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課題・解決手段

本発明は、オートブランクの使用を含む、表面プラズモン共鳴による複雑な生体試料中分析物の活動濃度、及び任意選択で分析物とリガンドとの相互作用動力学定数測定方法に関する。

概要

背景

臓器移植の最初の30年間の間、Tリンパ球に作用する免疫抑制治療の開発に努力が集中されており、その主なサクスストーリーは、急性細胞性拒絶反応の発生を低減し、移植臓器短期生存を増加することを可能にしている、カルシニューリン阻害剤である。にもかかわらず、移植片の長期間生存は、わずかに改善するのみであった。抗HLA抗体の検出を可能にする技法の開発は、これらの主に体液性免疫応答のためであると思われる後期移植片機能損失について明らかにした。実際、臓器に関係なく、ドナー特異的な抗HLA抗体(DSA:ドナー特異的抗体)の存在が、急性及び/又は慢性炎症病変の進行を引き起こし、これはある程度長期的な規模で、移植片の機能及び生存に影響を与える。DSA、特にIgGアイソタイプのものは、臓器移植における移植片機能損失における主な原因である。

HLAのDSAは、アミノ酸配列においてレシピエントのものと異なるドナーのHLA分子を認識する。実際、HLA分子は、非常に多形性であり、臓器移植の大多数がドナーとレシピエントの間の相違を有しつつ実施される。これらの相違は、HLA分子の様々な位置にわたって局在した形で分布し、分子の大部分が抗原間で保存されている。

Luminex(登録商標)「単一抗原」アッセイ(SAFB)は、レシピエントの血清中のIgG抗HLAのDSAを同定するための、現在最も正確で感受性の高いツールである。SAFBは、抗体の「強度」の半定量的値として使用される、平均蛍光強度(MFI)を測定する。技法において観察される平均バックグランドノイズから定義され得る生物学的陽性閾値はともかく、臨床的陽性閾値は、いまだよく定義されていない。異なる組織適合性検査室において、供給者に応じて観察されるMFI値についての基準試料非存在及び不一致のためにこの作業は容易でない。したがって、MFIは、臨床結果と完全に相関せず、これはいくつかの理由による可能性がある。第一に、クラスIのSAFBは、細胞表面に結合できず、したがって、臨床的意義を有さない変性したクラスIの抗HLA抗体を頻繁に検出する。結果的に、これらの変性したクラスI抗HLA抗体の検出は、患者の免疫の誤った過大評価のために移植の利用に負の影響を有する。第二に、高MFIのIgG抗HLAは、ビーズ表面において補体活性化することが可能であり、立体障害によってIgG抗HLAの検出を低減し得るC4及びC3分解産物蓄積を導く。IgM抗HLAもまた、エピトープへの競合、立体障害、及び補体活性化を介して、IgGの検出と干渉し得ることもまた立証されている。最後に、SAFBはエンドポイント法であるので、DSAがインビボで移植片と相互作用している様式を反映せず、かつDSAとそれらの標的の間の相互作用の動力学定数を評価することを可能にしないが、これらの特性は、それらの病原性に影響を及ぼす可能性がある。

一方でSPRは、動力学相互作用定数を測定することが可能な技法である。SPRは、一方の側において偏光光検出器に向かって反射する前にプリズムを通って導かれ、他の側においてリガンド固相化されてバッファーの流れに浸漬される、金の薄層反射特性の変化に基づく。内部全反射の条件下において、偏光が金の薄層及びバッファー中への数百ナノメートルを貫通するエバネッセント波を生じ、そこでは光子の一部が吸収される。光検出器は反射光の強度を測定し、自由表面電子によるエバネッセント波のエネルギー吸収に対応する最小強度を所定の角度で観察することを可能にする。この最小が見出される角度を共鳴角と呼び、金層近接するエバネッセント波の場に存在する質量の関数として変化し、したがって質量におけるどのような変化も、屈折率を変化させる。したがって、SPRは、試験する分子の事前標識化を必要としない(すなわち「標識フリー」)技法である。

実際には、大多数のSPR装置は、いくつかのレーン又はスポットに分離された分析表面を有するマイクロアレイを使用する。表面にリガンドが結合すると、試験すべき分析物を含む溶液を一定の流速で所定の時間注入する。装置は、「リアルタイム」で、レーン表面における質量の変化による共鳴角の変化を常に測定する。時間の関数として測定されるシグナルセンサーグラムを構成し、その単位は共鳴単位(又はRU)である。1RUは、mm2辺り1ngのタンパク質の結合に対応する。試験すべき溶液の注入の不存在において、ランニングバッファーが表面上を流れ、シグナルは時間の関数として変化しない。固相化したリガンドに結合することができる分析物を注入する間、質量がトラックの表面において増加する。屈折率が変化するので共鳴角が変化する。測定されたシグナル(RU)は、時間の関数として増加する。したがって、それは、所定のリガンドとの分析物の相互作用をリアルタイムで試験することができる。複合体の形成の間の共鳴角の変化は、分析物とリガンドとの間の質量比によって決まることに注目すべきである。更に、ポリマーマトリクス上に固相化されるリガンドとの相互作用が可能となるにはまず、分析物は、このマトリクスの上を通過する流れ(又はバルク)から、質量輸送係数である定数kmに従ってこのマトリクスに向かって拡散しなければならない。

kmは、分析物の拡散係数(D)、注入流速(f)、及び測定セルの寸法に依存する。分析物の拡散係数は、その質量、その摩擦係数に依存し、かつ使用する溶液の相対粘度にも依存する。

注入の終了時に、ランニングバッファーが後を引継ぎ、分析物が解離し、バッファーの流れで運搬される。レーン表面で質量が減少するので、共鳴角が他の方向に変化する。したがって、シグナル(RU)が経時的に減少する。この解離フェーズは、バッファーの流速とは独立に、複合体の解離速度に応じ大方迅速である。

大部分の抗原抗体の対(Ag-Ab)に関して、複合体の解離速度はより遅い。これは、別のサイクルの分析物注入を実施することを可能にするために、複合体を即時に解離させるための再生溶液を表面上に注入することを必要とする。再生溶液はしばしば、酸性又は塩基性溶液、又はかなりのイオン強度を有するか若しくは界面活性剤及び有機化合物を含む溶液から形成される。この溶液は、固相化リガンド又はマイクロアレイの表面を分解することなく、分析物-リガンド複合体を完全にかつ即時に解離させなければならない。これは、レーンを変える必要がなく、又は同一の量のリガンドを再度固相化する必要がなく、表面上での注入を増加させることを可能にする。

HLA抗体の分析文脈において、マイクロアレイ上のHLA分子の直接的(共有結合の)固相化は、HLA分子が再生に耐えないので、想定できない。したがって、この欠点を克服することを可能にするため、捕捉システムが開発され、試験されている(Visentin等、2016、Talanta、148、478〜485頁)。したがって、抗β2-ミクログロブリン抗体(全てのHLAクラスI分子と結合している不変鎖)が、表面上に共有結合で固相化され、HLA分子を捕捉する役割を果たし、したがって、分析物である抗HLA抗体との相互作用部位となり得るリガンドを提示する。

SPRは、分析物の活動濃度、すなわちリガンドと相互作用できる分析物の画分の濃度の測定を可能にする。他の方法と異なり、この測定は、検量線なしで実施できる。検量線不要濃度分析又はCFCA名称で知られる方法は、上述の質量輸送制限の現象に基づく。表面に向かう分析物の拡散速度が、そのリガンドとの結合速度よりも遅い場合、見かけの結合速度は、それが分析物の標的に向かう拡散に依存するので、減少する。したがって、同一の濃度、温度及び溶液の条件下で使用される分析物に関して、質量輸送係数(km)は、流速にのみ依存するであろう。したがって、流れに応じて異なる、初期結合勾配が観察されるであろう。

したがって、捕捉モードで使用されるSPRが単純培地(生理学的バッファー)においてモノクローナル抗HLA(ヒト白血球抗原)抗体の活動濃度及び動力学相互作用定数を測定することを可能にすることが示されている(Visentin等、2016、Talanta、148、478〜485頁)。今日までに、これがそのことを実施することができる唯一の方法である。

検量線を作成することがそもそも不可能であることを考えると、CFCAの使用は、患者起源の抗HLA抗体の文脈において非常に重要である。各個体が事前に、それらのHLA標的との親和性に関して独特の抗体を有するので、基準試料が存在しない。

遅い流れ、大量の固相化リガンド、及び分析物の低い濃度の使用は、質量輸送による制限を促進する。この捕捉モードの用途の文脈において、表面上に非常に大量の捕捉抗体の固相化を必要とする。したがって、分析物を、遅い流速及び速い流速の2つの異なる流速において注入する。使用された流速の関数としての結合速度の比較は、分析物の活動濃度の計算を可能にする。

SPRはまた、上昇する濃度の分析物を表面上に注入することによって、分析物-リガンド複合体の親和性の測定を可能にする。実験は、結合-解離そして再生の複数のサイクル[多重サイクル動態解析(MCK)]によって、又は注入間の再生サイクルなしに、標的が飽和に達するまで、上昇する濃度の分析物を注入すること[単一サイクル動態回析(SCK)]によって、実施してもよい。これらの2つの方法は、捕捉モードにおいてすでに使用されている。

分析ソフトウェアは、所定の相互作用モデル、最も一般的には単純1:1二分子モデルによって、センサーグラムの調整又は「フィット」の実施を可能にする。基本的な結合定数及び解離定数、ka及びkdは、この分析から直接測定される。

これらのパラメータを測定することは、分析物の活動濃度、すなわち、実際にリガンドと相互作用可能である試料の画分の濃度の正確な知識を必要とすることに留意することは重要である。実際、注入した分析物の濃度の知識は、動態データを分析するために必要である。Ag-Ab対の試験の文脈において、分光光度法又は比色法によって抗体の濃度を測定することは、それらの技術が、全体の濃度の測定することのみ可能であるため、精巧ではない。それらは、精製から生じ、測定値に加わるであろう不純物を省くことができない。それらは、精製中に変性した抗体の画分の推定を可能にしない。

不幸にも、Visentin等、2016(Talanta、148、478〜485頁)に記載される方法は、例えば、患者からの血清/血漿、及びそれらの派生物のような複雑な媒体において直接的に使用することができない。実際、この方法の応用は、分析表面上の、この型の試料からの、多かれ少なかれ周知又は不明の、様々な構成物による非特異的結合(NSB)に関連する技術的問題に直面している。非特異的結合のこれらの問題は、結果の解釈を不可能にする。

したがって、複雑な生体試料中の抗HLA抗体を精緻かつ正確に測定及び分析することの既存の要求にかかわらず、SPR法は、この型の試料に適用することができない。この要求は、複雑な試料が考慮されるときに同一の困難に遭遇する他の分析物-リガンド対に拡張できる。

概要

本発明は、オートブランクの使用を含む、表面プラズモン共鳴による複雑な生体試料中の分析物の活動濃度、及び任意選択で分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数の測定方法に関する。

目的

効果

実績

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請求項1

複雑な生体試料中で、表面プラズモン共鳴によって分析物の活動濃度、及び任意選択で、分析物とリガンドとの相互作用動力学定数を測定する方法であって、-分析物のリガンドに特異的な捕捉剤固相化された表面プラズモン共鳴チップを用意する工程と、-捕捉剤による、試験される分析物に結合しないコントロールリガンドの捕捉の工程と、-所定の流速で所定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、-表面の再生の工程と、-捕捉剤による、試験される分析物に結合するリガンドの捕捉の工程と、-同一の所定の流速で同一の所定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、-試験される分析物に結合するリガンドにより得られたセンサーグラムからのコントロールリガンドにより得られたセンサーグラムの減算の工程と、-分析物の活動濃度及び任意選択での分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数の計算の工程と、を含み、コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが似た質量のものであり、コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが捕捉剤によって同等な量で捕捉されることを特徴とする方法。

請求項2

複雑な生体試料血清血漿、尿、洗浄液腹水生検溶出液、及び細胞培地から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

複雑な生体試料が血清又は血漿であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。

請求項4

試料が少なくとも2つの異なる流速で注入され、複雑な生体試料中の分析物の活動濃度が計算されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

試料が異なる濃度で注入され、複雑な生体試料中の分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数が計算されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。

請求項6

分析物-リガンド対が、抗体-抗原対、リガンド-受容体対、又は生体異物-分子標的対から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

分析物が抗HLA抗体であり、コントロールリガンドが試験される抗体によって認識されないHLA抗原であり、試験される分析物に結合するリガンドは試験される抗体の標的HLA抗原であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

試料が、加熱処理ジチオスレイトール(DTT)処理、プロテインG樹脂によるIgG精製工程、試料の濃縮工程、透析工程、特に100kDaのカットオフ閾値によるもの、及びいくつかのこれらの処理の組み合わせから選択される1つ以上の前処理を経ていることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

請求項9

試料が加熱処理及びプロテインG樹脂によるIgGの精製工程の組み合わせを予め経ていることを特徴とする、請求項8に記載の方法。

請求項10

試料中の抗HLA抗体が検出される前工程を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の方法。

請求項11

請求項8から10のいずれか一項に記載の方法に好適なキットであって、-HLAクラスI抗原に特異的な、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、-HLA-DQ抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、-HLA-DR抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、-HLA-DP抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、から選択される少なくとも2つ又は3のレーンを含む表面プラズモン共鳴チップを含むキット。

請求項12

-HLAクラスI抗原に特異的な、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、-HLA-DQ抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、-HLA-DR抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、を含むことを特徴とする、請求項11に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)による複雑な生体試料中分析物の活動濃度、任意選択で分析物の動力学相互作用定数測定方法に関する。

背景技術

0002

臓器移植の最初の30年間の間、Tリンパ球に作用する免疫抑制治療の開発に努力が集中されており、その主なサクスストーリーは、急性細胞性拒絶反応の発生を低減し、移植臓器短期生存を増加することを可能にしている、カルシニューリン阻害剤である。にもかかわらず、移植片の長期間生存は、わずかに改善するのみであった。抗HLA抗体の検出を可能にする技法の開発は、これらの主に体液性免疫応答のためであると思われる後期移植片機能損失について明らかにした。実際、臓器に関係なく、ドナー特異的な抗HLA抗体(DSA:ドナー特異的抗体)の存在が、急性及び/又は慢性炎症病変の進行を引き起こし、これはある程度長期的な規模で、移植片の機能及び生存に影響を与える。DSA、特にIgGアイソタイプのものは、臓器移植における移植片機能損失における主な原因である。

0003

HLAのDSAは、アミノ酸配列においてレシピエントのものと異なるドナーのHLA分子を認識する。実際、HLA分子は、非常に多形性であり、臓器移植の大多数がドナーとレシピエントの間の相違を有しつつ実施される。これらの相違は、HLA分子の様々な位置にわたって局在した形で分布し、分子の大部分が抗原間で保存されている。

0004

Luminex(登録商標)「単一抗原」アッセイ(SAFB)は、レシピエントの血清中のIgG抗HLAのDSAを同定するための、現在最も正確で感受性の高いツールである。SAFBは、抗体の「強度」の半定量的値として使用される、平均蛍光強度(MFI)を測定する。技法において観察される平均バックグランドノイズから定義され得る生物学的陽性閾値はともかく、臨床的陽性閾値は、いまだよく定義されていない。異なる組織適合性検査室において、供給者に応じて観察されるMFI値についての基準試料非存在及び不一致のためにこの作業は容易でない。したがって、MFIは、臨床結果と完全に相関せず、これはいくつかの理由による可能性がある。第一に、クラスIのSAFBは、細胞表面に結合できず、したがって、臨床的意義を有さない変性したクラスIの抗HLA抗体を頻繁に検出する。結果的に、これらの変性したクラスI抗HLA抗体の検出は、患者の免疫の誤った過大評価のために移植の利用に負の影響を有する。第二に、高MFIのIgG抗HLAは、ビーズ表面において補体活性化することが可能であり、立体障害によってIgG抗HLAの検出を低減し得るC4及びC3分解産物蓄積を導く。IgM抗HLAもまた、エピトープへの競合、立体障害、及び補体活性化を介して、IgGの検出と干渉し得ることもまた立証されている。最後に、SAFBはエンドポイント法であるので、DSAがインビボで移植片と相互作用している様式を反映せず、かつDSAとそれらの標的の間の相互作用の動力学定数を評価することを可能にしないが、これらの特性は、それらの病原性に影響を及ぼす可能性がある。

0005

一方でSPRは、動力学相互作用定数を測定することが可能な技法である。SPRは、一方の側において偏光光検出器に向かって反射する前にプリズムを通って導かれ、他の側においてリガンド固相化されてバッファーの流れに浸漬される、金の薄層反射特性の変化に基づく。内部全反射の条件下において、偏光が金の薄層及びバッファー中への数百ナノメートルを貫通するエバネッセント波を生じ、そこでは光子の一部が吸収される。光検出器は反射光の強度を測定し、自由表面電子によるエバネッセント波のエネルギー吸収に対応する最小強度を所定の角度で観察することを可能にする。この最小が見出される角度を共鳴角と呼び、金層近接するエバネッセント波の場に存在する質量の関数として変化し、したがって質量におけるどのような変化も、屈折率を変化させる。したがって、SPRは、試験する分子の事前標識化を必要としない(すなわち「標識フリー」)技法である。

0006

実際には、大多数のSPR装置は、いくつかのレーン又はスポットに分離された分析表面を有するマイクロアレイを使用する。表面にリガンドが結合すると、試験すべき分析物を含む溶液を一定の流速で所定の時間注入する。装置は、「リアルタイム」で、レーン表面における質量の変化による共鳴角の変化を常に測定する。時間の関数として測定されるシグナルセンサーグラムを構成し、その単位は共鳴単位(又はRU)である。1RUは、mm2辺り1ngのタンパク質の結合に対応する。試験すべき溶液の注入の不存在において、ランニングバッファーが表面上を流れ、シグナルは時間の関数として変化しない。固相化したリガンドに結合することができる分析物を注入する間、質量がトラックの表面において増加する。屈折率が変化するので共鳴角が変化する。測定されたシグナル(RU)は、時間の関数として増加する。したがって、それは、所定のリガンドとの分析物の相互作用をリアルタイムで試験することができる。複合体の形成の間の共鳴角の変化は、分析物とリガンドとの間の質量比によって決まることに注目すべきである。更に、ポリマーマトリクス上に固相化されるリガンドとの相互作用が可能となるにはまず、分析物は、このマトリクスの上を通過する流れ(又はバルク)から、質量輸送係数である定数kmに従ってこのマトリクスに向かって拡散しなければならない。

0007

kmは、分析物の拡散係数(D)、注入流速(f)、及び測定セルの寸法に依存する。分析物の拡散係数は、その質量、その摩擦係数に依存し、かつ使用する溶液の相対粘度にも依存する。

0008

注入の終了時に、ランニングバッファーが後を引継ぎ、分析物が解離し、バッファーの流れで運搬される。レーン表面で質量が減少するので、共鳴角が他の方向に変化する。したがって、シグナル(RU)が経時的に減少する。この解離フェーズは、バッファーの流速とは独立に、複合体の解離速度に応じ大方迅速である。

0009

大部分の抗原抗体の対(Ag-Ab)に関して、複合体の解離速度はより遅い。これは、別のサイクルの分析物注入を実施することを可能にするために、複合体を即時に解離させるための再生溶液を表面上に注入することを必要とする。再生溶液はしばしば、酸性又は塩基性溶液、又はかなりのイオン強度を有するか若しくは界面活性剤及び有機化合物を含む溶液から形成される。この溶液は、固相化リガンド又はマイクロアレイの表面を分解することなく、分析物-リガンド複合体を完全にかつ即時に解離させなければならない。これは、レーンを変える必要がなく、又は同一の量のリガンドを再度固相化する必要がなく、表面上での注入を増加させることを可能にする。

0010

HLA抗体の分析文脈において、マイクロアレイ上のHLA分子の直接的(共有結合の)固相化は、HLA分子が再生に耐えないので、想定できない。したがって、この欠点を克服することを可能にするため、捕捉システムが開発され、試験されている(Visentin等、2016、Talanta、148、478〜485頁)。したがって、抗β2-ミクログロブリン抗体(全てのHLAクラスI分子と結合している不変鎖)が、表面上に共有結合で固相化され、HLA分子を捕捉する役割を果たし、したがって、分析物である抗HLA抗体との相互作用部位となり得るリガンドを提示する。

0011

SPRは、分析物の活動濃度、すなわちリガンドと相互作用できる分析物の画分の濃度の測定を可能にする。他の方法と異なり、この測定は、検量線なしで実施できる。検量線不要濃度分析又はCFCA名称で知られる方法は、上述の質量輸送制限の現象に基づく。表面に向かう分析物の拡散速度が、そのリガンドとの結合速度よりも遅い場合、見かけの結合速度は、それが分析物の標的に向かう拡散に依存するので、減少する。したがって、同一の濃度、温度及び溶液の条件下で使用される分析物に関して、質量輸送係数(km)は、流速にのみ依存するであろう。したがって、流れに応じて異なる、初期結合勾配が観察されるであろう。

0012

したがって、捕捉モードで使用されるSPRが単純培地(生理学的バッファー)においてモノクローナル抗HLA(ヒト白血球抗原)抗体の活動濃度及び動力学相互作用定数を測定することを可能にすることが示されている(Visentin等、2016、Talanta、148、478〜485頁)。今日までに、これがそのことを実施することができる唯一の方法である。

0013

検量線を作成することがそもそも不可能であることを考えると、CFCAの使用は、患者起源の抗HLA抗体の文脈において非常に重要である。各個体が事前に、それらのHLA標的との親和性に関して独特の抗体を有するので、基準試料が存在しない。

0014

遅い流れ、大量の固相化リガンド、及び分析物の低い濃度の使用は、質量輸送による制限を促進する。この捕捉モードの用途の文脈において、表面上に非常に大量の捕捉抗体の固相化を必要とする。したがって、分析物を、遅い流速及び速い流速の2つの異なる流速において注入する。使用された流速の関数としての結合速度の比較は、分析物の活動濃度の計算を可能にする。

0015

SPRはまた、上昇する濃度の分析物を表面上に注入することによって、分析物-リガンド複合体の親和性の測定を可能にする。実験は、結合-解離そして再生の複数のサイクル[多重サイクル動態解析(MCK)]によって、又は注入間の再生サイクルなしに、標的が飽和に達するまで、上昇する濃度の分析物を注入すること[単一サイクル動態回析(SCK)]によって、実施してもよい。これらの2つの方法は、捕捉モードにおいてすでに使用されている。

0016

分析ソフトウェアは、所定の相互作用モデル、最も一般的には単純1:1二分子モデルによって、センサーグラムの調整又は「フィット」の実施を可能にする。基本的な結合定数及び解離定数、ka及びkdは、この分析から直接測定される。

0017

これらのパラメータを測定することは、分析物の活動濃度、すなわち、実際にリガンドと相互作用可能である試料の画分の濃度の正確な知識を必要とすることに留意することは重要である。実際、注入した分析物の濃度の知識は、動態データを分析するために必要である。Ag-Ab対の試験の文脈において、分光光度法又は比色法によって抗体の濃度を測定することは、それらの技術が、全体の濃度の測定することのみ可能であるため、精巧ではない。それらは、精製から生じ、測定値に加わるであろう不純物を省くことができない。それらは、精製中に変性した抗体の画分の推定を可能にしない。

0018

不幸にも、Visentin等、2016(Talanta、148、478〜485頁)に記載される方法は、例えば、患者からの血清/血漿、及びそれらの派生物のような複雑な媒体において直接的に使用することができない。実際、この方法の応用は、分析表面上の、この型の試料からの、多かれ少なかれ周知又は不明の、様々な構成物による非特異的結合(NSB)に関連する技術的問題に直面している。非特異的結合のこれらの問題は、結果の解釈を不可能にする。

0019

したがって、複雑な生体試料中の抗HLA抗体を精緻かつ正確に測定及び分析することの既存の要求にかかわらず、SPR法は、この型の試料に適用することができない。この要求は、複雑な試料が考慮されるときに同一の困難に遭遇する他の分析物-リガンド対に拡張できる。

0020

WO2013/002717

先行技術

0021

Visentin等、2016、Talanta、148、478〜485頁
Karlsson等、1993、J.Immunol.Methods、166、75〜778頁
Sigmundsson、(2002、Biochemistry、41、8263〜8276頁

発明が解決しようとする課題

0022

本発明の主題は、ヒト血清又は血漿のような複雑な媒体における、分析物の活動濃度、及び任意選択で分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数の測定方法の適用中に遭遇する技術的課題を解決することを可能にする。好適な方法を得るのに2年の開発が必要であった。

0023

したがって、本発明の主題は、捕捉モードのSPR法の特定の実施形態であり、複雑な試料の活動濃度及び動力学相互作用定数のパラメータの取得を可能にし、これによって、既存の臨床及び研究の要求に合致する。

課題を解決するための手段

0024

本発明は、複雑な生体試料中で、表面プラズモン共鳴によって分析物の活動濃度、及び任意選択で、分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数を測定する方法であって、
- 分析物のリガンドに特異的な捕捉剤が固相化された表面プラズモン共鳴チップを用意する工程と、
- 捕捉剤による、試験される分析物に結合しないコントロールリガンドの捕捉の工程と、
- 所定の流速で所定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 表面の再生の工程と、
- 捕捉剤による、試験される分析物に結合するリガンドの捕捉の工程と、
- 同一の所定の流速で同一の所定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 試験される分析物に結合するリガンドにより得られたセンサーグラムからのコントロールリガンドにより得られたセンサーグラムの減算の工程と、
- 分析物の活動濃度の計算の工程と、
- 任意選択で、分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数を測定する工程と、
を含み、
コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが似た質量のものであり、コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが捕捉剤によって同等な量で捕捉されることを特徴とする方法に関する。

0025

好ましくは、複雑な生体試料は、血清、血漿、尿、洗浄液腹水生検溶出液、及び細胞培地から選択される。好ましい実施形態において、複雑な生体試料は血清又は血漿である。

0026

第1の実施形態において、試料は少なくとも2つの流速で注入され、複雑な生体試料中の分析物の活動濃度が計算される。更に、試料は種々の濃度で注入され、複雑な生体試料中の分析物のリガンドとの相互作用の動力学定数が計算される。

0027

好ましくは、分析物-リガンド対は、抗体-抗原対、リガンド-受容体対、又は生体異物-分子標的対から選択される。

0028

特定の実施形態において、分析物は抗HLA抗体であり、コントロールリガンドは試験される抗体によって認識されないHLA抗原であり、試験される分析物に結合するリガンドは試験される抗体の標的HLA抗原である。試料は、加熱処理ジチオスレイトール(DTT)処理、プロテインG樹脂によるIgG精製工程、試料の濃縮工程、透析工程、特に100kDaのカットオフ閾値によるもの、及びいくつかのこれらの処理の組み合わせから選択される1つ以上の前処理を経ていてもよい。好ましくは、試料は、加熱処理及びプロテインG樹脂によるIgGの精製工程の組み合わせを予め経る。好ましくは、方法は、試料中の抗HLA抗体を検出する前工程を含む。

0029

本発明はまた、本発明による方法に好適なキットであって、
-HLAクラスI抗原に特異的な、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、
-HLA-DQ抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、
- HLA-DR抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、
- HLA-DP抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されているレーンと、
から選択される少なくとも2つ又は3のレーンを含む表面プラズモン共鳴チップを含むキットに関する。

0030

発明の詳細な説明
Visentin等、2016(Talanta、148、478〜485頁)に記載される方法は、例えば、患者からの血清/血漿、及びそれらの派生物のような複雑な媒体において使用することができないので、本願発明者らは複雑な試料のための方法の開発に注力した。実際、この方法の応用は、分析表面上の、この型の試料からの、多かれ少なかれ周知又は不明の、様々な構成物による非特異的結合(NSB)に関連する技術的問題に直面している。非特異的結合は、リガンドに対する分析以外の分子の望まれない結合を意味することが意図されている。これらの非特異的結合の問題は、結果の解釈を不可能にする。

0031

本発明の目的は、NSBを校正することが可能な技術的解決を発見することであった。したがって、分析物の活動濃度、したがって、分析物とリガンドとの間の相互作用の動力学定数、及び、演繹的に、ヒト対象由来生体液体のような複雑な媒体中に存在する分析物のそれらの標的に対する親和定数を測定することが可能になる。本発明はまた、試験される抗体を含む細胞培養上清のような、NSBを生じる可能性のある他の媒体と共に使用することができる。動力学相互作用定数の測定は、活動濃度の知識を必要とし、活動濃度それ自体は、動力学定数とは独立して使用され得るパラメータであることに注目すべきである。本発明の主題は、患者由来の試料のような複雑な媒体の分析を可能にし、したがって、それらが体系的に生じるNSBを排除することを意図した2年間の実験の到達点である。

0032

本願発明者らは、試料中に存在する抗体によって認識されないHLA分子が、それらの抗体の標的HLA分子と同等な量で捕捉されているレーン上において、各々の試料をそれ自身のブランクとして使用すべきことを発見した。これは、NSBの体系的校正を可能にし、信頼できる結果を得ることを可能にする。この試験は、オートブランクと呼ばれるであろう。本願発明者らによってこのアプローチは試験され、患者由来の血清において有効であると証明された。

0033

複雑な試料中の抗HLA抗体の分析に開発されたこの方法は、複雑な試料中の他の分析物-リガンド対の分析に適用できる。この方法は特に、抗体-抗原対、リガンド-受容体対、又は生体異物-分子標的対から選択される分析物-リガンド対の分析に適用できる。

0034

したがって、本発明は、複雑な生体試料中で、分析物の活動濃度、及び/又は分析物とリガンドとの間の相互作用の動力学定数を測定することを可能にする方法であって、
- 分析物のリガンドに特異的な捕捉剤が固相化された表面プラズモン共鳴チップを用意する工程と、
- 捕捉剤による、試験される分析物に結合しないコントロールリガンドの捕捉の工程と、
- 所定の流速で規定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 表面の再生の工程と、
- 捕捉剤による、試験される分析物に結合するリガンドの捕捉の工程と、
- 同一の所定の流速で同一の規定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 試験される分析物に結合するリガンドにより得られたセンサーグラムからのコントロールリガンドにより得られたセンサーグラムの減算の工程と、
- 分析物の活動濃度の計算の工程と、
-任意選択で、リガンド捕捉と分析物注入パラメータ修正後に同一の表面を用いて、分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数を測定する工程と、
を含み、
コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが似た質量のものであり、コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが捕捉剤によって同等な量で捕捉されることを特徴とする方法に関する。

0035

「分析物のリガンドに特異的な捕捉剤」は、それ自身が分析物と特異的に相互作用することができるリガンドと特異的結合確立することができる分子を表す。

0036

「試験される分析物に結合しないコントロールリガンド」は、捕捉剤と特異的な結合を確立できるが、試験される分析物と特異的結合を確立することのできない分子を表す。

0037

「試験される分析物に結合するリガンド」は、捕捉剤及び試験される分析物と特異的な結合を確立できる分子を表す。このリガンドは、本出願において、標的リガンドとも表され得る。

0038

これらの名称を示す実例は以下の通りである。

0039

抗体-抗原対である分析物-リガンド対の文脈において、捕捉剤は、抗原と結合する能力を有する分子、例えば、抗原に特異的な抗体であり、コントロールリガンドは捕捉剤によって結合される能力を有するが、抗体によって結合される能力を有さない分子であり、リガンドは抗原であり、分析物は抗原に特異的な抗体である。例えば、捕捉剤は、オリゴヌクレオチドアプタマーであってもよい。アプタマーは一般的に、SELEXと呼ばれる反復選択方法によって大量のランダム配列化合物コンビナトリアルライブラリーから、インビトロで単離された合成化合物である。

0040

受容体-リガンド対である分析物-リガンド対の文脈において、捕捉剤は、リガンドと結合する能力を有する分子、例えば、リガンドに特異的な抗体であり、コントロールリガンドは捕捉剤によって結合される能力を有するが、受容体によって結合される能力を有さない分子であり、リガンドは受容体のリガンドであり、分析物はリガンドに特異的な受容体であるか、又は、逆に、リガンドが受容体であってよく、分析物が受容体のリガンドであってよい。

0041

生体異物-分子標的対である分析物-リガンド対の文脈において、捕捉剤は、分子標的と結合する能力を有する分子、例えば、この標的に特異的な抗体であり、コントロールリガンドは捕捉剤によって結合される能力を有するが、生体異物によって結合される能力を有さない分子であり、リガンドは分子標的であり、分析物は生体異物である。

0042

特異的は、他と比べて優先的な、好ましくは、少なくとも100倍、1000倍、又は10000倍の結合を意味することが意図されている。

0043

「センサーグラム」は、エバネッセント波の場における質量の変化による共鳴角の変化に対応する、時間の関数として測定されたSPRシグナルの(グラフ)表示を意味することが意図されている。共鳴シグナルは、共鳴単位(RU)によって表される。好ましくは、センサーグラムは、好適なBiacore機器、特にBiacore T200、又は均等物によって測定される。

0044

コントロールリガンドと試験される分析物に結合するリガンドとが似た質量であることが特定されるとき、これは、リガンドが捕捉剤に固定されるとき、実質的に同一のシグナルを生じることを意味する。したがって、特定の実施形態において、それ自体の質量は、10%以下、好ましくは5%以下だけ異なる。したがって、試験される分析物に結合する100kDaのリガンドに対して、コントロールリガンドの質量は、90〜110kDaの間、好ましくは95〜105kDaの間であろう。

0045

「捕捉剤によって同等な量で捕捉される」ことが特定されるとき、これは、好ましくはRUで測定される捕捉される分子の量が、同一プラスマイナス20%、好ましくはプラスマイナス15%、更により好ましくはプラスマイナス10%である。捕捉される分子の量は、好ましくはRUで測定される。

0046

コントロールリガンドの存在におけるオートブランク工程は、標的リガンドとの分析物の試験工程の前後において実施され得ることに留意すべきである。

0047

したがって、分析物が抗HLA抗体である、特定の文脈において、本発明は、複雑な生体試料中で、活動濃度、及び/又は試験される抗HLA抗体と抗体によって認識されるHLA抗原との間の相互作用の動力学定数を測定することを可能にする方法であって、
- 抗体によって認識されるHLA抗原に特異的な捕捉剤が固相化された表面プラズモン共鳴チップを用意する工程と、
- 捕捉剤による、試験される抗体によって認識されないHLA抗原の捕捉又は固相化の工程と、
- 所定の流速で規定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 表面の再生の工程と、
- 捕捉剤による、試験される抗体の標的HLA抗原の捕捉の工程と、
- 同一の所定の流速で同一の規定の期間中に注入される、チップ上における試料の通過の工程と、
- 抗HLA抗体によって認識されるHLA抗原により得られたセンサーグラムからの抗HLA抗体によって認識されないHLA抗原により得られたセンサーグラムの減算の工程と、
- HLA抗原を認識する抗体の活動濃度の計算の工程と、
-任意選択で、リガンド捕捉と分析物注入パラメータの修正後に同一の表面を用いて、分析物とリガンドとの相互作用の動力学定数を測定する工程と、
を含み、
試験される抗体によって認識されないHLA抗原と、試験される抗体の標的HLA抗原とが捕捉剤によって同等な量で捕捉されることを特徴とする方法に関する。

0048

オートブランク工程は、標的HLA抗原との抗HLA抗体の試験工程の前後において実施され得ることに留意すべきである。

0049

「抗体の標的HLA」は、抗HLA抗体によって認識されるHLA抗原を意味することが意図されている。

0050

方法は、特に抗HLA抗体に関する。好ましくは、抗体はIgGであり、特にIgG1、IgG2、IgG3、及び/又はIgG4である。更に特に、方法は、IgMに関してIgGを適用する。

0051

チップ
チップは、SPRに好適な固体支持体である。そのようなチップは当業者に周知である。活性表面は、架橋(化学架橋)を介して金層上に固定されたポリマー(デキストラン)のマトリックスからなる。チップは、好ましくは、表面に沈着した金の薄層に共有結合したカルボキシメチル化デキストランの層を含む。マトリックスは、例えばアミンチオールヒドロキシルカルボキシル又はアルデヒド基を用いる単純な化学カップリングのために捕捉剤を共有結合的に固相化することを可能にする。非共有結合系、すなわち、例えば、捕捉剤を認識する抗体(例えば、捕捉剤がマウスIgGである場合に抗マウスIgG抗体)を固相化することによるか、又はそれぞれビオチン若しくはヒスチジン「タグ」によって予め機能化されているであろう、捕捉剤に結合するためのストレプトアビジン若しくはニッケルコンジュゲートを固相化することによる捕捉系を使用することもまた可能である。

0052

様々な適合したチップが市販される(GE Healthcare社, Xantec Bioanalytics社)。チップは好ましくはGE Healthcare社によって販売されるCM5チップである。

0053

捕捉剤
SPRチップは、その表面に固相化した捕捉剤を有する。捕捉剤は、分析物に特異的なリガンドを固定することができる。捕捉剤は、例えば、リガンドに特異的な抗体であるリガンドに直接的に結合してもよい。代替的に、捕捉剤は、例えば、リガンドに結合するタグを介して、及びタグに対する抗体を介してのように、リガンドに間接的に結合してもよい。タグは、例えば、ポリヒスチジンタググルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、又は均等物であってよい。

0054

捕捉剤は、抗体、又は抗体Fv、単一ドメイン抗体(dsFv又はナノボディ)、単鎖抗体(scFv)、Fab、F(ab')2、Fab'、sc(Fv)2、若しくはオリゴヌクレオチドアプタマーのような抗体誘導体であってよい。この捕捉剤は、化学カップリング、又はビオチン-ストレプトアビジン型の非共有結合によってチップ上に固相化される。

0055

抗HLA抗体の特定の文脈において、捕捉剤は、試料中の試験される抗体が親和性を有するHLA抗原に特異的である。

0056

試験される抗体がHLAクラスI分子に対する抗体であるとき、捕捉剤はこのHLAクラスに特異的である。それは例えば、β2マイクログロブリン(β2M)又はHLAクラスI座に特異的であり得る。HLAクラスI分子、好ましくはヒトβ2マイクログロブリンに特異的な市販の抗体は、例えばクローンB2M-01(ThermoFisher Scientific社、Rockford、IL)、クローンB2M-02(Abcam社、フランス)、クローン番号883028(R&D Systems社、フランス)、又はクローンW6/32として入手可能である。

0057

試験される抗体がHLAクラスII分子に対する抗体であるとき、捕捉剤はこのHLAクラス又はHLAクラスII座に特異的である。それは例えば、抗原HLA-DR、HLA-DQ及び/又はHLA-DPに対して特異的であり得る。特異的な市販の抗体も入手可能である。クローンREA332(Miltenyi Biotec社)、又はクローンTu39(BD Biosciences社、フランス)の抗体のような、HLAクラスIIの大部分を認識することを可能にする交差した特異性を有する抗体が特に存在する。代替的に、方法は、クローンTu169(BD Biosciences社、フランス)、又はクローンH1456(One Lambda, Inc社、Canoga Park、CA)のような汎DQ抗体を利用してもよい。同様に、HLA-DR抗原に対し、HLA-DR抗体が使用されるであろう。そのような抗体の例は、クローンG46-6(BD Biosciences社)、クローンH1458(One Lambda社)、又はクローンL243(Biolegend社)を含む。最後に、HLA-DP抗原に対し、抗HLA-DP抗体が使用されるであろう。そのような抗体の例は、クローンB7/21(Abcam社)、クローンHI43(AbD Serotec社)、又はクローンSP228(Lifespan Bioscience社)を含む。

0058

捕捉剤をチップ表面に固相化する技術は周知である。固相化は、好ましくは共有結合を介して実施される。例えば、カップリングは、特に供給者の取扱説明書(GE Healthcare社)に従って、N-ヒドロキシスクシンイミドとN-エチル-N'-ジメチルアミノプロピルカルボジイミドの混合物の存在下でアミド結合によって達成され得る。捕捉剤が共有結合で固相化されるこの実施形態は、再生可能な表面を得る利点を有する。代替的に、捕捉剤は、ストレプトアビジン-ビオチン対を介して固相されてもよい。

0059

一実施形態において、捕捉剤は、十分な量で表面上に固相化される。捕捉剤が抗体であるとき、それは特に、少なくとも10000RU、好ましくは15000RU、例えば、15000〜25000RUを達成するように固相化され得る。

0060

試料
本発明において想定される試料は複雑な生体試料である。血清及び血漿のような血液試料、尿、気管支肺胞洗浄液のような洗浄液からの液体、腹水、又は生検溶出液及び細胞培地は、複雑な生体試料と特に考えられる。好ましい実施形態において、複雑な試料は、血清、特にヒト血清である。

0061

SPRによって試料を試験する前に、試料は前処理を経てもよい。試料は、加熱処理、ジチオスレイトール(DTT)処理、プロテインG樹脂によるIgG精製工程、試料の濃縮工程、透析工程、特に試験される分析物に好適なカットオフ閾値によるもの、及びいくつかのこれらの処理の組み合わせを特に経ていてもよい。

0062

好ましい実施形態において、分析物が抗体、特にIgGアイソタイプの抗HLA抗体であるとき、試料は、加熱処理とIgGの精製工程との組み合わせによって処理される。代替的な好ましい実施形態において、試料は、加熱処理、ジチオスレイトール(DTT)、及び100kDaのカットオフ閾値による透析工程の組み合わせによって処理される。

0063

例えば、加熱処理は、40〜70℃、好ましくは50〜60℃、特に56℃で、10〜60分間、好ましくは20〜40分間、特に30分間の試料のインキュベーションでの加熱処理を含んでもよい。

0064

DTTによる処理は、1〜10mM、好ましくは5mMのDTT濃度に到達するために試料にDTTを添加すること、次いで30〜40℃、好ましくは37℃で、10〜60分間、好ましくは20〜40分間、特に30分間加熱することであってもよい。

0065

IgGは特に、供給者の推奨に従って、プロテインG結合セファロースビーズ(ThermoFisher Scientific社)又は任意の他の均等の装置で精製してもよい。精製した組成物は、Amicon Ultra-4 10 kDa centrifuges(ThermoFisher Scientific社)又は任意の他の均等の装置を用いて濃縮されてもよく、例えば開始時の容量に近い容量に戻るように2回濃縮されてもよい。

0066

試料の透析は、100kDaカットオフで、Float-A-Lyzer G2透析装置(Spectrum Laboratories社、Rancho Dominguez、CA)又は任意の他の同等の装置を用いてランニングバッファーに対して実施され得る。

0067

試料はまた、必要ならば希釈又は濃縮してもよい。それらは、いくつかの異なるレベルの希釈によって、方法において使用し得る。

0068

試料は、好ましくはランニングバッファー中で調製される。ランニングバッファーは、好ましくは、界面活性剤を含んでもよいリン酸バッファーである。特に、リン酸バッファーは、0.01Mであってよく、TWEEN(登録商標)20(0.05%)を含んでもよい。特定の実施形態において、ランニングバッファーは0.05%でのPBS-T(Sigma-Aldrich社)である。

0069

捕捉剤によるリガンドの捕捉
オートブランクを作成するために、表面は、捕捉剤を介して、試験される分析物によって結合されないリガンドを充填しなければならない。試験される分析物の測定を実施するために、表面は、捕捉剤を介して、分析物の標的リガンドを充填しなければならない。第1の実施形態において、分析物が抗HLA抗体であるとき、抗HLA抗体はHLAクラスIを認識する。HLAクラスIは、重鎖、β2マイクログロブリン(β2M)、及びペプチドを含む。HLAクラスIは、3つの大きなカテゴリー:HLA-A、HLA-B、及びHLA-Cを含む。

0070

第2の実施形態において、分析物が抗HLA抗体であるとき、抗HLA抗体はHLAクラスIIを認識する。HLAクラスIIは、2つの鎖α及びβ、並びにペプチドを含む。HLAクラスIIは、3つの大きなカテゴリー:HLA-DR、HLA-DQ、及びHLA-DPを含む。

0071

したがって、オートブランクを作成するために、表面は、捕捉剤を介して、試験される抗体によって認識されないHLA抗原を充填しなければならない。試験される抗体の測定を実施するために、表面は、捕捉剤を介して、標的HLA抗原、すなわち試験される抗体によって認識されるものを充填しなければならない。

0072

したがって、方法は、好ましくは試料中で抗HLA抗体を検出する前工程を含む。例えば、Luminex(登録商標)フォーマット(SAFB)における単一抗原技術を利用してもよく、又は任意の他の同等の方法、例えばELISAを利用してもよい。したがって、この予備工程の終点において、試料中に含まれる抗HLA抗体の性質は知られ、どれが試料中に存在する抗HLA抗体によって認識されるHLA抗原かを測定することが可能である。更に、方法はまた、全IgGを分析する予備工程を含んでもよい。この目的のために、例えば、BNII自動装置(Siemens Healthcare Diagnostics社、Marburg、ドイツ)における免疫比濁アッセイを実施することができる。全IgGの分析は、好ましくは試料の処理の前後において実施してもよい。

0073

好ましくは、オートブランクを作製するのに使用されるHLA抗原は、抗体によって認識される抗原と同一のクラスである。これは、それが捕捉剤によって認識される必要があるためである。

0074

したがって、試験される抗HLA抗体がHLAクラスI抗原を認識する抗体である場合、オートブランクを作製するために捕捉剤によって捕捉される抗原もまた、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤によって認識されるであろうクラスI抗原であるだろう。例えば、試験される抗HLA抗体がHLA-A11に対して特異的な抗体である場合、オートブランクのために使用される抗原はHLA-A2であってよい。

0075

代替的に、試験される抗HLA抗体がHLAクラスII抗原を認識する抗体である場合、オートブランクを作製するために捕捉剤によって捕捉される抗原もまたクラスII抗原であるだろう。例えば、試験される抗HLA抗体がHLA-DQ2に対して特異的な抗体である場合、オートブランクのために使用される抗原はHLA-DQ7又はDQ5であってよい。

0076

分析物の活動濃度の測定
CFCA法による分析は、当業者に周知であり、特に、Karlsson等(1993、J.Immunol.Methods、166、75〜778頁)及びSigmundsson等(2002、Biochemistry、41、8263〜8276頁)による文献に記載されている。CFCA法による活動濃度の測定方法は、特に、出願WO2013/002717(参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。この方法は、市販のシステムBiacore(登録商標)(GE Healthcare社、Uppsala、Swedenによって販売される)において使用されている。

0077

簡潔に、同一の濃度、温度、及び溶液の条件において、SPRシグナルが、アッセイされる試料の注入の2つの異なる流速において、時間の関数として測定される。各々の流れにおいて異なる結合の初期速度の分析は、注入された試料の活動濃度の測定を可能にする。

0078

センサーグラムを作製するために、試料にチップ上を通過させる。より詳細には、それは所定の流速で所定の期間注入される。表面に向かう分析物の拡散速度が分析物と標的リガンドとの結合速度よりも遅いことが特に必要である。抗HLA抗体である分析物の文脈において、表面に向かう抗体の拡散速度が、標的HLA抗原との結合速度よりも遅いことが必要である。この文脈において、異なる初期結合勾配が流速の関数として観察され、使用された流速の関数としての結合速度の比較は、分析物の活動濃度の計算を可能にする。したがって、試料は、遅い流速及び速い流速の2つの異なる流速でチップ上に注入され、これらの2つの流速は、異なる初期結合勾配を得るために選択される。温度、試料の濃度、及び注入時間の条件は同一で維持される。

0079

チップは、2つのセンサーグラム測定の間で再生される。再生は、チップを、表面が捕捉剤のみを持つその開始時の状態に戻すことを意味することが意図されている。再生溶液は、当業者に周知であり、例えば特にpH3未満の酸溶液である。

0080

遅い流速及び速い流速は、遅い流速における初期結合勾配が十分に大きく(5μl/分で0.3RU/秒よりも大きい)、かつ2つの流速間で十分に異なるセンサーグラムが得られるよう選択される。この相違は、0.2より大きい「QC比」によって示される。QC比は、質量輸送の制限の度合いを反映するQ指数である。

0081

0082

特に、速い流速は少なくとも5倍、10倍、15倍、20倍、又は50倍遅い流速よりも速い。速い流速は、特に、少なくとも5倍、10倍、15倍、20倍、又は50倍遅い流速よりも速くてもよい。例えば、遅い流速は、2〜20μl/分、好ましくは2〜10μl/分、及び特に好ましくは5μl/分であってよい。速い流速は、10〜100μl/分、好ましくは25〜100μl/分、及び特に好ましくは100μl/分であってよい。注入時間は、例えば30〜100秒、好ましくは40〜60秒、好ましくは50秒であってよい。

0083

活動濃度を測定するために、最大限可能な量のリガンドの捕捉が望ましい。

0084

好ましくは、抗HLA抗体である分析物の文脈において、活動濃度の測定のために、HLA抗原が捕捉剤によって大量に捕捉される。大量は、捕捉されるHLA抗原の量が少なくとも100RU、好ましくは200RU、300RU、又は400RUを超えることを意味することが意図されている。好ましい実施形態において、固相化されるHLA抗原の量は、500〜8000RUである。好ましくは、固相化されるHLA抗原の量は、500〜2000RUである。

0085

コントロールリガンドによるオートブランク及び標的リガンドによる試験は、リガンド間の相違を除いて同一の条件で実施される。

0086

オートブランクによって得られるセンサーグラムは、標的リガンドによって得られるセンサーグラムから減算される。したがって、試験される分析物の活動濃度を計算できる。

0087

分析物とリガンドとの間の相互作用の動力学定数の測定
SPRはまた、上昇する濃度の分析物(及びそれゆえに試料のもの)を表面上に注入することによって、抗HLA抗体-HLA抗原複合体の親和性の測定を可能にする。実験は、結合-解離そして再生の複数のサイクル(多重サイクル動態解析(MCK))によって、又は注入間の再生サイクルなしに、標的が飽和に達するまで、上昇する濃度の分析物を注入すること(単一サイクル動態回析(SCK))によって、実施してもよい。

0088

好ましくは、動力学相互作用定数を測定するために、リガンドは捕捉剤によって少量で、特に可能な限り最小の量で捕捉される。抗HLA抗体である分析物の文脈において、少量は、固相化されたHLA抗原の量が多くても150RU、好ましくは100RU未満であることを意味することが意図されている。好ましい実施形態において、固相化されるHLA抗原の量は、20〜100RU、好ましくは50〜100RUである。

0089

この文脈において、同一の温度、同一の流速、及び同一の注入期間が、変化する濃度の試験される分析物、したがって、生体試料の異なる濃縮/希釈に対して使用される。試料は、少なくとも2つの異なる濃度で、例えば2、3、4、5、又は6の濃度で注入される。好ましい実施形態において、3つの異なる濃度が使用される。好ましくはSCK法が使用されるとき、異なる濃度は上昇する。異なる濃度は、2〜10倍、例えば2、3、4、又は5倍変化してもよい。

0090

注入速度又は流速は、例えば1〜100μl/分、好ましくは10〜50μl/分、及び特に好ましくは25μl/分であってよい。

0091

注入時間は、例えば10〜100秒、好ましくは40〜70秒、好ましくは60秒であってよい。

0092

オートブランク及び標的リガンドによる試験は、リガンドの相違を除いて同一の条件で実施される。

0093

オートブランクによって得られるセンサーグラムは、標的リガンドによって得られるセンサーグラムから減算される。

0094

分析ソフトウェアは、所定の相互作用モデル、最も一般的には単純1:1二分子モデルによって、センサーグラムの調整又は「フィット」の実施を可能にする。基本的な結合定数及び解離定数、それぞれka及びkdは、この分析から直接決定される。

0095

キット
本発明はまた、本発明の方法を実施するのに好適なキットに関する。

0096

特に、キットは、いくつの異なるレーンを有するSPRチップを含むであろう。

0097

一実施形態において、分析物/リガンド対の文脈において、チップは、上に詳細されるように、リガンドに特異的な捕捉剤が固相化される1つ以上の選択されたレーンを含んでもよい。

0098

特定の実施形態において、抗HLA抗体である分析物の文脈において、チップは、以下のレーン
-HLAクラスI抗原に特異的な、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
-HLA-DQ抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
- HLA-DR抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
- HLA-DP抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
から選択される1つ以上のレーンを含んでもよい。

0099

好ましくは、チップは、上述のレーンから選択される少なくとも2つ又は3つのレーンを含む。

0100

好ましい実施形態において、チップは
-HLAクラスI抗原に特異的な、例えばβ2マイクログロブリンに特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
-HLA-DQ抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
- HLA-DR抗原(クラスII)に特異的な捕捉剤が固相化されるであろうレーンと、
を含む。

0101

一実施形態において、SPRチップは又は、基準レーンを含むであろう。

0102

キットは、オートブランク作製のために使用するもの、及び/又は試験を実施するための抗HLA抗体の標的HLAに対応するものの、1つ以上のHLA抗原を含んでもよい。

0103

キットはまた、コントロールとして有用であり得るよく分析された抗HLA抗体を1つ以上含んでもよい。

0104

キットはまた、例えば、ローディングバッファ、DTT、プロテインG樹脂等から選択される本発明の方法を実施するために必要な試薬を含んでもよい。キットはまた、操作指導書を含んでもよい。

0105

本発明はまた、複雑な生体試料中で、分析物の活動濃度及び/又は分析物とリガンドとの結合の動力学定数を測定するための、上に定義されるようなキットの使用に関する。特定の実施形態において、本発明は、活動濃度及び/又は抗HLA抗体と複雑な生体試料に含まれる抗体によって認識されるHLA抗原との結合の動力学定数を測定するための、上に定義されるようなキットの使用に関する。

0106

方法の使用
本発明は、臨床及び研究の目的を意図する。

0107

複雑な媒体に含まれる抗HLA抗体の活動濃度、及びそれらの標的との相互作用のそれらの動力学定数は、特に完全に不明であり、一方でそれらのパラメータは、それらの病理学的特徴を、特に移植の文脈において測定する際に非常に重要である。動力学相互作用定数の測定は、活動濃度の知識を必要とし、活動濃度それ自体は、動力学定数とは独立して使用され得るパラメータであることに注目すべきである。

0108

臨床の文脈において、これらのパラメータを測定することは、抗HLA抗体の存在のためにそれらの移植片の損失の危険性が最もある患者を決定すること(診断及び予後の対象)を可能にし、治療(抗体の濃度及び/又はそれらの親和性の調整)の効果をモニターすることも更に可能にする。大量の臨床及び生物学的データを蓄積した後、互いにより「適合する」、すなわち、比較的低く濃縮されるか、又は低親和性の抗HLA抗体の産生を誘導する、HLA抗原を選択することにより、ドナー/レシピエント対をマッチングする戦略を向上することがおそらく可能となるであろう。

0109

研究において、本発明を用いる正しい様式で分析された抗HLA抗体を、当該技術分野で一般的に利用されるインビトロモデル(内皮細胞末梢血リンパ球等)で使用すること、並びに活動濃度及び動力学定数のこれらの抗体の病原性のメカニズム、例えば補体活性化、細胞活性化、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、に対する影響を研究することを可能にする。本発明は、Luminex(登録商標)における単一抗原の日常的な技法、並びに微小リンパ球毒性及びフローサイトメトリーによる交差試験によってもたらされる結果へのより良い理解を可能にする。

0110

本願発明者らにより開発された方法は、他の応用分野においても利益を有し、完全に網羅するものでなく、以下を含む。
- ヒト試料のような複雑な媒体中の、例えばβ-2-マイクログロブリン(B2M)、又は前立腺特異抗原(PSA)のような腫瘍マーカー濃度測定のため。この文脈において、捕捉剤は、例えば、抗抗体抗体であってよく、標的リガンドが腫瘍マーカーに特異的な抗体であり、コントロールリガンドがこのマーカーに対して親和性を有さない抗体である。
-β2マイクログロブリンのアッセイのため。実際、β2マイクログロブリンは、11800Daのタンパク質であり、多発性骨髄腫及び悪性Bリンパ管症における第一線のマーカーとして研究室で日常的にアッセイされる。それらをアッセイはまた、HIV感染の予後及び治療のモニタリング慢性炎症性疾患のモニタリング、血液透析を受けている患者又は腎臓移植を受けた患者における腎機能の試験及びモニタリングにおいても使用される。それらの基準値は、1mg/ml(80nMより少し多い)のオーダーである。この文脈において、捕捉剤は、抗抗体抗体であり得、コントロールリガンドは、β2マイクログロブリンに対する親和性を有さない任意の抗体であり得、標的リガンドは、抗β2マイクログロブリン抗体であるだろう。
-ワクチン抗原に対する抗体の活動濃度を測定するため、及び任意選択で、例えばワクチンの有効性を評価するためにそれらの標的との相互作用のそれらの動態パラメータを定義するため。この文脈において、捕捉剤は、抗原又は抗原に結合したタグに対する抗体であり得、コントロールリガンドは、抗原とは異なるが似た質量を有する分子であり、標的リガンドはワクチンの1つ以上の抗原であろう。同様に、可能性のある用途は、感染後産生される任意の抗体に関し、個体の応答の有効性、及び問題の病原体関するそれらの防御のレベルを測定するためのものである。
-サイトカインの活動濃度を測定するため、及び任意選択で、それらの受容体との相互作用の動態パラメータを定義するため。この文脈において、捕捉剤は、受容体又は受容体に結合したタグに対する抗体であり得、コントロールリガンドは、サイトカインに対する親和性を有さない受容体又は分子であり、標的リガンドはサイトカイン受容体であろう。これは、その受容体と相互作用することができるサイトカインの画分を測定することを可能にし、いくつかのサイトカインは可溶性受容体複合体化して不活性になる可能性があることを知る。
- 例えばそれらの標的を抗標的又は抗タグ抗体を用いて捕捉することにより、薬学的分子の活動濃度を測定するため、及び任意選択で、それらの標的との相互作用の動態パラメータを定義するため。
- 抗医薬抗体の活動濃度を測定するため、及び任意選択で、それらの医薬に基づいた標的との相互作用の動態パラメータを定義するため。例えば、生物学的療法の標的(例えばTNFα)の固相化、次いで、生物学的療法(抗TNFα)の捕捉、及び、表面上のヒト試料の注入。オートブランクは、TNFαに対する別の生物学的療法を用いることによって得ることができる。

図面の簡単な説明

0111

患者の血清から予測される結果を導き出す連続的段階。
抗DQ2抗体を有する患者の血清起源の試料からのCFCAオートブランク(オートブランクDQ5)。試料の希釈は1/200までであり、測定された濃度は1.4nMであり、試料中の濃度は270nMであり、IgGアッセイの関数として校正した後の血清中の濃度は460nMでありQC比は0.496である。
抗DQ2抗体を有する患者の血清起源の試料からのSCKオートブランク(オートブランクDQ5)。使用された濃度はCFCAオートブランクから演繹される:2.16nM、10.8nM、及び54nM。ka=1.493×106M-1.s-1、kd=2.482×10-4s-1、KD=1.663×10-10M。
抗DQ2抗体を有する患者の血清起源の試料からのSCKオートブランクのブランク(明るいセンサーグラム)と反応(暗いセンサーグラム)の比較(オートブランクDQ5)。
CFCA SPRによって複雑な媒体中のB2Mの濃度の測定を可能にするシステム。
種々の条件におけるB2Mアッセイに対するCFCAセンサーグラム:従来のブランク(PBS-T)及びDTTで処理され、透析され、1/1000、1/100及び1/10で希釈されたた血清におけるオートブランク。センサーグラムはグレイで表示され、分析ソフトウェアによる調整は黒で表示される。

0112

本発明の主題は、患者由来の試料のような複雑な媒体の分析を可能にし、したがって、それらが体系的に表すNSBを排除することを意図した2年間の実験の到達点である。

0113

本願発明者らは、B2M-01(マウス抗B2MIgG2a)が固相化された(およそ16000RU)表面上で1/10まで希釈された患者からの血清を最初に試験した。全ての血清は、捕捉抗体が固定化されているか否かにかかわらず、表面と強い相互作用を示した(Table 1(表1))。

0114

0115

NSBの低減を試みるために、様々な処理を試料に施した(透析による小タンパク質の排除又は補体不活化)。様々な度合いで残留する非特異的結合が残ったため、これらの処理は、部分的にのみ効果的であることが実証された。残留するNSBは、それが全ての患者に同一であった場合、問題を示さなかった可能性もある。この場合、抗HLAを欠いている血清又は血清の混合物をブランクとして使用することもできた。しかしながら、残留するNSBは、試料間で非常に変動したことが観察された。

0116

したがって、本願発明者らは、プロテインG樹脂で血清IgGを精製することを企てた。PBS-Tに希釈した精製したIgGを用いた最初の結果は魅力的ではなかった。本願発明者らは、プロテインGで精製した組成物とのより多くのNSBさえも観察し、NSBはまた、分析した試料に応じて基準レーン上で変化し得たことも観察した。

0117

いくつかの数の他の試験が実施された。加熱による血清を変性すること、試験レーンの上流の抗B2Mを固相化したレーン上に試料を通過させることによりNSBを使い果たすこと、純粋な血清によりレーンを予め飽和させること、ランニングバッファー中にBSAを添加すること、表面を不活化すること、基準レーン上でアンカーを固相化すること。全ては同様に不十分な効果であったことを実証した。

0118

この調査段階で、本願発明者らは、患者起源の試料を使用するとき、得られるNSBをゼロに低減することは不可能であるということを認めた。にもかかわらず、得られた情報の重要な項目は、捕捉したHLAがNSBを低減したことであったが、これは、チップ上に存在するタンパク質の質量が、捕捉の非存在下と比べて増加したためである可能性が最も高い。

0119

したがって、本願発明者らは、試料中に存在する抗体によって認識されないHLA分子が、それらの抗体の標的HLA分子と同等な量で捕捉されているレーン上において、各々の試料をそれ自身のブランクとして使用するというアイディアを持った。

0120

本願発明者らは最初に、CFCAによって本願発明者らが活動濃度を測定した、非抗HLA免疫患者からの血清の派生物において使用するモノクローナル抗体を用いてこの方法を検証した。これは、マウスモノクローナル抗HLAクラスI抗体(抗HLA-A2)(抗B2M抗体、クローンB2M-01によるHLA分子の捕捉)、及びマウスモノクローナル抗HLAクラスII抗体(抗DQ2)(市販の抗DQ抗体、クローンTu169によるHLA分子の捕捉)に対して実施された。SPR装置上で実施される方法の一部は以下の通りであった。
1-SPRチップ上に化学カップリングによる捕捉抗体を固相化する工程。
2- CFCA法を実施する工程。
-ブランクのために、最初に、試験される抗体によって認識されないHLA抗原を表面上に大量に捕捉し、次いで、試験される抗体を含む溶液を所定の流速で所定の期間注入する。最後に、解離の短期間後に表面を再生し、これは次のサイクルに進むのを可能にする。
- 試験それ自体のために、最初に、試験される抗体によって認識されるHLA抗原を表面上に大量に捕捉し、次いで、試験される抗体を含む溶液を同一の所定の流速で同一の所定の期間注入する。最後に、解離の短期間後に表面を再生し、これは後続のサイクルに進むのを可能にする。
- 装置の分析ソフトウェアは、試験のセンサーグラムからブランクのものを減算することによって校正を実施し、これは、ダブルリファレンスと呼ばれる。

0121

本願発明者らは、ランニングバッファー(RB、これはPBS-Tである)と比較して、HLAの各々のクラスに対し4つの異なる条件下でオートブランクを試験することができた。この目的のために、本願発明者らは、以下のNSB特性を有する患者からの血清由来の複雑な媒体(GE Healthcare社によって提供されるが、不可欠ではないデキストラン溶液である10%「NSB低減剤」を含むPBS-T中での1/2希釈物)を使用した(Table 2(表2))。

0122

0123

この表は、試料及び前処理だけでなく、用いるアンカーにも応じたNSBの不均質性を明確に示す。以下の試験は、異なるNSB試料を用いて適用され、これに対し、PBS-T中で実施された方法を比較した(Table 3(表3))。

0124

0125

この表は、オートブランクの手段によって得られた結果の信頼性を実証し、標的との差はnMの1/10のオーダーである。

0126

本願発明者らは、抗HLADQ2及びDQ7抗体を有する5人の患者で、その血清を加熱、DTT、次いで透析し、このアプローチを試した。結果をTable 4(表4)に示す。

0127

0128

本願発明者らが、SPRによって得られる抗HLA-DQとSAFBによるMFIの活動濃度の間の完全な相関を観察しなかったことは注目すべきで興味深い。これは、SPRによって得られるデータが、異なる情報を提供する可能性があることを示唆する。これは患者にとって重要であり得る。

0129

加熱+DTT+透析によって処理した血清を用いるとき、大きな「バッファーリープ(Buffer leap)」が存在し、Biacoreプラットフォーム上で使用する準備ができている試料を得るのに必要な時間は24時間(半日かかるSAFBによる抗体の同定の後)であることは注目すべきである。より最近、本願発明者らは、述べられた第2の前処理、すなわち、1mlの血清の加熱処理(56℃30分間)、プロテインG樹脂による精製(1時間)、及び最後に精製組成物の濃度をPBS-T中で同等な容量(1〜1.2ml)に戻すことに決定した。精製の前後で全IgGをアッセイすることは、抗HLA抗体の開始時の濃度に戻すことを可能にする。

0130

これらの2つの処理は、IgGと同時に患者の血清中に存在し得るIgMアイソタイプの抗HLAを排除することを可能にすることに注目することは重要である。これらのIgMは、SAFBにおいて、干渉する可能性のある分子として同定されたが、SPRによるIgGアイソタイプの抗HLAの分析とも干渉していた可能性がある。

0131

図1は、患者の血清から予測される結果を導き出す連続的段階を詳述する。図1に示すワークフローは、抗HLA抗体の分析が緊急の検査でないため、試験を実施するための時間が、臨床用途に完全に適合できることを示す。

0132

したがって結局、2営業日以内に結果を得ることは完全に可能である。本方法によって試験された抗DQ2抗体を有する患者の例は以下に示す。図2及び3は、CFCA、次いでSCKオートブランクからの結果を示す。動力学相互作用モデルに対するセンサーグラムのフィットは、実験曲線理論曲線との重ね合わせによって示されるように、十分に満足できるものである。

0133

図4は、上昇する濃度での試料注入の間のNSBのレベル、及びこのNSBを校正することを可能にするオートブランクを使用することの重要性を示す。実際、レーンに対する強い結合は、標的HLA分子の非存在下において明らかに現れる。

0134

この方法は、完全に再現可能である(Table 5(表5)及びTable 6(表6))

0135

0136

0137

本願発明者らは、抗HLADQ2、DQ4、DQ6、DQ7、DQ9抗体を有し、異なる型の移植(心臓腎臓肝臓)を受けた10人の更なる患者に対してこのアプローチの使用を繰り返した。結果をTable 7(表7)に示す。

0138

0139

本願発明者らは、このアプローチを抗HLA抗体以外の系、すなわち複雑な媒体中のβ-2マイクログロブリン(B2M)のアッセイにも適用した。B2Mとその対応する抗体との相互作用の動力学定数は、それらが臨床又は生物学的意義を有さないので測定しなかった。

0140

SPR装置上で実施される方法の一部は以下の通りであった(図5)。
1-SPRチップ上に化学カップリングによる捕捉抗体を固相化する工程(マウス抗IgG2a、クローンR11-89、BD Biosciences社)。
2- CFCA法を実施する工程。

0141

ブランクに対して、最初に、B2Mを認識しない抗体(クローンOKT3、抗CD3抗体、BD Biosciences社)を表面上で大量に捕捉し、次いで、B2Mを含む試験される溶液を所定の流速で所定の期間注入した。最後に、解離の短期間後に表面を再生し、これは次のサイクルに進むのを可能にした。

0142

試験それ自体のために、最初に、B2Mを認識する抗体(クローンB2M-01)を表面上に大量に捕捉し、次いで、B2Mを含む溶液を同一の所定の流速で同一の所定の期間注入する。最後に、解離の短期間後に表面を再生したが、これは後続のサイクルに進むのを可能にする。

0143

装置の分析ソフトウェアは、試験のセンサーグラムからブランクのものを減算することによって校正を実施したが、これは、ダブルリファレンスと呼ばれる。

0144

ランニングバッファー(PBS-T)中で1/10000まで希釈した組換えB2M溶液(Thermo Fisher社)の濃度を、ランニングバッファーをブランクとして用いて捕捉CFCAによって最初に測定した。測定された濃度は4.3nMであった。

0145

次いで、捕捉CFCAを、複雑な媒体(健常体からの、加熱処理し、DTT処理し、次いで100kDa膜上でPBS-Tに対して透析された血清)中のオートブランクで実施し、3つの異なる希釈を実施し、それによって、異なるレベルのNSBを生じる。OKT3抗体について記録されたNSB値は以下のようであった(Table 8(表8))。

0146

0147

これらの試料中で測定したB2Mの濃度は以下のようであった(Table 9(表9))。

0148

0149

CFCAセンサーグラムを図6に示す。

0150

物質及び方法
・HLA分子及び抗体
使用されたマウス起源のモノクローナル抗HLAクラスI抗体は、汎クラスI W6/32及び抗β2-マイクログロブリン(クローンB2M-01)抗体(ThermoFisher Scientific社、Rockford、IL)並びに抗HLA-A2抗体(One Lambda, Inc社、Canoga Park、CA)であった。使用されたマウス起源のモノクローナル抗HLAクラスII抗体は、汎DQ抗体(クローンTu169) (BD Biosciences社、Le Pont de Claix、フランス)、及び抗HLA-DQ2抗体(One Lambda, Inc社、Canoga Park、CA)であった。精製HLA分子HLA-A*02:01(A2)、A*11:01(A11)、DQB1*02:01/DQA1*05:01[DQ2(05)]、DQB1*02:01/DQA1*02:01[DQ2(02)]、DQB1*03:01/DQA1*05:05(DQ7)、DQB1*03:03/DQA1*02:01(DQ9)、DQB1*04:01/DQA1*03:03(DQ4)、DQB1*05:01/DQA1*01:01(DQ5)、及びDQB1*06:03/DQA1*01:03(DQ6)は、One Lambda社によって生産された。抗CD3抗体(クローンOKT3、BD Biosciences社)、及びマウス抗IgG2a抗体(クローンR11-89、BD Biosciences社)が使用された。

0151

・表面プラズモン共鳴(SPR)試験
SPR試験は、CM5バイオチップ(Biacore(商標))を有するBiacore(商標)T200(GE Healthcare Life Sciences社、Uppsala、Sweden)上で、25℃で実施された。センサーグラムは、Biacore T200評価ソフトウェアで分析された。捕捉抗体は、酢酸ナトリウム溶液(10mM、ph5)に希釈した後、供給者の推奨(GE Healthcare社)に従って、N-ヒドロキシスクシンイミドとN-エチル-N'-ジメチルアミノプロピルカルボジイミドの混合物を用いたアミンによる化学カップリングで固相化され、エタノールアミン溶液(1M、pH8.5、GE Healthcare社)の注入による表面の不活化が後に続いた。固相化のなしで残したレーンは、センサーグラムの二重校正を実施するのに使用した。このステップの後にまだ存在するピークは、それらが結果に影響を与えないため除去しなかった。他に指示のない限り、試料は、ランニングバッファーを構成するPBS-T0.05%中で調製した。25μl/分で1分間のグリシン溶液(10mM、pH2.1、GE Healthcare社)の注入によって表面を再生した。非特異的結合(NSB)の評価のための試験に対して、他に指示のない限り、試料は、25μl/分で1分間、表面上に注入した。

0152

・ 活動濃度の測定
検量線不要濃度分析(CFCA)試験は、高レベルの捕捉を可能にする希釈でランニングバッファー中で、同一のクラスに対しては同等な量で使用される、HLAリガンドの予備捕捉(クラスIに対して2μl/分で900秒、クラスIIに対して2μl/分で840秒)の後に実施した。抗HLA抗体は、5μl/分で50秒、次いで100μl/分で注入された。全ての試料及びブランクは二重で注入された。抗HLA抗体の拡散係数は、以下の式で計算した。

0153

0154

式中、MWは分子量(150000Da)であり、fは摩擦係数(球状タンパク質に対して1.2)であり、hrelは、相対粘度(25℃で0.89)である。CFCAを評価する基準は、Biacore(商標)によって推奨されるもの、すなわち、0.2より大きい「QC比」フィットによって示される、遅い流速において十分に大きい初期結合勾配(5μl/分で0.3RU/秒より大きい)、及び2つの流速間で十分に異なるセンサーグラムであった。QC比は、質量輸送の制限の度合いを反映するQ指数である。

0155

0156

・動態パラメータの測定
動態パラメータは、CFCAについては、同一のレーン上で測定されたが、高リガンド密度において観察されることがある動態アーチファクトを避けるために、少量のHLA(100RU未満)を捕捉することによってであった。試験は単一サイクル動態(SCK)法を用いて25μl/分で実施された:3つの上昇する濃度の抗体を、注入間の再生なしに連続的に注入した。全ての試料及びブランクは二重で注入された。結合定数及び解離定数、それぞれka及びkdは、Langmuir 1:1相互作用モデルに従うセンサーグラムの直接調整によってそれぞれ測定された。解離平衡定数、KDは、kd/kaと等しくなるよう計算された。

0157

・ヒト血清
使用される血清は、健常体、臓器移植待機リストに登録された患者、又は移植片を受けた患者に由来した。それらのミリリットルが異なる状態、すなわち、前処理の有り又は無しで、いくつかの前処理を組み合わせる可能性を有して使用された。熱処理は、56℃で30分間の血清のインキュベーションであった。ジチオスレイトール(DTT)による処理は、5mMのDTT濃度に到達するために、血清にDTTを添加して、次いで37℃で30分間加熱することであった。血清IgGは、供給者の推奨に従って、プロテインGに結合したセファロースビーズ(ThermoFisher Scientific社)上で精製された。精製組成物は、Amicon Ultra-4 10kDa(ThermoFisher Scientific社)遠心を用いて、ランニングバッファー中1150μlの容量に戻すために2回超濃縮した。試料の透析は、100kDaカットオフで、Float-A-Lyzer G2透析装置(Spectrum Laboratories社、Rancho Dominguez、CA)を用いてランニングバッファーに対して実施された。全ての試料は、使用前に0.45μlフィルターでろ過された。処理された血清において全IgGがアッセイされ、BNII自動化装置(Siemens Healthcare Diagnostics社、Marburg、ドイツ)上での免疫比濁法によっては処理されなかった。

0158

・ SAFB試験
血清は供給者の推奨(One Lambda社)に従って、EDTA中での処理(10mM最終)の後にLuminex(登録商標)Single Antigenキットで試験され、Luminex100(登録商標)(Luminex社、Austin、TX)で分析された。蛍光強度(平均蛍光強度にちなんでMFI)は、「ベースライン公式(Fusion(登録商標)ソフトウェア、One Lambda, Inc.社)によって標準化された。

0159

Table 2(表2)に関する物質及び方法
15000RUの抗体が、B2M-01レーン(クラスI)のために固相化され、18000RUがTu169レーン(DQ)のために固相化された。使用されたヒト血清は、移植待機リストに登録された非抗HLA免疫患者起源であった。これらの血清は、加熱処理、次いでプロテインGでのIgGの精製、及び1mlの精製組成物を得るための濃縮、或いは、加熱処理、後に続くDTTによる処理、及びランニングバッファーに対する透析を経た。処理された試料は、10%最終濃度のNSB低減剤(GE Healthcare社)を含むランニングバッファー中で1/2に希釈された。

0160

Table 3(表3)に関する物質及び方法
15000RUの抗体が、B2M-01レーン(クラスI)のために固相化され、18000RUがTu169レーン(DQ)のために固相化された。使用されたヒト血清は、移植待機リストに登録された非抗HLA免疫患者起源であった。これらの血清は、加熱処理、次いでプロテインGでのIgGの精製、及び1.15mlのランニングバッファー中の精製組成物を得るための2回濃縮、或いは、加熱処理、後に続くDTTによる処理、及びランニングバッファーに対する透析を経た。A2OL(抗HLA-A2、One Lambda社)及び(抗DQ2、One Lambda社)モノクローナル抗体が、10%最終濃度のバックグランドノイズ低減剤、NSB低減剤(GE Healthcare社)を含むランニングバッファー中で1/2に希釈された処理血清中で、1/2000及び1/4000に希釈された。A2OLに対して、ブランクは、大量のHLA-A11が捕捉された(1103+/-16RU)表面上にこの抗体を注入することによって実施され、試験それ自体は、大量のHLA-A2が捕捉された(1014+/-18RU)表面上で実施された。DQ2OLに対して、ブランクは、大量のHLA-DQ7が捕捉された(545+/-26RU)表面上にこの抗体を注入することによって実施され、試験それ自体は、大量のHLA-DQ2が捕捉された(523+/-16RU)表面上で実施された。

0161

Table 4(表4)に関する物質及び方法
抗HLADQ2-又はDQ7-免疫患者からの5つの血清は、加熱処理され、その後にDTTで処理され、ランニングバッファーに対して透析された。IgGは、血清中で処理の前後でアッセイされた。Single Antigen試験は、EDTA(SAFBMFI)で処理された血清で実施した。CFCAは、10%最終濃度のNSB低減剤を含むランニングバッファー中で1/2に希釈されたこれらの試料で実施した。HLA-DQ2を標的とする抗体を有する患者に対して、ブランクは、大量のHLA-DQ7が捕捉された表面上に試料を注入することによって実施され、試験それ自体は、大量のHLA-DQ2が捕捉された表面上で実施され、そしてHLA-DQ7を標的とする抗体を有する患者に対してはその逆で実施された。捕捉のレベルは、20000RUのTu169が固相化されたレーンにおいて、HLA-DQ2に対しては807+/-19であり、HLA-DQ7に対しては801+/-23であった。血清中(開始時IgG)と処理試料(終了時IgG)の全IgGのアッセイの演繹によって得られた校正された濃度は、開始時に血清中に存在した濃度に対応する。

0162

図2に関する物質及び方法
抗HLADQ2免疫患者からの血清は、加熱処理され、次いでプロテインGでのIgG精製、及びランニングバッファー中の1.15mlの精製組成物を得るため2回濃縮を経た。CFCAは、10%最終濃度のNSB低減剤を含むランニングバッファー中で1/200で希釈されたこの試料で実施した。ブランクは、大量のHLA-DQ5(818+/-2RU)が捕捉された表面上に試料を注入することによって実施された。試験それ自体は、大量のHLA-DQ2(790+/-3RU)が15000RUの固相化Tu169によって捕捉された表面上で実施された。

0163

図3及び図4に関する物質及び方法
SCKは図2と同一の試料でCFCAから演繹された濃度で実施され、以下の順序:2.16nM、10.8nM、及び54nMが、25μl/分で60秒間、注入間の再生なしで注入された。第3の注入の後、400秒間の解離が適用された。ブランクは、少量のHLA-DQ5(78+/-0RU)が捕捉された表面上に試料を注入することによって実施された。試験それ自体は、少量のHLA-DQ2(82.5+/-0.7RU)が15000RUの固相化Tu169によって捕捉された表面上で実施された。

0164

Table 7(表7)に関する物質及び方法
血清に適用された処理は、熱に対する曝露、次いでプロテインGでのIgG精製、及びランニングバッファー中の1.15mlの精製組成物を得るため2回濃縮であった。CFCAは、10%最終濃度のNSB低減剤を含むランニングバッファー中で1/2〜1/200に希釈されたこれらの試料で実施した。ブランクは、大量の患者の血清によって認識されないHLA-DQが、10300RUの固相化Tu169によって捕捉された表面上で試料を注入することによって実施された。試験それ自体は、ブランクに使用された抗原と同等な量の標的HLA-DQの一定量が捕捉された同一の表面上で実施された。SCKは、注入間の再生なしで25μl/分で60秒間、CFCAから演繹された増加する濃度で、同一の試料及び分析レーンで実施された。第3の注入の後、400秒間の解離が適用された。ブランクは、少量の患者の血清によって認識されないHLA-DQが捕捉された表面上で試料を注入することによって実施された。試験それ自体は、ブランクに使用された抗原と同等な量の標的HLA-DQの一定量が捕捉された同一の表面上で実施された。

実施例

0165

図6に関する物質及び方法
マウスクローン抗IgG2a抗体(R11-89、BD Biosciences社)を、CM5チップ上で化学カップリングによって13000RUのレベルで固相化した。ランニングバッファー(PBS-T)中で1/10000に希釈されたβ2マイクログロブリン(B2M)溶液の濃度は、捕捉CFCAによって最初に測定され、2400RUのB2Mを認識する抗体(クローンB2M-01)を捕捉し、ブランクとしてランニングバッファー(PBS-T)を使用した。次いで、B2M濃度の測定は、それを3つの異なる複雑な媒体で希釈して種々のレベルの非特異的結合(「血清1/1000」、「血清1/100」、及び「血清1/10」)をもたらすことによってオートブランク法を用いて繰り返された。オートブランク条件は、B2M-01抗体と同等のレベルで、B2Mに結合しないIgG2aアイソタイプの抗体'(クローンOKT3、抗CD3抗体、BD Biosciences社)の捕捉であった。

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