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課題・解決手段

第Xa因子活性を正常の約25%以下に低下させるのに十分な用量で投与される直接第Xa因子阻害薬の使用は、アテローム性動脈硬化症発症を予防し、アテローム性動脈硬化病変を安定化させ、アテローム性動脈硬化イベントの発生または再発を予防する効果がある。

概要

背景

血液凝固は、損傷した際に血管壁欠損を迅速および確実に「密封する」のに役立つ防御機構である。血管の損傷後の止血は主に、血漿タンパク質の複雑な反応の酵素カスケードが引き起こされ、最終的に不溶性フィブリン液クロットを生じさせる凝固系によりもたらされる。多数の血液凝固因子がこのプロセスに関与している。

二次止血の凝固カスケードは、フィブリン形成に至る2つの初期経路を有する。これらは、接触活性化経路内因性経路としても公知である)、および組織因子経路(外因性経路としても公知である)であり、両方ともフィブリンを生成する同じ基礎反応をもたらす。該経路は、セリンプロテアーゼチモーゲン(不活性酵素前駆体)およびセリンプロテアーゼの糖タンパク質補因子が活性化されて活性成分になり、該成分が次いでカスケードにおける次の反応を触媒し、最終的に架橋フィブリンを生じさせる一連の反応である。

内因性および外因性経路は両方とも、チモーゲン「第X因子」が活性化されて「第Xa因子」(FXa)を形成する共通の経路に至る。活性化セリンプロテアーゼFXaは、プロトロンビンを切断してトロンビンを形成する。生じたトロンビンは、今度はフィブリノーゲン線維状/ゼラチン状凝固物質、フィブリンに切断する。さらに、トロンビンは、同じく止血に大きく寄与する血小板凝集の強力なエフェクターである。

トロンビンは、凝固カスケードにおける重要な調節酵素である。トロンビンは、正常な止血では正および負両方のフィードバック調節因子として多元的役割を果たす。しかし、幾つかの病的状態では、正のフィードバック調節が、トロンビン生成に必要とされるFXaなどの補因子の触媒活性化により増幅される。トロンビンは、フィブリノーゲンをフィブリンに切断し、血小板を活性化し、第XIII因子血栓生成成長、および安定化に関与する主要な酵素である第XIIIa因子に変換する。したがって、内因性および外因性凝固経路の両方の収束におけるプロトロンビナーゼ複合体の位置は、第Xa因子の阻害、および故にトロンビン生成が、トロンビンのプロコアグラント活性を制限する実行可能なアプローチとなり得ることを示唆するものである。

第Xa因子およびトロンビンは抗凝固療法実行可能な標的であるが、他の生物学的および病態生理学的プロセスに関与することも示されている。それ故に、FXa(例えばアピキサバンおよびリバーロキサバン)およびトロンビン(例えばダビガトラン)の経口、直接阻害薬の特性が、止血および血栓塞栓症管理の領域外で研究されている。非特許文献1参照。非特許文献1は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

血管損傷後、第X因子は、平滑筋細胞SMC)などの組織因子担持細胞の表面で活性化される。非特許文献2参照。血液凝固における機能の他に、FXaは、血管SMC増殖および遊走刺激し、細胞外マトリックス組成を変化させ得る。これらのイベントは、アテローム性動脈硬化症の発生および血管損傷後の再狭窄に関与している。非特許文献2参照。

SMCに対するトロンビンおよびFXaの直接的な細胞作用は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のサブグループプロテアーゼ活性化受容体(PAR1からPAR−4)により媒介される。トロンビンはPAR1、PAR3、およびPAR4を通じて作用するが、FXaはPAR1およびPAR2を活性化する。PAR2はトロンビンには反応しない。両因子はPARを通じてシグナル伝達するが、PAR1誘導反応リガンド性質に従って異なるのに対し、PAR2(FXaの受容体であるがトロンビンの受容体ではない)は線維増殖障害に関与している。非特許文献1参照。その結果として、抑制されない凝固活性および/または過剰なPAR活性化は、関節炎、線維化肺疾患、癌、およびアテローム性動脈硬化症を含む一連の状態に関与し得る。非特許文献1参照。

故に、FXaは、白血球動員に寄与する、インターロイキン−6(IL−6)、IL−8、および単球走化性タンパク質−1(MCP−1)の放出に至る、内皮細胞における核内因子κΒ(NF−κΒ)の活性化を引き起こすことにより、PAR2の活性化を介した急性炎症反応を誘発すると考えられている。非特許文献3参照。

FXaの直接的な細胞作用は、最終的にアテローム性動脈硬化プラーク発生の基盤となる炎症、白血球経内皮遊走、血管新生、および血管狭窄の促進に関与している。トロンビン活性もまた、アテローム性動脈硬化プラークの発生において役割を果たしていると認識されている。非特許文献1参照。

PAR活性化を介した凝固と炎症プロセスの間のクロストーク活性化および制御は、アテローム性動脈硬化症を含む幾つかの臨床状態に関係している可能性がある。非特許文献1参照。

アテローム性動脈硬化症は、内皮機能障害局所炎症、白血球血管外移動、ならびに動脈血管壁への単球の結合と、これに続くマクロファージへの単球の移行および分化を特徴とする慢性炎症性疾患である。非特許文献4参照。マクロファージによる酸化リポタンパク質内在化は、マクロファージ泡沫細胞の形成をもたらし、これが分裂促進性および化学走化性産物の分泌誘導し、血管平滑筋細胞増殖、遊走、および線維性被膜形成などのプロセスを促進し、最終的には成熟脂肪線条の形成に至る。非特許文献4参照。脂肪線条の進行は、平滑筋細胞およびコラーゲン富むマトリックス被膜に囲まれた、泡沫細胞および細胞外脂質のコア領域からなるアテロームの発生をもたらすことになる。アテローム性動脈硬化プラークが破裂すれば、コラーゲンおよび組織因子が暴露され、血小板および凝固カスケードの活性化により、アテローム血栓症が誘発される。血小板は、心筋梗塞を含むアテローム血栓性疾患における血小板阻害薬の阻害可能性から明らかなように、重要な役割を果たす。対照的に、アテローム性動脈硬化症および血栓症のプロセスへの凝固タンパク質の寄与は、推測の域を出ていない。非特許文献4参照。

故に、凝固因子は、アテローム性動脈硬化病変に存在している。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。組織因子は、凝固カスケードの主な生理学トリガーである。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。組織因子レベルの上昇は、不安定狭心症または心筋梗塞患者におけるアテローム性動脈硬化病変で見出される。これは、プラーク血栓形成における組織因子の役割を示唆している。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。しかし、組織因子の血管発現の低下は、トランスジェニックマウスにおけるアテローム性動脈硬化の進行に影響を与えないため、この役割はあまり明らかとはいえない。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。

アテローム性動脈硬化症からの最も重大な臨床的合併症は、血栓形成による急性閉塞であり、心筋梗塞または虚血性脳卒中をもたらす。アテローム性動脈硬化症からの血栓形成は、血栓後、壊死性コアの内容物が循環血小板に暴露されることから、不安定アテローム性動脈硬化病変の破裂またはびらんを伴う。上記非特許文献5 n.6、1−2参照。進行病変が血流遮断するのに十分に大きくなる場合もある。上記非特許文献5 n.6、1−2参照。故に、アテローム性動脈硬化病変の安定化は、アテローム性動脈硬化イベントの低減と関連する。上記特許文献1 n.1、図5参照。

血友病患者は、一般集団と比べて心血管死亡率が低下するらしいという報告がある。非特許文献6参照。血友病は、新生児5000人に約1人の割合で生じる。非特許文献7参照。最も一般的な形態の血友病は、第VIII因子欠乏症に起因する血友病Aである。同様に一般的なのは、第IX因子欠乏症に起因する「血友病B」である。非特許文献8参照。研究は、血友病患者が、一般集団と同程度のアテローム性動脈硬化症負荷を有し、重要な心血管リスク因子である高血圧発生率がさらにより高い場合があることを示唆している。非特許文献6、n.19参照。これは、血栓(血液クロット)形成を阻害するトロンビン生成の減少と関連した凝固低下作用の結果である可能性がある。非特許文献6、n.19参照。凝固低下は、血管内皮アテローム生成的特徴の軽減およびプラーク負荷の低減と関連するアテローム性動脈硬化プラーク安定性を向上させることも示唆されている。非特許文献6、n.19参照。

さらに、凝固カスケードの重要なイニシエーターとして長い間公知である組織因子(TF)は、心血管疾患リスク因子に関与している。非特許文献9参照。TFは、血栓症を誘発することにより、ならびにまた血管リモデリングおよびプラーク進行または不安定性に対する直接作用によってもアテローム生成に関与している可能性がある。非特許文献9、726参照。故に、TFの阻害薬およびアンタゴニストは、心血管疾患を治療する上で有効となり得る。非特許文献9、抄録および728参照。

主要な直接第Xa因子阻害薬であるリバーロキサバンが、アテローム性動脈硬化プラークを安定化させ、プラーク進行を軽減したことが、ApoE−/−マウスを用いたマウスモデルにおいて報告されている。非特許文献10参照。ApoE−/−マウスは、これらのマウスがヒトアテローム性動脈硬化プラークに類似するアテローム性動脈硬化プラークを発生するため、アテローム性動脈硬化症研究に広く使用されるマウスモデルである。リバーロキサバンの投与は、FXaまたはトロンビンアンチトロンビン血漿レベルを変化させないことが見出されたが、リバーロキサバンで治療されたマウスは、プラーク進行の軽減およびアテローム性動脈硬化プラークの不安定化の減少に関連する変化があることが見出された。非特許文献10、642参照。リバーロキサバンで治療されたApoE−/−マウスは、プラークへの脂質沈着を減少させたことが見出された。治療マウスはまた、アテローム性動脈硬化プラーク中のコラーゲン含量を増加させ、線維性コラーゲンの分解に関与するマトリックスメタロペプチダーゼ−9(MMP−9)の発現を減少させ、より安定なプラークをもたらした。治療マウスはまた、プラーク中のマクロファージの蓄積も低減させた。脂質沈着の増加、マクロファージ蓄積の増加、およびコラーゲンの損失は、ヒトにおける不安定プラークの特徴であることから、リバーロキサバンの投与は、これらは因子を低減させ得る。非特許文献10、642−643参照。FXaが、マクロファージおよび内皮細胞の炎症誘発性活性化を促進するという証拠利用可能である。非特許文献10、643参照。

アンジオテンシンII(AngII)nを注入されたアポリポタンパク質E欠損(ApoE−/−)マウスにおける実験大動脈瘤に対するFXa/FIIa阻害の効果の別の研究は、第Xa因子が、インビトロ大動脈血管平滑筋細胞VSMC)におけるSmad2/3リン酸化およびMMP2発現を刺激することを見出した。FXa刺激VSMCにおけるMMP2の発現は、PAR−2阻害薬の存在下で下方制御されたが、PAR−1阻害薬の存在下では下方制御されなかった。これらの知見は、FXa/FIIa阻害が、血管PAR−2媒介Smad2/3シグナル伝達およびMMP2発現の下方制御による大動脈瘤およびアテローム性動脈硬化症重症度を制限することを示唆している。非特許文献11参照。

概要

第Xa因子の活性を正常の約25%以下に低下させるのに十分な用量で投与される直接第Xa因子阻害薬の使用は、アテローム性動脈硬化症の発症を予防し、アテローム性動脈硬化病変を安定化させ、アテローム性動脈硬化イベントの発生または再発を予防する効果がある。

目的

本発明は、アテローム性動脈硬化症の発症を予防し、アテローム性動脈硬化病変を安定化または縮小させる効果がある、直接または間接FXa阻害薬の使用によるFXa活性の低下を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を予防または治療する方法であって、第Xa因子阻害薬を前記ヒトに投与するステップを含む方法。

請求項2

前記第Xa因子の阻害薬が、直接第Xa因子阻害薬または間接第Xa因子阻害薬のうちの1つである、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記第Xa因子の阻害薬がリバーロキサバンである、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記リバーロキサバンが10mgから20mgの錠剤で投与される、請求項3に記載の方法。

請求項5

前記リバーロキサバンが1日に1回投与される、請求項3に記載の方法。

請求項6

前記第Xa因子の阻害薬がアピキサバンである、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記アピキサバンが2.5mgから5.0mgの錠剤で投与される、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記アピキサバンが1日に1回投与される、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記第Xa因子の阻害薬がベトリキサバン、エドキサバンである、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記第Xa因子の阻害薬がオタミキサバンである、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記第Xa因子阻害薬の投与が、正常の約25%以下の測定された第Xa因子活性をもたらす、請求項1に記載の方法。

請求項12

前記第Xa因子阻害薬の投与が、正常の約50%以下の測定された第Xa因子活性をもたらす、請求項1に記載の方法。

請求項13

前記第Xa因子阻害薬の投与が、正常の約75%の測定された第Xa因子活性をもたらす、請求項1に記載の方法。

請求項14

前記第Xa因子の阻害薬が、正常では第Xa因子またはトロンビンに起因する炎症反応を抑制するのに十分な量で投与される、請求項1に記載の方法。

請求項15

アテローム性動脈硬化プラークの安定化が、前記第Xa因子の阻害薬の投与により安定化されることをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項16

前記第Xa因子の阻害薬の投与が、アテローム性動脈硬化病変を安定化させる、請求項1に記載の方法。

請求項17

前記第Xa因子の阻害薬の投与が、アテローム性動脈硬化イベントの発生または再発を予防する、請求項1に記載の方法。

技術分野

0001

(関連出願の相互参照
本発明は、2017年4月7日に出願された「直接第Xa因子阻害薬によるアテローム性動脈硬化イベントの予防」と題する米国特許出願第15/482,073号明細書、および2016年4月15日に出願された「直接第Xa因子阻害薬によるアテローム性動脈硬化イベントの予防」と題する米国特許出願第62/322,891号明細書の優先権を主張し、これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0002

本発明は、アテローム性動脈硬化症発症を予防し、アテローム性動脈硬化イベントを予防する手段としての直接第Xa因子阻害薬の使用に関する。

背景技術

0003

血液凝固は、損傷した際に血管壁欠損を迅速および確実に「密封する」のに役立つ防御機構である。血管の損傷後の止血は主に、血漿タンパク質の複雑な反応の酵素カスケードが引き起こされ、最終的に不溶性フィブリン液クロットを生じさせる凝固系によりもたらされる。多数の血液凝固因子がこのプロセスに関与している。

0004

二次止血の凝固カスケードは、フィブリン形成に至る2つの初期経路を有する。これらは、接触活性化経路内因性経路としても公知である)、および組織因子経路(外因性経路としても公知である)であり、両方ともフィブリンを生成する同じ基礎反応をもたらす。該経路は、セリンプロテアーゼチモーゲン(不活性酵素前駆体)およびセリンプロテアーゼの糖タンパク質補因子が活性化されて活性成分になり、該成分が次いでカスケードにおける次の反応を触媒し、最終的に架橋フィブリンを生じさせる一連の反応である。

0005

内因性および外因性経路は両方とも、チモーゲン「第X因子」が活性化されて「第Xa因子」(FXa)を形成する共通の経路に至る。活性化セリンプロテアーゼFXaは、プロトロンビンを切断してトロンビンを形成する。生じたトロンビンは、今度はフィブリノーゲン線維状/ゼラチン状凝固物質、フィブリンに切断する。さらに、トロンビンは、同じく止血に大きく寄与する血小板凝集の強力なエフェクターである。

0006

トロンビンは、凝固カスケードにおける重要な調節酵素である。トロンビンは、正常な止血では正および負両方のフィードバック調節因子として多元的役割を果たす。しかし、幾つかの病的状態では、正のフィードバック調節が、トロンビン生成に必要とされるFXaなどの補因子の触媒活性化により増幅される。トロンビンは、フィブリノーゲンをフィブリンに切断し、血小板を活性化し、第XIII因子血栓生成成長、および安定化に関与する主要な酵素である第XIIIa因子に変換する。したがって、内因性および外因性凝固経路の両方の収束におけるプロトロンビナーゼ複合体の位置は、第Xa因子の阻害、および故にトロンビン生成が、トロンビンのプロコアグラント活性を制限する実行可能なアプローチとなり得ることを示唆するものである。

0007

第Xa因子およびトロンビンは抗凝固療法実行可能な標的であるが、他の生物学的および病態生理学的プロセスに関与することも示されている。それ故に、FXa(例えばアピキサバンおよびリバーロキサバン)およびトロンビン(例えばダビガトラン)の経口、直接阻害薬の特性が、止血および血栓塞栓症管理の領域外で研究されている。非特許文献1参照。非特許文献1は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0008

血管損傷後、第X因子は、平滑筋細胞SMC)などの組織因子担持細胞の表面で活性化される。非特許文献2参照。血液凝固における機能の他に、FXaは、血管SMC増殖および遊走刺激し、細胞外マトリックス組成を変化させ得る。これらのイベントは、アテローム性動脈硬化症の発生および血管損傷後の再狭窄に関与している。非特許文献2参照。

0009

SMCに対するトロンビンおよびFXaの直接的な細胞作用は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のサブグループプロテアーゼ活性化受容体(PAR1からPAR−4)により媒介される。トロンビンはPAR1、PAR3、およびPAR4を通じて作用するが、FXaはPAR1およびPAR2を活性化する。PAR2はトロンビンには反応しない。両因子はPARを通じてシグナル伝達するが、PAR1誘導反応リガンド性質に従って異なるのに対し、PAR2(FXaの受容体であるがトロンビンの受容体ではない)は線維増殖障害に関与している。非特許文献1参照。その結果として、抑制されない凝固活性および/または過剰なPAR活性化は、関節炎、線維化肺疾患、癌、およびアテローム性動脈硬化症を含む一連の状態に関与し得る。非特許文献1参照。

0010

故に、FXaは、白血球動員に寄与する、インターロイキン−6(IL−6)、IL−8、および単球走化性タンパク質−1(MCP−1)の放出に至る、内皮細胞における核内因子κΒ(NF−κΒ)の活性化を引き起こすことにより、PAR2の活性化を介した急性炎症反応を誘発すると考えられている。非特許文献3参照。

0011

FXaの直接的な細胞作用は、最終的にアテローム性動脈硬化プラーク発生の基盤となる炎症、白血球経内皮遊走、血管新生、および血管狭窄の促進に関与している。トロンビン活性もまた、アテローム性動脈硬化プラークの発生において役割を果たしていると認識されている。非特許文献1参照。

0012

PAR活性化を介した凝固と炎症プロセスの間のクロストーク活性化および制御は、アテローム性動脈硬化症を含む幾つかの臨床状態に関係している可能性がある。非特許文献1参照。

0013

アテローム性動脈硬化症は、内皮機能障害局所炎症、白血球血管外移動、ならびに動脈血管壁への単球の結合と、これに続くマクロファージへの単球の移行および分化を特徴とする慢性炎症性疾患である。非特許文献4参照。マクロファージによる酸化リポタンパク質内在化は、マクロファージ泡沫細胞の形成をもたらし、これが分裂促進性および化学走化性産物の分泌誘導し、血管平滑筋細胞増殖、遊走、および線維性被膜形成などのプロセスを促進し、最終的には成熟脂肪線条の形成に至る。非特許文献4参照。脂肪線条の進行は、平滑筋細胞およびコラーゲン富むマトリックス被膜に囲まれた、泡沫細胞および細胞外脂質のコア領域からなるアテロームの発生をもたらすことになる。アテローム性動脈硬化プラークが破裂すれば、コラーゲンおよび組織因子が暴露され、血小板および凝固カスケードの活性化により、アテローム血栓症が誘発される。血小板は、心筋梗塞を含むアテローム血栓性疾患における血小板阻害薬の阻害可能性から明らかなように、重要な役割を果たす。対照的に、アテローム性動脈硬化症および血栓症のプロセスへの凝固タンパク質の寄与は、推測の域を出ていない。非特許文献4参照。

0014

故に、凝固因子は、アテローム性動脈硬化病変に存在している。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。組織因子は、凝固カスケードの主な生理学トリガーである。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。組織因子レベルの上昇は、不安定狭心症または心筋梗塞患者におけるアテローム性動脈硬化病変で見出される。これは、プラーク血栓形成における組織因子の役割を示唆している。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。しかし、組織因子の血管発現の低下は、トランスジェニックマウスにおけるアテローム性動脈硬化の進行に影響を与えないため、この役割はあまり明らかとはいえない。非特許文献4 n.9、および非特許文献5参照。

0015

アテローム性動脈硬化症からの最も重大な臨床的合併症は、血栓形成による急性閉塞であり、心筋梗塞または虚血性脳卒中をもたらす。アテローム性動脈硬化症からの血栓形成は、血栓後、壊死性コアの内容物が循環血小板に暴露されることから、不安定アテローム性動脈硬化病変の破裂またはびらんを伴う。上記非特許文献5 n.6、1−2参照。進行病変が血流遮断するのに十分に大きくなる場合もある。上記非特許文献5 n.6、1−2参照。故に、アテローム性動脈硬化病変の安定化は、アテローム性動脈硬化イベントの低減と関連する。上記特許文献1 n.1、図5参照。

0016

血友病患者は、一般集団と比べて心血管死亡率が低下するらしいという報告がある。非特許文献6参照。血友病は、新生児5000人に約1人の割合で生じる。非特許文献7参照。最も一般的な形態の血友病は、第VIII因子欠乏症に起因する血友病Aである。同様に一般的なのは、第IX因子欠乏症に起因する「血友病B」である。非特許文献8参照。研究は、血友病患者が、一般集団と同程度のアテローム性動脈硬化症負荷を有し、重要な心血管リスク因子である高血圧発生率がさらにより高い場合があることを示唆している。非特許文献6、n.19参照。これは、血栓(血液クロット)形成を阻害するトロンビン生成の減少と関連した凝固低下作用の結果である可能性がある。非特許文献6、n.19参照。凝固低下は、血管内皮アテローム生成的特徴の軽減およびプラーク負荷の低減と関連するアテローム性動脈硬化プラーク安定性を向上させることも示唆されている。非特許文献6、n.19参照。

0017

さらに、凝固カスケードの重要なイニシエーターとして長い間公知である組織因子(TF)は、心血管疾患リスク因子に関与している。非特許文献9参照。TFは、血栓症を誘発することにより、ならびにまた血管リモデリングおよびプラーク進行または不安定性に対する直接作用によってもアテローム生成に関与している可能性がある。非特許文献9、726参照。故に、TFの阻害薬およびアンタゴニストは、心血管疾患を治療する上で有効となり得る。非特許文献9、抄録および728参照。

0018

主要な直接第Xa因子阻害薬であるリバーロキサバンが、アテローム性動脈硬化プラークを安定化させ、プラーク進行を軽減したことが、ApoE−/−マウスを用いたマウスモデルにおいて報告されている。非特許文献10参照。ApoE−/−マウスは、これらのマウスがヒトアテローム性動脈硬化プラークに類似するアテローム性動脈硬化プラークを発生するため、アテローム性動脈硬化症研究に広く使用されるマウスモデルである。リバーロキサバンの投与は、FXaまたはトロンビンアンチトロンビン血漿レベルを変化させないことが見出されたが、リバーロキサバンで治療されたマウスは、プラーク進行の軽減およびアテローム性動脈硬化プラークの不安定化の減少に関連する変化があることが見出された。非特許文献10、642参照。リバーロキサバンで治療されたApoE−/−マウスは、プラークへの脂質沈着を減少させたことが見出された。治療マウスはまた、アテローム性動脈硬化プラーク中のコラーゲン含量を増加させ、線維性コラーゲンの分解に関与するマトリックスメタロペプチダーゼ−9(MMP−9)の発現を減少させ、より安定なプラークをもたらした。治療マウスはまた、プラーク中のマクロファージの蓄積も低減させた。脂質沈着の増加、マクロファージ蓄積の増加、およびコラーゲンの損失は、ヒトにおける不安定プラークの特徴であることから、リバーロキサバンの投与は、これらは因子を低減させ得る。非特許文献10、642−643参照。FXaが、マクロファージおよび内皮細胞の炎症誘発性活性化を促進するという証拠利用可能である。非特許文献10、643参照。

0019

アンジオテンシンII(AngII)nを注入されたアポリポタンパク質E欠損(ApoE−/−)マウスにおける実験大動脈瘤に対するFXa/FIIa阻害の効果の別の研究は、第Xa因子が、インビトロ大動脈血管平滑筋細胞VSMC)におけるSmad2/3リン酸化およびMMP2発現を刺激することを見出した。FXa刺激VSMCにおけるMMP2の発現は、PAR−2阻害薬の存在下で下方制御されたが、PAR−1阻害薬の存在下では下方制御されなかった。これらの知見は、FXa/FIIa阻害が、血管PAR−2媒介Smad2/3シグナル伝達およびMMP2発現の下方制御による大動脈瘤およびアテローム性動脈硬化症重症度を制限することを示唆している。非特許文献11参照。

先行技術

0020

Henri M.H. Spronkら, "Pleiotropic effects of factor Xa and thrombin: what to expect from novel anticoagulants," Cardiovascular Res. (2014) 101, 344−351.DOI: 10.1093/cvr/cvt343
Andreas Bohmら, "Factor−Xa−induced mitogenesis and migration require sphingosine kinase activity and S IP formation in human vascular smooth muscle cells," Cardiovascular Res. (2013) 99, 505−513. DOI: 10.1093/cvr/cvtl l2
Qianxing Zhouら "Evaluation of Plaque Stability of Advanced Atherosclerotic Lesions in Apo E−Deficient Mice after Treatment with the Oral Factor Xa Inhibitor Rivaroxaban,"Mediators of Inflammation, (2011), Article ID 432080, 9頁. DOI: 10.1155/2011/432080
R. Loeffenら, "The impact of blood coagulability on atherosclerosis and cardiovascular disease," J. of Thromb. and Haemostasis, (2012) 10: 1207−1216. DOI: 10.1111/j.l538−7836.2012.04782.x
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ELIQUIS処方情報、§6.1
XARELTO処方情報、§6.1
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課題を解決するための手段

0021

第X因子欠乏症患者は、アテローム性動脈硬化症の発生を含む心血管合併症から免れ、または相当レベルの免疫を有することが知られている。本発明は、アテローム性動脈硬化症の発症を予防し、アテローム性動脈硬化病変を安定化または縮小させる効果がある、直接または間接FXa阻害薬の使用によるFXa活性の低下を提供する。本発明によれば、直接FXa阻害薬は、FXaの活性を正常の約25%以下、または正常の約50%以下、または正常の約75%抑制し、血管中のアテローム性動脈硬化プラークの形成を予防し、またはアテローム性動脈硬化症を治療し、またはアテローム性動脈硬化病変を安定化させ、またはアテローム性動脈硬化イベントの発生もしくは再発を予防するのに十分な用量で患者に投与される。

0022

一実施形態において、第Xa因子の阻害薬を投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化症のリスクがある患者におけるアテローム性動脈硬化症を予防する方法が提供される。一実施形態において、第Xa因子の阻害薬を投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化イベントを予防する方法が提供される。一実施形態において、第Xa因子の阻害薬を投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化プラークを安定化させる方法が提供される。一実施形態において、第Xa因子の阻害薬を投与するステップを含む、アテローム性動脈硬化症に罹患しているヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法が提供される。一実施形態において、アテローム性動脈硬化症に罹患している患者におけるアテローム性動脈硬化プラークのサイズおよび程度を低減する方法が提供される。

0023

一実施形態において、第Xa因子の阻害薬は、直接または間接第Xa因子阻害薬である。一実施形態において、第Xa因子の阻害薬は、リバーロキサバン(Rivaroxaban)、アピキサバン(Apixaban)、ベトリキサバン(Betrixaban)、エドキサバン(Edoxaban)、およびオタミキサバン(Otamixaban)からなる群から選択される。

0024

一実施形態において、第Xa因子阻害薬の投与は、正常の約25%以下の測定された第Xa因子活性をもたらす。一実施形態において、第Xa因子阻害薬の投与は、正常の約50%以下の測定された第Xa因子活性をもたらす。一実施形態において、第Xa因子阻害薬の投与は、正常の約75%の測定された第Xa因子活性をもたらす。

0025

一実施形態において、第Xa因子の直接阻害薬は、アテローム性動脈硬化症のリスクがある患者におけるアテローム性動脈硬化症の予防のための医薬品の製造に使用される。一実施形態において、第Xa因子の直接阻害薬は、アテローム性動脈硬化症に罹患しているヒトにおけるアテローム性動脈硬化症の治療のための医薬品の製造において使用される。一実施形態において、第Xa因子の直接阻害薬の使用は、アテローム性動脈硬化イベントの予防のための医薬品の製造において使用される。

0026

本出願の実施形態の利点は、その例示的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなろう。説明は、同様な数字が同様な要素を示す添付図面と併せて検討されるべきである。

図面の簡単な説明

0027

凝固カスケードの概略図である。

実施例

0028

本発明の態様は、以下の説明および本出願の特定の実施形態に対する関連図面において開示される。代替の実施形態が、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく考案されてもよい。さらに、本出願の例示的な実施形態の周知の要素は、詳細に記載されず、または実施形態に関連する詳細を不明瞭にしないように省略される。さらに、説明の理解を容易にするために、本明細書で使用される幾つかの用語の考察を次に行う。

0029

本明細書で使用される場合、単語「例示的な」は、「例(example)、例(instance)または実例(illustration)として機能すること」を意味する。本明細書に記載された実施形態は、限定するものではなく、むしろ例示にすぎない。記載された実施形態は、他の実施形態より好ましいまたは有利であるとして必ずしも解釈されないことが理解されるべきである。さらに、用語「本発明の実施形態」、「実施形態」または「発明」は、本発明の全ての実施形態が、論じられた特徴、利点または作用形態を含むことを必要としない。

0030

例示的な図1全体に一般的に言及するとき、本発明の例示的な実施形態は、第X因子欠乏症患者は、多くの場合においてアテローム性動脈硬化症の他のリスク因子を有するにもかかわらず、基本的に心血管疾患またはアテローム性動脈硬化症を有さないという観察に基づいている。天然に低い第X因子を有する人は、FXaのレベルも低い。これは、抗FXa検査により測定することができる。非特許文献12参照。非特許文献12は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。したがって、本発明の一実施形態において、第X因子欠乏症を有する人の同じ低FXa状態を医学的に誘導する直接FXa阻害薬の投与が、アテローム性動脈硬化症を予防または治療し、アテローム性動脈硬化イベントを予防するのに使用される。

0031

100万人に約1人は遺伝的第X因子欠乏症を有する。凝固因子活性レベルと第X因子の臨床的出血重症度の間には強い関連がある。無症候状態を維持するための正常な第X因子血漿レベルの推奨トラフレベルは、稀少出血障害欧州ネットワーク(European Network of Rare Bleeding Disorder)からの結果の公表後、正常の40パーセント引き上げられた。非特許文献13参照。非特許文献13の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2012年の治験では、マッチさせた患者が、第Xa因子阻害薬アピキサバンまたはプラセボのどちらかを与えられた場合、大出血有病率の増加は見出されなかった。非特許文献14参照。非特許文献14の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0032

例示的な実施形態において、患者へのFXa阻害薬の投与は、患者におけるアテローム性動脈硬化イベントの発生または再発を予防する。アテローム性動脈硬化イベントは、心臓発作(心筋梗塞)、脳卒中(脳虚血)、および体内の他の部分での虚血イベントなどの臨床イベントである。これらは、重大な罹患率を伴う重篤な医学的合併症であり、該合併症は死亡の主な原因にもなる。一般的に、アテローム性動脈硬化症により引き起こされる血栓溶解イベントは、本明細書に記載された実施形態により予防することができる。

0033

幾つかの公知の直接FXa阻害薬のいずれも、FXaの十分な阻害をもたらす用量で与えられるならば、第X因子欠乏症のアテローム性動脈硬化症防御効果模倣すると予想される。直接FXa阻害薬は、抗血栓活性アンチトロンビンIIIなどの補因子を必要とすることなく、FXaの活性を特異的および選択的に直接阻害する薬物である。直接FXa阻害薬は、遊離およびクロット結合FXaおよびプロトロンビナーゼ活性を遮断する。直接FXa阻害薬は、血小板凝集に対して最小限の効果を有する。故に、直接FXa阻害薬は、血栓形成を阻害することにより血栓溶解イベントを直接予防する。

0034

対照的に、本発明の一実施形態において、FXaの直接阻害薬の投与により、アテローム性動脈硬化症に起因する血栓溶解イベントの発生または再発を予防する例示的な方法が記載される。これは、直接FXa阻害薬によりもたらされる血栓形成の直接阻害と比較して、異なる活性である。むしろ、この実施形態において、アテローム性動脈硬化イベントの予防は、アテローム性動脈硬化プラークの安定化および低減によりもたらされる。

0035

幾つかの直接FXa阻害薬が承認されており、または開発中である。これらは、次のように記載される。

0036

商品名XARELTO(登録商標)の下、Janssen Pharmaceuticalsにより市販されているリバーロキサバン。リバーロキサバンは、FXaの選択的阻害薬であり、米国で承認された最初の直接FXa阻害薬であった。リバーロキサバンは、活性に補因子(アンチトロンビンIIIなど)を必要としない。リバーロキサバンは、遊離FXaおよびプロトロンビナーゼ活性を阻害する。リバーロキサバンは、血小板凝集に対して直接影響を与えないが、トロンビンにより誘導される血小板凝集を間接的に阻害する。FXaを阻害することにより、リバーロキサバンはトロンビン生成を減少させる。化学構造は、以下である:

0037

Bristol−Myers Squibbにより「ELIQUIS(登録商標)」として米国で市販されているアピキサバン。アピキサバンは、抗血栓活性にアンチトロンビンIIIを必要としないFXaの選択的阻害薬である。アピキサバンは、遊離およびクロット結合FXa、ならびにプロトロンビナーゼ活性を阻害する。アピキサバンは、血小板凝集に対して直接影響を与えないが、トロンビンにより誘導される血小板凝集を間接的に阻害する。FXaを阻害することにより、アピキサバンはトロンビン生成および血栓発生を減少させる。化学構造は、以下である:

0038

Portola Pharmaceuticals、Inc.により米国で開発中のベトリキサバン。ベトリキサバンは、hERG親和性が低い、強力な経口活性および高度に選択的な直接FXa阻害薬である。非特許文献15参照。非特許文献15は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ベトリキサバンは、有望な結果を伴う幾つかのヒト治験を行っており、良好な第III相治験を終了させた。非特許文献16参照。非特許文献16は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。構造は、以下である:

0039

オタミキサバン。この薬物は、Sanofi Aventisにより急性冠症候群の治療のために研究されたが、第III相治験での成績不振後に開発が中止された、注射可能な抗凝固直接第Xa因子阻害薬である。構造は、以下である:

0040

エドキサバン(DU−176b)は、Daiichi Sankyoにより商品名SAVAYSA(商標)の下、米国で市販されている。エドキサバンは、経口直接第Xa因子阻害薬である。エドキサバンは、下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症VTE)の予防に対して2011年7月に日本で承認された。エドキサバンはまた、脳卒中および非中枢神経全身性塞栓症の予防に対して2015年1月にFDAによっても承認された。構造は、以下である:

0041

しかし、直接FXa阻害薬のこのリストは例示に過ぎず、追加の直接FXa阻害薬が開発中である可能性があり、既存の阻害薬に対する臨床的優位性を有し得る。したがって、このリストは限定的ではない。

0042

例示的な実施形態によれば、FXaは、アテローム性動脈硬化症の治療および予防における修正可能なリスク因子である。そのような修正可能なリスク因子には、喫煙食事糖尿病、体重上昇(高い肥満度指数(BMI))、高血圧、および高コレステロールが挙げられる。これらの因子の各々は、生活習慣の変化または薬物により修正することができ、これらの因子をコントロールし、医学的に望ましい範囲内に保つことは、たとえ薬物の助けを必要としても、アテローム性動脈硬化症からのリスクを大幅に低減する。同様に、FXa阻害薬によるFXaレベルの低下は、アテローム性動脈硬化症およびアテローム性動脈硬化イベントからの医学的合併症のリスクを低減することができる。

0043

FXaの活性を約25%以上(正常なFXaレベルから)低下させる直接FXa阻害薬の投与により、アテローム性動脈硬化症の発生は、このように治療された患者において予防されるであろう。例示的な実施形態において、FXaの活性は約50%低下される。別の例示的な実施形態において、FXaの活性は約75%低下される。本明細書に記載された例示的な実施形態によるFXa活性の低下は、FXa活性があまりに低いところまで下がる場合に生じ得る出血副作用により一般的に制限される。出血副作用は、トロンビンおよび血液凝固の正常な形成を阻害する。反対に、FXa阻害薬の用量は、アテローム性動脈硬化プラークを安定化させ、またはアテローム性動脈硬化プラークの成長もしくは形成を予防して、本発明のアテローム性動脈硬化イベントの予防をもたらすのに十分であるべきである。例示的な実施形態において、本発明によるアテローム性動脈硬化イベントの低減を達成するためのFXaの最小限の低下は、正常なFXaレベルの約25%低下である。

0044

故に、例示的な実施形態において、直接FXa阻害薬は、抗凝固カスケードおよびPAR媒介シグナル伝達に対する直接FXa阻害薬の多面的効果により、本発明のアテローム性動脈硬化防御効果を発揮する。FXaの阻害薬は、プロトロンビンのトロンビンへの変換ならびにPAR1およびPAR2のFXa媒介活性化の両方を阻害する。非特許文献1、n.1、348参照。

0045

PAR作用に関して、アテローム性動脈硬化症に対するFXaの寄与は、PAR1および/またはPAR2の結合および阻害を介して直接的であり、分裂促進効果をもたらす。非特許文献1、n.1、346参照。アテローム性動脈硬化プロセスにおけるFXaの関与は、内皮細胞および平滑筋細胞などの血管細胞、またはアテローム性動脈硬化プラーク進行に寄与する免疫細胞における幾つかのシグナル伝達経路統合による可能性がある。非特許文献1、n.1、346参照。FXa媒介分裂促進効果は、心臓および常在線維芽細胞においてPAR1を介して冠動脈平滑筋細胞(SMC)に影響を与える。PAR2活性化は、血管リモデリングおよびアテローム性動脈硬化症に関与している可能性がある。これらの効果は、標準的Gタンパク質経路の活性化および、その結果として、複数の転写制御細胞特異的イベントを誘発する下流のシグナル伝達経路の活性化をもたらす、FXaまたはトロンビンに媒介されたPAR1およびPAR2のタンパク質分解切断に起因する。FXaの分裂促進効果は、単球中の接着分子に加えて線維芽細胞、リンパ球、および内皮細胞による、炎症誘発性サイトカイン発現(インターロイキン(IL)−6、IL−8、および単球化学走化性タンパク質(MCP)−1)を含む、ケモカインおよび線維化促進サイトカインの発現を誘導する。非特許文献1、n.1、346参照。これらの分裂促進効果は、炎症およびアテローム性動脈硬化プラークの増殖をもたらす。故に、本発明の例示的な実施形態によれば、PAR1およびPAR2のFXa活性化がなければ、このPAR活性化およびPAR媒介有糸分裂誘発および炎症は、実質的に軽減され、または生じないであろう。

0046

他の多面的効果は、FXaによるプロトロンビンのトロンビンへの変換の媒介である。トロンビンも、PAR1活性化における補因子である。トロンビンは、単核白血球および内皮細胞における接着分子、成長因子、およびサイトカインの発現を促進する。トロンビンはまた、白血球での接着分子の発現および接着分子の活性化も高め、トロンビン活性化血小板は、CD40リガンド媒介刺激を強めることができる。反対に、炎症性サイトカインは、細胞膜結合TFおよびフィブリノーゲンの発現を促進することにより凝固を開始することが公知である。PAR活性化を介した凝固と炎症プロセスの間のクロストーク活性化および制御は、アテローム性動脈硬化症において関連している可能性がある。非特許文献1、n.1、346参照。故に、トロンビンにより誘導されたMCP−1(サイトカイン)が、アテローム性動脈硬化血管で異常に発現される。非特許文献1、n.1、347参照。トロンビンは、アテローム性動脈硬化血管壁中で活性であることが示されている。非特許文献17参照。非特許文献17の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。トロンボモジュリン組換え画分への結合によるトロンビン阻害は、内皮細胞の透過性を高めながら、内皮細胞におけるPAR1内在化を障害し、接着分子およびMCP−1の発現を低下させた。非特許文献18参照。非特許文献18の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。同様に、ApoE−/−マウスにおいて、トロンビン阻害は、PAR1、接着分子、および浸潤マクロファージの発現を低下させ、アテローム性動脈硬化プラークの発生を低減させた。非特許文献19参照。非特許文献19の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これは、直接FXa阻害薬によるトロンビンの阻害が、同じ効果を示し得ることを示すものである。

0047

したがって、一実施形態において、本発明は、アテローム性動脈硬化プラークの形成を抑制するのに十分な量でFXa活性を抑制するのに十分な量での直接FXa阻害薬の投与を提供する。一実施形態において、アテローム性動脈硬化症は、正常ではFXaまたはトロンビンに起因し得る炎症反応を抑制するのに十分な量での直接FXa阻害薬の投与により、さもなければアテローム性動脈硬化症のリスクがある患者で予防される。一実施形態において、アテローム性動脈硬化症に起因する臨床イベント(アテローム性動脈硬化イベント)は、正常ではFXaまたはトロンビンに起因し得る炎症反応を抑制するのに十分な量での直接FXa阻害薬の投与により予防される。一実施形態において、アテローム性動脈硬化プラークは、正常ではFXaまたはトロンビンに起因し得る炎症反応を抑制するのに十分な量での直接FXa阻害薬の投与により安定化される。一実施形態において、病変とも呼ばれるアテローム性動脈硬化プラークは、正常ではFXaまたはトロンビンに起因し得る炎症反応を抑制するのに十分な量での直接FXa阻害薬の投与によりサイズが低減される。

0048

一実施形態において、直接FXa阻害薬は、リバーロキサバン、アピキサバン、ベトリキサバン、エドキサバン、またはオタミキサバンの1つから選択される。

0049

アピキサバンは、約2.5mgから約5.0mgの錠剤で供給されてもよい。投与は、幾つかの例示的な実施形態において、1日に2回が推奨される。例えば、適度に健康な成人における典型的な維持用量は、1日に2回、約5.0mgであってもよい。アピキサバンからの主なリスクは出血であり、患者の1.7%に影響を与えた(大出血イベント)。非特許文献20参照。非特許文献20の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これが報告された治験は、脳卒中の少なくとも1つの主なリスク因子を有する高齢者コホートからであった。アテローム性動脈硬化症の発症を予防するための予防的アピキサバンから恩恵を受けると予想される患者は、一般的により若く、より健康であると予想され、出血リスクがより低い可能性がある。

0050

リバーロキサバンは、約10mg、約15mg、および約20mgの錠剤で供給され、1日に1回投与される。大出血イベントのリスクは、1つの報告された試験では4.3%、および第2の試験では1.7%であった。非特許文献21参照。非特許文献21の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。通常用量は、1日に約15mgから約20mgであった。アテローム性動脈硬化症の発症を予防するための予防的リバーロキサバンから恩恵を受けると予想される患者は、リバーロキサバン試験の患者より一般的により若く、より健康であると予想され、出血リスクがより低い可能性がある。

0051

第X因子欠乏患者に関連した幾つかのさらなる例示的な実施形態は、次の通りである。

0052

患者Aは、遺伝的第X因子欠乏症(抗Xaアッセイにより測定される場合、正常の36%)を有する66男性である。患者Aの肥満度指数は31であり、長年の間30を超えていた。HDLおよびLDL比は、中程度のリスクカテゴリーにある(脂質パネルスコア、5.2、最大推奨スコアは4.8である)。血圧は110/70である。冠動脈カルシウムスコアは0である。非特許文献22参照。非特許文献22の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。カルシウムスコアは、心臓の非造影CTスキャンで得られる無症候性冠動脈アテローム性動脈硬化症の尺度である。カルシウムスコアは、心臓リスク評価を向上させるための、通常のリスク因子を越える最良の利用可能な検査の1つとみなされている。

0053

故に、血圧および冠動脈カルシウムに基づくと、長期の好ましくない脂質パネルスコア、中程度の肥満、および年齢のリスク因子にもかかわらず、アテローム性動脈硬化症の徴候がないことは明らかである。

0054

第2の例では、患者Bは、遺伝的第X因子欠乏症(抗Xaアッセイにより測定される場合、第X因子が正常の53%)を有する70歳の男性である。患者Bは、アテローム性動脈硬化イベントがなく、冠動脈カルシウムスコアが0であった。

0055

前述の説明および添付図は、本出願の原理、好ましい実施形態、および作用形態を例証するものである。しかし、本発明は、上記で論じられた特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。上記で論じられた実施形態の追加の変更は、当業者により理解されるであろう(例えば、本出願の特定の構成と関連する特徴は、思い通りに、本出願の任意の他の構成と代わりに関連してもよい)。

0056

それ故に、上記の実施形態は、制限的というよりむしろ例証的とみなされるべきである。したがって、それらの実施形態の変更が、以下の特許請求の範囲により定義された本発明の範囲から逸脱することなく当業者により行われ得ることが理解されるべきである。

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