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技術 改善された分化方法

出願人 コーニンクレッカネザーランドアカデミーヴァンウェテンシャッペン
発明者 クレバーズヨハネスカロルスジェハートヘルムス
出願日 2017年3月1日 (3年2ヶ月経過) 出願番号 2018-543385
公開日 2019年6月6日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-514345
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 炭酸塩ベース ポーキュパイン 合成版 ポリセル 両性イオン緩衝液 生分解性化合物 広口ビン 臓器モデル
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、例えば哺乳動物上皮幹細胞などの前駆細胞分化方法、前記方法で使用するための分化培地、前記方法によって得ることのできるオルガノイドおよび細胞、ならびに治療的使用を含むそれらの使用に関する。

概要

背景

背景
前駆細胞分化させるための培地および方法には大きな関心が寄せられている。前駆細胞およびそれらの分化した子孫は、細胞アッセイ、薬物スクリーニングおよび毒性アッセイにおいて使用することができる。前駆細胞およびその分化した子孫はまた、損傷した組織治療のための再生医療などの、細胞に基づく治療法にも有望である。さらに、効率的な細胞培養培地は、研究目的のための細胞の集団を提供し、維持するために重要である。

いくつかの組織(例えば膵臓結腸、腸陰窩肝臓および前立腺)に由来する前駆細胞または組織断片の長期培養のための方法が記載されている(国際公開公報第2010/090513号(特許文献1)、国際公開公報第2012/014076号(特許文献2)、国際公開公報第2012/168930号(特許文献3)および国際公開公報第2015/173425号(特許文献4)参照)。前駆細胞の分化のより高い効率をもたらす、およびインビボでの対応する細胞型をより厳密に反映する分化細胞の生成をもたらす、改善された培養培地および方法が必要とされている。

概要

本発明は、例えば哺乳動物上皮幹細胞などの前駆細胞の分化方法、前記方法で使用するための分化培地、前記方法によって得ることのできるオルガノイドおよび細胞、ならびに治療的使用を含むそれらの使用に関する。

目的

本発明は、前駆細胞を分化させるための方法であって、
基礎培地と、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤および1つまたは複数のWnt阻害剤とを含む分化培地中で、細胞を培養する工程
を含む、方法を提供する

効果

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請求項1

前駆細胞分化させるための方法であって、基礎培地を含み、かつ1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤および1つまたは複数のWnt阻害剤をさらに含む分化培地中で、前記細胞を培養する工程を含む、方法。

請求項2

1つまたは複数のWnt阻害剤が、(1)Wnt分泌の阻害剤、(2)WntもしくはRスポンジンとWnt受容体複合体との間の相互作用競合的もしくは非競合的阻害剤、(3)Wnt受容体複合体の成分の分解を促進する阻害剤、(4)Dishevelledファミリータンパク質の阻害剤、(5)分解複合活性を促進する活性化剤、(6)分解複合体の脱オリゴマー化の阻害剤、および/または(7)β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤から選択される、請求項1記載の方法。

請求項3

1つまたは複数のWnt阻害剤が、Wnt分泌の阻害剤、例えばIWP 2、LGK974およびIWP 1から選択されるPorc阻害剤を含む、請求項2記載の方法。

請求項4

分化培地がGSK-3阻害剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。

請求項5

1つまたは複数のWnt阻害剤が、β-カテニン分解複合体の下流で作用する阻害剤、例えばβ-カテニン標的遺伝子発現を阻害するWnt阻害剤を含む、請求項4記載の方法。

請求項6

前駆細胞を分化させるための方法であって、基礎培地を含み、かつ1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤およびGSK-3阻害剤をさらに含む分化培地中で、前記細胞を培養する工程を含む、方法。

請求項7

GSK-3阻害剤が、CHIR99201、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアデシンインジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルテルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジンマンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択される、請求項4〜6のいずれか一項記載の方法。

請求項8

分化培地が、β-カテニン分解複合体の下流で作用する少なくとも1つのWnt阻害剤、例えばβ-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤をさらに含む、請求項6または請求項7記載の方法。

請求項9

β-カテニン標的遺伝子発現のWnt阻害剤が、iCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115 584、ZTM000990、PNU 74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、請求項5または請求項8記載の方法。

請求項10

分化培地がAP-1刺激剤をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。

請求項11

前駆細胞を分化させるための方法であって、基礎培地を含み、かつ1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤およびAP-1刺激剤をさらに含む分化培地中で、前記細胞を培養する工程を含む、方法。

請求項12

AP-1刺激剤がムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、例えばアセチルコリンベタネコールカルバコールオキソトレモリンまたはピロカルピンから選択されるムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストである、請求項10または請求項11記載の方法。

請求項13

1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドが、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)(ErbBファミリー)のリガンド、RTKクラスIV(FGF受容体ファミリー)のリガンド、およびRTKクラスVI(HGF受容体ファミリー)のリガンドの1つまたは複数、または全部を含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。

請求項14

1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドが、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)および肝細胞増殖因子(HGF)からなる群より選択される、請求項13記載の方法。

請求項15

Notch阻害剤が、γ-セクレターゼ阻害剤、任意でDAPTまたはジベンザゼピン(DBZ)またはベンゾジアゼピン(BZ)またはLY-411575である、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。

請求項16

糖質コルチコイドが、デキサメタゾンプレドニゾンプレドニゾロンメチルプレドニゾロンベタメタゾントリアムシノロンベクロメタゾンおよび酢酸フルドロコルチゾンから選択される、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。

請求項17

TGF-β阻害剤が、A83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511からなる群より任意で選択されるALK4、ALK5またはALK7の阻害剤である、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。

請求項18

分化培地が、BMP7、BMP4およびBMP2の1つまたは複数から任意で選択されるBMP経路活性化剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。

請求項19

分化培地がガストリンをさらに含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。

請求項20

分化培地が、受容体チロシンキナーゼリガンドとしてのEGF、FGF19およびHGF、notch阻害剤としてのDAPT、Wnt阻害剤としてのIWP2およびiCRT3、糖質コルチコイドとしてのデキサメタゾン、GSK-3阻害剤としてのCHIR99021、ならびにAP-1阻害剤としてのカルバコールを含む、請求項19記載の方法。

請求項21

分化培地が、B27、レチノイン酸を含まないB27、およびN2からなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。

請求項22

請求項1〜21のいずれか一項に記載される分化培地。

請求項23

上皮幹細胞を培養するための方法であって、増殖した上皮幹細胞を得るために、上皮幹細胞用の増殖培地の存在下で上皮幹細胞を培養する工程;およびその後、請求項21記載の分化培地中で1つまたは複数の前記増殖した細胞を培養する工程を含む、方法。

請求項24

細胞を細胞外マトリックスと接触させて培養する、請求項1〜21および23のいずれか一項記載の方法。

請求項25

分化した細胞集団または分化したオルガノイドを取得および/または単離する工程をさらに含む、請求項1〜21および23〜24のいずれか一項記載の方法。

請求項26

前駆細胞が上皮細胞、例えば肝臓膵臓、腸、前立腺乳房卵巣唾液腺毛包、皮膚、食道膀胱または甲状腺由来する上皮細胞である、請求項1〜21および23〜25のいずれか一項記載の方法。

請求項27

前駆細胞が肝臓または膵臓に由来する、請求項26記載の方法。

請求項28

前駆細胞が哺乳動物前駆細胞、例えばヒト前駆細胞である、請求項1〜21および23〜27のいずれか一項記載の方法。

請求項29

分化した肝臓オルガノイドを好ましくは得るために、肝上皮幹細胞を培養するための方法であって、以下の工程を含む、方法:増殖培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の肝上皮幹細胞を培養する工程であって、好ましくは前記増殖培地が、基礎培地を含み、かつEGF、FGF10、HGF、Wntアゴニスト(例えばRスポンジン)、ニコチンアミド、TGF-β阻害剤、フォルスコリンおよびガストリンをさらに含む、工程;ならびにその後、請求項21記載の分化培地、好ましくは請求項20記載のような分化培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の前記増殖した肝上皮幹細胞を培養する工程。

請求項30

増殖培地中で少なくとも3日間培養した後、培養物破砕し、分割して、次いで分化培地中で培養する、請求項22〜28のいずれか一項記載の方法。

請求項31

請求項1〜21および23〜29のいずれか一項記載の方法によって得ることのできるまたは得られるオルガノイド。

請求項32

肝臓、膵臓、腸、胃、前立腺、肺、乳房、卵巣、唾液腺、毛包、皮膚、食道、膀胱、耳または甲状腺に由来する、請求項31記載のオルガノイド。

請求項33

ヒト由来であり、かつ少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも99%の細胞が肝細胞マーカーを発現する、請求項31または32記載の肝臓オルガノイド。

請求項34

マウスに由来し、かつ少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも99%の細胞が肝細胞マーカーを発現する、請求項31〜33のいずれか一項記載の肝臓オルガノイド。

請求項35

オルガノイド、例えば請求項31〜34のいずれか一項記載のオルガノイドと、請求項21記載の分化培地とを含む、組成物

請求項36

創薬スクリーニング;毒性アッセイ;診断;組織発生学細胞系列および分化経路の研究;組換え遺伝子発現を含む遺伝子発現試験;組織損傷および修復関与する機構の研究;炎症性および感染性疾患の研究;発症機構の検討;または細胞形質転換およびがん病因の機構の検討における、請求項31〜35のいずれか一項に定義されたオルガノイドまたは前記オルガノイドに由来する細胞の使用。

請求項37

医療における使用、例えば障害、状態または疾患の治療における使用のための、請求項31〜34のいずれか一項記載のオルガノイドまたは前記オルガノイドに由来する細胞。

請求項38

医療が再生医療である、例えば使用がオルガノイドまたは細胞の患者への移植を含む、請求項37記載の使用のためのオルガノイドまたは前記オルガノイドに由来する細胞。

請求項39

1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、デキサメタゾン、TGF-β阻害剤、1つまたは複数のWnt阻害剤、GSK-3阻害剤およびAP-1刺激剤を含む、医薬製剤

請求項40

治療用または予防用の医薬薬物または化粧品スクリーニングするための方法であって、請求項31〜34のいずれか一項記載の分化したオルガノイドを候補分子(または候補分子のライブラリ)と接触させる工程;任意の作用(例えば増殖の減少もしくは消失形態学的変化および/もしくは細胞死などの細胞の任意の変化)またはオルガノイドの変化(例えばオルガノイドの大きさもしくは運動性)について前記オルガノイドを評価する工程;前記作用を生じさせる候補分子を、潜在的な薬物または化粧品として同定する工程;ならびに任意で、前記候補分子を医薬または化粧品として調製する工程を含む、方法。

技術分野

0001

本明細書において引用されるすべての資料は、その全体が参照により組み込まれる。

0002

技術分野
本発明は、細胞培養培地および方法、特に、例えばヒト上皮幹細胞などの前駆細胞分化させるための培養培地および方法の分野に属する。

背景技術

0003

背景
前駆細胞を分化させるための培地および方法には大きな関心が寄せられている。前駆細胞およびそれらの分化した子孫は、細胞アッセイ、薬物スクリーニングおよび毒性アッセイにおいて使用することができる。前駆細胞およびその分化した子孫はまた、損傷した組織治療のための再生医療などの、細胞に基づく治療法にも有望である。さらに、効率的な細胞培養培地は、研究目的のための細胞の集団を提供し、維持するために重要である。

0004

いくつかの組織(例えば膵臓結腸、腸陰窩肝臓および前立腺)に由来する前駆細胞または組織断片の長期培養のための方法が記載されている(国際公開公報第2010/090513号(特許文献1)、国際公開公報第2012/014076号(特許文献2)、国際公開公報第2012/168930号(特許文献3)および国際公開公報第2015/173425号(特許文献4)参照)。前駆細胞の分化のより高い効率をもたらす、およびインビボでの対応する細胞型をより厳密に反映する分化細胞の生成をもたらす、改善された培養培地および方法が必要とされている。

先行技術

0005

国際公開公報第2010/090513号
国際公開公報第2012/014076号
国際公開公報第2012/168930号
国際公開公報第2015/173425号

0006

本発明は、前駆細胞を分化させるための方法であって、
基礎培地と、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤および1つまたは複数のWnt阻害剤とを含む分化培地中で、細胞を培養する工程
を含む、方法を提供する。

0007

本発明はさらに、前駆細胞を分化させるための方法であって、
基礎培地と、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤およびGSK-3阻害剤とを含む分化培地中で、細胞を培養する工程
を含む、方法を提供する。

0008

本発明はさらに、前駆細胞を分化させるための方法であって、
基礎培地と、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤およびAP-1刺激剤とを含む分化培地中で、細胞を培養する工程
を含む、方法を提供する。

0009

本発明はさらに、オルガノイドを好ましくは得るために、上皮幹細胞を培養するための方法であって、
増殖培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の上皮幹細胞を培養する工程であって、好ましくは、増殖培地が、基礎培地を含み、かつ1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、1つまたは複数のWntアゴニスト、TGF-β阻害剤およびcAMP経路活性化剤を含む、工程;ならびに
1つまたは複数の増殖した上皮幹細胞を本発明の分化培地中で培養する工程
を含む、方法を提供する。

0010

本発明はさらに、分化した肝臓オルガノイドを好ましくは得るために、肝上皮幹細胞を培養する方法であって、
増殖培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の肝上皮幹細胞を培養する工程であって、好ましくは、増殖培地が、基礎培地を含み、さらに、EGF、FGF10、HGF、Wntアゴニスト(例えばRスポンジン)、ニコチンアミド、TGF-β阻害剤、フォルスコリンおよびガストリンを含む、工程;ならびにその後、
本発明の分化培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の増殖した肝上皮幹細胞培養する工程
を含む、方法を提供する。

0011

本発明はさらに、本発明の方法によって得ることのできるまたは得られるオルガノイドを提供する。

0012

本発明はさらに、細胞の少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも99%が肝細胞マーカー発現するオルガノイドを提供する。

0013

本発明はさらに、医療において使用するための、本発明のオルガノイドまたは当該オルガノイドに由来する細胞を提供する。

0014

本発明はさらに、創薬スクリーニング;毒性アッセイ;診断;組織発生学細胞系列および分化経路の研究;組換え遺伝子発現を含む遺伝子発現試験;組織損傷および修復関与する機構の検討;炎症性および感染性疾患の研究;発症機構の検討;または細胞形質転換およびがん病因の機構の検討における、本発明のオルガノイドまたは当該オルガノイドに由来する細胞の使用を提供する。

0015

本発明はさらに、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、Notch阻害剤、糖質コルチコイド、TGF-β阻害剤、Wnt経路阻害剤、GSK3β阻害剤およびAP-1刺激剤を含む医薬製剤を提供する。

0016

治療用または予防用の医薬薬物または化粧品をスクリーニングする方法であって、
本発明の分化したオルガノイドを候補分子(または候補分子のライブラリ)と接触させる工程;
任意の作用(例えば増殖の減少もしくは喪失形態学的変化および/もしくは細胞死などの細胞の任意の変化)またはオルガノイドの変化(例えばオルガノイドの大きさもしくは運動性)に関して前記オルガノイドを評価する工程;
前記作用を生じさせる候補分子を潜在的な薬物または化粧品として同定する工程;ならびに任意で
前記候補分子を医薬または化粧品として調製する工程
を含む、方法。

実施例

0017

詳細な説明
様々な組織から前駆細胞を分化させる方法は、これまでに国際公開公報第2010/090513号、国際公開公報第2012/014076号、国際公開公報第2012/168930号および国際公開公報第2015/173425号に記載されている。本発明者らは、驚くべきことに、Wnt阻害剤を培養培地に添加すると、例えば肝細胞を用いて例示されるように、前駆細胞の分化が改善されることを見出した(実施例1参照)。例えば、培養培地へのWnt阻害剤の添加は、オルガノイド中の細胞集団のより高い割合の分化をもたらすことができる。さらに、Wnt阻害剤の添加は、インビボでの分化した細胞(例えば肝細胞)により密接に類似した分化オルガノイド中の細胞をもたらすことができる。例えば、肝細胞に関連したより高いレベルのCyp3A4発現。パネート細胞の分化はWntを必要とし、成熟肝細胞活性Wntシグナル伝達を有するので、これは驚くべきことである(例えばFarin et al.(2012)Gastroenterology 143:1518-1529;Yang et al.(2014)Hepatology 60(3):964-976およびGerbal-Chaloin et al.(2014)Molecular Pharmacology 86:624-634参照)。したがって、この経路をブロックすることによって分化を改善することが可能であるというのは驚くべきことである。本発明者らは、Wnt分泌をブロックすることまたはβ-カテニン標的遺伝子発現を阻害することのような、この経路を任意のレベルでブロックすることが有用であることを示した(「Wnt阻害剤」の項におけるさらなる解説参照)。したがって、本発明は、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのWnt阻害剤の使用を提供する。

0018

本発明者らはまた、意外にも、分化培地へのGSK-3阻害剤の添加が有利な作用を及ぼすことを見出した。例えば、これは前駆細胞の分化を促進する。例えば、培養培地へのGSK-3阻害剤の添加は、オルガノイド中の細胞集団のより高い割合の分化をもたらすことができる。さらに、GSK-3阻害剤の添加は、インビボでの分化した細胞(例えば肝細胞)により密接に類似した分化オルガノイド中の細胞をもたらすことができる。したがって、本発明は、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのGSK-3阻害剤の使用を提供する。分化培地へのGSK-3阻害剤の添加に関連する有利な作用は、β-カテニン分解複合体の下流で働くWnt阻害剤を含めることによって増強される。GSK-3阻害剤はWntアゴニストであることが公知であり、これまで前駆細胞を分化させるのではなく増殖させるために培地中で使用されてきたので(例えば国際公開公報第2010/090513号参照)、これは驚くべきことである。さらに、Wnt阻害剤とWntアゴニストとを組み合わせた使用は明らかではなかった。したがって、本発明は、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるための、β-カテニン分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤と組み合わせたGSK-3阻害剤の使用を提供する。

0019

AP-1は、JunおよびFosファミリーの遺伝子の産物からなる二量体転写因子である。本発明者らは、驚くべきことに、分化培地へのAP-1刺激剤(ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなど)の添加が有利な作用を及ぼすことを見出した。例えば、これは前駆細胞の分化を促進する。例えば、培養培地へのAP-1刺激剤(ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなど)の添加は、オルガノイド中の細胞集団のより高い割合の分化をもたらすことができる。さらに、AP-1刺激剤の添加は、インビボでの分化した細胞(例えば肝細胞)により密接に類似した分化オルガノイド中の細胞をもたらすことができる。AP-1は、これまで、肝再生中肝細胞増殖などの増殖と関連すると考えられていたので(例えばStepniak et al.2006参照)、これは驚くべきことである。実際に、AP-1は、肝発がんの間、がん遺伝子として働くことが以前に報告されている(例えばTrierweiler et al.(2015)Cell Death and Differentiation 1-7参照)。したがって、AP-1刺激剤が分化を促進できるという本発明者らの観察は極めて予想外であった。したがって、本発明は、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのAP-1刺激剤の使用を提供する。本発明はまた、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの使用を提供する。

0020

本発明者らはまた、意外にも、分化培地で前駆細胞を培養する前に前駆細胞の培養物を分割することが有利な作用を及ぼすことを見出した。例えば、これは前駆細胞の分化を促進する。例えば、分化培地で前駆細胞を培養する前に前駆細胞を分割することは、オルガノイド中の細胞集団のより高い割合の分化をもたらすことができる。さらに、分化培地で前駆細胞を培養する前に前駆細胞の培養物を分割すると、インビボで分化した細胞(例えば肝細胞)により密接に類似した分化オルガノイド中の細胞をもたらすことができる。

0021

本発明者らは、分化方法に対するこれらの改善が相加的であり、したがって、培地がWnt阻害剤、GSK-3阻害剤およびAP-1刺激剤の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む場合、ならびに/または分化前に前駆細胞の培養物を分割した場合に、分化方法が最も改善されることを示した。

0022

したがって、前駆細胞を分化させるための方法が提供され、前記方法は、1つまたは複数の前駆細胞を分化培地中で培養する工程を含み、分化培地は、基礎培地を含み、さらに、(a)1つもしくは複数のWnt阻害剤、(b)1つもしくは複数のGSK-3阻害剤(および好ましくはβ-カテニン分解複合体の下流で作用する1つもしくは複数のWnt阻害剤)ならびに/または(c)1つもしくは複数のAP-1刺激剤(例えば1つもしくは複数のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)を含む。前記分化培地は、本発明の分化培地である。例えば、一態様では、分化培地は基礎培地を含み、さらに、1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばIWP-2などのWnt分泌阻害剤および/またはiCRT3などのTCF/LEFの阻害剤)を含む。別の態様では、分化培地は基礎培地を含み、さらに、1つまたは複数のGSK-3阻害剤(例えばCHIR99021)および好ましくはβ-カテニン分解複合体の下流で作用する1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばiCRT3)を含む。別の態様では、分化培地は基礎培地を含み、さらに、1つまたは複数のAP-1刺激剤(例えばカルバコール)を含む。これらの態様は、技術的に両立可能であり、任意の方法で組み合わせることができる。

0023

好ましい態様では、本発明の分化培地は、上記の1つまたは複数の成分に加えて、以下のリストの成分の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む:1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、Notch阻害剤(例えばDAPT)、糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)ならびにTGF-β阻害剤(例えばA83-01などのALK5、ALK4またはALK7阻害剤)。分化培地は、任意で、BMP経路活性化剤(例えばBMP7)および/またはガストリンをさらに含む。分化培地には、任意で、N-アセチルシステイン、B27および/またはN2が添加される。いくつかの態様では、本発明の分化培地は緩衝液(例えばHEPES)を含む。好ましい態様では、基礎培地はAdvancedDMEM/F12(Gibco)である。

0024

本発明の分化培地は、例えば実施例1に示すように、肝前駆細胞(例えば肝上皮幹細胞)の分化のために特に有利である。この分化培地はまた、膵臓などの肝臓に密接に関連する組織、および他の上皮組織にも有利であると予想される。分化培地の成分の各々を以下で詳細に説明する。

0025

いくつかの態様では、本発明の方法は、前駆細胞(例えば上皮幹細胞)を最初に増殖培地で培養し、その後本発明の分化培地で培養する増殖工程をさらに含む。したがって、前駆細胞を培養するための方法であって、(a)1つまたは複数の前駆細胞を増殖培地中で培養して、前駆細胞の増殖した集団(好ましくは増殖オルガノイド)を得る工程、および(b)前駆細胞の増殖した集団または増殖オルガノイドを本発明の分化培地で培養して、前駆細胞の分化した集団(好ましくは分化オルガノイド)を得る工程、を含む、方法が提供される。

0026

また、前駆細胞(例えば上皮幹細胞)を培養するための方法であって、分化培地の存在下で培養する前に前駆細胞の培養物を分割する工程を含む、方法も提供される。いくつかの態様では、この方法は、細胞を分割する前に増殖培地中で前駆細胞を培養し、次いで本発明の分化培地で培養する増殖工程をさらに含む。例えば、前駆細胞を培養するための方法であって、(a)1つまたは複数の前駆細胞を増殖培地中で培養して、前駆細胞の増殖した集団(好ましくは増殖オルガノイド)を得る工程、(b)前駆細胞の増殖した集団または増殖オルガノイドを分割して、分割された前駆細胞を得る工程、および(c)分割された前駆細胞の1つまたは複数を分化培地で培養して、前駆細胞の分化した集団(好ましくは分化オルガノイド)を得る工程、を含む、方法が提供される。使用される分化培地は、好ましくは本明細書に記載の本発明の分化培地である。分化の前に培養物を分割することの有利な作用は、任意の事前の培養培地、例えば増殖培地のより完全な除去をもたらす;および/または上皮オルガノイドを培養する場合、分割は、分化の前にオルガノイドの大きさを縮小させ、分化培地中の分化因子への細胞のより良好なアクセスをもたらし得る、という事実に関連すると考えられる。したがって、いくつかの態様では、本発明の分化方法は、任意の事前の培養培地の除去、例えば分化前の増殖培地の除去の工程をさらに含む。これは、培養物を分割することによって、および/または当技術分野において公知の任意の他の方法によって達成され得る。いくつかの態様では、前駆細胞を培養するための方法であって、(a)1つまたは複数の前駆細胞を第一の培養培地、例えば増殖培地中で培養する工程、(b)例えば細胞を分割することによって、第一の培養培地を除去する工程、および(c)1つまたは複数の前駆細胞を分化培地で培養して、前駆細胞の分化した集団(好ましくは分化オルガノイド)を得る工程、を含む、方法が提供される。

0027

分化の前に、上皮細胞に適した任意の増殖培地を使用することができる。好ましい態様では、使用される増殖培地は、国際公開公報第2010/090513号、国際公開公報第2012/014076号、国際公開公報第2012/168930号または国際公開公報第2015/173425号に記載されている任意の増殖培地である。

0028

したがって、1つまたは複数のWnt阻害剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えば1、2、3、4または4より多く)、Notch阻害剤、糖質コルチコイドおよびTGF-β阻害剤を含む分化培地も提供される。

0029

したがって、1つまたは複数のGSK-3阻害剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えば1、2、3、4または4より多く)、Notch阻害剤、糖質コルチコイドおよびTGF-β阻害剤を含む分化培地も提供される。いくつかの態様では、培養培地は、β-カテニン分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤をさらに含む。

0030

したがって、1つまたは複数のAP-1刺激剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えば1、2、3、4または4より多く)、Notch阻害剤、糖質コルチコイドおよびTGF-β阻害剤を含む分化培地も提供される。いくつかの態様では、1つまたは複数のAP-1刺激剤は、1つまたは複数のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。

0031

いくつかの態様では、分化培地は、1つまたは複数のGSK-3阻害剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、β-カテニン分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤を含む1つまたは複数のWnt阻害剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、1つまたは複数のAP-1刺激剤(例えば1、2、3、4または4より多く)、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えば1、2、3、4または4より多く)、Notch阻害剤、糖質コルチコイドおよびTGF-β阻害剤を含む。

0032

いくつかの態様では、1つまたは複数のGSK-3阻害剤はCHIR99021を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のWnt阻害剤は、Wnt分泌の阻害剤(例えばIWP-2)およびβ-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤(例えばiCRT3などのβ-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤)を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のAP-1刺激剤は、カルバコールなどの1つまたは複数のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、EGF、HGFおよび/またはFGF(例えばFGF19)を含む。いくつかの態様では、Notch阻害剤はDAPTである。いくつかの態様では、糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。いくつかの態様では、TGF-β阻害剤はA83-01である。

0033

いくつかの態様では、分化培地は、BMP7などのBMP経路活性化剤をさらに含む。

0034

いくつかの態様では、分化培地はガストリンをさらに含む。

0035

いくつかの態様では、分化培地はN-アセチルシステインをさらに含む。いくつかの態様では、分化培地は、B27、好ましくはビタミンAを含まないB27をさらに含む。いくつかの態様では、分化培地はN2をさらに含む。いくつかの態様では、分化培地は、AdvancedDMEM/F12(Gibco)である、動物細胞またはヒト細胞用の基礎培地をさらに含む。

0036

本発明は、したがって、前駆細胞を分化させるための、Wnt阻害剤、GSK-3阻害剤および/またはAP-1刺激剤の使用を提供する。いくつかの態様では、前駆細胞(例えば上皮幹細胞)は、肝臓、膵臓、腸、胃、前立腺、乳房卵巣唾液腺毛包、皮膚、食道膀胱または甲状腺に由来する。いくつかの態様では、前駆細胞は、肝臓または膵臓由来である。いくつかの態様では、上皮細胞は肝臓由来である。

0037

本発明はまた、少なくとも1つ(例えば1、2、3、4または4より多く)のWnt阻害剤、少なくとも1つ(例えば1、2、3、4または4より多く)のGSK-3阻害剤、および/または少なくとも1つ(例えば1、2、3、4または4より多く)のAP-1刺激剤が添加された、国際公開公報第2010/090513号、国際公開公報第2012/014076号、国際公開公報第2012/168930号または国際公開公報第2015/173425号に記載されている分化培地を使用する、上皮幹細胞を分化させるための方法も提供する。

0038

本発明の様々な態様およびそれらの構成要素を以下で詳細に論じる。当業者が理解するように、これらの態様のいずれもが技術的に両立可能であり、それらの構成要素を組み合わせることが可能である。

0039

Wnt阻害剤
Wntシグナル伝達経路は、活性化された場合、典型的にはβ-カテニン分解を防止し、β-カテニン媒介性シグナル伝達を増強する。この経路は、Frizzled受容体およびLRP5/6を含む細胞表面Wnt受容体複合体が、通常、Wntファミリーのメンバーなどの細胞外シグナル伝達分子によって活性化された場合に生じる一連事象によって定義される。これは、細胞内β-カテニンを分解するタンパク質の分解複合体を阻害するDishevelledファミリータンパク質の活性化をもたらす。分解複合体は、カゼインキナーゼCK1α、δおよびεならびにGSK-3が動員される、APCおよびアキシンを含む構造成分から形成される。分解複合体は、β-カテニンをリン酸化し、それをユビキチンリガーゼ、β-TrCPに曝露すると考えられる。次いで、β-カテニンのユビキチン化は、プロテアソームにおけるその分解をもたらす。

0040

β-カテニンの主なエフェクター機能は核内にあり、そこで、TCF/LEFファミリーの転写因子(例えばTcf-1、Tcf-3、Tcf-4およびLef1)を含む様々な転写因子との相互作用を介して転写を調節する。

0041

Wnt経路は高度に調節されている。例えば、Rスポンジンがその受容体(Lgr4、Lgr5および/またはLgr6)に結合すると、Wntシグナル伝達が増強される。しかしながら、2つの膜貫通E3ユビキチンリガーゼ、Rnf43およびZnrf3は、細胞表面からRスポンジン受容体(例えばLgr4、Lgr5および/またはLgr6)を除去することが示されている(例えばde Lau et al.2016参照)。Rスポンジンは、脊椎動物特異的Wnt増強剤である。さらに、Dishevelledファミリータンパク質のFrizzled受容体への結合は、Dapperファミリータンパク質(例えばDapper1およびDapper3)によって阻害され得る。さらに、分解複合体の活性は、APC、アキシンおよびGSK-3のリン酸化状態によって部分的に調節されると考えられる。例えば、ホスファターゼ(例えばPP1、PP2CまたはPP2Aなどのセリン/トレオニンホスファターゼ)によるAPCまたはアキシンの脱リン酸化は、β-カテニン分解を阻害し得る。加えて、キナーゼ(例えばp38MAPK、PKA、PKB、PKC、p90RSKまたはp70S6K)によるGSK-3のリン酸化は、GSK-3活性を阻害し、したがってβ-カテニン分解を阻害し得る。

0042

分解複合体の安定性は、2つのPARP、タンキラーゼ1および2によって部分的に調節されると考えられる。これらのタンキラーゼによるアキシンのポリADP-リボシル)化および自己ポリ(ADP-リボシル)化は、分解複合体の脱オリゴマー化を促進し得る。

0043

核内で、Dishevelledファミリータンパク質は、Wnt標的遺伝子の転写を支援するヒストン脱アセチル化酵素SIRT1と複合体を形成することができる。

0044

Wntの分泌の鍵であると考えられるタンパク質は、マルチパス膜タンパク質ポーキュパイン(Porc)であり、その喪失は小胞体におけるWntの蓄積をもたらす。

0045

Wntシグナル伝達経路は多くのレベルで阻害することができ、Wnt阻害剤は、Voronkov and Krauss(2013)Current Pharmaceutical Design 19:634-664において詳細に総説されている。

0046

Wnt阻害剤は、細胞または細胞集団におけるTCF/LEF媒介転写を阻害する作用物質と定義される。したがって、本発明における使用に適したWnt阻害剤には以下のものが含まれる:
(1)Wnt分泌の阻害剤(例えばLGK974、IWP-1またはIWP-2などのPorcの阻害剤)、
(2)WntまたはRスポンジンとそれらのそれぞれの受容体との間の相互作用の競合的および非競合的阻害剤(例えばOMP-18R5、OMP54F28)、
(3)LRP(例えばニクロサミド)ならびにZnrf3および/もしくはRnf43などのRスポンジン受容体の分解を促進する因子またはZnrf3および/もしくはRnf43を活性化する因子などの、Wnt受容体複合体の成分の分解を促進する因子、
(4)Frizzled受容体および/もしくは分解複合体の成分へのDishevelledファミリータンパク質の結合を減少させる阻害剤(例えばDapperファミリータンパク質、FJ9、スリンダク、3289-8625、J01-017a、NSC668036)またはDishevelledファミリータンパク質の発現を下方調節する阻害剤(例えばニクロサミド)などの、Dishevelledファミリータンパク質の阻害剤、
(5)(a)アキシンおよび/またはAPCなどの分解複合体の成分を脱リン酸化するホスファターゼ(例えばPP1、PP2Aおよび/またはPP2C)の阻害剤(例えばオカダ酸またはトートマイシン)ならびに(b)GSK-3をリン酸化するキナーゼ(例えばp38MAPK、PKA、PKB、PKC、p90RSKまたはp70S6K)の阻害剤(例えばSB239063、SB203580またはRp-8-Br-cAMP)を含む、分解複合体活性を促進する因子、
(6)タンキラーゼ1および/または2の阻害剤(例えばXAV939、IWR1、JW74、JW55、2-[4-(4-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル]-6-メチルピリミジン-4(3H)-オンまたはPJ34)などの、分解複合体の脱オリゴマー化の阻害剤、ならびに
(7)β-カテニン:TCF-4複合体を分解する阻害剤(例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14またはFH535)などのβ-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤およびヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の阻害剤(例えばカンビノール)を含む、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤。

0047

本発明者らは、驚くべきことに、分化培地中にWnt阻害剤を含めることにより、上皮幹細胞の分化を増強し得ることを見出した。例えば、本発明者らは、分化培地中にWnt分泌の阻害剤(IWP-2)を含めると、肝臓オルガノイドにおける肝細胞マーカー(例えばアルブミンおよびcyp3A4)の発現が上昇することを見出した(図2D参照)。対照的に、分化培地にWntを添加すると、アルブミン発現の低下を生じさせることが認められた(図2C参照)。本発明者らは、Wntアゴニストが存在しないことはこれらの有利な作用を達成するのに十分ではなく、Wnt経路の活性阻害が必要であることを認めたので、この所見は特に驚くべきものであった。いくつかの細胞型(例えばパネート細胞)は、生存のためにインビボで自己分泌Wnt経路シグナル伝達を必要とするので、これは極めて予想外であった。

0048

したがって、本発明の分化培地は、好ましくはWnt阻害剤を含む。上記の(1)〜(7)に記載されているような、任意の適切なWnt阻害剤を使用し得る。例えば、1つの好ましい態様では、Wnt阻害剤は、例えばIWP-2、IWP-1およびLGK974から選択されるPorc阻害剤などの、Wnt分泌の阻害剤である。別の好ましい態様では、Wnt阻害剤は、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤、例えばβ-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤またはヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の阻害剤(例えばカンビノール)である。いくつかの態様では、β-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤は、β-カテニン:TCF-4複合体を分解する阻害剤、例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される阻害剤である。

0049

いくつかの態様では、Wnt阻害剤は、IWP-2、OMP-18R5、OMP54F28、LGK974、3289-8625、FJ9、NSC 668036、IWR1およびXAV939から選択される。

0050

いくつかの態様では、Wnt阻害剤は、iCRT3、PFK115-584、CGP049090、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される。

0051

いくつかの態様では、Wnt阻害剤は、以下の表1に列挙される化合物の1つである。

0052

(表1)Wnt阻害剤

0053

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、表1に列挙されるWnt阻害剤の任意の1つまたは複数を含む。

0054

Wnt阻害剤は、好ましくは、細胞中のWnt活性を、同じ細胞型で評価した場合、当該分子不在下での前記Wnt活性のレベルと比較して、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは100%阻害するのに有効な量で培地に添加される。当業者に公知のように、Wntの活性は、例えばpTOPFLASHおよびpFOPFLASH Tcfルシフェラーゼレポーター構築物(Korinek et al.,1997.Science 275:1784-1787)により、Wntの転写活性を測定することによって決定できる。したがって、新規Wnt阻害剤は、当技術分野で公知のアッセイを用いて当業者によって容易に同定され得る。

0055

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.01〜150μM、0.1〜150μM、0.5〜100μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜100μMまたは10〜80μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度でWnt阻害剤を含む。

0056

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.01〜150μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度のIWP-2を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約3μMの濃度のIWP-2を含む。

0057

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.05〜150μM、0.1〜150μM、0.5〜100μM、1〜100μMまたは10〜80μMの濃度のiCRT3を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約50μMの濃度のiCRT3を含む。いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.01〜150μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜20μM、1〜5μMまたは約3μMの濃度のIWP-2をさらに含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約50μMの濃度のiCRT3および約3μMの濃度のIWP-2を含む。

0058

いくつかの態様では、分化培地は、ありとあらゆるWntファミリータンパク質およびRスポンジンを含むWnt受容体複合体に結合してこれを活性化するWntアゴニストを含まない。

0059

GSK-3阻害剤
上記で論じたように、本発明者らは、驚くべきことに、分化培地中にWnt阻害剤を含めることにより、上皮幹細胞の分化を増強し得ることを見出した。予想外に、本発明者らはまた、GSK-3阻害剤(実施例1のCHIR99021)を含めることも上皮幹細胞の分化を改善することを見出した。上記で説明したように、GSK-3はβ-カテニン分解複合体の成分である。GSK-3活性を阻害するとβ-カテニンの分解の減少をもたらすので、GSK-3阻害剤はWntアゴニストである。GSK-3阻害剤を分化培地に含めることによって誘発される増強された分化は、分解複合体の下流でTCF/LEF媒介転写を阻害するWnt阻害剤(iCRT3)の添加によって大きく増加した(図2E参照)。したがって、本発明者らは、Wntアゴニスト(CHIR99021)およびWnt阻害剤(iCRT3)の両方が分化培地中に含まれる場合、肝細胞マーカー(アルブミンおよびCyp3A4)の発現に顕著な改善が生じることを見出した。いかなる理論にも拘束されることを望むものではいが、本発明者らは、GSK-3阻害剤が上皮幹細胞における分化の刺激と阻害の両方を行う(刺激が阻害よりも強い)と考える。GSK-3阻害剤による分化の阻害は、β-カテニン分解の促進によって起こると考えられる。対照的に、GSK-3阻害剤による分化の促進は、別個エフェクター機構によって起こると考えられる。したがって、本発明者らは、GSK-3阻害剤を含有する分化培地中に、分解複合体の下流でTCF/LEF媒介転写を阻害するWnt阻害剤を含めることが、GSK-3阻害剤の分化阻害作用対抗すると考える。分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤には、上記のクラス(7)のWnt阻害剤、すなわち、β-カテニン:TCF-4複合体を分解する阻害剤などのβ-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤(例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14またはFH535)およびヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の阻害剤(例えばカンビノール)を含む、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤が含まれる。

0060

したがって、GSK-3阻害剤の分化促進作用は影響を受けないままであり、Wnt阻害剤の分化促進作用によって増強される。

0061

したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地はGSK-3阻害剤を含む。任意の適切なGSK-3阻害剤を使用し得る。GSK-3阻害剤は、GSK-3キナーゼ活性を低下させる作用物質であると定義される。

0062

GSK-3の2つの異なるアイソフォームがヒトにおいて認められる(GSK-3αおよびGSK-3β)。これらのアイソフォームの一方または両方を阻害する阻害剤が公知である。したがって、いくつかの態様では、GSK-3阻害剤は、GSK-3αおよびGSK-3βを阻害する。いくつかの態様では、GSK-3阻害剤は、GSK-3αを阻害するが、GSK-3βは阻害しない。いくつかの態様では、GSK-3阻害剤は、GSK-3βを阻害するが、GSK-3αは阻害しない。

0063

いくつかの態様では、分化培地は、複数のGSK-3阻害剤(例えば2、3、4、5またはそれより多くのGSK-3阻害剤)を含む。

0064

いくつかの態様では、GSK-3阻害剤はCHIR99021である。

0065

GSK-3阻害剤は、好ましくは、細胞中のGSK-3活性を、同じ細胞型で評価した場合、当該分子の不在下での前記GSK-3活性のレベルと比較して、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは100%阻害するのに有効な量で培地に添加される。当業者に公知のように、GSK-3活性は、特定のGSK-3基質、例えばβ-カテニンのリン酸化をモニタすることによって測定できる(例えばCole et al.(2008)MethodsMol Biol.468:45-65参照)。したがって、新規GSK-3阻害剤は、当技術分野で公知のアッセイを用いて当業者によって容易に同定され得る。

0066

いくつかの態様では、GSK-3阻害剤は、CHIR99201、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアデシンインジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルテルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジンマンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsの1つまたは複数から選択される。

0067

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.001〜500μM、0.01〜150μM、0.1〜100μM、1〜100μM、0.5〜50μM、1〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度のGSK-3阻害剤を含む。

0068

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.01〜150μM、0.1〜100μM、1〜100μM、0.5〜50μM、1〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度のCHIR99021を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約3μMの濃度のCHIR99021を含む。

0069

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、GSK-3阻害剤と、先に記載したβ-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤などの分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤とを含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、GSK-3阻害剤およびβ-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤を含む。β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤には、β-カテニン:TCF-4複合体を分解する阻害剤などのβ-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤(例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654またはBC21)およびヒストン脱アセチル化酵素SIRT1の阻害剤(例えばカンビノール)が含まれる。

0070

したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、GSK-3阻害剤(例えば0.001〜500μM、0.01〜150μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度)およびβ-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤(例えば0.001〜500μM、0.01〜150μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜500μM、1〜150μM、1〜100μM、1〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度)を含む。いくつかの態様では、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤は、β-カテニン:TCF/Lef転写複合体の阻害剤である。

0071

したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、CHIR99021(例えば0.01〜150μM、0.1〜100μM、0.5〜50μM、1〜20μMまたは1〜5μMの濃度)およびiCRT3(例えば0.05〜150μM、0.1〜150μM、1〜150μM、0.5〜100μM、1〜100μMまたは10〜80μMの濃度)を含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約3μMの濃度のCHIR99021および約50μMの濃度のiCRT3を含む。

0072

CHIR99021アゴニスト
上記で説明したように、本発明者らは、意外にも、WntアゴニストCHIR99021を分化培地に含めると分化を促進することを見出した。したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、CHIR99021またはCHIR99021アゴニストを含む。CHIR99021アゴニストは、本明細書では、CHIR99021と1つまたは複数の生物学的活性共有する作用物質であると定義される。

0073

したがって、前駆細胞を分化させるための方法が提供され、前記方法は、1つまたは複数の前駆細胞を分化培地中で培養する工程を含み、分化培地は、基礎培地を含み、さらに、CHIR99021またはCHIR99021アゴニストおよび好ましくはβ-カテニン分解複合体の下流で作用する1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばiCRT3)を含む。好ましい態様では、この分化培地は、以下のリストの構成要素:1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、Notch阻害剤(例えばDAPT)、糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)、ならびにTGF-β阻害剤(例えばA83-01などのALK5、ALK4またはALK7阻害剤)、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。分化培地は、任意で、以下のリストの構成要素:BMP経路活性化剤(例えばBMP7)、ガストリン、N-アセチルシステイン、B27、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。いくつかの態様では、分化培地は緩衝液(例えばHEPES)を含む。好ましい態様では、ヒトまたは動物細胞用の基礎培地はAdvancedDMEM/F12(Gibco)である。

0074

本発明はまた、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのCHIR99021またはCHIR99021アゴニストの使用も提供する。

0075

AP-1刺激剤
活性化タンパク質1(AP-1)複合体は、Fosタンパク質ファミリー、Jun、ATFおよびJDPファミリーに属するタンパク質からなるヘテロ二量体である転写因子である。この転写因子は、サイトカイン増殖因子ストレス細菌感染およびウイルス感染を含む様々な刺激に応答して遺伝子発現を調節する。

0076

本発明者らは、予想外に、ヒト肝臓オルガノイドが、初代肝細胞と比較してAP-1複合体の成分の発現低下を有することを認めた。この所見に基づき、本発明者らは、AP-1複合体の形成を刺激することが、肝臓オルガノイド中の上皮幹細胞の肝細胞運命への分化を促進すると仮定した。本発明者らは、分化培地中にAP-1刺激剤、カルバコール(2-[(アミノカルボニル)オキシ]-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド)を含めることが肝細胞マーカー(Cyp3A4およびアルブミンを含む)の発現を増加させることを見出した。

0077

本発明者らが試験したAP-1刺激剤は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストである。ムスカリン性アセチルコリン受容体の5つのサブタイプが存在する(M1-M5)。これらは、様々な細胞型(例えばニューロン)の細胞膜に認められるG-タンパク質共役受容体である。

0078

したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地はAP-1刺激剤を含む。いくつかの態様では、AP-1刺激剤はムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストである。任意の適切なムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを使用し得る。いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(例えばアセチルコリンベタネコール、カルバコール、オキソトレモリンまたはピロカルピン)である。

0079

いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アセチルコリン、ベタネコール、カルバコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンの1つまたは複数から選択される。

0080

いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストはカルバコールである。

0081

いくつかの態様では、AP-1刺激剤(例えばムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)は、0.001〜500μM、0.01〜500μM、0.01〜250μM、0.01〜150μM、0.1〜500μM、0.1〜100μM、0.5〜500μM、0.5〜100μM、0.5〜50μM、1〜500μM、1〜300μM、1〜200μM、1〜20μM、1〜5μM、10〜300μM、50〜300μM、50〜200μMまたは50〜150μMの濃度で本発明の分化培地中に存在する。

0082

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.001〜500μM、0.001〜300μM、0.01〜500μM、0.01〜300μM、0.1〜500μM、0.1〜300μM、1〜500μM、10〜500μM、100〜500μM、1〜300μM、10〜300μM、50〜300μM、50〜200μMまたは50〜150μMの濃度のカルバコールを含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は100μMの濃度のカルバコールを含む。

0083

ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト
上記で説明したように、本発明者らは、予想外に、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、すなわちカルバコールを分化培地に含めると分化を促進することを見出した。したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを含む。

0084

したがって、前駆細胞を分化させるための方法が提供され、前記方法は、1つまたは複数の前駆細胞を分化培地中で培養する工程を含み、分化培地は、基礎培地を含み、さらに、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストおよび好ましくはβ-カテニン分解複合体の下流で作用する1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばiCRT3)を含む。好ましい態様では、この分化培地は、以下のリストの構成要素:1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、Notch阻害剤(例えばDAPT)、糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)、ならびにTGF-β阻害剤(例えばA83-01などのALK5、ALK4またはALK7阻害剤)、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。分化培地は、任意で、以下のリストの構成要素:BMP経路活性化剤(例えばBMP7)、ガストリン、N-アセチルシステイン、B27、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。いくつかの態様では、本発明の分化培地は緩衝液(例えばHEPES)を含む。好ましい態様では、基礎培地はAdvancedDMEM/F12(Gibco)である。

0085

任意の適切なムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを使用し得る。いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(例えばアセチルコリン、ベタネコール、カルバコール、オキソトレモリンまたはピロカルピン)である。

0086

いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、アセチルコリン、ベタネコール、カルバコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンの1つまたは複数から選択される。

0087

いくつかの態様では、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストはカルバコールである。

0088

いくつかの態様では、AP-1刺激剤(例えばムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)は、0.001〜500μM、0.01〜500μM、0.01〜250μM、0.01〜150μM、0.1〜500μM、0.1〜100μM、0.5〜500μM、0.5〜100μM、0.5〜50μM、1〜500μM、1〜300μM、1〜200μM、1〜20μM、1〜5μM、10〜300μM、50〜300μM、50〜200μMまたは50〜150μMの濃度で本発明の分化培地中に存在する。

0089

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.001〜500μM、0.001〜300μM、0.01〜500μM、0.01〜300μM、0.1〜500μM、0.1〜300μM、1〜500μM、10〜500μM、100〜500μM、1〜300μM、10〜300μM、50〜300μM、50〜200μMまたは50〜150μMの濃度のカルバコールを含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は100μMの濃度のカルバコールを含む。

0090

本発明はまた、上皮細胞、例えば肝前駆細胞または幹細胞を分化させるためのムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの使用も提供する。

0091

カルバコールアゴニスト
上記で説明したように、本発明者らは、予想外に、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、すなわちカルバコールを分化培地に含めると分化を促進することを見出した。したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、カルバコールまたはカルバコールアゴニストを含む。カルバコールアゴニストは、本明細書では、カルバコールと1つまたは複数の生物学的活性を共有する作用物質であると定義される。

0092

したがって、上皮細胞を分化させるための方法が提供され、前記方法は、分化培地の存在下で細胞外マトリックスと接触させて1つまたは複数の上皮細胞を培養する工程を含み、分化培地は、動物またはヒト細胞用の基礎培地を含み、さらに、カルバコールまたはカルバコールアゴニストおよび好ましくはβ-カテニン分解複合体の下流で作用する1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばiCRT3)を含む。好ましい態様では、この分化培地は、以下のリストの構成要素:1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、Notch阻害剤(例えばDAPT)、糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)、ならびにTGF-β阻害剤(例えばA83-01などのALK5、ALK4またはALK7阻害剤)、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。分化培地は、任意で、以下のリストの構成要素:BMP経路活性化剤(例えばBMP7)、ガストリン、N-アセチルシステイン、B27、の1つまたは複数、好ましくは全部をさらに含む。いくつかの態様では、分化培地は緩衝液(例えばHEPES)を含む。好ましい態様では、基礎培地はAdvancedDMEM/F12(Gibco)である。

0093

本発明はまた、前駆細胞、例えば肝上皮幹細胞を分化させるためのカルバコールまたはカルバコールアゴニストの使用も提供する。

0094

受容体チロシンキナーゼリガンド
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、ポリペプチド成長因子、サイトカインおよびホルモンに対する高親和性細胞表面受容体である。RTKは、細胞の維持、成長および発達の鍵となる調節因子であり、また多くの種類のがんの発症および進行においても重要な役割を果たす。本発明の分化培地は、好ましくは1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドを含む。本発明に関連して、受容体チロシンキナーゼリガンドは、RTKを活性化する任意のリガンドである。多くの受容体チロシンキナーゼリガンドは分裂促進性成長因子である。したがって、いくつかの態様では、分化培地中の1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、1つまたは複数の分裂促進性成長因子を含む。

0095

約20の異なる公知のクラスのRTKが存在し、これには、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)(ErbBファミリー)、RTKクラスII(インスリン受容体ファミリー)、RTKクラスIII(PDGF受容体ファミリー)、RTKクラスIV(FGF受容体ファミリー)、RTKクラスV(VEGF受容体ファミリー)、RTKクラスVI(HGF受容体ファミリー)、RTKクラスVII(Trk受容体ファミリー)、RTKクラスVIII(Eph受容体ファミリー)、RTKクラスIX(AXL受容体ファミリー)、RTKクラスX(LTK受容体ファミリー)、RTKクラスXI(TIE受容体ファミリー)、RTKクラスXII(ROR受容体ファミリー)、RTKクラスXIII(DDR受容体ファミリー)、RTKクラスXIV(RET受容体ファミリー)、RTKクラスXV(KLG受容体ファミリー)、RTKクラスXVI(RYK受容体ファミリー)、RTKクラスXVII(MuSK受容体ファミリー)が含まれる。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、これら20のクラスのRTKの1つまたは複数、または全部に対するリガンドを含む。好ましい態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)(ErbBファミリー)のリガンド、RTKクラスIV(FGF受容体ファミリー)のリガンド、およびRTKクラスVI(HGF受容体ファミリー)のリガンドの1つまたは複数、または全部を含む。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)(ErbBファミリー)のリガンドを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、RTKクラスIV(FGF受容体ファミリー)のリガンドを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、RTKクラスVI(HGF受容体ファミリー)のリガンドを含む。

0096

したがって、いくつかの態様では、分化培地中の1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)および肝細胞増殖因子(HGF)からなる群より選択される。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、EGFおよびFGFを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、EGFおよびHGFを含む。いくつかの態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、FGFおよびHGFを含む。好ましい態様では、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンドは、EGF、FGFおよびHGFを含む。いくつかの態様では、例えば、FGF、HGFおよびEGFから選択される1つの受容体チロシンキナーゼリガンドだけが分化培地に含まれる。

0097

FGFは、好ましくはFGFR2またはFGFR4に結合することができるFGFであり、好ましくはFGF19である。

0098

3つまたはそれより多く、例えば3、4、5またはそれより多くの受容体チロシンキナーゼリガンドを本発明の分化培地において使用し得る。

0099

EGF
EGFは、様々な培養された外胚葉および中胚葉細胞の強力な分裂促進性成長因子であり、インビボおよびインビトロでの特定の細胞の分化ならびに細胞培養下のいくつかの線維芽細胞の分化に重要な影響を及ぼす。EGF前駆体は、タンパク質分解により切断されて、細胞を刺激する53アミノ酸ペプチドホルモンを生成する膜結合分子として存在する。

0100

任意の適切なEGF、例えばPeprotechから入手されるEGFを使用し得る。いくつかの態様では、EGFはヒトEGFである。

0101

EGFは、好ましくは、0.01〜500ng/ml、0.1〜250ng/ml、1〜200ng/ml、1〜100ng/ml、10〜90ng/mlまたは25〜75ng/mlの濃度で本発明の分化培地中に存在する。好ましい濃度は、少なくとも10、20、25、30、40、45または50ng/mlであり、500、450、400、350、300、250、200、150または100ng/ml以下である。例えば、いくつかの態様では、EGFは、約1〜100ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。いくつかの態様では、EGFは、約50ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。

0102

FGF
FGFファミリーメンバーは、広範な分裂促進活性および細胞生存活性を有し、胚発生細胞増殖形態形成組織修復腫瘍増殖および浸潤を含む様々な生物学的過程に関与する。FGFは、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(FGFR)と相互作用することによって細胞を刺激する。密接に関連する4つの受容体(FGFR1〜FGFR4)が同定されている。FGFR1〜FGFR3遺伝子は複数のアイソフォームをコードすることが示されており、これらのアイソフォームは、リガンド特異性を決定する上で重要であり得る。いくつかの態様では、FGFは、FGF1〜10のいずれか1つである。

0103

大部分のFGFは複数の受容体に結合する(Ornitz J Biol Chem.1998 Feb 27;273(9):5349-57)。いくつかの態様では、FGFは、FGFR2および/またはFGFR4に結合することができるFGFである。いくつかの態様では、FGFは、FGF19などの、FGFR4に結合することができるFGFである。例えば、好ましい態様では、FGF19は、受容体チロシンキナーゼリガンドとして分化培地中に含まれる。

0104

いくつかの態様では、1つだけのFGFが使用される。他の態様では、2つまたはそれより多く、例えば2、3またはそれより多くのFGFが使用される。いくつかの態様では、FGFは、FGFR2またはFGFR4経路を活性化する化合物(「FGF経路活性化剤」)で置換される。いくつかの態様では、FGFは、FGFRを活性化する選択的な化合物で置換される。したがって、いくつかの態様では、FGFは、FGFRアゴニストで置換される。

0105

FGFは、好ましくは0.1〜500ng/ml、0.1〜250ng/ml、1〜200ng/ml、10〜200ng/mlまたは20〜150ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。例えば、いくつかの態様では、FGFは、約100ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。

0106

分化培地の調製において、FGF19は、好ましくは0.1〜500ng/ml、0.1〜250ng/ml、1〜200ng/ml、10〜200ng/mlまたは20〜150ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。FGF19の好ましい濃度は、約20、50、100、250、500ng/mlであり、500ng/ml以下である。例えば、いくつかの態様では、FGF19は、約100ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。

0107

HGF
肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)は、がん原性c-Met受容体に結合した後、チロシンキナーゼシグナル伝達カスケードを活性化することによって細胞増殖、細胞運動および形態形成を調節する形態形成因子である。任意の適切なHGF、例えばPeprotechから入手されるHGFを使用し得る。いくつかの態様では、HGFは、HGF受容体を活性化する化合物で置換される。したがって、いくつかの態様では、HGFは、HGR受容体アゴニストで置換される。

0108

HGFは、好ましくは0.01〜500ng/ml、0.1〜250ng/ml、1〜200ng/ml、1〜100ng/ml、10〜90ng/mlまたは25〜75ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。HGFの好ましい濃度は、約1、10、20、25、50ng/mlであり、50ng/ml以下である。例えば、いくつかの態様では、HGFは、約25ng/mlの濃度で基礎培地に添加される。

0109

Notch阻害剤
Notchは、複数のタンパク質分解的切断を通して活性化され得る膜貫通表面受容体であり、そのうちの1つは、γ-セクレターゼと称される、プロテアーゼ活性を有するタンパク質の複合体による切断である。γ-セクレターゼは、膜内でその切断活性を実行するプロテアーゼである。γ-セクレターゼは多成分酵素であり、少なくとも4つの異なるタンパク質、すなわちプレセニリン(プレセニリン1または2)、ニカストリン、PEN-2およびAPH-1から構成される。プレセニリンはγ-セクレターゼの触媒中心である。リガンドに結合すると、Notch受容体は、メタロプロテアーゼであるADAMプロテアーゼの作用を介してエクトドメインシェディングを可能にする立体配座変化を受ける。これに続いて直ちに、Notch細胞内ドメイン(NICD)の放出をもたらすγ-セクレターゼ複合体の作用が生じる。NICDは核に移行し、そこでCSL(C-プロモータ結合因子/組換えシグナル配列結合タンパク質Jκ/Supressor-of-Hairless/Lagl)と相互作用する。NICDの結合は、CSLを転写リプレッサーから活性化因子に変換し、Notch標的遺伝子の発現をもたらす。

0110

Notchシグナル伝達経路は、以前はインビボでの胆管細胞運命関係づけられていた。例えば、Rbpj(活性Notchシグナル伝達を達成するのに必須)の欠失は異常な管形成をもたらす(Zong Y.Development 2009)。さらに、分化培地中にNotch阻害剤を含めると、胆管細胞運命を阻害し、より肝細胞表現型へと向かう細胞の分化を引き起こし得ることが以前に示されている(国際公開公報第2012/168930号参照)。特に、Notch阻害剤(例えばDAPT)を分化培地に含めると、成熟肝細胞マーカーの発現を増強し、肝細胞様細胞の数を増加させることが認められた。

0111

したがって、好ましくは、分化培地はNotch阻害剤を含む。任意の適切なNotch阻害剤を使用し得る。

0112

いくつかの態様では、Notch阻害剤は、Notchのリガンド媒介活性化を低下させることができる阻害剤(例えばNotchのドミナントネガティブリガンドによって、もしくはドミナントネガティブNotchによって、もしくはNotchリガンドとNotchとの間の相互作用を少なくとも部分的にブロックすることができる抗体によって)、またはADAMプロテアーゼの阻害剤である。

0113

いくつかの態様では、Notch阻害剤は、γ-セクレターゼ阻害剤、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)またはLY-411575である。1つまたは複数のNotch阻害剤、例えば2、3、4またはそれより多くのNotch阻害剤を使用し得る。

0114

いくつかの態様では、Notch阻害剤(例えばDAPT)は、0.001〜200μM、0.01〜100μM、0.1〜50μM、0.1〜20μM、1〜100μM、1〜50μM、1〜30μM、5〜100μM、5〜50μMまたは5〜20μMの濃度で使用される。例えば、いくつかの態様では、分化培地は、約10μMの濃度のDAPTを含む。

0115

糖質コルチコイド
糖質コルチコイドは、ステロイドホルモンの1つのクラスである、コルチコステロイドのクラスである。糖質コルチコイドは、糖質コルチコイド受容体に結合するコルチコステロイドである。コルチゾールは最も重要なヒト糖質コルチコイドである。ヒドロコルチゾンはコルチゾールの合成版である。関連する構造を有する多くの他の合成糖質コルチコイド(例えばプレドニゾンプレドニゾロンメチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾントリアムシノロンベクロメタゾンおよび酢酸フルドロコルチゾン)が存在する。糖質コルチコイドは、糖質コルチコイド受容体を活性化するために様々な効力を有する。これは糖質コルチコイド効力と呼ばれ、通常、コルチゾールと比較して測定される。様々な糖質コルチコイドの生化学薬理学および作用機序は、例えばCecil Textbook of Medicine(1988),pages 128-130およびThe Science and Practice of Pharmacy 20th Edition(2000),pages 1363-1370に総説されている。

0116

好ましくは、分化培地は糖質コルチコイドを含む。任意の適切な糖質コルチコイドを使用し得る。いくつかの態様では、糖質コルチコイドは、コルチゾール、コルチゾン酢酸ヒドロコルチゾン塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン吉草酸ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾンフルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン、フルチカゾン、フルチカゾンアセトニドプロピオン酸フルチカゾンフルニソリドブデソニドクロベタゾールプロピオン酸クロベタゾールジフロラゾン二酢酸ジフロラゾン、ハロベタゾール、プロピオン酸ハロベタゾール、アムシノニドデスオキシメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドアセトニド、ハルシノニド、モメタゾンフランカルボン酸モメタゾン、フルアンドレノリド、プレドニカルベート、アクロメタゾン、ジプロピオン酸アクロメタゾン、デソニドフルオシノロンフルオシノロンアセトニドプラモキシンおよび塩酸プラモキシンの1つまたは複数から選択される。

0117

デキサメタゾンは最も強力な糖質コルチコイドの1つであり、本発明の分化培地での使用に好ましい糖質コルチコイドである。いくつかの態様では、糖質コルチコイドは、デキサメタゾンと同じかまたはより高い糖質コルチコイド効力を有する任意の糖質コルチコイドである。

0118

ベタメタゾンおよび酢酸フルドロコルチゾンも、非常に強力な糖質コルチコイドである。したがって、ベタメタゾンは、本発明の分化培地での使用に好ましい糖質コルチコイドである。いくつかの態様では、糖質コルチコイドは、ベタメタゾンと同じかまたはより高い糖質コルチコイド効力を有する任意の糖質コルチコイドである。したがって、酢酸フルドロコルチゾンは、本発明の分化培地での使用に好ましい糖質コルチコイドである。いくつかの態様では、糖質コルチコイドは、酢酸フルドロコルチゾンと同じかまたはより高い糖質コルチコイド効力を有する任意の糖質コルチコイドである。

0119

いくつかの態様では、糖質コルチコイドは、コルチゾールと同じかまたはより高い糖質コルチコイド効力を有する任意の糖質コルチコイドである。

0120

本発明の分化培地で使用するための例示的な糖質コルチコイドのリストを以下に示す。示されている効力は経口投与を指す。

0121

いくつかの態様では、糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)は、0.01〜150μM、0.1〜15μM、0.5〜10μMまたは1〜5μMの濃度で使用される。好ましい態様では、糖質コルチコイドはデキサメタゾンである。例えば、いくつかの態様では、分化培地は、約3μMの濃度のデキサメタゾンを含む。

0122

TGF-β阻害剤
TGF-βシグナル伝達は、細胞増殖、細胞運命およびアポトーシスを含む多くの細胞機能に関与する。シグナル伝達は、典型的には、I型受容体を動員してリン酸化するII型受容体へのTGF-βスーパーファミリーリガンドの結合から始まる。次いで、I型受容体はSMADをリン酸化し、これが核内の転写因子として働き、標的遺伝子発現を調節する。

0123

TGF-β阻害剤シグナル伝達経路は、以前はインビボでの胆管細胞運命に関係づけられていた。例えば、肝臓外植片へのTGF-βの添加はインビトロでの胆管分化を促進する(Clotman et al.(2005)Genes Dev.19(16):1849-54)。加えて、TGF-β阻害剤を分化培地に含めると、胆管細胞運命を阻害し、より肝細胞表現型へと向かう細胞の分化を引き起こし得ることが以前に示されている(国際公開公報第2012/168930号参照)。特に、TGF-β阻害剤(A83-01など)を分化培地に含めると、成熟肝細胞マーカーの発現を増強し、肝細胞様細胞の数を増加させることが認められた。

0124

したがって、本発明の分化培地は、好ましくはTGF-β阻害剤を含む。

0125

TGF-βスーパーファミリーリガンドは、骨形成タンパク質(BMP)、増殖および分化因子(GDF)、抗ミュラー管ホルモン(AMH)、アクチビンノーダルおよびTGF-βを含む。一般に、Smad2およびSmad3は、TGF-β/アクチビン経路のALK4、5および7受容体によってリン酸化される。対照的に、Smad1、Smad5およびSmad8は、骨形成タンパク質(BMP)経路の一部としてリン酸化される。経路間に多少の交差が存在するが、本発明に関連して、「TGF-β阻害剤」または「TGF-βシグナル伝達の阻害剤」は、好ましくは、Smad2およびSmad3を介してならびに/またはALK4、ALK5もしくはALK7を介して作用するTGF-β経路の阻害剤である。したがって、いくつかの態様では、TGF-β阻害剤はBMP阻害剤ではない、すなわちTGF-β阻害剤はノギンではない。いくつかの態様では、BMP阻害剤は、TGF-β阻害剤に加えて培養培地に添加される。したがって、TGF-β阻害剤は、TGF-βシグナル伝達経路、好ましくはSmad2および/またはSmad3を介して作用するシグナル伝達経路、より好ましくはALK4、ALK5またはALK7を介して作用するシグナル伝達経路の活性を低下させる任意の作用物質であり得る。

0126

当技術分野で公知であり、本発明と共に使用することができる、TGF-βシグナル伝達経路を破壊する多くの方法がある。例えば、TGF-βシグナル伝達は、低分子干渉RNA戦略によるTGF-β発現の阻害;フーリン(TGF-β活性化プロテアーゼ)の阻害;生理学的阻害剤による経路の阻害;モノクローナル抗体によるTGF-βの中和;TGF-β受容体キナーゼ1(アクチビン受容体様キナーゼ、ALK5としても知られる)、ALK4、ALK6、ALK7または他のTGF-β関連受容体キナーゼの小分子阻害剤による阻害;例えばSmad2およびSmad3の生理学的阻害剤であるSmad7の過剰発現による、またはSmadの活性化を妨げるSmadアンカーとしてチオレドキシンを使用することによる、Smad2およびSmad3シグナル伝達の阻害、によって破壊され得る(Fuchs,O.Inhibition of TGF- Signaling for the Treatment of Tumor Metastasis and Fibrotic Diseases.Current Signal Transduction Therapy,Volume 6,Number 1,January 2011,pp.29-43(15))。

0127

ある物質がTGF-β阻害剤であるかどうかを決定するための様々な方法が公知であり、本発明と共に使用し得る。例えば、細胞が、ヒトPAI-1プロモータまたはSmad結合部位を含むレポーター構築物で安定にトランスフェクトされ、ルシフェラーゼレポーター遺伝子を駆動する細胞アッセイを使用し得る。対照群と比較したルシフェラーゼ活性の阻害を、化合物の活性の尺度として用いることができる(De Gouville et al.,Br J Pharmacol.2005 May;145(2):166-177)。したがって、新規TGF-β阻害剤は、当業者によって容易に同定され得る。

0128

本発明によるTGF-β阻害剤は、タンパク質、ペプチド、小分子、低分子干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドアプタマーまたは抗体であり得る。阻害剤は、天然に存在するものであってもよくまたは合成物であってもよい。一態様では、TGF-β阻害剤は、ALK4、ALK5および/またはALK7の阻害剤である。例えば、TGF-β阻害剤は、ALK4、ALK5および/またはALK7に結合して、直接阻害し得る。本発明に関連して使用できる好ましい小分子TGF-β阻害剤の例には、以下の表2に列挙する小分子阻害剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。

0129

(表2)受容体キナーゼを標的とする小分子TGF-β阻害剤

0130

いくつかの態様では、TGF-β阻害剤は、A83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511からなる群より任意で選択される小分子阻害剤である。

0131

いくつかの態様では、1つだけのTGFβ阻害剤が分化培地中に存在する。他の態様では、複数の、例えば2、3、4またはそれより多くのTGFβ阻害剤が分化培地中に存在する。いくつかの態様では、本発明の分化培地は、表2に列挙される阻害剤のいずれかの1つまたは複数を含む。分化培地は、1つの阻害剤と列挙される別の阻害剤との任意の組み合わせを含み得る。例えば、培地は、SB-525334もしくはSD-208もしくはA83-01を含み得るか、またはSD-208およびA83-01を含み得る。当業者は、主に他のキナーゼを標的とするように設計されているが、高濃度ではTGF-β受容体キナーゼも阻害し得る多数の他の小分子阻害剤が存在することを理解するであろう。例えば、SB-203580は、高濃度(例えば約10μMまたはそれより多く)でALK5を阻害すると考えられるp38MAPキナーゼ阻害剤である。TGF-βシグナル伝達経路を阻害する任意のそのような阻害剤もまた、本発明に関連して使用することができる。

0132

いくつかの態様では、TGF-β阻害剤(例えばA83-01)は、少なくとも1nM、例えば少なくとも5nM、少なくとも50nM、少なくとも100nM、少なくとも300nM、少なくとも450nMまたは少なくとも475nMで分化培地中に存在する。例えば、TGF-β阻害剤(例えばA83-01)は、1nM〜200μM、10nM〜200μM、100nM〜200μM、1μM〜200μM、10nM〜100μM、50nM〜100μM、50nM〜10μM、100nM〜1μM、200nM〜800nM、350〜650nMまたは約500nMで分化培地中に存在する。したがって、いくつかの態様では、分化培地は、約500nMの濃度のA83-01を含む。

0133

BMP経路活性化剤
いくつかの態様では、分化培地はBMP経路活性化剤を含む。いくつかの態様では、BMP経路活性化剤は、BMP7、BMP4およびBMP2から選択される。BMP7が好ましい。BMP7は、SMAD1およびSMAD5のリン酸化を誘導する。したがって、いくつかの態様では、BMP経路活性化剤は、SMAD1およびSMAD5のリン酸化を誘導することができる任意の化合物である。さらに、BMP7が言及される場合、SMAD1またはSMAD5のリン酸化を誘導する任意の化合物をBMP7の代わりに使用することができる。

0134

いくつかの態様では、BMP7などのBMP経路活性化剤は、少なくとも0.01ng/ml、少なくとも0.1ng/ml、少なくとも1ng/ml、少なくとも10ng/ml、少なくとも20ng/ml、少なくとも25ng/mlで分化培地中に存在する。いくつかの態様では、BMP7などのBMP経路活性化剤は、約0.01ng/ml〜約500ng/ml、約1ng/ml〜約500ng/ml、約10ng/ml〜約500ng/ml、約20ng/ml〜約500ng/mlで分化培地中に存在する。いくつかの態様では、BMP7などのBMP経路活性化剤は、約0.01ng/ml〜約200ng/ml、約0.1ng/ml〜約100ng/ml、約1ng/ml〜約100ng/ml、約10ng/ml〜約100ng/ml、約10ng/ml〜約50ng/ml、約15ng/ml〜約30ng/mlで分化培地中に存在する。いくつかの態様では、BMP7などのBMP経路活性化剤は、約25ng/mlで分化培地中に存在する。

0135

いくつかの態様では、分化培地はBMP経路活性化剤を含まない。

0136

加成
いくつかの態様では、本発明の分化培地はガストリンを含む。いくつかの態様では、本発明の分化培地は、0.01〜500nM、0.1〜100nM、1〜100nM、1〜20nMまたは5〜15nMの濃度のガストリンを含む。例えば、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、約10nMの濃度のガストリンを含む。

0137

本発明の分化培地には、好ましくは、B27、N-アセチルシステインおよびN2からなる群より選択される化合物の1つまたは複数(例えば1、2、3または全部)が添加される。したがって、いくつかの態様では、分化培地は、B27、N2およびN-アセチルシステインからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。例えば、いくつかの態様では、分化培地は、B27、N-アセチルシステインおよびN2をさらに含む。

0138

B27(Invitrogen)、N-アセチルシステイン(Sigma)およびN2(Invitrogen)およびニコチンアミド(Sigma)は、細胞の増殖を制御し、DNAの安定性を助けると考えられる。

0139

いくつかの態様では、N-アセチルシステインは、0.1〜200mM、0.1〜100mM、0.1〜50mM、0.1〜10mM、0.1〜5mM、0.5〜200mM、0.5〜100mM、0.5〜50mM、0.5〜10mM、0.5〜5mM、1〜100mM、1〜50mM、1〜10mM、1〜5mMの濃度で分化培地中に存在する。いくつかの態様では、N-アセチルシステインは、約1.25mMの濃度で分化培地中に存在する。

0140

いくつかの態様では、B27添加物は、「ビタミンAを含まないB27添加物」(本明細書では「ビタミンAを含まないB27」または「B27 wo VitA」とも称される)であり、Invitrogen,Carlsbad,CA; www.invitrogen.com;現在はカタログ番号12587010から、およびPAA Laboratories GmbH,Pasching,Austria; www.paa.com;カタログ番号F01-002から入手可能である;Brewer et al.,J Neurosci Res.,35(5):567-76,1993)。いくつかの態様では、B27添加物は、ビオチンコレステロールリノール酸リノレン酸プロゲステロンプトレシン酢酸レチニル亜セレン酸ナトリウム、トリ-ヨードサイロニン(T3)、DL-αトコフェロールビタミンE)、アルブミン、インスリンおよびトランスフェリンから選択される成分の1つまたは複数を含むジェネリック製剤で置き換えることができる。

0141

PAA Laboratories GmbHによって供給されるB27添加物は、数ある成分の中でも特に、ビオチン、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、酢酸レチニル、亜セレン酸ナトリウム、トリ-ヨードサイロニン(T3)、DL-αトコフェロール(ビタミンE)、アルブミン、インスリンおよびトランスフェリンを含む、液体の50倍濃縮物として提供される。これらの成分のうちで、少なくともリノレン酸、レチノール、酢酸レチニルおよびトリ-ヨードサイロニン(T3)は、核内ホルモン受容体アゴニストである。B27添加物は、濃縮物としてまたは分化培地への添加前に希釈して、分化培地に添加され得る。B27添加物は、1x最終濃度または他の最終濃度(例えば0.1x〜4x濃度、0.1x〜2x濃度、0.5x〜2x濃度、1x〜4x濃度または1x〜2x濃度)で使用され得る。B27添加物の使用は、ビオチン、コレステロール、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン、レチノール、酢酸レチニル、亜セレン酸ナトリウム、トリ-ヨードサイロニン(T3)、DL-αトコフェロール(ビタミンE)、アルブミン、インスリンおよびトランスフェリンを本発明の分化培地に組み込むための好都合な方法である。これらの成分の一部または全部を、B27添加物を使用する代わりに分化培地に別々に添加し得ることも想定される。したがって、分化培地は、これらの成分のいくつかまたは全部を含み得る。

0142

いくつかの態様では、レチノイン酸は、分化培地に使用されるB27添加物には存在しないおよび/または分化培地には存在しない。

0143

「N2添加物」(本明細書では「N2」とも称される)は、Invitrogen,Carlsbad,CA;www.invitrogen.com;カタログ番号17502-048;およびPAA Laboratories GmbH,Pasching,Austria;www.paa.com;カタログ番号F005-004から入手可能である;Bottenstein&Sato,PNAS,76(1):514-517,1979。PAA Laboratories GmbHによって供給されるN2添加物は、500μg/mlのヒトトランスフェリン、500μg/mlのウシインスリン、0.63μg/mlのプロゲステロン、1611μg/mlのプトレシンおよび0.52μg/mlの亜セレン酸ナトリウムを含む、100倍の液体濃縮物として提供される。N2添加物は、濃縮物としてまたは分化培地への添加前に希釈して、分化培地に添加され得る。B27添加物は、1x最終濃度または他の最終濃度(例えば0.1x〜4x濃度、0.1x〜2x濃度、0.5x〜2x濃度、1x〜4x濃度または1x〜2x濃度)で使用され得る。N2添加物の使用は、トランスフェリン、インスリン、プロゲステロン、プトレシンおよび亜セレン酸ナトリウムを本発明の分化培地に組み込むための好都合な方法である。言うまでもなく、これらの成分の一部または全部を、N2添加物を使用する代わりに分化培地に別々に添加し得ることも想定される。したがって、分化培地は、これらの成分のいくつかまたは全部を含み得る。

0144

培地がB27を含むいくつかの態様では、培地はN2を同時には含まない。したがって、本発明の態様は、所望する場合、B27が存在する場合はN2を排除するように適合させることができる。

0145

いくつかの態様では、N2は分化培地中に存在しない。

0146

培地がN2を含むいくつかの態様では、培地はB27を同時には含まない。したがって、本発明の態様は、所望する場合、N2が存在する場合はB27を排除するように適合させることができる。

0147

いくつかの態様では、B27は分化培地中に存在しない。

0148

いくつかの態様では、分化培地はB27および/またはN2を添加される。

0149

いくつかの態様では、基礎培地は150ng/ml〜250ng/mlのN-アセチルシステインを添加され、好ましくは、基礎培地は約200ng/mlのN-アセチルシステインを添加される。

0150

任意の適切なpHを使用し得る。例えば、培地のpHは、約7.0〜7.8の範囲、約7.2〜7.6の範囲、または約7.4であり得る。pHは、緩衝液を用いて維持し得る。適切な緩衝液は、当業者によって容易に選択され得る。使用し得る緩衝液には、炭酸緩衝液(例えばNaHCO3)およびリン酸緩衝液(例えばNaH2PO4)が含まれる。これらの緩衝液は、一般に約50〜約500mg/lで使用される。N-[2-ヒドロキシエチル]-ピペラジン-N'-[2-エタンスルホン酸](HEPES)および3-[N-モルホリノ]-プロパンスルホン酸(MOPS)などの他の緩衝液も、通常約1000〜約10,000mg/lで使用し得る。いくつかの態様では、緩衝液は、リン酸緩衝液(例えばKH2PO4、K2HPO4、Na2HPO4、NaCl、NaH2PO4)、酢酸緩衝液(例えばHOAcもしくはNaOAc)、クエン酸緩衝液(例えばクエン酸もしくはクエン酸Na)、またはTRIS緩衝液(例えばTRIS、TRIS-HCl)または有機緩衝液の1つまたは複数から選択される。いくつかの態様では、有機緩衝液は、グッド緩衝液などの両性イオン緩衝液であり、例えばHEPES、MOPS、MES、ADA、PIPES、ACES、MOPSO、コラミンクロリド、BES、TES、DIPSO、アセトアミドグリシン、TAPSO、POPSO、HEPPSO、HEPPS、トリシングリシンアミドビシン、TAPS、AMPSO、CABS、CHES、CAPSおよびCAPSOから選択される。好ましい緩衝液は、例えば0.1〜100mM、0.1〜50mM、0.5〜50mM、1〜50mM、1〜20mMまたは5〜15mMの濃度のHEPESである。いくつかの態様では、HEPESは、約10mMで培養培地に添加される。分化培地はまた、培地のpH状態を容易にモニタできるように(例えば約5〜約50mg/リットルで)、フェノールレッドなどのpH指示薬も含み得る。

0151

本発明で使用するための分化培地は、1つまたは複数のアミノ酸を含み得る。当業者は、分化培地における使用のためのアミノ酸の適切な種類および量を理解する。存在し得るアミノ酸には、L-アラニン、L-アルギニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、L-システイン、L-シスチン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-グリシン、L-ヒスチジン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン、L-トリプトファン、L-チロシン、L-バリンおよびそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの分化培地は、これらのアミノ酸のすべてを含む。一般に、存在する場合各々のアミノ酸は、約0.05〜約1g/L培地(通常約0.1〜約0.75g/L)で存在するL-グルタミンを除き、約0.001〜約1g/L培地(通常約0.01〜約0.15g/L)で存在する。アミノ酸は合成起源のものであってもよい。

0152

本発明で使用するための分化培地は、1つまたは複数のビタミンを含み得る。当業者は、分化培地における使用のためのビタミンの適切な種類および量を理解する。存在し得るビタミンには、チアミンビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシンビタミンB3)、パントテン酸D-カルシウム(ビタミンB5)、ピリドキサール/ピリドキサミン/ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、アスコルビン酸ビタミンC)、カルシフェロールビタミンD2)、DL-αトコフェロール(ビタミンE)、ビオチン(ビタミンH)およびメナジオンビタミンK)が含まれる。

0153

本発明で使用するための分化培地は、1つまたは複数の無機塩を含み得る。当業者は、分化培地における使用のための無機塩の適切な種類および量を理解する。無機塩は、典型的には、細胞の浸透圧バランスの維持を助け、膜電位を調節するのを助けるために分化培地に含まれる。存在し得る無機塩には、カルシウム、銅、鉄、マグネシウムカリウムナトリウム亜鉛の塩が含まれる。塩は、通常、塩化物リン酸塩硫酸塩、硝酸塩および重炭酸塩の形態で使用される。使用し得る具体的な塩には、CaCl2、CuSO4-5H2O、Fe(NO3)-9H2O、FeSO4-7H2O、MgCl、MgSO4、KCl、NaHCO3、NaCl、Na2HPO4、Na2HPO4-H2OおよびZnSO4-7H2Oが含まれる。

0154

培地の浸透圧モル濃度は、約200〜約400mOsm/kgの範囲、約290〜約350mOsm/kgの範囲、または約280〜約310mOsm/kgの範囲であり得る。培地の浸透圧モル濃度は、約300mOsm/kg未満(例えば約280mOsm/kg)であり得る。

0155

本発明で使用するための分化培地は、1つまたは複数の糖の形態の炭素エネルギー源を含み得る。当業者は、分化培地で使用するための糖の適切な種類および量を理解する。存在し得る糖には、グルコースガラクトースマルトースおよびフルクトースが含まれる。糖は、好ましくはグルコース、特にD-グルコース(デキストロース)である。炭素エネルギー源は、通常、約1〜約10g/Lで存在する。

0156

本発明の分化培地は血清を含み得る。ウシ胎仔血清(FBS)、ヤギ血清またはヒト血清を含む、任意の適切な供給源から得られる血清を使用し得る。好ましくは、ヒト血清が使用される。血清は、従来技術に従って、培地の約1体積%〜約30体積%で使用され得る。

0157

他の態様では、本発明の分化培地は血清代替物を含み得る。様々な異なる血清代替物製剤が市販されており、当業者に公知である。血清代替物が使用される場合、従来の技術に従って、培地の約1体積%〜約30体積%で使用され得る。

0158

他の態様では、本発明の分化培地は、無血清および/または血清代替物不含であり得る。無血清培地は、いかなる種類の動物血清も含まない培地である。幹細胞の起こり得る異種成分混入を避けるために、無血清培地が好ましいと考えられる。血清代替物不含培地は、市販の血清代替物製剤が添加されていない培地である。

0159

好ましい態様では、分化培地は、精製、天然、半合成および/または合成増殖因子が添加されており、ウシ胎仔血清などの未定義の成分を含まない。例えば、B27(Invitrogen)、N-アセチルシステイン(Sigma)およびN2(Invitrogen)などの添加物は、いくつかの細胞の増殖を刺激する。いくつかの態様では、分化培地は、これらの添加物の1つまたは複数、例えばこれらの添加物の1つ、任意の2つまたは3つ全部を添加される。

0160

本発明で使用するための分化培地は、バリウム臭素コバルトヨウ素、マンガンクロム、銅、ニッケルセレンバナジウムチタンゲルマニウムモリブデンケイ素、鉄、フッ素、銀、ルビジウム、スズ、ジルコニウムカドミウム、亜鉛および/またはアルミニウムイオンなどの1つまたは複数の微量元素を含み得る。

0161

培地は、約0.1mMの濃度のβ-メルカプトエタノールなどの還元剤を含み得る。

0162

本発明の分化培地は、幹細胞培養を改善することが以前に報告されている栄養素または成長因子、例えばコレステロール/トランスフェリン/アルブミン/インスリン/プロゲステロン、プトレシン、亜セレン酸塩/他の因子などの、1つまたは複数のさらなる作用物質を含み得る。

0163

基礎培地
本発明の方法において使用される分化培地は基礎培地を含む。基礎培地は、本明細書で提供される制限に従う、動物またはヒト細胞用の任意の適切な基礎培地である。

0164

動物またはヒト細胞培養用の基礎培地は、典型的には、培養細胞の維持を支援するのに必要な多数の成分を含む。成分の適切な組み合わせは、以下の開示を考慮して、当業者によって容易に製剤化され得る。本発明における使用のための基礎培地は、一般に、文献および上記により詳細に記載されるように、アミノ酸、ビタミン、脂質添加物、無機塩、炭素エネルギー源および緩衝液などの標準的な細胞培養成分を含む栄養溶液を含む。いくつかの態様では、培養培地は、例えばアミノ酸、ビタミン、脂質添加物、無機塩、炭素エネルギー源および緩衝液から選択される1つまたは複数の標準的な細胞培養成分をさらに添加される。

0165

当業者は、共通の一般知識から、本発明の分化培地中の基礎培地として使用し得る培養培地の種類を理解するであろう。潜在的に適切な細胞培養培地は市販されており、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地MEM)、ノックアウトDMEM(KO-DMEM)、グラスゴー最小必須培地(G-MEM)、イーグル基礎培地(BME)、DMEM/ハムF12、Advanced DMEM/ハムF12、イスコフ改変ダルベッコ培地および最小必須培地(MEM)、ハムF-10、ハムF-12、199培地およびRPMI1640培地を含むが、これらに限定されるわけではない。

0166

例えば、基礎培地は、グルタミン、インスリン、ペニシリン/ストレプトマイシンおよびトランスフェリンを添加したDMEM/F12およびRPMI1640から選択され得る。さらなる好ましい態様では、無血清培養用に最適化され、インスリンを既に含む、Advanced DMEM/F12またはAdvanced RPMIが使用される。この場合、前記Advanced DMEM/F12またはAdvanced RPMI培地は、好ましくはグルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシンを添加される。N2およびB27を添加したAdDMEM/12(Invitrogen)も好ましい。好ましくは、基礎培地はAdvanced DMEM/F12である。より好ましくは、基礎培地は、Advanced DMEM/F12、グルタミンおよびB27を含む。

0167

いくつかの態様では、基礎培地は、AdvancedDMEM/F12、HEPES、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン、N-アセチルシステイン、B27、N2およびガストリンを含む。

0168

いくつかの態様では、基礎培地は、ペニシリン/ストレプトマイシン、10mMHEPES、Glutamax、1×N2、1×B27(すべてInvitrogenより)および約1.25mM N-アセチルシステイン(Sigma)を添加したAdvancedDMEM/F12を含むかまたはこれからなる。

0169

前記基礎培地が、精製、天然、半合成および/または合成増殖因子を添加されており、ウシ胎仔血清などの未定義成分を含まないことがさらに好ましい。様々な異なる血清代替物製剤が市販されており、当業者に公知である。血清代替物が使用される場合、従来の技術に従って、培地の約1体積%〜約30体積%で使用され得る。

0170

本発明で使用される分化培地は、本明細書の他の箇所に記載されているように、血清を含み得るか、または無血清および/もしくは血清代替物不含であり得る。培養培地および細胞の調製は、好ましくは、生物学的製品に関してFDAによって要求される基準に合致し、製品一貫性保証するGMP工程である。

0171

本発明の分化培地は、通常、脱イオン蒸留水中で製剤化される。本発明の分化培地は、典型的には、例えば紫外光、加熱、照射または濾過によって、汚染を防止するために使用前に滅菌される。分化培地は、貯蔵または輸送のために凍結され得る(例えば-20℃または-80℃で)。培地は、汚染を防止するために1つまたは複数の抗生物質を含み得る。培地は、1mlあたり0.1エンドトキシン単位未満のエンドトキシン含量を有し得るか、または1mlあたり0.05エンドトキシン単位未満のエンドトキシン含量を有し得る。培地のエンドトキシン含量を決定するための方法は当技術分野において公知である。

0172

好ましい基礎培地は、炭酸塩ベースの緩衝液でpH7.4(好ましくはpH7.2〜7.6または少なくとも7.2で7.6以下)で緩衝された規定の合成培地であり、細胞は、5%〜10%CO2、または少なくとも5%で10%以下のCO2、好ましくは5%CO2を含む雰囲気中で培養される。

0173

いくつかの態様では、分化培地は、分化方法において使用できる状態の基礎培地を含んで提供される。他の態様では、分化培地は、基礎培地なしで、例えば培養培地添加物として提供され、分化方法における使用の前に基礎培地(または他の成分)が添加され得る。したがって、基礎培地が存在しないかまたは基礎培地が単なる任意成分である、本明細書に記載の任意の分化培地が提供される。

0174

組成物および容器
本発明はまた、上記の本発明の局面のいずれか1つによる細胞および/またはオルガノイドを含む組成物または細胞培養容器、ならびに上記の本発明の局面のいずれか1つによる分化培地を提供する。例えば、そのような組成物または細胞培養容器は、上記の分化培地中に、本発明の方法に従って培養された任意の数の細胞またはオルガノイドを含み得る。

0175

本発明のさらなる局面によれば、本発明の分化培地を含む密閉容器が提供される。密閉容器は、汚染を防止するために、分化培地の輸送または貯蔵のために好ましいと考えられる。容器は、フラスコプレートビン広口ビンバイアルまたはバッグなどの任意の適切な容器であり得る。

0176

本発明の例示的な培養培地
いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択されるALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、ならびに
(iv)1つまたは複数のWnt阻害剤、例えば、(a)好ましくは0.01〜150μMの濃度の、Wnt分泌の阻害剤、例えばIWP-2、LGK974およびIWP-1から選択されるPorc阻害剤ならびに/または(b)好ましくは0.05〜150μMの濃度の、例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤、などのWnt阻害剤
を含む。

0177

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択される、ALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、ならびに
(iv)GSK-3阻害剤、例えば、好ましくは0.01〜150μMの濃度の、例えばCHIR99021、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアルデシン、インジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルステルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジン、マンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択されるGSK-3阻害剤
を含む。

0178

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択される、ALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、
(iv)1つまたは複数のWnt阻害剤、例えば、(a)好ましくは0.01〜150μMの濃度の、Wnt分泌の阻害剤、例えばIWP-2、LGK974およびIWP-1から選択されるPorc阻害剤ならびに/または(b)好ましくは0.05〜150μMの濃度の、例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤、などのWnt阻害剤、ならびに
(v)GSK-3阻害剤、例えば、好ましくは0.01〜150μMの濃度の、例えばCHIR99021、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアルデシン、インジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルステルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジン、マンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択されるGSK-3阻害剤
を含む。

0179

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択される、ALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、
(iv)GSK-3阻害剤、例えば、好ましくは0.01〜150μMの濃度の、例えばCHIR99021、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアルデシン、インジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルステルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジン、マンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択されるGSK-3阻害剤、ならびに
(v)β-カテニン分解複合体の下流で作用する1つまたは複数のWnt阻害剤、例えば、好ましくは0.05〜150μMの濃度の、例えば iCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤などの、β-カテニン分解複合体の下流で作用するWnt阻害剤
を含む。

0180

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択される、ALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、ならびに
(iv)AP-1刺激剤、例えば、好ましくは0.001〜300μMの濃度の、例えばカルバコール、アセチルコリン、ベタネコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンから選択される、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなどのAP-1刺激剤
を含む。

0181

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択されるALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、
(iv)1つまたは複数のWnt阻害剤、例えば、(a)好ましくは0.01〜150μMの濃度の、Wnt分泌の阻害剤、例えばIWP-2、LGK974およびIWP-1から選択されるPorc阻害剤ならびに/または(b)好ましくは0.05〜150μMの濃度の、例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤、などのWnt阻害剤、ならびに
(v)AP-1刺激剤、例えば、好ましくは0.001〜300μMの濃度の、例えばカルバコール、アセチルコリン、ベタネコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンから選択される、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなどのAP-1刺激剤
を含む。

0182

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択される、ALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、
(iv)GSK-3阻害剤、例えば、好ましくは0.01〜150μMの濃度の、例えばCHIR99021、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアルデシン、インジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルステルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジン、マンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択されるGSK-3阻害剤、ならびに
(v)AP-1刺激剤、例えば、好ましくは0.001〜300μMの濃度の、例えばカルバコール、アセチルコリン、ベタネコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンから選択される、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなどのAP-1刺激剤
を含む。

0183

いくつかの態様では、本発明の分化培地は、
(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド、例えば、それぞれ好ましくは1〜200ng/mlの濃度の、例えばRTKクラスI(例えばEGF)のリガンド、RTKクラスIV(例えばFGF)のリガンドおよびRTKクラスVI(例えばHGF)のリガンドから選択される受容体チロシンキナーゼリガンド、
(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤、例えば、好ましくは100nM〜200μMの濃度の、例えばA83-01、SB-431542、SB-505124、SB-525334、LY 364947、SD-208およびSJN 2511から選択されるALK5、ALK4またはALK7の1つまたは複数の阻害剤などのTGF-β阻害剤、
(iii)Notch阻害剤、例えば、好ましくは0.001〜100μMの濃度の、例えばDAPT、ジベンザゼピン(DBZ)、ベンゾジアゼピン(BZ)およびLY-411575から選択される、γ-セクレターゼ阻害剤などのNotch阻害剤、
(iv)1つまたは複数のWnt阻害剤、例えば、(a)好ましくは0.01〜150μMの濃度の、Wnt分泌の阻害剤、例えばIWP-2、LGK974およびIWP-1から選択されるPorc阻害剤ならびに/または(b)好ましくは0.05〜150μMの濃度の、例えばiCRT3、CGP049090、PKF118310、PKF115-584、ZTM000990、PNU-74654、BC21、iCRT5、iCRT14およびFH535から選択される、β-カテニン標的遺伝子発現の阻害剤、などのWnt阻害剤、
(v)GSK-3阻害剤、例えば、好ましくは0.01〜150μMの濃度の、例えばCHIR99021、6-BIO、ジブロモカンタレリン、ヒメニアルデシン、インジルビン、メリジアニン、CT98014、CT98023、CT99021、TWS119、SB-216763、SB-41528、AR-A014418、AZD-1080、アルステルパウロン、カズパウロン、ケンパウロン、アロイジン、マンザミンA、パリヌリン、トリカンチン、TDZD-8、NP00111、NP031115、チデグルシブ、HMK-32およびL803-mtsから選択されるGSK-3阻害剤、ならびに
(vi)AP-1刺激剤、例えば、好ましくは0.001〜300μMの濃度の、例えばカルバコール、アセチルコリン、ベタネコール、オキソトレモリン、L-689,660(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン,3-(6-クロロピラジニル)マレエート)、ピロカルピン、ムスカリン、McN-A 343(4-[[[(3-クロロフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]-N,N,N-トリメチル-2-ブチン-1-アミニウムクロリド)、77-LH-218-1(1-[3-(4-ブチル-1-ピペリジニル)プロピル]-3,4-ジヒドロ-2(1H)-キノリノン)およびメタコリンから選択される、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストなどのAP-1刺激剤
を含む。

0184

これらの態様のいずれかでは、分化培地は、好ましくは0.01ng/ml〜500ng/mlの濃度のBMP経路活性化剤(例えばBMP7)および/または、好ましくは0.01nM〜500nMの濃度のガストリンをさらに含み得る。

0185

好ましい態様では、本発明の分化培地は、(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤(例えばA83-01)、(iii)Notch阻害剤(例えばDAPTおよび/またはDBZ)、(iv)糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)、(v)1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばIWP-2および/またはiCRT3)、(vi)GSK-3阻害剤(例えばCHIR99021)ならびに(vii)AP-1刺激剤(例えばカルバコールなどのムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)を含む。いくつかの態様では、本発明の分化培地は、(viii)BMP経路活性化剤(例えばBMP7)および/または(ix)ガストリンをさらに含む。

0186

したがって、いくつかの態様では、本発明の分化培地は、(i)EGF(例えば約50ng/mlの濃度)、HGF(例えば約25ng/mlの濃度)およびFGF19(例えば約100ng/mlの濃度)、(ii)A83-01(例えば約0.5μMの濃度)、(iii)DAPT(例えば約10μMの濃度)、(iv)デキサメタゾン(例えば約3μMの濃度)、(v)IWP-2(例えば約3μMの濃度)およびiCRT3(例えば約50μMの濃度)、(vi)CHIR99021(例えば約3μMの濃度)、(vii)カルバコール(例えば約100μMの濃度)、(viii)BMP7(例えば約25ng/mlの濃度)ならびに(ix)ガストリン(例えば約10nMの濃度)を含む。

0187

これらの分化培地は、肝細胞を分化させるのに特に適する。これらの培地はまた、膵臓などの密接に関連する組織にも有用であると想定される。これらの培地はまた、より一般的に上皮細胞の分化に有用であると想定される。

0188

分割
本発明者らは、驚くべきことに、より小さなオルガノイドを分化培地中で培養すると、分化が改善されることを見出した。特に、本発明者らは、オルガノイドを分化培地に添加する前に肝臓オルガノイド培養物を分割すると、より高い分化効率をもたらすことを見出した(図2F参照)。したがって、細胞集団のより大きな割合が肝細胞マーカー(例えばアルブミンおよびCyp3A4)を示し、分化した細胞はより高いレベルの肝細胞マーカーを示した。

0189

したがって、いくつかの態様では、前駆細胞の培養物を分割した後に分化培地中で前駆細胞を培養する。いくつかの態様では、この分割は、増殖培地での少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間または少なくとも7日間の培養後に行う。例えば、いくつかの態様では、前駆細胞、例えば上皮幹細胞を増殖培地で5日間培養した後、培養物を分割し、次いで本発明の分化培地で培養する。

0190

一態様では、本発明は、好ましくはオルガノイドを生成するために、単一の上皮幹細胞、上皮幹細胞の集団または単離された組織断片を培養するための方法を提供し、この方法は、
1個の上皮細胞、上皮細胞の集団または単離された組織断片を増殖培地で培養して、増殖した細胞集団を得る工程(好ましくは、1つまたは複数のオルガノイドを得る工程);
増殖培地での少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間または少なくとも7日間の培養後に増殖培養物を分割する工程;および
増殖した細胞集団または1つもしくは複数のオルガノイドを分化培地で培養する工程
を含む。

0191

いくつかの態様では、本明細書に記載のBMP経路活性化剤(例えばBMP7)を、分割の前に増殖培地に添加する。例えば、いくつかの態様では、増殖培地での少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間または少なくとも7日間の培養後にBMP7を増殖培地に添加する。

0192

細胞外マトリックス
いくつかの態様では、細胞を培養するための方法、例えば細胞を増殖させるおよび/または分化させるための方法は、細胞を細胞外マトリックス(ECM)と接触させて培養する工程を含む。任意の適切なECMを使用し得る。細胞は、好ましくは、前記細胞が天然に存在する細胞のニッチを少なくとも部分的に模倣する微小環境下で培養される。細胞のニッチは、一部には、細胞によっておよび前記ニッチ内の細胞によって分泌されるECMによって決定される。細胞のニッチは、インテグリンなどの細胞膜タンパク質との相互作用を提供する生体材料または合成材料の存在下で前記細胞を培養することによって模倣され得る。したがって、本明細書に記載のECMは、例えばインテグリンなどの細胞膜タンパク質と相互作用することによって、インビボでの細胞のニッチを模倣する任意の生体材料または合成材料またはそれらの組み合わせである。

0193

本発明の好ましい方法では、細胞をECMと接触させて培養する。「接触して」とは、物理的または機械的または化学的接触を意味し、これは、得られたオルガノイドまたは上皮細胞の集団を前記細胞外マトリックスから分離するために力を使用する必要があることを意味する。いくつかの態様では、ECMは三次元マトリックスである。いくつかの態様では、細胞はECMに埋め込まれる。いくつかの態様では、細胞はECMに付着する。本発明の培養培地は、三次元ECM中に拡散し得る。

0194

別の態様では、ECMは懸濁状態であり、すなわち細胞は懸濁系においてECMと接触している。いくつかの態様では、ECMは、少なくとも1%、少なくとも2%または少なくとも3%の濃度で懸濁液中に存在する。いくつかの態様では、ECMは、1%〜約10%または1%〜約5%の濃度で懸濁液中に存在する。懸濁方法は、洗練された方法の利点を有し得る。

0195

1つの種類のECMは、上皮細胞、内皮細胞、壁内胚葉様細胞(例えばHayashi et al.(2004)Matrix Biology 23:47-62に記載されているEnglebreth-Holm-Swarm壁内胚葉様細胞)および結合組織細胞によって分泌される。このECMは、様々な多糖、水、エラスチンおよび糖タンパク質を含み、前記糖タンパク質は、コラーゲンエンクチン(ニドゲン)、フィブロネクチンおよびラミニンを含む。したがって、いくつかの態様では、本発明の方法における使用のためのECMは、多糖、エラスチンおよび糖タンパク質から選択される成分の1つまたは複数を含み、例えば糖タンパク質は、コラーゲン、エンタクチン(ニドゲン)、フィブロネクチンおよび/またはラミニンを含む。例えば、いくつかの態様では、コラーゲンがECMとして使用される。種々の種類の糖タンパク質および/または糖タンパク質の種々の組み合わせを含む種々の組成物を含む、種々の種類のECMが公知である。

0196

ECMは、例えば上皮細胞、内皮細胞、壁内胚葉様細胞または線維芽細胞などのECM産生細胞を容器中で培養した後、これらの細胞を取り出し、単離された組織断片または単離された上皮細胞を添加することによって提供され得る。細胞外マトリックス産生細胞の例は、主にコラーゲンおよびプロテオグリカンを産生する軟骨細胞、主にIV型コラーゲン、ラミニン、間質プロコラーゲンおよびフィブロネクチンを産生する線維芽細胞、ならびに主にコラーゲン(I型、III型およびV型)、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンヒアルロン酸、フィブロネクチンおよびテネイシン-Cを産生する結腸筋線維芽細胞である。これらは「天然に産生されるECM」である。天然に産生されるECMは、商業的に提供され得る。市販の細胞外マトリックスの例には、細胞外マトリックスタンパク質(Invitrogen)およびEngelbreth-Holm-Swarm(EHS)マウス肉腫細胞からの基底膜調製物(例えばCultrex(登録商標)Basement Membrane Extract(Trevigen,Inc.)またはMatrigel(商標)(BD Biosciences))が含まれる。

0197

したがって、いくつかの態様では、ECMは、天然に産生されるECMである。いくつかの態様では、ECMは、Matrigel(商標)(BD Biosciences)などのラミニン含有ECMである。いくつかの態様では、ECMは、ラミニン、エンタクチンおよびIV型コラーゲンを含むMatrigel(商標)(BD Biosciences)である。いくつかの態様では、ECMは、ラミニン、エンタクチン、IV型コラーゲンおよびヘパリン硫酸プロテオグリカンを含む(例えばCultrex(登録商標)Basement Membrane Extract Type 2(Trevigen,Inc.))。いくつかの態様では、ECMは、コラーゲンおよび/またはラミニンなどの少なくとも1つの糖タンパク質を含む。本発明の方法における使用のための好ましいECMは、コラーゲンおよびラミニンを含む。さらなる好ましいECMは、ラミニン、エンタクチンおよびIV型コラーゲンを含む。所望する場合は、天然に産生されるECMまたは合成ECM材料の混合物を使用し得る。

0198

別の態様では、ECMは合成ECMであり得る。例えば、ProNectin(Sigma Z378666)などの合成ECMを使用し得る。さらなる例では、ECMは、プラスチック、例えばポリエステル、またはヒドロゲルであり得る。いくつかの態様では、合成マトリックスは、生体材料、例えばコラーゲンまたはラミニンなどの1つまたは複数の糖タンパク質で被覆され得る。

0199

三次元ECMは、三次元上皮オルガノイドの培養を支援する。細胞外マトリックス材料は、通常、細胞が懸濁されている皿の底部の滴である。典型的には、マトリックスが37℃で固化すると、培地が添加されてECM中に拡散する。培地中の細胞は、その表面構造との相互作用、例えばインテグリンとの相互作用によってECMに固着する。

0200

培地および/または細胞は、ECM上に配置され得る、ECM中に埋め込まれ得るまたはECMと混合され得る。

0201

例えば、いくつかの態様では、単一細胞、細胞の集団または組織断片は、任意で増殖因子が低減されているおよび/またはフェノールレッドを含まない、Matrigel(商標)に埋め込まれる。

0202

いくつかの態様では、培養培地はECMの上に配置される。次いで、必要に応じておよび必要なときに、培養培地を除去および補充することができる。いくつかの態様では、培養培地は、1、2、3、4、5、6または7日ごとに補充される。成分が培地に「添加される」または培地から「除去される」場合、これは、いくつかの態様では、培地自体がECMから取り出され、次いで、「添加される」成分を含む新しい培地または「除去される」成分が排除された新しい培地がECM上に配置されることを意味し得る。

0203

培養のための前駆細胞および幹細胞、ならびに前記細胞の入手
本分化方法は前駆細胞に有用である。前駆細胞は、本明細書では、分化能を有する任意の細胞と定義される。したがって、「前駆細胞」という用語は、成体幹細胞胚性幹細胞およびiPS細胞を含むがこれらに限定されるわけではない幹細胞を包含する。前駆細胞は、例えば初代幹細胞または増殖幹細胞または部分分化幹細胞であり得る。いくつかの態様では、前駆細胞は初代細胞であり、生きている組織から直接得られたことを意味する。他の態様では、前駆細胞は二次細胞、すなわち培養および/または継代された細胞である。いくつかの態様では、前駆細胞は増殖細胞である。「増殖された」という用語は、細胞が、分化よりも細胞の拡大(例えば増殖)を促進する培養培地においてインビトロで培養されたことを意味する。

0204

好ましい態様では、前駆細胞は成体前駆細胞であり、すなわち成体組織に由来する。いくつかの態様では、成体前駆細胞は成体幹細胞(例えば成体上皮幹細胞)である。これに関連して、「成体」は、新生児または小児を含むが、または胎児は除外する。いくつかの態様では、前駆細胞は、胚性幹細胞または胚性幹細胞株、例えばヒト胚性幹細胞またはヒト胚性幹細胞株に由来しない。いくつかの態様では、前駆細胞は、臍帯および/または胎盤組織に由来しない。

0205

好ましい態様では、前駆細胞は上皮前駆細胞である。例えば、好ましい態様では、前駆細胞は上皮組織、より好ましくは成体上皮組織に由来する。上皮組織には、肝臓、膵臓、腸、胃、前立腺、、乳房、卵巣、唾液腺、毛包、皮膚、食道、耳、膀胱または甲状腺が含まれる。したがって、いくつかの態様では、前駆細胞は、肝臓、膵臓、腸、胃、前立腺、肺、乳房、卵巣、唾液腺、毛包、皮膚、食道、耳、膀胱または甲状腺から得られる。いくつかの態様では、前駆細胞は、肝臓または膵臓から得られる。好ましい態様では、前駆細胞は肝臓から得られる。

0206

好ましい態様では、前駆細胞は哺乳動物細胞である。例えば、好ましい態様では、細胞は哺乳動物組織に由来する。例えば、いくつかの態様では、前駆細胞はヒト細胞である。いくつかの態様では、前駆細胞は、実験動物(例えばマウス、ウサギラットモルモット)、コンパニオン動物(例えばイヌネコウマ)または家畜(例えばウシブタヒツジヤギ)由来である。

0207

初代細胞は、インビボ状況の最良実験モデルである。本発明の好ましい態様では、前駆細胞は、初代前駆細胞(例えば初代上皮幹細胞)である(または初代前駆細胞に由来する)。初代細胞培養物を継代して二次細胞培養物を形成することができる。がん細胞を除き、従来の二次上皮細胞培養物は寿命に限りがある。一定の数の集団倍加(例えば50〜100世代)の後、細胞は老化過程を経て分裂を停止する。二次培養物からの細胞は、不死化して連続細胞株になることができる。不死化は、自発的に起こり得るか、またはウイルスによってもしくは化学的に誘導され得る。不死化細胞株形質転換細胞としても知られる。本発明の好ましい態様では、細胞は、不死化または形質転換なしで増殖および/または継代された、増殖された上皮幹細胞培養物、好ましくは増殖されたオルガノイドから得られる。いくつかの態様では、これらの増殖された上皮培養物またはオルガノイドは、(従来の細胞株とは異なり)遺伝的に不均一であり得る。したがって、いくつかの態様では、前駆細胞は、不死化細胞または形質転換細胞ではなく、または、不死化細胞株または形質転換細胞株に由来しない。

0208

前駆細胞は、例えば国際公開公報第2010/090513号、国際公開公報第2012/014076号、国際公開公報第2012/168930号または国際公開公報第2015/173425号に記載されているような任意の適切な方法によって入手し得る。いくつかの態様では、細胞は、例えば実施例およびDorell et al.,2008(Hepatology.2008 Oct; 48(4):1282-91.Surface markers for the murine oval cell response.Dorrell C,Erker L,Lanxon-Cookson KM,Abraham SL,Victoroff T,Ro S,Canaday PS,Streeter PR,Grompe M)に記載されているように、コラゲナーゼ消化によって単離される。いくつかの態様では、組織生検材料に関してコラゲナーゼ消化が行われる。いくつかの態様では、本発明で使用する前駆細胞を得るためにコラゲナーゼおよびアキュターゼ消化が用いられる。

0209

いくつかの態様では、前駆細胞は、Lgr5を発現する上皮幹細胞である。オルガノイドは、好ましくは、成体組織由来の細胞、好ましくは成体組織由来の上皮幹細胞、より好ましくはLgr5を発現する上皮幹細胞を用いて得られる。

0210

いくつかの態様では、前駆細胞は正常細胞であり、細胞が正常な核型遺伝子型および/または表現型を有することを意味する。代替的な態様では、前駆細胞は疾患細胞であり、それらが疾患核型、遺伝子型および/または表現型を有することを意味する。例えば、いくつかの態様では、前駆細胞はがん細胞である。したがって、例えば、上皮幹細胞はLgr5陽性がん幹細胞であり得ることが想定される。したがって、細胞は、必要に応じて、腫瘍から入手し得る。代替的な態様では、前駆細胞は病的前駆細胞、例えば細胞内病原体(例えば細菌、ウイルスまたは寄生生物)に感染した前駆細胞である。

0211

例示的な方法
本発明は、前駆細胞を分化させるための方法を提供し、前記方法は、本明細書に記載の分化培地中で細胞を培養する工程を含む。好ましい態様では、細胞を、本明細書に記載のようにECMと接触させて培養する。

0212

本発明はまた、前駆細胞を培養するための方法を提供し、前記方法は、増殖培地中で細胞を培養し、その後本明細書に記載の分化培地中で細胞を培養する工程を含む。いくつかの態様では、細胞を、増殖工程および/または分化工程の間、本明細書に記載のようにECMと接触させて培養する。いくつかの態様では、分化培地中で細胞を培養する前に、例えば繰り返し洗浄することによってまたは細胞培養物を分割することによって、増殖培地を除去する。

0213

本発明は、好ましくはオルガノイドを得るために、単一の上皮幹細胞、上皮幹細胞の集団または単離された組織断片を培養するための方法を提供し、この方法は、
1個の上皮幹細胞、上皮幹細胞の集団または単離された組織断片を増殖培地で培養して、増殖した細胞集団を提供する工程;および
増殖した細胞集団を分化培地で培養する工程
を含む。

0214

本発明はまた、単一の前駆細胞または前駆細胞の集団を分化させるための方法も提供し、この方法は、
1個の前駆細胞または前駆細胞の集団を分化培地で培養する工程
を含む。

0215

分化培地は、本明細書に記載される任意の分化培地であり得る。例えば、いくつかの態様では、分化培地は、(i)1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF19)、(ii)1つまたは複数のTGF-β阻害剤(例えばA83-01)、(iii)Notch阻害剤(例えばDAPTおよび/またはDBZ)、(iv)糖質コルチコイド(例えばデキサメタゾン)、(v)1つまたは複数のWnt阻害剤(例えばIWP-2および/またはiCRT3)、(vi)GSK-3阻害剤(例えばCHIR99021)ならびに(vii)AP-1刺激剤(例えばカルバコールなどのムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト)を含む。いくつかの態様では、本発明の分化培地は、(viii)BMP経路活性化剤(例えばBMP7)および/または(ix)ガストリンをさらに含む。

0216

増殖培地は、上皮幹細胞または前駆細胞のための任意の適切な増殖培地、好ましくは上皮幹細胞のための適切な増殖培地(例えば国際公開公報第2010/090513号、国際公開公報第2012/014076号、国際公開公報第2012/168930号または国際公開公報第2015/173425号に記載されているような)であり得る。

0217

いくつかの態様では、増殖培地は、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF10)、ニコチンアミドならびに1つまたは複数のWntアゴニスト(例えばRスポンジン馴化培地および/またはWnt馴化培地)を含む。

0218

いくつかの態様では、増殖培地は、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF10)、1つまたは複数のWntアゴニスト(例えばRスポンジン馴化培地および/またはWnt馴化培地)ならびに1つまたは複数のTGF-β阻害剤(例えばA83-01)を含む。

0219

いくつかの態様では、増殖培地は、1つまたは複数の受容体チロシンキナーゼリガンド(例えばEGF、HGFおよび/またはFGF10)、ニコチンアミド、1つまたは複数のWntアゴニスト(例えばRスポンジン馴化培地および/またはWnt馴化培地)ならびに1つまたは複数のTGF-β阻害剤(例えばA83-01)を含む。

0220

これらの態様のいずれかでは、増殖培地は、cAMP経路活性化剤(例えばフォルスコリン)、ガストリンおよび/またはBMP阻害剤(例えばノギン)をさらに含み得る。

0221

例えば、いくつかの態様では(例えば肝臓についての好ましい態様では)、増殖培地は、(i)EGF(例えば約50ng/ml)、HGF(例えば約25ng/ml)およびFGF10(例えば約100ng/ml);(ii)A83-01(例えば約5μM);(iii)Rスポンジン馴化培地(例えば約10%);(iv)ニコチンアミド(例えば約0.01M);(v)フォルスコリン(例えば約10μM)ならびに(vi)ガストリン(例えば約10nM)を含む。いくつかの態様では、増殖培地は、n-アセチルシステイン(例えば約1.25mM)、1×N2および1×B27(任意でビタミンAを含まない1×B27)をさらに含む。

0222

好ましくは、分化の前に細胞を増殖させて1つまたは複数(例えば少なくとも2、3、4、5、6、10、15、20または20より多く)のオルガノイドを生成する。

0223

いくつかの態様では、細胞を最初に本明細書に記載の増殖培地で培養し、ひとたびオルガノイドが成功裏確立されれば、増殖培地を本明細書に記載の分化培地と置き換える。したがって、いくつかの態様では、1継代または複数(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多く)の継代後に、増殖培地を分化培地と置き換える。

0224

当業者には明らかなように、本発明の好ましい培養方法は、フィーダー細胞を必要としないので有利である。フィーダー細胞層は、しばしば、幹細胞の培養を支援し、それらの分化を阻害するために使用される。フィーダー細胞層は、一般に、関心対象の細胞と共培養され、関心対象の細胞の増殖に適した表面を提供する細胞の単層である。フィーダー細胞層は、関心対象の細胞が増殖することができる環境を提供する。フィーダー細胞は、増殖を防止するために有糸分裂不活性化されることが多い(例えば照射またはマイトマイシンCでの処理によって)。フィーダー細胞の使用は、細胞の継代を複雑にする(細胞を各継代でフィーダー細胞から分離しなければならず、各継代ごとに新たなフィーダー細胞が必要である)ので、望ましくない。フィーダー細胞の使用はまた、所望の細胞へのフィーダー細胞の混入をもたらすこともある。これは、いかなる医学的用途にとっても明らかに問題であり、研究状況においてさえも、細胞に対して行われた任意の実験の結果の分析を複雑にする。本明細書の他の箇所に記載されているように、本発明の培養培地は、フィーダー細胞と接触せずに細胞を培養するために使用できる、すなわち本発明の方法は、増殖が援助される細胞を支持するためにフィーダー細胞の層を必要としないので、特に有利である。

0225

したがって、本発明の組成物はフィーダー細胞不含の組成物であり得る。組成物は、通常、組成物中の細胞がフィーダー細胞層の不在下で少なくとも1継代培養されていれば、フィーダー細胞不含であるとみなされる。本発明のフィーダー細胞不含の組成物は、通常、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満のフィーダー細胞(組成物中の細胞の総数の%として表す)を含むか、または好ましくはフィーダー細胞を全く含まない。

0226

さらなる態様では、本発明の分化培地中で前駆細胞を培養する工程を含む、分化した細胞の集団またはオルガノイドを得るための方法が提供される。好ましくは、この方法は、本明細書に記載の分化方法を用いて本発明の分化培地中で前駆細胞を培養する工程を含む。

0227

いくつかの態様では、本発明の方法は、単一の上皮幹細胞からオルガノイド/分化した細胞の集団を得る工程を含む。別の態様では、本発明の方法は、上皮幹細胞の集団または上皮組織断片からオルガノイド/分化した細胞の集団を得る工程を含む。

0228

特定の態様では、分化したオルガノイドを得るための方法が提供され、この方法は、好ましくは上皮前駆細胞をECM、好ましくは三次元ECMと接触させて、本発明の分化培地中で上皮前駆細胞(例えば、任意でLgr5を発現する、上皮幹細胞)を培養する工程を含む。

0229

いくつかの態様では、本発明の方法は、前駆細胞を増殖培地中で一定の期間、例えば3日間〜10週間、1〜10週間、1〜4週間または10日間〜3週間にわたって培養する工程、次いで細胞を継代する工程(例えば、細胞を単一の細胞密度解離させ、1つの容器あたり(例えば1ウェルあたり)1個の細胞の割合で1つまたは複数の細胞を播種する)、増殖培地を用いて細胞を一定の期間、例えば3日間〜10週間、1〜10週間、1〜4週間または10日間〜3週間にわたって増殖させ続ける工程、ならびに継代および増殖の工程を少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回または少なくとも14回繰り返した後、細胞を分化させる工程を含む。

0230

いくつかの態様では、本発明の方法は、分化培地中で前駆細胞を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間培養する工程を含む。いくつかの態様では、この方法は、分化培地中で前駆細胞を約1〜約20日間、約1〜約10日間または約1〜約5日間培養する工程を含む。

0231

分化後、本発明の方法はさらに、1つまたは複数の分化した細胞または分化したオルガノイドを取得および/または単離する工程を含み得る。例えば、前駆細胞の培養後に、培養培地中で培養した1つもしくは複数の細胞および/または1つもしくは複数のオルガノイドを、その後の適用に使用するために培養培地から取り出すことが有用であり得る。当技術分野で公知の多数の物理的分離方法のいずれか1つを使用して、本発明の細胞を選択し、これらを他の細胞型と区別し得る。そのような物理的方法は、本発明の細胞によって特異的に発現されるマーカーに基づくFACSおよび様々な免疫親和性方法を含み得る。

0232

一態様では、細胞は、例えばこれらのマーカーの1つに対する抗体を利用したFACSによって単離し得る。当業者には明らかなように、これは、蛍光標識抗体を介して、または一次抗体に結合特異性を有する蛍光標識二次抗体を介して達成され得る。適切な蛍光標識の例には、FITC、Alexa Fluor(登録商標)488、GFP、CFSE、CFDA-SE、DyLight 488、PE、PerCP、PE-Alexa Fluor(登録商標)700、PE-Cy5(TRI-COLOR(登録商標))、PE-Cy5.5、PI、PE-Alexa Fluor(登録商標)750およびPE-Cy7が含まれるが、これらに限定されるわけではない。このリストは単なる例として提供されるものであり、限定を意図しない。

0233

あるいは、当技術分野で周知の分離方法である免疫親和性精製によって細胞を単離し得る。この方法は、精製カラムへの抗体の固定化に基づく。次いで、細胞試料カラム負荷し、適切な細胞を抗体に結合させ、したがってカラムに結合させる。洗浄工程後、固定化された抗体に選択的に結合する競合物質を用いて細胞をカラムから溶出させ、カラムから放出させる。

0234

固定化された抗体を使用する免疫親和性精製が、精製された細胞集団を提供することは、当業者には明らかであろう。しかし、いくつかの態様では、他の同定可能なマーカーの1つまたは複数を用いてさらに1回の免疫親和性精製を実施することによって細胞集団をさらに精製し、単離されたクローンアリコートを使用して他の関連する細胞内マーカーの発現を確認することが好ましいと考えられる。

0235

同じ物理的分離方法を含む連続的な精製工程が必ずしも必要とされないことは、当業者には明らかであろう。

0236

分化した細胞およびオルガノイド
本発明はさらに、分化したオルガノイドまたは1つもしくは複数の分化した細胞の集団を提供する。

0237

分化したオルガノイドは、分化した上皮細胞型を含む三次元構造体である。分化したオルガノイドは、典型的には自己組織化しており、細胞が分化すると共にオルガノイド中の細胞の三次元配置が自発的に生じることを意味する。いくつかの態様では、分化したオルガノイドは、任意でLgr5を発現する、上皮幹細胞に由来する。

0238

一態様では、本発明は、例えば、好ましくは前駆細胞を三次元ECMと接触させて、本発明の分化培地中で前駆細胞を培養する工程を含む、本発明の方法によって得ることのできるまたは得られる分化したオルガノイドまたは1つもしくは複数の分化した細胞の集団を提供する。

0239

細胞の「集団」は、1より大きい任意の数の細胞であるが、好ましくは少なくとも10個の細胞、少なくとも50個の細胞、少なくとも100個の細胞、少なくとも500個の細胞、少なくとも1x103個の細胞、少なくとも1x104個の細胞、少なくとも1×105個の細胞、少なくとも1×106個の細胞、少なくとも1×107個の細胞、少なくとも1×108個の細胞、または少なくとも1×109個の細胞である。

0240

本発明による分化したオルガノイドは、少なくとも10個の細胞、少なくとも50個の細胞、少なくとも100個の細胞、少なくとも500個の細胞、少なくとも1x103個の細胞、少なくとも1x104個の細胞、少なくとも1×105個の細胞、少なくとも1×106個の細胞、少なくとも1×107個の細胞またはそれより多くの細胞の集団を含み得る。いくつかの態様では、各々のオルガノイドは、約1x103個の細胞〜5×103個の細胞を含み、一般に、10〜20個のオルガノイドを、例えば24ウェルプレートの、1つのウェル中で一緒に成長させ得る。

0241

本発明のオルガノイドは天然に存在する組織断片ではなく、および/または血管を含まないことは、当業者に明らかである。例えば、本発明の肝臓オルガノイドの場合、天然に存在する肝小葉または天然に存在する胆管を含まない。

0242

本発明のオルガノイドは、例えば、上皮細胞型だけを含む(間葉細胞または他の構造細胞型を含まない)ため、天然に存在する組織とは区別される。したがって、いくつかの態様では、本発明の分化したオルガノイドは上皮細胞だけを含む。いくつかの態様では、分化したオルガノイドは非上皮細胞を含まない。例えば、特定の態様では、分化したオルガノイドは間葉細胞を含まない。

0243

本明細書に記載の分化培地は、好ましくは、培養の少なくとも5日間、細胞の特異的分化を誘導または促進する。分化は、特定の組織系統、例えば本明細書で定義される肝臓系統に関連する特異的マーカーの存在を検出することによって測定し得る。分化は、組織系統、例えば本明細書で定義される肝臓系統に関連する特異的マーカーの存在を検出することによって測定し得る。マーカーの同一性に依存して、前記マーカーの発現は、本明細書で定義される分化培地での少なくとも5、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16日間またはそれ以上の培養後に、RTPCRまたは免疫組織化学によって評価し得る。

0244

「発現される」という用語は、細胞内のマーカーの存在を表すために使用される。発現されるとみなされるためには、マーカーが検出可能なレベルで存在しなければならない。「検出可能なレベル」とは、マーカーが、PCR、ブロッティングまたはFACS分析などの標準的な実験室方法の1つを使用して検出できることを意味する。遺伝子は、1個の細胞につき少なくとも約100コピーの細胞における発現レベルに対応する、30回のPCRサイクル後に発現が合理的に検出され得る場合、本発明の集団の細胞によって発現されるとみなされる。「発現する」および「発現」という用語は対応する意味を有する。この閾値より低い発現レベルでは、マーカーは発現されないとみなされる。本発明の細胞におけるマーカーの発現レベルと、例えば胚性幹細胞などの別の細胞における同じマーカーの発現レベルとの比較は、好ましくは、同じ種から単離された2つの細胞型を比較することによって実施され得る。好ましくは、この種は哺乳動物であり、より好ましくはこの種はヒトである。そのような比較は、好都合には、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)実験を用いて実施され得る。

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