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技術 アイソバリック質量標識

出願人 エレクトロフォレティクスリミテッド
発明者 アンドリュー,フギントンプソン
出願日 2016年12月9日 (3年3ヶ月経過) 出願番号 2018-529642
公開日 2019年2月28日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 2019-505764
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 内側スピンドル 外側バレル 質量欠損 カタログ品 環境解析 列オフセット 軌道経路 質量調整
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年2月28日)のものです。
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図面 (11)

課題・解決手段

本発明は、2以上の質量標識のセットに関し、ここで各質量標識は下記式を含み:X−L−M−Re、式中、Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReはa)質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはb)その分析物であり、そのセット中の各質量標識は整数質量を有し、そのセット中の各質量標識は同じ整数質量を有し、かつそのセットは質量標識の2以上のサブセットを含み、各サブセットは1つ、2つまたはそれより多くの質量標識を含み、かつそのサブセットが2以上の質量標識を含む場合、そのサブセット中の各質量標識のレポーター部分Xの精密質量は同じサブセット中のおよび他の全てのサブセット中の質量標識のレポーター部分Xの精密質量と異なり、かつ各質量標識は質量分析によって区別可能である。

概要

背景

(発明の背景
生物システムの研究、特にヒト疾患の理解は、疾患により、または疾患に応じて生物システムにおいて引き起こされる変化を検出する能力に依存する。そのような変化は、診断の手段を与え、ワクチンおよび医薬などの治療化合物の標的への洞察を提供する。核酸タンパク質ステロイド、糖および脂質を含む幅広生体分子疾患過程を理解するために定量的に測定される必要がある。この状況では、質量分析計を用いてそのような生体分子を定量的に検出する能力は、それらの研究ならびにヒトおよび動物疾患への適用においてかなりの進歩をもたらしてきた。同じ進歩が環境解析およびモニタリング、ならびに食品および飲料製造においても起きている。特に、合成の定量基準を提供するための安定な同位体の使用が、全てのクラスの生体分子のモニタリングのための同位体希釈質量分析において開発されてきた。しかしながら、これらの方法は従来、利用可能な合成標準を必要とし、これは常に可能とは限らない。

近年、質量分析による生体分子の定量分析をさらに改良するために、重同位体置換を有する様々な化学質量タグが開発されている。タグ設計に依存して、タグセットメンバーは、同じ化学構造を有するが異なる絶対質量を有する同位体か、または、同一の構造および絶対質量の両方を有するアイソバリックおよびアイトポメリックのいずれかである。同位体タグはMSモードでの定量化のために典型的に使用され、一方、アイソバリックタグは、特有の質量を有するレポーター断片を放出するためにMS/MSモードでフラグメント化されなければならない。

同位体質量タグの初期の例は同位体コードアフィニティータグ(ICAT)(Gygi, S.P. et al, (1999) Nat Biotechnol, 17, 994−999)であった。ICAT試薬は、1つの(重)タグに重同位体が取り込まれもう一方の(軽)タグでは置換がない、異なる取り込みを有する一対の質量タグである。2つの試料は重タグまたは軽タグのいずれかで標識され、次いで混合され、その後LC−MSにより分析される。両方の試料中に存在するペプチドは、重同位体原子置換の数に比例して質量が異なるプリカーサーイオンの対を与える。

ICAT法はまた「サンプリング」法の例でもあり、これらは、生成される質量スペクトル複雑性を低減させるために小さなペプチド集団を扱う一方で、元試料についての十分な情報を保持してその成分を同定する必要性を両立させる方法として有用である。ICAT手順で使用される「同位体コードアフィニティータグ」は、システインを含むペプチドを捕捉するための、チオールに対して反応性である一対のビオチンリンカー同位体を含む。プロテオームにおける典型的には90〜95%のタンパク質は少なくとも1つのシステイン含有ペプチドを有し、典型的にはシステイン含有ペプチドは全体で10個に約1個のペプチドに相当し、そのため、システイン含有ペプチドの分析は、試料についての重大な情報を失うことなく、試料複雑性を大きく低減させる。よって、ICAT法では、1つの起源由来のタンパク質の試料が「軽」同位体ビオチンリンカーと反応させられ、一方、第2の起源由来のタンパク質の試料が、「重」同位体ビオチンリンカー(典型的には軽同位体よりも4〜8ダルトン重い)と反応させられる。2つの試料はその後、プールされ、エンドペプチダーゼで切断される。ビオチン化システイン含有ペプチドはその後、質量分析によるその後の分析のためにアビジンビーズ上で単離されてよい。2つの試料は定量的に比較でき:対応するペプチド対は相互標準として機能し、それらの比が定量され得る。ICATサンプリング手順は、依然として正確に起源試料を表すがMudPITよりも複雑性が低いペプチドの混合物を生成するが、多数のペプチドが依然として単離され、LC−MS/MSによるそれらの分析は複雑なスペクトルを生成する。2つのICATタグを用いると、標識を含まない分析と比べ質量スペクトル中のペプチドイオンの数が倍加する。

同位体タグのさらなる例としては、4つまでの異なる試薬を提供するICPL試薬が挙げられ、ICPLを用いると、質量スペクトルにおけるペプチドイオンの数は標識を含まない分析と比べ4倍になる。この理由のために、単純重同位体タグ設計で非常に高いレベル多重化を開発することが実用的である可能性は低い。

同位体タグはプロテオミクス研究における定量を可能にし実験再現性を助けるが、これは質量スペクトルの複雑性の増加という代償を払って達成される。この制限を克服するために、およびタンデム質量分析のより大きな特異性を利用するために、アイソバリック質量タグが開発された。2000年(WO01/68664号)にそれらが導入されて以来、アイソバリック質量タグは、複数の試料の混合および同時分析前のタンパク質およびペプチド中のアミンおよび他の反応性官能基の普遍的標識によるプロテオミクス発現プロファイリングの改善された手段を提供してきた。タグはアイソバリックであり、同じ質量を有するので、それらは質量スペクトルの複雑性を増加させない。なぜなら同じペプチドの全てのプリカーサークロマトグラフ分離において全く同じ点で現れ同じ統合質量を有するからである。分子がタンデム質量分析の前にフラグメント化される場合にのみ、特有の質量レポーターが放出され、よって、元の試料の各々中に存在するペプチドの相対または絶対量が決定され得る。

WO01/68664号は、アイソバリック質量タグの根底にある原理提示し、好適なタグの具体例を提供し、この場合、分子内の異なる特定原子が、それぞれ13Cおよび15Nを含む重同位体形態と置換される。WO01/68664号は、個々のタグのサイズを不当に増加させずに有効な全体の多重化率を増加させるための、複数のアイソバリックセットを作製するためのオフセット質量の使用をさらに記載する。

WO2007/012849号は、3−[2−(2,6−ジメチルピペリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−プロパン酸−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−エステルDMPip−βAla−OSu)を含むアイソバリック質量タグのセットをさらに記載する。

近年、高質量分解能質量分析計、例えばオービトラップ(Hu, Q. et al, (2005) J Mass Spectrom, 40, 430−443 & Makarov, A. (2000) Anal Chem, 72, 1156−1162)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)質量分析計(Marshall, A.G. et al, (1998) Mass Spectrom Rev, 17, 1−35)および高分解能飛行時間型(TOF)質量分析計(Andrews, G.L. et al, (2011) Anal Chem, 83, 5442−5446)により可能になった質量精度および質量分解能における劇的な改善により、イオン質量電荷比間のミリダルトン差を分解できるようになった。この高分解能は、レポーター領域で15Nに代わる13Cの重核子置換を用いるアイソバリックタンデム質量タグの多重化を増加させるために開拓され、これはMS/MSによる分析で個々のレポーターフラグメント間の6.32ミリダルトン差をもたらした(McAlister, G.C. et al, (2012) Anal Chem, 84, 7469−7478 & Werner, T. et al, (2012) Anal Chem, 84, 7188−7194)。同様に、ミリダルトン質量差を含むリジン同位体での代謝標識は高分解能質量分析によって分解でき、酵母で試料の多重化および相対定量を可能にすることが示されている(Hebert, A.S. et al., (2013) Nat Methods, 10, 332−334)。

前に開示されたアイソバリック質量タグの大きな利益に関わらず、今日まで多重化率は、市販の試薬において10重に限定されている。加えて、ごくわずかな質量差を含むタグは有用である。なぜなら互いに関連する標識イオン、例えば異なる試料由来の対応するペプチドは、容易に認識できかつ他の異なるペプチドの同定を妨害する可能性がはるかに低い非常に特徴的かつ非天然同位体パターンで、同じイオンエンベロープ中で密集するからである。

よって、各タグが他のものとミリダルトンの質量差だけ異なる、ペプチドおよび生体分子を標識するための、10倍を優に超える多重化率を有するタグのセットが依然として必要とされている。

概要

本発明は、2以上の質量標識のセットに関し、ここで各質量標識は下記式を含み:X−L−M−Re、式中、Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReはa)質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはb)その分析物であり、そのセット中の各質量標識は整数質量を有し、そのセット中の各質量標識は同じ整数質量を有し、かつそのセットは質量標識の2以上のサブセットを含み、各サブセットは1つ、2つまたはそれより多くの質量標識を含み、かつそのサブセットが2以上の質量標識を含む場合、そのサブセット中の各質量標識のレポーター部分Xの精密質量は同じサブセット中のおよび他の全てのサブセット中の質量標識のレポーター部分Xの精密質量と異なり、かつ各質量標識は質量分析によって区別可能である。なし

目的

そのような変化は、診断の手段を与え、ワクチンおよび医薬などの治療化合物の標的への洞察を提供する

効果

実績

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請求項1

2以上の質量標識のセットであって、各質量標識が下記式:X−L−M−Reを含み式中:Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReはa)前記質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはb)前記分析物であり、前記セット中の各質量標識は整数質量を有し、前記セット中の各質量標識は同じ整数質量を有し、前記セットは質量標識の2以上のサブセットを含み、各サブセットは1つ、2つまたはそれより多くの質量標識を含み、前記サブセットが2以上の質量標識を含む場合、前記サブセット中の各質量標識のレポーター部分Xの精密質量は同じサブセット中のおよび他の全てのサブセット中の質量標識のレポーター部分Xの精密質量と異なり、各質量標識は質量分析によって区別可能であり、各質量標識は下記一般式:を含むレポーター部分Xを有し式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基、あるいはメチルエチルプロピルイソプロピルブチルイソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である、2以上の質量標識のセット。

請求項2

2以上の質量標識のセットであって、各標識が下記式:X−L−M−Reを有し式中、Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReは前記質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基または前記分析物であり、およびXは下記一般式:を含み式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基、あるいはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である、2以上の質量標識のセット。

請求項3

R1およびR4はメチルである、請求項1または2のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項4

R2はHである、請求項1〜3のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項5

R3はH、メチル、イソプロピル、イソブチルからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項6

R5はHまたはメチルである、請求項1〜5のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項7

前記レポーター部分Xは下記:から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項8

前記レポーター部分Xは下記:から選択され式中、*は同位体質量調整部分でありかつ酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい、請求項7に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項9

前記質量修飾因子Mは下記:から選択され式中:各R10は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり、各R11は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり、bは1−10の整数であり、cは0−10の整数であり、dは1−10の整数であり、およびeは1−10の整数である、請求項4〜8のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項10

前記質量修飾因子Mは下記:から選択され式中、*は同位体質量調整部分でありかつ酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい、請求項9に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項11

各質量標識は少なくとも1つの質量系列修飾基をさらに含み、前記質量系列修飾基は前記レポーター部分Xの一部および/または前記質量修飾因子Mの一部である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項12

前記少なくとも1つの質量系列修飾基は前記レポーター部分Xおよび前記質量修飾因子Mの一部である、請求項11に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項13

前記少なくとも1つの質量系列修飾基は下記:d)重同位体2H、13C、15Nまたは18O;あるいはe)任意で1つ以上の重同位体置換を含む置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基;あるいはf)a)およびb)の組み合わせから選択される、請求項11または12に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項14

前記質量系列修飾基は−CH3、−13CH3、−CHD2、−13CHD2、−13CD3または−CD3である、請求項13に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項15

前記質量標識の各々は下記構造:を有する少なくとも1つの質量系列修飾基を含み、式中:各R12は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり;fは1〜10の整数であり;gは1〜10の整数であり;ならびにhは1〜10の整数である請求項11〜14のいずれかに記載の、セット。

請求項16

Reが前記分析物であるとき、前記分析物はアミノ酸ペプチドポリペプチドヌクレオチドオリゴヌクレオチドポリヌクレオチド炭水化物、脂質、リン脂質またはそれらの組み合わせの群から選択される1つ以上の分析物を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項17

各質量標識は下記構造:の1つを有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれか一項に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項18

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:を有するn=21の質量標識を含む、請求項17に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項19

各質量標識は下記構造:を有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項20

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:を有するn=7の質量標識を含む、請求項19に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項21

各質量標識は下記構造:を有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜15のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項22

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:を有するn=5の質量標識を含む、請求項20に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項23

各質量標識は下記構造:を有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項24

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:サブセットを有するn=3の質量標識を含む、請求項23に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項25

各質量標識は下記構造:の1つを有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項26

各質量標識は下記構造:を有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素は2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項27

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:を有するn=24の質量標識を含む、請求項26に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項28

各質量標識は下記構造:の1つを有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項29

各質量標識は下記構造:を有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項30

*は13Cまたは15Nでありかつ前記セットは下記構造:を有するn=27の質量標識を含む、請求項29に記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項31

各質量標識は下記構造:の1つを有し、式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい請求項1〜16のいずれかに記載の、2以上の質量標識のセット。

請求項32

請求項1〜31のいずれかに定義される質量標識の2以上のセットを含む、質量標識のアレイ

請求項33

前記アレイにおける任意の1つのセットの質量標識の各々の整数質量は前記アレイにおける全ての他のセットの質量標識の各々の整数質量とは異なる、請求項32に記載の、質量標識のアレイ。

請求項34

一セット中の各質量標識は下記:a)前記セット中の全ての他の質量標識と同じ整数質量を有する質量系列修飾基、およびb)前記アレイの全ての他のセットの質量標識と異なる整数質量を含む、請求項32または33に記載の、質量標識のアレイ。

請求項35

一セット中の各質量標識は同じ質量系列修飾基を含む、請求項32または33に記載の、アレイ。

請求項36

一セット中の各質量標識は前記アレイの全ての他の質量標識の質量系列修飾基のアイソトポログである質量系列修飾基を含む、請求項32〜33のいずれかに記載の、アレイ。

請求項37

分析物と関連付けることができる質量標識または質量標識の組合せを質量分析によって同定することにより分析物を検出することを含む、質量分析の方法であって、前記質量標識は請求項1〜36のいずれかに定義される質量標識のセットまたはアレイ由来の質量標識である、質量分析の方法。

請求項38

a)複数の試料を提供することであって、各試料は1つ以上の分析物を含み、各試料は1つの質量標識または質量標識の組み合わせで示差標識され、1つ以上の標識分析物を得;前記質量標識(複数可)は請求項1〜36のいずれかに定義される質量標識のセットまたはアレイに由来する、こと;b)前記複数の示差標識された試料を混合して標識分析物を含む分析混合物を形成すること;c)任意で前記標識分析物を質量分析計で検出すること;d)前記標識分析物を質量分析計で解離して質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントを形成すること;e)前記質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントを検出すること;f)任意で前記質量標識を前記質量分析計で解離して前記レポーター部分を放出すること、および前記レポーター部分を検出すること;g)任意で工程f)で形成された前記レポーター部分を解離してフラグメントを形成すること、および前記フラグメントを検出すること;h)前記標識分析物の質量スペクトル;および/または前記質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントの質量スペクトル;および/または前記レポーター部分もしくはレポーター部分のフラグメントの質量スペクトルに基づいて分析物を同定することを含む、請求項37に記載の、質量分析の方法。

請求項39

前記分析物は前記標識分析物の質量スペクトルに基づいて同定される、請求項38に記載の、質量分析の方法。

請求項40

前記分析物は前記質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントの質量スペクトルに基づいて同定される、請求項38に記載の、質量分析の方法。

請求項41

無傷の質量標識を含む前記分析物フラグメントは無傷の質量標識を含むb系列イオン、好ましくはb1イオンである、請求項40に記載の、質量分析の方法。

請求項42

前記分析物は前記レポーター部分もしくはレポーター部分のフラグメントの質量スペクトルに基づいて同定される、請求項37に記載の、質量分析の方法。

請求項43

a)複数の試料を提供することであって、各試料は1つ以上の分析物を含み、各試料は1つの質量標識または質量標識の組み合わせで示差標識され、1つ以上の標識分析物を得;前記質量標識(複数可)は請求項1〜36のいずれかに定義される質量標識のセットまたはアレイに由来する、こと;b)前記複数の示差標識された試料を混合して標識分析物を含む分析混合物を形成すること;c)前記標識分析物を質量分析計で検出すること;d)前記標識分析物を質量分析計で解離して前記レポーター部分を放出すること、および前記分析物または前記分析物のフラグメントに付着した前記質量標識の残りを含む相補イオンを検出すること;e)任意で工程dで形成された前記相補イオンを解離してフラグメントを形成する、および前記フラグメントを検出する1つ以上のさらなる工程;f)前記標識分析物の質量スペクトルおよび/または前記相補イオンおよび/またはそのフラグメントの質量スペクトルに基づいて前記分析物を同定することを含む、請求項37に記載の、質量分析の方法。

請求項44

前記解離は質量分析計における衝突誘起解離である、請求項38〜43のいずれかに記載の、方法。

請求項45

400の質量対電荷比で60,000を超える分解能、好ましくは400の質量対電荷比で100,000を超える、最も好ましくは400の質量対電荷比で250,000を超える分解能を有する質量分析計で実施される、請求項38〜44のいずれかに記載の、方法。

請求項46

工程d)において前記相補イオンは結合Lからの一酸化炭素ニュートラルロスによって形成される、請求項38〜45のいずれかに記載の、方法。

技術分野

0001

(発明の分野)
この発明は、ペプチド、特に複合タンパク質合物由来するペプチドを同定し定量するために、ペプチドを標識するための有用な反応性標識およびこれらの反応性標識を使用するための方法に関する。これらの反応性標識は、高分解能および高質量精度の質量分析計、例えばオービトラップ飛行時間型およびイオンサイクロトロン共鳴質量分析計によるペプチドの分析に特に価値がある。

背景技術

0002

(発明の背景
生物システムの研究、特にヒト疾患の理解は、疾患により、または疾患に応じて生物システムにおいて引き起こされる変化を検出する能力に依存する。そのような変化は、診断の手段を与え、ワクチンおよび医薬などの治療化合物の標的への洞察を提供する。核酸タンパク質ステロイド、糖および脂質を含む幅広生体分子疾患過程を理解するために定量的に測定される必要がある。この状況では、質量分析計を用いてそのような生体分子を定量的に検出する能力は、それらの研究ならびにヒトおよび動物疾患への適用においてかなりの進歩をもたらしてきた。同じ進歩が環境解析およびモニタリング、ならびに食品および飲料製造においても起きている。特に、合成の定量基準を提供するための安定な同位体の使用が、全てのクラスの生体分子のモニタリングのための同位体希釈質量分析において開発されてきた。しかしながら、これらの方法は従来、利用可能な合成標準を必要とし、これは常に可能とは限らない。

0003

近年、質量分析による生体分子の定量分析をさらに改良するために、重同位体置換を有する様々な化学質量タグが開発されている。タグ設計に依存して、タグセットメンバーは、同じ化学構造を有するが異なる絶対質量を有する同位体か、または、同一の構造および絶対質量の両方を有するアイソバリックおよびアイトポメリックのいずれかである。同位体タグはMSモードでの定量化のために典型的に使用され、一方、アイソバリックタグは、特有の質量を有するレポーター断片を放出するためにMS/MSモードでフラグメント化されなければならない。

0004

同位体質量タグの初期の例は同位体コードアフィニティータグ(ICAT)(Gygi, S.P. et al, (1999) Nat Biotechnol, 17, 994−999)であった。ICAT試薬は、1つの(重)タグに重同位体が取り込まれもう一方の(軽)タグでは置換がない、異なる取り込みを有する一対の質量タグである。2つの試料は重タグまたは軽タグのいずれかで標識され、次いで混合され、その後LC−MSにより分析される。両方の試料中に存在するペプチドは、重同位体原子置換の数に比例して質量が異なるプリカーサーイオンの対を与える。

0005

ICAT法はまた「サンプリング」法の例でもあり、これらは、生成される質量スペクトル複雑性を低減させるために小さなペプチド集団を扱う一方で、元試料についての十分な情報を保持してその成分を同定する必要性を両立させる方法として有用である。ICAT手順で使用される「同位体コードアフィニティータグ」は、システインを含むペプチドを捕捉するための、チオールに対して反応性である一対のビオチンリンカー同位体を含む。プロテオームにおける典型的には90〜95%のタンパク質は少なくとも1つのシステイン含有ペプチドを有し、典型的にはシステイン含有ペプチドは全体で10個に約1個のペプチドに相当し、そのため、システイン含有ペプチドの分析は、試料についての重大な情報を失うことなく、試料複雑性を大きく低減させる。よって、ICAT法では、1つの起源由来のタンパク質の試料が「軽」同位体ビオチンリンカーと反応させられ、一方、第2の起源由来のタンパク質の試料が、「重」同位体ビオチンリンカー(典型的には軽同位体よりも4〜8ダルトン重い)と反応させられる。2つの試料はその後、プールされ、エンドペプチダーゼで切断される。ビオチン化システイン含有ペプチドはその後、質量分析によるその後の分析のためにアビジンビーズ上で単離されてよい。2つの試料は定量的に比較でき:対応するペプチド対は相互標準として機能し、それらの比が定量され得る。ICATサンプリング手順は、依然として正確に起源試料を表すがMudPITよりも複雑性が低いペプチドの混合物を生成するが、多数のペプチドが依然として単離され、LC−MS/MSによるそれらの分析は複雑なスペクトルを生成する。2つのICATタグを用いると、標識を含まない分析と比べ質量スペクトル中のペプチドイオンの数が倍加する。

0006

同位体タグのさらなる例としては、4つまでの異なる試薬を提供するICPL試薬が挙げられ、ICPLを用いると、質量スペクトルにおけるペプチドイオンの数は標識を含まない分析と比べ4倍になる。この理由のために、単純重同位体タグ設計で非常に高いレベル多重化を開発することが実用的である可能性は低い。

0007

同位体タグはプロテオミクス研究における定量を可能にし実験再現性を助けるが、これは質量スペクトルの複雑性の増加という代償を払って達成される。この制限を克服するために、およびタンデム質量分析のより大きな特異性を利用するために、アイソバリック質量タグが開発された。2000年(WO01/68664号)にそれらが導入されて以来、アイソバリック質量タグは、複数の試料の混合および同時分析前のタンパク質およびペプチド中のアミンおよび他の反応性官能基の普遍的標識によるプロテオミクス発現プロファイリングの改善された手段を提供してきた。タグはアイソバリックであり、同じ質量を有するので、それらは質量スペクトルの複雑性を増加させない。なぜなら同じペプチドの全てのプリカーサークロマトグラフ分離において全く同じ点で現れ同じ統合質量を有するからである。分子がタンデム質量分析の前にフラグメント化される場合にのみ、特有の質量レポーターが放出され、よって、元の試料の各々中に存在するペプチドの相対または絶対量が決定され得る。

0008

WO01/68664号は、アイソバリック質量タグの根底にある原理提示し、好適なタグの具体例を提供し、この場合、分子内の異なる特定原子が、それぞれ13Cおよび15Nを含む重同位体形態と置換される。WO01/68664号は、個々のタグのサイズを不当に増加させずに有効な全体の多重化率を増加させるための、複数のアイソバリックセットを作製するためのオフセット質量の使用をさらに記載する。

0009

WO2007/012849号は、3−[2−(2,6−ジメチルピペリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−プロパン酸−(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)−エステルDMPip−βAla−OSu)を含むアイソバリック質量タグのセットをさらに記載する。

0010

近年、高質量分解能質量分析計、例えばオービトラップ(Hu, Q. et al, (2005) J Mass Spectrom, 40, 430−443 & Makarov, A. (2000) Anal Chem, 72, 1156−1162)、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)質量分析計(Marshall, A.G. et al, (1998) Mass Spectrom Rev, 17, 1−35)および高分解能飛行時間型(TOF)質量分析計(Andrews, G.L. et al, (2011) Anal Chem, 83, 5442−5446)により可能になった質量精度および質量分解能における劇的な改善により、イオン質量電荷比間のミリダルトン差を分解できるようになった。この高分解能は、レポーター領域で15Nに代わる13Cの重核子置換を用いるアイソバリックタンデム質量タグの多重化を増加させるために開拓され、これはMS/MSによる分析で個々のレポーターフラグメント間の6.32ミリダルトン差をもたらした(McAlister, G.C. et al, (2012) Anal Chem, 84, 7469−7478 & Werner, T. et al, (2012) Anal Chem, 84, 7188−7194)。同様に、ミリダルトン質量差を含むリジン同位体での代謝標識は高分解能質量分析によって分解でき、酵母で試料の多重化および相対定量を可能にすることが示されている(Hebert, A.S. et al., (2013) Nat Methods, 10, 332−334)。

0011

前に開示されたアイソバリック質量タグの大きな利益に関わらず、今日まで多重化率は、市販の試薬において10重に限定されている。加えて、ごくわずかな質量差を含むタグは有用である。なぜなら互いに関連する標識イオン、例えば異なる試料由来の対応するペプチドは、容易に認識できかつ他の異なるペプチドの同定を妨害する可能性がはるかに低い非常に特徴的かつ非天然同位体パターンで、同じイオンエンベロープ中で密集するからである。

0012

よって、各タグが他のものとミリダルトンの質量差だけ異なる、ペプチドおよび生体分子を標識するための、10倍を優に超える多重化率を有するタグのセットが依然として必要とされている。

0013

(発明の簡単な説明)
第1の態様では、本発明は2以上の質量標識のセットに関し、ここで各質量標識は下記式を含み:
X−L−M−Re
式中:
−Xは精密質量を有するレポーター部分であり、
−Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、
−Mは質量修飾因子であり、ならびに
−Reはa)質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはb)その分析物であり、
ここでそのセット中の各質量標識は整数質量を有し、ここでそのセット中の各質量標識は同じ整数質量を有し、ここでそのセットは質量標識の2以上のサブセットを含み、各サブセットは1つ、2つまたはそれより多くの質量標識を含み、ここでそのサブセットが2以上の質量標識を含む場合、そのサブセット中の各質量標識のレポーター部分Xの精密質量は同じサブセット中のおよび他の全てのサブセット中の質量標識のレポーター部分Xの精密質量と異なり、ここで各質量標識は質量分析によって区別可能であり、ここで各質量標識は下記一般式を含むレポーター部分Xを有し:



式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基;あるいはメチルエチルプロピルまたはn−プロピル、イソプロピルブチルまたはn−ブチルイソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはn−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である。

0014

別の態様では、本発明は2以上の質量標識のセットに関し、ここで各標識は下記式を含み:
X−L−M−Re
式中、Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReは質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはその分析物であり、およびXは下記一般式を含み:



式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基、あるいはメチル、エチル、プロピルまたはn−プロピル、イソプロピル、ブチルまたはn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはn−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である。

0015

別の態様では、本発明は、本発明による質量標識の2以上のセットを含む、質量標識のアレイに関する。

0016

別の態様では、本発明は質量分析の方法に関し、その方法は分析物と関連付けることができる質量標識または質量標識の組合せを質量分析によって同定することにより分析物を検出することを含み、ここで質量標識は本発明による質量標識のセットまたはアレイ由来の質量標識である。

図面の簡単な説明

0017

(図面の簡単な説明)
この発明による置換されたピペラジン−2−カルボン酸質量標識レポーターの予測されるフラグメンテーション経路の模式図である(示された構造は仮想上のものであり、予想されるレポーターイオン質量対電荷比を単に予測するために例示される)。この発明による好適な質量修飾因子リンカーの第1の例もまた示される。
この発明による置換されたピペラジン−2−カルボン酸質量標識レポーターの予測されるフラグメンテーション経路の模式図(示された構造は仮想上のものであり、予想されるレポーターイオンの質量対電荷比を単に予測するために例示される)。この発明による好適な質量修飾因子リンカーの第2の例もまた示される。
この発明によるΝ’,Ν’−ジメチルピペラジン−2−カルボン酸レポーター部分のための公開された合成方法の概略図である。
この発明の環置換のΝ’,Ν’−ジメチルピペラジン−2−カルボン酸レポーター部分の生成のための第2の新規合成方法の概略図である。
重同位体ドーピングを用いて容易に入手できるα−アミノ酸を、図4で示される合成方法で使用され得るα−アミノアルコールに変換するための合成経路の概略図である。
この発明の質量タグの合成のために有用な市販の重同位体ドーププリカーサーの例を示し、グリシンブロモ酢酸およびメチルアミンなどのアルキルアミンを使用してN−アルキルピペラジンを合成できる。図6aはセリンエタノールアミンホルムアルデヒドおよびスレオニンの重同位体の例を示し、図6bはアラニンバリンおよびロイシンの重同位体の例を示す。
2つの連続するβ−アラニン残基からなる質量修飾因子リンカーの合成およびのこの発明のレポーター構造へのカップリングの略図である。
1,4−ジアミノブタンからなる質量修飾因子リンカーの合成およびこの発明のレポーター構造へのカップリングの略図である。

0018

(本発明の詳細な説明)
(質量標識のセット)
本発明は、ペプチドおよび他の生体分子を標識するための、10重を優に超える多重化率を有するアイソトポメリック反応性タグのセットを提供する。アイソトポメリック(isotomoperic)反応性タグの共選択可能なアイソトポログアレイは、いっそうより高いレベルの多重化を支持するミリダルトンの範囲で質量差を有する。

0019

本発明はまた、特に生体試料セット間生物学的に有意な違いを発見するための標識ペプチド、タンパク質および他の生体分子の新規の分析形態を可能にするアイソトポメリック反応性タグの共選択可能なアイソトポログアレイの使用の方法を提供する。

0020

第1の態様では、本発明は2以上の質量標識のセット(以下、「発明の質量標識の第1のセット」と呼ばれる)に関し、ここで各質量標識は下記式を含み:
X−L−M−Re
式中:
−Xは精密質量を有するレポーター部分であり、
−Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、
−Mは質量修飾因子であり、ならびに
−Reはa)質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはb)その分析物であり、ここでそのセット中の各質量標識は整数質量を有し、ここでそのセット中の各質量標識は同じ整数質量を有し、ここでそのセットは質量標識の2以上のサブセットを含み、各サブセットは1つ、2つまたはそれより多くの質量標識を含み、ここでそのサブセットが2以上の質量標識を含む場合、そのサブセット中の各質量標識のレポーター部分Xの精密質量は同じサブセット中のおよび他の全てのサブセット中の質量標識のレポーター部分Xの精密質量と異なり、ここで各質量標識は質量分析によって区別可能であり、ここで各質量標識は下記一般式を含むレポーター部分Xを有し:



式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基;あるいはメチル、エチル、プロピルまたはn−プロピル、イソプロピル、ブチルまたはn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはn−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である。

0021

「精密質量」という用語は、質量標識またはレポーター部分の理論上の質量を指し、質量標識全体またはレポーター部分の個々の同位体の精密質量の合計であり、例えば12C=12.000000、13C=13.003355、H1=1.007825、16O=15.994915である。「精密質量」は質量欠損を考慮する。

0022

「整数質量」という用語は、分子を構成する各核の各同位体の整数質量の合計であり、例えば12C=12、13C=13、1H=1、16O=16である。同位体の整数質量は、同位体の核を構成する陽子中性子の合計であり、すなわち、12Cは6個の陽子と6個の中性子を含み、一方、13Cは6個の陽子と7個の中性子を含む。これは、同位体の公称質量、または原子質量数もしくは核子数と呼ばれることも多い。

0023

文献において、「アイソバリック」という用語は、同じ整数質量を有し、かつMS/MS用に共選択可能である種を示すことが多いが、この発明との関連で我々は、同じ精密質量を有する種に関しては「アイソバリック」という用語を使用し、かつ我々は、同じ整数質量を有するがわずかに異なる精密質量を有し得る種に対しては、「シュードアイソバリック」という用語を使用する。

0024

サブセット中の少なくとも2つの質量標識間の精密質量の差は通常、100ミリダルトン未満、好ましくは50ミリダルトン未満、最も好ましくは20ミリダルトン(mDa)未満である。好ましくは、セット中の少なくとも2つの質量標識間の精密質量の差は、共通の同位体置換のため、2.5mDa、2.9mDa、6.3mDa、8.3mDa、9.3mDa、または10.2mDaである。例えば、第1の標識が13C同位体を含み、第2の標識中で13C同位体は12Cに置き換えられるが14N同位体が15N同位体に置き換えられる場合、2つの標識間の精密質量の差は6.3mDaとなる。

0025

本明細書では、標識という用語はタグという用語と同義である。

0026

「レポーター部分X」という用語は、典型的には開裂後に、質量分析により、独立して検出される質量標識の部分を示すために使用されるが、しかしながら、相補イオンとして分析物に付着された質量標識の残りの部分も本発明の方法で検出され得ることが理解されるであろう。質量修飾因子Xは、質量標識が確実に所望の整数質量を有するように質量標識に組み込まれる部分である。各質量標識のレポーター部分Xは、いくつかの実施形態では、重同位体を含まなくてもよい。

0027

本発明によるレポーター部分の構成要素は好ましくは、レポーター部分のフラグメンテーションの部位が衝突誘起解離CID)、表面誘起解離電子捕獲解離(ECD)、電子移動解離(ETD)、または高速原子衝撃によって容易に破壊される開裂可能な結合Lの導入によって制御できるように、フラグメンテーション抵抗性である。最も好ましい実施形態では、結合はCIDにより容易に破壊される。

0028

所望の整数質量を達成するために、部分XとMの一方もしくは両方、反応性官能基Reまたは分析物を重同位体で修飾できることが当業者により理解されるであろう。典型的には、重同位体は2H、13C、15Nまたは18Oから選択される。

0029

好ましくは、サブセット中の各質量標識のレポーター部分は、サブセット中の他の全ての質量標識のレポーター部分のアイソトポログである。アイソトポログは、それらの分子の同位体組成のみが異なる化学種である。例えば、水は3つの水素関連アイソトポログ:HOH、HODおよびDODを有し、ここでDは重水素(2H)を表す。アイソトポログは、同じ数の各同位体を有するが異なる位置で有する同位体異性体であるアイソトポマー(同位体異性体)とは区別される。より好ましくは、2以上の質量標識のセットは、2以上の質量標識を含む少なくとも1つのサブセットを含む。

0030

通常、精密質量の差は、異なる数またはタイプの重同位体置換(複数可)によってもたらされる。

0031

1つの実施形態では、質量標識はWO01/68664号で定義されるようなタンデム質量タグのアイソトポログである。

0032

好ましい実施形態では、質量標識の統合分子量は600ダルトン以下、より好ましくは、500ダルトン以下、さらにより好ましくは、400ダルトン以下、最も好ましくは300〜500ダルトンである。

0033

別の好ましい実施形態では、レポーター部分の分子量は400ダルトン以下、好ましくは250ダルトン以下、より好ましくは100〜250ダルトン、最も好ましくは100−220ダルトンである。サイズの小さいレポーター部分が特に有利である。なぜならそれは質量スペクトルのサイレント領域でピークを生じ、これが、質量スペクトルからレポーター部分を容易に同定することを可能にし、かつ感度の高い定量も可能にするからである。

0034

文脈で使用される質量スペクトルのサイレント領域という用語は、標識ペプチドのフラグメンテーションによって生成されるフラグメントの存在に関連するピークによって生じる低いバックグラウンドノイズ」を有する質量スペクトルの領域を指すと意図される。よって、サイレント領域という用語は、検出されるペプチドに関連するピークによって生じる低い「ノイズ」を有する質量スペクトルの領域を指すと意図される。ペプチドまたはタンパク質について、質量スペクトルのサイレント領域は220ダルトン未満、好ましくは200ダルトン未満である。

0035

本発明による質量標識は、タンパク質などの生体分子と反応して、標識生体分子、例えば標識タンパク質を形成するように設計される。

0036

1つの実施形態では、R1およびR4はメチルである。

0037

別の実施形態では、R2はHである。

0038

別の実施形態では、R3はH、メチル、イソプロピル、イソブチルからなる群より選択される。

0039

別の実施形態では、R5はHまたはメチルである。

0040

好ましい実施形態では、レポーター部分Xは、下記から選択される:

0041

より好ましい実施形態では、レポーター部分Xは下記から選択され:



式中、*は同位体質量調整部分であり、かつ炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0042

別の実施形態では、開裂可能な結合Lは、限定はされないが、アミド結合尿素結合エステル結合またはエーテル結合を含む。好ましい実施形態では、開裂可能な結合Lはアミド結合を含む。別の好ましい実施形態では、開裂可能な結合Lは尿素結合を含む。別の好ましい実施形態では、開裂可能な結合Lはエステル結合を含む。別の好ましい実施形態では、開裂可能な結合Lはエーテル結合を含む。

0043

「質量修飾因子M」という用語は、本明細書で使用する場合、そのセット中の各質量標識が所望の整数質量を有することを確保する部分を指す。質量修飾因子Mは、質量分析によって必ずしも検出されるわけではない。しかしながら、質量修飾因子Mは相補イオンの一部として検出され得る(下記参照)。質量修飾因子Mは構造的に特に限定されず、単に質量標識の全体的な質量を変化させるように機能する。

0044

別の実施形態では、質量修飾因子Mは下記から選択され:



式中:
−各R10は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり、
−各R11は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり、
−bは1−10の整数であり、
−cは0−10の整数であり、
−dは1−10の整数であり、および
−eは1−10の整数である。

0045

好ましい実施形態では、質量修飾因子Mは下記から選択され:



式中、*は同位体質量調整部分であり、かつ酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0046

別の実施形態では、各質量標識は少なくとも1つの質量系列修飾基をさらに含み、ここで質量系列修飾基はレポーター部分Xの一部および/または質量修飾因子Mの一部である。

0047

好ましくは、各質量標識は質量系列修飾基を含み、ここで少なくとも1つの質量系列修飾基はレポーター部分Xまたは質量修飾因子Mの一部またはその両方である。より好ましくは、質量系列修飾基はレポーター部分Xの一部である。

0048

好ましくは、質量系列修飾基は下記から選択されてよい:
a)重同位体2H、13C、15Nまたは18O;
b)任意で1つ以上の重同位体置換を含む、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基;あるいは
c)a)およびb)の組み合わせ。

0049

1つの実施形態では、質量系列修飾基は−CH3、−13CH3、−CHD2、−13CHD2、−13CD3または−CD3から選択される。

0050

別の好ましい実施形態では、各質量標識は下記構造を有する少なくとも1つの質量系列修飾基を含み:



式中:
−各R12は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C6アルキル基、置換または非置換脂肪族環状基、置換または非置換芳香族基あるいは置換または非置換複素環基あるいはアミノ酸側鎖であり;
−fは1〜10の整数であり;
−gは1〜10の整数であり;ならびに
−hは1〜10の整数である。

0051

本発明による質量標識では、Reは質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基または分析物のいずれかであってよい。

0052

好ましくは、質量タグは、質量標識が分析物にコンジュゲートされるのを可能にする反応性官能基をさらに含む。質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基は特には限定されず、任意の適切な反応基を含み得る。

0053

反応性官能基は、生体分子上のアミノ基、例えばリジン残基のε−アミノ基と反応し得る。最も単純な実施形態において、これはN−ヒドロキシスクシンイミドエステルであり得る。他の反応性官能基、例えば、生体分子中のチオール基と反応するものが本明細書で企図される。特に、これらの反応性官能基は、システイン残基のチオール基と反応するように設計される。システイン残基と反応できる本発明の反応基の例はマレイミドハロアセチルおよび2−ジチオピリジン基である。システインのチオール基はマレイミド基二重結合にまたがる求核付加を受け、かつハロアセチルまたは2−ジチオピリジン基との求核置換を受ける。

0054

生体分子中のカルボニルまたはヒドロキシル基と反応できる反応性官能基もまた、本明細書で企図される。特に、これらの反応性官能基は、ステロイドホルモンのカルボニルまたはヒドロキシル基と反応するように設計される。生体分子中のカルボニルまたはヒドロキシル基と反応できる本発明の反応基は、ヒドラジドまたは−CONH−(CH2)n−ONH2(式中、nは1〜6であり、好ましくはnは3である、すなわち、アミノキシプロピルアミド)である。これらの基は、カルボニル基と反応して、それぞれ、ヒドラゾンまたはO−アルキルオキシムを形成する。反応性官能基の例は、WO2011/036059号(その引用が本明細書に組み込まれる)に示される。

0055

好ましくは、反応性官能基はN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルエステルまたはスルホジクロロフェニルエステルである。

0056

Reが分析物であるとき、分析物は好ましくは、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチドヌクレオチドオリゴヌクレオチドポリヌクレオチド炭水化物、脂質、リン脂質またはそれらの組み合わせを含む。

0057

多重化を改善することは、アイソバリック質量標識の非常に求められている特徴である。なぜならそれは多数の試料の標識を可能にし、分析がたった1回の実験であり、したがって、分析の時間、費用を低減し、かつより多数の試料のための分析条件標準化もするからである。本発明で開示される一般構造による質量標識中で15Nおよび13C置換のみを用いるアイソバリック質量標識用の質量標識を作製するために、2つの異なる元素を含む重同位体質量系列修飾基で置換可能な位置(P位置)と第1の元素に置換可能な位置(A位置)と第1のものとは異なる第2の元素に置換可能な位置(B位置)とを考慮する必要がある。A位置の数はB位置の数以上であるべきである。質量標識の(P+1)個のサブセットが存在しかつ質量標識のx番目のサブセットがC個の質量標識を含むと仮定すると、Cは、(B+1)以下であるべきである。各レポーター部分は、第1の元素または第2の元素のいずれかに由来する重同位体で置換された(x−1)個の位置を含み、その場合、質量標識の各サブセットにおけるw番目の質量標識は、第1の重同位体元素のy個の原子および第1のものとは異なる第2の重同位体元素のz個の原子を含み、xは、1〜(P+1)の値を有する。P=(A+B)であり、質量標識の総数は、(A+1)に(B+1)を乗じたものである。

0058

好ましい実施形態では、Bは2以上である。

0059

例えば、レポーター部分中および質量修飾因子中に7つのドープ可能な炭素と2つのドープ可能な窒素が存在する質量標識は、最大24重の、すなわち(7+1)に(2+1)を乗じた、アイソバリックセットを支持する。1ダルトンの分解能で、これらのレポーターは、異なる整数レポーター質量を有する質量標識の10重(P=7+2により、(9+1)個)のサブセットを支持する。明らかに、レポーター部分基を異なるR−基で置換できるので、質量標識の異なる異性体が可能であり、異なるフラグメンテーション挙動選択肢が提供される。

0060

本発明による最も好ましい質量標識が、重同位体質量系列修飾基を含む2以上の質量標識のセットの例と共に、本明細書で、下記の好ましい実施形態1〜6において詳細に記載される。質量標識はセット番号、元のセットサイズおよびレポーターイオン質量により識別され、例えば下記の実施形態またはセット1では、各質量標識はTMT−1−21−「レポーター質量」と命名され、ここでTMTは、タンデム質量タグ、すなわちタンデム質量分析用のタグを表し、数字の1はセット番号を指し、21はセット中の質量標識の数を指し、レポーター質量は衝突誘起解離条件下での予想されるレポーターイオンの質量対電荷比である。様々なレポーターイオンが電子移動解離(ETD)または電子捕獲解離(ECD)により得られ得る。

0061

(実施形態1:)
質量標識は、下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0062

セット例1中のタグの予想されるフラグメンテーションが図1で示される。レポーター構造の合成が図3で示され、二重β−アラニンリンカーの付加が図7で示される。この発明のタグの合成は、この文書後ろで、より詳細に記載される。

0063

この発明による質量タグのアイソバリックセットの特定の好ましい実施形態では、質量調整部分*は13Cまたは15Nであり、セットは下記構造を有するn=21の質量標識を含む:

0064

上で記載される好ましい実施形態で提示される専門用語解釈すると、m(上で規定される)は21であり、n=8である。15Nを置換できる窒素原子より13Cを置換できる炭素原子が多いので、a=6の置換可能な炭素核およびb=2の置換可能な窒素核が存在する。よって、各タグに組み込まれる6つの原子の第1の重同位体質量調整因子(13Cである)および2つの原子の第2の重同位体質量調整因子(15Nである)が存在し、フルセットの質量タグは、フラグメンテーション可能な結合(上記構造中点線で示される)の両側で質量調整因子の全ての可能な組み合わせを作成することにより作製される。上記リストにおいて、レポーターイオンの整数質量に基づき、(n+1)=9のサブセットのタグが存在する、すなわち、サブセット2中のレポーターイオンは、サブセット1中のレポーターイオンよりおよそ1ダルトン重いことがわかる。同様に、サブセット3中のレポーターイオンは、サブセット2中のレポーターイオンよりおよそ1ダルトン重い、など。タグの各サブセット内で、計算した精密質量から、各タグは次のものと6.32ミリダルトン異なることがわかる。サブセット1では、レポーターイオン中に重同位体質量調整因子は存在せず、このレポーターを構築できる方法は1つしかないため、サブセット1には1つのタグしか存在しない。サブセット2では、レポーターイオン中に重同位体質量調整因子が1つ存在し、レポーターの質量を、サブセット1と比べておよそ1ダルトンだけシフトさせる。質量調整因子を導入するには、1つの15N核の導入によるかまたは1つの13C核の導入によるかの2つの方法があり、それゆえ、サブセット2には、質量が互いに6.3ミリダルトン異なる2つのタグが存在する。サブセット3では、レポーターイオン中に2つの重同位体質量調整因子が存在し、レポーターの質量を、サブセット2と比べておよそ1ダルトンだけシフトさせる。2つの質量調整因子をサブセット3に導入するには、2つの15N核の導入によるかまたは1つの15N核と1つの13C核の導入によるかまたは2つの13C核の導入によるかの3つの方法があり、それゆえ、サブセット3には3つのタグが存在する。サブセット4では、レポーターイオン中に3つの重同位体質量調整因子が存在し、レポーターの質量をサブセット3と比べておよそ1ダルトンだけシフトさせる。この場合も、3つの質量調整因子をサブセット3に導入するには、2つの15N核と1つの13Cの導入によるかまたは1つの15N核と2つの13C核の導入によるかまたは3つの13C核の導入によるかの3つの方法しかなく、それゆえ、サブセット4には、3つのタグが存在する。一般に、各サブセットにおけるタグの数は、質量調整因子核のうちどれがその構造中により少ない頻度で存在するかにより制限される。セット例1では、レポーターおよび質量正規化因子中に、2つの窒素核しか存在せず、そのため上で規定されるようにb=2であり、タグの各サブセット中のタグの数は(b+1)以下であり、これは、最高3つのタグ/サブセットである。8番目のサブセットでは、7つの重同位体質量修飾因子が存在し、アイソバリックタグ構造全体を保持しながら8つの重同位体を有するレポーターイオンを構成するのに、2つの方法しか存在せず、そのため、9番目のサブセット中には2つのタグしか存在せず、同様に9番目サブセットでは、レポーター中に8つ全ての重同位体質量調整因子が存在し、質量修飾因子全てを有するレポーターを構成するのに1つの方法しか存在せず、そのため、サブセット9には1つのタグしか存在しない。

0065

質量正規化官能基(このタグ中で2つのβ−アラニン残基を含む)はかなり多様であり得ることが、当業者には明らかなはずである。明らかな置換としては、アラニン、バリン、ロイシンなどの他のアミノ酸とのまたはγ−アミノ酪酸、アミノペンタン酸またはアミノヘキサン酸などのより長いアミノ酸との置き換えが挙げられる。ポリエチレングリコールリンカーがアミノおよびカルボン酸末端で適切な場合もある。ベンジルエステルの調製および全てのこれらの代替物に対するこれらのエステルの使用は、β−アラニンについて図7で示されるものと本質的に同じである。

0066

単一のアイソバリック質量タグセット、例えば、上で記載される実施形態セット1の多重化率の制限は、固有の追加の質量を各々保有する複数のセットを提供することによって克服できる。追加の質量は、この発明の第2の態様による質量系列修飾基により提供される。質量系列修飾因子を質量正規化リンカーに導入するという概念は、US7,294,456号(本明細書に組み込まれる)およびWO2011036059号(本明細書に組み込まれる)に記載されている。WO2011036059号では、発明者らは、追加のβ−アラニン部分を、市販の6重タンデム質量タグジメチルピペラジン−β−アラニンタグ構造リンカー領域中に付加することにより、アイソバリック質量タグセットのアレイを開発できることを見出した。そのような一元アプローチは、多重化率を6から12、18、24またはそれより多い試料へと増加させる迅速でかつ費用のかからない手段を提供する。この発明のアイソバリック質量タグセットは、前に開示された質量正規化因子への追加のリンカーの導入によっても修飾できる。

0067

例えば、実施形態セット1は、下で示される実施形態セット1における全てのタグへのさらなるドープされていないGABAリンカーの導入により修飾されて、GABAリンカーの質量により実施形態セット1中のタグと区別される21個のタグの異なるセットを与えることができる。

0068

明らかに、21のタグのさらなるセットは、ドープされていないβ−アラニンリンカーを下で示される実施形態セット1における全てのタグに付加することにより作製できる:

0069

その上、24のタグのさらなるセットは、ドープされたβ−アラニンリンカーを実施形態セット1の全てのタグに付加することにより作製でき、ここで追加のβ−アラニンリンカーは、下で示されるように3つの13C核と1つの15N核の固定された置換を含む:

0070

当業者であれば、この特許で開示されるタグ構造の質量正規化リンカーに追加の質量を導入する特定の手段は特には限定されず、代替手段は本発明の範囲内にあると考えられることを理解するであろう。

0071

この発明は、質量系列修飾因子をこの発明のタグ中に導入するさらなる方法を開示する。レポーター基の質量系列修飾は下の実施形態セット2〜4において記載されるように非常に有利であることが、本発明者らにより見出されている:

0072

(実施形態2:)
質量標識は、下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0073

上記構造では、ピペラジン環中に置換された1’N−メチル基は、2つの重水素原子の固定されたレポーター質量系列修飾因子置換を有する。この実施例におけるこの固定された置換は、セット例2のレポーターイオンは実施形態セット1のレポーターイオンに比べ最小質量オフセットを有し、よって実施形態セット2における最も重いレポーターは実施形態セット1における最も重いレポーターよりおよそ5.9ミリダルトン重いことを意味する。実施形態セット3における重水素置換もまた、実施形態セット2中のレポーターは全て実施形態セット1中の全てのレポーターとは異なる質量を有することを意味する。

0074

レポーター構造の合成が図3で示され、二重β−アラニンリンカーの付加が図7で示される。この発明のタグの合成は、本文書の実施例においてより詳細に記載される。

0075

質量系列修飾基2H(すなわちD)13Cまたは15Nを含むn=7の質量標識のセットの一例が下に示される:

0076

当業者には明らかなように、実施形態セット2中のタグは全て、実施形態セット1中のタグの同位体であり、実施形態セット2中のタグ(実施形態セット2中のタグ1の親タグ質量:405.21618ダルトン)は、実施形態セット1中のタグとおよそアイソバリックである(実施形態セット1中のタグ1の親タグ質量:405.21033ダルトン)。これは、質量分析計でのシークエンシングのためにこれらのペプチドが選択される場合、実施形態セット2由来のタグで標識されたペプチドは実施形態セット1由来のタグで標識されたペプチドと共選択できることを意味する。より重要なことには、実施形態セット1中のレポーター部分Xは全て実施形態セット2中のレポーター部分Xとは異なる。これは、実施形態セット2と一緒に実施形態セット1を用いて、多重化用に最大28個の試料を標識できることを意味する。実施形態セット2由来のタグで標識されたペプチドは大部分は、実施形態セット1由来のタグで標識されたペプチドと共溶出するが、実施形態セット2のタグ中の重水素の存在のために、移動度がわずかにシフトする可能性がある。タグは互いの同位体であり大部分は共溶出し、かつタグは共選択可能であるので、実施形態セット2で標識されたペプチドは実施形態セット1のペプチドと同時に分析され、タグはタグの単一のシュードアイソバリックセットであるかのように挙動する。タグのこれらの2つのセットは、全てが異なるレポーターイオンを与える質量系列修飾レポーターイオンを含み、そのため、ペプチドが実施形態セット1および2由来のタグで標識された場合、レポーターイオンは、レポーターが全て異なるため依然として、それらの正確なペプチドに帰属できる。セット1中のレポーターとセット2中のレポーターの間の質量の最小差はほぼ5.9ミリダルトンであるが、オービトラップ機器およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴機器はすでに十分な質量分解能を提供して、実施形態セット1および2において示される全てのタグのレポーターイオンの安定した区別を可能にすることに注意されたい。

0077

当業者であれば、2H、13Cおよび15Nの固定された置換は、上で示した実施例中の特定の場所に示されているが、これは説明のための便宜として行われており、実施形態セット2におけるこれらの固定された置換は、それらを別の場所に配置することがより好都合であるかまたは費用効率的である場合、レポーターイオン内の任意の好適な位置に配置できることを直ちに認識するであろう。

0078

(実施形態3:)
質量標識は下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素は2Hがあることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0079

上記構造では、ピペラジン環中に置換されたN−メチル基はどちらも2つの重水素原子の固定されたレポーター質量系列修飾因子置換を有する。この実施形態におけるこれらの固定された置換は、実施形態セット3のレポーターイオンは、実施形態セット2のレポーターイオンに比べ最小質量オフセットを有し、よって実施形態セット3における最も重いレポーターは、実施形態セット2における最も重いレポーターよりおよそ5.9ミリダルトン重いことを意味する。実施形態セット3における重水素置換もまた、実施形態セット3中のレポーターは全て実施形態セット2中の全てのレポーターとは異なる質量を有することを意味する。

0080

レポーター構造の合成が図3で示され、二重β−アラニンリンカーの付加が図7で示される。この発明のタグの合成は、本文書の実験セクションにおいてより詳細に記載される。

0081

質量系列修飾基13Cまたは15Nを含むn=5の質量標識のセットの一例が下に示される:

0082

実施形態セット2と同様に、実施形態セット3のタグもまた全て、実施形態セット1中のタグの同位体であり、実施形態セット2中のタグ(実施形態セット3中のタグ1の親タグ質量:405.22834ダルトン)は、実施形態セット1中のタグ(実施形態セット1中のタグ1の親タグ質量:405.21033ダルトン)とおよそアイソバリックである。これは、実施形態セット2および3と一緒に実施形態セット1を用いて、多重化用に最大33個の試料を標識できることを意味する。また、セット2中のレポーターとセット3中のレポーターの間の質量の最小差はほぼ5.9ミリダルトンであるが、オービトラップ機器およびフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴機器はすでに十分な質量分解能を提供して、実施形態セット1、2および3で示されるタグ全てのレポーターイオンの安定した区別を可能にする。

0083

(実施形態4:)
質量標識は下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0084

上記構造では、ピペラジン環中に置換されたN−メチル基はどちらも3つの重水素原子の固定されたレポーター質量系列修飾因子を有することに注意されたい。この実施形態におけるこれらの固定された置換は、実施形態セット4のレポーターイオンが実施形態セット3のレポーターイオンに比べ最小質量オフセットを有し、よって実施形態セット4における最も重いレポーターは実施形態セット3における最も重いレポーターよりおよそ5.9ミリダルトン重いことを意味する。実施形態セット4における重水素置換もまた、実施形態セット4中のレポーターは全て実施形態セット4中の全てのレポーターとは異なる質量を有することを意味する。

0085

質量系列修飾基13Cまたは15Nを含むn=3の質量標識のセットの一例が下に示される:

0086

別の重同位体置換も、下で示されるように、水素、重水素、12Cまたは14Nの追加の固定された置換を用いて導入できる。



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい。

0087

(実施形態5:)
質量標識は下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0088

レポーター構造の合成が、スレオニンを使用して図4で示され、二重β−アラニンリンカーの付加が図7で示される。この発明のタグの合成は、この文書において後により詳細に記載される。

0089

質量系列修飾基13Cまたは15Nを含むn=24の質量標識のセットの一例が下に示される:

0090

別の重同位体置換も、下で示されるように、水素、重水素、12Cまたは14Nの追加の固定された置換を用いて導入できる:




式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい。

0091

(実施形態6:)
質量標識は、下記構造を有し:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、ここで1つ以上の*が存在してもよい。

0092

実施形態6のレポーター部分Xの合成は図4で示され、ジアミノブタンリンカーの付加は図8で示される。この発明のタグの合成は、本文書の実験セクションにおいてより詳細に記載される。

0093

質量系列修飾基13Cまたは15Nを含むn=27の質量標識のセットの一例が下に示される:

0094

別の重同位体置換も、下で示されるように、水素、重水素、12Cまたは14Nの追加の固定された置換を用いて導入できる:



式中、*は酸素が18Oであり、炭素が13Cであり、窒素が15Nでありまたは水素が2Hであることを表し、かつ1つ以上の*が存在してもよい。

0095

示される追加の重水素化タグセットは全て実施形態セット6中のタグの同位体であり、実施形態セット6中のタグとおよそアイソバリックであるタグのセットを提供するために、全ての可能な重水素化タグのサブセットを選択できることが、直ちに認識されるであろう。これは、実施形態セット6由来のタグで標識されたペプチドは、任意の関連する重水素化タグで標識されたペプチドと共に共選択できることを意味する。

0096

別の態様では、本発明は、以下で「発明の質量標識の第2のセット」と呼ばれる、2以上の質量標識のセットに関し、ここで各標識は下記式を有し:
X−L−M−Re
式中、Xは精密質量を有するレポーター部分であり、Lは質量分析計における衝突によって開裂可能な結合であり、Mは質量修飾因子であり、ならびにReは質量標識を分析物に付着させるための反応性官能基またはその分析物であり、およびXは下記一般式を含み:



式中、R1、R2、R3、R4およびR5の各々は独立してH、置換または非置換直鎖または分枝C1−C10アルキル基、あるいはメチル、エチル、プロピルまたはn−プロピル、イソプロピル、ブチルまたはn−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはn−ペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチルおよび3−ペンチルから選択される構造である。

0097

発明の質量標識の第1のセットの定義ならびに特定のおよび好ましい実施形態は、等しく発明の質量標識の第2のセットに適用可能である。

0098

発明の第1および第2の質量標識のセットとの関連で前に記載される個々の質量標識は、本発明の追加の態様を構成する。

0099

(質量標識のアレイ)
本発明はまた、以下「発明の質量標識のアレイ」と呼ばれる、発明の第1および第2の質量標識のセットによる質量標識の2以上のセットを含む、質量標識のアレイを提供する。

0100

発明の質量標識の第1のセットとの関連で詳細に記載される定義ならびに特定のおよび好ましい実施形態は、等しく、発明の質量標識のアレイに適用される。

0101

一実施形態では、アレイにおける任意の1つのセットの質量標識の各々の整数質量は、アレイにおける他の全てのセットの質量標識の各々の整数質量とは異なる。

0102

好ましい実施形態では、一セット中の各質量標識は下記を含む:
a)そのセット中の他の全ての質量標識と同じ整数質量を有する質量系列修飾基、および
b)アレイの他のセット全ての質量標識と異なる整数質量。

0103

特に好ましい実施形態では、レポーター部分Xは質量系列修飾基を含む。

0104

1つの実施形態では、一セット中の各質量標識は同じ質量系列修飾基を含む。

0105

別の実施形態では、一セット中の各質量標識は
a)同じである;または
b)アレイの他の質量標識全ての質量系列修飾基のアイソトポログである、
質量系列修飾基を含む。

0106

好ましい実施形態では、一セット中の各質量標識は、アレイの他の質量標識全ての質量系列修飾基のアイソトポログである質量系列修飾基を含む。

0107

(質量分析の方法)
本発明はまた、以下「発明の質量分析の方法」と呼ばれる、質量分析の方法を提供し、この方法は、分析物と関連付けることができる質量標識または質量標識の組合せを質量分析によって同定することにより分析物を検出することを含み、ここで質量標識は、本発明の前の態様に定義されるような、発明の質量標識の第1のまたは第2のセット、あるいは発明の質量標識のアレイ由来の質量標識である。

0108

1つの実施形態では、発明の質量分析の方法は下記を含む:
a)複数の試料を提供することであって、各試料は1つの質量標識または質量標識の組み合わせで示差標識され、質量標識(複数可)は発明の質量標識の第1のまたは第2のセット、あるいは発明の質量標識のアレイに由来する、こと;
b)複数の標識された試料を混合して標識分析物を含む分析混合物を形成すること;
c)任意で標識分析物を質量分析計で検出すること;
d)標識分析物を質量分析計で解離して質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントを形成すること;
e)質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントを検出すること;f)任意で質量標識を質量分析計で解離してレポーター部分を放出すること、およびレポーター部分を検出すること;
g)任意で工程f)で形成されたレポーター部分を解離してフラグメントを形成すること、およびフラグメントを検出すること;
h)標識分析物の質量スペクトル;および/または質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントの質量スペクトル;および/またはレポーター部分もしくはレポーター部分のフラグメントの質量スペクトルに基づいて分析物を同定すること。

0109

特定の実施形態では、解離は、好ましくは、質量分析計での衝突誘起解離である。

0110

別の特定の実施形態では、相補イオンは、リンカーLからの一酸化炭素ニュートラルロスによって工程d)で形成される。

0111

好ましくは、本明細書で記載される方法は、400の質量対電荷比で60,000を超える分解能、好ましくは400の質量対電荷比で100,000を超える、最も好ましくは400の質量対電荷比で250,000を超える分解能を有する質量分析計で実施され得る。

0112

分析物は、i)標識分析物の質量スペクトル;またはii)質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントの質量スペクトル;またはiiiレポーター部分もしくはレポーター部分のフラグメントの質量スペクトルに基づいて同定され得る。ii)による同定が行われるとき、無傷の質量標識を好ましくは含む分析物フラグメントは無傷の質量標識を含むb系列イオン、好ましくはb1イオンである。分析物はレポーター部分Xまたはレポーター部分Xのフラグメントの質量スペクトルに基づいて同定されてよい。

0113

よって、1つの実施形態では、分析物は標識分析物の質量スペクトルに基づいて同定されてよい。

0114

別の実施形態では、分析物は質量標識および/または無傷の質量標識を含む分析物フラグメントの質量スペクトルに基づいて同定されてよい。好ましい実施形態では、無傷の質量標識を含む分析物フラグメントは無傷の質量標識を含むb系列イオン、好ましくはb1イオンである。

0115

別の実施形態では、発明の質量分析の方法は下記を含む:
a)複数の試料を提供することであって、各試料は1つの質量標識または質量標識の組み合わせで示差標識され、質量標識(複数可)は発明の質量標識の第1のまたは第2のセット、あるいは発明の質量標識のアレイに由来する、こと;
b)複数の標識された試料を混合して標識分析物を含む分析混合物を形成すること;
c)標識分析物を質量分析計で検出すること;
d)標識分析物を質量分析計で解離してレポーター部分を放出すること、および分析物または分析物のフラグメントに付着した質量標識の残りを含む相補イオンを検出すること;
e)任意で工程dで形成された相補イオンを解離してフラグメントを形成する、およびフラグメントを検出する1つ以上のさらなる工程;
f)標識分析物の質量スペクトルおよび/または相補イオンおよび/またはそのフラグメントの質量スペクトルに基づいて分析物を同定すること。

0116

特定の実施形態では、解離は、好ましくは、質量分析計での衝突誘起解離である。

0117

別の特定の実施形態では、相補イオンは、リンカーLからの一酸化炭素のニュートラルロスによって工程d)で形成される。

0118

好ましくは、本明細書で記載される方法は、400の質量対電荷比で60,000を超える分解能、好ましくは400の質量対電荷比で100,000を超える、最も好ましくは400の質量対電荷比で250,000を超える分解能を有する質量分析計で実施され得る。

0119

この発明の質量標識の多くは、時にはたった1ミリダルトン程度の、ごくわずかな質量差によって互いに区別される。現在のオービトラップ計測手段が6.3ミリダルトンの質量差を有するレポーターイオンを分解できることは既に立証されている(Marshall et al, 1998、上記で引用)。しかしながら、最小の質量差により互いに区別される質量標識では、より高い分解能が必要となる場合があり、これは、現在のところ市販のフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計でルーチン的に達成できる。

0120

飛行時間型(TOF)質量分析計は、飛行管の長さに応じて高分解能、高質量精度データが取得され得るタイプの質量分析計のさらなる例である。市販の、マルチターン(Okumura, D. et al., (2005) Eur J Mass Spectrom(Chichester, Eng), 11, 261−266)およびスパイラルTOF(Shimma, S. et al, (2012)PLoS One, 7, e37107)配置は、オービトラップと同様の質量分解能を既に達成できる。

0121

オービトラップ質量分析計は、クアド対数(quadro−logarithmic)ポテンシャル分布を有する静電場を形成する外側バレル電極および同軸内側スピンドル様電極から構成される(Hu, Q. et al, (2005) J Mass Spectrom, 40, 430−443 & Makarov, A. (2000) Anal Chem, 72, 1156−1162)。動的にトラップされたイオンからのイメージ電流が検出され、デジタル化され、フーリエ変換を用いて周波数領域データに変換され、その後質量スペクトルに変換される。イオンはオービトラップ中に注入され、そこでイオンは内側電極周囲の軌道経路落ち着く。内側電極周囲の軌道振動周波数がイメージ電流として記録され、それに対してフーリエ変換アルゴリズムが適用されて、超高分解能を有する質量スペクトルに周波数領域信号を変換できる。

0122

フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析では、イオンの試料がキャビティのようなイオントラップ内に保持されるが、FTICR MSでは、イオンは交差電磁場によって高真空チャンバー中にトラップされる(Marshall, A.G. et al, (1998) Mass Spectrom Rev, 17, 1−35 & Marshall, A.G. and Hendrickson, C.L. (2008) Annu Rev Anal Chem (Palo Alto Calif), 1, 579−599)。電場は、箱の2つの側面を形成する1対のプレート電極によって形成される。この箱は、超伝導磁石の磁場に収容され、この超伝導磁石は、2枚のプレートトラッピングプレートとともに、印加された磁場に直交する、トラッピングプレート間円形軌道に注入されたイオンを拘束する。箱の2つのさらなる対向側面を形成する2枚の「送信プレート」に高周波パルスを印加することにより、イオンはより大きな軌道に励起される。イオンのサイクロイド運動は、「受信プレート」を含む箱の残り2つの対向側面で対応する電場を発生する。励起パルスはより大きな軌道にイオンを励起し、この軌道は、イオンのコヒーレントな運動が衝突によって失われるときに崩壊する。受信プレートによって検出される対応する信号は、フーリエ変換(FT)分析によって質量スペクトルに変換される。FTICR機器の質量分解能は、印加される磁場の強度とともに増加し、超高分解能(>1、000,000)分析を達成できる(Schaub, T.M. et al, (2008) Anal Chem, 80, 3985−3990)。

0123

誘起フラグメンテーション実験では、FTICR機器は、イオントラップと同様の様式で作動でき−対象の単一種を除く全てのイオンをFTICRキャビティから放出できる。衝突ガスをFTICRキャビティ中に導入し、フラグメンテーションを誘起できる。フラグメントイオンをその後分析できる。一般に、「受信プレート」により検出される信号のFT分析によって分析される場合フラグメンテーション生成物と浴ガスが組み合わさり低い分解能を与えるが、しかしながら、フラグメントイオンをキャビティから放出し、例えば、四重極型または飛行時間型装置とのタンデム構成で分析できる。

0124

飛行時間型質量分析計では、狭い運動エネルギー分布を有するイオンのパルスフィールドフリードリフト領域進入させる。機器のドリフト領域で、各パルスにおける異なる質量対電荷比を有するイオンは異なる速度で移動し、したがって異なる時間でドリフト領域の末端に位置するイオン検出器に到達する。ドリフト領域の長さはTOF機器の質量分解能を決定し、これは容易に増大させることができる。到達イオンに応答して検出器によって生成されるアナログ信号は、時間−デジタル変換器によってすぐにデジタル化される。イオン飛行時間の測定は、各到達イオンの質量対電荷比を決定する。飛行時間型機器には多くの異なる設計がある。設計は、イオン源性質によってある程度決定される。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI TOF)質量分析では、イオンのパルスが、金属ターゲット上に結晶化した試料材料レーザー励起によって生成される。これらのパルスは、それらがそこから加速される飛行管の一端で形成する。

0125

エレクトロスプレーイオン源から質量スペクトルを取得するために、直交軸TOF(oaTOF)配置が使用される。エレクトロスプレーイオン源で生成されるイオンのパルスは、「プッシャー」プレートによって連続流からサンプリングされる。プッシャープレートは、起源から直交配置される飛行管中にイオンを加速する一時的な電位差を用いて、飛行時間型質量分析計中にイオンを注入する。質量対電荷比に対するイオン到達数のヒストグラムを作成するために、プッシャープレート〜検出器の飛行時間が記録される。このデータは、時間−デジタル変換器を用いてデジタル記録される。

0126

この発明の全ての可能なタグを分解するために、高分解能を有する質量分析計が必要とされるが、機器の性質は、本発明の実施にとって特に重要ではない。加えて、本出願に記載されているタグの多くは、1ダルトンの質量差で分離される可能なタグのサブセットが使用される限り、1ダルトンの分解能しか有しない機器ででも分解され得る。

0127

発明について下記実施例により、下で詳細に記載するが、実施例は例示にすぎず、発明の範囲を決して制限するものではない。

0128

(質量標識の合成)
(実施例1:N,N−ジメチルピペラジン−2−カルボン酸環同位体の合成)
Ν,Ν’−直交保護ピペラジン−2−カルボン酸の合成は文献において前に記載されている(Warshawsky et al, 1997, J Org Chem 62:6439−40)。図3で、生成物5までの概略工程は、この以前に公開された経路を示し、この場合BOC−保護セリンを改良光延条件(Arnold et al, 1985, J Am Chem Soc 107:7105−9)を使用して対応する保護セリンβ−ラクトンに変換して生成物1を得、これをその後アリルアミンとの反応により開環して生成物2を得る。開環反応アミドまたはアミンのいずれかを生じることができ、この反応の選択性溶媒および求核剤の影響を受ける(Ratemi &Vederas, 1994, Tetrahedron Letters 35:7605−8)。得られた二級アミンを、標準Schotten−Baumann条件を使用してCBz基で保護して生成物3を得る。生成物3をその後、アルケンオゾン分解による閉環反応およびジメチルスルフィドとのワークアップを受けるように誘導してアルデヒドを得、これはその後自然に閉環を受けて生成物4、環ヘミアミナールを形成する。ヘミアミナールの化学選択的還元は、CH2Cl2中のトリエチルシランおよびボロントリフルオリドジエチルエーテルコンプレックスを用いて実施でき(Pedregal et al., 1994, Tetrahedron Letters 35 :2053−6)、生成物5を得る。二重保護環の1’位のBOC基は、ジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)で選択的に除去でき、生成物6を得る。BOCの除去に続いて、ホルムアルデヒドをトリアセトキシボロヒドリドと共に使用して還元メチル化し、生成物7を得る。CBz基をその後、パラジウム木炭触媒メタノール中で用いて水素による還元により4’位から除去して生成物8を得る。最後に、これに続いて今度は4’窒素でさらなる還元的メチル化を実施してN,N’−ジメチル−ピペラジン−2−カルボン酸を得る(生成物9)。セリンおよびホルムアルデヒドの多くの市販の同位体が存在する(図6を参照されたい、しかしこれは完全に包括的なリストではない)が、アリルアミンの重同位体はカタログ品目ではない。しかしながら、アリルアミンの重同位体はかなり容易に作ることができる。ホルムアルデヒドの重水素化形態は市販されており、還元的メチル化工程のためにトリアセトキシボロジュウテリドを使用することにより、追加の重水素を環に導入できる。このように、ピペラジン−2−カルボン酸環の複数の重同位体バージョンを調製してこの発明のタグを生成できる。環中の窒素中心でのメチル置換を独立して実行して重水素原子の数を独立して制御できるようにすることも、また有利である。この合成により、1、2、3、4、5または6個の重水素原子を有する環を作製できる。

0129

アリルアミン同位体は容易に市場で入手できないが、エタノールアミンの重同位体は容易に入手できるので、図4図3で示される経路のバリエーションを示す。図4では、BOC−保護セリン(すなわち、R5は水素である)を、デス−マーチンペルヨージナン(DMP)を用いて対応する保護アルデヒドに変換して(Dess & Martin, 1983, J Org Chem 48:4155−6)生成物1を得、これに、エタノールアミン(ここで、図4において、R3は水素である)およびトリアセトキシボロヒドリドとの反応により還元的アルキル化を受けさせ、生成物2を得る。得られた二級アミンを、標準Schotten−Baumann条件を用いてCBz保護基で保護し、生成物3を得る。生成物3をその後、アルコールのDMPによるアルデヒドへの変換による閉環反応を受けるように誘導し、これはその後自然に閉環を受けて生成物4、環ヘミアミナールを形成する。アミナールの化学選択的還元は、CH2Cl2中のトリエチルシランおよびボロントリフルオリド−ジエチルエーテルコンプレックスを用いて実施でき(Pedregal et al, 1994、上記で引用)、生成物5を得る。二重保護環の1’のBOC基は、ジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)で選択的に除去でき、生成物6を得る。BOCの除去に続いて、ホルムアルデヒドをトリアセトキシボロヒドリドと共に使用して還元的メチル化し、生成物7を得る。CBz基をその後、パラジウム/木炭触媒をメタノール中で用いて水素による還元により4’位から除去して、生成物8を得る。最後に、これに続いて今度は、4’窒素で還元的メチル化を実施してN,N’−ジメチル−ピペラジン−2−カルボン酸を得る(生成物9)。

0130

より多くの置換基を有するピペラジン環を、図4で示されるものと同じ合成経路を使用するが、異なる開始成分を用いて合成できる。例えば、セリンを、スレオニン(すなわちR5はCH3である)に置き換えてN,N’−ジメチル−5−メチル−ピペラジン−2−カルボン酸を得ることができる。同様に、エタノールアミンをL−アラニノール(ここで、R3はCH3である)に置き換えてよく、これは図5で示されるようにアラニンから誘導できる。あるいは、エタノールアミンをL−バリノールに置き換えてよく(ここで、R3はイソプロピルである)、これは図5で示されるようにバリンから誘導できる。さらに、エタノールアミンをL−ロイシノールに置き換えてよく(ここで、R3はイソブチルである)、これは図5で示されるようにロイシンから誘導できる。この発明による多数のタグの合成を可能にするスレオニン、アラニン、バリンおよびロイシンの様々な安定な重同位体バージョンが市販されている(入手可能な重同位体の非包括的なリストについては図6を参照されたい)。多数の他のα−アミノ酸を、この発明の質量タグの合成のための対応するα−アミノアルコールに変換できることは、当業者には明らかなはずである。

0131

(実施例2:置換されたピペラジン−2−カルボン酸環のリンカーへのカップリング)
この発明の基礎を形成する置換されたピペラジン−2−カルボン酸環を、図1および2に示されるアイソバリック質量タグ中のレポーターイオンとして使用する。レポーター部分Xを、質量正規化官能基Mに連結して、前に説明されるような、アイソバリックおよびシュードアイソバリックタグならびに質量系列オフセットタグを作製する。

0132

図7は、置換されたピペラジン−2−カルボン酸環への二重β−アラニンリンカーのカップリングを示す。アミノ基がBOC保護基により保護されたβ−アラニン(生成物10)を、カルボキシル基ベンジル保護基で保護されたβ−アラニン(生成物11)にカップリングして、保護された二重−βアラニンリンカー(生成物12)を得る。BOC基を除去して遊離アミンを有するリンカー(生成物13)を得、これを今度は、置換されたピペラジン−2−カルボン酸環(9)にカップリングする。ベンジル保護基をその後除去して遊離酸を得、これをその後、アミノ基との反応のための活性エステルに変換でき、またはカルボン酸基を下で記載する他の反応基を導入するために使用できる。この文書で示される二重β−アラニンリンカーのいずれかの生成を可能にするβ−アラニンの複数の同位体が市販されている。

0133

図8は、置換されたピペラジン−2−カルボン酸環への1,4−ジアミノブタンリンカーのカップリングを示す。アミノ基の1つがBOC保護基で保護された1,4−ジアミノブタン(生成物10)を、置換されたピペラジン−2−カルボン酸環(9)に直接カップリングしてBOC保護生成物(11)を得る。モノ−BOC保護対称ジアミンの調製は文献においてよく知られている(Lee et al., 2007, Synthetic Communications: Communications: An International Journal for Rapid Communication of Synthetic Organic Chemistry 37:737−42)。BOC保護基をその後除去して遊離アミン(生成物12)を得、これをその後、炭酸ジスクシンイミジル(DSC)との反応によりNHSカルバメート(生成物13)に変換できる。NHSカルバメートは遊離アミノ基に対して反応性である。あるいは、遊離アミノ基を使用して、図8で示される他の反応基を導入できる。遊離アミン12をヨード酢酸無水物と反応させて、ヨードアセトアミド(iodoacetmide)生成物(14)を得ることができる。あるいは、遊離アミン生成物12を、(BOC−アミノオキシ酢酸(SigmaAldrich)にカップリングできる。BOC基をTCA/DCMで除去してアミノオキシ−誘導体化タグ(15)を得ることができる。

0134

(実施例3:反応基)
図7で示されるタグ例は、遊離カルボン酸官能化されて示される。カルボン酸タグを、好適なカップリング剤、例えば、Ν,Ν’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカルボジイミドを用いて、アミノ基にカップリングできる。より好ましくは、遊離カルボン酸を修飾して、いわゆる活性エステルを形成し、この活性エステルは、追加のカップリング剤を必要とせずに遊離アミノ基と容易に反応する安定な試薬である。好ましくは、遊離カルボン酸を有する質量標識を、遊離酸を炭酸N,N’−ジスクシンイミジルと、ジクロロメタンなどの好適な有機溶媒中で接触させることにより、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルに活性化できる。

0135

他の好ましい活性エステルは、好適なアルコールを、遊離カルボン酸を有するこの発明の質量タグにカルボジイミドを用いてカップリングすることにより調製してもよい。あるいは、遊離カルボン酸を、アルコールとの反応前に、塩化チオニルを用いて活性化して酸塩化物を形成してもよい。よって、ペンタフルオロフェノール活性エステルは、質量標識をペンタフルオロフェノールとカップリングすることにより調製され、同様にニトロフェノールエステルは質量標識をニトロフェノールとカップリングさせることにより調製される。スルホジクロロフェノール(SDP)エステルは、質量タグの酸塩化物を3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸と反応させることにより調製できる。同様に、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾールエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジルエステル、2,3,5,6−テトラフルオロフェノールエステル、4−スルホ−2、3,5,6−テトラフルオロフェノールエステルおよび3,4−デヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジニル(DHBT)エステルは全て、対応するアルコールから調製できる。DHBTエステルは典型的には、貯蔵されまたは分配され得る試薬として調製されない。それは典型的には使用直前インサイチューで調製される。

0136

この発明の質量標識のアミノキシ活性化形態は、Boc−保護アミノキシプロピルアミンをこの発明の2つの質量標識のNHSエステル活性化形態にカップリングすることにより調製できる。BOC保護基をその後酸条件下で除去して、アミノキシ試薬を提供する。

0137

アミノキシ基カルボニル官能基と反応して、かなり安定であるオキシム結合を形成する。カルボニル官能基は酸化された炭水化物およびステロイドで見られ、アミノキシ官能化タギング試薬で標識するためのステロイド含有試料、炭水化物含有試料または糖タンパク質含有試料を調製するための様々な方法が当技術分野で知られている。

0138

同様に、ヒドラジド活性化試薬はカルボニル基と反応して、ヒドラゾン結合を形成する。ヒドラゾンは中程度に安定であり、このように標識された化合物直接分析でき、またはカップリング反応逆転する可能性を回避するために、ヒドラゾンを二級アミンに還元してもよい。この発明の質量標識のヒドラジド活性化形態の合成は、この発明の質量標識の2つのNHSエステル活性化形態にヒドラジンをカップリングすることにより実施できる。

0139

この発明の質量標識のピリジルジチオ活性化形態は、質量タグの活性エステル形態へのチオピリジン−保護システアミンのカップリングにより調製され得る。チオピリジン−保護システアミンは、システアミンをジチオピリジンと反応させることにより調製されて、遊離アミノ基を残して保護チオールを生成する:

0140

このアミン中間体をその後、この発明の質量標識の2つのNHSエステル活性化形態にカップリングして、この発明の質量標識のピリジルジチオ活性化形態を得る。

0141

この発明の質量標識のピリジルジチオ活性化形態を使用して、この発明の質量標識をチオール官能基、例えば、タンパク質またはペプチド中の還元されたシステイン残基にカップリングしてもよい。2−ジチオピリジン基はいくつかの利点を有する:それは、プロテオミクス研究において有用なバッファー溶液(例えば、重炭酸トリエチルアンモニウムTEAB)中でしばしば使用される高いpHでさえも、システイン残基を標識する高い選択性を示し、かつそれは水への曝露に対して不安定ではない。さらに、この基は、望ましい場合、任意のジスルフィド還元試薬による処理によってペプチドから容易に再切断できる。

0142

質量標識のアミノ官能化形態もまた、カルボン酸誘導体化タグから調製できる。この反応スキームでは、BOC−保護エチレンジアミンを、この発明の質量標識の2つのNHS−エステル活性化形態と反応させ、続いてBOC基を除去して、この発明の質量標識のアミノ官能化形態を得る。アミノ官能化質量標識はそれら自体で有用であり、これを用いて、得られるイミンの還元を伴って、この発明の質量標識をカルボニル基にカップリングできる。

0143

アミノ官能基化タグにハロ酢酸無水物、例えばヨード酢酸無水物をカップリングさせることにより、この発明の質量標識のアミノ官能化形態を反応させてさらに、この発明の質量タグのハロアセチル形態を生じることができる。この発明の質量標識の得られたヨードアセトアミド活性化形態を用いて、この発明の質量標識をチオール官能基、例えば、タンパク質またはペプチド中の還元されたシステイン残基にカップリングしてもよい。

0144

マレイミド化合物もまた、チオール標識のための優れた試薬であり、ジメチルホルムアミドDMF)などの不活性溶媒中でのアミン修飾タグの無水マレイン酸との反応により、続いて閉環を実行するための五酸化リンによる脱水により、この発明によるタグに容易に導入できる。

0145

この発明の質量タグのアルキン活性化形態の合成を下に示す。

0146

この反応スキームでは、プロパルギルアミンを、この発明の質量標識の2つのNHS−エステル活性化形態と反応させて、この発明の質量標識のアルキン官能化形態を得る。あるいは、この発明のアミン−誘導体化タグをプロピン酸にカップリングしてアルキン官能化タグを得ることができる:

0147

アルキン−官能化質量標識を、銅触媒アジドアルキン付加環化(CuAAC)反応によりアジド官能基と反応させて、トリアゾール結合を形成してもよい。これは、時として「Sharpless反応」と呼ばれる(Rostovtsev et al, 2002, Angew Chem Int Ed 41 :2596−9)。生細胞の代謝標識用の様々なアジドベースの試薬が市販されており、そのような細胞に由来するアジド標識分子が本発明の質量標識で標識されるのを可能にしている。

0148

市販のNHS−アジド試薬(Thermo Scientific’s Pierce Biotechnology division, Rockford, Illinois, USA)をアミノ官能化質量標識にカップリングすることにより、この発明の質量標識のアミノ官能化形態を反応させてさらに、この発明の質量標識のアジド−官能化形態を生成してもよい。あるいは、アミノ−官能化質量標識を、アジド化試薬イミダゾール−1−スルホニルアジドとの反応によりアジドに直接変換できる。イミダゾール−1−スルホニルアジドは、アセトニトリル中にて塩化スルフリルアジ化ナトリウムで処理し、続いて過剰のイミダゾールを添加することにより調製される(Goddard−Borger & Stick, 2007, Org Lett 9:3797−800)。

0149

アジド−官能化タグを、「Sharpless反応」または銅触媒アジドアルキン付加環化(CuAAC)反応を介して、アルキン官能基と反応させて、トリアゾール結合を形成してもよい。生細胞の代謝標識用の様々なアルキンベースの試薬が市販されており、そのような細胞に由来するアルキン標識分子がこの発明のタグで標識されるのを可能にしている。

実施例

0150

本明細書で記載される実施例は、発明の質量標識の第1のセットとの関連で前に記載される実施形態1〜6で設定される質量標識および質量標識のセットを作製するための手段を提供する。

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