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技術 ポリペプチドライブラリ

出願人 モルフォシス・アーゲー
発明者 ミュラー,ロジャーブルトマン,アンドレアスプラスラー,ヨゼフモースメイヤー,マルクス
出願日 2017年3月3日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2018-545500
公開日 2019年4月4日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 2019-509040
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 設計テンプレート 定常状態モデル 提示速度 予想範囲 結合チューブ 曝露領域 界面相 配向部分
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図面 (14)

課題・解決手段

本発明は、逆平行ヘリックスターン−ヘリックス配置で立体構造的拘束されている新規ポリペプチドライブラリに関する。本発明はさらに、生物学的使用、薬学的使用および他の使用のために、そのようなライブラリを生成する方法およびスクリーニングする方法に関する。

概要

背景

治療に関連する分子を同定するための強力な資源としてペプチドライブラリが現れている。加えて、ペプチドライブラリは、多くの他の目的および基礎研究に関連した資源でもある。

治療上、ペプチドは、小分子および大きい生物製剤(例えば抗体)を超えるいくつかの利点を有する。小分子と比較してペプチドは抗原との大きな相互作用界面を概して有し、この相互作用界面は水素結合およびファンデルワールス力を含む。この相互作用界面により、高親和性結合、抗原に対する高特異性および典型的には高効力がもたらされる。抗体と比較してペプチドは非常に小さく、従って典型的には組織に容易に浸透する。抗体治療は特定の腫瘍に利用不能である。

拘束されたペプチドを利用するライブラリ等の多数のファージディスプレイペプチドライブラリが存在する。拘束性ペプチドは、直鎖ペプチドに関連するいくつかの欠点(例えば、より高い立体構造的柔軟性に起因する弱い結合親和性、および人体でのタンパク質分解に対する感受性の増加)を克服する。

ポリ)ペプチドの天然に存在する拘束モチーフα−ヘリックス束である。α−ヘリックスは最大クラスのタンパク質二次構造を構成し、タンパク質−タンパク質相互作用仲介で重要な役割を果たす。しかしながら、長さが10〜30個のアミノ酸である短い合成ペプチドは通常、水中において熱力学的に安定なヘリックスではなくランダム構造のみを取る(Harrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2010 Jun 29;107(26))。

α−ヘリックス束は、2つ、4つまたはさらに多くの束等の様々な形態で現れ得る。そのような束タンパク質中の個々のα−ヘリックスペプチドは平行または逆平行の配置で配向され得、そのためヘリックス軸が互いにわずかにずれて並ぶコイルドコイル構造が形成される。

そのような束中に存在するα−ヘリックス構造は通常、親水性の外部と、疎水性の内部と、ヘリックス間の塩架橋相互作用を形成する極性アミノ酸残基境界とからなるプロファイルを有するヘプタド反復を含む。

ケラチンミオシンエピルミン、フィブリノゲンおよびトロポミオシンのような多くの天然に存在するタンパク質は、2つの二量体化α−ヘリックスペプチドにより形成されたコイルドコイル構造を有する。さらに、コイルドコイル構造はDNA結合タンパク質で頻繁に見出されており、このモチーフはロイシンジッパーと称される。

コイルドコイルドメインはまた、Jun、Fos(O’Shea et al.,Science.245:646−648(1989))、C/EBP(Landschultz et al.,Science.240:1759−1764(1988))でも見出されており、例えばGCN4結合タンパク質(O’Shea et al.,Science.242:538−542(1989))で見出されている。天然に存在するα−ヘリックスコイルドコイル構造は平行配向で見出されることが多く、この平行方向は安定した立体構造であると考えられる。

そのような構造を特定の認識分子の設計に適応させるアプローチが説明されている。国際公開第94/29332号パンフレットでは逆平行のコイルドコイルを含むポリペプチドが説明されており、上記骨格は、DNA結合タンパク質およびサイトカイン等の天然に存在するタンパク質由来のヘリックス認識配列を組み込むように改変された。

米国特許第5,824,483号明細書では、新規に設計され且つ化学合成されたα−ヘリックスペプチドのコンビナトリアルライブラリ構築が説明されている。このα−ヘリックスペプチドはヘリックス内ラクタム架橋により安定化されており、任意選択で追加の第2のα−ヘリックスペプチドにより安定化されており、そのため平行または逆平行の配向の二量体コイルコイル構造が得られた。しかしながら、唯一使用可能なペプチドライブラリは、2つのヘリックス内ラクタム架橋により安定化され且つ5箇所のアミノ酸位置で多様化された単一の24個のアミノ酸の長さのα−ヘリックスポリペプチド鎖包含した。

Fujiiら(Tetrahedron Letters 42,3323−3325(2001))は、ヘリックス−ターン−ヘリックスベースのライブラリのより具体的なアプローチを説明する。この科学刊行物では、アミノ酸末端ペプチドおよびカルボキシル末端ペプチドがグリシンベースのリンカーを介して連結されている新規に化学合成された逆平行配向のヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリが開示されている。2つのヘリックス−ターン−ヘリックス形成ペプチドの各々は14個のアミノ酸で構成され、2つのそれぞれのヘリックス上のロイシン残基との疎水性相互作用により安定化された。本開示のライブラリとは対照的に、カルボキシル末端ヘリックスペプチドのみが、5つの天然に存在するアミノ酸残基の混合物により3箇所の溶媒露出位置で多様化された。

ペプチドライブラリを利用する補足的な方法は、繊維状バクテリオファージ上でのそのようなライブラリの提示である。この方法は、合成により調製され得るライブラリと比べてはるかに大きい1010種の固有のペプチドメンバーほどのライブラリの調製を可能にする。

2008年にはFujiiおよび共同研究者により、ファージにより提示される逆平行配向のヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリが説明された(Biochemistry,47,6745−6751(2008))。上述したライブラリとは対照的に、カルボキシル末端ヘリックスペプチドは、5つの溶媒曝露領域ランダム化されて3.2×106種の理論的ライブラリサイズを生じた。このライブラリは、検出可能なタグと共にグリシン/セリンリンカーにより、繊維状ファージの主要なコートタンパク質VIII上で提示された。2011年(Drug Delivery System,26−6,2011,p.593−603)、2009年(Yakugaku Zasshi,129(11),1303−1309,2009)および2013年(Current Protocols in Chemical Biology,vol.5(3),171−194,2013)にはFujiiらにより、「マイクロ抗体」を生成するためのヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリの特定の利用がさらに説明されている。

Fujiiおよび共同研究者により説明された2種のライブラリの共通する構造上の特徴は、2つのα−ヘリックスペプチドの溶媒曝露位置でのアラニン優勢な使用である。アラニンの伸長(ポリアラニン)はα−ヘリックス構造の形成を促進することが知られているが、水溶液中では低い溶解度を示す場合もあり、そのため凝集する傾向がある。

さらに重要なことに、Fujiiおよび共同研究者により説明されたライブラリは、溶媒露出アラニン位置を多様化させることによりカルボキシル末端α−ヘリックスペプチド内でのみ多様化されている。このシナリオでは、多様化されていないアミノ末端ペプチドは、そのα−ヘリックス構造を保持し且つこの分子のヘリックス−ターン−ヘリックス構造を安定化させると考えられる。しかしながら、Fujiiにより提供されたカルボキシル末端α−ヘリックスペプチドのランダム化により、正確に折り畳まれたヘリックス−ターン−ヘリックス構造を富化させるために特定の精製プロセスを必要とする望ましくない複数のランダム様立体構造を有するライブラリメンバーが依然として生じた(Fujiiら(Tetrahedron Letters 42,3323−3325(2001))。

2つのα−ヘリックスペプチドのうちの一方のみを多様化することの主な欠点は、このアプローチが、達成可能なライブラリサイズを著しく限定し、且つライブラリのポリペプチドと、このポリペプチドが結合した目的の標的分子との間の相互作用界面相(interphase)を著しく狭めて特異性および親和性が低下するという事実にある。

上述のアプローチの限界に基づいて、相当なサイズの改善されたヘリックス−ターン−ヘリックスポリペプチドライブラリを開発するという満たされていない必要性が依然として存在する。

本開示のライブラリは、Fujiiにより開示されたライブラリと様々な形で異なる。本開示のライブラリの設計は、統計的な、構造的なおよび合理的な因子を考慮した複合アプローチに基づく。このアプローチは、第1の例では、天然に存在するα−ヘリックス構造中の所与の位置で見出された最も豊富なアミノ酸残基の分析および使用を含んだ。そのようなアミノ酸は、低い免疫原性、温度および化学変性に対する耐性、pH変化に対する比較的非感受性血清定性、ならびにプロテアーゼによるタンパク質分解に対する耐性等の好都合生物物理学的特性を有すると考えられる。

第2に、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックスライブラリ内可変位置はアミノ末端およびカルボキシル末端の両方のα−ヘリックスペプチドに存在し、且つ同一の比較的平行な配向で提示される。この2つの特徴により、ヘリックス−ターン−ヘリックス分子の全長にわたり幅広く且つ平坦な相互作用界面の形成が可能になる。広がった相互作用界面は、特異性および親和性(両方とも治療分子の開発における重大な側面である)が改善される、目的の標的抗原との最適なタンパク質−タンパク質相互作用に不可欠である。

さらに、両方のα−ヘリックスペプチド中での多数の可変位置の導入により引き起こされるヘリックス−ターン−ヘリックス骨格の潜在的な不安定化を防止するために、ヘリックスの形成を促進するための且つヘリックス−ターン−ヘリックス構造を安定化させるためのさらなる構造上の考察を考慮して、各不変位置で最も適切なアミノ酸残基を選択した。このアミノ酸残基を選択して、ヘリックス間およびヘリックス内の静電的相互作用ならびにヘリックス間の水素結合により分子構造を安定化させた。

まとめると、本開示のライブラリは、結果として得られるポリペプチドのより効率的な開発ならびに患者におけるそれぞれの治療の安全性および有効性の増加につながるα−ヘリックス構造の安定化に支障を来すことなく、多様化位置の数を最大化することにより、Fujiiおよび共同研究者により開示されたヘリックス−ターン−ヘリックスライブラリの限界を克服する。

概要

本発明は、逆平行のヘリックス−ターン−ヘリックス配置で立体構造的に拘束されている新規のポリペプチドライブラリに関する。本発明はさらに、生物学的使用、薬学的使用および他の使用のために、そのようなライブラリを生成する方法およびスクリーニングする方法に関する。なし

目的

一態様では、本開示は、ポリペプチドのライブラリにおいて、このライブラリの各メンバーは式ヘリックス−1−Li−ヘリックス−2のヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を含み、
この式中、
ヘリックス−1およびヘリックス−2は第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含み、上記α−ヘリックスペプチドの各々は、アミノ酸配列
X1−X2−Hy−Var1−X3−Hy−Var1−Var2−X4−Hy−Var1−X5−Hy−Var1−Var3(配列番号1)
を含み、
この式中、
X1はD、T、N、SまたはPであり、
X2はE、P、Q、WまたはDであり、
X3はM、A、I、QまたはRであり、
X4はA、L、R、M、KまたはEであり、
X5はM、L、A、W、FまたはKであり、
Hyは、0.62超の疎水性を示す側鎖を有する任意のアミノ酸残基であり、
Var1、Var2およびVar3は、G、PおよびCを除いて天然に存在するアミノ酸の混合物であり、
Liはリンカーであり、
上記第1および上記第2のα−ヘリックスペプチドは逆平行のコイルドコイル構造を形成する
ことを特徴とするライブラリを提供する

効果

実績

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請求項1

ポリペプチドライブラリにおいて、前記ライブラリの各メンバーは式ヘリックス−1−Li−ヘリックス−2のヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を含み、この式中、ヘリックス−1およびヘリックス−2は第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含み、前記α−ヘリックスペプチドの各々は、アミノ酸配列X1−X2−Hy−Var1−X3−Hy−Var1−Var2−X4−Hy−Var1−X5−Hy−Var1−Var3(配列番号1)を含み、この式中、X1はD、T、N、SまたはPであり、X2はE、P、Q、WまたはDであり、X3はM、A、I、QまたはRであり、X4はA、L、R、M、KまたはEであり、X5はM、L、A、W、FまたはKであり、Hyは、0.62超の疎水性を示す側鎖を有する任意のアミノ酸残基であり、Var1、Var2およびVar3は、G、PおよびCを除いて天然に存在するアミノ酸の混合物であり、Liはリンカーであり、前記第1および前記第2のα−ヘリックスペプチドは逆平行コイルドコイル構造を形成することを特徴とするライブラリ。

請求項2

請求項1に記載のライブラリにおいて、前記リンカーLiは1〜30個のアミノ酸残基を含む(配列番号2)ことを特徴とするライブラリ。

請求項3

請求項1または2に記載のライブラリにおいて、X1はDであり、X2はEであり、X3は、ヘリックス−1中ではQであり、ヘリックス−2中ではAであり、X4は、ヘリックス−1中ではEであり、ヘリックス−2中ではKであり、X5は、ヘリックス−1中ではKであり、ヘリックス−2中ではMであることを特徴とするライブラリ(配列番号3)。

請求項4

請求項1乃至3の何れか1項に記載のライブラリにおいて、HyはL、VまたはIである(配列番号4)ことを特徴とするライブラリ。

請求項5

請求項1乃至4の何れか1項に記載のライブラリにおいて、Var2はR、QおよびEの混合物であり、Var3はR、QおよびHの混合物であることを特徴とするライブラリ(配列番号5)。

請求項6

請求項1乃至5の何れか1項に記載のライブラリにおいて、前記ライブラリのポリペプチドはバクテリオファージ上で提示されることを特徴とするライブラリ。

請求項7

請求項1乃至6の何れか1項に記載のライブラリにおいて、前記ライブラリは少なくとも1×106種のポリペプチドメンバーを含むことを特徴とするライブラリ。

請求項8

請求項1乃至7の何れか1項に記載のライブラリにおいて、前記ライブラリの各メンバーは少なくとも1つの追加部分に連結されていることを特徴とするライブラリ。

請求項9

請求項8に記載のライブラリにおいて、前記追加部分は、抗体もしくはこの抗体断片毒素サイトカインレポーター酵素金属イオンに結合し得る部分、検出および/もしくは精製に適したタグ、ホモ会合ドメインもしくはヘテロ会合ドメイン、タンパク質溶解性を増加させる部分、または酵素開裂部位を含む部分であることを特徴とするライブラリ。

請求項10

請求項1乃至9の何れか1項に記載のライブラリメンバーをコードすることを特徴とする核酸分子コレクション

請求項11

請求項10に記載の核酸分子のコレクションを含むことを特徴とするベクター

請求項12

請求項10に記載の核酸分子のコレクションまたは請求項11に記載のベクターを含むことを特徴とする組換え宿主細胞

請求項13

抗原に特異的なポリペプチドを単離する方法において、a.請求項1乃至9の何れか1項に記載のライブラリと抗原とを接触させるステップと、b.前記ライブラリの前記抗原に結合していないメンバーを除去するステップと、c.前記ライブラリの前記抗原に結合したメンバーを回収するステップとを含むことを特徴とする方法。

請求項14

請求項13に記載の方法を使用して同定されたことを特徴とするポリペプチド。

請求項15

抗体または抗体断片に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、前記ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造は逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むことを特徴とするヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造。

技術分野

0001

本発明は、逆平行ヘリックスターン−ヘリックス配置で立体構造的拘束されている新規ポリペプチドライブラリに関する。本発明はさらに、生物学的使用、薬学的使用および他の使用のために、そのようなライブラリを生成する方法およびスクリーニングする方法に関する。

背景技術

0002

治療に関連する分子を同定するための強力な資源としてペプチドライブラリが現れている。加えて、ペプチドライブラリは、多くの他の目的および基礎研究に関連した資源でもある。

0003

治療上、ペプチドは、小分子および大きい生物製剤(例えば抗体)を超えるいくつかの利点を有する。小分子と比較してペプチドは抗原との大きな相互作用界面を概して有し、この相互作用界面は水素結合およびファンデルワールス力を含む。この相互作用界面により、高親和性結合、抗原に対する高特異性および典型的には高効力がもたらされる。抗体と比較してペプチドは非常に小さく、従って典型的には組織に容易に浸透する。抗体治療は特定の腫瘍に利用不能である。

0004

拘束されたペプチドを利用するライブラリ等の多数のファージディスプレイペプチドライブラリが存在する。拘束性ペプチドは、直鎖ペプチドに関連するいくつかの欠点(例えば、より高い立体構造的柔軟性に起因する弱い結合親和性、および人体でのタンパク質分解に対する感受性の増加)を克服する。

0005

ポリ)ペプチドの天然に存在する拘束モチーフα−ヘリックス束である。α−ヘリックスは最大クラスのタンパク質二次構造を構成し、タンパク質−タンパク質相互作用仲介で重要な役割を果たす。しかしながら、長さが10〜30個のアミノ酸である短い合成ペプチドは通常、水中において熱力学的に安定なヘリックスではなくランダム構造のみを取る(Harrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.2010 Jun 29;107(26))。

0006

α−ヘリックス束は、2つ、4つまたはさらに多くの束等の様々な形態で現れ得る。そのような束タンパク質中の個々のα−ヘリックスペプチドは平行または逆平行の配置で配向され得、そのためヘリックス軸が互いにわずかにずれて並ぶコイルドコイル構造が形成される。

0007

そのような束中に存在するα−ヘリックス構造は通常、親水性の外部と、疎水性の内部と、ヘリックス間の塩架橋相互作用を形成する極性アミノ酸残基境界とからなるプロファイルを有するヘプタド反復を含む。

0008

ケラチンミオシンエピルミン、フィブリノゲンおよびトロポミオシンのような多くの天然に存在するタンパク質は、2つの二量体化α−ヘリックスペプチドにより形成されたコイルドコイル構造を有する。さらに、コイルドコイル構造はDNA結合タンパク質で頻繁に見出されており、このモチーフはロイシンジッパーと称される。

0009

コイルドコイルドメインはまた、Jun、Fos(O’Shea et al.,Science.245:646−648(1989))、C/EBP(Landschultz et al.,Science.240:1759−1764(1988))でも見出されており、例えばGCN4結合タンパク質(O’Shea et al.,Science.242:538−542(1989))で見出されている。天然に存在するα−ヘリックスコイルドコイル構造は平行配向で見出されることが多く、この平行方向は安定した立体構造であると考えられる。

0010

そのような構造を特定の認識分子の設計に適応させるアプローチが説明されている。国際公開第94/29332号パンフレットでは逆平行のコイルドコイルを含むポリペプチドが説明されており、上記骨格は、DNA結合タンパク質およびサイトカイン等の天然に存在するタンパク質由来のヘリックス認識配列を組み込むように改変された。

0011

米国特許第5,824,483号明細書では、新規に設計され且つ化学合成されたα−ヘリックスペプチドのコンビナトリアルライブラリ構築が説明されている。このα−ヘリックスペプチドはヘリックス内ラクタム架橋により安定化されており、任意選択で追加の第2のα−ヘリックスペプチドにより安定化されており、そのため平行または逆平行の配向の二量体コイルコイル構造が得られた。しかしながら、唯一使用可能なペプチドライブラリは、2つのヘリックス内ラクタム架橋により安定化され且つ5箇所のアミノ酸位置で多様化された単一の24個のアミノ酸の長さのα−ヘリックスポリペプチド鎖包含した。

0012

Fujiiら(Tetrahedron Letters 42,3323−3325(2001))は、ヘリックス−ターン−ヘリックスベースのライブラリのより具体的なアプローチを説明する。この科学刊行物では、アミノ酸末端ペプチドおよびカルボキシル末端ペプチドがグリシンベースのリンカーを介して連結されている新規に化学合成された逆平行配向のヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリが開示されている。2つのヘリックス−ターン−ヘリックス形成ペプチドの各々は14個のアミノ酸で構成され、2つのそれぞれのヘリックス上のロイシン残基との疎水性相互作用により安定化された。本開示のライブラリとは対照的に、カルボキシル末端ヘリックスペプチドのみが、5つの天然に存在するアミノ酸残基の混合物により3箇所の溶媒露出位置で多様化された。

0013

ペプチドライブラリを利用する補足的な方法は、繊維状バクテリオファージ上でのそのようなライブラリの提示である。この方法は、合成により調製され得るライブラリと比べてはるかに大きい1010種の固有のペプチドメンバーほどのライブラリの調製を可能にする。

0014

2008年にはFujiiおよび共同研究者により、ファージにより提示される逆平行配向のヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリが説明された(Biochemistry,47,6745−6751(2008))。上述したライブラリとは対照的に、カルボキシル末端ヘリックスペプチドは、5つの溶媒曝露領域ランダム化されて3.2×106種の理論的ライブラリサイズを生じた。このライブラリは、検出可能なタグと共にグリシン/セリンリンカーにより、繊維状ファージの主要なコートタンパク質VIII上で提示された。2011年(Drug Delivery System,26−6,2011,p.593−603)、2009年(Yakugaku Zasshi,129(11),1303−1309,2009)および2013年(Current Protocols in Chemical Biology,vol.5(3),171−194,2013)にはFujiiらにより、「マイクロ抗体」を生成するためのヘリックス−ターン−ヘリックスペプチドライブラリの特定の利用がさらに説明されている。

0015

Fujiiおよび共同研究者により説明された2種のライブラリの共通する構造上の特徴は、2つのα−ヘリックスペプチドの溶媒曝露位置でのアラニン優勢な使用である。アラニンの伸長(ポリアラニン)はα−ヘリックス構造の形成を促進することが知られているが、水溶液中では低い溶解度を示す場合もあり、そのため凝集する傾向がある。

0016

さらに重要なことに、Fujiiおよび共同研究者により説明されたライブラリは、溶媒露出アラニン位置を多様化させることによりカルボキシル末端α−ヘリックスペプチド内でのみ多様化されている。このシナリオでは、多様化されていないアミノ末端ペプチドは、そのα−ヘリックス構造を保持し且つこの分子のヘリックス−ターン−ヘリックス構造を安定化させると考えられる。しかしながら、Fujiiにより提供されたカルボキシル末端α−ヘリックスペプチドのランダム化により、正確に折り畳まれたヘリックス−ターン−ヘリックス構造を富化させるために特定の精製プロセスを必要とする望ましくない複数のランダム様立体構造を有するライブラリメンバーが依然として生じた(Fujiiら(Tetrahedron Letters 42,3323−3325(2001))。

0017

2つのα−ヘリックスペプチドのうちの一方のみを多様化することの主な欠点は、このアプローチが、達成可能なライブラリサイズを著しく限定し、且つライブラリのポリペプチドと、このポリペプチドが結合した目的の標的分子との間の相互作用界面相(interphase)を著しく狭めて特異性および親和性が低下するという事実にある。

0018

上述のアプローチの限界に基づいて、相当なサイズの改善されたヘリックス−ターン−ヘリックスポリペプチドライブラリを開発するという満たされていない必要性が依然として存在する。

0019

本開示のライブラリは、Fujiiにより開示されたライブラリと様々な形で異なる。本開示のライブラリの設計は、統計的な、構造的なおよび合理的な因子を考慮した複合アプローチに基づく。このアプローチは、第1の例では、天然に存在するα−ヘリックス構造中の所与の位置で見出された最も豊富なアミノ酸残基の分析および使用を含んだ。そのようなアミノ酸は、低い免疫原性、温度および化学変性に対する耐性、pH変化に対する比較的非感受性血清定性、ならびにプロテアーゼによるタンパク質分解に対する耐性等の好都合生物物理学的特性を有すると考えられる。

0020

第2に、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックスライブラリ内可変位置はアミノ末端およびカルボキシル末端の両方のα−ヘリックスペプチドに存在し、且つ同一の比較的平行な配向で提示される。この2つの特徴により、ヘリックス−ターン−ヘリックス分子の全長にわたり幅広く且つ平坦な相互作用界面の形成が可能になる。広がった相互作用界面は、特異性および親和性(両方とも治療分子の開発における重大な側面である)が改善される、目的の標的抗原との最適なタンパク質−タンパク質相互作用に不可欠である。

0021

さらに、両方のα−ヘリックスペプチド中での多数の可変位置の導入により引き起こされるヘリックス−ターン−ヘリックス骨格の潜在的な不安定化を防止するために、ヘリックスの形成を促進するための且つヘリックス−ターン−ヘリックス構造を安定化させるためのさらなる構造上の考察を考慮して、各不変位置で最も適切なアミノ酸残基を選択した。このアミノ酸残基を選択して、ヘリックス間およびヘリックス内の静電的相互作用ならびにヘリックス間の水素結合により分子構造を安定化させた。

0022

まとめると、本開示のライブラリは、結果として得られるポリペプチドのより効率的な開発ならびに患者におけるそれぞれの治療の安全性および有効性の増加につながるα−ヘリックス構造の安定化に支障を来すことなく、多様化位置の数を最大化することにより、Fujiiおよび共同研究者により開示されたヘリックス−ターン−ヘリックスライブラリの限界を克服する。

0023

本開示は、著しく大きいライブラリサイズを特徴とするヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)ポリペプチドライブラリを開示する。このライブラリから、高い親和性、特異性および機能性で目的の標的分子に結合するポリペプチドを単離し得る。

0024

好ましくは、上記ポリペプチドライブラリはファージディスプレイライブラリである。

0025

本開示のライブラリの配列多様性は、このHTH骨格の両方のα−ヘリックスドメインに存在する。従って、このライブラリによりコードされるポリペプチドは、例えば、2つ以上の空間的に別個ではあるが関連する結合部位受容体に結合し得る。両方のα−ヘリックスドメインに存在する可変位置は、特定のポリペプチドとその標的抗原との間の相互作用界面相の拡大にさらに寄与し得、そのため特異性および親和性が改善される。

0026

本開示の別の態様では、多様化アミノ酸残基位置は、本明細書で説明されているHTH骨格の溶媒露出領域に位置する。

0027

本開示のライブラリは最大12箇所のアミノ酸位置で多様化され得、各々は最大17種の天然に存在するアミノ酸残基の混合物を有する。従って、1×1011種超のライブラリサイズが達成され得る。

0028

このライブラリから単離されたポリペプチドは伝統的な免疫グロブリン結合剤および非免疫グロブリン結合剤と比較していくつかの優れた特性を有することも発見した。そのような特性として、例えば、このポリペプチドのコンパクトで小さいサイズ(約6kDa)、低い免疫原性、熱変性および化学変性に対する極度の安定性、pHの変化およびタンパク質分解に対する比較的不感応性が挙げられる。

0029

本開示のライブラリを使用して、治療上での使用のために分子を同定し得る、またはエピトープマッピング等の手段により、そのような分子の特徴を明らかにし得る。

0030

一態様では、本開示は、ポリペプチドのライブラリにおいて、このライブラリの各メンバーは式ヘリックス−1−Li−ヘリックス−2のヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を含み、
この式中、
ヘリックス−1およびヘリックス−2は第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含み、上記α−ヘリックスペプチドの各々は、アミノ酸配列
X1−X2−Hy−Var1−X3−Hy−Var1−Var2−X4−Hy−Var1−X5−Hy−Var1−Var3(配列番号1)
を含み、
この式中、
X1はD、T、N、SまたはPであり、
X2はE、P、Q、WまたはDであり、
X3はM、A、I、QまたはRであり、
X4はA、L、R、M、KまたはEであり、
X5はM、L、A、W、FまたはKであり、
Hyは、0.62超の疎水性を示す側鎖を有する任意のアミノ酸残基であり、
Var1、Var2およびVar3は、G、PおよびCを除いて天然に存在するアミノ酸の混合物であり、
Liはリンカーであり、
上記第1および上記第2のα−ヘリックスペプチドは逆平行のコイルドコイル構造を形成する
ことを特徴とするライブラリを提供する。

0031

本開示のさらなる態様では、リンカーLiは1〜30個のアミノ酸残基を含む(配列番号2)。

0032

本開示の別の実施形態(配列番号3)では、
X1はDであり、
X2はEであり、
X3は、ヘリックス−1中ではQであり、ヘリックス−2中ではAであり、
X4は、ヘリックス−1中ではEであり、ヘリックス−2中ではKであり、
X5は、ヘリックス−1中ではKであり、ヘリックス−2中ではMである。

0033

ある実施形態では、本開示は、ライブラリにおいて、HyはL、VまたはIであることを特徴とするライブラリ(配列番号4)を提供する。

0034

ある実施形態では、本開示は、ライブラリにおいて、
Var2はE、RおよびQの混合物であり、
Var3はR、QおよびHの混合物である
ことを特徴とするライブラリ(配列番号5)を提供する。

0035

本開示のさらなる実施形態では、このライブラリのポリペプチドはバクテリオファージ上で提示される。

0036

本開示のさらなる実施形態では、このライブラリは少なくとも1×106種のポリペプチドメンバーを含む。

0037

本開示のさらなる実施形態では、このライブラリの各メンバーは少なくとも1つの追加部分に連結されている。

0038

本開示のある実施形態では、上記追加部分は、抗体もしくはこの抗体断片毒素、サイトカイン、レポーター酵素金属イオンに結合し得る部分、検出および/もしくは精製に適したタグ、ホモ会合ドメインもしくはヘテロ会合ドメイン、タンパク質の溶解性を増加させる部分、または酵素開裂部位を含む部分である。

0039

さらなる実施形態では、本開示は、本開示のライブラリメンバーをコードする核酸分子コレクションを提供する。

0040

さらなる実施形態では、本開示は、本開示のライブラリメンバーをコードする核酸分子のコレクションを含むベクターを提供する。特定の実施形態では、上記ベクターはディスプレイベクターまたは発現ベクターである。

0041

さらなる実施形態では、本開示は、本開示のライブラリメンバーをコードする核酸分子のコレクションまたはベクターを含む宿主細胞を提供する。

0042

さらなる実施形態では、本開示は、抗原に特異的なポリペプチドを単離する方法において、
a.本開示に係るライブラリと抗原とを接触させるステップと、
b.このライブラリの、この抗原に結合していないメンバーを除去するステップと、
c.このライブラリの、この抗原に結合したメンバーを回収するステップと
を含むことを特徴とする方法を提供する。

0043

さらなる実施形態では、本開示は、本開示の方法により同定されたことを特徴とするポリペプチドを提供する。

0044

ある実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、上記ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造は逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むことを特徴とするヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0045

定義
用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「で構成される(comprised of)」は、本明細書で使用される場合、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含む(containing)、「含む(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙されていないメンバー、構成要素または方法のステップを除外しない。

0046

「ライブラリ」は複数種のメンバーを含む実体を意味する。本開示の文脈では、この用語は、ポリペプチドのライブラリにおいて、少なくとも2つの異なるポリペプチドを含むライブラリを指す。

0047

用語「ペプチド」は、20個以下のアミノ酸を有する短い分子を意味する。

0048

用語「ポリペプチド」は、20個超のアミノ酸を有する分子を意味する。

0049

融合タンパク質」は、互いに共有結合的に連結された2種の部分を有するポリペプチドにおいて、これらの部分の各々は異なる特性を有するペプチドまたはポリペプチドである、ポリペプチドである。この特性は、インビトロまたはインビボでの活性等の生物学的特性であり得る。この特性は、標的分子への結合、反応の触媒作用等の単純な化学的特性または物理的特性でもあり得る。これら2種の部分は、単一のペプチド結合により直接連結され得る、または1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むペプチドスペーサーを介して連結され得る。一般に、これら2種の部分およびスペーサーは互いにリーディングフレーム中に存在する。

0050

本明細書で使用される場合、用語「ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格」または「HTH骨格」は、2つのα−ヘリックスが平行または逆平行の向きで配向され且つ2つのα−ヘリックスがアミノ酸の短いストレッチを介して連結されているポリペプチドの二次構造を指す。

0051

用語「ヘプタド」、「ヘプタド単位」、「ヘプタド反復単位」および「ヘプタドモチーフ」は本明細書では互換的に使用され、HTH骨格内で2回以上反復されている7merのペプチド断片を指す。α−ヘリックスの三次構造は、一次配列中の7個のアミノ酸残基がα−ヘリックスの約2回の折り返し(turn)に対応するようなものである。従って、α−ヘリックス立体構造を生じさせる一次アミノ酸配列を、それぞれ7個の残基の単位に分解し得る。ヘプタド単位の個々の位置を小文字で示し、即ち、1個のヘプタド単位を例えば配列「abcdefg」、「bcdefga」、「cdefgab」、「defgabc」、「efgabcd」、「fgabcde」または「gabcdef」で表す。本開示のHTH骨格中で構築されたヘプタド単位の「a」および「d」の位置は疎水性の性質である。これらの位置は概して、ロイシンイソロイシンまたはバリンの何れかであり、HTHの平行または逆平行の二次構造は、2つの別々のα−ヘリックスペプチドに存在する異なるヘプタド単位間のこれらの位置を介した疎水性相互作用により形成される。

0052

用語「コイルドコイル」および「コイルドコイル構造」は本明細書では互換的に使用され、共通の一般知識ならびに本明細書で引用された説明およびさらなる参考文献に基づいて当業者に明らかであるだろう。一般に、コイルドコイル構造は本来、タンパク質中のα−ヘリックスを安定化させるために使用される。コイルドコイルとは、2〜7個のα−ヘリックスが一緒巻き付けられた、ポリペプチド中のまたはタンパク質中の構造モチーフのことである。α−ヘリックスペプチドのコイルドコイル形成は、α−ヘリックスの片側での疎水性側鎖の配置によるこの疎水性側鎖の埋没により促進され、そのため、この疎水性側鎖には極性水分子が接触しない。典型的なコイルドコイルモチーフ(4−3疎水性反復)は、「a」および「d」が疎水性であるような「a」から「g」までのアミノ酸のヘプタド反復である。この点に関して、例えば以下のコイルド構造に関する総括書を特に参照する:Cohen and Parry Proteins 1990,7:1−15;Kohn and Hodges TrendsBiotechnol 1998,16:379−389;Schneider et al Fold Des 1998,3:R29−R40;Harbury et al.Science 1998,282:1462−1467;Mason and Arndt Chem Bio Chem 2004,5:170−176;Lupas and Gruber Adv Protein Chem 2005,70:37−78;Woolfson Adv Protein Chem 2005,70:79−112;Parry et al.J Struct Biol 2008,163:258−269;McFarlane et al.Eur J Pharmacol 2009,625:101−107。

0053

本明細書で使用される場合、用語「逆平行」は、1つのα−ヘリックスペプチドのアミノ末端が別のα−ヘリックスペプチドのカルボキシル末端と並ぶように且つ逆の場合も同じようにHTH骨格の2つのα−ヘリックスペプチドが配置されているHTH骨格を指す。そのため、逆平行の向きで整列された2つの相互作用するα−ヘリックスのヘプタド「a−g」位置の相対的な向きは逆方向である。例えば、第1のヘリックスのヘプタド位置が、アミノ末端からカルボキシル末端までの読み取りとして「abcdefg」と定義される場合、逆平行の向きの第2のα−ヘリックスのヘプタド位置は、アミノ末端からカルボキシル末端までの読み取りとして「gfedcba」と定義されるだろう。

0054

本明細書で使用される場合、用語「平行」は、1つのヘリックスのアミノ末端が別のα−ヘリックスのアミノ末端と並ぶように且つ逆の場合も同じように同一の向きを有するように2つのα−ヘリックスペプチドが整列されているHTH骨格を指す。そのため、平行の向きで整列された2つの相互作用するα−ヘリックスペプチドのヘプタド「a−g」位置の相対的な向きは同一方向である。例えば、第1のヘリックスのヘプタド位置が、アミノ末端からカルボキシル末端まで「abcdefg」と定義される場合、平行の向きの第2のヘリックスのヘプタド位置も、アミノ末端からカルボキシル末端までの読み取りとして「abcdefg」と定義されるだろう。

0055

用語「リンカー」、「ターン」、「リンカー配列」または「ターン配列」は本明細書では互換的に使用され、HTHポリペプチドの隣接アミノ酸配列の一部であるアミノ酸配列断片を指し、このポリペプチドの2つのα−ヘリックスペプチド配列を共有結合的に連結する。

0056

本明細書で使用される場合、用語「一本鎖」は、本開示のHTH骨格において、適切な様式で折り畳まれたHTHポリペプチド鎖の隣接アミノ酸配列の様々な領域から安定したコイルドコイル構造が形成される、HTH骨格を指す。

0057

用語「溶媒配向」または「溶媒曝露」は、ある実体の、この実体が存在する環境(environment)中のまたは環境(milieu)中の溶媒に直接曝露されるまたは直接接触する領域を指す。本開示の文脈では、この領域は、HTH骨格の、このHTH骨格が存在する環境(environment)中のまたは環境(milieu)中の溶媒に直接曝露されるまたは直接接触するα−ヘリックスまたはα−ヘリックス部分である。より具体的には、結合部位において、HTH骨格の溶媒配向部分に位置する1つまたは複数のアミノ酸がこの結合部位に寄与する結合部位の文脈では、この結合部位はHTH骨格の溶媒配向部分により形成されると考えられる。

0058

ポリペプチドの「α−ヘリックス部分」は、本開示のポリペプチドの、α−ヘリックス二次構造を有する部分を指す。

0059

HTH骨格の「疎水性コア」は、HTH骨格の、このHTH骨格が存在する溶媒に直接曝露されていない部分を指す。

0060

本明細書で使用される場合、本開示のポリペプチドが抗原と1種または複数種の参照抗原とを識別し得る場合には、本開示のポリペプチドはそのような抗原に「特異的に結合し(bindsspecifically to)」、「特異的に結合し(specifically binds to)」、「対して特異的であり」、またはそのような抗原を「特異的に認識し」、なぜならば、結合特異性は絶対的ではなく相対的な性質だからである。参照抗原は、参照点として使用される1種または複数種の密接に関連した抗原であり得る。例えば、標準的なELISAアッセイ特異的結合を決定し得る。代替方法は、ウェスタンブロット、ELISA試験RIA試験、ECL試験、IRMA試験およびペプチドスキャンを含むがこれらに限定されない。点数化を、標準的な発色(例えば、セイヨウワサビペルオキシドによる抗体の検出、および過酸化水素によるテトラメチルベンジジンの検出)により実行し得る。特定のウェル中での反応を、例えば450nmでの光学密度で点数化する。典型的なバックグラウンド(=陰性反応)は0.1ODであり得、典型的な陽性反応は1ODであり得る。このことは、陽性/陰性の差が10倍を超え得ることを意味する。典型的には、結合特異性の決定を、単一の参照抗原を使用するのではなく約3〜5種の無関係の抗原(例えば、ミルクパウダーBSA、トランスフェリンまたは同類のもの)のセットを使用して実施する。加えて、「特異的な結合」は、標的抗原の異なる部分(例えば、上記標的抗原の異なるドメインもしくは領域、または標的抗原の1つもしくは複数の重要なアミノ酸残基またはアミノ酸残基のストレッチ)を識別する能力に関連する場合がある。

0061

ポリペプチドの「親和性」は、このポリペプチドと、このポリペプチドが結合する目的の標的タンパク質との解離に関する平衡定数で表される。KD値が低いほど、上記ポリペプチドと、このポリペプチドが結合する目的の標的タンパク質との間の結合強度が強くなる。あるいは、この親和性を、1/KDに対応する親和定数(KA)の観点でも表し得る。ポリペプチドの結合親和性を、目的の特定の標的タンパク質に応じて当業者に既知の方法で決定し得る。当分野では、KDを、複合体の解離速度定数(koff(秒−1またはs−1で表される)として示される)の、この複合体の会合速度定数(kon(モル濃度−1秒−1またはM−1s−1で表される)として示される)に対する比として表し得ることが一般に知られている。約1ミリモル濃度を超えるKD値は、非結合または非特異的結合を示すと考えられる。

0062

用語「多様化アミノ酸残基位置」または「バリアントアミノ酸残基位置」は、少なくとも2つの異なるアミノ酸残基が存在し得るアミノ酸残基を指す。

0063

本明細書で使用される場合、用語「阻害する」、「低減する」および/または「防止する」は、目的の標的に特異的に結合して、目的の標的タンパク質と、その天然の結合パートナーとの間の相互作用を阻害する、低減するおよび/もしくは防止するならびに/または目的の標的タンパク質の生物学的活性を阻害する、低減するおよび/もしくは防止する本開示に係るポリペプチドを指す。本開示のポリペプチドの阻害活性または拮抗活性は可逆的であってもよし不可逆的であってもよいが、薬学的および薬理学的な適用の場合には概して可逆的に生じる。本開示のポリペプチドの阻害活性または拮抗活性を、適切なインビトロでの、細胞のまたはインビボでのアッセイを使用して測定し得る。

0064

用語「合成」は、合成により人体外で作られたまたは合成された分子(例えばDNA)を説明する。用語「合成」はまた、タンパク質(例えば、合成DNA分子から翻訳された抗体または断片)も説明する。

0065

「直鎖」は、本開示で使用される場合、いかなる二次または三次の環状構造も含まないアミノ酸のストレッチまたは(ポリ)ペプチドを指す。

0066

用語「単離された」は、例えば本開示のポリペプチドであり得る化合物、または他のポリペプチドを実質的に含まない抗原結合部分であり得る化合物、または異なる抗原特異性を有する抗原結合部分であり得る化合物を指す。さらに、単離されたポリペプチドまたは抗原結合部分は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。

0067

「拘束された」は、本開示で使用される場合、三次元構造が時間と共に1つの空間的配置で実質的に維持されるペプチドを指す。本開示内のポリペプチドは、拘束された立体構造を有する。ペプチドが拘束されているかどうかを決定する方法は当分野で既知である。

0068

「メンバー」は、本開示で使用される場合、ライブラリの一部を形成する1種の分子を指す。本開示の文脈では、この用語は、ポリペプチドライブラリの一部である1種のポリペプチドを指す。

0069

「混合物」は、本開示で使用される場合、複数の分子を含み且つ少なくとも2つの分子が異なるという解釈を指す。この用語は特に、所与の位置でのアミノ酸組成を説明するために、または所与の位置に関してそれぞれのコドンをコードするコドンを説明するために使用される。例えば、各々の選択されたコドンは多様化位置にて特定の確率で存在する。例えば、Var1が天然に存在するアミノ酸の「均等な混合物」を表す場合、20種の天然に存在するアミノ酸の各々は、この位置にて同一の確率(即ち5%)で存在する。

0070

本明細書で使用される場合、アミノ酸残基は、そのフルネームでまたは標準的な3文字もしくは1文字のアミノ酸コードに従って示される。「天然に存在するアミノ酸」は以下のアミノ酸を意味する。

0071

疎水性アミノ酸残基」は、Eisenbergら(1984,J.Mol.Biol.179:125−142)の標準化コンセンサス疎水性スケール(normalized consensus hydrophobicity scale)に従ってゼロよりも大きい疎水性を示す側鎖を有するアミノ酸または残基を指す。遺伝的にコードされた疎水性アミノ酸として、P、I、F、V、L、W、M、AおよびYが挙げられる。

0072

用語「ベクター」は、ポリヌクレオチド分子において、このポリヌクレオチド分子が連結されている別のポリヌクレオチド輸送が可能なポリヌクレオチド分子を指す。好ましいベクターは、連結された核酸自律複製および/または自律発現が可能なものである。1つのタイプのベクターは「プラスミド」であり、このプラスミドは、追加のDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、このウイルスベクターでは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、このベクターが導入された宿主細胞中での自律複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよび哺乳動物ベクター)。他のベクターが、宿主への導入時にこの宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それにより宿主のゲノムと一緒に複製される。ベクターは、原核細胞または真核細胞適合し得る。原核生物ベクターは概して、細菌宿主細胞(例えば、この原核生物ベクターで形質転換された大腸菌(Escherichia coli))中でペプチドの発現(転写および翻訳)を指示することが可能な原核生物プロモーターを含み得る原核生物レプリコンを含む。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写が起こることを可能にするDNA配列により形成された発現制御エレメントである。細菌宿主に適合するプロモーター配列は概して、DNAセグメントの挿入に好都合な制限部位を含むプラスミドベクター中に設けられる。そのようなベクタープラスミドの例として、市販のpUC8、pUC9、pBR322およびpBR329、pPLおよびpKK223が挙げられる。

0073

「発現ベクター」は、このベクターに作動可能に連結された核酸の発現を指示することが可能なベクターであり、且つウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルスアデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)等の他の形態の発現ベクターを含むことが意図されており、この他の形態の発現ベクターは同等の機能を果たす。

0074

「ディスプレイベクター」は、このディスプレイベクターで形質転換された宿主細胞(例えば細菌宿主細胞)中において染色体外組換えDNA分子の複製および維持を指示する能力を有するDNA配列を含む。そのようなDNA配列は当分野で公知である。ディスプレイベクターは例えば、fd、M13またはfl繊維状バクテリオファージのクラスに由来するファージベクターまたはファージミドベクターであり得る。そのようなベクターは、タンパク質(例えば結合タンパク質またはこの断片)の繊維状バクテリオファージの表面上での提示を容易にし得る。ファージ上での、リボソーム上での、DNA上での、細菌細胞上でのまたは真核細胞(例えば酵母細胞もしくは哺乳動物細胞)上での提示に適したディスプレイベクターも当分野で既知であり、例えばウイルスベクターまたはキメラタンパク質をコードするベクターである。

0075

用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を指す。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すことが意図されていることを理解すべきである。変異または環境の影響に起因して後続の世代で特定の改変が起こり得ることから、そのような子孫は実際には親細胞と同一ではあり得ないが、本明細書で使用される用語「宿主細胞」の範囲に依然として含まれる。典型的な宿主細胞は、原核生物(例えば、大腸菌(E.coli)が挙げられるがこれに限定されない細菌)または真核生物酵母、哺乳動物等が挙げられる)である。細菌細胞は好ましい原核宿主細胞であり、典型的には大腸菌(Escherichia coli(E.coli))の株(例えば、Bethesda Research Laboratories,Inc.,Bethesda,Mdから入手可能な大腸菌(E.coli)株DH5)である。好ましい真核宿主細胞として、酵母細胞および哺乳動物細胞(例えばマウスおよび齧歯類)が挙げられ、好ましくは脊椎動物細胞(例えば、マウス、ラットサルまたはヒトの細胞株に由来するもの、例えばHKB11細胞、PERC.6細胞またはCHO細胞)が挙げられる。

0076

用語「エピトープ」は抗原決定基を指し、即ち、抗原の、抗体またはペプチド等の結合分子により認識される部分を指す。

0077

用語「結合領域」、「結合部位」および「相互作用部位」は、本明細書で使用される場合、標的分子への結合に関与する本開示のポリペプチドに存在するアミノ酸残基の特定の部位、部分、ドメインまたはストレッチを指す。そのような結合領域は、標的分子に接触する上記ポリペプチド由来の特定のアミノ酸残基からなる。

0078

「ファージディスプレイ」は、バリアントポリペプチドがファージ(例えば繊維状ファージ粒子)の表面上でコートタンパク質に融合タンパク質として提示され、同時に各バリアントをコードする遺伝子物質が内側に存在する技術である。これにより、各バリアントタンパク質配列とこの配列をコードするDNAとの間に物理的連結が作られ、パニングと呼ばれるインビトロでの選択プロセスにより所与の標的分子(抗体、酵素細胞表面受容体等)への結合親和性に基づいて迅速な分配が可能になる。この技術の最も単純な形態では、標的で被覆されたプレート(またはビーズ)上で、ファージにより提示されたペプチドのライブラリをインキュベートし、未結合のファージを洗い流し、特異的に結合したファージを溶出させることにより、パニングを実行する。次いで、溶出したファージを増幅させ、さらなる結合/増幅サイクルにより結合配列優先してプールを富化させる。数回後、個々のクローンの特徴をDNA配列決定およびELISAにより明らかにする。

0079

ファージディスプレイの有用性は、ペプチドの高親和性提示で標的分子に結合する配列に関して、ランダム化されたタンパク質バリアントの大きなライブラリを迅速に且つ効率的に選別し得るという事実、およびファージ上のタンパク質ライブラリを使用して、特定の結合特性を持つものに関して数百万のポリペプチドがスクリーニングされているという事実にある。多価ファージディスプレイ法は、繊維状ファージの遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIの何れかへの融合を解して小さいランダムペプチドおよび小さいタンパク質を提示するために使用されている(Wells and Lowman((1992)Curr Opin Struct Biol B 355−362)およびこの文献で引用された参考文献)。一価ファージディスプレイでは、タンパク質またはペプチドのライブラリは遺伝子IIIまたはその一部に連結され、野生型遺伝子IIタンパク質の存在下にて低レベルで発現され、その結果、ファージ粒子は1コピーの融合タンパク質を提示する、または融合タンパク質を提示しない。

0080

用語「ファージベクター」は、異種遺伝子を含み且つ複製が可能なバクテリオファージの二本鎖複製形態を意味する。このファージベクターは、ファージ複製およびファージ粒子形成を可能にするファージ複製起点を有する。このファージは好ましくは繊維状バクテリオファージであり、例えば、M13、fdファージもしくはその誘導体ラムイドファージ、例えばラムダバキュロウイルス(Baculovirus)、T4ファージ、T7ファージウイルス、または上述の何れかの誘導体である。

0081

用語「コートタンパク質」は、ウイルス粒子の表面上に少なくとも一部が存在するタンパク質を意味する。機能的な観点からは、コートタンパク質は、宿主細胞中でのウイルス組み立てプロセスの最中にウイルス粒子と会合し、別の宿主細胞に感染するまで、組み立てられたウイルスと会合したままである任意のタンパク質である。このコートタンパク質は、pVIII等のメジャーなコートタンパク質であってもよいし、pIII等のマイナーなコートタンパク質であってもよい。

0082

用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、抗原と相互作用するジスルフィド結合により相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含むタンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)および重鎖定常領域で構成されている。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3で構成されている。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)および軽鎖定常領域で構成されている。軽鎖定常領域は1つのドメインCLで構成されている。VH領域およびVL領域を、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化され得、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存されている領域が点在している。VHおよびVLそれぞれは、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的な補体系の第1成分(Clq)等の宿主組織または宿主因子への免疫グロブリン結合を媒介し得る。用語「抗体」は、例えばモノクローナル抗体ヒト抗体ヒト化抗体ラクダ抗体およびキメラ抗体を含む。抗体は、任意のアイソタイプ(例えばIgGIgEIgMIgDIgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。軽鎖および重鎖の両方は、構造的相同および機能的相同の領域に分類される。

0083

語句「抗体断片」は、本明細書で使用される場合、抗体の、(例えば、結合により、立体障害により、空間分布を安定化させることにより)抗原と特異的に相互作用する能力を保持する1つまたは複数の部分を指す。結合断片の例として以下が挙げられるがこれらに限定されない:VLドメイン、VHドメイン、CLドメインおよびCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab)2断片;VHドメインおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLドメインおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544−546);ならびに単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fv断片の2つのドメインVLおよびVHは別々の遺伝子によりコードされるが、これらVLおよびVHをVL領域およびVH領域が対形成して一価の分子(一本鎖Fv(scFV)として既知である)を形成する単一タンパク質鎖として作製することが可能な合成リンカーにより、これらVLおよびVHを組換え法を使用して連結し得る(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423−426;およびHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879−5883を参照されたい)。そのような一本鎖抗体はまた、用語「抗体分子」に包含されることも意図されている。この抗体断片は当業者に既知の従来の技術を使用して得られ、この断片は、インタクトな抗体と同じ方法で有用性に関してスクリーニングされる。また、抗体断片を単一ドメイン抗体マキシディ(maxibody)、ミニボディイントラボディ、ジアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびビス−scFvにも組み込み得る(例えばHollinger and Hudson,(2005)Nature Biotechnology 23:1126−1136を参照されたい)。抗体断片を、フィブロネクチンIII型(Fn3)等のポリペプチドをベースとする骨格に移植し得る(米国特許第6,703,199号明細書を参照されたく、この明細書は、フィブロネクチンポリペプチドモノボディを説明する)。抗体断片を、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒に一対の抗原結合部位を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む分子に組み込み得る(Zapata et al.,(1995)Protein Eng.8:1057−1062;および米国特許第5,641,870号明細書)。

図面の簡単な説明

0084

図1は、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックスHTH−lib1ライブラリの漫画を示す。図1は、出現順にそれぞれ配列番号1、7および1を開示する。
図2Aは、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックス参照配列(HTHdes2)の2つのα−ヘリックスペプチドのヘリックス輪横断面を示す。本開示のHTH−lib1ライブラリ内の多様化アミノ酸位置Var1、Var2およびVar3を外側の円内に示す。
図2Bは、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックスHTH−lib1ライブラリの三次元の漫画を示し、可変アミノ酸残基Var1、Var2およびVar3の位置を示す。
図2Cは、鎖内および鎖間の静電相互作用ならびに別々のアミノ酸残基間の鎖間水素結合と共にHTHdes2参照配列を示す。
図3は、本明細書で開示されているポリペプチドライブラリHTH−lib1(出現順にそれぞれ配列番号8〜9)の設計を示す。
図4は、図3のポリペプチドライブラリの品質評価を示す。図4Aは、Sanger配列決定を使用した、個々にサンプリングされたクローンのHTH−lib1ライブラリの多様化位置でのアミノ酸分布を示す。図4Bは、図4Aの配列決定の結果に関連して予想されるアミノ酸分布を各多様化アミノ酸位置に関して示す。
図5は、選択されていないHTH−lib1ライブラリ由来のポリペプチドの例(出現順にそれぞれ配列番号8、9および10〜41)を示す。この例は、ライブラリの設計が成功裏に行なわれたことを示す。
図6は、ディスプレイベクターおよび発現ベクター、ならびにディスプレイベクターから発現ベクターへのポリペプチドコーディング挿入物サブクローニングのためのPCRベースのアプローチの略図を示す。図6は、配列番号42として「His6」を開示する。
図7は、Target−X上の図3のHTH−lib1ライブラリの2回目のパニングのアウトプットに由来する個々のクローンのELISAスクリーニング後に同定したポリペプチドに由来する例示的な配列決定結果を示す。この結果は、多数の標的特異的ポリペプチドが同定され得ることを裏付ける(出現順にそれぞれ配列番号43〜67)。
図8は、20℃にてpH7.2で10mMリン酸緩衝液でのならびに20℃および90℃の温度で処理した0.1mg/mlのポリペプチド濃度でのTarget−X特異的ポリペプチドの2つの円偏光二色性(CD)スペクトルを示す。
図9は、抗体または抗体断片に連結された、本明細書に開示されているHTH骨格の漫画を示す。図9Aは、抗体の重鎖のカルボキシル末端に連結された2つのHTH骨格を示す。図9Bは、抗体の軽鎖のカルボキシル末端に連結された2つのHTH骨格を示す。図9Cは、抗体Fab断片の重鎖のカルボキシル末端に連結されたHTH骨格を示す。図9Dおよび図9Eは、抗体のFc断片のカルボキシル末端またはアミノ末端に連結されたHTH骨格を示す。

0085

本開示は、逆平行のヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)配置で立体構造的に拘束されている新規のポリペプチドライブラリを提供する。本開示はさらに、生物学的使用、薬学的使用および他の使用のためにポリペプチドを同定すべく、そのようなライブラリを生成する方法およびスクリーニングする方法に関する。

0086

本開示のポリペプチドライブラリを使用して、目的の標的分子に特異的に結合する1種または複数種のポリペプチドをスクリーニングし得る、および/または選択し得る。

0087

このライブラリから単離されたポリペプチドは特定の好ましい特性を有し且つ当分野で既知の他の結合剤よりも優れていることを発見している。そのような特性として、高親和性での標的結合、コンパクトで小さいサイズ(約6kDa)、低い免疫原性、熱変性および化学変性に対する極度の安定性、pHの変化およびタンパク質分解に対する不感応性が挙げられる。

0088

ライブラリの設計
様々な配列の組み合わせの構造的に拘束された提示に適した骨格構造を設計するために、天然のα−ヘリックスで生じる統計的なおよび構造的なアミノ酸の性質を組み合わせる新規でユニークなアプローチを使用した。

0089

天然のα−ヘリックス中に見出される最も豊富なアミノ酸残基は、より効率的な開発につながり且つ患者おいて結果として得られるポリペプチドの安全性および有効性を増加させる好ましい生物物理学的特性を有し得る。そのような好ましい生物物理学的特性として、高い相対的提示速度、高い発現収率、低い免疫原性、温度および化学変性に対する耐性、pH変化に対する比較的不感応性、血清安定性、ならびにプロテアーゼによるタンパク質分解に対する耐性が挙げられる。

0090

α−ヘリックス中における天然に存在するアミノ酸の豊富さに関するデータを、公的に利用可能な文献から得ることができ、例えばAuroraら(Protein Science(1998),7:21−38)およびPaceら(Biophysical Journal(1998),Vol.75,422−427)から得ることができる。このデータを編集して、水溶液中におけるα−ヘリックスコイルドコイル構造の特定の位置でのアミノ酸の優先度カタログを作成することができる。このアプローチにより設計テンプレートを作成し得、例えば、2つの連続したヘプタド配列からなる、15個のアミノ酸残基からなるα−ヘリックス参照配列のための設計テンプレートを作成し得る。

0091

上記15箇所のアミノ酸残基位置の各々に関して、5〜6個の最も頻繁に存在するアミノ酸残基は、2つの独立したα−ヘリックスペプチド配列(それぞれヘリックス−1およびヘリックス−2と命名される)を設計するための基礎と考えられる。

0092

本開示に係るポリペプチドライブラリの生成に最適な参照配列を選択するために、ヘリックス形成を促進し且つα−ヘリックスコイルドコイル構造を安定化するための追加の構造的考察を考慮して、各位置で最も適切なアミノ残基を選択する。

0093

従って、2つのα−ヘリックスペプチドおよびリンカーセグメントを含む参照ポリペプチド配列(HTHdes2)を設計した。円偏光二色性(CD)スペクトル測定による試験によって、HTHdes2参照配列が溶液中で高度のα−ヘリックス含有量および低含有量ランダムコイルド構造が生じることを確認した。さらなる研究により、HTHdes2配列が熱変性および化学変性に対して極めて耐性であることを明らかにした。

0094

本開示のポリペプチドライブラリは、逆平行配置で配向された2つのα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス(HTH)骨格構造をベースとし、その結果、上記α−ヘリックスペプチドは安定したコイルドコイル構造を形成し得る。本開示のHTH骨格を構成する2つのα−ヘリックスペプチドは、本明細書においてヘリックス−1およびヘリックス−2と称される。

0095

従って、ヘリックス−1およびヘリックス−2は、ヘリックス−1のアミノ末端がヘリックス−2のカルボキシル末端と並ぶように2つのヘリックスが配置されている逆平行配置でヘリックス−ターン−ヘリックス骨格へと会合する。

0096

本開示の特定の実施形態では、2つのα−ヘリックスペプチドであるヘリックス−1およびヘリックス−2は同様のサイズであり、それぞれ長さが約10〜約50個の残基の範囲である。別の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2は同等の長さである。別の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2は長さが15個のアミノ酸残基である。

0097

ヘリックス−1およびヘリックス−2の会合は、保存されたアミノ酸残基の繰り返しのヘプタドモチーフの存在に起因して生じる。

0098

本開示の好ましい実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2は単一ポリペプチドにより形成され、これら2つのα−ヘリックスペプチドは、互いに単一のペプチド結合により直接連結されているか、またはヘリックス−1およびヘリックス−2のコイルドコイル構造への会合に実質的に干渉しないリンカーセグメントにより連結されている。

0099

本開示のある実施形態では、2つのα−ヘリックスペプチドは、第1のα−ヘリックスペプチド(ヘリックス−1)のカルボキシル末端が第2のα−ヘリックスペプチド(ヘリックス−2)のアミノ末端に連結されるようにフレキシブルリンカー(Li)により共有結合的に連結されている。

0100

そのため、本開示の特定の実施形態によれば、本開示のライブラリのHTH骨格構造は一般式ヘリックス−1−Li−ヘリックス−2を含む。

0101

α−ヘリックスペプチドを形成する骨格構造の各々は、配列が「不変」位置(即ち、本ライブラリの各メンバーにおいて同一のアミノ酸残基を含む位置)と「可変」位置(即ち、本ライブラリの様々なメンバーにおいて様々なアミノ酸残基を含む位置)とを含むペプチドで構成されている。この可変位置は本ライブラリを多様化するのに重要であり、即ち、様々なメンバーからなるライブラリを生成するのに重要である。

0102

本開示のある実施形態では、導入された配列の多様性または本ライブラリ内の可変位置は、本開示のHTH骨格を形成する両方のα−ヘリックスペプチドに存在する。

0103

本開示のある実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2は、それらの不変位置で同一のアミノ酸残基を有し得る。

0104

本開示の別の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2は、それらの不変位置で異なるアミノ酸残基を有する。

0105

本開示の特定の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2の不変位置は、天然に存在するタンパク質配列に対応していない。本開示の別の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2の不変位置は非天然起源である。本開示の別の実施形態では、ヘリックス−1およびヘリックス−2の不変位置は人工配列である。

0106

本開示のある態様では、ヘリックス−1およびヘリックス−2の不変位置に存在するアミノ酸残基は、それぞれX1、X2、X3、X4、X5およびHyと称される(図1を参照されたい)。

0107

不変アミノ酸残基X1、X2、X3、X4およびX5は溶媒に曝露され、なぜならば、これらのアミノ酸残基がHTH骨格の外向き側に位置し、HTH骨格構造が溶液中である場合には溶媒と接触するからである。

0108

本開示のある実施形態では、不変アミノ酸残基X1は、D、T、N、SおよびPの群から選択される。本開示の別の実施形態では、不変アミノ酸残基X1は、ヘリックス−1ではDであり、ヘリックス−2ではDである。

0109

本開示のある実施形態では、不変アミノ酸残基X2は、E、P、Q、WおよびDの群から選択される。本開示の別の実施形態では、不変アミノ酸残基X2は、ヘリックス−1ではEであり、ヘリックス−2ではEである。

0110

本開示のある実施形態では、不変アミノ酸残基X3は、M、A、I、QおよびRの群から選択される。本開示の別の実施形態では、不変アミノ酸残基X3は、ヘリックス−1ではQであり、ヘリックス−2ではAである。

0111

本開示のある実施形態では、不変アミノ酸残基X4は、A、L、R、M、KおよびEの群から選択される。本開示の別の実施形態では、不変アミノ酸残基X4は、ヘリックス−1ではEであり、ヘリックス−2ではKである。

0112

本開示のある実施形態では、不変アミノ酸残基X5は、M、L、A、W、FおよびKの群から選択される。本開示の別の実施形態では、不変アミノ酸残基X5は、ヘリックス−1ではKであり、ヘリックス−2ではMである。

0113

本開示のポリペプチドライブラリにおいて変化し且つ多様性に寄与するアミノ酸残基は、Var1、Var2およびVar3と称される。このことは、α−ヘリックスペプチドヘリックス−1およびヘリックス−2のヘプタド位置b、eおよびfに対応する。

0114

ヘリックス−1およびヘリックス−2は、2つのα−ヘリックスペプチドヘリックス−1およびヘリックス−2の不変位置で残基の同一性により決定される様式で互いに可逆的に結合する。

0115

本開示のヘリックス−1およびヘリックス−2はそれぞれ2つの「ヘプタド」で構成され、そのため「ヘプタド反復」と称され得る。ヘプタド反復は規則的に反復するヘプタド位置を生じさせ、α−ヘリックスに沿って規則的に反復するアミノ酸残基に対応する(図1および図3)。

0116

本開示の逆平行配置で並べられる2つの相互作用するα−ヘリックスの「a〜g」位置の相対的な向きを図1および図3に示す。

0117

本開示の一態様では、HTH骨格は主に非共有結合で安定化されている。好ましい実施形態では、上記非共有結合は、ヘリックス−1とヘリックス−2との間の接触領域での疎水性残基間の疎水性相互作用により形成される。

0118

従って、個々のα−ヘリックスペプチドヘリックス−1およびヘリックス−2は、それらそれぞれの疎水性面(規則的に反復するアミノ酸残基Hyにより形成される)に沿って互いに接触する。このことはヘプタド位置「a」および「d」に対応する。

0119

ヘリックス−1およびヘリックス−2の接触領域は、本開示のヘリックス−ターン−ヘリックス骨格の疎水性コアを含む。一態様では、上記疎水性アミノ酸残基は不変アミノ酸残基である。

0120

ヘプタド位置「a」位置および「d」位置での疎水性残基Hyの適切な選択はコイルドコイル構造の形成に重要である。

0121

本開示のある実施形態では、上記疎水性アミノ酸は、Eisenbergら(1984,J.Mol.Biol.179:125−142)の標準化コンセンサス疎水性スケールに従って0.62超の疎水性を有する。

0122

本開示のある実施形態では、Hyは、I、F、V、L、W、M等の群から選択される疎水性アミノ酸である。本開示の別の実施形態では、Hyは、I、LおよびVの群から選択される。本開示のさらに別の実施形態では、疎水性アミノ酸HyはLである。

0123

さらなる実施形態では、本開示のHTH骨格は、各α−ヘリックスペプチドのアミノ末端で負に帯電したアミノ酸残基の導入によりさらに安定化され得る。このアミノ酸残基は、上記ペプチドのα−ヘリックスの双極子モーメントを安定化し得る。そのように負に帯電したアミノ酸残基はDまたはEであり得る。別の実施形態では、そのように負に帯電したアミノ酸残基はDである。

0124

さらなる実施形態では、本開示のHTH骨格は、ヘリックス間のまたはヘリックス内の静電的相互作用によりさらに安定化され得る。そのような静電的相互作用はイオン相互作用であり得る。

0125

さらなる実施形態では、本開示のHTH骨格は、不変アミノ酸残基
ヘリックス−1のX2とヘリックス−2のX4との間、
ヘリックス−1のX4とヘリックス−2のX4との間、および/または
ヘリックス−1のX5とヘリックス2のX2との間
のヘリックス内イオン相互作用により安定化されている。

0126

好ましくは、ヘリックス−1のX2およびX4は負に帯電したアミノ酸残基であり、X5は正に帯電したアミノ酸残基である。負に帯電したアミノ酸残基はDまたはEであり得、正に帯電したアミノ酸残基はK、HまたはRであり得る。

0127

好ましくは、ヘリックス−2のX2は負に帯電したアミノ酸残基であり、ヘリックス−2のX4は正に帯電したアミノ酸残基である。

0128

さらなる実施形態では、本開示のHTH骨格は、ヘリックス−1の不変アミノ酸残基X4とX5との間のヘリックス間イオン相互作用により安定化されている。好ましくは、X4は負に帯電したアミノ酸残基であり、X5は正に帯電したアミノ酸残基である。別の実施形態では、X4はEであり、X5はKである。

0129

さらなる実施形態では、本開示のHTH骨格は、ヘリックス間水素結合により安定化されている。

0130

一実施形態では、上記ヘリックス間水素結合は、ヘリックス−1の不変アミノ酸残基X2とX3との間および/またはX3とX4との間である。別の実施形態では、X2はEであり、X3はQであり、X4はEである。

0131

リンカー
本開示の2つのα−ヘリックスペプチド(ヘリックス−1およびヘリックス−2)は、ヘリックス−1のカルボキシル末端をヘリックス−2のアミノ末端に接続するペプチドリンカー(Li)により連結され、それにより、本開示のポリペプチドのための一本鎖アミノ酸配列が生じる。

0132

ある実施形態では、ヘリックス−1、Liおよびヘリックス−2は、ヘリックス−1のカルボキシル末端がLiのアミノ末端に連結され且つLiのカルボキシル末端がヘリックス−2のアミノ末端に連結されるように共有結合的に連結されている。別の実施形態では、アミノ末端からカルボキシル末端への配置は以下の通りである:ヘリックス−1、Liおよびヘリックス−2。本開示に係る典型的なヘリックス1−リンカー−ヘリックス2構造を図1および図3に示す。

0133

好ましくは、このリンカーは非ヘリカル領域を含む。この非ヘリカル領域の最初および最後の残基はあらゆるアミノ酸であり得る。好ましくは、一方または両方の残基は、ヘリックスを破壊するまたはヘリックスを不安定化する残基(例えばグリシンまたはプロリン)である。

0134

そのようなペプチドリンカーとして、例えば、当業者に既知であるグリシンリンカー、セリンリンカー、混合グリシン/セリンリンカー、グリシンリッチリンカーおよびセリンリッチリンカーが挙げられるがこれらに限定されない。

0135

本開示のある実施形態では、このリンカーは存在しない。

0136

本開示のある実施形態では、このリンカーは長さが1〜50個のアミノ酸残基である。別の実施形態では、このリンカーは長さが1〜30個のアミン酸残基である。さらに別の実施形態では、このリンカーは長さが1〜10個のアミノ酸残基である。一実施形態では、このリンカーは長さが5個のアミノ酸である。一実施形態では、このリンカーはアミノ酸配列QGVDS(配列番号6)を含む。一実施形態では、このリンカーはアミノ酸配列QGVDS(配列番号6)を有する。

0137

本ライブラリの多様性
一般に、コイルドコイルモチーフは、α−ヘリックスが実質的に不安定化されない限りアミノ酸置換に対して耐性がある。

0138

本開示のポリペプチドライブラリは、アミノ酸残基の混合物が配置される規定の多様化位置を特徴とする。このライブラリ内の多様化位置は、本開示のHTH骨格構造を形成するα−ヘリックスペプチドの両方(ヘリックス−1およびヘリックス−2)に存在する。

0139

ある実施形態では、ヘリックス−1中の6箇所の位置とヘリックス−2中の6箇所の位置とが多様化されている。

0140

従って、本開示のHTH骨格の可変位置でのアミノ酸多様性により、配列が異なるポリペプチドメンバーが生じる。

0141

可変位置でのアミノ酸残基はVar1、Var2およびVar3と称される。このことは、本HTH骨格の2つのα−ヘリカルペプチド内のヘプタド位置「b」、「e」、「f」に対応する。

0142

多様化アミノ酸残基位置は、HTH骨格の溶媒曝露領域の一面に位置し、それにより本ライブラリのポリペプチドメンバーに優勢な結合部位が形成される。

0143

図2Aおよび図2Bで見られるように、Var1は、本開示のHTH骨格の同一側上で整列する溶媒曝露アミノ酸残基を表し、そのため、本開示のライブラリを生成するために多様化に使用した。実施例1も参照されたい。

0144

本ライブラリのサイズをさらに増加させるために、および本ライブラリのポリペプチドと、このポリペプチドの結合した目的の標的分子との間の接触界面相を増加させるために、ヘリックス−1およびヘリックス−2にさらなる可変位置を導入した。上記で示したように、本開示のさらなる可変位置でのアミノ酸残基はそれぞれVar2およびVar3と称される。

0145

本開示のライブラリで用いられる多様化は、天然に存在するアミノ酸残基および合成アミノ酸残基の両方を包含し得る。

0146

しかしながら、特定の実施形態では、多様化アミノ酸残基Var1、Var2およびVar3は、本明細書で定義されたように、天然に存在するアミノ酸の混合物に独占される。

0147

本開示の好ましい実施形態では、上記混合物は、天然に存在するアミノ酸の均等な混合物である。

0148

さらなる実施形態では、多様化アミノ酸残基Var1は、G、P、Cを除いて天然に存在するアミノ酸の混合物を含む。G、P、Cはα−ヘリックス構造を破壊することが知られており、そのため避けた。2つ以上の多様化アミノ酸残基位置の間の潜在的なジスルフィド結合の形成を避けるために、Cをさらに除外した。さらに、C残基は、他の天然に存在するアミノ酸残基と比較して天然に存在するα−ヘリックスにおいて有意に低い頻度で現れることが示された(Aurora et al.,Protein Science(1998),7:21−38)およびPaceら(Biophysical Journal(1998),Vol.75,422−427))。

0149

本開示のある実施形態では、多様化アミノ酸残基位置Var2およびVar3は、天然に存在するアミノ酸残基E、D、K、R、N、QおよびHを含む。好ましい実施形態では、上記混合物は上記アミノ酸残基の均等な混合物である。

0150

一実施形態では、Var2は、天然に存在するアミノ酸残基R、E、Qの混合物を含み、Var3は、天然に存在するアミノ酸残基R、Q、Hの混合物を含む。好ましい実施形態では、上記混合物は均等な混合物である。

0151

本開示のライブラリメンバーは、上記ポリペプチドが、12箇所の多様化アミノ酸残基位置の規定のセットにおいて互いに異なることを特徴とする。

0152

従って、本ライブラリメンバーは、12箇所の多様化アミノ酸残基位置の規定のセット内の少なくとも1箇所のアミノ酸残基位置で互いに異なり得る。あるいは、本ライブラリメンバーは、これらのアミノ酸残基位置のうちの1箇所、2箇所、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所または全12箇所で互いに異なり得る。

0153

従って、本ライブラリメンバーは、12箇所の多様化アミノ酸残基位置の規定のセット中に存在する配列相違により互いに区別され得る。

0154

特定の実施形態では、本開示のポリペプチドライブラリはバクテリオファージ上で提示される。ファージディスプレイは、有用な分子の迅速な選択を可能にする重要な利点を有することが知られている。この方法は、合成により調製され得るライブラリと比べて数桁大きい、1010種の固有のペプチドメンバーの大きさのライブラリの調製を可能にする。そのような頑強プラットフォームの使用により、大きくて多様なライブラリの提示が可能になる。

0155

特定の実施形態では、本開示に係るポリペプチドのライブラリは、少なくとも102個、少なくとも103個、少なくとも104個、少なくとも105個、少なくとも106個、少なくとも107個、少なくとも108個、少なくとも109個またはさらに多い異なるライブラリメンバーを含む。一実施形態では、本開示のポリペプチドのライブラリまたはコレクションは、少なくとも106個の異なるライブラリメンバーを含む。

0156

特定の実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドのライブラリをコードする核酸のコレクションを提供する。

0157

特定の実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドのライブラリをコードする核酸のコレクションを含むベクターを提供する。

0158

特定の実施形態では、このベクターはディスプレイベクターである。他の実施形態では、このベクターは発現ベクターである。

0159

特定の実施形態では、本開示は、本開示のポリペプチドのライブラリをコードする核酸分子のコレクションまたはベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。

0160

特定の実施形態では、本開示は、ある抗原に特異的なポリペプチドを単離する方法において、
a)本開示のライブラリと、ある抗原とを接触させるステップと、
b)このライブラリの、この抗原に結合していないメンバーを除去するステップと、
c)このライブラリの、この抗原に結合したメンバーを回収するステップと
を含む方法を提供する。

0161

特定の実施形態では、本開示は、本明細書で開示されているポリペプチドのライブラリを使用して同定されたポリペプチドを提供する。

0162

ある実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片にヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を付与し、上記ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造は、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含む。

0163

一態様では、本開示は、ポリペプチドのライブラリにおいて、このライブラリの各メンバーは式ヘリックス−1−Li−ヘリックス−2のヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を含み、
この式中、
ヘリックス−1およびヘリックス−2は第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含み、上記α−ヘリックスペプチドの各々はアミノ酸配列
X1−X2−Hy−Var1−X3−Hy−Var1−Var2−X4−Hy−Var1−X5−Hy−Var1−Var3(配列番号1)
を含み、
この式中、
X1はD、T、N、SまたはPであり、
X2はE、P、Q、WまたはDであり、
X3はM、A、I、QまたはRであり、
X4はA、L、R、M、KまたはEであり、
X5はM、L、A、W、FまたはKであり、
Hyは、0.62超の疎水性を示す側鎖を有する任意のアミノ酸残基であり、
Var1、Var2およびVar3は、G、P、Cを除いて天然に存在するアミノ酸の混合物であり、
Liはリンカーであり、
上記第1および第2のα−ヘリックスペプチドは逆平行のコイルドコイル構造を形成する、
ライブラリを提供する。

0164

本開示の一実施形態では、ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格のアミノ末端および/またはカルボキシル末端で追加のアミノ酸残基が付加されている。

0165

アミノ酸残基を置き換えて、欠失させて、または付加させて、例えば、好ましい宿主種中でのライブラリメンバーの発現を助けることもできる、分子のクローニングを容易にすることもできる、ペプチドの安定性を高めることもできる;ヘリックスのパッキングを増加させることもできる。本開示の一実施形態では、本ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格のアミノ末端およびカルボキシル末端でGが導入されている。

0166

多様化された遺伝子ライブラリを生成する方法
多様化された遺伝子および遺伝子ライブラリの生成のための多数の方法が知られている。この方法としてSlonomics技術が挙げられる(米国特許出願公開第12/414,174号明細書およびVan den Brulle et al.,Biotechniques(2008),45,340−343))。

0167

このSlonomics技術は、自己相補的領域を含む規定の数の標準化ビルディングブロックを使用する。2つの異なるクラスのビルディングブロック(「スプリンカー(splinker)」および「アンカー」と呼ばれる)を使用して、任意の所望のバイアスオーダーメイドヌクレオチドライブラリが連続的に構築される。

0168

多様化トリヌクレオチド含有オリゴヌクレオチド(TRIM)技術(国際公開第93/21203号パンフレット)およびオリゴヌクレオチド介在型変異誘発(Zollerら((1987)Nucleic Acids.Res.10 6487−6504))は、多様化された遺伝子ライブラリを調製するためのさらなる方法である。

0169

カセット変異誘発は、多様化された遺伝子ライブラリを調製するためのさらなる方法である。この方法は、Wellsら((1985)Gene 34:315)が説明したものをベースとする。

0170

多様化された遺伝子ライブラリを、標準的な固相ペプチド合成(Merrifield et al.,J.Am.Chem.Soc.,1963,85(14),pp 2149−2154)と、その後の精製物の混合とによりも調製し得る。

0171

特定の実施形態では、本開示のポリペプチドライブラリの合成は、少なくとも100種のメンバーの核酸またはベクターのライブラリを製造するステップにおいて、各メンバーは本開示に係るポリペプチドをコードし、コードされた異なるライブラリメンバーは、12箇所の多様化アミノ酸残基位置の規定のセットのうちの少なくとも1箇所で互いに異なる、製造するステップを含む。

0172

宿主細胞中での発現の際に、本開示のポリペプチドライブラリが得られる。このステップを、当業者に既知であるように様々な方法で達成し得る。一般に、そのようなステップは概して、本ポリペプチドライブラリをコードする核酸もしくはベクターのライブラリまたは感染性粒子で適切な宿主細胞を形質転換することまたは適切な宿主細胞に遺伝子導入することを含む。さらに、そのようなステップは概して、上記宿主細胞の増殖(増加、成長)に適した条件下で上記宿主細胞を培養すること、およびコードされたポリペプチドの産生(発現、合成)に適した条件下で培養するステップを含む。増殖または発現に適した条件下で宿主細胞を培養することは概して、細胞の成長または発現の誘導に適した成分を含む培地の存在下で達成される。特定の実施形態では、本開示のポリペプチドライブラリの製造方法は、産生されたポリペプチドを宿主細胞または培地から単離するステップをさらに含む。発現されたポリペプチドライブラリは、異なる配列のポリペプチドに加えて同一のポリペプチドの複数のコピーも含み得る。

0173

ファージディスプレイ法
融合ポリペプチドをコードする遺伝子融合体に作動可能に連結された転写調節エレメントを含むバリアント複製可能ベクターのファミリを構築すること、適切な宿主細胞を形質転換すること、形質転換細胞を培養して、ファージ粒子の表面上で融合ポリペプチドを提示するファージ粒子を形成すること、組換えファージ粒子と標的分子とを接触させ、その結果、この粒子の少なくとも一部が標的に結合する、接触させること、結合している粒子を、結合していない粒子から分離することを含む、タンパク質、ペプチドおよびこれらの変異バリアントのファージディスプレイ法は当業者に既知であり、本明細書で開示されているライブラリと共に使用され得る。

0174

特定の実施形態では、本開示のポリペプチドはファージコートタンパク質の少なくとも一部に連結され、本明細書で開示されているポリペプチドを含む融合タンパク質が形成される。この融合タンパク質は、既知のファージディスプレイの技術を使用して、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を発現させることにより作製され得る。この融合タンパク質はファージまたはファージミドの粒子の一部を形成し得、この粒子の表面上でペプチドの1つまたは複数のコピーが提示される。

0175

特定の実施形態では、本開示は、上記の融合遺伝子を含むベクターおよびこのベクターのライブラリを提供する。このベクターのライブラリは、融合遺伝子のライブラリを含むDNAライブラリ、ウイルス(ファージまたはファージミド)粒子のライブラリの形態であってもよいし、発現ベクターまたはウイルス粒子のライブラリを含む宿主細胞のライブラリの形態であってもよい。

0176

特定の実施形態では、本開示は、複数のベクターを含むライブラリを調製するステップにおいて、各ベクターは、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体に作動可能に連結された転写調節エレメントを含み、遺伝子融合体は、本明細書で開示されているペプチドをコードする第1の遺伝子と、ファージコートタンパク質の少なくとも一部をコードする第2の遺伝子とを含み、このライブラリはポリペプチド融合タンパク質をコードする複数の遺伝子を含む、調製するステップを含む方法を提供する。

0177

ファージのコートタンパク質をコードする遺伝子と、本開示の融合タンパク質の所望のポリペプチド部分(ファージコートタンパク質の少なくとも一部に連結された本開示のポリペプチド)をコードする遺伝子とを、当分野で既知の方法により得ることができる(一般にSambrookらを参照されたい)。遺伝子をコードするDNAを化学的に合成し得る(Merrfield(1963)7 Am Chem Soc 85:2149)。

0178

ファージコートタンパク質は好ましくは、M13等の繊維状ファージの遺伝子IIIコートタンパク質または遺伝子VIIIコートタンパク質である。ペプチドの提示に、fd−CATl(McCafferty et al.(1990)Nature(London)348 552−554)およびpHEN l(Hoogenboom et al.(1991)Nucleic AcidsRes 19 4133−4137)等の任意の適切な遺伝子IIIベクターを使用し得る。

0179

本開示に従った使用に適切なファージベクター、ファージミドベクターおよびヘルパーファージは当業者に既知である。

0180

本開示の方法では、エレクトロポレーションにより形質転換され得る任意の適切な細胞を宿主細胞として使用し得る。形質転換され得る適切な宿主細胞として、グラム陰性細菌細胞(例えば大腸菌(E.coli))が挙げられる。適切な大腸菌(E.coli)株として、TG1F−または大腸菌(E.coli)XL−l Blue(Stratagene)が挙げられ得る。

0181

特定の実施形態では、エレクトロポレーション用の宿主細胞は、ファージF’エピソームを含むコンピテント大腸菌(E.coli)株である。この株中でのファージ複製を可能にするあらゆるF’エピソームを使用し得る。

0182

形質転換細胞の選択後、この細胞を培養液中で増殖させ、次いでベクターDNAを単離し得る。ファージベクターDNAまたはファージミドベクターDNAを、例えばSambrookらで説明されているように、当分野で既知の方法を使用して単離して分析し得る。

0183

パニング法
本開示に従って様々なパニング法を使用し得る。直接パニングプロトコルでは、標的は固体担体上に固定化される。固体担体の例は、マイクロタイタープレートもしくはマイクロタイターチューブ(例えば、Maxisorpプレート、Maxisorpチューブ、Nunc)または磁気ビーズ(Dynabeads、Invitrogen)である。標的は、プラスチックもしくはビーズ(例えば、表面が活性化されたビーズ、例えばDynabeads)上に直接コーティングされ得る、またはこの標的がビオチン化される場合にはストレプトアビジンを介してコーティングされ得る。他のタグを使用してHis−タグ等の標的を捕捉し得る、あるいは、標的に対する抗体も使用して担体上の標的を捕捉し得る。

0184

また、溶液パニングプロトコルも使用し得る。ここで、標的は、ファージライブラリとのインキュベーション後に固体担体上で捕捉される。標的−ファージ相互作用は溶液中で実施される。結合していないファージを洗い流し得るために、標的を固体担体上で固定化する必要がある。

0185

特定の実施形態では、Fcタグ付きの標的を使用し、それにより、標的に結合する本開示のポリペプチドを提示するファージが、プロテインGまたはプロテインAでコーティングされた担体(例えば磁気ビーズ)で捕捉される。

0186

本開示のポリペプチド
本開示のポリペプチドを様々な手段により合成し得、例えば、組換えDNA技術によりまたは化学合成により合成し得る。ペプチドの合成方法は当分野で既知である。

0187

あるいは、本ポリペプチドのコーディング配列は組換えDNA分子であり得、このDNAを遺伝子発現に必要な必須発現制御領域(例えば調節領域)に作動可能に連結させることにより、発現ベクターまたはファージに導入される。

0188

このベクターを、当分野で公知の方法(例えば“Current Protocol in Molecular Biology”,Ausubel et al.(eds.),Greene Publishing Assoc.and John Wiley Interscience,New York,1989 and 1992を参照されたい)により、原核細胞(例えば細菌)または真核細胞(例えば酵母もしくは哺乳動物)等の適切な宿主細胞に導入し得る。多数のクローニングベクターが当業者に既知であり、適切なクローニングベクターの選択は好みの問題である。

0189

遺伝子は、プロモーター、リボソーム結合部位(細菌発現の場合)および任意選択でオペレーター(本明細書ではまとめて「制御」エレメントと称される)の制御下に置かれ得、その結果、所望のタンパク質をコードするDNA配列は、この発現構築物を含むベクターにより形質転換された宿主細胞中でRNAへと転写される。コーディング配列は、シグナルペプチドまたはリーダー配列を含んでもよいし含まなくてもよい。

0190

選択された発現系および宿主に応じて、本開示のタンパク質は、目的のタンパク質が発現される条件下で、上記で説明されている発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を増殖させことにより産生される。

0191

次いで、このタンパク質を宿主細胞から単離して精製する。発現系がこのタンパク質を増殖培地中分泌する場合、このタンパク質をこの培地から直接精製し得る。このタンパク質が分泌されない場合、このタンパク質を細胞培養物から単離する、または細胞膜画分から回収する。適切な増殖条件および回収方法の選択は当分野の技術内である。

0192

次いで、本開示のポリペプチドは当業者に既知の複数の技術により精製され得る。

0193

本開示のライブラリおよびポリペプチドは天然に存在するタンパク質ではないことに留意すべきである。典型的には、本開示のポリペプチドは、組換え、合成または半合成のアミノ酸配列、ポリペプチドまたはタンパク質である。

0194

本明細書でさらに説明されているように、本開示のポリペプチド中のアミノ酸残基の総数は、2つのα−ヘリックスペプチドと、ヘリックス−ターン−ヘリックス骨格に連結され得る追加部分とを相互に連結するフレキシブルリンカーの長さに主に応じて、25〜50000個の範囲、25〜10000個の範囲、25〜5000個の範囲、25〜1000個の範囲、25〜500個の範囲、25〜250個の範囲、25〜100個の範囲、25〜50個の範囲または25〜35個の範囲であり得る。

0195

本開示のポリペプチドを、このポリペプチドのアミノ末端およびカルボキシル末端の連結を可能にするために、アミノ末端およびカルボキシル末端で追加のアミノ酸残基を付加して合成し得る。そのように形成された環化ポリペプチドは、α−ヘリックス構造の安定性をさらに増加させ得、且つプロテアーゼによるタンパク質分解に対する耐性をさらに改善し得る。

0196

例えばジスルフィド架橋または還元非感受性のチオエーテル連結を導入して、本開示のポリペプチドを環化し得る。アミノ末端で導入されたシステイン残基とカルボキシル末端で導入されたシステイン残基との間に酸化条件下でジスルフィド結合を形成し得る。本開示に係るチオエーテル結合は、例えばアミノ末端に存在するN−クロロアセチルグリシンとカルボキシル末端に存在するC残基との間に形成され得る。

0197

本開示のある実施形態では、本開示に係るポリペプチドは環状ポリペプチドである。

0198

本開示のある実施形態では、この環状ポリペプチドは共有結合により形成されている。

0199

本開示の特定の実施形態では、この共有結合はジスルフィド結合である。

0200

本開示の特定の実施形態では、このジスルフィド結合は2つのC残基により形成されている。

0201

本開示の特定の実施形態では、このジスルフィド結合は、本開示のポリペプチドのアミノ末端に存在するC残基とカルボキシル末端に存在するC残基との間に形成されている。

0202

本開示の特定の実施形態では、この共有結合はチオエーテル結合である。

0203

本開示の特定の実施形態では、この共有結合は、N−クロロアセチルグリシンとC残基との間に形成されたチオエーテル結合である。

0204

特定の実施形態では、この共有結合は、本開示のポリペプチドのアミノ末端に存在するN−クロロアセチルグリシンとカルボキシル末端に存在するC残基との間に形成されたチオエーテル結合である。

0205

特定の実施形態では、この共有結合は、本開示のポリペプチドのアミノ末端に存在するN−クロロアセチルグリシンとカルボキシル末端に存在するC末端との間に形成されたチオエーテル結合である。

0206

ポリペプチド融合タンパク質
本開示のライブラリにより提供されるポリペプチドは、1つまたは複数の他の部分に連結されていてもよいし連結されていなくてもよい。

0207

そのような融合タンパク質を、遺伝学的アプローチまたは化学的アプローチ等の任意の適切な方法で調製し得る。

0208

上記連結された部分は、分泌配列もしくはリーダー配列、検出、発現、分離もしくは精製を助ける配列、または例えば組換え産生の最中にタンパク質安定性の増加をもたらす配列を含み得る。

0209

可能性のある部分の例として、ベータガラクトシダーゼグルタチオン−S−トランスフェラーゼルシフェラーゼ、T7ポリメラーゼ断片、分泌シグナルペプチド、抗体またはこの抗体断片、毒素、レポーター酵素、金属イオンに結合し得る部分、ポリヒスチジンタグのように検出および/もしくは精製に適したタグ、ホモ会合ドメインもしくはヘテロ会合ドメイン、タンパク質の溶解性を増加させる部分、または酵素開裂部位を含む部分が挙げられる。従って、本開示のポリペプチドは、他の標的または目的の標的タンパク質に結合するための1つまたは複数の部分を任意選択で含み得る。

0210

そのようなさらなる部分は、本開示のポリペプチドにさらなる機能性を付与してもよいし付与しなくてもよく、且つ本開示のポリペプチドの特性を変更してもよいし変更しなくてもよいことは明らかなはずである。

0211

本開示のポリペプチドは、単一のペプチド結合により直接的にまたは1つもしくは複数のアミノ酸残基を含む1つもしくは複数のスペーサーを介して、1つまたは複数の他の部分に連結され得る。

0212

本開示のポリペプチドと1つまたは複数の部分との連結での使用に適したスペーサーは、ペプチドおよび/またはタンパク質を連結するために当分野で使用される任意のスペーサー領域であり得る。

0213

いくつかの適切なスペーサーとして、例えば、ポリペプチドスペーサー、例えばグリシンスペーサー、セリンスペーサー、混合グリシン/セリンスペーサー、グリシンリッチスペーサーおよびセリンリッチスペーサー、主に極性ポリペプチド断片で構成されたスペーサー、またはランダムコイル立体構造を形成するアミノ酸配列を含むスペーサーが挙げられるがこれらに限定されない。

0214

スペーサーは、長さが1〜500個のアミノ酸残基である任意の適切なアミノ酸配列であり得、例えば長さが1〜100個、1〜50個、1〜10個または1〜5個のアミノ酸残基である任意の適切なアミノ酸配列であり得る。

0215

ある実施形態では、本開示のポリペプチドはポリヒスチジンタグに連結されている。他の実施形態では、本開示のポリペプチドはFLAGタグに連結されている。さらに別の実施形態では、このポリペプチドはFLAGとポリヒスチジンタグとに連結されている。特定の実施形態では、上記ポリヒスチジンタグおよび/またはFLAGタグは、本開示のポリペプチドのカルボキシル末端および/またはアミノ末端に連結されている。

0216

別の実施形態では、本開示のポリペプチドはマルトース結合タンパク質(MBP)に連結されている。マルトース結合タンパク質は、細菌宿主中での発現の最中に溶解性を増加させ得る。特定の実施形態では、このマルトース結合タンパク質ドメインは、このポリペプチドのアミノ末端に連結されている。

0217

特定の実施形態では、発現に使用される細菌宿主は大腸菌(Escherichia coli)である。

0218

別の実施形態では、マルトース結合ドメインのカルボキシル末端と本開示のポリペプチドのアミノ末端との間に酵素開裂側が存在している。特定の実施形態では、上記酵素開裂側はFXa開裂側である。

0219

さらなる実施形態では、本ポリペプチドは抗体またはこの抗体断片に連結されている。特定の実施形態では、上記抗体断片はFab断片を含む。

0220

この抗体またはこの抗体断片は、本開示のポリペプチドと同一の結合特異性または異なる結合特異性を有し得る。

0221

本開示のポリペプチドは、このポリペプチドのアミノ末端および/もしくはカルボキシル末端への直接連結により、またはこのポリペプチドのアミノ末端および/もしくはカルボキシル末端で1つもしくは複数のアミノ酸残基を含むスペーサー領域により、この抗体またはこの抗体断片に連結され得る。

0222

特定の実施形態では、本開示のポリペプチドは抗体の重鎖のカルボキシル末端に連結されている。図9Aを参照されたい。

0223

他の実施形態では、本開示のポリペプチドは抗体の軽鎖のカルボキシル末端に連結されている。図9Bを参照されたい。

0224

他の実施形態では、本開示のポリペプチドは重鎖抗体Fab断片のカルボキシル末端に連結されている。図9Cを参照されたい。

0225

他の実施形態では、本開示のポリペプチドは抗体Fc断片(CH2−CH3)のカルボキシル末端に連結されている。図9Dを参照されたい。

0226

他の実施形態では、本開示のポリペプチドは抗体Fc断片(CH2−CH3)のアミノ末端に連結されている。図9Eを参照されたい。

0227

ある実施形態では、本開示は、抗体または抗体断片に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0228

ある実施形態では、本開示は、抗体の重鎖のカルボキシル末端に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0229

ある実施形態では、本開示は、抗体の軽鎖のカルボキシル末端に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0230

ある実施形態では、本開示は、抗体Fab断片の重鎖のカルボキシル末端に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0231

ある実施形態では、本開示は、抗体Fc断片のアミノ末端に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0232

ある実施形態では、本開示は、抗体Fc断片のカルボキシル末端に連結されたヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造において、逆平行のコイルドコイル構造を形成する第1および第2のα−ヘリックスペプチドを含むヘリックス−ターン−ヘリックス骨格構造を提供する。

0233

機能性
本開示のポリペプチドは、このポリペプチドが対象とする目的の標的分子が関与する生物学的経路により媒介される疾患または障害の予防および処置に使用され得る。

0234

本開示のポリペプチドを使用して、1つまたは複数の目的の標的分子と、これらの対応する受容体または天然の結合パートナーとの間の相互作用を防止し得、または阻害し得、それにより、これらの目的の標的分子により媒介されるシグナル伝達経路が防止される、阻害される、もしくは低減する、および/またはこれらの目的の標的分子が関与する生物学的経路および生物学的機構が調節される。

0235

機能活性をアッセイする方法は結合アッセイを利用し得、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、蛍光活性細胞選別FACS)および当分野で公知である他の方法(Hampton,R.ら(1990;Serological Methodsa Laboratory Manual,APSPress,St Paul,MN)およびMaddox,D.E.ら(1983;J.Exp.Med.158:1211−1216)を参照されたい)を利用し得る。あるいは、アッセイは、インビボまたはインビトロの何れかにおいて、生物学的標的への結合の結果としての生物学的応答の誘発でのペプチド模倣物の能力を試験し得る。そのようなアッセイとして、B細胞増殖アッセイおよびT細胞増殖アッセイ、ならびに増殖の阻害アッセイが挙げられる(Paulら(1991)を参照されたい)。他の適切なアッセイが当業者に既知であるだろう。

0236

医薬組成物
特定の実施形態では、本開示は、本開示の方法により得られる1種または複数種のポリペプチドと任意選択の少なくとも1種の薬学的に活性な担体と(本明細書では共に医薬成分と称される)を含む医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、少なくとも1種の他の薬学的に活性な化合物をさらに含み得る。

0237

本開示の医薬組成物を、目的の標的分子と関連する疾患および障害の診断、予防および/または処置で使用し得る。

0238

特に、本開示は、温血動物(具体的には哺乳動物、より具体的にはヒト)での予防的使用、治療的使用および/または診断的使用に適している本開示に係るポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。

0239

一般に、本開示のポリペプチドは、本開示に係る少なくとも1種のポリペプチドと、少なくとも1種の薬学的に許容される担体、賦形剤もしくは添加剤および/またはアジュバントと、任意選択の1種または複数種のさらなる薬学的に活性なポリペプチドおよび/または化合物とを含む医薬品または医薬組成物として製剤化され得る。そのような製剤は、経口、非経口局所投与または吸入による投与に適し得る。

0240

特に、本開示のポリペプチドを、目的の標的分子が関与する疾患および障害の予防および/または処置のためであるまたはこれらのために使用され得る他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて使用し得、この結果として、相乗効果が得られてもよいし得られなくてもよい。そのような化合物ならびにこの化合物を投与するための経路、方法および製剤または組成物の例は臨床医に明らかであるだろう。

0241

ある実施形態では、本開示は、1種または複数種のポリペプチドが特異的に結合する目的の標的分子の望ましくない存在に関連する障害または状態の予防および/または処置での使用のための、本開示の1種または複数種のポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。

0242

ある実施形態では、本開示は、医薬品としての使用のための、本開示の1種または複数種のポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。

0243

ある実施形態では、本開示は、自己免疫疾患炎症性疾患、癌、新生血管疾患、感染性疾患血栓症心筋梗塞および/または糖尿病の予防および/または処置での使用のための、本開示の1種または複数種のポリペプチドを含む医薬組成物を提供する。

0244

さらなる実施形態では、本開示は、本開示の1種または複数種のポリペプチドを含む医薬組成物を使用して、必要とする対象の自己免疫疾患、炎症性疾患、癌、新生血管疾患、感染性疾患、血栓症、心筋梗塞および/または糖尿病の処置の方法を提供する。

0245

実施例1:本ライブラリの設計
本ライブラリの設計は、統計的な、構造的なおよび合理的な因子を考慮した複合アプローチをベースとする。

0246

これには、天然のα−ヘリックス構造で見られる最も豊富なアミノ酸残基の分析が含まれる。そのようなアミノ酸は、より効率的な開発をもたらすことになり且つ患者中で結果として得られるポリペプチドの安全性および有効性を増加させることになる好ましい生物物理学的特性を有し得る。α−ヘリックス中で天然に存在するアミノ酸の豊富さを、Auroraら(Protein Science(1998),7:21−38)およびPaceら(Biophysical Journal(1998),Vol.75,422−427)等の文献から得た。これらのデータを使用して、α−ヘリックスのアミノ末端およびカルボキシル末端での残基の優先度のカタログを作成し、ならびにα−ヘリックスの中心領域でより多く見られる残基の優先度のカタログを作成した。水溶液中でのα−ヘリックスコイルドコイル構造の形成に関連する位置に存在するアミノ酸に特に焦点を合わせた。

0247

その後、データをテンプレートに移して、潜在的なα−ヘリックス参照配列を設計した。そのような参照配列は長さが15個のアミノ酸残基であり、且つ2つの連続したヘプタド配列を含む。上記15箇所のアミノ酸残基位置の各々に関して、5〜6個の最も頻繁に存在するアミノ酸残基を、水溶液中にて安定した逆平行配向のコイルドコイル構造に由来し得る2つの独立したα−ヘリックスペプチド配列を設計するためのベースと考えた。

0248

本開示に係るポリペプチドライブラリの生成に最適な参照配列を選択するために、ヘリックス形成を促進し且つα−ヘリックスコイルドコイル構造を安定化させるための追加の構造的考察を考慮して、各位置で最も適切なアミノ酸残基を選択した。

0249

従って、図3に示す2つのα−ヘリックスペプチドおよびリンカーセグメントを含む参照ポリペプチド配列(HTHdes2)を設計し、合成および円偏光二色性(CD)スペクトル測定によるα−ヘリックス含有量の試験のために選択した。得られたデータは、HTHdes2参照配列により、溶液中で高度のα−ヘリックス構造および低含有量のランダムコイル構造が得られることを裏付けた。さらなる研究により、HTHdes2配列が熱変性および化学変性に対して極めて耐性であることが明らかになった。実施例12も参照されたい。

0250

加えて、HTHdes2参照配列のコンピューター内でのT細胞エピトープ配列決定(Lonza,The Epibase(商標)In Silicoツール)により、生成された構築物に対する免疫原性リスクは低いまたはないことが明らかとなった。

0251

その後、HTHdes2参照配列を本開示に係るポリペプチドライブラリの構築に使用した。

0252

最初のステップでは、本発明者らは、HTHdes2参照配列上のどの特定のアミノ酸位置を、2つのHTH形成ペプチドのα−ヘリックス二次構造を不安定化することなく且つコイルドコイル構造の形成に支障を来すことなく多様化のために使用すべきかを決定しなければならなかった。

0253

Fujiiら(Biochemistry,47,6745−6751(2008))により説明されているように、HTH構造の安定化を、2つのアルファヘリックスペプチドのうちの1つのみを多様化させることにより達成し得る。このシナリオでは、第2の多様化されていないペプチドは、そのα−ヘリックス構造を保持してヘリックス−ターン−ヘリックス構造を安定化させる。しかしながら、一方のペプチドのみの多様化により、達成可能なライブラリサイズは著しく制限され、且つライブラリのポリペプチドと、このポリペリペプチドが結合した目的の標的分子との間の相互作用界面相が狭められる。

0254

そのため、本発明者らは両方のα−ヘリックスペプチドを多様化することを決定した。両方のα−ヘリックスペプチドに存在する可変位置は、特定のポリペプチドとその標的抗原との間の相互作用界面相の拡大に寄与し、その結果、特異性および親和性が改善される。

0255

本明細書で説明されているように且つ図1および図3で示されているように、多様化のために主に選択されたアミノ酸位置は、ヘリックス−1およびヘリックス−2のヘプタド位置「b」および「e」であった。各ヘリックスは2つのヘプタドを含むことから、1つのヘリックス当たり4箇所のアミノ酸位置が多様化される。本明細書においてVar1と称されるこれらのアミノ酸位置は同一の相対的に平行な配向で提示され、目的の標的抗原と相互作用するための重要な溶媒曝露残基である(図2Aおよび図2B)。この主な役割のために、それぞれの位置を、α−ヘリックス構造を破壊することが知られているG、PおよびCのみを除いて17種の天然に存在するアミノ酸で完全に多様化した。

0256

2つのα−ヘリックスペプチドの会合により合計で8つの多様化アミノ酸残基が生じ、これらの全ては、2つの整列されたペプチド内の多様化位置のわずかな空間的ずれにてHTH骨格構造から同一の相対的に平行な配向で提示される。その結果、HTH骨格構造の全長にわたり幅広くて平坦な相互作用界面が形成され、目的の標的抗原との最適なタンパク質−タンパク質相互作用が可能になる。

0257

ライブラリサイズおよび相互作用界面をさらに増加させるために、HTHdes2参照配列内のさらなるアミノ酸残基を多様化に考慮した。ヘプタド位置fに存在するアミノ酸残基も、完全に平行ではないが相互作用界面に向かって配向されている。局所幾何学に基づいて、ヘプタド位置fでの残基の配向はわずかに角張っているように見える(図1および図2Aおよび図2B)が、それにもかかわらずこの残基は標的抗原と相互作用し得る。そのため、上記ヘプタドf位置のうちの4箇所をさらなる多様化のために選択し、Var2およびVar3と命名した。

0258

相互作用界面に向かう残基の角張った配向に基づいて、E、D、K、R、N、QおよびHのような帯電側鎖または極性側鎖を有するアミノ酸を、Var2およびVar3の多様化に最適な残基と考えた。このシナリオでは、各残基の末端に位置する極性のまたは帯電した官能基は周囲の溶媒と相互作用し得、非極性炭素主鎖は標的抗原と作用し得る。Auroraら(Protein Science(1998),7:21−38)およびPaceら(Biophysical Journal(1998),Vol.75,422−427)により説明されているように、Var2およびVar3の多様化のために使用される3種のアミノ酸残基の最終選択を、対応する位置でのα−ヘリックスにおけるそれらの天然の存在により行なった。従って、Var2およびVar3に、わずかに異なるアミノ酸残基混合物を使用した。従って、理論上のライブラリサイズは合計5.6×1011種のライブラリメンバーに達した。

0259

まとめると、本開示のライブラリを、本開示のHTH骨格構造を形成するα−ヘリックス構造の安定化に支障を来すことなく多様化位置の数を最大化するよう構築した。

0260

実施例2:HTH−lib1ライブラリの生成
ポリペプチドライブラリ配列を含むDNA断片を以下のように合成した:シグナル配列エピトープタグおよびスペーサー領域を含む隣接定常領域を遺伝子合成により合成した。12箇所の多様化アミノ酸位置を有するポリペプチド配列をコードするポリペプチドライブラリをSlonomics技術で合成した。結果として得られた、ポリペプチドライブラリおよび隣接定常領域を含む279bpの合成直鎖DNA断片を、(わずかに変更して国際公開第2015166036号パンフレットで説明されているように)pPEPdisC3fl_HTH−lib1ディスプレイベクターにクローニングした。

0261

実施例3:提示速度の決定
産生されたファージ上でのポリペプチドの提示をウェスタンブロットで評価した。SDS−PAGE分離後、FLAGエピトープに対する抗体(M2、Sigma−Aldrich)を使用してタンパク質を検出し、なぜならば、このエピトープタグはPIII(fl)ポリペプチドライブラリによりコードされ、従って提示されたペプチドの一部だからである。全pIIIの検出のために、抗pIII抗体(MiBiTec)を使用した。ヘルパーファージは1個のファージ当たり約2〜3個のライブラリペプチドを提示し、ハイパーファージ(hyper phage)上では5個のpIIIコピー全てがライブラリペプチドを担持する。

0262

さらに、産生されたファージ上でのポリペプチドの提示を、ファージを捕捉するための抗M13抗体(GE Healthcare)および特異的検出のための2種の抗体を用いて、ELISAにより定性的に評価した。モノクローナル抗M13はHRP(Amersham)に共役し、FLAGエピトープに対するモノクローナル抗体はAP(Sigma)に共役した。

0263

この結果はライブラリペプチドの高い提示速度を裏付けた。

0264

実施例4:品質管理
別の重要な態様は、ポリペプチドHTH−lib1ライブラリの品質および機能性の評価である。アミノ酸の分布、頻度および重複性に関するファージライブラリの定性的評価を、Sanger配列決定を使用して実行した。

0265

Sanger配列決定を使用して、図3に示すライブラリ設計から175個のクローンを分析した。配列決定の結果を図4Aに示す。図4Aは、それぞれヘリックス−1およびヘリックス−2での多様化位置で示されたアミノ酸の位置および分布を示す。

0266

サンプリングした175個の個々のクローンのうち、Var1に関して、G、PおよびCを除いて天然に存在するアミノ酸のバランスの取れた分布を同定した。同様に、Var2に関してアミノ酸R、QおよびEのバランスの取れた分布ならびにVar3に関してアミノ酸R、QおよびHのバランスの取れた分布を確認し得た。

0267

図4Bは、配列決定の結果と比較して、予想されるアミノ酸分布を示す(パーセンテージで示す)。この結果は、合成されたライブラリの組成がライブラリの設計と実質的に同一であることを実証する。

0268

実施例5:パニングおよびスクリーニング
可能性のある治療用ペプチドの同定への本明細書で開示されているポリペプチドライブラリHTH−lib1の適合性を、利用可能なモデル抗原を使用して分析した。

0269

HTH−lib1ライブラリを、モデルTarget−Xに対する試験選択に使用した。Target−XをhIgFc融合タンパク質として使用した。抗原のヒトFcタグにより抗原−ファージ複合体を捕捉し得るプロテインG共役磁気ビーズ(DynabeadsProtein G、Life Technologies)を使用して、溶液中で選択を実施した。

0270

このポリペプチドライブラリを、選択ストリンジェンシーの観点から微調整し且つファージミドベクター系へ適応させつつ、ファージディスプレイをベースとするペプチド選択(Zwick,M.B.,Menendez,A.,Bonnycastle,L.L.C.and Scott,J.K.(2001).In C.F.Barbas,D.R.Burton,J.K.Scott and G.J.Silverman,(Eds.),Phage Display:A Laboratory Manual(pp.18.1−18.44).New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press)に関する公表された標準プロトコルに従って取り扱った。

0271

従来の配列決定により特定の配列をモニタリングしつつ、その後の3回の濃縮ラウンドにわたり試験選択を実施した。簡潔に言うと、全てのパニングを、標準的な洗浄条件下にて様々な抗原濃度(ラウンド1では100nM、ラウンド2では50nM、およびラウンド3では25nM)で完了した。標的タンパク質を、予め吸着したファージと共にインキュベートした。コーティングされた磁性Dynabeadの洗浄磁性粒子分離器で実行し、インキュベーションを低結合チューブ中でのオーバーヘッド回転により行なった。その後、特異的に結合したファージを、グリシン/HClを使用して溶出させた。

0272

各選択のファージ溶出物に、OD600nmが0.6〜0.8である大腸菌(E.coli)TG1F’を添加し、振盪させることなくインキュベーター中でインキュベートした。感染後、各選択に関して2つの大きなLB/クロラムフェニコールグルコース寒天プレート上に細菌を均等に播種し、37℃で一晩インキュベートし、グリセロールファージストックを調製した。

0273

以下のパニングラウンドのために、各プールの細菌懸濁液収集し、この細菌懸濁液を使用して、上記で説明したように追加のパニングラウンドのためにファージを増殖させた。

0274

各ラウンドのパニングの後、ファージ力価を決定した。予想範囲は、インプットの場合は1.0E+10〜1.0E+12個のファージ/mlであり、アウトプットの場合は1.0E+07〜1.0E+09個のファージ/mlである。表3は各ラウンドのパニング後のアウトプットを示し、全ての値は予想範囲内である。

0275

パニングラウンドの完了後、大腸菌(E.coli)中でのポリペプチドの細胞質発現を促進するために、ファージアウトプットプールをPCRにより発現ベクターにサブクローニングした。単一クローンの発現により、N末端でマルトース結合タンパク質(MBP)に連結され且つプロテアーゼ開裂部位を含むポリペプチドが産生された。

0276

標的特異性を調べるために、抗ヒトFc特異的抗体(Jackson Immuno Research)およびパニングアウトプットから得られたポリペプチドを含む大腸菌(E.coli)溶解物を予めコーティングしたマイクロタイタープレートの表面上のFcタグ付きのカニクイザルおよびヒトのTarget−Xタンパク質ならびに無関係のFcタグ付きのタンパク質を捕捉することにより、ELISAスクリーニングを実行した。結合したポリペプチドを、抗FLAG検出(抗FLAG−AP、Sigma Aldrich)を使用して、コードされたFLAGタグにより検出した。MBP−ポリペプチド融合発現を分析するために、抗His捕捉(R&D Systems)および抗MBP検出(Abcam)を適用した。

0277

合計で、280個のポリペプチドがELISAにおいてカニクイザルTarget−X/Fc融合タンパク質を認識することを確認した。さらに、ほとんど全てのカニクイザル陽性クローン(98%)はヒトTarget−Xタンパク質に対して交差反応性を明らかにしたが、無関係のFc融合タンパク質には結合しなかった。

0278

その後のパニングラウンドからのパニングアウトプットの配列分析およびELISAは、特異的結合剤(即ち、標的タンパク質には結合するが無関係のタンパク質には結合しない結合剤)の富化を明らかにした。

0279

実施例6:Target−X特異的ポリペプチドの配列決定の結果
Sanger配列決定を実施して、ヒトおよびカニクイザルのTarget−X/Fc融合タンパク質に特異的な結合剤を分析した(実施例5を参照されたい)。この配列決定の結果から、図9に示すように、多数の標的特異的ポリペプチドが明らかになった。このことは、本開示のライブラリを使用して、目的の標的タンパク質に特異的である多種多様なポリペプチドを同定し得ることを実証する。

0280

次のステップとして、スクリーニングキャンペーンから選択されたポリペプチドを、関連するインビトロアッセイでのELISAおよび細胞結合、親和性および機能的活性等の特性に関してより詳細に特徴を明らかにするために、より大きなスケールで産生させた。

0281

実施例7:ELISA結合に関する精製済Target−X特異的ポリペプチドのキャラクタリゼーション
ヒトおよびカニクイザルのTarget−Xへの結合をELISAで試験した。

0282

方法:
各Fc融合タンパク質1.5μg/mlを、Maxisorpプレート上の抗ヒトFc捕捉(Jackson Immuno Research)特異的抗体により捕捉し、結合したMBP−ポリペプチド融合体を、抗FLAG検出抗体を使用して検出した。

0283

結果:
全18種のポリペプチドは、組換えカニクイザルおよびヒトのTarget−X/Fcタンパク質の両方への有意で特異的な結合を示した。EC50値は、1桁から3桁のナノモル濃度範囲に及ぶ。

0284

これらの結果は、本開示のライブラリから単離されたポリペプチドの非常に特異的な性質を裏付ける。

0285

実施例8:細胞結合(FACS)に関するTarget−X特異的ポリペプチドのキャラクタリゼーション
CHO細胞上で発現されたカニクイザルTarget−Xへの細胞結合をFACSで分析した。

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