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技術 免疫調節のための微生物叢の選択的変更

出願人 エスエヌアイピーアール・テクノロジーズ・リミテッド
発明者 ジャスパー・クルーブモルテン・ソマークリスティアン・グレンダールルーベン・バスケス-ウリベエリック・ファン・デル・ヘルム
出願日 2017年6月4日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2018-563579
公開日 2019年6月24日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-517529
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 移動レベル 組み合わせ後 調節モジュール 代替バージョン 相利共生 液体領域 飲料製造用 増減率
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図面 (17)

課題・解決手段

本発明は、患者微生物叢を変更することによって、患者の免疫細胞を調節する方法に関する。本発明はまた、対象の微生物叢を変更することによって、対象生物における処置または治療を調節する方法に関する。本発明はまた、細胞集団、システムアレイ細胞、RNA、キットおよび、これをもたらす他の手段にも関する。一例では、誘導型核酸改変を用いたヒト腸内微生物叢中の特定の種の有利な選択的標的化が、該変更をもたらすために実行される。

概要

背景

本発明の背景
免疫療法の1つのアプローチは、腫瘍を認識して攻撃する細胞表面抗原受容体(CAR)を発現するように、患者自身の(またはドナーの)免疫細胞を操作することを包含する。養子細胞移入(ACT)と呼ばれる、本アプローチは、今までのところ小規模臨床試験に限られていたが、これらの操作された免疫細胞を用いた処置は、進行がん患者においていくつかの顕著な反応をもたらしている。

キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞シグナル伝達ドメインと融合した、抗体由来標的化ドメインから成り、T細胞により発現された場合に、CARの標的化ドメインにより決定される抗原特異性をT細胞に付与する。CARは、抗体ベースの標的化ドメインが利用可能である限り、T細胞のエフェクター機能を、細胞表面上に発現される任意のタンパク質および非タンパク質標的に方向転換させることができる可能性がある。それによって、本戦略は、標的細胞による抗原プロセシングおよび提示の必要性を回避し、炭水化物などの非古典的T細胞標的に適用可能である。このHLA拘束性の回避は、CAR T細胞のアプローチが、養子T細胞療法の適用可能性を広げる一般的なツールとして使用できることを意味する。例えば、MethodsMol Biol. 2012;907:645−66. doi: 10.1007/978−1−61779−974−7_36, “Chimeric antigen receptors for T−cell based therapy”, Cheadle EJ et al.を参照されたい。

最初のCAR−T構築物は、PNASにおいて、免疫療法のパイオニアであるZelig Eshharにより、1989年の論文に記載された。CARの構造には、今や、異なる細胞タンパク質由来の異なるドメインのキメラである、膜貫通ポリペプチド鎖を含む。例えば、CARは、細胞内部分に(多くの場合、リンカーおよび/またはヒンジ領域によって)連結された細胞外部分を有し、免疫細胞、通常はT細胞の膜に該受容体を埋め込むCARの膜貫通部分を有する。細胞外部分は、一般にはがん細胞の表面上の腫瘍関連抗原(TAA)である標的抗原を認識する抗体結合部位(通常、例えばマウスmAbに由来する、scFvの形態である)を含む。このようにして抗原認識は、MHC拘束性の抗原提示を必要とするTCRに頼る必要性をなくし、結合親和性が比較的低い可能性がある。CARの細胞内部分は、典型的に、抗原が細胞外結合部位に結合した際の細胞内シグナル伝達のための、CD3ゼータ(CD3ζ)ドメインを含む。後の世代のCARはまた、しばしば4−1BB(CD137)またはCD28細胞内ドメインである、T細胞媒介応答を増強するさらなるドメインを含む。CAR結合部位のコグネイトの抗原リガンド遭遇すると、CARは細胞内シグナリング伝達を活性化し、CAR T細胞の活性化により腫瘍細胞死滅を促進することができる。

大部分のCAR−Tはインビボで増殖するので、従来の意味での用量漸増(dose titration)は困難であり、多くの場合、操作されたT細胞は「永遠に」活性であると考えられる−すなわち、ほとんどのこれまでのCD19 CAR−T臨床試験において、進行中のB細胞無形成が見られた。このことは、CAR T細胞のアプローチに重大な問題を提起する。いくつかの観察されたリスクが、Discov Med. 2014 Nov;18(100):265−71, “Challenges to chimeric antigen receptor (CAR)−T cell therapy forがん”, Magee MS & SnookAE議論されており、本文献は、CAR−T細胞処置後の最初の重大な有害事象は、および肝臓転移性結腸直腸がんの患者で生じたこと(Morgan et al., 2010)を説明している。この患者は、上皮増殖因子受容体2(ERBB2、HER2)を標的とする第三世代CARを発現するT細胞で処置された。該CARは、HER2陽性乳がんの処置のためにFDA承認された4D5抗体由来のscFv(トラスツズマブ)を含有していた(Zhao et al., 2009)。この患者は、1010 CAR−T細胞の単回投与を受けてから15分以内に呼吸促迫発症し、その後5日間にわたって複数回の心停止が起こり、最終的に死に至った。処置4時間後の血清解析では、サイトカインFNγ、GMCSF、TNFα、IL−6、およびIL−10の顕著な増加が明らかとなった。CAR−T細胞は肺および腹部および縦隔リンパ節に見られたが、腫瘍転移には見られなかった。研究者らは、毒性は、肺上皮におけるHER2の認識に起因し、炎症性サイトカインを放出して肺毒性を生みだし、および、サイトカイン放出症候群(CRS)をもたらして多臓器不全を引き起こすと考えた(Morgan et al.,2010)。保守的な用量漸増(dose−escalation)戦略の後に異なる抗体(FRP5)由来の第二世代のHER2を標的とするCARを利用する試験が、他の研究者によって様々なHER2+悪性腫瘍に対して現在進行中である(clinicaltrials.govの識別番号NCT01109095、NCT00889954、およびNCT00902044)。

CAR T細胞のテーマ一種は、抗体共役型T細胞受容体(ACTR)療法であり、腫瘍特異的IgGFc領域に結合するCD16A(FCγRIIIA)を使用する(例えば、WO2015/058018、US2015139943を参照)。目的は、患者に投与されるIgGを用量設定することによって、インビボでのCAR T細胞活性のより多くの制御を可能にすることである。しかしながら、CAR−T細胞のCD16結合部位は、患者の内因性IgGにも自由に結合し得、このことは、該アプローチの魅力を低下させる。該アプローチはまた、体内のIgGの本質的に長い半減期(ヒトIgGではおよそ20日間)を考慮する必要があり、CAR細胞活性の制御を制限する可能性がある。進行中の研究はこのリスクを評価し得る。

CAR−T細胞アプローチおよび他の細胞ベースのアプローチのような、免疫細胞ベース治療を調節(ダウンレギュレートまたはアップレギュレート)する代替方法を提供することが望ましいであろう。自己免疫性の、炎症性の、および感染性疾病および症状などの、内因性免疫細胞により媒介される疾病および症状に対処する方法を提供することもまた、望ましいであろう。

概要

本発明は、患者の微生物叢を変更することによって、患者の免疫細胞を調節する方法に関する。本発明はまた、対象の微生物叢を変更することによって、対象生物における処置または治療を調節する方法に関する。本発明はまた、細胞集団、システムアレイ、細胞、RNA、キットおよび、これをもたらす他の手段にも関する。一例では、誘導型核酸改変を用いたヒト腸内微生物叢中の特定の種の有利な選択的標的化が、該変更をもたらすために実行される。

目的

目的は、患者に投与されるIgGを用量設定することによって、インビボでのCAR T細胞活性のより多くの制御を可能にすることである

効果

実績

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請求項1

患者において疾病または症状を処置または軽減する方法において用いるための誘導型ヌクレアーゼステムであって、該方法が、該システムの誘導型ヌクレアーゼを用いて患者の微生物叢を変更することにより患者において免疫細胞を調節することを含み、該疾病または症状が、免疫細胞(例えば、T細胞)により媒介されるか、または、患者において免疫細胞活性または免疫細胞集団を変更することにより処置または予防される、誘導型ヌクレアーゼシステム。

請求項2

該方法が、該微生物叢中の第1の種の細胞のゲノムを誘導型ヌクレアーゼを用いて選択的に標的化して該変更をもたらすことを含む、請求項1に記載のシステム。

請求項3

該選択的標的化が、(i)前記第1の種と同じ門の種、または(ii)前記第1の種の異なる株を標的とすることを回避する、請求項2に記載のシステム。

請求項4

該方法が、微生物叢において第2の細胞を標的とせずに第1の細胞を選択的に死滅させ、第2の細胞が、(i)第1の種の株に関連する株の細胞であるか、または(ii)第1の種と異なり、かつ第1の種と系統学的に関連する種の細胞であり、第2の種または株が、第1の細胞の種または株の16sリボソームRNAをコードするDNA配列と少なくとも80%同一である16sリボソームRNAをコードするDNA配列を有し、微生物叢における第2の細胞の増殖が、前記方法によって阻害されないか、または、前記第1の細胞の増殖が、第2の細胞の少なくとも5倍の増殖阻害で阻害される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。

請求項5

(a)患者がヒト患者であり;(b)微生物叢が腸内微生物叢であり;(c)該方法が、誘導型ヌクレアーゼを用いて微生物叢において第1の種のゲノムを選択的に標的化して該変更をもたらすことを含み;および(d)該方法が、微生物叢において第2の細胞を標的とせずに第1の細胞を選択的に死滅させ、第2の細胞が、(a)第1の種の株に関連する株の細胞であるか、または(b)第1の種と異なり、かつ第1の種と系統学的に関連する種の細胞であり、第2の種または株が、第1の細胞の種または株の16sリボソームRNAをコードするDNA配列と少なくとも80%同一である16sリボソームRNAをコードするDNA配列を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。

請求項6

患者において疾病または症状を治療または予防するための患者の養子細胞療法の方法における使用のための、免疫細胞のエクスビボ集団であって、該方法が、(a)該集団の細胞を患者に投与することを含む養子免疫細胞療法を患者において実行すること、ここで、該免疫細胞の投与は、患者において疾病または症状を処置することが可能である;および(b)患者の腸内微生物叢において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団相対的割合を変更し、それにより、患者において免疫細胞療法を調節する変更された腸内微生物叢を産生すること;を含み、ここで、ステップ(b)は、患者の微生物叢に、前記免疫細胞集団と同時に、または連続して、抗細菌または抗古細菌誘導型ヌクレアーゼシステムを投与することにより、第1の細胞の亜集団を標的化することによって実行され、それにより、第1の細胞が死滅するか、該亜集団の増殖が低下し、それにより、患者の腸内微生物叢における前記亜集団の割合を低減させる、免疫細胞のエクスビボ集団。

請求項7

第1の細胞が、細菌または古細菌の細胞であり、例えばファーミキューテス門(Firmicutes)の細胞である、請求項2〜6のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項8

該方法が、第1の種の細胞の1つ以上の標的ゲノムまたはエピソームヌクレオチド配列改変(例えば、切断および/または変異)することを含む、請求項2〜7のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項9

第1の細胞が宿主細胞の集団を含み、該方法が宿主細胞において標的配列を改変することを含み、標的配列の改変が、a.微生物叢を、宿主改変(HM)crRNAをコードする操作された核酸配列の複数のコピーと組み合わせること、およびb.宿主細胞においてHM−crRNAを発現させることにより実行され、ここで、操作された各核酸配列は、個々の宿主細胞においてCasヌクレアーゼと作動可能であり、HM−CRlSPR/Casシステムを形成し、かつ、該操作された配列は、(i)HM−crRNAをコードする、スペーサーおよびリピート配列;(ii)宿主細胞の標的配列にハイブリダイズしてCasヌクレアーゼを宿主細胞の標的配列に誘導することができる配列を含む、HM−crRNA;を含み、場合により、HM−システムは、tracrRNA配列またはtracrRNA配列を発現するDNA配列を含み、それにより、HM−crRNAは宿主細胞において宿主標的配列のCas改変を誘導し、それにより、宿主細胞が死滅するか、宿主細胞集団の増殖が低下し、それにより、微生物叢において前記第1の細胞の割合を低減させる、請求項2〜8のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項10

調節された免疫細胞が、患者の内因性細胞および/または(例えば養子細胞療法を介して)投与された細胞を含む、請求項1〜5および7〜9のいずれか一項に記載のシステム。

請求項11

ヌクレアーゼが、RNA誘導型ヌクレアーゼである、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項12

システムが、操作されたCRlSPR/Casシステム、TALENシステム、メガヌクレアーゼシステムまたはジンクフィンガーシステムである、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項13

該方法が、患者において、(i)TH1、Th17および/またはTreg細胞集団をアップレギュレートするか、または、(ii)TH1、Th17および/またはTreg細胞集団をダウンレギュレートする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項14

該方法が、患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、(a)患者において治療を実行すること;および(b)誘導型ヌクレアーゼを用いて微生物叢の前記変更を実行することにより、患者において腸内細菌の微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、前記ディスバイオシスが、患者において免疫細胞の前記調節をおこなうことにより、患者において治療を調節すること、を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項15

該方法が、(a)患者の免疫チェックポイントアンタゴニズムまたはアゴニズムの治療を増強すること、場合により、治療は、イピリムマブ(すなわちYERVOY商標)、トレリムマブ、ニボルマブ(すなわちOPDIVO商標)ペンブロリズマブ(すなわちKEYTRUDA商標)、ピディリズマブ、BMS−936559、デュバルマブおよびアテゾリズマブから選択される抗体を用いた抗体療法である;または(b)疾病または症状のワクチン療法を調節すること;または(c)疾病または症状の細胞療法(例えば、養子免疫細胞療法)を調節すること、場合により、細胞ベースの治療またはその副作用(例えば、サイトカイン放出症候群)を弱めるために調節すること;または(d)患者においてがんの処置のためのCAR−TまたはTIL療法を調節すること;または(e)Th2細胞サイトカイン放出によって媒介される患者における自己中毒を低減させること、を目的とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項16

疾病または症状が、がん、自己免疫性の疾病または症状、炎症性の疾病または症状、ウイルス感染症(例えば、ヒト患者のHIV感染症)、アレルギー性の疾病または症状、または、ウイルス感染症により媒介されるか、または、引き起こされる疾病または症状である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項17

第1の細胞集団の増殖が、少なくとも5倍低下する、請求項2〜16のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項18

微生物叢が、患者の腸内微生物叢である、請求項2〜5および7〜10のいずれか一項に記載のシステム。

請求項19

該方法を実行して微生物叢を変更し、それにより患者においてパネート細胞刺激し、それにより免疫細胞が調節され、疾病または症状が処置または低減されることを目的とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステムまたは集団。

請求項20

請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実行するための該請求項に記載のシステムにおいて用いるための、誘導型ヌクレアーゼ;または、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を用いて患者において疾病または症状を治療するために患者へ投与するための、HM−CRlSPR/Casシステム、gRNA、HM−アレイもしくはHM−crRNA;または、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法を実行するために前記請求項のHM−CRlSPR/Casシステムにおいて用いるための、HM−アレイ、gRNAもしくはHM−crRNA;または、該システム、HM−アレイ、gRNAまたはHM−crRNAを含む、またはコードする、第1の細胞に感染することができるか、または第1の細胞を形質転換することができる、ベクター、例えば、バクテリオファージ接合性プラスミドもしくはトランスポゾン;または、該システム、HM−アレイ、gRNAまたはHM−crRNAを含む、またはコードする、医薬;ここで、場合により、gRNAはシングルガイドRNAである。

請求項21

患者において疾病または症状を処置または軽減する方法であって、請求項1〜19のいずれか一項に記載される、方法。

技術分野

0001

本発明の分野
本発明は、患者微生物叢を変更することにより患者の免疫細胞(患者の内因性細胞および/または(例えば養子細胞療法を介して)投与された細胞)を調節する方法に関する。本発明はまた、対象の微生物叢を変更することにより対象において処置または治療を調節する方法に関する。本発明はまた、細胞集団、システムキット、および、これをもたらす他の手段に関する。一例では、誘導型核酸改変を用いたヒト腸内微生物叢中の特定の種の有利な選択的標的化が、該変更をもたらすために実行される。

背景技術

0002

本発明の背景
免疫療法の1つのアプローチは、腫瘍を認識して攻撃する細胞表面抗原受容体(CAR)を発現するように、患者自身の(またはドナーの)免疫細胞を操作することを包含する。養子細胞移入(ACT)と呼ばれる、本アプローチは、今までのところ小規模臨床試験に限られていたが、これらの操作された免疫細胞を用いた処置は、進行がんの患者においていくつかの顕著な反応をもたらしている。

0003

キメラ抗原受容体(CAR)は、T細胞シグナル伝達ドメインと融合した、抗体由来標的化ドメインから成り、T細胞により発現された場合に、CARの標的化ドメインにより決定される抗原特異性をT細胞に付与する。CARは、抗体ベースの標的化ドメインが利用可能である限り、T細胞のエフェクター機能を、細胞表面上に発現される任意のタンパク質および非タンパク質標的に方向転換させることができる可能性がある。それによって、本戦略は、標的細胞による抗原プロセシングおよび提示の必要性を回避し、炭水化物などの非古典的T細胞標的に適用可能である。このHLA拘束性の回避は、CAR T細胞のアプローチが、養子T細胞療法の適用可能性を広げる一般的なツールとして使用できることを意味する。例えば、MethodsMol Biol. 2012;907:645−66. doi: 10.1007/978−1−61779−974−7_36, “Chimeric antigen receptors for T−cell based therapy”, Cheadle EJ et al.を参照されたい。

0004

最初のCAR−T構築物は、PNASにおいて、免疫療法のパイオニアであるZelig Eshharにより、1989年の論文に記載された。CARの構造には、今や、異なる細胞タンパク質由来の異なるドメインのキメラである、膜貫通ポリペプチド鎖を含む。例えば、CARは、細胞内部分に(多くの場合、リンカーおよび/またはヒンジ領域によって)連結された細胞外部分を有し、免疫細胞、通常はT細胞の膜に該受容体を埋め込むCARの膜貫通部分を有する。細胞外部分は、一般にはがん細胞の表面上の腫瘍関連抗原(TAA)である標的抗原を認識する抗体結合部位(通常、例えばマウスmAbに由来する、scFvの形態である)を含む。このようにして抗原認識は、MHC拘束性の抗原提示を必要とするTCRに頼る必要性をなくし、結合親和性が比較的低い可能性がある。CARの細胞内部分は、典型的に、抗原が細胞外結合部位に結合した際の細胞内シグナル伝達のための、CD3ゼータ(CD3ζ)ドメインを含む。後の世代のCARはまた、しばしば4−1BB(CD137)またはCD28細胞内ドメインである、T細胞媒介応答を増強するさらなるドメインを含む。CAR結合部位のコグネイトの抗原リガンド遭遇すると、CARは細胞内シグナリング伝達を活性化し、CAR T細胞の活性化により腫瘍細胞死滅を促進することができる。

0005

大部分のCAR−Tはインビボで増殖するので、従来の意味での用量漸増(dose titration)は困難であり、多くの場合、操作されたT細胞は「永遠に」活性であると考えられる−すなわち、ほとんどのこれまでのCD19 CAR−T臨床試験において、進行中のB細胞無形成が見られた。このことは、CAR T細胞のアプローチに重大な問題を提起する。いくつかの観察されたリスクが、Discov Med. 2014 Nov;18(100):265−71, “Challenges to chimeric antigen receptor (CAR)−T cell therapy forがん”, Magee MS & SnookAE議論されており、本文献は、CAR−T細胞処置後の最初の重大な有害事象は、および肝臓転移性結腸直腸がんの患者で生じたこと(Morgan et al., 2010)を説明している。この患者は、上皮増殖因子受容体2(ERBB2、HER2)を標的とする第三世代CARを発現するT細胞で処置された。該CARは、HER2陽性乳がんの処置のためにFDA承認された4D5抗体由来のscFv(トラスツズマブ)を含有していた(Zhao et al., 2009)。この患者は、1010 CAR−T細胞の単回投与を受けてから15分以内に呼吸促迫発症し、その後5日間にわたって複数回の心停止が起こり、最終的に死に至った。処置4時間後の血清解析では、サイトカインFNγ、GMCSF、TNFα、IL−6、およびIL−10の顕著な増加が明らかとなった。CAR−T細胞は肺および腹部および縦隔リンパ節に見られたが、腫瘍転移には見られなかった。研究者らは、毒性は、肺上皮におけるHER2の認識に起因し、炎症性サイトカインを放出して肺毒性を生みだし、および、サイトカイン放出症候群(CRS)をもたらして多臓器不全を引き起こすと考えた(Morgan et al.,2010)。保守的な用量漸増(dose−escalation)戦略の後に異なる抗体(FRP5)由来の第二世代のHER2を標的とするCARを利用する試験が、他の研究者によって様々なHER2+悪性腫瘍に対して現在進行中である(clinicaltrials.govの識別番号NCT01109095、NCT00889954、およびNCT00902044)。

0006

CAR T細胞のテーマ一種は、抗体共役型T細胞受容体(ACTR)療法であり、腫瘍特異的IgGFc領域に結合するCD16A(FCγRIIIA)を使用する(例えば、WO2015/058018、US2015139943を参照)。目的は、患者に投与されるIgGを用量設定することによって、インビボでのCAR T細胞活性のより多くの制御を可能にすることである。しかしながら、CAR−T細胞のCD16結合部位は、患者の内因性IgGにも自由に結合し得、このことは、該アプローチの魅力を低下させる。該アプローチはまた、体内のIgGの本質的に長い半減期(ヒトIgGではおよそ20日間)を考慮する必要があり、CAR細胞活性の制御を制限する可能性がある。進行中の研究はこのリスクを評価し得る。

0007

CAR−T細胞アプローチおよび他の細胞ベースのアプローチのような、免疫細胞ベースの治療を調節(ダウンレギュレートまたはアップレギュレート)する代替方法を提供することが望ましいであろう。自己免疫性の、炎症性の、および感染性疾病および症状などの、内因性免疫細胞により媒介される疾病および症状に対処する方法を提供することもまた、望ましいであろう。

0008

本発明の記載
本発明は、本明細書の特許請求の範囲に記載される、誘導型ヌクレアーゼ(guided nuclease)、宿主細胞改変型(HM)−CRISPR/Casシステム、gRNA、HM−アレイ、HM−crRNA、HM−Cas、HM−TALEN、HM−メガヌクレアーゼ、HM−ジンクフィンガー、および方法を提供する。

0009

医療行為は、しばしば、患者に抗生物質を投与することを包含する。これらの処置は、典型的には、多くのグラム陽性菌種または多くのグラム陰性種を、区別することなく標的とする抗生物質、すなわち、広域スペクトル抗生物質の投与を包含し得る。同様に、農業(farming)や農耕(agriculture)における広域スペクトル抗生物質の使用は、健康に有害であり、微生物耐性発展させる可能性のある、これらの抗生物質のヒトおよび動物食物連鎖への侵入を含む、環境問題を提起する。むしろ、本発明は、第1の微生物叢種または株の選択的標的化を包含する。本明細書の実施例に示されるように、選択された種のゲノムを標的とし、一方で、同時に系統学的に関連する種および株を温存する、誘導型ヌクレアーゼを用いて、特定の細菌種の選択的標的化が達成された。さらに、本発明は、以下でさらに論じるように、ヒトおよび動物における免疫機能を形成する際に微生物叢の細菌および古細菌が果たす役割を実証している。

0010

従って、本発明は、患者の微生物叢を変更することにより患者の免疫細胞(患者の内因性細胞および/または(例えば養子細胞療法を介して)投与された細胞)を調節する方法に関する。一例では、微生物叢(例えば、腸内微生物叢)中の種の有利な選択的標的化が、該変更をもたらすために実行される。選択的標的化は、例えば、同じ門の種など、または同じ種の異なる株などの、関連する種または株の標的化を避けることができる。

0011

例えば、本発明は、微生物叢を変更することによって、患者および対象における、疾病および症状の免疫細胞ベースまたは他の治療を調節すること、並びに、これをもたらすためのシステム、キット、および他の手段を提供する。

0012

例えば、本発明は、微生物叢を変更することによって、患者において疾病および症状を処置または軽減することを提供し、ここで、該疾病および症状は、免疫細胞(例えば、T細胞)により媒介されるか、または、患者の免疫細胞活性または免疫細胞集団を変更することにより対処される疾病および症状である。実施形態は、がん、自己免疫性の疾病もしくは症状、炎症性の疾病もしくは症状、ウイルス感染症(例えば、ヒト患者HIV感染症)、または、ウイルス感染症により媒介されるか、あるいは、引き起こされる疾病もしくは症状である。

0013

本発明はまた、対象の微生物叢を変更することにより対象生物(例えば、植物、酵母、ヒト、または動物患者)における処置または治療を調節する方法に関する。治療の例は、例えば、患者における疾病または症状の処置または予防のための、養子細胞療法、抗体療法(例えば、免疫チェックポイント阻害)、放射線療法化学療法である。

0014

第1の構成において、本発明は、
患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者において腸内細菌の微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが、患者において免疫細胞を調節することにより、患者において治療を調節すること、
を含む方法を提供する。

0015

第1の構成の別の局面では、本発明は、
ヒトまたは動物患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者において細菌の(例えば、腸内細菌の)微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが、患者において免疫細胞を調節することにより、患者において治療を調節すること;
を含む方法を提供し、
ここで、治療は養子免疫細胞療法(例えば、養子T細胞療法、例えば、患者へのCAR−T細胞の投与)を含む、
を含む方法を提供する。

0016

第1の構成の別の局面では、本発明は、
ヒトまたは動物患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者において細菌の(例えば、腸内細菌の)微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが患者において治療を調節すること;
を含む方法を提供し、
ここで、治療は、患者に免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD−L1、抗PD−1、抗CTLA4または抗TIM3阻害剤、例えば、抗体)を投与することを含む。

0017

第1の構成の別の局面では、本発明は、
ヒトまたは動物患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者において細菌の(例えば、腸内細菌の)微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが患者において治療を調節すること;
を含む方法を提供し、
ここで、治療は、患者に抗体(例えば、抗PD−L1、抗PD−1、抗CTLA4もしくは抗TIM3抗体;または、抗TNFaスーパーファミリーメンバー抗体、例えば、抗TNFa、TNFR1もしくはBAFF抗体;または、抗IL6Rもしくは抗IL−4Ra抗体;または、抗PCSK9抗体)を投与することを含む。

0018

第1の構成の別の局面では、本発明は、
対象において処置を調節する方法であって、
a.対象において処置を実行すること;および
b.対象において微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが対象において処置を調節すること、
を含む方法を提供する。

0019

一例では、対象または患者はヒトである。一例では、対象または患者は非ヒトである。一例では、対象は植物であり、場合により、処置は、植物生長促進処置、生長抑制処置、農薬処置、窒素固定促進処置、除草処置または肥料処置である。一例では、対象は酵母であり、場合により、処置は、酵母の増殖促進処置または増殖抑制処置である。

0020

一例では、調節は、対象または患者の、処置または治療を、増大、アップレギュレート、ダウンレギュレート、阻害、増強、または、強化する。一例では、処置または治療は、対象または患者において有効であり、処置または治療は、対象、患者、または、調節を受けていないコントロール対象もしくは患者において、有効でないか、有効性が低下または増加している。コントロールは、対象または患者と同じ種であり、場合により、同じ年齢および/または性別である。一例では、細菌または古細菌の宿主細胞は、本発明の方法を用いて、対象または患者において死滅させるか、またはその増殖が阻害され、コントロールは、同じ細菌または古細菌の種の細胞を含み、該細胞は本発明の方法により死滅しないか、または、増殖が阻害されない。

0021

一例では、ステップ(a)および(b)は、同時に実行される。一例では、ステップ(a)は、ステップ(b)の前に実行される。一例では、ステップ(b)は、ステップ(a)の前に実行され、場合により、ステップ(b)は(a)の後に再度実施される。

0022

ある実施形態では、本発明は、
植物または酵母において処置を調節する方法であって、
a.植物または酵母において処置を実行すること;および
b.植物または酵母において細菌の微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが対象において処置を調節すること;
を含む方法を提供し、
ここで、該処置は、生長促進処置、生長抑制処置、農薬処置、窒素固定促進処置、除草処置または肥料処置である。

0023

対象、患者、植物または酵母において、微生物のディスバイオシスを引き起こすことは、一例では、対象、患者、植物または酵母の表面上に、例えば、葉の表面上(対象が植物の場合)、または、皮膚、肺、眼または粘膜の表面上(対象または患者がヒトまたは動物の場合)に、微生物のディスバイオシスを引き起こすことを含む。

0024

本発明は、細菌のディスバイオシスを引き起こすことに代えて、または、加えて、ステップ(b)において、対象、患者、植物または酵母において、古細菌の微生物叢ディスバイオシスを引き起こすことを含む。

0025

例えば、疾病または症状は、自己免疫性の疾病または症状(例えば、SLE)であり、治療は、それらのための処置、例えば、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバーアンタゴニスト(例えば、BENLYSTA(商標)またはそのジェネリック薬などの抗B細胞活性化因子(BAFF)抗体)の投与である。例えば、疾病または症状は、炎症性の疾病または症状(例えば、関節リウマチ、IBD、クローン病大腸炎、または乾癬)であり、治療は、それらのための処置、例えば、サリルマブ、デュピルマブ、腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバーアンタゴニスト(例えば、HUMIRA(商標)、REMICADE(商標)、SYMPONI(商標)またはENBREL(商標)またはそのジェネリック薬などの、抗TNFα抗体またはトラップ)の投与である。例えば、疾病または症状は、ウイルス感染症であるか、または、ウイルス感染症(例えば、HIV感染症)により媒介され、治療は、それらのための処置、例えば、レトロウイルス薬または抗HIVワクチンの投与である。例えば、疾病または症状はがん(例えば、メラノーマ、NSCLC、乳がんまたは膵臓がん)であり、治療はそれらのための処置、例えば、化学療法薬(例えば、抗CTLA4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LAG3、OX40、CD28、BTLA、CD137、CD27、HVEMKIR、TIM−3、VISTA、ICOS、GITR、TIGITまたはSIRPa抗体などの、チェックポイント阻害剤またはアゴニスト抗体)の投与である。一例では、抗体は、CTLA4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LAG3、OX40、CD28、BTLA、CD137、CD27、HVEM、KIR、TIM−3、VISTA、ICOS、GITR、TIGITおよびSIRPaから選択される第1および第2の標的に特異的に結合する二重特異性抗体であり、例えば、第1の標的がCTLA4であり、第2の標的がLAG3またはPD−1である。場合により、抗体は、ヒトγ1抗体であり、および/または、ADCCまたはCDCについて増強されてよい。例えば、治療はワクチン療法であり、例えば、がんワクチン療法、または、マラリア、HIV感染症、結核感染症コレラネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)感染症、クロストリジウムディフィシル(C dificile)感染症、百日咳菌(Bordetella pertussis)感染症もしくは、クラミジア感染症などの、感染症または感染性の疾病の処置または予防のためのワクチン療法である。

0026

第1の構成のある実施形態は、
患者において疾病または症状の細胞療法を調節する方法であって、
a.細胞集団を患者に投与することを含み、該細胞の投与は、患者の疾病または症状を治療することができる、患者において細胞療法を実行すること;および
b.腸内細菌の微生物叢ディスバイオシスを患者において引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが患者において細胞療法を調節すること
を含む方法を提供する。

0027

一例では、細胞療法は、がんの処置のための、CAR−TまたはTIL療法などの、養子免疫細胞療法である。

0028

第2の構成において、本発明は、
疾病または症状が患者において免疫細胞(例えば、T細胞)によって媒介されている患者の疾患または状態のリスクを処置または軽減する方法であって、該方法は、該患者に腸内細菌微生物叢ディスバイオシスを引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが、患者において免疫細胞(例えば、Th17細胞)を調節し、それにより患者における該疾病または症状のリスクを処置または軽減することを含む方法を、提供する。

0029

例えば、疾病または症状は、自己免疫性の疾病または症状(例えば、SLE)、炎症性の疾病または症状(例えば、関節リウマチ、IBD、クローン病、大腸炎または乾癬)、ウイルス感染症であるか、あるいは、ウイルス感染症(例えば、HIV感染症)により媒介される。

0030

一例では、微生物叢ディスバイオシスは、微生物叢において1つ以上の標的細菌種を死滅させることによって、あるいは、微生物叢において該古細菌の集団の増殖を阻害することによって、もたらされる。一例では、微生物叢ディスバイオシスは、微生物叢において1つ以上の標的古細菌種を死滅させることによって、あるいは、微生物叢において該細菌の集団の増殖を阻害することによって、もたらされる。

0031

第3の構成では、本発明は、
患者において疾病または症状の養子免疫細胞療法を調節する方法であって、
a.免疫細胞の集団を患者に投与することを含む、養子免疫細胞療法を患者において実行すること、ここで、該免疫細胞の投与は、患者において疾病または症状を処置することが可能である;および、
b.患者の微生物叢(例えば、腸内微生物叢)において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団相対的割合を変更し、それにより、患者において免疫細胞療法を調節する変更された微生物叢を産生すること、
を含む方法を提供する。

0032

第3の構成の別の局面では、本発明は、
ヒトまたは動物患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者の微生物叢(例えば、腸内微生物叢)において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団の相対的割合を変更し、それにより、患者において治療を調節する、変更された微生物叢を産生すること;
を含む方法を提供し、
ここで、治療は、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD−L1、抗PD−1、抗CTLA4または抗TIM3阻害剤、例えば、抗体)を投与することを含む。

0033

第3の構成の別の局面では、本発明は、
ヒトまたは動物患者において疾病または症状の治療を調節する方法であって、
a.患者において治療を実行すること;および
b.患者の微生物叢(例えば、腸内微生物叢)において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団の相対的割合を変更し、それにより、患者において治療を調節する、変更された微生物叢を産生すること;
を含む方法を提供し、
ここで、治療は、抗体(例えば、抗PD−L1、抗PD−1、抗CTLA4もしくは抗TIM3抗体;または、抗TNFaスーパーファミリーメンバー抗体、例えば、抗TNFa、TNFR1もしくはBAFF抗体;または、抗IL6Rもしくは抗IL−4Ra抗体;または、抗PCSK9抗体)を患者に投与することを含む。

0034

第3の構成の別の局面では、本発明は、
対象において処置を調節する方法であって、
a.対象において処置を実行すること;および
b.対象の微生物叢において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団の相対的割合を変更し、それにより該ディスバイオシスが対象において処置を調節すること、
を含む方法を提供する。

0035

一例では、対象または患者はヒトである。一例では、対象または患者は非ヒト動物である。一例では、対象は植物であり、場合により、処置は、植物生長促進処置、生長抑制処置、農薬処置、窒素固定促進処置、除草処置または肥料処置である。一例では、対象は酵母であり、場合により、処置は、酵母の増殖促進処置、または増殖抑制処置である。

0036

一例では、調節は、対象または患者の、処置または治療を、増大、アップレギュレート、ダウンレギュレート、阻害、増強、または、強化する。一例では、一例では、処置または治療は、対象または患者において有効であり、処置または治療は、調節を受けていない対象、患者、または、コントロール対象もしくは患者において、有効でないか、有効性が低下または増加している。コントロールは、対象または患者と同じ種であり、場合により、同じ年齢および/または性別である。一例では、細菌または古細菌の宿主細胞は、本発明の方法を用いて、対象または患者において死滅させるか、またはその増殖が阻害され、コントロールは、同じ細菌または古細菌の種の細胞を含み、該細胞は本発明の方法により死滅しないか、または、増殖が阻害されない。

0037

一例では、ステップ(a)および(b)は、同時に実行される。一例では、ステップ(a)は、ステップ(b)の前に実行される。一例では、ステップ(b)は、ステップ(a)の前に実行され、場合により、ステップ(b)は(a)の後に再度実施される。

0038

ある実施形態では、本発明は、
植物または酵母において処置を調節する方法であって、
a.植物または酵母において処置を実行すること;および
b.植物または酵母の微生物叢において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団の相対的割合を変更し、それにより、植物または酵母において処置を調節すること;
を含む方法を提供し、
ここで、該処置は、生長促進処置、生長抑制処置、農薬処置、窒素固定促進処置、除草処置または肥料処置である。

0039

対象、患者、植物または酵母において、細胞の亜集団の相対的割合を前記の通り変更することは、一例では、対象、患者、植物または酵母の表面上に、例えば、葉の表面上(対象が植物の場合)、または、皮膚、肺、眼または粘膜の表面上(対象または患者がヒトまたは動物の場合)に、微生物のディスバイオシスを引き起こすことである。

0040

第1の細菌または古細菌の亜集団の割合は、増加または減少される。一例では、第1の細菌種または株と、第2の細菌種または株との相対的比率が変更される(例えば、増加または減少される);あるいは、第1の古細菌種または株と、第2の古細菌種または株との相対的比率が変更される(例えば、増加または減少される)。

0041

一例では、養子免疫細胞療法は、がんの処置のためのCAR−T療法である。一例では、養子免疫細胞療法は、がんの処置のためのTIL療法である。

0042

第1または第3の構成の一例では、ステップ(a)の細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Th1細胞またはTh17細胞からなる群から選択される第1のタイプの細胞であり、ステップ(b)は患者においてそのタイプの細胞をアップレギュレートする。これは、細胞ベースの治療を増強するのに有用である。別の例では、ステップ(a)の細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Th1細胞またはTh17細胞からなる群から選択される第1のタイプの細胞であり、ステップ(b)は患者においてそのタイプの細胞をダウンレギュレートする。これは、細胞ベースの治療またはその副作用(例えば、CRS)を弱めるのに有用である。

0043

ある実施形態では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、微生物叢(例えば、腸内微生物叢)細菌および/または古細菌を標的とするCRISPR/Casを用いた、細菌または古細菌の微生物叢亜集団の選択的標的化を用いて、実行される。一例では、本方法は、宿主細胞においてそれぞれの標的配列を切断して、標的配列を改変する、誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RNA誘導型ヌクレアーゼ)を用い、それにより、宿主細胞が死滅するか、宿主細胞集団の増殖が低下し、それにより、微生物叢における該亜集団の割合を低減させることを含む。誘導型ヌクレアーゼ切断を実行するための好適なシステムは、例えば、操作されたCRISPR/Casシステム、TALEN、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーシステムである。

0044

この目的のために、発明者らは、以下の特徴の1つ以上を伴った、腸内微生物叢において天然共生する細菌の混合共同体における、特定の細菌株の集団増殖阻害を初めて証明したと信じている:
操作されたCRISPR/Casシステムを用いた集団増殖阻害が、
野生型細胞を標的とすること;
野生型内因性Casヌクレアーゼ活性を利用すること;
・必須および抗生物質耐性遺伝子を標的とすること;
・ここで、標的が野生型配列であること、
によること。

0045

発明者らは、以下の特徴を伴った、ヒト腸内微生物叢細菌の混合集団において、このことを証明した:
・ヒト腸内微生物叢種の混合集団における、細菌増殖阻害を標的とすること;
・ここで、該集団が3つの異なる種を含むこと;
・これらの種の1つを選択的に死滅させ、他の種の細胞を温存すること;
系統発生学的に近い他のヒト腸内細菌叢種の存在下での細胞増殖阻害を標的とし、該種はこの阻害を免れる;
ファーミキューテス門(Firmicutes)種および非ファーミキューテス門(Firmicutes)種を含む、ヒト腸内微生物叢細菌の混合集団において、細胞増殖阻害を標的とすること;
・ヒト腸内微生物叢細菌の混合集団において、特定のファーミキューテス門(Firmicutes)種の細胞増殖阻害を標的とし、一方で、異なるファーミキューテス門(Firmicutes)種を温存すること;
・ヒト腸内微生物叢細菌の混合集団において、特定のグラム陽性細菌株の細胞増殖阻害を標的とし、一方で、異なるグラム陽性細菌種を温存すること;
・あるヒト腸内微生物叢細菌種を標的とし、一方で、片利共生のヒト腸内細菌種を温存すること;
・ヒト腸内微生物叢細菌種を標的とし、一方で、プロバイオティックヒト腸内細菌種を温存すること;
・表面上のヒト腸内微生物叢細菌の混合集団において細胞増殖阻害を標的とすること;
・特定の細菌種単独で、または、ヒト腸内微生物叢細菌の共同体において、複数の他の細菌種と混合された場合に、少なくとも10倍の増殖阻害を達成すること;および
・特定のヒト腸内微生物叢細菌種の2つの異なる株の、少なくとも10倍の増殖阻害を達成すること。

0046

本発明は、患者において疾病または症状を治療または予防するための患者の養子細胞療法の方法における使用のための、免疫細胞のエクスビボ集団を提供し、該方法は、
a.該集団の細胞を患者に投与することを含む養子免疫細胞療法を患者において実行すること、ここで、該免疫細胞の投与は、患者において疾病または症状を処置することが可能である;および
b.腸内細菌の微生物叢ディスバイオシスを患者において引き起こし、それにより、該ディスバイオシスが、患者において免疫細胞療法を調節し、該疾病または症状が処置または予防されること:
を含む。

0047

本発明は、患者において疾病または症状を治療または予防するための患者の養子細胞療法の方法における使用のための、免疫細胞のエクスビボ集団を提供し、該方法は、
a.該集団の細胞を患者に投与することを含む養子免疫細胞療法を患者において実行すること、ここで、該免疫細胞の投与は、患者において疾病または症状を処置することが可能である;および
b.患者の腸内微生物叢において、第1の細菌種もしくは株、または、古細菌種もしくは株の細胞の亜集団の相対的割合を変更し、それにより、患者において免疫細胞療法を調節する変更された腸内微生物叢を産生すること、
を提供する。
本発明はまたは、本発明の方法を実行するための、CRISPR/Casシステム、アレイ、cRNAおよびキットを提供する。

0048

本発明はまた、本方法を実施するためのシステム、キットおよび他の手段に関する。

0049

一例では、本明細書中の1つの構成上の任意の特徴は、本発明の異なる構成と組み合わされて、本明細書の1つ以上の特許請求の範囲においてこれらの組合せを含むことができる。

図面の簡単な説明

0051

図2は、ST1−CRISPRアレイを示す。

0052

図3は、本研究で用いた株のTH寒天培地上スポットアッセイを示す。全ての株を、37℃で20時間、TH寒天培地上で増殖させた。それぞれのコロニー数カウントするために、一晩培養した培養液段階希釈を、E.coli、L LactisおよびS.mutansについて2回、そしてS.thermophilusの両方の株について3回行った。

0053

図4は、異なる培養条件下での、S.thermophilus、S.mutans、L.lactisおよびE.coliの選択的増殖を示す。テトラサイクリンは、S.thermophilus LMD−9の選択的増殖には使用できない。しかしながら、3g/lのPEAは、E.coliの増殖を制限しながら、S.thermophilus LMD−9を選択的に増殖させることが証明された。

0054

図5は、2つのキシロース誘導カセット構築を図示している。

0055

図6は、プラスミドpBAV1KT5−XylR−mCherry−Pldhaを有するStreptoccocus thermophilusLMD−9におけるキシロース誘導性カセットの特徴を実証した。キシロース量の増加に伴い、蛍光における明らかな応答を観察することができた。

0056

図7は、pBAV1KT5−XylR−mCherry−Pldha+XylAにおけるCRISPRアレイの設計を図示している。該アレイは、誘導性キシロースプロモーターの支配下にS.thermophilus遺伝子を標的とする2つのスペーサー配列を含有し、強力な構成的プロモーターP3Aの支配下にtracrRNAを含有している。

0057

図8は、プラスミドpBAV1KT5−XylR−CRISPR−Pldh+XylAおよびpBAV1KT5−XylR−CRISPR−PXylAによる、Streptoccocus thermophilusLMD−9の形質転換効率を示す。

0058

図9は、キシロース誘導性CRISPR装置の模式図を示している。キシロースの誘導により、CRISPRアレイが標的とするS.thermophiles LMD−9ゲノム上のpolIIIおよびtetAの両方が発現される。恒常的に発現されるtracrRNAと一緒に、Cas9と複合体が形成される。この複合体が、S.thermophilus LMD−9ゲノムにおけるtetAおよびpolIIにおいて、二重鎖切断を誘導し、細胞生存率の制限をもたらすであろう。

0059

図10は、プラスミドpBAV1KT5−XylR−CRISPR−PXylAまたはpBAV1KT5−XylR−CRISPR−Pldha+XylAを有するStreptoccocus thermophilus DSM20617(T)の、非誘導および誘導における、増殖阻害を示す。写真は63時間のインキュベーション後に撮影した。コロニー数は左下の角に記載した(上の行:>1000、>1000、下の行:336、113)。

0060

図11は、S.thermophilus、L.lactisおよびE.coli由来の16S配列の最尤系統樹を示す。

0061

図12は、pBAV1KT5−XylR−CRISPR−PxylAまたはpBAV1KT5−XylR−CRISPR−PldhA+XylAプラスミドのいずれかを有するE.coli、L.lactisおよびS.thermophilusの共培養物におけるS.thermophilusの選択的増殖阻害を示す。pBAV1KT5 − XylR − CRISPR − PxylAまたはpBAV1KT5 − XylR − CRISPR − PldhA + XylAプラスミドを有するE.coli(中央の列)の間で増殖の違いは観察されない。しかしながら、S.thermophilus(2.5μl/1 PEAを添加したTH寒天プレート上で選択的に増殖させた)は、pBAV1KT5−XylR−CRISPR−PxylA(強い)またはpBAV1KT5−XylR−CRISPR−PldhA(弱い)プラスミドの間で、予想通り形質転換効率の低下を示す。従って、細胞の混合集団における標的とするS thermophilus亜集団の選択的増殖阻害を実証した。コロニー数は左下の角に記載した(上の行:>1000、>1000、68:下の行:>1000、>1000、32)。

0062

図13はl、spCas9およびリボソームRNAサブユニット16sを標的とする自己標的化sgRNAの発現を制御する調節因子を示す。

0063

図14は、外因性のCRISPR−CasシステムによるE.coli株の特異的標的化を示す。sgRNAは、E.coli TOP10などのK−12由来E.coli株のゲノムを標的とするが、試験した他の株は影響を受けなかった。

0064

図15は、CRISPR−Cas9システムの誘導なしの、TH寒天培地における、本研究で用いた個々の細菌種および混合培養液の段階希釈によるスポットアッセイを示す。

0065

図16は、異なる選択培地上の、1000倍希釈のスポットアッセイを示す。2.5g/lのPEAを有するTHは、B.subtilis単独のための選択的培地である。マルトースを添加したマッコンキーは、グラム陰性菌腸内桿菌を選択的に単離し、それらをマルトース発酵に基づいて区別するように設計された、細菌用の選択的かつ差次的(differential)培養培地である。従って、TOP10ΔmalK変異体は、プレート上に白いコロニーを形成し、一方Nissleは、ピンクのコロニーを形成する;AはE coli ΔmalK、BはE coli Nissile、CはB subtilis、DはL lactis、Eは混合培養液である;マッコンキー−のBとEの画像はピンクに見える;マッコンキー+のBとEの画像はピンクに見える。

0066

図17は、異なる培地および選択プレート上の、本研究で用いられる細菌の選択的増殖を示す。

0067

詳細な説明
以下の実施例において、増殖阻害を、ヒト腸内微生物叢細菌種の混合集団において、調べた。共同体において、選択的に標的化された種(グラム陽性ファーミキューテス門(Firmicutes)集団)の、10倍を超える集団増殖阻害が達成され、非標的化共生細菌が温存された。発明者らは、腸内微生物叢などの微生物叢を患者のin situで改変し、それにより、微生物叢の変化に応答して患者において免疫細胞調節を可能にするための、これの有用な適用を実現した。発明者らはまた、変化され得る微生物叢を含む、植物および酵母などの対象において、処置を調節することに対する適用を実現した。発明者らは、さらに、自己免疫性の疾病、炎症性の疾病およびウイルス感染症(例えば、ヒトのHIV感染症)などの、患者において免疫細胞ベースの治療を調節するため、または患者において免疫細胞媒介性の疾病または症状を治療または予防するための、実用化を実現した。発明者らは、ヒトまたは動物の対象または患者において該調節をもたらすための、腸、皮膚、、眼、肺、消化管直腸陰嚢、皮膚または毛髪のディスバイオシスを引き起こすことの実用化を実現した。

0068

本明細書で用いられる場合、「ディスバイオシス」は、微生物叢(例えば、腸内微生物叢)の、細菌および/または古細菌のバランスの変化を指す。該変化は、該方法を実行する前の(例えば、実行する直前、または、実行する前の1日未満の)バランスとの相対的なものである。該変化は、(i)微生物叢(例えば、腸内微生物叢)(例えば、B fragalisまたはthetaiotamicron)における、第1の種(細菌または古細菌の種)または株の割合の増加;(ii)第1の種と第2の種(例えば、B fragalis対C dificile、または、S thermophilus対E coliもしくはL lactis)、同じ種の第1の株と第2の株、または、互いに異なる第1の門と第2の門(例えば、バクテロイデス門(Bacteriodetes)対ファーミキューテス門(Firmicutes))の相対的割合の増加;(iii)処置方法の前には、微生物叢に含まれなかった種または株の添加;(iv)微生物叢における、第1の種(細菌または古細菌の種)または株(例えば、 C dificileまたはS thermophilus)の割合の減少;(v)第1の種と第2の種(例えば、B fragalis対C dificile、または、S thermophilus対E coli もしくはL lactis)、同じ種の第1の株と第2の株、または、互いに異なる第1の門と第2の門(例えば、バクテロイデス門(Bacteriodetes)対ファーミキューテス門(Firmicutes))の相対的割合の減少;および(vi)処置方法の前には、微生物叢に含まれなかった種または株の除去のうちの1つ以上であり得る。

0069

免疫システムが微生物叢の組成に及ぼす影響は、病気にかかりやすいように微生物群を変えるいくつかの免疫不全によって示唆されている。例えば、Garrett et al.は、自然免疫系と適応免疫系の両方の細胞における炎症性の応答を支配する転写因子T−bet(Tbx21によってコードされる)を欠くマウスを研究した(Cell. 2007 Oct 5;131(1):33−45, “Communicable ulcerative colitis induced by T−bet deficiency in the innate immune system”, Garrett WS et al.)。適応免疫を欠くRag2−/−マウスにTbx21−/−マウスを交配させると、Tbx21−/−/Rag2−/−子孫は微生物叢依存的に潰瘍性大腸炎を発症した。驚くべきことに、この大腸炎の表現型は、Tbx21−/−/Rag2−/−微生物叢の養子移入により、野生型マウスに伝達可能であった。このことは、変化した微生物叢が、疾病を誘導するのに十分であることを実証した。免疫由来のディスバイオシスの別の例は、インフラマソーム成分NLRP6の上皮細胞発現が欠損しているマウスにおいて見られる。これらのマウスは、腸炎症性細胞動員および化学的に誘発される大腸炎への感受性の増加に関連するバクテロイデス門(Bacteroidetes)のメンバーの存在量の増加を伴う変化した微生物叢を発生させる。

0070

個々の共生種が、異なるエフェクター機能を有する粘膜固有層Tリンパ球サブセットの構成に影響を及ぼすことは明らかにされている。腸粘膜におけるホメオスタシスは、インターフェロンγ生産するTh1細胞、IL−17a、IL−17fおよびIL−22を産生するTh17細胞、Th2およびTh17細胞に似たサイトカインエフェクター特徴を有する多様な天然のリンパ系細胞、並びに抗炎症性Foxp3+調節性T細胞(Treg)を含む、潜在的に炎症促進性である細胞間の、チェックおよびバランスのシステムによって維持されている。

0071

本発明の特定の適用は、患者におけるTh17細胞集団の形成において見出される。これらの細胞は、自己免疫性の、および、炎症性の疾患に関係づけられている。これらの細胞は、HarringtonLE, Hatton RD, Mangan PR, et al., “Interleukin 17−producing CD41 effector T cells develop via a lineage distinct from the T helper type 1 and 2 lineages”, Nat Immunol. 2005;6(11): 1123−1132、および、Park H, Li Z, Yang XO, et al., “A distinct lineage of CD4 T cells regulates tissue inflammation by producing interleukin 17”, Nat Immunol. 2005; 6(11):1133−1141に記載された。自己免疫性の疾患の場合、Th17細胞の過剰活性化は、多発性硬化症、関節リウマチおよび乾癬の場合のように、不適切な量の炎症を引き起こし得る。Th17細胞はまた、粘膜免疫の維持に必要であることが示されている。Th17細胞は、Treg細胞と比較した遺伝子発現の増加に起因する遅発型喘息反応の発症に寄与し得る。

0072

HIVでは、Th17細胞集団の喪失慢性感染の一因となり得る。腸内のTh17細胞集団の枯渇は、腸管バリアを破壊し、微生物移行により腸から出る細菌の移動レベルを増加させ、慢性HIV感染症およびAIDSへの進行に寄与する。微生物移行は、細菌の、腸管内腔の外からの、粘膜固有層内へ、リンパ節へ、およびさらに非リンパ組織への移動をもたらす。それは、HIVの後期段階全身で見られる一定の免疫活性化を引き起こし得る。腸内のTh17細胞集団の増加は、効果的な処置であり、かつ、おそらく予防的でもあることが示されている。腸内の、全てのCD4+T細胞はHIVによって重度に枯渇されるが、特に腸内のTH17細胞の喪失は慢性の病原性HIVおよびSIV感染症の徴候に関連している。微生物移行は、HIVの文脈において、慢性炎症および免疫活性化に寄与する主要な因子である。SIVの非病原性の場合には、微生物移行は観察されない。Th17細胞は、腸におけるHIV感染症の間に、腸内上皮バリアを維持することによって、重度HIV感染症を予防する。それらの、高レベルCCR5発現(HIVの共受容体)のために、それらは優先的に感染して、枯渇する。従って、微生物移行は、Th17細胞の枯渇を通して生じる。さらに、腸内のTh17細胞の喪失は、炎症性Th17細胞とそれらの抗炎症性対応物であるTreg細胞との間のバランスの喪失につながる。Treg細胞は、その免疫抑制特性のため、HIVに対する抗ウイルス応答を減少させ、病因に寄与していると考えられている。Th17活性と比較してより高いTreg活性があり、ウイルスに対する免疫応答はあまり積極的および効果的ではない。Th17細胞の活性を高めること(revitalizing)は、炎症の減少を含む、慢性感染症の徴候を減少させることが示されており、高活性抗レトロウイルス処置(HAART)に対する応答が改善される。これは、重要な発見であり、微生物移行は一般的に、HAARTへの不応答をもたらす。患者は継続して徴候を示し、予想されるウイルス量の低減は示さない。SIV−アカゲザルモデルにおいて、、Th17分化および増殖を促進することが示されたサイトカインであるIL−21を投与すると、Th17細胞集団を増加させることによって微生物移行が減少することが見出された。

0073

本方法の一例では、IL−21、IL−15および/またはIL−2は、細胞集団と共に、患者に、順次または同時に投与される。このことは、患者において免疫細胞集団をさらに調製するのに、有用である。

0074

Yang et al.は、マウスにおけるTh17細胞の存在は、微生物叢を有するマウスにおける定着を必要とすることを発見した。セグメント細菌(SFB)は、動物モデルにおいて、Th17細胞を誘導し、Th17依存性の自己免疫性の疾病を促進するのに十分であった(Nature, 2014 Jun 5;510(7503):152−6. doi: 10.1038/nature13279. Epub 2014 Apr 13, “Focused specificity of intestinal Th17 cells towardscommensal bacterial antigens”, Yang Y et al.)。SFBは、回腸末端腸上皮細胞を覆う粘液層浸透できるようであり、それらは上皮細胞と密接に相互作用し、相互作用の部位で宿主細胞アクチン重合を誘導し、おそらく、粘膜固有層内のTh17極性化環境をもたらすシグナル伝達事象を誘導する。

0075

一例では、第1の細菌は、セグメント細菌の16s rDNAに、少なくとも80、85、90、95、96、97、98、または、99%同一である、16s rDNA配列を含む種または株の細菌である。ある実施形態では、本方法は第1の細菌の割合を増加させ、ここで、患者におけるTh17細胞はアップレギュレートされ、例えば、疾病は、がんまたはウイルス感染症(例えば、HIV)である。ある実施形態では、本方法は、第1の細菌の割合を減少させ、患者におけるTh17細胞はダウンレギュレートされ、例えば、疾病または症状は自己免疫性または炎症性の疾病または症状であるか、あるいは、ACTを受けているがん患者においてCRSのリスクを減少させるためである。

0076

一例では、本方法は、アレルギー性の疾病または症状、例えば喘息を、処置または予防する。一例では、本方法は、IgE媒介性の疾病または症状、例えば喘息を、処置または予防する。

0077

一例では、本方法は、Th2細胞のサイトカイン放出によって媒介される、患者の自己中毒(autotoxicity)を低減させる。

0078

Lopez et al.は、ファーミキューテス門(Firmicutes)/バクテロイデス門(Bacteroidetes)の比率の低減により特徴づけられる、腸のディスバイオシスが、全身性エリテマトーデス(SLE)患者において報告されることを発見した。彼らの研究において、インビトロ培養物により、SLE患者便サンプル(SLE−M)から単離された微生物叢が、健常なコントロール微生物叢よりも、リンパ球活性化およびナイーブCD4+リンパ球からのTh17分化を、より大きく促進することを明らかにした。Treg誘導細菌によるSLE−Mの濃縮は、2つのClostridia菌株の混合物がTh17/Th1バランスを有意に低減させたが、Bifidobacterium bifidumの補充はCD4+リンパ球過剰活性化を妨げたことを示した。患者サンプルエスビボ解析は、Th17およびFoxp3*IL−17+集団が増幅したこを示し、Treg−Th17分化転換が可能であることが示唆された。さらに、糞便微生物叢の分析は、健常なコントロールにおけるIL−17+集団とファーミキューテス門(Firmicutes)との間に負の相関を明らかにしたが、SLEでは、この門は患者においてわずかに低減されたTh1サイトカインであるIFNγの血清レベル直接相関した(Sci Rep. 2016 Apr 5;6:24072. doi: 10.1038/srep24072, “Th17 responses andnaturalIgMantibodies are related to gut microbiota composition in systemic lupus erythematosus patients”, Lopez P et al.)。

0079

他の細菌が、Tregの分化を指示することによって、またはIL−10発現を誘導することによって、適応免疫システムの抗炎症性分枝(anti−inflammatory branch)を増強することが示されている。例えば、最初はマウス糞便から単離され、主にClostridium属のクラスターIVおよびXIVaに属する、46のマウスクロストリジウム(Clostridial)株の複雑なカクテルによるノトバイオートマウスの定着は、粘膜固有層および全身のTregの増幅をもたらす。

0080

Bacteroides fragilisポリサッカライドA(PSA)は、全身のT細胞応答発達に影響を与える。PSAを生産するB.fragilisによる無菌マウスでの定着は、PSAを欠くB.fragilisを定着させたマウスと比較して、より多くの循環CD4+T細胞を生じる。PSAを生産するB.fragilisはまた、血液循環中のより高頻度のTh1細胞を誘発する。これらの知見は共に、共生細菌が、粘膜組織をはるかに越える、全体的な免疫への影響を有することを示している。

0081

F.prausnitziiは酪酸を生産し、その経口投与はマウスのTNBS誘導大腸炎の重症度を低減させるめ、IBD患者において見られるこの細菌の減少は興味深い。一例では、第1の種は、酪酸生産細菌種(例えば、F.prausnitzii)であり、微生物叢において、第1の種の割合は低減され、該方法は、患者においてエフェクターT細胞、および/または、ヘルパーT細胞をダウンレギュレートし、それにより、前記疾病または症状(例えば、自己免疫性または炎症性の疾病または症状、またはCRS)を治療または予防する。

0082

古細菌は、伝統的に5つの門に分かれており、すなわち、Crenarchaeota、Euryarchaeota、Korarchaeota、NanoarchaeotaおよびThaumarchaeotaである。豊富な全ゲノムデータの増加に基づいて(主に、環境分離菌由来)、古細菌の系統発生は最近見直されている。Korarchaeota、Crenarchaeota、Thaumarchaeotaおよび新たに提案されたAigarchaeotaの4つのグループが、1つの上門(いわゆる、TACK上門)に含まれ、EuryarchaeotaおよびNanoarchaeotaは除外されている。本発明の方法の第1の種は、本段落で述べた古細菌のいずれかであり得る。

0083

T細胞は胸腺成熟し、TCR受容体(T細胞受容体)を発現し、その表面にCD8糖タンパク質を発現することができ、CD8+T細胞(細胞傷害性)と呼ばれるか、またはCD4糖タンパク質を発現することができ、そのためCD4細胞(ヘルパーT細胞)と呼ばれるかのいずれかである。CD4+細胞は、異なるサブセット、TH(Tヘルパー)1、TH2、TH、Th17、Th22、Treg(制御性T細胞s)およびTfh(濾胞性ヘルパーT細胞s)に分化し、これらは異なるサイトカインプロファイルにより特徴づけられる。これらの異なるCD4+サブセットは、T細胞の免疫およびエフェクター応答機能において、重要な役割を果たす。全てのCD4+THサブセットは、特定のサイトカインにより、ナイーブCD4+T細胞から分化し、TH1は、IL−12およびIFN−γ(炎症誘発性のサイトカインであり、TLR(Toll様受容体)の増加、サイトカイン分泌の誘導、またはマクロファージの活性化などの、複数の役割を有する)により分化し、Th2はIL−4により分化し、TregはIL−2およびTGF−βにより分化する。THサブセットはそれぞれ、特定のサイトカインを放出する、炎症誘発性または抗炎症性の機能、生存または保護機能のいずれかを有し得る、特定のサイトカインを放出する。例えば、TH1はIFN−γおよびTNFを放出し、Th2はIL−4(B型リンパ球の重要な生存因子)、IL−5およびIL−13を放出し、TH9はIL−9を生産し、TregはIL−10(免疫抑制機能を有するサイトカインであり、Tregの抑制機能に必要なFOX3転写因子の発現を他の細胞上で維持する)およびTGF−βを分泌し、Th17はIL−17(細菌および真菌に対する宿主防御において重要な役割を果たすサイトカイン)を生産する。

0084

本発明のある実施形態は、CAR−Tおよび他の養子免疫療法(養子TIL療法など)を調節するための適用を見出した。いくつかの報告が、CAR−Tおよび他の免疫細胞ベースの治療を評価する際の重要な考慮事項である、CD4+サブセットによって放出される異なるタイプのサイトカインの異なる役割を実証している。TH1およびTH2CD4+T細胞サブセットサイトカインは、第2世代のCD28含有CAR−Tによって生成される異なるタイプの細胞傷害性を促進することが示された。高レベルのTH1サイトカインでは短期毒性が観察され、第2世代のCD19特異的CAR−Tを受けた動物では高用量のTH2型サイトカインが慢性自己細胞傷害性を生じた。誘導性IL−12を送達するように操作したCAR−T細胞は、腫瘍間質を調節してがんを破壊した。操作されたCAR−T細胞によるIL−12放出は、マクロファージを動員することによって、抗がん活性を上昇させた。CAR−Tにより放出されたIL−12はまた、抑制細胞再プログラミングを誘導し、その阻害機能を逆転させ、臨床試験におけるその評価を示唆した。CAR−T療法の存続は、注入産物中のCD4+細胞の数およびセントラルメモリー細胞の数に依存することが示された。CD8+エフェクター細胞からではなく、セントラルメモリーT細胞から単離されたCD8+クローンが、非ヒト霊長類モデルにおいて、養子T細胞移入の間インビボで長期間存続し、このことは、効果的な養子免疫療法のための、特定のT細胞サブセットの機能の重要性を示した。CD8+サブセットとCD4+サブセットとの組み合わせが、T細胞養子移入を顕著に増強したこともまた、示されている。CD4+細胞は、CD8+記憶機能の発達を支持することが示され、免疫療法の治験におけるサブセットおよび組み合わせの両方の重要性を実証した。いくつかの前臨床モデルは、効果的なCAR−T療法ための、異なるT細胞サブセットの利点を実証した:T記憶幹細胞表現型細胞に最も近いCD8+CD45RA+CCR7+CAR−T細胞は、より大きなCAR−T細胞の抗腫瘍活性を生じた。CD8+およびCD4+サブセットは共に、相乗的な抗腫瘍CAR−T活性を発現した。

0085

一例では、投与される細胞集団は、CD8+CAR−Tサブセットと、CD4+CAR−Tサブセットとの組み合わせを含む、CAR−T細胞の集団である。

0086

本発明の一例では細胞療法は、養子T細胞療法であり、場合により、CD4+T細胞、CD8+T細胞、Th1細胞およびTh17細胞からなる群から選択される細胞が、患者に投与される。一例では、細胞療法は、本発明の方法により増強され、例えば、がん細胞の免疫細胞細胞傷害性が患者において増強されるか、または、疾病または症状の処置が増強される。一例では、細胞療法は、本発明の方法により低減され、例えば、例えば、がん細胞の免疫細胞細胞傷害性が患者において低減されるか、または、(例えば、がん患者において)CRSのリスクが低減される。従って、ある実施形態では、本方法は、患者においてサイトカイン放出症候群(CRS)のリスクを低減または予防する。ある実施形態では、本方法は、細胞療法の望まれない副作用(例えば、CRSなどの、ヒト患者におけるCAR−T療法の副作用)を低減または予防する。

0087

一例では、免疫細胞集団は、CAR−T細胞、および/または、操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するT細胞、および/または、腫瘍浸潤リンパ球(TIL、例えば、操作されたTIL)を含む。WO2013063361、US9113616、US20130109053、US20160081314およびWO2016044745(これらの開示は、本明細書に参照により組み込まれる)は、本発明において使用するための細胞を生成するのに使用するための、CARおよびTCRを生成するための好適な遺伝子導入のインビボのプラットフォームを記載する。免疫細胞集団は、例えば、T細胞、NK細胞および/またはTILなどの、操作された自家の、または同種の免疫細胞(移植片)を含んでよく、例えば、ここで細胞および患者はヒトである。自家細胞の利点は、内因性システムの調節が、自家細胞を移植した細胞の調節と同様に調整される可能性があることである。ある実施形態では、投与された細胞および患者は、同じ種または株の細胞または患者であり、例えば、ヒトまたはげ歯類(例えば、マウス)であり、例えば、HLAまたはMHC適合ドナー移植片およびレシピエント患者である。

0088

一例では、T細胞は、CD4+T細胞またはTh17細胞である。例えば、投与されるCAR−T細胞は、ICOS細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体を含み、場合により、該細胞は、Th17細胞である。ある実施形態では、投与されるT細胞は、CD8+CD45RA+CCR7+CAR−T細胞である。

0089

マウスにおける養子移入実験は、Th17細胞が、Th1極性細胞よりも高いインビボの生存率および自己再生能を有することを示している。それゆえ、一例では、Th17細胞が、患者において調節され、例えば、アップレギュレートされ(例えば、患者において増殖し)、あるいは、ダウンレギュレートされる。これらは、患者の内因性T細胞、および/または、患者に投与された細胞、もしくはその子孫であってよい。ある実施形態では、RORγt発現Th17細胞がアップレギュレートされ、例えば、患者において増殖している。ある実施形態では、1つ以上のTh17関連遺伝子、例えば、Rorc、Il22およびIl26の1つ以上の発現が、増加している。ある実施形態では、1つ以上のTh1関連遺伝子、例えば、Ifng、TnfaおよびTbx21(T−bet)の1つ以上の発現が、増加している。ある実施形態では、この場合、疾病または症状はがんである。

0090

一例では、Treg細胞は、患者において調節され、例えば、アップレギュレートされ(例えば、患者において増殖し)、あるいは、ダウンレギュレートされる。これらは、患者の内因性T細胞であってよく、および/または、患者に投与された細胞、もしくはその子孫であってよい。ある実施形態では、この場合、疾病または症状は、Treg細胞がアップレギュレートされたときの自己免疫性の、炎症性の、または感染性の疾病または症状である。

0091

一例では、CD4+細胞は、患者において調節され、例えば、アップレギュレートされ(例えば、患者において増殖し)、あるいは、ダウンレギュレートされる。これらは、患者の内因性細胞および/または患者に投与された細胞、もしくはその子孫であってよい。

0092

一例では、CD8+細胞は、患者において調節され、例えば、アップレギュレートされ(例えば、患者において増殖し)、あるいは、ダウンレギュレートされる。これらは、患者の内因性細胞および/または患者に投与された細胞、もしくはその子孫であってよい。

0093

腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、患者において調節され、例えば、アップレギュレートされ(例えば、患者において増殖し)、あるいは、ダウンレギュレートされる。これらは、患者の内因性細胞および/または患者に投与された細胞、もしくはその子孫であってよい。

0094

一例では、セントラルメモリーT細胞(TCM)、エフェクターメモリーT細胞(TEM)、ステムセルメモリー細胞(TSCM)およびエフェクター細胞(Teff)の1つ以上などのメモリー細胞が、微生物叢または患者においてアップレギュレートされ、場合により、該細胞は、患者に投与される免疫細胞集団に含まれ、および/または、その子孫である。ある実施形態では、メモリー細胞は、CD45RO+CD62L+またはCD25+CD45RA−CD45RO+CD127+である。

0095

ある細胞集団のアップレギュレーションは、例えば、微生物叢または患者または対象における、そのタイプ(例えば、種または株)の細胞の集団の大きさまたは割合の増加であってよく、および/または、微生物叢または患者または対象における、そのタイプの細胞の活性(例えば、細胞傷害性、エフェクター機能またはサプレッサー機能)の増加であってよい。ある細胞集団のダウンレギュレーションは、例えば、微生物叢または患者または対象における、そのタイプ(例えば、種または株)の細胞の集団の大きさまたは割合の減少であってよく、および/または、微生物叢または患者または対象における、そのタイプの細胞の活性(例えば、細胞傷害性、エフェクター機能またはサプレッサー機能)の減少であってよい。

0096

一例では、細胞療法集団は、CAR−T細胞(すなわち、それぞれが、キメラ抗原受容体(CAR)を表面発現するように操作されたT細胞)を含む。あるいは、該細胞は、CAR−TILまたはCAR−NK細胞である。CARは、標的抗原(例えば、腫瘍細胞抗原)に結合するための細胞外受容体ドメイン、膜貫通部分、および、免疫細胞(例えば、T細胞)においてシグナル伝達するための、1つ以上の(例えば、第1および第2の)シグナル伝達ドメインを含む細胞内部分を含む。好適な細胞内ドメインの例はよく知られており、例えば、CD3ζドメインと、ICOS、CD28、OX40または4−1BBシグナル伝達ドメインの1つ以上との組み合わせであって、例えば、ICOSおよびCD28、またはICOSおよび41−BB、CD28および41−BBシグナル伝達ドメインの組み合わせである。

0097

場合により、細胞集団は、疾病(例えば、がん、自己免疫性の疾病、移植片拒絶、または移植片対宿主病(GvHD))の治療または予防のために患者に投与される移植片に含まれ、あるいは、細胞または移植片は、該使用のためのものである。

0098

一例では、患者はヒトであり、例えば、女性または男性である。

0099

一例では、患者またはヒトは、免疫細胞(例えば、CAR−T細胞)の投与の前に、リンパ球枯渇を受けている。

0100

CARおよびCART細胞を生産する技術は、当業界で知られていて通例であり、本発明において使用するための細胞を生産するために、一般的に適用することができる(例えば、本発明に適用可能な一般的方法として、WO2012079000A1;US8906682、US8911993、US8916381、US8975071、US9101584、US9102760、US9102761、US9328156、US9464140、US9481728、US9499629、US9518123、US9540445、US20130287748、US20130288368、US20130309258、US20140106449、US20140370017、US20150050729、US20150093822、US20150099299、US20150118202、US20160130355、US20160159907、US20160194404、US20160208012; J Immunother. 2009 Sep; 32(7): 689—702, doi: 10.1097/CJI.0b013e3181ac6138, “Construction and Pre−clinical Evaluation of an Anti−CD19 Chimeric Antigen Receptor”, James N. Kochenderfer et al;またWO2014012001およびUS20150290244を参照されたい)。例えば、エレクトロポレーションレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターの使用は、当業者は知るところであろうが、CARのエレメントをコードするヌクレオチド配列を、T−細胞、NK細胞、TILまたは他の免疫細胞に導入して、CAR−細胞を生産するために用いることができる。患者から単離された細胞(自家細胞サンプル)、または、同種の別のドナーから単離された細胞(同種サンプル)は、遺伝子操作されてCARをコードする配列を含む祖先細胞を提供するために、用いることができる。細胞の増幅は、当業界で知られることであるが、該プロセスで用いることができる。例えば、CAR細胞を操作した後、通例の技術を用いて細胞集団を大量に増幅して、患者に投与(例えば、注入(transfuse))される移植片を生産することができる。患者は、ヒトまたは非ヒト動物であり得る。1つ以上のCARエレメントに対する(例えば、1つ以上のシグナル伝達ドメインに対する)ヌクレオチド配列を、患者または別のドナーから得た細胞を用いて、クローニングまたはシーケンシングすることができる。

0101

例えば、CARは、ヒトCD3ζドメインである、第一の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、患者に投与される細胞は、該ヒトCD3ζドメインをコードする内因性ヌクレオチド配列を含む、ヒト細胞である。一例では、CD3ゼータシグナル伝達ドメインは、WO2012079000A1に開示される配列番号24のアミノ酸配列を含み、該配列は、本発明における使用のために本明細書に明示的に組み込まれ、本明細書の1つ以上の特許請求の範囲に含めることができる。一例では、CD3ゼータシグナル伝達ドメインは、WO2012079000A1に開示される配列番号18の核酸配列によりコードされ、該配列は、本発明における使用のために本明細書に明示的に組み込まれ、本明細書の1つ以上の特許請求の範囲に含めることができる。

0102

例えば、第1のシグナル伝達ドメインは、ヒトCD28ドメインであり、本発明の細胞集団は、ヒトCD28ドメインをコードする内因性ヌクレオチド配列をそれぞれ含む、ヒト細胞の集団である。

0103

例えば、第1のシグナル伝達ドメインは、ヒト4−1BBドメインであり、本発明の細胞集団は、ヒト4−1BBドメインをコードする内因性ヌクレオチド配列をそれぞれ含む、ヒト細胞の集団である。

0104

例えば、第1のシグナル伝達ドメインは、ヒトOX40ドメインであり、本発明の細胞集団は、ヒトOX40ドメインをコードする内因性ヌクレオチド配列をそれぞれ含む、ヒト細胞の集団である。

0105

一例では、第1のシグナル伝達ドメインは、CD3ζドメインであり、第1および第2の細胞内シグナル伝達ドメインは、単一の細胞(例えば、ヒト野生型細胞、または患者から単離された細胞)に天然に共生せず、例えば、第2のドメインは、CD28、CD27、OX40または4−1BBドメインである。

0106

一例では、第1の細胞内ドメインは、CD3ζドメイン、CD28ドメインまたは4−1BBドメインである。

0107

一例では、CARは、抗原結合部位(例えば、ヒトであってよい抗体scFv);場合によりヒンジ(例えば、ヒトCD8αヒンジ);膜貫通ドメイン(例えば、ヒトCD8αまたはCD28膜貫通ドメイン);およびヒトCD3ζドメインを含む、操作された単一ポリペプチドである。一例では、CARは、2つ以上の前記ポリペプチドの複合体である。場合により、CARは、膜貫通ドメインと、CD3ζドメインとの間に、さらなる細胞内シグナル伝達ドメイン(i)を含む。場合により、CARは、さらなる細胞内シグナル伝達ドメインを含み、CD3ζドメインは、さらなるシグナル伝達ドメインと、膜貫通ドメインとの間にある。一例では、さらなるシグナル伝達ドメインは、ヒトCD27ドメイン、CD28ドメイン、ICOSドメイン、OX40ドメイン、CD40ドメイン、4−1BBドメイン、FcεRIγドメイン、CD64ドメインまたはCD16ドメインである。代替としては、単一ポリペプチドの代わりに、CARは、該ドメインを含む少なくとも2つのポリペプチドの、操作された複合体を含む。

0108

免疫細胞は、単独で、または、希釈剤と、および/またはIL−2もしくは他のサイトカインまたは細胞集団などの他の成分と組み合わせて、医薬組成物として投与されてよい。

0109

ある実施形態では、免疫細胞(例えば、CAR細胞またはTCRを有する細胞)は、TAAに結合する細胞表面結合部位(例えば、CARまたはTCRにより提供される)を含む。腫瘍抗原(TAA)は、免疫応答、特にT細胞媒介性免疫応答を誘発する腫瘍細胞によって生産されるタンパク質である。抗原結合特異性の選択は、治療される特定のがんのタイプに依存するであろう。腫瘍抗原は当業界でよく知られており、本発明のある実施形態の文脈において、例えば、グリオーマ関連抗原,がん胎児抗原CEA)、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピンαフェトプロテインAFP)、レクチン反応性AFP、サイログロブリン(thyroglobulm)、RAGE−1、MN−CAIX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸内カルボキシルエステラーゼ(intestinal carboxyi esterase)、mut hsp70−2、M−CSF、プロスターゼ(prostase)、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY−ESO−1、LAGE−la、p53、プロステイン(prostein)、PSMA、Her2/neu、サバイビンおよびテロメラーゼ前立腺がん腫瘍抗原−1(PCTA−1)、MAGE、ELF2M,好中球エラスターゼエフリンB2、CD22、インスリン増殖因子(IGF)−I、IGF−II、IGF−I受容体およびメンテリンが含まれる。

0110

一実施形態では、腫瘍抗原は、悪性腫瘍に関連する、1つ以上の抗原性がんエピトープを含む。悪性腫瘍は、免疫攻撃のための標的抗原として働くことができる多くのタンパク質を発現する。これらの分子には、メラノーマ中のMART−1、チロシナーゼおよびGP100、並びに、前立腺がん中の前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)および前立腺特異的抗原(PSA)などの、組織特異的抗原が含まれるが、これらに限定されない。他の標的分子は、がん遺伝子HER−2/NeuErbB−2などの、形質転換関連分子の群に属する。標的抗原のさらに別の群は、がん胎児抗原(CEA)などの腫瘍胎児性抗原である。B細胞リンパ腫において、腫瘍特異的イディオタイプ免疫グロブリンは、個々の腫瘍に特有の、真に腫瘍特異的な免疫グロブリン抗原を構成する。CDI9、CD20およびCD37などのB細胞分化抗原は、B細胞リンパ種における標的抗原の他の候補である。これらの抗原のいくつか(CEA、HER−2、CD19、CD20、イディオタイプ)は、モノクローナル抗体による受動免疫療法のための標的として用いられているが、効果は限られる。1つ目の抗原または4つ目の結合部分は、これらのTAAのいずれかであり得るか、またはこれらのTAAのいずれかの抗原性配列であり得る。

0111

本発明のある実施形態では、TAAの非限定的な例には、以下が含まれる:MART−l/MelanA(MART−1)、glOO(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2などの分化抗原、および、MAGE−1、MAGE−3、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、pi5などの腫瘍特異的多系列の抗原;CEAなどの過剰発現抗原;p53、Ras、HER−2/neuなどの過剰発現したがん遺伝子および変異した腫瘍抑制遺伝子染色体転座に起因する特有の腫瘍抗原(例えば、BCR−ABL、E2A−PRL、H4−RET、1GH−IGK、MYL−RAR);および、エプスタイン・バーウイルス抗原EBVA並びにヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6およびE7が含まれる。他の、大きな、タンパク質ベースの抗原には、TSP−180、MAGE−4、MAGE−5、MAGE−6、RAGE、NY−ESO、pl85erbB2、pl80erbrB−3、c−met、nm−23Hl、PSA、TAG−72、CA19−9、CA72−4、CAM17.1、NuMa、K−ras、βカテニン、CDK4、Mum−1、p15、p16、43−9F、5T4(791Tgp72}αフェトプロテイン(α−fetoprotem)、beta−HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15−3\CA27.29\BCAA、CA195、CA242、CA−50、CAM43、CD68\I、CO−029、FGF−5、G250、Ga733VEpCAM、HTgp−175、M344、MA−50、MG7−Ag、MOV18、NB/70K、NY−CO−1、RCAS1、SDCCAG16、TA−90\Mac−2結合タンパク質A、シクロフィリンC関連タンパク質、、TAAL6、TAG72、TLP、およびTPSが含まれる。

0112

一実施形態では、CARまたはTCRは、ヒトCD19のための結合部位を含み、例えば、CARについては、これは、抗体CD19scFVにより提供され得、場合により、抗CD19scFVは、WO2012079000A1に開示される配列番号14によりコードされる。一実施形態では、抗CD19scFVは、配列番号20のアミノ酸配列を含む。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0113

一実施形態では、CAR内のドメインの1つと天然に結合する膜貫通ドメインが用いられる。いくつかの例では、膜貫通ドメインを選択するか、アミノ酸置換によっては改変して、これらのドメインの同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへの結合を回避し、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にすることができる。

0114

膜貫通ドメインは、天然起源または合成起源のいずれかに由来してよい。起源が天然の場合、該ドメインは、任意の膜結合タンパク質または膜貫通タンパク質に由来してよい。本発明において特に有用な膜貫通領域は、T細胞受容体のα、βまたはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CDS、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137またはCD154に由来してよい(すなわち、少なくともこれらの膜貫通領域を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは合成であってよく、その場合、該ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含むであろう。場合により、フェニルアラニントリプトファン、およびバリンの三つ組が、合成膜貫通ドメインの各末端で見出されるであろう。

0115

場合により、短いオリゴペプチドの、またはポリペプチドのリンカー、好ましくは2か〜10のアミノ酸長のリンカーが、CARなどの免疫細胞膜貫通タンパク質の、膜貫通ドメインと、細胞内部分との間の連結を形成する。グリシンセリンダブレット(doublet)は、特に好適なリンカー(例えば、本明細書に開示される(G4S)nリンカー)を提供する。

0116

場合により、膜貫通ドメインは、配列番号16の核酸配列によりコードされるCD8膜貫通ドメインである。一実施形態では、CD8膜貫通ドメインは、配列番号22のアミノ酸配列を含む。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0117

いくつかの例では、膜貫通ドメインは、配列番号15の核酸配列によりコードされる、CD8ヒンジドメインを含む。一実施形態では、CD8ヒンジドメインは、配列番号21のアミノ酸配列を含む。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0118

患者に投与された細胞集団の細胞により発現される、膜貫通タンパク質の細胞内部分、言い換えれば細胞内シグナル伝達ドメインは、膜貫通タンパク質を発現する免疫細胞の正常なエフェクター機能(例えば、(例えば、Tエフェクター細胞に対して)細胞傷害性または、(T制御性細胞に対して)抑制を導くなどの、T細胞機能)のうち、少なくとも1つの活性化を担う。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解溶解活性またはヘルパー活性であってよく、サイトカインの分泌を含む。従って、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞に特殊な機能を実行させるタンパク質の部分を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を使用することができるが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断された一部が使用される範囲においては、この切断された一部は、エフェクター機能シグナルを伝達するのであれば、完全な鎖の代わりに使用されてよい。従って、「シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な、細胞内シグナル伝達ドメインの切断された一部を含むことを意味する。投薬された細胞の膜貫通タンパク質に用いる細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、T細胞受容体(TCR)および、協調して作用して抗原受容体の結合に続くシグナル伝達を開始する共受容の、細胞質側の配列、ならびにこれらの配列の任意の派生物(derivative)または変異体、および同じ機能的能力を有する任意の合成配列を含む。

0119

TCR単独で生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化には不十分であり、二次または共刺激シグナルも必要であることが、知られている。したがって、T細胞活性化は、2つの異なるクラスの細胞質シグナル伝達配列により媒介されると言える。すなわち、TCRを介して抗原依存性の一次活性化を開始する細胞質シグナル伝達配列(一次細胞質シグナル伝達ドメイン)と、抗原非依存的に作用して、二次または共刺激シグナルを提供する細胞質シグナル伝達配列(二次細胞質シグナル伝達ドメイン)である。一次細胞質シグナル伝達配列は、刺激的方法、または、阻害的方法のいずれかで、TCR複合体の一次活性化を制御する。刺激的方法で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容活性化チロシンモチーフ、すなわち、ITAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含んでよい。

0120

一例では、第1のシグナル伝達ドメインは、一次細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζドメイン)である。一例では、第1のシグナル伝達ドメインは、二次細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28または4−1BBドメイン)である。

0121

一例では、第1のシグナル伝達ドメインは、1つ以上のITAMを含む。

0122

本発明において特に有用な、好適なITAM含有一次細胞質シグナル伝達ドメインの例には、TCRζ、FcRgamma、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CDS、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するシグナル伝達ドメインが含まれる。本発明の膜貫通タンパク質における細胞質シグナル伝達分子が、CD3ζ由来の細胞質シグナル伝達配列を含むことが、特に好ましい。

0123

細胞内部分は、場合により、(例えば、第1のシグナル伝達ドメイン、またはさらなる細胞内ドメインとして)共刺激分子のドメインを含む。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球(例えば、T細胞またはNK細胞)の効率的な応答に必要とされる抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子の例には、CD27、CD28、4−1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、およびCD83と特異的に結合するリガンドなどが含まれる。従って、これらおよび他の共刺激エレメントは、膜貫通タンパク質の細胞内部分における使用のための本発明の範囲内である。

0124

細胞内部分ドメインは、1つ以上のリンカー、例えば、本明細書に開示される(G4S)nリンカーにより、共に連結されていてよい。

0125

一実施形態では、細胞内部分は、CD3−ζのシグナル伝達ドメインと、CD28のシグナル伝達ドメインとを含む。別の実施形態では、細胞内部分は、CD3−ζのシグナル伝達ドメインと、4−1BBのシグナル伝達ドメインとを含む。さらに別の実施形態では、細胞内部分は、CD3−ζのシグナル伝達ドメインと、CD28および4−1BBのシグナル伝達ドメインとを含む。

0126

一実施形態では、細胞内部分は、4−1BBのシグナル伝達ドメインと、CD3−ζのシグナル伝達ドメインとを含み、4−1BBのシグナル伝達ドメインは配列番号17に記載される核酸配列によりコードされ、CD3−ζのシグナル伝達ドメインは配列番号18に記載される核酸配列によりコードされる。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0127

一実施形態では、細胞内部分は、4−1BBのシグナル伝達ドメインと、CD3−ζのシグナル伝達ドメインとを含み、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号23のアミノ酸配列を含み、CD3−ζのシグナル伝達ドメインは、配列番号24のアミノ酸配列を含む。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0128

一実施形態では、細胞内部分は、4−1BBのシグナル伝達ドメインと、CD3−ζのシグナル伝達ドメインとを含み、4−1BBのシグナル伝達ドメインは、配列番号23に記載されるアミノ酸配列を含み、CD3−ζのシグナル伝達ドメインは、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含む。本段落の配列は、WO2012079000A1に示されており、本発明での使用のために、および、本明細書の1つ以上の請求項に包含され得るために、本明細書に明示的に組み込まれる。

0129

T細胞および他の免疫細胞の起源は、WO2012079000A1、US8906682、US8911993、US8916381、US8975071、US9101584、US9102760、US9102761、US9328156、US9464140、US9481728、US9499629、US9518123、US9540445、US20130287748、US20130288368、US20130309258、US20140106449、US20140370017、US20150050729、US20150093822、US20150099299、US20150118202、US20160130355、US20160159907、US20160194404、US20160208012に開示されており、並びに、これらを生成、活性化、および増幅する方法も開示されている。これらの開示は、本発明を実施する際の可能性のある使用のために参照される。

0130

本方法による処置または予防のためのがん

0131

治療され得るがんには、血管新生されないか、実質的に血管新生されない腫瘍、並びに、血管新生された腫瘍が含まれる。がんは、非固形腫瘍(例えば、白血病およびリンパ腫などの血液系腫瘍)を含むか、または固形腫瘍を含み得る。本発明で処置されるがんのタイプには、細胞種細胞腫)、芽細胞腫、および肉腫(肉腫)、およびある種の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、悪性腫瘍(例えば、肉腫、細胞腫およびメラノーマ)が含まれるが、これらに限定されない。成人腫瘍/がんおよび小児腫瘍/がんもまた含まれる。

0132

血液がんは、血液または骨髄のがんである。血液性(または血行性)のがんの例には、急性白血病急性リンパ性白血病急性骨髄性白血病急性骨髄白血病、および、骨髄芽球性白血病前骨髄球性(promyeiocytic)白血病、骨髄単球性白血病単球性白血病、および赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄性顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ性白血病など)、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病非ホジキンリンパ腫低悪性度および高悪性度の)、多発性骨髄腫,ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症重鎖病、骨髄異形成症候群ヘアリー細胞白血病および骨髄形成異常症を含む、白血病が含まれる。

0133

固形腫瘍は、通常嚢胞または液体領域を含有しない、組織の異常な腫瘤である。固形腫瘍は、良性または悪性であり得る。さまざまなタイプの固形腫瘍は、それらを形成する細胞のタイプ(肉腫、細胞腫、およびリンパ腫など)について、名前が付けられている。肉腫および細胞種などの固形腫瘍の例には、線維肉腫粘液肉腫脂肪肉腫軟骨肉腫骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫中皮腫ユーイング腫瘍平滑筋肉腫横紋筋肉腫結腸がん,リンパ系腫瘍、膵臓がん、乳がん,肺がん卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん扁平上皮がん基底細胞がん、腺癌汗腺がん,甲状腺髄様癌甲状腺乳頭癌褐色細胞腫皮脂腺細胞腫、乳頭がん,乳頭状腺がん髄様がん気管支原性肺癌腎細胞がん、肝細胞がん,胆管細胞腫、絨毛がんウィルムス腫瘍子宮頸がん精巣腫瘍セミノーマ、膀胱がん、メラノーマ、および中枢神経系(CNS)腫瘍(例えば、神経膠腫脳幹神経膠腫および混合神経膠腫など)、神経膠芽腫多形神経膠芽腫としても知られる)、星細胞腫、中枢神経系(CNS)リンパ腫,胚細胞腫髄芽腫シュワン細胞腫頭蓋咽頭腫(craniopharyogioma)、脳室上衣腫松果体腫(pineaioma)、血管芽細胞腫聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫髄膜腫(menangioma)、神経芽腫網膜芽細胞腫および脳転移)が含まれる。

0134

一実施形態では、投与された細胞は、特定の癌を処置するように設計された第1の抗原結合部位(例えば、CARによって含まれる)を発現する。例えば、第1の抗原結合部位は、CD19に特異的に結合して、がんおよび疾患、例えば、前駆Bリンパ芽球性白血病リンパ腫(pre−B ALL)(小児適応症)、成人の急性リンパ性白血病(ALL)、マントル細胞リンパ腫びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または同種骨髄移植後のサルベージを処置するために用いられ得る。別の実施形態では、第1の部分または第1の結合部位は、CD22に特異的に結合して、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を処置する。

0135

一実施形態では、がんおよび疾患には、pre−B ALL(小児適応症)、成人の急性リンパ性白血病(ALL)、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、同種骨髄移植後のサルベージなどが含まれるがこれらに限定されず、CD19、CD20、CD22、およびROR1のうち2つまたは3つを標的とする複数の架橋剤(bridging agent)(または、単一の剤に含まれる複数の結合部分もしくは結合部位)の組み合わせを用いて処置することができる。

0136

一例では、細胞は、異なる(例えば、その標的抗原において異なる(かつ、場合により他の点では同一である))、第1および第2の膜貫通タンパク質(例えば、T細胞により発現された、2つのCARまたは、1つのCARおよび操作されたTCR)を含む。同様に、本発明は、例えば同一の移植片に含まれる、免疫細胞の混合物(例えば、CAR細胞の混合物)を用いてよく、ここで、混合物は、異なる(例えば、その標的抗原において異なる(かつ、場合により他の点では同一である))膜貫通タンパク質(例えば、T細胞により発現された、2つのCARまたは、1つのCARおよび操作されたTCR)を含む細胞を含む。これは、例えば、がんによる処置に対する抵抗を低下させるため、あるいは、複数の標的抗原を表面発現するがん細胞などの細胞集団をより効果的に標的とするために、有用であり得る。

0137

一実施形態では、抗原結合部位は、メンテリンに特異的に結合して、中皮腫、膵臓がん、卵巣がんを、処置または予防する。

0138

一実施形態では、抗原結合部位は、CD33/IL3Raに特異的に結合して、急性骨髄白血病を、処置または予防する。

0139

一実施形態では、抗原結合部位は、c−Metに特異的に結合して、トリプルネガティブ乳がんまたは非小細胞肺がんを、処置または予防する。

0140

一実施形態では、抗原結合部位は、PSMAに特異的に結合して、前立腺がんを、処置または予防する。

0141

一実施形態では、抗原結合部位は、糖脂質F77に特異的に結合して、前立腺がんを、処置または予防する。

0142

一実施形態では、抗原結合部位は、EGFRvIlIに特異的に結合して、膠芽腫(gliobastoma)を、処置または予防する。

0143

一実施形態では、抗原結合部位は、GD−2に特異的に結合して、神経芽腫またはメラノーマを、処置または予防する。

0144

一実施形態では、抗原結合部位は、NY−ESO−1 TCRに特異的に結合して、骨髄種、肉種、またはメラノーマを処置する。

0145

一実施形態では、抗原結合部位は、MAGE A3 TCRに結合して、骨髄腫、肉腫およびメラノーマを処置する。

0146

特異的抗原結合は、インビトロで、25℃または室温で、表面プラズモン共鳴(SPR)により決定される、1mM以下(例えば、1mM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、または10pM以下)のKDによる結合である。

0147

1つの例では、本方法を用いた前記処置は、疾病または症状、またはその徴候の進行を低減させる。1つの例では、本方法を用いた前記処置は、例えば、少なくとも、1、2、3、4または5年間、疾病または症状、またはその徴候の発生率を低減させる。例えば、少なくとも、1、2、3、4または5年間、

0148

一例では、本方法は、哺乳動物、例えばヒト、男性または女性、または児または児、またはヒト乳児(例えば、1、2、3または4未満)で、インビボで行われる。一例では、患者は成人または小児のヒト患者である。

0149

CARまたはTCRは操作されている、すなわち、天然に存在しない部分とドメインの組み合わせを含む。一例では、細胞療法は、標的細胞を標的とし、標的細胞はがん細胞であり、例えば、白血病細胞リンパ腫細胞、腺がん細胞、または、がん幹細胞である。場合により、投与される免疫細胞のCARまたはTCRは、ヒトCD19(場合により、標的細胞は、白血病細胞またはリンパ腫細胞である)、EpCAM(場合により、標的細胞は、肺がん細胞胃腸がん細胞、腺癌、がん幹細胞である)、CD20(場合により、標的細胞は白血病細胞である)、MCSP(場合により、標的細胞はメラノーマ細胞である)、CEA、EGFR、EGFRvIII、シアリルTn、CD133、CD33(場合により、標的細胞は、白血病細胞であり、例えば、急性骨髄性白血病(AML)細胞である)、PMSA、WT1、CD22、L1CAM、ROR−1、MUC−16、CD30、CD47、CD52、gpA33、TAG−72、ムチンCIX、GD2、GD3、GM2、CD123、VEGFR、インテグリン、cMET、Her1、Her2、Her3、MAGE1、MAGE A3 TCR、NY−ESO−1、IGF1R、EPHA3、CD66e、EphA2,TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、アンジオポエチン、メンテリン、糖脂質F77またはテネイシンに、特異的に結合する。

0150

場合により、CARは、ブリツモマブまたは抗体HD37のCD19結合部位、カツマキソマブのEpCAM結合部位、AFM11のCD19結合部位、LymphomunのCD20結合部位、ErtumaxomabのHer2結合部位、AMG211(MEDI−565,MT111)のCEA結合部位、PasotuxizumabのPSMA結合部位、solitomabのEpCAM結合部位、RG7221またはRG7716のVEGFまたはアンジオポエチン2結合部位、RG7597のHer1またはHer3結合部位、MM111のHer2またはHer3結合部位、MM141のIGF1RまたはHer3結合部位、MGD006のCD123結合部位、MGD007のgpa33結合部位、TF2のCEA結合部位、AFM13のCD30結合部位、AFM11のCD19結合部位、および、LY3164530のHer1またはcMet結合部位からなる群から選択される、抗体の可変ドメインを含む。

0151

場合により、CARは、ReoPro(商標)、アブシキシマブ、Rituxan(商標)、リツキシマブ、Zenapax(商標)、ダクリズマブ、Simulect(商標)、バシリキシマブ、Synagis(商標)、パリビズマブ、Remicade(商標)、インフリキシマブ、Herceptin(商標)、トラスツズマブ、Mylotarg(商標)、ゲムツズマブ、Campath(商標)、アレムツズマブ、Zevalin(商標)、イブリツモマブ、Humira(商標)、アダリムマブ、Xolair(商標)、オマリズマブ、Bexxar(商標)、トシツモマブ、Raptiva(商標)、エファリズマブ、Erbitux(商標)、セツキシマブ、Avastin(商標)、ベバシズマブ、Tysabri(商標)、ナタリズマブ、Actemra(商標)、トシリズマブ、Vectibix(商標)、パニツムマブ、Lucentis(商標)、ラニビズマブ、Soliris(商標)、エクリズマブCimzia(商標)、セルトリズマブ、Simponi(商標)、ゴリムマブ、Ilaris(商標)、カナキムマブ、Stelara(商標)、ウステキヌマブ、Arzerra(商標)、オファツムマブ、Prolia(商標)、デノスマブ、Numax(商標)、モタビズマブ、ABThrax(商標)、ラキシバクマブ、Benlysta(商標)、ベリムマブ、Yervoy(商標)、イピリムマブ、Adcetris(商標)、ブレツキシマブ、Vedotin(商標)、Perjeta(商標)、ペルツズマブ、Kadcyla(商標)、アドトラスツズマブ、Gazyva(商標)およびオビヌツズマブからなる群から選択される抗体の抗原結合部位の可変ドメインを含む。

0152

一例では、標的細胞は血液細胞、例えば、ヒトまたは動物の、幹細胞または骨髄細胞である。場合により、標的細胞は、B細胞またはT細胞である。

0153

一例では、CARまたはTCRは、自己免疫性の疾病の標的のための抗原結合部位を含み、シグナル伝達は免疫細胞の細胞傷害活性または増殖をダウンレギュレートする。本明細書で用いられる場合、「自己免疫性の疾病」という用語は、自己免疫応答の結果生じる疾患として規定される。自己免疫性の疾病は、自己抗原に対する、不適切および過度な応答の結果である。自己免疫性の疾病の例には、とりわけ、、アジソン病円形脱毛症(alopecia greata areata)、強直性脊椎炎、自己免疫性の肝炎、自己免疫性の耳下腺炎、クローン病、糖尿病I型)、栄養障害型表皮水疱症精巣上体炎糸球体腎炎グレーブス病ギランバレー症候群(Guillain−Barr syndrome)、橋本病溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症尋常性天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス強皮症シェーグレン症候群脊椎関節症甲状腺炎血管炎白斑粘液水腫悪性貧血、潰瘍性大腸炎が含まれるが、これらに限定されない。メモリーT細胞集団全体の範囲内で、いくつかの異なる亜集団が記載されており、ケモカイン受容体CCR7およびL−セレクチン(CD62L)の示差的発現によって認識され得る。ステムメモリーTSCM細胞は、CD45RO−、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L−セレクチン)、CD27+、CD28+およびIL−7Rα+であるが、大量のCD95、IL−2Rβ、CXCR3およびLFA−1も発現し、メモリー細胞特有の多数の機能的属性を示す。セントラルメモリーTCM細胞は、L−セレクチンおよびCCR7を発現し、IL−2を分泌するが、IFNγまたはIL−4は分泌しない。しかしながら、エフェクターメモリーTEM細胞は、L−セレクチンまたはCCR7は発現しないが、エフェクターサイトカイン様IFNγおよびIL−4を生産する。TSCMなどのメモリーT細胞は、ヒトにおいて、操作された免疫細胞の持続する集団を確立するために、特に有用であり得る。

0154

本明細書の免疫細胞、標的細胞、または幹細胞は、一例では、TSCM、TCMまたはTEM細胞、例えば、ヒトTSCM、TCMまたはTEM細胞であり得る。一例では、細胞療法の免疫細胞(例えば、CAR−T細胞)はそれぞれ、自己免疫性の疾病、炎症性の疾病、ウイルス感染症、またはがんを患っているヒトの細胞の子孫であり、例えば、該ヒトは、リンパ性白血病、ALL(例えば、T−ALL)、CLL(例えば、B細胞慢性リンパ性白血病)または非ホジキンリンパ腫を患っている。該ヒトは、例えば、該患者またはその親戚(例えば、兄弟または親)であってよい。

0155

一例では、投与される免疫細胞は、シグナル伝達が増強されるように、操作されており、ここで、シグナル伝達は、CD28、4−1BB、OX40、ICOSおよびCD40シグナル伝達から選択される。

0156

場合により、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)は死滅する。一例では、各標的細胞は、腫瘍細胞であり、本方法は、ヒトにおいて、がんのリスクを処置または低減し、あるいは、がん進行のリスクを処置または低減する。

0157

場合により、ヒトはがんを有する。一例では、がんは血液がんである。一例では、ヒトは、B細胞起源のがんを有する。一例では、ヒトは、T細胞起源のがんを有する。例えば、がんは肺がん、メラノーマ、乳がん、前立腺がん、結腸がん、腎細胞がん、卵巣がん、神経芽腫、横紋筋肉腫、白血病およびリンパ腫である。本発明に使用するのに好ましいがんの標的は、B細胞起源のがんであり、特に急性リンパ性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病またはB細胞非ホジキンリンパ腫を含む。一例では、がんはT細胞またはB細胞起源のがんであり、例えば、リンパ性白血病、ALL(例えば、T−ALL)、CLL(例えば、B細胞慢性リンパ性白血病)、または非ホジキンリンパ腫である。場合により、投与される免疫細胞(例えば、CAR−細胞)はそれぞれ、前記ヒトの免疫細胞の子孫であり、例えば、該ヒトは、リンパ性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ALL(例えば、T−ALLまたはB−ALL)、CLL(例えば、B細胞慢性リンパ性白血病)または非ホジキンリンパ腫を患っている。場合により、投与される免疫細胞(例えば、CAR−T細胞)はそれぞれ、前記ヒトの自家細胞(例えば、T細胞)であるか、該自家細胞の子孫である。本明細書で用いられる場合、用語「自家の」は、後に再導入される個体と同一の個体に由来する任意の物質を指すことが意図されている。「同種の」は、同じ種の異なる動物に由来するグラフトを指す。

0158

場合により、投与される細胞(例えば、CAR−細胞)はそれぞれ、ヒトの血液または腫瘍サンプルに由来し、ステップ(c)の前に、インビトロで活性化および増殖される。「活性化」は、本明細書で用いられる場合、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞または他の免疫細胞の状態をいう。活性化はまた、誘導されたサイトカイン生産、および、検出可能なエフェクター機能とも、関連し得る。用語「活性化されたT細胞」は、とりわけ、細胞分裂をしているT細胞を指す。

0159

ある実施形態では、ヒトは、自己免疫性の疾病を有し、投与される免疫細胞(例えば、CAR−細胞)は、アネルギー性であり、または、標的細胞と結合した場合の増殖および/または細胞傷害活性が低下しており、それにより、細胞移植片細胞(および/またはその子孫)は、前記自己免疫性の疾病をアップレギュレートする、前記ヒトの内因性免疫細胞と競合する。

0160

本方法における免疫細胞の投与は、患者の血液への細胞注入によってよい。免疫細胞は、患者に投与される増幅免疫細胞集団を生産するように、増幅されてよい。免疫細胞は、患者に投与される活性化免疫細胞集団を生産するように、活性化されてよい。本明細書における方法では、有効量の免疫細胞が投与される。本明細書で使用される「有効量」は、疾病または症状を処置または予防するための治療的または予防的利益を提供する量を意味する。

0161

本発明の方法のある実施形態において、方法は、患者への免疫細胞の投与の前に、リンパ球枯渇を受けている患者(例えば、ヒト)のがんのリスクを処置または低減する。

0162

一実施形態では、ヒトは、少なくとも1つの化学療法薬に耐性である。

0163

一実施形態では、慢性リンパ性白血病は、難治性のCD19+白血病およびリンパ腫である。

0164

本発明はまた、がんと診断されたヒトにおいて、遺伝子操作されたT細胞の存続する集団を生成する方法を含み、ここで、投与される細胞はT細胞を含み、存続する集団はその子孫を含む。一実施形態では、本方法は、ヒトにT細胞集団(例えば、CART細胞集団)を投与することを含み、ここで、遺伝子操作されたT細胞の存続する集団は、投与後少なくとも1ヵ月間、ヒト中に存続する。一実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の存続する集団は、メモリーT細胞を含む。一実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の存続する集団は、投与後少なくとも3週間は、ヒト中に存続する。別の実施形態では、遺伝子操作されたT細胞の存続する集団は、投与後少なくとも4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月、12ヵ月、2年、または3年の間、ヒト中に存続する。

0165

一実施形態では、慢性リンパ性白血病が処置される。本発明はまた、がんと診断されたヒトにおいて、操作されたT細胞またはNK細胞の集団を増幅させる方法であって、投与される細胞がT細胞および/またはNK細胞を含み、増幅された集団がその子孫を含む方法を提供する。

0166

場合により、自家のリンパ球の注入が、処置において用いられる。例えば、自家のPBMCを、処置が必要な患者から回収し、CAR−T細胞を、CAR膜貫通タンパク質を発現するように操作し、当業界で知られる方法を用いて活性化および増幅して、その後、ステップ(a)において患者に注入して戻す。一例では、投与される細胞は、多能性または多分化能である。該幹細胞は、ヒトの細胞に発達することができない。ある実施形態では、該幹細胞は、ヒトの胚または接合子に発達することができない。

0167

一例では、投与される細胞集団は、例えば、ヒトの自家細胞または同種細胞である、骨髄幹細胞を含む。

0168

一例では、投与される細胞集団は、例えば、ヒトの自家細胞または同種細胞である、造血幹細胞を含む。

0169

微生物叢の調節
医療行為は、しばしば、患者に抗生物質を投与することを包含する。 これらの処置は、典型的には、多くのグラム陽性菌種または多くのグラム陰性種を、区別することなく標的とする抗生物質、すなわち、広域スペクトル抗生物質の投与を包含し得る。同様に、農業(farming)や農耕(agriculture)における広域スペクトル抗生物質の使用は、健康に有害であり、微生物耐性を発展させる可能性のある、これらの抗生物質のヒトおよび動物の食物連鎖への侵入を含む、環境問題を提起する。むしろ、一例では、本発明は、微生物叢の第1の微生物の(例えば、細菌または古細菌の)種または株の、選択的標的化を包含する。本明細書の実施例に示されるように、特定の細菌種の選択的標的化は、選択された種のゲノムを標的とするの誘導型ヌクレアーゼを用いて達成されているが、同時に、関連する種および株、並びに、共存する種(実施例においては、ヒト腸内微生物叢に共存する種)を温存する。従って、1つの例では、ディスバイオシスを引き起こすステップ、または、ステップ(b)は、微生物叢亜集団の第1の細胞を死滅すること、または、微生物叢亜集団に含まれる第1の細胞のゲノムを標的とする誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RNA誘導型ヌクレアーゼ)を用いることにより前記亜集団の増殖を阻害することを含む。誘導型ヌクレアーゼ標的化を実行するための好適なシステムは、例えば、操作されたCRISPR/Casシステム、TALEN、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーシステムである。例として、共同体における、選択されたヒト腸内微生物叢細菌種のCRISPR/Cas媒介ガイド標的化が、本明細書の実施例において実証されている。該標的化は、標的の種または株のDNAのヌクレアーゼ切断を生みだし、例えば、微生物叢における標的の種の相対的割合を低減させ、あるいは、微生物叢における前記種の亜集団の増殖を阻害する。本方法における種の選択的標的化は、一般に、微生物叢における、細菌および/または古細菌種の相対的割合の変化の、より細かい制御を可能にするのに有利である。このように、本発明は、TH1、TH17および/またはTreg細胞などの特定の免疫細胞集団のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーション、または本明細書に記載される微生物叢を調節する他の結果に影響を及ぼすことを目的として、微生物叢を改変する能力を提供する。

0170

一例では、第1の細胞集団増殖は、該ディスバイオシスまたはステップ(b)より前の増殖と比較して、少なくとも5倍低下している。本方法は、腸表面での、第1の細胞集団増殖を阻害することを含んでよい。本方法は、植物(例えば、葉および/または)表面での、第1の細胞集団増殖を阻害することを含んでよい。

0171

あるいは、対象に適用される代わりに、処置は、環境または土壌に適用され(例えば、処置は、肥料、植物生長促進または阻害、除草剤、または、農薬の処置である)、ここで、処置は本発明によって調節される。

0172

腸内微生物叢または他の微生物叢において、細菌および古細菌の変化をいかにして決定するかは、当業者には、明らかであろう。例えば、これは、処置前および処置後に、患者の糞便サンプルを解析することにより、行われ得る。各サンプルにおける異なる種または株のタイプ、および、処置前および処置後の種または株の割合を決定してよい。16sリボソームRNAをコードするDNA(16s rDNA)の従来の分析を用いて、例えば種を同定することが可能である。これに加えて、または、これに代えて、標準的な生化学テストを、株または種を同定するために用いることができ、例えば、染色、運動性試験、血清学的試験、ファージ分類、(例えば、Kirby Baurディスク拡散法を用いた)識別ディスク試験(identification disc testing)の1つ以上もまた包含する。生化学テストは、(a)カタラーゼテスト、(b)コアグラーゼテスト、(c)オキシダーゼテスト、(d)糖発酵テスト、(e)インドールテスト、(f)クエン酸テスト、および(g)ウレアーゼテストの1つ以上を包含してよい。相対的割合は、各サンプルから(本明細書の実施例のように)寒天プレート上のコロニーを増殖させ、コロニー数を計測することにより、決定してよい。

0173

一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、微生物叢、例えば腸内微生物叢における、Bacteroides(B thetaiotamicron)の割合を増加させる。

0174

一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、微生物叢、例えば腸内微生物叢における、Bacteroides(B thetaiotamicron)の割合を減少させる。一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、微生物叢、例えば腸内微生物叢における、ファーミキューテス門(Firmicutes)に対するバクテロイデス門(Bacteroidetes)の割合を増加させる。一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、微生物叢、例えば腸内微生物叢における、ファーミキューテス門(Firmicutes)に対するバクテロイデス門(Bacteroidetes)の割合を減少させる。

0175

蓄積した証拠は、Treg細胞の誘導においてクラスターIVおよびXIVaに属するBifidobacteriumおよびClostridium spp.の共生株の役割を支持する。例えば、Lopez et al.を参照されたい。一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、腸内微生物叢において、1つ以上のClostridium種または株(例えば、一例では、それぞれの種はクラスターIVまたはXIVaClostridium種である)の割合を低減する。一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、腸内微生物叢において、1つ以上のClostridium種または株(例えば、一例では、それぞれの種はクラスターIVまたはXIVa Clostridium種である)の割合を増加させる。

0176

一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、腸内微生物叢において、Bifidobacterium(例えば、B bifidum)の割合を低減させる。一例では、ディスバイオシスまたはステップ(b)は、腸内微生物叢において、腸内微生物叢においての割合を増加させる。

0177

例えば、ヒト腸内微生物叢を選択的に変更することによって、本発明は、CAR−Tまたは他のACT処置のアップレギュレーションを提供する(例えば、変化した微生物叢は、CAR−TまたはACT投与を受けた患者においてTreg細胞をダウンレギュレートし、および/または、該患者においてTH1および/またはTH17細胞をアップレギュレートし、これらの細胞は、例えば、CAR−TまたはACT移植片に含まれている)。Treg細胞のダウンレギュレーションは、患者においてエフェクターT細胞および/またはヘルパーT細胞の抑制を低減させ、それによって、がんまたは他の疾患を媒介する細胞に対する、CAR−TまたはACT細胞傷害性、または他の望ましい活性を増強し得る。TH1および/またはTH17細胞のアップレギュレーションは、エフェクターT細胞の活性を増加させ、それによって、がんまたは他の疾患を媒介する細胞に対する、CAR−TまたはACT細胞傷害性、または他の望ましい活性を増強し得る。

0178

別の例では、微生物叢の変更は、CAR−Tまたは他のACT処置を弱めるためのスイッチとして用いられ得る(例えば、変化した微生物叢は、CAR−TまたはACT投与を受けた患者においてTreg細胞をアップレギュレートし、および/または、該患者においてTH1および/またはTH17細胞をダウンレギュレートし、これらの細胞は、例えば、CAR−TまたはACT移植片に含まれている)。Treg細胞のアップレギュレーションは、患者においてエフェクターT細胞および/またはヘルパーT細胞の抑制を増加させ、それによって、サイトカイン放出を促進するCAR−TもしくはACTの能力、または他の望ましくない活性を低減し得る。TH1および/またはTH17細胞のダウンレギュレーションは、エフェクターT細胞活性を減少させ、それにより、サイトカイン放出を促進するCAR−TもしくはACTの能力、または他の望ましくない活性を低減し得る。これは、患者における、サイトカイン放出症候群(CRS)のリスクを制限するのに有用であり得る。本発明の方法を用いた患者の腸内微生物叢のその後のさらなる改変は、目の前の疾病または症状(例えば、血液がんなどの、がん)に対処するためにこれをもう一度使用することが望ましい場合に、CAR−TまたはACT処置をアップレギュレートするために行うことができる。この例では、メモリーT細胞CAR−TまたはACT集団は、より初期の治療から、患者に存在し得、本発明による微生物叢の変更を用いたアップレギュレーションは、メモリーT細胞をアップレギュレートして、エフェクター細胞および/またはヘルパー細胞に分化させ、疾病または症状に対処し得る。従って、1つの例では、本発明の細胞療法は、免疫メモリー細胞(例えば、セントラルメモリーT細胞(TCM)および/またはステムセルメモリー細胞(TSCM)などの、メモリーT細胞)を含む免疫細胞集団を投与することを含み、および/または、投与される集団は、最初の微生物叢の変更の後にこれらのメモリー細胞を産生する細胞を含む。

0179

本発明の1つの局面は、患者における細胞ベースの治療を調節することに対する有用性を認識するが、別の局面は、例えば患者のT細胞または他の免疫細胞によって媒介される、自己免疫疾患および炎症性の疾病および症状などの、患者における細胞媒介性の疾患および症状を調節(すなわち、処置または予防)することに対する有用性を認識する。さらなる局面では、本発明は、疾病または症状の別の治療を調節(例えば、増強)するための手段として有用性を認識する。例えば、疾病または症状を治療または予防するために、抗体または抗ウイルス薬による治療を増強する、または、実施するための手段として有用性を認識する。例えば、薬は、(例えば、メラノーマまたはNSCLCなどのがんを処置または予防するための)免疫チェックポイントのアンタゴニストまたはアゴニストであることができる。「治療を実施する」ことによって、患者が薬に応答しないか、応答が不十分であり、本発明による微生物叢の変更(例えば、本明細書に記載される、細菌または古細菌の種の選択的誘導型ヌクレアーゼ標的化を用いた微生物叢の変更)が患者による薬への応答(または改善された応答)をもたらすことが、企図される。例えば、本発明の方法は、HIV感染症を患う患者において、Th17細胞をアップレギュレートする。一局面では、これは、患者の抗レトロウイルス、または抗HIVワクチン療法を増強する。Th17細胞は、患者の内因性細胞であるか、または、患者のACTにより提供された細胞であってよい。別の例では、本発明の方法は、がん(例えば、メラノーマまたはNSCLCなどの肺癌)を患う患者において、Th17細胞をアップレギュレートする。一局面では、これは、患者の免疫チェックポイントのアンタゴニズムまたはアゴニズムの治療を増強する。Th17細胞は、患者の内因性細胞であるか、または、患者のACTにより提供された細胞であってよい。例えば、治療は、イピリムマブ(すなわち、YERVOY商標)、トレメリムマブ、ニボルマブ(すなわち、OPDIVO商標)、ペンブロリズマブ(すなわち、KEYTRUDA商標)、ピディリズマブ、BMS−936559、デュルバルマブおよびアテゾリズマブから選択した抗体を用いた抗体療法である。

0180

本発明は、植物、酵母、環境、土壌、ヒトまたは動物の微生物叢において、第1の細胞を標的化するか、または、細菌または古細菌の細胞集団の増殖を阻害することにより前記ディスバイオシスを引き起こすか、または、細胞の1つ以上の亜集団の相対的割合を変更するために(例えば、ヒトの腸内微生物叢における、バクテロイデス門(Bacteroidetes)(例えば、Bacteroides)、ファーミキューテス門(Firmicutes)および/またはグラム陽性またはグラム陰性細菌の割合の変更のために)、本発明の方法において用いられる、誘導型ヌクレアーゼシステム(例えば、操作されたCRISPR/Casシステム、TALEN、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーシステム)、アレイ(例えば、CRISPRアレイ)、CRISPRアレイ、cRNA、gRNAおよびベクター(例えば、前記システムの成分を含むファージ)に関する。本発明は、例えば、宿主細菌細胞(例えば、バクテロイデス門(Bacteroidetes)細胞、または、ファーミキューテス門(Firmicutes)細胞、または宿主古細菌細胞)の1つ以上の標的ゲノムまたはエピソームのヌクレオチド配列を改変(例えば、切断および/または変異)することを包含する。一例では、第1の細菌は、病原性腸内細菌である。

0181

2つの主な腸内微生物の門、バクテロイデス門(Bacteroidetes)およびファーミキューテス門(Firmicutes)のそれぞれのレベルが、ヒトおよび無菌マウスの両方において、肥満症と関連していることを指摘した多数の研究がある。これらの研究の著者等は、糖代謝が重要な因子であると推測している。彼らは、肥満症患者の微生物叢は、ファーミキューテス門(Firmicutes)の細菌がより豊富であり、バクテロテデス門(Bacteroidetes)の細菌がより少ないことを観察し、彼らは、この細菌混合物が、(反対の割合を有する)痩身個体の微生物叢よりも、所与食餌からエネルギーを抽出することに、より効率的であり得ると推論する。いくつかの研究において、彼らは、肥満症患者の体重が減少するにつれて、バクテロイデス門(Bacteroidetes)の相対的存在量が増加すること、さらに、肥満マウスの微生物が無菌マウスに移されると、これらのマウスは、痩せたマウスからの微生物叢を受け取ったコントロール群よりも脂肪が多くなるこが見出した。例えば、Turnbaugh, P. J., R. E. Ley, M. A. Mahowald, V. Magrini, E. R. Mardis, and J. I. Gordon. 2006, " An obesity−associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest ", Nature 444:1027—1131を参照されたい。さらなる局面において、本発明は、例えば、微生物叢においてバクテロイデス門(Bacteroidetes)の、ファーミキューテス門(Firmicutes)に対する比率を増加させることによって、患者の抗肥満症の治療を増強するための手段としての有用性を認識する。

0182

場合により、第1の細胞は、異なる株または種の細胞の存在下にあり、該異なる細胞は、エンテロバクター科(Enterobacteriaceae)、または、ヒトに対して(例えばヒトの腸内で)プロバイオティック(probiotic)、片利共生(commensal)、もしくは相利共生(symbiotic)の細菌である。一例では、第1の細胞はそれぞれ、ファーミキューテス門(Firmicutes)であり、例えば、Streptococcusの細胞である。

0183

一例では、本発明は、同じ種、または、異なる種にもかかわらず系統学的に関連する種(16s rDNAによって示される)の第2の関連株を標的としないが、微生物叢の標的微生物を選択的に死滅させるか、ダウンレギュレートすることができる。例えば、微生物叢は、第2の細菌種または株、または、古細菌種または株の細胞を含み、第2の種または株は、第1の細胞種または株の16sリボソームRNAをコードするDNA配列に、少なくとも80、85、90、95、96、97、98または99%同一である16sリボソームRNAをコードするDNA配列を有し、微生物叢における第2の細胞の増殖は、前記方法によって阻害されない。ある実施形態では、第2の株または種の増殖は阻害されないか、あるいは、前記第1の細胞の増殖は、第2の細胞の少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、50倍、100倍または1000倍の増殖阻害によって、阻害される。

0184

本方法の一局面において、ディスバイオシスを引き起こすことまたはステップ(b)は、患者の微生物叢(例えば、腸内微生物叢)において第1の細胞(宿主細胞)の亜集団の割合を変更し、それにより、患者において免疫細胞療法を調節する変更された腸内微生物叢を産生することを含み、ここで、該亜集団は前記第1の種または株の宿主細胞を含み、本方法は、宿主細胞においてそれぞれの標的配列を切断して、標的配列を改変する、誘導型ヌクレアーゼ(例えば、RNA誘導型ヌクレアーゼ)を用い、それにより、宿主細胞が死滅するか、宿主細胞集団の増殖が低下し、それにより、微生物叢における該亜集団の割合を低減させることを含む。誘導型ヌクレアーゼ切断を実行するための好適なシステムは、例えば、操作されたCRISPR/Casシステム、TALEN、メガヌクレアーゼおよびジンクフィンガーシステムである例として、共同体における、選択されたヒト腸内微生物叢細菌種の、CRISPR/Cas媒介ガイド切断が、本明細書の実施例で実証されている

0185

一例では、標的配列の改変は、
a.微生物叢を、宿主改変(HM)crRNAをコードする操作された核酸配列の複数のコピーと組み合わせること、および
b.宿主細胞においてHM−crRNAを発現させること、
によって実行され、
ここで、操作された各核酸配列は、個々の宿主細胞においてCasヌクレアーゼと作動可能であり、HM−CRlSPR/Casシステムを形成し、かつ、該操作された配列は、
(i)HM−crRNAをコードする、スペーサーおよびリピート配列
(ii)宿主細胞の標的配列にハイブリダイズしてCasヌクレアーゼを宿主細胞の標的配列に誘導することができる配列を含む、HM−crRNA;
を含み、場合により、HM−システムは、tracrRNA配列またはtracrRNA配列を発現するDNA配列を含み、
それにより、HM−crRNAは宿主細胞において宿主標的配列のCas改変を誘導し、それにより、宿主細胞が死滅するか、宿主細胞集団の増殖が低下し、それにより、微生物叢において前記第1の細胞の割合を低減させる。

0186

あるいは、HM−crRNAおよびtracrRNAは、シングルガイドRNA(gRNA)に含まれる。操作された各核酸配列は、それぞれのベクターに含まれており、各ベクターは、場合により、プラスミド(例えば、宿主細胞に移行できる接合性プラスミド)、ファージ、ファージミド、またはプロファージである。ファージは、前記宿主細胞に感染することができる。

0187

一例では、宿主細胞の内因性Casヌクレアーゼが、標的ヌクレオチド配列の改変のために用いられる。ある実施形態では、それゆえ、各ベクターは、Cas(例えば、Cas9)ヌクレアーゼをコードする配列を欠いている。内因性Casヌクレアーゼを利用することによって、本発明の実施形態は、内因性Casヌクレアーゼ活性を使用する(すなわち、ヌクレアーゼ活性を活性化または増強するために、あらかじめ宿主細胞の遺伝子改変を行う必要がない)。従って、一例では、Casヌクレアーゼは、宿主細胞の野生型遺伝子にコードされている。一例では、ヌクレアーゼは活性であり、宿主細胞における内因性Casヌクレアーゼ(または、Casヌクレアーゼ遺伝子リプレッサーを阻害することなく、細胞の死滅または増殖低下を達成する。従って、本発明は、あらかじめ操作する必要なく、野生型細菌集団に対処して、効果的なCas媒介性の細胞の死滅または増殖低下をもたらすことができる。従って、該集団は、その野生型環境にある場合(例えば、植物、酵母、環境、土壌、ヒト、または動物のマイクロバイオームに含まれる場合)、cRNAにさらすことができる。

0188

一例では、cRNAまたはgRNAは、粘膜、腸内、経口、鼻腔内、直腸内、または頬側投与により、ヒトまたは非ヒト動物患者へ投与するためのものである(あるいは、投与される)。

0189

場合により、前駆Casヌクレアーゼは、各第1の細胞の、内因性タイプII CRISPR/Casシステムによって提供される。場合により、tracrRNA配列、または、tracrRNA配列を発現するDNA配列は、各宿主細胞に内因性である。場合により、各標的配列は、それぞれの宿主細胞の抗生物質耐性遺伝子、病原性遺伝子または必須遺伝子に含まれ、例えば、標的配列は、宿主細胞間で同一である。場合により、操作された核酸配列は抗生物質組成物に含まれ、該配列は、抗生物質製剤(第1の抗生剤)と組み合わせられ、また、一例では、標的配列は抗生物質耐性遺伝子に含まれ、抗生物質は前記第1の抗生剤である。抗生物質組成物は、患者または対象に投与され、前記ディスバイオシスまたはステップ(b)をもたらす。

0190

場合により、各宿主細胞は、目的のHM配列をコードする遊離末端を有するデオキシリボ核酸鎖(HM−DNA)を含み、および/または、ここで、該方法は、HM−DNAをコードする当該配列を宿主細胞に含み、HM−DNAは、HM−DNAを宿主ゲノムに(例えば、染色体の部位またはエピソームの部位に)挿入するための標的配列の内部または隣接する配列にそれぞれ相同な1つまたは複数の配列を含む。

0191

本発明はまた、本発明の処置または予防方法を実行するために第1の細胞(宿主細胞)に導入するためのベクターを提供し、各ベクターは、内因性CRISPR/Casシステムを含む細菌または古細菌宿主細胞を改変するための操作された核酸ベクターであって、該ベクターは、ディスバイオシスを引き起こすのに用いるための、または、本方法のステップ(b)において用いるための、複数の異なるcrRNA(例えば、gRNA)を発現するための核酸配列を含み、場合により、Casヌクレアーゼをコードする核酸配列を欠き、
ここで、第1の前記crRNAは、前記宿主細胞において第1の核酸配列にハイブリダイズすることができ、第2の前記crRNAは、前記宿主細胞において第2の核酸配列にハイブリダイズすることができ、ここで、前記第2の配列は前記第1の配列と異なり;かつ
a.第1の配列は抗生物質耐性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、第2の配列は抗生物質耐性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、場合により、これらの遺伝子は異なり、
b.第1の配列は抗生物質耐性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、第2の配列は必須遺伝子または病原性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、
c.第1の配列は必須遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、第2の配列は、必須遺伝子または病原性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、あるいは、
d.第1の配列は病原性遺伝子(またはそのRNA)に含まれており、第2の配列は必須遺伝子または病原性遺伝子(またはそのRNA)に含まれている。

0192

各ベクターは、上述の通り、例えば、宿主細胞に感染することができるファージ、または、宿主細胞に導入することができる接合性プラスミドであってよい。一例では、ベクターは、抗生物質製剤(例えば、βラクタム抗生剤)と組み合わせられる。

0193

第1の細胞(宿主細胞)はそれぞれ、Staphylococcus、Streptococcus、Pseudomonas、Salmonella、Listeria、E coli、DesulfovibrioまたはClostridium宿主細胞であってよい。一例では、第1の細胞(宿主細胞)はそれぞれ、ファーミキューテス門(Firmicutes)細胞であり、例えば、Staphylococcus、Streptococcus、ListeriaまたはClostridium細胞である。

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