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課題・解決手段
概要
背景
2.関連技術の説明
外傷性脊髄損傷(SCI)及び外傷性脳損傷(TBI)は、世界的に深刻な健康問題であり、毎年150万人を超える患者が外傷性脳損傷及び脊髄損傷を有すると診断される。SCI及びTBIを有する患者は、神経機能を喪失し得るだけでなく、神経障害性疼痛、及び神経制御の喪失に伴う他の合併症のより大きな危険性がある。二次性損傷は、主要な外傷後神経学的機能喪失に相当する。外傷後神経炎症過程の一部は、アストロサイトの活性化、及び軸索再生のための不浸透性環境をもたらすグリア瘢痕の形成である。治療的目標には、神経機能及びグリア瘢痕形成を支持することにおいて主要な役割を果たす支持細胞のクラスであるアストロサイトを標的にする革新的手法による、病変及び軸索喪失のサイズの制限が含まれる。しかしながら、グリア瘢痕形成を上手く制限するために用いられ得る組成物の必要性が依然として残る。
骨組織は、乳癌及び前立腺癌転移の好ましい部位である。骨転移は、進行癌を有する患者の最高75%において生じる。現在、転移性乳癌に対する治癒法はなく、及び最小限の副作用を有する、骨転移を治療するための信頼性の高い介入薬はない。
骨関節炎(OA)は、米国の成人のおよそ20%に影響を及ぼす蔓延性疾患である。この疾患は、関節軟骨及び軟骨下骨を含めた関節の変性を引き起こす。OAの病理は、関節腔の狭窄、関節摩擦の増加、及び潜在的な構造改造につながる、関節軟骨の喪失によって特徴付けされる。現在の治療には、運動、生活様式の変化、及び鎮痛剤が含まれる。症状が重度になった場合、関節置き換え術が通常実施される。今までのところ、OAの治療に使用可能な特異的な薬学的介入はない。
コネキシンヘミチャネルは、細胞及び組織機能において重要な役割を果たし、コネキシンヘミチャネルの異常な機能は、上記で記載されるものなど、様々な病的状態に関与し得る。ゆえに、ヘミチャネル活性と関連した病的状態(例えば、炎症、SCI、TBI、骨転移)を治療するための付加的な療法、ならびにそのような療法を同定するための方法の必要性が依然として残る。
概要
コネキシン43ヘミチャネルに結合し、及びチャネル開口を阻害するまたは活性化する抗体が提供される。ある特定の態様において、Cx43チャネル開口を活性化する抗体で癌を検出するまたは治療するための方法も提供される。同様に、Cx43チャネル開口を阻害する抗体で炎症性疾患(例えば、骨関節炎)及び神経損傷(例えば、脊髄損傷)を治療するための方法が提供される。
目的
本発明は、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を増強する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb2抗体など)の有効量を対象に投与することを含む、癌を有する対象における癌または骨転移を治療するまたは予防する方法を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を増強する抗体、または前記抗体をコードする発現ベクターの有効量を対象に投与することを含む、対象における骨粗鬆症、骨減少症、または癌を治療するまたは予防する方法。
請求項2
骨粗鬆症または骨減少症を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項1に記載の方法。
請求項3
癌を治療するための方法としてさらに規定される、請求項1に記載の方法。
請求項4
癌を有する対象における骨転移を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項3に記載の方法。
請求項5
前記抗体の有効量を前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
請求項6
前記抗体をコードする発現ベクターの有効量を前記対象に投与することを含む、請求項1に記載の方法。
請求項7
請求項8
請求項9
前記抗体を全身的に投与する、請求項1に記載の方法。
請求項10
請求項11
前記抗体は、(a)SEQIDNO:19と同一の第一のVHCDR、(b)SEQIDNO:20と同一の第二のVHCDR、(c)SEQIDNO:21と同一の第三のVHCDR、(d)SEQIDNO:49と同一の第一のVLCDR、(e)SEQIDNO:50と同一の第二のVLCDR、及び(f)SEQIDNO:51と同一の第三のVLCDRを含む、請求項1に記載の方法。
請求項12
前記抗体はヒト化抗体である、請求項11に記載の方法。
請求項13
少なくとも第二の抗癌療法を前記対象に施すことをさらに含む、請求項3に記載の方法。
請求項14
請求項15
コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を阻害する抗体、または前記抗体をコードする発現ベクターの有効量を対象に投与することを含む、対象における炎症性疾患、神経変性疾患、または神経損傷を治療するまたは予防する方法。
請求項16
前記対象における神経変性疾患または神経損傷を治療するまたは予防する方法としてさらに規定される、請求項15に記載の方法。
請求項17
前記対象における炎症性疾患を治療するまたは予防する方法としてさらに規定される、請求項15に記載の方法。
請求項18
前記炎症性疾患は骨関節炎を含む、請求項17に記載の方法。
請求項19
前記抗体の有効量を前記対象に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
請求項20
前記抗体をコードする発現ベクターの有効量を前記対象に投与することを含む、請求項15に記載の方法。
請求項21
神経変性疾患を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項16に記載の方法。
請求項22
請求項23
神経損傷を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項16に記載の方法。
請求項24
請求項25
前記対象は、神経損傷を有するまたは有すると診断されている、請求項22に記載の方法。
請求項26
前記抗体、前記抗体をコードする発現ベクターを、薬学的に許容される組成物の状態で投与する、請求項15に記載の方法。
請求項27
前記抗体を全身的に投与する、請求項15に記載の方法。
請求項28
前記抗体を、静脈内に、皮内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与する、請求項15に記載の方法。
請求項29
前記抗体は、(a)SEQIDNO:19と同一の第一のVHCDR、(b)SEQIDNO:20と同一の第二のVHCDR、(c)SEQIDNO:21と同一の第三のVHCDR、(d)SEQIDNO:31と同一の第一のVLCDR、(e)SEQIDNO:32と同一の第二のVLCDR、及び(f)SEQIDNO:33と同一の第三のVLCDRを含む、請求項15に記載の方法。
請求項30
前記抗体はヒト化抗体である、請求項29に記載の方法。
請求項31
請求項32
前記抗体は、(a)SEQIDNO:19と同一の第一のVHCDR、(b)SEQIDNO:20と同一の第二のVHCDR、(c)SEQIDNO:21と同一の第三のVHCDR、(d)SEQIDNO:49と同一の第一のVLCDR、(e)SEQIDNO:50と同一の第二のVLCDR、及び(f)SEQIDNO:51と同一の第三のVLCDRを含む、請求項28に記載の抗体。
請求項33
前記抗体はヒト化抗体である、請求項32に記載の方法。
請求項34
前記抗体は、SEQIDNO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQIDNO:63と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の抗体。
請求項35
前記抗体は、SEQIDNO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQIDNO:63に従ったVLアミノ酸配列を含む、請求項30に記載の抗体。
請求項36
前記抗体は、(a)SEQIDNO:19と同一の第一のVHCDR、(b)SEQIDNO:20と同一の第二のVHCDR、(c)SEQIDNO:21と同一の第三のVHCDR、(d)SEQIDNO:31と同一の第一のVLCDR、(e)SEQIDNO:32と同一の第二のVLCDR、及び(f)SEQIDNO:33と同一の第三のVLCDRを含む、請求項28に記載の抗体。
請求項37
前記抗体はヒト化抗体である、請求項36に記載の方法。
請求項38
前記抗体は、SEQIDNO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQIDNO:60と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含む、請求項32に記載の抗体。
請求項39
前記抗体は、SEQIDNO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQIDNO:60に従ったVLアミノ酸配列を含む、請求項33に記載の抗体。
請求項40
請求項32〜35のいずれか1項に記載の抗体、または請求項32〜35のいずれか1項に記載の抗体をコードする発現ベクターを含む薬学的組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、対象における癌を治療する方法。
請求項41
前記薬学的組成物は、前記対象への、請求項32〜35のいずれか1項に記載の抗体をコードする発現ベクターを含む、請求項40に記載の方法。
請求項42
前記薬学的組成物は、前記対象への、請求項32〜35のいずれか1項に記載の抗体を含む、請求項40に記載の方法。
請求項43
前記癌は乳癌である、請求項40に記載の方法。
請求項44
前記癌は前立腺癌または骨肉腫である、請求項40に記載の方法。
請求項45
前記対象における癌骨転移を阻害するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項40に記載の方法。
請求項46
前記薬学的組成物を全身的に投与する、請求項40に記載の方法。
請求項47
前記薬学的組成物を、静脈内に、皮内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与する、請求項40に記載の方法。
請求項48
前記薬学的組成物は、(a)SEQIDNO:19と同一の第一のVHCDR、(b)SEQIDNO:20と同一の第二のVHCDR、(c)SEQIDNO:21と同一の第三のVHCDR、(d)SEQIDNO:49と同一の第一のVLCDR、(e)SEQIDNO:50と同一の第二のVLCDR、及び(f)SEQIDNO:51と同一の第三のVLCDRを含む、請求項40に記載の方法。
請求項49
少なくとも第二の抗癌療法を前記対象に施すことをさらに含む、請求項40に記載の方法。
請求項50
前記第二の抗癌療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である、請求項49に記載の方法。
請求項51
請求項36〜39のいずれか1項に記載の抗体、または請求項36〜39のいずれか1項に記載の抗体をコードする発現ベクターを含む薬学的組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、対象における炎症性疾患、神経変性疾患、または神経損傷を治療する方法。
請求項52
前記薬学的組成物は、前記対象への、請求項36〜39のいずれか1項に記載の抗体をコードする発現ベクターを含む、請求項51に記載の方法。
請求項53
前記薬学的組成物は、前記対象への、請求項36〜39のいずれか1項に記載の抗体を含む、請求項51に記載の方法。
請求項54
炎症性疾患を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項51に記載の方法。
請求項55
前記炎症性疾患は骨関節炎である、請求項54に記載の方法。
請求項56
神経変性疾患を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項51に記載の方法。
請求項57
前記神経変性疾患は多発性硬化症である、請求項56に記載の方法。
請求項58
神経損傷を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定される、請求項51に記載の方法。
請求項59
前記神経損傷は脊髄損傷(SCI)または外傷性脳損傷(TBI)を含む、請求項58に記載の方法。
請求項60
前記対象は、神経損傷を有するまたは有すると診断されている、請求項59に記載の方法。
請求項61
前記薬学的組成物を全身的に投与する、請求項51に記載の方法。
請求項62
前記薬学的組成物を、静脈内に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与する、請求項61に記載の方法。
技術分野
0001
本出願は、2016年2月26日に出願された米国仮特許出願第62/300,492号の利益を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。
0002
1.発明の分野
本発明は、一部の実施形態において、概して、分子生物学、癌生物学、及びリウマチ学の分野に関する。より特に、コネキシン(Cx)43ヘミチャネル結合抗体、ならびに癌、神経損傷、及び骨関節炎などの疾患の治療及び検出のためのそれらの使用に関係する。
背景技術
0003
2.関連技術の説明
外傷性脊髄損傷(SCI)及び外傷性脳損傷(TBI)は、世界的に深刻な健康問題であり、毎年150万人を超える患者が外傷性脳損傷及び脊髄損傷を有すると診断される。SCI及びTBIを有する患者は、神経機能を喪失し得るだけでなく、神経障害性疼痛、及び神経制御の喪失に伴う他の合併症のより大きな危険性がある。二次性損傷は、主要な外傷後神経学的機能喪失に相当する。外傷後神経炎症過程の一部は、アストロサイトの活性化、及び軸索再生のための不浸透性環境をもたらすグリア瘢痕の形成である。治療的目標には、神経機能及びグリア瘢痕形成を支持することにおいて主要な役割を果たす支持細胞のクラスであるアストロサイトを標的にする革新的手法による、病変及び軸索喪失のサイズの制限が含まれる。しかしながら、グリア瘢痕形成を上手く制限するために用いられ得る組成物の必要性が依然として残る。
0004
骨組織は、乳癌及び前立腺癌転移の好ましい部位である。骨転移は、進行癌を有する患者の最高75%において生じる。現在、転移性乳癌に対する治癒法はなく、及び最小限の副作用を有する、骨転移を治療するための信頼性の高い介入薬はない。
0005
骨関節炎(OA)は、米国の成人のおよそ20%に影響を及ぼす蔓延性疾患である。この疾患は、関節軟骨及び軟骨下骨を含めた関節の変性を引き起こす。OAの病理は、関節腔の狭窄、関節摩擦の増加、及び潜在的な構造改造につながる、関節軟骨の喪失によって特徴付けされる。現在の治療には、運動、生活様式の変化、及び鎮痛剤が含まれる。症状が重度になった場合、関節置き換え術が通常実施される。今までのところ、OAの治療に使用可能な特異的な薬学的介入はない。
0006
コネキシンヘミチャネルは、細胞及び組織機能において重要な役割を果たし、コネキシンヘミチャネルの異常な機能は、上記で記載されるものなど、様々な病的状態に関与し得る。ゆえに、ヘミチャネル活性と関連した病的状態(例えば、炎症、SCI、TBI、骨転移)を治療するための付加的な療法、ならびにそのような療法を同定するための方法の必要性が依然として残る。
0007
第一の実施形態において、本発明は、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を増強する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb2抗体など)の有効量を対象に投与することを含む、癌を有する対象における癌または骨転移を治療するまたは予防する方法を提供する。さらなる実施形態において、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を増強する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb2抗体など)の有効量を対象に投与することを含む、対象における骨粗鬆症または骨減少症を治療するまたは予防する方法が提供される。ある特定の態様において、方法は、当該抗体の有効量を対象に投与することを含む。さらなる態様において、方法は、当該抗体をコードする発現ベクターの有効量を対象に投与することを含む。一部の態様において、癌は、乳癌、前立腺癌(例えば、骨転移を有する)、または骨肉腫である。さらなる態様において、癌は、骨転移を有する癌である。
0008
さらなる態様において、抗体をコードする発現ベクターは、薬学的に許容される組成物の状態で投与され得る。ある特定の態様において、抗体は全身的に投与され得る。他の態様において、抗体は、静脈内に、皮内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与され得る。
0009
いくつかの態様において、抗体は、SEQID NO:19と同一の第一のVHCDR、SEQ ID NO:20と同一の第二のVH CDR、SEQ ID NO:21と同一の第三のVH CDR、SEQ ID NO:49と同一の第一のVL CDR、SEQ ID NO:50と同一の第二のVL CDR、及びSEQ ID NO:51と同一の第三のVL CDRを含み得る。一部の態様において、抗体はヒト化抗体である。ある特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:63と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含み得る。さらなる態様において、抗体は、SEQ ID NO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:63に従ったVLアミノ酸配列を含む。
0010
さらにさらなる態様において、方法は、少なくとも第二の抗癌療法を対象に施すことを付加的に含み得る。ある特定の態様において、第二の抗癌療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である。
0011
さらなる実施形態において、本発明は、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を阻害する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb1抗体など)の有効量を対象に投与することを含む、対象における神経変性疾患または神経損傷を治療するまたは予防する方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、当該抗体の有効量を対象に投与することを含む。他の態様において、方法は、当該抗体をコードする発現ベクターの有効量を対象に投与することを含み得る。
0012
一部の態様において、方法は、神経変性疾患を治療するまたは予防するための方法として付加的に規定され得る。さらなる態様において、神経変性疾患は、多発性硬化症またはアルツハイマー病であり得る。他の態様において、方法は、神経損傷を治療するまたは予防するための方法として付加的に規定され得る。ある特定の態様において、神経損傷には、脊髄損傷(SCI)、脳卒中、または外傷性脳損傷(TBI)が含まれる。一部の具体的な態様において、対象は、神経損傷を有するまたは有すると診断されている。いくつかの態様において、抗体をコードする発現ベクターは、薬学的に許容される組成物の状態で投与される。ある特定の態様において、抗体は全身的に投与され得る。さらなる態様において、抗体は、静脈内に、皮内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与される。
0013
いくつかの態様において、抗体は、SEQID NO:19と同一の第一のVHCDR、SEQ ID NO:20と同一の第二のVH CDR、SEQ ID NO:21と同一の第三のVH CDR、SEQ ID NO:31と同一の第一のVL CDR、SEQ ID NO:32と同一の第二のVL CDR、及びSEQ ID NO:33と同一の第三のVL CDRを含む。一部の態様において、抗体はヒト化抗体である。ある特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:60と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含む。一部の特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:60に従ったVLアミノ酸配列を含む。
0014
なおさらなる実施形態において、組換えコネキシン43(Cx43)ヘミチャネル結合抗体が提供される。ある特定の態様において、抗体は、SEQID NO:19と同一の第一のVHCDR、SEQ ID NO:20と同一の第二のVH CDR、SEQ ID NO:21と同一の第三のVH CDR、SEQ ID NO:49と同一の第一のVL CDR、SEQ ID NO:50と同一の第二のVL CDR、及びSEQ ID NO:51と同一の第三のVL CDRを含む。一部の態様において、抗体はヒト化抗体である。ある特定の特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:63と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含む。具体的な態様において、抗体は、SEQ ID NO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:63に従ったVLアミノ酸配列を含み得る。
0015
いくつかの態様において、抗体は、SEQID NO:19と同一の第一のVHCDR、SEQ ID NO:20と同一の第二のVH CDR、SEQ ID NO:21と同一の第三のVH CDR、SEQ ID NO:31と同一の第一のVL CDR、SEQ ID NO:32と同一の第二のVL CDR、及びSEQ ID NO:33と同一の第三のVL CDRを含み得る。ある特定の態様において、抗体はヒト化抗体である。一部の態様において、抗体は、SEQ ID NO:58と少なくとも90%同一のVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:60と少なくとも90%同一のVLアミノ酸配列を含む。ある特定の具体的な態様において、抗体は、SEQ ID NO:58に従ったVHアミノ酸配列、及び/またはSEQ ID NO:60に従ったVLアミノ酸配列を含む。
0016
さらになおさらなる実施形態において、本発明は、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体、または上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体をコードする発現ベクターを含む薬学的組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象における癌を治療する方法を提供する。一部の態様において、薬学的組成物は、対象への、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体をコードする発現ベクターを含む。他の態様において、薬学的組成物は、対象への、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体を含む。いくつかの態様において、方法は、対象における癌骨転移を阻害するまたは予防するための方法としてさらに規定され得る。ある特定の態様において、薬学的組成物は全身的に投与され得る。具体的な態様において、薬学的組成物は、静脈内に、皮内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与される。
0017
一部の態様において、薬学的組成物は、SEQID NO:19と同一の第一のVHCDR、SEQ ID NO:20と同一の第二のVH CDR、SEQ ID NO:21と同一の第三のVH CDR、SEQ ID NO:31と同一の第一のVL CDR、SEQ ID NO:32と同一の第二のVL CDR、及びSEQ ID NO:33と同一の第三のVL CDRを含み得る。いくつかの態様において、方法は、少なくとも第二の抗癌療法を対象に施すことをさらに含み得る。さらなる態様において、第二の抗癌療法は、外科的療法、化学療法、放射線療法、凍結療法、ホルモン療法、免疫療法、またはサイトカイン療法である。
0018
さらなる態様において、本発明は、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体、または上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb1抗体など、Cx43ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を阻害する抗体)を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象における炎症性疾患、神経変性疾患、または神経損傷を治療する方法を提供する。ある特定の態様において、薬学的組成物は、対象への、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体をコードする発現ベクターを含む。具体的な態様において、薬学的組成物は、対象への、上記で記載される実施形態及び態様に従った抗体を含む。
0019
さらなる態様において、方法は、Cx43ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を阻害する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb1抗体など)の有効量を対象に投与することを含む、炎症性疾患を治療するまたは予防するための方法として付加的に規定され得る。一部の具体的な態様において、炎症性疾患は骨関節炎である。一部の態様において、方法は、皮膚または角膜創傷治癒などの創傷治癒を促進するために提供され、コネキシン43(Cx43)ヘミチャネルに結合し及びチャネル開口を阻害する抗体、または当該抗体をコードする発現ベクター(本明細書において詳述されるAb1抗体など)の有効量を対象に投与することを含む。他の態様において、方法は、神経変性疾患を治療するまたは予防するための方法として付加的に規定され得る。ある特定の特定の態様において、神経変性疾患は、多発性硬化症またはアルツハイマーである。いくつかの態様において、方法は、神経損傷を治療するまたは予防するための方法としてさらに規定され得る。一部の特定の態様において、神経損傷には、脊髄損傷(SCI)、外傷性脳損傷(TBI)、または脳卒中が含まれる。ある特定の態様において、対象は、神経損傷を有すると診断されたことがあるまたは有すると診断されている。
0020
一部の態様において、薬学的組成物は全身的に投与され得る。具体的な態様において、薬学的組成物は、静脈内に、皮内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、または局所的に投与される。
0021
ある特定の実施形態において、ヘミチャネルポリペプチドに向けられた抗体、及びそのような抗体をコードする核酸分子も提供される。ある特定の態様において、実施形態の抗体は、FLSRPTEKTI(SEQID NO:13)、KRDPCPHQVD(SEQ ID NO:14)、またはLSAVYTCKR(SEQ ID NO:15)のアミノ酸配列を有するエピトープに結合する。特定の態様において、抗体は、FLSRPTEKTI(SEQ ID NO:13)のアミノ酸配列を有するエピトープに結合する。
0022
さらなる実施形態において、実施形態に従った使用のための抗体は、参照により本明細書に組み入れられる国際(PCT)特許公報第WO2015,027120号に記載されているもののいずれかであり得る。一実施形態において、本発明は、SEQID NO:2のアミノ酸配列を有する重鎖及びSEQ ID NO:4のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、ヘミチャネルに特異的に結合する単離された抗体を提供する。
0023
ある特定の態様において、第一の重鎖領域は、SEQID NO:2の残基13〜37のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の重鎖領域は、SEQ ID NO:2の残基46〜66に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の重鎖領域は、SEQ ID NO:2の残基97〜116のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0024
別の態様において、第一の軽鎖領域は、SEQID NO:4の残基9〜40のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の軽鎖領域は、SEQ ID NO:4の残基49〜58に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の軽鎖領域は、SEQ ID NO:4の残基64〜108のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0025
一実施形態において、本発明は、SEQID NO:6のアミノ酸配列を有する重鎖及びSEQ ID NO:8のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、ヘミチャネル及びギャップ結合に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
0026
ある特定の態様において、第一の重鎖領域は、SEQID NO:6の残基13〜37のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の重鎖領域は、SEQ ID NO:6の残基46〜66に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の重鎖領域は、SEQ ID NO:6の残基97〜116のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0027
別の態様において、第一の軽鎖領域は、SEQID NO:8の残基9〜42のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の軽鎖領域は、SEQ ID NO:8の残基51〜60に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の軽鎖領域は、SEQ ID NO:8の残基66〜125のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0028
一実施形態において、本発明は、SEQID NO:10のアミノ酸配列を有する重鎖及びSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、ギャップ結合に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
0029
ある特定の態様において、第一の重鎖領域は、SEQID NO:10の残基10〜34のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の重鎖領域は、SEQ ID NO:10の残基43〜59に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の重鎖領域は、SEQ ID NO:10の残基94〜109のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0030
別の態様において、第一の軽鎖領域は、SEQID NO:12の残基9〜40のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含み;第二の軽鎖領域は、SEQ ID NO:12の残基49〜58に対応するアミノ酸配列を有し;及び第三の軽鎖領域は、SEQ ID NO:12の残基64〜108のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列を含む。
0032
さらなる実施形態は、薬学的に許容されるキャリアとともに、本明細書において記載される抗体を含む薬学的組成物を提供する。医薬としての使用のためのまたは癌に対する療法における使用のための、及び癌転移を阻害するための、本発明の抗体または薬学的組成物も提供される。
0033
さらなる実施形態は、癌転移を治療するまたは予防する方法を提供する。治療する方法は、本明細書において記載される単離された抗体の有効量を、それを必要としている対象に投与することを含み得る。癌転移の治療または予防のための医薬の製造における、本明細書において記載される抗体の使用も提供される。
0034
ある特定の態様は、軟骨細胞における炎症反応を抑制するための抗体、化合物、または試薬を用いるインビトロ方法に向けられている。ある特定の態様において、方法は、(i)ルシファーイエローまたはAlexa色素を用いた色素取り込みアッセイにより、ヘミチャネル開口を判定することによって、(ii)IL−1βにより、ヘミチャネル開口に対する阻害効果を査定することによって、(iii)流体せん断応力の形態の機械的負荷により、ヘミチャネル開口に対する試薬の阻害効果を試験することによって、軟骨細胞におけるCx43ヘミチャネル開口の阻害に対する効果を判定することに向けられている。
0035
ある特定の態様は、(i)IL−1βによって誘導される核内因子カッパB(NF−κB)の活性化の阻害を判定することによって、(ii)流体せん断応力によって誘導されるNF−κBの活性化の阻害を判定することによって、IL−1β及び機械的負荷によって誘起される炎症応答の抑制に対する、抗体、化合物、または試薬の効果を判定する方法に向けられている。
0036
他の態様は、(i)膝蓋骨腔に抗体、化合物、または試薬を注射すること、(ii)IL−1βによって誘導されるNF−κBの活性化の阻害を査定すること、(iii)X線、組織学的解析、及び身体的動作によってOA発症を査定することを含む、OAを治療するまたはそれを同定するためのモノクローナル抗体、化合物、または試薬を用いるインビボ方法に向けられている。
0037
本明細書において使用するとき、「抗原」という用語は、抗体またはT細胞受容体によって結合され得る分子である。ある特定の実施形態において、抗体以外の結合部分は、抗原、例えばアプタマー、アビマー等に特異的に結合するように操作される。
0038
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、無傷抗体及びその結合フラグメント/セグメントを含むように用いられる。本明細書において使用するとき、「抗体」という用語は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、及び遺伝子改変されたIgGなどの任意の免疫学的結合作用物質、ならびに抗原結合活性を保持する抗体CDRドメインを含むポリペプチドを広く指すことを意図される。抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、あるいは抗原に結合する抗体フラグメントまたは天然もしくは合成リガンドからなる群より選択され得る。典型的に、フラグメントは、抗原への特異的結合に対して、それらが由来した無傷抗体と競合する。フラグメントには、別個の重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvが含まれる。フラグメント/セグメントは、組換えDNA技法によって、または無傷免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的分離によって産生される。「抗体」という用語には、他のタンパク質に化学的に抱合されているまたは他のタンパク質との融合タンパク質として発現される、1つまたは複数の免疫グロブリン鎖も含まれる。「抗体」という用語には、二重特異性抗体も含まれる。二重特異性または二機能性抗体とは、2つの異なる重鎖/軽鎖ペア及び2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’フラグメントの連結を含めた多様な方法によって産生され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann,Clin Exp Immunol 79:315−21,1990;Kostelny et al.,J.Immunol.148:1547−53,1992を参照されたい。
0039
「単離された」という用語は、それらの起源の元の細胞材料、細菌材料、ウイルス材料、もしくは培養培地(組換えDNA技法によって産生される場合)、または化学的前駆体もしくは他の化学物質(化学的に合成される場合)を実質的に含んでいない核酸またはポリペプチドを指し得る。さらに、単離された化合物とは、単離された化合物として対象に投与され得るものを指し;言い換えれば、化合物は、それがカラムに接着しているまたはアガロースゲル中に埋め込まれている場合、単に「単離された」とは見なされ得ない。さらに、「単離された核酸フラグメント」または「単離されたペプチド」とは、フラグメントとして天然に存在しない及び/または典型的には機能的状態にない核酸またはタンパク質フラグメントである。
0040
ポリペプチド、ペプチド、抗原、または免疫原などの本発明の部分は、アジュバント、タンパク質、ペプチド、支持体、蛍光部分、または標識などの他の部分に共有結合的にまたは非共有結合的に抱合され得るまたは連結され得る。「抱合体」または「免疫抱合体」という用語は、1つの部分と別の作用物質との作動的結び付きを定義するために広く用いられ、任意のタイプの作動的結び付きだけを指すことを意図されず、及び化学的「抱合」に特に限定されない。
0041
「提供する」という用語は、「使用のために供給するまたは付与すること」というその元々の意味に従って用いられる。一部の実施形態において、タンパク質は、当該タンパク質を投与することによって直接提供され、一方で他の実施形態において、タンパク質は、当該タンパク質をコードする核酸を投与することによって有効に提供される。ある特定の態様において、本発明は、核酸、抗原、ペプチド、及び/またはエピトープの様々な組み合わせを含む組成物を企図する。
0042
標的に「特異的に結合する」または「特異的に免疫反応性である」という語句は、他の生物製剤の不均質集団の存在下で、当該分子の存在を決定する結合反応を指す。ゆえに、指定された免疫アッセイ条件下で、定められた分子は特定の標的に優先的に結合し、及びサンプル中に存在する他の生物製剤に相当量で結合しない。そのような条件下での標的への抗体の特異的結合は、当該抗体が当該標的へのその特異性に対して選択されることを要する。多様な免疫アッセイ形式を用いて、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択し得る。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために、固相ELISA免疫アッセイが日常的に用いられる。例えば、特異的免疫反応性を判定するために用いられ得る免疫アッセイ形式及び条件の説明に関しては、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1988を参照されたい。
0043
本発明の他の実施形態は、本出願にわたって論じられている。本発明の一態様に関して論じられる任意の実施形態は、本発明の他の態様にも適用され、逆もしかりである。本明細書において記載される各実施形態は、本発明のすべての態様に適用可能である本発明の実施形態であると理解される。本明細書において論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法または組成物に関して遂行され得、逆もしかりであることが企図される。さらには、本発明の組成物及びキットを用いて、本発明の方法を達成し得る。
0044
「a」または「an」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/または本明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて用いられる場合、「1つ」を意味し得るが、それは、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、及び「1つまたは1つを上回る」という意味とも矛盾しない。
0046
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代替物のみを指すことまたは代替物は相互排他的であることが明示的に示されていない限り、「及び/または」を意味するために用いられるが、とはいえ本開示は、代替物のみを指す定義ならびに「及び/または」を支持する。
0047
本明細書及び特許請求の範囲(複数可)において使用するとき、「含む(comprising)」(ならびに、「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」など、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに、「有する(have)」及び「有する(has)」など、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに、「含む(includes)」及び「含む(include)」など、含む(including)の任意の形態)、または「含有する(containing)」(ならびに、「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」など、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、内包的でありまたは制限がなく、及び付加的な列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。
0048
本発明の他の目的、特長、及び利点は、以下の詳細な説明から明白になるであろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲の内にある様々な変化及び改変が、この詳細な説明から当業者に明白になるであろうため、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の具体的な実施形態を示すと同時に、例示としてのみ与えられることが理解されるべきである。
0049
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本明細書において提示される具体的な実施形態についての詳細な説明と組み合わせてこれらの図面のうちの1つまたは複数を参照することにより、本発明はよりよく理解され得る。
図面の簡単な説明
0050
Cx43は、通常、細胞間のギャップ結合に、または原形質膜上のヘミチャネルとして局在する。A)側において、Cx43ヘミチャネルの病的開口は、二次性損傷の伝播、アストロ/ミクログリアの活性化、及び炎症をもたらす。B)側は、Cx43ヘミチャネルの病的開口を阻止することが、分子の放出を阻止し、アストロサイトが世話役細胞として作用し及び二次性損傷のさらなる広がりを阻止することを可能にするという提案を図解している。
ヒト初代アストロサイトにおけるIL−1βによるCx43ヘミチャネルの活性化は、Cx43ヘミチャネルを遮断するマウスモノクローナル抗体(M1)及びマウス−ヒトキメラ抗体HMAb1の両方によって阻害された(これらの抗体は、同じマウス可変ドメイン及びCDRを含む)。ヘミチャネル活性を、エチジウムブロマイド取り込みによって判定した。
マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照IgG、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。グリア瘢痕化を、損傷後14及び56日目に測定した。(A〜F)アストロサイトマーカーGFAPに対する免疫組織化学に供された、(A〜C)対照IgGまたは(D〜F)HMAb1で処理されたマウスにおける脊髄の代表的な画像。病変境界は、白の点線で表示されている。(G)GFAP免疫標識を、陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。結果は、SEMによる平均である。Igg wと比較して、*p<0.05、***p<0.001/テューキーのHSD n=3〜4。
マウスをSCIに供し、損傷後30分の時点でIgGまたは抗Cx43抗体(M1)で処理した。損傷の2週間後、組織切片をアストロサイトマーカーGFAPの発現について解析した。(A)IgG処理されたまたは(B)M1処理されたマウスにおける、脊髄の代表的な画像。白の点線は、病変のエリアを印付けしている。C)n=3〜5匹のマウスからの画像の定量は、切片におけるGFAP免疫標識のSEMによる平均を示している。*二元配置ANOVA、次いでテューキーのHSDを用いて検定された有意性。
HMAb1処理は、SCI後の身体的な活動及び協調性の回復を向上させた。マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照IgG、またはヒト−マウスキメラ抗Cx43抗体(HMAb1)(25mg/kg)で30分間処理した。行動測定は、損傷後6時間の時点で0〜3のBMSスコアを有するマウスにおいてのものである。(A)BMS:後肢機能;0=後肢機能なし、及び9=完全に正常な後肢機能。(B)ローターロッド:マウスを、最高300秒間、加速式ローターロッド上にとどまり得る能力について試験して、運動協調性を測定した。結果は、SEMによる平均である。Igg wと比較して、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001/テューキーのHSD。
マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照Igg、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。ニューロンマーカーMAP2に対して免疫標識することによって、ニューロン樹状突起を測定した。(A〜F)免疫組織化学に供された、(A〜C)対照IgGまたは(D〜F)HMAb1で処理されたマウスにおける脊髄の代表的な画像。病変境界は、白の点線で表示されている。(G)MAP2免疫標識を、陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。結果は、SEMによる平均である。テューキーのHSDによる、*p<0.05、**p<0.001、n=3〜4。
マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照Igg、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。ニューロンマーカーNeuNに対して免疫標識することによって、ニューロン核を測定した。(A〜F)免疫組織化学に供された、(A〜C)対照IgGまたは(D〜F)HMAb1で処理されたマウスにおける脊髄の代表的な画像。病変境界は、白の点線で表示されている。(G)NeuN免疫標識を、陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。
骨における乳癌成長は、ヒト−マウスキメラ抗Cx43抗体HMAb2によって抑制された(この抗体は、「M2」抗体と同じマウス可変ドメイン及びCDRを含む)。Py8119−Luc細胞を、対照及びcKO雌マウスの右脛骨に注射した。左脛骨に、対照としてPBSを注射した。(A)腫瘍成長を、生物発光イメージングによって4週間毎週記録し、定量した。データは、平均±SEMとして提示されている。**、P<0.01。1群あたりn=7。(B)白の矢頭で示された、肺に及び脳に広がった腫瘍を有するCx43 cKOマウスの代表的な画像。(C)Py8119細胞を注射された脛骨に関する代表的なX線写真は、腫瘍細胞が注射され及び溶骨性病変が生じた場所(矢頭)を表示している。PBSを注射された左脛骨は、溶骨性病変を示さなかった。
MLO−Y4骨細胞(A)または初代マウス骨細胞(B)におけるCx43ヘミチャネルは、HMAb2によって活性化されたが、HMAb1によって遮断された。細胞を、E2(ポリクローナル)、HMAb1、及びHMAb2抗体、またはコネキシンチャネル遮断薬であるカルベノキソロン(CBX)とともにインキュベートした。エチジウムブロマイド(EtBr)色素取り込みアッセイを実施した。データは、SEMとして提示されている。基礎対照と比較して、***、P<0.001。
インビボでの骨細胞におけるMHAb2によるヘミチャネルの活性化。エバンスブルー色素をWTマウスの尾静脈に注射し、25μg/mlのMHAb2をIP注射した。注射の2時間後にマウスを屠殺し、PBSで灌流した。脛骨を単離し、及び固定された脛骨の骨組織切片を調製した。(A)抗体の存在を、ローダミン抱合型抗ヒトIgGで検出した。バー、50μm。(B)色素取り込みを、エバンスブルー(EB)蛍光によって、皮質骨及び骨梁において測定し、定量した。*、P<0.05;***、P<0.001。
HMAb2は、乳癌細胞の溶骨性成長を抑制し、及び骨を骨折から保護する。(A)Py8119−Luc乳癌細胞を、雌マウスの脛骨に注射した。(B)25mg/kgにおけるHMAb2を、4週間、週1回または週2回のいずれかでi.p.注射した。生理食塩水を対照マウスに週2回注射した。腫瘍成長を、生物発光イメージングによって4週間毎週記録し、定量した(下のパネル)。データは、平均±SEMとして提示されている。HMAb2及び生理食塩水に対してn=6。(C)MHAb2または生理食塩水を注射されたマウスをX線によって撮像した。*、P<0.05。
Cx43は、軟骨細胞において豊富に発現される。マウスの骨から単離された初代軟骨細胞を、透過性細胞においてC末ドメインに対する抗Cx43抗体(全体)で、及び非透過性細胞においてCx43E2抗体で免疫染色した。
HMAb1は、軟骨細胞においてCx43ヘミチャネルを遮断した。マウスの骨から単離された初代軟骨細胞を、カルベノキソロン(コネキシンチャネル遮断薬)またはHMAb1抗体で前処理し、次いでIL−1βの有りまたは無しで処理した。エチジウムブロマイド色素取り込みアッセイを実施して、ヘミチャネル活性を判定した。
HMAb1は、インビボでマウス軟骨細胞においてヘミチャネル活性を遮断した。エバンスブルー色素を、WTマウスの尾静脈に注射した。Cx43(M1)mAb(25mg/kg)を、色素注射の2時間前にi.p.注射した。色素注射の30分後、左脛骨に10分間機械的負荷を1回かけた。色素取り込みをエバンスブルー(EB)蛍光によって測定し、定量した。P<0.001。n=3。
HMAb2及びHAb2抗体の両方とも、Cx43を認識し、骨細胞の細胞表面上のCx43に結合する。(A)親HeLaまたはCx43を発現するHeLa細胞を、HMAb2(MHC2)及びHAb2(HC2)抗体で免疫標識した。(B)非透過性骨細胞MLO−Y4細胞を、抗HMAb2(MHC2)またはHAb2(HC2)抗体で免疫蛍光標識した。
MHAb2による溶骨性乳癌成長の用量依存的阻害。Py8119−Luc乳癌細胞を、雌マウスの脛骨に注射した。5、15、及び25mg/kgにおけるHMAb2を、4週間週1回i.p.注射した。生理食塩水を対照マウスに週1回注射した。腫瘍成長を、生物発光イメージングによって4週間毎週記録し、定量した。データは、平均±SEMとして提示されている。HMAb2及び生理食塩水に対してn=6。*、P<0.05。
HMAb2は、骨梁の質量、容積、及び厚みを増加させる。4ヶ月齢のマウスに、25mg/kgのHMAb2抗体または生理食塩水を、2週間週1回i.p.注射した。骨パラメーター、(A)骨容積;(B)骨梁の厚み;(C)骨梁数;及び(D)骨ミネラル密度(BMD)を、マイクロCTイメージングによって判定し、定量した。データは、平均±SEMとして提示されている。n=6;*、P<0.05;**、P<0.01。
MHAb2による溶骨性ヒト乳癌成長の阻害。(A)MDA−MB231ヒト乳癌細胞を、雌の免疫欠損ヌードマウスの脛骨に注射した。25mg/kgにおけるHMAb2を、7週間週1回i.p.注射した。生理食塩水またはヒトIgGを、対照マウスに週1回注射した。腫瘍成長を、生物発光イメージングによって7週間毎週記録し、定量した。データは、平均±SEMとして提示されている。n=6。*、P<0.05。(B)7週間後にマウスを屠殺し、腫瘍を単離した。
MHAb1は、NF−kBの核移行を阻害することによって炎症応答を抑制する。初代マウス軟骨細胞を、インターロイキン(IL)1β及びMHAb1の有りまたは無しで処理し、固定し、ならびに抗体NF−kB抗体で免疫標識し、ならびにFITC−WGAで対比標識した。統合された画像が右のパネルに示されている。
0051
様々な細胞は、タンパク質コネキシンによって形成されるヘミチャネル及びギャップ結合を通じて、互いと及び細胞外環境とコミュニケーションを取り合うことができる。コネキシンタンパク質は、身体にわたって普遍的に発現される。6個のコネキシンタンパク質が1個のヘミチャネルを構成し、2個のヘミチャネルが1個のギャップ結合チャネルを構成する。ギャップ結合は、接触している細胞間の原形質膜に位置するチャネルのクラスターであり、それらは細胞間コミュニケーションを仲介する。ヘミチャネルは、ギャップ結合チャネルとは別個の実体である。ヘミチャネルは、細胞内区画と細胞外環境の間の分子の交換を可能にする。
0052
骨細胞は、コネキシン(Cx)43ヘミチャネルとして知られるヘミチャネルを発現する。これらの骨細胞ヘミチャネルは通常閉じており、機械的刺激に曝露された場合に開口し得、それは骨微小環境への様々な因子の放出につながる。ヘミチャネル開口によって放出される因子は、腫瘍細胞移動及び骨転移を減少させ得る他の過程を仲介し得る。
0053
ある特定の実施形態は、コネキシンヘミチャネルの開口を変調する試薬を同定する方法に向けられている。ある特定の態様において、方法は、コネキシンヘミチャネルの開口を正に変調する化合物または薬物を同定する。他の実施形態は、乳癌または前立腺癌などの癌を有する患者に、ヘミチャネルを開口させる化合物を投与することによって、癌を治療する方法に向けられている。ある特定の態様において、患者は原発性腫瘍を有する。ある特定の態様において、Cx43ヘミチャネルを開口させる化合物を用いて、骨への転移を阻害し得るまたは低下させ得る。他の態様において、Cx43チャネルを開口させる化合物を用いて、骨粗鬆症、骨減少症、または骨肉腫を治療する。
0054
癌転移は、癌が、それの起源である身体の部分(例えば、乳房または前立腺)から、身体の他の部分(例えば、肝臓または骨)に広がり、及び二次性腫瘍を確立した場合に生じる。骨は、癌転移の最もよく見られる部位の1つである。骨に転移する癌には、乳癌、前立腺癌、肺癌、及び皮膚癌(例えば、黒色腫)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。骨転移は、進行性の乳癌及び前立腺癌を有する患者の最高75%において同定され得る。骨転移(mets)は、難治性疼痛、病的骨折、脊髄及び神経圧迫、骨髄浸潤、ならびに運動性の欠如などであるがそれらに限定されない、多くの重大な臨床的帰結及び生活の質の帰結と関連付けされる。多くの場合、癌の全身的存在は、癌を治療不能にもする。
0055
正常な骨は、3つの主要な細胞タイプ:骨形成骨芽細胞、骨吸収破骨細胞、及び骨細胞から構成される。骨細胞は、骨の細胞のおよそ95%を構成し、溶骨活性及び骨芽細胞活性を協調させることによって骨再形成過程を維持する。癌細胞が骨に侵襲した場合、正常な骨機能の多くが影響を受ける。癌細胞は局所的微小環境と相互作用して、骨破壊及び血管新生を介して癌細胞生存を促進する。
0056
骨細胞におけるCx43ヘミチャネルは、効果的でよく用いられるビスホスホネート薬であるアレンドロネート(AD)による処理によって開口することが示されている。ビスホスホネートは、骨転移を含めた多くの骨障害を治療することで知られる薬物のクラスである。Powlesらは、ビスホスホネートの投与が、骨転移の発生率の減少、及び乳癌を有する患者における死亡率の減少と関連付けられることを示している。ADは、腫瘍成長の減少ならびに骨破壊及び疼痛の低下と関連付けられている。ADは、破骨細胞活性を阻害し、及び骨細胞におけるCx43ヘミチャネルの開口を誘導する(Plotkin et al.,2002)。しかしながら、AD投与は、複数の重度の副作用を伴う。
0057
I.抗体
本発明のある特定の態様は、ヘミチャネルの機能を正または負に変調する抗体に向けられている。モノクローナル抗体を同定し及び単離する例が、下で記載される。
0058
本明細書において用いられる「CDR」という用語は、抗体可変ドメインの相補性決定領域を指す。CDRに含まれる残基の体系的同定は、Kabat et al.(1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)によって開発された。可変軽鎖(VL)CDRは、本明細書において、箇所27〜32(CDR1)、50〜56(CDR2)、及び91〜97(CDR3)の残基を含むように規定される。可変重鎖(VH)CDRは、本明細書において、箇所27〜33(CDR1)、52〜56(CDR2)、及び95〜102(CDR3)の残基を含むように規定される。
0059
当業者によって解されるであろうように、本明細書において開示されるCDRは、変種も含み得る。一般的に、個々の変種CDR間のアミノ酸同一性は、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。ゆえに、「変種CDR」は、本発明の親CDRとの定められた同一性を有するものであり、親CDRの特異性及び/または活性の少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を含むがそれらに限定されない、生物学的機能を共有する。
0060
アミノ酸配列変動を導入するための部位または領域はあらかじめ決められるものの、変異それ自体があらかじめ決められる必要はない。例えば、所定の部位における変異の性能を最適化するために、ランダム突然変異誘発が標的コドンまたは領域で行われ得、及び発現した抗原結合タンパク質CDR変種は、所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングされ得る。公知の配列を有するDNAにおけるあらかじめ決められた部位に置換変異を作製するための技法、例えばM13プライマー突然変異誘発及びPCR突然変異誘発は周知である。変異体のスクリーニングは、本明細書において記載される抗原結合タンパク質活性のアッセイを用いて行われる。
0061
アミノ酸置換は、典型的に単一残基のものであり;挿入は、通常約一(1)〜約二十(20)個のアミノ酸残基ほどのものであるが、とはいえ、かなりより大きな挿入が容認され得る。欠失は、約一(1)〜約二十(20)個のアミノ酸残基に及ぶが、とはいえある場合には、欠失ははるかにより大きくあり得る。
0062
置換、欠失、挿入、またはそれらの任意の組み合わせを用いて、最終的な誘導体または変種に到達し得る。一般的に、これらの変化は、分子の変更、特に抗原結合タンパク質の免疫原性及び特異性の変更を最小限に抑えるために、数個のアミノ酸に対して行われる。しかしながら、ある特定の状況では、より大きな変化が容認され得る。
0063
本明細書において用いられる「Fab」または「Fab領域」によって、VH、CH1、VL、及びCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドが意味される。Fabは、単離状態にあるこの領域、または全長抗体、抗体フラグメント、もしくはFab融合タンパク質の背景におけるこの領域、または本明細書において概説される他の任意の抗体実施形態を指し得る。
0064
本明細書において用いられる「Fv」または「Fvフラグメント」または「Fv領域」によって、単一抗体のVL及びVHドメインを含むポリペプチドが意味される。
0065
本明細書において用いられる「フレームワーク」によって、CDRとして定義されるそうした領域を除外した、抗体可変ドメインの領域が意味される。各抗体可変ドメインフレームワークは、CDRによって分離された隣接領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)にさらに細分され得る。
0066
本明細書において用いられる、抗体の「抗原結合部」(または、単に「抗体部」)という用語は、抗原(例えば、ヘミチャネル)に特異的に結合し得る能力を保持する、抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部」という用語の内に包含される結合フラグメントの例には、(i)VL/VK、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価のフラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントである、F(ab’)2フラグメント;(iii)本質的にヒンジ領域の一部と合わせたFabである、Fab’フラグメント(FUNDAMENTALIMMUNOLOGY(Paul ed.,3rd ed.1993を参照されたい);(iv)VH及びCH1ドメインからなる、Fdフラグメント;(v)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなる、Fvフラグメント;(vi)VHドメインからなる、dAbフラグメント(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);(vii)単離された相補性決定領域(CDR);ならびに(viii)単一の可変ドメイン及び2つの定常ドメインを含有する重鎖可変領域である、ナノボディが含まれる。
0067
「特異的に結合する」(または、「免疫特異的に結合する」)という用語は、抗体が、その意図される標的に独占的に結合することを示すことを意図されるわけではない。むしろ、抗体は、その意図される標的に対するその親和性が、非標的分子に対するその親和性と比較したときに約5倍大きい場合に、「特異的に結合する」。適切には、非所望の物質との有意な交差反応または交差結合はない。抗体の親和性は、例えば、非標的分子に対するその親和性よりも、標的分子に対して少なくとも5倍、10倍など、25倍など、とりわけ50倍、及び特に100倍またはそれを上回る割合大きい。一部の実施形態において、抗体または他の結合作用物質と抗原の間の特異的結合は、少なくとも106M−1の結合親和性を意味する。抗体は、例えば、約108M−1〜約109M−1、約109M−1〜約1010M−1、または約1010M−1〜約1011M−1など、少なくとも約107M−1の親和性で結合し得る。抗体は、例えば、50nMもしくはそれを下回る、10nMもしくはそれを下回る、1nMもしくはそれを下回る、100pMもしくはそれを下回る、またはより好ましくは10pMもしくはそれを下回るEC50で結合し得る。
0068
ある特定の実施形態において、Cx43タンパク質の少なくとも一部分に結合し、ならびにCx43シグナル伝達及び癌細胞増殖を阻害する抗体またはそのフラグメントが企図される。好ましくは、抗Cx43抗体は、モノクローナル抗体またはヒト化抗体である。ゆえに、公知の手段によって及び本明細書において記載されるように、Cx43タンパク質、そのそれぞれのエピトープの1つもしくは複数、または前述のもののいずれかの抱合体に特異的である、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体、抗体フラグメント、ならびに結合ドメイン及びCDR(前述のもののいずれかの操作された形態を含む)が、そのような抗原またはエピトープが天然の供給源から単離されているかどうか、または天然化合物の合成誘導体もしくは変種であるかどうかにかかわらず、創出され得る。
0069
本実施形態に適切な抗体フラグメントの例には、限定することなく、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる、Fabフラグメント:(ii)VH及びCH1ドメインからなる、「Fd」フラグメント;(iii)単一抗体のVL及びVHドメインからなる、「Fv」フラグメント;(iv)VHドメインからなる、「dAb」フラグメント;(v)単離されたCDR領域;(vi)2つの連結されたFabフラグメントを含む二価のフラグメントである、F(ab’)2フラグメント;(vii)VHドメイン及びVLドメインが、当該2つのドメインが結び付いて結合ドメインを形成するのを可能にするペプチドリンカーによって連結されている、一本鎖Fv分子(「scFv」);(viii)二重特異性一本鎖Fv二量体(米国特許第5,091,513号を参照されたい);ならびに(ix)遺伝子融合によって構築された多価のまたは多特異性フラグメントである、ダイアボディ(米国特許出願公報20050214860)が含まれる。Fv、scFv、またはダイアボディ分子は、VH及びVLドメインを連結するジスルフィド架橋の組み入れによって安定化され得る。CH3ドメインに接合したscFvを含むミニボディも作製され得る(Hu et al.,1996)。
0070
抗体様結合ペプチド模倣体も、実施形態において企図される。Liu et al.(2003)は、そぎ落とされた抗体として作用し、及びより長い血清半減期ならびにより扱いやすい合成法というある特定の利点を有するペプチドである「抗体様結合ペプチド模倣体」(ABiP)を記載している。
0071
Cx43タンパク質に特異的な抗体を産生するために、Cx43細胞外ドメインタンパク質などの抗原を動物に接種し得る。高い頻度で抗原は別の分子に結合されてまたは抱合されて、免疫応答を増強する。本明細書において使用するとき、抱合体とは、動物において免疫応答を引き出すために用いられる抗原に結合した、任意のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、または非タンパク質性物質である。抗原接種に応答して動物において産生される抗体は、多様な個々の抗体産生Bリンパ球から作製される多様な非同一分子(ポリクローナル抗体)を含む。ポリクローナル抗体とは、そのそれぞれが、同じ抗原上の異なるエピトープを認識し得る抗体種の混合集団である。動物におけるポリクローナル抗体産生のための正しい条件を考慮すれば、動物の血清中の抗体の大部分は、それに対して動物が免疫化されている抗原性化合物上の集合的エピトープを認識するであろう。この特異性は、関心対象の抗原またはエピトープを認識するそうした抗体のみを選択するためのアフィニティー精製によってさらに増強される。
0072
モノクローナル抗体とは、すべての抗体産生細胞が単一のBリンパ球細胞株に由来するため、あらゆる抗体分子が同じエピトープを認識する、抗体の単一種である。モノクローナル抗体(MAb)を生成するための方法は、一般的に、ポリクローナル抗体を調製するためのものと同じ道筋に沿って始まる。一部の実施形態において、マウス及びラットなどの齧歯類が、モノクローナル抗体を生成することにおいて用いられる。一部の実施形態において、ウサギ、ヒツジ、またはカエル細胞が、モノクローナル抗体を生成することにおいて用いられる。ラットの使用は周知であり、ある特定の利点を提供し得る。マウス(例えば、BALB/cマウス)は日常的に用いられ、一般的に、高いパーセンテージの安定な融合体を与える。
0073
ハイブリドーマ技術は、Cx43抗原で以前に免疫化されたマウス由来の単一のBリンパ球と不死の骨髄腫細胞(通常、マウス骨髄腫)との融合を伴う。この技術は、同じ抗原またはエピトープ特異性を有する無制限の分量の構造上同一の抗体(モノクローナル抗体)が産生され得るような、不特定数の生成のための単一抗体産生細胞を繁殖させる方法を提供する。
0074
血漿B細胞は、免疫化されたウサギの新たに調製されたウサギ末梢血単核細胞から単離され得、Cx43結合細胞に対してさらに選択され得る。抗体産生B細胞の富化の後、全RNAが単離され得、及びcDNAが合成され得る。重鎖及び軽鎖の両方からの抗体可変領域のDNA配列が増幅され得、ファージディスプレイFab発現ベクター内に構築され得、及びE.coliに形質転換され得る。Cx43特異的結合Fabが、複数ラウンドの富化パニングを通して選出され得、及びシーケンシングされ得る。選択されたCx43結合ヒットは、ヒト胎児腎臓(HEK293)細胞(Invitrogen)において哺乳類発現ベクターシステムを用いてウサギ及びウサギ/ヒトキメラ形態の全長IgGとして発現され得、ならびに高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)分離ユニットとともにプロテインG樹脂を用いて精製され得る。
0075
一実施形態において、抗体は、キメラ抗体、例えば異種の非ヒト、ヒト、またはヒト化配列(例えば、フレームワーク及び/または定常ドメイン配列)に接ぎ木された、非ヒトドナー由来の抗原結合配列を含む抗体である。外来抗体の可変領域を無傷のままにして、モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖定常ドメインをヒト起源の類似ドメインで置き換える方法が開発されている。あるいは、「完全にヒト」のモノクローナル抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックのマウスにおいて産生される。齧歯類、例えばマウス、及びヒトアミノ酸配列の両方を有する抗体可変ドメインを組換えにより構築することによって、モノクローナル抗体の可変ドメインをよりヒトの形態に変換する方法も開発されている。「ヒト化」モノクローナル抗体では、超可変CDRのみがマウスモノクローナル抗体に由来し、フレームワーク及び定常領域はヒトアミノ酸配列に由来する(米国特許第5,091,513号及び第6,881,557号を参照されたい)。抗体における、齧歯類に特徴的であるアミノ酸配列を、ヒト抗体の対応する箇所に見い出されるアミノ酸配列で置き換えることは、治療的使用の間の有害な免疫反応の可能性を低下させると考えられる。抗体を産生するハイブリドーマまたは他の細胞は、当該ハイブリドーマによって産生される抗体の結合特異性を変更し得るまたは変更し得ない遺伝子変異または他の変化にも供され得る。
0076
様々な動物種においてポリクローナル抗体を産生するための、ならびにヒト化、キメラ、及び完全にヒトを含めた様々なタイプのモノクローナル抗体を産生するための方法は、当技術分野において周知であり、高度に予測可能である。例えば、以下の米国特許及び特許出願は、そのような方法についての実現可能にする説明を提供する:米国特許出願第2004/0126828号及び第2002/0172677号;ならびに米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,196,265号;第4,275,149号;第4,277,437号;第4,366,241号;第4,469,797号;第4,472,509号;第4,606,855号;第4,703,003号;第4,742,159号;第4,767,720号;第4,816,567号;第4,867,973号;第4,938,948号;第4,946,778号;第5,021,236号;第5,164,296号;第5,196,066号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,420,253号;第5,565,332号;第5,571,698号;第5,627,052号;第5,656,434号;第5,770,376号;第5,789,208号;第5,821,337号;第5,844,091号;第5,858,657号;第5,861,155号;第5,871,907号;第5,969,108号;第6,054,297号;第6,165,464号;第6,365,157号;第6,406,867号;第6,709,659号;第6,709,873号;第6,753,407号;第6,814,965号;第6,849,259号;第6,861,572号;第6,875,434号;及び第6,891,024号。本明細書において及びその中において引用されるすべての特許、特許出願公報、及び他の刊行物は、本出願における参照により本明細書によって組み入れられる。
0077
抗体は、トリ及び哺乳類を含めた任意の動物供給源から産生され得る。好ましくは、抗体は、ヒツジ、ネズミ(例えば、マウス及びラット)、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリである。加えて、より新しい技術は、ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリーからのヒト抗体の開発及びスクリーニングを可能にする。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,946,546号に記載されているように、バクテリオファージ抗体発現技術は、動物免疫化なしで特異的抗体が産生されるのを可能にする。これらの技法は、Marks(1992);Stemmer(1994);Gram et al.(1992);Barbas et al.(1994);及びSchier et al.(1996)にさらに記載されている。
0078
Cx43に対する抗体は、動物種、モノクローナル細胞株、または抗体の他の供給源にかかわらず、Cx43の効果を中和し得るまたは和らげ得る能力を有することが十分に予想される。ある特定の動物種は、それらが、抗体の「Fc」部を介した補体系の活性化によりアレルギー応答を引き起こす可能性がより高くあり得るため、治療用抗体を生成するのにあまり好ましくない可能性がある。しかしながら、抗体全体を、「Fc」(補体結合)フラグメントに、及び結合ドメインまたはCDRを有する抗体フラグメントに酵素的に消化し得る。Fc部の除去は、抗原抗体フラグメントが、望ましくない免疫学的応答を引き出す可能性を低下させ、ゆえにFcなしの抗体は、予防的または治療的な処置に優先的であり得る。上で記載されるように、抗体を、キメラまたは部分的もしくは完全にヒトであるように構築して、他の種において産生されているまたは他の種由来の配列を有する抗体を動物に投与することにより生じる有害な免疫学的帰結も低下させ得るまたは排除し得る。
0079
置換変種は、典型的に、タンパク質内の1つまたは複数の部位における別のものに対する1個のアミノ酸の交換を含有し、他の機能または特性の喪失の有無にかかわらず、ポリペプチドの1つまたは複数の特性を変調するように設計され得る。置換は保存的であり得、つまり、1個のアミノ酸は類似の形状及び電荷のもので置き換えられる。保存的置換は、当技術分野において周知であり、例えば、アラニンからセリンへ;アルギニンからリジンへ;アスパラギンからグルタミンまたはヒスチジンへ;アスパラギン酸からグルタミン酸へ;システインからセリンへ;グルタミンからアスパラギンへ;グルタミン酸からアスパラギン酸へ;グリシンからプロリンへ;ヒスチジンからアスパラギンまたはグルタミンへ;イソロイシンからロイシンまたはバリンへ;ロイシンからバリンまたはイソロイシンへ;リジンからアルギニンへ;メチオニンからロイシンまたはイソロイシンへ;フェニルアラニンからチロシン、ロイシン、またはメチオニンへ;セリンからトレオニンへ;トレオニンからセリンへ;トリプトファンからチロシンへ;チロシンからトリプトファンまたはフェニルアラニンへ;及びバリンからイソロイシンまたはロイシンへの変化を含む。あるいは、置換は、ポリペプチドの機能または活性が影響を受けるような非保存的であり得る。非保存的変化は、典型的に、非極性または非荷電アミノ酸の代わりに極性または荷電アミノ酸、逆もしかりなど、化学的に類似していないもので残基を置換することを伴う。
0080
タンパク質は、組換えであり得るまたはインビトロで合成され得る。あるいは、非組換えまたは組換えタンパク質は、細菌から単離され得る。そのような変種を含有する細菌が、組成物及び方法において取り入れられ得ることも企図される。その結果として、タンパク質は単離される必要がない。
0081
組成物内に、mlあたり約0.001mg〜約10mgの全ポリペプチド、ペプチド、及び/またはタンパク質が存在することが企図される。ゆえに、組成物におけるタンパク質の濃度は、約、少なくとも約、または多くとも約0.001、0.010、0.050、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0mg/mlまたはそれを上回る濃度(または、その中に導き出せる任意の値域)であり得る。このうち、約、少なくとも約、または多くとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%は、Cx43に結合する抗体であり得る。
0082
抗体、または好ましくは抗体の免疫学的部分は、他のタンパク質に化学的に抱合され得る、または他のタンパク質との融合タンパク質として発現され得る。本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、すべてのそのような融合タンパク質は、抗体または抗体の免疫学的部分の定義に含まれる。
0083
実施形態は、少なくとも1種の作用物質に連結されて、抗体抱合体またはペイロードを形成する、Cx43、ポリペプチド、及びペプチドに対する抗体及び抗体様分子を提供する。診断用または治療用作用物質としての抗体分子の効力を増加させるために、少なくとも1つの所望の分子または部分に連結させるまたは共有結合的に結合させるまたは複合させることが従来的である。そのような分子または部分は、少なくとも1つのエフェクターまたはレポーター分子であり得るが、それらに限定されるわけではない。エフェクター分子には、所望の活性、例えば細胞傷害活性を有する分子が含まれる。抗体に付着されているエフェクター分子の非限定的な例には、毒素、治療用酵素、抗生物質、放射性標識されたヌクレオチド等が含まれる。対照的に、レポーター分子は、アッセイを用いて検出され得る任意の部分として定義される。抗体に抱合されているレポーター分子の非限定的な例には、酵素、放射性標識、ハプテン、蛍光標識、リン光性分子、化学発光分子、発色団、発光性分子、光親和性分子、着色粒子、またはビオチンなどのリガンドが含まれる。
0084
抗体のその抱合部分への付着または抱合のためのいくつかの方法が、当技術分野において公知である。一部の付着法は、抗体に付着した、例えばジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA);エチレントリアミン四酢酸;N−クロロ−p−トルエンスルホンアミド;及び/またはテトラクロロ−3−6−ジフェニルグリコルリル−3のような有機キレート剤を採用した金属キレート錯体の使用を伴う。モノクローナル抗体は、グルタルアルデヒドまたはペリオデートなどのカップリング剤の存在下で、酵素とも反応し得る。フルオレセインマーカーとの抱合体は、これらのカップリング剤の存在下でまたはイソチオシアネートとの反応によって調製される。
0085
II.疾患の治療
本実施形態のある特定の態様を用いて、Cx43シグナル伝達と関連した疾患または障害を予防し得るまたは治療し得る。Cx43のシグナル伝達は、癌細胞増殖を阻止する任意の適切な薬物によって低下し得る。好ましくは、そのような物質は抗Cx43抗体であろう。
0086
「治療」及び「治療する」とは、疾患、または健康状態に関係する病状の治療的利益を得る目的のための、対象への治療用作用物質の投与もしくは適用、または対象に対する施術もしくは治療法の実施を指す。例えば、治療は、Cx43シグナル伝達を阻害する抗体の薬学上有効な量の投与を含み得る。
0088
本出願にわたって用いられる「治療的利益」または「治療上有効な」という用語は、この病状の医学的治療に関して対象の健康を促進するまたは増強するいかなるものをも指す。これには、疾患の兆候または症状の頻度または重症度の低下が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、癌の治療は、例えば腫瘍のサイズの低下、腫瘍の侵襲性の低下、癌の成長速度の低下、または転移の阻止を伴い得る。癌の治療は、癌を有する対象の生存を引き延ばすことも指し得る。
0089
A.薬学的組成物
ある特定の態様は、薬学的に許容されるキャリアとともに製剤化された、モノクローナル抗体またはその抗原結合部(複数可)の1つまたは組み合わせを含有する組成物、例えば薬学的組成物を含む。そのような組成物は、本明細書において記載される(例えば、2種またはそれを上回る種類の異なる)抗体または免疫抱合体の1つまたは組み合わせを含み得る。例えば、本発明の薬学的組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合する、または相補的活性を有する抗体の組み合わせを含み得る。
0091
本明細書において使用するとき、「薬学的に許容されるキャリア」には、生理学的に適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。好ましくは、キャリアは、静脈内、筋肉内、皮下、または非経口投与(例えば、注射または注入による)に適切である。投与の経路に応じて、活性化合物、すなわち抗体、または免疫抱合体は、当該化合物を不活性化し得る酸の作用及び他の天然条件から当該化合物を保護する材料にコーティングされ得る。
0092
本発明の薬学的組成物において採用され得る適切な水性及び非水性キャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの適切な混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが含まれる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。
0093
薬学的に許容されるキャリアには、無菌の水溶液または分散液、及び無菌の注射可能な溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒体及び作用物質の使用は、当技術分野において公知である。任意の従来的な媒体または作用物質が活性化合物と不適合である限りを除いて、本発明の薬学的組成物におけるそれらの使用が企図される。補足的な活性化合物も、組成物に組み入れられ得る。
0094
治療用組成物は、典型的に、製造及び保管の条件下で無菌及び安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルション、リポソーム、または高い薬物濃度に適切な他の秩序構造として製剤化され得る。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合には要求される粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムなど、糖類、ポリアルコールを内包することが好ましい。注射可能な組成物の長期吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に内包することによってもたらされ得る。
0095
無菌の注射可能な溶液は、要求に応じて、上記で列挙された成分の1つまたは組み合わせとともに、適当な溶媒中に要求される量の活性化合物を組み入れ、その後に滅菌精密濾過が続くことによって調製され得る。一般的に、分散液は、基本的な分散媒、及び上記で列挙されたものからの要求される他の成分を含有する無菌ビヒクル中に、活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌の注射可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分と、それに加えて以前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の付加的な所望の成分との粉末を産出する真空乾燥及び冷凍乾燥(凍結乾燥)である。
0096
キャリア材料と組み合わされて単一剤形を産生し得る活性成分の量は、治療されている対象、及び投与の特定の様式に応じて変動する。キャリア材料と組み合わされて単一剤形を産生し得る活性成分の量は、一般的に、治療効果をもたらす組成物のその量である。一般的に、100パーセントのうち、この量は、薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて、約0.01パーセント〜約99パーセントの活性成分、好ましくは約0.1パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約1パーセント〜約30パーセントの活性成分に及ぶ。
0097
投薬量レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療的応答)を提供するように調整される。例えば、単回ボーラスを投与し得る、いくつかの分割された用量を経時的に投与し得る、または用量を、治療状況の緊急要件によって示されるように比例的に低下させ得るもしくは増加させ得る。投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、非経口組成物を単位剤形に製剤化することがとりわけ有利である。本明細書において用いられる単位剤形とは、治療されるべき対象に対する単位投薬量として合う物理的に別々の単位を指し;各単位は、要求される薬学的キャリアと共同して所望の治療効果をもたらすように算出された、あらかじめ決められた分量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形に関する仕様は、(a)活性化合物の固有の特徴及び達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)個体における感受性についての、治療のためにそのような活性化合物を混ぜ合わせることの当技術分野において特有の制約、によって決定付けされ及びそれらに直接依存する。
0098
抗体の投与に関して、投薬量は、宿主体重の約0.0001〜100mg/kg、及びより通常には0.01〜5mg/kgに及ぶ。例えば、投薬量は、0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重、もしくは10mg/kg体重であり得る、または1〜10mg/kgの値域内であり得る。例示的な治療レジームは、週1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、4週間ごとに1回、1ヶ月に1回、3ヶ月ごとに1回、または3〜6ヶ月ごとに1回の投与を伴う。本発明の抗ヘミチャネル抗体に対する好ましい投薬量レジメンには、静脈内投与を介した1mg/kg体重または3mg/kg体重が含まれ、抗体は、以下の投薬スケジュールのうちの1つを用いて与えられる:(i)6回の投薬量に対して4週間ごと、次いで3ヶ月ごと;(ii)3週間ごと;(iii)1回の3mg/kg体重、それに続く3週間ごとの1mg/kg体重。
0099
一部の方法において、異なる結合特異性を有する2種またはそれを上回る種類のモノクローナル抗体が同時に投与され、その場合、投与される各抗体の投薬量は、示された値域内に入る。抗体は、通常、何度も投与される。単一投薬量の間の間隔は、例えば週に1回、月に1回、3ヶ月ごと、または年に1回であり得る。間隔は、患者における標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって示されるように、不規則でもあり得る。一部の方法において、投薬量を調整して約1〜1000μg/mlの血漿抗体濃度、及び一部の方法において約25〜300μg/mlを達成する。
0100
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルを変動させて、患者に有害であることなく、特定の患者、組成物、及び投与の様式に対する所望の治療的応答を達成するために有効である活性成分の量を獲得し得る。選択される投薬量レベルは、採用された本発明の特定の組成物の活性、投与の経路、投与の時間、採用されている特定の化合物の排出の速度、治療の継続期間、採用された特定の組成物と組み合わせて用いられる他の薬物、化合物、及び/または材料、治療されている患者の年齢、性別、重量、病状、全般的健康状態、及び以前の病歴、ならびに医学の技術分野において周知の同様の因子を含めた、多様な薬物動態学的因子に依存する。
0101
「治療上有効な投薬量」の抗ヘミチャネル抗体は、疾患症状の重症度の減少、疾患症状がない期間の頻度及び継続期間の増加、または疾患の苦痛による機能障害もしくは障碍の阻止をもたらす。治療上有効な量の治療用化合物または抗体は、腫瘍転移を減少させ得る、または対象における症状を別様に改善し得る。当業者であれば、対象のサイズ、対象の症状の重症度、及び特定の組成物または選択された投与の経路などのような因子に基づいて、そのような量を決定することができるであろう。
0102
本発明の組成物は、当技術分野において公知の多様な方法のうちの1つまたは複数を用いて、投与の1つまたは複数の経路を介して投与され得る。当業者によって解されるであろうように、投与の経路及び/または様式は、所望の結果に応じて変動する。本発明の抗体に対する好ましい投与の経路には、例えば注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、または他の非経口の投与の経路が含まれる。本明細書において用いられる「非経口投与」という語句は、通常は注射による、腸内及び局所投与以外の投与の様式を意味し、限定することなく、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内の注射及び注入を含む。
0103
B.併用治療
ある特定の実施形態において、本実施形態の組成物及び方法は、第二のまたは付加的な療法と組み合わせて、Cx43に対する抗体または抗体フラグメントを伴って、癌細胞増殖におけるその活性を阻害する。そのような療法は、Cx43仲介性細胞増殖と関連する任意の疾患の治療において適用され得る。例えば、疾患は癌であり得る。
0104
併用療法を含めた方法及び組成物は、治療効果もしくは保護効果を増強し、及び/または別の抗癌もしくは抗過剰増殖療法の治療効果を増加させる。治療的及び予防的な方法及び組成物は、癌細胞の殺傷及び/または細胞過剰増殖の阻害など、所望の効果を達成するために有効な組み合わせた量で提供され得る。この工程は、細胞と、抗体または抗体フラグメント及び第二の療法とを接触させることを伴い得る。組織、腫瘍、及び/または細胞を、作用物質(すなわち、抗体もしくは抗体フラグメント、または抗癌剤)のうちの1種または複数種を含む、1つまたは複数の組成物または薬理学的製剤(複数可)と接触させ得る、あるいは1つの組成物が1)抗体もしくは抗体フラグメント、2)抗癌剤、または3)抗体もしくは抗体フラグメント及び抗癌剤の両方を提供する、2つまたはそれを上回る数の個別の組成物または製剤と接触させ得る。また、そのような併用療法は、化学療法、放射線療法、外科的療法、または免疫療法と併せて用いられ得ることが企図される。
0105
「接触した」及び「曝露した」という用語は、細胞に適用される場合、治療用構築物及び化学療法用または放射線療法用作用物質が標的細胞に送達される、または標的細胞と直接並べて置かれる過程を記載するために本明細書において用いられる。細胞殺傷を達成するために、例えば両作用物質は、細胞を殺傷するまたはそれが分裂するのを阻止するために有効な組み合わせた量で細胞に送達される。
0106
阻害抗体は、抗癌治療に対して前、間、後、または様々な組み合わせで投与され得る。投与は、同時から数分間〜数日間〜数週間に及ぶ間隔にあり得る。抗体または抗体フラグメントが抗癌剤とは別個に患者に提供される実施形態において、一般的に、2種の化合物が依然として患者に対して有利な組み合わせ効果を発揮し得るように、有意な期間が各送達の時間の間に失効しなかったことを確保する。そのような場合、互いの約12〜24または72時間以内、及びより特に互いの約6〜12時間以内に、抗体療法及び抗癌療法を患者に提供し得ることが企図される。ある状況では、それぞれの投与間で数日間(2、3、4、5、6、または7日間)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する、治療の期間を有意に引き延ばすことが望ましくあり得る。
0107
ある特定の実施形態において、治療のコースは、1〜90日間またはそれを上回る期間(このような値域は介入日を含む)続く。一方の作用物質は、1日目〜90日目(このような値域は介入日を含む)の任意の日またはそれらの任意の組み合わせに与えられ得、及びもう一方の作用物質は、1日目〜90日目(このような値域は介入日を含む)の任意の日またはそれらの任意の組み合わせに与えられることが企図される。1日(24時間の期間)のうちで、患者は、作用物質(複数可)の1回または複数回の投与を与えられ得る。さらに、治療のコースの後、抗癌治療が施されない期間があることが企図される。この期間は、彼らの予後、体力、健康状態など、患者の病状に応じて、1〜7日間、及び/または1〜5週間、及び/または1〜12ヶ月もしくはそれを上回る期間(このような値域は介入日を含む)続き得る。治療サイクルは、必要に応じて繰り返されることが予想される。
0108
様々な組み合わせが採用され得る。下記の例に関しては、抗体療法が「A」であり、抗癌療法が「B」である。
0109
患者への本実施形態の任意の化合物または療法の投与は、もしあるとしたら作用物質の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的プロトコールに従う。それゆえ、一部の実施形態では、併用療法に起因する毒性をモニターするステップがある。
0110
i.化学療法
本実施形態に従って、多種多様の化学療法用作用物質が用いられ得る。「化学療法」という用語は、癌を治療するための薬物の使用を指す。「化学療法用作用物質」は、癌の治療において投与される化合物または組成物を含意するために用いられる。これらの作用物質または薬物は、細胞内でのそれらの活性の様式、例えばそれらが細胞周期に影響を及ぼすかどうか及びどの段階で影響を及ぼすかによって分類される。あるいは、作用物質は、DNAに直接架橋し得る、DNA内にインターカレートし得る、または核酸合成に影響を及ぼすことによって染色体異常及び有糸分裂異常を誘導し得るその能力に基づいて特徴付けされ得る。
0111
化学療法用作用物質の例には、チオテパ及びシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含めたエチレンイミン及びメチルメラミン;アセトゲニン(とりわけ、ブラタシン及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体KW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質(例えばカリケマイシン、とりわけカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンオメガI1)などの抗生物質;ジネマイシンAを含めたジネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、及びゾルビシン;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、プテロプテリン、及びトリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、ドロスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトンなどのアンドロゲン;ミトタン及びトリロスタンなどの抗副腎薬;フォリン酸などの葉酸補給薬;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖類複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(とりわけ、T−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンA、及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えばパクリタキセル及びドセタキセル・ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT−11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれる。
0112
ii.放射線療法
DNAダメージを引き起こし、広範囲に用いられている他の因子には、γ線、X線、及び/または腫瘍細胞への放射性同位体の直接送達として一般に知られるものが含まれる。マイクロ波、陽子ビーム照射(米国特許5,760,395及び4,870,287)、及びUV照射など、DNAダメージ因子の他の形態も企図される。これらの因子のすべては、DNAに対して、DNAの前駆体に対して、DNAの複製及び修復に対して、ならびに染色体の会合及び維持に対して広範なダメージを及ぼす可能性が最も高い。X線に対する線量域は、長期間(3〜4週間)の50〜200レントゲンの1日線量から、2000〜6000レントゲンの単回線量に及ぶ。放射性同位体に対する線量域は、大幅に変動し、同位体の半減期、放たれた放射線の強度及びタイプ、ならびに新生細胞による取り込みに依存する。
0113
iii.免疫療法
当業者であれば、付加的な免疫療法が、実施形態の方法と組み合わせてまたはそれと併せて用いられ得ることを理解するであろう。癌治療の背景において、免疫療法は、一般的に、癌細胞を標的にし及び破壊する免疫エフェクター細胞及び分子の使用に頼る。リツキシマブ(リツキサン(登録商標))はそのような例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上のあるマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体単独で療法のエフェクターとして働き得る、またはそれは、細胞殺傷を実際に及ぼすように他の細胞を導き得る。抗体は、また、薬物または毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素等)に抱合され得、及び標的化作用物質として働き得る。あるいは、エフェクターは、直接的または間接的に、腫瘍細胞標的と相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。様々なエフェクター細胞には、細胞傷害性T細胞及びNK細胞が含まれる。
0114
免疫療法の一態様において、腫瘍細胞は、標的化に適している、すなわち他の細胞の大多数に存在していない、あるマーカーを持っていなければならない。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれかは、本実施形態の背景における標的化に適切であり得る。よく見られる腫瘍マーカーには、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG−72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erbB、及びp155が含まれる。免疫療法の代替的な態様は、抗癌効果と免疫刺激効果とを組み合わせることである。IL−2、IL−4、IL−12、GM−CSF、ガンマ−IFNなどのサイトカイン、MIP−1、MCP−1、IL−8などのケモカイン、及びFLT3リガンドなどの成長因子を含めた、免疫刺激分子も存在する。
0115
現在調査中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えばウシMycobacterium、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(米国特許5,801,005及び5,739,169;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えばインターフェロンα、β、及びγ、IL−1、GM−CSF、ならびにTNF(Bukowski et al.,1998;Davidson et al.,1998;Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えばTNF、IL−1、IL−2、及びp53(Qin et al.,1998;Austin−Ward and Villaseca,1998;米国特許5,830,880及び5,846,945);ならびにモノクローナル抗体、例えば抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185(Hollander,2012;Hanibuchi et al.,1998;米国特許5,824,311)である。1つまたは複数の抗癌療法は、本明細書において記載される抗体療法とともに採用され得ることが企図される。
0116
iv.外科手術
癌を有する人のおよそ60%は、予防の、診断または病期診断の、治癒の、及び苦痛緩和の手術を含む、あるタイプの手術を受ける。治癒の手術は、癌性組織のすべてまたは一部が物理的に除去され、摘出され、及び/または破壊される切除術を含み、本実施形態の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/または代替的療法などの他の療法と併せて用いられ得る。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を指す。腫瘍切除に加えて、外科手術による治療には、レーザー手術、凍結外科手術、電気外科手術、及び顕微鏡下で制御される外科手術(モース手術)が含まれる。
0117
癌性細胞、組織、または腫瘍の一部またはすべての摘出があると、身体に空洞が形成され得る。治療は、付加的な抗癌療法を用いた、当該エリアの灌流、直接注射、または局所的適用によって達成され得る。そのような治療は、例えば1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごとに、または1、2、3、4、及び5週間ごとに、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月ごとに繰り返され得る。これらの治療は、変動投薬量のものでもあり得る。
0118
v.他の作用物質
治療の治療効力を向上させるために、他の作用物質が本実施形態のある特定の態様と組み合わせて用いられ得ることが企図される。これらの付加的な作用物質には、細胞表面受容体及びGAP結合の上方調節を及ぼす作用物質、細胞増殖抑制剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、アポトーシス誘導因子に対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる作用物質、または他の生物学的作用物質が含まれる。GAP結合の数を上昇させることによる細胞間シグナル伝達の増加は、近隣の過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増加させるであろう。他の実施形態において、細胞増殖抑制剤または分化剤を本実施形態のある特定の態様と組み合わせて用いて、治療の抗過剰増殖効力を向上させ得る。細胞接着の阻害剤は、本実施形態の効力を向上させることが企図される。細胞接着阻害剤の例は、焦点接着キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。治療の効力を向上させるために、c225抗体など、アポトーシスに対する過剰増殖細胞の感受性を増加させる他の作用物質が、本実施形態のある特定の態様と組み合わせて用いられ得ることがさらに企図される。
0119
III.キット及び診断
実施形態の様々な態様において、治療用作用物質及び/または他の治療用及び送達用作用物質を含有するキットが想定される。一部の実施形態において、本実施形態は、実施形態の療法を準備する及び/または施すためのキットを企図する。キットは、本実施形態の薬学的組成物のいずれかを含有する1つまたは複数の密封バイアルを含み得る。キットは、例えば、少なくとも1種のCx43抗体、ならびに実施形態の構成成分を調製する、処方する、及び/または投与するための、あるいは本発明の方法の1つまたは複数のステップを実施するための試薬を含み得る。一部の実施形態において、キットは、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、またはチューブなど、キットの構成成分と反応しない容器である適切な容器も含み得る。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から作製され得る。
0120
キットは、本明細書において明記される方法の手順ステップを概説する指示シートをさらに含み得、及び本明細書において記載されるまたは当業者に公知であるものと実質的に同じ手順に従う。指示情報は、コンピューターを用いて実行される場合、薬学上有効な量の治療用作用物質を送達する現実または仮想の手順の呈示をもたらす、機械可読の指示を含有するコンピューター可読媒体の中にあり得る。
0121
IV.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。後に続く実施例において開示される技法は、本発明の実践において十分に機能することが本発明者らによって発見された技法であり、ゆえにその実践のための好ましい様式をなすと見なされ得ることが当業者によって解されるべきである。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変化が、開示される具体的な実施形態において加えられ得、及び依然として同様または類似の結果を獲得し得ることを解するべきである。
0122
実施例1−抗Cx43モノクローナル抗体
抗Cx43モノクローナル抗体を生成し、及びCx43結合モノクローナル抗体を産生するクローンを同定した。すべての抗体配列に対するDNA及びアミノ酸の両方のCDR配列が、特徴付けされた抗体のそれぞれに対する正しいペアとともに、下記の表に示されている。
0123
表1:2種の機能的抗体に対する重鎖及び軽鎖のペア
0124
表2:ハイブリドーマ由来の抗体鎖の配列
0126
図表1.DNA配列
0127
図表2.アミノ酸配列
0128
実施例2−脊髄及び神経損傷(SCI)の治療的使用
図1に図解されるように、Cx43は、通常、細胞間のギャップ結合に、または原形質膜上のヘミチャネルとして局在する。Cx43ヘミチャネルの病的開口は、二次性損傷の伝播、アストロ/ミクログリアの活性化、及び炎症をもたらす。Cx43ヘミチャネルの病的開口を阻止することが、分子の放出を阻止し、アストロサイトが世話役細胞として作用し及び二次性損傷のさらなる広がりを阻止することを可能にすることが提案される。
0129
ヒト初代アストロサイトにおけるIL−1βによるCx43ヘミチャネルの活性化は、Cx43ヘミチャネルを遮断するマウスモノクローナル抗体(M1)及びマウス−ヒトキメラ抗体HMAb1の両方によって阻害された。ヘミチャネル活性を、エチジウムブロマイド取り込みによって判定した。結果は図2に示されている。
0130
HMAb1で処理されたマウスは、グリア瘢痕化を減少させた。マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照Igg、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。グリア瘢痕化を、損傷後14及び56日目に測定した。脊髄組織切片を、アストロサイトマーカーGFAP(赤色)に対する免疫組織化学に供した。対照IgGで処理されたマウスにおける脊髄の代表的な画像は図3のA〜Cに示されており、HMAb1で処理されたものは図3のD〜Fに示されている。病変境界は、白の点線で表示されている。GFAP免疫標識を、図3のGにおける陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。結果は、SEMによる平均である。Igg wと比較して、*p<0.05、***p<0.001/テューキーのHSD n=3〜4。
0131
グリア瘢痕化は、SCI後に抗Cx43で処理されたマウスにおいても低下した。マウスをSCIに供し、損傷後30分の時点でIgGまたは抗Cx43抗体(M1)で処理した。損傷の2週間後、組織切片をアストロサイトマーカーGFAPの発現について解析した。代表的な画像が図4のA及びBに示されている。結果は図4のCにおいて定量されている。
0132
SCIを有するマウスは、HMAb1による処理後に後肢機能を回復する(図5のA〜B)。マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照IgG、またはヒト−マウスキメラ抗Cx43抗体(HMAb1)(25mg/kg)で30分間処理した。
0133
HMAb1で処理されたマウスは、SCIの14日後に、病変周辺エリアにおいてより多くのニューロン樹状突起を有することが見い出された。上で記載されるように、マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照Igg、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。ニューロンマーカーMAP2に対して免疫標識することによって、ニューロン樹状突起を測定した。対照IgGで処理されたマウスにおける脊髄の免疫組織化学の代表的な画像は図6のA〜Cに示されており、HMAb1で処理されたものは図6のD〜Fに示されている。病変境界は、白の点線で表示されている。図6のGに図解されるように、MAP2免疫標識を、陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。
0134
HMAb1で処理されたマウスは、SCIの14日後に病変周辺エリアにおいてより多くのニューロン核を有することも観察された。再度、マウスを単回のSCIに供し、損傷後にIP生理食塩水、対照IgG、またはHMAb1(25mg/kg)で30分間処理した。ニューロンマーカーNeuNに対して免疫標識することによって、ニューロン核を測定した。対照IgGで処理されたマウスにおける脊髄の免疫組織化学の代表的な画像は図7のA〜Cに示されており、HMAb1で処理されたものは図7のD〜Fに示されている。病変境界は、白の点線で表示されている。図7のGに示されるように、NeuN免疫標識を、陽性染色の面積を乗じた平均強度として定量した。結果は、偽手術のIgG処理されたマウスについてのパーセンテージとして表現されている。
0135
実施例3−診断的及び癌治療的な使用
米国では、毎年、転移性乳癌によるおよそ40,000件の死亡がある。進行性乳癌を有する患者の約70〜80%は、骨格転移を発症する。骨転移のみで、乳癌治療の費用の3分の2を占める。
0136
溶骨性腫瘍成長は、骨細胞特異的Cx43ノックアウトマウスにおいて増大することが見い出された。Py8119−Luc細胞を、対照及びcKO雌マウスの右脛骨に注射した。左脛骨に、対照としてPBSを注射した。腫瘍成長を、生物発光イメージングによって4週間毎週記録し、定量した(図8のA〜C)。
0137
MLO−Y4骨細胞及び初代マウス骨細胞を、E2(ポリクローナル)、HMAb1、及びHMAb2抗体、またはコネキシンチャネル遮断薬であるカルベノキソロン(CBX)とともにインキュベートした。エチジウムブロマイド(EtBr)色素取り込みアッセイを実施した(図9のA〜B)。Cx43 HMAb2抗体はヘミチャネルを活性化することが見い出された。
0138
加えて、Cx43(M1)抗体は、インビボで骨細胞に送達され、及び脛骨負荷によって誘導されたエバンスブルー取り込みを遮断することが見い出された。エバンスブルー色素を、WT、骨細胞特異的Cx43 KOの尾静脈に注射した。マウスIgGまたはCx43(M1)mAb(25mg/kg)を、色素注射の2時間前にi.p.注射した。色素注射の30分後、左脛骨に10分間機械的負荷を1回かけた。マウスを屠殺し、PBSで灌流した。脛骨を単離し、及び固定された脛骨の骨組織切片を調製した。結果は図10のA〜Cに示されている。
0139
HMAb2による溶骨性腫瘍成長の阻害も観察された。Py8119−Luc細胞を、雌マウスの右脛骨に注射した(図11のA)。左脛骨に、対照としてPBSを注射した。25mg/kgにおけるHMAb2を、4週間、週1回または週2回のいずれかでi.p.注射した。生理食塩水を対照マウスに週2回注射した。腫瘍成長を、生物発光イメージングによって4週間毎週記録し、定量した(図11のB)。
0140
実施例4−骨関節炎治療
マウスの骨から単離された初代軟骨細胞を、透過性細胞においてC末ドメインに対する抗Cx43抗体(全体)で、及び非透過性細胞においてCx43E2抗体で免疫染色した(図12)。初代軟骨細胞の細胞表面で、Cx43発現が観察された。
0141
別の調査において、マウスの骨から単離された初代軟骨細胞を、カルベノキソロン(コネキシンチャネル遮断薬)またはHMAb1抗体で前処理し、次いでIL−1βの有りまたは無しで処理した。エチジウムブロマイド色素取り込みアッセイを実施して、ヘミチャネル活性を判定した(図13)。初代軟骨細胞において、HMAb1抗体は、IL−1βによるヘミチャネル開口を阻害することが観察された。
0142
上記の実施例にあるように、脛骨負荷によって誘導されたエバンスブルー取り込みは、インビボでCx43ヘミチャネル遮断抗体によって遮断された。エバンスブルー色素を、WTマウスの尾静脈に注射した。Cx43(M1)mAb(25mg/kg)を、色素注射の2時間前にi.p.注射した。色素注射の30分後、左脛骨に10分間機械的負荷を1回かけた。色素取り込みをエバンスブルー(EB)蛍光によって測定し、定量した(図14)。
* * *
実施例
0143
本明細書において開示され及び主張される方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験なしで行われ得及び実行され得る。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点から記載されているものの、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、本明細書において記載される方法に及び方法のステップにおいてまたはステップの配列において変動が適用され得ることは当業者に明白であろう。より具体的には、化学的及び生理学的の両方で関連しているある特定の作用物質は、本明細書において記載される作用物質に代わって置換され得、一方で同じまたは類似の結果が達成されることは明白であろう。当業者に明白なすべてのそのような類似の置換及び改変は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲、及び概念の内にあると見なされる。
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