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技術 前駆細胞を用いた網膜血管疾患の治療

出願人 ヤンセンバイオテツク,インコーポレーテツド
発明者 ハリス,イアンデネカ,ナディーンソフィア
出願日 2017年6月28日 (2年10ヶ月経過) 出願番号 2018-568884
公開日 2019年9月5日 (7ヶ月経過) 公開番号 2019-524688
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 発泡体ディスク 複合材料構造体 現行標準 同時最適化 準拠性 標準大気 処理アーム 応答曲面法
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重要な関連分野

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図面 (17)

課題・解決手段

分娩後由来細胞などの前駆細胞及びこれらの細胞から調製された馴化培地を用いて眼疾患治療し、網膜血管新生及び網膜血管漏出を低減するための方法及び組成物が開示される。

概要

背景

身体の複雑かつ繊細な器官として、眼は、多数の疾患、及び身体が正常に機能する能力に影響を及ぼす他の有害な状態を経験し得る。これらの状態の多くが、特定の眼細胞、及びこれらの細胞から構成される組織の損傷又は変性を伴う。一例として、視神経及び網膜の疾患及び変性状態は、全世界における失明の主な原因である。角膜水晶体、及び付随する眼組織の損傷又は変性は、全世界における失明の別の大きな原因を占める。

網膜は、光信号神経信号に変換する、7層の交互になる細胞及び突起を含む。網膜視細胞及び隣接する網膜色素上皮(RPE)は、多くの障害において、遺伝変種又は環境条件加齢を含む)のために不均衡となる機能単位を形成している。これは、アポトーシス又は二次的変性による視細胞喪失をもたらし、これが進行性視力悪化、及び場合によっては、失明をもたらす(概説については、例えば、Lund,R.D.ら、Progress in Retinal and Eye Research,2001;20:415〜449を参照されたい)。このパターンに該当する眼の障害の2つの部類は、加齢性黄斑変性(AMD)、及び網膜色素変性(RP)である。

AMDは、米国の50以上の人口における最も一般的な視力喪失の原因であり、その有病率年齢と共に増加する。AMDの一次的障害は、RPEの機能障害及びブルッフ膜内の変化が原因であると考えられ、とりわけ、脂質沈着タンパク質架橋、及び養分透過性の減少によって特徴付けられる(上記のLundら(2001)を参照されたい)。黄斑変性症には、遺伝子構造、加齢、栄養、喫煙、及び太陽光への暴露を含む様々な要素が寄与する場合がある。AMDの非滲出性、即ち「乾燥」形態は、AMDの事例の90%を占め、その他の10%は、滲出性新生血管形態(「湿潤型」AMD)である。乾燥型AMDの患者においては、網膜色素上皮(RPE)の段階的な消失が起こり、限局性萎縮領域をもたらす。RPEの消失に続いて視細胞の喪失が起こるため、影響を受けた網膜領域視覚機能をほとんど又は全く有しない。

AMDの現行の療法は、例えばレーザー療法及び薬学インターベンションなどの処置を伴う。熱エネルギー移送することによって、レーザービームは、黄斑下の漏孔のある血管を破壊して、視力喪失の速度を低下させる。レーザー療法の欠点は、ビームによって送達される高い熱エネルギーが、隣接する健康な組織も破壊してしまうことである。Neuroscience第4版(Purves,Dら(2008))には、「現在、乾燥型AMDに対する治療法は存在しない」と記載されている。

それほど一般的ではないが、なおかつ消耗性の他の網膜症は、視力喪失及び失明をもたらす進行性の細胞変性を更に伴い得る。これらとしては、例えば、糖尿病性網膜症、及び脈絡膜新生血管膜(CNVM)が挙げられる。糖尿病性網膜症は、1型及び2型糖尿病の主要な合併症であり、10年間の糖尿病の後では大部分の患者で認められ、正常と比べて失明のリスクを25倍に上昇させる。臨床的例証可能な網膜症の自然歴については細かく記載されており、血管の閉塞毛細血管微細動脈瘤の形成、過剰な血管の透過性、新たな血管及び線維組織の増殖、並びに線維性血管増殖収縮の重要な段階が特定されている。

細胞及び組織の修復及び再生のための幹細胞療法出現は、上記の数多くの細胞変性病態及びその他の網膜状態に対する有望な治療を提供する。幹細胞は、自己複製及び分化して多種多様成熟細胞系統を発生させる能力を有する。こうした細胞の移植は、標的組織再構成することによって、生理学的及び解剖学的機能を修復するための臨床的手段として用いられ得る。幹細胞技術の適用は広範にわたり、組織工学遺伝子治療の送達、及び細胞治療(即ち、生物学的薬剤を生成するか、又はそれらの薬剤を含む、生細胞又は細胞成分を体外から供給することによって、標的部位にそのような生物学的薬剤を送達すること)を含む。(概説については、Tresco,P.A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews,2000,42:2〜37を参照されたい)。

分娩後由来細胞網膜変性を改善することが示されている(米国特許出願公開第2010/0272803号)。英国外医師会(RCS)ラットは、チロシン受容体キナーゼ(Mertk)が欠損して、外節食作用に影響を及ぼし、視細胞の細胞死をもたらすことを示す。(Feng W.ら、J Biol Chem.,2002,10:277(19):17016〜17022)。RCSラットの網膜下腔に網膜色素上皮(RPE)細胞を移植することで、視細胞の喪失の進行を制限して、視覚機能を維持することが判明した。分娩後由来細胞を用いて、RCSモデルの視細胞のレスキューを促進して、視細胞を保存し得ることも実証されている。(米国特許出願公開第2010/0272803号)。ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)をRCSラットの眼に網膜下注入することで、視力が向上し、網膜変性が改善された。更に、hUTC由来馴化培地(CM)を用いた治療によって、インビトロでジストロフィRPE細胞におけるROSの食作用が回復した。(米国特許出願公開第2010/0272803号)。視力を改善するためのhUTCの利用について、本明細書で更に実証する。

概要

分娩後由来細胞などの前駆細胞及びこれらの細胞から調製された馴化培地を用いて眼疾患を治療し、網膜血管新生及び網膜血管漏出を低減するための方法及び組成物が開示される。

目的

本発明は、臍帯組織由来細胞胎盤組織由来細胞、及びこれらの細胞から調製された馴化培地などの前駆細胞を用いた、眼球細胞及び組織の再生又は修復のための方法及び組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

網膜症における網膜血管新生阻害又は低減するのに使用される組成物であって、ヒト臍帯組織由来細胞均質集団を含み、該細胞集団は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離され、培養下で自己複製及び増殖することが可能であり、CD13、CD90及びHLA−ABCを発現し、CD31、CD34、CD45及びCD117を発現しない、前記組成物。

請求項2

前記網膜症が糖尿病性網膜症である、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記細胞集団が、以下のa)培養下で40回集団倍加する能力、b)CD10、CD44、及びCD73を発現する、及び、c)CD141を発現しない、との特性を更に有する、請求項1に記載の組成物。

請求項4

前記細胞集団は、線維芽細胞間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8及びレチクロン1をコードする遺伝子の発現が増大している、請求項1に記載の組成物。

請求項5

前記細胞集団が、1,000〜20,000個の細胞である、請求項1に記載の組成物。

請求項6

前記細胞集団が、4,000〜20,000個の細胞である、請求項1に記載の組成物。

請求項7

前記細胞集団が、1,000〜4,000個の細胞である、請求項1に記載の組成物。

請求項8

網膜症における血管漏出を阻害又は低減するのに使用される組成物であって、ヒト臍帯組織由来細胞の均質な集団を含み、該細胞集団は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離され、培養下で自己複製及び増殖することが可能であり、CD13、CD90及びHLA−ABCを発現し、CD31、CD34、CD45及びCD117を発現しない、前記組成物。

請求項9

前記網膜症が糖尿病性網膜症である、請求項9に記載の組成物。

請求項10

前記細胞集団が、以下のa)培養下で40回集団倍加する能力、b)CD10、CD44、及びCD73を発現する、及び、c)CD141を発現しない、との特性を更に有する、請求項9に記載の組成物。

請求項11

前記細胞集団は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8及びレチクロン1をコードする遺伝子の発現が増大している、請求項9に記載の組成物。

請求項12

前記細胞集団が、1,000,000〜30,000,000個の細胞である、請求項9に記載の組成物。

請求項13

前記細胞集団が、3×107個の細胞である、請求項1に記載の組成物。

請求項14

前記組成物が医薬組成物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。

請求項15

前記医薬組成物が医薬担体を含む、請求項14に記載の組成物。

請求項16

網膜症における網膜血管新生を阻害又は低減するのに使用される分娩後由来細胞の集団であって、ヒト臍帯組織由来細胞の均質な集団を含み、該細胞集団は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離され、培養下で自己複製及び増殖することが可能であり、CD13、CD90及びHLA−ABCを発現し、CD31、CD34、CD45及びCD117を発現しない、前記細胞集団。

請求項17

網膜症における血管漏出を阻害又は低減するのに使用される分娩後由来細胞の集団であって、ヒト臍帯組織由来細胞の均質な集団を含み、該細胞集団は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離され、培養下で自己複製及び増殖することが可能であり、CD13、CD90及びHLA−ABCを発現し、CD31、CD34、CD45及びCD117を発現しない、前記細胞集団。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月5日出願の米国特許仮出願第62/358,389号に基づく利益を主張するものであり、当該出願の全容が参照により本明細書に組み込まれる。

0002

(発明の分野)
本発明は、眼科的疾患及び障害、特に、網膜変性症などの眼症状に対する細胞療法又は再生療法の分野に関する。本発明は、臍帯組織由来細胞胎盤組織由来細胞、及びこれらの細胞から調製された馴化培地などの前駆細胞を用いた、眼球細胞及び組織の再生又は修復のための方法及び組成物を提供する。

背景技術

0003

身体の複雑かつ繊細な器官として、眼は、多数の疾患、及び身体が正常に機能する能力に影響を及ぼす他の有害な状態を経験し得る。これらの状態の多くが、特定の眼細胞、及びこれらの細胞から構成される組織の損傷又は変性を伴う。一例として、視神経及び網膜の疾患及び変性状態は、全世界における失明の主な原因である。角膜水晶体、及び付随する眼組織の損傷又は変性は、全世界における失明の別の大きな原因を占める。

0004

網膜は、光信号神経信号に変換する、7層の交互になる細胞及び突起を含む。網膜視細胞及び隣接する網膜色素上皮(RPE)は、多くの障害において、遺伝変種又は環境条件加齢を含む)のために不均衡となる機能単位を形成している。これは、アポトーシス又は二次的変性による視細胞喪失をもたらし、これが進行性視力悪化、及び場合によっては、失明をもたらす(概説については、例えば、Lund,R.D.ら、Progress in Retinal and Eye Research,2001;20:415〜449を参照されたい)。このパターンに該当する眼の障害の2つの部類は、加齢性黄斑変性(AMD)、及び網膜色素変性(RP)である。

0005

AMDは、米国の50以上の人口における最も一般的な視力喪失の原因であり、その有病率年齢と共に増加する。AMDの一次的障害は、RPEの機能障害及びブルッフ膜内の変化が原因であると考えられ、とりわけ、脂質沈着タンパク質架橋、及び養分透過性の減少によって特徴付けられる(上記のLundら(2001)を参照されたい)。黄斑変性症には、遺伝子構造、加齢、栄養、喫煙、及び太陽光への暴露を含む様々な要素が寄与する場合がある。AMDの非滲出性、即ち「乾燥」形態は、AMDの事例の90%を占め、その他の10%は、滲出性新生血管形態(「湿潤型」AMD)である。乾燥型AMDの患者においては、網膜色素上皮(RPE)の段階的な消失が起こり、限局性萎縮領域をもたらす。RPEの消失に続いて視細胞の喪失が起こるため、影響を受けた網膜領域視覚機能をほとんど又は全く有しない。

0006

AMDの現行の療法は、例えばレーザー療法及び薬学インターベンションなどの処置を伴う。熱エネルギー移送することによって、レーザービームは、黄斑下の漏孔のある血管を破壊して、視力喪失の速度を低下させる。レーザー療法の欠点は、ビームによって送達される高い熱エネルギーが、隣接する健康な組織も破壊してしまうことである。Neuroscience第4版(Purves,Dら(2008))には、「現在、乾燥型AMDに対する治療法は存在しない」と記載されている。

0007

それほど一般的ではないが、なおかつ消耗性の他の網膜症は、視力喪失及び失明をもたらす進行性の細胞変性を更に伴い得る。これらとしては、例えば、糖尿病性網膜症、及び脈絡膜新生血管膜(CNVM)が挙げられる。糖尿病性網膜症は、1型及び2型糖尿病の主要な合併症であり、10年間の糖尿病の後では大部分の患者で認められ、正常と比べて失明のリスクを25倍に上昇させる。臨床的例証可能な網膜症の自然歴については細かく記載されており、血管の閉塞毛細血管微細動脈瘤の形成、過剰な血管の透過性、新たな血管及び線維組織の増殖、並びに線維性血管増殖収縮の重要な段階が特定されている。

0008

細胞及び組織の修復及び再生のための幹細胞療法出現は、上記の数多くの細胞変性病態及びその他の網膜状態に対する有望な治療を提供する。幹細胞は、自己複製及び分化して多種多様成熟細胞系統を発生させる能力を有する。こうした細胞の移植は、標的組織再構成することによって、生理学的及び解剖学的機能を修復するための臨床的手段として用いられ得る。幹細胞技術の適用は広範にわたり、組織工学遺伝子治療の送達、及び細胞治療(即ち、生物学的薬剤を生成するか、又はそれらの薬剤を含む、生細胞又は細胞成分を体外から供給することによって、標的部位にそのような生物学的薬剤を送達すること)を含む。(概説については、Tresco,P.A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews,2000,42:2〜37を参照されたい)。

0009

分娩後由来細胞網膜変性を改善することが示されている(米国特許出願公開第2010/0272803号)。英国外医師会(RCS)ラットは、チロシン受容体キナーゼ(Mertk)が欠損して、外節食作用に影響を及ぼし、視細胞の細胞死をもたらすことを示す。(Feng W.ら、J Biol Chem.,2002,10:277(19):17016〜17022)。RCSラットの網膜下腔に網膜色素上皮(RPE)細胞を移植することで、視細胞の喪失の進行を制限して、視覚機能を維持することが判明した。分娩後由来細胞を用いて、RCSモデルの視細胞のレスキューを促進して、視細胞を保存し得ることも実証されている。(米国特許出願公開第2010/0272803号)。ヒト臍帯組織由来細胞(hUTC)をRCSラットの眼に網膜下注入することで、視力が向上し、網膜変性が改善された。更に、hUTC由来の馴化培地(CM)を用いた治療によって、インビトロでジストロフィRPE細胞におけるROSの食作用が回復した。(米国特許出願公開第2010/0272803号)。視力を改善するためのhUTCの利用について、本明細書で更に実証する。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、眼疾患及び障害に対する細胞療法又は再生療法に適用可能な組成物又は方法を提供する。詳細には、本発明は、分娩後由来細胞などの前駆細胞及びこれらの細胞から生成された馴化培地を用いた、眼球細胞及び組織の再生又は修復を含む、眼疾患又は状態を治療するための方法並びに医薬組成物を含む組成物を特徴とする。分娩後由来細胞は、臍帯組織由来細胞(UTC)、又は胎盤組織由来細胞(PDC)であり得る。

0011

本発明の一態様は、網膜血管新生阻害又は低減することにより網膜症などの眼疾患を治療する方法であって、対象の眼に、前駆細胞の集団若しくは前駆細胞の集団から調製された馴化培地、又は前駆細胞の集団若しくは前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む組成物を投与することを含む、方法である。本発明の特定の実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。本発明の実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。

0012

本発明の更なる一態様は、網膜症における網膜血管新生を阻害又は低減するための方法であって、対象の眼に、前駆細胞の集団若しくは前駆細胞の集団から調製された馴化培地、又は前駆細胞の集団若しくは前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む組成物を、網膜血管新生を阻害又は低減するうえで有効な量で投与することを含む、方法である。本発明の特定の実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。本発明の実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。

0013

上記の実施形態では、眼への投与は、眼の内部への投与である。上記実施形態では、細胞は、硝子体内注射又は網膜下注射のような注射により投与される。実施形態では、細胞集団は、約1,000〜約20,000個の細胞で投与される。特定の実施形態では、細胞集団は、約4,000〜約20,000個の細胞の硝子体内注射により投与される。いくつかの実施形態では、細胞集団は、約1,000〜約4,000個の細胞の網膜下注射により投与される。特定の実施形態では、約4,000個の細胞が投与される。

0014

本発明の別の態様は、網膜症における血管漏出を阻害又は低減する方法であって、前駆細胞の集団若しくは前駆細胞の集団から調製された馴化培地を、対象の眼に、血管漏出を阻害又は低減するうえで有効な量で投与することを含む、方法である。特定の実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。実施形態において、細胞は眼の内部に投与される。いくつかの実施形態では、細胞集団は、硝子体内注射又は網膜下注射のような注射により投与される。いくつかの実施形態では、細胞集団は約100万〜約3000万個の細胞、詳細には約200万〜約3000万個の細胞、より詳細には約1000万〜約3000万個の細胞で投与される。特定の実施形態では、細胞集団は、約3000万個の細胞の網膜下注射により投与される。

0015

本発明の更なる態様は、網膜血管新生を阻害又は低減することにより網膜症などの眼疾患の治療に使用するための組成物であって、前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む、組成物である。実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。本発明の実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。実施形態では、細胞集団は約1,000〜約20,000個の細胞、詳細には約4,000〜約20,000個の細胞を有する。特定の実施形態では、細胞集団は、約4,000個の細胞である。

0016

別の実施形態は、前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む、網膜症における網膜血管新生を阻害又は低減する方法において使用するための組成物である。実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。実施形態では、細胞集団は約1,000〜約20,000個の細胞、詳細には約4,000〜約20,000個の細胞を有する。特定の実施形態では、細胞集団は、約4,000個の細胞である。

0017

更に別の実施形態は、前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む、血管漏出を阻害又は低減するのに使用される組成物である。上記実施形態では、組成物は、血管漏出を阻害又は低減するうえで有効である。実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。実施形態では、細胞集団は約100万〜約3000万個の細胞、詳細には約200万〜約3000万個の細胞、より詳細には約1000万〜約3000万個の細胞を有する。特定の実施形態では、細胞集団は、約3000万個の細胞の網膜下注射により投与される。

0018

他の実施形態は、網膜症の治療に使用するための前駆細胞の集団に関する。一実施形態は、網膜血管新生を阻害又は低減するのに使用される前駆細胞の集団である。別の実施形態は、血管漏出を阻害又は低減するのに使用される前駆細胞の集団である。更なる実施形態は、網膜血管新生を阻害又は低減することにより網膜症を治療するための前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団を含む組成物の使用、網膜症における網膜血管新生を阻害又は低減するための前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団を含む組成物の使用、及び、血管漏出を阻害又は低減するための前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団を含む組成物の使用を含む。上記実施形態では、組成物は、前駆細胞の集団又は前駆細胞の集団から調製された馴化培地を含む。実施形態では、前駆細胞は分娩後由来細胞である。実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から単離される。上記実施形態では、組成物又は細胞集団は、硝子体内注射又は網膜下注射のような注射により対象の眼に投与される。実施形態では、細胞集団は、約1,000個〜約3000万個の細胞である。特定の実施形態では、組成物又は細胞集団は硝子体内注射によって投与され、細胞集団は約4,000個〜約20,000個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、組成物又は細胞集団は網膜下注射によって投与され、細胞集団は約1,000個〜約4,000個の細胞を含む。特定の実施形態では、細胞集団は、約4,000個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞集団は約100万〜約3000万個の細胞、詳細には約200万〜約3000万個の細胞、より詳細には約1000万〜約3000万個の細胞を含む。特定の実施形態では、組成物又は細胞集団は網膜下注射によって投与され、細胞集団は約3000万個の細胞を含む。

0019

本発明の実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から誘導される。実施形態では、細胞は培養中に増殖可能であり、また、神経表現型の細胞に分化する潜在能力を有し、細胞は、増殖するためにL−バリンを必要とし、少なくとも約5%の酸素中で増殖することが可能である。細胞は、以下の(a)培養中に少なくとも約40回倍加する潜在能力、(b)コーティングされた又はコーティングされていない組織培養容器上での付着及び増殖(ここでコーティングされた組織培養容器は、ゼラチンラミニンコラーゲンポリオミチン(polyomithine)、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む)、(c)組織因子ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも1つの産生、(d)CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、PD−L2、及びHLA−A、B、Cのうちの少なくとも1つの産生、(e)フローサイトメトリによって検出される、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7〜H2、HLA−G、及びHLA−DR、DPDQのうちの少なくとも1つの産生の欠如、(f)線維芽細胞間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8;レチクロン1;ケモカイン(C−X−Cモチーフリガンド1(黒色腫(melonoma)増殖刺激活性、α);ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(顆粒球走化性タンパク質2);ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド3;腫瘍壊死因子、α誘導タンパク質3;C型レクチンスーパーファミリーメンバー2;ウイルムス腫瘍1;アルデヒドデヒドロゲナーゼファミリーメンバーA2;レニン酸化低密度リポタンパク質受容体1;ホモサピエンスクローンIMAGE:4179671;プロテインキナーゼCζ仮想タンパク質DKFZp564F013;downregulated in ovarian cancer 1;及びクローンDKFZp547k1113由来のホモサピエンス遺伝子、をコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが増大されている遺伝子発現、(g)線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、低身長感受性(short stature)ホメオボックス2;熱ショック27kDaタンパク質2;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12(ストロマ細胞由来因子1);エラスチン大動脈弁狭窄症ウィリアムズ−ビューレン症候群);ホモサピエンスmRNAcDNADKFZp586M2022(クローンDKFZp586M2022由来);間葉ホメオボックス2(増殖停止特異的ホメオボックス);sine oculisホメオボックスホモログ1(ドロソフィラ);クリスタリン、α B;形態形成のdisheveled関連アクチベータ2(disheveled associated activator of morphogenesis 2);DKFZP586B2420タンパク質;ニューリン1の類似体テトラネクチンプラスミノーゲン結合タンパク質);src相同性3(SH3)及びシステインリッチドメインコレステロール25−ヒドロキシラーゼ;runt関連転写因子3;インターロイキン11受容体、α;プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサ;frizzledホモログ7(ドロソフィラ);仮定的遺伝子BC008967;コラーゲン、VIII型、α 1;テネイシンC(ヘキサブラオン);iroquoisホメオボックスタンパク質5;ヘファエスチンインテグリン、β8;シナプス小胞糖タンパク質2;神経芽腫腫瘍形成抑制1;インスリン様増殖因子結合タンパク質2、36kDa;ホモサピエンスcDNAFLJ12280 fis、クローンMAMMA1001744;サイトカイン受容体様因子1;カリウム中間体低コンダクタンスカルシウム活性化チャネルサブファミリーN、メンバー4;インテグリン、β7;PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ;sine oculisホメオボックスホモログ2(ドロソフィラ);KIAA1034タンパク質;小胞関連膜タンパク質5(ミオブレビン);EGF含有フィビュリン様細胞マトリックスタンパク質1;初期成長応答3;distal−lessホメオボックス5;仮想タンパク質FLJ20373;アルド−ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC3(3−αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼII型);バイグリカン;PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ;フィブロネクチン1;プロエンケファリン;インテグリン、β様1(EGF様リピートドメインを有する);ホモサピエンスmRNA完全長インサートcDNAクローンEUROIMAGE 1968422;EphA3;KIAA0367タンパク質;ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸シクラーゼC(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体C);仮想タンパク質FLJ14054;ホモサピエンスmRNA;cDNA DKFZp564B222(クローンDKFZp564B222由来);BCL2/アデノウイルスE1B 19kDa相互作用タンパク質3様;AE結合タンパク質1;シトクロムcオキシダーゼサブユニットVIIaポリペプチド1(筋肉);ニューラリン1の類似体;B細胞転座遺伝子1;仮想タンパク質FLJ23191;並びにDKFZp586L151、をコードする遺伝子のうちの少なくとも1つが低減されている遺伝子発現、並びに(h)hTERT又はテロメラーゼ発現の欠如、の特徴のうちの1つ又は2つ以上を更に含む。一実施形態では、臍帯組織由来細胞は、ELISAにより検出される、(i)MCP−l、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、FGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIPlb、I309、MDC、RANTES、及びTIMP1のうちの少なくとも1つの分泌、(j)TGF−β2、MIP1a、ANG2、PDGFbb、及びVEGFのうちの少なくとも1つの分泌の欠如、の特徴を更に有する。別の実施形態では、胎盤組織由来細胞は、ELISAにより検出される、(i)MCP−l、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1a、RANTES、及びTIMP1のうちの少なくとも1つの分泌、(j)TGF−β2、ANG2、PDGFbb、FGF、及びVEGFのうちの少なくとも1つの分泌の欠如、の特徴を更に有する。

0020

特定の実施形態では、分娩後由来細胞は、細胞型UMB 022803(P7)(ATCC受託番号PTA−6067)、細胞型UMB 022803(P17)(ATCC受託番号PTA−6068)、細胞型PLA 071003(P8)(ATCC受託番号PTA−6074)、細胞型PLA 071003(P11)(ATCC受託番号PTA−6075);又は細胞型PLA 071003(P16)(ATCC受託番号PTA−6079)の全ての識別特徴を有する。一実施形態では、組織由来の分娩後由来細胞は、細胞型UMB 022803(P7)(ATCC受託番号PTA−6067)、又は細胞型UMB 022803(P17)(ATCC受託番号PTA−6068)の全ての識別特徴を有する。別の実施形態では、胎盤組織由来の分娩後由来細胞は、細胞型PLA 071003(P8)(ATCC受託番号PTA−6074);細胞型PLA 071003(P11)(ATCC受託番号PTA−6075);又は細胞型PLA 071003(P16)(ATCC受託番号PTA−6079)の全ての識別特徴を有する。

0021

特定の実施形態では、分娩後由来細胞は、メタロプロテアーゼ活性、粘液溶解活性、及び中性プロテアーゼ活性を含む、1つ又は2つ以上の酵素活性の存在下で単離される。好ましくは、これらの細胞は、培養中に継代される際に維持される、正常核型を有する。

0022

本明細書に記載される実施形態では、細胞は、培養下で自己複製及び増殖が可能であり、他の表現型の細胞へと分化する潜在能力を有する。いくつかの実施形態では、細胞は、CD13、CD90、及びHLA−ABCを発現する。好ましい実施形態では、分娩後由来細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、及びHLA−ABCをそれぞれ発現する。特定の実施形態では、分娩後由来細胞はCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cをそれぞれ発現する。いくつかの実施形態では、細胞は、CD31、CD34、CD45又はCD117のいずれも発現しない。いくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、フローサイトメトリにより検出されるCD31、CD34、CD45、CD117、及びCD141のいずれも発現しない。実施形態では、細胞は、hTERT又はテロメラーゼの発現を欠如する。

0023

本発明の実施形態では、細胞集団は分娩後由来細胞の実質的に均質な集団である。特定の実施形態では、集団は分娩後由来細胞の均質な集団である。本発明の実施形態では、分娩後由来細胞は、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織又は胎盤組織から誘導される。

0024

特定の実施形態では、上述した分娩後由来細胞の集団、又は分娩後由来細胞の集団から生成された馴化培地は、星状細胞乏突起神経膠細胞ニューロン神経前駆細胞神経幹細胞、網膜上皮幹細胞角膜上皮幹細胞、又は他の複能性若しくは多能性の幹細胞などの、少なくとも1つのその他の細胞型と共に投与される。これらの実施形態では、他の細胞型は、細胞集団又は馴化培地と同時に、又はこれらの前に、又はこれらの後に投与することができる。

0025

同様に、これら及びその他の実施形態では、上述した分娩後由来細胞の集団、又は細胞集団から調製された馴化培地は、眼球治療用の薬剤などの少なくとも1つのその他の薬剤、又は抗炎症剤抗アポトーシス剤抗酸化剤、若しくは増殖因子などの別の有益な補助剤と共に投与される。これらの実施形態では、他の剤は、細胞集団又は馴化培地と同時に、これらの前に、又はこれらの後に投与することができる。

0026

様々な実施形態では、分娩後由来細胞の集団、又は分娩後由来細胞(臍又は胎盤)から生成された馴化培地は、眼の表面に投与するか、あるいは眼の内部又は眼に近接する位置(例えば、眼の背後)に投与する。実施形態において、眼の内部への投与は、網膜下注射又は硝子体内注射のような注射とすることができる。分娩後由来細胞の集団又は馴化培地は、カニューレを介して、又は患者の身体の眼の中若しくは眼に近接した位置に移植された装置から、投与してもよく、あるいは、分娩後由来細胞集団又は馴化培地を備えるマトリックス又はスカフォールドを移植することによって投与してもよい。

0027

特定の実施形態では、組成物は、星状細胞、乏突起神経膠細胞、ニューロン、神経前駆細胞、神経幹細胞、網膜上皮幹細胞、角膜上皮幹細胞、又は他の複能性若しくは多能性の幹細胞などの、少なくとも1種の他の細胞型を含む。これらの又は他の実施形態では、組成物は、眼変性障害を治療するための薬物などの少なくとも1つの他の薬剤、又は、例えば、抗炎症剤、抗アポトーシス剤、抗酸化剤、若しくは増殖因子などの他の有益な補助剤を含む。

0028

いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的に許容できる担体を更に含む医薬組成物である。

0029

特定の実施形態では、医薬組成物は、眼の表面に投与するように配合される。代替的に、これらは、眼の内部、又は眼に近接する位置(例えば、眼の背後)に投与するように配合してもよい。実施形態において、眼の内部への投与は、網膜下注射又は硝子体内注射のような注射とすることができる。本組成物はまた、分娩後由来細胞又は馴化培地を含有するマトリックス又はスカフォールドとして配合してもよい。

0030

上記の実施形態では、臍由来細胞又は胎盤由来細胞は、HLA−A、B、Cに関して陽性である;CD10、CD13、CD44、CD73、CD90に関して陽性である;HLA−DR、DP、DQに関して陰性である;CD31、CD34、CD45、CD117、及びCD141の産生を欠如している、又はこれらに関して陰性である;との特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する。実施形態では、細胞は、ビメンチン及びα−平滑筋アクチンを産生する。

0031

上述した更なる実施形態では、臍由来細胞は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8及びレチクロン1をコードする遺伝子をより多く発現する。実施形態では、臍由来細胞は、hTERT又はテロメラーゼの発現を欠如する。

0032

上記の実施形態において、網膜変性又は網膜症は、糖尿病性網膜症及び脈絡膜新生血管膜(CNVM)である。

図面の簡単な説明

0033

管面積及び血管新生面積の両方を計算するコンピュータ支援画像解析方法を示す。全網膜面積(図示せず)、血管面積(左パネル)、及び血管新生面積(右パネル)を示すために不規則ポリゴンが用いられている。ピクセルカウントは、mm2に変換される。全網膜面積に対する血管面積の比によって、網膜血管面積率(%)が得られる。
未処理、溶媒処理ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低、中間、及び高用量による処理間での網膜内血管増殖に対するhUTCの効果を示す。統計的有意性は、面積(mm2)の測定値を用いて計算したが、データは、解釈を容易とするため、血管形成された全網膜面積の割合(%)を用いて示している。エラーバー標準誤差を示す。
未処理、溶媒処理、ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低及び中間の用量の棒グラフ図3A)及び散布プロット図3B)間で、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図3C複数の処理群からのADPアーゼ染色された網膜を示す。各画像は、OIR処理及び冷凍保存溶媒(A)、ポジティブコントロール化合物(B)、又は中間の密度のhUTC(C)の硝子体内注射後に観察された血管病理学の程度を表す。右パネルでは新生血管増殖は認められない。図3D高いhUTC密度での処理群からの網膜58Rを示したものであり、注入された細胞が、ある網膜四分円では視神経円板から中間周辺部にまで、他の網膜四分円では遠周辺部にまで延びるシート組織化されていることが分かる。上のパネルは、染色していない切除された網膜の表面上のこのシートを示している。左下のパネルは、細胞のシートが剥離された後の染色された網膜を示している。図3E血管面積及び新生血管面積のデータの両方を与える高いhUTC密度による処理群(23R)からの1つの網膜を示す。
未処理、溶媒処理、ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低及び中間の用量の棒グラフ(図3A)及び散布プロット(図3B)間で、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図3C複数の処理群からのADPアーゼ染色された網膜を示す。各画像は、OIR処理及び冷凍保存溶媒(A)、ポジティブコントロール化合物(B)、又は中間の密度のhUTC(C)の硝子体内注射後に観察された血管病理学の程度を表す。右パネルでは新生血管増殖は認められない。図3D高いhUTC密度での処理群からの網膜58Rを示したものであり、注入された細胞が、ある網膜四分円では視神経円板から中間周辺部にまで、他の網膜四分円では遠周辺部にまで延びるシートに組織化されていることが分かる。上のパネルは、染色していない切除された網膜の表面上のこのシートを示している。左下のパネルは、細胞のシートが剥離された後の染色された網膜を示している。図3E血管面積及び新生血管面積のデータの両方を与える高いhUTC密度による処理群(23R)からの1つの網膜を示す。
未処理、溶媒処理、ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低及び中間の用量の棒グラフ(図3A)及び散布プロット(図3B)間で、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図3C複数の処理群からのADPアーゼ染色された網膜を示す。各画像は、OIR処理及び冷凍保存溶媒(A)、ポジティブコントロール化合物(B)、又は中間の密度のhUTC(C)の硝子体内注射後に観察された血管病理学の程度を表す。右パネルでは新生血管増殖は認められない。図3D高いhUTC密度での処理群からの網膜58Rを示したものであり、注入された細胞が、ある網膜四分円では視神経円板から中間周辺部にまで、他の網膜四分円では遠周辺部にまで延びるシートに組織化されていることが分かる。上のパネルは、染色していない切除された網膜の表面上のこのシートを示している。左下のパネルは、細胞のシートが剥離された後の染色された網膜を示している。図3E血管面積及び新生血管面積のデータの両方を与える高いhUTC密度による処理群(23R)からの1つの網膜を示す。
未処理、溶媒処理、ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低及び中間の用量の棒グラフ(図3A)及び散布プロット(図3B)間で、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図3C複数の処理群からのADPアーゼ染色された網膜を示す。各画像は、OIR処理及び冷凍保存溶媒(A)、ポジティブコントロール化合物(B)、又は中間の密度のhUTC(C)の硝子体内注射後に観察された血管病理学の程度を表す。右パネルでは新生血管増殖は認められない。図3D高いhUTC密度での処理群からの網膜58Rを示したものであり、注入された細胞が、ある網膜四分円では視神経円板から中間周辺部にまで、他の網膜四分円では遠周辺部にまで延びるシートに組織化されていることが分かる。上のパネルは、染色していない切除された網膜の表面上のこのシートを示している。左下のパネルは、細胞のシートが剥離された後の染色された網膜を示している。図3E血管面積及び新生血管面積のデータの両方を与える高いhUTC密度による処理群(23R)からの1つの網膜を示す。
未処理、溶媒処理、ポジティブコントロール(抗VEGF)、hUTCの低及び中間の用量の棒グラフ(図3A)及び散布プロット(図3B)間で、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図3C複数の処理群からのADPアーゼ染色された網膜を示す。各画像は、OIR処理及び冷凍保存溶媒(A)、ポジティブコントロール化合物(B)、又は中間の密度のhUTC(C)の硝子体内注射後に観察された血管病理学の程度を表す。右パネルでは新生血管増殖は認められない。図3D高いhUTC密度での処理群からの網膜58Rを示したものであり、注入された細胞が、ある網膜四分円では視神経円板から中間周辺部にまで、他の網膜四分円では遠周辺部にまで延びるシートに組織化されていることが分かる。上のパネルは、染色していない切除された網膜の表面上のこのシートを示している。左下のパネルは、細胞のシートが剥離された後の染色された網膜を示している。図3E血管面積及び新生血管面積のデータの両方を与える高いhUTC密度による処理群(23R)からの1つの網膜を示す。
網膜下注射によるhUTCの効果を示す。図4Aは、注射の6日後の網膜下腔内のhUTCの位置を示す。図4Bは、未処理、溶媒処理、hUTCの低及び中間用量間での網膜内血管増殖に対するhUTCの影響を示す。図4Cは、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図4Dは、OIR及びそれぞれ、2×104個のhUTC、4×103個のhUTC、又は冷凍保存溶媒の網膜下注射後の3つの処理群で観察された血管病理学の程度を示す。矢印は、新生血管の房状分岐の位置を示す。
網膜下注射によるhUTCの効果を示す。図4Aは、注射の6日後の網膜下腔内のhUTCの位置を示す。図4Bは、未処理、溶媒処理、hUTCの低及び中間用量間での網膜内血管増殖に対するhUTCの影響を示す。図4Cは、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図4Dは、OIR及びそれぞれ、2×104個のhUTC、4×103個のhUTC、又は冷凍保存溶媒の網膜下注射後の3つの処理群で観察された血管病理学の程度を示す。矢印は、新生血管の房状分岐の位置を示す。
網膜下注射によるhUTCの効果を示す。図4Aは、注射の6日後の網膜下腔内のhUTCの位置を示す。図4Bは、未処理、溶媒処理、hUTCの低及び中間用量間での網膜内血管増殖に対するhUTCの影響を示す。図4Cは、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図4Dは、OIR及びそれぞれ、2×104個のhUTC、4×103個のhUTC、又は冷凍保存溶媒の網膜下注射後の3つの処理群で観察された血管病理学の程度を示す。矢印は、新生血管の房状分岐の位置を示す。
網膜下注射によるhUTCの効果を示す。図4Aは、注射の6日後の網膜下腔内のhUTCの位置を示す。図4Bは、未処理、溶媒処理、hUTCの低及び中間用量間での網膜内血管増殖に対するhUTCの影響を示す。図4Cは、前網膜新生血管増殖に対するhUTCの効果を示す。エラーバーは標準誤差を示す。図4Dは、OIR及びそれぞれ、2×104個のhUTC、4×103個のhUTC、又は冷凍保存溶媒の網膜下注射後の3つの処理群で観察された血管病理学の程度を示す。矢印は、新生血管の房状分岐の位置を示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチンBSアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチン−BSAアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチン−BSAアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチン−BSAアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチン−BSAアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。
網膜血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5Aは、SD−OCTによるげっ歯類の糖尿病における網膜の厚さを示す。図5B及び5Cは、ビオチン−BSAアッセイにより評価される血管漏出に対するhUTCの効果を示す。図5D〜5Fは、糖尿病及びhUTC処理におけるサイトカインVEGF、ICAM−1、PEDF及びZO−1の発現パターンを示す。

0034

本発明の他の特徴及び有利点は、以下の「発明を実施するための形態」及び実施例から明らかとなるであろう。

0035

様々な特許及び他の刊行物が、本明細書の全体を通して参照される。これらの刊行物のそれぞれは、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。以下の例示的実施形態の詳細な説明において、本明細書の一部をなす添付図面が参照されている。これらの実施形態は、当業者が本発明を実践できるように十分に詳細に説明されており、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく、他の実施形態を用いることができること、及び論理構造的、機械的、電気的、及び化学的変更がなされ得ることが理解されよう。当業者が本明細書に記載される実施形態を実践することを可能にするために必要でない詳細な説明を避けるために、当業者に周知の特定の情報の説明が省略されている場合がある。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、例示される実施形態の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。

0036

定義
本明細書及び特許請求の範囲の全体で用いられる様々な用語は、以下で定めるとおりに定義され、これらは本発明を明確にすることを目的とする。

0037

幹細胞は、単一細胞の、自己複製する能力、並びに自己複製前駆細胞、非複製前駆細胞、及び最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するために分化する能力の双方によって定義される、未分化細胞である。幹細胞はまた、in vitroで複数の胚葉内胚葉中胚葉及び外胚葉)から様々な細胞系統機能細胞に分化する能力によって、並びに、移植後に複数の胚葉組織を生じさせる能力、及び胚盤胞内への注入後に、全部ではないが実質的にほとんどの組織に寄与する能力によっても、特徴付けられる。

0038

幹細胞は、その発生能に応じて、(1)全能性、(2)多能性、(3)複能性、(4)少能性、及び(5)単能性分類される。全能細胞は、全ての胚細胞型及び胚体外細胞型を生じさせることが可能である。多能性細胞は、全ての胚細胞型を生じさせることが可能である。複能性細胞は、細胞系統のサブセットを生じさせることが可能であるが、全てが、特定の組織、器官、又は生理系の範囲内であるものを含む(例えば、造血幹細胞(HSC)は、HSCを含む子孫(自己複製)、血球に制限された少能性前駆細胞、並びに血液の正常成分である全ての細胞型及び要素(例えば、血小板)を産生することができる)。少能性の細胞は、複能性幹細胞よりも制限された、細胞系統のサブセットを生じさせることができ、単能性の細胞は、単一の細胞系統を生じさせることができる(例えば、精原幹細胞)。

0039

幹細胞はまた、それらの幹細胞を得ることができる供給源に基づいても分類される。成体幹細胞は、全般的には、複数の分化細胞型を含む組織内に見出される、多能性の未分化細胞である。成体幹細胞は、自己複製することができる。通常の状況下では、成体幹細胞はまた、その細胞が起源とする組織の、特殊化した細胞型、また恐らくは他の組織型を産生するように、分化することもできる。誘導された多能性幹細胞iPS細胞)は、多能性幹細胞に変換された成熟細胞である(Takahashiら、Cell,2006;126(4):663〜676;Takahashiら、Cell,2007;131:1〜12)。胚幹細胞は、胚盤胞期内部細胞塊からの多能性細胞である。胎生幹細胞は、胎児組織又は胎膜を起源とする幹細胞である。分娩後幹細胞は、出産後入手可能な胚体外組織、即ち、胎盤及び臍帯を実質的に起源とする、複能性若しくは多能性の細胞である。これらの細胞は、迅速な増殖、及び多くの細胞系統への分化に関する潜在能力を含めた、多能性幹細胞に固有の特徴を保有することが見出されている。分娩後幹細胞は、血液由来(例えば、臍帯血から得られる幹細胞のような)又は非血液由来(例えば、臍帯及び胎盤の非血液組織から得られるような)のものとすることができる。

0040

胚組織は、典型的には、胚(ヒトの場合、受精から、約6週間の発達までの期間を指す)を起源とする組織として定義される。胎児組織は、ヒトでは約6週間の発達から分娩までの期間を指す、胎児に由来する組織を指す。胚体外組織は、胚又は胎児に関連するが、胚又は胎児を起源とはしない組織である。胚体外組織としては、胚体外膜絨毛膜羊膜卵黄嚢、及び尿膜)、臍帯、並びに胎盤(それ自体は、絨毛膜及び母体基底脱落膜から形成される)が挙げられる。

0041

分化は、特殊化されていない(「コミットされていない」)細胞、又は比較的特殊化されていない細胞が、例えば、神経細胞又は筋細胞などの、特殊化細胞の特徴を獲得するプロセスである。分化した細胞は、細胞の系統の範囲内で、より特殊化した(「コミットされた」)状態を呈している細胞である。コミットされたという用語は、分化のプロセスに適用される場合、通常の状況下では、特定の細胞型又は細胞型のサブセットへと分化を継続して、通常の状況下では、異なる細胞型へと分化することも、又はより未分化の細胞型に復帰することもできない地点まで、分化経路が進行している細胞を指す。脱分化とは、細胞が、細胞の系統の範囲内で、比較的特殊化されて(又はコミットされて)いない状態に復帰するプロセスを指す。本明細書で使用するとき、細胞の系統は、その細胞の遺伝性、即ち、その細胞がどの細胞に由来するか、またその細胞がどのような細胞を生じさせることができるかを規定する。細胞の系統は、発達及び分化の遺伝スキームの範囲内で、その細胞を位置付けるものである。

0042

広義には、前駆細胞は、それ自体よりも分化した子孫を作り出す能力を有し、かつ前駆細胞のプールを補充する能力を更に保持する細胞である。その定義によれば、幹細胞自体もまた、より直接的な、最終分化細胞への前駆体であるため、前駆細胞である。以下でより詳細に説明されるように、本発明の細胞に言及する場合、この広い意味での前駆細胞の定義を使用することができる。より狭義には、前駆細胞は、分化経路での中間体である細胞として定義される場合が多く、即ち、前駆細胞は、幹細胞から生じるものであり、成熟細胞型又は細胞型のサブセットを産生する際の中間体である。この型の前駆細胞は、全般的には、自己複製が不可能である。したがって、この型の細胞が本明細書で言及される場合には、その細胞は、非複製前駆細胞、又は中間的前駆細胞若しくは中間的前駆細胞と称される。

0043

本明細書で使用するとき、「眼系統又は眼表現型への分化」というは、網膜及び角膜幹細胞、網膜及び虹彩色素上皮細胞、視細胞、網膜神経節及び他の視神経系統(例えば、網膜グリア小神経、星状細胞、ミュラー細胞)、水晶体形成細胞、並びに強膜、角膜、縁、及び結膜上皮細胞が挙げられるがこれらに限定されない、特定の眼表現型に部分的又は完全にコミットされるようになった細胞を指す。「神経系統又は神経表現型への分化」という句は、CNS又はPNSの特定の神経表現型へ、即ち、ニューロン又はグリア細胞(後者の分類としては、星状細胞、乏突起神経膠細胞、シュワン細胞、及び小神経膠細胞が挙げられるが、これらに限定されない)に、部分的又は完全にコミットされるようになった細胞を指す。

0044

本明細書で例示され、かつ本発明での使用に好ましい細胞は、一般に分娩後由来細胞(又はPPDC)と称される。これらはまた、時には、より具体的に、臍由来細胞又は胎盤由来細胞(UDC又はPDC)と称される場合もある。更には、これらの細胞は、幹細胞又は前駆細胞として説明することができ、後者の用語は広義で使用される。由来するという用語は、その細胞が、それらの生物学的起源から得られ、インビトロで、増殖されるか又は他の方法で操作されている(例えば、増殖培地中で培養されて、その集団を増殖させ、かつ/又は細胞株を産生する)ことを示すために使用される。臍幹細胞及び胎盤幹細胞のインビトロ操作、及び本発明の臍由来細胞及び胎盤由来細胞の独自の特徴が、以下で詳細に説明される。他の手段によって分娩後胎盤及び臍から単離された細胞も、本発明での使用に好適であると考えられる。本明細書では、こうした他の細胞は、分娩後細胞と称される(分娩後由来細胞ではなく)。

0045

様々な用語が、培養中の細胞を説明するために使用される。細胞培養物とは、一般に、生体から取得され、制御条件下で増殖される(「培養中」又は「培養される」)細胞を指す。初代細胞培養物は、最初の継代培養の前に、生物から直接取得された細胞、組織、又は器官の培養物である。細胞は、細胞増殖及び/又は細胞分裂を促進する条件下で、増殖培地内に定置される場合に、培養増殖して、細胞の大集団を生じさせる。細胞を培養中に増殖させる場合、細胞増殖の速度は、その細胞の数が倍加するために必要な時間量によって測定される場合がある。この時間は、倍加時間と称される。

0046

細胞株は、初代細胞培養物の1回又は複数回の継代培養によって形成される、細胞の集団である。継代培養の各一巡は、1継代と称される。細胞が継代培養される場合、それらの細胞は、継代されているとして言及される。特定の細胞集団、又は細胞株は、継代された回数によって言及されるか、又は特徴付けられる場合がある。例えば、10回継代されている培養細胞集団は、P10培養物と称することができる。初代培養物、即ち、組織から細胞を単離した後の最初の培養物は、P0と表される。最初の継代培養後には、それらの細胞は、二次培養物(P1又は継代数1)として説明される。2回目の継代培養後には、それらの細胞は、三次培養物(P2又は継代数2)となる、といった具合である。当業者には、継代期間中には多くの集団倍加が存在し得、したがって、培養物の集団倍加の数は継代の数よりも大きいということが理解されるであろう。継代間の期間中の細胞の増殖(即ち、集団倍加の数)は、多くの因子に応じて変化するものであり、それらの因子としては、播種密度基質培地、増殖条件、及び継代間の時間が挙げられるが、これらに限定されない。

0047

増殖培地という用語は、一般に、PPDCの培養に十分な培地を指す。具体的には、本発明の細胞の培養に関して、現時点で好ましい1つの培地は、ダルベッコ変法必須培地(本明細書ではまた、DMEMとも略される)を含む。特に好ましいのは、DMEM−低グルコース(本明細書では、DMEM−LGとも称される)(Invitrogen(Carlsbad,Calif.))である。DMEM−低グルコースには、好ましくは、15%(v/v)のウシ胎児血清(例えば、規定ウシ胎児血清、Hyclone(Logan Utah))、抗生物質抗真菌剤(好ましくは、50〜100単位/ミリリットルペニシリン、50〜100マイクログラム/ミリリットルのストレプトマイシン、及び0〜0.25マイクログラム/ミリリットルのアンホテリシンB(Invitrogen(Carlsbad,Calif.)))、及び0.001%(v/v)の2−メルカプトエタノール(Sigma(St.Louis Mo))が添加される。以下の実施例で使用するとき、増殖培地とは、15%のウシ胎児血清及び抗生物質/抗真菌剤(ペニシリン/ストレプトマイシンが含まれる場合、好ましくは、それぞれ50U/mL及び50マイクログラム/mLであり、ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシンが使用される場合、好ましくは、それぞれ100U/mL、100マイクログラム/mL、及び0.25マイクログラム/mLである)を有する、DMEM−低グルコースを指す。一部の場合には、異なる増殖培地が使用されるか、又は異なる補助剤が提供され、これらは、通常は、増殖培地に対する補助剤として文中に示される。

0048

馴化培地は、特定の細胞又は細胞の集団が、その中で培養されて、その後取り出された、培地である。細胞が培地中で培養される場合、それらの細胞は、他の細胞に栄養的支援を提供することができる細胞因子を分泌する場合がある。そのような栄養因子としては、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、及び顆粒が挙げられるが、これらに限定されない。それらの細胞因子を含む培地が、馴化培地である。

0049

一般に、栄養因子は、細胞の生存成長、分化、増殖、及び/若しくは成熟を促進するか、又は細胞の活性の増大を刺激する物質として定義される。栄養因子を介した細胞間の相互作用は、異なる型の細胞間で発生し得る。栄養因子による細胞相互作用は、本質的に全ての細胞型で見出され、神経細胞型間の、特に重要な情報伝達の手段である。栄養因子はまた、自己分泌方式でも機能することができ、即ち、細胞は、その細胞自体の生存、成長、分化、増殖、及び/又は成熟に影響を及ぼす栄養因子を産生することができる。

0050

培養された脊椎動物細胞に言及するとき、老化(また、複製老化又は細胞老化)という用語は、有限細胞培養に起因する特性、即ち、それらが有限数の集団倍加を超えて増殖する能力の欠如を指す(時にはヘイフリック限界と称される)。細胞老化は、最初に、線維芽細胞様細胞を使用して説明されたが、培養中に成功裏に増殖させることができる、ほとんどの正常ヒト細胞型が、細胞老化を経る。種々の細胞型のインビトロでの寿命は、様々であるが、最大寿命は、典型的には、100回の集団倍加より少ない(100は、培養中の全細胞が老化することにより、培養物が分裂不能になる倍化数である)。老化は、経時的な時間に応じて決定されるものではなく、むしろ、その培養物が経験している、細胞分裂又は集団倍加の数によって測定される。

0051

本明細書では、用語「眼の((ocular、ophthalmic、及びoptic)」は、「眼の、眼に関する、又は眼に関連する」を定義するように互換的に用いられる。眼変性状態(又は障害)という用語は、細胞の損傷、変性、又は欠失を伴う、眼と脳との神経連絡を含む、眼の急性及び慢性状態、障害、又は疾患を包含する、包括的用語である。眼変性状態は、加齢性である場合もあり、損傷若しくは外傷から生じる場合もあり、又は特定の疾患若しくは障害に関連する場合もある。急性の眼変性状態としては、脳血管機能不全に起因する状態を含む、眼に影響を及ぼす細胞死若しくは細胞の損失を伴う状態、局所性若しくはびまん性脳外傷、びまん性脳損傷、眼の感染若しくは炎症状態、網膜の裂傷若しくは剥離、眼内損傷(挫傷穿通圧迫、裂傷)、又は他の物理的損傷(例えば物理的若しくは化学的火傷)が挙げられるが、これらに限定されない。慢性の眼変性状態(進行性状態を含む)としては、網膜色素変性(RP)、加齢性黄斑変性(AMD)、脈絡膜新生血管膜(CNVM)などの網膜症及び他の網膜/黄斑変性;糖尿病性網膜症、閉塞性網膜症、鎌状赤血球網膜症及び高血圧性網膜症網膜中心静脈閉塞症頚動脈狭窄症、緑内障及び関連する症候群などの視神経症などの網膜症;例えば、化学的傷害又は熱傷などにおいて起きる輪部幹細胞欠損(LSCD)(輪部上皮細胞欠損(LECD)とも称される)、スティーブンスジョンソン症候群コンタクトレンズ由来角膜症、眼部瘢痕性類天疱瘡無虹彩症又は外胚葉異形成症先天性疾患、及び複数の内分泌欠乏関連角膜炎などの水晶体及び外眼の障害;が挙げられるが、これらに限定されない。

0052

眼変性状態を治療する(又は眼変性状態の治療)という用語は、本明細書で定義される眼変性状態の影響を改善すること、眼変性状態の進行を遅延中断、若しくは逆行させること、又は眼変性状態の発症を遅延若しくは予防することを指す。

0053

有効量という用語は、本明細書で説明されるような、インビトロ若しくはインビボでの細胞の増殖及び/又は分化、あるいは眼変性状態の治療を含む意図された結果を生じさせるために有効な、増殖因子、分化剤、栄養因子、細胞集団、若しくは他の薬剤などの試薬又は医薬組成物の濃度又は量を指す。増殖因子に関しては、有効量は、約1ナノグラム/ミリリットル〜約1マイクログラム/ミリリットルの範囲とすることができる。インビボで患者に投与されるPPDCに関しては、有効量は、数百以下の少量から、数百万以上の大量までの範囲であり得る。特定の実施形態では、有効量は、103〜1111の範囲の細胞数、より具体的には、少なくとも約104の細胞数であり得る。投与される細胞の数は、治療される障害の詳細に応じて決定され、それらの詳細としては、医薬生物学者には周知の他の要因の中でも特に、治療されるサイズ又は総容積表面積、並びに治療される領域の場所に対する、投与部位近接性が挙げられるが、これらに限定されないことが理解されるであろう。

0054

有効期間(又は時間)及び有効条件という用語は、薬剤又は医薬組成物が、その意図された結果を達成するために必要であるか、若しくは好ましい期間又は他の制御可能な条件(例えば、インビトロ法の場合は、温度、湿度)を指す。

0055

患者又は対象という用語は、その医薬組成物を使用して、又は本明細書で説明される方法に従って治療される、哺乳類、好ましくはヒトを含めた、動物を指す。

0056

医薬的に許容可能な担体(又は培地)という用語は、生物学的に適合可能な担体又は培地という用語と、互換的に使用することができ、治療的に投与される細胞及び他の薬剤と適合可能であるばかりではなく、健全医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスクの比率に見合った、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、若しくは他の合併症を伴わない、ヒト及び動物の組織と接触させる使用に関しても好適である、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、並びに/あるいは剤形を指す。

0057

細胞置換療法に関して、いくつかの用語が本明細書で使用される。自家移入自家移植自己移植片などの用語は、細胞のドナーが、その細胞置換療法のレシピエントでもある、治療を指す。同種異系移入、同種異系移植同種移植片などの用語は、細胞のドナーが、その細胞置換療法のレシピエントと同じ種のものであるが、同じ個体ではない、治療を指す。ドナーの細胞が、レシピエントと組織適合的に一致している細胞移入は、同系移入と称される場合がある。異種移入、異種移植異種移植片などの用語は、細胞のドナーが、その細胞置換療法のレシピエントとは異なる種のものである、治療を指す。本明細書で使用するとき、移植とは、自家又は同種異系ドナー細胞置換療法をレシピエントに導入することを指す。

0058

本明細書で使用するとき、量、時間の長さなどの測定可能な値に関して使用する場合の「約」という用語は、指定値から±20%〜±0.1%、好ましくは±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更により好ましくは±1%、いっそうより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味し、これらの変動は開示される方法を実施するうえで適切である。

0059

説明
様々な原因を有する、急性、慢性、及び進行性の障害並びに疾患を包含する眼変性状態は、眼細胞の特定の群又は易損性の群の機能障害又は喪失を、共通の特徴として有する。この共通性のために、易損性の損傷した又は喪失した眼組織又は細胞の修復及び再生のための類似した治療的手法の開発が可能となり、それらの手法のうちの1つが、細胞療法である。眼変性状態のための細胞療法の開発は、眼由来幹細胞自体(例えば、網膜及び角膜幹細胞)、胚幹細胞、及び数種類の成熟幹細胞又は前駆細胞(例えば、神経、粘膜上皮、及び骨髄幹細胞)を含む、比較的少ない種類の幹細胞又は前駆細胞に限定されてきた。分娩後臍帯及び胎盤から単離された細胞は、この目的のための前駆細胞の重要な新たな供給源として特定されている。(米国特許出願第2005−0037491号、及び同第2010−0272803号)。更に、分娩後胎盤及び臍帯組織から単離した細胞から生成した馴化培地は、眼変性状態を治療するための別の新たな供給源を提供する。したがって、本明細書で説明するその様々な実施形態では、本発明は、分娩後臍帯又は胎盤から単離した細胞などの前駆細胞由来の馴化培地を用いる(眼組織の修復及び再生)のための方法及び医薬組成物を特徴とする。本発明は、眼変性状態に適用可能であるが、従来は治療又は治癒が困難又は不可能であった、数多くの眼疾患に対しても特に好適であることが期待される。これらの眼疾患としては、非限定的であるが、加齢性黄斑変性、網膜色素変性、糖尿病、及び他の網膜症が挙げられる。

0060

当該技術分野において既知の任意の方法に従って分娩後臍帯又は胎盤から単離した細胞などの前駆細胞由来の馴化培地は、本発明での使用に好適であると期待される。しかしながら、一実施形態では、本発明は、好ましくは下記で説明する方法に従って、血液を実質的に含まないようにした臍帯組織又は胎盤に由来する、上記で定義した臍帯組織由来細胞(hUTC)又は胎盤組織由来細胞(PDC)に由来する馴化培地を用いる。hUTC又はPDCは、培養中に増殖することが可能であり、他の表現型の細胞に分化する潜在性を有する。特定の実施形態は、こうした前駆細胞から調製された馴化培地、本馴化培地を含む医薬組成物、及び急性又は慢性の眼変性状態を患う患者を治療するための本医薬組成物使用方法を特徴とする。本発明の分娩後由来細胞は、それらの培養中の増殖特性によって、それらの細胞表面マーカーによって、それらの遺伝子発現によって、それらの、特定の生化学的栄養因子を産生する能力によって、及びそれらの免疫学的特性によって、特徴付けられている。分娩後由来細胞から誘導された馴化培地は、細胞によって分泌される栄養因子によって特徴付けられている。

0061

細胞の調製
本発明の組成物及び方法に使用される、細胞、細胞集団、及び細胞溶解物、馴化培地などを含む調製物が、本明細書に記載され、米国特許第7,524,489号及び同第7,510,873号、並びに米国公開出願第2005/0058631号(それぞれ参照により本明細書に組み込まれる)に詳述されている。分娩後細胞を使用する方法によれば、哺乳類の臍帯及び胎盤は、満期妊娠又は早期妊娠のいずれかの終了時に、又はその直後に、例えば、出産後の圧出の後に回収される。この分娩後組織は、出産場所から、実験室へと、フラスコビーカー培養皿、又は袋などの滅菌容器に入れて移送することができる。この容器は、溶液又は培地を含み得、これらとしては、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)若しくはリン酸緩衝生理食塩水PBS)などの、食塩水、又はウィスコシン大学液若しくはペルフルオロ化合物溶液などの、移植に使用される器官の移送のために使用される任意の溶液が挙げられるが、これらに限定されない。限定するものではないが、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、1種若しくは種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤を、培地又は緩衝液に添加することができる。分娩後組織は、ヘパリン含有溶液などの抗凝固溶液ですすぐことができる。この組織は、PPDCの抽出前に、約4〜10℃に保つことが好ましい。この組織は、PPDCの抽出前に凍結させないことが更により好ましい。

0062

PPDCの単離は、好ましくは、無菌環境下で実施する。臍帯は、当該技術分野において既知の手段によって、胎盤から分離することができる。あるいは、臍帯及び胎盤は、分離することなく使用される。血液及び残渣は、PPDCの単離前に、分娩後組織から除去することが好ましい。例えば、分娩後組織は、限定するものではないが、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝溶液洗浄してもよい。この洗浄緩衝液はまた、限定するものではないが、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、1種又は2種以上の抗真菌剤及び/又は抗生物質も含み得る。

0063

胎盤の全体、臍帯、又はそれらの断片若しくは切片を含む分娩後組織は、機械的な力(細断力又は剪断力)によって脱凝集させる。現時点で好ましい実施形態では、この単離手順はまた、酵素消化プロセスも利用する。多くの酵素が、培養中の増殖を促進するための、複合組織マトリックスからの個々の細胞の単離に関して有用であることは、当該技術分野において既知である。弱い消化性(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ、及び中性プロテアーゼであるディスパーゼ)から、強い消化性(例えば、パパイン及びトリプシン)の範囲にわたって、そのような酵素が市販されている。本明細書に適合する酵素の非網羅的なリストとしては、粘液溶解酵素活性、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、又はエラスターゼなど)、及びデオキシリボヌクレアーゼが挙げられる。メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、及び粘液溶解活性から選択される酵素活性が、現時点で好ましい。例えば、コラゲナーゼは、組織から様々な細胞を単離するために有用であることが既知である。デオキシリボヌクレアーゼは、一本鎖DNA消化することができ、単離中の細胞凝集を最小限に抑えることができる。好ましい方法は、例えば、コラゲナーゼ及びディスパーゼ、あるいはコラゲナーゼ、ディスパーゼ、及びヒアルロニダーゼを使用する、酵素処理を伴い、そのような方法が提供される場合、特定の好ましい実施形態では、コラゲナーゼと中性プロテアーゼのディスパーゼとの混合物が、この解離工程で使用される。ヒストリチクス菌由来の少なくとも1種のコラゲナーゼ、並びにプロテアーゼ活性のディスパーゼ、及びサーモリシンのいずれかの存在下での消化を採用する方法が、より好ましい。コラゲナーゼ酵素活性及びディスパーゼ酵素活性の双方での消化を採用する方法が、更により好ましい。また、コラゲナーゼ活性及びディスパーゼ活性に加えて、ヒアルロニダーゼ活性での消化を含む方法も好ましい。様々な組織源から細胞を単離するための、そのような多くの酵素処理が、当該技術分野において既知であることが、当業者には理解されるであろう。例えば、LIBERASE登録商標)Blendzyme 3(Roche)シリーズの酵素の組み合わせが、本方法での使用に対して好適である。その他の酵素源が既知であり、当業者はまた、そのような酵素を、それらの天然源から直接取得することもできる。当業者は、更に、本発明の細胞を単離する際の有用性に関して、新たな、又は追加的な酵素若しくは酵素の組み合わせを評価するための設備を十分に備えている。好ましい酵素処理は、0.5時間、1時間、1.5時間、又は2時間以上の長さである。他の好ましい実施形態では、組織は、解離工程の酵素処理の間、37℃でインキュベートされる。

0064

本発明のいくつかの実施形態において、分娩後組織は、例えば、胎盤の新生児、新生児/母体、及び母体の態様などの、様々な組織の態様を含む切片へと分離される。次いで、分離された切片は、本明細書で説明される方法に従って、機械的解離及び/又は酵素的解離によって解離される。新生児又は母体系統の細胞は、当該技術分野において既知の任意の手段によって、例えば、Y染色体核型分析又はインサイチュハイブリダイゼーションによって、識別することができる。

0065

それからPPDCが増殖する、単離された細胞又は分娩後組織を使用して、細胞培養を開始、即ち播種することができる。細胞外マトリックス又はリガンド、例えば、ラミニン、コラーゲン(天然、変性、又は架橋)、ゼラチン、フィブロネクチン、及び他の細胞外マトリックスタンパク質によりコーティングされていない又はコーティングされた組織培養用滅菌容器に、単離細胞を移す。PPDCを、例えば、限定するものではないが、DMEM(高又は低グルコース)、改変DMEM、DMEM/MCDB 201、イーグル基本培地ハムF10培地(F10)、ハムF−12培地(F12)、イスコフ改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞増殖培地MSCGM)、DMEM/F12、RPMI1640及びcellgro FREE(商標)などといった、細胞の増殖を維持することのできる任意の培養培地で培養する。培養培地は、例えば、好ましくは約2〜15%(v/v)のウシ胎児血清(FBS);ウマ血清(ES);ヒト血清(HS);好ましくは約0.001%(v/v)のβ−メルカプトエタノール(BME又は2−ME);1つ又は2つ以上の増殖因子、例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、インスリン様増殖因子−1(IGF−1)、白血球阻害因子(LIF)、及びエリスロポエチン;L−バリンを含むアミノ酸;並びに、例えば、単独又は組み合わせのいずれかでの、ペニシリンG硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、及びナイスタチンなどの、微生物汚染を制御するための1種又は2種以上の抗生物質及び/又は抗真菌剤を含む1種又は2種以上の成分を添加してもよい。この培養培地は、好ましくは、増殖培地(DMEM−低グルコース、血清、BME、及び抗生物質)を含む。

0066

細胞は、細胞増殖を可能にする密度で、培養容器中に播種される。好ましい実施形態では、細胞は、空気中約0〜約5容量%のCO2で培養される。いくつかの好ましい実施形態では、細胞は、空気中約2〜約25%のO2、好ましくは、空気中約5〜約20%のO2で培養される。細胞は、好ましくは、約25〜約40℃で培養され、より好ましくは、37℃で培養される。細胞は、好ましくは、インキュベータ内で培養される。培養容器内の培地は、静的状態とすることができ、又は例えば、バイオリアクタを使用して撹拌することもできる。PPDCは、好ましくは、低酸ストレス下で(例えば、グルタチオンビタミンCカタラーゼビタミンE、N−アセチルシステインを添加して)増殖される。「低酸化ストレス」とは、本明細書で使用するとき、フリーラジカル培養細胞に損傷を与えないか、又は損傷が最低限に抑えられる条件を指す。

0067

最も適切な培養培地、培地調製、及び細胞培養技術の選択法は、当該技術分野において周知であり、Doyleら(編)、CELL& TISSUE CULTURE:LABORATORY PROCEDURES、John Wiley & Sons(Chichester)(1995)、並びにHo及びWang(編)、ANIMAL CELL BIOREACTORS、Butterworth−Heinemann(Boston)(1991)を含む様々な出典に説明されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。

0068

単離された細胞又は組織断片を、十分な期間にわたって培養すると、分娩後組織からの遊走、若しくは細胞分裂のいずれか、又はその両方の結果として、PPDCが増殖する。本発明のいくつかの実施形態では、PPDCは、継代され、即ち、取り出されて、最初に使用されたものと同じ又は異なる種類の新鮮培地を収容する別個の培養容器に移され、ここで細胞の集団は有糸分裂的に増殖することができる。本発明の細胞は、継代数0と老化との間の任意の時点で使用することができる。この細胞は、好ましくは、約3回〜約25回継代され、より好ましくは、約4回〜約12回継代され、好ましくは、10回又は11回継代される。クローニング及び/又はサブクローニングを実行することにより、細胞のクローン集団が単離されていることを確認することができる。

0069

本発明のいくつかの態様において、分娩後組織内に存在する種々の細胞型は、そこからPPDCを単離することができる下位集団分画される。これは、分娩後組織をその構成細胞へと解離する酵素処理が挙げられるがこれに限定されない、細胞分離のための標準的技術を使用し、それに続いて、例えば、形態学マーカー及び/又は生化学的マーカーに基づく選択;所望される細胞の選択的増殖(正の選択)、不要な細胞の選択的破壊(負の選択);例えば大豆凝集素を使用するような、混合集団中での示差的な細胞凝集能(differential cell agglutinability)に基づく分離;凍結−解凍処理法;混合集団における細胞の示差的な接着特性濾過従来型及びゾーン遠心分離遠心エルトリエーション対向流(counter-streaming)遠心分離);単位重力分離向流分布電気泳動;及び蛍光活性化セルソーター(FACS)が挙げられるがこれらに限定されない、特定の細胞型をクローニング及び選択することによって達成することができる。クローン選択及び細胞分離技術の概説に関しては、参照により本明細書に組み込まれる、Freshney、CULTURE OF ANIMAL CELLS:AMANUAL OFBASICTECHNIQUES,3rd Ed.、Wiley−Liss,Inc.(New York)(1994)を参照されたい。

0070

培養培地は、例えば、必要に応じて、例えばピペットで、皿から培地を慎重吸引して、新鮮培地を補充することによって変更される。インキュベーションは、十分な数又は密度の細胞が皿内に蓄積するまで継続される。標準的技術を使用して、又はセルスクレーパーを使用して、元の外移植組織の切片を取り出し、残余の細胞をトリプシン処理することができる。トリプシン処理の後、細胞を収集して、新鮮培地に取り出し、上記のようにインキュベートする。いくつかの実施形態において、培地は、トリプシン処理の約24時間後に、少なくとも1回交換して、あらゆる浮遊細胞を除去する。培養中に残存する細胞が、PPDCであると考えられる。

0071

PPDCは、凍結保存することができる。したがって、以下でより詳細に説明される好ましい実施形態では、自家移入に関する(母又は子どものいずれかに関する)PPDCは、子の誕生後に適切な分娩後組織から誘導して、続いて、これらが後に移植に必要とされる事象利用可能となるように、凍結保存することができる。

0072

細胞の特徴
本発明のPPDCなどの前駆細胞は、例えば、成長特性(例えば、集団倍加能力、倍加時間、老化までの継代)、核型分析(例えば、正常な核型;母性又は新生児系統)、フローサイトメトリ(例えば、FACS分析)、免疫組織化学分析及び/若しくは免疫細胞化学分析(例えば、エピトープの検出のため)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写PCRリアルタイムPCR、及び従来のPCR))、タンパク質配列タンパク質分泌(例えば、プラズマ凝固アッセイ又はPDC−馴化培地の分析によって、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって)、混合リンパ球反応(例えば、PBMCの刺激の尺度として)、並びに/又は当該技術分野において既知の他の方法によって特徴付けられ得る。

0073

臍組織由来のPPDCの例は、2004年6月10日にAmerican Type Culture Collection(ATCC,10801 University Boulevard,Manassas,VA,20110)に寄託され、以下のATCC受託番号が割り当てられている。(1)菌株表示UMB 022803(P7)には受託番号PTA−6067が割り当てられ、(2)菌株表示UMB 022803(P17)には受託番号PTA−6068が割り当てられている。胎盤組織由来のPPDCの例は、ATCC(Manassas,Va.)に寄託され、以下のATCC受託番号が割り当てられている。(1)菌株表示PLA071003(P8)は2004年6月15日に寄託され、受託番号PTA−6074が割り当てられ、(2)菌株表示PLA 071003(P11)は2004年6月15日に寄託され、受託番号PTA−6075が割り当てられ、(3)菌株表示PLA 071003(P16)は2004年6月16日に寄託され、受託番号PTA−6079が割り当てられている。

0074

様々な実施形態では、PPDCは以下の増殖特性のうちの1つ又は2つ以上を有する。(1)培養中に増殖するためにL−バリンを必要とすること、(2)約5%〜少なくとも約20%の酸素を含む大気下での増殖が可能であること、(3)老化に達する前に培養中少なくとも約40回の倍加の潜在性を有すること、並びに、(4)コーティングされた又はコーティングされていない組織培養容器上で付着及び増殖すること(ここでコーティングされた組織培養容器は、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオミチン(polyomithine)、ビトロネクチン、又はフィブロネクチンのコーティングを含む)。

0075

特定の実施形態では、PPDCは、その細胞が継代される際に維持される、正常核型を有する。核型分析は、胎盤由来母体細胞から、新生児細胞を識別して区別するために、特に有用である。核型分析に関する方法は、当業者に利用可能であり、既知である。

0076

他の実施形態では、PPDCは、(1)ビメンチン、及びα−平滑筋アクチンのうちの少なくとも1つの産生、並びに(2)フローサイトメトリによって検出される、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、PD−L2、及びHLA−A、B、C細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生を含む、特定のタンパク質の産生によって特徴付けられ得る。他の実施形態では、PPDCは、フローサイトメトリによって検出される、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7〜H2、HLA−G、及びHLA−DR、DP、DQ細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生の欠如によって特徴付けることができる。ビメンチン及びα−平滑筋アクチンを産生する細胞が特に好ましい。

0077

他の実施形態では、PPDCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8;レチクロン1;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド1(黒色腫(melonoma)増殖刺激活性、α);ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド6(顆粒球走化性タンパク質2);ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド3;腫瘍壊死因子、α誘導タンパク質3;C型レクチンスーパーファミリーメンバー2;ウイルムス腫瘍1;アルデヒドデヒドロゲナーゼ1ファミリーメンバーA2;レニン;酸化低密度リポタンパク質受容体1;ホモサピエンスクローンIMAGE:4179671;プロテインキナーゼCζ;仮想タンパク質DKFZp564F013;downregulated in ovarian cancer 1;及びクローンDKFZp547k1113由来のホモサピエンス遺伝子のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子に関して増大した遺伝子発現によって特徴付けられ得る。一実施形態では、臍帯組織由来のPPDCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、インターロイキン8;レチクロン1;又はケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド3の少なくとも1つをコードする遺伝子に関して増大した遺伝子発現によって特徴付けられ得る。別の実施形態では、胎盤組織由来のPPDCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、レニン、又は酸化低密度リポタンパク質受容体1の少なくとも1つをコードする遺伝子に関して増大した遺伝子発現によって特徴付けることができる。

0078

更に他の実施形態では、PPDCは、線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比較して、低身長感受性ホメオボックス2;熱ショック27kDaタンパク質2;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)リガンド12(ストロマ細胞由来因子1);エラスチン(大動脈弁上狭窄症、ウィリアムズ−ビューレン症候群);ホモサピエンスmRNA;cDNADKFZp586M2022(クローンDKFZp586M2022由来);間葉ホメオボックス2(成長停止特異的ホメオボックス);sine oculisホメオボックスホモログ1(ドロソフィラ);クリスタリン、αB;形態形成のdisheveled関連アクチベータ2(disheveled associated activator of morphogenesis 2);DKFZP586B2420タンパク質;ニューラリン1の類似体;テトラネクチン(プラスミノーゲン結合タンパク質);src相同性3(SH3)及びシステインリッチドメイン;コレステロール25−ヒドロキシラーゼ;runt関連転写因子3;インターロイキン11受容体、α;プロコラーゲンC−エンドペプチダーゼエンハンサ;frizzledホモログ7(ドロソフィラ);仮定的遺伝子BC008967;コラーゲン、VIII型、α1;テネイシンC(ヘキサブラキオン);iroquoisホメオボックスタンパク質5;ヘファエスチン;インテグリン、β8;シナプス小胞糖タンパク質2;神経芽腫、腫瘍形成抑制1;インスリン様成長因子結合タンパク質2、36kDa;ホモサピエンスcDNAFLJ12280 fis、クローンMAMMA1001744;サイトカイン受容体様因子1;カリウム中間体/低コンダクタンスカルシウム活性化チャネル、サブファミリーN、メンバー4;インテグリン、β7;PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ;sine oculisホメオボックスホモログ2(ドロソフィラ);KIAAI034タンパク質;小胞関連膜タンパク質5(ミオブレビン);EGF含有フィビュリン様細胞外マトリックスタンパク質1;初期成長応答3;distal−lessホメオボックス5;仮想タンパク質FLJ20373;アルド−ケト還元酵素ファミリー1、メンバーC3(3−αヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、II型);バイグリカン;PDZ結合モチーフ(TAZ)を有する転写コアクチベータ;フィブロネクチン1;プロエンケファリン;インテグリン、β様1(EGF様リピートドメインを有する);ホモサピエンスmRNA完全長インサートcDNAクローンEUROIMAGE 1968422;EphA3;KIAA0367タンパク質;ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸シクラーゼC(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体C);仮想タンパク質FLJ14054;ホモサピエンスmRNA;cDNA DKFZp564B222(クローンDKFZp564B222由来);BCL2/アデノウイルスE1B 19kDa相互作用タンパク質3様;AE結合タンパク質1;並びにシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIIaポリペプチド1(筋肉)のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子に関して低減した遺伝子発現によって特徴付けることができる。

0079

その他の実施形態では、臍帯組織由来のPPDCは、トロンボスポンジン−1、トロンボスポンジン−2、及びトロンボスポンジン−4から選択される栄養因子の分泌によって特徴付けることができる。実施形態では、PPDCは、MCP−1、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、FGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1b、I309、RANTES、MDC、及びTIMP1のうちの少なくとも1つの分泌によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、臍帯組織由来のPPDCは、ELISAにより検出される、TGF−β2、ANG2、PDGFbb、MIP1a、及びVEGFのうちの少なくとも1つの分泌の欠如によって特徴付けることができる。代替的な実施形態では、胎盤組織由来のPPDCは、ELISAにより検出される、MCP−l、IL−6、IL−8、GCP−2、HGF、KGF、HB−EGF、BDNF、TPO、MIP1a、RANTES、及びTIMP1のうちの少なくとも1つの分泌によって、並びにTGF−β2、ANG2、PDGFbb、FGF、及びVEGFのうちの少なくとも1つの分泌の欠如によって特徴付けることができる。更なる実施形態では、PPDCは、hTERT又はテロメラーゼの発現を欠如する。

0080

好ましい実施形態では、その細胞は、上記の増殖特性、タンパク質/表面マーカーの産生特性、遺伝子発現特性、又は物質分泌特性のうちの2つ以上を含む。それらの特性のうちの3つ、4つ、又は5つ以上を含むような細胞が、より好ましい。それらの特性のうちの6つ、7つ、又は8つ以上を含むPPDCが、更により好ましい。上記の特性の全てを含むような細胞が、現時点では更により好ましい。

0081

特に好ましい実施形態では、培養中に増殖することが可能な、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離された細胞は、CD117又はCD45の産生を欠如し、hTERT又はテロメラーゼを発現しない。一実施形態において、この細胞はCD117及びCD45の産生を欠如し、任意で、hTERT及びテロメラーゼを発現しない。別の実施形態において、この細胞は、hTERT及びテロメラーゼを発現しない。更に別の実施形態では、培養中に増殖することが可能な、血液を実質的に含まないヒト臍帯組織から単離された細胞は、CD117又はCD45の産生を欠如し、hTERT又はテロメラーゼを発現せず、また、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有する:CD10、CD13、CD44、CD73、及びCD90を発現すること;CD31又はCD34を発現しないこと、ヒト線維芽細胞、間葉系幹細胞、又は腸骨稜骨髄細胞と比較して、インターロイキン8又はレチクロン1の発現レベルが増加していること;並びに分化する可能性を有していること。

0082

その態様のうちのいくつかで本発明と共に使用するのに現時点で好ましい細胞は、とりわけ、上述の特性を有する分娩後細胞であり、より具体的には、細胞が正常核型を有し、継代で正常核型を維持する分娩後細胞であり、更には、細胞がマーカーCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、及びHLA−A、B、Cのそれぞれを発現する分娩後細胞であり、細胞が、列記されたマーカーに対応する免疫学的に検出可能なタンパク質を産生する分娩後細胞である。前述に加えて、フローサイトメトリによって検出される、マーカーCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、又はHLA−DR、DP、DQのいずれかに対応するタンパク質も産生しないような細胞が、更により好ましい。更なる好適な実施形態では、細胞は、hTERT又はテロメラーゼの発現を欠如する。

0083

各種表現型に向かう系列に従い分化する可能性がある、ある種の株は、不安定であり、したがって自発的に分化する場合がある。例えば、神経株に沿って、自然発生的に分化することのない細胞が、本発明と共に使用するために、現時点で好ましい。好ましい細胞は、増殖培地中で増殖させる場合、それらの細胞の表面上に産生される細胞マーカーに関して、また、例えばAffymetrix GENECHIPを用いて判定される様々な遺伝子の発現パターンに関して、実質的に安定である。それらの細胞は、例えば、複数回の集団倍加を経る継代にわたって、それらの表面マーカー特性を、実質的に一定なまま保持する。

0084

しかしながら、PPDCの1つの特徴は、分化を誘導する細胞培養条件にそれらを曝露することによって様々な系統の表現型へと分化するように、それらの細胞を意図的に誘導することができる点である。特定の眼変性状態の治療における用途では、当該技術分野において既知の1つ又は2つ以上の方法を用いて、PPDCを神経表現型に分化するように誘導することができる。例えば、本明細書で例示されるように、PPDCは、B27(B27サプリメント、Invitrogen)、L−グルタミン、及びペニシリン/ストレプトマイシンを含有する、Neurobasal−A培地(Invitrogen(Carlsbad,Calif.))中、ラミニンでコーティングされたフラスコ上にプレーティングすることができ、この培地の組み合わせは、本明細書では、神経前駆細胞増殖(NPE)培地と称される。NPE培地には、bFGF及び/又はEGFを更に添加することができる。代替的に、PPDCは、(1)神経前駆細胞と共にPPDCを共培養すること、又は(2)神経前駆細胞馴化培地中でPPDCを増殖させること、によってインビトロで分化するように誘導することもできる。

0085

PPDCの神経表現型への分化は、伸長した突起を有する双極細胞形態によって証明され得る。誘導された細胞集団は、ネスチンの存在に関して、陽性に染色することができる。分化したPPDCは、ネスチン(nest in)、TuJ1(BIIIチューブリン)、GFAP、チロシンヒドロキシラーゼGABA、04、及び/又はMBPの検出によって、評価することができる。いくつかの実施形態では、PPDCは、ニューロスフェアニューロン幹細胞形成に固有の、3次元体を形成する能力を呈している。

0086

細胞集団
本発明の別の一態様は、分娩後由来細胞、又はその他の前駆細胞などの前駆細胞の集団を特徴とする。分娩後由来細胞は、胎盤又は臍帯組織から単離することができる。好ましい実施形態では、細胞集団は上記のPPDCを含むが、これら細胞集団については下記の項で説明する。

0087

いくつかの実施形態では、この細胞集団は不均質である。本発明の不均質な細胞集団は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%の細胞を含み得る。本発明の不均質な細胞集団は、前駆細胞(分娩後由来細胞)、又は上皮若しくは神経前駆細胞などの他の前駆細胞を更に含み得るか、あるいは完全に分化した細胞を更に含み得る。

0088

いくつかの実施形態では、この集団は、実質的に均質であり、即ち、実質的にPPDCのみ(好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、99%以上の細胞)を含む。いくつかの実施形態では、この細胞集団は均質である。実施形態では、本発明の均質な細胞集団は、臍又は胎盤由来細胞を含み得る。臍由来細胞の均質な集団は、好ましくは、母体系統の細胞を含まない。胎盤由来細胞の均質な集団は、新生児又は母体系統のものであり得る。細胞集団の均質性は、当該技術分野において既知の任意の方法によって、例えば、細胞選別(例えば、フローサイトメトリ)によって、又は既知の方法によるクローン増殖によって、達成することができる。したがって、好ましい均質なPPDC集団は、分娩後由来細胞のクローン細胞株を含み得る。そのような集団は、極めて望ましい機能性を有する細胞クローンが単離されている場合、特に有用である。

0089

また、所望の経路(例えば神経、上皮)に沿った幹細胞分化を刺激する、1種又は2種以上の因子の存在下、又はそのような条件下でインキュベートされた細胞の集団も本明細書で提供される。そのような因子は、当該技術分野において既知であり、当業者には、分化に好適な条件の決定は、慣用実験方法を使用して達成することができる点が、理解されるであろう。そのような条件の最適化は、統計的実験計画及び分析によって達成することができ、例えば、応答曲面法により、例えば生物学的培養での、複数の変数同時最適化が可能となる。現在好ましい因子には、増殖因子又は栄養因子などの因子、脱メチル化剤、神経若しくは上皮系統細胞との共培養又は神経若しくは上皮系統細胞の馴化培地中での培養、並びにこれらの経路に沿った幹細胞分化を刺激するための、当該技術分野において既知の他の条件(例えば、Lang,K.J.D.ら、2004,J.Neurosci.Res.76:184〜192;Johe,K.K.ら、1996,Genes Devel.10:3129〜3140、Gottleib,D.,2002,Ann.Rev.Neurosci.25:381〜407)が挙げられる。

0090

馴化培地
一態様では、本発明は、後述するように、インビトロ及びインビボで用いるための、分娩後由来細胞又は他の前駆細胞などの培養した前駆細胞由来の馴化培地を提供する。こうした馴化培地の使用により、拒絶反応又は他の有害な免疫応答を誘発する恐れがある無傷細胞を導入することなく、細胞によって分泌された有益な栄養因子を、患者内で同種異系的に(allogeneically)使用することが可能となる。馴化培地は、培養培地中で細胞(細胞の集団など)を培養し、続いて、その培地から細胞を除去することによって調製される。特定の実施形態では、分娩後細胞は、UTC又はPDCであり、より好ましくはhUTCである。

0091

上記細胞の集団から調製される馴化培地は、そのまま使用するか、例えば限外濾過若しくは凍結乾燥によって更に濃縮するか、又は更には乾燥させるか、部分的に精製するか、当該技術分野において既知の、医薬的に許容可能な担体若しくは希釈剤と組み合わせるか、又は生物学的製剤、例えば医薬的に有用なタンパク質組成物などの他の化合物と組み合わせることができる。馴化培地は、インビトロ又はインビボで、単独、又は例えば自家若しくは同系の生細胞と共に使用することができる。この馴化培地は、インビボで導入される場合は、治療部位局所的に、又は遠隔で導入して、例えば必要な細胞増殖因子若しくは栄養因子を、患者に提供することができる。

0092

これまでに、ヒト臍帯組織由来細胞が視覚機能を改善し、網膜変性症を改善したことが実証されている(米国特許出願公開第2010/0272803号)。また、分娩後由来細胞を用いて、RCSモデルにおける視細胞のレスキューを促進して、したがって視細胞を保存し得ることも実証されている(米国特許出願公開第2010/0272803号)。hUTCをRCSラットの眼に網膜下注入することで、視力が改善し、網膜変性症が改善している。更に、hUTC由来の馴化培地(CM)を用いた治療によって、インビトロでジストロフィRPE細胞におけるROSの食作用が回復している(米国特許出願公開第2010/0272803号)。ここで、本発明の実施形態は、網膜血管新生(詳細には糖尿病性網膜症における)を低減するhUTCの有益な効果について開示する。

0093

細胞の改変、構成成分、及び産物
分娩後細胞、好ましくはPPDCなどの前駆細胞は、更に、治療的に有用な遺伝子産物を産生するため、又は腫瘍治療のための抗腫瘍薬を産生するために遺伝子操作されてもよい。遺伝子操作は、例えばレトロウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクターなどの組み込みウイルスベクター;例えばパピローマウイルスベクターSV40ベクターアデノウイルスベクターなどの非組み込み複製ベクター;又は複製欠陥ウイルスベクターが挙げられるがこれらに限定されない、様々なベクターのうちのいずれかを用いて達成され得る。細胞内にDNAを導入する他の方法としては、リポソーム電気穿孔法粒子ガンの使用、又は直接的DNA注入によるものが挙げられる。

0094

宿主細胞に、好ましくは、とりわけ、プロモータ配列若しくはエンハンサ配列、転写ターミネータポリアデニル化部位などの、1つ又は2つ以上の適切な発現制御要素によって制御されるか、あるいはその発現制御要素と有効に関連するDNA、及び選択マーカーを、形質転換又は形質移入する。任意のプロモータを使用して、挿入遺伝子の発現を駆動することができる。例えば、ウイルスプロモータとしては、CMVプロモータ/エンハンサ、SV40、パピローマウイルスエプスタインバールウイルス、又はエラスチン遺伝子プロモータが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、インビボで必要とされる場合にのみ、その産物が合成されるように、目的の遺伝子の発現を制御するために使用される制御要素によって、調節された遺伝子発現が可能となり得る。一過性発現が所望される場合には、構成的プロモータが、好ましくは、非組み込みベクター及び/又は複製欠陥ベクター内で使用される。代替的に、誘導性プロモータを使用して、必要とされる場合に、挿入遺伝子の発現を駆動することが可能である。誘導性プロモータとしては、メタロチオネイン及び熱ショックタンパク質を伴うものが挙げられるが、これらに限定されない。

0095

外来DNAの導入後に、操作された細胞を、富栄養培地中で増殖させ、次いで、選択培地切り替えることができる。外来DNA中の選択マーカーは、選択に耐性を付与し、細胞が、例えば、プラスミド上に、その染色体中に外来DNAを安定に組み込み、増殖して増殖巣を形成することを可能にし、次にこの増殖巣は、クローン化して細胞株へと増殖することができる。この方法は、遺伝子産物を発現する細胞株を操作するために、有利に使用することができる。

0096

細胞は、移植部位での炎症若しくは拒絶反応を促進する因子の発現を、「ノックアウト」又は「ノックダウン」するように、遺伝子組み換えすることができる。標的遺伝子発現レベル又は標的遺伝子産物活性レベルの低減のための、負調節技術を、以下で説明する。「負調節」とは、本明細書で使用するとき、調節処理非存在下での標的遺伝子産物のレベル及び/又は活性に対する、標的遺伝子産物のレベル及び/又は活性の低減を指す。ニューロン又はグリア細胞に本来ある遺伝子発現は、例えば、相同組み換え技術を使用して遺伝子を不活性化させることによる、発現の阻害を含めた、数多くの技術を使用して、低減又はノックアウトすることができる。典型的には、タンパク質の重要領域をコードするエクソン(即ち、その領域に対して5’側のエクソン)が、陽性選択マーカー、例えばneoによって干渉されることで標的遺伝子からの正常なmRNAの産生が妨げられて、その遺伝子の不活性化をもたらす。遺伝子はまた、遺伝子の一部に欠失を作り出すことによって、又は遺伝子全体を欠失させることによって、不活性化させることもできる。ゲノム中で離間している、標的遺伝子に対して2つの相同な領域を有する、構築物を使用することによって、その2つの領域に介在する配列を、欠失させることができる(Mombaertsら、1991,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.88:3084〜3087)。アンチセンスDNAザイムリボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、及び標的遺伝子の発現を阻害する他のそのような分子もまた、標的遺伝子活性のレベルを低減するために使用することができる。例えば、主要組織適合遺伝子複合体(HLA)の発現を阻害する、アンチセンスRNA分子は、免疫反応に関して、最も汎用的であることが示されている。また更には、標的遺伝子活性のレベルを低減する際に、3重らせん分子を利用することもできる。これらの技術は、L.G.Davisら(編)、1994、BASICMETHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,2nd ed.、Appleton & Lange(Norwalk,CT)で詳細に説明されている。

0097

他の態様では、本発明は、分娩後幹細胞、好ましくはPPDCから調製される細胞溶解物及び細胞可溶性画分、又はPPDCを含む不均質若しくは均質な細胞集団、並びに遺伝子操作されているか、又は神経形成経路に沿って分化するように刺激されている、PPDC若しくはその集団を提供する。こうした溶解物及びその画分は、多くの有用性を有する。インビボでの細胞溶解物の可溶性画分(即ち、実質的に膜を含まない)の使用により、例えば、拒絶反応、又は他の有害な免疫学的応答を誘発する可能性が最も高い、相当量細胞表面タンパク質を導入することなく、有益な細胞内環境を、患者内で同種異系的に使用することが可能となる。細胞を溶解する方法は、当該技術分野において周知であり、機械的破壊、酵素破壊、若しくは化学的破壊、又はこれらの組み合わせの様々な手段が挙げられる。そのような細胞溶解物は、増殖培地中の細胞から、直接調製することができ、それゆえ、分泌された増殖因子などを含有するか、又は例えば、PBS若しくは他の溶液中で、洗浄された培地を含まない細胞から調製することができる。洗浄細胞は、好ましい場合には、元の集団密度よりも高い濃度で、再懸濁させることができる。

0098

一実施形態では、例えば、細胞を破壊し、その後に細胞画分を分離しないことによって、細胞溶解物の全体が調製される。別の実施形態では、当該技術分野において既知の慣用的方法、例えば、遠心分離、濾過、又は同様の方法によって、細胞の可溶性画分から、細胞膜画分が分離される。

0099

分娩後由来細胞などの前駆細胞の集団から調製される、細胞溶解物又は細胞可溶性画分は、そのまま使用するか、例えば限外濾過若しくは凍結乾燥によって更に濃縮するか、又は更に乾燥させるか、部分的に精製するか、当該技術分野において既知の、医薬的に許容可能な担体若しくは希釈剤と組み合わせるか、又は生物学的製剤、例えば医薬的に有用なタンパク質組成物などの他の化合物と組み合わせることができる。細胞溶解物又はその画分は、インビトロ若しくはインビボで、単独で、又は、例えば自家若しくは同系の生細胞と共に、使用することができる。細胞溶解物は、インビボに導入される場合には、治療部位で局所的に、又は遠隔で導入して、例えば、必要な細胞増殖因子を患者に提供することができる。

0100

更なる実施形態では、分娩後細胞、好ましくはPPDCは、インビトロで培養することにより、生物学的産物を高収率で産生することができる。例えば、そのような細胞は、目的とする具体的な生物学的産物(例えば、栄養因子)を天然に産生するか、又は生物学的産物を産生するように遺伝子操作されており、本明細書で説明される培養技術を使用して、クローン増殖させることができる。代替的に、所望の系統への分化を誘導する培地中で、細胞を増殖させることができる。いずれの場合でも、その細胞によって産生され、培地中に分泌された生物学的産物は、例えば、いくつか例を挙げると、示差的タンパク質沈殿法イオン交換クロマトグラフィゲル濾過クロマトグラフィ、電気泳動、及びHPLCなどの、標準的な分離技術を使用して、馴化培地から容易に単離することができる。「バイオリアクタ」を使用して、例えば、インビトロで3次元培養物に栄養を与えるための、フロー法活用することができる。本質的には、新鮮培地が3次元培養物を通過する際、生物学的産物は、培養物から洗い出され、次いで、上記のように、その流出物から単離されることができる。

0101

代替的に、目的の生物学的産物は、細胞内部に留まる場合があり、それゆえ、その収集には、上述のように、細胞を溶解させることが必要となる場合がある。続いて、上記の技術のうちの任意の1つ以上を使用して、その生物学的産物を精製することができる。

0102

別の実施形態では、液体固体、又は半固体の基質上に分娩後細胞(好ましくはPPDC)を培養することによって産生される、細胞外マトリックス(ECM)が調製、収集され、組織の修復又は置換を必要とする被験体内への生細胞の移植の代替案として利用される。細胞は、インビトロで、本明細書の他の箇所で説明される3次元フレームワーク上に、所望の量のECMがそのフレームワーク上に分泌されるような条件下で培養される。細胞及びフレームワークが取り出され、例えば注入可能製剤としての更なる使用のために、ECMが処理される。このことを達成するために、フレームワーク上の細胞を死滅させ、そのフレームワークから、あらゆる細胞残渣を除去する。このプロセスは、多種多様な方法で実施することができる。例えば、凍結保存剤を使用することなく、その生組織を液体窒素中で急速凍結することができ、又は細胞が浸透圧に反応して破裂するように、滅菌蒸留水中に組織を浸漬させることができる。

0103

細胞を死滅させた後、EDTACHAPS、又は双極性イオン性洗剤などの弱い洗剤すすぎ処理することによって、細胞膜を破壊し、細胞残渣を除去することができる。代替的に、細胞膜を分解し、細胞内容物の除去を可能とする試薬で、その組織を酵素消化させ、かつ/又は抽出することができる。そのような酵素の例としては、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、プロテアーゼ、及びヌクレアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。洗剤の例としては、例えばアルキルアリールポリエーテルアルコール(TRITON X−100)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Rohm and Haas(Philadelphia,Pa.))、BRIJ−35、ポリエトキシエタノールラウリルエーテル(Atlas Chemical Co.(San Diego,Calif.))、ポリソルベート20(TWEEN 20)、ポリエトキシエタノールソルビタンモノラウレート(Rohm and Haas)、ポリエチレンラウリルエーテル(Rohm and Haas)などの非イオン性洗剤、並びに、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム硫酸化高級脂肪族アルコール、分岐又は非分岐鎖中に7〜22個の炭素原子を含有するスルホン化アルカン及びスルホン化アルキルアレーンなどのイオン性洗剤が挙げられる。

0104

ECMの収集は、例えば、新たな組織が、生分解性又は非生分解性である3次元フレームワーク上で形成されているかどうかによって、様々な方法で達成することができる。例えば、そのフレームワークが、非生分解性である場合には、音波処理高圧水ジェット、機械的掻き取り、又は洗剤若しくは酵素での穏和な処理、あるいは上記の任意の組み合わせを、そのフレームワークに施すことによって、ECMを取り出すことができる。

0105

フレームワークが、生分解性である場合には、例えば、そのフレームワークを溶液中で分解させるか、又は溶解させることによって、ECMを収集することができる。代替的に、生分解性フレームワークが、それ自体をECMと併せて注入することが可能な材料からなる場合には、そのフレームワーク及びECMは、その後の注入のために、まとめて処理することができる。代替的に、ECMは、非生分解性フレームワークからのECMの収集に関して上述された方法のうちのいずれかによって、生分解性フレームワークから取り出すことができる。全ての収集プロセスは、好ましくは、ECMを変性させないように設計される。

0106

ECMを収集した後、更にECMを処理することができる。例えば、ECMは、音波処理などによる、当該技術分野において周知の技術を使用して、微粒子へと均質化することができるため、そのECMは、外科用ニードルの中を通過することができる。ECMの成分は、必要に応じて、γ線照射によって架橋することができる。好ましくは、ECMは、2.5〜20キログレイ(0.25〜2メガラド)で照射することにより、ECMを滅菌及び架橋することができる。グルタルアルデヒドなどの、毒性の薬剤を使用する化学架橋も可能であるが、一般的には好ましくない。

0107

ECM中に存在する様々なタイプのコラーゲンなどの、タンパク質の量及び/又は比率は、本発明の細胞によって産生されるECMと、1種又は2種以上の他の細胞型のECMとを混合することによって、調整することができる。更には、タンパク質、増殖因子、及び/又は薬物などの、生物学的に活性な物質を、ECM中に組み込むことができる。例示的な生物学的に活性な物質としては、注入部位での治癒及び組織修復を促進する、TGF−βなどのような、組織増殖因子が挙げられる。そのような追加的薬剤は、例えば、全細胞溶解物、可溶性細胞分画、又は細胞によって産生される更なる精製成分及び産物と共に、本明細書で上述された実施形態のいずれかで利用することができる。

0108

医薬組成物
別の態様では、本発明は、分娩後細胞(好ましくはPPDC)などの非胚(non-embryronic)幹細胞、その細胞集団、こうした細胞によって産生される馴化培地、並びに、眼変性状態の治療のための様々な方法においてこうした細胞によって産生される細胞成分及び産物を用いる医薬組成物を提供する。特定の実施形態は、生細胞(例えば、PPDC単独、又は他の細胞型との混合)を含む医薬組成物を包含する。他の実施形態は、PPDC馴化培地を含む医薬組成物を包含する。更なる実施形態は、PPDCの細胞成分(例えば、細胞溶解物、可溶性細胞分画、ECM、又は前述のうちのいずれかの構成成分)、又は産物(例えば、細胞によって天然に又は遺伝子操作を通じて産生される、栄養及び他の生物学的因子、細胞を培養することから得られる馴化培地)を用い得る。いずれの場合でも、この医薬組成物は、当該技術分野において既知の、抗炎症剤、抗アポトーシス剤、抗酸化剤、増殖因子、神経栄養因子、又は神経再生薬、神経保護薬、若しくは点眼薬などの、他の活性剤を更に含み得る。

0109

医薬組成物に添加することができる他の成分の例としては、(1)他の神経保護薬又は神経有効薬、(2)当該技術分野において既知の1つ又は2つ以上のタイプのコラーゲンなどの、選択された細胞外マトリックス成分、並びに/又は増殖因子、多血小板血漿、及び薬物(代替的に、増殖因子を発現及び産生するように、PPDCを遺伝子組み換えしてもよい)、(3)抗アポトーシス剤(例えば、エリスロポエチン(EPO)、EPOミメティボディトロンボポエチン、インスリン様増殖因子(IGF)−I、IGF−II、肝細胞増殖因子カスパーゼ阻害剤)、(4)抗炎症化合物(例えば、p38MAPキナーゼ阻害剤、TGF−β阻害剤スタチン、IL−6及びIL−1阻害剤、PEMIROLAST、TRANILAST、REMICADE、SIROLIMUS、及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(TEPOXALIN、TOLMETIN、及びSUPROFENなど)、(5)カルシニューリン阻害剤mTOR阻害剤抗増殖薬コルチコステロイド、及び様々な抗体などの、免疫抑制剤又は免疫調節剤、(6)プロブコール、ビタミンC及びビタミンE、補酵素Q−10、グルタチオン、L−システイン、並びにN−アセチルシステインなどの、抗酸化剤、並びに(6)局所麻酔剤などが挙げられるが、これらに限定されない。

0110

本発明の医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体又は媒質と共に配合された、分娩後細胞(好ましくはPPDC)などの前駆細胞、これらの細胞から生成された馴化培地、又はこれらの構成成分若しくは産物を含む。好適な医薬的に許容可能な担体としては、水、食塩水(リンガー液など)、アルコール、油、ゼラチン、及び炭水化物ラクトースアミロース、又はデンプンなど)、脂肪酸エステルヒドロキシメチルセルロース、並びにポリビニルピロリドンが挙げられる。そのような調製物は、滅菌することができ、また必要に応じて、滑沢剤防腐剤、安定剤、湿潤剤乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、及び着色剤などの、補助剤と混合することができる。典型的であるが排他的に、細胞成分又は産物を含むが生細胞を含まない医薬組成物は、液状で配合される。PPDC生細胞を含む医薬組成物は、典型的には、液体、半固体(例えば、ゲル)、又は固体(例えば、眼組織工学に関して適切なマトリックス、スカフォールドなど)として配合される。

0111

医薬組成物は、医薬品化学者又は生物学者に周知されるような補助成分を含んでもよい。例えば、医薬組成物は、用いられる抗酸化剤の種類に応じて変化する範囲の抗酸化剤を含んでもよい。一般に用いられる抗酸化剤の妥当な範囲は、約0.01〜約0.15w/v%のEDTA、約0.01〜約2.0w/v%の亜硫酸ナトリウム、及び約0.01〜約2.0w/v%のメタ重亜硫酸ナトリウムである。当業者は、上記のそれぞれに対して約0.1w/v%の濃度を用い得る。他の例示的な化合物としては、メルカプトプロピオニルグリシン、N−アセチルシステイン、β−メルカプトエチルアミン、グルタチオン、及び類似の種が挙げられるが、眼投与に好適な他の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸及びその塩、又は亜硫酸塩若しくはメタ重亜硫酸ナトリウムを用いてもよい。

0112

緩衝剤を使用して、点眼薬配合物のpHを約4.0〜約8.0の範囲に維持して、その結果、眼刺激を最小化することができる。硝子体内又は眼内直接注入のためには、配合物は、pH7.2〜7.5、好ましくはpH7.3〜7.4であるべきである。眼科組成物は、眼への投与に好適な等張化剤を更に含んでもよい。中でも、配合物を0.9%生理的食塩水溶液とほぼ等張にするのには、塩化ナトリウムが好適である。

0113

特定の実施形態では、医薬組成物は増粘剤と共に配合される。例示的な剤は、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンである。医薬組成物は、必要であれば共溶媒を有してもよい。好適な共溶媒としては、グリセリンポリエチレングリコール(PEG)、ポリソルベート、プロピレングリコール、及びポリビニルアルコールが挙げられ得る。また、例えば、塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムクロロブタノール酢酸フェニル水銀若しくは硝酸フェニル水銀チメロサール、又はメチル若しくはプロピルパラベンなどの防腐剤を添加してもよい。

0114

注入用配合物は、好ましくは、単用投与用に設計して、防腐剤を含まない。注入剤は、0.9%の塩化ナトリウム溶液と等価の等張性を有するべきである(290〜300ミリオスモルオスモル濃度)。これは、塩化ナトリウム、若しくは上記の他の共溶媒、又は上記の緩衝剤及び抗酸化剤などの賦形剤を添加することによって達成され得る。

0115

眼の前房組織は房水に浸されており、一方で、網膜は硝子体に連続的に曝露されている。これらの流体/ゲルは、抗酸化化合物及び酵素を含むため、高還元性酸化還元状態で存在する。したがって、眼科組成物に還元剤を含めることは有利となり得る。好適な還元剤としては、N−アセチルシステイン、アスコルビン酸、又は塩形態、及び亜硫酸ナトリウム又はメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられ、アスコルビン酸、及び/又はN−アセチルシステイン若しくはグルタチオンは注入剤に特に好適である。

0116

細胞若しくは馴化培地、又は細胞成分若しくは細胞産物を含む医薬組成物は、当該技術分野において既知のいくつかの送達モードのうちの1つ又は2つ以上で患者の眼に送達することができる。いくつかの場合で使用に好適であり得る一実施形態では、組成物は点眼液又は洗眼剤形態で眼に局所送達される。別の実施形態では、組成物は、周期的な眼内注入によって、又は、BSS若しくはBSSPLUS(Alcon USA(Fort Worth,Tex))などの潅注溶液形態での注入によって眼内の様々な位置に送達することができる。代替的に、組成物は、例えば、Herrero−Vanrellに対する米国特許第5,718,922号で開示されるような、予形成又はインサイチュ形成されるゲル又はリポソームなどの、当業者に既知の他の眼科剤形で適用されてもよい。別の実施形態では、組成物は、コンタクトレンズ(例えば、Lidofilcon B.Bausch & Lomb CW79、又はDELTACON(Deltafilcon A))、又は眼の表面に一時的に置かれる他の物体を介して、処置の必要な眼の水晶体に対して又はそれを通して送達されてもよい。他の実施形態では、コラーゲン角膜シールド(例えば、BIO−COR可溶性角膜シールド、Summit Technology(Watertown,Mass))のような支持体を用いてもよい。また、組成物は、浸透圧ポンプ(ALZET,Alza Corp(Palo Alto,Calif.))からカニューレを通して、又は徐放カプセル(OCCUSENT)若しくは生分解性ディスク(OCULEX,OCUSERT)を移植することによって、眼球中に注入することで投与されてもよい。これらの投与経路は、眼への医薬組成物の連続的な供給を提供するという利点を有する。これは、角膜への局所送達のために有利であり得る。

0117

固形又は固形の担体中に生細胞を含む医薬組成物は、典型的には、眼の損傷又は苦痛部位における外科的移植のために配合される。また、例えば馴化培地などの液体組成物も、外科的処置によって投与可能であることが理解されるであろう。具体的な実施形態では、半固体又は固体の医薬組成物は、非生分解性若しくは生分解性とすることができる、半透性ゲル、格子、細胞スカフォールドなどを含み得る。例えば、特定の実施形態では、外来性の細胞を、それらの周囲から隔離するが、それらの細胞が、周囲の細胞に生体分子を分泌及び送達できるようにすることが、望ましいか、又は適切である場合がある。これらの実施形態では、細胞は、移植細胞宿主組織から物理的に隔離する、非生分解性の選択的透過性障壁によって包囲された、生きているPPDC、又はPPDCを含む細胞集団を含む、自律移植片として配合されてもよい。こうした移植片は、薬理学的に誘導された免疫抑制不在下で、免疫細胞及び巨大分子が移植細胞を殺傷することを防ぐ能力を有するため、「免疫防御性」と呼ばれる場合がある(こうした装置及び方法の概説に関しては、例えば、P.A.Trescoら、2000,Adv.Drug Delivery Rev.42:3〜27を参照されたい)。

0118

他の実施形態では、本発明の医薬組成物に関して、多種多様な分解性ゲル及び分解性ネットワークが利用される。例えば、持続放出性製剤に関して特に好適な、分解性材料としては、ポリ乳酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの、生体適合性ポリマーが挙げられる。薬物送達ビヒクル中の分解性ポリマーの構造、選択、及び使用については、A.Dombら、1992,Polymers for Advanced Technologies 3:279〜291を含むいくつかの刊行物で概説されている。米国特許第5,869,079号(Wongら)は、生分解性持続放出性眼移植片における親水性物質疎水性物質との組み合わせを開示している。加えて、米国特許第6,375,972号(Guoら)、同第5,902,598号(Chenら)、同第6,331,313号(Wongら)、同第5,707,643号(Oguraら)、同第5,466,233号(Weinerら)、及び同第6,251,090号(Averyら)が、それぞれ、医薬組成物の送達に用いられ得る眼内移植装置及びシステムについて説明している。

0119

他の実施形態では、例えば、損傷若しくは断裂した視神経などの、神経損傷部位の修復に関しては、生分解性、好ましくは生体再吸収性又は生体吸収性のスカフォールド若しくはマトリックス上に、又はそれらの内部に細胞を送達することが望ましいか、又は適切な場合がある。これらの典型的な3次元生体材料は、スカフォールドに付着されるか、スカフォールド内部に分散されるか、又はスカフォールド内に封入された細胞外マトリックス内に組み込まれる、生細胞を含む。身体の標的領域内に移植された後、これらの移植片は、宿主組織と一体化され、それらの移植細胞が、徐々に定着していく(例えば、P.A.Trescoら、2000(上記参照)を参照されたく、また、D.W.Hutmacher,2001,J.Biomater.Sci.Polymer Edn.12:107〜174を参照されたい)。

0120

本発明で使用することができるスカフォールド又はマトリックス(「フレームワーク」と総称される場合がある)材料の例としては、不織布マット多孔質発泡体、又は自己集合性ペプチドが挙げられる。不織性マットは、例えば、商標名VICRYL(Ethicon,Inc.(Somerville,N.J))で市販されているグリコール酸と乳酸との吸収性合成コポリマーPGA/PLA)からなる繊維を用いて形成することができる。また、例えば、米国特許第6,355,699号に記載されているような、冷凍乾燥法又は凍結乾燥法などのプロセスにより形成されたポリ(エプシロン−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーからなる発泡体を用いてもよい。自己集合性ペプチド(例えば、RAD16)などのヒドロゲルもまた、使用することができる。インサイチュで形成される分解性ネットワークもまた、本発明での使用に好適である(例えば、Anseth,K.S.ら、2002,J.Controlled Release 78:199〜209、Wang,D.ら、2003,Biomaterials 24:3969〜3980、Heらの米国特許出願公開第2002/0022676号を参照されたい)。これらの材料は、注入に好適な流体として配合し、続いて、インサイチュ又はインビボで、分解性ヒドロゲルネットワークを形成するように、様々な手段(例えば、温度、pH、露光の変更)によって誘導することができる。

0121

別の実施形態では、このフレームワークは、生体吸収性材料、例えば、PGA、PLA、PCLのコポリマー若しくはブレンド、又はヒアルロン酸から作製されたマルチフィラメント糸で構成することができる、フェルトである。この糸は、圧着、切断、カーディング、及びニードリングからなる標準的なテキスタイル加工技術を使用して、フェルトにされる。別の実施形態では、細胞は、複合材料構造体とすることができる発泡体スカフォールド上に播種される。

0122

上記の実施形態の多くで、フレームワークを有用な形状に成形することができる。更に、PPDCは、例えば、線維芽細胞含有GDC血管内コイルを調製するために使用される方式に対応する方法によって、予備形成された非分解性外科用装置又は移植可能な装置上で培養することができるということが理解されるであろう(Marx,W.F.ら、2001,Am.J.Neuroradiol.22:323〜333)。

0123

これらのマトリックス、スカフォールド、又は装置は、細胞付着を増強するために、細胞の接種の前に処理することができる。例えば、接種の前に、ナイロンマトリックスを0.1モル酢酸で処理し、かつポリリシン、PBS、及び/又はコラーゲン中でインキュベートすることにより、そのナイロンをコーティングすることができる。ポリスチレンは、硫酸を使用して、同様に処理することができる。フレームワークの外側表面もまた、そのフレームワークの血漿コーティング、又は1種若しくは2種以上のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維細網繊維)、糖タンパク質グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、並びに/又は、限定するものではないが、とりわけ、ゼラチン、アルギン酸塩寒天アガロース、及び植物ゴムなどの他の材料の添加などによって、細胞の付着若しくは増殖、及び組織の分化を改善するように、改変することができる。

0124

生細胞含有フレームワークは、当該技術分野で既知の方法に従って調製される。例えば、細胞は、準集密又は集密まで、培養容器内で自由に増殖させて、その培養物から取り上げ、フレームワーク上に接種することができる。必要に応じて、細胞の接種前、接種中、若しくは接種後に、培養培地に増殖因子を添加することにより、分化及び組織形成を誘発させることができる。代替的に、フレームワーク上での細胞の増殖が増強されるように、又は移植片の拒絶のリスクが低減されるように、フレームワーク自体を改変することができる。したがって、抗炎症剤、免疫抑制剤、又は増殖因子が挙げられるが、これらに限定されない、1種又は2種以上の生物学的に活性な化合物を、局所放出のためにフレームワークに添加することができる。

0125

使用方法
分娩後細胞(好ましくはhUTC又はPDC)などの前駆細胞、若しくはその細胞集団、あるいはこうした細胞の馴化培地若しくは他の成分、又はこうした細胞によって産生される産物を、眼細胞及び組織の修復及び再生を支援及び促進するために様々な方法で用いてもよい。そのような有用性は、インビトロ法、エクスビボ法、及びインビボ法を包含する。以下に記載する方法は、PPDCを目的としているが、その他の前駆細胞も、これらの方法で用いるのに好適であり得る。

0126

インビトロ法及びエクスビボ法
一実施形態では、分娩後細胞(好ましくはhUTC又はPDC)などの前駆細胞、及びそれから生成された馴化培地を、インビトロで用いて、医薬品、増殖因子、調節因子などの有効性及び細胞毒性に関して、多種多様な化合物をスクリーニングすることができる。例えば、こうしたスクリーニングを、実質的に均質なPPDCの集団に対して実行して、眼状態の治療のためにそのPPDCと共に配合されるか又は同時投与される候補化合物の有効性又は毒性を評価することができる。代替的に、こうしたスクリーニングは、新規の医薬品候補の有効性を評価する目的で、眼内で見出される細胞型、又はその前駆細胞へと分化するよう刺激されているPPDCに対して実行してもよい。この実施形態では、PPDCは、インビトロで維持され、試験される化合物に曝される。細胞毒性の可能性がある化合物の活性は、培養細胞に損傷を与えるか又は死滅させる、その能力によって測定することができる。このことは、生体染色技術によって、容易に評価することができる。

0127

上述のように、PPDCは、これらの細胞によって天然に産生されるか、他の系統に分化するように誘導されるときにこれらの細胞によって産生されるか、又は遺伝子操作を介してこれらの細胞によって産生されるか、のいずれかである生物学的産物を産生するように、インビトロ培養することができる。例えば、TIMP1、TPO、KGF、HGF、FGF、HBEGF、BDNF、MIP1b、MCP1、RANTES、I309、TARC、MDC、及びIL−8は、増殖培地中で増殖させた臍由来細胞から分泌されることが判明した。臍由来細胞は、トロンボスポンジン−1、トロンボスポンジン−2、及びトロンボスポンジン−4も分泌する。TIMP1、TPO、KGF、HGF、HBEGF、BDNF、MIP1a、MCP−1、RANTES、TARC、エオタキシン、及びIL−8は、増殖培地中で培養した胎盤由来PPDCから分泌されることが判明した(実施例を参照)。

0128

この点に関し、本発明の実施形態は、馴化培地を産生するためのPPDCの使用を特徴とする。PPDC由来馴化培地の産生は、未分化のPPDCから、又は分化を刺激する条件下でインキュベートされたPPDCから、のいずれかであってよい。こうした馴化培地は、例えば、上皮又は神経前駆細胞のインビトロ又はエクスビボ培養、あるいは、PPDCの均質集団、又はPPDCと他の前駆細胞とを含む不均質集団を含む移植細胞を支援するためのインビボにおける使用が想到される。

0129

PPDCの細胞溶解物、可溶性細胞画分若しくはその成分、又はECM若しくはその成分が、様々な目的のために用いられ得る。上述のように、これらの成分の一部は、医薬組成物中で使用することができる。他の実施形態では、細胞溶解物又はECMを使用して、外科的な使用のための、若しくは移植のための、又はエクスビボ目的のための物質又は装置を、コーティングするか、あるいは他の方法で処理することにより、こうした処理の過程で接触する細胞又は組織の治癒又は生存が促進される。

0130

実施例12及び13で説明するとおり、PPDCは、これらの細胞との共培養で増殖させた場合に、成体神経前駆細胞の生存、増殖、及び分化を支援する能力を実証している。同様に、従来の研究で、PPDCが栄養機構を介して網膜細胞を支援するように機能し得ることが指摘されている(米国特許出願公開第2010/0272803号)。したがって、PPDCは、他の細胞、特に神経細胞、並びに神経及び眼前駆細胞(例えば、神経幹細胞、及び網膜又は角膜上皮幹細胞)に栄養的支援を提供するために、インビトロ共培養で有利に用いられる。共培養の場合、PPDC及び所望の他の細胞が、この2つの細胞型が接触する条件下で共培養されることが望ましい場合がある。このような接触は、例えば、培養培地中、又は好適な培養基質上に、不均質な細胞集団として、それらの細胞を播種することによって、達成することができる。代替的に、PPDCは、最初にコンフルエンスまで増殖されてもよく、続いて、培養中の第2の所望の細胞型のための基質としての機能を果たす。この後者の実施形態では、それらの細胞は、例えば、膜又は同様の装置によって、更に物理的に分離させることができ、これにより、共培養の期間の後に、他の細胞型を取り出して、個別に使用することができる。神経又は眼細胞型の増殖及び分化を促進するための、共培養中のPPDCの使用は、研究分野及び臨床/治療分野での応用性を見出し得る。例えば、PPDCの共培養を利用して、例えば、基礎研究目的のために、又は薬物スクリーニングアッセイでの使用のために、こうした培養下細胞の増殖及び分化を促進することができる。PPDCの共培養はまた、治療目的で後に投与するための神経又は眼前駆細胞のエクスビボ増殖のために利用することもできる。例えば、神経又は眼前駆細胞を個体から採取して、PPDCとの共培養中にエクスビボ増殖させ、続いて、その個体に戻す(自家移入)か、又は別の個体に戻す(同系移入又は同種異系移入)ことができる。これらの実施形態では、エクスビボ増殖の後に、PPDC及び前駆細胞を含む混合細胞集団を、治療を必要とする患者に投与することが可能である点が、理解されるであろう。代替的に、自家移入が適切であるか、又は望ましい状況では、共培養された細胞集団を培養中に物理的に分離して、患者に投与するための自家前駆細胞の取り出しを実現することができる。

0131

インビボ法
実施例で記載するとおり、前駆細胞(PPDC)、又はこうした細胞から生成された馴化培地は、眼変性状態の治療のために効果的に用いられ得る。眼内の標的部位内に移植されると、PPDCなどの前駆細胞、又は前駆細胞由来の馴化培地は、ニューロン細胞を含む眼細胞にインサイチュで栄養的支援を提供する。

0132

前駆細胞(PPDC)、前駆細胞由来の馴化培地は、当該技術分野において既知の、その他の有用な薬剤、増殖因子、栄養因子などの生体分子、馴化培地(前駆細胞又は分化細胞培養由来の)、あるいは抗炎症剤、抗アポトーシス剤、抗酸化剤、増殖因子、神経栄養因子、又は神経再生薬若しくは神経保護薬などのその他の活性剤、と共に投与することができる。馴化培地が他の薬剤と共に投与される場合、それらは、単一の医薬組成物として一緒に、又は別個の医薬組成物として、他の薬剤と同時に、若しくは逐次的に(他の薬剤の投与より前又は後のいずれかで)、投与することができる。

0133

PPDCなどの前駆細胞、及び馴化培地産物と共に投与することができる他の成分の例としては、(1)他の神経保護薬又は神経有効薬、(2)当該技術分野において既知の1つ又は2つ以上のタイプのコラーゲンなどの、選択された細胞外マトリックス成分、並びに/又は増殖因子、多血小板血漿、及び薬物(代替的に、細胞は、増殖因子を発現及び産生するように、遺伝子組み換えすることもできる)、(3)抗アポトーシス剤(例えば、エリスロポエチン(EPO)、EPOミメティボディ、トロンボポエチン、インスリン様増殖因子(IGF)−I、IGF−II、肝細胞増殖因子、カスパーゼ阻害剤)、(4)抗炎症化合物(例えば、p38MAPキナーゼ阻害剤、TGF−β阻害剤、スタチン、IL−6及びIL−1阻害剤、PEMIROLAST、TRANILAST、REMICADE、SIROLIMUS、及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(TEPOXALIN、TOLMETIN、及びSUPROFENなど)、(5)カルシニューリン阻害剤、mTOR阻害剤、抗増殖薬、コルチコステロイド、及び様々な抗体などの、免疫抑制剤又は免疫調節剤、(6)プロブコール、ビタミンC及びビタミンE、補酵素Q−10、グルタチオン、L−システイン、及びN−アセチルシステインなどの、抗酸化剤、並びに(6)局所麻酔剤などが挙げられるが、これらに限定されない。

0134

液体又は流体医薬組成物は、眼内のより一般的な位置に(例えば、局所又は眼内に)投与してもよい。

0135

他の実施形態は、PPDCなどの前駆細胞由来の馴化培地、又はこれらの細胞により天然に産生されたか、若しくは細胞の遺伝子操作によって産生された、栄養因子及び他の生物学的因子を含む医薬組成物を投与することにより、眼変性状態を治療する方法を包含する。この場合も、これらの方法は、当該技術分野において既知のような増殖因子、神経栄養因子、又は神経再生薬若しくは神経保護薬などの、他の活性剤を投与することを更に含み得る。

0136

本明細書で説明されるPPDCなどの前駆細胞由来の馴化培地、又は他の医薬組成物のうちのいずれかを投与するための、剤形及び投与計画は、個々の患者の状態、例えば、眼変性状態の性質及び程度、年齢、性別、体重及び全般的な医学的状態、並びに医師には既知の他の因子を考慮して、適正な臨床に従って開発される。それゆえ、患者に投与される医薬組成物の有効量は、当該技術分野において既知のこれらの考慮事項によって決定される。

0137

細胞療法を開始する前に、患者を薬理学的に免疫抑制することが、望ましいか、又は適切な場合がある。このことは、全身性若しくは局所性の免疫抑制剤の使用を通じて達成することができ、又は上述のように、封入装置内の細胞を送達することによって達成することができる。移植細胞に対する免疫反応を低減若しくは排除するための、これらの手段及び他の手段は、当該技術分野において既知である。別の方法として、上述のように、遺伝子操作したPPDCから馴化培地を調製して、それらの免疫原性を低減することができる。

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