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技術 膵管腺ガンを有する被験体のリスクを評価するための早期かつ非侵襲的な方法及びこのような疾患の処置方法

出願人 アンスティチュナショナルドゥラサンテエドゥラルシェルシュメディカルサントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィクユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン・プルミエサントルレオンベラールコリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
発明者 イン-サン,キムベルトリーノ,フィリップエニーノ,アナ
出願日 2017年3月15日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2018-548412
公開日 2019年5月16日 (11ヶ月経過) 公開番号 2019-512695
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード C状態 関連期間 流入領域 候補ターゲット オールインワン 分離プロファイル ターゲット候補 モデュレーション
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課題・解決手段

本発明は、被験体における膵管ガン(PDAC)の非侵襲的診断方法であって、血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、血清βig−h3レベルが、PDACを有するリスクと正に相関する非侵襲的診断方法に関する。PDAC患者20人及び104人の2つの異なるコホート並びにPDACマウスモデル追跡研究によって、本発明者らは、血液サンプル中でβig−h3を直接検出することができ、膵臓新生物病変腫瘍形成ではβig−h3が非常に早期に発現されることを示す。本発明はまた、PDACの処置において使用するためのβig−h3タンパク質アンタゴニストに関する。本発明者らは、活性化特性及び細胞傷害特性を減少させることによって、βig−h3がCD8+T細胞上に直接結合することを見出した。さらに、PDACマウスモデルにおける中和βig−h3抗体の使用は、CD8+T細胞抗腫瘍応答を増強することによって、腫瘍成長を減少させた。したがって、PDACにおける新規免疫学的チェックポイントターゲットとして作用するβig−h3の中和は、PDACにおける有益な抗腫瘍免疫回復を可能にする。

概要

背景

発明の背景
膵管ガン(PDAC)は最も致命的なヒト悪性腫瘍であり、主な健康問題である。PDACは、フランスでは年間約10,000件及び全世界では230,000件の死亡を引き起こす(Jemal et al, 2003)。発生率死亡率の比はほぼ1であるが、これは、PDACを示す事実上全ての患者が疾患によって死亡することを示している。これは、処置が比較的非効率的であり、疾患が進行状態診断されたために、約6カ月間という短い平均生存期間(全ての腫瘍で最も短い)に起因する。過去数十年間にわたる相当な研究努力にもかかわらず、手術放射線化学療法又はこれらの組み合わせを含む従来の処置アプローチは、影響が非常に限定的であった。予後は悲惨であり、診断後1年間生存する患者はわずか20%である(Jemal et al, 2003)。この状況を考慮して、PDAC進行を遅らせて患者の平均余命及び生活の質を増加させる新たな処置の探索が最優先されている。

全身療法に対する低い効率又は高い抵抗性の説明は、PDAC腫瘍が乏血管性であり間質に非常に多く存在し(腫瘍量の15〜90%に相当)、トランスフォーメーション細胞への薬物送達障壁が形成され得るというものである。

PDACの特徴は、以下のとおりである:(i)全ての患者が最終的に再発するので治癒不可能(現在の処置選択肢に対する疾患の抵抗性を示す)。(ii)(まだ最適ではない)既存の処置に対する応答の点で非常に不均一な疾患。(iii)薬剤耐性が依然として、疾患の長期自然経過及び反復処置に起因するPDACの処置不成功及びその不可避運命の主な原因であり、関連する社会的及び健康的な問題を引き起こす。(iv)リスク適応型個別処置を実行して、コストを最小化しながら臨床的利益最大化するために緊急に必要であるが、処置に対する応答を予測するロバストかつ特異的なマーカーが依然として存在しない。

先行技術では、PDAC腫瘍全体の遺伝子プロファイリングが主に報告されている(Abdollahi et al, 2007; Abiatari et al, 2009; Buchholz et al, 2005a; Buchholz et al, 2005b; Cavard et al, 2009; Crnogorac-Jurcevic et al, 2002; Gress et al, 1997; Ishikawa et al, 2005; Marcotte et al, 2012; Verma et al, 2012; Wang et al, 2013を参照のこと)。しかしながら、これらの研究の低い再現性は、著者らがこの方面の探究を継続する意欲阻害していた。

これらのアプローチの失敗の理由は、不適切なツール、不十分な品質のツール、サンプルの低い品質に起因し得るか、又はPDAC腫瘍は、変化する炎症及び壊死領域に関連する間質組織の15〜90%を含有し得るので、それらは病状それ自体に固有のものでもあり得る。

したがって、本発明者らが知る限り、膵管腺ガン(PDAC)を有する/発症する個々の被験体のリスクを予測するための利用可能な診断バイオマーカーはない。特に、PDACを有する個体の早期腫瘍発生を診断するin vitro又はex vivo方法が依然として必要である。

侵襲的腫瘍内生検を容易に伴わずに、PDACを有する個体の診断を決定するために適切な方法及び/又はキット及び/又は固体支持体も依然として必要である。

したがって、PDACの新たな生物学的マーカーが必要である。特に、早期の疾患の信頼性のある診断及びモニタリングを可能にするバイオマーカーが非常に望ましい。

したがって、本発明の目的は、i)疾患発症の早期に被験体がPDACに罹患しているかを予測するための新たな信頼性のある方法、及びii)PDACを処置するための新たな治療ターゲットを提供することによって、この必要性に対処することである。

最近、本発明者らは、細胞外マトリックス及び細胞の両方に結合することができるβig−h3タンパク質トランスフォーミング成長因子β誘導性タンパク質又はTGFBIp)(間質の分泌タンパク質)が、1型糖尿病において、膵島損傷T細胞傷害性攻撃に対して膵島の寛容性及び完全性を維持する重要な役割を果たすことを示した(Patry et al., 2015)。

TGFBIpは、ヒト内皮細胞及び血小板によって発現される細胞外マトリックスタンパク質であり、インテグリンαvβ5との相互作用を介して敗血症誘導する。Baeらは、中和抗TGFBIp抗体が、TGFBIpとインテグリンαvβ5(TGFBIp同族レセプターの1つ)との間の特異的相互作用を阻害したことを示した(Bae et al., 2014)。彼らは、TGFBIp−中和抗体の使用に基づく処置が敗血症の有害効果を改善し得ることを実証した。さらに、いくつかのガン細胞株及び腫瘍生検、例えば結腸ガン細胞株及び高悪性度進行性結腸腫瘍(Ma et al., 2008)並びにさらには膵臓組織(Turtoi et al., 2011)において、TGFBIpの発現の上昇が以前に記載された。この発現は(血清レベルではなく)腫瘍組織で検出され、それは、十分に進行した腫瘍(Ma et al 2008における高悪性度進行性結腸ガン)における予後不良に関連していた。反対に、別の研究(Han et al. 2015)では、様々なガンを患っている患者においてTGFBIpの血清濃度が評価されたが、膵臓ガンを患っている患者では、有意な関連性がこれまでは観察されなかった。最後に、これらの研究ではいずれも、PDACにおけるTGFBIpの治療ターゲティングの、特にヒトにおける免疫学的ターゲットとしての可能性が調査されていなかった。

概要

本発明は、被験体における膵管腺ガン(PDAC)の非侵襲的診断方法であって、血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、血清βig−h3レベルが、PDACを有するリスクと正に相関する非侵襲的診断方法に関する。PDAC患者20人及び104人の2つの異なるコホート並びにPDACマウスモデル追跡研究によって、本発明者らは、血液サンプル中でβig−h3を直接検出することができ、膵臓新生物病変腫瘍形成ではβig−h3が非常に早期に発現されることを示す。本発明はまた、PDACの処置において使用するためのβig−h3タンパク質のアンタゴニストに関する。本発明者らは、活性化特性及び細胞傷害特性を減少させることによって、βig−h3がCD8+T細胞上に直接結合することを見出した。さらに、PDACマウスモデルにおける中和βig−h3抗体の使用は、CD8+T細胞抗腫瘍応答を増強することによって、腫瘍成長を減少させた。したがって、PDACにおける新規免疫学的チェックポイントターゲットとして作用するβig−h3の中和は、PDACにおける有益な抗腫瘍免疫回復を可能にする。

目的

本発明の目的は、i)疾患発症の早期に被験体がPDACに罹患しているかを予測するための新たな信頼性のある方法、及びii)PDACを処置するための新たな治療ターゲットを提供する

効果

実績

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請求項1

膵管ガン(PDAC)を有し又は発症する被験体リスクを評価するための方法であって、前記被験体から得られた血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、該βig−h3レベルが、膵管腺ガンを有する前記被験体のリスクと正に相関する、方法。

請求項2

前記βig−h3レベルをコントロール基準値と比較する工程を含み、−前記コントロール基準値と比較して高いβig−h3レベルが、膵管腺ガンを有し又は発症する高いリスクを予測し、−前記コントロール基準値と比較して低いβig−h3レベルが、膵管腺ガンを有し又は発症する高いリスクを予測する、請求項1に記載の方法。

請求項3

被験体における膵管腺ガンを処置するための治療の効果をモニタリングするための方法であって、−t1において前記被験体から得られた第1の血液サンプル中のβig−h3レベルを測定する工程、及び−t2において前記被験体から得られた第2の血液サンプル中のβig−h3レベルを測定する工程を含み、−t1が治療前である場合、t2は治療中又は治療後であり、及び−t1が治療中である場合、t2はより後の治療中又は治療後であり、第1のサンプル中のβig−h3レベルと比較した第2のサンプル中のβig−h3レベルの減少が、処置被験体における膵管腺ガンに対する治療のポジティブな効果を示す、方法。

請求項4

膵管腺ガンを処置するための治療が、化学療法処置及び/又はβig−h3アンタゴニストからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。

請求項5

膵管腺ガン(PDAC)の血液バイオマーカーとして使用するための、βig−h3タンパク質

請求項6

PDACが早期のものである、請求項5に記載の使用のためのβig−h3タンパク質。

請求項7

膵管腺ガンに罹患している患者の予防又は治療において使用するための、βig−h3アンタゴニスト。

請求項8

βig−h3に直接結合してCD8+T細胞活性化の阻害を阻害する、請求項7に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

請求項9

抗βig−h3中和抗体又はアプタマーである、請求項7又は8のいずれか一項に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

請求項10

請求項7〜9のいずれか一項に記載のβig−h3アンタゴニストと、薬学的に許容し得る担体とを含む、医薬組成物

請求項11

ガンに罹患している患者の抗腫瘍CD8+T細胞応答活性化する方法において使用するための、βig−h3アンタゴニスト。

請求項12

抗βig−h3中和抗体又はアプタマーである、請求項11に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

請求項13

ガンが、膵臓ガン食道扁平上皮ガン、胃ガン及び肝臓ガン結腸ガン、メラノーマからなる群より選択される固形腫瘍である、請求項11又は12のいずれか一項に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

請求項14

固形腫瘍が膵臓ガンである、請求項13に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

請求項15

膵臓ガンが膵管腺ガンである、請求項13に記載の使用のためのβig−h3アンタゴニスト。

技術分野

0001

発明の分野:
本発明は、膵管ガン(PDAC)を予防又は治療するための方法に関する。本発明はまた、膵管腺ガン(PDAC)の診断方法に関する。より具体的には、本発明は、膵臓ガンを有する被験体リスクを評価するための方法であって、前記被験体から得られた血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、該βig−h3レベルが、膵管腺ガンを有する前記被験体のリスクと正に相関する方法に関する。

背景技術

0002

発明の背景
膵管腺ガン(PDAC)は最も致命的なヒト悪性腫瘍であり、主な健康問題である。PDACは、フランスでは年間約10,000件及び全世界では230,000件の死亡を引き起こす(Jemal et al, 2003)。発生率死亡率の比はほぼ1であるが、これは、PDACを示す事実上全ての患者が疾患によって死亡することを示している。これは、処置が比較的非効率的であり、疾患が進行状態診断されたために、約6カ月間という短い平均生存期間(全ての腫瘍で最も短い)に起因する。過去数十年間にわたる相当な研究努力にもかかわらず、手術放射線化学療法又はこれらの組み合わせを含む従来の処置アプローチは、影響が非常に限定的であった。予後は悲惨であり、診断後1年間生存する患者はわずか20%である(Jemal et al, 2003)。この状況を考慮して、PDAC進行を遅らせて患者の平均余命及び生活の質を増加させる新たな処置の探索が最優先されている。

0003

全身療法に対する低い効率又は高い抵抗性の説明は、PDAC腫瘍が乏血管性であり間質に非常に多く存在し(腫瘍量の15〜90%に相当)、トランスフォーメーション細胞への薬物送達障壁が形成され得るというものである。

0004

PDACの特徴は、以下のとおりである:(i)全ての患者が最終的に再発するので治癒不可能(現在の処置選択肢に対する疾患の抵抗性を示す)。(ii)(まだ最適ではない)既存の処置に対する応答の点で非常に不均一な疾患。(iii)薬剤耐性が依然として、疾患の長期自然経過及び反復処置に起因するPDACの処置不成功及びその不可避運命の主な原因であり、関連する社会的及び健康的な問題を引き起こす。(iv)リスク適応型個別処置を実行して、コストを最小化しながら臨床的利益最大化するために緊急に必要であるが、処置に対する応答を予測するロバストかつ特異的なマーカーが依然として存在しない。

0005

先行技術では、PDAC腫瘍全体の遺伝子プロファイリングが主に報告されている(Abdollahi et al, 2007; Abiatari et al, 2009; Buchholz et al, 2005a; Buchholz et al, 2005b; Cavard et al, 2009; Crnogorac-Jurcevic et al, 2002; Gress et al, 1997; Ishikawa et al, 2005; Marcotte et al, 2012; Verma et al, 2012; Wang et al, 2013を参照のこと)。しかしながら、これらの研究の低い再現性は、著者らがこの方面の探究を継続する意欲阻害していた。

0006

これらのアプローチの失敗の理由は、不適切なツール、不十分な品質のツール、サンプルの低い品質に起因し得るか、又はPDAC腫瘍は、変化する炎症及び壊死領域に関連する間質組織の15〜90%を含有し得るので、それらは病状それ自体に固有のものでもあり得る。

0007

したがって、本発明者らが知る限り、膵管腺ガン(PDAC)を有する/発症する個々の被験体のリスクを予測するための利用可能な診断バイオマーカーはない。特に、PDACを有する個体の早期腫瘍発生を診断するin vitro又はex vivo方法が依然として必要である。

0008

侵襲的腫瘍内生検を容易に伴わずに、PDACを有する個体の診断を決定するために適切な方法及び/又はキット及び/又は固体支持体も依然として必要である。

0009

したがって、PDACの新たな生物学的マーカーが必要である。特に、早期の疾患の信頼性のある診断及びモニタリングを可能にするバイオマーカーが非常に望ましい。

0010

したがって、本発明の目的は、i)疾患発症の早期に被験体がPDACに罹患しているかを予測するための新たな信頼性のある方法、及びii)PDACを処置するための新たな治療ターゲットを提供することによって、この必要性に対処することである。

0011

最近、本発明者らは、細胞外マトリックス及び細胞の両方に結合することができるβig−h3タンパク質トランスフォーミング成長因子β誘導性タンパク質又はTGFBIp)(間質の分泌タンパク質)が、1型糖尿病において、膵島損傷T細胞傷害性攻撃に対して膵島の寛容性及び完全性を維持する重要な役割を果たすことを示した(Patry et al., 2015)。

0012

TGFBIpは、ヒト内皮細胞及び血小板によって発現される細胞外マトリックスタンパク質であり、インテグリンαvβ5との相互作用を介して敗血症誘導する。Baeらは、中和抗TGFBIp抗体が、TGFBIpとインテグリンαvβ5(TGFBIp同族レセプターの1つ)との間の特異的相互作用を阻害したことを示した(Bae et al., 2014)。彼らは、TGFBIp−中和抗体の使用に基づく処置が敗血症の有害効果を改善し得ることを実証した。さらに、いくつかのガン細胞株及び腫瘍生検、例えば結腸ガン細胞株及び高悪性度進行性結腸腫瘍(Ma et al., 2008)並びにさらには膵臓組織(Turtoi et al., 2011)において、TGFBIpの発現の上昇が以前に記載された。この発現は(血清レベルではなく)腫瘍組織で検出され、それは、十分に進行した腫瘍(Ma et al 2008における高悪性度進行性結腸ガン)における予後不良に関連していた。反対に、別の研究(Han et al. 2015)では、様々なガンを患っている患者においてTGFBIpの血清濃度が評価されたが、膵臓ガンを患っている患者では、有意な関連性がこれまでは観察されなかった。最後に、これらの研究ではいずれも、PDACにおけるTGFBIpの治療ターゲティングの、特にヒトにおける免疫学的ターゲットとしての可能性が調査されていなかった。

0013

本発明の第1の目的は、膵管腺ガンを有し又は発症する被験体のリスクを評価するための方法であって、前記被験体から得られた血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、該βig−h3レベルが、膵管腺ガンを有する前記被験体のリスクと正に相関する方法に関する。

0014

高いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有し又は発症する高いリスクを予測する。

0015

低いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有し/又は発症する低いリスクを予測する。

0016

本発明の第2の目的は、被験体における膵管腺ガンを処置するための治療の効果をモニタリングするための方法に関する。

0017

本発明の第3の目的はまた、膵管腺ガンに罹患している患者の予防又は治療において使用するためのβig−h3アンタゴニストに関する。

実施例

0018

発明の詳細な説明
本明細書では、本発明者らは、血清βig−h3レベルとPDAC患者からの生物学的所見との間の相関関係を調査した。驚くべきことに、本発明者らは、1)マウス及びヒトの両方の膵臓新生物における腫瘍間質では、ガン関連線維芽細胞(CAF)によってβig−h3タンパク質が高度に産生されること;2)PDAC体質のマウスモデル及びPDAC患者における膵臓新生物病変腫瘍形成では、βig−h3が非常に早期(PanIN1、PanIN2及びPanIN3ステージ)に発現されること、3)膵臓新生物病変を発症したマウスの血清では、βig−h3が分泌され、検出され得ること、4)活性化特性及び細胞傷害特性を減少させることによって、βig−h3がCD8+T細胞に対して直接作用すること、5)CD8+T細胞の表面において、βig−h3がCD61と相互作用すること、6)PDACマウスモデルにおける中和βig−h3抗体の使用が、CD8+T細胞抗腫瘍応答を増強することによって、腫瘍成長を減少させたこと、並びに7)in vivoにおけるβig−h3中和効果のために、CD8+T細胞が必須であることを見出した。これらの結果は、βig−h3が抗腫瘍CD8+T細胞応答遮断に寄与することを示している。したがって、PDACにおける新規免疫学的チェックポイントターゲットとして作用するβig−h3の中和は、膵臓ガンにおける有益な抗腫瘍免疫回復を可能にする。

0019

本発明の診断方法:
本発明の第1の態様は、膵管腺ガン(PDAC)を有し又は発症する被験体のリスクを評価するための方法であって、前記被験体から得られた血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定する工程を含み、該βig−h3レベルが、膵管腺ガンを有する前記被験体のリスクと正に相関する方法からなる。

0020

高いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有し又は発症する高いリスクを予測する。

0021

低いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有し又は発症する低いリスクを予測する。

0022

実際、本発明者らは、驚くべきことに、ヒト内皮細胞又は様々な腫瘍細胞によって発現される細胞外マトリックスタンパク質であることがこれまでに公知のβig−h3が、血液中に存在する循環タンパク質であることを実証した。

0023

一実施態様では、本発明の方法において使用すべき血液サンプルは、全血サンプル血清サンプル又は血漿サンプルである。好ましい実施態様では、血液サンプルは、血清サンプルである。

0024

特定の実施態様では、本発明の方法は、早期に、例えば膵臓新生物病変(IPMN(膵臓内粘液性新生物)、MCN(粘液性嚢胞新生物)、PanIN1、PanIN2及びPanIN3ステージ)を生じた際に、膵臓ガン(PDAC)を有し又は発症する被験体のリスクを評価するために適切である。

0025

本明細書で定義される場合、「トランスフォーミング成長因子β誘導性タンパク質」又は「TGFBIp」又は「TGFBi」としても公知の用語「βig−h3」又は(βig−h3)は、ヒト内皮細胞及び血小板によって発現される細胞外マトリックスタンパク質であり、ヒトではTGFBI遺伝子によってコードされる。この遺伝子は、I型II型及びIV型コラーゲンに結合するRGD含有タンパク質をコードする。RGDモチーフは、細胞接着モデュレーションする多くの細胞外マトリックスタンパク質において見出されており、いくつかのインテグリンのリガンド認識配列として機能する。このタンパク質は、細胞−コラーゲン相互作用において役割を果たし、軟骨における軟骨内骨形成(endochondrial bone formation)に関与し得る。このタンパク質は、トランスフォーミング成長因子−βによって誘導され、細胞接着を阻害するように作用する。遺伝子の突然変異は、いくつかの形態の角膜ジストロフィーを引き起こす(Munier et al 1997)。野生型βig−h3ヒトアミノ酸配列の一例は、配列番号:1(NCBI参照配列:NP_000349)に提供されている。配列番号:1の野生型βig−h3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列の一例は、配列番号:2(NCBI参照配列:NM_000358)に提供されている。

0026

上記で定義される方法の一実施態様では、βig−h3と一緒に、1つ以上の生物学的マーカーが定量される。

0027

本明細書で使用される場合、「生物学的マーカー」は、特定の遺伝子の発現により合成される任意の検出可能な産物を包含し、したがって、遺伝子特異的mRNAcDNA及びタンパク質を含む。

0028

本明細書で特定される様々な生物学的マーカー名は、それらの相補的DNA(cDNA)及びゲノムDNA配列を含むそれらの完全なアミノ酸及び核酸配列アクセスするために使用可能な国際的に認められている頭字語に対応する。例示的には、本明細書で特定される各生物学的マーカーの対応するアミノ酸及び核酸配列は、それらの頭字語名(これは、本明細書ではGenBank又はEMBL配列データベースの「遺伝子記号」とも称される)に基づいて検索され得る。本明細書に列挙される全ての遺伝子記号は、GenBank命名法に対応する。したがって、それらのDNA(cDNA及びgDNA)配列及びそれらのアミノ酸配列は、GenBankデータベース、特に以下のウェブサイトアドレス:“http://www.ncbi.nlm.nih.gov/”から当業者に十分に利用可能である。

0029

当然のことながら、本発明との関連では、限定されないが、このような配列の機能的ホモログパラログ又はオルソログを含む生物学的マーカーの変異体配列が用いられ得る。

0030

本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、哺乳動物、例えば齧歯類ネコイヌ及び霊長類を示す。好ましくは、本発明の被験体は、ヒトである。

0031

用語「膵管腺ガン」は、典型的には無秩序膵臓細胞成長を特徴とする哺乳動物における病態を指すか、又はそれを表す。より正確には、膵管腺ガン(PDAC)は、急速な進行を特徴とする悪性腫瘍であって、外分泌区画を侵す悪性腫瘍である。PDACは豊富な間質反応に関連し、これは腫瘍体積の最大90%を占める。数年来、この巨大な間質の寄与は、膵臓腫瘍の開始及び進行の新規な主因子及び寄与因子として登場した。

0032

βig−h3レベルは、イムノアッセイ、例えば競合直接反応、例えば免疫組織化学又はサンドイッチ型アッセイを含む標準的な電気泳動及び免疫診断技術を使用することによって決定され得る。このようなアッセイとしては、限定されないが、ウエスタンブロット凝集試験酵素標識媒介性イムノアッセイ、例えばELISAビオチンアビジン型アッセイ;ラジオイムノアッセイ免疫電気泳動免疫沈降などが挙げられる。反応は、一般に、標識、例えば蛍光化学発光放射性、酵素標識若しくは色素分子を明らかにすること、又は抗原と抗体との間の複合体の形成若しくはそれと反応した抗体を検出するための他の方法を含む。

0033

例えば、βig−h3レベルの決定は、いずれも当技術分野で周知の様々な技術及び方法によって実施され得る:RIAキット(DiaSorin; IDS, Diasource) Elisaキット(Thermo Fisher, EHTGFBI, R&D DY2935, IDS (マニュアル) IDS (オープンアナライザー適合)免疫化学発光自動化法(DiaSorin Liaison, Roche Elecsys family, IDS iSYS) (Janssen et al., 2012)。

0034

特定の実施態様では、本発明の方法は、血液サンプルを結合パートナーと接触させることを含む。

0035

本明細書で使用される場合、結合パートナーは、βig−h3と選択的に相互作用することができる分子を指す。

0036

結合パートナーは、一般に、ポリクローナル又はモノクローナル、好ましくはモノクローナルであり得る抗体であり得る。βig−h3に対するポリクローナル抗体は、公知の方法にしたがって、適切な抗原又はエピトープを例えばブタウシウマウサギヤギヒツジ及びマウスなどから選択される宿主動物投与することによって生成され得る。抗体産生を増強するために、当技術分野で公知の様々なアジュバントが使用され得る。本発明の実施において有用な抗体はポリクローナルであり得るが、モノクローナル抗体が好ましい。βig−h3に対するモノクローナル抗体は、培養液中の連続細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して調製及び単離され得る。生産及び単離のための技術としては、限定されないが、Kohler et al. Nature. 1975; 256(5517):495-7に最初に記載されたハイブリドーマ技術;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Cote et al Proc Natl Acad Sci U S A. 1983;80(7):2026-30);及びEBVハイブリドーマ技術(Cole et al., 1985, in “Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,” Alan R. Liss, Inc. pp. 77-96)が挙げられる。あるいは、抗βig−h3一本鎖抗体を生産するために、一本鎖抗体の生産について記載されている技術(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)が適合され得る。本発明の実施において有用な抗体としては、限定されないが、F(ab’)2フラグメント(これは、インタクトな抗体分子のペプシン消化によって生成され得る)及びFabフラグメント(これは、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋還元することによって生成され得る)を含む抗βig−h3も挙げられる。あるいは、βig−h3に対する所望の特異性を有するフラグメントの迅速な同定を可能にするために、Fab及び/又はscFv発現ライブラリー構築され得る。例えば、抗体のファージディスプレイが使用され得る。このような方法では、適切なバクテリオファージ、例えばM13の表面において、一本鎖Fv(scFv)又はFabフラグメントを発現させる。簡潔に言えば、タンパク質で免疫化された適切な宿主、例えばマウスの脾臓細胞を取り出す。タンパク質に対する所望の抗体を産生する細胞から、VL及びVH鎖のコード領域を得る。次いで、これらのコード領域をファージ配列の末端に融合する。ファージを適切な担体、例えば細菌に挿入したら、ファージは抗体フラグメント提示する。抗体のファージディスプレイはまた、当業者に公知のコンビナトリアル方法によって提供され得る。次いで、ファージによって提示された抗体フラグメントをイムノアッセイの一環として使用し得る。

0037

別の実施態様では、結合パートナーは、アプタマーであり得る。アプタマーは、分子認識の点で抗体の代替物となる分子のクラスである。アプタマーは、高い親和性及び特異性で、実質的に任意のクラスのターゲット分子を認識する能力を有するオリゴヌクレオチド又はオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk et al. (1990) Science, 249, 505-510に記載されているようにランダム配列ライブラリー試験管進化法を介して単離され得る。ランダム配列ライブラリーは、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得られ得る。このライブラリーでは、各メンバーは、ユニークな配列の最終的には化学的改変される線状オリゴマーである。このクラスの分子の可能な改変、使用及び利点は、Jayasena 1999に概説されている。ペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法(Colas et al. (1996) Nature, 380, 548-50)によってコンビナトリアルライブラリーから選択されるプラットフォームタンパク質(例えば、E. coliチオレドキシンA)によって提示されるコンフォメーション的に制限された抗体可変領域からなる。

0038

抗体又はアプタマーなどの本発明の結合パートナーは、検出可能な分子又は物質、例えば蛍光分子、放射性分子又は当技術分野で公知の任意の他の標識で標識され得る。一般に(直接的又は間接的に)シグナルを提供する標識は、当技術分野で公知である。

0039

本明細書で使用される場合、結合パートナーに関して用語「標識された」は、検出可能な物質、例えば放射性薬剤又はフルオロフォア(例えば、フルオレセインイソチオシアネートFITC)又はフィコエリトリン(PE)又はインドシアニン(Cy5))を抗体又はアプタマーにカップリング(すなわち、物理的に連結)することによる抗体又はアプタマーの直接的な標識、並びに検出可能な物質との反応性によるプローブ又は抗体の間接的な標識を包含することを意図する。本発明の抗体又はアプタマーは、当技術分野で公知の任意の方法によって放射性分子で標識され得る。例えば、放射性分子としては、限定されないが、シンチグラフィー研究のための放射性原子、例えばI123、I124、In111、Re186、Re188が挙げられる。

0040

上記アッセイは、一般に、固体支持体への結合パートナー(すなわち、抗体又はアプタマー)の結合を伴う。本発明の実施において使用され得る固体支持体としては、基板、例えばニトロセルロース(例えば、膜又はマイクロタイターウェルの形態);ポリ塩化ビニル(例えば、シート又はマイクロタイターウェル);ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズ又はマイクロタイタープレート);ポリフッ化ビニリデンジアゾ化紙;ナイロン膜活性化ビーズ磁気応答性ビーズなどが挙げられる。より具体的には、ELISA法を使用することができ、βig−h3に対する一連の抗体でマイクロタイタープレートのウェルをコーティングする。次いで、βig−h3を含有するか又は含有すると疑われる体液サンプルをコーティングウェルに追加する。結合パートナー−βig−h3複合体の形成を可能にするために十分なインキュベーション期間の後、プレート洗浄して未結合物質を除去し、標識二次結合分子を追加し得る。二次結合分子を任意の捕捉サンプルマーカータンパク質と反応させ、プレートを洗浄し、当技術分野で周知の方法を使用して二次結合分子の存在を検出する。

0041

結合パートナーとして、二次結合分子を標識し得る。

0042

当技術分野では、ラジオイムノアッセイ又はELISAなどの異なるイムノアッセイが記載されている。

0043

イムノアッセイベースの方法にかかわらず、βig−h3レベルの測定はまた、タンパク質の分離:タンパク質の分子量に基づく遠心分離;質量及び電荷に基づく電気泳動;疎水性に基づくHPLC;サイズに基づくサイズ排除クロマトグラフィー;並びに使用される特定の固相に対するタンパク質の親和性に基づく固相親和性を含み得る。分離したら、そのタンパク質の既知の「分離プロファイル」、例えば保持時間に基づいてβig−h3を同定し、標準的な技術を使用して測定し得る。あるいは、例えば、質量分析計によって分離タンパク質を検出及び測定し得る。

0044

好ましい実施態様では、βig−h3レベルを測定するための方法は、血液サンプルと、βig−h3に選択的に相互作用することができる結合パートナーとを接触させて、結合パートナー−βig−h3複合体の形成を可能にする工程を含む。

0045

より好ましい実施態様では、本発明の方法は、結合パートナー−βig−h3複合体から血液サンプルの未結合物質を分離する工程、結合パートナー−βig−h3複合体と標識二次結合分子とを接触させる工程、二次結合分子−βig−h3複合体から血液サンプルの未結合二次結合分子を分離する工程、及び二次結合分子−βig−h3複合体の二次結合分子のレベルを測定する工程をさらに含む。

0046

典型的には、高いβig−h3レベル又は低いβig−h3レベルは、コントロール基準値との比較によるものである。

0047

前記基準コントロール値は、1つ以上の健常被験体から採取された血液サンプル中に存在するβig−h3のレベル、又はコントロール集団におけるβig−h3分布に関して決定され得る。

0048

一実施態様では、本発明の方法は、前記βig−h3レベルをコントロール基準値と比較する工程を含み、前記コントロール基準値と比較して高いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有する高いリスクを予測し、前記コントロール基準値と比較して低いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有する低いリスクを予測する。

0049

コントロール基準値は、様々なパラメータ、例えばβig−h3レベルを測定するために使用される方法又は被験体の性別に依存し得る。

0050

典型的には、ヒトβig−h3に対して生成されたポリクローナル抗体を用いた競合イムノアッセイを使用して測定された血清サンプル中のβig−h3レベルについて、5μg/ml超のβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有する高いリスクを予測し、5μg/ml未満のβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有する低いリスクを予測する。

0051

コントロール基準値は、試験中の患者から以前に採取された血液サンプル中のβig−h3レベルを決定するのと同じ技術を使用することによって、当業者によって容易に決定可能である。

0052

「コントロール基準値」は、「閾値」又は「カットオフ値」であり得る。典型的には、「閾値」又は「カットオフ値」は、実験的、経験的又は理論的に決定され得る。当業者によって認識されるように、閾値はまた、既存の実験的及び/又は臨床的条件に基づいて任意に選択され得る。試験の機能及びベネフィット/リスクバランス偽陽性及び偽陰性臨床転帰)に応じて最適な選択性及び特異性を得るために、閾値を決定しなければならない。典型的には、最適な選択性及び特異性(及び閾値)は、実験データに基づいて受信者動作特性(ROC)曲線を使用して決定され得る。好ましくは、当業者であれば、(本発明の方法にしたがって得られた)βig−h3レベルを所定の閾値と比較し得る。本発明の一実施態様では、閾値は、膵管腺ガン処置に対する応答者である1つ以上の被験体由来の血液サンプルにおいて決定されたβig−h3レベル(又は比若しくはスコア)から導かれる。本発明の一実施態様では、閾値はまた膵管腺ガンに罹患していない1つ以上の被験体由来の血液サンプルにおいて決定されたβig−h3レベル(又は比若しくはスコア)から導かれ得る。さらに、これらの閾値の確立では、適切に保存された過去の被験体サンプル中のβig−h3レベル(又は比若しくはスコア)の遡及的測定が使用され得る。

0053

本発明との関連における「リスク」は、膵管腺ガン(PDAC)への転換のように、ある事象特定期間に起こる確率に関し、被験体の「絶対」リスク又は「相対」リスクを意味し得る。絶対リスクは、関連時間コホートの実際の測定後観測値に関して、又は関連期間にわたって追跡された統計的に有効な歴史的コホートから作成された指標値に関して測定され得る。相対リスクは、低リスクコホートの絶対リスク又は平均集団リスクのいずれかと比較した被験体の絶対リスクの比を指し、臨床的リスク因子の評価方法によって変動し得る。オッズ比(所定の試験結果に関する陰性事象に対する陽性事象の割合)もまた、無転換に対して一般に使用される(オッズは、式p/(1−p)(式中、pは事象の確率であり、(1−p)は事象なしの確率である)に従う)。本発明との関連で評価され得る代替的な連続尺度としては、AMCまでの時間、及び/又は先天性末梢性ニューロパシー疾患転換、及び治療AMC、及び/又は先天性末梢性ニューロパシー疾患転換リスク減少率が挙げられる。

0054

本発明との関連における「リスク評価」又は「リスクの評価」は、事象若しくは疾患状態が起こり得る確率、オッズ若しくは可能性、事象の発生率又はある疾患から別のものへの(すなわち、正常状態からPDAC状態への又はPDAC発症リスクがあるものへの)転換率の予測を行うことを包含する。リスク評価はまた、将来の臨床パラメータ、伝統的実験室リスク因子の値、又はPDACの他の指標を予測すること、例えば以前に測定された集団に関して絶対的又は相対的に末梢組織、血清又は他の流体における細胞集団を決定することを含み得る。本発明の方法は、PDACへの転換リスクの連続的又はカテゴリー的な測定を行って、PDACのリスクがあると定義される被験体のカテゴリーのリスクスペクトルを診断及び定義するために使用され得る。カテゴリー的な状況では、本発明は、正常被験体コホートと、高いPADCリスクがある他の被験体コホートとを区別するために使用され得る。他の実施態様では、本発明は、PDACを有する者と正常者との区別を支援するために使用され得る。

0055

本発明はまた、特に早期のPDACの血液バイオマーカーとしてのβig−h3の使用に関する。本発明によれば、PDACの早期は、例えば、膵臓新生物病変を生じるとき(PanIN1、PanIN2及びPanIN3ステージ)を意味する。

0056

抗膵臓ガン処置のモニタリング
1つ以上の本発明の組織特異的生物学的マーカーの発現レベルに対する薬剤(例えば、薬物化合物)の影響のモニタリングは、患者の処置膵管腺ガンの悪性効力を経時的にモニタリングするために適用され得る。例えば、βig−h3発現に影響を及ぼす薬剤の有効性は、抗ガン処置、特に化学療法処置を受けている被験体の処置中にモニタリングされ得る。

0057

したがって、本発明の第2の目的はまた、被験体における膵管腺ガンを処置するための治療の効果をモニタリングするための方法であって、
−t1において前記被験体から得られた第1の血液サンプル中のβig−h3レベルを測定する工程、及び
−t2において前記被験体から得られた第2の血液サンプル中のβig−h3レベルを測定する工程
を含み、
−t1が治療前である場合、t2は治療中又は治療後であり、及び
−t1が治療中である場合、t2はより後の治療中又は治療後であり、
第1のサンプル中のβig−h3レベルと比較した第2のサンプル中のβig−h3レベルの減少が、処置被験体における膵管腺ガンに対する治療のポジティブな効果を示す方法に関する。

0058

別の実施態様では、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド核酸、小分子又は他の薬物候補)による被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法であって、(i)薬剤の投与前に、被験体から投与前血液サンプルを得る工程;(ii)血中βig−h3レベルを検出する工程;(iii)被験体から1つ以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)投与後サンプル中の血中βig−h3レベルを検出する工程;(v)投与前サンプル中のβig−h3レベルを1つ又は複数の投与後サンプル中の発現レベルと比較する工程;及び(vi)それに応じて被験体への薬剤の投与を変化させる工程を含む方法を提供する。例えば、処置経過中の血中βig−h3レベルの増加は、投与量が有効ではなく投与量の増加が望まれることを示し得るか、又は処置を変更する必要性を示す。逆に、血中βig−h3の減少は、処置が効率的であり投与量の変更が不要であることを示し得る。

0059

特定の実施態様では、膵管腺ガンを処置するための治療は、化学療法処置及び/又はβig−h3アンタゴニストからなる群より選択される。

0060

上記モニタリング方法を実施するために、担ガン患者からの生物学的サンプルの反復採取が必要であるので、好ましい生物学的サンプルは、(i)患者の膵管腺ガン組織由来する細胞、又は(ii)患者の膵管腺ガン組織に由来する細胞によって合成された特異的マーカー発現産物(核酸及びタンパク質を含む)を含有しやすい血液サンプルである。

0061

治療方法及び用途:
本発明は、膵管腺ガンを予防又は治療するための方法及び組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。本発明はまた、膵管腺ガンを阻害又は予防するための方法及び組成物を提供する。

0062

本発明との関連では、用語「治療又は予防」は、このような用語が適用される障害若しくは症状又はこのような障害若しくは症状の1つ以上の症候を回復させ、緩和し、その進行を阻害し、又は予防することを意味する。特に、障害の処置は、悪性細胞の数を減少させることからなり得る。最も好ましくは、このような処置は、悪性細胞の完全な枯渇をもたらす。

0063

好ましくは、処置すべき個体は、ガンに罹患しているか又は罹患している可能性があるヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、齧歯類(マウス、ラット)、ネコ、イヌ又は霊長類)である。好ましくは、個体は、ヒトである。

0064

第1の態様によれば、本発明は、膵管腺ガンに罹患している患者の予防又は治療において使用するためのβig−h3アンタゴニストに関する。

0065

「βig−h3アンタゴニスト」は、βig−h3の活性を中和、遮断、阻害、抑制、低減又は妨害することができる分子(天然又は合成)(例えば、βig−h3とαVβ3インテグリンとの間の相互作用の低減又は遮断を含む)を指す。βig−h3アンタゴニストとしては、抗体及びその抗原結合フラグメント、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質糖ペプチド糖脂質多糖オリゴ糖、核酸、生物有機分子、ペプチド模倣物、薬理学的作用物質及びそれらの代謝産物転写及び翻訳コントロール配列などが挙げられる。アンタゴニストとしては、タンパク質のアンタゴニスト変異体、タンパク質に対するsiRNA分子、タンパク質に対するアンチセンス分子、アプタマー及びタンパク質に対するリボザイムも挙げられる。例えば、βig−h3アンタゴニストは、βig−h3に結合してβig−h3の生物学的活性(例えば、腫瘍細胞成長の誘導)を中和、遮断、阻害、抑制、低減又は妨害する分子であり得る。より具体的には、本発明のβig−h3アンタゴニストは、抗βig−h3抗体である。

0066

βig−h3の「生物学的活性」は、腫瘍細胞成長の誘導及びCD8+T細胞活性化の阻害(抗腫瘍応答の遮断)を意味する。

0067

化合物の能力がβig−h3アンタゴニストであるかを決定するための試験は当業者に周知である。好ましい実施態様では、アンタゴニストは、βig−h3の生物学的活性を阻害するために十分な様式で、βig−h3に特異的に結合する。βig−h3に対する結合及びβig−h3の生物学的活性の阻害は、当技術分野で周知の任意の競合アッセイによって決定され得る。例えば、アッセイは、βig−h3アンタゴニストとして試験すべき薬剤のβig−h3結合能力を決定することからなり得る。結合能力は、Kd測定値によって反映される。本明細書で使用される場合、用語「KD」は、解離定数(これは、Kd対Kaの比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される)を指すことを意図する。結合生体分子のKD値は、当技術分野で十分に確立された方法を使用して決定され得る。特定の実施態様では、「βig−h3に特異的に結合する」アンタゴニストは、1μM以下、100nM以下、10nM以下又は3nM以下のKDで、ヒトβig−h3ポリペプチドに結合する阻害剤を指すことを意図する。次いで、競合アッセイは、βig−h3の生物学的活性を阻害する薬剤の能力を決定するように設定され得る。機能的アッセイは、a)腫瘍細胞成長の誘導及び/又はb)CD8+T細胞活性化の阻害を阻害する能力を評価することが想定され得る(例えば、βig−h3抗体を用いた実施例並びに図2及び3を参照のこと)。

0068

当業者であれば、βig−h3アンタゴニストがβig−h3の生物学的活性を中和、遮断、阻害、抑制、低減又は妨害するかを容易に決定し得る。最初に特性評価された遮断性βig−h3抗体と同じ方法で、βig−h3アンタゴニストがβig−h3に結合し、及び/又は腫瘍細胞成長を阻害することができ、及び/又はCD8+T細胞活性化の阻害を遮断するかをチェックするために、結合アッセイ及び/又は細胞増殖アッセイ及び/又は又は阻害的CD8+T細胞活性化アッセイは、各アンタゴニストを用いて実施され得る。例えば、実施例セクション(図2)に記載されているように、CD8+T細胞活性化の阻害は、抗体抗CD69及び抗CD44(CD8+T細胞)を用いて、活性化マーカーを発現する細胞を検出することによって評価され得、細胞増殖アッセイは、CFSE増殖アッセイによって測定され得る。

0069

したがって、βig−h3アンタゴニストは、抗体、アプタマー及びポリペプチドからなる群より選択されるβig−h3に結合する分子であり得る。

0070

当業者であれば、βig−h3アンタゴニストがβig−h3の生物学的活性((i)βig−h3に対する結合及び/又は(ii)腫瘍細胞成長の誘導及び/又は(iii)CD8+T細胞活性化の阻害)を中和、遮断、阻害、抑制、低減又は妨害するかを容易に決定し得る。

0071

したがって、特定の実施態様では、βig−h3アンタゴニストはβig−h3に直接結合し、CD8+T細胞活性化の阻害を阻害する(又はCD8+T細胞活性化を回復させる)。

0072

本発明はまた、ガンに罹患している患者の抗腫瘍CD8+T細胞応答を活性化する方法において使用するためのβig−h3アンタゴニストに関する。

0073

用語「ガン」及び「腫瘍」は、典型的には無秩序な細胞成長を特徴とする哺乳動物における病態を指すか、又はそれを表す。より正確には、本発明の使用では、疾患(すなわち、βig−h3を発現/分泌する腫瘍)は、CD8+T細胞活性化の回復後に、βig−h3アンタゴニストに応答する可能性が高い。特に、ガンは、固形腫瘍又はリンパ腫白血病造血細胞由来)に関連し得る。固形腫瘍形成に関連するガンの例としては、乳ガン子宮ガン/子宮頸ガン、食道ガン、膵臓ガン、結腸ガン、結腸直腸ガン腎臓ガン、卵巣ガン前立腺ガン、頭頸部ガン、非小細胞肺ガン胃ガン間葉起源の腫瘍(すなわち、線維肉腫及び横紋筋肉腫)、中枢神経系及び末梢神経系の腫瘍(すなわち、星状細胞腫神経芽細胞腫神経膠腫神経膠芽腫(glioblatoma)を含む)、甲状腺ガンが挙げられる。

0074

好ましくは、固形腫瘍は、膵臓ガン、食道扁平上皮ガン(Ozawa et al, 2014)、胃ガン及び肝臓ガン(Han et al, 2015)、結腸ガン(Ma et al, 2008)、メラノーマ(Lauden et al, 2014)からなる群より選択される。

0075

より好ましくは、膵臓ガンは、膵管腺ガンである。

0076

用語「抗腫瘍CD8+T細胞応答」は、ガン細胞を溶解するCD8+T細胞の自然能力を意味する(Robbins and Kawakami, 1996, Romero, 1996)。

0077

・抗体
別の実施態様では、βig−h3アンタゴニストは、βig−h3とαVβ3インテグリンとの相互作用を遮断し得る抗体(この用語は、抗体フラグメント又は部分を含む)である。

0078

好ましい実施態様では、βig−h3に対する抗体がαVβ3インテグリンに対するβig−h3の結合を損なうような方法(「中和抗体」)で、βig−h3アンタゴニストは、βig−h3に対する抗体からなり得る。

0079

よって、本発明では、βig−h3の中和抗体は、(i)βig−h3に結合し、及び/又は(ii)腫瘍細胞成長を阻害し、及び/又は(iii)CD8+T細胞活性化の阻害を遮断する能力について、上記のように選択される。

0080

本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体はポリクローナル抗体である。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体はヒト化抗体である。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体はキメラ抗体である。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体の軽鎖を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体の重鎖を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体のFab部分を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体のF(ab’)2部分を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体のFc部分を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体のFv部分を含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体の可変ドメインを含む。本明細書に記載される抗体又はその部分の一実施態様では、抗体の部分は、抗体の1つ以上のCDRドメインを含む。

0081

本明細書で使用される場合、「抗体」は、天然に存在する抗体及び天然に存在しない抗体の両方を含む。具体的には、「抗体」は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、並びにその一価フラグメント及び二価フラグメントを含む。さらに、「抗体」は、キメラ抗体、完全合成抗体、一本鎖抗体及びそれらのフラグメントを含む。抗体は、ヒト抗体又は非ヒト抗体であり得る。非ヒト抗体は、ヒトにおけるその免疫原性を減少させるためのリコンビナント方法によってヒト化され得る。

0082

抗体は、従来の方法にしたがって調製される。モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein (Nature, 256:495, 1975)の方法を使用して作製され得る。本発明において有用なモノクローナル抗体を調製するために、抗原型βig−h3でマウス又は他の適切な宿主動物を適切な間隔で(例えば、週2回、週1回、月2回又は月1回)免疫する。屠殺の1週間以内に、最終「追加免疫」の抗原を動物に投与し得る。免疫中に免疫学的アジュバントを使用することが望ましいことが多い。適切な免疫学的アジュバントとしては、フロイント完全アジュバントフロイント不完全アジュバントミョウバン、Ribiアジュバント、Hunter’s Titermax、サポニンアジュバント、例えばQS21若しくはQuilA、又はCpG含有免疫刺激オリゴヌクレオチドが挙げられる。他の適切なアジュバントは当技術分野で周知である。皮下、腹腔内、筋肉内、静脈内、鼻腔内又は他の経路によって、動物を免疫し得る。複数の経路によって、複数の形態の抗原で所定の動物を免疫し得る。

0083

簡潔に言えば、リコンビナントβig−h3は、リコンビナント細胞株による発現によって提供され得る。リコンビナント型βig−h3は、任意の前記方法を使用して提供され得る。免疫レジメンの後、動物の脾臓リンパ節又は他の臓器からリンパ球を単離し、次いでポリエチレングリコールなどの薬剤を使用して適切な骨髄腫細胞株と融合させてハイブリドーマを形成する。融合後、記載されているように(Coding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice: Production and Application of Monoclonal Antibodies in Cell Biology, Biochemistry and Immunology, 3rd edition, Academic Press, New York, 1996)、標準的な方法を使用して、融合パートナーではなくハイブリドーマが成長可能な培地中に細胞を置く。ハイブリドーマの培養後、所望の特異性の(すなわち、抗原に選択的に結合する)抗体の存在について、細胞上清分析する。適切な分析技術としては、ELISA、フローサイトメトリー、免疫沈降及びウエスタンブロッティングが挙げられる。他のスクリーニング技術は当技術分野で周知である。好ましい技術は、コンフォメーションがインタクトな抗原であって、ネイティブフォールディングされた抗原に対する抗体の結合を確認するもの、例えば非変性ELISA、フローサイトメトリー及び免疫沈降である。

0084

重要なことに、当技術分野で周知であるように、抗体分子のごく一部(パラトープ)のみが、そのエピトープに対する抗体の結合に関与する(一般的に、Clark, W. R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology Wiley & Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照のこと)。Fc’領域及びFc領域は、例えば、補体カスケードエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc’領域が酵素的に切断された抗体、又はpFc’領域なしで生産された抗体(F(ab’)2フラグメントと称される)は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断された抗体、又はFc領域なしで生産された抗体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の一方を保持する。さらに進めて、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖と、抗体重鎖の一部(Fdと称される)とからなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主な決定基であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変化させずに、最大10個の異なる軽鎖に結合され得る)、Fdフラグメントは、単独でエピトープ結合能を保持する。

0085

当技術分野で周知であるように、抗体の抗原結合部分内には、抗原のエピトープと直接的に相互作用する相補性決定領域(CDR)と、パラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(FR)とが存在する(一般的に、Clark, 1986; Roitt, 1991を参照のこと)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fdフラグメント及び軽鎖の両方において、3つの相補性決定領域(CDR1からCDRS)によってそれぞれ分離された4つのフレームワーク領域(FR1からFR4)が存在する。CDR、特にCDRS領域、より具体的には重鎖CDRSは、抗体特異性に大きく関与する。

0086

元の抗体のエピトープ特異性を保持しながら、哺乳動物抗体の非CDR領域同種抗体又は異種特異的抗体の類似領域置換し得ることは、現在では当技術分野で十分に確立されている。これは、非ヒトCDRをヒトFR及び/又はFc/pFc’領域に共有結合して機能的抗体を生産する「ヒト化」抗体の開発及び使用において最も明確に具現されている。

0087

特定の実施態様では、本発明は、ヒト化型抗体を含む組成物及び方法を提供する。本明細書で使用される場合、「ヒト化」は、CDR領域外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリン分子由来の対応するアミノ酸で置換された抗体を表す。ヒト化の方法としては、限定されないが、米国特許第4,816,567号、米国特許第5,225,539号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,693,762号及び米国特許第5,859,205号(これらは、参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているものが挙げられる。また、上記米国特許第5,585,089及び米国特許第5,693,761並びに国際公開第90/07861号では、ヒト化抗体の設計に使用され得る4つの可能な基準が提案されている。第1案は、アクセプターの場合、ヒト化すべきドナー免疫グロブリンと通常は相同的な特定のヒト免疫グロブリン由来のフレームワークを使用すること、又は多くのヒト抗体由来コンセンサスフレームワークを使用することであった。第2案は、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク中のアミノ酸が通常のものではなく、その位置のドナーアミノ酸がヒト配列に典型的なのものである場合、アクセプターではなくドナーアミノ酸を選択し得ることであった。第3案は、ヒト化免疫グロブリン鎖中の3つのCDRに直接隣接する位置において、アクセプターアミノ酸ではなくドナーアミノ酸を選択し得ることであった。第4案は、抗体の三次元モデルにおいて、アミノ酸がCDRの3A以内に側鎖原子を有すると予測され、CDRと相互作用することができると予測されるフレームワーク位置にドナーアミノ酸残基を使用することであった。上記方法は、当業者がヒト化抗体の作製に用い得るいくつかの方法の単なる例示である。当業者であれば、他の抗体ヒト化方法を熟知しているであろう。

0088

ヒト化型抗体の一実施態様では、CDR領域外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリン分子由来のアミノ酸で置換されているが、1つ以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分又は全部は不変である。アミノ酸のわずかな付加、欠失、挿入、置換又は改変は、それらが、所定の抗原に対する抗体の結合能を抑制しない限り許容可能である。適切なヒト免疫グロブリン分子としては、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgM分子が挙げられる。「ヒト化」抗体は、元の抗体と類似の抗原特異性を保持する。しかしながら、特定ヒト化の方法を使用して、抗体の結合の親和性及び/又は特異性を、Wu et al., /. Mol. Biol. 294:151, 1999(その内容は、参照により本明細書に組み入れられる)によって記載されている「指向性進化」方法を使用して増加させ得る。

0089

また、ヒト免疫グロブリン重鎖及び軽鎖遺伝子座の大部分についてトランスジェニックなマウスを免疫することによって、完全ヒトモノクローナル抗体を調製し得る。例えば、米国特許第5,591,669号、米国特許第5,598,369号、米国特許第5,545,806号、米国特許第5,545,807号、米国特許第6,150,584号及びそこで引用されている参考文献(その内容は、参照により本明細書に組み入れられる)を参照のこと。これらの動物は、内因性(例えば、マウス)抗体の産生が機能的に欠失するように遺伝子的に改変されている。これらの動物を免疫すると目的の抗原に対する完全ヒト抗体が産生されるように、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含有するように前記動物をさらに改変する。これらのマウス(例えば、XenoMouse(Abgenix)、HuMAbマウス(Medarex/GenPharm))の免疫後、標準的なハイブリドーマ技術にしたがって、モノクローナル抗体を調製し得る。これらのモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列を有するので、ヒトに投与した場合にヒト抗マウス抗体(KAMA)応答を誘発しない。

0090

ヒト抗体を生産するためのin vitro方法も存在する。これらとしては、ファージディスプレイ技術(米国特許第5,565,332号及び米国特許第5,573,905号)及びヒトB細胞のin vitro刺激(米国特許第5,229,275号及び米国特許第5,567,610号)が挙げられる。これらの特許の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。

0091

したがって、当業者には明らかであるように、本発明はまた、F(ab’)2Fab、Fv及びFdフラグメント;Fc及び/又はFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が、相同的なヒト配列又は非ヒト配列によって置換されているキメラ抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が、相同的なヒト配列又は非ヒト配列によって置換されているキメラF(ab’)2フラグメント抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が、相同的なヒト配列又は非ヒト配列によって置換されているキメラFabフラグメント抗体;並びに、FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2領域が、相同的なヒト配列又は非ヒト配列によって置換されているキメラFdフラグメント抗体を提供する。本発明はまた、いわゆる一本鎖抗体を含む。

0092

様々な抗体分子及びフラグメントは、限定されないが、IgA、分泌IgA、IgE、IgG及びIgMを含む一般的に公知の免疫グロブリンクラスのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、限定されないが、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4が挙げられる。

0093

別の実施態様では、本発明の抗体は、単一ドメイン抗体である。用語「単一ドメイン抗体」(sdAb)又は「VHH」は、軽鎖を本来的に欠くラクダ科哺乳動物に見られ得る種類の抗体の単一重鎖可変ドメインを指す。このようなVHHは、「nanobody(登録商標)」とも称される。本発明によれば、sdAbは、特にラマsdAbであり得る。

0094

中和抗βig−h3抗体の例は、例えば、Bae JS et al Acta Physiol 2014, 212, 306-315に開示されている。これらの抗体の抗原−結合配列(例えば、CDR)を使用して、本明細書に開示されるPDACの処置のためのヒト化抗体を作製するために、当業者であれば、ルーチンな技術を使用し得る。

0095

・アプタマー
別の実施態様では、βig−h3アンタゴニストは、βig−h3に対するアプタマーである。アプタマーは、分子認識の点で抗体の代替物となる分子のクラスである。アプタマーは、高い親和性及び特異性で、実質的に任意のクラスのターゲット分子を認識する能力を有するオリゴヌクレオチド又はオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk C. and Gold L., 1990に記載されているようにランダム配列ライブラリーの試験管内進化法を介して単離され得る。ランダム配列ライブラリーは、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得られ得る。このライブラリーでは、各メンバーは、ユニークな配列の最終的には化学的に改変される線状オリゴマーである。このクラスの分子の可能な改変、使用及び利点は、Jayasena S.D., 1999に概説されている。ペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法(Colas et al., 1996)によってコンビナトリアルライブラリーから選択されるプラットフォームタンパク質(例えば、E. coliチオレドキシンA)によって提示されるコンフォメーション的に制限された抗体可変領域からなる。

0096

よって、本発明では、βig−h3の中和アプタマーは、(i)βig−h3に結合し、及び/又は(ii)腫瘍細胞成長を阻害し、及び/又は(iii)CD8+T細胞活性化の阻害を遮断する能力について、上記のように選択される。

0097

・βig−h3遺伝子発現の阻害剤
さらに別の実施態様では、βig−h3アンタゴニストは、βig−h3遺伝子発現の阻害剤である。「発現の阻害剤」は、遺伝子の発現を阻害する生物学的効果を有する天然化合物又は合成化合物を指す。したがって、「βig−h3遺伝子発現の阻害剤」は、βig−h3遺伝子の発現を阻害する生物学的効果を有する天然化合物又は合成化合物を示す。

0098

本発明の好ましい実施態様では、前記βig−h3遺伝子発現の阻害剤は、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドヌクレアーゼ又はリボザイムである。

0099

本発明において使用するためのβig−h3遺伝子発現の阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物ベースとするものであり得る。アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、βig−h3mRNAに結合してタンパク質翻訳を防止するか、又はmRNA分解を増加させることによって、βig−h3 mRNAの翻訳を直接遮断し、それにより、細胞内のβig−h3のレベル及び活性を低下させるように作用する。例えば、少なくとも約15塩基のアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、βig−h3をコードするmRNA転写配列のユニーク領域に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを、例えば通常のホスホジエステル技術によって合成し、例えば静脈内注射又は静脈内注入によって投与し得る。その配列が公知の遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためにアンチセンス技術を使用する方法は、当技術分野で周知である(例えば、米国特許第6,566,135号;米国特許第6,566,131号;米国特許第6,365,354号;米国特許第6,410,323号;米国特許第6,107,091号;米国特許第6,046,321号;及び米国特許第5,981,732号を参照のこと)。

0100

低分子干渉RNA(siRNA)もまた、本発明において使用するためのβig−h3遺伝子発現阻害剤として機能し得る。βig−h3遺伝子発現が特異的に阻害されるように、低分子二本鎖RNAdsRNA)又は低分子二本鎖RNAの生成を引き起こすベクター若しくは構築物を使用することによって、βig−h3遺伝子発現を減少させ得る(すなわち、RNA干渉又はRNAi)。その配列が公知の遺伝子について、適切なdsRNA又はdsRNAをコードするベクターを選択するための方法は、当技術分野で周知である(例えば、Tuschi, T. et al. (1999); Elbashir, S. M. et al. (2001); Hannon, GJ. (2002); McManus,MT. et al. (2002); Brummelkamp, TR. et al. (2002);米国特許第6,573,099号及び米国特許第6,506,559号;並びに国際公開第01/36646号、国際公開第99/32619号及び国際公開第01/68836号を参照のこと)。

0101

βig−h3に対する前記siRNAの例としては、限定されないが、Chaoyu Ma (2008) Genes & Development 22:308-321に記載されているものが挙げられる。

0102

リボザイムもまた、本発明において使用するためのβig−h3遺伝子発現阻害剤として機能し得る。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイムの作用機構は、相補的ターゲットRNAへのリボザイム分子配列特異的ハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレアーゼ切断を含む。それにより、βig−h3mRNA配列のエンドヌクレアーゼ切断を特異的及び効率的に触媒する人工ヘアピン又はハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、本発明の範囲内で有用である。リボザイム切断部位(これらとしては、典型的には、以下の配列GUA、GUU及びGUCが挙げられる)についてターゲット分子をスキャンすることによって、任意のRNAターゲット候補内の特異的リボザイム切断部位を最初に同定する。同定したら、切断部位を含有するターゲット遺伝子の領域に対応する約15〜20リボヌクレオチドの間の短いRNA配列を、オリゴヌクレオチド配列を不適切にし得る予測構造的特徴(例えば、二次構造)について評価し得る。また、例えば、リボヌクレアーゼ保護アッセイを使用して、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションへのアクセシビリティを試験することによって、候補ターゲット適切性を評価し得る。

0103

βig−h3遺伝子発現阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、公知の方法によって調製され得る。これらとしては、例えば、固相ホスホラミダイト(phosphoramadite)化学合成などによる化学合成技術が挙げられる。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のin vitro又はin vivo転写によって作製され得る。このようなDNA配列は、T7又はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターが組み込まれた様々なベクターに組み込まれ得る。細胞内安定性及び半減期を増加させる手段として、本発明のオリゴヌクレオチドに対する様々な改変を導入し得る。可能な改変としては、限定されないが、リボヌクレオチド若しくはデオキシリボヌクレオチドフランキング配列を分子の5’及び/若しくは3’末端に付加すること、又はホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオエート若しくは2’−O−メチルをオリゴヌクレオチド骨格内で使用することが挙げられる。

0104

本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、単独で又はベクターに結合してin vivo送達され得る。その最も広い意味において、「ベクター」は、細胞(好ましくは、βig−h3を発現する細胞)へのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム核酸の運搬を促進することができる任意のビヒクルである。好ましくは、ベクターは、ベクターの非存在で起こり得る分解程度と比べて低減した分解で、核酸を細胞に輸送する。一般的に、本発明に有用なベクターとしては、限定されないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム核酸配列の挿入又は組み込みによって操作されたプラスミドファージミドウイルスウイルス源又は細菌源に由来する他のビヒクルが挙げられる。ウイルスベクターは好ましい種類のベクターであり、限定されないが、以下のウイルス:レトロウイルス、例えばモロニーマウス白血病ウイルスハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳ガンウイルス、及びラウス肉腫ウイルスアデノウイルスアデノ随伴ウイルスSV40型ウイルス;ポリオーマウイルスエプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルスヘルペスウイルスワクシニアウイルスポリオウイルス;及びRNAウイルス、例えばレトロウイルスに由来する核酸配列が挙げられる。命名されていないが当技術分野で公知の他のベクターも容易に用い得る。

0105

好ましいウイルスベクターは、非必須遺伝子が目的の遺伝子で置換されている非細胞変性真核生物ウイルスをベースとするものである。非細胞変性ウイルスとしてはレトロウイルス(例えば、レンチウイルス)が挙げられ、その生活環は、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と、それに続くプロウイルス宿主細胞DNAへの組み込みを含む。レトロウイルスは、ヒト遺伝子療法試験に承認されている。最も有用なのは、複製欠損性(すなわち、所望のタンパク質の合成を指令することはできるが、感染性粒子を製造することができない)レトロウイルスである。このような遺伝子的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、in vivoにおける高効率な遺伝子トランスダクションについて全般的有用性を有する。複製欠損性レトロウイルスを生産するための標準的なプロトコール外因性遺伝物質をプラスミドに組み込む工程、プラスミドでパッケージング細胞株トランスフェクションする工程、パッケージング細胞株によってリコンビナントレトロウイルスを生産する工程、組織培養培地からウイルス粒子回収する工程、及びウイルス粒子をターゲット細胞に感染させる工程を含む)は、KRIEGLER (A Laboratory Manual, “W.H. Freeman C.O., New York, 1990) and in MURRY (“Methodsin Molecular Biology,” vol.7, Humana Press, Inc., Cliffton, N.J., 1991)に示されている。

0106

特定の用途に好ましいウイルスは、遺伝子治療におけるヒトへの使用が既に承認されている二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルス及びアデノ随伴(AAV)ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損性となるように操作することができ、広範囲細胞型及び種に感染することができる。それはさらに、熱安定性及び脂質溶媒安定性;造血細胞を含む多様な系統の細胞における高いトランスダクション頻度;並びに、重複感染阻害がないので複数回のトランスダクションが可能であるなどの利点を有する。報告によれば、アデノ随伴ウイルスを部位特異的にヒト細胞DNAに組み込むことにより、挿入突然変異誘発の可能性及びレトロウイルス感染に特徴的な挿入遺伝子の発現の変動性を最小限にし得る。加えて、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択圧の非存在下で100継代回以上にわたって組織培養液中で観察されており、これは、アデノ随伴ウイルスのゲノム組み込みは、比較的安定した事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外でも機能し得る。

0107

他のベクターとしては、プラスミドベクターが挙げられる。プラスミドベクターは当技術分野で広く記載されており、当業者に周知である。例えば、SANBROOK et al., “Molecular Cloning: A Laboratory Manual,” Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照のこと。ここ数年間では、プラスミドベクターは、in vivoにおいて抗原をコードする遺伝子を細胞に送達するためのDNAワクチンとして使用されている。それらは、ウイルスベクターの多くと同じ安全上の懸念がないので、特に有利である。しかしながら、宿主細胞と適合性のプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で作動可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現し得る。いくつかの一般的に使用されるプラスミドとしては、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40及びpBlueScriptが挙げられる。他のプラスミドは当業者に周知である。加えて、DNAの特定のフラグメントを除去及び付加する制限酵素及びライゲーション反応を使用して、プラスミドをカスタム設計し得る。プラスミドは、様々な非経口経路、粘膜経路及び局所経路によって送達され得る。例えば、DNAプラスミドは、筋肉内、皮内、皮下、又は他の経路によって注射され得る。それはまた、鼻腔内スプレー又は点鼻液直腸坐剤によって及び経口的に投与され得る。それはまた、遺伝子銃を使用して表皮又は粘膜表面に投与され得る。プラスミドを水溶液に加えてもよいし、金粒子上に乾燥してもよいし、又は別のDNA送達システム(限定されないが、リポソームデンドリマーコクリエート及びマイクロカプセル化を含む)と併用してもよい。

0108

膵臓ガンを予防又は治療するための方法
本発明はさらに、被験体における膵管腺ガンを予防又は治療する方法であって、治療有効量のβig−h3アンタゴニストを該被験体に投与することを含む方法を企図する。

0109

一態様では、本発明は、被験体における膵臓腫瘍成長を阻害する方法であって、治療有効量のβig−h3アンタゴニストを被験体に投与することを含む方法を提供する。

0110

「治療有効量」のβig−h3アンタゴニストは、膵管腺ガンを予防又は治療するために十分な量のアンタゴニストを意味する。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の1日総使用量は、健全医学的判断の範囲内で主治医によって決定されると理解されよう。任意の特定の被験体の具体的な治療有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物、被験体の年齢、体重、一般健康、性別、及び食事;投与時間、投与経路、及び用いられる特定の化合物の排泄速度;治療期間;用いられる特定のポリペプチドと組み合わせて又は同時に使用される薬物;及び医療分野で周知の同様の要因を含む様々な要因に依存するであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要なレベルよりも低レベルで化合物の投与を開始して、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることは、当業者の範囲内である。しかしながら、生成物の1日投与量は、0.01〜1,000mg/成人/日の広範囲で変動し得る。好ましくは、治療される被験体への投与量を対症的に調整するために、組成物は、有効成分 0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250、及び500mgを含有する。医薬は、典型的には、有効成分 約0.01mg〜約500mg、好ましくは有効成分 1mg〜約100mgを含有する。有効量の薬物は、通常、0.0002mg/kg〜約20mg/kg体重/日、特に約0.001mg/kg〜7mg/kg体重/日の投与量レベルで供給される。

0111

本発明はまた、βig−h3アンタゴニストを用いて、高い血中βig−h3レベルを有する被験体におけるPDACを処置するための方法に関する。

0112

本発明はまた、高い血中βig−h3レベルを有する被験体におけるPDACの処置において使用するためのβig−h3アンタゴニストに関する。

0113

上記方法及び使用は、前記被験体から得られた血液サンプル中のβig−h3タンパク質レベルを測定し、基準コントロール値と比較する工程を含む。

0114

高いβig−h3レベルは、膵管腺ガンを有し又は発症する高いリスクを予測し、βig−h3アンタゴニストを使用しなければならないことを意味する。

0115

典型的には、被験体から体液サンプルを得、このサンプル中のβig−h3レベルを測定する。実際、統計分析により、βig−h3レベルの減少は、高いβig−h3レベルを示す患者において特に有益であることが明らかになった。

0116

本発明の医薬組成物:
治療用組成物を形成するために、上記βig−h3アンタゴニストは、薬学的に許容し得る賦形剤、及び場合により徐放性マトリックス、例えば生分解性ポリマーと組み合わされ得る。

0117

したがって、本発明は、本発明のβig−h3アンタゴニストと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物に関する。

0118

本発明はまた、膵管腺ガンの予防又は治療において使用するための医薬組成物であって、本発明のβig−h3アンタゴニストと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。

0119

「薬学的に」又は「薬学的に許容し得る」は、必要に応じて哺乳動物、特にヒトに投与した場合に有害反応アレルギー反応又は他の望ましくない反応を引き起こさない分子実体及び組成物を指す。薬学的に許容し得る担体又は賦形剤は、無毒固体半固体又は液体充填剤希釈剤封入剤又は任意の種類の製剤化助剤を指す。

0120

治療用途では、組成物は、記載されているように、疾患の症候及びその合併症を治癒又は少なくとも部分的に停止するために十分な量で、疾患を既に患っている患者に投与される。医薬組成物の適切な投与量は、いくつかの十分に確立されたプロトコールのいずれか1つにしたがって容易に決定される。例えば、体重1キログラム当たりの生物活性剤最大許容用量を決定するために、(例えば、マウス又はラットの)動物研究が一般に使用される。一般に、試験される動物種の少なくとも1つは、哺乳動物である。例えば、動物研究の結果から、ヒトなどの他の種において使用するための用量を推定し得る。有効量を構成するものはまた、疾患又は症状の性質及び重症度、並びに患者の健康の一般的状態に依存する。

0121

治療的処置では、医薬組成物に含まれるアンタゴニストは、所望の応答が達成されるまで、複数回投与量で又は単回用量として投与され得る。典型的には、処置はモニタリングされ、必要に応じて反復投与量が投与され得る。βig−h3の不活性化が必要である場合には常に、本発明の化合物は、確立された投与レジメンにしたがって投与され得る。

0122

製品の1日投与量は、0.01〜1,000mg/成人/日の広範囲で変動し得る。好ましくは、処置すべき患者への投与量の症候性調整のために、組成物は、有効成分 0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250及び500mgを含有する。医薬は、典型的には、有効成分 約0.01mg〜約500mg、好ましくは有効成分 約1mg〜約100mgを含有する。有効量の薬物は、通常、0.0002mg/kg〜約20mg/kg体重/日、特に約0.001mg/kg〜10mg/kg体重/日の投与量レベルで供給される。しかしながら、任意の特定の患者のための特定の用量レベル及び投与頻度は変動し得、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及びその作用の長さ、年齢、体重、一般的健康、性別、食事、投与の様式及び時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の症状の重症度、並びに治療を受けている宿主を含む様々な要因に依存すると理解されよう。

0123

経口、下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮局所又は直腸投与のための本発明の医薬組成物では、活性成分は単独で、又は別の活性成分と組み合わせて、単位投与形態で、従来の薬学的支持体との混合物として、動物及びヒトに投与され得る。適切な単位投与形態は、錠剤ゲルカプセル剤散剤顆粒剤及び経口用懸濁剤又は液剤などの経口経路剤形、舌下及び口内投与形態、エアロゾルインプラント、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、真皮下、経皮、髄腔内及び鼻腔内投与形態並びに直腸投与形態を含む。

0124

適切な単位投与形態としては、経口投与のための形態、例えば錠剤、ゼラチンカプセル粉末経口摂取すべき顆粒及び溶液又は懸濁液、舌下及び口腔投与のための形態、エアロゾル、インプラント、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内又は眼内投与のための形態並びに直腸投与のための形態が挙げられる。

0125

本発明の医薬組成物では、活性成分は、一般に、毎日投与の投与量単位当たり前記活性成分 0.5〜1000mg、好ましくは1〜500mg、より好ましくは2〜200mgを含有する投与量単位として製剤化される。

0126

錠剤の形態の固体組成物を調製する場合、ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤を、場合により微粉化された活性成分に追加し、次いで、これをシリカゼラチンデンプンラクトースステアリン酸マグネシウムタルクアラビアゴムなどの薬学的ビヒクルと混合する。錠剤は、スクロースで、様々なポリマー若しくは他の適切な物質でコーティングされ得るか、又はそれらは、長期的若しくは遅発的な活性を有するように、及び所定量の活性成分を連続的に放出するように処理され得る。

0127

ゼラチンカプセルの形態の調製物は、活性成分を希釈剤、例えばグリコール又はグリセロールエステルと混合し、得られた混合物を軟質ゼラチンカプセル又は硬質ゼラチンカプセル注ぐことによって得られる。

0128

シロップ又はエリキシル剤の形態の調製物は、甘味料(これは、好ましくはカロリーフリーである)、防腐剤としてメチル−パラベン及びプロピルパラベン香味料及び適切な着色料と一緒に、活性成分を含有し得る。

0129

水分散性粉末又は顆粒は、分散剤又は湿潤剤又は懸濁剤、例えばポリビニルピロリドン及びさらには甘味料又は味修正剤と混合された活性成分を含有し得る。

0130

直腸投与は、直腸温度融解する結合剤、例えばカカオバター又はポリエチレングリコールを用いて調製された坐剤を使用して行われる。

0131

非経口、鼻腔内又は眼内投与は、薬理学的に適合性の分散剤及び/又は湿潤剤、例えばプロピレングリコールブチレングリコール又はポリエチレングリコールを含有する水性懸濁液等張性生理食塩水溶液又は滅菌注射溶液を使用して行われる。

0132

したがって、共溶媒、例えばアルコール、例えばエタノール又はグリコール、例えばポリエチレングリコール若しくはプロピレングリコール及び親水性界面活性剤、例えばTween.RTM. 80は、静脈内経路によって注射可能な水溶液を調製するために使用され得る。筋肉内経路によって注射可能な油性溶液を調製するために、活性成分は、トリグリセリド又はグリセロールエステルによって可溶化され得る。

0133

経皮投与は、活性成分がアルコール溶液の形態である多層パッチ又はリザーバを使用して行われる。

0134

吸入による投与は、例えば、トリクロロフルオロメタンジクロロテトラフルオロエタン又は任意の他の生物学的に適合性の推進剤ガスと一緒にトリオレインソルビタン又はオレイン酸を含有するエアロゾルを使用して行われる。

0135

活性成分はまた、場合により1つ以上の担体又は添加剤と共に、マイクロカプセル又はミクロスフェアとして製剤化され得る。

0136

慢性処置の場合に有用な持続放出形態では、インプラントが使用され得る。これらは、油性懸濁液の形態で、又は等張性媒体中のミクロスフェアの懸濁液の形態で調製され得る。

0137

活性成分はまた、シクロデキストリン、例えばα、β若しくはγ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン又はメチル−β−シクロデキストリンとの複合体の形態で提示され得る。

図面の簡単な説明

0138

新生物病変における主なβig−h3源はCAFである。A.導管細胞及びCAFのプロトコール単離。B.導管及びCAF単離区画におけるβig−h3の相対的発現(ハウスキーピング参照遺伝子としてTBPを使用したRT−qPCR)。C.TGF−β1で24時間刺激したコントロールex vivo条件におけるCAFによるβig−h3産生。**P<0.01
新生物病変における主なβig−h3源はCAFである。A.導管細胞及びCAFのプロトコール単離。B.導管及びCAF単離区画におけるβig−h3の相対的発現(ハウスキーピング参照遺伝子としてTBPを使用したRT−qPCR)。C.TGF−β1で24時間刺激したコントロールex vivo条件におけるCAFによるβig−h3産生。**P<0.01
新生物病変における主なβig−h3源はCAFである。A.導管細胞及びCAFのプロトコール単離。B.導管及びCAF単離区画におけるβig−h3の相対的発現(ハウスキーピング参照遺伝子としてTBPを使用したRT−qPCR)。C.TGF−β1で24時間刺激したコントロールex vivo条件におけるCAFによるβig−h3産生。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
腫瘍微環境における可溶性βig−h3産生は、特異的CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができる。βig−h3は、CD8+T細胞活性化を直接的にモデュレーションする。rβig−h3でOT1 T細胞を24時間前処置し、次いで、2つの異なる濃度(10及び1ng/ml)のOVAペプチドを追加することによってAg特異的に活性化した。前処置条件は、赤色で表されている。未処置条件は、灰色で表されている。A)98時間のin vitro細胞培養後の分裂CFSElowOT1細胞の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後のOT1細胞の総数の定量、B)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD69+OT1細胞の定量、C)98時間のin vitro細胞培養後の活性化CD44+OT1細胞の定量。D)98時間のin vitro細胞培養後のCD69+OT1細胞の総数の定量、E)98時間のin vitro細胞培養後のCAF細胞及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1の数の定量、F)98時間のin vitro細胞培養後のCAF上清及び抗βig−h3中和Ab又はコントロールAb細胞の存在下/非存在下におけるOT1細胞の数の定量。G)腫瘍細胞株(KC)と共に5日間培養した後のp48;Krasマウスの流入領域リンパ節(DLN)由来の抗腫瘍CD8+T細胞の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
βig−h3枯渇は、in vivoでT細胞応答を増強する。膵臓内CD8+T細胞(A)、EPCAM(導管内腫瘍区画)(B)及びαSMA(CAF区画)(C)の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
βig−h3枯渇は、in vivoでT細胞応答を増強する。膵臓内CD8+T細胞(A)、EPCAM(導管内腫瘍区画)(B)及びαSMA(CAF区画)(C)の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
βig−h3枯渇は、in vivoでT細胞応答を増強する。膵臓内CD8+T細胞(A)、EPCAM(導管内腫瘍区画)(B)及びαSMA(CAF区画)(C)の定量。3回の独立した実験の代表。*P<0.05。**P<0.01
βig−h3は、早期新生物発生のマーカーとして使用され得る A.2カ月齢のWT及びKCマウスにおけるβig−h3の量のELISA決定。B)健常志願者20人及びPDAC患者20人の血清中のβig−h3の量のELISA決定。*P<0.05、***<0.001。
βig−h3は、早期新生物発生のマーカーとして使用され得る A.2カ月齢のWT及びKCマウスにおけるβig−h3の量のELISA決定。B)健常志願者 20人及びPDAC患者 20人の血清中のβig−h3の量のELISA決定。*P<0.05、***<0.001。
βig−h3は、T細胞の表面上のCD61を介してシグナル伝達する。(A)脾臓及び腫瘍におけるCD8+T細胞上のCD61発現の平均蛍光強度MFI)。(B)βig−h3で24時間処置したCD8+T細胞又は未処置(0)のCD8+T細胞におけるCD61発現のMFI。(C)マンダー法にしたがってZenソフトウェアを使用して、CD61とpLck Y505との共焦点局在性を計算した。各分子について、少なくとも20個の画像を分析した。結果は、3回の独立した実験の代表である。****P<0.0001。
βig−h3は、T細胞の表面上のCD61を介してシグナル伝達する。(A)脾臓及び腫瘍におけるCD8+T細胞上のCD61発現の平均蛍光強度(MFI)。(B)βig−h3で24時間処置したCD8+T細胞又は未処置(0)のCD8+T細胞におけるCD61発現のMFI。(C)マンダー法にしたがってZenソフトウェアを使用して、CD61とpLck Y505との共焦点共局在性を計算した。各分子について、少なくとも20個の画像を分析した。結果は、3回の独立した実験の代表である。****P<0.0001。
βig−h3は、T細胞の表面上のCD61を介してシグナル伝達する。(A)脾臓及び腫瘍におけるCD8+T細胞上のCD61発現の平均蛍光強度(MFI)。(B)βig−h3で24時間処置したCD8+T細胞又は未処置(0)のCD8+T細胞におけるCD61発現のMFI。(C)マンダー法にしたがってZenソフトウェアを使用して、CD61とpLck Y505との共焦点共局在性を計算した。各分子について、少なくとも20個の画像を分析した。結果は、3回の独立した実験の代表である。****P<0.0001。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
CD8+T細胞は、腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために有益である。(A)実験設定。CD45の割合(B)、CD45+細胞のうちのCD8+T細胞の割合(C)、CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合(D)のFACS分析。(E)実験設定。(F)CD45−細胞のうちのEPCAM−の割合のFACS分析。結果は、2回の独立した実験の代表である。*P<0.05。
診断マーカー候補としての可溶性βig−h3の存在について、血液バンクの健常志願者 49人及びPDAC患者 104人の血清のさらなるコホート。血清中のβig−h3の量のELISA決定。***P<0.001。
診断マーカー候補としての可溶性βig−h3の存在について、血液バンクの健常志願者 49人及びPDAC患者 104人の血清のさらなるコホート。血清中のβig−h3の量のELISA決定。***P<0.001。

0139

実施例1:
材料及び方法
マウスモデル
p48−Cre;KrasG12Dを交配し、特定病原体除去条件で飼育し、PANINの発症のモデルとして使用した。これらのマウスは、1.5カ月からPANIN病変を発症する。特異的免疫応答レギュレーションにおけるβig−h3分子の役割を決定するためにユニークなOT1T細胞レセプター(CD8+T細胞)を発現するOT1/Rag2 KOトランスジェニックマウスを使用した。さらに、PANIN発症の早期におけるこの分子の影響を評価するために、βigh3に対する中和抗体を使用した。

0140

コラーゲン破壊によって、p48−Cre;KrasG12D又はWT動物のマウス膵臓を単離した。DBA−レクチン−FITC及びそれに続く抗FITC磁気ビーズを使用して導管を単離し、抗PDGFRα−PE及び抗PE磁気ビーズ並びにMACS Miltenyi技術を使用することによってCAFを単離した。あるいは、純度を増加させるために、本発明者らは、それらをFACS分類する。精製集団をレシピエントマウス(免疫正常WT C57Bl6マウス)のマトリゲルに注射した。p48−Cre;KrasG12Dにおいて、300μg/kgの濃度の抗TGFBIp中和モノクローナル抗体(In-San Kim, Korea Institute of Science and Technology Seoul, Koreaによる提供)又はコントロールモノクローナル抗体(BioXCell, USA)の抗体腹腔内注射を4週間にわたって週1回行った。あるいは、抗TGFBIp中和モノクローナル抗体又はコントロールAbを注入したp48−Cre;KrasG12D細胞株(Agbunag et al., 2006に以前に記載されているようにp48−Cre;KrasG12D2.5月齢マウスの膵臓から作製した2つの異なる細胞株)を免疫正常WT C57Bl6マウスのマトリゲルに皮下注射した。

0141

抗CD8(CD8+T細胞)、抗CD4(CD4+T細胞)又は抗Gr1(単球マクロファージ)(全てBioXCell, USA製)による抗体枯渇によって、皮下移植後の腫瘍形成に対するT細胞集団の影響を評価し得る。

0142

生物資源
Bucarest, Romanian National Institute for Diabetes、Marseille Hopital La Timone及びLyon, Hopital Edouard Herriotから、PANIN、IPMN又はPDACを有する患者由来の膵臓スライド収集した。免疫組織化学及び免疫蛍光では、パラフィン包埋膵臓由来の6μm切片を染色した。全ての実験手順は、Romanian National Ethics Committee及びFrench National Ethics Committeeによって承認された。CRB (Centre de Ressources Biologiques Centre Leon Berard, Lyon France) BB-0033-00050から、血清を回収した。

0143

細胞培養
96−U型ウェルプレート(細胞300000個/ウェル)中、6μg/mlの最終濃度の中和抗βigh3 Ab又はコントロールAb(BioXCell, USA)の存在下で、流入領域リンパ節、膵臓(Agbunag et al., 2006に以前に記載されているコラゲナーゼ破壊による)、脾臓から抽出した細胞を24時間培養した。

0144

フローサイトメトリー分析
細胞外染色では、CD8 V450ラット抗体(BD Bioscience)、マウスCD4 V500ラット抗体(BD Bioscience)、マウスCD44 A700ラット抗体(BD Bioscience)、CD69FITC(ImmunoTools)で流入領域リンパ節細胞又は灌流膵臓を染色した。細胞内染色では、Golgi plug (BD Pharmingen)の存在下、10%FCS(Biowest)、10mMHEES、100U/mlペニシリンG、100μg/mlストレプトマイシン、2mM L−グルタミン(Invitrogen)を補充したRPMI1640培地(Invitrogen)中、PMA及びイオノマイシン(1μg/ml)で流入領域リンパ節細胞を37℃、5%CO2で4時間活性化した。活性化後、CD8 V450ラット抗体(BD Bioscience)、マウスCD4 V500ラット抗体(BD Bioscience)で細胞を染色し、Cytofix-Cytoperm (BD Pharmingen)を使用して透過処理し、抗IFNγ(clone XMG1.2, BD Pharmingen)、抗グランザイムB(clone GB12, Invitrogen)でさらに染色し、BD Fortessa Flow Cytometer (BD Biosciences)を用いてフローサイトメトリー分析を行い、BDFACSDivaソフトウェアv5.0.1 (BD)又はFlowJo (Tree Star, Inc.)のいずれかを用いて分析した。

0145

逆転写及びqPCR
製造業者にしたがってQiagenキットによって、ペレット化膵島からRNAを抽出した。NanodropでRNA濃度を測定した。等量の抽出RNA(300ng超)に対して、逆転写(RT)を行った。cDNAから、以下のプライマーTBPフォワード5’−TGGTGTGCACAGGAGCCAAG−3’(配列番号:3)、TBPリバース5’−TTCACATCACAGCTCCCCAC−3’(配列番号:4)及びβig−h3オールインワンTM qPCR(cat no MQP028379)プライマー(GeneCopoeia製)と共に、Power SYBR(登録商標)Master Mix (Life technologies)を用いて、定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を行った。

0146

免疫蛍光及び共焦点顕微鏡法
パラフィンに含まれるマウス膵臓の5μm切片を有するスライドを脱パラフィン処理した。アンマスキング溶液(Vector H 3300)によって切片をアンマスキングし、次いで、抗体希釈剤(Dako)で30分間飽和させ抗体希釈剤で希釈した一次抗体と共に4℃で一晩インキュベーションした(βig−h3ウサギ抗体(Sigma製)、αSMA(Genetex)、CK19 CK19 Troma III(DSHB製))。培養細胞では、スライド上で細胞をサイトスピンし、0.4%パラホルムアルデヒドで10分間固定し、次いで、0.1%TritonX−100で10分間透過処理した。PBS0.05%Tweenで細胞を洗浄し、抗体希釈剤(Dako)で15分間ブロッキングした後、βig−h3ウサギ抗体(Sigma製)、CD61(Ebioscience製)、pErk(Cell Signalling製)によって4℃で一晩染色した。スライドを種特異的抗Fab’2−Alexa 647及びAlexa 555(Molecular Probes)と共にインキュベーションし、DAPIを含むVectashield封入剤にマウントした。各分子の局在性の代表的な画像が示されている。全ての共焦点分析を複数回反復し、各分子について少なくとも20個の画像を分析した。共局在性の定量に使用するための方法は、以前に記載されている(10)。Zenソフトウェア(Zeiss)を使用して、データをレンダリング及び分析した。

0147

統計分析
図の凡例に詳述されているように、スチューデントt検定(GraphPad Prism)を用いて、P値を計算した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001.****P<0.0001

0148

結果
βig−h3は、膵臓新生物の腫瘍形成の早期に発現される。
本発明者らは、C57Bl6のWT膵臓では、ランゲルハンス島において、βig−h3タンパク質が低レベルで発現されることを以前に示した(Patry et al., 2015)。外分泌区画では、前記タンパク質の発現は検出されなかった。対照的に、1.5カ月から新生物を発症するp48Cre;KrasG12D(KC)マウス(Hingorani et al., 2003)では、本発明者らは、新生物病変周辺において前記タンパク質の有意な発現を見出した。新生物発生の後期(すなわち、4.5及び7カ月)では、この発現は維持されていたが不均一であった。さらに、本発明者らは、免疫蛍光染色によって、βig−h3発現が、導管マーカーサイトケラチン19(CK19)を発現する腫瘍性導管細胞(PANIN)周辺に局在しており、PANIN発生の1.5カ月後直ぐに間質マーカーαSMAと主に共局在していたことを特定した。膵臓ガンを有する患者における発現タンパク質パターンの関連性をチェックするために、本発明者らは、膵臓腺ガン(PDAC)に対して免疫組織化学染色を実施した。PDACを有する患者 15人を分析したところ、患者は全て、前記タンパク質が、腫瘍性導管周辺の間質の細胞外区画において発現されるが、びまん性ガンにおいても発現されることを示した。要するに、これらの結果は、マウスでは、βig−h3(TGF−β/アクチビンスーパーファミリーターゲット)が新生物の早期に発現され、ヒトPDACでは、この発現が同じ染色パターンで見られたことを初めて実証している。

0149

βig−h3は、膵臓新生物の微小環境区画に限定される。
βig−h3発現のパターンはαSMAとの共局在性を示したので、本発明者らは次に、どの細胞型が前記タンパク質を産生するかを調査した。したがって、本発明者らは、磁気ビーズ分類によって、2.5カ月の膵臓から導管細胞及びガン関連線維芽細胞(CAF)を単離した(図1A)(材料及び方法に記載)。mRNA抽出後、本発明者らは、βig−h3転写産物の定量RT−PCRを実施した。本発明者らは、βig−h3タンパク質の発現がCAF区画に限定されていたことを見出した(図1B)。(KCマウスから単離した)3つの異なるCAF細胞株を完全培地中で24時間in vitro培養し、又はTGF−β1(20ng/ml)で刺激したので、本発明者らは、タンパク質のレベルでこれらのデータを確認した。本発明者らは、CAFがex vivoでβig−h3タンパク質を産生し、TGF−β処置によってこの産生がさらに増強されたことを見出した(図1C)。

0150

分泌βig−h3は、CD8+T細胞Ag特異的応答を抑制する
本発明者らは、βig−h3が、不活性コンフォメーションのLckキナーゼを直接遮断することによって、糖尿病誘発性T細胞を阻害して膵島β細胞を殺傷することができたことを以前に示した(Patry et al., 2015)。βig−h3がCD8+T細胞Ag特異的応答をモデュレーションすることができたかを決定するために、本発明者らは、リコンビナントβig−h3でOT1 CD8+T細胞を処置し、(2つの異なる濃度の)特定のOVA SIINFEKL同族ペプチドで細胞をさらに処置した。本発明者らは、活性化マーカーCD69(図2D)及びCD44(図2C)を発現する総細胞数図2B)及び分裂OT1細胞数図2A)によって測定した場合、βig−h3前処置がAg特異的応答を有意に減少させることができたことを実証する。本発明者らはさらに、CD8+T細胞とCAFとの共培養実験において、βig−h3に対する中和Abを使用した。図2Eに示されているように、中和Abの追加は、CAFの免疫抑制無効化することができなかったが、CAF上清中の分泌タンパク質を遮断することができた(図2F)。さらに、本発明者らは、放射線照射膵臓KC細胞株で刺激したKCマウスの流入領域リンパ由来のT細胞を使用することによって、これらの結果を確認した(図2G)。要するに、これらの結果は、βig−h3が、in vitroで特異的抗腫瘍CD8+T細胞応答をモデュレーションすることができたことを初めて示している。

0151

in vivoにおけるβig−h3中和は、局所CD8+T細胞応答を増強する
in vivoにおける影響を試験するために、本発明者らは、21日齢離乳直後)から、中和βig−h3Ab又はアイソタイプコントロール抗体でKCマウスを処置した。本発明者らは、マウスを4週間にわたって週1回処置し、次いで、FACS染色、免疫組織化学及び免疫蛍光によって、膵臓における新生物を評価した。処置マウスは、同腹仔コントロールAb処置マウスと比較して、CK19染色の減少を示した。さらに、この応答は、免疫蛍光及びFACS分析によって検出した場合、腫瘍性膵臓におけるCD8+T細胞数の増加に関連していた(図3A)。本発明者らは、FACSによって、EPCAMを発現する導管腫瘍性区画が減少したことを確認した(図3B)。αSMA染色によって検出した場合のCAFの数は減少しなかったが、これは、βig−h3中和が、(機能を改変することのみによって)CAFの数を減少させずに腫瘍性細胞を殺傷するCD8+抗腫瘍応答を増強することを示唆している。

0152

局所膵臓抗腫瘍のみが腫瘍性細胞の排除を促すために十分であったかを試験するために、本発明者らは、免疫正常B6マウスへのKC細胞株の注射を実施した。抗bigh3中和Ab又はコントロールAbで処置したKC細胞株をB6(のマトリゲル中)に皮下注射し、10日後に屠殺した。βig−h3中和Abの使用は、腫瘍のサイズ及び重量の有意な減少をもたらす。より重要なことに、FACS染色によって検出されているように、この結果は、EPCAM染色及びCAF数の減少と相関していた(図3A、3B)。さらに、腫瘍それ自体は、(文献ではCD45−CD44+CD24lowとして定義されている)より少ないガン開始細胞を示した。要するに、これらの結果は、βig−h3中和が、in vivoでCD8抗腫瘍応答を増強することによって、腫瘍排除をもたらすことを初めて示している。

0153

βig−h3は、早期新生物発生のマーカーとして使用され得る
βig−h3発現は、膵臓新生物の早期に起こるので、本発明者らは、βig−h3を血清中で検出することができ、「予測マーカー」として使用することができると仮定した。本発明者らはELISAを使用して、WT又はKCマウス(WT of KC mice)の血清中のβig−h3の量を検出した。本発明者らは、検出がELISA試験の閾値未満であったWTマウスと比較して、KCマウスの血清中のbigh3の量の有意な増加を検出した(69.32±35.70 N=6)(図4A)。

0154

ヒトPDACにおける概念の証明として、本発明者らは、診断マーカー候補としての可溶性βig−h3の存在について、血液バンクの健常志願者20人及びPDAC患者20人の血清を試験した。図4Bに示されているように、健常志願者とPDAC患者との間の有意差により、この分子は、バイオマーカーとしての潜在的関心を有することが示された。

0155

実施例2
βig−h3は、T細胞表面上でCD61と相互作用する
βig−h3は、αvβ3インテグリンに対する結合を介してシグナル伝達することが報告されている(Tumbarello DA, et al. Mol Cancer 2012;11:36)。したがって、本発明者らは、CD8+T細胞の表面におけるβ3(CD61)の発現を調べた。本発明者らは、リンパ節及び腫瘍中に存在する両CD8+T細胞がCD61を発現することを見出し、CD61の発現が、腫瘍CD8+T細胞では、末梢CD8+T細胞と比較して有意に高かったことをさらに認めた(図5A)。本発明者らは次に、リコンビナントβig−h3タンパク質(rβig−h3)によるCD8+T細胞の処置がCD61インターナリゼーションをもたらしたので、βig−h3が、CD61を介してシグナル伝達することができたことを確認した(図5B)。糖尿において以前に報告されているように(Patry M, Diabetes 2015;64:4212-9)、rβig−h3によるCD8+T細胞の処置は、Y505におけるLckのリン酸化及びCD61とのその共局在化をもたらした(図5C)。これらの結果は、βig−h3がCD8+T細胞の表面でCD61と相互作用して、Y505におけるLckのリン酸化(Davis SJ,. TrendsImmunol 2011;32:1-5)及びそれに続くTCRシグナル伝達経路のこの初期キナーゼの遮断をもたらすことを示している。

0156

CD8+T細胞は、in vivoにおけるβig−h3中和効果のために必須である
βig−h3中和はCD8+T細胞の局所的な蓄積をもたらすので、本発明者らは、前記プロセスへのCD8+T細胞の直接的な寄与を調査しようと考えた。この仮説を検証するために、本発明者らは、βig−h3中和又はコントロールAbで処置したKC細胞株をRag2KOマウスに注射した。KCマウスの膵臓流入領域リンパ節から単離したCD8+T細胞をマウスにさらに静脈内注射した(図6A)。本発明者らは、βig−h3中和Abで処置したKC細胞株を注射したマウスが同様のCD45+細胞リクルートを示したが、それらは、コントロール条件処置動物と比較して増加したCD8+T細胞蓄積を示したことを見出した(図6B及び6C)。また、CD8 T細胞数の増加に付随して、本発明者らは、腫瘍性導管CD45−/EPCAM+細胞の割合の減少を検出した(図6D)。これらの結果は、βig−h3の非存在下では、CD8+T細胞の蓄積がEPCAM+細胞の割合の低下の原因であり得ることを示唆している。腫瘍におけるEPCAM+集団の観察された減少は、CD8+T細胞枯渇によってレスキューされると予測されよう。この仮説を検証するために、本発明者らは、βig−h3中和又はコントロールAbで処置したKC由来細胞株の皮下埋め込みを実施し、続いて、腫瘍細胞注射後7日目及び8日目における2回連続の静脈内注射によって、CD8+T細胞を枯渇させた(図6E)。これらの処置は、CD4+T細胞又はF4/80集団を変化させずに、CD8+T細胞集団の90%超の枯渇をもたらした。対照的に、CD8細胞の中和は、βig−h3中和又はコントロール条件の両方において、同じ数のEPCAM+細胞を確立させるために十分であった(図6F)。要するに、これらの結果は、CD8+T細胞が、in vivoにおける腫瘍成長に対するβig−h3中和効果のために必須であることを示している。

0157

βig−h3は、PDACのマーカーとして使用され得る
ヒトPDACにおける概念の証明として、本発明者らは、診断マーカー候補としての可溶性βig−h3の存在について、血液バンクの健常志願者49人及びPDAC患者104人の血清のさらなるコホートを試験した。図7に示されているように、健常志願者とPDAC患者との間の有意差により、この分子は、バイオマーカーとしての潜在的関心を有することが示された。

0158

0159

参考文献:
本出願を通して、本発明が関係する技術水準が様々な参考文献に記載されている。これらの参考文献の開示は、参照により本開示に組み入れられる。

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