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課題・解決手段

ヒト患者又は動物患者の血液を、補助血液回路(10、11、12)を通して循環させるための生物医学装置が提供され、本装置は、血液ポンプ(10)、患者の血液を血液ポンプ(10)へ導き、かつ患者に返送するための吸入導管(11)及び排出導管(12)を含む。本装置は、さらに循環系の中で圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた測定装置(14)を含む。測定された圧力値に基づいて血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムを含むコントローラー(13)が提供される。コントローラー(13)は、これらの予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、患者の循環系における少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の位置に応じて適用するために選択するように構成される。

概要

背景

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させる必要を受けて、各種のアプリケーションが存在する。そのようなアプリケーションには、例えば補助人工心臓(ventricular assist devices;VAD)若しくは完全人工心臓を用いる機械的な循環補助心肺バイパスとも称される人工心肺を用いる血液循環、又は体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)などが含まれる。これらのアプリケーションは、一般に、患者からの血液を、吸入導管を用いて血液ポンプへ導き、血液ポンプから排出導管を通して患者の循環系に返送する。

重篤心不全を有する患者の十分な血液潅流を、機械的な血液ポンプを用いて回復させる際に、補助人工心臓(VAD)が使用される。重篤な心不全を有する患者を治療するために最も好ましく、また受け入れられている方法は、移植であるが、移植までの期間の橋渡しのために、部分的又は完全に患者の血液潅流を回復するためにVADがしばしば使用される。VADは、元来は移植への橋渡しのために開発されてきたが、ドナー心臓不足しているために、臨床医とVAD開発者は、最終治療及び回復への橋渡しへ焦点を移している。回復への橋渡しでは、循環を機械的に補助している間に心臓機能が回復することによって、後にVADを取り外すことを目指している。最終治療は、VADを永久埋め込みとして使用することを意味する。VAD治療の最も好ましい転帰は回復することであるが、ほんのわずかの患者しかVADを取り外すことができるような十分な心臓機能の回復を示すことはない。従って、最終治療は重篤な心不全の治療のための妥当な選択として残っている。

VADは3つのポンプ型の世代に分類することができる。第一世代のVADは、空気圧によって又は電気的に駆動される拍動容積ポンプである。拍動型VADは、ヒト心臓動作原理模倣しており、ポンプ室と2つの一方向流れ弁を必要とする。この装置は、かさ高くかつ効率的でないが、生理的な潅流を与える。拍動型VADは、今日では主に両心室補助のために使用されており、左右の心室の間のバランスが更に問題となる。第二世代のVADは、古典的なコンタクト軸受を備えた軸流又は遠心ターボダイナミックポンプである。この装置は、血液流の中でローターが回転することにより血液に圧力を及ぼす。近年の第三世代のVADは、磁気浮上ローター又は血液に浸漬された軸受を備えた軸流又は遠心ターボダイナミックポンプである。第二及び第三世代の装置は、小型で効率的で、より信頼できる。しかしながら、拍動型VADと比較すると、これらの装置は非生理的な潅流を与える。

VAD及び補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通して血液を循環させるための生物医学装置の一般的な問題点は、これらの装置で使用される血液ポンプの出力の制御に関係する。例えば臨床的に使用されるほとんどのターボダイナミックVADは一定の速度で運転されるため、VAD患者の潅流が要求に対してわずかに適合するだけである。しかしながら、血液ポンプの生理的な制御に対する要求は多面的であり潜在的に対立する。一例として、ターボダイナミックVADのコントローラーはたった1つの自由度、即ちポンプ速度を有するだけであるため、同時にいくつかの要求に合致することは可能でない。しかしながら、一連の要求を1つの課題に減らすことは可能である。即ち、生理的なコントローラーは、過剰ポンピング又は過少ポンピングを防止しなければならず、このような制限内で、患者の要求に合致するようにポンプ速度を適合させなければならない。過剰ポンピングは、ポンプ速度を過剰に高く選択したVADの誤作動を意味し、心室の完全な排出と最終的には心室吸引に至る場合もある。過少ポンピングは、ポンプ速度を過剰に低く選択した状況を意味し、ポンプを通じての逆流及び左心室の前における血液の鬱血に至る。この鬱血は、左心房肺静脈内圧を高くし、最終的には肺浮腫に至る場合もある。ポンプ内での沈滞又は逆流は、さらに溶血血栓の形成を促すため、避けるべきである。

国際公開第2004/073796号に、患者の(一次)循環系の中で所望の血流量又は血圧を達成するために、補助血液回路の中での血流量又は血圧を調節する方法が記載されている。この文献では、血液ポンプを調節するために、患者の心臓又は血管の中で血流量又は圧力をモニターすることが示唆されている。

米国特許出願公開第2015/0306290号明細書に、自動的な速度制御を可能にするために独立の多重センサーを備えた左室補助人工心臓が開示されている。心室圧を測定するセンサーの使用も提案されている。

最近、前負荷動員1回仕事量に依存する心臓の1回拍出量の生理的挙動記述するフランク−スターリングの法則(Frank-Starling law)から発想を得て血液ポンプの出力の調節を行うVADが提案されている(GlowerDD, Spratt JA, Snow ND, et al. Linearity of the Frank-Starling relationship in the intact heart: the concept of preload recruitable stroke work(無傷心臓におけるフランクスターリング相関関係線形性:前負荷動員1回仕事量の概念).Circ 1985; 71:994-1009)。これらの装置では、VAD治療の転帰を向上させるために、それぞれの血液ポンプは生理的な方法で調節される。

米国特許出願公開第2007/0073393号明細書に、圧力センサーによる測定値に基づいて出力が調節される血液ポンプが開示され、そこではフランク−スターリングの法則が参照されている。

米国特許出願公開第2008/0097226号明細書は、フランク−スターリングの法則に従って血液ポンプを調節するためのコントローラーを開示し、そこではコントローラーが血液ポンプの速度を、心拍数左心室圧を組み合わせた関数として変化させる。この文献では、無線伝送により左心室圧の値をコントローラーへ提供することができることも開示されている。

しかしながら、血液ポンプの出力調節のためにフランク−スターリングの法則を模倣している多くの装置は、調節メカニズム頑健性と信頼性に関してまだ問題を有している。特に、病的な心臓に関して解決すべき主要な課題がまだある。病的な心臓では、しばしばその調節メカニズムが、左心室壁の弱さに起因する潅流の要求に合致することができない。

概要

ヒト患者又は動物患者の血液を、補助血液回路(10、11、12)を通して循環させるための生物医学装置が提供され、本装置は、血液ポンプ(10)、患者の血液を血液ポンプ(10)へ導き、かつ患者に返送するための吸入導管(11)及び排出導管(12)を含む。本装置は、さらに循環系の中で圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた測定装置(14)を含む。測定された圧力値に基づいて血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムを含むコントローラー(13)が提供される。コントローラー(13)は、これらの予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、患者の循環系における少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の位置に応じて適用するために選択するように構成される。

目的

本発明の目的は、生理的で頑健で信頼性のある方法で操作される血液ポンプを備え、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置を提供する

効果

実績

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請求項1

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置であって、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)、及び前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するためのコントローラー(13)を含み、前記コントローラー(13)が、前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムを含み、かつ前記コントローラー(13)が、これらの予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、前記患者の循環系における前記少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の位置に応じて適用するために選択するように構成されている、生物医学装置。

請求項2

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置であって、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)、及び前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するためのコントローラー(13)を含み、前記コントローラー(13)が、前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最大値識別に基づいて心臓前負荷推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、特に請求項1に記載の生物医学装置。

請求項3

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置であって、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)、及び前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するためのコントローラー(13)を含み、前記コントローラー(13)が、前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最小値の識別に基づいて心臓の前負荷に対する推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、特に請求項1又は2に記載の生物医学装置生物医学装置。

請求項4

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置であって、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)、及び前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するためのコントローラー(13)を含み、前記コントローラー(13)が、前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の時間平均値を少なくとも1つの心周期にわたって算出し、前記算出された時間平均値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、特に請求項1〜3のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項5

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置であって、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)、及び前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するためのコントローラー(13)を含み、前記コントローラー(13)が、前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値に基づいて心周期中の特定の時点における圧力を識別し、前記識別された圧力に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、特に請求項1〜4のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項6

少なくとも1つの圧力センサー(41、42)が、前記患者の心臓(2)の左心室(20)又は右心室(23)の内部の前記圧力値を測定するように構成され、少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムに従って、左心室(20)又は右心室(23)の内部で前記圧力センサー(41、44)によって測定された前記圧力値の最大値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、請求項1〜5のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項7

少なくとも1つの圧力センサー(43)が、前記患者の肺動脈循環の内部で前記圧力値を測定するように構成され、少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムに従って、肺動脈循環の内部で前記圧力センサー(43)によって測定された前記圧力値の最小値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、請求項1〜6のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項8

少なくとも1つの圧力センサー(42、45、46)が、前記患者の心臓(2)の左心房(22)若しくは右心房(24)の内部又は肺静脈若しくは体静脈(26)の内部で前記圧力値を測定するように構成され、少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムに従って、左心房(22)若しくは右心房(24)の内部又は肺静脈若しくは体静脈(26)の内部で前記圧力センサー(42、45、46)によって少なくとも1つの心周期にわたって測定された前記圧力値の時間平均値を算出し、前記算出された時間平均値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、請求項1〜7のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項9

少なくとも1つの圧力センサー(41、42)が、前記患者の心臓(2)の左心室(20)又は右心室(23)の内部で前記圧力値を測定するように構成され、少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムに従って、左心室(20)又は右心室(23)の内部で前記圧力センサー(41、42)によって測定された前記圧力値に基づいて心周期中の特定の時点における圧力を識別し、前記識別された圧力に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、請求項1〜8のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項10

前記コントローラー(13)の前記少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムが、下記4つの制御アルゴリズム:−第一の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最大値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、第一の制御アルゴリズム、−第二の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最小値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、第二の制御アルゴリズム、−第三の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、少なくとも1つの心周期にわたって前記測定された圧力値の時間平均値を算出し、前記算出された時間平均値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、第三の制御アルゴリズム、及び−第四の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値に基づいて心周期中の特定の時点における圧力を識別し、前記識別された圧力に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する、第四の制御アルゴリズムのうちの少なくとも2つである、請求項1に記載の生物医学装置。

請求項11

前記コントローラー(13)が、心臓の前負荷の前記推定値、前記時間平均値、又は前記心周期中の特定の時点における圧力である一方と、前記血液ポンプ(10)の力である他方との間に直線関係成立するように、前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するように構成される、請求項1〜10のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項12

前記生物医学装置が、機械循環補助(MCS)装置、特に補助人工心臓(VAD)である、請求項1〜11のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項13

前記少なくとも1つの測定装置(4)から前記コントローラー(13)へ前記測定された圧力値を反映する信号を無線伝送するために、前記少なくとも1つの測定装置(4)が送信ユニット(47)を含み、前記コントローラー(13)が受信ユニット(14)を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項14

前記少なくとも1つの測定装置(4)が、前記コントローラー(13)へ識別子を伝送することに適合し、前記識別子が、前記患者の循環系における前記少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の位置を反映する、請求項1〜13のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項15

前記コントローラー(13)が、前記予め設定された制御アルゴリズムの1つを、前記少なくとも1つの測定装置(4)により伝送された前記識別子に応じて適用するために選択するように構成されている、請求項14に記載の生物医学装置。

請求項16

前記測定された圧力値を反映する信号をフィルタリングするためのハイパスフィルターをさらに含み、前記ハイパスフィルターは、前記少なくとも1つの圧力センサーの起こり得る長期ドリフトを前記信号から除去するが、昼/夜サイクルは依然として前記信号に反映されるように設計されている、請求項1〜15のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項17

前記コントローラー(13)が、前記血液ポンプ(10)の動作点の前記調節を、心周期に同期している周期信号重畳することに適合している、請求項1〜16のいずれかに記載の生物医学装置。

請求項18

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路(10、11、12)を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に請求項1〜17のいずれかに記載の生物医学装置の操作方法であって、前記生物医学装置は、血液を循環させるための血液ポンプ(10)、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプ(10)へ導くために前記血液ポンプ(10)に連結された吸入導管(11)、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプ(10)からの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプ(10)に連結された排出導管(12)、及び少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)を備えた少なくとも1つの測定装置(4)を含み、前記操作方法は、少なくとも下記工程:−前記少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)によって前記患者の循環系の中で圧力値を測定すること、及び−前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節することを含み、前記患者の循環系における前記少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の位置を決定し、次いで、前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、前記患者の循環系における前記少なくとも1つの圧力センサー(40〜46)の前記決定された位置に応じて適用するために選択する、生物医学装置の操作方法。

技術分野

0001

本発明は、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置に関し、前記生物医学装置は、患者循環系内で行われる圧力測定に基づいて調節される血液ポンプを含む。本発明は、そのような生物医学装置を操作する方法にも関する。

背景技術

0002

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させる必要を受けて、各種のアプリケーションが存在する。そのようなアプリケーションには、例えば補助人工心臓(ventricular assist devices;VAD)若しくは完全人工心臓を用いる機械的な循環補助心肺バイパスとも称される人工心肺を用いる血液循環、又は体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation;ECMO)などが含まれる。これらのアプリケーションは、一般に、患者からの血液を、吸入導管を用いて血液ポンプへ導き、血液ポンプから排出導管を通して患者の循環系に返送する。

0003

重篤心不全を有する患者の十分な血液潅流を、機械的な血液ポンプを用いて回復させる際に、補助人工心臓(VAD)が使用される。重篤な心不全を有する患者を治療するために最も好ましく、また受け入れられている方法は、移植であるが、移植までの期間の橋渡しのために、部分的又は完全に患者の血液潅流を回復するためにVADがしばしば使用される。VADは、元来は移植への橋渡しのために開発されてきたが、ドナー心臓不足しているために、臨床医とVAD開発者は、最終治療及び回復への橋渡しへ焦点を移している。回復への橋渡しでは、循環を機械的に補助している間に心臓機能が回復することによって、後にVADを取り外すことを目指している。最終治療は、VADを永久埋め込みとして使用することを意味する。VAD治療の最も好ましい転帰は回復することであるが、ほんのわずかの患者しかVADを取り外すことができるような十分な心臓機能の回復を示すことはない。従って、最終治療は重篤な心不全の治療のための妥当な選択として残っている。

0004

VADは3つのポンプ型の世代に分類することができる。第一世代のVADは、空気圧によって又は電気的に駆動される拍動容積ポンプである。拍動型VADは、ヒト心臓動作原理模倣しており、ポンプ室と2つの一方向流れ弁を必要とする。この装置は、かさ高くかつ効率的でないが、生理的な潅流を与える。拍動型VADは、今日では主に両心室補助のために使用されており、左右の心室の間のバランスが更に問題となる。第二世代のVADは、古典的なコンタクト軸受を備えた軸流又は遠心ターボダイナミックポンプである。この装置は、血液流の中でローターが回転することにより血液に圧力を及ぼす。近年の第三世代のVADは、磁気浮上ローター又は血液に浸漬された軸受を備えた軸流又は遠心ターボダイナミックポンプである。第二及び第三世代の装置は、小型で効率的で、より信頼できる。しかしながら、拍動型VADと比較すると、これらの装置は非生理的な潅流を与える。

0005

VAD及び補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通して血液を循環させるための生物医学装置の一般的な問題点は、これらの装置で使用される血液ポンプの出力の制御に関係する。例えば臨床的に使用されるほとんどのターボダイナミックVADは一定の速度で運転されるため、VAD患者の潅流が要求に対してわずかに適合するだけである。しかしながら、血液ポンプの生理的な制御に対する要求は多面的であり潜在的に対立する。一例として、ターボダイナミックVADのコントローラーはたった1つの自由度、即ちポンプ速度を有するだけであるため、同時にいくつかの要求に合致することは可能でない。しかしながら、一連の要求を1つの課題に減らすことは可能である。即ち、生理的なコントローラーは、過剰ポンピング又は過少ポンピングを防止しなければならず、このような制限内で、患者の要求に合致するようにポンプ速度を適合させなければならない。過剰ポンピングは、ポンプ速度を過剰に高く選択したVADの誤作動を意味し、心室の完全な排出と最終的には心室吸引に至る場合もある。過少ポンピングは、ポンプ速度を過剰に低く選択した状況を意味し、ポンプを通じての逆流及び左心室の前における血液の鬱血に至る。この鬱血は、左心房肺静脈内圧を高くし、最終的には肺浮腫に至る場合もある。ポンプ内での沈滞又は逆流は、さらに溶血血栓の形成を促すため、避けるべきである。

0006

国際公開第2004/073796号に、患者の(一次)循環系の中で所望の血流量又は血圧を達成するために、補助血液回路の中での血流量又は血圧を調節する方法が記載されている。この文献では、血液ポンプを調節するために、患者の心臓又は血管の中で血流量又は圧力をモニターすることが示唆されている。

0007

米国特許出願公開第2015/0306290号明細書に、自動的な速度制御を可能にするために独立の多重センサーを備えた左室補助人工心臓が開示されている。心室圧を測定するセンサーの使用も提案されている。

0008

最近、前負荷動員1回仕事量に依存する心臓の1回拍出量の生理的挙動記述するフランク−スターリングの法則(Frank-Starling law)から発想を得て血液ポンプの出力の調節を行うVADが提案されている(GlowerDD, Spratt JA, Snow ND, et al. Linearity of the Frank-Starling relationship in the intact heart: the concept of preload recruitable stroke work(無傷心臓におけるフランクスターリング相関関係線形性:前負荷動員1回仕事量の概念).Circ 1985; 71:994-1009)。これらの装置では、VAD治療の転帰を向上させるために、それぞれの血液ポンプは生理的な方法で調節される。

0009

米国特許出願公開第2007/0073393号明細書に、圧力センサーによる測定値に基づいて出力が調節される血液ポンプが開示され、そこではフランク−スターリングの法則が参照されている。

0010

米国特許出願公開第2008/0097226号明細書は、フランク−スターリングの法則に従って血液ポンプを調節するためのコントローラーを開示し、そこではコントローラーが血液ポンプの速度を、心拍数左心室圧を組み合わせた関数として変化させる。この文献では、無線伝送により左心室圧の値をコントローラーへ提供することができることも開示されている。

0011

しかしながら、血液ポンプの出力調節のためにフランク−スターリングの法則を模倣している多くの装置は、調節メカニズム頑健性と信頼性に関してまだ問題を有している。特に、病的な心臓に関して解決すべき主要な課題がまだある。病的な心臓では、しばしばその調節メカニズムが、左心室壁の弱さに起因する潅流の要求に合致することができない。

0012

従って本発明の目的は、生理的で頑健で信頼性のある方法で操作される血液ポンプを備え、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置を提供することである。また、本発明は、各患者によって示される要求と制限に従って柔軟に適用することができる生物医学装置を提供することも目的とする。

0013

この目的は、請求項1〜5に記載する生物医学装置によって解決される。本装置の更なる実施態様を従属請求項6〜17に記載する。そのような生物医学装置を操作する方法を請求項18に記載する。

0014

本発明は、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置を提供し、該生物医学装置は、
血液を循環させるための血液ポンプ、
患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、
前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、
前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置、及び
前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するためのコントローラーを含み、
前記コントローラーが、前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムを含み、かつ前記コントローラーが、これらの予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、前記患者の循環系における前記少なくとも1つの圧力センサーの位置に応じて適用するために選択するように構成されている。

0015

血液ポンプの動作点は、通常、血液ポンプの速度、即ちターボダイナミックポンプの場合にはローターの回転速度に対応する。従って、動作点は、血液ポンプを通って流れる血液の指標と見なすことができる。

0016

動作点を調節するための、2つ以上の予め設定された制御アルゴリズムを含むことにより、コントローラーは患者の要求と制限に柔軟にそして容易に適合することができる。血液ポンプの動作点を調節するための、いくつかの異なる予め設定された制御アルゴリズムを備えたコントローラーを有するそのような生物医学装置は、患者の循環系における圧力センサーのほぼ任意の位置付けのために構成することができる。圧力センサーの位置に従って、測定された圧力値に基づいて血液ポンプが最適な動作を達成するように、予め設定された制御アルゴリズムを選択することができる。多くの理由により、特に病的な心臓では、例えば左心室の中の好ましい圧力センサーの位置が患者にとって不都合な場合がある。そのような場合には、圧力センサーを例えば肺動脈中に設置することができる。その場合にも血液ポンプの頑健で信頼性のある動作を達成するために、圧力センサーが左心室中に設置されている状況と比べて、より適している別の制御アルゴリズムをコントローラーに適用することができる。従って、それぞれの場合に血液ポンプの最適な調節が達成される。

0017

血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも2つの異なる予め設定した制御アルゴリズムを備えることの更なる利点は、圧力センサーが不具合の場合に、特にセンサーが、ポンプの中、又はポンプの吸入導管若しくは排出導管の中に埋め込まれていないときに、圧力センサーを容易に交換できることである。この目的のためには、センサーの交換が必要なだけである。血液ポンプとコントローラーは必ずしも交換する必要がない。コントローラーが圧力センサーの存在とその位置を自動的に検出することに適合している場合は、生物医学装置への圧力センサーの交換及び/又は追加を特に容易に行うことができる。

0018

コントローラーの予め設定された制御アルゴリズムの選択は、生物医学装置を埋め込むとき、又はその直後に、外科医内科医又は訓練された医療関係者手動で行うことができる。

0019

しかしながら、好ましい実施態様では、少なくとも1つの測定装置が、識別子をコントローラーへ伝送することに適合しており、その識別子は患者の循環系における少なくとも1つの圧力センサーの位置を反映する。識別子は、例えば特定の番号の形式で、測定装置の記憶モジュールに格納することができる。好ましくは、少なくとも1つの測定装置によって伝送された識別子に従って適用するために、予め設定された制御アルゴリズムの1つを選択するようにコントローラーが構成される。この目的のために、コントローラーの記憶モジュールの中に割当表を格納することができ、割当表において、予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つが各識別子割り当てられる。従って、そのような実施態様では、コントローラーが、受け取った識別子に基づいて予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを自動的に選択すること、及び、予め設定された制御アルゴリズムの各々を適用して血液ポンプの動作点を調節することに好適に適合する。

0020

好ましい実施態様において、前記コントローラーの前記少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムが、下記4つの制御アルゴリズム:
− 第一の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最大値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する、第一の制御アルゴリズム、
− 第二の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最小値を識別することに基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する、第二の制御アルゴリズム、
− 第三の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、少なくとも1つの心周期にわたって前記測定された圧力値の時間平均値を算出し、前記算出された時間平均値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する、第三の制御アルゴリズム、及び
− 第四の制御アルゴリズムであって、該制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値に基づいて心周期中の特定の時点における圧力を識別し、前記識別された圧力に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する、第四の制御アルゴリズム
のうちの少なくとも2つである。
従って、この好ましい実施態様において、コントローラーは、第一、第二、第三及び第四の制御アルゴリズム群のうちの少なくとも2つの制御アルゴリズムを含む。コントローラーは、この4つの制御アルゴリズム群のうちの3つの予め設定された制御アルゴリズムを含むこともできる。コントローラーはこれら4つの予め設定された制御アルゴリズムのすべてを含むことも可能である。

0021

好ましくは、コントローラーは予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを心周期毎に適用するように構成される。従って、適用した制御アルゴリズムによる特徴の抽出は好ましくは心周期毎に繰り返され、これに応じて各心拍後に血液ポンプの動作点が再調節される。

0022

少なくとも1つの圧力センサーが患者の心臓の左心室又は右心室の内部の圧力値を測定するように構成されている場合、好ましくは、コントローラーは少なくとも2つの予め設定された制御アルゴリズムの1つとして第一又は第四の制御アルゴリズムを含む。つまり、少なくとも1つの圧力センサーが患者の心臓の左心室又は右心室の内部の圧力を測定するように位置している場合、血液ポンプの動作点の調節に適用するために、コントローラーは、第一又は第四の制御アルゴリズムを選択するように有利に構成される。

0023

各時間間隔、例えば少なくとも1つの心周期にわたって測定された圧力値の最大圧力値を、心臓の前負荷の推定値として識別する場合、心臓の前負荷の推定値は、この第一の制御アルゴリズムによって非常に容易に決定することができる。第一の制御アルゴリズムを適用することにより、少なくとも1つの圧力センサーが左心室又は右心室の内部に位置している場合に、血液ポンプは非常に信頼性があり頑健な動作を達成することができる。コントローラーは、好ましくは1心周期、有利には毎心周期にわたって測定された圧力値の最大値を識別するように構成される。

0024

第四の制御アルゴリズムの使用は、心臓の前負荷の非常に正確な推定値をもたらす。例えばこの場合には、血液ポンプの動作点を調節するための圧力を識別するために、拡張末期が起こる時間を特定の時点として検出するようにコントローラーを構成することができる。この第四の制御アルゴリズムによって使用される心周期中の特定の時点は、例えばECG測定に基づいて、又は測定された圧力値に基づいて決定することができる。

0025

少なくとも1つの圧力センサーが患者の肺動脈循環の内部の圧力値を測定するように設定されている場合、コントローラーは少なくとも2つの予め設定された制御アルゴリズムの1つとして、好ましくは第二の制御アルゴリズムを含む。つまり、少なくとも1つの圧力センサーが患者の肺動脈循環の内部に位置している場合、コントローラーは、血液ポンプの動作点の調節に適用するために、第二の制御アルゴリズムを選択するように有利に設定される。例えば、少なくとも1つの心周期の各時間間隔にわたって測定された圧力値の最小圧力値を、心臓の前負荷の推定値として識別する場合、心臓の前負荷の推定値はこの第二の制御アルゴリズムによって非常に容易に決定することができる。第二の制御アルゴリズムを適用することにより、少なくとも1つの圧力センサーが肺動脈循環の内部に位置している場合に、血液ポンプの非常に信頼性があり頑健な動作を達成することができる。コントローラーは、好ましくは1心周期、有利には毎心周期にわたって測定された圧力値の最小値を識別するように設定される。

0026

もし少なくとも1つの圧力センサーが、圧力値を測定するために患者の左心房若しくは右心房の内部、又は患者の肺静脈若しくは体静脈の内部の圧力を測定するように構成されているならば、コントローラーは少なくとも2つの予め設定された制御アルゴリズムの1つとして、好ましくは第三の制御アルゴリズムを含む。つまり、少なくとも1つの圧力センサーが心臓の左心房若しくは右心房の内部、又は患者の肺静脈若しくは体静脈の内部に位置しているならば、この場合にはコントローラーは血液ポンプの動作点を調節するために適用する第三の制御アルゴリズムを選択するために有利に構成される。第三の制御アルゴリズムを適用することにより、もし少なくとも1つの圧力センサーが左心房若しくは右心房の内部、又は肺静脈若しくは体静脈の内部に位置しているならば、非常に信頼性があり頑健な血液ポンプの動作を達成することができる。

0027

血液ポンプを操作するための第一、第二、第三及び第四の各制御アルゴリズムは、心臓の生理機能を記述するフランク−スターリングの法則に発想を得ている。この法則によると、他の全ての因子が一定のとき、心臓の1回拍出量は心臓の前負荷の上昇に応じて上昇する。第一及び第二の制御アルゴリズムを用いて、血液ポンプを調節するために、心臓の前負荷の推定値が決定される。第三の制御アルゴリズムで算出された時間平均値と第四の制御アルゴリズムで識別される心周期中の特定の時点における圧力も、ほとんどの実施態様において、心臓の前負荷の推定値と見なすことができる。左心室拡張末期圧は心前負荷の直接の指標となるが、本発明の文脈においては、心周期の最小圧、左心室ピーク収縮期圧、特定の圧力値の時間平均値、及び(拡張期肺動脈圧の最小値も、特に拡張末期圧を十分に頑健で信頼性のある方法で検出できない状況においては、心臓の前負荷の良い推定値として使用できることが認識されている。従って、心臓の前負荷に対する推定値を決定すること、及びこの推定値を血液ポンプの動作点の調節に使用することにより、血液ポンプを調節するための非常に生理的な方法が提供され、そこでは患者の潅流の要求に応じてコントローラーがポンプ速度を適合させる。そのため、コントローラーは、心拍出量を、生理的な心臓と極めて類似するように適合させることができる。血液ポンプの制御に心臓前負荷の推定値を用いることによって、更にいかなる対策を行うことなく、通常は、過剰ポンピング及び過少ポンピングが効果的に防止される。

0028

第一及び第二の制御アルゴリズムにおいて最大及び最小圧力値をそれぞれ識別するための、又は第三の制御アルゴリズムにおいて時間平均値を算出するための時間間隔の期間は、好ましくは1.3秒より長く、より好ましくは1.5〜2.5秒、そして最も好ましくは約2秒である。

0029

血液ポンプの最適な生理的な調節を達成するために、生物医学装置は好ましくは400ms未満、より好ましくは200ms未満、最も好ましくは100ms未満の時間分解能で圧力値を測定するように構成される。コントローラーは同じ時間分解能で血液ポンプの動作点を適合させるように構成することができる。しかしながら、血液ポンプの動作点を適合させるための時間分解能も、例えば1.5〜2.5秒のように心周期より長くすることができる。

0030

以下に、血液ポンプの動作点を調節するために、コントローラーに予め設定することができる更に可能な制御アルゴリズムを記述する。

0031

更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、血液ポンプを通る血流量の推定値を決定することができる。この目的のために、吸入導管の上又は中に位置する圧力センサーにより検出される圧力が、好ましくは血液ポンプを駆動するために適用された電流値及び/又は血液ポンプの速度の値と組み合わせて使用される。

0032

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、各拍動に対して、又はいくつかの拍動にわたって平均化して、血液ポンプを通る最小流量の推定値を決定することができる。血液ポンプを通る最小流量の推定値に基づいて、コントローラーは、例えば逆流が検出された場合に血液ポンプの速度を上昇させることができる。

0033

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、拡張末期圧の推定値が決定され、決定された拡張末期圧の推定値が予め設定した値(例えば、20mmHg)以上の場合に、血液ポンプの速度を上昇させることができる。そうすることで、左及び/又は右心室に対する過剰負荷を防止することができる。拡張末期圧の推定値は、吸入導管の上又は中に位置する圧力センサーに基づくことができる。あるいは、左及び/又は右心室の過剰負荷を防止するために、特に圧力センサーが肺動脈中に位置している場合に、循環の負荷を表す他の推定値もそのような更なる予め設定された制御アルゴリズムで決定することができる。

0034

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、測定された圧力の最大値及び血液ポンプを通る血流量の推定値を、各心拍に対して決定することができる。これらの推定値に基づき、起こり得る負圧が検出された場合に、ポンプ速度を減少させることができる。

0035

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、大動脈弁開口の時点の推定値を例えば各心拍に対して決定することができる。この目的のために、例えば血液ポンプを駆動するために適用された電流及び/又は血液ポンプの速度の値が、場合によっては血液ポンプを通る血流量の推定値と組み合わせて使用される。そして、大動脈弁の開閉が予め設定された特定の時点で起こるように、コントローラーによって血液ポンプを制御することができる。

0036

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、左及び/又は右心室の収縮力の推定値を決定することができる。この目的のために、例えば血液ポンプを通って流れる血流量、拡張末期圧及び/又は吸入導管における最大圧力の勾配の推定値が決定される。従って、心室の収縮力の起こり得る変化が識別され、それによって血液ポンプの調節を適合させることができる。

0037

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、血液ポンプを通って流れる流量及び/又は吸入導管における圧力の推定値を使用して、左又は右心室の硬直及び/又は弛緩特性の変化を識別することができる。従って、心室の硬直の起こり得る変化が識別され、それによって血液ポンプの調節を適合させることができる。

0038

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、心臓の後負荷をモニターするために、平均大動脈圧の推定値を決定することができる。この目的のために、大動脈弁の開口時点、検出された又は吸入導管における圧力の最大勾配により推定された拡張期大動脈圧、及び/又は検出された又は吸入導管における圧力の最大値により推定された収縮期大動脈圧の推定値が好ましくは決定され使用される。そうする過程で、拡張期大動脈圧は、吸入導管の最大勾配が起こる時の吸入導管圧と等しいと仮定することができる。

0039

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、心拍数の変動を推定するために、測定された圧力の最大値の検出に基づいて心拍数の推定値を決定することができる。

0040

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、患者のヘマトクリットの指標として血液粘度の推定値を決定することができる。この目的のために、血液ポンプを通る血流量の推定値を、血液ポンプを駆動するために適用された電流値及び/又は血液ポンプの速度と組み合わせて使用することができ、かつ任意に、血液ポンプを通る流量の推定値を使用することができる。

0041

別の更なる予め設定された制御アルゴリズムでは、大動脈弁を通る血流量の推定値を決定することができる。この目的のために、平均大動脈圧、特に大動脈弁の出口圧力の推定値を、好ましくは弁モデルの入力としての入口弁圧力の推定値とともに、使用することができる。入口弁圧力は、好ましくは、吸入導管において又は吸入導管の中で測定された圧力と等しいと仮定される。

0042

もちろん、コントローラーを用いて血液ポンプを制御するために、上述した予め設定された制御アルゴリズムは、組み合わされた形態で存在させることもできる。

0043

もちろん、第一、第二、第三及び第四の予め設定した制御アルゴリズム及び上述した更に可能な制御アルゴリズムは、例えば、圧力センサーを患者の循環系における任意の位置に置くことができない生物医学装置、及び/又は血液ポンプの動作点の調節のための制御アルゴリズムを単一の予め設定された制御アルゴリズムとして提供する生物医学装置に対しても適用することができる。

0044

従って、本発明は以下の生物医学装置も提供する。

0045

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に上述した生物医学装置であって、
血液を循環させるための血液ポンプ、
患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、
前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、
前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置、及び
前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するためのコントローラーを含み、
前記コントローラーが、前記血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最大値の識別に基づいて心臓の前負荷の推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプ(10)の動作点を調節する。

0046

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に上述した生物医学装置のうちの1つであって、
血液を循環させるための血液ポンプ、
患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、
前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、
前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置、及び
前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するためのコントローラーを含み、
前記コントローラーが、前記血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の最小値の識別に基づいて心臓の前負荷に対する推定値を決定し、前記決定された心臓の前負荷の推定値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する。

0047

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に上述した生物医学装置のうちの1つであって、
血液を循環させるための血液ポンプ、
患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、
前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、
前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置、及び
前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するためのコントローラーを含み、
前記コントローラーが、前記血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値の時間平均値を少なくとも1つの心周期にわたって算出し、前記算出された時間平均値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する。

0048

補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に上述した生物医学装置のうちの1つであって、
血液を循環させるための血液ポンプ、
患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、
前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、
前記患者の循環系の中の圧力値を測定するための少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置、及び
前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節するためのコントローラーを含み、
前記コントローラーが、前記血液ポンプの動作点を調節するための少なくとも1つの予め設定された制御アルゴリズムを含み、前記制御アルゴリズムに従って、前記測定された圧力値に基づいて心周期中の特定の時点における圧力を識別し、前記識別された圧力に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節する。

0049

示された各生物医学装置は、好ましくは機械的循環補助(MCS)装置、より好ましくは補助人工心臓(VAD)、そして最も好ましくは左室補助人工心臓(LVAD)である。しかしながら、生物医学装置は、完全人工心臓、人工心肺又は体外式膜型人工肺(ECMO)装置である場合もある。例えば透析装置などの更なる型の装置でもあり得る。装置の型に応じて、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通して血液が循環される。ここでは補助的血液回路は付加的な人工回路を指し、そこでは患者の(一次)循環系からの血液が血液ポンプへ導かれ、そしてポンプが血液を患者の循環系の中へ戻す。補助的血液回路の中で、血液は任意に特定の方法で処置される場合もある。例えば、血液が酸素化され(ECMO、心肺バイパス)、又は血液から老廃物や過剰の水が除去されることもある(透析)。これらの場合には、血液の処置が行われ、補助血液回路は、通常は体外循環血液回路である。生物医学装置の主な機能がVADのように心臓の機能の少なくとも一部を補助又は代替することである場合には、必須ではないが、補助血液回路は、好ましくは体内血液回路であり、即ち血液回路全体が患者の体内に配置される。

0050

生物医学装置の吸入導管及び排出導管は、通常はチューブの形状を有している。それらは、例えばフレキシブルなチューブで代表される。しかしながら、好ましくは、吸入導管は吸入カニューレであり、及び/又は、排出導管は排出カニューレである。特に、生物医学装置がVADである場合、吸入導管は、有利には患者の心臓への挿入に、より有利には一方の心室への挿入に、そして最も有利には左心室への挿入に適合している。VADの場合には、排出導管は、好ましくは患者の大動脈との連結に適合している。少なくとも1つの圧力センサーを吸入導管又は排出導管上に配置することも可能である。

0051

生物医学装置は、通常はハウジングを含み、該ハウジングの中に、血液ポンプが、好ましくはコントローラーもが、配置される。血液ポンプにエネルギーを供給するために、装置は、通常はバッテリー若しくは蓄電池などのエネルギー蓄積装置、又は装置を電源へ接続するための電力接続器を含む。エネルギー蓄積装置は、有利には装置のハウジングに収容される。バッテリー若しくは蓄電池などの更なるエネルギー蓄積装置、又は電力接続器も各測定装置に備えることができる。

0052

血液ポンプは、好ましくは空気圧により又は電気的に駆動されるポンプである。もちろん、油圧駆動ポンプなどの他の型のポンプでもあり得る。血液ポンプは、拍動性容積置換型ポンプ又は回転羽根車に依拠するポンプでもあり得る。ポンプは、特に軸流又は遠心ターボダイナミックポンプなどのターボダイナミックポンプでもあり得、古典的なコンタクト軸受、磁気浮上ローター又は血液に浸漬された軸受を含み得る。本発明は、あまり一般的には適用されない他の型の血液ポンプでも使用することができる。

0053

特定の実施態様において、少なくとも1つの測定装置は、測定した圧力値を反映する信号を、少なくとも1つの測定装置からコントローラーへ無線伝送するために、送信ユニットを含むことができ、コントローラーは受信ユニットを含むことができる。そのような場合には、測定装置とコントローラーとの間のケーブル接続を提供する必要はない。このような実施態様は、測定装置が、少なくとも1つの圧力センサーの位置をコントローラーへ示すための識別子をコントローラーへ伝送することに適合している場合に特に有利である。

0054

測定装置の送信ユニットは、必ずしも能動送信ユニットではなく、受動データ伝送回路によって提供することもできる。その場合には、装置、好ましくはコントローラーが読み出し回路を含み、例えば測定した圧力値を反映する周波数変調信号を受信するために、少なくとも1つの測定装置の受動データ伝送回路を刺激することができる。

0055

任意であり、必須ではないが、心室又は血管の吸引を防止するために、生物医学装置は吸引検出器を含むことができる。吸引検出器は、測定された物理的パラメーターに基づく血液ポンプの生理的な調節に対する付加装置として使用することができる。吸引が起こるとすぐに、吸引検出器がそれを検出して、選択された制御アルゴリズムを一時的に無効にし、吸引解除戦略を開始することができる。

0056

好ましくは、コントローラーは、心臓の前負荷の推定値、時間平均値、又は心周期中の特定の時点における圧力である一方と、血液ポンプの力、例えば油圧力である他方との間に直線関係成立するように、血液ポンプの動作点を調節するように構成される。心前負荷の推定値と、得られた左心室拍出量との間の直線関係は、フランク−スターリングの法則に対応しており、単純なだけでなく、血液ポンプの生理的な調節をもたらす。

0057

生物医学装置は、測定された圧力値を反映する信号をフィルタリングするためのハイパスフィルターをさらに含むことができる。好ましくは、ハイパスフィルターは、少なくとも1つの圧力センサーの起こり得る長期ドリフトを信号から除去するが、昼/夜サイクルは依然として信号に反映されるように設計される。ハイパスフィルターは、二次無限インパルス応答(IIR)フィルターであってもよい。フィルターのカットオフ周波数は、好ましくは、およそ1/(1日)=1.15×10−5Hzと1/(2日)=5.79×10−6Hzとの間から選択され、より好ましくは、およそ1×10−5Hzである。

0058

コントローラーは、血液ポンプの力、特に油圧力を調節するための少なくとも1つの予め設定された特別の制御アルゴリズムを含むことができる。このような場合、コントローラーは、測定された圧力を反映する信号が特定の上限及び/又は下限を越えるか、又は血液ポンプの所望の力、特に油圧力が特定の上限及び/又は下限を越えるときに、好ましくはその特別の制御アルゴリズムを適用するために選択するように構成される。その特別の制御アルゴリズムを提供することにより、血液ポンプの調節を特定の限度内に維持することが保証される。

0059

コントローラーは、少なくとも1つの圧力センサーの故障を自動的に検出するように構成され、故障を検出した場合に、さらに別の圧力センサーを使用する別の制御アルゴリズムへ自動的にスイッチするか、又は制御アルゴリズムを無効するように構成することができる。従って、コントローラーは、故障した圧力センサーに起因して測定された圧力信号に基づくいかなる制御アルゴリズムも無効にする安全アルゴリズムを含むことができる。その代わり、この安全アルゴリズムはポンプを安全操作モードに戻し、その場合には例えば手動で定義された動作点が使用される。

0060

血液ポンプの生理的な操作を達成するために、コントローラーは、血液ポンプの動作点の調節を、心周期と同期した周期信号重畳することに適合することができる。周期信号は、例えば正弦関数である場合もあり、又は矩形波を有する場合もある。この周期信号は、心拍と同じ周波数を有してもよく、また例えば測定された圧力の最大値などの測定された血圧の特定の指標を例えば抽出することにより、測定された血圧を用いて心周期に同期させることができ、又は例えば更に心電図(ECG)の測定などの別の測定を用いて心周期に同期させることができ、又は周期信号は心拍数に非同期であるか、又は可変周波数を有することもできる。そのような周期信号を重畳することの目的は、動脈の拍動性、大動脈弁を通る流量、又は左心室の一回仕事量などの特定の血行動態パラメーターを向上させることである。そのような信号が存在する場合、好ましくはコントローラーが心臓のフランク−スターリングの法則を模倣する能力を妨害しないように設計される。周期信号は、コントローラーに格納することができ、及び/又は、例えば正弦波などの形に予め定義することができる。それはパラメーター化することができ、特定のパラメーターは、例えば測定された圧力値を用いるか、又は、血液ポンプの電流値や、速度、及び/又は圧力に基づくポンプ流量の測定又は推定により、手動又は自動的にオンラインで変更することができる。例えば、周期信号の振幅を、逆流を防止するように制御することができる。

0061

本発明は、補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置、特に示された生物医学装置のうちの1つの操作方法にも関連し、ここで、生物医学装置は、血液を循環させるための血液ポンプ、患者の循環系に挿入されて、前記患者の血液を前記血液ポンプへ導くために前記血液ポンプに連結された吸入導管、前記患者の循環系に挿入されて、前記血液ポンプからの血液を前記患者の循環系に返送するために前記血液ポンプに連結された排出導管、及び少なくとも1つの圧力センサーを備えた少なくとも1つの測定装置を含み、前記操作方法は、少なくとも下記工程:
− 前記少なくとも1つの圧力センサーによって前記患者の循環系の中で圧力値を測定すること、及び
− 前記測定された圧力値に基づいて前記血液ポンプの動作点を調節すること
を含む。

0062

この方法では、患者の循環系における少なくとも1つの圧力センサーの位置を決定し、次いで、血液ポンプの動作点の調節のための少なくとも2つの異なる予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つを、患者の循環系における少なくとも1つの圧力センサーの前記決定された位置に応じて適用するために、前記測定された圧力値に基づいて選択する。

図面の簡単な説明

0063

以下に図面を参照して本発明の好ましい実施態様を記載するが、専ら説明を目的とするものであり、これらに限定されるものではない。図面では、以下が示される。
患者の心臓内に移植された本発明に係る補助人工心臓(VAD)の概略図である。
図1のVADにおいて使用される圧力センサーを備えた測定装置の詳細な概略図である。
本発明に係るVADの主要な制御構造の概略図である。

実施例

0064

図1は、本発明の一実施態様に係る補助的な体内循環血液回路又は体外循環血液回路を通してヒト患者又は動物患者の血液を循環させるための生物医学装置を示している。この実施態様の装置は、心不全の患者の心臓2の機能を部分的又は完全に置き換えるために使用される左室補助人工心臓(LVAD)1の形態の機械的循環補助(MCS)装置である。

0065

VAD1は血液ポンプ10を含み、それは空気圧若しくは電気的に駆動される拍動容量ポンプ、又は好ましくは古典的なコンタクト軸受、磁気浮上ローター、若しくは血液に浸漬された軸受を備えた軸流又は遠心ターボダイナミックポンプ、又はあまり一般的に適用されない他の型のポンプとすることもできる。これらの型又はVADとして用いるのに適した各種のポンプが当業者に知られている。

0066

血液ポンプ10には、吸入導管、ここでは吸入カニューレ11が連結されており、それは心臓2の尖部にある左心室20の中に挿入されている自由端を有する。吸入カニューレ11は、左心室20の内部から血液ポンプ10へ血液を導く働きをする。血液ポンプ10のポンピング機能によって、血液は、吸入カニューレ11の自由端に位置している吸入口を通って、吸入カニューレ11及び血液ポンプ10へ引き込まれる。

0067

血液ポンプ10の吸入カニューレ11と反対の側には、血液流の方向に、排出導管、ここでは排出カニューレ12が連結されていている。排出カニューレ12は、血液ポンプ10から患者の循環系へ血液を返送する働きをする。この目的のために、排出カニューレ12は、患者の大動脈3に挿入されている。

0068

吸入カニューレ11、血液ポンプ10及び排出カニューレ12は、ともに補助血液回路を構成し、好ましくは完全に患者の体内に位置している。この補助血液回路を通って流れる血液は、左心室20から出て大動脈3へ流入する。補助血液回路の中で、血液は、血液ポンプ10により大動脈3の方向へ流される。従って、血液ポンプ10は(不全)心臓2の機能を補助している。

0069

血液ポンプ10が血液を排出カニューレ12の中へ流す際の出力は、吸入カニューレ11に設けられた圧力センサー40を含む測定装置4と通信可能なコントローラー13により調節される。一方では圧力センサー40へ、他方では血液ポンプ10へのコントローラー13の接続は、図1の中で各々矢印によって示される。

0070

図1には、測定装置4の圧力センサー40と、後述するように代替又は追加の測定装置4が備える圧力センサー41〜46のみが示されている。測定装置4の詳細は、図2に概略的に示される。

0071

圧力センサー40を備えた測定装置に代えて、生物医学装置は圧力センサー41、42、43、44、45又は46を備えた測定装置4を含むこともでき、これらのセンサーは吸入カニューレ11には位置せず、血液ポンプ10、コントローラー13並びに吸入導管11及び排出導管12から離間した位置に配置されている。

0072

例えば、別の測定装置4は、左心室20の内部ではあるが、吸入カニューレ11から離れて位置する圧力センサー41を含むことができる。そのような圧力センサー41を含む測定装置4は、心室壁21の内部表面に取り付けることができ、又は心室壁21を通って延在することもできる。

0073

別の測定装置4は、左心房22の中に位置する圧力センサー42を含むこともできる。肺動脈25の中に位置する圧力センサー43又は右心室23の中の圧力センサー44を備えた測定装置4を提供することも可能である。さらに、圧力センサー45を右心房24の中に配置することも可能である。圧力センサー46の体静脈26の中への配置もまたあり得る。

0074

圧力センサー41〜46を備えた各測定装置4は、各々心室20若しくは23、心房22若しくは24、動脈25若しくは静脈26の内部に完全に位置し、また例えば心臓2又は対応する血管の内壁に設置することもできる。しかしながら、圧力センサー41〜46のうちの1つを備えた測定装置4は、センサーが心臓2又は血管の内部で血圧値を測定できるような方法で、心臓2又は血管の壁を通って延在することもできる。

0075

測定装置4及び特に圧力センサー40〜46は、好ましくは患者の循環系における特定の場所に位置するように特別に適合して最適化されるように設計される。もちろん、図1に示したものとは別の循環系の場所に位置する対応する圧力センサーを備えた別の測定装置4を提供することもあり得る。そのような他の場所として、図1に示されたものよりも心臓2からより遠くに配置することができる。

0076

測定装置4あたり2つ以上の圧力センサーを備えることも可能であり、またそれぞれ1つ以上の圧力センサーを含む測定装置4を2つ以上備えることも可能である。

0077

圧力センサー40〜46のうちの1つを備えた各測定装置4は、測定した圧力値が測定装置4からコントローラー13へ伝送されるような方法で、コントローラー13に接続される。図1では、対応する接続を表す矢印が圧力センサー40にだけ示されているが、もちろん圧力センサー41〜46についても、圧力センサーとコントローラー13との対応する接続は存在する。

0078

測定した圧力値を反映する信号を伝送するための圧力センサー40〜46とコントローラー13との間の接続は、各々のケーブル及び/又は無線接続を提供することにより達成することができる。ケーブル接続の場合は、測定した圧力値は、各測定装置4をコントローラー13と接続する対応する電気又は光学ケーブルを用いて、電気的又は光学的に伝送することができる。

0079

無線接続の場合は、各々の各測定装置4は、測定した圧力値を反映する信号を無線で伝送するのに適合している送信ユニットを含む。そして、コントローラー13は、測定装置4の送信ユニットにより伝送された信号を受け取ることができる対応する受信ユニットを含む。双方向の通信を可能にするために、無線データ信号の送信及び受信の両方ができる送信/受信ユニット47及び14を、測定装置4と、コントローラー13のそれぞれに備えることが好ましい。

0080

図2に、例示的な測定装置4を概略的に示すが、それは圧力センサー40〜46のうちの1つを含む。

0081

もちろん、測定装置4が2つ以上の圧力センサーを備えることも可能である。測定装置4が2つ以上の圧力センサーを備えている場合、これらのセンサーは患者の循環系の中のほとんど同じ位置で圧力値を測定するために備えることができる。例えば、測定装置はすべてが左心室20の内部の圧力値を測定するいくつかの圧力センサーを含むことができる。あるいは、1つの測定装置4が循環系の中の異なる離れた位置で圧力値を測定するいくつかの圧力センサーを備えることもできる。例えば、圧力センサーのうち1つは右心房24の中の圧力を測定し、そして同じ測定装置4の一部である他の1つの圧力センサーが左心房22の中の圧力を測定することができる。

0082

図2に示すように、測定装置4は無線通信に適合しており、送信/受信ユニット47を含む。送信/受信ユニット47を用いて、コントローラー13の送信/受信ユニット14と双方向の無線通信が確立される。

0083

図2に示す測定装置4は、記憶モジュール48も含むことができる。記憶モジュール48は、例えば測定装置4を一意的に識別する特別な数、又は少なくとも患者の循環系の中の測定装置4の圧力センサーの位置などの測定装置4の識別子を格納するために働く。識別子は測定装置4からコントローラー13へ無線で送ることができる。この識別子を用いる測定装置4の識別は、特に患者の循環系の中の測定装置4及びその圧力センサーの位置を示すために働く。

0084

識別子は、コントローラー13によって無線で受け取られる。コントローラー13は、積分回路、及び血液ポンプ10の動作点を調節するために予め設定された制御アルゴリズムを測定装置4の各識別子へ割り当てるための例えば割当表を格納することができる記憶モジュール15を含む。記憶モジュール48は、患者の循環系の中の位置を各識別子へ割り当てる第一の割当表、及び血液ポンプ10の動作点を調節するための制御アルゴリズムをそれぞれの様々な可能な位置に割り当てる第二の割当表を備えることもできる。

0085

好ましくは、血液ポンプ10の動作点を、測定した圧力値によって調節するための制御アルゴリズムも、コントローラー13の記憶モジュール15の中に格納される。

0086

第一の制御アルゴリズムは、記憶モジュール15の中に格納することができ、それに従って少なくとも1つの心周期にわたって測定された一連の圧力値の中の最大圧力値が識別される。識別された最大圧力値は、心臓の前負荷の推定値として使用することができる。この第一の制御アルゴリズムに従って、識別された最大圧力値に対して、血液ポンプ10の力が線形的に依存して調節される。

0087

対応する圧力センサー41、44が、コントローラー13によって受け取られた識別子に従って、左心室20の内部又は右心室23の内部の圧力を測定するのに適合している場合、特に第一の制御アルゴリズムを適用することができる。この方法で、血液ポンプ10の動作点の調節が特に頑健で信頼性のある方法で達成される。

0088

第二の制御アルゴリズムは、記憶モジュール15の中に格納することができ、該第二の制御アルゴリズムに従って少なくとも1つの心周期にわたって測定された一連の圧力値の中の最小圧力値が識別される。識別された最小圧力値は、心臓の前負荷の推定値として使用することができる。この第二の制御アルゴリズムに従って、識別された最小圧力値に対して血液ポンプ10の力が線形的に依存して調節される。

0089

対応する圧力センサー43が、コントローラー13によって受け取られた識別子に従って、肺循環の内部、特に、例えば肺動脈25などの肺動脈循環の内部の圧力を測定するのに適合している場合、特に第二の制御アルゴリズムを適用することができる。この方法で、圧力センサーが肺循環の中に位置している場合、血液ポンプ10の動作点の調節が特に頑健で信頼性のある方法で達成される。

0090

第三の制御アルゴリズムは、記憶モジュール15の中に格納することができ、該第三の制御アルゴリズムに従って少なくとも1つの心周期にわたって測定された一連の圧力値の時間平均値が算出される。この第三の制御アルゴリズムに従って、算出された時間平均値に対して血液ポンプ10の力が線形的に依存して調節される。

0091

対応する圧力センサー42、45又は46が、コントローラー13によって受け取られた識別子に従って、右心房24の内部若しくは左心房22の内部又は体静脈26の内部若しくは肺静脈の内部の圧力を測定するのに適合している場合、特に第三の制御アルゴリズムを適用することができる。この方法で、圧力センサーが左心房22、右心房24、体静脈26又は肺静脈の中に位置している場合、血液ポンプ10の動作点の調節が特に頑健で信頼性のある方法で達成される。

0092

第四の制御アルゴリズムは、記憶モジュール15の中に格納することができ、該第四の制御アルゴリズムに従って一連の圧力値の中で心周期中の特定の時点における圧力値が識別される。特定の時点は、例えば拡張末期、又は心臓弁の1つが開口又は閉口する時点の場合もある。特定の時点は、例えば測定した圧力値に基づいて又はECG測定に基づいて決めることができる。この第四の制御アルゴリズムに従って、この識別された圧力に対して血液ポンプ10の力が線形的に依存して調節される。

0093

対応する圧力センサー41又は44が、コントローラー13によって受け取られた識別子に従って、右心室23の内部又は左心室20の内部の圧力を測定するのに適合している場合、特に第四の制御アルゴリズムを適用することができる。この方法で、血液ポンプ10の特に生理学的な調節を達成するために、心臓の前負荷の正確な推定値を得ることができる。

0094

図1に示すような生物医学装置は、コントローラー13に格納された様々な制御アルゴリズムによって、各患者によって示される要求や制限に応じて柔軟に適用することができる。例えば、心臓2の病状のために心臓2の内部に圧力センサーを置くことが可能でない場合、その圧力センサー43が肺動脈25の内部に位置するように測定装置4を構成することができる。心臓2の内部に圧力センサーを置くことに比べて、コントローラー13は血液ポンプ10の力を調節するための異なる制御アルゴリズムを単純に、即ち第一、第三又は第四の制御アルゴリズムの代わりに第二の制御アルゴリズムを適用する。適切な予め設定された制御アルゴリズムを適用することにより、同じVADを用いる各場合において、そして循環系の内部の圧力センサーの位置に依存せず、血液ポンプ10の頑健で信頼性のある調節を保証することができる。

0095

もちろん、循環系の異なる位置に配置された圧力センサーを備えた2つ以上の測定装置4を備える場合もある。コントローラー13は、第一、第二、第三又は第四の予め設定された制御アルゴリズムのうちの一つを適用する前に、測定した圧力値を結び付けることができる。更なる予め設定された制御アルゴリズムをコントローラー13の記憶モジュール15に格納することも可能であり、血液ポンプ10を調節するために、その更なる制御アルゴリズムに従って測定した圧力値が特定の方法で結び付けられる。さらに、血液ポンプ10を調節するために、1つの圧力センサーによって測定された圧力値又は1つの測定装置4から受け取った圧力値だけを考慮し、他の圧力センサーから受け取った圧力値を破棄するようにコントローラー13を構成することも可能である。そのような場合には、ポンプを制御するためにどのセンサーを使用するか定義するために、予め定義した優先度リストをコントローラー13に備えることもできる。

0096

さらに、コントローラー13は、予め設定された特別の制御アルゴリズムを記憶モジュール15の中に格納することができ、測定した圧力値の受け取った信号が特定の上限及び/又は下限を越えている場合、又は所望のポンプの動作点が特定の上限及び/又は下限を越えている場合、コントローラー13によってその特別の制御アルゴリズムを適用するために選択される。加えて又は代わりに、そのような場合には、アラームを発生させることも可能である。さらに、制御アルゴリズムと平行して動く検出アルゴリズムが、例えば心室吸引検出器を用いてアラームを発するか、又は制御アルゴリズムの自動的な再調整を開始することができ、又は所望のポンプの動作点を無効にすることができる。この方法で、過剰及び過少ポンピングを防止することができる。

0097

図3に、コントローラー13に実装された際のVADの生理的な制御構造を示す。患者の血管又は心臓2の中で血圧が測定されて、生理的なコントローラー13が血液ポンプ10に対する所望のポンプ動作点を決定する。VADシステムの血液ポンプ10の、結果としての動作の力は、患者の循環系を循環する血液に影響を及ぼして、測定される血圧に影響を与える。このように、VADを調節するための閉ループシステムが実現される。

0098

図3に示されるように、第一段階において、測定した血圧を反映する信号がハイパスフィルターにかけられる。ハイパスフィルターは、圧力センサー40〜46の長期ドリフトが除去されるように、測定した信号に適用される。ハイパスフィルターは、二次無限インパルス応答(IIR)フィルターである場合もあり、フィルターのカットオフ周波数は、制御のために昼/夜サイクルが依然として考慮されるように選択される、即ち、およそ1×10−5Hzのカットオフ周波数がフィルターによって適用される。

0099

二段階において、様々な予め設定された制御アルゴリズムのうちの1つに従って、特徴の抽出が行われる。例えば、少なくとも1つの心周期、例えば1.5〜2.5秒、好ましくは2秒の時間間隔にわたって測定された一連の圧力値に対する最大値又は最小値を識別することにより、心臓の前負荷の推定値が決定される。あるいは、少なくとも1つの心周期、例えば1.5〜2.5秒、好ましくは2秒の時間間隔にわたって測定された圧力値の時間平均値が算出される場合もある。低い心拍数に対しても信頼性のある入力値が検出されることを保証するためには、1.5〜2.5秒、特に2秒の時間間隔が好ましい。あるいは、心周期における特定の時点、例えば拡張末期が起こる時点が識別される場合があり、そしてこの時点の圧力値が、心臓の前負荷の推定値として抽出される。この方法は、拍動毎に実行され、従って心周期毎に繰り返される。

0100

次の段階において、例えば第一の制御アルゴリズムによる左心室の最大収縮期圧の推定値PLestなどの抽出された特徴が、入力変数を形成し、静的全単射写像を用いて出力変数に変換される。具体的には、この写像は、出力変数がポンプの所望される力Pdesとなる線形関数
Pdes = k(PLest − PLref)
とすることができ、ここで、kは比例ゲイン(W/mmHg)であり、PLrefはキャリブレーション段階で得た制御アルゴリズムのオフセット(mmHg)である。

0101

この線形関数のPLrefは以下のように定義することができる。キャリブレーション段階において、ポンプの動作点Pdes(キャリブレーション)はコントローラー13に格納されたアルゴリズムとは独立に外科医によって予め設定される。その後、PLrefは、この動作点Pdes(キャリブレーション)と、測定された心臓の前負荷の推定値、例えば左心室の最大収縮期圧PLest(キャリブレーション)に基づいて算出される。ゲインkは、キャリブレーションとは独立で、予め定義されるか、又は各制御アルゴリズムの適用中に自動的に適合される。ゲインkの予め定義された初期値は、コントローラーに格納することができ、センサーの位置に依存する。

0102

抽出された特徴が、第二、第三又は第四の制御アルゴリズムに基づいた心臓の前負荷の推定値である場合、もちろん上記の線形関数の変数及びパラメーターの表示はそれに応じて適合させる必要がある。しかしながら、根本の線形関数は好ましくは変化しない。いかなる場合にも、この線形関数によって、同じ測定値を得ればコントローラー13は常に同じポンプ速度に戻る。

0103

従って、コントローラー13は、線形コントローラーであり、心臓の前負荷の推定値に対して血液ポンプ10の力を線形的に適合させる。コントローラー13は、Pdesを制御することにより、前及び後負荷の変動とともに変化する入力信号を、ポンピング仕事量に関連させる。従って、フランク−スターリングのメカニズムを模倣している。

0104

次いで、血液ポンプ10の所望の油圧力と、血液ポンプ10の所望の動作点を表す所望のポンプ速度との間の非線形な関係を説明するために、出力信号Pdesに非線形補正をかけることができる。所望のポンプ速度、即ち非線形補正の出力は、特に血液ポンプ10を直接制御するために使用される出力電圧の形にすることができる。例えば、線形関数は、心臓の前負荷に基づいて血液ポンプ10の所望の油圧力を算出し、非線形補正は、この所望の油圧力を所望の動作点、例えばこれら2つの変数の予め定義された非線形写像を使用して血液ポンプ10の回転速度に変換する。そのような写像は、血液ポンプ10の油圧特性実験的に確認することにより得ることができる。特定の場合には、この非線形補正を除外することができ、線形則が、血液ポンプ10の所望の動作点、例えば回転ポンプの所望の速度を直接算出する。

0105

図3に示すように、非線形補正の後に得た信号には、血液ポンプ10のスムーズで安定した調節を達成するために、ローパスフィルターをかけることができる。そして、得られた所望のポンプの動作点、例えば速度は、血液ポンプ10の力を調節するために使用される。

0106

図1〜3に図示される実施態様に従う提示されたコントローラー13は、過剰ポンピングと過少ポンピングを効果的に防止しつつ、心臓の出力を生理的な循環に極めて類似するように適合させる。コントローラー13は、前負荷の変化に対しては高い感度、後負荷の変化に対しては低い感度を示す。血液ポンプ10のポンプ速度の適合は速いので、システムを安全な範囲に維持する。コントローラー13の主要な制御構造は非常に単純で、2つのパラメーターだけが適合される必要がある、即ちゲインkとオフセットPLrefである。これらのパラメーター、特にkの適合は、潅流の快適なレベル見出すために外科医、訓練された医療関係者又は患者によっても行うことができる。kが特定の限度内にある限りは、コントローラー13は安全な動作を維持することができる。このゲインkの初期値は、センサーの様々な位置に対してコントローラー13の中に格納することができる。さらに、このゲインkを自動的に適合させる方法をコントローラーの中に含むこともできる。そのような適合は、予め定義された探索表に基づいて、又は特定の血行動態パラメーターのオンライン推定によって行われる。

0107

もちろん、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、複数の変形が可能である。例えば、上記の制御構造を備えたコントローラー13は、体外式膜型人工肺(ECMO)装置、人工心肺又は透析装置の血液ポンプの動作点を制御するためにも使用することができる。VADの導入及び排出カニューレは、各々必ずしも左心室20及び大動脈3に挿入する必要はなく、生物医学装置の実際の目的に応じて、循環系の他のいかなる場所にも挿入することができる。さらなる複数の変形が可能である。

0108

1:補助人工心臓(VAD)
10:血液ポンプ
11:吸入カニューレ
12:排出カニューレ
13:コントローラー
14:送信/受信ユニット
15 :記憶モジュール
2:心臓
20:左心室
21:心室壁
22:左心房
23:右心室
24:右心房
25:肺動脈
26:体静脈
3:大動脈
4:測定装置
40:吸入カニューレの圧力センサー
41:左心室の中の圧力センサー
42:左心房の中の圧力センサー
43:肺動脈の中の圧力センサー
44:右心室の中の圧力センサー
45:右心房の中の圧力センサー
46:体静脈の中の圧力センサー
47:送信/受信ユニット
48:記憶モジュール

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