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技術 患者特異的抗癌治療剤の製造方法及びその治療方法

出願人 バークレーライツ,インコーポレイテッド
発明者 チャップマン,ケヴィンティー.ホワイト,マークピー.ワン,シャオフアパーク,ミンハスタッドラー,グイドケー.ロー,ジュニア,ランドールディー.グアンラドストローム,シャオマキューエン,ジェイソンエム.ワン,ガン,エフ.フォックス,ジョージエル.ラデル,ペギーエー.
出願日 2017年1月13日 (3年11ヶ月経過) 出願番号 2018-536394
公開日 2019年4月25日 (1年8ヶ月経過) 公開番号 2019-511454
状態 未査定
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 自動分析、そのための試料等の取扱い 突然変異または遺伝子工学 医薬品製剤 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物、その培養処理 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析 動物,微生物物質含有医薬 微生物・酵素関連装置
主要キーワード プリント回路基板組立体 裁断板 隣接分離 サイド通路 相対インピーダンス マグネットセパレーター 隔離チャンバ 導電性金属電極
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年4月25日)のものです。
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図面 (20)

課題

研究調査に必要とされる時間を最小限に抑えてできる限り早く治療を始められるように、対象の患者に最大の利益を提供する抗体を同定する解決策を提供する。

解決手段

(a)患者から得られた少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから解離細胞サンプルを提供することと、(b)フロー領域とフロー領域に流体接続された少なくとも1つの分離領域とを有するマイクロ流体デバイスに解離細胞サンプルをロードすることと、(c)少なくとも1つのB細胞を解離細胞サンプルからマイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域に移動させることにより少なくとも1つの単離されたB細胞を得ることと、(d)癌細胞に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つのB細胞を同定するためにマイクロ流体デバイスを使用することとを含む、抗体治療剤調製方法が提供される。癌細胞は患者自身の癌細胞であり得る。

概要

背景

背景
免疫療法は、患者自身の免疫系を用いて癌との闘いを支援する急成長中の分野である。患者自身の免疫系の刺激による癌細胞攻撃又は外部源からの免疫系成分投与をはじめとする様々な免疫療法ストラテジーが評価されてきた。例えば、生体内で癌細胞を攻撃するように設計されたモノクローナル抗体は、単独で又は遺伝子工学操作構築物として投与されてきた。そのほか、CAR−T(キメラ抗原受容体細胞)療法が研究されてきた。この治療方法では、遺伝子工学操作T細胞は、その表面上に抗体含有融合タンパク質発現することにより、T細胞が対象の癌を標的としてT細胞が癌細胞を死滅させる。CAR−T細胞は患者体内永久移植された状態になり得るので、この方法は特に有望と思われる。しかし、これらの方法は依然として更なる改善を必要とする。

モノクローナル抗体療法又はCAR−T療法の主要な問題の1つは、治療が開始可能になる前又は有意な罹患及び死亡の回避が治療の成功に必要とされる前に患者が非常に短い時間ウィンドウを有する可能性があることに留意して、対象の患者に最大の利益を提供する抗体を同定又は設計することである。

概要

研究調査に必要とされる時間を最小限に抑えてできる限り早く治療を始められるように、対象の患者に最大の利益を提供する抗体を同定する解決策を提供する。 (a)患者から得られた少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから解離細胞サンプルを提供することと、(b)フロー領域とフロー領域に流体接続された少なくとも1つの分離領域とを有するマイクロ流体デバイスに解離細胞サンプルをロードすることと、(c)少なくとも1つのB細胞を解離細胞サンプルからマイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域に移動させることにより少なくとも1つの単離されたB細胞を得ることと、(d)癌細胞に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つのB細胞を同定するためにマイクロ流体デバイスを使用することとを含む、抗体治療剤調製方法が提供される。癌細胞は患者自身の癌細胞であり得る。

目的

モノクローナル抗体療法又はCAR−T療法の主要な問題の1つは、治療が開始可能になる前又は有意な罹患及び死亡の回避が治療の成功に必要とされる前に患者が非常に短い時間ウィンドウを有する可能性があることに留意して、対象の患者に最大の利益を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

a.患者から得られた少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから解離細胞サンプルを提供することと、b.少なくとも1つのフロー領域と前記フロー領域に流体接続された少なくとも1つの分離領域とを有するマイクロ流体デバイスに前記解離細胞サンプルをロードすることと、c.少なくとも1つのB細胞を前記解離細胞サンプルから前記マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域に移動させることにより少なくとも1つの単離されたB細胞を得ることと、d.癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つの単離されたB細胞を同定することと、を含む、抗体治療剤調製方法

請求項2

前記分離領域が、B細胞リンパ球生存能を向上させる少なくとも1つの調整された表面を含み、前記調整された表面が、共有結合された分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記分離領域が、B細胞リンパ球生存能を向上させる複数の調整された表面を含み、各調整された表面が、共有結合された分子を含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記少なくとも1つの調整された表面又は前記複数の各調整された表面が、共有結合された親水性分子の層を含む、請求項2又は3に記載の方法。

請求項5

前記親水性分子が、ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリマーアミノ酸を含むポリマー、及びそれらの組合せの群から選択される、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記分離領域が、B細胞生存能を向上させるコーティング材料コーティングされた少なくとも1つの表面を含む、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記分離領域が、B細胞生存能を向上させるコーティング材料でそれぞれコーティングされた複数の表面を含む、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記コーティング材料が親水性分子を含む、請求項6又は7に記載の方法。

請求項9

前記親水性分子が、ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリマー、アミノ酸を含むポリマー、及びそれらの組合せの群から選択される、請求項8に記載の方法。

請求項10

前記少なくとも1つの分離領域のそれぞれが、前記マイクロ流体デバイス内でデッドエンドを形成し、前記フロー領域が流動する第1の流体培地で実質的に充填されると共に前記分離領域が第2の流体培地で実質的に充填される場合、a.前記第2の培地の成分が前記第1の培地中に拡散可能であると共に前記第1の培地の成分が前記第2の培地中に拡散可能であり、b.前記フロー領域から前記分離領域内への前記第1の培地のフローが実質的にノーフローである、請求項1又は2に記載の方法。

請求項11

前記マイクロ流体デバイスの前記フロー領域がマイクロ流体チャネルを含む、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記少なくとも1つの分離領域のそれぞれが、対応する隔離チャンバの一部であり、且つ各隔離チャンバが、対応する分離領域を前記マイクロ流体チャネルに流体接続する接続領域を更に含む、請求項11に記載の方法。

請求項13

前記接続領域が約20ミクロン〜約60ミクロンの幅Wconを有する、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記少なくとも1つの分離領域のそれぞれが、前記対応する接続領域の幅Wconよりも大きい幅Wisoを有する、請求項13に記載の方法。

請求項15

前記少なくとも1つの分離領域のそれぞれが、約50ミクロン〜約250ミクロンの幅Wisoを有する、請求項14に記載の方法。

請求項16

前記隔離チャンバのそれぞれが、約0.5nl〜約2.5nlの容積を含む、請求項12に記載の方法。

請求項17

前記マイクロ流体デバイスが、DEP構成を有する基板を含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項18

前記少なくとも1つのB細胞を前記少なくとも1つの分離領域内に移動させることが、DEP力を用いて前記少なくとも1つのB細胞を移動させることを含む、請求項17に記載の方法。

請求項19

前記少なくとも1つのB細胞が、重力及び/又は局在化流体フローを用いて前記少なくとも1つの分離領域内に移動される、請求項1又は2に記載の方法。

請求項20

前記解離細胞サンプルをロードする前に、前記解離細胞サンプル中のB細胞を検出可能マーカーで標識することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項21

前記少なくとも1つのB細胞を前記少なくとも1つの分離領域内に移動させることが、移動させる少なくとも1つのB細胞を前記検出可能マーカーの検出に基づいて選択することを含む、請求項20に記載の方法。

請求項22

少なくとも1つのB細胞を少なくとも1つの分離領域内に移動させることが、複数の個別B細胞を対応する複数の個別分離領域内に移動させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項23

前記少なくとも1つのB細胞とB細胞活性化を刺激する刺激剤とを接触させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項24

前記刺激剤がCD40アゴニストを含む、請求項23に記載の方法。

請求項25

前記CD40アゴニストがCD40L、その誘導体、又は抗CD40抗体を含む、請求項24に記載の方法。

請求項26

前記刺激剤が1つ以上のCD40L+支持細胞を含む、請求項23に記載の方法。

請求項27

前記1つ以上のCD40L+支持細胞がT細胞又はその誘導体である、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記刺激剤がトール様受容体TLR)アゴニストを更に含む、請求項24に記載の方法。

請求項29

前記TLRアゴニストCpGオリゴヌクレオチドである、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記少なくとも1つのB細胞が1〜10日間にわたり前記刺激剤に接触される、請求項23に記載の方法。

請求項31

前記少なくとも1つのB細胞が1〜10日間にわたり前記刺激剤に実質的に連続的に接触される、請求項30に記載の方法。

請求項32

培養培地を前記少なくとも1つのB細胞に提供することを更に含み、前記培養培地が、B細胞増殖を促進する1つ以上の成長誘導剤を含む、請求項23に記載の方法。

請求項33

前記1つ以上の成長誘導剤が、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−21、及びBAFFの群から選択される少なくとも1つの作用剤を含む、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記提供された培養培地が前記刺激剤を含む、請求項32に記載の方法。

請求項35

前記少なくとも1つのB細胞に1〜10日間にわたり培養培地が提供される、請求項32に記載の方法。

請求項36

前記少なくとも1つのB細胞の各B細胞が、約8〜20細胞の細胞数まで前記マイクロ流体デバイスの分離領域で培養される、請求項32に記載の方法。

請求項37

前記少なくとも1つのB細胞と前記刺激剤とを接触させるステップ及び培養培地を前記少なくとも1つのB細胞に提供するステップが、実質的に同一の時間にわたり行われる、請求項32に記載の方法。

請求項38

前記少なくとも1つのB細胞と前記刺激剤とを接触させることが、前記解離細胞サンプルを前記マイクロ流体デバイス内にロードする少なくとも前に行われる、請求項23に記載の方法。

請求項39

前記少なくとも1つのB細胞と前記刺激剤とを接触させることが、前記少なくとも1つのB細胞を前記少なくとも1つの分離領域内に移動させた少なくとも後に行われる、請求項23に記載の方法。

請求項40

前記少なくとも1つのB細胞と前記刺激剤とを接触させることが、前記癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する前記少なくとも1つの単離されたB細胞を同定する少なくともステップ時に行われる、請求項23に記載の方法。

請求項41

前記癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する前記少なくとも1つの単離されたB細胞を同定することが、前記癌細胞関連抗原を前記マイクロ流体デバイス内に導入することを含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項42

前記癌細胞関連抗原を前記マイクロ流体デバイス内に導入することが、前記癌細胞関連抗原を含む流体培地を前記マイクロ流体デバイス内に導入することを含む、請求項41に記載の方法。

請求項43

前記癌細胞関連抗原が前記流体培地中に可溶化される、請求項42に記載の方法。

請求項44

前記癌細胞関連抗原を前記マイクロ流体デバイス内に導入することが、前記癌細胞関連抗原を含む微小物体を前記マイクロ流体デバイス内に導入することを含む、請求項41に記載の方法。

請求項45

前記微小物体が、細胞、リポソーム、脂質ナノラフト、及びビーズから選択される、請求項44に記載の方法。

請求項46

前記微小物体がビーズであり、且つ前記癌細胞関連抗原が前記ビーズにコンジュゲートされる、請求項45に記載の方法。

請求項47

前記癌細胞関連抗原が、前記少なくとも1つの腫瘍サンプル中に存在する癌細胞の細胞表面上に存在する膜関連抗原である、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記ビーズにコンジュゲートされた前記癌細胞関連抗原が、前記少なくとも1つの腫瘍サンプルから単離された癌細胞から得られる細胞膜調製物由来する、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記微小物体が癌細胞である、請求項45に記載の方法。

請求項50

前記癌細胞が、前記患者の少なくとも1つの腫瘍サンプルの癌細胞により提示されるマーカーを呈する、請求項49に記載の方法。

請求項51

前記癌細胞が前記少なくとも1つの腫瘍サンプルから単離される、請求項49に記載の方法。

請求項52

前記癌細胞が、異なる患者から得られた1つ以上の腫瘍サンプルから単離される、請求項50に記載の方法。

請求項53

前記少なくとも1つの固形腫瘍サンプルが得られた前記患者及び前記異なる患者が、同一のタイプの癌と診断されている、請求項52に記載の方法。

請求項54

前記癌細胞が癌細胞系に由来する、請求項49に記載の方法。

請求項55

前記癌細胞関連抗原を前記マイクロ流体デバイス内に導入することが、前記癌細胞関連抗原を含む微小物体を含有する流体培地を前記マイクロ流体デバイスの前記フロー領域に通して流動させることと、前記培地中の前記微小物体の少なくとも幾つかが、前記少なくとも1つの分離領域に近接する前記フロー領域の一部に位置決めされたとき、前記流体培地のフローを停止することと、を含む、請求項44に記載の方法。

請求項56

前記癌細胞関連抗原を前記マイクロ流体デバイス内に導入することが、前記微小物体の少なくとも1つを前記マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域内に移動させることを更に含む、請求項54に記載の方法。

請求項57

前記少なくとも1つの微小物体を前記マイクロ流体デバイスの前記少なくとも1つの分離領域内に移動させることが、少なくとも1つの微小物体を複数の分離領域に移動させることを含む、請求項56に記載の方法。

請求項58

前記少なくとも1つの微小物体を、少なくとも1つのB細胞を含有する少なくとも1つの分離領域内に移動させることにより、少なくとも1つの微小物体と少なくとも1つのB細胞とを有する少なくとも1つの分離領域を生成する、請求項56に記載の方法。

請求項59

前記少なくとも1つ微小物体及び前記少なくとも1つのB細胞が、異なる分離領域内に移動される、請求項56に記載の方法。

請求項60

前記異なる分離領域が前記マイクロ流体デバイス内で互いに隣接する、請求項59に記載の方法。

請求項61

癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する前記少なくとも1つの単離されたB細胞を同定するこが、標識された抗体結合剤を含有する流体培地を前記マイクロ流体デバイスの前記フロー領域に通して流動させることと、前記流体培地中の前記標識された抗体結合剤の少なくとも幾つかが、前記少なくとも1つの分離領域に近接する前記フロー領域の一部に位置決めされたとき、前記流体培地のフローを停止することと、前記癌細胞関連抗原への前記標識された抗体結合剤の結合を監視することと、を更に含む、請求項41に記載の方法。

請求項62

前記標識された抗体結合剤が、標識された抗IgG抗体である、請求項61に記載の方法。

請求項63

前記標識された抗体結合剤が蛍光標識に共有結合されている、請求項61に記載の方法。

請求項64

前記標識された抗体結合剤が前記癌細胞関連抗原との混合物で提供される、請求項61に記載の方法。

請求項65

前記標識された抗体結合剤が、前記癌細胞関連抗原を提供した後に提供される請求項61に記載の方法。

請求項66

前記癌細胞関連抗原への前記標識された抗体結合剤の結合を監視することが、前記マイクロ流体デバイスの撮像を行うことを含む、請求項61に記載の方法。

請求項67

前記撮像が蛍光撮像を含む、請求項66に記載の方法。

請求項68

前記撮像が複数の像を取り込むことを含む、請求項66に記載の方法。

請求項69

前記複数の像が一定の時間間隔で取り込まれる、請求項68に記載の方法。

請求項70

前記解離細胞サンプルが1つの固形腫瘍サンプルから得られる、請求項1又は2に記載の方法。

請求項71

前記解離細胞サンプルが複数の固形腫瘍サンプルから得られる、請求項1又は2に記載の方法。

請求項72

解離細胞サンプルを提供することが、前記少なくとも1つの固形腫瘍サンプルを得ることと、前記少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから単一細胞解離することとを含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項73

前記解離細胞サンプルの個別細胞が、a.コラゲナーゼ+DNase消化、及び/又はb.細胞ディソシエータ装置により前記少なくとも1つの腫瘍サンプルから解離される、請求項1又は2に記載の方法。

請求項74

前記解離細胞サンプルをロードする前に、前記解離細胞サンプルを分画して元の解離サンプルよりも大きい濃度のB細胞を有するB細胞富化画分を単離することと、前記B細胞富化画分を前記マイクロ流体デバイス内にロードすることと、を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項75

前記分画することが、CD19、CD20、IgMIgD、CD38、CD27、CD138、PNA、及びGL7から選択される少なくとも1つのマーカーを用いて前記解離細胞サンプルからB細胞を選択することを含む、請求項74に記載の方法。

請求項76

前記解離細胞サンプル又は前記B細胞富化画分を前記マイクロ流体デバイス内にロードする前に、前記解離細胞サンプル中の癌細胞を検出可能マーカーで標識することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項77

前記解離細胞サンプルをロードする前に、前記解離細胞サンプルを分画して元の解離サンプルよりも大きい濃度の癌細胞を有する癌細胞富化画分を単離することと、前記癌細胞富化画分を前記マイクロ流体デバイス内にロードすることと、を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項78

少なくとも1つの分離領域内に移動させる少なくとも1つの癌細胞を選択することを更に含む、請求項76に記載の方法。

請求項79

少なくとも1つの分離領域内に移動させる少なくとも1つの癌細胞を選択することを更に含み、且つ前記少なくとも1つの癌細胞が、前記検出可能マーカーの検出に基づいて選択される、請求項77に記載の方法。

請求項80

前記B細胞を前記マイクロ流体デバイス内にロードし、前記分離領域内に移動させる前に、前記少なくとも1つの癌細胞を前記マイクロ流体デバイス内にロードし、前記マイクロ流体デバイスの前記分離領域内に移動させる、請求項79に記載の方法。

請求項81

前記B細胞を前記マイクロ流体デバイス内にロードし、前記分離領域内に移動させた後、前記癌細胞富化画分を前記マイクロ流体デバイスの前記フロー領域内にロードする、請求項77に記載の方法。

請求項82

前記癌細胞が前記分離領域に進入しない、請求項81に記載の方法。

請求項83

前記癌細胞が前記癌に特異的な少なくとも1つのマーカーを用いて富化される、請求項77に記載の方法。

請求項84

前記癌細胞が形態学的差を用いて富化される、請求項77に記載の方法。

請求項85

前記癌細胞が、前記癌細胞から正常細胞を単離するために癌細胞でダウンレギュレートされる少なくとも1つのマーカーを用いて富化される、請求項77に記載の方法。

請求項86

前記B細胞が、FACSを用いて前記解離細胞サンプルを処理することにより富化される、請求項74に記載の方法。

請求項87

前記B細胞が、磁気ビーズベース選別を用いて前記解離細胞サンプルを処理することにより富化される、請求項74に記載の方法。

請求項88

前記固形腫瘍サンプルが腫瘍生検物である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項89

前記少なくとも1つの腫瘍サンプルを生成した腫瘍が三次リンパ様構造を有する、請求項1又は2に記載の方法。

請求項90

前記少なくとも1つの腫瘍サンプルを生成した腫瘍が、乳癌泌尿生殖器癌、腎細胞癌精巣癌、前立腺癌卵巣癌子宮癌癌、神経系癌、神経芽腫、腸癌、結腸直腸癌肺癌、又は黒色腫である、請求項1又は2に記載の方法。

請求項91

前記少なくとも1つの腫瘍サンプルを生成した前記腫瘍が様乳癌である、請求項90に記載の方法。

請求項92

前記少なくとも1つの腫瘍サンプルを生成した前記腫瘍が中皮腫である、請求項90に記載の方法。

請求項93

前記マイクロ流体デバイスから前記少なくとも1つの同定されたB細胞又はそれに由来するクローンB細胞集団搬出することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項94

各同定されたB細胞又はそれに由来するクローンB細胞集団が個別に搬出される、請求項93に記載の方法。

請求項95

前記少なくとも1つの同定されたB細胞又はそれに由来するB細胞のクローン集団の一部若しくは全部で抗体シーケンシングを行うことを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項96

抗体シーケンシングを行うことが、前記少なくとも1つの同定されたB細胞又はそれに由来するB細胞の前記クローン集団の一部若しくは全部から対をなす重鎖及び軽鎖可変ドメインの抗体配列を決定することを含む、請求項95に記載の方法。

請求項97

前記少なくとも1つの同定されたB細胞から対をなす重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列の一部又は全部を含む抗体治療剤を生成することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項98

T細胞又はNK細胞が前記解離細胞サンプル中に存在する、請求項1又は2に記載の方法。

請求項99

元の解離サンプルよりも大きい濃度のT細胞又はNK細胞を有する画分を単離するように前記解離細胞サンプルで選択を行うことを更に含む、請求項98に記載の方法。

請求項100

前記T細胞又はNK細胞が同一の患者の固形腫瘍サンプルから得られる、請求項98に記載の方法

請求項101

a.前記T細胞が、CD4、CD8、CD25、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD69、及びCD3から選択される少なくとも1つのマーカーを用いて前記解離細胞サンプルから分離されるか、又はb.前記NK細胞が、CD56をマーカーとして用いて前記解離細胞サンプルから分離される、請求項99に記載の方法。

請求項102

個別のT細胞又はNK細胞が前記患者から選択及びクローニングされる、請求項99に記載の方法。

請求項103

前記患者の癌細胞及び他の供給源由来の癌細胞の両方に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つのB細胞を同定するためにマイクロ流体デバイスを使用することを含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項104

前記B細胞により産生された抗体が非癌細胞に結合可能であるかを同定するためにマイクロ流体デバイスを使用することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。

請求項105

前記非癌細胞及び前記癌細胞が、前記少なくとも1つの腫瘍サンプルを提供した前記患者に由来する、請求項104に記載の方法。

請求項106

癌細胞及び非癌細胞への前記抗体の結合を同定するために同一のマイクロ流体デバイスが使用される、請求項104に記載の方法。

請求項107

前記癌細胞及び非癌細胞が同一の流路に逐次的にロードされる、請求項106に記載の方法。

請求項108

癌を有する患者の治療方法であって、請求項1又は2に記載の方法により産生された抗体又はそのフラグメントを用いて前記患者を治療することを含む方法。

請求項109

腫瘍サンプルが、治療される同一の患者から採取される、請求項108に記載の方法。

請求項110

前記腫瘍サンプルの取得から治療までの時間が多くとも約2ヵ月である、請求項108に記載の方法。

請求項111

前記抗体又はそのフラグメントが一本鎖抗体である、請求項108に記載の方法。

請求項112

前記抗体又はそのフラグメントが2本の重鎖と2本の軽鎖とを有する、請求項108に記載の方法。

請求項113

前記抗体が工学操作T細胞又はNK細胞上に提示される、請求項108に記載の方法。

請求項114

前記工学操作T細胞がキメラ抗原受容体T細胞であるか、又は前記工学操作NK細胞がキメラ抗原受容体NK細胞である、請求項113に記載の方法。

請求項115

前記T細胞又はNK細胞が、前記抗体を提示するように工学操作される前に同一の患者から得られたものである、請求項113に記載の方法。

請求項116

前記T細胞又はNK細胞が前記患者の腫瘍サンプルから得られたものである、請求項115に記載の方法。

請求項117

前記抗体又はそのフラグメントが他の療法と組み合わせて投与される、請求項108に記載の方法。

請求項118

前記組合せ療法が、手術放射線療法化学療法、CAR−T細胞療法、CAR−NK細胞療法、T細胞療法、他の免疫療法、又は免疫刺激分子若しくは腫瘍特異的ウイルスの投与である、請求項117に記載の方法。

請求項119

患者において癌を標識又は検出する方法であって、検出可能標識にコンジュゲートされた抗体又はそのフラグメントを投与することを含み、前記抗体又はそのフラグメントが請求項1又は2に記載の方法により産生される、方法。

請求項120

a.請求項1又は2に記載の方法により同定された抗体の少なくとも重鎖CDR、b.請求項1又は2に記載の方法により同定された抗体の少なくとも重鎖及び軽鎖のCDR、c.請求項1又は2に記載の方法により同定された抗体の少なくとも重鎖可変領域、又はd.請求項1又は2に記載の方法により同定された抗体の少なくとも重鎖及び軽鎖の可変領域、を含む、工学操作抗体構築物

請求項121

請求項1又は2に記載の方法により同定された抗体の変異体である、工学操作抗体構築物。

請求項122

前記構築物が、Fab、Fab’(2)、scFv、多価scFv、ミニボディー二重特異的抗体、又はラクダ機能性重鎖可変ドメインである、請求項120に記載の工学操作抗体構築物。

請求項123

外面上に提示された抗体又はそのフラグメントを含む工学操作T細胞又はNK細胞であって、前記抗体又はそのフラグメントが請求項1又は2に記載の方法により同定される、工学操作T細胞又はNK細胞。

請求項124

前記T細胞又はNK細胞及び前記抗体又はそのフラグメントが同一の患者から得られたものである、請求項123に記載の工学操作T細胞又はNK細胞。

請求項125

外面上に提示された抗体又はそのフラグメントを含む工学操作T細胞の調製方法であって、a.腫瘍サンプルに結合する抗体を請求項1又は2に記載の方法により同定することと、b.前記抗体又はそのフラグメントを発現するようにT細胞を遺伝子工学操作することと、を含む方法。

請求項126

前記T細胞、前記抗体を発現するB細胞、及び前記腫瘍サンプルが同一の患者から得られたものである、請求項125に記載の方法。

請求項127

外面上に提示された抗体又はそのフラグメントを含む工学操作NK細胞の調製方法であって、a.腫瘍サンプルに結合する抗体を請求項1又は2に記載の方法により同定することと、b.前記抗体又はそのフラグメントを発現するようにNK細胞を遺伝子工学操作することと、を含む方法。

請求項128

前記NK細胞、前記抗体を発現するB細胞、及び前記腫瘍サンプルが同一の患者から得られたものである、請求項127に記載の方法。

技術分野

0001

本出願は、合衆国法典第35巻第119条(e)の規定により2016年1月15日出願の米国仮特許出願第62/279,341号、2016年10月23日出願の米国仮特許出願第62/411,690号、及び2016年10月24日出願の米国仮特許出願第62/412,092号(それらの開示はそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される)に基づく利益を主張する非仮出願である。

0002

分野
特異的抗体を産生するB細胞単離方法更にはそうした抗体及び/又はその誘導体を用いた治療方法が提供される。

背景技術

0003

背景
免疫療法は、患者自身の免疫系を用いて癌との闘いを支援する急成長中の分野である。患者自身の免疫系の刺激による癌細胞攻撃又は外部源からの免疫系成分投与をはじめとする様々な免疫療法ストラテジーが評価されてきた。例えば、生体内で癌細胞を攻撃するように設計されたモノクローナル抗体は、単独で又は遺伝子工学操作構築物として投与されてきた。そのほか、CAR−T(キメラ抗原受容体細胞)療法が研究されてきた。この治療方法では、遺伝子工学操作T細胞は、その表面上に抗体含有融合タンパク質発現することにより、T細胞が対象の癌を標的としてT細胞が癌細胞を死滅させる。CAR−T細胞は患者体内永久移植された状態になり得るので、この方法は特に有望と思われる。しかし、これらの方法は依然として更なる改善を必要とする。

0004

モノクローナル抗体療法又はCAR−T療法の主要な問題の1つは、治療が開始可能になる前又は有意な罹患及び死亡の回避が治療の成功に必要とされる前に患者が非常に短い時間ウィンドウを有する可能性があることに留意して、対象の患者に最大の利益を提供する抗体を同定又は設計することである。

発明が解決しようとする課題

0005

本実施形態は、研究調査に必要とされる時間を最小限に抑えてできる限り早く治療を始められるように、対象の患者に最大の利益を提供する抗体を同定する解決策を提供する。

課題を解決するための手段

0006

概要
本明細書によれば、抗体治療剤調製方法は、
a)患者から得られた少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから解離細胞サンプルを提供することと、
b)少なくとも1つの分離領域を有するマイクロ流体デバイスに解離細胞サンプルをロードすることと、
c)少なくとも1つのB細胞を解離細胞サンプルからマイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域に移動させることにより少なくとも1つの単離されたB細胞を得ることと、
d)癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つの単離されたB細胞を同定することと、
を含む。

0007

本方法及び本明細書に記載の他の方法は、幾つかの実施形態では患者が罹患しているタイプの癌を標的とするために患者自身の生体が産生したB細胞を同定する利点を提供する。マイクロ流体デバイスを用いてこうした抗体を単離することにより、複数のB細胞を比較的迅速なアッセイ方式で並行して検査可能であると共に対象の特定のB細胞の同定、培養、及びシーケンシングが可能である(又はハイブリドーマの産生に使用可能である)。これにより研究者による患者特異的抗癌抗体の産生が可能になり、こうした抗体をモノクローナル抗体若しくはそのフラグメント又は遺伝子工学操作構築物として、例えば、融合タンパク質又はCAR−T治療剤として投与したり検出方法等に使用したりすることが可能になる。

0008

そのほかの実施形態は、本明細書の方法により産生された抗体又はそのフラグメントを用いて患者を治療することを含む癌を有する患者の治療方法を含む。検出可能な標識にコンジュゲートされた抗体又はそのフラグメントを用いて患者の癌を標識又は検出することも可能である。治療用組成物として、表面上に提示された抗体又はそのフラグメントを含む工学操作T細胞、更には本明細書に明記された抗体の少なくとも重鎖CDR、少なくとも重鎖及び軽鎖のCDR、少なくとも重鎖可変領域、又は少なくとも重鎖及び軽鎖の可変領域を含む工学操作抗体構築物を提供し得る。

0009

そのほかの目的及び利点は、部分的には以下の説明に示され、部分的にはその説明から明らかであろう。又は、実施すれば分かり得る。目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組合せにより実現及び達成されるであろう。

0010

以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも、例示的且つ解説的なものにすぎず、特許請求の範囲を制限するものではないことを理解すべきである。

0011

本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、1つ(幾つか)の実施形態を例示し、本記載内容と合わせて本明細書に記載の原理を説明する役割を果たす。

図面の簡単な説明

0012

幾つかの実施形態による関連する制御機器を含めてマイクロ流体デバイス及びマイクロ流体デバイス用システムの例を示す。
幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスの垂直断面図を示す。
幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスの水平断面図を示す。
幾つかの実施形態による分離ペンを有するマイクロ流体デバイスの垂直断面図を示す。
幾つかの実施形態による分離ペンを有するマイクロ流体デバイスの水平断面図を示す。
幾つかの実施形態による隔離チャンバの詳細水平断面図を示す。
幾つかの実施形態による分離ペンを有するマイクロ流体デバイスの部分水平断面図を示す。
幾つかの実施形態による隔離チャンバの詳細水平断面図を示す。
幾つかの実施形態による隔離チャンバの詳細水平断面図を示す。
実施形態による各フローチャネルが複数の隔離チャンバに流体接続された複数のフローチャネルを含有するフロー領域を有するマイクロ流体デバイスを示す。
幾つかの実施形態による基部の内向き表面及びカバーの内向き表面が調整された表面であるマイクロ流体デバイスの部分垂直断面図を示す。
幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスに作動結合するように構成されたシステムネスト及び関連する制御機器の具体例を示す。
幾つかの実施形態によるマイクロ流体デバイスを制御するためのシステムの光学縦列を示す。
幾つかの実施形態による癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体を発現するB細胞リンパ球を同定するための例示的なワークフローのステップを示す。
複数の隔離チャンバにそれぞれ流体接続された複数のマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイスを示す。各隔離チャンバは、複数のマウス脾細胞を含有する。マイクロチャネルデバイスの一部の明視野像である。
複数の隔離チャンバにそれぞれ流体接続された複数のマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイスを示す。各隔離チャンバは、複数のマウス脾細胞を含有する。テキサスレッドフィルターを用いて得られた蛍光像である。像は、実施例1に記載の抗原特異性アッセイの開始5分後に得た。
複数の隔離チャンバにそれぞれ流体接続された複数のマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイスを示す。各隔離チャンバは、複数のマウス脾細胞を含有する。テキサスレッドフィルターを用いて得られた蛍光像である。像は、実施例1に記載の抗原特異性アッセイの開始20分後に得た。白矢印は、アッセイで陽性シグナルを生成した隔離チャンバを指している。
ジャーカット細胞の各種画分のウェスタンブロットを示す。
抗CD3抗体抗CD45抗体、又は抗Na/K−ATPアーゼ抗体で染色されたジャーカット細胞膜画分コーティングされたビーズを示す。
図7と同一の抗体で染色されたHEK293細胞でコーティングされたビーズを示す。

0013

実施形態の詳細な説明
I.定義
本明細書には、本発明の例示的な実施形態及び適用が記載されている。しかし、本発明は、これらの例示的な実施形態及び適用にも、例示的な実施形態及び適用を行う方式やそれについての本明細書に記載の方式にも、限定されるものではない。更に、図は、簡略図又は部分図を示し得ると共に、図中の要素の寸法は、誇張されたりさもなければ比例していなかったりし得る。そのほか、「〜上」、「〜に付着される」、「〜に接続される」、「〜に結合される」という用語又は類似語が本明細書で使用される場合、一方の要素が直接他方の要素上にあるか、それに付着されるか、それに接続されるか、若しくはそれに結合されるか、又は一方の要素と他方の要素との間に1つ以上の介在要素があるかにかかわらず、一方の要素(例えば、材料、層、基板等)は、他方の要素「上」にあるか、それ「に付着される」か、それ「に接続される」か、又はそれ「に結合される」。また、文脈上特に規定されない限り、方向(例えば、上、下、頂、底、側、上向き、下向き、下方、上方、上側、下側、水平、垂直、「x」、「y」、「z」等)は、提供された場合、相対的なものであり、単なる例として説明及び考察が容易になるように提供されたものであり、限定を目的としたものではない。そのほか、要素のリスト(例えば、要素a、b、c)が参照された場合、かかる参照は、列挙された要素のいずれか1つだけ、列挙された要素の全てに満たない任意の組合せ、及び/又は列挙された要素の全ての組合せを含むことが意図される。本明細書でのセクション分割は、概説を容易にすることのみを目的としたものであり、考察される要素のいずれの組合せにも限定されるものではない。

0014

本明細書で使用される場合、「実質的に」とは、意図された目的で機能するのに十分であることを意味する。そのため、「実質的に」という用語は、当業者により予想されるような、ただし、全体性能にそれほど影響を及ぼさない、絶対的又は完全な状態、寸法、測定、結果等からのわずかな有意でない変動を許容する。数値又は数値として表現可能なパラメータ若しくは特性に対して用いられる場合、「実質的に」とは10パーセント以内を意味する。

0015

「ones(もの)」という用語は2つ以上を意味する。

0016

本明細書で使用される場合、「複数」という用語は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上であり得る。

0017

本明細書で使用される場合、「配置される」という用語は、その意味内に「位置決めされる」を包含する。

0018

本明細書で使用される場合、「マイクロ流体デバイス」又は「マイクロ流体装置」とは、流体を保持するように構成された1つ以上の離散マイクロ流体回路(各マイクロ流体回路は、限定されるものではないが、領域、流路チャネルチャンバ、及び/又はペンをはじめとする相互接続回路要素を含む)と、マイクロ流体デバイスに対して流体(及び任意選択的に流体中に懸濁された微小物体)の流入及び/又は流出を可能にするように構成された少なくとも2つのポートとを含むデバイスのことである。典型的には、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路は、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルと少なくとも1つのチャンバとを含み、約1mL未満、例えば、約750μL未満、約500μL未満、約250μL未満、約200μL未満、約150μL未満、約100μL未満、約75μL未満、約50μL未満、約25μL未満、約20μL未満、約15μL未満、約10μL未満、約9μL未満、約8μL未満、約7μL未満、約6μL未満、約5μL未満、約4μL未満、約3μL未満、又は約2μL未満の体積の流体を保持するであろう。特定の実施形態では、マイクロ流体回路は、約1〜2μL、約1〜3μL、約1〜4μL、約1〜5μL、約2〜5μL、約2〜8μL、約2〜10μL、約2〜12μL、約2〜15μL、約2〜20μL、約5〜20μL、約5〜30μL、約5〜40μL、約5〜50μL、約10〜50μL、約10〜75μL、約10〜100μL、約20〜100μL、約20〜150μL、約20〜200μL、約50〜200μL、約50〜250μL、又は約50〜300μLを保持する。

0019

本明細書で使用される場合、「ナノ流体デバイス」又は「ナノ流体装置」とは、約1μL未満、例えば、約750nL未満、約500nL未満、約250nL未満、約200nL未満、約150nL未満、約100nL未満、約75nL未満、約50nL未満、約25nL未満、約20nL未満、約15nL未満、約10nL未満、約9nL未満、約8nL未満、約7nL未満、約6nL未満、約5nL未満、約4nL未満、約3nL未満、約2nL未満、約1nL以下の体積の流体を保持するように構成された少なくとも1つの回路要素を含有するマイクロ流体回路を有するタイプのマイクロ流体デバイスのことである。ナノ流体デバイスは、複数の回路要素(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、6000、7000、8000、9000、10,000個、又はそれ以上)を含み得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ以上(例えば、全て)は、約100pL〜1nL、約100pL〜2nL、約100pL〜5nL、約250pL〜2nL、約250pL〜5nL、約250pL〜10nL、約500pL〜5nL、約500pL〜10nL、約500pL〜15nL、約750pL〜10nL、約750pL〜15nL、約750pL〜20nL、約1〜10nL、約1〜15nL、約1〜20nL、約1〜25nL、又は約1〜50nLの体積の流体を保持するように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの回路要素の1つ以上(例えば、全て)は、約20nL〜200nL、約100〜200nL、約100〜300nL、約100〜400nL、約100〜500nL、約200〜300nL、約200〜400nL、約200〜500nL、約200〜600nL、約200〜700nL、約250〜400nL、約250〜500nL、約250〜600nL、又は約250〜750nLの体積の流体を保持するように構成される。

0020

本明細書で使用される「マイクロ流体チャネル」又は「フローチャネル」とは、水平寸法及び垂直寸法の両寸法よりも有意に長い長さを有するマイクロ流体デバイスのフロー領域を指す。例えば、フローチャネルは、水平寸法又は垂直寸法のいずれかの長さの少なくとも5倍、例えば、その長さの少なくとも10倍、その長さの少なくとも25倍、その長さの少なくとも100倍、その長さの少なくとも200倍、その長さの少なくとも500倍、その長さの少なくとも1,000倍、その長さの少なくとも5,000倍、又はそれ以上であり得る。幾つかの実施形態では、フローチャネルの長さは、介在する任意の範囲を含めて約50,000ミクロン〜約500,000ミクロンの範囲内である。幾つかの実施形態では、水平寸法は、約100ミクロン〜約1000ミクロン(例えば、約150〜約500ミクロン)の範囲内であり、且つ垂直寸法は、約25ミクロン〜約200ミクロン、例えば、約40〜約150ミクロンの範囲内である。フローチャネルは、マイクロ流体デバイス内で多種多様空間構成を有し得るので、完全に線状の要素に制限されないことに留意されたい。例えば、フローチャネルは、次の構成、すなわち、カーブベンドスパイラル、傾斜、下降フォーク(例えば、複数の異なる流路)、及びそれらの任意の組合せのいずれかを有する1つ以上のセクションを含み得る。そのほか、フローチャネルは、その中に所望の流体フローを提供するように、その通路に沿って異なる断面積拡幅、及び狭窄を有し得る。

0021

本明細書で使用される場合、「障害物」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスの2つの異なる領域間又は回路要素間の標的微小物体の移動を部分的に(完全にではなく)妨げるのに十分な大きさのバンプ又は類似のタイプの構造物を指す。2つの異なる領域/回路要素は、例えば、マイクロ流体隔離チャンバ及びマイクロ流体チャネル、又はマイクロ流体隔離チャンバの接続領域及び分離領域であり得る。

0022

本明細書で使用される場合、「狭窄」という用語は、一般に、マイクロ流体デバイスの回路要素(又は2つの回路要素間のインターフェース)の幅の狭小化を指す。狭窄は、例えば、マイクロ流体隔離チャンバとマイクロ流体チャネルとの間のインタフェース又はマイクロ流体隔離チャンバの分離領域と接続領域との間のインタフェースに位置決めし得る。

0023

本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、透過の際に光を実質的に変化させることなく可視光を透過させる材料を指す。

0024

本明細書で使用される場合、「微小物体」という用語は、一般に、本発明に従って単離及び収集し得る任意の微視的物体を指す。微小物体の非限定的な例としては、無生物微小物体、例えば、マイクロ粒子マイクロビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズ等)、磁気ビーズマイクロロッドマイクロワイヤ量子ドット等、生物学的微小物体、例えば、細胞(例えば、卵母細胞卵細胞精子細胞組織解離細胞、真核細胞原生生物細胞、動物細胞哺乳動物細胞ヒト細胞免疫細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞系由来細胞、癌細胞、感染細胞トランスフェクト及び/若しくはトランスフォーム細胞、レポーター細胞原核細胞等)、生物学的オルガネラベシクル若しくは複合体、合成ベシクル、リポソーム(例えば、合成若しくは膜調製物由来)、脂質ナノラフト(Ritchie et al. (2009) “Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs,” MethodsEnzymol., 464:211-231に記載)等、又は無生物微小物体と生物学的微小物体との組合せ(例えば、細胞付着マイクロビーズ、リポソームコーティングマイクロビーズ、リポソームコーティング磁気ビーズ等)が挙げられる。ビーズは、共有結合又は非共有結合された他の部分/分子、例えば、蛍光標識タンパク質、低分子シグナリング部分、抗原、又はアッセイで使用可能な化学的生物学的種を更に有し得る。

0025

本明細書で使用される場合、「細胞」という用語は、植物細胞、動物細胞(例えば哺乳動物細胞)、細菌細胞菌類細胞等であり得る生体細胞を指す。哺乳動物細胞は、例えば、ヒト、マウス、ラットウマヤギヒツジウシ動物等に由来し得る。

0026

コロニー中の複製可能な生細胞の全てが単一の親細胞に由来する娘細胞である場合、生体細胞のコロニーは「クローン」である。「クローン細胞」という用語は、同一のクローンコロニーの細胞を指す。

0027

本明細書で使用される場合、生体細胞の「コロニー」とは、2細胞以上(例えば、2〜20、4〜40、6〜60、8〜80、10〜100、20〜200、40〜400、60〜600、80〜800、100〜1000細胞、又は1000細胞超)を意味する。

0028

本明細書で使用される場合、「細胞を維持する」という用語は、細胞の生存及び/又は増殖を続けるのに必要な条件を提供する、流体及び気体の両成分と任意選択的に表面とを含む環境を提供することを指す。

0029

流体培地の「成分」は、溶媒分子イオン、低分子、抗生物質ヌクレオチド及びヌクレオシド核酸アミノ酸ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、脂質、脂肪酸コレステロール代謝物等をはじめとする培地中に存在する任意の化学分子又は生化学分子である。

0030

流体培地を参照して本明細書で使用される場合、「拡散する」又は「拡散」とは、流体培地の成分が濃度勾配の下方に熱力学的に移動することを指す。

0031

「培地のフロー」という語句は、拡散以外の任意の機構に主に起因する流体培地のバルク移動を意味する。例えば、培地のフローは、点間の圧力差に起因する一方の点から他方の点への流体培地の移動を含み得る。かかるフローは、液体連続フローパルスフロー、周期フロー、ランダムフロー、間欠フロー、若しくは往復フロー、又はそれらの任意の組合せを含み得る。一方の流体培地が他方の流体培地に流入する場合、培地の乱流及び混合を生じ得る。

0032

「実質的にノーフロー」という語句は、時間平均で流体培地中への又は流体培地中での材料の成分(例えば、対象のアナライト)の拡散速度未満の流体培地の流速を指す。かかる材料の成分の拡散速度は、例えば、温度、成分のサイズ、及び成分と流体培地との間の相互作用の強度に依存し得る。

0033

マイクロ流体デバイス内の異なる領域を参照して本明細書で使用される場合、「流体接続される」という語句は、異なる領域が流体培地等の流体で実質的に充填されたときに各領域内の流体が単一体の流体を形成するように接続されることを意味する。このことは、異なる領域内の流体(又は流体培地)が必ずしも同一の組成であることを意味するものではない。より正確には、マイクロ流体デバイスの異なる流体接続領域内の流体は、溶質がそのそれぞれの濃度勾配の下方に移動するときに及び/又は流体がデバイスを貫流するときに流束内で異なる組成(例えば、タンパク質、炭水化物、イオン、他の分子等の溶質の濃度が異なる)を有し得る。

0034

本明細書で使用される場合、「流路」とは、培地のフローの軌道を規定する且つその対象となる1つ以上の流体接続回路要素(例えば、チャネル、領域、チャンバ等)を意味する。そのため、流路は、マイクロ流体デバイスの掃引領域の例である。他の回路要素(例えば、非掃引領域)は、流路の培地のフローの対象とならない流路を含む回路要素に流体接続し得る。

0035

本明細書で使用される場合、μmとはマイクロメートルを意味し、μm3とは立方マイクロメートルを意味し、pLとはピコリットルを意味し、nLとはナノリットルを意味し、且つμL(又はuL)とはマイクロリットルを意味する。

0036

本明細書でのセクション分割は、概説を容易にすることのみを目的としたものであり、考察される要素のいずれの組合せにも限定されるものではない。

0037

II.抗体治療剤の調製方法
抗体治療剤は、以下のステップ、すなわち、
a)患者から得られた少なくとも1つの固形腫瘍サンプルから解離細胞サンプルを提供するステップと、
b)フロー領域とフロー領域に流体接続された少なくとも1つの分離領域とを有するマイクロ流体デバイスに解離細胞サンプルをロードするステップと、
c)少なくとも1つのB細胞を解離細胞サンプルからマイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域に移動させることにより少なくとも1つの単離されたB細胞を得るステップと、
d)癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つの単離されたB細胞を同定するステップと、
を含む方法を用いて調製し得る。

0038

抗体を同定する本方法は、抗体を産生するB細胞と治療剤が望まれる患者に問題を引き起こしている癌細胞との関係を有するという1つの潜在的目標を念頭において、多種多様な形態で実施し得る。特定の一方法400は、図4に概説される。

0039

特定の場合には、本方法は、同定されたB細胞から対をなす重鎖及び軽鎖の可変ドメインの抗体配列を決定することを更に含む。例えば、癌細胞に結合する抗体を産生する少なくとも1つのB細胞をマイクロ流体デバイスから搬出した後、シーケンシングを行い得る。他の場合には、本方法は、少なくとも1つの単離されたB細胞からハイブリドーマを生成することを含む。抗体配列が決定された場合、本方法はまた、少なくとも1つの同定されたB細胞から対をなす重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列の一部又は全部を含む抗体治療剤を生成することを含み得る。例えば、方法は、少なくとも1つの同定されたB細胞から重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列の6個のCDRを全て含む抗体又はその機能部分を調製することを含み得る。

0040

A.解離細胞サンプルの調製
特定の場合には、本方法は、固形腫瘍からサンプルを得るステップを含む。例えば、図4の方法400のステップ410に示される通り。固形腫瘍サンプルは、外科切除生検物や細針吸引物(FNA)等の腫瘍生検物であり得る。幾つかの場合には、腫瘍は、増殖性B細胞及び/又はB細胞濾胞を含み得る三次リンパ様構造を有する。腫瘍は、乳癌泌尿生殖器癌、神経系癌、腸癌、肺癌黒色腫、又は他のタイプの癌であり得る。幾つかの実施形態では、乳癌は様乳癌であり得る。幾つかの実施形態では、泌尿生殖器癌は、腎臓(例えば、腎細胞癌)、尿管膀胱尿道等の尿路に発生する癌であり得る。幾つかの実施形態では、泌尿生殖器癌は、男性生殖管の癌(例えば、精巣癌、前立腺癌、又は精嚢精管、若しくは陰茎の癌)或いは女性生殖管の癌(例えば、卵巣癌子宮癌癌、癌、又は卵管癌)であり得る。幾つかの実施形態では、神経系癌は神経芽腫であり得る。幾つかの実施形態では、腸癌は結腸直腸癌であり得る。幾つかの実施形態では、肺癌は中皮腫であり得る。

0041

幾つかの場合には、単一の腫瘍サンプルが得られる。他の場合には、多発性腫瘍サンプルが得られる。一例では、全ての腫瘍サンプルが同一の患者に由来する。例えば、患者に由来する1つの腫瘍サンプル(例えば、単一の生検物)を使用し得るか、又は同一の患者に由来する複数の腫瘍サンプル(例えば、患者の同一の腫瘍又は異なる腫瘍に由来する複数の生検物)を使用し得る。

0042

他の場合には、異なる患者に由来する腫瘍サンプルを使用し得る。例えば、B細胞は第1の患者に由来し得ると共に、癌細胞(例えば、癌細胞関連抗原源として使用される癌細胞)は第2の患者に由来する。こうした形態の幾つかでは、B細胞は治療を望む患者に由来する。こうした形態の幾つかでは、癌細胞は癌細胞系に由来する。また、サンプルが異なる患者に由来する場合、抗体を産生するB細胞と癌細胞関連抗原との何らかの関係を保持し得る。例えば、癌細胞関連抗原が同一の患者の癌細胞に由来するものでない場合、幾つかの実施形態では、それは同一のタイプの癌に由来し得る。特定の場合には、マイクロ流体デバイスで使用されるさもなければ癌関連抗原を提供するために使用される癌細胞は、患者が罹患している腫瘍のタイプに特徴的である1種以上のマーカーを呈する。例えば、癌細胞は、患者の腫瘍サンプルにも存在する1つ以上のかかるマーカーを有し得る。

0043

特定の場合には、本方法は、解離細胞サンプルを生成するように腫瘍サンプルを処理するステップを含む。例えば、図4の方法400のステップ420に示される通り。解離細胞サンプルは、腫瘍(例えば、腫瘍生検物又はFNA)から解離させた少なくとも1つの単一細胞を含み得る。幾つかの場合には、細胞は全て単一細胞形態である。他の場合には、細胞の一部は単一細胞形態ではなく、約2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ以上の細胞の集塊として残留し、更に他の細胞は単一細胞形態である。解離細胞サンプルは、解離形態で培養下で成長させた癌細胞系を含む。そのため、細胞は、能動的に解離させ得るか(少なくとも1つの固形腫瘍サンプルを得て少なくとも1つの単一細胞を解離させることにより)、又は受動的に解離させ得る(予め解離させた又は解離形態で成長させたサンプルを得ることにより)。

0044

解離は、幾つかの方法で行い得る。例えば、腫瘍サンプルは、コラゲナーゼ+DNase消化を用いて解離させ得る。腫瘍サンプルはまた、Miltenyi Biotec製gentleMACS(商標)装置等の細胞ディソシエータ装置を用いて解離させ得る。

0045

幾つかの場合には、本方法は、元の解離サンプルよりも大きいパーセント及び/又は濃度のB細胞を有する画分を単離するために、ローディング前に解離細胞サンプルの選択を行うことを更に含む。例えば、図4の方法400のステップ430に示される通り。所望により、B細胞は、少なくとも1つのマーカー、例えば、CD19、CD20、IgMIgD、CD38、CD27、CD138、PNA、及びGL7から選択されるマーカーを用いて、解離細胞サンプルから選択し得る。代替的又は追加的に、非B細胞を除去するためにネガティブ選択を行い得る(例えば、B細胞上に発現されない少なくとも1つのマーカーを用いて)。例えば、解離細胞サンプルから癌細胞(例えば、癌細胞特異的マーカーを用いて)及び/又はT細胞(例えば、CD3、CD4、CD8等のT細胞特異的マーカーを用いて)を枯渇させ得る。更に他の場合には、解離細胞サンプルは、B細胞の富化処理を行うことなくマイクロ流体デバイスにロードされる。

0046

解離細胞サンプルでB細胞の富化処理を行うかどうかにかかわらず、解離細胞サンプルはマイクロ流体デバイスにロードされる。例えば、図4の方法400のステップ440を参照されたい。幾つかの場合には、単一の解離細胞サンプルをマイクロ流体デバイスにロードし得る。単一の解離細胞サンプルは、B細胞及び他のタイプの細胞(例えば、癌細胞)の両方を含み得る。他の場合には、(i)単一の解離細胞サンプル又は(ii)異なる解離細胞サンプルの個別画分(例えば、それぞれ個別に及び/又は異なる方式で分画されたもの)を異なる時点でロードし得る。幾つかの場合には、解離細胞サンプルは、最初のサンプルよりも大きいパーセント及び/又は濃度の癌細胞を有する画分を生成するように処理し得る。癌細胞画分は、B細胞の選択後に残留する画分であり得るか、又はその逆であり得る。

0047

所望により、癌に特有の少なくとも1つのマーカーを用いて、癌細胞を解離細胞サンプルから選択し得る。幾つかの場合には、形態学的差を用いて細胞を分離し得る。癌細胞は、多くの場合、不規則細胞サイズ(例えば、より大きな細胞サイズ若しくはより小さな細胞細胞)、より大きな核を呈するか、より多くのDNAを含有するか、又は核構造変化を含有する。多くの場合、これらの差は、視覚により及び/又は自動化し得る画像解析により識別可能である。かかる解析を容易にするために又は促進するために、解離細胞サンプルの核酸を染色し得るか(例えば、核酸結合染料で染色した場合、癌細胞は、多くの場合、正常細胞よりも明るく染色される)、又は核膜核小体、及び/若しくは核マトリックスに関連するマーカーを染色し得る。かかるマーカーの例としては、ラミン(例えば、A型又はB型ラミン)、核膜タンパク質(例えば、エメリン等の核ラミナ関連タンパク質)、フィブリリン核孔タンパク質(NUP、例えば、Nup153、Nup210等)、ヒストンタンパク質、及び核マトリックスタンパク質(例えば、p84))が挙げられる。これらはいずれも、核構造の差を強調し得る。

0048

形態学的差以外に、特定のタイプの癌細胞を同定するのに有用な様々なマーカーが当技術分野で知られている。例えば、限定されるものではないが、以下の通りである。

0049

乳癌では、CD44、HLA−DR、Ki−67(又はMK167)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ1(ALDH1)、及びガングリオシドGD2は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、エストロゲン受容体ER)、プロゲステロン受容体(PR)、ヒト表皮成長因子受容体2(HER2)、及びCD24は、癌細胞に存在しない又は少ない傾向があり、髄様乳癌を同定するために、ER−/PR−/HER2−/HLA−DR+を使用可能であり、且つ乳癌幹細胞を同定するために、CD44hi/CD24lo/ALDH1hi又はCD44hi/CD24lo/GD2hiを使用可能である。

0050

腎臓癌では、C反応性タンパク質アクアポリン−1(AQP1)、アディポフィリン(ADFP)、インスリン様成長因子IImRNA結合タンパク質3(IGF2BP3又はIMP3)、B7−H1(又はPD−L1)、及びKi−67(MK167)は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向がある。

0051

膀胱癌では、核分裂装置タンパク質(NMP22)、膀胱腫瘍抗原(BTA)、及びフィブリンフィブリノーゲン分解産物は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質(A−FABP)、グルタチオンS−トランスフェラーゼμ(GST−μ)、プロスタグランジンデヒドロゲナーゼPGDH)、及びケラチン13は、存在しない又は正常細胞と比べて少ない傾向があり、遺伝子レベルで、p16腫瘍サプレッサー遺伝子又は9p21遺伝子座は、癌細胞に欠失し得る。

0052

尿路上皮癌では、補体因子H関連タンパク質(CFHrp)は、癌細胞でレベルの増加及び/又は分泌を呈し得ると共に、核レベルで、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)は、癌細胞でmRNA発現の増加を呈する傾向がある。

0053

子宮内膜癌では、癌抗原15−3(CA15−3)、癌抗原125(CA125)、癌抗原19.9(CA19.9)、癌抗原72.4(CA72.4)、及び癌胎児性抗原CEA)は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向がある。

0054

卵巣癌では、腫瘍関連トリプシン阻害剤TATI)、癌抗原125(CA125)、クローディン5、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、癌胎児性抗原(CEA)、VCAM−1、及びmiR−181aは、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、TATI、CA125、及びクローディン5は、卵巣癌を診断するために組み合わせて使用されており、HE4及びCA125も同様であり、任意選択的にCEA及びVCAM−1が併用され、STAT1は、化学療法に反応する卵巣癌とそうでない卵巣癌とを識別するために使用可能である。

0055

頸癌では、ヒトパピローマウイルス(HPV)(例えば、16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、6、11、42、43、及び44型)、p16INK4a、及びインスリン様成長因子IImRNA結合タンパク質3(IGF2BP3又はIMP3)は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向がある。

0056

前立腺癌では、前立腺特異的抗原(PSA)、サルコシン(代謝物)、前立腺癌遺伝子3(PCA3)、及びTMPRSS2:ERG融合産物は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、前立腺酸性ホスファターゼフィブリノーゲンα鎖前駆体、コラーゲンα−1(III)、コラーゲンα−1(I)、乾癬感受性候補遺伝子2タンパク質、肝細胞癌関連タンパク質TB6、ヒストンH2BB、オステオポンチン高分子Ig受容体、Na/K輸送ATPアーゼγ、膜貫通分泌成分、及びセメノゲリン1は、存在しない又は正常細胞と比べて少ない傾向がある。

0057

神経芽腫では、バニリルマンリン酸VMA)、ホモバニリン酸HVA)、及びフェリチンのレベルの増加及び/又は分泌は、癌細胞に関連付けられ、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、及びガングリオシドGD2は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、ゲノムレベルで、染色体1p及び11qの部分欠失並びに17qの部分重複は、癌細胞に関連付けられる。

0058

結腸直腸癌では、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原19−9(CA19−9)、結腸癌特異的抗原3(CCSA−3)、結腸癌特異的抗原4(CCSA−4)、及びB−Raf突然変異V600Eは、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、遺伝子レベルで、結腸直腸癌細胞は、マイクロサテライト不安定性及び各種K−Ras突然変異を呈する。

0059

小細胞肺癌では、ガングリオシドGD2は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、非小細胞肺癌では、B−Raf突然変異V600Eは、癌細胞に存在する傾向があり、中皮腫では、カルレチニンサイトケラチン5/6、及びWT1は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、癌胎児性抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(Ep−CAM)(例えば、MOC−31又はBer−EP4抗体により検出される)、ルイス血液型(例えば、BG−8抗体により検出される)、及びB72.3抗体により検出される腫瘍関連糖タンパク質は、存在しない又は少ない傾向があり、それとは逆に、経肺腺癌では、CEA、Ep−CAM(例えば、MOC−31又はBer−EP4抗体により検出される)、ルイスY血液型(例えば、BG−8抗体により検出される)、及びB72.3抗体により検出される腫瘍関連糖タンパク質は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、カルレチニン、サイトケラチン5/6、及びWT1は、存在しない又は少ない傾向がある。

0060

黒色腫では、ヒト内在性レトロウイルス(HERV−K)、ガングリオシドGD2、B−Raf突然変異V600E、Hsp90、Gタンパク質シグナリングレギュレーター(RGS1)、オステオポンチン、ヒト表皮成長因子受容体3(HER3)、核受容体コアクチベーター3(NCOA3)、ミニ染色体維持複合体成分4及び6(それぞれ、MCM4及びMCM6)は、癌細胞に存在する及び/又は多い傾向があり、一方、阻害剤又は成長タンパク質3及び4(それぞれ、ING3及びING4)は、存在しない又は正常細胞と比べて少ない傾向がある。

0061

幾つかの場合には、癌細胞は、癌に特有の少なくとも2つのマーカーを用いて解離細胞サンプルから選択し得る。例えば、2つ以上のマーカーは、形態学的マーカー、少なくとも1つの陽性マーカー(例えば、癌細胞に存在する及び/又は多いマーカー)、及び/又は少なくとも1つの陰性マーカー(例えば、存在しない又は正常細胞と比べて少ないマーカー)、又はそれらの任意の組合せを含み得る。特定の形態では、B細胞(例えば、メモリB細胞、血漿B細胞等、及びそれらの組合せ)及び/又は癌細胞は、FACSにより解離細胞サンプルから選択し得る。代替的又は追加的に、B細胞(例えば、メモリB細胞、血漿B細胞等、及びそれらの組合せ)及び/又は癌細胞はまた、磁気ビーズベース選別を用いて解離サンプルから選択し得る。選択は、サンプルにおいてCD27(又は幾つかの他のメモリB細胞マーカー)を発現するB細胞又はCD138(又は幾つかの他の形質細胞マーカー)を発現するB細胞を富化し得る。選択はポジティブであり得る(例えば、B細胞特異的マーカー又は癌細胞特異的マーカーに基づく)。代替的に、選択はネガティブであり得る。例えば、非B細胞細胞型は、DYNABEADS(商標)UntouchedヒトB細胞試薬(Thermo Fisher)、B細胞単離キット(Miltenyi)、RosetteSepヒトB細胞富化カクテル(Stem Cell Technologies)等でサンプルを処理する等の当技術分野で周知の技術を用いて、解離細胞サンプルから枯渇させ得る。他の例として、選択は、IgM抗体IgA抗体、IgD抗体、IgG抗体、又はそれらの任意の組合せを発現するB細胞をサンプルから枯渇させ得る。代替的又は追加的に、B細胞及び/又は癌細胞は、以下で更に考察されるようにマイクロ流体デバイスを用いて選択し得る。

0062

B.マイクロ流体デバイス内へのB細胞のローディング及びマイクロ流体デバイス内でのB細胞の移動
解離細胞サンプル(以上で考察したように任意選択的に分画されたもの)は、デバイスの流入口を介してフロー領域内にサンプル細胞を流入させることによりマイクロ流体デバイス内にロードすることが可能である。例えば、図4に示される方法400のステップ440は、マイクロ流体デバイス内への解離細胞サンプルのローディングを提供する。幾つかの実施形態では、フロー領域はフローチャネル(又はマイクロ流体チャネル)を含み、且つ解離細胞サンプルのローディングはフローチャネル内に細胞を流入させることを含む。

0063

解離細胞サンプルをマイクロ流体デバイスのフロー領域(又はフローチャネル)内にロードした後、サンプル中のB細胞をマイクロ流体デバイスの分離領域内に移動させることが可能である。例えば、方法400のステップ450に例示されるように(図4)、フロー領域(又はフローチャネル)に流体接続された且つそれから開口した分離チャンバ内に位置決めし得る1つ以上の分離領域内にフロー領域(又はフローチャネル)からB細胞を移動させることが可能である。B細胞は、例えば、CD27+B細胞又はCD138+B細胞であり得る。幾つかの実施形態では、B細胞はメモリB細胞である。他の実施形態では、B細胞は形質細胞である。B細胞の移動は、本明細書で一般的に考察されるように、重力の利用(例えば、マイクロ流体デバイスを傾けることにより)、局在化流体フローの誘導(例えば、分離領域に隣接又は近接して位置決めされたマイクロ流体デバイスの変形可能表面を押圧又は牽引することにより)、誘電泳動(DEP)力の適用(例えば、光電子ピンセット(OET)により)、又はそれらの任意の組合せを含めて、様々な手段により達成し得る。

0064

幾つかの場合には、解離細胞サンプルをロードする前に、本方法は、少なくとも1つの検出可能マーカーで解離細胞サンプル中のB細胞を標識することを更に含む。マーカーは、B細胞特異的マーカー、例えば、本明細書に開示されるB細胞マーカー(例えば、CD19、CD20、IgM、IgD、CD38、CD27、CD138、PNA、GL7等)のいずれか1つであり得る。例えば、DEP力を適用することによりB細胞を移動させる実施形態では、マーカーは、検出可能マーカーの検出に基づいて移動するB細胞の選択を支援し得る。代替的に、検出可能マーカーは、T細胞マーカーや癌細胞関連マーカー等の非B細胞マーカーに結合させ得る。かかる場合には、検出可能マーカーの欠如に基づいて移動するB細胞を選択し得る。

0065

マイクロ流体デバイスの分離領域にロードされるB細胞は、メモリB細胞、形質細胞等の異なるB細胞型の混合物を含み得る。幾つかの実施形態では、分離領域内に移動させる形質細胞を選択することが望まれ得る。幾つかの実施形態では、分離領域内に移動させるIgG型抗体を発現するB細胞を選択することが望まれ得る。

0066

幾つかの場合には、分離領域の全てにロードするか否かにかかわらず、1つのB細胞のみを各分離領域内に移動させる。他の場合には、最初に1つ以上の分離領域内にB細胞をプールし、後で個別分離領域内に分離し得る(すなわち、1つの分離領域当たり1つのB細胞)。癌細胞に結合する抗体を産生するB細胞をスクリーニングする場合、後者の実施形態ではより大きいスループットが可能である。各分離領域内に1つのB細胞のみを配置することによりB細胞のクローン増殖が可能になるので、対をなす重鎖及び軽鎖の可変ドメインの配列の同定を容易にし得る。

0067

特定の実施形態では、癌細胞関連抗原をマイクロ流体デバイスにロードする前、B細胞をマイクロ流体デバイスにロードして分離領域内に移動させる。他の実施形態では、癌細胞関連抗原をマイクロ流体デバイスにロードして分離領域内に移動させた後、B細胞をマイクロ流体デバイスにロードして分離領域内に移動させる。更に他の実施形態では、B細胞及び癌細胞関連抗原を同時にマイクロ流体デバイスにロードする(例えば、B細胞及び癌細胞の両方を含む解離細胞サンプルの一部として)。幾つかの実施形態では、B細胞を分離領域にロードした後、B細胞は、癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生する少なくとも1つのB細胞の同定後までそこに残留する。

0068

C.抗体を産生するB細胞と癌細胞関連抗原との接触
開示された方法は、癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体をB細胞が発現しているかを検出するステップを含む。例えば、図4の方法400のステップ470を参照されたい。かかる発現を検出するために、発現された抗体を癌細胞関連抗原と相互作用させなければならない。

0069

癌細胞関連抗原は単純型又は複合型であり得る。また、抗原は、タンパク質、炭水化物基若しくは炭水化物鎖、タンパク質や炭水化物以外の生物学剤若しくは化学剤、又はそれらの任意の組合せ上のエピトープであり得ると共に、エピトープは、リニア又はコンフォメーショナルであり得る。癌細胞関連抗原は、癌細胞(例えば、1つ以上の特定のタイプの癌細胞)を一義的に同定する又は正常細胞での発現と比較して癌細胞でアップレギュレートされる抗原であり得る。典型的には、癌細胞関連抗原は、癌細胞の表面上に存在するので、抗体により確実に認識可能である。抗原は、当技術分野で公知の又は本明細書に記載の腫瘍に見いだし得る任意のタイプの癌細胞を含めて、任意のタイプの癌細胞に関連付け可能である。特に、抗原は、肺癌、乳癌、黒色腫等に関連付け可能である。本明細書で使用される場合、「癌細胞に関連付けられる」という用語は、抗原に関連して使用されるとき、抗原が癌細胞により直接産生されること又は癌細胞と正常細胞との間の相互作用により生じることを意味する。

0070

B細胞発現抗体が癌細胞関連抗原に特異的に結合するかの検出は、本明細書に記載のマイクロ流体デバイスで行い得る。特に、マイクロ流体デバイスは、フロー領域(例えば、マイクロ流体チャネル)と隔離チャンバとを有するエンクロージャを含み得る。隔離チャンバは、分離領域と接続領域とを含み得ると共に、接続領域は、分離領域とフロー領域との間に流体接続を提供する。隔離チャンバは、約0.5nL〜約5.0nl又はその中の任意の範囲(例えば、約0.5nl〜約1.0nl、約0.5nl〜約1.5nl、約0.5nl〜約2.0nl、約1.0nl〜約1.5nl、約1.0nl〜約2.0nl、約1.0nl〜約2.5nl、約1.5nl〜約2.0nl、約1.5nl〜約2.5nl、約1.5nl〜約3.0nl、約2.0nl〜約2.5nl、約2.0nl〜約3.0nl、約2.0nl〜約3.5nl、約2.5nl〜約3.0nl、約2.5nl〜約3.5nl、約2.5nl〜約4.0nl、約3.0nl〜約3.5nl、約3.0nl〜約4.0nl、約3.0nl〜約4.5nl、約3.5nl〜約4.0nl、約3.5nl〜約4.5nl、約3.5nl〜約5.0nl、約4.0nl〜約4.5nl、約4.0nl〜約5.0nl、約4.5nl〜約5.0nl、又は上記の端点の1つにより規定される任意の範囲)の容積を有し得る。接続領域は、本明細書に一般的に記載される幅Wcon(例えば、約20ミクロン〜約100ミクロン又は約30ミクロン〜約60ミクロン)を有し得る。分離領域も同様に、本明細書に一般的に記載される幅Wisoを有し得る(例えば、分離領域は、接続領域の幅Wconよりも大きい幅Wisoを有し得る)。特定の実施形態では、分離領域は、約50ミクロン〜約250ミクロンの幅Wisoを有する。

0071

フロー領域、隔離チャンバ、及び/又は隔離チャンバの分離領域は、抗体発現B細胞(例えば、メモリーB細胞又は形質細胞)の生存能を向上させるコーティング材料を用いてコーティングされた少なくとも1つの表面を含み得る。これとの関連で用いられる場合、「生存能を向上させる」とは、コーティングされていない等価な表面と比較してコーティングされた表面でB細胞の生存能がより良好であることを意味する。特定の実施形態では、フロー領域、隔離チャンバ、及び/又は分離領域は、B細胞の生存能を向上させるコーティング材料でそれぞれコーティングされた複数の表面を有する。コーティング材料は、当技術分野で公知の及び/又は本明細書に記載の任意の好適なコーティング材料であり得る。コーティング材料は、例えば、親水性分子を含み得る。親水性分子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリマー、炭水化物基を含むポリマー、アミノ酸を含むポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択可能である。

0072

フロー領域、隔離チャンバ、及び又は隔離チャンバの分離領域は、B細胞(例えば、メモリーB細胞又は形質細胞)の生存能を向上させる少なくとも1つの調整された表面を含み得る。これとの関連で用いられる場合、「生存能を向上させる」とは、調整されていない等価な表面と比較して調整された表面でB細胞の生存能がより良好であることを意味する。特定の実施形態では、フロー領域、隔離チャンバ、及び/又は分離領域は、B細胞の生存能をそれぞれ向上させ得る複数の調整された表面を有する。調整された表面は、共有結合された分子を含み得る。共有結合された分子は、例えば、共有結合された親水性分子を含めて、当技術分野で公知である及び/又は本明細書に開示される任意の好適な分子であり得る。親水性分子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリマー、炭水化物基を含むポリマー、アミノ酸を含むポリマー、及びそれらの組合せからなる群から選択可能である。親水性分子は、本明細書に記載されるように、共有結合された親水性分子の層を形成可能である。

0073

癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体を発現するB細胞の検出は、抗原がB細胞に近接して位置決めされた状態になるように癌細胞関連抗原をマイクロ流体デバイスに導入することを含み得る。マイクロ流体デバイスへの癌細胞関連抗原の導入は、例えば、癌細胞関連抗原を含有する流体培地をマイクロ流体デバイスのフロー領域に流入させることと、癌細胞関連抗原がB細胞に近接して位置決めされたときに流体培地のフローを停止することとを含み得る。B細胞に「近接する」位置は、B細胞から1ミリメートル(mm)以内(例えば、B細胞から750ミクロン以内、600ミクロン以内、500ミクロン以内、400ミクロン以内、300ミクロン以内、200ミクロン以内、100ミクロン以内、又は50ミクロン以内)であり得る。

0074

癌細胞関連抗原は、当技術分野で公知の及び/又は本明細書に記載の任意の好適な微小物体(例えば、細胞、リポソーム、脂質ナノラフト、又はビーズ)であり得る微小物体の一部として提供可能である。そのため、マイクロ流体デバイスへの癌細胞関連抗原の導入は、B細胞が位置決めされる隔離チャンバの接続領域に隣接して又は接続領域内にかかる微小物体を配置することを含み得る。代替的に、癌細胞関連抗原の導入は、B細胞が位置決めされる隔離チャンバの分離領域内にかかる微小物体を移動させることを含み得る。

0075

微小物体は、癌細胞から分画された抗原、例えば、癌細胞膜調製物に見いだされる膜関連抗原を含み得る。開示された方法に使用される微小物体を生成するために、かかる単離された膜関連抗原はビーズにコンジュゲートし得る。代替的に、微小物体は、実質的に純粋な抗原(例えば、精製されたタンパク質)を含み得る。抗原分子、例えば、精製されたタンパク質、細胞膜調製物等をビーズにコンジュゲートする方法は、当技術分野で公知である及び/又は本明細書の実施例に記載される。同様に、癌細胞から抗原を単離する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Bachleitner-Hoffmann et al. (2002), J. Clin. Endocrin. & Metab. 87(3): 1098-1104; and He et al. (2016), Oncology Letters 12:1101-06を参照されたい)。そのため、癌細胞関連抗原の単離は、当技術分野で公知の様々な方法により行い得る。他の実施形態では、微小物体は、癌細胞(例えば、患者のサンプルから単離されたもの)や癌細胞系細胞等の細胞であり得る。

0076

上述したように、微小物体(例えば、癌細胞又は抗原コンジュゲートビーズ)は、デバイスの流入口を介してフロー領域内に微小物体を流入させることによりマイクロ流体デバイスにロードし得る(抗体結合を検出するために)。幾つかの実施形態では、フロー領域はフローチャネルを含み、且つ微小物体のローディングはフローチャネル内に微小物体を流入させることを含む。

0077

幾つかの実施形態では、微小物体は、マイクロ流体デバイスのフロー領域(又はフローチャネル)にロードされ、マイクロ流体デバイスから搬出されるまでフロー領域(又はフローチャネル)内に残留する。幾つかの実施形態では、微小物体は分離領域に入らない。幾つかの実施形態では、微小物体は、フロー領域(又はフローチャネル)に存在する以外に分離チャンバの接続領域内に浸入する。これらの実施形態のいずれかでは、微小物体(例えば、癌細胞又は抗原コンジュゲートビーズ)は、少なくとも約1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、又は1×108個の微小物体/mlの濃度でフロー領域(又はフローチャネル)にロードし得る。

0078

幾つかの実施形態では、微小物体は、マイクロ流体デバイスの少なくとも1つの分離領域内に移動される。B細胞と同様に、微小物体(例えば、癌細胞又は抗原コンジュゲートビーズ)の移動は、重力の利用(例えば、マイクロ流体デバイスを傾けることにより)、局在化流体フローの誘導(例えば、分離領域に隣接又は近接して位置決めされたマイクロ流体デバイスの変形可能表面を押圧又は牽引することにより)、誘電泳動(DEP)力の適用(例えば、光電子ピンセット(OET)により)、又はそれらの任意の組合せを含めて、様々な手段により達成し得る。かかる実施形態では、1個以上(例えば、1個のみ、約2、3、4、5、6、7、8、9、10個、若しくはそれ以上、又は約1〜20、1〜10、1〜5、1〜3、1〜2個)の微小物体をマイクロ流体デバイスの個別分離領域内に移動させ得るので、単離された微小物体又は一群の単離された微小物体を有する少なくとも1つの分離領域が得られる。単離された微小物体及びB細胞は、同一の分離領域内に配置し得る。代替的に、単離された微小物体及びB細胞は、異なる分離領域(例えば、隣接分離領域)内に配置し得る。

0079

マイクロ流体デバイス内の微小物体の所望の位置に関係なく、癌細胞をマイクロ流体デバイスにロードする前に、癌細胞である微小物体を1つ以上の検出可能マーカーで標識し得る。所望の形態が少なくとも1つの分離領域内への少なくとも1つの癌細胞の移動を含む場合、移動する少なくとも1つの癌細胞を選択するために検出可能マーカーを使用し得る。代替的又は追加的に、移動する少なくとも1つの癌細胞を選択するために、細胞サイズ、細胞形状、核サイズ、又は核構造の形態学的評価を使用し得る。癌細胞はまた、形態学的評価と任意選択的に組み合わせて細胞マーカーの不在により選択し得る。

0080

特定の実施形態では、癌細胞は、患者から採取された1つ以上の固形腫瘍サンプルから得られる解離細胞サンプルに由来するので、患者自身の癌細胞である。以上で考察したように、癌細胞は、解離細胞サンプルから選択(又は分画)し得る、及び/又は癌細胞は、B細胞を含有する同一の解離細胞サンプルの一部としてマイクロ流体デバイスにロードし得る。特定の実施形態では、癌細胞は、癌細胞に結合可能な抗体を産生するB細胞をアッセイする前に、培養及び/又はクローニングされる。かかる培養及び/又はクローニングは、マイクロ流体デバイス内で又はマイクロ流体デバイスに癌細胞をロードする前に行い得る(例えば、腫瘍サンプルに由来する癌細胞を選択、培養、及び/又はクローニングする従来技術を用いて)。それにもかかわらず、癌細胞を選択、培養、及び/又はクローニングして少なくとも約1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、又は1×108細胞/mlの濃度にし得る。

0081

当技術分野で周知のように、腫瘍に由来する癌細胞集団は、集団を構成する個別細胞の形態学的及び遺伝的特性に関して比較的不均一であり得る。例えば、集団は、癌幹細胞(徐々に分裂し得る)及びより分化した癌細胞(より迅速に分裂し得ると共に癌促進突然変異の様々なサブセットを含有し得る)を含有し得る。癌細胞のマーカーベースの選択及び/又はクローニングを用いることにより、より均一な細胞集団を提供することが可能である。したがって、特定の実施形態では、幾つかの実施形態で、複数の不均一な癌細胞をマイクロ流体デバイスにロードし得る。代替的に、マイクロ流体デバイスにロードする前に個別癌細胞を選択してクローニングし得る。そのため、他の実施形態では、実質的に均一な癌細胞集団をマイクロ流体デバイスにロードして、癌細胞に結合可能な抗体を産生するB細胞を同定するために使用し得る。実質的に均一な集団は、少なくとも1つの腫瘍を提供する患者又は異なる患者に由来する癌細胞系であり得る。

0082

更に他の実施形態では、癌細胞関連抗原の提供は、可溶性抗原を含む溶液をマイクロ流体デバイスのフロー領域に通して流動させることと、B細胞が位置決めされる隔離チャンバに可溶性抗原を拡散導入可能にすることとを含み得る。かかる可溶性抗原は、検出可能標識(例えば、蛍光標識)に共有結合させ得る。

0083

D.結合の検出及びB細胞の処理
癌細胞関連抗原へのB細胞により産生された抗体の結合は、様々な方法で検出し得る。例えば、癌細胞をマイクロ流体デバイスに導入する場合、凝集アッセイで生じ得るような細胞集塊を検出し得る。代替的に、結合された抗体を有する微小物体(例えば、癌細胞又は抗原コンジュゲートビーズ)を標識するために、標識(例えば、蛍光標識)にコンジュゲートされた抗ヒト抗体等の二次抗体を添加し得る。そのため、幾つかの実施形態では、本方法は、標識された抗体結合剤を癌細胞関連抗原の前又はそれと同時に提供することを更に含む。かかる実施形態では、B細胞により発現された抗体への抗原の結合の監視は、癌細胞関連抗原への標識された抗体結合剤の間接結合を検出することを含み得る。標識された抗体結合剤は、蛍光標識されたものであり得る標識された抗IgG抗体であり得る。特定の実施形態では、標識された抗体結合剤は、癌細胞関連抗原との混合物で提供される。他の実施形態では、標識された抗体結合剤は、癌細胞関連抗原の提供後に提供される。

0084

特定の実施形態では、本方法は、癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体を発現する少なくとも1つの抗体発現B細胞(例えば、形質細胞又はメモリーB細胞)を同定することを更に含み得る。以下でより詳細に考察されるように、マイクロ流体デバイスは、シグナル(例えば、癌細胞集塊又は微小物体の表面への標識の蓄積)の可視化を可能にする撮像デバイスを含み得る。例えば、撮像デバイスは、マイクロ流体デバイスの撮像を周期的に行うことが可能であり、経時的にかかるシグナルのいかなる増加も検出可能である。像は、例えば、数秒ごとに(例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60秒ごとに、若しくはそれ以上の間隔で)又は数分ごとに(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10分ごとに、若しくはそれ以上の間隔で)取得可能である。幾つかの実施形態では、複数の像を互いに重ねてオーバーレイすることにより「合わせた」像を形成することが可能であり、これはバックグラウンドシグナルを平均化する一般的効果を有し、真のシグナルとバックグラウンドシグナルとのより良好なコントラストを形成する。シグナルの検出は、人が像を精査するときに行われるように手動であり得るか又は自動であり得る(例えば、適切な画像解析ソフトウェアを用いる)。

0085

癌細胞関連抗原とB細胞により産生された抗体との結合を検出した後、かかる抗体を産生するB細胞を同定することが可能であり、且つその位置(例えば、位置決めされる分離領域又は分離チャンバ)を確認及び/又は記録することが可能である。例えば、図4の方法400のステップ480を参照されたい。任意選択的に、癌細胞への抗体結合を検出した後、フロー領域(又はフローチャネル)をフラッシュし得る。かかるフラッシングは、癌細胞関連抗原(例えば、癌細胞又は抗原コンジュゲートビーズ)に結合する抗体を産生するB細胞の同定前又は同定後に行い得る。他の任意選択的なステップとして、癌細胞関連抗原に結合可能な抗体を産生しなかったB細胞は、マイクロ流体デバイスから廃棄し得る。

0086

特定の実施形態では、癌細胞関連抗原に結合する抗体を産生するとして同定されるB細胞は、マイクロ流体デバイスから搬出可能である。例えば、(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域の)シーケンシング又はハイブリドーマの調製のいずれかの目的でB細胞を単離するために、癌細胞に結合する抗体を産生するB細胞をマイクロ流体デバイスから搬出し得る。幾つかの場合には、各細胞又はクローン細胞集団は個別に搬出される。

0087

E.B細胞活性化の刺激
以上の実施形態のいずれかでは、マイクロ流体デバイスの分離領域内に移動させたB細胞は、抗体の産生を助長する条件下でインキュベート可能である。幾つかの場合には、そうした抗体は、マイクロ流体デバイス内の培地を介して癌細胞関連抗原(癌細胞若しくは抗原コンジュゲートビーズに含まれるか又は溶液中にあるかにかかわらず、且つ同一の分離領域内、主要フローチャネル内、又は隣接分離領域内にあるかにかかわらず)の位置に拡散可能である。隣接分離領域の例として、幾つかのマイクロ流体デバイスでは、2つの隣接する分離領域間の薄壁に小さなギャップが存在し、一方の分離領域から他方の分離領域に抗体を直接拡散させることが可能であるので、必ずしも主要フローチャネルに進入させて隣接分離領域内に拡散させる必要はない。かかる小さなギャップは、抗体の拡散を可能にするが、癌細胞もB細胞も分離領域を離れることが許されない。

0088

幾つかの場合には、癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体を発現するB細胞の検出は、B細胞活性化を刺激する刺激剤にB細胞を接触させるステップを含み得る。例えば、図4の方法400のステップ460を参照されたい。刺激剤は、CD40アゴニスト、例えば、CD40L、その誘導体、又は抗CD40抗体であり得る。そのため、刺激剤は、CD40L+支持細胞を含み得るか、それから本質的になり得るか、又はそれからなり得る。CD40L+支持細胞は、T細胞(例えば、ジャーカットD1.1細胞)又はその派生物であり得る。代替的に、支持細胞は、CD40L発現構築物でトランスフェクト/トランスフォームされた細胞系(例えば、NIH−3T3細胞)であり得る。刺激剤は、トール様受容体TLR)アゴニスト(例えば、TLR9アゴニスト)を更に含む。TLRアゴニストは、例えば、CpGオリゴヌクレオチド(例えば、CpG2006)であり得る。CpGオリゴヌクレオチドは、約1マイクログラム/mL〜約20マイクログラム/mL(例えば、約1.5〜約15マイクログラム/mL、約2.0〜約10マイクログラム/mL、又は約2.5〜約5.0マイクログラム/mL)の濃度で使用可能である。B細胞は、1〜10日間(例えば、2〜8日間、3〜7日間、又は4〜6日間)にわたり刺激剤に接触させることが可能である(例えば、実質的に連続的に又は周期的/間欠的に)。

0089

癌細胞関連抗原に特異的に結合する抗体を発現するB細胞の検出は、B細胞増殖を促進する1種以上の成長誘導剤を含む培養培地にB細胞を提供するステップを更に含み得る。1種以上の成長誘導剤は、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10、IL−21、及びBAFFの群から選択される少なくとも1種の作用剤を含み得る。IL−2及び/又はIL−4は、約10ng/mL〜約1マイクログラム/mLの濃度で提供可能である。IL−6、IL−10、及び/又はIL−21は、約10ng/mL〜約100ng/mLの濃度で提供可能である。BAFFは、約10ng/mL〜約50ng/mLの濃度で提供可能である。特定の実施形態では、培養培地は、1〜10日間(例えば、2〜8日間、3〜7日間、又は4〜6日間)にわたりB細胞に提供される。培養培地は、刺激剤(例えば、CD40アゴニスト及び/又はTLRアゴニスト)を含み得る。そのため、例えば、B細胞への培養培地の提供は、B細胞と活性化剤との接触と同時に行い得る。特定の実施形態では、B細胞リンパ球と刺激剤とを接触させるステップ及びB細胞リンパ球に培養培地を提供するステップは、時間をオーバーラップさせて(例えば、実質的に同一の時間にわたり)行われる。そのほか、他の任意選択的なステップとして、マイクロ流体デバイス内でB細胞を培養してクローン集団にし得る。かかる培養は、例えば、約2〜3日間にわたり及び/又は細胞数が約8〜20細胞になるまで行い得る。

0090

III.マイクロ流体デバイス
A.マイクロ流体デバイス用語
幾つかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、「掃引」領域及び「非掃引」領域を含み得る。拡散を可能とするが掃引領域と非掃引領域との間で培地が実質的にノーフローとなるように流体接続が構造化される限り、非掃引領域は掃引領域に流体接続可能である。そのため、マイクロ流体デバイスは、掃引領域と非掃引領域との間で実質的に拡散流体連通のみを可能にしつつ掃引領域内の培地のフローから非掃引領域を実質的に分離するように構造化可能である。

0091

特定の生体物質(例えば、抗体等のタンパク質)を産生する生物学的微小物体(例えば、生体細胞)の能力は、かかるマイクロ流体デバイスでアッセイ可能である。例えば、対象のアナライト(抗体等)の産生に関してアッセイされる生物学的微小物体(B細胞等)を含むサンプル材料は、マイクロ流体デバイスの掃引領域内にロードし得る。生物学的微小物体のうち特定の特徴を有するものを選択し、非掃引領域内に配置することが可能である。次いで、残留サンプル材料を掃引領域から流出させ、アッセイ材料を掃引領域に流入させることが可能である。選択された生物学的微小物体は非掃引領域内にあるので、選択された生物学的微小物体は、残留サンプル材料の流出やアッセイ材料の流入の影響を実質的に受けない。選択された生物学的微小物体は、対象のアナライトの産生を可能にし得る。この場合、対象のアナライトは、非掃引領域から掃引領域内に拡散可能であり、掃引領域では、対象のアナライトは、アッセイ材料と反応して局在化された検出可能な反応を引き起こすことが可能であり、各反応は、特定の非掃引領域に関連付け可能である。検出された反応に関連付けられる任意の非掃引領域を分析して、非掃引領域内のどの生物学的微小物体(もしあれば)が対象のアナライトの十分なプロデューサーであるかを決定することが可能である。

0092

B.マイクロ流体デバイスを含むシステム
図1Aは、インビトロで癌由来B細胞を単離又はスクリーニングすることに使用することができるマイクロ流体デバイス100及びシステム150の例を示す。カバー110を一部切り欠き、マイクロ流体デバイス100内の部分図を提供するマイクロ流体デバイス100の斜視図を示す。マイクロ流体デバイス100は、一般に、流路106を含むマイクロ流体回路120を含み、流路106を通って流体培地180が流れることができ、任意選択的に1つ又は複数の微小物体(図示せず)をマイクロ流体回路120内及び/又はマイクロ流体回路120を通して搬送する。1つのマイクロ流体回路120が図1Aに示されているが、適するマイクロ流体デバイスは、複数(例えば、2又は3個)のそのようなマイクロ流体回路を含むことができる。それに関係なく、マイクロ流体デバイス100はナノ流体デバイスであるように構成され得る。図1Aに示されるように、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離チャンバ124、126、128、及び130を含み得、ここで、各隔離チャンバは、流路106に流体接続する1つ又は複数の開口部を有し得る。図1Aのデバイスの幾つかの実施形態では、隔離チャンバは、流路106と流通する1つのみの開口部を有し得る。更に以下で考察するように、マイクロ流体隔離チャンバは、培地180が流路106を通って流れているときであっても、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスに微小物体を保持するように最適化された様々な特徴及び構造を含む。しかし、上記を参照する前に、マイクロ流体デバイス100及びシステム150の概説を提供する。

0093

図1Aに概して示されるように、マイクロ流体回路120はエンクロージャ102により画定される。エンクロージャ102は異なる構成で物理的に構造化することができるが、図1Aに示される例では、エンクロージャ102は、支持構造体104(例えば、基部)、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110を含むものとして示されている。支持構造体104、マイクロ流体回路構造108、及びカバー110は、互いに取り付けることができる。例えば、マイクロ流体回路構造108は、支持構造体104の内面109に配置することができ、カバー110は、マイクロ流体回路構造108を覆って配置することができる。支持構造体104及びカバー110と一緒に、マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の要素を画定することができる。

0094

図1Aに示されるように、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の下部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の上部にあり得る。代替的に、支持構造体104及びカバー110は、他の向きで構成され得る。例えば、支持構造体104は、マイクロ流体回路120の上部にあり得、カバー110はマイクロ流体回路120の下部にあり得る。それに関係なく、それぞれがエンクロージャ102内又は外への通路を含む1つ又は複数のポート107があり得る。通路の例としては、弁、ゲート貫通孔等が挙げられる。示されるように、ポート107は、マイクロ流体回路構造108のギャップにより作られる貫通孔である。しかし、ポート107は、カバー110等のエンクロージャ102の他の構成要素に配置することができる。1つのみのポート107が図1Aに示されているが、マイクロ流体回路120は2つ以上のポート107を有することができる。例えば、流体がマイクロ流体回路120に入るための流入口として機能する第1のポート107があり得、流体がマイクロ流体回路120を出るための流出口として機能する第2のポート107があり得る。ポート107が流入口として機能するか、それとも流出口として機能するかは、流体が流路106を通って流れる方向に依存し得る。

0095

支持構造体104は、1つ又は複数の電極(図示せず)と、基板又は複数の相互接続された基板を含むことができる。例えば、支持構造体104は、1つ又は複数の半導体基板を含むことができ、各半導体基板は電極に電気的に接続される(例えば、半導体基板の全て又はサブセットは、1つの電極に電気的に接続することができる)。支持構造体104は、プリント回路基板組立体(「PCBA」)を更に含むことができる。例えば、半導体基板はPCBA上に搭載することができる。

0096

マイクロ流体回路構造108は、マイクロ流体回路120の回路要素を画定することができる。そのような回路要素は、マイクロ流体回路120に流体が充填される場合、流体的に相互接続することができる、フロー領域(1つ又は複数のフローチャネルを含み得る)、チャンバ、ペン、トラップ等の空間又は領域を含むことができる。図1Aに示されるマイクロ流体回路120では、マイクロ流体回路108は、枠114及びマイクロ流体回路材料116を含む。枠114は、マイクロ流体回路材料116を部分的又は完全に囲むことができる。枠114は、例えば、マイクロ流体回路材料116を実質的に囲む比較的剛性の構造であり得る。例えば、枠114は金属材料を含むことができる。

0097

マイクロ流体回路材料116には、キャビティ等をパターニングして、マイクロ流体回路120の回路要素及び相互接続を画定することができる。マイクロ流体回路材料116は、ガス透過可能であり得る可撓性ポリマー(例えば、ゴムプラスチックエラストマーシリコーンポリジメチルシロキサン(「PDMS」)等)等の可撓性材料を含むことができる。マイクロ流体回路材料116を構成することができる材料の他の例としては、成形ガラス、シリコーン(フォトパターニング可能シリコーン又は「PPS」)等のエッチング可能材料、フォトレジスト(例えば、SU8)等が挙げられる。幾つかの実施形態では、そのような材料 − したがって、マイクロ流体回路材料116 − は、剛性及び/又はガスを実質的に不透過であり得る。それに関係なく、マイクロ流体回路材料116は、支持構造体104上及び枠114内部に配置することができる。

0098

カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116の一体部分であり得る。代替的に、カバー110は、図1Aに示されるように、構造的別個の要素であり得る。カバー110は、枠114及び/又はマイクロ流体回路材料116と同じ又は異なる材料を含むことができる。同様に、支持構造体104は、示されるように枠114若しくはマイクロ流体回路材料116とは別個の構造であってもよく、又は枠114若しくはマイクロ流体回路材料116の一体部分であってもよい。同様に、枠114及びマイクロ流体回路材料116は、図1Aに示されるように別個の構造であってもよく、又は同じ構造の一体部分であってもよい。

0099

幾つかの実施形態では、カバー110は剛性材料を含むことができる。剛性材料は、ガラス又は同様との特性を有する材料であり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は変形可能材料を含むことができる。変形可能材料は、PDMS等のポリマーであり得る。幾つかの実施形態では、カバー110は、剛性材料及び変形可能材料の両方を含むことができる。例えば、カバー110の1つ又は複数の部分(例えば、隔離チャンバ124、126、128、130上に位置する1つ又は複数の部分)は、カバー110の剛性材料と界面を接する変形可能材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、カバー110は1つ又は複数の電極を更に含むことができる。1つ又は複数の電極は、ガラス又は同様の絶縁材料でコーティングし得る、インジウム−錫−酸化物(ITO)等の導電性酸化物を含むことができる。代替的に、1つ又は複数の電極は、ポリマー(例えば、PDMS)等の変形可能ポリマーに埋め込まれた単層ナノチューブ多層ナノチューブナノワイヤ導電性ナノ粒子クラスタ、又はそれらの組合せ等の可撓性電極であり得る。マイクロ流体デバイスで使用することができる可撓性電極は、例えば、米国特許出願公開第2012/0325665号(Chiouら)に記載されており、この内容は参照により本明細書に援用される。幾つかの実施形態では、カバー110は、細胞の接着、生存、及び/又は成長を支持するように変更することができる(例えば、マイクロ流体回路120に向かって内側に面する表面の全て又は部分を調整することにより)。変更は、合成ポリマー又は天然ポリマーのコーティングを含み得る。幾つかの実施形態では、カバー110及び/又は支持構造体104は、光を透過することができる。カバー110は、ガス透過可能な少なくとも1つの材料(例えば、PDMS又はPPS)を含むこともできる。

0100

図1Aは、マイクロ流体デバイス100等のマイクロ流体デバイスを動作させ制御するシステム150も示す。システム150は、電源192、撮像デバイス(撮像モジュール164内に組み込まれ、デバイス194自体は図1Aに示されていない)、及び傾斜デバイス190(傾斜モジュール166の部分であり、デバイス190は図1Aに示されていない)を含む。

0101

電源192は、電力をマイクロ流体デバイス100及び/又は傾斜デバイス190に提供し、バイアス電圧又は電流を必要に応じて提供することができる。電源192は、例えば、1つ又は複数の交流(AC)及び/又は直流(DC)電圧源又は電流源を含むことができる。撮像デバイス(以下で述べられる撮像モジュール164の一部)は、マイクロ流体回路120内部の画像を捕捉する、デジタルカメラ等のデバイスを含むことができる。幾つかの場合、撮像デバイスは、高速フレームレート及び/又は高感度(例えば、低光用途用)を有する検出器を更に含む。撮像デバイスは、刺激放射線及び/又は光線をマイクロ流体回路120内に向け、マイクロ流体回路120(又はマイクロ流体回路120内に含まれる微小物体)から反射されるか、又は発せられる放射線及び/又は光線を収集する機構を含むこともできる。発せられる光線は可視スペクトル内であり得、例えば、蛍光放射を含み得る。反射光線は、LED又は水銀灯(例えば、高圧水銀灯)若しくはキセノンアーク灯等の広域スペクトル灯から発せられた反射放射を含み得る。図3Bに関して考察するように、撮像デバイスは顕微鏡(又は光学縦列)を更に含み得、これは接眼レンズを含んでもよく、又は含まなくてもよい。

0102

システム150は、1つ又は複数の回転軸周りでマイクロ流体デバイス100を回転させるように構成される傾斜デバイス190(以下で述べられる傾斜モジュール166の一部)を更に含む。幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、マイクロ流体デバイス100(したがって、マイクロ流体回路120)を水平向き(すなわち、x軸及びy軸に相対して0°)、垂直向き(すなわち、x軸及び/又はy軸に相対して90°)、又はそれらの間の任意の向きで保持することができるように、少なくとも1つの軸の周りでマイクロ流体回路120を含むエンクロージャ102を支持及び/又は保持するように構成される。軸に相対するマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の向きは、本明細書では、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)の「傾斜」と呼ばれる。例えば、傾斜デバイス190は、x軸に相対して0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6°、0.7°、0.8°、0.9°、1°、2°、3°、4°、5°、10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、90°、又はそれらの間の任意の度数でマイクロ流体デバイス100を傾斜させることができる。水平向き(したがって、x軸及びy軸)は、重力により定義される垂直軸に垂直なものとして定義される。傾斜デバイスは、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸及び/又はy軸に相対して90°よりも大きい任意の角度に傾斜させるか、又はマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)をx軸若しくはy軸に相対して180°に傾斜させて、マイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を真逆にすることもできる。同様に、幾つかの実施形態では、傾斜デバイス190は、流路106又はマイクロ流体回路120の何らかの他の部分により定義される回転軸の周りでマイクロ流体デバイス100(及びマイクロ流体回路120)を傾斜させる。

0103

幾つかの場合、マイクロ流体デバイス100は、流路106が1つ又は複数の隔離チャンバの上方又は下方に位置するように、垂直向きに傾斜する。「上方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離チャンバよりも高く位置する(すなわち、流路106の上方の隔離チャンバ内の物体が流路内の物体よりも高い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。「下方」という用語は、本明細書で使用される場合、流路106が、重力により定義される垂直軸上で1つ又は複数の隔離チャンバよりも下に位置する(すなわち、流路106の下方の隔離チャンバ内の物体が流路内の物体よりも低い重力位置エネルギーを有する)ことを示す。

0104

幾つかの場合、傾斜デバイス190は、流路106と平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に、マイクロ流体デバイス100は、流路106が、隔離チャンバの真上又は真下に配置されずに、1つ又は複数の隔離チャンバの上方又は下方に配置されるように、90°未満の角度に傾斜することができる。他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に直交する軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。更に他の場合、傾斜デバイス190は、流路106に平行でもなく直交もしない軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜させる。

0105

システム150は培地源178を更に含むことができる。培地源178(例えば、容器リザーバ等)は、それぞれが異なる流体培地180を保持する複数のセクション又は容器を含むことができる。したがって、培地源178は、図1Aに示されるように、マイクロ流体デバイス100の外部にある、マイクロ流体デバイス100とは別個のデバイスであり得る。代替的に、培地源178は、全体的又は部分的に、マイクロ流体デバイス100のエンクロージャ102内部に配置することができる。例えば、培地源178は、マイクロ流体デバイス100の部分であるリザーバを含むことができる。

0106

図1Aは、システム150の一部を構成し、マイクロ流体デバイス100と併せて利用することができる制御及び監視機器152の例の簡易ブロック図表現も示す。示されるように、そのような制御及び監視機器152の例は、培地源178を制御する培地モジュール160と、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)及び/又は培地(例えば、培地の液滴)の移動及び/又は選択を制御する原動モジュール162と、画像(例えば、デジタル画像)を捕捉する撮像デバイス(例えば、カメラ、顕微鏡、光源、又はそれらの任意の組合せ)を制御する撮像モジュール164と、傾斜デバイス190を制御する傾斜モジュール166とを含むマスタコントローラ154を含む。制御機器152は、マイクロ流体デバイス100に関する他の機能を制御、監視、又は実行する他のモジュール168を含むこともできる。示されるように、機器152は、表示デバイス170及び入/出力デバイス172を更に含むことができる。

0107

マスタコントローラ154は、制御モジュール156及びデジタルメモリ158を含むことができる。制御モジュール156は、例えば、メモリ158内に非一時的データ又は信号として記憶される機械実行可能命令(例えば、ソフトウェア、ファームウェアソースコード等)に従って動作するように構成されるデジタルプロセッサを含むことができる。代替的に又は追加として、制御モジュール156は、ハードワイヤードデジタル回路及び/又はアナログ回路を含むことができる。培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、同様に構成され得る。したがって、マイクロ流体デバイス100又は任意の他のマイクロ流体装置に関して実行されるものとして本明細書で考察される機能、プロセス、行動、動作、又はプロセスのステップは、上述したように構成されるマスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168の任意の1つ又は複数により実行され得る。同様に、マスタコントローラ154、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び/又は他のモジュール168は、通信可能に結合されて、本明細書において考察される任意の機能、プロセス、行動、動作、又はステップで使用されるデータを送受信し得る。

0108

培地モジュール160は培地源178を制御する。例えば、培地モジュール160は、培地源178を制御して、選択された流体培地180をエンクロージャ102に入れる(例えば、流入口107を介して)ことができる。培地モジュール160は、エンクロージャ102からの培地の取り出し(例えば、流出口(図示せず)を通して)を制御することもできる。したがって、1つ又は複数の培地を選択的にマイクロ流体回路120に入れ、マイクロ流体回路120から搬出することができる。培地モジュール160は、マイクロ流体回路120内部の流路106での流体培地180のフローを制御することもできる。例えば、幾つかの実施形態では、培地モジュール160は、傾斜モジュール166が傾斜デバイス190に所望の傾斜角までマイクロ流体デバイス100を傾斜させる前に、流路106内及びエンクロージャ102を通る培地180のフローを停止させる。

0109

原動モジュール162は、マイクロ流体回路120での微小物体(図示せず)の選択、捕捉、及び移動を制御するように構成され得る。図1B及び図1Cに関して後述するように、エンクロージャ102は、誘電泳動(DEP)構成、光電子ピンセット(OET)構成、及び/又は光電子ウェッティング(OEW)構成(図1Aに示されず)を含むことができ、原動モジュール162は、電極及び/又はトランジスタ(例えば、フォトトランジスタ)のアクティブ化を制御して、流路106及び/又は隔離チャンバ124、126、128、130で微小物体(図示せず)及び/又は培地の液滴(図示せず)を選択し移動させることができる。

0110

撮像モジュール164は撮像デバイスを制御することができる。例えば、撮像モジュール164は、撮像デバイスから画像データを受信し、処理することができる。撮像デバイスからの画像データは、撮像デバイスにより捕捉された任意のタイプの情報を含むことができる(例えば、微小物体、培地の液滴、蛍光標識等の標識の蓄積の有無等)。撮像デバイスにより捕捉された情報を使用して、撮像モジュール164は、物体(例えば、微小物体、培地の液滴)の位置及び/又はマイクロ流体デバイス100内のそのような物体の移動速度を更に計算することができる。

0111

傾斜モジュール166は、傾斜デバイス190の傾斜移動を制御することができる。代替的に又は追加として、傾斜モジュール166は、重力を介して1つ又は複数の隔離チャンバへの微小物体の移送を最適化するように、傾斜率及びタイミングを制御することができる。傾斜モジュール166は、撮像モジュール164と通信可能に結合されて、マイクロ流体回路120での微小物体及び/又は培地の液滴の移動を記述するデータを受信する。このデータを使用して、傾斜モジュール166は、マイクロ流体回路120の傾斜を調整して、マイクロ流体回路120内で微小物体及び/又は培地の液滴が移動する率を調整し得る。傾斜モジュール166は、このデータを使用して、マイクロ流体回路120内での微小物体及び/又は培地の液滴の位置を繰り返し調整することもできる。

0112

図1Aに示される例では、マイクロ流体回路120は、マイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ124、126、128、130を含むものとして示されている。各ペンは、チャネル122への開口部を含むが、ペンがペン内部の微小物体を流体培地180及び/又はチャネル122の流路106又は他のペン内の微小物体から実質的に分離することができるように、その他では閉じられている。隔離チャンバの壁は、ベースの内面109からカバー110の内面まで延び、エンクロージャを提供する。マイクロ流体チャネル122へのペンの開口部は、フロー106がペン内に向けられないように、フロー106に対して傾斜して向けられる。フローは、ペンの開口部の平面に対して接線方向にあり得るか又は直交し得る。幾つかの場合、ペン124、126、128、130は、1つ又は複数の微小物体をマイクロ流体回路120内に物理的に囲い入れるように構成される。本開示による隔離チャンバは、以下に詳細に考察し示すように、DEP、OET、OEW、流体フロー、及び/又は重力との併用に最適化された様々な形状、表面、及び特徴を含むことができる。

0113

マイクロ流体回路120は、任意の数のマイクロ流体隔離チャンバを含み得る。5つの隔離チャンバが示されているが、マイクロ流体回路120は、より少数又はより多数の隔離チャンバを有し得る。ここで、「隔離チャンバ」及び「隔離ペン」は、互換可能に使用される。示されるように、マイクロ流体回路120のマイクロ流体隔離チャンバ124、126、128、及び130は、隣接B細胞からあるB細胞を単離するように、細胞特異的な抗体分泌を検出するに当たり有用な1つ又は複数の利点を提供し得る異なる特徴及び形状をそれぞれ含む。幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数の同一のマイクロ流体隔離チャンバを含む。

0114

幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、複数のマイクロ流体隔離チャンバを含み、その場合、隔離チャンバの2つ以上は、細胞の異なる種類の維持おいて異なる利点を提供する異なる構造及び/又は特徴を含む。非限定的な一例として、あるタイプのペン内にB細胞を維持しながら、異なるタイプのペン内に癌細胞を維持することを挙げることができる。

0115

図1Aに示される実施形態では、1つのチャネル122及び流路106が示される。しかし、他の実施形態は、それぞれが流路106を含むように構成される複数のチャネル122を含み得る。マイクロ流体回路120は、流路106及び流体培地180と流体連通する流入弁又はポート107を更に含み、それにより、流体培地180は、流入口107を介してチャネル122にアクセスすることができる。幾つかの場合、流路106は1つの経路を含む。幾つかの場合、1つの経路はジグザグパターンで配置され、それにより、流路106は、交互になった方向で2回以上にわたってマイクロ流体デバイス100にわたり移動する。

0116

幾つかの場合、マイクロ流体回路120は、複数の平行チャネル122及び流路106を含み、各流路106内の流体培地180は同じ方向に流れる。幾つかの場合、各流路106内の流体培地は、順方向又は逆方向の少なくとも一方で流れる。幾つかの場合、複数の隔離チャンバは、隔離チャンバが標的微小物体と並列に配置されることができるように構成される(例えば、チャネル122に相対して)。

0117

幾つかの実施形態では、マイクロ流体回路120は、1つ又は複数の微小物体トラップ132を更に含む。トラップ132は、一般に、チャネル122の境界を形成する壁に形成され、マイクロ流体隔離チャンバ124、126、128、130の1つ又は複数の開口部の逆に位置し得る。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から1つの微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの実施形態では、トラップ132は、流路106から複数の微小物体を受け取り、又は捕捉するように構成される。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の容積に概ね等しい容積を含む。

0118

トラップ132は、標的微小物体のトラップ132へのフローを支援するように構成される開口部を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、1つの標的微小物体の寸法に概ね等しい高さ及び幅を有する開口部を含み、それにより、より大きい微小物体が微小物体トラップに入らないようにされる。トラップ132は、トラップ132内への標的微小物体の保持を支援するように構成される他の特徴を更に含み得る。幾つかの場合、トラップ132は、微小流体隔離チャンバの開口部と位置合わせされ、微小流体隔離チャンバの開口部に関してチャネル122の逆側に配置され、それにより、マイクロ流体チャネル122に平行な軸の周りでマイクロ流体デバイス100を傾斜されると、捕捉された微小物体は、微小物体を隔離ペンの開口部に落とす軌道でトラップ132を出る。幾つかの場合、トラップ132は、標的微小物体よりも小さく、トラップ132を通るフローを促進し、それによりトラップ132内への微小物体の捕捉確率を増大させるサイド通路134を含む。

0119

幾つかの実施形態では、誘電泳動(DEP)力は、1つ又は複数の電極(図示せず)を介して流体培地180にわたり適用されて(例えば、流路及び/又は隔離チャンバにおいて)、内部に配置された微小物体の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、DEP力は、マイクロ流体回路120の1つ又は複数の部分に適用されて、1つの微小物体を流路106から所望のマイクロ流体隔離チャンバに輸送する。幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、隔離チャンバ(例えば、隔離ペン124、126、128、又は130)内の微小物体が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、DEP力を使用して、本開示の形態により前に収集された微小物体を隔離チャンバから選択的に取り出す。幾つかの実施形態では、DEP力は、光電子ピンセット(OET)力を含む。

0120

他の実施形態では、光電子ウェッティング(OEW)力が、1つ又は複数の電極(図示せず)を介してマイクロ流体デバイス100の支持構造体104(及び/又はカバー110)での1つ又は複数の位置(例えば、流路及び/又は隔離チャンバの画定に役立つ位置)に適用されて、マイクロ流体回路120に配置された液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、幾つかの実施形態では、OEW力は支持構造体104(及び/又はカバー110)の1つ又は複数の位置に適用されて、1つの液滴を流路106から所望のマイクロ流体隔離チャンバに輸送する。幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、隔離チャンバ(例えば、隔離チャンバ124、126、128、又は130)内の液滴が隔離ペンから変位しないようにする。更に、幾つかの実施形態では、OEW力を使用して、本開示の形態により前に収集された液滴を隔離チャンバから選択的に取り出す。

0121

幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、フロー及び/又は重力等の他の力と組み合わせられて、マイクロ流体回路120内の微小物体及び/又は液滴の操作、輸送、分離、及びソートを行う。例えば、エンクロージャ102は傾斜して(例えば、傾斜デバイス190により)、流路106及び流路106内に配置された微小物体をマイクロ流体隔離チャンバの上に位置決めすることができ、重力は、微小物体及び/又は液滴をチャンバ内に輸送することができる。幾つかの実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の前に適用することができる。他の実施形態では、DEP力及び/又はOEW力は、他の力の後に適用することができる。更に他の場合、DEP力及び/又はOEW力は、他の力と同時に又は他の力と交互に適用することができる。

0122

図1B図1C及び図2A図2Hは、本開示の形態に使用することができるマイクロ流体デバイスの様々な実施形態を示す。図1Bは、マイクロ流体デバイス200が光学作動動電学的デバイスとして構成される実施形態を示す。光電子ピンセット(OET)構成を有するデバイス及び光電子ウェッティング(OEW)構成を有するデバイスを含め、様々な光学作動動電学的デバイスが当技術分野で既知である。適するOET構成の例は、以下の米国特許文献に示されており、各文献は全体的に参照により本明細書に援用される:米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された);及び米国特許第7,956,339号(Ohtaら)。OEW構成の例は、米国特許第6,958,132号(Chiouら)及び米国特許出願公開第2012/0024708号(Chiouら)に示されており、これらは両方とも全体的に参照により本明細書に援用される。光学作動動電的デバイスの更に別の例は、OET/OEW結合構成を含み、その例は、米国特許出願公開第20150306598号(Khandrosら)及び同第20150306599号(Khandrosら)並びにそれらの対応するPCT公報である国際公開第2015/164846号及び国際公開第2015/164847号に示されており、これらは全て全体的に参照により本明細書に援用される。

0123

B細胞、T細胞、又は癌細胞のような癌由来細胞を配置し、培養し、及び/又は監視することができる隔離ペンを有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号(出願番号14/060,117、2013年10月22日出願)、米国特許出願公開第2015/0151298号(出願番号14/520,568、2014年10月22日出願)、及び米国特許出願公開第2015/0165436号(出願番号14/521,447、2014年10月22日出願)に記載されており、これらはそれぞれ全体的に参照により援用される。米国特許出願公開第14/520,568号及び同第14/521,447号は、マイクロ流体デバイスで培養された細胞の分泌物を分析する例示的な方法についても記載している。上記の各出願は、光電子ツイーザ(OET)等の誘電泳動(DEP)力を生成するように構成されるか、又は光電子ウェッティング(OEW)を提供するように構成されるマイクロ流体デバイスを更に記載している。例えば、米国特許出願公開第2014/0116881号の図2に示される光電子ツイーザデバイスは、本開示の実施形態で利用して、個々の生物学的微小物体又は生物学的微小物体のグループを選択し移動させることができるデバイスの例である。

0124

C.原動マイクロ流体デバイス構成
上述したように、システムの制御及び監視機器は、マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路において微小物体又は液滴等の物体を選択し移動させる原動モジュールを含むことができる。マイクロ流体デバイスは、移動される物体のタイプ及び他の考慮事項に応じて様々な原動構成を有することができる。例えば、誘電泳動(DEP)構成を利用して、マイクロ流体回路において微小物体を選択し移動させることができる。したがって、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の微小物体に対してDEP力を選択的に誘導し、それにより個々の微小物体又は微小物体群の選択、捕捉、及び/又は移動を行うDEP構成を含むことができる。代替的に、マイクロ流体デバイス100の支持構造体104及び/又はカバー110は、マイクロ流体回路120内の流体培地180内の液滴に対して電子ウェッティング(EW)力を選択的に誘導し、それにより個々の液滴又は液滴群の選択、捕捉、及び/又は移動を行う電子ウェッティング(EW)構成を含むことができる。

0125

DEP構成を含むマイクロ流体デバイス200の一例を図21B及び図1Cに示す。簡潔にするために、図1B及び図1Cは、領域/チャンバ202を有するマイクロ流体デバイス200のエンクロージャ102の部分の側面断面図及び上面断面図をそれぞれ示すが、領域/チャンバ202が、成長チャンバ、隔離ペン、フロー領域、又はフローチャネル等のより詳細な構造を有する流体回路要素の部分であり得ることを理解されたい。更に、マイクロ流体デバイス200は他の流体回路要素を含み得る。例えば、マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体デバイス100に関して本明細書に記載される等の複数の成長チャンバ、或いは隔離ペン及び/又は1つ若しくは複数のフロー領域又はフローチャネルを含むことができる。DEP構成は、マイクロ流体デバイス200の任意のそのような流体回路要素に組み込み得るか、又はその部分を選択し得る。上記又は下記の任意のマイクロ流体デバイス構成要素及びシステム構成要素がマイクロ流体デバイス200内に組みこまれ得、及び/又はマイクロ流体デバイス200と組み合わせて使用し得ることを更に理解されたい。例えば、培地モジュール160、原動モジュール162、撮像モジュール164、傾斜モジュール166、及び他のモジュール168の1つ又は複数を含む上述した制御及び監視機器152を含むシステム150は、マイクロ流体デバイス200と併用し得る。

0126

図1Bにおいて見られるように、マイクロ流体デバイス200は、下部電極204及び下部電極204に重なる電極活性化基板206を有する支持構造体104と、上部電極210を有するカバー110とを含み、上部電極210は下部電極204から離間される。上部電極210及び電極活性化基板206は、領域/チャンバ202の両面を画定する。したがって、領域/チャンバ202に含まれる培地180は、上部電極210と電極活性化基板206との間に抵抗接続を提供する。下部電極204と上部電極210との間に接続され、領域/チャンバ202でのDEP力の生成のために必要に応じて電極間にバイアス電圧を生成するように構成される電源212も示されている。電源212は、例えば、交流(AC)電源であり得る。

0127

特定の実施形態では、図1B及び図1Cに示されるマイクロ流体デバイス200は、光学作動DEP構成を有することができる。したがって、原動モジュール162により制御し得る光源216からの光218の変更パターンは、電極活性化基板206の内面208の領域214においてDEP電極の変更パターンを選択的に活性化又は非活性化することができる。(以下ではDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの領域214を「DEP電極領域」と呼ぶ)。図1Cに示されるように、電極活性化基板206の内面208に向けられる光パターン218は、正方形等のパターンで、選択されたDEP電極領域214a(白色で示される)を照明することができる。照明されないDEP電極領域214(斜線が付される)を以下では「暗」DEP電極領域214と呼ぶ。DEP電極活性化基板206を通る相対電気インピーダンス(すなわち、下部電極204から、フロー領域106において培地180と界面を接する電極活性化基板206の内面208まで)は、各暗DEP電極領域214での領域/チャンバ202において培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対電気インピーダンスよりも大きい。しかし、照明DEP電極領域214aは、各照明DEP電極領域214aでの領域/チャンバ202での培地180を通る相対インピーダンス未満である電極活性化基板206を通る相対インピーダンスの低減を示す。

0128

電源212が活性化されている場合、上記のDEP構成は、照明DEP電極領域214aと隣接する暗DEP電極領域214との間に流体培地180内で電場勾配を生じさせ、次に、電場勾配は、流体培地180内の付近の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥する局所DEP力を生成する。したがって、流体培地180内の微小物体を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光源216からマイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218を変更することにより、領域/チャンバ202の内面208での多くの異なるそのようなDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。DEP力が付近の微小物体を引き寄せるか、それとも排斥するかは、電源212の周波数並びに培地180及び/又は微小物体(図示せず)の誘電特性等のパラメータに依存し得る。

0129

図1Cに示される照明DEP電極領域214aの正方形パターン220は単なる例である。マイクロ流体デバイス200に投射される光パターン218により、任意のパターンのDEP電極領域214を照明する(それにより活性化する)ことができ、照明/活性化されるDEP電極領域214のパターンは、光パターン218を変更又は移動させることにより繰り返し変更することができる。

0130

幾つかの実施形態では、電極活性化基板206は、光伝導性材料を含むか、又は光導電性材料からなることができる。そのような実施形態では、電極活性化基板206の内面208は、特徴を有さないことができる。例えば、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の数/水素及びケイ素原子総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。そのような実施形態では、DEP電極領域214は、光パターン218により、電極活性化基板206の内面208上の任意の場所に任意のパターンで作成することができる。したがって、DEP電極領域214の数及びパターンは、固定される必要がなく、光パターン218に対応することができる。上述したような光伝導層を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に援用される。

0131

他の実施形態では、電極活性化基板206は、半導体分野で既知等の半導体集積回路を形成する複数のドープ層絶縁層(又は領域)、及び導電層を含む基板を含むことができる。例えば、電極活性化基板206は、例えば、横型バイポーラフォトトランジスタを含む複数のフォトトランジスタを含むことができ、各フォトトランジスタはDEP電極領域214に対応する。代替的に、電極活性化基板206は、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができ、そのような各電極はDEP電極領域214に対応する。電極活性化基板206は、パターンになったそのようなフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等、行列に配置された実質的に正方形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する実質的に六角形のフォトトランジスタ又はフォトトランジスタ制御される電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、電気回路素子は、電極活性化基板206の内面208におけるDEP電極領域214と下部電極210との間に電気接続を形成することができ、それらの電気接続(すなわち、フォトトランジスタ又は電極)は、光パターン218により選択的に活性化又は非活性化することができる。活性化されない場合、各電気接続は、電極活性化基板206を通る(すなわち、下部電極204から、領域/チャンバ202内の培地180と界面を接する電極活性化電極206の内面208まで)相対インピーダンスが、対応するDEP電極領域214における培地180を通る(すなわち、電極活性化基板206の内面208からカバー110の上部電極210まで)相対インピーダンスよりも大きいような高いインピーダンスを有することができる。しかし、光パターン218内の光により活性化される場合、電極活性化基板206を通る相対インピーダンスは、各照明DEP電極領域214での培地180を通る相対インピーダンス未満であり、それにより、上述したように、対応するDEP電極領域214でのDEP電極を活性化する。したがって、培地180内の微小物体(図示せず)を引き寄せるか、又は排斥するDEP電極は、光パターン218により決まるように、領域/チャンバ202での電極活性化基板206の内面208での多くの異なるDEP電極領域214において選択的に活性化及び非活性化することができる。

0132

フォトトランジスタを含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許第7,956,339号(Ohtaら)(例えば、図21及び図22に示されるデバイス300並びにその説明を参照されたい)、及び米国特許出願公開第2016/0184821号(Hobbsら)(例えば、その図面全体を通して示されるデバイス200、502、504、600及び700、並びにその説明を参照されたい)に記載されており、このそれぞれの内容全体は参照により本明細書に援用される。フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を含む電極活性化基板を有するマイクロ流体デバイスの例は、例えば、米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)に記載されており(例えば、図面全体を通して示されるデバイス200、400、500、600、及び900並びにその説明を参照されたい)、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。

0133

DEP構成のマイクロ流体デバイスの幾つかの実施形態では、上部電極210はエンクロージャ102の第1の壁(又はカバー110)の一部であり、電極活性化基板206及び下部電極204は、エンクロージャ102の第2の壁(又は支持構造体104)の一部である。領域/チャンバ202は、第1の壁と第2の壁との間にあり得る。他の実施形態では、電極210は第2の壁(又は支持構造体104)の一部であり、電極活性化基板206及び/又は電極210の一方又は両方は、第1の壁(又はカバー110)の一部である。更に、光源216は代替的に、下からエンクロージャ102を照明するのに使用することができる。

0134

DEP構成を有する図1B及び図1Cのマイクロ流体デバイス200を用いて、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に投射して、微小物体を囲み捕捉するパターン(例えば、正方形パターン220)で電極活性化基板206の内面208のDEP電極領域214aでの第1の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、領域/チャンバ202での培地180内の微小物体(図示せず)を選択することができる。次に、原動モジュール162は、光パターン218をマイクロ流体デバイス200に相対して移動させて、DEP電極領域214での第2の組の1つ又は複数のDEP電極を活性化することにより、インサイチューで生成され捕捉された微小物体を移動させることができる。代替的に、マイクロ流体デバイス200を光パターン218に相対して移動させることができる。

0135

他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、電極活性化基板206の内面208でのDEP電極の光活性化に依存しないDEP構成を有することができる。例えば、電極活性化基板206は、少なくとも1つの電極を含む表面(例えば、カバー110)とは逆に位置する、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)を選択的に開閉して、DEP電極領域214でのDEP電極を活性化又は非活性化し得、それにより、活性化されたDEP電極の近傍での領域/チャンバ202内の微小物体(図示せず)に対する正味DEP力を生成する。電源212の周波数及び培地(図示せず)及び/又は領域/チャンバ202内の微小物体の誘電特性等の特徴に応じて、DEP力は、付近の微小物体を引き寄せるか、又は排斥することができる。DEP電極の組(例えば、正方形パターン220を形成するDEP電極領域214の組における)を選択的に活性化又は非活性化することにより、領域/チャンバ202における1つ又は複数の微小物体を捕捉し、領域/チャンバ202内で移動させることができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御し、したがって、DEP電極の個々の電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲の特定の微小物体(図示せず)を選択、捕捉、及び移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むDEP構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第6,294,063号(Beckerら)及び同第6,942,776号(Medoro)に記載されており、これらの内容全体は参照により本明細書に援用される。

0136

更なる別例として、マイクロ流体デバイス200は電子ウェッティング(EW)構成を有することができ、EW構成は、DEP構成の代わりであってもよく、又はDEP構成を有する部分とは別個のマイクロ流体デバイス200の部分に配置されてもよい。EW構成は、光電子ウェッティング構成又は誘電体上の電子ウェッティング(EWOD)構成であり得、これらは両方とも当技術分野で既知である。幾つかのEW構成では、支持構造体104は、以下に記載するように、誘電層(図示せず)と下部電極204との間に挟まれた電極活性化基板206を有する。誘電層は、疎水性材料を含むことができ、及び/又は疎水性材料でコーティングすることができる。EW構成を有するマイクロ流体デバイス200の場合、支持構造体104の内面208は、誘電層の内面又はその疎水性コーティングである。

0137

誘電層(図示せず)は、1つ又は複数の酸化物層を含むことができ、厚さ約50nm〜約250nm(例えば、約125nm〜約175nm)を有することができる。特定の実施形態では、誘電層は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム)等の酸化物の層を含むことができる。特定の実施形態では、誘電層は、酸化ケイ素又は窒化物等の金属酸化物以外の誘電材料を含むことができる。厳密な組成及び厚さに関係なく、誘電層は約10kオーム〜約50kオームのインピーダンスを有することができる。

0138

幾つかの実施形態では、領域/チャンバ202に向かって内側に面した誘電層の表面は、疎水性材料でコーティングされる。疎水性材料は、例えば、フッ素化炭素分子を含むことができる。フッ素化炭素分子の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標)又はポリ(2,3−ジフルオロメチレニルペルフルオロテトラヒドロフラン)(例えば、CYTOP(商標))などのパーフルオロポリマーが挙げられる。疎水性材料を構成する分子は、誘電層の表面に共有結合され得る。例えば、疎水性材料の分子は、シロキサン基ホスホン酸基、又はチオール基等のリンカーにより、誘電層の表面に共有結合され得る。したがって、幾つかの実施形態では、疎水性材料は、アルキル末端シロキサン、アルキル末端ホスホン酸、又はアルキル末端チオールを含むことができる。アルキル基長鎖炭化水素(例えば、少なくとも10個の炭素又は少なくとも16個、18個、20個、22個、若しくはそれを超える個数の炭素の鎖を有する)であり得る。代替的に、フッ素化(又はパーフルオロ化炭素鎖をアルキル基の代わりに使用することができる。したがって、例えば、疎水性材料は、フルオロアルキル末端シロキサン、フルオロアルキル末端ホスホン酸、又はフルオロアルキル末端チオールを含むことができる。幾つかの実施形態では、疎水性コーティングは約10nm〜約50nmの厚さを有する。他の実施形態では、疎水性コーティングは厚さ10nm未満(例えば、5nm未満又は約1.5〜3.0nm)を有する。

0139

幾つかの実施形態では、電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイス200のカバー110も同様に疎水性材料(図示せず)でコーティングされる。疎水性材料は、支持構造体104の誘電層のコーティングに使用されるものと同じ疎水性材料であり得、疎水性コーティングは、支持構造体104の誘電層の疎水性コーティングの厚さと略同じである厚さを有することができる。更に、カバー110は、支持構造体104の様式で、誘電層と上部電極210との間に挟まれた電極活性化基板206を含むことができる。電極活性化基板206及びカバー110の誘電層は、電極活性化基板206及び支持構造体104の誘電層と同じ組成及び/又は寸法を有することができる。したがって、マイクロ流体デバイス200は2つの電子ウェッティング表面を有することができる。

0140

幾つかの実施形態では、電子活性化基板206は、上述した光伝導性材料等の光伝導性材料を含むことができる。したがって、特定の実施形態では、電極活性化基板206は、水素化非晶質シリコン(a−Si:H)の層を含むか、又はa−Si:Hの層からなることができる。a−Si:Hは、例えば、約8%〜40%の水素を含むことができる(水素原子の総数及びケイ素原子の総数/水素原子の総数に100を掛けたものとして計算)。a−Si:Hの層は厚さ約500nm〜約2.0μmを有することができる。代替的に、電子活性化基板206は、上述したように、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極(例えば、導電性金属電極)を含むことができる。光電子ウェッティング構成を有するマイクロ流体デバイスは当技術分野で既知であり、及び/又は当技術分野で既知の電極活性化基板を用いて構築することができる。例えば、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,958,132号(Chiouら)には、a−Si:H等の光伝導性材料を有する光電子ウェッティング構成が開示されており、一方、上記で引用した米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)には、フォトトランジスタスイッチにより制御される電極を有する電極活性化基板が開示されている。

0141

したがって、マイクロ流体デバイス200は光電子ウェッティング構成を有することができ、光パターン218を使用して、電極活性化基板206での光応答性EW領域又は光応答性EW電極を活性化することができる。電極活性化基板206のそのような活性化されたEW領域又はEW電極は、支持構造体104の内面208(すなわち、重なった誘電層の内面又はその疎水性コーティング)において電子ウェッティング力を生成することができる。電子活性化基板206に入射する光パターン218を変更する(又は光源216に相対してマイクロ流体デバイス200を移動させる)ことにより、支持構造体104の内面208に接触する液滴(例えば、水性培地水溶液又は水性溶媒を含む)は、領域/チャンバ202内に存在する不混和流体(例えば、油媒体)を通って移動することができる。

0142

他の実施形態では、マイクロ流体デバイス200は、EWOD構成を有することができ、電極活性化基板206は、活性化のために光に依存しない、選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を含むことができる。したがって、電極活性化基板206は、パターンになったそのような電子ウェッティング(EW)電極を含むことができる。パターンは、例えば、図2Bに示される等の行列に配置された略正方形のEW電極のアレイであり得る。代替的に、パターンは、六角形格子を形成する略六角形のEW電極のアレイであり得る。パターンに関係なく、EW電極は、電気スイッチ(例えば、半導体基板のトランジスタスイッチ)により選択的に活性化(又は非活性化)することができる。電極活性化基板206でのEW電極を選択的に活性化及び非活性化することにより、重なった誘電層の内面208又はその疎水性コーティングに接触する液滴(図示せず)は、領域/チャンバ202内で移動することができる。図1Aの原動モジュール162は、そのようなスイッチを制御することができ、したがって、個々のEW電極を活性化及び非活性化して、領域/チャンバ202の周囲で特定の液滴を選択し移動させることができる。選択的にアドレス指定可能且つエネルギー付与可能な電極を有するEWOD構成を有するマイクロ流体デバイスは、当技術分野で既知であり、例えば、米国特許第8,685,344号(Sundarsanら)に記載されており、この内容全体は参照により本明細書に援用される。

0143

マイクロ流体デバイス200の構成に関係なく、電源212を使用して、マイクロ流体デバイス200の電気回路給電する電位(例えば、AC電源電位)を提供することができる。電源212は、図1で参照される電源192と同じ又は電源192の構成要素であり得る。電源212は、上部電極210及び下部電極204にAC電圧及び/又は電流を提供するように構成され得る。AC電圧の場合、電源212は、上述したように、領域/チャンバ202内の個々の微小物体(図示せず)を捕捉して移動させ、及び/又はこれらも上述したように、領域/チャンバ202内の支持構造体104の内面208(すなわち、誘電層及び/又は誘電層上の疎水性コーティング)のウェッティング特性を変更するのに十分に強い正味DEP力(又は電子ウェッティング力)を生成するのに十分な周波数範囲及び平均又はピーク電力(例えば、電圧又は電流)を提供することができる。そのような周波数範囲及び平均又はピーク電力範囲は、当技術分野で既知である。例えば、米国特許第6,958,132号(Chiouら)、米国特許第RE44,711号(Wuら)(元々は米国特許第7,612,355号として発行された)、並びに米国特許出願公開第2014/0124370号(Shortら)、同第2015/0306598号(Khandrosら)、及び同第2015/0306599号(Khandrosら)を参照されたい。

0144

D.隔離チャンバ
一般的な隔離チャンバ224、226、及び228の非限定的な例は、図2A図2Cに示されるマイクロ流体デバイス230内に示されている。各隔離チャンバ224、226、及び228は、分離領域240と、分離領域240をチャネル122に流体接続する接続領域236とを画定する分離構造体232を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122への基端開口部234及び分離領域240への先端開口部238を含むことができる。接続領域236は、マイクロ流体チャネル122から隔離チャンバ224、226、228内に流れる流体培地(図示せず)のフローの最大侵入深さが分離領域240内に及ばないように構成され得る。したがって、接続領域236に起因して、隔離チャンバ224、226、228の分離領域240内に配置された微小物体(図示せず)又は他の材料(図示せず)は、チャネル122内の培地180のフローから分離され、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフローにより実質的に影響されないことができる。

0145

図2A図2Cの隔離チャンバ224、226、及び228は、マイクロ流体チャネル122に対して直接開く単一の開口部をそれぞれ有する。隔離チャンバの開口部は、マイクロ流体チャネル122から横に開く。電極活性化基板206がマイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ224、226、及び228の両方の下にある。隔離チャンバのフロアを形成する、隔離チャンバのエンクロージャ内の電極活性化基板206の上面は、マイクロ流体デバイスのフローチャネル(又はそれぞれフロー領域)のフロアを形成する、マイクロ流体チャネル122(又はチャネルが存在しない場合、フロー領域)内の電極活性化基板206の上面と同じ高さ又は略同じ高さに配置される。電極活性化基板206は、特徴を有さなくてもよく、又は約3μm未満、約2.5μm未満、約2μm未満、約1.5μm未満、約1μm未満、約0.9μm未満、約0.5μm未満、約0.4μm未満、約0.2μm未満、約0.1μm未満、又はそれを下回って最高隆起部から最低陥没部まで変化する不規則又はパターン化表面を有してもよい。マイクロ流体チャネル122(又はフロー領域)及び隔離チャンバの両方にわたる基板の上面の隆起の変動は、隔離チャンバの壁の高さ又はマイクロ流体デバイスの壁の高さの約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.9%未満、約0.8%未満、約0.5%未満、約0.3%未満、又は約0.1%未満であり得る。マイクロ流体デバイス200について詳細に説明したが、これは、本明細書に記載される任意のマイクロ流体デバイス100、230、250、280、290、320、400、450、500、700にも当てはまる

0146

したがって、マイクロ流体チャネル122は掃引領域の例であり得、隔離チャンバ224、226、228の分離領域240は非掃引領域の例であり得る。述べたように、マイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ224、226、228は、1つ又は複数の流体培地180を含むように構成され得る。図2A図2Bに示される例では、ポート222はマイクロ流体チャネル122に接続され、流体培地180がマイクロ流体デバイス230内に導入又は外に取り出せるようにすることができる。流体培地180を導入する前に、マイクロ流体デバイスは、二酸化炭素ガス等のガスでプライミングし得る。マイクロ流体デバイス230が流体培地180を含むと、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は選択的に生成及び停止させることができる。例えば、示されるように、ポート222はマイクロ流体チャネル122の異なる位置(例えば、両端部)に配置することができ、流入口として機能するあるポート222から流出口として機能する別のポート222への培地のフロー242を生成することができる。

0147

図2Cは、本開示による隔離チャンバ224の例の詳細図を示す。微小物体246の例も示されている。

0148

既知のように、隔離チャンバ224の基端開口部234を越えたマイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、隔離チャンバ224内及び/又は外への培地180の2次フロー244を生じさせることができる。隔離チャンバ224の分離領域240内の微小物体246を2次フロー244から分離するために、隔離チャンバ224の接続領域236の長さLcon(すなわち、基端開口部234から先端開口部238まで)は、接続領域236への2次フロー244の侵入深さDpよりも大きい値であるはずである。2次フロー244の侵入深さDpは、マイクロ流体チャネル122内を流れる流体培地180の速度並びにマイクロ流体チャネル122及びマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234の構成に関連する様々なパラメータに依存する。所与のマイクロ流体デバイスでは、マイクロ流体チャネル122及び開口部234の構成は固定され、一方、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度は可変である。したがって、隔離チャンバ224毎に、2次フロー244の侵入深さDpが接続領域236の長さLconを超えないことを保証するチャネル122内の流体培地180のフロー242の最高速度Vmaxを識別することができる。マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の流量が最大速度Vmaxを超えない限り、結果として生成される、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236への2次フロー244を制限することができ、分離領域240に入らないようにすることができる。したがって、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242は、微小物体246を分離領域240外に引き込まない。むしろ、分離領域240内に配置された微小物体246は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242に関係なく、分離領域240内に留まる。

0149

更に、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242の流量がVmaxを超えない限り、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242は、様々な粒子(例えば、微粒子及び/又はナノ粒子)をマイクロ流体チャネル122から隔離チャンバ224の分離領域240内に移動させない。したがって、接続領域236の長さLconを2次フロー244の最大侵入深さDpよりも大きくすることで、ある隔離チャンバ224の、マイクロ流体チャネル122又は別の隔離チャンバ(例えば、図2Dの隔離チャンバ226、228)からの様々な粒子による汚染を回避することができる。

0150

マイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ224、226、228の接続領域236は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242により影響を及ぼすことができるため、マイクロ流体チャネル122及び接続領域236は、マイクロ流体デバイス230の掃引(又はフロー)領域と見なすことができる。他方、隔離チャンバ224、226、228の分離領域240は、非掃引(又は非フロー)領域と見なすことができる。例えば、マイクロ流体チャネル122内の第1の流体培地180中の成分(図示せず)は、実質的に、マイクロ流体チャネル122から接続領域236を通り分離領域240内の第2の流体培地248への第1の培地180の成分の拡散によってのみ、分離領域240内の第2の流体培地248と混合することができる。同様に、分離領域240内の第2の培地248の成分(図示せず)は、実質的に、分離領域240から接続領域236を通り、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180への第2の培地248の成分の拡散によってのみ、マイクロ流体チャネル122内の第1の培地180と混合することができる。幾つかの実施形態では、拡散による隔離チャンバの分離領域とフロー領域との間での流体媒体交換の程度は、流体交換の約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%よりも高い割合である。第1の培地180は、第2の培地248と同じ培地であってもよく、又は異なる培地であってもよい。更に、第1の培地180及び第2の培地248は、同じ培地として開始され、異なるようになることができる(例えば、分離領域240内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル122を通って流れる培地180を変更することにより、第2の培地248を調整することを通して)。

0151

マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242により生じる2次フロー244の最大侵入深さDpは、上述したように、幾つかのパラメータに依存し得る。そのようなパラメータの例としては、マイクロ流体チャネル122の形状(例えば、チャネルは、培地を接続領域236に向けることができ、接続領域236から培地を逸らすことができ、又はマイクロ流体チャネル122への接続領域236の基端開口部234に実質的に直交する方向に培地を向けることができる)、基端開口部234でのマイクロ流体チャネル122の幅Wch(又は断面積)及び基端開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242の速度V、第1の培地180及び/又は第2の培地248の粘度等が挙げられる。

0152

幾つかの実施形態では、マイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ224、226、228の寸法は、マイクロ流体チャネル122内の流体培地180のフロー242のベクトルに対して以下のように向けることができる:マイクロ流体チャネル幅Wch(又はマイクロ流体チャネル122の断面積)は、培地180のフロー242に略直交することができ、開口部234での接続領域236の幅Wcon(又は断面積)は、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略平行であり得、及び/又は接続領域の長さLconは、マイクロ流体チャネル122内の培地180のフロー242に略直交することができる。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122及び隔離チャンバ224、226、228の相対位置は、互いに対して他の向きであり得る。

0153

図2Cに示されるように、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234から先端開口部238まで均一であり得る。したがって、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の範囲内にあり得る。代替的に、先端開口部238での接続領域236の幅Wconは、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きい値であり得る。

0154

図2Cに示されるように、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での基端領域236の幅Wconと略同じであり得る。したがって、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconについて本明細書において識別された任意の範囲内であり得る。代替的に、先端開口部238での分離領域240の幅は、基端開口部234での接続領域236の幅Wconよりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。更に、先端開口部238は基端開口部234よりも小さくてよく、接続領域236の幅Wconは、基端開口部234と先端開口部238との間で狭め得る。例えば、接続領域236は、様々な異なるジオメトリ(例えば、接続領域を面取りする、接続領域に勾配を付ける)を使用して基端開口部と先端開口部との間で狭め得る。更に、接続領域236の任意の部分又はサブ部分を狭め得る(例えば、基端開口部234に隣接する接続領域の部分)。

0155

図2D図2Fは、図1Aの各マイクロ流体デバイス100、回路132、及びチャネル134の変形形態であるマイクロ流体回路262及びフローチャネル264を含むマイクロ流体デバイス250の別の例示的な実施形態を示す。マイクロ流体デバイス250は、上述した隔離チャンバ124、126、128、130、224、226、又は228の追加の変形形態である複数の隔離チャンバ266も有する。特に、図2D図2Fに示されるデバイス250の隔離チャンバ266をデバイス100、200、230、280、290、300での上述した隔離チャンバ124、126、128、130、224、226、又は228のいずれかで置換可能なことを理解されたい。同様に、マイクロ流体デバイス250は、マイクロ流体デバイス100の別の変形形態であり、上述したマイクロ流体デバイス100、200、230、280、290、300と同じ又は異なるDEP構成及び本明細書に記載される任意の他のマイクロ流体システム構成要素を有することもできる。

0156

図2D図2Fのマイクロ流体デバイス250は、支持構造体(図2D図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100の支持構造体104と同じ又は概して同様であり得る)、マイクロ流体回路構造256、及びカバー(図2F図2Fでは見えないが、図1Aに示されるデバイス100のカバー122と同じ又は概して同様であり得る)を含む。マイクロ流体回路構造256は枠252及びマイクロ流体回路材料260を含み、これらは図1Aに示されるデバイス100の枠114及びマイクロ流体回路材料116と同じ又は概して同様であり得る。図2Dに示されるように、マイクロ流体回路材料260により画定されるマイクロ流体回路262は複数のチャネル264(2つが示されるが、より多くのチャネルがあり得る)を含むことができ、チャネル264に複数の隔離チャンバ266が流体接続される。

0157

各隔離チャンバ266は、分離構造272、分離構造272内の分離領域270、及び接続領域268を含むことができる。マイクロ流体チャネル264の基端開口部274から分離構造272での先端開口部276まで、接続領域268はマイクロ流体チャネル264を分離領域270に流体接続する。一般に、図2B及び図2Cの上記考察によれば、チャネル264内の第1の流体培地254のフロー278は、マイクロ流体チャネル264から隔離チャンバ266の各接続領域268内及び/又は外への第1の培地254の2次フロー282をもたらすことができる。

0158

図2Eに示されるように、各隔離チャンバ266の接続領域268は、一般に、チャネル264の基端開口部274と分離構造272の先端開口部276との間に延びるエリアを含む。接続領域268の長さLconは、2次フロー282の最大侵入深さDpよりも大きい値であり得、その場合、2次フロー282は、分離領域270に向かってリダイレクトされずに接続領域268内に延びる(図2Dに示されるように)。代替的に、図2Fに示されるように、接続領域268は、最大侵入深さDpよりも小さい長さLconを有することができ、その場合、2次フロー282は、接続領域268を通って延び、分離領域270に向かってリダイレクトされる。この後者の状況では、接続領域268の長さLc1及びLc2との和は最大侵入深さDpよりも大きく、したがって、2次フロー282は分離領域270内に延びない。接続領域268の長さLconが侵入深さDpよりも大きいか否か又は接続領域268の長さLc1及びLc2の和が侵入深さDpよりも大きいか否かに関係なく、最大速度Vmaxを超えないチャネル264内の第1の培地254のフロー278は、侵入深さDpを有する2次フローをもたらし、隔離チャンバ266の分離領域270内の微小物体(示されていないが、図2Cに示される微小物体246と同じ又は概して同様であり得る)は、チャネル264内の第1の培地254のフロー278により分離領域270外に引き出されない。チャネル264内のフロー278は、様々な材料(図示せず)もチャネル264から隔離チャンバ266の分離領域270内に引き込まない。したがって、マイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内の成分をマイクロ流体チャネル264から隔離チャンバ266の分離領域270内の第2の培地258内に移動させることができる唯一の機構は、拡散である。同様に、隔離チャンバ266の分離領域270内の第2の培地258内の成分を分離領域270からマイクロ流体チャネル264内の第1の培地254内に移動させることができる唯一の機構も拡散である。第1の培地254は、第2の培地258と同じ培地であり得、又は第1の培地254は、第2の培地258と異なる培地であり得る。代替的に、第1の培地254及び第2の培地258は、同じ培地から始まり、例えば、分離領域270内の1つ又は複数の細胞により又はマイクロ流体チャネル264を通って流れる培地を変更することにより、第2の培地を調整することを通して異なるようになることができる。

0159

図2Eに示されるように、マイクロ流体チャネル264内のマイクロ流体チャネル264の幅Wch(すなわち、図2Dにおいて矢印278で示されるマイクロ流体チャネルを通る流体培地フローの方向を横断してとられる)は、基端開口部274の幅Wcon1に略直交することができ、したがって、先端開口部276の幅Wcon2に略平行であり得る。しかし、基端開口部274の幅con1及び先端開口部276の幅Wcon2は、互いに略直交する必要はない。例えば、基端開口部274の幅Wcon1が向けられる軸(図示せず)と、先端開口部276の幅Wcon2が向けられる別の軸との間の角度は、直交以外であり得、したがって、90°以外であり得る。代替的に向けられる角度の例としては、以下の任意の範囲内の角度を含む:約30°〜約90°、約45°〜約90°、約60°〜約90°等。

0160

隔離チャンバの様々な実施形態(例えば、124、126、128、130、224、226、228、又は266)では、分離領域(例えば、240又は270)は、複数の微小物体を含むように構成される。他の実施形態では、分離領域は、1つのみ、2つ、3つ、4つ、5つ、又は同様の相対的に少数の微小物体を含むように構成され得る。したがって、分離領域の容積は、例えば、少なくとも1×106立方μm、少なくとも2×106立方μm、少なくとも4×106立方μm、少なくとも6×106立方μm、又はこれを超える大きさであり得る。

0161

隔離チャンバの様々な実施形態では、基端開口部(例えば、234)でのマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、以下の任意の範囲内であり得る:約50〜1000μm、約50〜500μm、約50〜400μm、約50〜300μm、約50〜250μm、約50〜200μm、約50〜150μm、約50〜100μm、約70〜500μm、約70〜400μm、約70〜300μm、約70〜250μm、約70〜200μm、約70〜150μm、約90〜400μm、90〜300μm、約90〜250μm、約90〜200μm、約90〜150μm、約100〜300μm、約100〜250μm、約100〜200μm、約100〜150μm、及び約100〜120μm。幾つかの他の実施形態では、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の幅Wchは、約200〜800μm、約200〜700μm、又は約200〜600μmの範囲であり得る。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。更に、マイクロ流体チャネル122の幅Wchは、隔離チャンバの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。

0162

幾つかの実施形態では、隔離チャンバは、約30〜約200μm又は約50〜約150μmの高さを有する。幾つかの実施形態では、隔離チャンバは、約1×104〜約3×106平方μm、約2×104〜約2×106平方μm、約4×104〜約1×106平方μm、約2×104〜約5×105平方μm、約2×104〜約1×105平方μm、又は約2×105〜約2×106平方μmの断面積を有する。

0163

隔離チャンバの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、以下の任意の範囲内であり得る:20〜100μm、20〜90μm、20〜80μm、20〜70μm、20〜60μm、20〜50μm、30〜100μm、30〜90μm、30〜80μm、30〜70μm、30〜60μm、30〜50μm、40〜100μm、40〜90μm、40〜80μm、40〜70μm、40〜60μm、又は40〜50μm。上記は単なる例であり、マイクロ流体チャネル(例えば、122)の高さHchは、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。マイクロ流体チャネル122の高さHchは、隔離チャンバの基端開口部以外のマイクロ流体チャネルの領域において、これらの任意の範囲であるように選択することができる。

0164

隔離チャンバの様々な実施形態において、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、以下の任意の範囲内であり得る:500〜50,000平方μm、500〜40,000平方μm、500〜30,000平方μm、500〜25,000平方μm、500〜20,000平方μm、500〜15,000平方μm、500〜10,000平方μm、500〜7,500平方μm、500〜5,000平方μm、1,000〜25,000平方μm、1,000〜20,000平方μm、1,000〜15,000平方μm、1,000〜10,000平方μm、1,000〜7,500平方μm、1,000〜5,000平方μm、2,000〜20,000平方μm、2,000〜15,000平方μm、2,000〜10,000平方μm、2,000〜7,500平方μm、2,000〜6,000平方μm、3,000〜20,000平方μm、3,000〜15,000平方μm、3,000〜10,000平方μm、3,000〜7,500平方μm、又は3,000〜6,000平方μm。上記は単なる例であり、基端開口部(例えば、234)におけるマイクロ流体チャネル(例えば、122)の断面積は、他の範囲(例えば、上記列挙された任意の端点により定義される範囲)であってもよい。

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