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課題・解決手段

本開示は、部位選択的標識用化合物、及びそのような化合物を使用する方法に関する。

概要

背景

タンパク質化学修飾技術の重大な空白は、リジンの部位選択的/化学特異的標識方法欠如である。実際、タンパク質中で最も近づきやすいリジンの部位選択的標識用の一般スクリーンがあれば、多くの点で有利である。

第1に、大半のタンパク質には多数のリジンが含有されているので、コンジュゲート開発の任意の多様な候補が提供される。これらの候補は、リジン選択性の順に位置付けられたスクリーンから明らかになる。単一の標的タンパク質結合部位焦点を制限したプロジェクトでは、この特徴が、スクリーニング過程多様化し、低分子開発の「数字のゲーム」に則させるのに非常に有用である。精製されたコンジュゲートの位置異性体(位置異性体)(regioisomer (positional isomer))は、異なる特性(例えば、薬物動態)を有するものと予想され、最適なコンジュゲートの臨床開発に対する洞察を与えることができるであろう。

第2に、天然又は市販のタンパク質を、事前に修飾することなくスクリーニングすることができるので、多くの労力を必要とする分子生物学的方法が、ペイロードをタンパク質上に導入する前の不必要な予備の手段となる。

第3に、アミンを多様なアシル化単位の標的として、生理的なpH及び温度の条件下で化学的に最も安定なもののうちに含まれるアミド結合を提供することができる。

第4に、標的タンパク質に対する親和性要素及び/又は標識用単位を、タンパク質を部位選択的に標識するための既知リガンドに関する情報と組み合わせることができる。

これらの理由で、タンパク質、特に抗体を部位選択的/化学特異的に修飾及びライゲーションする方法は、抗体-薬物コンジュゲート等のタンパク質コンジュゲート及び関連した架橋生成物を生成し、それらの形成を容易にするのに有用である。コンジュゲート及び架橋生成物はそれら自体は、分子診断及び治療用途を含めて多くの点で有用である。

概要

本開示は、部位選択的標識用化合物、及びそのような化合物を使用する方法に関する。

目的

本発明は、全体として、モノクローナル及びポリクローナル抗体、それらのフラグメント(例えば、Fab、F(ab')2、scFv(単鎖可変)、sdAb(単一ドメイン抗体))、二重特異的抗体ダイアボディ)等の部位選択的な修飾方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

i.ペプチド(W)と、ii.第1の直交反応性部分(R)と、iii.求電子性部分を含む、WとRとの間の共有結合とを含む化合物であって、求電子性部分が、タンパク質アミノ基と反応することができ、それによってWとRとの間の共有結合が切断される、化合物。

請求項2

Wが、1〜25個、4〜15個、6〜10個又は4〜8個のアミノ酸残基のペプチドである、請求項1に記載の化合物。

請求項3

WとRとの間の共有結合が、-C(O)O-、-C(O)S-、-C(O)Se-、-SO2O-、-SO2S-及び-SO2Se-から選択される求電子性部分を含む、請求項1に記載の化合物。

請求項4

ペプチドの4つ以下の位置が、3位とC末端位との間においてW、F、Y、I、又はLで固定される、請求項2に記載の化合物。

請求項5

Rが、アルキンシクロアルキンアジド、1,3-ジエンニトリルオキシドニトロンテトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載の化合物。

請求項6

式(II):(式中、Eは、ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、-SO2NHW4、-S(O)C1〜C6アルキル、-S(O)アリール、及び-OC1〜C6アルキルからなる群から選択される部分であり、Xは、O、S又はSeであり、Yは、アルキル、ポリアルキレンオキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択されるリンカーであり、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニルからなる群から選択され、R'は、-C(O)W1、-SO2W1、-CH2W2、-C(O)W3、-SO2W3、-C(O)W4又は-SO2W4であり、ここで、W1は、N末端においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基の直鎖状ペプチドを含み、W2は、O-チロシン又はS-チオチロシン残基においてCH2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、W3は、2,P-ジアミノ-n-アルカン酸残基のP-アミノ基においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、ここで、Pは、3、4、5、6、7又は8であり、W4は、N末端においてC(O)又はSO2に連結されている、25個までの残基のペプチドを含み、qは、0、1、2、3又は4である)の構造を有する、請求項1に記載の化合物。

請求項7

Yが、次式:-(CH2CH2O)m(CH2)n-(式中、mは0〜30であり、nは1〜20である)を有する、請求項6に記載の化合物。

請求項8

W1、W2、W3及びW4が独立して、4〜8個又は6〜10個のアミノ酸残基のペプチドを含む、請求項6に記載の化合物。

請求項9

式(III):(式中、Eは、ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、-SO2NHW4、-S(O)C1〜C6アルキル、-S(O)アリール、及び-OC1〜C6アルキルからなる群から選択される部分であり、Xは、O、S又はSeであり、Yは、アルキル、ポリアルキレンオキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択されるリンカーであり、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニルからなる群から選択され、R'は、-C(O)W1、-SO2W1、-CH2W2、-C(O)W3、-SO2W3、-C(O)W4又は-SO2W4であり、ここで、W1は、N末端においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基の直鎖状ペプチドを含み、W2は、O-チロシン又はS-チオチロシン残基においてCH2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、W3は、2,P-ジアミノ-n-アルカン酸残基のP-アミノ基においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、ここで、Pは、3、4、5、6、7又は8であり、W4は、N末端においてC(O)又はSO2に連結されている、25個までの残基のペプチドを含み、qは、0、1、2、3又は4である)の構造を有する、請求項1に記載の化合物。

請求項10

Yが、次式:-(CH2CH2O)m(CH2)n-(式中、mは0〜30であり、nは1〜20である)を有する、請求項9に記載の化合物。

請求項11

W1、W2、W3及びW4が独立して、4〜8個又は6〜10個のアミノ酸残基のペプチドを含む、請求項9に記載の化合物。

請求項12

式(IV):(式中、Eは、の群から選択され、R1、R2、R3、R4、及びR5は独立して、H、F、Cl、NO2、CN及びLから選択され(ただし、R1、R2、R3、R4、及びR5の1つのみがLであることを条件とする)、Lは、R-(CH2CH2O)q(CH2)r-C(O)-X-又はR-(CH2CH2O)q(CH2)r-X-SO2-であり、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択され、Xは、O又はSであり、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は独立して、天然アミノ酸及び2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニン、-OH、-O-(C1〜C6)アルキル、-O-アリール、アミノ、-(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ-(C1〜C6)アルキルアミノの残基から選択され、又は存在せず(ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも1つが存在することを条件とする)、Qは電子求引性置換基(例えば、ハロアルキル、-F、-NO2又は-CN)であり、gは0〜8であり、mは、0又は1であり、nは0〜8であり、pは1〜8であり、rは1〜20であり、qは0〜100である)の構造を有する、請求項1に記載の化合物。

請求項13

X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8が独立して、グルタミン酸グルタミンアスパラギン酸アスパラギンアルギニンメチオニンセリン、チロシン、ロイシンイソロイシン、アラニン、グリシントレオニンバリンプロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニン、-OH、-O-(C1〜C6)アルキル、-O-アリール、アミノ、-(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ-(C1〜C6)アルキルアミノの群から選択されるアミノ酸残基であり、又は存在しない(ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも1つが存在することを条件とする)、請求項12に記載の化合物。

請求項14

X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つが存在する、請求項12に記載の化合物。

請求項15

X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも4つが独立して、芳香族環を含有するアミノ酸、ロイシン、バリン又はイソロイシンである、請求項12に記載の化合物。

請求項16

タンパク質のアミノ基を部位選択的に官能化して、部位選択的に官能化されたタンパク質を得る方法であって、タンパク質を請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物と接触させる工程と、タンパク質のアミノ基と化合物の第1の直交反応性部分との間に共有結合を形成する工程と、第1の直交反応性部分とペプチドとの間の共有結合を切断する工程とを含む、方法。

請求項17

第1の直交反応性部分がアジドを含む、請求項15に記載の方法。

請求項18

タンパク質が抗体であり、アミノ基が抗体のFab領域に位置する、請求項15に記載の方法。

請求項19

抗体が、癌又は自己免疫疾患処置に有用な治療用抗体である、請求項18に記載の方法。

請求項20

化合物が、タンパク質の保存領域への親和性を有する、請求項15に記載の方法。

請求項21

親和性が10μM以下のKdで表される、請求項20に記載の方法。

請求項22

部位選択的に官能化されたタンパク質を、第2の直交反応性部分を含むペイロード化合物と接触させる工程と、第1の直交反応性部分と第2の直交反応性部分との間に1つ又は複数の共有結合を形成する工程とを更に含む、請求項15に記載の方法。

請求項23

第1の直交反応性部分がアジドを含み、第2の直交反応性部分がアルキンを含む、請求項22に記載の方法。

請求項24

ペイロード化合物が、イメージング部分、抗体、抗体フラグメント、タンパク質、光学剤ビタミン酵素、ペプチド、ペプトイド毒素、薬物、プロドラッグバイオマーカーに対するリガンド、又はエフロサイトーシスの刺激物質である、請求項22に記載の方法。

請求項25

ペイロード化合物が、ホラート、EGFR、ALK、MET、PTK7及びKRAS又はいずれかの癌遺伝子産物からなる群から選択される受容体を標的とする、請求項22に記載の方法。

請求項26

請求項27

ペイロード化合物が、放射性標識分子イメージング剤、光プローブヌクレオチドオリゴ糖、及びポリマーからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。

請求項28

第1の直交反応性部分と第2の直交反応性部分との間における1つ又は複数の共有結合の形成工程が、生理的温度及びpHにおいて行われる、請求項22に記載の方法。

請求項29

生理的温度が10〜45℃であり、生理的pHが5〜9である、請求項27に記載の方法。

請求項30

部位選択的標識用化合物を同定する方法であって、複数の同一タンパク質を用意する工程であって、各タンパク質が2個以上のアミノ(-NH2)基を含む工程と、複数のタンパク質を、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物から独立して選択される複数の標識用化合物と接触させる工程と、1つ又は複数のタンパク質の1個若しくは複数のアミノ基と1つ又は複数の化合物の第1の直交反応性部分との間に共有結合を形成して、1つ又は複数の標識タンパク質を得る工程と、最高選択性で標識されたタンパク質を同定する工程と、対応する部位選択的標識用化合物を同定する工程とを含む、方法。

請求項31

最高の選択性及び最高の収率で標識されたタンパク質を同定する工程を更に含む、請求項30に記載の方法。

請求項32

部位選択的標識用化合物が、クリックケミストリー反応ELISA技術と併せて使用して、標的タンパク質における第1の直交反応性部分の取り込みの程度をモニタリングして同定される、請求項30に記載の方法。

請求項33

タンパク質が抗体である、請求項30に記載の方法。

請求項34

抗体が、癌又は自己免疫疾患の処置に有用な治療用抗体である、請求項33に記載の方法。

請求項35

アミノ基が抗体のFab領域に位置する、請求項33に記載の方法。

請求項36

標識用化合物が、タンパク質の保存領域への親和性を有する、請求項33に記載の方法。

請求項37

親和性が10μM以下のKdで表される、請求項36に記載の方法。

請求項38

式(V):(式中、Pはタンパク質であり、Lysはリジン残基であり、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニルからなる群から選択される部分であり、mは0〜40であり、nは1〜20である)の化合物。

請求項39

Pが抗体である、請求項38に記載の化合物。

請求項40

式(V):(式中、Pはタンパク質であり、Lysはリジン残基であり、Gはペイロード化合物を含む部分であり、mは0〜40であり、nは1〜20である)の化合物。

請求項41

Gが、トリアゾール部分を更に含む、請求項40に記載の化合物。

請求項42

請求項38に記載の化合物及び1つ又は複数の薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物

請求項43

患者における癌を処置する方法であって、その処置を必要とする患者に有効量の請求項38に記載の化合物を投与する工程を含む、方法。

請求項44

抗体を標識する方法であって、(a)抗体を式(XI):(式中、X1、X2、X3及びX4は独立して、天然アミノ酸及び2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニンの残基から選択される残基であり、又は存在せず(ただし、X1、X2、X3、及びX4の少なくとも1つが存在することを条件とする)、Qは、H又は電子求引性置換基であり、n=0〜10であり、p=0〜10である)の化合物と接触させる工程と、(b)工程(a)の生成物を、独立して、n=0〜20であり、m=1〜40である式(XII):(式中、Zは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択される部分であり、Mは1〜40であり、nは0〜20である)の化合物と接触させる工程とを含む、方法。

請求項45

抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、抗体を式(XIII):(式中、U及びU'は独立して、システインアスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、Xは、ヒスチジン、3-(4-チアゾリル)-L-アラニン、(R)-又は(S)-2-アミノ-3-(チアゾール-5-イル)プロパン酸)であり、Y=O、S又はSeであり、Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミルアセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、m=0〜30であり、n=1〜20であり、p=1〜20であり、q=1〜2であり、u=0〜5であり、フェニル環は、F、NO2、又はCNで場合によって置換されており、Yとベンズアミドカルボニルは、オルトメタ又はパラの関係でありうる)の化合物と接触させる工程を含む、方法。

請求項46

抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、抗体を式(XIV):(式中、U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、Xは、であり、Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミル、アセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、mは0〜15であり、nは1〜25である)の化合物と接触させる工程を含む、方法。

請求項47

抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、抗体を式(XV):(式中、U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、Xは、であり、WはHであり、かつYはFであり、又はWはFであり、かつYはHであり、mは0〜15であり、nは1〜25であり、pは0〜1である)の化合物と接触させる工程を含む、方法。

請求項48

抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、抗体を式(XVI):(式中、U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、リジン、又はオルニチンであり、Xは、であり、Y=O、S又はSeであり、Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミル、アセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、m=0〜30であり、n=1〜20であり、p=1〜20であり、フェニル環は、F、NO2、又はCNで場合によって置換されており、Yとベンズアミドカルボニルは、オルト、メタ又はパラの関係でありうる)の化合物と接触させる工程を含む、方法。

請求項49

式(XVII):(式中、Eは、ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、-SO2NHW4、-S(O)C1〜C6アルキル、-S(O)アリール、及び-OC1〜C6アルキルからなる群から選択される部分であり、Xは、O、S又はSeであり、Yは、アルキル、ポリアルキレンオキシド、ペプチド、ペプトイド、及びそれらの組合せからなる群から選択されるリンカーであり、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニルからなる群から選択され、R'は、存在しない、又は-C(O)OH、-C(O)OC1〜C6アルキル、-C(O)NH2、-C(O)NHC1〜C6アルキル、-C(O)N(C1〜C6アルキル)2、-SO2NH2、-SO2NHC1〜C6アルキル、若しくは-SO2N(C1〜C6アルキル)2であり、W4は、N末端においてC(O)又はSO2に連結されている、25個までの残基のペプチドを含み、qは、0、1、2、3又は4である)の化合物。

請求項50

式(XVIII):(式中、Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニルからなる群から選択され、R1は、水素又はC1〜C6-アルキルであり、R2は、水素又はC1〜C6-アルキルであり、R3は、電子求引性基であり、qは0〜100であり、rは1〜20であり、mは0〜1であり、nは0〜4である)の構造を有する、請求項49に記載の化合物。

技術分野

0001

関連出願
本出願は、2016年2月9日出願の米国仮特許出願第62/388,862号、2016年2月18日出願の米国仮特許出願第62/389,137号、2016年4月4日出願の米国仮特許出願第62/390,624号、及び2016年8月8日出願の米国仮特許出願第62/494,420号に基づく優先権を主張するものであり、これらの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0002

本発明は、全体として、ペイロード(payload)を抗体及び他のタンパク質に部位選択的に架橋する方法に関する。これは、標的タンパク質生体直交反応性単位(orthogonally reactive entity、ORE)で標識するように設計されたトレースレス親和性標識(traceless affinity label)の働きによって成し遂げることができる。特に、本発明の好ましい標的部位は、抗体の保存部位(コンセンサス結合部位とも呼ばれる)である。本発明はまた、全体として、アミノ基(例えば、表面リジン)の選択的標識化のために抗体を系統的にスクリーニングする方法、及びそのような選択的標識化に導く組成物にも関する。この態様において、スクリーニング方法により、親和性基がトレースレスであり、例えば生体直交反応性単位で標識された生成物中に現れない、部位選択的標識化が実現する。本発明は更に、抗体表面上の選択部位において様々な種類の単位のいずれか1つを導入することができる段階的過程を通して、抗体をペイロードで部位選択的に標識する実用的で進歩した方法にも関する。本発明は更に、全体として、コンビナトリアルライブラリー方法により抗体表面に部位選択的に結合された直交反応性単位(ORE)の働きによる、又は公知リンカー革新的なリフォーマティングによる、抗体とペイロードとの化学特異的結合(chemospecific union)にも関する。本発明はまた、そのような組成物の、生物学的分子活性を増強若しくはモジュレートするための、並びに/或いは抗体の安全性若しくは有効性を改善し、又は追加の活性若しくはペイロードをタンパク質のフレームワーク上に導入するためにペイロード、例えばポリマー、薬物、高分子イメージング剤(imaging agent)を結合させるための、特性評価及び使用にも関する。本発明は、全体として、モノクローナル及びポリクローナル抗体、それらのフラグメント(例えば、Fab、F(ab')2、scFv(単鎖可変)、sdAb(単一ドメイン抗体))、二重特異的抗体ダイアボディ)等の部位選択的な修飾方法を提供する。本明細書に記載する修飾法を、放射性標識化分子イメージング光プローブ、及び多数の治療用抗体用途、並びに関節リウマチ紅斑性狼瘡乾癬多発性硬化症1型糖尿病クローン病、及び全身性硬化症アルツハイマー病、癌、心・肝疾患(例えば、アルコール性肝疾患)、及びカヘキシーが含まれる多くの障害処置におけるペイロードの結合のために使用することができる。

背景技術

0003

タンパク質の化学修飾技術の重大な空白は、リジンの部位選択的/化学特異的標識方法欠如である。実際、タンパク質中で最も近づきやすいリジンの部位選択的標識用の一般スクリーンがあれば、多くの点で有利である。

0004

第1に、大半のタンパク質には多数のリジンが含有されているので、コンジュゲート開発の任意の多様な候補が提供される。これらの候補は、リジン選択性の順に位置付けられたスクリーンから明らかになる。単一の標的タンパク質結合部位に焦点を制限したプロジェクトでは、この特徴が、スクリーニング過程を多様化し、低分子開発の「数字のゲーム」に則させるのに非常に有用である。精製されたコンジュゲートの位置異性体(位置異性体)(regioisomer (positional isomer))は、異なる特性(例えば、薬物動態)を有するものと予想され、最適なコンジュゲートの臨床開発に対する洞察を与えることができるであろう。

0005

第2に、天然又は市販のタンパク質を、事前に修飾することなくスクリーニングすることができるので、多くの労力を必要とする分子生物学的方法が、ペイロードをタンパク質上に導入する前の不必要な予備の手段となる。

0006

第3に、アミンを多様なアシル化単位の標的として、生理的なpH及び温度の条件下で化学的に最も安定なもののうちに含まれるアミド結合を提供することができる。

0007

第4に、標的タンパク質に対する親和性要素及び/又は標識用単位を、タンパク質を部位選択的に標識するための既知リガンドに関する情報と組み合わせることができる。

0008

これらの理由で、タンパク質、特に抗体を部位選択的/化学特異的に修飾及びライゲーションする方法は、抗体-薬物コンジュゲート等のタンパク質コンジュゲート及び関連した架橋生成物を生成し、それらの形成を容易にするのに有用である。コンジュゲート及び架橋生成物はそれら自体は、分子診断及び治療用途を含めて多くの点で有用である。

0009

米国特許第4,883,092号
米国特許第5,010,175号
米国特許第5,182,366号
米国特許第5,270,170号
PCT出願WO 92/00091号
PCT出願WO 92/09300号
PCT出願WO 93/06121号
PCT出願WO 93/20242号
PCT出願WO 94/06451号
PCT出願WO 94/06291号
PCT出願WO 95/28640号
米国特許第5,612,034号

先行技術

0010

Click Chemistry: Diverse Chemical Function from a Few Good Reactions、H.C. Kolb、M.G. Finn及びK.B. Sharpless、Angew. Chem. Int. Ed.、2001、40、2004〜2021ページ
Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley & Sons社、New York、1999)
National Center for Biotechnology Information's Genbank and GenPept databases
Bergeら、J. Pharmaceutical Sciences、66:1〜19ページ、1977
Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use、(編者P.H. Stahl及びC.G. Wermuth)、Wiley-VCH社、2008
Jencks, W. P.、Catalysis in Chemistry and Enzymology; McGraw-Hill社:New York、1969
Fersht, A. R.、Enzyme Structure and Mechanism、第2版; Freeman社、New York
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課題を解決するための手段

0011

一態様において、本発明は、
i.ペプチド(W)と、
ii. 第1の直交反応性部分(R)と、
iii.求電子性部分を含む、WとRとの間の共有結合
を含む化合物であって、求電子性部分が、タンパク質のアミノ基と反応することができ、それによってWとRとの間の共有結合が切断される、化合物を提供する。

0012

一実施形態において、Wは、1〜25個、4〜15個、6〜10個又は4〜8個のアミノ酸残基のペプチドである。

0013

一実施形態において、WとRの間の共有結合は、-C(O)O-、-C(O)S-、-C(O)Se-、-SO2O-、-SO2S-及び-SO2Se-から選択される求電子性部分を含む。

0014

一実施形態において、ペプチドの4つ以下の位置は、3位とC末端位との間においてW、F、Y、I、又はLで固定される。

0015

一実施形態において、Rは、アルキンシクロアルキンアジド、1,3-ジエンニトリルオキシドニトロンテトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択される部分を含む。

0016

一実施形態において、本開示は、式(II):

0017

0018

(式中、
Eは、ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、-SO2NHW4、-S(O)C1〜C6アルキル、-S(O)アリール、及び-OC1〜C6アルキルからなる群から選択される部分であり、
Xは、O、S又はSeであり、
Yは、アルキル、ポリアルキレンオキシド、ペプチド、ペプトイド、及びそれらの組合せからなる群から選択されるリンカーであり、
Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択され、
R'は、-C(O)W1、-SO2W1、-CH2W2、-C(O)W3、-SO2W3、-C(O)W4又は-SO2W4であり、ここで、
W1は、N末端においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基の直鎖状ペプチドを含み、
W2は、O-チロシン又はS-チオチロシン残基においてCH2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、
W3は、2,P-ジアミノ-n-アルカン酸残基のP-アミノ基においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、ここで、Pは、3、4、5、6、7又は8であり、
W4は、N末端においてC(O)又はSO2に連結されている、25個までの残基のペプチドを含み、
qは、0、1、2、3又は4である)の構造を有する、化合物に関する。

0019

式(II)の一実施形態において、Yは、式:-(CH2CH2O)m(CH2)n-(式中、mは0〜30であり、nは1〜20である)を有する。

0020

式(II)の一実施形態において、W1、W2、W3及びW4は独立して、4〜8個又は6〜10個のアミノ酸残基のペプチドを含む。

0021

一実施形態において、式(II)の化合物は、ビオチン部分を更に含む。

0022

特定の実施形態において、式(II)の化合物は、以下に示す部分を含む。

0023

0024

特定の実施形態において、式(II)の化合物は、式(II-1):

0025

0026

(式中、
Xは-OHであり(化合物1a)、
Xは-NH2であり(化合物1b)、
Xは、

0027

0028

であり、Rは-NH2であり(化合物2)、又は
Xは、

0029

0030

であり、Rは、

0031

0032

である)の構造を有する。

0033

一実施形態において、本開示は、式(III):

0034

0035

(式中、
Eは、ハロゲン、-CN、-NO2、-SO2、-SO2NHW4、-S(O)C1〜C6アルキル、-S(O)アリール、及び-OC1〜C6アルキルからなる群から選択される部分であり、
Xは、O、S又はSeであり、
Yは、アルキル、ポリアルキレンオキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択されるリンカーであり、
Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択され、
R'は、-C(O)W1、-SO2W1、-CH2W2、-C(O)W3、-SO2W3、-C(O)W4又は-SO2W4であり、ここで、
W1は、N末端においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基の直鎖状ペプチドを含み、
W2は、O-チロシン又はS-チオチロシン残基においてCH2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、
W3は、2,P-ジアミノ-n-アルカン酸残基のP-アミノ基においてC(O)又はSO2に結合されている、1〜25個のアミノ酸残基のペプチドを含み、ここで、Pは、3、4、5、6、7又は8であり、
W4は、N末端においてC(O)又はSO2に連結している、25個までの残基のペプチドを含み、
qは、0、1、2、3又は4である)の構造を有する、化合物に関する。

0036

式(III)の一実施形態において、Yは、式:-(CH2CH2O)m(CH2)n-(式中、mは0〜30であり、nは1〜20である)を有する。

0037

式(III)の一実施形態において、W1、W2、W3及びW4は独立して、4〜8個又は6〜10個のアミノ酸残基のペプチドを含む。

0038

一実施形態において、本開示は、式(IV):

0039

0040

(式中、
Eは、

0041

0042

の群から選択され、
R1、R2、R3、R4、及びR5は独立して、H、F、Cl、NO2、CN及びLから選択され(ただし、R1、R2、R3、R4、及びR5の1つのみがLであることを条件とする)、
Lは、R-(CH2CH2O)q(CH2)r-C(O)-X-又はR-(CH2CH2O)q(CH2)r-X-SO2-であり、
Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択され、
Xは、O又はSであり、
X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は独立して、天然アミノ酸及び2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニン、-OH、-O-(C1〜C6)アルキル、-O-アリール、アミノ、-(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ-(C1〜C6)アルキルアミノの残基から選択され、又は存在せず(ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも1つが存在することを条件とする)、
Qは電子求引性置換基(例えば、ハロアルキル、-F、-NO2又は-CN)であり、
gは0〜8であり、mは0又は1であり、nは0〜8であり、pは1〜8であり、rは1〜20であり、qは0〜100である)の構造を有する、化合物に関する。

0043

式(IV)の一実施形態において、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8は独立して、グルタミン酸グルタミンアスパラギン酸アスパラギンアルギニンメチオニンセリン、チロシン、ロイシンイソロイシン、アラニン、グリシントレオニンバリンプロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニン、-OH、-O-(C1〜C6)アルキル、-O-アリール、アミノ、-(C1〜C6)アルキルアミノ、ジ-(C1〜C6)アルキルアミノの群から選択されるアミノ酸残基であり、又は存在しない(ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも1つが存在することを条件とする)。

0044

式(IV)の一実施形態において、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、又は8つが存在する。

0045

式(IV)の一実施形態において、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8の少なくとも4つは独立して、芳香族環を含有するアミノ酸、ロイシン、バリン又はイソロイシンである。

0046

別の態様において、本開示は、タンパク質のアミノ基を部位選択的に官能化して、部位選択的に官能化されたタンパク質を得る方法であって、
タンパク質を本明細書に開示される化合物のいずれか1つと接触させる工程と、
タンパク質のアミノ基と化合物の第1の直交反応性部分との間に共有結合を形成する工程と、
第1の直交反応性部分とペプチドとの間の共有結合を切断する工程と
を含む、方法に関する。

0047

方法の一実施形態において、第1の直交反応性部分はアジドを含む。

0048

一実施形態において、タンパク質は抗体であり、アミノ基は抗体のFab領域に位置する。一実施形態において、抗体は、癌又は自己免疫疾患の処置に有用な治療用抗体である。

0049

一実施形態において、化合物は、タンパク質の保存領域への親和性を有する。一実施形態において、親和性は100μM以下のKdで表される。一実施形態において、親和性は10μM以下のKdで表される。

0050

一実施形態において、方法は、
部位選択的に官能化されたタンパク質を、第2の直交反応性部分を含むペイロード化合物と接触させる工程と、
第1の直交反応性部分と第2の直交反応性部分との間に1つ又は複数の共有結合を形成する工程と
を更に含む。

0051

一実施形態において、第1の直交反応性部分はアジドを含み、第2の直交反応性部分はアルキンを含む。

0052

一実施形態において、ペイロード化合物は、イメージング部分、抗体、抗体フラグメント、タンパク質、光学剤(optical agent)、ビタミン酵素、ペプチド、ペプトイド、毒素、薬物、プロドラッグバイオマーカーに対するリガンド、又はエフロサイトーシスの刺激物質である。

0053

一実施形態において、ペイロード化合物は、ホラート、EGFR、ALK、MET、PTK7及びKRAS又はいずれかの癌遺伝子産物からなる群から選択される受容体を標的とする。

0055

一実施形態において、ペイロード化合物は、放射性標識、分子イメージング剤、光プローブ、ヌクレオチドオリゴ糖、及びポリマーからなる群から選択される。

0056

一実施形態において、第1の直交反応性部分と第2の直交反応性部分との間における1つ又は複数の共有結合の形成工程は、生理的温度及びpHにおいて行われる。

0057

一実施形態において、生理的温度は10〜45℃であり、生理的pHは5〜9である。

0058

別の態様において、本発明は、部位選択的標識用化合物を同定する方法であって、
複数の同一タンパク質を用意する工程であって、各タンパク質が2個以上のアミノ(-NH2)基を含む工程と、
複数のタンパク質を、本開示による化合物から独立して選択される複数の標識用化合物と接触させる工程と、
1つ又は複数のタンパク質の1個若しくは複数の求核基と1つ又は複数の化合物の第1の直交反応性部分との間に共有結合を形成して、1つ又は複数の標識タンパク質を得る工程と、
最高の選択性で標識されたタンパク質を同定する工程と、
対応する部位選択的標識用化合物を同定する工程と
を含む、方法を提供する。

0059

一実施形態において、方法は、最高の選択性及び最高の収率で標識されたタンパク質を同定する工程を更に含む。

0060

一実施形態において、部位選択的標識用化合物は、クリックケミストリー反応ELISA技術と併せて使用して、標的タンパク質における第1の直交反応性部分の取り込みの程度をモニタリングして同定される。

0061

一実施形態において、タンパク質は抗体である。一実施形態において、抗体は、癌又は自己免疫疾患の処置に有用な治療用抗体である。

0062

一実施形態において、求核基はアミノ基である。一実施形態において、アミノ基は抗体のFab領域に位置している。

0063

一実施形態において、標識用化合物は、タンパク質の保存領域への親和性を有する。

0064

一実施形態において、親和性は10μM以下のKdで表される。

0065

別の態様において、本開示は、抗体を標識する方法であって、
(a)抗体を式(XI):

0066

0067

(式中、
X1、X2、X3及びX4は独立して、天然アミノ酸及び2,3-ジアミノプロピオン酸、チオチロシン、4-ベンゾイルフェニルアラニン、2-チアゾール-アラニン、ノルバリン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、3-ナフチルアラニン、N-ε-カルバミル-リジン、2-チエニルアラニン、3-アミノピロリジン-4-カルボン酸、2',4'-フェニルアラニン、2',5'-フェニルアラニン、2',6'-フェニルアラニン、3',4'-フェニルアラニンの残基から選択される残基であり、又は存在せず(ただし、X1、X2、X3、及びX4の少なくとも1つが存在することを条件とする)、
Qは、H又は電子求引性置換基(例えば、ハロアルキル、-F、-NO2又は-CN)であり、
n=0〜10であり、
p=0〜10である)の化合物と接触させる工程と、
(b)工程(a)の生成物を、独立して、n=0〜20であり、m=1〜40である式(XII):

0068

0069

(式中、
Zは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択される部分であり、
Mは1〜40であり、
nは0〜20である)の化合物と接触させる
工程とを含む、方法に関する。

0070

別の態様において、本開示は、抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、
抗体を式(XIII):

0071

0072

(式中、

0073

0074

U及びU'は独立して、システインアスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、
Xは、ヒスチジン、3-(4-チアゾリル)-L-アラニン、(R)-又は(S)-2-アミノ-3-(チアゾール-5-イル)プロパン酸)であり、
Y=O、S又はSeであり、
Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミルアセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、
m=0〜30であり、
n=1〜20であり、
p=1〜20であり、
q=1〜2であり、
u=0〜5であり、
フェニル環は、F、NO2、又はCNで場合によって置換されており、
Yとベンズアミドカルボニルは、オルトメタ又はパラの関係でありうる)の化合物と接触させる工程を含む、方法に関する。

0075

別の態様において、本開示は、抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、
抗体を式(XIV):

0076

0077

(式中、
U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、
Xは、

0078

0079

であり、
Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミル、アセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、
mは0〜15であり、
nは1〜25である)の化合物と接触させる工程を含む、方法に関する。

0080

別の態様において、本開示は、抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、
抗体を式(XV):

0081

0082

(式中、
U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、リジン、又はオルニチンであり、
Xは、

0083

0084

であり、
WはHであり、かつYはFであり、又は
WはFであり、かつYはHであり、
mは0〜15であり、
nは1〜25であり、
pは0〜1である)の化合物と接触させる工程を含む、方法に関する。

0085

別の態様において、本開示は、抗体のFcフラグメントを部位選択的に標識する方法であって、
抗体を式(XVI):

0086

0087

(式中、
U及びU'は独立して、システイン、アスパルタート、グルタマート、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸、リジン、又はオルニチンであり、
Xは、

0088

0089

であり、
Y=O、S又はSeであり、
Zは、アルキニル若しくはシクロアルキニル、アジド、ホルミル、アセチル、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、trans-シクロオクテン又はテトラジンであり、
m=0〜30であり、
n=1〜20であり、
p=1〜20であり、
フェニル環は、F、NO2、又はCNで場合によって置換されており、Yとベンズアミドカルボニルは、オルト、メタ又はパラの関係でありうる)の化合物と接触させる工程を含む、方法に関する。

0090

別の態様において、本発明は、式(V):

0091

0092

(式中、
Pはタンパク質であり、
Lysはリジン残基であり、
Rは、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)からなる群から選択される部分であり、mは0〜40であり、nは1〜20である)の化合物を提供する。

0093

実施形態において、Pは抗体である。

0094

別の態様において、本発明は、式(VI):

0095

0096

(式中、
Pはタンパク質であり、
Lysはリジン残基であり、
Gはペイロード化合物を含む部分であり、
mは0〜40であり、
nは1〜20である)の化合物を提供する。

0097

実施形態において、Gはトリアゾール部分を更に含む。

0098

別の態様において、本発明は、式(V)の化合物及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。

0099

別の態様において、本発明は、患者における癌を処置する方法であって、その処置を必要とする患者に有効量の式(VI)の化合物を投与する工程を含む、方法を提供する。

図面の簡単な説明

0100

アセチレン及びアジドによって例示される直交反応性単位を利用してペイロードをタンパク質に架橋する二工程シーケンス(two-step sequence)を示す図である。第1の工程は、OREを含む部分を標的タンパク質のアミノ基に部位選択的に転移させる分子のライブラリースクリーンによる同定に関与する。工程2において、目的のペイロードは、環化付加反応によってタンパク質に架橋される。
反応性分子相補的タンパク質部位に照合する動的標識ライブラリーを示す図である。
(チオ)フェノール性エステル反応官能基を含有する、場合によって置換されている動的標識ライブラリーメンバー組成を示す図である。
直鎖の一部分として反応性官能基で場合によって置換されている動的標識ライブラリーメンバーの組成を示す図である。
アミノ基(例えば、リジンアミノ基)を含有する側鎖に結合されているベンゾイルリンカーで場合によって置換されている動的標識ライブラリーメンバーの組成を示す図である。
チオール基に連結している反応性アシル官能基で場合によって置換されている動的標識ライブラリーメンバーの組成を示す図である。
そのC末端側鎖での攻撃による固体支持体からの遊離を受ける動的標識ライブラリーの合成における中間体の組成を示す図である。
側鎖アミノ基に連結している直鎖状の反応性官能基部分で場合によって置換されている動的標識ライブラリー分子の組成を示す図である。
同族アルキルチオールリンカーを付加するための重要な中間体であるチオラクトンを示す図である。
例示的な直交反応性単位及びそれらの反応(P=タンパク質;P'=ペイロード)を示す図である。
リンカー成分として役立つ市販のフェノール及びチオフェノールベースにした例示的なプロトタイプ分子を示す図である。
最終の標識タンパク質生成物には現れない実用的な脱離基を含有するアシル転移機構による選択的標識用のパラ置換ベンズアミドリンカーを含有する例示的な一般構造の分子を示す図である。
最終の標識タンパク質生成物には現れない実用的な脱離基を含有するアシル転移機構による選択的標識用のメタ置換ベンズアミドリンカーを含有する例示的な一般構造の分子を示す図である。
最終の標識タンパク質生成物には現れない実用的な脱離基を含有するアシル転移機構による選択的標識用のオルト置換ベンズアミドリンカーを含有する例示的な一般構造の分子を示す図である。
アジドを含有するペイロードとアルキンを含有するペプチド補助物との例示的な銅促進クリック反応を示す図である。(アルキンを含有するペイロードとアジドを含有するペプチド補助物との逆クリック(inverse click reaction)反応は、リアゾール生成物の異なる位置異性体を導く)シクロアルキンの類似反応は「銅レス」であり、周囲温度で行うことができる。
別個の2つのペイロードのペプチド補助物VIへの導入を示す図である。市販のDIBCO-NH2で修飾された第1のペイロードは、銅を用いずに周囲温度で行われる。第2の縮合では、ペイロードを導入するのに第二銅イオンが必要である。生成物は、縮合反応シーケンス反転させることによっても実現することができる。
IgG抗体の構造を示す図である。
パパイン溶液での処理と、その後に続くSDS-PAGE(クーマシー染色)によるAbのFab及びFcフラグメントへのパパイン消化を示す図である。
「クリック」ケミストリーに基づくAb-薬物コンジュゲーションを示す図である。
Ab標識化のIR-Dye/ストレプトアビジンベースの検出及び定量化技法を示す図である。
Ab標識化のIR-Dye/ストレプトアビジンベースの検出及び定量化の結果を示す図である。
Ab標識化の一工程対二工程ベースの定量化を示す図である。
HSA-IRDyeコンジュゲートの標識化及び定量分析を示す図である。
HSA-IRDye標準-シグナル応答分析を示す図である。
実施例1の化合物2の質量スペクトルを示す図である。
一工程のDBCO IRDyeベースの定量化を使用するトラスツズマブの非特異的(対照)標識化を示す図である。
一工程のDBCO IRDyeベースの定量化を使用するトラスツズマブの部位選択的標識化を示す図である。
一工程のDBCO IRDyeベースの定量化を使用するトラスツズマブの非特異的(対照)標識化を示す図である。
一工程のDBCO IRDyeベースの定量化を使用するトラスツズマブの部位選択的標識化を示す図である。
実施例2の化合物の質量スペクトルを示す図である。
実施例3の化合物の質量スペクトルを示す図である。
実施例4の化合物の質量スペクトルを示す図である。
実施例5の化合物の質量スペクトルを示す図である。
実施例6の化合物のHNMRスペクトルを示す図である。
実施例6の化合物の質量スペクトルを示す図である。
実施例1の化合物1(a)の質量スペクトルを示す図である。
実施例1の化合物1(b)の質量スペクトルを示す図である。

0101

親和性標識という用語は、本明細書でタンパク質又は他の高分子と反応する可能性がある単位に連結している親和性基から構成される分子を記述するように広義に用いる。親和性基は、主として、タンパク質表面上の近位の基の選択的標識化を可能にするタンパク質又は他の高分子上の特異的部位に対する結合決定因子を(自然に又は偶然に)有する。

0102

本明細書で用いる用語「求電子性部分」は、電子引き付けられる分子を指す。そのような求電子性部分は、タンパク質及びペプチドのアミノ基等の求核試薬と反応することができる。求電子性部分の好ましい実施形態は、-C(O)O-、-C(O)S-、-C(O)Se-、-SO2O-、-SO2S-及び-SO2Se-を含む。

0103

本明細書で用いる用語「アルキル」は、完全飽和分枝状又は非分枝状炭化水素部分を指す。アルキルは、好ましくは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を含む。アルキルの代表例としては、メチルエチル、n-プロピルイソプロピルn-ブチル、sec-ブチルイソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチルネオペンチルn-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチルn-オクチル、n-ノニルn-デシル等が挙げられるが、これらに限定されない。更に、「Cx〜Cy-アルキル」(ここで、xは1〜5であり、yは2〜10である)の表現は、特定の範囲の炭素の特定のアルキル基(直鎖又は分枝鎖)を指示する。例えば、C1〜C4-アルキルの表現には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、tert-ブチル及びイソブチルが含まれるが、これらに限定されない。

0104

用語「アルケニル」は単独で又は組み合わせて、少なくとも1つのオレフィン性結合及び指示された個数の炭素原子を含む直鎖状、環状又は分枝炭化水素残基を指す。好ましいアルケニル基は、8個まで、好ましくは6個まで、特に好ましい4個までの炭素原子を有する。アルケニル基の例は、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、1-シクロヘキセニル、1-シクロペンテニルである。

0105

用語「アルキニル」は、上記のアルキルに長さが類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含有する不飽和脂肪族基を含む。例えば、用語「アルキニル」には、直鎖状アルキニル基(例えば、エチニルプロピニルブチニルペンチニルヘキシニル、ヘプチニルオクチニル、ノニニル、デシニル等)、分枝鎖状アルキニル基、及びシクロアルキル又はシクロアルケニル置換アルキニル基が含まれる。アルキニルという用語は、炭化水素骨格の1個又は複数の炭素に置きかわる酸素窒素硫黄又はリン原子を含むアルキニル基を更に含む。ある特定の実施形態において、直鎖状又は分枝鎖状アルキニル基は、その骨格に6個以下の炭素原子(例えば、直鎖状ではC2〜C6、分枝鎖状ではC3〜C6)を有する。用語C2〜C6は、2〜6個の炭素原子を含有するアルキニル基を含む。

0106

本明細書で用いる抗体という用語は、モノクローナル及びポリクローナル抗体、それらのフラグメント(例えば、Fab、F(ab')2、scFv(単鎖可変)、sdAb(単一ドメイン抗体))、二重特異的抗体、ダイアボディ)等を指すことができる。

0107

用語「アリール」は、水素と炭素のみからなり、6〜19個の炭素原子又は6〜10個の炭素原子を含有する、芳香族性単環状又は多環状、例えば、三環二環炭化水素環系を含み、環系は部分飽和でありうる。アリール基には、フェニルトリルキシリルアントリル、ナフチル及びフェナントリル等の基が含まれるが、これらに限定されない。アリール基を、多環(例えば、テトラリン)が形成されるように芳香族性でない脂環状又はヘテロ環状環と縮合又は架橋させることもできる。

0108

用語生体直交ケミストリーは、天然の生化学的過程に干渉することなく、したがって生理的温度及びpHの条件下においてタンパク質等の生物学的分子では起こるはずがない、生体系の中で起こりうるあらゆる化学反応を指す。本明細書で、用語直交と生体直交は、反応性の文脈において同義に用いる。これらの用語は、(生体)直交反応性単位がクリックケミストリー反応性であるが、生化学物質との反応には不活性であることを指示することになっている。

0109

化学選択性という用語は、化学試薬と2個以上の同様な官能基のうちの1個との優先的反応を指す。

0110

用語化学的特異性(chemospecificity)は、いくつかの同様な官能基のうちの1個のみ修飾される反応を指す。

0111

用語クリックケミストリーは、Click Chemistry: Diverse Chemical Function from a Few Good Reactions、H.C. Kolb、M.G. Finn及びK.B. Sharpless、Angew. Chem. Int. Ed.、2001、40、2004〜2021ページに定義されているように使用され、用語には、アルキン、シクロオクチンやシクロノニン等のシクロアルキン、例えばビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イルメタノール)、trans-シクロオクテン、ニトロン、ニトリルオキシド、アジド等が含まれる。

0112

用語コンジュゲートは、2つ以上の単位を結合することによって形成された化学物質(chemical compound)を指す。

0113

用語保存配列は、進化を通じて本質的に不変のままであり、したがって保存されているDNA分子中の塩基配列(又はタンパク質中のアミノ酸配列)を指す。したがって、保存部位(コンセンサス結合部位とも呼ばれる)は、不変の配列又は厳密に同様な相同性をもつ配列の進化の結果であり、したがって一般に同様な親和性を有する。

0114

用語環化付加は、2つ以上の不飽和分子(又は同じ分子の一部分)が組み合わさって、結合多重度が純減する環状付加体が形成するペリ環状化学反応を指す。

0115

用語「融合タンパク質」は、単一の天然ポリペプチド中に通常は存在していないポリペプチドドメインを少なくとも2つ有する単一分子単位を含む。したがって、天然起源のタンパク質は、本明細書で用いる「融合タンパク質」ではない。

0116

本明細書で用いる、用語「ヘテロアリール」は、5〜14環員を有し、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する芳香族性(すなわち、環系内に4n+2個のπ電子を含有する)単環状、二環状、又は三環状環(mono-, bi-, or tricyclic-membered ring)を表す。例示的なヘテロアリールとしては、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニルピラゾリルピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジルピペリジニルホモピペリジニル、ピラジニルピペラジニルピリミジニルピリダジニルオキサゾリルオキサゾリジニルイソオキサゾリルイソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル(例えば、1,3,4-チアジアゾール)、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリルキノリニルイソキノリニルベンゾイミダゾリルベンゾチアゾリルベンゾオキサゾリルフリルチエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソインダゾリルトリアゾリル、テトラゾリルオキサジアゾリルプリニル、チアジアゾリル、テトラヒドロフラニルジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリルテトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル等が挙げられるが、これらに限定されない。

0117

用語「ホットスポット」は、結合自由エネルギーの大部分をペプチド-タンパク質相互作用に寄与するペプチドのアミノ酸残基である。

0118

用語「2-オキサシル(oxacyl)」又は「α-オキサシル」は、1つがアルデヒドカルボニル又はケトカルボニルである、互いに直接結合している2つのカルボニルを指すことを意味する。

0119

本明細書で用いる用語「N-保護基」は、アミノ基を合成手順中における望ましくない反応から保護することを意図したものである基を表す。よく使用されるN-保護基は、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley & Sons社、New York、1999)で開示され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。N-保護基には、アシル、アリーロイル、又はカルバミル基、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチルトリクロロアセチルフタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイル、及びキラル補助物、例えば保護又は非保護D-、L-又はD,L-アミノ酸、例えばアラニン、ロイシン、フェニルアラニン等;スルホニルを含有する基、例えばベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニル等;カルバマート形成基、例えばベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニルジイソプロピルメトキシカルボニルイソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニルフルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル等、アルカリール基、例えばベンジルトリフェニルメチルベンジルオキシメチル等、並びにシリル基、例えばトリメチルシリル等が含まれる。好ましいN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニルフェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。

0120

用語直交反応性単位(ORE)又は直交反応性部分は、(1)本明細書で、その相互排他的な化学反応性実験室又は生理的条件下における生物学的官能基の化学反応性を識別するように、かつ(2)生物学的ポリマーが不活性であるクリックケミストリー反応に適合するように用いる。直交反応性単位の好ましい例としては、アルキン、シクロアルキン、アジド、1,3-ジエン、ニトリルオキシド、ニトロン、テトラジン、trans-シクロオクテン、及びカルボニル(例えば、アルデヒド)が挙げられる。

0121

用語ペイロードは、潜在的な商業的又は医薬的価値を有するあらゆる部分を指す。

0122

ペイロードの例としては、イメージング部分、抗体、抗体フラグメント、タンパク質、光学剤、ビタミン、酵素、ペプチド、ペプトイド、毒素、薬物、プロドラッグ、バイオマーカーに対するリガンド、エフェロサイトーシスの刺激物質、ホラート、EGFR、ALK、MET、PTK7及びKRASからなる群から選択される受容体又はあらゆる癌遺伝子産物を標的とする化合物、アントラサイクリン、タキソール、アウリスタチン、アマニチン、カンプトテシン、ブレオマイシン、カルボプラチナ、シタラビン、5-フルオロウラシル、タモキシフェン、カリケアマイシン、メイタンシン、ツブリシン、エトポシド、デュオカルマイシン誘導体、例えばCC-1065、デュオカルマイシン及びエスペラマイシン、ホラート、ピロロベンゾジアゼピン、並びにRGD連結部分が挙げられる。

0123

用語「ペプトイド」は、ペプチド模倣薬として働き、タンパク質分解に対して抵抗性であるポリ-N置換グリカンと定義する。

0124

用語「エフェロサイトーシス」は、瀕死/死細胞食作用によって除去される過程を指す。「エフェロサイトーシスの刺激物質」は、エフェロサイトーシスの過程を促進するあらゆる化合物である。用語「対象」は、疾患、障害若しくは状態に苦しみかねない又は苦しんでいる有機体、例えば原核生物及び真核生物を含むことを意図する。対象の例としては、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌウシウマブタヒツジヤギネコマウスウサギラット、及びヒト以外のトランスジェニック動物が挙げられる。ある特定の実施形態において、対象は、ヒト、例えば癌、自己免疫疾患、関節炎アテローム血栓、若しくはプラーク破裂苦しむ、苦しむリスクがある、又は潜在的に苦しみかねないヒトである。別の実施形態において、対象は細胞である。

0125

用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結させたアミノ酸の鎖を含む。用語「ペプチド」は、「タンパク質」又は「ポリペプチド」(例えば、アネキシンタンパク質顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒトスーパーオキシドジスムターゼレプチンミオグロビンアルブミンアビジン、及び酵素)も指すことができ、それらは、直鎖状に配列され、球状の形に折り畳まれたアミノ酸で作製された化合物である。様々なポリペプチド又はタンパク質を、本明細書で記載する方法及び組成物の範囲内で使用することができる。ある特定の実施形態において、タンパク質は、抗原結合部位を含有する抗体又は抗体のフラグメントを含んでもよい。本明細書で用いるタンパク質、ポリペプチド又はペプチドは、一般に遺伝子から翻訳される全長配列までの約200個を超えるアミノ酸のタンパク質;約100個を超えるアミノ酸のポリペプチド;及び/又は約3〜約100個のアミノ酸のペプチドを指すが、これらに限定されない。便宜上、用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書で同義に用いる。ある特定の文脈において、タンパク質は、アミン又はチオールを含有するあらゆる高分子を表すことができる。したがって、用語「タンパク質又はペプチド」は、天然起源のタンパク質に見られる一般的なアミノ酸の少なくとも1つ、又は少なくとも1つの修飾若しくは異常アミノ酸を含むアミノ酸配列を包含する。タンパク質又はペプチドは、タンパク質、ポリペプチド若しくはペプチドの標準分子生物的技法による発現、タンパク質若しくはペプチドの天然源からの単離、又はタンパク質若しくはペプチドの化学合成を含めて、当業者に公知のあらゆる技法で作製することができる。タンパク質、ポリペプチド及びペプチドシーケンスは、当業者に公知のコンピュータ化データベース見出すことができる。1つのそのようなデータベースは、National Center for Biotechnology Information's Genbank and GenPept databasesである。或いは、タンパク質、ポリペプチド、及びペプチドの様々な市販調製品が当業者に公知である。

0126

本明細書で用いる「生理的pH」は、7〜8、7.2〜7.6、7.3〜7.5又は7.35〜7.45のpHを指す。「生理的温度」は、36〜38℃又は36.5〜37.5℃を指す。

0127

本明細書で用いる用語「医薬組成物」の用語は、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された本明細書に記載する化合物を含有する組成物を表す。一部の実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物における疾患を処置するための治療レジメンの一部として政府規制当局承認を得て製造又は販売される。医薬組成物は、例えば、経口投与用単位剤形で(例えば、錠剤カプセル剤カプレット剤、ゲルキャップ剤、又はシロップ剤);局所投与用に(例えば、クリーム剤ゲル剤ローション剤、又は軟膏剤);静脈内投与用に(例えば、粒状塞栓がなく、静脈内使用に適した溶媒系中の滅菌溶液として);又は本明細書に記載する他のいずれかの製剤において製剤化することができる。

0128

本明細書で用いる「薬学的に許容される賦形剤」は、患者において非毒性及び非炎症性である特性を有する、本明細書に記載する化合物以外のあらゆる成分(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解することができる媒体)を指す。賦形剤には、例えば固結防止剤抗酸化剤結合剤被覆剤圧縮助剤崩壊剤色素(顔料(color))、軟化剤乳化剤充填剤(希釈剤)、皮膜形成剤若しくは被覆剤、香味料香料流動化剤(流動促進剤)、滑沢剤保存剤印刷インキ収着剤、懸濁若しくは分散剤甘味剤、又は水和水が含まれる。例示的な賦形剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウムリン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウムクロスカルメロース架橋ポリビニルピロリドンクエン酸クロスポビドン、システイン、エチルセルロースゼラチンヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースラクトースステアリン酸マグネシウムマルチトールマンニトール、メチオニン、メチルセルロースメチルパラベン微結晶セルロースポリエチレングリコールポリビニルピロリドンポビドンアルファ化デンプンプロピルパラベンパルミチン酸レチニルシェラック二酸化ケイ素カルボキシメチルセルロースナトリウムクエン酸ナトリウムデンプングリコール酸ナトリウムソルビトールデンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸スクロースタルク二酸化チタンビタミンAビタミンEビタミンC、及びキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。

0129

本明細書で用いる用語「予防する」は、本明細書に記載する疾患、障害、又は状態の1つ若しくは複数の症状、或いは状態を予防する予防処置又は処置を指す。例えば、疾患、障害、又は状態の発症より先に起こる事象の前(「事前曝露予防」)又は後(「曝露後予防」)に、予防的処置を開始することができる。本明細書に記載する化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物、或いはそれらの医薬組成物の投与を含む予防的処置は、急性短期、又は慢性でありうる。投与される用量は、予防的処置の経過中に変えてもよい。

0130

当技術分野においてよく理解されているように、本明細書で用いる「処置」は、有益な又は所望の結果、例えば臨床結果を得る手法である。有益な又は所望の結果としては、検出可能であろうと検出不可能であろうと、1つ若しくは複数の症状又は状態の軽減或いは改善;疾患、障害、又は状態の程度の縮小;疾患、障害、又は状態の状況の安定化(すなわち、悪化せず);疾患、障害、又は状態の蔓延の予防;疾患、障害、若しくは状態の進行の遅延又は緩徐;疾患、障害、若しくは状態の改善又は緩和;及び(部分にせよ完全にせよ)寛解を挙げることができるが、これらに限定されない。疾患、障害、又は状態を「緩和すること」とは、処置のない場合における程度又は時間経過に比べて、疾患、障害、若しくは状態の程度及び/又は望ましくない臨床徴候が減少され、かつ/又は進行の時間経過が緩徐若しくは延長されることを意味する。

0131

ある基が置換されている場合、その基は、1、2、3、4、5、又は6個の置換基で置換されていてもよい。任意選択の置換基としては、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン(-F、-Cl、-Br、又は-I)、アジド(-N3)、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、アシルオキシ(-OC(=O)R')、アシル(-C(=O)R')、アルコキシ(-OR')、アミド(-NR'C(=O)R"又は-C(=O)NRR')、アミノ(-NRR')、カルボン酸(-CO2H)、カルボン酸エステル(-CO2R')、カルバモイル(-OC(=O)NR'R"又は-NRC(=O)OR')、ヒドロキシ(-OH)、イソシアノ(-NC)、スルホナート(-S(=O)2OR)、スルホンアミド(-S(=O)2NRR'又は-NRS(=O)2R')、又はスルホニル(-S(=O)2R)(ここで、各R又はR'は独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、又はヘテロアリールから選択される)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、置換基自体が、例えば1、2、3、4、5、又は6個の本明細書に定義する置換基で更に置換されていてもよい。例えば、C1〜6アルキル、フェニル、又はヘテロアリール基は、1、2、3、4、5、又は6個の本明細書に記載する置換基で更に置換されていてもよい。

0132

本発明は、化合物のすべての異性(例えば、鏡像異性ジアステレオマー、及び幾何異性(又は配座異性))形、例えば、syn及びanti異性体、各不斉中心に対するR及びS立体配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE配座異性体を含む。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体並びに鏡像異性、ジアステレオマー、及び幾何異性(又は配座異性)の混合物は本発明の範囲内である。別段の記載がない限り、本発明の化合物のすべての互変異性形は本発明の範囲内である。

0133

本発明は、1個又は複数の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界に通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている、本発明の薬学的に許容される同位体標識化合物をすべて含む。本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例としては、2Hや3H等の水素の同位体、11C、13C及び14C等の炭素の同位体、36Cl等の塩素、18F等のフッ素、123Iや125I等のヨウ素、13Nや15N等の窒素、15O、17O及び18O等の酸素、32P等のリン、並びに35S等の硫黄を含む。

0134

適切な塩基由来する塩には、アルカリ金属アルカリ土類金属、及びアンモニウム塩が含まれる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウムリチウムカリウムカルシウムマグネシウム等が含まれる。1クラスの塩は、薬学的に許容される塩を含む。本明細書で用いる用語「薬学的に許容される塩」は、しっかりした医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激アレルギー応答等がなくヒト及び動物組織と接触している使用に適しており、合理的なベネフィット/リスク比に相応したそれらの塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩については、Bergeら、J. Pharmaceutical Sciences、66:1〜19ページ、1977、並びにPharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use、(編者P.H. Stahl及びC.G. Wermuth)、Wiley-VCH社、2008に記載されている。塩は、本明細書に記載する化合物の最終単離及び精製中にin situで調製することができ、又は遊離塩基性基を適当な有機酸を反応させることによって別々に調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩アジピン酸塩アルギン酸塩アスコルビン酸塩アスパラギン酸塩ベンゼンスルホン酸塩安息香酸塩硫酸水素塩ホウ酸塩酪酸塩ショウノウ酸塩ショウノウスルホン酸塩クエン酸塩シクロペンタンプロピオン酸塩ジグルコ酸塩ドデシル硫酸塩エタンスルホン酸塩フマル酸塩グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩臭化水素酸塩塩酸塩ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩ラウリン酸塩ラウリル硫酸塩リンゴ酸塩マレイン酸塩マロン酸塩メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩ニコチン酸塩、硝酸塩オレイン酸塩シュウ酸塩パルミチン酸塩パモ酸塩ペクチン酸塩過硫酸塩3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩ピクリン酸塩ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩コハク酸塩硫酸塩、酒石酸塩チオシアン酸塩トルエンスルホン酸塩ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が含まれ、同様に非毒性アンモニウム第四級アンモニウム、及びアミンカチオンには、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムテトラエチルアンモニウムメチルアミンジメチルアミントリメチルアミントリエチルアミンエチルアミン等が含まれるが、これらに限定されない。

0135

本明細書で用いる用語「薬学的に許容される溶媒和物」は、適当な溶媒分子結晶格子に組み込まれている本明細書に記載する化合物を意味する。適当な溶媒は、投与される用量において生理学的に忍容性がある。例えば、有機溶媒、水、又はそれらの混合物が含まれる溶液から結晶化、再結晶、又は沈澱によって、溶媒和物を調製することができる。適当な溶媒の例は、エタノール、水(例えば、一、二、及び三水和物)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N'-ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMEU)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2-(1H)-ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール酢酸エチルベンジルアルコール2-ピロリドン安息香酸ベンジル等である。水が溶媒であるとき、分子は「水和物」と呼ばれる。

0136

本明細書で用いる「部位特異的」は、単一の生成物(例えば、タンパク質の特定塩基性残基のアシル化)が、形成されたすべての生成物の約100%、少なくとも約90%、若しくは少なくとも約80%を占める、反応又は変換(例えば、タンパク質のアシル化)を指す。

0137

本明細書で用いる「部位選択的」は、最も大量に存在する生成物(例えば、タンパク質の特定塩基性残基のアシル化)が、形成されたすべての生成物の少なくとも約70%、少なくとも約60%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、少なくとも約30%、若しくは少なくとも約20%を占め、最も大量に存在する生成物の次に最も大量に存在する生成物に対する比が約1.1:1〜約1000:1の範囲である、反応又は変換(例えば、タンパク質のアシル化)を指す。特定の実施形態において、最も大量に存在する生成物の次に最も大量に存在する生成物に対する比が約2:1〜100:1の範囲である。別の特定の実施形態において、最も大量に存在する生成物の次に最も大量に存在する生成物に対する比が約10:1である。

0138

本明細書で用語トレースレスリンカーとトレースレス親和性標識は、同義に用いて、タンパク質との反応を指す。本明細書でトレースレスリンカー又はトレースレス親和性標識と呼ばれるのは、部位選択的にコンジュゲートしている生成物の検討によって、(連結)反応を促進した結合決定因子が微量もないことが明らかになるからである。

0139

主題発明によれば、化合物は、ORE標識のタンパク質標的への取り込みの程度についてスクリーニングされ、直交反応性単位(ORE)を含む種の標的分子の、抗体等特異的アミノ基への指向的共有結合について同定される(Click Chemistry: Diverse Chemical Function from a Few Good Reactions、H.C. Kolb、M.G. Finn及びK.B. Sharpless、Angew. Chem. Int. Ed.、2001、40、2004〜2021ページ)。この手順は、標的部位への結合決定因子の知識がいくらか知られているときの純粋化合物、又は分子のライブラリーについて行うことができる。ライブラリーメンバーは、一般に(標識に連結している)不変の反応性基、親和性基の重要な要素を成す可変性ペプチジル基に接続するリンカーからなる。データの変動を説明するのは可変性親和性基である。魅力的な化合物は最も急速に反応し、OREを含有する抗体フレームワーク上に標識を部位選択的に導入する。魅力的な化合物は追跡され、(1)それらの標識の取り込み速度が、親和性基を欠いている標準分子の標識速度に比べて比較的速いこと、又は(2)それらの鏡像異性体のような他の個々のメンバーとの比較、又はライブラリーメンバー群の総取り込み速度に基づいて「際立つ」。そのような化学選択的標識剤発見は、第2の本質的に定量的な反応が化学選択的であり、ペイロードを、(図1に例示的なアセチレン-アジド反応性対について示すように)OREの結合によりタンパク質(抗体)標的に架橋するものであることを確実にする。この第2の工程は、生物学的製剤に不活性であり、クリックケミストリー反応性である直交反応性成分を利用する。この化学特異的二工程シーケンスの最終結果は、高度の均質性を有する材料を生成し、抗体-薬物コンジュゲート等商業的及び医学的に価値のある生成物を利用できるようにすることである。ライブラリーメンバー及び抗体上の保存部位を標的とする「革新的にリフォーマットされたリガンド」は特に有用であり、高い商業価値を有することがあることを本発明者らが理解しているので、本発明の追加の特徴は、異なる抗体の類似した保存部位上に設置することができる「普遍的」抗体リンカーを含む。このOREが連結している抗体の形成は、事実上あらゆる(IgG1)抗体の部位選択的標識化を媒介する「すぐ入手できる(off the shelf)」親和性標識を有することに等しい。次いで、第2の工程において、適切に修飾されたペイロードを用いて、ORE抗体を所望のADCに変換することができる。したがって、本発明の化合物及び方法は、ペイロードとタンパク質を部位選択的及び部位特異的に架橋する方法の単純化、改良、及び標準化を行う際の特定の有用性を見出す。

0140

ライブラリーの観点から、第1の段階の方法(図2)は、いくつかのアミノ基を含有するタンパク質又は他の分子を、タンパク質表面上のアミノ基への結合を競合する分子群(ensembles of molecules)で処理する工程からなる。魅力的な分子は、OREを含有する基Yをタンパク質に最も急速に移動させる分子、したがって、動的標識ライブラリーという名称である。

0141

部位特異的(又は部位選択的)標識化の決定要因である共有結合標識速度に重点を置くことが、スクリーニングプロトコールの設計の基礎にある。酵素学から引き出された、相補性、速度と特異性との間の緊密な関係に基づいている。予想されるのは、ライブラリーメンバーが、特異的タンパク質部位との相補的相互作用によってそれらの部位に対して最大の結合親和性又は速いオンレートを有し、近位のアミノ基と最も急速にかつ特異的に反応するのはそのような部位においてであって、はるかにより低い親和性を有し又は動的に近づきやすくない部位においてではないということである。本質的に、共有結合は前会合によって(分子間速度を分子内速度に変換することによって)促進され、酵素反応と類似してエントロピー的な優位性を提供する(Jencks, W. P.、Catalysis in Chemistry and Enzymology; McGraw-Hill社:New York、1969; Fersht, A. R.、Enzyme Structure and Mechanism、第2版; Freeman社、New Yorkを参照のこと)。

0142

図2において、タンパク質は、一連の部位を含有するように概略図で示され、これらの各々が幾何学形状(geometrical shape)の形をした構造を有する。動的標識ライブラリーのメンバーは、可変性構造要素(幾何学形状(geometric shape)として示される)、架橋剤X、及びタンパク質に移される部分Yを含む三要素試剤(tripartite agent)として描かれる。XとYとの間の結合が、三要素試剤のベースライン反応性(baseline reactivity)を本質的に画定する。予想されるのは、可変性構造要素の「適合度」及びタンパク質の近位の反応性基の作用に基づく共有結合標識速度が、比較可能な結合親和性又は相補性により支援されていない同じタイプの反応性基に比べて加速されるということである。

0143

各メンバーが同じ反応性基を含有するライブラリーについて予想されるのは、速度の変動は主に可変性構造要素の結果であるということである。いずれにしても、相補的基を欠いている標準又は競合する単位(例えば、プール)の平均速度より有意に大きい、競合する系又は分子の速度の変動は、部位特異的反応を示す可能性がある。

0144

(以上に定義した)W-X-Yとして表される三要素試剤について、XとYは共に、どの試剤においても不変であり、Wは可変性構造要素を表す。したがって、データにおける変動は全部、キラル元素を含有するWの影響に起因すると考えられるべきである。したがって、目標は、標識速度及び特異性に深く影響を及ぼすよう体系的に修飾することができるWの構造モチーフを選択することである。Wが標識過程中に脱離基の一部分として遊離されるので、そのサイズ及び複雑性を最大にして、最も密接な結合及び最速の標識速度を達成させようとする。しかし、初期のスクリーンにおけるWのサイズは、主として、プール中のライブラリーメンバーの数を実用的な限界に維持するように設計された合成プロトコール、親和性要素に取り込むことができる公知リガンドの結合データ、スクリーニングの多大な労働力を必要とする要求、及び、更に何回かのスクリーニングにおいて利用することができる変動の大きさの予想によって決定される。

0145

Yのサイズ及び性質は、本発明の重要な特徴である。Yがペイロードであり、又はそれを有する、ライブラリーのスクリーニングが実施されたが、いくつかの厳しい制限がある。薬物部分(求核性である場合が多い)と反応性X-Y官能基との化学相溶性が1つの問題である。ペイロードを有するライブラリーにおいて特に重要であるのは、Yのサイズ及び複雑性であり、独特のペイロードには独特のY単位が必要とされ、したがって各タンパク質標的には独特のライブラリーが必要とされる。更に微妙な点は、Yのサイズ及び複雑性が、可変性構造要素の効果を支配し、損なう場合が多いことである。実に、Yの構造が複雑になるほど、Yの収容(accommodation)が、Wの構造によっても異なる決定的要因になりうる可能性が高くなる。これは、特にWが比較的に小さいとき該当しうる。実に、タンパク質標識化の研究は、Wが与えられている場合、Yにおける構造的特徴が、ペプチドベースライブラリーの部位特異的標識化の重要な決定要因であることを示す。したがって、ライブラリー設計において、Wの全体の構造的特徴をYの全体の構造的特徴との関連で考慮することは重要であり、したがって可変性構造要素であるYは、部位選択性及び特異性の重要な決定要因となりうる。

0146

本発明において、本発明者らには、演繹的に、(1)抗体標的によって容易に収容される可能性があり、(2)三要素試剤の固有反応性混乱させる可能性がなく、(3)基Wによって付与された潜在的選択性を混乱させる可能性がない(そのサイズをいずれにしても最適化すべきである)、適度なサイズのY単位を用いることが特に有利であるという理解がある。本発明は、ペプチド官能基のみが親和性基において利用される場合、タンパク質の大部分については、非内在性リガンド結合部位への「ヒット」につながる必須の親和性標識化を実現する実用的な閾値ペプチド長(下記参照)があるらしいという本発明者らの所見によって更に特徴づけられる。これは、意外なことではない。というのは、密接な結合というのは、内在性リガンド結合部位においてでさえ、構造的に多様な競合単位のうちでは稀な事象であるとわかったからである。したがって、動的標識ライブラリーを使用した部位特異的標識化の成功は、標的タンパク質との特異的相互作用を誘発する「クリティカルマス結合決定因子(critical mass binding determinant)」をYのサイズで釣り合わせた、可変性構造要素の使用によって決まる。したがって、多様なペイロードをタンパク質標的上に部位特異的に導入するためには、第1の工程を最適化及び標準化して、事実上あらゆるペイロードを受け入れ二工程方法が、ライブラリースクリーンに関与する任意の先行技術よりはるかに優れた代替法である。

0147

ペプチド官能基を他の公知の親和性要素と組み合わせて、閾値を超えるほど結合を増強することができる程度まで、Yのサイズは、あまり重要でないことがありうる。この戦略は、特異的部位への結合に関する情報が入手できるとき、そのような部位を標的にするライブラリー(「標的動的ライブラリー)のために採用することができる。

0148

単一工程標識シナリオでペイロードを収容する際における上記の課題を考慮に入れて、本発明の主題は、優先的に第1の段階、すなわちタンパク質をOREで部位選択的に標識する方法に関する。所望のペイロードのクリックケミストリーに関与する第2の段階は、確立した先例に従う。OREが適度なサイズであり、タンパク質によって容易に収容され、ペプチド結合等の生物学的官能基と非反応性であるので、多様なペイロードをORE標識タンパク質コンジュゲートの働きによってタンパク質に架橋する一般方法がいつでも使える。したがって、OREは、第1と第2の両段階を促進し、架橋生成物をもたらすことによって二重機能を果たす。

0149

以前に、親和性基としてペンタペプチジル可変性構造要素からなる動的標識ライブラリーを用いたヒト血清アルブミンのライブラリースクリーニングによって、タンパク質の部位特異的標識化が実現した。この場合、HASが多数のカルボキシラート含有分子を結合させることが知られているので、功を奏した成果は、ライブラリーの不変的な特徴としてC末端におけるグルタマート、及び多数のリガンドの結合剤としてのHASの入り交じった性質の取り込みの結果であった可能性がある。大部分のタンパク質は、ランダムライブラリー由来のリガンドの少数とのみ密接に結合することが知られている。本発明者らが経験したのは、動的標識ライブラリーメンバーのペプチジル親和性基が、一般に、内在性リガンドを結合させることが知られていない部位への別々の「ヒット」を実現するために、直線配列の5より多いアミノ酸を有するべきであるということであった。コンビナトリアルライブラリーによるタンパク質標的の部位特異的標識物質(site-specific labeler)の発見を促進するようにデータにおける十分な変動をもたらすために、そのようなペプチジルユニットが必要とされる。標的タンパク質への非ペプチジル親和性要素が公知である程度まで、それらの要素を可変性ペプチジル官能基と組み合わせて、結合を増強し、ペプチジル成分のサイズをモジュレートして、適切な速度向上を実現することができる。後者の場合、標的ライブラリーを構築することができる。

0150

確立したリガンド結合部位を標的とするには、合成コンビナトリアルライブラリーのハイスループットスクリーニングによる先例から、ヘキサペプチド長が、密接な結合リガンドの発見のいくつかの「ヒット」を実現するのに十分であることが示される。コンビナトリアルペプチドライブラリーを使用したビーズに関する研究によって、選ばれたプロテオームのタンパク質の捕獲をヘキサペプチドでも達成することができることが示された。実に、6〜10個のアミノ酸を含有するペプチドが、本発明者らの動的標識ライブラリーの好ましい成分である。

0151

しかし、実用的なスクリーニングの目的のために動的標識ライブラリーのサイズを制限することが好都合である。例えば、6つの位置のうちでランダム化された別々の10個のアミノ酸についてのプーリングプロトコールがあれば、100万のライブラリーメンバーが生じ、多すぎる潜在的に反応性の分子のプーリングが必要とされる。そのような見通しは、短い反応時間における不十分な混合、溶解度の問題、並びに二次及び/又は多量体反応からの競合の懸念を生じる。

0152

ライブラリーのサイズを制限するために、本発明者らは(Londonら;Birtalanらから適応させた)以下の前提に基づくライブラリーを発明した。その少なくとも2つのホットスポットが親和性標識の生産的結合に必要であり、したがって少なくとも6〜8個のアミノ酸の直鎖状ペプチドが必要である。更に、ペプチドホットスポット残基は、好ましくはペプチド中心に位置し、N-又はC末端領域において大きな比率を占めない。芳香族アミノ酸並びにロイシン及びイソロイシンは、ホットスポット残基として好ましい。London N、Movshovitz-Attias D、Schueler-Furman O The structural basis of peptide-protein binding strategies. Structure、2010年2月10日; 18(2): 188〜99ページ; Birtalan S、Zhang Y、FellouseFA、Shao L、Schaefer G、SidhuSS. The intrinsic contributions of tyrosine, serine, glycine and arginine to the affinity and specificity of antibodies. J Mol Biol. 2008年4月11日; 377(5): 1518〜28ページ。

0153

第1の段階において、OREは、ライブラリーメンバーの6〜8個のアミノ酸との固有反応性における混乱を限定し、検出及びアッセイ手がかりを提供するものと予想される。それらの適度なサイズ及び構造の単純性は、速度データの解釈矛盾するものにし、紛らわしいものとするタンパク質表面上の収容を目指した可変性構造要素との競合を回避する際に主要な利点である。三要素試剤の不変的な特徴として、種Yが各試剤とタンパク質との相互作用において同様に挙動するという仮定は、最小の構造複雑性を特に短いペプチド長とあいまって有する小さいYにより適している。

0154

第2の段階において、OREは、均質な生成物をもたらす高収率反応である可能性があるペイロードの導入のための特異的な攻撃点を提供する。ペイロードをタンパク質にコンジュゲートする文献の先例は、このシナリオを強く支持する。

0155

先行技術において、ペイロード単位は、ペイロードを分子標的に「一挙」に転移させる反応性官能基を含有する試剤の一部分として提示された。本発明において、第2の工程におけるペイロードの導入への前触れである、直交反応性単位の標的タンパク質内における取り込みは、かなりの利点及び先行技術より優れた代替策を示す。

0156

第1に、多くのOREが多様な合成法によって三要素試剤にかなり容易に取り込まれるので、合成は単純化される。OREについては、大部分の不測の事態に適応できる単一の合成モチーフを用いることができる。用いられるペイロードに応じて、合成法を、ペイロードを有するライブラリーにおける三要素試剤の構築に個別に合わせなければならない。

0157

第2に、OREの使用によって、ユニバーサルスクリーニングライブラリー、例えばあらゆるタンパク質標的に対して用いることができるライブラリーの構築が可能になり、アミノ酸がいくつかのペプチド位置のうちでランダム化されて、高度に多様なライブラリーが得られる。この特徴は、タンパク質反応性の理解を増大し、「ヒット」を生み出す戦略を最適化する構造-反応性データベースを構築するのに極めて有利である。

0158

第3に、各々がペイロードを含むライブラリーメンバーのスクリーニングは、薬物、ポリマー及びイメージング剤等が一般にかなりコストがかかるので、OREを使用して、最良標識物質を発見するよりはるかに高価である。

0159

第4に、方法の目的はOREから光プローブを作製することであるので、OREの使用により、スクリーニングを促進することができる要素が導入される。そのような光プローブは、部位特異的標識単位の検出の根拠を与える(Fluorogenic click reaction. Le Droumaguet C、Wang C、Wang Q. Chem Soc Rev. 2010、39(4): 1233〜9ページ)。

0160

第5に、結合しているペイロードによるライブラリーメンバーのスクリーニングは、ペイロードは全コンジュゲイティブ過程(overall conjugative process)にわたって収容されなければならず、ペプチド部分(可変性要素)の特異的効果及びその潜在的化学的特異性を損なう恐れがあるので、かなりの課題を提示する。OREのうちにはアルキン及びアジドがあるが、OREは最小の官能基のうちに入っており、親和性基の固有反応性及び特異性における著しい混乱を招く可能性はない。

0161

後者は、可変性ペプチジル部分のサイズが、スクリーニングの要求によって決定される場合が非常に多く、1回目において4又は5残基に制限されることがあるので、三要素試剤の設計において重大な問題であった。これらの状況において、結合しているペイロードのサイズ及び複雑性は、部位特異的標識方法の基礎にあるペプチジル部分の固有結合特異性を抑制する可能性がある。標識方法におけるこの潜在的混乱は、ライブラリースクリーニングが、最初にタンパク質標的に転移される単純な構造単位で行われ、次いで功を奏した「ヒット」の同定に際して構造的により複雑なペイロードによって置き換えられる「おとり商法的」戦略にも重大な制限を課す

0162

要するに、OREを有するライブラリーは、ペイロードを有するライブラリーにより優れたモチーフを示す。というのは、前者が、標識方法の標準化を可能にし、ペイロードのタンパク質への(近)定量的結合のための反応性単位を含み、活性化ペプチジル基Wの固有結合及び標識パターンに干渉する可能性があまりないからである。

0163

ユニバーサルライブラリー
合コンビナトリアルライブラリーのスクリーンは、平衡状態にある成分間の親和性にのみ依存するが、稀な事象として特異的部位への密接な結合分子を提供する。必ず、更に何回かのスクリーニングが、親和性を最適化するのに必要とされる。予想されるのは、三要素試剤の密接な結合と近位の反応性タンパク質アミノ基の捕獲との両方が部位特異的標識化に必要とされることを考えれば、結合ライブラリー(bonding libraries)のスクリーンがあれば、同様に稀な事象として速い標識ライブラリーメンバーが明らかになるということである。

0164

潜在的反応性ライブラリーのスクリーニングフォーマットも、結合ライブラリーのスクリーニングフォーマットより制限されているものと予想される。プールのサイズは、多くの労力を必要とするスクリーニング操作と、動的標識ライブラリーメンバーの潜在的反応性及び動的挙動(kinetic behavior)との両方によって制限される。実に、ライブラリーメンバーの数が増加していることによって、複雑性のレベルが増大している。したがって、詳細な構造情報が、実験計画及び功を奏する構造モチーフの選択を指導する際に極めて貴重なものとなりうる。しかし、タンパク質の結晶構造が多数存在しているにもかかわらず、コンピュータモデリング研究から現れるデザイナー親和性標識の例が欠けていることに留意されたい。

0165

しばしば、ライブラリー設計モチーフを整備する詳細な構造情報が入手できない。この不測の事態には、選択能力をもつ標識物質のあらゆるタンパク質の特異的アミノ基への適合を提供することができる「ユニバーサルライブラリー」の設計が考案される。実際には、この目標は、単一の特異的アミノ基の選択能力をもつ単一の標識物質の発見でさえ、稀な事象であるものと予想されるので、いずれかの1つのライブラリーについて実現することが困難である可能性がある。

0166

演繹的に、理想的なライブラリーであれば、少なくとも部位選択的標識化を示すいくつかの「ヒット」をもたらすのに十分な構造多様性をもつ一連のW単位を含有する。初期の親ライブラリーは、部位特異的標識物質を生じる必要はない。というのは、「ヒット」の構造上に組み立てるその後の何回かのスクリーニングによって、部位選択性が改善されるからである。一方、X-Yは、結合部位における又はその近くのアミンの捕捉を最適化するように十分な空間体積切り開くその能力と釣り合わなければならない。最大の効果には、キラルな部分Wをタンパク質が「感じられる」ことが不可欠である。構造データが欠けて、モデルが推測上のものであるタンパク質標的について、単一のユニバーサルライブラリー、例えば一般用途(general utility)のライブラリーを構築することは厄介なことでありうる。

0167

したがって、様々な不測の事態をカバーする可能性がある一連のライブラリーを有することが有利である。活性エステルについて図示された組成物I〜V(図3〜図8)のライブラリーは、三要素試剤によって標識速度を促進し、可変性構造要素(例えば、ペプチジル基)をタンパク質と接触させるように設計された様々な範囲の特性をまとめてカバーする。反応性エステル官能基がN末端に配置され、又は鎖の内部の位置における残基に結合しているライブラリーを両方表す。反応性エステル官能基がアリールエステル又はアルキルエステルであるライブラリーも両方表す。前者の反応性は、当技術分野においてしっかり確立された環置換によってモジュレートすることができるが、非アリールエステルは、ポリハロアルキルオキシアルキレンプロパルギル等の置換基効果によって活性化することができる。

0168

「ユニバーサルライブラリー」を用いる本発明の化合物は、混合物中の非ランダム結合の量を低減するように、他の分子上における複数の化学反応性競合部位の存在下で直交反応性単位を標的分子の特異的アミノ又はチオールに共有結合させる際にも特に使用される。その向上は、他のあらゆる標的分子又は部位に優先してあらゆる特定の標的分子又は部位への特異性の増加を示さない化合物で行われるその結合と比較することによって決定して、普通、増強は、完全ランダム結合について少なくとも約1.5倍、より普通は少なくとも約2倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍である。結合は、混合物中の特定の標的分子のほうに特異的に向けられていることがあるが、ペプチド部分等の可変性要素の親和性を最適化するために、追加的に何回かのスクリーニングを行うことなく結合がもっぱら標的分子に向けられていると予想されることはめったにない。

0169

スクリーニング対象の化合物は、次式:
Y-SPhZ-W(式中、Yは、1個若しくは複数の炭素又はアルキレンオキシド単位によって優先的にアシル官能基に連結している直交反応性基を含有し、SPhZは、しばしばm-若しくはp-チオ-ベンゾイル又はチオ-チロシル基、或いはそれらのフェノール類縁体であり、Wは、典型的に少なくとも1個のアミノ酸を含む部分である)を有する場合が多い。アルキルチオエステル等を反応性基として含有するライブラリーは、図9においてみられるように環状チオエステルを使用して、リンカー部Xを三要素試剤前駆体に導入して、SPPSにより調製することができる。

0170

チオエステルの対応するカルボン酸エステル類縁体も、有機化学当業者によって実行される、当技術分野において公知である標準化学によって利用可能である。

0171

大体において、部分Wは、オリゴマーである可変性要素であり、したがって、例えばオリゴペプチドオリゴヌクレオチド、オリゴ糖、それらの組合せ等を含めて、容易にかつ体系的に変更することができる様々な基が有用である。一般に、あらゆる特定のライブラリーにおいて表される可変性要素は、よくみられるタイプである。オリゴマー可変性要素はコンビナトリアルライブラリーとして容易に合成され、したがって合成化学は実質的に反復性であり、成長しているオリゴマーに各モノマー単位が付加される。また、オリゴマー可変性要素の組成及び/又は配列を分析するのに質量分析法が利用可能である。或いは、可変性要素は、少なくとも約200、及び約5,000以下、通常約250〜2,000の範囲の分子量を有する合成有機低分子を含んでもよい。

0172

一般に、用いられるオリゴマーは、少なくとも3個のモノマー単位、より通常は少なくとも4個のモノマー単位、かつ通常は20個のモノマー単位未満、より通常には12個のモノマー単位未満、好ましくは10個のモノマー単位未満、より好ましくは約6〜10個のモノマー単位の範囲を有する。ライブラリーにおいて表される可変性要素に関して、オリゴマーの1つ又は複数のモノマー単位は不変のままでありうる。それによって、コンビナトリアルライブラリーの全体の複雑性を低減する機構が得られる。可変性要素の最も好ましい数は4〜5である。オリゴマー可変性要素を含むモノマー単位は天然でも、又は合成でもよく、一般に約2〜30個の炭素原子、通常は約2〜18個の炭素原子、好ましくは約2〜12個の炭素原子である。

0173

可変性要素がオリゴペプチドである場合、アミノ酸モノマーは天然でも、又は合成でもよい。好都合には、天然のL-α-アミノ酸を使用するが、D-鏡像異性体を用いてもよい。

0174

オリゴマーのアミノ酸モノマーは、L-又はD-立体配置の天然アミノ酸20種のうちのいずれか1つでありうるが、用いられるアミノ酸は、優先的に、反応性官能基、特に可変性要素の反応性官能基と反応する反応性官能基を含まない。したがって、使用されるアミノ酸は、通常反応性アミノ及びチオール基並びにヒスチジンを含まない。特に重要なのは、アラニン(A)、グリシン(G)、プロリン(P)、バリン(V)、セリン(S)、フェニルアラニン(F)、イソロイシン(I)及びロイシン(L)、又はアスパラギン(N)、グルタミン(Q)及びメチオニン(M)のような非荷電極性アミノ酸、トリプトファン(W)、チロシン(Y)等の他の芳香族アミノ酸、又はアルギニン(R)、グルタマート(E)、及びアスパルタート(D)等の荷電極性アミノ酸のようなアミノ酸である。

0175

オリゴマー可変性基のアミノ酸モノマーは合成でもよく、4〜30個、通常は4〜20個の炭素を有する非天然又は置換アミノ酸でもよい。フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、及びトリプトファン(Trp)等の芳香族アミノ酸は特に注目すべきものであり、ペプチドの内部の位置におけるものが好ましい。特に重要なのは、合成アミノ酸β-アラニン及びγ-アミノブチラート、又はO-メチル置換されたトレオニン(T)、セリン(S)、チロシン(Y)等官能基が保護されたアミノ酸である。

0176

合成アミノ酸は、N-置換グリシン残基のオリゴマーであるペプトイドにおいてみられるように窒素上で一置換されていてもよい。使用されるN-置換アミノ酸は、約1〜8個、通常は1〜6個の炭素原子のN-置換基を有し、それは、脂肪族でも、脂環状でも、芳香族でも、又はヘテロ環状でもよく、通常は約3個以下のヘテロ原子を有し、それには、第三級又は第四級のアミノ、オキシ、チオ等が含まれうる。

0177

オリゴペプチドは、手動で標準メリフィールド固相合成法を用いることによって、又は自動ペプチド合成装置、標準保護化学(例えば、t-Boc又はFmoc化学)及び樹脂(例えば、4-メチルベンズヒドリルアミンRink Amide樹脂)を使用することによって構築することができる。末端アミノ基の脱保護及びアミノ酸モノマーのカップリングと、その後に続くペプチドの脱保護及び樹脂からの切断を連続して何回か行うことによって、所望の配列及び長さのオリゴペプチドの合成がもたらされる。その上、液相ペプチド合成が当技術分野において周知であり、用いることもできる。

0178

用いられるアミノ酸モノマーがN-置換グリシン残基である場合、モノマーは、t-ブチルベースの側鎖及び9-フルオレニルメトキシカルボニルα-アミン保護を取り込むことができる(例えば、Gordonら、J. of Medicinal Chemistry、(1994)、37、1387〜1385ページ、及びそこで引用された参考文献を参照のこと)。N-置換モノマーの調節されたオリゴマー化は、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ピロリジノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスファート又はブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファートによるin situ活性化を伴って、手動でかつ/又はロボット操作によって実施することができる。追加の工程は、α-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)アミノ酸を使用する標準自動ペプチド合成プロトコールに従うことができる。

0179

可変性要素がオリゴヌクレオチドを含む場合、天然又は合成ヌクレオチドモノマーを用いることができる。特に、合成ヌクレオチドでは、ホスファート又は糖基を修飾することができ、ホスファートが、酸素原子を硫黄又は窒素で置き換えることによって置換されていてもよく、ホスファート基が、スルホナート、アミド等で置き換えられていてもよく、リボース又はデオキシリボースが、アラビノースフルクトースグルコース等の5〜6個の炭素原子の糖で置き換えられていてもよく、またプリン及びピリミジンは、窒素上におけるアルキル又はアシルでの置換により修飾することができ、異なる環構造を用いてもよく、窒素を酸素で置き換えていてもよく、或いはその逆であってもよい等である。

0180

可変性要素がオリゴ糖を含む場合、オリゴ糖は、通常は、5〜8個の炭素原子の糖からなる直鎖状でも、分枝状でもよい2〜6個のモノマー単位を有する。特にレクチン又は接着分子への結合に興味がある場合、公知のオリゴ糖の様々な修飾を用いることができる。

0181

コンビナトリアルライブラリーを生成する、特に固体支持体を使用し、モノマー成分を段階的に添加する従来法に従って、可変性要素のコンビナトリアルライブラリーを調製することができる。技法に関するはるかにおびただしい文献の例示として、例えば米国特許第4,883,092号;同第5,010,175号;同第5,182,366号及び同第5,270,170号、並びにPCT出願WO 92/00091号;同WO 92/09300号;同WO 93/06121号;同WO 93/20242号;同WO 94/06451号;同WO 94/06291号及び同WO 95/28640号を参照のこと。好ましくは、合成化学は実質的に反復性であり、成長しているオリゴマーに各モノマー単位が付加される。

0182

最初に、可変性要素のコレクションを有する化合物のコンビナトリアルライブラリーは、標的タンパク質のアミノ基を共有結合標識する速度でスクリーニングされるべきである。(詳述のために、この考察はアミノ基に焦点が置かれているが、完全に類似した考慮が、例えばトシラートベースのライブラリーを使用する、チオール基を標的とするライブラリーに当てはまる)。考察するための可変性コア構造要素は、多数のモチーフが本発明者によって想定されるが、ペプチジルである。一般に、ライブラリーは、異なる少なくとも50個のペプチジル基、しばしば異なる100個のペプチジル基、通常は異なる少なくとも約500個のペプチジル基、好ましくは異なる少なくとも約1000個のペプチジル基、ことによると異なる10,000個以上のペプチジル基を表す化合物を有するが、ライブラリー中の化合物の数はスクリーニング方法に依存する。ライブラリーは、1つの化合物に対し他の化合物の割合はより大きいことがあるが、望ましくは相対濃度が約50%未満、好ましくは約25%未満異なる。スクリーニング過程では、ライブラリーをより小さいユニットに分けることができ、一般に約5〜1,000部分、しばしば約5〜500部分、通常は約10〜500部分、より普通常には約10〜100部分の範囲である。ペプチジル基の供給源は、コンビナトリアルライブラリー、天然物貯蔵された合成化合物等を含めて、あらゆる好都合な供給源とすることができる。

0183

標的でもユニバーサルでもあるKLLでは、当技術分野において公知である直交反応性単位(ORE)は、二工程標識シーケンスの工程(1)において転移されることになる最も重要な要素を構成する。アルキン及びアジドは、タンパク質標的への連結に適用される直交反応性単位の例である。アルキンは生物学的官能基に不活性であり、銅種がアジドとの付加体形成を促進するのを必要とするが、歪みシクロアルキンはアジド官能基と急速にかつ特異的に反応する。したがって、アジド基を含有するペイロードは、シクロアルキンを含有するタンパク質に不可逆的に結合して、安定なトリアゾール生成物を生成することができる。更に、シクロアルキン基を含有するペイロードは、アジドを含有するタンパク質に不可逆的に結合して、安定なトリアゾール生成物を生成することができる。何対かのORE反応パートナーを利用することによって、構造要素を生物学的分子のフレームワーク上に不可逆的にかつ特異的に結合させるという先例が多数存在する。OREは、タンパク質において自然には生じず、合成により導入される必要があるようである。それらは、生理的温度及びpHにおける生化学官能基との反応性が欠けているので、クリックケミストリーにおいて特異的にそれらのパートナーと効率的に反応する所望の役割を果たす。ペイロードをタンパク質に架橋させるように配置することができる当技術分野において公知であるいくつかの組合せを図10に示す。

0184

アルキン(シクロアルキン)及びアジド官能基、並びにテトラジン及びtrans-シクロオクテンの対は、タンパク質に関する操作を実施することが実用的である広範囲の条件下で多種多様化学官能基に不活性であるという点で、ペイロードをタンパク質に架橋するのに特に良好な選択である。したがって、タンパク質によって保有されることになるペイロードの性質は、その目的に応じて広範に変えてもよい。一用途において、ペイロードは生理活性化合物として役立つことができ、対象化合物の目的は、生理活性化合物を長命血液成分に結合させることである。ペイロードをタンパク質に結合させるプロトコールは、第一に、特定の標的部位に結合することになるOREの量を増強する働きをする三要素試剤の親和性に依存している。この第1の工程は、OREの、単一の特異的アミノ基への特異的転移に関与する。第2の工程は、単一の「クリックケミストリー」選択肢のみ、例えば別個の分子によって保有されているアルキン及びアジド成分の環化付加に制限することができる。

0185

どの標識用基が最も有用でありうるかの決定は、所望の生成物を生成する本質的に定量的な二次反応において様々なペイロードの標識上への縮合に成功する可能性に基づくことができる。単純なアセチレン、シクロアルキン等現在使用されている単位のうち、アジドの使用は、その小さいサイズ及び実行するのが容易な高速反応であるシクロオクチンとのクリックケミストリー反応における究極的な有用性を含めて、いくつかの理由で賢明な選択であるように思われる。

0186

実際、アジド基は、合成技術でも分析技術でも分離技術でも好都合な手がかりをもたらす。例えば、ビオチン-ジベンゾシクロオクチン(dibenzcyclooctyne)試薬を使用して、アジドでタグ付けされたタンパク質をビオチン化することができる。この定量的反応によって、ELISA及び/又はアルカリホスファターゼ方法においてアビジン-ビオチン技術を利用して、アジド官能基がタンパク質標的を含有する試料内に取り込まれている程度を決定する手段が得られる。或いは、分析するためには、シクロアルキンで誘導体化された様々な光プローブ(例えば、蛍光、NIR)を用いて、アジドの高分子への取り込みの程度を滴定で定量することができる。分断されたプールを使用して、ライブラリースクリーニングを実行する場合、最も反応性の高いプールが同定された後、次いでそれらを固体支持体上のシクロオクチンで処理して、アジド標識種を非反応性タンパク質から分離することができ、次いでアジド標識ペプチドを固体支持体から遊離させ、その構造を決定し、反応性ペプチド種に遡って関連付けることができる。

0187

大体において、これらの試剤の有用性はex vivo用途の文脈において表される。好ましい場合において、in vivo反応を並行して使用することができる。例えば、ライブラリースクリーニングから発見された、OREを有する親和性標識は、血液、細胞、組織等の複合混合物と組み合わされ、結合することになるその高親和性標的を目指すことができる。これらの対象化合物は、米国特許第5,612,034号に記載されているように第1の工程においてin vivo投与することができる。血液と共に使用されると、主要な標的は、免疫グロブリン赤血球、特に赤血球のグリコホリンタンパク質、血清アルブミン、及び血小板であるが、他の標的部位も利用可能である。第2の工程において、ORE標識血液成分をその相補的パートナーで追跡して、究極的な架橋生成物を得る。

0188

他の用途において、ライブラリースクリーニングから発見された、OREを有する親和性標識によって修飾されたタンパク質を、対応するOREを有するペイロードと組み合わせてもよい。

0189

ペイロードは、ポジトロン放射トモグラフィー(PET)、コンピュータトモグラフィー(CT)、単一光子放射コンピュータトモグラフィー(SPECT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、核磁気イメージング(NMI)、フルオロスコピー、超音波X線ラジオグラフィーエンドスコピーエラストグラフィー触覚イメージング、及びサーモグラフィーのような診断技法を用いることによって、体内における特異的部位又はコンパートメントの診断の可視化を可能にする化合物でありうる(エレクトロエンファログラフィー(EEG)、マグネットエンセファログラフィー(MEG)、エレクトロカルジオグラフィー(ECG)等、画像を生成するように本来設計されているわけではない測定及び記録技法等は、他の適用可能な技法を表す)。

0190

そのような用途では、ペイロードは、造影剤のようなイメージング剤、123I、125I、131I等を含むヨウ素(I)、バリウム(Ba)、ガドリニウム(Gd)、99Tcを含むテクネチウム(Tc)、31Pを含むリン(P)、[19]-Fを含むフッ素(F)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、タリウム(Tl)、51Crを含むクロム(Cr)、11Cを含む炭素(C)等の元素の放射性同位体蛍光標識化合物等を含んでもよい。そのようなOREを有するペイロードは、標的分子が相補的な反応パートナーによって前標識されている混合物中の分子を標識するのにも有用である。

0191

蛍光及びUV-Visプローブ、並びに近赤外色素等の光学剤は、潜在的なペイロードである。

0192

更に別の用途において、特異的標的結合タンパク質の結合特異性を立体的に障害又は変更するようの機能するような「ペイロード」を選択することができる。そのような単位は、当業者が容易に決定できる多くの形態をとることができ、それらには、タンパク質上の機能的部位への親和性を有する様々な化学基が含まれる。そのようなペイロードは、アミノ酸、ビオチンによく似た標的分子への結合親和性をそれら自体がもたらす働きをするオリゴマー構造体等も含むことができる。そのようなペイロードは、例えば、結合タンパク質がそのタンパク質標的に結合する能力を阻害する際に、かつチャネル酵素タンパク質、特異的受容体等の細胞膜タンパク質不活性化するために使用される。そのようなペイロードは、例えば、様々な表面膜タンパク質の機能の精査を可能にする研究目的、又は標識された標的分子の同定及び/若しくは精製の研究目的にも役立つことができる。

0193

更に別の用途において、薬物の薬物動態を、例えばその作用持続時間を増加する、その免疫原性、及び/又はその代謝速度を低減することによって改善するように、ペイロードを選択することができる。そのようなペイロードは、いくつかの形態をとることができ、それには、ポリエチレングリコールやポリシアル酸ポリマー等のポリマー、及び糸球体における排泄を制限することによって循環における高レベルを維持する働きをするヒト血清アルブミン等の様々なタンパク質が含まれる。

0194

更に別の用途において、ペイロードは、個々のモノマーより活性の高いホモ若しくはヘテロダイマーを形成するコンパニオンタンパク質であり、かつ/又は治療用途において有用な複数の生物活性をもたらすことができる。

0195

更に別の用途において、ペイロードは、治療上有用な抗体-薬物コンジュゲートをもたらす薬物又は毒素でありうる。

0196

更に他の用途において、ペイロード又はORE標識タンパク質は、抗体-薬物コンジュゲートの場合のように治療上の理由で、結合している成分を標的細胞送達する働きをする抗体でありうる。

0197

更に別の用途において、ペイロード又はORE標識タンパク質は、治療上の利点のために単位をアポトーシス上昇の領域に送達する働きをするアネキシンタンパク質でありうる。

0198

上記用途の各々において、ペイロードのORE標識受容体タンパク質への共有結合は、生物学的機能を増強し、又はその反応パートナーを含有する標的分子にそれらを加える働きをする。したがって、対象組成物を用いることによって、標的分子の性質を改変し、標的分子の特性を変更し、標的分子の同定及び/又は単離を可能にする等ができる。

0199

標的タンパク質部位において反応性官能基(例えば、アミノ)と反応させて、共有結合を形成する化学反応性官能基(例えば、チオエステル)を含むユニットを通して、可変性要素を直交反応性単位(ORE)に結合させる。標的タンパク質における共有結合形成によって、次に、OREが標的部位に共有結合し、同時に可変性要素が遊離する。

0200

本発明の組成物は、-S-CO-R-、-O-CO-R、-O-CS-R、-S-R-CH2-、-O-R-CH2を含有する反応性官能基を含み、ここで、R=アリール又はアルキルである。反応性官能基は、一般に第1の反応の時間枠内に水性環境で安定であり、通常はアシル基又はイミダートを含有し、それによって標的タンパク質のアミノ基と共有結合を形成して、アミド又はアミジン誘導体を生じることができる。大体において、反応性エステルは、チオール-又は酸素-エステルであり、フェノール化合物を含み、又はアルキルエステル等である。

0201

反応性官能基が、通常標的タンパク質におけるアミノ基と反応するように選択される一方、目標が単一の遊離システインを他の存在中で選択的に標識することである場合に、標的タンパク質上の遊離チオール部分も利用される。例えば、反応性官能基は、チオール残基に結合するのにイミン、チオイミン、トシラート等のスルホナート、ビニルスルホンマレイミド、α-ハロメチルケトンハロゲン化ベンジル又はジスルフィドを含んでもよい。

0202

本発明の組成物は、OREと可変性要素との間にリンカーを含むことができる。リンカーは、合成の便宜上、全組成物の特定の物理的特性、例えば水溶性非特異的結合の低減、反応性官能基に結合して、エステル、チオエステル、イミダート、チオイミン等をもたらす基を提供することができる。大体において、リンカーは単結合以外のとき、約2〜30個の炭素原子、及び約0〜10個、より通常は1〜8個のヘテロ原子を有するものであり、そのヘテロ原子は大体においてO、N、Se、及びSである。特定のリンカーの選択は、ORE及び可変性構造基の性質に基づき、重要な生物学的環境に関連して分子の配置に好都合な特性をもたらすように設計されている。リンカー原子が反応性官能基の一部分を構成する場合、特に重要なのは、芳香族誘導体を有し、したがって反応性官能基のヘテロ原子が直接に芳香族炭素原子に結合していることである。或いは、アルキレン又はアルキレンオキシを含有するリンカー鎖を使用して、非アリールチオエステル等を利用することができる。

0203

リンカーは、OREと可変性要素との間に有用な連結基を設けることによって、三要素試剤の反応性を増強し、水溶性を増強する様々な機能を有することができる。大体において、リンカーは、鎖中に約1〜20個の原子を有する二官能基であり、それらの原子は炭素、窒素、酸素、硫黄、セレン等でありうる。リンカーは、一般に2〜16個、より普通は1〜25個の炭素原子を有するアルキレン基;アルキレン基が2〜3個の炭素原子を有し、1〜8個、より通常は約1〜6個のユニットを有するポリオキシアルキレン基;アルファ及びオメガアミノ酸を含む、アミノ酸;或いは1〜8個、通常1〜6個のアミノ酸を有し、アミノ酸が極性又は非極性、荷電又は非荷電、脂肪族、脂環状、芳香族又はヘテロ環状、天然又は合成でありうるオリゴペプチドを含有することができる。

0204

上記から明らかなように、第1の標識用分子として用いることになる究極的な高速標識用三要素試剤の様々なユニットは、相溶性、特に安定性をライブラリー成分に付与する相溶性で選択される。多成分試剤の成分は、化合物の使用、及び成分が化合物の所期の使用に及ぼす効果に関して選択される必要もある。

0205

タンパク質標的の特定のアミノ基に対する反応性がライブラリーの他のメンバーに比べて増加したライブラリーのメンバーを、前述したようにライブラリーのサイズに応じて同定するには、ライブラリーのメンバーの全部又は一部分を、適切な反応媒体中で純粋な標的タンパク質と組み合わせることができる。媒体は、標的化合物の性質及び標的化合物に結合するために対象三要素試剤が使用される環境に応じて、広範囲に変わる。大体において、媒体は極性、特に水性であり、対象化合物が使用され、タンパク質の生物活性を維持することができる究極的な環境に更にきわめて似るように緩衝又はそうでなければ改変されていてもよい。標的タンパク質及びライブラリーメンバーの濃度は、通常は経験的に決定して、ライブラリーの様々なメンバー間の区別を最適化するように広範囲に変えてもよい。一般に、スクリーニングのためには、標的化合物の濃度は、約0.05〜5nMの範囲、好ましくは約0.1〜1.0nMの範囲であり、ライブラリーの濃度は、約10〜150nMの範囲、好ましくは約50〜100nMの範囲、より好ましくは約75〜85nMの範囲で変わる。

0206

反応温度は、系の成分の安定性と両立する広範囲にわたって変えてもよく、しばしば室温又は対象化合物が使用される環境の温度である。対象組成物が生理的に使用される程度まで、温度は、一般に約10〜45℃の範囲、より普通は約37℃である。

0207

ライブラリーの様々なメンバーによって示される標的に対する反応性の決定は、反応が開始された後に単一の時点又は複数の時点で(ライブラリーメンバーの各々を区別する)遊離された可変性要素の組成を決定することによって行うことができる。大体において、反応が開始された後、最も早期に遊離されたそれらの可変性要素は、その標的タンパク質に対して最大の反応性を示す可能性があるものである。通常は、反応を、遊離された可変性要素がそれらの迅速な決定及び区別を可能にするのに十分な集団になるまで進行させておく。脱離基の構造によって、各ライブラリーメンバーが識別されるが、脱離基は、質量分析ゲル電気泳動クロマトグラフィー、例えばHPLCTLC等を含めて、あらゆる好都合な手段によって分析することができ、適切な場合には、次いで、分離された成分をシーケンスすることができる。ライブラリーの一定分量が複数使用される場合、次いで、好ましい反応性を実証するそれらのシーケンスを、その後の決定において組み合わせて、直接比較することができる。

0208

標的タンパク質に共有結合することになる単位を含有するライブラリーのスクリーニングは、通常連続する二工程で行われる。スクリーニング過程の第1の工程は、標的タンパク質をライブラリーメンバーと接触させることを含む。反応は、プールに分割された、又は化合物1個当たり1ウェルを使用して空間的に分離されたライブラリーを使用して溶液状態で実施することができる。或いは、ライブラリースクリーンの第1の工程は、1粒のビーズに1個の化合物(OBOC)モチーフ(one bead-one compound (OBOC) motif)を使用して、固体支持体上のライブラリーで実施することもできる。

0209

ライブラリー反応は、典型的には、ポリプロピレンプレートのウェル中、室温又は37℃(に限らないが)で行われる。指定されたウェルは、典型的には適切な組成を有し、標的タンパク質の天然の生物学的構造及び機能を維持するpHの緩衝液中に0.1〜1μMの濃度で存在する標的タンパク質を含有する。

0210

溶液標識反応は、DMSO、DMF、又はCH3CN中にライブラリーメンバーを含有する一定分量を添加することによって開始されて、プール中でスクリーニングするとき全ライブラリーの典型的な濃度80μM(2% DMSO)、また空間的に分離されたフォーマット中で5μM(2% DMSO)までが得られる。標識反応は、指定時間で終結させる。その時間は、自動化を使用して5秒と短く、又は適当なクエンチ試薬(すなわち、チオエステルをクエンチするためのヒドロキシルアミン)を添加することによって1時間より長いことがある。或いは、pHを実質的に下げることによって、反応を終結させてもよい。

0211

固相技術を使用する標識反応のスクリーンは、ライブラリーメンバーに連結しているビーズをタンパク質溶液と混合することによって開始される。3つの方法を使用して、タンパク質標識化を促進することができる。第1の選択肢によって、ライブラリー全体と好まれる生物学的分子との反応が単一の反応容器中において可能になる。第2の可能性は、ビーズのライブラリー全体をプールに分け、タンパク質に対して各プールを別々にスクリーニングすることを含む。第3の手法は、各ビーズを単一のウェルに入れることを必要とし、したがってタンパク質標識化が空間的に分離された方式で実施される。固体支持体上のライブラリーの場合には、ビーズ上のライブラリーからタンパク質を含有する緩衝液を単にろ過するだけで反応を終結することができる。標識タンパク質の検出は以下の通り実施することができる。

0212

古典的サンドイッチ酵素結合免疫測定法(ELISA)におけるビオチンを用いて、市販のビオチンプローブとアジド標識タンパク質の反応を介して共有結合を検出することができる。簡潔に言えば、標的タンパク質及び大部分のそのライブラリー修飾された形態を特異的に結合させる抗体で、ポリスチレン96ウェルプレートコーティングする。各反応混合物の一部分を、抗体でコーティングされたプレートの対応するウェルに移し/ろ過し、標的タンパク質を抗体と共に室温で少なくとも2時間、又は4℃で終夜インキュベートする。次いで、プレートを空にし、リン酸緩衝食塩水(PBS、10mM Pi、pH 7.4、137mM NaCl、2.7mM KCl)と0.05% Tween 20を共に使用して10回洗浄する。この洗浄手順によって、抗体に結合していないすべての試薬がウェルから除去される。ビオチン-DIBCO試薬等のビオチン種と反応した後、次いで、酵素コンジュゲートストレプトアビジン-ホースラディッシュペルオキシダーゼを含有する溶液を洗浄したウェルに添加し、ストレプトアビジンコンジュゲートのビオチン化タンパク質(今度は、捕獲抗体に結合している)への結合が30分後に完了する。次いで、プレートを上記のように洗浄し、オルト-フェニレンジアミン又はABTS(2,2'-アジノビス[3-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸]-ジアンモニウム塩)をペルオキシダーゼ酵素基質として添加して、各ウェル中に存在しているコンジュゲートの量の視覚的尺度をもたらす。コンジュゲートの量は、ウェル中の修飾標的タンパク質の量に比例している。各ウェルの光学密度を測定し、得られた値をコンピュータスプレッドシートに記録し、分析する。

0213

したがって、スクリーニングのELISA法は、検出可能な付加体に変換することができる直交反応性単位(ORE)の測定に適用可能である(例えば、アセチレン又はアジドを、当技術分野において公知である標準方法によって測定可能なトリアゾール付加体に変換することができる(ELISA(例えば、アルカリホスファターゼ方法をジベンゾシクロオクチンと併せて、アジド標識タンパク質を捕獲する方法。類似したNIR測定、蛍光等も用いることができる(Fluorogenic click reaction. Le Droumaguet C、Wang C、Wang Q. Chem Soc Rev. 2010、39 (4):1233〜9ページ))。OREの結合によって、スクリーニング方法において好まれる柔軟性がもたらされる。OREで修飾された生物学的分子を、ビオチン含有フォーマットに容易に変換し、上記のような手法でアッセイすることができる。代替スクリーンは蛍光を利用することができる。アルキン標識タンパク質は、蛍光標識タンパク質を生成する市販の試薬と反応することができる。サンドイッチELISAの修飾は、そのような付加体の検出において実行することができる。アジド標識タンパク質を捕獲するためのジベンゾシクロオクチンの使用は、特に強力な方法である。

0214

以下の単純な例を挙げれば、適切な方法を適用する一例を示すには十分である。簡潔に言えば、標的タンパク質及びその修飾された形態を特異的に結合させる抗体で、ポリスチレン96ウェルプレートをコーティングする。次いで、アジド標識抗体とDIBCOベースのプローブとの反応に由来する蛍光又はNIR標識抗体との混合物を抗体でコーティングされたプレートの対応するウェルに移すことができ、標的タンパク質の抗体への結合が室温で少なくとも2時間、又は4℃で終夜行われる。次いで、プレートを空にし、リン酸緩衝食塩水(PBS、10mM Pi、pH 7.4、137mM NaCl、2.7mM KCl)と0.05% Tween 20を共に使用して10回洗浄する。この洗浄手順によって、共有結合していない蛍光材料が除去される。各ウェルの蛍光を測定し、得られた値をコンピュータのスプレッドシートに記録し、分析する。

0215

反応性チオエステルライブラリーを利用するとき、チオール特異的蛍光プローブを使用して、反応の進行をモニターすることができる。固体支持体上のライブラリーを用いて実施するスクリーンでは、タンパク質での処理後に形成される遊離チオールを、当技術分野において公知である蛍光剤によって捕捉することができる。次いで、蛍光ビーズを非蛍光ビーズから分離することができ、次いで、会合しているライブラリーメンバーの構造を質量分析により決定することができる。

0216

質量分析(MS)を検出方法として実行すると、タンパク質の標識状態に関するデータを直接に同時収集することが可能になる。本発明者らが発明したMSスクリーンは、標的タンパク質の標識化の程度に関する迅速な情報を送達し、標識を担う単位を迅速かつ明確に決定する。

0217

反応するプールの反応経過を、質量分析を用いてモニターすると、標識化の程度と標識用単位の両方に関する価値ある情報を送達することができる。本発明者らは、ある特定のプールにおける2つのライブラリーメンバーが同じ質量をもたないプールを設計する。プールを反応の前後に分析(MALDI/ESI)して、ライブラリーメンバーのピーク強度の変化を決定する。強度の顕著な低下は、ライブラリーメンバーの高反応性と関連する。

0218

空間的に分離された単位を使用して、標識反応が溶液状態で実施されるとき、方法を完全に自動化することができる。ライブラリーメンバーを384ウェルプレートのウェルに分配した後、タンパク質溶液を添加することができる。特定の時間は5秒と短く、又は1時間より長くでもよいが、特定の時間において、pHを下げることによって、反応を終結することができる(試料をMALDIマトリックスと混合し、それらを個別にMALDIプレートの384スポットに移すことによって実現される)。タンパク質標識化の程度及びライブラリーメンバーの構造特性に関する情報を送達するデータの取得は、完全に自動化することができる。

0219

固体支持体上で行われるスクリーンでは、アンモニアで切断可能なライブラリーを調製することができる。そのような場合に、溶液状態ではなくビーズ上のライブラリーがウェルを占める点以外は上記のように、方法を自動化することができる。タンパク質を含有する可溶性媒体をビーズとの接触から分離し、各ウェルからのそのような試料を質量分析(MALDI/ESI)にかけて、タンパク質標識化の程度を決定することによって、反応を終結することができる。最も高度に標識されたタンパク質を生成した試料をそれらのホストウェルと関連付けることによって、次いで、アンモニアを添加することによって、その中のライブラリー単位をそれらの会合しているビーズから切断することができる。次いで、遊離された単位の構造分析(MALDI/ESI)を実施して、速い標識物質を同定することができ、次いで、その反応性及び特異性を確認することができる。

0220

対象親和性標識化合物を従来の方法に従って合成する。オリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドを合成するための合成装置が市販されている。以上に引用した参考文献を参照のこと。様々な従来の化学的性質を用いることができる。官能基、リンカー、及びOREの性質に応じて、分子を合理的な収率で、かつ複合混合物を形成することなく合成することができる合成戦略が考案される。特定の合成戦略は、経験的にかつ個々別々に決定される。様々な化合物を組み合わせる方法は文献で周知であり、有利に用いることができる。ペイロードの前駆体、特に薬物のプロドラッグが公知である場合、プロドラッグはしばしば、ペイロードを有する第2の種中における連結基及びOREの性質を示す。

0221

タンパク質に架橋しているペイロードを含む対象生成物は、生理学的に投与されるとき、ボーラスとして投与することができるが、定量フロー(metered flow)を使用した輸注等によってゆっくり時間をかけて導入することができる。或いは、好ましくないが、血液をホストから取り除き、親和性標識化合物とex vivoで接触させ、ホストに戻してもよい。しかし、投与方法は特定の用途に依存しており、ペイロード又はタンパク質の作用の中心及び薬剤特性に依存することがある。生理学的に許容される媒体、例えば脱イオン水、リン酸緩衝食塩水、生理食塩水、マンニトール、水性グルコース、アルコール植物油等中の架橋生成物が投与される。望むなら、2回以上の注射を使用することができるが、通常は単回注射が用いられる。架橋生成物を注射器カテーテル等を含めてあらゆる好都合な手段で投与することができる。特定の投与様式は、単回ボーラス投与せよ、逐次投与にせよ、又は連続投与等にせよ、投与される量に応じて変わる。導入部位が本発明にとって重要でない場合、投与は、血管内、好ましくは急速な血流が存在する部位、例えば静脈内、末梢又は中心静脈で投与されることが多い。意図は、投与された化合物が脈管系においてその中の標的分子と反応することができるように効率的に分配されることである。

0222

架橋生成物の投与量は、用いられる特異的単位に依存し、したがって重要な単位の有害作用がある場合はそれ自体、求められている効能、化合物の血管成分による破壊に対する感度投与経路等に依存している。必要に応じて、架橋生成物の投与量は、経験的に決定することができ、最初に通常投与される投与量の小倍数(small multiple)を使用して、得られる経験が豊かになるにつれて、投与量を増強する。投与量は、一般に1ng/Kg〜10mg/Kgの範囲であり、通常は前臨床及び臨床試験において提供されるように公知の方式に従って経験的に決定される。

0223

標的化動的標識用ライブラリー及びトレースレス親和性標識
前述の説明は、主に親和性要素がオリゴマー官能基のみを含有するライブラリーに基づき、標的タンパク質に対するリガンドについての情報は本質的に存在していない。そのようなライブラリーは、アミノ酸をいくつかの可変性位置のうちでランダム化することによって構築され、タンパク質の不偏な第一選択スクリーンを表すという点で「ユニバーサル」動的標識用ライブラリーである。特異的部位への結合決定因子が利用可能であるとき、ライブラリーにおいてそのような公知の親和性(ペプチジル又は非ペプチジル)要素を取り込み又は組み立てることが好都合である。それらを可変性(例えば、ペプチジル)要素と組み合わせて、親和性基の不変的な特徴とすることによって、ライブラリーは、標的タンパク質部位を本質的に標的にし、それらに偏向している。このシナリオでは、コンビナトリアルライブラリーの全体の複雑性を低減することができ、一方ではライブラリーメンバーのタンパク質標的に対する親和性が増強する。

0224

リフォーマット又は再改変された親和性標識
動的標識用ライブラリーの特有の特徴は、標的タンパク質にコンジュゲートしている単位がトレースレスリンカー(又は、代替的にトレースレス親和性標識)に由来することである。この特徴は、コンジュゲートされたタンパク質には現れない非常に多様な結合決定因子が親和性標識に存在することが可能になるという点で、標識化にとって最も重要なものである。この設計要素は、極めて複雑であり、機能的役割も望ましい特性ももたない外来要素と等しい場合が多い結合決定因子の保持につながる手法に比べて大きな利点をもたらす。

0225

したがって、本発明は、ライブラリースクリーニングによってせよ、又はこれまで結合決定因子を標的タンパク質にコンジュゲートさせる親和性標識の革新的なリフォーマッティングによってにせよ、抗体等の標的タンパク質のOREによる部位選択的標識化を対象とするだけではない。

0226

本発明者らは、本発明の具体例を提供する:IgG抗体のヌクレオチド結合ポケット(NBP)を標的とする抗体のトレースレスリンカー。これらの例によって、親和性基を利用して、生成物の完全性を損なうことなくトレースレス部位選択的標識化を達成することができるという原理誘起される。

0227

この手法は、すべての免疫グロブリンFabアームに存在するヌクレオチド結合ポケット(NBP)を同定したRajagopalanらの所見(下記のPubMed Commonsのコメント、Proc Natl Acad Sci U S A.、1996年6月11日; 93(12): 6019〜24ページ、Novel unconventional binding site in the variable region of immunoglobulinsを参照のこと)を基礎に置くものである。この高度に保存されたポケットは、すべての抗体アイソタイプ可変軽鎖(VL)と可変重鎖(VH)のドメインとの間に位置している。in silicoドッキング研究を通して、Handlogtenらは、インドール-3-酪酸(4-(3-インドリル)酪酸)を、1〜8μMの範囲のKdを有するNBPに結合し、結合親和性が抗体に依存している化合物と同定した。Alvesらは、IgGのNBP内における特異的残基に架橋するインドール基に頼るUV光架橋方法報告した。Alves, N. J.ら、(2013) Oriented antibody immobilization by site-specific UV photocrosslinking of biotin at the conserved nucleotide binding site for enhanced antigen detection. Biosens. Bioelectron. 49、387〜393ページ;Handlogten, M. W.ら、(2011) Design of a heterobivalent ligand to inhibitIgEclustering on mast cells. Chem. Biol. 18、1179〜1188ページ。(26)Alves, N. J.ら、(2012) Small-molecule-based affinity chromatography method for antibody purification via nucleotide binding site targeting. Anal. Chem. 84、7721〜8ページ及びその中の参考文献。

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