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課題・解決手段

本発明は、血管中石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療、予防、若しくは改善するためのポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/又はテトラサイクリンの使用、並びにPARP阻害剤又はテトラサイクリンを含む医薬組成物に関する。

概要

背景

血管石灰化は、様々な疾患に関連し、3つの異なる種類、すなわち(l)内膜石灰化であり、アテローム性動脈硬化症及び関連する炎症を含む、内膜アテローム硬化性石灰化、(2)大動脈弁の石灰化である弁石灰化大動脈弁狭窄症、及び(3)中膜の石灰化である動脈中膜石灰化に大きく分類され、Demer and Tintut “Vascular Calcification”,Circulation,2008;117,2938−2948を参照のこと。

中膜は、動脈又は静脈の中間層であり、平滑筋細胞及び弾性組織からなる。

図28Aに示すように、アテローム硬化性石灰化は偏心状であり、内腔の変形をもたらす。内腔の変形は、線維性内膜キャップ4によって覆われている、コレステロール担持した白血球泡沫細胞)に起因するリポタンパク質沈着3によって引き起こされる。石灰化1は、キャップ4を含むアテローム性動脈硬化病変の全体にわたって起こり、病巣弾力線維分解2は、リポタンパク質沈着3に隣接する中膜において生じる。血管硬化は、アテローム硬化性石灰化によって引き起こされる。

逆に、図28Bに示すように、中膜石灰化は同心円状である。従って、石灰化1及び弾力線維分解は、中膜全体にわたって生じる。血管硬化はまた、中膜石灰化によって引き起こされる。

分子レベルでは、石灰化は、鉱物粒子の形成及び細胞外マトリックスへの結合である。過去20年間にわたる研究により、血管石灰化が発達中の骨/軟骨形成と類似した細胞媒介プロセスであることが実証されている。石灰化は、骨に必要不可欠であるマトリックス硬化をもたらすが、血管組織機械的特性に有害な結果をもたらす。

メンケベル動脈硬化症は、中膜石灰化硬化症としても知られており、中膜石灰化の最も典型的な種類である。さらに、尿毒症細小動脈石灰化症(CUA)は、カルフィラキシスとしても知られており、皮膚壊死及び脂肪織炎を生じさせる重度の病的で生命脅かす管中膜石灰化形態である。

血管石灰化によって引き起こされる大動脈及び動脈の弾力性の減少は、心血管血行動態を損なう。これは、高血圧、大動脈弁狭窄症、心臓肥大心筋及び下肢虚血、並びにうっ血性心不全をもたらし得る。特に、血管石灰化は、心血管疾患の主要な危険因子である。

血管石灰化はまた、典型的には、I型糖尿病II型糖尿病慢性腎疾患老化副甲状腺機能亢進症ビタミンD障害ビタミンK欠乏症骨粗鬆症川崎病、CD73の欠乏による動脈石灰化(ACDC)、乳児全身性動脈石灰化症(GACI)、特発性基底核石灰化症(IBGC)、弾性線維仮性黄色腫(PXE)、関節リウマチシングルトン−マーテン症候群、β−サラセミア、及びワルファリンの使用に関連する。

従って、過度及び/若しくは不適切な血管石灰化、並びに特に血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化に関連する疾患を治療、予防、又は改善するために使用することができる化合物が必要とされている。

概要

本発明は、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療、予防、若しくは改善するためのポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/又はテトラサイクリンの使用、並びにPARP阻害剤又はテトラサイクリンを含む医薬組成物に関する。なし

目的

本発明の第1の態様によれば、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のための、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物を提供する

効果

実績

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請求項1

管中石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のための、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物

請求項2

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものである、請求項1に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項3

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、メンケベル動脈硬化症又は尿毒症細小動脈石灰化症(CUA)の治療、予防、又は改善における使用のためのものである、請求項2に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項4

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、慢性腎疾患糖尿病老化副甲状腺機能亢進症高リン酸血症ビタミンD障害ビタミンK障害、骨粗鬆症川崎病、CD73の欠乏による動脈石灰化(ACDC)、乳児全身性動脈石灰化症(GACI)、特発性基底核石灰化症(IBGC)、弾性線維仮性黄色腫(PXE)、関節リウマチシングルトン−マーテン症候群、及び/又はβ−サラセミア罹患している対象における血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものである、請求項2又は3に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項5

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、内膜アテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものである、請求項1に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項6

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60、少なくとも80、又は少なくとも100のAgatstonスコアを有する患者におけるアテローム硬化性石灰化の治療における使用のためのものである、請求項5に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項7

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、PARP阻害剤であり、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、ミノサイクリンシロスタゾール、N−(6−オキソ−5,6−ジヒドロフェナントリジン−2−イル)−(N,N−ジメチルアミノアセトアミド塩酸塩(PJ34)、3−アミノベンズアミド(3−AB)、及び3,4−ジヒドロ−5−[4−(1−ピペリジニルブトキシル]−1(2H)−イソキノリノン(DPQ)若しくはそれらの誘導体、又はそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項8

前記PARP阻害剤が、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、ミノサイクリン、及びシロスタゾール、又はそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項7に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項9

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、テトラサイクリンであり、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリンオキシテトラサイクリンデメクロサイクリンリメサイクリン、メクロサイクリンメタサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリンドキシサイクリンチゲサイクリン、クロモサイクリン、及びピパサイクリンからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項10

前記テトラサイクリンが、ミノサイクリンである、請求項9に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項11

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、1mg〜10000mg若しくは2mg〜2000mg、5mg〜1000mg、10mg〜200mg、15mg〜100mg、又は20mg〜50mgの1日用量として投与される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項12

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、1日2回の用量として投与され、各用量が、1mg〜5000mg、2mg〜1000mg、3mg〜500mg、4mg〜100mg、5mg〜50mg、又は10mg〜25mgである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項13

各用量が、10mg〜25mgである、請求項12に記載の使用のためのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン。

請求項14

前記PARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物、並びに薬学的に許容されるビヒクルを含む、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療するための医薬組成物

請求項15

血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療、予防、又は改善するための、請求項14に記載の医薬組成物。

請求項16

前記PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、請求項1〜13のいずれか一項に記載のものである、請求項14又は15に記載の医薬組成物。

請求項17

治療有効量の請求項1〜13のいずれか一項に記載のPARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるビヒクルとを接触させることを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の組成物を製造するための方法。

技術分野

0001

本発明は、血管石灰化に関し、特に、過剰及び/又は不適切な血管石灰化に関連する疾患の治療に有用な化合物に関する。本発明は、特に、血管中石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療することに関する。本発明は、過剰な及び/又は不適切な(すなわち中膜)血管石灰化を治療する医薬組成物及び方法に及ぶ。

背景技術

0002

血管石灰化は、様々な疾患に関連し、3つの異なる種類、すなわち(l)内膜の石灰化であり、アテローム性動脈硬化症及び関連する炎症を含む、内膜アテローム硬化性石灰化、(2)大動脈弁の石灰化である弁石灰化大動脈弁狭窄症、及び(3)中膜の石灰化である動脈中膜石灰化に大きく分類され、Demer and Tintut “Vascular Calcification”,Circulation,2008;117,2938−2948を参照のこと。

0003

中膜は、動脈又は静脈の中間層であり、平滑筋細胞及び弾性組織からなる。

0004

図28Aに示すように、アテローム硬化性石灰化は偏心状であり、内腔の変形をもたらす。内腔の変形は、線維性内膜キャップ4によって覆われている、コレステロール担持した白血球泡沫細胞)に起因するリポタンパク質沈着3によって引き起こされる。石灰化1は、キャップ4を含むアテローム性動脈硬化病変の全体にわたって起こり、病巣弾力線維分解2は、リポタンパク質沈着3に隣接する中膜において生じる。血管硬化は、アテローム硬化性石灰化によって引き起こされる。

0005

逆に、図28Bに示すように、中膜石灰化は同心円状である。従って、石灰化1及び弾力線維分解は、中膜全体にわたって生じる。血管硬化はまた、中膜石灰化によって引き起こされる。

0006

分子レベルでは、石灰化は、鉱物粒子の形成及び細胞外マトリックスへの結合である。過去20年間にわたる研究により、血管石灰化が発達中の骨/軟骨形成と類似した細胞媒介プロセスであることが実証されている。石灰化は、骨に必要不可欠であるマトリックス硬化をもたらすが、血管組織機械的特性に有害な結果をもたらす。

0007

メンケベル動脈硬化症は、中膜石灰化硬化症としても知られており、中膜石灰化の最も典型的な種類である。さらに、尿毒症細小動脈石灰化症(CUA)は、カルフィラキシスとしても知られており、皮膚壊死及び脂肪織炎を生じさせる重度の病的で生命脅かす血管中膜石灰化形態である。

0008

血管石灰化によって引き起こされる大動脈及び動脈の弾力性の減少は、心血管血行動態を損なう。これは、高血圧、大動脈弁狭窄症、心臓肥大心筋及び下肢虚血、並びにうっ血性心不全をもたらし得る。特に、血管石灰化は、心血管疾患の主要な危険因子である。

0009

血管石灰化はまた、典型的には、I型糖尿病II型糖尿病慢性腎疾患老化副甲状腺機能亢進症ビタミンD障害ビタミンK欠乏症骨粗鬆症川崎病、CD73の欠乏による動脈石灰化(ACDC)、乳児全身性動脈石灰化症(GACI)、特発性基底核石灰化症(IBGC)、弾性線維仮性黄色腫(PXE)、関節リウマチシングルトン−マーテン症候群、β−サラセミア、及びワルファリンの使用に関連する。

0010

従って、過度及び/若しくは不適切な血管石灰化、並びに特に血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化に関連する疾患を治療、予防、又は改善するために使用することができる化合物が必要とされている。

0011

実施例に記載されているように、本発明者らは、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤として作用する様々な化合物及びテトラサイクリン類抗生物質を使用して、血管中膜石灰化を減少させることができることを実証した。

図面の簡単な説明

0012

細胞溶解及び洗浄後のインビトロヒトVSMC細胞外マトリックスの2次元13C−13C相関NMRスペクトルを示す図である。グルコースから生合成された糖成分は、グリシン及びプロリンヒドロキシプロリン(主としてコラーゲンタンパク質に存在する)と同様に、13C標識されている。コラーゲングリシン、プロリン、及びヒドロキシプロリン、並びにコラーゲングリコシル化(主として、O−結合型α−グルコシル−β−ガラクトシル及びβ−ガラクトシル)からの予想されるアミノ酸シグナルに加えて、ポリ(ADPリボース)からの明確なシグナルがある。イタリック体の表示は、ポリ(ADPリボース)シグナルと重複する他の分子種からのシグナルがあることを示す。
図1Aで使用されるポリ(ADPリボース)の原子番号付けスキームを示す図である。
ヒト頸動脈病変におけるポリ(ADPリボース)(PAR)/DNA損傷発現を示す図である。低倍率でのヒト頸動脈病変の位相差画像(A)及び蛍光画像(B)(スケールバーは150μmである)。画像の左上には、内膜肥厚領域(iT)と境を接して病変部の無細胞核(AC)があり、培地(右下)の隣には石灰化(CaP)がある。病変石灰化は、(A)では暗い沈着物として、(B)ではカルセイン染色後に緑色蛍光として明瞭に見える。細胞核はHoechst色素で染色され、青色に見える。培地中のDNA損傷(γH2AX抗体、赤色)及びPAR(クローン10H抗体、緑色)の免疫染色(C及びD、スケールバーは18μMである)は、主に、核の近くの位置での染色を示し、対照的に、内膜肥厚/石灰化領域(E及びF、スケールバーは16μmである)では、染色はより広範であり、核並びに細胞質及び/又は細胞外領域に関連して位置する。
胎児ヒツジ骨成長板におけるポリ(ADPリボース)(PAR)/DNA損傷の発現を示す図である。低倍率での胎児ヒツジ成長板の位相差画像(A)及び蛍光画像(B)(スケールバーは150μmである)。画像の左上には、成長板の肥大軟骨(HC)のゾーンがあり、鉱物が形成し始める石灰化ゾーン(CF)(右下)に接している。鉱物は、(B)においてカルセイン染色後の緑色蛍光によって明瞭に見える。細胞核はHoechst色素で染色され、青色に見える。鉱化が起こる境界近くのHCゾーンにおけるPAR(クローン10H抗体、緑色)及びDNA損傷(H2A.X抗体、赤色)に対する免疫染色(C及びD、スケールバーは10μmである)は、主に、核の近くの位置での染色を示しているが(矢印)、核DNAから離れても弱い染色が見える(アスタリスク)。骨梁を取り囲むCFゾーン(E及びF、スケールバーは10μmである)では、PAR及びDNA損傷染色は、核(矢印)並びに細胞質及び/又は細胞外領域(アスタリスク)に関連して位置している。
0〜100μMの濃度でのN−(6−オキソ−5,6−ジヒドロフェナントリジン−2−イル)−(N,N−ジメチルアミノアセトアミド塩酸塩(PJ34)、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモールDP)、3−アミノベンズアミド(3−AB)、及び3,4−ジヒドロ−5−[4−(1−ピペリジニルブトキシル]−1(2H)−イソキノリノン(DPQ)、並びに対応する希釈でのDMSOビヒクルの、7日間にわたるウシ血管平滑筋細胞(bVSMC)に対する毒性を示すグラフである。
0〜100μMの濃度でのN−(6−オキソ−5,6−ジヒドロフェナントリジン−2−イル)−(N,N−ジメチルアミノ)アセトアミド塩酸塩(PJ34)、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、3−アミノベンズアミド(3−AB)、及び3,4−ジヒドロ−5−[4−(1−ピペリジニル)ブトキシル]−1(2H)−イソキノリノン(DPQ)、並びに対応する希釈でのDMSOビヒクルの、7日間にわたるウシ血管平滑筋細胞(bVSMC)に対する毒性を示すグラフである。
0〜100μMの濃度でのPJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、3−AB、及びDPQ、並びに対応する希釈でのDMSOビヒクルの、7日間にわたるヒト単球マクロファージ(HMM)に対する毒性を示すグラフである。
0〜100μMの濃度でのPJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、3−AB、及びDPQ、並びに対応する希釈でのDMSOビヒクルの、7日間にわたるヒト単球マクロファージ(HMM)に対する毒性を示すグラフである。
bVSMCを培地のみ(NA)又はGAD培地で増殖し、阻害剤を添加しなかったか又は10μMの濃度のPJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、又は3−ABを添加したときのアリザリンレッドS染色を用いて得られた結果を示す写真である。
bVSMCを培地のみ(NA)で増殖させ、阻害剤を添加しなかったか又は10μMの濃度のPJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、又は3−ABを添加したときのプレートから得られたカルシウムの質量を示すグラフである。
bVSMCをGAD培地で増殖させ、阻害剤を添加しなかったか又は10μMの濃度のPJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、ジピリダモール(DP)、又は3−ABを添加したときのプレートから得られたカルシウムの質量を示すグラフである。
図7A及び図7Bカルシウム含有量が示されている各プレートのタンパク質含有量を示すグラフである。
それぞれ図7A及び図7Bに示される結果を標準化し、タンパク質質量当たりのカルシウムの質量を示すグラフである。
それぞれ図7A及び図7Bに示される結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を示すグラフである。
潜在的阻害剤非存在下(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34(PJ)若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地(GADなし)又はβ−GAD培地(GADあり)で7日間インキュベートしたbVSMCの細胞生存率の結果を示すグラフである。
潜在的阻害剤の非存在下(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34(PJ)若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地(GADなし)又はβ−GAD培地(GADあり)で9日間インキュベートしたbVSMCの細胞生存率の結果を示すグラフである。
潜在的阻害剤の非存在下(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地(GADなし)又はβ−GAD培地(GADあり)で7日間インキュベートしたbVSMCの試料中のCa2+濃度を示すグラフである。
潜在的阻害剤の非存在下(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地(GADなし)又はβ−GAD培地(GADあり)で9日間インキュベートしたbVSMCの試料中のCa2+濃度を示すグラフである。
潜在的阻害剤の非存在下(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地のみ(−)又はβ−GAD培地(+)で7日間インキュベートしたbVSMCの試料中のタンパク質の総質量を示すグラフである。
潜在的阻害剤の非存在下において(NA)又は10μM、1μM、若しくは0.1μMの濃度のPJ34若しくはミノサイクリン(MC)の存在下において、対照培地のみ(−)又はβ−GAD培地(+)で9日間インキュベートしたbVSMCの試料中のタンパク質の総質量を示すグラフである。
潜在的阻害剤なし(NA)で9日間にわたりGAD培地で増殖させたbVSMCと比較した、潜在的阻害剤の有無において9日間にわたりGAD培地で増殖させたbVSMCの試料中のCa2+濃度をパーセンテージで示すグラフである。
DMSOのみ(陰性対照)、DMSO+Ca/P(鉱化の陽性対照)の存在下において、又は様々な濃度のPARP阻害剤(PJ−34、ミノサイクリン、又はシロスタゾール)存在下での鉱化条件下で、ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を増殖させたときのプレートから得られたカルシウムの質量を示すグラフである。
図17にカルシウム含有量が示されている各プレートのタンパク質含有量を示すグラフである。
図17に示される結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を示したグラフである。
DMSOのみ(陰性対照)、DMSO+Ca/P(鉱化の陽性対照)の存在下において、又は3μMの濃度のPARP阻害剤(ミノサイクリン、シロスタゾール、オラパリブタラゾパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、又はPJ−34)の存在下での鉱化条件下で、ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を増殖させたときのプレートから得られたカルシウムの質量を示すグラフである。
図20にカルシウム含有量が示されている各プレートのタンパク質含有量を示すグラフである。
図20に示される結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を示すグラフである。
図20にカルシウム含有量が示されている各プレートのアリザリンレッドS染色を用いて得られた結果を示す写真である。
図20にカルシウム含有量が示されている各プレートの近接写真である。
DMSOのみ(陰性対照)、DMSO+Ca/P(鉱化の陽性対照)の存在下において、又はグラフ上に示される種々の濃度のPARP阻害剤(ベリパリブ、ミノサイクリン、若しくはシロスタゾール)又は別の薬物(ボセンタン、ペントキシフィリン、ロサルタンアムロジピン、若しくはアトルバスタチン)の存在下での鉱化条件下で、ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を増殖させたときのプレートから得られたカルシウムの質量を示すグラフである。
図25にカルシウム含有量が示されている各プレートのタンパク質含有量を示すグラフである。
図25に示される結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を示すグラフである。
アテローム硬化性石灰化を示す図である。
中膜石灰化を示す図である。

実施例

0013

従って、本発明の第1の態様によれば、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のための、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物を提供する。

0014

本発明の第2の態様によれば、対象における血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療、予防、又は改善する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量のポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。

0015

有利なことに、実施例は、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが用量依存的な様式で石灰化を阻害することを示している。さらに、実施例は、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンが、中膜中に存在する平滑筋細胞の石灰化を阻害することを示す。従って、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、中膜に存在する平滑筋細胞の石灰化を阻害することが好ましい。PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、動脈中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。

0016

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。

0017

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、メンケベルグ動脈硬化症及び尿毒症性細小動脈石灰化症(CUA)からなる群から選択される疾患の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。

0018

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、慢性腎疾患、糖尿病、老化、副甲状腺機能亢進症、高リン酸血症、ビタミンD障害、ビタミンK障害、骨粗鬆症、川崎病、CD73の欠乏による動脈石灰化(ACDC)、乳児全身性動脈石灰化症(GACI)、特発性基底核石灰化症(IBGC)、弾性線維性仮性黄色腫(PXE)、関節リウマチ、シングルトン−マーテン症候群、及び/又はβ−サラセミアに罹患している対象における血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。慢性腎疾患は、末期腎疾患であることが好ましい。糖尿病は、I型糖尿病であり得る。糖尿病は、II型糖尿病であることが好ましい。ビタミンD障害は、ビタミンD毒性であることが好ましい。ビタミンK障害は、ビタミンK欠乏症であることが好ましい。

0019

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、ワルファリンを処方されている対象における血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。

0020

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、大動脈弁の石灰化などの弁石灰化大動脈弁狭窄症の治療、予防、又は改善における使用のためのものではないことが好ましい。或いは、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、内膜アテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであり得る。

0021

本発明者らが留意したことは、アテローム硬化性石灰化は、血管平滑筋細胞の骨形成分化、換言すれば、石灰化が起こる前に血管細胞の特異的な変質を必要とすることである。この理由から、どれほど悪いものであっても決して石灰化しないアテローム性動脈硬化性プラークが存在し、血管損傷初期段階において石灰化する他のものも同様に存在する。従って、石灰化は、アテローム性動脈硬化症の不可避の部分ではなく、選ばれた患者群のみが罹患することとなるであろう。アテローム硬化性石灰化を引き起こす細胞変質を誘発するものは明確には知られていないが、一般に、アテローム性動脈硬化症における石灰化を防止する制御機構が一部の患者において機能しなくなり、アテローム硬化性石灰化を生じさせ得ると考えられている。

0022

アテローム硬化性石灰化に罹患している患者は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンを用いて同定することができる。CTスキャンを使用して、患者の全ての冠動脈におけるプラーク密度及びその面積から導き出される疑似連変数であるAgatstonスコアを計算することができる。従って、Agatstonスコアが0の対象は、冠動脈石灰化を有しないであろう。PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、Agatstonスコアが少なくとも20、より好ましくは少なくとも40、少なくとも60、又は少なくとも80、及び最も好ましくは少なくとも100である患者のアテローム硬化性石灰化の治療における使用のためのものであることが好ましい。

0023

プラークの構造的ストレスは、初期のプラーク石灰化に伴って最初は増加し、プラークの破裂を生じさせ、これが今度は心臓発作を引き起こし得る。従って、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、アテローム性動脈硬化症の初期の石灰化を示す患者のアテローム硬化性石灰化の治療における使用のためのものである。患者の血管系の画像は仮想組織学的血管内超音波法(VH−IVUS)を用いて得ることができ、初期の石灰化を示す患者をその画像から同定することができるであろう。

0024

従って、本発明者らは、新規の患者群、すなわちPARP阻害剤を用いて成功裏に治療し得るアテローム硬化性石灰化に罹患している患者を同定した。本発明者らが留意したのは、スタチンは、通常、アテローム性動脈硬化症を治療するために使用されることである。しかしながら、実施例9に示すように、スタチンは石灰化自体を治療しないので、スタチンを用いてもアテローム硬化性石灰化は治療されないであろう。実際、スタチンの使用により内膜石灰化が増加するという証拠がいくつかある。従って、本発明は、PARP阻害剤を用いて特異的かつ意図的に新規の患者群を治療することを可能にする。

0025

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、高血圧、大動脈弁狭窄症、心臓肥大、心筋及び下肢虚血、並びにうっ血性心不全に罹患している対象におけるアテローム硬化性石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのものであることが好ましい。

0026

PARP阻害剤は、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、ミノサイクリン、シロスタゾール、N−(6−オキソ−5,6−ジヒドロフェナントリジン−2−イル)−(N,N−ジメチルアミノ)アセトアミド塩酸塩(PJ34)、3−アミノベンズアミド(3−AB)、及び3,4−ジヒドロ−5−[4−(1−ピペリジニル)ブトキシル]−1(2H)−イソキノリノン(DPQ)又はそれらの誘導体からなる群から選択され得る。

0027

PARP阻害剤は、哺乳動物細胞によって産生されるPARPを阻害できることが好ましい。

0028

PARP阻害剤は、オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、ベリパリブ、タラゾパリブ、ミノサイクリン、若しくはシロスタゾール、又はそれらの誘導体を含むことが好ましい。或いは、PARP阻害剤は、PJ34、ミノサイクリン、3−AB、又はDPQを含む。

0029

ミノサイクリンの誘導体は、一般式[II]を有することができる:




式[II]
(式中、各R3は、C1〜3アルキルである)。

0030

ベリパリブの誘導体は、一般式[III]を有することができる:




式[III]
(式中、R4はC1〜3アルキルであり、R5及びR6は、それらが結合している炭素原子一緒になって、5員又は6員のヘテロシクリル基を形成する)。

0031

R4は、メチルであることが好ましい。R5及びR6は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員のヘテロシクリル基を形成することが好ましい。ヘテロシクリル基は、ピロリジン又はテトラヒドロフランであることがより好ましい。

0032

ニラパリブの誘導体は、一般式[IV]を有することができる:




式[IV]
(式中、L1は、6員のアリール又はヘテロアリール基であり、R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、5員又は6員のヘテロシクリル基を形成する)。

0033

L1は、フェニル基であることが好ましい。L1は、パラ位置換されていることが好ましい。R7及びR8は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、6員のヘテロシクリル基を形成することが好ましい。ヘテロシクリル基は、ピペリジンテトラヒドロピラン、又はチアンであることがより好ましい。

0034

ルカパリブの誘導体は、一般式[V]を有することができる:




式[V]
(式中、X6はハロゲンであり、L2は、6員のアリール又はヘテロアリール基であり、R9はC1〜3アルキルである)。

0035

X6は、フッ素塩素、又は臭素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることが最も好ましい。L2は、フェニル基であることが好ましい。L2は、パラ位で置換されていることが好ましい。R9は、メチルであることが好ましい。

0036

オラパリブの誘導体は、一般式[VI]を有することができる:




式[VI]
(式中、X7は、ハロゲンであり、L3は、6員のシクロアルキル又はヘテロシクリル基であり、R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6員のシクロアルキル基を形成する)。

0037

X7は、フッ素、塩素、又は臭素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることが最も好ましい。L3は、6員のヘテロシクリル基であることが好ましい。L3は、ピペラジンモルホリンチオモルホリンジオキサン、又はジチアンであることがより好ましい。L3は、




であることがより好ましい。R10及びR11は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピルシクロブチル、又はシクロペンチルを形成することが好ましく、シクロプロピル又はシクロブチルを形成することがより好ましく、シクロプロピルを形成することが最も好ましい。

0038

タラゾパリブの誘導体は、一般式[VII]を有することができる:




式[VII]
(式中、X8はハロゲンであり、X9はハロゲンであり、R12はC1〜3アルキルである)。

0039

X8は、フッ素、塩素、又は臭素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることが最も好ましい。X9は、フッ素、塩素、又は臭素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることが最も好ましい。R12は、メチルであることが好ましい。

0040

図9B図13、及び図16に示すように、ミノサイクリンは用量依存的な様式で石灰化を阻害する。

0041

テトラサイクリンは、以下の式Iの構造を有する広域スペクトル抗生物質群である:




式[I]
(式中、X1は、H、Cl、又はN(CH3)2であり、R1はH若しくはCH3であり、かつX2はH若しくはOHであるか、又はR1はCH2であり、かつX1は存在せず、X3は、OH又はHであり、X4は、OHであり、R2は、H、














又は




であり、X5は、H又は




である)。

0042

血管中膜石灰化の治療、予防、又は改善における使用のためのテトラサイクリンは、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物であることが好ましい。

0043

テトラサイクリンは、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリンオキシテトラサイクリンデメクロサイクリンリメサイクリン、メクロサイクリンメタサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリンドキシサイクリンチゲサイクリン、クロモサイクリン、及びピパサイクリンからなる群から選択され得る。図9B図13、及び図16に示すように、ミノサイクリンは、用量依存的な様式で石灰化を阻害する。従って、テトラサイクリンは、ミノサイクリンであることが最も好ましい。ミノサイクリンは、PARP阻害剤及びテトラサイクリンのいずれでもあることは理解されよう。

0044

薬学的に許容される塩には、その生物学的特性を保持し、毒性でないか、そうでなければ薬学的使用に望ましくないものではない、本明細書で提供されるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの任意の塩が含まれる。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の様々な有機及び無機対イオンから誘導することができる。

0045

薬学的に許容される塩は、塩酸臭化水素酸硫酸硝酸リン酸スルファミン酸酢酸トリフルオロ酢酸トリクロロ酢酸プロピオン酸ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸グルタル酸ピルビン酸乳酸マロン酸コハク酸ソルビン酸アスコルビン酸リンゴ酸マイレン酸、フマル酸酒石酸クエン酸安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸桂皮酸マンデル酸フタル酸ラウリン酸メタンスルホン酸エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸2−ヒドロキシエタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸樟脳酸カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸ヒドロキシナフトエ酸サリチル酸ステアリン酸シクロヘキシルスルファミン酸キナ酸ムコン酸などの有機酸又は無機酸で形成される酸付加塩を含むことができる。或いは、薬学的に許容される塩は、親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオンアルカリ土類イオンアルミニウムイオン水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化カルシウム水酸化マグネシウム水酸化アルミニウム水酸化リチウム水酸化亜鉛、及び水酸化バリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物、又はアンモニアメチルアミンジメチルアミンジエチルアミンピコリンエタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミンエチレンジアミンリシンアルギニンオルニチンコリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミンN−メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン水酸化テトラメチルアンモニウムなどの脂肪族、脂環式、若しくは芳香族有機アミンなどの有機塩基との配位物(coordinates)のいずれかによって置き換えられる場合に形成される塩基付加塩を含むことができる。

0046

例えば、ピパサイクリンの薬学的に許容される塩は、ペニメピサクリンであってもよい。

0047

薬学的に許容される溶媒和物は、非共有結合分子間力によって結合された化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む、本明細書で提供されるPARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン又はそれらの塩を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。

0048

本明細書に記載のPARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物は、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化の治療、改善、又は予防のための単独療法(すなわち、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンのみ使用)で使用し得る医薬に使用し得ることが理解されるであろう。或いは、PARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物は、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療、改善、又は予防するための公知の治療剤補助剤として、又はその治療剤と組み合わせて使用することができる。

0049

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、特に組成物が使用される様式に依存したいくつかの異なる形態の組成物で組み合わせることができる。従って、例えば、組成物は、散剤錠剤カプセル液体軟膏クリームゲルヒドロゲルエアロゾルスプレーミセル溶液経皮パッチリポソーム懸濁液、又は治療を必要とする人又は動物に投与することができる任意の他の好適な形態であってもよい。本発明による医薬のビヒクルは、それが与えられる対象によって十分に忍容されるものでなければならないことは理解されよう。

0050

本明細書に記載のPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンを含む医薬は、いくつかの方法で使用することができる。本発明のPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンを含む組成物は、吸入(例えば鼻腔内)によって投与することができる。組成物はまた、局所的使用のために製剤化することができる。例えば、クリーム又は軟膏を皮膚に適用することができる。

0051

本発明によるPARP及び/又はテトラサイクリン阻害剤はまた、遅延放出又は徐放デバイス内に組み込むことができる。そのようなデバイスは、例えば、皮膚の上又は下にインサートする(insert)ことができ、医薬が数週間又は数カ月にわたって放出され得る。デバイスは、治療部位に少なくとも隣接して配置することができる。そのようなデバイスは、本発明に従って使用されるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンによる長期治療が必要であって、頻繁な投与(例えば、少なくとも毎日の注射)を通常必要とする場合に特に有利であり得る。

0052

本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン並びに組成物は、血流への注射によって、又は治療を必要とする部位、例えば石灰化に罹患している特定の血管(静脈又は動脈)に直接注射することによって対象に投与することができる。注射は、静脈内(ボーラス若しくは輸液)、若しくは皮下(ボーラス若しくは輸液)、又は皮内(ボーラス若しくは輸液)であり得る。

0053

好ましい実施形態において、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは経口投与される。従って、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、例えば、錠剤、カプセル、又は液体の形態で経口的に摂取することができる組成物内に含有することができる。

0054

必要とされるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの量は、その生物活性及びバイオアベイラビリティによって決定され、これらは今度は投与形式、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの物理化学的特性、並びにそれが単独療法として使用されるのか、又は併用療法で使用されるのかに依存することが理解されよう。投与頻度はまた、治療される対象内でのPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの半減期によって影響を受けるであろう。投与される最適な投薬量は、当業者が決定することができ、使用される特定のPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン、医薬組成物の強さ、投与形式、並びに血管中膜石灰化の進行度によって変わるであろう。対象の年齢、体重、性別食事、及び投与時間を含む、治療される特定の対象に依存したさらなる要因により、投薬量を調整する必要が生じるであろう。

0055

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、治療される血管中膜石灰化の発症前、発症中、又は発症後に投与することができる。1日用量を単回投与として与えることができる。しかしながら、PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、1日に2回以上与えることが好ましく、1日に2回与えることが最も好ましい。

0056

投与されるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの1日用量は、1mg〜10000mg若しくは2mg〜2000mgであり、より好ましくは5mg〜1000mg若しくは10mg〜200mgであり、最も好ましくは15mg〜100mg又は20mg〜50mgであってもよい。

0057

最も好ましい実施形態において、本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、1日2回の用量として投与することができ、各用量は、1mg〜5000mg若しくは2mg〜1000mgであり、より好ましくは3mg〜500mg若しくは4mg〜100mgであり、最も好ましくは5mg〜50mg又は10mg〜25mgである。最も好ましい投薬量には、10〜25mgの2回の投与が含まれる。

0058

治療を受けている対象は、起床時には第1の用量を摂取し、その後、(2回の投与計画の場合には)夕方に第2の用量を摂取するか、又は3又は4時間間隔で摂取することができる。或いは、遅延放出デバイスを用いて、反復投与する必要なく、本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの最適な用量を患者に提供することができる。

0059

公知の方法、例えば製薬業界によって用いられる慣用的な方法(インビボ実験臨床試験など)を用いて、本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンを含む特定の製剤、及び正確な治療計画(PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの1日用量及び投与頻度など)を作成することができる。本発明者らは、それらが、本発明のPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの使用に基づく血管中膜石灰化を治療するための医薬組成物を記述する最初のものであると考える。

0060

従って、本発明の第3の態様において、PARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物、並びに薬学的に許容されるビヒクルを含む、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化を治療するための医薬組成物が提供される。

0061

本医薬組成物は、血管中膜石灰化又は内膜アテローム硬化性石灰化の対象における治療学的な改善、予防、又は治療に使用することができる。

0062

本発明はまた、第4の態様において、第3の態様による組成物を製造するための方法であって、治療有効量の第1の態様のPARP阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容されるビヒクルとを接触させることを含む、方法を提供する。

0063

「対象」は、脊椎動物哺乳動物、又は家畜であってもよい。従って、本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン、組成物、並びに医薬は、任意の哺乳動物、例えば家畜(例えばウマ)、ペットを治療するために使用することができ、又は他の獣医学用途に使用することができる。しかしながら、対象はヒトであることが最も好ましい。

0064

PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの「治療有効量」は、対象に投与されたときに、血管中膜石灰化を治療するために必要とされる薬物の量である任意の量である。

0065

例えば、使用されるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンの治療上有効な1日量は、1mg〜10000mg若しくは2mg〜2000mgであってもよく、より好ましくは5mg〜1000mg若しくは10mg〜200mgであり、最も好ましくは15mg〜100mg又は20mg〜50mgである。10〜25mgの1日2回の用量が好ましい。

0066

本明細書で言及する「薬学的に許容されるビヒクル」は、医薬組成物の製剤化に有用であることが当業者に公知である任意の公知の化合物又は公知の化合物の組み合わせである。

0067

一実施形態において、薬学的に許容されるビヒクルは固体であってもよい、組成物は散剤又は錠剤の形態であってもよい。薬学的に許容される固体ビヒクルは、香味剤滑沢剤可溶化剤懸濁化剤染料充填剤流動化剤圧縮助剤不活性結合剤甘味剤防腐剤、染料、コーティング剤、又は錠剤崩壊剤としても作用することができる1つ又は複数の物質を含むことができる。ビヒクルはまた、カプセル化材料であってもよい。散剤では、ビヒクルは、微粉化された本発明による活性剤(すなわちPARP阻害剤又はテトラサイクリン)と混合された微粉化固体である。錠剤では、活性PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンを必要な圧縮特性を有するビヒクルと好適な割合で混合し、所望の形状及びサイズに圧縮することができる。散剤及び錠剤は、最大99%の活性PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンを含有することが好ましい。好適な固体ビヒクルには、例えば、リン酸カルシウムステアリン酸マグネシウムタルク、糖、ラクトースデキストリンデンプンゼラチンセルロースポリビニルピロリジン、低融点ワックス、及びイオン交換樹脂が含まれる。別の実施形態において、薬学的ビヒクルはゲルであってもよく、組成物はクリームなどの形態であってもよい。

0068

しかしながら、薬学的ビヒクルは液体であってもよく、医薬組成物は溶液の形態であってもよい。液体ビヒクルは、液剤懸濁剤乳剤シロップ剤エリキシル剤、及び加圧組成物の調製に使用される。本発明によるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、水、有機溶媒、両方の混合物、又は薬学的に許容される油若しくは油脂などの薬学的に許容される液体ビヒクルに溶解又は懸濁することができる。液体ビヒクルは、可溶化剤、乳化剤緩衝剤、防腐剤、甘味剤、香味剤、懸濁化剤、増粘剤着色剤、粘度調節剤、安定剤、又は浸透圧調節剤などの他の好適な医薬添加物を含有することができる。経口及び非経口投与用の液体ビヒクルの好適な例には、水(上記のような添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を一部含有する)、アルコール一価アルコール及び多価アルコール、例えばグリコールを含む)及びそれらの誘導体、並びに油(例えば、分画ココナッツ油及び落花生油)が含まれる。非経口投与のため、ビヒクルは、オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルであってもよい。滅菌液体ビヒクルは、非経口投与用の滅菌液体形態の組成物において有用である。加圧組成物用の液体ビヒクルは、ハロゲン化炭化水素又は他の薬学的に許容される噴射剤であってもよい。

0069

滅菌溶液又は懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、髄腔内、硬膜外腹腔内、静脈内、及び特に皮下注射によって利用することができる。PARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンは、滅菌水生理食塩水、又は他の適切な滅菌注入媒体を用いて投与時に溶解又は懸濁することができる、滅菌固体組成物として調製することができる。

0070

本発明のPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリン及び組成物は、他の溶質又は懸濁化剤(例えば、溶液を等張にするのに十分な生理食塩水又はグルコース)、胆汁酸塩アカシア、ゼラチン、モノオレイン酸ソルビタンポリソルベート80エチレンオキシドと共重合したソルビトール及びその無水物のオレイン酸エステル)などを含有する滅菌溶液又は懸濁液の形態で投与することができる。本発明に従って使用されるPARP阻害剤及び/又はテトラサイクリンはまた、液体又は固体組成物形態のいずれかで経口投与することができる。経口投与に好適な組成物には、丸剤カプセル剤顆粒剤、錠剤、及び散剤などの固体形態、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤などの液体形態が含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌液剤、乳剤、及び懸濁剤が含まれる。

0071

本発明のさらなる態様によれば、不適切な血管石灰化によって特徴付けられる疾患の治療、予防、又は改善における使用のためのテトラサイクリン及び/若しくはポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が提供される。

0072

本発明のなおさらなる態様によれば、対象における不適切な血管石灰化を特徴とする疾患を治療、予防、又は改善する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量のテトラサイクリン及び/又はポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。

0073

なおさらなる態様によれば、対象における血管石灰化を減少させる方法であって、そのような治療を必要とする対象に、治療有効量のポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤及び/若しくはテトラサイクリン、又は薬学的に許容されるそれらの塩若しくは溶媒和物を投与することを含む、方法を提供する。

0074

血管石灰化は、アテローム硬化性石灰化を含むことができる。或いは、血管石灰化は、中膜石灰化を含むことができる
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面のいずれも含む)に記載された全ての特徴及び/又はそのように開示された任意の方法若しくはプロセスの全ての工程は、そのような特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが互いに排他的である組み合わせを除いて、上記の任意の態様のいずれとの組み合わせで組み合わせることができる。

0075

本発明をよりよく理解するため、及び本発明の実施形態がどのように実施されるかを示すために、ここで、例として添付した図面を参照する。

0076

本発明者らは、以下のようにまとめることができる様々な実験を行った:
実施例1:ポリ(ADPリボース)(PAR)と血管石灰化との間の生理学的関連の提示
実施例2:PARP阻害剤/テトラサイクリンのウシ血管平滑筋細胞に対する毒性の検討;
実施例3:PARP阻害剤/テトラサイクリンのヒト単球マクロファージに対する毒性の検討;
実施例4:インビトロウシ血管平滑筋細胞血管石灰化モデルにおけるPARP阻害剤/テトラサイクリンの初期試験
実施例5:インビトロウシ血管平滑筋細胞血管石灰化モデルにおける石灰化レベルに対する被験阻害剤の用量依存性;
実施例6:pk濃度相関を用いた被験阻害剤の例示用量の提示;
実施例7:インビトロヒト血管平滑筋細胞血管石灰化モデルにおけるPARP阻害剤/テトラサイクリンの初期試験;
実施例8:試験化合物リスト中のオラパリブ、ルカパリブ、ニラパリプ、ベリパリブ、及びタラゾパリブを含む、インビトロヒト血管平滑筋細胞血管石灰化モデルにおけるPARP阻害剤/テトラサイクリンのさらなる試験;
実施例9:試験化合物リスト中のロサルタン、アムロジピン、及びアトルバスタチンを含む、インビトロヒト血管平滑筋細胞血管石灰化モデルにおけるPARP阻害剤/テトラサイクリン及び他の一般的な心血管薬のさらなる試験。

0077

実施例1:ポリ(ADPリボース)(PAR)と血管石灰化との間の生理学的関連の提示
血管平滑筋細胞(VSMC)は、ストレス下にあるとき、その周囲の細胞外マトリックスを石灰化する。VSMC組織のインビトロモデルを用いて、ストレス下のVSMCが、ポリ(ADPリボース)(PAR)を任意の認識できる量で産生するかどうかを決定した。

0078

このモデルでは、細胞内に酸化ストレスを誘導する高濃度のグルコース中でVSMCを増殖させた。細胞は細胞外マトリックスを合成し、マトリックスを鉱化し、その後、細胞壊死に似た細胞溶解によりマトリックスから細胞が除去される。細胞溶解後にマトリックスをリン酸緩衝液で少なくとも6回洗浄し、マトリックスに強く結合していない任意の分子成分を除去した。

0079

これらの実験における細胞培養培地には、U−13C−グルコース、並びにU−13C,15N−グリシン及びプロリンが含有しており、細胞がグルコースから合成する糖種の全てが、コラーゲン(組成中に約33%のグリシン及び22%のプロリン/ヒドロキシプロリンを含有する)と同様に、13C標識されるようにした。次いで、得られたマトリックスのコラーゲン及び糖含有量を、コラーゲンに関するマトリックスの糖組成の詳細な特徴付けを可能にする2次元13C−13C相関スペクトルによって調べることができた。

0080

図1Aは、この実験から得られた一般的な2次元13C−13C相関スペクトルを示す。全てのスペクトルは、PARに予想されるシグナルを明確に示した。マトリックスを洗浄した後に13CNMRシグナルがPARから観察されたという事実は、マトリックス中のPARの強い結合又は捕捉を示している。

0081

次いで、本発明者らは、石灰化沈着物並びにPAR及びDNA損傷の存在についてエクスビボでヒト頸動脈病変を画像化した(赤色はH2A.X抗体である)。位相差画像化及びカルセイン染色を用いて、鉱物沈着物を画像化した。隣接する部位において、間接免疫組織化学染色を用いてPAR(モノクローナル抗ポリ(ADPリボース)抗体クローン10Hを使用、緑色蛍光)及びDNA損傷(H2A.Xに対するモノクローナル抗体を使用、赤色蛍光)を画像化した。

0082

図2は、病変の隣接する部位からの位相差画像及び蛍光画像化を示す。位相差画像及びカルセイン染色の蛍光画像の両方は、病変の壊死性無細胞核に隣接する病変の内膜肥厚領域における鉱物沈着物の存在を明確に示している。隣接する部位(部位の厚さ5μm)では、細胞核領域並びに細胞質及び/又は細胞外マトリックス領域の両方で、ポリ(ADPリボース)に対する有意な染色が存在する。エキソビボ冠動脈アテローム性動脈硬化病変でも同様のパターンのポリ(ADPリボース)染色が見られる。

0083

重要な論点は、発達中の骨及び酸化ストレスを受けた血管組織でのポリ(ADPリボース)の合成を何が駆動するかであった。ポリ(ADPリボース)は、細胞死AIFのミトコンドリア放出によるアポトーシス、又はDNA損傷により過剰なPARP発現が駆動されて解糖機能障害を引き起こす場合のパータナトス)及びDNA修復において十分証明された役割を有する。マトリックス石灰化に関連する細胞死に関して、骨芽細胞の60〜80%が骨石灰化の間に死滅する。同様に、細胞死(アポトーシス及び壊死)は、石灰化がアテローム性動脈硬化症又は中膜石灰化と関連しているかどうかに関わらず、血管石灰化に常に先行する。DNA損傷が血管石灰化と関連する可能性は高く、活性酸素窒素種から酸化的ストレスを受けた血管平滑筋細胞でのDNA損傷が見込まれるシナリオである。おそらくあまり直感的ではなく、従ってさらにより興味深いことには、骨芽細胞株であるSAOS−2細胞は骨形成マーカーを発現するときに過酸化水素を放出し、過酸化水素の放出はポリ(ADPリボース)合成と密接な関係があるが、このことは骨の発達におけるポリ(ADPリボース)合成のDNA損傷依存性機構があり得ることも示唆している。

0084

従って、本発明者らは、細胞外マトリックスにおけるポリ(ADPリボース)の出現はDNA損傷依存性の細胞死に由来し得ると仮定し、従って、石灰化領域内での場所的に(spatially)関連する細胞のDNA損傷の存在について、発達中の骨及びヒト血管石灰化沈着物の両方を調べた。図2(右側の列)は、血管石灰化において、核及び細胞外ポリ(ADPリボース)染色の両方がDNA損傷のマーカーであるリン酸化ヒストンH2A.Xと共局在化していることを示している。

0085

図3は、胎児骨成長板におけるポリ(ADPリボース)とH2A.Xとの間の非常に類似した関係−細胞核及び細胞外マトリックスの両方におけるポリ(ADPリボース)及びH2A.Xの共局在化を示している。

0086

ポリ(ADPリボース)と骨及び血管鉱物沈着物との直接的な関連は、ポリ(ADPリボース)の細胞外沈着と鉱物形成の誘発との間の機構的関連性を示唆している。

0087

実施例2:ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤の7日間にわたるウシ血管平滑筋細胞(bVSMC)に対する毒性
PARの細胞外沈着と鉱物形成の誘発との間の機構的関連性を考慮して、PARP阻害剤が血管石灰化を阻害するかどうかを試験することを決定した。

0088

PJ34、ミノサイクリン(MC)、及び3−ABは、哺乳動物細胞によって産生されるPARPを阻害することが示されている。従って、これらの化合物を試験するものと同定した。

0089

さらに、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(BosMH)、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、及びジピリダモール(DP)は全て、組換えPARPを阻害することが示されている。従って、これらの化合物が真のPARP阻害剤であるかどうかははっきり分からないが、それらも試験すべきであると決定された。

0090

同定された化合物のウシVSMCに対する毒性を、生細胞デヒドロゲナーゼ酵素活性を測定するMTアッセイを用いて測定した。このアッセイは、細胞死及び増殖の両方を捕捉することができる。

0091

方法
ウシVSMCを96ウェルプレート播種し、M199/20%FCS中で1日培養した。次いで、細胞を0.5〜100μMの阻害剤濃度でインキュベートした(M199培地+5%FBS中)。細胞を阻害剤とともに7日間インキュベートし、2〜3日ごとに培地−/+阻害剤を交換した。次いで、MTTアッセイを行った。ストックビヒクルDMSOは、0.1%以下のDMSOで、阻害剤に対応する濃度で試験した。

0092

結果
結果を以下の表1に示し、図4A及び図4Bにグラフで示す。示された値は、各々2連で、3回の実験の平均を表す。図4A及び図4Bにおいて、エラーバーは、3回の実験の標準誤差(SE)を表す。以下の表の網掛けされた値は、NA対照(阻害剤なし)と比較して統計学的に有意であると判断される;p≦0.01(ANOVA+post−hocLSD試験)。

0093

0094

MTTアッセイの結果は、ペントキシフィリン(PF)、3AB、DPQ、及びDMSOビヒクルが、試験濃度では実質的に非毒性であることを示している。ボセンタン一水和物(Bos)はまた、毒性がわずかであることを示している。PJ34、ジピリダモール(DP)、及びシロスタゾール(CS)は、50μM及び100μMで毒性である。ミノサイクリン(MC)及びジルチアゼムは両方とも非毒性であり、さらに20μM超では細胞に対する刺激効果を示す。従って、全ての阻害剤は、石灰化モデルで使用される可能性のある濃度において、bVSMCに十分な忍容性を示す。

0095

実施例3:潜在的阻害剤のヒト単球−マクロファージ(HMM)に対する毒性
ヒト単球−マクロファージ(HMM)で同様の設定の毒性実験を行った。HMMは培養では増殖しないので、分裂細胞(bVSMC)と非分裂細胞(HMM)との間の比較は、毒性に起因する効果と増殖に起因する効果とを区別するのに時として役立ち得る。さらに、化合物の意図される使用のために、それらがヒトマクロファージに毒性ではないことを確立することが重要である。

0096

HMMをMo−SFM培地(無血清培地)で通常の培養及び毒性アッセイのために培養した以外、方法は実施例2に記載した通りとした。

0097

結果
結果を以下の表2に示し、図5A及び図5Bにグラフで示す。前述のように、示された値は、各々2連で、3回の実験の平均を表す。図5A及び図5Bにおいて、エラーバーは、3回の実験の標準誤差(SE)を表す。以下の表の網掛けされた値は、NA対照(阻害剤なし)と比較して統計学的に有意であると判断される;p≦0.01(ANOVA+post−hocLSD試験)。

0098

0099

毒性アッセイの結果は、100μMの濃度では、HMMに対して、MC、PJ34、DZ、及びBOSが阻害剤のうちで最も毒性であるが、CS、DP、PF、DPQ、及び3ABは比較的無毒であることを示している。

0100

実施例2及び3の結果により、次の実施例において血管石灰化を阻害するのに必要な化合物の濃度の毒性を判断することができる。

0101

実施例4:PJ34、ミノサイクリン(MC)、シロスタゾール(CS)、ボセンタンMH(Bos)、3−AB、ペントキシフィリン(PF)、ジルチアゼム(DZ)、及びジピリダモール(DP)による血管石灰化の初期試験
方法
bVSMCに関し、GAD培地(10mM β−グリセロリン酸塩/0.1mML−アスコルビン酸−2−リン酸塩/10nMデキサメタゾン)モデルを用いて、bVSMCにおいて鉱化を誘発した。それ故、M199/20%FCS培養培地を用いた組織培養プレートに細胞を播種し、一晩培養した。翌日、細胞を培地(M199/5%FBS)のみ+/−阻害剤、又はGAD培地(10mM β−グリセロリン酸塩/0.1mM L−アスコルビン酸−2−リン酸塩/10nMデキサメタゾン)+/−阻害剤のいずれかで処置した。

0102

全ての阻害剤は10μMの濃度で使用したが、それは、実施例2及び3により、全ての化合物がこの濃度で非毒性であり、さらに、化合物が、それらが示し得る任意の石灰化阻害効果の評価を複雑化する可能性のある有意な増殖などの他の効果を誘発しないようであることが示されたからである。培地+/−阻害剤は2〜3日ごとに交換した。評価前に、ウシVSMCを7日間インキュベートした。

0103

アリザリンレッドS染色
アリザリンレッドS染色は、組織カルシウム沈着物に対する視覚的/組織学的染色である。細胞を4%パラホルムアルデヒドPIPES緩衝液(pH7.2)中で簡単に固定し、続いてアリザリンレッドS(2%アリザリンレッドS/DIW pH4.2)で5分間染色する。DIW中で洗浄することによって、余分な染色を除去する。カルシウム鉱物沈着物は、明るい赤橙色に染色される。

0104

o−クレゾールフタレインアッセイ
o−クレゾールフタレインアッセイは、細胞/組織溶解物中のCa2+濃度を測定するための分光光度法である。石灰化実験の後、細胞を簡単に洗浄して培地を除去し、100 lの0.1N HClを各ウェルに添加して任意の鉱物沈着物を溶解する。次いで、試料中のCa2+濃度を、約0.02〜270gCa2+/mlの濃度範囲のCaCl2標準曲線を用いて、o−クレゾールフタレインアッセイで分光光度的に(570nmで)測定する。

0105

BioRadタンパク質アッセイ
市販のBioRadDCタンパク質アッセイは、タンパク質と銅−酒石酸塩複合体との反応及びその後のフォリン試薬との反応としても公知であるLowry法に基づく。石灰化実験の後、細胞を簡単に洗浄して培地を除去し、100 lの可溶化溶液(0.1M NaOH/1%SDS/DIW)を各ウェルに添加して細胞を溶解する。続いて、溶解物タンパク質濃度を、BSA(ウシ血清アルブミン)を標準として用いて、供給者の指示に従ってBioRad DCアッセイで決定する。

0106

結果
アリザリンレッドS染色で処置したプレートの写真を図6に示す。培地のみ(NA)で処置した細胞では、アリザリンによる赤色染色は見られなかったことは明らかである。これは、培養物の石灰化がほとんど又は全く起こらなかったことを示している。

0107

対照的に、GAD処置した細胞はアリザリンで陽性に染色され、培養物の石灰化が示された。眼で判断すると、鉱化の程度は、ミノサイクリン(MC)試料ではわずかに少なく、PJ34及びジピリダモール(DP)試料ではわずかに悪化していた。

0108

図7A及び図7Bに示すように、本発明者らは、o−クレゾールフタレインアッセイにより、Ca2+沈着物を定量することができた。

0109

図7Aに示されるように、クレゾールフタレインアッセイは、NA処置群のカルシウム含有量が非常に低かった(基本的にアッセイの検出限界であった)ことを示した。図7Bに示されるGAD処置群では、カルシウムレベルは、未処置細胞のカルシウムレベルの約50〜60倍に上昇する。

0110

図7Bに示されるように、CS、Bos、3AB、及びPFはカルシウムレベルに影響を及ぼさないようであったが、PJ34及びDPはカルシウムレベルを上昇させるようであった。しかしながら、DZ及び特にMCは、阻害剤を添加していない試料と比較して、カルシウムレベルを低下させるようであった。

0111

BioRadタンパク質アッセイの結果を図8に示す。化合物が石灰化を阻害する程度を評価する場合、試料中のタンパク質の質量(BioRadタンパク質アッセイによって決定される)当たりの試料中のカルシウムの質量(クレゾールフタレインアッセイによって決定される)として阻害度を定量するのが通常である。これは、実験を行う期間中、この場合は7日間、添加された化合物によって誘発された細胞成長、増殖、又はマトリックスの細胞合成が原因で、試料中のタンパク質の総質量が増加し得るからである。これらの標準化した結果を図9A及び図9Bに示す。

0112

図9Bに示されるように、結果を標準化した場合、CSは依然としてカルシウムレベルに影響を及ぼさないようであり、PJ34及びDPは依然としてカルシウムレベルを上昇させるようである。しかしながら、Bos、3AB、PF、及びDZは全て、カルシウムレベルをわずかに低下させるようであり、MCはカルシウムレベルを有意に低下させるようである。

0113

実施例5:インビトロ血管石灰化モデルにおける石灰化に対する被験阻害剤の用量依存性
方法
インビトロモデルは、実施例4で使用したモデルと同じである:GAD培地(10mM β−グリセロリン酸塩/0.1mML−アスコルビン酸−2−リン酸/10nMデキサメタゾン)を添加して、細胞外マトリックスを産生するようにウシ血管平滑筋細胞(bVSMC)を培養する。

0114

上記のように、細胞を培地のみ(「無添加」;NA)+/−阻害剤又はGAD培地+/−阻害剤のいずれかで処置した。使用した阻害剤は、10μM、1μM、及び0.1μMのPJ34及びミノサイクリン(MC)とした。鉱化について細胞培養物目視検査し、石灰化の程度を7日目のGAD処置で評価したが、これが最初のデータポイントとして予め計画されていたからである。GAD処置細胞における鉱化がかなり急速に進行するようであったので、石灰化の程度を評価する第2の時点は9日目とした。細胞がウェルから剥がれやすくなり、その後完全に失われる可能性があるので、より長い処置期間は危険であると考えられた。

0115

実施例4と同様に、Ca2+沈着物の定量のためのo−クレゾールフタレインアッセイ及びタンパク質含有量に関してBioRadタンパク質アッセイを実施した。方法は実施例4に記載したものと同じであった。

0116

さらに、細胞生存率/増殖の尺度としてMTTアッセイを行った。ウシVSMCを96ウェルプレートに播種し、M199/20%FCS中で1日培養した。次いで、細胞を10μM、1μM、及び0.1μMの阻害剤濃度でインキュベートした(M199培地+5%FBS中)。細胞を阻害剤とともに7又は9日間インキュベートし、2〜3日ごとに培地−/+阻害剤を交換した。次いで、MTTアッセイを行った。

0117

結果
MTT細胞生存率アッセイ
7日間インキュベートしたbVSMCの細胞生存率の結果は以下の表3に示され、図10にグラフで示されている。同様に、9日間インキュベートしたbVSMCの細胞生存率の結果は表4に示され、図11にグラフで示されている。各場合において、示された値は3回の実験の平均を表す。図10及び図11において、エラーバーは、3回の実験の標準偏差(SD)を表す。

0118

0119

0120

NA処置もGAD処置も、7日後にbVSMCに対して毒性ではなかった。

0121

9日後、GAD培地で処置したマトリックス/細胞は、ウェル内でわずかに丸まり始めた。MTTアッセイにより、NA処置群と比較した場合、GAD処置群では約27%のホルマザン産生の低下が示された。これは、細胞生存率の低下を表しているのではなく、ウェル中の細胞の丸まり及び細胞のMTTへの接近/曝露の減少に起因する可能性が最も高い。この考えは、10μMのMC試料細胞は丸まりがかなり少なく、この処置群におけるホルマザン産生の低下は観察されなかったとの事実によって裏付けられる。

0122

クレゾールフタレインアッセイ
7日間インキュベートしたbVSMCについてのCa2+濃度結果は以下の表5に示され、図12にグラフで示されている。同様に、9日間インキュベートしたbVSMCのCa2+濃度結果は以下の表6に示され、図13にグラフで示されている。各場合において、示された値は3連での実験の平均を表す。図12及び図13において、エラーバーは3連での実験の標準偏差(SD)を表す。

0123

0124

0125

GAD培地で処置していないプレート(図12及び図13において「NA処置」として同定される)において、Ca2+含有量は、予想されたように7日間及び9日間の両方で非常に低かった。

0126

プレートをGAD培地で処置した場合、7日間の処置後、阻害剤が存在しない場合に、GAD培地で処置していないプレートのCa2+濃度よりCa2+濃度は約3倍高いだけであった(図12の最初の2つのバーを参照されたい)。しかしながら、9日後、阻害剤が存在しない場合に、GAD培地で処置していないプレートで観察されたものよりもCa2+濃度が約25倍に劇的に増加した(図13の最初の2つのバーを参照されたい)。

0127

実施例4で考察したように、化合物が石灰化を阻害する程度を評価するとき、試料中のタンパク質の質量当たりの試料中のカルシウムの質量として石灰化の阻害度を定量するのが文献においては通常である。試料中のタンパク質の総質量はBioRadアッセイによって決定され、図14及び図15に示されている。これらの図において、「+」でラベル付けされた試料はGAD培地で処置されており、「−」とラベル付けされた試料はGAD培地で処置されていない。

0128

従って、タンパク質の総質量は、GAD培地で処置した細胞培養物では、GAD培地で処置しなかった細胞培養物と比較して大きいことが明らかである。しかしながら、MTTアッセイによって決定されるように、GAD処置は、試料中の細胞数のいずれの明らかな変化も引き起こさない。GAD処置していない場合と比較したGAD処置下でのタンパク質の増加は、細胞外マトリックス又は他のタンパク質産生刺激に起因する可能性が最も高い。

0129

従って、本発明者らは、タンパク質1ミリグラム当たりの石灰化の程度を表すことは、被験阻害剤による任意の阻害効果を過大評価することとなると考える。この問題を克服するために、潜在的阻害剤ありのGAD培地で処置したプレートの石灰化の程度を、阻害剤なしのGAD培地で処置したプレートと比較し、パーセンテージとして計算した。これらの値は表7に示され、図16にグラフで示されている。

0130

0131

実施例4に示したように、PJ−34は、10μMの濃度でCa2+沈着物を増加させた。この効果はまた、1μMの濃度で観察される。

0132

ミノサイクリンは、潜在的阻害剤が存在しない場合と比較して、10μMの濃度でCa2+沈着物を約19%にまで減少させた。すなわち、約81%の減少であった。同様に、ミノサイクリンは、潜在的阻害剤が存在しない場合と比較して、0.1μMの濃度でCa2+沈着物を約62%にまで減少させた。すなわち、約38%の減少であった。しかしながら、ミノサイクリンは、0.1μMの濃度ではCa2+濃度に影響を及ぼさないようであった。

0133

考察
ミノサイクリンは石灰化に対して用量依存性の効果を示し、この薬物が血管石灰化プロセスに直接的な効果を有することと一致している。従って、ミノサイクリンは、血管石灰化の阻害剤として有望である。

0134

有利なことに、ミノサイクリンは、許容される安全なレベル内の比較的低い濃度において血管石灰化の阻害剤として使用することができると考えられる。

0135

一方、PJ−34は、石灰化を促進するようである。しかしながら、PJ−34はまた、図4A及び実施例2を参照して、bVSMCにおいていくらかの細胞死を誘発するようである。従って、観察された石灰化を引き起こすのは細胞死であり得る。

0136

死滅した細胞は、鉱物/石灰化の沈殿発生場所として作用し得る(通常はそうである)。インビボにおいて死滅した細胞の周囲で同様のプロセスが起こるかどうかは不明である。しかしながら、インビトロ実験では、上記で考察したものなど、死滅した細胞は石灰化が起こることを意味する。従って、PJ−34が、依然として残りの生細胞の石灰化を阻害する可能性がある。

0137

実施例6:用量の提示
実施例5において実施された実験により、ミノサイクリンは1μMの低い濃度で石灰化を阻害することができ、より低濃度でも有効である可能性があることが示された。ミノサイクリンの分子量は457g/molであるので、1μMの濃度は0.46μg/mLに等しい。

0138

50mgのミノサイクリン経口用量での患者血流中の最大濃度(Cmax)は、投与の2時間後に到達する0.65μg/mL(Tmax)である。

0139

ミノサイクリンは、典型的には1日2回服用され、体内のミノサイクリンの半減期は約12時間である。従って、12時間ごとの50mgの継続用量での定常状態濃度は、1.3μg/mLである。

0140

従って、0.46μg/mLの濃度に到達するのに必要な投薬量は、約20mgのミノサイクリンを1日2回であろう。

0141

ミノサイクリンの副作用は用量依存性であると思われ、従って、これらの低用量でも克服すべきである。

0142

座瘡を治療するための(主用途)ミノサイクリンの成人投薬量は、50〜100mgを1日2回あり、その後、毎日50〜100mgの維持用量移行することに留意すべきである。従って、示唆した投薬量は許容される安全なレベル内である。

0143

実施例7:ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を用いたPJ34、ミノサイクリン、及びシロスタゾールによる血管石灰化の初期試験
方法
インビトロウシ血管平滑筋細胞モデルにおける血管石灰化の阻害に関して陽性の結果及び結論を考慮して、本発明者らは、インビトロヒト血管平滑筋細胞モデルで実験を続けた。

0144

初代hVSMCを、FBS(M199/5%FBS)を含有するM199培地で培養した。それらを公知の細胞密度で播種し、24時間増殖させた後、対照(DMSOのみ)又は石灰化培地(2.7mMカルシウム+2.5mMリン酸塩を含有するDMSO)+/−阻害剤で処置した。6日後、Ca2+沈着物の定量のためのo−クレゾールフタレインアッセイ及びタンパク質含有量のためのBioRadタンパク質アッセイを用いて、石灰化を評価した。

0145

PJ34を10μMの濃度で使用した一方、ミノサイクリン及びシロスタゾールを両方とも0.5μM、1μM、及び2μMの濃度で使用した。培地+/−阻害剤を2〜3日ごとに交換した。

0146

各実験を3連で実施し、図17図19平均値+平均値の標準誤差(SEM)を示す。

0147

結果
図17に示すように、本発明者らは、o−クレゾールフタレインアッセイにより、Ca2+沈着物を定量することができた。これは、DMSO群(陰性対照)のカルシウム含有量が非常に低かったことを示している。逆に、DMSO Ca+P群(陽性対照)では、カルシウムレベルが大きく上昇した。PJ34、ミノサイクリン、及びシロスタゾールは全て、カルシウムレベルを低下させるようであった。

0148

BioRadタンパク質アッセイの結果を図18に示す。これから得られたデータによって、o−クレゾールフタレインアッセイから得られた結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を得ることができた。これらの標準化した結果を図19に示す。

0149

図19に示されるように、結果を標準化したとき、PJ34、ミノサイクリン、及びシロスタゾールの各々はカルシウムレベルを有意に低下させる。さらに、ミノサイクリンは、用量依存的な様式でカルシウムレベルを低下させるようである。

0150

実施例8:ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を用いたPARP阻害剤による血管石灰化のさらなる試験
方法
初代hVSMCを、FBS(M199/5%FBS)を含有するM199培地で培養した。それらを公知の細胞密度で播種し、24時間増殖させた後、対照(DMSOのみ)又は石灰化培地(2.7mMカルシウム+2.5mMリン酸塩を含有するDMSO)+/−阻害剤で処置した。8日後、Ca2+沈着物の定量のためのo−クレゾールフタレインアッセイ及びタンパク質含有量のためのBioRadタンパク質アッセイを用いて、石灰化を評価した。

0151

試験したPARP阻害剤には、ミノサイクリン及びシロスタゾールとともに、オラパリブ(別々に試験した2つの供給源)、タラゾパリブ、ニラパリプ、ルカパリブ、及びベリパリブを含めた。試験した全ての化合物を3μMの濃度で使用した。培地+/−阻害剤を2〜3日ごとに交換した。

0152

各実験は6回実施し、図20及び図22は平均値+平均値の標準誤差(SEM)を示す。

0153

結果
プレートの近接写真を図24に示し、アリザリンレッドS染色で処置したプレートの写真を図23に示す。図23では、DMSO群(陰性対照)の細胞では、石灰化が最小限であり、アリザリンに起因する赤色染色が最小限しか見られないことが明らかである。これは、培養物の石灰化がほとんど又は全く起こらなかったことを示している。

0154

対照的に、画像は、DMSO Ca+P群(陽性対照)の細胞では多量の石灰化が生じたことを示している。PARP阻害剤で処置された細胞培養物の全てである程度の石灰化が生じたが、これはDMSO Ca+P群の細胞よりも有意に少ないことが明らかである。

0155

図20に示されるように、本発明者らは、o−クレゾールフタレインアッセイにより、Ca2+沈着物を定量することができた。実施例7と同様に、DMSO群(陰性対照)のカルシウム含有量は非常に低く、DMSO Ca+P群(陽性対照)のカルシウム含有量は大きく上昇した。全てのPARP阻害剤は、カルシウムレベルを低下させるようであった。

0156

BioRadタンパク質アッセイの結果を図21に示す。これから得られたデータによって、o−クレゾールフタレインアッセイから得られた結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を得ることができた。これらの標準化した結果を図22に示す。

0157

図22に示されるように、結果を標準化したとき、PARP阻害剤の全てがカルシウムレベルを有意に低下させる。ミノサイクリン、シロスタゾール、ルカパリブ、ニラパリプ、及びベリパリブは、カルシウムレベルを低下させるのに特に有効であった。

0158

実施例9:ヒト血管平滑筋細胞(hVSMC)を用いたPARP阻害剤による血管石灰化のさらなる試験
方法
初代hVSMCを、FBS(M199/5%FBS)を含有するM199培地中で培養した。それらを公知の細胞密度で播種し、24時間増殖させた後、対照(DMSOのみ)又は石灰化培地(2.7mMカルシウム+2.5mMリン酸塩を含有するDMSO)+/−化合物で処置した。8日後、Ca2+沈着物の定量のためのo−クレゾールフタレインアッセイ及びタンパク質含有量のためのBioRadタンパク質アッセイを用いて、石灰化を評価した。

0159

DMSO陰性対照及びDMSO Ca+P陽性対照とともに、以下の化合物をこの実験で試験した:ボセンタン一水和物、ペントキシフィリン、ロサルタン、アムロジピン、アトルバスタチン、ベリパリブ、ミノサイクリン、及びシロスタゾール。

0160

ボセンタン一水和物及びペントキシフィリンは、陰性の結果(実施例4)であったウシVSMCモデルにおけるPARP阻害剤の特性を調べるために、最初に検査する既存の薬物の例として含めた。ロサルタン、アムロジピン、及びアトルバスタチンは、血管中膜石灰化を阻害するかどうかを調べるために、一般的な心血管薬(それぞれ、アンジオテンシンII拮抗薬カルシウムチャネル遮断薬、及びスタチン)の例として含めた。ベリパリブは、石灰化を阻害するために、実施例8に示す公知のPARP阻害剤の例として含めた。ウシVSMCモデル及びヒトVSMCモデル研究の全体にわたる陽性の実験結果(実施例4〜8に示される)を考慮して、ミノサイクリンを含めた。ヒトVSMC研究における陽性の実験結果(実施例7及び8に示される)を考慮して、シロスタゾールを含めた。

0161

図に示されているように、化合物を0.05μM〜3μMの濃度で使用した。これらの濃度は、各薬物の処方情報での投与スケジュールに従って患者へ投与した後にこれらの薬物の全身濃度を模倣するように選択された。培地+/−阻害剤を2〜3日ごとに交換した。

0162

各実験は3回実施され、図25図27は平均値+平均値の標準誤差(SEM)を示す。

0163

結果
図25に示されるように、本発明者らは、o−クレゾールフタレインアッセイにより、Ca2+沈着物を定量することができた。これは、DMSO群(陰性対照)のカルシウム含有量が非常に低かったことを示している。逆に、DMSO Ca+P群(陽性対照)では、カルシウムレベルが大きく上昇した。

0164

BioRadタンパク質アッセイの結果を図26に示す。これから得られたデータによって、o−クレゾールフタレインアッセイから得られた結果を標準化し、タンパク質の質量当たりのカルシウムの質量を得ることができた。これらの標準化した結果を図27に示す。

0165

図27は標準化した結果を示している。ベリパリブ、ミノサイクリン、及びシロスタゾールは各々、石灰化を有意かつ反復的に阻害する(狭いエラーバー)。その結果により、ボセンタン一水和物及びペントキシフィリンは石灰化を阻害しないことが確認される。重要なことに、結果により、例示的な一般的な心血管薬(ロサルタン、アムロジピン、及びアトルバスタチン)は血管中膜石灰化を阻害しないこともまた確認される。エラーバーは、ボセンタン一水和物、ペントキシフィリン、ロサルタン、アムロジピン、及びアトルバスタチンで見られる結果の変動が広範であることを示している。

0166

要約
結果により、発達中の骨及び病的血管石灰化の両方において、細胞外ポリ(ADPリボース)と細胞外マトリックスの石灰化領域との間に強い場所的相関があることが示され、このことは、ポリ(ADPリボース)と細胞外マトリックス内の石灰化沈着物の構築との間に直接的な機構的関係が存在する可能性があることを示唆している。

0167

血管平滑筋細胞は、そのマトリックスを石灰化するときに、骨シアロタンパク質オステオポンチン、及びオステオカルシンを含む、多くの骨形成タンパク質を発現するので、血管石灰化でも同様のポリ(ADPリボース)媒介構築プロセスが起こり得る。

0168

本発明者らは、ミノサイクリン及びシロスタゾールとともに、試験した全ての公知のPARP阻害剤(オラパリブ、ルカパリブ、ニラパリプ、ベリパリブ、及びタラゾパリブ)が、ウシ細胞及びヒト細胞インビトロ血管石灰化モデルで細胞外マトリックス石灰化を有意に減少させることを示した。これは、インビボでの血管中膜石灰化を減少させる潜在的経路を示唆している。他の心血管薬(特にスタチンを含む)の試験例で得られた陰性の結果により、本発明者らは、患者は他の一般的に処方されている心血管薬から血管中膜石灰化の阻害効果を既に受けている可能性を排除した。

0169

上記の化合物は、インビトロにおいて低濃度で石灰化を阻害することができたので、このことは、血管中膜石灰化を阻害する薬物が低投薬量において有用であり、副作用が克服されるべきことを保証するものであることを示している。

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