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図面 (8)

課題・解決手段

本明細書には、CRISPR/Cpf1に基づくゲノム編集治療適用が開示される。

概要

背景

RNA誘導型ヌクレアーゼは、ヒト細胞ゲノム修飾のために改変されており、そうしたものとして、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来するCRISPR/Cpf1システムがある。多種の微生物が、DNA編集またはRNA編集システムを有することが明らかにされている。化膿レンサ球菌(S.pyogenes)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)由来のCas9は、ゲノムDNAにより平滑末端二本鎖切断DSB)を引き起こし、これは、修復部位に小さな挿入および欠失インデル)を残す非相同末端結合(NHEJ)によって、またはテンプレートの存在下の相同組換え修復によって修復される。これらのインデルを用いて、遺伝子をノックアウトする、スプライスアクセプターを除去する、または遺伝子調節エレメントを切断することができる。

遺伝する遺伝性疾患は、米国において子供に破壊的な影響を及ぼす。これらの疾患は現在、治療法がなく、症状を緩和する試みによってのみ管理され得る。数十年にわたり、遺伝子治療の分野では、この疾患の治療法が約束されている。しかしながら、治療用遺伝子細胞および患者への安全且つ効率的な送達に関する技術的な障害により、このアプローチは制限されている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)は、機能するジストロフィン喪失に起因して、筋肉疲労歩行の喪失および典型的には生後30年での死亡臨床的な特徴とする致命的な遺伝性疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子中での遺伝的なまたは自発的な変異な結果である。DMDを引き起こすほとんどの変異はエクソンの欠失の結果であり、翻訳読み枠枠外押し出す

ジストロフィンは、筋細胞完全性および機能の調節に関与するタンパク質複合体の重要な構成要素である。DMD患者は概して、小児期には自身を身体的に支え能力を失い、十代にはますます弱まり、二十代には死亡する。DMDのための現在の実験的遺伝子治療戦略は、一過性遺伝子送達媒体反復投与を必要とする、または外来遺伝子物質のゲノムDNAへの永続的な組込みに依存する。これらの方法は両方とも、安全性に深刻な懸念を有する。さらに、これらの戦略は、大きく且つ複雑なジストロフィン遺伝子配列を送達することができないことにより制限されている。ジストロフィン遺伝子中に変異を有する患者を直すまたは処置するための、より正確で効率的な遺伝子編集ツールが必要とされている。

概要

本明細書には、CRISPR/Cpf1に基づくゲノム編集の治療適用が開示される。

目的

本開示は、一部において、疾患を治療するためのCRISPR/Cpf1に基づくゲノム編集の治療への適用を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ジストロフィン遺伝子を標的とし、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含むCpf1ガイドRNA(gRNA)。

請求項2

Cpf1エンドヌクレアーゼと、請求項1に記載の少なくとも1種のCpf1gRNAとを含むDNAターゲティング組成物

請求項3

第1のCpf1gRNAと第2のCpf1gRNAとを含むDNAターゲティング組成物であって、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAは各々が、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、ここで、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAは、異なるポリヌクレオチド配列を含み、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、ジストロフィン遺伝子を標的とする、DNAターゲティング組成物。

請求項4

前記第1のCpf1gRNAが、配列番号54、配列番号55、または配列番号56に対応するポリヌクレオチド配列を含み、且つ前記第2のCpf1gRNAが、配列番号62、配列番号63、または配列番号61に対応するポリヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項5

前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、以下:(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNAからなる群から選択される、請求項3または4に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項6

Cpf1エンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項7

前記Cpf1エンドヌクレアーゼが、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する、請求項2または6に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項8

前記Cpf1エンドヌクレアーゼが、野兎病菌(Francisellatularensis)1、野兎病菌亜種ノビシダ(Francisellatularensissubsp.novicida)、プレボテーラ・アルベンシス(Prevotellaalbensis)、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceaebacterium)MC20171、ブチビブリオ・プロテオクラスチカス(Butyrivibrioproteoclasticus)、ペレグリニバクテリア・バクテリウム(Peregrinibacteriabacterium)GW2011_GWA2_33_10、パルクバクテリア・バクテリウム(Parcubacteriabacterium)GW2011_GWC2_44_17、スミセラ属(Smithellasp.)SCADC、アシダミノコッカス属(Acidaminococcussp.)BV3L6、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceaebacterium)MA2020、カンジダツス・メタプラズマテルツム(CandidatusMethanoplasmatermitum)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacteriumeligens)、モラクセラ・ボボクリ(Moraxellabovoculi)237、レプトスピラ・イナダイ(Leptospirainadai)、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceaebacterium)ND2006、ポルフィロモナスクレビオリカニス(Porphyromonascrevioricanis)3、プレボテラディエンス(Prevotelladisiens)およびポルフィロモナス・マカカエ(Porphyromonasmacacae)からなる群から選択される細菌種由来する、請求項7に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項9

前記Cpf1エンドヌクレアーゼが、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceaebacterium)ND2006(LbCpf1)またはアシダミノコッカス属(Acidaminococcus)(AsCpf1)に由来する、請求項6〜8のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項10

前記Cpf1エンドヌクレアーゼが、配列番号124または配列番号125を含むポリヌクレオチド配列によりコードされる、請求項6〜9のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物。

請求項11

請求項1に記載のCpf1gRNAまたは請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド

請求項12

請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、または請求項10に記載の単離ポリヌクレオチドを含むベクター

請求項13

Cpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項12に記載のベクター。

請求項14

以下:(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)、(b)第2のCpf1gRNA、および(c)TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするベクターであって、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、異なるポリヌクレオチド配列を含むベクター。

請求項15

前記ベクターが、前記ヒトDMD遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2イントロンに第1および第2二本鎖を形成するように構成される、請求項14に記載のベクター。

請求項16

前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、以下:(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNAからなる群から選択される、請求項14または15に記載のベクター。

請求項17

前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項12〜16のいずれか一項に記載のベクター。

請求項18

前記ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項17に記載のベクター。

請求項19

前記ベクターが、前記第1のCpf1gRNA、前記第2のCpf1gRNA、および/または前記Cpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された組織特異的プロモーターを含む、請求項12〜18のいずれか一項に記載のベクター。

請求項20

前記組織特異的プロモーターが、筋肉特異的プロモーターである、請求項19に記載のベクター。

請求項21

請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド、または請求項12〜20のいずれか一項に記載のベクターを含む細胞

請求項22

請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項12〜20のいずれか一項に記載のベクター、または請求項21に記載の細胞を含むキット

請求項23

ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメント欠失させるための組成物であって、前記組成物が、以下:(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを含み、ここで、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、異なるポリヌクレオチド配列を含み、前記第1のベクターおよび前記第2のベクターは、それぞれが前記ヒトDMD遺伝子のエクソン51に隣接する第1のイントロンおよび第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、前記ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失される組成物。

請求項24

前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、以下:(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNAからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。

請求項25

前記第1のCpf1エンドヌクレアーゼおよび前記第2のCpf1エンドヌクレアーゼが、同じである、請求項23または24に記載の組成物。

請求項26

前記第1のCpf1エンドヌクレアーゼおよび前記第2のCpf1エンドヌクレアーゼが、異なる、請求項23または24に記載の組成物。

請求項27

前記第1のCpf1エンドヌクレアーゼおよび/または前記第2のCpf1エンドヌクレアーゼが、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceaebacterium)ND2006(LbCpf1)および/またはアシダミノコッカス属(Acidaminococcus)(AsCpf1)由来のCPF1エンドヌクレアーゼである、請求項25または26に記載の組成物。

請求項28

前記第1のCpf1エンドヌクレアーゼおよび/または前記第2のCpf1エンドヌクレアーゼが、配列番号124または配列番号125を含むポリヌクレオチド配列によりコードされる、請求項25〜27のいずれか一項に記載の組成物。

請求項29

前記第1のベクターおよび/または前記第2のベクターが、ウイルスベクターである、請求項23〜28のいずれか一項に記載の組成物。

請求項30

前記第1のベクターおよび/または前記第2のベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項29に記載の組成物。

請求項31

前記AAVベクターが、AAV8ベクターまたはAAV9ベクターである、請求項30に記載の組成物。

請求項32

前記ジストロフィン遺伝子が、ヒトジストロフィン遺伝子である、請求項23〜31のいずれか一項に記載の組成物。

請求項33

薬剤に使用するための請求項23〜32のいずれか一項に記載の組成物。

請求項34

デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療に使用するための請求項23〜32のいずれか一項に記載の組成物。

請求項35

請求項23〜34のいずれか一項に記載の組成物を含む細胞。

請求項36

対象中で変異ジストロフィン遺伝子を編集するゲノム用の修飾アデノ随伴ウイルスベクターであって、請求項1に記載のCpf1gRNAをコードする第1のポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識するCpf1エンドヌクレアーゼをコードする第2のポリヌクレオチド配列とを含む修飾アデノ随伴ウイルスベクター。

請求項37

細胞中で変異ジストロフィン遺伝子を修正する方法であって、前記方法は、細胞に、請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項12〜20のいずれか一項に記載のベクター、請求項23〜34のいずれか一項に記載の組成物、または請求項36に記載の修飾アデノ随伴ウイルスベクターを投与することを含む方法。

請求項38

前記変異ジストロフィン遺伝子の修正が、ヌクレアーゼ媒介性非相同末端結合または相同組換え修復を含む、請求項37に記載の方法。

請求項39

対象中で変異ジストロフィン遺伝子をゲノム編集する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項12〜20のいずれか一項に記載のベクター、請求項23〜34のいずれか一項に記載の組成物、または請求項36に記載の修飾アデノ随伴ウイルスベクターを含むゲノム編集組成物を投与することを含む方法。

請求項40

前記ゲノム編集組成物が、前記対象に、筋肉内、静脈内、またはそれらの組み合わせで投与される、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記ゲノム編集が、ヌクレアーゼ媒介性非相同末端結合または相同組換え修復を含む、請求項39または40に記載の方法。

請求項42

変異ジストロフィン遺伝子を有する、必要とする対象を処置する方法であって、前記方法は、前記対象に、請求項1に記載のCpf1gRNA、請求項2〜10のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、請求項11に記載の単離ポリヌクレオチド、請求項12〜20のいずれか一項に記載のベクター、請求項23〜34のいずれか一項に記載の組成物、または請求項36に記載の修飾アデノ随伴ウイルスベクターを投与することを含む方法。

請求項43

細胞中で変異ジストロフィン遺伝子を修正する方法であって、前記細胞に、以下:(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを投与することを含み、ここで、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、前記ベクターは、それぞれが前記ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、前記ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失されて、細胞中で前記変異ジストロフィンを修正する方法。

請求項44

前記第1のCpf1gRNAおよび第2のCpf1gRNAが、以下:(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNAからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。

請求項45

前記変異ジストロフィン遺伝子が、未成熟終止コドン破壊された読み枠異所性スプライス受容部位、または異所性スプライス供与部位を含む、請求項43または44に記載の方法。

請求項46

前記変異ジストロフィン遺伝子が、未成熟終止コドンおよび切断型遺伝子産物をもたらすフレームシフト変異を含む、請求項45に記載の方法。

請求項47

前記変異ジストロフィン遺伝子が、前記読み枠を破壊する1つまたは複数のエクソンの欠失を含む、請求項43または44に記載の方法。

請求項48

前記変異ジストロフィン遺伝子の修正が、未成熟終止コドンの欠失、破壊された読み枠の修正、またはスプライス受容部位の破壊もしくはスプライス供与体配列の破壊によるスプライシングの調節を含む、請求項43〜47のいずれか一項に記載の方法。

請求項49

前記変異ジストロフィン遺伝子が、エクソン51の欠失を含む、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記変異ジストロフィン遺伝子の修正が、ヌクレアーゼ媒介性非相同末端結合または相同組換え修復を含む、請求項43〜49のいずれか一項に記載の方法。

請求項51

前記細胞が、筋芽細胞である、請求項43〜50のいずれか一項に記載の方法。

請求項52

前記細胞が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患している対象に由来する、請求項43〜51のいずれか一項に記載の方法。

請求項53

変異ジストロフィン遺伝子を有する、必要とする対象を処置する方法であって、前記方法は、前記対象に、(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを投与することを含み、ここで、前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、前記第1ベクターおよび前記第2のベクターは、それぞれが前記ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、前記ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失されて、前記対象を処置する方法。

請求項54

前記第1のCpf1gRNAおよび前記第2のCpf1gRNAが、以下:(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1gRNAからなる群から選択される、請求項53に記載の方法。

請求項55

前記対象が、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患している、請求項53または54に記載の方法。

請求項56

前記第1のベクターおよび第2のベクターが、前記対象に、筋肉内、静脈内、またはそれらの組み合わせで投与される、請求項53〜55のいずれか一項に記載の方法。

請求項57

前記B細胞リンパ腫白血病11A(BCL11a)遺伝子のエンハンサーを標的とし、配列番号65〜70の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含むCpf1ガイドRNA(gRNA)。

請求項58

細胞中でB細胞リンパ腫/白血病11A遺伝子のエンハンサーを破壊する方法であって、前記方法が、前記細胞に、請求項57に記載の少なくとも1種のCpf1gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼを投与することを含む方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2016年7月19日に出願された米国仮特許出願第62/363,888号明細書からの優先権を主張する。

0002

配列表
本出願は、ASCIIフォーマット電子的に提出された配列表を含み、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。上述のASCIIコピーは、2017年7月19日に作成され、028193−9250−WO00配列表.txtと称し、サイズは46,056バイトである。

0003

政府権利の陳述
本発明は、NIHおよびArmy/MRMCによりそれぞれ授与された連邦政府補助金(Federal Grant)番号:AR069085およびMD140071の下で政府の支援を受けて行なわれた。米国政府は、本発明に対して一定の権利を有する。

0004

本開示は、プレボテラ属(Prevotella)およびフランシセラ属(Francisella 1)由来クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)(CRISPR/Cpf1)に基づくシステムおよびウイルス送達システムを使用する遺伝子発現改変、遺伝子のゲノム操作およびゲノム改変の分野に関する。

背景技術

0005

RNA誘導型ヌクレアーゼは、ヒト細胞のゲノム修飾のために改変されており、そうしたものとして、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に由来するCRISPR/Cpf1システムがある。多種の微生物が、DNA編集またはRNA編集システムを有することが明らかにされている。化膿レンサ球菌(S.pyogenes)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)由来のCas9は、ゲノムDNAにより平滑末端二本鎖切断DSB)を引き起こし、これは、修復部位に小さな挿入および欠失インデル)を残す非相同末端結合(NHEJ)によって、またはテンプレートの存在下の相同組換え修復によって修復される。これらのインデルを用いて、遺伝子をノックアウトする、スプライスアクセプターを除去する、または遺伝子調節エレメントを切断することができる。

0006

遺伝する遺伝性疾患は、米国において子供に破壊的な影響を及ぼす。これらの疾患は現在、治療法がなく、症状を緩和する試みによってのみ管理され得る。数十年にわたり、遺伝子治療の分野では、この疾患の治療法が約束されている。しかしながら、治療用遺伝子細胞および患者への安全且つ効率的な送達に関する技術的な障害により、このアプローチは制限されている。デュシェンヌ型筋ジストロフィーDMD)は、機能するジストロフィン喪失に起因して、筋肉疲労歩行の喪失および典型的には生後30年での死亡臨床的な特徴とする致命的な遺伝性疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子中での遺伝的なまたは自発的な変異な結果である。DMDを引き起こすほとんどの変異はエクソンの欠失の結果であり、翻訳読み枠枠外押し出す

0007

ジストロフィンは、筋細胞完全性および機能の調節に関与するタンパク質複合体の重要な構成要素である。DMD患者は概して、小児期には自身を身体的に支え能力を失い、十代にはますます弱まり、二十代には死亡する。DMDのための現在の実験的遺伝子治療戦略は、一過性遺伝子送達媒体反復投与を必要とする、または外来遺伝子物質のゲノムDNAへの永続的な組込みに依存する。これらの方法は両方とも、安全性に深刻な懸念を有する。さらに、これらの戦略は、大きく且つ複雑なジストロフィン遺伝子配列を送達することができないことにより制限されている。ジストロフィン遺伝子中に変異を有する患者を直すまたは処置するための、より正確で効率的な遺伝子編集ツールが必要とされている。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、ジストロフィン遺伝子を標的とし、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含むCpf1ガイドRNA(gRNA)を対象とする。

0009

本発明は、Cpf1エンドヌクレアーゼと、少なくとも1つの本明細書に記載のCpf1 gRNAとを含むDNAターゲティング組成物を対象とする。

0010

本発明は、第1のCpf1 gRNAと第2のCpf1 gRNAとを含むDNAターゲティング組成物を対象とし、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは各々、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、ここで、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、異なるポリヌクレオチド配列を含み、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、ジストロフィン遺伝子を標的とする。

0011

本発明は、上記で説明したCpf1 gRNAまたは上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを対象とする。

0012

本発明は、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、または上記で説明した単離ポリヌクレオチドを含むベクターを対象とする。

0013

本発明は、(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)、(b)第2のCpf1 gRNA、および(c)TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするベクターを対象とし、ここで、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、異なるポリヌクレオチド配列を含む。

0014

本発明は、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、上記で説明した単離ポリヌクレオチド、または上記で説明したベクターを含む細胞を対象とする。

0015

本発明は、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、上記で説明した単離ポリヌクレオチド、上記で説明したベクター、または上記で説明した細胞を含むキットを対象とする。

0016

本発明は、ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントを欠失させるための組成物を対象とし、この組成物は、(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1 gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを含み、ここで、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、異なるポリヌクレオチド配列を含み、第1のベクターおよび第2のベクターは、それぞれがヒトDMD遺伝子のエクソン51に隣接する第1のイントロンおよび第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失される。

0017

本発明は、上記で説明した組成物を含む細胞を対象とする。

0018

本発明は、対象中で変異ジストロフィン遺伝子を編集するゲノム用の修飾アデノ随伴ウイルスベクターであって、上記で説明したCpf1 gRNAをコードする第1のポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識するCpf1エンドヌクレアーゼをコードする第2のポリヌクレオチド配列とを含む修飾アデノ随伴ウイルスベクターを対象とする。

0019

本発明は、細胞中で変異ジストロフィン遺伝子を修正する方法を対象とし、この方法は、細胞に、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、上記で説明した単離ポリヌクレオチド、上記で説明したベクター、上記で説明した組成物、または上記で説明した修飾アデノ随伴ウイルスベクターを投与することを含む。

0020

本発明は、対象中で変異ジストロフィン遺伝子をゲノム編集する方法を対象とし、この方法は、対象に、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、上記で説明した単離ポリヌクレオチド、上記で説明したベクター、上記で説明した組成物、または上記で説明した修飾アデノ随伴ウイルスベクターを含むゲノム編集組成物を投与することを含む。

0021

本発明は、変異ジストロフィン遺伝子を有する、必要とする対象を処置する方法を対象とし、この方法は、対象に、上記で説明したCpf1 gRNA、上記で説明したDNAターゲティング組成物をコードするポリヌクレオチド配列、上記で説明した単離ポリヌクレオチド、上記で説明したベクター、上記で説明した組成物、または上記で説明した修飾アデノ随伴ウイルスベクターを投与することを含む。

0022

本発明は、細胞中で変異ジストロフィン遺伝子を修正する方法であって、この細胞に、(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1 gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを投与することを含む方法を対象とし、ここで、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、ベクターは、それぞれがヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失されて、細胞中の変異ジストロフィン遺伝子を修正する。

0023

本発明は、変異ジストロフィン遺伝子を有する、必要とする対象を処置する方法を対象とし、この方法は、対象に、(a)第1のCpf1ガイドRNA(gRNA)をコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第1のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第1のベクター、および(b)第2のCpf1 gRNAをコードするポリヌクレオチド配列と、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を認識する第2のCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列とを含む第2のベクターを投与することを含む方法を対象とし、ここで、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、第1のベクターおよび第2のベクターは、それぞれがヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2のイントロン中で第1および第2の二本鎖切断を形成するように構成され、それにより、ジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントが欠失されて、対象を処置する。

0024

本発明は、B細胞リンパ腫白血病11A(BCL11a)遺伝子のエンハンサーを標的とし、配列番号65〜70の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含むCpf1ガイドRNA(gRNA)を対象とする。

0025

本発明は、細胞中でB細胞リンパ腫/白血病11A遺伝子のエンハンサーを破壊する方法を対象とし、この方法は、細胞に、上記で説明した少なくとも1種のCpf1 gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼを投与することを含む。

図面の簡単な説明

0026

本開示のいくつかの実施形態に従う、DMDおよびSCA/βサラセミアなどの遺伝性疾患のための3つの治療法におけるCpf1の使用を示す概略図である。
本開示のいくつかの実施形態に従い、エクソン44、46および51が検出可能な活性を有する標的gRNAであることを明らかにするブロットを示す。
本開示の1つの実施形態に従い、エクソン51欠失を標的とする42のガイドRNA対がスクリーニングされることを明らかにするブロットを示す。
SaCas9およびLbCpf1が、患者由来筋芽細胞において発現されることを示す。
患者由来の筋芽細胞中のSaCas9またはLbCpf1によって引き起こされたゲノム欠失を示す。
エクソン51欠失を標的とするSaCas9またはLbCpf1が、転写物からエクソンを除去することを示す。
エクソン全体を通してサーベイヤー(surveyor)ヌクレアーゼ活性を明らかにするCpf1 crRNA集団を示す。

0027

本開示は、一部において、疾患を治療するためのCRISPR/Cpf1に基づくゲノム編集の治療への適用を提供する。V型CRISPR−CasエフェクターエンドヌクレアーゼであるCpf1は、中でも、アシダミノコッカス属(Acidaminococcus)およびラクノスピラ科(Lachnospiraceae)をはじめとする、原核生物適応免疫に関与しており、単一RNA誘導型アプローチを通してヒト細胞中で遺伝子編集活性を呈示する。本開示は、CRISPR/Cpf1に基づくシステムを、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、鎌状赤血球貧血(SCA)およびβサラセミアなどの遺伝性疾患の治療に使用することができる方法を提供する。

0028

本開示の一態様に従って、第1の方法は、スプライス受容体ノックアウトを含む。Cpf1は、比較的大きなインデルフットプリントを生成し、これは、スプライス受容体の破壊および転写物からの標的エクソンの除去を効率的にする(図1Aを参照)。図1Aに示すように、Cpf1は、DNAから5塩基対スタッガード二本鎖切断(非相同末端結合(NHEJ)を介して修復され得る)を引き起こし、比較的大きな挿入もしくは欠失(インデル)フットプリント、次いで、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)または黄色ブドウ球菌(S.aureus)Cas9を産生する。これは、修復が、比較的大きなインデルフットプリントを残し、スプライス受容体およびエンハンサーなどの遺伝子エレメントのノックアウトをより効率的にし得るため、スプライス受容体のより強力な破壊、さらには標的エクソンの除去を可能にする。Cpf1はまた、標的にすることができるゲノム領域多様性を高める個別のプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)も有する。Cpf1は、TTTNを認識するのに対し、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)Cas9は、NGGを認識し、黄色ブドウ球菌(S.aureus)Cas9は、NNRRTを認識する。さらに、Cpf1は、tracrRNAを必要とせず、したがって、crRNAだけが必要とされ、従って、小ガイドRNAも使用する。

0029

本開示の別の態様は、適合オーバーハング欠失を含む方法を提供する。Cpf1は、オーバーハングを適合させて、遺伝子エレメントを除去することにより遺伝子欠失を促進することができる(図1Bを参照)。図1Bに示すように、Cpf1は、第2の二本鎖切断と適合し得る5塩基対オーバーハングを産生する。多重Cpf1ガイドRNAを適合オーバーハングと一緒に提供して、シームレス遺伝子欠失を促進することができる。黄色ブドウ球菌(S.aureus)Cas9を用いた以前の研究は、約67%の遺伝子欠失が、1つのガイドRNA対に対してシームレスであることを証明している。例えば、目的の遺伝子領域(例えば、ジストロフィンにおけるエクソン51)周辺のCpf1を多重化することにより産生された適合オーバーハングは、シームレス欠失を促進することができる。NHEJの後、突然変異遺伝子の読み枠を回復することができる遺伝子欠失が達成される。オーバーハングを適合させることにより、非常に正確なライゲーションを促進することができる。

0030

本開示のまた別の態様は、エンハンサー破壊を含む方法を提供する。Cpf1は、エンハンサーおよび他の遺伝子調節エレメントの破壊をより確実にする比較的大きなインデルフットプリントを産生することができる(図1Cを参照)。図1Cに示すように、Cpf1により産生された比較的大きなインデルフットプリントは、エンハンサー機能を調べる目的でエンハンサーを破壊するために、またはSCAなどの疾患の治療法の候補として活用することもできる。

0031

例えば、本開示は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療を目的としてジストロフィン遺伝子の単一および複数のエクソンの標的化遺伝子除去のためのCpf1の改変を説明する。これは、単一のエクソン除去のための突然変異発点におけるスプライス受容体の標的化突然変異誘発、または単一もしくは複数のエクソンの遺伝子欠失によって達成される。標的化エクソン除去によって、ジストロフィンの読み枠が回復されて、筋肉機能および患者表現型の改善をもたらすことができる。また、疾患の処置に対する治療的アプローチとして遺伝子エンハンサーを標的にすることもでき、特に、鎌状赤血球貧血(SCA)またはβサラセミアの治療法としてBCL11aエンハンサー領域またはγグロビンプロモーターを標的とすることができる。DMD患者由来の細胞において機能性のジストロフィンの発現を回復するために、開示されるCpf1 gRNAをCRISPR/Cpf1に基づくシステムと一緒に使用して、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51周辺のイントロン領域などの遺伝子領域を標的として、この領域に遺伝子欠失を引き起こすことができる。

0032

また、本明細書で説明されているのは、ジストロフィン遺伝子を標的とすべく、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムおよび複数のgRNAを送達するための遺伝子コンストラクト、組成物および方法でもある。本開示の主題はまた、遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を骨格筋に送達する方法も提供する。このベクターはAAV(例えば改変AAVベクター)であることができる。本開示の主題は、効果的で効率的であり且つゲノム改変の成功を容易にする、骨格筋へのこのクラスの治療剤活性型を送達する方法を説明し、さらには、治療用途のためにヒトゲノム書き直す手段および基礎科学用途のための標的モデル種を提供する。

0033

このセクションおよび本明細書での開示全体で使用するセクションの表題は、単に構成を目的とするだけであり、限定することを意図するものではない。

0034

1.定義
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が支配する。好ましい方法および材料が以下に説明されているが、本明細書で説明されたものと類似のまたは等価の方法および材料を本発明の実施または試験で使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。本明細書で開示された材料、方法および例は一例にすぎず、限定することを意図するものではない。

0035

用語「含む」、「含まれる」、「有すること」、「有する」、「することができる」、「含有する」、およびこれらの異形は、本明細書で使用する場合、追加の作用または構造可能性を排除しない、制約のない移り変わる語句、用語、または単語であることが意図される。単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈によって他に明確に指示しない限り、複数の指示内容が含まれる。本開示はまた、明確に説明してもしなくても、本明細書で提供される実施形態または要素を「含む」、「〜からなる」、および「本質的に〜からなる」、他の実施形態を意図する。

0036

本明細書の数値範囲の列挙については、それぞれその間にある数が、同じ程度の正確性で、明確に意図される。例えば、6〜9の範囲については、6および9に加えて、数値7および8が意図され、範囲6.0〜7.0については、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が、明確に意図される。

0037

本明細書で使用する場合、用語「約(about)」または「約(approximately)」は、当業者によって決定される特定の値に関して許容される誤差範囲内を意味し、この誤差範囲は、この値がどのようにして測定されるかまたは決定されるか(即ち、測定システム限界)によってある程度決まるだろう。例えば、「約」は、当分野での慣習に従って、3または3超の標準偏差内を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大20%の範囲を意味し得、好ましくは最大10%の範囲を意味し得、より好ましくは最大5%の範囲を意味し得、より好ましくはさらに最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物系または生物学的プロセスに関して、この用語は、ある値の1桁内を意味し得、好ましくは5倍以内を意味し得、より好ましくは2倍以内を意味し得る。

0038

本明細書で互換的に使用される「アデノ随伴ウイルス」または「AAV」は、ヒトおよびいくつかの他の霊長類の種を感染させる、パルボウイルス(Parvoviridae)科のディペンドウイルス(Dependovirus)属に属する、小さいウイルスを指す。AAVは、現在、疾患を引き起こすことが知られておらず、したがって、ウイルスは、非常に穏やかな免疫応答を引き起こす。

0039

本明細書で使用される「結合領域」は、ヌクレアーゼによって認識および結合される、ヌクレアーゼ標的領域内の領域を指す。

0040

本明細書において互換的に使用される「心筋(cardiac muscle)」または「心筋(heart muscle)」は、心臓の壁および組織学基礎で見られる一種不随意性横紋筋(心筋(myocardium))を意味する。心筋は、心筋細胞(cardiomyocyte)または心筋細胞(myocardiocyte)で作られている。心筋細胞は骨格筋細胞上の条線と同様の条線を示すが、多核骨格筋とは異なり唯一固有の核を含む。特定の実施形態では、「心筋状態」は、心筋に関連する状態(例えば、心筋症心不全不整脈および炎症性心疾患)を指す。

0041

本明細書で使用される「コード配列」または「コードする核酸」は、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される個人または哺乳類の細胞における発現を誘導することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含めた調節エレメント作動可能に連結された開始および停止シグナルをさらに含むことができる。コード配列は、コドン最適化することができる。

0042

本明細書で使用される「相補体」または「相補的」は、核酸が、核酸分子ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体の間に、Watson−Crick(例えばA−T/UおよびC−G)またはフーグスティーン塩基対合を生じることができることを意味する。「相補性」は、互いに逆平行整列させた時に各位置のポリヌクレオチド塩基が相補的となるような、2つの核酸配列間共有される性質を指す。

0043

本明細書で使用される「修正すること」、「ゲノム編集すること」、および「修復すること」は、切り詰め型タンパク質をコードするまたはタンパク質をまったくコードしない変異遺伝子を、完全長の機能性または部分的に完全長の機能性タンパク質発現が得られるように変化させることを指す。変異遺伝子を修正することまたは修復することは、変異を有する遺伝子の領域を置き換えること、または変異遺伝子全体を、相同組換え修復(homology−directed repair)(HDR)などの修復機構を用いて、変異を有しない遺伝子のコピーと置き換えることを含むことができる。変異遺伝子を修正することまたは修復することはまた、遺伝子内の二本鎖切断をもたらし、次いでこの遺伝子を非相同末端結合(NHEJ)を使用して修復することによって、未成熟終止コドン異所性スプライス受容部位、または異所性スプライス供与部位をもたらすフレームシフト変異を修復することを含むことができる。NHEJは、修復中に少なくとも1つの塩基対を付加または欠失させることができ、これは、適切な読み枠を修復するおよび未成熟終止コドンを除去することができる。変異遺伝子を修正することまたは修復することはまた、異所性スプライス受容部位またはスプライスドナー配列を破壊することを含むことができる。変異遺伝子を修正することまたは修復することはまた、2つのヌクレアーゼ標的部位間のDNAを除去することによって、適切な読み枠を修復するために、同じDNA鎖上での2種のヌクレアーゼの同時作用によって、非必須遺伝子セグメントを欠失させることと、NHEJによってDNA切断を修復することとを含むことができる。

0044

本明細書で互換的に使用される「Cpf1エンドヌクレアーゼ」または「Cpf1」は、Cas9より小さく、且つより単純なエンドヌクレアーゼであるクラス2CRISPR−Casシステムの単一RNA−誘導型エンドヌクレアーゼを指す。Cpf1エンドヌクレアーゼは、5’TリッチPAMに対して遠位の5−ヌクレオチドスタッガード切断として標的化および切断する。

0045

本明細書で互換的に使用される「ドナーDNA」、「ドナー鋳型」、および「修復鋳型」は、対象となる遺伝子の少なくとも一部分を含む二本鎖DNA断片または分子を指す。ドナーDNAは、完全に機能性のタンパク質または部分的に機能性のタンパク質をコードすることができる。

0046

本明細書で互換的に使用される「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」または「DMD」は、筋変性および最終的に死をもたらす、劣性遺伝致死的X連鎖性障害を指す。DMDは、一般的な遺伝性の単一遺伝子性疾患であり、男性の3500人に1人に発症する。DMDは、ジストロフィン遺伝子のナンセンスまたはフレームシフト変異をもたらす、遺伝性変異または自然突然変異の結果である。DMDを引き起こすジストロフィン変異の大多数は、ジストロフィン遺伝子において読み枠を破壊して早期翻訳終結を引き起こす、エクソンの欠失である。DMD患者は、一般的に、小児期に自分自身の身体を支える能力を失い、10代の間に次第に筋力が低下するようになり、20代で死亡する。

0047

本明細書で使用される「ジストロフィン」は、筋線維細胞骨格細胞膜を通して周囲の細胞外基質に連結するタンパク質複合体の一部である、棒状の細胞質タンパク質を指す。ジストロフィンは、筋細胞の完全性および機能の調節を担う細胞膜のジストログリカン複合体に、構造安定性を提供する。本明細書で互換的に使用されるジストロフィン遺伝子または「DMD遺伝子」は、遺伝子座Xp21の2.2メガ塩基である。一次転写物は、約2,400kbであり、成熟したmRNAは、約14kbである。79エクソンが、3500超のアミノ酸であるタンパク質をコードする。

0048

本明細書で使用される「エクソン51」は、ジストロフィン遺伝子の51番目のエクソンを指す。エクソン51は、DMD患者では、フレーム破壊欠失に頻繁に隣接しており、オリゴヌクレオチドに基づくエクソンスキッピングについての臨床試験において標的とされている。エクソン51スキッピング化合物エテプリルセンについての臨床試験は、最近、ベースラインと比較して平均47%のジストロフィン陽性線維を伴う、48週にわたる有意な機能性の利益を報告した。エクソン51の変異は、NHEJに基づくゲノム編集による永続的な修正に理想的に適している。

0049

本明細書で互換的に使用される「フレームシフト」または「フレームシフト変異」は、1つ以上のポリヌクレオチドの付加または欠失がmRNA内のコドンの読み枠のずれをもたらす、遺伝子変異の種類を指す。読み枠のずれは、ミスセンス変異または未成熟終止コドンなどの、タンパク質翻訳でのアミノ酸配列の変更をもたらす可能性がある。

0050

本明細書で使用される「機能性」および「完全に機能性」は、生物活性を有するタンパク質を説明する。「機能性遺伝子」は、機能性タンパク質に翻訳されるmRNAに転写される遺伝子を指す。

0051

本明細書で使用される「遺伝子コンストラクト」は、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列には、核酸分子が投与される個人の細胞における発現を誘導することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含めた調節エレメントに作動可能に連結された開始および停止シグナルが含まれる。本明細書で使用する場合、用語「発現可能な形態」は、個人の細胞内に存在する場合にコード配列が発現されることとなるような、タンパク質をコードするコード配列に、作動可能に連結された必須の調節エレメントを含有する遺伝子コンストラクトを指す。

0052

本明細書で使用される「遺伝性疾患」は、ゲノム内の1つ以上の異常によって、部分的にまたは完全に、直接的にまたは間接的に引き起こされる疾患、特に、生まれつき存在する状態を指す。異常は、変異、挿入、または欠失であり得る。異常は、遺伝子のコード配列またはその調節配列に影響を与える可能性がある。遺伝性疾患は、限定はされないが、DMD、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、血友病嚢胞性線維症ハンチントン舞踏病家族性高コレステロール血症LDL受容体欠損)、肝芽腫ウィルソン病先天性肝性ポルフィリン症、肝代謝の遺伝性の障害、レッシュ・ナイハン症候群、鎌状赤血球貧血、βサラセミアなどの地中海貧血症色素性乾皮症ファンコニ貧血網膜色素変性症毛細血管拡張性運動失調症ブルーム症候群網膜芽細胞腫、およびテイサックス病であり得る。

0053

本明細書で互換的に使用される「相同組換え修復」または「HDR」は、大抵は細胞周期のG2およびS期において、DNAの相同の断片が核内に存在する場合に、二本鎖DNA損傷を修復するための、細胞における機構を指す。HDRは、修復を誘導するためのドナーDNA鋳型を使用し、また、ゲノムに対する特定の配列変化(全遺伝子の標的とされる付加を含めて)を作り出すために使用することができる。ドナー鋳型が、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムと共に提供される場合、細胞機構は、相同組換えによって切断を修復することとなり、これは、DNA切断の存在下で、数桁増強される。相同のDNA断片が存在しない場合、代わりに非相同末端結合が起こり得る。

0054

本明細書で使用される「ゲノム編集」は、遺伝子を変化させることを指す。ゲノム編集は、変異遺伝子を修正することまたは修復することを含むことができる。ゲノム編集は、変異遺伝子または正常遺伝子などの遺伝子をノックアウトすることを含むことができる。ゲノム編集は、対象となる遺伝子を変化させることによって、疾患を治療する、または筋肉修復を増強するために使用することができる。

0055

2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の状況で本明細書で使用される「同一な」または「同一性」は、これらの配列が、特定の領域にわたって同一である、特定の割合の残基を有することを意味する。その割合は、2つの配列を最適に整列させ、これらの2つの配列を特定の領域にわたって比較し、両方の配列において同一な残基が存在する位置の数を決定してマッチ位置の数を出し、マッチ位置の数を、特定の領域における位置の総数割り、結果に100をかけて、配列同一性の割合を出すことによって算出することができる。2つの配列が異なる長さのものである、または整列によって1つ以上の粘着末端が生じて比較の特定の領域に単一の配列のみが含まれる場合、単一の配列の残基は、計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は、等しいとみなすことができる。同一性は、手作業で、またはBLASTまたはBLAST 2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用することによって実施することができる。

0056

本明細書で互換的に使用される「変異遺伝子」または「変異した遺伝子」は、検出可能な変異を受けている遺伝子を指す。変異遺伝子は、遺伝子の正常な伝達および発現に影響を与える、遺伝材料の喪失、獲得、または交換などの変化を受けている。本明細書で使用される「破壊された遺伝子」は、未成熟終止コドンをもたらす変異を有する、変異遺伝子を指す。破壊された遺伝子産物は、完全長の破壊されていない遺伝子産物と比較すると切り詰め型である。

0057

本明細書で使用される「非相同末端結合(NHEJ)経路」は、相同の鋳型を必要とせずに、切断末端を直接的に連結することによって、DNA内の二本鎖切断を修復する経路を指す。NHEJによる、鋳型に依存しないDNA末端再連結は、DNA切断点ランダム微小挿入および微小欠失(インデル)を導入する、確率的な、誤りがち修復プロセスである。この方法は、標的とされる遺伝子配列を意図的に破壊する、欠失させる、または読み枠を変更するために使用することができる。NHEJは、一般的に、修復を誘導するための、マイクロホモロジーと呼ばれる短い相同のDNA配列を使用する。これらのマイクロホモロジーは、しばしば、二本鎖切断の末端の単鎖オーバーハング中に存在する。このオーバーハングが完璧に適合する場合、NHEJは通常、切断を正確に修復し、一方で、ポリヌクレオチドの喪失をもたらす不正確な修復も起こり得るが、これは、オーバーハングが適合しない場合にははるかに一般的である。

0058

本明細書で使用される「正常遺伝子」は、遺伝材料の喪失、獲得、または交換などの変化を受けていない遺伝子を指す。正常遺伝子は、正常な遺伝子伝達および遺伝子発現を受ける。

0059

本明細書で使用される「ヌクレアーゼ介在性のNHEJ」は、Cpf1エンドヌクレアーゼなどのヌクレアーゼが二本鎖DNAを切断した後に開始されるNHEJを指す。

0060

本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、共有結合によって共に連結された、少なくとも2つのポリヌクレオチドを意味する。単鎖の描写はまた、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸は、描写した単鎖の相補鎖も包含する。所与の核酸と同一の目的のために、核酸の多くのバリアントを使用することができる。したがって、核酸は実質的に同一な核酸およびその相補体も包含する。単鎖は、ストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で標的配列ハイブリッド形成することができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリッド形成するプローブも包含する。

0061

核酸は、一本鎖または二本鎖であり得るし、二本鎖配列と一本鎖配列の両方の部分を含有することもできる。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得、ここでは、核酸は、デオキシリボヌクレオチドリボヌクレオチドの組み合わせ、およびウラシル、アデニン、チミン、シトシングアニンイノシンキサンチンヒポキサンチンイソシトシン、およびイソグアニンを含めた塩基の組み合わせを含有することができる。核酸は、化学合成方法によって、または組換え方法によって得ることができる。

0062

本明細書で使用される「作動可能に連結された」は、遺伝子の発現が、遺伝子と空間的に連結されたプロモーターの制御下であることを意味する。プロモーターは、その制御下の遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置することができる。プロモーターと遺伝子との距離は、プロモーターが由来する遺伝子においてプロモーターが制御するプロモーターと遺伝子との距離とほぼ同じであり得る。当技術分野で公知であるように、この距離のバリエーションは、プロモーター機能の喪失を伴わずに適応させることができる。

0063

本明細書で使用される「部分的に機能性」は、変異遺伝子によってコードされ、かつ、機能性タンパク質よりも低い生物活性を有するが、非機能性タンパク質よりも高い生物活性を有する、タンパク質を説明する。

0064

本明細書で互換的に使用される「未成熟終止コドン」または「アウトオブフレーム終止コドン」は、野生型遺伝子には通常見られない位置での終止コドンをもたらす、DNAの配列内のナンセンス変異を指す。未成熟終止コドンは、完全長型のタンパク質と比較して切断されているまたは短いタンパク質をもたらす可能性がある。

0065

本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または促進することが可能である、合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、発現をさらに促進するための、かつ/または、空間的発現および/または同じものの時間的発現を変更するための、1つ以上の特異的な転写調節配列を含むことができる。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対も離れて位置することができる、遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含むことができる。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含めた起源から得ることができる。プロモーターは、発現が起こる細胞、組織、または器官に対して、または発現が起こる発生段階に対して、または生理ストレス原体金属イオン、または誘発物質などの外部刺激応答して、遺伝子成分の発現を恒常的または変動的に調節することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター−プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSVLTRプロモーター、CMVIEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、ヒトU6(hU6)プロモーターおよびCMV IEプロモーターが挙げられる。

0066

本明細書で使用される「骨格筋」は、体性神経系の制御下にあり、かつとして公知のコラーゲン線維の束によって骨に付着している、横紋筋の種類を指す。骨格筋は、時として口語的に「筋線維(muscle fiber)」と呼ばれる、筋細胞(myocyte)として公知の個々の成分、または「筋肉細胞(muscle cell)」で構成されている。筋細胞は、筋形成として公知のプロセスにおいて、発達性の筋芽細胞(筋肉細胞をもたらす、ある種類の胚性前駆細胞)の融合体から形成される。これらの長い円柱形多核細胞は、筋線維(myofiber)とも呼ばれる。

0067

本明細書で使用される「骨格筋状態」は、筋ジストロフィー老化、筋変性、創傷治癒、および筋力低下または筋萎縮症などの、骨格筋に関連する状態を指す。

0068

本明細書で互換的に使用される「対象」および「患者」は、限定はされないが、哺乳類(例えば、ウシブタラクダラマウマヤギウサギヒツジハムスターモルモットネコイヌラット、およびマウス非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルチンパンジーなどのサル)、およびヒト)を含めた、あらゆる脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。対象または患者は、他の形態の治療を受けていてもよい。

0069

標的遺伝子」は、本明細書で使用される場合、既知のまたは推定上の遺伝子産物をコードする任意のポリヌクレオチド配列を指す。標的遺伝子は、遺伝性疾患に関与する変異遺伝子であってよい。特定の実施形態では、標的遺伝子は、ヒトジストロフィン遺伝子またはヒトB細胞リンパ腫/白血病11A遺伝子である。特定の実施形態では、標的遺伝子は、変異ヒトジストロフィン遺伝子である。

0070

「標的領域」は、本明細書で使用される場合、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが結合して開裂するように設計されている標的遺伝子の領域を指す。

0071

本明細書で使用される「導入遺伝子」は、ある生物から単離されており、別の生物に導入される、遺伝子配列を含有する遺伝子または遺伝材料を指す。DNAのこの非天然セグメントは、トランスジェニック生物におけるRNAまたはタンパク質を産生する能力を保持することもできるし、トランスジェニック生物の遺伝暗号の正常な機能を変えることもできる。導入遺伝子の導入は、生物の表現型を変化させる可能性を有する。

0072

核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参考ポリヌクレオチド配列の一部もしくは断片;(ii)参考ポリヌクレオチド配列の相補体、もしくはその一部;(iii)参考核酸と実質的に同一である核酸、もしくはその相補体;または(iv)ストリンジェントな条件下で参考核酸とハイブリッド形成する核酸、その相補体、もしくはそれと実質的に同一な配列を意味する。

0073

ペプチドまたはポリペプチドに関する「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物活性を保持する。バリアントは、少なくとも1つの生物活性を保持するアミノ酸配列を有する参考タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質も意味することができる。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、同様の性質(例えば、荷電領域親水性、程度、および分布)の別のアミノ酸と置き換えることは、微小な変化を一般的に伴うものと当技術分野で認識されている。これらの微小な変化は、当技術分野で理解されている通り、アミノ酸の疎水性指標(hydropathic index)を考慮することによって、ある程度特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105−132(1982)。アミノ酸の疎水性指標は、その疎水性および電荷の考慮に基づいている。同様の疎水性指標のアミノ酸が置換されてもまだ、タンパク質機能を保持できることが、当技術分野で公知である。一態様では、±2の疎水性指標を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性はまた、生体機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするために使用することができる。ペプチドという状況でのアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最大の局所的平均親水性の算出を可能にする。互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸での置換を実施することができる。アミノ酸の疎水性指標と親水性値はどちらも、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。この知見と一致して、生体機能と適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、大きさ、および他の性質によって明らかにされる、アミノ酸、特にそのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存することが理解されよう。

0074

本明細書で使用される「ベクター」は、複製開始点を含有する核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製する染色体外のベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。例えば、ベクターは、Cpf1エンドヌクレアーゼと、少なくとも1種のCpf1 gRNA(例えば、配列番号36〜119のいずれか1つのポリヌクレオチド配列を含むCpf1 gRNA)またはその相補体をコードし得る。

0075

本明細書で別に定義されない限り、本開示に関して使用される科学および技術用語は、当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有するものとする。例えば、本明細書に記載した細胞および組織培養分子生物学免疫学微生物学遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関して使用される、あらゆる学術用語、およびこれらの技術は、周知でありかつ当技術分野で普通に使用されるものである。用語の意味および範囲は、明確であるべきである;しかし、いずれかの潜在的あいまい性の場合には、本明細書で提供する定義が、あらゆる辞書または外部の定義よりも先行する。さらに、文脈によって他に必要とされない限り、単数の用語には、複数形が含まれるものとし、複数の用語には、単数形が含まれるものとする。

0076

2.CRISPR系
本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)は、ジストロフィン遺伝子(例えば、ヒトジストロフィン遺伝子)に特異的であるCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする。「クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート」および「CRISPR」は、本明細書で互換的に使用される場合、配列決定された細菌の約40%および配列決定された古細菌の90%のゲノムに見出される複数の短いダイレクトリピートを含む遺伝子座を指す。CRISPR系は、ある形態の獲得免疫を提供する、侵入ファージおよびプラスミドに対する防御に関与する、微生物ヌクレアーゼ系である。微生物宿主におけるCRISPR遺伝子座は、CRISPR介在性の核酸切断特異性プログラミングすることが可能な、CRISPR関連(Cas)遺伝子と、ノンコーディングRNAエレメントとの組み合わせを含有する。スペーサーと呼ばれる、外来DNAの短いセグメントは、ゲノムのCRISPRリピート間に組み込まれ、過去の曝露の「メモリー」として働く。

0077

3つのクラスのCRISPR系(I型II型、およびIII型エフェクター系)が公知である。II型エフェクター系は、Cpf1エンドヌクレアーゼなどの単一のエフェクター酵素を使用して、4つの連続的ステップで、標的DNA二本鎖破壊を行って、dsDNAを切断する。複合体として作用する複数の異なるエフェクターを必要とするI型およびIII型エフェクター系と比較して、II型エフェクター系は、真核細胞などの代替状況において機能することができる。正しいPAMがプロトスペーサーの5’末端にも存在すれば、Cpf1エンドヌクレアーゼは、標的DNAの切断を媒介する。

0078

CRISPR/Cpf1系の活性は、3つの段階:改変、crRNAの形成、および干渉を有する。改変の段階で、Cas1およびCas2タンパク質が、DNAの小さな断片のCRISPR配列への改変を促進する。crRNAの形成中に、プレ−cr−RNAプロセシングが起こり、Casタンパク質、すなわち、Cpf1エンドヌクレアーゼを誘導する成熟crRNAを産生する。干渉の段階で:Cpf1は、crRNAに結合して、二元複合体を形成し、標的DNA配列を同定し、切断する。

0079

この系では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、合成により再構成されたCpf1「ガイドRNA」(「Cpf1 gRNA」)によってゲノム標的部位に向けられる。Cpf1エンドヌクレアーゼは、一方の鎖を他方より長くして、平滑末端を生成するCas9とは異なり、「粘着」末端、例えば、4〜5ヌクレオチド長の粘着末端を生み出す。Cpf1エンドヌクレアーゼはまた、Cas9と比較して、PAMからより遠い標的DNAも切断する。

0080

標的遺伝子(例えば、ジストロフィン遺伝子、例えば、ヒトジストロフィン遺伝子)は、細胞の分化、もしくは遺伝子の活性化が所望され得る任意の他のプロセスに関与し得る、または変異(例えば、フレームシフト変異もしくはナンセンス変異)を有し得る。この標的遺伝子が、未成熟終止コドン、異所性スプライス受容部位または異所性スプライス供与部位を生じる変異を有する場合、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを、この未成熟終止コドン、異所性スプライス受容部位または異所性スプライス供与部位の上流または下流のポリヌクレオチド配列を認識してこの配列に結合するように設計することができる。このCRISPR/Cpf1に基づくシステムを使用して、スプライス受容体およびスプライス供与体を標的として未成熟終止コドンのスキッピングを誘導することにより、または破壊された読み枠を回復させることにより正常な遺伝子スプライシングを破壊することもできる。このCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、ゲノムのタンパク質コード領域へのオフターゲット変化を媒介する場合もあるし媒介しない場合もある。

0081

本明細書には、ゲノム編集および遺伝性疾患の処置に使用するためのCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが提供される。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの独自の能力は、2種以上のCpf1 gRNAを伴う単一のCpf1エンドヌクレアーゼを同時発現することによって、複数の異なるゲノム遺伝子座を同時に標的とする直接的な能力である。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、遺伝性疾患、老化、組織再生、または創傷治癒に関与する遺伝子を含めた、あらゆる遺伝子を標的にするように設計することができる。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、Cpf1エンドヌクレアーゼと、少なくとも1種のCpf1 gRNAとを含むことができる。特定の実施形態では、システムは2種のCpf1 gRNAを含む。

0082

a.Cpf1エンドヌクレアーゼ
CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、Cpf1エンドヌクレアーゼを含むことができる。Cpf1エンドヌクレアーゼは、核酸を開裂するエンドヌクレアーゼである。Cas9が、PAM部位の上流で平滑末端3ヌクレオチドを生成するのに対し、Cpf1エンドヌクレアーゼは、スタッガード式に切断し、PAMから18〜23塩基離れた5ヌクレオチドの5’オーバーハングを生成する。Cpf1エンドヌクレアーゼは、以下のものが挙げられるが、これらに限定されないあらゆる細菌または古細菌の種に由来し得る:野兎病菌(Francisella tularensis)1、野兎病菌亜種ノビシダ(Francisella tularensis subsp.novicida)、プレボテーラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)MC2017 1、ブチビブリオ・プロテオクラスチカス(Butyrivibrio proteoclasticus)、ペレグリニバクテリア・バクテリウム(Peregrinibacteria bacterium)GW2011_GWA2_33_10、パルクバクテリア・バクテリウム(Parcubacteria bacterium)GW2011_GWC2_44_17、スミセラ属(Smithella sp.)SCADC、アシダミノコッカス属(Acidaminococcus sp.)BV3L6、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)MA2020、カンジダツス・メタプラズマテルツム(Candidatus Methanoplasma termitum)、ユウバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)、モラクセラ・ボボクリ(Moraxella bovoculi)237、レプトスピラ・イナダイ(Leptospira inadai)、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)ND2006、ポルフィロモナスクレビオリカニス(Porphyromonas crevioricanis)3、プレボテラ・ディシエンス(Prevotella disiens)またはポルフィロモナス・マカカエ(Porphyromonas macacae)。特定の実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)ND2006(「LbCpf1」)またはアシダミノコッカス属(Acidaminococcus)(「AsCpf1」)に由来するCpf1エンドヌクレアーゼである。

0083

いくつかの実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、以下に示すヒト化AsCpf1配列(配列番号124)を含み得る:

0084

いくつかの実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、以下に示すヒト化LbCpf1配列(配列番号125)を含み得る:

0085

Cpf1エンドヌクレアーゼは、1種または複数種のCpf1 gRNAと相互作用することができ、Cpf1 gRNAと共同して、標的ドメイン、および特定の実施形態ではPAM配列を含む部位に局在化する。特定の実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼが標的核酸と相互作用して、これを切断する能力は、PAM配列に依存する。PAM配列は、標的核酸内の配列である。特定の実施形態では、標的核酸の切断は、PAM配列の上流で起こる。様々な細菌種由来のCpf1エンドヌクレアーゼが、様々な配列モチーフ(例えば、PAM配列)を認識することができる。特定の実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のPAMを認識する。

0086

特定の実施形態では、ベクターは、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のPAMを認識する少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼをコードする。特定の実施形態では、少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼは、ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)(「LbCpf1」)またはアシダミノコッカス属(Acidaminococcus)(「AsCpf1」)由来のCpf1エンドヌクレアーゼである。特定の実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼは、配列番号124または配列番号125のポリヌクレオチド配列によりコードされる。

0087

Cpf1エンドヌクレアーゼをコードする核酸は、合成核酸配列であってよい。例えば、合成核酸分子は、化学的に修飾することができる。合成核酸配列は、コドン最適化されることができ、例えば、少なくとも1つの非一般的コドンまたはあまり一般的ではないコドンが一般的コドンで置換されている。例えば、合成核酸は、例えば、本明細書に記載の哺乳動物発現系における発現のために最適化された、最適化メッセンジャーmRNAの合成を指令することができる。

0088

これに加え、または代わって、Cpf1エンドヌクレアーゼをコードする核酸は、核局在化配列(NLS)を含み得る。核局在化配列は、当技術分野で公知である。

0089

b.Cpf1 gRNA
CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、少なくとも1種のCpf1 gRNA、例えば、1種のCpf1 gRNA、2種のCpf1 gRNA、3種のgRNA、などを含む。このgRNAにより、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムのターゲティングが達成される。このCpf1 gRNAは、所望のDNA標的に対するターゲティング特異性を付与するプロトスペーサーをコードする配列を交換することにより、あらゆる所望のDNA配列を標的とすることができる。「標的領域」、「標的配列」または「プロトスペーサー」は、本明細書で互換的に使用される場合、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが標的とする標的遺伝子(例えば、ジストロフィン遺伝子)の領域を指す。この標的配列またはプロトスペーサーに先行して、このプロトスペーサーの5’末端にPAM配列が存在する。いくつかの実施形態では、PAM配列は、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)であってもよい。

0090

いくつかの実施形態では、プロトスペーサーは、約17bp〜約23bpであってよい。いくつかの実施形態では、Cpf1 gRNAは、プロトスペーサーに対応するポリヌクレオチド配列またはその断片を含む。いくつかの実施形態では、Cpf1 gRNAは、約17bp〜約23bpのプロトスペーサーを含み得る。いくつかの実施形態では、約17bp〜約23bpのプロトスペーサーは、連続的である。

0091

いくつかの実施形態では、標的領域は、配列番号1〜35のいずれか1つのポリヌクレオチド配列、配列番号1〜35のいずれか1つの断片、またはその相補体を含み得る。いくつかの実施形態では、Cpf1 gRNAは、配列番号36〜119のいずれか1つのポリヌクレオチド配列、配列番号36〜119のいずれか1つの断片、またはその相補体を含み得る。いくつかの実施形態では、配列番号36〜119のいずれか1つの断片は、約17bp〜約23bp長である。いくつかの実施形態では、断片中約17bp〜約23bpは、連続的である。

0092

CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、少なくとも1種のCpf1 gRNAを含み得、これらのgRNAは、異なるDNA配列を標的とする。これらの標的DNA配列は、重複していてもよい。本開示の遺伝子コンストラクト(例えば、AAVベクター)によりコードされるCpf1 gRNAの数は、少なくとも1個のCpf1 gRNA、少なくとも2個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも3個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも5個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも6個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも7個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも9個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも10個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも11個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも12個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも13個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも14個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも15個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも16個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも17個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも18個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも18個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも20個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも25個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも30個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも35個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも40個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも45個の異なるCpf1 gRNA、または少なくとも50個の異なるCpf1 gRNAであってよい。本開示のベクターによりコードされるCpf1 gRNAの数は、少なくとも1個Cpf1のgRNA〜少なくとも50個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも45個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも40個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも35個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも30個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも25個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも20個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも16個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも12個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも1個のCpf1 gRNA〜少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個のCpf1 gRNA〜少なくとも50個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも45個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも40個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも35個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも30個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも25個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも20個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも16個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも12個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも4個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも50個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも45個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも40個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも35個の異なるCpf1 gRNA、8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも30個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも25個の異なるCpf1 gRNA、8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも20個の異なるCpf1 gRNA、少なくとも8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも16個の異なるCpf1 gRNA、または8個の異なるCpf1 gRNA〜少なくとも12個の異なるCpf1 gRNAであってよい。特定の実施形態では、この遺伝子コンストラクト(例えばAAVベクター)は、1種のCpf1 gRNA(即ち、第1のgRNA)と任意選択でCpf1エンドヌクレアーゼとをコードする。特定の実施形態では、第1の遺伝子コンストラクト(例えば、第1のAAVベクター)は、1個のCpf1 gRNA(即ち、第1のCpf1 gRNA)と任意選択でCpf1エンドヌクレアーゼとをコードし、第2の遺伝子コンストラクト(例えば、第2のAAVベクター)は、1個のCpf1 gRNA(即ち、第2のCpf1 gRNA)と任意選択でCpf1エンドヌクレアーゼとをコードする。

0093

3.ジストロフィン遺伝子のゲノム編集用のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム遺伝子コンストラクト
本発明は、ジストロフィン遺伝子(例えば、ヒトジストロフィン遺伝子)のゲノム編集、ゲノム改変または遺伝子発現の改変のための遺伝子コンストラクトを対象とする。遺伝子コンストラクトは、Cpf1エンドヌクレアーゼ適合性標的などのヒトジストロフィン遺伝子配列を標的とする少なくとも1つのCpf1 gRNAを含む。開示されるgRNAは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムに含有させることができ、そうしたものとして、Cpf1エンドヌクレアーゼを用いて、ジストロフィン遺伝子内の領域、例えば、ヒトジストロフィン遺伝子におけるエクソン51などのエクソン周囲のイントロン領域、スプライス受容部位、および/またはエクソン領域を標的にして、この領域のゲノム欠失を引き起こし、DMD患者由来の細胞において機能性のジストロフィンの発現を回復させるシステムがある。

0094

DMDは、ジストロフィン遺伝子に対する遺伝子変異に起因する重度筋肉消耗疾患である。ジストロフィンは、細胞膜を介して筋繊維の細胞骨格と周囲の細胞外マトリックスとをつなぐタンパク質複合体の一部である棒状の細胞質タンパク質である。ジストロフィンは、細胞膜のジストログリカン複合体に構造安定性をもたらす。ジストロフィン遺伝子は、遺伝子座Xp21で2.2ベガ塩基である。一次転写は約2,400kbを測定し、成熟mRNAは約14kbである。79種のエクソンは、3500個を超えるアミノ酸であるタンパク質をコードする。正常な骨格筋組織には、わずかな量のジストロフィンしか含まれないが、このジストロフィンの異常な発現の欠如により、重度且つ不治の症状が発症する。ジストロフィン遺伝子中のいくつかの変異により、罹患した患者では不完全なジストロフィンおよび重度のジストロフィー表現型が産生される。ジストロフィン遺伝子中のいくつかの変異により、罹患した患者では、部分的に機能するジストロフィンタンパク質および非常に軽度のジストロフィー表現型がもたらされる。

0095

DMDは、ジストロフィン遺伝子中でナンセンス変異またはフレームシフト変異を引き起こす遺伝的なまたは自発的な変異の結果である。天然に存在する変異およびその結果は、DMDに関して比較的よく理解されている。変異は、典型的には、遺伝子の領域の欠失または重複であり、これによって、タンパク質がフレームから外れるため、完全に機能不全となる。ほぼ機能性のタンパク質を回復させるフレームの修正により83%もの患者に単一のエクソンの除去を適用することができる。CPF1は、ジストロフィンエクソンを標的とすることができ、これを用いて、スプライス受容体を標的にすることにより単一のエクソンをノックアウトするか、または遺伝子領域を欠失させて、単一もしくは複数のエクソンを除去することができる。

0096

ロッドドメインに含まれるエクソン45〜55領域(例えばエクソン51)中で起こるインフレーム欠失により、高度に機能するジストロフィンタンパク質が産生され得、多くの保有者無症状であるか軽度の症状を呈することが知られている。さらに、ジストロフィン遺伝子のこの領域中のエクソンを標的とする(例えばエクソン51などのジストロフィン遺伝子のエクソンを標的とする)ことにより、理論的には患者の60%超を処置することができる。mRNAのスプライシングの最中に非必須エクソンをスキップさせて(例えば、エクソン51をスキップさせて)、内部的には欠失しているが機能するジストロフィンタンパク質を産生することにより、DMD患者の破壊されたジストロフィン読み枠を回復させる努力がなされている。内部ジストロフィンエクソンの欠失(例えば、エクソン51の欠失)により、適切な読み枠が保持されるものの比較的軽度のベッカー型筋ジストロフィー(即ちBMD)が引き起こされる。ベッカー型筋ジストロフィー(即ちBMD)遺伝子型は、ジストロフィン遺伝子中に欠失が存在するという点でDMDと類似する。しかしながら、この欠失は読み枠を無傷に保つ。そのため、内部的には切り詰められるが部分的に機能するジストロフィンタンパク質が作られる。BMDは幅広い表現型を有するが、多くの場合、ジストロフィンのエクソン45〜55の間に欠失が存在する場合には、この表現型はDMDと比べてはるかに軽度である。そのため、DMD遺伝子型をBMD遺伝子型へと変更することは、ジストロフィンを修正するための一般的な戦略である。ジストロフィンを修正するための多くの戦略が存在し、これらの多くは、内因性ジストロフィンの読み枠の回復に依存する。これにより、疾患の遺伝子型がDMDからベッカー型筋ジストロフィーへとシフトする。多くのBMD患者は、翻訳読み枠を維持する遺伝子内欠失を有し、より短いが大部分が機能するジストロフィンタンパク質が生じる。

0097

特定の実施形態では、読み枠を回復させるためのエクソン51の改変(例えば、例えばNHEJによるエクソン51の欠失または排除)により、欠失変異を有するDMD対象等の表現型DMD対象が改善される。特定の実施形態では、ジストロフィン遺伝子のエクソン51はジストロフィン遺伝子の51番目のエクソンを指す。エクソン51はDMD患者のフレーム破壊性欠失に頻繁に隣接しており、オリゴヌクレオチドに基づくエクソンスキッピングの臨床試験で標的とされている。エクソン51スキッピング化合物エテプリルセンの臨床試験では、ベースラインと比較して平均47%のジストロフィン陽性繊維を伴い48週にわたり有意な機能的利点が報告された。エクソン51での変異は、NHEJに基づくゲノム編集による永続的な修正に理想的に適している。

0098

本開示のベクターは、ジストロフィン遺伝子(例えばヒトジストロフィン遺伝子)中で欠失を生じさせることができる。特定の実施形態では、このベクターは、ジストロフィン遺伝子の標的位置に隣接する2つのイントロン(第1のイントロンおよび第2のイントロン)中で2つの二本鎖切断(第1の二本鎖切断および第2の二本鎖切断)を形成し、それにより、ジストロフィン遺伝子においてジストロフィン標的位置を含むセグメントが欠失されるように構成されている。「ジストロフィン標的位置」は、本明細書で説明したジストロフィンのエクソン標的位置またはジストロフィンのエクソン内標的位置であることができる。ジストロフィンのエクソン標的位置の欠失により、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患している患者のジストロフィン配列が最適化され得、例えば、コードされるジストロフィンタンパク質の機能もしくは活性が増加され得る、または対象の疾患状態が改善される。特定の実施形態では、ジストロフィンのエクソン標的位置の排除により読み枠が回復される。このジストロフィンのエクソン標的位置は、ジストロフィン遺伝子の1つまたは複数のエクソンを含むことができる。特定の実施形態では、このジストロフィン標的位置は、ジストロフィン遺伝子(例えばヒトジストロフィン遺伝子)のエクソン51を含む。

0099

本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)は、ジストロフィン遺伝子(例えばヒトジストロフィン遺伝子)のエクソン51での高効率の遺伝子編集を媒介することができる。本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)は、DMD患者由来の細胞中でのジストロフィンタンパク質の発現を回復させる。エクソン51は、DMDでのフレーム破壊性欠失に頻繁に隣接している。エクソンスキッピングによるジストロフィン転写産物からのエクソン51の除去を使用して、全DMD患者の約15%を処置することができる。このクラスのジストロフィン変異は、NHEJに基づくゲノム編集およびHDRによる永続的な修正に理想的に適している。本明細書で説明された遺伝子コンストラクト(例えばベクター)は、ヒトジストロフィン遺伝子中のエクソン51の標的型改変用に開発されている。本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)はヒトDMD細胞中に遺伝子導入され、読み枠を修正するための効率的な遺伝子改変および遺伝子変換を媒介する。タンパク質の回復はフレーム回復と同時であり、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムで処理された細胞の大部分で検出される。

0100

単一のまたは多重のgRNAを、エクソン51での変異ホットスポットを標的とすることにより、またはおよびエクソン内の小さい挿入および欠失を導入することにより、またはエクソン51の排除により、ジストロフィン読み枠を回復させるように設計することができる。本開示のベクターによる処理後、インビトロで、デュシェンヌ患者の筋肉細胞中においてジストロフィン発現を回復させることができる。遺伝的に修正された患者細胞の免疫不全マウスへの移植後に、ヒトジストロフィンをインビボで検出した。意義深いことに、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの特有多重遺伝子編集能力は、普遍的なまたは患者特異的な遺伝子編集アプローチにより患者の変異の最大62%を修正し得る、この変異ホットスポット領域の大きな欠失を効率的に生じさせることを可能にする。いくつかの実施形態では、候補gRNAを、surveyorにより測定したオフターゲット活性、オンターゲット活性に基づいて、ならびにエクソンからの距離に基づいて、評価して選択する。

0101

Cpf1 gRNAは、ジストロフィン遺伝子(DMD)の1領域を標的とし得る。特定の実施形態では、Cpf1 gRNAは、ジストロフィン遺伝子のエクソン、イントロン、プロモーター領域、エンハンサー領域、スプライス受容部位、および/または転写領域の少なくとも1つを標的にすることができる。いくつかの実施形態では、標的領域は、配列番号1〜28の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、Cpf1 gRNAは、ヒトジストロフィン遺伝子のイントロン50を標的とする。特定の実施形態では、Cpf1 gRNAは、ヒトジストロフィン遺伝子のイントロン51を標的とする。特定の実施形態では、Cpf1 gRNAは、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51を標的とする。Cpf1 gRNAは、配列番号36〜64、71〜119のいずれか1つのポリヌクレオチド配列、配列番号36〜64、71〜119のいずれか1つの断片、またはその相補体を含み得る。

0102

4.B細胞リンパ腫/白血病11A(BCL11a)遺伝子のゲノム編集用のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム遺伝子コンストラクト
鎌状細胞貧血(SCA)は、β−グロビン遺伝子点突然変異に起因し、βサラセミアは、β−グロビン発現の喪失を招く他の突然変異に起因する。BCL11aは、および胎児グロビン遺伝子を抑制する転写抑制因子である。BCL11aの完全な喪失は、胚性致死であるが;BCL11aの赤血球特異的エンハンサー領域を破壊することにより、転写抑制因子の存在量を低減し、胎児グロビンレベルを増加して、疾患の表現型を改善することができる。同様に、γ−グロビン(HBG1/2)プロモーターに対する特定の突然変異は、転写抑制および遺伝性高胎児ヘモグロビンHPFH)の消失をもたらす。Cpf1により産生されるインデルフットプリントが大きいほど、BCL11aのエンハンサー領域またはHBG1/2の抑制領域を効率的に破壊することができる。いくつかの実施形態では、BCL11aのエンハンサー領域を破壊し、胎児グロビンレベルを増加すると共に、SCAの表現型を改善するように、Cpf1 gRNAを設計する。いくつかの実施形態では、エンハンサー領域は、配列番号29〜35の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、Cpf1 gRNAは、配列番号65〜70のいずれか1つのポリヌクレオチド配列、配列番号65〜70のいずれか1つの断片、またはその相補体を含む。

0103

5.DNAターゲティング組成物
本発明はまた、そのような遺伝子コンストラクトを含むDNAターゲティング組成物も対象とする。このDNAターゲティング組成物は、上記で説明したようにジストロフィン遺伝子(例えばヒトジストロフィン遺伝子)を標的とする少なくとも1種のCpf1 gRNA(例えば、1種のCpf1 gRNA、2種のCpf1 gRNA、3種のgRNA、など)を含む。この少なくとも1種のCpf1 gRNAは、標的領域に結合して認識することができる。この標的領域を、可能なアウトオブフレーム終止コドンのすぐ上流で選択し得、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失がフレーム変換によってジストロフィン読み枠を回復させる。標的領域はまた、スプライス受容部位またはスプライス供与部位であることもでき、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失が、スプライス部位の破壊およびエクソンの排除によりスプライシングを破壊しジストロフィン読み枠を回復させる。標的領域はまた、異所性終止コドンであることもでき、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失が、この終止コドンを除去することによりまたは破壊することによりジストロフィン読み枠を回復させる。

0104

特定の実施形態では、本開示のDNAターゲティング組成物は、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAを含み、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、配列番号36〜119に記載のポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つ、またはその相補体を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、配列番号65〜70の少なくとも1つ、またはその相補体を含む。特定の実施形態では、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、ポリヌクレオチド配列を含む。

0105

特定の実施形態では、第1のCpf1 gRNAおよび第2のCpf1 gRNAは、(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNAからなる群から選択される。

0106

特定の実施形態では、DNAターゲティング組成物は、TTTA(配列番号120)、TTTG(配列番号121)、TTTC(配列番号122)、またはTTTT(配列番号123)のPAMを認識する少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼをさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、このDNAターゲティング組成物は、配列番号124または配列番号125に記載のポリヌクレオチド配列によりコードされるCpf1エンドヌクレアーゼを含む。特定の実施形態では、ベクターは、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン51に隣接する第1および第2のイントロン中でそれぞれ第1および第2の二本鎖切断を形成し、それによりジストロフィン遺伝子においてエクソン51を含むセグメントを欠失させるように構成されている。

0107

本開示のベクターの欠失効率は、欠失サイズ(即ち、このベクターにより欠失されるセグメントのサイズ)に関連することができる。特定の実施形態では、特異的欠失の長さまたはサイズは、標的とされる遺伝子(例えばジストロフィン遺伝子)中のPAM配列間の距離により決定される。特定の実施形態では、ジストロフィン遺伝子のセグメントの特異的欠失(このセグメントの長さおよびこのセグメントが含む配列(例えばエクソン51)に関して定義される)は、標的遺伝子(例えばジストロフィン遺伝子)内の特異的PAM配列に隣接して作られた切断の結果である。

0108

特定の実施形態では、この欠失サイズは約50〜約2,000個の塩基対(bp)であり、例えば、約50〜約1999bp、約50〜約1900bp、約50〜約1800bp、約50〜約1700bp、約50〜約1650bp、約50〜約1600bp、約50〜約1500bp、約50〜約1400bp、約50〜約1300bp、約50〜約1200bp、約50〜約1150bp、約50〜約1100bp、約50〜約1000bp、約50〜約900bp、約50〜約850bp、約50〜約800bp、約50〜約750bp、約50〜約700bp、約50〜約600bp、約50〜約500bp、約50〜約400bp、約50〜約350bp、約50〜約300bp、約50〜約250bp、約50〜約200bp、約50〜約150bp、約50〜約100bp、約100〜約1999bp、約100〜約1900bp、約100〜約1800bp、約100〜約1700bp、約100〜約1650bp、約100〜約1600bp、約100〜約1500bp、約100〜約1400bp、約100〜約1300bp、約100〜約1200bp、約100〜約1150bp、約100〜約1100bp、約100〜約1000bp、約100〜約900bp、約100〜約850bp、約100〜約800bp、約100〜約750bp、約100〜約700bp、約100〜約600bp、約100〜約1000bp、約100〜約400bp、約100〜約350bp、約100〜約300bp、約100〜約250bp、約100〜約200bp、約100〜約150bp、約200〜約1999bp、約200〜約1900bp、約200〜約1800bp、約200〜約1700bp、約200〜約1650bp、約200〜約1600bp、約200〜約1500bp、約200〜約1400bp、約200〜約1300bp、約200〜約1200bp、約200〜約1150bp、約200〜約1100bp、約200〜約1000bp、約200〜約900bp、約200〜約850bp、約200〜約800bp、約200〜約750bp、約200〜約700bp、約200〜約600bp、約200〜約2000bp、約200〜約400bp、約200〜約350bp、約200〜約300bp、約200〜約250bp、約300〜約1999bp、約300〜約1900bp、約300〜約1800bp、約300〜約1700bp、約300〜約1650bp、約300〜約1600bp、約300〜約1500bp、約300〜約1400bp、約300〜約1300bp、約300〜約1200bp、約300〜約1150bp、約300〜約1100bp、約300〜約1000bp、約300〜約900bp、約300〜約850bp、約300〜約800bp、約300〜約750bp、約300〜約700bp、約300〜約600bp、約300〜約3000bp、約300〜約400bpまたは約300〜約350bpである。特定の実施形態では、この欠失サイズは、約118個の塩基対、約233個の塩基対、約326個の塩基対、約766個の塩基対、約805個の塩基対または約1611個の塩基対であることができる。

0109

6.筋肉中での遺伝子編集用組成物
本発明は、対象の骨格筋中でのまたは心筋中での標的遺伝子のゲノム編集用の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはその組成物を対象とする。この組成物は、改変AAVベクターと、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム(例えばCpf1 gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼ)をコードするポリヌクレオチド配列とを含む。この組成物は、活性型のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを骨格筋または心筋に送達する。本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)を、遺伝性疾患および/または他の骨格筋もしくは心筋の状態(例えばDMD)に関与するジストロフィン遺伝子中での変異の影響の修正または低減で使用することができる。この組成物は、ドナーDNAまたは導入遺伝子をさらに含むことができる。この組成物を、ゲノム編集、ゲノム操作、ならびに遺伝性疾患および/または他の骨格筋もしくは心筋の状態に関与する遺伝子中での変異の影響の修正また低減で使用することができる。

0110

a.ジストロフィンのターゲティング用のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム
本明細書では、ジストロフィン遺伝子に特異的なCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが開示されている。このCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、Cpf1エンドヌクレアーゼと、ジストロフィン遺伝子を標的とするための少なくとも1種のCpf1 gRNAとを含むことができる。このCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、標的領域に結合して認識することができる。この標的領域を、可能なアウトオブフレーム終止コドンのすぐ上流で選択し得、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失がフレーム変換によってジストロフィン読み枠を回復させる。標的領域または、スプライス受容部位またはスプライス供与部位であることもでき、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失が、スプライス部位の破壊およびエクソンの排除により、スプライシングを破壊しジストロフィン読み枠を回復させる。標的領域はまた、異所性終止コドンであることもでき、その結果、修復プロセス中の挿入または欠失が、この終止コドンを除去することによりまたは破壊することによりジストロフィン読み枠を回復させる。

0111

このCpf1 gRNAは、配列番号1〜35からなる群から選択されるヌクレオチド配列またはその相補体を標的とすることができる。例えば、本開示のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを操作して、ジストロフィン遺伝子のエクソン51でのより高い効率の遺伝子編集を媒介させた。このCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、DMD患者由来の細胞中でジストロフィンタンパク質発現を回復させた。

0112

b.アデノ随伴ウイルスベクター
この組成物はウイルス送達システムも含むことができる。特定の実施形態では、このベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。このAAVベクターは、ヒトおよびいくつかの他の霊長類種に感染するパルボウイルス(Parvoviridae)科のディペンドウイルス(Dependovirus)属に属する小型ウイルスである。AAVベクターを使用して、様々なコンストラクト構造を使用するCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを送達することができる。例えば、AAVベクターは、別々ベクター上のまたは同一のベクター上のCpf1エンドヌクレアーゼおよびCpf1 gRNA発現カセットを送達することができる。あるいは、Cpf1エンドヌクレアーゼと最大2つのgRNA発現カセットとの両方を、4.7kbのパッケージング限度内で単一のAAVベクター中で組み合わせることができる。

0113

特定の実施形態では、AAVベクターは改変AAVベクターである。この改変AAVベクターは、心筋および骨格筋の組織向性の増強を有することができる。この改変AAVベクターは、哺乳類の細胞中でCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの送達および発現を可能にすることができる。例えば、この改変AAVベクターはAAV−SASTGベクターであることができる(Piacentino et al.(2012)Human Gene Therapy 23:635−646)。この改変AAVベクターは、インビボで骨格筋および心筋にヌクレアーゼを送達することができる。この改変AAVベクターは、いくつかのカプシド型(例えば、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8およびAAV9)のうちの1つまたは複数をベースとすることができる。この改変AAVベクターは、代替の筋肉向性AAVカプシドを有するAAV2偽型をベースとすることができ、例えば、全身送達および局所送達により骨格筋または心筋を効率的に遺伝子導入するAAV2/1ベクター、AAV2/6ベクター、AAV2/7ベクター、AAV2/8ベクター、AAV2/9ベクター、AAV2.5ベクターおよびAAV/SASTGベクターをベースとすることができる(Seto et al.Current Gene Therapy(2012)12:139−151)。この改変AAVベクターはAAV2i8G9であることができる(Shen et al.J.Biol.Chem.(2013)288:28814−28823)。

0114

7.筋肉中での遺伝子編集の方法
本開示は、対象の骨格筋中でのまたは心筋中での遺伝子編集の方法を対象とする。この方法は、上記で説明した骨格筋中でのまたは心筋中での遺伝子編集用組成物を対象の骨格筋または心筋に投与することを含む。このゲノム編集は、変異遺伝子を修正することまたは導入遺伝子を挿入することを含むことができる。変異遺伝子を修正することは、この変異遺伝子を欠失させること、再編集することまたは置き換えることを含むことができる。変異異遺伝子を修正することは、ヌクレアーゼ介在性のNHEJまたはHDRを含むことができる。

0115

8.変異遺伝子を修正して対象を処置する方法
本開示の主題は、細胞中で変異遺伝子(例えば変異ジストロフィン遺伝子、例えば変異ヒトジストロフィン遺伝子)を修正し、遺伝性疾患(例えばDMD)に罹患している対象を処置する方法を提供する。この方法は、上記で説明した本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を細胞または対象に投与すること含むことができる。この方法は、上記で説明した骨格筋中でのまたは心筋中での遺伝子編集用の本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を対象の骨格筋または心筋に投与することを含むことができる。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを骨格筋または心筋に送達するための本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物の使用により、修復鋳型またはドナーDNA(これらは、遺伝子全体またはこの変異を含む領域を置き換えることができる)と共に、完全に機能するまたは部分的に機能するタンパク質の発現を回復させることができる。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを使用して、標的とされるゲノム遺伝子座で部位特異的な二本鎖切断を導入することができる。部位特異的二本鎖切断は、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが標的DNA配列に結合し、それにより標的DNAの開裂が可能になる場合に生じる。このDNA開裂は天然のDNA修復機構を刺激し得、以下の2つの可能な修復経路のうちの1つをもたらす:相同組換え修復(HDR)経路または非相同末端結合(NHEJ)経路。

0116

本開示は、修復鋳型を伴わないCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムによる遺伝子編集を対象とし、この遺伝子編集により、読み枠を効率的に修正し、遺伝性疾患に関与する機能的タンパク質の発現を回復させることができる。本開示のCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、相同組換え修復またはヌクレアーゼ介在性の非相同末端結合(NHEJ)に基づく修正手法(これらは、相同組換えまたは選択に基づく遺伝子修正を受け入れない可能性がある、増殖が制限された初代細胞株における効率的な修正を可能にする)の使用を含むことができる。この戦略は、活性なCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの迅速且つ頑強アセンブリを、フレームシフト、未成熟終止コドン、異所性スプライス供与部位または異所性スプライス受容部位を生じる非必須コード領域中の変異により生じる遺伝性疾患の処置に効率的な遺伝子編集方法統合する。

0117

a.ヌクレアーゼ介在性の非相同末端結合
内因性の変異遺伝子からのタンパク質発現の回復は、鋳型なしのNHEJ介在性のDNA修復によるものであることができる。標的遺伝子RNAを標的とする一過性の方法とは対照的に、過渡的に発現されたCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムによるゲノム中の標的遺伝子読み枠の修正により、それぞれ改変された細胞およびその後代の全てによって、永久に回復された標的遺伝子発現をもたらすことができる。特定の実施形態では、NHEJはヌクレアーゼ介在性のNHEJであり、このヌクレアーゼ介在性のNHEJは、特定の実施形態では、Cpf1エンドヌクレアーゼにより開始されて二本鎖DNAを切断するNHEJを指す。この方法は、骨格筋中でのまたは心筋中での遺伝子編集のために、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を対象の骨格筋または心筋に投与することを含む。

0118

ヌクレアーゼ介在性のNHEJ遺伝子修正は、変異した標的遺伝子を修正し、HDR経路に勝る、いくつかの潜在的利点を提供することができる。例えば、NHEJは、非特異的挿入変異をもたらす可能性があるドナー鋳型を必要としない。HDRと対照的に、NHEJは、細胞周期の全ての期において効率的に作動するので、循環と、有糸分裂後の細胞(筋線維など)との両方において効率的に利用することができる。これは、オリゴヌクレオチドに基づくエクソンスキッピング、または終止コドンの薬物によって強いられるリードスルー代わる、頑強な永続的な遺伝子修復を提供し、理論上はわずか1つの薬物治療しか必要としない可能性がある。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム、ならびにメガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーヌクレアーゼを含めた他の遺伝子改変されたヌクレアーゼを使用する、NHEJに基づく遺伝子修正は、本明細書に記載したプラスミド電気穿孔手法に加えて、細胞および遺伝子に基づく療法のための他の既存のエクスビボおよびインビボプラットフォームと組み合わせることができる。例えば、mRNAに基づく遺伝子導入による、または、精製された細胞透過性タンパク質としてのCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの送達は、挿入変異のいかなる可能性も回避するであろうDNAフリーのゲノム編集手法を可能にすることができる。

0119

b.相同組換え修復
内在性の変異した遺伝子からのタンパク質発現の修復は、相同組換え修復を含むことができる。上に記載した通りの方法は、細胞にドナー鋳型を投与することをさらに含む。ドナー鋳型は、完全に機能性または部分的に機能性のタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むことができる。例えば、ドナー鋳型は、小型化されたジストロフィンコンストラクト(ミニジストロフィン(「minidys」)と呼ばれる)、変異ジストロフィン遺伝子を修復するための完全に機能性のジストロフィンコンストラクト、または相同組換え修復後に変異ジストロフィン遺伝子の修復をもたらすジストロフィン遺伝子の断片を含むことができる。

0120

c.変異遺伝子を修正してCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを用いて対象を処置する方法
本開示はまた、修復鋳型またはドナーDNA(これらは、遺伝子全体、または変異を含有する領域を置き換えることができる)を用いる、完全に機能性または部分的に機能性のタンパク質の発現を修復するための、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを用いるゲノム編集を対象とする。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、標的とされるゲノム遺伝子座に部位特異的二本鎖切断を導入するために使用することができる。部位特異的二本鎖切断は、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムが、gRNAを使用して標的DNA配列に結合し、それによって標的DNAの切断が可能になる場合にもたらされる。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、その高速の成功裡かつ効率的な遺伝子改変のおかげで、ゲノム編集の進歩という利点を有する。このDNA切断は、天然のDNA修復機構を刺激し、可能性のある2つの修復経路:相同組換え修復(HDR)または非相同末端結合(NHEJ)経路のうちの1つをもたらすことができる。例えば、ジストロフィン遺伝子に誘導されるCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、配列番号36〜64、71〜119のいずれか1つの核酸配列、またはその相補体を有するCpf1 gRNAを含むことができる。

0121

本開示は、読み枠を効率的に修正し、かつ遺伝性疾患に関与する機能性タンパク質の発現を修復することができる、修復鋳型を伴わない、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを用いるゲノム編集を対象とする。開示されたCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムおよび方法は、相同組換え修復またはヌクレアーゼ介在性の非相同末端結合(NHEJ)に基づく修正手法(これらは、相同組換えまたは選択に基づく遺伝子修正を適用できない可能性がある、増殖が制限された初代細胞株における効率的な修正を可能にする)を使用することを含むことができる。この戦略は、活性なCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの迅速かつ頑強なアセンブリを、フレームシフト、未成熟終止コドン、異所性スプライス供与部位、または異所性スプライス受容部位をもたらす非必須コード領域の変異によって引き起こされる遺伝性疾患の治療のための効率的な遺伝子編集方法と統合する。

0122

本開示は、細胞における変異遺伝子を修正し、DMDなどの遺伝性疾患を患う対象を処置する方法を提供する。この方法は、上に記載した通りに、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム、前記CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードするポリヌクレオチドまたはベクター、または前記CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの組成物を、細胞または対象に投与することを含むことができる。この方法は、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを投与すること、例えば、Cpf1エンドヌクレアーゼ、前記Cpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列、および/または少なくとも1種のCpf1 gRNA(ここで、gRNAは、異なるDNA配列を標的にする)を投与することを含むことができる。これらの標的DNA配列は、オーバーラップしていることが可能である。細胞に投与されるgRNAの数は、上に記載した通りの、少なくとも1種のgRNA、少なくとも2種の異なるgRNA、少なくとも3種の異なるgRNA、少なくとも4種の異なるgRNA、少なくとも5種の異なるgRNA、少なくとも6種の異なるgRNA、少なくとも7種の異なるgRNA、少なくとも8種の異なるgRNA、少なくとも9種の異なるgRNA、少なくとも10種の異なるgRNA、少なくとも15種の異なるgRNA、少なくとも20種の異なるgRNA、少なくとも30種の異なるgRNA、または少なくとも50種の異なるgRNAであり得る。gRNAは、配列番号36〜64、71〜119のうちの少なくとも1つの核酸配列、またはその相補体を含むことができる。この方法は、相同組換え修復または非相同末端結合を含むことができる。

0123

9.疾患を処置する方法
本開示は、必要とする対象を処置する方法を対象とする。この方法は、上記で説明した本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を対象の組織に投与することを含む。特定の実施形態では、この方法は、上記で説明した本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を対象の骨格筋または心筋に投与することを含むことができる。特定の実施形態では、この方法は、上記で説明した本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を対象の静脈に投与することを含むことができる。特定の実施形態では、この対象は、変性または衰弱または遺伝性疾患を引き起こす骨格筋または心筋の状態に罹患している。例えば、この対象は、上記で説明したデュシェンヌ型筋ジストロフィーに罹患している。

0124

a.デュシェンヌ型筋ジストロフィー
上記で説明した方法を使用して、ジストロフィン遺伝子を修正して前記変異ジストロフィン遺伝子の完全に機能するまたは部分的に機能するタンパク質発現を回復させることができる。いくつかの態様および実施形態では、本開示は、患者におけるDMDの影響(例えば臨床症状/適応症)を低減する方法を提供する。いくつかの態様および実施形態では、本開示は、患者においてDMDを処置する方法を提供する。いくつかの態様および実施形態では、本開示は、患者においてDMDを予防する方法を提供する。いくつかの態様および実施形態では、本開示は、患者においてDMDのさらなる悪化を予防する方法を提供する。

0125

10.コンストラクトおよびプラスミド
上記で説明した組成物は、本明細書で開示したCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする遺伝子コンストラクトを含むことができる。この遺伝子コンストラクト(例えばプラスミド)は、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム(例えばCpf1エンドヌクレアーゼおよび/またはCpf1 gRNAのうちの少なくとも1つ)をコードする核酸を含むことができる。上記で説明した組成物は、改変AAVベクターをコードする遺伝子コンストラクトと、本明細書で開示したCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする核酸配列とを含むことができる。この遺伝子コンストラクト(例えばプラスミド)は、このCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする核酸を含むことができる。上記で説明した組成物は、本明細書で開示した改変レンチウイルスベクターをコードする遺伝子コンストラクトを含むことができる。

0126

いくつかの実施形態では、遺伝子コンストラクトは、少なくとも1種のCpf1 gRNAおよび/またはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、このプロモーターは、第1のCpf1 gRNA、第2のCpf1 gRNA、および/またはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。この遺伝子コンストラクトは、機能する染色体外分子として細胞中に存在することができる。この遺伝子コンストラクトは、線状ミニ染色体、例えばセントロメアテロメアまたはプラスミドまたはコスミドであることができる。

0127

遺伝子コンストラクトはまた、組換えレンチウイルス組換えアデノウイルス、および組換えアデノウイルス関連ウイルスを含めた、組換えウイルスベクターのゲノムの一部であり得る。遺伝子コンストラクトは、細胞内で生存する弱毒化した生きている微生物または組換え微生物ベクター中の遺伝材料の一部であり得る。遺伝子コンストラクトは、核酸のコード配列の遺伝子発現のための調節エレメントを含むことができる。調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、開始コドン、終止コドン、またはポリアデニル化シグナルであり得る。

0128

特定の実施形態では、この遺伝子コンストラクトは、ベクターである。このベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであってよく、これは、少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼおよび少なくとも1種のCpf1 gRNAをコードし;このベクターは、哺乳動物の細胞中で少なくとも1種のCpf1エンドヌクレアーゼおよび少なくとも1種のCpf1 gRNAを発現させることができる。このベクターは、プラスミドであってよい。このベクターは、インビボでの遺伝子治療に使用することができる。このベクターは、組換えであってもよい。このベクターは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする異種核酸を含んでもよい。このベクターは、プラスミドであってもよい。このベクターは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする核酸を細胞にトランスフェクトするのに有用なものであってもよく、形質転換された宿主細胞を、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの発現が起こる条件下で培養して維持する。

0129

コード配列は、安定性および高レベルの発現のために最適化することができる。ある場合では、コドンは、分子内結合が原因で形成されるものなどの、RNAの二次構造形成を低下させるように選択される。

0130

ベクターは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする異種の核酸を含むことができ、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムコード配列の上流であり得る開始コドン、およびCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムコード配列の下流であり得る終止コドンをさらに含むことができる。開始および停止コドンは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムコード配列と共に、フレーム内であり得る。ベクターはまた、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムコード配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むことができる。CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムコード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、サルウイルス40(SV40)由来のプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルスHIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、モロニ—ウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV最初期プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、U6プロモーター、例えばヒトU6プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトユビキチンC(hUbC)、ヒトアクチン、ヒトミオシンヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはヒトメタロチオネインなどの、ヒト遺伝子由来のプロモーターであり得る。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的なプロモーターなどの組織特異的プロモーターであり得る。そのようなプロモーターの例が米国特許出願公開第20040175727号明細書および同第20040192593号明細書で説明されており、これらの明細書の内容はその全体が本明細書に組み込まれる。筋肉特異的プロモーターの例として、Spc5−12プロモーター(米国特許出願公開第20040192593号明細書で説明されており、この明細書はその全体が参照により本明細書に組み込まれる;Hakim et al.Mol.Ther.MethodsClin.Dev.(2014)1:14002;およびLai et al.Hum Mol Genet.(2014)23(12):3189−3199)、MHCK7プロモーター(Salva et al.,Mol.Ther.(2007)15:320−329で説明されている)、CK8プロモーター(Park et al.PLoS ONE(2015)10(4):e0124914で説明されている)、ならびにCK8eプロモーター(Muir et al.,Mol.Ther.Methods Clin.Dev.(2014)1:14025で説明されている)が挙げられる。いくつかの実施形態では、gRNAおよび/またはCpf1エンドヌクレアーゼの発現がtRNAにより駆動される。

0131

Cpf1 gRNAおよび/またはCpf1エンドヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチド配列の各々はそれぞれ、プロモーターに作動可能に連結され得る。Cpf1 gRNAおよび/またはCpf1エンドヌクレアーゼに作動可能に連結されているプロモーターは同一のプロモーターであってもよい。Cpf1 gRNAおよび/またはCpf1エンドヌクレアーゼに作動可能に連結されているプロモーターは異なるプロモーターであってもよい。このプロモーターは、構成的プロモーター誘導性プロモーター抑制性プロモーターまたは調節性プロモーターであることができる。

0132

ベクターはまた、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムの下流であり得るポリアデニル化シグナルを含むことができる。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)由来のポリアデニル化シグナルであり得る。

0133

ベクターはまた、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システム、すなわち、Cpf1エンドヌクレアーゼコード配列、Cpf1 gRNAの、上流のエンハンサー、またはCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを含むことができる。エンハンサーは、DNA発現のために必須であり得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、またはウイルスエンハンサー、例えばCMV、HA、RSV、またはEBVに由来するものなどであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、それぞれの内容が参照によって完全に組み込まれる米国特許第5,593,972号明細書、米国特許第5,962,428号明細書、および国際公開第94/016737号パンフレットに記載されている。ベクターはまた、ベクターを染色体外に維持するために、哺乳類の複製開始点を含むことができ、細胞において、ベクターの複数のコピーを産生することができる。ベクターはまた、調節配列を含むことができ、調節配列は、ベクターが投与される哺乳類またはヒト細胞における遺伝子発現のために十分に適合させることができる。ベクターはまた、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)などのレポーター遺伝子および/またはハイグロマイシン(「Hygro」)などの選択可能マーカーを含むことができる。

0134

ベクターは、常用の技術、および容易に入手可能な出発材料によってタンパク質を産生するための、発現ベクターまたは系であり得る(参照によって完全に組み込まれる、Sambrook et al.,Molecular Cloning and Laboratory Manual,Second Ed.,Cold Spring Harbor(1989))。いくつかの実施形態では、このベクターは、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをコードする核酸配列を含むことができ、例えば、Cpf1エンドヌクレアーゼをコードする核酸配列、および配列番号36〜119のうちの少なくとも1つの核酸配列またはその相補体を含む少なくとも1種のCpf1 gRNAをコードする核酸配列を含むことができる。

0135

11.医薬組成物
本開示の主題は、上記で説明した遺伝子コンストラクトを含む組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物は、使用される投与様式に従って製剤化され得る。医薬組成物が注射用医薬組成物である場合、この医薬組成物は無菌であり、パイロジェンフリーであり且つ粒子状物質フリーである。等張性製剤が好ましくは使用される。一般に、等張性のための添加剤として、塩化ナトリウムデキストロースマンニトールソルビトールおよびラクトースを挙げることができる。場合によって、等張性溶液(例えばリン酸緩衝生理食塩水)が好ましい。安定剤としてゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、この製剤に血管収縮剤が添加される。

0136

前記組成物は、薬学的に許容し得る賦形剤をさらに含むことができる。薬学的に許容し得る賦形剤は、ビヒクルアジュバント担体、または希釈剤としての機能性分子であり得る。薬学的に許容し得る賦形剤は、遺伝子導入促進剤(これには界面活性剤が含まれ得る)、例えば免疫刺激複合体ISCOMS)、フロイント不完全アジュバントLPS類似体モノホスホリルリピドAを含めて)、ムラミルペプチドキノン類似体、ベシクル、例えばスクアレンおよびスクアレン、ヒアルロン酸、脂質、リポソームカルシウムイオンウイルスタンパク質ポリアニオンポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の公知の遺伝子導入促進剤であり得る。

0137

遺伝子導入促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ−L−グルタミン酸(LGS)を含めて)、または脂質である。遺伝子導入促進剤は、ポリ−L−グルタミン酸であり、より好ましくは、ポリ−L−グルタミン酸は、骨格筋中でのまたは心筋中でのゲノム編集のための組成物中に、6mg/ml未満の濃度で存在する。遺伝子導入促進剤はまた、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体(モノホスホリルリピドAを含めて)、ムラミルペプチド、キノン類似体、およびベシクル、例えばスクアレンおよびスクアレンを含むことができ、また、遺伝子コンストラクトと共に、ヒアルロン酸も使用することができる。いくつかの実施形態では、前記組成物をコードするDNAベクターはまた、遺伝子導入促進剤、例えば脂質、リポソーム(レシチンリポソーム、または、当技術分野で公知の他のリポソームを含めて)、DNA−リポソーム混合物としてのもの(例えば国際公開第09324640号パンフレット参照)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、またはナノ粒子、または他の公知の遺伝子導入促進剤を含むことができる。好ましくは、遺伝子導入促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ−L−グルタミン酸(LGS)を含めて)、または脂質である。

0138

12.送達の方法
本明細書で提供されるのは、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはその組成物を細胞に送達する方法である。この組成物の送達は、この細胞中で発現され且つこの細胞の表面に送達される核酸分子としてのこの組成物の遺伝子導入または電気穿孔であることができる。この核酸分子を、BioRad Gene Pulser XcellデバイスまたはAmaxa Nucleofector IIbデバイスを使用して電気穿孔することができる。BioRad電気穿孔溶液、Sigmaリン酸緩衝生理食塩水製品番号D8537(PBS)、Invitrogen OptiMEMI(OM)またはAmaxa Nucleofector溶液V(N.V.)等のいくつかの異なる緩衝液を使用することができる。遺伝子導入は、Lipofectamine 2000等の遺伝子導入試薬を含むことができる。

0139

本開示の遺伝子コンストラクトまたは組成物が組織に送達され、その結果として哺乳類の細胞中にベクターが送達されると、この遺伝子導入された細胞はCpf1 gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼを発現する。この遺伝子コンストラクトまたは組成物を哺乳類に投与して、遺伝子発現を変更することができる、またはゲノムを再編集するもしくは変更することができる。例えば、この遺伝子コンストラクトまたは組成物を哺乳類に投与して、哺乳類中でジストロフィン遺伝子を修正することができる。この哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソンスイギュウウシ科動物(bovid)、シカハリネズミゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラットまたはニワトリであり得、好ましくはヒト、ウシ、ブタまたはニワトリであり得る。

0140

Cpf1 gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子コンストラクト(例えばベクター)を、インビボでの電気穿孔を伴うおよび伴わないDNA注入DNAワクチン接種とも称される)、リポソーム介在、ナノ粒子促進、ならびに/または組換えベクターにより哺乳類に送達することができる。この組換えベクターを任意のウイルス型により送達することができる。このウイルス型は、組換えレンチウイルス、組換えアデノウイルスおよび/または組換えアデノ随伴ウイルスであることができる。

0141

本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を細胞に導入して、ジストロフィン遺伝子(例えばヒトジストロフィン遺伝子)を遺伝的に修正することができる。特定の実施形態では、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を、DMD患者由来の筋芽細胞に導入する。特定の実施形態では、遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物をDMD患者由来の繊維芽細胞に導入し、遺伝的に修正された繊維芽細胞をMyoDで処理して筋芽細胞への分化を誘導し得、この筋芽細胞を対象(例えば、対象の損傷を受けた筋肉)に移植して、修正されたジストロフィンタンパク質が機能することを検証し得る、および/または対象を処置し得る。この改変された細胞は、幹細胞(例えば、誘導された多能性幹細胞)、骨髄由来前駆細胞骨格筋前駆細胞、DMD患者由来のヒト骨格筋芽細胞、CD133+細胞、中胚葉性血管芽細胞(mesoangioblast)、およびMyoD形導入細胞もしくはPax7形質導入細胞、または他の筋原性前駆細胞であることもできる。例えば、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムは、誘導された多能性幹細胞のニューロン分化または筋原性分化を引き起こすことができる。

0142

13.投与の経路
本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を、様々な経路(例えば、経口、非経口下、経皮直腸内、経粘膜、局所、吸入を介して、頬側投与を介して、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、および関節内、またはこれらの組み合わせ)により対象に投与することができる。特定の実施形態では、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)または組成物を、対象(例えばDMDを罹患している対象)に筋肉内投与する、静脈内投与する、またはこれらの組み合わせで投与する。獣医学的使用の場合、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)または組成物を、通常の獣医学診療に従って、適切に許容される製剤として投与することができる。獣医師は、ある特定の動物にとって最も適している投薬レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。この組成物を、従来のシリンジ無針注射装置、「微粒子銃(microprojectile bombardment gone gun)」、または他の物理的方法(例えば電気穿孔(「EP」)、「水力学的方法」または超音波)により投与することができる。

0143

本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)または組成物を、いくつかの技術(例えば、インビボでの電気穿孔を伴うおよび伴わないDNA注入(DNAワクチン接種とも称される)、リポソーム介在、ナノ粒子促進、組換えベクター(例えば組換えレンチウイルス、組換えアデノウイルスおよび組換えアデノウイルス関連ウイルス))により哺乳類に送達することができる。この組成物を骨格筋または心筋に注射することができる。例えば、この組成物は、前脛骨筋または尾に注射することができる。

0144

いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物を、1)成体マウスへの尾静脈注射(全身)により、2)筋肉内注射により、例えば、成体マウスにおける筋肉(例えばTAまたは腓腹筋)への局所注射により、3)P2マウスへの腹腔内注射により、または4)P2マウスへの顔面静脈注射(全身)により投与する。

0145

14.細胞型
これらの送達方法および/または送達の経路のいずれかを無数の細胞型(例えば、DMDの細胞に基づく治療用に現在研究中の細胞型)と共に利用することができ、この細胞型として以下が挙げられるがこれらに限定されない:不死化筋芽細胞、例えば野生型およびDMD患者由来の株、例えばΔ48−50 DMD、DMD6594(del48−50)、DMD8036(del48−50)、C25C14およびDMD−7796細胞株原発性DMD皮膚線維芽細胞、誘導された多能性幹細胞、骨髄由来前駆細胞、骨格筋前駆細胞、DMD患者由来のヒト骨格筋芽細胞、CD133+細胞、中胚葉性血管芽細胞、心筋細胞、肝細胞軟骨細胞間葉系前駆細胞造血性幹細胞、平滑筋細胞、およびMyoD形質導入細胞もしくはPax7形質導入細胞、または他の筋原性前駆細胞。ヒト筋原性細胞の不死化を使用して、遺伝的に修正された筋原性細胞のクローンを誘導することができる。細胞をエクスビボで改変して、遺伝的に修正されたジストロフィン遺伝子を含み且つゲノムのタンパク質コード領域中に他のヌクレアーゼ導入変異がない不死化DMD筋芽細胞のクローン集団を単離して増殖させることができる。あるいは、非ウイルスまたは非組込みウイルスの遺伝子導入によるまたは精製タンパク質および細胞浸透モチーフを含むgRNAの直接送達によるCRISPR/Cpf1に基づくシステムのインビボでの一時的な送達により、外因性DNA組込みのリスク最低限なまたはないインサイチュでの高度に特異的な修正が可能になり得る。

0146

15.キット
本明細書で提供されるのは、変異ジストロフィン遺伝子を修正するのに使用され得るキットである。このキットは、変異ジストロフィン遺伝子の修正用のCpf1 gRNAと、CRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムを使用するための説明書とを少なくとも含む。また、本明細書で提供されるのは、骨格筋中でのまたは心筋中でのジストロフィン遺伝子のゲノム編集に使用され得るキットでもある。このキットは、上記で説明した骨格筋中でのまたは心筋中でのゲノム編集用の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物と、前記組成物を使用するための説明書とを含む。

0147

キットに含まれる説明書は、包装材料に貼り付けることもできるし、パッケージ挿入物として含めることもできる。説明書は、一般的に、書面のまたは印刷された素材であるが、これに限定されない。こうした説明書を保管する、また、これらをエンドユーザーに伝えることが可能なあらゆる媒体が、本開示によって企図される。こうした媒体としては、限定はされないが、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスクテープカートリッジチップ)、光学媒体(例えばCD ROM)などが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「説明書」は、説明書を提供するインターネットサイトアドレスを含むことができる。

0148

骨格筋中でのまたは心筋中での変異ジストロフィンの修正用のまたはジストロフィン遺伝子のゲノム編集用の遺伝子コンストラクト(例えばベクター)またはこの遺伝子コンストラクトを含む組成物は、ジストロフィン遺伝子のある領域に特異的に結合して切断する、上記で説明したCpf1 gRNAおよびCpf1エンドヌクレアーゼを含む改変ベクターを含むことができる。変異ジストロフィン遺伝子中の特定の領域に特異的に結合してこの領域を標的とするために、上記で説明したCRISPR/Cpf1に基づく遺伝子編集システムをキットに含めることができる。このキットは、上記で説明したドナーDNA、別のgRNAまたは導入遺伝子をさらに含むことができる。

0149

キットは、さらに、任意選択で、開示される組成物の使用、または品質管理評価の促進に必要な試薬、例えば、標準バッファー、希釈剤、塩、酵素、酵素補因子基質検出試薬などの1種または複数種の構成要素を含んでもよい。細胞の単離および/または処理のためのバッファーおよび溶液などの他の構成要素をキットに含めることができる。キットはさらに1つまたは複数の制御を含めることができる。キットの1種または複数種の構成要素を凍結乾燥させることができ、その場合、キットは、凍結乾燥成分の再構成に好適な試薬をさらに含み得る。

0150

16.実施例
本明細書で説明された本開示の方法の他の適切な改変および適応が容易に適用可能であり且つ認識可能であり、ならびに本開示または本明細書で開示された態様および実施形態の範囲から逸脱することなく適切な等価物を使用して行なわれ得ることが当業者に容易に明らかであるだろう。これまで本開示を詳細に説明したが、以下の実施例を参照することにより本開示がより明確に理解されるだろう。この実施例は、本開示のいくつかの態様および実施形態を説明することのみを単に意図しており、本開示の範囲を限定するとみなすべきではない。本明細書で言及される全ての学術誌参考文献、米国特許および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0151

本発明は複数の態様を有し、以下の非限定的な実施例により説明される。

0152

実施例1
ガイドRNA設計および材料調製
アシダミノコッカス属(Acidaminococcus)由来のCpf1は、Addgene非営利プラスミド保管センターから取得した(Feng ZhangからのpY010(pcDNA3.1−hAsCpf1;「AsCPF1プラスミド」)(Addgeneプラスミド♯69982))。AsCPF1プラスミドをケミカルコンピテント大腸菌(E.coli)中に形質転換し、増幅した後、配列を確認した。Cpf1ガイドRNA(Cpf1 crRNAとしても知られる)は、カリフォルニア大学サンクルーズ校ゲノムブラウザ(University of California Santa Cruz Genome Browser)プログラムを用いて、ジストロフィンにおいて優勢なエクソン変異上のスプライス部位およびBCL11aのエンハンサーを標的とするように設計し、Integrated DNA Technologies(IDT)からオリゴマーとして注文し、PCRで調製した後、以前記載されているように(Zetsche et al.,Cell 163(3):759−71(2015))カラム精製した。

0153

ガイドRNAの確認。製造者推奨事項に従い、24ウェルプレート内でリポフェクタミン(Lipofectamine)2000を用いてHEK293細胞(ATCC)のトランスフェクションを実施した。各ウェルは、400ngのAsCPF1プラスミドと100ngのU6::sgRNAPCR産物を受けた。72時間後、細胞を単離し、ゲノムDNAをDNeasyカラム(QIAGEN)で精製した。以前記載されているように(Ousterout et al.,Nature Communications 6:6244(2015);Guschin et al.,MethodsMol.Biol.649:247−256(2010))、目的のゲノム領域に隣接するプライマーを用いて、サーベイヤー(Surveyor)ヌクレアーゼ消化(IDT)および欠失PCRを実施した。消化されたPCR産物をTBEゲル(Invitrogen)中に30分間200Vで電気泳動させ、臭化エチジウム(EtBr)で染色してから、Gel Doc(商標)(Biorad)上にイメージングした。欠失PCR産物を1%アガロースゲル中に30分間120Vで電気泳動させ、EtBrで染色してから、Gel Doc(商標)(Biorad)上にイメージングした。

0154

実施例2
ジストロフィンスプライス受容体ガイドRNA
スプライス受容体に可能な限り近接した切断領域を標的とすることにより、最上位の高度変異ジストロフィンエクソンを標的とする15のガイドRNAを設計したが、これは、利用可能なPAMの存在によって達成された(表1)。可能であれば、複数のガイドRNAが同じスプライス受容体を標的にするようにした。候補ガイドRNAをインビトロでスクリーニングした。直ちに陽性結果を示したガイドRNAには、エクソン44、エクソン46、エクソン51を標的とするものが含まれる(図2A〜2C)。サーベイヤーヌクレアーゼ消化が、エクソン44スプライス受容体(図2A)、エクソン46スプライス受容体(図2B)、およびエクソン51の3’末端(図2C)を標的とするガイドRNAにおいて検出された。図2Dは、エクソン51のスプライス受容体およびエクソン51の3’末端を標的とするガイドRNAを用いて、遺伝子欠失を引き起こし得ることを明らかにし、これは、エクソン51を標的とするガイドRNAの活性を示している。

0155

表1は、ジストロフィンエクソンを標的とするガイドRNAの設計を示す。PAM配列(TTTN)を下線で示す。センスガイドRNAは、5’末端にTTTNを有する。アンチセンス鎖のガイドRNAは、3’末端にNAAA PAMを有する。

0156

0157

実施例3
エクソン51の適合オーバーハング欠失
適合オーバーハング配列を有するガイドRNAが、シームレス欠失を促進するか否かを決定するために、6つのガイドRNAをイントロン50内で設計し、7つのガイドRNAをイントロン51内で設計する(表2)ことにより、適合オーバーハング欠失を生じさせた。42のユニークなgRNA対(6×7)を、欠失活性、即ち、エクソン51欠失のターゲティングについて試験およびスクリーニングした。このセットには、3つのオーバーハング適合対が含まれた(表2を参照)。7つの対が活性について確認された。図3は、エクソン51の欠失を示す、より小さなバンドを示す代表的な画像である。これらの結果は、ジストロフィン遺伝子の最初のCpf1標的スプライス受容体破壊およびエクソン51の欠失を証明するものである。

0158

0159

実施例4
患者由来の筋芽細胞におけるエクソン51の標的欠失
エクソン48〜50が欠失した(Δ48〜50)患者由来の筋芽細胞を骨格筋増幅培地中に培養した。標準的実験室手順に従って電気穿孔を実施した。細胞を3日間培養し、患者由来筋芽細胞におけるタンパク質発現(図4)およびSaCas9(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9)またはLbCpf1(ラクノスピラセ・バクテリウム(Lachnospiraceae bacterium)ND2006由来のCPF1)により引き起こされたゲノム欠失(図5)について評価した。図4は、HA標識SaCas9およびLbCpf1のウエスタンブロットが、プラスミドトランスフェクションから72時間後に、抽出タンパク質に発現を示すことを証明する。図5は、標的ゲノム領域にわたるPCRが、SaCas9 gRNAまたはCpf1 crRNAによるバルク処理筋芽細胞において、より小さいバンドを示すことを証明し、これは、エクソン51および周辺イントロン部分の除去と一致する。

0160

次に、筋芽細胞を分化させた後、ジストロフィン転写物発現およびエクソン51の欠失について評価した(図6)。図6は、RT−PCRによって生じた小さいバンドにより示されるように、分化した筋芽細胞が、エクソン51の存在しないジストロフィン転写物を発現したことを証明し、従って、エクソン51を標的とするSaCas9またはLbCpf1が、転写物からエクソン51エクソンを除去したことを示している。

0161

Cpf1 crRNAの大きな集団をHEK293細胞において評価した(図7;Cpf1 crRNA配列については表3を参照)。使用したエクソン51または周辺イントロンを標的とするCpf1 crRNAをすべて表3に列挙する。図7に示すように、crRNAの集団で3日間処理したHEK293細胞は、Surveyor(登録商標)ヌクレアーゼアッセイにより、まちまちの活性を示した。Cpf1 crRNA#38、41、42、43、45、46、47、49、54、55、56、59、63、64、および65は、短いバンドにより示される最も高い活性を示した。

0162

0163

実施例5
BCL11aエンハンサー標的化
鎌状細胞貧血(SCA)における胎児グロビンレベルを増加する有力な候補を設計した。鎌状細胞貧血(SCA)における胎児グロビンレベルを増加する有力な候補を生成する目的で、BCL11aエンハンサー領域(表3)を標的とするように、Cpf1のガイドRNAを設計した。これらの試薬は、BCL11aエンハンサーを破壊するように設計した。これらの試薬はSCA細胞モデルで試験する。

0164

0165

前述の詳細な説明および付随する実施例は、単に実例に過ぎず、本発明の範囲への制限と受け取るべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ定義されることが理解されよう。

0166

開示された実施形態に対する様々な変更および改変は、当業者には明らかであろう。限定はされないが、本発明の化学構造置換基誘導体中間体合成物、組成物、製剤、または使用の方法に関するものを含めた、こうした変更および改変を、その趣旨および範囲から逸脱せずに行うことができる。

0167

完全性の理由から、本発明の種々の態様を、次の番号付けした条項提示する。

0168

第1項.ジストロフィン遺伝子を標的とし、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含むCpf1ガイドRNA(gRNA)。

0169

第2項.Cpf1エンドヌクレアーゼと、第1項に記載の少なくとも1種のCpf1 gRNAとを含むDNAターゲティング組成物。

0170

第3項.第1のCpf1 gRNAと第2のCpf1 gRNAとを含むDNAターゲティング組成物であって、前記第1のCpf1 gRNAおよび前記第2のCpf1 gRNAは各々が、配列番号36〜64、71〜119の少なくとも1つに対応するポリヌクレオチド配列、またはその相補体を含み、ここで、前記第1のCpf1 gRNAおよび前記第2のCpf1 gRNAは、異なるポリヌクレオチド配列を含み、前記第1のCpf1 gRNAおよび前記第2のCpf1 gRNAが、ジストロフィン遺伝子を標的とする、DNAターゲティング組成物。

0171

第4項.前記第1のCpf1 gRNAが、配列番号54、配列番号55、または配列番号56に対応するポリヌクレオチド配列を含み、且つ前記第2のCpf1 gRNAが、配列番号62、配列番号63、または配列番号61に対応するポリヌクレオチド配列を含む、第3項に記載のDNAターゲティング組成物。

0172

第5項.前記第1のCpf1 gRNAおよび前記第2のCpf1 gRNAが、(i)配列番号54に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号62に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNA;(ii)配列番号55に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号63に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNA;ならびに(iii)配列番号56に記載のポリヌクレオチド配列を含む第1のCpf1 gRNA、および配列番号61に記載のポリヌクレオチド配列を含む第2のCpf1 gRNAからなる群から選択される、第3項または第4項に記載のDNAターゲティング組成物。

0173

第6項.Cpf1エンドヌクレアーゼをさらに含む、第3〜5項のいずれか一項に記載のDNAターゲティング組成物。

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