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技術 E−セレクチンリガンドの糖鎖工学

出願人 サックステイン,ロバート
発明者 サックステイン,ロバート
出願日 2017年5月22日 (3年8ヶ月経過) 出願番号 2018-560978
公開日 2019年6月20日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2019-516382
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード デコレート 溢出物 パッケージング容器 イメージング位置 ローリング速度 一次チャネル イメージングセッション マージ画像
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図面 (12)

課題・解決手段

本発明は、細胞の表面のE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現強制する方法を提供する。また、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する方法、移植された細胞の集団におけるホーミングおよび/または血管外遊出を増加させる方法、対象に移植するための、改変された、幹細胞を含む細胞を作製する方法、対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快する方法、および対象における治療標的への細胞の集団のホーミングを誘導および/または強化するための方法も提供される。さらに本発明は、本発明の方法によって作製された細胞の集団を含む医薬組成物、ならびに対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快するための、そのような組成物を含むキットも提供する。

概要

背景

発明の背景
間葉系幹細胞MSC)は、それらの簡便な単離およびin vitro増幅多系統分化能組織修復栄養作用、および強力な免疫調節能[Dominici、2006年;Griffin、2013年]により、細胞治療のために非常に有望である。特にMSCは、骨形成骨芽細胞の前駆体であるので、これらの細胞は、骨粗鬆症または骨形成不全などの全身性骨疾患処置のために大きな関心を集めている。しかしながら、この目標を達成するために、血管内投与されたMSCの骨指向性を最適化することがまず必要である。

骨への循環細胞動員は、E−セレクチン受容体リガンド接着性相互作用に依存する。E−セレクチンは、骨髄微小血管上で構成的に発現し、炎症部位の微小血管で誘導的に発現されるカルシウム依存性レクチンである[Sipkins、2005年;Schweitzer、1996年;Sackstein、2009年]。E−セレクチンは、シアリルLewis X(sLeX;NeuAc−α(2,3)−Gal−β(1,4)−[Fuc−α(1,3)]GlcNAc−R)として公知であるシアロフコシル化末端四糖モチーフに基本的に結合する。sLeXは、PSGL−1、CD43またはCD44などの特定の細胞表面糖タンパク質を修飾するグリカン鎖の末端に提示され得る。sLeXがこれらのタンパク質で提示されるとき、それぞれE−セレクチンリガンドCLA、CD43EまたはHCELLとして機能することができる[Dimitroff、2001年;Sackstein、2008年]。これらの構造は、造血幹細胞およびプロジェニター細胞(HSPC)ならびに他の造血細胞で、高レベルで発現されるが、MSCには全く存在しない。このE−セレクチンリガンドの欠如に部分的に起因して、静脈移植時に注入されたMSCは、ごく一部しか骨にホーミングしない[Schrepfer、2007年;Lee、2009年;Ankrum、2010年]。

E−セレクチンリガンドを生成するために必要なグリカン修飾は、段階的に作用する特定のグリコシルトランスフェラーゼによってゴルジで行われる。ヒトMSCは、CD44ならびにsLeXの合成に必要なグリコシルトランスフェラーゼを高レベルで発現するが、注目すべき例外は、アルファ−(1,3)−フコシル化を媒介するフコシルトランスフェラーゼ:FTIII、FTIV、FTV、FTVIまたはFTVIIのいずれの発現も完全に欠如していることである[Sackstein、2009年]。従って、MSCは、末端シアリル化ラクトサミン(NeuAc−α(2,3)−Gal−β(1,4)−GlcNAc−R)でデコレートされたCD44を細胞表面に発現しており、強力なE−セレクチンリガンドHCELLに変換されるためにアルファ−(1,3)−フコースの添加のみを必要とする。以前に、本発明者らは、インタクトの細胞を精製アルファ−(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ酵素FTVIおよびそのヌクレオチド糖ドナーGDP−フコースと共にインキュベートすることによって、MSCの表面のグリカンを修飾してE−セレクチンリガンドを生成する方法を開発した。「グリコシルトランスフェラーゼ媒介立体置換(glycosyl transferase mediated stereosubstitution)」(GPS)と呼ばれるこの方法は、MSC細胞表面でのE−セレクチンリガンド(主にHCELL)の一過性な生成をもたらす。そのようなMSCのFTVI駆動エクソフコシル化は、内皮細胞上のE−セレクチン媒介性係留およびローリング頑強強化することが実証され、前臨床試験ではMSC骨指向性(すなわち、骨へのホーミング)を生じた[Sackstein、2008年]。これらの結果に一部基づいて、このアプローチの有効性が、現在、骨粗鬆症の処置のためエクソフコシル化MSCを使用した臨床試験で検討されている[NCT02566655、clinicaltrials.gov]。

概要

本発明は、細胞の表面のE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する方法を提供する。また、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する方法、移植された細胞の集団におけるホーミングおよび/または血管外遊出を増加させる方法、対象に移植するための、改変された、幹細胞を含む細胞を作製する方法、対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快する方法、および対象における治療標的への細胞の集団のホーミングを誘導および/または強化するための方法も提供される。さらに本発明は、本発明の方法によって作製された細胞の集団を含む医薬組成物、ならびに対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快するための、そのような組成物を含むキットも提供する。

目的

発明の要旨
これらの方法の有望性にもかかわらず、細胞治療に必要な頑強な改変、ホーミングおよび生着を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

細胞の表面のE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現強制する方法であって、前記細胞に、グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、前記グリコシルトランスフェラーゼを発現するために十分な条件下で前記細胞を培養するステップとを含み、ここで、発現された前記グリコシルトランスフェラーゼは、前記細胞の糖タンパク質に存在する末端シアリル化ラクトサミンを修飾して前記E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する、方法。

請求項2

前記グリコシルトランスフェラーゼが、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼFTIII、FTIV、FTV、FTVI、FTVIIおよびそれらの組合せである、請求項2に記載の方法。

請求項4

前記グリコシルトランスフェラーゼが、末端シアリル化ラクトサミンを細胞内で修飾する、請求項2に記載の方法。

請求項5

E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する方法であって、前記細胞に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、前記細胞による前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で前記細胞を培養するステップとを含み、ここで、前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成し、それによりE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの前記細胞の結合を可能および/または増加する、方法。

請求項6

前記細胞が、哺乳動物細胞である、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記細胞が、幹細胞である、請求項5に記載の方法。

請求項9

前記幹細胞が、胚性幹細胞成体幹細胞造血幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞である、請求項9に記載の方法。

請求項11

前記核酸が、トランスフェクションによって前記細胞に提供される、請求項5に記載の方法。

請求項12

前記核酸が、形質導入によって前記細胞に提供される、請求項5に記載の方法。

請求項13

前記核酸が、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドcDNAmRNA、それらの修飾形、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。

請求項14

前記核酸が、修飾されたRNAである、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記修飾されたRNAが、modRNAである、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである、請求項5に記載の方法。

請求項17

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトFTVIである、請求項5に記載の方法。

請求項18

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、PSGL−1、CD43、CD44、およびそれらの組合せからなる群から選択される糖タンパク質をフコシル化する、請求項5に記載の方法。

請求項19

対象に移植された細胞の集団におけるホーミングおよび/または血管外遊出を増加させる方法であって、前記細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、前記集団内の1つまたは複数の改変された細胞による前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で前記細胞の集団を培養するステップであって、前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖をフコシル化して、E−セレクチン(selection)および/またはL−セレクチンリガンド発現が強制されている改変された細胞を生成する、ステップと、前記細胞の集団を、前記対象に移植するステップとを含み、ここで、強制されたE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現を有する前記改変された細胞は、治療的に有用な部位への増加したホーミングおよび/または血管外遊出を示す、方法。

請求項20

前記細胞の集団が、哺乳動物細胞の集団である、請求項19に記載の方法。

請求項21

前記細胞の集団が、ヒト細胞の集団である、請求項20に記載の方法。

請求項22

哺乳動物細胞の集団が、幹細胞の集団である、請求項19に記載の方法。

請求項23

前記幹細胞の集団が、胚性幹細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。

請求項24

前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞である、請求項23に記載の方法。

請求項25

前記核酸が、トランスフェクションによって前記細胞の集団に提供される、請求項19に記載の方法。

請求項26

前記核酸が、形質導入によって前記細胞の集団に提供される、請求項19に記載の方法。

請求項27

前記核酸が、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、cDNA、mRNA、それらの修飾形、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。

請求項28

前記核酸が、修飾されたRNAである、請求項19に記載の方法。

請求項29

前記修飾されたRNAが、modRNAである、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである、請求項19に記載の方法。

請求項31

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトFTVIである、請求項19に記載の方法。

請求項32

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、PSGL−1、CD43、CD44、およびそれらの組合せからなる群から選択される糖タンパク質をフコシル化する、請求項19に記載の方法。

請求項33

前記移植するステップが、静脈内で行われる、請求項19に記載の方法。

請求項34

前記移植するステップが、所望の血管外遊出部位近くで起こる、請求項19に記載の方法。

請求項35

それを必要とする対象に移植するための改変された細胞を作製する方法であって、改変すべき細胞の集団を得るステップと、前記細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、前記集団内の1つまたは複数の改変された細胞による前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で前記細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成する、方法。

請求項36

前記細胞の集団が、哺乳動物細胞の集団である、請求項35に記載の方法。

請求項37

前記哺乳動物細胞の集団が、ヒト細胞の集団である、請求項36に記載の方法。

請求項38

前記細胞の集団が、幹細胞の集団である、請求項35に記載の方法。

請求項39

前記幹細胞の集団が、胚性幹細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される、請求項38に記載の方法。

請求項40

前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞である、請求項39に記載の方法。

請求項41

前記核酸が、トランスフェクションによって前記細胞の集団に提供される、請求項35に記載の方法。

請求項42

前記核酸が、形質導入によって前記細胞の集団に提供される、請求項35に記載の方法。

請求項43

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである、請求項35に記載の方法。

請求項44

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトFTVIである、請求項35に記載の方法。

請求項45

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、PSGL−1、CD43、CD44、およびそれらの組合せからなる群から選択される糖タンパク質をフコシル化する(fucoylate)、請求項35に記載の方法。

請求項46

対象に移植するための改変された幹細胞を作製する方法であって、改変すべき幹細胞の集団を得るステップと、前記幹細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAまたは修飾されたRNAを提供するステップと、前記集団内の1つまたは複数の改変された細胞による前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で前記幹細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、前記発現されたアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、前記1つまたは複数の改変された細胞上または細胞内に存在するCD44をフコシル化する、方法。

請求項47

前記アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、ヒトFTVIである、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記幹細胞が、ヒト幹細胞である、請求項46に記載の方法。

請求項49

前記ヒト幹細胞が、胚性幹細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記成体幹細胞が、間葉系幹細胞である、請求項49に記載の方法。

請求項51

前記cDNAまたは修飾されたRNAが、形質導入によって提供される、請求項46に記載の方法。

請求項52

前記修飾されたRNAが、modRNAである、請求項51に記載の方法。

請求項53

前記幹細胞の表面でCD44の細胞外フコシル化を実施するステップをさらに含む、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。

請求項54

それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快する方法であって、請求項35〜53のいずれか一項に記載の方法によって作製された細胞の集団を得るステップと、有効量の前記細胞の集団を、前記対象に移植するステップとを含み、前記移植された細胞が、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンを発現する部位へ血管外遊出し、それによって前記対象における前記症状、疾患または傷害の作用が処置または軽快する、方法。

請求項55

前記疾患が、炎症性障害自己免疫疾患変性疾患心血管疾患虚血性疾患がん遺伝的疾患代謝性障害、および特発性障害からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。

請求項56

前記傷害が、物理学的傷害、薬物副作用、毒性傷害、および医原性状態からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。

請求項57

前記対象が、哺乳動物である、請求項54に記載の方法。

請求項58

前記哺乳動物が、ヒト、霊長類農業用動物、および飼育動物からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。

請求項59

前記哺乳動物が、ヒトである、請求項58に記載の方法。

請求項60

前記移植が、静脈内で起こる、請求項54に記載の方法。

請求項61

前記移植が、所望の血管外遊出部位近傍で起こる、請求項54に記載の方法。

請求項62

前記所望の血管外遊出部位が、骨髄である、請求項61に記載の方法。

請求項63

前記所望の血管外遊出部位が、傷害または炎症部位である、請求項61に記載の方法。

請求項64

請求項35〜53のいずれか一項に記載の方法によって作製された細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物

請求項65

それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快するためのキットであって、請求項64に記載の組成物を、その使用のための指示書と共にパッケージして含むキット。

請求項66

それを必要とする対象における治療標的への細胞の集団のホーミングを誘導および/または強化するための方法であって、(a)前記細胞の集団に、前記治療標的で受容体に結合するリガンド一過性発現を強制するポリペプチドをコードする核酸を提供するステップと、(b)前記細胞の集団に、前記ポリペプチドを発現させるステップとを含み、ここで、前記ポリペプチドの発現の際に、治療標的への、前記集団における1つまたは複数の細胞のホーミングが誘導および/または強化される、方法。

請求項67

前記細胞の集団が、幹細胞、組織プロジェニター細胞抗原特異的T細胞、T調節性細胞抗原パルスされた樹状細胞NK細胞NKT細胞、および白血球からなる群から選択される、請求項66に記載の方法。

請求項68

前記細胞の集団が、T−リンパ球である、請求項67に記載の方法。

請求項69

前記細胞の集団が、キメラ抗原受容体T細胞である、請求項67に記載の方法。

請求項70

前記細胞の集団が、ステップ(a)の前に培養により増大されている、請求項66に記載の方法。

請求項71

前記治療標的が、腫瘍である、請求項66に記載の方法。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
本出願は、2016年5月20日に出願された米国仮特許出願番号第62/339,704号、および2016年6月24日に出願された米国仮特許出願番号第62/354,350号に基づく優先権を主張している。前述の出願の全体の内容は、あたかも本明細書中に完全に復唱されるように、参考として援用される。

背景技術

0002

発明の背景
間葉系幹細胞MSC)は、それらの簡便な単離およびin vitro増幅多系統分化能組織修復栄養作用、および強力な免疫調節能[Dominici、2006年;Griffin、2013年]により、細胞治療のために非常に有望である。特にMSCは、骨形成骨芽細胞の前駆体であるので、これらの細胞は、骨粗鬆症または骨形成不全などの全身性骨疾患処置のために大きな関心を集めている。しかしながら、この目標を達成するために、血管内投与されたMSCの骨指向性を最適化することがまず必要である。

0003

骨への循環細胞動員は、E−セレクチン受容体リガンド接着性相互作用に依存する。E−セレクチンは、骨髄微小血管上で構成的に発現し、炎症部位の微小血管で誘導的に発現されるカルシウム依存性レクチンである[Sipkins、2005年;Schweitzer、1996年;Sackstein、2009年]。E−セレクチンは、シアリルLewis X(sLeX;NeuAc−α(2,3)−Gal−β(1,4)−[Fuc−α(1,3)]GlcNAc−R)として公知であるシアロフコシル化末端四糖モチーフに基本的に結合する。sLeXは、PSGL−1、CD43またはCD44などの特定の細胞表面糖タンパク質を修飾するグリカン鎖の末端に提示され得る。sLeXがこれらのタンパク質で提示されるとき、それぞれE−セレクチンリガンドCLA、CD43EまたはHCELLとして機能することができる[Dimitroff、2001年;Sackstein、2008年]。これらの構造は、造血幹細胞およびプロジェニター細胞(HSPC)ならびに他の造血細胞で、高レベルで発現されるが、MSCには全く存在しない。このE−セレクチンリガンドの欠如に部分的に起因して、静脈移植時に注入されたMSCは、ごく一部しか骨にホーミングしない[Schrepfer、2007年;Lee、2009年;Ankrum、2010年]。

0004

E−セレクチンリガンドを生成するために必要なグリカン修飾は、段階的に作用する特定のグリコシルトランスフェラーゼによってゴルジで行われる。ヒトMSCは、CD44ならびにsLeXの合成に必要なグリコシルトランスフェラーゼを高レベルで発現するが、注目すべき例外は、アルファ−(1,3)−フコシル化を媒介するフコシルトランスフェラーゼ:FTIII、FTIV、FTV、FTVIまたはFTVIIのいずれの発現も完全に欠如していることである[Sackstein、2009年]。従って、MSCは、末端シアリル化ラクトサミン(NeuAc−α(2,3)−Gal−β(1,4)−GlcNAc−R)でデコレートされたCD44を細胞表面に発現しており、強力なE−セレクチンリガンドHCELLに変換されるためにアルファ−(1,3)−フコースの添加のみを必要とする。以前に、本発明者らは、インタクトの細胞を精製アルファ−(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ酵素FTVIおよびそのヌクレオチド糖ドナーGDP−フコースと共にインキュベートすることによって、MSCの表面のグリカンを修飾してE−セレクチンリガンドを生成する方法を開発した。「グリコシルトランスフェラーゼ媒介立体置換(glycosyl transferase mediated stereosubstitution)」(GPS)と呼ばれるこの方法は、MSC細胞表面でのE−セレクチンリガンド(主にHCELL)の一過性な生成をもたらす。そのようなMSCのFTVI駆動エクソフコシル化は、内皮細胞上のE−セレクチン媒介性係留およびローリング頑強強化することが実証され、前臨床試験ではMSC骨指向性(すなわち、骨へのホーミング)を生じた[Sackstein、2008年]。これらの結果に一部基づいて、このアプローチの有効性が、現在、骨粗鬆症の処置のためエクソフコシル化MSCを使用した臨床試験で検討されている[NCT02566655、clinicaltrials.gov]。

課題を解決するための手段

0005

発明の要旨
これらの方法の有望性にもかかわらず、細胞治療に必要な頑強な改変、ホーミングおよび生着を提供する、E−セレクチンリガンドなどの細胞表面タンパク質を操作する改善された方法が継続的に必要とされている。一部において、本発明は、合成的に修飾されたmRNA(modRNA)[Levy、2013年;Warren、2010年]を導入することによってフコシルトランスフェラーゼ酵素を細胞内で生成することができる代替的アプローチを提供する。エクソフコシル化と同様に、得られる効果は一過性であり、MSCがホーミング後にその天然の状態に戻ることを可能にする。しかしながら、modRNAアプローチは、MSC自身の細胞機構を利用し、GDP−フコースの細胞内貯蔵アクセスしてフコシルトランスフェラーゼ酵素を製造するため、明確に区別される。さらに、内因性FTVIは膜結合型でゴルジ膜につなぎ留められているが、エクソフコシル化のために使用される精製されたFTVIは可溶性であり、タンパク質のステムおよび触媒ドメインのみからなる。modRNAアプローチには未解決生物学的疑問が残っており、それは特に、ゴルジ局在化が、細胞表面のフコシル化にアクセス可能なものとは異なるアクセプターに酵素をアクセス可能とすることによる。そのように、エクソフコシル化によって生成されるE−セレクチンリガンドが、細胞内フコシルトランスフェラーゼの作用によって生成されるE−セレクチンリガンドと、アイデンティティおよび機能性で類似しているかは不明である。さらに、新たに合成されたE−セレクチンリガンドがMSC表面で提示される(およびその後に消失する)動態は、エクソフコシル化されたMSCの動態と異なっているようである。最も重要なことに、そのような差異が、骨髄にホーミングするこれらの細胞のE−セレクチンリガンド媒介性機能能力相違を導くかどうかは不明である。

0006

これらの問題に対処するために、本発明者らは、そのような酵素を天然に欠くヒト細胞において同じアルファ−(1,3)−フコシルトランスフェラーゼを使用する細胞内および細胞外フコシル化の直接比較を行った。この目的のために、本発明者らは、複数のヒトMSC初代培養物を使用して、modRNAを利用してヒトMSCでFTVIタンパク質を一過性に生成し、得られたE−セレクチンリガンドとFTVIエクソフコシル化を介して生成されたE−セレクチンリガンドとの生化学的および機能的特性を比較した。さらに、本発明者らは、マウス頭蓋冠移植されたMSCのin vivoイメージングを実施することによって、処置された両方の種類の細胞のin vivoホーミング特性を直接比較した。このFTVI媒介性細胞内フコシル化と細胞外フコシル化とを対比する詳細な比較は、細胞遊走のプログラミングにおけるフコシルトランスフェラーゼVIの活性および機能に関する重要な情報を提供し、臨床的有用性のための最も適切なフコシル化アプローチに関する重要な洞察を提供する。

0007

したがって、本発明は、細胞の表面のE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する方法であって、細胞に、グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、グリコシルトランスフェラーゼを発現するために十分な条件下で細胞を培養するステップとを含み、ここで、発現されたグリコシルトランスフェラーゼは、細胞の糖タンパク質に存在する末端シアリル化ラクトサミンを修飾してE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する、方法を提供する。

0008

また本発明は、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する方法であって、細胞に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞を培養するステップとを含み、ここで、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成し、それによりE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能よび/または増加する、方法を提供する。

0009

他の実施形態では、本発明は、対象に移植された細胞の集団におけるホーミングおよび/または血管外遊出を増加する方法であって、細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞の集団を培養するステップであって、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖をフコシル化して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現が強制されている改変された細胞を生成する、ステップと、細胞の集団を、対象に移植するステップとを含み、ここで、強制されたE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現を有する改変された細胞は、治療的に有用な部位への増加したホーミングおよび/または血管外遊出を示す、方法を提供する。

0010

また本発明は、それを必要とする対象に移植するための改変された細胞を作製する方法であって、改変すべき細胞の集団を得るステップと、細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成する、方法を提供する。

0011

また本発明は、対象に移植するための改変された幹細胞を作製する方法であって、改変すべき幹細胞の集団を得るステップと、幹細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAまたは修飾されたRNAを提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で幹細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、発現されたアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、1つまたは複数の改変された細胞上または細胞内に存在するCD44をフコシル化する、方法を提供する。

0012

また本発明は、それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快する方法であって、本発明の方法のいずれかによって作製された細胞の集団を得るステップと、有効量の細胞の集団を、対象に移植するステップとを含み、移植された細胞が、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンを発現する部位へ血管外遊出し、それによって対象における症状、疾患または傷害の作用が処置または軽快する、方法を提供する。

0013

また本発明は、本発明の方法によって作製された細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物も提供する。

0014

また本発明は、それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快するためのキットであって、本発明の組成物を、その使用のための指示書と共にパッケージして含むキットも提供する。

0015

また本発明は、それを必要とする対象における治療標的への細胞の集団のホーミングを誘導および/または強化するための方法であって、(a)細胞の集団に、治療標的で受容体に結合するリガンドの一過性発現を強制するポリペプチドをコードする核酸を提供するステップと、(b)細胞の集団に、ポリペプチドを発現させるステップとを含み、ここで、ポリペプチドの発現の際に、治療標的への、集団における1つまたは複数の細胞のホーミングが誘導および/または強化される、方法を提供する。

図面の簡単な説明

0016

図1A〜図1CはMSCの特性評価を示す。図1Aは、代表的な初代MSC株について測定された細胞表面マーカーフローサイトメトリーヒストグラムを示す。図1Bは、試験した7つの初代MSC株の全てについて提示される、パネルAと同じマーカーについての平均蛍光強度ベルを示す。各MSC株は、異なる健常ドナーから単離した。図1Cは、骨形成分化条件(左下部パネル)、脂肪形成分化条件(右下部パネル)、またはMSC維持培地(上部パネル)を受けたMSCの顕微鏡写真を示す。細胞を、石灰化沈着物を検出するアリザリンレッドで、または脂質沈着物を検出するためにオイルレッドOで染色した(スケールバー=100μm)。

0017

図2は、MSCの細胞内または細胞外フコシル化後のsLeX表面発現の動態を示す。未処理MSC、細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSC、または細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)MSCを、24時間間隔収集し、HECA452抗体を使用してsLeXについて染色し、フローサイトメトリーによって分析した。MFI:平均蛍光強度。

0018

図3A〜図3Bは、複数の初代ヒトMSC株で細胞内または細胞外フコシル化によって誘導された細胞表面sLeX発現レベルを示す。図3Aは、0日目に細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSCおよび2〜3日目に細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)MSCが、未処理MSCと比較して、HECA452のフローサイトメトリー分析またはcsLex1染色を介して測定される表面sLeXにおいて、同様の増加を示すことを示す。図3Bは、複数の独立した初代MSC株にわたって観察された表面sLeXの同様の増加を示す(n=11実験、それぞれの色は、使用した5つの初代MSC株の1つを表す)。統計上の比較はスチューデント検定を使用して行った。n.s.=有意でない(すなわち、p>0.05)。****はp<0.0001を示す。

0019

図4A〜図4Dは、細胞内または細胞外フコシル化の前後のMSC特性の評価を示す。図4Aは、トリパンプルー排除によって測定されたフコシル化MSCの生存率(%)を示す。エラーバー=SEM図4Bは、細胞外(FTVI−エクソ)または細胞内(FUT6−mod)フコシル化の前後の初代MSC株についての細胞表面マーカー発現を示す。図4Cは、フコシル化(fucoslation)直後に(左パネル)または再び蒔いてその後1継代培養したときに(すなわちさらに5〜11日)(右パネル)測定した2つの初代MSC株についての陽性および陰性マーカーのパネルについての平均蛍光強度の平均(バー)および範囲(エラーバー)を示す。図4Dは、FTVIエクソフコシル化またはバッファーのみを用いて処理され、FUT6−modRNAまたは対照modRNAをトランスフェクトされるか、または未処理のままであり、その後、三重で蒔かれ、骨形成分化が誘導された1つの初代MSC株を示す。各培養物で形成された石灰化沈着物の全体的量を評価するために、アリザリンレッド染色の測定を行った。統計上の比較はテューキーのHSD検定で一元配置分散分析を使用して行った。n.s.=有意でない(すなわち、p>0.05);**=p<0.01。

0020

図5A〜図5Bは、細胞内または細胞外フコシル化によって生成されたE−セレクチンリガンド糖タンパク質のタンパク質のサイズおよび細胞局在の比較を示す。図5Aは、未処理MSC、細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)MSC、および細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSCが溶解され、マウスE−セレクチン−ヒトFc(E−Igキメラプローブとしてウェスタンブロットされたことを示す。図5Aは、細胞溶解およびE−Igウェスタンブロットの前に、ノイラミニダーゼ(NAse)を用いてまたは用いずに細胞内でまたは細胞外でフコシル化されたインタクトのMSCを処理することによって決定されるE−Ig反応性糖タンパク質の細胞局在を示す。同じブロットのβ−アクチン染色を、ローディング対照として実施した。

0021

図6A〜図6Bは、フコシル化されたMSCにおける約85kDのE−セレクチンリガンドが、E−セレクチン結合CD44グリコフォームであるHCELLであることを示す。図6Aは、未処理、細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)および細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSC溶解物からのE−セレクチンリガンドをE−Igキメラを使用してプルダウンし、CD44抗体を用いてウェスタンブロットしたことを示す。図6Bは、CD44が、未処理、細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)、および細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSC溶解物から免疫沈降され、sLeXを認識するmAbHECA452を用いてウェスタンブロットされたことを示す。

0022

図7は、細胞表面ビオチン化にアクセス可能であるE−セレクチンリガンド糖タンパク質の分析を示す。未処理MSCまたは細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)MSCを、アミン反応性ビオチン化試薬と共にフラスコ内でインキュベートし、次いで未処理MSCの一部を細胞外フコシル化した(FTVI−エクソ)。未処理、FUT6−modおよびFTVI−エクソ細胞溶解物を、プルダウン(ビオチン化)および上清(非ビオチン化)画分に分離した。ウェスタンブロットを、E−セレクチン−Igキメラ、およびローディング対照としてのβ−アクチンを使用して実施した。

0023

図8A〜図8Bは、平行平板型フローチャンバーを使用する剪断条件下でのE−セレクチンリガンド媒介性MSC−内皮細胞相互作用の分析を示す。(A)細胞外フコシル化(FTVI−エクソ)および細胞内フコシル化(FUT6−mod)の両方が、フロー条件下で、TNFα活性化ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)上におけるMSC捕捉/係留/ローリングを可能にしたが、抗E−セレクチン機能遮断mAbで前処理されたHUVECに対してはそれらを可能にしなかった。エラーバー=SEM。2つの異なる初代MSC株を使用したn=4の独立した実験。(B)細胞外でフコシル化されたおよび細胞内でフコシル化されたMSCは、TNFα刺激HUVECに対して同様のローリング速度を示す。エラーバー=SEM、1時点あたりの分析されたn=15〜155の細胞の速度。統計上の比較はスチューデントT検定を使用して行った。n.s.=有意でない。

0024

図9は、異種移植時のDiDおよびDiI標識MSC混合物アリコートにおいて確認されたフコシル化の有効性を示す。FTVIエクソフコシル化された(FTVI−エクソ)およびバッファー対照MSC、またはFUT6−modRNA(FUT6−mod)およびndGFP対照modRNAトランスフェクトMSCを、DiI(青色)またはDiD(緑色)で標識し、1:1の比率で混合し、マウスに注入した。注入された細胞混合物それぞれのアリコートを、sLeX結合mAbHECA452(赤色)で染色し、ガラススライド上で画像化して、FUT6−modまたはFTVI−エクソ処理の有効性を確認し、正確な開始率を得た。スケールバー=100μm。

0025

図10A〜図10Cは、異種移植されたヒトMSCの相対的骨指向性を測定するための頭蓋冠骨髄のin vivoイメージングを示す。図10Aは、DiD−(緑色)およびDiI−(青色)染色されたMSCの移植後のマウス頭蓋冠領域の三次元再構築を示す。骨の部分が、骨髄の可視化を容易にするために、デジタル的に取り出されている。スケールバー=100μm。図10Bは、移植後2時間で、フコシル化されたヒトMSCが対照細胞と比較して骨指向性が増加していることを示し、図10Cは、移植後24時間からのデータを示し、細胞内フコシル化(FUT6−mod)が、細胞外フコシル化(FTVI−エクソ)よりも強い強化をもたらしていることを示す。エラーバー=標準偏差。1比較あたりn=4のマウスペア。統計上の比較は、テューキーのHSD検定で一元配置分散分析を使用して行った。*=p<0.05;**=p<0.01。

0026

図11A〜図11Bは、骨髄実質へ異種移植されたヒトMSCの血管外遊出を測定するための血管のin vivoイメージングを示す。図11Aは、Angiosenseを注入して、血管(赤色)ならびにホーミングしたDiI(青色)およびDiD(緑色)染色MSCを可視化した後の頭蓋冠領域の2Dマージ画像スタックを示す。スケールバー=100μm。図11Bは、移植後24時間で対照細胞(ベースライン)と比較したときに、細胞内でフコシル化された(FUT6−mod)MSCが、細胞外でフコシル化された(FTVI−エクソ)MSCよりも有意に大きな、骨髄実質へのMSC血管外遊出を示すことを示す。エラーバー=標準偏差。1比較あたりn=4のマウスペア。統計上の比較はテューキーのHSD検定で一元配置分散分析を使用して行った。**=p<0.01。

0027

発明の詳細な説明
一部の実施形態では、本発明は、細胞の表面のE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する方法であって、細胞に、グリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、グリコシルトランスフェラーゼを発現するために十分な条件下で細胞を培養するステップとを含み、ここで、発現されたグリコシルトランスフェラーゼは、細胞の糖タンパク質に存在する末端シアリル化ラクトサミンを修飾してE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制する、方法を提供する。

0028

グリコシルトランスフェラーゼは、グリコシド連結の形成を触媒してグリコシドを形成する酵素である。これらの酵素は、グリコシルドナーとして「活性化された」糖ホスフェートを利用し、求核性基へのグリコシル基転移を触媒する。グリコシル転移生成物は、O−、N−、S−またはC−グリコシドであり得る;グリコシドは、単糖オリゴ糖、または多糖の一部であり得る。グリコシルトランスフェラーゼは、90を超えるファミリー分類されている。一部の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである。グリコシルトランスフェラーゼの非限定的な例は、例えば、C. Bretonら、Structures and mechanisms of glycosyltransferases、Glycobiology、2006年、16巻(2号):29R〜37R頁;D. Liangら、Glycosyltransferases: mechanisms and applications innatural product development、Chem. Soc. Rev.、2015年、44巻、8350〜8374頁およびTaniguchiら、Handbook of Glycosyltransferases and Related Genes、Springer Science & Business Media、2011年に見出すことができる。一部の実施形態では、細胞は、2つ以上のグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を有する。例えば、2つのグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸は、同時にまたは連続的に、延長するコアグリカン構造へ連結に適切な糖をそれぞれ加えることができる。一部の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、N連結型グリコシル化を指示する。他の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、O連結型グリコシル化を指示する。一部の実施形態では、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼFTIII、FTIV、FTV、FTVI、FTVIIおよびそれらの組合せである。

0029

一部の実施形態では、グリコシルトランスフェラーゼは、末端シアリル化ラクトサミンを細胞内で修飾する。

0030

一部の実施形態では、本発明は、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する方法であって、細胞に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞を培養するステップとを含み、ここで、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成し、それによりE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンへの細胞の結合を可能および/または増加する、方法を提供する。

0031

本明細書で使用されるとき、「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、共有結合的に一緒に連結された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。核酸の多くのバリアントが、所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその相補体包含する。

0032

核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であってもよく、または二本鎖および一本鎖配列の両方の一部を含有してもよい。核酸は、DNA(ゲノムおよびcDNAの両方)、RNA、またはハイブリッドを含んでもよく、核酸はデオキシ−およびリボ−ヌクレオチドの組合せを含有してもよく、ウラシルアデニンチミンシトシングアニンイノシンキサンチンヒポキサンチンイソシトシンおよびイソグアニンを含む塩基の組合せを含有してもよい。核酸は、一本鎖分子として合成されてもよく、または合成遺伝子を使用して細胞で(in vitroまたはin vivoで)発現されてもよい。核酸は、化学合成法または組み換え法によって得てもよい。

0033

核酸は一般的にホスホジエステル結合を含有するが、少なくとも1つの異なる連結、例えば、ホスホルアミデートホスホロチオエートホスホジチオエート、またはO−メチルホスホロアデート(methylphosphoroamidite)連結およびペプチド核酸骨格および連結を有し得る核酸アナログが含まれてもよい。他のアナログ核酸には、米国特許第5,235,033号および同第5,034,506号に開示されるものを含む、陽性骨格、非イオン性骨格、および非リボース骨格を有するものが含まれる。1つまたは複数の非天然または修飾されたヌクレオチドを含有する核酸も、核酸の定義内に含まれる。修飾されたヌクレオチドアナログは、例えば、核酸分子の5’末端および/または3’末端に位置してもよい。ヌクレオチドアナログの代表的な例は、糖または骨格修飾されたリボヌクレオチドから選択され得る。しかしながら、核酸塩基修飾されたリボヌクレオチド、すなわち、天然核酸塩基の代わりに非天然核酸塩基、例えば5位で修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば、5−(2−アミノプロピルウリジン、5−ブロモウリジン;8位で修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば8−ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば7−デアザ−アデノシン;O−およびN−アルキル化ヌクレオチド、例えば、N6−メチルアデノシンを含有するリボヌクレオチドも適切であることを留意すべきである。2’−OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2またはCNから選択される基によって置き換えられてもよく、ここでRは、C1〜C6アルキルアルケニルまたはアルキニルであり、ハロはF、Cl、BrまたはIである。また修飾されたヌクレオチドには、例えばKrutzfeldtら、Nature(2005年10月30日)、Soutschekら、Nature、432巻:173〜178頁(2004年)および米国特許出願公開第20050107325号に開示されるような、ヒドロキシプロリノール連結を介してコレステロールコンジュゲートされたヌクレオチドも含まれる。修飾されたヌクレオチドおよび核酸は、米国特許出願公開第20020115080号に開示されるようなロックド核酸(LNA)を含んでもよい。さらなる修飾されたヌクレオチドおよび核酸は、米国特許出願公開第20050182005号に開示されている。リボース−リン酸骨格の修飾は、例えば、生理学的環境におけるそのような分子の安定性および半減期を増加させるため、細胞膜を横切る拡散を強化するためなどの様々な理由のために行われてよい。天然核酸とアナログとの混合物が作製されてもよく、代替的に、異なる核酸アナログの混合物、および天然核酸とアナログとの混合物が作製されてもよい。

0034

一部の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、細胞は、ヒト細胞である。

0035

他の実施形態では、細胞は、幹細胞である。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、幹細胞は、胚性幹細胞成体幹細胞、造血幹細胞および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、成体幹細胞は、間葉系幹細胞である。

0036

本明細書で使用されるとき、「細胞に核酸を提供すること」および類似の文法形は、任意の従来のものおよび細胞にヌクレオチド配列を導入し、それを発現する方法で発見されるものを包含することが意図される。発現は、長期的または一過性であってよく、誘導性または当業者に公知の従来の方法を使用して制御される他の発現であってもよい。一部の実施形態では、核酸は、トランスフェクションによって細胞に提供される。他の実施形態では、核酸は、形質導入によって細胞に提供される。

0037

本明細書で使用されるとき、「トランスフェクション」は、標的細胞に核酸を導入する、化学的に媒介された方法である。トランスフェクションの非限定的な例としては、脂質ベースのトランスフェクションおよびリン酸カルシウムベースのトランスフェクションが挙げられる。本明細書で使用されるとき、「形質導入」は、標的細胞へ核酸を導入する、ウイルス的に媒介された方法である。トランスフェクションおよび形質導入の方法は当業者に公知であり、細胞型などの当業者に公知の因子に基づいて核酸の有効な送達を達成するように選択することができる。

0038

一部の実施形態では、核酸は、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、cDNA、mRNA、それらの修飾形、およびそれらの組合せからなる群から選択される。好ましい実施形態では、核酸は、修飾されたRNAであり、より好ましい実施形態では、修飾されたRNAは、modRNAである。

0039

本明細書で使用されるとき、「修飾されたRNA」は、塩基置換、骨格修飾、5’または3’末端への修飾、およびそれらの組合せを含む。

0040

本明細書で使用されるとき、「modRNA」は、シチジンおよびウリジンが、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジンでそれぞれ置き換えられている修飾されたRNAである。modRNAの非限定的な例および作製方法は、実施例1に示されている。

0041

一部の実施形態では、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、ヒトアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼである。好ましい実施形態では、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、ヒトFTVIである。

0042

一部の実施形態では、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、PSGL−1、CD43、CD44、およびそれらの組合せからなる群から選択される糖タンパク質をフコシル化する。

0043

他の実施形態では、本発明は、対象に移植された細胞の集団におけるホーミングおよび/または血管外遊出を増加させる方法であって、細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞の集団を培養するステップであって、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖をフコシル化して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現が強制されている改変された細胞を生成する、ステップと、細胞の集団を、対象に移植するステップとを含み、ここで、強制されたE−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンド発現を有する改変された細胞は、治療的に有用な部位への増加したホーミングおよび/または血管外遊出を示す、方法を提供する。

0044

本明細書で使用されるとき、「E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制すること」は、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンのためのリガンドとして機能することができるように糖タンパク質のグリカン鎖を、例えばフコシル化によって修飾することを意味する。E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドの発現を強制することは、例えば、細胞内にまたは細胞上に存在する糖タンパク質のグリカン鎖をフコシル化することができるグリコシルトランスフェラーゼ、例えばアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼを提供することによって成し遂げることができる。

0045

本明細書で使用されるとき、「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。ヒトに加えて、本発明の範囲内の哺乳動物のカテゴリーには、例えば、農業用動物飼育動物実験動物などが含まれる。農業用動物の一部の例には、ウシブタウマヤギなどが含まれる。飼育動物の一部の例には、イヌネコなどが含まれる。実験動物の一部の例には、霊長類ラット、マウス、ウサギモルモットなどが含まれる。

0046

一部の実施形態では、細胞の集団は、哺乳動物細胞の集団である。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、細胞の集団は、ヒト細胞の集団である。

0047

一部の実施形態では、細胞の集団は、幹細胞の集団である。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、幹細胞の集団は、胚性幹細胞、成体幹細胞、造血幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)からなる群から選択される。これらの実施形態の一部の好ましい態様では、成体幹細胞は、間葉系幹細胞である。

0048

本発明における「移植」には、治療組成物、例えば、細胞の集団を個体に提供する、全ての従来の方法および発見される方法が含まれる。移植は、対象の自己の細胞の移植または非自己ドナー由来からの移植であってもよい。一部の実施形態では、移植するステップが、静脈内で行われる。他の実施形態では、移植するステップは、所望の血管外遊出部位で行われる。

0049

他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に移植するための改変された細胞を作製する方法であって、改変すべき細胞の集団を得るステップと、細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸を提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼが、糖タンパク質に存在するグリカン鎖を修飾して、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンリガンドを生成する、方法を提供する。

0050

また本発明は、対象に移植するための改変された幹細胞を作製する方法であって、改変すべき幹細胞の集団を得るステップと、幹細胞の集団に、アルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAまたは修飾されたRNAを提供するステップと、集団内の1つまたは複数の改変された細胞によるアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼの発現のために十分な条件下で幹細胞の集団を培養するステップとを含み、ここで、発現されたアルファ1,3−フコシルトランスフェラーゼは、1つまたは複数の改変された細胞上または細胞内に存在するCD44をフコシル化する、方法を提供する。

0051

一部のさらなる実施形態では、本発明の方法は、幹細胞の表面で発現したCD44の細胞外フコシル化を実施するステップをさらに含む。本明細書で使用されるとき、「細胞外フコシル化」は、例えば、Sacksteinら、「Ex vivo glycan engineering of CD44 programs human multipotent mesenchymal stromal cell trafficking to bone」、Nature Medicine、2008年;14巻:181〜187頁およびSacksteinら、「Glycosyltransferase-programmed stereosubstitution(GPS)to create HCELL: engineering a roadmap for cell migration」、Immunol Rev.、2009年;230巻:51〜74頁に開示されるように、外因性フコシルトランスフェラーゼ、例えばFTIII、FTIV、FTV、FTVI、FTVIIまたはそれらの組合せを、細胞、例えば幹細胞に提供することを意味する。

0052

また本発明は、それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快する方法であって、本発明の方法のいずれかによって作製された細胞の集団を得るステップと、有効量の細胞の集団を、対象に移植するステップとを含み、移植された細胞が、E−セレクチンおよび/またはL−セレクチンを発現する部位へ血管外遊出し、それによって対象における症状、疾患または傷害の作用が処置または軽快する、方法を提供する。

0053

本明細書で使用されるとき、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」およびそれらの文法的変形は、対象、例えば患者において生理学的応答または転帰を得ることが望ましいプロトコールレジメン、プロセスまたは療法を、個々の対象に施すことを意味する。特に、本発明の方法および組成物は、疾患症状発達を遅らせ、または疾患もしくは状態の発症遅延し、または疾患の発達の進行を停止するために使用し得る。但し、処置されるあらゆる対象は、特定の処置プロトコール、レジメン、プロセスまたは療法に応答しないことがあり得るので、処置は、対象または対象集団、例えば患者集団の各々全てで所望の生理学的応答または転帰が達成されることを必要としない。したがって、所与の対象または対象集団、例えば、患者集団は、処置に応答しないまたは不十分にしか応答しない場合があり得る。

0054

本明細書で使用されるとき、用語「軽快させる」、「軽快させること」およびその文法的変形は、対象における疾患の症状の重症度を低下させることを意味する。

0055

本発明において、本明細書に開示される本発明の薬剤(本発明の薬剤を含有する医薬組成物を含む)の「有効量」または「治療有効量」は、そのような薬剤または組成物が対象に投与されたときに本明細書に記載される有益なまたは所望の結果を有効にするために十分な量である。有効な投薬形態、投与様式および投薬量は経験的に決定することができ、そのような決定をなすことは当技術分野技能の範囲内である。投薬量が、投与経路、処置の持続時間、投与される任意の他の薬剤のアイデンティティ、哺乳動物、例えばヒト患者年齢、サイズおよび種、ならびに医学および獣医学の技術分野で周知の同様の因子によって変動し得ることは、当業者によって理解される。一般に、本発明による薬剤または組成物の適切な量は、所望の効果を生ずるために有効な最も低い量である薬剤または組成物の量である。本発明の薬剤または組成物の有効量は、適切な間隔で別個に投与される2回、3回、4回、5回、6回またはより多くの回数小用量で投与され得る。

0056

一部の実施形態では、疾患が、炎症性障害自己免疫疾患変性疾患心血管疾患虚血性疾患がん遺伝的疾患代謝性障害、および特発性障害からなる群から選択される。

0057

一部の実施形態では、傷害は、物理学的傷害、薬物副作用、毒性傷害、および医原性状態からなる群から選択される。

0058

一部の実施形態では、対象は、哺乳動物である。一部の好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒト、霊長類、農業用動物、および飼育動物からなる群から選択される。一部のより好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。

0059

一部の実施形態では、移植が、静脈内で行われる。他の実施形態では、移植が、所望の血管外遊出部位近くで行われる。一部の好ましい実施形態では、所望の血管外遊出部位が、骨髄である。他の好ましい実施形態では、所望の血管外遊出部位が、傷害または炎症部位である。

0060

他の実施形態では、本発明は、本発明の方法によって作製された細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。

0061

他の実施形態では、本発明は、それを必要とする対象における症状、疾患または傷害の作用を処置または軽快するためのキットであって、本発明の組成物を、その使用のための指示書と共にパッケージして含むキットを提供する。

0062

またキットは、対象への医薬組成物の投与に使用するために、医薬組成物およびバッファー、平衡塩類溶液等の他の試薬それぞれのための適切な貯蔵容器、例えばアンプルバイアルチューブなどを含んでもよい。医薬組成物および他の試薬は、例えば溶液または粉末形態などの任意の都合よい形態でキット中に存在し得る。さらにキットは医薬組成物の使用のための指示書を含んでもよい。さらにキットは、医薬組成物および任意選択の他の試薬を収容するための1つまたは複数の区画を任意選択で有するパッケージング容器を含んでもよい。

0063

また本発明は、それを必要とする対象における治療標的への細胞の集団のホーミングを誘導および/または強化するための方法であって、(a)細胞の集団に、治療標的で受容体に結合するリガンドの一過性発現を強制するポリペプチドをコードする核酸を提供するステップと、(b)細胞の集団に、ポリペプチドを発現させるステップとを含み、ここで、ポリペプチドの発現の際に、治療標的への、集団における1つまたは複数の細胞のホーミングが誘導および/または強化される、方法を提供する。

0064

一部の実施形態では、細胞の集団は、任意の医学的に関連する集団であり、例えば、細胞の集団は、幹細胞、組織プロジェニター細胞、抗原特異的T細胞、T調節性細胞抗原パルスされた樹状細胞NK細胞NKT細胞、および白血球からなる群から選択される。一部の実施形態では、細胞の集団は、T−リンパ球である。一部の実施形態では、細胞の集団は、キメラ抗原受容体T細胞である。

0065

一部の実施形態では、細胞の集団は、ステップ(a)の前に培養により増大されている。

0066

一部の実施形態では、治療標的は、任意の医学的に適切な標的、例えば、傷害部位、炎症または腫瘍などであり得る。

0067

本開示に記載される実施形態は、様々な方法で組み合わせることができる。一つの実施形態のために記載される任意の態様または特長は、本開示に言及される任意の他の実施形態に組み込むことができる。本発明の原理の様々な新規特長が、その特定の実施形態に適用されるとして示され、記載され、および指摘されているが、様々な省略、置換および改変が、本開示の精神を逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。当業者は、本発明の原理が、例示の目的のためにおよび限定されずに提示される説明された実施形態以外の形態で実施できることを理解する。

0068

ヒト間葉系幹細胞(MSC)は、骨格系疾患のための細胞治療に大きな有望性を保持しているが、骨髄への血液由来細胞のホーミングを指令するE−セレクチンリガンドの発現を欠いている。以前に、本発明者らは、フコシルトランスフェラーゼVI(FTVI)およびそのドナー糖であるGDP−フコースを用いて細胞をエクソフコシル化し、強力なE−セレクチンリガンドHCELLの一過性表面発現を強制して、静脈内に投与された細胞の強化された骨指向性を得ることによって、MSC表面のE−セレクチンリガンドを操作する方法を記載した。ここで本発明者らは、FTVI−エクソフコシル化を介して生成されたE−セレクチンリガンドと、細胞内で発現されたFTVIによって生成されたE−セレクチンリガンドとがアイデンティティおよび機能において区別されるかどうかの決定を求めた。この目的のために、本実施例では、本発明者らは、FTVI(FUT6−modRNA)をコードする合成的に修飾されたmRNAをヒトMSCへ導入した。FTVI−エクソフコシル化(すなわち、細胞外フコシル化)およびFUT6−modRNAトランスフェクション(すなわち細胞内フコシル化)は、細胞表面E−セレクチンリガンドレベルで同様のピーク増加を生じ、剪断ベース機能アッセイでは、E−セレクチンを発現するヒト内皮細胞の係留/ローリングにおいて匹敵する増加を示した。しかしながら、生化学的分析は、細胞内フコシル化が細胞内および細胞表面E−セレクチンリガンドの両方を誘導し、細胞外フコシル化と比較してE−セレクチンリガンドのより持続的な発現も誘導したことを明らかにした。注目すべきことに、ヒトMSCのマウス頭蓋冠へのホーミングを評価するためのライブイメージング研究は、細胞外でフコシル化された細胞と比較して細胞内でフコシル化された細胞の静脈内投与後の骨指向性がより大きいことを明らかにした。この研究は、FTVI媒介性の細胞内フコシル化対細胞外フコシル化による、ヒトMSCでプログラム化されたE−セレクチンリガンド発現の最初の直接分析である。これらの2つの状況で観察されたFTVI活性の生物学的効果の差異は、臨床適用におけるヒトMSCの有効性を改善するための新たな戦略をもたらし得る。
(実施例1)
材料と方法
ヒトアルファ1,3フコシルトランスフェラーゼ遺伝子

0069

ヒトタンパク質FUT3、FUT4、FUT5、FUT6およびFUT7の例示的な配列を以下に示す。発現のためのそのようなフコシルトランスフェラーゼをコードする例示的な核酸配列は、全長配列(下記にも示す)または酵素活性を保持するその切断部分をコードしてもよい。

0070

ヒトFUT3 cDNA配列

0071

ヒトFUT3 タンパク質配列

0072

ヒトFUT4 cDNA配列

0073

ヒトFUT4 タンパク質配列

0074

ヒトFUT5 cDNA配列

0075

ヒトFUT5 タンパク質配列

0076

ヒトFUT6 cDNA配列

0077

ヒトFUT6 タンパク質配列

0078

ヒトFUT7 cDNA配列

0079

ヒトFUT7タンパク質配列



ヒト間葉系幹細胞の単離および培養

0080

ヒト細胞を、がん医療機関パートナーズ(Partners Cancer Care Institutions)((マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)、ブリガム女性病院(Brigham and Women’s Hospital)およびダナ・ファーバー癌研究所(Dana−Farber Cancer Institute))のヒト実験および倫理委員会によって承認された手順に従って取得および使用した。廃棄された骨髄フィルターセットを正常なヒトドナーから得た。骨髄細胞を、PBS+10U/mlヘパリン(Hospira)を使用してフィルターセットからフラッシュした。単核画分を、密度勾配培地(Ficoll−Histopaque 1.077、Sigma−Aldrich)を使用して単離し、MSC培地(DMEM、1g/Lのグルコース、選択されたロットからの10%FBS、100U/mlのペニシリン、100U/mlのストレプトマイシン)中に2〜5×106細胞/mlで懸濁した。20mlの細胞懸濁液を、T−175組織培養フラスコ播種し、37℃、5%CO2、>95%湿度でインキュベートした。24時間後、非接着細胞を除去し、フラスコをPBSでリンスし、新鮮なMSC培地を加えた。その後、MSC培地を1週間あたり2回交換した。1〜2週間で、接着MSCのクラスターが観察された。コンフルエンスが80%に近づいたとき、細胞を収集し、MSC培地中に3〜5倍希釈し、新たなフラスコ中に蒔いた。収集のために、MSCをPBSで2回リンスし、0.05%トリプシンおよび0.5mMのEDTAで浮き上がらせた。遠心分離後、細胞ペレットを、継代するためMSC培地に再懸濁したかまたは実験的使用のためにPBSで洗浄した。
MSC特性評価および分化

0081

MSCを、CD29、CD31、CD34、CD45、CD73、CD90、CD105、CD106およびCD166を含むマーカーのパネルについてFACS染色によって特性評価した。細胞生存率を、トリパンプルー排除を使用して測定した。骨形成分化を誘導するために、細胞を、MSC培地+10nMのデキサメタゾン、10mMのグリセロホスフェート、および50μg/mlのL−アスコルベート−2−ホスフェートの存在下で培養した。4日後、L−アスコルベート−2−ホスフェートを除去し、培地を3〜4日毎に合計で14日間交換した。脂肪形成分化を誘導するために、細胞を、3ug/Lのグルコース、3%のFBS、1μMのデキサメタゾン、500μMのメチルイソブチルメチルキサンチン(IBMX)、33μMのビオチン、5μMのロシグリタゾン、100nMのインスリン、および17μMのパントテネートを含むDMEM中で培養した。4日後、IBMXおよびロシグリタゾンを除去し、培地を3〜4日毎に合計で14日間交換した。陰性対照として、MSCを、MSC培地中で、培地を3〜4日毎に交換しながら、合計で14日間維持した。骨形成分化を示す石灰化沈着物を可視化するために、細胞を2%アリザリンレッドで染色した。顕微鏡写真を撮影した後、細胞を、10%塩化セチルピリジニウム一水和物を使用して脱色し、染色された溶出液を、595nmで分光光度計を使用して測定した。脂肪形成分化を示す脂質沈着物を可視化するために、細胞を0.3%オイルレッドOで染色し、顕微鏡写真を撮影した。
修飾されたmRNA合成

0082

修飾されたmRNA(modRNA)を、以前に記載されているように[Mandal、2013年]合成した。簡潔に説明すると、ヒトフコシルトランスフェラーゼ6(FUT6)をコードするcDNAを、T7プロモーター、5’UTRおよび3’UTRを含有するベクターサブクローニングした。PCR反応を実施して、HiFi Hotstart(KAPA Biosystems)を用いたin vitro転写のための鋳型を生成した。FUT6 ORFならびに5’および3’UTRを含む1.6μgの精製されたPCR産物を、MEGAscript T7キット(Ambion)を用いたRNA合成のための鋳型として使用した。3’−O−Me−m7G(5’)ppp(5’)G ARCAキャップアナログ(New England Biolabs)、アデノシン三リン酸およびグアノシン三リン酸(USB)、5−メチルシチジン三リン酸およびプソイドウリジン三リン酸(TriLink Biotechnologies)を、in vitro転写反応のために使用した。modRNA産物を、MEGAclearスピンカラム(Ambion)を使用して精製し、アリコートを将来の使用のために凍結保存した。核不安定化EGFP(ndGFP)modRNAを陰性対照として同様に調製した。
modRNAトランスフェクション

0083

modRNAトランスフェクションを、製造業者の指示書に従ってStemfect(Stemgent)を用いて実施した。チューブに、60μlのバッファー中1μgのmodRNAと、60μlのバッファー中2μlの試薬を調製し、2つの複合体を一緒に混合して室温で15分間インキュベートした。混合物を、2mlのMSC培地中1×106のMSCに加えた。modRNAトランスフェクションに続いて、B18Rインターフェロン阻害剤(eBioscience)を培地補充物として200ng/mlで使用した。
FTVI産生および比活性の測定

0084

組換えFTVI酵素を、FTVIタンパク質配列(配列番号8)のアミノ酸35−359をコードするcDNAを使用する確立された技術[Borsig、1998年]を使用して、CHO細胞で産生した;この配列は、FTVIの細胞質および膜貫通領域を省き、酵素のステムおよび触媒ドメイン全体を包含している。精製酵素の比活性は、製造業者の指示書に従って、グリコシルトランスフェラーゼ活性キット(R&D Systems)を使用して決定した。簡潔に説明すると、0.1μgの組換えFTVI、1μLのENTPD3/CD39L3ホスファターゼ、15nmolのN−アセチル−D−ラクトサミン(V−labs Inc)、および4nmolのGDP−フコース(Sigma−Aldrich)を50μLの反応バッファー(25mM Tris、10mM CaCl2および10mM MnCl2、pH7.5)中に溶解し、96ウェルプレート中37℃で20分間インキュベートした。組換えFTVIを除いて同じ成分を含有させた第2の反応を陰性対照として実施した。反応は、30μLのマラカイトグリーン試薬Aおよび100μLの水を各ウェルに添加することによって終了させた。30μLのマラカイトグリーン試薬Bを各ウェルに添加し、次いで穏やかに撹拌して、室温で20分間インキュベートすることによって、発色させた。プレートは、マルチウェルプレートリーダーを用いて620nmで読み取った。ホスフェート標準を使用して較正曲線を作成し、FTVI酵素の比活性を60pmol/分/μgと決定した。
FTVIエクソフコシル化

0085

MSCを収集し、PBSで2回洗浄し、20mMのHEPES(Gibco)、0.1%のヒト血清アルブミン(Sigma)、1mMのGDP−フコース(Carbosynth)および60μg/mlの精製FTVI酵素をハンク平衡塩溶液(HBSS)中に含有するFTVI反応バッファー中に、細胞を2×107細胞/mlで再懸濁した。細胞を37℃で1時間インキュベートした。一部の実験について、「バッファーのみ」対照を、同一の形式であるが、FTVI酵素およびGDP−フコースを反応から除いて実施した。反応後、細胞をPBSで2回洗浄し、下流の実験のために直ちに使用した。
フローサイトメトリー

0086

2.5μlのHECA−FITC(Biolegend)またはCsLex1−FITC(eBiosciences)を96ウェルプレートの個々のウェルに加えた。MSCを収集し、PBS+2%FBS中に1×106/mlで懸濁し、50μlの細胞懸濁液を各ウェルに加えた。4℃で30分間インキュベートした後、プレートを1ウェルあたり200μlのPBSで洗浄し、200μlのPBS中に再懸濁した。蛍光強度を、Cytomics FC500MPLフローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して決定した。
強制されたsLeX発現、その後のFUT6−modRNAトランスフェクションおよびFTVIエクソフコシル化の時間経過

0087

MSCは、FUT6−modRNAトランスフェクトされたもの、FTVIエクソフコシル化されたもの、または未処理のままのものであり、アリコートを、mAbHECA452を使用したsLeXの発現についてのフローサイトメトリー分析のために取り出した。残りの細胞は、T−25フラスコ(1群あたり6フラスコ)に継代した。24時間の間隔で、各群から1つのフラスコを収集し、フローサイトメトリーを、HECA452を使用して実施した。細胞表面sLeX発現の時間経過を、1日ごとに各試料のHECA452染色の平均蛍光強度を比較することによって得た。
細胞表面ノイラミニダーゼ処理およびウェスタンブロット分析

0088

未処理、FUT6−modRNAトランスフェクトされたMSC(3日目)およびエクソフコシル化されたMSC(0日目)のMSCを、HBSS+0.1%BSA中に107細胞/mlで懸濁し、0.1U/mlのArthrobacter ureafasiensノイラミニダーゼ(Sigma)ありまたはなしで、37℃で45分間インキュベートした。次いでMSCを洗浄し、計数し、ペレット化し、−80℃で凍結した。使用前に、溶解物を、105細胞あたり30μlの2回の還元SDS−試料バッファーを加え、10分間煮沸することによって調製した。次いで試料を7.5%Criterion Tris−HSC SDS−PAGEゲル上で分離し、PVDF膜に移写した。膜を5%ミルクで遮断し、次いでマウスE−セレクチンヒト−Igキメラ(E−Ig、R&D Systems)、ラット抗マウスE−セレクチン(クローン10E9.6、BD Biosciences)、および西ワサビペルオキシダーゼ(HRP、Southern Biotech)にコンジュゲートしたヤギ抗ラットIgGで連続的に染色した。全ての染色および洗浄は、Tris緩衝生理食塩水+0.1%Tween(登録商標)20+2mM CaCl2中で行った。ブロットを、製造業者の指示書に従ってLumi−Lightウェスタンブロッティング基質(Roche)を使用したケミルミネッセンスにより可視化した。その後、ローディングが等しいことを確認するために、膜を、ウサギ抗ヒトベータ−アクチン(ProSci)、次いでヤギ抗ウサギIgG−HRP(SouthernBiotech)で染色し、記述されているようにケミルミネッセンスにより可視化した。
HCELLの免疫沈降およびE−セレクチン(E−Ig)プルダウン

0089

MSCは、FUT6−modRNAトランスフェクトされたもの、FTVIエクソフコシル化されたもの、または未処理のままのもの(対照)であり、溶解物を2%のNP40、150mMのNaCl、50mMのTris−HCl(pH7.4)、20μg/mLのPMSF、および1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)中で調製した。細胞溶解物を、プロテインG−アガロースビーズ(Invitrogen)で予め明瞭にした。CD44免疫沈降のために、溶解物を、2C5(R&D Systems)、F10−44.2(Southern Biotech)、515およびG44−26(いずれもBD Biosciences)からなるマウス抗ヒトCD44モノクローナル抗体のカクテルと共にインキュベートした。E−セレクチンプルダウンのために、溶解物を、2mMのCaCl2の存在下で、マウスE−Igと共にインキュベートした。CD44免疫沈降物およびE−IgプルダウンをプロテインG−アガロースビーズを用いて採取し、1.5×還元SDS−試料バッファー中での煮沸を介して溶出させ、SDS−PAGEゲル上でランし、抗CD44抗体2C5、G44−26およびF10−44.2、または抗sLeX抗体HECA452を用いてウェスタンブロットした。
細胞表面タンパク質単離

0090

MSCをフラスコ中でビオチン化し、細胞表面タンパク質を、製造業者の指示書に従って、Pierce細胞表面タンパク質単離キット(Thermo Scientific)を使用して単離した。簡潔に説明すると、未処理MSCまたはFUT6−modRNAトランスフェクトされたMSCをプレートに蒔いて3日後にPBSでリンスし、10mlのアミン反応性EZ−Linkスルホ−NHS−SSビオチン試薬を各フラスコに加えた。フラスコを穏やかに4℃で30分間撹拌し、反応をリシンクエンチした。細胞を収集し、未処理MSCの一部をFTVIでエクソフコシル化した。エクソフコシル化反応後、細胞を洗浄し、溶解した。ビオチン化細胞表面タンパク質を、キットに備えられたNeutrAvidin Agaroseビーズおよびスピンカラムを使用して単離した。フロースルーを非ビオチン化画分として採取し、結合タンパク質を溶出してビオチン化(細胞表面)画分として採取した。これらの画分をゲル上でランし、ウェスタンブロットを、記述されているようにE−Igキメラおよびベータアクチンについて実施した。

0091

平行平板型フローチャンバー試験
平行平板型フロー実験を、Bioflux−200システムおよび48ウェル低剪断マイクロ流体プレート(Fluxion Biosciences)を使用して行った。マイクロ流体チャンバーを250μg/mlのフィブロネクチン(BD Biosciences)でコーティングし、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs、Lonza)を播種し、コンフルエント単層が形成されるまで、EGM−2 BulletKit(EGM−2培地、Lonza)から調製した血管内皮成長培地中で培養した。アッセイ前の4時間に、HUVECを40ng/ml rhTNFα(R&D Systems)で活性化してE−セレクチン発現を誘導した。FUT6−modRNAトランスフェクトされたMSC、FTVIエクソフコシル化されたMSC、または未処理MSCを、EGM−2培地中に1.0〜1.5×106/mlで懸濁し、初めに0.5ダイン/cm2のずり応力を表す流量とし、1分間隔で1、2、4、8および16ダイン/cm2へ増加させながら注入した。1フィールドあたりの捕捉されたローリング細胞の数を、各流量で2つの独立した10秒間隔について計数し、平均化した。細胞数は、開始細胞数について、0.5ダイン/cm2の初期注入液で1フィールドあたりに見える細胞の合計数を視覚的に決定し、捕捉された細胞数を1.0×106細胞/mlでの細胞数に正規化された開始細胞数に対する割合として表すことによって補正した。そのように、データは、1×106細胞/ml注入液に正規化された1mm2あたりの捕捉されたローリング細胞の数として表される。フコシル化された細胞の結合の特異性を決定するために、陰性対照を、TNFαで活性化されていないHUVECを使用して、および抗CD62E(E−セレクチン)抗体(クローン68−5H11、BD Pharmingen)で遮断された活性化HUVECを用いて実施した。遮断抗体を、EGM−2培地中に20μg/mlで懸濁し、HUVEC上に注入し、20分間インキュベートしてから洗浄し、フコシル化されたMSCを注入した。ローリング速度は、全てのローリング細胞について各10秒間隔で移動した距離を測定し、各ずり応力で全てのローリング細胞についてμm/秒で測定される速度に変換し、平均ローリング速度を報告することによって計算した。
生体色素染色およびヒトMSCのマウスへの静脈内注入

0092

MSCを収集し、FUT6−modRNAまたはndGFPmodRNAをトランスフェクトし、B18Rを用いてT−175フラスコに蒔いた。未処理のMSCを同時に継代した。2日後、未処理のMSCを収集し、FTVI−エクソフコシル化または「バッファーのみ」の対照群に分割した。FUT6およびndGFPトランスフェクトされたMSCを直接収集した。全ての試料のアリコートを、HECA452のフローサイトメトリー分析のために取り出した。4つの処理のそれぞれからのMSCを2つに分割し、PBS+0.1%BSA中に1×106細胞/mlで懸濁し、10μMのVybrant(登録商標)DiDまたはVybrant(登録商標)DiI色素(Molecular Probes)で、37℃で20分間染色した。細胞を2回洗浄し、1:1の相反混合物(FUT6−modRNAをトランスフェクトされたMSCとndGFP対照をトランスフェクトされたMSCとの1:1混合物、ならびにFTVI−エクソフコシル化されたMSCとバッファー対照処理MSCとの1:1混合物)を調製した。免疫担当BL/6マウスのペアに各細胞の組合せを後眼窩注入し、各ペアのマウス間で膜色素の組合せを交換した。その後、マウスあたり2nmolのAngiosense750(PerkinElmer)を注入して血管の同時可視化を可能にした。各マウスに注入された細胞混合物のアリコートをHECA452−FITCで染色し、ガラススライド上で画像化して、FUT6−modまたはFTVI−エクソ処理の有効性を確認した。最少で20のそのような画像(平均450個の細胞)を計数して、それぞれのマウスについてDiDおよびDiI標識MSCの正確な開始率を得た。開始率が1:1から異なる場合には、補正計数を計算し、in vivo画像から得られたホーミング率をそれに応じて調整した。
in vivo共焦点および2−光子蛍光顕微鏡

0093

in vivo頭蓋冠骨髄へのMSCホーミングを、イソフルラン麻酔下での動物ライブイメージングのために設計された特注ビデオレートレーザー走査顕微鏡を使用して画像化した。頭髪を剃り、皮弁手術で開き、頭蓋冠を露出させた。頭蓋冠領域を生理食塩水で濡らし、60×1.0NA水浸対物レンズ(Olympus、Center Valley、PA)下に直接配置した。画像スタックを、シグナル対ノイズ比を強化するためにフレーム平均処理を行いながら、1秒あたり30フレームで取得した。DiI標識MSC、DiD標識MSC、およびAngiosense750標識血管を、共焦点検出スキームを使用して画像化した。骨コラーゲン第二高調波発生は、フェムト秒パルスMaitaiレーザー(Coherent,Inc.、Santa Clara、CA)からの840nmの光を使用して行った。細胞は組織内約200μmの深さまで検出することができた。イメージングは、移植後約2時間および約24時間で実施した。イメージングセッションの間に、頭皮弁を縫って閉じ、マウスを快復させた。研究は、マサチューセッツ総合病院の施設内動物管理使用委員会の承認の下、動物の管理および使用についての米国の国立衛生研究所のガイドラインに従って行った。

0094

in vivo画像解析
頭蓋冠画像を採取し、3次元スタックとして定量した[Mortensen、2013年]。定量のために、頭蓋冠の骨髄にわたる20の代表的イメージング位置におけるDiDおよびDiI細胞の数を、各マウスについて手動で計数した。分析は盲検で行い、計数事象を約10μmの最小直径に対応させて分析から残骸を排除し、シグナルを用いてDiDおよびDiIの両方のチャネル自己蛍光事象(他のチャネルの強度の約2×未満の一次チャネルの強度を有するそれらの事象)を除外した。血管外遊出した細胞は、Angiosense標識血管から完全に区別される細胞(すなわち、細胞の部分が、いずれの血管のいずれの部分とも重複していない)として定義した。各マウスで計数したDiD対DiI染色細胞の比率を計算し、各マウスペアで比較し、同等なホーミングをベースライン率1に割り当てた。したがって、対照MSCと比較した処理MSCのホーミングの倍率変化をマウスの各ペアについて計算し、ホーミング効力を相対的に測定した。4つの異なる初代MSC株を表す8マウス(4マウスペア)を処置ごとに画像化した。
(実施例2)
MSC特性評価

0095

初代骨髄由来MSCを、CD29、CD31、CD34、CD45、CD73、CD90、CD105、CD106およびCD166を含むマーカーのパネルについて評価した。MSCは、MSCマーカーCD29、CD44、CD73、CD90およびCD105について一様に陽性であり、CD106について微かであり、内皮細胞マーカーCD31ならびに造血マーカーCD34およびCD45について陰性であった(図1A)。このマーカー発現プロファイルは、試験した7つの初代MSC株全てにわたって一貫していた(図1B)。2つの初代MSC株を、脂肪形成および骨形成系統へ分化する能力について試験した(代表的画像図1Cに示す)。
(実施例3)
sLeX表面発現は、FUT6−modRNAトランスフェクション後2〜3日でピークとなり、FTVIエクソフコシル化の場合よりもゆっくりと低下する。

0096

細胞表面E−セレクチンリガンド発現についての最適な時間点を決定するために、本発明者らは、MSCのFTVIエクソフコシル化とFUT6−modRNAトランスフェクションとの間のフローサイトメトリーによるsLeX表面発現の動態を比較した。予想されるように、エクソフコシル化された細胞は、処理後すぐに最大表面sLeXに達し、24時間までに40%へ低下し、48時間までにほぼゼロのベースラインレベル(すなわち本来のMSC反応性と同様)に戻った。対照的にFUT6−modRNAトランスフェクトされた細胞は、トランスフェクション2日後に最大細胞表面sLeX発現に達し、3日目まで高レベルを維持し、その後徐々に減少した(図2)。誘導されたsLeX発現のこれらの動態に基づいて、エクソフコシル化された細胞を用いた全ての実験は処理後すぐに実施し、一方でFUT6−modRNA−トランスフェクトされた細胞を用いた実験はトランスフェクション後2〜3日で実施した。
(実施例4)
細胞内および細胞外FTVIフコシル化によって誘導されるsLeX表面発現は複数の初代MSC株にわたって同様で一貫しており、MSC特性を変化させない

0097

両方の方法を使用した細胞表面グリカンのフコシル化の全体的な程度を評価するために、本発明者らは、フローサイトメトリーにより総細胞表面sLeXレベルを分析した。この分析は、細胞内および細胞外フコシル化細胞の両方で表面sLeX発現のおよそ2ログの増加を明らかにし(図3A)、この結果は、クローン特異的バイアスを除外する第2の抗sLeX mAbクローンを使用して確認された(図3A)。MSC初代培養物間でいくらかの変動が観察されたが、平均で細胞表面sLeXにおける増加は5つの独立した初代MSC株を試験したときに両方の方法について同様であった(図3B)。FTVIフコシル化のいずれかの方法がMSC生物学的特徴に影響を与えたかどうかを決定するために、本発明者らは、フコシル化前後のいくつかの重要な特性を調べた(図4A〜図4D)。本発明者らは、MSC生存率が、細胞内または細胞外フコシル化によって有意に減少しなかったこと(図4A)、ならびにMSCマーカーのパネルが、フコシル化直後に測定したとき(図4B、図4C)またはさらなる継代を培養したとき(すなわち5〜11日)(図4C)のいずれも変化しなかったことを観察した。最後に、本発明者らは、処理された細胞を骨芽細胞系統または脂肪形成系統に向けて分化させたが、分化における視覚的差異は観察できなかった。骨芽細胞分化の定量は、細胞内および細胞外でフコシル化されたMSCとそれらのそれぞれの対照との間に有意差がないこと、ならびに未処理MSCと比較して減少がないこと(図4D)を明らかにした。
(実施例5)
細胞内および細胞外フコシル化によって生成されたE−セレクチンリガンド糖タンパク質の比較分析

0098

FUT6−modRNAトランスフェクションおよびFTVI−エクソフコシル化によって生成されたE−セレクチンリガンド糖タンパク質のアイデンティティおよび細胞局在を分析するために、本発明者らは、E−セレクチン−Igキメラ(E−Ig)をプローブとして使用してウェスタンブロットを実施した。細胞外でフコシル化されたMSCからの溶解物は、主にHCELLに対応するサイズの約85kD[Sackstein、20098]、および現状未特定の糖タンパク質の約60kDにE−Ig反応バンドを示した(図5A)。約85kDのバンドが実際にHCELLであるかどうかを評価するために、本発明者らは、CD44を免疫沈降させ、HECA452でブロットし、逆にE−Igを使用してE−セレクチンリガンドを単離し、CD44でブロットした(図6A〜図6B)。HCELLと約60kDのバンドの両方が、細胞内でフコシル化されたMSCの溶解物に同様に存在したが、より大きな分子量のE−Ig反応性バンドも、これらの溶解物で非常に大きな強度で観察され、FTVIがその天然の細胞内状況で存在するとき、さらなる糖タンパク質基質がフコシル化にアクセス可能であることを示唆する(図5A)。E−Ig反応性タンパク質の細胞局在を決定するために、インタクト細胞のノイラミニダーゼ処理を実施して全ての細胞表面糖タンパク質からsLeXを除去した。予想されるように、細胞外でフコシル化された細胞のノイラミニダーゼ処理後にE−Ig反応性糖タンパク質は残らず、全てが細胞外に局在したことが示された。細胞内でフコシル化された細胞(3日目)では、約60kDおよび約85kDの検出可能なE−Ig反応性タンパク質の全てが細胞外であったが、より大きなE−Ig反応性タンパク質の一部はノイラミニダーゼ処理後も依然として存在しており、細胞内局在を示唆した(図5B)。この傾向は、約60kDおよび約85kDのバンドが、より大きなE−Ig反応性タンパク質と比較して、アクセス可能な細胞表面タンパク質で大きな比率を占めることを明らかにした細胞表面ビオチン化実験(図7)によって裏づけられた。
(実施例6)
細胞内および細胞外フコシル化は、流体剪断条件下で、E−セレクチンリガンド媒介性MSC捕捉、係留およびローリングを同様に可能にする

0099

sLeXはE−セレクチンにとって重要な結合決定因子であるので、HECA452およびcsLex1反応性の劇的な増加は、細胞内および細胞外フコシル化の両方が、処理されたMSCに対する機能的E−セレクチン結合活性を可能にすることを示唆する。E−セレクチン結合活性を直接評価するために、本発明者らは、フコシル化されたMSCおよび未処理MSCが、TNFαを用いた処理によってE−セレクチンを発現するように刺激されたHUVEC単層上において流体剪断条件下で捕捉、係留およびローリングを起こす能力を調べた。未処理のMSCは、いかなるずり応力のレベルでも、刺激されたHUVECとほとんどまたは全く相互作用を示さず、E−セレクチンリガンド発現の欠如と一致していた。対照的に、細胞内でおよび細胞外でフコシル化されたMSCの両方は、4ダイン/cm2までのずり応力レベルで、TNFα刺激HUVEC単層上において捕捉、係留およびローリングを起こす能力が大きく強化された(図8A)。細胞外でフコシル化されたMSCと細胞外でフコシル化されたMSCとの間でローリング細胞の数(図8A)またはローリング速度(図8B)に有意差は観察されず、FACSによって観察された表面sLeXの同様な増加レベルは、処理されたMSCで得られるE−セレクチンリガンド活性相応する機能的改善を正しく予測していることが示唆された。非刺激のHUVECまたは抗E−セレクチン遮断モノクローナル抗体で処理されたHUVECでは、フコシル化されたMSCとの捕捉、係留またはローリング相互作用は支持されず、これらの相互作用がE−セレクチン単独に媒介されたものであることが確認された。
(実施例7)
細胞内でおよび細胞外でフコシル化されたMSCの両方が、未処理のMSCよりも効率的に頭蓋冠骨髄に蓄積する

0100

FACSによって観察された細胞表面sLeX、ウェスタンブロットによって観察されたE−Ig反応性ならびにTNFα刺激HUVECで観察された捕捉/係留およびローリングの劇的な増加は、集約的に細胞内および細胞外フコシル化の両方がMSCで作動性のE−セレクチンリガンドを生成できることを示す。E−セレクチンリガンドにおけるこれらの差異がin vivoで機能的に関連するかどうかを決定するために、本発明者らは、マウス宿主の頭蓋冠における細胞トラッキングのための生体内共焦点多光子顕微鏡を使用して、それらのin vivoの骨髄ホーミング特性を調べた[Levy、2013年;Mortensen、2013年]。細胞内または細胞外でフコシル化されたMSCを、対応する非フコシル化対照細胞と共に、それぞれ細胞表面色素DiDまたはDiIで染色し、1:1の相反細胞混合物(処理対対照)を調製した。マウスのペアに各細胞の組合せを移植し、各ペアのマウス間で膜色素の組合せを交換した。各マウスに注入された細胞混合物のアリコートをHECA452で染色し、ガラススライド上で画像化して、フコシル化の有効性を確認し、正確な開始率を得た(図9)。移植後およそ2時間および再度24時間で、頭蓋冠を画像化し(図10A)、DiDおよびDiI事象を計数した。対照MSCと比較して、細胞内および細胞外でフコシル化されたMSCの両方が、移植後2時間で、骨指向性(すなわち骨における蓄積)の有意な増加を実証した(図10B)。同じマウスを移植後24時間で画像化したとき、同様の傾向が観察され、細胞内でフコシル化されたMSCと比較して細胞内でフコシル化されたMSCでさらに有意な細胞数の増加が観察された(図10C)。
(実施例8)
細胞内でフコシル化されたMSCは、移植後24時間で頭蓋冠血管から骨髄実質への有意に大きな血管外遊出を実証する

0101

移植された細胞の骨髄実質への血管外遊出は、生着のための前提条件である。血管外遊出の程度を評価するために、本発明者らは、近赤外血管色素(Angiosense750)を注入してマウス血管を可視化し、マルチスタックイメージングを実施した。本発明者らは、移植後24時間の頭蓋冠を画像化して、血管から周囲の骨髄空間へ明確に血管外遊出したDiIおよびDiD染色細胞を同定し(図11A)、対照MSCと比較して細胞内および細胞外でフコシル化されたMSCの両方が骨髄実質への有意に高まった浸透を示すことを見出した(図11B)。さらに血管外遊出における明確な差異が2つの処置間で観察され、移植後24時間で、細胞内でフコシル化されたMSCは、細胞外でフコシル化されたMSCより2倍多く血管外遊出されるようである(図11B)。これらの知見は、FUT6−modRNA形質導入のE−セレクチンリガンドの持続的(すなわち2日目より長い)存在(図2)がin vivoの状況で細胞ホーミングおよび血管外遊出の機能的改善を生じることを示唆する。
(実施例9)
考察と結論
考察

0102

MSCは、臨床的影響の大きな可能性を持つ細胞治療の道筋である。世界的に500を超える過去および現在の登録された臨床試験において、MSCが、骨疾患(例えば、骨粗鬆症、骨形成不全)、自己免疫疾患(例えば、狼瘡多発性硬化症)、および炎症性疾患(例えば、心筋梗塞潰瘍性大腸炎)[clinicaltrials.gov、2015年12月にアクセス]を含む広範囲の症状を処置するための試みにおいて利用されている。しかしながら、MSC移植は十分に耐用性があるが、臨床的転帰は一般的に期待外れである[Griffin、2013年;Galipeau、2013年]。MSCの臨床的有効性を制限する未解決の主要な課題は、その意図する標的部位単数または複数)に、移植されたMSCを有効に送達することである。傷害/疾患器官へのMSCの直接注入はいくつかの適応症で可能であるが、このアプローチは侵襲性で、付随的な組織損傷をもたらす可能性がある。さらに、特定の器官または多焦点もしくは全身症状に対して、局所注入は実行困難であり、有効な部位特異的局在化を可能にするために、細胞の血管送達を最適化するための戦略が必要である。

0103

MSCホーミングを制限する主要な欠点の1つは、E−セレクチンリガンド発現の欠如である。E−セレクチンリガンドを用いてMSCを操作する試みにおいて、様々なアプローチ、例えば、細胞膜への共有結合性ペプチドの連結[Cheng、2012年]、およびE−セレクチンリガンド融合タンパク質[Lo、2016年]またはsLeX被覆ポリマービーズ[Sarkar、2011年]の非共有結合性カップリングなどが利用されてきた。しかしおそらく最も生理学的に妥当なアプローチは、末端シアリル化ラクトサミンを正規のセレクチン結合決定基であるsLeXに変換する能力が本来的に強力かつ特異的なヒトアルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼ酵素の力を利用することである。本発明者らは、以前に、MSCの細胞表面をエクソフコシル化し、そのようにE−セレクチンリガンドHCELLを生成し、骨へのホーミングを改善するための精製されたFTVIの使用を記載した[Sackstein、2009年]。エクソフコシル化は、臍帯造血細胞[Xia、2004年;Wan、2013年;Popat、2015年]、調節性T細胞[Parmar、2015年]および神経幹細胞[Merzaban、2015年]を含む他の細胞型のセレクチン媒介性ホーミングおよび生着を強化するためにも採用されている。対照的に、MSCにおいて細胞内でフコシルトランスフェラーゼを生成するためのmodRNAの使用は新しく、比較的未開拓である。今日までの唯一の研究では、ヒトMSCが、FTVII、P−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(PSGL−1)および抗炎症性サイトカインインターロイキン10(IL−10)をコードするmodRNAを同時トランスフェクトされた。これらの三重にトランスフェクトされた細胞をマウスに異種移植したとき、骨髄ホーミングのわずかな強化が、皮膚炎症モデル[Levy、2013年]および実験的自己免疫性脳脊髄炎モデル[Liao、2016年]における適度な改善と共に報告されている。しかし、実験設計の性質(すなわち3つの遺伝子を同時発現するためにmodRNAを同時トランスフェクトしている)、ならびに方法論の差異(異なるフコシルトランスフェラーゼ、異なる前臨床モデル)により、結果を、エクソフコシル化を採用する他の試験からの結果と比較することは困難である。特に、modRNAトランスフェクションによって生成されるE−セレクチンリガンドが細胞外フコシルトランスフェラーゼの作用によって生成されるE−セレクチンリガンドとアイデンティティおよび機能において類似しているかどうか、および得られるホーミング効率において何らかの差異が明らかにされるかどうかをこれらの試験から決定することはできなかった。

0104

本明細書における本発明者らの結果は、sLeXレベルによって測定されるように(すなわちmAbHECA452に対する反応性によって評価されるように)、および熱力学的剪断条件下でのサイトカイン刺激HUVECに対するE−セレクチン媒介性捕捉/係留/ローリング活性を評価することによって確認されるように、複数のヒトMSCの初代培養物にわたって、細胞内および細胞外フコシル化方法が、細胞表面E−セレクチンリガンドの生成について同様に強力であることを示す。産生されるある特定のE−セレクチンリガンド糖タンパク質の量および細胞局在は、2つの方法間でわずかに異なっており、細胞内フコシル化は、細胞内および細胞外の両方に存在するいくらかのさらなるE−セレクチン結合糖タンパク質をもたらす。さらなる細胞内タンパク質が、細胞内に通常は局在する新規なsLeX保持糖タンパク質であるか、または細胞表面提示の輸送のための前駆体(すなわち、さらに翻訳後修飾を受けるか、顆粒に保存されるかもしくは細胞表面に往復されるプロセスにあるタンパク質)であるかは、まだ決定されていない。2つの方法間の最も顕著な相違は、細胞表面におけるE−セレクチンリガンド提示の動態であった。ピークのsLeXは、細胞外フコシル化の直後に観察され、1〜2日で急速に低下したが、細胞内フコシル化では、sLeXは48時間でピークに達し、その後、より緩やかに低下した。さらに、両方の方法が、対照MSCと比較して骨指向性を有意に増加させたが、全体的な骨髄ホーミング、特に遊出におけるより大きな増加が、移植後24時間のin vivoの細胞内でフコシル化された細胞について観察された。エクソフコシル化直後またはmodRNAトランスフェクション後2日目に注入された事実を考慮すると、細胞表面に残るE−セレクチンリガンドの顕著に異なるレベルが24時間後にこれらの差異に寄与している可能性がある。この作用の分子的根拠を決定するためにさらなる研究が正当化されるが、ゴルジにおけるグリカンアクセプターのアクセス可能性および/または細胞内グリコシル化産物の膜分布の差異を高めることも関連し得る。

0105

本発明者らの知見は、ヒトMSCおよび他の目的の細胞(例えば、幹細胞、組織プロジェニター細胞または白血球の他の種類)を使用する将来の臨床適用に情報を与えるために重要である。FTVIエクソフコシル化およびFUT6−modRNAトランスフェクションの両方がシンプルで、一過性で、かつ非組み込み性であることから、理想的な糖操作戦略である。本明細書に記載の細胞内グリコシル化後のE−セレクチンリガンド発現のより長い期間ならびに関連するホーミングおよび遊出特性における改善に加えて、このアプローチの実用的な利点は、FTVI酵素およびGDP−フコースが細胞産物であり、したがって可溶性組換え酵素の精製およびGDP−フコースの合成に関連する労力および費用がないことである。さらに、FTVI酵素は、その天然の細胞状況に局在している(すなわち、ゴルジ膜に埋め込まれている)ので、さらなるアクセプター基質がフコシル化のためにアクセス可能である。一方、細胞外フコシル化の実用的利点は、処置の迅速性(したがって細胞のさらなる培養の回避)、ゴルジグリコシル化ネットワークの潜在的な破壊の回避、ならびに核酸を細胞に導入することに伴うリスク、例えば限定されないが細胞の抗ウイルス防御機構の活性化などのリスクがないことが挙げられる。さらに、他の(すなわち非MSCの)臨床的に適切な細胞のフコシル化を考慮するとき、エクソフコシル化は、その細胞表面にシアリル化ラクトサミンを保持する任意の細胞型に容易に適用可能であり、このことは、細胞表面sLeX発現を強制するために必要なフコシルトランスフェラーゼ(単数または複数)をコードする核酸(modRNAなど)を容易にトランスフェクト可能な細胞型または細胞表面sLeX発現を強制するために必要な関連するフコシルトランスフェラーゼ(単数または複数)をコードする核酸が他の手段(例えば、ウイルスベクターを介した形質導入)によって導入することができる細胞型に限定される細胞内フコシル化(または他の細胞内グリコシルトランスフェラーゼ修飾)とは対照的である。しかしながら、トランスフェクトまたは形質導入され得るこれらの細胞において、細胞表面sLeX発現を強制するために必要なグリコシルトランスフェラーゼ(単数または複数)をコードする関連する核酸配列の導入は、細胞表面sLeX発現を生じるおよび/または増強するための細胞表面(細胞外)フコシル化と組み合わせることができる。そのようなコンビナトリアル戦略は、本発明の範囲内に包含される。

0106

本発明者らは、フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸(例えば、modRNA)の導入を介する細胞内フコシル化を、フコシルトランスフェラーゼ媒介性エクソフコシル化プロセスと組み合わせると、細胞におけるE−セレクチンリガンド活性の実質的により高い(およびより延長された)発現がもたらされ得ることに気づく。多くの場合に、細胞表面sLeXの発現を強制するためにグリコシルトランスフェラーゼをコードする核酸の導入は、例えば、胚性幹細胞、成体幹細胞、および誘導多能性幹細胞(iPSC)を含む臨床的に関連する細胞型の多様な集団に有用であり得る。成体幹細胞としては、骨髄、臍帯血脂肪組織胎盤組織、皮膚、筋肉肝臓膵臓神経組織、目の組織からを含む任意の臨床的に関連する部位から得られる幹細胞、および実際に、外胚葉内胚葉または間葉細胞系統から誘導される任意の細胞型からの幹細胞が挙げられる。したがって特定の臨床適用(単数または複数)に依存して、細胞内または細胞外フコシル化アプローチの有用性が好まれ得る。

0107

フコシル化を介するE−セレクチン相互作用を最大化することが、骨指向性を改善するための有効な戦略であり、炎症性障害(例えば、糖尿病および関節リウマチなどの自己免疫疾患)、変性疾患(例えば、骨粗鬆症)、心血管疾患、虚血症状およびがんを含むがそれらに限定されない幅広い医学的障害を処置するために有用であり得ることは、今や明らかである。しかしながら、MSCおよび目的の他の細胞(例えば、他の種類の幹細胞、組織プロジェニターまたは白血球)は、ホーミングおよび/または関連する細胞型への分化をさらに改善するために他の方法で改変されてもよい。例えば、MSCへアレンドロネートを固定すること[Yao、2013年]、ケモカイン受容体(CXCR4など)の発現を上方調節することにより組織への細胞遊走を改善すること[Wynn、2004年;Shi、2007年;Jones、2012年]、およびインテグリンのレベルまたは活性を増加させることにより骨への強固な接着および分化を改善すること[Kumar、2007年;Srouji、2012年;Hamidouche、2009年]によって、MSCの骨表面保持を改善する試みがなされてきた。ホーミング、生着および分化プロセスの各段階でMSCまたは他の関連する細胞の関与を強化するために、将来のトランスレーシナルな試みが、特定のおよび段階的形式で複数のホーミングおよび分化アプローチを組み合わせようとすることは合理的であると思われる。このように、フコシル化は、全ての細胞ベースの治療の臨床的有用性を最大化するためのコンビナトリアルなアプローチの重要な一態様として使用することができる。

0108

本発明者らは、さらにフコシル化、特に、modRNAプロセスまたは関連するα(1,3)−フコシルトランスフェラーゼをコードする核酸配列を導入する他の手段を介してE−セレクチン相互作用を最大化することが、直接的な組織傷害(例えば、熱傷外傷褥瘡性潰瘍等)、虚血/血管事象(例えば、心筋梗塞、脳卒中、ショック出血凝血障害等)、感染症(例えば、蜂巣炎肺炎髄膜炎、SIRS等)、異常増殖(例えば、乳がん肺がんリンパ腫等)、免疫学的自己免疫症状(例えば、移植片対宿主病、多発性硬化症、糖尿病、炎症性大腸疾患、紅斑性狼蒼、関節リウマチ、乾癬等)、変性疾患(例えば、骨粗鬆症、変形関節炎アルツハイマー病等)、先天的/遺伝的疾患(例えば、表皮水疱症骨形成不全症筋ジストロフィーリソソーム蓄積症ハンチントン舞踏病等)、薬物副作用(例えば、薬物により誘導される肝炎、薬物により誘導される心傷害等)、毒性傷害(例えば、放射線被曝、化学的曝露アルコール性肝炎アルコール性膵炎アルコール性心筋症コカイン心筋症等)、代謝異常(例えば、尿毒症性心膜炎代謝性アシドーシス等)、医原性状態(例えば、放射線により誘導される組織傷害、手術関連合併症等)および/または特発性の過程(例えば、筋萎縮側索硬化、パーソネイジ−ターナー症候群等)によって開始されるものを含むがこれらに限定されない多数の医学的障害を処置または改善するためにおそらく有効な戦略であると考える。

0109

本開示はさらに、フコシル化を介して、特にmodRNAプロセスを使用してE−セレクチン相互作用を最大化することによる、E−セレクチンが罹患組織内皮ベッドにおいて発現されおよび/またはL−セレクチン発現白血球が罹患組織において浸潤/蓄積している疾患、障害または病状の処置を対象とする。前述のとおり、E−セレクチンおよびL−セレクチンは、シアル化、フコシル化炭水化物にそれぞれ結合し、細胞表面上のこれらのシアロフコシル化グリカン構造の強制的な発現は、これらのセレクチンに対する結合をプログラムするのに役立つ。したがって、本開示は、投与された細胞上のE−セレクチンリガンドの発現を増大させることにより標的組織へのホーミングを増大する方法について記述し;さらに、投与された細胞上の強力なE−セレクチンおよびL−セレクチンリガンド(HCELLなど)の発現を増大して、血管内皮細胞上のE−セレクチンへのおよび/または罹患組織内の組織浸潤白血球上のL−セレクチンへの附着を促進する方法について記述し、本開示は、生物学的効果が意図される関連する組織微環境内の細胞の定着/付着を増大させる手段を提供する。一般に、本明細書に記述される方法は、免疫療法適用(例えば、がんまたは感染性疾患適用のために培養により増大された抗原特異性T細胞および/もしくは培養により増大されたNK細胞の投与、培養により増大されたキメラ抗原受容体[CAR]T細胞の投与、抗原パルスされた樹状細胞の投与等)、免疫調節性免疫抑制性治療適用(例えば、培養により増大された調節性T細胞[Treg]の投与、抗原パルスされた樹状細胞の投与、間葉系幹細胞の投与、培養により増大されたNKT細胞の投与等)、または組織修復/再生医学適用(例えば、組織再生回復のためのおよび/または前駆細胞または他の組織修復細胞の使用;組織再生/回復のための培養により増大された幹細胞および/または培養により増大された前駆細胞の使用)においても、細胞ベースの任意の治療的手法の転帰を改善する有用性を有する。再生医学適用における有用性に伴い、投与された細胞は、組織特異的細胞を生じる長期の生着(付随して増殖/分化を伴う)によって標的組織を再生するのにそれ自体寄与することができ(例えば、血液細胞産生のための造血幹細胞の移植においてなど)、および/または長期の生着もしくは分化なしに組織常在細胞に組織回復/修復効果をもたらすことができる(例えば、常在幹/前駆細胞を刺激して損傷組織修復する栄養作用をもたらすことによっておよび/または傷害を促進し、修復を妨げる炎症過程を弱めることによって)ものと理解される。本明細書に記述される全ての適応に対する全ての適用は、単独でまたは促進剤(例えば、成長因子組織骨格等)と組み合わせて使用され得る。直接的な組織傷害(例えば、熱傷、外傷、骨折、骨奇形、褥瘡性潰瘍等)、虚血/血管事象(例えば、心筋梗塞、脳卒中、ショック、出血、凝血障害等)、感染症(例えば、蜂巣炎、肺炎、髄膜炎、膀胱炎敗血症、SIRS等)、異常増殖(例えば、乳がん、肺がん、前立腺がん腎細胞がん、リンパ腫、白血病等)、免疫学的/自己免疫症状(例えば、急性または慢性GVHD、多発性硬化症、糖尿病、炎症性大腸疾患[例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎]、関節リウマチ、乾癬等)、変性疾患(例えば、骨粗鬆症、変形関節炎、椎間板変性、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症等)、先天的/遺伝的疾患(例えば、表皮水疱症、骨形成不全症、筋ジストロフィー、リソソーム蓄積症、ハンチントン舞踏病等)、薬物副作用(例えば、化学療法により誘導される組織/臓器毒性放射線療法毒性、薬物により誘導される肝炎、薬物により誘導される心傷害等)、毒性傷害(例えば、放射線被曝、化学的曝露、アルコール性肝炎、アルコール性膵炎、アルコール性心筋症、コカイン心筋症等)、代謝異常(例えば、尿毒症性心膜炎、代謝性アシドーシス等)、医原性症状(例えば、放射線により誘導される組織傷害、手術関連合併症等)および/または特発性の過程(例えば、筋萎縮側索硬化、パーソネイジ−ターナー症候群等)によって開始されるものを含むがこれに限定されない付随する炎症(例えば、急性および/または慢性)を有する疾患、障害もしくは病状、組織傷害/損傷または新生物症状の全ては、本明細書に記述される方法により処置され得る。本明細書に記述される方法によって処置され得る他の一般的なおよび特定の疾患、障害または病状には、これに限らないが、以下がある:
急性白血病(例えば、急性二形質性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)および急性未分化白血病);
骨髄異形成症候群、例えば、アミロイドーシス慢性骨髄単球性白血病(CMML)、難治性貧血(RA)、芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う不応性貧血(RAEB−T)および環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS);
骨髄増殖症候群、例えば、急性骨髄線維症原因不明骨髄様化生(骨髄線維症)、本態性血小板血症慢性骨髄性白血病および真性多血症
食細胞障害、例えば、チェディアック−東症候群慢性肉芽腫症白血球接着不全症ミエロペルオキシダーゼ欠損症好中球アクチン欠損症および細網異形成症
リソソーム蓄積症、例えば、副腎白質ジストロフィー、アルファマンノシドーシスゴーシェ病ハンター症候群(MPS−II)、ハーラー症候群(MPS−IH)、クラッベ病、マロトーラミー症候群(MPS−VI)、異染性白質異栄養モルキオ症候群(MPS−IV)、ムコリピドーシスIII細胞病)、ムコ多糖蓄積症(MPS)、ニーマンピック病サンフィリポ症候群(MPS−III)、シャイ症候群(MPS−IS)、スライ症候群、ベータ−グルクロニダーゼ欠損症(MPS−VII)およびウォールマン病;
遺伝的赤血球異常、例えば、ベータ地中海貧血ブラックファンダイヤモンド貧血、赤芽球癆および鎌状赤血球症
遺伝的血小板異常、例えば無巨核球症/先天性血小板減少、灰色血小板症候群;
実質器官悪性腫瘍、例えば、脳腫瘍ユーイング肉腫神経芽細胞腫卵巣がん腎細胞癌、肺がん、乳がん、胃がん食道がん皮膚がん口腔がん、内分泌がん、肝臓がん胆管系がん、膵臓がん、前立腺がんおよび精巣がん
他の適用、例えば、骨髄移植心疾患(心筋梗塞)、肝疾患、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、パーキンソン病脊髄傷害、椎間板疾患変性、骨疾患、骨折、脳卒中、末梢血管疾患頭部外傷水疱性疾患、ミトコンドリア病、ex vivoおよびin vivo増大させた幹および前駆細胞集団、in vitro受精適用および増大、造血救出事態(Hematopoietic Rescue Situations)(強い化学/放射線)、様々な組織起源から得られる幹細胞および前駆細胞、ヒトおよび動物における適用、ならびに四肢再生、再建外科手順/適応、単独または促進剤との組み合わせ;
慢性白血病、例えば、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、若年性慢性骨髄性白血病(JCML)および若年性骨髄単球性白血病(JMML)、
幹細胞障害、例えば、無形成性貧血(重度)、先天性血球減少、先天性角化不全ファンコニ貧血および発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);
リンパ増殖性疾患、例えば、ホジキン病非ホジキンリンパ腫および前リンパ球性白血病
組織球障害、例えば、家族性赤血球食細胞性リンパ組織球症、血球貪食、血球貪食リンパ組織球症、ヒスチオサイトーシスX、およびランゲルハンス細胞組織球症
先天性(遺伝性)免疫系障害、例えば、TおよびB細胞非存在、T細胞の非存在、正常B細胞SCID、毛細管拡張性運動失調症、リンパ球症候群、分類不能型免疫不全症ディジョージ症候群コストマン症候群、白血球接着不全症、オーメン症候群、重症複合型免疫不全症(SCID)、アデノシンデアミナーゼ欠乏を伴うSCID、ヴィスコットアルドリッチ症候群およびX連鎖リンパ増殖性疾患;
他の遺伝性疾患、例えば、軟骨毛髪低形成、セロイドリポフスチン症先天性造血性ポルフィリン症家族性地中海熱グランツマン血小板無力症、レッシュナイハン症候群、大理石骨病およびサンドホフ病;
形質細胞疾患、例えば、多発性骨髄腫形質細胞白血病およびワルデンストレームマクログロブリン血症
自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス強皮症強直性脊椎炎真性糖尿病および炎症性大腸疾患。
関節および骨疾患/症状、例えば、椎間板変性、滑膜疾患、軟骨変性、軟骨外傷、軟骨裂傷関節炎、骨折、骨奇形、骨再建、骨形成不全症、先天性骨疾患/症状、遺伝的骨疾患/症状、骨粗鬆症。大理石骨病、低ホスファターゼ血症代謝性骨疾患等。
水疱性疾患、乾癬、湿疹、表皮水疱症、潰瘍性皮膚症状軟部組織奇形(術後皮膚および軟部組織奇形を含む)、形成外科再建手術適応等などの皮膚/軟部組織疾患および症状。

0110

一般に、付随する炎症症候には、発熱疼痛水腫充血紅斑挫傷圧痛硬直膨れ悪寒呼吸窮迫血圧低下高血圧鼻詰まり頭重感呼吸障害体液貯留凝血塊食欲不振体重減少多尿夜間多尿無尿呼吸困難運動性呼吸困難、筋力低下知覚変化、心拍数増加、心拍数低下、不整脈多飲肉芽腫の形成、線維素性、、非粘稠性漿液、または潰瘍、があるがこれに限定されない。急性および/または慢性炎症に関連する実際の症候は周知であり、炎症の位置、炎症の原因、炎症の重症度、罹患した組織または器官、および関連障害を含むがそれに限定されない因子を考慮することにより当業者によって決定され得る。

0111

急性および/または慢性炎症の特定のパターンは、炎症が上皮表面において起こるか、または化膿菌が含まれるなどの場合に、身体に生じる特定の状況の間に見られる。例えば、肉芽腫性炎症は、結核ライ病サルコイドーシスおよび梅毒を含むがこれに限定されない、限定されているが多数の疾患から生じる肉芽腫の形成に起因する炎症である。化膿性炎症は、多量の膿をもたらす炎症であり、膿は、好中球、死細胞および体液からなる。ブドウ球菌属などの化膿菌による感染症は、この種の炎症に特徴的である。漿液性炎症は、一般に漿膜中皮細胞により産生されるが、血漿から得ることができる非粘稠性漿液の大量の滲出に起因する炎症である。皮膚水疱は、このパターンの炎症を例証する。

0112

潰瘍性炎症は、上皮表面からの組織の壊死性消失に起因し、下層を曝露し、潰瘍を形成する炎症である。

0113

急性および/または慢性炎症症候は、様々な疾患および障害の根底にある障害の大きく、無関係な群と関連し得る。免疫系は、アレルギー反応関節炎症状といくつかのミオパチーの両方において実証される急性および/または慢性炎症性障害、異常な炎症をもたらす多くの免疫系障害としばしば関係している。急性および/または慢性炎症過程に病因論の起源がある非免疫性疾患には、がん、アテローム性動脈硬化症および虚血性心疾患がある。症候として急性および/または慢性炎症を呈示する障害の非限定的な例には、ざ瘡、酸逆流/胸やけ加齢黄斑変性症(AMD)、アレルギーアレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、筋萎縮側索硬化、貧血、虫垂炎動脈炎、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、自己免疫不全、亀頭炎眼瞼炎細気管支炎気管支炎、水疱性天疱瘡、熱傷、滑液包炎、がん、心停止心炎セリアック病、蜂巣炎、子宮頸管炎、胆管炎胆嚢炎絨毛羊膜炎慢性閉塞性肺疾患COPD)(および/またはその急性増悪)、肝硬変大腸炎うっ血性心不全結膜炎、薬物により誘導される組織傷害(例えば、シクロホスファミドにより誘導される膀胱炎)、嚢胞性線維症、膀胱炎、感冒涙腺炎、褥瘡性潰瘍、認知症皮膚炎皮膚筋炎、糖尿病、糖尿病性神経障害糖尿病性網膜症糖尿病性ネフロパシー、糖尿病潰瘍、消化器疾患、湿疹、気腫脳炎心内膜炎内分泌障害子宮内膜炎腸炎全腸炎上顆炎精巣上体炎筋膜炎線維筋痛線維形成結合組織炎胃炎胃腸炎歯肉炎糸球体腎炎舌炎、心疾患、心臓弁機能不全、肝炎、化膿性汗腺炎、ハンチントン舞踏病、高脂血症膵臓炎、高血圧、回腸炎、感染症、炎症性大腸疾患、炎症性心臓肥大症、炎症性神経病変インスリン抵抗性間質性膀胱炎間質性腎炎虹彩炎、虚血、虚血性心疾患、角膜炎角結膜炎喉頭炎狼瘡性腎炎黄斑変性乳腺炎乳様突起炎、髄膜炎、代謝症候群(症候群X)、片頭痛粘膜炎、多発性硬化症、脊髄炎心筋炎筋炎腎炎ニューロン炎非アルコール性脂肪肝肥満臍炎卵巣炎精巣炎、骨軟骨炎骨減少骨髄炎、骨粗鬆症、骨炎耳炎、膵炎、パーキンソン病、耳下腺炎骨盤炎症性疾患尋常性天疱瘡(pemphigus vularis)、心膜炎腹膜炎咽頭炎静脈炎胸膜炎、肺炎、多嚢胞腎炎、直腸炎前立腺炎、乾癬、歯髄炎腎盂腎炎門脈炎、放射線により誘導される傷害、腎不全再灌流傷害網膜炎リウマチ熱鼻炎卵管炎、サルコイドーシス、唾液腺炎副鼻腔炎直腸痙攣鬱血性皮膚炎狭窄口内炎、脳卒中、外科合併症滑膜炎腱炎症、滑液鞘炎、血栓性静脈炎甲状腺炎扁桃炎、外傷、外傷性脳傷害移植拒絶反応三角炎、結核、腫瘍、潰瘍、尿道炎ウルシティス(ursitis)、ブドウ膜炎膣炎血管炎および陰門炎があるがこれに限定され
ない。

0114

急性および/または慢性炎症をもたらし得るさもなければ原因になり得る疾患、障害および外傷の一般的な区分には、遺伝的疾患、異常増殖、直接組織傷害、自己免疫疾患、感染性疾患、血管疾患/合併症(例えば、虚血/再灌流傷害)、医原性の原因(例えば薬物有害作用放射線傷害等)およびアレルギー性徴候があるが、これに限定されない。

0115

一実施形態において、急性および/または慢性炎症は組織炎症を含む。一般に、組織炎症は、特定の組織もしくは器官に限定される急性および/または慢性炎症である。したがって、例えば、組織炎症は、皮膚の炎症、筋肉の炎症、腱の炎症、靭帯の炎症、骨の炎症、軟骨/関節の炎症、の炎症、心臓の炎症、肝臓の炎症、胆嚢の炎症、膵臓の炎症、腎臓の炎症、膀胱の炎症、歯肉の炎症、食道の炎症、の炎症、腸の炎症、肛門の炎症、直腸の炎症、血管の炎症、の炎症、子宮の炎症、精巣の炎症、陰茎の炎症、外陰の炎症、ニューロンの炎症、口腔の炎症、眼の炎症、の炎症、脳の炎症、心室髄膜(meningial)の炎症および/または中枢もしくは末梢神経系細胞/エレメントを含む炎症を含み得
る。

0116

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、全身性炎症を含む。組織炎症と同一でなくても含まれる過程は類似しているが、全身性炎症は、特定の組織に限られず、むしろ上皮、内皮、神経組織、漿膜表面および器官系を含めた身体の複数部位を含む。それが感染症による場合、用語敗血症は、細菌敗血症に特異的に適用される菌血症およびウイルス敗血症に特異的なウイルス血症で使用され得る。血管拡張および器官機能不全は、敗血症性ショックおよび死亡に至る場合がある広範囲にわたる感染と関連する深刻な問題である。

0117

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は関節炎により誘導される。関節炎は、例えば、変形性関節炎、関節リウマチ、若年性特発性関節炎、強直性脊椎炎の様な脊椎関節症反応性関節炎ライター症候群)、乾癬性関節炎、炎症性大腸疾患と関連する腸炎性関節炎、ウィップル病およびベーチェット病化膿性関節炎痛風痛風関節炎結晶性滑膜炎、代謝性関節炎とも一般に呼ばれる)、偽痛風ピロリン酸カルシウム沈着症)、およびスティル病を含めた滑膜の炎症による、身体の関節への損傷を含む症状の一群を含む。関節炎は、単一の関節(単関節炎)、2〜4つの関節(少数関節炎)または5つもしくはより多くの関節(多発関節炎)に罹患することがあり、自己免疫疾患または非自己免疫疾患のいずれかであることができる。

0118

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、自己免疫不全により誘導される。自己免疫疾患は、各疾患の主要な臨床病理的特徴に応じて、全身性および器官特異性自己免疫不全に大まかに分割され得る。全身性自己免疫疾患には、例えば、全身性紅斑性狼蒼(SLE)、シェーグレン症候群、強皮症、関節リウマチおよび多発筋炎がある。局所自己免疫疾患には、内分泌性(1型真性糖尿病、橋本病アジソン病等)、皮膚病学的(尋常天疱瘡)、血液学的(自己免疫溶血性貧血)、神経性(多発性硬化症)があり、または体組織の任意の限局性の塊を実質的に含み得る。自己免疫障害の型には、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、アレルギーまたは過敏症、筋萎縮側索硬化(ALS)、抗リン脂質抗体症候群APS)、関節炎、自己免疫性溶血性貧血自己免疫性肝炎自己免疫性内耳疾患、自己免疫性膵炎、水疱性天疱瘡、セリアック病、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(その急性増悪を含む)、1型真性糖尿病(IDDM)、子宮内膜症、線維筋痛、グッドパスチャー症候群グレーブス病ギランバレー症候群(GBS)、橋本病、化膿性汗腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性大腸疾患(IBD)、間質性膀胱炎、狼瘡(円板状エリテマトーデス、薬物により誘導される紅斑性狼蒼。狼瘡性腎炎、新生児狼瘡、亜急性皮膚エリテマトーデス、および全身性エリテマトーデスを含める)、限局性強皮症、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ミオパチー、ナルコレプシー、神経性筋強直、尋常天疱瘡、悪性貧血原発性胆汁性肝硬変再発性播種性脳脊髄炎多相性播種性脳脊髄炎)、リウマチ熱、統合失調症、強皮症、シェーグレン症候群、滑液鞘炎、血管炎および白斑があるがこれに限定されない。特定の一実施形態において、急性および/または慢性炎症は、対象の糖尿病に起因する、さもなければそれにより引き起こされる。別の特定の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、対象の多発性硬化症に起因する、さもなければそれにより引き起こされる。

0119

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、ミオパチーにより誘導される。一般に、ミオパチーは、免疫系が筋肉の構成要素を不適切攻撃する場合に引き起こされ、筋肉に炎症をもたらす。ミオパチーには、例えば、炎症性ミオパチーおよび自己免疫性ミオパチーがある。ミオパチーには、例えば、皮膚筋炎、封入体筋炎および多発筋炎がある。

0120

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、血管炎により誘導される。血管炎は、白血球遊走ならびにその結果として生じる損傷による、静脈(静脈炎)、動脈(動脈炎)および毛細管の様なリンパ管および血管を含めた血管壁の炎症を特徴とする様々な群の障害である。炎症は、身体の任意の場所の、任意のサイズの血管に罹患し得る。それは、動脈および/または静脈のいずれにも罹患し得る。炎症は、血管内の単一の位置に罹患することを意味する状であることができ、または炎症は、特定の器官もしくは組織全体点在する炎症の領域で広範囲にわたることができ、または身体の2つ以上の器官系に罹患することもできる。血管炎には、バーガー病閉塞性血栓性血管炎)、脳血管炎(中枢神経系血管炎)、ANCA関連血管炎、チャーグストラウス動脈炎、クリオグロブリン血症本態性クリオグロブリン血症性血管炎巨大細胞側頭)動脈炎、ゴルファーの血管炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病過敏性血管炎(アレルギー性血管炎)、川崎病、顕微鏡的多発性動脈炎多発血管炎結節性多発動脈炎リウマチ性多発筋痛(PMR)、リウマトイド血管炎、高安動脈炎ヴェーゲナー肉芽腫症、および全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、再発性多発性軟骨炎、ベーチェット病の様な結合組織障害、または他の結合組織障害に伴う血管炎、ウイルス感染症に伴う血管炎があるがこれに限定されない。

0121

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、皮膚障害により誘導される。皮膚障害には、例えば、尋常性ざ瘡を含めたざ瘡、水疱性類天疱瘡(bullous phemigoid)、アトピー性皮膚炎ならびに急性および/または慢性光線性皮膚炎を含めた皮膚炎、湿疹様アトピー性湿疹、接触湿疹、乾燥性湿疹、脂漏性皮膚炎発汗異常症貨幣状湿疹、静脈湿疹、皮膚炎、疱疹状皮膚炎神経皮膚炎、および自己湿疹化、および鬱血性皮膚炎、糖尿病性皮膚合併症、化膿性汗腺炎、扁平苔癬性乾癬(plaqure psoriasis)、爪乾癬、滴状乾癬、頭皮乾癬、倒置乾癬、膿疱性乾癬乾癬性紅皮症(erythrodermis psoriasis)および乾癬性関節炎を含めた乾癬、酒さおよび限局性強皮症を含めた強皮症、潰瘍がある。

0122

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、消化管障害により誘導される。消化管障害には、例えば、過敏性腸疾患(IBD)、クローン病および潰瘍性大腸炎の様な潰瘍性直腸炎を含めた炎症性大腸疾患、左側結腸炎、全結腸炎ならびに劇症大腸炎がある。

0123

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、心血管疾患により誘導される。LDLコレステロールが、動脈壁に埋め込まれると、それは免疫応答を呼び起こし得る。急性および/または慢性炎症は、動脈を最終的に損傷する場合があり、それは動脈を破裂させる場合がある。一般に、心血管疾患は、心臓自体ならびに/または血管系、特に心臓へおよび心臓から通じる静脈および動脈に罹患する多くの特異的疾患のうちのいずれかである。例えば、高血圧、心内膜炎、心筋炎、心臓弁機能不全、うっ血性心不全、心筋梗塞、糖尿病性心臓症状、動脈炎、静脈炎、血管炎の様な血管炎症動脈硬化および狭窄の様な動脈閉塞疾患、炎症性心臓肥大症、末梢動脈疾患動脈瘤塞栓解剖偽動脈瘤血管奇形;血管母斑血栓症;血栓性静脈炎;拡張蛇行静脈;脳卒中を含めて60個を超える型の心臓血管障害がある。心臓に罹患する心臓血管障害の症候には、胸痛、または胸部不快感狭心症)、一方もしくは両腕、左肩、頸部もしくは背中の疼痛、息切れ眩暈、速い動、悪心、異常な鼓動、疲労感があるがこれに限定されない。脳に罹患する心臓血管障害の症候には、顔面、腕もしくは脚、特に身体の片側における突然の麻痺または脱力、突然の発話もしくは会話の理解の混乱または問題、突然の一方もしくは両眼視力の問題、突然の眩暈、歩行困難またはバランスもしくは協調の消失、原因不明の突然の激しい頭痛があるがこれに限定されない。脚、骨盤および/または腕に罹患する心臓血管障害の症候には、筋肉の疼痛、痛みまたは痙攣である跛行および特に夜間の足もしくはつま先における冷えまたは麻痺感があるがこれに限定されない。

0124

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、がんにより誘導される。一般に、炎症は、腫瘍の周りの微環境を組織化し、増殖、生存および遊走を助長する。例えば、線維素性炎は、フィブリンが血管を通ることを可能にする血管透過性の大きな増加に起因する。がん細胞など適当な凝血促進性刺激が存在する場合、線維性滲出液沈着する。沈着は、漿膜間で瘢痕への線維性滲出液の変換が起こり得る漿膜腔において一般に見られ、漿膜の機能を制限する。別の例において、がんは、NF−κB駆動炎症性がんの様な炎症性癌である。

0125

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、薬理学的に誘導される炎症である。重要なビタミンおよびミネラルの欠乏を含めた特定の薬物または外因性化合物が、炎症をもたらすことは公知である。例えば、ビタミンA欠乏症は、炎症性応答の増加を引き起こし、ビタミンC欠乏症は、結合組織疾患を引き起こし、およびビタミンD欠乏症は、骨粗鬆症をもたらす。特定の薬理学的薬剤は、炎症性合併症、例えば、薬物により誘導される肝炎を誘導する可能性がある。コカインおよびエクスタシーなどの特定の違法薬物は、炎症と密接に関連する転写因子(例えば、NF−κB)を活性化することにより、いくつかの有害作用を及ぼし得る。放射線療法は、曝露および投薬の部位によって、肺毒性、熱傷、心筋炎、粘膜炎および他の組織傷害を誘導する可能性がある。

0126

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、感染症により誘導される。感染性生物は、身体の他の部分に伝染することができる場合、循環系またはリンパ系を介して隣接する組織の境界に逃れることができる。生物が、急性炎症の作用に含有されない場合、近傍のリンパ管を経てリンパ系に接近することができる。リンパ管の感染症は、リンパ管炎として公知であり、リンパ節の感染症は、リンパ腺炎として公知である。病原体は、循環系へのリンパ排液によって血流に接近することができる。感染症には、細菌性膀胱炎、細菌脳炎、汎発性インフルエンザ、ウイルス脳炎およびウイルス性肝炎(A、BおよびC)があるがこれに限定されない。

0127

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、組織または器官傷害により誘導される。組織または器官傷害には、熱傷、裂傷、創傷穿刺または外傷があるがこれに限定されない。

0128

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、移植拒絶反応により誘導される。レシピエントの免疫系が移植器官または組織を攻撃するので、移植器官または組織が移植レシピエントの身体に受け入れられない場合に移植拒絶反応は起こる。適応免疫応答、移植拒絶反応は、T細胞媒介と体液免疫(抗体)機序の両方によって媒介される。移植拒絶反応は、超急性拒絶反応急性拒絶反応または慢性拒絶反応に分類することができる。移植器官または組織の急性および/もしくは慢性拒絶反応は、拒絶反応が、よく理解されていない急性および/もしくは慢性炎症性であり、移植組織に対する免疫応答によるところである。移植拒絶反応としては、急性または慢性GVHDいずれかの移植片対宿主病(GVHD)も挙げられる。GVHDは、移植されたにおいて機能的免疫細胞が、レシピエントを「外来である」と認識し、免疫学的攻撃を開始する同種骨髄移植の一般的な合併症である。それは、特定の状況下で輸血において起こる可能性もある。GVHDは、急性および慢性形態に分けられる。急性および慢性GVHDは、異なる免疫細胞サブセット、異なるサイトカインプロファイル、幾分異なる宿主標的を含むように見え、処置に対して異なる応答を示す。別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、Th1媒介性炎症性疾患により誘導される。

0129

正しく機能している免疫系において、免疫応答により免疫誘起を行うのに適するバランスのとれた炎症誘発性Th1応答および抗炎症性Th2応答が得られるはずである。一般的に言って、炎症誘発性Th1応答が一旦開始されると、身体は、Th2応答により呼び起こされる抗炎症性応答を利用して、このTh1応答を打ち消す。この反作用の応答は、アトピーにおけるIgEおよび好酸性応答の促進と関連する、例えばIL−4、IL−5およびIL−13、さらに抗炎症性応答を有するIL−10などのTh2型サイトカインの放出を含む。Th1媒介性炎症性疾患は、急性および/または慢性炎症をもたらすTh1細胞により生じる過剰な炎症誘発性応答を含む。Th1媒介性疾患は、ウイルス的、細菌的または化学的(例えば、環境的)に誘導され得る。例えば、Th1媒介性疾患を引き起こすウイルスは、慢性または急性感染症を引き起こす可能性があり、呼吸器障害またはインフルエンザを引き起こし得る。

0130

別の実施形態において、急性および/または慢性炎症は、急性および/または慢性神経原性炎症を含む。急性および/または慢性神経原性炎症とは、末梢知覚神経終末から放出されるSPもしくはCGRPの様な炎症性分子の放出によって開始および/または維持される炎症応答(すなわち、これら神経における脊髄への正常な求心性シグナル伝達と対照的に、遠心性機能)のことを指す。急性および/または慢性神経原性炎症には、一次炎症および二次神経原性炎症の両方がある。一次神経原性炎症とは、一次知覚神経終末(CおよびA−デルタ線維など)からの物質の放出により開始される、またはそれに起因する組織炎症(炎症症候)のことを指す。二次神経原性炎症とは、知覚神経終末を刺激し、神経からの炎症メディエータの放出を引き起こすペプチドまたはサイトカインなど、非ニューロン起源の炎症メディエータ(例えば、肥満細胞または免疫細胞など間質から得られる血管ベッドもしくは組織由来溢出物)により開始される組織炎症のことを指す。急性および/または慢性神経原性炎症の両方の形態(一次および二次)の正味の作用は、末梢知覚神経線維感作により維持される炎症状態を有し得る。得られた急性および/または慢性神経原性炎症の生理結末は、例えば、皮膚痛覚アロディニア痛覚過敏)、関節疼痛および/または関節炎、内臓疼痛および機能不全、肺機能不全(喘息、COPD)ならびに膀胱機能障害(疼痛、過活動膀胱)などを生じる問題とする組織によって決まる。
結論

0131

本明細書において、本発明者らは、複数の初代ヒトMSC株を使用して、細胞表面E−セレクチンリガンドの一過性の増加、および骨へのMSCホーミングに対するそれらの影響についての、アルファ(1,3)−フコシルトランスフェラーゼFUT6を使用する2つの別個のアプローチの機能的および生化学的評価を報告する。この研究は、臨床的に関連する実験モデルで同じ酵素を使用する細胞内および細胞外フコシル化の間の最初の直接比較である。未処理のMSCと比較して、細胞内および細胞外フコシル化の両方が、試験した初代MSC株の全てにおいて、細胞表面E−セレクチンリガンドを顕著に増加させ、骨指向性を改善し、これらのアプローチが複数のMSCドナーにわたって一貫し、妥当なものであることを示している。注目すべきことに、移植後24時間で、全体的骨指向性および血管外遊出のレベルは、細胞外フコシル化よりも細胞内フコシル化で有意に高かった。この知見は、細胞外でフコシル化されたMSCと対比して細胞内でフコシル化されたMSCの細胞表面E−セレクチンリガンドのより持続的な発現と増加した多様性をおそらく反映している。まとめると、これらの結果は、フコシル化を強制するためのこのシンプルで非永続的な戦略が、移植されたMSCのホーミングの増強に使用し得るものであることを示している。
引用された文献

0132

本出願で引用された全ての文献は、本明細書で再度完全に引用されているかのように本明細書に組み込まれる。

実施例

0133

本発明の例示的な実施形態を本明細書に記載してきたが、本発明は、記載されている実施形態に限定されず、様々な他の変更または修飾が、本発明の範囲または精神から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。

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