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図面 (5)

課題・解決手段

改善された凝乳特性を有するキモシン変異体

概要

背景

背景技術
哺乳類凝乳酵素である、キモシン(EC3.4.23.4)およびペプシン(EC3.4.23.1)は、広いクラスのペプチダーゼに属するアスパラギン酸プロテアーゼである。

胃粘膜細胞で産生される場合、キモシンおよびペプシンはそれぞれ、酵素的に不活性プレプロキモシンおよびプレ−ペプシノーゲンとして生じる。キモシンが分泌されると、N末端ペプチドフラグメントである、プレ−フラグメントシグナルペプチド)が切断され、プロ−フラグメントを含むプロキモシンが得られる。プロキモシンは酵素の実質的に不活性な形態であるが、プロ−フラグメントの自己触媒除去により活性キモシンへと酸性条件下で活性化される。この活性化は、適切なpH条件下で胃管腔においてインビボにて、または酸性条件下でインビトロにて起こる。

ウシ、すなわちボスタウラス(Bos taurus)の、プレ−プロキモシン、プロキモシンおよびキモシンの構造的および機能的特性は広く研究されてきた。ウシプレ−プロキモシン分子のプレ−部分は16個のaa残基を含み、対応するプロキモシンのプロ−部分は42個のaa残基の長さを有する。活性ウシキモシンは323aaを含む。

キモシンは哺乳類種、例えばウシ、ラクダヤギ(caprines)、バッファローヒツジブタ、ヒト、サルおよびラットにおいて、天然に生成される。

ウシおよびラクダキモシンは長年にわたって酪農業界に市販されてきた。

凝乳酵素、例えばキモシンおよびペプシンによる乳の酵素的凝固は、チーズの製造における最も重要な工程の1つである。酵素的な乳の凝固は、次の2相工程である:タンパク質分解酵素であるキモシンまたはペプシンが、κカゼイン攻撃し、カゼインミセル構造の準安定状態をもたらす第1相、および、続いて乳が凝固し、凝固物を形成する第2相(参考文献1)。

WO02/36752A2(Chr.Hansen)は、ラクダキモシンの組換え生成を記載している。
WO2013/174840A1(Chr.Hansen)は、ウシおよびラクダキモシンの突然変異体変異体を記載している。
WO2013/164479A2(DSM)は、ウシキモシンの突然変異体を記載している。

以下に列挙した参考文献は、本文脈において、キモシンの突然変異体を記載する参考文献として参照される:
- Suzuki et al: Site directed mutagenesis reveals functional contribution of Thr218, Lys220 and Asp304 in chymosin, Protein Engineering, vol. 4, January 1990, pages 69-71;
- Suzuki et al: Alteration of catalytic properties of chymosin by site-directed mutagenesis, Protein Engineering, vol. 2, May 1989, pages 563-569;
- van den Brink et al: Increased production of chymosin by glycosylation, Journal of biotechnology, vol. 125, September 2006, pages 304-310;
- Pitts et al: Expression and characterisation of chymosin pH optima mutants produced in Tricoderma reesei, Journal of biotechnology, vol. 28, March 1993, pages 69-83;
- M.G. Williams et al: Mutagenesis, biochemical characterization and X-ray structural analysis of point mutants of bovine chymosin, Protein engineering design and selection, vol. 10, September 1997, pages 991-997;
- Strop et al: Engineering enzyme subsite specificity: preparation, kinetic characterization, and x-ray analysis at 2.0 ANG resolution of Val111phe site mutated calf chymosin, Biochemistry, vol. 29, October 1990, pages 9863-9871;
- Chitpinityol et al: Site-specific mutations of calf chymosin B which influence milk-clotting activity, Food Chemistry, vol. 62, June 1998, pages 133-139;
- Zhang et al: Functional implications of disulfide bond, Cys45-Cys50, in recombinant prochymosin, Biochimica et biophysica acta, vol. 1343, December 1997, pages 278-286。

上述の先行技術文献のいずれも、以下に記載するように、変異体の元となった親と比較して、改善された比凝固活性または増加したC/P比を有するキモシン変異体を直接かつ明確に記載していない。

概要

改善された凝乳特性を有するキモシン変異体。

目的

本発明によって解決されるべき問題は、親ポリペプチドと比較した場合に、改善された比凝固活性もしくは増加したC/P比のいずれか、またはその両方を有するキモシンの変異体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

キモシン活性を有する親ポリペプチドと比較して、1もしくは複数の位置に改変を含む単離されたキモシンポリペプチド変異体であって、ここで、該改変が、以下の位置:S164、D59、V309、S132、N249、L166、N249、Q56、M157、M256、R242、I96、H76、S273、G251、Y11、L166、K19、Y21、S74、Y243、N249、S273、Q280、F282、L295、N252、R254、G70、V136、L222、K231、N291のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における置換欠失または挿入を含んでおり;ここで、(i):親ポリペプチドのアミノ酸位置が、配列番号2のポリペプチドと親ポリペプチドとのアラインメントによって決定され;そして(ii):親ポリペプチドが、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有し;ここで、該単離されたキモシンポリペプチド変異体が、対応する親ポリペプチドよりも高い比凝固活性および/またはC/P比を有する、単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項2

前記変異ポリペプチドが、親ポリペプチドの比凝固活性の少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、100%、110%、120%、130%、160%または200%といった比凝固活性(IMCU/mg総タンパク質)を有する、請求項1に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項3

前記変異ポリペプチドが、親ポリペプチドのC/P比の少なくとも200%、例えば、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも750%または少なくとも1000%といったC/P比を有する、請求項1または2に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項4

前記親ポリペプチドが、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%、少なくとも例えば82%、85%、95%、97%、98%、99%または100%といった配列同一性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項5

前記改変が、以下の:D59N、V309I、S132A、N249E、L166V、N249D、Q56H、M157L、M256L、R242E、I96L、H76Q、S164G、S273Y、G251D、Y11I、R242D、L222V、Y11V、L166I、K19T、Y21S、S74D、Y243E、N249D、S273D、Q280E、F282E、L295K、N252D、R254E、G70D、V136I、L222I、K231N、N291Qから成るリストから選択される置換を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項6

前記改変が、以下の:Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、N249E、L253I;Y11I、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、G251D、L253I;Y11I、I96L、S164G、L222I、R242E;Y11I、K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S164G、L222I、N249D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S132A、L222I、G251D、S273Y、V309I;Y21S、H76Q、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;D59N、S132A、S164G、L222I、R242E、N249D、G251D、S273Y;D59N、H76Q、I96L、S132A、S164G、L166V、L222I、G251D、S273Y;H76Q、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;D59N、H76Q、S132A、S164G、L166V、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S164G、R242E、N249D、G251D、S273Y;Y21S、D59N、H76Q、I96L、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y;K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、G251D;D59N、H76Q、S164G、L222I、S226T、R242E;H76Q、L130I、L222I、S226T、G251D、S273Y;Y21S、D59N、H76Q、I96L、L222I、S273Y;H76Q、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y、V309I;D59N、I96L、L166V、L222I、R242E、G251D;Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、L253I;K19S、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;K19T、D59N、I96L、S164G、L166I、L222I、R242E、N249D;H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、I96L、L222I、R242E、L253I;K19T、D59N、I96L、S164G、L222V、R242E、N249D、L253I;I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S274Y;R242E、N252D、N100Q、N291Q;R242E、R254E、Q280E、N100Q、N291Q;R242E、Q280E、N100Q、N291Q;R242E、R254E、S273D、Q280E、N100Q、N291Q;R67Q、S132A、L222I、K231N、R242E、V248I;R67Q、I96L、L130I、M157L、K231N、R242E;R67Q、M157L、L222I、K231N、V248I;R67Q、I96L、M157L、L222I、K231NまたはR67Q、G70D、M157L、L222I、N291Q、を含めた置換のうちの1もしくは複数の組み合わせを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法であって、以下のステップ:(a):親ポリペプチド内の1もしくは複数の位置で改変を行い、ここで、該改変が、以下の位置:Y11、S164、L253、D59、V309、S132、N249、L166、N249、Q56、M157、M256、R242、I96、H76、S164、S273、G251、Y11、L166、K19、Y21、S74、Y243、N249、S273、Q280、F282、L295、N252、R254、G70、V136、L222、K231、N291、のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における置換、欠失または挿入を含み;(b):ステップ(a)の改変されたポリペプチドを生成し、そして単離すること、を含み、さらにここで、(i):親ポリペプチドのアミノ酸位置が、配列番号2(ラクダキモシン)のポリペプチドと親ポリペプチドとのアラインメントによって決定され;そして、(ii):親ポリペプチドが、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有し、および/または配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有する、方法。

請求項8

前記改変が、置換:Y11I、Y11V、S164G、L253I、D59N、V309I、S132A、N249E、L166V、N249D、Q56H、M157L、M256L、R242E、I96L、H76Q、S164G、S273Y、G251D、Y11I、R242D、L222V、Y11V、L166I、K19T、Y21S、S74D、Y243E、N249D、S273D、Q280E、F282E、L295K、N252D、R254E、G70D、V136I、L222I、K231N、N291Q、のうちの1もしくは複数である、請求項7に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法。

請求項9

前記単離されたキモシンポリペプチド変異体が、以下の:Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、N249E、L253I;Y11I、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、G251D、L253I;Y11I、I96L、S164G、L222I、R242E;Y11I、K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S164G、L222I、N249D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S132A、L222I、G251D、S273Y、V309I;Y21S、H76Q、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;D59N、S132A、S164G、L222I、R242E、N249D、G251D、S273Y;D59N、H76Q、I96L、S132A、S164G、L166V、L222I、G251D、S273Y;H76Q、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;D59N、H76Q、S132A、S164G、L166V、S273Y;K19T、D59N、H76Q、S164G、R242E、N249D、G251D、S273Y;Y21S、D59N、H76Q、I96L、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y;K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、G251D;D59N、H76Q、S164G、L222I、S226T、R242E;H76Q、L130I、L222I、S226T、G251D、S273Y;Y21S、D59N、H76Q、I96L、L222I、S273Y;H76Q、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y、V309I;D59N、I96L、L166V、L222I、R242E、G251D;Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、L253I;K19S、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;K19T、D59N、I96L、S164G、L166I、L222I、R242E、N249D;H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;K19T、I96L、L222I、R242E、L253I;K19T、D59N、I96L、S164G、L222V、R242E、N249D、L253I;I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S274Y;R242E、N252D、N100Q、N291Q;R242E、R254E、Q280E、N100Q、N291Q;R242E、Q280E、N100Q、N291Q;R242E、R254E、S273D、Q280E、N100Q、N291Q;R67Q、S132A、L222I、K231N、R242E、V248I;R67Q、I96L、L130I、M157L、K231N、R242E;R67Q、M157L、L222I、K231N、V248I;R67Q、I96L、M157L、L222I、K231NまたはR67Q、G70D、M157L、L222I、N291Q、に対応する位置を含めた位置の1もしくは複数の組み合わせにおける置換を含む、請求項7または8に記載の方法。

請求項10

前記親ポリペプチドが、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法。

請求項11

食品または飼料製品を製造する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体の有効量を(単数もしくは複数の)食品または飼料原料に添加すること、および食品または飼料製品を得るためのさらなる製造ステップを実施することを含む方法。

請求項12

前記食品または飼料製品が乳製品である、請求項11に記載の方法。

請求項13

チーズを製造する工程における請求項1〜6のいずれか1項に記載のキモシンポリペプチド変異体の使用。

請求項14

パスタフィラータ、チェダー、コンチネンタルタイプチーズを製造する工程における請求項1〜6のいずれか1項に記載のキモシンポリペプチド変異体の使用。

請求項15

ソフトチーズまたはホワイトブラインチーズを製造する工程における請求項1〜6のいずれか1項に記載のキモシンポリペプチド変異体の使用。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、改善された凝乳特性を有するキモシン変異体に関する。

背景技術

0002

背景技術
哺乳類凝乳酵素である、キモシン(EC3.4.23.4)およびペプシン(EC3.4.23.1)は、広いクラスのペプチダーゼに属するアスパラギン酸プロテアーゼである。

0003

胃粘膜細胞で産生される場合、キモシンおよびペプシンはそれぞれ、酵素的に不活性プレプロキモシンおよびプレ−ペプシノーゲンとして生じる。キモシンが分泌されると、N末端ペプチドフラグメントである、プレ−フラグメントシグナルペプチド)が切断され、プロ−フラグメントを含むプロキモシンが得られる。プロキモシンは酵素の実質的に不活性な形態であるが、プロ−フラグメントの自己触媒除去により活性キモシンへと酸性条件下で活性化される。この活性化は、適切なpH条件下で胃管腔においてインビボにて、または酸性条件下でインビトロにて起こる。

0004

ウシ、すなわちボスタウラス(Bos taurus)の、プレ−プロキモシン、プロキモシンおよびキモシンの構造的および機能的特性は広く研究されてきた。ウシプレ−プロキモシン分子のプレ−部分は16個のaa残基を含み、対応するプロキモシンのプロ−部分は42個のaa残基の長さを有する。活性ウシキモシンは323aaを含む。

0005

キモシンは哺乳類種、例えばウシ、ラクダヤギ(caprines)、バッファローヒツジブタ、ヒト、サルおよびラットにおいて、天然に生成される。

0006

ウシおよびラクダキモシンは長年にわたって酪農業界に市販されてきた。

0007

凝乳酵素、例えばキモシンおよびペプシンによる乳の酵素的凝固は、チーズの製造における最も重要な工程の1つである。酵素的な乳の凝固は、次の2相工程である:タンパク質分解酵素であるキモシンまたはペプシンが、κカゼイン攻撃し、カゼインミセル構造の準安定状態をもたらす第1相、および、続いて乳が凝固し、凝固物を形成する第2相(参考文献1)。

0008

WO02/36752A2(Chr.Hansen)は、ラクダキモシンの組換え生成を記載している。
WO2013/174840A1(Chr.Hansen)は、ウシおよびラクダキモシンの突然変異体/変異体を記載している。
WO2013/164479A2(DSM)は、ウシキモシンの突然変異体を記載している。

0009

以下に列挙した参考文献は、本文脈において、キモシンの突然変異体を記載する参考文献として参照される:
- Suzuki et al: Site directed mutagenesis reveals functional contribution of Thr218, Lys220 and Asp304 in chymosin, Protein Engineering, vol. 4, January 1990, pages 69-71;
- Suzuki et al: Alteration of catalytic properties of chymosin by site-directed mutagenesis, Protein Engineering, vol. 2, May 1989, pages 563-569;
- van den Brink et al: Increased production of chymosin by glycosylation, Journal of biotechnology, vol. 125, September 2006, pages 304-310;
- Pitts et al: Expression and characterisation of chymosin pH optima mutants produced in Tricoderma reesei, Journal of biotechnology, vol. 28, March 1993, pages 69-83;
- M.G. Williams et al: Mutagenesis, biochemical characterization and X-ray structural analysis of point mutants of bovine chymosin, Protein engineering design and selection, vol. 10, September 1997, pages 991-997;
- Strop et al: Engineering enzyme subsite specificity: preparation, kinetic characterization, and x-ray analysis at 2.0 ANG resolution of Val111phe site mutated calf chymosin, Biochemistry, vol. 29, October 1990, pages 9863-9871;
- Chitpinityol et al: Site-specific mutations of calf chymosin B which influence milk-clotting activity, Food Chemistry, vol. 62, June 1998, pages 133-139;
- Zhang et al: Functional implications of disulfide bond, Cys45-Cys50, in recombinant prochymosin, Biochimica et biophysica acta, vol. 1343, December 1997, pages 278-286。

0010

上述の先行技術文献のいずれも、以下に記載するように、変異体の元となった親と比較して、改善された比凝固活性または増加したC/P比を有するキモシン変異体を直接かつ明確に記載していない。

0011

発明の概要
本発明によって解決されるべき問題は、親ポリペプチドと比較した場合に、改善された比凝固活性もしくは増加したC/P比のいずれか、またはその両方を有するキモシンの変異体を提供することである。

0012

異なる変異体の知的設計および比較分析に基づいて、本発明者らは、多くのアミノ酸位置を同定し、このアミノ酸位置は、親ペプチド内でのこれらの位置の1または複数における変異体を作製することによって、増強された比凝固活性もしくは増加したC/P比のいずれか、またはその両方を有する改善されたキモシン変異体を得ることができるという意味で、本明細書において重要である。

0013

変異体または突然変異を特定するために本明細書で使用されるアミノ酸番号付けは、成熟ペプチドに基づく。当該技術分野で知られているように、異なる哺乳動物種から得られた異なる天然野生型キモシンポリペプチド配列(例えばウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタ、またはラット)は、比較的高い配列類似性同一性を有している。図1において、これは、本明細書で関連する異なるキモシン配列のアラインメントによって例示される。この比較的近い配列関係を考慮して、異なる天然野生型キモシンの3次元構造も比較的類似していると考えられる。

0014

本文脈において、天然に得られた野生型キモシン(例えばウシキモシンまたはラクダキモシン)は、本明細書において親ポリペプチドの一例、すなわち、本発明の変異体キモシンポリペプチドを生成するために改変が成される親ポリペプチドであり得る。

0015

理論に制限されることなく、本明細書で議論されたキモシンに関連するアミノ酸位置は、任意の本明細書に関連する目的のキモシン酵素(例えばウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタ、ラットなどのキモシン)において一般的に重要であり、それは、これらの位置の1または複数における変異体を作製することによって、一般的に改善されたキモシン変異体(例えば改善されたウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタまたはラットキモシン変異体)を得ることができるという意味で、重要であると考えられる。

0016

本明細書で議論されるように、目的の親キモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシなど)のアミノ酸位置を決定するための参照配列として、本明細書における配列番号2の公知のヒトコブラクダ(Camelius dromedarius)成熟キモシン配列が本明細書で使用される。それを本明細書では代わりにラクダキモシンと呼ぶことができる。当該配列はまた、本明細書の図1に示される。

0017

本文脈において、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有する親キモシンポリペプチド(例えばヒツジまたはラット由来)は、本明細書に記載したアミノ酸位置のいずれかにおける変異体を作製することによって改善されるために、例えばウシまたはラクダキモシンに関して、本明細書において十分な構造として見ることができると考えられる。

0018

本発明の実施形態を以下に説明する。

0019

定義
本明細書に関連する用語のすべての定義は、本明細書に関連する技術的内容に関する当業者によって理解され得るものに従う。

0020

用語「キモシン」は、EC3.4.23.4クラスの酵素に関する。キモシンは高い特異性を有し、カゼインのκ−鎖における単一104−Ser−Phe−|−Met−Ala−107結合の切断によって、主に乳を凝固させる。副活性(side-activity)として、キモシンはまた、α−カゼインをPhe23とPhe24との間で、およびβ−カゼインを主にLeu192とTyr193との間で切断する(参考文献2、3)。得られたペプチドαS1(1−23)およびβ(193−209)は、微生物培養物から成熟チーズに加えられるプロテアーゼによってさらに分解されることになる(参考文献4)。当該技術分野で使用されるキモシンの代替名は、レンニンである。

0021

用語「キモシン活性」は、本文脈において当業者によって理解される、キモシン酵素のキモシン活性に関する。当業者は、本明細書において関連するキモシン活性の決定方法を知っている。

0022

当該技術分野において知られているように、本明細書で関連するいわゆるC/P比は、比凝固活性(C)をタンパク質分解活性(P)で割ることによって決定される。当該技術分野において知られているように、より高いC/P比は、一般に、チーズの収率が向上する可能性がある、非特異的タンパク質分解による、例えばチーズ製造中のタンパク質損失が低減されることを意味する。

0023

用語「単離された変異体」は、人間の行為によって改変された変異体を意味する。一態様において、当該変異体は、SDS PAGEにより決定されるように、少なくとも1%純粋、例えば、少なくとも5%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、および少なくとも90%純粋である。

0024

用語「成熟ポリペプチド」は、翻訳および任意の翻訳後修飾、例えばN末端プロセシングC末端切断、グリコシル化リン酸化などの後の、その最終形態のペプチドを意味する。本文脈において、本明細書で関連する成熟キモシンポリペプチドは活性キモシンポリペプチド配列、すなわちプレ−部分および/またはプロ−部分の配列を有さないものとして見られる。本明細書で関連する成熟ポリペプチドの例は、例えば、配列番号1のアミノ酸位置59〜アミノ酸位置381である、配列番号1(ウシキモシン)の成熟ポリペプチド、あるいは、配列番号2のアミノ酸位置59〜アミノ酸位置381である、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドである。

0025

用語「親」または「キモシン活性を有する親ポリペプチド」は、本発明の酵素変異体を生成するために改変が成されるポリペプチドを意味する。この親は、天然に存在する(野生型)ポリペプチドまたはその変異体であり得る。

0026

用語「配列同一性」は、2つのアミノ酸配列間または2つのヌクレオチド配列間での関連性に関する。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度は、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite、Rice et al.、2000、TrendsGenet.16:276-277)に実装されるような、Needleman−Wunschアルゴリズム(NeedlemanおよびWunsch、1970、J.Mol.Biol.48:443-453)、好ましくはバージョン3.0.0以降、を用いて決定される。使用された任意のパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力がパーセント同一性として使用され、そして次の通りに計算される:
同一残基×100)/(アラインメントの長さ−アラインメントにおけるギャップの総数

0027

本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性の程度は、EMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite、Rice et al.、2000、上記参照)に実装されるような、Needleman−Wunschアルゴリズム(NeedlemanおよびWunsch、1970、上記参照)、好ましくはバージョン3.0.0以降、を用いて決定される。使用された任意のパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ、およびEDNAFLLNCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識「最長同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力がパーセント同一性として使用され、そして次の通りに計算される:
(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ−アラインメントにおけるギャップの総数)。

0028

用語「変異体」は、改変、すなわち、置換、挿入、および/または欠失を、1または複数の(いくつかの)位置に含む、キモシン活性を有するペプチドを意味する。置換とは、ある位置を占めるアミノ酸の、異なるアミノ酸での置き換えを意味し;欠失とは、ある位置を占めるアミノ酸の除去を意味し;そして挿入とは、ある位置を占めるアミノ酸に隣接して1〜3個のアミノ酸を付加することを意味する。アミノ酸は天然または非天然アミノ酸であってもよく、例として、例えばD−アラニンの、例えば特にD−異性体(またはD−型)による置換が、理論的に可能であり得る。

0029

用語「野生型」ペプチドとは、天然に存在するヌクレオチド配列またはペプチド配列、すなわち、人間の行為による標的化された突然変異に供されていないヌクレオチド配列またはペプチド配列をいう。

図面の簡単な説明

0030

本明細書で関連する様々なキモシン配列のアラインメント。本文脈において当業者によって理解されるように、配列番号3の成熟ポリペプチド(ウシキモシン−すなわち配列番号3のアミノ酸位置59〜381)と、例えばヒツジ、フタコブラクダ(C. bactrianus)、ヒトコブラクダ、ブタまたはラットキモシンの成熟ポリペプチド配列との、本明細書で関連する配列同一性パーセンテージは、上述の配列同一性パーセンテージに比較的類似している。
緑色で示された、結合したκ−カゼインのモデルを有するラクダキモシン(詳細、PDB:4AA9)の3次元構造。κ−カゼインは、残基105と106との間の切断可能な結合でキモシン基質結合溝に配置されている。変異R242E、Y243E、N249D、G251D、N252D、R254E、S273D、Q280E、F282Eは青色で強調されている。
緑色で示された、結合したκ−カゼインのモデルを用いたウシキモシン(PDB:4AA8)の3次元構造。κ−カゼインは、残基105と106との間の切断可能な結合でキモシン基質の結合溝に配置されている。位置H292およびQ294は黄色で強調されている。
ラクダキモシン(詳細、PDB:4AA9)の3次元構造。タンパク質N末端の残基Y11、L12、およびD13、ならびに潜在的なY11相互作用パートナーD290が紫色で強調されている。

0031

発明の詳細な説明
目的のキモシンのアミノ酸位置の決定
先に述べたように、本明細書で関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシなど)のアミノ酸位置を決定するための参照配列として、本明細書に配列番号2として開示された公知のラクダキモシン配列が使用される。

0032

別のキモシンポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2に開示されたポリペプチドとアラインされ、そしてアラインメントに基づいて、配列番号2に開示されたポリペプチドにおける任意のアミノ酸残基に対応するアミノ酸位置番号が、本明細書の実施例1に記載のClustalWアルゴリズムを用いて決定される。

0033

上記のよく知られたコンピュータープログラムに基づいて、本明細書で関連する目的のキモシンポリペプチド(例えばラクダ、ヒツジ、ウシなど)のアミノ酸位置を決定することは、当業者にとって日常的な作業である。

0034

本明細書の図1には、アラインメントの一例が示されている。単なる一例として、図1において、例えば、本明細書で使用されるウシ参照配列番号3は位置50に「G」を有し、かつ「ヒトコブラクダ(Camelus dromedarius)」(本明細書の配列番号2)はこの位置50に「A」を有することがわかる。

0035

変異体の命名法
本発明の変異体を説明する際に、以下に記載した命名法が参照を容易にするために適用される。認められたIUPACの一文字または三文字のアミノ酸の略号が使用される。
以下、この「命名法」セクションで論じた特定の変異体は、本明細書で関連する本発明の変異体でなくてもよく、すなわち、この「命名法」セクションは単に、本明細書で関連する使用された命名法それ自体を説明する。

0036

置換
アミノ酸置換のために、次の命名法が使用される:元のアミノ酸、位置、置換されたアミノ酸。従って、位置226でのアラニンによるスレオニン論理的置換は、「Thr226Ala」または「T226A」として指定される。複数の突然変異は、追加の印(「+」)により分離され、例えば、「Gly205Arg+Ser411Phe」または「G205R+S411F」はそれぞれ、位置205および411での、アルギニン(R)によるグリシン(G)の、およびフェニルアラニン(F)によるセリン(S)の置換を表す。置換、例えば指定された「226A」は、位置226でのアラニンによる親アミノ酸(例えばT、Q、Sまたは別の親アミノ酸)の置換を意味する。

0037

欠失
アミノ酸欠失に関しては、次の命名法が使用される:元のアミノ酸、位置、*。従って、位置195でのグリシンの欠失は、「Gly195*」または「G195*」として指定される。複数の欠失は、追加の印(「+」)により分離され、例えば、「Gly195*+Ser411*」または「G195*+S411*」となる。

0038

挿入
アミノ酸挿入に関しては、次の命名法が使用される:元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入されたアミノ酸。従って、位置195でのグリシンの後へのリシンの挿入は、「Gly195GlyLys」または「G195GK」と指定される。複数のアミノ酸の挿入は、[元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入されたアミノ酸#1、挿入されたアミノ酸#2;など]と指定される。例えば、位置195でのグリシンの後へのリシンおよびアラニンの挿入は、「Gly195GlyLysAla」または「G195GKA」として示される。
そのような場合、挿入されたアミノ酸残基(複数)は、挿入されたアミノ酸残基(複数)の前のアミノ酸残基の位置番号小文字を付加することによって、番号付けされる。したがって、上記例において、配列は次の通りである:

0039

0040

複数の改変
複数の改変を含む変異体は、追加の印(「+」)によって分離され、例えば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」または「R170Y+G195E」は、それぞれ、位置170および195でのアルギニンおよびグリシンについての、チロシンおよびグルタミン酸の置換を表す。

0041

異なる置換
異なる置換が1つの位置に導入され得る場合、その異なる置換はコンマによって分離され、例えば、「Arg170Tyr,Glu」または「R170Y,E」は、位置170でのチロシンまたはグルタミン酸による、アルギニンの置換を表す。したがって、「Tyr167Gly,Ala+Arg170Gly,Ala」または「Y167G,A+R170G,A」は、以下の変異体を指定する:
「Tyr167Gly+Arg170Gly」、「Tyr167Gly+Arg170Ala」、「Tyr167Ala+Arg170Gly」、および「Tyr167Ala+Arg170Ala」。

0042

キモシン活性を有する好ましい親ポリペプチド
好ましくは、親ポリペプチドは、配列番号3(ウシキモシン)および/または配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%、例えば85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。

0043

単なる一例として、本明細書で好適な関連する親ポリペプチドは、例えばウシキモシンAであり得る。当該技術分野において知られているように、ウシキモシンAは、本明細書における配列番号3のウシキモシンBと比較して、1個のアミノ酸の差異のみを有し得る。

0044

好ましい実施形態において、親ポリペプチドは、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも90%の配列同一性を有し、より好ましくは親ポリペプチドは、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、さらにより好ましくは親ポリペプチドは、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも97%の配列同一性を有する。親ポリペプチドは、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドであることが好ましい場合がある。

0045

本文脈において当業者によって理解されるように、本明細書で関連するキモシン活性を有する親ポリペプチドは、例えばすでに、例えば対応する野生型キモシンの変異体であり得る。

0046

例として、配列番号3の成熟野生型ウシキモシンポリペプチドと比較して、例えば5〜10の改変(例えば置換)を有するウシキモシン変異体は、依然として、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有する親ペプチドであってもよい。

0047

換言すると、一般的には、本明細書で関連する単離されたキモシンポリペプチド変異体は、本明細書で請求された位置以外の位置における改変(例えば置換)を含み得る。

0048

本文脈において当業者によって理解されるように、親ポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチド(ラクダ)と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。好ましい実施形態において、親ポリペプチドは、配列番号2および/または配列番号3の成熟ポリペプチドと少なくとも92%の配列同一性を有し、より好ましくは親ポリペプチドは、配列番号2および/または配列番号3の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し、さらにより好ましくは親ポリペプチドは、配列番号2および/または配列番号3の成熟ポリペプチドと少なくとも97%の配列同一性を有する。親ポリペプチドは、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドであることが好ましい場合がある。

0049

本文脈において当業者によって理解されるように、単離されたキモシン変異体は、上記で与えられた以外のアミノ酸位置における改変(例えば置換)を含み得る。

0050

例として、配列番号2の野生型ラクダキモシンポリペプチドと比較して、例えば5〜10の改変(例えば置換)を有するウシキモシン変異体は、依然として、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有する親ポリペプチドであろう。

0051

単離されたウシキモシン変異体が、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと比較して30未満のアミノ酸改変(例えば置換)を含むことが好ましい場合があり、または、単離されたラクダキモシン変異体が、配列番号2の成熟ポリペプチドと比較して20未満のアミノ酸改変(例えば置換)を含むことが好ましい場合があり、または、単離されたウシキモシン変異体が、配列番号2の成熟ポリペプチドと比較して10未満のアミノ酸改変(例えば置換)を含むことが好ましい場合があり、または、単離されたラクダキモシン変異体が、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと比較して5未満のアミノ酸改変(例えば置換)を含むことが好ましい場合がある。

0052

単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法
上記で論じた通り、当該技術分野において知られているように、当業者は、その共通の一般的知識に基づいて、キモシンおよびキモシン変異体を日常的に生成および精製し得る。
換言すれば、当業者が、本明細書で関連する目的のキモシン活性を有する親ポリペプチド(例えばウシ、ラクダ、ヒツジ、ブタ、またはラット由来)を保有したならば、本開示によって導かれた場合に、斯かる目的の親キモシンの変異体を作製することは、当業者にとって日常的な作業である。

0053

キモシン(変異体または親)を生成および単離するための好適な方法の例は、例えばWO02/36752A2(Chr.Hansen)に記載されたような、よく知られた、例えば真菌組み換え発現/生成に基づく技法によるものであり得る。

0054

キモシン活性を有する親ポリペプチドにおける1または複数の位置で、改変を行うことも、当業者にとって日常的な作業であり、ここで、当該改変は、本明細書中に開示される少なくとも1つのアミノ酸位置における置換、欠失または挿入を含んでいる。
当業者に知られているように、これは例えば、いわゆる部位特異的突然変異誘発、および組み換え発現/生成に基づく技法によって行われ得る。

0055

本明細書で関連する親ポリペプチド(例えばラクダまたはウシ野生型キモシン)および/または本明細書で関連する変異体が、キモシン活性を有するか否かを決定することはまた、当業者にとって日常的な作業である。当該技術分野において知られているように、キモシン特異性は、いわゆるC/P比によって決定することができ、この比は比凝固活性(C)をタンパク質分解活性(P)で割ることによって決定される。
当該技術分野において知られているように、より高いC/P比は、一般に、非特異的タンパク質分解による例えばチーズ製造中のタンパク質の損失が低減されること、すなわちチーズの収率が向上されることを意味する。

0056

乳凝固活性の決定
乳凝固活性は、国際酪農連盟によって開発された標準的な方法(IDF法)である、REMCAT法を用いて決定され得る。乳凝固活性は、0.5g/L(pH≒6.5)の塩化カルシウム溶液での、低温低脂肪粉末から調製された標準乳基質目視可能な凝集に必要とされる時間から決定される。レンネット試料凝固時間は、既知の凝乳活性を有し、かつIDF標準110Bによって当該試料と同じ酵素組成を有する、参照標準の凝固時間と比較される。試料および参照標準は、同一の化学的および物理的条件下で測定される。変異体試料は、84mMの酢酸緩衝液pH5.5を用いて約3IMCU/mlに調整される。その後、200μlの酵素調製物が、一定の攪拌下で32℃±1℃の一定温度を維持することができる水浴中に配置され、ガラス試験管中の10mlの予熱した乳(32℃)に加えられる。
レンネットの総凝乳活性(強度)は、以下の式に従って、試料と同じ酵素組成を有する標準に対して国際凝乳単位(IMCU)/mlで計算される:



S標準:レンネットについての国際参照標準の凝乳活性
T標準:標準希釈について得られた秒での凝固時間
D試料:試料についての希釈係数
D標準:標準についての希釈係数
T試料:酵素の添加から凝集の時間までの希釈されたレンネット試料について得られた秒での凝固時間

0057

凝固活性決定のために、μIMCU法が、REMCAT法の代わりに使用され得る。REMCATと比較して、μIMCUアッセイにおけるキモシン変異体の凝集時間が、UV/VISプレートリーダーで800nmにおける96−ウェルマイクロタイタープレートでのOD測定によって決定される。既知の凝固強度を有する参照標準の種々の希釈の標準曲線が、各プレートに対して記録される。84mMの酢酸緩衝液、0.1%のtriton X−100(pH5.5)により酵素を希釈することによって、試料が調製される。32℃での反応は、4%(w/w)低温、低脂肪乳粉末および7.5%(w/w)塩化カルシウム(pH≒6.5)を含有する標準乳基質の250μLを、25μLの酵素試料に添加することによって開始される。国際凝乳単位(IMCU)/mlでのキモシン変異体の乳凝固活性が、標準曲線に対する試料の凝集時間に基づいて決定される。

0058

総タンパク質含有量の決定
総タンパク質含有量は、好ましくは、Thermo Scientific製のPierce BCA Protein Assay Kitを使用し、供給業者取扱説明書に従って決定され得る。

0059

比凝固活性の計算
比凝固活性(IMCU/mg総タンパク質)は、凝固活性(IMCU/ml)を総タンパク質含有量(mg総タンパク質/ml)で割ることによって決定された。

0060

タンパク質分解活性の決定
全タンパク質分解活性は、好ましくは、蛍光標識したBodipy−FLカゼイン(EnzChek; Molecular Bioprobes、E6638)を基質として使用することで計測され得る。カゼイン誘導体にpH非感受性緑色蛍光Bodipy−FLを大量に標識すると、この共役体蛍光がほぼ完全に消えた。プロテアーゼを触媒とした加水分解によって蛍光Bodipy−FLが放出される。この方法は非常に感度がよく、この実験に不可欠であった。なぜなら、基準が、これまでに知られているあらゆる凝固剤のうちで全タンパク質分解活性が最も低いからである。0.04mg/mlの基質溶液は、100mMのNaCl、5%のグリセロール、および0.1%のBrijを含んでいる0.2Mのリン酸緩衝液pH6.5中に調製される。キモシン変異体は、100mMのNaCl、5%のグリセロール、および0.1%のBrijを含んでいる20mMのマロン酸バッファー中に溶解される。基準とキモシン変異体の溶液の両方では、20μLが黒色の384ウェルCorning平底ポリスチレンマイクロタイタープレート中で混合され、そして、蛍光が32Cにて10時間継続的に蛍光光度計により記録された。蛍光変化の直線部分の勾配が、全タンパク質分解活性を決定するために使用される。

0061

C/P比の決定
C/P比は、凝固活性(C)をタンパク質分解活性(P)で割ることによって計算される。

0062

比凝固活性とC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析
統計学機械学習アプローチおよびPCAに基づく分析は、好ましくは、多重置換変異体に存在する単一突然変異の影響、すなわち、特定の凝乳活性、および凝固と全タンパク質分解活性との比(C/P)、を決定するために使用され得る。

0063

本発明の好ましい実施形態
先に概説されたとおり、および以下の実施例で例示されたとおり、本開示の発明者らは、対応する親ポリペプチドと同じ条件下で比較したときに、改善された凝固活性および/またはC/P比を有する、多くの好ましいキモシンポリペプチド変異体を作製した。

0064

好ましい態様において、本発明は、キモシン活性を有する親ポリペプチドと比較して、1もしくは複数の位置に改変を含む単離されたキモシンポリペプチド変異体であって、ここで、該改変が、以下の位置:D59、V309、S132、N249、L166、N249、Q56、Y134、K295、M157、M256、R242、I96、H76、S164、S273、G251、Y11、L166、K19、Y21、S74、Y243、N249、S273、Q280、F282、L295、N252、R254、G70、V136、L222、K231、N291のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における置換、欠失または挿入を含んでおり;
ここで、
(i):親ポリペプチドのアミノ酸位置は、配列番号2のポリペプチドと親ポリペプチドとのアラインメントによって決定され;そして
(ii):親ポリペプチドは、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有し;
ここで、単離されたキモシンポリペプチド変異体は、対応する親ポリペプチドよりも高い比凝固活性および/またはC/P比を有する、
単離されたキモシンポリペプチド変異体に関する。

0065

より具体的には、本発明の単離されたキモシンポリペプチド変異体は、親ポリペプチドの比凝固活性の少なくとも85%、例えば、少なくとも90%、100%、110%、120%、130%、160%または200%といった比凝固活性(IMCU/mg総タンパク質)を有する。これに代えて、またはこれに加えて、本発明の単離されたキモシンポリペプチド変異体は、親ポリペプチドのC/P比の少なくとも200%、例えば、少なくとも400%、少なくとも500%、少なくとも750%または少なくとも1000%といったC/P比を有する。

0066

先に指定されるように、親ポリペプチドは、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%、少なくとも例えば82%、85%、95%、97%、98%、99%または100%といった配列同一性を有し得る。

0067

前記改変は、以下の:D59N、V309I、S132A、N249E、L166V、N249D、Q56H、Y134G、K295L、M157L、M256L、R242E、I96L、H76Q、S164G、S273Y、G251D、Y11I、R242D、L222V、Y11V、L166I、K19T、Y21S、S74D、Y243E、N249D、S273D、Q280E、F282E、L295K、N252D、R254E、G70D、V136I、L222I、K231N、N291Qから成るリストから選択される置換を含み得る。

0068

関連する実施形態において、本発明は、単離されたキモシンポリペプチド変異体に関し、ここで、改変は、以下を含む置換のうちの1もしくは複数の組み合わせを含む:
Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、N249E、L253I;
Y11I、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、G251D、L253I;
Y11I、I96L、S164G、L222I、R242E;
Y11I、K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;
H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S164G、L222I、N249D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S132A、L222I、G251D、S273Y、V309I;
Y21S、H76Q、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
D59N、S132A、S164G、L222I、R242E、N249D、G251D、S273Y;
D59N、H76Q、I96L、S132A、S164G、L166V、L222I、G251D、S273Y;
H76Q、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;
D59N、H76Q、S132A、S164G、L166V、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S164G、R242E、N249D、G251D、S273Y;
Y21S、D59N、H76Q、I96L、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y;
K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、G251D;
D59N、H76Q、S164G、L222I、S226T、R242E;
H76Q、L130I、L222I、S226T、G251D、S273Y;
Y21S、D59N、H76Q、I96L、L222I、S273Y;
H76Q、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y、V309I;
D59N、I96L、L166V、L222I、R242E、G251D;
Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、L253I;
K19S、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;
K19T、D59N、I96L、S164G、L166I、L222I、R242E、N249D;
H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、I96L、L222I、R242E、L253I;
K19T、D59N、I96L、S164G、L222V、R242E、N249D、L253I;
I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S274Y;
R242E、N252D、N100Q、N291Q;
R242E、R254E、Q280E、N100Q、N291Q;
R242E、Q280E、N100Q、N291Q;
R242E、R254E、S273D、Q280E、N100Q、N291Q;
R67Q、S132A、L222I、K231N、R242E、V248I;
R67Q、I96L、L130I、M157L、K231N、R242E;
R67Q、M157L、L222I、K231N、V248I;
R67Q、I96L、M157L、L222I、K231Nまたは
R67Q、G70D、M157L、L222I、N291Q。

0069

任意選択で、単離されたキモシンポリペプチド変異体は、グリコシル化パターンを変更する置換、例えば、位置N100、N252、N291、より具体的にはN100Q、N252Qおよび/またはN291Qのうちの1もしくは複数における置換などをさらに含んでもよい。

0070

単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製するのに適した方法
本発明はさらに、本開示による単離されたポリペプチドを作製する方法に関する。

0071

関連する実施形態として、本発明は、単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法に関し、ここで、該方法は、以下のステップ
(a):親ポリペプチド内の1もしくは複数の位置で改変を行い、ここで、該改変が、以下の位置:D59、V309、S132、N249、L166、N249、Q56、Y134、K295、M157、M256、R242、I96、H76、S164、S273、G251、Y11、L166、K19、Y21、S74、Y243、N249、S273、Q280、F282、L295、N252、R254、G70、V136、L222、K231、N291のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸位置における置換、欠失または挿入を含み;
(b):ステップ(a)の改変されたポリペプチドを生成し、そして単離すること、
を含み、さらにここで、
(i):親ポリペプチドのアミノ酸位置が、配列番号2(ラクダキモシン)のポリペプチドと親ポリペプチドとのアラインメントによって決定され;そして、
(ii):親ポリペプチドが、配列番号3(ウシキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有し、および/または配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも80%の配列同一性を有する。

0072

より具体的には、前記改変は、置換:D59N、V309I、S132A、N249E、L166V、N249D、Q56H、Y134G、K295L、M157L、M256L、R242E、I96L、H76Q、S164G、S273Y、G251D、Y11I、R242D、L222V、Y11V、L166I、K19T、Y21S、S74D、Y243E、N249D、S273D、Q280E、F282E、L295K、N252D、R254E、G70D、V136I、L222I、K231N、N291Qのうちの1もしくは複数であってもよい。

0073

さらなる関連態様において、本発明は、先に指定した単離されたキモシンポリペプチド変異体を作製する方法に関し、ここで、該単離されたキモシンポリペプチド変異体は、以下の:
Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、N249E、L253I;
Y11I、D59N、I96L、S164G、L166V、L222V、R242E、G251D、L253I;
Y11I、I96L、S164G、L222I、R242E;
Y11I、K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;
H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S164G、L222I、N249D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S132A、L222I、G251D、S273Y、V309I;
Y21S、H76Q、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
D59N、S132A、S164G、L222I、R242E、N249D、G251D、S273Y;
D59N、H76Q、I96L、S132A、S164G、L166V、L222I、G251D、S273Y;
H76Q、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、S273Y;
D59N、H76Q、S132A、S164G、L166V、S273Y;
K19T、D59N、H76Q、S164G、R242E、N249D、G251D、S273Y;
Y21S、D59N、H76Q、I96L、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y;
K19T、D59N、I96L、S164G、L222I、G251D;
D59N、H76Q、S164G、L222I、S226T、R242E;
H76Q、L130I、L222I、S226T、G251D、S273Y;
Y21S、D59N、H76Q、I96L、L222I、S273Y;
H76Q、S164G、L222I、N249D、G251D、S273Y、V309I;
D59N、I96L、L166V、L222I、R242E、G251D;
Y11V、K19T、D59N、I96L、S164G、L166V、L222I、R242E、G251D、L253I;
K19S、D59N、I96L、S164G、L222I、R242E、N249E、G251D;
K19T、D59N、I96L、S164G、L166I、L222I、R242E、N249D;
H76Q、I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S273Y;
K19T、I96L、L222I、R242E、L253I;
K19T、D59N、I96L、S164G、L222V、R242E、N249D、L253I;
I96L、S164G、L222I、R242E、G251D、S274Y;
R242E、N252D、N100Q、N291Q;
R242E、R254E、Q280E、N100Q、N291Q;
R242E、Q280E、N100Q、N291Q;
R242E、R254E、S273D、Q280E、N100Q、N291Q;
R67Q、S132A、L222I、K231N、R242E、V248I;
R67Q、I96L、L130I、M157L、K231N、R242E;
R67Q、M157L、L222I、K231N、V248I;
R67Q、I96L、M157L、L222I、K231Nまたは
R67Q、G70D、M157L、L222I、N291Q、
に対応する位置を含めた位置の1もしくは複数の組み合わせにおける置換を含む。

0074

好ましい実施形態として、親ポリペプチドは、配列番号2(ラクダキモシン)の成熟ポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有していてもよい。

0075

さらに、本発明は、食品または飼料製品を製造する方法であって、本明細書中に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体の有効量を(単数もしくは複数の)食品または飼料原料に添加すること、および食品または飼料製品を得るためのさらなる製造ステップを実施することを含む方法に関する。

0076

本発明のさらなる関連態様は、食品または飼料製品を製造する方法であって、本明細書中に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体の有効量を(単数もしくは複数の)食品または飼料原料に添加すること、および食品または飼料製品を得るためのさらなる製造ステップを実施することを含み、特にここで、該食品または飼料製品が、本発明のキモシンポリペプチドを含む乳製品、あるいは食品または飼料製品である方法に関係する。

0077

本発明のさらなる関連態様は、乳製品、例えば、チーズなど、例えば、パスタフィラータ、チェダー、コンチネンタルタイプチーズ、ソフトチーズまたはホワイトブラインチーズなど、を製造する工程における本発明によるキモシンポリペプチド変異体に関する。
先に述べたように、本明細書中に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体は、当該技術分野に従って、例えば、目的の乳製品(例えば、チーズ製品など)を製造するために使用され得る。

0078

先に述べたように、本発明の一態様は、食品または飼料製品を製造する方法であって、本明細書中に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体の有効量を(単数もしくは複数の)食品または飼料原料に添加すること、および該食品または飼料製品を得るためのさらなる製造ステップを実施することを含む方法に関する。

0079

好ましくは、前記食品または飼料製品は乳製品であり、ここで、当該方法は、本明細書中に記載の単離されたキモシンポリペプチド変異体の有効量を乳に添加すること、および乳製品を得るためのさらなる製造ステップを実施することを含む。

0080

前記乳は、例えば豆乳、ヒツジ乳、ヤギ乳、バッファロー乳、ヤク乳、ラマ乳、ラクダ乳または牛乳であってもよい。

0081

前記乳製品は、例えば発酵乳製品、例えばクワルク(quark)またはチーズであってもよい。

0082

当該技術分野で知られているとおり、成長、精製、試験、および一般的な取り扱いは酵素の性能に影響を及ぼす可能性があり、よって、本発明の酵素もまた同様である。したがって、本発明は、キモシンポリペプチド変異体、これらを作製する方法、およびこれらを含む製品に関し、ここで、該キモシンポリペプチド変異体は、同じ条件下、および好ましくは、同じ条件下で作製され、そして別の方法で取り扱われた後に、対応する親ポリペプチドと比較したとき、改善された凝固活性および/またはC/P比を有する。

0083

実施例
実施例1:キモシンタンパク質配列および変異体配列のアラインメントおよび番号付け
キモシンタンパク質配列を、EBI(EBI、ツール、複数の配列アラインメント、CLUSTALW”、http://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalw2/)によって提供され、Larkin MA、BlackshieldsG、Brown NP、Chenna R、McGettigan PA、McWilliam H、Valentin F、WallaceIM、Wilm A、Lopez R、Thompson JD、Gibson TJ、Higgins DG(2007). Bioinformatics 23(21)、2947-2948に記載された、ClustalWアルゴリズムを用いてアラインした。

0084

複数の配列アラインメントのためのClustalW2設定は、タンパク質重量マトリックス=BLOSUM、GAPopen=10、GAP EXTENSION=0.5、GAP DISTANCES=8、No End Gaps、ITEATION=none、NUMIER=1、CLUSTERING=NJ、であった。

0085

参照配列として、ウシキモシンBプレプロキモシンを使用し(Genbank受託番号P00794−配列番号3として本明細書に開示される)、ここで、N−末端メチオニンは番号1を有し(MRCL……)、そしてC−末端イソロイシン(タンパク質配列中…LAKAI)は番号381を有する。変異体を、ウシBプレ−プロ−キモシンに対してアラインし、そして、対応するウシキモシン残基に従って、残基に番号を付した。

0086

実施例2:キモシン変異体の設計
キモシン変異体を異なる戦略を用いて設計した。

0087

ラクダキモシンに言及される場合、本明細書における配列番号2のポリペプチドを含むラクダキモシンに言及される。配列番号2のラクダキモシンは、そのラクダキモシン変異体を作製するために使用される、本明細書で関連するキモシン活性を有する親ポリペプチドとして見られる。

0088

ウシキモシンに言及される場合、本明細書における配列番号1のポリペプチドを含むウシキモシンに言及される。配列番号1のウシキモシンは、そのウシキモシン変異体を作製するために使用される、関連するキモシン活性を有する親ポリペプチドとして見られる。

0089

ラクダキモシンの変異体180〜269および367〜461は、ウシキモシンBと比較して25%以上の同一性を有する多くの組の公知のアスパラギン酸プロテアーゼ配列の、アラインメントに基づいて設計された。一般に、変異は、種間で高レベルアミノ酸変異を有する領域に導入されたが、保存された領域は変更されなかった。アミノ酸置換は、比凝固活性およびC/P比に対して有益な効果を示す可能性が高い変化を同定するために、系統学的、構造的および実験的情報に基づいて選択された。複数の変異を各変異体構築物に導入して、種々の置換の間の共変動の影響を最小限にするために、各単一突然変異が複数の変異体構築物に存在することを確実にした。実験データの機械学習および統計解析を使用して、キモシン変異体の測定された凝固性能に対するアミノ酸置換の相対的寄与を決定した(参考文献14、15)。

0090

変異体271〜366を、ウシキモシン(PDBコード:4AA8)およびラクダキモシン(PDBコード:4AA9)の詳細な構造分析に基づいて設計した。変異を、それぞれのアミノ酸側鎖化学的性質、およびカゼイン基質結合または一般的酵素特性のいずれかに対するその予想される影響に基づいて選択した。変異体271〜346におけるアミノ酸置換の大部分は、基質結合溝内にまたはそれに構造的に近接しているいずれかの配列位置で、あるいは結合したカゼイン基質と接触する二次構造要素で、作製された。さらに、変化は、これらの領域の電荷プロファイルを変更する、タンパク質表面上の位置で成され(参考文献5)、それゆえ、酵素性能に影響を及ぼすことが予想される。変異体347〜366は、ウシおよびラクダキモシンにおけるN−末端配列の異なる構造配座に基づいて作製された。アミノ酸置換は、ラクダキモシンのN−末端と相互作用する基質結合溝内の位置で成された。

0091

実施例3:キモシン変異体酵素材料の調製
すべてのキモシン変異体を、合成遺伝子として合成し、真菌発現ベクター、例えばpGAMpR−Cにクローニングした(WO02/36752A2に記載)

0092

ベクター大腸菌(E.coli)に形質転換し、プラスミドDNAを当業者に既知の標準的な分子生物学プロトコルを用いて精製した。変異体プラスミドを個々に、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)またはアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)株に形質転換し、タンパク質を本質的にWO02/36752A2に記載のように産生し、標準的なクロマトグラフィー技法を用いて精製した。酵素ライブラリスクリーニングのために、すべてのキモシン変異体を20〜60mLの発酵により生成した。変異体433、436、453、および457に関するより詳細な特徴づけのために、それぞれの酵素を70L規模で再び発酵させた。

0093

当該技術分野において知られているように、当業者は、その共通の一般的知識に基づいて、キモシンおよびキモシン変異体−例えば本明細書中に記載のウシおよびラクダキモシン変異体を、生成および精製することができる。

0094

実施例4:特定のキモシン活性の決定
4.1乳凝固活性の決定
乳凝固活性を、国際酪農連盟によって開発された標準的な方法(IDF法)である、REMCAT法を用いて決定した。
乳凝固活性を、0.5g/L(pH≒6.5)の塩化カルシウム溶液での、低温、低脂肪乳粉末から調製された標準乳基質の目視可能な凝集に必要とされる時間から決定する。レンネット試料の凝固時間を、既知の凝乳活性を有し、かつIDF標準110Bによって当該試料と同じ酵素組成を有する、参照標準の凝固時間と比較する。試料および参照標準を、同一の化学的および物理的条件下で測定した。変異体試料を、84mMの酢酸緩衝液pH5.5を用いて約3IMCU/mlに調整した。その後、20μlの酵素調製物を、一定の攪拌下で32℃±1℃の一定温度を維持することができる水浴中に配置した、ガラス試験管中の1mlの予熱した乳(32℃)に加えた。レンネットの総凝乳活性(強度)を、以下の式に従って、試料と同じ酵素組成を有する標準に対して国際凝乳単位(IMCU)/mlで計算した:

0095

S標準:レンネットについての国際参照標準の凝乳活性
T標準:標準希釈について得られた秒での凝固時間
D試料:試料についての希釈係数
D標準:標準についての希釈係数
T試料:酵素の添加から凝集の時間までの希釈されたレンネット試料について得られた秒での凝固時間

0096

ライブラリ1および3変異体、ならびに構造設計による変異体の凝固活性決定のために、μIMCU法を、REMCAT法の代わりに使用した。REMCATと比較して、μIMCUアッセイにおけるキモシン変異体の凝集時間を、UV/VISプレートリーダーで800nmにおける96−ウェルマイクロタイタープレートでのOD測定によって決定した。既知の凝固強度を有する参照標準の種々の希釈の標準曲線を、各プレートに対して記録した。84mMの酢酸緩衝液、0.1%のtriton X−100(pH5.5)により酵素を希釈することによって、試料を調製した。32℃での反応を、4%(w/w)低温、低脂肪乳粉末および7.5%(w/w)塩化カルシウム(pH≒6.5)を含有する標準乳基質の250μLを、25μLの酵素試料に添加することによって、開始した。国際凝乳単位(IMCU)/mlでのキモシン変異体の乳凝固活性を、標準曲線に対する試料の凝集時間に基づいて決定した。

0097

4.2総タンパク質含有量の決定
総タンパク質含有量を、Thermo Scientific製のPierce BCA Protein Assay Kitを使用し、供給業者の取扱説明書に従って決定した。

0098

4.3 比凝固活性の計算
比凝固活性(IMCU/mg総タンパク質)を、凝固活性(IMCU/ml)を総タンパク質含有量(mg総タンパク質/ml)で割ることによって決定した。

0099

実施例5タンパク質分解活性の決定
全タンパク質分解活性は、蛍光標識したBodipy−FLカゼイン(EnzChek; Molecular Bioprobes、E6638)を基質として使用することで計測した。カゼイン誘導体にpH非感受性緑色蛍光Bodipy−FLを大量に標識すると、この共役体の蛍光がほぼ完全に消えた。プロテアーゼを触媒とした加水分解によって蛍光Bodipy−FLが放出される。この方法は非常に感度がよく、この実験に不可欠であった。なぜなら、CHYMAX Mが、これまでに知られているあらゆる凝固剤のうちで全タンパク質分解活性が最も低いからである。0.04mg/mlの基質溶液を、100mMのNaCl、5%のグリセロール、および0.1%のBrijを含んでいる0.2Mのリン酸緩衝液pH6.5中に調製した。キモシン変異体を、100mMのNaCl、5%のグリセロール、および0.1%のBrijを含んでいる20mMのマロン酸バッファー中に溶解した。基質とキモシン変異体の溶液の両方に関して、20μLを黒色の384ウェルCorning平底ポリスチレンマイクロタイタープレート中で混合し、そして、蛍光を32℃にて10時間継続的に蛍光光度計により記録した。蛍光変化の直線部分の勾配を、全タンパク質分解活性を決定するために使用した。

0100

実施例6 比凝固活性とC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析
統計学的機械学習アプローチおよびPCAに基づく分析を、位置Phe105とMet106との間のκ−カゼインの切断に対する、多重置換ライブラリ1〜3の変異体に存在するすべての単一突然変異の影響、すなわち、特定の凝乳活性、および凝固と全タンパク質分解活性との比(C/P)を決定するために使用した。

0101

結果
多重置換ライブラリ1
野生型と比較して複数の置換をそれぞれ有するラクダキモシンの変異体を生成し、上記のように分析した。すべての変異体は、表に記載した変異を除いて、ラクダキモシン(配列番号2)と同一のアミノ酸配列を有する。ラクダキモシン(CHY−MAX M)を参照として含む。

0102

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0103

表1:ラクダキモシン変異体180〜222の酵素活性数値は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)に対する%切断として示す。

0104

表1には、比凝固活性(C)、非特異的タンパク質分解活性(P)、ならびにC/P比に関するデータと共にラクダキモシン変異体を示す。43個の変異体のうち17個が、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して10%〜50%増強された比凝固活性を示す。すべての変異体が有意に増強されたC/P比を有し、最良の変異体、190は、野性型ラクダキモシンと比較して約15倍の改善を示した。

0105

多重置換ライブラリ1の突然変異分析
比凝固活性(C)およびC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析を、ライブラリ1のタンパク質分解データに基づいて行った。増強された特定の凝固およびC/Pに関して最も有益な突然変異を、それぞれ表2および3に示す。

0106

表2:統計解析に基づく増強された比凝固活性に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0107

表2に示した結果に基づいて、突然変異K19T、D59N、I96L、S132A、L222I、R242E、N249D、S273Y、およびV309Iがキモシンの比凝固活性を増強すると結論づけられる。その結果、これらの突然変異がチーズ製造においてより少ないキモシン用量を可能にすると予想できる。

0108

表3:統計解析に基づく増加したC/P比に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0109

表3に示した結果に基づいて、突然変異H76Q、I96L、S164G、R242E、G251D、およびS273YがキモシンのC/P比を増加させると結論づけられる。その結果、これらの突然変異が、それぞれのキモシン変異体を使用するチーズ製造において収量増大をもたらすと予想できる。

0110

多重置換ライブラリ2
野生型と比較して複数の置換をそれぞれ有するもう1セットのラクダキモシン変異体を生成し、上記のように分析した。すべての変異体は、表に記載した変異を除いて、ラクダキモシン(配列番号2)と同一のアミノ酸配列を有する。ラクダキモシン(CHY−MAX M)を参照として含む。

0111

凝固活性は、REMCAT法を使用して決定した。

0112

表4:ラクダキモシン変異体223〜269の酵素活性。数値は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)に対する%切断として示す。

0113

表4には、比凝固活性(C)、非特異的タンパク質分解活性(P)、ならびにC/P比に関するデータと共にラクダキモシン変異体を示す。47個の変異体のうち8個が、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して10%〜78%増強された比凝固活性を示す。さらに、43個の変異体が有意に増強されたC/P比を有し、最良の変異体、253は、野性型ラクダキモシンと比較して約33倍の改善を示した。

0114

多重置換ライブラリ2の突然変異分析
比凝固活性(C)およびC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析を、ライブラリ2のタンパク質分解データに基づいて行った。増強された特定の凝固およびC/Pに関して最も有益な突然変異を、それぞれ表5および6に示す。

0115

表5:統計解析に基づく増強された比凝固活性に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0116

表5に示した結果に基づいて、突然変異D59N、H76Q、L166V、L222I、R242E、N249D、N249E、およびS273Yがキモシンの比凝固活性を増強すると結論づけられる。その結果、これらの突然変異がチーズ製造においてより少ないキモシン用量を可能にすると予想できる。

0117

表6:統計解析に基づく増加したC/P比に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0118

表6に示した結果に基づいて、突然変異Y11I、Y11V、K19T、H76Q、I96L、S164G、L166I、L222V、R242D、R242E、G251D、およびS273YがキモシンのC/P比を増加させると結論づけられる。その結果、これらの突然変異が、それぞれのキモシン変異体を使用するチーズ製造において収量増大をもたらすと予想できる。

0119

ラクダキモシンにおける構造に基づく変異
ラクダキモシン(配列番号2)の変異体を、タンパク質構造分析によって決定された位置におけるアミノ酸変化により作製した(表7)。突然変異N100QおよびN291Qを、これらの変異体および参照ラクダキモシン(CamUGly)の両方のN−グリコシル化部位に導入して、非グリコシル化された均質タンパク質試料を得た。

0120

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0121

表7:ラクダキモシン変異体271〜308の酵素活性。数値は、非グリコシル化ラクダキモシン(CamUGly)に対する%切断として示す。

0122

表7に示した結果に基づいて、突然変異Y21S、S74D、R242E、Y243E、N249D、G251D、S273D、Q280E、F282E、およびL295Kが、キモシンのC/P比を増加させると結論づけられる。突然変異R242EおよびN249Dもまた、増強された比凝固活性をもたらす。表7に示す増加したC/P比を有する10個の変異体のうちの7個が、図2に見られるように、結合溝に近接して位置するタンパク質表面上の異なる領域に突然変異(R242E、N249D、G251D、Y243E、S273D、Q280E、F282E)を担持する。この領域は、位置P10〜P4(参考文献10)においてその正に荷電した配列Arg96〜His102(参考文献5、16〜18)と相互作用することによって、κ−カゼイン基質の結合を支持することが示唆されている。突然変異により導入された負電荷は、これらの相互作用を強化し、そして、カゼインの増強された特異性(C/P)をもたらし得る。結果は、この領域における単一アミノ酸置換がC/Pを有意に増加させ得ることを示す。

0123

ラクダキモシンにおける負電荷の組み合わせ
ラクダキモシン(配列番号2)のより多くの変異体を、上記の表面領域(R242E、Y243E、G251D、N252D、R254E、S273D、Q280E)に、負電荷を導入する突然変異の組み合わせにより作製した。突然変異N100QおよびN291Qを、これらの変異体および参照ラクダキモシン(CamUGly)の両方のN−グリコシル化部位に導入して、非グリコシル化された均質なタンパク質試料を得た(表8)。

0124

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0125

表8:ラクダキモシン変異体309〜323の酵素活性。数値は、非グリコシル化ラクダキモシン(CamUGly)に対する%切断として示す。

0126

表8に示したすべての変異体が、非グリコシル化ラクダキモシンと比較して、増加したC/P比を明らかにしている。これらの変異体(309、310、321、322、323)のうちのいくつかは、単一負電荷の突然変異(286)を有する最良の変異体よりさらに高いC/Pを有する。キモシン構造上の領域と相互作用するP10−P4に負電荷を導入することによって引き起こされるC/P増加作用は、それぞれの突然変異の組み合わせによってさらに増強され得ると結論づけられる。

0127

ウシキモシンにおける構造に基づく変異
ウシキモシン(配列番号1)の変異体を、タンパク質構造解析によって決定された位置におけるアミノ酸変化により作製した(表9)。突然変異N252QおよびN291Qを、これらの変異体および参照ウシキモシン(BovUGly)の両方のN−グリコシル化部位に導入して、非グリコシル化された均質なタンパク質試料を得た。

0128

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0129

表9:ウシキモシン変異体325〜346の酵素活性。数値は、非グリコシル化ウシキモシン(BovUGly)に対する%切断として示す。

0130

表9のデータでは、変異Q56H、Y134G、およびK295Lが増強された比凝固活性につながり、および変異H292NおよびQ294Eが高められたC/P比をもたらすことを実証している。H292とQ294の両方が、基質結合溝を部分的に覆うループに位置し(図3)、そしてそれは、カゼイン基質特異性(C/P)に関するこれらの位置のそれぞれの突然変異に関して観察された影響の原因を明らかにする。特に、置換H292NはC/Pを増大させ、そして、D249NならびにK295LはウシキモシンのC/Pを減少させたが、C/Pに対する逆の効果が、ラクダキモシンにおけるそれぞれの復帰変異原性N292H、N249D、およびL295Kによって観察された(表7)。このことは、これらのアミノ酸変化が種を超えてキモシン特異性に対して類似の効果を発揮することを実証している。

0131

ラクダキモシンN−末端の変異
ラクダキモシン(配列番号2)の変異体を、基質結合溝内のN−末端配列Y11−D13の分子相互作用のタンパク質構造解析によって決定された位置におけるアミノ酸変化により作製した(表10)。突然変異N100QおよびN291Qを、これらの変異体および参照ラクダキモシン(CamUGly)の両方のN−グリコシル化部位に導入して、非グリコシル化された均質なタンパク質試料を得た。

0132

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0133

表10:ラクダキモシン変異体347〜366の酵素活性。数値は、非グリコシル化ラクダキモシン(CamUGly)に対する%切断として示す。

0134

ラクダキモシン構造の分析は、N−末端配列Y11−D13、ならびにY11の潜在的な相互作用パートナーである位置D290における変異を導いた(図4)。カゼイン基質は、結合溝内に結合するためにN−末端キモシン配列と競合するので、結合溝とモチーフY11−D13との相互作用を変化させるアミノ酸置換は、種々のカゼイン基質に対する酵素活性に、したがって、C/P比に、影響を与えることが期待される。それぞれの変異体347〜366の結果は、比凝固活性およびC/Pの両方に関して優秀な変異を示す。特に、変異体353および355は、増加したC/P比を明らかにしている。そのため、アミノ酸置換Y11IおよびY11Vが増加したC/P比をもたらすと結論づけられる。キモシン結合溝は主に疎水性アミノ酸から成るので(参考文献9)、両方の突然変異は、改善された疎水性相互作用によって結合溝におけるN−末端の結合を促進し、これにより、カゼインの非特異的結合および加水分解(P)を阻害するであろう。

0135

多重置換ライブラリ3
野生型と比較して複数の置換をそれぞれ有するラクダキモシン変異体の別のセットを生成し、上述のように分析した。すべての変異体は、表に記載した変異を除いて、ラクダキモシン(配列番号2)と同一のアミノ酸配列を有する。ラクダキモシン(CHY−MAX M)が参照として含まれる。

0136

凝固活性は、μIMCU法を使用して決定した。

0137

表11:ラクダキモシン変異体367〜416の酵素活性。数値は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)に対する%切断として示す。

0138

表11には、比凝固活性(C)、非特異的タンパク質分解活性(P)ならびにC/P比に関するデータと共にラクダキモシン変異体が示されている。50個の変異体のうち6個が、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して、10%〜29%増強された比凝固活性を明らかにしている。そして一方、23個の変異体が、10%超増加したC/P比を有し、最良の変異体、411は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して、約6倍の改善を示している。

0139

多重置換ライブラリ3の突然変異分析
凝固活性(C)およびC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析を、ライブラリ3のタンパク質分解データに基づいて行った。増強された凝固およびC/Pに最も有益な突然変異を、表12および13に示す。

0140

表12:統計解析に基づく増強された凝固活性に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0141

表12に示した結果に基づいて、突然変異I96L、S132A、M157L、K231N、R242E、M256L、およびN291Qがキモシンの比凝固活性を増強すると結論づけられる。その結果、これらの突然変異が、チーズ製造においてより少ないキモシン用量を可能にすると予想できる。

0142

表13:統計解析に基づく増加したC/P比に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0143

表13に示した結果に基づいて、突然変異Y11V、G70D、I96L、V136I、L222I、K231N、R242E、およびN291QがキモシンのC/P比を増加させると結論づけられる。その結果、これらの突然変異が、それぞれのキモシン変異体を使用するチーズ製造において収量増大をもたらすと予想できる。

0144

多重置換ライブラリ4
野性型と比較して複数の置換をそれぞれ有するもう1セットのラクダキモシン変異体を生成し、上記のように分析した。すべての変異体は、表に記載した変異を除いて、ラクダキモシン(配列番号2)と同一のアミノ酸配列を有する。ラクダキモシン(CHY−MAX M)は参照として含む。

0145

凝固活性は、REMCAT法を用いて決定した。

0146

表14:ラクダキモシン変異体417〜461の酵素活性。数値は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)に対する%切断として示す。

0147

表14には、比凝固活性(C)、非特異的タンパク質分解活性(P)、ならびにC/P比に関するデータと共にラクダキモシン変異体を示す。45個の変異体のうち11個が、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して14%〜53%増強された比凝固活性を示す。さらに、45個の変異体すべてが10%超増加したC/P比を有し、最良の変異体、450は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して約17倍の改善を示す。

0148

多重置換ライブラリ4の突然変異分析
凝固活性(C)およびC/P比に対する位置および突然変異の影響の統計解析を、ライブラリ4のタンパク質分解データに基づいて行った。増強された凝固およびC/Pに関して最も有益な突然変異を、それぞれ表15および16に示す。

0149

表15:統計解析に基づく増強された凝固活性に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0150

表15に示した結果に基づいて、突然変異Y11V、D59N、L166V、L222I、R242E、N249E、およびG251Dがキモシンの比凝固活性を増強すると結論づけられる。その結果、これらの突然変異がチーズ製造においてより少ないキモシン用量を可能にすると予想できる。

0151

表16:統計解析に基づく増加したC/P比に対する突然変異の寄与(平均)および標準偏差(sd)

0152

表16に示した結果に基づいて、突然変異Y11I、Y11V、K19T、I96L、S164G、R242E、N249E、およびL253IがキモシンのC/P比を増加させると結論づけられる。その結果、これらの突然変異が、それぞれのキモシン変異体を使用するチーズ製造において収量増大をもたらすと予想できる。

0153

多重置換ライブラリ4からの選択した変異体を70L単位で再び発酵させ、その後、精製およびそれらのタンパク質分解プロファイルに関して特徴づけを続けた(表17)。

0154

表17:70Lの発酵からの選択したラクダキモシン変異体の酵素活性。数値は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)に対する%切断として示す。

0155

表17には、比凝固活性(C)、非特異的タンパク質分解活性(P)、ならびにC/P比に関するデータと共に、70Lの発酵からのラクダキモシン変異体を示す。4個の変異体すべてが、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して、51%〜117%増強された比凝固活性を示す。4個の変異体すべてが、13倍超増加したC/P比を有し、最良の変異体、457は、野性型ラクダキモシン(CHY−MAX M)と比較して約30倍の改善を示す。

実施例

0156

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