミン酸マグネシウムスピネルから成る1つのまたは複数のモザイク状もしくは直列状に配置されたプレートで構成されている。

0019

さらにDE102004004259B3(特許文献2)からは、Mg−Alスピネル、酸窒化アルミニウム、ZrO2、もしくはY−Alガーネット、またはこれらの成分からの混合構造から成る立方晶構造を有する透明多結晶焼結セラミックが公知であり、この透明多結晶焼結セラミックは、平均粒径Dが60nm<D<10μmの範囲内で、ビッカース硬さHV10が>13GPaである。

0020

DE102011080378A1
DE102004004259B3

先行技術

0021

Fraunhofer−Institut fuer Keramische Technologien und Systems IKTS:Transparente Spinell−Keramik (MgO・Al2O3)、http://www.ikts.fraunhofer.de/de/forschungsfelder/werkstoffe/oxidkeramik/transparentkeramik/transpspinellkeramik.html
D. C. Miller、M. D. Kempe、C. E. Kennedy、S. R. Kurtz、「Analysis of Transmitted Optical Spectrum Enabling Accelerated Testing of Multijunction Concentrating Photovoltaic Designs、Opt. Eng. 50 [1] 2011
Optical Spectrum of Borofloat Borosilicate Glass、Valley Design Corporation、www.valleydesign.com
I. Yamashita、M. Kudo、K. Tsukuma、「Development of Highly Transparent Zirconia Ceramics」、TOSOHResearch & Technology Review、Vol. 56 (2012)
M. Rubat du Merac、PhD Thesis、Colorado School of Mines、2014
G. R. Anstis、P. Chantiklul、B.R. Lawn、およびD.B. Marshall、A critical evaluation of indentation techniques for measuring fracture toughness:I, Direct crack measurements. J. Am. Ceram. Soc. 64 (1981) 533〜538
H. Hayashi、T. Saitou、N. Maruyama、H. Inaba、K. Kawamura、M. Mori、「Thermal Expansion Coefficient of Yttria Stabilized Zirconia for various Yttria Conents」、Solid State Ionics 176、613〜619 (2005)
G. de Portu、L. Micele、G. Pezzotti、「Laminated Ceramic Structures from Oxide Systems」、Composites:Part B 37 556〜57 (2006)

発明が解決しようとする課題

0022

本発明の課題は、従来技術に対して改善された破壊靱性を有するさらなる透明多結晶焼結セラミックを提供することである。

0023

さらに本発明の課題は、これらの改善された透明多結晶セラミックのための相応の製造方法を提示することである。

課題を解決するための手段

0024

本発明の課題は、請求項1の特徴を有する透明多結晶セラミックの製造方法によって、およびほかの独立請求項に従った特徴を有する透明多結晶セラミックによって解決される。

0025

方法およびセラミックの有利な形態は、それぞれに従属する請求項から明らかである。

0026

本発明の対象
本発明の枠内では、透明多結晶セラミックの表面近傍領域において圧縮応力を形成することにより、このセラミックを明らかに強化でき、とりわけ破壊靱性を改善させ得ることが発見された。

0027

本発明の枠内では、概念「透明な」または「透明」とは、例えば可視光領域内では窓ガラス所与のものであるようなクリアな透き通りのことである。よって透明は、半透明とは一線を画しており、半透明は、光を漏らす特性、すなわち部分的な光透過性を表している。日常からの典型的な一例は乳白ガラスである。

0028

破壊力とは、素材試験で使用される、負荷を均一に上昇させながら試験体を割るかまたは引裂くのに必要な力に関する概念である。破壊力は、たいていは力(N)として、または部材断面積に対する破壊応力もしくは破壊靱性(N/mm2)として提示される。

0029

強度は、力の導入の種類に応じて、引張強度圧縮強度曲げ引張強度、せん断強度、またはねじり強度にさらに区別できる。強度は、材料に依存する量であり、とりわけ温度にも依存する。脆性材料は、一般的には塑性成分のない純粋な弾性変形後割れ、したがって破壊伸びが小さい。強度は、結晶格子内の結合力によって、ならびに構造内の欠陥および不規則性(例えば粒界、気孔、不純物原子、または異物相)によっても、表面の欠陥(例えば粗さまたは引っかき傷)によっても決定される。欠陥の種類に応じて強度は上昇し得るかまたは低下し得るかのいずれかである。

0030

これに対して破壊靱性は、不安定亀裂伝播に対する材料の抵抗性を表している。素材の特性値は、不安定亀裂伝播が始まる臨界応力拡大係数KICである。

0031

本発明は、多結晶透明セラミックの破壊靱性を有利に改善し得る方法を提供する。それゆえ本発明は、破壊靱性が改善された多結晶透明セラミックも提供する。

0032

これらの改善は、とりわけ硬さ試験に倣って進行する測定によって試験することができる。硬さ試験では、より硬い別の物体侵入に対する試験体の抵抗性を測定する。この場合、物体の硬さは、とりわけ物体内に存在する構造に依存する。これに関しては、結晶格子の種類および物体を製造する際の処理の種類も影響を及ぼす。

0033

硬さ試験には、例えばビッカースによる方法が用いられる。この場合は正四角錐の形状の圧子を、試験力F[N]で試験体の表面に垂直に押し込む。四角錐の底面は正方形であり、対面角は136°である。試験圧痕の対角線平均値から、ビッカース硬さを算出することができる。

0034

破壊靱性の試験には、類似の方法を適用することができる。ただしこの場合は対角線の試験圧痕を考慮するだけでなく、そこから出ている亀裂も測定する。さらに試験体の選択により、異なる圧痕深さを得ることができ、したがって表面近傍コーティングについてのデータも、より深い領域についてのデータもうまく捉えることができる。ここで提案している破壊靱性試験は、とりわけ比較目的に役立つものであり、一般的には破壊靱性に関して絶対測定値を明らかにするものではない。

0035

これとは違い脆性のセラミックの破壊靱性は、結果として生じる亀裂長さから、Anstisら[6]の式を使って優れた精度で推算することができる。硬さ試験でビッカース試験体を力Fで試料に押し込むと、材料の硬さHをはっきり示す試験圧痕が生じる。脆性材料の場合はこれに加え、試験圧痕の角に長さcの亀裂が形成される。Anstisによれば、材料に特徴的な応力拡大係数は、材料の弾性率が分かれば、

0036

で、算出される。

0037

透明セラミックのための公知の材料は、とりわけ、その立方晶相を例えばY、Sc、Mg Ce、もしくはCaのドーピングによって安定化させる多結晶の二酸化ジルコニウム(ZrO2)であるか、またはコランダム(α−Al2O3)もしくはスピネルセラミック(MgAl2O4)である。酸窒化アルミニウムまたはYおよびAlをベースとするガーネットから成る透明セラミックもさらに公知である。これに関し、光透過性はしばしば構造のサイズによって変化し、構造サイズ>20μmで既にもうクリアでない透き通りを示すことが多い。自立可能な透明セラミックの厚さは100μm〜数cmの範囲内であり、一般的には層厚が増すにつれて光透過性は低下する。さらに、透明性を確保するには構造内および表面での欠陥の数が臨界値を上回ってはならない。

0038

本発明は、多結晶透明セラミックの破壊靱性を強化および上昇させるために、少なくとも1つの表面近傍領域において圧縮応力を発生させることを提案する。これは、本発明によれば二通りの様式で行うことができる。

0039

これについては、多結晶透明セラミック本体の表面に、この本体に適合する平坦でイオン結合もしくは共有結合した多結晶透明セラミック表面領域を配置することができるか(第1の実施形態)、または多結晶透明セラミックの中に、ドーピング元素含有率もしくはセラミックの化学量論組成に関する連続的な勾配(S)を有する平坦な表面近傍領域を生成することができるか(第2の実施形態)のいずれかである。本発明によって提供される解決策の概要は図2が概略的に示している。

0040

本発明の特別な一形態では、多結晶透明セラミックの破壊靱性を強化および上昇させるため、2つの向かい合う側(表側および裏側)で、表面近傍領域においてそれぞれ圧縮応力を発生させる。この場合をここではサンドイッチ構造と言う。

0041

800℃超の温度での熱処理により、第1の実施形態を第2の実施形態に転換させ得ることが有利であり、その際、任意の数の移行状態を生成することができ、これらの移行状態は、一方では第1の実施形態のようなくっきりした界面をもう有しておらず、他方では生成されている勾配がまだ第2の実施形態の場合のように完全に表面までは達していない。

0042

これが意味するのは、出発材料の選択と、適応させた熱処理とを組み合わせることで、有利に、表面からバルク領域への移行ゾーン内の勾配を、例えばイットリウム濃度の勾配を、したがってこの領域において結果として生じる圧縮応力をも、厳密に調整できるということである。このようにして本発明による方法を用い、イオン交換ガラスの値と同等の値までの圧縮応力を達成することができる。ただし同時にこれによりセラミックの光学特性に悪影響が及ぶことはなく、なぜなら表面は常に光学的に平滑で、平らで、無孔質であり、ならびに小さな二次相を有するからである。

0043

従来技術から公知の典型的なくっきりした移行部を有するコーティングに対し、本発明による連続的な移行部(勾配)の形成は、コーティングの付着性を改善するために特に有利なことが分かった。加えてこのことが、機械的負荷および/または凍結する温度サイクルの際に、必然的に界面での亀裂形成を明らかに回避させる。

0044

一方では、多結晶透明セラミック本体のバルク材料(αB)と、施された多結晶透明セラミック表面領域(αS)との間の、または他方では、多結晶透明セラミック本体のバルク材料(αB)と、化学量論勾配をもつ領域(αG)との間の異なる熱膨張係数に基づいて、そうして有利に、本体の表面でまたは表面近傍領域において圧縮応力を発生させることができる。これに関して以下では、添え字Sが表面近傍領域を、添え字Bがバルク相を、および添え字Gがセラミック内の勾配のついた領域を表す。

0045

圧縮応力は、焼結温度または熱処理温度からの冷却の際に生じる。なぜならバルク領域が、より高い膨張係数に基づきより強く収縮する傾向があるからである。しかしながらこの収縮は、より低い膨張係数をもつ表面近傍層によって部分的にまたは完全に阻止され、これにより表面近傍領域において圧縮応力が、亀裂形成または層間剥離によって除去されない限り、結果として生じる。膨張係数の無段階の勾配(第2の実施形態および移行状態)は、亀裂形成または層間剥離に対抗するために有利である。

0046

それゆえ本発明は、第1の実施形態(図2を参照)に従った多結晶透明セラミックの製造について、平坦でイオン結合または共有結合した多結晶透明セラミックである表面領域3(コーティング)の、同様に多結晶透明セラミックである本体1上での製造方法に関している。これに関し、適合する多結晶透明セラミック表面領域3は、本体1より低い熱膨張係数を有している(αS<αB)。多結晶透明セラミック本体1と、それに適合する多結晶透明セラミック表面領域3は、この場合は平坦な界面2に沿ってイオン結合または共有結合により相互に結合している。

0047

この第1の実施形態に従った多結晶透明セラミックの製造は、異なるプロセスルートを経て行うことができ、そのうちの2つを例として図3に示している。

0048

多結晶透明セラミックを生成するための第1のプロセス変形形態(ルート1a)では、例えば、相応のセラミック出発粉末から、場合によっては粉末加工後に、一軸加圧によりセラミックグリーン体を生成する。任意選択で、このグリーン体をさらに冷間等方加圧してもよく、これによりグリーン体内の密度分布均質性が上昇する。続いてグリーン体を無加圧で空気中で焼結させる。この焼結されたグリーン体の密度は、一般的には理論密度の約95%であり、したがって気孔の主な部分は閉気孔として存在し、よって部材表面にはもう結合していない。

0049

次に熱間等方圧加圧により、焼結した本体内の閉気孔を後緻密化し、この熱間等方圧加圧は、一般的には圧力伝達媒体としての保護ガス(例えばAr)下で実施される。保護ガスは一般的に酸素分圧が0.2barより明らかに低く、したがってHIPプロセスは、酸化物セラミックにとっては還元条件を有している。

0050

このとき還元条件に基づいて結晶格子から酸素が放出されると、一般的には部材の変色、とりわけ透明度の低下を伴う黒ずみが生じる。この効果を取り消すため、HIPプロセス後に任意選択で、酸素含有雰囲気中に出し置くことができ、これにより再酸化、つまり結晶格子内への酸素の再取込みによって、セラミック本体が再び透明になる。

0051

さらなる処理の前に、つまりとりわけ機能性コーティングの前に、部材のコーティングされるべき表面を光学品質まで研磨する。

0052

多結晶透明セラミックを生成するための第2のプロセス変形形態(ルート1b)では、例えば、相応のセラミック出発粉末を、場合によっては粉末加工後に、熱間加圧によりセラミック本体へと成形する。このステップの前に任意選択でさらに追加的に一軸加圧を行ってもよい。

0053

その後、多結晶透明セラミック本体を酸素含有雰囲気中に出し置く。

0054

さらなる処理の前に、つまりとりわけ機能性コーティングの前に、多結晶透明セラミック本体のコーティングされるべき表面を光学品質まで研磨する。

0055

とりわけルート1aまたは1bに従って製造される予め生成された多結晶透明セラミック本体上での、平坦でイオン結合または共有結合した多結晶透明セラミック表面領域(機能性コーティング)の製造は、この場合は例えば浸漬コーティングディップコーティング)とその後の1000℃未満の中温焼結、回転コーティング(スピンコーティング)とその後の中温焼結、または溶射のような、従来の施し方法によって行われる。物理気相成長PVD)、化学気相成長CVD)、電気化学的堆積、またはマグネトロンスパッタリングも特に有利な方法である。

0056

機能性コーティング用の材料としては、例えばY2O3が、YSZセラミック(YSZ=Y2O3がドープされたZrO2)に適している。重要なのは、多結晶透明セラミック表面領域3用の材料を、その熱膨張係数がセラミック本体1の熱膨張係数より小さい(αS<αB)ように選択することであり、これにより、コーティング温度からの冷却後に、セラミックの表面近傍領域において圧縮応力が形成される。

0057

コーティング直後は、一般的には第1の実施形態の透明セラミックが存在している。この第1の実施形態の透明セラミックは、YSZおよびMgAl2O4セラミックに関しては1400℃超の温度で熱処理することにより、維持時間に応じて第2の実施形態に、または相応により短い維持時間の場合は図2に従った移行状態に転換させることができる。

0058

多結晶透明セラミック本体1の表面に施される適合する透明セラミック表面層3は、好ましくは、層厚が5μm未満、とりわけ1.5μm未満である。ただし、施される層の最小層厚が0.1μmであることが望ましい。

0059

施された透明セラミック表面領域3は、均質なセラミック結晶構造をさらに有している。これに加え、セラミック本体1と機能性コーティング3との間の適合に基づき、気孔および/または異なる屈折率を有する二次相の形成が阻止されることが有利である。

0060

これにより、施された適合する多結晶透明セラミック表面領域3が、透過挙動に関し、セラミック本体1のセラミックのバルク特性を表面領域においても保っていることが有利である。

0061

このようにして、第1の実施形態に従った本発明による多結晶透明セラミックを製造することができ、これに加え、第1の実施形態に従ったセラミックを熱処理により、様々な移行状態を経て本発明の第2の実施形態へと容易に転換させ得ることが有利である。

0062

第2の実施形態に従った本発明による多結晶透明セラミックを生成するための前述の方法の一代替策では、セラミック本体用のおよび機能性コーティング用の相応の出発粉末から直接的にセラミックを製造し、これらの本体用のおよびコーティング用の出発粉末を一緒に焼結または加圧する。これに関し、機能性コーティング用の材料は、セラミック本体用の材料より低い熱膨張係数を有している。これについても、例として2つのさらなるプロセスルート2および3を図4で概略的に示している。

0063

この場合、行われる熱処理により、勾配のついた化学量論組成をもつ領域の形成が同時に行われ、この形成は、温度処理の時間に応じて、完全に第2の実施形態を生じさせるか、またはさもなければ、前述の移行状態の1つを生じさせ、これらの移行状態では、一方ではコーティング材料から成る表面近傍層がまだ存在しており、しかし他方ではドーピング元素の勾配もしくはセラミックの化学量論組成の連続的変化を有する領域も形成された。

0064

多結晶透明セラミックを生成するためのプロセス変形形態(ルート2)では、例えば、セラミック本体用のおよび表面近傍領域用の相応のセラミック出発粉末を、場合によっては粉末加工後に、順次的な充填によりプレス金型に入れ、そこでまずは一軸加圧する。任意選択で、冷間等方圧加圧ステップを行うことができる。その際、プレス金型の粉末での充填は、両方の異なる粉末間に平坦な界面がつくられるように行う。

0065

これに適した材料として、原理的には、ルート1aおよび1bのプロセス変形形態でもセラミック本体および機能性コーティングのために用い得る、同様の材料を挙げることができる。重要なのは、表面近傍領域用の材料を、その熱膨張係数が、残りのセラミック本体の熱膨張係数より小さいように選択することであり、これにより、熱処理後にセラミックの表面近傍領域において圧縮応力が形成される。

0066

プレス金型の順次的な充填の代わりに、両方のまたは場合によってはより多くの相応のセラミック出発粉末での順次的なフィルムキャスティングとその後の脱バインダー処理も可能である。

0067

こうして2層に粉末状で存在しているコンポジットを、続いて両層の同時の焼結、いわゆる共焼結に投じ、これにより理論密度の約95%の密度が得られる。

0068

次に透明性を達成するため、共焼結されたコンポジットを還元条件下の熱間等方圧加圧により後緻密化する。

0069

このときに多結晶透明セラミックから酸素が放出され、それに伴ってセラミックの変色、とりわけ黒ずみが生じる場合には、これに続いて任意選択で、酸素含有雰囲気中に出し置くことができ、これにより多結晶セラミックが再び透明になる。

0070

透明性および破壊靱性を制限する表面粗さおよび引っかき傷を取り除くため、コンポジットの端面側の表面を光学品質まで研磨する。

0071

多結晶透明セラミックを生成するためのさらなるプロセス変形形態(ルート3)では、例えば、セラミック本体用のおよび表面近傍領域用の相応のセラミック出発粉末を、場合によっては粉末加工後に、順次的な充填によりプレス金型に入れ、その際にここでも両方の異なる粉末間に平坦な界面をつくる。

0072

任意選択で、この粉末床を一軸で前緻密化することができる。

0073

次に、1つのステップで実施される熱間加圧により、順次的に充填された粉末の緻密化を行う。このとき、焼結中にパンチステムにより粉末に一軸圧力を施し、これにより、セラミック本体および表面近傍領域の完全な緻密化が達成される。この場合は熱間加圧後に既に完全な緻密化が達成されるので、熱間等方圧による後緻密化は必要ない。

0074

熱間加圧も、一般的には保護ガス(例えばアルゴン)中または真空中で実施され、したがって熱間等方圧加圧の場合のように、酸化物セラミックにとっては還元条件が存在している。さらに一般的に用いられるパンチ材料であるグラファイトも、接触面でCO2を形成し得るので、酸化物セラミックからの酸素放出を引き起こす可能性がある。それに応じて一般的には構造から酸素が放出され、場合によっては変色が伴う。この効果を取り消すため、その後に任意選択で再び酸素含有雰囲気中に出し置くことができ、これにより多結晶セラミックが再び透明になる。

0075

この場合も表面(上記を参照)を光学品質まで研磨する。

0076

セラミック本体および機能性コーティングの両方の異なる材料は、多結晶透明セラミックおよび多結晶透明コーティングの製造プロセス中に界面で、異なる屈折率を有する二次相が好ましくは形成されないように選択することが望ましい。材料組合せの適切な選択に関しては、対応する相図において混合可能性に隙間のない物質系が好ましい。それに応じてこの場合、相図に二次相が含まれないことも望ましい。とは言え相図に従って二次相が形成され得る場合に関しては、セラミックの製造中の熱処理時間が決まって二次相の形成には不十分なほどこれらの二次相の形成がゆっくり起こる限りは、このことが本発明による製造にとって不利な結果を有することはない。

0077

出発粉末を経ての、例えばルート2または3を経ての製造方法では、場合によっては2種より多い様々なセラミック材料を用いることもできる。つまり例えば、プレス金型には、8−YSZ(8mol%のY2O3がドープされたZrO2)を含む第1の床の上に、10−YSZ(10mol%のY2O3がドープされたZrO2)を含む第2の層を入れ、最後に12−YSZ(12mol%のY2O3がドープされたZrO2)を含むさらなる層を入れることができる。二酸化ジルコニウムの熱膨張係数は、Y2O3の割合が増すにつれて低下するので、ここでも、12−YSZを含む表面近傍領域が存在しており、この領域は、その下にある層、ここでは10−YSZより小さな熱膨張係数を有しており、この層もまた、一番下にある層、ここでは8−YSZより小さな熱膨張係数を有している。

0078

熱処理が十分に長ければ、一般的にはY3+イオン拡散性交換が起こり、Y3+イオンが表面近傍領域からより少なくドープされたYSZの方に向かって移動し、その一方でZr4+イオンは、より少なくドープされた領域から表面の方に向かって移動する。このようにして、表面に向かってY2O3の割合が増えていく無段階の勾配のついたYSZ領域が形成される。コーティング内ではZrO2の割合が界面から表面に向かって減っていく。それゆえ比較的短い熱処理が行われる場合には、セラミックの始めは3層の構成から、多少なりとも勾配のついた領域を有するセラミックまでの連続的な移行状態が生じる。

0079

分かったのは、本発明による方法を用い、平滑で平らな界面を有する非常に密なコーティングを生成することができ、無秩序境界層は、二次相の形成なく、および好ましくは<1nmの非常に薄い層厚で形成されるということである。本発明による方法を用い、表面近傍領域において750MPaまでの圧縮応力を生成することができ、これらの圧縮応力は、イオン交換強化ガラスの圧縮応力と同等である(>900MPa − Schott Xensation(登録商標)、>850MPa − Corning Gorilla(登録商標))。くぼみ痕は、本発明によるコーティング内では決まってより短く、とりわけ熱処理後により短い。増していく温度上昇(熱処理)により、同時に圧縮残留応力が低下し、破壊強度が有意に上昇し、これは、陽イオン、例えばY3+またはZr4+の相互拡散が原因と考えられ、それは決まって、より厚い緻密化した領域をもたらす。これに加え、例えば本発明によるイットリウムでのコーティングにより、透過率を上昇および反射を低下させ得ることが有利である。

0080

個別の記載の部
以下に本発明を3つの例示的実施形態および幾つかの図に基づいてより詳しく説明するが、これにより保護範囲減縮させる意図はない。

図面の簡単な説明

0081

[2、3、4、および5]からのデータを用いた、>0〜6500nmの波長領域内の様々な素材の透明度を示すグラフである。
表面近傍領域において相応の圧縮応力を有する本発明による多結晶透明セラミックの概略図である。
第1の実施形態および場合によっては第2の実施形態に従った多結晶透明セラミックを製造するための可能なプロセスステップ(ルート1aおよび1b)を示す図である。
第2の実施形態に従った多結晶透明セラミックを製造するための可能なプロセスステップ(ルート2および3)を示す図である。
多結晶透明バルクセラミックを製造するための概略的なプロセスフロープロセスパラメータの圧力および温度によって示す図である。
[7]からの異なってドープされたYSZの熱膨張係数を示すグラフである。
8−YSZを含む透明な部材上にEB−PVDによって施された薄く平坦なY2O3コーティングの走査電子顕微鏡写真である。
(a)コーティングされていない透明な8−YSZ部材の、および(b)EB−PVDによりY2O3でコーティングされた8−YSZ部材の、熱処理後の表面の試験圧痕を示す写真である。 本発明によりコーティングされた部材に関し、破壊抵抗を約30%上昇させることができた。

実施例

0082

本発明の第2の実施形態に従った多結晶透明セラミックを製造するための第1の例示的実施形態

0083

ルート1aまたは1bの1つに従って製造可能な、8mol%のY2O3がドープされたZrO2(8−YSZ)を含む研磨された透明セラミック部材を、酸化イットリウム(Y2O3)を含む薄い層でコーティングする。その代わりに、基材材料として10−YSZ(10mol%のY2O3がドープされたZrO2)を用いてもよい。層厚は約750nmである。コーティングは、EB−PVD(電子ビーム物理気相成長)技術によって行う。

0084

下の表1は、EB−PVDによりY2O3層を製造する際に調整されるプロセスパラメータを記載している。

0085

0086

こうして得られた透明セラミックコンポジットを少なくとも1時間は加熱する。しかしこの加熱は、バルクセラミックとコーティングとの間のY2O3含有率の完全な濃度均一化も、バルクセラミックとコーティングの粗粒成長も回避するため、24時間より長くは行わないことが望ましい。両方の効果は破壊靱性の望ましくない低下と結びついている。加熱は1200℃超の温度まで、特に有利には1450℃まで行う。次いでコンポジットを迅速に冷却する。迅速な冷却を、炉から取り出して室温で冷却することで行えることが有利である。しかし迅速な冷却は、液体浸すことでも行える(いわゆる焼入れ)。

0087

Y2O3でコーティングされたYSZセラミックの場合、このような熱処理により、例えばY3+イオンが機能性コーティングからセラミックのYSZ内へ、およびZr4+イオンがセラミックからイットリウムコーティング内へと拡散し、こうしてYSZセラミック内ではコンポジットの表面に向かってY2O3含有率が無段階に増加する領域が形成される。コーティング内ではZrO2の割合が界面から表面に向かって減っていき、したがって表面自体ではまだ純粋なY2O3が維持され続けることが有利である。このためには、熱処理の時間を相応に短く選択しなければならない。

0088

Y2O3割合がより高いYSZセラミックは、Y2O3割合がより低いYSZセラミックより低い熱膨張係数を有する。これにより、勾配のついたYSZ領域内では、相応の温度処理後に表面で圧縮応力が発生する。この圧縮応力は、一般的には部材内部の引張応力によってバランスされる。

0089

[7]からの図6では、酸化イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(YSZ)の熱膨張係数αを、Y2O3の異なるモル分率(3mol%〜10mol%)で示している。YSZ内のY2O3の割合が大きければそれだけ熱膨張係数は低くなる。純粋なY2O3はさらにより低い膨張係数を有する(8・10−6K−1未満の値)。

0090

図7では、8mol%の酸化イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(8−YSZ)を含む透明セラミック本体上にEV−PVDによって施された薄く平坦なY2O3コーティングの走査電子顕微鏡写真を示している。表示されているのは層系破断面である。

0091

8mol%の酸化イットリウムで安定化された二酸化ジルコニウム(8−YSZ)を含む透明セラミック本体は、コーティング前には(光)透過率が、可視光領域内で好ましくは20%超、赤外線領域内で好ましくは50%超であった。これらの特性は、Y2O3でのコーティング後および熱処理後にも保たれていた。応力拡大係数KICは、硬度圧痕の角から出ている亀裂長さcから推算され、90MPaの表面張力に相当した。破壊靱性は、本発明によりコーティングされて熱処理された部材の場合、同等のコーティングされていない部材より有意に大きい(約30%)(図8を参照)。

0092

0093

上記のセラミックの場合、それぞれ両側のコーティングが存在していた。これに関し「10−8−10」は10YSZ−8YSZ−10YSZの一連の層を、および「8−6−8」は8YSZ−6YSZ−8YSZの一連の層を意味している。後の2つの欄では、8YSZセラミックの両側にY2O3が施された。上述の理論的に推算した応力値は、ここでは文献から公知の熱膨張係数[7]を使って、G. De Porteら[8]の下式に従って確定した。

0094

0095

本発明の第2の実施形態に従った多結晶透明セラミックを製造するための第2の例示的実施形態

0096

本発明のさらなる一形態では、多結晶セラミックが、MgAl2O4およびその上に施された層MgOを有している。

0097

このために、ルート1aまたは1bを経て製造されて研磨された、MgAl2O4を含む多結晶セラミックを、MgOを含む薄い層でコーティングする。機能性コーティングの層厚は1μmである。コーティング自体は、EB−PVD(電子ビーム物理気相成長)技術によって行う。

0098

こうして得られたコンポジットを、1、3、6、または12時間アルゴン中最高1550℃の温度に加熱し、その後、炉から取り出して室温に冷却した。

0099

MgOでコーティングされたMgAl2O4セラミックの場合、熱処理により、Mg2+イオンが機能性コーティングからセラミックのMgAl2O4内へ、およびAl3+イオンがセラミックからMgOコーティング内へと拡散し、こうして多結晶透明セラミックの表面に向かって勾配のついたMgAl2O4領域が形成され、この領域は表面に向かってMgOが富化されている。

0100

表面で形成されたMgO富化スピネルは、部材内部のAl2O3スピネルより大きな結晶格子定数を有しており、それにより、相応の温度処理後に表面で残留応力が生成され、したがって破壊靱性が上昇する。

0101

MgAl2O4を含む透明セラミック本体は、コーティング前には(光)透過率が、可視光領域内で好ましくは50%超、赤外線領域内で好ましくは80%超であった。これらの特性は、MgOでのコーティング後および熱処理後にも保たれていた。ここでもビッカース硬さ試験によって確定する破壊靱性は、本発明によりコーティングされて熱処理された部材の場合、同等のコーティングされていない部材の場合より有意に大きい。

0102

本発明の第2の実施形態に従った多結晶透明セラミックを製造するための第3の例示的実施形態

0103

この場合、セラミックであり粉末状の、それぞれ異なる熱膨張係数をもつ異なる組成の材料を用いる。これに関し、勾配のついた化学量論組成をもつ表面近傍領域を、セラミックの残部より低い熱膨張係数を有する組成によって形成する。

0104

加圧粉末は、例えば下の層として8−YSZ粉末を含む。表面近傍領域には、好ましくは、より高く安定化されたYSZ、とりわけ12−YSZを用いる。さらなる有利な形態は、例えばYSZ粉末と表面近傍領域用の純粋なY2O3粉末との組合せであるか、またはさらにMgAl2O4粉末と表面近傍領域用のMgO粉末との組合せである。

0105

相応の乾燥した粉末を、異なる材料間に平坦な界面が形成されるように順次的にプレス金型に入れる。これに対応することが、フィルムキャスティングによる製造とその後の脱バインダー処理に適用される。ここでもまた、一番下および一番上にそれぞれ相応の表面近傍領域が形成されるように層形成することができる(サンドイッチ構造)。

0106

プロセスルートに応じて粉末をまずは一軸でまたは/または冷間加圧によって前緻密化し、続いて好ましくは300MPaくらいの圧力および/または1450℃くらいの温度で焼結または後緻密化する。

0107

本出願中で引用した文献
[1]Fraunhofer−Institut fuer Keramische Technologien und Systems IKTS:Transparente Spinell−Keramik (MgO・Al2O3)、http://www.ikts.fraunhofer.de/de/forschungsfelder/werkstoffe/oxidkeramik/transparentkeramik/transpspinellkeramik.html(非特許文献1)。
[2]ポリカルボナート:D. C. Miller、M. D. Kempe、C. E. Kennedy、S. R. Kurtz、「Analysis of Transmitted Optical Spectrum Enabling Accelerated Testing of Multijunction Concentrating Photovoltaic Designs、Opt. Eng. 50 [1] 2011(非特許文献2)。
[3]ホウケイ酸塩:Optical Spectrum of Borofloat Borosilicate Glass、Valley Design Corporation、www.valleydesign.com(非特許文献3)。
[4]c−ZrO2:I. Yamashita、M. Kudo、K. Tsukuma、「Development of Highly Transparent Zirconia Ceramics」、TOSOHResearch & Technology Review、Vol. 56 (2012)(非特許文献4)。
[5]MgAl2O4:M. Rubat du Merac、PhD Thesis、Colorado School of Mines、2014(非特許文献5)。
[6]G. R. Anstis、P. Chantiklul、B.R. Lawn、およびD.B. Marshall、A critical evaluation of indentation techniques for measuring fracture toughness:I, Direct crack measurements. J. Am. Ceram. Soc. 64 (1981) 533〜538(非特許文献6)。
[7]H. Hayashi、T. Saitou、N. Maruyama、H. Inaba、K. Kawamura、M. Mori、「Thermal Expansion Coefficient of Yttria Stabilized Zirconia for various Yttria Conents」、Solid State Ionics 176、613〜619 (2005)(非特許文献7)。
[8]G. de Portu、L. Micele、G. Pezzotti、「Laminated Ceramic Structures from Oxide Systems」、Composites:Part B 37 556〜57 (2006)(非特許文献8)。

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